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2011年9月5日 第14回新型インフルエンザ専門家会議議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年9月5日(月)
18:30〜20:00


○場所

厚生労働省17階 専用18−20会議室


○議事

【出席委員】(50音順)
伊藤委員、庵原委員、岡部委員、押谷委員、川名委員、坂元委員、
澁谷委員、田代委員、谷口委員、永井委員、保坂委員


○新型インフルエンザ対策推進室長(神ノ田) 委員の皆さま方お揃いでございますので、ただいまより「第14回新型インフルエンザ専門家会議」を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、ご多忙の折、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。開会に当たりまして、外山健康局長よりご挨拶を申し上げます。
○健康局長(外山) 本日は、ご多忙のところ、そして夜遅い時間に、第14回新型インフルエンザ専門家会議にご出席を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 平成21年に発生しました新型インフルエンザ(A/H1N1)につきましては、昨シーズンのウイルスの動向や流行状況等を踏まえまして、季節性と異なる大きな流行等の特別な事情が生じないことが確認されましたことから、平成23年3月31日付けで、感染症法における新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨の公表を行い、通常の季節性インフルエンザ対策に移行したところであります。これまでの間、医療機関や各都道府県、市町村の担当者、皆さまをはじめ、委員の皆さま方のご指導、ご協力等のおかげであり、心から感謝申し上げます。
 先般の新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験を踏まえて、厚生労働省としては、新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議において、実施した対策の評価・検証を行い、平成22年6月に提言をいただき、本専門家会議において新型インフルエンザ対策行動計画の見直しについて議論していただき、平成23年2月に専門家会議の意見書をとりまとめていただいたところです。その後少し時間がかかりましたが、内閣官房を中心として関係省庁との協議、検討を進めてきたところですが、8月15日に開催した局長級の関係省庁対策会議で、行動計画の改定案をとりまとめたところです。また先月下旬にパブリックコメントが終了し、今後、閣僚級会合において決定される予定となっております。新型インフルエンザ対策行動計画の改定後には、新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直し作業を各作業班で検討していただき、専門家会議においてガイドラインの見直しのとりまとめをお願いしたいと考えております。
 本日の会議では、新型インフルエンザ対策行動計画の改定案の概要について報告するとともに、平成23年度プレパンデミックワクチンの備蓄株の選定について議論していただくことになります。また米国CDCの豚由来インフルエンザの発表や、FAOの鳥インフルエンザウイルスの変異株の発生の発表についてもコメントしていただければと思っております。専門家会議の委員の皆さまにおかれましては、活発なご議論をよろしくお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 次に委員の皆さま方の出欠状況を確認します。全14名の委員のうち、本日は11名の委員の皆さま方に出席をいただいております。また、吉川委員、高橋委員、丸井委員の3名の委員から、欠席されるとの連絡をいただいております。なお、このたび笹井委員が辞任をされ、その後任として川崎市健康福祉局医務監の坂元委員にお引き受けをいただきましたので、ご紹介申し上げます。
 それでは以降の議事進行を、岡部議長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○岡部議長 しばらくこの会議が開かれておりませんでしたが、今回、いろいろ報告あるいはご相談する事項があるとして開かれるようになりました。それから坂元委員はニューメンバーですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事を進めていきたいと思います。最初に、資料の確認をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 資料は3点です。資料1が「平成23年度プレパンデミックワクチンの備蓄株(案)」です。これは議題1に関係する資料です。資料2が「新型インフルエンザ対策行動計画の改定のポイント」です。議題の2番目の関係の資料です。3番目の議題の関連資料として、資料3「新型インフルエンザ専門家会議の進め方について(案)」ということです。
 参考資料として、議題1に関連するものとして4点付けています。参考資料1「鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のClade(生物分岐群)」、参考資料2「鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症事例」、参考資料3「平成22年度プレパンデミックワクチンに係る研究」、参考資料4「新型インフルエンザ製造候補株の増殖性に関する検討」です。
 議題2に関連する参考資料としては、参考資料5「新型インフルエンザ対策行動計画の改定案(新旧対照表)」です。その他ということで、参考資料6が、ただいまの局長の挨拶にもありましたとおり、「米国インディアナ州・ペンシルバニア州で2011年7月〜8月に発生した豚由来のインフルエンザA(H3N2)ウイルスの2人の幼児への感染について」、参考資料7が「鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の変異株(クレード2.3.2.1)の発生について」、最後が参考資料8ということで、田代委員から提出していただいた資料を用意させていただいております。資料につきましては以上ですが、不足等がございましたらお申し出ください。
○岡部議長 それでは議事に入りたいと思います。議題1の、プレパンデミックワクチンの備蓄株については、専門家グループで検討したことをここで報告していただいて了承するということに、以前からなっておりましたので、田代委員から説明をお願いします。
○田代委員 8月8日だったと思いますけれども、新型インフルエンザ専門家会議の中のワクチン作業班で平成23年度、今年度のプレパンデミックワクチンの備蓄株の選定を検討しました。資料1の下の(参考)を見ていただきたいのですが、平成18年からH5N1に対する、プレパンデミックワクチンと我々は呼んでいましたけれども、このワクチンの国家備蓄を進めてまいりました。今まで人の間で患者の確認がされたH5N1のウイルスというのは、Clade1とClade2.1、Clade2.2、Clade2.3というウイルスであったわけですが、それぞれについて毎年1,000万くらいずつ、トータル3,000万人分の備蓄を進めてきました。
 国家備蓄のワクチンはバルクといいまして、原液を大量に備蓄してきているわけですけれども、その力価がどのくらい低下しているかを適宜モニターしてきましたが、大体3年ぐらいで十分な抗原量といいますか、力価を切ってしまう、低下してしまうということが大体予想されてきましたので、そういうものについては適宜新しいストックを造って備蓄を更新していく、そういう方針が決まっております。
 そこで平成23年度についてその検討をしました。平成21年度は新型インフルエンザが流行したために、このH5N1の備蓄用に用意しておりました発育鶏卵を新型インフルエンザA(H1N1)のワクチン用に転用しましたので、平成21年度はH5N1の備蓄は行われなかった経緯があります。今回、1,000万人分の備蓄を更新するということで、どの株を使っていくかということを検討しました。この背景については参考資料が4つ用意されていますが、これに沿って簡単にお話したいと思います。
 現在のH5N1の強毒型の鳥のインフルエンザウイルスというのは、1997年の香港の流行が一番最初に認識された流行ですが、実際はその1年前の1996年におそらく中国南部の広東省で出現したウイルスが直接の先祖だろうと考えられています。1997年に香港で流行を起こしましたけれど、そのウイルスは一応香港においては封じ込めに成功したということで香港からは消えました。しかし、その原因になったウイルスはどこかに当然存在していたはずですし、そのウイルスについての追求が十分にできなかったわけです。おそらく中国南部の、どこかの鳥の中にいただろうと思われます。それが2003年の暮れ頃から東南アジアの鶏の中に流行を始めて、それ以来現在まで8年間、鳥の間で流行を続けているわけですが、この間にこのH5N1のウイルスは遺伝子の変異をどんどん遂げていき、HAという表面の主要抗原をコードする蛋白、HA蛋白をコードする遺伝子に次々と突然変異が蓄積していっているわけです。
