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2011年7月15日 第11回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録

○日時

平成23年7月15日(金)9:30~11:58


○場所

JA共済ビル カンファレンスホール


○出席者

本田部会長、大山部会長代理、岩瀬委員、木間委員、斎藤委員、長沼委員、西沢委員

○議題

日本年金機構の平成22年度の業務実績に関する評価(事務方たたき台)について

○議事

○本田部会長
 おはようございます。
 定刻よりちょっと早いんですけれども、皆さんおそろいになりましたので、始めたいと思います。
 それでは、ただいまより「社会保障審議会日本年金機構評価部会」を開催いたします。
 委員の皆さん、大変お忙しい中、またお暑い中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに委員の出席状況につきまして、事務方より御報告をお願いいたしたいと思います。

○事業企画課長
 本日はどうもありがとうございます。
 本日は石井委員から御欠席、また大山部会長代理から所用により1時間ほど遅れて御到着ということで御連絡をいただいております。
 よろしくお願いします。

○本田部会長
 それでは、議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。
 本日の主な議題は「日本年金機構の平成22年度の業務実績に関する評価(事務方たたき台)について」でございます。
 まず本日の部会の資料なり進行につきまして、事務方から御説明をお願いします。

○事務局
 それでは、本日の進め方について御説明させていただきます。
 机上に1枚で時間の割り振り等を書いてあるものをごらんいただければと思います。
 第11回社会保障審議会日本年金機構評価部会の進行についてと書いてあるものでございます。
 本日、資料1というものがございまして、こちらはA3の大きな資料になります。
 分野ごとにまず御説明をし、その後、質疑の時間をとりたいと思います。
 分野ごとにというのは(1)(2)(3)(4)とございますが、記録問題への対応に関する事項、次のテーマとして適用、徴収、給付に関する事項、次のテーマとして相談、情報提供に関する事項、お客様の声を反映させる取組みに関する事項、電子申請の推進に関する事項、最後の4つ目の枠がその他ガバナンス等に関する事項というものを考えております。
 その議論が一通り終わった後に、資料2というものを机上に置かせていただいていますが、評価の総論といったもので、文章編の資料がございますが、そちらについての議論をしていただきたいと考えております。
 次に資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1が、先ほど申し上げましたA3の大きな資料でございます。
 それが各個別項目ごとの評価シートでございます。
 資料2が、最後に御議論いただきます総論の評価に関する資料でございます。
 そのほか、参考資料1としまして、機構の評価、項目ごとにA、B、Cという一覧表を付けておりますので、そちらをごらんいただければと思います。
 参考資料2は、平成22年度の業務実績に関する評価の基準という資料でございます。
 参考資料3は分厚いものになってございますが、先日6月20日の評価部会で御議論いただいて、その御議論を踏まえて修正した日本年金機構の実績報告書の正式なものでございます。
 参考資料4は財務諸表というもので、こちらも先般6月30日に正式に提出されたものでございます。
 参考資料5は、7月上旬に日本年金機構よりお客様満足度アンケート・外部調査機関による窓口の調査をした結果というものを付けさせてもらっております。
 参考資料6は、一昨日、7月13日に公表しました国民年金保険料の納付率に関する資料でございます。
 以上が机上に置かせていただいている資料になってございます。
 よろしくお願いします。

○本田部会長
 それでは、ただいま御説明がありましたように、まず日本年金機構の平成22年度個別評価シートの「1 年金記録問題への対応に関する事項」につきまして、事務方から御説明をお願いいたします。

○事業企画課長
 よろしくお願いいたします。
 資料1ということで、大きな横長の資料を机上に置かせていただいておるところでございます。
 それをお手元でお開きいただきたいと思います。
 資料1の表紙をおめくりいただきますと「目次」が出てまいります。
 目次で全体の構成をごらんいただけますが、ただいまから「1 年金記録問題への対応に関する事項」についての御説明をさせていただきますが、いわゆる評価の表号ということで、AとかBとかCとかという御説明を差し上げることになりますが、それにつきましては、目次でいうところのちょうど2枚目になるんですけれども、最後に「●判定基準」ということで、それぞれの表号の解説が書いてございます。
 S、A、B、C、Dとございますが、Bが年度計画をおおむね達成している、こういう内容の表号になるところでございます。
 それでは、まず最初の1ページ「1 年金記録問題への対応に関する事項」ということで御説明させていただきます。
 ここの部分はいろいろな事項がございますが、全体を4つの区分に分けて評価をしてございます。
 最初の区分でございますが、一番左側に書いてありますのが、22年度の計画の内容でございます。
 ここに(1)(2)(3)とございます。
 「(1)年金記録問題に関する未解明事案についての実態解明」「(2)基礎年金番号に未統合になっている記録の統合・解明」「(3)受給者・加入者への年金記録の確認作業及び確認作業に当たっての市町村との連携」。
 (1)~(3)を1つのくくりといたしまして、評価をしているところでございます。
 このシートは、左から右に向かいまして、一番左が、今、申し上げました22年度計画の内容、左から2番目から日本年金機構が先般提出いたしました22年度の実績報告書の該当する部分の記述の抜粋でございます。
 日本年金機構の自己評価が左から3つ目の欄にございまして、一番右側が今回事務方たたき台ということで御説明申し上げます、厚生労働省としての評価のたたき台、こういう構成になってございます。
 今、申し上げました記録問題の最初のくくりに関する事務方たたき台、一番右側の欄をごらんいただきたいのですが、この部分につきまして、ねんきん特別便、またはいわゆる黄色便と言いますが、年金記録確認のお知らせ、ねんきん定期便について、おおむね記録問題工程表の処理期限が達成されている。
 それから、脱退手当金の支給日より前の加入記録が脱退手当金の算定基礎とされずに残っている事案、いわゆるまだら事案と呼ばれている事案でございますが、これにつきましては、サンプル調査を機構で行っていただきましたが、調査結果を踏まえて記録確認のお知らせというものを発出するなど、実態の解明に加えまして、結果に基づく計画的な取組みを行われたということは、プラスの評価ができると考えました。
 ページの下の方になりますが、名寄せ特別便というものにつきまして、訂正なしという回答の方や未回答の方がたくさんいらっしゃるところなんですが、御本人の記録の可能性が高い方について市町村の協力をいただいて、記録の確認・訂正を行う。
 この作業につきましては、前年度に比べまして、実績が高くなっておるということがございます。
 今、申し上げたような点を勘案いたしまして、たたき台案としては、評価Aということで出させていただいているところです。
 おめくりいただきまして、記録問題の2つ目のくくりといたしまして、一番左の計画で申しますと(4)となっておりますが、いわゆる紙コン、紙台帳検索システムによるコンピュータ記録と紙台帳の突き合わせに関する評価でございます。
 一番右側の事務方たたき台の欄をごらんいただきますと、突き合わせ作業につきましては、昨年10月から開始されております。
 ただ、10月の突き合わせの開始の作業は、その上にございますが、若干開始が遅れたという事情がございました。
 入札の情報漏えい事案の発生ということもございまして、それへの対応がございまして、開始が少し遅れております。
 結果490万人、対象者全体の約6%の審査を終了したということで、一定の達成度合いがあったということは評価できると考えております。
 最初は遅れたんですが、その後、かなり取り戻していただいたということかと思っております。
 ただ、最終的な審査終了件数、490万件というのは受託事業者の段階の終了の案件でございまして、更にそれについて機構としての審査が終了しているのは220万人ということで、若干機構の職員段階の審査が滞留しているという状況がございました。
 こうしたことを勘案いたしまして、評価Bということで、こちらの方は出させていただいております。
 3ページにお進みいただきたいと思います。
 次の評価のくくりで、一番左にございますが「(5)年金記録の訂正や再裁定後の支給等を迅速に行うための体制整備」でございます。
 これは再裁定に関する所要の期間、こうしたものがどの程度かかっているかということでございます。
 一番右の欄をごらんいただきまして、再裁定処理の体制の強化をお進めいただいた結果、平均処理期間2.5か月という工程表の目標を0.3か月更に短縮することができた。
 また、時効特例給付につきましても、おおむね2か月という工程表の目標にはまだ達しておりませんが、未処理件数を大幅に減らしていただいた。
 こうしたことを評価しまして、評価Aということで出させていただいております。
 記録問題の4つ目のくくりはいろんな項目が入っておるんですが、一番左の計画のところでごらんいただきますと「(6)標準報酬等の遡及訂正事案についての実態解明・迅速な記録回復」。
 また、4ページ、5ページに進みますが「(7)ねんきん定期便や常に年金記録が確認できる仕組みによる加入者情報の提供」「(8)厚生年金基金記録との突合せ」「(9)基礎年金番号の重複付番の解消及び発生防止」。
 これらの項目につきましての評価でございますが、3ページの一番右側の欄に戻りますけれども、年金事務所段階における記録回復基準に関しまして、電話調査、現場でこの基準がどれぐらいちゃんと周知されているかということにつきまして、いわゆる覆面調査というものを行ったというのが昨年7月、10月にございましたが、その時点では、若干職員の説明不足、一部誤認等が広く認められたところでありました。
 ただ、この点につきましては、研修の実施等を通じまして、周知の徹底は図っていただけたということがございます。
 その上で、更に定期便とか、次に出てきます厚生年金加入記録のお知らせ、こうしたものにつきましては、着実に実施をいただいている。
 また、ねんきんネットでございますが、自宅のパソコンでインターネットで確認できる仕組みを今年2月から開始することができた。
 パスワードの払い出し件数というものも月約5万件の規模でかなり増加をすることができた。
 こうした点がございます。
 4ページに進んでおりますが、ねんきんネットのシステム自身については、さらなる機能追加の作業にも着手をしていただいている。
 こうした事情がございます。
 また、基金記録との突き合わせに関しましては、一応工程表に従いまして、一次審査、二次審査を開始することができました。
 このくくりのところはいろんな項目が入ってございますが、それぞれ、今、申し上げましたような進捗を勘案いたしまして、全体評価として、ここの部分はAという評価を出させていただいているところでございます。
 記録に関しては以上でございます。

○本田部会長
 ただいまの説明に対しまして、御意見なり御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員
 紙台帳とコンピュータ記録の突き合わせ、2ページの(2)の部分ですけれども、事務方たたき台は評価Bという形にしています。
 Bの根拠としては、490万件やったけれども、実際は220万件しかできていないということを置いているわけです。
 機構の評価というのは全体的にすごく甘いと思うんですが、甘い中でも(2)に関してはコンプライアンスの問題を自ら言ってきているわけです。
 それを併せて機構はBとつけているわけで、事務方の方は何でコンプライアンスの問題を評価の対象から外したのか、それを説明していただけますでしょうか。

○事業企画課長
 今、岩瀬先生が御指摘のように、入札不正の問題、情報漏えいの問題というのがこの点についてございました。
 今回、全体の評価の枠組みといたしましては、コンプライアンスの関係につきましては、お手元の大判の資料でまいりますと、29ページに別途事項が立っているところでございまして、入札の情報漏えいの件につきましては、事項的にはこちらの方で評価をさせていただくのが適切ではないかと考えました。
 年金記録問題への対応の進捗につきましては、機構の方からは自己評価の中でそういうことを言及いただいているところですが、私どもはここの部分ではなくて、後ほど御説明します、事項でいいますと「1.内部統制システムの構築に関する事項」というところの評価に回させていただいたという経緯でございます。

○岩瀬委員
 整理としてはそういう整理があるとは思うんですけれども、結局コンプライアンスというか、情報が漏れたことによって、業務全体のスタートが遅れたわけです。
 これはやはり影響しているのではないでしょうか。
 そこで全く切り分けるのではなくて、影響を受けて紙コンが予定どおり進まなかったということで、もう少し厳しい評価をすべきではないでしょうか。

○本田部会長
 今のは御意見でいいですね。
 答えてもらいますか。

○岩瀬委員
 意見についてもしありましたら、お願いします。

○本田部会長
 どうぞ。

○事業企画課長
 今、岩瀬委員が御指摘の事情もございまして、作業の立ち上げが遅れたということがございました。
 その中で、29の拠点というものを、その後、立ち上げるという、かなりここは御努力をいただいたということで、受託事業者ベースではございますけれども、何とか6%までもっていかれた、そういうところをおおむね達成と考えたということでございます。

