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2011年7月19日 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第52回)議事録

○日時

平成23年7月19日(火) 13:00~16:25


○場所

省議室


○出席者

   真野委員 五十嵐委員、石渡委員、平井委員、浅野委員、橋田委員、松原委員


○議事

(以下、議事録)
 
○政策評価官
 定刻となりましたので、ただいまから「第52回厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日は新しい任期の下での第1回目の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長をご選出いただきます。それまでの間、私、政策評価官の篠原が議事の進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 部会の委員の皆様方をご紹介いたします。委員の皆様方には、先に辞令を郵送させていただきましたが、厚生労働省独立行政法人評価委員会の委員、または臨時委員として、本年6月30日付けで厚生労働大臣の任命がなされています。また、7月12日に開かれました委員会の総会において、皆様方の医療・福祉部会への分属が発令されています。
 五十音順にご紹介させていただきます。まず、委員の方からです。再任の五十嵐委員です。新任の石渡委員です。再任の平井委員、真野委員です。
 続いて、臨時委員の方をご紹介させていただきます。再任の浅野委員です。新任の橋田委員です。再任の松原委員です。このほか、本日ご欠席ですが再任の大島委員、關委員がいらっしゃいます。
 事務局をご紹介いたします。室長補佐の田鍋です。
 議事に入ります。最初に、部会長の選出をお願いするのですが、選出手続きをご説明いたします。お手元の資料集の48頁をご覧ください。厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条第3項において「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」とされています。委員の皆様方の互選により選任するということなのですが、いかがいたしましょうか。

○平井委員 
 いままでのご経験等勘案して、真野委員がよろしいのではないかと思います。

○政策評価官
 平井委員から、真野委員を部会長にというご推薦がありました。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○政策評価官
 ありがとうございました。それでは、真野委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行につきましては、真野部会長、よろしくお願いいたします。

(真野委員は部会長席へ移動)

○真野部会長
 不慣れなものですから、議事進行に若干、不手際があるかもしれませんがご容赦ください。もともとは上野谷先生が私が委員になってからずっとされていて、私がここに座るとは思っていなかったものですから。よろしくお願いします。
 今から3つある医療・福祉関連の独立行政法人の評価をいただくことになります。最初に、各法人の概要と課題について事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料1-3について、概要を説明いたします。資料1-3の1頁をご覧ください。「医薬品医療機器総合機構」、英語名称の頭文字を取り、通称「PMDA」と言っています。この法人については、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染症等による健康被害に対し、迅速な救済を図り、医薬品や医療機器などの品質、有効性及び安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し、市販後における安全性に関する情報の収集・分析・提供を行うことを通じ、国民保健の向上に貢献することを目的として、平成16年4月に設立されています。現在、第2期の中期目標計画中でございます。
 「業務概要」としては、医薬品の副作用等により健康被害を受けた方に対する医療費・障害年金・遺族年金等の給付などの健康被害救済業務、また薬事法に基づく医薬品や医療機器などの承認審査等業務、医薬品や医療機器などの品質、有効性及び安全性に関する情報収集・解析・情報提供などの安全対策業務を行っています。
 「当面の課題とその取組」ですが、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグの解消に向けて審査期間の短縮や相談体制の強化、また医薬品・医療機器の安全性に係る情報の迅速かつタイムリーな収集・分析・提供等を行う安全対策業務について、体制やデータベースの充実に取り組んでおります。
 続いて2頁の「福祉医療機構」です。こちらは通称「WAM」と呼ばれています。こちらにつきましては、福祉の増進及び医療の普及及び向上を図ることを目的とし、平成15年10月に設立されています。こちらも第2期の中期目標中期計画中です。
 「事業概要」としては、障害者施設や児童施設などの社会福祉事業施設に対する福祉貸付、また病院や介護老人保健施設などに対する医療貸付、また社会福祉施設、病院等に対する経営診断や指導業務、またWAM NET等により各種情報の提供をする福祉保健医療情報サービス事業というようなことを行っています。
 「当面の課題とその取組」については、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」が平成22年の12月に閣議決定されていますが、これに基づき、講ずべき措置とされた事項を着実に推進し、利用者サービスの向上に努めていく。また、福祉医療貸付事業における介護基盤の緊急整備、保育所等の整備及び耐震化整備事業等による増大する利用者ニーズに迅速かつ的確に対応する。東日本大震災により被災されたお客様の返済相談、設置整備資金・運転資金等の融資相談など、円滑、迅速かつきめ細やかな対応を行うといったことに取り組んでおります。
 5頁、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」です。当法人については、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ることを目的として、平成15年10月に設立されています。当法人も第2期の中期目標中期計画中でございます。場所は群馬県の高崎市にございます。
 「業務概要」ですが、「のぞみの園」の設置と運営、また知的障害者の自立のための調査や研究、情報提供、また人材の養成や研修などを行っています。
 「当面の課題とその取組」ですが、施設利用者の地域への移行の積極的な推進、また社会的な課題となっている「行動障害等を有するなど、著しく支援が困難な者」に対するモデル的支援の実施、重度の知的障害者の自立に関する調査・研究等の充実に取り組んでいます。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。以上、3法人のご説明があったわけですが、委員のほうから何かご質問などありますでしょうか。今日の主たる議題はPMDAなわけですけれども、ほかに対しての質問も受けるということでよろしいわけですよね。

