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2011年6月13日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年6月13日(月)


○場所

厚生労働省 専用第18〜20会議室


○出席者

出席委員(13名):五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、  大 槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、

 黒 木 由美子、 佐 藤 俊 哉、  清 水 秀 行、○土 屋 友 房、

 中 島 恵 美、  濱 口   功、  半 田   誠、  山 口 照 英、

◎吉 田 茂 昭

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人1名

欠席委員(8名):五十音順 敬省略

 菊 池   嘉、 清 田   浩、  櫻 井 敬 子、 鈴 木 邦 彦、

 田 村 友 秀、 前 崎 繁 文、 増 井   徹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔  (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、菊池委員、清田委員、櫻井委員、鈴木委員、田村委員、前崎委員、増井委員、山本委員より御欠席との連絡をいただいております。
 現在のところ、当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
 また、本日は参考人として、国立がんセンター中央病院消化器内科グループ長の島田安博先生に御出席いただいております。
 それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1及び1-2をあらかじめお送りしています。
 このほか、資料1-3「申請者説明資料」(一部訂正版)、こちらは資料1-2の訂正版ということで本日配付しています。なお、1-2と1-3につきましては、申請者の方で任意に作成したものです。資料1-4「Lancet Webappendixの抜粋」、資料2「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料3「専門委員リスト」、資料4「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料4「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
 本品目、1品目ですけれども、競合品目選定理由については、本申請品目はエポエチン ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤であり、効能・効果は「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」です。この効能での同様の既承認薬はありませんが、申請中であるネスプを競合品目として挙げています。説明は以上です。
○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1「エポジン」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。なお、本適応追加に関して、本年3月末に日本輸血・細胞治療学会より学会見解が公表されております。半田先生より当該学会の理事を御担当されているとの御報告をいただいておりますので、御報告いたします。
○吉田部会長 本日は、審議事項が1議題となっています。
 それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1、1-2、1-3、1-4「医薬品エポジン注シリンジ24000及び同36000の製造販売承認の可否について」機構より説明させていただきます。
 本剤の有効成分であるエポエチン ベータは、ヒトエリスロポエチン遺伝子を組み込んだチャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される165のアミノ酸残基からなる分子量約30,000の糖タンパク質であり、エリスロポエチン(EPO)受容体への結合を介して、骨髄中の赤芽球系前駆細胞に働き、赤血球への分化と増殖を促すと考えられています。
 今般、本剤は、「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」に対して効果を示す薬剤として申請されました。
 がん化学療法に伴う貧血は、抗悪性腫瘍剤による骨髄抑制やEPOの産生部位である腎臓への毒性により生じると考えられており、本邦では、がん化学療法に伴う貧血に対して赤血球輸血が施行されています。
 本剤は、海外では市販されていませんが、米国、欧州等では、他の赤血球造血刺激因子(以下、ESA)製剤が、がん化学療法に伴う貧血に対して承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料3にございますとおり、5名の委員です。
 以下、本剤の臨床試験成績を説明します。
 主な臨床試験成績としては、国内で実施された第III相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書7ページ下から10行目以降に示しますように、国内第III相試験の結果、がん化学療法に伴い貧血を呈した肺癌患者又は婦人科癌患者において、主要評価項目である「投与開始4週以降の理論輸血率(赤血球輸血施行又はHb濃度が8.0g/dL未満になった患者の割合)」の推定値は、本剤群で10.0%、プラセボ群で56.4%であり、本剤群ではプラセボ群に比較して有意に低かったこと等から、本剤の赤血球輸血を回避するという有効性は期待できると判断いたしました。
 なお、QOLを改善することを検証した臨床試験成績は提出されていません。
 安全性については、審査報告書9ページ下から11行目以降に示しますように、既承認の適応で本剤使用時に注意すべき有害事象として知られている、高血圧、高血圧性脳症、脳出血、血栓塞栓症、虚血性心疾患等に対して、がん化学療法に伴う貧血患者に使用する場合においても留意する必要があるものの、忍容可能と判断しました。
 ただし、審査報告書12ページ本文下から5行目以降に示しますように、類薬のESA製剤が、がん化学療法に伴う貧血に関して欧米で承認されて以降、がん患者における生命予後悪化及び腫瘍増殖促進のリスクがあるという報告が複数なされております。特に、Cochrane Database of Systematic Reviewsによる患者レベルでの大規模、かつ詳細なメタアナリシスが行われており、審査報告書13ページの中ごろの表に示しておりますが、がん患者全体では死亡ハザード比の推定値が1.17となっており、ESA製剤はがん患者の死亡率を上昇させると結論されております。また、がん化学療法施行例のみの部分集団解析での死亡ハザード比の推定値は1.10となっており、がん患者全体での解析に比べて死亡率の上昇は明確ではないものの、がん化学療法施行例においても、ESA製剤を使用した場合の死亡リスクの上昇は否定できないと結論されています。
 これらのESA製剤による生命予後悪化等の知見を踏まえ、欧米では、審査報告書24ページ7行目以降に示しますように、規制当局の指示に基づき、添付文書の「Black boxed warnings」等に、ESA製剤の使用により生存期間の短縮や腫瘍増殖促進等のリスクが認められることや、治癒が期待される患者は投与対象としないこと等の追記・改訂が行われてきました。また、米国では、2010年2月以降、ESA製剤使用のためのリスク評価及び軽減プログラム(REMS)下での使用が義務付けられる等の厳格な使用制限が設定されています。
 このような状況に加え、本剤は、生命予後の改善や腫瘍増殖の抑制を目的とするがん化学療法の支持療法に用いられるものであることを踏まえ、本品目の審査では、生命予後悪化及び腫瘍増殖促進に関するリスク評価が極めて重要であると判断しました。本剤の生命予後悪化及び腫瘍増殖促進に関するリスクに対して、申請者は、審査報告書15ページ11行目以降に示したHb濃度に関する投与規定の設定を中心とする対策を講じることで、生命予後に及ぼすリクスを最小限にできると説明しております。
 しかし、審査報告書15ページ下から2行目以降に示しておりますが、申請者の主張に対して、機構は、ESA製剤の生命予後悪化及び腫瘍増殖促進の機序・原因は非臨床を含めて不明であること、先に述べましたCochrane Databaseによるメタアナリシスでも、ESA製剤による死亡への影響と開始時Hb濃度又は目標Hb濃度との関連については、明確な結論は得られていないと判断されていること、また、申請者が説明する対策等に従った投与対象及び使用方法において、本剤の生命予後及び腫瘍増殖に及ぼす影響を検証する目的の臨床試験成績が得られていないことなどを踏まえ、現在得らている知見からは、Hb濃度に関する投与規定の設定のみでは生命予後悪化及び腫瘍増殖促進に関するリスクは否定できないと考えております。
 さらに、他のESA製剤ではありますが、全生存期間等を主要評価項目として生命予後への影響を検討する目的の第III相試験が海外で現在実施中であることなどから、ESA製剤の生命予後悪化リスクを含めたリスク管理の適切な方策は、海外においても検討段階であると考えております。
 したがって、申請者の説明する本剤の投与対象及び使用方法が適切であるとは結論できないと判断しました。
