ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第79回労働政策審議会職業安定分科会議事録




2011年6月24日 第79回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成23年6月24日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)


○議事

○総務課長 定刻になりましたので、ただいまから第79回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催させていただきます。本日は、委員改選後最初の分科会ですので、事務局より職業安定分科会会長の選任についてご報告申し上げます。職業安定分科会長は、労働政策審議会令第6条第6項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。事前に大橋委員が選出されておりますので、ご報告申し上げます。以降の議事進行は、大橋分科会長にお願いいたします。
○大橋分科会長 職業安定分科会長に選出されました大橋です。よろしくお願いいたします。労働政策審議会令第6条第8項により、分科会長代理を公益委員の中から、分科会長である私が指名することになっております。清家委員に、事前にお願いしております。
 議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に新たに就任された方をご紹介させていただきます。公益代表として慶應義塾商学部長の樋口委員です。本日はご欠席ですが、北海道大学大学院法学研究科教授の宮本委員です。労働者代表として、本日はご欠席ですが、JAM中央執行委員の林委員です。使用者代表委員として、両名とも本日はご欠席ですが、全日本空輸株式会社上席執行役員客室本部長の河本委員、それから株式会社グリーンハウス代表取締役社長の田沼委員です。
 また、当分科会の下に置かれております各部会に所属する臨時委員については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっております。配付している名簿のとおり、事前に指名させていただいております。新しい名簿については、席上配付しておりますのでご覧ください。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の岩村委員、清家委員、橋本陽子委員、宮本太郎委員。労働者代表の黒木委員、澤田委員、住野委員、林委員。使用者代表の河本委員、久保委員、田沼委員がご欠席です。
 議事に入ります。本日の議題は「雇用対策法施行規則及び社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」と、「点検評価部会にて検証すべき2011年度の年度目標について」と、「その他」です。まず「雇用対策法施行規則及び社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」を事務局から説明をお願いいたします。
○雇用政策課長 雇用政策課長の藤澤です。どうぞよろしくお願いいたします。初めに、雇用対策法施行規則及び社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令について、資料1-1と資料1-2を使ってご説明させていただきます。初めに資料1-2で概要をご説明させていただきます。
 資料1-2の1「改正の趣旨」として、雇用対策法第15条において、職業安定機関等は、労働者の雇入れ等の雇用に関する事項について、事業主等から援助を求められたときは、雇用情報などを活用して、必要な助言その他の措置を行わなければならないこととされております。
 雇用情勢が大変厳しい中で、今般着実に雇用の拡大を図っていこうとする事業主に対して、ハローワークなどの職業安定機関による支援を一層効果的に行うために、雇用対策法第15条による援助として、職業安定機関が労働者の雇入れを促進するための計画(雇用促進計画)を作成した事業主に対して必要な助言等を行う旨、雇対法施行規則に規定したいということです。
 併せて、雇用促進計画の提出などについて、社労士法による社会保険労務士の事務代理を認めることを、社会保険労務士法施行規則に規定するということです。
 2「改正の具体的内容」について。職業安定機関は、平成23年8月1日から平成27年3月30日までの間に、個人又は法人が雇用促進計画を提出し、その確実な実施を図るための援助を求めたときは、必要な助言その他の措置を行わなければならない。2点目は、この計画に係る援助を行う場合には、雇用者数、雇入れの目標等の事項を考慮してこれを行わなければならない。3点目は、個人又は法人からの求めに応じ、この計画の達成状況について、ハローワーク等の職業安定機関が確認をし、計画期間終了後の当該個人又は法人の雇入れの促進に資するよう、必要な助言を行わなければならない。併せてこの場合において、また求めに応じて、当該計画の達成状況を確認した書類等を交付することができるようにすること。こういう内容です。ご承認いただけますれば、6月27日の公布を予定しております。
 資料1-2の7頁は「雇用促進税制の創設」というタイトルの資料です。一昨日の国会で、雇用促進税制を含む法案が成立いたしました。これを参考にし、またそれと合わせて雇対法の施行規則の改正をお願いしたいということです。
 雇用促進税制について概略をご説明いたします。上の箱の中にありますように、雇用の増加数に応じた法人税額の税額控除制度が創設されました。具体的には5人(中小企業の場合は2人)以上、かつ10%以上の雇用の増加等の要件を満たす企業に対し、その雇用の増加人数1人当たり20万円の税額控除を行うという新たな税制です。
 下の箱で、1「適用要件」が4つあります。1点目はいま申し上げたことです。2点目は、当事業年度及びその前の事業年度中に、事業主都合による離職者がいないこと。3点目は、その事業年度における「支払給与額」が、前事業年度における支払給与額よりも一定以上増加している。4点目は、風俗営業等は除かれる。2「要件確認」ですが、企業は目標の雇用増加数等を記載した雇用促進計画を作成し、ハローワークへ提出していただき、1年後の事業年度終了後に、雇用促進計画の達成状況を記載し、ハローワークへ提出する。確認を受けた場合は、それを添付して税務署へ申告の手続をするといった段取りが想定されています。
 その具体的なイメージを表にしたものが6頁の「雇用促進計画・雇用促進税制イメージ」という資料です。本日お願いしております雇対則をご承認いただけますと、6月27日の施行ということで、しばらく周知あるいは準備の期間をいただき、計画の受付開始を8月1日としたいと思っております。税制のほうは平成23年4月1日に遡って、平成23年4月1日に事業年度の開始になる企業に対して適用になるということですので、この雇用促進計画も平成23年4月1日に遡った時点からの雇入れについて対象とするということで、8月1日から受付を開始したいと思います。今回が初めてですので、10月末を提出期限として、企業は3月31日に事業年度が終了する場合には、その後で計画の達成状況をハローワークに提出していただき、確認をし、その後先ほど申し上げましたような手続をするということです。
 ハローワークは、この間の1年間にわたって、6頁の表の真ん中辺りにある、いただいた計画などを基に企業に対して助言を行ったり、既にハローワークに求人を出されている場合はいいわけですが、そうでない場合はハローワークから、求人を是非出してくださいといった求人開拓のお願いをし、求人をいただいて、その企業の雇用の増加に結び付けていくことを行うという段取りです。
 その具体的な計画の様式を2頁と4頁で説明させていただきます。2頁に様式第5号として「雇用促進計画-1」があります。事業所の名称、所在地などから始まり、雇用保険の適用事業所番号、計画開始時の雇用保険の一般被保険者数、1年間での雇用の増加の目標数などを記載して最初に持ってきていただきます。その後1年経った後で、実際に達成された場合には、計画終了時の被保険者数、増加数、さらに?として過去2年間の事業主都合の離職の有無などを記載して、ハローワークへ1年後の確認の手続に来ていただくということです。
 4頁の「雇用促進計画-2」です。先ほどの1と併せて、最初にハローワークに来ていただく際に、求人申込みの見込みをハローワークにいただいて、例えば募集・採用時期であるとか、職種や労働条件などを記載していただき、ハローワークへ求人提出をするかどうかもお伺いした上で、ハローワークから助言などさまざまな援助を行い、また求人開拓をさせていただいて、その事業所の雇用の増加に資するような活動をハローワークも援助させていただきます。雇用促進計画-2などを使ってそのような活動をさせていただく予定です。以上が概略です。
 ご審議いただきますのは資料1-1に戻りまして、雇対法施行規則及び社労士法施行規則の一部を改正する省令案の要綱です。第一は「雇用対策法施行規則の一部改正」です。一「雇用促進計画を活用した雇用に関する援助」。職業安定機関は、平成23年8月1日から平成27年3月30日までの間、個人又は法人が、労働者の雇入れを促進するための計画を提出して、その確実な実施を図るための援助を求めたときは、必要な助言その他の措置を行わなければならない。
 二「雇用促進計画に係る援助を行う場合に考慮すべき事項」です。次に掲げる事項を考慮して、これを行わなければならない。5項目あります。(一)は、計画の始期における雇用されている労働者の数。(二)は、計画における労働者の雇入れの数、時期等に係る目標。(三)は、計画の終期における雇用されている労働者の数。(四)は、計画の期間の初日から起算して1年前の日から期間の末日まで、先ほど申し上げました2年間の間に、労働者の解雇を行っているかどうかという労働者解雇の有無。(五)は、その他です。
 三「雇用促進計画の期間の終了後における雇用に関する援助」です。職業安定機関は、求めがあった場合には、計画の達成状況について確認をし、期間終了後の雇入れの促進に資するよう必要な助言その他の措置を行わなければならない。この場合において、求めに応じて計画の達成状況を確認した旨を記載した書類、その他の雇入れの促進に資する書類を交付することができる。
 第二は「社会保険労務士法施行規則の一部改正」です。計画の提出、計画の達成状況を確認した旨を記載した書類の交付の申込みについては、社会保険労務士により事務代理ができるものとする。
 概略の説明は以上です。本論ではありませんが、雇用促進税制の検討が始まりました際には、労使団体の皆様からいろいろご示唆をいただきました。この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。ありがとうございました。
○大橋分科会長 本件についてご質問、ご意見をお願いいたします。
