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2011年8月31日 独立行政法人評価委員会(第29回)議事録

○日時

平成23年8月31日(水)14:00~16:10


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

猿田委員長、山口委員長代理、五十嵐委員、今村委員、岩渕委員、内山委員、金倉委員、加藤委員、川北委員、清水委員、?瀬委員、竹原委員、田極委員、田宮委員、田村委員、松尾委員、茂庭委員、安浪委員、和田委員


○議事

(以下、議事録)
 
○猿田委員長
 時間がまいりましたので、ただいまから第29回独立行政法人評価委員会総会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、今日は非常に蒸し暑いところ、また、ご多忙のところお集まりいただきましてどうもありがとうございました。また、この夏お忙しいところ、各部会での評価に積極的にご参加いただきどうもありがとうございました。本日は、この夏の最後の総まとめの会ということになると思います。
 本日の委員の出席状況ですが、石渡委員、大島委員、祖父江委員、高田委員、武見委員、永井委員、平井委員、真野委員、宮本委員、御園委員がご欠席です。事務局から本日の議事等についてご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 初めに、7月29日付で異動がございましたのでご挨拶をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○政策評価審議官
 私、7月29日に政策評価審議官を拝命いたしました棚橋です。何とぞよろしくご指導のほどお願い申し上げます。一言ご挨拶を申し上げます。この委員会の委員の皆様方には、7月12日から本日まで例年のこととはいえ、1年で最も暑さの厳しいこの期間に集中的かつ長時間にわたりまして、私ども厚生労働省所管の独立行政法人の業務の実績評価等を精力的にご審議いただきましたことを、心より御礼を申し上げます。私のような来たばかりの者が申し上げるのは「釈迦に説法」ですが、独立行政法人は、国民の生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から、確実に実施されることが必要な事務及び事業を担うものでございまして、求められる役割は極めて大きいものがございます。
 一方で、近年においては事業仕分け、あるいは閣議決定等々で、独立行政法人の事業の見直しが強く求められている現状にございます。そういう意味では、各独立行政法人においては、業務運営の在り方が絶えず、世間的にと申しますか、国民の目から問われている現状にあろうかと存じます。
 本独立行政法人評価委員会におかれましては、そういった各独立行政法人が、それぞれ与えられている社会的指命をきちんと果たせているのかどうか、そういった点について第三者機関として、業績評価は言うに及びませんが、さらにはその評価を踏まえまして、各法人の組織・業務の在り方も含めてご審議をいただく場でございます。そういう意味では、各法人が適切に業務を運営していくための要となる重要な委員会であろうと思います。委員の皆様方には、独立行政法人が国民生活や社会経済に真に必要な事務・事業を効果的・効率的に実施する組織となるよう、引き続き精力的にご審議いただきますようにお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 続いて、議事の説明をさせていただきます。本年度が中期目標期間の最終年度となる法人につきましては、暫定評価を行うということで、お手元に参考資料の1枚紙を配付させていただいていると思いますが、こちらを参考にしていただければと思います。暫定評価につきましては、次年度以降の次期中期目標の策定に際して、これまでの評価を反映させていただくために実施するということになっております。
 今回は、労働政策研究・研修機構につきまして評価いただくことになっております。また、当法人につきましては、組織・業務全般の見直し当初案についてもご審議いただくことになっております。組織・業務全般の見直しについては、参考資料-1の中ほどをご覧いただくとわかりますように、独法の通則法の第35条において「主務大臣は、独立行政法人の中期目標期間の終了時において、業務の継続の必要性、組織の在り方、業務全般等につき検討を行い、その結果を踏まえて、所要の措置を講ずること」とされております。検討に際して、「評価委員会の意見を聴かなければならない」となっております。
 具体的な今後の流れについては、参考資料-2の?に該当しますが、そのあと概算要求の提出時までに総務省の政・独委に当初案を提出することとなっております。例年は大体8月末になっているのですが、本年については9月末日ということで進めてまいります。
 そのあと予算編成の過程において、関係省庁の意見、また、総務省の政・独委からの勧告の方向性出されますが、そちらを踏まえて、再度見直しの当初案を再検討する流れになります。見直し案につきましても、見直し当初案と同じく?になりますが、本部会においてご審議いただいて、総会で取りまとめる流れになります。
 さらに本日、国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所につきまして最終評価ということで、平成22年度で中期目標期間が終了した、これらの法人について、業務の実績の評価をご審議いただくことになります。以上が本日の議事内容になっております。

○猿田委員長
 どうもありがとうございました。よろしいですか。早速、審議に入りたいと思います。お手元の議事次題にしたがいまして、いまお話がありました中期目標期間最終年度の法人の暫定評価及び組織・業務全般の見直し当初案です。まず 最初に労働政策研究・研修機構の暫定評価書(案)の審議を行います。この委員会は、8月16日に労働部会で暫定評価書案が検討されておりますので、部会長であります今村先生からご報告をよろしくお願いします。

?労働政策研究・研修機構

○今村委員
 労働部会長の今村でございます。独立行政法人労働政策・研修機構の暫定評価について説明させていただきます。中期目標期間の業績評価について総論的にご説明をしたあと、具体的な評価内容をご説明申し上げます。お手元の資料1-1-?が説明資料、本文は資料1-1-?です。1頁からご覧いただければと思います。
 まず、中期目標期間(平成19年度~平成23年度)の業績評価についてです。評価の視点は、機構の第2期中期目標は、厚労省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層効果的かつ効率的に実施する観点から、労働政策研究事業の重点化等を実施することとしました。
 このため、機構の業務実績の評価に当たっては、業績の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が、我が国労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するようになったかという視点が中心になります。
 評価全体を通しての講評です。こうした視点から評価を行った結果、平成19年度から平成22年度までの4年間の機構の業務実績については、中期目標・中期計画における数値目標を上回る業務運営の効率化を実現するとともに、中期目標・中期計画における数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を挙げ、労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に大きく寄与しているものと言えることから、高く評価できるということになります。
 以下、評価の内容については、2頁下段以降の「具体的評価内容」をご覧ください。(1)「業務運営の効率化について」です。業務運営の効率化のためのさまざまな取組の結果、平成23年度予算において一般管理費、業務経費、人件費のすべてにおいて、中期計画における削減の目標値を達成し、特に業務経費については目標値である平成18年度予算費マイナス25%を大幅に上回る36.7%の削減を達成したことが評価できると思います。
 3頁の(2)「業務の質の向上について」です。?労働政策研究です。中期目標に定められた中長期的な労働政策の課題に対応する6つのテーマに沿って実施するプロジェクト研究と厚生労働省からの要請に基づき実施する課題研究について、平成19年度から平成22年度までの合計121テーマを実施するとともに、平成22年度からは、喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する緊急調査の枠組を新設して、積極的に実施しています。研究テーマについては、機構役員等と厚労省政策統括官等とで意見交換を行う場であるハイレベル会合や労使懇談会を通じて得た、厚生労働省や労使関係者等のニーズや意見を踏まえて選定し、また、研究の実施過程においても、厚生労働省と意見交換を行うなど、厚生労働省や労使関係者と連携を図りながら、各研究を適切に推進しています。
 研究成果の取りまとめに当たっては、内部研究者によるピアレビュー、内部評価、外部評価等の研究評価制度を整備して、重層的かつ厳格な研究評価を行うなど、研究水準の向上のための取組を適切に実施しており、こうした取組の結果、研究員1人当たりの研究成果の取りまとめ件数や外部評価においても高い評価(優秀以上)を受けた研究成果の割合、審議会、研究会、あるいは白書等での研究成果の引用件数は、中期目標・中期計画における数値目標や第1期における実績も上回っております。
 このように、厚生労働省の労使関係者のニーズや意見を十分に踏まえながら、労働政策の立案等に資する労働政策研究を機動的に実施した結果、質・量ともに中期目標・中期計画の数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を挙げるとともに、研究成果が労働政策の立案等に幅広く活用されていることが高く評価できます。
 なお、機構においては、研究評価をさらに的確に実施するため、平成22年度から、研究課題別の事前・中間・事後における新たな評価制度を試行的に導入したところであり、当委員会としては、試行実施の結果を踏まえて、研究のさらなる効率的・効果的な推進に資する評価制度が構築されることを期待いたします。
 4頁の?は労働行政担当職員その他の関係者に対する研修です。毎年度、約3,300人の研修生に対して、80コース程度の研修を実施していますが、研修コースの新設・科目の見直しによる研修内容の実施や研究員の研修講師への参画やイブニングセッションの開催等により、機構の研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることが評価できます。
 なお、機構においては、平成21年度の業務実績に係る当委員会における指摘を踏まえまして、研修終了後一定期間を経過した時点における実際の業務運営での研修効果の測定を平成22年度から試行的に実施しているところですが、今後、試行結果を踏まえて、研修実施後における実際の職場での研修効果測定のための適切な仕組みが構築されることを期待します。
 ?は労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理です。厚生労働省からの要請を踏まえるとともに、政策研究の基盤を整備するために、国内外の労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理を、アンケート調査やヒアリング調査等を有効に組み合わせて、効果的・機動的に実施した結果、白書、審議会等での引用件数が平成19年度から平成22年度までのすべての年度で中期計画・年度計画の数値目標を上回るなど、高い成果を挙げており評価できます。なお、今後においても、高成長化にあるアジア諸国やBRICsなどを含めた情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理の在り方を工夫し、政策立案や他の研究機関の研究等に貢献していくことを期待しています。
 4頁の?は研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣です。研究者の招へい・派遣については、労働政策研究との関連をより重視しての対象者を厳選した結果、いずれの年度においても、中期計画・年度計画に沿って適切に実施されています。また、これらの事業については、すべての年度の招へいした研究者等が機構のプロジェクト研究の推進に大きく貢献するなど、機構内外の研究活動に貢献し、機構の研究目的に沿った成果を挙げており、評価できます。その一方、当委員会において、機構が行う労働政策研究等に資する観点から、海外の研究者との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引き続き、対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等が機構の目的にとってより有効なものとして行われるよう、在り方について工夫していく必要があります。
 5頁の?は労働政策研究等の成果の普及・政策提言です。ホームページ、メールマガジン、労働政策フォーラムの開催等、さまざまな手段を通じて、効果的かつ効率的に行われており、利用者の評価も高く中期目標・中期計画に掲げた目標以上の成果を挙げており評価できます。なお、今後においても成果の普及等がさらに幅広い国民を対象に行われるよう工夫がなされることを期待します。
 5頁の(3)は財務内容の改善及び人事に関する計画についてです。予算の執行等については、省エネ対策の推進、業務効率化等による経費の節減、役職員給与の見直し等の取組を行った結果、平成23年度においては、平成18年度と比較して、運営費交付金全体で22%の削減を実現するなど、中期目標・中期計画等を踏まえ、適正な取組がなされていることが評価できます。人事に関しては、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実現する一方、優秀な人材の確保・育成に向けた取組を推進し、研究の質の確保を図っていることが評価できます。なお、人員の抑制が継続されている中で、引き続き、職員の士気(モラール)を維持し、活力を高めるための工夫をすることが望まれます。
 6頁の(4)は総務省政・独委における個別の指摘についてです。同委員会による個別の指摘に対する対応については、平成22年度政・独委意見における労働大学校の宿泊施設の利用率が低調であるとの指摘を踏まえ、労働大学校の宿泊施設の有効利用を図るため、労働行政担当職員以外を対象とした研修や東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活働のための宿泊への活用など、労働大学校の宿泊施設等の利用率向上に向けた具体的な取組を行うなど、適切な対応をしていると評価できます。
 (5)は基本方針を踏まえた事務・事業の見直し等です。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス、高校生への就職関係副読本及び労働関係図書・論文表彰の賞金については平成22年度中に廃止するとともに、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局で実施可能な研修を平成23年4月から都道府県労働局に移管し、規模の縮減を図るなど、基本方針等を踏まえ、事務・事業の見直し等を適切に実施しており、評価できます。なお、労働大学校の国への移管については、独法制度改革の内容等を踏まえつつ、今後、具体的な対応を検討するとされていることから、当委員会としても、引き続き、検討状況や検討結果について注視していきたいと思います。
 以上、独立行政法人労働政策研究・研修機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価は以上のとおりです。なお、先の労働部会においては、本評価書について特段の意見は出されず、原案どおり了承されたところです。以上です。

