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2011年4月25日 第78回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局

○日時

平成23年4月25日(月)17:00~18:30


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

(1)東日本大震災に係る対応について
(2)東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案要綱
  (雇用保険の基本手当の給付日数の延長の特例関係)について
(3)その他

○議事






第78回労働政策審議会職業安定分科会




        日時 平成23年4月25日(月)
        17:00~
         場所 厚生労働省専用第22会議室(18階)

○大橋分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第78回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。まだ白木委員はご出席ではないのですが、追ってご出席のことと思います。
 なお、本日の委員の出欠状況は、公益代表の清家委員、橋本委員、宮本委員、労働者代表の黒木委員、斉藤委員、新谷委員、住野委員、使用者代表の石井委員、上野委員、久保委員がご欠席です。なお、新谷委員の代理人には、日本労働組合総連合会の佐々木次長が、石井委員の代理人には、日本商工会議所の松本部長がご出席されています。なお、本日から職業安定局の次長に赴任されました黒羽次長がご出席です。
○職業安定局次長 この4月に参りました黒羽と申します。どうぞ、よろしくお願いします。
○大橋分科会長 それでは、議事に入ります。本日の議題は、「東日本大震災に係る対応について」と、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(雇用保険の基本手当の給付日数の延長の特例関係)案要綱について」と、「その他」です。最初の2つの議題は関連が深いため、まず2つの議題について事務局から説明をいただき、その後まとめて質疑の時間を取りたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
○総務課長 まず最初に、議事の(1)にかかわる資料 1-1と1-2を使って説明させていただきます。資料1-2をご覧ください。こちらは既に説明させていただいています「東日本大震災における緊急の雇用労働対策について」、直近のものをご用意させていただきましたので、掻い摘んでポイントのみ説明させていただきたいと思います。
 最初の「雇用保険」の特例については、最後のところにありますように、相談件数が4万1,800件と、かなり相談があり、また雇用保険の支給申請が行われている状況です。「職業紹介」については(4)にありますように、被災者対象求人、全国のハローワークにおいて6,404件、それから復興関係の求人が126件という状況です。
 2頁、「雇用関係助成金」について、その中の「雇用調整助成金」です。これについてもいちばん最後にありますように、岩手、宮城、福島における相談件数1万2,000件余ということで、かなりの関心を持たれているところです。
 続いて3頁ですが、「雇用創出基金事業」をご覧ください。既に説明させていただいたとおり、要件緩和などを行ったところですが、□で囲まれているとおり、全国での計画状況は、4月21日時点で1万1,200人分の雇用が創出される見込みです。その内訳としては、岩手県において、県と市町村の事業で5,000人の雇用をする計画。宮城県においては、県と市町村で臨時職員として1,000人の雇用をする計画が、さらに沿岸部の15市町村に配分済みの額を使いまして、最大3,000人の雇用予定。福島県においては、沿岸部の13市町村の事業で約600人の雇用予定等々と、現在のところなっています。
 4頁、「新卒者」の関係です。2つ目の○の2つ目のポツにありますように、現時点での内定取消しの状況は全国で218人、また入職時期繰下げが全国で1,481人となっています。下の2つの○にありますように、3年以内既卒者を採用する事業主に対する奨励金を拡充・要件緩和するなど既に実施していますし、ジョブサポーターによるマンツーマン支援を行っているところです。
