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2011年2月21日 第33回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成23年2月21日(月)14:00~


○場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室


○出席者

公益代表

征矢座長

労働者代表

上山委員、野村委員、古市委員、山下委員

使用者代表

加藤委員、才賀委員、福田委員、室川委員

事務局

山田職業安定局次長、堀井建設・港湾対策室長、高松建設・港湾対策室長補佐、山建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)第8次建設雇用改善計画について(公開)
(2)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更認定について(非公開)

○議事

○征矢座長 皆さんお揃いになりましたので開会させていただきます。議事に先立ちまして、厚生労働省において人事異動があり、本委員会については、高齢・障害者雇用対策部長が担当となりましたので、ご紹介いたします。
○中沖部長 高齢・障害者雇用対策部長の中沖でございます。異動に伴いまして、私が担当になりましたので、よろしくお願いいたします。
○征矢座長 本日の委員の出欠状況ですが、柴田委員と白木委員が欠席で、その他の委員はご出席です。
 本日の議題は2つですが、まず、「第8次建設雇用改善計画について」、2つ目の議題は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更認定等について」の個別案件です。
 この議題については、その審査につき、個別事業主等の資産状況等に関する事項を扱うこととなりますので、「審議会等会合の公開に関する考え方」の「個人に関する情報を保護する必要がある。」及び「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼすおそれがある。」場合に該当すると考えられますので、非公開の取扱いとさせていただきます。
 それでは、事務局から「第8次建設雇用改善計画について」の説明をお願いいたします。
○堀井室長 説明に入らせていただきます。まず、資料の紹介も兼ねてですが、お手元の資料1は、前回1月24日の専門委員会においてご議論があった点を要約したものです。したがいまして、ご参考にということです。資料2と資料3は、「第8次建設雇用改善計画(案)」についてで、内容は同じものです。資料3については、1月24日の専門委員会に配付いたしました計画の案について委員の皆様方から意見をいただき、修正を加えた部分については下線を引いております。したがいまして、本日これから資料3をベースに、主な変更点について説明いたします。
 資料3の1頁は、事務的な文言の修正です。本文上から3行目のところでは、雇用情勢についての最近の動きにあわせた形で修正しております。
 1頁のいちばん下の行から始まる「請負契約により」云々の部分は、1月24日の資料で、代金支払いに関する慣行等を「諸慣行」という形で丸めて書いておりましたのを、わかりにくいというご指摘をいただき、わかりやすくもう少し具体的に書いたものです。
 次に、4頁のいちばん下の?Bの月給制に関する解説の部分で、前回の専門委員会において、前回の資料では月給制のところが「欠勤差引なし」あるいは「欠勤差引あり」の形で括弧書きで解説をつけておりましたが、ご指摘をいただき、「月給制(完全月給制)」、「月給制(日給月給制)」という形で修正しております。
 5頁では、「また」というところの追加があります。賃金の水準についてもこの計画の中に記載をというご意見を専門委員会でいただいたことから、記載しております。しかしながら、賃金水準については、こちらの専門委員会の場でもご議論いただいたように、企業規模などが非常に重要な要素であるというご指摘をいただいたことから、その点について明示をする形で書いております。
 6頁の真ん中の部分です。現在、民間の団体を中心に、情報技術を活用して建設労働者の就労履歴の管理や、就労履歴を容易に確認できるシステムの開発が検討されており、このような新しい動きについて、計画の中に記載していただきたいというご意見をいただき、追記しております。
 7頁の?Eです。前回の専門委員会で、熱中症対策、熱中症予防対策についての記述をというご意見をいただき、追加しております。また新たに、自主的な取組を行う企業等を評価、支援する方策という対応策を追加しております。
 11頁の(2)の?A、高年齢労働者の活躍の部分です。前回の専門委員会で、高年齢者の活躍の一面として、その有する熟練技能の継承の観点からも、積極的に促進をしていくべきではないかというご指摘をいただき、その点の趣旨が明らかになるような修正を加えております。
