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2011年8月2日 独立行政法人評価委員会労働部会(第68回)議事録

○日時

平成23年8月2日(火)13:00~19:00


○場所

専用第21会議室


○出席者

   今村部会長、宮本部会長代理、加藤委員、川端委員、中野委員、本寺委員


○議事

(以下、議事録)
 
○今村部会長
 ほぼ定刻になりましたので、ただいまから第68回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。本日の雇用・能力開発機構と高齢・障害者雇用支援機構の審議で、個別評価は最後になります。本当に長丁場となりますが、委員の皆さんにはご審議をよろしくお願いいたします。なお、本日は松尾委員、高田委員、伊丹委員が欠席となっています。
 審議に入る前に、事務局のほうで異動があったようですので、ご挨拶いただきたいと思います。

○政策評価官
 政策評価官室の田原です。7月29日付けで政策評価官室に入りました。よろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 同じく7月29日付けでまいりました室長補佐の今泉です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、早速、雇用・能力開発機構の個別評価に入ります。最初に丸山理事長からご挨拶と、平成22年度における業務実績概要の説明をお願いいたします。

○雇用・能力開発機構理事長
 雇用・能力開発機構理事長の丸山です。毎度私たちの機構へいろいろご指導を賜りましてありがとうございます。また、このたび新しく委員になられた皆様には、どうかよろしくお願いいたします。
 本日のメインの議題は、私どもの平成22年度の活動結果につきまして自己評価の結果をご説明し、本委員会としてのご評価をいただくということですが、その前に、このたびの東日本大震災における当機構の施設の被災及び復旧状況を簡単にご報告させていただきます。
まず、施設で離職者に対する職業訓練、あるいは再就職支援を行ういわゆるポリテクセンターですが、東北地方にいくつか、各県にあるのですが、そのうち宮城センターといわきセンターが被災をいたしました。いわゆる学卒者訓練、高度技能者を養成するいわゆるポリテクカレッジと称していますが、東北職業能力開発大学校の施設も被災いたしました。最も大きな被害を被ったのは、仙台市の隣の多賀城市内にある宮城ポリテクセンターでございまして、1階部分が津波で全壊し、訓練施設としては全く機能していません。人的被害は、誠に残念にも、東北能開大の学生1人が実家に帰省中に津波で亡くなられました。そのほかは、大変冷静な避難指示等もあって、結果としては職員、訓練生共々全員無事でございました。宮城センターの施設は当分使用できなくなりましたので、仮設実習場を仙台市内のフロアと、隣町の名取市内の空き工場を借用して設けることにしまして、早期復旧を図っております。岩手県の岩手ポリテクセンターというのが花巻にありまして、海岸線からちょっと遠いので、その中間ぐらいに遠野市のフロアを借用いたしまして、岩手県の海岸線沿いの被災者に対する臨時訓練所を確保しています。訓練の再可動は、仙台市内はもうすでに6月及び7月に3つのコースをスタートさせておりますし、名取市内、遠野市内のフロアは、今月中に訓練コースをスタートさせます。名取市で3コース、遠野市で2コースを走らせることを目下準備中です。そのほか、その集辺の山形あるいは福島等々のポリテクセンターにつきましても、通常の訓練コースに加えて、災害復興に必要な訓練ニーズに応じたコースを今月にもスタートさせます。それ以降、必要に応じて順次増やしていく予定です。臨時の訓練には、指導員をアサインしないといけないということで、全国のポリテクセンターあるいはポリテクカレッジの施設から、交代で臨時に応援派遣をして対応しようということで、26名の指導員を前もってアサインしてありまして、必要に応じて逐次派遣して訓練に備えるという対応をしています。
 当機構が保有する雇用促進住宅ですが、3年前の非正規社員で解雇された人の緊急入居で、結果としては約1万人近い人が入居し、なおかつ現在4,500~4,600人が入居しているのですが、そのときと同様に、今回の震災の避難者の入居で大いに活躍しております。住まいのセーフティネットという言葉があるかどうかわかりませんが、全国の44の都道府県にある住宅に、ご本人のご希望を得ながら分散入居をしています。7月末現在で入居者が5,935世帯、約6千世帯、1万8,658名、約1万9千人の避難者が入居されています。
 しかし、雇用促進住宅自体も被災しておりまして、岩手、宮城の海岸部で4住宅、内陸部、福島、栃木で2住宅が被災を受けておりまして、そこの入居者の退去、あるいは避難等々の対応も実施しています。そのような状況でございます。
 本題の平成22年度の業績結果の件に戻りますが、平成22年度は国の経済支援、諸施策もあり、我が国の経済活動は前年度に比べて上昇していましたが、雇用という面では、一時の深刻さは軽減されたものの、失業率や有効求人倍率等々の指標は、思うような改善が見られませんでした。非常に厳しい状況が続いた年度でございました。ご高承の通り、メディア等でも若年層、とりわけ大学新卒の就職率の低さがたびたび取り上げられてきました。そうした環境の中にあって、国の雇用のセーフティネットの一端を担うと自覚している立場の者として、私どもなりに精一杯努力してまいったと思っております。その結果の自己評価については、今年も外部委員といいますか、私どもは運営協議会を設けておりまして、学識経験者、経営者団体、労働者団体、各4名の合計12名の運営協議会の委員を外部評価委員として今年もお願いいたしまして、その評価をベースに、最終的には私どもの理事会で自己評価を決定しました。外部の委員の皆様から高い評価をいただいてS評価とされた項目は資料1-1「業務実績評価シート説明資料」の3~4頁に、18項目の一覧がありますが、S評価をいただいたのは4頁の真ん中の欄のいちばん上の?の「離職者訓練」、?「高度技能者養成訓練」、?の「職業能力開発助成金等の業務」、?の「経費削減等、情報提供」、?「予算、収支計画、資金計画、短期借入金、剰余金」の5項目について非常に高い評価をいただきました。??について一言申し上げますと、ここ数年にわたって私どもの機構の経営の有効性、効率性について各方面からさまざまな厳しいご指摘やご指導をいただいてきたところではありますが、このご指摘を是として私どもなりに積極的に有効性、あるいは効率性を追及してきたことが、私どもの機構の最終年度までの累積効果として、その数値がかなりの水準に達していると評価されているところでございます。各項目ごとに担当から詳しくご説明をいたします。
 最後ですが、10月1日付けで、当機構は廃止されます。従来の担当業務は1つは雇用改善の相談や助成金業務、雇用開発業務と一言で言っておりますが、これは都道府県の労働局に移管されます。また、職業能力開発や雇用促進住宅の業務は、現在の高齢・障害者雇用支援機構に移管され、10月1日から新しい法人として、高齢・障害・求職者雇用支援機構という形になって、そこに移管されます。残りの勤労者財産形成のための融資業務、いわゆる住宅財形と一言で言えると思いますが、これは勤労者退職金共済機構に移管されます。このように3分割されて業務を移管されてまいります。職員は全員一旦当機構を退職し、新ためて必要な要員は高障機構と勤退機構に採用されると。現在、この両機構には、採用希望者名簿を提出してありまして、8月中には採否が決まる予定です。そういう状況です。どうか、10月以降も、引き続きよろしくご指導ご鞭撻をお願い申し上げたいと思います。私からは以上です。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。これからの進め方ですが、先ほど申し上げましたとおり、今日は長丁場ですので、効率的に進めたいと思います。雇用・能力開発機構の個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていただきます。まずグループ1「雇用開発業務」から「離職者訓練」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明が25分、委員の評定と質疑25分の合計50分となっております。それでは法人からの説明をお願いいたします。

○雇用・能力開発機構企画部長
 猪狩と申します。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料1-1に沿ってご説明申し上げます。1頁は機構の概要になります。
 2頁です。平成22年度における機構の全体の利用状況についてまとめたものです。労働者支援と事業主支援別にそれぞれまとめていますが、左側の労働者支援が98万6千人、事業主支援では63万人の方がそれぞれ利用をしております。全体では161万6千人の利用があったところでございます。その下に内訳を記載していますが、能力開発事業が132万9千人と、全体の82%を占めております。
 3頁~4頁は事業体系図ですが、先ほど理事長から説明がありましたので省略をいたします。
 6頁です。ここから個別業務の説明となります。評価シート1雇用開発業務になります。自己評価は「A」をつけております。この自己評価につきましては、先ほど理事長からも話がありましたように、12名の外部の有識者からなる外部評価委員会におきまして、当労働部会と同様な評価方法、あるいは評価基準により評価をしていただきました。その評価結果を踏まえまして、当機構の理事会で決定したものをつけています。その下がこのシートに係る評価の視点です。
 7頁です。まず初めに資料の見方になりますが、左側から、評価の視点については要約したものに番号を付して記載をしております。その右側に評価の視点に対する実施状況、そして実績という流れで記載しています。前年度の実績につきましては、青色の括弧書きで記載をしています。
 評価の視点1は雇用管理相談、セミナー関係です。実施内容ですが、雇用管理相談やセミナーにつきましては、中小企業事業主等は人材の募集、あるいは職場の環境整備といった課題を抱えておりますが、このような課題に対しまして、「人材確保」、あるいは「職場定着」に資する内容に重点化を図り実施をしたところです。実績につきましては、相談件数はパンフレット等を活用して周知の強化を図りまして、前年度より6,205件多い6万4,679件と、大幅に増加をしました。セミナーの開催につきましては、372回という状況です。満足度調査ですが、80%以上の目標に対して相談は99.2%、セミナーでは96.8%と目標を大幅に上回っています。
 また、中ほどに業務の改善事例を記載しておりますが、アンケート調査における否定的な意見、あるいは参考となる意見につきましては、センター内に設置をしておりますケース会議で検討いたしまして、業務改善に反映しています。なお、改善事例につきましては、本部が取りまとめをいたしまして、各都道府県センターにフィードバックをしまして、情報の共有化を図っておりまして、このような業務改善を図りながら、高い水準を維持しているところです。右側のフォローアップ調査です。セミナーの受講後、概ね3ヶ月を経過した時点で、事業効果測定のための調査を実施しています。91.6%の事業所から雇用管理の相談の取組みを行った、あるいは行う予定との回答を得たところです。
 相談やセミナーを受講した事業所における求人充足率と離職率の実績を記載しております。いずれも目標を大幅に上回ったところです。
 8頁は評価の視点2、建設事業主等に対する雇用管理の改善に関する相談や研修の実施です。実績ですが、これについてもパンフレット等で相談業務の周知を強化したことによりまして、相談が前年度より6,908件多い6万1,075件と、これについても大幅に増加をしています。また、雇用管理研修については、218回、受講者が6,733人となっております。満足度調査ですが、相談の利用後3ヶ月経過した時点で、雇用管理の改善を行ったなどの調査につきましては、80%以上の目標に対して、91.6%と目標を大幅に上回ったところです。
 評価の視点3は、沖縄県における離職者等に対する相談業務です。沖縄県をはじめ、東京、神奈川などの大都市センターにおきまして、再就職の支援の実施をしております。実績については相談件数が1,602件、利用者の満足度調査については、目標に対して100%の方から役立った旨の回答を得たところです。
 評価シート2、雇用開発業務関係助成金等の業務関係です。自己評価は「A」をつけております。
 評価の視点1は、助成金に係る利用者の周知・説明です。実施状況ですが、各助成金の制度の変更につきまして、同日にホームページで公表し、パンフレットや申請の手引などを作成いたしまして、事業主に配布しています。また、ハローワークなど、関係機関においても配布されるよう、連携を図ったところでございます。
 実績です。説明会については、1,312回、説明会終了後に個別相談を実施しておりますが、その件数が6万4,038件となっております。説明会参加者の理解度の調査については、目標に対して90.3%の方から役立った旨の評価を得たところです。
 その下段に記載されている業務の改善事例ですが、これについても雇用管理の相談と同様に、業務の改善の実施によりまして、高い数値を維持しています。
 次の頁です。評価の視点2は、書類の簡素化、不正受給防止対策になります。事務手続きの合理化につきましては、添付書類の一部簡素化を図ったところです。また、不正受給の防止対策につきましては、担当職員の研修を540回、直接事業所を訪問した件数については4,108件、疑義がある事業所はすべて訪問いたしまして、その件数は184件実施したところです。そのような不正受給防止対策の取組みを行いまして、雇用開発関係の助成金の支給件数ですが、約7万4千件あります。そのうち不正受給はわずか1件という状況です。
 評価の視点3です。建設助成金の新規申請者数です。取組みとしては事業主団体などへの訪問を強化いたしまして、積極的な広報活動を実施したところです。実績につきましては、4,481事業所が、新規に助成金を活用した事業所数となっております。81.6%の達成状況となっております。右側のグラフをご覧ください。現在の中期目標は2期目になっておりますが、その基点となる平成18年度の新規事業所数から見れば、年々増加していることが窺えると思います。
 次に12頁です。評価シート3、連携及び効果的な訓練の実施です。自己評価は「A」を付けております。
 13頁です。評価の視点1は、個人に応じた訓練コースの選定と訓練成果の客観的な評価・分析の実施です。取組みとしては、「機構版教育訓練ガイドライン」に基づくPDCAサイクルによる訓練コースの見直しの手順を記載しております。この手順に従いまして、離職者訓練、在職者訓練の訓練コースの見直しを行っておりますが、就職率の向上や個別訓練コースの質の向上に反映をしています。この教育訓練のガイドラインにつきましては、付属資料の1に概要を付けておりますが、これは当機構の訓練に関する質の保証システムを体系的に明文化したものです。まず策定に当たってのきっかけにつきましては、ISOの29990が2010年の9月に発行されましたが、このISOは非公式な教育訓練のための学習サービスの国際規格になります。この国際規格の発行に先駆けまして道標となるべく当機構がガイドラインを作成いたしまして、国際規格の策定議論に貢献したものです。現在、当機構ではこのガイドラインに基づきまして、訓練の水準の維持向上、あるいは訓練コースの見直しなどに活用しています。
 14頁です。評価の視点2は、関係機関との連携と効果的な訓練の実施です。青色の囲みに実施状況を記載しておりますが、都道府県ごとに公労使からなる「地方運営協議会」、あるいは都道府県、県などからなる「就職促進能力開発協議会」を設置いたしまして、人材ニーズの把握、就職支援の体制を構築すべく連携を図っているところです。訓練コースの見直しの流れにつきましては、左側の矢印に沿って行っておりますが、それぞれの協議会での意見やあるいは直接企業を回って得られた要望などを踏まえまして、能開施設ではPDCAサイクルによりまして、新規訓練科の設定、あるいは訓練内容の変更を行います。その訓練の計画につきましては、都道府県ごとに外部の有識者からなる訓練計画専門部会におきまして、訓練内容の精査をしていただき、最終的には本部においてチェックをした上で集約いたしまして、その見直し結果については下段のグラフのとおり、離職者訓練、在職者訓練とも約3割の見直しを行ったところです。
 中程に参考として、東日本大震災に係る復興訓練について記載しておりますが、労働局、県、地元市町村と連携を図りまして、6月から建設関係あるいは設備関係の職種を、12の訓練科を計画し実施しています。
 15頁です。評価シート4、離職者訓練になります。雇用のセーフティネットとして、主にポリテクセンターで実施している訓練になります。自己評価は「S」を付けております。
 16頁です。評価の視点1は、施設内訓練と委託訓練の就職率です。実施内容ですが、離職を余儀なくされた方で、職業転換される方などを対象といたしまして、施設内訓練ではものづくり分野を中心とした訓練を、委託訓練についてはIT分野や介護分野など、民間の教育訓練機関などを活用しまして、多様な訓練を実施したところです。実績につきましては、施設内訓練の就職率が80%以上の目標に対して82.6%、委託訓練については65%以上の目標に対して65.3%と、いずれも目標を上回ったところです。また、常用雇用率についても施設内訓練、委託訓練とも前年度より2.4ポイント上回ったところです。
 下段のほうに雇用関係指標と訓練実施状況を記載しております。離職者訓練など、公共訓練の計画数につきましては、毎年度、国が雇用情勢などを踏まえて実施計画を定めますが、当機構はその範囲内で訓練を実施するということになっております。左側のグラフをご覧ください。青色の棒グラフは委託訓練の入所者数になります。平成21年度は6万6千人であったものが、平成22年度は1万8千人になっております。これは平成20年度の閣議決定によりまして、段階的に都道府県に移管をしている結果によるものです。ちなみに平成23年度の委託訓練の計画数につきましては、ゼロになっております。緑の線が有効求人倍率を示しておりまして、赤色が施設内訓練の就職率になります。当機構は平成16年3月から独立行政法人に移行したわけですが、平成15年度の就職率が70.9%だったものが、平成22年度は82.6%と、厳しい雇用情勢にもかかわらず過去最高の就職率を確保したところございます。この高い就職率については、当機構が実施している就職支援の取組みが功を奏したものと考えております。なお、右側のグラフには、安定所の就職率を記載しています。
 17頁です。その就職支援の取組みについて記載をしています。中ほどに主な取組みとして7点ほど記載をしていますが、特に赤色で囲んでいるものが、機構独自に開発をしたものになります。詳細につきましては、付属資料2と3に付けていますが、1つ目は高い就職率を達成している指導員の行動特性やノウハウを集約しまして、指導員の共有化を図るために就職支援行動ガイドを策成しました。2つ目は厳しい雇用情勢に応じた就職支援の重点事項を設定しまして、就職支援項目ごとに進捗管理を行う就職支援マップを作成しました。このような就職支援の内容を強化いたしまして、就職率の向上に努めたところです。
 次の評価の視点2は、キャリア・コンサルティングの実施になります。キャリア・コンサルティングの流れにつきましては、付属資料の4に付けてあります。取組みですが、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを実施しまして、就職に資する訓練受講に結びつくよう支援を行ったところです。実績につきましては、支援コーナーと相談コーナーによる相談を併せまして、52万7,336件実施したところです。キャリア・コンサルティングにつきましては、当機構では主に能力開発支援アドバイザーが担っているわけですが、政策の変更によりまして、当機構からハローワークにシフトをしているところでございます。このことによりまして、アドバイザーの配置数につきましては、前年度と比較しまして4割ほど削減になっておりますが、1人当たりの実施件数で比較しますと、平成21年度が931件実施したことに対しまして、平成22年度は995件と64件上回っております。
 次に18頁です。評価の視点3です。委託先の積極的な開拓と委託先への就職支援です。委託訓練につきましては、民間の教育訓練機関などを活用して行うのですが、計画数につきましては、先ほど説明しましたように、段階的に都道府県へ移管をしているところでございまして、平成22年度は前年度に比べ、7割減となっております。このような状況の中で、民間教育訓練機関が558機関、事業主及び事業主団体が209機関と、それぞれ活用しました。また、民間の委託先に対しましては、機構のノウハウといたしまして、訓練の企画から改善に至るまでの手法である「プロセス管理手法」をセミナー形式で実施いたしまして、その実績については参加者数が234人、192機関参加したところでございます。委託先への巡回指導については5,014件実施したところですが、1コース当たりの訪問件数についてみれば、平成21年度の2.5回から平成22年度は4回と、きめ細かな対応をしたところです。
 次に評価の視点4です。ポリテクセンターで行うものづくり訓練です。民間では採算性などの問題から、市場にあまり進出していないものづくり分野に、重点化を図りまして、右側のグラフにありますように、平成22年度に実施したコースは、1,520コースですが、そのうち96.3%がものづくり分野で実施したところです。
 次は評価の視点5です。地域ごとに人材ニーズを把握した上で、真に必要とされる訓練コースの設定です。右側にありますように、地域ごとに外部の有識者からなる地方運営協議会を設置しておりますが、その下に訓練計画専門部会を設けまして、都道府県あるいは民間が実施している訓練科との競合などについて、審査をしていただいています。
 19頁です。ここは「緊急雇用対策」における機構の役割について記載をしています。緊急人材育成・就職支援基金による職業訓練ですが、これは平成21年7月から政府により発動された制度ですが、雇用保険を受給できない方を対象にしまして、民間の教育訓練機関などを活用して行う訓練です。中ほどに実績を記載しています。実施機関の開拓が当機構の目標になりますが、15万人分の目標に対しまして、民間の教育訓練機関などを対象に訓練制度の説明会、あるいはワークガイダンス講習・指導者養成講座を実施いたしまして、45万8,088人と、3倍もの実績を確保しました。
 その下に、求職者に対するキャリア・コンサルティングですが、22万5,057件、ジョブ・カードの交付件数が、5万1,416件という状況になっております。いちばん下の枠になりますが、3月末で28万6,708人が受講をしました。参考として、事業開始からの受講者数を記載しておりますが、33万5,241人となっております。このような実績になったのは、制度発足から役職員一丸となって取り組んだ結果だと思っております。
 次に20頁です。都道府県、あるいは民間などへの当機構でのノウハウを提供した実績を記載しております。まず初めに、指導員の再訓練として1,110人、研究成果やカリキュラムモデルの提供として、107万2,007件のアクセス件数がありまして、3万3,464件のダウンロードがありました。先ほど申しましたが、民間教育訓練機関に対するワークガイダンスの講座については、3,691人の受講があったところでございます。また、要望に応じまして、委託訓練のカリキュラム、あるいは就職支援のツールなどを提供しているところです。つい最近の例というか、明日になるのですが、大阪府からの要請を受けまして、大阪府の指導員120名に対して、私どもの大阪センターの指導員がこれについての講習会を実施することにしております。このような取組みを行いながら、機構だけのノウハウだけではなくて、いろいろな普及活動に努めています。グループ1の説明は以上です。

○今村部会長
 はい、ありがとうございました。それでは、委員の皆様は評定記入用紙への評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら適宜ご発言ください。

○加藤委員 
 11頁の不正受給の件数のところなのですが、平成22年度の支給決定分に係る不正受給件数が1件ということで、非常にイメージとしましたら、たった1件だけだったのですねと、すごいなという、こういう評価ができると思うのですが、実務的な実態を教えていただければと思うのです。例えば、ここに記載されていますとおり、可能な限り直接事業所を訪問なされたのが4,108件、疑義事業所はすべて訪問して184件。ここまで一生懸命なされて、これだけの訪問回数があって、それでやっと1件に抑えられているという、こういう実態なのか、それとも、もうちょっと訪問件数を減らして、ある意味では業務を効率化して圧縮して、それで1、2件程度に抑えられるものなのか、その辺の実務的な実態がちょっとわからないものですから。あるいは、逆にうがった見方をしてしまうと、1件ではなくて本当は潜在的にまだありそうなのですが明確にわかったのが1件、不明瞭なものもあるのですが、それは明確に断定できないのでそれは外してありますというのが数件あるのか、その辺の実態を教えてください。   



○雇用・能力開発機構雇用管理部長 
 限られた職員の中で、しかもどんどん嘱託も削られている状況の中で、こういった不正受給の防止対策をとっているのですが、昔、非常にたくさん件数が出たことがありまして、それ以降、書類上でチェックをできるもの、例えば、OCRを使ってこの方がきちんと雇用保険に入っているかどうかとか、そういったものをいろいろ厚生労働省と協議をしまして、すべてそういう対策をとった上で、こういった可能な限り直接事業所を訪問しています。これも決められた金額や助成対象となる人を何人以上採用したら行くとか基準があり、助成金ごとにチェックをしてまわる等、いろいろそういう取組みをとっており、これだけの件数を訪問しています。疑義の事業所につきましては、いまお話がありましたように、書類の内容がおかしいなという部分がちょっとでも感じられれば、先程の基準以外に各センターのほうでは直接確認に出向いて行っているという現実です。ですから、これ以外に潜在的にというのは基本的に我々はないと思っていますが、ただ、我々は事業所に踏み込んでと言うか、入っていって、すべての帳簿を確認する権限をもっていませんので、例えば会計検査等で我々が見られない書類を会計検査院が見て、そこで不正が発覚するということは確かにあります。

○加藤委員
 訪問は確かにいちばん強い証拠と言うのですかね、得られやすいとは思うのですが、例えば、電話で確認するですとか、当然そういう工夫もされていると思うのですが。それはいかがでしょうか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 電話で直接お電話をして、その事業所が確実にあるかどうかと、そういったことも確認をしています。

○加藤委員
 工夫なされながらやって、それで1件に抑えることができていると、こういうニュアンスですか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 はい。いまこちらの雇用開発関係の助成金7万3千件ほど支給していますが、その中で1件ということです。

○加藤委員
 はい、わかりました。

○雇用・能力開発機構理事長
 不況の度合いが深刻になればなるほど不正件数が多い、ポテンシャルが多い。だからそれを、ここ平成21、22年度と大変な環境の厳しい中で、かつてのようなそういう不正件数が発生しないように、相当担当の職員が足繁くいろいろチェックしたということがこの減少につながっていると思っていただければ、これを放っておくとやはり不正の件数は増えてきます。

○加藤委員 
 はい、よくわかりました。

○今村部会長 
 どうぞ。

○宮本部会長代理
 13頁について伺いたいのです。右上の囲みに実績が書いてありまして、離職者訓練は別の頁にもありますが、ちょっとここで伺うと、施設内訓練が82.6%の就職率で、委託訓練就職率65.3%と大分開きがありますが、この辺りの開きについてどう分析されているのか、そして、委託訓練のほうは低いですが、これ自体昨年度と比べたときにどういうふうに変化しているかについて伺えればと思います。

○雇用・能力開発機構理事長
 これは私のほうから簡単にトレンドというか、そういうことで申し上げますと、委託訓練は確かにもっと伸びないのかと随分やったのですが、その大きな原因が2つあって、1つは委託訓練というのは、16頁でご覧になれるように、左側の青い棒グラフが都道府県に移管されてどんどん減ってきますね、今年平成23年度はもうほぼゼロ、みんな都道府県に行きます。残ったこの1万7,964人分の委託訓練をうちがやりましたが、その内容が座学中心の訓練の比率が高かった、そういう講座が多かったというのが1つです。
 それから、もう1つ、これはなかなか民間の教育施設は言いませんが、先ほどの19頁に第2のセーフティネットである基金訓練が、都合この2年間で33万5千人も受講者が増えている。これはみんな民間の委託訓練をしている民間施設だけではなくて、もっと増えていますが、民間委託訓練を受ける民間の施設も相当基金訓練に注ぎ込んでいる。これが今後、正式な訓練になっていくわけですが、このボリュームがすごく多いことが民間の教育施設の就職支援活動に若干の影響を及ぼしていると、こういうような傾向があったのではないかと思っています。そういう訓練需要の増加と、訓練内容のなかなか就職する可能性の低いものと、その2つの相乗作用で65.3%、そういう比率で目標はかつかつオーバーしましたが、いままでは委託訓練も7割近い就職率があったわけですが、それが平成22年度は大変そういった意味で苦労した、こういう傾向にあったと言えると思います。

○宮本部会長代理
 いまのご説明で、座学中心の、効果の少ない訓練ということなのですが、効果が少ないということをわかりながら座学中心になるというのはどうしてなのですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 希望者がいらっしゃいます。例えば、IT関係の講座とか、希望者が多い。だけど就職の可能性がやや低い、あるいは、ひょっとすると、訓練を受けるけれども就職する意欲があまりないケースもあるかもしれません。いろいろなケースがあると思います。

○宮本部会長代理
 はい。

○今村部会長
 すみません、それに関連してなのですが、委託訓練というのは、直接、機構に費用が発生するものですよね。これは金額が、つまりここの数字で、平成21年が6万6,348人で平成22年が1万7,960人、激減していますが、この分委託訓練の費用というのは相当減らしておられるということですか。

○雇用・能力開発機構理事長 
 補助金ですね、交付金ではなくて補助金を本省からいただいて、その分量を減らす目的もあって、うちの管理から都道府県の管理に移っていったと、こういうことです。

○今村部会長
 いかがでしょうか。この評価シート4というのは、目標数値そのものは80%に対して82.6%、65%に対して65.3%と、まあ目標をやや上回っている程度なのですが、どこが非常によく頑張ったかというのを見るとき、19頁のこの緊急雇用対策のところが昨年度を大幅にオーバーしていると受け止めてよろしいのでしょうか。

○雇用・能力開発機構理事長
 いや、実は、緊急雇用対策というのは、例の基金訓練と称するもので、これはいまのパーセントには入っていません。施設内訓練の82.6%も委託訓練の65.3%も全部、いわゆる雇用保険を受けながら訓練を受ける公共職業訓練と称する類の訓練コースの就職率です。基金訓練の就職率については、ここでは述べてはいません。

