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8月9日  第3回 東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会

○日時

平成23年8月9日(火)
16:00~


○場所

厚生労働省専用17会議室


○議事

○田原中央じん肺診査医 本日は大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第3回「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を開催させていただきます。今回は、参集者7名のうち今村委員、草間委員、祖父江委員がご欠席です。明石委員の代理として、前回に引き続き富永隆子委員が出席されております。今回は眼科領域からということで、国立保健医療科学院医療福祉サービス研究部の平塚義宗様にご出席いただいております。
 前回の検討会から、事務局に異動がありましたのでご紹介させていただきます。安全衛生部長兼東電福島第一原発作業員健康対策室室長に宮野甚一です。労災補償部長兼対策室副室長に鈴木幸雄です。労働衛生課長に椎葉茂樹です。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行は相澤座長にお願いいたします。
○相澤座長 皆さんこんにちは。大変お暑い中をお集まりいただきましてどうもありがとうございます。円滑な議事の進行にご協力をお願い申し上げます。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○田原中央じん肺診査医 表紙は「第3回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」となっています。今回、本編の資料は表裏で1枚のみで「被ばく線量に応じた長期健康管理について(案)」です。これが、今回ご議論いただこうと思っております健康診断等のメニューです。それから参考資料1「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関するグランドデザイン」ということで、前回7月21日の検討会でご議論いただき、その後に確認等をさせていただいて、先週公表した中間まとめのようなもので、通しの3頁から8頁まであります。通しの6頁と7頁がデータベースの項目のイメージです。通しの9頁は参考資料2「緊急作業従事者の被ばく線量について」ということで、毎回その時点で公表されている最新のもの、7月29日付で東電から報告があったものです。3月に第一原発に入った方、4月から入った方、それぞれの方の被ばく線量分布で、東電の社員と、協力企業で分かれています。通しの11頁は「全国の原子力発電所の労働者の被ばく線量について」ということで、放射線影響協会のほうで公表しているものから抜粋したものです。全国の、原発をはじめとする原子力施設の放射線業務従事者、いわゆる放射線管理手帳を持って線量登録されている方の、平成21年度の線量分布です。普段の平時の原発の作業で、大体これぐらいという目安です。参考資料4は「一般的な健康診断項目について」ということで、ここでは労働安全衛生法の一般定期健康診断を皆さん年1回程度受けますが、その健康診断の項目。それから高齢者医療確保法、いわゆるメタボ健診で標準的には大体こういう項目が含まれますというものを示したものです。通しの15頁と16頁は参考資料5で、労働安全衛生法等の健康診断に関する規定です。15頁の真ん中のところに、労働安全衛生規則の抜粋として、定期健康診断の項目について述べています。16頁は、労働安全衛生法の中の、電離放射線障害防止規則の健康診断の項目です。これは、放射線業務に従事されている方が受ける健康診断に関する規定です。今回の資料は以上です。
○相澤座長 それでは、資料について事務局から説明をお願いいたします。
○田原中央じん肺診査医 通しの1頁です。今回は、過去2回のものを踏まえ、具体的な中身についてのご議論をいただきたいと考えております。1「健康管理の在り方について」のところを読み上げさせていただきます。東電福島第一原発における緊急作業従事者においては、原子力発電所における通常の放射線業務への従事による被ばく線量を超えた労働者、更には従来の放射線業務では想定していない線量の被ばくをした労働者がいることから、被ばく線量の増加に伴う健康障害の発生が懸念されるところであります。
 また、通常の放射線業務とは異なる環境下で、緊急性の高い作業に従事したこと、そのもの自体により、被ばく線量にかかわらず労働者が心身の長期的な健康に不安を感じるといったことも想定されます。
 したがって、先に取りまとめたグランドデザイン(参考資料1)を踏まえ、健康管理のための具体的な実施事項として、緊急作業における被ばく線量に応じて実施するもの及び、緊急作業従事者全員を対象とするものそれぞれを設けるという考え方で素案を作っております。
 2番目に、素案としての具体的実施事項があります。線量に関するところでいくと、(1)緊急作業における実効線量が50mSvを超え100mSv以下の者を対象とするものとして、年1回、眼の検査を受診する機会を設ける。この眼の検査というのは細隙灯顕微鏡による検査を実施するとしております。まず、ここの50mSvのところなのですが、これは平時の放射線業務での年間線量限度を目安に線を引いております。年間でも50mSvを超えないこととなっています。
 眼の検査については参考資料5、通しの16頁の電離放射線障害防止規則の「健康診断」の第56条第4号に白内障に関する眼の検査というのが、もともと項目としてはあります。ただし、放射線業務に現に従事している方はこの対象になりますが、例えば事務などのほかの業務に移った方は対象になっていないという点が1つです。もう1つ、ここには「検査をやること」という規定はあるのですが、検査方法に関する規定がありません。先ほどの素案に書いた細隙灯を使っている所もあれば、自覚症状のような形で、診察に器具を使わずにやるような所もあります。第1回のときに鈴木先生だったか、児玉先生だったか忘れてしまいましたが、眼の検査はそれなりにある程度ちゃんとできる所でやったほうがよかろうというご意見が出たと記憶しております。その辺も踏まえて、法定の要求事項を超えた項目として、「細隙灯を基本とする」というところまで入っております。
 通しの1頁に戻りまして、(2)緊急作業における実効線量が100mSvを超えた者を対象とするもの。アとして、(1)に加えて年1回、甲状腺の検査及びがん検診(胃・大腸・肺)を受診できる機会を設ける、ということを素案としております。
 イから先がもう少し具体的な中身です。甲状腺の検査としては、採血による甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離トリヨードサイロニン(freeT3)及び遊離サイロキシン(freeT4)の検査を実施するという案にしております。ウの胃がん検診としては、胃のエックス線透視検査又は胃内視鏡検査を実施するとしております。エの大腸がん検診としては、便潜血検査を実施する。オの肺がん検診としては、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診を実施する。
 通しの1頁に戻って、実効線量の100mSvを超えたというのは、もともとの電離則の緊急作業での線量限度を目安にしております。先ほどの50mSvというのは、平時の作業として年間50mSvを超えることは基本的にない、少なくとも法令の範疇ではないということになっています。今回の100mSvというのは、緊急作業でも本来もともとないはずである。ただ、今回の東電福島第一原発については、ここの線量を最大250mSvに上げている事情があります。これが50mSv、100mSvの線引きの意味です。
 甲状腺の検査に関しては、どうしても子どもの場合には甲状腺がんのほうに気が行くかもしれませんが、今回は基本的に成人であることと、若い方からある程度年配の方までいるであろうということ。作業を続けるときに、安定ヨウ素剤を連用されている方がいます。それに伴って甲状腺がんというよりは、甲状腺機能低下症等の発生が危惧されるという話も聞いております。ですから、甲状腺の検査としては、どちらかといえばがんというよりは、甲状腺機能のホルモンのところを設定しています。
