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2011年8月22日 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第55回)議事録

○日時

平成23年8月22日(月) 13:00~15:30


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

   真野部会長、大島部会長代理、浅野委員、五十嵐委員、石渡委員、橋田委員、平井委員


○議事

(以下、議事録)
 
(1)福祉医療機構

○真野部会長
 それでは定刻になりましたので、第55回「独立行政法人評価委員会医療・福祉部会」を始めさせていただきます。また、天気の悪い中、皆様お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、松原委員、關委員が欠席。浅野委員が14時すぎに退席されます。
 最初に事務局から、本日の進め方、議事次第について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 説明いたします。本日の議事については、法人ごとに、平成22年度の財務諸表に関する意見について、次に業務実績に関する総合評価を行います。このほかに、医薬品医療機器総合機構については、利益剰余金の処分についての審議があります。それぞれの法人ごとに審議が終わりましたら、法人及び所管課の入れ替えがございます。
 続きまして、3法人に共通する審議案件の進め方について説明いたします。
 「財務諸表に関する意見について」です。各法人の財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。評価委員会としての意見(案)については、担当委員である五十嵐委員からご発言いただき、それを踏まえてご審議いただきます。
 続いては、「平成22年度業務実績について」です。前回までの個別評価の結果に基づき、起草委員において起草していただきました総合評価の案について、審議いただきます。
 なお、各委員のお手元には、記入いただいた評定記入用紙の原本と各委員の評定結果一覧表を置いております。個別評価における評定結果については、今回の審議等を踏まえ、修正可能です。後ほど評定の修正・確定をしていただく時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。議事については以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。いまから審議に入ります。今日は3法人ありますが、最初に福祉医療機構について審議させていただきたいと思います。最初に財務諸表について、五十嵐先生からご説明をお願いします。

○五十嵐委員
 財務諸表に関しましては、平成23年8月5日に説明を受け、レビューした結果の不明点についての質問をし、回答を得た結果、資料1-1で配付されておりますように、この原案どおり承認することが適当であると考えております。
 なお、会計基準に従っているため財務諸表の適正性には問題はないのですが、各勘定の特殊性を原因とする勘定別の利益数値等の前提が異なることによって、法人全体の貸借対照表や損益計算書、機構の全体イメージと乖離する結果になっている懸念があります。特に承継債権管理回収勘定は、承継債権を資本として受け入れ、利息を全額自己収入とするスキームになっております。このスキームの下では、回収された元本を資本の減少として処理をし、当然の帰結として、多額に発生する利益額とともに国庫に返納する処理となります。これは元入れ資本が財政基盤の基礎としてあり、運営状況の基準点が損益ゼロという通常の前提とは大きく異なりますので、財政状態等を判断する場合には十分に留意する必要があります。以上でございます。

○真野部会長
 ご報告ありがとうございました。財務について、何か意見等はございますか。専門の問題もあり、なかなか我々コメントしにくいところもあるかもしれません。
 それでは、財務諸表に関しましては、資料1-1のとおりで修正意見はないようですので、これを取りまとめて厚生労働大臣のほうに提出させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 ありがとうございました。総合評価のほうに入りたいと思います。
 私も起草委員ですが、資料1-2になります「平成22年度の業務実績の評価結果(案)」について、事務局のほうからご紹介いただき、私のほうから少しコメントをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 説明いたします。資料1-2「独立行政法人福祉医療機構の平成22年度の業務実績の評価結果(案)」です。1頁の1「平成22年度業務実績について」。(1)評価の視点では、同法人の設立経緯のほか、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」や、「政・独委の評価の視点」等を踏まえ、評価を実施したということ等が記載されております。
 (2)平成22年度業務実績全般の評価です。福祉医療機構は、国の福祉・医療政策等に密接に連携した多用な事業を公正かつ効率的に運営していかなければならない。こうした中で、理事長が主宰する経営企画会議を毎月開催し、重要事項に対して迅速かつ的確な経営判断を行っている。また、当該会議において、理事長所感を役員及び幹部職員に対して指示するとともに、組織内のイントラネットを通じて、全職員に配信するなど、理事長の意向が組織運営に反映される統制環境の整備を推進している。
 平成23年4月の組織改正においては、より一層の効率的かつ効果的な業務運営体制の整備として、管理部門の統合・再編等により、管理職ポストを大幅に削減するとともに、管理部門から現業部門に人員を充当することにより、利用者サービスの強化及び事務処理の効率化を図ることを決定している。
 さらに、平成23年3月に発生した東日本大震災の被災者に対し、専用回線による土日・祝日対応の特別相談窓口を設置するとともに、貸付限度額、融資率及び償還期間の優遇措置を講じた災害復旧貸付を実施するなど、円滑、迅速かつきめ細かな対応を図っており、独立行政法人としてあるべき姿を示していると評価するとあります。
 また、業務管理の充実を図るため、第1期中期目標期間において構築した品質マネジメントシステムに基づき、定期的に業務の進捗状況及びプロセスの監視を行うことにより、効果的かつ効率的な業務運営の実施を図るとともに、その運用を通じ、業務上の課題、顧客からのニーズ等に効果的に対応するための是正・予防処置活動の充実及び内部監査による業務リスク等の抽出・管理を行うことにより、継続的な業務改善活動を推進している。抽出されたリスクあるいはその他のリスクについては、平成21年度中に策定した「リスク対応計画」に基づき適切に対応している。さらに、平成23年3月に発生した東日本大震災においては、同年2月に策定した「事業継続計画」に基づき、理事長の指示のもと、速やかに緊急対策業務を実施していると記載しております。
 内部統制の整備に関する取組みとして、法令等の遵守に関する規程の制定、コンプライアンス委員会の設置、職員意見箱の設置及び内部通報制度の策定など、理事長を中心としたガバナンス体制のさらなる強化を図っていることが認められるとあります。
 各事業における業務実績を見ると、福祉貸付事業については、介護基盤の緊急整備、保育所等の整備など、増大する利用者ニーズに迅速かつ的確に対応し、国の目指す福祉、介護サービスを安定的かつ効果的に提供する施設の整備を支援している。
 医療貸付事業についても、病院の耐震化整備、経済情勢の急激な悪化等により一時的に資金不足が生じている医療機関に対する経営安定化資金、出産育児一時金等の直接支払制度の実施に伴い一時的な資金不足となる産科医療機関等に対する経営安定化資金など、増大する利用者ニーズに迅速かつ的確に対応し、国の目指す医療サービスを安定的かつ効果的に提供する施設の整備・運営を支援しているとあります。
 これらを踏まえると、平成22年度の事業実績については、全体としては適正に業務を実施したと評価できる。今後も、多岐にわたる事業内容について積極的な周知に努めるとともに、これまでの成果を踏まえつつ、時代の要請に的確に対応した業務展開を期待すると記載されております。以下の具体的な評価内容については、割愛させていただきます。以上でございます。

○真野部会長
 ありがとうございました。私のほうからあまり追加で申し上げることはないのですが、政策的な金融に関しては、従来から独立行政法人の評価が始まった頃からいろいろな議論があったとは思うのですが、今回、特に震災ということもありましたけれども、それに対しての適切な対応といったところが、こういう政策的な部分に対しての評価、WAMのところに対しての評価の非常に大きなところになるのではないかというふうに考えております。
 内容に関しましては、また後のほうで多少訂正はあるかもしれませんが、結構「S」の評価が自己評価でもありましたし、私どもの委員の評価でもそれなりにあるかとは思います。比較的高い評価になっている背景には、最初からずっとされておられるわけですけれども、ISOに対しての取組み。なかなか金融機関でこういったことをされているところは少ないと理解しておりますが、やはり理事長先生のマネジメントに対しての考え方が示されているという感じもいたします。BCPを、これも総論のところで先ほど説明がありましたが、直ぐに策定されるといったところ、あるいは元々これもされてますが、リスク管理というのを非常に徹底されているところなど随処に、立場が立場なので上からの目線で恐縮ですが、非常に充実されているところがあります。そういったところが、おそらくいい評価として反映されるのではないかというふうに思っている次第です。
 委員のほうから何かご意見等はございますか。はい、お願いします。

