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2011年7月8日 第80回労働政策審議会職業安定分科会議事録

○議事

     第80回労働政策審議会職業安定分科会



日時 平成23年7月8日(金)18:00~
場所 厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)




○大橋分科会長 皆さんお集まりになったようですので、ただいまから「第80回労働政策審議会職業安定分科会」を開催します。
 議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に新たに就任され、今回が初のご参加となる方をご紹介させていただきます。公益代表として、北海道大学大学院法学研究科教授の宮本委員です。労働者代表として、JAM中央執行委員の林委員です。以上です。
 なお、本日の委員の出欠状況は、公益代表の岩村委員、清家委員。労働者代表の黒木委員、澤田委員、古市委員。使用者代表の上野委員、河本委員、久保委員、田沼委員がご欠席です。なお、久保委員の代理として深井委員代理がご出席されています。よろしくお願いします。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則案要綱について」と「その他」です。
 まず、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則案要綱について」は、6月30日に大臣から諮問を受けたところですが、施行までのスケジュール等の関係から、あらかじめ同日の雇用保険部会において審議をいただいています。
 それでは、本日は雇用保険部会の清家部会長、岩村部会長代理ともご欠席ですので、事務局から資料の説明と雇用保険部会での審議結果の報告を併せてお願いします。では、お願いします。
○企画課長 派遣・有期労働対策部企画課長の土屋です。
どうぞよろしくお願いします。私から、求職者支援の関係につきましてご説明をします。資料は資料1-1から1-5です。
 まず、本題の今回の求職者支援法の省令案に入る前に、法律案の国会審議の状況について資料1-1に基づきまして簡単に説明をします。1頁目をご覧ください。求職者支援法と雇用保険法の一部改正法案につきましては、1月31日に当分科会でも議論をいただいた建議、それから2月1日法案の要綱の諮問答申の手続を踏んでいただいたのを踏まえまして、2月10日に閣議決定をして国会に提出したところ、なかなか難しい国会情勢の中でも速やかな審議をいただき、4月22日と27日と衆議院の厚生労働委員会で2回質疑がありまして、求職者支援法については一部修正がありましたが、いずれも全会一致で可決をいただき、衆議院を通過し、また5月の参議院は厚生労働委員会での質疑は1回でしたが、こちらも全会一致で13日に成立、20日に公布で成立を見たところです。
 2頁目からは、求職者支援法の衆議院段階での修正についての資料です。修正は2点ありまして、1点目は独立行政法人の雇用・能力開発機構の廃止が10月1日にずれたことに伴う技術的な修正でした。2点目は第二にありますように、今後の特定求職者の就職に関する支援政策の在り方についての検討。施行後の制度の見直しの検討においては、費用負担の在り方の検討がこれに含まれていることを明確にする、といった修正がなされたところです。
 少し頁が飛びまして、9、10頁は衆議院の厚生労働委員会での附帯決議です。求職者支援法関係では2項目の附帯決議をいただき、項目の一は、今回の制度が就職の促進を図るべく、その機能を十分に発揮することができるように制度の運営に万全を期すること、ということを中心にした決議をいただいています。また、項目の二では、施行後の見直しにおきましては、就職支援政策全体の在り方を総合的に検討すべし、という決議をいただいたところです。それから11、12頁は、参議院の厚生労働委員会での附帯決議ですが、内容的にはほぼ同様の内容になっています。以上が、国会での審議経過です。
 続きまして、本日の議題でお諮りをしております省令案の要綱についてですが、資料1-3に全体をお出ししていますが、内容が詳細で多岐に渡ることもありますので、その主要事項を資料1-2で説明させていただきます。基本的には、今回の省令案要綱には1月31日にいただいている建議の段階で、省令案に盛り込んでいる主要な事項について具体的な内容をご審議いただき、また、その具体的な提言を建議の中でいただいていますので、これを踏まえて省令案を策定する形になっています。
 1頁目では、今回の求職者支援制度の支援の全体の流れを図にして示してあります。いちばん上の「建議」の中では、効果的に就職につなげていくためには、訓練開始前、訓練中、それから訓練修了後と、一貫して就職支援が行われることが必要だと。ハローワークが中心となって、訓練実施機関と緊密な連携を図りつつ支援をしていくことが求められる、といった内容を建議でいただいています。
こういった基本的な考え方を踏まえて、下の図にあるように、まず「訓練開始前」ではハローワークにおいて一人ひとりにキャリア・コンサルティングを実施し、また制度を十分に説明し、ご本人に納得をしていただいた上で訓練受講につなげるということを基本線にしたいと思っています。また、各人に就職支援計画を作成しまして、受講する訓練やハローワークへの来所日、あるいは受けていただく就職支援のメニュー等々をこれに盛り込んで、求職者の方がこれを確認して同意することを前提に訓練に入っていくという形にする予定です。
 また「訓練中」におきましては、訓練実施機関において一定の就職支援をやっていただくのとともに、ハローワークにおきましても月に1回ハローワークに来所していただく中で、求職活動の状況を確認したり、訓練の出席状況を確認するといったことと併せまして、給付金の支給要件を確認しまして、前月分の給付金について、いわば後払いの形で支給をするという形を予定しています。