 また、審査報告書29ページ下から17行目以降になりますが、面接審査会において、申請者と対面してこの点を含めて議論いたしましたが、その際に提示されたデータ等はすべて探索的な位置付けにとどまるものであり、本剤の安全管理の方策について明確な情報は提示されていないと判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構は、「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」に対して、赤血球輸血回避効果は示されたと考えるものの、生命予後悪化及び腫瘍増殖促進というリスクを回避することが可能となる本剤の適切な安全管理の方策は現時点では設定できず、本剤のベネフィットはリスクを上回らないと判断しました。したがって、本剤を承認することは適切ではないと判断しました。また、本剤を承認するためには、少なくとも想定される対象患者に対し申請者が推奨予定の使用方法下において、ESA製剤が生命予後の悪化及び腫瘍増殖の促進をもたらさないことを裏付ける検証的試験成績を入手する必要があると判断しております。
 なお、本申請については、適用、毒性、副作用などからみて慎重に審議する必要があることから分科会審議とすることが適当ではないかと考えております。
 また、引き続き、佐藤委員より事前にいただいた御質問について説明します。
 御質問の内容は、「仮に申請者が米国と同等の安全対策を行う場合であっても、生命予後悪化及び腫瘍増殖促進のリスクを上回るベネフィットの得られる患者集団及び使用方法は不明と考える、との結論は変わらないと考えて良いか。」という点です。
 この点については、米国で実施されているESA APPRISE Oncology Programでは、審査報告書34ページ17行目以降に示しますように、ESA製剤の使用を特定の医療従事者や医療機関に限定することなどが規定されていますが、米国で規定された使用方法下でESA製剤の生命予後への影響を検証した臨床試験成績は得られていません。したがって、本剤の生命予後悪化等のリスクを上回るベネフィットが得られる患者集団や使用方法を設定できない、とした機構の結論は、申請者が米国と同等の安全対策を行うこととした場合であっても変わりません。以上です。
 御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 本日は、参考人として島田先生にお越しいただいておりますが、今の機構の説明に補足する点などありましたらお願いいたします。
○島田参考人 島田でございます。追加のコメントはありませんが、本剤は基本的に支持療法の一つと考えられまして、治療効果を改善する、すなわち生存を延ばすことを前提として使用される薬剤だと考えています。その中で世界的に最も規模の大きなCochraneのアナリシスにおいて、有意ではないにしても、投与することによって死亡が増えるということです。リスクの中にも様々なものがございますが、死亡が増えるということは大きな問題であり、一つのリスクの中で議論されるものではないと考えました。したがって、このリスクが増える可能性が強く示唆される状況において、この薬剤が市場に出ることについて問題があるのではないか、という機構の考えに賛成をしています。
 お手元の資料1-3に企業側の予後に関する調査として、EPO316JP試験の調査結果が記載されています。13ページの図8を御覧ください。国内で行われた試験のカプランマイヤーの生存分析に関するデータを示したもので、Cochraneのみであれば有意ではないということを根拠に、まだこの薬剤の意義があるのではないかとも考えられるのですが、国内で行われた試験の長期の結果を見ていくと、オレンジ色がエリスロポエチンであり、150〜200日くらいまでは上にありますが、その後、クロスしてずっと下にあるということが真実であるかどうかは非常に判断が難しいところです。このデータは当然、有意ではないのですが、このデータをもって、かつCochraneの状況を考え、どちらが真実かとなると、何らかの投与をすることにより下がるのではないかという危惧を払拭するものではないと考えています。
 追加ですが、本試験の中でSubsetで婦人科癌において、最近、ドーズ・インテンシブなChemotherapyが行われていて、その際に貧血が非常に大きな問題になっているという主張があります。その事実はあるわけですが、本剤を投与することによって、それが更にプラスの方向になるとは証明されておりません。恐らく、期待はされるのでしょうが、少なくとも申請されたデータには無いということで、それを含めると、現在出された資料から、この薬剤が臨床的な意義が十分あるかという質問に対しては、「ノー」と言わざるを得ないと考えています。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○半田委員 基本的に、本剤の患者さんへのベネフィットは、輸血の回避ということです。これは極めて明確であり、欧米の成績や市販後のデータからも裏付けられます。そのため、ベネフィットが明確です。逆に、リスクに関しては、今、島田先生がおっしゃったような危惧があるということです。特に、生命予後に関して危惧があるということで、リスクとベネフィットを考えた場合、その質はよく分かりませんが、ベネフィットは非常に明確です。しかし、リスクに関して、特にカプランマイヤーのこの辺の読みは、そのような傾向があるということで、Cochraneのデータもメタアナリシスであり、パワーは0.05に近いところにあります。かなりパワーとしては低いわけです。それを同じように比べるのが良いのかどうか、明確な考えがあればお聞かせください。
○吉田部会長 機構から説明できますか。
○機構 生命予後のリスクの評価につきまして、申請された資料については、島田先生から御紹介いただいたとおりEPO316JP試験というもので、予後の調査結果が探索的にフォローアップされているところです。
 機構の方で、リスクに関して重視しているESA製剤の安全性情報については、海外での試験になりますが、審査報告書の12ページから記載がされています。個別の試験としては主に8試験と、先ほど申し上げたようなCochrane Database of Systematic Reviewsのメタアナリシスの結果から、ESA製剤のクラス効果として、死亡のリスクあるいは腫瘍増殖のリスクに関しては、否定できないことが明らかになってきており、少なくともある使用条件下では、このリスクが示されていると考えています。
 今回、ESA製剤である本剤が、がん化学療法で延命や腫瘍増殖のコントロールを目的とする薬剤と共に使用される中で、こういったリスクが示唆されている以上、このリスクを避けることができるような使用条件、安全管理の方策が明確にされる必要があると考えていますので、そういったスタンスに沿って審査をしてまいりました。
○吉田部会長 よろしいですか。
○半田委員 恐らく、死亡のリスクの一つとして、腫瘍の増殖、あるいは現病が悪化するということが第一にあると思います。もう一つは、欧米では特に血栓症があげられているということです。特に、血色素の値が上がれば上がるほど血栓症が増えてきます。例えば本邦でも腎性貧血には、今本剤が使われています。かなり長期間の市販後データもあります。そこでは、ヘモグロビンの目標値を制限することで血栓症の発症率の低下を図っています。恐らく、米国での市販後の様々なモディフィケーションが、そこの部分になっていることは確かだと思います。
 腫瘍増殖に関しては、動物実験、あるいは試験管の中での腫瘍の種類もあると思いますが、この製剤はどのようなメカニズムで腫瘍を増殖させるのでしょうか。何か裏付けがあり、「腫瘍増殖」となっているのでしょうか。私がお聞きしたいのは、いわゆる基礎的、科学的なベースというのはどの程度なのかということです。
○機構 死亡のリスクに関して、先生がおっしゃったように、ヘモグロビン濃度が高いことが起因と考えられる血栓塞栓症が一つの要因として考えられているところですが、腫瘍の増殖に関する原因に関しては、現在、一定のコンセンサスが得られたものはないと考えており、現時点では不明な状況であると考えています。
○吉田部会長 増殖因子なので、そのような懸念があるとは、よく言われるところですが、明確な実験データはないのですね。
○機構 はい。腫瘍の増殖を促進するという報告とそうではないという報告が両方混在しているのが現状です。
○吉田部会長 混在していて、一定のコンセンサスはまだ出ていないということですか。
○機構 そのとおりです。
○吉田部会長 血栓症の方が、死亡のリスクとして考えられるのではないかという説明だと思いますが、よろしいですか。
○半田委員 そうすると、ヘモグロビンの目標値、あるいは適応のトリガー値を下げることによって、血栓症のリスクに関してはある程度下げることができるので、恐らく欧米では、そのような処置がとられていると思います。もちろん本邦でのデータは無いのですが、特に腎性貧血に関してはデータがあります。その辺も考慮して、今後、この製剤の本当の意義を継続して検討していくのが良いと思っています。
○吉田部会長 お聞きするのを忘れていましたが、佐藤先生、先ほどの御質問に対するコメントについてはいかがですか。
○佐藤委員 よく分かりました。私は、結構だと思います。
○吉田部会長 私からも確認したいのですが、生命予後を期待せず、終末期の緩和ということであれば、意味があるという話になってしまうかもしれませんが、その辺はどうなのでしょうか。先ほどの説明は、そのような意味ですか。
○機構 QOLの件でしょうか。QOLに関して、提出された臨床試験の中で副次評価項目での検討が行われているのですが、QOLを改善するための明確な根拠になるような成績は提出されていません。
○吉田部会長 いや、終末期緩和医療のように予後の改善を目的とするのではなくて、症状の改善を目的としたり、あるいは自覚症状を改善するという体系の中であれば、本薬を位置付けられるかもしれないが、生命予後を目的とする化学療法と一緒にするのは、難しいという話のように聞こえたのですが、そういうことではないのですか。
○審査第五部長 今の御質問のポイントは、「この薬剤の意義として」ということだと思います。
○吉田部会長 そうですね。