○石渡委員
 すみません、今年から委員をやらせていただいている石渡と申します。本当にいろいろな分野について、確実に努力をされ成果が出ているのを拝見して感じたところです。いま委員長もおっしゃいましたが、「S」評価等がかなりある中で、「B」評価をいただいている心身障害の扶養保険辺りのところが、私も障害関係にかかわっているので気になりました。本来WAMの役割ではないのかとも思うのですが、やはりこの制度そのものがかなり前にできて、いろいろな難しさがあるのではないかと思います。やはり制度そのものについて違う機関などが、あるいは厚生労働省そのもの等の役割になるのかもしれないのですが、その辺りの制度を今の社会情勢が変わっている中でどのように位置づけるかということも、1つ考えるべきではないのかというところを感じました。

○真野部会長
 ありがとうございました。これはお答え、厚労省のほうからお答えになりますか。厚労省のほうも難しいですか。ご意見ということで、いま具体的に何かを求められているわけではないですか。

○石渡委員
 はい。

○政策評価官室長補佐
 ご意見として伺っておきます。

○真野部会長
 これは委員会でも何度も話題に、逆にWAM以外でも話題に出ましたが、やはり厚労省の管轄であるということで、いろいろ柔軟に対応すべきこと、あるいはしたほうがいいことも多々あると思うので、そういう部分では法律の話になると大げさになるかもしれませんが、いろいろな方法で柔軟にやれるようにしたいというふうには多分多くの委員の皆さんが思っていると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがですか。特に先ほどのは修正意見という位置づけというものではないと思いますので、この評価をいまのところきておりますので、これを基に法人及び政・独委に通知し、これを公表するという形に進めて行きたいと思います。
 あまりないと思いますが、誤字とか事実誤認とか明らかな部分での修正がもし必要な場合は、部会長である私のほうで事務局と確認して一任、見させていただくという形でよろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 ありがとうございます。修正意見もなく上手くまとまりそうでありますので、最後に早いのですが、長野理事長からコメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○福祉医療機構理事長
 理事長の長野でございます。一言お礼を申し上げたいと思います。座らせていただきます。始めに委員の先生方におかれましては、私どもの多岐にわたる事業の実績について、適切な助言、ご評価をいただきましたことを感謝申し上げます。また、今回の福祉医療貸付事業及び業務運営体制整備など、「S」評価が5項目ということで、私どもが平成15年度に独立行政法人として移行しましてから最も高い評価をいただいたことに、改めまして感謝申し上げます。
 現在私どもは限られた人員で、また人件費も削減しなければならないとこういう非常に厳しい環境の中で、増大するお客さまのニーズに的確に対応するということができますように、全役員、職員が一丸となって日々業務に邁進しているところであります。その中で平成22年度の業務実績におきましては、私といたしましても例年にも増して充実いたしました実績を上げることができたものと認識し、自己評価をさせていただきましたところですが、今回先生方からも高い評価をいただくことができました。先生方のこの評価は、今後の我々の業務を進めていく上で私ども全役職員の大きな励みとなるとともに、特に職員にとりましては働きがいにも繋がりまして、私の目指す強く明るい職員の育成への強力な原動力になるものと私は確信しております。
 また、今回の審議におきましては、先生方から各事業において厳しいご意見も併せていただいたところでありますが、私はこのご意見を宝の山ということでしっかりと受け止めまして、お客さま目線に立ったサービスの質の向上に向けて繋げていきたいというふうに考えております。
 平成23年度も早いもので半分を過ぎようとしていますが、今年度におきましては、先ほど部会長からもお話がありましたが、東日本大震災の復旧・復興への支援などを、いまこそ私ども福祉医療機構がこの役割を最大限に発揮すべきであるというふうに認識しているところであります。復旧・復興に当たりまして私どもといたしましては、被災された方々や関係団体等からの声を真摯に受け止め、お客さまの立場に立って機構として可能な限りの支援を行ってまいりたいという所存でございます。質の良い商品サービスの提供とお客様から選ばれ続ける組織、これに向かって邁進しまして福祉と医療の民間活動を応援していく所存であります。
 最後になりましたが、各委員の先生方におかれましては、暑い中、またお忙しい中貴重な時間を割いていただきまして、当機構の平成22年度業務実績のご評価をいただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

○真野部会長
 ありがとうございました。それでは先ほどまでのご意見・ご報告を踏まえまして、個別評価の最終的な修正・確定をいたしたいと思います。修正の方法について事務局からお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 修正方法等について説明させていただきます。まず修正については、赤鉛筆でお願いいたします。また、事務局が見落とすといけませんので、修正箇所がわかるよう付箋を付けてください。机上に配付しております「個別項目に関する評価結果」については、現時点でいただいております評価を「S」5点、「A」4点、「B」3点、「C」2点、「D」1点に点数化して平均化したものです。こちらについては、ご自身のお名前のみしかわからないようになっており、その他の委員の評定結果欄のお名前のところは空欄となっております。今回の修正をされるご参考としてください。また、修正に当たり、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたい場合は、事務局に数部ご用意させていただいておりますので、お申し付け下さい。また、こちらの修正については、大体10分程度で確認及び修正をしていただければと思います。また、評定記入用紙については、部会終了後事務局で回収いたしますので、お持ち帰りにはならないでください。以上でございます。

○真野部会長
 ありがとうございました。ということで評定の評価のシートの訂正とか確定に入りたいと思います。10分ということでしたが、10分はかからないかもしれませんので、皆様の様子を見ながら少し早くに確定するかもしれませんが。よろしくお願いします。
(評定用紙記入)

○真野部会長
 先生方よろしいでしょうか。それでは若干時間が早いですが、変更の作業が終わったと思います。変更点があった先生もお見えのような感じですので、これを取りまとめさせていただき、福祉医療機構の平成22年度の業務実績評価に関しての取りまとめとしたいと思っております。
 いま評価の確定を今後行っていくわけですが、若干変更されるかもしれませんが、これをまた載せて評価シートという形でさせていただきます。また、修正の話になったときには、こちらの部会長と事務局のほうでさせていただきますが、何か複雑なことがありましたら、また、ご意見を委員のほうに伺うこともあるかもしれません。福祉医療機構の審議案件は以上でございます。どうもお疲れ様でございました。

○政策評価官室長補佐
 ここで法人と所管課の入れ替えをさせていただきますが、これに伴い休憩ということで、次のPMDAの審議については、45分からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○真野部会長
 それでは45分ということでお願いいたします。
(法人及び所管課入れ替え)

