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2011年5月31日 第6回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成23年5月31日(火)14:00〜16:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(中央合同庁舎5号館19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

(参集者:五十音順、敬称略)

阿部未央、荒井稔、岡崎祐士、黒木宣夫、清水栄司、鈴木庄亮、山口浩一郎

(厚生労働省:事務局)

河合智則、神保裕臣、渡辺輝生、板垣正、西川聡子

○議事

○板垣中央職業病認定調査官 初めに、本検討会は原則公開としておりますが、傍聴される方におかれましては、別途配布しております留意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴いただきますとともに、参加者の自由な意見の交換を旨とする検討会の趣旨を損なわないよう、会議の開始前後を問わず、ご留意をお願いします。
 定刻になりましたので、ただいまから第6回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。
 先生方におかれましては、ご多忙中のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。なお、織先生、良永先生は、所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。また、補償課長の河合は、公務の都合により途中より出席する予定でございます。
 検討会を始めるに当たり、資料のご確認をさせていただきます。本日、ご用意させていただいた資料は、資料1「第6回における論点」、資料2「労働時間の取扱いに関する第4回の議論の概要」、資料3「論点に関する労災補償の現状」、資料4「論点に関する医学的知見」、資料5「ストレス評価に関する調査研究結果と『心理的負荷評価表』における平均的強度」、資料6「団体からの意見要望」です。資料の欠落等ございましたら、お申し出ください。写真撮影は以上とさせていただきますので、ご協力よろしくお願いします。
 それでは、座長の岡崎先生、よろしくお願いいたします。
○岡崎座長 それでは、第6回の専門検討会を始めさせていただきたいというふうに思います。それでは最初に、事務局から本日の資料のご説明をお願いいたします。
○西川職業病認定業務第一係長 それでは、資料1の論点1の関係について、まず最初に説明させていただきます。1頁目、資料1ですけれども、「第6回における論点」ということで、大きく分けて2つありまして、「1対象疾病、療養、治ゆ及び再発について」ということで挙げています。これは、平成11年の検討会の報告書でもこういった事項について触れていただいているところですけれども、その内容についてそれでいいかどうかをご検討いただくということです。
 「(1)対象疾病について、見直しの必要はあるか」ということですが、平成11年の報告書を基にいたしました現行の判断指針においては、対象疾病を示していまして、対象疾病は原則としてICD-10の第V章に分類される精神障害全て、基本的には精神障害の全てというふうにした上で、運用のところで対象疾病のうち、主として業務に関連して発病する可能性がある精神障害は、ICD-10のF0からF4に分類される精神障害であるとしております。F0は器質性、怪我をしたことなどによる精神障害、F1というのは精神作用物質、薬物による精神障害ですけれども、F0からF4のうち、F0及びF1に分類される精神障害については、他の認定基準等により頭部外傷、脳血管障害、中枢神経変性疾患等器質性脳疾患、いろいろほかの病気や怪我でそういった器質性の原因が起こったかどうかということの、そのもともとの原因の業務起因性を判断した上で、その併発疾病等として認められるかどうかを個別に判断するということを示しています。また、ストレスによって起こるということですと、F2、F3、F4ということで、F2は統合失調症の関係、F3はうつ病等の気分障害、F4はPTSD等のストレス関連障害などということですけれども、そういったものが主として業務に関連して発病するということを示しています。これについて見直しの必要があるかどうかということをご検討いただきたいと思っています。
 (2)は「どのような状態(時点)を精神障害の発病というかの判断が、適切になされるために留意すべき事項は何か」ということです。ICD-10とか、DSM-IV-TRの定義では、精神障害の発病ということで、その定義を厳密に見たときに、精神障害の発病と言えない時期に発病だと言ってしまっているケースがもしかするとあるのではないかと。これは、前回に検討していただいた「発病後の悪化の関係」でして、2ポツ目とも関連してまいるわけですけれども、特にどの段階で発病したかということが不明確なケースがある。そういったときに、多少眠れなかったとか、そういった些細な言動の変化を捉えて発病と判断したときに、その発病時期とした以降の出来事がうまく評価されないというようなことが起こってはいないかと。そういったものについては、前回の議論のときにも「別に対応すべきではないか」ということで挙げさせていただいていますが、そこを慎重にすべきではないか。
 具体的な定義の関係ですけれども、21頁、ICD-10を引かせていただいていますけれども、ICD-10の序論のところで、用語上の問題点、障害ということの定義が書かれています。最後の2行で「個人的な機能不全がなくて社会的な逸脱や葛藤だけというのは、個々に定義する精神障害に含むべきではない」と。個人的な機能不全、会社に行けないとか、そういったはっきりしたものがない段階で、ちょっと眠れないとかそういったことで発病をということを捉え過ぎるということがいかがかというようなことについて、どういったことに留意していくべきか。
 さらに、DSM-IV-TRですけれども、27頁、29頁に挙げています。27頁は全般の、冒頭に書いてありますが、軽症、中等症ですとか、そういったときの判断に、社会的または職業的機能に、軽症であれば軽度の障害、重症であれば著しい障害と、社会的または職業的機能障害が必要だというような形で挙げられている。29頁は、大うつ病エピソードの診断基準ですけれども、Cの「症状は、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている」ことが条件、必須の項目になっています。
 他の病気についても、それぞれこれに相当するような項目が書かれているわけですけれども、こういったことに留意すべきではないかと。ただ、またこれに留意しすぎたときの問題点というのもあろうかと思いますので、その辺り、どういったことに注意していくべきかということについてご議論をいただければと考えております。そういったことで、発病時期の明確化が図れればありがたいと考えています。
 (3)に、その他療養期間及び治ゆの考え方について、平成11年の報告書ではいろいろ記載されています。特に、主にア〜オまで挙げていますけれども、こういった事項について見直す必要があるかどうかということについてご検討いただきたいと考えています。平成11年の報告書の内容それ自体は、4頁にこの部分の引用を付けております。平成11年7月の報告書ということで、5「療養等」、(1)療養というところから始まっています。アが「業務によるストレス要因を主因とする精神障害にあっては、一般的には6カ月から1年程度の治療で治ゆする例が多い」とされていますけれども、これはいまでもこういった記述でいいかどうかということで、ご検討いただければと思っています。まず、この療養期間の関係についてはいくつか資料を挙げていますので、ここでご紹介をしたいと思います。
 先ほどの平成11年の検討会報告書というのは、労災認定入り口のところ、労災になるかどうかの検討をしていただいた検討会の報告書ですが、9頁にありますのは、後遺障害が残った場合に、どうやって取り扱うかに関する報告書です。こちらでは、「業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合概ね半年〜1年、長くても2〜3年の治療により完治する」という形で時期が示されています。
 また、資料3、18頁になりますけれども、実際にどれぐらいの期間で療養されているかを事務局のほうで調べたデータです。これは、平成17年度、ちょうど5年前に業務上認定した事案で、自殺の方ですとその後の療養はございませんので、自殺ではない、精神障害で生存されておられる方々のケースについて、その後どの程度労災保険の給付がされていたかということを確認したものです。これに該当する方は、この年度で85件いらっしゃったわけですけれども、「療養」ですと、大体1年までの間、左から3つ目までが1年までの間ということで、全体の40%ぐらいが1年の間に終わっている。いちばん右「5年以上」のところですが、現時点においても、まだ治っておられないというような方々が22%おられます。「休業」のほうで見てみますと、大体50%ちょっとが1年までの間に休業補償給付が終わっていたと。こちらもやはり「5年以上」になっておられる方が22%いらっしゃると。実態としては、こういった傾向になっています。
 さらに期間の関係で、医学的知見ということですけれども、43頁をご覧ください。43頁は、「現代臨床精神医学」ということで精神障害の教科書的な書籍ということで引用させていただいていますけれども、真ん中の辺、表の少し上ですが、「1回の病相期の長さは、単極型うつ病では治療されない場合は6〜13カ月」というようなことが記載されています。
 また、44頁は「PTSD 医の診断と法の判断」ということで、黒木先生からご提供いただいたところですが、先生が精神科の先生方にアンケート等をなされて調査された結果ですと、結論が48頁に載せてありますけれども、「適切な療養期間(症状固定時期)は2年ぐらいが適当という結果が得られた」ということです。後で、黒木先生からもご紹介いただければと思っておりますが、こういったような医学的知見をご用意しています。これらのことを参考に、いまの報告書の内容についてご検討いただければと思います。
 イですけれども、「社会復帰後にも服薬継続が長期間続けられることがあるが、疾患自体は治ゆしていると考え、アフターケア制度として療法が行われる必要がある」という記載があります。このアフターケア制度と先ほどの治ゆ、それから障害認定について簡単ではありますが、ご説明させていただきます。