○今村部会長
 それはわかっているのですが、「S」と外部評価委員で評価されたというその根拠というか、それを知りたいだけなのですが。 

○雇用・能力開発機構理事長
 そういう意味ですか、失礼しました。このS評価を受けたのは、やはり、特に施設内訓練の82.6%と、これは時系列的にも、それからほかの訓練、県なり、あるいはハローワークの就職率等と比較すると、かなり秀でている。その内容が、むしろ見ていただきたいのは、17頁の就職支援におけるシステマチックな取組み、ここの評価が高かったと。17頁の上段にいろいろな取組みを7つぐらい例示してありますが、上のほうの2つ、これが要するに、うちの持っている就職支援行動ガイドだとか、就職支援マップとか、これは私どもの機構の指導員の持っているノウハウをここに集約して、全国的に共通にシステマチックに展開していったものなのです。それと下のほうは、求人企業の開拓だとか、いろいろな、いままでも行われてきたものが5つほど例示されていますが、そういう個々の活動と、システマチックな共通のノウハウを展開した活動、それが相乗的に効果を上げたと、こういう評価であったろうと思います。72頁、最後のほうに付属資料で付けていますが、就職支援行動ガイド、これは、訓練生の個々人に対する就職支援行動に向けて、指導員がいろいろどうやったら効果的になるかという指導員の悩みを、このベストプラクティスを全国から募ってそれを体系化して、これを全員に周知せしめるということ。それから、その次の73頁に、就職支援マップによる就職支援の実施ということが書いてありますが、これは、訓練の入所前から修了後、その訓練ステージにおける就職支援活動を全体共通にこういうことをやっていこうという、そういう活動、こういうことが相当展開されることによって、この厳しい雇用情勢の中でも目標をオーバーする就職率を達成したと、こう認められたと理解しています。

○宮本部会長代理
 そうしますと、くどいようなのですが、施設内訓練が非常に高いノウハウをもって成果が上がっているというのがよくわかるのですが、それに対して、委託訓練のほうが成果が上がらないと。これは成果が上がらないのだったら施設内訓練のほうをもっと拡充すればいいのではないかと、普通はそう思うのですが、そこら辺のところがどういう仕組みになっていて、この委託のところがこういうふうになるのでしょうか。

○雇用・能力開発機構理事長
 施設内訓練の比重をもっと増やせと、こうおっしゃるのですが、施設内訓練というのは、機械だとか、電気だとか、建築とかのものづくり訓練、委託訓練は介護、IT関係とかの非ものづくり訓練ですから、世の中の訓練ニーズというのは、私はいつも思っているのですが、7対3ぐらいで非ものづくりのほうが求人も多いし、訓練ニーズも高い。ところが、非ものづくり訓練は、機構もかつてはやっていましたが、民間の教育機関のそういうレベルも上がったから、極力民間を活用するという国の方針で、うちの施設内の96.3%は、ものづくり訓練に特化している。そういうことで、ものづくり訓練をこれ以上増やすことの問題というのはやはりあると思います。それから、やはり、3K業務だから、失業者も必ずしもものづくり訓練に殺到するという状況ではない。だから、ハローワークでむしろものづくり訓練をやったらどうかということを推奨していただいて、それでうちもその訓練に耐え得るかどうかをチェックして入ってもらって、現在の状態になっているというのが、実際の状況ではないかと思います。

○宮本部会長代理
 わかりました、どうもありがとうございました。

○中野委員
 いまの委託先のスキルアップと言うのでしょうかね、こちらのきめ細かいガイドライン等をかなり作り上げておられるそのスキルは、ものづくりでないとしても活用できる内容をお持ちだと思うのですが、その辺をどういう形、今後ハローワーク等がより力を地域との連携で持つとなると、この辺のノウハウはどう輩出されるおつもりでしょうか。

○雇用・能力開発機構理事長
 まさに先生のご質問にお答えするために20頁の表があります。これは、もういつも宮本先生からご指摘を受けて、こちらも心して県や民間にそのノウハウを伝えるというか、展開していくことを心掛けているのですが、うちの持っているノウハウをあらゆる機会に県の施設、あるいは民間の施設にお出ししている。けれど、これ不思議なもので、やはり相手がその気にならないとなかなか身に付かない。だからいま、猪狩企画部長がご説明しましたように、明日、大阪の百数十名の指導員にこれの勉強会をやるというのも、ようやくそういう気運にあって、これはいろいろな各県の運営協議会等々でこういうことをやりましたと、先ほどのノウハウガイドブックなどを配ってやっているのだけれど、それを自分の1つのアドバンテージとして深く勉強して、自分のところにも展開しようという意欲が、大変熱心な所とさほど熱心でない都道府県がある。あるいは民間も然りと。けれど、こうやって極力こういうノウハウを提供する。それから、指導員を呼んで再訓練は一緒にやっていますから、総合大学校で。再訓練のときもこういうことをよくご説明する。だからまあこれは、もう2年ちょっと、3年ぐらいですかね、これからさらに展開されていくものと思いますが、ようやくそのレベルです。

○今村部会長
 最後に、この能開機構の評価が今回ちょっと難しいフェーズにあると思うのですが、一応、何て呼ぶかわかりませんが、現高障機構に引き継がれていく中の、職業能力開発業務というのはまさにこの部分、離職者訓練も入るわけですね。

○雇用・能力開発機構理事長
 そうです。

○今村部会長
 そうすると、お伺いしたいのは、雇用保険受給者に対する訓練、それから、最近始まりました非受給者に対する訓練というふうにして、ようやく広がりができていく、連携もできていくという状況なのですが、これについて、しっかりと次の機構に引き継ぐ体制ができているかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

○雇用・能力開発機構理事長 
 いま、コミュニケーションネームとして言うのは、公共職業訓練を第1のセーフティネット、それから、基金訓練、今度は求職者支援訓練、これは第2のセーフティネットと俗に呼んでいますが、その2つが職業能力開発業務として、今度の高齢・障害・求職者雇用支援機構の大きなメインの柱として移管されていきます。その部分はそっくり。しかも、基金訓練というのは単にインフォーマルではありませんが、JAVADAに基金を置いてそれを活用してやったのですが、今度はきちんとした法律に基づく訓練になっていきますから、明確に雇用保険をもらっている人の訓練と、非正規労働の雇用保険のない人の訓練が、全部フルコース揃うことになります。これはものすごい訓練数になります。年間30、40万人、あるいは、平成23年度はもっといくかもしれません。失業者に対する訓練のボリュームとしては、ものすごい大きなものになっていく、という状況です。

○今村部会長
 わかりました。機構のご努力とネットワークは引き続き必要ですので、期待しております。

○雇用・能力開発機構理事長
 それはもう万全に整ってそっくり移管するつもりでおります。

○今村部会長
 特になければ、よろしいでしょうか。それでは次に、グループ2「高度技能者養成訓練」から「職業能力開発関係助成金等の業務」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明25分、委員の評定として25分の合計50分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○雇用・能力開発機構企画部長
 21頁をご覧ください。評価シートの5、高度技能者養成訓練です。これは能開大において実施する訓練ですが、主に高等学校卒業者を対象とする訓練です。
22頁の評価の視点1は、専門課程及び応用課程の就職率です。実施内容としては、実学融合の授業カリキュラムなどの設定を行ったこと、あるいはインターンシップをカリキュラムに取り入れながら訓練を実施したことにより、就職支援の強化に努めました。実績ですが、95%以上の目標に対し、97.5%と2.5ポイント上回ったところです。内訳は専門課程97%、応用課程98.2%となっております。
 左下のグラフをご覧いただくと、一般大学との就職率の比較を記載しております。ご案内のとおり、平成22年度は大学生にとって大変厳しい就職戦線であったわけですが、グラフにあるように、理系大学の就職率が93.1%、一般大学91%、短期大学84.1%と、やはり大変厳しい就職状況となっております。このような状況下で、当機構の能開大においては、前年度と比較しても1.1ポイント上回ったところです。右側の表は、4月に修了生に対して行ったフォローアップ調査の結果です。いわゆる7・5・3現象と言われるように、3年後の離職率が一般大学では31.1%、短期大学では40.5%となっておりますが、一般大学の4年相当になる能開大の応用課程は15.1%、短期大学に相当する2年課程の専門課程は22.7%です。いずれも能開大は低い数値になっておりまして、定着率が高いことが窺えます。
 23頁の評価の視点2は、地域社会に開かれた施設運営ということです。取組みとしては、中小企業等が抱える技術力強化などの課題解決のための支援として、中小企業等との共同研究を65件、受託研究を12件実施したところです。下には事例として北九州の能開大、青森短大の研究開発を記載しております。青森短大の事例を紹介すると、低廉な価格の「家庭用普及型」ストーブを開発してほしいという要望に対して、短大ではクロスファンを用いた吹き出し方式の採用により、暖房効率を向上させた試作機を製作いたしました。成果としては、3分の1程度の製造コストが実現できまして、性能の向上あるいはコストの低減を図ったところです。
 24頁は、能開大の資源を地域社会に開放している状況について記載しております。能開大の指導員による支援として、合計230件を実施いたしました。中央に事例を記載してありますが、このような支援を通じて、高校生あるいは大学等に対して実践的なノウハウを提供しております。その下ですが、地域におけるものづくり振興への支援として、ものづくり体験教室の実施状況を記載しております。参加者数は3万328人と、前年度に比べて2,790人の増となっております。右側のグラフにあるように、年々増加傾向で、ものづくりの振興に寄与しているのではないかと思っております。
 25頁は評価シート6、在職者訓練です。在職者訓練は中小企業の従業員を主な対象とし、平均3日間の訓練コースを体系的に設定して、従業員が受講しやすいよう夜間、土日を含めて実施している訓練です。自己評価は「A」を付けております。
 26頁の評価の視点1は、受講者と事業主の満足度です。業務の改善に当たってはアンケート調査を分析し、業務の質の向上に反映しているところです。右側に満足度調査を記載しておりますが、調査は受講者、受講者を派遣した事業主双方から実施しており、目標に対して受講者の満足度が98.6%、事業主が97.5%と目標を大幅に上回っております。中ほどに訓練カルテ方式の運用を記載しておりますが、これは在職者訓練の品質保証を図るために、訓練コースごとに受講者アンケート等のデータをPPMチャートやレーダーチャートで分析し、訓練コースを評価、改善する仕組みです。これについては全国で運用しておりまして、右側に改善事例を記載しておりますが、このような方法によってコースの質の向上に努めております。
 27頁の評価の視点2は、中小企業を主な対象とした、ものづくり分野を中心とした訓練の実施です。実施内容は上段の緑の囲みにあるとおり、人材育成ニーズを踏まえたコースの設定に当たり、4点ほど掲げております。1点目は現場力強化、2点目は技能承継、3点目は生産性向上、4点目は品質向上等です。その下ですが、訓練の実施に当たっては訓練設定の基準を設けて実施しており、基準については外部専門家からなる専門委員会を設置し、審議決定した上でホームページで公表しているところです。右上には在職者訓練の実施状況を記載しております。受講者のうち、66%が中小企業の従業員という状況です。また、ものづくり分野の訓練の実施状況ですが、平成22年度は4,722コースを実施いたしましたが、すべてものづくり分野の訓練を実施したところでございます。
 評価の視点3は、受講者が習得した能力の測定・評価です。習得度測定は受講生と事業主に対して行っておりますが、受講生に対しては訓練の理解状況と活用状況について、事業主に対しては活用状況についてそれぞれ測定を実施しておりますが、右側の改善事例にあるように、在職者訓練の質の向上に反映しているところです。
評価の視点4は費用負担の関係です。在職者訓練は有料で行っております。中小、零細企業を対象に実施していること、あるいは昨今の厳しい経済状況を踏まえて、企業に多くの負担がかからないような料金に設定し、実施しております。
 28頁は評価シート7、若年者対策、キャリア・コンサルティングで、自己評価は「A」を付けております。
29頁の評価の視点1は、「日本版デュアルシステム」の訓練です。実施内容はフリーター等に対して「日本版デュアルシステム」、「再チャレンジコース」などの訓練を実施いたしました。その実績ですが、日本版デュアルシステムによる訓練は公共の能開施設を活用した者が2,516人、民間の教育訓練機関を活用した者が1万5,031人、合計1万7,547人で、就職率は72.9%となっております。再チャレンジコースは2,633人の訓練を実施し、就職率は60.5%という状況です。
 30頁には日本版デュアルシステムの事例を記載しております。左側には訓練生の特徴を書いておりますが、マナーや心構えができていない、あるいはコミュニケーション能力に欠けているといった声が指導員から寄せられておりまして、中には施設見学に際して、母親に連れてこられたということもあるようです。このような方に対して私どもがまず行う訓練は、導入訓練として、社会人マナーなどの講習を実施した上で、技能訓練を実施いたします。それから現場の技能を身に付けるための企業実習を行います。右側に修了生と採用した事業主の声をそれぞれ記載しておりますが、最終的には一人前の職業人となって就職をしているということです。
 31頁の評価の視点2は、「実践型人材養成システム」や「有期実習型訓練」です。この訓練はジョブ・カード制度の一環として行うプログラムですが、フリーターや母子家庭の母などを対象にした、企業が主体となるOJTを中心とした訓練です。当機構はこのプログラムに対して企業支援を行っておりますが、その支援内容は民間事業所へのカリキュラムの作成、OJTの評価シート作成の支援などです。実績としては、実践型人材養成システムの実施計画認定申請書の取次は、前年度より749件多い2,304件、有期実習型訓練に係る確認は、前年度より3,953件多い7,665件で、いずれも大幅に増加しております。
 評価の視点3は、キャリア・コンサルティングの充実です。キャリア・コンサルティングについては、労働者、事業主双方に実施しております。右側に実績を記載しておりますが、労働者への支援は80万8,399件、事業主への支援は6万1,502件といずれも前年度より減少しておりますが、離職者訓練の事項で説明したように、政策的にアドバイザーを4割ほど削減したことによるものです。
 32頁の評価の視点4はキャリア・コンサルティングを受けた利用者へのアンケート調査ですが、利用者からの要望、意見等を分析しながら業務の改善に反映しながら進めています。満足度調査については、目標に対して99.4%と大幅に目標を上回っております。右側にはキャリア・コンサルティングを実施した後、3ヶ月経過した時点で事業効果を測定するため、フォローアップ調査を実施しております。90.5%の方から、就職あるいは能力開発等への具体的な取組み等が図られたとの回答を得たところです。
 33頁は評価シート8、事業主等との連携・支援です。自己評価は「B」を付けております。
34頁の評価の視点1の事業主等との連携・支援については、中ほどの絵に描いてあるように、事業主が抱えている人材育成という課題について、支援の要請がなされます。その要請に対して、人的、物的資源の有効活用を図るべく、支援を行っておりますが、吹き出しにあるように、毎年度、訓練延べ人員では30万人以上の方に支援を行っているということです。実施内容は、その上に記載しておりますが、指導員の派遣あるいは人材育成計画の作成支援などです。実績としては、訓練延べ人員は32万8,475人、緊急雇用対策講習の受講者数は2,429人です。この緊急雇用対策講習は経済状況の悪化に伴う政府の雇用対策に迅速に対応するため、雇用調整助成金を活用した教育訓練の実施を希望する事業主に対して開設した講習です。次に、指導員の派遣数は延べ4,054人、設備の貸与については1万2,994件でした。
 35頁は評価シート9、能力開発関係の助成金業務ですが、自己評価は「S」を付けております。
36頁の評価の視点1は、キャリア形成促進助成金制度の周知です。キャリア形成促進助成金制度の内容の変更については、改正同日、ホームページで公表いたしました。また、パンフレット等を作成し、事業主へ配布するとともに、ハローワークなど関係機関においても配布されるよう連携を図ったところです。実績としては説明会の開催が1,602回、参加者数は4万4,836人で、説明会後の個別相談は4万1,842件ありました。満足度調査については、80%以上の目標に対して90.4%と、目標を大幅に上回っております。その下にあるように、利用した事業主、労働者に対してフォローアップ調査を実施しておりまして、その結果は98.4%の労働者から、キャリアアップが図られた、96.9%の事業主からは、訓練等の実施につながったとの評価を得たところです。
 評価の視点2は、書類の簡素化と不正受給防止対策です。先ほど説明した雇用開発助成金と同様の業務の取組みを行っておりますが、実績を記載しております。職員の研修441件、事業所を直接訪問した件数は2,547件、疑義ある事業所はすべて訪問したところです。なお、キャリア形成促進助成金の支給件数は1万9,814件ありましたが、不正受給件数は0件でした。
 37頁の評価の視点3は新規返還者の初年度返還率ですが、経済的困難者に対して資金を貸し付ける制度として、技能者育成資金制度を設けております。取組内容について記載しておりますが、貸付業務の効率化、回収業務の強化を図りながら、適切な債権管理に努めたところです。特に回収業務の強化に当たっては、電話による督促7,759件、督促状の送付1万2,028件を実施いたしました。このような取組みの結果、右側の実績としては、初年度返還率が97.3%と中期目標の最終年度の達成目標を1年前倒して達成したところです。グループ2の説明は以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙へ評定等の記入をお願いいたします。質問等があれば、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 23頁ですが、産学連携や大学等の関係機関との連携強化というテーマで事例が2つ記載されてまして、資源が有効に使われているのかなと評価できると思います。この頁の上に65件、12件と件数が書かれてあり、前年度は62件、14件とそれぞれ記載されていますが、ほぼ同じ件数です。ただ、内容的に、例えば62件や14件のうち、素晴らしい結果を出せたもの、成果を出したものが、このうち例えば4分の3とか3分の2ぐらいあったと。それに対して今年度はもっとアップしているとか、中身の評価と言いますか、そのような観点から説明していただければ非常にいいと思います。

○雇用・能力開発機構大学校部長
 前年度は62件、14件ありましたが、大体それの3分の2ぐらいが私どもが持っているものづくり力を利用した改善研究であり、残りの3分の1ぐらいが今日の例題にあるようなものを作っております。つまり、3分の1ぐらいのものについては製品化されたり、あるいはまだ製品化には至っていないが、実際の生産現場で使用している試作品であると分析しております。

○加藤委員
 そうすると、平成21年度に比べて平成22年度は、内容的にも有効性の度合がアップしていると理解してよろしいでしょうか。

○雇用・能力開発機構大学校部長
 私どもはものづくり力を活かしまして、最近はアグリビジネスに参入しております。農業、林業といった分野には、工科系大学が参入しにくい部分があるのですが、私どもは地域に根付いておりまして、非常に期待されていることから、アグリビジネスに入ってきております。アグリビジネスの中においては、例えば組込み系の電子回路の設計技術などを活用し、家にいてもビニールハウスの土壌状態を確認できるとか、タケノコの皮を自動的にむくことができる機械とか、サトイモなどを大きさによって選別する機械などを開発しております。そういった面では年々実用化できる、製品化していける方向で取り組んでいるところです。

○加藤委員
 わかりました。

○雇用・能力開発機構理事長
 共同研究といった類のものは、能開大の場合は学生が毎年替わっていきますから、毎年レベルアップしていく類のものとはちょっと違うのです。正直言いまして、提携先は変わっても、似たようなレベルの共同研究をやって、実務技術者としての能力を習得して就職していくというものですから、研究開発機関とはちょっと違うのです。しかし、中には突然特許を取って、中小企業が製品化していくものもあります。そうなると、私どもの責任からは離れて、ビジネスの世界になりますから、大学校は責任を持たないというか持てない、学生の卒業研究の一環としてやっているようなものなのです。中には毎年毎年持ち越しのものがあります。次の年次の2年生なり、4年生に持ち越していくというものです。しかし、加藤委員が言われたような毎年レベルアップしていくという形ではないと思っております。

○加藤委員
 その中でも新規性と言いますか、先ほど言われたようなアグリビジネスなどといった新しい観点からのものも、工夫を取り入れながらやっているという理解でよろしいですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 大学校のロケーションがかなり田舎にあることが多く、田舎と言うと、すぐ農業と結び付いていくわけです。ナスの皮をむいたり、青森短大ではリンゴにちょっと触ると糖度がわかったりするもの、これは既に実用化されているのですが、ロケーションの都合で農業との連携が多いわけです。今年も全国アグリビジネス大会があって、私どもからも18点ぐらい出して、非常に盛んなのです。しかし、そのレベルは年々高くなっていくものかどうか。よく似たレベルのものになる。学生の研究ですから、そのように思っていただくと、より実態に合うものになると思います。

○加藤委員
 わかりました。

○今村部会長
 指標について具体的にお伺いいたします。最終的な質問ですが、32頁のキャリア・コンサルティングを受けた利用者のアンケート調査において、99.4%の満足度というのもさることながら、「大変役に立つ」が68.8%と非常に高いということです。ここのことに注目して他の指標と比べたところ、26頁も98.6%、97.5%とそれぞれ高いのですが、「大変役に立つ」が少なく、特に事業主に関しては20.6%しか「大変役に立つ」と答えていないのです。また、「S」と申告された36頁の職業能力開発助成金等の業務に関しては、「大変理解できた」が11.3%、「理解できた」が79.1%と書いてあります。このようなことを考えながら、達成率を割り引いたり、割り増したりしながらやってきて、とりわけ32頁の「大変役に立つ」というのは一体どういうことなのか。
 このようなことを申し上げていいかどうかわかりませんが、これは事業仕分けの対象になった分野かと思います。先ほど言われた政策によってアドバイザーが4割削減されたとか、そのように厳しい状況の中でこれだけの高い満足度が得られたということは、機構の中で何らかの努力をしたのか、そのようなことを伺いたいのが1つです。この辺はいかがでしょうか。

○雇用・能力開発機構理事長
 これはアンケート調査のデータを素直に持ってきただけですから。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 今回の事業仕分けはジョブ・カード制度全体の仕組みと助成金制度で、いわゆる個人に対するキャリア・コンサルティングですので、私どもはジョブ・カードを活用してキャリアの相談をしているという意味です。つまり、個人対個人ですから満足度は非常に高くなっているということだと思います。この部分は仕分けとはリンクしていないと思います。

○今村部会長
 個人対個人の評価については、満足度が高く出る傾向があるということですか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 そうです。

○今村部会長
 それに対して先ほどの26頁は、実績値は確かに大幅に上回っているのですが、役に立つという割合のほうが圧倒的に多い、これは1対多というか、受講者の満足ということだから若干低くなる傾向と考えてよろしいのですか。

○雇用・能力開発機構業務推進部長
 26頁の在職者訓練の満足度ですね。いま言われているのは、事業主の満足度の赤い部分が少ないのではないかということですね。私どもが行う在職者訓練は、当然ながら前年度にさまざまな企業を回って、企業の作業実態や職務実態を調べます。先ほど6千社回ったとありましたが、ポリテクセンターは全国約60箇所あるので、1所当たり大体100社程度調査し、それぞれの企業が抱える課題や直近の課題を探していくことになっております。しかし、私どもが開くコースというのはレディメードと言いますか、ニーズ調査をしながらそのエリアの部分を捉えて、レディメードのコースを設定するのです。これは地域にある多くの事業所の方に受講していただくという趣旨があります。その結果、事業主の満足度がピンポイントになっていないということもあり、また、調査を1ヶ月後にやっていることから、業績、成果がまだ表れていないということだろうと思います。
 逆に、オーダーメードという方式もあるのですが、これで調べると、例えばある施設でPLC制御の実務というコースを、1つはレディメードで1回実施した。そのときの事業主の満足度ですが、10社の企業のうち、そのうち2名の事業主が大変役に立ったと言っております。それを個別の企業で、オーダーメードでやってほしいということになると、当然ながら、事業主は非常に満足、受けた人も痒い所に手が届くような内容になったので大変満足したという傾向があるのです。すべてをオーダーメードでやれば、この赤い部分の比率は上がると思うのです。私どもは先ほど言ったように、地域の最大公約数的なニーズを拾ってコースを作るという部分があるためだと分析しております。

○雇用・能力開発機構理事長
 26頁は在職者訓練ですが、私どもの3大訓練である在職者・離職者・学卒者訓練のうち、いちばん訓練レベルの高いのが在職者訓練で、次が学卒者訓練。離職者訓練は、とにかく就職させるためのベーシックな訓練はしますが、レベルはそれほど高くないのです。この在職者訓練は非常にレベルが高い訓練と思っていただいて、私はこれを、受講者の満足度と事業主の満足度とでは意味合いが違うと理解しております。受講者はセミナーで高いレベルの訓練を受けて、まさに自分の知識なり、スキルが身に付いたことによる満足で、事業主の満足として「大変役に立つ」というのは、まさに今やっているビジネスにピタッと当たったのではないか。その能力はこれからのビジネスに何とか使えるというのが、「役に立つ」ではないか。ですから、いくら頑張っても、この20.6%が40%になり、50%になることはないのではないかと思っております。事業主の満足というのは、ビジネスにフィットしなければ、大いに満足という評価にはならないと思うのです。総じて、97%は将来的にこのスキル、知識は身に付くからいいだろう、役立つだろう、その程度の評価ではなかろうかと思っております。もちろん、受けるほうの立場はそうではないです。

○今村部会長
 機構としては予算等の変動で厳しい状況に置かれていると思いますが、せっかくそのような知見を得られたのでしたら、是非、次の組織に引き継がれるようにしていただければと思います。

○雇用・能力開発機構理事長
 これは実行部隊そのままでいきますので、ご心配なく。

○川端委員
 キャリア・コンサルタントについてお伺いします。大変いい仕事をなさっているようですが、キャリア・コンサルタントというのは全部この機構の職員ですか。それとも外部委託もされているのでしょうか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 私どもには能力開発支援アドバイザーという14日勤務の嘱託がおりまして、主に安定所を巡回しながら離職者に適切な訓練コースへの誘導や就職支援をしております。先ほど半分に減らされたという話がありましたが、530名ほどおります。その方々が中心ですが、いわゆるジョブ・カードを使ったキャリア・コンサルティングについては、ポリテクセンターや大学校の指導員の方々にもそういった勉強をしていただき、ジョブ・カード講習を受けていただいた上で、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングをお願いしております。実際の訓練の時間がありますので数としては多くはないかもしれませんが、約2,500名が登録キャリア・コンサルタントになって、キャリア・コンサルティングを行っているというのが実態です。

○川端委員
 厚生労働省がキャリア・コンサルタントの国家資格制度を作っていますが、それとの関係はどのようになっているのですか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 現在、数十名の方がそれに該当していたと思います。

○川端委員
 検定を受けているということですか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 2級の技能検定を取られている方々です。それ以外にキャリア・コンサルティングの資格を持っている方、いわゆる民間の養成講座を受けられた方、それから産業カウンセラー、いまの技能検定を取られた方々が、先ほどの500名ほどの中の約6割に該当します。職員はもう少し低いと思いますが、そういった状況です。あとは、例えば安定行政などでキャリア・コンサルティングというか職業相談などを長年やってきた方々を採用しているということです。

○川端委員
 職業安定所の現役あるいはOBも、キャリ・コンの国家資格を随分受けられていますが、そのような人たちと連携して何かやっているのですか。それとも別々に活動しているのですか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 同様に、職業安定所でも離職者あるいは基金訓練の受講者に対するキャリア・コンサルティングをやっておりますが、このたび機構はそれから手を引くことになるということです。

○雇用・能力開発機構理事長
 アドバイザーが838名から530名と、半減まではいかないですが減っております。なぜ減ったかと言うと、減った分はハローワークが所管するアドバイザーが対応することになったからで、総量的には変わらない。私どものキャリ・コンができるアドバイザーは、これからは離職者訓練なり、学卒者訓練の訓練を受ける訓練生中心にキャリ・コンを行うと。いままでは私どもの職員がハローワークに出向いてキャリ・コンをやっていたのですが、それを分けたということでして、手を抜いてきたわけではないのです。

○中野委員
 36頁に、助成金を利用した結果、その満足度が出ているのですが、労働者側からは、キャリアアップが図られた、訓練の実施につながった、とあります。具体的な成果というのは、各事業所のどのようなことに表れるものなのでしょうか。例えば、助成金を使うとこのように事業能力がアップするなどといった事例集等を、他にアプライする人は手にできるものでしょうか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 利用した事例等については、ホームページにアップしております。

○中野委員
 例えばどのような感じですか。満足の図られた内容として、典型的に言うとどんなことで利用しているのでしょうか。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 教育訓練を受講したというのが一番多いと思います。

○中野委員
 教育訓練を受講したことが、具体的に職場でキャリアアップになるという、そこが。

○雇用・能力開発機構雇用管理部長
 技能検定やいろいろな技能審査などを受けていくということがあります。そのときに賃金の補助をしてくれるとか。

○中野委員
 賃金補助ですか。わかりました。

○本寺委員
 評価シート9の職業能力開発関係助成金等の業務は、自己評価を「S」としているのですが、「S」の感覚というのは、基準を100としたら120とか130を超えるイメージがあります。何ゆえ「S」にしているか、いちばんの要素を教えていただけますか。