○猿田委員長
 今村先生どうもありがとうございました。いま、詳細にご説明いただきましたが、平成19年度から平成22年度までの4年間の機構の業務実績については、中期目標・中期計画における数値目標を上回る業務運営の効率化を実現するとともに、中期目標・中期計画における数値目標や第1期の実績を上回る高い成績を挙げられて、労働政策の立案及び効果的かつ効率的な推進に大きく貢献したということで高く評価できるという結論をいただきましたが、委員の皆様方からいまのご説明にご質問がありましたらよろしくお願いいたします。非常に効果を挙げられてきたということですが、どなたかご質問ありますか。よろしいですか。特にご意見がないようでしたら、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。もし、修正の部分が出てきたり、誤字、脱字などがあった場合には私にご一任いただければと思います。よろしいですか。
(各委員了承)

○猿田委員長
 ありがとうございました。皆さまのご了承をいただいたことにさせていただきます。最後に、山口理事長から一言ご挨拶をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構理事長
 労働政策研究・研修機構の山口でございます。本日は、私どもの機構の第2期中期計画の暫定評価についてご審議を賜りまして、大変ありがとうございました。本日、いただきましたご意見を踏まえて、今後とも役員はもちろん職員も一丸となって、業務運営に努力してまいりたいと思います。本日のご指摘の中でも、職員が一層の士気を向上させて努力するようにとありましたので、それを踏まえて、かみしめて、今後とも業務運営に当たってまいりたいと思います。本日はどうも大変ありがとうございました。

○猿田委員長
 どうもありがとうございました。議事の第2番目に移らせていただきます。次は独立行政法人労働政策研究所・研修機構の組織・業務全般の見直し当初案についてです。こちらに関しては、最初に厚生労働省の担当課からご説明いただいて、そのあと今村部会長から労働部会での意見を報告していただく形で進めさせていただきます。まず、最初に担当課からご説明をよろしくお願いします。