○審査第五部長 申請効能がchemotherapyに伴う貧血に、この薬を使うということですので、それについて我々は審査を行ってきています。データが無いことは、置いておきますが、緩和医療の中で本剤を使うことを考えた場合、貧血に対しての影響は前向きな方向になるのではないかと想定されます。そのような状況ですが、一方で血栓症も増える可能性があり、リスク・ベネフィットのバランスを考えて、緩和医療の使用であろうと、十分審査をしなければいけないと思っています。
○吉田部会長 ありがとうございます。ほかに、どうぞ。
○黒木委員 リスクの観点で、様々な薬剤を審査させていただきましたが、死亡リスクがある中で認めるのは疑問です。機構の方から指摘され、企業と話した上でも、薬の申請が出てきています。それだけ必要なお薬なのかもしれませんが、この製剤は死亡リスクが指摘されており、ESA製剤の生命予後悪化に関する報告が出てきています。このようにスタディされている段階での承認では疑問が残ります。先生方が、今、御指摘したようなポイントを踏まえて、もう少し検討していかなければいけないと思います。逆に、どうして企業は機構がリスクを指摘しているのに、ここまで押しているのでしょうか。学会の意見の強いポイントをもう一度説明していただければと思います。
○機構 申請者の主張に関して、主な論点となっていることは、審査報告書の29ページ以降の面接審査会での議論として記載しています。生命予後の悪化や腫瘍増殖のリスクが否定できないというのは、申請者も説明しているところですが、メタアナリシスの部分集団の解析結果などから、欧米と同様の使用方法に限定することで、申請者としては生命予後の悪化などのリスクを軽減できるとして、この申請の主張が続いているわけです。機構としては、それらの試験成績の解釈として、まだ十分なものではないと判断しているところであり、意見が一致しないところとなっています。
○吉田部会長 審査報告書を読ませていただくと、ずっと平行線ですね。これは、企業側としてはリスクと言われているものは懸念にすぎず、貧血の改善はエビデンスなので、そちらを重視してほしいと言っています。しかし、機構側としては、懸念は懸念でも重大な懸念なので、簡単にはいかないということをずっと言っています。これだけ歩み寄らない理由は、これ以上近寄れないほど、機構側が反対の立場に立っているということなのだろうと私は思います。
○黒木委員 一般的な感覚になるかもしれませんが、死亡リスクが指摘されている薬剤が世に出ていくことの怖さというのがあると思います。「本当に、このような薬剤が世に出ていくことが認められてしまうのか」というのが私の意見です。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
○清水委員 基本的なことを教えていただきたいのですが、適応としている治癒切除不能というのは、オペ後の再発等も含むという考え方で間違いありませんか。
○機構 欧米でも最近、長期の予後が期待できる人は対象外とされたことも踏まえ、あくまで長期の予後が期待できない集団にという趣旨で、このような文言が付いているものと思われます。
○清水委員 既にオペの時に輸血が行われているような患者さんも、中にはいらっしゃると考えてよろしいでしょうか。
○審査第五部長 先生がおっしゃりたいことは、実際に輸血という視点で見た場合、手術を受ける等で既に輸血を受けている患者さんであろうことが想像できるか、という御質問かと思います。がん種によっては、想像できると思います。血液がんの場合は今回入っていませんが、固形がんの場合、第1選択としては手術が行われることと思います。
○清水委員 ありがとうございます。もう1点お伺いしたいのですが、輸血療法をした時のことと、EPO、ESAで治療した時のことは、余り詳しく書かれていなかったと思います。有効性と時間とコストを考えると、私は臨床医ではなく、薬剤師なので違っていたら申し訳ないのですが、恐らく貧血治療に輸血をすれば、その時点で回避できるのだろうと思います。EPOを使った時には、どのくらいの時間がかかるのか、さらに、コストとして大体どのような比較になるのかは、書かれていないと思いますので、その辺を教えていただければと思います。
○機構 このESA製剤を使った場合にヘモグロビン濃度が上がっていくのは、投与後4週前後からとなっています。輸血のように、すぐに改善することはないと考えています。
○事務局 コストにつきまして御質問がありましたので、補足させていただきます。まずエポジンですが、現在、24000の皮下注のものの薬価は2万5,000円という値が付いています。今後、36000単位というものが出てくると、それに応じた価格になるだろうということが一つです。一方、輸血の方になると、輸血に関する検査の点数、手技料等、諸々ありますが、例えば赤血球濃厚液の4単位のものであれば、今付いている薬価は1万7,000円程度になります。実際にこれを使う際に、エポジンの方は期間がかかるということもあり、投与回数が7回、8回と継続して投与することになりますが、輸血の方ではすべての方に使うわけではありませんので、そういったところでも差が出てくるところがあります。ですから、清水委員の御質問に答えるとしますと、本剤を使った分、コストはだいぶ高くなることがあると思います。
○吉田部会長 逆に将来、血液製剤が貴重品になってくるので、できるだけ使わない方向でという話も専門協議では出ていますね、島田先生。その点についてはいかがですか。
○島田参考人 今、一般の臨床で貧血が起こった場合には輸血が行われますが、今後、輸血用の血液が減ってくることから、一つの選択肢という意味で、提供する必要があるのではないかという御意見はありました。ただ、臨床的な状況を考えると、急性期の出血等ではなく、化学療法を長期に行っていて、造血機能が落ちて貧血が起こるということになります。比較的慢性に起こることなので、そのような患者さんは臨床症状がなかなか出づらいことが多くあります。特に消化器の患者さんは、ヘモグロビンが7を切っても外来に平気で来られるくらいです。実際、我々はそれでも輸血を行っておりませんが、そのような状況がありますので、本当に輸血が必要な方というのは、輸血が対象の方の中のどれくらいを占めるのかというデータも、正確なものがありません。これをオプションにして出した場合、輸血をセーブできる部分と、輸血の対象も含めて、使用することのリスク等も考えなければいけません。そのあたりは、データが無い上での議論になり、専門協議の中では議論ができなかったので、この部会で御検討いただければということです。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見はございますか。
○新井委員 リスク・ベネフィットの比較について、私の専門ではないのでお聞きしたいのですが、生存期間短縮というのは赤血球輸血と比較した場合ですか。それとも、何もしない場合と比較しているのですか。
○機構 海外の方で検討されている臨床試験では、プラセボであるとかESA製剤の非投与群ということで示されています。
○新井委員 そうしますと、今、治療法として輸血しかない状態ですが、そのリスクと比較しないで、なぜこれを認めないのでしょうか。プラセボと比較しただけでは、余りよくない気がします。本当は赤血球輸血と比較すべきではないでしょうか。
○機構 海外の成績や国内の臨床試験成績でもそうですが、必要に応じて輸血はどちらの群でも実施されている中、輸血だけの群と、輸血が必要な時にだけ入るESA製剤群との比較になっています。
○吉田部会長 層別していないので、これらは同等ではありませんね。
○機構 赤血球輸血との比較のみと、ESA製剤との比較のみの比較の結果は無いと考えています。
○吉田部会長 本来であれば、同じようなヘモグロビン濃度のところで片方は輸血して、片方は本剤を使った状況できちんと比較してみなければならないのですが、この比較は大ざっぱだという話ですね。それは、そうだと思います。あくまでも、懸念です。半田先生、どうぞ。
○半田委員 全く同じ質問ですが、それが一番の問題点だと思います。それに付随しているのですが、赤血球輸血をした大腸癌の患者さん等、がん種によっては、むしろ生命予後が悪くなるというデータが20〜30年前からあります。それを、いわゆるTransfusion-related immunomodulation (TRIM)と言っていますが、これはまだ解決していない問題です。ですから、輸血をした場合と、エリスロポエチン製剤を投与した場合を同等に比較しなければ、なかなかこの結論は立たないと思います。それが今後の問題点になるのではないかと思います。
○佐藤委員 今の御指摘の点についてですが、国内の臨床試験ですとプラセボ群で輸血された方は、20%ぐらいいらっしゃるわけですが、このESA製剤を使われるのは、この方たちだけではないわけですね。ヘモグロビンの低い方たち全員に使われ、どれだけ赤血球輸血が回避できるかということを調べていますので、今、先生方がおっしゃったように、直接このESA製剤を使ったグループと赤血球輸血をしたグループだけの比較というのは、対象集団が違いますから比較は難しいのではないかと思います。ですから、Cochraneのメタアナリシスのような比較で比べることしか、今のところ手立てはないと思います。
 それから、先ほど半田委員がおっしゃったように、一番のポイントは輸血回避できるという明らかなベネフィットに対して、死亡リスクを増やしているというのは、あくまでも懸念なわけです。本当のところが分からない状況ですが、そうであったとして、追加で送られてきた資料1-2を拝見したのですが、申請者が予定している安全対策が記載されており、ICHのE2Eに基づいて作成したと記載されています。ICHのE2Eが要求していることは、潜在的なリスクがあった時に、それを安全対策として、どのように顕在化するのかの計画を立てることを求めていると思います。この計画だと、潜在リスクを最小化すると言っていますが、それを顕在化するような手立てが述べられていないと思います。この点について機構はどのように評価されているのか、御意見を伺いたいと思います。