○雇用・能力開発機構理事長
 これも先ほどと同じで、満足度ではなくて、後半の部類に評価が集まったということです。要するに、不正防止対策、37頁の技能者育成資金の返還への努力ということです。正直言いまして、育成資金の貸付対象者に対する督促が、やや緩かったという歴史があって、焦付きで溜まっているのが10年分ぐらいあり、もう二度と戻ってこないのではないかという人がかなりいる。きちんと返している人が圧倒的多数ですが、焦付きだけを追いかけると、そうなるのです。そのような状況を二度と起こさないように、日ごろから督促をもっと強化していこう、助成金なり、育成資金の貸付金なりのモラルハザードを、これ以上高めない体制に、相当強く取り組んできているということです。このような実態について、大いに成果を上げているという評価が得られたものと思っております。

○本寺委員
 例えば初年度の返還率は、97%という目標に対して、実績としては97.3%です。

○雇用・能力開発機構理事長
 はい、新規返還者の初年度返還率です。これを高めないと、その後も返還が滞ってしまうので、ここから返還する人の意識づけをしていこうという努力ということです。

○本寺委員
 単純にいくと、評価で出している目標が97%であるのに対して、97.3%とほぼ同じ数字で戻ってきている。

○雇用・能力開発機構企画部長
 本来であれば、中期目標期間が平成23年度まで計画としてあるのですが、今回の計画については平成22年度実績として平成23年度の目標を達成してしまったということによるものです。

○本寺委員
 目標達成したのであれば、それは「A」か「B」ですが、それが「S」というその根拠が、なぜだろうと。

○雇用・能力開発機構大学校部長
 比較論でして、同様な育成資金を貸し付けている日本学生支援機構の中期目標は95%で、日本学生支援機構というのは、サービサー制度というのも使えますし、機関保証といったものも活用できる環境にあっても95%程度の返還状況にあるのに比べて、モラルハザードの中にあって、先ほど理事長が話したような回収強化に努め、それを上回る回収状況にあることを評価していただいたのだろうと思っております。

○宮本部会長代理
 29頁の下半分にある日本版デュアルシステムの説明について、デュアルの中で機構が引き受けているのは、先ほどの質問と同様、ものづくりの部分ということです。その場合、ハローワークや都道府県のセンターで、仕分けをする形で機構のデュアルにくるか、民間の教育機関等にいくかで分けているわけです。その辺りのところで、機構が受託した日本版デュアルシステムのほうはかなり就職率等が良く、民間はかなり落ちています。先ほどと同じような質問になってしまいますが、機構でデュアルをやってこれだけ成果が上がるのであれば、その部分の定数をもっと増やして、積極的に投入するということが考えられるのではないかと思うのです。ハローワークのところで分けているわけですが、どのような判断で機構をこれだけにして、それ以外をこちらに分けたのか。仮に、より多くの人を受けたとしたら、引き受けるだけのキャパがあるのかとか、あるいはもっと来ればいいのにといったことがあるのか、その辺りはどのようになっているのでしょうか。

○雇用・能力開発機構業務推進部長
 確かに、ポリテクセンターには2,400名の受講生がいて、民間でやる人は1万5千名というように違います。まず、私どもの対応として、ポリテクセンターというのはものづくり訓練ですので、例えばパソコンが30台置いてあって、そこで座学をやるのであれば30人できるでしょうが、実習場であれば、ターニングセンタ、マシニングセンタというものづくりの機械があるのですが、1台でせいぜい4、5人のグループができるぐらいですから、増やそうと思ってもキャパの問題でなかなか増やせないということがあります。
 もう1つ、こうした計画については国のほうで需要を見込みながら、施設内訓練で何名、委託訓練で何名という割り振りがされるわけです。私どもはその範囲でやっておりますので、こちらでやみくもに増やしたとしても、それだけの予算もないし、なかなかできないわけです。もう1つ、就職率については、17頁に就職支援の取組みがありますが、これは指導員がさまざまな取組みをやっているということで、就職に対する総合力が相当違うのです。民間の場合、私どもが最初にお願いするときは、実施機関には就職担当者が1名以上配置され、履歴書や職務経歴書の書き方を教えていただくなどという最低の条件があったのです。そこが参入の要件になってくるからです。そこの総合力の差というのは相当違ってきていると思うのです。
 20頁のノウハウの提供ということでは、右に委託訓練、事例集等の提供とありますが、これは私どもが持っている240の訓練科のカリキュラムを民間教育訓練機関へ提供したこと、また、訓練実績や委託訓練の事務手続が書いてあるものですが、こうしたノウハウを47都道府県中、46県に提供いたしました。また、先ほど言ったように、さまざまな就職支援ツールを、勉強会ということで都道府県にも提供いたしました。左にあるワークガイダンス講習は、職業能力形成機会に恵まれない方々に対して、導入的な訓練として職業意識の啓発、仕事理解、簡単なレディネス、ビジネスマナーを教える講座があるのですが、民間の講師の方々に対して、私どもは講師養成の講座をやるなどの支援をしております。これは去年の評価委員会の指示事項でして、それを忠実にやったということです。以上のようなことで、我々は民間の行う訓練の就職率を一生懸命伸ばしている最中だと思っております。
 先ほど就職率は委託訓練で65.3%と辛うじてということがありましたが、最初を見てわかるように、60%です。その間に民間教育訓練機関を巡回しながら実際の業務日誌を見たり、アンケート等を調べたりしながら、それぞれの事業所、民間の教育訓練機関を相当指導した結果、何とか65.3%までいったということです。さらに言わせていただくと、いままでは企画競争ということで、民間がいろいろな提案をしてきたのですが、価格競争の入札になると、最低限の基準がありますが、それ以上はなかなかしなくなるわけです。そのようなこともあって、民間の行う訓練の就職率は苦しいところがあったと思います。私どもは民間教育訓練機関を巡回しながら、就職率65%以上に回復するように指導してきたということです。私どもは民間を忘れたわけではなくて、支援は一生懸命しているということです。

○宮本部会長代理
 これは機構の評価というよりも、厚生労働省が日本版デュアルシステムを全体としてどう評価しているかという話で、機構の評価とは違うかもしれませんが、このように差が出てくると、デュアルのあり方と言いますか、全体としての効果を上げていくために、人をどこにどう配分していくかということは検討の余地があるような気がしております。

○雇用・能力開発機構理事長
 先ほども申し上げたように、能開大、短大、ポリテクセンターを合わせると2,500人ぐらいになるのですが、これは就職率が非常に高いからどんどん増やすと言っても、訓練することの目的は求人にバランスしないといけないわけです。仮に、2,500人を2万5千人にして、訓練設備を増やしてやれば就職率はドーンといくではないかと言われても、そういうわけではないのです。日本の訓練需要を先ほど7対3と非常に大ざっぱに言いましたが、やはり、どこかでものづくり訓練の必要な総量、新たに投入する総量というのはあるはずです。これを増やせばもっと就職できるということには、なかなか言い切れない。

○宮本部会長代理
 今のこの2,500人という数ですが、この辺りが妥当なところだというご判断ですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 わからないです。バランスがどこで崩れるかはわからない。ただ、これはフリーター対策ですし、先ほどの基金訓練の中にもそのような人たちが入ってくるのですが、基金訓練も非ものづくりです。低次元で安定してものづくり訓練をやっているかどうかというのは、判断がなかなか難しいところです。非ものづくりでの訓練を受けたいという人は多いのですが、その人の質も含めて求人側が魅力を感じてくれるかどうかなのです。ですから、どうしても就職率が落ちるという面があるのではなかろうかと思います。

○今村部会長
 進行役がさらに質問して申し訳ないのですが、そのことに関して能開機構は真のものづくり、高度なものづくりということでやってこられたわけですね。ただ、ものづくりに関する指導員というのは終身雇用というか、正社員が多いわけですが、例えば風力発電のものづくり、太陽光パネルの製造のものづくりなどの人材を養成してほしいというニーズに関しては、既存の人材ではできないわけです。いま量的な話をされましたが、ものづくりの質的な部分について、どう産業構造の変化に対応していくか。これからこれが引き継がれていくわけですから将来のことも見越して、その辺の柔軟性について少しだけご示唆をいただければと思います。

○雇用・能力開発機構理事長
 それは私どもができないと断定されるとちょっと困るのですが、そのようなのはどこから始めるかと言うと、能開大で始める。失業者訓練に入れるというのは、まだちょっと早いので、能開大の高度技能者養成の講座の中、いま東京校で試行しているのですが、先端的な能開大で環境エネルギー学科と言いましたでしょうか。

○雇用・能力開発機構大学校部長
 電気エネルギー制御科と言いまして、省エネルギーとか環境エネルギーをターゲットの技術として、現在試行に取りかかっているところです。平成24年度から全国のポリテクカレッジに新しい科として設置することとしております。

○雇用・能力開発機構理事長
 それには指導員を新たにというよりも、今いる指導員に電気なり、そういったことで指導員の技術力を広げる再訓練、再教育をしないと、もうボロボロになってしまい、みんな余剰人員になってしまいますから、再訓練を総合大の研修の中でやる。新しい学科に挑戦し、それを全国に展開していく。いずれは離職者訓練にもそのような講座は出てくると思いますが、求人情報の中には、数としてまだ表れてきませんので、そんなに遠くない将来、先生が言われるような訓練コースが出てくる。特に、最近は非常に急ピッチでエネルギー問題が起こっていますから、来ると思います。まずは能開大で今試行し、来年度からは本格実施も広く実施していくという動きになっているという状況です。

○今村部会長
 是非、そういった努力を継続されるようお願いいたします。

○雇用・能力開発機構理事長
 わかりました。

○今村部会長
 次に、グループ3の「指導員養成、訓練コースの開発等」から「組織・人員体制」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明15分、委員の評定として15分の合計30分です。それでは、法人から説明をお願いいたします。

○雇用・能力開発機構企画部長
 38頁をお開きください。評価シート10「指導員養成、訓練コースの開発等」です。これは今ほど出ましたように、神奈川県相模原市に総合大を設置しています。ここでの業務になります。1つ目は主に高等学校卒業者を対象とする指導員の養成、2つ目は現任指導員となっている方に対する再研修、3つ目は職業訓練に対する調査・研究の3つの柱で業務を行っています。自己評価は「A」を付けています。
 39頁をご覧ください。評価の視点1、幅広い能力を有する人材の養成です。産業構造の変化や指導員に求められる能力の変化に対して、教育内容の充実としては企業でのインターンシップの実施や、複数の訓練科の指導員免許が取得できるよう、カリキュラムなどの見直しを行いました。就職支援の強化としては、就職支援センターの設置あるいは先輩OB等との連携などを行うことによりまして、求人情報の早期把握、求人確保に努めました。このような取組みを通じて、右側に就職の実績を記載していますが、就職率が99.5%と理系の大学の就職率と比較しても、相当高い数値を示しています。そのうち、長期課程の指導員養成の指導員としての就職率は38.7%になっています。下段に、総合大のカリキュラムの特徴を記載していますが、カリキュラムは国立大の工学部の約2倍、5,784時間を組んでいて、その中でものづくり関係として全体の約7割の4,010時間のカリキュラムの編成となっています。
 40頁は、指導員の再研修について記載しています。先ほど話が出ましたように、指導員は技術革新の進行などに的確に対応すべく、専門性の拡大、レベルアップを図るための研修を実施しています。研修の対象者は都道府県、私どもの機構、企業の指導員などに対して行っていますが、162コースを実施し、受講者が1,794人となっています。研修のあとにアンケート調査を実施していますが、93.7%の方から研修目的を達成したとの回答を得ています。研修の内容は中ほどに記載していますが、訓練技法開発等研修、技法・技術実践研修、テーマ別研修と、それぞれ分野別に実施をしています。また、中段の下のほうに受講者の利便性などを考慮して、出前型の研修を実施しています。その実績は、前年度より99人多い560人実施しました。
 41頁は、評価の視点2、訓練の実施に資する調査・研究です。訓練コースの開発として、調査・研究のテーマは厚生労働省の政策上のテーマ、あるいは当機構で業務を実施する上で必要とするテーマで行っていますが、調査・研究に当たっては外部の有識者を含めて行っています。右側に、訓練コースの開発の実績を記載しています。これは民間の企業が活用するものですが、ジョブ・カード制度の能力形成プログラムのモデルカリキュラムとして、4業種12コースを開発しました。中ほどに、調査・研究の主なものとして4点ほど記載していますが、その普及実施については右側に記載しているとおり、ホームページのアクセス件数が107万2,007件、ダウンロード件数が3万3,464件となっています。また研究報告書など、配布件数は前年度より306機関多い2,113機関に配布をし、普及を図りました。
 42頁は、評価シート11「公共職業能力開発施設等」です。自己評価は「B」を付けています。
43頁は、評価の視点1、ポリテクセンターの訓練内容や実施規模になります。ポリテクセンターにおいては、雇用失業情勢などを配慮しつつ、ものづくり分野に特化して訓練を実施しました。離職者訓練は96.3%、在職者訓練は100%、ものづくり分野のコースを設定し、実施しました。
 次は、能開大の訓練定員の見直し関係です。見直しの内容は、専門課程の訓練科について109訓練科から87訓練科に再編をして、定員を2,380人から2,010人に削減を行いました。次は、総合大の養成定員の削減です。見直しの内容は、外部有識者で構成する委員会で訓練需要の予測をしていただいて、その結果を踏まえて7訓練科について4科に再編をして、定員を200人から120人に削減を行いました。業務量に応じた適切な人員あるいはコスト関係です。これについては離職者訓練、在職者訓練など、訓練生1人当たりの経費を算出して、施設のあり方の見直しの検討に活用しました。
 44頁は、評価シート12「財形業務」です。自己評価は「A」を付けています。
45頁は評価の視点1、財形制度内容の変更の公表です。貸付金利の変更については、確定した当日にホームページに公開しました。その3つ下に、ホームページ上の財形資料請求コーナーを活用して、利用者の資料請求に迅速に対応しました。こういった取組みによって、ホームページのアクセス件数は前年度より1万4,191件多い15万2,396件となっています。外部委託の活用や関係機関との連携です。民間広告代理店にインターネット等を活用した広告を委託して、ホームページのアクセス件数が対前年度同月比で38.5%の増、対前年度では10.3%の増となりました。
 次の視点は、財形制度の説明関係です。説明回数が539回、事業所訪問件数が3,853件、相談業務が前年度より1,725件多い1万1,275件実施しました。右側は、理解度の調査です。目標に対して92.3%と目標を大幅に上回りました。
 46頁は、評価の視点4、財形融資の審査能力の向上と適正な貸付金利の設定です。審査能力の向上については、住宅金融支援機構等と必要な情報交換を行いまして、短期座学講座の受講などによって、担当者の融資審査能力の向上に努めました。またマニュアルを作成して、金融機関、都道府県センターにそれぞれ配布をしました。貸付金利の設定については金利を確定するため、住宅金融支援機構、厚生労働省と毎月調整を行い、適正な貸付金利の設定を行いました。
 視点5、業務の効率化です。広報資料の作成、広報の外部委託について見直しなどを行いまして、経費は対前年度比で11.5%の削減を行いました。
 47頁は、評価シート13「助成金等の平均処理期間の短縮、特例業務」です。自己評価は「A」を付けています。
48頁は評価の視点1、助成金などの平均処理期間の短縮です。取組状況は、助成金の業務は制度の周知を図りながら職員の審査能力の向上にも努め、取り組みました。その結果は右側の囲みになりますが、1件当たりの平均処理期間が4.5%の短縮となりました。5%にはわずかに届かなかったわけですが、参考1にあるようにキャリア形成促進助成金の雇用型訓練に係る助成金の支給件数が、前年度より2,541件多い3,365件と大幅に増加したことが考えられます。また、職員は毎年削減されていますが、このような状況の中で参考2にあるように平成18年度と比べますと、支給件数が増大しているにもかかわらず、処理期間は3日間の短縮を行いました。
 49頁は特例業務です。1つ目は、ジョブ・カード制度の実施です。この制度は、内閣府に成長力底上戦略の一環として、平成20年度から始まった事業です。ジョブ・カードの交付は求職者等に対して、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施をした上で能力形成プログラムへの誘導を行うわけですが、ジョブ・カードの交付件数が11万4,952件、計画に対する達成率は125.5%となっています。
 2つ目は、政府間の技術協力です。国、JICAからの要請に対して、できる限り要請に応えるべく国際協力を行っています。内容は、開発途上国から研修員として受け入れて実施する。あるいは指導員を開発途上国に派遣して、技術移転、訓練制度の整備などを行っています。右側に実績を記載しています。研修員の受入れは主に総合大において受け入れていますが、2コース12名、視察型研修員の受入れは60ヶ国の121名を受け入れました。留学生の受入れは総合大において実施していますが、主に東南アジアからの受入れになっていて、現在63名が在籍をしています。また、専門家の派遣はコンゴやヨルダンに5名の派遣を行いました。
 3つ目は、東日本大震災に係る対応について記載しています。職業訓練は先ほども触れましたが、関係機関との連携を密にして復興訓練を実施しています。いちばん下に記載している雇用促進住宅は、3月末で402戸対応していますが、6月30日現在は5,452戸となっていて、分布図にあるように全国くまなく活用が図られています。
 52頁は評価シート14「組織・人員体制」です。自己評価は「A」を付けています。
53頁は、評価の視点1、組織の見直し関係です。取組みとしては、機構本部職員からなる委員会で本部組織の見直しの検討を行いまして、雇用開発業務に係る本部組織の見直し、あるいは都道府県センターの所掌の見直しを実施しました。
 視点2は、職員の専門性を高めるための計画的な研修です。平成22年度の取組みとしては、指導員と事務職の研修をそれぞれ記載しています。下段に、「職業訓練指導員人材育成システム’09」について記載していますが、毎年度目標を設定し、PDCAによる確かなステップアップを図るために、各階層に応じた研修を実施しています。このような取組みを行いまして、上段の囲みになりますが、研修の受講者数は全職員の約3割に当たる981名の受講となっています。
 54頁は、評価の視点3、社会ニーズに機動的に対応できる指導員体制です。訓練の実施に当たっては、必要に応じて外部の教育機関、企業などから講師を招聘し活用しているほか、民間などから任期付き雇用により20人の受入れを行っています。また、内部統制に係る体制整備として3点ほど記載していますが、内部通報処理制度、人事評価制度、内部監査制度についてはそれぞれ運用し、実施をしています。グループ3の説明は以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。委員の皆様は、評定記入用紙へ評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 39頁の評価シート10ですが、就職率99.5%ということで、ほぼ100%に近いと思います。括弧書きの95.2%は前年度実績だと思いますが、その下の点線の囲みの中の指導員の就職率38.7%とありまして、前年度の41.4%よりも若干下がっている。そもそも絶対値で見た場合に、例えば指導員の方の就職意欲や諸事情があるかと思いますが、評価する場合に38.7%という数字についてどう評価をしたらいいのか。その考え方等も含めて、具体的にご説明いただければと思います。

○雇用・能力開発機構理事長
 もともとは、総合大の長期課程というのは指導員養成の課程で、本当は100%であるべきものだというので随分ご批判を受けて、ご批判を受けたときは8.2%とか10.1%とか、こんなものは存在意義がないから廃止だと言われたのが自・公政権時代の行政改革でした。
 なぜこういう結果になっているかというと、いくつかの理由があります。1つは次の項目に出てきますが、圧倒的に要員削減というものすごい人員削減の目標値がドンと定められて、民間企業はいまはいろいろなやり方がありますが、ここは自己都合の人も若干ありますが、定年で辞めていく人と新たに入る人のギャップで人員削減を行ってきた経過があって、7名や16名で充分というわけではなくて、平成17年、平成18年頃は、そういう理由でなっています。これは、いくら何でも厳しいというので、42名と39名と増やしている。平成21年度と平成22年度の差はあまり意識しないですが、そういう状況でした。黄色い所の都道府県や、そのほか民間の認定訓練校の指導員も欲しがっている所もあって、これが増えてきたというので指導員就職率が40%前後。それは適正なのかと言われると、訓練コスト上はあまり良いことではない。それが理由に、総合大の改革が平成23年度以降、指導員を長期課程修了者ではなくて、長期課程もなくしていく方針ですが、一般大学や、うちの能開大の生徒でもいい、民間の有経験者でもいい、指導員候補者を採用してハイレベル訓練と称して、1年か2年か、まだそこまでは固まっていませんが、新たな指導員訓練の教育の課程を作ろうとしている。それをやると採用方式ですから、100%指導員になる。いまの課程は、高校新卒方式です。18歳のときに、指導員になる意識を持っている人間も若干いますが、それ以外は理工系の勉強をしたいと思って入ってくる学生が多い。だから、高校新卒採用方式のいまの方式だと、絶対に100%にはならないという状況であって、そもそもシステムからいって訓練コストの効率の悪い構成になる。指導員教育のための訓練をもう50年やってきたわけですから、今後は見直しがちょうどここ3、4年の間の経過措置を置いて、完全に新しい体制に変わっていきますが、そういう背景があります。
 それでも、うちの機構にとってみれば40名の採用をもう少し増やしたい。ちょうど団塊の世代で入った指導員がみんな定年を迎えていまして、指導員がだんだん不足しています。だから先ほどの地震の対策でも、全国から掻き集めて応援に行くぞという余裕がだんだんなくなって、本来の各ポリテクセンターでの訓練を他の人に任せて引っこ抜いて臨時の訓練に回すという、いま非常につらい状況にある。それが事実です。けれども、要員管理の面でこうなっている。平成23年度はこれから10月1日付けで内定される予定ですが、もう少し増やしていく形にはしないといけないだろうと思っている状況です。

○加藤委員
 よくわかりました。ありがとうございます。

○本寺委員
 逆にわからなくなって、この指導員は約4割の人が就職して、残り6割の人たちはどうなっているのですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 民間企業から引っ張り凧です。

○本寺委員
 ということは、民間企業に在籍したまま、こちらに来られるという意味ですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 これは学位もらえますから、工学士ですから、民間企業に就職する工学部卒業の学生と同じです。

○本寺委員
 そうすると、指導員就職率の38.7%というものが。

○雇用・能力開発機構理事長
 あと6割が民間企業に就職する。

○本寺委員
 この大学に来た中で、そこから指導員になっていく人が4割。

○雇用・能力開発機構理事長
 そうです。38.7%が。

○本寺委員
 わかりました。どうも失礼しました。

○雇用・能力開発機構理事長
 というのは、技能習得訓練が相当進んでいますから、技術的素養と技能的素養の両方を兼ね備えているので引く手数多です。

○今村部会長
 いまのに関連して、39頁の下に国立大学工学部の2倍の5,784時間ということは、それだけコストというか金を掛けているわけですよね。つまり過剰品質という言い方は変ですが、コストベネフィットについては機構側の視点からするとどうですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 そもそもが、指導員訓練のベースになっているカリキュラムになっていますから、指導員というのはものづくり訓練だとすると能書きだけでは訓練ができなくて、自分がある程度スキルが持たないといけない。5,784時間というのは、普通の工学部は3千時間ぐらいだと思いますので2倍ですが、技術的な勉強と技能的な勉強の2人分をやると思っていただいたらいいのです。だから、夏休みもとても短いし。

○今村部会長
 それはわかりますが、つまり民間に6割就職するということは、それだけのスピルオーバーというか、技能プラス指導員として民間が受け止めて、そこで民間にインパクトが通常の工学部卒よりも非常に大きいという評価があれば教えていただきたいということです。

○雇用・能力開発機構理事長
 あります。民間に行く人も職業訓練指導員の資格を付与されますから、残り6割全員が全員製造業に就職するわけではないですが、かなりの部分がものづくりの生産技術とか、そういう仕事に行くので、いずれは生産技術の人間というのは必ず現場に行って、いろいろなものづくりの指導をしていく段階が来るから、そのときには非常に有効な働きをしていく。先輩が相当つながっていますので、知る人ぞ知る、技能と技術のわかる工学士になっています。

○今村部会長
 もう1つだけ、人員配置についてお伺いしますが、費用削減、人員削減の現状の中で、先ほど来政策の転換、いろいろしています。例えば49頁にあるジョブ・カード制度の実施が125%に達していますが、政策変更の中で人員配置はどうなさっているのか。かなり急激に政策が変更して、政策メニューが変わっていきますよね。そのときに人員配置について、限られた人員を、削減という大きなトレンドの中で、どういうふうに配置をして目標を達成されているのかを簡単に説明いただければと思います。

○雇用・能力開発機構理事長
 詳しくは総務部長に説明させますが、うちは2種類の要員、助成金とかいろいろなことは事務職、それから訓練職。問題は事務職に来ます。雇用管理の助成金業務というのは、労働局に移管されます。そうすると、ズボッとその仕事がなくなる。今度の移管も、そういういろいろな問題があったのですが、その辺は総務部が巧みに再配置を計画してくれた。ちょっと説明させます。

○雇用・能力開発機構総務部長
 事務職については、指導員の業務以外の業務は、すべて事務職がやるという形で総務・経理部門、業務の中でも、いままでですと委託訓練の関係の業務などをやっていました。その中で、先ほど言いましたように訓練指導関係の業務以外の部分は事務職がすべてやりますので、その中で配置転換を行っていく。ですから、特に事務職についてはこの部分しかやらないという専門分野を決めていたわけではなくて、基本的には総務・経理の部門、業務の部門を等しくやっていけるように配置転換を行ってきたということです。ただ、指導員については先ほどの議論にもありましたが、技術変化に応じて再研修をやって、転換が必要な場合はそれほど多くはありませんが、転換が必要な場合には再研修を行って転換を行ってきているということです。

○加藤委員
 もう1点教えてください。46頁の評価シート12の財形業務の、下の評価の視点5の右側の取組内容を見ていて、また書きに書いてある内容で「広報資料の作成及び広報外部委託については内容の見直し等により、経費削減を行った。(対前年度比11.5%減)」とありますが、これは相当程度削減なされている印象を持った次第ですが、具体的にどういう施策を打たれて、どういう内容の見直しを行われたかの説明をお願いします。

○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長
 広報の外部委託ですが、現在はインターネット等を活用した広報をやっています。一括委託契約する中に「雑誌への掲載」という項目もあったのですが、そこをやめている、効果が薄いということです。もう1つは、広報資料の作成は前年度の余部が少し残っていたので部数を減らした。1,500万円程度の予算ですから190万円程度の削減ができたということで、この比率になっています。

○加藤委員
 わかりました。いまのお話に関連して、もう1点よろしいですか。3頁の総括的なところで、これは組織予算のところなのか、いちばん上の黄色い囲みで「随意契約の見直し」と書いてありますが、この関係もあるのかなといま思ったのです。それは、また別の項目でご説明なさるということですね。承知しました。結構です。

