ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第49回労働政策審議会安全衛生分科会議事録




2010年12月6日 第49回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成22年12月6日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、市川佳子、関口氏(伊藤雅人代理)、今田幸子、瀬戸実、高橋孝行、高橋信雄、谷口元、露木保、土橋律、豊田耕二、内藤恵、中原俊隆、中村聡子、名古屋俊士、古市良洋、三浦武男、芳野友子

事務局

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)
島田和彦 (化学物質評価室長)

○議題

・プレス機械の安全装置の技術的事項に関する労働安全衛生規則の改正について(諮問)
 ・新規化学物質の有害性の調査結果について(報告)
 ・「電動ファン付き呼吸用保護具」の譲渡の制限等及び型式検定の対象への追加
 ・今後の職場における安全衛生対策について
 ・その他

○議事

○分科会長 若干早いようですが、皆様お集まりのようですので、これより「第49回労働
政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
 本日は、犬飼委員、眞鍋委員、伊藤委員が欠席されています。伊藤委員の代理といたしま
して、東京商工会議所の関口様がご出席でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは議事を進めます。本日は前回予告いたしました「プレス機械の安全装置の技術的
事項に関する労働安全衛生規則の改正についての諮問」。「新規化学物質の有害性の調査結果
に関する報告」。「今後の職場における安全性対策についての骨子案」とともに、事務局から
追加されました「電動ファン付呼吸用保護具の譲渡の制限等及び型式検定の対象への追加」
について議論をしていただきたいと思います。
 はじめに「プレス機械の安全装置の技術的事項に関する労働安全衛生規則の改正」につい
て、今回厚生労働大臣から労働政策審議会会長あて、正式に諮問の手続きがございましたの
で、当分科会において審査を行うことといたします。それでは事務局からお願いします。

○安全課長 「プレス機械の安全装置の技術的事項に関する労働安全衛生規則の改正につい
ての諮問」についてご説明いたします。資料1の1頁が諮問文、2、3頁が省令案の改正の
要綱です。これはあとで見ていただくことにいたしまして、説明は4頁以降からいたします。
まず背景はご存じのとおり、プレス機械と申しますのは金属製品製造に欠かせない機械で、
自動車、電気製品から各種金属製品の製造機械として幅広く使われております。資料1の6
頁、参考1の「プレス機械による災害発生件数」ですが、年間1千件弱の水準で推移してき
たわけです。ただ、平成21年はリーマンショック等の景気の変動の影響もあり、減少して
おります。この災害の中身の多くが、指の切断、折損といった後遺障害を伴う災害が少なく
ないため、従来から行政としても重点対策として取り組んできたところです。もう少し災害
の発生状況の詳細をご説明しますと、資料にはありませんが、これは平成19年の労働災害
原因を分析したデータですが、まずプレス機械の中でも旧式のプレスのポジティブクラッチ
プレスによる災害が最も多く、これが27%です。その次が機械プレスのフリクションクラ
ッチプレスが20%。3つ目として板曲げを行うプレスブレーキによるものが15%、この3
つがプレスの中では大きくウェイトを占めているわけです。
 次に発生の原因ですが、まず1つは安全装置そのものがなかったというものが46%でほ
ぼ半分近くです。もう1つが安全装置が不完全ということで、例えば、光線式安全装置が用
意されていながら、取り付ける位置が悪くて十分な機能を果たしていない、というような安
全装置が不完全であるものが29%。3番目として作業方法の欠陥で18%と、いずれにして
も安全装置を設置していない、または正しく使用していないことによる災害が依然として多
いというのが現状です。
 次に「改正の背景」ですが、今回の改正に当たりまして、まず1つ、平成20年からスタ
ートした第11次労働災害防止計画において、現在ご審議いただいております機械の危険情
報の提供によるリスクアセスメントの取組の推進のほかに、機械の個別対策として、労働災
害多発機械の対策のため、重点的な機械の種類ごとに安全対策の充実のための検討と措置を
講ずるというロードマップを作りまして、この中で進んでいるわけです。災害発生件数、災
害の重篤度から見て、プレス機械については、トップのポジションにおいて検討を進めてき
たところであります。具体的な取組はもう少し早いのですが、平成17年に構造規格の改正
についてメーカー、ユーザーの関係者も含めた専門家報告書を作成し、検討しまして、その
後平成20年に、労働安全衛生総合研究所による、プレス機械の詳細な災害分析を踏まえた
対策のあり方についての調査報告書、具体的には「プレス作業を対象とした安全技術の高度
化に関する研究」とありますが、これによる研究を進めてきたところです。このような調査
結果に基づき、最近の技術の進展を踏まえた上で、プレス機械および安全装置自体の構造要
件を定めた構造規格、厚生労働大臣の告示ですが、その改正を行うとともに、改正の対象と
なる安全装置の適切な使用等を確保するため、プレス機械を使う際の安全対策として、今般、
労働安全衛生規則の改正を行い、構造規格の改正、労働安全衛生規則の改正、この両者にお
いて一層のプレス災害の防止対策を進めたいということであります。
 資料1の4、5頁が省令改正の背景と内容ですが、わかりやすいので5頁のポンチ絵をご
覧いただきたいと思います。改正は3点ありますが、1つ目が機械の「ストローク端による
危険防止」ということで安衛則の第108条の2の関係です。ポンチ絵のいちばん上ですが、
右側の絵にあるように機械の移動テーブルによるストローク端、そこにおいてテーブルが労
働者に激突することにより、労働者に危険を及ぼすおそれがあるということから、現行では
工作機械が、例えば、研削盤とか旋盤等ですが、それを対象にすでに、覆い、囲いまたは柵
を設けなければならないというのが安衛則の第112条にあります。一方、昨今の機械を見ま
すと、プレス機械を含め、NCマシンといわれます数値制御により自動で加工を行う機械が
普及してきており、その中にタレットパンチプレスというのがありまして、これは複数の形
状の異なる金型を有し、それで数値制御によってプレス加工をしていくというものですが、
近年このタレットパンチプレスのテーブルと建物に挟まれ、死亡災害が起こっているところ
もあります。
 また一方で、木材加工用機械においても同様に、NCマシンによる災害があるということ
です。このように機械の移動するテーブル端等のストローク端による危険を防止するために、
従来からある第112条ではなく、第108条の2というものにおいて、工作機械以外にこの
ようなリスクを有する機械を含めて、危険防止のための措置を講ずることとする。これが1
番目の「ストローク端による危険の防止」という第108条の2の関係です。
 次が2つ目の「プレス等による危険の防止」の?@のプレスブレーキ用の新たな安全装置へ
の対応。これは第131条の関係です。プレスの種類のうち、プレスブレーキ、長い板の曲
げに使う構造をもつプレス、いわゆる板曲げ機においては、長い板そのものの材料を手で保
持して加工作業をすることが多いわけです。このため、プレスの安全装置として一般的に使
われている光線式安全装置が使い難いということがあります。この関係で災害も全体の
15%を占めている状況にあります。こういうことからプレスブレーキの作業特性を考慮した
新たな安全装置として、プレスブレーキ用レーザー式安全装置を、金型の先端にレーザーを
設置し、指、手などの身体を検知して安全に停止させるものです。、金型が下降してくる間
に手があればそれを検知してと。従来の安全装置でしたら検出面が前に固定されたものです
が、これは金型と連動して下降し、下りてくる段階で手が検知されれば止まるというもので
す。こういうものが開発され、欧州のEN規格においてプレスブレーキ専用の安全装置とさ
れていることからも、安全装置の構造規格に追加をすることとしているわけです。一方でこ
の新しい安全装置を使う際、スライドの下降速度が低スピード、毎秒10?o以下等の条件で
使用することが必要であることから、労働安全衛生規則において、当該安全装置の設置、使
用の条件が守られた上で利用することを規定するというものがこの第131条の関係です。
 次に大きな2の?Aの、「手払い式安全装置の原則使用禁止」、第131条およびその附則の
関係です。現在はプレス機械の安全対策の1つとして位置づけしておりますが、手払い式安
全装置とは、絵の右下にプレスの前に揺れているような形のものが手払い式ですが、急停止
機能をもっておりません旧式のポジティブクラッチプレスに、比較的簡便な安全装置として、
一部使用されているわけでして、振り子みたいに手を払う構造であることから、足踏みスイ
ッチでスライドを起動して、スライドの近くにあった手を払いきれずに挟まれてしまう災害
が見られたわけです。労働安全衛生総合研究所の調査によりましても、手払い式安全装置を
設置しているプレスでの災害37件のうち、防護範囲の不足、要するに手が払いきれなかっ
たというものが19件、5割を超える51%の形で発生しているわけです。また一方で、主要
国においても、このような安全装置の使用を認めていないということもあります。このよう
な災害の発生状況を踏まえ、安全な作業を確保をするため、手払い式安全装置は原則使用禁
止とするわけですが、当分の間は手が容易にスライドに届かないように、両手操作式の一定
のプレス機械に取り付ける場合には使用することができるとしたわけです。足踏みの起動方
式では手は自由ですから危ないですけれど、両手で起動すると、その間、手を挟まれるとい
うことは発生しないということです。このようなものは一定の間は認めることにしようとい
うことで、当分の間の措置として附則に規定するものですが、今後できるだけ早い段階にお
いて、目処としては5年後に見直しが行われるような形で手払い式安全装置から、より安全
性の高い措置への移行を促してまいりたいと考えているところです。
 この手払い式安全装置の見直しについて、見直しの検討の段階におきまして、メーカー、
ユーザーの関係者が参画しておりましたし、両手操作式との併用の指導につきましても監督
署において、ポジティブクラッチプレスの使用事業所への指導を重点対象として、いままで
の数次にわたるプレス災害防止総合対策において、両手操作式の起動方式と併用ということ
を関係事業所に指導しているわけです。平成6年7月には「足踏み操作式ポジティブクラッ
チプレスを両手押しボタン操作式のものに切り換えるためのガイドライン」を公表し、さら
に具体的な移行について多くの事例を交えてわかりやすく示してきたところです。このよう
に従来から継続的に指導を行ってきたところですが、公布後の周知期間において、各監督署
で把握しています当該対象プレス使用事業所を重点に、かつ丁寧に周知指導を行い、円滑な
施行を図ってまいりたいと考えているわけです。
 公布および施行予定日は、本改正につきまして平成23年1月公布、7月1日施行を予定
しております。
 次にこの改正と連動します構造規格の改正部分についてご説明いたします。参考2ですが、
プレス機械の構造規格の改正のうち、特に下線を引いておりますところは省令改正に関係す
るものです。それを説明したいと思います。1の(1)のア、手払い式安全装置の新規製造を原
則禁止といたしまして、当分の間、両手操作式とペアで使用するものに限り認めることとし
ているということです。もう1つが、1の(2)のイ、新たな安全装置としてプレスブレーキ用
レーザー式安全装置を規格に位置づけ、プレス作業に応じユーザーの安全装置の選択の幅を
広げるということです。次に8頁の動力プレス機械構造規格の改正です。災害の多い旧型の
プレス、ポジティブクラッチプレスについて、ガード式安全プレスなど、身体が挟まるおそ
れのない構造のものを除き、原則、製造禁止とする、ということです。現在はほとんど製造
されていないというのが現状です。以上のように省令改正とともに構造規格を改正すること
により、プレス機械による労働災害の一層の防止を図ってまいりたいと思っております。ご
審議をよろしくお願いいたします。以上でございます。