○機構 安全対策の具体的な内容に関しては、まず臨床試験の中でリスクが回避できるような条件が定まっていないところから、詳細について議論しているわけではありませんが、申請者が提示した製造販売後の計画については、潜在的なリスクを顕在化するような方策というよりは、欧米の安全対策に準じた、リスクを最小化するという趣旨のところに主眼が置かれている対策内容ではないかと考えています。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。私から質問ですが、今、FDAで、アムジェン株式会社の赤血球造血因子薬に関して大きな試験が始まっているということですが、いつごろ始まり、いつごろ終わる予定になっているのですか。
○機構 公表されている資料しか入手できていない状況ですが、公表されている情報に基づきますと2009年から始まっていて、OSの解析に必要なデータが収集されるのが、2017年を予定しているということです。
○吉田部会長 そうすると、あと6年以上経たなければファイナルのデータは出てこないので、分からないということですね。
○機構 そうですね。
○吉田部会長 非劣性試験を行っているので、非劣性が証明できれば、黒木先生がおっしゃられたような懸念はなくなるのでしょうか。
○機構 試験成績、プロトコールの詳細までは、確認できていないのですが、現状、確認できている情報からは、そのような判断もできる可能性があると思います。
○吉田部会長 途中で試験が駄目になってしまう可能性も、ないわけではないと思いますが、今のままでいくと、アメリカで始まっている大規模試験の結果が出るまで、あと6年ぐらいあり、そこで白黒が付けば、この話はもう1回振出しに戻るのでしょうか。
○機構 新たな成績が出た段階で、再度評価をしていくということはあり得ると思います。
○吉田部会長 国内の方で、何かそのような臨床試験の動きというのはあるのでしょうか。
○機構 特に、私どもで把握しているものはございません。申請者とのやり取りでも、そういった試験を実施すべきではないかという議論をさせていただいたのですが、申請者の方では実施する意向はないということを確認しています。
○吉田部会長 そういう背景もあるようです。ほかに、御意見はございますか。
○大槻委員 Cochraneではなくて、追加臨床試験についてですが、資料1-3の12〜13ページ、「追加臨床試験」を御覧ください。追加臨床試験の予後調査を先ほど一番最初に簡単に説明していただきましたが、120〜150日くらいで逆転していくとのことです。投与期間が12週間ですし、長期に見た場合、ヘモグロビン濃度がどのくらい高く維持されていて、血栓症がどのくらいで、腫瘍がどのくらいなのか、又、亡くなられてしまった方の解析は十分進んでいるのでしょうか。私が十分読めていないだけなのかもしれませんが、もう少し教えていただけますか。
○機構 EPO316JP試験という提出された申請資料で、予後の成績に関しては、あくまでフォローアップの調査結果にとどまるものということですので、ヘモグロビン濃度との関係の詳細な解析は、この試験については実施していません。
○吉田部会長 投与量も、ばらばらなのでしょうか。
○機構 本薬の投与量は開始時からのヘモグロビン値に応じて適宜調節されていると考えています。
○吉田部会長 そのために、かなり量が違っている患者さんがいる可能性もありますね。その辺の投与量のばらつきについては何か分かりますか。
○機構 今、手元に詳細な資料が無いため、不明です。
○吉田部会長 では調べておいていただけますか。庵原先生、どうぞ。
○庵原委員 基礎疾患のある癌の患者さんに本剤を使用するということですが、このような方々は慢性貧血です。ということは、急性貧血のように、ヘモグロビンを高い値へ戻す必要は無いということが一般的だと思います。私は血液が専門ではありませんが、先ほど島田先生が、慢性貧血だと7や8ぐらいでも十分QOLが保たれているとおっしゃられていたのですが、大体低いところで維持しておいても十分だという話になると思います。そうした時に、企業側からも、すべて低いところならば良いというデータが出てきた時に、それに対して生命予後が悪いという反論ができません。このデータは、ヘモグロビンが低いということです。
 そうした時に、今までの日本の企業データでも良いのですが、血栓症で亡くなった人を外した時のカプランマイヤーは書けないのでしょうか。そのデータを企業に求めることは不可能ですか。
○吉田部会長 死因の解析までは、行っていないかもしれませんね。
○機構 死因別の解析まで行っているかは不明です。
○吉田部会長 普通、イベントは生死だけを調べているので、なかなか難しい質問だと思います。
○庵原委員 ですから、QOLを考えた時、血栓症の懸念とがん死の懸念との二つがあります。それらを混在させてディスカッションしているので、話がややこしくなっています。もっとシンプルに議論ができればと思いますが、できないのでしょうか。
○機構 血栓症に関しては海外での議論もあり、目標のヘモグロビン値が徐々に下がって、今12g/dLを超えないようにというところで、一応、血栓症の対策として設定されてきているところです。腫瘍の増殖に関しては、先ほども申し上げたように機序や原因が明確ではない現状ですので、安全対策として対応の仕方がない状況になっています。
 死因別に解析した結果は無いのですが、ヘモグロビン値に関しては変更されてきているところですので、血栓塞栓症のリスクに関しては一応の対応がなされているものと思います。海外の臨床試験成績では、生命予後悪化のリスクが示唆された試験でも、心血管イベントによる死亡例は出ていない報告もあるので、血栓塞栓以外の要因による死亡が起こっていることも否定できない状況であると考えています。
○吉田部会長 今の庵原先生のお話でさらに大事なのは、慢性の貧血は本当にヘモグロビン濃度を上げなければいけないのかということについてです。島田先生コメントをいただけますか。
○島田参考人 少し誤解があったかもしれないのですが、我々の今行っている一般臨床において、ヘモグロビン7でも妥協しているというのが正確なところです。今回、提出された海外のデータも含め、ヘモグロビンが10や12という我々にとって非常に高い値で維持することは、患者さんのQOLにとって良いということで、それを標準という考えをしているのです。我々は、ある意味で患者さんには冷たいのですが、もっとひどい症状が出るまで我慢しているということなので、7が良いという話ではありません。ですから、できればもう少し上に上げるのが妥当と思っています。
○吉田部会長 しかし、急激に下がった場合は様々な障害が出ると思いますが、薬で徐々に下がっていった場合、10以下でも長期間さらされると、慢性腎不全患者と同様、貧血になっていても自覚的には何ともないという感じなのでしょうか。
○島田参考人 そうですね。それはあります。
○吉田部会長 島田先生ご自身としては、一般的に赤血球輸血を化学療法患者の何%ぐらいの方に使っていますか。
○島田参考人 2割くらいですか。
○吉田部会長 20%ぐらい。
○島田参考人 最近、かなり長期に生きられる患者さんが増えてきたということで、慢性の骨髄抑制的なものが増えてきていると思います。ただ、あとは予後との兼合いになりますので、予後がその辺りになると厳しい状況ですので、どこまで行うかというのも既に先生がおっしゃったところだと思います。
○庵原委員 現在、私は癌が専門ではないので分かりませんが、一般的に大人で癌の方は、ヘモグロビン濃度をこれくらいで維持しなければいけないといったようなコンセンサスはあるのですか。それがないとディスカッションできないような気がします。8〜10で良いと言われると、今のディスカッションはなくなると思います。その辺、専門家の間で、このような癌の方で慢性貧血のある方が生活するためのヘモグロビンは、どのくらいで大丈夫だとか、どのくらいを維持しておきたい等のコンセンサスがあるのか、癌や血液を専門としている先生、教えてください。
○吉田部会長 半田先生、お願いします。
○半田委員 一般的に目安はありません。個人差があります。ですから、私が診ている患者さんでも、ヘモグロビンの値が5でも平気な方がおり、10を切ると辛くなってしまう方もいます。仕事の状態によっても、家にずっといる方と働いている方では違います。いわゆる酸素の消費量によって違ってくるのです。そこが、まさに今言ったQOLという意味において、ヘモグロビンを上げればQOLは上がるということです。島田先生もおっしゃったように、ある程度は患者さんに耐えてもらっているのが今の現状です。輸血をなるべく回避するということです。
 少し話は変わりますが、いわゆる輸血を回避することが、QOLを改善すると私は考えます。その一つとして、輸血をする場合には半日かかってしまい、患者さんがすごく縛られるところがあり、副作用の問題もあります。医療スタッフの方も輸血は大変です。ただ、現場では、注射をすれば楽になるというところがあります。輸血の回避率が明確であるということは、イコールQOLという意味においては明確ではないかと思います。
 もう一つは、医療からもう少し全体や政策的な部分を見た場合、特に日本の場合は血液法という法律があります。血液製剤というものは最後の手段であり、その前にもし治療できる手段があれば、そのようなものを一つ持つ必要があるだろうということです。そのような意味から、今、癌の患者さんも含めて、こういった一時的な造血の停止による貧血に関して、赤血球輸血しかないという状況があることは問題ではないかと思います。
○吉田部会長 ありがとうございます。島田先生、標準治療という意味では、よくプロトコールスタディを行う時に、標準治療の縛りが関わってきますね。例えば消化器の場合、貧血の条項や何グラム以下といった共通の認識はありますか。
○島田参考人 共通までとはいかないと思いますが、消化器以外も含めて大体9〜10くらいが一番多いと思います。
○吉田部会長 9〜10以下になった場合は、治療するようにというプロトコールになるのですか。