 胃がん検診としては、死亡率低下の根拠がはっきりしているものというとエックス線透視になるのですが、これ自体がある程度被ばくする検査ということもあり、内視鏡検査の選択肢もあるということで「又は」としております。大腸がん検診としては、死亡率低下の実績がある便潜血検査がオーソドックスであろうということでここにしております。
 オの肺がん検診としては、胸部エックス線検査と喀痰細胞診としております。胸部エックス線検査は、労働安全衛生法の定期健診でも撮影することがありますし、喀痰検査も項目としてはあります。ただし2~3年前から、胸部エックス線検査は一部省略可となっていること。もともとこれは結核を念頭に置いた検査で、喀痰検査も細胞診というよりは、もともと結核が主なターゲットだったと思いますので、省略されることも多い、その辺を加味して、一般健診でやらないこともあるだろうということで、肺がん検診としての項目を立てております。ここまでが(2)です。
 (3)は線量に関係なく、全員を対象とするものとして挙げております。アは、所属事業場における通常の健康管理を行う。これは、ある意味当然ということで、普通の一般定期健康診断をきっちりやってもらいましょうということです。イは緊急作業従事前、従事中、従事後の被ばく線量及び従事中の作業内容について、事業者から提出を求めてデータベースに登録する。これは、グランドデザインのときにも使いましたが、被ばく線量と作業内容については、事業者経由でデータベースに登録してもらおうということです。ウの健康診断結果については、本人の同意を得てデータベースに登録する。健康診断の結果になるといろいろな項目があります。法定のものもあれば、法定外のものもありますので、本人の同意を得てということになりますので、線量と作業内容とは分けて書いてあります。
 エは、通常の放射線業務とは異なる環境下で緊急性の高い作業に従事したことによる精神面への影響に対するケアを含めて離職した者、ここの「離職」というのは、例えば定年とか、労働者ではなくなった人を指しているということで、第一原発を離れたという意味ではありません。労働者ではなくなった方及び放射線業務を行わない企業に転職した方を対象として、健康相談窓口を設ける。これは放射線業務をやっている、例えば東電の中で原発に勤めていますとか、東電の中で原発以外の間接的な所に行きましたというのは、基本的に第一義的には東電の中での健康管理でやってもらおうということです。そもそも定年でリタイアして、労働者ではなくなった方については、事業者にやれというわけにはいかない。もしくは、転職して全然違うジャンルの会社に移った場合に、そこの事業者に対して定期健康診断をやれというのは当然あるのですが、それ以上のところを求めるわけにはなかなかいかないだろうということで、こういう書き方をしています。
 オは、その他健康管理に関する取組などについて随時案内を行う。線量の高い人だと定期的に健康診断の案内が行くという話をしましたが、それ以外についても、例えば単発で何かプログラムがありますといったときに呼びかけて参加者を募るようなことをイメージして書いております。
 3「健康管理の内容の見直し」です。上記2の内容については、3年後を目処に見直しを検討する。あえて言えばジェー・シー・オーの前例はありますけれども、これだけの規模で、これだけの内容というのは前例がないということで、まず走ってみて見直しをかけるということで、このような記載をしております。以上です。
○相澤座長 議論に入る前に、内容についてご質問がありましたらお願いいたします。
(特に発言なし)
○相澤座長 特にないようでしたら、ご意見をお願いいたします。1「健康管理の在り方について」のところがありますが。
○田原中央じん肺診査医 ここの中には書いてないけれども、ご議論いただきたい点が1つあります。ほかの所で、白血球などの血液検査はどうしたのだという質問を受けることがあるかと思います。例えば、今回の50mSvのところに白血球の検査というのを考えたのですが、入れていない事情があります。そこについては参考資料4で、もともと貧血検査が項目としてあります。一部省略可能となっておりますが、これは主に年齢で区切っていますので、少なくとも40歳以上ではほぼルーチンでやられている検査です。赤血球系の検査をするときには必ず白血球の数と血小板数はセットで一緒にやっているのが実態です。
 今回のメニューというのは、基本的には普通の健康診断に更に上乗せして、機会も別立てで実施するようなことを想定しています。たまたま一緒にやることもあるかもしれませんが、もしかしたら普通の健康診断とは別途実施することもあるかなということを想定しております。白血球の数は、こういう定期的な所で、もともと実態としてされているので、あえてそれだけのために別立てでする必要があるのかというところに疑問があるということで、ここの案にはあえて載せていないということです。そこを補足させていただきます。
○相澤座長 検査はしているけれども、項目には入っていないと。
○田原中央じん肺診査医 あえてこれだけのために、別立てでやる必要があるのかどうかということです。そこのところもご意見をいただければと思います。もともと電離則のほうではあるのですが、これは急性でたくさん浴びて、白血球の数とか分画に異常を来すことを想定して設定されておりますので、長期的な管理といったときに、そこまであえて別立てでということです。
○相澤座長 白血球についてもご議論いただければと思います。作業をしている間の健康診断は別にやっているわけですね。
○田原中央じん肺診査医 第一原発で作業している最中の健康診断は別立てで、現在ですと福島の労働局長から事業者に指示をする形で実施しております。これは、そういうのがある程度落ち着いて、長期フォローという段階で、どういうメニューでいくかという内容です。
○相澤座長 電離放射線障害防止規則の対象者は、この中には入らないのですか。
○田原中央じん肺診査医 これの想定は、例えば眼の検査とか赤血球もそうですが、結果的に電離放射線のほうとしてやる場合もあるだろうと。ただ、そのまま続けている方もいれば、ある程度線量を浴びたら放射線業務から外れる方もいる。労働者ではあるけれども、放射線業務はやっていない方もいます。線量が高くなって放射線業務を外れた方は、電離則の健康診断の実施義務もなくなります。皮膚などは特にそうだと思いますが、主にやっている最中の急性障害を診る目的でもともとやっています。たまたま項目が重なることはあるかもしれませんけれども、その意図がちょっと違います。とりあえず、それとは独立して考えていただければと思います。
○相澤座長 グランドデザインついては十分検討されたので、よろしいですね。
○鈴木委員 いまの白血球なのですが、電離則の中では白血球分画まで診ています。白血球分画は単に急性障害で変化するだけでなく、放射線の影響の中で白血病や、低線量の長期被ばくの場合、MDSのような、別の形のmyelodysplastic syndromes(骨髄異形成症候群、MDS)というもので変化します。そういうことを考えると、今回、日常よりは高い被ばくをした人たちが、放射線従事業務者から外れた後、白血球分画を診なくなるというのはちょっとまずいのではないかという気がします。もしグランドデザインの中に書いているのであれば、電離則の規則から外れて以降も、少なくとも白血球分画、白血球数はフォローできるような体制が必要なのではないかという気がします。それが1点目です。
 2点目は皆さんと議論したいのですが、例えば白内障で、実効線量で切ってしまっていいのかどうかという議論です。私も、どうしたものかと十分整理が付いていないので少し議論をしたいのです。なぜかというと、急性で来る場合ですと、いま原爆被爆者の白内障の検査ですと、どこまで影響があるかという下限値があまりはっきりしなくなっています。チェルノブイリのリクイデータ、改修作業といいますか、復旧作業にあたった方たちの眼の検査でも、やはりはっきりした下限値がまだ出ていないのです。そういうときに、いまここで50mSvというものをポンと出してしまうべきなのかどうか、私自身ちょっと躊躇するところがあります。児玉先生とか、富永先生のご意見を伺ったほうがいいのではないかと思います。
○相澤座長 2番目の白内障の検査を、50mSvを超えている人を対象とするというところですが、それについてのご意見を、児玉先生、富永先生はいかがですか。
○児玉委員 これについては、私の所にも答えがあるわけではなくて、最近の研究の結果では、はっきりとここから白内障の頻度が増すという線量数値が出ているわけでもないです。ただし、どの辺りから出るだろうという根拠も特にないということで、数値を決めるのはなかなか困難なのが現状だと思います。国際放射線防護委員会も、いまは以前よりは低い値をと検討し数値も出してきているのですが、500mSvという数値なので、それよりも低い所では出るのではないかという心配がいま起こっているのが現状です。