 14頁の(7)「雇用改善を図るための諸条件の整備」のところです。前回の資料で、1段落目、2段落目、3段落目の「このため、法令で規定された」云々の部分については、前回の資料から掲載をし、かつ、こちらについては、公共、民間を問わず、関係事業主等において適切な対応を行う、あるいは関係行政機関による指導等を行うということを書いておりましたが、最近の状況を踏まえ、特に公共工事のところで、できるところからより積極的にという気持も込めて、新たに、「ダンピング対策の充実、年間を通じた工事量の平準化をできる限り進めるなど、建設労働者の適正な労働条件の確保に資する公共工事の発注を推進するための方策について、各発注者の理解と協力を得て進める必要がある」という記述の追加をしております。
 主な変更点は以上です。なお、資料4として、こちらの8次計画の概要版を、現在の案をベースに作成しております。私からは以上です。
○征矢座長 ただいま説明がありました内容について、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。
○野村委員 全体的には、既にこの委員会の中で議論を積み上げてきた内容でありますので、特に異論があるわけではございません。一つ要望というか、意見として述べさせていただきたいと思います。
 この委員会でも何回かお話はさせていただいておりますが、特に、この「計画の背景と課題」で、今回の建設雇用改善計画、基本的には建設に関わる技能労働者、特に不安定雇用にあるような人たちをある程度対象にした、メインにした計画ということは認識をしておりますが、やはり建設雇用ということになれば、建設会社に働く社員たちも、当然この建設雇用の中には含まれるのだろうと認識をしております。
 そういう中で、これも何回かお話をしているとおり、大変厳しい状況にさらされていると。賃金そして労働時間、また雇用環境も含めて。今はそれほどマスコミ等でも取り上げられてはおりませんが、未だに建設会社の中では、やはり雇用調整等は現実に進められているわけです。また、労働時間は、この委員会の中でも何回か話が出ているとおり、大変長時間労働、とりわけ現場の我々の仲間は大変長い時間外の業務をしていることも実態として皆さんに認識をされていると思います。また、賃金についても、一般的にいう月例賃金も、実際は相当下がってきている。これから春季生活闘争を迎えるわけでありますが、定昇等は一応確保したということになっていても、現実、個別の企業の中では、その後に賃金カット等も行われているのが実態だろうと思います。
 したがいまして、そういう状況を踏まえて、できましたら「計画の背景と課題」の中に、建設会社で働く建設労働者も、大変いま厳しい状況にさらされているということを、是非、何かしらの形で書き込んでいただけると、大変ありがたいと思いますので、是非ご検討方をお願いしたいと思います。以上です。
○堀井室長 基本的に、建設労働者、あるいは建設雇用改善法という形でみたときに、建設業で働く方々全体として対象に入ってくるというところについては、問題意識としてはあると思います。したがって、計画上の記述をどういう形にするかというところは、またご相談とは思います。いま野村委員からご指摘のあった点は、そのとおりであると考えています。
○征矢座長 ほかにございますか。
○古市委員 最後の頁に、外国人労働者の問題が書いてありまして、基本的には、これまでのスタンスを変えたものではないと理解をしているのであります。実は、いまTPPの問題があって、私たちの組合の中ではだいぶ緊張が始まっております。
 そこで組合では、ゼネコンの各社と、大手の住宅販売メーカーと話合いを年に2回ずつさせていただくのですが、最近九州のほうで、皆さんがどなたもご存じの大手の住宅販売メーカーと話合いをしたときに、2年の期限付きで外国人をたくさん入れて働いてもらっていると。それで、鉄筋ですとか型枠とか、要するに技能者の補助の仕事をしてもらっているんだと。賃金は安い人もいれば、普通の人もいると。普通の人というのはどういうことなのか、あまり正確にはわかりませんが、そんなことがありました。たぶん、適切にやられているのだとは思うのですが、外国人が働くことができるルールがありますね。たぶん、研修生だったり実習生だったりという、そのルールに基づいて働いているのだと思いますが、その全体像と、日本全体で建設ではこれぐらいの人たちが、こういう所でこういうふうにという大雑把なことがわかるようなものが、もしあれば教えていただければうれしいし、もしなければ、後でちゃんとした資料を教えてもらえばうれしいと思います。
○堀井室長 ただいまご質問の外国人労働者の関連です。まず、そもそもの外国人労働者の受入れに関する我が国の基本的なスタンスですが、受入れ範囲については、我が国の産業及び国民生活などに与える影響といったものを、総合的に勘案をして決定をするということになっておりまして、現行法では、単純労働者については受入れをしていないというのは、皆さんご案内のとおりです。しかしながら、国際競争力強化の観点などから、専門技術的分野、こうした外国人労働者の受入れは積極的に促進をしているとおりです。こちらは、現在の14頁の計画案の部分にも、そのような記述があるということでご理解をいただければと思います。