○労政担当参事官
 労政担当参事官です。恐縮ですが座って進めさせていただきます。労働政策研究・研修機構の見直し当初案につきましては、資料1-2-?を詳しい資料としてご用意させていただいております。資料1-2-?に簡単にまとめたものがありますので、パワーポイント資料に沿ってご説明させていただきます。
 資料の1頁の?は第2期の「中期目標の達成状況等の概要」です。ただいまご審議いただいたところですので、若干繰り返しになりますが、簡単にご説明させていただきます。資料の1頁の左側に主な取組内容、右側に主な成果ということで、全体を整理して記載させていただいています。いちばん上の1.は労働政策に係る調査研究等の実施です。ここにつきましては、この間にプロジェクト研究のテーマの絞り込みということで、9テーマから6テーマに絞り込んでおります。昨年度から緊急調査の新設ということで、厚生労働省からの緊急の依頼に応じての調査を始めたところです。機構の幹部と厚生労働省の幹部のハイレベルの会合の開催等、厚生労働省との連携を強化したところです。右側の欄に主な成果ということで、外部評価において優秀以上の評価を受けた研究成果の割合が目標として2/3以上ということですが、90.5%となっています。調査研究成果の活用件数は、行政機関等(審議会等)での利用件数は253件、図書・雑誌等については441件ということで、第1期の中期目標期間中の数字、〈 〉の中に書いてある数字ですが、それを上回っています。
 2.労働行政担当職員研修の実施については、調査研究の成果を研修に活かすということで、厚生労働省や研修生等のニーズを踏まえた研修コースの新設、あるいは内容の見直しをやってきたところですが、主な成果は右側の欄です。3,386名の研修生に対して79コースを実施したところです。また、アンケート結果により、「有意義」とする評価の割合が目標として85%以上となっていますが、98%の評価をいただいているところです。
 3.業務運営の効率化については、業務の重点化・効率化、あるいは部課の統廃合、管理部門の合理化を行い、経費・人員を削減してきたところです。その成果としては、右側の欄です。平成18年度比に比べまして、一般管理費は目標として15%以上、業務経費については25%以上、人件費については14%以上、人員についても19人削減ということで、それぞれ削減目標が示されておりますが、その左側にありますように、いずれもこのような目標を上回る数字を挙げているところです。こういうことで大幅な経費・人件費等の削減という中期目標の要請に答える一方、調査研究、あるいは研修の質の向上を図ることによって、労働政策の企画立案や実施に大きく貢献してきたところです。
 続いて、平成24年度から始まる次期中期目標期間に向けた具体的な取組の当初案の説明になります。1頁とばして、資料の3頁をご覧ください。?事務・事業の見直しのうち1.労働政策に係る調査研究等の実施についてです。機構が実施する調査研究について引き続き、他の研究機関との調査研究との重複を排除するということで、?から?に掲げた取組を推進することにしております。?は戦略的かつ効果的な調査研究の推進についてです。第1に新成長戦略(雇用・人材戦略)、あるいは雇用政策基本方針、政策等ということで、労働政策に関わる基本方針の実現に役立つプロジェクト研究をテーマとして設定いたしまして、労働政策の企画・立案に係るニーズを踏まえた戦略的な調査研究を重点的に実施すること。第2に非正規雇用問題等、1つの研究部門のみでは必ずしも十分に対処し切れない研究課題に対処するために、研究部門を横断的にいたしましたプロジェクトチームを設置して、労働政策全般に関わる政策課題について、総合的かつ柔軟な調査研究を実施すること。第3に厚生労働省の緊急の政策ニーズに迅速かつ的確に対応するということで、昨年度から実施している「緊急調査」を第3期の中期目標に明確に位置づけて、本格的に実施することとしております。第4は、欧米等の海外主要国のみならず、高い経済成長下にあるアジア諸国に関する調査研究や情報収集を強化するなど、時宜に応じた調査等を実施していきます。
 ?の厚生労働省の政策担当部門との連携の強化につきましては、従来から行っている機構役員と厚生労働省の各局幹部とのハイレベル会合の開催、あるいは今年度から始めました機構の理事長と厚生労働省の政策統括官との定期協議の場を設けて、厚生労働省との連携の強化に取り組んだところですが、労働政策に関わる課題等を踏まえた調査研究を一層推進するために、各研究テーマごとに厚生労働省の研究担当者の登録制を新たに導入することにより、研究テーマの決定段階、研究の実施過程、報告書の作成、その後の活用時に至るまで、厚生労働省と政策部門との十分な意見交換を確保する仕組みを構築してまいりたいと考えております。
 ?は外部評価制度の見直しによる調査研究の評価体制の強化ということで、従来、研究成果物等について事後評価を行ってきたところですが、今後は、新たに研究テーマごとに研究内容について事前・中間・事後の各段階で評価を行う外部評価制度に見直してまいりたいと考えております。
 4頁(2)は、政策提言・情報発信機能の強化です。?、?と2つ掲げております。まず政策提言機能の強化ですが、従来から労働政策研究・研修機構法の第12条第4号に「政策の提言を行うこと」と規定されていることを踏まえまして、個別の研究報告書において、個々の研究成果に基づく政策への示唆を示したところですが、労働政策を取り巻く現状とか、機構におけるすべての調査研究の成果を踏まえまして、政策の検討課題、あるいは論点を抽出いたしまして、仮称ですが「政策提言レポート」を毎年度作成いたしまして、厚生労働省側に提示して、ホームページなどで公表することを考えております。こういうことで、厚生労働省の政策部門との連携強化と合わせまして、研究と政策とのブリッジ機能の強化を図りたいと考えております。
 ?情報発信機能の強化については、従来から行っている労働政策フォーラムの活性化、あるいはホームページ、メルマガ、ニュースレターといったところの多様な媒体を連携させた積極的な情報発信を推進してまいります。マスメディアといったところへの積極的なPRをやっていきたいということで、分かり易い公表資料の作成に取り組んでまいります。
 2.労働行政担当職員に対する研修の実施ですが、(1)行政ニーズに対応した質の高い研修の実施については、中央・地方での研修の役割分担の見直しということで、労働局でできるものについては労働局で実施することにし、労働大学校でやるものについて、重点化していくということです。必要な研修コースの見直しに取り組んでまいります。
 (2)研修効果を適切に把握するための新たな評価制度の導入ということで、従来からやっていたのは、研修生による研修終了後の評価です。第3期においては、研修終了後の一定期間経過した後に、研修生の上司等から研修効果の評価をやっていただくということで、新たに導入してまいりたいと思っております。
 5頁の?は「組織・運営の見直しに係る当初案の概要」です。1.内部統制の強化・効率的な業務運営・組織体制整備の推進ということでして、(1)は効率的な組織・人員体制の整備についてです。先ほどの事務・事業の見直しに的確に対応するということで、そのほかに効率的・効果的な業務運営を図る観点ということで、管理・研究支援・成果普及部門の体制の見直しを図ってまいるということです。
 (2)内部統制の強化ということで、引き続いて経営会議等を通じた理事長のリーダーシップ等による業務運営の確保を図るということと、理事長直轄のコンプライアンス推進者を設置するなどによって、内部統制の強化を図ってまいりたいと思っています。
 (3)の?は一般競争入札については、さらなる拡大、業務運営の効率化等による経費節減の継続をしていきたいということです。?出版物等の成果物の販売促進等について自己収入の拡大ということでして、※に書いていますが、閣議決定を踏まえ、キャリアマトリックス、あるいは労働関係図書・論文表彰の賞金、霞ヶ関事務所については、既に平成22年度中に廃止をしたところでございます。
 2.労働大学校の国への移管ですが、労働大学校を国に移管するということで閣議決定されておりますので、移管するには独法制度全体の見直しの中でやっていくということです。国に移管しても、当然研究や研修との相乗効果は引き続きやってまいりたいと思っていますので、そういう取組を進めていきたいと考えています。説明は以上でございます。

○猿田委員長
 どうもありがとうございました。8月16日の労働部会での審議状況に関して、今村先生からよろしくお願いいたします。

○今村委員
 ご報告します。労働部会は、かなりメンバーが入れ替わりまして、ここにもいらっしゃいますが、新しいメンバーを含めて、非常に真摯、的確な議論をしているところです。独法さんにも進化をしていただくと同時に、我々評価委員も進化をしようと努力をしているところです。
 労働政策研究・研修機構の見直し当初案についてですが、8月16日の労働部会で議論が行われて、基本的に了承されました。ただし、先ほど申しましたが、いろいろな議論が出てきました。労働部会においては、お配りの資料1-2-?のポンチ絵の3頁の1-(1)-?、資料1-2-?ですと4頁になります。原文ですが、いずれも事務及び事業の見直しに係る当初案の概要です。その中に、資料1-1-?「戦略的かつ効果的な調査研究の推進」というところ、1-2-?ですと「事務及び事業の見直しに係る具体的措置」の1-(1)戦略的かつ効果的な調査研究の推進というところですが、当初「厚生労働省のニーズ」という表現があったのですが、皆さんからご意見をいただいて?のところですが、「労働政策の企画・立案に係るニーズ等を踏まえた戦略的な調査研究を重点的に実施する」というように、厚生労働省のニーズだけではなく、日本の労働政策全体が抱える課題に対応したものとすべきではないかという趣旨の議論がなされました。本日の資料におかれては、これを踏まえた修正がなされています。以上です。

○猿田委員長
 どうもありがとうございました。労働部会では全体としては認めるけれども、いまお話がありました点は直していただいたということです。委員の方々からどなたか、いまのご説明、労働部会での議論に関して何かご質問ありますか。

○川北委員
 1点だけ質問なのですが、資料のポンチ絵に関して、3頁の調査研究等の実施で、効率的な調査研究をやっていくとか、評価体制を強化すると書かれていることに関係してです。気になったのが実績の1-1-?のスライドの説明7頁ですが、外部研究者等の研究参加の人数がかなり減ってきている。効果的な研究をやろうとか、労働政策全体のニーズを踏まえたような研究をするには、単に内部だけで留まっているのではなく、外部の有識者の意見を入れるとか、研究にも積極的に加わっていただくとか、そういうところが必要ではないのかと思うのですが、この観点からすると、実績で外部研究者の研究参加が減っているのが多少気になります。この点、どういうふうにお考えになっているのか教えていただければと思いました。

○猿田委員長
 お答えいただけますか。

○労政担当参事官室長補佐
 ご質問の件ですが、基本的な方向性としては、第1期の見直しの際にJILPTの研究員は人数的にどうなのかと。研究員のパフォーマンスとして、十分な活用をされているのかという観点からだいぶ議論がなされた経緯もありまして、基本的にはJILPTにいるプロパーの研究員で研究を行うと。ただし、プロパーの研究員でどうしても弱い分野等もありますので、そういった部分については、当然、外部の先生方のお力もお借りして、実施するということで第2期はやっております。そういった関係から外部の先生方に入っていただく機会が確かに第1期より減っている事情があると思います。第3期においても当然のことながら、研究の効果的な推進の観点から外部の先生方に入っていただいたほうが、より良い研究ができるというものは多々あると思いますので、そういった観点から、決して外部の先生方を排除するということではなく、案件ごとに研究実施に当たっての必要性や効果を見ながら、外部の先生方のお力もお借りして、より良い研究を実施していければと思っています。

○川北委員
 わかりました。

○猿田委員長
 よろしいですか。今村先生何かご意見ありますか。

○今村委員
 少しだけ付け足しますと、内部研究員中心でということで、我々、労働部会でも心配していまして、頑張り過ぎるのではないかと思うぐらい心配しています。先ほど士気(モラール)の維持と申し上げましたのは、そういうところです。これからも引き続きできる限り頑張っていただきたいということを期待しております。

○猿田委員長
 人数は減らしても効率的にやっていただきたい。よろしいですか。ほかにご意見ありますか。特にご意見がありませんようでしたら、いまの川北先生のご意見も考えさせていただき、当委員会としましては見直し当初案に関しては、引き続き厚生労働省において検討を進めるようにお願いするという形でご了承いただけますか。
(各委員了承)

○猿田委員長
 お認めいただいたことにさせていただきます。どうもありがとうございました。以上で議事次第の?、?を終わらせていただきます。よろしいですか。どうもありがとうございました。

(法人及び法人所管課入替)