 また「訓練修了後」は3か月を標準として、訓練修了後におきましても、月に1回ハローワークに定期的に来所していただいて支援を続けると。その中で必要に応じまして、マンツーマンの担当者制も導入をしていくことを考えています。また、全体のプログラム修了後には、必ず就職決定の状況等々をハローワークにご報告いただくことを予定しています。以上が制度の全体の流れです。
 次の2頁目からは、今回、省令で規定する具体的な内容についてです。まず2頁、給付の種類と額です。それぞれ建議の対応する部分と比べながら、表として記載しております。まず給付の種類は、基本となります職業訓練受講手当と、交通費相当分の通所手当と2種類とすることを予定しています。
 このうち、受講手当につきましては、建議の中でその具体的な水準につきまして、現行の基金事業で月に10万円とされていることとの継続性を考慮し、制度創設時においては、生活を支援する給付として現行と同様の水準である月10万円とすべきである、とご提言をいただいていることを踏まえて、右側の1にありますように、1か月に相当する支給単位期間において10万円を支給するというのを原則としつつ、この1か月間の中の訓練の日数等が端数がある場合には日割り計算をして、3,580円に当該日数を掛けて得た額を支給する形にする予定です。交通費は実費相当のものを支給するのが建議の考え方ですが、これに沿いまして、雇用保険にすでに同様の制度がありますので、これと同様に規定をさせていただくと。公共交通機関を使う場合には1か月定期を基準とし、自動車等を使う場合には距離、地域に応じて定額とし、また日割り計算をする形です。
 3頁は、支給単位期間の具体的な例のイメージ図です。
 続きまして4頁ですが、「給付の要件について」です。給付の要件につきましては、建議において上からそれぞれ段になっている順番で、本人の収入の要件、世帯の収入の要件、世帯の金融資産の要件、土地・建物の要件、訓練の出席要件、世帯で受給できるのは1人という要件、これらの具体的な内容を建議でいただいています。
 これを踏まえ、今回の「省令の規定(案)」ですが、まずはいちばん上の本人の収入要件につきましては、建議でも雇用保険の被保険者とならない程度の働き方を勘案するというご提言をいただいたのを踏まえて、8万円以下とするという形です。次の世帯の収入要件については、複数人員世帯における標準生計費を踏まえたものとするとして、右側にあるように25万円以下という要件です。3番目に金融資産ですが、年間の標準生計費を踏まえて300万円以下にするということ。それから、土地・建物の要件については、現行の基金訓練と同様の要件を引き続きという建議の考え方を踏まえまして、その旨を規定すると。訓練につきましては、訓練の全てに出席をすることを要件としつつ、病気等の正当な理由がある場合でも8割以上とすべきだという建議の考え方を踏まえ、その旨規定をすると。世帯で受給できる人数については、制度創設時では1人に限定すべきだということについても、その旨規定させていただくという形で、建議の考え方を踏まえて省令で規定させていただく予定です。
 それから、特に建議でご指摘はありませんでしたが、過去3年以内に雇用保険やあるいは職業転換給付金などにおきまして不正受給があった場合には、この給付は受けられない形にしてまいりたいと思います。
 次に5頁です。今回の給付について受給できる日数の限度、制限の基本です。建議におきましては、給付を受給できる日数を原則1年として、資格取得のために1年を超える訓練等が必要な場合にも例外的に2年までとすることが適当だ、とご指摘をいただいています。
 これを踏まえまして、いちばん下の「省令の規定(案)」ですが、支給単位期間の考え方に基づきまして、原則は12の支給単位期間までで、そのうち公共職業安定所長が特に必要と認める場合は、24の支給単位期間までを限度とする形です。また、3つ目の●ですが、連続受講は今回の新しい制度では最初に基礎コースを受けて、そのあと公共職業訓練を受ける場合に連続受講があり得るわけですが、その場合には両方の訓練の期間を合算して12まで、ないしは24までの限度の形で支給することを予定しています。また、2つ目の●に記載してありますが、この支給単位期間の日数に端数がある場合には、その端数がある期間が複数ある場合には計算の特例を設けることにしています。
 続きまして6頁におきましては、建議で循環的な受給の防止の観点から、一定の期間、給付が受けられない期間を設けるべきというご指摘がありました。建議の最初の2行にありますように、循環的に受給することを防止する必要がある一方、給付を受給後、再度訓練が必要となる場合も考えられるといったことを踏まえまして、この期間を6年と設定すべきと建議ではご指摘をいただいています。これを踏まえまして「省令の規定(案)」では、前に受けた訓練、給付を受けながら受けている訓練のところから6年を経過していない場合には、本給付を支給しないという規定を課せていただく予定です。
 続きまして7頁ですが、ペナルティの関係です。建議の最初の1行目で、これらの制度が適正に給付が行われることは、制度が社会的に必要なものとして評価されるためにも欠かすことのできないものであるということで、適正給付、あるいは不正受給の防止では厳しく対応することが求められたところです。
 これを踏まえまして、下の図にありますように、いちばん左の下にあるような虚偽申告などの典型的な不正受給の場合は、当然その月以降は給付を支給しないほか、先ほどの受給のサイクルの6年については、さらに3年を加えて9年は受給できないことにするなどを省令で定める予定です。併せて上の段にありますように、就職支援拒否を繰り返すような場合、あるいはやむを得ない理由がないのに訓練の欠席を繰り返すような場合についても、不正受給扱いとして同様に厳しく対応する予定です。
 その点につきまして、受講給付金の支給、不支給の観点から整理をしたものが8頁の資料です。その支給期間について支給をする、あるいはその支給期間は不支給となる、あるいは当該期間以後、訓練期間中は不支給となるという3つの例に分けて書いてあります。妊娠等による中途退校などの場合には、その期間までは日割りとなりますが給付をお出しする一方、自己都合による中途退校の場合には、当該支給単位期間は不支給とする。あるいはこれは要件の問題ですが、訓練を欠席すれば当該期間は不支給となるということに比べまして、さらに就職支援拒否がある場合、あるいは先ほどご説明した不正受給に当たるような場合については、当該期間以後はその訓練実施機関中は不支給とする扱いにしてまいりたいということです。
