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2011年10月21日 第1回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会 議事録

○日時

平成23年10月21日 18:30~


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室


○議事

○毛利調査官 本日は大変お忙しい中、ご参集をいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから「第1回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」を開催いたします。初めに、厚生労働省安全衛生部長の宮野からご挨拶を申し上げます。
○宮野安全衛生部長 厚生労働省安全衛生部長の宮野です。本日は、大変お忙しいところ、さらに遅い時間からお集まりをいただきまして、ありがとうございます。開会にあたりまして、一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 ご案内のとおり、原発事故による放射性物質の除染等作業及び廃棄物の処理等については、本日環境省のご担当にもお出でいただいていますが、放射性物質汚染対策特別措置法により、環境省で除染作業の基準等を、来年の1月1日までに定めることになっています。一方、労働者の放射線障害防止については、私どもが所管しております労働安全衛生法に基づく省令として、電離放射線障害防止規則、いわゆる電離則と呼んでいるものがあります。しかし、この電離則については、除染作業のように非常に幅広い地域を想定しておらず、原発の敷地内のように一定の区切られた範囲の中で作業を行うものを想定しています。そのため、幅広い範囲で放射性物質に汚染された土壌等を取扱うというようなことについては、想定をしていません。したがいまして、こうした作業を行う労働者の放射線障害防止をどうするかについて、新たな規則、言ってみれば第2の電離則を策定する、かつ来年1月1日までに策定をする必要があると考えています。こうしたことを踏まえまして、この新たな規則についての具体的な内容を検討いただくために、本日こうした形で有識者の皆様方にお集まりをいただいて、検討会を開催することとした次第です。  詳細は、検討会の中で説明させていただきますが、検討内容としては、除染、廃棄物の処理等の作業を行う際の被ばく管理、外部被ばく低減、汚染防止拡大、内部被ばく防止、労働者教育、健康管理のための措置等々です。さらに、この検討に際しては、いま申し上げたように原発のような区切られた敷域の中ではなく、非常に広い範囲で作業をすることについてどう考えるのか、あるいは私ども安全衛生部が所管しています労働安全衛生法の体系は、労働者という形で事業主に雇われて働く、かつ継続的にこのような作業をする方を直接的な対象にするわけです。当然ながら、こうした除染作業については、住民の方がご自身の住宅を、ボランティアの方が、あるいは農業に従事される方がご自身の農地について除染されるというようなさまざまなケースも想定されます。当然ながら私どもの検討については、労働者を想定して規則の制定について検討するわけですが、いま申し上げた方についても一方で念頭におきつつ、検討しなければならないことも考えています。
 そういった意味で、非常に多岐にわたる検討、かつ来年1月1日からスタートするということで、タイトなスケジュールの中で検討いただかなければならないと考えています。したがって、1月1日から新しい作業がスタートすることになりますと、この検討会の報告書の取りまとめ自体は11月中ぐらいにお願いできればと考えています。一方で、現状の中で迅速、確実な除染の実施、併せて作業員の方の安全確保の両立をすることが、極めて重要な課題であると認識しています。是非、多大なるご協力をいただきたいと考えています。
 最後に、本日あるいはこれからの検討会について、自由闊達なご議論をお願いいたしまして、冒頭の私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○毛利調査官 次に、出席者をご紹介いたします。資料1の2頁目に参集者名簿がありますので、この名簿順にご紹介させていただきます。国立環境研究所大迫政浩様。
○大迫委員 国立環境研究所の大迫です。廃棄物処理の観点から貢献させていただければと思います。よろしくお願いします。
○毛利調査官 森林総合研究所、金子真司様。
○金子委員 森林総合研究所の金子です。森林の除染についての観点から説明させていただきます。よろしくお願いします。
○毛利調査官 農業・食品産業技術総合研究機構、小林恭様。
○小林委員 中央農研の小林です。よろしくお願いします。表土除去について中心に今回参加しています。よろしくお願いします。
○毛利調査官 放射線医学総合研究所、杉浦紳之様。
○杉浦委員 放射線医学総合研究所の杉浦です。専門は放射線防護です。よろしくお願いします。
○毛利調査官 日本原子力研究開発機構、中山真一様。
○中山委員 原子力機構の中山です。もともとの専門は放射性廃棄物管理ですが、福島の支援本部に変わりまして、現在福島でいままでいささか除染の経験もしてまいりましたので、そのお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
○毛利調査官 日本原子力開発研究機構、古田定昭様。
○古田委員 古田です、よろしくお願いします。人形峠事業のウラン鉱山で、ウラン残土の処理などの放射線防護に携わっていましたので、協力できるかと思います。よろしくお願いします。
○毛利調査官 産業安全技術協会、松村芳美様。
○松村委員 産業安全技術協会の松村です。厚生労働省の登録機関として、呼吸用保護具の検定をやっています。
○毛利調査官 産業医科大学、森晃爾様。
○森委員 産業医科大学の森と申します。私は産業医学が専門で、広く労働者の健康を保護するための立場からお話をさせていただこうと思っています。また、今回の原子力事故においては、大学を挙げて作業員の健康を守るための取組をやっていますので、その辺りの土地感や感覚も使いながら貢献したいと思っています。よろしくお願いします。
○毛利調査官 本検討会には、座長を置くことになっています。事務局からの提案としては、産業医科大学の森委員にお願いしたいと考えていますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○毛利調査官 ありがとうございます。それでは、今後の議事進行について、森委員にお願いします。
○森座長 それでは、議事進行を努めさせていただきます。ただいま安全衛生部長からありましたように、非常にタイトなスケジュールの中でたくさんのことを決めていかなければいけないという、大変役割の重い委員会ですが、是非皆様と一緒にいいものを作り上げていきたいと思います。よろしくお願いします。本日1回目の目標としては、できるだけたくさんの論点を上げることです。このことを目標に議事を進めていきたいと思います。円滑な議事進行にご協力いただけますようお願いします。
 議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をいたします。1頁が資料1です。3頁は資料2です。7頁から資料3-1、13頁から資料3-2、21頁から資料4-1、31頁から資料4-2、51頁から資料4-3、63頁から資料4-4、別刷りになっている方もいると思いますが、67頁から資料5です。それから、参考資料1、参考資料2として、カラー刷りの航空機モニタリングの測定結果です。お手元の資料がお揃いでない方はいらっしゃいますか。
○森座長 よろしいでしょうか。特になければ、本日の議題に入りたいと思います。まず本検討会の進め方について、事務局から用意している資料に基づいて説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 3頁の資料2について説明いたします。まず検討会の進め方ですが、第1にガイドライン原案の作成を考えています。この内容については、今回除染等の作業、放射性廃棄物の処理・運搬・処分等に従事する者に対する放射線防護対策ですが、一律に一定の基準を義務づけるよりも促進的に取り組んだほうがよいものが多く、新たな情報を踏まえて柔軟に対策の内容を見直す必要があると考えています。この検討会においては、可能な限り多様な除染作業あるいは廃棄物の処分等の作業内容を収集しまして、できるだけ具体的かつ実用的な対策を盛り込んだガイドラインの原案を作成していただきたいと考えています。なお、このガイドラインについては、先ほど部長から説明しましたとおり、住民あるいは農業従事者の方も携わりますので、そういった方にも活用できるようなものを念頭においています。
 2つ目は、新たな規則(省令)に盛り込むべき内容の提言です。先ほどのガイドラインの中から、義務として担保すべき事項を抽出していただいて、それをご提言いただきます。今後のスケジュールですが、この検討会は、11月中に第4回まで終わるという、かなりタイトなスケジュールを提案させていただいています。その報告をいただいた後に、厚生労働省として、提案を踏まえたガイドラインの作成、新たな規則の制定の手続にまいります。当然パブリックコメント、関係審議会の諮問・答申を経たうえで、来年の1月1日にガイドラインと新たな規則の施行を目指すというスケジュールを考えているところです。
 続いて4頁は、いくつかバックグラウンドの情報として説明をさせていただきます。現行の対策の省令である電離放射線障害防止規則の概要です。この規則は、労働安全衛生法に基づく委任省令です。この規則の適用対象、規制の対象として、放射線業務を定めています。放射線業務にはさまざまなものがありますが、特に除染に関係する部分としては、放射性物質またはこれによって汚染された物の取扱いとなっており、この放射性物質の定義が決まっています。セシウムの場合は、濃度では、1kg当たり10,000Bqを濃度基準としており、また、数量では、10,000 Bqを超えるものについても放射性物質という扱いにしています。
 規制内容としては、いくつかあります。第1点は、管理区域、線量測定、線量限度です。この規則はご案内のとおり、いわゆる計画被ばく状況を想定していますので、線源は管理された状態にあるという前提に立っています。管理区域を設定した上でそこに立ち入る方は、全員線量を管理、測定し、線量限度を適用します。そのほか放射性物質の取扱いをされる方に対するマスク等の着用や喫煙・飲食の禁止の規定と、健康管理等として特殊健康診断の実施を義務づけているところです。