○政策評価官室長補佐
 そうですね。

○真野部会長
 何かあればですが。新任の委員の皆さん、大丈夫ですか。ありがとうございました。
 次に移ります。議題の順番でいきますと(3)となります。我々の委員会の主たる目標でありますが、独立行政法人の実績の評価を行っていく、これからそういう作業に入るわけですが、新任の先生方もお見えですので、評価の流れや基準、考え方というものについて整理したいと思います。事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料1-4-?に沿って説明させていただきます。評価の進め方につきましては、基本的に前年度と変わっておりません。まず、各法人の理事長から年度業務実績の概要等について説明をしていただきます。その後、評価項目、これは各法人で大体20前後ありますけれども、これを4つ程度のパートに分け、法人から業務実績と自己評価の説明をしていただきます。
 その説明が終わりましたら、委員の方々には評定記入用紙へ評価を記入していただきながら、疑義等ありましたら、その場で質問していただく。評定記入用紙については資料5にありますのでご確認ください。
 評価につきましては、真ん中より下のところに「判定基準」というものがあります。評価は5段階になっており、「中期計画に概ね合致している」ときは「B」です。「中期計画を上回っている」というときには「A」、さらに「大幅に上回っている」場合には「S」となります。逆に「やや下回っている」ときには「C」、「下回っており、大幅な改善が必要」というときには「D」を付けていただくことになります。
 「評価の際の留意点」の?に書いてありますが、評定を記入する際には必ず理由を記してください。特に「S」や「D」といった、中期計画を大幅に上回る、または下回ったという評価の場合には、判断した根拠を具体的に記載していただくことをお願いしたいと思います。
 また、「評価委員会が特に厳正に評価する事項」というものが、前大臣のときに独法の評価委員会の総会において要請がありました。その中身については、無駄な経費がないか、人件費等が適切になっているか、サービスの質を高める努力をしているかというようなところにつきまして、厳正に評価をしてほしいという要請でした。
 また独法の2次評価ということで、総務省に設置されている政策評価・独立行政法人評価委員会から「評価の視点」というものが毎年出ています。こういったものを踏まえて評価をしていただきたいということで、法人の取組について「業務実績評価別添資料」を作成していただいていますので、十分な取組みとなっているか、特に厳正な評価をお願いいたします。また、それを見るときのチェックポイントとして、1-4-?に「チェックポイント」を付けていますので参考にしてください。
 続いて、法人の個別評価が終わりましたら、各委員の評価を踏まえ、「評価書案」を起草委員に作成していただきます。各委員の起草担当の法人につきましては、資料1-4-?に「起草委員(案)一覧」を付けていますので、ご確認及びご承認をいただければと思います。評価書案の作成につきましては、各法人の所管課と起草委員との間でそれぞれ調整していただきながら案文の作成を行っていくことになります。起草委員において作成いただいた評価書案につきましては、今度、総会を8月22日(月)に予定していますので、そこで各委員にご審議いただくことになります。
 「個別評価」についての、ご欠席された場合の取扱いにつきましては、起草担当の法人の評価の場合は、個別にレクを行い評価をしていただくことになります。起草担当以外の法人の場合は、評価をしていただく必要はありませんが、予め送りました資料等を踏まえ評価をしていただける際には、欠席された部会終了後3日以内までに事務局宛てに評価を送っていただければと思います。
 続いて、資料1-5と1-6です。こちらにつきましては評価の参考にしていただければということで、事務局で作成した資料です。別紙1-5につきましては、医療・福祉部会の各法人が、それぞれの評価項目ごとに自己評価しているものを一覧にまとめたものです。参考として、昨年度の評定結果を横に載せています。
 資料1-6をご覧ください。こちらは医療・福祉部会に限らずに、厚生労働省所管の各法人の過去3年間のSからDの個数をグラフ化したものです。こちらについても評定結果と法人の自己評定を対比させるような形でお示ししています。当然と言えば当然なのですが、自己評定よりも評定結果の評価がちょっと厳しくなっていますので、そういった点もご留意していただきながらご審議いただければと考えています。事務局からは以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。いまのご説明について何かご質問などありますでしょうか。私も最初、ちょっと慣れなくて、なかなか悩ましいところもあったのですが、よろしいですか。実際にやってみないとわからないところもあるかもしれませんが、いまの手順で各法人の評価を順番にしていただくということでお願いしたいと思います。
 今日の議題の4番目、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の個別評価に入りたいと思います。これが今日のメインで、かなり時間を取ると思います。最初に、PMDAの近藤理事長から、ご挨拶と今回の取組みの説明をお願いします。先生、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 ただいま、ご紹介いただきました医薬品医療機器総合機構(PMDA)の理事長の近藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の皆様方におかれましては、PMDAの業務につきまして平素よりご助言、ご指導を賜りまして、誠に感謝申し上げているところでございます。
 本日は平成22年度の業務実績につきましてご評価をいただくわけでございますが、その詳細につきましては担当理事からご説明させていただきます。私はこの1年間のPMDAをめぐる動きや今後の重要課題についてお話をさせていただきたいと思います。
 PMDAは平成22年度において、4月22日の省内事業仕分け以降、合計4回の仕分けを受けました。その結果、「審査・安全部門の事業規模の拡充」という判定とともに、「ガバナンスの強化」という宿題もいただきました。
 これを受けまして、審査・安全・救済、この3つの業務のさらなる強化・充実に加え、理事長である私の下で、法人としてのガバナンスのさらなる強化に取り組んでまいりました。1つは、もともとございましたけれども、他の独法にはございませんPMDA独自の取組みとして、従来から開催している薬害被害者や消費者の代表を含む、すべてのステイクホルダーに参加していただいている公開の下で、業務運営や財務などについてご審議いただいております「運営評議会」がありますが、それを行い、さらにそれに加えて幹部職員の適性や業務遂行の透明性を外部委員を中心に検証していただく「業務適正化調査委員会」の設置・開催を行いました。3つ目として、人事や組織運営に関して、有識者の方々から私が直接助言を受ける「人事・組織運営有識者会議」を設置・開催いたしまして、その助言等を踏まえたPMDA職員の中長期的な人事の方向性を明らかにしたキャリアパスを策定し、取り組んでいるところでございます。
 また、業務運営に当たり、全職員がPMDAの5つの理念を常に心にとめるとともに、業務の科学性、透明性を高めるためにレギュラトリーサイエンスの普及に力を入れており、昨年10月には新たに「研究課」を設置いたしました。また、国際化の取組みを強化しておりまして、米国のUSP、英国にございますEMAに幹部職員を常駐させるとともに、能力と意欲のある若手職員を含め、国際会議や各種学会に積極的に参加するなどの活動を展開してきております。
 次に、平成22年度における主な実績などについて申し上げます。まず、第1番目に法人全体に共通する部門としては、無駄の削減や一般競争入札の促進などにより、一般管理費や事業費の大幅な削減を達成することができました。2番目に、救済業務につきましては、請求件数が1,000件を超える中、事務処理のさらなる迅速化に努め、6カ月以内で処理件数を前年度に比べて約20%増加させ、全体の40%以上を6カ月以内で処理することができました。また、「医薬品副作用被害救済制度創設30周年記念事業シンポジウム」を開催するなど、本制度のさらなる認知度向上にも取り組んだところでございます。
 3つ目としては審査業務ですが、新医薬品につきましては優先審査、通常品目ともに総審査期間に関する年度目標をクリアして、平成23年度における米国との審査ラグの解消に目処がついたところでございます。一方、医療機器につきましては、新医療機器の総審査期間に関する年度目標はクリアすることはできましたが、改良医療機器や後発医療機器に関する年度目標は必ずしもクリアすることができませんでした。
 医療機器分野でも審査員を順次増強し、パフォーマンスを向上させているところではありますが、審査から相当期間が経過しながらまだ処理できていない品目を現在、精力的に処理している最中であることもあって、未だ良い数値が出るまでには至っておりません。また、医薬品医療機器共通の申請ラグ、いわゆる承認申請に至るまでの開発期間の遅れについてでありますが、これの解消に向けた取組みとして、平成23年度からは大学やベンチャー企業などを主なターゲットに、開発の初期段階から懇切丁寧に相談に対応するための「薬事戦略相談事業」をスタートさせたところでございます。
 4番目、安全対策につきましては、安全対策要員の増員や調査・分析システムの拡充などを着実に進めてまいりまして、副作用・不具合情報を迅速・的確に分析し、必要な場合には添付文書の改定等の措置が迅速に行われるようにいたしました。また、ホームページやいわゆるプッシュメール、現在では「PMDAメディナビ」と名前を変えましたけれども、これを通じて情報提供の充実を図っているところでございます。
 平成23年度からは、大学病院等の診療情報をもとに大規模データベースを構築し、疫学的手法を用いた、医薬品等安全対策を活用するための医療情報データベース基盤整備事業に着手することとしています。PMDAとしては、より有効で、より安全な医薬品医療機器をいち早く国民の皆様方にお届けするために、今後とも役職員が一丸となって努力していきたいと考えています。今後ともご指導、ご鞭撻いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 以上、簡単でございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○真野部会長
先生、どうもありがとうございました。それではこれからの進め方ですが、長いのでPMDAと略してしまいますけれども、PMDAの個別評価については、お手元にある評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価をしていくという手順で進めたいと思います。最初に30~40分ぐらいで1つのグループという感じでいこうと思います。最初は法人全体でお願いします。説明が20分、質疑と点数付けを20分ぐらいの目処で進めたいと思います。それでは、PMDAのほうから全体のことをご説明ください。お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 私はPMDAの総合調整の担当、それから救済の担当をしています理事の川尻と申します。まず、皆さんのお手元の資料2に沿ってご説明いたします。この資料の最初のほうはPMDAの紹介となっています。まずは8頁、Part1ということで、法人全体の業務運営の改善、あるいは国民に対するサービスの向上等の項目ということで7項目の評価をいただくという形になっています。
 まず最初の項目が9頁です。この資料の作りとしては、各項目の右上のところに「評価シート」の頁数、これはA3横長のいちばん評価をいただくシートです。あとは「業務報告」と書いてありますが、これは資料7という形で本日は白表紙の業務報告の冊子をお配りしておりますが、その頁数を入れています。ちょっと時間の関係でご参照いただけるかですが、そのように作っているということでご理解いただければと思います。それでは、順にご説明いたします。
 1-(1)、評価シート1、「目標管理による業務運営、トップマネジメント」ということで、自己評定はAと付けています。評価の視点について言いますと、3つの分野に細分化されていますが、各部門ごとに業務計画表が作成されて、そしてその進捗状況が管理され、あるいは問題点の抽出・改善が図られているかとか、あるいは理事長の経営判断が迅速に反映され、また有効に機能しているかというのが評価の視点になっています。
 平成22年度の実績については、少し重なるところがありますので、次の10頁をご覧ください。10頁、「目標管理による業務運営」として、平成22年度何をやったかということですが、?については平成22年度は特段新しいことはありませんが、例えば各部ごとに業務計画表を必ず年度当初までに策定をし、そして各部の職員がそれぞれ各人ごとの目標設定をし、それを進捗管理をしながら計画的に業務を遂行しています。
 この資料には書いていませんが、理事長以下が各年度の中間段階で、年度の中間の実績を聞いて、そして年度で必要な改善を行うというような形でのヒアリングをやっております。また年度が終わりましたら、当然のことながら最終的な実績についてのヒアリングを理事長以下、幹部が必ずやるという形で進めているところです。
 次が「トップマネジメント」という?の関係です。これについては、11頁のいくつかの図をご覧いただきますと、理事長が出席するという形で各種の会議を設けております。まず左のほうが「幹部会」で、これは毎週1回、部長以上が出席をしてPMDAの業務運営について、やはり1週間に1回は理事長のもとで確認をしようという会議を開催しています。
 次のところが「審査等業務進行管理委員会」で、あとでご説明いたしますが、特にドラッグ・ラグ、あるいはデバイス・ラグの関係については、本当に審査期間が短縮できているかどうかということのチェックが必要ですので、これは四半期に1回ごとの確認をするという会議を開いています。
 3つ目が、「リスク管理委員会」ということで、当法人も役職員、あるいは事務補助員を入れますと1000人近い職員がおりまして、いろいろなリスクマターが発生します。比較的軽いものまでリスク案件については各幹部が共有して、その教訓をもとに他の部も含めて発生しないようなことをやるということで、これも毎月1回開催しています。
 最近だいぶ改善してまいりましたが、「財務管理委員会」というものがあります。これもPMDAは第2期の中期に入ったときにはまだ累積赤字のあるところがあって、必ずしも財政的に安定的ではなかったところがあり、特に審査部門を中心に財務管理の状況について、毎月1回理事長の下で確認をするという会議も開いています。その他、情報関係もありますが、ここでは省略します。
 10頁に戻って、平成22年度において特記的な事項を少し説明いたします。これは先ほど理事長からの挨拶にもありましたけれども、各種の仕分けを受けた形で平成22年度に新しい委員会あるいは会議を2つ設けています。
 1つは「PMDA業務適正化調査委員会」で、出向者も含めた幹部職員の適性や業務遂行の透明性というものを、外部委員、いわゆる辞め検事という方々を中心に検証するという会議を平成22年度に新たに設置し、検証をしていただきました。
 次は少し長いのですが、いわゆる「独立行政法人医薬品医療機器総合機構人事・組織運営有識者会議」です。こちらも外部の経営とか人材マネジメントの専門家を中心に、理事長に直接いろいろなアドバイスをいただくものです。その成果として、PMDA職員のキャリアパス、採用されてからどういう形で人事異動をされていくかとか、どういう形で幹部に昇任していくかを明記したキャリアパスを、この3月に作成しました。
 12頁の評価シート2、こちらは「審議機関の設置による透明性の確保」です。これも先ほど理事長の挨拶で申し上げましたけれども、いわゆる運営評議会というのがPMDAにはありますので、そういうことを想定して書いてあります。幅広い分野の学識者との意見交換の場として審議機関が設置されるとか、あるいはそのほか外部評価の仕組み等が構築されて有効に機能しているかということです。
 実績については13頁にありますので、そちらをご覧ください。「運営評議会」は、真ん中にありますけれども、学識者のほかに医療関係者、それから医薬、医療機器の業界の代表、そして消費者の代表、あるいは薬害被害者の方々を入れて20人で構成されています。この会議については下の方の箱に小さい文字で書いてありますが、運営評議会という本委員会を3回、それから救済と審査・安全に分かれていますが業務委員会を2回ずつで、計7回の会議を開いています。各年度の実績報告から、あるいは翌年度の計画、予算などについても審議をいただくというものですが、いちばん上の箱にあるように、この運営評議会は他の独立行政法人にはない取組みだと思いますが、PMDAが発足するときに、こうやって透明性を高めるようにと国会でも審議があって、マスコミにフルオープンで開催をしています。当然のことながら、会議資料や議事録もホームページで公表しています。その中には、いま企業出身者がPMDAでどういう仕事をしているかとか、あるいは各専門委員の方々、1000人ほどいらっしゃる外部の専門委員にいろいろなアドバイスをいただくわけですが、その方々が例えば製薬メーカーから寄付金を受けていないかどうかということも、報告する形になっています。
 14頁、こちらも新しいことだけをご報告しますと、他の年度にない平成22年度の新しい取組みとして、?「データベース化の推進」があります。こちらは、審査要員あるいは安全対策要員も増やしていますが、それ以上に業務の迅速化を図るということで、過去の審査資料の電子化をして、過去のいろいろなデータを検索しやすいように、できるだけ申請者側に負担をかけないように、あるいはより合理的な、統一性のある審査安全業務を図るということで、資料の電子化を促進しています。
 ?については、一歩進んでいるのは審査系のシステムですが、業務量も増えていますし、人も増えていますので、それぞれのシステムの最適化を進めていますが、審査系のシステムについては大体要件定義が終わった段階ですし、安全・救済についても、いま要件定義を作成中です。いずれは3つの部門のシステムを統一できるところは統一していくという取組みを、平成22年度は本格的に図ったところです。
 次が15頁、評価シート3になります。「各種経費節減」で、こちらはまずどういう目標になっているかということですが、中期計画上の数値目標というのがあります。一般管理費5年間で15%、各年3%節減とか、あるいは事業費は5年間で5%節減とか書いてありますが、これは政府全体でというか、各独法が取り組むべき節減目標ということです。大体政府統一的に示されていて、そして第2期がスタートするときに厚生労働省で作られる中期目標の中に書かれている目標です。
 16頁は、それの実績です。代表的なものとして、一般管理費と事業費の実績を書いています。まず平成22年度の予算額そのものについては、一般管理費あるいは事業費については、いまご説明をした統一的な節減目標をもとに、一般管理費であれば3%削減、事業費であれば1%削減ということを見込んで予算を設定していましたが、あとでご説明しますように、各種の調達案件の見直しなどにより、一般管理費であれば20.6%の節減、そして事業費においては6.3%の節減を達成しました。
 人件費については、PMDAの特性としては人自体は増えていますので、1人当たりの人件費を指標においていますが、これも新しい給与制度の導入により、平成17年度との比較で1人当たり8.1%の人件費の削減、低減をいたしました。
 随意契約については、細かな数字はあまり入れていませんけれども、平成22年度からは新たに「契約監視委員会」にすべての調達案件をかけることで、他の法人よりはかなり頻度高く、3カ月ごとにすべての案件を事前にチェックをする形で、一般競争入札化を図っています。100%図れないのは、どうしても事務所を借りるときは、なかなか随契でしか借りにくいとか、それに伴う模様替えとかについては、貸し主からの指定があったりしますが、細かな評価シートには書いてありますが、一般競争入札などの競争的入札の割合は、件数割合では7%、金額では24.8%増加をさせています。
 次は評価シート4、「拠出金の徴収及び管理」です。新任の委員の先生方にはなかなかわかりにくいのかもしれませんが、私ども副作用救済関係の給付金などの事業費、それから安全対策の事業費、こういうものについては、基本的には各医薬品メーカー、場合によっては医療機器メーカーから拠出金を出していただいて、それで運営をしているという状況です。その収納率は99%以上を達成することが中期計画の目標となっています。
 次の18頁に、その実績が下の表に出ています。拠出金は3種類ありまして、一般的な薬に対する副作用について救済を図る副作用の拠出金。それから、生物由来製品ということで、感染源が紛れ込むようなことによって被害を受けられた方に対する感染拠出金。それから安全対策の拠出金という3種類があります。
 この表で見ると、対象者の件数がかなり変わっていますが、感染拠出金については、生物由来製品を作っているメーカーが少ないものですから、数が少ないわけであります。医薬品の副作用という形になりますと、薬局で医薬品を製造されている場合も拠出金を払っていただくということで、8,000件近い対象者がいます。安全対策は、医療機器の中小メーカーなども入ってきますので、1万件を超える対象者ですが、収納率についてはそこにありますように、99%以上を達成しています。ちなみに、安全対策については、平成21年度が99.0%で、若干改善といいますかパーセンテージが上がっています。
 次に19頁、評価シート5、「相談体制の整備、業務内容の公表等」です。すみません、自己評定を言い忘れたところがあるかもしれませんが、ここは自己評定Aです。評価の視点ですが、平成22年度は特記事項はそれほどありませんけれども、広報戦略に基づいた各種施策に取り組んでいるかとか、あるいはホームページでの公表が国民にわかりやすいものになっているかということです。
 20頁は、その実績です。「PMDA広報戦略」に基づく諸施策の関係では、ニュースレターと書いてありますが、これは内定者向けのメールマガジンということで、各役員あるいは各若手職員も含めてPMDAの紹介をするメールを毎月出していますが、こういうものをホームページに掲載をして、すべての国民に見ていただくこともしています。
 薬害根絶フォーラムと言いますのは、薬害被害者の団体が毎年開催しているフォーラムですが、そこにはパネル展示をしたり出張相談などをしています。救済とかあるいは一般的なお薬などに関する相談もあるのですが、PMDAとしては広くどんなことでも、一般的な意見、あるいは苦情というものを国民のみなさんから受け付ける一般相談窓口を作っていて、そこに書いてあるような形で、月平均で200件弱の相談といいますか、声を受け付けているということです。
 最後のところは、平成22年度の新しい取組みですが、PMDAにいろいろな窓口、あるいは窓口でなくても各部に寄せられる国民の声の中からご不満とか、あるいはご納得いただけなかったものについては、法人として取りまとめをして、新しいものであればそれについてどう対応するかもホームページで公表させていただく取組みを毎週やっています。あとは外部監査、それから内部監査については例年に引き続き、適正に実施しています。
 21頁は「予算、収支計画及び資金計画」の関係です。これは初めてですが、自己評定はSと付けています。それについてここは少し丁寧にご説明いたしますと、評価理由及び特記事項というところにいろいろ書いてありますが、1つは効率化の取組みということです。先ほど少し契約監視委員会などのご説明をしましたが、随意契約の見直し計画を着実に実施した結果、調達関係などによる節減効果が11.8億円という規模になっています。次が審査セグメント、これはセグメントという書き方がちょっとわかりにくいかもしれませんが、私どもは独法上、審査と安全関係は1つの勘定ということになっています。その中でも医薬品、医療機器の審査関係はセグメントを分けています。その審査セグメントの損益については、一言で申し上げますと平成21年度までは繰越しで赤字でしたが、平成22年度は黒字に転換したので、エポックメーキングだということで、これを私どもでは自己評定として大きく見て、Sと付けています。
 この原因としては2つありますが、審査関係の事務処理を着実に上げた結果、収入が増えました。数字がなくて恐縮ですが、要するに新医薬品であれば審査期間を5カ月ほど短縮しているので、1年に申請していただく以上の処理をこの平成22年度の間にはやりました。その結果、私どもは受け付けただけでは収入にならないのですが、審査報告書を書くと収入化されますので、それで1年分以上の収入増を図ったというところが1点。
 それから各種調達コストの節減などがありますので、その結果8.2億円の赤字から13.4億円の黒字、利益剰余金計上に変わっています。
 3つ目の○に書いてありますけれども、これについては別途、目的積立金を行いたいということで、大臣承認を申請しています。
 あと22頁はいま申し上げたようなことと、法人全体での損益計算を書いていますが、数字の関係ですので省略させていただきます。
 次が23頁、「人事に関する事項及びセキュリティの確保」です。こちらはその他いろいろな目標が入っていますが、評価の視点としては、系統的な研修の実施、あるいは内外との人事交流による職員の資質の向上というようなシリーズが1つ。それからセキュリティの確保、リスク管理というようなことで、入退室の管理、あるいは情報システムのセキュリティの確保といったことです。
 実績については、まず24頁が人事関係です。人事評価制度については平成19年度からだと思いますけれども、試行的に導入して、もう本格実施をしていますが、各職員について、各職員が立てた計画あるいは能力などについて評価をして、昇給などに反映をするような仕組みを入れています。
 また、下の系統図ですが、系統的な研修を実施していまして、新任者研修に相当力を入れていましたが、だんだん中堅どころの職員が増えてきていますので、中堅職員の研修、あるいはそのマネジメントスキルを磨くということで、管理職研修も徐々に充実してきています。
 次は25頁ですが、これも最初のほうは人材の確保関係です。審査安全部門を中心に人材の確保を図っていますが、この平成22年度から平成23年度にかけて、正規の職員が605名から648名と、40数名の増員を図りました。
 セキュリティの確保については、平成22年度の新しい事項としては、部外者の入室制限の徹底を図る。要するに私どもが扱っている承認審査などの情報については、企業秘密が多いものですから、外部の人が入ってきて書類を持っていっても困るということで、受付とかあるいは役職員がいるような総務部門は除いて、カードがないとエレベータが停止しないという階も入れてセキュリティの確保をしています。あるいは電子メールについてもいろいろ工夫をしています。長くなりましたが、Part1についてのご説明は以上です。