○本田部会長
 よろしいですか。
 斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 今の点について、私は岩瀬先生と全く逆の考え方をしていました。
 コンプライアンスのところはコンプライアンスということで評価を厳しくすべきだと思います。
 しかし、年金記録回復という点から見たときには、もしこれが遅れなかったら、どのぐらいのスピードで、どのぐらいの件数ができたのか、を考えて評価すべきだと思います。
 ラーニングカーブが上がるという要素はありますけれども、月割りで計算すると、どのぐらいのことができた、どのぐらいの努力をしてきたのかというのは、不祥事の問題と切り離して考えるべきだと思います。
 もし遅れなかったらどのぐらい進捗したのだろうかというのは、何かデータをおとりでしょうか。
 もしそれがあれば、それを伺いたいと思いますし、多分それで評価は高くなるのではないかと思っております。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 記録問題を担当しております、理事の矢崎です。
 仮定で遅れなかったという計算はなかなか難しいわけでありますけれども、1つ情報としましては、同じ2ページの左側に自己評価のところがあります。
 私どもの自己評価の1つ目の○の4行目ですが、当初520万人分ぐらいできるのではないかと想定しておりまして、結果として、490万人の審査を終了ということであります。
 勿論コンプライアンスの問題はコンプライアンスの問題で十分反省しなければいけませんが、我々としましては、当初想定まではいきませんでしたが、比較的近いところまでできるだけ頑張ったという意識でございます。

○斎藤委員
 ということは、日割り計算で想定すればこのぐらいできたはずだとか、そういうシミュレーションはなさっていないということですね。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 仮に遅れなかったらどうだったかというのは、今、数字としては持っておりません。

○本田部会長
 恐らく520万と490万というのは、大体達成したと機構は見ましたということですね。
 遅れたけれども、そこまでは達成したということですね。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 精一杯頑張ったということです。

○本田部会長
 それをどう評価するかというのは、また別ですね。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 はい。

○本田部会長
 あと、皆さんから何か御意見ございませんか。
 よろしいですか。
 それでは、続きまして「2 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の「1.適用事務に関する事項」から「3.給付事務に関する事項」まで、事務方から御説明をお願いいたします。

○事業管理課長
 事業管理課長でございます。
 それでは、6ページをごらんいただければと思います。
 「2 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」ということで、1~3につきまして、私から御説明を申し上げたいと思います。
 ページ数で申し上げますと、6~14ページになります。
 「1.適用事務に関する事項」の「(1)国民年金の適用の促進」でございます。
 機構の自己評価はBでございまして、住基ネットを活用して20歳到達者あるいは一定の年齢の方、34歳、44歳、こうした方について、職権適用を進めていったということでございます。
 更に転職者等が種別変更されないときにはその届出の勧奨、それでもされない場合には職権の適用をするといった取組みを進めていただいたということでございます。
 私どもの評価のところでございますけれども、機構として年度計画に基づき取組みを実施していただいたものと考えているところでございます。
 細かく○1~○3と書かせていただいておりますが、○1のところ、今、申し上げたように、20歳到達者等に対して勧奨あるいは加入手続を着実に進めていただいた。
 機構も自らの実績報告書にも書かれておりますけれども、20歳到達者については対象者全員について適用を実施されたと伺っているところでございます。
 ○2でございますが、転職者等についての手続も着実にやったということでございまして、旧社会保険庁時代にハローワークとの連携ということで、ハローワークの方に失業の免除についての案内をお願いしておったということについて、更に対象を広げて22年度に取組みをされたということも評価のポイントかと思ってございます。
 ○3でございますけれども、国保の保険者である市区町村との連携ということで、今年2月に通知を出して、国民健康保険の事務との連携ということが全国的に実施できるようになったわけでございますが、そうしたことにも適切に対応をしていただいているということで、全体としてBという評価をしているところでございます。
 続けて「(2)厚生年金保険・健康保険・船員保険の適用の促進」でございます。
 厚生年金等の適用対策は、全体として20年度の実績をかなり上回ることを目指して、さまざまな取組みをされたということでございまして、日本年金機構としての自己評価はAという評価をいただいているところでございます。
 これに対しまして、私どもの評価はBでございますけれども、適用対策を進める上で重点的に加入指導を行う、更に事業所調査等を行っていくという点については、目標値を上回って取組みを進めていただいたということで、これはプラスの評価ポイントになるわけでございます。
 一方、立入検査の実績については、前年度に比べれば相当の取組みが進んでいるということではございますけれども、まだまだ本格実施にはほど遠いのではないかということで、目標値を下回った状態になっているということでございます。
 具体的に7ページをごらんいただきますと、それぞれの目標値と実績値の数字を載せてございます。
 重点的加入指導あるいは事業所調査につきましては、ごらんのように、実績値が相当上回っている状態ではございますが、立入検査については、年金事務所が312ございますが、それに対してオールジャパンで101という実績をどう見るかということだと思っているところでございます。
 機構の自己評価の中でもお書きになってございますけれども、本格的な取組みはどうしても年度後半になったということで、適用対策全体の取組み開始時期が遅れたことの影響もあって、立入検査まで十分にいかなかったということが書かれているところでございます。
 そういった点も踏まえまして、私どもとしてはBという評価をさせていただいているということでございます。
 9ページをごらんいただければと思います。
 「2.保険料等収納事務に関する事項」でございます。
 「(1)国民年金の納付率の向上」を御説明申し上げます。
 日本年金機構の自己評価はBということになってございますけれども、時間の関係で機構の方の自己評価は22年度の全体の納付率ではなく、1か月分欠けた状態での自己評価を書いていただいていたところでございます。
 一昨日、22年度の実績について、私どもと機構の方でマスコミ等にも公表させていただいた資料を今日は参考資料6ということでお出しをしてございますので、恐縮ですが、一瞬そちらをごらんいただければと思います。
 本日の資料の一番最後に付いてございます。
 参考資料6でございます。
 1枚めくっていただきますと、資料1という資料がございまして、22年度の国民年金保険料の納付状況でございますけれども、現年度分で申し上げれば59.3%、前年度と比べれば△0.7ポイントということで、引き続き低下傾向です。
 なかなか上向きに上がらないという厳しい状況が続いているところでございます。
 そうした中ではございますけれども、低下幅ということで申し上げれば、前年度が2.1ポイントマイナスになったことに比べれば、今年は0.7ポイントにとどめることができたという点がございます。
 それから、年金事務所ごとに見た場合にも、前年度はすべての年金事務所で納付率が低下したという状況がございましたけれども、22年度に関して申し上げれば、60の事務所では前年度より上昇しているということで、厳しい中ではございますけれども、低下傾向に一定の歯止めをかけつつあるという兆しもあるのではないかと考えているところでございます。
 こうした状況でございますけれども、過年度分につきましては、下の○2のところに書いてございますが、20年度分につきましては、ちょうど2年経ったわけでございますが、最終的に20年度分の現年度のときと比べれば、4.8ポイントのプラスで66.8%というところまできているということでございます。
 その下に21年度分が書いてございますが、1年前と比べては3.3ポイントの上乗せで、63.2%という状況になっているところでございます。
 こうした納付率が低下している要因として、下に3つほど書かせていただいておりますが、1つには年齢構成の変化で、納付率の高い高年齢層、言わば60歳に到達されて卒業されて、第1号被保険者全体に占める割合としては、若い世代が増えておる。
 平均年齢も0.1歳下がっているという状況があるわけでございまして、こうしたことの影響が出ているという点が1点ございます。
 市場化テストのスキームを活用して、納付の督励業務、更には免除等の勧奨業務を推進しているわけでございますけれども、戸別訪問の実施状況が業者の方でどうしても割合が低かった。
 昨年の後半からは、年金機構の方でもかなりてこ入れをいただいて、今、更に進めていただいているわけでございますが、途中からであったということで、どうしても十分な効果を上げるまでには至らなかったという点ではないかということでございます。
 それから、影響としては本当に少ないものではございますけれども、大震災の影響で被災地における納付督励・強制徴収を停止したこと、あるいは仙台にあるようなコールセンターが十分な業務ができないような状態になったという点も、年度末の言わば追い込みの時期とも重なったこともあって、影響があったと分析しているところでございます。
 資料1に戻っていただきますと、9ページの一番右の欄でございますが、今、御説明申し上げましたように、20年度の最終納付率は66.8%ということで4.8ポイントの伸び、21年度分は3.3ポイントの伸びということで、この点につきましては、日本年金機構としての目標を達成したという状況になっているわけでございますが、現年度の納付率につきましては、前年度と同程度の水準を確保するという目標に達していないということで、機構の事項評価と照らして、一段低いCという評価をいたしておるという状況でございます。
 下にも書いてございますけれども、今後ともさまざまな取組みを進めていただきたいと思っている次第でございます。
 11ページに飛んでいただきますと、今度は「(2)厚生年金保険・健康保険・船員保険等の徴収対策の推進」でございます。
 厚生年金保険等の徴収対策については、行動計画を策定いただいて、それに基づいて実施をしているということでございます。
 機構としての自己評価はBということでいただいてございます。
 口座振替の実施率を前年度と同等程度の水準を確保するという目標に照らしまして、この点については、達成をされた、前年度を上回った状況だと伺っておるところでございます。
 私どもの評価としてもB評価ということにさせていただいておりまして、今、申し上げましたように、口座振替については、前年度を上回る実績を上げられて、一応目標を達成されているということでございます。
 その下でございますが、収納率につきましては、被災5県で一律に口座振替を停止した影響もあるのかもしれませんが、そういったことで、全体としては少し下がっているような状況になってございます。
 ここにはいろいろ書いてございます。
 そのほか、厳しい経済情勢の中ではございますが、滞納事業所は微増にとどめることができたのではないかということで、一定の初期対応の徹底が功を奏したのではないかと考えているところでございます。
 滞納処分の実績につきましては、かなりの増加を見ているところでございます。
 それから、前回御質問がございましたけれども、国税庁への委任は現実にはまだ実績が出ていないわけでございますが、委任を示唆することによって、納付に結び付く事例もあると伺っているところでございます。
 結論として申し上げれば、一番下のところに「以上の結果から」と書いてございますが、収納率自体は少し下がってはございますけれども、差押件数の増加等で滞納事業所数の伸びをかなり抑えられたということで、年度計画を達成したという評価をしているところでございます。
 主な指標として、下に数字を書かせていただいている次第でございます。
 13ページに飛んでいただきますと「3.給付事務に関する事項」でございます。
 年金の支給につきましては、サービススタンダードを設定し、迅速な支給決定あるいは年金の支払いに取り組んでいただいているところでございます。
 22年度につきましては、機構設立前後の滞留案件の解消に努めていただいたということで、特に老齢厚生年金については、前年度を上回る達成状況でございます。
 一方、障害厚生年金の支給決定の遅れが前から問題になっているところでございますけれども、体制もかなり強化いただいて、取組みを進めていただいたわけではございます。
 滞留件数、未処理件数という点では大幅な減少をいただきましたけれども、サービススタンダードと照らせば、まだかなり低い水準にとどまったというのが22年度の状況でございます。
 そうしたことで、右側の私どもの評価でございますが、機構の自己評価と同じくBという評価をさせていただいておりまして、特に障害厚生年金、裁定処理にまだまだ時間がかかっているということで、お客様からの苦情等もあるということでございます。
 体制を強化されて、未処理件数を大幅に減らされたという点については評価をさせていただいておりますけれども、引き続き、短縮化に向けて取り組んでいただきたいということを書かせていただいているところでございます。
 あとは、年金の受給に結び付けていくという意味で、適正な届出の周知等については、パンフレット等の送付を着実に行っていただいた。
 正確な支給の面では、マニュアルの改訂なども進められているわけではございますけれども、定期的に公表されている中を見ましても、年金給付関係の事務処理の誤りも発生しているということで、引き続き、改善に向けて御努力をいただきたいと考えている次第でございます。
 ○4でございますが、未請求者への取組みという観点からも、お知らせを送付されて取組みを促していただいている。
 あるいはターンアラウンド方式による裁定請求書の送付等を着実に実施していただいているという評価をしているところでございます。
 私からは以上でございます。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、御意見なり御質問がございましたら、お願いいたします。