 続いて5頁です。先ほどの電離則ですが、管理区域という概念から、現状の除染作業のような状態にはなかなか適用ができません。現時点においては、ガイドラインとそれに基づく行政指導という形で、安全を担保している状況です。ガイドラインについては、平成23年8月26日に原子力災害対策本部が定めたものがあります。これは、1-20mSv/年の地域における市町村が実施する除染のためのマニュアルで、線量が高い場所の作業は専門業者に依頼して除染を実施すべきとなっています。労働者に対する保護として、個人線量計を携帯させ、被ばく線量を記録、被ばく上限20mSv/年、防じんマスク等の着用、飲食・喫煙を控えること、手足等を洗うなどのスクリーニング関係、健康診断の実施、放射線に関する知識を得る機会の提供が定められています。これを補完する形で、厚生労働省から行政指導の通達を出しています。これは7点ありまして、先ほどの線量管理については、1日ごとに記録して、労働者に通知する。被ばく限度については、女性労働者は、5mSv/3月の上限を超えないことを付け加えています。防じんマスクは、国家検定品を使うこと。除染の作業方法、使用する機器、関係法令等についての教育を行う。健康診断は、電離放射線特殊健康診断を6月ごとに実施していただくという内容を定め、現在行政指導を行っている状況です。
 6頁は、除染作業等に関する法令の適用関係です。左に縦軸がありますが、これは空間線量が1年当たり5mSvを超える、もしくは廃棄物の濃度が10,000Bq/kgを超えるものについては、先ほど申し上げた電離則の適用になってくるわけです。逆に申しますと、それを下回るものについては適用がないということです。横軸は、施設内において管理された状態での放射線業務、いわゆる計画被ばく状況を前提にした法令です。例えば、廃棄物の処理は、焼却施設や下水処理場や上水処理場といった施設の中における対応については適応が可能ですが、一方、屋外で穴を掘って埋める等の行為については、適用がない状況です。また、屋外における除染の作業についても、適用がない状態になっています。こういった部分について、赤い枠で囲んである部分を、新しい規則でカバーすることを念頭においています。
 今回、下の方に「適用のレベルについては検討会で議論」となっていますが、ご案内のとおり環境省の特別措置法に基づく除染は、1mSv/年の地域について実施することになっています。先ほど申し上げました電離則については、5mSv/年であるというギャップがあります。廃棄物については、電離則は10,000Bqという数字で抑さえていますが、特措法においては8,000Bqという数字を指定廃棄物に使っていますので、この部分についてもギャップがありますので、こういったギャップをどのように適用していくかが今回の検討会で検討していただく内容になります。私からの説明は以上です。
○森座長 ありがとうございました。いまの説明について、何か質問はありますか。
○大迫委員 6頁の10,000Bq/kgを超える廃棄物に関して、電離則が適用される点の、10,000Bqを超えるの廃棄物は、セシウムや各種それぞれについて10,000Bqという理解なのか、足し算をして10,000Bqという理解なのかというところの見解は、まだあまり整理されていないという理解でよろしいでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 核種ごとに、それぞれ数字が決まっています。これは、電離則だけではなく、炉規法も含めた一般的なスクリーニングの下限値があります。例えば、セシウム137と134がある場合は、それを合算した和で、10,000Bqという形で取扱います。片方が5,000Bqで片方が6,000Bqだった場合、両方足して10,000Bqを超えた場合は適用するというような扱いをすると決まっています。
○森座長 他にはよろしいでしょうか。よろしければ、次の議題「除染作業等の内容等について」に入りたいと思います。本日は、各参集者及びオブザーバーから資料を提供いただいています。今から順番に資料に基づいてご説明いただくことになっています。6名の方に説明をいただきますが、それだけで今日の会議が終わってしまうといけないので、是非1人10分以内の時間の厳守をお願いします。最初に、資料3-1について、環境省土壌環境課の永浜様お願いします。
○永浜土壌環境課課長補佐 環境省土壌環境課で補佐をしております永浜と申します。よろしくお願いします。資料3-1に基づいて説明をさせていただきます。法律名が長いので省略させていただきますが、単に特措法と説明をさせていただきます。概要については、1枚でまとめられていますが、今回の検討会に関する内容として、2つ大きな内容があります。のちほど課長の廣木より説明をさせていただきますが、放射性物質により汚染された廃棄物の処理が一つ。もう一つは、放射性物質に汚染された土壌等の除染等の措置に関する内容です。それぞれについて対応するために、今回の特別措置法が提案され、この8月に成立しました。一部施行はされていますが、完全施行は平成24年1月1日からとなっています。
 細かい内容は、8頁に基づいて説明させていただきます。まず、土壌に関しての説明をさせていただきます。除染に関する地域指定等という所で、除染特別地域の指定とあります。これは、先ほどお話がありましたが、国が除染を実施する地域を環境大臣が指定することとしています。現在の考えでは警戒区域と計画的避難区域に関して、国が直轄で除染をする方針です。続いて、汚染状況重点調査地域の指定についてで、こちらも環境大臣が指定します。こちらに関しては、都道府県知事、市町村長に対応いただく地域です。現在パブリックコメント中ではありますが、考え方として年間の追加被ばく線量が1mSv以上、毎時0.23μSv以上の地域について指定をし、指定された市町村、都道府県知事においては、線量を調査、測定をしていただいて、やはり1mSv以上というような地域がありましたら、その地域について除染を実施していただくための除染実施計画の区域指定を行っていただきます。そして、除染実施計画を都道府県知事、市町村長に策定いただき、それに基づく除染を行っていただくことになっています。
 除染の措置の基準に関しては、あとで説明させていただきますが、これから基準を設けまして、除染の結果、除去土壌が発生します。除去土壌の収集・運搬、保管処分の基準に関しても説明させていただきますが、それらについて基準に則って処理、対応していただきます。また、あわせて廃棄物も発生しますが、こちらも基準に則って対応していただく形になっています。
 除染等の措置の基準を説明させていただきます。9頁をご覧ください。除染等の措置の基準の要素は、廃棄物処理法の規定に沿った内容にはなっているのですが、除染等の措置の対象ということで、大まかに4つ分けています。土壌、民家でいうと土の庭や農用地が典型なのですが、これについての除染等の措置の対象となります。それらについて、除染等の措置ということで、表土の削り取り、表面被覆、耕起等々があります。続いて、草木です。森林もこちらに含まれるのですが、森林に関しては草刈り、樹木・灌木の剪定・伐採、落葉、落枝の除去が考えられるということで、規定しています。続いて、工作物及び道路です。建築物や民家などは、こちらに含まれます。こちらについては、高圧水等による洗浄や側溝、雨樋等の泥、草、落葉、堆積物等の除去、それ以外の場所における堆積物の除去や表面の削り取りです。4その他。こちらは何を意味しているかといいますと、例えば河川や池などの底質なども想定して規定しています。それらの除染等の措置の対象について、講ずべき除染等の措置を取っていただくのが、法律の基本的な枠組です。その際には、当然いろいろと配慮していただく事項があります。
 9頁に戻ります。?から?に掲げられた内容を簡単に説明させていただきますと、除去土壌の飛散・流出防止や、人の健康の被害の発生防止に取り組んでいただきます。空間線量率が下がることを目的としていますので、実施前実施後で線量を測っていただく内容となっています。それらが、除染の措置の基準です。
 続いて、収集・運搬の基準を説明させていただきます。11頁をご覧ください。周辺の観点ということで、先ほども出ましたが、飛散・流出防止、人の健康の被害発生防止について規定することを考えています。また、運搬車輌などからの、飛散流出防止といった運搬車両に関する規定を設けることとしています。最後に、収集・運搬時の分別や事故に備えた機材の携行などをしていただくと。当然、どのような場所に運んでいただくのか、収集元、運搬先について記録を残していただくことが必要ですので、それらについても規定をすることを考えています。
 次に保管の基準について説明をさせていただきます。12頁をご覧ください。先ほどと大体同じなのですが、ここでは周辺住民の方々への影響が出ないようにということで、雨水等の流入の防止、地下水等の汚染を防止、放射線防護のために必要な措置を講ずることという規定を設けることとしています。本来ですと、保管の次に処分の基準が出てくるのですが、ひとまず数年内で想定されるものということで、一時的な保管までが想定されるということで、今回は保管までの基準を省令で策定することとしました。その後の処分等については、また今後検討していくとしています。特措法のうち、汚染土壌に係る部分は以上です。
 引き続き、廃棄物について説明させていただきます。
○森座長 質問は、あとでまとめてということにさせていただきます。では、続いて資料3-2、環境省の産業廃棄物課の廣木様にお願いしたいと思います。
○廣木産業廃棄物課長 環境省産業廃棄物課長の廣木です。私からは、資料3-2に基づいて、いま説明しました放射性物質汚染対処特措法の廃棄物関係に関する基準の説明をさせていただきたいと思います。資料3-2を使って、簡単に説明させていただきます。
 まず、今回の事故で発生しました放射性物質に汚染された廃棄物をいくつかのカテゴリーに分けて、それぞれごとに基準を決めるということです。大きく、特定廃棄物とそれ以外の廃棄物に分かれます。特定廃棄物には、2つカテゴリーがあります。1つは、対策地域内廃棄物です。これは、いわゆる福島第1原発の近くにあるような、要するに特別な管理が必要な程度に汚染されている恐れがあると認められる地域内の廃棄物です。もう1つは、指定廃棄物です。これは例えば、水道施設や下水道の汚泥、あるいは廃棄物の焼却施設から出てきた焼却灰等というような、汚染状態が一定の基準要件に適合しないものとして環境大臣が指定する廃棄物です。この指定廃棄物については、一般に8,000Bq/kg以上のもので、先般私どもの検討会で一定のレベルが提示されて、一応それに基づいて指定がされるというようなことで、いま作業を進めているところです。また、それ以外の廃棄物であっても、例えば放射性物質に汚染され、または放射性物質に汚染された恐れがある廃棄物については、それよりも少し低いレベルでの特別な措置が必要であるということで、基準を設けたいと考えているところです。
 資料3-2別紙をご覧ください。これは、先般10月10日に私ども災害廃棄物の安全評価検討会の中で議論された基準の現時点での案の説明資料です。これに沿って、特に放射線防御の観点から、それを中心に説明したいと思います。14頁の共通事項をご覧ください。まず、基本的な考え方を説明します。ここで対象となるものは基本的に廃棄物ですので、廃棄物処理法の処理基準の考え方を踏襲する。それに加えて、放射性物質による汚染に対応できるように、以下の指針を参考として必要な規定を追加するということで、放射線防護に必要な観点を廃棄物処理法の処理基準をベースにしながら付け加えていくというような考え方をしています。ここで、まずは様々な指針があるわけですが、その中で私どもがいちばん根本においているものは、?の原子力安全委員会が6月3日に出しました、「東京電力福島第1原発事故の影響を受けた廃棄物の処理処分に関する安全確保の当面の考え方について」です。特にこの中では、処理、輸送、保管についていいますと、処理等に伴い周辺住民の受ける線量が1mSv/年を超えないようにすることが掲げられています。ですから、今回のさまざまな基準で具体的にどのような措置を取っていくかも、この周辺住民の受ける線量が年間1mSvを超えないようにするという観点で具体化をしていくことになります。
