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2011年7月21日 第2回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会

○日時

平成23年7月21日(木)
13:30~


○場所

厚生労働省講堂


○議事

○田原中央じん肺診査医 本日は、大変お忙しい中ご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻の1時半になりましたので、ただいまより第2回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会を開催します。今回は、参集者7名の先生方のうち、草間委員がご欠席されています。また、明石委員の代理として今回は富永隆子委員が出席されています。よろしくお願いします。前回ご欠席でした日本医師会の今村先生にはご出席いただいています。事務局は安全衛生部長が他の公務の関係で遅れています。終わり次第来ることになっていますが、現時点でいつ来るかは未定になっています。撮影はここまでとさせていただきますのでよろしくお願いします。ここからの議事進行については、座長の相澤先生にお願いします。
○相澤座長 お足元の悪い中、お忙しい中お出でいただきましてありがとうございます。円滑な議事の進行にご協力お願い申し上げます。議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 今回の資料は表紙の議事次第が1枚、両面印刷の裏の資料1「第1回検討会における主な意見」。資料2「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関するグランドデザイン(案)」は、前回の第1回で申し上げた中間まとめの素案という位置付けのものです。ページが打ってありまして、1頁から4頁まで本文、5頁、6頁の裏表がデータベースの項目の案で6頁まであります。最後に参考資料1「緊急作業従事者の被ばく線量について」ということで、東電から発表されている作業者の方々の被ばく線量の分布です。3月に作業に入られた方と4月に作業を開始された方、7月13日時点でわかっているものという位置付けです。資料は以上です。
○相澤座長 資料の不足はありませんか。よろしいですか。資料1について事務局から説明をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 資料1「第1回検討会(6月27日)における主な意見」をご覧ください。参集者の皆様方には、参考として第1回の資料一式をテーブルに置いていますので、適宜ご覧ください。前回は、データベース構築のイメージやどういう項目を蓄積するかをたたき台で提示させていただきました。いくつか論点を挙げて先生方のご意見をいただいた次第です。そこで出た主な意見をこちらでまとめたのが資料1です。
 (1)データベースの項目や利用方法に関するものとして、データベースの項目として、被ばく線量や一般的な健康診断の項目をたたき台で挙げていましたが、それに追加して、喫煙・食事等といった生活習慣に関する項目や、臓器別でいくと甲状腺の機能低下などがあるので、甲状腺に関する検査結果を加えるのがいいだろうというご意見がありました。また、データが蓄積していったものを作業者の方が参照するに当たっては、参照できるのは当たり前なのですが、プライバシーの保護の観点と利便性(見やすい)ということのバランスが重要であることがご意見として出ています。
 3番目で、長期的に健康診断の情報などがデータベースに反映されていく仕組みが必要であろう。福島第一での作業が終わったあとについても継続的にデータが取り込めるようなことだと認識しています。
 4つ目は、財団法人放射線影響協会が保有する労働者の被ばく線量情報を活用するといったこと。もともと原子力発電所等で働いている方の線量データが放影協で蓄積されていますので、これを活用できないかということです。
 (2)として、長期的な健康管理の有り方についてですが、期間としては労働者の生涯にわたって行うべきであろうと。つまり数十年という単位というふうにご意見が出ています。次に、労働者の健康管理を効果的に行うためには、被ばく線量等に応じて、例えば白内障をあとでフォローしたというお話がありましたが、被ばく線量に応じた白内障検査などの対応が必要であろうというお話があった一方で、線量に関係なく、現場に入った不安とか、そういう要素がありますので、メンタルヘルスとか、そういうことにも留意が必要と。被ばく線量にあまり関係のない要素で対応すべきだろうというご意見が出ました。
 また、(3)のその他で、制度面のことなどを挙げていますが、健康管理手帳制度、もともと科学物質や粉じんで離職後の健康診断をやる制度があるのですが、いまのところ放射線の業務はこの制度を参考にして、今回は現役の方から離職後まで含めて利用できる制度として手帳なり、ICカードといったものを交付することが適当ではないかというご意見が出ました。
 また、これはデータを蓄積したあとの研究のような側面だと思うのですが、線量とか、そういう健診のデータに加えて、レセプトの情報など、他のデータとリンクすると後の研究のときには有益であるというご意見も出ています。主な意見としてピックアップさせていただいたものは以上です。
○相澤座長 ありがとうございました。前回ご議論いただいた内容をまとめたものですがいかがですか。何かご意見とかご質問ございますか。よろしいですか。
 資料2に移ります。今回の主な論点です。3頁、4頁にわたりますので、項目ごとに区切ってご議論をいただければと思います。最初の項目から事務局でご説明をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 1頁の(1)「検討の背景」をまず一通り読ませていただきます。
 (1)検討の背景。東京電力福島第一原子力発電所の事態収束に向けた作業が長期化しており、緊急作業に従事する多くの労働者に、放射線への被ばくによる今後の中長期的な健康障害の発生リスクが高まることが懸念されていることから、これらの労働者に対して長期的な健康管理を行うことが必要となっている。
 また、原子力災害対策本部においては、平成23年5月17日に「原子力被災者への対応に関する当面の取組指針」が取りまとめられ、本取組方針においては、安全や環境に及ぼす影響や作業環境に配慮しながら、一刻も早い事態収束に取り組むこととされた。特に、作業員の長期的な健康管理のため、「緊急作業に従事した全ての作業員の、離職後を含めて長期的に被ばく線量等を追跡できるデータベースを構築し、長期的な健康管理を行うこと」等が示された。
 こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、平成23年6月に「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を設置し、?データベースを構築するに当たって必要な項目、?健康診断等、離職後も含めた長期的な健康管理の在り方等について検討を開始した。本グランドデザインは、上記検討項目についての大枠を示すものである。以上です。
○相澤座長 ありがとうございました。検討の背景ですがいかがですか。何かご意見ございますか。
○田原中央じん肺診査医 このパートは事実関係が中心ですので、事実関係等の間違いがなければとは思っています。