○真野部会長
 どうもありがとうございました。それでは質疑に入りたいと思います。シートを書きながらでも結構ですが、何か質問などありますでしょうか。

○松原委員
 外部の人を入れた各種委員会をいろいろ設置なさっていて、非常に経営努力をされているなと感心しています。
 ただ、外部の人間から見ると、いろいろな委員会を立ち上げても結局それが形式的なもので終わっているのではないかと。お決まりのことを聞いて、お決まりの答えでしゃんしゃんじゃないのかと言われる可能性もありますので、1つぐらいで結構ですので、こういう委員会をやったことでこんな意見が出て、このように改善されたというような、エピソードベースで結構ですので、具体的にそういうことがもしあれば。また今すぐ思いつかなければ後日でも結構ですので、そういう改善例などもご紹介いただけると評価する側としては非常に評価しやすいなと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 事務的に説明させていただきますと、資料の10頁で先ほどちょっと説明しましたが、例えば運営評議会というのは法人スタート以来やっているわけですが、10頁の下のほうにある「PMDA業務適正化調査委員会」が何をやったかと言いますと、例えばPMDAはまだ出向者も多いわけですが、出向者は本当に部長とかそれ以上の適性を有しているかどうかとか、厚生労働省あるいは製薬メーカーとの関係で、不適正な不透明なことがないかどうかというのを、まず全幹部職員から1人ずつヒアリングをします。あるいは幹部職員の学位や過去の経歴をいちいちチェックして、適性を有していない職員がいるのかいないのかということを、先ほど言いましたように外部の法律家、検事さんとか大学の先生、弁護士などの方々に評価をいただいています。それは個人ごとにも問題はないし、それから仕組みもいろいろな形で工夫されているという評価をいただいて、この報告書はホームページで公表しています。
 それから下にあるような有識者会議についても、単に理事長が人事関係でアドバイスを受けるというだけではなく、他の法人あるいは他の省庁でもそんなにキャリアパスというのを明確に定めていないと思いますが。PMDAで採用された職員がどういう形で人事異動を長期的にしていくのかとか、何年ぐらい経ったらだいたい課長級などの幹部に登用していくのかとか、そういうことをある意味で透明性すぎて、業務運営というか理事長のトップマネジメントには苦労する部分があるのかもしれませんが、そこまではっきりさせたものを策定しました。このキャリアパスについてもホームページで公表しています。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 非常に大事なご質問をいただき感謝申し上げます。私たちはやはり職員に気持ちよく働いていただかないと、この仕事はうまくいかないわけです。ですから、不満だらけだと、きっとよくないことがいっぱい出てくるだろうと思います。したがいまして、理念というのはまずそこにあったわけで、高い志を立てないと人間というのは問題があるのです。ですから、組織は高い志という意味で理念を作ったわけです。これが折に触れて例えば幹部会であるとか、そういうところのディスカッションの中で、いろいろなときに理念という言葉が出てくる。そういう志が高い人たちがだんだん広がってきているとまず思います。
 もう1つは、いろいろ決められたことがありますけれども、お昼に各部署に回って、皆さんの声を平場でお伺いをする、文句があるならば文句を言って頂戴と。1時間弱の話ではありますけれども、そういう中でいろいろ前向きな意見も伺いながらやっているところです。
 もう1つは、自分が一体どうなるのかとみんな不安になっているだろうと思うのですね。そういう中で、不安を解消するためには先ほど申し上げたようにキャリアパスなどを作ったわけですけれども、やはり皆さんのレベルがどう上がっていくかということを確認しなければならない。そのためにレギュラトリーサイエンスというのを設けて、多くの大学からも来ていただく。つまり、自分たちの働いている場所が、多くの人から見て希望の場所であるというところをどんどん広げています。
 例えば、現実に連携大学院を結ばせていただく大学が7つありますけれども、お陰様で多くの方が大学院生になったりしています。一方において、うちの職員が客員教授みたいにさせていただいて、仕事をしながらそういうルートもあるのだなと。したがいまして、いろいろな角度で専門家としても、また社会的なキャリアが上がっていくということも実感していただきながら、本人の努力も重要だと思いますけれども、いろいろな角度で発展性があるということをお互いに確かめ合っているところです。
 ちょっとだらだら話して申し訳ないのですが、とにかく気持よく働ける職場、カスタマーズサティスファクションと言いますけれども、エンプロイーズサティスファクションというのはもう1つ重要なバランスかなと思って日ごろ努めているところです。

○松原委員
 予想以上のお話が聞けて大変うれしく思いました。ありがとうございました。

○真野部会長
 ありがとうございました。他はよろしいでしょうか。

○平井委員
 経費節減のところで、3カ月ごとに契約を監視するというのは非常に効率的で、それが効を奏して経費節減になっていると思うので、非常に結構だと思います。いまの松原委員からもあったのですが、職員の方の満足度とかということで人件費を8.1%削減されたということです。ということは、給与が下がるというと、モチベーションが下がったりとか、そういうことはないのかなと思いまして、そういうところはどういうふうにして対応されているのかなと思います。ちょっとお聞かせいただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まずPMDAの給与体系というのは、本来は独法が独自に作ってもいいのかもしれませんけれども、最近、国家公務員とのラスパイレス指数というものに差があればそれを縮めるようにとの指導を受けていますので、そういうことも頭におきながらやっております。
 例年、議論いただいてご説明しておりますように、PMDAは特に採用するときには製薬メーカーさんとか各種研究所というと、比較的薬学出身の方も含めて、相当世間の水準が高いものですから、技術系の職員については初任給を上げて、そしてその後役職に就かないとそんなに給与が上がらないという、給与のフラット化を導入するということで、最初は高くするということをやっています。
 先ほどご説明をしました人件費が削減されていますのは、最近若い職員を大量採用している結果、PMDAの職員の平均年齢が下がっています。そういうことで1人当たりの給与が下がるところがあります。それから、どうしても人事院勧告がマイナスでありますと、それに倣って下げさせていただくということです。見かけ上は下がっているのですが、世間の水準以上に給与水準を低く設定しているというようなことはありません。そこはいろいろな工夫をしているところです。

○平井委員
 ありがとうございます。私どもも国立大学法人でやはり給与がかなりカットされて、ぱっと見て、あーがっかり、というようなところもありますので、8.1%の削減というのはかなりな額だと思いますのでちょっとお尋ねさせていただきました。

○真野部会長
 ありがとうございました。他はどうでしょうか。

○浅野委員
 こちらの資料2の10頁で、4回の業務仕分けというのがなされたということで、いろいろ回答を出されたりとか、議論をされたと思います。その結果、PMDA業務適正化調査委員会を設置したりとか、あるいはPMDAキャリアパスを策定するというような対応をとられたということなのですが、もう少しその辺の間というか、どのような指摘があったので、その解決法としてこういうものをやったのかというところで、特にこの組織とか人事、運営とか、こういったところに業務仕分けのコメントが多かったのかを教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 事業仕分けの結果については、私どももその各仕分け人の方々と、それから法人側あるいは厚生労働省側でやりとりをするのですが、最終的な結果というのは何か急に集計されて発表されたり、あるいは各委員のコメントというのは事業仕分けが終わってから、あとで教えていただくということなのです。先ほど理事長挨拶でありましたように、それぞれの仕分け結果は、事業規模は拡充、ただしガバナンスの改善を図れということです。
 ところが、そのガバナンスの改善というのは、必ずしも各仕分け人の方からどういうところを指摘されたのかがよくわからない。それで、1つは出向者が多いことによって何か不適切な事例が生じていないかどうか、去年の9月に業務適正化調査委員会というのを設置して、2カ月ぐらいで精力的な調査を、確か30人以上の幹部職員の個別ヒアリングをやるなどをして、結果を出していただきました。
 今ご指摘のあった有識者会議についても、私どもは理事長の下でいろいろな出身の者や専門の者がいろいろな意見を出していますが、やはり組織の在り方とか、人事関係につきまして、どうしても役所流といいますか公務員流が多いということで、特に民間企業の出身、民間企業の顔と大学教授の顔を持っているような、そういう人材マネージメントの実践家かつ理論家の人に入っていただいて、どういうことをやれば職員の不安とか不満、あるいはモチベーションなどを解消したり高まるのかということをアドバイスしていただいています。これは今年の1月に設置してご審議いただいて、3月までにキャリアパスを作りたかったので都合2回になりましたけれど、その間もいろいろやりとりをしながら、5人の先生方にキャリアパスの原案を見ていただき、そして最終案をご確認いただいた、そういう経緯です。

○浅野委員
 1点追加なのですが、先ほど業績のところで、結局、利益剰余金が出るまでに非常に経済状態が改善したということで、新しいスタッフを導入されて、その方たちを使いながら目標も達成していると。かつ、お金も残ったと。これも企業にとっては非常に素晴らしいことなのですが、それはある意味で非常に厳しい労務環境にもなる可能性もあるし、一方、企業だとそれを逆にインセンティブとして働かせることができると思うのです。ところが、独立行政法人の仕組みはちょっとわかりませんが、例えば利益剰余金が出たら、それは逆に厳しい財政の折なので国庫に行ってしまうとか、そうなると、やった方の成果とか、厳しい形で努力したほうがインセンティブを働かせなくなるのではないか。あるいは、そういう仕組みを独法の中でどう作ったらいいのかというのが、もしお考えがあれば、ちょっとお伺いしたいと思うのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 そういう例えば経済的に少し改善したということを、職員にどう還元するかという話になったときに、我が組織は経済的なことで仕事をしているわけではなくて、国に対してそれだけのパフォーマンスというか、国民のために仕事をしているわけです。もちろん無駄は削減して、業務改善しているわけですが、それはそれとして高く評価するとともに、さらにそれが国民の皆さん方の評価にしていただければ、もっと彼らの喜びだと思うのです。我々は世界で何番目かというと、おそらくまだトップとはいっていないと思うのです。ですから、FDAとかEMAとか、諸外国に比べて、事実上追いかけていかなければならない。そういうところにそういうものは注ぎ込んでいかなければならない。
 ですから、いきなりそういう格好ではなくて、例えばITシステム導入に使うとか、国際感覚を身に付けていただくとか、そういうところでフルに使っていただきたい。だから、いわゆるドラッグ・ラグ、デバイス・ラグはもう解消するのは間違いないと思うのです。これからはインテリジェンスとランゲージ、こういったもののラグを乗り越えていく、国際化に対応するような仕組みにしていって、初めてそれが達成できるのだろうと思うのです。ですから、できればそういうところに注ぎ込んでいきたいと思っているところです。そうやって、職員が前向きにやってもらいたいと思っているところです。

○浅野委員
 そうですね。いまアクティベーションの時代が終わって、これからだんだんモチベーションの維持というのになってくると思うので、是非その辺のところをいろいろとお考えになって、実行していただければと思います。ありがとうございました。

○橋田委員
 1つは、先般たまたま業界のマスコミで運営評議会の報道を見せていただいたのですが、非常にオープンにやっておられるということと、広報も含めて、こういう組織の動きが広く伝わっていくことは非常に結構ではないかと思っておりました。
 いまの理事長のお話にも関連するのですが、キャリアパスの話です。いわゆるモチベーションを上げるとか、自己研鑽による能力向上といった方向付けとしても適切だと思うのですが、いまのまさにのお話で国際化とか、そういった点が一方ではあるかと思うのです。外国のこういう審査機関と日本の審査機関の比較といいますと、例えば人事の流動性とか、弾力的なそういう問題ということがいつも話題になると思うのです。そういった意味で、キャリアパスの策定と、例えば人事の流動性とが、それは国内に限らず外国との関係とか、そういったものはどうか。
 最後に研修の制度もご説明いただきまして、あれも非常に熱心に取り組んでおられると思いますが、それが国際化とか、あるいはいろいろな職域との流動性とどう対応しているか。それから、特にUSPとかEMAに派遣しておられるというお話が出たと思いますので、その辺も当然総合的にいろいろお考えになって、人材養成に努めておられるのだと思うのですが、その辺りを少しご説明いただけますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 いまいろいろご質問をいただいたのですが、先ほど理事長からも申し上げましたように、いまは各審査員、あるいは各審査部門の部長も含めて、自分の自己研鑽をある意味では若干犠牲にしながら、審査期間の短縮をしているということはあります。それで期間の短縮はできるのですが、理事長も申し上げましたように、審査の質を上げるとなると、やはり国際化、あるいはその前提となる語学というのが必要になってまいります。そういう意味で、いままでは各部長も含めて、学会、特に国際学会に行ってもらうというと、あまり良い顔をしないというところがあったわけですが、こういう機会ですので、目的積立金とかそういう形でお認めいただければ、いま瞬間風速では稼げているお金を、それぞれの職員のキャリアアップのための費用、研修費用とか学会の費用というものにあげたい。あるいは、論文を書くことに対しても一部助成をしていくということもやりたいと思っておりまして、キャリアパスにもいくつか書いてあります。
 それから、キャリアパスの関係では、人事交流の関係でご質問いただきました。FDAなどはかなり民間企業と流動性が高いわけですが、日本の場合ですと役割の話もありまして、企業との透明性などというものを図った上で、人事交流をどう進めていくかということで、運営評議会でもいろいろご議論いただいております。透明性を高めながら、どうやって人材の流動化をしていくかということについて、丁寧に、すべてのステークホルダーの方々にご了解いただいた上で、具体的な方策を図っていきたいということで、こちらはまだ現在進行形という状況です。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 いま川尻理事から大事なことをお答えいただいたので、私は国際化についてちょっとお話させていただきます。どう考えても医薬品医療機器は世界共通のもので、もともと規制当局というのがドメスティックな組織だったと思うのです。だから、外から変なものが入ってこないようにするという意味で、極めて国境警備隊のような役目だったと思います。ところが、いまそのものが全部国際的ですので、話合いは全部インターナショナルにしていかなければならない。それに気が付いたのは日本だけではなくて、FDA、EMAを含めて、2000年以降、どんどん国際化が広がっていったのだろうと思います。したがって、我が国がこうやって後れ馳せながら出ていくというように見えますが、実はやはりインターナショナルにそうだったということだと思います。今日、日米のバイラテラル協議であるとか、EMAまたはEUとのバイラテラル協議、それから日中のバイラテラル協議、これは大体1日かけて双方でお話をする。お互いに考えていること、思っていることを、前もってアジェンダを送って、お互いに協議していく。だんだん慣れてまいりまして、双方の国のものの考え方がお互いに共有できてきているのかなと思います。
 ありがたいことに、日本は医薬品のシーズでは世界で2位、3位と言われているぐらい、大変な国なのです。ですから、向こうもそれはそれなりに認めてくれていて、対等に近いぐらいに扱ってくれます。語学のハンディがもちろんあるのですが、それを乗り越えるほどの存在感はしっかり示しているかなと思うところです。今後、折角広まった国際化ですから、うちの職員全員がそういう対応ができるような仕組みにしてもっていきたいと思っております。そうすると、キャリアパスももっと広い分野に行くのではないかと思っているところです。まだまだ先のことは読めませんけれども、前向きに攻めていくところです。ありがとうございます。