 いまご指摘のTPPの関係ですが、TPPの協定については、こちらも皆さんお聞き及びかもしれませんが、現時点では、日本はまだ参加をしていないので、十分な情報がない。したがいまして、仮に参加した場合にどうなるのかというのは、よくわからないという状況です。しかしながら、いま申し上げたような外国人労働者についての基本的なスタンスがあることはご紹介いたします。
 一つ、いまお話の中で、個別の話ということでご紹介いただいたお話は、たぶん技能実習生の関係ではないかと思います。担当部局に照会をしたところ、ざっくりと申しまして、技能実習生で、いま建設関係で就労されている方が4,859人、ですから4,900人弱ということで聞いております。
 そして、技能実習制度は最近制度改正がありまして、昨年7月から新しい制度になっております。それ以前の制度においては、1年目は研修ということで労働関係法令の適用を受けないということで、残り2年間は適用を受けるという形になっていました。22年7月から施行されている新しい制度においては、1年目の講習の終了後から労働関係法令の適用を受けるという形で、保護を与える形での制度改正がされたと聞いております。したがいまして、外国人の技能実習生の制度の運用についても、これは建設業の現場におけるものだけではないとは理解しておりますが、適正な形で進めていくことになっているのではないかと考えております。以上です。
○山下委員 以前も同じような意見を述べさせていただいたと思うのですが、この委員会はこれでもって締めになるということだと思いますので。基幹産業といいますか、ものづくりの産業なわけでして、建設業が既にご案内のとおりというか、大きな岐路に立っているのかなと思っています。今回、新たな建設雇用改善計画が5年間定められるということですが、厚労省だけの対策ということではなかなか進まないだろうし、今日来ていただいておりますが国交省だけの対策ということでも、なかなかこの問題の根本的な解決は難しいのではないかと思っております。この産業を何とかしなきゃいけないという思いは、この間、この審議の場でもそうだったと思いますが、使用者側の皆さんの思いも、私たち労働者側の思いも、かなり近くなっているだろうと思っております。折角定めるこの5年間ですので、この間に産業を立て直すというとちょっと言い過ぎかもしれないのですが、それぐらいのつもりで、お互いに知恵と力を合わせて何とかしていく必要があるのではないかと。あまり大きなことを言ってもしょうがないとは思うのですが。こういう締めの場ですので、そんな思いをしておりますので、発言させていただきました。
○古市委員 いま、山下委員からそういう話がありましたので、私も感じているところを少しお話をしたいと思います。この第8次の建設雇用改善計画作りで、一緒に議論された皆さんのご努力に大変敬意を表したいと思います。
 それで、この議論は基本的に、良い計画を作るという議論をしたわけですが、良い計画を作るのはもちろん大切なことなのですが、いちばん大切なのは、実際に建設労働者の雇用が改善されることでありますので、そういう観点から少し意見を申し上げたいと思います。
 いま外国人労働者の話をちょっとさせてもらいましたが、建設で働いている外国人労働者の技能実習生の皆さんは、外国人でありながらちゃんと雇用されて、労働関係法令も守られているのですが、ところが一緒に働いている我が国の建設労働者は、その適用をほとんど受けていない。こういう少し笑えない状況があるわけです。それが現状だと思います。これまで何人もの皆さんがお話をされたとおり、建設業の雇用が非常にないがしろにされて、請負労働が進んで、強制された、いわゆる一人親方化が急速に広まっているというのが現状であります。
 それで、社会保険を掛けない事業者が競争に勝ってしまうという状況、そういう大変不正常な状態というのは、もはや限界といいますか、何とかしなきゃいけないのではないか。こういう雰囲気といいますか、動きが非常にたくさん出てきていると思います。国交省は「建設産業戦略会議」を開いて、基本方針をお決めになりました。同じく、室長も参加して議論をしている、国交省の「建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会」でも、ここと似たような議論をしております。国会の中では、参議院の国土交通委員会のメンバーの皆さんが超党派で、公共調達を適正化する研究会を立ち上げて、ヒアリング等を精力的にやって、法律改正を目指すとおっしゃっております。その座長をしておられる先生が、昨日、会計法まで含めて見直しをするというようなお話をされておりました。
 こういうように、建設業はこのままでは駄目になるので、何とかして少し良くしようという、そういう動きがたくさん政府内に出てきている。建設雇用改善の、いわば一つのチャンスだと思うのですね。この計画を作りましたので、具体化に向けては、いつまでにどこまで何を前進させる、そういう次の計画といいますか、要するに実現をしていくための、実際に建設雇用が改善されるための手だてをしっかり打ち出して、ある期間が経ったらどこまで本当に進んだか進んでいないか検証をする、そういうフォローアップもしっかりやるという、その仕組みとして、建設雇用改善計画作りはフォローアップもちゃんとやっていく、途中で、2年後見直しか、3年後見直しかわかりませんが見直しもして、手だてをしていく、そういったことをしっかり仕組んでいくのがいいのではないか。是非そういうふうにしていただきたいと思います。