 労災保険給付は、治ゆするまでの療養・治療費と、治ゆするまでの休業補償をお支払いするという仕組みになっています。この治ゆとは何かということですけれども、(4)の下にありますけれども、「治ゆとは、症状が安定し、疾病が固定した状態にあるもの」を言います。完全に治ればもちろんそれはそれでいいわけですけれども、完全に治らなくても症状が固定したという状態であれば、それは治ゆというふうに私どもは呼んでおります。○の2つ目、「疾病にあっては急性症状が消退し慢性症状は持続しても医療効果を期待し得ない状態となった場合」については、治ゆと考える。そうすると、そこで何かの欠損障害等が残る場合があるということになるわけですけれども、これは後遺障害ということで、障害補償の対象となると。一時金または年金の給付の対象となって、その後の休業補償は、逆に行われないという仕組みです。
 ただ、その後も一定の服薬ですとか、保健指導が必要なケースもございますので、もともとの労災保険の本体給付とは別に、アフターケアという制度を設けさせていただいています。それについては、資料1の参考2のところに記載していますけれども、「アフターケアは、傷病が症状固定(治ゆ)した後における保健上の措置として、必要な措置を行うもの」ということで、精神障害が対象の1つとなっております。
 精神障害については、後遺症状について増悪の予防、その他の医学的措置が必要ということから、アフターケアを行います。対象者は①〜④のなにがしか後遺症状があるということで、気分の障害等がある方については対象となってまいります。何ができるかということですけれども、3の(1)、原則として1カ月に1回程度の診察ですとか、(3)の精神療法、カウンセリングですとか、薬剤の支給、こういったものが対象になっています。健康管理手帳を交付して、この制度の対象になるのですが、最初3年間、その後毎年更新するという形でこの制度の対象としているところです。
 こういった制度として、両方を行うことができる。逆に、もともとの報告書で申しておりますのは、社会復帰後にも服薬継続が長期間続けられるというのは、治ゆ後のアフターケア制度でやる必要があるという書き方となっています。
 2頁のウ、精神症状が一定程度改善・安定した後、社会復帰を果たすためリハビリテーション療法等が行われることが通例であり、主治医がこのリハビリテーション療法等を終了した時点で治ゆとされると。4頁に具体的に書いてありますけれども、精神障害にあっては、薬物療法ですとか、カウンセリング等の精神療法、その後、社会復帰のためのリハビリテーション療法等が行われるのが通例で、このようなことが行われてそれが終わった辺りで治ゆと考えるというような記載になっています。
 エ、業務によるストレスによって発症した精神障害については、原因を取り除いて、適切な療養を行えば、全治する場合が多い。ただ、疾患によっては、先ほどの一定の症状を残したままの症状固定、完治はしていないけれどもこれ以上医療効果が期待がし得ないということで、症状固定という場合もあるという記載になっています。
 オ、こういった治ゆ(症状固定)をした後、再び発病をするというケースがあり得るわけですが、こういったケースは発病のたびに、その時点の業務による心理的負荷等を検討し、業務起因性を判断することが適当だということが記載されています。
 5頁の「繰り返す精神症状の認定」についてですが、一旦治ゆした精神障害が一定期間経過後、再び発病した場合、初回の認定の考え方と再び発病した場合を分けて考える必要はないと。この考え方としては、1回発病すると、発病しやすくなるという仮説もあるけれども、一般化できる理論として受け入れられているわけではないし、仮に受け入れたとしても、どの程度そうであるのかということは、評価が困難であるので、発病の都度、個別に判断する、初回と同じような判断をすることが適切だということで結論づけられています。
 こういった記述について、現在も維持すべきか、もしくは書き替える、書き足すような必要があるのかについてご議論をいただければと思っております。
 (4)、症状固定、治ゆとの関連ですけれども、寛解について示す必要はないか。特に寛解と治ゆ(症状固定)との関連について示すべきではないか。治ゆとは、先ほどご説明したとおりですけれども、現場のほうでも精神科医の先生方の皆様、寛解というような言葉をよくご使用になられるところです。これの寛解とは何かということについて、医学的知見の26頁、DSM-IV-TRの定義ですけれども、部分寛解と完全寛解ということが書いてありますが、完全寛解というのは、「その疾患の症状や徴候はまったく存在していないが、なお、その疾患を記しておくことに臨床的意味がある」と書いてありますが、いま症状は出ていないけれども服薬等が継続されているような状態等を指すものと事務局では理解しています。
 部分寛解というのは、多少の症状はあるけれども、いまはその疾患の基準を満たすほどの症状がないと。病気と言えるほどの数の症状がない。」というような状態を指すと理解しています。こういった寛解という状態について、症状がないということであればこれは治ゆに含まれると考えてよいかどうか、この取り扱いについて、役所で説明している言葉遣いと、現場で先生方が使っている言葉遣いのすり合わせをすると、現場のほうでもこういった治ゆの認定ですとか、そういったことについてうまく回っていくのではないかということで、示せるものなら示したいと書いてあります。その他、対象疾病とか、何か論点があれば、ご議論をいただければと思っています。
 論点2の関係は、後でまた議論が進んでから説明したいと思っていますが、資料6だけ先に説明したいと思います。これは、今日の論点に直接関連する部分もありますし、それだけでもないということですけれども、団体から意見、要望をいただいていますので、付けさせていただきます。51頁、働くもののいのちと健康を守る全国センターからいただいています。第1は、昨年労働基準法施行規則の35条の別表1の2、職業病のリストを改正して、この精神障害というのは、いままでその他枠でやっていたのを、規則の別表に列挙される疾病になりました。そういったことから、次頁のいちばん上ですけれども、例えば「複数の専門家による合議等によって行う」ことなどはやらないほうがいいという要望です。また、第2は、慢性的なストレスについて考慮されたいというご要望です。こちらは、ご紹介とさせていただきます。事務局からの説明については、まずは以上です。
○岡崎座長 ありがとうございました。それでは、先ほどもありましたが、黒木先生がお越しですので、少し説明をお願いできればと思います。
○黒木先生 それでは、説明させていただきます。これは、2つの調査で、まずは、医療機関11施設にある時点で通院している再来患者(労働者)に対しての調査。それから、精神科に所属している精神科医、責任者ですけれども、この調査で、事例調査は271名、精神科の責任者調査は、44頁のA②に書いてあるとおり、大学病院、自治体立、国立病院、都道府県労働局の労災医員と労災病院精神科の責任者に対してアンケート調査を実施しました。
 まず、急性期から病状が家庭内で安定するまでの適切な療養期間ということで調査をしたところ、事例調査では家庭内適応するまでの期間を3カ月間という時点で区切ると、統合失調症、適応障害、反応性うつ病、この3つの疾患は全て8割が回復すると。うつ病は6カ月以内の回復は74%という結果でした。
 リハビリ勤務、家庭内で安定して、それからリハビリ勤務までの期間を1年で区切ると、1年以内に職場に戻れるという方は、全体の82%がリハビリ勤務に至っているということでした。それから、症状固定をどの時期にするかということですけれども、これは1年以内に症状固定となった事例について考えると、統合失調症と適応障害が5割、反応性うつ病が7割、うつ病が6割という結果でした。
 ここで、4つの疾患に分けて調査をしたわけですけれども、統合失調症、適応障害、反応性うつ病、うつ病という形で調査をしました。そして、PTSDももちろん調査をしてあります。見解のところでは、PTSDは事例はそれほど多くなかったのですけれども、これで見ると、適応障害が意外と症状固定するまでに、非常に時間がかかっていました。これは、ICD-10の適応障害の基準からいくと、診断基準は、1カ月以内に環境の変化があって、その環境に順応しようとしても順応できないがために、いろいろな精神症状が出る、不眠、不安、抑うつとか、そういう症状が出る場合は、適応障害と診断されるわけですけれども、ICD-10では、環境をストレスがかからない状況に戻しても6カ月以内、その診断が大体6カ月過ぎても症状が消えない場合には、別の診断名を検討しなければいけないと書いてあるわけですけれども、これは5割なかなか治らないということは、結局、治療的な観点からいくと、環境の変化、治療をして、環境の改善とかそういった治療の結果がなかなか治らない。そうすると、これはむしろ本人の、いわゆる個体側要因のところに治療の焦点を当てていくということで、どうしても長引いていっているのではないかということが推測されました。
 46頁のC、精神科責任者がどのように療養期間を考えているかという意識調査をしました。これも、統合失調症、うつ病、反応性うつ病、神経症、災害神経症、PTSDについて聞きましたけれども、これも薬物が奏功する場合と奏功しない場合と2つに分けて結果を聞きました。こういったものを総合して、先ほどご説明があったように、精神障害の適切な療養期間としては、急性期から安定するまでの期間としては、3カ月〜6カ月が妥当であろう。精神症状が落ち着いて、職場復帰が可能となるまでの適切な期間、リハビリ勤務可能時期、これは1年以内が適当であろうと。それから、症状固定時期は2年ぐらいが適当だろうという結果が得られました。以上です。
○岡崎座長 ありがとうございました。論点1の中が、先ほどのように4つ、5つに分かれておりますが、その3番目のことに関係した資料を説明いただきました。後のほうでご説明いただければよかったのですが、申し訳ございません。事務局からの論点の1の中では、最初に対象疾病について、現在ではF0からF4までとなっていますけれども、これでよろしいかという問題なのですけれども、これは大方意見が一致するのではないかと思いますが、特に何か、変更したほうがいい点等ありますか。F5以下の障害が出る可能性が。一応ICD-10の第5章全体を対象にはしておりますけれども、主にはF0からF4。F0、F1は、原疾患のほうの業務起因性をはっきりさせた上で、その結果として起きているのがF0、F1の障害ですので、まずはそちらの器質疾患、脳器質疾患の場合には、業務起因性を判断した上で、その結果として生じる精神障害、F0、F1について判断をするということですが、それを含んでのF0からF4ですが、いかがでしょうか。これは、臨床の先生方のお二人のご意見をまず伺ったほうがいいかと思いますが、荒井先生、いかがでしょうか。