 15頁の2.は、特定廃棄物や除染に伴い生じた廃棄物を現場で一時的に保管をする場合の基準です。ここにさまざまな基準が書いてあります。例えば、保管場所から飛散、流出しないようにする、雨水等の流入を防止するなどいろいろと書いてありますが、放射線防護の観点でいきますと、?です。この放射線防護のために必要な措置として、例えば関係者以外の立入りの防止をする、あるいは覆土などもあるかもしれませんが、そのようなものを講ずることというような基準を掲げています。ですから、これを今後具体化するにあたって、省令のレベルではあまり細かく書けないとは考えていますが、特措法後に提出しましたガイドラインも含めまして、大体このような感じでやればいいのではないかということがある程度目星は立つようにはしたいと思っています。実際の目標としては、先ほど申し上げましたように追加的に周辺住民が受ける被ばくを年間1mSv以内に抑さえるという観点です。ただ、その場合具体的な数値で示すのはなかなか難しく、特にバックグラウンドの観点もありますので、そういった面で例えばこれに対して数値で示すような基準は、いまのところ考えていません。ですから、今後いろいろな方々の意見を伺いながら、ここは定めていくことになるかと思います。
 (2)除染に伴い生じた廃棄物の現場保管基準についても、基本的には同じです。16頁の?放射線防護のために必要な措置を講ずることです。これも、同様の考え方です。ですから、放射線防護をするために必要に応じて覆土をするなどして、追加被ばく量が年間1mSvを下回ることを目標とします。
 次は3.です。こういった特定廃棄物を実際収集・運搬して、保管場、仮置場に持っていき、さらにそこから最終処分のために持っていく場合の基準です。ここでは、特に?に注目してください。放射線防護のために、放射線量が一定の基準以下となるように、放射線の遮蔽その他必要な措置を講ずることです。括弧書きの中に、運搬車輌表面から1mの位置における最大線量当量率が100μSv/h以下となるようにするというような数字を掲げています。この100μSv/hの根拠は、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、IAEAの放射性物質の安全輸送規則の規定の中に書かれた基準をベースとしてここにあるような100μSv/hという値を掲げさせていただきました。
 4.特定廃棄物を保管する場合の基準です。保管についても、基本的には先ほどと同様の考え方です。17頁の?にありますように、放射線防護のために必要な措置ということで、関係者以外の立入の防止、覆土等を講ずるというような基準を掲げています。
 5.は、そういった特定廃棄物を焼却して減容化するといった中間処理の基準です。ここで掲げていますのは、まず?焼却処理を行う場合についてです。基本的に焼却処理を行う場合は、一般住民の方への影響が出ることに関して考えられるものとしては、まず焼却施設から出る排気ガス、場合によっては排水等もあるかと思います。ここでの考え方は、原子炉等規制法等にある基準で、空気中の放射性物質の濃度限度、飛散で生じたセシウム134、セシウム137の濃度を、そこの表にあるように合算して和が1以下になるようにする。それから、水中の放射性物質の濃度限度についても、同様にセシウム134、セシウム137の濃度をこのように足していただいて1以下になるようにすることを、基準として掲げています。
場合によっては破砕をすると、例えばコンクリートのガラなどを細かく砕いて処分しやすくするというような施設も考えられるわけですが、それについてはまだ放射線関係の影響に関する知見はなかなか十分集まっていません。当面、屋内の施設や密閉式の破砕施設において破砕することによって、一般環境への被ばくを防ぐことを考えているところです。
 18頁は、特定廃棄物の埋立処分の基準です。これに関しては、先ほど少し言及がありましたものとも関係するわけですが、特に具体的に水との関係を気にして基準を作っています。特定廃棄物は、特に焼却灰の飛灰といわれるものについては、水に溶出しやすいと言われています。通常セシウムは土壌に吸着しやすいということで、水への影響等は避けられるというような考え方が多いわけですが、この点に関しては、焼却灰は水との接触を避ける必要があるということで、そのようなさまざまな措置を取ったうえで濃度限度を超えないようにする考え方で作っているところです。また、埋めたものについては、放射線防護のために必要な措置として、特に作業を終えたあとに必ず即日覆土をする。そういったものを講じて、それが実際にきちんと行われていることを確認するために、周辺での放射線量の測定を行う基準を示しているところです。基本的な考え方は以上です。
○森座長 続きまして資料4-1について、日本原子力研究開発機構の中山様、お願いいたします。
○中山委員 日本原子力機構の中山です。私のこの資料は、いままで原子力機構が経験してきました除染活動を簡単に紹介する資料です。今日の、あるいは今後の議論に直接役に立つかどうかわかりませんが、低線量地域における生活圏における除染活動としてこういうものがあるというようなことを紹介させていただこうと思います。内容は21頁の下にありますように、学校の校庭や校舎といった施設、2番目がプール、プールとその他の施設は明らかに作業が異質なので、別々にさせていただきました。3番目が一般の家屋、4番目が公園、5番目に地域とあります。一定の農地とか道路とか家屋とかを含む集落といいますか、区域を除染するということです。この1~4までは既に除染を行いました。5は今後、いま除染モデル事業として取り組んでいる最中で、まだデータが出ておりませんが、一応資料として残しておきます。
 22頁の上の絵が学校の除染、校庭です。校庭の表土を除去しまして、その学校の敷地内にトレンチを切って、埋設ではなく1次保管と言っていますが、したということです。場所は福島大学附属中学校・幼稚園で、この中学校と幼稚園が1つの敷地内にある場所でした。このときには表土5cmを剥いで、校庭に掘削したトレンチ、2つ掘削したのですが、そのトレンチに表土を入れて、その上50cmは汚れていない土で覆土して線量を下げたということです。
 データが左下の表にあります。あまり詳しくは紹介しませんが、もちろんこの学校は非常に良い、いわゆる成功例でして、前に比べて除染後は校庭の空間線量率が1/10とか、場合によっては1/20に下がった例です。表に数字が書いてありますように、除染後に高さによって線量がほとんど変わらないということは直下の土の上のセシウムはほとんどというか、完全に除去されたと。残りは周囲からの線量であると解釈しております。除染作業を行ったのは福島大学でありますし、作業としては業者が行いました。我々が行ったのは、前後の調査評価でした。と言いますのは、この紙に書いてないのですが、ここの学校の除染を我々5月に真っ先に行ったのは、2つ背景があります。やはり子どもたちのいる場所を優先的に除染するということが、1つありました。もう1つは、覚えておられる方もおられると思いますが、福島県のある市で、学校の校庭の空間線量率を下げるために表土を剥いだのだけれども、それを市の処分場に持っていこうとしたところ、周辺住民から反対を受けて、剥いだ表土を持ち帰らざるを得なくなったということがありました。それを校庭の上に置いておいては空間線量率が下がらないものですから、どうしたらいいのかと。敷地の外に汚れた土を出さずに、敷地内の空間線量率を下げなさいということでした。どなたが考えても、自分たちからその汚れた土を遠くへ離せばいいわけであって、地面の下に埋めてしまうというのが唯一の緊急的に実行できる措置であることは、誰が考えてもわかるのですが、当時、まだ4月、5月の頃というのは表土何センチぐらいまでセシウムが浸透しているかとか、きれいな土を何センチくらい覆土すればどれくらいの遮へい効果があるのかとか、そうした基本的なデータがなかった。そういうことで我々が調査に入りまして、例えば校庭の土だったら、表面2~3cm、5cmも考えておけばセシウムは十分取れるとか、きれいな土なら20cm積めば90%くらいは遮へい能力あるとか、そういったデータを出しました。そのデータに基づいて除染作業をやったということです。
 肝心の作業者の被ばく線量の数字を公開してないので書かなかったのですが、事前のメッシュを切ってモニタリングをする、丸1日モニタリングをするという作業によって、当時たしか私の線量が9μSvくらいだったと思います。周りの人たちも9とか10という数字だったと思います。
 下の絵は福島県が主導して、小学校を3つ選んで除染をしたときの説明資料です。この頃から雨樋の下とか、そういった、いわゆる今で言うホットスポットというのはどういうところなのかというのがだんだんわかってきまして、そこを中心に除染をしたという写真です。
 23頁の上にそのデータが載っております。例えば、除染効果の例として左下の表にありますように、排水溝は表面で35μSv/hもあったのが1.9に下がったとか、そういったデータを出したのが、この福島県主導の除染作業でした。
 その下のプールの除染です。プールの除染は先ほど申し上げましたように、明らかにその他の施設の除染と違いますので、別に書かせていただきました。プール水というのは当然セシウムが入っているものですから屋外プールの使用は禁止になっていました。水をきれいにしないと使うにも使えないのですが、もう1つはセシウムだけではなくて、非常に非衛生的な状態になっているのですね。この写真にもあります、真っ黒に写っていますが、アオコとかいろいろな沈殿物が入っていまして、プールが非常に非衛生的になっているということで、来年の使用のためにも、そしてなおかつ非衛生的な状況を回避するためにもプール除染をしなくてはいけないことになりました。プール水の中のセシウムをどの程度まで下げればいいかという基準は、実はないのですね。排水していいかどうかというのは排水する側とされる側の協議で決まります。ただ、我々は除染するターゲットとしてどの程度まで下げなくてはいけない、下げようかというターゲットは一応決めまして、参考になるかなと思い、飲料水の暫定基準値である200Bq/Lを切るように排水をしました。除染後は、ここに検出限界未満と書いてありますが、きれいなものは検出限界未満まで下げましたが、たいてい50とか100とか、200Bq/L以下まで下げて排水したということです。
 次頁ですが、プールについては7つの学校の合計8個のプールを除染したのですが、すべてデータをマニュアルとして残しております。これは原子力機構のホームページからご覧になれます。その中に、被ばく量のデータも全部載せており、それが24頁の下から3、4頁にまとめてあります。