○新谷委員 ただいまご説明いただいた内容とはちょっと違いますが、5月13日の求職者支援法成立以来初めての職業安定分科会ということですので、求職者支援法の成立に関して一言意見を申し上げます。5月13日に求職者支援法を早期に成立させていただきまして、ご尽力いただきました立法府、政府関係者の方々に感謝申し上げます。トランポリン型の第2のセーフティネットとして、雇用保険に次ぐ新しいセーフティネットが日本にも誕生したということで、日本の積極的雇用政策の拡充が図られたという点で大変評価したいと思っております。
 この法案は、厳しい雇用情勢の中で、特に3月11日に発生した東日本大震災の被災者の方々に対しても、訓練を通じて雇用確保につながる点でも、非常に大きな役割が期待されているところです。ただ、課題として財源問題がまだ残っておりますので、これについても、社会保障と税の一体改革の論議の中で、タイミングを失せずに論議をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本題に入る前に一言申し上げておきます。
○吉岡委員 私からは意見として申し上げさせていただきます。今回の雇用促進税制の部分というのは、非常に質の高い雇用の増加を図るということで創設された制度ということで、私どもも大変評価させていただいております。税額控除による還元ではあるものの、1人頭20万円という金額については、企業にとっても我々にとっても大変大きな金額であると認識しております。この制度を、今後、積極的に活用するために、企業への周知の徹底、日本税理士会、社会保険労務士連合会などさまざまなチャンネルを通じて周知を図っていただくということについては、我々も労働組合として、是非とも協力をしていきたいと考えております。
 お願いでありますが、この制度は3年間の時限的な措置ということですが、政策的な効果を評価していただきながら、恒久化も含めて是非検討していただきたいということで意見を申し上げさせていただきます。
○樋口委員 この分科会には久しぶりに参加させていただくことになったのですが、だいぶ様相が変わってきたということを実感しています。いまのお話の規則の変更によって、雇用促進税制の担保といいますか、どういう企業に対して減税を実施するのかというときの確認にこれを使っていくのだろうと思うのです。
 雇用促進税制のほうは法人税で、あくまでも法人ですから企業単位の話です。一方においてハローワークのほうは事業所単位ということで、1社1事業所であれば、これは1対1の対応ということで容易にチェックできると思うのですが、複数事業所からなる企業における名寄せということが、どうしても必要になってくるのかと思います。そうした場合に、例えばある事業所は閉鎖し、ある事業所では人数を倍にしました。結果として、企業全体としては人数が増えましたというような場合の扱いというのは、税制上どうなってくるのか。これは、あくまでも個別事業所単位での確認事項となってきますから、そこのつながりです。企業と事業所のつながりがどうなってくるのかが見えないので教えてください。
 2番目はお願いですが、これは一種の行政記録になるわけですので、その行政記録の集計をどうしていくのか。ハローワークにおける求人数は、有効求人数という形で公表していきます。それぞれのハローワーク単位で、どれだけ有効求人があるか、あるいは求職者があるかというようなことで、求人倍率を使うという統計指標を使っていくわけです。ここで集めた資料というのは集めて終わりですか、あるいは確認に使いますというだけで終わるのか。それとも、その後でそういう雇用の統計に使っていくのかというお考えがありましたら教えてください。
○雇用政策課長 1点目ですが、最初の点はおっしゃるとおりです。税制の適用は企業単位で行われ、一方、雇用保険の適用は事業所単位で行っております。いちばん最初の段階で計画を作り、いまから1年間で雇用を増やしますという計画を作ってハローワークへ持ってくる段階で、その個々の企業に、その時点で例えば47支店あるのであれば、それらの事業所の雇用保険の被保険者数をすべて書いてハローワークに持ってきていただきます。
 1年後に、個々の企業に事業所の増減も含めて併せてハローワークへ持ってきていただいて、そこで改めてそれぞれ名寄せをして、その企業の事業所数、被保険者数が増加しているかどうかを確認するという段取りです。
 それらについて漏れがないように、この後の実際の取扱い要領にそれらのことを記載して労働局に通達したいと考えております。
 2点目ですが、具体的にどのような企業がこれらの計画を出して税制の適用を受けるかをどう集計していくか、というのはまだ検討中ですので別途考えたいと思っております。
○樋口委員 1点目は、事業所単位で、例えばある事業所が閉鎖しましたと。ただ企業全体で見ると雇用は増えていますということになれば、この法人減税の対象になってくると考えてよろしいのですか。これは財務省のテリトリーかもしれませんが、国税庁のテリトリーかもしれませんが。
○雇用政策課長 事業所数の増減でその税制が適用になるということではありませんで、雇用保険の被保険者数が1年前と比較して増えているかどうか、という考え方で適用されることになります。事業所の閉鎖や、新しくできるといったものだけではなく、企業が合併をしたり、分割をしたりという場合も、例えば4月段階でいた被保険者数と1年後の被保険者数でそれぞれ比較をして、税制の適用になるかどうかをやろうという仕組みになっております。
○樋口委員 なるほど。そうすると、事業所の事業主側の理由による雇用削減といったものが起こったとしても、これは事業所単位で考えれば意味がないですよね。まさに閉鎖したというのは、事業所単位での解雇といいますか、人員削減になるわけです。ほかの所で増やしましたと、Bという別の事業所で増やしましたということであれば、それはチェックしてもしようがないのではないかと思うのです。国会で審議があったのだろうとは思いますけれども。
○雇用政策課長 資料1-2の7頁で先ほど申し上げましたが、下のほうの点線の枠組みの中の1「適用要件」のボツの2つ目「当事業年度及び前事業年度中に事業主都合による離職者がいないこと」ということ。解雇された労働者がいないことを、この税制の適用要件としております。先ほど申し上げました様式の中でも、そういうことを記載していただくようにしております。それを持ってきていただいて、それがあったかどうかをハローワークの雇用保険のシステムで確認するという段取りにしております。例えば、前年度末直前に労働者を解雇して、出だしのスタート台を低く見せかけて、1年経った後にまた増やしていくといった場合には、この雇用促進税制は適用にならないという仕組みになっております。
○坂倉委員 教えていただきたいのですが。控除で想定されている総額はいくらなのか、これから生まれる雇用が大企業として何人、中小企業として何人という想定をされていると思いますけれども、あれば教えていただきたいと思います。
○雇用政策課長 これは、税制における財務省の試算ですが、この雇用促進税制の仕組みによって減税額は約350億円ぐらいと財務省は見積っております。適用労働者数といいますか、この税制の適用になる労働者数は1年間で約17万人ぐらいと財務省では見積っております。大企業、中小企業別の区分けはないようです。
○坂倉委員 そうであると、10%以上雇用するというのが1つの条件になっていますが、20人雇用していて、2人増加させるというのはよくあるケースだと思います。100人雇用していて、10人以上雇用を増やすというのは、中小企業ではなかなか難しいと思っています。雇用を増やすことが目的だろうと思いますし、この計画そのものが大震災前にある程度できていたと思います。大震災後、いま日本の景気そのものもプラスマイナスゼロ以下になるだろうと言われている状況の中では、なかなか雇用を増やす計画は立てにくい現状があるのではないかと思われます。この案は案としてやむを得ないと思いますが、今後3年続けていく中では、是非中小企業に対しては見直しをしていただく。例えば、10%を5%に下げるとか、何か使い勝手のいいようなものに仕立て上げていただくことをお願いいたします。
○新谷委員 この制度は政府主導で作られた税制だと思いますが、制度を作る際には、私どもにも意見を求められましたので意見を申し上げました。これが、今回ご説明いただいた形で質の高い雇用を確保するという目的での税制ができたことは評価したいと思います。
 資料1-2の7頁に適用要件があります。これは、政策目的が、雇用を拡大した、賃金総額についても一定以上増加したということが要件としてあるわけです。雇用を中心とした要件であります。
 一方で、法人単位で減税を与えるということで気になるのは、労働の面で例えば労働基準監督署から臨検を受けて、時間外の割増賃金等々の是正勧告を受けたとか、いわゆるブラックとかグレーと言われている企業も、この要件からいったときに雇用を増やして、人的には増やしているかもしれないけれども、労務管理等々で結構問題がある法人に対しても、この要件からいくとたぶん適用されることになると思うのです。今後施行に当たって、問題のある企業に対しても、これは同じ労働局の中で管轄されると思うのですが、その辺の対応方針はどのようにお考えになっているのかを聞かせてください。
 もう1点、ネガティブな話ばかりで申し訳ないのですけれども、社会保険労務士の施行規則の一部改正のほうです。今度の雇用促進計画の事務代理を社会保険労務士に認めるということですが、私自身も社会保険労務士を一時登録したことがあります。社会保険労務士の中には、雇用調整助成金の不正受給にかかわっておられる方もいると聞いております。社会保険労務士の中でも、不正受給に加担して、懲戒処分等々を受けた方々に対して、今回の事務代理の取扱いはどういう扱いになるのかを聞かせてください。
○雇用政策課長 1点目は、資料1-2の7頁にもありますように、単に雇用を増やせばよいという税制ではありません。1適用要件にいくつかありますように、2年間にわたって事業主都合による離職者がいないこと、支払給与額が前年度よりも一定以上増加する、といった労働条件に関する条件も付加されております。その後は、ハローワークが1年間をかけて、求人者に対して、例えば求人開拓をしたり、この計画を持ってきたときに、求人者に対する一般的な雇用管理の援助や指導を行いますので、そういう中で、その企業に対してハローワークに求人を出していただく際の指導を行ってまいりたいと考えております。
 2点目の社会保険労務士ですが、確かにご指摘のような点もあろうかと思います。一般的には社会保険労務士の不正行為については懲戒処分制度がありますので、そこで対応されることになろうかと思います。この雇用促進計画のハローワークの手続に際しましても、いわゆる助成金の不正受給で我々が対応しておりますようなやり方を参考にしながら、雇用促進計画の受付あるいはその確認に際して不正がないように、労働局を通じて注意喚起を行ったりということを行ってまいりたいと考えております。