○今村部会長
 最後のグループ4、「業績評価」から「その他業務運営に関する重要事項」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明15分、委員の評定と質疑15分の合計30分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○雇用・能力開発機構企画部長
 55頁をご覧ください。評価シート15「業績評価」です。自己評価は「A」を付けています。
56頁の評価の視点1は、各事業についての評価・分析ということです。業績評価の仕組みは、平成20年度実績から青色の囲みのとおり、業績評価制度を導入し実施していますが、まず初めに本部部長で構成する内部評価委員会を開催して、次に右の囲みにあるように学識経験者、経済界、労働界からそれぞれ4名、計12名からなる外部評価委員会を開催して、最終的には外部評価委員会の評価結果をもって理事会で自己評価を決定しています。なお、当機構は1頁の概要にありましたように、約100の施設がありますので、各事業の計画、目標については施設ごとに年度当初に配分をして、その実績を本部が取りまとめ、進捗管理を行っています。
 評価の視点2は、事業の見直しです。取組状況は緑の囲みにありますように、平成20年12月の閣議決定を踏まえて、法改正を待つまでもなく実施可能な事項については速やかに着手すべきとのことから、右側の囲みにあるように情報処理技能者養成施設、あるいは地域職業訓練センターは85施設について地方自治体への譲渡を行いました。譲渡の取組みは、設置されているすべての県に直接出向き、県、地元市町村、施設の運営団体に対して説明をし、合意の上、譲渡を行いました。また、千葉の幕張に設置していた国際能力開発支援センターは、平成22年9月末をもって廃止をしました。訓練カリキュラムのノウハウは、先ほど説明したとおりです。
 57頁です。評価の視点3は、業務改善の取組みですが、フォローアップ調査のフローを記載しています。満足度、理解度などの調査は10事業に行っています。先ほどから、ずっと説明している内容であります。また、事業効果の測定を行うために、フォローアップ調査を3事業に行っています。その調査は、単に役立った旨の調査のみならず、各事業の属性に関する調査も併せて行っていて、それから否定的な意見、参考となる意見はセンター内に設置しているケース会議において検討して、業務改善に活かしています。
 評価の視点4は、業績評価の結果、業務の内容についての公表です。平成21年度の評価結果あるいはホームページで公表した業務の改善事例についても定期的に更新して、リニューアルを図りました。
 58頁は評価シート16「経費削減等、情報提供」です。自己評価は「S」を付けています。
59頁の評価の視点1は、一般管理費及び業務経費の削減です。実績は、一般管理費、業務経費の削減は、中期計画最終年度までに17.8%以上の削減の目標に対して32.3%の削減を行って、目標を大幅に上回りました。平成22年度の予算に対して削減した内訳を記載していますが、人件費の削減が16億円、物件費の削減が4億円、施設の修繕・整備を縮小したことにより31億円の削減を行って、合計で51億円の削減となっています。
 評価の視点2は、冗費の点検と削減です。取組みは、事務用品などの一括購入の推進、備品の必要最小限の保有にするなど、削減に努めました。右側にグラフを載せていますが、事務用品の本部一括単価契約は昨年の8月から実施をして、12.6%の削減効果がありました。
 60頁の評価の視点3は、役職員給与の見直し、人件費の削減です。取組みは給与上昇の抑制、諸手当の見直しを行いました。実績は、人件費の削減は平成17年度を基準として5%以上の削減目標になっていますが、26.7%と目標を大幅に上回りました。ラスパイレス指数は、前年度より2.2ポイント減の104.4ポイントとなっています。
 評価の視点4は、ラスパイレス指数が100を上回る場合はその理由の分析・説明ということです。要因は、1つ目は大卒者の占める割合が国の51.6%に対して、88.1%と大幅に上回っています。学歴勘案のラスパイレス指数でいえば、100.8となります。2つ目は、当機構は全国組織です。全国転勤となっていて、このため住宅手当、単身赴任手当などの手当を支給される者の占める割合が国より高くなっていて、これらのことが高い要因となっています。
 61頁の評価の視点5は、一般競争入札への取組みです。先ほどの質問はここの事項が対象になると思いますが、一般競争入札へ着実に移行して、見直し計画のフォローアップ、契約情報等をホームページで公表しました。実績は、ポリテクセンターの敷地にかかる地方自治体への土地借料、電気・ガス・水道料のほとんどが随意契約によらざるを得ないものですが、右側の表にあるように件数は703件から636件と改善を図りました。私どもは、施設の数が約100ほどありますが、それを1施設当たりで見れば、ほんのわずかな件数ではないかと思います。
 評価の視点6は、契約の透明性・競争性の確保です。一者応札あるいは一者応募に係る改善、随意契約の適正化、自主点検の仕組みの整備などの取組みをして実施をしました。契約監視委員会での適切な見直しと点検です。外部委員も含めた監視委員会において、随意契約の妥当性、契約価格の妥当性などの審議をいただいて、結果は機構の取組みは適切である旨、評価をいただきました。
 62頁の評価の視点8は、ホームページのアクセス件数です。取組みは訓練コースの紹介について、画像を織り交ぜながらわかりやすく提供するなどをしました。アクセス件数は平成18年度と比べ、10%以上の目標に対して66%増の1,023万件となっています。
 次の視点は、施設の有効活用あるいは保有資産の見直しです。施設設備の開放実績は、前年度より360件多い3,836件となっています。
 決算情報・セグメント情報の公表です。支出経費のセグメント情報として、施設ごとに主要な業務を単位として作成し、公表しました。財務諸表の概要、独法の会計処理を作成し、ホームページで公表しました。
 63頁は、評価シート17「予算、収支計画、資金計画、短期借入金、剰余金」です。これについても自己評価は「S」を付けています。
64頁は、財形融資に係る累積欠損金の関係です。実績は、当期利益の48億円を計上し、累積欠損金は前年度の41%減の120億円から71億円に減少しました。雇用促進融資における債権管理と財政投融資への償還です。この償還については、約定どおり元金22億円、利息8億円を償還しました。
 65頁は、雇用促進住宅関係です。ここについては、平成33年度までに譲渡・廃止業務を完了するため、住宅の譲渡等の着実な推進ということです。実績は、70住宅の譲渡を実施しました。次に、雇用促進住宅について合理的な経営を行うということです。委託契約は47都道府県単位で、総合評価方式から最低価格落札方式に変更して、平成21年度は176億円だったものが平成22年度は123億円と、53億円の削減となりました。
 66頁は、求職者への支援策として、雇用促進住宅の最大限の活用です。これは政府の決定によりまして、非正規労働者の解雇等によりまして住宅を喪失した方に対する住宅の貸与です。実績は、入居決定が9,986戸、3月末に入居している方は4,445戸となっています。参考として、先ほど来から説明している震災対策の対応についても記載していますが、両方の分布図を見ていただくと左側が基幹産業の集積地、右側が震災地域で、それぞれ多くの活用がなされていることがおわかりになると思います。
67頁は、運営費交付金の収益化基準です。一般管理費の一部について期間進行基準を導入して、適正な執行に努めました。公益法人との関係の見直しです。財務諸表附属明細書によりまして、関連公益法人等に関する情報をホームページなどで公表しています。短期借入金ですが、財形業務について資金繰り上、発生した資金不足に対するつなぎ資金として、借入限度額の範囲内で借入れを行いました。予算作成あるいは予算の範囲内での予算執行は、決算報告書あるいは財務諸表のとおり、予算の範囲内で執行しました。
 68頁の評価シート18「人員、施設・設備、積立金の処分」です。自己評価は「B」を付けています。
69頁の職員の削減は、平成18年度末と比べて平成22年度末までに530名の目標に対して、計画どおり530名の削減を実施しました。計画的な修繕についてです。実績は、施設の設備の建替えが5件、更新などを5件実施しました。
 積立金の処分ですが、雇用促進融資業務の積立金は業務経費に充てまして、宿舎等業務積立金は取崩しを行っていません。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。委員の皆様は、評定記入用紙へ評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 先ほど質問しかけた随意契約の件で、61頁の数値ですが、随意契約件数が703件から636件に減少しています。これは評価できますということだと思います。私がちょっとわからないのは、一般競争入札等件数が5,369件から2,477件に減っていますと。この数字の推移というか、そもそも契約の更新とか何年契約とか。

○雇用・能力開発機構理事長
 委託訓練をうちが契約していたのが、都道府県の契約に変わったことによる。3千件近く減っていますでしょ。単なるその影響です。

○加藤委員
 そうすると、その影響を除外すると、実質一般競争入札は増えているという理解になりますか。

○雇用・能力開発機構理事長
 一般競争入札はあらゆる意味で増えていて、随契によらざるを得ないものがその下に3つばかり書いてありますが、減らすのはもうできないものが636件残っている。その最たるものが、うちの全国のポリテクセンター、ポリテクカレッジ自前の土地もありますが、そこの市町村で借りている土地が随分あります。その借地契約は、随契をやらざるを得ません。それから、センターの一部のオフィスフロアを借りている。これも随契によらざるを得ない。これが、この636件のうちの3分の2ぐらいいくのではないでしょうか。
 あとは、再リースも結構あります。訓練設備自前の設備もあるけれども、リースしますね。5年経っても、まだ使えるものは再リースする。これも、随契によらざるを得ない。電気・ガス・水道とありますが、電気はだいぶ競争入札にして、沖縄電力だけ駄目。ガス・水道は市が大体握っている。これも随契。もう、どうしようもないものだけが残って、あとは随契だと思っていただいて。

○加藤委員
 わかりました。理解の仕方としては、随意契約は確かに減っています。一般競争入札は、実質増えています。そういう理解の仕方でよろしいですね。そうすると、契約監視委員会が設置されていて、うまく機能しているという理解はもちろんできていますが、契約監視委員会を開催する頻度や、委員会でどの程度厳しくチェックされているかの具体的な状況を教えていただけますか。

○雇用・能力開発機構理事長
 これは、外部の先生、大学の先生、公認会計士の人などにお願いして、国の本省からのご指示で毎年一遍やっていることですが、随契はそのやむを得ないものばかりですよね。いま、何がいちばん問題かといったら、競争入札でも一者応札とか、そういうものをいかにつぶすかということなのです。つぶれるものはつぶしやすいけれども、これはまた特殊な設備だったりいろいろ難しいものがあったりすると、その一つひとつをチェックリストをもって監視委員会が調べるのではなくて、我々経理部が音頭をとって調べて、それでやむを得ないというものが一者応札。そういうしらみ潰しの作業が入っている状況です。

○加藤委員
 わかりました。ありがとうございました。もう1点よろしいですか。監事の方や監査法人、会計監査人からマネジメントレターのようなものを提出されていると思いますが、その内容を受けてどのようにして、このフォローアップをなされているのか。その具体的な状況を教えていただけますか。

○雇用・能力開発機構理事長
 まず監事は、年に何回か私の部屋で監事のいろいろな監査、3年に一遍全施設を回るつもりでやってもらっていますから、提言も含めてそれは立派ないろいろなあれが来ます。うちの監事がいつも言うのは、うちの勘定は勘定ごとに金の管理が固定していて、例えば財形で何千億円と借金して、住宅で何百億円か余っていても融通できない。だから、監事が常に言うのは、高い金利で金を借りて、安い金利で預けているではないかというのをもっと融通し合ったらどうだという指摘。監事も民間から公募で来た人ですから、それは確かに私もそう思うと。けれども、勘定が違うと、乗り越えられない壁があるのだということが、いつも話題になる。
 会計監査人からのマネジメントレターは、今年は業務移管をするときの資産の管理をしっかりやれとか、そんなことは別に言われなくても、しっかりやらないといけないと思っていますが、改めて会計監査人からこういうあれがあったぞといって、経理部に対して。もう1つ、何かありましたね。

○雇用・能力開発機構経理部次長
 それは今回ですが、昨年度は資産除去債務が平成22年度から適用されるので、それの注意点といったものについてアドバイスをいただいたというのが、マネジメントレターの中に入っていました。

○加藤委員
 わかりました。ありがとうございました。

○中野委員
 2点。もうご説明があったかもしれませんが、すみません。69頁に常勤職員530名削減されたのですが、これは大学校、都道府県センターからすると、削減のバランスというのは都道府県センターから削減されていることになるのでしょうか。それが1点です。
 69頁のいちばん最後の「宿舎等業務積立金は取り崩していない」の宿舎というのは誰に対する宿舎で、よく住宅手当の問題がいろいろ議論になっていますが、これはこういう職員のための宿舎でしょうか。2点お願いします。

○雇用・能力開発機構総務部長
 職員は、特にどこを重点に削減したということはありません。基本的には平均的に、どこの施設も同じように削減しています。

○雇用・能力開発機構理事長
 定年で辞めた人に新卒を補っていって、総体数が減るといいますが、それはでこぼこがありますよね。大学校にしてもポリテクセンターにしても、定年はアットランダムに出ますから、あとは全部均し、全部平均的に相補って、1ヶ所だけが突然要員を減らすことはしていません。

○中野委員
 ただ、都道府県センターは、今後都道府県にシフトされますよね。

○雇用・能力開発機構理事長
 という法律の内容にはなっていますが、これは平成22年度までの話です。平成23年度はもう上期が終わりますから、そういう内容にはなっていませんから、今後の話。仮に都道府県でポリテクセンターを引き取ってもらうとなると、それをどれだけ各都道府県、もし常住する都道府県が何人採ってもらえるかはわからないけれども、余った人間はまた平準化しなければいけない。そのときに、余剰が出ればどうするかというのは、またそのときの新たな課題です。いま、この段階ではまだそういう状況にはなっていません。
 宿舎等業務積立金というのは、雇用促進住宅が全国にありますよね。現在は1銭も国のお金は入っていないで、その管理運営は全部家賃収入で賄っています。いちばんの使い道は、インフラ等々を含めて住宅の補修です。ところがご存じのとおり、住宅は段階的に廃止していくという方針になって、うちの住宅の管理部隊が補修を一応ストップしています。廃止する住宅ですから。それで、どんどんというと言葉が悪いですが、600億円ぐらいの積立金が積み立てられていて、昨年の国会では国に少し戻せという話になっていて、まだ具体的になっていないのですが。
 一方、地震対策においても、いまは相当お金を使って、廃止する住宅。半分は廃止、半分は運用していますが、その両方の住宅にも避難者の方に入っていただかないと間に合わない。特に、福島県は廃止住宅がたくさん空いていましたが、いまは200戸ぐらいしか余っていない。運用している住宅は満杯。そうすると、廃止住宅ですから電気もガスも水道も、みんなストップしていたのを全部生かさなければ。家賃は無料だし、インフラも全部うちが用意するということで、お金をどんどん使っているけれども、いまのところはまだ積立金を使うよりも、平成22年度の家賃収入の余剰でまだ賄いきれる。これをどんどんやっていくと、この積立金を取り崩さなければいけない。それから、もっと本格的な補修も始めなければいけないとなると、積立金を少しずつ崩していかなければいけない状況にあるということです。
 もっと根本的に言うと、雇用促進住宅を全部廃止して本当にいいのですかという問題に逢着してくる。これは本省で論議していただかないと、我々としては廃止の方針が出ている以上、それに向かっていかなければいけない。だから、これは、なるべく早く対応していただかないといけないけれども、これまでの非正規労働で解雇された人がまだ残っている。66頁の表ではありませんが、日本の製造業の集積した住宅がこうやって入ってくる。今度は地震はここだ。だから、廃止といって全廃したのでは問題ではなかろうかということになると、積立金で全国の廃止住宅の見直しをして、積立金を使っていかなければいけない。全部、国に返すとお金がなくなってしまいますよということになっていて、これは安定供給の課題としてお願いしています。

○今村部会長
 いまの問題で、65頁に「委託費は修繕費等の廃止により53億円を削減」と書いてありますが、修繕費等の廃止というのは、廃止住宅の分の修繕費がなくなるという理解ですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 そうだと思っていただいて。廃止住宅と、根本的にはインフラも運営住宅も、いままであまり手をかけていない。だから、これは手をかけないといけない。ただ、あと10年後の平成33年度までに全廃という閣議決定があるものですから、本当にそうするのならそうするし、そうすると、あまり本格的な補修もできないですよね。けれども、本当にそうするのですかという再検討をお願いしなければいけない状況にあると思っています。

○今村部会長
 1つ基本的な質問ですが、評価シート16の経費削減についての評価は「S」、その次の評価は「S」、確かに数値目標からすれば「S」ですが、お伺いしたいのは能開機構は業務をいろいろ持っていますよね。先ほど来、業務が削減された、廃止されたというのがある。そうすると、例えば59頁の32.3%の削減に関しても、削減された業務の分で経費が減ったのか、その比率でもって、ずっと維持されている業務で努力して経費を削減されたのかがこの数値だと見えないので、それの何か具体的な示唆をいただければということ。
 もう1点は人件費の削減に関して、同じ頁に16億円の削減と書いてありますね。それと69頁の530名常勤職員削減と、単純に割り算すると3千万円ぐらいとか、これは非常勤とかいろいろなものがありますから、そう単純にはいかないと思いますが、この関係ですよね。人件費の削減の内訳をもう少し詳しく教えていただきたい。その2点です。

○雇用・能力開発機構総務部長
 人件費のほうから先に。69頁の530名削減というのは、平成18年度から累積での削減数ですので、1年間では100名ちょっとの削減です。59頁の人件費削減16億円というのは1年間の削減額ですので、530名で割っていただくと合わないかと思います。

○今村部会長
 これを100で割れば、1,600ぐらいという計算になると。

○雇用・能力開発機構総務部長
 100で割るといいましょうか、100名減った分は丸々なくなるわけですが、それに加えて残っている職員の1人当たりの単価も下がっているので、100名分トータルでなくなる分と、1人当たりの額が下がる分と両方とで16億円です。

○雇用・能力開発機構理事長
 59頁の一般管理費と業務経費を合わせると、運営費交付金になります。大体ニアイコール。運営費交付金が平成18年度から今年度までに32.3%の298億円減っていますよね。人件費は60頁に、これは平成16年度からスタートしているから平成18年度から、平成22年度までの数字を取ると、78億円減っている。298億円のうち、人件費の減った分が78億円で24%である。簡単に言うと、あとはいろいろな業務の効率化改善、設備の長期利用等々で減らしている。
 69頁に、人員は平成18年度から530名減っている。これは13%減っています。人件費が平成18年度から78億円の24%減って、人員が13%しか減っていないと見ると、あとの10%ぐらいが直接的な1人頭の人件費、人数以外の何か別の頭数を減らした以外の理由で、人件費が減っている。それが、給与賞与が国家公務員も最近カットされていますが、それに準じて給与賞与の水準の引き下げとか、昇級スピードの低減化とか、いろいろな諸手当の削減ということで減らしてきた。それが、その下のラスパイレスにも影響を与えて、ラスパイレスがかなり落ちてきているということです。

○今村部会長
 最初の業務内容が減って、経費が減ったかどうかについてはいかがですか。

○雇用・能力開発機構理事長
 業務内容は、基本的には減っていない。委託訓練は減っていますよね。あれは、この運営費交付金ではありません。あれは補助金。

○今村部会長
 そうすると、これは機構が独自で努力された成果と受け止めてよろしいですか。

○雇用・能力開発機構経理部次長
 実は平成22年度決算までに298億円落ちていますが、そのうち業務経費は168億円落ちています。その中で、事業の廃止に伴う削減が生涯職業能力開発センターというホワイトカラー向けの施設や、「私のしごと館」を廃止したり、ヤングジョブスポットなるものもあったり、その辺が24億円程度落ちています。
 それから、業務のボリュームを若干見直しをしている分は、約16億円。そのぐらいが全体を占める比率の中で、その分が業務の見直し等で減った分ということでよろしいかと思います。

○今村部会長
 ありがとうございます。いかがですか。記入のほうは大丈夫ですか。以上で、すべての項目が終わりました。事務局から、このあとの取扱いについて説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料の送付をご希望される場合は、部会の終了後に事務局にお申し付けいただきますようお願いします。また、評価の記入が終わっていない委員は、本部会が終了したあとにこちらの会場に残っていただいて記入していただくことも可能です。また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能です。もしくは先日送らせていただいていると思いますが、評定記入用紙の電子媒体版にご記入をいただいて、メールでご回答いただいても結構です。以上、よろしくお願いします。
 なお、お持ち帰りいただく場合は、今週の5日(金)までに事務局にご提出いただきますようお願いします。

○今村部会長
 ありがとうございました。
 1件残っていました。部会を開かずに書面によって議決を行った案件の報告になります。まず事務局から説明をして、続いて法人から説明を行ってください。

○政策評価官室長補佐
 本年3月に部会を開催して以降になりますが、雇用・能力開発機構の業務方法書の変更について部会を開催せずに、書面にて変更案をお諮りした案件がありました。内容は、東日本大震災に伴う支援策になります。
 従来、災害その他の事由によって、財形持家融資の返済が著しく困難になった場合は、その償還期間を最長3年間延長、又は返済を最長3年間猶予して、返済猶予期間中の金利を最大1.5%引き下げる措置を講ずることができるとされています。今般、東日本大震災の発生によりまして、同措置を平成23年3月17日より実施したところ、東日本大震災における住宅の被害状況等を踏まえて、償還期間の延長期間は最長5年、返済猶予期間は最長5年、さらに金利を最大1.5%引き下げた利率又は0.5%のいずれか低いほうの金利に拡充ということとしました。法人においては、速やかに業務方法書等の変更を行うということで、今回書面にてお諮りしたものになります。これについては、本部会として「了承する」ということで厚生労働大臣に意見を提出して、その後、業務方法書の変更認可が既になされたところです。具体的な業務方法書の変更の内容については、法人から説明をお願いします。

○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長
 資料2-1をお願いします。「独立行政法人雇用・能力開発機構業務方法書の一部改正について(概要)」です。機構業務方法書第19条第5項及び第6項において、勤労者が災害により返済が著しく困難となったと認める場合に、貸付条件の変更ができることとしています。今回の一部改正は、第19条第6項の特例を設けるものです。
 まず第1「改正趣旨」です。東日本大震災の被災者を支援するため、財形持家融資の条件の変更について特例措置を設けること。第2「改正内容」です。1.償還を延長する期間及び元利金の支払を猶予する期間を5年以内とすること。2.元利金の支払を猶予する期間中の利率を最大1.5%引き下げた利率又は0.5%を下限とした利率のいずれか低い率とすること。第3「施行期日」です。施行日は、平成23年5月25日とすること。
 資料2-2です。附則において、第8条の2を新たに設け、本則第19条第6項第1号の適用について、財形持家転貸貸付けの条件の変更に関する特例措置を規定しています。
 資料2-3は内容が重複しますので、説明を省略します。以上です。

○今村部会長
 ご質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。それでは、当部会として報告を承ったということにしたいと思います。
 次の法人の審議がありますので、雇用・能力開発機構の評価はここまでといたします。

○政策評価官室長補佐
 次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、10分ほど休憩を取りたいと思います。4時15分から開始したいと思いますので、よろしくお願いします。
(法人及び法人所管課入替)


○今村部会長
 それでは、高齢・障害者雇用支援機構の個別評価に入ります。最初に、小林理事長からご挨拶と、平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 理事長の小林です。40年間、民間会社の東芝に勤務しまして、その後今年の3月31日まで日本年金機構の監事をしていました。そして、この4月1日からこちらに参っています。本日は、平成22年度の個別評価をいただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、障害者及び高齢者の雇用をめぐる状況です。高齢者雇用については、いよいよ来年から団塊の世代が65歳に到達し始めるということと、年金の受給開始年齢も順次上がっていくという状況にあります。そうした中で、60歳から64歳の就業率が、実はこの2年間やや横ばい状況です。特に男性については、平成21、22年度と連続して低下をしているところが気になります。今後とも、厚労省と連携・協力しまして、希望者全員が65歳まで働ける企業の拡大、70歳まで働ける企業の確実な実現のために、効果的な施策を進めてまいりたいと考えています。
 障害者雇用については、厳しい雇用情勢の中ではありますが、障害者の就業意欲は高まりつつあります。平成22年度のハローワークの障害者の新規求職申込件数は、13万件余りで、前年度比5.4%の増加をしています。就職件数についても、企業サイドの意識の高まり等もありまして、初めて年間5万件を超えて過去最高になり、就職率も39.9%と、対前年で3.9ポイント上昇をしています。引き続き、他の就労支援機関等と連携しまして、障害者の職業的自立に向けて、質の高いサービスの提供に努めてまいりたいと思っています。
 一方雇用情勢の先行きですが、東日本大震災の影響がありまして当面弱い動きが続くのではないかと見込まれています。私も福島と仙台に行ってまいりましたが、事業所そのものが被災をしてしまっている所が結構多く、採用延期あるいは自宅待機となった障害者が少なからずいらっしゃるということで、今後の障害者雇用への影響が懸念されるところです。私どもの震災対策としては、被災県の地域センターにおいて、障害者の雇用管理に関する事業主からの相談、あるいは雇用継続に関わる障害者ご自身からの相談といったものに対応すべく、特別相談窓口を設置しています。加えて、障害者に対する出張相談、ジョブコーチによる支援、自宅待機障害者の生活リズム維持のための職業準備支援等も実施しています。
 さらに、障害者雇用納付金の納付期限の延長や、障害者助成金の支給要件の緩和、就労支援機器の貸出し期間の延長等の施策も実施しています。今後とも、被災地域における障害者雇用の維持・拡大のための施策を、機動的に展開してまいりたいと思っています。
 次に、当機構の平成22年度の業務運営の状況です。お手元の資料3-1をご覧ください。1、2頁が高齢・障害者雇用支援機構の事業体系図となっています。まず、左上の?業務運営の効率化をご覧いただきますと、給付金・助成金の平均処理期間を、対19年度比で21.8%短縮することなど、数値目標をすべて達成しています。この21.8%と申しますのは、平成24年度において19年度比で5%短縮するというのが中期目標ですので、これに鑑みれば良い数字ではあると理解しています。ほかのアイテムとしましては、黒ポツの1つ目、2つ目等です。1つ目は、独立行政法人整理合理化計画や事業仕分け等を踏まえて、駐在事務所の廃止や納付金等調査、就労支援機器の貸出し等の本部一元化を行っています。2つ目は、地域センターの管理事務の集約化です。平成22年度末で、北海道、沖縄を除く全国45の地域センターの管理業務、管理事務を、11の地域センターに集約化をしています。
 高齢者事業の関係ですが、?をご覧ください。「相談・援助(高齢)」と書いておりますが、相談・援助にかかる事業主の課題改善効果82.3%等の数値目標をすべて達成しています。この課題改善効果と申しますのは、高年齢者雇用アドバイザーが全国にいるわけですが、その支援によって実際に企業が具体的な課題の改善効果があったと、あとで追い掛けてやっているアンケート調査でそのような回答をいただいた割合です。効果ありが82.3%、ちなみに目標は70%でしたので、これを達成したということです。
 具体的には、労働局が受託法人等と共同作成した個別訪問計画に基づいてアドバイザーがハローワーク職員に同行し、一緒に訪問する等々、行政と連携しての小規模企業に重点をおいた効果的な相談・援助を実施するということです。目標は3万件だったのですが、33,700件という回数を達成しました。
 続いて、障害者の事業関係です。2頁の?の地域センター業務をご覧ください。職業準備支援等修了者の就職率67.5%など、数値目標をすべて達成し、全12指標で平成21年度実績を上回るとともに、10指標で過去最高となりました。その中身ですが、就職及び職場適応が特に困難であると言われています、そして他の就労支援機関では対応がなかなか難しいと言われている発達障害あるいは精神障害の方々が、大幅に増加をしています。数字は、ここに書いてあるとおりです。
 精神障害者関連では、厳しい雇用情勢の中ではありますが、「就職実現特別対策」を実施しました。これは、ハローワークの協力を得まして、具体的な求人情報に基づいてケース会議、ケーススタディ、ケースワークを行うものです。これにより、職業準備支援修了者の就職率は過去最高を達成、つまり67.5%という数字を達成した次第です。目標は50%でしたので、良い数字ではなかったかと思います。
 ?は、障害者職業能力開発校の運営です。これは、所沢の中央校と、岡山の吉備高原にあります吉備校に関するものです。訓練修了者の就職率が目標80%に対し、83.9%となるなど、数値目標をすべて達成しています。具体的な施策としては、精神、発達あるいは高次脳機能の障害者の定員を超えた受入れを行いまして、全体における割合が49%になりました。目標は47.2%でしたので、これも目標を上回ることができました。2つ目は、特注型の訓練メニューに基づく企業内訓練と、私どもの技術的支援を一体的に実施する「特注型企業連携訓練」を実施しまして、その内容の充実と受入企業の拡大を図ったところです。
 同じく、障害者事業ですが、障害者雇用納付金関係業務ということで、?をご覧ください。納付金収納率99.8%という非常に高い数値目標を達成しています。目標値は99%以上でしたが、さらに良い数字でした。非常に厳しい経営環境の中で、収納率低下を何とかして防止しようということで、できるだけ早い時期から動く、粘り強く訪問をする、あるいは粘り強く電話で督励する等々を実施した結果だと思っています。
 ポツの2つ目ですが、昨年の7月から障害者雇用納付金制度の適用対象が拡大をしました。つまり、対象事業所が300人超から200人超の事業所に拡大されたわけです。従いまして、新しく適用対象となる事業所、中小企業等を隈なく訪問し、13,445件と書いてありますが、説明をし理解をしてもらって、さらに理解度がいまひとつと思われる所はさらに再訪問をするというような形で進めまして、大きな成果が得られたと思っています。
 ?のアビリンピックの関係ですが、来場者理解度96.3%ということで、これも数値目標を達成しています。この来場者理解度というのは、アビリンピックに来られて「障害者雇用に関する理解が深まった」とアンケートに答えていただいた方々の割合です。アビリンピックの関係では、「製品パッキング」の新たな競技種目への採用、競技定員の見直し等を行うとともに、先駆的あるいは雇用拡大が期待される職種で技能デモンストレーションを行う、あるいは来場者からの要望を踏まえまして、競技内容、審査ポイントを紹介するDVDを作製・上映する等々を行っています。以上が、業務の概要です。
 最後に、平成23年度における当機構の課題についてです。1つは、地方業務の関係です。これまで、外部委託により実施してまいりました地方業務、つまり高齢者・障害者関係の助成金、給付金、納付金関係の業務、相談・援助業務については、4月から当機構による直接実施に切り替えています。この新しい業務遂行体制をしっかり固めることが、第1の大きな課題です。
 もう1つは、雇用・能力開発機構の能力開発業務等について、10月1日付けで移管を受けるということです。これを、いかにスムーズに実施するかが第2の課題になります。というわけで、平成23年度は当機構にとって大変大きな変革の年になると思っています。加えまして、独法を取り巻く環境は依然厳しく、国民生活にとって本当に必要なのかといった観点からの不断の見直しを迫られる状況が続くと認識しています。このような状況下において、事業の質をさらに高めるべく、総力を上げて取り組んでまいる所存でありますので、引き続き委員の皆様方のご理解、ご指導をよろしくお願いいたします。以上、簡単ではありますが、ご挨拶と平成22年度の業務概要の説明でした。

