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2010年12月20日 第31回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成22年12月20日(月)13:00~


○場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室


○出席者

公益代表

征矢座長、白木委員

労働者代表

上山委員、野村委員、古市委員、山下委員

使用者代表

加藤委員、才賀委員、福田委員、室川委員

事務局

山田職業安定局次長、堀井建設・港湾対策室長、高松建設・港湾対策室長補佐、山建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)第8次建設雇用改善計画について
(2)その他

○議事

○征矢座長 定刻になりましたので、開催させていただきます。本日の委員の出席状況でありますが、柴田委員が欠席です。本日の議題は、「第8次建設雇用改善計画について」ですが、まず事務局から第7次建設雇用改善計画の実施状況、第8次建設雇用改善計画に関する論点等について説明をお願いします。
○堀井室長 それでは、説明させていただきます。まず、初めに本日の配付資料の確認と併せて内容のご説明に入らせていただきます。本日の配付資料、資料1と右肩に打ってありますが、こちらは第26回~30回まで、当委員会において関係する省庁、有識者の方々、労使の方々、教育関係者等の皆さん、職業訓練関係者の皆さん、11名の方から、ヒアリングをした「結果の概要」です。こちらは事務局で取りまとめしたもので、すべてご本人に確認をさせていただいたというわけではありませんので、内容についての若干の変更はあり得るかと思いますが、本日の第8次計画の議論の参考にと配付をさせていただいております。目通しいただければと思います。
 そして、資料2は「第7次建設雇用改善計画の実施状況について」と題した資料です。5月17日の第25回の当委員会において同じ表題で配らせていただいた資料がありますが、そのときの資料については、助成金や建労法に基づく各種の事業の実績を中心に資料を作らせていただいておりまして、今回は厚生労働省内の各局で実施をしている具体的な事業等の施策を入れた形での実施状況を作らせていただいております。
 1の「魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備」で助成金のみならず、さまざまな労働安全衛生関係の施策であるとか、労働保険の関係、2の「職業能力開発の推進」に関しても、さまざまな施策などを書かせていただいております。2枚目2頁6の(6)、(7)辺りに対応して、右側の実施状況ですが、例えばこれは国土交通省で出しておられます「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について」の通達、こちらは平成22年12月に出された通達ですが、あるいは「建設業法令遵守ガイドラインによる周知」など、こういった施策も併せて書かせていただいております。ご参考にしていただければと思います。
 資料4はこれまでの第1次から第7次までの「建設雇用改善計画」の対照表ということで、主だった項目、目次の部分ですが、書かせていただいております。こちらもご参考にしていただければと思います。そして、資料5は「建設業の雇用動向等について」ということで、こちらも建設労働関係の基礎データで最新のものも入れましたものをリバイスして配付をさせていただきました。第8次計画に向けた議論の参考にしていただければと思います。
 戻りまして、資料3に関してご説明をさせていただきたいと思います。この資料3は「建設労働問題に関する論点(案)」ということですが、この論点の(案)については、それまでの関係者の方々からのヒアリングや、その際に当委員会において指摘をされた、あるいはご議論があった点なども踏まえまして、今後8次計画を考えるに当たっての論点となるものを大括りにまとめさせていただいているものです。当然のことながら、8次計画に向けた論点というのは、これに尽きるものではないと考えますし、更には、実際の計画策定という段階になりますと、より多岐にわたる内容がまた違う次元の切り口で書かれてくるというものもあると思います。しかしながら今の時点、こういった叩き台がということで作らせていただいたものですので、この説明の後にまたこれに関してもご議論いただければと思っています。