○島田参考人 そのプロトコールからは外れるということであって、あくまでも臨床試験であり治療法の評価ですので、一般臨床よりも若干良いグループが入っています。ですから、今回より少し悪い方も現実にいらっしゃると思います。
○吉田部会長 二つですね。一つは個人差があるということと、一般的な理解としては、オフにするのは9以下なので、そこから下は貧血という認定になるようです。ほかにございますか。
○新井委員 一般論的な議論になってしまっている気がしますが、今、庵原先生がおっしゃったように、癌になると貧血になるというのは、PのFが上がったり、インターロイキンが上がったりした結果に起こる貧血と、化学療法剤で起こる貧血と分けて考えなければいけないものだと思います。この薬の提案は、あくまでも化学療法剤に限った貧血に対する薬ということで、一般的に貧血に対して良くしなければいけないということとは少し議論が違うと思います。
○吉田部会長 私も、がん患者の貧血には、病態によるものと化学療法によるものとの2種類があり、この鑑別はなかなか難しいと思っています。そういう条件下で、化学療法患者さんが貧血になったら使いましょうと言っても、消化器の癌の患者さんは出血する場合もあります。そのように様々なことが起こり得るし、骨髄転移は外していますが、隠れている場合、骨髄転移で造血作用が抑えられて貧血になってしまい、かえって刺激して悪くする可能性もないわけではございません。DICのプレDICみたいなことも起こりますし、投与適応を規定するのはかなり難しいと思います。この辺に関して何か御意見はございますか。実際問題として化学療法を行っている患者さんが貧血になった時、本当にこれが薬による貧血なのか病態による貧血なのか、どの程度分かりますか。島田先生、どうされていますか。お分かりになりますか。
○島田参考人 分かりません。
○吉田部会長 分からないのですね。その辺は、クリアカットには線が引けない部分だということです。ほかにございますか。
○事務局 今、複数の先生から御意見をいただいたところについて、事務局の考え方を簡単に説明させていただきたいと思います。まず半田先生から、輸血以外の選択肢も必要なのではないかという御意見をいただいたところですが、それは事務局としても確かにそのとおりと思っていまして、そういった考え方に基づいて企業の方も開発を進めてきたものと考えています。
 一方、本剤につきましては、生命予後の悪化が見られているというところですが、本剤は化学療法の支持療法であるということです。要するに腫瘍の縮小、あるいはそれに伴って生命を延長するということを目的としている化学療法の支持療法であるにもかかわらず、生命予後の悪化あるいは腫瘍の増殖が認められるということは、問題ではないかと考えています。
 さらに、庵原先生から、血栓塞栓症で外した時にはどうなるのかというお話をいただきました。それについて、直接的なお答えではございませんが、資料1-4で考え方を説明させていただきたいと思います。これはCochraneで行った解析を、LANCETに掲載する際にpeer reviewに用いたということで、Web上に掲載されているサブグループ解析の結果です。1枚めくっていただきますと、下に50ページと記載されております。これは2007年にFDAが取った措置で層別をしたデータです。具体的にはHb<10g/dL以下でchemotherapy、さらに使った後のヘモグロビン値の上限値で、それぞれ上から16、15、14、13と層別していった時のデータです。これについては、確かに上限値、ceilingのところで低くしていけばいくほど、ハザード比は低くなっていきます。死亡のリスクは減っていくということが示されています。
 その一方で、おめくりいただき、下に43ページと記載がございますが、2008年にFDAが取った措置に基づいて層別した結果です。これについてはAdvanced diseaseというのが追加されていますが、それに基づいて判断するとハザード比が1を超え、一定の傾向が認められていないということで、直接的なお答えではないのですが、血栓塞栓症とヘモグロビンの濃度というのは、相関があると言われているところですが、こちらについては一定の相関が認められていないことになりますので、そのほかのリスク、腫瘍増殖や死亡のリスクがあると判断せざるを得ないのではないかということです。したがって、こういったリスクが管理できる手法を確立していかなければ、本剤の承認はできないのではないかと事務局としては考えています。以上です。
○濱口委員 私は、以前、先天性の赤芽球癆の患者さんを診たことがあるのですが、この患者さんは赤血球ができず、大体20代で亡くなってしまいます。原因は、頻回の輸血です。どんな患者さんでも間違いなく輸血はQOLをかなり下げてしまうと思います。
 島田先生にお聞きしたいのですが、もちろん輸血を行わないメリットもあると思いますし、逆に言うと、エリスロポエチン製剤を打つ時に、ものすごく費用が嵩んでしまいます。ですので、例えば、こういった患者の治療においてガイドラインや指針といったものを今後作成し、その中でいろいろと検討する方がエリスロポエチン製剤の乱用などを防ぐことにも繋がると思うのですが、いかがでしょうか。
○島田参考人 ガイドラインに関しましては、現時点ではあくまでも推奨であり、判断は現場に委ねられておりますので、今回企業側が出してきた市販後のチェックに比べると、強制力、安全性の担保という面では弱くなると思います。
 また、ガイドラインを作る側に立てば、死亡リスクについて、それなりの責任をもったガイドラインを作成することは極めて難しいと思います。ガイドラインを作る側からすると、責任逃れになるのですが、国が認めているのでガイドラインに記載できるというニュアンスも当然あり、国が認めていないのに海外のエビデンスがあるから使いましょうというのは、現実問題として記載できないと思います。そのような面がありますので、ガイドラインでの対応は、企業側が出している対応が完璧にできた上での話になるという理解をしております。
○吉田部会長 逆に承認された場合、恐らく、国と学会等が協議しながらガイドラインを作っていくという方向になるのだろうと思います。今のところは、その前の段階で、懸念の話がメインになってしまっているということではないかと思います。
 先生方から一通り御意見いただいたところですが、機構から、承認することは適切ではないという審査結果が取りまとめられているところですので、申請者の意見も聴取した上で結論を得たいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局、御準備をお願いいたします。
── 申請者入室 ──
○吉田部会長 お忙しいところありがとうございます。本医薬品第二部会の部会長の吉田でございます。さて、貴社より申請のありましたエポジンの「治療切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」への効能拡大については、機構において承認することは適切ではないという審査結果が取りまとめられているところです。これにつきまして、御意見がございましたらお願いいたします。
○中外製薬株式会社 私は、中外製薬株式会社の山崎と申します。本日は、お時間をいただきましてありがとうございます。がん化学療法に伴う貧血に対するエリスロポエチンの使用に関しましては、既に世界中で広く用いられるようになっております。唯一、先進国で残っております日本の患者さんに対しまして、輸血に代わります治療の選択肢として是非御承認を賜ればということで、私どもは説明に参りました。本日は、業務統括をしております常務の田中より、弊社の考え方を申し上げたいと思います。
○中外製薬株式会社 田中でございます。最初に、説明資料の一部にタイプミスがございまして、本日、差替えをさせていただきました。お詫び申し上げます。
 それでは、資料の1、2ページを中心に説明させていたただきます。まず、開発の経緯でございます。近年のがん化学療法、あるいは支持療法の進歩に伴い、外来での化学療法が可能となってきております。そういった中で、患者さんは治療の継続と日常生活の両立を目指しておられます。しかし、化学療法に伴う重度の貧血は、倦怠感、めまい、動悸、息切れといった、日常生活との両立を難しくする原因となっております。赤血球造血を刺激する製剤、すなわちESA製剤は、今、山崎が述べましたように、海外では1993年から使用されるようになり、今では100か国で使用されております。一方、国内では承認されておらず、輸血を希望しない患者さんの場合には、貧血を我慢して治療を続けるといった状況が現実でございます。
 2ページを御覧ください。「(4)ESA製剤の医療上の必要性について」です。卵巣がん体験者の会スマイリーからは、ESA製剤の早期承認要望書が提出されております。卵巣癌の化学療法では、重度の貧血が高頻度で発現すること、化学療法施行期間が長く、貧血の影響が甚大であることなどが、この要望の背景にはあるものと考えております。また、日本輸血・細胞治療学会からは、ESA製剤の必要性についての学会見解が公表されております。すなわち、赤血球輸血にも明確なリスクが存在するため、ほかに有効な選択肢が無い時のみ輸血が行われるべきである。また、医師は患者に代替治療について、ESA製剤も含めリスクとベネフィットを説明した上で、患者の意思により治療法を選択すべきであるといった点が、学会見解として述べられております。私どもは、輸血に代わる、あるいは輸血と並ぶ貧血治療の選択肢として本剤の開発を進めてきました。
 1ページに戻ります。(2)の部分、グローバルな安全性情報に基づき臨床開発を進めてきた点について触れたいと思います。本剤の開発に関しては、2005年に一度承認申請をしておりますが、有効性の検証が不十分との機構の指摘を受け、一旦申請を取り下げております。そして、追加臨床試験の開始準備を進める中で、米国FDAの諮問機関であるODACにて、ESA製剤の安全性、特に生命予後悪化の懸念が検討されるといった状況に至りました。