○今村部会長
 ありがとうございました。これからの進め方ですが、高齢・障害者雇用支援機構の個別評価については、評価シートの個別項目を3つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきます。まず、グループ1「業務運営の効率化」「業務の質の向上への取組」及び「高齢者事業」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明30分、委員の評定と質疑20分の合計50分となっています。それでは、法人からの説明をお願いします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 企画部長の高橋です。よろしくお願いいたします。私から、当機構の平成22年度の業務実績について、資料3-1に基づき説明申し上げます。なお当機構では、自己評価として業績評価を厳正・公正に行いますため、後ほどシートの2でご説明申し上げますが、この労働部会の審議に先立ち、雇用、福祉、医療の専門家の方々といった外部の有識者からなります外部評価委員会において、当労働部会と同様の方法、基準によって評価をいただいており、本日はその評価結果を評価シートの自己評価欄に記載をさせていただいております。それではグループ1、評価シートの1から6までを続けて説明申し上げます。
 資料の3頁をご覧ください。評価シート1「業務運営の効率化」です。5頁ですが、効果的・効率的な業務運営体制の確立について説明します。1点目は、駐在事務所の廃止です。これは、平成19年12月24日に閣議決定をされました独立行政法人整理合理化計画に盛り込まれたもので、それに従いまして、平成21年度末に、全国に5カ所ありました駐在事務所を廃止したものです。その際には、当該駐在事務所で実施していました業務について、利用者のニーズや重要性等を勘案して優先順位をつけさせていただき、図書やパネルの貸出等の業務を廃止する一方で、納付金等の調査や障害者の就労支援機器の貸出しといったような、引き続き必要不可欠であろうという業務については、翌平成22年4月から本部に集約化して実施したところです。併せて、駐在事務所の定員ですが、本部での納付金等の調査体制の充実に振り替えさせていただき、またそこで雇用していました嘱託職員の数も大幅に削減したところです。
 2点目は、同じく整理合理化計画に基づく地域障害者職業センターの管理事務の集約化です。平成22年度は、前年度まで実施していました4ブロックの集約化に続き、年度始めに北陸等の3ブロック、年度末に残りの北関東等の4ブロックを集約しまして、予定されていたすべての集約化を完了したところです。また、これまでの集約化に伴う問題点の把握、分析、解決方法の検討等を踏まえて、1つには事務用消耗品の本部一括契約や、本部と地方センターの契約事務配分の見直しを行いました。2つ目には、安全で確実なデータ送信の確立、経理システムの改修、3つ目には、分かりやすい経理マニュアルの作成、4つ目は担当者・所長への事前研修の実施などを通して、円滑で適切な管理事務の実現を図ったところです。
 3点目は、東京本部の幕張への集約です。この本部機能の集約化については、第2期中期目標の期間中に検討し結論を得ることとされておりましたが、今年4月に成立しました雇用・能力開発機構廃止法で、新機構の本部を千葉県に置くこととされたことを踏まえまして、必要な準備を経て、関係政令に規定された来年3月末までに移転することとしているところです。
 次に6頁をご覧ください。「業務運営の効率化に伴う経費削減等」です。「一般管理費・業務経費の削減」ですが、平成22年度は予算編成時に、行政刷新会議事業仕分けにおける指摘や厚生労働大臣から「運営費交付金を2割カットすること」等との強いご指示を賜ったところです。そのようなことを踏まえて、当機構においても、利用者サービスの質と量をいかに低下させないかを検討、努力しました。それと併せて、可能な限りの経費節減に取り組んだところです。具体的には、一般管理費について、予算は備品・消耗品等の費用の削減等により、前年度比較で目標を上回る7.1%節減したところです。さらに、予算の執行段階において、竹芝事務所の賃料を管理会社と交渉したうえで何とか引き下げることができ、また光熱水道費等の削減にも積極的に取り組んだ結果、決算額で19.4%の節減を図ったところです。業務経費についても同様に、予算はシート17でご説明しますが、行政刷新会議事業仕分けのご指摘を踏まえて、全国に展開していました高齢期雇用就業支援コーナーの廃止、それから先ほど冒頭で申し上げました駐在事務所の廃止などにより、目標を上回る24.5%の節減を実施しました。予算の執行段階ですが、各種契約における最低価格落札方式による一般競争入札の推進や業務・システムの最適化、広報・啓発費の大幅削減等により、決算額で20.0%の節減を図ったところです。
 随意契約の見直しについては、総合評価方式の拡充や複数年度契約の拡大により、随意契約見直し計画を着実に実施したところです。また個々の契約について、監事、会計監査人による各監査、契約監視委員会によるチェックを受けました。そのうち、監事監査では、「合規性を損なう事象の発見なし」で、会計監査人監査では、無限定適正意見を受けました。また契約監視委員会では、すべての案件について「適切である」という評価をいただいたところです。なお、機構では給付金・助成金の申請受付、相談・援助等の業務を受託法人ということで、委託契約により別法人に委託をして実施していたところですが、平成22年度の委託については、厚生労働大臣の指示により、昨年の2月に最低価格落札方式による一般競争入札を実施したところ、47協会のうちの12協会については契約の直前になりまして大臣認可がなされず、5月に再入札を実施したところです。その結果、12協会のうち3つの区域については、民間法人が実施しましたが、9区域については応募がなく、10月から機構による直接実施に移行したところです。その後、今年4月からではありますが、こちらも厚生労働大臣の指示に沿って、全47都道府県の区域で、機構による直接実施に移行したところです。
 次は、「業務・システムの最適化」です。障害者雇用支援システムの運用開始により、処理時間の大幅な短縮を図るとともに、約5,200万円のシステム経費の削減を実現したところです。
 7頁をご覧ください。「給付金及び助成金業務の効率化」です。給付金・助成金1件当たりの平均処理期間について、冒頭理事長の説明にもありましたが、目標としては「中期計画の最終年度である平成24年度に、平成19年度比で5%短縮する」ことになっていましたが、平成22年度時点で21.8%の短縮と、中期計画の3年目にして目標を大幅に上回る短縮を実現しています。これに向け、具体的には、高齢者雇用給付金について、当機構本部内での係別担当制を廃止しまして、柔軟で効率的な審査体制を構築し、また受付窓口であります受託法人においても、処理期間を15日以内として本部にあげるようにというルールの徹底を図ったところです。
 障害者の雇用助成金についても、機構本部内の関係職員がリアルタイムで審査状況を共有し、臨機応変に応援できる体制を組んだほか、申請様式の思い切った簡素化を実現したところです。その結果として、先ほど申し上げましたように平均処理期間が中期目標期間中に19年度比5%という目標に対して、22年度で21.8%の短縮ということですが、これは21年度には既に12.4%の短縮ということで既に目標を達したところでしたが、そうした実績に甘んじることなく、当機構として努力を重ねまして、さらなる大幅な実現を図ったところです。以上が評価シート1で、効果的・効率的な業務運営に向けて利用者ニーズに最大限配慮しつつ、所管官庁等から求められました経費削減を着実に実施するとともに、助成金・給付金の処理日数を大幅に目標を超えて達成することができ、このことが外部評価委員会から高く評価されたことを受けまして、自己評価はSとさせていただいております。
 続いて評価シート2「業務の質の向上への取組」です。10頁をご覧ください。「関係者のニーズ等の把握・業績評価の実施・公表」です。当機構では、関係者の皆様方のニーズを幅広く把握し、業務の改善につなげていくため、各方面の代表の方から構成されます評議員会を開催しています。それとともに、各種の支援サービスの利用者及びその機関の所属長に対して、サービス終了時における有用度調査、具体的な課題の改善効果に関する追跡調査を積極的に行っています。また、有用度、満足度等でのイエス、ノーの結果のみならず、そこには自由記入欄を設けていまして、これを通じて要望や批判をいただいた場合を含めて、しっかりと結果を把握・分析し、現場へのフィードバックと業務の改善に努めているところです。
 「業績評価」をご覧ください。当機構においては、内部評価委員会と外部評価委員会の2本立てで業績評価を行っておりまして、PDCAサイクルの徹底を図っているところです。まず内部評価委員会ですが、機構本部の部長クラスを構成委員としまして、重点テーマの設定による業務進捗状況の把握・分析を行いまして、進捗の思わしくない業務あるいは遅れている取組については、当該担当の地域センターあるいは受託法人等への指導を徹底しています。さらに、厳正・公正な業績評価の観点から、雇用、福祉、医療の専門家といった外部の有識者5名で構成される外部評価委員会を設けて評価をお願いするとともに、このうち職業リハビリテーション業務については、より専門的な見地から評価を行っていただくため、別途各リハビリテーション分野の学識経験者等の専門家8名による評価をお願いしているところです。
 外部評価委員会での評価の方法及び基準は、この労働部会と同様となっておりまして、外部評価委員会で評価いただいた項目について、評定の結果を当機構の自己評価として出させていただいているところです。また、この独法評価委員会の評価結果については、当機構のLANにより全職員に毎回周知をさせていただいているところです。さらに、毎年夏に重要課題について理事長自らが各担当職員を呼んでヒアリングする、いわゆるサマーレビューを実施しておりまして、目標達成に向けた職員の意識の向上、効果的な業務推進を図ったところです。
 11頁をご覧ください。次は「内部統制の在り方・高年齢者及び障害者雇用支援業務の連携によるサービスの充実」です。当機構では、内部統制の向上に向けまして、コンプライアンスを担当する総務部と、コンプライアンスに関して厳正な審査を行う監査室による2元構造のコンプライアンスの体制の下、内部監査を実施したところです。さらなる内部統制の向上を図るため、実践すべき行動理念を『行動規範』として策定し、カードにして全役職員が携帯することを通じて、職員等の意識への浸透を図ったところです。また、コンプライアンスの一層の推進を図るため、当機構としては新たに基本方針や推進計画を策定し、事案ごとの対応方法をまとめたマニュアルを作成し、役職員全員に配付しています。また、各部あるいは施設等での取組状況の点検等を行うとともに、リスク管理を徹底するために、新たにリスク管理規程を制定しまして、リスク管理委員会の設置等を行って取組を進めているところです。さらに、業務運営の参考となる意見等を幅広く募集し、業務改善につなげていくため、ホームページ等を活用した公募により、全国から多様な属性のモニターを100名委嘱させていただいています。そこでいただいた意見、提案等について、業務への反映に努めさせていただいたところです。
 右側は、高年齢者業務と障害者業務の連携です。まず縦割りを廃すということの意味ですが、高齢アドバイザーと障害者のアドバイザーの2種類のアドバイザーがいますが、その連携として日頃からお互いに非専門業務、自分の専門ではない業務を含めた研修、情報共有を行いまして、いずれのアドバイザーが事業主から照会あるいは相談を受けた場合においても、基礎的な事項については即時対応できるようにするとともに、さらに突っ込んだ専門的な内容については、具体的内容を正規の担当者に伝達し、当該担当者による対応を確実に実施するようにしました。その結果、障害者雇用のための施設改修や高齢従業員の雇用のための就業規則等の整備につながるといった成果が上げられたところです。
 給付金・助成金業務の連携ですが、代表的な活用事例を用いて具体的に説明するリーフレットの作成、不正受給・未然防止事案の情報共有による不正受給防止の徹底などに取り組んだところです。実践的手法の開発・提供の業務においても、高齢者と障害者がともに働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業事例を分析しまして、雇用管理面、コスト面等の問題を明らかにするとともに、その解決に向けた工夫や職場改善のチェックポイントを盛り込んだ冊子を作成しまして、事業主への支援に活用させていただいているところです。
 12頁をご覧ください。「高年齢者等や障害者の雇用情報等の提供」です。平成22年度は、前年度を上回る月6.1回の頻度でのホームページの更新、動画形式によるコンテンツの拡充、国民の皆様の声と当機構の対応の掲載等を図りまして、内容の充実に努めたところです。また各種お問い合わせに対しても、回答日数を極力短縮できるように取り組みまして、平成22年度は平均1.48日と、前年度に比べて半日以上の短縮を実現したところです。定期刊行誌『エルダー』及び『働く広場』については、労働部会でのご指摘を踏まえて、書店での試行販売をさらに継続するとともに、ホームページでも閲覧できることを記載した周知用のチラシを経済団体や、文部科学省のご協力をいただきまして、特別支援学校にも配付するなど、積極的な広報をしているところです。
 また、ホームページの利用しやすさの向上にも取り組んでいます。具体的には次の13頁に、掲げられている項目を一つひとつ解説させていただいています。代表的なものだけ2点ご紹介します。?の知的障害者に分かりやすいページづくりということで、支援団体のご協力をいただいて取り組んだほか、?で画面読み上げソフトを利用する視覚障害者の方のために、これまでは文字の色分けやアンダーライン等の文字飾りにより内容の書分けをしていたところですが、これを可能な限り改めて音声ブラウザの機能が十分発揮できるように書き下すといった取組をしたところです。その他、幾つかの取組をご紹介していますが、こうした取組の結果、ホームページのアクセス件数が2,012万件と、前年度比で45%増加したところです。以上が評価シート2で、自己評価はAとさせていただいています。
 続いて14頁からは高齢者事業についてです。評価シート3「給付金の支給業務」です。17頁をご覧ください。まず、「効果的活用に向けた周知・広報、事務手続の簡素合理化」についてです。ホームページ等による迅速・効果的な情報提供として、予定されている制度改正の概要を予めホームページに掲載するとともに、制度の改正がなされたあと、6日後にその詳細をホームページに掲載しまして、目標とされている「7日以内の掲載」は達成したところです。また、職業安定機関との連携や新聞等のメディアを活用した周知、新たに全国規模の事業主団体のご協力をいただきまして、その傘下の事業主への周知に努めたところです。さらに、添付書類の省略や各種確認書類の整理合理化など、事務手続の簡素合理化にも努めたところです。
 次は、不正受給防止対策の強化です。調査実施件数の目標値を受託法人等ごとに設定いたしまして、同一事業所を2回にわたって訪問調査する、あるいは対象となった従業員の方々と直接面談をすることなどを通じて、2,881件について厳正な調査を行いました。また、不正受給の経緯や手口、防止対策の具体例を研究して、その未然防止に向けて徹底した取組を行った結果、平成22年度は「不正受給の件数0件」を実現したところです。以上が評価シート3で、自己評価はAです。
 続いて評価シート4「高齢者雇用に関する相談・援助」です。20頁をご覧ください。高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助についてです。平成22年度については、65歳までの希望者全員の継続雇用の推進に向けて、雇用確保措置について、これまでの「導入支援」中心から「定着支援」に重心をシフトさせて、相談・助言に取り組んだところです。さらに、65歳を超え「70歳まで働ける企業」の普及・促進に向けて、具体的事例の紹介や企業のメリット等の説明を交えて、個々の企業の実情に即したきめ細かい相談・援助に努めたところです。
 加えて、中高年従業員の能力特性を把握・分析・図表化し、高齢者が意欲と能力を十分に発揮するための改善策を提案する「仕事能力把握ツール」を新たに開発しまして、これを積極的に活用した相談・助言を行うとともに、企業ニーズを踏まえた研修や相談会も開催させていただきました。これらの結果、平成22年度の相談・援助件数は、目標3万件に対して33,702件、達成度112.3%となりました。そのうち「70歳まで働ける企業」に係る相談・援助ですが、16,050件と、前年度比で14%増と着実に増加しているところです。その下にありますように、企業診断システム等のツール活用件数は、目標2,600件に対して3,150件と、こちらも達成率が100%を超え、121.2%となっています。
 さらに、高年齢者雇用アドバイザーの資質向上に向けては、機構本部が直接委嘱することにより、適切な人材の選定、活動方針・内容の全国共通性の確保、機構とアドバイザーとの連携強化等を図るとともに、スキルアップのための多彩な研修やブロック別経験交流会において、企画立案に向けた企業へのアプローチ力の向上や「70歳まで働ける企業」づくりを提案できるアドバイザーの育成を図ったほか、新たに、アドバイザーに向けて機構の取組方針や最新の統計、事例等を盛り込んだメールマガジンの創刊、さらにアドバイザーが自主的に行う勉強会への講師として職員を派遣するといった取組を展開しました。この結果、相談・援助6か月後の追跡調査では、「課題改善効果があった」との回答が82.3%と、目標の70%を上回る評価をいただいたところです。具体的には、「アドバイザーの助言により、高齢者が作業しやすい職場レイアウトへの変更や再雇用者の増加に対応した業務・職務の再編成等の改善ができた」というご指摘を受けています。以上が評価シート4で、自己評価はAです。
 続いて評価シート5「高齢者雇用に関する実践的手法の開発・提供」です。23頁をご覧ください。「70歳雇用実現プロジェクト会議」による提言です。「70歳まで働ける企業」の普及・促進に向けては、これまで2007年に取りまとめた提言に基づいて様々な事業を展開してきたところですが、平成22年度はこれから3年が経ちまして、企業の認識もある程度進み、将来を見通して新たな段階の取組に移る時期を迎えたことから、平成23年3月に新たな提言を取りまとめたものです。ポイントは、2025年、平成37年までを展望した70歳現役社会の実現に向けて、企業が自然体で70歳雇用に取り組んでいただけるように、まずは65歳以上の方を雇用することで一歩前に進み、次の段階で実際の70歳雇用を実現し、さらに制度化により70歳雇用の定着を図るといったステップを示しています。この内容については、リーフレット等を作成しまして、アドバイザーによる相談・助言で活用したほか、シンポジウム等の機会を通じまして、一般に広報しています。
 その「70歳まで働ける企業実現に向けたシンポジウム」ですが、普及・啓発活動の一貫として、1月に東京と大阪で開催し、それぞれ200人を超える参加をいただいたところです。世界で最も高齢化が進む我が国での取組が国際的にも注目される中で、高齢者の活躍で企業の競争力強化を図る重要性等について、全国から収集した好事例集「いきいき企業100選」に選ばれた企業をパネリストに迎えまして活発な議論が行われ、NHKニュースを通じて全国に放送されるなど大きな啓発効果が得られました。このほか、調査研究において主なものをご紹介しますと、「70歳まで働ける企業」基盤作り推進委員会による賃金管理のあり方の検討など、アドバイザー活動のツール開発や、「団塊の世代の就業と生活に関する意識調査」として、継続的なパネル調査の実施、「人事制度と雇用慣行の現状と変化に関する調査研究」として、継続雇用者に係る企業施策の分析、「首都圏におけるエイジフリー社会の実現」をテーマとするなど、企業だけでなく個人の生活や社会基盤の状況も含めた幅広い調査研究を行いました。また、5つ目の「「高齢者と障害者がともに働きやすい職場」推進に関する調査研究」については、高齢部門と障害部門が初めて本格的に連携をして実施したもので、2年間にわたって先進事例を調査・分析し、働きやすい職場づくりの具体的な工夫や取組、チェックリスト等を盛り込んだ企業向け冊子を作成して、アドバイザーによる相談・助言、イベント等での展示・配付等に努めたところです。
 次に、24頁は共同研究です。高齢者が能力を発揮しやすい職場づくりに向け、先駆的なモデルを企業と機構が共同で構築するもので、目標どおり10件実施いたしました。右側に、共同研究の中から、企業グループによる取組事例をご紹介しています。この事例では、ソフト面では55歳からの定期的な面接により、継続雇用に向けた課題改善を図る体制を産業医も含めて構築し、ハード面では身体的負荷が大きい作業ラインで負荷を軽減するためのコンベア等の支援機器の開発などにグループ企業全体として取り組んだ結果、希望者全員が継続雇用可能となり、作業の改善も図られたということです。
 次に、産業別ガイドラインの策定支援については、産業別団体が各業界が抱える課題等を改善し、高齢者雇用を促進するために自らガイドラインを策定し、傘下の企業に普及することを支援する事業です。平成22年度は、目標どおり10団体について支援を実施したところです。このうち、事業の最終年度を迎えた5団体がガイドラインを策定しまして、企業への配付、団体主催セミナーの開催等により普及を図りました。セミナーの参加者へのアンケートでは、92.2%が「満足」と回答をいただいたところです。以上が評価シート5で、自己評価はAです。
 1グループの最後は評価シート6ですが、「高年齢者雇用に関する啓発事業」です。27頁をご覧ください。「高年齢者雇用開発コンテスト表彰式、記念講演、トークセッション」ですが、平成22年度は、前年度まで高年齢者雇用支援月間の中心的行事でありました高年齢者雇用フェスタに代わりまして、高年齢者雇用開発コンテスト表彰式を開催し、70歳雇用を実現するための優秀企業32社を表彰するとともに、慶應義塾大学の清家先生による記念講演や受賞企業4社による事例発表、トークセッション等を複合的に実施しまして、集中的な啓発の機会とさせていただきました。このほか、パネルやポスターによる機構の事業、調査に関する展示、高齢者に対する個別の相談も行ったところです。こうした取組の結果、来場者からは「異業種での多様な議論が聞けた」、「大企業から中小企業までの事例があり参考になった」等の声が寄せられるとともに、83.3%から「内容に満足した」との評価をいただいたところです。
 28頁は、「エルダーの発行等、啓発広報活動」です。『エルダー』については、発行部数が目標の6万部に達しているほか、編集委員、読者アンケート等の広範な意見を踏まえつつ、「70歳までの雇用」を主なテーマとし、70歳まで働く意義や効果について改めて考えを深めていただく契機になるような記事や、社会保障制度、賃金制度等の特集、新たに、中高年齢者の職業能力開発の現状等の解説も連載しました。また、企業の多様な事例も豊富に盛り込んだところです。読者アンケートでも、「学ぶことが多く大変参考になる」など、9割に近い方から「非常に役立つ」、「参考になる」との評価をいただいたところです。
 また、さらなる啓発広報活動として、新聞広告のほか、高齢者雇用に関する実践的手法の開発成果等について、様々な週刊誌、マスコミ等に積極的に情報提供を行った結果、その内容が広く広報されるに至っております。以上が評価シート6で、自己評価はAです。以上で、説明を終わります。

○今村部会長
 委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をよろしくお願いします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 6頁です。業務処理時間の削減ということで94,000時間強削減なされて、その結果5,100万円強のシステム全体経費が削減されていると。これは評価できると思うのですが、具体的に行っている内容は、「最適化計画に基づく実施内容」のところだと思います。例えば、計画を組んでいる際に、事前に監事の方とか、監査法人に相談をしながら、業務の内部統制を意識した上でこういう最適化を図っていこうということなどもされているのでしょうか、ということの質問が1つです。
 もう1点は、随意契約の見直し計画の着実な実施がなされたと記載されていますが、実際に件数はどこかに書かれているのですか。書かれているのであれば、それを拝見したいと。もし書かれていないのであれば、おおむねで結構ですが随意契約件数がどのぐらい減って、減ったのであれば減って、あるいは一般競争入札件数が、例えば増えたのであればどのぐらい増えたのか、そのイメージを教えていただければと思います。以上2点お願いします。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 随意契約から回答させていただきます。件数で申しますと、平成21年度が165件、それが平成22年度になりますと81件です。契約全体に占める随意契約の割合は、パーセンテージで申しますと、大体45、46%から27%程度まで落ちたということです。
 資料は先の頁で81頁です。右下の囲みの中ですが、※が3つあり、2つ目の「随意契約81件」ということで、165件から81件まで下がりますので、前年度比で50.9%の減ということになっています。

○加藤委員
 「随意契約81件」と書いてあるこの数字ですね。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 はい。

○加藤委員
 はい、承知しました。1番目の質問については、どうでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 最初のご質問ですが、最適化計画については、これは何年も取組を続けているものですが、私どもの取り組んでいる業務や課題への対応については、すべからく内部監査はもとより監査法人にも説明していますので、そのことについては承知していると思っております。

○加藤委員
 監事の方々にも相談されているという理解でいいですね。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 はい。

○加藤委員
 わかりました。

○川端委員
 高齢者事業について、大変なご努力をされて関心しているのですが、機構がいろいろと努力されて、援助とか指導とか広報とか、その手応えといいますか、機構による成果というか、高齢者雇用にどれだけ影響を及ぼしたかという点については、どうお考えになっていますか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 私どもはさまざまな施策、高齢者の施策も含めていろいろアンケートを取りまして、先ほど資料の中を早口で説明したのでわかりにくかったかもしれませんが、それぞれ利用者、相談・援助等のサービスを利用していただいた事業主に課題解決効果や、どのぐらい役立ったかという結果を取りまとめております。そこではかなり高い割合で課題解決効果はあったと、大体8割を上回る数字が出ています。中にはご批判をいただく場合もあるのですが、そのときにはその内容を現地にフィードバックして、解決を図り、業務の改善を促すようにしています。
 また、助成金等業務については、実際に高齢者がその助成金制度でもって何人雇用につながったかを、定量的に正確に把握するのは難しいのですが、中期目標の期間中の3年度にわたって、利用していただいた企業では、大体60歳以上で雇用されている従業員数が7万人を超えているという統計もあります。厳密な数字ではありませんが、少なくとも助成金制度等についても、高齢者の継続雇用に一定数役に立っているのではないかと考えているところです。

○川端委員
 いまは不況で雇用状況はよくないのですが、将来的には日本は弱年労働力が不足しますから、高齢者とか、場合によっては外国人に頼らざるを得ない部分が出てくると思うのですが、機構がいろいろ努力されて、直接指導されて、そういう所の企業の高齢者の増加率と、そうではない所、あまりかかわってない所の増加と、顕著な格差があるのかどうかをお伺いしたいのです。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 私どもが支援の対象としているのは、特に中小企業とか、あるいは取組が逆にあまり進んでない所でありまして、つまりそれぞれの企業にとっては高齢者雇用のハードルが高いというところを積極的に応援しているところです。一方で、私どもの支援がなくても自主的にあるいは自発的にどんどん高齢者雇用を進めていらっしゃる企業もたくさんあり、その両者をどう比較し、あるいは定量的に効果を分析するかという点については、手法的になかなか難しいところがあります。ただ、少なくとも私どもは同じような地域あるいは業種の企業等で、いろいろ取り組んでいる内容等も精査してみて、その上で何か言えることがないか検討してみたいと思います。

○川端委員
 数字もそうですが、やっていて手応えを感じるのがあれば、やはり我々がやっていることはかなり効果があると、そういうことをお感じになられているかどうかというところですが。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 まさにそれは先ほどのアンケートにもあります。助成金もそうですが、高齢者の継続雇用に向けた相談・援助等ということで、私どもはそういうソフト面の支援を申し上げているところでありますが、実際に事業主からは当機構が相談・援助、あるいは助成金等の支援を受けたがために、高齢者の継続雇用の環境が整ったと、具体的には就業規則の改正をして、あるいは賃金カーブを修正して、雇用管理面でも具体的な改善が図れたと、逆に助成金がなければ、あるいはこうした相談がなければ、うちはまだ取り組んでなかったと思う、というお答えはたくさん頂戴しているところです。そういう意味で私どもは確かな手応えを感じているところです。