 「雇用促進住宅」の件です。入居決定戸数は2,332件で、下の取組に書いてありますように、入居期限は従来のものを6か月と示していたところ、最長2年まで更新可能であることを示すとともに、敷金、家賃はもともと無料でしたが、駐車場についても無料にすることを行っているところです。
 「『日本はひとつ』ハローワークプロジェクト」については、説明は省略させていただきます。既に説明させていただいたとおりですが、そのフェーズ1として6頁にまとめさせていただいているものを、いま行っているところです。3本柱の「復旧事業等による確実な雇用創出」「被災した方々としごととのマッチング体制の構築」、そして雇用調整助成金などによる「被災した方々の雇用の維持・確保」です。
 7頁、「民間の人材ビジネス事業者による被災された方への就職支援」については、3つの○にありますように、これらの人材ビジネス事業の方々が出張相談の実施などについて相談があった場合、都道府県労働局で可能な限り参加・実施できるよう、情報提供等の配慮を求めているところです。また、既に説明させていただいたとおり、派遣、有期、パートなどの非正規労働者などに対する取組を行っているところです。
 8頁以下ですが、産休・育休などの問題については、雇用均等室においてトラブルの未然防止に向けた指導を引き続き行っています。また、「労働相談への対応」「解雇、雇止め等に対する対応」についても、既に取組を続けているところです。
 9頁以下は、「未払賃金立替払」「労災保険給付」「労働保険料」ですが、既に説明したとおりです。10頁も同様です。
 最後に11頁をご覧ください。ハローワーク、労働基準監督署の業務状況を最新の数字でまとめたものです。中ほどにありますような相談件数となっていますが、特に雇用調整助成金関係の事業主からの相談として、かなりの数を占めているところです。いまのところ、まだ未払賃金や労災保険給付については、それほどの件数はまだ出ていない状況です。
 下から2つ目の□にありますように、被災地のハローワークにおいては、岩手、宮城、福島の14箇所で平日は19時まで、土日祝祭日、連休も含めて17時まで開庁しています。また、労働基準監督署職員もハローワークに出張相談という形で対応しています。また、応援体制についても、全国規模の応援を4月18日から行っていまして、現在3局合わせて140人規模の応援を派遣しているところです。資料 1-2については以上です。
 続いて、資料 1-1を使って、第一次補正予算(案)についての内容の説明をさせていただきます。職業安定局関係の第一次補正予算(案)をまとめたものが、資料 1-1の裏表です。全体としては、1兆872億円です。その第1番目が「雇用調整助成金の拡充」で、7,269億円です。これについては3つの特例措置ということで、そのうち生産量要件の3か月から1か月の短縮などについては、既に実施済みですが、そのほかに2つあります。これまでの支給日数にかかわらず、特例対象期間(1年間)中に開始した休業については、最大300日間助成金の対象とするということです。これまで雇用調整助成金を利用されていた事業主の方で、3年間300日という上限がありますが、それに迫っていた事業主の方々については、今後この被災地域の事業主及びこれらの事業主と一定規模以上の経済的関係を有する事業主の方々を対象に、特例として1年間別途300日の上限ができるということです。
 それから、被保険者期間6か月未満の方は、従来リーマンショック以降、暫定措置として助成金の対象としてきたわけですが、これについては被災地域の関係の方々については、引き続き被保険者期間6か月未満の方も、即ち新卒の方々も含めまして、新たに採用された方も雇調金の対象にする特例を続けることとなっています。
 「雇用保険の延長給付の拡充」を内容として、雇用保険については2,941億円の増額を計上しています。これについては、後ほど法案の諮問という形で説明させていただきます。現行の個別延長給付は60日分が原則ですが、これに加えてさらに60日分延長する特例措置を実施する内容です。
 それから、都道府県に設けた「重点分野雇用創造事業」については、500億円基金を積み増しまして、被災地を中心として、被災者に対する雇用機会を創出する事業を実施する予定です。
 「特定求職者雇用開発助成金の拡充」。ハローワークの紹介などによりまして就職した場合に、一定の助成金を支給する内容で、障害者や60歳以上の高齢者が現に対象となっていますが、これに被災離職者及び被災地域に居住する求職者を雇い入れた事業主を対象に、この特例措置を実施することとしています。