○荒井先生 原則はこれでいいと思いますが、発達障害の問題が出てきます。そこは現在の治療、あるいはリハビリテーションの状況を考えると、働いておられる発達障害の方がたくさんいますので、発病というか、事例化と言ったらいいのか、そういうことが提起される可能性はあると思いますので、F0からF4までに限るということではなくて、原則として限る、「原則として」という言葉をつけておいたほうが適当ではないかという気がします。
○岡崎座長 ご存じのように、発達障害は成人する前から既にその問題を持っておられるのですが、ストレスが関与して、事例化といいますか、あるいは、合併の障害を起こす場合もあります。事例化の場合、特定のF0からF4の障害と診断される場合とされない場合があるのでしょうね。
○荒井先生 事例化した状態、現疾患としては発達障害で、表現型としては、F2、3、4の中に、合併症といいましょうか、非起因性の精神症状として出てくると考えれば、いまのこの記載でいいと思いますが、あまり厳密にしてしまうと、発達障害であるから除外するということになるとまずいと。
○岡崎座長 発達障害という診断がつけられるから、対象から除外されるわけではないことを確認しておけば、そのときに事例化して生じた状態は、多分、ちゃんと診断できるであろうということですね。
○山口先生 発達障害という症状が出てきたならば、いま使っている評価表などでそれを認定していくことができるのですか。ちょっと知識がないものですから。いままでの、F0からF4と違ったタイプの疾病でしたら、この評価表を使って評価をしていって、認識することがうまくできるのかどうかということです。
○荒井先生 原則としては可能だと思います。もちろんテーマは代わるかもしれませんが、非常に弱いストレス下で発達障害が事例化していくケースはあると思いますが、それは労働災害には相当しないと考えます。基礎があるにしろ、精神症状、要するに、それまで生活されているわけですから、日常生活を通じて社会生活をされている方が、できなくなったときの出来事を評価することになるかと思います。それはいまの出来事を当てはめて検討するということだろうと思います。発達障害ですぐには脆弱性とは言えませんが、脆弱性を持った方にあるストレスが加わったときに発症してきたのと、同じスキームが使えるのだと思います。
○黒木先生 もともと発達障害は生まれつきという形で考えられているわけですが、その発達障害の人は能力も非常に高くて、入社もして勤務をされていると。これは通常よく見られることで、そして、入社して、例えば、しばらく経って事例化していく。すると、職場環境が影響したり、業務内容が影響したりすることが当然あるわけですから、事例化のところの発病が、例えば、身体化障害であったり、不適応であったり、適応障害であったりと、その部分を評価すると考えればいいのではないかと思います。
○岡崎座長 発達障害と知能障害は診断の軸を複数使っていまして、通常の診断は私どもが使っているICDではなくてDSMというアメリカ精神学会のものですが、そこはICDと違っています。いわゆる幻覚とか妄想といった症状を満たしたものを病気として診断するわけですが、それを1軸にして、発達障害とか知能障害は2軸に診断しているわけですね。これは何と表現したらいいかわかりませんが、持続的な特徴ということで。2軸に発達障害と診断される方が、例えばうつ病になったということがあり得るわけです。そういう診断が可能なわけです。
 ただ、ICDは全部1軸なものですから、ちょっとややこしいです。しかし国際的にも、発達障害や知能障害は持続的傾向で分けて、一緒に診断してもいいとなっていますので、そういった考え方に立ってこれを理解すれば、先ほど荒井先生が言われたように、発達障害を持っておられる方が何らかのストレスである状態を呈した場合、それは通常F0からF4で診断できますので、基本的にいままでと変わらないシステムで対応できると思います。そうすると、発達障害という診断、知能障害という診断も同じですが、対象から除外しないという表現をどこかに加えればいいかと思います。
 ということで、いまの荒井先生の問題提起は対応させていただいて、他にはいかがですか。清水先生、何かありますか。よろしいですか。
 他の対象疾病についてよろしいですか。なければ、これはこのようなことで、原則として変えないでいきたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは(2)で、発病時期をより適切にするにはどうしたらいいかですが、なかなか難しい問題です。どうしたら発病時期を明確化できるかですが、メディカルなサイドでご検討いただいたほうがいいかと思います。発病時期が不明確なケースは、先ほどおっしゃった具体的な症例が挙げられますか。
○西川職業病認定業務第一係長 具体的な症例ではないのですが、会社でいろいろな出来事があった後、実際に医療機関に受診するのが相当遅れるケースは普通にありまして、基本的にいまの判断指針が発病の時期を決めて、その発病前概ね6カ月の出来事を評価することになっています。必ずしも初診日を発病時期としているわけではなくて、主治医の先生のご意見を伺ったり、部会の先生方にご検討していただいたりして、本人にどういう状態があったかというような聴取なども参考にしていただいて、例えば、初診は12月だが、実際の発病は、10月だった、9月だった、4月だったというような形で判断していただいているケースは多々あります。ただ、その判断のときに、どういった症状を捉えて、どこまで遡ることが、たくさんやるべきなのか、慎重に検討すべきなのか、そこは事例にもよっていろいろなのでしょうが、そういったところでご検討いただければと思います。
○岡崎座長 そうですね。例えば、ICDもDSMも、両方そうですが、うつ病と診断するには、一連の症状のうちのいくつぐらいを満たせば、軽症と言おうとか中等症と言おうとかなっていますので、通常は軽症でも、満たす段階に至ったら発病と。そういう考え方でやっているわけです。もちろんその前にも病態の始まりがありまして、どの時点を発病とするかというのはなかなか難しい問題なのです。それぞれの病気について、軽症であるが、明らかにその病気だと診断できる状態が始まった時点を発病というのでしょうか。どうなのですか。
○黒木先生 非常に難しいですね。症状が見えるか見えないかということもあるし、本人が話さないと症状がわからない場合もあり。あるいは、言動の変化がないと症状がいつから出ているのかも推測できない場合もあります。しかし、診断基準からいくと、ある項目がいくつか存在して、これはうつ病であるという診断になっていくわけですが、必ずしもその症状の存在がわからないということが当然あるわけです。しかし、症状はわからないが、何らかの変化が発症時期と推定されれば、そこを発症時期と考えていくしかないのではないでしょうか。、やはりこれは事例、事例で扱っていくしかないと思います。逆に、症状が見えないからここは発病していないというのは、それはある意味ではまずい気がします。
○岡崎座長 医者仲間内ではそのとおりなのですが、なかなか。
○渡辺職業病認定対策室長 窓口に行かれたとき、ご本人はそれなりの不調を訴えて来られるのだと思いますが、その際に診察をして、この人はまだ精神障害に該当するような状態にないと。ご本人はいろいろおっしゃっているが、まさに発病していないというケースはそれなりにあるものですか。
○黒木先生 滅多にないですが、あります。だから、これは薬物治療を必要としないのではないかと。本人は、何かおかしいとか言いますが、中には、薬物治療をしたり、精神科の治療をすべきなのかというところで迷う事例はあります。しかし、カウンセラーの所に回して、半年ぐらいして事例化していくこともあるので、やはりここはいちばん難しいところですね。
○渡辺職業病認定対策室長 保険制度の問題もあるのかもしれませんが、多分いまの保険制度だと、病気でない人に治療するなり投薬することができない仕組みになっています。そういう意味で、まだ病気とはいえないが、不調を訴えているのなら何か薬をあげるとなると、やはりそれは建前で病気になるというケースもあるのですか。
○黒木先生 不調があれば、それに対して薬物を投与するわけですから、そこは本人が苦しいと訴えて、やはり治療も必要だということになるわけですから、それは発症していると考えていいかもしれません。
○渡辺職業病認定対策室長 そういう意味では、本人が何らかの不調を訴えている状態であれば発症と見るのが普通であると。
○黒木先生 それから、本人が意識していないということもあります。本人は、まだ大丈夫だと、臨床的には救いを求めていないと。しかし、現実にいろいろな日常的な変化が出てきている場合、それはやはり発症しているのかもしれないわけです。外側から見ると、本人の中で起こっていることが見えないし、なかなかわからないことがあります。でも、臨床的な立場からすると、この人は本当に病気であるか否かを常に考えて、治療もそれに応じてすることになるわけです。だから、例えば訴訟などでも、発症の時期というと必ず論争になるわけです。どこで発症しているのか、それで、発症の時期が食い違うと。食い違うことによって出来事の捉え方も違ってくる。でも、例えば、自殺の事案は医療機関にもかかっていないとなると、どこで発症しているのかは非常に難しいです。だから、症状が顕在化していく過程、揃っていく過程である症状が出ているということであれば、臨床的にはそこも疑ってかからなければいけないと思います。
○岡崎座長 そういう側面もありますね。なかなか難しい問題ではありますが、病気を疑うに足る症状が、病気というのに十分な程度の症状が揃った時点を採用するしかないと思います。それはその場で即断できない場合もありますが、労災の認定においてはいろいろな角度から総合的に検討されると思いますので、通常、ICD-10を採用していますから、ICD-10でいうところの疾病と診断されるのに十分な症状が出揃った時点を発病時点と言うしかないのではないかと思います。これを採用している以上は。
○清水先生 そうですね。そういった問題だと思いますが、発病の時点を何月何日に決めるのは、いまの時点から過去に振り返っていくので、非常に難しいと思いますが、その中で今日、事務局のほうから少し触れていただいたように、機能が障害されているという言い方があると思います。ですから、明らかに社会的な機能が障害されている、つまり、仕事の機能が障害されているという意味では、症状のために、出なければいけない会議に出られなくなったとか、あるいは遅刻とか、欠勤せざるを得なかった、早退せざるを得なかったというところが、明らかな時点ではあると思います。ただ、軽症の機能障害は、本人がすごく耐えながら職場に行っていたり、非常に我慢しながらしんどい会議に出たりしているところを、どうその時点と判断するかが出てくると思います。そのあたりの問題があると思いますが、キーワードとしては、機能が障害されている。先ほど読んでいただいたように、機能の障害も、軽症、中等症、重症とあるので、確かにそういった判定で時点を定めることになってくるのかと思いました。