?国立健康・栄養研究所

○猿田委員長
 続きまして議事次第の(2)最終評価対象法人の評価につきまして、?の独立行政法人国立健康・栄養研究所の最終評価結果についての審議に入ります。8月12日の調査研究部会で、最終評価書案が検討されておりますので、部会長の田村委員のほうからよろしくお願いいたします。

○田村委員
 調査研究部会の田村でございます。国立健康・栄養研究所の中期目標期間、平成18年度から平成22年度の業務実績につきまして、ご説明申し上げたいと思います。資料の2-2をご覧ください。
 (1)評価の視点ですが、独立行政法人国立健康・栄養研究所は、厚生労働省の附属機関でございました国立健康・栄養研究所が、平成13年4月に新たに独立行政法人として発足し、平成18年度に非公務員型の独立行政法人に移行したものでございます。当該研究所の目的は、国立健康・栄養研究所法に規定されておりますが、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることでございます。
 当該研究所の業績評価に当たりましては、法人の設立目的に基づきまして、同研究所の業績が国民の健康の保持・増進に役立つものになっているかという観点から評価を行っております。本評価は、平成18年3月に厚生労働大臣が、平成18年度から平成22年度について定めました第2期中期目標全体の業務実績についての最終的な評価を行うものです。
 次に(2)の中期目標期間の業務実績全般の評価についてご説明申し上げます。当委員会におきましては、業務により得られた成果が、「国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする(国立健康・栄養研究所法第3条)」という同研究所の設立目的に照らし、どの程度達成されたものであったか、学術的成果の価値及び調査結果等の国民の健康増進施策への有効性、業務の効率性等の観点から、適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行ってまいりました。その結果、第2期中期目標期間全般につきましては、以下に述べるとおり、適正に業務を行ってきたものと評価できるとしております。
 第2期中期目標期間の当初に、研究組織を改編し、運営会議、研究企画委員会等による業務課題への対応を行うとともに、システムの最適化による効率的な業務運営を行ったことは評価できるといえます。
 また、研究の具体的な成果としましては、?運動・身体活動による生活習慣病予防、運動と食事指導の併用効果については、コホート研究による長期的効果検討の研究に着手したこと、?二重標識水(DLW)法により小児と成人の身体活動レベルの基礎的なデータを収集し、ヒトを対象とした栄養素摂取状況と生体指標及び健康状態との関連の検討を行い、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の策定に大きく寄与したこと、?国民健康・栄養調査の経年データの再解析から、生活習慣と健康指標の関連データを提示し、「健康日本21」の評価・検討に寄与したこと、などが挙げられます。同時に、こうした応用研究の基礎となる研究として、?高脂肪食負荷に伴うインスリン抵抗性の分子メカニズムを明らかにしたこと、?脂肪肝発症のメカニズムとそれを予防する食品成分を明らかにしたこと、?糖尿病感受性遺伝子の研究から、個々人の糖尿病予防についてテーラーメイド予防につながる成果が得られたこと、?運動は筋肉での脂質の代謝を促し、肥満や糖尿病を防ぐメカニズムを解明したこと等、生活習慣病の予防と国民の健康増進につながる多くの成果を挙げたことは、多いに評価できるところです。
 これらの学術的成果等の発信については、5年間で、?査読付き論文発表数で累計551報と中期目標である250報を大きく上回ったのをはじめ、学会発表数やインパクト・ファクターにおいても独立行政法人の研究機関としてきわめて高い水準を維持していること、?ホームページでの健康食品のデータベース作成と公開により、管理栄養士・栄養士等専門職のみならず国民にも広く情報の提供を行ってきたこと、?国民健康・栄養調査や食事摂取基準についての普及啓発活動、セミナーやオープンハウスなどの企画を通じて広く研究所の紹介、研究成果の普及・啓発を行ってきたことは高く評価できるところです。
 また、国民にとって関心の高い「健康食品」を対象にした食品成分の有効性評価については、食品安全委員会によりリスク評価が必要であるとされた大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールをはじめとする各種成分の安全性評価を行い、食の安全・安心に寄与したことは評価できるところでございます。
 次に、2.具体的な評価内容についてご説明します。まず、(1)の業務運営の効率化に関する措置についてです。業務運営の効率化につきましては、第2期中期目標期間の当初に研究組織を改編し、定期及び臨時に開催される運営会議等を通じて理事長のリーダーシップが迅速に反映される体制を作ったこと、フレックスタイム制を導入して働きやすい職場環境づくりに努めたこと、これらは評価に値するところです。また、行政からの要請に応え、法律に基づく業務を確実に遂行するため研究員等の人材配置を重点的に行ったこと、公的研究費の不正使用防止への取組、利益相反に関する取組や女性研究員の積極的採用など社会的・政策的要請に合った対応がなされていることなどは評価でるところです。
 業務運営の効率化に伴う経費の削減等に関しましては、人件費をはじめとする消耗品の一括購入、一般競争入札による調達、予算執行管理システムの活用などにより、一般管理費、事業費ともに計画を達成する実績を挙げており評価できます。以上のように、(1)の業務運営の効率化に関する措置につきましては、中期目標・中期計画を上回る十分な実績を挙げていると評価しております。
 続きまして(2)の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。
 ?研究に関する事項につきましては、第2期中期計画期間におきましては、「生活習慣病の予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」、「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」、「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」の3つの重点調査研究課題を設定し、いずれの課題におきましても中期計画に沿った実績を挙げており、評価できます。
 重点調査研究以外の調査研究におきましては、若手研究者による創造的研究を実施し、次の世代の研究者育成にも寄与しているものと認められるところでありますが、平成22年度におきましては、予算削減により実施が見送られた点については、今後の組織としての調査研究の進め方について工夫と再構築が望まれるところでございます。
 食育部門におきましては、食育推進基本計画に資する調査研究を行っており、国の施策を支える科学的根拠の提出など、中期計画を概ね達成していると評価できます。
 ?法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項につきましては、当該研究所には、健康増進法に基づきまして、「国民健康・栄養調査の集計業務」及び「特別用途食品等の分析業務」が課せられておりますが、中期計画に示された集計及び分析報告期間につきましてはこれを厳守しており、そのための標準的な調査ツールの開発、調査・分析精度の向上など、効率的かつ適切な業務の実施に向けて改善に努めてきた点は評価できます。
 社会的・行政ニーズへの対応につきましては、行政機関との意見交換や技術支援等により、社会的・行政ニーズの把握と研究業務への反映に努めてきているところから評価できます。
 国際協力等対外的業務につきましては、アジア諸国を中心とする研究ネットワークの構築、WHO指定研究協力センターの設置に向けて申請を行う等、積極的な活動を展開してきたところですので、これについても評価しております。
 栄養情報担当者(NR)認定制度につきましては、中期計画中、認定業務やフォローアップ事業を着実に実施してきたところでございますが、省内事業仕分けの結果を踏まえ、第三者機関への移管につきましては、今後の展開と方針を明らかにするべきであります。
 ?情報発信の推進に関する事項につきましては、第2期中期計画期間においては、利用者の視点に立ち、一般や専門家の方々が活用できる健康・栄養に関する各種コンテンツを公開するとともに、健康食品の安全性・有効性情報をはじめ、国民の健康増進に寄与する情報を提供しており、中期計画を上回る成果を挙げたと評価できます。さらに、東日本大震災に際して、災害時の健康・栄養に関する情報を迅速かつ適切に発信したことは高く評価できます。
 以上のように、(2)の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置につきましては、中期目標・中期計画を上回る実績を挙げていると評価できます。
 (3)の財務内容の改善等ですが、予算、収支計画、資金計画等については、中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されております。各年度における予算を踏まえ、一層の経費削減策を実施した結果、全体として中期計画を上回る削減が達成されております。また、外部資金につきましては、過去の実績を踏まえた適正な目標額を設定し、外部資金獲得に向けたさらなる努力を期待するところでございます。以上のように、(3)財務内容の改善等につきましても、中期目標・中期計画に沿った成果を挙げていると評価いたしております。以上でございます。

○猿田委員長
 田村先生どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたように、この国立健康・栄養研究所に関しましては、厚生労働大臣が平成18年度から22年度に定めた第2期中期目標全体の業績、実績について評価してくださったということで、振り返りますと、ちょうど18年ごろからの数年というのは、皆様ご存じのように、メタボリックシンドロームそのほかで、非常に生活習慣病に対する注意が重要だった。そこでたくさんの研究がなされ、非常に業績を挙げられた。もう1つは、皆様方、国民が非常に関心のあります健康食品の問題、それに対しても研究を非常に一生懸命やられて、多くの業績を挙げられたということと、一方では業務体制をしっかりさせて中期目標以上のことをやられたし、財務的にも非常に効果を挙げたということで、いま田村先生からお話がありましたように、高く評価される結果であったかと思います。それでは、どなたかご質問はございませんか。