 裏にいきまして、5「被災者の就労支援」です。内容は4つに分かれています。(1)は、この東日本大震災が激甚災害に指定されたことに伴いまして、求職活動や就職に伴う転居を行う際に、雇用保険からの広域求職活動費や移転費は支給されますが、雇用保険の適用がない方を対象としまして、広域求職活動費、移転費を支給するための予算の計上です。また併せまして、職業訓練を受講する際の訓練手当等の支給も用意しています。
 (2)は、新規学校卒業者等に対する就職支援として、ジョブサポーターを100人増員し、被災者向けの求人開拓や、学校・自治体等と連携の上、出張相談あるいは個別支援等を行うと。それから、被災学生を積極的に採用する企業による「被災学生等支援就職面接会」を各地、東京などで開催をする予定です。
 (3)は、ハローワークにおける就職支援対策として、「就職支援ナビゲーター」を175人増員、「求人開拓推進員」を30人増員して、社宅付き求人等の開拓を行うとともに、就職面接会を開催する予定です。
 (4)の体制整備ですが、1つは先ほど申しましたように、被災地のハローワークに職員を各局から派遣し窓口の強化を図るとともに、雇用保険や雇用調整助成金の円滑な支給あるいは住居・生活支援のために、相談員を949人増員する内容となっています。震災により破損した庁舎やシステムの復旧工事も、併せて実施することとしています。
 このような内容で、全体として1兆872億円の予算を内容とした第一次補正予算(案)を考えています。このうち、1の下2つのポツ、それから4番の内容については、省令改正事項の内容を含んでいます。本来ですと当審議会、当分科会に諮問のうえ施行することとなりますが、このような一次補正予算(案)の可決成立後速やかに実施しなければならない性格上、諮問が間に合わずに事後報告となり得ることをお願いせざるを得ないと考えていますので、ご了解いただきたいと思います。資料 1-1、1-2については、以上です。
○大橋分科会長 続いて、雇用保険課からお願いします。
○雇用保険課長 資料 2の関連について、説明をさせていただきたいと思います。資料 2-1が、今回諮問させていただく震災特例法の雇用保険関係の部分です。資料 2-2が、その特例措置の概要をまとめたものです。最後が参考資料として、労働保険料の免除の関係の特例措置について、後ほど労働基準局からも説明をさせていただく資料です。
 まず、資料 2-2の特例措置の概要ペーパーをご覧ください。こちらに、今回お諮りする特例措置の具体的な内容の概略を記載させていただいています。前回もご紹介しましたとおり、現行法に基づいても雇用保険・失業給付の関係で、この震災にかかわる対応を行っています。
 まず1にありますように、本来は雇用保険は失業された場合に基本手当を支給するということですが、激甚特例法に基づいて、震災によって休業状態になった事業所の労働者に対しても特例的に、失業にはなっていませんが基本手当を支給する特例を現在実施中です。 (2)は、現行法上リーマンショック以降に個別延長給付という、所定給付日数に加え原則60日分の延長をして基本手当を支給する制度を設けていますが、震災による離職者の方、あるいは (1)の休業特例の受給者の方については、このスキームが該当するということを2で記載させていただいています。
 このような1、2による現行法上の対応ですが、次にありますように、今回の大震災によって被災された労働者の方については、失業されて以降の就職が相当困難だろうということで、さらに給付日数を延長する措置を講じさせていただきたいということで、この震災立法の中に盛り込みたいというものです。
 具体的な改正案の内容については、先ほど申し上げました個別延長給付について特例を設けるということで、今回の被災区域の事業所の労働者の方で、震災によってやむを得ず失業・休業状態となった場合に、基本手当についてこの個別延長給付(原則60日分)に加えて、さらに60日分の個別延長給付を支給する仕組みを設けようというものです。いちばん下の例示にありますように、例えば所定給付日数が180日の方であれば、60日に加えて60日ということですので、合計300日までの受給が可能となるようなスキームを設けようというものです。
 以上の概略ですが、資料 2-1が諮問文並びにそれに基づく要綱です。1枚めくっていただきまして、法案の要綱です。いま申し上げましたとおり、今回政府全体でこの「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」を現在草案中で、その中の1つとして盛り込まれる措置です。