○分科会長 機械のストローク端による危険防止とプレスブレーキ用の新たな安全装置へ
の対応。手払い式安全装置の原則使用禁止ということです。ただいまのご説明について、何
かご質問等ございますでしょうか。

○市川委員 今回の省令改正案について異議はないのですが、一言申し上げたいと思うのは、
例えば機械のストローク端につきまして、死亡事故が発生したので対策をする、事故が起き
たから対策をする、いわゆる労働者の犠牲がなければ、こういう規則が改正されないという
のは、やはり基本的な施策のあり方として間違っているのではないかというように思います。
機械の危険情報についてこの後また議論がありますけれども、事前にリスクというものをど
れだけ取り除けるのか、安全性というものを高めていくのか、事前防止型というのでしょう
か、そもそも安全を本質とするような機械の製造を、事前防止型に大きく転換すべきであっ
て、事故があったから対応するというようなことがこれからもずっと続いていくということ
はいけないのではないかというように思います。
 また、この手払い式の安全装置についても、一部原則禁止だけれども、一部残ると。主要
国でもほとんど認められていないようなものが我が国ではまだ残ることについても、危惧を
もっておりまして、そういった、後手に回るような安全衛生対策を大きく方向転換をさせる
ことをこれから考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。

○安全課長 市川委員のご指摘はごもっともだと思います。おっしゃるように平成17年の
安衛法改正においてリスクアセスメントの導入により、いわゆる先取り式の方向でもっと対
応していく。我々はその段階であると、その方向に舵を切ったところではないかと思ってい
たわけですが、特にこういう危険なものについて、規格という形で規制をしなければならな
いものについて、当然実施すべきものとして、最低限これは守ってくださいということで、
安全を担保するためにこのような規格を定めているものです。一方、先取り式の安全衛生と
いうものを否定したと言いますか、無視をしたわけではありませんので、我々としてはその
先取り式を大前提において進めていきたいと思っております。

○分科会長 ほかにはございませんでしょうか。
 それでは「プレス機械の安全装置の技術的事項に関する労働安全衛生規則の改正について
の諮問」につきまして、当分科会として妥当と認めるということでよろしいでしょうか。

                  (承認)

○分科会長 ありがとうございます。それでは次の議題に入ります。「新規化学物質の有害
性の調査結果に関する報告」について、事務局からご説明をお願いいたします。

○化学物質評価室長 資料2に基づいてご説明いたします。お手元の「新規化学物質の有害
性の調査結果について(報告)」という資料ですが、まずいちばん上の新規化学物質の有害
性調査の安衛法57条の3に基づく部分からご説明を申し上げたいと思います。これについ
ては毎年度この時期に報告をさせていただいているところですが、全体的な流れがわかるよ
うな資料に少し変えさせていただきましたので、順を追ってご説明いたします。まず、1頁
の57条の3に係る部分ですが、安全衛生法に基づきまして、新規化学物質を製造・輸入す
る事業者について、有害性の調査を実施して厚生労働大臣に届出をするということになって
おります。これに関するものですが、全体的な像を表したものが2頁にありますので、参考
の1の資料で若干ご説明しました上で、また1頁に戻ります。既にこれは見ていただいてい
る方々もいらっしゃるかと思いますが、職場における化学物質管理の全体像の真ん中のとこ
ろの「化学物質総数約6万物質」ということですが、労働場面で使われている化学物質がい
ま約6万物質あります。これは中間体、あるいは原料といったものも労働場面では取り扱う
ことになりますので、国内で取り扱っている化学物質の中ではいちばん数が多いということ
です。それに関して労働安全衛生法に基づいて、いくつかの物質に分けまして管理を行って
いただいているということです。いちばん重い措置が「重度の健康障害が生じることが明ら
かで、かつそれを防ぐのに十分な方法がないような化学物質」、これについては製造の禁止
という位置づけをさせていただいております。該当するものとして、石綿等8物質あります。
それから重度の健康障害が起きるおそれがあるということで、例えばPCBとか、ベリリウ
ム、こういった物質については、予め製造方法等に対する許可を与えるということで、7物
質についてそういう対応を取っています。
 その下に104物質とありますが、これまでの作業の中で、災害が多発しており、何らか
の対応が必要であるというようなことで、特別則を定めておりますけれども、特定化学物質
障害予防規則、特化則、あるいは有機溶剤中毒予防規則、有機則と言われておりますけれど
も、こういったもので特別に管理をすることが義務づけられている物質が104物質です。
その下に今度いわゆる企業間で譲渡提供がされるような物質については、その物質の取扱い
等に際して安全データシートというものを付けて、どういう物質であるかというようなこと
を作業者、あるいは作業主任者の方々にわかっていただくというための物質があり、これが
安全データシートの交付対象物質となりますが、640物質です。その下には指針対象物質と
いうことで800物質等ありますが、これが本日ご説明をさし上げたいものです。特に「新
規化学物質の届出」に関連する流れです。右手のほうの資料の下、黒く塗りつぶしたところ
がありますが、「新規化学物質の届出」ということで、これは毎年国内で新たに取り扱われ
る物質については厚生労働大臣のほうに届出をしていただくことになっております。届出に
関しては有害性の調査ということで微生物等を用いた変異原性試験という試験を併せて添
付して届出をいただくという仕組みになっています。現在約1年間の間に1,200物質の届出
があります。先ほどのご説明にもありましたけれども、経済的な好不況の中で届出件数は多
くなったり少なくなったりしておりますが、だいたい今年であれば1,200ぐらいあります。
それから新規化学物質の累計ということで、合計で2万物質ほどが新規化学物質の届出とい
うことで、有害性の調査書を出して頂いているということです。その物質について矢印があ
りますが、真ん中のほうのそのうち特に、強い変異原性というものが見つかったものについ
ては、指針による指導ということで、取扱いに関する指針を国から示しているわけですが、
これに基づく適正な対応を取っていただきたいということで、通知という形で指導、お願い
の範疇ですが対応していただいているものが現在800物質あるということで、特に新規化
学物質、あるいは既存化学物質を通じ、化学物質の管理は現在このような形になっています。
 そういった前提の中で、今度は1頁に戻りまして、ここでは特に新規化学物質の届出制度
に関する部分のご報告ですが、特に先ほど申しましたような有害性の調査結果というのが事
業場から上がってくるわけです。それを私どもで審議をさせていただくわけですが、学識経
験者の方にその内容について審査をいただいております。その審査結果をこの場でご説明す
るという法令上の義務になっていますので、毎年この時期にご報告をさせていただいておる
ところです。今回の報告について、1頁の下枠、学識経験者意見の概要ということでまとめ
させていただきました。報告対象として、去年の12月25日から、本年の9月27日までに
届出がされて名称が公表された物質、これが合計で1,193物質です。これに関する意見をお
聞きした学識経験者のリストが別添の後ろのほうに付いていますが、いちばん最後の7頁、
資料の参考4で、現在このような方々に審査をいただいているところです。この方々から出
された意見については先ほどの1頁にありますが、?@~?Bの合計3点ほどご指摘をいただい
ております。順を追ってご説明申しますが、届出事業者への健康障害防止措置の勧告、国に
よる勧告ですので、非常に「変異原性のみならず、健康障害に関するおそれの高い物質」と
いうことでしたが、今回についてはその該当がなかったということです。
 2点目に、強い変異原性が認められると判定された物質、これについては合計43物質認
められるということです。これは累計では過去800物質ほどがありますということです。
43物質についてはリストを3、4頁に付けてあります。
 個別の物質については非常に難しい物質ですし、個別にご説明することきは差し控えてお
きますけれども、傾向としては医薬品の中間体原料といったものが最近は多くなっています。
ただ見ていただければわかりますように、幅広い様々な用途の物質、それから労働安全上と
いうことで、作業上で使われる物質として中間体、原料といったものも入っています。以上
の43物質について特に変異原性の高い物質として挙げられています。
 変異原性というようなものに関して、これは微生物を使い、その微生物の細胞中の遺伝子
に何らかの関与をするような物質であり、人が接種をした場合に人の細胞の中で、がんを起
こす可能性があるということから、そのスクリーニング用の試験として採用しているもので
す。したがいまして、この変異原性が高いということのみをもちまして人に対する発がん性
物質ということではありません。ただ、今後、より高次の試験をやっていった場合に発がん
性物質ということで確認される可能性がありますので、この段階できちんとした対応を取っ
ていただくというのがこの制度の目的です。具体的にどういう対応を取るかということに関
してそのあとでご説明申し上げたいと思いますけれども、特に第3点目で指摘していただい
ておりますけれども、1頁の?Bにまた戻りまして、この43物質については指針に基づく措
置を実施することが妥当であるという判断をいただいております。
 この指針というのは5、6頁に付けています、平成5年に策定されておりまして、また随
時改正をさせていただいているものですが、変異原性が認められた化学物質による健康障害
を防止するための指針というものです。一般的な内容もありますが、概略のいちばんの趣旨
として、強い変異原性が確認された物質を1%を超えて含有する製品等を製造し、または取
り扱う事業者については特定の健康障害防止措置をとる、というようなことを求めている指
針です。具体的な措置として、2~6番で、次の頁から書かれているものです。かいつまん
で申しますと、特に2番目の作業環境管理の維持、改善をしていただきたい。3番目に作業
環境測定の実施、および測定記録の保存もお願いをすると。4番目として労働者に対する労
働衛生教育を実施していただく。5番目に譲渡提供時の、先ほど申しました安全データシー
トの交付、およびラベルの表示ということで、容器、包装にラベルを表示していただきたい
ということです。最後に作業の記録、あるいは記録の保存。長期的、慢性的な毒性があるも
のですから、作業記録を随時残し、過去にどういう作業がされたかの確認ができるようにし
ていただきたいという趣旨です。以上のような形でこの指針に基づく対応を事業者に求めて
いくというような対応にしておりまして、こういう厚生労働省としては強い変異原性が認め
られた物質については事業者による適切な管理ということで、情報の提供、あるいはその他
適正な取扱いを今後とも指導していきたいというように思っております。本件のご説明は以
上です。