○相澤座長 よろしければ、(2)「基本的な方針」をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 1頁目の残りから2頁目の上のほうまでまいります。(2)基本的な方針。緊急作業に従事した労働者が、緊急作業時に所属していた事業場から離職した後にも、自らの健康状態を経年的に把握し、必要な健康相談や保健指導等を受け、適切な健康管理を行うことができるよう、データベースは、被ばく線量以外にも健康状態に関する情報等を登録できるとともに、労働者本人が照会できる仕組みとする。
 また、緊急作業に従事した労働者の長期的な健康管理を行うためには、緊急作業に従事したことによる健康への不安を抱えていること、累積被ばく線量の増加に応じて健康障害の発生リスクが高まることから、労働者が緊急作業時に所属していた事業場から離職した後にも適切な健康管理ができる健康相談窓口を設置するとともに、一定の被ばく線量を超えた労働者に対しては健康診断等を実施することが適当である。以上のようにまとめています。
○相澤座長 2番目の基本的な方針ですが、何かお気づきの点がありましたらお願いします。よろしいですか。またあとでお気づきの点がありましたらお願いします。大事なところですが、3番の「データベースの構築」をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 (3)「データベースの構築」は、アイウエオで区切っています。まず、アの「データベースに蓄積する項目」までです。2頁と、5、6頁に具体的な表などがあります。
 本文に入ります。ア「データベースに蓄積する項目」。データベースにおいて保管する情報については、今後の長期的な健康管理に活用するため、下記?から?までとする。
 ?個人識別情報、例えばID番号とか氏名とか所属している事業場、住所、連絡先といったものが含まれます。?緊急作業従事前、従事中、従事後の被ばく線量及び従事している間の作業内容。?健康診断等の情報、例えば、電離則の特殊健康診断、一般の定期などが考えられます。そういう健康診断などの情報。?健康相談、保健指導などの情報。?その他健康管理に必要な項目、生活習慣などを念頭に置いて書いています。というのが?から?です。また、これらの情報は、離職前のものについては、事業者から提供を求めることとする。もともと労働安全衛生法等で健康診断等がありますので、そういうことを書いています。
 なお、構蓄するデータベースの具体的なイメージについては表1のとおりであるが、離職後の人間ドックの結果等については、労働者の任意の提出をもとに管理することができるようにする。なお、このデータベースは、将来、一定の条件のもとに疫学研究等に情報が活用されることになる場合も想定して内容を決定しておくことが望ましいとしています。
 おそらく、この文章というよりは、5、6頁の項目を見ていただければと思うのですが、第1回にお示したものから変えた部分を説明させていただきます。基本的な構成としては、1.基本情報、2.作業・被ばく情報、3.健康相談・保健指導情報、4.健康診断・検査情報としています。本文の?から?は概念的な話です。こちらのデータベースの項目は、どちらかというと、実際にプログラムを組むことを念頭に置いた分け方になっています。項目としては?から?が網羅されています。
 前回から変わったところは、基本情報のところに「緊急作業時の所属事業場」を加えています。転職された方を想定して、そもそも福島第一で作業をされていたときに、どこの事業所の所属だったかということをここに加えています。
 2の作業・被ばく情報は、任意の期間で線量を取れるようにする仕組み自体は変えていないのですが、線量のところが以前は実効線量を念頭に置いて、全身の実効線量の欄を入れていたのですが、眼と皮膚と甲状腺の等価線量の欄を加えています。
 3の健康相談・保健指導情報は非常に大雑把でありますが、前回なかったものを加えています。何か相談を受けたときに、そういうことの記録を残す。
 4の健康診断・検査情報は、項目を増やしたのと少し割方を変えています。5頁にあるところが基本的な項目と労働安全衛生法の一般定期健診でやるような項目までを5頁に載せています。変わったところは、食生活、喫煙歴ということで、生活習慣の項目を枠組みとして作っています。一般定期健診のところは基本的に変えていません。
 6頁に進むと、前回のときに電離則の特殊健診という括り方をしていたのですが、今回、白血球、眼、皮膚、甲状腺の検査の種類や臓器別、場所別になっています。白血球と眼と皮膚に関しては、電離則の健康診断でも作業に従事している方はもともとやられる。甲状腺については、前回ご指摘があったということで、主なホルモンや自己抗体をいくつかということで、いくつか代表的なものを入れさせていただいたのと、超音波をやるかもしれないということで、超音波の欄を書いています。
 ほかに右側のところも少し詳しくしていまして、ここから先は検査の種類別です。上部消化管に胃や食道など、代表的な検査を挙げています。次に下部消化管、主に大腸を対象とした検査をやっています。ほかにCTやMRIといった画像を撮った場合の記録という部分。肝炎のウイルスという話が前回少し出たと思うので、がんのリスク要因としてということでありましたので、B型肝炎とC型肝炎のウイルスの代表的な項目を挙げています。場所として、白血球の欄に入れるべきか難しいところでありますが、リンパ球の染色体異常を調べる検査が線量を多く浴びた方については使われることがあるということでここに入れています。
 前回の第1回の議論のときに出た項目はほぼここで網羅されていると思います。これをまた見直していただいて、どういう項目がいいのか。あとは中身です。例えば、いま枠組みとしては数字で単位を表わせるものもありますが、どこまで詳しく書くかとか、そういうことも含めてご議論いただければと思います。以上です。
○相澤座長 ありがとうございました。5頁、6頁と、2頁のデータベースに蓄積する項目というところをご覧いただき、いまのご説明に対して何かご意見がありましたら、お願いします。
○今村委員 前回欠席したものですから、確認させていただきたいと思います。6頁にある健康診断・検査情報は、基本的に、こういった被ばくをされた労働者の方については毎年実施するという意味で書かれているのか。そうではなくて、ご本人が自分で実施された場合に、ここに記録できるようにという意味で書かれているのですか。
○田原中央じん肺診査医 この案を作った想定としては後者です。これを全部埋めろという意味ではなく、プログラムを作っておく上で枠として作っておく。これをどういう頻度で、どこまで埋めるという話はまた後でということです。ただ、プログラムの仕様としてどういうものを入力するか。この中には法定で定期的に入るものもあれば、任意で入力されるものも含まれる。ただ、枠組みとしては広めに作っておくという意味です。
○今村委員 わかりました。もう1点、今回、検討会を作られたのは被ばくの方の健康管理ということで、どれぐらいの被ばく量があるかというお話なのだと思いますが、私は素人なので申し訳ありません、とんでもないことを言ったらあれですが、例えばCT検査を受けると、当然、CTに対する被ばくも追加されていくわけですよね。その辺の追加の線量等についての検討というのは、どういうふうに考えればよろしいでしょうか。
○田原中央じん肺診査医 医療被ばくとか、そういうことをどう考えるかということですか。
○今村委員 ご本人の健康管理の上で、もともと作業場で被ばくされた量に、さらに今度、ドックなどでCT等を追加でずっと受けていく方も中にはいると思うので、その場合の追加の線量そのもののリスクというのは、当然、あると思うのですが、そういうものは検討しないということなのでしょうか。