○真野部会長
 そろそろ時間になりましたが、私から確認といいますか、評価する場合に項目立てなのですが、例えば今回のいちばん最後の事項18だと、これは厚生労働省にお願いしたほうがいいのかもしれませんが、人事とセキュリティという組合せなのですよね。この辺の組合せで、極めて評価しにくいものもあるのですが、これはどういう理由でこういう組合せになっていたのでしょうか。私の理解不足かもしれませんが、例えばこれでいくと、人事の話とセキュリティの話というのはあまり関係ないので、どのように評価するのかという。

○医薬品医療機器総合機構理事
 私のほうが説明するのは役不足というか、立場上違っているのかもしれませんが、独法の中期目標、中期計画とダーッと並んでおりまして、最初が共通事項で、それから各部門ごとで、次が財務で、その他となっております。その他の項目についても何らかのご評価をいただかなければいけないということで、最後のバスケットクローズを18番目の項目として入れさせていただいているということです。説明の順番は、いわば共通事項ということですので、前にもっと入れておりますが、そういう意味では異質のものが入ってこざるを得ないみたいなところがあります。

○真野部会長
 これは例えば18を19にして、一つひとつ切り離したりということは、項目が多くなってしまうから駄目なのですね。その他という所で入ってしまうから、しょうがないのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 私が言っても何ですが、平成21年度から今の中期計画がスタートしておりますので、同じ期間中は連続性のある項目がいいのかなとは思います。

○真野部会長
 確かにそうですね。わかりました。もちろんこのままでいいのですが、そういうことでお願いします。時間にはなりましたが、委員の皆様は質問しながら書かれたかと思いますので、次に移りたいと思います。PMDAの3つの柱のうちの1つ、「健康被害救済給付業務関係」について、ご説明をお願いしたいと思います。また法人からの説明が20分ということになりますが、少し時間も押しておりますので、もちろん必要な分は話していただきたいのですが、てきぱきしていただければと思います。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 Part2、26頁です。こちらは項目数が4項目ですので、20分かけずに説明できるかと思います。27頁ですが、Part2は救済関係ということで、まず「救済制度の情報提供、相談体制の充実」という項目です。自己評定はAにしております。評価の視点を見ていただくと、医薬品副作用、あるいは生物由来製品の救済制度について、制度の周知が図られているかどうかということが並んでおります。数値目標としては、今中期計画末の平成25年度までに一般国民の確実認知度、確実認知度というのは、名前だけ聞いたことがあるというのではなくて、中身までわかっていただいているということですが、それを10%以上にするというのが最終的な目標です。
 平成22年度の取組みについては、28頁です。まず、認知度を高めていくためには、足下値である現在の認知度がどのぐらいあるかということが必要です。実は平成21年度も認知度調査をやったのですが、質問の項目が必ずしも良くなくて、少し見直しをかけたものですから、そこに書いてある数値は平成22年度はちょっと項目を変えてやったものです。一般の国民の認知度は、「知っている」という確実認知が5.1%、「名前を聞いたことがある」が13.8%で、合計18.9%の認知度ということです。昨年度のこの委員会でもいろいろとご議論いただいたのですが、医療関係者の認知度については、詳細は省略いたしますが、80.9%という形で、同じ調査ではありませんが、医師の方々を含めてある程度認知度は上がってきている傾向にあります。
 認知度を高めるための積極的な広報活動の実施としては、?の最初に書いてありますが、今年の2月、交通機関、これはJRの車両に救済制度のステッカーをイラスト入りで貼らせていただくとか、そういう取組みもやりました。これは何年か続けてやっているのですが、最後の印の所の「医薬品副作用被害救済制度創設30周年記念事業シンポジウム」ということで、この医薬品副作用被害救済制度というのは、PMDAの前身の医薬品副作用被害救済基金という基金制度のときからもう30年が経ちましたので、いままでは記念誌を作っていただけだったのですが、それだとなかなか関心を持ってもらえないということで、今度は一般の方も参加していただけるような形のシンポジウムを開催して、300人以上が参加していただきました。しかも、いろいろな形で報道もしていただきましたので、周知にはそれなりの効果があったかなと思います。
 ?の相談窓口については、数字はややこしいかもしれませんが、救済制度の相談窓口にかかってくる電話は急増しておりました。相談件数をご覧いただくと、平成20年度には1万件ぐらい、7,000件から1万件ぐらいに増えて、またそれが倍増するということでしたが、これは一般薬の販売制度の改正により、一類、二類、三類という表示をしていただくと同時に、一般薬にも救済制度が適用されるということで、フリーダイヤルを書き込むという形にしたところ、PMDAに対して、どちらかというと救済制度というよりは「このお薬を注文したいんだけど」とか、あるいは「このお薬はどういうのが売りでしょうか」みたいなことまで聞いてこられて、被害があったので救済制度のプロセスを聞きたいという人になかなかつながらないというところがありました。そこを工夫した結果、平成22年度は最初に録音テープを回して、「救済制度でない方は別の所におかけください」みたいなことをやっているわけですが、その結果、相談件数は減っておりますが、実際に相談を受けたい人には迅速につながるようになったということです。ホームページへのアクセス件数は、かなり皆さんに知っていただいたせいかわかりませんが、それほど増えておりませんが、それでも年間でいいますと103%ぐらい増えているということです。
 2つ目の救済関係のシート、評価シート7、29頁です。こちらは「業務の迅速な処理及び体制整備」ということで、中期計画上の数値目標については、全決定件数の6割以上を6カ月以内で処理できるようにすると。それは平成25年度の目標ですので、平成22年度の当面の目標としては、8カ月以内に処理するものは70%以上ということで、従来の件数を大体維持した上で、6カ月以内に処理する件数というものを、絶対数は10%増加させるというのが目標でした。
 30頁に、その実績が載っております。「副作用被害救済の実績」という上の表ですが、決定件数については平成22年度は1,021件ということで、1,000件を初めて超えました。そういう中で、8カ月以内で処理した割合は74.9%ということで、平成21年度よりも若干増えております。それから、6カ月以内で処理した件数が360件から434件ということで、20%以上増えております。ここに数字を入れておけばよかったのですが、詳しい評価シートには入っておりますが、6カ月以内の処理割合は、平成21年度は36.4%で、平成22年度は42.5%ということで、6%ほど増えております。この勢いを続けていけば、大体平成25年度、3年先には60%という中期目標を達成できるだろうということです。あるいは、中央値は、平成21年度が6.8月、次の平成22年度が6.4月ということで、大体6カ月処理に近付いてきているということです。
 31頁の「部門間の連携及び保健福祉事業の実施」も2つの話があります。部門間というのは、救済制度とそれ以外の部門との連携ということで、救済関係の情報を安全対策などに適切に提供しているかどうかということです。保健福祉事業というのは、主として救済制度、生物由来の制度もそうですが、そういう制度ができる前の、例えばスモンの患者さんですとか、HIVの感染者の方々などに対する各種事業を、これも法律に基づきやることになっておりますので、そういうものをちゃんとやったかということが評価の視点です。
 32頁ですが、?が部門間の連携ということです。副作用救済関係の情報については、感染救済もそうですが、それぞれ安全対策部門に提供しています。それから、救済と安全部門間では、定期的に毎月1回は必ず両部門間での連絡会を開催するということも取り組んでおります。保健福祉事業の実施については、あまり平成22年度特記事項はないのですが、いちばん最後の所は平成22年度にスタートしたものです。これはどちらかというと副作用救済、あるいは生物由来製品のものというよりは、C型肝炎の患者さんの関係ということです。薬害C型肝炎の患者さんに対する特別立法というのは、法律上、血友病の患者さんを除かれておりましたので、そういう方々に対する調査研究事業を平成22年8月から、厚生労働省の予算もいただきながらスタートをさせた、というのが平成22年度の特記事項です。
 33頁は、スモン患者さんおよびHIV患者さんに対する受託支払業務です。先ほどの保健福祉事業というのはちょっと不正確で、保健福祉事業というのは医薬品副作用の関係の金銭給付、年金とか医療費の救済給付以外の各種の事業を実施ということで、スモン患者さんとかHIVの患者さんに対する事業というのは、こちらの項目です。失礼しました。こちらについては、評価の視点は受託事業と書いてありますが、スモン患者さんであれば普通は多くは原因企業からの受託ということですし、HIVの患者に対するものはもともと国費ですが、友愛福祉財団という公益的な法人から委託を受けて実施しているということで、受託業務ということになっておりますが、そういうものをきちんとやっているかどうか。あるいは、薬害C型肝炎の患者さんに対する給付業務をちゃんとやっているかどうか。これは給付業務本体のほうです。
 それについては、34頁です。受託支払業務などが並んでおりますが、スモンの患者さんに対しては受給者が1,960人、HIVの感染者の方々については680人、C型肝炎の患者さんについては、これだけは一時金ということですが、305人分という形で業務を実施いたしました。
 最後に、33頁に戻っていただいて、いちばん下の項目を1つだけ説明いたします。C型肝炎の患者さんに対する給付金については、服用時期によって、国とか原因企業との負担割合が違っているのですが、当初想定された人よりは請求者が増えておりましたので、国費はまとめて制度発足時にいただいたのですが、ちょっと不足気味になっております。そういう意味で、厚生労働省のほうでご配慮いただいて、平成22年度の補正予算で95億円が計上されて、国費分がPMDAに入ったということです。それで、C型肝炎の患者さんに対する給付業務も今後安定的にできるようになったというのが、平成22年度の特記事項ということです。以上です。

○真野部会長
 念のために用語なのですが、受託支払というのはよくわかるのですが、受託給付と書いてありますが、これは別に何かを給付したわけではなくて、調査研究事業をやったという意味合いでよろしいですよね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ほとんど同じ意味と考えていただいていいのですが、各患者さんに対して、いろいろな調査票を出していただきながら事業をするということですので、協力費的なもので手当を、受託支払業務も受託給付業務についてもやっております。そういう意味です。それから、上のほうについては、介護費用の支払いも一部やっておりますので、そういう調査研究費以外のものもあります。

○真野部会長
 それでは、シートを書きながらで結構なのですが、各委員から質問等ありますでしょうか。

○五十嵐委員
 28頁ですが、一般国民の認知度の調査で5.1%ということになっています。細かい資料でも、「去年と違うので単純比較はできないが」と書かれているのですが、去年は5.3%だったかと思います。これはほとんど横這いということは、この1年間で認知度はあまり上がっていないと、客観的に見られてしまうような気がするのですが、調査の違いということで、何かご説明いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 調査結果の評価については、私どもがどうこういうのは差し控えたいと思いますが、実はここに書いてある以前の平成21年度の調査については、認知度を測る場合に「健康被害救済制度をご存じですか」ということを聞いて、そのうち「それは医薬品の副作用ですか」という聞き方をしました。それだと「健康被害救済制度を知っていますか」というところで漏れてしまうとわからないなどということもありましたので、今年はいきなり「医薬品副作用救済制度について知っていますか」とかいう聞き方をしましたが、併せてほかの類似する「予防接種の健康被害救済制度についても知っていますか」とか、「アスベストの健康被害救済制度についても知っていますか」ということで、かなり項目を多く追加して聞かせていただきました。私どもとすれば、結構、歴史も長いですし、あるいはそれなりに利用されているというので、医薬品副作用のことはご存じかなと思ったのですが、意外とアスベストとか、インフルエンザの関係もありましたので、予防接種の健康被害救済制度のほうを知っているという形で、高い認知度をいただいているということです。だいぶ違っているので評価しにくいのですが、一般国民の認知度は単純比較すると若干減少気味で、あとは医療関係者の認知度を単純比較すると上がり気味であるということは、五十嵐委員のご指摘のとおりです。

○五十嵐委員
 努力すればというものではないので、なかなか厳しいと思いますが、10%という数値目標を出したものに対して、届くという見込みは、いまのところあまりないという印象でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それはそうではなくて、まず足下値が平成21年度調査よりは平成22年度の調査のほうが明らかになりました。というのは、それ以外にも例えばどういう地域で認知度が高いのかなど、地域格差みたいなことも見てやったりしています。そういう結果も踏まえながら、平成22年度までは、かなり年度の後半でPRをやっていたのですが、今年は夏から秋にかけてやってみて、そして認知度調査もやってみたいということで、どうしても事業の実施と認知度の調査が並行して進むと、PR事業を実施する前に認知度調査をやるという形になりますので、今年は平成22年度の結果を踏まえて、より適切な媒体を使った広報をやり、それから認知度調査をやりたいと思っております。これは将来の話ですので、確約はできないわけですが、必ずや最終目標である10%までにはいけるような数字を出したいと思っております。

○真野部会長
 28頁の?「積極的な広報活動の実施」の結果が?に結び付くという順番だとすると、?のほうはもちろん病院の中とか、電車などあるのですが、どちらかというと一般国民にリーチするというよりも、プロ用のものが多いですよね。ですから、?の結果が?になるというのは何となく。何が言いたいかというと、先ほど媒体を選ぶという話もありましたが、やれという話ではないのですが、テレビで広告すれば一般国民の認知度は上がるかもしれません。その辺りは、10%という目標も大事ですが、何かお考えがあってこのようにされているのであれば、その辺りを明確にしていただいてもいいかもしれませんね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ちょっと説明が舌足らずだったかもしれませんが、平成22年度までは認知度調査はやりますが、認知度調査の結果を取りまとめつつ、年度の後半でPRをするということでしたので、PRの効果が年度内の認知度調査に反映されないという仕組みでした。そういう意味で、今年度はまず広報活動を今年の2月という時期ではなくて秋口ぐらいにやって、そして認知度調査をやるという形で、年度内で手段と結果が対比するような形で進めたいと思っています。
 それから、確かにお金があればいろいろな形で掲載できるのですが、今年の2月に行われたときも、そんなに目立たなかったかもしれませんが、全国紙への掲載もやっておりますし、昨年まではあまりJRの車両へのステッカーは貼っていなくて、メトロ、地下鉄などはやっていたのです。全国的に使えるようにということで、入札で入れますので、全部が全部うまく媒体を使えないのですが、JRのドアに数10?大のステッカーを貼るなどという形で、工夫はしております。その結果は、このシートの調査結果には、まだ反映ができていない。むしろ今年やる調査に反映させたいということです。