 第一「給付日数の延長に関する特例措置」で、一がいま説明した内容です。「受給資格者であって、当該事業所の事業が東日本大震災の被害を受けたため離職を余儀なくされたものについては」ということで、震災時において特定被災区域内、これは東京を除く災害救助法の適用地域等ということですが、そこに雇用されていた方が今回の東日本大震災の被害を受けたために離職を余儀なくされた方を、今回対象とするということです。括弧書きにあるのは、現在の個別延長給付と同じスキームですので、いわゆる雇止めであるところの特定理由離職者、それから倒産解雇離職者である特定受給資格者の方を対象とするということです。この方々については、所定給付日数を超えて120日を限度として、基本手当を支給することができるものとするということで、60日に加えて60日、合計120日を限度とするということです。
 なお、括弧書きの部分については、現行の個別延長給付についても、そこに掲げられている区分の受給資格者の方の場合、60日延長すると就職困難者の方の所定給付日数を超えてしまうということで、平成21年の法改正の段階でも、個別延長給付の延長日数を60日ではなく30日としている区分の方については、30+60で90日を限度としての延長給付になるということです。
 続いて二、三番については、身対障害者等の就職困難な受給資格者の方についても、現行の個別延長給付と同じスキームを設けて、60日を限度とする個別延長給付を設けるというものです。これについては、先ほどの現行の個別延長給付の30日スキームと同様で、就職困難な受給資格者については、現行の所定給付日数が1年未満の方で150日、1年以上の方については、年齢等に合わせて300日、360日という形で一定の長期の所定給付日数が仕組まれているということで、現行の個別延長給付の対象にはなっていないところですが、今回のさらに60日の部分については対象とするということで、二、三番にあるような形で60日を限度とする延長給付を設けようというものです。
 以上が内容で、施行期日は全体の法案が通り次第、公布の日から施行することとさせていただきたいという内容です。
 続いて、基準局から労働保険料の免除の特例措置について説明させていただきます。
○労働基準局労働保険徴収課長 参考資料の「東日本大震災に係る特別措置法案における労働保険料等の免除の特例措置」の関係について、お話をさせていただきます。まず趣旨ですが、震災の被害の甚大さに鑑みまして、雇用の維持の支援の観点等から、労働保険の適用事業等のうち、一定の要件を満たす事業主から申請があった場合には、労働保険料及び一般拠出金の一部を免除するものです。
 次に「措置の内容」ですが、まず(1)免除の要件としては、平成23年3月11日に適用事業場等が特定被災区域に所在していたことです。具体的には、東日本大震災に際して、帰宅困難者の東京都を除いた災害救助法の適用を受けた区域等です。2点目は、震災被害により労働者の賃金の支払に著しい支障が生じている等の事情が生じていることです。続いて、(2)免除される労働保険料等ですが、免除対象期間に労働者に支払われる賃金等に応じた労働保険料が免除されるというものです。免除の要件 (2)に該当した期間、最長で平成23年3月から24年2月までとなっています。それから、平成23年度の石綿健康被害救災法に基づく一般拠出金です。「施行期日」については、公布日施行で、平成23年3月1日から適用と考えています。以上です。
○総務課長 1点だけ補足させていただきます。この法案にかかる省令改正については、先ほどの予算と同様に、諮問が間に合わないことも併せてご了解いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○大橋分科会長 以上の議論についてご質問、ご意見がありましたらご発言ください。
○古市委員 被災地の支援のための施策をたくさん出していただいて、大変歓迎をするものです。その中で1つ私が非常に懸念していることがあり、それについて考え方なりを聞かせていただきたいのです。
 被災地の被災者を地域で雇用するという仕組みがいくつも出てきており、県が雇用したり市町村が雇用したりと、こういうことが出てきているわけです。そういった人たちが民有地の瓦礫の撤去とか、その後片付けとか、そういったことに雇用され始めており、雇用されるのは大変結構なことなのですが、賃金が日給で7,000円、7,200円、7,500円、市町村によって相当違いがありますが、違いがあるといってもそういう非常に低い金額で雇用されると、こういうことになっています。7,000円という金額ですと、1か月間に22日目一杯働いても15万円ちょっと、1年間で184万円、こういう金額です。