○高橋委員 単純な質問をさせていただきます。資料1-2の2頁の、雇用促進計画の様式第5号に関してです。今回の要件は、あくまでも雇用保険の一般被保険者の数に着目したものだと思います。労働者の数とか、労働者の目標増加数などは不要ではないか。あくまでも雇用保険の一般被保険者の数と、その目標増加数と計画終了時の数だけを取ればよろしいのではないかと思うのです。記入者負担の観点からもそのように考えることもできるのですが、なぜ労働者の数等も記入を求めていくのか、その辺りを教えてください。
○雇用政策課長 雇用促進税制の適用に際しては、確かに雇用保険の一般被保険者数で増減を確認する仕組みになっております。これは、企業がハローワークへこの計画を持っていって、ハローワークから企業や事業所の方々に対して一般的な求人者に対する指導、あるいは助言の手段として是非使わせていただきたいということもあります。どういう所で雇用を増やそうとしているのか、我々がその企業や事業所に対してのサービスを1年間かけてどのように行っていけばいいのかを教えていただくために、税制に使われる雇用保険の被保険者数だけではなくて、それ以外の労働者も含めてどれぐらいいて、どれぐらい増やそうとしているのかを書いて提出していただければということです。
○大橋分科会長 ほかにないようでしたら、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。
 次の議題に入ります。「点検評価部会にて検証すべき2011年度の年度目標について」を事務局から説明をお願いいたします。
○公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長の岸本です。議題2、資料2-1と資料2-2を用いてご説明させていただきます。この議題は、昨年度からこの分科会に諮らせていただいているものです。経緯としては、昨年、雇用戦略を策定し、そこで2020年までの長期目標を策定いたしました。全体の就業率、若者の就業率、フリーターの数、女性のM字型カーブの解消、高齢者の就業率など、雇用に関するさまざまな長期的目標を定めたものです。その際に、併せて職業安定行政としてどのようなパフォーマンスを達成するかについて、年度単位で業務的な目標を定める。それをこの分科会にご報告し、本審のほうにもお話をするという形になったものです。
 資料2-1ですが、本日お諮りをしたい2011年度の年度目標の一覧です。順にご説明させていただきますが、上から3つの欄をまとめて申しますと、「就職率」「雇用保険受給者の早期再就職割合」「求人充足率」の3点です。私ども内部では主要3指標と言っておりますが、これについて2011年度の年度目標として就職率27%、雇用保険受給者の早期再就職割合24%、求人充足率27%という数字を掲げております。
 数字だけですとわかりにくいので補足させていただきます。この3つの指標については、その年その年の景気の動きと一定の関係を持った動きを過去に見せております。就職率、これは新規求職者数を分母にし、就職件数を分子にした数字です。これは、景気が良くなると当然なことながら上がり、景気が悪くなると下がるという動きになります。充足率は、新規求人数を分母にして、埋まった求人(充足数)を分子にしたものです。これは、逆に景気が悪くなると分母が減りますので率としては上がってきますし、景気が良くなると分母が増えて、分母が増えるほどには分子が増えないので率は下がります。両者の関係でいくと、景気が良くなると就職率が上がって、充足率が下がる。景気が悪くなると、充足率が上がって就職率が下がるという動きで、比較的過去から安定した関係になっております。
 そこで、2011年度の年度目標を立てるに当たって、政府経済見通しについて、2011年度の経済全体をどういう動きと見込んでいるか。それを基に職業安定局として、雇用失業情勢の見通しを立てて、そこから就職率や充足率の目標を立てたという考え方になっております。
 政府全体の経済の見通しについては、資料2-2の1頁に、平成23年1月24日の閣議決定の平成23年度経済見通しを付けております。いろいろな指標が載っておりますが、特に絞って申し上げますと、1頁の表の真ん中ほどに点線で囲ってあるところの「労働・雇用」という欄の労働力人口、就業者数の見通し値があります。完全失業率が載っていますが、この時点での見通しとしては、平成22年度の実績見込みが5.0%、平成23年度の見通しは少し改善するだろうということで4.7%となっております。
 したがって、今回の2011年度の年度目標値は、この見方に則して、景気、雇用としては若干改善する年である。したがって、就職率目標を少し高めにして、充足率目標を下げるとしております。そうしていますけれども、過去の傾向からすると、いずれも少し高めの値になるようにと。過去の傾向からすると、就職率27%でしたら、充足率は24%ぐらいになります。逆に充足率が27%でしたら、就職率は24%ぐらいになるのですが、それよりは少し高めの値を目指しているという考え方にしております。
 さらに補足の補足ですが、政府として1月に経済見通しを立てて、その後に東日本大震災が起こって、その影響がどう出てくるのか、その見極めがなかなか付ききっていない状態ですので、今後政府として、平成23年度の見通しを作り直すことがあるのかどうかわかりませんけれども、そういう政府全体の動きを見ながら、この目標についても考えていきたいと思います。それまでの間は、数字が絶対ということではなくて、こういう数字を常時各労働局のほうで注視をして、管内の労働市場の分析や、業務改善の手掛かりとして使っていくという姿勢で臨む必要があると考えているものです。
 次の3つです。「ハローワークの職業紹介により正規雇用に結び付いたフリーター等の数」「学卒ジョブサポーターによる支援」「新卒応援ハローワーク」という、いずれも若年者雇用にかかわる指標です。
 ハローワークの職業紹介によるフリーターの数の24万人というのは、2010年度実績を踏まえて、2010年度目標よりも1万人上げた数字といたしました。
 「学卒ジョブサポーターによる支援」は、2010年度には目標として立てていなかった新規の目標項目です。全体として2010年度の目標よりも、新卒関係の目標を少し厚めに立てております。学卒ジョブサポーターの支援の目標数、正社員就職者数3万5,000人、開拓求人数11万人としております。正社員就職者数については、2010年度の実績を見つつ、ただこの実績の中で、今年に入って講じた特別な対策で、既卒者向けの助成金を未内定者に適用するということをいたしました。これは諸刃の剣と申しますか、内定時期が遅れれば特別の助成が得られるということが常態化してしまいますと、むしろ内定時期を遅らせるという、どちらにとっても好ましくないインセンティブになってしまいます。そういう本当に特別のギリギリの対策をやった上での数字なものですから、そういう効果を少し剥がして考えて設定した水準です。開拓求人数のほうは、学卒ジョブサポーターによる支援が昨年9月からで6万人という実績でしたので、これを平年度化したという考え方です。
 「新卒応援ハローワーク」の利用者数も、昨年度の実績を見て平年度化をいたしました。新卒応援ハローワークの正社員就職者数3万人というのは、先ほどのジョブサポーターと似たような考え方で、2010年度実績をベースにしながら、その特別対策の効果の分は剥がして考えてという考え方です。
 「希望者全員が65歳まで働ける企業の割合」「『70歳まで働ける企業』の割合」「中高年齢者試行雇用事業」という、高齢者あるいは中高年齢者向けの対策の目標を3点掲げております。希望者全員65歳までというのと、70歳まで働ける企業というのは、いずれも高齢者雇用対策の中でも、継続雇用の推進という柱にかかわる指標です。これについてはさまざまな指標、それぞれ景気の変動の影響を受けますが、こういう雇用管理関係の指標は、そういう中でも着実に歩みを進めていくことが重要であると考えております。
 この目標値、具体的には65歳までについては、2012年の雇用状況報告、つまり今年の雇用状況というのは、来年6月1日付の報告で初めてわかる仕組みなものですから、来年の報告で50%以上を実現し、かつ2011年の高年齢者雇用状況報告、つまり今年の6月1日に企業からいただいている報告でわかる去年の実績よりも1.6ポイント以上上げる。この1.6ポイント以上上げるというのは、平成21年から平成22年にかけての伸び率で、過去の伸び率の延長線上で今後も伸ばしていきたいという考え方です。70歳までについても、数値は違っておりますが、考え方は65歳までと同じです。平成21年から平成22年にかけての伸び率の勢いで伸ばしていきたいということです。
 中高年齢者試行雇用事業については、似たような考え方がほかにもいくつかあるのですが、開始者数、つまりこの事業を利用する件数については、平成23年度予算編成過程の中で査定を得られた数字そのものを用いております。予算の数字イコール目標だということです。それから常用雇用移行率、トライアル雇用期間を経て、常用雇用に首尾よく移行できた方の率は77%としております。これは、過去3年の平均が76.5%ということで、75~78%前後ぐらいを行ったり来たりしているという数字です。過去3年の平均を取ったものです。
 このトライアル雇用に関して1点補足しますと、常用雇用移行率について、昨年度は78.1%でしたが、昨年度達成したことをもってこの数字を上げ続けていきますと、どうしてもその現場のほうで常用雇用に行けそうな人を選択する。逆に言うと駄目元といいますか、難しいかもしれないけれども、本人にやる気が非常にあるので挑戦していただこうとか、そういうことを手控えるような被害も懸念されますので、一定の水準で、その水準が満足できるものであれば、その水準を維持していこうという考え方です。
 次は、雇用関係のその他の項目として4項目掲げております。「正社員求人数」については、冒頭に申し上げました雇用失業情勢見通しにおいて計算されております求人の伸び率を用いて、対前年度の実績、いわゆる2010年度実績から6%伸ばす目標にしております。
 「緊急人材育成支援事業による職業訓練」、いわゆる基金訓練については、受講者数12万人、就職率60%以上としております。受講者数12万人は、平成22年の上半期の実績を基にしております。下半期を用いなかったのは、下半期はコースの絞り込みなどがあった関係で、年度末に非常に駆け込みが発生いたしましたので、その影響を除去しようという趣旨です。就職率については、2010年度は目標60%に対して69.2%を達成いたしました。このこと自体は非常によかったと思っております。この制度は、求職者支援制度が無事国会で成立し、10月からはその法律に基づく恒久制度に衣替えされます。それまでの間の目標ですので、昨年度それまでの1年半の目標だという考え方で立てた数値が60%なものですから、それを踏襲しております。