 その結果、参考資料1に示しますように、これは少し古い資料ですけれども、番号が振ってありますが、HA遺伝子の塩基配列から系統樹を書きますと、このようにそれぞれ明らかに区別されるいくつもの系統に分かれてきております。8月の末にWHOのワーキング・グループで分類について再検討が行われ、現時点ではまだ正式発表ではありませんが、最終ドラフトの段階では、12のCladeに分かれている。このCladeでは10までしかおそらく書いていないと思いますが、近々新しい分類になると思います。
 それはともかくとして、現時点で鳥の間でこのように様々なウイルスが流行していますが、現在、この中で人に感染したというウイルスの系統が大きく4つあります。1997年の香港を入れますと5つになりますが、現在のH5N1については4つの系統があります。そのうちの1つが「ベトナム株」と書いてありますが、Clade1といわれるウイルスで、これは2003年から2006年、2007年くらいまでベトナムを中心に流行しました。現時点ではこれは人の世界での流行例というのはほとんど見つかっておりませんで、ベトナム及びカンボジアの鳥の中からときどき見つかっています。それから、その上の「インドネシア株」がClade2.1といわれるもので、2.1からさらにいくつも細かく遺伝子が分かれてきていますが、大きく括りますと2.1です。このインドネシアで流行しているウイルスは、現在においてもインドネシアの鳥の中で流行を続けておりますし、さらにインドネシアの豚の中でもこのウイルスが見付かっているということで、人の患者もその後、出ているわけです。それから、その上の「チンハイ株」というのがClade2.2というウイルスで、2005年くらいから発生してきたウイルスです。これは中国の四川省、チンハイ省の辺りからずっとシベリアを西のほうに移動して、中東からヨーロッパに入りました。それからアフリカにも拡がっております。現在はこのウイルスのグループがエジプトで鳥の間で流行を拡げていて、人の患者も出ているという状況です。
 それから一番上に書いてあります「アンフィ株」というのが、これがClade2.3と括られる大きなグループの中のウイルスです。これは2005年から中国南部で流行をしまして東アジアを中心に既に土着していると考えられております。これが問題なのは、昨シーズン、昨年の秋から暮れにかけて、それから今年の1月、2月にかけて、日本において野鳥、渡り鳥からH5N1の強毒型のウイルスがかなり大量に分類されました。このウイルスの系統は2.3に属するウイルスです。したがいまして2.3の系統のウイルスは中国からモンゴル、朝鮮半島、極東シベリア、そういうところの鳥の間で流行を拡げております。こういうことで大きく人の間でも、人の患者が出ているウイルスというのは、2003年以来大きく変わってきてはおりません。この大きく4つのグループのウイルスが人に感染しているという状況です。
 これについて参考資料2ですが、2003年の暮れ以来こういう地域で人の患者の流行が確認されていますけれども、今年になっても同じようなところで患者が出ています。この株につきましては、現時点では資料1の一番下に書いてあるような、それぞれ4つのCladeのウイルスについて1,000万人分くらいずつ備蓄をしてきたわけですけれども、今回、備蓄期限が切れるものについてどのようにするかというディスカッションになりました。
 結論から言いますと、作業委員会ではアンフィのClade2.3のワクチン株を選択するのが一番適ってるのではないかということです。その理由としては、現在の鳥におけるウイルスの流行状況、どのCladeが主流になってるかということと、それから現在プレパンデミックワクチンがどれだけ備蓄されているのか、どのCladeのワクチンが期限切れになって備蓄がなくなっているのか。それから、いまお話した大きく分けて4つのグループ、これは遺伝子のレベルから分類されるものですけれども、これについてそれぞれ抗原性がかなり変わってきております。この異なるウイルスに対して、それぞれ適当なワクチンを用意する必要があるということが当初の考え方だったわけですけれども、現在備蓄しておりますプレパンデミックワクチンはアルミアジュバントというのが添加されてますが、その後このアルミアジュバントを添加することによってCladeを超えた交叉性の幅広い免疫が誘導できるということがわかってきて、それについて臨床試験、臨床研究を庵原先生にお願いしてずっと進めてきたわけですけれど、その交叉性の結果です。それからワクチンの備蓄にもう1つ大事なファクターというのは製造効率がどうかということで、限られた予算、限られた発育鶏卵の供給量を考えますと、1,000万人分のワクチンをどうやったら一番効率よく造れるか、そういう技術的な問題があります。この4点から、ワクチン株の検討をしました。
 現在の鳥インフルエンザの流行状況ですけれど、先ほどお話しましたように4種類のCladeのウイルスが人に感染しているということで、そのうちベトナム株というのは限定的な流行になってきているということです。それからプレパンデミックワクチンの備蓄状況は先ほどお話しした下の(参考)のところに書いてあるとおりで、ベトナム株、インドネシア株、チンハイ株の3つの系統のワクチンが備蓄されていますけれども、アンフィー株のワクチンについては期限切れになる、今年以降、この株は日本に備蓄されなくなるという状況になります。
 それから、交叉免疫性というのは後から庵原先生に追加の説明をしていただこうと思いますが、庵原先生のところでやられた臨床研究から、Clade1のベトナム株で免疫しておくと、他の3つのCladeに対してもかなり幅広い交叉性の免疫が誘導されるということがわかりました。これはプレパンデミックワクチンの使用目的、使用方法にもよりますけれども、プライミングといって事前に摂取しておくという意味では、ベトナム株で免疫しておくというのが一番広い免疫が誘導できるので、どのようなウイルスが実際に流行してもかなり広く対応できるのではないか、そういう判断がされております。それに対してClade2に属する3つのアンフィ、チンハイ、インドネシア、これについても庵原先生のところで人において検討していただきましたけれども、これについてもアジュバントを使った現行のプレパンデミックワクチンは、ベトナム株に遜色ない程度に交叉性の免疫を誘導できるという結果が得られております。
 それから製造効率については、参考資料4を見てください。これは2007年に備蓄をスタートさせたときの、ワクチン製造株の検討資料ですが、現在もワクチンの種のウイルスはこれと変わっておりませんので、この資料をそのままここにもってきました。これを見ますと1頁から2頁にかけて、卵におけるそれぞれのワクチン株の増殖効率が色分けされていますが、先ほどお話したいちばん幅広い交叉免疫を誘導するという、ベトナム株の製造効率はよくないということが確認されております。これは世界的にも確認されております。それに対してインドネシア、チンハイ、アンフィは、それぞれある程度増殖性はいいということがわかります。1頁の下の図で緑色で書いてありますアンフィ株については、いちばん製造効率がいいということがわかりまして、限られた卵の供給を考えますと、この株を使ってワクチンを造るのがいちばん効率がいいという結論になります。あと細かいワクチン製造のために必要なHAの蛋白量の回収効率には、いくつかいろいろなパラメーターがありますけれども、特にアンフィ株はいろいろなファクターのパラメーターを見ても、ワクチン製造としては適切であろうという判断がされました。
 以上の4点から総合的に判断して、今年度の平成23年度の備蓄株としては、備蓄がなくなる「アンフィ株」を選定することが適当であろうという判断になりました。以上です。
○岡部議長 どうもありがとうございました。それでは庵原委員、研究内容について何か付け加えることがありましたらお願いします。
○庵原委員 先ほど田代委員から話がありましたように、プライム・アンド・ブーストの研究は、最初ベトナム株をプライミングした人に、インドネシア株、アンフィ株でブーストをかけたというのが最初の試験で、2回目の試験では、参考資料3の「平成22年度プレパンデミックワクチンに係る研究」で、インドネシア株又はアンフィ株でプライミングした人にチンハイ株でブーストをかけたグループと、チンハイ株でプライミングした人に6カ月後にチンハイ株でブーストをかけたという3種類のプライム・アンド・ブーストの研究が行われています。この中にはベトナム株でプライミングしたあとのブーストのデータは出ていないのですが、ベトナム株をプライミングして、Clade2の株でブーストをかけますと、Clade1もClade2も幅広く交叉免疫が出てきます。Clade2でプライミングしたものにClade2でブーストをかけると、ベトナム株であるClade1に対する交叉免疫が少し弱いというのが2点目です。
 それから、チンハイ-チンハイという同じ株でブーストをかけますと、交叉免疫は出てきますが、違ったCladeでブーストをかけたときよりも少し幅が狭いというか弱い交叉免疫性が認められたという結果です。ですから、プライムとブーストをかけるならば異なった株のほうがいいのではないかということで、同じ株ばかりを毎年備蓄するのではなくて、3種類ないしは4種類の株を回しながら備蓄するほうが理にかなっているだろうというのが、平成22年度の研究までの結果のまとめです。以上です。
○岡部議長 どうもありがとうございました。そうすると現在ではインドネシアとチンハイは備蓄があって、アンフィがそれに加わってくるという考え。前のアンフィはなくなるので、今度の備蓄が入るということでよろしいですか。