 なお、すでに法律で規定していることですが、いちばん下にあるように、不正受給に該当する場合については返還・納付命令で、最大受給額の2倍まで返していただく形の命令をかけることができることにしてあります。資料?1-2の説明は以上です。
 これらを踏まえまして、具体的に規定をさせていただいているのが資料?1-3の要綱です。全体の構成として、大きくは認定職業訓練に関する規定、給付金に関する規定、就職支援計画に関する規定と3つに構成されていますが、認定職業訓練に関する部分は能力開発分科会でご審議をいただいておりますので、ここでは説明を省略させていただきます。
 つきましては、給付金からになりますが、20頁の第二と記載されているところからです。給付金に関して、先ほどご説明したことに沿って規定をしていますが、最初に一として種類、二で受講手当の支給の要件。22頁の受講手当額は原則10万円ということについて。23頁には、支給期間で12の支給単位期間を原則、限度にすることについて。24頁からは、通所手当について雇用保険と同様の規定を置くことについてと、しばらく続いています。
 少し飛んで27頁ですが、六で6年の受給のサイクルについての規定で、6年を経過しない場合には支給しないことについて書いてあります。
 それから28頁の七では、就職支援拒否について。その支給単位期間以後、支給しないことを規定しています。
 それから29頁の八ですが、不正受給について。これも同様、その支給単位期間以後、支給しないという規定をしています。
 次の30頁の九ですが、貸付けに関する補助の規定が記載してあります。この給付の制度に併せて、上乗せ的な融資の制度を労働金庫で運営をしていただく予定にしています。この労働金庫の融資に関しまして、信用保証を行う法人について、いわゆる焦付きに対する部分に補助を行うことにしていますが、その規定をこの省令に置かせていただきます。それから十で、支給の手続について規定しています。ハローワークに出頭して、一定の書類を提出して、手続をしなければならないというものです。以上が給付の関係です。
 次に第三として、就職支援計画の関係です。30頁の一ですが、まず就職支援計画書については、作成した場合にはご本人にこれを交付する。次に31頁の二にありますように、その就職支援計画の内容としましては、受講する認定職業訓練等、職業指導及び職業紹介、ハローワークに出頭していただく日、就職状況報告について、その他就職を容易にするための必要な事項を、この就職支援計画の中に盛り込むということです。また三として、法律の第11条に規定している就職支援措置のうち、厚生労働省令で定めるのが1つありまして、認定職業訓練の実施機関が行う就職支援措置について省令で定める形にしています。以上が、就職支援計画の関係です。
 31頁の第四、雑則です。権限の委任と、帳簿の備付けについての規定を置く予定です。
 最後に第五のその他ですが、施行期日については、原則10月1日からの施行としています。二以降いくつかの規定がありますが、これらは訓練に関する経過措置ないしは特例措置に関する規定です。
 駆足で項目だけ拾うような形で大変恐縮ですが、以上が今回お諮りをしております省令案の要綱の内容となっています。
 続きまして資料1-4です。今回の省令の制定に伴いまして、さらに告示で定めることが必要になっている事項について整理をしています。2点ありまして、1つは連続受講の場合の支給単位期間の数え方について、複数の期間に端数が出る場合の連続受講の特例については告示で定めるというものです。2点目は通所手当で、自動車を使う場合は定額でと申しましたが、この定額の中でより高い額を支給する地域につきましては、地域の指定を行うもので、内容的には雇用保険の通所手当と同様に規定するものです。これら2点につきましては、いずれも技術的な内容であるということもあり、今般この資料でご説明させていただき、その上で事務的に告示の制定を進めていきたいと考えています。
 最後に資料1-5です。先ほど冒頭で分科会長からご紹介をいただいたとおり、今回の資料1-3でご説明をしました省令案の要綱につきましては、6月30日にあらかじめ雇用保険部会でご審議をいただいているところです。その結果、資料?1-5の記にありますように「厚生労働省案は、妥当と認める」という結論をいただいておりますので、大変恐縮ですが、事務局としてご報告をさせていただきます。
 資料の説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。
○大橋分科会長 本件について、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。いかがですか。
○新谷委員 過去1年間、求職者支援法案をずっと審議してまいりまして、法案が成立して、いよいよ省令の確認を行うという段階になってまいりました。最近、雇用情勢が非常に厳しい中で、雇用のセーフティネットが拡充をされたわけです。従来ですと、雇用保険の下ですと生活保護までセーフティネットがなかったものが、こういうトランポリン型の求職者支援法ができたことは、非常に意義深いと思っています。特に東日本大震災においても、被災者の方々に対して、訓練を通じてまた労働市場に戻っていただくという面では、非常に期待が大きいのではないかと思っています。
 ただ、この分科会や雇用保険部会でも労使がずっと論議をしてまいりましたように課題も残っており、今回の法案修正の中にもありましたように、費用の負担の在り方については、この法律についてはまだ課題が残っていると認識をしています。費用負担については、「社会保障と税の一体改革」の論議の中で同意を取らないと、なかなか難しい課題だと認識をしていますので、政府としてもその辺のタイミングを失することなく、財源の在り方についての検討をしていただきたいと思っています。