 「就職支援プログラム事業」は、雇用保険受給者を対象にした事業です。受給者の中で、特に本人の職探しのさまざまな事情を考慮し、求職活動の初期にマンツーマンで早期再就職を支援する事業です。開始件数11万9,000件以上、この就職支援プログラム事業を実施するための人員として、就職支援ナビゲーターという非常勤職員を予算上確保しております。このプログラムの標準的なプロセスを経るのに必要な日にちと、ナビゲーターの人数を掛け合わせると、ナビゲーター1人年間130人ぐらいの雇用保険受給者のお相手ができる計算ですので、予算上のナビゲーターの数に130を掛けたものが開始件数の考え方です。就職率は、昨年度は目標70%に対して74.4%を達成いたしました。このことはよかったと思っております。
 2011年度の目標は73%にしておりますが、これと別に少し規模の小さい事業なのですが、「アドバイザー事業」というのがあり、もう少し就職の困難度の高い方を対象にした事業が別事業として2010年度にはありました。その事業は、2011年度には就職支援プログラム事業に統合しております。アドバイザー事業の就職率は約40%でしたので、単純に按分して出てくる就職率は70%ぐらいになるのですが、努力目標を加えて73%としました。したがって、合併された別の事業等を加味して考えると、昨年度実績よりも高めにしているという数字です。
 「マザーズハローワーク事業」については、お蔭様で非常に周知がされてきて定着してきたと思っております。2011年度の重点支援対象者4万8,000人、就職率85%、これはいずれも昨年度実績を引き続き達成していこうという考え方です。
 以上が、本日お諮りいたします目標案です。なお1点補足いたしますと、職業安定行政関係では、障害者雇用という重要な政策の体系があります。こちらのほうは、障害者雇用分科会にご説明申し上げるという整理になっておりますので、こちらには含めておりません。以上です。
○大橋分科会長 今年度の目標についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○新谷委員 いまご説明をいただいた各項目について、背景なり設定の考え方はわかりました。意欲的に目標を高めに設定された項目がある一方で、2010年度の実績に比べて目標が下がっているところがあります。なぜ低い目標設定をするのかというのは、十分に検証しなければいけないのではないかと思っております。
 こういう新成長戦略の中で、中期の定量的な目標を設定し、それに向かって年度ごとに目標を掲げて政策に取り組むというのは、非常に大事な取組だと思っております。ただ、目標が数値的な目標だけになってしまわないように、それを実現するための、政策を遂行するためのプロセスをどのように担保していくのかというのは、関係局でも十分論議をしていただいているのでしょうけれども、その辺ももう少し説明していただければよかったのかと思います。
 点検評価部会には樋口先生にもご出席いただいておりますけれども、これは厚労省の各局から上がってきた数字が点検評価部会に集まってくるわけです。こういう数字を定量的に把握して評価していくというのが点検評価部会のやり方なのですが、単にミクロの数字の集合体で論議するということではなくて、これは点検評価部会の事務局にもお願いしないといけないのですが、大きな労働政策の方向性がわかるような作り込みの資料にしていただかないと、単なる数字の羅列で、それをどうするかという評価ではなくて、大きな労働政策の方向が論議できるような資料を提供していただきたいと思います。
 この数値目標が確認されたのは、政府としては雇用戦略対話の中で確認されています労働政策審議会でも確認されているのですけれども、定量的な数値目標には組み込めなかったのですけれども、非自発的な非正規労働者、希望しても正規労働者になれなかった方について、数を減少させるというのを、定性的には目標として掲げておりました。これらの非自発的、非正規の方々の数字をどのように減少させていくかということについても、どこかに論議の場として入れておいていただければありがたいと思います。
○公共職業安定所運営企画室長 各施策の所管で補足することがあれば、後ほど補足をお願いいたします。総括してですが、2010年度実績と比べて低い目標についてはいかがかというご指摘がありました。これについては、もちろん、安易に低い目標を立てておけば、その後が楽だというようなことで立てているものはないつもりです。下がっているものとしては、それぞれ予算に件数が縛られるところがあって、予算自体が少し維持できていなかった。トライアル雇用の常用雇用移行率のときに申し上げましたけれども、上げていくことによる弊害、意図せざる効果を考えると、ある程度の水準まで行ったところで高止まり状態を維持することが大事なのではないかという施策について、それぞれ一つひとつ吟味をして定めているつもりです。その他補足がありましたらお願いいたします。
 それから政策体系ですが、確かにこの資料の1枚紙は数字だけが並んでおります。この数字の裏にある施策の取組については時間の関係もあって、質疑応答の中で使えればと思って資料だけお出ししております。資料2-2の中で、若年者、高齢者、求人確保対策、緊急人材育成支援事業など分野別に取組の方向性をまとめた資料を付けております。こういうものも使いながら、また議論させていただければと思います。あとは思いつきませんけれども、いきなり各分野別の施策の資料に入る前に、全体の体系みたいなものがあったほうがいいのかもしれないというのは、いまご指摘を伺って思いましたので、そこは今後考えていきたいと思います。
 それから非正規雇用、特に非自発的に非正規雇用に就いている方を減少させていくことについてですが、政策目標としては、非正規雇用の正社員化、安定雇用を希望される方の就職を支援していくことは非常に重要なことだと思っています。職業安定行政としても、昨年の組織改編もそういうことをより重視していこうという考え方がありました。今回の目標の中でも、特に非正規雇用のいろいろな対応の中で、近年の過去の非正規雇用との違いというのは、やはり大きなものとしては若年層における非正規雇用の増加ということだと思います。ハローワークの職業紹介による、正規雇用化したフリーターの数という目標はそこのところにかかわっている目標ではないかと思っていますが、これだけでいいのかどうか、もっとほかにも非正規雇用を捉えた目標が必要かどうかについては検討したいと思います。
○若年者雇用対策室長 若年者雇用対策室長の久知良です。先ほど、特に2010年度の実績に対して目標が非常に低いというご指摘でしたが、おそらく主に念頭に置かれていたのは学卒ジョブサポーターの部分ではないかと思いますので、特にこの点についてお話をさせていただきます。
 学卒ジョブサポーターによる支援自体が、去年の秋から始めたということで、1年を通してどういう実績になるかということが正直想定できていなかった部分があります。したがって事業展開も目標設定も、ある意味手探りでやってしまった部分が確かにあります。そういう意味で、現在、昨年度の実績をすべてわかった上で、かつ特別対策としてやった部分がどれぐらい効果を生じさせたかという部分も一応実績としてわかった上で、この数字を見たとしても、やはりこれは確かに現時点で見た場合には、委員のおっしゃるとおり低すぎるのではないかということになろうかと思います。そういうことですので、もしご了承いただければ、目標の大幅な上積みをお認めいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○首席職業指導官 首席職業指導官の北條です。私どもで所管している業務項目についても、実績に比べて目標数値が低いというのがあります。この表の下から3段目の基金訓練のところですが、これは公共職業安定所運営企画室長の岸本のほうからも申し上げたところですが、昨年度末に奨励金の廃止という話があり、駆け込みの訓練コースの申請があり、それに伴って受講者数が増えたため、その反動が今年度あるだろうということを見込んで減らしているものです。その受講者数12万人というのは半年分ですので、年間分に直しますと24万人分になります。
 下から2段目のプログラム事業も、アドバイザー事業という、むしろ就職率が低いものを統合したということがあり、それも加味して実績値よりも少なく見込んでいます。ただし、昨年度の目標よりはアップさせている状況にあります。
 もう1点、数字を追うだけではなくて、その業務の推進のプロセスが重要だというお話がありました。これについても私どももそのとおりだと思っております。数字を追うだけの精神論であってはならない。どうやったらその目標値を達成できるのか、どうしてできなかったかを、現地の労働局、安定所と十分議論をして、安定所のほうに対して的確なアドバイスをするように努めてまいります。よろしくお願いいたします。
○樋口委員 ここに出された資料2-1というのは、言うならば厚労省の業務目標を出されたのかと思います。新谷さんがおっしゃったように、雇用戦略対話の中では、そのほかに政策目標という形で、非自発的、非正規の削減ということが入っています。これは、厚労省の業務だけではどうにも改善できないところもあるということで、これはどこで扱っていくのかというのは確かにおっしゃるとおりの問題を含んでいるのかと思います。こちらで扱うのか、あるいは点検評価部会で新たに加えていくのかというのはわかりませんので、ご検討いただければと思います。
 全部で13の業務目標が掲げられているわけですが、その中にいくつかの用語で気になるところがあります。例えば1番と3番の「常用」というのがあります。ここの「常用」というのは、下の注1のところを見ますと、この常用というのは「雇用契約において雇用期間の定めがないか又は4ヶ月以上の雇用期間が定められている」と書いてあります。ところが今度は9番目にある中高年齢者試用雇用事業については、※7に同じ「常用」という言葉が出てきています。こちらでは、むしろ雇用契約において期間の定めのない雇用者である。そのほかちょっと条件があるわけですが、「4ヶ月以上の雇用期間」というのが上のほうでは「常用」に入っているのに、下に行くと別の定義で同じ「常用」という言葉が登場してきます。
 これをどう考えたらいいのか。いままでの政策がそう扱ってきたから、そのままの数字を使うとすればこうなるのだということで、同じ表の中に違う「常用」という言葉が、定義に基づくものが生まれてくるのだろうと思うのですが、やはり格好のいいものではない、望ましいものではないという気がいたします。これはしようがないとしても、今後業務統計を作る上で、行政記録を残す上で、この点については検討していかなければいけないのではないか。なぜ「4ヶ月」というのかわからないというのが1点です。
 同じ用語で気になるのが、10番の「正社員求人数」というものです。これは、職業安定業務統計と書いてありますが、たしか正社員というよりも、一般求人の数なのかなと。正社員というとちょっと気になるなと。一体これこそ何でしょうかということです。普通、ハローワークにおいては単時間求人、要するにパート求人と一般求人と分けているように思うのですが、私の理解が違うのかもしれませんので教えてください。
