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2011年7月25日 平成23年度第4回目安に関する小委員会 議事録

労働基準局

○日時

平成23年7月25日(月)
19:00〜34:30(翌日26日(火)10:30)


○場所

於:日本青年館ホテル(29時以降、厚生労働省仮設第3会議室)


○出席者

【公益委員】

今野委員長、勝委員、仁田委員、藤村委員

【労働者委員】

石黒委員、田村委員、團野委員、萩原委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、矢口委員、横山委員

【事務局】

森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長、藤永主任中央賃金指導官
川田代副主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議題

平成23年度地域別最低賃金額改定の目安について

○議事

○今野委員長
  それでは、ただ今から第4回目安に関する小委員会を始めたいと思います。論点としては大きく2つあると思っておりまして、一つは雇用戦略対話の合意等を踏まえた引上げ額の目安をどう考えるかということと、もう一つは生活保護との乖離解消分の引上げをどうするかという、この大きく2つの議題が残っております。それとその際にそれぞれ、東日本大震災の影響を勘案しなければならないと私は思っておりますが、それをどうするかというのがあります。
  それでは、まず、労使各側において前回と主張点が変わったぞ、というところがありましたらまず聞きたいと思います。いかがでしょうか。

○團野委員
  基本見解についてはこれまでも主張してまいったところに変わりはございません。ただ、前回まで、必ずしも十分に労働側の意が伝わりきれなかったおそれもあると受け止めておりまして、改めて明確に申し上げたいと思っております。
  本年度の目安につきましては、これまで申し上げてまいりましたように、C,Dランクへの配慮をいただきたい。それと同時に、目安額については、有額を示していただきたいと考えているということについて明確に申し上げておきます。少なくとも、これまで、あまり、金額について具体的に申し上げて来ませんでしたので、その点について、是非、留意をいただきたいと思います。

○今野委員長
  2点目の目安についての有額にせよというのは、ABCD全ランクについてということですか。

○團野委員
  そうです。

○今野委員長
  C,Dランクについての配慮については、具体的な金額にして、というのはお考えはありますか。

○團野委員
  考えてはございますけれども、この後、追い追い申し上げたいと思います。

○今野委員長
  例年とちょっと違った展開になっていますね。例年ですと、労働側からは具体的な金額を言っていただけるんですが、今年は言っていただけないようです。例年の労働側がおっしゃる金額についての我々からの評価は色々とありますが、一応、例年金額の提示がありました。
  では、具体的な金額は公労会議でということですね。

○團野委員
  昨年までと展開が相当違いますので、昨年は正直申し上げれば、800円への引上げを早期に行うべきだ、3年で達成すべきだ、したがって引上げ額は54円だ、というところからスタートして大きく下がりました。
  今回は、そういうことではないだろうということで、使用者側の御意見もそういう意見だとみておりますので、その状況を踏まえて、有額と申し上げたつもりであります。したがって、具体的な内容については公労会議の中で申し上げたいと思います。

○今野委員長
  使用者側はいかがですか。

○矢口委員
  大きく変わってはいませんが、先週木曜日の7月21日に、日本商工会議所で、各地の地方最低賃金審議会の委員が集まりまして、意見交換を行いました。そのときの話を踏まえて3点ほどお話ししたいと考えています。
  まず、最初に、今年の目安審議のあり方として、地方最低賃金審議会の委員の多くが、昨年度の目安審議は本来の公労使の三者構成で協議して目安を取りまとめるという審議会制度から大分、外れたのではないか、制度そのものが揺るがされているのではないか、ということがかなり強く共有されておりました。今年度の目安審議では是非、地方最低賃金審議会が地域の実状に応じた適切な最低賃金を決定できるような目安を示すということが非常に大事だと思います。今の話からすると今年は違うということですので、その辺りはありがたいと思いますけど、昨年度と同じようなことを繰り返しますと、中小企業のみなさんの目安制度に対する信頼を失いかねないのではないかと危惧いたしましたので、申し上げました。
  2点目としては、今年度の目安審議に当たっては、最低賃金法に基づいた審議の大原則である三要素がございますけれども、生計費、賃金、あるいは企業の支払能力、そういう経済の実態に即した議論、そして結論を出すべきだと考えております。その実際の根拠となるデータを見ると、賃金改定状況につきましても第4表で示されているとおり、賃金上昇率は全体ではゼロであり、B、C、Dランクではマイナスですし、中小企業の支払能力を表す生産性の向上についてもマイナスという結果だったということで、データからすると今年度の目安額が有額ということは難しい状況です。労働側からは先ほど、今年度の目安額は有額という話でしたけれども、最低賃金を引き上げる具体的な根拠はありません。生活保護との乖離についても、是非、弾力的な対応をしてほしいというような強い要望もあります。
  これも繰り返しになるのですが、地方最低賃金審議会は、もう既に1度、審議会を開催していますけれども、昨年度の例で言いますと、地方に示された目安額にいくら上乗せが出来るかという議論に終始し、いくら中小企業の窮状を訴えても聞いてもらえませんでした。昨年度は実際のデータでも、支払能力も、賃金改定率もマイナスだったということをほとんど考慮してもらえない状況でした。今年度は、もう一度、目安はあくまで目安であって、地域の実態にあった最低賃金額を、地方最低賃金審議会で決めるのが本来の趣旨ということを徹底してほしいと思います。そういう実態もあるので、なんとか、今年度の目安額はゼロないしは目安なしと進めてほしいということが使用者側の意見です。