○川端委員
 どうもありがとうございました。

○中野委員
 2点あります。10頁、評価シート2のところですが、業積評価等ニーズ把握等に大変きめ細かい組織化をしておられると思うのですが、特に評議員会に障害者の代表の方を入れていらっしゃることは大変評価できるかと思いますが、一方で高齢者のニーズはどの方が対応することになっているのかが1つです。
 それから、随所に高齢者と障害者雇用の連携に取り組んでいらっしゃるのですが、障害のある方もいずれは高齢者になるわけで、高齢障害者という方々の70歳までの就労は見据えていらっしゃるのか、それは全く違うものとしていま連携をしていらっしゃるのか、その辺2点よろしくお願いします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 最初のご質問ですが、評議員会の構成については、障害者の場合はさまざまな支援団体があり、全国である程度の規模や分野ごとに代表的な団体の方に入っていただいて構成しているところですが、高齢者については、基本的には労働側の代表の方、あるいは雇用主としての使用者の方、高齢者問題の施策に明るい学識経験者の方等からご意見をいただいているところです。特に高齢者の雇用を進めるための何か公的な団体は承知しておりませんので、そういう形で労使、公益の先生方からご意見を幅広く頂戴しているところです。
 2点目ですが、高齢・障害者の施策の連携という点について、そもそも当機構が高齢者の雇用開発を促進する法人と、障害者の雇用促進を図る法人が一緒になって平成15年にスタートしたという組織的な経緯があり、ともすれば高齢業務と障害業務が縦割りになりがちで、それぞれの連携の取れた対策、利用者サービスができるのかというところから出発しているところです。
 そういう点から出発して、いま業務上の連携はもとより調査研究を進めているところですが、まさに先生がおっしゃったように障害のある方も、いまご承知のように障害者雇用はだんだん社会的に認知されて、企業での雇用もどんどん進んでいます。昨年の厚労省の発表によりますと、ハローワークを通じた障害者の就職が5万件を初めて突破したと聞いています。私どもの事業も貢献しているのではないかと考えていますが、雇用されている障害者の高齢化も一緒に進んでいます。そういう中で私どもの持っている高齢者雇用の促進と障害者の雇用をいかにきちんと図っていくかというノウハウを融合して、相乗効果を発揮できるのではないかと考えているところです。先生ご指摘の趣旨を踏まえて引き続き努力していきたいと思っています。

○宮本部会長代理
 20頁のアドバイザーの件についてですが、昨年も出ていたと思いますので、今年になって改めてこういう質問も変ですが、高年齢者雇用アドバイザーの役割は大変重要だと思うのですが、これは実際にどういう方がなっていらっしゃるのか、具体的にはどのぐらいの力を持って企業に入っていっておられるのか、その辺りを伺えますか。
 70歳雇用支援アドバイザーは92名となっていますが、高年齢者雇用アドバイザーは何人ですか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 高年齢者雇用アドバイザーについて、相談のために企業の中に入っていくというのは特に権限を持っているということではなく、あくまで企業に対して高齢者の継続雇用をしましょうという労働局・ハローワークと一体となった働きかけの中で、ご要望があれば相談に乗りますということで、具体的な相談・支援を申し上げているところです。そのため、地場の社会保険労務士とか、中小企業診断士とか、そういう企業の雇用管理面を具体的に改善に向けた提案ができる人を委嘱しているところです。
 2つ目のご質問ですが、高年齢者雇用アドバイザーは、平成23年7月1日時点で全国で468名委嘱をしています。92名を70歳雇用支援アドバイザーの講習を受けて認定をしたと資料の中に書いてありましたが、これは昨年92名を新たに認定したということです。つまり、高年齢者雇用アドバイザーの中で特に実績や経験を積んだ方が、こうした講習等を受けて70歳雇用支援アドバイザーになるということを進めているところで、高年齢者雇用アドバイザー468名中、7月1日時点で388名が70歳雇用のアドバイザーという内訳になっています。

○宮本部会長代理
 それに関わって「委嘱基準に基づき業務実績等を勘案し」となっていますので、業務実績がかなりきちんとチェックされるのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 高年齢者雇用アドバイザーの実績については、これを入力するシステムを設けており、全国でどのアドバイザーがどこの企業でどのような相談をしたかは、すぐ検索できるようになっています。このため、確実にアドバイザーの業務内容、相談・援助の質と量がチェックできるようになっています。

○宮本部会長代理
 ありがとうございました。

○加藤委員
 7頁に、給付金及び助成金の1件当たりの平均処理期間の大幅な短縮と記載されています。平均処理期間は、平成19年度が51.8日に対して平成22年度が40.5日の大幅な短縮と書かれていまして、これも一定の評価ができるかと思います。そもそも最低限こういう事情があって、やはりこのぐらいかかってしまうのだ、という説明をできたらいただければありがたいと。といいますのは、例えばいろいろな給付金とか助成金、いろいろな種類のものがあると思うのです。ほかの場合には、例えば20何日とか、もちろん種類によって特性が違って日数も違ってくるのはよく理解できるのですが、本件の場合には、どうしてもこうこうこういう事情があるので40日ぐらいはかかってしまうのだと、そういう納得をしたいものですから、その辺を具体的にお願いできればと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構高齢者助成部長
 処理期間を大幅に短縮したわけですが、まず地方で事業主の方から助成金の申請書の申請書類を頂いて、それを受理・点検していただいて、それから本部に出してもらって、そのあとそれの審査をして支給決定をすると、その期間の短期間を目指そうということで目標を定めているわけです。ここにも書いてありますが、申請の受理・点検期間を15日以内に少しでも少なくして、審査期間を少しでも取ろうというところで、どうしても地方での申請から機構本部に上げる期間が15日以上かかっていたのですが、それを短縮し、機構の本部で審査をする期間は、各県を見ると30日以上かかっているのですが、本部で内容を審査する時間がどうしても多くかかっているというところです。受理・点検をして内容がきちんと届いているかどうかという地方の業務の点検業務、ここを少しでも縮めようということで努力をしているところです。

○加藤委員
 概要は理解できましたが、いま大きく2つに分けてご説明なされましたが、例えばそれぞれ地方から本部に上がってくる期間とそのあとの審査の期間というのですか、前者をもっと縮められるとか、後者も場合によったらもっと縮められるとか、そういう工夫は今後はどう検討されていますか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 給付金によって、年度の変わり目とか、年度の上半期が終わった時点とか、申請時期が込み合うこともあり、平準化することができればそれをもう少し短縮化できるのかもしれませんが、それが難しい中で地方で15日以内にきちんと処理するということです。一昨年まではこれが20日まで短縮しようという取組を行っており、それがようやく実現できたので、前年度から15日に向けて取り組もうということで、平成22年度についてはそれをさらに徹底するというところまで来たわけです。
 こうした地方での取組また本部での取組について、平成19年度比にして5%の短縮と目標を掲げていますが、それに甘んじることなく私どもとしてできる限りの努力をして、事業主は給付金の支給を1日も早くということで待っておられることはよく理解していますので、さらに、何日ぐらいという次の目標についてはもう少し精査をして検討したいと思います。いずれにしても1日でも2日でも短縮できるように取り組んでいきたいと思っています。

○加藤委員
 短縮できる余地はありそうだと、そういう感触を持ったのですが、そういう理解でよろしいですか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 そこはよく精査をしてみたいと思います。一つ懸念がありますのは、地方業務の窓口業務がこちらの6頁の右下のところで「受託法人の契約形態の一般競争入札への移行」というところで説明しましたが、これまでこの業務を何十年にもわたって行って来ました受託法人との契約関係を打ち切り、これは厚生労働省のご指導ですが、それで私どもが自前でこの4月から全国で受付窓口等の事務所を設けて実施しています。このため、まだ不慣れな職員が多い中でこの業務をこれまでのとおり順調に、さらにどんどん短縮していけるかどうかは多少難しいところもありますので、そういうところも見極めた上でまた新しい目標を考えていきたいと思います。

○加藤委員
 ホームページの質疑応答の回答の平均日数が1.5日弱というのは、どこか忘れましたが、先ほど紹介されて書かれていましたが、中身は全く違うのでしょうが、それとの温度差というのですか、それを感じたものですから、できるだけ工夫していただければいいのかと思います。ありがとうございました。

○今村部会長
 きめ細かい努力は大変評価されると思うのです。先ほど川端委員が質問されたことに関係するのですが、政策の手応えというのですか、障害者の事業に比べると高齢者はどうしても顔が見えないという印象が少しあるのです。というのは、理事長が民間からいらしたというので、もしかしたらたぶん通じるかという言い方をするのですが、いかにして高齢者に寄り添うかというポイントと、高齢者の雇用開発にイノベーションを起こすかという2つの視点から考えると、果たしてこのやり方は、予算を頂きました、その予算を効率的に使いました、意欲のある企業と接触をして、こちらから高年齢者雇用アドバイザーという形でしていますと。
 そうすると、どこか抜けていないかと。つまり、例えば端的な言い方をすれば、一人ひとりの高齢者で再雇用してほしいという人は再雇用されないという個別のケースについて、そちらからアプローチするルートが何か見えてこない。そうすると、例えば23頁に「実践的手法の開発・提供」と書いてあるのですが、それでは実際、手法がどのような手法が開発されたかが必ずしもよく見えないのです。
 いちばんターゲットとして届くべき高齢者個人にいかに効くかという点に関して、もう少しはっきりとした視点があればと、先ほど川端委員の質問を聞いていて思ったのです。とりあえず23頁の実践的手法がどのぐらい発生しているかについてでも結構ですし、いま申し上げました、いかにして高齢者に寄り添うのか、雇用に関しては実際に実践的イノベーションをどう起こしていくかという点について、どの程度進んでおられるかをお伺いできればと思うのですが。

○高齢・障害者雇用支援機構雇用推進・研究部長
 いま部会長ご指摘のとおり、私どもの政策はどちらかというと企業を対象として展開していくという形になっています。高齢の求職者の方とか、あるいは雇用継続の法的指導に関しては、ハローワークの受け持ち分が政策として大きくなります。一昨年までは高齢期雇用就業支援コーナーという直接高齢者の方向けの政策があったのですが、それが廃止されたこともあり、機構の支援策はご指摘のとおり企業向けが中心になっています。
 ただ、たくさんの高齢者の方に支援の裾野を広げていくためには、企業を通してやっていくのも非常に有効だと思います。私どもは各都道府県に1カ所しか出先がない状況ですが、アドバイザーは各都道府県内のどこの企業でも訪問しています。また、必ずしも意欲的な企業にだけ行っているわけではなくて、ハローワークと訪問計画を立て、法違反状態である企業も含めてハローワークと共同で企業訪問をしています。年々だんだん難しい企業が残ってくるという傾向があり、アドバイザーも特に70歳雇用については難渋している状況ですが、ハローワークと連携しながら、残っている難しい企業に対して細かい支援策を展開していきたいと思っています。
 例えば、企業を通して職場改善のご提案とか、あるいは賃金がネックになって雇用継続が広がらないということがありましたら、実践的手法開発事業のほうで開発している診断システムなども活用します。このうち仕事能力把握ツールは従業員に直接回答していただくツールでして、結果を分析して従業員のこのあたりを能力開発していけば継続雇用がもっと円滑に進むのではないかということを、企業に提案するというツールになっていますので、これらも活用し、できるだけたくさんの従業員の方にそういう成果が及ぶようにと考えているところです。

○中野委員
 いまの企業側にアプローチをしていらっしゃるということですが、例えば『エルダー』という広報誌がありますよね。これが書店で試行販売、全国12カ所ということですが、これはどのぐらい売れているものなのでしょうか。1冊おいくらですか。というのは、自分は雇用につながるのかどうかと自覚するのはなかなか難しいように思いますので、書店に置いておいて果たして効果があるのか、あるいはもう少し高齢者が集まる所へ置いておかれたほうが売れるのかと、そのような気がしたので販売状況をお尋ねしたいと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 1つは、これは6万部、啓発・広報ということで配布をしていて、先ほど説明がありましたとおり未達成企業とかそういう所、あるいは事業主団体等々にまずは配布をしているところです。部数はまだ100部程度だったと記憶していますが、正確に申しますと『エルダー』は今年度は、141部売れています。内容がどうしても高齢者雇用に特化した極めて専門的な雑誌ということもあり、商業ベースということで考えると置いて協力いただける所も限られているわけです。ただ、今後については、インターネットなども利用しながら、できるだけ広範囲に周知をして是非活用いただきたいと、そういう形でも啓発・広報をしっかり果たしていきたいと考えています。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 480円です。

○中野委員
 ありがとうございました。

○今村部会長
 よろしいですか。次にグループ2「職業リハビリテーション業務」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明35分、委員の評定と質疑20分の合計55分となっています。それでは、法人からご説明をお願いします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 資料29頁からは障害者事業ということですが、そのうちグループ2、職業リハビリテーション関係の評価シートを7から10まで続けて説明いたします。30頁、評価シート7「地域センター業務」です。32頁ですが、平成22年度の地域センターの専門的支援について、他の就労支援機関では対応が困難な精神障害者、発達障害者に対する支援や事業主ニーズを踏まえた専門的支援の積極的実施、厳しい雇用情勢に対応した就職実現特別対策の展開を重点に取り組んでまいりました。その結果、平成22年度は12の数値目標すべてを達成することはもとより、すべてが前年度の数値を上回りまして、12指標中10指標で過去最高を記録いたしました。
 以下、主要事業について説明いたします。33頁ですが、「支援を必要としている障害者の積極的な受入れの推進、きめ細かな職業リハビリテーション計画の策定」です。平成22年度の重点にありますように、ハローワークとの連携、職リハネットワークの活用に加えて、医療機関、ニート等の自立支援機関、教育機関との連携強化を図り、支援を必要とする障害者を積極的に受け入れたところです。その結果、利用者は29,864人と、こちらも過去最高を記録しました。その内訳ですが、就職や職場適応が困難な精神障害者や発達障害者等の割合が52.0%と、初めて利用者の過半数を超えるに至ったところです。こうした利用実態を踏まえて、実際の作業場面を活用した職業評価の徹底により、個々の障害者の特性を的確に把握するとともに、支援の各段階における状況や本人の意思等を確認し、きめ細かな職リハ計画を策定しているところです。また、厳しい雇用情勢の中、就職実現に向けたタイムリーな支援を行うべく、支援期間の途上であっても、積極的にこの計画の見直しを行いました。また、下の表にありますが、精神障害者その他の障害者に対する職業指導等の実施回数が、身体障害者や知的障害者を大きく上回っていることからお分かりいただけますように、就職困難性の高い方々にはより手厚く、きめ細かな対応を行いました。その結果、職リハ計画の策定件数ですが、目標の17,000件を大きく上回る24,493件と、こちらも過去最高を記録したところです。利用者アンケートですが、「自分に合った計画だったので、自分の足りない部分を補えて良かった」など、87.4%から満足との評価をいただいております。一方、不足あるいは不満等のご意見に対しては、当該地域センターに対して、分析と改善策の実施を指示しております。例えば、「自分の意見や考え方を十分伝えられなかったんだ」というご意見に対しては、「利用者のコミュニケーション能力等を踏まえて、実施可能な複数のパターンの支援内容をご提示しながら相談を進める」といった改善を図ったところです。
 34頁ですが、「就職等に向かう次の段階への移行の促進」です。地域センターでは、基本的な就労、労働習慣の体得や職業に関する知識の習得のための職業準備支援を行っております。具体的には、まず模擬的就労場面での作業支援、2つ目には講話や事業所体験実習などによる職業知識の習得、さらに、3つ目としては対人技能訓練やグループミーティング等を通じた精神障害者の自立支援という3つの支援を組み合わせて個別カリキュラムを策定し、きめ細かな支援を行っているところです。さらに、厳しい雇用情勢が続く中、「就職実現特別対策」として、ハローワークの参加による具体的な求人情報に基づいたケース会議の実施、あるいは所長等による経営者団体や企業訪問による求人要請などを積極的に実施しますとともに、就職実現に効果のあった取組については四半期ごとに取りまとめて、全国の地域センター等で共有したところです。その結果、他の就労支援機関では支援が困難な発達障害者その他の障害者の利用が増加する中で、職業紹介や職業訓練など、就職等に向かう次の段階への移行率は88.1%、修了者の就職率は67.5%、就職者数も1,344人と、いずれも過去最高を記録したところです。
 アンケート結果でも、「自分の障害の特徴に応じた職場での対応の仕方を学ぶことができた」など、97.0%から「効果があった」との高い評価を受けているところです。また、不足や不満等のご意見に対しても、先ほどと同様に具体的な改善を図ったところです。
 35頁ですが、「精神障害者、発達障害者に対する支援力の強化」です。平成22年度は、発達障害者に対する専門的支援の試行実施を全国で10センターに拡大しました。それとともに、新たに注意欠陥多動性障害を対象に加えさせていただいたところです。実施に当たっては、試行地域センターの担当者、総合センターの研究員等からなる「プロジェクト委員会」を設置して、円滑な実施をバックアップするとともに、支援技法の効果の検証と改善を図ったところです。さらに、効果的な支援方法、実施体制等について取りまとめた報告書を作成して、各地域センターに配布して、活用を図ったところです。
 もう一つの重点は、「精神障害者、発達障害者等に対する支援ノウハウの蓄積・共有化」です。全国の地域センターのカウンセラーや職業訓練指導員等が参加する「職リハ業務研究会」を開催して、後ほど詳しく説明しますが、リワーク支援において、うつ病以外の強迫性障害やパニック障害等のある利用者を対象とした支援内容とその効果等の報告や意見交換、また、障害特性に応じた実践的な支援技法の演習等により、支援力の向上に努めたところです。さらに、機構内LANを活用して、新たなカリキュラム、教材、ツールの作成例・工夫例135件を全国の地域センターで広く共有し、効果的な支援を図ったところです。
 加えて、「一人ひとりの状況に対応した創意工夫」としては、発達障害者等の利用者の増加に対応して、作業支援プログラムのカリキュラムへの「他者とのコミュニケーションを要する集団作業」を導入したところです。
 36頁ですが、「ジョブコーチ支援の推進」です。この事業は、職場において障害者の就職・職場定着を促す専門職としての「ジョブコーチ」を養成し、これを一定期間職場に派遣することで、障害者と事業主の双方を支援するものです。このジョブコーチ支援については、地域センターのジョブコーチによる支援と、当機構以外の福祉施設等のジョブコーチによる支援の2種類があります。当機構の地域センターにおいては、他の機関では支援が困難な障害者に対する支援を重点的に実施したところです。支援の実施対象となった方ですが、平成22年度は3,302人と、目標の2,100人を大幅に上回ったところです。その内訳としては、身体障害者や知的障害者が減少する一方で、職場適応の困難度が高い精神障害者、その他の障害者が増加しているところです。このため、個々の障害者の態様に応じた支援や、定着促進のためのジョブコーチ支援終了後の職場適応指導にも積極的に努めたところです。また、障害特性に応じたきめ細かい対応に努めた結果、一人当たりの適応指導実施回数では、「精神障害者、その他の障害者」が「身体障害者、知的障害者」を大幅に上回ったところです。また、支援スキル向上研修を開催して、精神障害者、発達障害者に対する支援力向上のためのケーススタディ等を実施しました。これらの結果、指標?の「6か月後の定着率」ですが、87.6%と目標の8割を上回っており、過去最高となりました。
 利用者アンケートにおいても、「支援があったので作業がやりやすかった」、「心強かった」など、94.0%から「効果があった」との高い評価をいただいております。また、知的障害者など、福祉施設等のジョブコーチで対応可能な支援については、できる限りそうした福祉施設等に委ねるべく、ジョブコーチ支援事業推進協議会を前年度を上回る502回開催して、支援方法に係る専門的援助、技法の移転等を積極的に行ったところです。その結果、福祉施設等のジョブコーチによる単独支援が年々増加しているところです。
 37頁は、「精神障害者の雇用支援の推進」です。これは本人、事業主、主治医の三者での合意形成を図りながら、いちばん上の3つの囲みにある、職場復帰、雇用継続、就職実現に向けた総合的な支援を行うものです。中でも、本人の適応力・集中力の向上、職場の受入体制の整備等により、精神障害者の職場復帰を促進する「リワーク支援」については、支援対象者が大幅に増加し、「全国展開後の状況」の課題?のように、支援を受けるための待機者が多数生じたということがありました。こうした待機者を多数抱える地域センターに対しては、リワークカウンセラーの配置、リワークアシスタントの増員という実施体制の強化を図った結果、支援利用の待機が解消できたところです。
 また、課題?ですが、「休職と復職を繰り返す、あるいは休職期間が長期化するという復職支援の困難な事案の高まり」に対応し、個々の対象者の状況に応じて、復帰後の新しい職務や環境に対する適応力の向上、キャリアプランの再構築に向けた支援等を加えた「個別実践型リワークプログラム」を実施しました。そうした支援効果を一層高めるために、対象者の主体的な取組を促進する手法も取り入れたところです。加えて、「更なる工夫」として、遠隔地の対象者については、関係機関へ地域センターの職員が訪問して、リワーク支援を実施するといった取組を行ったところです。さらに、「精神障害者雇用支援ネットワーク」として、関係機関連絡協議会等の場を活用して、前年度を上回る約3,700機関への働きかけを行いますとともに、メンタルヘルス対策支援センターとの連携により、約1,600の医療機関と連携を図ったところです。
 これらの結果、指標?の支援実施の対象となった精神障害者の数ですが、目標を大きく上回る2,459人、指標?の復職・雇用継続率も82.0%と目標を上回り、いずれも過去最高を記録したところです。また、利用者アンケートにおいても、指標?にありますように、「他の受講生とともにプログラムを行うことで、うつに対する自分自身の理解が進んだ」、「復職の前に別の場所でウォーミングアップできるので有効だった」など、過去最高となる99.1%から、「効果があった」とのご回答をいただいており、目標を上回る高い評価をいただいたところです。
 38頁ですが、「障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」です。ハローワークが行う雇用率達成指導への協力、ジョブコーチ支援等により、前年度を上回る15,766事業所に対して支援を行ったところです。また、地域センターの助言の下、共通の問題を抱える企業同士で意見交換等をする「事業主支援ワークショップ」を前年度を上回る152回開催し、企業の自主的取組を促したところです。その結果、指標?にあるように、支援計画策定数は目標の5,500件を大幅に上回り、前年度比110.6%の10,874件と、これも過去最高を記録したところです。この支援計画に基づいて、「採用計画」、「受入れ準備」、「具体的受入れ」、「職場定着・適応」と、各段階にわたる体系的な支援を積極的に進めたところです。
 指標?として、支援終了後3か月後に実施した追跡調査の結果ですが、「積極的に障害者雇用を進める雰囲気が社内に生まれた」、「職務の創出について的確なアドバイスをいただいた」など、「効果があった」との回答が92.1%と、目標の7割を大きく上回り、過去最高となったところです。
 以上がシート7で、12の指標すべてで目標を上回り、また前年度実績をも上回り、しかも10指標という、ほとんどすべての指標で過去最高を記録したということ、さらに、就労が困難な精神障害者や発達障害者への取組に大きな成果を上げていること、福祉施設や事業主と連携し全体としての取組が進んでいることなどが評価されて、当機構の外部評価委員会からS評価をいただいたところです。
 39頁は、シート8「地域の関係機関に対する助言・援助、職リハの専門的な人材の育成」です。41頁ですが、平成21年4月から地域センターの業務として、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業者などの地域の関係機関に対して職業リハビリテーションに関する助言・援助を行うことが法的に位置付けられたことを受けて、平成22年度は、こうした地域の関係機関がより効果的な職業リハビリテーションを実施できるよう、当機構で培ったノウハウを基に、技術的な支援に努めたところです。
 「助言・援助の実施」については、●で示しているように、「ケース相談、ケース会議等におけるアドバイス」をはじめとして、4つの手法により積極的な助言・援助を展開したところです。これらの結果、助言・援助の対象機関、実施件数については、前年度比で大幅に増加しております。また、助言・援助を行った機関に対して、その後の状況を把握したところ、職リハの内容を見直したり、職業評価やジョブコーチ支援等を自ら実施するようになったという機関の割合が86.7%に上ったところです。
 次に、「実務的研修等の実施」ですが、関係機関向けのマニュアル・教材について、地域の関係機関等のご意見・ご要望を踏まえて、地域独自の最新情報を盛り込むなどの改訂をしました。当機構による就業支援基礎研修の受講者、あるいは自ら研修を実施する関係機関の職員の方々に対して、内容や活用方法を解説しながら提供させていただいたところです。また、「就業支援基礎研修」についてですが、前年度受講者のご要望を踏まえて、意見交換や演習の割合を高め、さらに「課題分析」や「ビジネスマナー」といった講座も追加したほか、受講しやすいように開催日を連続ではなく、分散して受けていただくことも認めるというような工夫もさせていただいて、目標を上回る61回実施したところです。さらに、一定の実務経験を有するジョブコーチを対象に、「支援スキル向上研修」を実施して、支援計画の策定、経験が浅いジョブコーチへの指導・助言、事業所内での雇用管理、職務の切出し等に必要な知識・スキルの修得を図ったところです。
 「その他の援助」ですが、各地域センターでは、発達障害者の障害特性に関する勉強会や支援ツールの活用方法等の講習会等を開催したほか、他の機関が主催する研修や講習会への講師派遣への協力を行ったところです。その結果、「指標」にありますように、助言・援助等を受けた関係機関からは、「面接同行のやり方など、助言を受けたあと直ぐに実践でき役に立った」など、目標を上回る99.3%から有用との評価をいただいたところです。また、研修受講者の所属長に対する調査においても、「個々の障害者に応じた支援が可能となり、施設内でも研修内容を共有して役立てている」など、93.9%から有用との評価をいただいたところです。
 「地域の関係機関との職リハネットワークの形成、整備」ですが、「地域職リハ推進フォーラム」を、新たに設置された機関や就労支援の実施が十分でない機関とのネットワーク形成を目的として実施したところです。実施に当たっては、受講者を同種の機関に偏らないようなグループ分けにして、小集団による意見交換や事例報告等の時間を多くとるように工夫しました。また、前年度受講者のご意見等を踏まえ、できるだけ効果的に実施できるよう、小規模開催に改めるといった改善も図ったところです。このほか、連絡会議を前年度を大幅に上回る275回開催しますとともに、連携関係が十分でない関係機関を中心に個別訪問を行うなど、地域における職リハネットワークの強化を図ったところです。
 42頁は、「職リハの専門的な人材の育成」です。アンケート調査によるご意見、ご要望を踏まえて、改善・充実を図ったところです。具体的には、「発達障害者就業支援セミナー」について、内容やレベルを低下させることなく、多くの方が受講しやすいよう、カリキュラムを再編成し、期間を4日から3日間の開催に短縮したところです。また、「職場定着の取組について詳しく知りたい」との意見を踏まえ、「拡充」にあるように、職場全体で発達障害者の定着支援を行っている企業の人事労務担当者の方に来て講義をしていただいたところです。また、「就業・生活支援センター職員研修」ですが、「もっと詳しく知りたい」とのご要望が多かったのは、労働法規の基礎知識であり、そうしたご要望を踏まえて、労働法規等の講義時間を延長するとともに、より多くの実例を交えて説明してほしいとの要望があった「障害特性と職業的課題」については、受講者自身が日ごろから苦慮している事項を事前にアンケートで把握し、事例を交えた講義を実施するなどの改善を図ったところです。
 また、「ジョブコーチ養成研修」については、アンケート等で昨年度、大変好評でしたので、平成22年度については前年同様の内容で開催したところです。「職リハ実践セミナー」ですが、受講者の要望を踏まえて、「支援技法の活用」の講義に加えて、障害別のコースごとに障害特性に応じた技法やツールを実際に体験する演習を取り入れたところです。一番下にアンケートの結果をまとめて載せておりますが、これらの取組の結果、直後のアンケートでは98.3%、研修の終了6か月後の追跡調査で90.3%、研修終了2か月後の所属長アンケートでは92.8%から役に立っているというご評価をいただいており、それぞれ目標を大きく上回ったところです。以上が評価シート8で、自己評価はAです。
 43頁は、評価シート9「職業リハビリテーションに関する調査・研究」です。45頁ですが、職業リハビリテーションに関する調査・研究は、1から4の重点項目を定めて、厚生労働省からの政策ニーズ、当機構の広域センターや地域センター、障害者就業・生活支援センター等からの要望を踏まえて、平成22年度研究計画の策定を行ったところです。具体的には、新規6テーマ、継続7テーマの計13テーマで調査・研究を実施し、このうち、平成22年度に終了した7テーマについて報告を作成したところです。研究成果については、外部の学識者等による研究評価委員の評価を受けて、4段階中、上から2段階、つまり「優れている」または「やや優れている」といった評価をいただくことを目標にしておりますが、実際にはこれを上回り、すべてのテーマについて、評価者全員から上位2段階の評価をいただくとともに、この7テーマのうち2テーマについては、すべての評価者から最上位の「優れている」との評価をいただいたところです。
 報告書については、内容を要約したサマリーをより見やすく改善したほか、利用者のご意見を踏まえて、新たに、各報告書をさらに簡潔にまとめたパンフレットも作成しました。見る方のご関心の内容や程度に応じて、まずはパンフレットから入っていただき、順次サマリー、報告書へと導いて、新規のニーズを掘り起こすこととしております。さらに、その他の研究として、現場の課題解決に資する資料作成など、9テーマの調査研究を行って、このうち1テーマについては、新たに国立特別支援教育総合研究所との共同研究として実施したところです。
 46頁ですが、「職業リハビリテーション技法の開発」です。当機構では、これまでの支援技法では対応が難しい障害者のための就労支援技法の開発と普及を行っており、平成22年度は目標どおり3テーマで取り組んだところです。1点目ですが、発達障害者の就労支援技法の開発です。近年は、発達障害者の障害特性の多様化に対応するために、注意欠陥多動性障害の方のアセスメント技法の開発に取り組んでまいりました。平成22年度は、当該アセスメント技法の検証と事例の蓄積を行ったほか、活用現場のニーズに対応し、「職場対人技能トレーニング」の改良を行ったところです。これらの成果をマニュアルとして取りまとめたほか、職員研修等で活用しやすいCDやDVDの形にしたものも作成したところです。同様に2つ目の「精神障害者の職場再適応支援技法」、3つ目の「高次脳機能障害者の就労支援技法」についても、それぞれ中ほどにお示しした重点取組に従って支援技法の開発を行い、報告書、マニュアル等を取りまとめたところです。
 47頁です。職リハ研究においては、その成果を福祉、医療、教育、NPO、企業など、実践現場において活用していただくことが重要であり、研究・開発成果の積極的な普及・活用を図っているところです。「研究発表会」について、平成22年度は、中央で1会場、地域で3会場と、合計で目標を上回る回数を実施しました。このうち、幕張で開催した中央会場では、参加者数が1,010人、発表題数は101テーマと、ともに過去最多を記録するに至っております。また、アンケート調査においても、98.8%の方から「参考になった」という、大変高い評価をいただいております。また、地域別ですが、具体的には秋田、大阪、愛媛において開催し、アンケートでも97.6%から研究成果を是非活用したいとの高い評価をいただいたところです。「学会等での発表」ですが、目標20件に対してそれを上回る24件の発表を行って、機構内外の各種研修でも研究成果の普及を行ったところです。
 研究部門のホームページについては、新たに職業評価ツールを動画で紹介するなど、コンテンツの充実を図った結果、アクセス件数は434万件に達しました。また、関係する学会のほか、新たに、学校関係の機関誌にも成果物の紹介を掲載するなどの取組も行ったところです。現場で直ちに活用できるマニュアル・教材等についても、目標は4件ですが、それを上回る6件の作成に至っております。
 加えて、右下のグラフは、研究成果が広域センター、地域センター、就労支援機関などで幅広く活用されている状況を、アンケート結果によりお示ししたものです。さらに、障害者就業・生活支援センター等の91.4%から「有用である」とのご評価をいただいており、「幅広い内容の記述があり利用しやすい」、「バイブル的資料として活用している」といった報告が寄せられるなど、実践現場で有効に活用されていると承知しております。以上が評価シート9で、自己評価はAです。
 48頁は、評価シート10「障害者職業能力開発校」です。50頁です。機構が運営業務を行っている障害者職業能力開発校ですが、全国の広範な地域からの職業的重度障害者を受け入れ、他の障害者職業能力開発校等に成果を提供できるよう、先導的な職業訓練を行っているところです。平成22年度は、特別支援障害者の受講機会の拡大および広範な地域からの受入れに向けて、中央校と吉備校の両校で、精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者について、受講希望者が募集枠を大幅に上回ったことに対応して定員を超えた受入れを行うとともに、これまでの中央校に加えて、新たに吉備校においても一般訓練科での受入れを開始したところです。この受入れに当たっては、職業生活指導が的確に行われるよう、臨時講師の増配置や教室の追加確保等を行うとともに、一般訓練科の職業訓練指導員に対して支援時の配慮事項等について研修を行い、適切な指導ができるようにしました。なお、定員充足に向けた取組ですが、関係機関への協力要請のほか、新たに、視覚障害者等が在籍する福祉機関や回復期リハビリテーションの実施病院等を訪問するなど、訪問対象機関を拡大し、募集用のDVDの活用、特別支援障害者に係る施設を対象とした見学会等を実施したところです。こうしたことから、特別支援障害者の割合が目標を上回る49.0%と、定員充足率についても目標を上回る103.6%ということで、2年連続で定員を完全に充足したところです。
 次に、「特別支援障害者に対する職業訓練の充実」ですが、企業ニーズを把握するため、企業向け見学会の開催等に加えて、特別支援障害者の採用企業を訪問し、特に、重度視覚障害者の雇用実績が少ない事務系職種を重点に、実際の職務内容と就業に必要な具体的な技能等を把握したところです。また、修了生の就職職種や訓練科ごとの就職率を分析して、訓練生、企業双方のニーズが高い訓練科の定員を拡大するとともに、ニーズがともに低い訓練科の定員の縮小を行ったところです。また、後ほど説明いたします特注型企業連携訓練のメニューを応用し、施設内訓練における教材・テキスト等の改訂を行いました。このうち認知障害のある訓練生に対する教材が、平成22年度厚生労働省職業訓練教材コンクールにおいて、厚生労働大臣賞を受賞したところです。「精神障害者、発達障害者に対する支援技法の向上とノウハウの共有」については、支援技法向上のための研修を職業訓練指導員に対して実施したほか、カリキュラム、教材、ツール等の新たな作成例、工夫例を機構内LANを通じて共有し、吉備校、中央校の両校で活用し、より効果的な支援に努めたところです。
 51頁ですが、平成22年度の重点として、前年度に導入した「特注型企業連携訓練」の内容の充実と受入企業の拡大に取り組みました。この訓練ですが、通常の訓練では就職・職場定着が困難な方々、例えば、就業環境が変わると強度の不安や緊張などにより、業務の円滑・的確な遂行が困難となる精神障害者などについて、オーダーメイド型の訓練メニューに基づく企業内訓練と訓練施設内での就業継続のための技術的支援を一体的に実施するものです。具体的には、52頁に特注型企業連携訓練の対象、内容、流れをまとめております。こちらは時間の関係で説明を割愛しますが、後ほどご参照いただけたらと存じます。
 51頁に戻っていただき、「内容の充実」です。前年度に、この訓練では受講者が作業の量とスピードの双方を求められる企業内訓練の段階で自信を失って、結局、就職が不調に終わるという事例が見られました。このため、平成22年度では、新たに、施設内訓練の段階から、できるだけ早期に無理のない目標を設定し、達成状況を見ながら段階的にこれを引き上げていく手法を導入したところです。また、受入企業に対しては、障害特性を踏まえた指導方法、支援ツールの活用方法等について、写真入りで解説したマニュアルを作成し、提供したところです。「受入企業の拡大」については、ホームページの活用や事業主団体、企業への訪問回数の大幅増に加えて、新たに、企業が事業効果を理解しやすいよう、事例を盛り込んだパンフレットを作成・配布して、受入れ検討の働きかけを行ったところです。その結果、平成22年度では35人を対象に実施することができ、修了者34人のうち29人が就職と、前年度実績を大きく上回ったところです。
 「厳しい雇用情勢に対応した就職促進対策」ですが、機構内に対策本部を設置し、特別対策を機動的に検討、実施しました。具体的には、就職希望地の事業主団体への求人確保の協力依頼、就職面接会に参加した人事担当者への訓練生の求職情報の提供、ハローワークとの連携による求人・事業所情報の収集、求人開拓等に取り組んだところです。一方で、訓練生に対しては、就職面接会への積極的参加を促すとともに、就職経験がない者等を中心に、体験型の短期職場実習を行ったり、就職活動長期化に伴う意欲低下や心身の不調を回避・軽減するためのグループミーティングなどを、反復して開催したところです。その結果、厳しい雇用環境の中で、就職率は83.9%と目標を超え、就職者数も224人と前年度実績を上回ったところです。
 53頁ですが、「障害者に対する指導技法等の開発・普及」です。平成22年度は、発達障害者の訓練技法及び重度視覚障害者の事務系職種訓練について、マニュアルを取りまとめました。これらの成果物については、関係機関への配布、ホームページへの掲載等を通じて普及促進を図り、特に、ホームページへのアクセス件数は約69万件と、前年度比6割増となったところです。また、機構本部においては、職業能力開発校をはじめ、専修学校や企業等で障害者の職業能力開発に携わる方々を対象に、指導者交流集会を開催し、テーマごとのグループ討議を通じて訓練技法の普及を図るとともに、中央校・吉備校においても、精神障害者に対する訓練等をテーマに交流集会を開催しました。また、新たに、実際の訓練場面での技能指導体験を加えるなどの工夫を行いつつ、実践的な指導技法等の普及を図り、いずれも9割以上の参加者から有用であったとの高い評価をいただいたところです。
 また、「指導技法等の開発成果に関するアンケート調査」ですが、精神障害者及び高次脳機能障害者に対する報告書について、「訓練のポイントがよくわかった」など、97.3%から有用との評価をいただいております。さらに、アンケートによると、新たな訓練科の開設等を検討していた機関のうち、当機構による実践研究報告書等の存在を知っていた機関の92.0%で、当機構の報告書をご活用いただいたことも分かったところです。以上が評価シート10で、自己評価はAです。以上、グループ2についてのご説明でした。