○分科会長 ありがとうございます。新規化学物質の有害性の調査結果とその対応について
説明いただきました。何かいまの説明に対して質問等ございませんでしょうか。

○市川委員 質問ですが、私が聞き落としたのかもしれませんが、1頁の上の箱の下の※で
すね。「更なる試験が必要とされた化学物質は国ががん原性の試験を実施し、結果により必
要な措置を講じる」ですが、更なる試験が必要とされるというのはどこで判断されるのです
か。

○化学物質評価室長 2頁を見ていただければと思います。これの右側の四角のところに
「国によるリスク評価」という形になっていますが、こういったところのリスク評価の中で
特に新たに化学物質の試験が必要だという物質を選定しており、その中でがん原性試験、い
わゆる先ほど申し上げました確定試験と言われるものが必要であると判断されたものにつ
いては、私どもの国の予算で指定の研究機関に実施していただいているということです。

○市川委員 その試験というのは、聞くところによると予算が大分少なくなっていて、思う
とおりになかなか試験の数が増えないという話を聞いたわけですが、どのぐらいのスピード
でそういう検査が従来行われていて現在どうなのかというところをお聞きしたいのです。

○化学物質評価室長 これにつきましては結構長い間試験をしておりまして、毎年大体2
物質ぐらいの選定をさせていただいて、化学物質の発がん性試験をやらせていただいており
ます。確かに最近予算的に少なくなっているということもありまして、1物質削ったりして
おります。ただ、これは今回だけの話ではないので、過去長年の中では増えたり減ったりと
いうことはございます。ただ、できるだけ実質的な問題がないように試験の数あるいは有効
な物質の選定ということで対応していきたいと思います。

○分科会長 他にはございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは続きまして「『電動ファン付き呼吸用保護具』の譲渡の制限及び型式検定の対象
への追加」についてご説明をお願いいたします。

○環境改善室長 それでは資料3に基づきましてご説明申し上げます。「電動ファン付き呼
吸用保護具」ですが、まずどのようなものかにつきましてご説明を申し上げたいと思います。
資料3の右側の下に「電動ファン付き呼吸用保護具とは」と書いてありまして、少し小さな
写真があります。この保護具につきましてはここにもありますとおり、電動ファン、ろ過剤、
面体等から構成されており、環境空気中の有害物質をろ過剤によって除去した空気、きれい
な空気をですね、面体の中に送り込む方式のろ過式呼吸用保護具です。電動ファンの付いて
いない通常の防じんマスク、防毒マスクにつきましては、そのマスクを付けている人が呼吸
をして外の空気を吸い込むわけですが、電動ファン付き呼吸用保護具につきましては空気が
送られてくるという方式であり、そこが大きく異なります。空気を吸い込む方式の防じんマ
スク、防毒マスクですと、面体の中が吸い込むことによって陰圧になりますので、マスクと
装着している人の顔の間に隙間がありますとそこから有害物を含む空気が入ってくること
が懸念されますが、電動ファン付き呼吸用保護具につきましては陽圧になりますので、有害
物を含む空気がマスク内に漏れ込む恐れはほとんどないと考えられます。このようなことが
ありましたので、その資料の上に「背景と現状」が書いてありますが、粉じん作業等のうち
で特に粉じん濃度が高くなる恐れがあるような作業につきまして、具体的にはここに粉じん
障害防止規則が平成19年に改正された。それから石綿障害予防規則が平成21年に改正さ
れたと書いてありまして、それぞれその規則で定めております、ずい道等の建設作業のうち、
コンクリート等を吹き付ける場所における作業等での使用、吹き付けられた石綿等の除去作
業での使用、そういうものを義務付けています。そして、その性能を担保するために日本工
業規格、これはJISと呼ばれていますが、その日本工業規格に定める規格に適合することを
通達により求めていました。この日本工業規格は任意規格で、メーカーは必ずしもそれに適
合した保護具を製造する義務はないものですが、メーカーでは適合した保護具を製造してお
り、現在2つの省令に規定する作業におきましては規格に適合したものが使用されておりま
す。このたび、それを確実なものとするために電動ファン付き呼吸用保護具につきまして労
働安全衛生法に基づく構造規格を新たに定めて、型式検定の対象とするとともに、その規格
を具備しなければ譲渡等を行ってはならないとすることを検討しております。簡単でござい
ますが以上です。

○分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問等ございましたらお
願いいたします。

○名古屋委員 従来の防じんマスクで考えますと本当に楽でして、ただ問題は価格が高かっ
たといったことですけど、このように法改正することによって価格が下がってきてましたの
で普及してくると思いますので結構だと思います。

○分科会長 ありがとうございます。それでは、続いての議題ですが、「今後の職場におけ
る安全衛生対策」についてに入りたいと思います。これまでの分科会で、機械譲渡時におけ
る機械の危険情報の提供のあり方、職場における化学物質管理のあり方、職場における受動
喫煙防止対策のあり方、そして職場におけるメンタルヘルス対策の4項目について今後の方
向性を議論して意見を集約することができたところです。最終的には分科会としての報告書
(案)をまとめることになるわけですけれども、今回はその骨子となる案を事務局に作成し
ていただきましたので、それについてご議論をいただきたいと思います。それでは事務局か
らお願いします。