○竹原委員
 机上添付資料の別紙の11頁を拝見いたしますと、先ほどの最終評価結果のご報告で、非常に独法として研究水準が高く維持されているということはわかるのですが、11頁の査読付き論文の学術雑誌への掲載及び学会発表数を拝見しますと、傾向として平成18年度、この評価期間の当初において、いちばん研究業績の水準が高くて、特にその学会発表に関していうと、徐々に減少傾向にあるのではないかということが見て取れるのですが、そのときに財務の内容の改善ということで、もし この減少傾向が、例えば研究費であるとか、あるいは国際学会へ出席する場合の費用の負担等の問題で、それの過度な削減が研究の実行に支障が出ているというような状況が、もしあるようでしたら、それは何らかの改善を我々としては提言すべきだと思いますので、そういった点について何か議論が部会内でなかったのかについて、お聞かせいただきたいと思います。

○田村委員 
 大変貴重なご意見をいただいております。限られた研究員の数と研究費の中でおそらく精一杯やっていただいているところではないかと思うのですが、今後もさらに質の高い研究を、しかも発表論文数等を増加させるとなれば、これは大変な負担がかかるわけでありますけれども、研究員の数や研究費を増やすことが困難な中で何とか工夫して、成果を挙げるよう努力していただければと思っておりますが、実態として法人のほうではその辺の感触はいかがでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 ご指摘ありがとうございます。研究企画評価主幹でございます。いまのご指摘の点につきまして、私どもといたしましては、詳しい分析をしたということはございませんが、確かに財務的に厳しいことは確かでございまして、いまのご指摘も踏まえて、これからどう対応していくかということは、いろいろ考えていきたいと思っております。いずれにしましても、できるだけ質の高い研究をこれからも引き続き実施していくことは、財務的にも重要ですし、一つひとつの研究内容につきまして、精査をしながら対応していきたいと考えております。

○猿田委員長
 確かに厳しくて、だんだん削減されていきますね。それで一方では研究をやっていかなければならないということと、時代とともに変わってきますからね。

○清水委員
 調査研究部会の財務担当をさせていただいているのですが、確かに業務経費のほうは中期目標に掲げた削減率を達成するということで厳しくなっていると思います。1つ気になりますのが、この最終評価書の5頁に書いていますように、外部資金がこの研究所に関しては、第1期の中期目標期間に比べても、かなり減っているというところがちょっと気になるところでして、この辺りについても、法人のほうには努力していただきたいとお伝えしたところでございます。

○猿田委員長
 その辺り財務のことで。

○国立健康・栄養研究所理事長
 先ほど研究企画評価主幹が申し上げましたことに関しまして追加させていただきます。理事長の徳留でございます。いま清水委員が言われたとおりでございますが、競争的資金の獲得件数はそれなりに維持しているわけでございますが、ご案内のとおり、文科省あるいは厚労科研費一件当たりの額が小さくなっているということで、私どもの研究者が使える研究費が少し減っている、かなり減っているといってもいいかもしれませんが、減っている状況があります。それで、委員のご指摘のとおり、学会活動、あるいは論文作成など、影響がないとは言えないというところで、大変苦しい状況であることは確かです。それと、もちろん先ほど申し上げたとおり、交付金も着実に減っていることは大変厳しい状況ですので、その辺りを是非委員の先生方にご勘案いただければありがたいと存じます。以上です。

○猿田委員長
 竹原委員、清水委員、よろしいですか。

○松尾委員
 先ほど議論になったところなのですが、資料2-1の11頁の論文、学会発表等の促進ということで、先ほどの評価の案のところでは、業績が挙がっているということだったのですが、これを見ますと平成18年はかなり数が多くて、平成19年にかなり論文のほうは落ち込んでいます。その後徐々に増えていて、しかもインパクト・ファクターが2.0以上のものが増えているということで、私は、この組織の研究というのは非常に重要であるとかんがえていますただ、引用されることは非常に重要ですので、評価の視点にインパクト・ファクターだけではなくて、どれぐらい論文が引用されているかというようなところも、是非視点に加えていただきたいということと、学会発表数なのですが、これがやはり相当減っているのですが、これはかなり厳選したものをレベルの高い学会に選んで発表されているということなのか、この中身はどういうふうなのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 サイテーション・インデックスの重要性につきましては、松尾委員がご指摘のとおりでございます。記載がございませんが、私どもの研究所の研究者の論文のインパクト・ファクターは高うございます。サイテーション・インデックスにつきましても、トムソン・ロイターによる報告に基づき集計いたしました。それによりますと、私どもの研究所はいわゆる国研あるいは研究開発型独法としては、かなり上位にランクされると思います。それから、学会の選択といいますか、その辺りにつきましては詳細な分析をやっておりませんが、先ほど申し上げました研究費の削減、あるいは交付金の削減等々がありまして、かなりセレクションがかかっていることは否めないかと存じます。

○猿田委員長
 松尾先生、よろしいですか。ほかにご意見ございませんか。費用の削減の問題と、しかし業績を挙げなければいけないという板挟みで、なかなか大変かと思うのですが、非常に食品の問題は重要でございまして、特にメタボリックシンドロームの予防ということでも非常に重要なことで、ここに関しては、かなり業績を挙げられたのではないかと思います。ほかにご意見ありませんでしょうか。いまご意見をいただきましたが、全体としては、いまの最終報告をお認めいただいたということでよろしいですか。
(各委員了承)

○猿田委員長
 それではそういう形でこの結果を法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。いまいただきましたご意見で、一部修正を加えるときには、私のほうにお任せをいただきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、どうもありがとうございました。最後になりますが、独法の理事長のほうから一言ご挨拶をいただきます。

○国立健康・栄養研究所理事長
 評価委員の先生方におかれましては、私どもの研究所の第2期中期目標期間の業務実績に関わる最終評価をまとめてくださいまして、誠にありがとうございます。私ども第2期中期目標達成のために、3つの重点調査研究を軸にしまして、調査研究を推進し、そして、効率的な運営を図ってまいりました。その業務実績に対しまして、概ね高い評価をいただいたものと理解しております。ありがとうございます。
 さて、私ども、現在第3期中期目標期間に入っております。この度、評価委員の先生から頂戴いたしましたご指摘、ご助言を踏まえ、私どもの研究所の目的でございます、公衆衛生の向上及び増進を図るために、特に身体活動・運動による健康増進、食と栄養に関わる環境整備、食の安全・安心というところを中心に今後とも研究を続けたいと思います。そして、効率よい運営を心がけ、国民の負託に応えるべく、所員一同、誠心誠意業務に当たる所存でございます。評価委員の先生方におかれましては、今後ともご指導、ご鞭撻をお願いいたしまして、ご挨拶といたします。本日は誠にありがとうございました。

○猿田委員長 
 どうもご苦労さまでした。どうもありがとうございました。それではここで法人及び所管課の入替をさせていただきますので、しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替)

?労働安全衛生総合研究所

○猿田委員長
 議事次第?独立行政法人労働安全衛生総合研究所の最終評価結果についての審議に入ります。8月12日の調査研究部会において、最終評価書案が検討されておりますので、調査研究部会の部会長である田村先生からお願いいたします。