まず、「1.総論」の1点目の丸ですが、今後の建設投資に関する総論的な部分です。「第7次計画策定時より一層厳しい状況が懸念される。関係省庁と連携し、今後の建設業の動向や将来像、建設業を巡る環境等の変化を踏まえた人材確保や雇用環境改善のための対策の推進が求められている。」と書かれています。そして、2点目は「高齢化の進行、若年者の入離職の状況を背景として、その形成に一定の時間を要する熟練技能の継承について強い危機感が広がっている。」3点目は「一方、明確な雇用関係の確保、賃金制度や労働時間等の労働条件、技能継承などの能力開発等、引き続き対策を講じる必要性のある課題が多い。」と書かれています。4点目は「建設投資の減少や競争の激化を背景として一人親方など個人請負型就業者が増加傾向にあり、雇用の不安定化が進んでいるとの指摘や、ダンピング受注などにより下請企業や労働者へのしわ寄せの懸念があるとの指摘もある。」という総論的な背景が記載されております。
 「?U.個別の論点」についてです。「1.建設労働をめぐる経済等の動向」ということで、「(1)建設投資と経営状況」の記述があります。こちらの詳細な説明は省略をさせていただきますが、名目値・実質値ともに建設投資額が非常に落ち込んでいるという状況です。また、建設事業主の個々の経営状況についてみても、建設投資減少という状況の中、受注の減少、利益率の低下、こういったことにより厳しい経営環境が続いています。
 そして、「(2) 雇用状況」です。就職者数や雇用状況についての記載があります。「他方、就業者一人当たりの建設投資額は、近年一貫して減少傾向」にあるという記載もあります。
 2頁の2行目からは、建設労働者の過不足状況についてです。全体として最近平成21年以降過剰傾向にあるという中で、一部について不足傾向なども見られていたが、近年平成20年、21年に一部過剰感も見られているという状況です。
 また、その下には高齢化の状況などが記載をしてあります。そして、入離職の状況ということで、離職率の超過率が高いという状況、あるいは新規高等学校の卒業者の離職率等についても記載があり、全産業の離職率よりも高くなっているという状況です。
 2頁の「2.建設労働における課題」ということで、労働に関する各論の部分です。まず、「(1) 労働条件、労働環境に関する課題」ということで、「?@賃金制度」です。建設業の生産労働者、ここは男性とは書いていますが、全産業と比較しても低い状況であるという記載があります。そして、次に若年者が入職・定着しない原因は様々なものが考えられますが、そのうちの1つとして低い賃金水準の指摘などもされています。業界として一部その優秀な建設技能者の技能と経験に見合った報酬の確保に向けて取組もされているところですが、全体の状況ということでまだまだ厳しい。更には、ダンピング受注が経営を圧迫する。そして、建設労働者の雇用と賃金に悪影響を及ぼすおそれがあるという点もヒアリング等で指摘をされているところです。このため、「建設労働者の労働保険等の加入や教育訓練の必要性を前提とした適正な価格での受注を推進する環境の整備等について、関係者に理解を求め、改善するための方策を検討する」ことの必要性なども指摘をされていたところです。
 「?A労働時間」です。建設業の労働時間はほぼ横ばいですが、他産業と比べてもまだ長い。更には、3頁上から2行目、完全週休2日制の普及状況がいまだ低い。一部労使併せて土曜閉所に向けた取組などもされていますが、そういったさらなる取組、年休の取得促進、あるいはワーク・ライフ・バランス。特にワーク・ライフ・バランスなどは若年者等の入職・定着推進という観点からも長時間労働の解消という観点からも更に進めるべきではないかというところが指摘をされております。
 「?B労働安全衛生」です。休日労働者の死傷者数、死亡者数について、人数的には減少傾向にある。しかしながら、全産業に占める割合は高い。更には、受注が減っているという状況があるから、数が減っているのではないかというご指摘もあったと記憶をしています。「引き続き建設業における総合的な労働災害防止対策の推進が必要」であるということです。