 ありがとうございました。ご質問、あるいはコメントがありましたらお願いします。特によろしいでしょうか。専門家会議で十分に議論されていることですので、異論がなければここの委員会ではそれを了承するという形にしたいのですが、よろしいでしょうか。
                   (了承)
○岡部議長 それでは23年度プレパンデミックワクチンは「アンフィ株」でいくということで、この委員会でも了承ということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、議題2の「新型インフルエンザ対策行動計画の改定案」についても、この委員会で、ある一定の議論をして、それについて政府のほうで最終案をまとめたいというように聞いていますが、修正部位も含めて事務局からご説明をお願いします。
○新型インフルエンザ対策室長 それではご説明を申し上げます。資料2をご覧ください。8月15日に、局長級の会議ですが、関係省庁対策会議が開催をされまして、その場で政府としての改定案が取りまとめられております。その後2週間、8月29日までパブリックコメントが行われておりまして、出されたご意見等も踏まえて、最終的には閣僚級会合において、この行動計画の改定を決定するという段取りになっております。資料2につきましては、関係省庁対策会議の場で配付された資料をそのまま用意させていただいております。
 ポイントとして2つの視点から見直しが行われております。1点は、病原性が高い新型インフルエンザの発生・流行に備えて、医療、社会機能維持等の対策を強化するという視点です。本当に強毒性のものが出た場合に対応できるのかどうか、それをもう一度チェックをしたということです。
 2点目は、平成21年4月に発生した新型インフルエンザ対策の経験等を踏まえて、病原性・感染力の程度等に応じ、実施すべき対策を決定するということで、前回は病原性の低いものが発生したということで、そのような病原性の低いものが出てもこの行動計画で対応できるようにという視点からの見直しです。
 資料の左側のほうに、「海外発生期」、「国内発生早期」、「国内感染期」、「小康期」と分けてポイントをまとめています。その具体的な取組みを右のほうに細かな字でまとめていますが、赤字で記載されている部分が現行の行動計画からの見直し部分です。さらに下線が引かれている部分が、専門家会議において取りまとめていただいた意見書からの変更箇所です。順番にご説明を申し上げます。
 「検疫の強化を実施」というところで、赤字になっておりますのが、「発生が疑われる場合、WHOフェーズ4宣言前でも検疫強化等の水際対策を開始」です。疑わしいという情報がフェーズ4宣言前でも入ってまいりますので、その段階から水際対策を実施するということです。これは専門家会議の意見書でもいただいておりましたし、今回、改定案でも盛り込まれております。
 注1に、検疫のための集約先空港に羽田を追加しております。羽田空港が国際空港化されたことを踏まえて、これまで成田、関西、中部、福岡と4つの空港であったものに羽田を追加しました。これは専門家会議の意見書ではなかったものが、今回盛り込まれております。
 注2として、検疫の強化については、病原性・感染力、海外の状況等を勘案することとし、状況の変化等により合理性が認められなくなった場合には、措置を縮小するということも記載されております。専門家会議の意見書にも沿った見直しです。
 下のほうですが、都道府県等に対し、国内発生に備えた医療体制の準備を要請するということで、「帰国者・接触者外来」を設置するということです。これも意見書を踏まえた見直しですが、現行の「発熱外来」を「帰国者・接触者外来」に名称を変更して、対象者を明確化するということです。発熱の患者さんが殺到することのないように位置づけを明確化しています。また、設置の時期につきましても、海外発生期での設置に前倒しをしております。現行では国内発生早期に設置ということになっておりますが、海外発生期においても、すでに帰国者はたくさんいらっしゃいますし、その中で発熱の患者さんも出てきますので、海外発生期に設置するということで見直しをしております。
 次に、医療機関に対し、新型インフルエンザの患者等と判断された場合には、直ちに保健所に連絡するよう要請ということですが、これも現行の行動計画にもあるのですが、海外発生期への前倒しということでご理解をいただければと思います。
 プレパンデミックワクチンの関係です。注1のところですが、発生時に速やかに接種開始できるよう、プレパンデミックワクチンの一部を事前に製剤化して備蓄ということです。これは専門家会議の意見書ではなかったものが、今回、新たに加わっております。この趣旨ですが、先ほど田代委員からもありましたように、現在、原液の形で備蓄をしておりまして、そういう形で備蓄をすれば3年間持ちますが、これを製剤化してしまうと1年しか持たないという問題があります。一方、原液備蓄の問題点として、製剤化するのに1カ月半ぐらいかかってしまう、それだけ接種のタイミングが遅れてしまうということですので、検疫所や医療機関で対応するような初動対応者については、最初の1カ月半が非常にクリティカルになりますので、すぐに接種できるように一部については製剤化して備蓄しておこうという考え方です。
 注2として、接種の法的位置づけや接種順位等、接種体制を整備するということです。これも意見書に沿った見直しです。
 次です。患者・入院患者の全数把握、学校等での集団発生の把握を強化ということで盛り込まれています。
 その下ですが、地域の発生状況により「地域未発生期」、「地域発生早期」、「地域感染期」の3段階に都道府県ごとに分け、段階ごとに対応ということで、専門家会議の意見書に沿った見直しですが、一部、意見書では「地域発生期」とされていた名称を「地域感染期」と修正をしております。その趣旨は地域発生早期と地域発生期の両者の関係で、地域発生期には地域発生早期も含んでしまうのではないかということで、少し紛らわしいということで、あえて明確になるような形で別の名前を付けております。地域ごとにそれぞれの発生段階に応じた対応をするという考え方については、専門家会議の意見書のとおりです。
 一般の入院医療機関での診療・治療への切り替えです。病床不足の場合には、治療のため公共施設の利用を検討というところですが、注1として、医療従事者が都道府県等の要請で対応した場合の被災補償等を検討というもので、意見書に沿った形で盛り込まれています。
 注2として、下線が引かれておりますが、今回新たに加わったものです。在宅で療養する患者に対し、医師が電話による診療で診断ができた場合、ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの発行を検討というのが盛り込まれています。これは現行のガイドラインにも記載されているものを、行動計画に格上げをしたということです。
 以下、社会機能維持に関する取組が続きます。専門家会議では触れられていなかったものが今回加わっていますが、1つ目として、事業継続のための法令の弾力運用の周知。また、製造・販売事業者・運送事業者等への医薬品・食料品等の緊急物資の円滑な流通や運送を要請というのが加わっております。生活関連物資等の安定化のため、買占め等の問題にも対応する必要があるということで、監視あるいは国民相談窓口の設置といったような対応をしていくこととなっております。また、中小企業等の経営安定化に資する政府関係金融機関等への要請ということで、返済を猶予するなどの配慮をしていくということで、いずれも社会機能維持に関する取組として今回新たに加わっております。
 全国民に対するパンデミックワクチンの確保、接種開始ということで、注1として、パンデミックワクチンについては、国産ワクチンの確保を原則とするが、必要に応じ輸入ワクチンも確保。また注2として、病原性が高い等の場合には、公費で集団接種することを基本として、対策本部で接種順位等を決定し、関係者の協力の下、接種を開始と記載されておりますが、いずれも専門家会議の意見に沿った見直しとなっております。事務局からの説明は以上です。
○岡部議長 どうもありがとうございました。多くの追加項目はこの検討会議でも随分行われたところだと思うのですが、下線の入っているところは、特に政府案としての、専門家会議と違ったところで加えられたというところだと思います。主に法的な関係のところの括弧付きになっている下のほうですが、いくつか専門家会議では議論していなかったというか、そこのところと違うところがここに記載をされています。法令的なところが随分含まれていると思うのですが、もう少し細かいところはいろいろあるのだと思いますが、事務局でまとめていただいた主な変更点はここにあります。これについて細かいところも含めて、ご覧になった方で意見あるいは質問等ありましたらよろしくお願いします。
○保坂委員 重箱の隅をつつくようなことを申し上げて申し訳ないのですが、このまとめの赤字で書いてある文章は、見直し案の細かいところをそのまま書いたのでしょうか。それとも、たまたまこの文章を担当の厚労省の方が作られたのですか。というのは、てにをはですが、「国内感染期」のところで「製造・販売事業者・運送事業者等への医薬品・食料品等の緊急物資の円滑な流通や運送を要請」という言葉は、主語と述語がおかしいのではないかと思います。公的なものだと思うので、直していただいたほうがいいかと思いました。
○岡部議長 事務局いかがですか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 こちらの資料については、関係省庁対策会議の場で出された資料をそのまま用意させていただきました。少しまとめ方で、てにをはがおかしい部分がありますが。