○田村委員
 調査研究部会の田村です。労働安全衛生総合研究所の中期目標期間、平成18年度から平成22年度の業務実績についてご説明申し上げます。資料3-2をご覧ください。(1)評価の視点ですが、独立行政法人労働安全衛生総合研究所は、独立行政法人産業安全研究所と独立行政法人産業医学総合研究所を統合し、平成18年4月に発足した研究所です。今回評価を行った中期目標は、法人の発足にあわせ、厚生労働大臣が定めたものです。このため、研究所の業務実績の評価に当たっては、統合による効果を最大限に発揮し、業務運営の効率化とともに産業安全及び労働衛生に関する調査研究の充実が図られているかどうか、さらには業務の質の向上、社会への成果の還元について十分に取り組まれているかどうかという観点から評価を行っております。
 次に(2)中期目標期間の業務実績全般の評価についてご説明申し上げます。当委員会では、先に述べましたような視点から、研究所の業務実績の評価を行ってきたわけですが、中期目標期間全般については、以下に述べますように、適正に業務を実施してきたと評価しております。
 ?業務運営の効率化に関する取組については、平成18年の統合以来、理事長のリーダーシップの下、旧両研究所の総務部及び研究企画調整部の一元化、研究体制の見直し、研究管理システムの構築など積極的な取組により、調査研究業務の一体的推進が図られてきたことを評価しております。また、総務部門については一元化とともに、更なる業務の集中化等により、職員数を大幅に削減する等、業務運営の効率化においても成果を挙げております。経費の節減については、平成22年度決算額における一般管理費、業務経費、人件費が中期目標期間の数値目標を上回る実績を挙げていることを高く評価しております。
 ?業務の質の向上に関する取組については、全体的には行政ミッション型研究所として高い成果を挙げているものと評価しております。研究業務の実施についてですが、労働安全衛生重点研究推進協議会の発足をはじめ、様々な機会を通じて労働現場ニーズや行政ニーズを把握し、研究業務への反映を行うとともに、「プロジェクト研究」、政府長期戦略指針に基づく、「イノベーション25研究」、WHOのアクションプランに基づく「GOHNET研究」に、重点的に研究資源を投入し、それぞれ高い研究成果を挙げております。
 研究成果の普及活用については、研究で得られた科学的知見が、労働安全衛生関係法令の改正、通達等の制定・改正、ISOやJIS等国内外の基準制定等に活用されており、行政ミッション型研究所としての貢献は特に高く評価しております。また、学会発表及び論文発表数も、中期目標を上回る水準となっていることを評価しております。
 労働災害の原因の調査等については、厚生労働省からの依頼等に基づく災害調査のほか、刑事訴訟法に基づく鑑定等、労災保険給付に係る鑑別・鑑定等を迅速・的確に実施しており、依頼元である労働基準監督署、警察署等からも高い評価を受けております。これは本研究所でしかできない事業であり、その実績及び貢献について特に高く評価しております。
 また、労働安全衛生重点研究推進協議会において、我が国における今後の労働安全衛生研究の指針となる労働安全衛生重点研究領域・優先研究課題を策定したほか、シンポジウムの開催、国際学術誌及び和文学術誌の発行等、労働安全衛生分野の研究の振興に貢献していることも高く評価しております。
 その他、国内外の労働安全衛生関係機関等との研究協力及び若手研究者の育成への積極的な取組が認められることを評価しております。
 これらを踏まえると、平成18年度から平成22年度の5か年における研究所の業務実績については、平成18年4月の統合以来、一体的な業務運営体制の構築に積極的に取り組みつつ業務運営の効率化を図るとともに、調査研究及び労働災害の原因調査等を適切に実施し、さらに我が国における今後の労働安全衛生研究の指針の策定を行うなど、行政ミッション型研究所として高い水準の実績と成果を挙げているものと高く評価しております。
 2.の具体的な評価内容についてご説明申し上げます。(1)業務運営の効率化に関する事項についてですが、?効率的な業務運営体制の確立として、平成18年の統合後、総務部及び研究企画調整部の一元化、情報伝達の円滑化等を目的とした各種会議の設置及びその見直し、安全研究、健康研究及び環境研究の3研究領域体制の導入など、理事長のリーダーシップの下、柔軟な組織体制の下で調査研究業務の一体的推進が随時的確に図られてきたことを評価しております。
 さらに、総務部門については、人事、会計等業務の清瀬地区への集中化等により、職員数を統合前の26人から12人削減し平成23年度当初時点で14人とするなど、業務運営の効率化において成果を挙げていることを評価しております。
 ?内部進行管理の充実については、旧両研究所の研究評価基準、個人業績評価基準等を統一し、研究の事前・中間・事後評価及び個人業績評価を行うとともに、研究の進行管理についても適正に機能しており、評価結果を研究計画の見直しや研究予算の配分、人事等に反映するなど適切に機能していることを評価しております。
 ?業務運営の効率化に伴う経費節減については、一般競争入札の徹底や、一者応札の大幅な削減等、契約の見直しによる無駄の削減、光熱水料の節減などに取り組んだ結果、一般管理費、業務経費、人件費のいずれもが中期目標を上回る実績を挙げていることを高く評価しております。また、大型の受託研究を獲得し、競争的資金・受託研究の合計額が過去最高額を更新したことは高く評価しております。ただし、科研費の獲得額が減っているため、獲得戦略の練り直しが必要です。
 ?効率的な研究施設・設備の利用については、研究施設・設備の有効活用を図るため、有償貸与や他研究機関等との共同研究、共同利用に積極的に取り組んでいることを評価しております。
 (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項についてご説明申し上げます。?労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映については、平成19年度に労働安全衛生重点研究推進協議会を発足させ、労使関係者、関係研究機関、行政等から労働安全衛生分野における研究ニーズを収集し、新たに今後概ね10年間の労働安全衛生重点3研究領域22優先課題を取りまとめたことを評価しております。
 このほか、シンポジウム、研究交流会、業界団体との意見交換会の開催、学会参加、各種委員会への参画等により労働現場のニーズの把握に努めるとともに、厚生労働省との意見・情報交換会の開催、行政支援研究の実施など、行政ニーズの把握と業務への反映において成果が認められ、今後とも、労働現場のニーズ等の的確な把握及び業務への反映の、より一層の充実を期待しているところです。
 ?プロジェクト研究、基盤的研究の実施に関しては、プロジェクト研究など行政ニーズ及び社会的ニーズによく対応した研究課題に、重点的に研究資金及び研究要員を投入し、それぞれ高い研究成果を挙げていることを評価しております。基盤的研究については、プロジェクト研究への重点化を図るため、課題数を絞りつつ着実に進めておりますが、将来に向けての創造的、萌芽的な研究との戦略的バランスが示されることを期待しております。また国民が期待し喫緊の課題である熱中症等や、特に社会的関心の高い大震災については、今後の的確な対応を期待しているところです。
 ?学際的な研究の実施については、新たに設置した人間工学・リスク管理研究グループに旧両研究所の研究員を配置し、産業安全と労働衛生の両知見を活用したプロジェクト研究、厚生労働科学研究費採択研究を着実に実施しており、今後、一層積極的に取り組まれることを期待しております。
 ?研究項目の重点化については、プロジェクト研究への重点化を図るため、基盤的研究の課題数について中期計画の数値目標20%を上回る36.3%の削減を達成しておりますけれども、将来的に必要となる研究まで削減してしまうことのないよう、ニーズ等の十分な検討が必要です。
 ?研究評価の実施については、平成19年度から同一の研究評価基準の下、全研究課題について内部評価を行うとともに、プロジェクト研究、イノベーション25研究及びGOHNET研究については外部専門家による評価を行っております。さらに、平成22年度には内部研究評価規程を改定し、追跡評価の実施を加えるとともに、評価基準の見直しを行い、他の研究機関が行う研究との重複の排除や研究の進行管理、さらには研究計画の見直し、予算配分、人事、表彰等の研究管理・業務管理にも反映していることを評価しております。
 ?研究成果の積極的な普及・活用については、調査及び研究で得られた科学的知見、が労働安全衛生関係法令の改正、通達等の制定・改正、ISOやJIS等国内外の基準制定等に活用されており、行政ミッション型研究所としての貢献は特に高いと評価しております。また、学会発表及び論文発表数は、中期目標を上回っており評価しております。インターネット等を通じた情報提供については、研究所で発行する国際学術誌や和文学術誌等の掲載論文を、研究所ホームページに掲載しているほか、平成21年度には研究所ホームページのデザインを改善するなど積極的な情報発信に努めた結果、平成22年度にはアクセス件数も目標を大きく上回り増加傾向にあることを評価しております。このほか、安全衛生技術講演会、研究所の一般公開等様々な取組により、研究成果の積極的な普及に努めております。また特許権の取得促進など、知的財産の活用についても積極的に取り組んでおります。
 ?労働災害の原因の調査等の実施については、労働災害調査分析センターを設置し、産業安全と労働衛生の両分野にまたがる労働災害の調査を実施できる体制を整備し、厚生労働省からの依頼等に基づく災害調査のほか、刑事訴訟法に基づく鑑定等、労災保険給付に係る鑑別・鑑定等を迅速・的確に実施しており、依頼元である労働基準監督署、警察署等からも高い評価を受けております。これは、本研究所でなければできない事業で、その実績及び貢献については特に高く評価しております。また、労働者死傷病報告のデータベース化など、災害発生状況等の分析にも貢献しております。
 ?国内外の労働安全衛生関係機関等との協力の推進については、労働安全衛生重点研究推進協議会における、労働安全衛生重点研究領域・優先研究課題の策定、シンポジウムの開催、国際学術誌及び和文学術誌の発行等、労働安全衛生分野の研究の振興に貢献しており、高く評価しております。特に、平成19年度以降は中期目標の年4回を上回る年6回発行した国際学術誌『Industrial Health』については、投稿論文数が年々増加するとともに、インパクト・ファクターも高い水準を維持するなど、その成果について高く評価しております。また、多くの大学等へ客員教授、非常勤講師等を派遣して教育支援を行うほか、国内外から多くの若手研究者、実習生等を受け入れて研究指導を行うなど、若手研究者の育成への貢献を高く評価しています。
 また、海外12大学・研究機関との、研究協力協定に基づく共同研究を推進するとともに、研究員の派遣・受入数も目標を大きく上回っており、大学、企業等との共同研究についても、研究員が研究代表者であるプロジェクト研究及び科研費研究を4割前後の水準で実施していることを評価しております。
 今後、研究所としての研究展開の将来ビジョンに対応した戦略的な研究協力のあり方を検討し、他の研究機関等との共同研究の実施、連携の強化に積極的に取り組まれることを期待するところです。
 ?公正で的確な業務の運営については、必要な規程等を整備するとともに、研究倫理審査委員会をはじめとした各種委員会活動も適切に推進されております。
 最後に(3)財務内容の改善等、その他業務運営に関する事項についてです。?運営費交付金以外の収入の確保については、競争的研究資金、受託研究等の獲得に組織的に取り組んでおり、獲得額も増加傾向にあり、評価しております。今後とも、外部研究資金の獲得額の向上に向け、より一層積極的に取り組まれることを期待しているところです。
 ?人事に関する計画については、資質の高い人材を幅広く登用するため、研究者人材データベースへの登録をはじめ、幅広い公募掲載等により採用活動を早期に開始するなど、多くの応募者から資質の高い人材の採用に努めていることを評価しております。また、研究員の昇任、昇格、昇給については、適正な業績評価基準を基に、所属部長、領域長、役員の3段階による公平かつ適正な評価を基に実施しており、結果については表彰、人事管理にも反映していることを評価しているところです。説明は以上です。