○田原中央じん肺診査医 これも、どちらかと言えばメニューとして、今後、どういう健康診断等をやっていくか。もともとある健康診断で法定のものとかありますし、それに追加してどういうものをやる必要があるのか。そもそも必要なのか、必要であればどういうメニューをやるのかという検討の中で、そういう要素を入れていただければと思います。それに関しては、次回。
○鈴木労働衛生課長 緊急作業後、例えば完全に離職した後も、そういった検査による被ばくがありますが、事務局で調べたところによりますと、施設によって例えば胸部のCTとかレントゲン検査でも線量は違うようですし、それを確定した値として更に被ばく線量として順次記録していくのは、なかなか手法的には難しいと思っています。ただ、CTをいつ実施したかという記録を残しておけば、それは診断する医師が総合的に判断するときの材料にはなるのかなと思っていますので、数値的に記録するというよりは、そういう検査の記録を残しておくことで代えられるのではないかと思っていますが、これは、むしろご議論いただいたほうがいいかと思います。
○鈴木委員 前回の資料の中にも入っているかと思いますが、他のデータベースとの照合ということで、例えばレセプト情報が入っています。あそこの中で、少なくともどういう検査をやったかということで、エックス線診断の回数は出てくるのだろうと思っています。そういうものと別個に、いま日本で流通しているようなCTとか、胸部レ線あるいは上部消化管透視など、そういうものの平均的な線量とその分布みたいなものは、別個に調査で出てくるだろうと思っていますので、将来、何かそういう医療被ばくのデータをこれに加えて解析しようというときは、その時代、時代の中心的な被ばく線量と、そのプラスマイナスいくつというような値を使いながら評価する形になるかと思います。
○今村委員 大変悩ましい話かなと思うのですが、私がもしこの労働者の事業者で、健康手帳を渡されてずっとフォローアップしていくと、当然、加齢とともにいろいろな病気になるリスクはあるわけで、ご本人の気持の中には被ばくしたことによる健康影響というものが、自分のその後の疾病につながっているのではないかと常に考えるリスクがあるし、現実に起こるかもしれない。そういった中でご本人の自由で受ける医学的な検査、あるいは受けざるを得ない医学的検査の被ばくというのも当然あって、そのときに何がいちばん影響したかという話をしだすと、すごく難しい問題になってきます。ここでそこまでの議論はできないのかなと思ったのですが、いま先生からもご指摘があったようにレセプト情報なんていう話になると、完全に医療までつながった話になってくるわけですから、そこら辺をどう考えたらいいのか、ちょっと素人として考えたものですから、あえて申し上げました。
○相澤座長 いかがでしょうか。これについては一般環境での被ばくも出てきますが、これはあくまで緊急作業中の被ばく者に対するということです。
○今村委員 そこはもちろん理解はしているつもりですが、もともと胸部レントゲンをどうするかみたいな話でも、当然、発がん性云々ということが公の議論になるわけですから、そういった中でCTなどを、特に若い労働者の方だとこれから何回も受ける可能性があるので、そこはちょっと危惧されたということです。ご専門の先生がまたいろいろ考えていただければいいと思いますが、一応、意見として申し上げました。
○相澤座長 大変大事なご指摘だと思います。記録に残すということでいかがかということです。ほかにはございませんか。
○祖父江委員 いまの被ばくにも多少関係するのですが、がん検診に相当するような検査が書いてありますね。上部消化管、下部消化管はいいのですが、ほかにも肺がん検診、乳がん検診、子宮がん検診などがあります。作業者の方々は主に男性なので、マンモグラフィーとか子宮頸癌はないでしょうけれども、含めておいてもいいかなという気はします。
○相澤座長 そうですね。
○安井中央労働衛生専門官 緊急作業に従事している労働者について、今日、お配りしている紙は全員男性のものです。ごく初期の3月中に女性が10数人、従事していた事実はあって線量も把握していますが、それはごく限られた方ということです。また年齢的にも40で比較的高齢と申しますか中高年の方ですので、そういったことも含めて今回の案となっているということです。
○今村委員 別にあえてというわけではありません。
○鈴木委員 2つあります。1つは、こういう情報を将来、疫学調査に使うというインフォームド・コンセントを初期に取っておかないと、あとから追いかけて取り直すのはかなり難しくなりますので、仕組みとして例えば健康手帳を渡す時とか、比較的早い時期に同意書を取るような仕組みを考えてもらいたいと思います。
 2番目は、5頁の健康診断・検査情報の食生活、喫煙歴のフォーマットをどうするかです。これは具体的に祖父江先生なり児玉先生のほうで、使い勝手のいいフォーマットを作っておいてもらわないと、例えば喫煙歴「あり」「なし」でやると、かなり解析のときに使い勝手が悪くなりますから、その辺は詰めていただきたいと思います。
○相澤座長 そうですね。
○祖父江委員 既に放射線影響協会のほうで、交絡因子調査としてそういうものをやった実績はあるので、そのときのアンケート票なんかを参考に決めたらいいかと思います。
○相澤座長 内容については、これから検討させていただくということ。項目はいかがでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 年度内にプログラムも開発を始めますので、次回までに関係の委員にご相談させていただいて、いま言われたフォーマット等についてもある程度固めたいと思います。
○今村委員 このデータは、最終的にどこにサーバーを置く形になるのでしょうか。いまのところ具体的なものがあるのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 後ほどの項目で出てきますけれども、健康管理を含めた運用について、一定の能力を持っている組織でないといけないということですので、まだ未定です。
○今村委員 厚労省が持つのではなくて、どこかの。
○鈴木労働衛生課長 いまのところ、厚生労働省が直接運用することは考えていません。どこかに委託するような形を想定しています。
○今村委員 これは、先ほどからレセプトデータとの突合であるとか、あるいは疫学的な活用という話の中で、いま別の仕組みで特定健診という、いわゆるメタボ対策の健診として電子化されたデータベースがあって、それをレセプトと突き合わせて疫学的な利用をしようというお話もありますが、結局、外部の事業者のサーバーに置いておき、それを利用するときは必要な資格要件を取って、それで初めて利用できると。非常に面倒な手続も要りますし、行政が利用する場合には法律に位置づけられた形ですけれども、民間の研究機関が使おうとすると非常に難しい仕組みになっている。その中で労働者の方が会社を辞めて地域に行くと、今度は地域の健康情報みたいな話になってきて、いろいろな所にいろいろなデータができる。そうすると実際には疫学的にそれを利用しようとしても非常に難しい。先ほどお話があったような仕組みになるので、そこはきちんと使いやすい、ご本人にとってもわかりやすい仕組みにしていただくことが大事なのかなと感じているところです。
○相澤座長 これについては後ほど、データベースの管理というところでまたご議論いただきます。
○今村委員 先走りまして申し訳ありません。
○相澤座長 大変大事な指摘だと思います。