○今野委員長
  今おっしゃられたのは、担当者の方々の全国会議での意見交換についてですね。一つ確認しておきたいのですが、三者構成の審議体制を尊重してほしいというのは地方最低賃金審議会のことですか。それとも中央最低賃金審議会のことですか。

○矢口委員
  中央最低賃金審議会と地方最低賃金審議会の両方です。両方とも、昨年度は結局、労働側に押し切られたということだったので、それは非常に残念でした。

○今野委員長
  公使会議でお聞きすれば良いのですが、もう一つだけよろしいですか。先ほど矢口委員がおっしゃられた全国担当者会議で、雇用戦略対話についてどうするかということは議論されなかったんですか。

○矢口委員
  それは、その前提の経済状況とか、あるいは中小企業の支援策も含めて、全然成果も実態も伴っていないのに、それが、昨年度は800円、1,000円が全面に出てしまったことに対する不満はものすごい勢いでありました。

○今野委員長
  分かりました。

○小林委員
  私どもの、中央会でも地方最低賃金審議会の委員を集めた会議を開催いたしまして、その会議の中でも、前回の全体会議で申し上げましたように、今年度は成長率の実績値で審議をしましょうとお話しをしました。昨年度も成長率と、実際の今年の成長、去年の実態、目安の検討をしたときの見通しの成長率と、名目の成長率にかなりの乖離があったことについてかなりのおしかりをいただいた。ですから、先ほど、矢口委員がおっしゃったように、法の三原則がはっきり言って無視されたというような話もありましたし、三者構成の中で、地方最低賃金審議会の公益委員が、目安額がスタートラインで、目安額にいくら上乗せしようかという審議に終始したというのは、結果として使用者側の意見が全く聞き入れてもらえなかったということです。ですから、使用者側の意見としては、自分たちの意見が反映されずに決められた最低賃金額に従わなければならないというのは、納得出来ないという声が大きかった。目安の決定に当たっては、本当の地域雇用や、経済情勢を踏まえて審議し、決定していかなければならないと思います。何が言いたいかというと、昨年は地域に対する配慮が足りない、ちょっとその辺に対する不満というのは全国会議で多々聞きましたということを申し上げたかったのです。

○今野委員長
  他にいかがですか。よろしいですか。それでは、全体会議を終わりにさせていただいて、公労会議から始めましょう。それでは終わります。ありがとうございます。


(第2回全体会議)