 これは市役所が、民有地ではあるのだけれども公共事業として行うのですと、こういう位置づけになっているようです。公共事業ということになりますと、建設の場合、公共工事設計労務単価が設定をされており、参考までにその数字を申し上げますと、普通作業員1日当たり1万2,560円が設計労務単価の平均値です。非常に軽い仕事をする軽作業員の設計労務単価は、9,845円というのが今年度の基準です。そういったところから見ても、7,000円、7,200円、7,500円という数字は、官がやる仕事で地域の賃金水準を引き下げかねない、そういう非常に低い金額だということで、大変懸念をしています。
 こういう地域でNPOとかさまざまな団体が活動をしており、そういう市役所の動向を見て、それを参考にして人を雇うといったことも起こっております。そういう団体も7,000円だったり、7,200円だったり、そういったことを参考にしながら活動を行う、仕事を行うという傾向が出ておりますし、私どもとしては、そういうことで生活保護基準からも遠く離れた、そういう安い金額ということについて大変懸念を持っています。
 そこは、雇用を広げるのは安定局の仕事だけれども、賃金の話は安定局の仕事ではないのだと言われると身も蓋もないのですが、そこはハローワークを通じて仕事を紹介したり、雇用を進めていくわけですので、是非、最低賃金を上回っていれば問題ないのだという整理の仕方にならないように、配慮いただきたいと思います。
○総務課長 お話は緊急雇用創出事業なり重点分野雇用創造事業における賃金の問題かとは思いますが、これらの賃金については、いわば事業を起こす際にそこでの相場を判断した上で、当然のことながら最低賃金法とかさまざまな法律はクリアした形のものとは承知しているところです。いま委員からもお話がありましたように、これは一種雇用を創っていくための仕事ということの中で、適切な給料をそれぞれの自治体、事業主体が設定していただくようにお願いしているのが私たちの立場です。
 お示しのありました公共事業との性格の差と申しますと、これは公共事業そのものではありませんで、どちらかというと、そういう意味での軽作業になるのではなかろうかと思います。いずれにしても作業の内容等々、見合った形での、そこの地域における相場と合った賃金になるように私どもも自治体なりにお願いしていこうと考えています。
○石井委員代理(松本様) 先ほどハローワークへの相談の実績ということで、事業主もかなりたくさん相談に行って、かつ雇用調整助成金で相談をされていると。今回、非常にスピーディーに対応していただいて、本当によかったと思っています。ただ、一方で今回の震災の影響は被災地だけではなくて、被災地にかなり工場がたくさんあったということで、間接的な被害が首都圏あるいは西日本のほうにも大きくあったというのを、いまひしひしと感じています。
 現在、雇調金について生産量の確認期間、これは1か月に短縮をしていただいているのですが、実際に我々のほうにも、大阪や兵庫の工場でもかなり生産を制約されているという部分があります。例えば、自動車産業でも、1月、2月は生産水準が非常に高かったと。3月もそういう感じで増産体制であったけれども、4月から急激に生産が落ち込んで苦しんでいるという話もあるので、今回、間接被害を受けた事業所も確認期間についての短縮をご検討いただけるといいなと思っています。
 今回、第一次補正予算(案)ということで、対象被保険者にかかわる特例を継続していただくわけですが、対象外となる企業もあるかと思います。震災の影響で受注が激減したとかという話は先ほどのお話と同じでありますので、間接被害を受けた企業も含めてご検討いただければと思っています。また、雇調金の手続きの関係ですが、事前の休業計画届出を省略するということがありますが、これも広く見ていただきながら、また事業所単位ではなくて、あるいはいくつかの事業所を束ねる企業の申請みたいなことも可能であればありがたいと思っています。
 前回、リーマンショックの際にかなり支給に時間がかかるということで、一時ずいぶん話題になりましたが、今回、そういうことがないかと思いますが、是非速やかに企業のほうに支給していただけるような状況をつくっていただければと思っています。
○雇用開発課長 いま雇調金についていろいろご指摘をいただきましたが、確かに今回の震災の影響は、被災地以外の事業所にもいろいろ重大な影響を及ぼしていると思っています。そういうことで当所は雇用調整助成金の生産量要件の確認の特例等については、災害救助法適用地域だけの事業所に限っていたわけですが、それを今年4月6日から、災害救助法適用地域以外の事業所で災害救助法適用事業所との一定規模以上の経済的な関係を有する事業所については、震災の影響が大きいだろうということで特例の対象にしているわけです。