 こうした中で、私どもは治験に参加される患者さんの安全性に細心の注意を払い、また、ODACの検討結果等も含め、逐次医薬品医療機器総合機構と御相談しながら臨床試験を進めてきました。この辺りの経緯については、資料の4ページの表1に時間経過を追ってまとめて示しております。こうして行った追加臨床試験の結果、本剤の有効性、すなわち重度の貧血及び輸血を回避する効果に関しては十分検証できたことから、2009年11月に再度申請を行った次第です。
 次に、1ページの(3)の部分にお戻りください。本日の第二部会においても、安全性に対する懸念について主に御議論されているかと思います。まず、これまでに得られているエビデンスについて、私どもの解釈を述べさせていただきます。海外でESA製剤により生存期間が短縮すると報告された八つの臨床試験の概要は、資料の10ページ、表6にまとめてあります。これらの8報は、いずれも目標Hb濃度が12g以上、表6の真ん中に目標Hbというカラムがございまして、赤字で書いてある部分は12g以上を目標としているということです。しかも、そのうちの4報は、がん種のところにCT(−)と書いてあります。ESA製剤の適応外である化学療法を行われていない患者を対象にした臨床試験です。つまり、現在の欧米の添付文書や本申請における添付文書(案)の規定、その辺りは12ページの表9にまとめておりますが、現在の欧米添付文書あるいは本申請で目指しているところは、対象患者はがん化学療法施行例に限定し、投与開始Hb濃度は10g/dL未満、あるいは10g以下、目標Hbが12g/dL以下といった現行の条件とは異なる条件で行われた試験において、生存期間が短縮するというリスクが示されたわけです。
 では、そのほかの試験はどうであったかということになるわけですが、実際にこの8報も含めて、合計53報の比較試験、1万例以上の症例のデータを分析したCochraneのメタアナリシスがLANCET誌に報告されております。表7の上から2番目の報告がCochraneのメタアナリシスです。この中で、解析対象を現行の添付文書と同じ条件、すなわち化学療法施行例で、かつ投与開始が10g未満の患者に限定した場合の結果が、表8の最上段に示されております。3,170例、ハザード比が1.08、95%信頼区間は1を挟んでおります。一方適応外、化学療法非施行例、あるいは投与開始を10g以上とした場合の患者を集めた10,763例に関しては、ハザード比が1.21、95%信頼区間の下限が1を超えております。
 さらに、この論文においては、治療後のHbの上限を部分集団解析しております。上限目標Hb、あるいは上限Hbを16、15、14、13と下げていった場合には、同じ表の下の方ですが、ハザード比が1.07、0.97、0.92と下がってくる傾向が認められております。こうした解析は、探索的な部分集団解析ではありますが、膨大な数のデータに基づく質の高いメタアナリシスで、患者ごとのデータに基づくアナリシスです。一定の傾向を認めると判断するには重要な意味を持っていると考えております。
 一方、本剤の追加臨床試験は、最新の欧米の添付文書の基準に合致する形で実施をしてきました。生命予後の結果に関しては、13ページの表10、図8に示しておりますが、1年生存率ではプラセボ群との間で有意差を認めておりません。また、本試験に加え、協和発酵キリン株式会社で実施された別のESA製剤の二つの比較試験の結果を合わせた3本のGCP準拠の試験のメタアナリシス、症例ごとのデータに基づくメタアナリシスの結果を14ページの図9、表11に示しております。ハザード比は、1.00と生命予後悪化のリスクは全く認めませんでした。この結果は日本人症例での解析という意味、GCP準拠の治験データという意味で、大変重要なデータであると私どもは考えております。加えて、本剤は20年ほど前から腎性貧血あるいは自己血貯血などの適応で使用経験がありますが、これまでに腫瘍増殖促進といった報告はありません。
 こうしたエビデンスを総合的に判断しますと、適応をがん化学療法施行例に限定し、かつ投与開始Hb濃度10g以下とする使用条件においては、ESA製剤投与による生命予後悪化のリスクは示されておらず、機構が求めておられる検証試験の実施は必要ないものと私どもは考えております。アメリカでは、FDAがREMSといった形で厳密な適正使用を求めつつも、実地医療での継続使用を認めております。その上で、アムジェン株式会社に対して追加検証試験の実施を指示しているのが現実です。ヨーロッパでは、添付文書に投与対象やHb濃度の規定を明記した上で使用の継続が認められております。加えて、最近ではエリスロポエチン製剤のバイオシミラが承認になっておりますが、そのうちの3製剤については、がん化学療法貧血に対する適用も認められてきております。 医薬品医療機器総合機構におかれましては、安全性懸念に対して慎重を期すべくリスクが無いことの科学的証明、すなわち検証試験の実施を求めておられます。しかし、統計学的に予後悪化のリスクが無いことを証明するには、単一がん種で数千例規模の試験が必要となります。すなわち、世界で使用されているESA製剤では、日本では今後さらに10年は使用できない状態が継続することとなります。また、具体的なリスクが示されていない中で大規模比較、無作為化比較試験を実施することに倫理的な問題は無いのかといった点も、私どもは若干懸念を抱いております。私どもとしましては、患者団体あるいは学会の御要望に応えるためには、可能な限りの市販後安全対策によるリスク最小化を講じた上で本剤を提供することが最善の策と考えております。
 具体的には、2ページの上の1.〜4.に書いております。腫瘍全例を登録し、フォローアップする。社外専門家による適正使用検討委員会にてデータを分析し、その結果を速やかに公表する。本剤を使用できる医療機関や医師の要件を定め、文書による患者の同意を得て投与をする。また、日本癌治療学会□□□□□□□□□□□□□□□化学療法に伴う貧血治療のガイドラインの準備をされておりますが、それを決めていただき、遵守するよう会社として周知徹底する所存です。
 まとめますと、本剤の医療ニーズは極めて高いこと、有効性、安全性は十分に確認されたこと、生命予後悪化といった懸念に対しては厳格な市販後安全対策を実施し、不適切な使用を未然に防ぐことによって、リスクを最小化することが可能であると考えております。以上、私ども申請者としての考えを述べさせていただきました。このような場をいただきまして大変ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から申請者に対して御質問、御意見がございましたらお願いいたします。半田委員、どうぞ。
○半田委員 今、一番懸念されているのは腫瘍の増殖や再発ですね。こちらは潜在性の懸念であるということですが、例えばベースとなる基礎データとして、試験管の中や動物実験で、あるがん種に成長因子として増殖効果があった等、1例報告でもそのようなケースはあったのでしょうか。
○中外製薬株式会社 試験管の中、動物実験も私ども中外製薬株式会社で行っておりまして、いくつものがん種を試しております。その中で、エポが腫瘍の増殖を促進したというデータは私どもの行った範囲では出てきておりません。報文という意味では、いくつかの報告がありますが、促進した、あるいは促進しないという両方の報告が出ていると考えております。
○吉田部会長 ほかに、ございますか。
○庵原委員 LANCETの生存期間の観察期間、中外製薬株式会社の観察期間、第III相試験の観察期間は、それぞれどのくらいなのでしょうか。また、ここでお示しになった14ページの観察期間は、LANCETのCochraneで生命予後に有意差が出ている期間なのでしょうか。その辺りをはっきりさせていただきたいと思います。
○中外製薬株式会社 LANCETのデータでは、エリスロポエチン製剤を投与している間の予後のデータ、及び長期フォローの予後のデータの2種類が分析されております。様々な試験の総合ですので、長期フォローは非常に長いデータもあると思います。
 また、私どもの試験を含めた国内3報のメタアナリシスは、14ページの図9に書いております。打切り症例に関しては、観察期間中央値で約1年ということです。
○庵原委員 このようなカプランで線を引いていきますと、その年によって有意差があったり、無かったりと違った形で出てきます。そうした時に、LANCETの論文で1年目は有意差がないけれど、2年目、3年目では有意差があったという形で結果が出てきた場合、ここで出されたものはあくまでも有意差が出ない間のデータだと言われた場合、答えようがないと思います。その点、LANCETのデータでは年ごとの有意差が出ているのかどうか、そちらをはっきり教えてください。
○中外製薬株式会社 少なくとも、試験期間中の有意差と長期フォロー、できるだけ長いフォローの有意差とその二つの数字が示されておりますが、例えば11ページの表7のLancet2009のCochraneのデータで化学療法施行例の右側の部分を見ると、試験期間中が1.10、長期フォローが1.04ということで、長く観察するほどハザード比の点推定値が小さくなってきます。だから、長く見ていると差がついてくるというよりは、小さくなってくるという傾向ではないかと考えております。左側のすべての患者を合わせた場合でも、点推定値では長期フォローの方が数字は小さくなっております。
○庵原委員 数字は小さくなっても、95%のCIも小さくなっています。ということは、逆にこの数字はよりシグニフィカントになっていることを表しているのです。
○中外製薬株式会社 すべての患者の場合はそうです。右側の化学療法施行例の患者さんの場合は、いずれの場合でも1を挟む形になっております。
○庵原委員 試験期間中というのは何年間ですか。
○中外製薬株式会社 試験によってかなり幅があるのですが、通常12〜24週が多くて、長いものは1年間投与というものもあります。
○庵原委員 ということは、あくまでも1年間のデータだという解釈でよろしいのですか。
○中外製薬株式会社 はい。