 24頁の下の表は、最初の附属幼稚園だと思ったのですが、そのときの被ばく量の数値です。作業者A、B、C、D、E、どれも原子力機構の職員です。ご覧になってわかるように、下のほうの色がついているところは、1日のμSv、被ばく線量が高くなっています。これはどうしてかといいますと、最初の頃は水を採っては凝集沈殿させて水をきれいにして流すというような作業だったのですが、後半は先ほど申し上げたプールの底に残った沈殿物を除去する作業だったのです。よくご存じのように、セシウムというのは吸着性があるものですからそういった沈殿物に非常にたくさんセシウムが濃集していまして、数十万Bq/kgというようなものになります。それを水を切ったり、集めたりという作業をしたものですから、ここで線量が高くなっているということです。
 次頁が、上下ともそれぞれある小学校で作業した場合の被ばく線量をご参考までに載せておきました。若干見にくいので、細かいですが1つだけ例を上げて説明します。プール除染(4/6)の柱沢小学校の表が2つあります。職員Aは8月2日に5μSv受けた。それで翌8月3日に15(9)とあるのですが、括弧内の数字は作業開始時の値です。8月2日に5μSvだけ浴びたのですが、8月3日は9から始まって、15まで6浴びているのです。何で9から始まったかというと、これは作業してない間にも夜にも4μSvカウントしていた。そういうことです。それで職員Aは3日間の作業で24μSv被ばくしているということです。
 その下の大きい表は、「作業員の被ばく量」と書いていますが、機構の職員以外の一般の方の参加がありまして、その一般の方の被ばくです。福島県に絆プロジェクトというプロジェクトがありまして、一般の方に参加していただきました。担当が書いてありますが、ポンプとか計測とか書いていますが、これは必ずしもこの人はずっとポンプだけやっていたというわけでもないので、あんまり厳密な区別はありません。
 26頁の下が、家屋の作業です。伊達市で、特定避難勧奨地点の民家3軒の除染モデル事業を行いました。そのときの様子を示してあります。
 27頁の上下2つの説明は、公園を除染したときのデータを示してあります。非常に細かい数値がいろいろ書いてあるのですが、残念ながら、この先の家屋と公園のほうは被ばく線量をまだ公開されておりませんので、申し訳ありません。ただ、最初の学校の校庭の作業とそれほど作業方法としてはあまり変わらないと思うので、9とか10とか8とかそういったレベルだと思っております。
 28頁以降は、先ほど申し上げましたが、これまでは単発の施設を相手に除染してまいりましたが、いちばん最初に学校のところで申し上げましたように、そしていまも多くの人がよくご存じのように、空間線量率を下げるというのはある1カ所をスポット的にベクレル数を下げても下がらなくて、周囲の、例えばその森林とかそういったある区域ごと除染しないと、なかなか下がらない。ということで、現在我々は南相馬市と伊達市にそれぞれ1カ所ずつ、100m×100m、200m×200m、それくらいの広さのサイトを選んで、こういう除染をすればこの程度空間線量率が下がるというモデル事業を進行させております。その様子を何枚かに書かせていただきました。実際の作業はどんなことをするかは30頁の下に、ステップ1からステップ7と書いてあります。ゴミの除去から、落ち葉かきから除草から、そういった作業を行うということです。まだ作業が進行中で、データが出ておりませんので、これについては被ばく線量データをお知らせすることができません。以上、機構のほうで行ってきた作業と、一部被ばく管理の結果をご紹介申し上げました。
○森座長 具体的な被ばく線量の数字など、大変貴重なデータを示していただきました。ありがとうございました。
 続きまして、資料4-2に基づきまして、農業・食品技術総合研究機構の小林様、お願いいたします。
○小林委員 農研機構の小林です。私どもが担当しましたのは農地の除染ということです。農業地域においてももちろん生産に従事する方が生活するところの除染ということもあるわけですが、主に担当したのは作物を食せるようなレベルまで農地の放射線量のレベルを低くしようという試みの部分です。
 具体的な方法は36頁に示すとおりです。これらは主に6月から9月まで行われていたもので、内閣府・文科省・経産省・農水省が共同して行いました、平成23年度科学技術戦略推進費による放射性物質による環境影響への対策基盤技術の確立というプロジェクトの中で実施したものです。主な実施場所は川俣町、飯舘村という福島県の2つの地域です。
 具体的な方法としますと、いちばんオーソドックスな表土はぎ取りというのがあります。36頁の右下にあります飯舘村で行ったものです。作物を作る場合は土壌表面から15cmの作土層の平均で除染の目標数値を示しており、5,000Bq/kg以下になれば作物が放射性物質を吸収する能力からして、食しても大丈夫な暫定基準値を下回るということになっています。作業はこの基準5,000Bq以下になるように、それぞれ行いました。表土除去を行った右下のところは、0~15cmの平均で10,000Bqを超えているような状態でした。その場所の表層0~1cmの土壌は100,000Bqを超えるような高濃度に汚染されていました。表層0~2.5cmの間にほぼ95%の放射性物質が入っているということで、できるだけ薄く削り取るというのが、後の廃土の処理を考えると非常に楽になるわけなのですが、元々の農地自身が校庭のような平なところでないということ、作物の根が残っていたり、株があったりするということもありまして、目標を4~5cmということで表土除去作業を行いました。その結果、最終的には4cm削り取ったわけですが、当初の10,000Bqを超えた線量が2,600Bqまで、75%減らすことができました。この際、削り取った廃土の放射線量は、約40,000~50,000Bq/kgという高い値となっていました。廃土は、容量1tの土嚢バックに入れまして、それを2段に野積みし、その上にブルーシートを掛けるような状態で仮置きしましたが、現在は、協力していただいた農家の方がそこで牛を飼えなくなったということもありまして、元の牛舎をお借りしてそこに土嚢バックを積んでおります。土嚢バックの数から除染による廃土の量を推定しますと10a、10m×100mで4cm削り取ると40t、約40m3出てくる形になります。
 表土をできるだけ少なく削り取るためには、36頁のいちばん上にありますが、土壌表面に特殊な固化剤を撒き、それを薄く削り取るという方法を用いると、廃土量を減らすことができます。
 別な試みとしては、36頁の地図のいちばん下にあるのですが、牧草のはぎ取り試験というのがあります。これは芝生をはぎ取る機械を使い、牧草ごとはぎ取るというようなことを行ったもので、方法の特徴として、土が表面に出ていませんのでほこりが少ないということと、根が張っていますので土がばらばらにならないでブロックごと取れるということがあります。まだ、試験的な段階ですが、私たちがやった方法では除去率が75%くらいなのに対し、90%を超えるような除去率を達成しています。
 これまでお話ししましたのは表土を削る方法ですが、それ以外に廃土を減らす方法としますと、36頁の右上にあります土壌攪拌による除染というものがあります。元々水田だったわけですから、そこに水を張り、ロータリーで薄く表面をかき回しますと土壌と水が懸濁した状態になります。懸濁水だけを別に設けた用水地のような所に移し、そこで水と土を分けることにより、削り取る土の量を非常に少なくすることができます。ただし、除去率からすると36%ということで、ほかの方法の75%、90%から比べると、低いのですが、廃土量ということでは非常に少ないことになります。
 そのほかの方法でいちばん世の中の期待が大きかったものとしては、植物に吸わせるというものがあったわけなのですが、それについてはまだ試験途中で最終的な結論は出ておりませんが、吸収する能力があまり期待されるほどではなかったものですから、高濃度に汚染されたところにおいて、これをいますぐに実用的な技術とするというのは、難しい状況になっております。
 もう1つ、これまでお話ししましたのは作土層の放射性物質の濃度が5,000Bqを超えるところの話ですが、ホールアウト後、既に耕されているところですとか、5,000Bqを下回っているようなところでは、45ページのいちばん下にあります反転耕というのが有効です。これまでお話ししましたものが汚染された土壌を削り取るという方法だったわけですが、反転耕は上層と下層の土を混ぜて土の濃度を薄めるという操作になります。具体的な方法としますと、欧米で主に使われていますプラウ、日本でいったら鋤の大きなものですが、それを使いまして表土と下層土を天地返しするわけです。そうすると、上の濃いものが下のほうにいき、上のほうには下の薄いものがくることになり作物の根の部分の濃度を薄くすることができます。ですけれども、これはあるエリアから汚染土をなくす、外に取り出すことではないものですから、絶対的な除染を行うことはできませんが、ある程度濃度が低いところでは廃土が出ないという点で有効な方法ということになります。
 私たちの行った除染作業における問題としてほこりと、6月から7月にかけてやったものですから、マスクをつけて、それから防護服を着てやると、かなり暑く作業負担が大きかったということと、元々放射線量が高いところでしたので、私自身の1日の放射線の被曝データは、20~30μSvになっておりました。
 その他の取り組みとしましましては、47頁に示す廃土の取り扱いがあります。廃土は土嚢袋に入れて置いておけば、ある程度簡単に処理できますが、放射線率を土嚢袋の表面で測りますと、21μSvくらいになるようなことがあるものですから、このような容器が試作されました。このような形状の容器であれば積み重ねることもできますし、土嚢袋に比べ外に出る放射線量も少なくすることもできます。
農地における除染は、基本的に5,000Bq/kgを目指し、5,000以下にするということでいろいろな方法を試しています。その中で、表土除去がいちばん効果があるのですが、大きな問題となっているのは、残土処理です。そのことについてもいろいろな分野の協力を得ながら、廃土から放射性物質を除去するというようなことについても取り組んでいただければと思います。以上です。
○森座長 どうもありがとうございました。作業の様子も含めて、よく理解できる内容でございました。
 続きまして資料4-3に基づきまして、森林総合研究所の金子様、お願いいたします。
○金子委員 森林総合研究所の金子です。資料に基づきまして説明をさせていただきます。9月30日に農林水産省のほうからプレスリリースした内容のものを添付しております。森林については除染の作業自体が、同じ農林水産省の中でも、農地と比べましてかなり実施が遅れています。その背景にはチェルノブイリ事故のときに、森林の除染に関してロシア側では実際研究者の方にも聞いたのですが、否定的でした。というのは、1つには森林から放射性物質が外に出ていることはロシアでは観測されてないということです。それから1カ所、実際除染を試みたが、森林が除染をしたことによって非常にダメージを受けて、生態系を大きく乱したということがあったということです。以上、ロシア側では、森林は手をつけるべきではないということでした。さらに、森林面積が福島県ですと71%と非常に広いことが除染についての取り組みが遅れた原因のひとつになっています。