○(事務局) 計画課長はいま至急の用事で席を外しています。もうじき戻ると思いますの
で、それまでの間、「今後の職場における安全衛生対策(骨子案)」について読み上げをさせ
ていただきたいと思います。最初です。1頁から読み上げさせていただきます。

(資料4「今後の職場における安全衛生対策について(骨子案)」を読み上げ)
 
○分科会長 それでは項目ごとに議論をしていきたいと思います。まず1頁から2頁の冒頭
までが前文ですけれども、これについてご意見ございませんでしょうか。

○瀬戸委員 すみません。今後の対策ということで謳われているのですが、これは安衛法の
改正を行う必要なものとないものと峻別されるのですか。それとも全体的な安衛法の改正が
伴うものなのかを確認したいのです。

○計画課長 今後の安全衛生対策について実施すべき対策ということで、結論論から申し上
げますと組織的なものについては基本的に安衛法の改正を伴うものだということです。具体
的には努力義務にする、義務とするという部分については法的な措置が必要だという考え方
の中でこのペーパー上は成り立っております。ただ、すべてを法律なりに書くということで
はなくて、基本的な部分について法的な手当をしつつも、具体的な中身についてはある部分
省令、指針、あるいは通達ベースでやること等も当然含まれております。あるいは予算措置
でやるような事業も書いてあります。ただ今回の報告書の骨子は基本的にはスタートライン
としては安全衛生法の改正をした上で、その延長線上に必要な手当としての指針等の改正あ
るいは予算的な措置も含めて書いてあるということだと思います。実は、これとは別に、例
えば化学物質の管理で申し上げますと、審議会にも報告しております検討会においては法的
な措置を伴わないで別途省令なり何なりでいうようなこともご提言いただいております。そ
のようなものはもちろん今後取り組んでいくものとしてあるわけですが、今回のとりまとめ
はそういう意味では法的な手当をした上でやる部分について重点的に議論していただいた
と理解しておりますので、そういう方針に基づいて報告書の骨子をとりまとめているところ
です。

○瀬戸委員 その法改正となると、スケジュール的にはいつごろの法改正になるのでしょう
か。

○計画課長 厚生労働大臣は重要な施策について審議会の意見を聞かなければならないと
いうことになっており、たぶん今回の検討会の報告書なるものが分科会から本審に報告され
た上で、本審として労働大臣宛に建議していただくという形になるのだろうと思います。建
議を踏まえて最終的にどうするかということは、これは厚生労働大臣あるいは厚生労働省と
しての判断という形になりますので、そこでまた検討されるようになります。現在はまだ審
議会の場で議論しているということですので、その点については建議なるものを見て、また
厚生労働省として検討させていただくという形になります。

○瀬戸委員 この場で議論されたものが労働安全政策審議会、労政審に上がっていく。

○計画課長 そうです。報告書は分科会長から労働政策審議会の諏訪会長に報告され、それ
を審議会で、今度大臣に出すときには建議という形で出すというのが通例になっています。

○分科会長 他にはございませんでしょうか。よろしければ2頁目の1番の「機械譲渡時に
おける機械の危険情報の提供の促進」というところについてはいかがでしょうか。

○市川委員 今回この「機械譲渡時における危険情報の提供の促進」ということで、リスク
アセスメントの取組を促進するためにも、これまで通達レベルであったものが努力義務とし
て安全衛生法に位置づけられるということについては、労働側としては評価をするところで
す。
 とは言え、やはり、努力義務に留どまっているところには、労働側としては意見を言わざ
るを得ません。努力義務ではなく、義務にしていただきたいと思います。ただ、リスクアセ
スメントの導入自体も努力義務ということになっております。冒頭で私は発言しましたが、
起きてしまった件を潰していくのではなくて、起きる前からの取組を重視するという方向か
らいくと、できるだけこういったものを努力義務ではなく、強行規定にしていただきたいの
が労働側の意見です。以上です。

○瀬戸委員 (3)のところにもあるのですが、具体的な実施方法について、「指針を作成し」
とあります。この「指針」というのは、どこの場で議論をし、策定をするかというのを確認
させていただきたいと思います。

○計画課長 すべての機会の有害情報について提供するということを、努力義務としてやっ
ていただくことになりますと、当然、中身は非常に広範なものにもなりますし、それをすべ
て法令等で書き切ることは非常に難しいわけです。これは従来から安全衛生法におきまして
は、そのような包括的な責務規定については、それを適切に実施するために、指針のほうで
詳細に書いて、それを需要者側に提供して支援していく、あるいは指導していくということ
の行政スタイルとしてやっております。そういうものとして、仮に法的な手当が終わったあ
とには、そういう指針を作って提供することになりますが、当然、その場合にはこの審議会
のほうにも案の段階でご報告をして、ご審議もいただくことも考えているところです。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはありますか。それでは次の項目の「職場における自
主的化学物質管理の促進」についてご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

○土橋委員 自主的管理の促進ということでは、かなり細かく規定された法規を、場合によ
っては、自主的管理を十分やる上で、少し柔軟に運用することも必要かと思います。
 その辺は確かこの場でもお話はあったかと思います。この文面にはあまり入っていないよ
うに思いますので、その辺を伺いたいのです。

○化学物質対策課長 ただいまご指摘がありましたので簡単に申し上げますと、性能要件化
に関しては、先ほど計画課長からご説明を申し上げたとおり、今回報告書にまとめていただ
いているのは法律、あるいは予算事項に直接関係あるようなところでまとめてあります。た
だ、性能要件化は重大な課題と認識しておりまして、これに先立つ検討会でも、あるいはこ
の分科会におきましても、その方向で進めるようにというご示唆をいただいておりますので、
それに則りまして別途検討会を設置して、分科会にお諮りしながら進めていくようにと考え
ております。

○市川委員 関連ですが、個人測定の話も同じと考えてよろしいのですか。

○化学物質対策課長 左様でございます。

○市川委員 別の件ですが、化学物質の件についても努力義務になっていることについては、
労働側としては非常に遺憾であると申し上げ、義務化すべきであるという意見を申し上げて
おきたいと思います。特に事業場内で取り扱う小分け容器へのラベル表示については、前の
議題で出された資料2の「化学物質の全体像」を見ますと、いまの論点、骨子案の(1)の考
え方というのは、この図では、化学物質総数約6万のうちの製造禁止8、製造許可7、特別
規則104。その外枠として、MSDS対象物質は640とあります。その下に網掛けが入って
約800。この総体が危険有害性情報がある物質約4万物質。ここをかぶせて努力義務とする
と捉えていいのか、というのが1つ質問です。さらに小分けの表示についても努力義務です
が、これはこの対象物質と同じということで考えていいのかというのが2つ目の質問です。
 3つ目は意見になると思いますが、すでに104物質等々、表示義務のある物質についても、
小分けにした場合は努力義務と読むのか。それを質問したいと思います。

○化学物質対策課長 いちばん最初のご質問からお答えいたします。努力義務の範囲は、市
川委員のご指摘のとおりで結構です。1、2ともに、事業場のラベル表示と同じです。
 ご指摘にありましたように、すでに表示義務として課せられている物質に関する事業場内
表示は、今回は大きく努力義務の中で読んでいただくことになっております。ということで、
ご質問に対するお答えは、そもそものご指摘の努力義務ではなくてということについては一
言申し上げたいと思います。今回、このようにさり気なく全体のご議論をいただいておりま
すが、実はすべての危険有害な性質を持つ物質について何らかの措置を行っていただくこと
は、大変画期的なことだと思っております。こういった取組を進めていただけるということ
ですので、まずは努力義務ということで、こういった雰囲気、情勢も含めて、そういったこ
とを広く、これが当たり前だという雰囲気を作っていくことはとても大事だろうと思います。
 さらに申し上げますと、きっちりとした義務として課していくことになりますと、事業場
内表示については、例えばこういった場合でも、どこまでやれば義務なのかということは非
常に難しくなってきます。事業場内では大きなドラム缶やバケツといったものであると非常
に明解ですが、フラスコであったり、ビーカーであったり、いろいろな小物も出てまいりま
すので、そういった場合のすべてについて、このようにすべきと書くのはなかなか難しい部
分もあります。その辺りにはやや柔軟な対応も必要かと考えております。そういった意味か
らも、今般努力義務の方向で進めていただくのが適当ではないかと考えております。以上で
す。

○市川委員 ご説明はわかりましたが、義務であってもときどき違反があると。努力義務で
あればなおさらなかなか進まないということもありますので、是非、指導、あるいは啓発等々
も併せて、強力な対策を講じていただきたいと思います。
 というのは、化学物質の検討会におきましても、事故の事例が出されまして、なぜこのよ
うなことが起きるのかというのもありました。ペットボトルの空き容器に入っていて、表示
がなくて誤飲してしまったとか、そのような防げる事故が進められるように、行政としての
指導、あるいは事業者団体、業界団体等々への指導、あるいは自主的な取組といったものを
是非お願いしたいと思います。