○富永代理委員(明石委員代理) いちばん最後の項目に「リンパ球染色体」とあるのですが、これは線量評価という意味での染色体分析の項目として挙げられているのか。それともほかの染色体異常を含めて、がんに絡んでということで、ここに挙げられているのか確認したいのが1点と、もう1点は、もし外部被ばく線量の評価のための染色体分析ということで挙げて、被ばく線量ということで出すのであれば、これは被ばく情報という項目に入ってくるかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○児玉委員 これは前回の検討会で私から提案したもので、被ばく線量推定、生物学的な線量推定という意味合いです。ですから、いまの2つのご質問は、その範疇で取り扱うべきだと思います。
○相澤座長 2のところに入れたほうが適当だと。
○児玉委員 線量も。
○相澤座長 線量とかですね。
○田原中央じん肺診査医 線量の情報のところのパートに入れるべきものと。
○相澤座長 はい。
○田原中央じん肺診査医 ありがとうございます。
○安井中央労働衛生専門官 確認ですが、外部線量については日々の線量管理で基本的に1?線量当量についてはAPDで完全に抑えているのと、ガラスバッジで基本的に抑えているということを踏まえた上で、リンパ球染色体というのを測らなければいけない場面というのは、具体的にどういった方を対象にする必要があるのでしょうか。
○児玉委員 もし研究という観点側面でしたら全員になりますし、測定された線量が不確かな人がでありそれを補足するというのだったら、その人にやる。2つのことが考えられると思います。
○安井中央労働衛生専門官 何らかの事情で線量が十分に測定されていない方を前提にするということですね。わかりました。
○相澤座長 ほかにございませんか。
○今村委員 プログラムを作るときは、データは全部電子化を前提にしてプログラムを作るのでょうか。電子化ということ。
○鈴木労働衛生課長 ですから、先ほど出たフォーマットに関連しますが、保健指導も文章で入れていると大変な作業になりますので、定型的な保健指導の内容といったものも記号化して入力するのがいいのかなというふうには思っています。あと当然、CT、MRIの検査なども、所見をそのまま文章で入れるのは手間もかかると思いますし、もし任意のものを提出していただくときにも、今度は提出する医療機関側に負担がかかる可能性がありますので、A、B、Cとか、1、2、3といった類型化した形でデータを出していただくことも必要かなと思っています。
○今村委員 いまの課長からのお話で改めて確認したいのですが、この健診を実施する機関が、いまのところ安全衛生法の健診ですし、こちらはドックなどで自由にご本人が受けられるということですけれども、電子化を誰がするかというのは結構、医療機関にとっては大きな問題で、いまのお話だと、健診を実施した主体が電子化したデータを渡すというイメージで考えておられるのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 そこは法令的にも、これから詰めるところなのですが、事業者の責任でやっているもので健診機関が既に電子化されたものを持っている場合は、それをそのまま提出できるほうが簡単だと思います。ただ、例えば任意に受けた人間ドックで紙で本人がもらっているときに、紙の入力は、これを運用する機関が打ち込むことをせざるを得ないと思っていますので、法定のものは別ですけれども、法定外で受診した場合にその医療機関に負担がかからないこと。それから本人にも費用的な負担がかからないことが大前提になると思っています。
○今村委員 ありがとうございます。先ほど申し上げたように、安衛法の健診の中で特定健診のほうに送るときには、別に電子化は義務化されていないわけですから、事業主のほうで実施する健診そのものは電子化されていない現状がある中で、この健診だけはそちらの負担というような不整合が起こらないように、制度設計をしていただければと思います。
○児玉委員 先ほどのリンパ球の染色体異常の検査は、説明が不十分だったので追加させていただきたいと思います。理想的には全員という話ですが、これはあくまで理想で、実際にはそんなに何千人もすぐにできる検査法ではありません。非常に手間がかかるし時間もかかりますので、現実的には、先ほども言いましたけれども、線量の推定が不確かな人にやるという位置づけがいいと思います。
○相澤座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。事務局はよろしいですか。
○田原中央じん肺診査医 例えば先ほどの生活習慣を、どこまで細かく見るかみたいなお話は、また別途詰めさせていただきますが、大枠として、こういう項目を器として準備しておくということで大きな漏れがないか、そこのご確認をいま一度していただければと思っています。
○相澤座長 全項目をやるわけではないのですが、漏れがあると後で加えなければいけないので、ほかに何か追加するものがあったらお願いしたいと思います。
○児玉委員 細かく言い出すと切りがないのでとは思いますが、放射線をかなりの量浴びると炎症が起こるのではないかということで、炎症反応の測定というのが1つあったらいいな思いますという項目になりますので。、例えば高感度CRPといったものも考えていただけたらと思います。
○相澤座長 4番あたりですかね、白血球のところ。
○安井中央労働衛生専門官 確認ですが、いまの話は急性障害を前提とされているということでしょうか。
○児玉委員 両方です。慢性期にも起こる。
○安井中央労働衛生専門官 慢性期の炎症障害も含めると、わかりました。急性期については、たぶん現実的に難しいというか、今すぐというわけにいきませんので、わかりました。それはどういった方を対象にしますか。押し並べて全員ということではないと思いますが、高線量被ばくとか、そういうことでしょうか。
○児玉委員 ここに挙げている項目は、全員にこれをするという意味合いでは、たぶんないですよね。
○安井中央労働衛生専門官 ええ、ないです。
○児玉委員 ですから、情報が入ればという意味合いでと私は理解したのです。理想を言えば、これまた全員ということになりますけれども。
○安井中央労働衛生専門官 そうすると、何らかの機会にそういう検査を受けた方は、このデータベースに登録するということでしょうか。それとも積極的にやるべきということでしょうか。
○鈴木委員 私自身は、何年か目に必ずやってほしい項目として挙げておいたほうがいいのだろうと思います。皆さんがばらばらにやってしまうと、例えば甲状腺の検査をある人はやったけれども、ある人は全くやっていない。あるいは先ほどの高感度CRPなんかに関してもそうで、毎年やるルーチンの検査でないことはたしかですが、例えばこれは5年目、10年目に全員やってくださいということで、もし予算措置がとれるのだったらそのような体制をとっていただきたいと思います。
○相澤座長 そういう意味では甲状腺の機能検査と自己抗体がありますが、機能の検査は定期的にやったほうがいいということでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 今回のデータベースは、何らかの機関が研究的にやるだろうと想定されるものについても、幅広く一元的に入力できるシステムを作っておくのがいいだろうということですので、行政の責任でやるかやらないかは別にして、あるいは研究としてやるかもしれませんから、それが想定されるものについて今日、そういう意味で幅広にいただいて、次回は行政としてルーチンにやるべきものについて、1回だけでも結構ですけれども、どの項目を、どのぐらいの頻度でというのを集中的にご議論いただきたいと思います。とにかく研究目的も含めて、1回でもやる可能性のある項目に漏れがないかということで、今日のところはご確認いただければと思います。