 「?C労働保険等」です。全産業において雇用保険の保険者数、労働保険の適用労働者数は増加傾向にありますが、建設業においては減少している。未加入という事業所の存在もあるということから、引き続きの加入促進が必要なのではないか。更には、民間の発注者に理解を求めて、民間工事での建設業退職金共済制度の活用促進を図ることが必要ではないかと記載しています。
 「?D雇用関係の明確化」についてです。雇用関係の明確化は昔から指摘をされている重要な課題です。3行目のところですが、依然として建設業では重層下請構造が存在する。そして、雇用関係や労働条件が不明確である等の問題が指摘をされている。このようなことから、雇用関係の明確化に向けた取組が更に強力に進められるべきではないかと。
 次に建設投資の縮少などによる労務費や安全経費の削減などのため、雇用労働者を外注契約とする個人請負労働が広がっていて、あたかも非自発的な「一人親方」というべき働き方が生じているという指摘もありました。このような働き方については請負、雇用など、どちらにあるのかという実態に即して区別をする。そして、雇用関係にある場合については、雇用関係を明確にした上で労働関係法令を適切に適用する必要がある。一方、請負の場合であっても、労災保険の特別加入、建設業退職金共済制度の加入促進など、方策を構ずる必要があるというところが指摘をされています。
 「(2) 職業能力開発の課題」についてです。人材育成の必要性、重要性というのは建設業におきまして従来から指摘をされてきたところですが、特に若年労働者をはじめとした技能労働者の確保、新技術・新規成長分野の対応など、一層そのような必要性が高まっているということで、以下のような取組が求められているのではないかということで、何点か書いてあります。1つ目が熟練技能の維持、継承のための必要な取組です。そして、どうしても継承ということには一定の時間を要するということを勘案して、若年労働者の確保などについての必要性、重要性。2点目が事業主が本来教育訓練などをきっちり行うのは必要であるということについての支援。ただし、厳しい経営状況の中、なかなか個人事業主は対応しにくい状況というのもあり、そういった部分で業界が行う教育訓練などの取組の支援などが求められているのではないか。次に、関係機関の連携などによる現場の経験、実習や職場経験などの実施、あるいは業界のニーズを踏まえた教育訓練の一層の推進。特に若い方にはインターンシップなどの取組を通じた職場体験実習などの必要性というのが指摘をされていたと思います。公共職業能力開発施設などの有するノウハウ、資源等の一層の活用。若年者の確保の観点からも、訓練のみならず、資格取得、処遇などをセットにした技能労働者のキャリアパスの検討。そして、建設業以外の新分野に従事するという道もあり得るということで、それに必要な教育訓練の支援などがあります。
 「(3) 若年労働者の確保」です。若年労働者の確保に関しては、いままで出てきた各論の施策と重複する部分もあるのですが、ただヒアリングの際も何度か議論に上がり、非常に懸念が示されたところです。そして、若年労働者の確保のために、以下のような取組が求められるのではないかということです。まず、1点目が小、中、高などにおけるキャリア教育といった教育現場と連携した取組、入職者の減少については、処遇改善をはじめとした雇用管理の改善、そして先ほども出てまいりましたが、訓練、資格取得、処遇をセットにしたキャリアパスの提示などが挙げられています。
 5頁は、そもそも若年者の方々に建設産業で働く魅力が感じられるように、建設労働のイメージアップのための方策の推進。一方、若い人を取り巻く親御さん、学校の先生をはじめとして、社会全体で「建設業が地域に不可欠な産業であることが社会的に再評価されるよう、建設業が社会資本の維持、災害対策等に多大な役割を果たしているということなど建設業に関する正しい理解の促進。」