○今村部会長
 委員の皆様は、評価シートへ評定等の記入をお願いいたします。質問等ありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 50頁のいちばん上に書いてある「定員を超えた受入れ」です。中央校と吉備校で、もともと定員が中央校で20人から32人というのは、20人のところ32人受け入れました、という理解でよろしいですね。定員の数に対して、希望者、申請者の割合についてのイメージを知りたいのです。あとは、これは2つの施設、学校に限定されるということだと思いますが、場所的な地理的な問題で、どうしても申請したくてもできない方々も、全国にたくさんいらっしゃるかもしれないということを考えた場合に、この定員の数は、イメージよりもすごく少ないなというように私は個人的に思ったのです。その辺のいろいろな経緯とか、将来の予定とか、おありだと思いますので、教えていただければと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 まず、入校の倍率ですが、全体では両校合わせて2.08倍ぐらいの応募がありまして、そのうち精神障害者が2.27倍、発達障害者が2.63倍、高次脳機能障害者が2倍ぐらいの応募がありました。その中で、できるだけ多くの人に訓練を受けていただこうということで、体制面なども考慮して、多めに入っていただいているということですが、こうした訓練上特別な支援が必要な障害者の方については、徐々に受入れを拡大しているところです。職域開発科というのがありまして、非常に基礎的な訓練をする所にこういう方々を受け入れていて、そこでノウハウを蓄積して、一般の訓練科に徐々に受入れを拡大してきている場合もありますので、その途上にあるので、このぐらいの数となっております。

○加藤委員
 一般論で大変恐縮なのですが、例えば定員の数が5名とか6名とか、最初から狭き門だなという印象がどうしても持たれてしまうような気が、私はしたのです。結果、2.何倍の方々をお受けされているということですので、であれば定員の数は最初から工夫されてもいいのかなというように私は思ってしまったのですが、その辺はいかがでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 集合訓練になじまないところがありますので、職業評価をして、お一人おひとりに特別なカリキュラムを個別に設定していきますので、そういう点で非常に手間がかかるということもありまして、徐々に拡大していくということになるかなと。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 補足をさせていただきますと、私どもの障害者の職業リハビリテーションのコンセプトですが、基本的には障害者の就労支援ということで、自治体や民間によるいろいろな支援機関がある中で、私どもの役目としては、ほかの機関、学校では、なかなか対応が難しいような精神障害、発達障害、高次脳機能障害の方といったまだきちんとした支援手法が確立していない方々を、先ほど担当部長からも申し上げましたように、一人ひとり手間をかけながら限られた予算、体制、施設で対応せていただいております。そういうところで、先進的、あるいは先導的な訓練等の支援手法をあえて少数制の受講生で構築させていただいて、少しずつの進歩というところはありますが、それがある程度確立すれば、その技法やノウハウをほかの機関に提供していくという使命があります。その意味では、常にフロンティアを走っていくことでありますので、体制あるいは手法等に鑑みて、こういう規模でやらせていただいているというところです。

○宮本部会長代理
 いまのお答えに続けてなのですが、フロンティアの問題であるということで、例えば発達障害、精神的な問題を抱えている若い人たちが、いま全国110ある地域若者サポートステーションに相当な数来ているのですが、その方たちに対してどういう形で自立のために支援するかというのは、ほとんど手探り状態であります。そういう意味でいうと、フロンティアだということで、わからないことではないのですが、学校の定員が10名、20名という規模と、全国の110のサポートステーションが抱えている、何らかの意味で疑われる人たちの桁が全然違うのですね。そういう意味で、直ちにというわけにはいかない難しさは持っているのですが、今後の日程といいますか、どういう形でここで開発したものを速やかに全国に広めていくかということがあると思うのですが、その辺りはどのように計画されているでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 発達障害者については、地域障害者職業センターにおける支援と、先ほどの能力開発校の訓練の普及というのがあるのです。1つは職業安定行政でやっております若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムで、地域で関係機関が連携をして、就職の支援をするということになっております。その中で、サポートステーションの利用者で、障害に自覚があって、専門的な支援を希望するという方については、地域障害者職業センター等の専門機関につなげて、そこで専門的な支援をするというシステムにはなっております。私ども地域障害者職業センターで、発達障害者の就職の支援については新しい分野ですので、いろいろな支援技法を開発してきております。先ほどお話がありましたように、一部の地域障害者職業センターで試行的に体系的なプログラムで支援を行っているということで、平成19年度から試行を開始しており、平成23年度、今年度は13カ所、13都道府県でやっております。大規模の所で支援の技法のテクニックの効果の検証を終えて、小規模のセンターでどうやったらうまくやれるかとか、あるいは地域の支援のネットワークをどのように組み立てるべきかとかいうことのトライアルをやってきております。さらに加えて、注意欠陥多動性障害の新しい支援テクニックの検証を昨年度やっております。本格的な実施に向けた支援面の準備は、大体整ってきたかなと考えております。全国的に本格的に実施するとなると、支援センターの体制面の強化などということが必要になってきますので、できるだけ全国で本格的に早く実施するという考えで、体制面も含めて関係諸般等、いろいろ調整をしているというところです。
 職業訓練は、逐次、訓練のノウハウが大体固まってきたところについては実践研究報告書、あるいは訓練マニュアルというもので取りまとめをしており、毎年毎年、関係機関に配布するとか、それを基に研修をするとか、ホームページからダウンロードできるようにするとか、そういうことで普及を図っておりますので、それは効果が検証され次第、順次やっていくということです。

○宮本部会長代理
 昨年4月に施行された子ども・若者育成支援推進法というのが、いま内閣府がそれを全国のモデル自治体で体制作りをしながら、総合的な横断的な支援の仕組みを作ろうというのでやっているのです。その中で、いまの発達障害等のネットワーク作りというのは非常に重要なものになるはずなので、その辺り内閣府ときちんと連携をとりながら、そしてまた各自治体ですよね。非常に期待され、待ち望まれていることだと思いますので、その辺を是非強化していただければと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 教育機関も含めて、地域で支援のネットワークを作るということは非常に重要かと思いますので、是非、積極的に対応させていただきたいと思います。

○中野委員
 41頁の「地域の関係機関に対する助言・援助等」の所で、ジョブコーチの支援スキル向上研修で、2号ジョブコーチというのは企業側にいらっしゃるわけです。連携する上では、この力がかなり重要だと思うのですが、この研修へ参加なさる数の傾向ですね。それと、かなり日数をそれに割くということが、実質的に企業側で容易なのかどうか。そういうことへの配慮は、どのようにお考えかという点を、お聞かせいただきたいのです。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 2号ジョブコーチの支援スキル向上研修は、2日間の日程でやっております。それほどご負担にはならないのではないかと思うのですが、受講者数は平成22年度で9人です。2号ジョブコーチ自体は、平成22年度末で92名が全国で2号ジョブコーチとして稼働しておられますので、その1割ぐらいずつをやっているという感じです。

○中野委員
 企業側の雇用姿勢といいますか、それをかなりバックアップできる人として期待したいところですが、全国何万という件数が雇用される中で、この2号ジョブコーチというのはあまり期待しなくていいという、年間9人しか受講しない研修会というのは何かなと、ちょっと思うのですが、その有効性というのはあまりないのでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 まず、92人ですので、地域的にゼロの所もたくさんあるということがありまして、普及がまだまだ必要かなということです。それから、職場内で職務を切り出したり、職員の対応の仕方を指導するとかいうことで非常に重要な役割を担っておられると思うのです。このスキル向上研修については、実践的な比較的高度な知識、あるいは実際の技能を身に付けていただくということで集中的にやっておりますが、まだまだ受講を促進する余地は大きいかなとは思っております。

○川端委員
 いまのお話に絡むのですが、42頁で真ん中にグラフがありますよね。これを見ると、発達障害者就業支援セミナー以外は、全部最近、受講者数が減っていますよね。これは何か理由があるのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 はい。例えば支援センター職員研修、これは障害者就業・生活支援センターの職員の方を中心に受けていただいているわけですが、毎年、新規にセンターとして指定される数が上下いたします。例えば平成21年度は42法人が就業・生活支援センターと指定されておりますが、平成22年度は25法人になっておりますので、新しく指定された所から受講していただくことになりますので、指定が減ると受講者の対象も減るということがあります。ジョブコーチなどでも、新しくジョブコーチとして登録される方が年度で上下しますので、そもそも新規に1号ジョブコーチとなられる方が、平成22年度は若干少なかったということです。職業リハビリテーション実践セミナーについては、8月と1月にやっておりまして、前年で見ると、8月のほうは数名、受講者が増えておりますが、2回目の1月のところで類似したセミナーとか講習のわりと大規模なものが別機関でだいぶ行われており、そこでぶつかってしまったというところかと思っております。

○川端委員
 ほかの機関でも、同じようなことをやっているわけですか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 ほかの機関でも、職業リハビリテーションの研修というのはやっております。

○川端委員
 例えばどういう所が。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 厚生労働省の他機関への委託のものもありますし、あるいは今回バッティングしましたのが、朝日新聞厚生文化事業団が、わりと大規模にやっておられるということです。ただ、私どもの講習については、自らフロンティアの部分の支援技法を研究開発し、自ら地域センターで実践をしたものを講習でやっております。そういう意味で、最先端、あるいは実践性において、内容的にはだいぶ一線を画すかなと思うのですが、もともと職リハ研修ということでは類似をしているということです。

○川端委員
 先ほどのジョブコーチの話で、大変重要な役割で、もっともっと必要だと思うのですが、数が減っているというのは、何か機構としてはここにたくさん出すように、受講者の拡大策みたいなものは講じられているのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 受講の周知については、就労支援等の関係機関にはダイレクトメールで、常に受講の勧奨をお願いしております。あと、ホームページなどで周知を図っているということでやっております。

○川端委員
 徐々に減っているということは、現場というか、我が国全体の中で、切実さというか、ニーズというのはどうなのでしょうね。減っているのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 そういうことではないかとは思うのですが、具体的にそうした業務に携わる方々というのは、これまで研修を回して消化してきているかなというのは、若干あります。それから、他機関も次第に一定ノウハウが蓄積されて、自ら研修をできると。ある程度できるという所も出てきておりますので、そういう中で、さらに役割分担等どうするかということは検討する必要があるかと思います。

○今村部会長
 いまの話ですが、先ほどの高齢者とは逆に、企業の顔が見えないというか、企業の多様性みたいなものは完全にオープンになって余計になっているような感じがちょっとするのですが、雇用の場として企業の中にどの程度入り込んでいくかということを考えると、2号ジョブコーチ9名とか、そういう状態で、先ほどフロンティアとおっしゃいましたが、イノベーションを起こしていくにはちょっともの足りないような印象がするのです。それから、宮本委員がご質問された地域若者サポステには、高次脳機能も含めて、大変多くの問題を抱えた障害者、いろいろな方がいる。それをサポートするNPOとかワーコレとか、いろいろ組織がある。ヨーロッパなどでは、そういった非営利組織が雇用の場をつくっているというケースもあるわけです。日本の場合、どうもその間のネットワークというか、距離がありすぎるような感じがするのですが、どういう雇用の場を開発していくかという、もう一歩進んだフロンティアというのですか、それについてはどのようにお考えなのか教えていただければと思うのですが。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 まず、企業側へのアプローチとしては、障害者への支援の一環として、カウンセラーが入っていって、職場の環境などを調べて、どのように改善したらいいかということで、企業とお話し合いをしながら、職場環境の整備、職務の指示の仕方、これらについて助言・援助すると。その後、障害者を採用して入っていくときに、ジョブコーチが数カ月、一緒に職場に行って、障害者に対する指導をするとともに、障害者と一緒に働く同僚の障害のない方々についても、対応の配慮事項、あるいは業務上の指示をどのようにしたらいいかとかいうこと。あるいは、場合によっては企業内で研修をするということで働きかけを行っております。次第にジョブコーチが行く頻度を少なくしていって、ナチュラルサポートと言っておりますが、会社内で自然に対応ができるようにしていくという対応をしております。
 そのほかにも、各地域で事業主支援ワークショップということで、企業の方、特に法定雇用率を割っているような企業の方に集まっていただいて、そこで障害者の雇用が進んでいる企業の話を聞いてディスカッションするとかいうことをやっております。その中で、またそれぞれの企業のニーズを把握して、個別に対応が必要なものについては、個別の支援計画につなげていくという対応を図っております。どちらかといいますと、ご指摘のように障害者側から見たアプローチというところがかなり強いかと思いますので、1つの課題としては企業がこれから障害者を雇用していく雇用管理面とか、そういうところからの支援は強化をしていく必要があるのではないかと認識をしております。

○今村部会長
 サポートステーションに集まって、NPOとかワーコレなどをやっている所では、やる気はものすごくあるのですが、ノウハウは少ないのです。一方で、高・障機構のほうはノウハウはいっぱいあるのですが、人手が少ないと。このギャップをどうやって埋めるかというのは大きな課題だし、それが埋まれば、かなり爆発的なフロンティアの解消みたいなものが起こるのではないかなというのはあるのです。ただ、どうしたらいいか、ちょっとわからない。おそらく、我々がまだ気が付いていない利用できる技術とかネットワークを使えば、もしかしたらできるのかなという漠然とした質問なのです。そこは是非、課題として検討していただければと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 障害者雇用促進法の改正により、平成21年度から地域職業センターの業務として、就労支援をする機関に対する技術的な助言・援助というのが、法定業務として入っておりますので、いろいろな方法をとりながら、地域センターの持っているノウハウ・技術を、地域の就労支援機関に移転をしていくことが非常に重要な業務になっておりまして、今年3年目です。いままでは何回そういうことで連絡をとったとか、何機関に働きかけたとかいうことでしたが、そろそろ働きかけた機関がどのように職業リハビリテーションで見直しを図って進んできているかというところも把握しながら、さらに連携の強化を図っていきたいと考えております。

○今村部会長
 参考にほんのちょっとだけ申し上げますと、全然分野は違うのですが、東大の藤本さんというものづくりをやっていらっしゃる所で、ものづくりの現場から定年退職なりして、別の企業に教えに行くときに、わざわざ違った組織の文化にどうやって適合してコミュニケーションをとるかということをトレーニングしてから出すと、技術の伝播が起こるということをやっていらして、そういうコースをやって非常にうまくいくというのです。そうすると、もしかしたら抜けている所というのは、違った組織にノウハウを移すときのコーディネートする人材、リレーショナルを作っていく人材というトレーニングが、これを見てもどこにも書いていないのです。専門性は深めるのですが、つながりをどう作るかというリレーショナルのスキルは全然できていないと。おそらくその部分を革新していくと、爆発的にイノベーションが起こっていくような気がしてならないのですが、それはこれからの課題だと思うのですが、一生懸命トレーニングされて、研究成果もいっぱいありますから、それをいかにしていくというフラットなリレーショナルな部分ですね。そういうところを是非、検討いただければと思います。

○川端委員
 ちょっと蒸し返すようですが、企業に障害者の雇用が義務付けられていますよね。1.8%でしたか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 1.8%です。

○川端委員
 そうすると、障害者にもいろいろな人たちがいますけれども、500人とか大きな所は、全部それに該当しますね。大企業だけでも、ものすごい数、要るわけでしょう。92人というのは、どうも納得いかないのです。そうすると、現実には全然ジョブコーチがいない所で障害者を採用している企業が、たくさんあるということですか。

○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 そうです。

○川端委員
 そういう所へ行って、「あなた、やりなさいよ」という指導はされないのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構障害者助成部長
 企業側には障害者助成金という形で、いろいろなメニューを国が用意されていて、私どもが支給の業務をしておりますが、中には例えば職業コンサルタントの配置を企業がやれば、それに対する賃金補助という形での助成金制度があって、いまお話の職場適応援助者、いわゆる第2号のジョブコーチですが、そのような者を企業が配置すれば、それに対する費用に対して助成金を支給するという仕組みが企業側には用意されております。いまのご質問のところにおきますと、企業には職業コンサルタントの配置も結構されております。それは重度障害者5人の雇用をしている企業さんで、そこに職業コンサルタントを置く。その費用に対して助成しているということで、そういった助成制度の中で、企業では、ジョブコーチに限らず、職業コンサルタントのような人員の配置というものをしております。

○高齢・障害者雇用支援機構理事
 1つは、ジョブコーチというものについての理解だろうと思うのですが、かなり専門的な職種といいますか、技能でありまして、特に定着の難しい障害者の方が職場に入ったときに、最初の半年間とか最初の1年間をかけて、どうやってその職場に定着をさせていくか、本人の問題もあるし、周りの問題もある。したがって、外におられた方の方が、さらに次の方のお世話をする、次の方のお世話をするという形で、ニーズとしては高いのです。そのことと、企業の中で障害者雇用についてきちんと責任を持っていくという方、これはそこまで高いスキルは要求しない、ただ、先ほどありましたような助成金で支援していくような形で、ある程度きちんと障害者を雇用するための体制を整備できるようなことを作ってもらう、そのように企業の方にはお願いをしていくということで、必ずしもジョブコーチだけがすべてをやっている、特に企業内ですべてをやっているわけではないということは、ご理解いただきたいと思います。