 そういうことで、ご指摘にありました大阪や兵庫の企業でも、被災地の事業所と一定規模以上の経済的取引があれば特例の対象になりました。特例の対象になりますと、3か月が1か月になるだけではなくて、生産量の減少の見込みだけでも雇調金を使うことができるようになりますので、使いたいと思ったら直ちに使えるようになる、そういう状況になっています。
 被保険者期間が6か月未満の方を引き続き助成対象にすることについても、これも被災地の事業所だけではなくて、被災地と同じように震災の影響を受けると思われる被災地の事業所と一定規模以上の取引のある事業所についても、この特例を対象にしようと思っています。
 申請手続きについて簡素化をするようにと、そういうご指摘をいただきました。被災地については、これはそういう簡素化をして支給が迅速にできるようにすることは大変重要だと思っています。既に被災地の場合は、津波や火事などで必要な申請書類がなくなってしまったと、そういう所も多いと思われますので、そういった場合には事業主の方の申立てだけで申請手続きの開始をしたり、あるいは申請書に記入する場合でも、確認する書類がなくなってしまって全部書ききれないということがありますので、そういう場合には必要な分だけ書けばいいということで、思いきった弾力化をしているところです。
 今後ともまさにこれから申請が増えてくる時期ですので、そういった中で迅速な支給ができるように、手続き等については十分注意をしていきたいと思っています。
○新谷委員代理(佐々木次長) 本来であれば今日は新谷が委員として出席して意見を述べるところですが、東日本大震災関係について緊急を要するということで、大変恐縮ですが代理から意見を述べます。
 改めまして、この度の震災で亡くなられた方々に心からご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。私ども連合も、3月から岩手、宮城、福島の3県に設けた8箇所の拠点にボランティアを毎週300名、延べ人数にすると3か月で2万人以上派遣して活動を行っているところです。
 その上で、いまご説明された内容について何点か申し上げたいと思います。ご報告された震災が発生して以来の雇用労働政策については、前回この分科会で労働側が要望したこともおおむね盛り込まれており、大変評価しています。しかしながら、今回の震災は未曽有の規模であり、電力不足と相まってその影響は長期にわたることが懸念されるところです。厚生労働省には、今年度予算における雇用対策はもちろん、被災した方々などの雇用労働対策に、引き続き全力で取り組んでいただきたいと思います。
 個別の項目に移ります。雇用調整助成金については、今回の要件緩和や手続きの簡素化の内容を周知徹底するとともに、申請した事業主に対して資金繰りに不安を抱かせることがないよう、速やかな助成金の支給をお願いしたいと思います。なお、今後の状況を見て支給上限額の見直しなど、さらなる制度の見直しについても検討を進めていただきたいと思います。
 また雇用促進住宅については、利用可能戸数と比べて入戸決定戸数があまりにも少なすぎるのではないかということで、仮設住宅を建てるよりも修繕したほうが早ければ雇用促進住宅を積極的に活用すべきであり、被災地の各地方自治体と連携して、被災した方々が1人でも多く速やかに入居できるよう、より一層の努力をお願いしたいと思います。
 「『日本はひとつ』しごと協議会」についても、連合としてはその趣旨と目的には賛同し、各地方連合会に参画を要請したところですが、単なる会議体としてだけではなく、被災した労働者の就労支援という本来の目的が達成できるような組織や運営とするようにしていただきたいと思います。。また、この協議会で被災地域における公共事業について合意事項を作る場合は、重層下請構造のため、末端の下請企業では労働者に十分な賃金が支払われていない建設業の実態を踏まえ、単に価格競争入札とするのではなく、被災地域の企業へ優先的に発注し、被災地域の労働者の雇用を優先するとともに、最低賃金や労働基準、安全衛生基準の遵守状況を要件化するなど、被災地域の経済の復興と被災者の生活向上に結びつくものとする旨を盛り込むべきであると考えています。
 さらに、今国会で審議中の求職者支援法案については、早期成立を図るとともに、被災した民間教育訓練機関の復旧支援と公的な拠点の設置、復興に向けた訓練メニューの整備をお願いしたいと思います。
○雇用開発課長 雇用調整助成金について、まずお答えしたいと思います。ご指摘いただきました特例措置等の周知徹底、これは本当に大事なことだと思っています。そういうことで厚生労働省でも、新聞広告等いろいろな形で周知をやっているところです。被災地においても、避難所で壁新聞を張ったりして、被災地の状況に応じた周知の方法の工夫をするようにしています。