○西沢委員
 2点ありまして、1つは6ページ目から7ページ目にかけまして、立入検査と事業所調査の違いですけれども、恐らく立入検査は職員の方が足を向けて事業所に行くと思うんですが、事業所調査というのは一体何をしているのかということです。
 こういったことの関連の中で、先方に足を向けることによって賃金台帳を確認したり、雇用実態を把握したり、あるいはこちらが足を向けることによって当局の圧力がかかって適正な標準報酬の申告を促したりという効果があると思うんですけれども、そういったことは事業所調査と立入検査のどちらに含まれているのかといったことがございます。
 そもそも立入検査は101回ということがお話の中にありましたけれども、312事務所にしてみると、1つの事業所が1年で1回やっているところは100か所だと、ほとんどやっていないことになりますし、どういう位置づけになっているのかといったことなども伺いたいと思います。
 これが1つです。
 もう一つは、国民年金の徴収の方で市場化テストの話がありましたけれども、例えば民間の事業者の方、未納者に電話をしたりして接触をされていると思うんですが、どういう接触の仕方をされているのかということを御説明いただきたいと思います。
 というのも、日本年金機構の方が日々御努力されて、お客様精神というものを全面に出されていると思いますけれども、事務所の窓口に来られる年金受給者の方々などにはホスピタリティを持って接していただくのは非常にいいことだと思いますが、一方で、未納をしている人たち、未加入者の人たちというのは、法律上の国民の義務を果たしていないわけであって、お客様と話かけるよりも、むしろ義務を果たしていないんですと、ある程度徴税に近いような毅然とした態度で接した方が効果的かもしれないし、そう接するべきだと思うんです。
 先ほど国税の名前を出すことによって納付する事業者がいたということは、それを恐れてさっと納めるということに転じたと思うんですけれども、市場化テストの中で民間事業者の方あるいは社会保険事務所の方はどういった態度で未納者の方に接しているのかといったことを教えていただきたいと思います。
 以上です。

○本田部会長
 今の2点につきまして、お願いします。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 まず最初の事業所調査と立入検査の違いですけれども、事業所調査というのは、基本的に既に適用した事業所に対して訪問する場合と、事務所においでいただいてやる場合と2通りあるんですが、届出されている事実や標準報酬が正しいかどうかをチェックするためにやる調査でございます。
 一方、ここで言っている立入検査は、未適用事業所、適用されていない事業所に、一般的には加入指導ということで指導ベースで行くわけですけれども、何回も指導してもどうしても加入しない場合には、法律に基づいた立入権限に基づいて事業所に立ち入って、それこそ従業員が何人いるのかとか、あるいは標準報酬は幾らなのかという根拠資料を洗いざらい職員で調べて、その上で言わば職権適用というか、強制的に適用するという作業の前提となるための検査ですので、対象が違うということでございます。
 あと、市場化テストあるいは職員による滞納者への対応ということですが、まず市場化テスト業者については、前提として、年金機構から委託を受けてこういう業務をやっていますというところから入ってもらうわけです。
 ただ、督励活動というか、余り威圧感を持ってやるというよりも、あくまでも市場化テストの段階では、相手方の所得などもよく聞いていただいて、免除という制度もありますから、免除申請されたらどうですかとか、あるいは滞納されている方についても制度の仕組みなどを丁寧に説明してもらって、納付を督励していただくという形での対応が一般的でございます。
 むしろ強制的にやるというのは、強制徴収の部分は市場化テスト業者ではなくて、年金機構の職員自らやるという整理になっていますので、一定以上の所得のある方に対する対応ということですので、こちらは毅然としてやるという区分になろうかと思います。

○本田部会長
 よろしいですか。

○西沢委員
 ありがとうございました。
 前半の方に関しては、私の不勉強もあったんですけれども、未適用事業所が年金機構さんの把握で10万件超ある中で、634件の目標値というのがそもそも少ないような感じもしますし、1事務所で2件訪問するだけが10万という未適用事業所をつぶしていくには少ないような気もします。
 実績も更に少ないので、次年度に向けての話は今回関係ないのかもしれませんけれども、634件をどう評価していいのかといったことを今かあるいは今後併せてお教えいただければと思います。

○本田部会長
 理事からお願いします。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 立入検査というのは、法律の権限に基づく検査ですので、このような件数ですが、その前提として、職員が戸別に訪問して、重点加入指導と言っているんですけれども、実績報告書にも書かせていただきましたけれども、職員が足を運んだ事業所というベースでは1万事業所以上です。
 ただ、2回も3回も根気よく基本的には指導するわけですけれども、それにもかかわらず、言わば悪質というか、どうしても加入を拒む事業所に対してやるのが立入検査ということですので、事業所へ足を運ぶ件数としては、1万以上の事業所には足を運んでいるということでございます。

○本田部会長
 立入検査というのは、そういう意味では法的な強制調査ですね。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 おっしゃるとおりでございます。

○本田部会長
 木間委員、どうぞ。

○木間委員
 国民年金保険料の納付状況のプレス発表の御説明の中に、納付率低下の要因とあり2つ目の○に市場化テストで戸別訪問も行ったとありますが、消費者問題の分野では、年間100万件近い苦情のうち、訪問販売の苦情が多のです。
 消費者に私たちが呼びかけているのは、訪問販売には引っかからないようにということです。
 悪質なのが役所を装う販売です。
 消防署の方から来たとか、水道局の方から来たという感じで訪問するのです。
 消費者にはそういう電話とか戸別訪問がありましたら、断るようにと私たちは呼びかけていますので、かなりの工夫が必要だと思います。
 東京ガスが工夫していることを申し上げますが、すでに同じことをおやりになっていたら済みません。
 東京ガスの場合、機器やメーターの点検などに来るときは、法律などでこういうふうになっているので、この点検などが必要です。何日にお電話をしますので、その際、訪問する日を決めますという文書がポストに入っています。
 その後電話があります。
 それから、訪問する日を決めるという流れになっています。
 そのようにしませんと、国民生活センターや消費生活センターが悪質な訪問販売には応じないように言っていますし、不招請勧誘は禁止することを検討すべきということまで私たちは言ってまいりましたので、皆様方の努力はかなり要ると思います。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 戸別にどういう形で訪問するかの細かいところまでは、業者さんの工夫に任せるという世界ですけれども、ただ、基本的には先ほども申し上げましたけれども、日本年金機構から委託を受けた者ですということと、身分証明書も機構から委託をした者ですという証明書も出していますので、そういうものを提示して、詐欺まがいのものではありませんというところから始めていただいているんだと思います。
 あと、当然いきなり行ってもお会いすることは大変難しいので、一般的には電話等で接触をして、きちんとアポイントをとって行かないと空振りになります。
 そこを我々は接触率と言っているんですけれども、無駄足を運ばないで、きちんと会えるような形を整えてやってくれという形でのお願いはしております。

○本田部会長
 よろしいですか。
 長沼委員、どうぞ。

○長沼委員
 何点かお伺いさせていただきます。
 最初に、国民年金の被保険者の種別変更の届出の関係です。
 これは評価の議論の枠を超える内容かもしれませんが、第3号被保険者期間の適正管理という観点からお伺いいたします。
 例えば、会社が従業員を採用すると、会社で被保険者取得届を年金事務所に提出します。
 (届出用紙をかざしながら)この緑の用紙に必要事項を記入して、提出します。
 資格取得届の用紙には、被保険者の住所・氏名などを記載するようになっています。
 第3号被保険者の届出についても、国民年金第3号被保険者の3号該当届という用紙を提出することになっていますが、実は、「健康保険被扶養者届」と一体化した複写式になっている。
 従って、被扶養者届を提出すれば、3枚目に複写されていて、第3号被保険者の該当届も提出できる。
 しかしながら、従業員が会社を辞めるときは、会社は、(届出用紙をかざしながら)この赤い用紙の資格喪失届だけしか提出する必要はない。
 第3号の該当を外れるという届出は、会社が年金事務所に、特に提出する必要はないのです。
 しかも、資格喪失届には、会社を辞める従業員、つまり、被保険者の住所を記載する欄もありません。
 大もとの、被保険者が会社を退職するので、被扶養者が外れるという届出は求める必要がない、あくまでも、被保険者の資格喪失届しか提出しなくていい、というのが現状の届出の仕組みです。
 となると、第3号の被保険者がどうなったのか、年金事務所では情報が正確に把握できない。
 会社を勤めている間に、従業員の住所が変わって、事業所で被保険者の住所変更届をしっかりと提出してくれればいいのですが、現実は必ずしもそうではない。
 そうすると、日本年金機構から、被扶養配偶者、つまり、第3号被保険者だった人に、第1号被保険者への種別変更の勧奨届を送付しても、どうしても一定割合は、御自宅に届かない。
 居所不明ということで、日本年金機構に戻ってきてしまう。
 ですから、種別の変更をしっかりと行うためには、資格喪失届にも被保険者の住所記入欄を設けるとか、被扶養配偶者がいる場合については、第3号を外れ、第1号被保険者に該当するという届出を同時に提出してもらうなど、届出事務の改善が必要ではないか。
 夫が、すぐさま、次の会社に就職して、第2号被保険者になれば、そこで妻の第3号該当届が提出される。
 第1号被保険者というのは、第2号被保険者及び第3号被保険者以外の者をいうということになっているので、事務手続き上、問題はないと認識している。
 いずれにしても、手続の仕方を工夫していかないと、種別の変更を徹底するといってもなかなか限界がある。
 すぐさま実施できる、できないの結論はともかく、今後の課題ということになるが、また、見直し策を検討するなかで、法や施行令等の改正を伴うという問題も生じようが、第3号被保険者期間を適正に管理していくための、種別変更の届出関係の改善方策について、まず1点お伺いいたします。
 次に、厚生年金保険等の収納の関係について、お伺いいたします。
 【参考資料3】、分厚い「平成22事業年度業務実績報告書」の57ページ、【別表18】です。
 これをみると、例えば、厚生年金保険の保険料決定額が平成22年度は約23兆円になっている。
 一方、4年前の平成18年度はどうかというと、約21兆円です。わずか4年間で、2兆円も保険料の決定額が増えてきている。
 一方、協会けんぽについては、平成18年度に約6兆8,000億であったものが、平成22年度は約7兆5,000億円ということで、およそ7,000億円増えてきている。
 景気が低迷しているというわりには、厚生年金保険の決定額にしても、協会けんぽの健康保険料の決定額にしても、随分と伸びているという印象がある。
 この背景をどのように分析されているのか、伺いたい。
 例えば、厚生年金基金に加入していた事業所が厚生年金基金の代行を返上したとか、厚生年金基金を解散したということで、保険料決定額が増えてきた、ということなのか。
 同様に、協会けんぽの健康保険料決定額が増えてきているのも、いわゆる組合健康保険を存続させているメリットが少ないということで、組合健康保険を解散して、協会けんぽの方に加入してきたということで、これだけ健康保険料の決定額が増えてきているのか。
 景気がいいから保険料決定額が増えてきたということであれば、保険料を納付しやすい環境にあると思う。
 しかしながら、景気が悪い、組合健康保険をずっと存続するのは、経営上、たいへん厳しいから、それを解散して、協会けんぽに加入してきたのだとすると、やはり収納をしっかり頑張らないと収納率が落ちてくる。
 実際に、協会けんぽをみると、平成18年度のときに約6兆8,000億円だった保険料決定額は、平成22年度は約7兆5,000億円ということで、数字の見方によっては、約7,000億円しか保険料決定額は増えていない。
 しかしながら、収納未済額をみると、約1,200億円の収入未済額であったものが、約2,500億円となっており、収納未済額の金額は倍増している。
 表現を変えれば、保険料決定額は、約7,000億円増えました、でも、その2割に相当する部分が収入未済になりました、といえなくもない。
 今後、収納体制をしっかりしていかないと、増えてきている保険料決定額に見合う収納ができないのではないか。
 実は市町村も平成19年、いわゆる「国から地方への税源移譲」ということで、所得税から住民税へ税源移譲が実施されました。
 当時、総務省から収納体制を相当充実させていかないと、従来どおりの収納はできない、市町村は今から適切な収納体制を考えてくださいと言われていたのを記憶しています。
 最終的な収納率について、前年度並みという目標を達成しようとしても、収納する金額が大きくなっていることを踏まえると、収納体制を充実させていかないと、従来と同じだけの収納率を確保できないのではないか、と考えるが、その点どうか。
 次に、国民年金の納付率について、お伺いします。
 同じ資料の51ページです。
 前回のときも申し上げましたが、例えば、国民年金の場合、差押執行件数は、全国で3,379件となっています。
 年金事務所は全国で312事務所です。
 そうすると、差し押さえを執行している年金事務所というのは、一年金事務所あたり平均10件程度ということになる。
しかし、実態はどうなのか。
 全国47都道府県でみると、一番多い年金事務所では30件実施しているとか、あるいは1件も差し押さえを執行していない年金事務所は何事務所あるとか、そういう実態について、厚生労働省ではどの程度、把握をして、それを評価に反映させているのか、あるいは評価には反映していないのか、お伺いします。
 あわせて、市町村から所得情報の提供が得られたもののうち、例えば1,000万円以上の所得金額があって、滞納している人はどの程度いて、それに対して今回差し押さえをした滞納者がどの程度の割合いるのか、ということを、評価の際にチェックしているのか、お伺いします。
 最後です。
 国民年金の納付の関係について、です。
 昨年のときも申し上げましたが、今日お配りいただいた【参考資料6】の中の資料2の1ページの、いわゆるポンチ絵です。
 第1号被保険者の関係で、未加入者、未納者、免除者等、保険料納付者ということが記載されている。
 しかしながら、未納者はあくまでも24か月保険料が未納となっている者ということです。
 従って、保険料を1か月でも納めていれば、このポンチ絵では、保険料納付者として取り扱われる。
 この記載の仕方について、もう少し、工夫できないものか。
 第2号被保険者、つまり厚生年金に加入している被保険者の場合についても、事業者は保険料を100%納付しているわけではない。
 しかしながら、このポンチ絵は100%納付を前提とした図柄になっている。
例えば、保険料納付の金額を面積で表していただいて、面積で表したうちの第1号被保険者であれば、6割を若干切った程度の納付をいただいている金額の図柄にする。
 厚生年金の場合であれば、保険料決定額のうち保険料を納めていただいたのが全体でどのぐらいの割合を占めているというような形で、もう少し実際に保険料を納めていただいている全体像が見えるようなポンチ絵を今後は評価のときにつくっていただいて、資料等で提出していただければ、全体像がわかりやすいと考えるが、いかがでしょうか。
 以上です。