○樋口委員 この制度自身は私も強く関心を持って見守ってきたのですが、いくつか給付要件で質問をしたいと思います。資料?1-2の4頁です。最初のところに「収入」という用語が出てきているのですが、この収入というのは給与所得に限定するものではなくという解釈でよろしいのかどうか。特にもし給与所得まで含んでという話であれば、ある意味では部分失業の考え方を、失業給付といいますか、この給付要件として認めると。ですから、部分的には働いていて収入があっても給付の対象とする、ということに今回なったのかと思っていますが、そういった解釈でよろしいのかというのが1点です。
 あとは、例えば3つ目の資産についての要件で、金融資産についてのチェックが入るということで、300万円以下が要件に入っているわけですが、これはミーンズテストが今回導入されるわけですが、その資産についての確認はどのようになされるのかと。これは生活保護のときにも議論になっていることだと思いますが、これについてどういう方法をとるのかが現段階ではっきりしていれば教えていただきたいということです。
 あとは、いろいろなところでチェックが入っているのですが、チェックできるものと、できない可能性のあるものがあるのではないかと見て取れるのですが、総じてチェックのところはどうなっているのかを教えていただけますか。
○企画課長 いまご質問がありました給付の要件の点ですが、収入に関しては、いま先生のお話のあった給与所得といいますか、働いて得た賃金については、この計算の中に入れる考え方です。
 資産の確認については、基本的には本人の申告に従って処理をするという形で、その申告に当たって一定の確認ができる書類を合わせて出してもらうことを予定しています。
 最後にチェックのお話がありましたが、いま資産のところでも申し上げましたように、基本的にどうしても本人の申告によって処理をするという部分が多くなってきていますので、一方で不正がないようにというところも重要であると考えています。例えば、事後に一定のサンプルを挙げて調査をかける等々の事後的なチェックも、この制度の中ではやっていきたいと思っているということです。
○樋口委員 そうしますと、1番目のところですが、これはもし私の理解が間違っていたら指摘していただきたいのですが、雇用保険の一般の失業手当の給付、例えば就労した場合には給付がストップするのではないかと思っていたのですが、そこはそのように考えてよろしいのですか。
○企画課長 雇用保険では、いま先生がおっしゃった分については、雇用保険の給付から減額をするのが原則的なルールであろうかと思いますので、それに比べますと、こちらは一定の収入があっても一律の10万円を支給するという意味では、若干、雇用保険と考え方が違うところがあることかと思います。
○樋口委員 減額で給付はされるのでしたか。
○派遣・有期労働対策部長 一応、雇用保険は1日8時間働くのが普通ということを前提に、1日4時間以下の就労でしたら、その得た収入について減額処理するという形になっていて、4時間を超えると失業の認定自体をしないということで不認定になります。その代わり、その日は不認定になりますので、もらわなかったことにはなるものですから、先送りになるというか後ろ送りになって、あとではもらえるという処理の仕方になります。これはいくら働いても8万円以下でしたらそのまま支給するということですので、雇用保険の給付の仕方とは基本的に違うという形にしています。
○樋口委員 わかりました。
○宮本(み)委員 この制度が導入されるということは、特に職歴がないとか、不安定な職歴を持っている若年層にとっては、非常に画期的なことだと思うのですが、これをどの程度広めていくかということは、今後の姿を考えるときに非常に重要な問題なのです。例えば、昨年、内閣府が高校中退者の調査をやり、私が取りまとめ役をやっていますが、なぜ中退者調査をやり、かつ、高校中退問題が内閣府だけでなく厚労省等々でも若年者の雇用問題で重要になっているかというと、不安定な就労状況にある人に中退している人が多いことが、若年者の支援現場から非常にはっきりと出てきていることがあります。
 毎年7万人が高校を中退しているのですが、その調査結果によると、そのうちの7割が働いていて、しかし圧倒的多数はフリーターで働いています。その方たちの要望として、5割以上の人が職業訓練を受けたい、職業資格を取りたいと言っているわけです。
 その中退者の大半は、家計の所得水準でいうと、この支援制度にぴったり当たる人たち。つまり家庭が貧しくて、仕事が決まらなくても進学できるだけの教育費はない、資格を取りたくてもお金がない。とにかく、安定した仕事に就けなくとも卒業するか中退を。ご免なさい、いま中退の話をしていましたが、卒業しても、去年、今年あたりは就職が決まらないで出ていく高校生が、偏差値の低い高校は相当多くいるわけで、高校は苦慮しているわけです。
 そういう実態を考えますと、その人たちの働く力を底上げするためにはこの制度は非常に画期的なことで、ヨーロッパではこの制度を使いながら若い人たちの能力を高めると、特に不安定な単純労務の世界に入っていく人たちを底上げするために使っているわけです。日本でこの制度がその力を発揮するためには、例えば高校現場で教師たちがこれを使って、経済的に貧しく就職も決まらない卒業生なり中退生なりに対して、これを使おうとなっていくことが重要ですが、厚労省はその辺りをどのぐらいイメージを持っていらっしゃるでしょうか。
 特に、出口としてアルバイトで働いている人たちが多いわけです。なぜかというと、働かなければ生活できないからですが、アルバイトは先が全然見えてないわけです。ですが、アルバイトで働いている場合に、この制度が適用になるのかどうなのか。この辺りに関しては、担当する教師なりハローワークなりが、アルバイトよりももっとよりよくするために、この制度を使って職業訓練をするほうがいいと判断しない限りは、これは広まらないわけです。その辺りをどうお考えか、ご説明いただきたいと思います。
○企画課長 いまご指摘のあった点ですが、この制度の対象者という意味でいきますと、雇用保険を受給できない求職者という方々を広く対象としているという意味において、いま先生からお話があった高校の中退者、あるいは卒業してもなかなか安定的な就職に就けないという方々も、当然対象になってくることだと思います。