○健康局長 おかしくないです。
○保坂委員 いや、おかしいと思います。
○岡部議長 もし、こうしたほうがいいのではないかという提案がありましたら。
○保坂委員 「運送事業者等への」にすると、運送を要請というのはおかしくて、「事業者等へ運送を要請」であればいいのですが、「への」であれば最後のところは「を」ではなく別なものを入れたほうがいいのではないかと感じますが。
○健康局長 書きぶりの問題ですよね。
○岡部議長 私は読める気がしてしまったのですが、細部のところでも、あるいはほかの大きい会議で出ていることなので、事務局のほうでも検討していただいて。
○健康局長 記載したということですか。「へ要請した」というのを「への要請」を記載したということですか。
○岡部議長 文章をひっくり返したと。
○新型インフルエンザ対策推進室長 ちょっと細かいところも含めて精査しまして。
○岡部議長 ちょっとそこは検討をしてください。
○新型インフルエンザ対策推進室長 これもホームページに載せたりしますので、その段階では整理した上で。
○岡部議長 またそれとすり合わせも必要になってくるのですよね。そういう意見も見ながら、事務局のほうで検討をお願いします。
○田代委員 いまパブリックコメントに出ている改定案の見直し案は、参考資料5の「行動計画の見直し案」と考えてよろしいのですか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 参考資料5が新旧対照表の形でまとめたものです。
○田代委員 新旧というのは、現行のやつですよね。
○新型インフルエンザ対策推進室長 現行と改定案の。
○田代委員 この改定案というのは、内閣で作った改定案ということですよね。そうすると、この委員会で検討したものとの対照というのは、ここにはないということですね、どこがどう変わったということは。
○新型インフルエンザ対策推進室長 そうですね。この参考資料では読めないです。
○岡部議長 すみません。この参考資料5はパブリックコメントも終えたものについての新旧対照をしてあるのですか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 これはパブリックコメントにかけたもの、そのものを用意しております。まだパプリックコメントを取りまとめ中ですので、パブリックコメントを踏まえて若干修正が入る可能性はありますが、それをした上で閣僚級会合で決定するという段取りになっております。
○澁谷委員 教えていただきたいのですが、先ほどの説明の中で、現行のガイドラインから「格上げ」をされたということで、ファクシミリ等による処方の問題とか、そういう説明があったと思うのですが、ガイドラインから格上げをして行動計画にというのは、どのように考えたらいいのか。あるいは今後そのガイドラインをつくっていくときに、どのレベルでつくっていくかということも関係があるかと思うのですが、どのような視点で行動計画に格上げされたのかというところを、もう少し教えていただけませんでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 1つは前回のH1N1の対応において、このようなファクシミリでも対応できるというようなことを実際に行ったということがあります。これは重要だという判断もあって、ガイドラインではなくて、しっかりと行動計画に位置づけようということで、格上げという表現が良いのかどうかあれですが、明確に位置づけたということです。
○澁谷委員 そうすると、みんな重要だと思うのですが、その辺の考え方は、すでにそのことが現実にあったからという考え方なのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 1つには、行動計画は閣僚級会合で決めていくことになりますので、あまり柔軟にここがおかしいからすぐ変えようということがやりづらいということがあります。根幹になるような、ここは変わらないだろうという基本的な部分を、しっかり行動計画に位置づけるという考え方かと思います。状況に応じて、また新しい知見が出てくれば、随時見直していくとか、そういう部分については、ある程度機動的に見直しができるようにということで、ガイドラインに落とすという考え方です。ちょっと私の表現が悪かったかと思いますが、決して重要だとか重要でないとか、そういう基準で分けているわけではありません。
○保坂委員 この資料2に出していただいた「改定のポイント」という紙は、厚生労働省の担当の方が作った見直し案をもとにして作ったものですか。というのは、ここでポイントとして挙げるときに、全部の文章の中から選ぶ選び方というのも当然あると思うのですが、これ自体はもともと局長級会議でこういうポイントが出てきて、それが承認されたというか、そういうものなのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 こちらの資料は、局長級の関係省庁対策会議で用いられた資料ですので、その対策会議については、内閣官房が事務局をしております。若干修正した部分は、下線部、これは専門家会議の意見書からの変更箇所ということで、今回、厚生労働省として変更した部分をわかりやすくという意味で加工をさせていただきました。
○健康局長 この専門家会議をやって、なぜすぐ厚生労働省案を作らなかったのかというあたりから始まっているのですが、行動計画というのは政府全体で策定するということなので、やはりこの専門家会議での提言が必ずしも100%通らないという構造上の限界があるのです。そうは言いながらも、我が方としては厚生労働省が中心だろうということで、専門家会議でいただいた提言の趣旨をかなり盛り込んだつもりです。ただ、関係省庁の局長会議のところでも、すべての省庁がかかわるわけなので、そういった観点からやはり万全を期すという観点で、この書きぶりも全省庁で合意しているといった形になっているので、若干力点のおき方が違うのはやむを得ないと思っています。
 ただ、その中で肝心なところについては、医科学的といいますか、厚生労働省の立場として主張したところは、100%通っているのではないかと思っています。先ほどの澁谷委員の話に言及しますと、ここで言われたことの中で重要な点として、ある段階になったら一般の医療機関での在宅の診療・治療への切り替えということが議論になったという中で、厚生労働省だけではなくて、危機管理を担当する省もいろいろ内閣官房にあるので、そういったところからも、新しい視点を担保するために、より具体的に書くべしという意見もありまして、ここは強調したというところです。
○岡部議長 この委員会が12月ぐらいでしたか、最後に開かれたときに、いまの局長の説明のようなことがあって、これは委員会としても、委員会が出すのは専門的な事項に基づいた提案であって、それに基づいて、できるだけそこを取り入れながらですが、政府全体の案として変更はあり得る。したがって、それが最終的に出てくる行動計画は、委員会が作るのではなくて、政府が作るものであるという認識であったと思うのです。その最終案として、これが関係省庁会議で検討されたということなので、私たちはここで著しくそこの専門性等々に異論があれば、それは申し上げる必要があるけれども、そうではない部分については、政府側として合意を得たものである、そういう考え方ではないかと思うのです。その上でコメントを言っていただければと思います。
○庵原委員 プレパンデミックワクチンを製剤化して備蓄するという話なのですが、これはどのくらいの数字を備蓄すると考えておられるのかというのが1点です。製剤化してしまうと1年しかもちませんので、毎年同じ量を製剤化して備蓄していくという考えでよろしいのかというその2点です。
○新型インフルエンザ対策推進室長 ご指摘のとおりでございまして、どれぐらい事前製剤化するかということについては、また作業班会議でご意見をいただきたいと思っております。有効期間は1年と短くなってしまいますので、1年経ったらまた新たなものを製剤化するという必要が出てくると思います。ですから、あまりたくさん事前製剤化してしまうとロスが大きくなりますし、少な過ぎると初動の接種というのが遅れてしまう。そこら辺をどうバランスを取っていくかというところを、まさに作業班でご議論いただきたいと思っております。
○健康局長 作業班もそうなのですが、予算編成との関係もありますので、いただいた意見の中からその意を受けて、我が方としては必要な予算を確保するということになろうと思います。
○岡部議長 そうすると、前提としては製剤化する部分も取っておくけれども、その具体的なものはワーキング・グループのほうにある程度意見を求めると。それと一緒に予算化の議論になると、厚労省のほうでやるという考えになりますか。
○健康局長 そういう考えです。
○岡部議長 庵原先生それでいいですか。
○庵原委員 はい。
○押谷委員 先ほどの話なのですが、12月か11月の終わりごろの議論の中で、いまさら言ってもしょうがないことは重々承知しているし、省庁とのいろいろな調整などが必要だったということもよくわかるのですが、前回の会議が開かれたときの話では、パブコメとか関係省庁連絡会議がすぐに開かれるような話で、11月か12月初めぐらいに急いでまとめなければいけないという話だったと思うのですが、実際に関係省庁連絡会議が開かれたのが8月15日です。そういうタイムフレームが我々が聞いていた話とかなり違って、すぐにガイドラインの策定に入るというような説明を受けていたと思うのですが、ガイドラインの策定には全くいままで着手されていない。その辺りの説明というか、我々が聞いていた話といままでの説明がかなり違っているので、今後このガイドラインをどのようにやっていくかとか、そういうタイムラインのこともあるので、きちっと決めたタイムラインに従ってやっていくということが必要なのではないかと私は思います。