○豊田委員 職場における化学物質管理に関しては、今年の前半、検討会等でやらせていた
だいた上で、今回、第43回の本安全衛生分科会において審議されたと思います。先ほど出
ました件につきましては、化学物質の危険有害性情報の伝達及び活用の促進をいかにするか
という議論が進む中で、その仕組みを定着化していき、それを今回プラオリティの1に置き
ましょうということになったと理解しています。定着を図る意味では、まずは義務化して、
定着を図っていくのが妥当ではないかということで、こういう結論になっているのではない
かと、理解しております。
 本事案に関する今回の骨子案につきましては、労働者の安全確保及び国際動向に対応する
観点から、大きな枠組みにつきましては評価したいと思います。ただ骨子案の内容が、安全
衛生対策上の大きな枠組みと、その周辺の一部の結論のみの記載に留めておられるようです
ので、先ほど来、質問がいろいろ出ているものと思います。そこで、若干、そこに至った背
景及びポリシー等につきまして3点ほど確認させていただきたいと思います。
 1点目は、先ほども出ましたが、もともとの本事案に対するあり方としては、化学物質に
よる労働災害の一層の減少を図るために重要な2点に絞られたと考えています。1つは化学
物質の危険有害性情報の伝達及び活用をいかに促進していくか。2点目は、リスクに基づく
合理的な自主的化学物質管理の推進をいかにしていくか。この2点に絞り込まれたと考えて
おります。
 今回出た骨子案を見ますと、骨子案の(1)と(2)は、化学物質管理の危険有害性情報の伝達
及び活用を促進することに対する対策としての大きな枠組みと理解しております。ただ、私
どもも第43回の安衛分科会の折りに、委員提出資料の中で述べさせていただいたと思いま
すが、(1)及び(2)が実行可能なものとして円滑に機能して、安全の確保に効果的に資するた
めには、制度の枠外ですが、GHSラベル表示とか、MSDSの交付関連の普及とか教育及び
インフラ基盤整備推進といったものを、車の両輪として並行して推進することが不可欠だと
いうことを述べさせていただいたと思います。そのお答えとしての対策が(3)と(4)の文言と
思っておりますが、そのような理解でよろしいでしょうかというのが1点です。
 2点目は、リスクに基づく合理的な化学物質管理を推進することに対する施策も、先ほど、
土橋委員からもございましたが、対策も本分科会で議論させていただいたと思います。これ
については制度の枠外ということもあり、本骨子案の冒頭の方針の箇所辺りに反映されてい
るという理解でいいのでしょうか。
 3点目は、(2)の最後の行に「なお、事業場内ラベル情報を掲示する等の代替手段を可能と
する」と記載がありますが、これについては検討会報告書に記載されている「容器等の物理
的制約等により、ラベルを貼付することが困難な場合とか、既存の安全表示システムとの調
和による安全向上への配慮のために、事業場内表示については、代替措置を認めるなどの一
定の柔軟性をもたせる必要がある。」といった文言を受けての内容と理解してよろしいでし
ょうか。以上、よろしくお願いします。

○化学物質対策課長 いずれも委員のご指摘のとおりでございます。確認的に申し上げます
と、第1点目の教育云々の部分は、(4)インフラ整備の中で対応していきたいと考えており
ます。合理的管理の部分については、最初の頁の最初の丸、下から2行目、「リスクアセス
メントの結果に応じた合理的な安全衛生対策を講じていく」ということで、この中身は省令
事項になってきまして、これから具体的なご検討もお願いすることになっておりますので、
この項目には挙げておりませんが、この囲みの所で書かせていただいており、今後早急に検
討させていただくこととしております。
 3番目の(2)の事業場内表示の代替手段については、これも委員のご指摘のとおりです。そ
のような目的、方向で代替手段を認める方向で検討していくこととしております。以上です。

○豊田委員 回答をどうもありがとうございました。今回の骨子案内容は、法改正のコア内
容に留どめるとの方針で、そこは変更できないとお聞きしておりますので、そこは致し方な
いと思います。私どもとしては、今回の結論に至る背景やポリシーというのは、本報告書の
趣旨を正しく伝える意味で極めて重要だと考えております。そういった意味で確認させてい
ただいた次第です。
 つきましては、先ほどの確認内容は議事録に留どめました上で、このような背景やポリシ
ーにつきましては、次回の50回の安衛法分科会へ向けての報告書案の作成に当たりまして、
本報告書に反映させていただきたいと思います。
 最後に1点あります。これは10月8日の委員提出資料にも最後に述べさせていただきま
したが、改正施行時期等につきましては、以下3点ほど配慮をお願いしたいと思います。
 1点目は、GHSラベル表示やMSDS交付の普及や教育、インフラ整備推進に関する適切
な準備期間の確保を、準備期間としてお願いしたいのが1点です。また助走期間も必要で、
MSDSやGHSのラベルにつきましては、サプライチェーンの流れの中で順次下に流れてい
きます。そういった意味ではサプライチェーンの上流側、化学メーカーと言ってもいいと思
いますが、そこから出たGHSの分類、表示、MSDSの交付といったものが下流の中小まで、
行き着くまでの所要期間への配慮もよろしくお願いしたいと思います。
 以上の2点は純物質だけですが、さらに委員提出資料で述べましたが、混合物のGHSの
分類につきましては、例えば、EUのCLPで言いますと5年時間差を設けております。韓
国でも3年間設けております。そういった国際的な制度調和の観点からも、別途混合物につ
きましては、適切な時間差への配慮をお願いしたいと思います。以上でございます。

○化学物質対策課長 準備期間、助走期間を確保していただきたいというご指摘は承りまし
た。それを踏まえた対策の進め方をやっていきたいと考えます。

○分科会長 ほかにはよろしいですか。高橋委員、お願いします。

○高橋(信)委員 これは骨子のレベルで申し上げることではないかもしれませんが、前回
までの話では、個人測定と危険情報を労働者に通知することは大変大事なことで大賛成です。
その中身は、例えば、いま場の測定をやりますと、それは評価されたものがきちんと伝わる
と。それは管理区分の制度が設けられております。先ほど個人測定の話がありましたが、個
人ばく露を測定した場合、またそういう考え方が整理されていないのではないかと思うので
す。今後はそういうことをどう考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思いま
す。
 もう1つは、そういうものを伝える場合に、しばしばPPMやPPBの単位で、直接ナマ
のデータが伝わりますと、大変誤解を生むとか、あるいはそれに対して怯えを感じてしまう
という事態がありますので、そういうものがうまく伝わるように、その背景をちゃんと整理
するとか、そういう要件を一緒に考えていただけるとありがたいと思います。

○化学物質対策課長 個人測定に関しましては、先ほど市川委員のご質問にもお答えしまし
たが、これから検討させていただくということです。測定結果といいますか、場の測定に関
しても、場の測定結果ではなくて、評価の結果をお伝えするようにしていこうと考えている
わけです。同様に個人ばく露測定に関しましても、委員ご指摘のとおりでございまして、「あ
なたは何PPMにばく露されていますよ」という言い方が適当なのかどうか、その改善につ
ながるような評価の結果をお伝えする仕組みを考えていく必要があるのではないかと思い
ます。いずれにしましても、その部分はこれからの検討ですので、ただいまのご示唆を踏ま
えて検討を進めていきたいと考えております。

○分科会長 よろしければ、続いて3番目の「職場における受動喫煙防止対策の抜本的評価」
については、事務局から、いままで議論はされていないけれども議論したほうがいい事項が
あるということですので、最初に議論したいと思います。事務局からお願いします。

○計画課長 本日お示ししている骨子案にもあるとおり、これまでのこの分科会の議論の中
で、一般の事務所・工場等では全面禁煙や、あるいは空間分煙を義務づける。飲食店等につ
いては、換気等によって有害物質の物質濃度の低減等を措置することによって、同室の受動
喫煙の危害を低くすることを義務づけていく。そのようなことについては合意はできている
ものと考えております。ただ、その義務につきましては、罰則を付けるかどうかという点に
ついては実は議論がされておりません。国民的な関心も高うございますし、神奈川県は科料
が付いているというご報告も受けておりますので、この点についてご意見をいただければと
思います。

○分科会長 罰則を付けるか、どうかということですが、ご意見がございましたらお願いし
ます。

○明石委員 今回、努力義務が義務となるということで、これは1歩も2歩も前進だと思っ
ていますので、特別そこに罰則等は必要ないと思います。罰則を付けるのであれば、最初か
ら罰則付きの議論をしておく必要があったと思いますので、罰則については今回必要ないと
思います。
 この受動喫煙防止対策は単年度目標を決めていくというお約束だったと思うのですが、こ
れはどこでどのように、毎年の目標は決められるのでしょうか。