○公共職業安定所運営企画室長 とりあえず、まず2点、常用の問題と正社員求人の問題についてです。「常用」の点は伺っていて、全くご指摘のとおりと思いまして申し訳ございません。説明をいたしますと、中高年齢者試行雇用事業は事業の趣旨として、トライアル雇用期間を経て安定就職に結び付けていくということですから、この「常用」というのが世の中通常に言うところの「常用」なのではないかと思います。雇用期間の定めがなくて、労働時間がその事業所の通常の労働者と同じであると。これをトライアル事業、中高年齢者試行雇用事業にて常用と言っています。
 こちらはそういう意味で、上の就職率や求人充足率の「常用」というのは、職業安定業務統計における用語で、求人全体の中から日雇いや季節の労働市場の中でちょっと特殊な部分、それを除いたものを出しております。その中から、また一般とパートに分かれるわけです。全体から季節や日雇いを除いたものを常用と言っていて、したがって、この4か月というのがそのメルクマールになっているわけで、これは業務統計としては数十年来そう言っていますが、世の中的な用語としては常用ではないというか、広すぎるようにも思います。
 一方でこの就職率や充足率として使う数字としては、労働市場全体の就職状況、充足状況、ただし、そこから特殊な動きを示す日雇いや季節は除くという考え方でいいのではないかと思いますので、対象としてはこの範囲で取っていくのかなと思いますが、それを表現するのに「常用」と言ってしまうと、先生ご指摘のようにミスリードなのかと思って、そこは次回以降の資料の作り方として考え直したいと思います。
 それから、正社員求人は最近とり始めて、従来からのこの世界の常用求人の中の一般とパートとは別に、労調の呼称分類みたいな感じですが、求人申込み時に正社員という事業所の中での位置づけの求人であるのかどうか。そういう事業所の中での呼称や位置づけを確認しておりまして、それを最近はデータとして取るようにしております。その正社員求人がどうかというのが、この正社員求人数の目標の数です。
○首席職業指導官 若干補足いたします。4か月以上の雇用期間で常用と定めているという定義がありますが、これは基準法第20条の解雇予告手当の規定が、その次の21条で、季節労働に4か月以内で就く者については除外されているというところからきています。それを援用しています。昭和20年代からこの統計を使っておりまして、季節でないという意味で、「常用」とするという古い考え方に基づいていると思われます。
 これでは現在における非正規雇用の実態等を十分捉え切れないという意識があって、ハローワークの求人票においては、まず期間の定めがあるかないかという聞き方をし、ある場合に何か月であるか、それから日雇いであるかどうかということで、きめ細かく聞いて求人票に落とし込んでいます。
 それから、いま岸本から申し上げましたとおり、その企業の中で正社員として呼称されているかどうか。つまり、非正規労働として扱われているのか、正規雇用として扱われているのかという、会社における職位に着目して把握するということも含めて、把握をしているという状況にあります。
○樋口委員 業務上いままでどうやってきたかというのは、そのとおりだろうと思いますが、政策目標として掲げる上では、たぶん意識は安定した雇用をいかに作り出すかというところであると、4か月というのはどうかなというのが気になりますので、ご検討いただけたらと思います。
○公共職業安定所運営企画室長 あと1点、樋口先生からのご指摘の1点目ですが、先生ご指摘のとおり、この法議論というのは、まず2020年までの雇用戦略における長期目標があって、それを毎年毎年実現するための、いわばパーツとして業務目標をどうするかという二重構造になっているわけです。いま確認して、2020年までの長期目標の進捗度合、現状がどうなっているかといったことは、点検評価部会で資料を出してご議論いただくことになっています。
○新谷委員 先ほどの樋口先生のご指摘は、私も申し上げようと思っていました。先ほどのご説明の中で、これまでの業務統計の取り方なり、考え方はわかったのですが、では、政策としてどのように持っていくかというときに、これだけ「常用」という定義がバラバラですと、どのように政策を組み立てていくのかというのが、よく見えなくなるのではないかと思います。
 ここには出ていませんが、労働力需給制度、派遣法の世界だと、「常用」というのは1年以上雇用見込みというまた違う数字があったり、同じ職業安定局の中でもこれだけ取り方が違うというのは、国民から見たら、労働行政をどの方向に持っていくのだというのを非常にわかりにくくしているのではないかと思います。単なる統計の取り方だけではなく、行政として、どのような政策を推進するのかということも含めて、是非検討いただきたいと思います。これが1点です。
 もう1点は、今日いただいた資料の中に、震災の関係で、学卒ジョブサポーターの部分だけに岩手局と宮城局は含まれていないと書かれています。現地はまだまだ統計を取るのは大変かもしれませんが、この目標の中には震災の影響がどのように含まれているのか、含まれていないのかを確認させていただきたいと思います。
○公共職業安定所運営企画室長 まず「常用」の定義について、先ほどの説明がもたついたかもしれませんが、ご趣旨はおっしゃるとおりだと思います。それから職業安定行政として政策目標として目指しているという意味での常用というのは、中高年トライアル的な常用であるわけです。就職率や求人充足率で「(常用)」と付いているのは、「全体から日雇い・季節を引く」というのを常用と表現してしまっているということで、ここの言葉の使い方は考え直したいと思います。システム改修をするかどうかは別にして、そういうことでご了承いただければと思います。
 震災の影響については、数字として2010年度実績が岩手、宮城、福島で把握できていないというのは、この中では※の4番を付けた学卒ジョブサポーターの支援だけで、あとは一応把握できています。
 目標設定に当たっては、目標設定作業の後に、東日本大震災が起こったという時系列、内部事情になっており、震災の影響を加味した目標数値にはなっておりません。いまは特に被災の影響に応じて、これを47労働局にブレークダウンして下ろしているわけですが、被災の激しい所については、これは1つの参考数値と考えてくださいというやり方をしておりますし、大本の政府全体の2011年度の経済の見通しに見直しがあるならば、その度合いによっては、そこから導き出される形で雇用失業情勢見通しを作って、そこから各目標値を持ってきていますので、それも考え直す必要が出てくるかもしれません。そこは全体の動きを見ていきたいと思います。
○高橋委員 1点だけ意見を申し述べたいと思います。基金訓練にかかわる就職率の数字ですが、現在ご承知のとおり、職業能力開発分科会でも10月1日からの求職者支援制度の発足に向けて検討しておりますが、就職率の算式も変え、目標となる就職率の高い水準を設定しようとしている中で、この年度前半の基金訓練の就職率が60%以上でいいとするのは、やや不満な感じを持っておりまして、もう少し高めの設定でもよいのではないかという感想を持ちました。
○首席職業指導官 基金訓練の就職率60%の関係ですが、これは震災の影響は若干考えなければいけない部分がありまして、先ほどの学卒の関係で統計上出てこないという意味では、震災の影響があるという話がありました。これは背景を申しますと、昨年度の後半にいろいろな奨励金が廃止されたとか、平成23年度にもしかしたら基金訓練自体がなくなってしまうのではないかということで、駆け込みが随分起こり、それに対してハローワークでは他部門から相当の応援を注ぎ込んだという状況があります。
 震災が起こって、その応援の体制を十分とり切れなくなった。震災のほうに随分シフトしたということで、基金訓練の就職促進の部門のほうが元に戻ったという形になっております。そのことも加味して、もともと1年半で作った目標値60%を上げるかどうかという議論をしたときに、とりあえず半年間は1年半の目標のまま維持していこうではないかということになり、これを60%として設定したという状況がありました。
○大橋分科会長 よろしいですか。ほかにありませんか。それでは、この目標を2011年度の目標として設定するという厚生労働省の方針について、当分科会としては了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。
                (異議なし)
○大橋分科会長 それでは、事務局において、労働政策審議会本審の事務局にお伝えください。
 それでは、次に移ります。議題の「その他」として資料が配付されております。まず資料の「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(第1次補正予算関連)について」、及び「東日本大震災における緊急の雇用労働対策について」、事務局よりご説明をお願いいたします。
○総務課長 総務課長の宮川です。それでは、2点ご報告いたします。
 参考資料1「雇用保険法施行規則等の一部改正する省令(第1次補正予算関連)について」です。先の分科会のときにご説明しましたとおり、1次補正において雇用保険法施行規則の改正がなされ、緊急的に行うということで事前にお諮りすることができないという状況があることは既にご説明したとおりです。この5月2日付で雇用保険法施行規則の一部を改正させていただき、震災関係の特例を設けたところです。その内容をご説明いたします。
 まず1が「雇用保険法施行規則の一部改正」ということで1「雇用調整助成金制度」です。雇用調整助成金、中小企業向けは中小企業緊急雇用安定助成金ですが、被災地域の事業主やこれらの事業主と一定規模以上の経済的関係を有する事業主に対する特例措置として2点です。
 これまでの支給日数は3年間で300日という上限があるわけですが、それとは別に特例対象期間、震災後の1年間で特例期間中に開始した休業については、別途最大300日間の助成金の対象とするというのが1点目です。もう1点目は、被保険者期間6か月未満の人を本助成金の対象とする。これはリーマンショックのときに行っており、これを廃止するということで既にご了解いただいたものですが、被災関係の方々については、被保険者期間6か月未満の人を助成する暫定措置を延長する内容です。
 2番目は「特定求職者雇用開発助成金制度」の拡充です。被災離職者及び被災地域に居住する求職者を雇い入れた事業主を対象に、特定求職者雇用開発助成金は、現行の制度と同様に50万円、中小企業に90万円を支給する特例措置を実施するという内容です。
 3番目は、能力開発、職業訓練関係です。認定職業訓練校の施設・整備について補助を行っているところですが、災害復旧に要する経費の助成について、国から県への補助率の引上げ、国の負担割合の上限を引き上げるという形の内容です。以上、これについては5月2日から施行されたという内容を1点ご報告させていただきます。