○岡崎座長 そうなのです。いま清水先生が言われたように、機能障害を必須というか、明確でないといけないとしますと、軽症うつ病の場合は、症状が充足していても周囲も気づかないことが結構多いのです。そうすると、明らかな機能障害というのを求めて、例えば、職場に行けないとか。中等症のうつ病でもがんばって行っている方もたくさんいるわけで、そういったことは難しいですね。単なる葛藤とかでは、そう診断してはいけないという記述もありますが、どうもそれを機械的に適用できないと思います。複数の医師の判断、先ほど批判的なご意見もありましたが、そのあたりを総合的に検討しないと、発病時期というのは難しいところがあると思います。
 いま議論されたことを勘案していただいて運用していくしかないかと思いますが、いかがでしょうか。では、発病時期については曖昧な議論のところも残っていますが、それ以上詰めても、よほど詳細なデータを出さない限り難しいと思いますので、それで終わらせていただきます。
 1の(3)療養期間と治ゆの考え方です。これはなかなか難しい問題を含んでいます。先ほど、黒木先生のデータを含んで見解をご紹介いただいたわけですが、それについていかがでしょうか。最初のアですが、療養期間の目安について、「6カ月から1年程度の治療で治ゆする例が多い」という記述になっています。先ほどの先生の案だと、病気によっても違いますが、8割方回復するのにあれだったですかね。先ほど示されたのは、「急性期から家庭内で病状が安定するまでの適切な療養期間」、統合失調症、適応障害、反応性うつ病の3つの疾患は、3カ月で8割の患者が回復するのではないかと。要するに、家庭内で安定するまでいくのではないかということです。その後、「リハビリ勤務が可能となるまでの適切な療養期間」ということで、1年ぐらいで8割ぐらいいくのではないかと。それから、症状の固定までには、統合失調症、適応障害については1年で5割ぐらい、うつ病は6割ぐらいである、といったデータでした。
 最後に総括的に、家庭内療養期間(急性期から安定する期間)が3〜6カ月、精神症状が落ち着き職場復帰が可能となるまでの適切な療養期間が1年以内、それから、精神疾患の適切な療養期間(症状固定時期)は2年程度が適当ではないかとまとめています。そうすると、アの療養期間というのは、先ほどの説明によると、これはアフターケアに移行するまでだから、その前の期間ですね。
○西川職業病認定業務第一係長 そうですね。
○岡崎座長 そうすると、先ほどの黒木先生の進めでいうと2年ぐらいになるのですかね。現在は6カ月から1年程度の治療で治ゆする例が多い。治ゆした後はアフターケアの対象になるわけですね。6カ月から2年程度にしたほうがいいかどうかという問題ですね。
○荒井先生 1つ別の観点で、治ゆするまで1年程度と。これは補償上の治ゆではなくて、仕事ができるという意味での治ゆですが、保険のデータを取ったとき、回復される方は大体1年ぐらいでほとんど回復されている。それ以降は復職される方が減るというデータがあります。ですから、1年ぐらいが療養して仕事ができるぐらいに回復するまでの1つの基準ではないかという発表もあるので、回復される方の場合、療養期間としては概ね1年を目安にしていいかと思います。
○岡崎座長 先ほど黒木先生からでも、リハビリ勤務が可能になるまでの適切な療養期間が1年ぐらいですね。
○荒井先生 そうですね。
○岡崎座長 そちらを表現するべきでしょうか。
○荒井先生 はい。
○岡崎座長 ただ、労災でいうところの療養期間は多分。
○西川職業病認定業務第一係長 補償の観点。
○岡崎座長 そうです。補償の観点からの表現であるとすれば、アフターケアに移るまでの期間をいうのですね。
○山口先生 そうなのだけど。
○岡崎座長 リハビリが終わるまでですか。リハビリが終わっても、症状が残っていればただちにアフターケアに移るわけではない。その対象になりますね。
○西川職業病認定業務第一係長 実際には、それぞれ事案によって、主治医の先生のご意見を伺いながら、症状が固まっているかというようなことをお伺いしてやっているのが実情です。2頁のいちばん上のウに書いてあることなどは、平成11年の報告書に書いてあることを文字どおり読めば、最後はリハビリテーション療法を先生方は行われますと。それが終了した段階では、普通は治ゆですと。その後はアフターケアですと記述しています。
○岡崎座長 そこまでが療養期間ですか。
○西川職業病認定業務第一係長 そうですね。
○岡崎座長 リハビリも含んだ。
○西川職業病認定業務第一係長 リハビリテーションも含んだ療養期間というふうに。
○岡崎座長 それで治ゆするわけですね。
○荒井先生 もしかしたら後遺障害が残っているかもしれませんが、就労するまでの回復をされる方の場合はリハビリテーションも終わっていて、投薬等はなされていることが実際あるかと思います。寛解維持療法はされているが、就労はできるという方が大体1年以内に戻っておられます。これは労災補償の対象の方ではなくて、一般に、病気によって休業されている方の復職についてのデータです。ですから、後遺症があるなしに関わらず、1年ぐらいが1つの目安になる、狭義の治療といったらいいでしょうか。
○黒木先生 職場復帰をして、そして、リハビリ勤務までが大体1年という、先生方のご意見と、それから、実際の事例も、大体そういうふうな結果であったわけです。要は職場に戻って、やはり業務の配慮をしなければいけない、それから、残業時間も禁止にしなければいけない、出張も禁止にしなければいけない、いわゆる就業制限をかけなければいけない状況はどの程度続いて、本当に通常勤務が可能であるという時期にはもうちょっと長い期間がかかります。そこをアフターケアに移行する期間として考えるのであれば、もうちょっと長くてもいいかという気がします。
○渡辺職業病認定対策室長 ここのウに、リハビリテーション療法と書いてあります。療法というと、多分治療の一環ですね。最初は短い時間から始めて、徐々に延ばしていくということもそういうのに入るのかもしれませんが、そういうような状態は、まだ治療中ですね。職場には行っていて、最初はほんの数時間の勤務から始めて、徐々に延ばしていって慣れさせていく。これはまだ治療中ですということが前提になって書かれているのかと思いますが、そういう認識でよろしいですか。
○荒井先生 会社における制度はいろいろあるかと思いますが、例えば、よくやられているリワークという事業で申しますと、リワークが終わった時点で治療としてのリハビリテーションは終了していると考えていいかと思います。
○荒井先生 リワークが終わった時点で。
○黒木先生 終わった時点ですね。
○荒井先生 復職された時点では、先ほど申し上げましたように、狭義の治療は終わっていて、もしあるとすれば、寛解維持療法はあるかもしれないが、それは人さまざまであると。
○黒木先生 職種によってもずい分違うと思います。ですから、会社によっても、リハビリ勤務をどの程度の期間、認めているかはかなり差異があります。例えば、学校の先生などだとリハビリ勤務はかなり長くなりますね。だから、その間は審査過程を通って、そして、通常勤務になるところまでをリハビリ勤務とするのであれば、やはり半年ぐらいは猶予期間がある気がします。だから、それを含めると、1年というよりも、もうちょっとゆるやかなほうが私はいいかという気がします。狭義の働くという時点では荒井先生のおっしゃるとおりだと思います。
○荒井先生 私のデータは民間のデータですので、それは、短くて結論を出しているというか、出さざるを得ないといったほうがいいでしょうか。
○黒木先生 民間でもいろいろあって、例えば、原則でも就業規則で6週間以上のリハビリ期間は認めないという所もありますし、大体3カ月ぐらいはいいだろう、あるいは、6カ月ぐらいまでは認めるという所もあって、さまざまだと思います。
○岡崎座長 いかがでございますか。この表現を少し長くしたほうがよろしいですか。それとも、6カ月から、多くは1年程度のという表現にするとか、あるいは、1年半とかいうのも出そうですが、皆様の意見では、2年だと長すぎるという感じかもしれません。
○黒木先生 症状固定ということを考えると、私はそれぐらいあってもいいのではないかという気がします。
○岡崎座長 何も短くする理由もあまりないかと思います。
○黒木先生 むしろ5年以上の長期療養者には症状固定か否かを検討するとか、それをきちっとやったほうがどうかという感じがします。
○山口先生 それと、直すとしたらどこがいいでしょうか。いちばんの焦点になりますか。これの前の検討委員会の表現と、今日ご紹介いただいた、黒木先生の、症状固定期間が大体、ここがずれているような気がします。まずここを修正すれば中身の検討も考えられます。
○黒木先生 症状固定という、時期の考え方ではないかと思います。いま、治療そのものは平成11年度のときと比べてずい分変わってきていると思います、特にうつ病の場合は。平成11年ごろ、リワークとか、リハビリ勤務とかいったことはあまりなされていなかったと思います。いまは企業の側も、あるいは、会社の職場の側もそういったことをかなり認識して、個別に合わせてリハビリ勤務のプログラムを立てていますので、各都道府県の職員でもそうですし、だから、その辺が結構長くなっているのです。
○山口先生 この前の11年の文書は、6か月から1年程度の治療で治ゆという、この治ゆというのは、たぶん症状固定ということでしょうね。
○岡崎座長  従来からそんなに短くは考えていなかったのではないですかね。
○黒木先生 でも、一応治ゆですから、治るということですね。
○清水先生 その治ゆ、ここは寛解のような感じがするのです。一般的に6か月から1年程度の治療で、精神科医としてはここで寛解する例が多いと。精神科医にとっては治ゆとか、症状固定という言葉が、非常に合いづらい言葉ですので、そういう意味では次の4番の話題になるかと思いますが、確かに6か月から1年程度で寛解には持ち込めても、治ゆとか症状固定という話になると、1年ぐらい診ないとというような感じで、いまお聞きしていて思いました。
○山口先生 それだと先生方がご指摘になっていますように、最近、会社でも職場復帰プログラムを持っている所は多くなってきていますから、このあとに「しかし、職場復帰には、なお特別な配慮とプログラムが必要だから、それを考慮して判断することが必要だ」というような文章を入れたらいいのかなという気がします。