(2)医薬品医療機器総合機構

○真野部会長
 若干、休憩終了予定より早いのですが、PMDAの方も揃われましたし、浅野委員が少し早目に退出するということもありますので、早速始めたいと思います。それでは、医薬品医療機器総合機構の評価をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。最初に医薬品医療機器総合機構の利益剰余金の処分についての審議をさせていただきたいと思います。最初に事務局から法律事項を説明していただいて、その後法人から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは説明させていただきます。医薬品医療機器総合機構理事長より、厚生労働大臣宛の財務諸表の承認依頼の書類に、利益剰余金についての記載がございます。水色の資料集の27頁をご覧ください。通則法の第44条第1項に、独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において利益が生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお、残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし第3項の規定により同項の使途に当てる場合は、この限りではないとなっております。第3項に、独立行政法人は第1項に規定する残余があるときは、主務大臣の承認を受けて、その残余の額の全部又は一部を第30条第1項の認可を受けた中期計画の同条第2項第6号の剰余金の使途に充てることができる。第4項として、前項の承認しようとするときはあらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりまして、本部会にこのたびお諮りするところでございます。それでは、法人のほうから説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構財務管理部長
 それでは私のほうから、目的積立金の承認申請の内容についてご説明いたします。まず資料2-2をご覧ください。1頁です。厚生労働大臣へ申請しておりますが、1.承認を受けようとする金額、審査等勘定は6億8,133万2,454円ございます。2.中期計画に記載された剰余金の使途ですが、業務改善に係る支出のための原資、職員の資質向上のための研修等の財源ということで考えています。
 2頁は法人全体の貸借対照表です。この右下ですが、平成22年度の法人全体の利益剰余金で141億円ほどの利益が出ています。3頁です。6勘定ございましてそのうちの1つ、審査等勘定。右下のほうですが、当期未処分利益で28億300万円という数字があります。このうち、今回ご承認ということで申請を出しているのが、先ほどの金額、目的積立金に6億8,100万円をお願いしたいという内容のものです。
 次の頁は損益計算書、4頁は法人全体です。次の次の頁です。審査等勘定ということで、経常利益は28億円です。
 次の頁です。先ほどの「承認を受けようとする金額の計算根拠」です。1つは収入の経営努力、もう1つは支出の削減努力という2つの点がございます。まず1つ目の収入の関係ですが、新薬審査手数料収入です。これにつきましては平成21年度の実績額22億6,400万円が、平成22年度実績額で27億6,100万円ということで、実績で比較しました差額ですが4億9,700万円です。このうち21年度の実績を上回り収入を得るために要した費用ということで、2億2,000万円を引いた2億7,700万円を今回の目的積立金承認申請額ということでお願いしています。
 経営努力した内容です。平成22年度においては、新薬の審査体制の強化のための各種取組みを引き続き精力的に進めて、平成21年度実績が124件で、平成22年度計画120件を大幅に上回る154件を処理しました。前年度実績に対して30件の審査が完了したということです。その関係で4億9,800万円の収入増加がありました。
 尚書きですが、収入を得るために要した費用ということで、体制強化のために平成22年度に増員した審査員の人件費等は当然ながらかかっていますので、その分を差し引いた額を申請しています。
 もう1つ支出の関連ですが、その次の頁です。これは自主財源分に対応する部分ということです。3つありまして、1つ目は事務所借料です。これにつきましては、平成21年度の実績額15億7,250万円で 平成22年度実績額で12億600万円ということで、その差額が3億6,500万円。これについては法人が努力した結果ということで、その削減額を得ることができたということです。
 経営努力した内容ですが、事務所借料で現在は「新霞が関ビル」を借りていますが、体制強化等を行いまして十分なスペースの確保、あるいは借料の削減が当方としてかなり問題になってきています。事務所の移転等の検討を行ってきたところですが、大家さんのほうから賃借料の条件提示、あるいは当方からも粘り強く交渉した結果、増員分を含めたスペースの確保、あるいは賃借料の削減をすることができたわけです。金額的にはかなりの値下げで、約3割ほどの引下げを実現することができました。
 2点目は、嘱託職員関係経費です。これにつきましては、同じように平成21年度の実績との差額ということで5,800万円、そのうち経営努力として認められない部分ということで2,300万円、その結果3,500万円の積立金の承認申請額ということです。内容につきましては、一般的に総務省等が公表した、元国家公務員が就いている独立行政法人の非人件費ポストについて見直しをやりなさいというような方向が出ました。それに基づきまして、機構としても各種見直し、あるいは精査、給与等の見直しに取り組んだ結果、5,800万円の削減をすることができました。
 なお、経営努力により除外した金額の2,300万円につきましては、厚生労働省からの要請等ありましたし、事務系嘱託職員の契約の見直し、あるいは各法人等共通的に実施した国の給与法の改正に基づいた給与水準の見直しについては、経営努力ではないだろうという判断をしまして、それを差し引いた3,500万円を申請額ということで計上しています。
 3つ目は法定外福利厚生費です。260万という少ない金額ですが、これにつきましても見直しを行いまして、慶弔費、法定外健康診断費の助成金、常備薬購入費を廃止しました。その結果、260万の削減が実施できたということです。
 この結果、支出の合計でいきますと4億300万円。先ほどの収入のほうと合わせまして、6億8,100万円の承認申請額になります。なお、この積立金の承認額の使途につきましては、現時点では審査関係資料の電子化、あるいは学会の積極的な参加、発表、あるいはシステム関係の強化というような財源として使いたいと考えております。以上簡単ですが、説明を終わります。

○真野部会長
 ありがとうございました。すべてではなく嘱託職員のことなどは引いてというようなお話だったと思います。ご質問などはありますか。それでは、申請いただきました利益剰余金に関しては、「中期計画に定めた剰余金の使途に充てることは妥当」ということで、委員会としては意見を大臣にさせていただきたいと思いますので、事務局のほうはよろしくお願いいたします。
 次に財務諸表についての審議に入ります。

○五十嵐委員
 財務諸表に関しましては、平成23年8月5日に説明を受け、レビューしました結果の不明点についての質問をし、回答を得た結果、資料2-3で配付してありますように、原案どおり承認することが適当であると考えております。いまお話がありました目的積立金の算定根拠につきましても、同日にご説明いただきまして、その際の疑問点についてもすでに解決済みでございます。以上でございます。

○真野部会長
 それでは、財務諸表はよろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 そうしましたら、資料2-3のような形で厚生労働大臣に提出させていただきます。
 次に総合評価に入ります。それでは、事務局のほうから評価の詳細のご説明をいただいて、起草委員である平井先生に講評をいただくという形で進めていきたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 それでは、資料2-4です。「独立行政法人医薬品医療機器総合機構の平成22年度の業務実績の評価結果(案)」です。1頁です。1「平成22年度業務実績について」。(1)評価の視点では、同法人の設立経緯、第2期中期目標の第2年度の評価であることのほか、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」「政・独委の評価の視点」等を踏まえて評価を実施した等が記載されております。また、「ドラッグ・ラグ」「デバイス・ラグ」の解消及び安全対策の体制強化のために、平成19年度から第2期中期目標期間にかけて増員が認められており、体制強化が図られているということを特記しております。
 (2)平成22年度業務実績全般の評価です。業務運営に関しては、平成21年度に引き続き、理事長が業務の進捗状況を直接把握し、必要な指示を行う場の設置及びPMDA全般の連絡調整の強化を行うことにより、理事長のトップマネジメントによる組織体制が確立されている。さらに、学識経験者等による審議機関である「運営協議会」等を定期的に開催するとともに、平成22年度には「PMDAキャリアパス」を策定するなど、業務の公正性や透明性の確保等のための取組みが有効に機能しており、中期計画に照らし十分な成果を上げている。
 課題となっていた人員不足については、平成22年度においても当初計画していた増員数を満たしておらず、引き続き、積極的な公募による人材の確保がなされることを期待するとしてあります。
 財務状況につきましては、一般管理費及び事業費の経費節減については、中期目標期間終了時に達成すべき所要の節減を見込んだ平成22年度予算から欠員分の人件費等を除いた額と比較して、20.6%減、6.3%減というさらなる削減を達成し、平成21年度に引き続き、中期計画を大きく上回る実績を上げることができたことを高く評価する。人件費に関しては、増員により医薬品の承認審査等を担当する優秀な人材を確保するに当たり、給与水準の高い製薬企業等と競合関係にあるという特殊事情がある中、平成22年度における1人当たり人件費が、平成17年度と比べて約8,1%減となっていることを高く評価すると記載しております。
 個別の各事業につきましては、副作用救済給付業務については、請求件数の増加にもかかわらず、標準的事務処理期間8カ月以内の達成率について、中期計画で掲げた平成22年度の目標の70%を上回る74.9%となっており、目標を達成したことを評価する。今後は、標準的事務処理期間6カ月以内を60%という第2期中期計画で掲げた目標を達成できるよう一層の努力を期待するとしております。
 審査等業務については、新医薬品審査部門においては、増員計画が未達成となっているものの、総審査期間について目標を達成できたことは高く評価する。今後は、平成23年度のドラッグ・ラグの解消に向け、行政側の審査期間の一層の短縮とともに、申請者側の審査期間も短縮されることを期待する。
 医療機器審査部門については、改良医療機器及び後発医療機器においては、目標とする総審査期間を下回った。これは申請年度が古く、すでに長期化した品目も多かったこと等から、審査期間の短縮ができなかったためであるが、今後は、総審査期間の目標が達成されるよう、一層の努力を期待するとしております。
 安全対策業務については、審査と併せ「車の両輪」としてリスクマネジメントの機能を発揮するよう、その充実が求められている。患者からの報告を受けるための制度構築を検討・準備し、収集された医療機関報告について、PMDA自ら調査する体制を整備し、積極的な情報収集強化策を実施していることを評価する。また、副作用の評価の高度化・専門化に対応するための安全対策のチーム編成を8チーム体制としていることも評価するとしています。ただし、平成21年度に100人増員を行うとした計画は、平成22年度においても未達成であり、引き続き達成に向けて取り組むことを期待する。
 これらを踏まえると、平成22年度の業務実績については、全体としてPMDAの設立目的に資するものであり、評価をすることができる。今後とも、審査、安全対策及び救済給付の3つの業務が一体となって円滑に進むことを期待するとされております。以下の具体的な評価内容としまして、割愛させていただきます。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました

○平井委員
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構、以下「PMDA」と呼ばせていただきます。平成22年度の業務実績の評価結果に関して講評させていただきます。
 まず、健康被害救済給付業務ですが、請求件数はほぼ前年並みで、処理件数は前年度と比較して増加しております。その状況の中で、事務処理期間が8カ月以内を70%以上達成するという目標に対して、実績はそれを上回る。先ほどご説明がありましたが、目標を達成したことを高く評価いたしたいと思います。PMDAの第2期中期計画では、平成25年度までに6カ月以内の処理を60%以上にするという目標を掲げておられますので、今後とも一層の事務処理期間の短縮に努力されるようお願いしたいと思います。
 また、ホームページのアクセス数が3%増と着実に増加しているということは評価できると思いますが、ただ副作用被害救済制度に対する一般国民の認知度は、約5%程度。「名前は知っている」という割合を合わせても2割弱ということで、まだ十分に周知ができているとは言えない状況かと思います。今後、さらなる広報を強化していただき、認知度を高めるように努力していただきますよう期待しております。
 審査業務については、新薬の総審査期間が優先品目、通常品目ともに目標を大きく上回っておりますので、この点は高く評価できると思います。具体的な数値としても、通常品目で前年度と同数の92件と全体として増加しておりまして、審査体制がより強化されていると高く評価できると思います。しかし、審査期間の短縮を進める一方で、未然に副作用を防ぐために、審査過程における安全性の確認ということも十分に行っていくことが重要であると考えております。また、審査部門の増員計画がまだ達成しておられないということですので、ドラッグ・ラグの解消に向けて、さらなる審査期間の短縮に取り組むためにも、増員計画の達成と審査員の質の向上が必須であると考えられます。管理職、あるいは中堅の審査員におかれましては、新人の教育と審査期間の短縮という両方の労力で大変だと思いますが、国民の健康安全の向上に積極的に貢献するというPMDAの理念に基づいて、審査体制の強化を図っていただきたいと考えております。
 医療機器のほうですが、これは概ね目標を上回っておりますが、先ほどもご説明がありましたが、一部の品目において目標に達しなかったこともあります。医療機器審査部門においても平成25年度のデバイス・ラグの解消に向けて、段階的に増員するということを計画されておられますが、着実にこの増員を達成して、審査体制が強化されていくことを期待しております。
 安全対策業務につきましては、有効な医薬品・医療機器がより早く国民の手に届くことと同時に、安全な医薬品・医療機器の提供も求められているわけで、審査と併せて「車の両輪」として、リスクマネジメントの機能発揮が期待されています。安全対策のチーム編成を8チームにされたということで、体制の整備が進められていると拝見いたしておりますので、この部分は高く評価したいと思います。また、この部分の増員計画も今後一層進めていかれることを期待しております。
 組織体制につきましては、幹部会を定期的に開かれまして、理事長の経営判断が迅速に反映されている組織体制が確立されるというように拝見しています。また、職員の意見を直接聴くということも行っておられまして、役職員一体となって業務に当たっておられる体制が整えられているというように拝見いたしております。
 財務状況に関しましては、コスト削減、競争入札の促進等々で目標を大きく上回る経費削減がなされており、高く評価いたします。経費とともに人件費の削減も、先ほどご紹介がありましたように達成されているということですが、あまり給与面を削減すると、職員の士気が低下するおそれもありますので、今後は削減の一方で、給与面以外のインセンティブ、個人の資質向上のためのサポート体制をしていただくといった工夫をしていただいていて、職員のやる気、モチベーションを高めていただくようにすることを期待しております。
 私の職種の立場からしても、また国民の立場としても、PMDAに対しては非常に大きく期待しておりますので、ちょっと嫌なことも申し上げましたが、ますますPMDAの理念に従って業務を進展されていかれることを期待いたしまして、講評とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○真野部会長
 ありがとうございました。これだけ利益剰余金が上げられて、何らかの形で職員にその還元ができるといいなと思いつつ、給与も上げにくい環境だと思いますが、独法という枠組みの中では難しいかもしれませんが、何か良い方法があるといいなと常々思っています。何かご意見ございますか。

○橋田委員
 平井委員の講評で、非常に丁寧にご説明いただいたわけですが、特に、いわゆる審査関連業務、安全対策業務、業務の効率化につきましては非常に積極的に推進していただいています。またドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消ということも、非常によく動いていると思います。
 もう1点は、同時に審査、安全対策業務の質の向上ということかと思います。それにつきましても、もちろん研修ということの充実、あるいはいろいろな研究部門の強化ということも挙げていただいておりました。また、教育のほうの連携ということもありました。考えますと、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグのほうは、いわゆるグローバルスタンダードに追い付けという部分かと思いますが、質の向上はグローバルスタンダードに追い付くよりも、むしろ日本がもっと前で安全な審査業務等を進めていただけるのではないかと思いますので、是非そちらのほうの充実も引き続きご尽力いただければと思っております。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。

○浅野委員
 いままでPMDAさんは組織を拡大しながら、飛行機で言えば離陸を始めて急上昇して、今後はやや水平方向に向かって進むところだと思いますので、モチベーションを今後も保ちながら、革新的なことにも対応していっていただければいいなと思います。
 一方で医薬品や医療機器の産業界を取り囲む環境というのは大きく変貌していまして、いろいろな企業同士のグローバルなM&Aがあったりとか、新しい医療技術を患者さんへ逸速く提供するという方法も求められています。そういう意味ではPMDAさんは、患者さんと産業界の間を結ぶブリッジの役割というのが非常に大きくなると思うのです。その意味では、安全性と有効性の確保というのがあります。それから、逆にそこで培われたものを産業界にフィードバックして、産業界の促進役になるということもこれから出てくるのではないかと思いますので、それをバランスよくうまく機能していただいて、患者さんと産業界の間をつないで、ライフイノベーションという言葉も内閣府のほうではどうも捉えられているようなので、日本の医薬医療機器産業でそういうものを目指しながら貢献していただければいいのではないかと、今回の評価で感じたことでございます。一言、申し付けさせていただきます。