 中沖部長が新しく着任されましたので、建設港湾対策室長を督励していただいて、この計画がちゃんと現場で実を上げられる手だてを、予算も取るものはしっかり取って、良い計画は作ったけれど実効が乏しかったというようにならないように、是非ご配慮をいただきたいことを最後に申し上げたいと思います。
○堀井室長 ご指摘をいただいた点については、この計画は5カ年計画ということですが、今回の計画の計画期間は建設業の動向なども踏まえて、場合によっては期間中に見直しをするかもしれないということまで書いているような、激動の状況に建設業が直面しているということはあると思います。そういう中で、5カ年計画の私ども厚生労働省としての進捗状況については、何らかの形でフォローアップをすることが必要というご指摘は受け止めさせていただき、その方向で対応したいと考えております。その場合のフォローアップの場については、この専門委員会がいちばん適切であるかとは考えておりますので、また、委員の皆様方には幅広くいろいろなご意見をいただきたいと考えております。
○征矢座長 ほかにございますか。
 では、ほかにご意見がないようですから、事務局から本日提出されました、「第8次建設雇用改善計画(案)」をもって、本専門委員会として了承することといたしたいと存じます。
 なお、本日いただいたご意見等を踏まえて、文書の表現等については、私にご一任いただくということで処理したいと思いますが、よろしいですか。
(異議なし)
○征矢座長 ありがとうございます。それでは、了承ということですので、本委員会の親部会に当たる雇用対策基本問題部会に報告することといたします。報告の際は、これから事務局から配付する報告文を付した上で報告することになろうかと思います。「報告文(案)」の配付をお願いします。
(報告文(案)配付)
○征矢座長 それでは、事務局から「報告文(案)」を読み上げてください。
○山補佐 報告文については、基本問題部会長に対しまして、建設労働専門委員会座長から報告いたします。
 建設労働専門委員会報告書。建設労働者の雇用の改善等に関する法律第3条の規定に基づく建設雇用改善計画の案について、建設労働専門委員会において事前に審議した結果、下記のとおりその結論を得たので報告する。記。建設雇用改善計画を案のとおり策定することについて、妥当と認める。以上です。
○征矢座長 ただいまの「報告文(案)」については、このとおりでよろしいですか。
(異議なし)
○征矢座長 どうもありがとうございました。それでは、ご了承いただきましたので、この報告文を付した上で、雇用対策基本問題部会に報告することといたします。
 次に、2つ目の議題ですが、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更認定等について」ですが、これについては冒頭申し上げたとおり、非公開といたします。
 恐れ入りますが、傍聴されている方はご退席をお願いいたします。

~非公開~

○征矢座長 どうもありがとうございました。最後に事務局から何かございましたら、お願いします。
○中沖部長 第8次の計画の策定に当たりまして、最後に事務局を代表いたしまして、お礼を申し上げたいと思います。
 委員の皆様方には大変お忙しい中、昨年5月から9回にわたり、ご審議いただいたと聞いております。今回の計画におきましては、前回策定時から大きく変わった情勢を踏み込んで、新たな対策の指針となり得る計画となったと聞いております。なお、計画中必要な場合には、計画の改正を行うとしておりますが、来年度からは国交省と連携いたしまして、建設業の動向を踏まえつつ、助成金のあり方についても検討を行うことといたしております。
 なお、今後の日程ですが、本日ご了承いただきました案については、来月、基本問題部会に諮問をし、答申を得た上で告示していきたいと考えております。4月からは、この新たな計画に基づくわけですが、先ほど委員の皆様方からご意見がありましたように、当然、今後とも皆様方から意見をまたお聞きして、書きっぱなしにしないということを心掛けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○征矢座長 では、以上をもちまして、本日の委員会は終了させていただきます。
○征矢座長 本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は上山委員、使用者代表は加藤委員とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日はどうもお忙しいところありがとうございました。


(了)

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