○本田部会長
 今、長沼委員から5点ございました。
 それぞれ御説明いただきます。
 最初は3号の問題です。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 まず年金機構からお答えできる範囲でお答えしたいと思いますが、種別変更の3号を外れた場合の届出については、昨年来からいわゆる運用3号の問題の再発防止対策ということで、いろんな御議論がなされています。
 先般、厚生労働省でおまとめていただいた特別部会の報告の中にも、もう少し事業主の協力を得て3号を喪失したという情報、例えば扶養から外れて年収が上がったとか、そういう場合の情報を事業主の協力を得て機構の方にいただけるような、そういう仕組みも考えたらどうかという御提言もいただいていますので、事業主の御協力を得るということであれば、制度改正のマターになりますけれども、そういうことも含めて仕組みをつくっていただければ、機構としても大変ありがたいと思っているところでございます。
 また、厚年の徴収額の要因ということなんですが、幾つかあると思います。
 詳細な分析はできていませんが、分厚い資料の38ページに適用関係の数字が載っています。
 適用事業所数が平成18年度、厚生年金ですけれども、168万事業所だったのが174万事業所ということで、適用事業所数自体が増えているという要素が1つあると思っています。
 もう一つ、御案内のように、厚生年金保険料の料率が毎年アップしておりますので、料率アップの影響もあるのではないか。
 厚生年金に関しては、適用事業所が増えているのと、毎年の保険料率のアップの影響だろうと思っております。
 なお、協会けんぽの方は、おっしゃるように、最近、健保組合が解散するという流れもありますので、協会けんぽの適用が増えている中では、そういう要因も含まれていると思っております。
 また、協会けんぽの方も毎年少しずつですけれども、保険料率は上がっていますので、料率アップの影響もあるのではないかと見ております。
 徴収の体制強化については、できるだけ限られた体制の中できちんとした活動をやれるようにということで、機構としてはそういう立場で、事務所の活動を一層きちんとやれるようにということで、引き続き努力をしていきたいと思っております。
 国年の強制徴収の状況は、おっしゃるように、事務所によっては全くできていない、1件もできていない事務所から、50件近くやっている事務所までさまざまでございまして、機構としてはきちんと状況を管理させていただいて、そういう状況も年金局にはお伝えしているということでございます。

○事業管理課長
 続きまして、残りの件も含めて、少し補足的なことも含めて、私から御説明を申し上げたいと思います。
 まず冒頭種別変更の届出の関係での手続の改善の余地について御指摘をいただきました。
 今、石塚理事からも御紹介がございましたけれども、今日お出ししている資料で申し上げれば、今、委員にも御指摘いただいた参考資料6、国年の納付率の公表資料の19ページです。
 全体のページが振ってございませんが、1枚開いていただきますと資料1、その次が資料2になってございまして、その19ページでございます。
 新規適用届、○4のところでございます。
 いろいろ種別が変更された場合、手続をしっかり正しくしていかなければいけないわけでございますが、今、機構の方で考えていただいているのは、1つには、今、職権適用が6か月後ということになっておるところを、できるだけ早期化を図っていこうではないか。
 できるだけ早く正しい種別に変更していくという取組みをやっていくということが1点ございます。
 それから、まさに3号の不整合問題で大きな課題になってございます、3号の資格を失われた方が、御本人で市町村に1号になった旨の届出をしていただかなければならない。
 ここが現実問題として必ずしも十分にできていないということについて、事業主サイドがお持ちの情報を年金機構としていかに把握をさせていただいて、正しい種別変更につなげていくのか。
 こういった観点から調整を進めているところでございます。
 3号不整合問題の特別部会でもそういった御提言をいただき、現在、検討しています3号不整合の関連法案の中でも、こうした関連に関する事項についても是非盛り込みたいということで、今、作業を進めているという点がございますので、御報告を申し上げたいと思います。
 それから、国年の収納の関係で、差し押さえの関係等は評価に反映をさせているかということでございました。
 実績としては、私ども報告もいただいて、当然トータルで見れば一応見ているということではございますけれども、全体としての納付率が目標と照らしてどうだったかという観点で、今回Cという評価をつけさせていただいているというのが実情だと思っているところでございます。
 併せて1,000万円以上の所得の方の中で、どれぐらいが強制徴収になったかという点については、私どもデータとしては承知をしておりませんので、そこを個別に見て、評価に何らかの反応をしたということはございません。
 最後でございます。
 ポンチ絵とおっしゃった資料1の裏側の未納者の数でございますが、今、ごらんいただいている資料で申し上げますと、資料2の1ページに1号被保険者だけでなく、2号、3号も含めた表をお出ししてございます。
 今、おっしゃるように、未納者というのは注1のところに書いてございますが、24か月以上の保険料が未納となっている者ということで書かせていただいておって、説明のときには、その点は明確に御説明等もするわけでございますが、保険料納付者の中にもっと短期間の未納者なども入っている点について、もう少しわかりやすくならないのかという御指摘だと承知をしてございます。
 全体の納付状況を面積でもってというお話もございましたけれども、まさにそれは納付率だと思ってございまして、納付すべき月数分の納付月数ということで、納付率を表させていただいていますので、そういった状況だと思ってございます。
 御指摘のように、1か月、2か月あるいは1年ぐらいの未納がある方をこの図に表すことにつきましては、ちょっと難しい点がございます。
 といいますのは、短い期間の未納者の方というのは、実は年度末の段階でまだ1号でいらっしゃるかどうかの把握ができていない。
 中には既に2号になられている方、あるいは3号になられている方の中に、途中までは1号であって、かつ未納だった方も入られている可能性があるということもございまして、この図の中に短期間の未納をお持ちの方を表すのが難しいという事情もあって、今、24か月の方は確実に1号被保険者で未納者だということで、このように表させていただいているという点がございます。
 ただ、御指摘の点についてもう少し何か工夫ができないかということについては、更に検討していきたいと思います。
 以上でございます。

○本田部会長
 よろしいですか。

○長沼委員
 まず最初に、厚生年金の保険料や協会けんぽの健康保険料の収納の関係について、再度お伺いいたします。
 先ほど申し上げましたように、収納未済額が増えてきていることだけは間違いありません。
 扱う保険料額が多ければ多いほど、同じ収納率であっても収納未済の金額は増えていってしまう。
 協会けんぽにしても、保険財政が厳しいということで、やはり収納の取り組みについて御意見が出ていると仄聞しております。
 かねてからの課題ではありますが、それぞれの年金事務所の中で収納部門を充実させていく取組みが必要なのではないか。
 扱っている金額が同じであればともかく、確実に扱っている金額が増えてきているという現実を踏まえ、収納対策にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 国民年金の納付の関係ですが、本日いただいた資料を見ますと、都道府県の中では若干ではありますが、納付率が上がっている都道府県もある。
 例えば、岡山県については、平成21年度の現年度分が61.6%であったのが、平成22年度の現年度分は62.0%と、0.4ポイント上昇している。
 熊本県についても、平成21年度の現年度分が60.3%の納付率であったであったものが、平成22年度の現年度分は60.5%ということで、これは端数処理の関係で表では0.1ポイントの上昇と記載されていますが、都道府県の中でも、納付率が上昇しているところもあるということです。
 決してほかの都道府県においても、納付率を上昇させることができないわけではないと思います。
 ですから、これをいいお手本として、ほかの年金事務所でも岡山県や熊本県の中の年金事務所の取組みを紹介することによって、国民年金の納付率というのは下がってもしようがないということではなくて、上げることができるという形で、評価の中にお示ししていただきたいと考えています。
 確かに、全国的な傾向では、60%以下と下がったけれども、都道府県の中では上がっているところがあるということで、ほかの都道府県の年金事務所もがんばれというような形で、厚生労働省からもお話を進めていっていただければと思います。
 先ほどの「資料2」の1ページにありました平成22年度の納付状況について、《公的年金加入者の状況(平成22年度末)》のご説明がありました。
 今後、工夫も検討していただけるという趣旨のお話でした。
「(1)公的年金制度全体の状況」の説明書きで、「公的年金加入対象者全体でみると、約95%の者が保険料を納付」と記されている。
 この文言の書き方でいうと、あたかも厚生年金の保険料は事業所が100%を納めているかのごとく、読める(実際の収納率は、約97.8%)。
 また、第1号被保険者の方も、このポンチ絵をみると約95%の人は、保険料をしっかり納めているという印象を与えると思います。
 公的年金加入者6,836万人というのは、1年間のある時点で、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者がこれだけ存在するということです。
 にもかかわらず、いわゆる未納者のところだけは24か月、2年間単位でもって保険料未納者をカウントしている。
 これは統計の取り方としてもいかがなものかと思います。
 第1号被保険者から第3号被保険者まで、みんな1年間の単位で6,836万人とカウントしているはずなのに、未納者のところだけが12か月の保険料が未納となっている者ではなくして、24か月保険料が未納となっている者なんです。
 ですから、仮にここのところを、未納者とは12か月保険料が未納となっている者とすると、場合によってはこれが321万人ではなくて、330万人になるかもしれないと思います。
 ですから、そういった点も含めて、是非来年度の評価の際に提出される資料では、この辺は御検討いただければと思います。
 それから、いわゆる高額所得者の強制徴収の関係で、確かに50件程度やっている年金事務所もあれば、全然やっていない年金事務所もあるという説明でした。
 昨年3月の第4回の評価部会に提出された資料ですと、平成22年度においては、およそ5億3,000万円をかけて「所得情報を活用した強制徴収の拡大」という、事業予算の資料が出されている。
 そうすると、5億3,000万円の予算を計上して、実際に執行した金額はいくらかわかりませんが、どの程度これによって、つまり強制徴収により、保険料収入の金額を確保できたのか。
 その辺の評価をされているのか、お伺いします。
 以上です。