 黒木先生がおっしゃいましたように、会社によってまちまちだと思うのですが、就業規則などを見ますと、大企業などでは、大体2年の休職を認めていて、1年6か月経った辺りから職場復帰プログラムみたいなものを、リハビリテーションという言葉でやっている所が多いようです。1年の会社もあるように思いますが、そのときには職場復帰プログラムは1年が終わってから始めている所が多いように思います。2年の中でやっている所が多いように思います。
○黒木先生 休職期間は勤務年数によると思います。だから、入社して間がない人は、例えば8か月とか、会社にもよるのです。会社によっては入社してしばらくして発病しても3年ある所もあるし、さまざまではないかという気がします。でも、休職満了の前に復職をさせるというのが基本です。
○山口先生 復職できるようにするためには、職場復帰プログラムが必要だという認識が進んでいますので、これはどこかで出したほうがいいような気がします。
○岡崎座長 そうですね。ここで療養期間を延ばしただけで労災を受けられる方にとってメリットがあるかというと、あまりないかもしれませんね。ここだけ延びても職場の補償が、期間が短いとかえってマイナスになってしまうこともあるかもしれません。
 ということですが、どういたしましょうか。いわゆる療養期間というのはもう少し長めの場合も少なからずあるように思いますので、このままでやりますか、それとも1年半程度という中間的な数値に変えるか、あるいは先ほどの2年程度まで延ばすかです。
○黒木先生 実際の支給期間別の労災補償状況を見ると、1年以内、半分でいいですよね。半分で症状固定になっているということですよね。だから、半分は症状固定になっていないと考えると、どの辺までを考えるかということですね。
○岡崎座長 18頁ですね。
○黒木先生 はい。
○阿部先生 18頁の表で確かに6か月未満の方が半分ぐらい多いのですが、山が3つあって、長くかかっている方も結構な割合でいることも見逃すことができないので、療養期間を広く取る方向で考えたほうが労働者にとっては。もちろん早く治った方はそれで済むのでいいと思います。
○岡崎座長 そうですね。療養期間をなるべく多く含むようにするほうがいいのですかね。
○渡辺職業病認定対策室長 いまここで何年経ったら払いませんよという基準を決めるわけではないのです。ただ、考え方を、できればこの状態になったら、労災保険法でいう治ゆと考えられますというものが打ち出せればいちばんいいわけですよね。この状態というのができるだけ具体的になれば、それがいちばんいいのだと思っているのですが。それは期間的なものでなくてもいいと思います。
○岡崎座長 これを期間で表現しているから、むしろいまみたいな。
○渡辺職業病認定対策室長 ここでは「多くは」と言っていますから、「多くは」というのは50%を超える事例はその期間で治っていますということを単に言っているのですが。
○岡崎座長 では、そういう表現にしておくほうがいいですね。
○清水先生 先ほど黒木先生からご説明していただいた48頁の精神障害の適切な療養期間という表現が、非常に合っているように思います。家庭内での療養期間が3〜6か月で、リハビリ勤務の可能時期が1年以内にきて、症状固定時期が2年というような段階的な書き方をしていただいたほうが分かりやすいと思います。
○岡崎座長 これをそのまま採用させてもらうというのは。
○清水先生 というのは、いまお聞きしていたところです。
○岡崎座長 なるほどね。データがあるものですから。
○清水先生 従来私どもが寛解と言っていた表現を、イコール治ゆとされていると、昔のあの表現になってしまうと思うのですが、症状固定と寛解は症状が治まってきているときは、かなり違う状況だと思いますので、こういった「リハビリを始める時期」という表現があったほうがいいと思います。
○岡崎座長 そうですね。そうすると、先ほど山口先生が言われた社会復帰プログラムが必要である、職場復帰プログラムが必要であるということも含まれていますしね。そういう方向で事務局に考えていただきましょうか。時間の関係で次へ移らせていただきます。
 イは、社会復帰後にも、アフターケア制度のことですね。これはこのまま設けてよろしいのではないかと思いますが。アフターケアについては先ほどご説明がありましたが、この体裁を置いておくほうがよろしいのではないですかね。それでは、そのようにいたしまして、ウに移りたいと思います。
 治ゆの場合。「リハビリテーション療養等を終了した時点で治ゆとされる」という表現になっていますが、これもよろしいのではないかと思います。阿部先生、よろしいですか。
○山口先生 これは先ほど清水先生が言われたコメントに矛盾しませんか。
○岡崎座長 矛盾しますか。
○山口先生 清水先生が言われたのは、48頁の黒木先生の文言のうちですが、リハビリ勤務の可能時期は1年以内となっていますから、先生方がご覧になればよくおわかりかもしれませんが、わからないのです。
○清水先生 これはリハビリ勤務の可能時期が1年目に入って、そこから1年ぐらいかけてリハビリと考えていただくのが1つかと思いますし、たぶん最短のコースだと3か月間家庭内で療養して、4か月目からリハビリ勤務が可能な方もいます。1年以内にリハビリを始めて、その方の場合だと2年ぐらい症状固定まで見えるという方もあるかと思いますし、半年ぐらい家庭で療養して、そのあと7か月目からリハビリ勤務を始めた方が、1年ぐらいをリハビリに費やすということで、症状固定時期が2年と。リハビリの期間にどのぐらいかけられるかということでしょうかね。
○山口先生 勤務という言葉が入っていますから、常識的に見れば、先に主治医のリハビリテーション療法があって、それが終わってからリハビリ勤務可能時期がやって来るのではないかと素人判断では思われます。
○岡崎座長 先ほどの黒木先生の文章も、あのとおり引用するのではなくて、幅を持たせた表現にしていただかなければいけないと思いますので、そこで解決するようにいたしましょう。また案が出てきた時点で検討いただきたいと思います。
 段階としてはリハビリテーションを経て、治ゆとされると。社会復帰を果たすためにはリハビリテーションをしなければ社会復帰できないみたいな表現になっているので、リハビリテーション勤務というのは並行してやっているような考えですから、その表現はちょっと工夫しなければいけないかと思います。いずれにしても、そういうことで文案は作っていただいて、また検討したいと思います。それではエに移ります。
 一定の症状を残したまま症状固定となることもあるということは、実際にそういうのもありますので、このままでよろしいでしょうか。これはそのままにいたします。
 オがちょっと難しいのではないかと思います。「精神障害が治ゆした後、再び発病した場合、発病のたびにその時点での業務による心理的負荷を検討し、業務起因性を判断する」と。これは難しい問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発病のために業務起因性を判断しているわけですが、これもよろしいですか。では、オまでは検討いただいたということで、(4)に移ります。
 先ほども出てきましたが、「寛解」について何らかの記述が必要ではないかという問題ですが、労災保険でいう治ゆ、ないし症状固定との関連を示さなくていいのかというのが、ここの課題ですが、いかがでしょうか。寛解及び部分寛解が治ゆ、症状固定の中には含まれているのですかね。
○清水先生 そうですね。例えばウに書いてあった「精神症状が一定程度改善・安定した」というところが寛解ということで、そういう表現を入れていかないと、例えば自宅で療養して寛解し、そのあと、また職場でうまくいくかということがあると思いますので、寛解という言葉があったほうがいいと思います。
○岡崎座長 そうすると、どういう入れ方をしますかね。ウに「精神症状が一定程度改善・安定した(寛解)後」とかしますか。寛解は部分寛解ですか。寛解が主語で部分寛解ということになるわけですね。
○山口先生 それよりも(4)に出ている昭和23年の通達の表現をいじるか、いじらないかです。医学的にはともかく、法律的には症状固定ということになりますと、療養補償給付から障害補償給付に変わりますから、その時点は明確に判断できるようなものでなければいけないので、そこがいちばん厄介なところですね。
○岡崎座長 ここに軸が違う考え方の寛解というのを、あえて入れる必要があるかということになりますね。「治ゆとは、症状が安定し、疾病が固定した状態にあるもの」。入れるとすると「寛解を含む」とかということになるのですかね。
○西川職業病認定業務第一係長 1つ確認ですが、寛解という状態というのは、その段階において症状がない状態であるということは、そういった理解でよろしいですか。
○岡崎座長 そうですね。
○西川職業病認定業務第一係長 先ほど清水先生が言われた家庭内でも寛解していても、職場でできるかどうかは分からないというのは、そこはうまくいかないかもしれないということ、それ自体は症状とは見ていないで、その前の段階で寛解という言葉は通常使われているのですか。
○黒木先生 いろいろです。例えば再発とか再燃などのときに前にも発病している。薬だけは飲んでいる。でも社会生活もちゃんと行われていると。これはやはり寛解の状態だったとして、次の発病の時点を本当に業務要因があるかどうかという検討をするとしているのが現状だと思います。だから、ある程度寛解というのは、社会的に症状が多少あったとしても勤務ができている。それから薬を全く飲んでいないというのが本当に治ゆということになりますが、薬も本当に固定して、例えば、1日1回しか飲んでない場合とか、しかし、勤務生活もできているという場合は寛解状態と判断して、いまは業務上外の判断をしているのだろうと思います。
○荒井先生 寛解といった場合には、先ほどのお話にもあるように、ちょっと脱線しますが、家庭内寛解、あるいは院内寛解などという言葉もあります。病院の中で症状が安定していると。
○山口先生 それは俗語ですか。
○荒井先生 いいえ、論文があります。「院内寛解」という論文があるぐらいで、昔は長期療養をしていて、その中では安定している。ところが、家庭に戻ると、また増悪して入院するケースがあるものですから院内寛解と言い、家庭内寛解があり、職場内寛解がありということなのだろうと思います。ステージはタスクによって、かかる負荷によって寛解を維持できるかどうかを考えなければいけません。そのためにリハビリテーションというものを使って、なるべく負荷が急にかからないという担保をとっているのが現在の状況だろうと思います。
 
 ですから、薬を飲みながらであっても仕事ができる状態を医学的には寛解と考えますが、補償上はそうではなくて、もし寛解という言葉を使うのであれば、症状が一定程度安定して家庭での生活が通常にできる場合まで含めないと齟齬が出てくるのだろうと思います。
○鈴木先生 2つの概念があると思います。医学・生物学的な異常性の小→大のスケール(尺度)、インペアメントスケールと言いますが、それとアビリティスケール、ディスアビリティとも言いますが、それが家庭生活、社会生活、職業生活で、医学・生物学的異常がどう機能するかというスケールです。