○富永代理委員(明石委員代理) 私も、単純に数字を出して切るというのはなかなか難しいとは思います。
○田原中央じん肺診査医 もちろん、これはたたき台というところがあります。共通の物差しである程度評価できるものは何かというところと、医学的なところと、法令上の線引きの両面を考えて、ここである程度こういう層にという対象が示せれば、それはそれで教えていただければと思います。我々ですと、どうしても法的なところを元に考えますので、そこである程度線引きをさせていただいた次第です。
○相澤座長 鈴木先生はどのぐらいまで下げればと。
○鈴木委員 少なくとも、白内障がどうできるのかというのがわからないという意味で言うとこれは調査になります。健康管理というよりは、具体的にここの中で本当に影響があったのかどうかを答えなければいけないというスタンスになると、これは全例のほうがいいのではないかと思うのです。
 一方、甲状腺のほうは明らかに甲状腺機能低下が起きる閾値がある幅ではわかっているわけなので、こちらは調査というよりは、本当の意味で健康管理と。臨床的にではなくて、検査上機能低下になってきたときの動脈硬化性疾患などのリスクが上がりますので、そのために何かのケアをしてあげるという、かなり実践的な、医学的な意味を持つ検査だと思うので、(2)のほうはあるところで切っても構わないのだろうと思っています。(1)のほうは、あまりはっきりしない限り全例を対象にしたほうが、これは予算が許せばですがいいのではないかという気がしております。
○相澤座長 平塚先生は、眼のほうのご専門ですが。
○平塚上席主任研究官 鈴木先生からお話がありましたとおり、以前に比べると、放射線量の閾値はかなり低く、白内障が出てきていることが最近明らかになっています。これという数字が、ゼロより95%信頼区間の下限が低くなってしまったりしていて、閾値がこれという数字をいまは出せないような状態になっているところです。
 先ほど話がありましたICRPの報告では、今年の4月21日に新しいものが出ています。それでいくと500mSvを閾値としています。イクイバレントドーズで年間20mSv、1年でも50mSvを超えないというように数字でちゃんと出ています。この辺の数値はどういうものを採用するべきなのかというのははっきりしませんけれども、これでいいという数字を確定するのは難しいのかと思います。
 白内障そのものの評価のところも非常に難しいところがあります。水晶体の濁りを白内障というのですけれども、その水晶体の濁りの中でも、どの部分が濁るかというところで変わってきます。従来は後嚢下という水晶体の後ろの部分の濁りが、基本的には放射線との関連では1対1対応みたいな感じで言われていたのですが、最近の報告では皮質白内障というもう1つのタイプの白内障があり、この2つが放射線の影響があるだろうということになっています。
 皮質白内障と後嚢下の白内障の両方を評価しなければいけないことになります。これらの評価は、眼科の臨床において、一般的には細隙灯顕微鏡で評価をします。この細隙灯顕微鏡というのはどこの眼科にもあるのですが、それを診て眼科の医師がここが濁っているなとか、ここの濁りが強いなという感じで主観的に評価します。ですから白内障1+とか、白内障混濁2+というような感じで、医師の主観で評価するところがあって、放射線の影響をどれだけ細かく診ていくかというときには、そういう評価では、最後の水晶体の混濁を評価をする部分のところがかなり粗くなる可能性があります。
 そこの部分をどれだけ細かく評価するかというときに数値で評価できるような機械が最近はいくつか出てきています。そういうものを用いればかなり精度高く、客観的に評価できると思われます。ただ、そういう機械はまだ世の中に多くは提供されていないので、ほとんど売れていない機械なので、普通の眼科の医院でその検査で評価するといってもできないところがあります。従って、水晶体の混濁の評価においても、これでやればいいということを断定するのはなかなか難しいかと思います。
 現実的な対応でいえば、少なくとも細隙灯顕微鏡で、瞳孔を開いた状態で、水晶体混濁を評価するというのは最低限必要なことかと思います。
○相澤座長 老人性白内障とは区別できるのですか。
○平塚上席主任研究官 区別はつかないです。老人性の白内障も当然後嚢下の白内障と皮質白内障というのが起きてきます。いちばん多いタイプは核白内障という、水晶体の真ん中が濁るものですが、これは放射線とは基本的に関係ないと言われています。ですから、ここの部分はある程度区別が付くと思うのですが、皮質と後嚢下の白内障に関してはなかなか区別が付かない。放射線との関連と普通の白内障とのオッズ比で見ても2倍とか3倍までにはならず、大体1.5倍とかその程度の違いなので、見た目でこれがすごく変わったと評価するのはなかなか難しいのかもしれないという気がします。
○相澤座長 検診機関で検査するのでしょうけれども、後嚢下とか、皮質とか、核とかは全部評価できますか。
○平塚上席主任研究官 瞳をちゃんと開いて、ある程度のプロトコールで、こういう分類で必ず記載してくださいみたいなことをやればできないことはないと思います。それでも、現実的にはかなり粗い感じにはなるかと思います。最初の曝露を何ミリシーベルト単位で区切って、その影響が本当に眼に出ているのかどうかというところをすごく精細に診るのであれば、そういう評価のものだとちょっと難しいのかもしれないと思っています。臨床的に、これは明らかに混濁が進んでしまっていて手術が必要だ、必要ではないぐらいの粗い評価であれば全然大丈夫だと思いますが、細かくやると非常に難しいかと思います。
○鈴木委員 原爆被爆者で、私たちが白内障検診をやったときに、最終的には写真を撮って、それを1人の眼科医がスコアリングするという形で統一性を保ったことがあります。ただ、写真を撮るところでばらつきが出てくる可能性もあります。細隙灯を使ってという場合は、最低限でも、ある程度定量的に言うのだったら、1つのプロトコールに従って写真を撮っておいて、それをスコアする人が同じ基準でやらなければいけない。
 新しいテクノロジーも確かに出てきているのですが、それをいま全国に散った人に適用するというのはほとんど無理なのだろうと思います。もし細隙灯検査をやるのだったら、そういう共通のプロトコールで写真を撮って、それを中央管理するような仕組みが必要なのではないかと思います。
○児玉委員 最初はやるにしても、いまの予定では年1回毎年毎年検査をする。そんなに頻回に検査をする必要があるのかというのが素朴な疑問なのですけれども、どうなのでしょうか。
○平塚上席主任研究官 難しいところですけれども、やはり年1回ぐらい必要かと思います。眼科の臨床で、白内障の患者さんをフォローアップしていくときには、普通の人でも大体半年から1年ぐらいで、白内障が進んでいるかどうかを診ていきます。普通の人でも、そのぐらいのスピードで少しずつ変化が出てきますので、それに輪を掛けて放射線の影響を診るのであれば、1年ぐらいが適切かという気がします。
○鈴木委員 従来、後嚢下混濁はかなり高線量ですけれども、あれだと大体2年ぐらいで顕微鏡的には見られて、それが大きくなるかどうかというような変化でいうと、だんだん散っていっているのでしょうか、やはり変化していくみたいなのです。1年がいいのか、もうちょっとインターバルを空けてもいいのかというのは、私自身眼科医ではないのでわかりませんけれども、最低限どのぐらいの間隔が望ましいのですか。
○平塚上席主任研究官 先ほどお話したとおり、普通の臨床医の感覚ですと、普通の白内障を定期的に診るのは半年から1年ぐらいで診ます。
○鈴木委員 実際にやろうと思うと、普通の健診のときは細隙灯ではないわけですから、当然どこかの施設を指定して、そこに行ってもらうような形しかとれないのではないかと思います。その場合に毎年というのが実行可能になるのかどうか。ある程度の幅が出ざるを得ないような気がします。
○平塚上席主任研究官 検診というのは、細隙灯顕微鏡でやるのですよね。
○鈴木委員 それを今回はやるわけです。
○平塚上席主任研究官 細隙灯顕微鏡でやるわけですね。
○鈴木委員 普段のほかの検診は、例えば検診屋が職場にやってきて撮るわけです。眼科に関してはそのタイプはやれないです。そうすると、それぞれの地域で、例えば大学病院とか、大きい眼科を指定して、そこでというやり方しかないのだろうと思います。そうすると、毎年というふうにならない可能性もあるので、最低限のインターバルとしてどのぐらいというのを逆に決めたほうがいいのかと思います。