○相澤座長 枠を取っておくということですね。よろしいですか。
○富永代理委員(明石委員代理) 項目から外れてしまうかもしれませんが、2.の作業・被ばく情報のところに「通常・緊急の区別」とあります。ここはすべて緊急作業に従事した労働者にとなっていて、これは事態が収束した後の通常ということを考えているのか、それとも、これはどういう区別をするつもりなのかわからないのですが。
○田原中央じん肺診査医 これは最初に説明しておくべき内容で失礼しました。まず前提としてパートが1、2、3、4と分かれているのは、これを全部1行の表計算のようなもので毎回、毎回溜めるという意味ではなくて、1の部分は1人につき1件という形で溜まっていく。でもお1人の方が作業する期間によって、この時期は何ミリシーベルト、この時期は何ミリシーベルトということですので、1人の人に対して作業被ばく情報は複数ある。同様に健康診断や健康相談の類いも、1人に対して複数回、人によってはある程度タイミングが違っていくということで、1対多の関係になっています。ここの作業・被ばく情報というのは、もともと緊急作業に就く前にどのぐらい浴びていたのかも、入れられれば入れられるようにということで任意の期間でやれるようにしています。ここでの区別としては、例えば3月11日よりも前の期間を開始、終了で設定して、これは通常扱いで何ミリシーベルト浴びましたというものを入れて、例えば3月10何日から3月何日まで何ミリシーベルト、緊急で浴びましたという形で入れていけば、あとでデータとしては区別できることを念頭に置いています。
 もっと言いますと、一部の方については3月11日以降に福島第一で作業した後、別の原発で作業され、また福島に戻ってやる方もいますので、単純に時期だけで切るわけになかなかいかないこともありますから、任意の期間を取れるようにしたことと、通常作業としてやっているのか、緊急作業としてやっているのかも、それぞれ独立した項目として設定しています。
○相澤座長 よろしいですか。また後で戻っていただいても結構ですが、項目については、一応、これで大枠ということにさせていただきます。次の項目をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 資料2の2頁に戻り、真ん中より少し下でイの「データの参照」からです。緊急作業に従事した労働者本人が被ばく線量を含めた健康情報を照会することが出来ることとする。また、個人情報の保護の観点から労働者本人が窓口で照会することとし、全国各地から緊急作業に従事している労働者がいること等を踏まえ、労働者の利便性を考慮し、一定数の窓口を全国に設置することとする。なお、主治医や事業者等が本データを活用する場合には、労働者を通じて提供する。
 こういうふうにしています。ここが利便性のところと、プライバシー、情報セキュリティの兼合いというところです。
○相澤座長 データの本人の参照ということですが、いかがでしょうか。
○今村委員 確認ですが、このデータの参照と言っているのは、あくまでデータベースを作ったところのアクセスという意味で、ご本人自体は、もともと前回のこれを拝見すると、例えば手帳みたいなものをお渡しして、本人は自分の情報はその手帳等で確認できることが前提になっているという理解ですが、それはまだ何も決まっていないということでしょうか。つまり、ご本人が何かこういったアクセスをしなければ確認できませんみたいな仕組みというのは、本当に本人のことを考えているようには思えないというのが1点です。
 もう1点、下から2行目の主治医というのは、何か疾病を持っていて、かかっている先生がという意味で書かれているのでしょうか。あともう1点、事業者は当然、勤めておられるときには、こういう健診のデータは全部わかっているわけですよね。そうすると、このデータを活用するというのは、どういうことを想定して書かれているのかということ。それから事業場にいるときは産業医がいるわけですから、その辺のデータの活用については、当然、産業医はわかっていて当たり前という前提なのかどうかも含めて、教えてください。
○田原中央じん肺診査医 まず1点目ですが、確かにご本人が情報を何らかの形で見られるのは当たり前ですということは、前回のときもお話が出ました。これはどういう形で蓄積していくかにもよりますが、もともと持っているものを、任意で労働者ご本人が何らかの形で提出する形であれば、基本的にはご本人が持っているはずです。ただ、ある程度承諾を得て何らかの形で流し込むような話になった場合、形としてはご本人が提出ということであっても、技術的に別のルートを辿る場合に、どうだったかということが1点です。あとご本人が持っていたとしても、例えば5年前、10年前に変化がどうだったかというときに、持っていたはずだけどなくしてしまったと。そういう時に自分の過去の推移がどうだったか確認できるという意味も含めています。
 2番目に主治医というのは、いわゆるかかりつけ医です。ご本人が何かしらのことで医療機関にかかることになったときに、もともとこういう状況でしたというのを必要に応じて提出する。かかった医師の所でお見せするという使い方を想定しています。確かに事業者というのは、現実的にはなかなか考えにくいところがありますが、あるとすれば例えば転職をしたときです。もともと勤めていた所にずっといれば事業者は基本的に何年間か持っているはずですが、例えば転職した先でそこの産業医と相談して、昔、あなたはどういう状況でしたかというときに、元の同じ会社であれば当然、そこで持っていますが、そういうケースもなくはない。そうしょっちゅうはないと思いますが、あり得なくはないというぐらいのイメージです。
○安井中央労働衛生専門官 追加しますと、ここに書いてあるのは、いわゆる放医協で言うと中央登録センターみたいな所で、データベースを構築するのは前提になっていますから、それに対するアクセスという部分です。手帳なりを交付するのか、あるいは手元にどういった情報を置いておくのかはさておき、これはあくまでそういった中央電算センターみたいな所に、どうやってアクセスするかについて書いているものです。
○今村委員 だから、データベースのほうへのアクセスだけを言っていて、ご本人が持つデータのことを必ずしも言っているわけではないと、そういう理解ですね。
○安井中央労働衛生専門官 はい。
○今村委員 了解です。
○相澤座長 データの参照については、よろしいでしょうか。それでは次にいきます。データベースの管理です。
○田原中央じん肺診査医 ウの「データベースの管理」、本文は3頁目です。長期的に適切な健康管理を行うため、労働者の被ばく線量のみならず健康情報等が継続的かつ長期的にデータベースに反映される仕組みとし、離職前に係る情報は事業者から提出を求めるとともに、離職後の健康診断結果等については、可能な限り労働者の負担が少ないように情報が入力されることが必要である。
 このため、データベースを管理する主体としては、継続的かつ長期的に業務を遂行することが可能であり、データの照会のために一定数の窓口を全国に保有するとともに、健康診断等を実施する機関と緊密に連携できることが望ましい。以上です。
○相澤座長 ありがとうございます。データベースの管理というところですが、いかがでしょうか。これは先ほど今村委員から質問がありました。どこでやるのかといったことは、ここでは書かれていない。