○本田部会長
 今の御質問に対して、いかがですか。

○事業管理課長
 最後の点でございますけれども、そこの数字は、今回事前の御指摘もいただいて機構の方にも確認をいたしましたが、にわかにはわからないということで伺っております。
 したがって、評価をする段階では、ここの数字というのは私どもは承知をしていないという状況でございます。

○本田部会長
 最後の費用対効果の管理ですね。
 長沼委員、今のお答えはいかがですか。

○長沼委員
 把握されていないということであれば、それはいたし方ない。
 例えば、「平成22年度における国民年金保険料の収納対策の概要」ということで、先ほど申し上げた、昨年3月の第4回の評価部会で提出された資料では、「口座振替の利用促進」ですとか、いろいろな事業について予算が計上されています。
 「免除制度の周知等の実施」で6億7,000万円の事業費を計上して取り組むということについても、記載されている。
 しかしながら、そうすると、この事業の施策についても、厚生労働省では、日本年金機構から情報がきていないから、実際にどの程度免除適用が拡大したのか、増大したのか、その点についての評価はしていないという理解でよろしいのでしょうか。

○事業管理課長
 結論として出ている納付率を見させていただいているという状況でございます。

○本田部会長
 斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 国民年金の方ですけれども、納付率を拝見しておりますと、口座振替の実施率というのは年々減ってきています。
 口座振替というのは一番手間がかからなくて楽でユーザーが扱いたいものなのに、それをやめていくというのは、銀行預金あるいは郵便貯金のところに残高が一定の金額を保てない人たちが増えてきていると推測いたします。
 これを企業で考えますと、お客様の手元が危うくなってきたら、それに対してどうするかということを考えて、例えば免除のことを教えて差し上げるとか、何かフォローアップをすると思います。
 つまり縦割りではない、横ぐしを入れた対応を会社では考えると思います。
 年金機構ではその辺りの連携プレーというのは、どのようになさっているのか。
 数字から離れた形でどういう経営をしていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 口座振替の実施率が落ちている要因は、現在、御利用になっている方がどんどん辞退しているというよりは、先ほどの納付率と一緒なんですけれども、高い年齢層の方、50代の方は5~6割の口座振替を使っていただいているんですが、若い層は1割もいかないということで、年齢層の高い方が卒業されていって、口座振替の件数がなくなるんです。
 それに対して、若い人に口座振替をやってもらって、新規にとってくるというか、そこが追いついていないということで、件数自体は減っているという構造でございます。
 あと、口座振替を御利用になった方で、途中で振替不能で未納になるというケースもあります。
 そういう方については、機構の方でも把握できますので、どうされたんですかということで、経済的にお困りになっているということであれば、免除の制度もありますという個別の勧奨活動はさせていただいております。

○本田部会長
 時間も押してきていますので、とりあえず次に進ませていただきます。
 また後ほど御意見がありましたら、伺うことにします。
 それでは「2 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の「4.相談、情報提供等に関する事項」から「6.電子申請の推進に関する事項」まで、事務方から御説明をお願いいたします。

○事業企画課長
 よろしくお願いします。
 資料1の15ページをお開きいただきたいと思います。
 「4.相談、情報提供等に関する事項」の中は、評価のくくりを2つに分けております。
 「(1)年金相談の充実」ということで、評価をさせていただいております。
 一番右の事務方たたき台の欄をごらんいただきたいのですが、年金相談の充実という点につきましては、発券機の活用による待ち時間の表示情報の改善ですとか、相談内容の難易度に応じた相談ブースを設置するとか、かなりいろいろ工夫をさせたということがございます。
 結果、年度の計画を取組みとしても上回るということを着実にやっていただいたと評価をしております。
 結果の数字といたしましても、待ち時間1時間以上となっている年金事務所数は減っておるということで、具体的な数字は16ページの機構の実績報告の欄、左から2番目の欄の最初の○のところに、待ち時間1時間以上の事務所数の減少というデータを載せていますので、それをごらんいただければと思います。
 15ページの事務方たたき台の方に戻りますが、ねんきんダイヤルの応答率という点につきましても、改善が見られております。
 当然季節変動要因というものはございますが、22年度は21年度の44.3%から57.1%と改善をしておりまして、前年度と同等水準という年度計画を上回っておるということが見られます。
 こうしたことを勘案いたしまして、年金相談の充実につきましては、評価Aということで出させていただいております。
 17ページをお開きいただきたいと思います。
 相談、情報提供の中の2つ目のくくりで「(2)分かりやすい情報提供の推進」という部分でございます。
 これに関しましては、かなりいろいろ取組みをいただいているということでございます。
 社会保険事業の周知活動につきまして、保険料の納付書の裏面などを活用して、例えばコンビニエンスストアの納付については周知をするとか、そこにも1例がございますけれども、電子政府・オンライン申請体験フェア、こういった機会を使っていろいろ周知を図っていく。
 また、都道府県ごとに20歳の到達者用のリーフレットがいろいろ作成されていたんですが、お客様向け文書モニター会議というところの意見をいただいた上で統一化を図ったり、改善をする、こうしたことを一つひとつ着実に実施されたということがございます。
 年金記録を提供していくという点につきましても、定期便というものは予定どおりやっていただいておりますのと、先ほど年金記録のところで申し上げました、ねんきんネットサービスというものを23年2月から開始し、更に機能追加の準備も着実にやっていただいている。
 こうした計画との関係で、着実な実施ということで、評価Bということで、ここは掲げさせていただいております。
 20ページをお開きいただきたいと思います。
 「5.お客様の声を反映させる取組に関する事項」についての評価でございます。
 この分野もかなりいろいろな取組みを機構の方でされておりますが、20ページの一番右側の欄をごらんいただきますと、先ほども言及させていただきましたが、お客様向け文書モニター会議でございます。
 同じページの左から2番目の欄に開催件数がございますけれども、こうしたものを通じた文書の改善。
 また、年金事務所において、お客様モニター会議というものを開催して、お客様の声をじかにお聞きするという取組み。
 職員の提案を入れていくという取組み、こうした取組みを着実にやっていただいたということがございます。
 それから、サービス・業務改善コンテストということで、これも職員の提案につながるわけですけれども、これを2回実施いただきました。
 この中で優秀事例は全国に広めていくという取組みをしていただいているところでございます。
 更に身近な業務改善取組みということで、職場の方からいろいろ取組みを報告していただくということ。
 こうした点は、事業計画との関係ではかなりプラスの要素がいろいろ見られるということで、この部分につきましては、評価Aということで出させていただいております。
 最後にこの部分では電子申請の関係でございます。
 23ページをお開きいただきますと、電子申請の関係の記載がございます。
 電子申請に関しましては、どれぐらい利用率が高まったかというところを見させていただいておりますが、一番右の欄にございますけれども、60.6%というところが22年度の利用率でございます。
 これはオンライン利用拡大行動計画というところで、56%という計画値との関係がございますが、それを上回っておるということがございます。
 こうした点などを評価しまして、この部分については、評価Aということで出させていただいております。
 以上でございます。
 よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 それでは、ただいまの説明に対します、御質問なり御意見をいただければと思います。
 岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員
 20ページのお客様の声を反映させる取組みに対する評価についてお聞きしたいんですが、今の説明では、いわゆるサービス・業務改善コンテストをやって、優秀な取組み事例を全国に周知したことを評価されたということですけれども、周知するだけでは余り意味がないのではないか。
 それがどれだけ全国で共有化されて、実際に事務の効率なり正確性に生きたのかどうか。
 その点はどう評価されたんですか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 事実関係なので、機構からお答させていただきたいと思います。
 例えば昨年6月に行いましたサービスコンテスト1位というのは、小さな事務所が手作業で相談の事蹟管理のシステムをつくったというのが1位だったんです。
 これはどうしたかといいますと、いきなり全国に展開できませんので、もう一つ同じようなことを違うやり方でやっている東京のモデルがあったので、それと並行して、3か月か4か月幾つか事務所をピックアップしてモデル実施しました。
 というのは、小さな事務所ではできるけれども、大きな事務所ではできないとか、そういうことも考えられるので、両方のモデルを併用して、全国的に幾つかモデル実施をやりました。
 その結果を集約して、またいろんな評価を聞いてみて、改善すべき点は改善し、相談の事蹟を管理するシステムを本年6月から、全国展開でやっています。
 ですから、コンテストの中でも、物によって全国に普遍化したものがいいというものがあれば、それはしていくということです。
 勿論やみくもできませんので、今、申し上げたように、実際にやらせてみて、評価して、普遍化するにはどうしたらいいかということをやっているということです。
 1例ですが、そんな取組みをやっているということです。

○本田部会長
 よろしいでしょうか。

○事業企画課長
 周知という点に加えて、実際に実施に移されている部分もあるということは承知しておりますので、評価の記述でも少し書き加えられるようなことがないか考えたいと思います。
 それから、1点申し忘れました。
 20ページの今のお客様の声を反映させる取組みのところで、私どもの評価では取り上げていないんですが、機構の自己評価のところの項目、右から2番目の欄で、お客様満足度のアンケートとか、窓口の覆面調査も民間の手法を参考にいろいろ取り組まれたということがございます。
 今日、参考資料5ということで、機構から別冊でその関係が出されておりまして、こういうことも私どもとしては承知させていただいているということをつけ加えさせていただきます。

○本田部会長
 大山部会長代理、どうぞ。

○大山部会長代理
 まず電子申請のところについてですが、これについては目標値を上回るところまで達成したということで、よくやっていただいたことに感謝し、高く評価したいと思います。
 次は、さらなる向上を是非考えていただきたいと思います。
 別の言い方をすると、今までどうしてできなかったのかという差分を明確にしていただきたいと思います。
 それと同時に、今の岩瀬委員のお話にも関係しますが、日本年金機構さんがお持ちのさまざまなサービス改善を含めた取組みに対して、よくよく見てみると、比較的やりやすい話と非常にやりにくい話があります
 その中で特に20ページにある、お客様向けの文書モニター云々を設置して、このような取組みをするのは、ある意味で対応の仕方が効果として見えるものであると思います。
 ここにはお客様の声あるいはモニター会議のいろんな意見を取り入れて、例えば○の4つ目の3行目に吹き出しを入れるという話があって、全面的に改定しわかりやすくした旨の記載があります。
 客観的な評価としてこれがわかりやすいということが十分に説得できるものであれば、他の行政機関の参考になるよう、このような取り組みを発表することをお勧めします。
 要はこういう取組みをして、わかりやすくなったということです。
 是非そのときには最初のものと最後のものといいますか、ここまでよくなっているかを見せるのは嫌かもしれませんが、敢えて比較していただくと、ほかの省庁や自治体から出てくる各種の説明文等を分かりやすくするのに、非常に参考になるのではないかと思います。
 これはAがついていますが、私は非常に高く評価させていただきたいと思いますので、是非その辺のことも考えていただけると、ありがたいと思います。
 以上です。

○本田部会長
 答弁はいいですね。

○大山部会長代理
 はい。

○本田部会長
 木間委員、どうぞ。

○木間委員
 私もお客様の声を反映させる取組みに関して申し上げたいのですが、21年度を上回るという意味ではA評価はよろしいと思いますが、例えば事業実績報告書の81ページにある文書を見ますと、これで改善されたとはとても思えません。
 もっと改善の余地があります。
 こんなわかりにくい言葉をたくさん用いているものを改善したということで、とどまっていただきたくない。
 更に改善をしていただきたいと思います。

○本田部会長
 どうぞ。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 80ページ、81ページは、先ほどもちょっと御紹介がありましたけれども、各地方でそれぞれつくっていたものを初めて全国統一でつくったというものです。
 これも原案から比べますと、一般のモニターの方から順番をこうした方がいいとか、こういう表現の方がいいとか、こういう内容も入れるべきとか、モニターの方の意見に従ってつくっております。
 勿論また見ていただいて、ここをこういうふうにした方がもっとわかりやすいということがあれば、また改善をしていきたいと思います。
 年金の場合、難しいのは、1つは法律でぎっちり要件が決まっていますし、そこに余り情報を入れ過ぎるとわからなくなるし、一方省略すると情報が不十分だと言われるということで、この兼ね合いの中で、どうやっていくかという工夫はしていきたいと思います。