○猿田委員長
 田村先生、どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたように、労働安全衛生総合研究所は平成18年4月に独立行政法人産業安全研究所と、独立行政法人産業医学総合研究所を統合してスタートしたということで、この評価は統合による効果を最大限に発揮しているかどうか。特に業務の運営の効率化とともに、産業安全及び労働衛生に関する調査研究の充実が図られているか。特に業務の質の向上、社会への成果の還元がなされているかということを見て評価をしたということで、いまお話をいただきましたように、業務の効率化が非常によく図られ、研究のほうも非常に進んで学会発表、論文に関してもインパクト・ファクターの高い状況を保っているということ。いろいろな研究その他の国民への発信ということでの、情報の発表もしっかりやられていて、さらに、研究費の獲得もしっかりやられていて、財務的にもかなりの改善を示したということで、かなり高い評価が得られたということではないかと思います。それでは、委員の先生方からご質問がありましたらお願いいたします。

○安浪委員
 当法人の成果を数値的な面で見ようとすると、例えば日本における労働災害の発生件数については、毎年のそういうデータはあるでしょうか。5年間で労災発生件数が減ってきているのだという形で見ることができれば、成果が上がっているのではないかという見方もできるかと思うのですが、そういう資料はありますか。
 それから、評価シート説明用資料の21頁なのですが、平成18年から平成22年の交付金以外の収入の確保の数字についてです。これは部会でも議論されたかと思いますが、競争的資金の導入が漸次減少傾向にあり、平成22年度は平成21年度に比べて7,900万円が4,300万円と大きく減少している事情をご説明いただければと思います。以上2点についてお願いいたします。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 所管課の安全衛生部計画課です。労働災害の減少については、5年間の労働災害防止計画を策定し、精力的に進めております。死亡災害、休業4日以上の労働災害、共に減少の傾向を示しています。行政施策をいろいろ打ち出すに当たり、労働安全衛生総合研究所における研究成果を活用して法令改正とか、通達の発出などにつなげております。それで、さらに労働災害防止の実効性を高めている状況です。

○猿田委員長
 この5年間で減ってきたということですか。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 はい。

○安浪委員
 具体的に数字のデータは入手できるということなのですね。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 はい、いまは手元にありませんが、お示しすることはできます。

○猿田委員長
 数字で出てくると、はっきりしますね。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 はい。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 補足させていただきます。必ずしも労働災害の減少が、すべて我が研究所が貢献した結果だとは言えません。その一部分を担っているというご理解をいただければと思います。景気の動向とか、安全衛生教育に対する企業の意識の変化とか、今年は地震の関係で極端に増えると思いますが、天災で被災した方も労働災害にカウントされます。うちが貢献していることは事実なのですが、必ずしも1対1対応ではないところを補足させていただきます。

○安浪委員
 わかりました。

○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
 ご質問の2点目の競争的研究資金については、その獲得額が平成20年度の約8,500万円、平成21年度の約7,900万円から、平成22年度の約4,300万円に減少しています。その要因としては、研究費の予算規模が縮小していく中で、競争が非常に激しくなってきていることの影響が考えられます。
 なお、申請件数については、平成21年度の33件から平成22年度には60件と、倍近く増やしております。それでも現状は厳しい状況ではあります。

○安浪委員
 そういたしますと、来期もこの傾向で減っていきそうだと。減っていくのであれば、何か対策を考えておられるのかをお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 理事長の前田です。いま、小川理事が申しましたことのほかにも、厚労科研費が、競争的資金の中でそれなりの比率を持っている状況にあります。厚労科研費の分類といいますか、募集している内容が、私どもの研究所が応募できない種類のテーマのほうにシフトしてきたということもあって減っているということがあります。ただ、この先も右肩下がりに減るのではなく、たぶん今が最低レベルだと思いますので、来年にかけては、それほど大きな減少はないのではないかと考えております。
 資料には詳しく出てきていませんが、外部の資金をいろいろ導入するための努力をすることを、今ちょうど検討しているところです。なんとかV字回復するように努力していることをご承知いただきたいと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
 説明を追加させていただきます。先ほど説明申し上げましたように、競争的資金の申請件数を増やした結果、平成23年度の獲得額は810万円増加し5,147万円になりました。

○猿田委員長
 財政的にはかなり厳しい状況ですから、この先どのようになるかです。それから分配方式もいろいろ変わってくるので大変だろうと思います。安浪先生、よろしいですか。

○安浪委員
 はい。

○猿田委員長
 ほかにご意見はございますか。

○和田委員
 別紙のほうで1つお尋ねします。29頁のいちばん最後のところに、第6、剰余金の使途という見出しがあります。中期計画では、剰余金の使途は、研究用機器等を充実させるための整備とか、4番の職場環境の快適さを向上させるための整備へ使用するという中期計画だったと読めるのです。それに対して中期目標期間の実績報告では、剰余金の累計額は8億4,357万5,000円となり、これらは中期目標期間終了後に全額国庫に納付した。いちばん右の平成22年の欄は8億4,357万5,000円となっています。この辺の事情といいますか、経緯を教えていただけますか。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 総務担当理事です。本来であれば、私どもの希望としては、このような剰余資金について有効に活用したいわけですが、剰余金や、外部から講師謝金等として自己収入に計上した額を積み立てた分については使ってもいいかという承認手続きが必要であり、厚労省を経由して財務省にお願いしたところ、そういうことは認められないということでした。その結果、節約した分も含めてすべてを国庫に納付せざるを得ないということになった次第です。制度的には私どもとしては非常に残念なことなのですが、全額を国庫に納付せざるを得ないというのが、厚労省からの指示でした。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 補足させていただきます。単純に余ったお金という範疇になるかもしれないのですが、目的積立金と、単なる積立金と2つは別個の扱いになっております。目的積立金として積み立てられたものは、先ほどの使途に書かれたような内容で使えるということであります。積立金でない、目的積立金という形にすることについて、財務省協議で認められないという形になったと認識しております。

○猿田委員長
 この問題は、各独立行政法人で問題になっています。財務省はいまの考え方なのです。その辺りは、これからの計画を立てていくときに、しっかりやっていかなければいけないと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 多額の運営費交付金が交付され、その運営費交付金で人件費が賄われる職員が稼いだものであるから、国庫に返納するのが当然だというのが財務省の言い分です。独立行政法人の中でも、自前でかなり努力して稼いだ法人は財務省もOKしている場合があるように聞いております。

○猿田委員長
 そこは、なかなか厳しいところなのですね。

○和田委員
 私もこの法人のことをよく存じ上げないし、決算書も拝見していないしわからないのですが、本来独立行政法人の制度設計のときに、経営努力をして、その経営努力認定は必ずしも外部から収益を挙げたということではなくて、経費の節約とか合理化による経費節減といったことによって利益が生じた場合には、それは目的積立金として経営努力認定を認めてもらえれば、その法人の目的にかなった使途に使うことができるというインセンティブを与えるから、独立行政法人は自らの収益を増やし、そして経費の節減を図って努力をするという仕組みなのだというふうに私は理解しております。
 この中期計画は、まさにそういうことを想定したから、こういう中期計画を立てていたにもかかわらず、剰余が出たけれども、それは目的積立金にならなくて、単なる積立金で、全部国に返すというのは何か理解のしにくいところです。ほかの事情があるかどうかわかりませんから、あまり言いすぎてもいけないのですが、うっかりすると、それなら節約をしないで使ってしまおうと、もっと使いたいものに使ってしまおうという声まであります。独立行政法人はそういうことではないと、節約するものはしっかり節約して、それによって出た利益については、それはその法人の目的に適う事業に使ってもいいことにする、というのが利益処分で目的積立金を決めたところですから、その辺は次の中期目標期間中に検討したらいいのではというのが、私の個人的な意見です。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 先生のご指摘のとおりの感想を持っております。私が理事として来る前に既に決まっていたことですので、法人主管課を通して再度財務省に働きかけるなり、対応をとってまいりたいと考えております。主管課から何かコメントはありますか。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 独立行政法人制度ができたときの趣旨・目的にも照らし、必要に応じて財務省に対して申入れをしていきたいと思います。