○真野部会長
 ありがとうございました。厚生労働省のほうでも5病院で重点的に治験をやられるようなところも認定されたというような話も出ていますので、是非そういう所と連動していただいて、上から目線で恐縮ですけれども、医薬品医療機器を含めた医療産業の発展のために是非やっていただければと思います。
 では、ご意見はいただきましたが、特に修正という話ではないと思いますので、平成22年度の業務実績の評価といたしましては、いまのままで、法人及び政・独委に通知するとともに、公表したいと思っております。万が一、誤字脱字など事実誤認による明らかな修正が必要となった場合は、部会長である私と事務局のほうにご一任させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 最後に、近藤理事長からご意見をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 委員の先生方には非常に暑かったり寒かったりで大変な日々でございますけれども、夏休みも返上してこのような評価委員会をやっていただきまして、本当にありがとうございます。非常に温かい、かつご丁寧なご評価をいただきましたことを感謝申し上げるところでございます。
 ご指摘いただきました点を踏まえまして、ドラッグ・ラグの解消、デバイス・ラグの解消、安全性確保について強力な布陣をしていきたいと思います。それから、救済給付業務につきましても、なるだけ早く対応できるよう、努力してまいりたいと思っています。数々の目標を掲げておりますが、それが必ず全部満たされるようにするというのが我々の仕事かなと思っております。
 こういう業務をやっていく上においても、基本となるのはレギュラトリー・サイエンスであろうかと思います。そのレギュラトリー・サイエンスの強化を努めてまいるとともに、同時に国際化を進めているところでございますが、これらも含めて国民の皆様に納得いくような形で業務を推進してまいりたいと思っております。基本は前に申し上げたとおり、職員が一丸となってやることでございます。皆様方の今日の温かいご指摘を踏まえまして、一層運営に努力してまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

○真野部会長
 ありがとうございました。以上のご意見・ご報告を受けて、個別評価の訂正と確認をしたいと思います。その時間は10分ほど取ろうと思いますが、様子を見ながら、私のほうで早く切り上げさせていただくかもしれません。それでは、訂正などございましたらご記入をお願いします。
(評定用紙記入)

○真野部会長
 訂正のほうはよろしいですか。大島部会長代理が評価のときにお休みされたものですから、少しコメントがあるようです、せっかくですのでお伺いしたいと思います。

○大島部会長代理
 コメントではないのですが、いま平井先生の講評を聞きまして、付け加えられたことが何点かおありだと聞き取れたのですが、そのことに関してはこの評価の内容に反映しているのかどうかというか。今後の希望も含めて、何点か大事なことを付け加えられたわけですから、そういうことがこの評価結果の(案)の中に付け加えられないと、次の改革にならないのかという疑問が少し残っています。いまごろ言って申し訳ないのですが。

○平井委員
 詳細のところには記入はされていますので。

○大島部会長代理
 記入は、評価の中に、そういう希望は全部。

○平井委員
 記入はしてあります。

○大島部会長代理
 わかりました。どうもありがとうございました。

○平井委員
 必ずしも表の中のことだけではなくて、そこにいろいろ書き込んであります。最終的にこの全体のところには書き込まれておりますので。

○真野部会長
 ありがとうございました。シートのほうへの記入はよろしいですか。では、これをもってPMDAの平成22年度の業務実績評価に関する意見を取りまとめたいと思います。評価シートは先ほど修正された先生もお見えかもしれませんので、本日、評価の確定を行ったということになります。ですので、コメントの追加など評価が変わった場合は、これらを反映した評価シートを作らせていただきます。修正がありそうな感じもありますので、この対応については事務局のほうでさせていただきたいと思います。また、複雑な修正がもし加わっている場合は、各委員にご意見を伺う可能性もありますので、その際はよろしくお願いします。大島部会長代理からの意見はもう評価結果のほうに反映されているということで了解いたしました。では、PMDAの審議案件は以上です。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、非常にてきぱきと進んでいるのですが、次は35分ぐらいに到着ということですので、35分ぐらいに開始したいと思います。15分ほど休憩です。浅野先生はここで、ありがとうございました。
(法人及び所管課入れ替え)

(3)国立重度知的障害者総合施設のぞみの園について

○真野部会長
 すみません、非常にテンポよく進んでいまして、ちょっと早くなってしまいましたけれども、最後に(3)の議題でありますが、のぞみの園について議論させていただきたいと思います。最初に、財務諸表に対してのご意見ですが、五十嵐先生よろしくお願いします。

○五十嵐委員
 財務諸表に関しましては、平成23年8月5日に説明を受け、レビューした結果の不明点についての質問をし、回答を得た結果、資料3-1で配付してありますように、原案どおり承認することが適当であると考えています。
 なお、会計基準で認められているので、財務諸表の適正性には問題ないのですが、運営費交付金収益の計上基準は、費用進行基準を採用しています。この方法によると、中期計画の途中の年度では、当期純利益がゼロになるように収益化する。即ち、結果として表示されるはずの当期純利益が先に決まることになり、前年度に引き続き、今年度の経常利益は、臨時損失である固定資産除却損と同額になっています。臨時損失であったことを原因として、利益が発生したわけですから、これが経常的に発生する利益額と読むことができるかどうか疑問があります。年度別の経常利益の比較等をする際には、その前提を留意しないと実態とは異なる評価をする可能性があることを付言しておきます。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。先生、もしよろしければ、いまの付言のところを素人にもわかりやすく説明していただけますか。いちばん最初のWAMの審議の際にも同じことがあったのですが。

○五十嵐委員
 お手元に財務諸表は配ってありますか。

○真野部会長
 ないのですけれども。

○五十嵐委員 
 見ていただくと、一目瞭然なのですが。損益計算書を見ますと、下のほうに当然当期純利益がありまして、その前の段階に臨時収益、臨時費用、特別臨時損失というのがあり、その上に経常利益というのがあるわけです。普通考え方としては、当然上から順番に収益があって、経常的な収益があって、経常的な費用があって、差し引き経常利益ですよと。そこに今度は臨時的な収益や臨時的な費用を足し引きすると、当期純利益ですよと。当然、こういう流れで会計の数字というのはあるはずなのです。
 運営費交付金の収益化は、例えば毎年同じ金額を収益化するのではなくて、発生した費用に従って収益化して均衡を保つという会計処理を採用していますので、そうすると、費用がかかったからその分収益を計上するということなので、最終的にいちばん下が当期純利益がゼロになるのですね。そうすると、当期純利益がゼロになりますから、逆にその臨時的な損失、今期で言えば固定資産を除却したために、臨時的に損失が発生しましたという金額が、逆算するとそのままそれが経常利益になるということになってしまうのです。
 ですから、今期、経常利益が1,354万5千円発生しているのですが、何で発生したかというと、臨時損失が1,354万5千円あるから、経常利益が1,354万5千円発生したということなのです。これを毎年、経常利益の推移がどうなっているか見たときに、それが経常的に発生した利益なのかというのは疑問がありますということなのです。