○計画課長 単年度というのは、新成長戦略のことですか。早期実施事項ということで、毎
年目標を設定する考え方になろうかということで、まだ正式に決まっているわけではなくて、
たぶんそういうことになるのではないかと予想しているところです。これは新成長戦略自体
が閣議決定されたものですので、もちろん中身は私どもの役所だけではなくて、全省庁にか
かるいろいろなものが盛り込まれておりますので、内閣府、あるいは内閣官房のほうが主導
する形で、いずれかの時期にフォローアップに加えて、次なる目標設定になされていくのだ
ろうと思います。その際には、最初の設定がそうであったように、この審議会のほうにもそ
れをお諮りする形になるのか、ご報告する形になるのかわかりませんが、いずれにしても、
皆様方にも報告しながら進めさせていくことになろうかと思います。

○市川委員 やはり、実効性を担保する意味からいくと、罰則は必要ではないかと労働側は
考えております。神奈川県の条例でも罰則が付いておりましたので、そのように考えます。
 飲食店等々の場合は、「当分の間可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを
義務」となっており、こういう書き振りの義務に対して、罰則がそぐうのかということは心
配な点です。やはり、実効性のためには罰則が必要ですが、その罰則の内容については、安
衛法の他の規制の罰則の整合性等々を含め、かくあるべしというのは労働側としてはありま
せん。厚労省のほうで少しご検討をいただければいいのではないかと思います。

○分科会長 それについては、法律の立場で内藤委員からお願いします。

○内藤委員 いまのご両者のご意見につきましては、私自身としても、もちろん法の実効性
を担保するためには、罰則を必要とするであろうということは私も大いに賛成です。ただ、
この時点でいますぐ罰則を付するかどうかについては、多少考慮する余地があるかと思いま
す。その理由は何かと申しますと、例えば、労働安全衛生法のあり方というのは、もちろん
使用者側が労働者の健康等を保護、維持するために負わなければならない義務ということに
なっております。例えば、何かを生産する過程で発生する有害物質や毒物であれば、もちろ
んこれは使用者の義務として、強い罰則を持って禁止することが必要だと思います。今回の
報告書案にも盛り込まれているように、使用者自身が発生するというよりは、同じ職場にい
る労働者同士が発生する。場合によっては顧客が発生する。そういった有害煙というものを
どういう形で使用者側に取り締まらせるかということになりますと、かなり困難を伴うよう
な気がいたします。
 そう考えますと、ひとまずこれは努力義務ではなく、まず義務化して、最後に「国民のコ
ンセンサス」という表現がありますが、社会全般のコンセンサスを醸成しつつ、次の改正の
段階である程度罰則を議論するというのではいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

○中原委員 いまの議論は非常に興味ある議論ですが、まずFCTCを労働安全衛生法で受
けて、それを対処すべきなのかどうか、私にはちょっとよくわからないのです。なぜFCTC
を持ち出すのかと言いますと、数回前にタバコ問題に関する世界中の動きという中で、
FCTCではこう規定されている。そのあとFCTCの締約国会議のコンセンサスによる採択
ということで、受動喫煙を防止するためには100%禁煙でなければいけない。それには罰則
を設けるべきであるというのを出されたのが法的根拠といいますか、ここで罰則について議
論が提起された1つの大きな理由ではないかと思います。
 実は、今年の11月半ばにウルグアイで次の締約国会議がありました。そこでも似たよう
なことが議論されているようです。そこで私は非常に心配なのは、日本政府として、締約国
会議がどの程度の位置づけを持つ結論といいますか、コンセンサスになるものがどの程度の
意味づけを持つものか。FCTC自体には罰則規定はなかったように思うのですが、その辺を
どう対応したらいいのかよくわからないので、お聞きしたいのです。
 もう1つは、現在の世界的な流れからいって、労使の方々の意見、内藤先生の意見などを
聞いていると、例えば、全面禁煙を原則とすると。空間分煙を社会全体が容認するまでとい
いますか、受け入れるまでといいますか、実際上は労働者の方も、使用者の方も、タバコを
吸いたい人はいるのです。私はどこの大学とは言いませんが、医学部の講内禁煙でさえ教授
会で決めるのは大変なのです。大学病院の禁煙外来でニコチン依存症管理料を算定するため
には、院内禁煙、あるいは講内禁煙をしなければニコチン依存症管理料は算定できないと診
療報酬で決まっていますから、全国の大学病院はほとんど全部講内禁煙になっております。
 それ以外の所で、実際問題としては非常に難しいということです。非常に難しいという現
実はともかくとして、法律的といいますか、特に条約関係、もう1つは締約国会議のコンセ
ンサスによる勧告みたいなものが、どれぐらいの効力を持つのか。その辺りについてお教え
いただきたいと思います。以上です。

○環境改善室長 いまのご質問ですが、タバコ規制枠組み条約の関係については、我が国は
前にご説明申し上げたとおり、これは批准しております。その批准に関しては、きちんと法
的に担保しているかどうか確認しております。健康増進法の25条において定めている第8
条受動喫煙防止するために、必要な措置をとるところについては、それで担保されている整
理の下で批准されたと聞いております。その後、いまご指摘のあったガイドラインがコンセ
ンサスによって採択されたわけです。私は労働基準局ですが、私どもといたしましても、こ
のガイドラインに定められたことにつきましては、最大限尊重すべきと考えております。
 ただ、その中で掲げているのが100%禁煙以外の措置は不完全であるということや、立法
措置については、罰則を盛り込むべきであると書かれております。これはさまざまな状況の
中で、これを尊重しつつも、直ちにできない部分、難しい部分については、その方向で進め
ていくことではなかろうかと考えています。
 他の国々の状況も可能な範囲で調べておりましたが、例えば、アメリカにおきましては連
邦政府ではさまざまな反対もあって、連邦の労働安全衛生局においては法律はできなかった
ということがあります。まさに条約やガイドラインが出来上がったことによって、州法が相
当程度詳しく規定されております。ただその州法においても、職場、レストラン、バーにお
いて喫煙を完全に禁止している州法と、指定喫煙室の設置が規制されるなど、規制があまり
厳格でない州法と、2色に分かれております。そういう点からは、それぞれの国なり、州な
りが置かれている状況も踏まえながら、ガイドラインや条約に定められていることを進めて
いくことではないかと考えています。

○分科会長 ほかにはご意見はございませんか。

○豊田委員 先ほどから罰則の議論がありますが、この骨子案を見ますと、例えば(2)の真
ん中から下辺りに、前から議論のあった全面禁煙とか、空間分煙が難しい場合に、当分の間
可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とすることが適当で
あるとの記載があり、可能な限り義務とかいう表現でまだ難しい点も残っております。
 (4)にも書いてあるとおり、こういったものについては今後、「国民のコンセンサスを得つ
つ」ということで、全体の審議の流れとしては、ステップワイズに進めていきましょうとい
うことと理解しております。そういった意味では、いきなり罰則というのはないのではない
かという理解が妥当と思いますが。

○関口氏 いまの意見に基本的に賛成ですが、それと同時に事例等を出された神奈川県の場
合も、中小、小規模の所は条例規定があったと思います。そういった意味でも、国民のコン
センサスを得つつというのは前提ではないかと思います。以上です。

○今田委員 罰則なしが現実的な方策としていいのではないかという議論が多いようです
が、それが現実なのかもしれませんが、罰則のない状況というのが、社会的にはどういう実
態を生むかについて、少し懸念を感じます。
 違反をしても罰則がないことについて、義務だからきちんと守ろうという人もいれば、守
らなくてもいいのではという捉え方をする場合もあるだろう。という意味で、現場において
かなり混乱が起こるのではないかという懸念を感じます。罰則はないが、義務であることの
意味について明確にしてほしいことを是非要望したいと思います。

○計画課長 要望ということですので受け止めさせていただきます。罰則という話の議論を
自分から振っておいて、あえて言うのもあれかもしれませんが、基本的には労働安全衛生法
を改正して、そこに義務的措置として書いていこうということです。労働安全衛生法という
法律を施行しているのは、全国津々浦々ある労働基準監督署の労働基準監督官を中心に、技
官等もおりますが、そのような行政職員が一方で事業場の立ち入り権限等を持った上で施行
していくことになります。その意味では自治体がどうこうとか、そのようなものとは比較に
ならないぐらいの法的な徹底力といいますか、浸透力というのは持ち合わせているかと思い
ます。仮に罰則がないにしても、相当程度といいますか、劇的に状況は変わっていくのでは
ないかと思っております。そこはないことによって決定的に何かが抜けてしまうことではな
くて、有無にかかわらず、我々としては、まさに労働基準行政が主体的にその部分について
は責任を持って法律を施行し、その結果について担保していくということで考えております。
 そういうことについては、あらゆるチャンネル、機会を通じて、事業所の方々にもお知ら
せをし、ある意味では警告もし、経過については指導もしていくということです。