○平塚上席主任研究官 毎年受診してくださいと言っても、患者さんがなかなか受診してくれないのではないかと。
○田原中央じん肺診査医 第1回検討会のときの資料に載せましたけれども、「健康管理手帳」という仕組みがあります。粉じんとか石綿とか、いろいろな化学物質を対象としたものです。作業に従事していた間は特殊健康診断を行います。放射線は業務をやっている間だけですけれども、例えば石綿ですと業務の従事から外れても、雇われている間は特殊健康診断を続けることになっています。更にリタイアした後も健康管理手帳が交付され、粉じんでは年1回、石綿等では年2回健康診断を受けます。労働者でいた間に受けていた特殊健康診断に大体相当するような項目ができる制度があります。
 若干現役の労働者と違うのは、労働者である場合にはほとんどの健康診断は基本的に事業者が受診させる義務を負うので、労働者は受けなければならない。健康管理手帳のほうでは、受診する案内は行くけれども、受けるかどうかは本人の意思で、義務はかかっていないという仕組みになります。ですから考え方としては、年1回案内は送る、呼びかけはする。なるべく行ってくださいという呼びかけはして、実際には行かなかったからといってペナルティがあるわけではないというやり方は仕組みとしては可能かと思います。
 結果的に個人の選択で、私は2年に1回で十分だということであれば、1年スキップする方がいるかもしれないし、毎年行きましょうということはできる。それは案内の仕方とか、やり方だと思います。健康管理手帳の健康診断は、各労働局が契約した所でやってくださいと指定する仕組みにはなっています。そのスキームは、それに準じたような形でやろうと思えばできると思います。
○鈴木委員 毎年のほうが、案内はしやすいですね。
○田原中央じん肺診査医 そうですね、2年に1回とか3年に1回というよりは、事務的なことまで考えると、年1回のほうが切りはいいということはあります。
○鈴木労災補償部長 補足して申しますと、一定レベル以上の医療機関を指定して、かつ毎年というのは実績があります。ただ、受診率というと低い状態ではあります。そういう機会を提供するというか、それはエビデンスに基づいて判断したほうがいいのかと。医療機関が見つけにくいので2年に1回というのは発想が逆になってしまうのではないか。
○安井中央労働衛生専門官 今回、50mSvで書かせていただいたというのは、まさに平塚先生からご案内があったように、眼の等価線量は年平均で20mSv、それから1年で50mSvと、まさにICRPの実効線量と全く同じ形になっています。通常の作業であれば、そういう被ばくは実効線量の線量限度を超えなければ存在しないという前提の下で、今回の場合は残念ながら50mSvを超える被ばくがあったという特別な状況として、一応50mSvというものを提示させていただいております。
 ICRPのことが1点あるのと、もう1つは従来ご案内のとおり、1年間50mSv、5年間平均で20mSvの内側に収まっている方については、放射線業務に従事している間だけ健康診断をするし、従事から外れてしまえば健康診断はしないスキームでやっておりますので、その整合性もありますので、一応こういう提示をさせていただいております。
○田原中央じん肺診査医 ここのテーブルの方は大丈夫だと思うのですが、ミリシーベルトでここの素案に書いてあるのは全身の実効線量のミリシーベルトです。先ほど平塚先生がおっしゃられたのは、イクイバレントドーズですので、眼の等価線量です。単位は同じミリシーベルトですけれども、意味が違うということです。
○安井中央労働衛生専門官 今回のように東電福島第一原子力発電所のような場合ですと、押しなべて一様に被ばくするという前提に立てばこの次元の話ということになります。指向性のあるエックス線ということになれば、特別眼だけ被ばくする可能性はありますが。
○鈴木委員 甲状腺により近いところにだいぶ集まったというのがあって。
○安井中央労働衛生専門官 そういう内部被ばくの問題はまた別です。
○鈴木労災補償部長 2の(1)ですが、たまたま項目が眼の検査しかないのです。それで50mSvなのかどうかという逆の理論になっていると思うのです。先ほどの白血球の話はここに反映させる話ですか。
○鈴木委員 白血球は、実効線量でよろしいのではないかという気はします。これは、ある程度以上の高さで、白血球に関しても構わないだろうと思います。
○鈴木労災補償部長 最終的には実効線量でいくつにしますか。
○富永代理委員(明石委員代理) (1)に入れるか、(2)に入れるかということになるのですよね。
○鈴木労災補償部長 そうです、その議論をしていただきます。いま安井のほうから言いましたが、50mSv以下に対象を広げると、今度は通常の原発作業員についての必要性というのがありますので、この長期管理とは話の次元が違ってきてしまいます。
○鈴木委員 全然違う議論をしてしまっていて、1つは実際にリスクが考えられてくるという意味でいうと、現在は100mSvで発がんなどは考えられているということで言うと、実効線量100mSvのところに白血球を加えるのはそんなにおかしくない話なのだろうと思います。白内障に関しては、実際にこれから調査をして、閾値がどこにあるのか確認する作業を世界的にやらなければいけないという話なのです。いまICRPが出している値もつかみで出しているのであって、実際に話の元になっている疫学データはみんな一緒なのです。その疫学データだって、まだ下がはっきりしていないのです。
 その意味でこの機会にと言ったら変な言い方なのですが、今回の作業者という集団を、眼の健康診断のコホートにしてやるという考え方に立つと、一般の原発作業従事者ではなくて、今回のミッションに関係した従事者は、線量にかかわらず対象にしていったほうが、調査としてははっきりしたデザインになるのではないかということです。ですから、違う議論が入ってしまっているので、難しいところはあるかと思います。
○鈴木労災補償部長 いまのご発言の趣旨ですと、このデータベースを作って、将来の疾病を早期発見していくという長期健康管理については、別に(4)でそういう「なお」というような形で、そういう目的も研究的なものとして別途企画してやることは必要があるのではないかということを書くことはできると思います。この本来の目的からすると、確実でないといいますか、まだ評価が定まっていないものについて、(1)の中で考慮するのはちょっと無理があります。そういう機会を設けるというのは、どの予算で、どこの部署がやるかというのはこれからの話です。
○安井中央労働衛生専門官 これは、先ほどご説明いたしましたように義務付けではないのですけれども、健康管理に必要最低限のレベルのものをやるという位置づけで、法律に基づくかどうかは別として、安全衛生行政の一環としてやりますので、そこの趣旨としては最低限にせざるを得ないところはあります。研究という別の観点でやるのは可能だと思いますが、今回提示させていただいているスキームというのは、あくまで健康管理という観点ですので、そこは峻別して議論せざるを得ないかと考えています。
○相澤座長 (3)のところでは、一応登録はされるわけです。その中で厚生科学研究というようなことでやるのだったらいいわけですね。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。疫学研究として、他の財源を使ってどういうスキームがあるのかというのはまた別途あると思うのですけれども、今回提示しているものとは峻別しています。
○相澤座長 労働者の健康管理という観点でやらないとまずいわけですね。
○田原中央じん肺診査医 趣旨からするとちょっとずれるかもしれませんが、例えばデータベースに登録がされていて、(3)のオのところの「健康管理に関する取組等について、随時案内を行う」とありますが、こういうプロジェクトがありますと。先ほど平塚先生が言われたように、眼でこういう新しい分析方法があるので調査を兼ねて、かつフィードバックをして、参加していただいた方にとってもこういうメリットがありますというような呼びかけをして参加者を募る。これは、線量で区切る必要はなくて、広く呼びかけて参加者を募るとか、案内をするというのはあり得る話だとは思います。ルーチンのメニューとしてやっていく話と、研究的な側面も含めて、さらに何か追加していく余地という話は両方あってもいいのかと思います。