○真野部会長
 よろしいでしょうか。ちょっと追加のご意見も伺いましたけれども、この財務諸表に関して何かご意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、財務諸表に関しては、この資料3-1のとおりで、修正意見なしということで、厚生労働大臣に提出いたしたいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 はい、ではそのようにさせていただきます。
 次に、のぞみの園の総合評価になります。では、最初に事務局から、総合評価といいますか、業務実績の全般の評価のところをちょっとお伺いします。お願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは説明させていただきます。資料3-2「独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成22年度の業務実績の評価結果(案)」です。
 1頁の1「平成22年度業務実績について」。(1)評価の視点では、同法人の設立経緯、第2期中期目標の第3年度の評価であることのほか、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」「政・独委の評価の視点」等を踏まえて評価を実施したことが記載されています。
 また、のぞみの園の業務運営に対する評価の留意点として、単に数値目標の達成状況に着目するのではなく、業務運営の効率化に関しては、効率化を図るための取組みが施設利用者に対するサービスの質の低下に繋がっていないか。重度知的障害者の自立支援のための取組みについては、地域移行に向けての条件整備全般にわたって、施設利用者一人ひとりに対してどのような取組みを行ったか。また、矯正施設等を退所した知的障害者の支援にどのように取り組んでいるか。調査・研究及び研修については、その内容が障害福祉施策の動向や社会的ニーズを踏まえ、障害福祉施策の推進に資するものであり、かつ、その成果が知的障害関係施設等で活用されるなど実効性のあるものとなっているか等の、業務内容の質の面にも力点を置いて評価すべきものであることが特記されています。
 (2)平成22年度業務実績全般の評価について、効率的な業務運営体制の確立に向けた取組みとして、平成22年度においては、就労を望む利用者への支援体制の確立と充実を図るため、平成22年10月1日から就労継続支援B型事業を実施し、施設利用者の高齢化や重度化等の経年的な進行に伴い、個々の利用者の心身状況に対応したサービス提供を図るとともに、地域移行等による施設利用者の減少を踏まえ、平成23年4月1日実施の第四次寮再編に向けた準備を進めるなど、組織・実施体制を整備し、一層の業務内容の充実と新しい課題等への対応を図った。また、経費節減や運営費交付金以外の収入の増にも積極的に取組み、第2期中期目標に定める「運営費交付金の23%以上節減」を達成するため、常勤職員については、定年退職者の後補充を原則行わないことや、国家公務員の給与改定に準拠した給与改定により、人件費総額を減少すること等により、着実にその目標を達成していることを評価する。
 一方で、サービスの質の向上を図るとともに、平成20年度から実施している福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害者への自立支援及び高齢知的障害者への支援などについて、高度な専門性を持つ職員の育成・確保を図るなどの取組みにより一層進めることを希望する。
 重度知的障害者の自立に向けた取組みについては、平成22年度においては、施設利用者の意向を十分に尊重した上で、地域移行のさらなる進展に向けて、従来の取組みに加え、地域移行して5年経過した当時者の現在の暮らしを紹介するDVDを新たに作成するなど、より効果的な方法を企画・実施して、成果を上げていることを評価する。
 これらの取組みの結果、平成22年度においては、22名の施設利用者の地域移行を達成するとともに、新しく地域移行に同意した保護者は過去最高の33名となり、第2期中期目標の達成に向けて、さまざまなプロセスの実践をしっかりと実績に結びつけた点についても評価する。
 また、「福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害者への支援事業」の充実強化を図るため、平成22年4月1日から専門家を新たに社会生活支援担当の参事として委嘱し、併せて関係職員をメンバーとする「矯正施設等を退所した知的障害者支援プロジェクトチーム」を設け、参事の指導の下、支援技術等の向上を図る体制を整えた。そして、性犯罪や 累犯窃盗を犯した中軽度の知的障害者など支援が難しい者について、平成20年度の2名に引き続き、平成21年度は3名、平成22年度には4名と、これまでに延べ9名の対象者を受け入れている。その結果、これまでに延べ5名が地域生活に移行したことについて評価するとともに、今後も、この事業の全国的な拡大に向けて、国のモデル施設として必要な役割を十分に果たすことを期待したい。
 また、調査・研究及び研修については、障害者支援サービスの1つである行動援護事業の普及促進や、福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害者等への支援に関する調査・研究及び研修について、内容・方法を工夫して取り組み、その成果が国の障害福祉施策の推進に対し、一定の貢献を果たしたことを評価する。
 なお、のぞみの園は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により被災した障害者や障害関係施設に対する支援に取り組んでいるが、今後も国立施設としてこれらの支援に積極的に取り組むことを要請する。
 これらを踏まえると、平成22年度の業務実積については、全体としてはのぞみの園の設立目的である「重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ること」に資するものであり、第2期中期目標期間の3年度目として、さらなる成果を上げたものと評価する。具体的な評価内容については割愛させていただきます。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。では、講評を大島部会長代理からお願いします。

○大島部会長代理
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、「のぞみの園」と呼ばせていただきますが、平成22年度の業務実績の評価の講評をさせていただきます。いま事務局の方がお読みいただいたとおりですけれども、今回は平成22年度の評価で、平成22年度の計画に対してどのように評価したかということを中心にお話させていただきます。
 全体としては、のぞみの園という、重度の知的障害を持つ利用者の方の生活の場でありますので、効率的な業務運営の取組みと、それからお一人おひとりの生活の質、サービスの質の確保という両方の目的を達成しなければならないということで、非常にほかの独立行政法人とは異なる点が評価の視点としてあると思います。その点で、少し具体的に評価をしました。
 業務運営の効率化に関する措置ですけれども、詳細は先ほどお読みいただいた事務局の説明、及び具体的なところに書いてありますけれども、やはりさまざまな努力をされていて、例えば就労を望む利用者への支援体制の確立と充実であるとか、福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害者の地域移行と地域定着に向けた支援の充実強化であるとか、あるいは施設利用者の高齢化・重度化が経年的に進行していて、個々利用者の心身状況に配慮したサービス提供を図るために、医療的な配慮が必要なグループへの転寮が考えられて寮の再編をしているとか、あるいはその他にもさまざまな内部統制・ガバナンス強化への取組みも含めて、具体的に業務運営の効率化に関しての措置は前向きに積極的に取り組まれたことを認めています。
 また、施設の利用者の事故防止対策に関しては、今回非常に大きな残念な死亡事故が発生しました。平成22年4月に認知症と診断された利用者が、紙オムツを喉に詰まらせて死亡する事故がありました。この件に関しては、非常にいろいろな点が反省されることだと思いますけれども、直ちに事故防止対策委員会において事故の検証をし、再発防止策を講じ、職員への専門性の向上とか周知の徹底とか、再発の防止とかを努められたことは認められています。入所施設においては、重大な事故の発生防止に最大限努力すべきであり、今後とも再発防止の対策の徹底と、職員への注意喚起に一層努めることを強く要望したところです。
 評価内容の具体的な2番目の件ですが、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について。1点目として地域移行があります。これも平成22年度に関しての地域移行は着実にきめ細かく対応し、取り組まれていることを評価しました。行動障害を有するなど著しく支援が困難な利用者に対するモデル的支援ということで、自立支援のための取組みも、特に福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害のある方の支援事業ということで、プロジェクトチームを設け、そして空き寮を活用した「自活訓練ホーム」を試行的に開設し、自立に向けて専門的な支援を行うための体制を整えたことは評価されることだと考えました。
 従前から、行動障害を有する方に対する支援として、特別支援グループを中心に支援技術の指導及び助言を受けて、実施体制として「自閉症支援者育成プロジェクトチーム?」を設置し、専門職の育成、職員の専門性の育成を図って効率的な運営を行っています。これら著しく支援が困難な者の支援について、全国の知的障害者施設においても直面している課題であるので、のぞみの園においてモデル的な支援の確立に向けて、引き続き事業を積極的に推進することを希望します。
 調査・研究に関しては、のぞみの園の研究会議において、その内容に関する審議・評価が行われ、調査・研究結果に対する指導・助言を受け、12の研究テーマで研究・調査をされています。それに関しては、成果の質が着実に上がっていることを評価します。また、養成・研修事業に関して、障害者福祉や保健医療に従事する者の資質向上を図るために、福祉セミナー、それから実習生の受入れとか、その他のさまざまなセミナー、研修等々、努力されていることを評価しています。
 今後も国のモデル施設として、国の政策課題と関連する取組みを継続されるとともに、知的障害関係施設等の支援に従事する職員の養成・研修事業の一層の充実に努めていくことを期待しています。
 また、今後ですが、東日本大震災の被災をされた施設の利用者の受入れをはじめ、平成22年度は3月11日の残りの3月31日まででしたが、その次の年度からはさらにこの部分のさまざまな活躍と言いますか、国の施設としてその責任を果たしていただきたいと希望します。
 なお、これ以下はちょっと付け加えなのですが、今回は平成22年度の業務実績で、計画に対してどのように評価するかという点で評価しました。やはり、毎年の課題ですが、障害のある方たちの環境が随分変化して大きな施設が解体していく。それから仮の名前だと思いますが、いま障害者総合福祉法の検討がされています。自立支援法からさまざまな変化が起こっているときに、これから国の施設としてどのような変貌を遂げられるのか。目的、着地点と前回も質問させていただきましたが、厚生労働省と政策的な相談をしながら、どのように変化していき、国民の中で多くの障害のある方の支援ができるような組織に変貌するのかと、強く期待します。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。いまのご報告と講評について、ご意見などはございますか。