 インペアメントスケールとディスアビリティスケールは、質が違うので、いつも2つを考えていなければいけないのですが、インペアメントスケールで異常が極端になると、ディスアビリティ(不自由)も大きくなる、強くなるということです。
 寛解というのは質的に分けると、医学・生物学的なスケールだと思います。症状は急性期にキィーッとなって、どうにもならないような、緊張している状態から、だんだん解けてくるというのは寛解で、それがさらに時間が経って症状が固定してしまって、薬は飲んでいるかもしれませんが、はかばかしく反応しないような状態になる。やはりインペアメントスケールの中で考える。
○岡崎座長 そういう医学的概念と理解したのですが、最近出たアメリカの寛解の基準には、機能レベルが入っているのです。ディスアビリティが入っているものだから、ちょっと混乱をしているわけです。あまり明快に言いにくいところですが、ここにある治ゆの中には含まれているのですかね。
○荒井先生 部分寛解が含まれています。
○岡崎座長 だから、寛解について触れると、かえってややこしくなるのではないかという気がするのです。
○山口先生 もともとはわりと簡単な話で、労災ですから災害事故は怪我だったのです。怪我だから、創面がとれて治ゆしたと。それが症状が固定した、それが治ゆだというのは非常にわかりやすかったのですが、だんだん職業病のほうに入ってきて、病気が治るというのは、日常用語か日本語で何と言えばいいのでしょうか。その言葉が使えないかどうかです。
 そして、もう一段先に、病気が精神疾患とか障害である場合に寛解という言葉で呼ぶのがいいのがどうかということなのだろうと思います。白血病などの場合にも寛解という言葉を使っているようですが、病気一般の場合に治ったことを寛解と言えるのですか。風邪が治ったのは寛解などとは言いませんよね。
○荒井先生 症状がなくなったところを寛解。治療はしているか、していないかを問わずに症状の有る無しで寛解期に入ったかどうかを、一応医学的には言っていると思います。
○岡崎座長 比較的高い再発可能性を残した症状の消失ですよね。これは行政上もかなり必要なのです。
○渡辺職業病認定対策室長 いまは精神科の先生方は寛解という言葉をよくお使いになって、現場の職員はそれについて、どういう状態なのか。治ゆとの関係ではどう考えるのかというのが悩みの1つになっているようで、ここをきちんと整理したものを示すべきだろうと思っております。
○清水先生 例えば、整形外科の骨折のような事故の労災の例ですと、骨が折れていた状態が、X線を見ると骨がくっ付いた。くっ付いたので痛みもないし、その状態で一応寛解という言い方になりますが、そこですぐ飛んだり跳ねたりすると、またボキッと折れてしまうというところだと思います。いわゆるリハビリテーションですが、少しずつ負荷をかけて、日常機能として、歩いたり飛んだりするのに耐えられるだけの、もう少しリハビリテーション療法が必要な状況なのですが、一応症状はなくなっているというところが寛解だと思います。症状がなくなって寛解しているというところは、我々はまだまだこれからリハビリテーション療法をやらなければいけないと思っている時点なのです。
 私たちが考える治ゆというのは、そういうのも何も要らないから精神科医の所に来なくてもいいと言えた状態が治ゆだと思いますし、症状固定も同じように、残念ながら、いろいろリハビリテーションをやったが、これ以上症状が治りそうもない、もちろんアフターケアという話があると思いますが、ここで症状が後遺症として残ってしまいましたねというところだと思います。我々が寛解と言っているところは、まだこれからリハビリテーション療法みたいな積極的な治療があるという状況だと思います。
○黒木先生 例えば再発・再燃を繰り返している事例などを考えると、先ほど清水先生がおっしゃったように、精神科治療の必要がない、精神科医の所に来る必要がないというのは治ゆとして考えてもいいと思います。
 しかし、症状が安定して社会的にある程度勤務もできるという状態を寛解と考えると、次の、例えば再発したときの業務要因をどう考えるかというのは、非常にわかりやすくなる。むしろ社会的に一応勤務ができる、しかし、薬も多少維持療法としては飲んでいる、生活推移にも必要だというのは寛解として、期間的にも例えば半年ぐらい安定した状態が続いているというところを寛解と考えたほうが、今後、いろいろなことを考えるとやりやすいかな、わかりやすいかなという気がします。
○岡崎座長 一方では医学的な従来使われてきたものや、最近また出てきた寛解の診断基準があるので、私はちょっと縛られているという感じがします。いま黒木先生が言われたのもその一案だと思いますが、労災の文章の中で、寛解というのは一応このように定義しようということで、どういう表現がいいかを、何人かの先生を含めて、事務局で検討いただくのがよろしいのではないかと思います。時間の関係もあって、そのご検討に任せることにしてはいかがでしょうか。またあとで考えていただいて、ご提案いただくことにしたいと思います。
 論点1で私の不手際でだいぶ時間を取ってしまいましたので、論点2に移りたいと思います。論点2の説明をお願いします。
○西川職業病認定業務第一係長 それでは、論点2の関係についてご説明いたします。論点2は、第3回、第4回でもご議論いただいた「労働時間数と精神障害の発症との関係について」ということで、その関係を具体的に例示することができないかというのが、前回もご検討いただいた論点となっています。
 資料2の11頁以降は、第4回の先生方の議論をまとめております。いろいろご指摘がありましたが、それを集約すると3頁の①と③になります。①は、第4回の議論を踏まえて、労働時間の程度のみを要件として強い心理的負荷の存在を肯定するもの、いわゆる「極度の長時間労働」にはどういったものが当たるのかを、いろいろご議論いただきましたが、少なくとも3週間に120時間程度の非常に長い時間外労働が認められる場合には、臨床経験上、いわゆる「極度の長時間労働」に該当するということでよろしいのではないかということでご議論いただいたかと思います。これは3週間ということで短期、急性的な影響ですが、これと並ぶような、もう少し長期、慢性的な影響があるかどうかは議論が収束しないままでした。その関係で対象となる期間と、労働時間数を相関関係で示すべきではないか、というご指摘もありました。
 そこで2番ですが、先ほどの3週間、120時間というのは少なくともいいだろうということを前提として、これと同等の心理的負荷と考えられるのではないかということを、第4回の議論で例として挙げられたものをいくつか拾っております。発病直前1か月、160時間というのは、同じぐらい長いので、第4回の中でもこういったものは言うまでもないのではないか、というご指摘もありましたが、例えばこれはどうか。あるいは2か月間で120時間、3か月間で100時間については、議論がされたという状態ではありませんが、こういったものが同等と考えられるかどうかについて、今回、ご議論をいただければと思っています。
 3番は、出来事との関連での長時間労働の取扱いですが、第4回の議論では、出来事との組合せのパターンを3パターン示して、それぞれそういった場合は強い心理的負荷でよいのではないか、というご意見をいただいたかと思います。アは、心理的負荷の強度がII、中程度の出来事に遭った方が、その後、月100時間程度の恒常的な長時間労働を行った場合。イは、もともと月100時間程度の時間外労働をしている方が、その最中に心理的負荷の強度がI、弱い心理的負荷の出来事に遭って、その後もそういった長時間労働が続いていた場合。ウは、月100時間程度の時間外労働を行っていた方が、その後に心理的負荷の強度が中程度の出来事に遭った場合には、強い心理的負荷ということで判断してよいのではないか、という議論だったかと思います。
 ④は、前回夏目先生にご紹介いただいたストレス調査の結果も踏まえて、こういった具体化の仕方もご検討いただけないかということで示しております。例えば、1か月に一定時間数の時間外労働を行った。それ自体を出来事として負荷評価表の中に位置づけ、これが継続している状況、その仕事の内容、職場の支援・協力等、ほかの出来事と同じように、出来事自体の内容とその後の状況などを併せて全体として評価して、総合的に心理的負荷の強度を判断することとしてはどうか。例えばということで四角の中に書いていますが、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」ことを、例えば「II」の出来事として位置づけて、複数月にわたって、かなり注意を集中する業務であって、会社の支援・協力は全然なかったという場合には、全体として考えて「強」と判断していくことが考えられるのではないかということで、例として出しております。
 資料の49頁は、以前にも見ていただいたストレス評価の結果です。何箇所か労働時間に関するところを調べていただいております。4位は、1か月140時間以上の時間外労働、9位に1か月120時間以上、14位に100時間以上、24位に80時間以上、40位で60時間以上。それぞれこういった状態のストレス点数を聞いていただいて、まとまった結果がこのようになるわけです。
 先ほどの例でいきますと、24位の80時間以上が、上下を見ても大体IIの真ん中ぐらいに来ていますので、仮に位置づけるとすれば、IIのような出来事になってくるのではないか。このように表の中に位置づけて、仕事の内容、それ自体とその後の状況などを全体としてひっくるめて、ほかの出来事と同じように心理的負荷の強度が強い、弱いを判断するという方法はいかがでしょうかということです。
 いまのは例示ですので、140を示そう、120を示そう、100を示そう、そのうちこれだけを示そうということは、いろいろ議論があるかと思いますし、それぞれをIIだ、IIIだ、Iだということもあるかとは思いますが、そこは表全体の議論と併せてお願いすることが必要かと思っています。具体的にいくつにするかはともかくとして、このようなやり方で考えることについてはいかがでしょうか、というとで論点を示しております。以上です。
○岡崎座長 どうもありがとうございました。論点2「労働時間数と精神障害の発症との関係について」ということで、前々回に詳しくご議論いただいたことを踏まえての事務局としての整理と提案ですが、非常に面白い考え方が出ていると思います。ご議論いただければと思います。ご説明にもありましたように、新しい考え方として②と④があるのかと思います。①と③については前回議論いただいたことの整理ですが、①を踏まえて②という考え方はいかがか、というのから議論いたしましょうか。