 その上で、訓練を受けていただくという意味での意欲や能力といった点については、ハローワークの窓口でご本人と相談をしながら、確認をしながら訓練を受けていただく方向に誘導していくことだと思っていますので、そういった中にこういった方々も十分に組み入れて対応していくことだと思っています。またハローワークの学卒の担当や、あるいは若年者対策をやっている担当のところにおいても、一部学校との連携の中においても、この制度を有効に活用するということについて、十分対応していくことができるのではないかと思っています。
 また、アルバイトをしながらという方が受けられるのかどうかというお話があった点については、先ほどの本人の収入要件との関係でいえば、8万円以下という要件に該当するということであれば、働きながらこの制度を利用していただくことも十分可能だと考えています。
○宮本(み)委員 もう1つ追加したいのですが。この間の基金訓練の現場でこの問題がずっとあったのですが、若年者で無業状態を続けている方、あるいは不安定な就労状態の人たちの中に、相当程度発達障害が絡んでいると。これは5年間ぐらい、現場の中でも明確に言われていることで、多く見積もると半分以上が発達障害の疑いがあるということで、その方たちが安定した仕事に就くことがいちばん困難なのですが、その方々にこの間、基金訓練をかなりのところやってきているわけです。しかし、その成果は非常に上がりにくいわけです。
 こういう場合に福祉就労の道なのか、それとも職業訓練を強化することによって一般就労に何とか就けていくのか、あるいは生活保護なのかといういくつかの道があるのだと思うのです。この制度を実際に動かしていくときには、例えば1年間やったと、それで成果が出ない場合には、ではその次はどうするのかということの道筋、そこを付けておかないとまずいのではないかと。これは今後、つまり明確な経路、この場合にはこうで、この場合にはこうで、最終的には生活はきちんと保障されるということなのですが、その辺りについてどの程度ご検討案があるのでしょうか。
○企画課長 この制度の中でのそういう障害をお持ちの方、あるいはそれが疑わしい方あたりの対応をどうするかは、これからやっていく中でまたいろいろ検討しなくてはいけないと思います。ハローワークの全体の対応の中でいえば、いまおっしゃられた発達障害がある方について、それがあるからということですぐに福祉的な就労とか、あるいは生活保護のほうにということではないと思いますので、そういった障害の特性に応じたこういう支援を、障害の担当の部門とも連携をしながら、どういった形でやっていくかをハローワークの中で相談しながらやっていくことになるのではないかと思っています。
 特にご本人が障害に気づいてない場合等を含めると、なかなか対応が難しい面はありますが、いずれにしてもハローワークの中に障害者対応をしている専門の部門もありますので、そことの連携で対応していくことが大切ではないかと思います。
○宮本(太)委員 私もここまで制度を形にされた関係各位に、敬意を表したいと思います。その上で2点は質問というか、もしご示唆をいただければ何か教えていただきたいということになるかと思います。1つ目は、この制度が円滑に機能するためにも、主な訓練の委託先として予想される専修学校のプログラムの質の向上が大事になってくると思います。これは文科省との関係でなかなか難しいとは思うのですが、現状では委託の基準として就職率は考えられているのだけれども、それ以上プログラムの中身に対して言うことはないと理解をしています。しかし、何らかの形でプログラムの中身を向上してもらう手立てが必要になるのではないかと思っています。
 実はここに伺う少し前に、文科省の中教審の関連部会で被災地の専修学校からのヒアリングをしていたのですが、存外、存外と言ったら怒られるのですが、決してIT関係やビジネス事務だけではなくて、被災3県の中では農・漁業系が11%、観光系が10%、保健・看護が35%と、それ以降も地域のニーズに沿った構成になっていることも理解しました。
 そして、求職者支援制度に何か要望はあるかとヒアリングで伺ったところ、1年は厳しいので何とか2年の枠を与えていただけないかということも言っていました。そういう意味では両面で、ある程度中身をチェックしながら、それなりにチャンスも提供していくという両にらみのアプローチが必要ではないかと思いました。これが1点です。
 2番目にペナルティにかかわってです。この制度、納税者からは本当に働く気があるのかといった議論がとかく投げかけられがちであって、そこはクリアに対応していく必要があるのかと思います。特に就職支援拒否を繰り返しているパターン、これは欧米でもとかく問題になりがちで議論が集中するところです。例えば、スウェーデンなどでは、雇用保険給付から2割給与が減額される、2割以上減額される場合は拒絶を認めるけれども、2割以内だったらアクセプトしないといけないということになって、そこでもうペナルティが入ってくる。
 事前のご説明も非常に明解でして、ハローワークで当事者の従来の職歴等を鑑みて仕事を紹介するということだったわけですが、これからは製造業で働いていた場合が、保健や介護関係に移っていくことも大いに予想されるわけでして、そういった場合、どこまでアクセプトしなければいけないのかということについて、何か大まかな基準のようなものが求められてくるのかとも思いました。この点についても、少し詰めていく必要がありはしないかと思います。
 以上2点ですが、最後、先ほど委員からありました財源については、私もこの制度は一般財源で見ていく必要性が高いと思います。一体改革の会議の中でなかなかディフェンドが厳しかったのですが、これも引き続き一般財源が当てられるように努力していく必要があるのかと思いました。
○企画課長 訓練の質の関係については、あとで職業能力開発局から回答申し上げたいと思います。ペナルティの関係でお話があった点については、私からお答え申し上げたいと思います。