○今野委員長
  それでは第2回全体会議を開催いたします。お手元に公益委員見解を配布しておりますので、事務局は読み上げてください。

○川田代副主任中央賃金指導官
  副主任中央賃金指導官の川田代でございます。それでは朗読いたします。
  平成23年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解。平成23年7月25日。
  1、 平成23年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、表1中の下線が付されていない38県(生活保護水準と最低賃金との乖離額(比較時点における最新のデータに基づく生活保護水準と最低賃金との乖離額から、前年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお残る乖離額をいう。以下同じ。)が生じていない県)については、表1の金額欄に掲げる金額とし、表1中の下線が付された9都道府県(乖離額が生じている都道府県)については、当該金額と、以下の(1)及び(2)に掲げる金額とを比較して大きい方の金額とする。
  (1) 表2中の下線が付されていない5都道県(昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度以降乖離額を解消することとされていた都道県)については、原則として、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を、昨年度の時点においてそれぞれ同審議会が定めた予定解消期間の年数から1年を控除した年数(以下「予定解消残年数」という。)で除して得た金額とする。ただし、宮城については、県内の被害状況等に十分に配慮し、また、今後の復旧・復興状況も見据えつつ、地域の実情を踏まえて適切な審議が行われることを切に希望するものとし、外の4都道県については、原則どおりとした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して、地域の経済・企業・雇用動向等に著しい影響を及ぼすと考えられるケースについては、当該金額を原則としつつ、同表のC欄に掲げる乖離額を予定解消残年数に1年を加えた年数で除して得た額も踏まえて、審議を行うものとする。
  (2) 表2中の下線が付された4府県(昨年度の乖離額を同年度の地域別最低賃金額の引上げにより一旦解消したが、最新のデータに基づいて最低賃金と生活保護水準の比較を行った結果、再び乖離額が生じた府県)については、原則として、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を2年以内で、当該乖離額を解消するための期間として地方最低賃金審議会で定める年数で除して得た金額とする。
  (表1)、ランク、都道府県、金額。A、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、4円。B、茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島、1円。C、北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡、1円。D、青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、1円。
  (表2)都道府県、平成21年度データに基づく乖離額(A)、平成22年度地域別最低賃金引上げ額(B)、残された乖離額(C)(=A−B)。北海道、44円、13円、31円。宮城、20円、12円、8円。埼玉、24円、15円、9円。東京、46円、30円、16円。神奈川、52円、29円、23円。京都、21円、20円、1円。大阪、24円、17円、7円。兵庫、16円、13円、3円。広島、18円、12円、6円。
  2、(1)目安小委員会は今年度の目安審議に当たって、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議のあり方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、雇用戦略対話合意に掲げられた目標についても特段の配慮をした上で、東日本大震災による地域への影響にも配意する等、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところである。
  目安小委員会の公益委員としては、同審議会においては最低賃金の審議に際し、上記見解を十分に参酌され、かつ、上記の資料を活用され、その自主性を発揮することを強く希望する。
  (2) また、東日本大震災により、経済・企業・雇用動向等に甚大な影響が生じた地域においては、上記1の目安を踏まえつつも、各県ごとの被害状況等に十分に配慮し、また、今後の復旧、復興状況も見据えつつ、地域の実情を踏まえて適切な審議が行われることを切に希望する。
  (3) 昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度以降乖離額を解消することとされていた5都道県について、今年度の乖離解消額は、平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方を踏まえれば、本来、最新のデータに基づいて算出された乖離額を、予定解消残年数で解消することを前提に定められるものである。
  しかし、最新のデータに基づいて最低賃金と生活保護水準との比較を行った結果、昨年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお平成20年度のデータに基づく生活保護水準と最低賃金との乖離額が生じていた9都道府県の全てにおいて、乖離額が昨年度と比較して拡大するといった状況が見られるところである。
  このため、地域別最低賃金の具体的な水準は、労働者の生計費なかんずく生活保護のみによって定められるものではなく、労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力も含めて総合的に勘案して決定されるべきものであることにかんがみ、今年度においては、上記の公益委員見解で示した考え方に基づく乖離額の解消方法を見直すこともやむを得ないものと考える。
  (4) 具体的には、今年度の乖離解消額の目安については、乖離額を予定解消残年数で除して得た金額を原則とすることが適当である。ただし、宮城については、上記1(1)ただし書のとおり、地域の実情を踏まえて適切な審議が行われることを切に希望するものとし、外の4都道県については、原則どおりとした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して、地域の経済・企業・雇用動向等に著しい影響を及ぼすと考えられるケースについては、当該金額を原則としつつ、予定解消残年数に1年を加えた年数で除して得た額も踏まえて、審議を行うことが適当である。
  (5) 上記(3)、(4)の見直しに伴う乖離額の予定解消期間の見直しについては、昨年度の地方最低賃金審議会において、原則として今年度に乖離額を解消することとされていたケース(宮城、東京、神奈川及び広島)のうち、同(4)ただし書のケースに該当すると考えられる地域については、予定解消残年数に1年を加えた年数までと見直すことが適当と考える。
  一方、昨年度の乖離額を同年度の地域別最低賃金の引上げにより一旦解消したケース(埼玉、京都、大阪及び兵庫)については、最新のデータに基づいて算出された乖離額について、平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方を踏まえれば、原則として2年以内で解消することとなるが、最低賃金法第9条第3項の趣旨にかんがみれば、できるだけ速やかに解消を図ることが適当と考える。
  なお、具体的な予定解消期間については、地域の経済・企業・雇用動向等も踏まえ、同審議会がその自主性を発揮することを期待する。
  (6) また、今後の最低賃金と生活保護水準の比較については、引き続き比較時点における最新のデータに基づいて行うことが適当と考える。
  (7) 目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が今年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。
  以上です。