○石渡委員
 新しい評価委員として的確なことが言えるかどうか、ちょっと自信はないのですが。前回も申し上げましたが、私ものぞみの園のいろいろな活動や成果をとても高く評価していますし、特に、調査・研究などの視点は本当に時代のニーズに応じたとても的確な研究をなさっていると、いつも感心させられています。いま、大島部会長代理がおっしゃった、今後の着地点は、のぞみの園だけで検討して方向性を出せるものではなくて、いろいろな要因がかかわってくると思うのですけれども、ここに何とか新しい活路を見出していただきたいというのは、やはり、のぞみの園がこれまでいろいろなことをやっていらっしゃっただけに、とても期待したいところです。
 これは、独立行政法人としてできる限界がとても大きいようなお話を前回もされていましたので、その辺りにも切り込んでいかなければいけないのかとも思います。たぶん、いま部会長代理がおっしゃった着地点は、のぞみの園だけではなくて、いま各県が有しているコロニーと称していたような大きな入所施設それぞれが抱えている課題ですし、先駆的ないろいろな活躍をされている地方の法人等もありますが、やはり、そういう地域の同じ課題を抱えているところをまとめ上げて引っ張っていくことも含めて、是非、前向きに動かざるを得ないいまの時代の流れではないかと思います。すみません、とても抽象的で言いにくいのですが、感じています。
 そういう意味では、今回の評価でもB評価になっている設備についての検討などは、とても難しいことだとよくわかります。その辺のところは関連する厚生労働省や国レベルのいろいろな難しさもおありかと思うのですが、とても悩ましいところだと思いますが着実に進めていただけたらというのが、障害福祉にかかわっていた者としての希望でもあり、お願いでもありという感じです。本当にまとまらなくて、すみません。でも、部会長代理がご指摘されたところについて、是非、何か方向性を見出していただきたいと改めて思った次第です。

○真野部会長
 ありがとうございました。何かこれに対してお答えされますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 後ほど私から。

○真野部会長
 そうですね、では後ほどまとめてお願いします。
 いまのことに関連してです。県のことが出たのですが、現段階では、県のコロニーのようなところと直接は何もないのですよね。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 私どもの旧国立コロニーを建設する時期の前後に、都道府県でこういう大規模の障害者の施設を作るということで、かなりの数、おそらく20を超える都道府県でコロニーと称するような大規模施設を建設してきたという経緯があります。当時、こういう大規模施設同士、いろいろと連絡・調整を取りながら取り組んでいこうと、私どもの旧国立コロニーも含めて連絡協議会を作っていまして、毎年度定期的に会合を開いていますし、必要に応じて情報交換もしています。それが今日まで続いていまして、各県の大規模施設の状況は、私どもは大体把握しています。
 ただ、都道府県のコロニーは、指定管理者制度や、あるいはもう民間に譲渡するといったことで、都道府県の公のかかわりを段々小さくしていく方向にあるのです。そういう意味では、こういった大規模施設あるいは施設中心の政策というよりは、もっと地域できめ細かにという方向転換をしている、その1つの現象でもあると思います。そういう中で、都道府県としては、大規模施設については段々後退しつつある中で、私どもの施設も当然、すでに何回もご説明しているように、地域移行の事業を進める中でどんどん小さくしていく。他方で、地域に根差した施設、また、国の政策課題に積極的にあるいは先駆的に取り組む、そういう政策的な背景を持った施設、法人に切り替えていこうという途中です。

○真野部会長
 ありがとうございました。ほかのご意見はございますか。

○大島部会長代理
 1点は、職員の方のモチベーションが下がることも1つは考えられると思うのです。ですから、やはり引っ張ってくださる理事長をはじめ、どのように脱皮して、次なるのぞみの園としての存在の大切さを打ち立てていくのかをはっきりと出していかないと、職員の方たちはどうなるのだろうという非常に不安な面も、どうしても出てくると思うのです。その辺のことを早急に、現代に合わせながら考えて40年近く前の設立目的はもう変えていってもいいと思うのです。設立目的はそうでしたけれども、時代も変わってきているので、新たな設立目的を打ち立てて、国としてしなければならない、知的だけではないと思うのですけれど、障害のある方たち全般の中心的な研究センターなり、あるいは全国を見回したオピニオンリーダーのようなものになって欲しいと希望しています。
 もう1つ、子どもの施設がありますね。素人的に考えると、秩父学園がやはりかなり、子どもの施設だけれど大人までいて、それから、のぞみの園があって。設立のときのいろいろなことがあって、なかなか一緒にならないのだという話をお聞きしたことがあるのですけれども、その辺も含めた一本化についても、これは言ってはいけないことかもしれませんけれども、そういう再編も考えられるのかどうか。これはのぞみの園さんにぶつけても仕方がないことだと思いますが、やはり国の制度としてはどうなのかも、今後1つの政策を打ち立てる際の内容として、ちょっと申し上げておきたいと思ったところです。

○真野部会長
 ありがとうございます。ちょっと不勉強ですが、その秩父学園は独立行政法人ではないのですか。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
 国立の施設です。国立障害者リハビリテーションセンターの中の一部の施設です。

○真野部会長
 では、ほかのナショナルセンターのように独法にもなっていないのですか。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
 独法ではありません。直営です。

○真野部会長
 ただ、どちらも国立だから、何らかのことができるのではないかというのが、委員のご意見ですか。

○大島部会長代理
 そうです。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
 秩父学園は、リハビリテーションセンターの中の施設になっていますが、リハビリテーションセンターとして中期目標を定めてそれに向かっているのですが、その中で、秩父学園としては、確かに先ほどおっしゃいましたように、年齢超過をされた方がたくさん入所されていますが、いずれこの方々の地域移行を進めて、そもそもの本来の形である子どもの施設への転換を図っていくというのが、中期目標における秩父学園の目標になっています。

○大島部会長代理
 その点はわかりました。ただ、のぞみの園は(社)のほうでされていて、独立行政法人といっても、私たちのほうから見ると、予算が付いていますし、国立と独立行政法人とどこが違うのかよくわからないこともあります。そういう意味では、統合してというか、総合して考えられないのかという素朴な疑問はあります。

○真野部会長
 これは、のぞみの園の問題というよりも、厚労省側でまた。

○政策評価官室長補佐
 今後の方向性のような形の話なので、そういった問題提起も踏まえて、所管課でも進めていくと思います。

○真野部会長
 たまたま我々の部会だけの問題かもしれませんけれども、我々の部会で扱っている3法人は、非常に重要なのだけれども、方向転換をしなければいけない感じもしないでもないのです。逆に、いま我々の講評は過去の評価だけなので、委員会の役割かどうかはわからないのですけれども、将来に向けての意見などはどうなのか。この委員会は、評価委員会だから、そういうのはないのでしょうね。

○政策評価官室長補佐
 確かに、こちらは独立行政法人評価委員会の中では、もともとの中期目標を厚生労働大臣が定めていますけれども、それに従って中期計画、それぞれの年度計画がありまして、それをきちんとできているかどうかをご審議していただく場です。一義的には、昨年度をきちんと計画どおりにやったかやっていないかをまず見ていただく。ただ、それを踏まえて、将来的な考えというかですね、委員会として今後こういったことが望ましいとか、そういった話についても、今回の総合評価書の中のどこかで、「期待される」とか「今後努力していくべきである」とか、そういったことを書いていただくのは、当部会として了解されるのであれば、そこは問題ないと思いますけれども。

○大島部会長代理
 次の計画を立てるときに、例えば、どういう形で計画を立てるのかなど、今までは出されたものに対して意見を言うことができましたよね。こういう調査とか研究に対しては、こうしていったらどうかとか、その部分はもっと力を入れたほうがいいのではないかとか、いろいろな次なる意見を言う場がありましたね。いまは中間ですけれども、そうではなくて。