 「(4)その他」ですが、いくつかの項目が書かれております。まず、「?@新分野対応等支援」。先ほど訓練の部分で出てまいりましたが、建設業以外の分野、例えば省エネ、リフォームなどの建設業における成長分野、維持管理、防災分野などについての対応ができるような支援が要るのではないかというのが挙げられています。「?A建設業務有料職業紹介事業・建設業務労働者就業機会確保事業」に関してです。有能な技能労働者の他産業への流出防止、若年労働者の確保など、技能労働者の雇用の安定と建設産業内での円滑な企業間の労働移動、こういったものを図るためにこれらの事業が適切に行われていくのが重要ではないか、必要ではないかということです。「?B女性労働者の活躍の促進」。「?C高齢労働者対策」ということで、こういう方々も視野に入れた形での雇用管理の改善を図ることで、若年者を初めとして働きやすい職場作り、ワーク・ライフ・バランスなどが進むことで建設業のより一層の魅力作りに繋がるのではないかと書かせていただいております。
 簡単ではありますが、資料の説明は以上です。
○征矢座長 追加の資料(古市委員配布)については何か説明ございますか。
○古市委員 いま室長からご説明があったのですが、その内容についてとやかく申し上げるつもりはないのですが、そもそもの話を少しお尋ねをしたりできればなと思いまして。お手元にお配りしましたのは、国勢調査の昭和40年から平成17年までの労働者の総数、「就業者の総数と雇用者の数及びその割合」、同じく右側では「建設業」もそういうふうに見ました。
 私にとっては少し意外ではありましたが、日本の就業者の全体的な雇用者の割合というのは右肩上がりで昭和40年からずっと上がっていって、平成17年の数字で見ると78%まで雇用者が占めている。こういったことから雇用者の数が多くなっているということがわかるわけですが、建設業関係について見ますと、一貫して雇用者の割合が下がっているということです。昭和40年に、本当に建設業で80%も雇用されていたのだろうかというような感じもするのでありますが、そうはいっても国勢調査を疑ってかかっては話になりませんので、これから見ても、雇用率が下がっている、いまは66%ということであります。私どもが日常組合員と接している感じで言いますと、今年行われた国勢調査の数字が出ると、もっと右肩にどすんと下がっているのだろうなという気がいたします。
 そこで、この「建設雇用改善法」について、そもそも論でありますが、私どもの組合は実は建設労働法を作ってくれという要望について非常に古くからやっております。私どもの組合を作ったのは1960年ですが、それ以前の1950年代から、建設労働法を作ってほしいという要望を当時の労働省に対してずっと続けてきました。私どもが組合を結成して、建設労働法の法案要綱の試案も作りまして、運動といいますか、お願いを続けてきたわけでありますが、実際に出来たのは1976年なわけです。
 昭和51年に、この建設労働法を作ろう、建設雇用改善法を作ろうと、どういう議論があって作ろうということになったのかというようなことについて、わかっていれば事務局からも、たぶん、征矢先生は、当時をよくご存じだと思いますので、こういう議論があって建設労働法を作ろうということになったんだよというようなことを、お聞かせいただければ。その目的は、7次の計画までありますので、順次成果を上げてきているのかどうなのかということが少しわかれば、ありがたいなと。是非よろしくお願いをいたします。
○征矢座長 まず資料のご説明ありましたので、説明関係についてご質問あるいはご意見等がありましたらお願いいたします。
○堀井室長 取りあえずといいますか、古市委員からご質問のあった点の関連です。まず、そもそも数字の部分については確かに国勢調査、悉皆調査で、非常に信頼性の高い数字ですので、その国勢調査からこういった数字が出てきていることについては、特にこの労働者総数の中の雇用者の割合、これもほかの産業、業種別に見ていろいろな傾向が出てくるかもしれないと思っておりますので、そこのところは併せて分析をしてみたいと思います。
 建労法がそもそも出来たときの趣旨とか、その後の成果、特に7次計画までの成果というところでご質問がありました。たぶん個々の項目を見ると、非常に評価は分かれるかもしれません。今日の資料でお配りしました資料4、これまでの計画の推移なども併せてご覧いただければと思います。1次~7次までの「建設雇用改善計画」の対照表ということで配付しております。