 就職支援拒否については、この制度は就職の実現を目指すところにポイントがありますので、その基本のところをご本人が外しておられることについては、厳しく対応する必要があるだろうということで、今回のような不正受給として扱うことを含めて厳しめの対応をセットしているところです。また、その前提として、先ほど途中でお話申し上げましたように、訓練の受講の前においてどういう制度であるかを十分納得していただいた上で、個別の就職支援計画も確認をしていただいて、同意をしていただくという手続を踏むことも、今回織り込んでいるところです。そういった中での就職支援拒否ということなので、そこは厳しく対応すると、こういう考え方です。
 あと、実際の就職支援の中身についての拒否、要するに外形的にハローワークに来ないとか、そういうことよりさらに踏み込んで、例えば一定の紹介に対して拒否を続けるとか、そういうことについてどうやっていくかについては、今後、雇用保険制度なども参考にし、またいまの先生のご意見も参考にしながら詰めていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○職業能力開発局総務課企画官 訓練の質の件に関して、職業能力開発局から説明申し上げます。この制度で就職を実現するためには、必要な訓練を、かつ質の高い訓練を実施することが極めて重要という点は、まさにご指摘のとおりです。この間、職業能力開発分科会で最も議論になったところですが、必要な訓練という観点からは、地域ごとにどのような分野の訓練をどのぐらいやるかを、地元の労使のご意見も聞きながら計画を定めることにしているので、全国一律にということではなくて、つまり求人等の需要がある訓練を実施するということにしています。
 また、質の高い訓練については、差し当たり就職率という評価指標で測るしかないのですが、ご指摘の点も踏まえながら、今後施行状況も見ながら必要な見直しを随時しなければいけないと考えています。
○樋口委員 これは課税対象になるのですか、非課税ですか。
○企画課長 給付は非課税です。
○樋口委員 給付部門が非課税で、本人が所得、別個あるものについては、当然課税対象と、別立てということですか。
○大橋分科会長 これは2つの種類のマッチングを一緒に一気にやろうという仕組みで、大変画期的といえば画期的ですが、難しい問題をたくさん抱えているという気もしますので、是非頑張ってやっていきたい。少し長い目で見て、頑張ってやっていただきたいと思っています。
 ほかにありませんか。それでは、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いします。
                 (資料配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただいた報告文案により、労働政策審議会長あて報告することとしてよろしいですか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 それでは、そのように報告します。
 次に、議題の「その他」として「出先機関改革に係るアクション・プラン(ハローワーク)の進捗状況について」が配付されていますので、事務局よりご説明をお願いします。
○総務課長 職業安定局総務課長の宮川です。資料?2に基づいて、出先機関改革に係るハローワーク関係のアクション・プランの推進状況について説明をします。先の分科会ですでにご説明している点も含まれていますので、ポイントのみ説明します。
 1枚めくっていただきまして、前回も説明しましたが、平成22年12月28日の閣議決定において、ハローワークについては、2の(3)の2行目の線が引いてあるところにありますように、国が行う無料職業紹介、その他の事務と、地方が行うさまざまな相談等の業務、運営協議会の設置などにより一体的に実施していこうという形でして、これらを国と地方自治体が協議して設計していくと。これらについては3年程度行い、その過程において成果と課題を十分検証していくと。その後地方自治体への権限委譲について検討していきましょうと。また、権限移譲について検討する際には、ILO第88号条約との整合性や県域を越えた職業紹介の適切な実施、あるいは機動性の担保とか、雇用保険財政の根本にかかわる議論などに留意するという形で閣議決定されているところです。
 その推進体制の右側の3頁にあります形で、公共職業安定所(ハローワーク)チームというチームが地域主権戦略会議、あるいはアクション・プラン推進委員会の下で行われており、具体的なメンバーは4頁にありますので、後ほどご覧いただければと思います。
 そして1頁に戻っていただきまして、この閣議決定を受け、2番目の○ですが、地方自治体に対して一体的な実施に関する提案募集を行ったというところまで説明したと記憶しています。
 その結果、1次募集・2次募集を合わせて41都道府県、26市区からご提案がありました。具体的な内容の概略は、5頁をお開きいただきたいと思います。5頁、1「提案のあった地方自治体」、全体は別紙ですが、2番の「提案の状況」をご覧いただきたいと思います。内容はおおむね2つに分かれており、(1)ですが、国が行う事業と地方が行う事業を一体的に実施するための提案であり、その提案に係る国の事業が今年度の厚生労働省予算を活用して実現可能と考えられることから、具体的に事業を実施するため、提案した自治体と厚生労働省とで直接協議を開始してもらう。一部具体的に事業を開始しているものも含めて以下の5道県、22市区の関係でこのような協議を開始している状況にあります。これ以外の提案、41都道府県、あるいは4市区町村からのものについては、また別途対応を考えるという状況です。
 具体的な内容については、この資料の通し頁の8頁以降に具体的な内容はありますが、時間の関係もありますので、本日のところは説明を省略したいと思います。私からの説明は以上です。
○新谷委員 これは先ほどの最初の議題とも関連するのですが、求職者支援制度においては、現行の基金事業以上にハローワークの果たす役割が非常に重要になってまいります。これは従来、ハローワークの中では少なかった訓練というものが持ち込まれてきますので、ハローワークとしてかなり質の変化といいますか、向上が求められると思いますし、これはかなり人員的にも増強しないと、求職者支援制度はうまく回らない可能性がありますので、その辺の対応を是非とっていただきたいと思っています。