○政策評価官室長補佐
 暫定評価とか、最終評価の話ですか。

○大島部会長代理
 最終評価して、その次です。

○政策評価官室長補佐
 そうですね、はい。それを、次期中期計画に結びつけるというのは、あります。

○大島部会長代理
 そういうときには、いまのような話もできるわけですよね。

○政策評価官室長補佐
 そうですね、はい。

○大島部会長代理
 だから、単に言われたことでいいか悪いかの判断、今回は平成22年度の評価ということで私も申し上げましたけれども、それだけだと私たちのモチベーションも下がるので、やはりもう少し言わせていただきたいと思っています。

○政策評価官室長補佐
 中期計画が終わるときに、その前の年に、その終わる年度について暫定評価もしますし、事業と組織等の見直しもお諮りすることになっていますので、そういった中でもご意見はいただけると思います。

○政策評価官
 基本的には、年度の評価とか、あるいは中期計画なら中期計画の評価をしていただくことになっています。いま言われたように、国立のものと独法のものとか、いろいろと混在していて違いがよくわからないというようなことは、どんどん意見を言っていただければ、所管課に我々からお伝えするようにいたします。ただ、基本的には、国立にするとか独法にするとか、分けるときに、いろいろ閣議決定なり何なり、政府のもっと上の高いレベルで決まったものがありますので、その意見が出たからといって、独法評価の総会でも、マター的には決めるものではありません。もっと上のレベルで決定すべきことではあるのです。ただ、意見としてあったということは所管課には伝えたいと思っています。

○真野部会長
 ありがとうございました。ほかの部会では、こういう、担当の独法に対して次にこうして欲しいとか、そういう意見はあまり出ないのですか。どうも、今回、我々の部会の3法人とも、委員の性格なのかちょっとよくわかりませんが。たぶんそうではないと思うのです。いま我々の持たせていただいている3法人が、基盤といいますか、割とベーシックなところであるが故に、方向性はあるのだけれどそこに付加する、あるいは変わるといったことがある。たぶん病院だったら、当然、病院としてやることは大幅には変わらないと思うのですけれども。そんな感じが3法人とも同じように感じるのです。そうすると、ほかではそういう話はあまりないのですね。

○政策評価官室長補佐
 そうですね。聞いてはいないのですけれども。

○真野部会長
 全部に出ているわけではないのですか、出られてますね。

○政策評価官
 今回はあまり争点もなかったので、スムーズにいったということだと思うのです。部会によってもいろいろあるのですけれども、例えば、職員給与の削減とか、その辺で突っ込んで20~30分議論したような法人もありますし。それぞれの委員の皆さんのご関心事項があって、ほかの委員さんも一言言いたいということだと、結構議論になる場合もあります。特に、今回、我々も時間設定を長めに取り過ぎていたのかもしれません。

○真野部会長
 いえいえ、私の進め方の問題もあると思うのですが。今日の委員会の話ではなくて、委員会の方向性として、評価委員会の中で、大島委員が特にいまはっきり言われたのだけれども、各独立行政法人の今後について何か議論したいとか言いたいとか、そういう声がある部会は結構あるのですかという、そういう質問なのです。

○政策評価官
 基本的に、中期目標等につきましては、厚生労働省の各所管部局が独立行政法人に対して、こういうことをしなさいと厚生労働大臣から指示することになっています。ですので、そういう意味では、厚生労働行政の課題をきちっと把握しているかなどの観点から、こういう部分をもう少し強化して欲しいとか、そういう注文がつく可能性はあります。独法のほうに今後の業務はこういうことをして欲しいと頼んでもいいのですけれど、所管部局と一緒になって厚生労働大臣が指示するという意味では、所管部局の責任という面もあろうかと思います。

○真野部会長
 大島委員、よろしいですか。では、我々の役割としては評価であるけれども、中間目標や暫定評価などでは、特に、意見として所管部局に見ていただけるようなものも、当然、今後あり得るという理解ですね。今回は主として平成22年度の分ですから、もちろん意見としては議事録には残ると思いますけれども、そこまでの突っ込んだ議論にはならないということでしょうか。よろしいですか。
 それでは、修正意見ではないと理解しました。以上で、平成22年度ののぞみの園の業務実績の評価として、法人及び政・独委に通知して、これを公表させていただきたいと思っています。くどいですけれども、誤字脱字や事実誤認による修正がもし必要な場合は、私にご一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長
 将来の話などいろいろと出てしまいましたが、最後に、遠藤理事長からコメントをいただきたいと思います。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 この暑さの中、また、大変ご多忙の中で、この実績評価のために多くの時間を費やしていただきまして、ありがとうございました。今回は、当法人の個別評価から2週間足らずで本日を迎えるということで、あまり時間がなかったのですが、評価結果の案文をまとめていただきました起草委員の先生方には心から感謝申し上げたいと思います。今回、平成22年度の実績の評価結果については、全体としてはよい評価をしていただいたものと受け止めております。この結果を励みといたしまして、今後も当法人の目的、そして課せられた目標達成のために、引き続き役職員一体となって全力を尽してまいりたいと考えております。
 ただ、8月9日の部会におきまして、いろいろご意見をいただきましたし、本日も今後の方向性も含めてご意見をいただきました。これらのご意見なりご指摘の主たる関心は、のぞみの園はこれからどのような役割を果していくのか、どのような事業を展開していくのか、中・長期的に、もっと具体的な答えを持つべきだということだと受け止めております。私どもは平成15年10月から独立行政法人に移行しまして、そのときに法律もすべて変わりまして、目的も業務も一新しました。それを前提としてどのような事業を行っていくかでありますけれども、いろいろとご指摘いただいたように、法人としてもっと主体的に積極的に今後のありようを考えてまとめて、厚生労働省とも協議していかなければいけないと改めて認識いたしました。
 第2期の中期目標期間は来年度までありますし、そういう意味では、そろそろ第3期の目標に向けた議論も始まると思います。また、大島委員のご指摘のように、障害者をめぐる環境はいろいろと変わっておりますし、制度的にも新しい制度をめぐって議論がだいぶ煮詰まってきている時期でもあります。そのようなことを前提として、当法人のありようについて私どもは知恵を絞り、厚生労働省とも意思疎通をよくして協議してまいりたいと考えております。以上でございます。今後とものぞみの園につきまして、ご指導・ご鞭撻賜るようにお願いしまして、ご挨拶とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

○真野部会長
 どうもありがとうございました。それでは、いままでの意見・討論・報告を踏まえまして、個別評価の修正と確定をお願いします。10分ほど時間を取りますので、よろしくお願いいたします。
(評価用紙記入)

○真野部会長
 時間より早いですが、確定と修正ができましたようですので、これで進めていきたいと思います。先ほども述べましたかもしれませんが、評価の確定で評価が変更される可能性がありますけれども、その場合は変更を反映した評価シートを作らせていただきます。このような修正に関しては、私と事務局に一任してください。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。
(了承)

○真野部会長 
では、のぞみの園の方々、どうもありがとうございました。
 議事は以上です。本日ご審議いただきました3法人についての総合評価、財務諸表についての意見は、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決定が自動的に評価委員会の決定になります。ですので、政・独委への通知、公表への手続が行われることになります。
 次に、事務局から、総会等の今後の予定の連絡をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定等につきましてご連絡いたします。本日ご審議いただきました法人の総合評価書は、事務手続を進めさせていただきまして、後日、委員の皆様方に確定版を郵送させていただきます。
 総会は、31日(水)午後2時から省内の専用第21会議室です。総会メンバーの方はご出席をお願いいたします。本日修正等していただきました評定記入用紙は、先ほども言いましたが、部会終了後に事務局で回収いたしますので、机に置いてお帰りください。以上です。

○真野部会長
 かなり早く終わってしまいましたけれども、それでも長時間でしたが、本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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