○鈴木委員 疫学的にだと、最低1回は横断的に何年か後に調査をする。本当は、それをある年月をおいて2回ぐらいやるとかなり全体像は見えてくるのだろうと思います。ルーチンに毎年やるというような性格である必要はないというのは確かです。それは厚生科学研究とかで取り上げてもらうような形をここの中に提案として残せば、善いのかもしれません。
○相澤座長 是非行政にも協力をお願いして、わからないところを解明することが大事だと思います。これは、労働者の健康管理という観点で、どういう検査でとしますと、(1)については眼の検査では細隙灯顕微鏡で検査を実施するということですが、いまのお話を聞くと、かなり主観的なところもあるようです。写真を撮るとか、そういうことは必要でしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これも、先ほどの研究という部分がちょっとあると思うのです。研究として細かくチェックするということと、我々は健康管理として行いますので、臨床的に判断できればいいということがありますので、そこは峻別していただいて、あくまで健康管理として十分かどうかということをまずご議論いただければと思います。
○鈴木委員 問題は、繰り返しやっていると人間は年を取るに従って白内障は増えてきます。それが放射線によって加速化されているかどうかという判断をそのうちに問われてくるわけです。その場合に、主観的な判断でプラスマイナスでやっていたのではいけないだろうというので、何らかのエビデンスを残していったほうがいいと。そういう意味では、写真を必ず健康診断のときのエビデンスとして残してもらう仕組みはいいのだろうと思うのです。
 将来それをどう使えるかというのはまた別の話なのです。少なくとも、このお医者さんは3+にしていたけれども、このお医者さんになると1+であるなどということが起きないようにしないとまずいのではないか。将来、放射線起因性という話が出てきたときに、やはり問題になるのではないかと思います。そこは細隙灯をやるのであれば、一応写真は撮ってもらうというような、最低限の縛りは付けておいたほうがいいのではないかと思います。
○相澤座長 ドックなどではどうなのですか。写真を撮っていますか。
○鈴木委員 白内障は、ドックの健診項目にはなってないです。
○平塚上席主任研究官 そうですね。ドックでは眼底といって、眼の後ろの網膜のほうなので、前のほうの評価はドックではやっていないです。
○相澤座長 やっているところはないですか。
○田原中央じん肺診査医 どちらかといえば、動脈硬化の評価として、眼底写真を撮るパターンのほうが一般的だと思います。
○安井中央労働衛生専門官 細隙灯を使えば、わりと簡単に写真が撮れるということですか。
○平塚上席主任研究官 そういう写真を撮る機械を付ければ簡単に撮れます。
○安井中央労働衛生専門官 通常は付いていないのですか。
○平塚上席主任研究官 付いていません。それも光の量とか、スリットの幅とかは、写真を撮るのであれば何かしら標準化した方法で撮らないと、明るさとかで若干数字が変わってくるところはあります。
○宮野安全衛生部長 原爆の審査会では、申請者の写真は付いていますから、ものすごく珍しいわけではないと思います。
○鈴木委員 ある程度条件を決めて、これで撮ってくれと言えばやれるのだろうとは思うのです。
○宮野安全衛生部長 各県に1、2カ所ぐらいは確保できるのでしょうか。条件として細隙灯顕微鏡と、それから写真という話がいま出ていますが、実施する医師の経験などはある程度条件として。
○鈴木委員 どういう施設を指定するかというのを決めていくのだろうと思うのです。
○宮野安全衛生部長 詳細は、今後ここではなくてまたほかの。
○鈴木委員 はい、それぞれの県でどういう施設がそういう資質を持っているかというのは、また別途検討するのだろうと思います。
○宮野安全衛生部長 いずれにしても、そういう条件も必要だということなのですか。
○鈴木委員 はい、そうしないと逆に混乱を招くのではないかと思います。細隙灯検査で診ていけば、軽度のものはある年齢になれば出てきますし、喫煙者であればそれが早く出てきますし、だから見つかることは見つかるはずなのです。それがどうなのだという議論をきっちりできないといけなくなるのです。
○田原中央じん肺診査医 先ほどの健康管理手帳制度の話などにも出てきて、それに近い話がありますが、実施する施設とか設備とか、そういう撮影方法というのは、ある程度標準化というか、こういう条件で撮れる所にしてくださいということをやって、例えば年1回程度呼び掛けをする。そこの指定施設のような所だと、こういう方法で撮影ができるというスキームでやるというイメージでよろしいのですかね。そうすると、例えばやれる所が、全国に散らばっても、それなりには確保できるということなのか。極端な話、日本で1カ所しかできませんという話だと逆に難しいという話になりますが。
○平塚上席主任研究官 そんなにハードルの高いものではありませんので、やり方さえ標準化できれば、かなりいろいろな所でできます。あとは撮影する機械がちゃんとあるかどうかですが、技術的にはそんなに難しいことではありません。
○田原中央じん肺診査医 どちらかといえば、標準化をどうするかということですね。
○平塚上席主任研究官 そうですね。標準化のところだと思います。
○相澤座長 これはどうなのですか。定性的に判断する場合は、治療が必要かどうかというところは、大体統一されますよね。
○平塚上席主任研究官 そうですね。健康管理ということで見ると、視力がどの程度下がるか、患者さんの自覚がどのぐらい悪くなっているかどうか。そこで手術のリスク等を考えながら、手術をやるかどうか評価していくということになると思います。
○相澤座長 こういうことでよろしいですかね。写真のことはもう少し検討していただいて。
○安井中央労働衛生専門官 長期影響とおっしゃられますが、研究所の長期影響の調査と、行政として、例えば労災認定とか、業務に起因する疾病の長期影響はレベルがちょっと違いますので、どこまでエビデンスが必要になるかというところだとは思いますが、検討させていただきます。
○相澤座長 当然治療が必要になると補償の必要性が出てくるでしょうね。
○安井中央労働衛生専門官 それは認定する際に、言ってみれば、どのぐらいのエビデンスが必要なのかということで、写真が必要ということであれば、もちろん撮るでしょうし、あるいは被ばく線量だけで十分だということであれば、そうではないでしょうし、そこはまたご議論させていただきます。
○相澤座長 そうしましたら、50mSvを超えて100mSv以下のものに対しては眼の検査を行って、細隙灯の顕微鏡の検査を行う。白血球についてはどうしましょうか。
○安井中央労働衛生専門官 (2)のほうにつながるのかと思います。
○児玉委員 白血球に絡んでですが、(2)のほうは比較的高線量を浴びた人で、がん、あるいは白血病が将来起こる可能性を考えて健康管理をしてあげるということだろうと思うのです。がんについては、いくつかのがんがあるのですが、白血病検診というのは、普通はあまり聞かない言葉で、白血病の早期発見・早期治療という意味で、白血球、分画、血小板、白血病だけではなく、骨髄異形成症候群も視野に置いて検診をして差し上げるということだろうと思います。血液学の立場から、白血病の早期発見・早期治療はいまどうなっているのか、私はわからないので、その辺りをもしよければ議論していただけたらと思います。普通はがん検診ということで議論しない病気なので。
○鈴木委員 MDSのほうでいえば、MDSと言っている中にグレードがあるわけです。非常に軽いものからいうと、貧血だけでいろいろな薬剤に対して、例えば、葉酸も含めて、鉄剤やビタミンB12とかビタミンB6などに対して反応しない不応性貧血と言っているようなものでまず発症してくる例があって、それから徐々に重症度が増して、鉄芽球性貧血となり、やがて骨髄検査をすると、少数の芽球の頻度が増えてくる。それはまだまだ白血病までは行っていない前白血病段階なのですが、結構そういう時期が長いのです。ずっとMDSが比較的程度の低い所で、70何歳で外来に通っている人もいますが、そういう人は特に何もやらないのです。
 明らかに予後が悪くなりそうだという場合には、最近はMDSに対して特異的な治療薬みたいなものが少し出てきています。全部のMDSが治るわけではないのですが、あるタイプの異常を持ったMDSに関しては、非常に効く薬がだんだんできてきているので、早期発見は白血病に関しては、うまく当たると非常によく治療できるというものも出てきていることは確かだと思います。ですから、やはり早期発見をしてあげるのが、まず第一なのではないかと思います。その時代時代で、どういう治療法がベストかというのは変わってくるかと思いますので、決して不治の病という捉え方はしなくてもいいのだろうと思っています。 