○木間委員
 1点だけ申し上げます。
 厚生年金の被保険者とありますが、被保険者という言葉を聞いただけで、思考がストップしてしまうという方が多いのです。
 なぜ加入者と言わないのか。
 そういうことが多々ありますので、御担当者がいらっしゃいましたら、後ほど申し上げたいと思います。

○本田部会長
 貴重な御意見として、受け止めていただければと思います。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 法律上の用語でいえば、これは被保険者ですが、いずれにしろ担当の者も来ていますので、また後程具体的にお聞かせ願えたらと思います。

○本田部会長
 斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 電子申請のことでお伺いしたいんですが、記録媒体を使うことも含めてパーセンテージを出していらっしゃいますけれども、オンラインの利用率と記録媒体の利用率というのは、どのぐらいの割合なのか教えていただけますでしょうか。
 オンラインが余り利用されていないということであれば、それはeガブとの関係だとは思いますけれども、非常に使いづらいものをどうやって使いやすくするのかということを検討してくださったのでしょうか。
 それから、記録媒体の方が伸びているのであれば、これはもっと使いやすくして、オンラインではなくて、記録媒体の方を促進するような形での取組みをしていただいているのでしょうか。
 その辺りを教えてください。

○本田部会長
 お願いします。

○日本年金機構審議役
 機構の審議役をしております松田です。
 今の御質問でありますけれども、今回、目標値に対しましては、実績としまして上回っているということであります。
 御指摘のように、今、機構ではFDによる届出が可能になっておりますけれども、これも含めた数字になっております。
 この内訳の数字を持っておりませんけれども、アバウトに申し上げますと、紙と磁気媒体と電子申請の3つの届出の形態別で考えますと、2%ぐらいが電子申請、47~48%が磁気媒体による申請、5割ぐらいが紙での提出、こんな状況になっているということであります。
 電子申請については、政府全体で取組みを進めているわけでありますけれども、幾つか伸びない要因があります。
 1つには本人確認のための電子認証の仕組みの使い勝手が悪い。
 有償であるということもありますし、使い勝手が悪いということがあります。
 もう一点は、添付書類がありますけれども、この辺りをできるだけ省略するという取組みをしないと、電子申請はなかなか伸びないということであります。
 その辺を機構としての取組みを進めたいと考えております。
 それから、磁気媒体の関係でありますけれども、これも当然ながら利用者、機構の業務にとっても非常に効率化する形になりますので、磁気媒体の利用の拡大もこれから取組みを進めたいと思っております。
 今、FDになっておりますけれども、ここにも書いておりますが、まず媒体につきましては、12月からCD、DVDに拡大するということも考えておりますし、更に事業所で利用いただけるような取組みを強力に進めていきたいと考えているところでございます。

○本田部会長
 どうぞ。

○大山部会長代理
 今、個人認証の話が出ていましたが、この対象となっているのは、社会保険労務士さんがほとんどではありませんか。

○日本年金機構審議役
 確かに社労士さんの場合には、企業の電子証明書等も必要ない、省略可能になっていますので、実態の数字はわかりませんけれども、社労士さんが代行してやられているケースが多いのではないかと思います。

○大山部会長代理
 そうであれば、e-Taxの取組みでは、同じようなことを税理士さんたちに働きかけているので、是非そのところは、同じような対応を検討いただければありがたいと思います。

○本田部会長
 それでは、次に入らせていただきたいと思います。
 「3 業務運営の効率化に関する事項」から「5 予算、収支計画及び資金計画」まで、事務方から御説明をお願いいたします。

○事業企画課長
 3~5まで通しで御説明をします。
 評価のくくりでいきましても、10のくくりになりますので、まとめて御説明になりますが、お許しください。
 24ページをお開きいただきたいと思います。
 「3 業務運営の効率化に関する事項」ということで、この部分は評価のくくりといたしまして、5つのくくりになっております。
 「1.効率的な業務運営体制に関する事項」というくくりでございます。
 24ページの一番右側の欄をごらんいただきたいと思いますが、年度計画に基づきまして、現場の職員からの提案等を踏まえて、事務処理誤りの総合再発防止策、業務改善工程表、こちらをとりまとめ、また取組みを実施に移されているということです。
 事務処理誤りの総合再発防止策につきましては、外部のコンサルティングによる検証もしています。
 これも事業計画に書いてあるわけですが、そちらの方も着実にされた。
 マニュアルの改定につきまして、進めておられる。
 特にマニュアルに関しましては、マニュアルインストラクターというブロック本部に対しての研修も実施をして、取組みを進めておられる。
 着実にされているということで、Bということで出させていただいております。
 25ページでございます。
 「2.運営経費の抑制等に関する事項」についてでございますが、25ページ一番右の欄をごらんいただきまして、国民年金の保険料の免除勧奨業務、こうしたものの外部委託との兼ね合いで、准職員の削減を22年にされております。
 また、俸給につきましても、職員の俸給月額を除きますが、職員賞与、役員報酬、役員の賞与月数についての見直しを実施されたということがございます。
 一般管理費、業務経費につきまして、入札テストか効率化でコスト削減というものに取組みをいただいたということは承知をしておりますが、少し細かく見ていきますと、経費が減ったという中には、25ページの左から2番目の欄に実績報告書の数字がございますけれども、例えば一般管理費でいえば41.1億円当初予算より下回っているんですが、その中でいわゆるコスト削減は11億、そうすると、残りは何かというと、実際に事業が計画どおり進まなかったことによって予算が支出できなかった部分が差の部分に入っておるところでございますので、こういう部分を見ますと、効率的な執行に引き続き取り組む必要はあると申し上げなくてはいけない。
 こういうことを総合的に勘案しまして、Bという評価の案を出させていただいております。
 26ページになりますが「3.外部委託の推進に関する事項」でございます。
 外部委託につきまして、納付督励ですとか年金相談、こうした分野などでございます。
 一番右の欄をごらんいただきまして、すべての年金事務所で国年保険料の納付督励業務、免除勧奨業務の外部委託を実施し、委託業者の選定に当たっては、総合評価落札方式を採用されたということ。
 また、委託業者の選定につきましては、事前審査をチェックリストを用いて行う。
 こうした取組みを着実に進めていただいたということで、評価としてはBということを出させていただいております。
 27ページにまいります。
 「4.社会保険オンラインシステムの見直しに関する事項」でございます。
 社会保険オンラインシステムの見直しにつきまして、一番右側の欄、事務方たたき台をごらんいただきたいと思いますが、基本設計の補完工程の実施に当たりまして、厚生労働省の方でいろいろ調達がございますが、その調達の仕様書の見直しですとか、意見招請の回答案の修正等、こうしたさまざまな点での協力、また工程の円滑な実施に向けまして、受託者への作業指示、こうしたものも適切に行っていただけたと考えておりますので、ここもおおむね達成ということで、Bという評価の案を出させていただいております。
 28ページにまいりたいと思います。
 業務運営の効率化の関係の5番のくくりになりますが、契約の競争性・透明性の確保という点に着目をした評価のくくりでございます。
 これにつきましては、いわゆる一般競争入札を契約の中でどれぐらいの割合していただいたかとか、調達の計画額をどれぐらい削減いただいたかとか、そうした点を評価させていただいております。
 一番右側の欄をごらんいただきます。
 1点補足をいたしますと、事前に委員の先生方に御説明に上がったときと、ここでの数字が変わっております。
 中身を再点検した結果、置き直した数字になっておりますので、そこは御了承いただければと思います。
 説明に戻りますが、1,717件の契約件数、少額の契約は除いておりますが、それとの兼ね合いで一般競争入札の割合は66.6%ということでございました。
 ただ、この契約の中には、事務室等の賃貸借ですとか、ビルの指定清掃業者に係る随意契約、そういう点では一般競争の入札との兼ね合いで難しい性格の契約も入っておりまして、こういうものを機構の自己評価では分母から除いた数字として80.5%という数字を報告されています。
 私どもも一応80.5%という数字も見させていただきまして、この件に関しましては、計画との兼ね合いでは達成できていると考えてもよろしいのではないかということで、ここは評価させていただいておりますが、競争入札の徹底には一層努めていただきたいということも併せて言わせていただいております。
 調達計画額は28.2%ということで、当初計画は10%ですから、上回っておられる。
 また、複数年度契約につきましても、活用いただいている。
 ただ、一番下の○になりますが、昨年起こりました入札に関する情報漏えい事案を踏まえまして、機構の方で再発防止策の取組みをいただいたところでございます。
 その中で、調達に関する情報収集、情報提供の実施要領を策定して、外部の業者と接触するときのルールをおつくりいただいたということは、非常に重要な取組みでございますが、これにつきまして、実際に事業者の接触に関する事蹟の管理がちゃんと記録に残っているかどうかという点について、今年3月に見せていただいたときに、まだ残していない部門が結構ございました。
 ここはマイナスの評価になります。
 全体を総合的に見まして、Cという評価の案を出させていただいております。
 先に進みます。
 29ページをお開きいただきたいと思います。
 「4 業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項」でございますが、この中のくくりといたしまして、まず内部統制の仕組みの構築という点についてでございます。
 コンプライアンスという言葉、リスク管理という言葉、そういうものがキーワードになるところでございます。
 一番右側の事務方たたき台の欄をごらんいただきまして、たった今、別の項目で申し上げましたし、冒頭、年金記録のところで岩瀬先生からも御指摘をいただきました、紙台帳とコンピュータ記録との突き合わせ業務の入札情報の漏えいという重大な事案が、残念ながらあったということ。
 また、私どもは愛媛事案と呼んでおりますが、管理職による年金個人情報の漏えいという事案も発生したということがございまして、年度計画で目指しておりますリスク管理とコンプライアンスの確保のための内部統制システムが構築されているとは言い難いという評価でございます。
 そういう中で、組織風土の改革の取組みですとか、コンプライアンスの職員の意識調査ですとか、いろいろお進めはいただいておりますのと、研修また事務処理誤りの総合再発防止策の策定、こうしたものは着実に実施されているところでございます。
 こうした点を総合的に見ますと、やはり残念な事案、非常に遺憾な事案が発生したことを踏まえまして、評価Cということで出させていただいております。
 続きまして、情報公開ということで、33ページに進ませていただきたいと思います。
 33ページ「2.情報公開の推進に関する事項」でございます。
 こちらにつきましては、アニュアルレポートというものをおつくりいただいて、お客様に見ていただける年次報告書ということで、箱をいただいたという取組みを着実にやっていただきました。
 これは計画の方にも書いてあった話でございます。
 また、月次ですとか、定期的な公表もございますが、年金記録問題の取組み状況につきまして、定期的に週次、月次で状況を公表いただくという話。
 また、事務処理誤りの事項の関係につきましても、月次で公表するという取組みを着実に行っていただいたということ。
 こうした点を見まして、おおむね達成、Bという評価を出させていただいております。
 34ページに進ませていただきたいと思います。
 「3.人事及び人材の育成に関する事項」でございます。
 一番右側の事務方たたき台の欄のところをごらんいただきたいと思いますが、人事政策上、これを戦略的に進めていく上で、有期雇用の職員を正規の職員に登用していくという取組みを創設されたということが、まず重要な点としてございます。
 それから、人事評価制度というものも着実に進めていただいているところですが、すべての被評価者に対して評価者からフィードバック面接をして、評価者に対してはアンケートをして人事評価制度の改善、こうした取組みを進めていただいた。
 こうしたさまざまな取組みを進めていただいております。
 また、研修という点につきましてでございますが、23年度から新たな研修体系というものを展開していくということで、新たな研修体系の策定を22年度は実施をされた。
 こういう取組みがございました。
 こうしたところを見ましても、着実に進めていただいているということで、Bという評価の案を出させていただいております。
 「4.個人情報の保護に関する事項」が37ページにございます。
 個人情報の保護に関しまして、機構の取組みということでございますが、一番右側の欄にございますが、個人情報の保護管理推進計画を作成して、取り組んでいくという進みはいただいているところではありますが、先ほど申し上げました愛媛の事案、管理職による年金個人情報の漏えいの事案という非常に遺憾な事案が発生したということを踏まえまして、やはり個人情報の保護が22年度に適正に行われたとは言い難いということでございます。
 評価の案としては、Cという案を出させていただいてございます。
 38ページ、最後のページになりますが「5 予算、収支計画及び資金計画」でございます。
 22年度の予算の運営を計画的は、経費の節減も含めて行えたかということでございます。
 一番右側の事務方たたき台の欄をごらんいただきたいと思いますが、一般管理費、業務経費に関しまして、入札の効果とか、業務の効率化というところで、コストの削減を図っていただいているというのは、先ほど別の項目でも申し上げたところです。
 その際にも申し上げましたが、年金事務所の庁舎の改修、こうした事業が計画どおりに進まなくて、予算が支出できなかったとか、こうしたことも生じているところでございます。
 人件費につきましても、予算の支出ができなかったということが生じております。
 ただ、人件費につきましては、私どものところのコメントの中にも書かせていただいておりますが、准職員の採用が人事募集を行っても、求める人材の確保がなかなかできなかったという事情もあったとは伺っております。
 いずれにしましても、総合的に勘案すれば、おおむね計画的な運営が行われていると考えまして、ここは評価Bということで出させていただいておるところでございます。
 以上、早足になりましたが、よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 それでは、ただいまの説明内容につきまして、御意見なり御質問がございましたら、お願いいたします。