 2点目の迅速な支給、これもこれから支給申請が増えてくる中で大変重要な課題だと思っています。これまで雇調金の支給については、初回の申請については2か月以内、2回目以降の申請については、支給申請から1か月以内にするということでやってきているところです。被災地においてもこれを目指して、これをやらなくてはいけないと思っており、これから体制整備等万全を期していきたいと思っています。
 それ以外にもいろいろご指摘いただきましたが、今後とも被災地の状況なり事業主のニーズを十分踏まえて、雇調金がよりよい制度になるように、十分検討していきたいと思っています。
○総務課長 私から住宅と求職者支援制度について説明します。住宅ですが、現在は市町村の災害対策本部等も連携して、できるだけ修繕を求められている所は速やかに修繕に努めているところですが、今後とも一層、市町村の災害対策本部とも連携し、必要性の高いほうから修繕を急いでやるという形での努力は一層続けていきたいと思っています。
 求職者支援法については現在国会で審議中ですが、その成立の暁には、先ほどおっしゃったようなさまざまなご要望を踏まえて、適切、的確に施行していきたいと考えています。
○雇用政策課長 しごと協議会についてのご意見がありました。おそらく労使団体の皆様方のご協力も、非常に大きなご協力を得まして、47都道府県で連休前にはすべて開催か、もしくは立上げという状況に至っていると聞いています。ご協力をいただきましたことは、この場をお借りしましてお礼を申し上げたいと思います。
 いまご意見のありました単なる会議体ではなくて役に立つ組織をということで、全くそのとおりだと思います。このしごと協議会の大きな趣旨は、それぞれの地元で、被災地で復旧事業などを受注される企業の求人を是非ハローワークにご提出いただいて、ハローワークが被災者の方をそういった職に紹介申し上げる、といったことが大きな流れだと理解しています。そういったことがうまく流れるように、我々も各都道府県労働局に周知を図ってまいりたいと思います。
 合意事項についてのお話がありましたが、本省から合意事項の例のようなものを流していますが、それはあくまでも記載例のようなものですので、いまおっしゃった観点も含めて47都道府県のしごと協議会の場でご議論いただいて、合意いただければと思っています。
○坂倉委員 雇用調整助成金のことで発言をしたいと思います。雇用調整助成金については、リーマンショックのときにも数多くの企業が利用して大変助かっているということになるわけですが、今回も相当利用されるものと思います。
 しかしながら、事業主の保険料で賄われている雇用保険二事業の財政が非常に厳しいということは、既にご承知のところだと思います。平成22年度の雇用保険二事業の予算は、雇用調整助成金の支出増により、失業等給付の積立金より4,400億円を借り入れるようになっていました。先日、事務局に決算見通しを問い合わせたところ、その借入れは400~500億円で済みそうだということを伺っていますが、赤字財政になることには変わりがありません。本日の資料では特別会計1兆円のうち雇用調整助成金に約7,000億円を投入、不足分は失業等給付の積立金から借入れを行う案が出されています。
 雇用保険二事業は事業主から保険料収入を財源としているものでして、年間保険料収入はここ数年5,000~5,500億円です。失業等給付の積立金から借り入れた以上は、その借金を返済しなければなりません。借入額が大きくなると、雇用保険二事業の保険料の引上げが必要になります。雇用保険料の引上額が大きくなりますと、雇用維持はおろか雇用の縮小、人員削減を行う企業が増えることにもつながりかねません。是非とも雇用保険二事業の財源健全化のためにも、失業等給付の積立金から借り入れるのではなく、一般財源を直接投入することをお願いしたいと思います。
○大橋分科会長 これはいかがですか。
○職業安定局長 これについては、震災とかそういうものでありますし、ですから前の審議会でも一般財源を入れてくれというのがありました。私どもは今度の補正の中でも一般財源をお願いしたいということで、先ほど課長から申し上げた形でお願いしているところです。例えば、基金などは、一般財源ということで500億円をお願いしているところです。
 全体として雇調金についてはご要望も多いところで、こういう状況ですが、全般的な二事業についての健全な運営といいますか、それについてはいろいろなことも含めて、それ以外の対策のことも含めて、これは引き続き検討したいと思いますし、また、これを活用する場合には、この委員会でご相談させていただいて、その運用についてもご相談しながら運用してまいりたいと考えているところです。