 もう1点は、「東日本大震災における緊急の雇用労働対策について」です。これは4月25日の分科会でご説明したものをさらにバージョンアップしたものを本日お配りしました。時間の都合もありますので、前回の相違点を中心にポイントのみご説明いたします。参考資料2です。
 まず「雇用保険関係」ですが、3つ目の○にある「延長給付の拡充」です。現行の個別延長給付の原則60日分に加えて、さらに60日分を延長するという制度を実施するに合わせて、第1次補正予算として2,941億円を追加しました。当初予算は2兆298億円でした。
 実績ですが、岩手、宮城、福島3局における受給資格決定件数は7万9,125件と、概ね前年度比で2~3倍以上のこの局における受給資格決定がなされているという状況です。
 「職業紹介」関係は、(1)~(5)に書かれているようなものを行っているということで、前回ご説明しましたが、その実績として、被災者対象求人として求人を受理しているのが4万6,240人、復興関係求人として5,632人を求人として受理している状況です。
 「雇用関係助成金等」は、先ほどの説明と重なる部分もありますが、第1次補正予算、雇用調整助成金において、当初予算3,927億円に加えて7,269億円を追加して、合計で1兆1,000億円の予算の構えになっています。
 特例の適用と最初の○に書いてある3つ目のポツにありますように、被災地関連事業主、すなわち1次下請などの事業主に加えて、そことさらに一定規模以上、事業量の2分の1以上の経済的関係を有する事業所の事業主についても、いわゆる2次下請などについても、この特例が利用できます。特例についても、4にある最大300日の受給を可能にするとか、5にある被保険者期間6か月未満の者、新卒者なども入るわけですが、それを対象とする特例を行っております。
 状況です。休業等実施計画届受理状況の4月分ですが、全国で6万2,000事業所、183万人分の休業の届出が、岩手、宮城、福島3県については4,288事業所、14万9,997人ということで、3月比の増加率としては事業所数で165%、対象者数では246%増となっています。
 それから被災者向けの特定求職者雇用開発助成金を、予算額63億円で、第1次補正で設定しています。
 次頁は「雇用創出基金事業」関係です。東日本大震災により仕事を失われた方々のための雇用の場を早急につくるということで、従来のものの要件緩和のほかに、基金の積増しを第1次補正予算で500億円積み増したところです。「事業概要」にありますように、都道府県あるいは市町村によって、直接又は企業、NPO等への委託によって、震災対応のための事業。事業例としてはパトロール、一時預かり、片付け支援、環境美化、まちづくりのための植栽など、さまざまなものが行われているところです。
 「活用状況」は、全国で約3万5,000人の雇用が創出される見込みです。うち8,400人の採用実績ということで、特に3県については、そこに書いてあるような内訳になっています。
 「雇用促進住宅」については、2つ目の○のなお書きにありますように、入居決定戸数としては3県で、岩手612戸、宮城330戸、福島1,051戸を含め、全国で4,759戸が入居決定されています。
 次頁は「『日本はひとつ』ハローワークプロジェクト」については、前回ご説明したとおりです。それから「雇用問題への配慮に関する経済団体等への要請」ということで、最初の○には既にご説明しましたが、2番目の○にありますように、経産大臣、厚労大臣、福島県知事から、各経済団体向けに、原子力発電所事故に伴う雇用機会の維持・創出に対する要請を行うとともに、さらに雇用の創出の際の雇用の質という点についての配慮も、私どもの小宮山副大臣から文書で要請させていただくとともに、地域レベルでも「しごと協議会」関係者に要請しているところです。
 次頁は「新卒者」関係です。全国の新卒応援ハローワーク等において窓口を設置し、活動を行っているところですが、現在の状況をまとめたところが、2番目の○の1つ目のポツの内定取消しで、全国で362人、うち3県及び東京都について、そこに書いてあるとおりです。入職時期繰下げについても全国で2,232人ですが、このうち1,245人は既に時期が繰り下がっていたところが、入職されたことを確認されております。ジョブサポーター100人を増員し、さまざまな求人開拓あるいは継続した個別支援、面接会の開催ということで、第1次補正予算15億円を計上しております。
 「民間の人材ビジネス事業者による被災された方への就職支援」の点で、3つ目の○にあります「しごと情報ネット」については、被災者を対象とした求人情報の検索を容易にするための運用ルールを設定して、ホームページでの周知あるいは掲載、周知、啓発を行っていただくための要請を行っているところです。
 次頁は「労働相談への対応」です。既にご説明したとおり、全国のハローワークにおいて特別の相談窓口あるいは学生向けの特別の相談窓口を行っておりますが、障害者向けについても地域障害者職業センターにおける「特別相談窓口」などを設置して、相談を実施しているところです。
 以下、解雇、雇止め、あるいはパートの関係の維持・確保、その他、労働基準行政など、さまざまな施策について取りまとめたものですが、この辺りは省略させていただき、最後の11頁をご覧いただきたいと思います。
 11頁は、ハローワーク及び労働基準監督署の業務状況を、最新の数字にバージョンアップしたものです。数字の詳細については説明を省かせていただきますが、私どもでいえば、雇用調整助成金、雇用保険、職業相談。監督署でいえば、労災の給付、未払賃金立替払いなどの数字が上がってきているという状況が出ています。現在においても全国規模の応援を4月18日以降、100人単位のレベルで行っている状況が続いているというところです。私からの報告は以上です。
○大橋分科会長 それでは、本件について、ご質問、ご意見がありましたらご発言ください。
○古市委員 被災地の、特に宮城県における仮設住宅の建設について、いろいろなことが報道されているわけです。その中で、プレハブ建築協会という団体を通じて契約を結んで建築を行っているわけです。その中で地元の被災者の雇用を政府は盛んに言っているわけですが、なかなかそこがうまくいっていないということで、たくさんの所から、西日本のほうから相当たくさんの皆さんを連れてきて就労しているという話です。一部の事業者については、人材派遣で人を派遣してもらって間に合わせている。それでも足りない。こんなことが新聞で報道されております。調べてみたのですが、なかなか実態がよくわかりません。ですが、建設業で働く労働者は人材派遣できないわけですので、そこは新聞記者にかなり詳しく聞きましたが、取材源ですので特定をすることがなかなかできておらず、申し上げにくいのですが、その件については、そういうことをしばしば地元の組合員から聞きますので、是非、注意を喚起して、そういうことがないように目配りをしていただきたいと思います。
○総務課長 2点お話があったと思います。1つは、先ほどの資料の中にもありましたように、「『日本はひとつ』ハローワークプロジェクト」で復旧なり、復興という事業を地元の企業に受注の確保を推進し、そこからハローワークへの求人の提出をお願いし、それを被災者の紹介につなげていこうというスキームでやっておりまして、それを各県におけるしごと協議会というレベルでも、事業主団体の方々、組合の方々にも入っていただいて行っている状況ですが、それをさらに推進していく必要があるということがまず1点あります。
 もう1点は、派遣法の問題です。ご承知のように建設については派遣が禁止されているわけですので、そういう意味で建設業についての違法派遣が行われていないかどうかについて、十分注意した形で派遣業者等に対する取締りも含めた指導、監督に力を注いでいく必要があると思っております。
○大橋分科会長 その他いかがですか。よろしいですか。
 それでは、次に「特例インドネシア人看護師候補者の雇用管理、研修の実施等に関する指針の策定等について」、事務局よりご説明をお願いします。
○経済連携協定受入対策室長 お手元の参考資料3に基づきましてご説明します。昨日6月23日に厚生労働省告示「特例インドネシア看護師候補者の雇用管理、研修の実施等に関する指針」が公示されました。併せて、この告示は、昨年11月に政府に設置された「人の移動に関する検討グループ」における検討を踏まえて閣議決定をされた内容を受けて制定されたものですので、この検討グループの検討経緯についてもご説明したいと思います。
 そもそもの前提ですが、EPAについて、まず概要をご覧いただいてからのほうがよろしいかと思いまして、前後して恐縮ですが参考資料3-5、11頁をご覧いただきたいと思います。看護師・介護福祉士候補者の受入れについては、経済連携協定の中に位置づけられ、インドネシアからは平成20年度から、フィリピンからは平成21年度から開始しております。この受入れ枠組みについては、政府の中で外務省、法務省、経済産業省、また厚生労働省の中でも職業安定局のほか、医政局、社会・援護局など、多くの部局が関与して成り立っております。
 職業安定行政の観点で申し上げますと、最初の「趣旨・目的等」の中にありますが、よく「看護・介護分野の労働力不足対策ではないか」というご質問を受けますが、そうではなくて、私どもの位置づけとしては、両国の経済活動の連携強化の観点で行うものである、したがって、受入れ最大人数を設けて、これは国内労働市場への影響を考慮したものですが、毎年インドネシア、フィリピンそれぞれの国ごとに、看護師候補者については最大200人、介護福祉士候補者については最大300人という人数の上限を設けて、この範囲内での受入れを行っています。
 このチャートの中で、当初、一定の要件を備えた現地の看護師、あるいは介護士の講習を受けた方等をマッチングして、日本にお越しいただくわけですが、その職業紹介ルートについては、相手国側は政府の唯一の送出し部門を設定していただき、また日本側は社団法人国際厚生事業団を唯一のあっせん機関として、紹介ルートを一本化することで、公正・中立に適正な受入れを確保しているところです。
 それから、今日の主題となります滞在期間ですが、この協定の枠組みでは、看護師コースが箱のいちばん上の段にあります。在留期間は最大3年間、介護福祉士コースは在留期間が最大4年ということで、それぞれ協定上、規定されています。
 12頁は、これまでの受入れ人数の推移についてです。上段が求人数、国内での受入れ希望人数を示しており、図2はそれを受けて、実際にマッチングをして入国した数を示しています。求人数、実際の受入れ人数ともに減少傾向にありますが、その背景としては、入国する候補者について、日本政府側が6か月間の日本語研修を提供しているものの、就労開始時点の日本語能力が十分ではないために、受入れをする病院側の負担、介護施設側の負担が大きいなどの理由が挙げられております。このため、厚生労働省としては昨年度より候補者の国家試験受験のための学習のための支援策として、前年度比で予算を10倍にしてその拡充を図っています。これがEPAの受入れについての概況です。