 今回の報告は2つの内容に分かれています。1つは、森林の中で放射性物質がどこに存在しているかというのを明らかにしました。もう1点は、森林の中で実際に除染の作業を試みて、どれくらい空間線量率が下がるかということで、2つの研究を私どもの研究所で行いました。その内容について書いております。
 54頁の実際の研究内容からご紹介したいと思います。最初のほうは、先ほど言った森林の中に放射性物質がどこに存在しているかということを明らかにするために行っております。試験地は川内村、大玉村、只見町の3カ所で行っております。測定したときの空間線量率はここに書いてあるとおりです。川内村が3.11μSv毎時で、大玉村が0.33、只見町が0.12ということです。実際、ここでの作業ではポケット線量計をつけて調査1日を行うと川内の作業で19μSv、大玉ですと6ぐらい、只見町は2~3程度でした。
 実際に行っている作業の図が55頁に出てきております。これは大玉村の調査ですが、8月の盛夏のときに行いまして、標高がかなり安達太良山麓で700mぐらいあるところだったのですが、それでもおそらく35℃ぐらい超えていたと思います。このとき私はいなかったのですが、マスクをして作業をするのは非常に困難であったと聞いております。作業を1日行い、ものすごくやはり疲れたそうです。その右側は、土を取っているところですが、このような作業をしています。下は、森林組合の方に作業していただいている写真で、木を切っている姿が写っています。このようなに作業をしております。
 結果を示します。56頁に載っていますが、乾物重当たりの濃度で、10,000Bq以上がスギの葉についておりました。枝は5,000Bqでした。言い遅れましたが、現在測定結果が出ているのは大玉村のスギ林だけなので、今回はその結果についてご報告しています。林床の落葉は24,000Bq近くと、たくさんたまっていて、土壌中には1,000ちょっとということで、表層0-5cmでも、乾重当たり量としてはわずかしか入っていませんでした。
 57頁にいきますと、この図ではどこに分布しているかを示しています。葉に38%、枝に11%、樹皮に1%で、幹については木を切り倒して測っていますが0%ということです。この図はスギの場合、半分ぐらいがまだ木のほうにあるということを示しています。この図の左側にあるのは落葉層ですが、そこに33%。土は重いので濃度が低い割には17%という比較的高い値となっています。
 続いて58頁のほうは筑波大学の恩田先生が行われた調査の結果です。スギについては大体我々と同じような結果になっています。この結果をみると広葉樹林の場合は、葉にはほとんどなく、落葉層のところに多くの放射性物質がたまっていることがわかります。除染の参考になると思います。
 続きまして59頁は、この後説明する除染試験の結果を踏まえてまとめたものです。落葉を除去する場合は林縁から20m程度の範囲で除去することがよいだろうということと、住居等の周りの場合には、枝とか葉も除去したほうがいいだろうということを示しています。ただその場合にも、木の成長を著しく損わないようにやるようなことが必要です。落葉除去に関して、常緑樹と書いてありますが、これはスギとかヒノキみたいな針葉樹を想定したものです。常緑樹では先ほど言ったように、まだ葉にたくさんついているので、今後その葉が地面に落ちてくるので、そのリターを取る作業もしたほうがよいということが、ここに書かれています。それから落葉樹というのは、落葉広葉樹のイメージですが、春の3月の時点ではまだ葉がありませんでしたから、先ほどの筑波大学の結果で見たとおり、地面にほとんどたまっているだろうと。これは1回で除去作業は済むだろうという結果になっています。
 60頁は、実際に福島県林業研究センターと我々のところでテストを行った場所です。これは県のセンターが持っている林で、その林全体の風景が写真の1に出ています。このような場所で、写真の2のところに見られる、実際には中心部から段階的に1m×1mの大きさ、2m×2m、4m×4mという形で徐々に広げていく、2mごとの枠ですべてを取り去るということで作業をしております。
 実際の作業の話を若干説明しますと、森林の中には下草が生えています。草といいますが実際にはツツジのようなものとか、ササみたいなものです。それを刈り取ってから、落葉を取り除くことになります。この場合は、1マス1マスというか、その区画ごとにきっちり取っていったので、実際の作業時間と一緒ではないかもしれませんが、大体作業したのが2日半ほどかかり、12m×12mの落葉を取っております。61頁にいきます。実際落葉を取ったところの写真ですが、その右側に落葉が残っている状態も写っています。処理をした後に、出てきた落葉は写真の6にあるように、一塊にして置いています。12m×12mの範囲で取って、450キロ、1?当たりで3キロ~4キロぐらいの落葉が取れました。こういう形で行って、スギの場合ですと、62頁に出てきますが、大体2割程度、中心部の空間線量率が下がることがわかりました。広葉樹ではまだ行っていないのですが、大体半分くらいに下がるのではないかと予測をしております。作業は以上です。
 森林の場合、今回作業を行った場所も傾斜が25度ぐらいのところです。場所によって非常に傾斜がきついところや、緩いところもございます。いずれにしても機械を入れるわけにいかないので手作業でやらざるを得ないだろうと考えております。今回も、下草を刈るのは鎌等を使っております。落葉を取るのはクマデ等です。落葉を持ち出すのは、傾斜が急なほうが出しやすく、なだらかな所のほうが出しにくいということを、作業を行っている方が話しておりました。以上です。
○森座長 ありがとうございました。森林に関しては、今後どの程度まで除染をやるのかはまだ決まってないということですね。
○金子委員 いま私たちのほうで求められているのは生活者の支援というか、生活空間に近いところの森林をというところを、ターゲットに考えております。
○森座長 それは中山さんから先ほどあった施設周囲の除染とかなり関連するお話ですね。
○金子委員 非常に近い話です。
○森座長 わかりました。最後に、資料4-4に基づきまして、国立環境研究所の大迫様、お願いいたします。
○大迫委員 63頁をご覧ください。廃棄物処理の観点です。この検討会用に、いま現状の実態に関するデータ等収集しまして、整理して今日こういった形でお見せする状況になっています。廃棄物処理には焼却施設とか、あるいは埋立処分場とか、破砕選別とか、それ以外にもさまざまな廃棄物処理の方法がございます。それから廃棄物を集める、運ぶというところで言うと、収集運搬とか、あるいは一次的な保管とか、そういったさまざまな工程がございます。その中で、今日ここでご紹介するのは、主になる焼却過程、それから埋立ての過程ということになります。
 63頁は焼却施設の状況です。左上に書いてありますが、これは日常の点検、毎日の点検という作業を表わしています。左真ん中辺りに、焼却施設のフローがあります。これは必ずしも一般的なフローではありませんが、今回整理するに当たって、この背景のフローを使って説明したいと思います。ゴミはまずピットというところに貯めて、それを焼却炉の中に入れる。焼却炉で燃えたところから、灰がそこから出てくるわけですね。それから排ガスが出ますので、その排ガスは排ガス処理設備で処理されます。その際に出てきた煤塵を捕集して、その排ガスの中に含まれる煤塵は飛灰という形で捕集されて、また排出されることになり、その排ガスは最終的にはさまざまな周囲を経て煙突から排出されるというような、左から右に流れるフローになっております。
 工程ごとに表が書いてございますが、これが作業の内容です。事例としてアルファベットが書いてあるのは、施設とかの単位で区別しております。作業内容があり、点検であるとか、清掃とか積み出しであるとか、さまざまな作業がございます。その作業内容それぞれに対して作業の頻度が1日当たり何回とか、あるいは作業時間として1回当たり何10分とかいう形で整理しております。
 それに関わる人数が何名で、そのあとに装備という形で、レベル1、2、3という数字がございます。注記せずに大変恐縮だったわけですが、厚生労働省のほうで「廃棄物焼却施設の解体作業マニュアル」を編集して出していただいております。その中に、主にダイオキシンが廃棄物処理施設では問題になりましたので、ダイオキシンに対応するという意味も含めて、作業者の作業における保護具に関して、レベル1から3まで、そういった装備のレベルが決められております。レベル1というのはマスクは半面マスクで通常の作業着を着て、手袋とかそういった形で、比較的簡易な保護具のレベルです。レベル2になりますと、半面マスクから全面マスクになります。それからタイベックスみたいな形で、なるべく被ばくしないような遮閉といいますか、周りの化学物質等からも防止できるような形の服装をする形になります。レベル3は滅多にないわけですがエアライン、空気の補給の際にもエアラインを設けるという形です。こういった形で装備がそれぞれ書いてあります。いま現状、実態としてもこういった作業においてそれぞれのレベルの装備をしながら作業しているということで、ご覧いただければと思います。
 また後ほど申し上げますが、この中で特に気をつけなければならない作業がございます。64頁は定期点検になります。日常点検は通常、施設の中であっても外形的なものを点検していくということになりますが、定期点検になりますと、一旦焼却施設をとめて、運転をとめて、焼却の炉の中に入るという作業も入ってまいります。そういう意味ではさらにレベルの高い保護具を着ながら、装備をしながら作業をすることになるわけです。作業内容、作業頻度等、またご参照いただければと思います。
 65頁は最終処分場ということになります。最終処分場というのは比較的シンプルに言えば、埋め立ての作業ということがメインになりまして、重機を動かして埋め立てをすることが作業の内容になるということです。装備も比較的簡易な装備をしています。これは放射性物質が含まれる排棄物の処理ということではなく、これまで廃棄物の処理の分野でやってきた内容です。現在ご承知のとおり、放射性物質を含むゴミが福島県内だけではなく東日本、広域的に混入している。焼却施設においては焼却灰の濃度が、その放射能の濃度が上がっているという状況があり、その実態に関してもデータが集まってきておりますので、少し整理していただくと66頁です。
 66頁の左のほうの炉周辺の表の見方だけ申し上げますと、事例の次に、「放射線量」という縦の欄がございます。これは単位はμSv/hです。粉じん、もちろん作業環境の管理をしなくてはなりませんので粉じんも定期的に測定しているわけですが、その粉じんの濃度はmg/m3の単位です。ダイオキシンの濃度はpg-TEQ/m3という単位です。