○今野委員長
  ありがとうございました。公益委員といたしましては、これを中央最低賃金審議会に示したいと思っていますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)

○今野委員長
  では、目安に関する小委員会報告について、引き続き取りまとめたいと思います。お手元に案を配布しておりますので、事務局は朗読してください。

○川田代副主任中央賃金指導官
  それでは読み上げさせていただきます。
  中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(案)。平成23年7月25日。
  1、はじめに。平成23年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、平成23年3月11日に発生した東日本大震災による地域への影響にも配意しながら、目安額の根拠等についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。
  2、労働者側見解。労働者側委員は、労働者の生計費について、各種統計調査、国際機関の調査等の結果を例に挙げつつ、現在の地域別最低賃金額の水準(月額換算約12万円)では、依然として、生計費水準に到底及ばないと主張した。
  また、地域別最低賃金による所得のセーフティネット機能の影響を多く受けると考えられる非正規労働者が雇用労働者の約三分の一、年収200万円に満たない労働者が給与所得者の約四分の一に達している状況をかんがみれば、その機能はますます重要性を増しており、「相対的貧困率」が過去最大の16%に達している状況の中で、642円の最低賃金は貧困ラインを下回っており、ここに重大な問題意識を持つべきである。地域別最低賃金については、安心・安定が確保された生活を営むことが可能な水準を早急に確立することが必要不可欠であると強く主張した。
  また、雇用戦略対話における最低賃金引き上げに関する合意の内容については、現在の地域別最低賃金の水準が上述したとおりの状況下では、「できる限り早期に全国最低800円」を確保するという基本姿勢に変わるところはなく、政労使が当該目標を目指すことで合意した事実は極めて重いとした上で、対応を考えていくべきであると主張した。
  さらに、日本経済が長期間のデフレに見舞われていることについては、企業側の固定費削減を重視する姿勢や、商取引慣行にも一因があると指摘し、最低賃金の引上げを家計の消費拡大、更には「新成長戦略」が描く「2020年度までの平均で、名目3%実質2%を上回る成長」につなげるべきであると主張した。
  東日本大震災についても、その甚大な被害を重く受け止めつつも、政府と現地は復旧・復興の歩みを始めており、各種インフラや仮設住宅の整備等が進んでいる。かかる状況下では、雇用の創出と同時に労働条件の維持で一定の生活レベルを維持することが不可欠である。被災地の生活再建のためにも、地域別最低賃金の引上げが重要と主張した。
  こうした状況を踏まえれば、雇用戦略対話の合意に掲げられた目標の達成に向け、歩みを止めない目安を具体的に示すことが必要であると主張した。具体的には、800円との乖離が大きいC、Dランクへの配慮を含めて、全ランク有額の目安を示すべきであると最後まで強く主張した。
  また、生活保護との乖離解消については、震災の影響に配慮しつつも、最低賃金法上も要請されており、生活保護との乖離がある地域においては、一気に解消することを求めつつ、少なくとも地方最低賃金審議会が定めた予定解消期間どおりに解消することが必要であると強く主張した。
  3、使用者側見解。使用者側委員は、今年度の目安審議の前提として、今年2月に取りまとめられた「目安制度のあり方に関する全員協議会報告」で合意された今後の目安審議のあり方、即ち、「法の原則及び目安制度を基に、時々の事情を総合的に勘案して行う」べきであり、昨年度のように「全国最低800円」という数値目標のみが強く意識された結果、全国38地域で使用者側が全員反対となるような事態は避けるべきである。法が定める地域別最低賃金決定の原則に照らした審議を行うためには、目安制度上重要な資料とされている賃金改定状況調査結果(特に第4表)を十分に踏まえるべきと強く主張した。
  また、雇用戦略対話における最低賃金引上げに関する合意の内容については、政労使が努力していくことは当然であるが、当該合意に掲げられた目標の前提条件たる経済成長率が捨象されることになれば、法の原則をなす通常の事業の支払能力を無視する結果となる。このため経済成長率については、昨年度のように見通し値を用いることなく、実績値を用いる必要があることに加えて、中小企業の生産性等その他の前提条件の達成状況についても検証した上で、当該目標への対応を考えていく必要があると主張した。
  さらに、日本経済は元々、長期間のデフレ等々数多くの成長阻害要因が存在していた状況下で、東日本大震災が発生し、被災地だけでなく日本経済全体を揺るがした。加えて、電力の供給制約も新たに生じており、極めて厳しい状況におかれていると主張した。