○真野部会長
 期待しております。他はどうでしょうか。

○石渡委員
 初めてなので、よく分からないところがあるのですが、27頁から28頁にかけて、相談体制とある所で、先ほど薬の問合せ等についてはカットしてということだったのですが、こういう被害者の方の救済というのは、金銭的な給付だけではなくて、心のケア的なところなども大きいのかなと思うのですが、そういうことも含めて相談というところで応じていらっしゃるのか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それはご指摘のようなことを徐々にやってきておりまして、ここで言っております相談というのは、まずはまだ副作用被害救済を受けていない、これから請求しようという方々への相談が中心になるのですが、確かにもう既に給付を受けておられる方、あるいはそのご家族についていうと、やはり金銭的な給付を受けていても、非常に精神的な悩みが多いと。それも聞いてほしいというお話がありまして、それは平成21年度から新しい事業をスタートさせています。そういうことに当たる者としては、精神保健福祉士とか、そういう資格を持った人が当たると。もちろん電話がかかってこないような時間帯については救済制度の対応もしていただいておりますが、そういう形での相談体制の充実も、平成22年度ではなくて平成21年度から図っているところです。

○石渡委員
 具体的な相談の内容等については、どこかで公表したりなどということは、やっていらっしゃいますか。もちろんプライバシーは守ってということにはなると思うのですが、こんな相談があってというのをホームページで紹介しているなどというのは。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それは精神的な相談というのはかなりプライバシーに関するものが多くて、1回電話を受けると1時間、2時間などというような形になりますので、おそらく公表はしていないと思います。一般的な相談事例ということについては、どちらかというとそういうことよりは、こういうお薬でこういう副作用が生じて、こういうことについては給付をしておりますということです。いまですと毎月100件前後の決定があるわけですが、そういうものの主な要素といいますか、こういうお薬でこういう副作用が出て、こういう給付をしておりますということはみんなまとめて、前月分に決定したものは大体翌月の中ごろぐらいまでに公表するということで、毎月公表する仕組みをとっているところです。

○石渡委員
 PMDAならではのという感じですね。ありがとうございます。

○平井委員
 以前にもご説明いただいたかもしれないのですが、基本的なことで教えていただきたいのは、6カ月とか8カ月というのは、スタートをどこのところに持ってきておられるのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 救済については、正式に受け付けたときから、最終的に給付決定書を送るとき。

○平井委員
 ということは、書類等を整えて、提出いただいてという。

○医薬品医療機器総合機構理事
 平井先生はご存じだと思うのですが、念のため説明させていただきますと、各個人が請求をされてまいりますので、そうすると診断書が不備だったり、経過報告があまりに不足で、そのまま処理をするとみんな不支給になってしまうということがありますので、受付をしたあとにかなり書類を整備して、追加するということをやっております。それから、最終的な因果関係は厚生労働省の審議会でご判断いただきますので、審議会に掛けるというのがあります。そういう受付して、書類を整備して厚生労働省の審議に掛けていただいて、審議会でご決定いただいて、それをPMDAに通知されて、その結果を受けてご本人にPMDAが通知するまで、これが6カ月以内にやるということなので、かなり厳しい時間ではあります。

○平井委員
 ということは、それはかなり厳しいですね。そうすると、ご本人から出していただく段階で、何かそこを短縮できるようなというか、そういう工夫はいろいろされているのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 そうですね。受け付けないというわけにいきませんが、先ほどの電話相談ですと、「こういうもので受けられるでしょうか」と言われた場合に、「支給の可能性がありますから、こういうことをちゃんと整備した上で請求してください」ということで、相談員が対応している。かなり事前の相談で工夫できるところはあると思うのですが、「どうしても私は出します」と言われると、「それは受け付けません」というわけにいかないので、受け付けてから書類を整備するというような流れになります。

○平井委員
 そこのところをもう少し事前に整える体制を作られると、6カ月とか8カ月よりも、もっと短くなると思うのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構理事
 そこは、また現場でいろいろアドバイスをいただいて工夫したいと思います。

○平井委員
 私たちも何かできることがあったら、また言っていただければと思うのですけれども。

○真野部会長
 是非いろいろな場で情報を得て、改善していただければと思います。他はよろしいですか。

○浅野委員
 同じ30頁の副作用被害救済の実績の所ですが、平成19年度から見ると、8カ月以内の処理件数を比率で見ると、ずっと74%台で推移してきていますよね。そうすると、この辺で目標は達成しているのですが、かなりいろいろな所で上限で限界があって、これは非常に難しくて取り組みにくいという課題があるのかとか、その辺がどんな状況なのかがわかればと思います。あるいは、6カ月というと、もう少し処理件数が向上してきているわけですね。何かその辺のコメントがあればお伺いしたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ケースによってさまざまだと思いますが、相当長くかかっているものとしては、1つにはこういう書類がないとなかなか最終的な調査結果を良とはできないと。請求者さんにお願いして、「こういう書類を整えてください」とか、例えば診断書がなければ、「その当時の症状経過も思い出して書いてください」と言ってお願いするのですが、その回答がうまくこないとか、ここで言うのが適当かどうか、場合によっては医療機関でもあまり協力的でない所があって、すぐにはリターンが来ないということがあります。そういう意味では、すべてを8カ月以内で処理できるかというと、どうしても個別具体的には8カ月以内で処理できないところはあると思います。ただ、8カ月以内で処理できているものというのは、比較的うまく進んでいるものですから、先ほど理事長もコメントをいたしましたように、救済関係は人もあまり増やせないので、システム関係でいろいろ工夫できて、過去の類似事例であればこうやってあるというので、そういうのを見ながら、ちょっとでも調査期間を短縮するとか工夫をするということをやりまして、6カ月以内の処理の割合を高めてきているというところです。

○浅野委員
 わかりました。25%ぐらいはPMDAさん側だけではちょっとどうしようもないとか、双方の改善しなければいけないものがあって、75%ぐらいは達成していて、中身を見れば6カ月以内で見てみると、だんだん処理のスピードも早まっているというような感じということで、理解してよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○真野部会長
 この処理の時間のやり取りは、またあとのほうでも出てくると思うのですが、非常に難しいところですね。ほかはよろしいでしょうか。委員の皆さんも、シートの記入はよろしいですか。次に移りたいと思います。次は、もちろんいまのも重要なのですが、そういう意味では非常に重要な、世の中からのいろいろなご意見もある部分だと思いますが、「審査等業務」の関係という項目について移りたいと思います。また同じように、時間配分は20分、20分というようにしたいと思いますが、詳しく是非お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 審査担当理事並びに審査センター長をしています内海でございます。私のほうから資料2の35頁目の「審査等業務」の4点について、ご説明申し上げます。項目は、審査においては医薬品・医療機器、そしてそれぞれの審査にかかわる各種調査という点、2.では審査等業務の信頼性を向上するために、どのようなことをしているかということについて説明申し上げます。
 36頁です。医薬品の審査のことについてですが、自己評定としてはSを付けさせていただきました。評価の視点の主なものとしては2つの項目、中期計画上の数値目標が5つのポツにあるものです。これらのそれぞれについて、これから説明したいと思います。初めに2つの評価の視点から説明いたします。頁の関係上、37頁についてはまた後ほど説明させていただくということで、それぞれについて詳細を説明いたします。
 38頁です。「的確かつ迅速な審査の実施」ということで、いくつかのことをやってまいりました。その中で大きな点は、審査員を増員し、審査体制を強化するということに努めてまいりました。そして、審査が進んでいる進行状況、あるいはその他諸々の管理・調整ということを円滑に行うために、プロジェクトマネジメント制度を推進し、これを強化しております。進捗状況を理事長の下に役員全員が把握するというような会議であります「審査等業務進行管理委員会」を3カ月に1回行うと同時に、毎月、「進捗確認に係る審査セグメント内会議」を、審査センター長の下ですべての審査担当、あるいは審査に関係する部長たちと行っております。また、平成21年度から新しく制度を導入しました。次にありますように、未承認薬、あるいは適応外薬の検討会議に積極的に協力して進めております。そして、審査業務の電子化を促進しております。
 次の主な評価の視点の「新しい審査方式の導入」ということですが、まず「事前評価相談制度」を試行的に実施してまいりました。そして、新たに第?相試験の一部をも対象とする相談区分を新設しました。実施内容は、その下に書いてあるとおりです。また、治験の段階、あるいは審査の段階から市販後までの医薬品の安全性を一貫して管理するということで、「リスクマネージャー制度」をとりました。市販後の安全性の業務にかかわっている者が新たに審査業務の所にまで入って、それぞれについて連携を持って行うということで、リスクマネージャー制度を3審査チームから9審査チームに広げております。
 続きまして、具体的な数値目標について説明申し上げます。40頁は新医薬品の審査についての目標と実績です。上の段がそれぞれ目標です。それぞれに書いてある値は、中央値で、50%のものが達成できたときの総審査期間、行政側の期間、申請者側の期間です。新医薬品についての目標値ですが、その中の優先品目については総審査期間が10カ月ということで目標を立てておりますが、実績は平成22年度においては9.2カ月ということで、この目標値を達成いたしました。また、通常品目については、目標値が16カ月ということで設定しましたが、14.7カ月という形で、いずれも目標値を達成しております。
 続きまして、41頁です。ここでは「国際調和及び国際共同治験の推進」ということで、先ほど理事長のほうからもお話がありましたが、欧米あるいはアジア諸国、諸国際機関との連携を強化しております。liaison officer、バイラテラルの会議、その他等々を行っているところです。また、国際調和に関する活動としてICH、あるいはPDG、その他に協力しているところです。
 国際共同治験ですが、42頁です。国際共同治験について、平成22年度は治験計画届総数が632件ありましたが、そのうち国際共同治験関係の届出は134件で20%を超えるものでした。また、新有効成分の相談についても66件ありました。
 続きまして、「治験相談等の円滑な実施」について、43頁の図を基に説明します。治験相談では、申込み、あるいは受付の作業、その他を効率化することにより、対面助言までの期間を1カ月間短縮しております。そして、申込みがありましたすべての治験相談について対応しております。その下に表がありますが、平成22年度においては390件の治験相談を実施しております。対面助言をしたあとで、今度はその相談内容の記録を確定するという期間までを30日勤務日以内に達成するということについて、その目標が95.4%達成しております。
 続きまして、新技術の評価です。「新技術の評価等の推進」としては、オミックスプロジェクトチームを設立して、いろいろな形で情報の収集、あるいはガイドライン作成に向けた検討を行っておりますし、「先端医療開発特区」、いわゆるスーパー特区ですが、これらについては薬事相談会に協力し、またカルタヘナ法に関する審査も行っております。
 44頁ですが、先ほどまでは新医薬品でしたが、今度は「一般用医薬品及び後発医薬品等」です。これらについては、具体的な数値目標について説明申し上げますと、?の真ん中の表です。上段が後発医療用薬品、一般用医薬品、医薬部外品のそれぞれの審査の目標値、50%ですが、10カ月、8カ月、5.5カ月となっております。それらに対して、実績は10カ月の目標に対して6.9カ月、8カ月の目標に対して4.0カ月、5.5カ月の目標に対して5.2カ月という形で、いずれも目標を達成、また後発、一般については大幅に短縮しております。そして、一般用医薬品等々についても治験相談を実施しているところです。
 以上の個別の結果を基に、37頁にまとめたような評価理由、あるいは特記事項により、この「医薬品」については自己評定としてSを付けさせていただきました。
 45頁以下からは「医療機器」についてです。医療機器について評価の視点は先ほどと同じで、評価の目標については下に書いてあるとおりで、これらについては自己評定としてAを付けさせていただきました。個別について説明申し上げます。先ほどの医薬品と同様、46頁は飛ばさせていただいて、あとで説明申し上げます。
 47頁ですが、「的確かつ迅速な審査の実施」ということで、平成22年度においてはデバイス・ラグということが皆さん方のお耳にも達していると思います。そのデバイス・ラグを解消するために、臨時の処理チームを結成し、長期化した審査品目を重点的に処理するということを行いました。また、平成23年度からの3トラック審査体制に向けて、全分野で2トラック制を導入しました。また、それぞれの指針を出す、あるいは先ほどの医薬品と同様、業務進行管理委員会、あるいはセグメント内会議を実施しております。医療機器については、?の2番目にありますが、医療機器の承認基準あるいは認証基準等の策定に協力し、ホームページに順次公表しております。また、医療機器の場合には同等性審査方式というものを導入し、審査を迅速に行うということを進めております。
 48頁で、実際に審査の状況を説明します。48頁は新医療機器の審査期間についてです。上段が目標値、下段が実績です。新医療機器のうち、優先品目の目標値が16カ月のところ、実績としては15.1カ月、通常品目については21カ月のところ16.5カ月ということで、いずれも目標値を達成しております。
 続きまして、改良医療機器並びに後発医療機器の審査状況ですが、上の表が目標値、下の表が実績です。この表をご覧いただくとおわかりのように、改良医療機器のうち「臨床あり」という品目について、総審査期間の目標が16カ月のところ、実績は15.5カ月というように達成しました。しかしながら、先ほど来ご説明申し上げましたように、改良医療機器の「臨床なし」の品目並びに後発医療機器については、目標値に対してそれぞれ実績は達成することができず、この点が目標が未達という状況になっております。しかしながら、件数としては平成21年度よりも多い件数を達成しているところです。
 続きまして、50頁ですが、「国際調和及び国際共同治験の推進」の部分の医療機器に関してです。2つ目のポツにありますように、医療機器の製品についてはQMSという形で調査を行っていますが、その調査内容を英訳する、あるいは医療機器のセミナーを行うこと等々を行っております。さらに、国際調和活動に関しては、GHTF、これはICHに相当するものですが、あるいはアメリカとの関係のHBD、それから国際標準化機構のISOについて参加しているところです。また、治験相談については、申込みがありましたすべての治験相談に対応し、実際に113件の相談を行いました。そして、この治験相談については、新たに体外診断用医薬品の相談区分を増設し、先ほどの113件のうちの7件は体外診断用医薬品の治験相談です。また、事前評価相談制度についても、試行的に導入しております。以上が実際の審査の点です。
 続きまして、52頁からは審査にかかわる「各種調査」について説明申し上げます。評価の視点としては、新医薬品の信頼性適合性調査のうち、企業訪問型の書面調査を導入するということ。あるいは、GMP/QMSの円滑な実施を行う。そして、数値目標としては、新医薬品の信頼性調査件数の50%以上を企業訪問型で実施するということを評価の視点としております。これから詳しく説明申し上げますが、自己評価としてAを付けさせていただきました。
 53頁ですが、信頼性適合性調査の円滑な実施としては、新医薬品の適合性書面調査については企業訪問型書面調査を導入して、108件中92件をこの方式で実施しました。また、医療機器について種々の通知を出して、医療機器に関する信頼性適合性調査の効率化に努めました。?ですが、再審査適合性調査も、そこにあるような形で進めております。?のGMP/QMS調査について、それぞれ書面調査を2,327件、実地調査を185件行っておりますし、海外の製造所等についても積極的に実地調査を行っているところです。
 付け加えまして、全体の審査を円滑に進めるために、GMP/QMSの調査担当員と審査員が連携し、合同調査を行うとともに、審査を推進するという体制をとっております。細かな数字については54頁、55頁にあるとおりです。
 次に、「審査等業務及び安全業務の信頼性の向上」について、説明申し上げたいと思います。この信頼性の向上についての評価の視点の主なものとしては2つあります。1つ目は、医薬品審査等に係る研修プログラムについてです。研修プログラムの内容の充実、あるいは着実な実施が図られているかどうかという点。それから、審査業務に係る透明化の推進のために、それぞれの各種取組みが着実に行われているかどうかということです。これらについて、その下に「評価理由及び特記事項」を付けさせていただきました。この点から説明申し上げます。最初の○ですが、審査等業務の向上を図るために、新たな研修プログラムを導入しました。具体的には、後ほどご質問がありましたら、そこで説明申し上げたいと思います。また、研修効果がどの程度かということについてアンケート調査を行い、自己評価すると同時に、連携大学院を通じて外部研究者との交流、あるいは調査研究等を実施しているところです。
 また、この審査等業務の信頼性を向上するという観点から、2つ目の○ですが、具体的なガイドライン作成に向けて検討を行うとともに、東京・大阪においてGCP研修会を実施すると同時に、富山および福岡においては、それぞれの地方の機関が実施したGCP研修会に対して協力をしてまいりました。そして、実際に行った審査等業務の透明化に資するために、新医薬品の審査報告書、あるいは申請資料の概要、再審査報告書、新医療機器の審査報告書、申請資料の概要等について、PMDAのホームページで逐次公表を行っております。さらに、審査における専門協議等の場において、それぞれの専門の先生方から科学的な重要事項に関して、専門のご意見を聴きながら、審査の信頼性の向上に努めております。
 先ほど申し上げました外部研究者との交流等ですが、レギュラトリーサイエンス推進部を作りまして、その中に新たに研究課を設け、レギュラトリーサイエンス研究を推進すると同時に、情報発信の観点から連携大学院構想を進めております。具体的には、そこにありますように、平成22年度においては新たに4大学と連携大学院協定を提携しました。さらに、平成23年度においても、引き続き連携大学院の協定を進めているところです。このレギュラトリーサイエンスは、ベーシックサイエンス、あるいはトランスレーショナルリサーチの次に来る、医療現場に直結するという形での科学を推進するという形から、レギュラトリーサイエンスを推進しているものです。下にある図は、Clin Pharmacol Therapeutの中に、最近、論文として私どもPMDAから発表したものの図です。ここにありますように、トランスレーショナルリサーチ、あるいはベーシックサイエンスのようなところから、今度は患者さん、あるいは医療現場に届けるという形で、レギュラトリーサイエンス・ブリッジの推進に努めているところです。
 続きまして、58頁ですが、「研修の充実」について説明申し上げます。かねてからデバイス・ラグというところで、多くの企業あるいは大学研究者から医療機器の審査について、それぞれ外部からの情報等々をきちんと収集してはどうだろうというご指摘がありました。この観点から、平成22年度においては、医療機器を研究する大学研究機関において、実習等の研修を行いました。また、専門領域ごとに実習形式の研修なども行いました。先ほど申し上げましたが、GMP/QMSの調査担当者と一緒に行くということを通じて、教育研修を行うと同時に、医療現場の例えば手術室等で、実際に医療機器がどのように使われているかということを実体験するという研修も、新たに設けて行っているところです。
 ?ですが、ゲノム薬理学等々への対応ということで、オミックス・バイオマーカー等を利用した医薬品の推進、あるいはICHのガイドラインの作成等を行っておりますが、これらについて日本語版を適時出しているところです。
 先ほども申し上げましたが、?にあるように、審査報告書等の情報の提供を、日本語については既に速やかに私どもPMDAのホームページに出すと同時に、英訳版についても逐次作成し、公表しているところです。以上、Part3として、審査業務について説明申し上げました。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。それでは、委員から何かご質問等ありますか。
 私から確認ですが、ドラッグの話とデバイスの話と両方あると思いますが、まずドラッグに関して、ドラッグ・ラグの定義にもよりますが、PMDAがやれることは現段階ではほぼ達成したということで、Sだと理解してよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 Sを付けた根拠も含めてご説明します。ドラッグ・ラグの定義は、基本的には申請者側のラグと審査ラグの2点に分けられます。審査ラグについては、ただいまご説明しましたようにほぼ達成し、今年度が最終年度なので、それに向けて逐次やっているところで、この成果につきましては、私どもは着実に進んでいると思います。また、後発医薬品、一般用医薬品についても、ご説明したとおりの観点からSを付けさせていただきました。
 今後の課題ということで、ドラッグ・ラグ全体を短縮するとなりますと、今度は申請ラグということになります。申請ラグは、私どもの所に申請書類が来る前の段階ですので、申請ラグについては私どももどのようにするかということで、現在アンケートを含め、製薬協等々と状況を調べているところです。
 それらをどういう形で行うかということになりますが、1つだけ今年度から始めた事業として、「薬事戦略相談」というものがあります。薬事戦略相談は、申請する前の段階、すなわち大学あるいはベンチャー企業の持っているシーズの段階を治験に移す際に申請する、その過程を短くするということで、すでに始めております。今日の評価では、審査側の話ですのでSを付けさせていただきました。もちろん、今後は審査のみならず、申請ラグについても私どもとしては積極的に取りかかるということで、平成23年度から始めているところです。これについて薬事戦略相談を行っておりますが、それ以外についても現在着実に対応を検討しているところです。