 それと、今回アクション・プランの提案内容をご報告いただいたのですが、41の都道府県から提案があって、国が行う事業と地方が行う事業を一体的に実施するための提案ということで、そのうちの5道県について具体的に事業を実施するということですが、残りの都道府県の提案内容はどういう評価になっているのかを聞かせていただきたいと思います。
 それとも関連するのですが、去年12月に閣議決定されたアクション・プランは、まさしく国と地方が一体的改革を行うというはずであったのに、たぶん41都道府県の提案のうち5道県以外の残りの提案は、かなり違う提案が出てきているのではないかと思うのですが、閣議決定した内容をきちんと踏まえた提案であるべきだと思うし、ハローワークの対応については、かつてこの分科会や労働政策審議会においても意見を付けていますので、是非それを踏まえた対応をしていただきたいと思います。その際は利用者である労働者、求職者および労使の意見を是非尊重するべきだと考えています。
○総務課長 資料に基づいて概略を説明いたします。先ほどの資料?2の通し頁の8頁をご覧いただきたいと思います。先ほど申しましたように、平成23年度予算を活用して実現可能と考えられることから、直接協議を開始しているものという形で、都道府県については5道県。具体的にはそこに書いてあるような提案内容で、一体的な実施を行っていこうという内容が書かれているわけです。
 一方、その他、この道県も含めた41道県については、通し頁の13頁をご覧いただきますと、例えばその中で山形県以下、具体的にはハローワークの移管という形でのものをご提案いただいているという内容がその全体、41道県並んでいるわけです。これらの提案の扱いについては、現在、その対処方針について関係者間で意見を調整しているところです。
○宮本(み)委員 このハローワークの件と先ほどの求職者支援制度と両方にまたがってくるのですが、求職者支援制度のようなものが今回導入されて、考えてみるとこういう経済給付付職業訓練制度を持っている国々のやり方は、実際には若年者とは分けて行っている。
 と言いますのは、若年者の場合には職歴がない。場合によっては学校に戻るとか教育と絡んだ年齢にあるので、職歴もある大人たちと同じような形で経済給付と職業訓練をやるのには合わないところがあり、それをハローワークが一緒くたでやった場合に、若い人が極めて行きにくい。それから、若い人特有の問題、例えば10代とか20代の初めぐらいの年齢の人たちの抱えている問題はなかなかわからないのを、全く大人と同じ扱いにするということで、訓練を伴う支援サービスとしては体制としてどうなのかという問題があるように思われます。
 ハローワークが新しい改革をするという課題と絡めてですが、若年者支援部門は、特段の意識でハローワークがやるにしても、それ専門のサポーターを付けるとか、あるいは場合によっては別機関を作るとか、そういうことも検討する必要があるのではないかと思います。
 他の国をいろいろ回ってみると、若年者に関しては、学校を卒業したとき就職していない場合に飛び込む所は、大体、若者専門の所に飛び込み、それで総合的な支援の中で経済給付もかぶせるやり方をしているわけですが、その辺りのきめ細かさがないと、せっかくの支援制度は効果が上がらないのではないかということです。
○派遣・有期労働対策部長 先生ご指摘のように、若者については特別の取扱いは必要な部分が確かにあると思っています。フリーター問題が取り上げられた時期に、ハローワークにフリーターの担当窓口を作り、そこで専門の担当者を置きました。ただ、体制が必ずしも十分ではなかった面があり、この対策についてはさらに伸ばしていく必要があると思っています。
 最近、新規学卒対策で、卒業後3年以内は新規学卒対策の範囲内で我々は対応をしようと思っているのですが、それについては新卒応援ハローワークという新しい組織を各県に作り、そこで専門のジョブサポーターを置き、就職の実現まで面倒を見ているのです。これは体制が相当手厚かったので、非常に成果が上がっています。
 我々がこれからフリーター対策を考える際に、そういったできるだけマンツーマンに近い形で、きめ細かに若者の面倒を見られる体制を作っていく必要があると思っています。例えば、新たに若者のハローワークという組織を作るとか、あるいはハローワークの中でも若者のコーナーをきちんと、もっと体制を充実した形で作るとかといった工夫を、これからもっとやっていこうということです。これから補正とか来年の概算要求とかありますが、そういった中でも目配りをしてやっていきたいと思っています。
○大橋分科会長 ヤングハローワークは、例えば渋谷にありましたね。ああいうのは全国的には展開されてないのですか。
○派遣・有期労働対策部長 昔、大都市圏にヤングハローワークという名前、その名前に限らないのですが似た名前のものを作った時期がありました。いまはそういう形ではなくて、基本的にすべてのハローワークに若者の担当を置くという思想でやっているのです。ですが、それだと使いにくいのではないかという面もありますので、いま申しましたように、若者のハローワークというようなものもこれから工夫していこうということを、今考えています。
○大橋分科会長 いまハローワークに来る人は、みんな若い人ばかりではないですか。おじさんが行っても仕事がないから。私は3つ4つ、少し拝見したのですが、若い人ばかりだったと思います。
○派遣・有期労働対策部長 利用者層を見ると、各年齢層大体満遍なく来られていますので、若い人ばかりということはないと思いますが、ただ若い人が増えてきているという印象はすごくあります。それは実態としてそうだと思います。
○宮本(太)委員 アクション・プランについては、これは何1つ始まる前にすでに地方移譲の話だけが出てきているのは、ちょっと奇異な感じもしますので、ここはいかがですか、どこか具体的にアクション・プランを始める計画はないのかということです。