○市川委員 そのようなご意見については理解いたします。やはり、こうした義務について
は、それなりの罰則は必要です。今回、そういう議論が今日に至るまでこの審議会でもして
いなかったということで、今回は仮に罰則は見送るにしても、新しい法律が施行されて、そ
の施行状況、あるいは違反の状況等を検討して、再度この審議会でそのあり方について議論
できる場を持っていただければありがたいと思います。

○瀬戸委員 先般、神奈川県の担当者にお越しいただいて、神奈川県下の現状のご報告をい
ただいたと思います。今回、すべての事業者、要するに神奈川では100平米以下の事業所
については免除の措置をとられた上での罰則規定ということだと思います。
 今回は100平米以下、要するに一定程度の規模の事業者の方への免除、措置はここの中
には盛られていない。それを盛られなかった意図を確認したいと思います。
 私がよく飲みに行く所は、1人でやっているとか、夫婦でやっているとか、いわゆる従業
員の方を雇わないで、ご自身でやっている小規模のお店が多いのです。言ってみれば、従業
員の方を雇っていない事業者も安衛法の対象の中に入ってくるのかという素朴な疑問です。

○計画課長 後者のご質問の労働者がいない事業所というのは、安衛法の適用事業所ではあ
りませんので入らないということだと思います。前者のほうは、逆の意味で労働者がいれば、
それが狭かろうが、広かろうが、労働者が少なかろうが、多かろうが、1人いる労働者の安
全、健康、あるいは生命を守らなければならないという事業者の安全配慮義務と何ら変わり
ませんので、そういう意味では労働安全衛生法の法律の範囲においては、広さとか、規模に
応じて措置義務のほうを変えることは適当ではないということで、今回そういう考え方をと
ってはいないということです。

○内藤委員 先ほど私はまず第1歩という形で、徐々に進めていただきたいという意見を申
し上げました。それにつきましては、当然次の段階での見直しについては、何らかの形で見
直す方向性があるということ。つまり、これもまず第1歩であるということがわかるような
形で、何らかのお手当といいましょうか、願いたいというふうに、これは私の意見といいま
しょうか、単に感想ですが付言させていただきたいと思います。

○明石委員 1つ小さいところで大変恐縮ですが、注2に「一定の要件を満たす喫煙室」と
いうのがあります。これは先般から、喫煙室外に漏れる粉じん濃度が上がらないということ
と、境界風速0.2m/秒という2つの要件が満たすということであったと思います。境界風速
0.2m/秒を担保するのはなかなか難しいという意見を私は受け取っております。粉じんが外
に漏れなければ境界風速0.2m/秒は必要ないのではないでしょうか。

○環境改善室長 これは分煙効果判定基準において定められたもの。喫煙ガイドラインにお
いて定められたものをそのまま踏襲しております。その数値が決められた際には、専門家の
ご検討があったと聞いておりますので、それを参考にして今回の値となっております。

○明石委員 両方満たすという意味ですか。

○環境改善室長 いま現在ではそう考えております。

○名古屋委員 0.2というのは、もともとシュプル換気装置があったときに、ガスを基本的
に動かせば最低のスピードは0.2ですよと、安衛則で決めていますよね。そうすると、それ
より以下というのは、安衛則から考えるとあり得なくて、やはり0.2が最低限必要な風速で
すねということで、たぶん決めている数字だと思います。

○分科会長 罰則について決めたいと思いますが、これについてはご意見はございませんか。
内藤委員からも、市川委員からもございましたが、今回の改正では罰則は付けないというこ
とでよろしいですか。
(了承)
○分科会長 それでは、いまご質問がありました3についてのご意見等をお願いします。

○名古屋委員 (3)のところで、設置の問合せに関する専門家の派遣と書いてあるのですが、
「専門家」と書かれると、誰が専門家なのかなかなかわからないので、この前もお話したよ
うに、もしできるのだったら作業環境測定士とか労働衛生コンサルタントとか、そのレベル
なので、書かれたほうがそういう専門家がいるのかなと誤解されてしまうので、できたら書
いていただければありがたいと思います。要望です。

○分科会長 ほかにはございませんか。よろしいでしょうか。4の「職場におけるメンタル
ヘルス対策の推進」についてご意見等をいただきたいと思います。

○中原委員 4頁の4番目の事業場外組織としての外部専門機関を登録機関として法令上位
置づけることと書かれております。一定の要件を満たす外部専門機関を明確に定義をしても
らって、それを厳格に守らせるという仕組みがない限り、産業医が個人といいますか、
選任された産業医が形の上では全責任を持つことに、いまはなっているわけですが、それを
外部専門機関に法令上位置づけるというのがどういうことを意味するのか、私は専門ではな
いのでわかりませんが、それを明確に守らせるという言い方はおかしいですが、その仕組み
を是非とってもらいたいと思います。
 私は30年ぐらい産業衛生に従事しておりますが、例えば、私は京都ですが、京都工場保
健会というのはずっと昔から本当の専門機関としてやっているという定評があるのですが、
30年ぐらい前には全国的に有名だった労働衛生の健診機関が、いまはどこがどうなったの
かわからないというような事態も起こっているのが実感です。一旦、登録してしまったら、
あとは野となれ山となれという人もいないとは限らないので、その辺は局レベルではなくて
国レベルの仕事になるのではないかと想像はします。とにかく国で外部専門機関の認定基準
を明確にし、それを維持していく仕組みを十分備えていただきたいと思います。
 特にこのことはあまりこの場で言うことではないかもしれませんが、産業医活動というの
は、実際にはかなり優劣、差がありまして、非常に優れたことをやっている所もあれば、本
当に目を覆うような産業医活動しか行われていない所もありますので、そのような所に外部
専門機関というのは、質の高い産業医活動を導入していただくのは非常に結構なことではな
いかと思います。しかし、それはいま申し上げたような限定といいますか、国からの強い指
導を是非維持して、最初にそれをクリアさせる。そして維持していく仕組みを作っていただ
きたいと思います。以上です。

○労働衛生課長 登録時の確認のみならず、外部専門機関の質が維持されているかについて
の確認については、前回、第48回の分科会でご報告を申し上げました、まさに中原委員に
座長をお願いした検討会の報告書でも、定期的な監査による指導等が確実に実施されるよう、
監査体制を確保する必要があると書いてあります。
 具体的な体制については、今後検討することとなりますが、十分な人的体制と専門性をも
って、登録後の内容についても、必要に応じて産業医の職務が十分に理解できて、指摘がで
きるような人材を確保しながらやっていかなければいけないと思っております。具体的に労
働局でやるのか、本省が直接やるのかについては、今後検討させていただきたいと思います。

○計画課長 法例上の位置づけの点については、まさにこういうところが本当に法律上措置
するか、しないかによって天と地ほど違うということです。法例上位置づけるということは、
逆に言えば、法律に基づいて強制的に登録を抹消するなり、あるいは中に入っていけること
が権限として可能になるということですので、まさにご指摘はごもっともですので、そのよ
うな形で対応していくという意味が、法例上位置づけるという意味です。

○分科会長 ほかにはございませんか。

○市川委員 メンタルヘルス対策について、今回、早期に労働者の気付きを促して、適切な
治療に導いていこうということについては、労働側としても賛成です。今後の対策強化も含
めて、4頁の(5)にさまざまなことが書いてあります。メンタルヘルス対策は、不調にならな
い環境を作る「予防」というところから、「早期発見」、実際になってしまったときの「治療」、
また「復帰」という一連の対策の流れがあると思います。その中で今回、新たな枠組みでは
早期の気付きというところは取り上げて一定の措置がされたのですが、やはり、メンタルヘ
ルス全般、1つの流れ、全体に対して他の側面についても、今後はもっと検討を深め、気付
きの部分だけではなく、いちばん難しいと言われている「職場復帰」、その他についても、
より適切な対策が講じられるように、これでこの議論は終わりということではなくて、メン
タルヘルス対策としての全般的な対策ができるような、さらに引き続きの検討、議論をして
いくべきではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 (3)不利益取扱いの禁止ということについては、禁止ということで明確に位置づけてもら
いたい。内容については、別途、施行までに具体的に検討されるでしょうけれども、ここは
非常に重要な点ですので、きちんとした位置づけをお願いしておきたいと思います。以上で
す。

○労働衛生課長 メンタルヘルス対策についても予防がいちばんの対策だと思っておりま
す。ストレスということだけをとってみても、物理的なストレス要因も影響しますし、人間
関係など、ソフトの部分の職場の要因なども影響します。そういった意味では、危険を伴う
作業についての予防対策も重要ですし、人間関係などのソフトの部分についても、現在、快
適職場でソフト面でのいろいろなモデル的な取組みも行ってきたところです。そういったこ
とも今後の施策に反映させていくことが重要かと考えております。