○岩瀬委員
 前回のときにもお聞きしたんですけれども、研修のこととコンプライアンスのことについてお尋ねします。
 いろんな研修をやっているということが書かれていますけれども、研修をやった後、機構の方ではどういうふうに効果測定をしておられるのかということを、まず教えていただけますでしょうか。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 人事・会計担当の坂巻です。
 研修の効果測定でございますが、前回も御質問がありましたけれども、常に研修をやった後に、受講者に対していわゆるアンケートをとっております。
 その中でいろいろ改善すべき事項が出てきますので、そういうものは常に取り入れながら改善をしていくという方向で今は進めております。
 これは実際にはこれからということになりますけれども、例えば研修を行って、その説明がわかりにくいとか、あるいは資料がわかりにくい、研修の資料をあらかじめ出してほしいとか、そういうものがあります。
 今後、研修をより充実させる、あるいは回数を増やしていくということについては、講師が今の数では足りませんので、講師を養成するとかそういうことで、今、計画を進めておりまして、講師の養成研修につきましても、近々やるということでございます。

○岩瀬委員
 お尋ねしたかったのはそういうことではなくて、研修をした結果、その研修をどれだけ職員の人が収集をして、現場でそれをちゃんと生かせるか。
 研修の理解度というものをどういうふうにして把握されているのかということを教えていただけますか。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 いわゆる研修を受けた結果のスキルアップをどのぐらいしたかというお尋ねであろうかと思います。
 なかなか難しい問題がありますが、例えばやるとすれば、研修を受けて、しばらくして年金実務の何級という形で試験をやります。
 その合格者がどのぐらいいるかとか、そんなことをもって効果測定をしていくという気がしています。
 それは今後また検討したいと思います。

○岩瀬委員
 今、効果測定はしていないということですね。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 今、試験は実際にやられておりませんので、それは試験をやるときに考えることだと思います。

○岩瀬委員
 研修の回数だけをこなして、目標数字に達成したからいいんだと聞こえるんですけれども、せっかく時間とお金を使って研修をするんですから、それがどれだけ職員の人にプラスになっているかということをちゃんと見ていかないと、ただやりましたというだけでは評価できないのではないでしょうか。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 おっしゃる趣旨はよくわかりますので、それについても今後検討させていただきたいと思います。

○岩瀬委員
 もしそうであるんだったら、研修の評価を自らもう1ランク下げるということが必要なのではないですか。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 申し訳ありません。
 研修をやった後の理解度テストはやっております。
 それはどのぐらいだったらいいとか、こういう問題も1つあるかと思いますが、そういうことになるかと思います。
 それと、研修を何回やったということも勿論重要なんだろうと思いますが、どうやって内容を充実させていくかということも考えていかなければいけない問題だろうと思います。
 それについては、先ほど申しましたように、今後内容を充実させるようなことも考えていきたいと思っております。
 ただ、報告書にもありますように、22年度については、23年度からの新卒が入ってきた後の本格的な研修体系をつくるということが1つありましたので、そちらをきちんとやってきたというところであります。

○岩瀬委員
 わかったような、わからないような感じなんです。
 是非とも私は資料がほしいんですけれども、21年度と22年度の研修の月間スケジュール表を見せていただけませんか。
 それと、研修で使ったテキストと、研修後に試験をおやりになったと言っていましたけれども、どんな試験をしたのかの試験問題集みたいなものを、毎回研修が終わったごとにテストをしたのであれば、毎回どういう試験をしたのか、その試験の結果、どういう評価をしたのか、研修部の方で多分まとめていらっしゃると思うんですけれども、それを見せていだたきたい。
 そうしないと、この評価はできないのではないかと思います。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 手元に資料がございません。

○岩瀬委員
 次回までに、なるべく至急出していただきたいと思います。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 はい。

○岩瀬委員
 もう一つ、前回、薄井さんにお聞きしたんですけれども、いろんなコンプライアンスの問題で指導したが、十分に達成ができていない。
 それはどういう理由で達成できていないのかということについて、今日の資料にあるのであれば、どこにあるのか教えていただけませんか。

○日本年金機構副理事長
 コンプライアンスというのは、この間も御説明申し上げましたように、体制というか、統制の仕組みをつくったということですけれども、現実には紙コンであるとか、あるいは愛媛の事案、そのほかにも幾つか問題事例がございました。
 自己評価のところ、あるいは実績報告のところにも書かせていただいておりますけれども、基本的にはコンプライアンスの意識調査結果等を見ても、知識としてはわかっているが、それが肌身についていないとか、そういうところもあります。
 多くの職員はそこはきちっとわかっていると思うんですけれども、一部にそこがわかっていない職員がいて、そこが問題を起こしているということであろうと思っておりますので、自己評価の1つ目のところを書かせていただいておりますけれども、要は報・連・相というか、風通しのいい組織づくりがそういうものを見つけるためのものにもなるし、そのためのコンプライアンス関係の研修をやっていくということであろうと思っております。

○岩瀬委員
 長くなって済みません。
 おっしゃることはよくわかるんですけれども、そういう研修をして、結局それが実現できていないというのは、どういうことなんだろうと思うわけです。
 それは時間がかかるということですか。

○日本年金機構副理事長
 コンプライアンスの意識調査結果、紙の調査だけでどうかということはありますけれども、そういう結果を見ると、かなりわかっているというか、そういう職員は多いんです。
 ただ、結果として、幾つか問題事例が起きているし、先ほど来話題になっている2つの事案以外にも起きていますから、そこはどう見ても意識が乏しい職員が残っているところがある。
 そこは組織の風土の中で、機構の使命というか、そういうことを認識して、そういうことを起こさないようにしていくか。
 また、そういうことが理解できていない職員がいたら、それを上司はどう指導するかということとの組み合わせでやっていくということだと思っております。

○岩瀬委員
 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、それができていないわけですから、簡単なことができていないことに対して、きちんとの責任の所在を明らかにするとか、それに対してきちんとしたプログラムをつくって研修をやるというのは、その都度、対応されていかないといけないことだと思います。
 それも来年の課題になるわけですか。

○日本年金機構副理事長
 来年の課題ということではなくて、例えば最初に起こりました紙コンの情報漏えいについては、その情報漏えい防止のためのアクションプランをつくって、それを本部あるいは地方にも浸透させる。
 それから、愛媛の事案等があったら、これは管理職が個人情報を言わば覗き見をしたということでございますので、それをチェックする。管理職が見たときにはチェックが抜けていましたから、他の同僚なり上司が更にチェックをするという仕掛けをつくって、それを励行させる。
 それから、幾つか制裁に至った事例もありますから、制裁に至った事例というのは、私どもの機構の中に『きずな』という機構内報がございますけれども、機構内報にそれを載せるとか、あるいはこういうことが起こったら、これから気をつけてくれという話を職員全体に周知するとともに、それを指導していくということは日々やっていかなければいけないと思っています。
 正直言って、モグラが出てきたらモグラをたたいているようなところもあると思いますけれども、できるだけモグラが出てこないような風土をいかにつくっていくかということが課題だと思っております。

○岩瀬委員
 機構の職員の人は、悪い人ばかりいるとは思わないんですけれども、モグラはぼこぼこ出るようなものなんですか。
 それが1つです。
 それはいいです。
 もう一つお聞きしたいのは、前回もお聞きしたんですけれども、私が設立委員をやったときに、e-Learningというのは集合研修のかわりに力を込めてやるんだ。
 それを徹底させるために、それを受けないと、そのプログラムを消化しないと昇給、昇格につながらないからe-Learningはみんなやるんだという説明を受けたと思うんですけれども、これはそういうふうにしないんですか。
 その後、変わったんですか。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 e-Learningと昇進、昇格の関係でございますが、当初e-Learningというのは、受講した人に、先ほど言いました内部資格の受験資格を与えて、その試験に合格すると、いわゆる内部資格として年金実務何級だとか、こういう資格を与えているわけでございます。
 これを検討する際に、勿論それをぼかしているわけではないんですが、例えば独学で、自分の力で、通信研修によらずに勉強した人については、内部資格の受験資格を与えないのかということになると、それはそうではないだろうということで、通信研修を必ず受けなければいけないということにはしてございません。
 つまり先ほど言いましたように、独学でやった方についても受験資格は与える。
 その結果、試験に合格して内部資格を取った方は、昇格の場合に1つの昇格の要件があります。
 そういう意味では、内容的には当初とは変わっていなくて、逆に内部資格の受験資格を若干拡大したということがございます。

○岩瀬委員
 最後に1つだけです。
 結局e-Learningは受けても、受けなくても自由であるということですね。

○日本年金機構理事(人事・会計部門担当)
 実際に我々やる方としては、受けていただきたいんですが、そうではなくて、今、言いましたように独学で勉強された方についても、いわゆる内部資格の受験資格はだめだとは言わないということであります。

○岩瀬委員
 議論してもしようがないんだけれども、あのときは集合研修をやるべきである。
 集合研修ができないからe-Learningをやるんだ。
 e-Learningによって職員のモラルも知識も一定のものを伝達して、均一なサービスができるようにするという話だったと思います。
 その柱であるe-Learningを受けても、受けなくても自由だ、独学で勉強した人は独学でやりなさいというのであれば、研修をやらないのと一緒ではないんですか。

○日本年金機構副理事長
 準備事務局以来の経過もございますので、私から御説明いたします。
 基本的にはe-Learningで本格的に始めるのは、今年の新人からコースをつくっていくということで、その結果を踏まえて、年金実務の1級とか2級とか、こういう資格を取っていただく。
 そのために今年度中には動かしていって、今年の新人が勉強できるようにしたいと思っていますけれども、そういうコースを基本的にはつくって、特に新人はそれを使ってやっていくというのが、勉強の仕方としても一番便利ですから、まずe-Learningを使ってやるというのが本則になると思っております。
 もう一つは、e-Learningの結果を受けた年金実務の1級とか2級、こういう資格が昇格の際の要件になります。
これに受かったからすぐにあげるということではなく、ほかの人事評価なども併せて昇格の要件にしていく、こういうことを仕掛けとして入れていくということでございます。
 勿論、新人でなく、従来からいる人もいますので、そこら辺については、必ずしも同じコースということではまいりませんので、経過措置が必要だと思っています。
 ただ、新人についてはそういう仕掛けでやっていくということは、設立委員会時代から申し上げてきたことで変わっておりません。
 先ほど坂巻から申し上げたのは、e-Learningをやらないと試験を受けさせないのかというところについては、若干道を開くという趣旨でございます。