○阿部先生 前回、3週間で120時間という急性のものについては、皆さん異論がなかったのですが、慢性のものでも同様に扱えないかというご提案が岡崎先生からもあって、私もそのかなと思っています。100時間という時間の目安は非常に明確でわかりやすいと思いますが、出来事を全く加味しないで、あるいは推定できるのではないかというご意見と、プラス100時間があっても出来事も加味したほうがいいのではないかという2つの意見があったと思いますが、臨床の経験を通して精神科の先生方からするとどうなのでしょうか。

○岡崎座長 いかがでしょうか。④が新しい考え方というか、そういう長時間労働をやること自体が出来事ではないかというのは、今までは出ませんでしたが、非常に画期的な考え方だと思います。というか、考えてみたらそうだなと思いますね。今まで長時間労働をなさっている方々が、そういう環境に入ったこと自体が出来事というのは、確かにそうだなと納得できますね。それを出来事の評価表に入れるというのは非常に面白い。ちょうど前回示したデータも、そういう意味で続けて。順番に並んでいるということは非常に面白い。きれいに並んでいるというか。
○黒木先生 ④はどういう形で入れるのですか。
○岡崎座長 この評価表のように入れるのではないでしょうか。例えば、資料5のように入れるわけですね。
○黒木先生 4と9と14。
○山口先生 事務局のお考えでは、これは平均的強度IIとして入れるのですか。それは別に疑問の余地はないのですが。それから複数月にわたっているとか、ミスが許されないようなかなり注意を集中する業務云々というのは、総合評価の視点として見るのですか、強度修正の要素として見るのですか。
○西川職業病認定業務第一係長 先生がおっしゃられたように、今はまず出来事自体の評価をして、その強度を修正する。ですから、出来事自体にI、II、IIIと一応の評価を結論づけた上で、その後、出来事をVの状況として、さらにもう一回検討を加えて、総合評価として強、中、弱という2段階の評価をやるようにということで示しています。
 第2回の資料の1頁で「第2回及び第3回における論点」の④で、出来事及び出来事後の状況が持続する程度を個々に評価する現行の認定手法は複雑であるとともに、こういった専門的な判断が必要なので部会も省略できないということもあって、こういったことを出来事ごとに、一般的に起こる出来事後の状況を、あらかじめ盛り込んだ評価表を作成するということで評価ができないか。あるいは5頁の対人関係のトラブルのように、繰り返すことによって強い心理的負荷になるものがあるわけですが、そういうものについても出来事と出来事後をばらばらに評価しようとすると、なかなか難しいのではないか、という論点を提示しました。このときの先生方のご議論では、そこは確かにそうではないかということであったかと思います。
 そうしますと、出来事の評価と出来事後の評価を一生懸命切り分けていくのかどうかということに関して、この労働時間の話も2か月、3か月繰り返していくという側面もありますから、一生懸命切り分けて、まず1か月で何、全体として見たときに何というように分けるのではなく、一体として全体を見て強い、弱い、中ぐらいという判断をしていくことも視野に入れて、最終的にはそこを表の案のときの議論でお願いするようになるかとは思いますが、あまり分けずに考えてはどうかと提示しているところです。
○山口先生 わかりました。現在の案ではなく、第2回で提起された方法に従ってということですね。
○岡崎座長 ということで、①の3週間で120時間から、②の1か月というのは、週単位の労働時間は同じ重みで考えているわけですね。それがいいかどうかというのもありますね。4週に延びたら160時間ではなくて、150時間でいいのではないかとか、そういうこともあり得るわけですが、そういったことも含めてご議論いただけると思います。②のような表現がいいかどうかということですね。
○山口先生 ①が認められたら②のアは当然認められますよね。
○岡崎座長 自動的にそうですね。
○荒井先生 ①の場合に3週間と言ったときには、連続して3週間という限定付きです。
○山口先生 それは2週間で80時間の時間外労働が認められる場合は、時間数のみではこれに該当しないと書いているから、そういう意味なのではないでしょうか。
○荒井先生 途中で切れていない、3週間連続しているという意味で、いまの時間外労働について言うと、休みなく働いている場合を、いまは大体想定しているので、この時間が出たわけです。それと②のア、イ、ウについては、休日が当然入ってきてもいいわけで、その差だと思います。
○岡崎座長 この3週間は休日はなしの3週間ですね。
○山口先生 これはなしですか。
○荒井先生 ええ、そうです。要するに、いまの極度に相当するものを考えろと言われたときには、連続した3週間、休日がないというのが前提だと思っていますので、こういうことをお話したわけです。さもないと、これが極度になる根拠がないのです。3週間で120時間だったら4週間で160時間で、そのほうが重いに決まっていますので、①を極度にする根拠がないわけです。
○山口先生 確かに3週間で120時間も時間外労働をさせている所が、休日に休んでいるとは常識的に思えませんが、日曜日が1回、2回あったりしても駄目ですかね。
○荒井先生 概ねですが、1回あったから駄目という固い話をしているわけではなくて、連続的に目立ってということです。普通の労働条件とは全然違った条件がここに出てきているというのは極度になると思います。そのときには休日も少なく、あるいはゼロで、3週間というのが極度に相当するのではないかと思ってお話しました。
 ですから、それとの比較でいうと、160時間も相当重い、あるいは150時間も重いと考えてもいいかと思いますが、基本は休日があるのと、ないのとでは、我々は実感的にも随分違いますので、その辺が極度の代表選手として挙がっている。ここには書いてありませんが連続してということです。
○黒木先生 現在の認定指針には、生理的に必要な最低限の睡眠が確保できない状況が数週間とあり、具体的には時間数は提示されてないのです。だから、そこを具体的に時間数を提示したということでよろしいですね。
○西川職業病認定業務第一係長 そのつもりです。
○山口先生 伺いますが、①と②が極度の長時間労働で、③が強度の修正、④が新しい評価方法ですね。
○岡崎座長 そうですね。④は強度とみなすということですね。①を②に敷衍して、こういった設定というのはどうなのでしょうか。
○山口先生 たぶんこういう考え方が出てきているのは、このようにしたほうが今の評価表を実務上、使いやすくできるということではないかと思います。そういう観点からはこういった表があり得るのではないかということです。
○渡辺職業病認定対策室長 長い間この労働時間でストレスの程度を測るというのは難しいのだろうとしてきたのだと思います。ある程度認定実務のことを考えると、可能な割切りの範囲であれば作ることも可能ならば入れたいというのが事務局の思いです。ただ、いくら割切りとは言っても、ここまでは経験則などからしても難しいという判断というか、そういうことであるならば、今回は次回までの検討課題にという話になるのかもしれないなという感じの提示をさせていただきました。
○岡崎座長 最初のテーマが、労働時間だけで、極度の長時間労働というものが示せるかというテーマでしたよね。100時間以上だったらそれに該当するのではないかとか、3週間で120時間とここで出ているわけですが、そういういくつかの考えが出てまいりまして、ここでは3週間に120時間程度の時間外労働があった場合は、極度と考えてもいいのではないかという事務局の案です。
 もう1つは、ストレス負荷評価表で強度と判断するところに時間外労働の時間を入れるというのが、夏目先生の研究、その他の結果を基にして提案されているわけです。どちらも時間外労働の強度を評価する方法ですが、今回①、②のような案を入れることができるでしょうか。
○山口先生 確かにそれだけ見ると、議論はあり得るとは思いますが、月160時間の時間外労働というのは、法定労働時間を入れたら300時間を超えているわけです。だから、休日なしに1日確実に10時間以上働いていて、通勤時間とか、パーソナルタイムというのか食事をしたり、トイレへ行ったり、風呂に入ったりするのだから、前の検討会で出ている睡眠時間が5時間を切るのは、非常に健康に影響するというラインに実際はなるのではないかという気がします。
○岡崎座長 そうですね。ただ、こういう数値というのは、独り歩きすることがあるので、これを設定すると、その時間に満たないものは極度ではありませんとみなされる可能性もありますので、そこがなかなか難しいところだと思います。
○山口先生 反対の結果もあると思います。いままで裁判所が使っているのは260時間ぐらいでも何か負荷的な要素を入れると300時間に値するというような使い方もあります。
○岡崎座長 そういったことを考えて、いかがでしょうか。
○山口先生 むしろ先生方がご覧になって、月300時間というか、160時間の時間外労働とか、3週間で120時間というのはどうですか。やはり異常ですか。
○黒木先生 この程度だと認定される。大体認定される。
○岡崎座長 よくあるケースは、ソフトの開発の会社の方で、納期をすぎても完成せずに、ずっと徹夜に近い形でやられた場合は3週間もたないでしょう。
○荒井先生 そうですね。3週間が限度だと思います。
○岡崎座長 2週間でほとんどダウンされると思いますが、そういう方がいちばん出食わすケースですね。
○山口先生 時間がないのに余計なことかもしれませんが、今度の災害の救援で米軍が友達作戦というのをやりました。この活動は3班に組んで2交替で行い、1班は休んでいたのであまり問題は起こっていないと聞いています。
 日本の自衛隊は、1班でずっと不眠不休でやっていたから、ちょっと精神的に問題がいろいろ出ているという話もあります。自衛隊は10万人動員したそうですが、かなり長い期間、交替なしに長時間労働になったとすると、それはかなり影響があるのではないかと思います。
○荒井先生 やはり長時間労働と休養が間に挟まっているかどうかの差だと思います。ローテーションで2パーティー作って交互にさせるとか、あるいは3班作って交互に1班は休ませるということがないと、精神的な変調あるいは身体的な変調が出る可能性は随分高くなるだろうと思います。
 ですから、①がもし仮に良ければ、②は相当でしょうし、③はあり得る強を、時間を中心に事務局がお考えになったということでしょうし、④はいままでライフイベント自体が生活に再適応するためのエネルギーの量をライフイベント研究では測っているわけですが、80時間働けば、当然それに伴って私たちがそれに適応するためのエネルギーが必要になるとみなして、出来事として取り上げることには相当理由があると思います。特に夏目先生の研究でIIに相当することが明確に示されていますので、私はいいのではないかと思います。