 前後しますが1頁、3-1に戻って、先ほど申し上げた人の移動に関する政府の検討の経緯についてご説明します。まず昨年11月に「包括的経済連携に関する基本方針(EPA基本方針)」が閣議決定されました。このうち、人の移動については、国家戦略担当大臣の下、関係省庁の副大臣級が参画する「人の移動に関する検討グループ」が設置されました。このグループの中に、関係省庁として厚生労働副大臣も参画しております。当初11月より本年6月までに基本的な方針を策定するということとされておりましたが、途中、本年3月11日に候補者の滞在期間延長について、先行して閣議決定をいたしました。これが本日ご説明する主たる内容の滞在期間の延長です。後ほどご説明いたします。
 さらに経緯を追いますと、この検討グループにおいて滞在期間延長以外の課題、例えば、最も重要な課題として、候補者の日本語能力を向上させることが挙げられますが、それらの課題について、去る6月20日に基本的な方針として取りまとめられ、その翌日の21日にこの方針について、関係の閣僚会合で報告・了承されたところです。これについても、その内容は後ほど触れさせていただきます。さらに23日ですが、滞在期間延長を受けての候補者の雇用管理、研修の実施等に関する指針を定めたところです。
 厚生労働省告示と合わせて、今後の予定ということで下に記述しておりますが、法務省告示も公示される予定で、こちらのほうで入管法上の位置づけを担保し、その担保された滞在資格を有することとなった候補者についての雇用管理、研修等を厚労省告示で定めるという分担になっています。
 それでは、具体的な滞在期間延長の関係で参考資料3-2と参考資料3-3に基づき、ご説明します。参考資料3-2は、3月の閣議決定の内容ですが、まずこの「決定の趣旨」は、1.の真ん中辺りに、国家試験の受験の状況について触れています。中ほどに「国家資格取得者の数は非常に限られており、候補者が国家資格取得という目的を達成することが容易ではないことが判明した」とあります。これは具体的な数値はここには記しておりませんが、申し上げますと、昨年で今回対象となっているインドネシアの平成20年度に入ってこられた第1陣と呼ばれている方が、昨年の試験で100人のうち2人合格しています。そして今年2月の試験が最後のチャンスだったわけですが、91人中13人が合格し、合わせて15人の合格です。入国時は104名おられたわけですが、この数がこの3月時点では91人プラス、実際に看護師になっていた2人を加えて93人ということで、ほぼ6人に1人程度の合格率であったと捉えることができると思います。
 こうした中で、政府全体としては相手国との関係で一定の外交上の配慮が求められるという状況の下で、協定外の枠組みで特例的に1回限り、その受験機会を追加的に与えようということで決定されたものです。
 次に2.の具体的な滞在期間延長の対象者についてですが、先ほども候補者が受入れの数が減っていく中で、厚生労働省としても予算を10倍にしたという話をしましたが、これが平成22年度からの本格実施です。したがって、平成22年度よりも前に入国をした、つまり、平成20年度と平成21年度に入国をした候補者、インドネシア人で言いますと、平成20年度に入国した第1陣と平成21年度に入国した第2陣。フィリピン人で言いますと、平成21年度に入国した第1陣を、外交上の配慮から追加的に1年の延長を認めるという内容です。
 3.は、その滞在期間延長を認めるための条件です。アからオまでありますが、アは協定に基づいて現に受入れ機関との雇用関係に基づいている、その受入れ機関、看護師の場合は病院ですが、そちらと引き続き雇用関係を持つこと。
 イは、候補者本人が、出稼ぎ目的ではなく、国家試験の合格に向けての精励ということですので、その意思表明をしていただく。ウとエは受入れ機関も、通常、研修計画は策定を義務づけておりますが、それをさらに改善して、それに基づいての適切な研修を実施していただくということを表明いただくということです。
 オは、いわゆる足切りラインとして、国家試験の得点が一定水準以上の者ということで、具体的には後ほどご説明する告示ではなく、別途、外務省から外交上の判断で、ほぼ9割近くの水準の者が救済できるようにということで、その9割の水準が残れるようにということでの数値の提示が厚生労働省側にあって、102点。必修問題と一般問題・状況設定問題を機械的に合計すると、300点が満点相当となりますが、今回の試験の合格基準点は200点強であり、その合格基準点と比較すれば、結果的には約半分の水準ということになりました。これを既に関係者には通知しております。
 (2)ですが、いま申し上げたのは今回のインドネシア第1陣の看護師候補者についてで、それ以外の対象者については、改めて基準を設けることにしています。
 参考資料3-3です。これはかなりボリュームがありますので、要点だけにします。目的、趣旨は、閣議決定と重複しますので飛ばして5頁の第二の「看護師の資格取得前の特例受入れ機関における研修としての就労」で、先ほど申し上げた閣議決定の研修改善計画や、本人あるいは受入れ機関の意思、雇用関係の継続といった要件の詳細を規定しているものです。
 6頁にこれ以外の要件として、四に「特例受入れ機関との雇用契約の要件」があります。これについては、現在の通常の協定上の候補者と同様です。また、他の入国管理法上の就労目的の在留資格とも同様ですが、外国人であるということでの差別はなく、日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とするものでなければならないということです。これは私どものほうで予算措置をして、研修に係る相談と併せて、そのあっせん機関である国際厚生事業団が巡回をして、そういった労働条件についての確認を毎年行っており、これもその対象とする予定です。
 7~8頁にかけては、実際の手続について、あるいは滞在管理等についての規定です。第四に「厚生労働省による確認」とありますが、こうした条件を満たしているかどうかについて、病院から確認依頼をいただきます。それについて雇用関係あるいは研修改善計画等について、職業安定局長と医政局長が確認をして、病院側に通知をする。その通知を受けて、具体的に在留資格についての変更の申請を入管局にしていただくといった手続になる予定です。
 第五は端折りますが、滞在することになりましたら、相談対応について、国際厚生事業団が対応するといった内容が規定されております。これが滞在期間延長の内容です。
 続きまして、参考資料3-4の「人の移動に関する検討グループ」において、6月20日に決定した基本的な方針について、ご説明したいと思います。その主な内容は9頁の1「看護師・介護福祉士候補者受入れに関する取組」の中で、3つの柱で説明したいと思います。
 1つ目が「日本語能力等の向上に向けての取組」です。これまで厚生労働省としては、候補者に対する国家試験学習の支援とか、試験の用語の見直し、さらに期間延長等の方策を講じてきておりますが、抜本的な解決を図るために、候補者の日本語能力の向上が重要であることについて、共通の認識を持ったというものです。具体的には、既に協定上の枠組みで就労研修前に6か月の日本語研修を受けることになっています。これは外務省、経済産業省において措置いただいておりますが、さらに入国前に現地で日本語研修を行うということを本年より実施しており、外務省が予算措置をしたところです。また、来年以降の受入れについては、さらに拡充をすると伺っております。
 次に2本目の柱の「再チャレンジ支援の実施」です。こうした滞在期間延長の措置をしても、本人の希望あるいは家族の状況等によって、いずれにしても何人かは帰ることになります。ただ、そうした方も、今後、一時滞在という形で受験するチャンスがあって、引き続き学習いただけるようなe-ラーニングあるいは模擬試験といった学習支援策を措置していくというものです。
 3本目の柱は、受入れに関する各国別の対応です。いま申し上げたのはインドネシア、フィリピンについてですが、これ以外にも要望している国として、タイ、ベトナム、インド等との間で継続交渉の状況にあります。ベトナムについては一昨年、日ベトナムEPA発効時に、遅くとも2年以内に結論に達することを目的として、看護師・介護福祉士の受入れの可能性について交渉すると定められておりましたところ、その期限がこの秋に到来するわけです。それに当たっての政府の方針ということで、ベトナムについても記述されております。ベトナムの看護師資格制度の整備状況やカリキュラムの内容等を確認、それを前提として、さらにその上で一定の日本語能力を有する候補者を受け入れる枠組みを検討するということで、そうした基本方針に沿っての交渉を引き続き行うというものです。
 協定改正についても触れております。協定改正がなくてもできるような運用上の改善は逐次やってまいりますが、最終的には協定上のルールとして定めていく必要があるものについては、改正も視野に入れて交渉に臨んでいくということです。
 2「その他の取組」です。これは検討グループにおける議論で論点となった国家試験のあり方等について、国内での影響も踏まえつつ検討するとされたもので、その論点が列挙されています。
 「今後の対応」が3で掲げられておりますが、今後もこの検討グループについては引き続き随時開催をして、フォローアップをし、この受入れの枠組みについての改善方策を検討していくとされています。長くなりましたが以上です。
○大橋分科会長 ありがとうございました。この件について、何かご意見、ご質問はありましたらお願いします。
○新谷委員 インドネシアの看護師の滞在延長の特例の取扱いですが、これは1年限りで是非区切りを設けていただくということでお願いしたいと思っております。これは説明の中にありましたように、国内の労働市場への影響等々もありますし、特に介護、看護の分野は非常に離職率が高くて、賃金の水準も低いという状況ですので、その辺の配慮、目配りも必要ではないかと思っております。
 参考資料3-4の説明をいただいたのですが、EPAの基本方針が出てきたわけです。これについても何点か申し上げたいと思います。9頁にある日本語能力の向上、再チャレンジの実施というのがありますが、特に日本語能力の向上については、この分野については患者なり、被介護者の生命にかかわる内容ですので、名前を間違えるとか、薬の読み間違いなどがありますと、取り返しのつかない事態を招きかねません。特に日本語の能力向上については大変重要な取組だと思っておりますので、是非ここは力を入れてやっていただきたいと思っております。