 私自身、例えば京都府、ジョブパークで知られる京都府でワンストップサービスのプロジェクト、これは山田知事も主導されて、そこに参加しているのですが、そこでの議論は必ずしもこういう中身ではなかったような気もして、おそらく都道府県もいろいろ多様なのではないかと思いますが。
○総務課長 先ほど申し遅れましたが、1頁にありました22市区のうちすでに秩父市、志木市、新宿区、総社市、この辺りについては、すでにこの実現可能というレベルの協議だけではなくて、実行レベルにまですでに入っているというところの説明を漏らしましたので、一部具体的に事業を開始している。すでに4地区の部分については行っていますし、今後これらのものについては協議が整い次第、可能なものについてこの5道県22市区のものについては逐次やっていくと、こういう形で考えています。
 京都府の取組みということについても、今回のご提案が41都道府県からこのような形で出てきたということについては、先生からも奇異なご印象を受けられたかと思いますが、こういう形のものを今後どうしていくかについては、関係者間で調整していきたいと考えています。
○高橋委員 今回の提案が実施に移された場合のお話ですが、この閣議決定にあるように「その過程においてその成果と課題を十分検証する」、これは非常に重要なことだと思っていますが、その成果と課題の検証は誰がするのか。すなわち、私の関心は、本来、労働政策審議会が最も成果と課題を検証する場として相応しいのではないか、という問題意識を持っているのですが。
○総務課長 現在はこの検証なりのやり方について、まだ政府として決めたものはありませんが、ただいま高橋委員からおっしゃられたように、その中での労働政策審議会の役割も当然大きな役割を果たしていただくべきのものだと考えています。いずれにしても今日いただきましたご意見を踏まえた形の中で、相応しい検証の方法を考えていきたいと思っています。
○樋口委員 具体的によくわかってないのですが、県と国が一緒にやろうと言ったときに、求職者は県内の求職者を対象に、求人は県内に限定することになるのですか。それとも県外の、国は県外も県内も関係ないでしょうが、片方は財源が県とかと出てきた場合は、どういうふうな。
○総務課長 今回のアクション・プランの考え方としては、国はある意味おそらく少なくとも職業紹介機能を持っていくという意味では、当然、日本全国の求人者を対象にすることになろうかと思います。ただ、一方でこれをどのような形で地方の事業を、例えば相談事業、福祉に関する相談事業とか、さまざまな事業をやるときに、そういう求職者の性格上、自ずと県内求人を主なターゲットとすることは当然考えられると思いますし、それ以外の考え方も当然出てくると思います。それはケース・バイ・ケースではないかと思いますので、いま先生がおっしゃられたように、特段県内の求人者の求人に限るべきであるという思想、考え方はありません。
○新谷委員 その他でよろしいですか。
○大橋分科会長 はい。
○新谷委員 今日は出ていない議題ですが、2つ教えていただきたいと思います。1つは東日本大震災の復興再生に関連してです。被災地の再生のために雇用の再生創出は最大の柱だと思っており、そのためには被災地域のニーズを踏まえて産業再生政策と一体となった積極的な雇用政策が必要だと思っています。
 6月25日に復興構想会議で提言をまとめていただいていますが、厚労省の関係で、被災地の雇用の確保ということでいきますと、「『日本はひとつ』しごとプロジェクト」というのがフェーズ1、フェーズ2まで取組みの展開をされているのですが、さらに復興構想会議の提言を踏まえて次の段階の「フェーズ3」の提言、これはたぶん第3次補正予算の関係になってくると思うのですが、これはいったいいつごろまでに、どういう形でお取組みされるのかを教えていただきたいのが1点です。
 もう1点、職業安定分科会の関連で、いま国会が70日間延長され、ごたごたしていますが、重要法案である労働者派遣法改正法案が継続審議でかかっているわけでして、これの審議状況がいったいどうなっているのかを教えていただきたいと思います。
○総務課長 震災の関係は私から説明します。いま新谷委員からもお話がありましたように、提言をいただきました。その提言の中では、1つは緊急の雇用対策の面、それから今後の本格的な雇用復興を図るべきの面、この2点の内容についての提言です。それを踏まえた形で、私どもも今後の第3次補正を念頭に置いた政策を考えていかなければならないと考えています。
 いまご指摘にありました、これまでやってまいりましたフェーズ1、フェーズ2に続くフェーズ3についても、第3次補正の編成過程の中でフェーズ3、必要があればそういう形のものを考えて、会議等の中で取りまとめていく必要性があれば、その形のものをやっていきたいと考えています。
○派遣・有期労働対策部長 労働者派遣法の関係ですが、現在の法案の状況は、継続審議になって衆議院にかかっているという状態ですが、具体的に審議が始まる状態には未だ至っていないことです。
 私どもとしては、審議会のご審議も経て国会に出していますので、いまの内容で審議をしていただきたいという立場ですが、ねじれ国会の中で野党のご主張が非常に厳しいものがあって、そういう中でどうやって調整していくかはなかなか難しいところではありますが、これから会期もそれなりにある中でどうやっていったらいいのかも含めて、十分考えて対応したいと思っています。
○大橋分科会長 本日の分科会はこれで終了します。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員にご署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代表の吉岡委員、使用者代表の橋本委員にお願いします。どうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

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総務係: 03(5253)1111

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