○児玉委員 ということは白血球数、貧血の検査、それと血小板を含めて、退職後も少なくとも白血球の分画は測れるような体制をとっておくということですね。
○安井中央労働衛生専門官 健診により、白血病などの自覚症状が出る前に対処できると。
○鈴木委員 貧血という段階で、老人性の白血病の場合は、いきなりボンと白血病になるというよりは、MDSのような前段階を経ながら出てくる症例が多くなりますので、そうすると貧血あるいは、ある白血球の分画の異常みたいなものが先に見えてくるのではないかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 貧血で病院に受診するよりも前に、要は健康診断ですので、スクリーニングですから、自覚症状が出て受診する前に疾病を探知できないと行政上、効果がないものですから、それができるかということなのです。
○鈴木委員 普通はMDSでいうと、貧血が先行します。ですから、まず貧血という形で引っかかって、末梢血の検査は貧血で血液内科にかかればルーチンでやりますので、そういう意味で、ここで末梢血まで診るかどうかという議論をするのでしたら、それは議論の題材にはなりますね。ただ、離職したら、そこで白血球の検査、血小板、貧血の検査はなくなるのでは、ちょっとまずいのかなという気はします。
○相澤座長 いま一般健診で貧血の検査はやるわけですね。
○安井中央労働衛生専門官 一般健診を受けている間は必要ないと。
○鈴木委員 一般健診の間は貧血が入っていますので、必ず白血球も入っています。
○安井中央労働衛生専門官 完全に離職した場合には必要だと。
○鈴木委員 はい。ですから、(2)に離職後の健診項目に入っていなければいけないということです。
○安井中央労働衛生専門官 いまのところは、単に線量で切っていまして、離職している、していないというのはまだ考えておりませんので、そこはまた小分けして考えて。
○田原中央じん肺診査医 確かにこれの素案を作るに当たって、まず一般的な健康診断は、少なくとも現役であれば労働安全衛生法の定期健康診断があります。離職した場合でも、基本的には例えば地域などでメタボ健診のようなものが受けられれば、それである程度カバーができるということを加味して、それだけではカバーできないものをプラスアルファするのはどうしたものかということで、ここの素案は組ませていただきます。ただ、確かに2階建の2階部分だけがあって、1階部分が実はおざなりになっていたというのは、そもそも困りますので、少なくともベース部分に関しては、血算も含めて離職後もちゃんと受けられるようにすべきというのが大前提であると。なるべく白血球の分画までやるほうが。
○鈴木委員 血液をやっていると、必ずしもルーチンではないものですから。
○田原中央じん肺診査医 確かにそうですね。離職後も含めて、そこを確実にできるようにということです。
○児玉委員 今度はがん検診ですが、第1回目の検討会のときに、作業者の中に女性はどのぐらいいらっしゃるのでしょうかと聞いたのは、放射線に感受性の高いがんで乳がんが気になったので聞いたのです。ほとんど女性はいらっしゃらない、あるいはゼロというのでしたら、乳がんは対象にならないようにも思うのですが、その辺りも把握して、必要なら乳がん検診も加えてはどうかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 女性は3月11日に事故が起きて、極めて初期の間にはおられました。その後は女性は待避という状況にはなっておりまして、実際は5mSvの基準を超えた方が何人かはおられたという状態ですが、被ばく量は少ないです。
○児玉委員 今回は100mSvを超える方はいらっしゃらない。
○安井中央労働衛生専門官 50mSvを超える方もおられません。ただ、女性の実効線量は5mSvですので、それを超えた方は何人かおられました。そういう状況ではあります。
○田原中央じん肺診査医 50mSvを超えた方はいらっしゃらないのですね。
○安井中央労働衛生専門官 いません。
○田原中央じん肺診査医 これを組む段階で基本的には100mSv超えというのは、今回は男性のみで、女性は100mSvを超えた人はいないということを前提として書かせていただいています。あと、がんといっても数多ありますが、決して放射線を浴びると、このがんが増えるということを考えて選んだわけではなくて、逆にがん検診として、方法論が確立しているものとして選ばせていただきました。がんの種類別で、これが増える、あれが増えるというのは、少なくともヨードを内部被ばくした場合の甲状腺とか、そういった特殊な場合を除いて、あまりはっきりしたものがないのかなと考えていたのです。
○富永代理委員(明石委員代理) ここの甲状腺の検査で甲状腺の機能を見ていく安定ヨウ素剤の連用からということで出ていて、それはもちろん賛成ですが、1つ気になるのは、今回、東電の作業員で内部被ばくをされた方で甲状腺の等価線量が5~10Svmで、その人たちのフォローをどうするかというのが、これだと抜けてしまいます。゛
○田原中央じん肺診査医 これ(実効線量100mSv超えの甲状腺検査)です。
○富永代理委員(明石委員代理) これになるのですが、そうすると超音波検査などが入ってなくてどうするのかなというのが、ちょっと疑問に思ったのです。全体の数からすると数人というすごく少ない数になるので、個別の検診という形でやっていくのかということです。
○田原中央じん肺診査医 確かにこれを組むときに、ある程度まとまった人数がいるというのを暗黙の前提にして作ったところはあります。甲状腺の内部被ばくを受けて、放医研を受診された方が何人かいらっしゃると聞いています。
 基本はこれにしておいて必要に応じて超音波を追加するという書き方をして、そのような方々も入れるという考え方もありますし、個別の医療に近い格好でいくという考え方も、どちらもとれるとは思います。ただ、ある程度線量を超えた人にみんな一律超音波をやれとまで言うことはできないと思いますので、基本は例えば採血をしておいて、医師が必要な場合は超音波を追加するみたいな格好はあると思います。
○富永代理委員(明石委員代理) 何人かは20代とか、30代の人がいたので、フォローは必要かと思いますが、すごく特殊な例になってしまうと思います。
○田原中央じん肺診査医 確かに現時点では特殊な、本当に数人ということですが、想像したくはありませんが、今後、可能性としては非常に低くはなってきていますが、今後そういう人が新たに現れないことを前提には、なかなかしにくいのです。
○安井中央労働衛生専門官 先ほどの超音波というのは、250mSv超えの方で十分だと。
○富永代理委員(明石委員代理) そうですね。甲状腺の等価線量で、一応項目としてここのデータベースにあるので、それで一応切っておくのは可能だと思います。
○安井中央労働衛生専門官 先ほど田原が申しましたように、6人しかおられないという関係もあって、ここに基準として書くのは、やや難しいかなというのがありますので、まさに田原が言ったように、医師の判断というところかなということです。
○鈴木労災補償部長 あと、極めて限定的な例については、費用負担なり責任をどうするかは別に、行政の指導的な長期的管理の下に、例えば東電の社員なら東電に責任を持ってやっていただくとか、そういうことはあり得ます。女性についても非常に限定的ですので。やるべきというのは別途書いておいて、これはある程度の数の集団をルーチンとしてやれる基準ということで、それでは抜け落ちるものについては、こうするべきだというのを補足的に記述するということでよろしいのではないでしょうか。
○田原中央じん肺診査医 特に内部被ばくの線量が高い者については、超音波も必要に応じて行うのが適当、みたいな書き方で。
○相澤座長 がん検診は胃がん、大腸がん、肺がんということですが、よろしいですか。甲状腺のことも出ましたが。そうしますと、(2)については原則これでよろしいでしょうか。先ほど250mSvを超えた何人かについては、ただし書みたいな形で書き加える可能性はありますが、よろしいですか。甲状腺などは、当然指針とか診察は入るのでしょうね。
○田原中央じん肺診査医 そうですね。
○相澤座長 (3)のほうで、緊急作業従事者全員を対象として所属事業場における通常の健康管理を行って、作業内容についてはデータベースに登録して、健康診断結果については本人の同意を得てデータベースに登録すると。メンタルケアについては、健康相談窓口を設ける。その他も健康管理取組については、従事者に案内を行うと。