 例えば、1次計画のときから今の7次計画に向けて、労働時間ですとか、週休制といったものの普及状況などについては、建設業の中においても改善傾向を示しているのではないかと思います。それ以外の建設労働者の労働環境の部分で、福祉関係の施設とか、これは個々の現場レベル、あるいは事業者レベルによっての違いもあるかもしれませんが、そういったものについてはかなり改善してきている部分もあるのではないかと、私としては考えております。
 しかしながら、いまご指摘のあった点と関連してくるのかもしれませんが、1次計画のときから引き続き指摘をされ続けている項目もあります。1つは、下請重層構造なども関係してくるのかもしれませんが、雇用関係の不安定な状況にあるということ。したがって、こういった雇用関係の明確化が必要であることは以前から変わらず指摘をされている部分であると思います。
 さらに、そういったものが、資料の4の1頁目の「計画の課題」をご覧いただきますと、その時々の建設業を巡る状況がわかって面白いかと思います。面白いというのは語弊がある言い方もしれませんが、ただ状況がわかるかと思います。例えば、4次計画の計画の課題をご覧いただきますと、このときは、「深刻な技能労働者不足、公共投資の拡大等の建設雇用を取り巻く状況の変化」と書いてありまして、現在我々が直面している建設投資の状況からすると、非常に違う背景事情があることが考えられます。したがいまして、それぞれ1次計画から7次計画まで、その時々の状況に応じて必要性のある施策を入れてきて、それが建設業を取り巻く状況と併せて、いろいろと変わってきていることは言えるかもしれません。その中で、依然として変わらない条件もあり、さらには論点の中にも書いてありますが、特にダンピングなどをはじめとして、建設業、建設生産の特性とまでは言わないかもしれませんが、生産の仕組みに関わることの最近の変化、こういったものを背景にさらに厳しい状況になってきていることもあるのかと考えております。漠然としたお答えで恐縮ですが、取りあえず私からは以上です。
○征矢座長 先ほど来の当時の話ということでおっしゃられたのですが、私は当時はたしか課長補佐で、職業安定局にいたのですが、直接に担当はしておりませんでした。専ら失業対策措置の何かをやっていたものですから、詳しい具体的な経緯は承知していませんが、確かにおっしゃるように、皆様方から建設労働法を作るべきだという議論があって、それを安定局の中でいろいろ検討して、その結果として、職業安定局関係の法案でその建設労働者の雇用の改善等を図るための法案という位置付けにして、なおかつ審議会でご議論いただいて、事業主の方のご理解もいただいて、雇用保険の保険料を1000分の1、特別に別途積んで、それを原資にしていろいろな建設雇用の改善を図ろうという形で出来ている。したがって、主として労働基準関係の問題については、そういう意味では、直接「建設雇用改善法」の中には盛り込まれていない。そういう経緯はあると思います。
 現時点において、この法律自体では、ここにおっしゃるようなことを踏まえてどう考えていくかが、これからの課題だと思います。
○古市委員 ありがとうございました。室長からご説明があったことについて、たぶんそのとおりだと思いますので、それに対して反論するわけではないのです。建設雇用改善法のそもそもの目的、この法律は何のために作っているのかということを考えますと、建設の、要するに雇用を改善しようということが、いちばん先にあるわけです。資料を見ますと、50年の国勢調査では70%、建設雇用改善計画は52年から始まるわけですので60%台後半70%に近いところ、これが下がっているということですので、雇用は改善されてないのではないかなという、漠然とそういうふうに私は思うのですが。そこがどうなっているのかというのを、その当時その当時の時代に合わせて適切な議論が行われて、適切な計画が行われたのだとは思うのですが、ほかの産業での雇用者、雇用割合というのは非常に上がっているにもかかわらず、建設については下がっている。こういう現実を見ると、どこか何か問題があるのではないかというような気がします。