○本田部会長
 まだあるかもしれませんけれども、時間が随分押し迫ってまいりましたので、とりあえず項目ごとのご質問は、一旦留め置きまして、最終的に文章の方まで説明をいただいて、やらせていただきたいと思います。
 次の説明に入ってください。

○事業企画課長
 各論についての御意見はまだいただけるということでございますが、資料2に本日全体を総括する評価結果のテキストのたたき台ということで出させていただいております。
 資料2、縦長のA4版の紙をごらんいただきたいと思います。
 全体の総括ということで「1.評価の視点」「2.平成22年度業務実績全般の評価」という2部構成になっているところでございます。
 「1.評価の視点」に関しましては、日本年金機構の設立の経緯ですとか、機構に求められるものということで書かせていただいておりまして、実際、今回の個別の評価とリンクするのは「2.平成22年度業務実績全般の評価」というパラグラフの2のところでございますので、そこについて、お時間も迫っておりますが、簡単に読み上げさせていただいてよろしいでしょうか。

○本田部会長
 時間を考えてお願いします。

○事業企画課長
 「○ 平成22年度における年金記録問題への対応については、ねんきん特別便、ねんきん定期便等について、平成22年3月に策定した『年金記録問題への対応の実施計画(工程表)』の処理期限を概ね達成するとともに、平成22年10月から紙台帳等とコンピュータ記録の突合せ作業を開始するなど、年度計画に基づく取組を実施した。
 また、再裁定の平均処理期間を工程表の目標以上に短縮するとともに、平成23年2月の『ねんきんネット』サービスの開始により、従来の年金個人情報提供サービスと比べ、新規のID・パスワードの払出件数が大幅に増加した」。
 2ページにまいります。
 「○ 国民年金の適用については、引き続き、住民基本台帳ネットワークシステムの活用により把握した20歳到達者等への届出の勧奨及び届出のない者の加入手続きを実施した。
 また、国民年金保険料の収納については、平成22年度の過年度納付率は目標を達成したが、保険料は翌月末までに納付することが原則であり、現年度納付率の向上は重要であるところ、平成22年度の現年度納付率は59.3%と、目標とした前年度と同程度の水準(60.0%)を確保できておらず、納付率の向上に向けたなお一層の取組が必要である。
 ○ 厚生年金保険等の適用・収納については、行動計画を策定して取組を行った。
 適用に向けた重点的加入指導及び事業所調査の実績については行動計画に掲げた目標値を上回ったが、立入検査の実績については目標値を下回った。
 また、厚生年金保険等の収納については、東日本大震災の被災5県において口座振替を停止したこともあり、収納率は平成21年度の実績(社会保険庁時代の実績も含む。)を下回ったが、口座振替実施率や差押件数は平成21年度の実績(社会保険庁時代の実績も含む。)を上回った。
 ○ 給付事務については、サービススタンダードの達成率が極めて低い障害厚生年金について、審査体制の強化や未処理件数の大幅な削減を行ったが、依然として達成率が低迷しており、引き続き短縮化に向けた取組が必要である。
 ○ 年金相談については、来訪者の相談内容の難易度に応じた相談ブースの設置等各種取組を実施し、待ち時間が1時間以上となっている年金事務所数は減少した。
 『ねんきんダイヤル』の応答率についても、平成21年度の実績(社会保険庁時代の実績も含む。)を上回った。
 ○ お客様の声を反映させる取組については、新設した『お客様向け文書モニター会議』などによるお客様向け文書の改善に加え、『サービス・業務改善コンテスト』の実施と優秀な取組事例の全国周知等サービス向上に向けた各種取組を実施した。
 ○ 業務運営の効率化については、現場職員からの改善提案等を踏まえた『事務処理誤り総合再発防止策』及び『業務改善工程表』のとりまとめを行うとともに、外部委託の推進等を実施した。
 また、これらの業務の効率化による業務経費の抑制や入札の実施による調達コストの低減が図られた。
 ○ 内部統制システムについては、紙台帳等とコンピュータ記録との突合せ業務の入札過程における入札情報の漏えい事案等が発生しており、内部統制システムが構築されたとは言い難い。
 これら事案に対する再発防止に向けた取組や組織風土改革の取組等を実施しているが、それらの取組の徹底とより一層のリスク管理とコンプライアンス確保のための職場風土の構築に全力を挙げる必要がある。
 ○ 人事・人材の育成については、有期雇用職員からの正規職員登用制度が創設された。
 また、平成23年度からの新たな研修体系に基づく効果的な研修の実施に向け、管理者・中堅職員のマネジメント能力の向上等を重点事項に掲げた研修体系を策定した。
 今後、新たな研修体系に基づく研修を効果的なものとするよう努める必要がある。
 ○ 個人情報の保護については、管理職による年金個人情報の漏えい事案が発生しており、個人情報の保護が適正になされたとは言い難い。
 年度計画に基づく各種取組を実施しているが、今後、実効性の確保に全力を挙げる必要がある。
 ○ 予算の執行については、一部計画的に執行されているとは言い難いものもあるが、入札や業務の効率化によるコスト削減が行われており、概ね計画的に行われたと認められる。
 今後も、予算の計画的かつ効果的な執行管理に努める必要がある」。
 こうした各論を踏まえたまとめです。
 「平成22年度は、発足直後で3か月間しかなかった平成21年度を経て、機構が本格的な取組を行った初めての年度であった。
 こうした中で、平成22年度の業務運営については、上記のとおり、年金記録問題の解決に向けた取組や年金相談の充実、お客様の声等を踏まえたサービス改善の取組等、計画的に進め、概ね適切に行われた業務もあった。
 しかしながら、国民年金保険料の現年度納付率については、目標とした前年度と同程度の水準を確保できず、納付率の向上に向けたなお一層の取組が必要である。
 また、国民の皆様からの信頼回復を目的として設立された機構において、コンプライアンスの確保や個人情報の保護といった組織の根幹にかかわる面での問題事案が発生したことは、非常に遺憾である。
 今後の業務運営においては、様々な内部統制の仕組みを整備するだけでなく、それらの実効性の担保に向け、全力を挙げて取り組まれたい。
 なお、年度計画に沿った個別事項に関する具体的な評価については、別添のとおりである」。
 別紙が本日ごらんいただいております資料1を指してございます。
 以上でございます。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 もしありましたら、今の説明内容も踏まえてお願いします。

○斎藤委員
 各項目のところはいろいろなデータで御報告いただいて、大変わかりやすかったと思うのですが、組織風土が変革したのか、経営がどのぐらい改善されたのか、旧社会保険庁から比べてどう変わったのかを見るのは、想定外の東日本大震災というのが非常にいい例になったのだろうと思います。
 想定外のところでどのぐらい迅速に、そして、クリエイティブに対応できたのかを見るというのは、とても重要な判断材料だと思うんですけれども、4月11日から実施したと御報告をいただいております。
 これは旧社会保険庁だったら、こんなに迅速にはいかなかったのではないかと推測しております。
 これは単なる推測なんですが、そういう意味では、経営の体質が変わったのではないかと考えたいと思っております。
 しかしながら、これがほかの民間の生保と比べて、どのぐらい早かったのだろうかということを考えると、ひょっとしたら民間の方がもっと早いのではないかという危惧もございます。
 そうしますと、まだ民間の生保に対抗するだけの経営改善はされていないとも思います。
 この辺りはデータをそろえていただいて、実際にこれだけ機構は変わったんだということをお示しいただけたらと思います。

○本田部会長
 今の点につきまして、何かございますか。

○日本年金機構理事長
 貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 ただ、実際問題として見ると、どういう観点で比べるかですけれども、機構はちょうど震災のあった当日、災害対策本部を立ち上げまして、それ以降、30回ほど本部で会合を重ねてまいりました。
 特に震災の直後の段階では、現場の状況把握が一番大事だと思っておりまして、まずそこに力を注ぎました。
 支援の場合には人とか機材、情報の提供とか幾つかのやり方があると思いますが、当初の段階では事務所支援といっても、事務所の周りにお客様が来られる状況ではなかった。
 お客様が見えるにつれて、こちらとしては全国の事務所、ブロック本部から人の支援を行いました。
 特にお客様が見える事務所支援に重点的に絞って行ってきています。
 このような対応をしてまいりまして、そういう意味では、被災地のお客様からサービスの提供が遅れたとか、必要な情報が回ってこなかったとかいう御批判は今の段階ではないと思っております。
 斎藤先生がおっしゃられるような、かつての阪神のときの民間企業の対応と比べて、今般の機構の対応がどうか、その比較の仕方はいろいろあるかと思いますが、検討させていただきます。今後の貴重な例になるかとも思いますので、検証させていただければと考えます。


○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 若干補足させていただきますと、1つはフリーダイヤルの設置ですが、阪神のときも社保庁はすぐに動いています。
 ただ、現在、我々自前でコールセンターを持っていませんから、外注しなければいけませんし、そのためには調達の手続をやらなければいけないということがあります。
 これは通常の一般競争入札をやっていると、通常6か月くらいかかりますから、これは理事長の判断で緊急随契で走ることとしました。
 もう一つは、実際に被災者からのお問い合わせに対応するために、いろんな施策への回答がございます。保険料の免除ですとか、そういうものの準備というのは、当然年金局の方で一定の期間がないと準備できないわけです。
 そういう意味では、阪神のときも1か月ぐらいでフリーダイヤルを立てていますけれども、今回もほぼ同じぐらいのスピードでできたということです。
 また、現地の方にも、当時の経営企画部長が1週間後に入りましたし、私も2週間後位に入って、現地の様子を聞いて、人がこれだけ足りない、どんなところが足りないのかということを聞いて、こんなスキルを持った人員が、これだけ必要なのでいつまでに用意してくれとか、そういう調整を現地から本部とやりました。
 ただ、これは機構であろうが、社会保険庁であろうが、そんなことは関係なく、要するに危機管理をやるということは、組織の問題というよりは、それぞれの組織で担当者がアクシデントにどれだけ早く動くかということに尽きると思います。

○本田部会長
 それでは、時間も差し迫ってまいりましたので、御意見がもしあるようでしたら、事務局の方に別途、ご連絡願いたいと思います。
 どうぞ。

○西沢委員
 資料1の28ページの物件調達で、厚労省の評価がC、日本年金機構がAで、ここは乖離がかなり大きかったんですけれども、これを次回わかりやすく説明していただきたいと思います。
 多分社保庁のころは、都道府県単位なりで物件調達をして、かなり無駄が多かったと思います。
 それを今回ブロック単位なり本部で一括調達したことによって改善したというアピールがAだと思うんですけれども、乖離がもう少しわかるように、次回お教えいただけたらと思います。

○本田部会長
 岩瀬委員のご意見とは逆で、私も今おっしゃったところは、下げ過ぎではないかと想います。
 いろいろな評価はあるんだろうと思うんですが、事務局の方にお願いしたいのは、次のときに最終的に評価案というものを大臣から出していただくんですが、それをつくる前に、今日の議論等を十分に踏まえながら再度よく御検討いただきたい。
 今日いろいろな議論がありましたから、評価についても、今日の議論等も踏まえながら反映していただきたい。
 普通、評価というのは、自己評価は厳しくて、年金局はもっといい評価をしてくれるのかと思ったら、全く逆の感じであります。
 いろんな評価の仕方がありますけれども、先ほどモグラたたきのお話もありましたが、アンケート調査、覆面アンケート、その他いろんな取り組みを見ますと、私はかなり年金機構の皆さんは頑張っていらっしゃると思います。
 そういう中で、確かにああいう不祥事が起こったということは戒めなければならないけれども、トータルでは、少なくともアンケート調査なり、覆面調査などを見ますと、かなり一生懸命やっておられるという感じであります。
 しかし、これは感じだけであります。
 いずれにしましても、今日の議論等を踏まえて、次の28日は最終審議ということにさせていただきたいので、よろしくお願いいたします。
 事務局から次回の件について何かありますか。

○事業企画課長
 本日は大変ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、7月28日木曜日を予定させていただいております。
 ちょっと遅い時間でございますが、18時から、厚生労働省の12階の専用第12会議室ということで準備をさせていただいております。
 後日、正式に御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。
 長時間ありがとうございました。


(了)

(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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