○新谷委員代理(佐々木次長) いま坂倉委員からありましたとおり、この度の震災における雇用・労働に係る対策は、そのほとんどが労使で拠出する労働保険料を主たる財源としているところですが、今般の非常事態に当たって、復興対策として一般会計からも財源を投入することを検討すべきであるという意見を私どもも持っています。雇用保険の個別延長給付日数の延長特例は、被災した方々の生活を支えるものとして評価しています。法案要綱については、労働側として了承したいと考えています。さらに、被災して失業した労働者が復興後に同一事業主で再雇用されるように、企業の再建と就労に向けた支援を強化していただきたいと考えています。
○大橋分科会長 よろしいですか。その他ありませんか。特にないようでしたら、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長に報告申し上げたいと思いますが、よろしいですか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 報告文案の配付をお願いします。
                (報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛に報告することとしてよろしいですか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは、そのように報告します。その他何かご意見、ご質問等はありますか。よろしいですか。本日の議題は以上となります。
 最後に、これが現メンバーで行う最後の職業安定分科会になりますので、ここで森山職業安定局長からのご挨拶をいただきたいと思います。
○職業安定局長 一言ご挨拶をさせていただきます。本日は、お忙しい中ご議論いただきまして、また、いま雇用保険法につきまして諮問として答申をいただきまして、誠にありがとうございました。今般、先ほどの補正予算、また今回もしこの法律が通りましたならば、この法律も活用いたしまして、全力でこの被災地のほうの雇用対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、いま会長からもございましたように、当メンバーとしましては4月26日付で任期満了ということになるわけでございます。ですから、今日が最後の審議会ということでございます。その中でも公益代表の白木委員、また征矢委員、本日はご欠席でございますが労働側の斉藤委員、使用者側代表につきましては荒委員、本日代理出席の石井委員の方々につきましては、今期でご退任ということでございます。
 この2年だけで考えましても、リーマンショック以降いろいろな雇用対策をご議論いただきました。法律だけでも派遣法、雇用保険法、求職者支援法等々、いろいろな対策のご議論を賜ったところでございます。このご尽力に対しまして、本当に心から感謝を申し上げたいと思っています。特にご退任の委員の方々につきましては、今後益々のご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げたいと思います。また、委員を退きましても、引き続き職業安定行政に対しまして、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げたいと思っております。また、引き続き委員をお願いいたします方々におかれましても、今後とも雇用問題、震災の問題もそうでございますが、やはりなかなか厳しい雇用情勢でございます。また引き続きいろいろな面でご議論を賜り、またご指導を賜ればと思っているところでございます。
 今回退任をされました方々におきまして心から御礼を申し上げるとともに、また引き続きの皆様方に対しましては引き続きご議論を賜りたいと思っているところでございます。簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○大橋分科会長 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員にご署名をいただくこととなっています。つきましては、労働者代表の古市委員、使用者代表の荒委員にお願いします。本日の分科会はこれで終了します。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課総務係

担当・内線 稲田・八木(5711): 03(5253)1111

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