○鈴木委員 先ほど安井専門官がチラッと言った離職後、あるいは放射線作業従事者から外れた後の健康管理に関して、ここで何か一言書いておかなければいけないのではないかという気がするのです。このままだと、これがどの年代まで、どこまでこの方針が有効なのかというのがはっきり見えなくなってしまうので、それをもう少し明示的に示してもらったほうがいいかなという気がします。
○安井中央労働衛生専門官 具体的には、先ほど議論があったような血液検査ということでしょうか。
○鈴木委員 はい。
○安井中央労働衛生専門官 ここにもちょっと離職の話が出てくるのですが、例えば精神面のケア以外にも離職者については、血液検査をやるとか、そういう感じですか。
○田原中央じん肺診査医 検査を含む一般的な健康診断において継続するというような。
○安井中央労働衛生専門官 一般健康診断の項目はかなり多くて、全部をやらなければいけないということは必ずしもないと思います。いまご議論いただいたことだと、ここにある血液検査関係です。13頁でいえば、貧血検査に該当するようなものと理解しているのですが、それ以外に何か必要なものがあるということですか。
○鈴木委員 いま7頁にどういうデータベースを作っていくかというのが、ここにあるのですが、これの項目の中をどこまで追跡するかということを明示的に示す必要があるのだと思っています。その議論は実はまだ十分やっていないところがあると思っています。
○田原中央じん肺診査医 7頁のところがルーチンでやらないようなことまで含めて広めに取ったもの、これでいきますと13頁、参考資料4が大体よくやられるものの目安として示したつもりです。
○鈴木労災補償部長 いまのを正確に言うと、ルーチンというか、行政の責任において実施するものが、2の(1)(2)で、(3)は精神面のケアとか、今後の研究的なものを含めて何か新しい知見について、健康管理に関する取組の案内をするとあるのですが、データベースに本人の同意を得て登録していくのは、本人が何を受けるかは、こちらでコントロールできませんので、いろいろな相談の際にコピーを持ってきていただければ、それを電子化して入力して、一元的、経時的に見られる。それがその方のいざというときの、主治医が何かを判断する際に、過去の病歴等として非常に役に立つことになるのではないかと思います。一般的にやっているものの中で、回数は多くなくても、10年に1度とか、何か確認すべきものがあるのではないかというのは、確かに議論になろうかと思います。
○鈴木委員 例えば5年で離職をした人がいたとします。その人たちにどういう働きかけをするか。年に1回手紙を出していくという形だったと思いますが、検査項目を何年間は送るわけです。そのときに、どの項目は是非行ってください。例えば、先ほどの白内障の検査や白血球などの検査もそういう中に入るのではないかと思いますが、この項目に関しては、離職したとしても最低何年はやるという方針がないと、健康管理をすると言っていても、それはあくまで今の東電なら東電にいる間だけになってしまうというおそれがあると思います。そこをもう少し整理する必要があるのではないかと思います。
○相澤座長 それは(3)のグループ全員に対してということではなくて、一定の被ばくを受けた方についてという意味ですよね。
○鈴木労災補償部長 (1)と(2)のほうになるのだろうと思います。
○相澤座長 そうすると、手帳を差し上げるわけですから、そこにそういうことを書いて。
○鈴木委員 ですから、手帳を差し上げて、具体的な項目はこういうものというのを例示しないと、それぞれ受診した所で全然違うことをやり始める可能性はあると思います。
○鈴木労災補償部長 それは項目をご議論いただき、決まれば、きちんとこの医療機関でこれをまとめて実施できますとか、そういう案内になろうかと思いますし、第1回目で生涯追跡すべきだというご意見もいただいていますので、離職後は基本的にずっと定期的に行うというつもりで、あえて書いてないのだと思います。
○鈴木委員 はい。
○相澤座長 そのときに、この7頁のところも。
○鈴木委員 だだ、これが全部ルーチンに、聴力を毎年毎年測る必要があるかどうかは、また別の話になるのだろうと思いますので、ある程度、最低これは追跡調査をお願いするというのをはっきりさせておいたほうがいいのだろうと思います。全部ずっと追跡できると、それまでの予算は確保できるというのでしたら、それはそれで大歓迎ですが。
○鈴木労災補償部長 そこはたぶん大前提の辺りで少し誤解というか、十分なご説明をしていないせいかもしれません。これはあくまでも受け皿というか、入れ物としてこれだけ用意するということで、いろいろな私病にかかったり、自分で人間ドックを受けて、こういう検査が出てきますので、それもできる範囲入力していこうということであって、行政として継続的に行うのは、いままさにご議論いただいた、線量に応じて2の(1)と(2)だけというか、これを必須項目としようということですが、これで足りないということであれば、いまご意見をいただきたいと思います。先ほど白血球を追加したのもそういうご趣旨かと思ったのです。
○鈴木委員 はい、私もそうです。それで7頁の中に、なぜピロリ菌を書いたかというと、これは在職中に必ず診てほしいからです。要するに、最低1回これを埋めておいてもらわないと、フォローしていって、後からこれが埋まる保証はなくなるのです。だから、7頁は私たちが提案したときのイメージとしては、在職中に少なくとも1回やってもらいたい検査と、長期的には、具体的に実施事項のところで書いていたところに、さらに白血球が入るぐらいでいいのなかとは思っているのですが、7頁に書いたこれの受け皿の中のところまでを在職中にやるのかというのは、もう一度議論しておかなければいけないのかと思います。在職中というか、早い時期にという意味です。
○鈴木労災補償部長 それは放射線によるものかどうかを鑑別するための情報として必須だと。
○鈴木委員 今後、何が起きるかわからないのですが、例えばピロリ菌感染があるとか、肝炎ウイルスの保持者であるとかというのは全然違う情報になってくるわけです。喫煙もそうですが、これは早い時期にこういうのを診る必要があって、それを検診としてやるのか、それともアンケート調査みたいなものも含めた別個な形で1回実施するのか、それも含めて議論する必要があると思います。これはデータベースの入れ物だと。入れ物はあるが、その項目は個々人の努力に任せますというと、絶対埋まらないわけです。だから、まずアンケート調査に関しては、もしかすると研究ベースでアンケート調査をやるというのは可能かもしれませんが、採血のようなものは全国に散らばっていると、やはり事業場を通じて1度やってもらわないとデータはとれないのではないかと思います。その辺をどう考えていくかです。
○鈴木労災補償部長 この目的は早期発見・早期治療が主となりますので、何のためにそれを追加するかというミクロのレベルの目的次第になります。ピロリ菌は確かに後で振り返っても、その当時からあったのかどうかは証明できませんので、例えば胃がんになったときに放射線の影響とピロリ菌の影響というのは峻別できなくなるという意味では意義があろうかと思います。肝炎については、後でも、あれでしょうか。例えば肝がんになった場合に、早い時期に採血しておかないと。
○鈴木委員 逆に、いま肝炎ウイルスのキャリアになっていれば、インターフェロン療法もあるわけで、放射線と肝炎ウイルスの相互作用みたいなものは予防できるわけですよね。ですから、そういう予防的な意味からいっても、できれば早い時期で診られるものだったら診ておいたほうがいいのだろうと思います。
○鈴木労災補償部長 肝炎ウイルスによる肝炎の早期発見は、この目的とはちょっと。相互作用を予防すると言っても、ちょっと目的は違うのかなと思いますので。
○相澤座長 職場で健康診断をやるときは事業者責任でやるということだと、仕事と関係のある項目についてはあれですが、なかなか難しいですね。ですから、個人が個別にやった結果をなるべく欲しいということですので、それをこの検査はどういう意味があるとか、そういったことをよく説明するようにして、自発的にもらうということになるでしょうね。全員でやるというのはなかなか難しいですね。
○安井中央労働衛生専門官 まさにおっしゃいましたように、健康診断結果については、本人の同意を得てデータベース登録ということに、もともとなっておりまして、強制的にはなかなかできない。プライバシーの観点から、仮に健診を受けてもデータベース登録はしたくないという人はもちろんそれは許されるわけですので、そこは座長がおっしゃるように、必要性をよく理解していただいて、任意に受けていただくという道を開くのは大事だと思いますが、一定の行政の経費を使ってやるべきものかというところはまた峻別する必要があろうかなとは思います。