○岡部議長 タイムラインのことは含めないで、いまのことについて局長のほうからお願いします。
○健康局長 健康局の仕事は広くて、震災や原発のこともありまして、震災があったのは3月ですけれども、職員をまず水道の問題ならば水道のほうに投入し、あるいは墓地埋葬の問題ならばかなりの職員を墓地埋葬に投入しながら動いておりまして、今年は特殊だったと。政府でもいろいろ東日本に向けて、あるいは原発問題に向けて対策本部を作っていまして、いまは対策本部もありますけれども、ほかのいろいろなこともあってやむを得なかったと思っています。今後のスケジュールは。
○岡部議長 ではスケジュールのほうを。
○新型インフルエンザ対策推進室長 スケジュール。
○岡部議長 ざっと今後のタイムラインを。またあとでご説明があると思うのですが、どうして長くなったかということについてもリンクすると思うので。
○新型インフルエンザ対策推進室長 この行動計画もそうですし、ガイドラインもそうなのですが、厚生労働省だけのものではないということがありまして、おっしゃるとおり政府全体でどういうスケジュールで進めていくかということをしっかりと決めた上で対応していく必要があろうかと思います。今後のスケジュールについては、次の議題の中でご説明しようかと思っていたのですが、資料3になりますが、まだどのように進めていくかということは固まっておりません。資料3の4のところに書いてあるとおり、「検討スケジュールについては、内閣官房と協議の上、今後、調整する」とさせていただいています。そうは言っても、また作業班を近々に開いてどう進めていくかということをご相談する必要がありますので、それまでには内閣官房ともしっかりとすり合わせをして、いつぐらいまでにこのガイドラインの見直しをするか、またそれに間に合わせるためには、専門家会議としてはいつぐらいまでに意見をまとめる必要があるかということを、しっかりとお示しできるように調整をしてまいりたいと思っております。
○岡部議長 押谷委員、いかがですか。
○押谷委員 震災があったというのはわかるのですが、我々が聞いていたのは、年度内にもガイドラインの作成を始めると。そのために12月に行動計画ができる必要があるのだという説明を受けていたと思うので、そういうタイムラインでは動いてこなかったと。その辺りはもう少しきちんとタイムラインに従って今後もやっていく必要があるのではないかと思います。
○岡部議長 今後タイムラインを設定して、ガイドラインの検討にも入っていくだろうと思います。このガイドラインも専門家会議の発行するガイドラインではなくて、政府案のガイドラインという形になってくるだろうと思うのですが、それに協力して案を出していろいろ専門的な提案をする側としては、押谷委員がおっしゃったような、もしタイムラインからずれてきたとしたら、私たちは相当前回も急がされたのですが、その後がずるずるとしてしまったということがあるので、それはそれとして、いろいろな理由があったのだと思うのですが、今後はあまりタイムラインからずれた場合は、やはり委員のほうにきちんと伝達していただきたいというお願いをしたいと思います。委員の方よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○岡部議長 ではよろしくお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 どこまで丁寧にやるかという問題があると思いますが、2月末に専門家会議の意見書をまとめるということについてお知らせしたりとか、節目節目ではお伝えしたかなと思うのですが、もうちょっときめ細かく対応できるようにいたしたいと思います。
○岡部議長 そういうところがスムーズにいっていかないと、結局両方の信頼関係もあるので、言った言わないの話ではなくて、できるだけスムーズにいくようによろしくお願いします。
○谷口委員 いまのお話によると、この行動計画というのは今後、閣僚級で決定されると。非常に高いレベルのお話だと思いますので、いま細かいことをどうこうという必要はないと思うのですが、ただ、そういうレベルのお話でありますと、前回のときにも、例えばこういうものが必要で、厚労省さんが予算を請求したけれども全部蹴られたとか、実際にそういう話があったわけです。つまり、各省庁が何をすべきかというのが書いてあるわけですから、海外のいわゆるアクションプランには財務省は何をすべきか、つまり必要な予算について国がちんとこの部分を指令していくとか、そういった部分は海外ではきちんと書かれているわけです。前回の様子を見ていて、厚労省の方が一生懸命予算を作られて請求されて蹴られましたというのを何回も聞きました。国で計画を決めるのであれば、そういったことはどこかに記載があるべきではないかと思うのですが、そういった記載はどこかにあるでしょうか。
○健康局長 そういうのは必要ありません。関係大臣が連帯して責任を負うものですから、こういうものは政府全体としてまさに行動するわけなので、この予算については何々省庁がという性格のものではないのです。
○谷口委員 この計画は、このとおり実行されていくというように考えてよろしいですか。
○健康局長 そのとおりです。
○岡部議長 国の責任において行われるということですよね。実行が100%インプリメントされるかどうかというのは、いろいろな状況があると思うのですが、それについて国が責任を持っているということだというように私は理解したのですが。
○川名委員 私は内容に関する細かいところの確認になります。資料2の真ん中の少し下のところに赤字で、地域の発生状況により「地域未発生期」、「地域発生早期」、「地域感染期」の3段階に都道府県ごとに分けると書かれていますが、これにつきましてはおそらく「行動計画の見直し案」、資料5を見ますと、たぶん40頁の図が対応するのだと思います。下のほうにA県、B県、C県、D県と書いてあって、それぞれが地域未発生期、地域発生早期、感染期に分かれているというように読めます。そうしますと、この未発生期、発生早期、地域感染期というのは、各都道府県が独自に決めるというように理解してよろしいでしょうか。

○岡部議長 事務局からお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 各都道府県で決めるということですが、都道府県に全部丸投げしていいのかという話は議論としてありまして、少なくとも、いちばん最初にステージが変わるような決定をするような都道府県については、国もしっかり関わっていくというような対応は必要ではないか。国とも協議の上でということで、37頁の下のほうに、「地域における発生段階を定め、その移行については、必要に応じて国と協議の上で」と。国もそこに関わって判断していこうということで進めていくことになろうかと思います。
○川名委員 この40頁の図を拝見しますと、都道府県が判定した段階で、おそらく国がステージを決める。都道府県の中でもっとも早い判断が下されたところに、たぶん国のステージングが追い付いていくというような感じになっています。おそらく都道府県で最初に判断する所は非常に責任が重くなると思いますので、そこは是非、何らかの支援といいますか、サポートが必要になるだろうと思います。
 もう1点よろしいですか。前回の2009年のパンデミックのときに、私はリスクコミュニケーションというのは非常に重要だと思ったのですが、この行動計画の見直し案の中には、「情報提供・共有」という項目が青で書いてありますが、これがリスクコミュニケーションについて書かれた部分というように理解してよろしいのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 そのとおりです。
○岡部議長 そのほかにもご意見がありましたらお願いします。
○押谷委員 今後、ガイドラインの改定をしていく作業になると思うのですが、その過程でいろいろな問題が出てくると思います。この行動計画も関係省庁連絡会議で承認されてしまうと、これはなかなか動かせないということになるわけですね。ガイドラインはこれに縛られていく。ただ本当にこれでいいのかどうかという議論が必要な部分というのはまだまだあると思います。例えば帰国者・接触者外来、そういうものもどうやって作っていくのか、本当に必要なのかとか、そういう根本的な議論からからやっていく必要があると思うのですが、ただこれに縛られていってしまうと、それがずれた場合にまた一から関係省庁連絡会議に諮って、この行動計画を改定しなければいけないという作業になるのでしょうか。
○岡部議長 システムとしてどうですか。
○健康局長 これに縛られるというか、当然、政府全体で決めた行動計画に則ってやることだと思います。ただ、さっきから行動計画にはすべてのことは書いていないので、まさにそれを補完する意味で充実したガイドラインを作ろうということです。
○押谷委員 12月のときに、11月だったかもしれませんが、ここでは行動計画も時間が限られているので出さなければいけないけれども、いろいろな議論をしなければいけない部分がまだまだ残っているという話を、この会議でしたと思います。そのいろいろな議論をしなければいけないという部分がまだまだたくさん残っているわけです。それは新たなエビデンスに基づいて変えなければいけないこともあるし、2009年のあの新型インフルエンザを踏まえて変えなければいけない部分もあるわけです。そこら辺の議論は全くこの会議ではされてないし、ワーキングもほとんど開かれていない状況なので、そういう議論が全然できていないわけです。それで本当に行動計画をこの段階でファイナルのものにしてしまって、ガイドライン策定がそれに縛られてしまうということでいいのかどうかということです。