○安井中央労働衛生専門官 在職中につきましては基本的に、被ばくデータについて管理する義務が事業場にありますので、そこから入手することになろうかと思います。法令の義務に係る健康診断についても同様ですので、それはそこから入手することになると思います。あとはそれ以上のものですね、任意の健康診断であるとか離職後については、医療機関と何らかのデータのやり取りが必要になってきます。
○鈴木労働衛生課長 補足説明をします。この管理というところで書かれているものは、今回の緊急作業従事者の長期的健康管理をすることが、とにかくいちばんの目的であり、データベースは最低限、住所録の機能がいちばん重要なわけです。要は従事していた小規模事業場で名簿の管理が不十分だったり、場合によっては倒産してデータが散逸してしまうと、行政の責任で健康診断、健康相談などを本人に提供しようとしても、なかなか困難になってしまうわけです。ですから国の責任で、実際は委託するにしても、住所録的なデータベースを持つことが大事であり、それを基にやることは健康診断の機関などを選定し、そこへの案内と言いますか、支払いなどもやるということが実はデータベース自体の管理よりも重要で、その業務を一体としてやることが非常に大事だということです。ただ、将来的に疫学研究等に活用されることも念頭に置かなければ、そういうもののために二重、三重に別にデータベースを持つのは非効率ですから、その側面も当然、同時にくっついてくるということです。どちらかというとデータベースで一般的に想像するのは、研究的なデータを蓄積するというふうなことですが、それだけでしたら単に一研究機関で可能かもしれませんけれども、そうではなくて離職後、全国に散らばってしまう方に対し、それぞれの地域で健康診断の機関を選んで案内し、それをまた入力するという管理、運用が必要なんですよということを説明しているのです。
○今村委員 いまの課長のご説明を聞いて大変よくわかりました。1つの機関でいろいろな目的ということになると思います。そのときに、もちろん今日は学問的にご専門の先生が多いので、当然、研究というお話も先ほどありましたが、決裁の話もあるし研究の話もある。そうすると研究機関が、将来、研究に使うかもしれないことを前提にして、労働者の方にデータを登録していただくことになると思いますが、そうではなくて、例えば決裁機関や、主に健診を中心に考えている機関から研究機関が研究のためにデータをくださいという話になると、いま、ほかの分野でも、そういう情報をいただくのにいろいろな制限がかかって、大変な仕組みの中でやっておられると伺っています。だから理想としては本当に課長のおっしゃるとおりで、1つの所でいろいろな事ができたほうがいいと思いますが、よほどそこをきっちりと制度を作っておかないと、あとで使えないものになってしまってはいけないと考えています。そこは是非、詰めていただければと思います。私も先ほどからくどいようですが、特定健診のときにデータの決裁のやり取りにものすごい苦労をしているので、実際に仕組みとして動かすとなると、ものすごくいろいろな課題が出てくるのではないか危惧していますのて、よろしくお願いします。
○鈴木委員 いまの今村委員の発言に関連してですが、インフォームド・コンセントをかなり早期に取っておいて、そういう健診データを中央登録する仕組みを作っておかないと無理なのではないかと思います。それが1点です。もう1つはデータの入力をどこがやるかです。今はあまりはっきり言っていなくて、事業者がやるというと、たぶんデジタル化はできない話になるのだろうと思います。事業者がどこかに委託して、その委託元を1カ所にしておき、そこがデジタル化入力を引き受ける仕組みをとっておかないと、実際はデータベースができないのではないか。逆に、そういう委託機関に健診データが集まる仕組みにしておけば、ある程度は離職後もできるのではないかという気はします。ですから、そこをもうちょっと制度設計で詰めておかないと、うまく機能しない可能性があるかと思います。
○鈴木労働衛生課長 まず離職前については、法令上、事業者に提出を義務づける。それは紙ベースであっても、この運用をする所が予算に基づいてデータ入力すればいい話ですので、そこは解決すると思いますが、離職後についてメタボなどいろいろなものについて、法令上、事前に整理できるかどうかは、次回までに関係部局とも整理してみたいと思います。
 インフォームド・コンセントについては、あとでまた出てきますが、データベース登録証と言いますか手帳的なものを出すときに、同意がなくても単純な統計で、例えば年齢別の人数や線量別の傾向などは認められているようですが、いわゆる介入研究のようなものとか、あるいは新しい検査ができたので、それを実施して比較してみるといった場合には、当然、その都度要るのだと思います。いずれにしてもいま考えているのは、例えば手帳なりを交付する際に、一般的に使う場合の同意と、新たな企画が何かあった場合には国レベルの審査で承認した後に、そういう案内を送ることについて最低限同意を取っておけば、少なくともいろいろな研究に対する参加についての確認ができることになるのではないかと思っています。データベースそのものを自動的にやるというか、事前に総括的にやるというのは、ある程度は限られてしまうと思っています。
○相澤座長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○祖父江委員 どういうところでこういう発言をするのがいいのか、よくわからないところがありますが、対象者の方への健康管理のためのサービス的な意味合いが、主たる目的であることはわかりますけれども、ここで言う疫学研究というのが何か付随的なというか、あとで付け加えるような形での目的というよりも、並行して行うような位置づけのほうが、よくはないかと思ったりもします。確かに疫学研究というのは、ご本人たちの利益にはならない点ではあるのですが、いま放射線に関する知識がある程度あるのは、広島、長崎のデータがあるおかげですし、今回のこういうデータに関しても、将来の人たちへの放射線リスクの重要な証拠となるものを作っていっているのだということは、主たる目的のうちの1つにならないですか。ですから疫学研究というような形でのものよりも、将来の放射線リスクに関する貴重な資料を、きちんと残すことを目的の1つに掲げる。そういうような位置づけにはならないかなと思ったりしますが、こういうのはどうなのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 第1回の検討会の開催要綱に書いてあるとおりでしかないのですが、ただ、当然、厚生労働省だけとっても、広島、長崎の長期追跡という実績なり意義もあるわけです。まさにそういう趣旨から、この検討会の委員の先生方に集まっていただいて、将来的なことも想定して項目に漏れがないようにと考えています。ただ、現時点で具体的にどういう研究が想定されるかというのがないと、先ほどのインフォームド・コンセントもそうですし、厚生労働省としてどういう研究が必要だというのは、現時点で具体的な申し出等が、ほかの部局や省を超えて文科省などからも、特段、いまの時点でありませんので、それを主たる目的としてきちんと掲げるのは、少なくともこのデータベースの基になっている発想からすると、記述しにくいのではないかと思っています。
○祖父江委員 サービスの提供を主たる目的とする場合は、必ずしも前例を追跡して漏れなくデータを把握する必要はあまりなくて、サービスを希望している人たちを重点的に補足すればいいとなるのだと思いますが、正確なリスク評価をしようと思うと漏れがあっては困るのです。特にフォローアップに関して、その人たちがどういう行く末をとったのかきちんと把握しないと、リクス評価というのはできないので、そこのデータの収集の基本的な態度が、目的と大きく絡んでくると思うのです。