○濱口委員 先ほどの対応として、4.で日本癌治療学会□□□□□□適正使用ガイドラインは準備中ということですが、これは具体的にいつごろ出来上がる予定なのでしょうか。また、この中でエリスロポエチン製剤の使用についてのコメントやそのような条項はあるのでしょうか。
○中外製薬株式会社 そのガイドラインの案はできております。ESA製剤がまだ使えるようになっておりませんので、このガイドラインは発効しておりません。そのガイドラインの中にどういった使用の制限があるかは、まだ学会の理事会の承認を得ていない、ガイドライン(案)の段階ですので、細かい内容については中外製薬株式会社では把握しておりませんが、Hb濃度のレベルや投与の調節の方法なども入っていると伺っております。
○吉田部会長 ただし、学会としてのコンセンサスはないのでしょう。学会のどのような立場の人達がそのガイドラインを考えているのかは分かりますか。
○中外製薬株式会社 元々、癌治療学会の総務委員会の下にガイドラインの案を作るワーキンググループが設置されておりまして、ワーキンググループが作られること自体は学会の理事会で承認されていると伺っております。ただ、ESAの国内の承認審査が進んでいないという情報を先生方が把握されましたので、その審査の進み具合を見ながら最終的に理事会で承認する方向にあると伺っております。
○吉田部会長 癌治療学会からの要望書は出ていないのですか。
○中外製薬株式会社 出ています。
○吉田部会長 分かりました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 その他に御質問がないようでしたら、申請者に御退席いただくこととします。どうもありがとうございました。
── 申請者退室 ──
○吉田部会長 さて、ただ今の申請者からの説明を踏まえて、御質問、御意見を願いいたします。
○半田委員 輸血の回避がベネフィットとしてあることは明らかということで、現時点で輸血をする場合には、診療報酬上も必ず同意文書を取って、先ほど少し触れたような感染症のリスクや癌の増殖効果を持っている可能性もあるといったリスクを説明して、患者が選択するということが輸血製剤の基本になっています。ですから、診療報酬上はそれが規定されているわけです。
 今回、企業からの添付資料を見ますと、本剤のリスクとベネフィットをきちんと説明すること、同意文書を取ることが示されているということですので、潜在性のリスクに関しては、国の立場、患者の立場、あるいは医療側の立場でいろいろあると思いますが、最終的に選択するのは患者であるということです。もちろん理解力等いろいろあると思いますが、そのような意味では質はどうあれ、国できちんとした規定を作り、先ほどの件から、本薬が今の方向で10年は承認されないとなると、患者さんにとっての選択肢は輸血する、あるいは我慢するしかないという状況になります。その状況下で、倫理的な問題がある程度クリアできそうなものは、この部分だと思いました。
○吉田部会長 今の企業の考え方も、基本的には注意喚起をしつつ臨床試験を行うのではなく、市販後調査という形で使用実績を積んで、とにかく使えるような状態にしてほしいということのようでしたが、この点について御意見はありますか。リスクの評価をどう考えるのかということと、逆に腫瘍増殖のリスクや血栓症の発症のリスクがあるものを国として承認した場合の影響も考えなければいけないのかもしれません。その辺りをどのように使うのか、もし使用するのであれば、どのように使用するのかという問題も出てくるかもしれませんが、とりあえず海外の状況を見て、リスクの懸念が懸念で終わるのか、本当にリスクが証明されるのかは分かりませんが、そういったものを見極めようとする立場もあり得るかと思います。
○濱口委員 実際にガイドラインを作ろうとしているグループがあるわけですので、できれば、そこの意見を参考までにでも少し聞いてみたいという気持ちはあります。現在案として作られているだけですが、一方、現場としてはこれが必要なのだという考えがあると思うので、ここにそのような意見が出てきていないのが不思議です。
○吉田部会長 ほかにございますか。そろそろ御意見をまとめなければなりませんが、なかなか難しそうですね。この審議について延期というか、再度行うということはあり得ないのですか。
○事務局 これまでの機構の説明に補足して、先生の御質問にもいくつか答えがほしいということですが、機構の説明にもありましたとおり、本剤について生命予後の悪化、あるいは腫瘍増殖の促進の懸念があるというところで、現状において使用方法を制限することによって、リスクを回避することができるかどうかというところが機構で検討されたわけですが、企業から示されている案等を拝見しても、これでリスクが回避できるという確信が得られないということです。先ほどLANCETの文献もありましたが、こういった方法で使えばリスクを回避できるのではないかといった推定が困難な状況であるということで、例えば安全対策を厳重に行って使ってはどうかといった場合にも、具体的にどの方向に、どこに限定して使えば妥当に使えるかといったことも不明な段階であると事務局では考えております。
 赤血球輸血の回避ということは、もちろん治療法が代替療法としてあれば望ましいと事務局としても考えておりますが、本剤については、本剤の評価結果から、現時点においてはがん化学療法に伴う貧血に対する薬剤として使用を推奨する段階にないのではないかと考えております。
 一方、血液製剤の安定供給につきましては、厚生労働省においても将来にわたって確保されるよう、献血推進や適正使用といったところで施策を推進しております。政策的な判断ということも御意見があったと思いますが、現時点においては本剤の推奨は難しいのではないか、あるいはこういった手法によってリスクを管理することは、提示が難しいのではないかと考えております。
○機構 補足ですが、先ほどのガイドラインの件で、面接審査会という面談の場で、申請者側と機構側と専門家を交えての議論の場がありましたが、そこではガイドラインの作成に携わられた先生に実際に御説明をいただいて、それを含めた議論の上での結論ということで、機構の判断としてまとまっております。ガイドラインでもどういう使い方が相応しいかどうか、ベネフィットがリスクを上回るような患者集団や使用方法を特定できる、その根拠になる材料が得られていないのではないかというのが、現状の機構の判断と考えておりますので、仮に同意を取って使用するということであっても、エビデンスに関しては十分ではないという判断に変わりないと考えております。
○吉田部会長 結局、エンドポイントというのは、もちろん生存を脅かさないことを前提として、輸血量をどれだけ減らせるかというところになろうかと思いますが、この点について意義を見出すのはなかなか難しいような気がします。先ほどのディスカッションにもありましたが、固形癌の化学療法において貧血に対する回復の意義がどれぐらいかというと、なかなか判断が難しい部分もありますし、がん化学療法に伴う貧血といっても、その定義が難しいという問題もあります。そのような曖昧さの中に、この薬が位置付けられているというのが一つと、逆に死亡リスクの問題が懸念として出てきております。懸念が晴れるまでは、黒木委員がおっしゃられたように、白黒はっきりさせるまで国が認めてはいけないという考えもあるでしょうし、患者のことも考えて、積極的に使いたい人には使わせてあげた方が良いという考え方も無いわけではないと思います。議論の分かれるところではあると思いますが、最後に何か決め手をいただけませんか。
○土屋部会長代理 先ほど部会長がおっしゃったような継続審議は可能ですか。今日結論を出さなければいけないと決まっているのですか。
○事務局 これまでずっと機構と企業の間で議論を続けてきまして、かなり煮詰まったところで、今回部会の審議をお願いしているところです。例えば、数年後に新たなデータが出てきた時に改めて申請をしていただくということはあろうかと思いますが、現時点における評価をお願いしたいと考えております。
○土屋部会長代理 私は腫瘍の分野については素人ですが、素人なりに様々な御意見を伺っておりまして、リスクの懸念が払拭できない段階では承認しない方が良いのではないかと感じました。
○吉田部会長 未来永劫、分からないのではなくて、ある程度先が見えている話なので、数年後には早期の結果が出る場合もあるでしょうし、また違うデータが出てきて、違うやり方でリスクを解消する実験データも出るかもしれません。状況を見ながら判断するとして、本日は承認にまで踏み切るだけの材料が無いのではないかと私自身も思うのですが、いかがでしょうか。
○庵原委員 関連なのですが、他社も同じ治験を行っていますね。そうした時に、今回の決定によって他社の治験も止まることになるのか、それとも先ほどメーカーが出してきた14ページのように2社を一緒にして、普通は1社ごとにデータを出さなければいけないのですが、今行っている治験を三つ出して、このようなデータが出ましたからと3社まとめて申請してきた場合に、それを評価することは可能なのですか。本日、このようなことで決定してしまうと、残りの治験を行っている所も全部治験が止まるのですか。その辺りの事後処置も含めて御意見を伺いたいのですが。
○機構 今、治験を行っている所の治験が止まるというお話でしょうか。
○庵原委員 申請ができないとなると、治験は止まってしまうのか、それともその治験は進めていき、終了して結果が出てきた段階でもう一度そのメーカーに対して再審議するのかということです。
○吉田部会長 データはメタアナリシスなので、それは過去のものですね。
○審査第五部長 今、現時点で治験が動いているわけではありませんので、平行して申請されているというのが現状です。この結果云々はまた違う品目でありますので、考え方に関してはPMDAとしては同じ考えを持っておりますが、申請者と協議をする時間はあるということです。
○庵原委員 それは良いのですが、今までは各社ごとに14ページの表のようなデータを出してきました。要するに、「メーカーの申請に対して」という答えになっていましたが、同じような条件を揃えて行った治験で、ある意味ではメタアナリシスのような感じのデータですが、このようなデータを出してきた場合、それを審議の対象にして良いのかどうかという、そこの考え方を教えてください。