○健康局長 いいのかと言われても、私たちはこれでやることになりました。しかし、すべて帰納法的にやるのか、すべてチェックしてからこういう行動計画ができればいいのかもしれませんけれども、ものの手順としては、そういうことも念頭におきながら。これに基づいてガイドラインを作るということなので、いま具体的にこれから想定されるガイドラインで、この行動計画がこの会議にとって何か不都合なことがあれば、いますぐ改定は無理ですけれども、ご提言いただければと思います。
○保坂委員 ざっくばらんに言って、行動計画は行動計画であると、それに非常に乖離した形が、矛盾した形でなければ、ガイドラインの中で、かなり自由度をもって私たちが議論をすることはできると私は認識しているのですが、国全体でものすごくお金を使うこととか、ものすごく規制をかけるということを突然ガイドラインで決めることはできないけれど、それ以外のことはできるというように認識しています。そうでなければ、いま局長がおっしゃったような、何を決めてから何を決めるということは全部一元的に一緒に決めない限りはできない。
 それからこの仕組みの中で、私はずっと厚生労働省はもっとイニシアティブをとってほしいということを言っていますけれども、イニシアティブをかなりとっても、やはり国全体のほかの省庁にかかわることなので、できないということからいうと、しょうがないのかなと私は思います。
 もう1つお聞きしたいのは、パブコメをいま取っているわけですよね。それは厚生労働省の問題ではないと思うのですが、そのパブコメを取ったものを今回の見直し案に反映させるという作業をして、それでこれを最終案ですよという形を作って、それで閣僚級会議で決めるという手順だと思うのですが、パブコメを反映した内容がこの会に諮られるというか、ご説明されるということは考えていらっしゃるのでしょうか。パブコメを取るということが大変形骸化していて、ただ取ったからいいよというようなものになりがちだと思っているのですが、その点についておわかりであれば教えてください。
○岡部議長 事務局のほうからお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 次の議題にもかかわってきますけれども、今後、作業班において、詳細なご議論をいただきたいと思っていまして、その際には、今回ご説明したものと変更している部分があれば、どういうパブリックコメントが出てきて、それにどう対応したかということも含めて、事務局としてしっかり説明をさせていただきたいと思っております。
○岡部議長 パブリックコメントでどういう提案があって、どのような対応があったかというのは、やはり委員のほうには是非ご連絡をいただきたいところです。これだけ専門家会議が議論していたけれども、パブリックコメントは非常に貴重だと思うのですが、たった1行全然違う考えの人が意見を言って、それを取り入れられるというのでは、専門家会議としてはちょっとやるせない思いがありますから、その辺りのところはオープンにしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
 先ほどの押谷先生の意見ですけれども、もともと行動計画が基本的にあって、それでガイドラインで詳細を決めていくというプロセスを、随分前の委員会でもやったと思うのです。しかし、これは仕方のないことですけれども、行動計画の中にもかなりガイドライン的な細かいことが入っていたり、あるいは非常に重要だと思われる議論が先送りになっているというのも、これは事実だと思うのです。しかし、基本的な行動計画としてできたものが一応、省庁でそれぞれがアグリーした政府案として出ているので、一応これに準じた形でやっていくのは、これはもうスタイルとしては仕方ないと思います。保坂先生がおっしゃったように、その中に著しく実際の現場で困って整合性がつかないようなことがあった場合には、それはそれとして意見を言っていくのがこの専門家会議の役割ではないかと思うのですが。そこでまた責任論になってしまいますけれども、ガイドラインもこの専門家会議の意見で100%できるのではなくて、最終的には専門家的な部分については我々の意見をできるだけ尊重してもらって、それで政府案としていくという、そういうプロセスだろうと私は理解をしています。加えてもし意見があればよろしくお願いします。
○保坂委員 私は、この行動計画に定められていることに、あまりにも違うことでなければ、ガイドラインで決めるというか、提案してもいいのではないですかということを申し上げているのです。あまりにも齟齬があるようなことであれば、いまの岡部議長がおっしゃったように、ここはどうしてもまずいからということで、ガイドラインをこう決めたいのでということで、その行動計画のほうを変えていただかければならないこともあるかと思いますけれども、とにかく、あまり行動計画の中の細かい点には縛られないでガイドラインを決めていきましょうというようなことでよろしいと思うのですが、事務方はいかがでしょうか。
○岡部議長 先に私が言ったらいけないのかもしれませんけれど、専問家会議はそこはやはり自由闊達な意見があったほうがいいと思うのですね。専門家会議はこういう意見だと。行動計画に則って議論をしていくわけですけれども、そこは自由闊達な意見があっていいと思うのです。専門家会議は提案をして、それをどうやって料理するか、あるいはインプリメンテーションしていくかというのが政府側の役割になっていくと思いますけれども。
○健康局長 参考資料5の23頁に、いままでは書いてなかった図があるのですが、「新型インフルエンザ専門家会議」ということをちゃんと行動計画の中に明記して、発生前もそうですけれど、発生後についても、ガイドラインのみならず、いろいろな専門的立場からのご意見を伺い、そして重要事項については政府の対策本部のほうに随時言うという形になっていますので、そういった意味では、別に決めるべきところは決めますけれども、硬直的に何かやろうというようには思っておりませんので、まさに専門的な立場から随時ご意見を伺いたいと思っております。
○岡部議長 そこがこの行動計画のところにある柔軟な対応というところに我々は期待する部分もあるのですが、状況に応じて変化する可能性は多分にあると思うのです。そのようなときに、特に専門的な部分については専門的な意見、実際に行政判断の部分は、そちらの専門で判断をしていただくという必要があると思うのです。
○谷口委員 いま23頁の図を見せていただいて、発生後の実施体制で、新型インフルエンザ対策本部の横に「専門家」というのがあり、その下に「専門家会議」というのがあるのですけれども、これは以前は一緒になっていませんでしたか。つまり「専門家」と「新型インフルエンザ専門家会議」が結ばれていませんでしたか。これだと全然別個の専門家が立つように見えるのですが。
○健康局長 同じ人がなるかもしれませんけれども、役所上の位置づけとして違うということで、書き分けたということでありまして、岡部先生になるかもしれませんし、田代先生になるかもしれませんが、形式論でこういう記載をしてあるということです。
○岡部議長 この図そのものは前にも原案としては出ていましたよね。
○谷口委員 専門家、諮問委員とか、そういうのがいくつもできると前回と同じになると思ったものですから。
○岡部議長 それは前のときに議論があって、それでこの専門家というのを絞ったような記憶があります。
 ほかにまたご意見をおっしゃっていない永井委員、坂元委員、あるいは伊藤委員、田代委員、この件について何かありますか。
○田代委員 確認ですが、今度作るガイドラインは厚労省関係だけではなくて、ほかの省庁の、実際のアクションプランも含むわけですよね。それについては、この会は直接は関与しないという認識でよろしいですか。
○岡部議長 事務局のほうからお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 他省庁はそれぞれの担当する部分がありますので、それぞれの判断で検討していくことになるかと思います。こちらの専門家会議として、ここは他省庁にかかわる部分だから意見を言ったらいけないとか、そういう交通整理をしようとは思っておりませんので、他省庁にかかわるようなことでご意見があれば、それは適宜伝えることもできますし、また関係省庁の集まった会議の場で、専門家会議の意見を紹介するということもできるかと思います。
○岡部議長 よろしいですか。
○坂元委員 初めて参加して、細かいことですけれども、この赤字で書いてある部分も含めて全部、行動計画の改正のポイントというように理解していいのですか。そうすると、非常に細かいことなのですが、例えば、ファクシミリ等で、処方せんを有効にするというと、これはさらに「ファクシミリ等」の「等」は何かと思います。実際に薬事法の観点からすると、どこまで「等」に含まれますかという議論になります。この行動計画にはそういう細かい点まで入ってきてしまうのでしょうか。このように細かいことは今後ガイドラインに入れますということで、行動計画はこの「等」までにしておくということでしょうか。今後ガイドラインの中でその「等」の中身を検討していく、こういう理解でよろしいのでしょうか。