  特に、中小企業については、震災に伴い、全地域の業況判断がリーマン・ショック後以上の落ち込みを示し、助成金等により雇用を繋ぐ等々極めて厳しく生産性の向上も確認できない。かかる状況下で、その実態にそぐわない引上げを行うことは、事業の存続自体を脅かすことになると主張し、個々の業界の例を挙げつつ、詳細に論じた。
  以上の点を踏まえれば、今年度の目安審議に当たっては、Aランク以外は全てマイナスとなっている賃金改定状況調査結果を十分に踏まえるとともに、「時々の事情」、とりわけ、上述のとおり東日本大震災が全国に及ぼした甚大な影響を踏まえれば、相当に節度ある目安を示すべきである。具体的には、マイナスの目安も考えられる状況にある中では、少なくともゼロ円目安が適当であると最後まで強く主張した。
  また、生活保護との乖離解消については、地域の使用者の心情を代弁すれば、三度乖離額が拡大する等、「逃げ水」のようである。法の原則にかんがみ、乖離額が大きく拡大した地域の解消期間を延長するなど柔軟な対応が不可欠であると主張した。
  4、意見の不一致。本小委員会(以下「目安小委員会」という。)としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。
  5、公益委員見解及びこれに対する労使の意見。公益委員としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、今年度の目安審議については、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議のあり方や、雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日 雇用戦略対話第4回会合。以下「雇用戦略対話合意」という。)及び中小企業への支援に関する合意(同年12月15日 同第6回会合)を踏まえ、加えて、平成23年3月11日に発生した東日本大震災による地域への影響に配意した上で、上記の労使の小規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善の必要性に関する意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、公益委員による見解を下記1のとおり取りまとめ、目安小委員会としては、これを公益委員見解として地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することとした。
  なお、公益委員としては、雇用戦略対話合意については、できる限り早期に全国最低800円を確保すること、その前提となっている経済成長、また、中小企業の生産性向上、中小企業に対する支援等の実施状況に配慮すべきものと考える。
  また、地方最低賃金審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点並びに平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方に基づく生活保護水準と最低賃金との乖離額の解消方法の見直しに関し、下記2のとおり示し、併せて総会に報告することとした。
  さらに、政府において、雇用戦略対話合意に掲げられた目標の円滑な達成を支援するため、「最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業」をはじめとする中小企業に対する支援等に引き続き取り組むことを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
  なお、下記1及び2の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容となっているとし、不満の意を表明した。
  なお、「記」以下につきましては、先ほど読み上げました公益委員見解のとおりですので、省略いたします。
  一番末尾の頁でございますが、別添グラフの最初の部分だけは読み上げさせていただきます。生活保護(生活扶助基準(1類費+2類費+期末一時扶助費)+住宅扶助)と最低賃金。
  以上でございます。

○今野委員長 
  よろしいでしょうか。それでは、大変長い時間、ありがとうございました。これで、本日の小委員会を終了したいと思います。議事録の署名ですが、石黒委員と小林委員にお願いいたします。それと、最後に御照会したいことがあって、これまでもずっとそうだったのですが、この小委員会報告を審議会前なのですが、マスコミに公表させていただきたいのですがよろしいでしょうか。

(了承)

○今野委員長
  それではそのようにさせていただきます。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係(内線:5532)

代表 03-5253-1111

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