 特に、本日の趣旨からう言うと、この放射線量ですが、外からいろいろと点検等を行う場合を想定した空間線量という面では、1μSv/hを切るような数値が数多く並んでおります。例えば、右側の欄の炉内に定期検査に入る場合に、炉の中に入るとなると、中は17.3μSv/hという数値が1つデータが出ております。
 下のほうに、特に目につくと真ん中下の辺りに「その他」があって、ここに放射線量がK?の欄、行が2つあります。これはさまざまな汚染物、あとゴム手袋とか、着用したものを汚染物としてドラム缶の中に詰め込んでいるところです。そこが比較的、8.1~21.2とかのレベルになっている場合があります。特に、右側の焼却飛灰の処理、搬出設備の辺りがやはり粉じんが巻き上がるという飛散性もあり、また濃度の高いものを扱うという意味では、K?で言うと、11.8~23.1μSv/hというようなデータもあります。こういったところが主に注意をすべきところになるということでございます。以上です。
○森座長 ありがとうございました。これで6人の方からご説明をいただきました。できればここで活発な質疑応答を行いたいのですが、私自身もお話を聞いていても、たくさん疑問や聞きたいことが出てきており、皆さんの質問も相当な量になってしまうと思います。今日はその時間を取ることが少し難しいと思います。そこで提案ですが、質問を事務局のほうで1回取りまとめていただいて、次回までに皆さんにご回答をいただくという方法はできるでしょうか。皆さんに次回までに対応していただかないといけないことになるのですが。
○安井中央労働衛生専門官 それは、質問を後で承るということでしょうか。
○森座長 そうです。そのことを前提に、ここでどうしてもということだけ、質疑応答をさせていただくという形で。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。後で質問をいただければ、それを取りまとめて、各委員にお送りし、回答を取りまとめて、次回の資料にするということは可能です。
○森座長 では、そうさせていただきたいと思います。おそらく細かいところまでいくと、皆さん、いくつかずつ、持っていらっしゃると思いますが、そのことを前提に、次の議論をする上でどうしても確認をしておかないといけないということだけ、もしあればお願いします。
○松村委員 作業者の放射線防護ということが目的ですので、まず対象となる、放射線を含むものの状態がどういうものかということを、やはり状態別に列挙していただきたいと思います。
 例えばいま固体粉塵として、呼吸から入る、あるいは身体に付くということが考えられても、それは土壌であったり、灰であったり、草木の朽ちたものであったり、セメントを削ったものであったりすると思うのですが、そういう固体粉塵と、それから水滴になって飛散する場合は、またちょっと防護が違ってくるので、高圧水洗をするような場合、あるいは先ほどガス抜きということが言われましたが、そのガス抜きの中に放射性物質が入ってくる可能性があるのかというようなこと。またはヘドロのような、汚泥のような状態になるのか。そういう状態がどうなるのかということで、作業の種類にかかわらず、そういう分類で私はとらえたいという気がします。
 それから、μSv/hで表されるような空間線量の被ばくというのは、内部被ばくとは違うので、これは保護具の対象ではないと思うのですが、保護具の効果として、それがない場合に比べて、5分の1にすればいいのか、10分の1にすればいいのか、100分の1にすればいいのかということで、使う保護具の種類が変わってまいりますので、それが許容レベルに対してどのくらいの濃度のものがあるのかということを、私としては知りたいと思っています。
○森座長 ありがとうございます。これも時間をかけて、それぞれお答えいただく必要がありそうな項目ですが、いずれにしても具体的な検討をする上では、いまありましたように、それぞれの作業において、被ばくする放射性物質の性状がどうなのかということが、とても重要な論点だというご指摘だったと思います。
 それについて、それぞれの作業によってどうなのかというのは、少し明確にする必要があるというご指摘と考えてよろしいでしょうか。
○松村委員 はい。
○森座長 いまここで答えていただくのは難しいと思いますが。
○松村委員 対象物質の状態と濃度です。そういうことで分類をしていただければと思います。
○森座長 濃度については、十分データがあるか、少し検討しないといけないですね。難しいところだと思います。
○松村委員 マスクの性能についてはデータがありますので、それはわかるのですが。
○森座長 わかりました。他にいかがでしょうか。
○古田委員 いろいろ作業が始まっていますので、外部被ばくについては皆さんいろいろデータを取られ具体的に被ばくの線量も出ているのですが、内部被ばくのダスト濃度について、データをどれだけお持ちかというのが、ちょっと聞いていて気になりました。
 実際に計ったデータが大きな意味を持ちますので、もし取られているのであれば、教えていただきたいと思います。以上です。
○森座長 ありがとうございます。それについては中山さん、小林さん、金子さんに一言ずつ、環境のダスト濃度とか、そういうデータがあるかないかということだけ、お伺いしたいと思います。中山さんはいかがでしょうか。
○中山委員 今日、私が紹介した活動では、残念ながらダスト濃度というのは計っていないです。ただ、文部科学省ですか。学校施設のダスト濃度を計っているという例はあるのですが、残念ながら作業に際してのダスト濃度というのは、私は存じ上げません。
○森座長 ありがとうございます。農地に関しては小林さん、いかがでしょうか。
○小林委員 若干サンプル的には取っていますが、系統的に各作業ごとに全部というのは取っていません。それで、松村先生にお聞きしたかったのは、PM4とPM7があって、産業衛生学会のほうでいくと、まだPM7のほうで、放射能ではなくて粉塵濃度なのですが、我々が計る場合は、やはりPM4で計ったほうがいいのでしょうか。
○松村委員 そこは、私は詳しくありませんので、失礼します。
○小林委員 ということで、あと、これから取る予定にしています。
○森座長 わかりました。それでは金子さん、いかがでしょうか。
○金子委員 私どもの所では、粉塵の濃度というのは残念ながら計っていません。希望なのですが、もしJAEAさんのほうでやられるときに、その辺りも行っていただけるとありがたいと思います。
○中山委員 JAEAは2つの大きなモデル事業に関わっていまして、先ほど紹介しました2つの地点、及びその後のもっと大きな事業があるのですが、時間的なことを言えば、2つのほうの作業がもうすぐ始まりますので、そこでダスト濃度を計るように考えてみたいと思います。
○森座長 ありがとうございます。内部被ばくの管理をする上で、そもそもそういったデータがないと、雲を掴む話ではないかというご指摘だと思います。あるデータとないデータ、限られたデータの中でいろいろ検討していかないといけないということだと思いますので、その辺のところを持ち寄って検討という方向でいきたいと思います。
 まだたくさんご質問があると思いますが、それらについては、先ほどご提案を申し上げたように文書で質問を出していただくということで、続いて今後の検討の論点について、あと残り30分、時間を当てていきたいと思っています。
 それでは事務局より、資料5の説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 それでは67頁からの資料5について、ご説明させていただきます。検討に当たっての論点ということで、7点ほど上げさせていただいております。まず第1点は、被ばく線量管理の対象、第2点が被ばく線量管理の方法、第3点は被ばく低減のための措置、第4点は汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置、第5点は労働者教育、第6点は健康管理です。
 まず1点目と2点目ですが、これはそもそも被ばく線量管理を、一体どういった方向性でどうやってやるのかという問題です。ご案内のとおり電離則では、管理区域を3月間につき1.3mSvを超えるおそれのある場所としています。これは、1週間の労働時間を週40時間として1時間当たり(μSv/h)に直しますと2.5という数字になります。こういった場所に立ち入る者は、放射線業務を行わない者も含めまして、一律線量管理をするというのが電離則の考えです。もう1つ、放射性物質の濃度については、先ほどご説明しました10,000Bq/kgです。
 一方、特措法は、1mSv/年相当の地域を除染の対象地域にするということですが、24時間そこに滞在されるということを前提にしておりますので、数字的には0.23μSv/hは非常に低い数字があります。
 それから指定廃棄物としても8,000Bq/kgということでして、電離則との隔たりが非常に大きいということです。これについては参考資料にマップを付けていますので、これでご説明させていただきたいと思います。まず参考資料1が1枚目にあります。これは青いエリアが0.23μSv/hということですが、年間1mSv相当と思っていただければいいと思います。それから、2段階上がって濃い緑の所です。1.0μSv/hの所が大体ですが、年間5mSvというエリアになるという、この2つのカテゴリーです。
 一方、参考資料2ですが、これが週40時間で考えるとどうなるのかというものです。まず年間1mSvに相当するのは、0.5μSv/hになりますので、黄色いエリアです。先ほどと比べていただきますと、ぐっと狭いことがおわかりいただけると思います。それから年間5mSvは、2.5μSv/hになりますので、オレンジのエリアになります。先ほどの資料1と見比べていただきますと、エリアが劇的に違うということがご理解いただけると思います。
 それから留意事項ですが、当然のことながら線源が管理された状態ではない。一体どこに高濃度の土壌があるかどうかわからないという状態で、線量管理をしなければいけない。いままで日本では、このような状況で線量管理をしたことはないという状況です。
 検討のポイントとしては3点あり、まず第1点は被ばく線量管理の対象者をどのように考えるかということです。例えば論理的には以下のオプションがあり、まず1つは管理区域の考え方と同様で、一定の区域に入れば、作業の内容にかかわらず全部線量管理する方法、2点目は逆に、作業の内容がある基準を満たすものは全員やる方法、3番目は両方、1と2のコンビネーションでして、一定の地域に立ち入って、かつ一定の作業を行うというのを対象にするという考え方です。
 イですが、一定の区域というのはどういった考え方があるかということで、先ほどご説明したように、管理区域相当の2.5μSv/hの場所と、特措法でいう除染対象の0.23μSv/hの場所があるということです。
 それから一定の作業ということですが、これは電離則でいう放射性物質の取扱いでは10,000Bqですが、特措法では8,000Bqです。それから、この10,000Bqという数字、こういった濃度は、一旦サンプリングをして、持って帰って計らないといけませんので、現場ではわからないということから考えて、法律上の施行上、非常に厳しいということがあります。この場合には、単に外形的に除染作業というとらえ方をするのか、あるいは全ての作業を入れてしまうのか、そういった議論があります。