○真野部会長
 ありがとうございました。非常に明確な説明でしたが、見え方として消費者、患者の側から見ると、週刊誌でも日本で利用できない薬のリストとか、そのようになってしまうと、いまの我々がドラッグ・ラグを解消したことと必ずしもイコールではないので、我々も表現の仕方を工夫し、最終的にはほぼ同時で、日本の患者さんたちが海外の薬を利用できるようになるのが目標であるということだと思います。ドラッグではなくて、デバイスはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 デバイス・ラグについては、今日もご説明しましたが、45頁からで、医薬品と医療機器について大きく社会的な、あるいは業界そのもののあり方が少し違うものですから、その辺りからご説明します。医療機器の場合には、申請する側が非常に多様です。1つの例を申し上げると、実際に海外で行っているものについて代理店が申請するとか、その他いろいろあります。直接その医療機器を製造している、あるいは開発を行っているものが申請をしてくる場合には、その中身について照会事項をしてもすぐに戻ってくるということがありますが、間に別の企業などが入っていると、データが出てこないとか、やり取りに時間がかかるということで、医療機器のデバイス・ラグが多くなっております。
 その中でも新医療機器については、先ほどご説明しましたが、2トラック制を設けて、新医療機器に対して審査を行うことで目標値を達成するということで行ってきました。
 今日ご説明しましたが、そのほかの部分は改良医療機器、並びに後発医療機器の点です。医療機器の分野においては、後発あるいは改良の部分が非常に多いところが1つの問題点になっております。改良医療機器の中で、臨床ありと臨床なしという項目の2つに分けられます。臨床なしと後発については、先ほどもご説明しましたように目標値を達成できませんでした。この中身について、平成22年度、私がこちらに赴任してから内容について精査を行いました。これは、例えば平成17年度に法が改正になって、いろいろな形で医療機器の承認の仕組みが変わりましたが、この段階で平成16年度以前のもの、あるいは平成17年の段階のものが多くありました。実際に申請をしている側からしますと、それらについても的確にやっていくことが強く望まれておりましたので、非常に古くなっているものも含めてきちんと処理する形で、特別なチームを作って対応してきました。こういう形で、たとえ目標値を達成しなくても、件数を増やすことによっていままでの点が解決しつつあると考えております。実際に申請している方々から、最近はそういうものも含めて少しよくなったということは伺っております。
 もう1つの問題点は、先ほどお話申し上げました申請者側の資料の問題点です。申請資料自身に、非常に多くの問題がある申請が多々あります。多々という表現をするのは不適格ですので、どういう点に問題点があるのかについて、先ほどの特別チームも含めて実際の内容を調査し、申請者側である業界とも打合せをしているところです。先ほど、申請を受け付けてから云々というお話がありましたが、現状では申請があった、受付をした日からラグのカウントをすることにしておりますので、その中で書類の不備があれば、それで時間もかかることになっております。
 そのようないろいろな問題点を含めて、現在、ほぼ状況を整理あるいは評価し終わりましたので、いま、それぞれの業界と内容について話を始めているところです。こういう点を通して、いままで古くたまっているものもきちんと審査しつつ、新しく申請されたものについても審査を継続して進める形で行っているところです。説明が長くなりましたが、以上です。

○真野部会長
 非常によくわかりました。他の先生方、いかがでしょうか。

○平井委員
 少し教えていただきたいのですが、この医療機器の中には、人工血管などもここに含まれるわけですね。私の体験ですが、メーカーの方がどういう手順で申請するかというか、データを取ることに関してあまり理解されていないようなところもあって、自主研究をするにあたって、私たちの目から見ると少し不備のあるような申請をされているということがあって、直接メーカーの方とお話をしたことがあるのです。こちらが言っていることを、「わかりました」と言われたのですが、あまり理解されていなくて、結局取り下げてしまわれたのです。そういうことはあまりよろしくないので、ちゃんと手順を踏んで、例えばプライマリ・インベスティゲーターをきちんと立ててということをやっていただければ問題ないことなのですが、その辺りをよくわからずにされているということもあったので、どこのメーカーとは申し上げませんが、できればそういうご指導をきちんとしていただくと、こういった問題ももっと早くいけるのではないかと考えました。
 もう1つ、スイッチOTCの問題なのですが、これはPMDAさんは直接タッチされていないのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まず、医療機器の申請についてですが、医療機器につきましては、新躍進プランのあとでアクションプログラムを開始し、デバイス・ラグを解消するという形で進んでおります。いままさにそういう進捗状況です。そういう中で、毎年審査員を増やす形で現在進めています。正直なところ、現状で全く余裕がない状態の中で制度改正をしております。
 今日ご説明申し上げた資料の56頁ですが、特記事項の2つ目の○の中で、GCP研修会についてご説明しました。これは、後発医薬品あるいは一般薬の方々も対象にしながら、どのように申請書を作るかについて研修会を通して皆様方にご理解いただくということで、東京では600名ぐらい、大阪でも400名、富山・福岡でも200名の方々が入っておられます。残念ながら、これは医療機器の段階まではできておりません。やればいいことは十分承知しておりますが、これからの課題ですので、また同時に相手方がきちんと申請書を作っていただけるようなところから、だんだんブラッシュアップしながら、そうでないところに広げるということで、業界の方々にもご理解いただいておりますので、個別の品目の話についてはここでは避けますが、そう遠くない時期に着実に持っていけるものだと考えております。
 スイッチOTCのことは少し話が厄介で、私も日本薬学会で改定をやっている当時に、スイッチOTCのための委員会を作った者ですので、非常に関心があります。いまの仕組みでは、日本薬学会が品目を調査し、それについて関係団体に諮り、出すという形ですが、その点で、実際に申請があっても、部会等でまだ医療現場の方々と意見が合わない段階があります。最近、薬学会と関係団体の間でも話をするということですので、そこの点は推移を見て、まさにこれは薬剤師の方々がどのように信頼性を勝ち取るかということですので、それは別の形でPMDAとしてもご協力できるところはさせていただき、産・学の世界、あるいはそういうところと人事交流、あるいはその他の交流を通しながら進めていくことだと考えております。これは一朝一夕で済むことではないし、先ほどのドラッグ・ラグのところでいろいろ誤解があるということで、あまり私どもが言うと言い訳に聞こえてしまいますので、ここは学の方々を含めて、メディアの方々に対してきちんと情報提供する、あるいはわかっていただくための科学論を展開することが重要だと考えております。

○平井委員
 ありがとうございました。ドラッグ・ラグに関しては、早ければ早いほどいいわけではないというのは、私たちも実際に新薬が出たとたんにいろいろな副作用が出るというのも経験していますので、その辺りは我々全員できちんと宣伝、情報提供をしていかなければいけないのではないかと考えております。

○橋田委員
 いまの議論とも関係するのですが、審査業務の評価をするとなると、一方ではドラッグ・ラグ、デバイス・ラグで言われたスピードの問題、もう1つは審査の質の問題ということになります。すでに研修の問題とか人材育成とか、いろいろな観点から全体の審査の質を上げる努力をしておられるということだったと思いますが、漠然と考えますと、最終的な審査の評価というのは患者が治療によってどういう恩恵を受けるかとか、医療の現場でどのように受け入れられるかとか、副作用の問題などかと思っていたわけですが、先ほどのお話を聞いていますと、それだけではなく審査業務の途中、相談等でもいろいろなアドバイスをされたりして、それも全体としての、審査業務の一環としてのことをしておられるということかと思います。
 ご質問したいのは、例えば審査の質とかアクティビティを何か定量的に評価するような指標をお考えになっているか、あるいはむしろPMDAとしてそういうものの解析や評価の仕方を研究されるとか、業務の一端の非常に大事な側面ですから、それを把握する等々のアプローチをお考えかどうかということを、思いついて質問させていただきました。

○医薬品医療機器総合機構理事
 非常に厳しいご質問で、おそらく的確な答えができないであろうということも含めたご質問だとは思いますが、先ほどのドラッグ・ラグをなくすための数値目標は数値化しやすいのですが、ご承知のとおり、質についての数値化はなかなか厄介です。なぜかといいますと、それぞれの方々によって質に対する言葉が違うということです。
 そういう中で、近年「レギュラトリーサイエンス」という言葉が出てきております。橋田先生にもお願いしながら、きちんとそういうものを作っていく中で、おそらく質を評価するときには、レギュラトリーサイエンスを行う「レギュラトリー・リサーチ」をいかに進めるか、そこだと思います。
 先ほども、これは非常に大事な問題なので、審査業務の質をどう高めるかについて、これは経験がこうだということではなくて、全体の枠組みをどう持っていくかという中で、1つには実際に開発あるいは基礎研究をやっていらっしゃる方々から医薬品・医療機器が関わる科学の最前線を私たちがどのように取り込み、医療現場の中での使われるときの問題点をどれだけ整理できるかというところも含めたところで考えております。その中で、クオリティについては一朝一夕に評価できることではありませんので、是非、学の方々とレギュラトリー・リサーチについて連携を取りながら、一緒にやっていきたいと。その中で、連携大学院というのが1つの流れでありますし、多くの大学が多くの研究機関と連携大学院を作っておりますが、PMDAならではの連携大学院構想を進めていきたいと考えております。直接のお答えになっていないことは十分承知しておりますが、今後ともよろしくお願いいたします。