○猿田委員長
 私の方としては、和田先生はいつもそういう意見で、各独立行政法人に対してちゃんと言ってくださっていますから、そういうことは言っていかなければ意味がないのです。例えば国立病院機構においては、病院収入を先生方が一生懸命努力して上げたのにそれをみんな取られてしまうのはおかしいと。古い病院は直さなければいけないだろうということも考えています。和田先生の主張は、やはり言うべきところは言わなければいけないと考えています。これは個人かもしれませんけれども。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 先ほど、労働災害の件数の件でご質問がありましたが、その件数を申し上げます。死亡災害ですが、中期計画の1年目の平成18年は1,472人のところ、最終年度の平成22年は1,195人に減少しております。休業4日以上の死傷者数については、平成18年が12万1,378人のところ、平成22年は10万7,759人ということで、いずれも減少しています。




 

○清水委員
 いまおっしゃっていただいたのは総数だと思うのです。やはり、先ほど委員からご指摘がありましたように、研究がどこまで労働安全に、最終的なアウトカムに結び付いているかということが重要な視点だと思うのです。そういたしますと全体数というよりも、特に重点を置いて研究された部分について、その提言を受け入れた企業がどのぐらいあって、そこでどのぐらい防止できたかということの因果関係は難しいかもしれませんけれども、今後の評価においてはそういう視点も入れていく必要があるのかと、先ほどの委員の意見を聞いていて思いました。
 次年度以降については、もう少し細かい分野別にということが可能なのかどうかわかりませんけれども、全体数を聞いただけでは結び付けるのは全く難しいと思いますので、検討していただけたらと思います。

○猿田委員長
 出せる部分のところは、いまのがしっかりした形で出せれば非常に参考になるということです。もちろん、いろいろな所との関係はありますけれども。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 今後、可能な限り災害の分析をしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○猿田委員長
 いま貴重なご意見をいただきましたので、その部分を少し加えさせていただいて、最終的にはこの最終報告を認めていただくということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○猿田委員長
 いま大切な意見をいただきましたので、この修正部分のところは私のほうにお任せいただいて、事務局とも相談させていただいて決めさせていただきます。どうもありがとうございました。最後になりますが、前田理事長から一言ご挨拶をいただけますか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 まず初めに、私ども研究所の評価については、概ね適正に業務を実施したという評価をいただけるようですので、これについては誠にありがとうございます。御礼申し上げます。私ども研究所は、初めに紹介もありましたが、平成18年に2つの研究所が統合してできております。この統合したものをいかに効果的・効率的に運用するかということが、この5年間非常に大きな問題であったと考えております。研究の面でいいますと、安全と衛生の両分野にまたがる学際的研究を行うということでシナジー効果を出すことが求められていたわけです。これについては、それなりに粛々と行っているところであります。ただ、シナジー効果を出すだけの目的ではなくて、安全・衛生それぞれの分野で特定の問題として要求される問題がなくなったわけではないので、この分野も粛々と実行していかなければいけないということで、全体のバランスを考えて運営してきたつもりです。
 管理運営の面では、両研究所を合併し、それぞれの良いところを取って、全体として非常に素晴らしい形の運営をしたいと考えております。いろいろな要素が絡み合っておりますので、単に良いところ取りをしても、全体としてうまく機能するわけではないということで、5年間かけて徐々に統合効果を出す管理運営の良いところを集めてきたということを意識してまいりました。
 独立行政法人一般では運営効率化、人の向上、財務改善等が要求されておりますが、これについても精一杯努力してきたと考えております。
 結果として、全体的にそれなりの評価をいただいたように感じております。ただ、改善点もいろいろご指摘がありましたので、次の期、実際には今年も既に入っておりますけれども、その中で更に良い改善をし、我が国における労働者の健康と安全の確保に資する研究業務を推進していきたいと考えております。これで私の挨拶といたします。ありがとうございました。

○猿田委員長
 ありがとうございました。どうもご苦労様でした。
(法人及び所管課退室)

○猿田委員長
 委員の先生方、長い間ご苦労様でした。これで本日審議することはすべてですが、今後の予定に関して事務局からお願いいたします。

○清水委員
 すみません、その他ということでお話させていただきます。調査研究部会ですけれども、毎年同じようなことが問題になっているのですが、必ずしも法人独自で解決できる問題ではなく、厚生労働省全体として考えるべきものであったり、あるいは各部会においても共通している事項かと思いますので申し上げます。
 人事に関することです。研究職と事務職がありますけれども、事務職の大半、法人によっては、ほぼ100%が公務員であるということです。そこでの人事異動というのは、完全に法人の意思から超えているもので、厚生労働省全体としてのローテーションの中で派遣されてきているということです。このことが、評価の面でいろいろなところで問題になってきます。その1つはラスパイレス指数が高いということです。
 もう1つは、これは広い意味で内部統制と言ってしまっていいと思うのですが、組織の使命達成における非効率であるとか、風通しの悪さ、コミュニケーションの悪さというのでしょうか、そういうところに結び付いているようなところが出てきております。例えば、私など評価者の立場からすると、必ずしも事務の引き継ぎがうまくなされない、評価のことにおいても何度も同じことが間違われるということもあります。監事の報告書を見ても、長期的な改革に、頻繁な人事異動は望ましくないという指摘がなされている法人があります。
 今回は事務局のご協力を得て、調査研究部会ではパイロット的に内部統制に関するアンケート調査をしていただきました。これは、必ずしも回収率は良くなかったのですが、その回答を見たところ、やはり懸念されたような事態、研究職と事務職との間のコミュニケーションが必ずしもうまく図られていないという状況がありました。今回政策評価審議官も初めて来られたことですので、是非この辺のところは厚生労働省全体としてご考慮いただきたいと思っております。
 2点目は、いま申し上げましたように、今年は内部統制の運用状況を把握するためにアンケート調査をしていただきました。内部統制は評価項目にありますけれども、評価者がわりと良いことを書いてくださるのですが、実態がそうかどうかというのは必ずしもそうではないと思います。アンケートというやり方がいいのかどうか、これも検討しなければいけないことだと思いますが、何らかの形で職員の声というのでしょうか、あるいは現場での運用状況を把握するような方策を、今後は各部会で検討していただけないかと感じましたのでご報告申し上げます。

○猿田委員長
 ありがとうございます。いまの件はほかの独立行政法人でも問題になっていて、非常に重要な点ですのでお答えをいただけますか。

○政策評価審議官
 貴重なご意見をありがとうございました。正直申し上げまして、私はまだ着任1か月ですので、各独立行政法人の実態、特にいまご指摘のありました人事面については詳細には把握しておりませんので、軽々にはコメント致しかねますが、簡単に想像できるのは、本省の職員、すなわち国家公務員は、人事交流の一環でいっている。また、私もそうなのですが、役人は異動が結構早く、1ポストの任期が短いのです。私は、この4、5年は1年で変わってきています。
 独立行政法人の場合は目標が5年という形で中期的に設定されている趣旨は、おそらくそのぐらいのタームでやらないと、きちんとした運営ができないということだと思います。その辺のミスマッチングについてのご指摘かと思います。ただ、まさに雇用の問題に直結する問題ですので、どういう形で改善ができるのか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
 それから引き継ぎについてのご指摘もあったかと思いますが、これは任期が短いとか長いには全然関係ないです。私のように毎年名刺が変わる人間だから引き継ぎがうまくいかないという因果関係はありません。もしそこが問題だとすれば、それはきちんと改善していく。とりあえずの私の感想としては、改善が容易ではないかと思っております。
 それからアンケートについては、まさにこの委員会の場で先生方からやったほうがいいということであればどんどんやればよろしいかと思います。問題はそれをどう活かしていくか、そこからそれをガバナンスや業務運営にどう活かしていくかというところがポイントだろうと思っております。

○猿田委員長
 大切なことは、委員の先生方は非常に一生懸命やっているわけですので、そういうことをしっかり活かしてもらわなければ困るということです。それから先ほど言った財務の問題も、財務省と厚労省がしっかり話し合わないと、私たちが一生懸命意見を言ってもしようがないのです。そういう点もしっかり考えてやっていってもらいたいと思います。私たちは一生懸命やっていますから。ほかにないようでしたら、今後の予定を事務局からお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 本年夏の独法評価については本日をもって終了となります。委員の皆様におかれましては、暑い中をお集まりいただきまして精力的にご審議いただきましてありがとうございました。会議の冒頭に申し上げましたとおり、組織業務の見直し案のほうをご審議いただくということで、次は12月の開催を予定しております。具体的な日程が決まりましたら、また改めてご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日ご審議いただきました最終評価書と暫定評価書については追って郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○猿田委員長
 先生方、どうも長い間ありがとうございました。一応これで夏の締めということになります。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室 

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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