○岡崎座長 その④の考え方は採用できる考え方だと思いますね。それについては資料5にランク付けをして、その時間を入れた評価表が案の手前ぐらいにあります。これを説明しますか。
○西川職業病認定業務第一係長 資料5はまさに案の手前です。調査いただいた結果そのもので、こういった項目について調査していただいたところ、この順番で点数が付きましたということで、どれを表の中に入れるか。全部入れるのか、一部だけを入れるのか、IIIのものと、IIのものを1個ずつ入れるのか、たくさん入れるのか、1個だけしか入れないのかといったことは、またこれからご議論いただければと思っています。そういった出来事の1つと同じような取扱いをするという考え方を採らせていただくのがよろしいかどうかについて、ご議論いただきたいということで④の論点は挙げています。
○岡崎座長 それと③は、従来の出来事プラス100時間程度の時間外労働の組合せで、IIに100、100にI、100にIIといった場合も強い心理的負荷に該当すると考えてもいいのではないかということです。ただ、100時間労働というのは出来事と考えれば、II・II、II・I・II、II・IIというわけですから、従来はこれはそのように作用してきたIIIとしたわけです。II・I・IIもそうでしたっけ。
○西川職業病認定業務第一係長 いまそういった組合せのやり方をカチッと示しておりませんので、少なくともここの部分については、仮に100時間を1個出来事として入れたとしても、この組合せは挙げていいということで、第4回の議論を踏まえれば、そういったことになるのではないかと。
○岡崎座長 ④の考え方は導入するとしてもよろしいですかね。そうしますと、評価表の中に位置付ける。夏目先生のデータに基づけば、これは60時間以上、80時間というのが3つが入って調査をしたデータがありますので、それは資料5のように入れることは妥当ではないかと思うのですが。ただ、強度を何にするかというのは、まだ議論が必要ですが、問題は14位の100時間以上で、IIかIIIかという議論になるでしょうね。
○黒木先生 あまり細かく分けてしまうのはどうかと思います。例えば100時間以上の時間外労働があれば、それは出来事のIIとして、ある程度の線を引いたほうが私はいいかなという気がします。
 時間外労働と言っても、仕事量が変化した、仕事量が増えたというのは間違いない事実ですから、あるいは自分で気が付かない、自分から率先してどんどん仕事を入れていった結果、150時間、200時間近い時間外労働があったということが発症要因として出た。大きな仕事のミスがあったとか、そういうことがなくても、そういうことはあるわけですから、あまり細かく時間外労働をIIとかIIIとかとしないほうがいいかと思います。 
○岡崎座長 そうすると先生としては、例えば100時間以上を1つ入れる。100時間以上の長時間の時間外労働を行ったという。
○黒木先生 現場でいろいろな事例を見ていると、100時間以上の時間外労働が2か月以上続いていくとなると、その業務要因として発症にかかわったという否定はもちろんできないと思いますし、何らかの発症要因として影響したということは認められるので、100時間以上というのは1つのポイントだろうとは思います。
○岡崎座長 というご意見もあるわけですが、いかがですか。長時間の時間外労働を出来事として心的負荷評価表に位置づけることについては、同意いただいていると思います。ここで具体例として示されている120、100、80という3つに分けて入れるのか、あるいはどれが代表的なものを1つ入れるのかということですが、どうでしょうか。ただ、夏目先生のデータが折角あるので、とりあえずここに入れてやってみて、何年かしてこれを検討するというのもいいのかもしれませんね。
○西川職業病認定業務第一係長 また改めてご相談したいと思います。
○岡崎座長 ここで全部詳細を決めなくてもいいと思いますので、そういう方向で事務局でご検討いただいて、案を出していただくということとしましょうか。問題は①②ですが、どこまで今日は決めましょうか。
○山口先生 ①ですか。
○岡崎座長 はい、①です。連続して休みなく3週間、120時間を超える時間外労働であれば、文句なしに。これは3週間を満たさないと駄目ですか。
○荒井先生 それは120時間でなければいけないとか、そういう問題ではないのだろうなと思います。それは例えば、数字が出ているものはどれもそうですが、1日でも外れたら駄目かというと、そういう問題ではないと思います。
○山口先生 そこを何か基準で決めますと、先生方は医学的な知識がおありなので自分で判断できますが、出先の監督署の職員は118でもいいとか判断できないから、120と書いてあったら、118だったら駄目という判断になると思います。
○荒井先生 概ねと言ったら、すべてに概ねを付けるべきでしょう。それは実務的に先生がおっしゃった危険が出るとすれば、もちろん監督署のほうも見ていて、上か外かの印象は持っているわけで、それを反映させていくのに実際に調査をして確定していくわけですが、118だから駄目とか98だから駄目という議論にはならないようにしなければまずいのではないでしょうか。
○山口先生 ですけれども、先生方はご覧なれば判断できますが、職員はそれができませんからね。
○荒井先生 先ほど申し上げた概ねとかにする。
○渡辺職業病認定対策室長 結局概ねというのは何時間までなのかという話になって、いたちごっこというか。
○山口先生 だから、そういう裁量とか判断の余地があると、A監督署ではイエスと言い、B監督署ではノーということになるとか、人によっては特殊な判断になる。そうなってくると行政上は非常に困るのですよね。
○渡辺職業病認定対策室長 これは1つの例示だと明確にしておけば。だから、そうではないものは外という意味ではないと。これにピタッと当てはまる、あるいはこの例示にピタッと合致するものについては、地方の協議会にご議論いただかなくてもいいというものになります。これに合致しない、この要件を満たさないからと言って、極度の長時間に該当するどうかというところの検討はしていただくし、極度の長時間に該当しないからと言って、業務外になるわけではないわけです。だったら次の③というか。
○黒木先生 合議で。
○渡辺職業病認定対策室長 ということでできるのではないかと我々は思っています。
○山口先生 大丈夫ですか。
○岡崎座長 この括弧内の2週間で80時間の場合は、これは該当しないというのも大事なところですか。3週間と2週間の違いですが。
○荒井先生 数週間でというのは、2週間かという議論だろうと思います。
○岡崎座長 2週間は、週40時間の時間外労働に耐えられるかと。
○山口先生 この書き方は3週間継続していなければいけないとう意味になります。
○岡崎座長 2週間を超えていなければいけないという意味に取れますけれどもね。
○荒井先生 いままでも曖昧なままで、数週間で健康を維持できないという定義の下で極度をやってきたわけですから、少なくともある一定の数値が出てくることは判断しやすい材料が増えるのだろうという気はします。
○黒木先生 例示として出てくればやりやすいですね。
○荒井先生 それで不明なものはまた議論するというプロセスは当然あるでしょうから、これは明確にそうだというものと、疑義があるものということで分けることは可能なのだろうと思います。
○西川職業病認定業務第一係長 あくまで紛れのない例示として、少なくとも3週間、120時間もやっていれば間違いのないものとして示している。基本としては連続してということを考えているということではあるわけですが、これだけの時間数になっているわけですから、通常はそうであろうし、1日、2日休みが入っていたからといって、直ちに違うという話でもなく、この時間数で実態が代表されているわけですよね。
○山口先生 1つ考えられるのは、3週間で採りますと、会社で製造業などだったら、交替制で4週間とか、1か月でシフトを組んでいる場合がありますから、途中を見ていて、1か月だったら危なそうだと思ったら、どこかでシフトを組み替えて対応ができますが、3週間だったら、その暇がないから、会社などからは短すぎてやりにくいという批判が出てくるかもしれませんね。
 もう1つは、労働時間は日でも週でもちゃんと測れるようにしておかなければいけませんから、たぶん3週間で問題はないのだろうと思いますが、どれだけ働いたかという時間数が問題になっているときに、3週間というのは実務上、明瞭にちゃんと数字が出てきますかね。
○西川職業病認定業務第一係長 調べるときは日ごとに見て調べておりますので、そこは大丈夫だと思います。
○荒井先生 逆にこれは3週間あるいは2週間でも議論があると思います。是正できるときは支援ができるチャンスを提供しなければいけない。4週間、160時間やってしまって、それで結果が出ているのではまずいので、3週間近くになったときに120時間が出てきそうだったら、事業者は支援するというチャンスにも使えると考えられます。そうしないと長く働いていただいて、結果が出たあとに何かしても遅いという可能性があるので、2週間でもいいわけですが、いままでの数週間のというのを引き継ぐとすれば、そういう形になろうかと思います。
○岡崎座長 鈴木先生、清水先生はいかがでしょうか。
○鈴木先生 いいと思います。
○岡崎座長 そうしますと、表現はいろいろしなければいけませんが、時間だけで極度の長時間労働と判断をする。これは参考例という形でという表現がよろしいかと思います。3週間に120時間程度、「概ね3週間に連続した」といったような表現を設けるという案ですが、表現等はご検討いただいて、それから4番の評価表に時間外の時間を盛り込んだものを出来事として盛り込むという2つのことを、基本的には肯定的に設ける方向でご議論いただいたかと思います。そういったことを基にして事務局で案を作っていただき、次回以降、また議論できればと思います。
 時間もすぎてしまい、まだ十分目的に達していないところもありますが、今日のところはここまでとさせていただき、次回はストレス評価に関する調査研究結果などのこれまでの議論を踏まえて、作っていただいた評価表を叩き台として議論をいただければと思っております。今日のところはこれで終わりといたします。どうもありがとうございました。
○板垣中央職業病認定調査官 ありがとうございました。次回は6月30日木曜日の2時から開催予定としております。よろしくお願いします。
 これをもちまして、本日の検討会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労災補償部
補償課職業病認定対策室

電話: 03(5253)1111(内線5570、5572)

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