○審査第五部長 考え方としては、得られているデータはどんなものでも見て評価をしていくというのが、PMDAのスタンスです。一方、きちんと信頼性に足るものであるのかということでしっかりデータを出してもらうためにも、信頼性保証をしてもらうということです。つまり、評価資料として出されるような内容かということもありますし、メタアナリシスの場合に、参考にはなりますが、基本的にPivotalなデータとして扱うことはないと思っております。
○吉田部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、今までの議論の内容について、審議結果報告書として意見を取りまとめ、委員の先生方に御確認いただくことといたします。本品目について、直ちに承認することは適切でない旨の報告書としてとりまとめてよろしいでしょうか。
 異議がございませんので、そのように進めます。
 それでは、審議結果報告書として意見をとりまとめる間、一旦休憩をとりたいと思います。よろしいでしょうか。
○事務局 それではこれから10分間の休憩としたいと思います。11時50分より部会を再開したいと思いますので、御参集のほどよろしくお願いいたします。
── 休憩 ──
○吉田部会長 それでは、再開します。審議結果報告書(案)につきまして配付させていただきました。事務局より読み上げてください。
○事務局 審議結果報告書(案)を読み上げます。
 審議結果、平成23年6月13日に開催された医薬品第二部会において、次の点から本品目を承認することは適切でないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に上程することとされた。
 1.「治療切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」に対しては、赤血球輸血以外の治療選択肢の開発への期待があることは認識している。
 2.一方で、赤血球造血刺激因子(ESA)製剤の投与により、がん患者では生命予後の悪化、腫瘍増殖の促進という極めて重要なリスクの懸念が報告されており、現時点では、投与対象患者をHb濃度等で限定するなどの厳重な管理を行ってもこのリスクを回避できることは示されていない。
 3.本剤は、固形がん患者において、延命効果、腫瘍増殖の抑制等を目的とするがん化学療法と併用されるにもかかわらず、現時点では、生命予後の悪化及び腫瘍増殖の促進を引き起こす懸念があり、同意を経て使用が可能ではないかとの意見もあったが、最終的には効能・効果に比して有害な作用を有するものと評価されることから、医薬品として使用価値には疑問が残り、薬事法第14条第2項第3号のロに該当すると判断した。
 4.今後、ESA製剤の当該効能に対する情報の追加も踏まえつつ、新たなエビデンスの追加をまって再度の検討が必要であり、現時点での承認は困難である。
 下に、薬事法第14条第2項第3号のロを抜粋しております。「申請に係る医薬品、医薬部外品又は医療機器が、その効能・効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品、医薬部外品又は医療機器として使用価値がないと認められるとき。」には、この承認は行わないという規定です。
○吉田部会長 審議結果報告書(案)について、何か御意見はありますか。
○山口委員 3.の2行目ですが、先ほどの事務局の説明では、補助療法としてという御説明があったような気がしました。併用とは少しニュアンスが違うのかどうか、その辺りをお聞きしたいと思います。
○事務局 支持療法、あるいは補助療法という言い方でも差し支えないと思います。
○山口委員 意味としては同じと考えて良いわけですね。
○事務局 はい。
○半田委員 3.の上から4行目ですが、「最終的には効能・効果に比して有害な作用を有するものと評価されることから」と断定してよろしいのでしょうか。効能・効果は輸血回避という意味においては明らかです。しかし、有害な作用に関しては、まだ潜在的なものであって、明らかではないというところで、同等のものではないと断定してよろしいのでしょうか。例えば、「最終的には効能・効果に比して有害な作用のリスクが存在する」とか、そのような文言の方が良いと思います。
○吉田部会長 これは効能・効果に反することとなるのですか。効能・効果はありますね。
○事務局 3.の趣旨を言いますと、もちろん今おっしゃったように懸念ではないかということですが、効能・効果に反してというで、「最終的には」以下に書いてある文言は薬事法の文章を引いており、効能・効果がある一方で有害な作用の可能性と蓋然性があるという時に、両者を比較して承認すべきでないという趣旨を書いております。また、これも「現時点では」にかかっておりますので、今後ずっとそうだという意味ではありません。
○吉田部会長 そうすると、「最終的には薬事法第14条第2項第3号のロ(効能・効果に比して有害な作用を有するもの)と評価される」ではないですか。それでも良いような気がします。そうしないと、この薬が有害な作用を持っていることがものすごく強く断定されてしまい、おかしくなるのではないか、というのが半田先生の御意見ですね。この有害な作用というのは、我々がそう言っているのではなくて、法律がそう言っているのだということを明らかにしたら良いのではないでしょうか。ほかにありますか。
 私の意見ですが、4.は前後が逆だと思います。「現時点での承認は困難であるが、今後云々」ではないですか。「現時点の承認は困難であるが、今後、ESA製剤の当該効能に対する情報の追加も踏まえつつ、新たなエビデンスの追加を待って再度の検討も考えられる」とか、「再度の検討を閉ざすものではない」といった方が、委員の先生方の感触としては良いと思うのですが。
○事務局 その点は修正させていただきます。今、吉田部会長から御提案があったのは、4.「現時点での承認は困難であるが、今後、ESA製剤の当該効能に対する情報の追加も踏まえつつ、新たなエビデンスの追加を待って再度の検討が必要である」ということでよろしいですか。
○吉田部会長 必要かどうかは分かりませんが、「今後の検討を閉ざすものではない」、又は、「今後の検討を加えたい」、「今後、検討の要があれば行う」等で良いと思います。
○事務局 3.ですが、これも部会長から御指摘がありましたので、「最終的には」の後を2行削って、「最終的には薬事法第14条第2項第3号のロに該当すると判断した」という文言でよろしいでしょうか。
○吉田部会長 はい。そのように修正する方向でよろしいでしょうか。ほかにありますか。
○半田委員 有害な作用ということで、下の薬事法(抄)を見ると、1行目の終わりの方に、「その効能・効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより」との記載があります。確かに有害な作用で、著しいという文言が入っているわけですが、本当にこれに当たるのでしょうか。
○吉田部会長 懸念のレベルでもこのようなことと言えるのかということですが、いかがですか。
○事務局 作用を有するということで、比してという文言で作用が顕在的にあるかどうかのみならず、潜在的にあるかどうかも含めてベネフィットとリスクの比較を行うことと解釈してお考えいただきたいと思います。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。それでは、このように変えるということを読み上げてください。
○事務局 3.から先を復唱します。
 3.本剤は、固形がん患者において、延命効果、腫瘍増殖の抑制等を目的とするがん化学療法と併用されるにもかかわらず、現時点では、生命予後の悪化及び腫瘍増殖の促進を引き起こす懸念があり、同意を経て使用が可能ではないかとの意見もあったが、最終的には薬事法第14条第2項第3号のロに該当すると判断した。
 4.現時点での承認は困難であるが、今後、ESA製剤の当該効能に対する情報の追加も踏まえつつ、新たなエビデンスの追加をまって再度の検討が期待される。
○吉田部会長 以上のように修正を加えた上で、審議結果報告書(案)の(案)を取りまして、部会報告とし、慎重な審議が必要なものとして分科会長に報告させていただきます。なお、文言の整理については、部会長に御一任いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 事務局から補足事項はございますか。
○事務局 薬事分科会における確認事項において、薬事分科会審議品目のうち、社会的関心の極めて高いものについては、広く一般の意見を求め、これを添えて分科会における審議の参考とすることとなっております。本品目にきましては、社会的関心の高い品目と考えておりますので、このような手続きとさせていただきたいと考えており、その旨分科会長に報告させていただきます。
○吉田部会長 今の事務局からの説明について、何かございますか。社会的関心が高い品目でもありますし、今後のスケジュールはどうなるのですか。
○事務局 一般にパブリック・コメントと言われておりますが、今日取りまとめた報告書の結果や審議結果報告書をまとめて公表し、広く一般の方からの意見を募集するということです。
○吉田部会長 意見を募集して、その後、分科会に報告するのですか。
○事務局 その後で分科会に報告し、審議をいただくことで分科会長に御報告させていただきます。
○吉田部会長 私たちが最終判断するという話ではないそうです。分科会が最終判断なので、この判断はあくまで部会の判断であるということで御了解いただきたいと思います。ほかにありますか。
 それでは、本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、8月1日(月)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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