○児玉委員 このデータベースに関連して、健康診断結果については、ご本人の同意が得られたらデータベースに登録するということですが、そうであれば、将来の健康管理につなげるためにも、その時その時の診断名あるいは判定もあったほうがいいのではないかと思います。例えば、40歳のときに高血圧が出てきたというのが、将来高血圧の管理をどのぐらい厳しくするかといった資料にもなりますので、ご本人の了解が得られるのであれば、そういう診断名も。判定だけだったら中身がわからないかもしれませんが、その辺りもデータベースに加えてもいいのではないかと思いますので、ご検討いただけたらと思います。
○田原中央じん肺診査医 もし、ここの項目で落とし込むとなると既往歴の上に現在の、例えば状態みたいなものや、そういうところでうまく入れるとかですね。
○鈴木労災補償部長 既往歴の時間というか、経時的な変化を追加していけるようにすれば。
○児玉委員 はい。それだったら健康管理に役に立つと思います。
○安井中央労働衛生専門官 おそらくデータベースを作るときは、1つ入力したら終わりということには基本的にはなりませんので、全部経時的に入力できるように作りますので、既往歴も当然何月何日既往歴というのは書けると思います。
○鈴木労災補償部長 あるいは一般定期健康診断、まとまってこの項目を受けると、その結果も、その日にシンクロした形で実際には記録されると思います。これは1枚ですべてを表現しようとしていますので。
○児玉委員 2頁の(3)は、当然全員を対象とするということですが、対象にするだけではなく、当然全員に健康管理が行き渡らなければいけないと思います。それで、アの所属事業場における通常の健康管理は100%皆さん受けられると理解していいのですか。私はこの領域は明るくないので。
○安井中央労働衛生専門官 一般的健康診断については年1回、放射線業務に従事している間は半年に1回の特殊健診というのは義務になっております。
○児玉委員 義務で皆さん必ず受けられると。
○安井中央労働衛生専門官 必ず受けていただく必要があります。実施率はかなり高いです。
○児玉委員 100%に近づける努力をしていただきたいと思います。あとは転職の場合あるいは離職後も100%が理想ですが、できるだけ高い率で受けていただけるように、その手立ては考えていただいたほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。
○相澤座長 これはなかなか難しいですね。でも、皆さんに健康管理を受けていただいたほうがいいと思います。
○児玉委員 離職後は100%というのは無理だと思いますが、できるだけ高い率を維持していただけたらと思います。
○田原中央じん肺診査医 先ほどの鈴木先生のお話とも重なるのですが、具体的ないまの項目でいくと、血液の血算及び白血球分画というお話がありましたが、もし時間が許せば、そこについて特に優先度が高いのはこれとこれというようなものを今日の時点で挙げていただければありがたいのですが。
○鈴木委員 7頁で長期のほうで甲状腺が入って、白血球が入って、あとはがん検診が便潜血、胃と肺が入ったわけです。長く見ていくというのはそれでいいのだろうと思っています。
 私が先ほどから言っているのは、1回このフォーマットを埋めておかないと継続ができない、追跡をしても前のデータがないということになりかねないので、それをどうすればいいのかなと考えています。もし事業者にこれの中の例えばピロリ菌とか、肝炎ウイルスを義務づけられないとすると、何らかの形で研究費を取って、その分を検診のところに付け加えるみたいな別の仕組みを考えなければいけないのだろうと思っています。
 とりあえず折角この人たちを長期にフォローしようというときに、スタートになるデータが埋まっていないというのは何としても避けたいのです。それに対して何らかの仕組みを考えていかなければいけないのではないかと思います。それは行政的に普通の健康診断の中で、これらは義務づけできないというのであれば、何らかの別の仕組みを考えて予算を取る必要があるので、それが研究費になるのか何になるのかは議論させてもらったほうがいいと思います。
○鈴木労災補償部長 7頁でも※は電離則の健診ですので、当然今回の対象者は該当しますし、事業場に属している労働者である以上、一般定期健康診断の項目も1回は必ず埋まっているわけです。
○鈴木委員 甲状腺は今回入ったわけですよね。
○鈴労災補償部長 線量の高い方については入っています。
○鈴木委員 ピロリ菌とか肝炎ウイルスをどのような形で見ておくかという話なのです。便の潜血も線量の高い人は入ることになっていますので、ちょっと細かくなりすぎるのですが、折角こういうフォローアップをしようとスキームを決めて、データベースのフォーマットを考えて、それの中身を1回も埋めないでおくという余地を残してスタートするというのはちょっと心苦しいと思うのです。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃる趣旨はよくわかります。我々の行政的な考えからすると、線量に応じるという側面がかなりあると思っています。例えば、10mSvしか被ばくされなかった方というと、ほとんど空欄になってしまうと思います。100mSvになってくればいろいろ検査が出てきますので埋まってくるところもあると。それでも埋まらないところが、おっしゃるようにピロリなどというのはあるのですが、まさに疫学的研究の観点からこれが全部埋まっていないで抜けがあると、その部分も値が出なくなってきますので、大変重要だというのは理解するところであるものの、行政的な観点とはちょっと違うところがあって、健康管理に必要かどうかというところがあります。
○鈴木労災補償部長 次回までに整理して。当然このデータベースはほかの省庁とも連携をとりながら、研究的な目的にも活用できるようにということを想定してやっておりますので、研究ごとに別途集団を想定して案内をしてというのは非常に非効率ですし、それを避ける意味もありますが、厚労省の行政としての長期管理というものと研究的なものというのは、区別して記述する必要があると思いますので、その辺りの考え方を次回までに整理してご議論いただけばいいのかと思います。そういう意味で1度は埋めておくべき、放射線の影響か否かを将来鑑定する際に、これは早い時期に1回はやっておくべきだというのがあれば、それは今日ご指摘いただいて、次回はそれを踏まえて整理すると。
○鈴木委員 アンケート調査、喫煙歴とか、この辺もそうなのです。やはりこれはちょっと普通の健診ではなくて、なるべく早い時期にそういう、調査をやる項目として何らかの研究ベースでも構わないとは思います。何か別途真剣に考える必要があるのだと思います。○田原中央じん肺診査医 生活歴なども問いますし。では、厚労省の健康管理を主体として、基本的にこういうメニューを進めますというものと、あとは将来の研究等、今後の研究面なども考えて、こういう項目については早いうちに調べたほうがいいというものと、その辺は次回までにまとめさせていただきます。今日出た中ですと、例えばピロリとか肝炎ウイルスという話が挙がっておりますが、また確認させていただきます。こちらで進める基本的なメニューという話と分けて書かせていただきたいと思います。
○相澤座長 予算がありますから。
○鈴木委員 それはルーチンに毎年やるような検査でないのも確かなのです。
○相澤座長 全体的にほかにまだご意見がありましたらお願いします。
○田原中央じん肺診査医 例えば腫瘍マーカーみたいなものは入れなくてもいいのですか。そこまではいいですかね。
(特に発言なし)
○相澤座長 それでは、ご意見がなければ、今日はこれで終了したいと思います。宿題が出ましたので、次回までに事務局で資料をお作りいただきたいと思います。では、次回の予定について、事務局からお願いします。
○田原中央じん肺診査医 次回の第4回は9月のどこかということで調整をさせていただいております。よろしくお願いします。
○相澤座長 それでは、大変活発なご意見、ご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。本日はこれで第3回「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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