 イにかえっていただきますと、先ほど?のものについては、これは環境省さんのほうで基本的には指定をされるという指定行為がありますので、エリアというのはある程度明確になりますが、?の場合は計らないといけない、作業の前に計らないとわからない、そういった事情もあります。
 それから68頁の2番目、被ばく線量管理の方法です。電離則につきましては、まず管理区域相当の所に入る場合であって、放射性物質を吸入摂取するおそれがある場合に限って、内部被ばく線量ということになっています。これは3ヶ月に1回の測定です。
 それから被ばく限度は、当然職業性被ばくということで、5年当たり100mSv、1年当たり50mSv以下です。留意事項としては、特に内部被ばく測定について、測定機器の確保可能性というのを考える必要があるということです。
 まず検討のポイントとして、外部線量については、おそらくポケット線量計があれば問題ないのですが、内部被ばく線量についてはご案内のとおりホールボディカウンターという特殊な機械を使う必要がありますので、どういった方を対象にするのか。先ほど申し上げたように、管理区域相当の場所にするのか、あるいは、これはアイディアですが、例えば管理区域の設定下限は年5mSvがありますので、それを超える外部被ばくをした人だけを対象にするのか。あるいは全員対象にするという考え方があります。
 それからウですが、被ばく限度という問題もあります。これについてはICRPにより、現存被ばく状況、現在の福島県のような状況で除染等の作業を行う場合には、計画被ばく限度の職業被ばく、つまり先ほど申し上げました5年100mSv、1年50mSvを適用します。しかし、こういった現存被ばく状況において除染以外の作業をする方、例えば全く関係ないものを運んでいる運送業の方や、あるいは除染場所の近くのお店で商売などをされているような方です。この方々は、労働者にはなるのですが、その被ばく限度について、明示的に決まっておらず、少なくとも職業被ばくをダイレクトに適用するという概念は、なかなかないということで、そういった被ばく限度の問題もあります。
 69頁以下については若干テクニカルな問題がありまして、ご意見をいただきたいところです。まず被ばく低減の措置ということですが、この方策として定性的にはもう決まっているものは、作業計画を立てる。きちんと作業手順を作って、そのとおりやる。作業指揮者が適切な指示をするということですが、具体的にこういった計画をするために、環境モニタリングというのは絶対にせざるを得ないわけですが、空間線量が一様ではない、高い所があれば低い所もあるという状態で、一体どういうモニタリングをすればいいのか。先ほどご議論がありました空気中濃度、これは一体どういうタイミングで、一体どういうものを対象に計ればいいのか非常に難しい問題があります。
 それから「作業場所のレイアウト」とありますが、管理区域であれば非常にわかりやすいのですが、ある所で作業をしているときに、どこで着替えて、物品の持ち出しのスクリーニングは一体どこでするのかとか、休憩場所は一体どこにして、どれくらい作業場所から離れればご飯を食べていいとか、非常に細かな所で疑問がたくさん出てきます。
 それから当然、被ばく低減のためには被ばく線量の推定と、被ばく線量の目標値を定めるわけですが、これも現存被ばく状況においてはかなり困難な状況であるということです。
 次は70頁の4番は、汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置です。これについても定性的には、大体やることは決まっていまして、例えば汚染拡大防止については飛散防止。それから、作業員が靴などから二次汚染をしないようにする。それから物品の搬出、搬入による二次汚染の防止。それから、高濃度汚染物が出てきた場合、どうやって搬出するのかという問題。それから、(2)で身体・内部汚染については、いかに養生して防止するのか。作業管理は、保護具の着用と飲食・喫煙の禁止ということになります。
 ただ、これも細かな話になりますと、非常に疑問がたくさん出てくるわけでして、例えば非常に厳しい密封ハウスと、局所排気装置を使うようなことを、一体どういったレベルになればやらなければいけないのか。あるいは、養生すべき作業というのは一体何なのか。それから、物品持ち出しのスクリーニングの基準はどうするのか。それから当然、高濃度汚染という特別な取扱いをするとすれば、どういった基準があるのか。あと保護マスクでは捕集効率についても、空間線量率や作業内容で区別すべきなのか。同じように保護具についても、そういった問題があるということでして、非常に多様な作業がある中、具体的に考えていくと大変疑問が多いということです。
 次は71頁の労働者教育です。これは非常に重要なポイントです。今回、除染作業に関わる方は、当然過去に除染作業の経験がなく、こういった方にいかに教育をしていくかというのは、極めて重要な問題です。
 労働安全衛生規則には雇入れ時、あるいは作業変更時の教育ということで、定性的に定められているものがあります。また、例えば原子炉施設において作業をされる方には、特別教育というのがあります。これは7時間の教育をするわけですが、こういったレベル、おそらく被ばく線量については、原子炉施設よりも高い被ばくをする可能性のある作業が多いと思いますが、そういった所に一体どれぐらいの時間をかけて、どういった内容をすればいいのかというのは、大変難しい重要な問題です。
 最後は健康管理です。これについては、電離則では特殊健診があります。ただ、この特殊健診は、例えば原子炉施設のような所で、大変高い被ばくをしたときの急性障害を見つけ出すということを目的にしている項目の検査でありますので、こういったものを除染作業にするというのは、必ずしもフィットしない部分がたくさんあり、これをどうするのかという問題があります。
 それから、そもそもどういった方を対象に、どれぐらい継続して作業している人を対象に健康診断をすべきなのか。こういったことも、大変難しい問題があるということです。
 その他については、我々が思いついていないことが何かあれば、ご指摘いただきたいということです。以上です。
○森座長 ご説明ありがとうございました。今、ご説明もありましたように、たくさんの検討ポイントがあります。今日は検討のポイントごとに、こういったことも検討したほうがいいのではないかとか、これはわかりきったことではないかとか、基本的なことを少しずつ触れながら、皆さんの考え方の全体についてお聞きしていく形にしたいと思います。
 最初は、被ばく線量管理の対象と、被ばく線量管理の方法の部分です。これらの検討のポイントについて、何かご意見がありましたらお願いします。
○杉浦委員 資料5で7点、具体的に挙げていただいていますが、冒頭、資料2の所で、「検討会の進め方」ということで我々は2点宿題をいただいているわけです。ガイドラインを作るという部分と、規制に取り組むべき内容という、この2点があって、いまの座長の進め方でよろしいのですが、1、2と、あと健康診断をどうするかぐらいが規制の内容であって、あとはどうやったら被ばくが低減できるかというようなところで、そういう視点から、いまからの項目を見ていくということも必要ではないかと思います。
○森座長 最初からガイドラインと規制を分けて考えていくと、かなり複雑になるので、本来行うべきこと全体的に考え、これをガイドラインの枠組みとして、その中で具体的規制をすべき点について考えていくという順番で、話を進めていこうかと考えていました。それで、よろしいですか。
○杉浦委員 わかりました。
○森座長 事務局はそういう方向でよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 はい。関連いたしますと、先ほどまさに座長のおっしゃるとおりで、ガイドラインで幅広くカバーし、その中から規制、いわゆる義務で、罰則付きで取り締まるようなものですので、当然、限定された中でピックアップするという概念です。
 ご議論いただく被ばく線量管理の対象などについても、段階を分けるという手はあります。ガイドラインではここまで、義務はここまでという、そういうことも含めて考えることはできると思います。
○森座長 2回目、3回目辺りで具体的になったときに、おそらくそのような議論が出てくると思いますので、今日は少し広めな論点ということで、是非ご意見をいただければと思います。
 もう一度戻りますと、被ばく線量管理の対象と被ばく管理の方法の部分で、何かありますか。
○杉浦委員 大体こんなことかなと思うのですが、ちょうど中山さんからご指摘いただいた、汚染地域に入っていて、夜、そこに滞在しているわけですね。その間の線量というのはどう考えるのか。作業に関わったときだけの線量を管理すればいいのか。福島にお住まいの方が作業につくなら、住んでいる部分はいらないのかもしれませんが、東京から出かけていったら、そのトータルの線量が、除染作業で受ける線量かもしれないという、そこが論点かと思います。
○森座長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
○古田委員 いろいろな基準の数値があるとおっしゃっているのですが、その数値の成り立ちをきちんと調べたほうがいいと思います。例えばその数値は、住民のための数値なのか、それとも作業者のための数値なのか。何かこの辺が混在して提案されているような気がします。その辺を整理されると、方向性も見えてくると思いますので、お願いしたいと思います。
○森座長 ありがとうございます。では、その点はひとつずつ数字の根拠を示していただければと思います。
○中山委員 2点あって、1点はいまの先生のご指摘のとおりで、例えば電離則の管理区域に従うのであれば、そもそもの数字の成り立ちから考えなければいけないということで、同じ意見です。
 もう1点は、先ほど小林先生、金子先生、大迫先生、私を含めて、活動の事例を紹介させていただいたのですが、例えば大迫先生が紹介された焼却炉を巡る作業というのは、これは必ずしも除染作業ではないですよね。だけど被ばくするのですよね。だから、いま杉浦先生がおっしゃったことと関係するのかもしれませんが、除染というものの定義は最初にしっかりしておいたほうがいいと思います。
○森座長 最初のときに除染作業とそれ以外の作業とありますが、除染作業の定義がはっきりしないと、その区別もつかないというご指摘ですね。
○安井中央労働衛生専門官 これは特措法で一応定義がありまして、除染等作業の定義というのは、除染をするのと、あるいは塗り込めるようなものも含まれるということです。また、廃棄物の処理は全く切り離していますので、先ほどの大迫委員のお話は、除染等ではなくて廃棄物の処理のほうに含まれると我々は理解しています。
○森座長 定義については特措法が前提になっているという話でもあります。