○浅野委員
 1点だけお伺いしたいのですが、新しい制度で「リスクマネージャー制度」というものを入れておられますが、これは市販後まで一貫して安全性の管理をする仕組みとなっていて、審査の質を管理する上では非常に重要な役割だと思いますが、具体的にどういう活動をされているか、もう少し詳しく教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 PMDAの3大業務として、先ほど来お話申し上げている審査と安全性の担保と救済、この中で安全性部門が、市販後についていろいろな形の評価並びにその他の担保するための仕組みづくりを行っております。この安全性部門に属している者が、実際に新薬が申請され、それを審査する段階から中身を知っておくことが非常に重要なことになるだろうということで、リスクマネージャーは新薬審査の段階から新薬審査部に席を置き、審査過程、あるいは添付文書を作る過程に関わっております。そういう形で、リスクマネージャーが両方の橋渡しをする形で進めております。

○浅野委員
 ある意味では、早期に有害事象や副作用を予測するようなアドバイスをしたり、そういうことも含めて活動されているということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 そうですね。申請書にある情報に早くから接しておくことが非常に重要なことですので。

○浅野委員
 実際に何かがほかの所で発症したときに、そういうものに気づくとかですね。わかりました。

○真野部会長
 他の先生方はいかがでしょうか。発言のない方もいらっしゃいますが、よろしいでしょうか。
 このテーマは、何も規制をせずにFDAのものをそのまま受けるのが簡単なのでしょうけれど、当然そういうわけにはいきません。人種差もありますし、その他諸々、本当にFDAがやっていることがすべて正しいかという議論もありますので、その中で3局の1つを担う日本がPMDAという形で積極的にされている、その一端をご紹介いただいたと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、3つ目の最後の柱になりますが、これも非常に重要で、最近、人数も増やされているとお聞きしていますが、安全対策についてご説明をお願いします。法人から20分、我々から20分ということでお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それでは、Part4ですが、資料は59頁です。先ほど浅野先生からもご指摘がありましたように、現在、医薬品・医療機器ともに審査と安全部門の連携ということが非常に強調される世界的な情勢になっております。そういう中で、一般的に「安全対策」と言うときには市販後の安全対策を指しておりますが、現在は審査と連携した切れ目のない安全対策をやることが目標で、ライフサイクルを通じた安全対策を行っていくことが中心です。
 したがって、先ほど少し議論がありましたが、審査段階から安全対策を行う人間が審査の段階に関与しておくと、市販後のいろいろな安全上の問題に気づくことが早くなるとか、そういったことが非常に重要だということで、そういう観点での形ですが、ここでの評価の項目としては3項目あります。1つ目は医薬品の副作用あるいは医療機器の不具合情報を、できるだけたくさん医療の現場で起こったものを集めてくるということです。それを整理・分析・評価して体系化して、評価した結果をフィードバックしていくことになります。2つ目が、安全性情報を企業、医療関係者へ提供し、フォローアップしていくこと、3つ目は患者、一般の消費者への安全性情報の提供ということです。一般的には医療用医薬品が大きい比率を占めておりますが、最近は患者、一般消費者への直接の安全性情報の提供ということも非常に強調されており、3番目の項目も入ってきているということです。
 この3項目は、それぞれ医薬品、医療機器がありますが、60頁をお開きください。最初の「副作用・不具合情報収集の強化並びに整理及び評価分析の体系化」ですが、自己評定はAとしております。評価理由及び特記事項につきましては、この強化のために医療機関からの報告制度の周知に努めるとともに、患者からの報告を受けるための制度構築を検討・準備したということです。患者からの報告を受けるための制度構築の検討は、平成23年度に実際いま走りかけておりますが、平成22年度までに欧米諸外国の一部で検討されている情報収集の多元化という観点からの取組みも行ったということです。現在の副作用の収集においては、製薬企業が医療機関で起こった事象を収集して私どもに提出してくるケースと、医療機関から直接送られてくる場合がありますが、このうちの医療機関からの報告について私ども自ら調査する体制を整備して、より積極的な情報収集強化策を実施するということが2番目です。
 先ほど来ありますように、審査と連携して安全対策を講じるということで、副作用の評価をより高度化、専門化させていくということで、現在、医療用医薬品の審査チームは12チームありますが、これも2期計画中に12チームにするということです。3年ぐらい前までは2チームしかなかったのですが、これを現時点では8チーム体制にまでしているということで、症例勉強会などによりチームメンバーの早期育成・戦略化を実施し、レベルアップを図るということを行っております。
 詳細は61頁以降です。情報収集のための充実・強化の部分ですが、パンフレットの配布、外部サイトにおいて医療機関報告サイトへのリンク付けを行ったりして、報告制度を周知するといったこと。次は、患者からの副作用報告をWeb上で受け付けるシステムを開発して、これは平成23年度に入って研究班の協力を得て試行しております。3番目は、先ほど説明しましたように、医薬品の審査チームに対応するような形でチーム体制を構築中で、できるだけ早く15日報告、これは死亡や重篤といった重い副作用の報告ですが、それについては翌営業日中に因果関係をできるだけたくさんのものについて評価するということを行っております。
 62頁が、このような報告や、それに基づいて私どもが措置をした件数です。歴年で見ると、使用上の注意等の改訂の件数は増加傾向にあるということで、医薬品等の種類の増加や注意をしなければならない医薬品が増えているといったところを反映しているものと思っております。
 63頁です。「安全対策の高度化」ということで、これは一部On Goingの部分もありますが、医薬品が2つ、医療機器が2つということで書いております。医薬品につきましては、今年度において、本格的なデータベースの構築の事業を厚生労働省と連携しながらスタートさせておりますが、平成22年度においては、電子カルテからの医療情報やレセプトデータからの情報を将来的に活用するということで、私どもの安全部門の中でこういうものを用いた試行的な調査を実施しております。また、データマイニングにつきましては、平成20年度に実装備をしておりますが、このシグナル検出方法のアルゴリズム等について改善の報告などもありますので、そういうものについて指標値の信頼性向上を図るなどのデータマイニング手法の高度化にも取り組んでおります。
 医療機器の関係では、種類が限定されておりますが、トラッキングすべき医療機器として、昨年来承認された埋め込み型補助人工心臓のデータを収集、評価する、また、いまはかなり一般的になっておりますが、心筋梗塞等の場合に用いる冠動脈ステントに関する調査を継続実施しております。このうち、試行的な「MIHARIプロジェクト」については、国内外の学会等での発表等も、試行的な調査ですが、行っているところです。
 次に、これらの評価した情報の企業や医療関係者への提供、フォローアップですが、これも自己評定をAとしております。私どもは「医薬品医療機器情報提供ホームページ」というものを持っており、これは年間で数億回のアクセス数がありますが、このアクセス数について倍増を目指して、方策を講じているといったことが評価の視点です。また、「副作用のラインリスト」、これはどういう副作用がどういう薬で起こっているかについて、副作用の報告から公表までの期間を4カ月ぐらいで処理して、できるだけ一般の方々も含めて見ていただくということで、私どもの副作用のいろいろな業務の透明性の向上に資するという形でやっているといったところの評価の視点があります。
 これは平成22年度ということではなく、あくまでも中期計画上の数値目標ですが、中期計画上は副作用報告から公表までの期間を4カ月に短縮する。また、添付文書の改訂指示については、指示書の発出から2日以内にWebに掲載して公表する。医薬品医療機器情報提供ホームページについては、平成25年度までにアクセス数の倍増を目指す。情報配信サービス、「PMDAメディナビ」という愛称を昨年度において付けましたが、このPMDAメディナビの登録を平成23年度までに6万件程度、平成25年度までに15万件程度を目指すという数値目標になっております。ただ、平成22年度計画上の数値目標につきましては、このホームページへのアクセス数について、対平成20年度比で40%増を目指すということが設定されております。
 65頁をご覧ください。評価Aと自己評定した理由ですが、副作用報告から公表までの期間については、5カ月から4カ月に短縮ができました。また、添付文書の改訂指示については、指示発出から2日以内にWeb掲載ができました。情報提供ホームページについては、利用者に配慮したシステム改修、機能追加、コンテンツの充実を実施しており、アクセス数も対平成20年度比で約32%増加しました。メディナビの登録件数については、平成21年度より8,000件余り増加し、3万5,000件まで伸長していること等、ペースとしては中期計画を上回っているだろうということで、Aという評定をしております。
 3番目の項目ですが、「患者、一般消費者への安全性情報の提供」についても、自己評定をAとしております。これについては、冒頭でご質問がありましたが、医薬品の副作用、医療機器の不具合症例に係る情報を迅速に提供するとともに、一般の消費者等からの相談業務について、電話相談も含めて広範に対応しております。また、医療用医薬品の場合は、一般的には添付文書が医療関係者に提供されるわけですが、患者向医薬品ガイド、現在は2,300品目で、医療用医薬品が1万品目ほどありますので、まだ一部ではありますが、重要な医薬品から患者向けの医薬品ガイドを作って、それの周知・利便性の向上を図っているといったところが評価の視点です。このようなところで、患者に対する情報提供の充実を図っているということです。
 評価の理由としては、一般消費者からの相談業務については着実に実施しております。医療用医薬品の添付文書情報については、禁忌・副作用の情報のみを検索・表示するようなコンテンツも追加して、システムの改修、機能追加等をやっております。情報配信サービスについて、一般の方も登録しやすくなるよう工夫するとともに、Q&Aの充実・改訂を実施しています。
 その詳細の部分ですが、67頁をお開きください。添付文書の改訂等に関する企業からの相談に対応した件数は、ここにありますように、平成22年度は、医療機器は変動しておりますが、医薬品は増えて752件となっております。副作用・不具合等の報告の公表ですが、先ほど申し上げたように公表までの期間を短縮したということで、平成22年度末までに医薬品副作用等の報告は17万5,300件、不具合は5万1,000件をラインリストとして公表しており、ラインリストとしてかなりの数が公表される状況になっております。医薬品・医療機器の添付文書の情報等の指示をしたときの通知のホームページへの迅速な掲載も、ここに記載がありますように行っており、2日以内にホームページに掲載ということで、ここにありますような累積の件数になっております。
 それ以外の情報提供として、重篤な副作用に気づくために、患者も含めて重篤な副作用とはこういうものだということをわかりやすくしたような対応マニュアルといった情報提供もしております。患者向けの医薬品ガイドの作成・公表も、ここに記載のあるような数でやっております。アクセス数ですが、平成22年度は対平成20年度比で32%増加ということでしたが、8億7,000万回程度でした。また、メディナビ(情報配信サービス)ですが、8,000件余り増えており、中期計画中の6万件に向かって努力をしているところです。配信内容は、ここにありますように、医薬品・医療機器のいろいろなことが報告されております。
 69頁は、医療安全情報ということで、日本医療機能評価機構が公表している医薬品・医療機器のヒヤリ・ハット事例、これは似た名前によってヒヤリ・ハットが起こった場合、それを対象とした安全対策措置ですが、こういった評価をして対策を講じているということです。
 70頁ですが、一般消費者や患者の方々が、医療用医薬品も含めて医薬品、家庭で使用する医療機器を安全かつ安心して使えるように電話相談を実施しており、年間これぐらいの数の対応を行っているということです。これらを踏まえて、中期計画を上回っていると評価して、自己評定はAとさせていただきました。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。ご質問等ございますか。これもいろいろあるのではないかと思いますが、最初に私から、医療機関からの報告について、取組みとしては一生懸命されているということですが、数としてはあまり増えていなかったように見えるというのが1つです。もう1つは、私の記憶が少しずれているかもしれませんが、患者からの直接報告は日本ではないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 患者からの直接報告は、先ほど説明が足りなかったかもしれませんが、現在、研究班等のご協力をいただいてパイロット的なものをやっているということで、導入に向けて検討中という状況です。欧米の一部では行っておりますので、日本もそういうご指摘も、これまでも外部の有識者の方々からありまして、それに向けて鋭意やっている最中です。
 医療機関からの報告ですが、日本の場合、企業報告と医療関係者からの報告ということで62頁に数字が書いてありますが、実際には企業からの報告の場合も、企業の担当者が医療機関に行って、医療機関のご協力をいただいて、場合によっては血液検査の結果とかいろいろなものを集めて報告を出していただいているわけですが、ものによって医療機関から直接報告をいただくことがあります。これは1つひとつ対応するのは手間暇がかかるところがありますので、医療機関からの直接報告について私どもが十分対応し切れていなかったところがありまして、できるだけ私どものほうで直接フォローするようにしていこうではないかということで、それも始めているということです。

○真野部会長
 企業からということになると、MRなりを経由して、医療機関、MR、企業、PMDAという順番ですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○真野部会長
 直接報告だと当然直接だと思いますが、医療機関直接報告を増やされようとしている意味というか、目的はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 医療機関も、努力義務ではありますが義務も入りましたし、企業は完全に義務がかかっておりますので、どちらでも基本的にはいいと思っておりますが、私どもとしてはできるだけいろいろなソースからいろいろな情報が来たほうがいいと思っております。医療の現場で、医療機関の先生方もお忙しいということも聞きますが、そういう中でできるだけ医療関係者から直接報告が上がってくるケースも、それなりにあったほうが望ましいのではないかと思っております。

○真野部会長
 ありがとうございました。他にいかがですか。

○平井委員
 いまのことに関して、医療機関の人間としてはもっと報告をしなければいけないのですが、ごめんなさいと言うしかないかなと思っております。というのは、報告の用紙は、私どもの所は薬剤部で取りまとめることにしているのですが、医師がそれを書くのは少し手間があるみたいなのです。だから、どういう形にしたらいいのか、例えば自分では書かないのだけれど、こういうことがあったということをドクターから聞くこともあるので、そういうものを代わりに書いてもいいのだろうかと。でも、そうすると情報が不十分なので、こういうことがありましたということしか報告できないということになってしまうわけです。そのような情報でもよろしければ、もう少しお出しすることは可能かなと思います。
 後発医薬品の問題で、不具合があるという印象を持つドクターが多くて、それではどうなのだということで情報を探すのですが、メーカーからの情報はある程度限られている。あとはPMDAの情報と言っても、そんなに件数が多くないということがあって、判断に苦しむことがあります。そういうものも、いまおっしゃったようにいろいろなソースからの情報を、こちらもできるだけ協力したいと思っていますが、もう少し簡単に報告できるようなシステムが作っていければと考えております。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 非常にその辺りが難しいケースで、こういう薬でこういうことが起こるということがある程度一般的に受け入れられている状況ですと、かなり簡略化された、こういう薬でこういうことが起こったというものでもいいのかもしれませんが、因果関係についてかなり議論があるケースの場合には、その患者の症状経過や、いつの時点でどういう薬を投与してどのようになったかとか、血液検査の状況はどうだったかとか、結果はどうだったかという辺りのデータまでいただかないと、因果関係を細かく評価できないということもあります。その場合には、医療機関から直接報告いただいた場合に、報告をいただいた方に、それは必ずしも主治医の先生でなくて、主治医の先生とチームを組んだ形で薬剤部なりから報告自体を送っていただいても結構なのですが、その場合にはあとで私どもがフォローアップするときにご協力いただくということが出てきますので、お時間的にはご協力いただくところが出てきますので、お忙しい先生方を大変お忙しくさせてしまうところはありますが、安全対策のためですので、何とかご協力をいただければと思っております。