 それと、各国別の受入れということで10頁にベトナムとか、タイ、インドという話が出ております。これも新聞に出ていまして、非常に懸念をしているところです。特にベトナムについては看護師の資格制度が国としてないという状況の中で、ここに記載されているように、どういったカリキュラムを母国で持っているのか。それとどの程度の日本語能力のある方々が来られるのかというところも、是非十分な検討をしていただきたいと思っています。
 またタイ、インドについては、先行する国ということですから、インドネシア、フィリピンの現状、国内での状況を見るということですが、ここの評価がまだ完全に固まっていないと思いますので、ここについても十分見ていただきたいと思います。
 最後に10頁に「その他の取組」ということで、いくつか論点が出ております。母国語・英語での試験等々書かれているのですが、これについても国内で働かれるわけで、母国語でやるわけではありませんので、ここは日本語できちんと受験をしていただいて、合格していただくことが基本だと思います。これらの論点については非常に懸念を持っております。これについて引き続き検討するということですが、その辺を懸念しているということと、人の命を預かる仕事であるだけに、安易な緩和は認めていただきたくない、ということを申し上げておきたいと思います。以上です。
○古市委員 同趣旨の発言をしたいと思います。最初に質問ですが、労働力不足に対処するのではありませんよ、両国の経済連携を深めるのですよというお話ですので、インドネシアも日本も人口が1億人を超える国ですが、そういう中で100人とか200人という単位の方々を受け入れることが、経済連携を深めることに本当になるのか、なると思っておられるのかどうかということがまず1つです。
 それから、フィリピンとインドネシアから日本に入国されると。日本からフィリピンやインドネシアに行かれる看護師や介護士はどのぐらいいるのか、についてお尋ねしたいと思います。質問は2つです。
 それから、いま新谷さんからお話がありましたが、お見えになった方のうち、9割ぐらいの人が残れるようにするのだという説明でした。医療機関に入院されている患者の皆さんにとっては、技術がある一定のレベルに達しない人に面倒を見てもらうことになりかねないわけで、そういう質についての懸念を事業者は感じるということにならざるを得ないと思うのですが、それに対する対処はどのようになっているのでしょうか。
 いま報道されているところによりますと、TPPについても積極的にいまの政権は考えておられるようですが、人の移動について、例えば私が身を置いている建設という事業では、人の移動については非常に強い懸念を持っております。看護や介護のところで安易な受入れを増やして、名目は経済連携の強化ですが、事実上、労働力不足を補うということになりかねないということで、大変強く懸念をしております。
○派遣・有期労働対策部長 数字などについては、後ほど経済連携協定受入対策室長の里見からお答えいたします。まず基本的な考え方からご説明したいと思います。EPAについては、日本の労働力不足を解消するとか、そういう発想は基本的に全くなくて、あくまで経済連携を深めるという観点からの対応です。
 ですから、いちばん大事なのは、看護師、介護福祉士に関しては、日本の医療現場あるいは介護現場で通用する能力を持った人になっていただくということがものすごく大事ですし、そういう資質のある方を確保していくことが重要ですので、それに十分留意した対応が大事だと思っております。それがまず大前提であるべきだと思っています。そのときの重要な判断要素として、日本語能力というのは非常に重要ですので、日本語がきちんとできるような形で入っていただくという要素も非常に重視すべきではないかと思っております。
 それから、大前提として、日本の労働力不足に対応するという発想ではありませんので、我が国の労働力市場に及ぶ影響については、きちんと判断した上で対応するということは譲れない線だと思っております。いま新谷委員、古市委員からご指摘いただいたような基本的な考え方は、私どもも認識を共有しておりますので、それを基本として関係省庁なり、あるいは省内の関係部局もありますので、そういう所と十分話をして対応していきたいと思っております。
○経済連携協定受入対策室長 ご質問の点をいくつか確認させていただきたいと思います。まず、新谷委員からご指摘いただいた1年限りでということについては、今回、3月の閣議決定で対象とした平成20年度、平成21年度の入国の候補者についての期間延長の延長される期間は1年ということで定められております。これが1つです。
 それから、ベトナムについてもご指摘をいただき、看護師資格がないというご指摘でした。看護師という方が全くいないのかというと、実際に看護学校的なものというか、現地の看護学校を出て、看護師という呼称で就労されている方は現にいらっしゃるのですが、それが国の1つの資格制度として確立されていない、あるいは看護学校を出ていると言っても、その看護学校のカリキュラムがよくわからないということで、いま相手国との間ではさまざまな情報の提供がありますので、それを精査していく。古市委員からもご指摘があったように、看護サービスの質の担保というのは、当然必要なことですので、そういったカリキュラム、あるいは制度の確立というものが大前提であるというのは、私どもも全く認識を共有しているものです。
 それから古市委員からご質問のあった、日本からフィリピン、インドネシアに行く方がいるのかというのは、実績はゼロです。ただし、この経済連携協定というのは、基本的には相互対称性を持った規定となっておりまして、協定上は相互に送出しが可能な仕組みとなっております。具体的に受入れをすることになりますと、冒頭にご説明しましたように、送り出し調整機関と受入れ調整機関との間で、MOUという覚書を結んで、具体的な実施規則のようなものを定めることになっておりますが、それについてはまだ日本から相手国にという形での規定はありませんで、事実上はその部分は空振りになっているということです。ただ、経済連携というよりも、いま私の手元にデータがありませんが、日本からフィリピン、インドネシアに行くというのは、もしかすると技術協力で日本の先進的な部分を教授しに行くとか、例えばインドネシアの7年前の地震のときに救援に行くとか、そういった対応はあったと思いますので、経済連携協定という形以外ではあるかもしれませんが、協定上としてはそういった位置づけになっております。
 それから、9割が残れることになったというコメントをいただいた部分ですが、実は9割というのは最大9割で、実際にはご本人が希望され、受入れ施設も希望し、かつ改善計画を作って、それに基づいて滞在しようという方が残りますので、実際に残られる方はもっと少なくなるのではないか。実際にインドネシア人の第1陣は、この3月時点で93名がいらっしゃいましたが、6月1日までの3か月間で25名が既にさまざまな理由で帰国しているという状況です。
 最後にTPPについてのご質問がありました。いまのところ政府、私ども厚生労働省、外務省も含めてさまざまな形で情報収集中ですが、いまのところTPPでこれまで想定されていた人の移動は、ビジネスマンが経済連携の強化に伴ってさまざまな移動を頻繁に行うに当たって、入管上の手続を迅速化、簡便化するといったものが主に議論されているところで、特定の、特に看護師・介護士ということではないと聞いております。以上です。
○樋口委員 この制度の失敗というか、それがまさに合格率2%というところで、2%の合格率にしておいて、期間を1年延長するから許してくれということで、果たして国際的な連携を繋ぎ止めることができるのか、あるいは海外との信頼関係を、この制度1つとっても維持できるのかということについては、どうしても懐疑的にならざるを得ないと思います。今回については1年間延長せざるを得ない。これはしょうがないことだろうと思いますが、やはり制度の持っている根本的なところをどう考えていくのかというのが、この1年間をかけて考えていかなければいけないところではないかと思います。
 労働側から出てきた非常に慎重であるべきだということもあるかと思いますが、その一方で新成長戦略の中で、新産業の1つとして医療というのは入っているわけです。ましてや、かなりの海外の人たちが、日本で既に住むようになってきている。この人たちに対する医療のサービスの提供をどう考えていくのか。この間のニュージーランドの震災のときに、だいぶ日本の看護師の方々が向こうで語学を勉強しているというようなこともありましたので、そういったものの活用もあると思いますが、そこのところは考えておかなければいけない問題ではないかと思います。
 弁護士の活動を考えますと、国際業務についての特例が、この活動において認められているわけです。例えば海外の一定の国で弁護士の資格を持っている者については、日本での活動について、特定の仕事についてはそれを認めるとなってきているわけですし、またそのことが国際業務を円滑に進める上ではどうしても必要なことになっているのではないかと。
 この看護師とか介護士という問題をどう位置づけていったらいいのかという視点は、どうしても必要なことになってくるのではないだろうかと思います。今回については1年という緊急措置、応急措置という形で必要だろうと思いますが、これで問題が片づくとは思えません。だとすると、どうするのかという抜本的な制度について議論せざるを得ないだろうと思います。個々の問題ではないかもしれませんので。
○派遣・有期労働対策部長 今回のEPAの関係で2%というご指摘がありましたが、最終年で受験した人で取ると、もう少し高い率になるわけですが、それでも支援が足りなかったというタイミングに当たっていますので、相当低い率だということは反省しなければいけないと思っています。
 合格率が低い最大の原因は、はっきりしていまして、日本語能力がないということに尽きるわけです。ですから、入国の段階から、日本語能力をそれなりに高めて入っていただくか、あるいは日本語能力がある人をチェックして入れるということがきちんとできれば、合格率は間違いなく上がり、それでこの制度自体はきちんと動くと思っておりまして、今後はそういう方向で努力することをまずやりたいと思っております。当面そういう対応をきちんとやっていくことで、EPAは機能するのではないかというのが我々の考え方ですので、申し上げておきます。
○大橋分科会長 予定しておりました時間もまいりましたが、この案件については何かを決めるということではありませんので、今日は意見交換ということです。でも、皆さんはいろいろな意見をお持ちだと思いますが、時間がきましたので、これにて終了させていただきたいと思います。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代表の新谷委員、使用者代表の上野委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課

総務係: 03(5253)1111(内線5711)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第79回労働政策審議会職業安定分科会議事録

ページの先頭へ戻る