○計画課長 今回は全体でメンタルヘルスに取り組んでいる事業場の割合が46%というこ
とで、過半数までいっていないと。中小・零細ではなかなか難しいという中で、まず1歩目
として、予防のところをやりましょうということです。ただ、それ以外の部分についても当
然必要で、ここはこういうふうにサラっと書いていますが、私どもは審議会の場でもご報告
しておりましたが、これらについては、予算的な措置としてさまざまなものを概算要求の中
に入れており、それなりに整理も付いてきていることでもありますので、きておりますので、
その辺りを含めて、少し中身が見える形で次回にはご提示できるかと思います。そういう意
味でほかのものについては、取りあえずではなくて、衛生は全体としてやっていきますが、
今回の法的な手当という部分は、そこはこういうところという制度があります。行政として
は、予算的な事業も含めて、全体職場復帰も難しい部分がありますが、手を拱いているとい
うことではなくて、1歩でも2歩でも進められるように、それについては用意しているとこ
ろでもありますのでやっていきたいですし、審議会の場でもご要望があれば、あるいはなく
てもメンタルヘルスについては今後相当期間に渡る最重要課題の1つだろうと思いますの
で、この分科会での議論が継続的になるのではないかと思います。

○市川委員 いまの課長のご説明でよくわかりましたが、今度の建議についても、そういう
一連の中でのことだということがわかるような書き振りでの建議の案を示していただけれ
ばと思います。

○高橋(信)委員 これまでもこの場で申し上げことを含めて、確認の意味も含めて3点申
し上げたいと思います。いまディスカッションされたことにも絡むのですが、1点は骨子案
の中の(1)と(2)のところに、新しい枠組みということで表記があります。現在、すでに新し
い枠組みを超えて、機能的に充足されたことをやっている事業所というのは、特に大きい所
ですがほとんどだと思います。そこに新たな枠組みで、この要件をすべて満たさないといけ
ないという縛りが入りますと、むしろ、逆行といいますか、後退するようなことが生じやし
ないかというのが使用者側で大変懸念が出ております。
 したがって、先ほど課長が「第1歩」とおっしゃっていただきましたが、いままで手がつ
かなかったところは、いろいろな対策を進めると、そういう意味の平均になるということで
は考えるべきことだと思います。先ほど申し上げた阻害とまでは言いませんが、後退すると
か、その縛りがあるために別な懸念が出てくることがないように、これから考えていただき
たいと思います。
 2点目は、1の後段のところです。面接の申出があって、面接を受けたと。そうしますと、
その結果等々について意見聴取を行ったり、いろいろな情報が事業者サイドに入ってまいり
ます。そのときに一言で申し上げますと、安全配慮をどこまですればいいかということです
が、これは当然のことながら、その人のストレスになっているストレッサーというものは、
いろいろな背景から出てくるということですので、それを事業者サイドだけに戻されること
になりますと、配慮すべき事項が増えてくるのではないかという懸念があるわけです。
 したがいまして、それが会社の改善や本人の指導ということで良いほうに向かえるレスポ
ンスが期待できるといいのですが、そうではないものもすべて伝えていただいて、それを事
業者のほうで何とか指導をと言われても、期待に添えない部分が出てくるという実態がある
と思いますので、その辺もある程度枠が付けられるものについては、事業場の配慮について
はある程度明確にしていただけるとありがたいと思います。
 3点目は、不利益の問題については(3)に記載があります。市川委員からもご指摘がりまし
たが、確かにこういったことを事由に不利益取扱いに結び付けるというのは、いままでも一
部事業者がそういうことをしたとエピソードを聞いておりますが、大半は不利益というより
も、増悪を防止するとか、あるいは改善を妨げないと。そういう観点からの措置をしていた
と思います。したがって、不利益な取扱いそのもの自身が、考えようによっては解雇、処遇
ダウン、出社禁止というストイックな話にすぐに持ち込まれそうですが、そうではなくて、
もう少し前向きな増悪防止とか、そういう観点に留どめられるようにという表現で、前向き
の理解ができるようなニュアンスで記載して報告書にしていただけるといいと思います。以
上3点ですが、確認と今後のご配慮をお願いしておきたいと思います。以上です。

○計画課長 先進的な企業が取り組んでいるということで、その阻害要因になっては困ると
いうことですが、それはまさにおっしゃるとおりだと思います。先進的に取り組まれている
ということであれば、それなりに労働者にも配慮しながら、いろいろな工夫をしながらやら
れているということでしょうから、たぶんそういうことであれば、今回の制度は両立し得る
ものだと思いますし、そこは工夫しながらやっていけるのではないかと思います。ただ、大
企業でやっているからすべてと言われますと、それは中には良いものもあれば、悪いものも
あるかもしれませんので、そこは先進的に取り組まれているということであれば、その中で
両立可能なものとして整理していくことは当然なことだろうと思っております。
 企業がその結果を踏まえて、どういうふうに配慮していくのかという中身の話になります
と、民事上の問題は裁判所等でご判断が下りますので、すべて含んでというわけにはいきま
せんが、少なくても、安全衛生法上ストレスについてチェックをし、面接を受けていただい
て、面接した医師から意見を聞いた上で、対応すべき事後措置としての事業所の中身につい
て、それは全部書き切ることは難しいかもしれませんが、私どもは当然法律を施行する立場
からしますと、具体的な中身、あるいは範囲等についても、例示的になるのしれませんが、
できるだけわかりやすいようにして、情報として提供していくことは当然していかなければ
ならないものだと思っておりますし、そうしていくつもりです。不利益取扱いのところは、
難しい問題をはらんでいるということは、この審議会での議論でも労使双方から出るところ
だと思います。一方で、一部であるかもしれませんが、心ない事業者によって「うつ切」と
いう言葉もあるぐらいですので、そういうことがあるということも残念ながら事実だとする
と、そこはある意味厳しくやらなければいけないところは厳しくやらなければいけませんが、
それはあくまで不利益な取り扱いだから駄目だということです。その不利益とは何かという
ことについては、ここですぐに全部含めて合意を形成することは難しいかと思いますので、
そこは骨子案にも書いてあるように、少なくてもスタートするまでにはきちんと整理をつけ
ましょうと考えておりますので、是非、委員の皆様方のご協力もお願いしたいと思います。

○高橋(信)委員 1点だけ付言させていただきます。例えば、先進事例とおっしゃいまし
たが、そういう例もいろいろなパターンがありまして、検診時に一緒にやって、ドクターが
そのまま面接に入るというやり方をしている所があります。あるいはそれを京都工場保健会
みたいな組織にお願いして、いわゆる外注と言いますが、そこで契約に基づいてやってもら
う場合もあります。その場合は検診としてやるのか、今回みたいな別枠ですよということで、
別にやるとなると、また新たな契約が発生します。
 そういった問題がいろいろなパターンに応じて出てきて、例えば、1人チェックだけでも、
いま多くの会社はコンピューターで毎日チェックできる会社もあります。そういったものと
の整合をどう付けていくかということになりますと、いろいろバリエーションがあって、行
政サイドも大変だと思いますが、そういう実態を逆行することがないような配慮をお願いし
ておきたいと思います。

○労働衛生課長 先進事例との整合性については、私どももさらに情報を収集して、決して
後退させるようなことがあってはならないと考えております。現時点でも、具体的には健診
とのタイミングをどうするかということと、問診項目をどう設定するか。これは9項目を1
つ標準的なものとして示させていただきましたが、一般の定期健康診断で行う問診項目との
関連、項目数、内容といったものについてもさらに詰めなければいけないと思います。
 そういった結果が、特に内部の産業保健スタッフが検診と一緒にやっている場合には、そ
の情報の流れや取扱いについても、さらに十分に検討しなければいけないと思います。
 大企業でかなりまとまった数でやっているときには、医師の関与の程度とタイミング、面
接が必要と判断するタイミングなのか、ある程度保健師がほぼ全員、あるいは全員にやって
いる場合もありますので、どの時点で最低限関与すべきかということについても、もう少し
詰めないといけないのではないかと考えております。実際、これが進んでいくまでには、も
う少し情報収集をして、より良いものを構築していく必要があると思っております。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。以上で、今後の職場における安
全衛生対策について骨子案につきましてはとりまとまったものとさせていただきます。次回
は報告書案について議論したいと思います。報告書案には、先ほどご議論をいただきまして、
ご了承をいただいた「電動ファン付き呼吸用保護具の譲渡の制限等及び型式検定の対象への
追加」についても盛り込んでいただき、骨子案をもとに必要な事項を付け加えていただいた
ものを作成していただきたいと思います。事務局においては、準備をお願いいたします。事
務局から連絡事項をお願いします。

○計画課長 次回の分科会は、12月13日(月)4時から、12階の専用第12会議室におい
て実施することになっておりますので、よろしくお願いいたします。

○分科会長 それでは本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名につきま
して、労働者代表は古市委員、使用者代表は三浦委員にお願いいたします。本日はお忙しい
中、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第49回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

ページの先頭へ戻る