○大迫委員 除染等の等にも含まれないということは、電離則でも適用できるということは、施設内だったらわかるのですが、埋立作業とかオープンな状況ですので、絵で枠を、スコープを描いていただいた所があったと思うのですが、廃棄物のほうでも施設外の定義というのはあれなのですが、要はオープンな作業の場も、廃棄物であってもある。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおりです。廃棄物の処理であっても、この新しい規則によって規制せざるを得ない部分はあると思います。除染と廃棄物の処理は一応分けて考えていますが、今回はその両方をスコープとしています。除染の作業と廃棄物の処理、両方ともスコープに入れた規則を作ろうとしています。
○松村委員 いまの資料でばく露や摂取の基準濃度は、全部セシウムだけを対象にして決めていますね。本当にそれでいいのかどうか。いま頃になってプルトニウムとか、そういうものがポツポツと、データが少し出ているのですが、これは当然毒性がかなり違うので、そういうものを考慮した場合でも、これでいいのかどうかということが気になります。
○古田委員 文科省のほうでいろいろ環境データを出されて例えばセシウムとストロンチウムの比が2,000分の1ぐらいですので、濃度限度を比べても十分無視できるぐらい、小さいレベルになってしまいます。
 あと、プルトニウムについては濃度限度の比を考えても、それよりもはるかに低い。もうフォールアウトレベルの範囲内ですから、そういう意味では今回はセシウムを重点にやれば十分だと思います。
○森座長 セシウムを中心にやっていけば、他の物質にも対応できるということだと思います。進行もありますので、この1番目と2番目については、追加があれば、文書で出していただければと思います。
 次は被ばく低減のための措置、汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置という、3番目と4番目を併せて、検討ポイントやご意見等をいただければと思います。お願いします。
○大迫委員 いまのところとピッタリのコメントを出しているのかわかりませんが、今後は先ほどご指摘があったように、いろいろな内部被ばくを含めて、粉塵など、そういったデータも必要だということがあって、私どもは今日の検討会に合わせて自主的に作業して、整理してきたわけですが、そういった作業は厭いませんが、それをどういう形で評価して、どういう形で最終的に被ばく線量管理みたいなものに結びつけるのか、いろいろな基準等の関係に結びつけるのかというところは、誰がどのように作業して、その作業の進捗管理なり、こういうフォーマットにまとめてくれ、こういうデータをくれということを、誰がどうやってくれるのかということを明らかにしていただくと、我々もモチベーションを持ってやれるのですが。
○安井中央労働衛生専門官 それは事務局の方で、そういったフォーマットが作れるかどうか検討させていただきます。第2回まで時間はあまりありませんが、何か系統立った形でデータをいただけるようにしたいと思います。
○金子委員 先ほど出てきたことと関連するのですが、例えば飲食、喫煙の禁止などがあります。実態に合わせて作っていただかないと、例えば山で実際に作業を行ったとき、その作業エリアは私たちもそうだったのですが、お昼を食べに行くのに、低い所まで行くのに1時間、すごい時間をかけて移動していって、また現地に戻ってくるとか、作業している場がすぐ離れられるような所でしたらいいのですが、空間的にかなり広いエリアが汚染されているという状況の中で、例えば喫煙を禁止されてしまうと、かえって作業している人が苦痛になる人もいるわけで、実態に合わせてこの辺を考えていただけると、除染の場合はありがたい、必要かなという点があります。
○森座長 ありがとうございます。全般的に実態に合ったとか、例えば先ほどのホールボディカウンターの話でも、現実的にでき得るかどうか、そういったことが今回の対応では大変重要になってくると私も考えますが、いかがでしょうか。
○宮野安全衛生部長 まさにその辺りはおっしゃるとおりだと思っています。したがって資料2の最初の所で、ガイドラインと規則ということで、2段構えで作成するということでお願いをしていますのも、やはりガイドラインという形で、ある程度ふわっとお示しするものと、これだけはきっちり法律に基づく義務としてやっていただきたいというものと、おそらくその2段階は必要だろうと私どもは思っていますので、いままさにご指摘いただいたようなところを踏まえて、具体的にどこまで、どういう形でお示しして縛るのかということを考えていきたいと思っています。
○森座長 ありがとうございます。
○安井中央労働衛生専門官 古田委員と杉浦委員が、もしお分かりになればですが、例えば先ほど「現実的に」ということもあったのですが、要するに内部被ばく防止という関係から、一体どのぐらい離れれば安全になるのか。結局、空気中の濃度によると思うのですが、そういったものを考えるような、指標の様なものというのは何かあるのでしょうか。
○古田委員 内部被ばくは例えば原子力発電所の作業者ですと、それを管理する記録レベルというのが、原子力安全技術センターのマニュアルに書かれています。それによると1~2mSvというのが記録レベルと書かれていますので、そういう意味では、その辺が参考になるかと思います。
 あと、ホールボディで計るとか、その辺はあまりおすすめできないのではないかと思うのですが、それよりも例えばダストがどれぐらい飛ぶかなど、作業管理できちんと管理するというのが、やはり優先されると思います。
 そのためには、やはりデータを取って、低い所のデータでは校庭の除去作業ですと、そんなにダストも飛ばないという話は聞いているのですが、では高い所でどれぐらい飛ぶかというのはデータがありませんので、できたらそういったデータをきちんと取って、本当にどこまで被ばく管理が必要かということを、しっかり確認されるとよろしいかと思います。
○森座長 ありがとうございます。十分なデータがない中でガイドラインを作るというのはなかなか難しいと思います。動き出して、そこから出てきたデータに基づいて柔軟に対応していくというようなことが、おそらく必要になってくるのだと理解します。
 他にいかがでしょうか。私から1点あるのですが、例えば第1原発の中で働いている作業員でも、放射線防御というものに注力してしまうために、他のリスクに対して逆にリスクが高まるようなことが発生しています。熱中症の問題も、実はそうなのです。
 ですから、この作業全般に放射線の話だけ、被ばく防止のためだけ書いてしまうと、他の問題が全部抜け落ちて、放射線対応のみが絶対化してしまうおそれがあります。他のリスクへの配慮のことは、やはりガイドラインレベルでは盛り込むべきではないかと思います。
 他にいかがでしょうか。残り5分ぐらいになりました。次の5番目と6番目が残っています。もう一度申し上げますと、ここで言い足りなかったことは後で文書を出していただくことを前提に、いま話を進めていますので、進行を進めさせていただきます。5番目と6番目、「労働者教育の内容」と「健康管理のための措置」という所ですが、お願いします。
○杉浦委員 教育の内容ですが、厚生労働省さんが持っている法律の中で、これはたぶん例示として書かれていると思うのですが、やはり今回対象とするのはセシウムの核種ですので、放射線障害防止法でしたか。障防法でしたね。文科省さんのRI法の教育訓練をベースに、どれを入れるかという検討のほうが現実的かと思います。
○森座長 他にいかがでしょうか。お願いします。
○大迫委員 私は門外漢ですが、一般論として、教育や健康診断とあるのですが、その全体を管理する管理責任の体制みたいなものというのは必要ないのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これは労働安全衛生法上、かなり明確になっています。書こうと思えばすぐ書けてしまうということもあり書いていませんが、ガイドライン等を定めるときには明確にしたいと思います。
○森座長 他にいかがでしょうか。健康教育、労働衛生教育をやるときに、やはり作業の実態に合ってない、例えば原則論だけを話しても、ほとんど有効ではありません。その辺りの作業の実態は、今日もずいぶんお話をいただきましたが、その理解のもとに、何を何時間行うという一般論レベルの話を超えた項目にできるといいのではないかと思っています。また、特殊健康診断に関しても、もし放射線障害の問題だけを取り上げて行うと、先ほどありましたように、除染作業者の実態に電離則の項目は合っていないという話になります。しかし、低濃度被ばくの健康影響を健診で見つけること自体が、非常に難しいことです。何か一定の被ばくレベルに応じた、段階的な対応というものを、結果的にやっていかざるを得ないと思います。また、作業期間がどのぐらいなのか、おそらく短期間だけやるような人と、長期に及ぶような人という区分けも出てきます。その辺りは多少大変でしょうが、きめ細かな区分というのが必要になってくるのではないかと思います。
 他によろしいでしょうか。それでは、ちょうど8時半になりました。それで先ほどお願いしたことを確認したいと思います。皆様には、委員会に出ていただく以外にまたお仕事をしていただくのは大変恐縮なのですが、1つの資料についての追加の質問をいただきたいと思います。本委員会は、それぞれ異なる分野の先生方に集まっていただいていますので、相互の理解というのは非常に重要だと思います。それから2つ目に関しては、論点の各項目について、追加のコメントをいただきたいと思います。これら2つの宿題を委員の先生方全員にお願いするとともに、事務局で取りまとめた質問について、簡単で結構ですので、次回の資料に間に合うように回答をいただきたいと思います。次回委員会は10日後ということで大変だと思いますが、そういう対応をさせていただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、これで本日の議論は終わらせていただきます。次回の予定について、事務局からご説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 次回の予定ですが、10月31日の18時から2時間でお願いしたいと思います。
 それから、先ほど座長からもご指摘がありましたように、今回質問しきれなかった事項については、25日の火曜日中に、私宛てに電子メールでいただければ、それを取りまとめまして、事務局で回答できるものはいたしますし、できないものについては恐縮ですが、別の委員の方に回答を作っていただいて、それを取りまとめるということにしたいと思います。
 また、本日は議論の時間がまったく足りませんでしたので、検討の論点に対するコメントについても、25日までに追加のコメントがあれば是非お寄せいただきたいと思います。我々はそれを踏まえて、先ほど大迫委員からもご指摘がありましたように、どういったデータを今後追加していくべきなのかという観点も含めて、次回の検討会の資料を作成したいと思いますので、ご協力をお願いします。
○森座長 それでは、それでよろしくお願いします。最後に事務局から何かよろしいですか。
○毛利調査官 非常に時間が限られた中で、座長の進行、あるいは各専門家の方、どうもありがとうございました。それでは、本日は以上をもちまして、専門家検討会を閉会します。どうもありがとうございました。


(了)

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