○岡部議長 事務局、お願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 そのような理解でよろしいかと思います。
○岡部議長 それでは永井委員、何かございますか。
○永井委員 ございません。
○岡部議長 伊藤委員はいかがでしょうか。
○伊藤委員 前回の専門家会議で、検疫については随分いろいろな話が出たと思います。特に水際対策の科学性についてはいろいろな意見があったと思います。そこを踏まえた上で、科学的知見が十分でないという話とか、例えば水際対策が残念ながら国内での発生を抑えることが前回できなかったことを踏まえて、ここであのときに相当人的な資源とか、いろいろな意味での問題が起きたのですが、更にまたここで検疫を強化するというのは、前回の議論を少し踏まえていないような気がするのですが、いかがなものでしょうか。
○岡部議長 事務局のほうからお願いします。
○健康局長 ポンチ絵というか、資料2の、検疫を強化するというのは、まさに赤字で書いてある「発生が疑われる場合、WHOのフェーズ4宣言前でも」云々であるとか、羽田を通過したという点でそうですけれども、この専門家会議で検疫をずっと引っ張ったのではないかというような辺りについては、注2の「検疫の強化については、病原性・感染力、海外の状況等を勘案することとし、状況の変化等により、合理性が認められなくなった場合には措置を縮小する旨を追加」という形で、この委員会でのご議論は記載しております。
○岡部議長 よろしいですか。ほかに意見がなければ、一応ここのところは、こういう改定のポイントがあるということで、委員会も了承。ただし先ほども申し上げましたように、ガイドラインについては、検討としては自由闊達に意見を行い、ただし、最終案はまた政府案として、いろいろな広いところで整合性やインプリメンテーションできるかどうかの検討があるのだと思います。
 それからWHOはIHRのReview Committeeで、一応パンデミックに対するレビューも行い、私が聞いているのでは、その後ガイドライン改定にも入るということです。そういったようなことも、こちらのガイドラインをこれから見直すときに参考にしていくというか、そういうのも並行作業で進んでいくというように考えていいのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室長 海外での動向、各国どういう見直しをしているか、またWHOがどういう考え方を示したかというのは、適宜このガイドラインの議論にもフィードバックしていく必要があるかと思います。
○岡部議長 そういう情報も十分入れておくようにお願いします。
 それでは時間もきていますので、次に話を進めていきたいと思います。その前に、既に議論には入っていますけれども、もう一回確認のために今後の進め方をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 資料3をご用意ください。今後の専門家会議の進め方ということで案をまとめております。今後、ガイドラインを検討していくに当たって、各作業班において、こういう形で分担してはどうかということを2番にまとめております。「サーベイランスに関するガイドライン」のように、新しいガイドラインも入れておりますが、全部で11本ありますが、この4つの作業班でこのような分担でご議論をいただいたらどうかということです。下に注釈を書いていますが、ガイドラインの構成については今後変更の可能性があるということで、場合によっては、また新たな別のガイドラインを作る必要があるというような議論があれば、それにも対応していくということもあり得ます。
 あと3番は、専門家会議としては、作業班での検討結果や、関係省庁での検討日程等を踏まえて、この見直し意見を逐次取りまとめていく。全体がまとまってからでないとこの専門家会議を開けないということではなくて、場合によっては、まとまった部分からでも順次取りまとめていくような方法でもいいのではないかという提案です。
 4番は、先ほども申し上げましたけれども、検討スケジュールについては、内閣官房といま協議しているところですので、まとまりしだい、委員の先生方にはお示ししたいと思っております。
 最後の(注)で、岡部先生からも繰り返しおっしゃっていただいていますけれども、最終的には関係省庁対策会議(局長級)において、政府として決定するものだとご理解をいただければと思っております。以上です。
○岡部議長 ありがとうございます。委員の先生方、ほかのいままでのガイドライン作成に加わっていただいた方にも、また随分とご協力をいただかなければいけないところがあると思いますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
 次に「その他」ですけれども、最近インフルエンザを巡る話題も結構出ていますので、そういうことも含めて、その他について、事務局のほうからご説明をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 時間があまりないので、手短かにご説明いたします。参考資料6です。この週末、すでに報道等もされていますので、ご案内かと思いますけれど、CDCのほうから発表があった事案です。インディアナ州・ペンシルバニア州でインフルエンザに罹患した幼児から、相次いで豚由来のH3N2ウイルスが同定され、このウイルスが変異株だったということでの発表です。2つ目の○、患者等に関する情報については、いずれの患者も既に回復しています。また、抗インフルエンザウイルス薬にこのウイルスは感受性があるということが確認されています。いずれの患者も発症前に本人又は身近な者(育児担当者)が豚へ接触したということが確認されています。患者に濃厚に接触した者への感染は確認されていないということです。
 次の○で、こういった事例について、過去2年間に豚由来のH3N2ウイルスが8名から同定されている、よくあることではあるということですが、今回異なっていたのは、ウイルスの8つの遺伝子のうちの1つ、M遺伝子という部分がH1N1ウイルスと置き換わっていたということで、ここが新しい点だということです。これはインフルエンザ(H1N1)2009と豚インフルエンザ(H3N2)のウイルスが豚に同時感染をして、「リアソータント」となったものと考えられるということです。
 あと最後の○で、豚への接触歴のある者でインフルエンザが疑われる場合には、検体を州の衛生検査所に提出し、抗ウイルス薬で治療するなど、監視を強化することをCDCでは呼びかけております。2頁以降にその原文を載せています。
 あともう1点、参考資料7です。これもつい最近、FAO、WHO、OIEからそれぞれ発表のあったものの概要、ポイントをまとめております。FAOから8月29日に発表があったもので、原文については3〜4頁に付けておりますが、その内容についてです。H5N1ウイルスの変異株がアジア内外にまん延する兆しがあり、人の健康へのリスクも予測不可能な状況にあるということで、準備・監視体制の強化をFAOが呼びかけています。家禽や野鳥でのH5N1ウイルスの集団発生については、2008年ごろから件数が徐々に増えて、地理的にも拡大しているということです。最近では、イスラエル、パレスチナ自治区等々で発生していて、さらに懸念されることには、中国及びベトナムにおいて既存の家禽用のワクチンでは予防できない変異株が発生しているということです。この件については、ベトナムにおいてウイルスが循環しているということで、これは周辺国だけではなくて、遠く離れた朝鮮半島や日本も危機にさらしていると。また野鳥の移動によって他の大陸に拡がる可能性もあるということです。どの国も安全とはいえず、準備と監視が不可欠であるというような注意喚起の発表がありました。
 これを受けて、翌日にはWHOがまた発表しています。WHOでは、これまでもウイルスの変異をしっかりと監視してきており、現時点の情報では、当該変異株が、公衆衛生上のリスクを高めることにはならないとしております。またWHOでは、あらゆる動物のインフルエンザウイルスについて、その公衆衛生上のリスクを定期的に評価をしているということですが、H5N1ウイルスの人への感染は、少数かつ散発的で、家禽にこのウイルスが常在している地域に限定されているということで、公衆衛生に影響を及ぼすことはない、というようなことを発表しています。
 あとOIEも同じようなトーンで、その次の日8月31日に発表しています。2頁ですが、この変異株の出現は直ちに警戒しなければならないものではないと。ただ、積極的な鳥におけるサーベイランス、また異常な動物の疾病が発生した場合には、速やかに報告して対応できるようにすることが重要であって、それを推奨しますということです。あとワクチンの関係で、このOIEのレファレンスラボラトリーでは、既にこのClade2.3.2.1に対する予防効果が確認されているワクチン株を開発しているということで、これが実用化されれば、それがまん延している国において、家禽用として利用できると記載されております。
 あと、動物インフルエンザの予防と制御は人の健康にもプラスの効果があり、極めて重要だというようなこともコメントされています。ちょっと駆け足になりましたけれども、事務局からは以上です。
○岡部議長 これについては参考資料8として、田代委員からも参考資料が出ていますので、これといまのH3N2の件等々も含めて、追加のコメントがありましたら、田代委員からお願いします。