○鈴木労働衛生課長 今回の緊急作業従事者全員を対象にしようという目的は、先ほどもちょっと言いましたように、労働者側からすると、極端な話として例えば事業所が倒産したりすると、記録の保存は、5年経つと放射線影響協会に移管することで保存の義務はなくなるのですが、普段、放射線業務をやっていない方で、例えばほんの一時期来た場合に、全員が放射線管理手帳を交付されるかというと、そこも行政としては強制できませんので、将来、自分が受けた線量が不明になってしまうおそれがあるわけです。ですから、それを行政の1つのサービスとして、将来、いつでも自分の線量が照会できるようにするため、全員を対象にする必要があるということです。
 それと、例えば将来、労災申請などがあった場合に、当時の記録を行政としてもしっかり持っておくことが非常に重要であるのと、ここからは希望者に限られますが、ある程度線量が高い人に対して健康診断をやることにより、放射線による影響である健康障害を早期に把握できる。そうすれば早期治療で重篤度が低いまま解決できる。早期発見、早期治療によって労災の給付を節約できる面もあるわけです。いちばん最後の話は全員を対象にしなくてもいい話ですが、全員を対象というのは主に労働者側からの事情と、行政側の事情として成り立っています。
 リスク評価については、少なくとも労働基準局として所長業務になっていませんし、厚生労働省としても、これに関してリスク評価をやるのかというとなかなか厳しいものがあります。ただ、先ほど言いましたように将来的にそれに使われることも想定して、データの項目としては想定される範囲内で可能な限り広めに取っておく。そういう整理になるかと思っています。
○相澤座長 よろしいですか。この3,000人、あるいはもっと増えるかもしれませんが、完全にフォローアップしないと疫学的なものにならない。それを担保するような制度が必要になってくる。
○祖父江委員 それが望ましいですが、それに準ずるような体制で臨むというご趣旨だったと思うので、それでいいかと思います。
○相澤座長 そういった希望と言いますか、意見があるということを検討していただきたいということです。
○今村委員 また確認ですが、データベースをどこに置くかという話は先ほどから何度もありましたけれども、健康診断の実施については、先ほどのお話だと一定の要件を付けて、その中で実施できる機関を決めるみたいなお話があったと思いますが、そういうことは、この会で議論されることになるのでしょうか。それとも別の枠組みで決めるということでしょうか。
○田原中央じん肺診査医 事務局としては、この文章の中では次のパートで大枠の話が少し出てきます。あと具体的な内容については次回の検討会で、今回のを踏まえてメニューの素案を作り、ご議論いただこうという考えでいます。
○今村委員 その際、是非、事務局にお願いしたいのは、次回までに素案を作ってこられると思いますけれども、事業所にいる場合と比べて、会社を辞めて地域に行った場合、健診を実施できる場所が地域では制限されてこないようにしていただきたい。それを予めお願いしておきたいと思います。
○田原中央じん肺診査医 それは、主に離職した後を制限されないようにと。
○今村委員 つまり、どういう意味で実施される機関を想定するかわかりませんが、なるべくそういった労働者の方が職を離れた後も、自分の健康管理ができるための健診を受けられるような枠組みを考えていただきたいという意味です。
○鈴木労働衛生課長 次回、具体的な項目とか、それが実施できる医療機関は限られるのかどうなのかも含めて、ご議論いただきたいと思います。前回、白内障に関しては、ある程度専門の医師がいる医療機関に絞ってやるべきだというご意見もありましたので、特に専門的な項目については若干基準を設けて、そこに限定することは必要かと思いますが、一般的なものについて、例えば県庁所在地まで出掛けて行ってやらなければいけないとなると不便ですから、そこは次回、ご検討いただきたいと思います。
○相澤座長 データの管理については、よろしいでしょうか。次にデータベースを活用した健康管理の実施について、お願いします。
○田原中央じん肺診査医 3頁の真ん中のところです。(4)「データベースを活用した健康管理の実施」、アの「具体的実施事項」のところを読みます。緊急作業に従事した労働者においては、長期的に心身の健康に不安を感じる労働者がいることから、在職中は所属事業場において健康管理を実施することを原則とし、離職者を対象として健康相談窓口を設置する。
 また、緊急作業に従事した労働者のうち、緊急作業終了時点において原子力発電所における通常の放射線業務への従事による被ばく線量を超える労働者については、晩発性の健康障害の発生が懸念されること等から、それらに関する検査について、法令上の義務に係るものを除き、定期的に健康診断として実施する。
 さらに、今回の緊急作業においては、従来の放射線業務では想定していない高線量の被ばくをした労働者がおり、今後長期の潜伏期間を経て、がん等重大な疾病の発生が懸念されることから、必要な検査について健康診断等として実施する。ここで一旦切ります。
○相澤座長 ありがとうございます。この内容について、いかがでしょうか。
○鈴木委員 これは、定期的な一般の健診以外にやるという趣旨だろうと思いますが、それに対する財源的な措置は、厚労省として別途考えるということでよろしいのでしょうか。それとも事業者にこれを義務づけるという考え方でしょうか。
○鈴木労働衛生課長 財源をどうするかは、まだいろいろ検討の余地があるのですが、いま法定のもの以外のものについては、事業者に負担させるのは困難ではないかと考えています。もちろん本人の負担にもしないという形で実施することを想定しています。離職後になると、これは完全に事業者責任というのは無理ですので、これも繰り返しですが、財源をどういう名目で手当するかはおいておき、一応、想定としては本人、事業者に負担のない形で健康診断を提供することを考えています。
 1つの事例として、いま有害化学物質等を扱った場合には、離職後、健康管理手帳を交付して、無料で健診を受けていただく制度があります。それに若干似たようなシステムを想定しているということです。
○今村委員 下から3行目の「高線量の被ばく」と、「長期な潜伏期間を経て、がん等重大な疾病の発生が懸念される」とあり、それについて必要な検査は実施するという書きぶりになっていますが、先ほど6頁のところで、がん等に関する画像診断の検査については、あくまでご本人が任意でドック等で受けた場合に、こういうデータが取れるようにというご説明だったと思います。そういった場合、こういう書きぶりだと、がんを想定して必要な検査と言ったら、がんの検診ですよねという話になれば、これは制度として先ほどのような項目の健診を実施することを義務としているのかどうか微妙で、そうも読み取れるし、その辺はいかがなのでしょうか。実施するということ。
○鈴木労働衛生課長 若干、確かに混乱が生じかねないところですけれども、先ほど説明したのは、行政が健康診断を実施する項目については次回以降、また項目なり頻度ということですが、このデータベースの表については人間ドックも含めて、任意のものであろうが法定であろうが、とにかく想定されるものを全部整理したということです。ただ、3頁で言っているのは、一定の高い線量を浴びた方については、がんの発生等も懸念されますので、一応、先ほどの予算の話はありますが、健康診断を提供するというか受けられる機会を設けるということですから、当然、この基準を満たす方にはご案内しますが、受けるのは任意で、受けたくない方は受なくても結構ですが、できるだけ受けていただくようなご案内はするということです。