○今村部会長
 まだまだ課題はいっぱいあると思いますから、お聞きしていると尽きないのですが、時間もだいぶ限られてまいりましたので、ここで一旦2グループは打ち切らせていただきまして、次にグループ3に移りたいと思います。「障害者雇用納付金関係業務」及び「予算、人事等」の項目について評価を行います。予定では、法人からの説明30分、委員の評定として20分、合計50分となっております。法人から説明をお願いいたします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 それでは評価シートの11から18までを続けてご説明いたします。54頁をご覧ください。評価シート11「納付金制度」です。雇用率未達成企業から納付金を徴収し、雇用率を上回っている企業に対して調整金、報奨金を支給する業務を行っております。56頁をご覧ください。納付金制度に対する理解の促進に向け、事業主説明会において従来から適用対象である301人以上の事業主を対象とするものに加え、平成22年7月から新たに制度の対象となった中小企業を対象とする説明会を新規に開催し、前者では目標の250回に対して287回、後者では目標の130回に対して159回と、いずれも目標回数を大きく上回って開催したところです。その際、今般の制度改正の内容が、中小企業への初めての適用であること、短時間労働者の参入など多岐にわたること、それから施行期日が平成22年7月と年度の途中のため、平成23年度の申告申請が例年に比べて複雑なものになることなどの状況を考慮して、分かりやすいものとなるよう工夫をしました。その結果、中小企業事業主対象の説明会においても、そのアンケートでは84.4%から、「理解できた」という評価をいただいたところです。
 「調査の効率的かつ的確な実施」については、平成21年度末の駐在事務所廃止に伴い、平成22年4月からですが、調査業務の担当の嘱託職員を5名削減した上で、本部組織に一元化し、作業体制や作業日程等を工夫して取り組み、前年度を上回る1,154件の調査を実施いたしました。「電子納付システムの利用促進」については、「利用促進チーム」による事業主訪問地域を、これまでの5大都市圏から12大都市圏に拡充いたしますとともに、「事業主の利便性の向上」については、電算機処理システムを活用した迅速な照会対応に加え、申告・申請様式の簡素化にも取り組んだところです。
 次に、納付金の徴収ですが、企業の厳しい経営環境の下で、納付金収納率の低下を防止すべく、未収納を確認後、速やかに事業主リストを受託法人等に送付し、早い段階から粘り強く訪問し、あるいは電話による納付督励を実施したところです。その結果、収納率が99.80%と、目標の99%を大きく上回り、厳しい経営環境が続く中、過去5年間で最も高い収納率を達成したところです。なお、過年度分の未収分についても順調に収納を進めているところです。
 57頁は「納付金制度の改正に係る周知・広報」です。平成22年度は、先ほど申しました改正制度の本格実施に向けた準備の最後の1年ということで、完全を期するために年度当初に厚生労働省と改めて協議をいたしまして、周知・広報の活動スケジュール、職業安定機関との役割分担や連携の方法をまとめた「アクションプラン」を策定して、それに則って周知活動を計画的、戦略的に進めますとともに、機構本部においても、関係部からなる「総合調整会議」を設置いたしまして、パンフレットや各種広報誌の活用はもとより、各業務イベント等とも連携し、機構を挙げての取組を展開したところです。
 また、右側ですが、新たに納付金制度の適用が見込まれるすべての中小企業事業主を対象とし、延べ13,445回にのぼる個別訪問を計画的に実施し、制度や手続に係るきめ細かい説明を行いますとともに、障害者雇用に取り組む事業主には、関係機関と連携を図りつつ、障害者の求職情報や雇用管理に関する情報の提供など、一歩踏み込んだ支援を展開したところです。訪問結果は、共通のチェックシートにより、理解度を統一的に評価・分類し、理解を示さない「理解度C」の事業主はすべからく再訪問、また理解が十分でない「理解度B」の事業主には機会を捉えた再説明等に取り組みました結果、最終的に十分な理解が得られている「理解度A」に分類される事業主が99.4%に達したところです。以上が、評価シート11で、大変厳しい企業の経営環境が続く中で、極めて高い収納率を実現したこと、事業主の利便性、効率化に向けて様々な取組を行ったこと、改正納付金制度の周知徹底に向けたきめ細かな対応を行ったことなどが評価され、当機構の外部評価委員会からS評価をいただいたところです。
 58頁は評価シート12「助成金の支給業務」です。60頁をご覧ください。平成22年度ですが、「効果的活用に向けた周知・広報」及び「適正な支給業務の実施」に重点的に取り組んだところです。まず前者ですが、一番上の「ホームページの活用」で、支給要件等の改正の翌日にホームページに掲載し、「7日以内」との目標を大幅に短縮して達成しますとともに、助成金の申請・請求様式の大幅な簡素化を図り、ホームページから直接ダウンロードしていただけるようにいたしました。また、事業主の満足度向上のため、受託法人等の窓口対応、提出書類の改善について、アンケート調査を実施いたしました。「理解できるまで時間をかけて丁寧に説明してくれた」、「順調に書類提出ができた」など、窓口対応について高い評価をいただきますとともに、一方では、申請書に記載例や記載上の注意点を盛り込んで欲しいといったご要望が寄せられたことを受け、申請様式の改善を早速図りまして、ホームページに掲載し、当該変更について業務担当者への徹底を図ったところです。さらに、公共職業安定所や地域センターとの連携強化により、助成金を必要とする事業所情報の把握に努めますとともに、そうした事業所に対する着実な情報提供に努めたところです。その結果、支給件数が増加し、障害者雇用に貢献したと考えています。
 次に、「適正な支給業務の実施」ですが、平成22年度は、不正受給防止事務実施チェックリスト」による窓口での厳正な審査点検を徹底し、また点検チェックリストによる障害者の実在確認等の徹底も行い、支給額が一定以上のすべての事業主への訪問調査なども実施した結果、「不正受給件数ゼロ」を実現したところです。以上が、評価シート12で、自己評価はAです。
 次に、61頁からは評価シート13「障害者雇用に関する相談・援助」です。63頁をご覧ください。「障害者雇用アドバイザーによる相談・援助、講習、支援機器の普及・啓発」です。まず、「事業主に対する雇用相談・援助」ですが、平成22年度については、雇用率未達成企業と雇用水準の低い中小企業等に重点を置いて、計画的な訪問相談を実施し、障害者雇用の成功事例を含むマニュアルの提供、それから各種助成金や就労支援機器の活用を提案するなどのサービスの充実を図ったところです。
 また、アドバイザーの資質向上のため、具体的な問題解決方法の検討や経験交流などの実践的・参加型の研修のほか、特例子会社の経営や就労支援機器の活用等に関しては、専門知識を有する本部アドバイザーが地方アドバイザーを指導いたしました。その結果、目標の22,000件を大幅に上回る27,660件の相談を実施し、相談援助を行った事業主への追跡調査では、「課題の改善が図られた」というご回答が、目標の7割を大きく上回る88.6%と、高い評価に結びついたところです。
 「障害者職業生活相談員資格認定講習」については、講習内容に、新たに、事業所見学、支援機関の見学、支援者等との意見交換等を導入するなど、より実践的なカリキュラムとなるよう改善を図りました。また、住居地の近隣県での受講も可能としたほか、聴覚障害者には手話通訳者の配置、視覚障害者には拡大コピーによる資料提供などの対応をするなど、受講者の利便性の向上にも努めました。講習の回数は前年度と同じく68回です。また、講習修了者数は3,881人となっています。アンケート結果では、97.4%から「有用であった」との高い評価をいただいたところです。
 64頁は、「就労支援機器の貸出し」です。「機器の普及」は、平成22年度において、貸出し機器を22機種追加いたしますとともに、ホームページで貸出情報を即時更新するなど、利用する事業主の方々への利便性を高めました。また、貸出制度のより一層の周知を図るため首都圏のハローワークや視覚障害者支援機関、職業訓練指導員研修等における説明、障害者就職面接会等でのリーフレットの配付等を行ったところです。さらに、利用状況やアンケート結果の分析等を踏まえ、機器の入替えを行うなど、ニーズに対応した多様な品揃えを実現するべく努力をいたしました。専門知識を有する本部アドバイザーによる利用事業主へのフォローアップの徹底にも努めたところです。これらの結果、機器の利用率は目標を上回る61.3%となり、アンケート結果では、「機器の選定段階から設置に至るまで丁寧に対応してもらい感謝している」など、83.1%から「役に立った」との評価を受けたところです。さらに、利用事業所の5割強で、その貸出しの後で機器の購入や賃借に結びついたとを聞いております。以上が、評価シート13で、自己評価はAです。
 65頁をご覧ください。評価シート14「障害者雇用に関する実践的手法の開発・提供」です。事業主の雇用管理上の課題解決や職域開発に向けた実践的なノウハウの開発・普及を目的とするものです。67頁ですが、「事業主のニーズ、国の施策動向を踏まえた実践的手法の開発」について、平成22年度は、初めて障害者を雇用しようとする事業主が、その募集・選考等を検討する際に役に立つよう、障害者を既に雇用している事業主へのアンケートや個別訪問による調査を行い、採用・選考の方法及び採用する際に重視した点などを取りまとめて提供いたしました。2つ目としては、重度化・重複化の進む肢体不自由者のうち、特に就職困難度が高いと言われている上肢障害者の方々について、様々な業種・職種における雇用管理や職場環境の整備等の事例の収集・分析を行い、具体的な支援手法を提案したところです。これらの成果物については、写真を豊富に活用し、課題や改善内容、効果などを分かりやすくまとめるように心掛けました。
 「分かりやすいマニュアル・好事例集」ですが、1つ目は、「視覚障害者の雇用事例集」です。視覚障害者の職域拡大を目的とし、ヘルスキーパーや事務的職業等の新しい職域の事例を紹介しますとともに、障害者雇用や復職のプロセスごとに、事業主が効果的な支援を受けられるよう、支援機関と支援内容を紹介したものです。2つ目は、「精神障害者雇用啓発DVD」です。精神障害者の雇用を進めている企業を取材し、本人のインタビューを交えながら、障害理解の促進、職務創出による新規雇用、リワーク支援を活用した職場復帰などの実践的なノウハウを紹介しています。さらに、3つ目は、「障害者雇用マニュアルコミック版「知的障害者と働く」」です。知的障害者について、障害特性の理解、作業指示の出し方、家族との連携等について、コミック形式で分かりやすく紹介しています。知的障害者の受入職場の研修資料として役に立つと、大変好評をいただいているところです。
 68頁ですが、先ほどご紹介しました成果を事業主の方々を中心に有効に活用していただけるよう、4つの取組を行ったところです。1つ目は「セミナー・展示を活用した普及」です。視覚障害者支援機関が主催するセミナーにおいて、「職場定着推進マニュアル」を提供し、新しい職域における雇用事例等を紹介するとともに、独立行政法人日本学生支援機構が主催する全国就職指導ガイダンスにおいて、職場改善好事例集を障害特性別に5種類提供し、さらに、後ほどシート15でご説明しますが、「障害者ワークフェア」において、パネル展示を行ったところです。2つ目は、昨年11月に開催しました「職業リハビリテーション研究発表会」の場を活用し、上肢障害者の職場改善好事例集の中の3企業に取組事例を発表していただきました。3つ目は、「事業主や支援機関等への成果物の配付」です。事業主や支援機関、特別支援学校等のご希望に応じ、マニュアルや好事例集を幅広く配付するとともに、平成22年度では、成果物一覧と活用事例をまとめた案内リーフレットを新たに作成・配付し、一層の活用促進を働きかけたところです。4つ目は、「ホームページ等を活用した普及」です。ホームページでマニュアル等を紹介しますほか、企業や地方公共団体にも社内LANへの掲載等を通じ職員に広く普及・活用が図られるように働きかけ、平成22年度に具体的な取組が行われた事例を2件お示ししました。そのほか、企業の視覚障害者の職場定着、聴覚障害者の職場定着、HIVによる免疫機能障害者の雇用管理に際してのマニュアルの活用事例を3件示しています。これらの成果物に対する利用者アンケート調査では、94.6%の方々から「障害者雇用に取り組む上で役に立った」との高い評価をいただいたところです。以上が評価シート14で、自己評価はAです。
 続きまして69頁、評価シート15「障害者雇用の啓発事業」です。71頁の「障害者ワークフェア」ですが、平成22年度は神奈川県横浜市で、第32回アビリンピックと同時開催した職業と福祉の総合的なイベントで、151の企業・団体が出展いたしました。今回のポイントは5点あります。1点目は、展示エリアを一周することにより、「能力開発」から「就労」、「職場定着」に至るまでの取組等を体系的に理解できるよう会場設営の工夫をした点です。2点目、3点目は、来場者参加型の内容となる工夫です。障害者能力開発施設の展示にフォークリフトの実演・体験コーナーを加えたほか、過去のメダリストの方々による指導が直接受けられる技能体験コーナーを設置し、来場者に洋裁やフラワーアレンジメント等の体験をしていただいたところです。4点目は、初めて障害者雇用に取り組む中小企業等の事業主や、特例子会社の創設に取り組む企業を対象とした展示コーナーの設置です。特例子会社の仕組みの解説、障害者職場改善好事例などをパネルで展示しました。5点目は、特設ステージでの多様なプログラムの実施ですが、通常の出展ブースではなかなか紹介し切れない企業の多彩な取組状況を、事業主と社員の対談形式により紹介したところです。
 これらの結果、来場者は36,700人にのぼり、アンケートの調査結果では、目標の8割を大きく上回る97.1%の方から「障害者の雇用問題についての理解が深まった」との高い評価をいただいています。また、障害者の方からは、「様々な仕事があることを自分の目で確かめることができた」、事業主の方からは、「他社の現場担当者の説明が、自社の障害者雇用のヒントになった」などの感想をいただいたところです。
 障害者雇用支援月間に伴う啓発活動ですが、東京で障害者雇用優良事業所等表彰式を開催しますとともに、全国6か所で、障害者雇用支援月間のポスター原画入賞作品展示会を開催し、計11,049人にご来場いただいたところです。さらに、マスメディア等を活用した広報・啓発活動として、当機構の職業リハビリテーションの取組等について、積極的な取材協力、情報提供を行い、その内容が広く報道されたところです。
 72頁ですが、定期刊行誌『働く広場』の発行です。目標どおり54,000部発行したところです。先ほどありましたように、書店での試行販売を継続するとともに、新たに読者層を拡大するための取組として、当機構が開催する各種行事、講習のほか、文部科学省の協力を得まして、進路指導担当者の会議において、チラシや見本冊子等を用いて周知を行ったところです。
 内容面では、読者アンケートでの意見・要望等を踏まえ、タイムリーな話題を取り上げるコーナー「NOTE」において、新規求職が大幅に増加している精神障害についての連載を行いますとともに、企業での取組事例を紹介する「職場ルポ」において、雇用率の低い業種における雇用事例を継続的に連載するなど、誌面の充実を図ったところです。読者アンケートでは、企業から「社員の障害特性の理解につながった」、社会福祉施設等からは「職員の啓発に役に立った」などの声が寄せられますとともに、92.2%の方から「非常に役立つ」、「参考になる」との評価をいただいたところです。また、内閣府主催の障害者週間行事に参画して、発達障害者の雇用促進をテーマに「働く広場」公開座談会を開催し、参加者から、就業、教育、福祉の支援現場からの報告や働く側、雇用する側からの意見発表のほか、「雇用のインセンティブ」、「職務と仕事」、「トラブル対応」の3つのテーマによる討論を実施いただいたところです。来場者アンケートによると、「発達障害者の特性を伸ばすことで企業価値が高められると思った」などの意見と併せて、96.5%の方から「参考になった」との高い評価を得たところです。以上が評価シート15で、自己評価はAです。
 73頁は、評価シート16「アビリンピックの開催」です。75頁をご覧ください。平成22年度は、昨年10月に横浜市で開催したところです。今回の大会では、地元神奈川県との連携により積極的なPRに努めたところです。また、関係機関やボランティアの方々の積極的な協力をいただきつつ、開催準備はもとより、当日の運営に当たったところです。今回のポイントとして4点ございます。1点目は、障害特性に応じた競技種目の見直しです。具体的には、知的障害や発達障害などの障害特性を踏まえた職域拡大のため、「製品パッキング」を新たな競技種目に採用しますとともに、種目別参加状況を勘案し、ビルクリーニングやパソコンデータ入力等、知的障害者を対象とする種目の定員を増やしたところです。さらに、技能デモンストレーションにおいては、「オフィスアシスタント」を新規職種として採用しました。2点目は、競技会場の運営における工夫です。観戦しやすい環状の周回通路を設置しますとともに、車椅子利用者や視覚障害者などに配慮したケーブル配線の工夫、また、作業音が生じる競技種目とパソコン作業など静寂さが求められる競技種目との区分など、競技しやすい環境作りにも努めたところです。さらに、前回大会のアンケート結果を踏まえ、ノンステップバスやリフト付きバスの運行、車椅子用仮設トイレの増設にも取り組んだところです。3点目は、本年9月に韓国ソウル市で開催される国際アビリンピックの選手選考を兼ねて開催することと併せ、国際アビリンピック紹介コーナーの設置、競技用パソコンの仕様の統一等を図ったところです。さらに4点目は、競技内容を紹介するDVDの作製と上映です。来場者の要望を受け、今大会では、作品の正確さや仕上がりの美しさが求められる6種目の技能の見どころ、競技内容と審査のポイント等を紹介したDVDを新たに製作し、競技スペース脇に設置した紹介ブースで上映し、来場者から好評を得たところです。
 76頁ですが、来場者の評価です。事業主からは「アビリンピック参加を社内の目標にしたい」、「障害者にもっと可能性があると感じた」、障害のある方からは「自分にもできることがあると感じた」、「早く仕事に就きたいと思った」などの感想や評価をいただきました。また、参加選手からも「自分の弱点や今後向かうべき方向を教えてくれる有意義な大会であった」、「結果に満足することなく、常に探求心を持って精進したい」といった声が多く寄せられたところです。来場者からも「障害者の職業能力、雇用に関して理解が深まった」との回答が、目標の8割を超えて96.3%となり、満足度についても96.7%と、これまでの最高となる極めて高い評価をいただいたところです。また、マスコミの反響も大きく、全国及び地方のテレビ、ラジオ、また、全国紙、参加選手の地元新聞などにより、全国規模で大会が紹介され、広く人々の関心と理解を深めることができたと思います。地方アビリンピックについても、競技種目の見直しを進め、全国で合計309種目、過去最多の2,423人の参加となっています。以上が評価シート16で、知的障害者や精神障害者の対象種目の定員増など競技種目定員の重点化、地元の自治体や関係機関、ボランティア等との連携・協力などにより、「障害者と仕事・職業」に対する一般の方々の理解・関心を向上させるのに大きく貢献したことが評価され、当機構の外部評価委員会からS評価をいただいたところです。
 78頁をご覧ください。シート17「予算、収支計画及び資金計画」です。80頁をお開きください。左のグラフですが、評価シート1の「効率化」でもご説明したところですが、一般管理費、業務経費ともに、目標を上回る水準で予算の節減を図るとともに、予算執行の段階においても自主的な努力により相当額の節減を図ったところです。運営費交付金については、独立行政法人会計基準に定める収益化基準に則り、適正に執行しています。平成22年度は、給与等支給額の見直しによる人件費の削減、管理会社との交渉による事務所賃借料の引下げなどに積極的に取り組んだ結果、国庫負担の軽減に寄与できました。また、予算管理による管理会計により、効率的・効果的な予算執行に努め、経費の削減を図るとともに、随時適切に計画と実績の差異を把握し、発生理由を明らかにしました。計画と実績の差異は、様々な取組による経費の節減、助成金の実績額が予算額を下回ったこと等によるもので、合理的理由に基づくものです。
 81頁ですが、「運営費交付金の推移」です。行政刷新会議による事業仕分け等を踏まえた、高齢期雇用就業支援コーナーの廃止など地方業務の大幅見直し、広報関係経費の見直し・削減等により、予算の節減を図り、その執行においても、給与等支給額の見直しによる人件費の大幅削減、管理会社との交渉による賃借料の引下げ、一般競争入札や複数年度契約の積極的実施などによる経費削減に努めた結果、運営費交付金債務が大幅に増加し、国庫負担の軽減に寄与したところです。また、経費節減に向け、一般競争入札と複数年度契約の積極的実施に取り組んでおり、平成22年度の一般競争入札件数はこれまでの最多の210件となり、複数年度契約も前年水準を維持したところです。平均落札率は89.6%となり、契約額も昨年度比で大幅な節減となっています。さらに、随意契約については81件と、前年度比50.9%減と着実に減少しています。以上が評価シート17で、自己評価はAです。
 82頁は、評価シート18「人事・人員等」です。84頁をご覧ください。まず、人件費削減の取組です。当機構としては、数次にわたり給与制度改革を着実に進め、平成22年度は、国よりも低かった7%という地域手当について、さらに3.5%に引き下げた結果、平成18年度から5年間で5%の節減という目標に対し、平成22年度では8.7%の節減を果たし、ラスパイレス指数は遂に「100.0ポイント」を達成したところです。「効果的な人員配置」ですが、大幅に業務量が増加する中、機動的な人員配置により、より利用者ニーズに的確に対応しました。本部組織の効率化、地域センターの管理事務の集約化、駐在事務所の廃止等により捻出した人員により、法改正に伴う納付金制度対象事業主の範囲拡大等に係る業務推進体制の整備、本部における給付金等調査体制の確立、さらに地方業務の直接実施に伴う企画・管理体制の整備を図ったところです。このように、業務の増加が続き、組織の効率化も求められる中で、提供するサービスの量と質を維持するためには、優秀な人材の確保、職員一人ひとりの能力開発、モチベーションの向上が不可欠です。このため、人員の確保では、新たに、カウンセラーの仕事ぶりや利用者の声等を紹介するDVDの作製・採用説明会での上映、地域センター職員による業務紹介等により、より多くの人に関心を持ってもらうとともに、面接重視で真に優秀な人材の採用に努めたところです。また、職員の専門性と意識の向上を図るべく、管理職員のマネジメント力向上研修、カウンセラー職や訓練職への計画的なOJTの実施、嘱託職員の業務力向上研修に至るまで、職員各層に対する研修の新規実施や充実を図ったところです。
 85頁は、「モチベーションの維持・向上等のための取組」です。「利用者の視点に立ったサービスの向上」として、経営トップの理事長が、あらゆる場を活用して機構のミッションの浸透、利用者本位のサービス提供の徹底を図るとともに、全国の施設に直接出向いて意見交換、指導を実施しました。また、モニター制度やご意見箱の設置等により、利用者等からのご意見、ご要望を積極的に募り、業務に反映させました。内部統制の向上については、評価シート2でも説明いたしましたが、2元構造のコンプライアンス体制の下、前年度を大幅に上回る本部3部署及び22の広域・地域センターに対して内部監査を実施しました。また、基本方針や推進計画の策定、直面する事案ごとの対処方法をまとめたマニュアルの作成・配付、各部・施設等における取組状況の点検や全役職員を対象とした認識度調査の実施、その結果の分析等を行うなど、大きく取組を前進させたところです。さらに、右側の「職員全員参加の職場活性化」の取組として、職場単位での職員による自発的な改善運動であります「Eサービス運動」を推進いたしました。利用者サービスの向上、経費節減などをテーマに、全国で前年度を上回る95件の報告があり、優れた取組11件を表彰し、全国会議で事例発表を行うとともに、機構内LANで全職場で活用できるようにしたところです。以上が評価シート18で、自己評価はAです。以上で、グループ3の説明を終わります。

○今村部会長
 委員の皆様は、評価シートに評定等の記入をお願いいたします。ご質問等ありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 評価項目11番ですが、54頁からですね。自己評価はSとされておりまして、例えば収納率が99.8%で、目標値99%以上に対して上回っていますと。99.8%という数字そのものが高い数字だということですとか、あるいは新規の取組がいろいろとなされていると。その他諸々光る分があるかと思いますが、A評価ではなくてS評価ですというところで、何か強烈なインパクトを見出したいというように思うのですけれども。これとこれとは特に自己評価においてかなり高い評価をしているというところあれば、ピックアップして教えていただければと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 特に、外部評価委員会の先生方からもご指摘いただきましたのは、収納率99.8%です。これまでも収納率をできるだけ高めるように努力をいたしておりまして、軒並99%台の数字が並んでいる中ではありますが、リーマンショック後、非常に企業の経営状態が厳しい中で、私ども粘り強い取組、また早期からの取組により、今回99.80%という近年にない数字を実現したという点でございます。
 それから、これまでは300人を超える大きな企業が納付金制度の対象であったわけですが、今回の制度改正で平成22年7月から、新たに200人を超える企業も対象になったところでございます。説明の中でもございましたように、いままで全くこの制度になじみがなかった中小企業を対象に、複雑な制度の中身を理解していただくという取組をローラー作戦で展開いたしまして、実際に理解度が99.4%にまで至ったところであり、そういう成果に外部評価委員会からも評価していただいたと考えております。

○中野委員
 アビリンピックに関しての75頁ですけれども、S評価とされておられるのですが、いまの社会の段階がそうなのかなということを思いつつ、ちょっとあえてお尋ねします。障害者は技能があるんだというところをアピールなさる一般の人たちがそのアビリンピックに足を運ぶまでにかなりやはりハードルがあるように思うのですよね。ですから、どう言ったらいいのでしょうね、括られている障害者ではない、先ほど話がありましたけど、少し地域の障害というのではないところとのリンクとか、何かこう障害者、もちろん必要なのでしょうけれど、そういう括りではないところでの今後の発展性のような方向性は、このアビリンピック辺りには何かこうご計画でもおありでしょうか。それはちょっと早過ぎますか、そういうことを言うのは。

○高齢・障害者雇用支援機構雇用開発推進部長
 ご承知のとおり2007年に静岡でユニバーサル五輪ということで、一般の技能五輪と、この国際アビリンピックを一緒に開催したというようなことがございます。そういったこともありまして、いま全国アビリンピックにつきましては一般の技能五輪と併せて、全国持ち回りで開催しておりますけれども、これは併せて都道府県に協力いただくということで、大体3、4年前ぐらいからこの両方を併せて共催してくれないかということで、都道府県を回っていると。アビリンピックというもの自体が、先生ご指摘のおそらくはインテグレーションとかインクルージョンとかいう観点からどうかという議論はあるところではございますけれども、そういう一般の技能五輪と合わせ持って相乗的な啓発をねらうというようなことはやっております。そういうインテグレーションやインクルージョンの観点からアビリンピックはどうあるべきかというのは、また今後の課題かなと思っております。

○川端委員
 いま機構の職員は何人だったですか。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 職員数は818人でございます。

○川端委員
 818人の組織で、マネジメント研修は新規に実施したというのは、ちょっと驚きなんですね。そんなことしなくとも十分だとおっしゃってたのかもしれませんが、参考までにマネジメント研修を実施したアンケートを取った評価というのは、どうだったでしょう。概略で結構です。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 ちょっと手元に詳細なものはないのですが、概略的に申し上げますと、非常に昨今いろいろな人事評価制度とかそういうのがあって、組織全体の目標と各部各個人の目標との整合性を図るというのは極めて重要になってきております。そういう意味で管理者のなすべき使命というのでしょうか、そういうところを明確に示していくということで、管理職の役割がコンプライアンスの面などが、さらに従来より重要になってきたということで、各管理者についてもその必要性は重々承知をしておりますので、そういう意味で一定の評価は得ていると認識をしております。

○川端委員
 もう1つお伺いしたいのですけれど、転職率というか、離職というのは年間どのぐらいあるのですか、定年ではなくてやめていかれる方。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 ちょっと詳細な数字はあれなのですけれど、1桁だと認識をしてございます。

○川端委員
 いや、多いようだと、さらにキャリアに関する研修もおやりになったらいいかなと思ったのですが、それぐらいならいいかもしれませんね。どうもありがとうございます。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。それでは、ちょっと時間を超過してしまいましたが、以上ですべての項目の評価が終わりました。事務局から、この後の取扱いについて説明してください。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしております資料の送付をご希望される場合につきましては、部会の終了後に事務局のほうにお申し出いただきたいと思います。また、評価の記入が終わっていない委員の方につきましては、本部会が終了した後にこの会場にお残りになっていただいて記入していただくことも可能です。また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能となっております。先日送らせていただいております評定記入用紙の電子媒体のほうにご記入いただいて、メールでご回答いただくということも可能です。また、お持ち帰りいただく場合につきましては、今週の5日の金曜日までに事務局宛に用紙をご提出をいただきたいと思いますので、恐縮ですがよろしくお願いいたします。

○今村部会長
 さて、次に業務方法書の変更についてです。まず、事務局から業務方法書の変更に関して、当部会において審議することが必要となる根拠法令等について説明していただき、続いて法人から業務方法書の変更の内容について説明をしていただきたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 独立行政法人の業務運営に当たりましては、独立行政法人通則法の第28条におきまして「業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。」と規定されております。また「主務大臣は、この認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。」と規定されているところです。具体的な変更の内容につきましては、法人のほうからご報告させていただきます。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 それではご説明いたします。お手元の資料4-1は変更の概要、4-2が新旧対照表、4-3が改正後の全文です。変更の内容ですが、平成23年4月1日に雇用保険法施行規則の一部が改正され、高年齢者等共同就業機会創出助成金が平成23年7月1日から廃止されることになりました。これに伴い、当機構の業務方法書を変更する必要があり、資料4-2にあるように、高年齢者等共同就業機会創出助成金の記載を削除したものです。この業務方法書の変更については、本労働部会においてご審議を賜りました後、厚生労働大臣のご認可をいただいた日に施行等をさせていただき、適用については遡って7月1日としたいと考えているところです。
 資料4-3の改正後の業務方法書の全般については時間の関係ありますので、説明は割愛させていただきます。以上、よろしくご審議のほどお願いいたします。

○今村部会長
 ありがとうございます。ただいまの事務局及び機構からの説明に対して、ご質問等ございますでしょうか。それでは、本部会として本件について異存はないことを厚生労働大臣にお伝えすることでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 では所管課においては厚生労働大臣の許可に向け、手続を進めてください。また、審議を行った業務方法書の変更案に今後修正が入った場合の取扱いについてですが、私が事務局と調整して委員の皆さまへの報告とするか、改めてご意見を伺いするかを決めさせていただきたいと思いますが、ご一任いただけますでしょうか。
(承認)

○今村部会長
 ありがとうございます。それでは、本日の議事は以上となります。次回の開催等について事務局から案内をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催についてご案内いたします。次回は8月16日火曜日の13時から、場所は厚生労働省内の専用第23会議室となっております。また、次々回ですが8月26日の金曜日の13時から、こちらは経済産業省の1014会議室となっております。開催通知のほうは机上に置かせていただいておりますので、ご記入いただいた上で、そのままテーブルに置いてお帰りいただくか、もしくは8月5日の金曜日までに事務局宛にメールもしくはFAXでご回答いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただきまして、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。



(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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