○平井委員
 電子カルテのデータを活用されるとおっしゃっているのですが、おそらくそういうものを活用していくと、もう少しデータが拾い上げていけるのかなと思っていますので、その辺りもまたご教示いただけるとありがたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 そちらは、先ほど説明しましたように、今年度厚労省と連携して、分担して電子カルテのデータベースの構築を全国の各病院のご協力をいただいて、最終的には1,000万のケースの集積を目指して構築することを、平成23年度から始めておりますので、いま平井先生がご指摘のように、どういう薬とどういう副作用の事象が関連がありそうだとか、いろいろなことがかなりボリュームを持った形で見られるようになってくるのではないかということです。日本は、どちらかというと欧米に比べてもそういう疫学的なチェック、フォローをする点が少し遅れておりますので、平成23年度から鋭意やっているということで、是非いまのご指摘に沿うような形で頑張っていきたいと思います。

○真野部会長
 いまのお話ですが、評価というよりも学者としての質問なのですが、先ほどの安全性の話で、日本では詳細なデータを求めると思うのです。先ほどの海外の話ではないですが、患者からの報告という極めて曖昧なものであったり、私もIRBの委員をしているのですが、海外の報告はよくわからないものがいっぱいあります。一方では、よくわからないのだけれど、たくさん集めてしまって解析するという考え方は、評価という意味ではなくて、一般的にはあるものなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 患者からの副作用報告をどのように活用するかということがあって、それぞれの国で、私どもの所ではイギリスやオランダがかなり活用しているという話があって、そういう所の報告を見ております。非常に重要な部分がなかったり、いろいろなものがありますが、薬によっては重篤なその患者だけしか飲んでいないようなものもあって、患者からの副作用報告が副作用の早期検出に有益だったと、有益なケースもあるというところが、報告としてはあるようです。ですから、これさえやっていれば大丈夫というものではなくて、薬と副作用との結びつきについては、患者がいちばん最初に飲んで、いちばん最初にいろいろな症状を感じるわけですので、そういう意味では、そういうものの早期検出に患者からの報告が有用な場合もあるという報告だと認識しております。

○真野部会長
 是非、日本初で副作用が見つけられるといいなと、副作用はないほうがいいのですが、そう思いましたので。平井先生はよろしいですか。他の先生方はいかがでしょうか。

○浅野委員
 細かいことで、64頁ですが、先ほどの認知度とも関係するのでしょうけれど、PMDAメディナビの登録件数の目標はどういう根拠で設定したのか記憶にはありませんが、大きい目標なのかもしれないし、そういう意味では目標達成が低目になっているのですが、これは業界の中での必要性とか、そういうものも勘案しなければいけないのではないかと思うのです。この辺りについて何かご意見があれば、どんな状況なのかということで、目標は一応定まっているものなので。

○医薬品医療機器総合機構理事
 登録目標につきましては、できれば診療所も含めた医療機関を全部こういう情報提供ツールでカバーできればということで、かなり大きい登録目標を立てております。これも平成23年度までに6万件程度ということで、大丈夫かというお話もあるかもしれませんが、今年の前半(平成22年後半)に「PMDAメディナビ」という愛称も付けましたし、私どもの理事長も出席する厚生労働省での会議がありまして、医師会や医療関係者の先生方もかなり入っていただいた会議ですが、そこでこのサービスについての認識が深まっていると考えております。
 また、先日、これは私も報道でしか知りませんが、医師会もこういうものの活用についての予算的な要望も出されたといったこともありまして、そういう意味では、医療関係者の方々も今後協力していただければ、いままでもチラシ等は入れていて、それなりには伸びてきているのですが、それほど劇的には伸びてきていないのですが、そういう形で医療関係者に取組みに協力していただける状況になれば、この目標を良い形で達することができるのではないかと考えております。

○浅野委員
 まだ掘起こしの余地があるということですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 実際問題として、診療所レベルとなると、必ずしもこれにご登録していただいていない所も多いようです。ですから、これの認知度を上げることと、登録しやすさ、少しずつ改善はしてきておりますが、登録のしやすさとか、いろいろな面で工夫をして、この目標に向けて頑張りたいと思っております。

○石渡委員
 66頁の安全性情報の提供なのですが、これは具体的にどんな方法でやられているのか、基本的なところを教えていただきたいのです。単に不安を煽るだけの情報提供が結構あって、患者として賢明な選択をするためにはどういう情報が必要なのかみたいなところも含めて、なかなかわかりにくいのですが。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ここには提供のことしか書いておりませんで、いま先生がご指摘されたところは非常に重要な部分で、別の言葉で言いますと、リスクコミュニケーションの部分の話があります。ご指摘のように、こういう副作用の情報は、副作用があるということの注意を喚起するために伝達をすると。特に医療関係者等に伝達をするのはすごく大事なことですが、それが一方で非常に不安を煽ると。これは世界的にもリスクコミュニケーションということで1つのテーマになっているようですが、そういう情報がボンと生で出てきてしまって、インターネットで見られてしまうと、私はこの薬を飲んでいるということで、医者に黙って自分で勝手に薬をやめてしまうとか、それによって現病が悪くなるとか、そういったことも起こり得ますので、そういう点では非常に患者や一般消費者への安全情報の提供は難しいところがあります。そういう意味では、患者向医薬品ガイドなどもあまりリスクを強調しすぎてもいけないし、強調しなさすぎても後で批判を受ける余地もあって、ここは難しいところではあるのですが、患者向けの添付文書を作るのも難しいところです。したがって、実際に医療用医薬品は1万品目以上ありますが、まだ2,000ぐらいのものについて、2,300しかできていないということですが、ここはいわゆるリスクコミュニケーションについての私どもの研究のテーマにもなりますので、先ほど来出ているレギュラトリーサイエンスの1つのテーマにもなりますので、そこも含めて欧米等とも連携しながら工夫していきたいと考えております。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 私のほうが素人なので、逆にわかりやすいのかもしれませんが、いまの関係で補足させていただきます。先ほど、電子カルテの情報データベースの話もありましたが、例えばある医薬品について先発品と後発品があって、最近、後発品の副作用報告が増えてきたと、先発品の報告が減ってきたというのは、先発品の薬が良くなったのか、それとも先発品が売れなくなって、後発品が相当売れているのか、そこがいま私どもPMDAが持っている副作用の報告件数だけではわからないのです。したがって、医療情報データベースということで、いまこの分野の薬ではどういう薬が使われているかという投与の傾向がわかってくると、後発品について副作用が出てきましたと、それだけを見て心配していただくのではなくて、大体このぐらいの割合で副作用が発生しているというのが、私どもも疫学的な解析によって患者にわかりやすく情報提供できるようになると。そのためのデータベースを作らないと、そこまでの情報提供はできないのですが、その取組みは始めているということです。

○石渡委員
 わかりました。そういうところを患者側としては求めていると思いますので、お願いいたします。

○真野部会長
 他の先生はよろしいでしょうか。それでは、これで全部の部署からの説明が終わったことになりますが、全体を通してこれを言い忘れてしまったとか、何かありますか。

○浅野委員
 審査絡みなのですが、今後のことで展望を考えた場合の審査のあり方についてご質問、あるいはコメントをさせていただきます。よく言われているのは、例えば糖尿病の薬と一緒に血糖値を測るようなモニターと組になって、それをサービスとして提供していきたいという話がときどき出てきます。あるいは、ある一定の遺伝子が出てきます。要するに、薬と検査薬が一緒になったようなものとか、薬と医療機器が一緒になったようなものでコンパニオンドラッグとか、そんな話が出てきます。そういった機器と薬とか、サービスを一体化して同時に申請して、いまだと薬を申請して、検査薬を申請して、機器を申請してと、3つになると思うのです。それを並行して進めるような仕組みは、今後考えられたり対応されるようなことについて、どう思われているかというところをご質問したいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 コンパニオンドラッグとか……ということですが、そのご指摘に対してまさに的確に対応できるのがPMDAだと私は思っております。PMDAは、FDAと違って医療機器も医薬品も同じ審査センターの中にあります。したがって、治験を含めた両方の情報が私の所に来ます。これはどうなっているかということをその都度確認しながら、すでに何回も進めております。
 2つの話があろうかと思います。1つは、承認をする段階で、例えば医療機器がきちんとそこに対してサプライできるような状態で、初めて医薬品が使えるというケースがあろうかと思います。両方が同時になるようにするためには、それぞれの審査の状況を把握して、あるいは新薬のほうの申請のときにその医療機器の方法が使われてやっているかどうかとか、残念ながらいまのところ担当する企業が違うのです。意外とその情報が行っていないものですから、そういうことができると。
 もう1つは、治験の段階で、現在は治験データを出すためにも新しい医療機器の診断方法を使って治験を行うとか、そのようなケースがあります。そういう意味で、今朝の段階でアメリカも体制を変えるということで、全体の医療機器あるいは新薬等の審査全体を包括できる所も作るようなことを言っていますが、まさにいまのご指摘についてはPMDAが最もしやすい体制ができているのだろうと、この担当をしていて思いました。サービスとなると少し違う話になりますが、審査あるいは両方が円滑に行うということは、まさに私どもの組織が担保できているのではないかと考えます。

○浅野委員
 日本はそういう意味でうまく優位性を発揮できればいいと思いますし、特にライフ・イノベーションという中で当然取り組まれる課題になると思いますので、その点ではよろしくお願いします。

○真野部会長
 他の先生方はよろしいでしょうか。ありがとうございました。PMDAの価値は、いまの浅野委員の話にもありましたように、申請のところから安全性、救済、全部あって、かつ医薬品と医療機器と両方あるという幅広さが、それがうまくリンクすることによって、最終的に患者の利益になることなのかなと思っております。 以上で、項目の評価の時間が終わりました。たぶん、全員の先生が評価を終わったと思いますが、この後の扱いについて事務局からご説明ください。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りした資料の送付を希望される委員がいらっしゃいましたら、部会の終了後に事務局にお申し付けください。
 また、評価ですが、まだご記入がお済みになっていない委員がいらっしゃいましたら、部会終了後にこちらに残っていただいて記入していただくということでも結構ですし、評価シートと評価記入用紙をお持ち帰りになって、ご自宅でご記入をしていただくこともできます。電子媒体の様式につきましては、事前に送付しておりますので、そちらを活用していただくことも可能です。その場合は、22日(金)までにメールやファックス等で事務局宛にお送りいただければと思います。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。この辺りについて、委員から何かご質問はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後の議題になりますが、持ち回りで評価したものについて事務局からご説明いただければと思います。議事5ですが、要するに部会を開かずに書面によって議決を行った案件の報告になります。よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 こちらにつきましては、今年の3月に前部会長にご相談をしまして、部会を開かずに書面にて委員の皆様方にお諮りをした案件が1件ありました。内容につきましては、企業が医薬品等を外国に輸出する際に必要な輸出用医薬品等の証明の発給に係る業務の中で、従来厚生労働省で行っていた業務の一部を4月1日よりPMDAに移管するということで、それに伴う業務方法書の変更ということでした。
 これにつきましては、本部会として了承するということで、厚生労働大臣に意見を提出しており、その後、業務方法書の変更の認可がなされております。事務局からの報告は以上です。

○真野部会長
 これは法人からご説明をいただければと思います。

○政策評価官室長補佐
 このあと、法人から変更後の状況等についてご説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 資料8をご用意ください。ただいまご説明がありましたように、私どもで業務方法書を改正させていただいたわけですが、経緯としましては、企業等が医薬品等を外国に輸出する際に必要となる輸出用医薬品等の証明書を発給する業務があります。これは、私どもの法人がかなりやっているものですが、承認を受けているものとか、そういう証明の類ですが、そのうちGNP/QMS、これは下にありますように、いずれも国際的な基準ですが、医薬品、医薬部外品等の製造に係る構造設備に関する基準や、医療機器の製造に係る構造設備に関する基準で、これの適合性に関する証明確認業務については、少し細かくなりますが、都道府県等との関係もあって、従来、厚生労働省が行っていたわけです。これを今年の4月から私どもが行うことになり、改正を行ったということです。先ほどご説明がありましたように、今年の3月18日付で大臣宛に業務方法書の改正を申請し、先生方に書面により意見を伺ったのち、3月31日付で厚生労働大臣から認可を受けたということです。
 改正内容の条文は、2頁です。改正の条文だけ見ますと、いま言っている部分がわかりにくいのですが、中身的にはGMP/QMS関連の適合性の確認調査を私どもが行うことになった関係での改正です。説明は以上です。

○真野部会長
 どうもありがとうございました。この件について、何かご質問等はありますか。よろしいですか。そうしますと、これはもともと了承されていたわけですが、今回、ご報告を当部会として承ったということになるかと思います。
 それでは、若干早いですが、本日の議事は終わりになります。事務局から次回の開催等についてご案内をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料1-7をご覧ください。次回の開催につきましては、7月26日(火)13時から、場所は経済産業省946会議室を予定しております。議題につきましては、個別評価の福祉医療機構です。こちらについては、開催通知をすでにご案内済みです。机の上に開催通知として8月9日と8月22日の部会の開催の通知のご案内を置いております。こちらについては、いまご記入いただいても結構ですし、7月22日(金)までに事務局宛にメールやファックスでご回答いただいても結構ですので、よろしくお願いします。以上です。

○真野部会長
 ありがとうございました。次回は7月26日ですが、案内は8月9日と8月22日ということですね。次回、間違えないようによろしくお願いします。
 それでは、以上になります。3時間以上の長丁場になりまして、委員の先生方、あるいはPMDAの方々も暑い中お疲れだったと思いますが、どうもありがとうございました。本日の委員会を終わりにしたいと思います。


(了)
<照会先>

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独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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