○今村委員 実際に受けるかどうかは、ご本人の選択だと。その場合に行政がご案内する健診のメニューの項目については、また別途、必要な検査は議論するということですか。
○鈴木労働衛生課長 そうです。これは線量が通常の原発でも被ばくする可能性のある線量の方、それ以上の方、さらに今回、特に高い線量の方です。緊急作業でも従来は100mSvですが、それを超えて250を超えた方もいらっしゃるので、大きく3段階ぐらいに分けて健康管理してはどうかということです。
○今村委員 わかりました。了解です。高度な被ばくについてはもっとメニューを多くして、受けたい人には受けてもらうと、わかりました。
○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。
○富永代理委員(明石委員代理) ここに「高線量の被ばく」という言葉がありますが、これは慎重にしないと誤解を生みそうです。高線量の被ばくというのは、たぶん研究者によってレベルが違うと思います。基本的に私たちがやっているような緊急被ばく医療の中では、全身1Gy以上の急性障害が出る被ばくを高線量の被ばくと言っています。ですから、将来的な晩発影響として出る、ここで議論されているような250mSvを超えたようなレベルでは高線量の被ばくという言葉使わないので、1つは「高線量の」というのを取っていただくか、あるいは「線量限度を超える被ばくをした」といった形で言っていただかないと、人によっては誤解を生じるような表現になっているのではないかと思います。
○相澤座長 大変大事なことです。
○鈴木委員 ICRPとかアンスケア(UNSCEAR)、それぞれの年代ごとでちょっとずつ定義が違っているのですが、現在、ICRPで低線量と言っているのは100mSv、アンスケアはまだ200とか100とか動いていますから、この際、100とかいう形で定義を書けば、ここの中でいいのだろうと思います。線量限度と言うと100と250が今回はあるわけですから、具体的な数字を書いたほうがいいかもしれません。
○鈴木労働衛生課長 これは、ひとつながりの文章で高線量と言っているのですが、高線量という1つの単語のようになってしまいますので、ここは高い線量というぐらいのつもりで書いたのですが、確かに高いというのはなくて、想定していない線量以上の被ばくでも通じますから、またご相談させていただいて、次回、きちんとこのあたりの表現について、具体的な数値としてどのあたりで線引きするのかについても、ご意見をいただければと思います。
○相澤座長 ほかにございませんか。よろしいですか。それでは次のところにいきます。データベース登録証等の交付です。
○田原中央じん肺診査医 3頁の下で、イ「データベース登録証等の交付」です。今回の緊急作業に従事した労働者に対しては、健康管理の実施やデータベースの参照にあたっての本人確認が円滑かつ適切に行われるようデータベース登録証等を交付する。
○相澤座長 登録証というのは手帳みたいなものですか。そういうイメージですか。
○田原中央じん肺診査医 手帳のようなものか、ICカード的なものを想定しています。
○鈴木労働衛生課長 これも補足ですが、いまの時代ですとICカードで持っていたほうが便利かなと思うのです。ただ、本人がどこか端末に入れて打ち出すとかはあまり想定されない。それから紙に字で書いてあるものを持っていたほうが実感があるというご意見を言う方もいて、費用を含めてどう判断するかについてご意見をいただければと思います。
○相澤座長 いかがでしょうか。健康管理手帳というのは、いま普通の紙ベースの手帳になっていますね。
○田原中央じん肺診査医 労働安全衛生法の健康管理手帳は紙ベースの手帳です。労働局から交付されて、健診結果を受けた所で書き込んでいく紙ベースの仕組みです。
○相澤座長 何かご意見はございますか。
○鈴木労働衛生課長 広島、長崎なんかで自分のデータを活用する場面というのは、いかがなのでしょうか。
○児玉委員 自分の詳細なデータを活用するというちゃんとしたシステムは、少なくとも行政ベースではありません。研究所のほうでは、ご自身のデータを何年分とかまとめて理解をしていただく。例えば血圧はどういう変動しているかなどはお返ししていますが、これはあくまで研究所ベースの話です。とてもICカードというレベルの話ではありませんから、当然、紙で返しています。
○今村委員 いまの件について参考資料に、3月、4月の従事者の人数が出ていますが、これはいつが終わりかわからないので難しいと思います。例えば大量の数を効率的に処理するためにデジタルというのは何となくわかります。私どもが日常診療をしていても、ものすごくたくさんのカードを皆さんが持っていて紛失したりしますが、おくすり手帳とかは絶対なくさないでしっかり持っていますから、アナログの重要性というのもあって、まだまだカードというのは、こういうものに馴染まない。だからそんなに数が多くなければ手帳でもいいのかなという気は個人的にします。
○児玉委員 先ほどの追加ですが、私がお答えしたのは、かなりたくさんのデータ、多岐にわたるデータを、ご本人の健康管理に活用してもらっているかどうかというので、行政ベースとしては、そこまではないという意味合いで申し上げたものです。ので、被ばく者健康手帳には末梢血の結果や尿検査の結果、その他いくつかの項目について、何十もありませんけれども、それはきっちりと毎回記載されています。そして紙ベースでご本人が持っている形はとられています。
○安井中央労働衛生専門官 今後の人数の見込みの件ですが、現在、7月の終わりですけれども、1万6,000人前後の方が累積で従事者となっておられます。どこまで続くかわかりませんが、数万人のオーダーというのは想定しておくべきではないかと考えています。ただ、高線量被ばくについては参考資料を見ていただくとわかりますように、4月以降は例えば100mSv超えの方はおられないとか、今後、どんどん減ってくることにはなると思いますので、真の意味での高い線量というのは定義によると思いますけれども、健康診断等の必要なニーズが増えていくことは、たぶんないだろうという考えです。
○相澤座長 よろしいですか。ほかにはございませんか。それでは最後ですが、ウの定期的な見直しのところをお願いします。
○田原中央じん肺診査医 3頁のいちばん下、4頁は1行だけ、合計3行だけですが、ウ「定期的な見直し」です。健康管理のために必要な健康診断の実施項目等については、医学的知見の進歩や、検査手法の変化が想定されることから、適宜見直しを行う。
○相澤座長 これは、よろしいですね。全体的に見直していただいてご意見がありましたらお願いします。よろしいですか。もしなければ本日はこれで終了したいと思います。次回までに事務局には、今日の議論を踏まえて資料を作っていただき、次回の議論ができるようにしていただきたいと思います。次回の予定について事務局からご説明をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 現在のところ、8月の前半で調整をさせていただいている途中です。正式に決まりましたら、またアナウンスさせていただきますので、よろしくお願いします。
○相澤座長 次回は8月前半です。本日は活発なご議論をいただきましてありがとうございました。第2回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会を終了します。


(了)

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