○田代委員 いま対策推進室長から説明があった点ですが、この2点については先週から欧米のメディアで大騒ぎをしています。何かとんでもないことが起こっているのではないかというように思っている人もたくさんいると思います。そういうことで、CDCとOIEが少しカームダウンに動いているということですけれども、最初の豚のトリプルリアソータント由来の人の感染例というのは、いまお話がありましたように、毎年、北米では10名以内の患者が確認されています。それについてはその度に周囲のサーベイランスを強化してやっていますけれども、現在のところ、それ以上の拡大は認められていません。
 今回なぜこれだけ騒いだかと言いますと、2009年のパンデミックは豚由来だったわけですが、これが人の世界に入ってくる前になぜ豚の中で見つからなかったのかということが大きな反省材料になっています。それでアメリカではそれをいま強化しようという動きになっていまして、今回そういうところでたまたま引っかかってきたということです。そういう監視強化が必要であるということの1つの宣伝といいますか、追い風のために、こういう議論が一方でなされています。
 このウイルスそのものは、いまお話がありましたように、M遺伝子が現在の、人のパンデミック由来のウイルスと入れ替わっているというウイルスで、おそらく豚の中で同時感染を起こしてそういうことが起こったのだろうと考えられていますけれども、インディアナ州で分離されたウイルスとペンシルバニア州で分離されたウイルスはインディペンデントです。直接関係はありません。ですからたまたま偶然そういうことが起こったのだろうと考えられています。
 それから参考資料8ですが、これは8月31日に電子版で出たばかりの論文ですが、これも今回少しみんなが心配したことの背景にあります。これは全く実験的なものですけれども、2009年のパンデミックインフルエンザでも、M遺伝子が北米の豚由来のウイルスの中に入ったわけです。そのM遺伝子というのはアジア、ヨーロッパ系統の豚の中で維持されているウイルスのM遺伝子がそこに入れ替わったということです。ここに書かれている資料8の論文の趣旨は、それを実験的にそういうことを起こしてみて、動物実験のレベルで、これはモルモットのレベルですが、アジア、ヨーロッパ系統のウイルスのM遺伝子が入ると、動物の間で伝播しやすくなるかどうかを調べたものです。たまたま偶然かもしれませんが、今回北米で豚の中で流行していたH3N2のウイルス、豚のリアソータントのウイルスに、現在流行しているパンデミック、これはアジア、ヨーロッパ系統のウイルスのM遺伝子を持っているわけですけれど、そのM遺伝子を入れ替えた。今回インディアナ州・ペンシルバニア州の患者さんから分離されたウイルスと同じ構成のウイルスを実験的に作って、モルモットで実験をやった、それがこの論文です。そうすると、モルモットのレベルでは伝播しやすくなっていたと、こういう論文が出ています。この内容は学会で既に数カ月前に発表されており、そういうことから、こういうウイルスがもし出てきた場合には、人の中でも流行しやすくなるのではないかということが危惧されていたわけですが、そこに、それにぴったりするようなウイルスが2株分離されたと。それで大騒ぎをしているわけですけれども、CDCの発表にありますように、現時点では、これはすぐにパンデミックに結びつくような状況とは判断されないということです。
 2番目の、FAOが発表したH5N1の新しい抗原変異株は、既に半年以上前からこういうウイルスは鳥の中にいるということがわかっていまして、WHOでもずっとモニターしています。このウイルスそのものは、日本では使っていませんが、中国、ベトナム、インドネシア、その他の国で現在、鳥に使っているワクチンでは抑えきれないような抗原変異を起こしているウイルスです。これについては、鳥の中でワクチンを使うということは当然こういうことが起こるだろうということは予想されていたわけで、まさにそのとおりのことが起こっている。このメッセージとしては、現時点ではこのウイルスが人に対してパンデミックになるというような危険が増えたというようには判断できません。一方で、鳥におけるH5N1のコントロールのために、やむを得ずに途上国ではワクチンを使っている国があるわけですけれど、そのワクチンの使用に対する1つの警告というか、そういう意味合いを持っていると思います。以上です。
○岡部議長 どうもありがとうございました。時間ですが、何かご質問はありますか。
○谷口委員 アメリカのSwine-OriginのH3N2は、この症例は夏に発生しているわけですよね。アメリカのように日本も、インフルエンザウイルスの病原体サーベイランスについて、強化をするということはいかがでしょうか。そういうお考えはありますでしょうか。
○岡部議長 それは事務局に対する質問ですか。
○谷口委員 はい。
○感染症情報管理室長(中嶋) これまでも日本ではインフルエンザウイルスのサーベイランスが実施されてきており、これは特に冬季に限ったものではないというように理解をしております。ただ、検出の度合いが多い冬の間のウイルスから集めるというのが、やはりどうしても主流になっているところではないかと思います。今日配布の資料中にもアメリカのやり方というのが少し書いてあるようですので、このようなことも参考にしながら、またご相談させてもらいながら今後のことを考えていきたいと思っております。
○庵原委員 いまの谷口委員の質問は、豚のサーベイランスをどうするかという質問であって、人のサーベイランスではないということですね。
○谷口委員 私が含むところは、人のサーベイランスで、これは結局、人から分離されているので、やはり人でのサーベイランスを強化すべきではないか。
 一方、もちろん先生がおっしゃるように、豚を見ていくというのも、もう1つの戦略であろうかと思います。それはもう少し動物のインフルエンザの専門の先生からもご意見がいただけるかと思います。
○岡部議長 従来、インフルエンザというと、6、7月になるともうインフルエンザのシーズンではないから、治験などでもなかなかできないというような状況があったのですが、それが随分よくなってきているとは思います。ただ、この専門家会議でも是非そういうインフルエンザのサーベイランスは、いわゆるシーズン時期以外でもきちんとできるように、さらに環境を整えていただきたいと思います。
 ほかにご質問はいかがですか。では、私から最後に1つ。田代先生、インディアナとペンシルバニアがインディペンデンスだというのは、これは疫学的にインディペンデンスなのですか。
○田代委員 ウイルスの遺伝子の上から、直接関係がないということです。
○岡部議長 ありがとうございました。
○血液対策課長(三宅) この症例の周辺ではヒト-ヒトの疑いの症例は出ていないのでしょうか。
○田代委員 いま調査中ですけれども、現時点では、いまのところは見つかっていません。ただ、第1例目か2例目か忘れましたが、女の子で、その子は直接は豚との接触がなくて、その子のケアをしていた人が、直前に豚の見本市か何かの会場に立ち寄っていたという、そういうことです。
○岡部議長 きちんとやっていく必要はあるけれども、直ちに公衆衛生対策上に何か問題が生じているわけではないという理解ではないかと思います。この点は日本の中でも随分メディアの方も注目して見られたようですけれど、私はわりに冷静に捉えていただいているのではないかと思いました。
○田代委員 いまの谷口さんの質問にも関連するのですが、これは日本には入っているかどうかということも、いつかアメリカから来るかもしれないという可能性は当然あるわけです。現時点でのサーベイランスでは、特異的にこのウイルスを見つけることはできません。というのは、迅速診断キットではまず普通のA型としかわからないのです。そこでは鑑別できない。それから、地方衛生研究所でウイルスを分離した段階でも、これはH3N2であるということまでしかわかりません。この特別な株かどうかはわからない。現在、国内で使用してもらっているPCRのプライマーでも鑑別できません。これを鑑別するには、遺伝子の塩基配列を決めなければいけないわけですけれど、それはかなりいろいろな所でやられています。昨シーズンから、その前からもそうですけれど、ずっと国内で分離されたH3N2を見ますと、この北米の豚ウイルスに由来するものは、国内では現時点まで1例も見つかっていません。
 それからもう1つ、M遺伝子が入れ替わっているかどうかについても、これは現時点では積極的なサーベイランスはやっていません。これがもし必要であれば、やることになると思いますけれど、先週の土曜日にアメリカのCDCに対して、この2株のウイルスを日本に送ってくれるようにと。それからそれに加えて、PCRの診断用のプライマーの情報、その他、いま送ってもらうように依頼していますので、PCRのプライマーの情報はおそらく今晩中には着くと思います。ウイルスは今週中には日本に送られてくると思います。着きしだい、もし必要になった場合に備えて、準備だけは急いで確立いたします。
○岡部議長 貴重なご意見をありがとうございました。引き続きウォッチングだけは十分にやっていくということで、よろしくお願いします。
 それでは時間もちょっと過ぎましたので、今日の委員会はこれで終了したいと思います。あと事務局のほうから次回のことも含めて、アナウンスがありましたらお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 今後は作業班のほうでご議論をいただくことになりますので、また別途、日程調整等をさせていただきまして、ご案内をさせていただきたいと思っております。本日は長時間にわたり、ご議論をいただきまして誠にありがとうございました。


(了)

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