 今日、お手元に資料??5が配られていて、ご説明はありませんでしたが、この中の4頁のいちばん上に、「建設業の就業者数、雇用者数等の推移」が載っています。総務省の労働力調査があるのですが、平成17年の数字を見ますと、就業者は568万人いて、雇用者は458万人という数字なのです。これの割合を見ますと、80.63%になるのです。同じ平成17年の数字でも、国勢調査は66.46%と言っている。労働力調査では80.63%と言っている。あまりにも大きな開きがあるのではないだろうかと。
 それで厚生労働省の施策では、たぶんいつも労働力調査が使われるのでしょうが、こう見てきますと、実態をあまり正確に把握できないまま議論が行われたり、施策が行われたりしている傾向があるのではないかというのが、私の心配です。
 国勢調査を上回る調査はないわけですが、もう少し建設業の置かれている実状を正確に把握する必要があるのではないかというのが、私の意見です。建設雇用改善計画を作るというのであれば、国勢調査の数字と労働力調査の数字が10何パーセントも違っているというような状態を、もう少し建設についてはしっかりちゃんとした調査をして、実態の把握をして必要な手を少しでも打っていく必要があるのではないだろうか。第8次計画でどこまでどういうふうにできるかはわかりませんが、そういうことが必要なのではないか。そうしたことをして必要なところに必要な手を打って、建設雇用改善の実が少しでも上がるように、進むようにできればありがたいものだという意見です。
○堀井室長 いまの古市委員のご指摘についてですが、実態をきちんと把握をして施策を講ずるべきという点は、ご指摘のとおりだと思います。限られている統計資源の中でどのような形で把握するか、あるいはそれで取れない部分については別なやり方を検討するかなど、いろいろなやり方があるかと思います。ご指摘の点については、常に当てはまる点だと思いますので、それは我々事務局としても考えていきたいと思います。
 それで国勢調査、悉皆調査ではあるのですが、やはりいかんせん5年に1回という限界もありまして、労働関係のデータをもう少し経年的に取りたいときには、「労働力調査」などを使う形にしています。この両者の割合の違いについては、内容の精査をした上で、次回にでもご報告をしたいとは考えております。
 なお、ご質問の中で、雇用者数の割合が下がっているので、雇用改善があまり進んではいないのではないかというご指摘もありました。ただ、その法律を作ったときのそもそもの目的、先ほど座長からもいろいろとご指摘がありましたが、元々建設業の雇用管理の改善をしていくということで考えて、さまざまな施策を講じる。それで、その雇用のあり方を改善することで魅力も増して、いろいろな形での建設業の発展に資することも考えられているようです。そういう実際の雇用管理の改善がされるための施策として書かれているのが、建設業のこの「建設労働者雇用改善法」ということでご理解いただければと思います。
○白木委員 ちょっとコメントみたいなことです。私、昭和52年にこの法律、建設労働者雇用改善法ができたときのことはもちろん知らないわけですが、私は大学院生だったのです。このときに建設関係の労使関係とか、労働関係を研究している人は、私の知っている範囲では日本で1人しかいなかったですね。それぐらい難しい分野で、雇用関係がどうなっているのかわからないと。したがって素人が入っていってはそう簡単にはわからんぞというのが、大学院生の認識でした。ですから、その頃からやはりこの雇用関係、建設関係の雇用関係というのはわからないという状況で、したがってこれはやはりクリアにして問題を明らかにしたほうがいいのではないかということで出たのではないかなという、私の全くの憶測が1つです。
 もう1つ、いまこの国勢調査と労働力調査で数字が違うということはあるのですが、これはもちろんサンプリングでやっているか、悉皆調査でやっているかというのももちろんありますが、同時に定義ですね。いま手元にないので正確なことは申し上げられませんが、「雇用者数」と言う場合に、employeeなのかemployedなのかによって違うと思うのです。employeeであれば、被用者なのです。被用者プラスアルファが、労働力調査には入っていると思います。ですから、違いはその辺の定義の違いからのものです。同じ用語を使っているものですから、ミスリーディングなのです。ですからその辺は定義を確認されて、整理されると、もう少し差は縮まるのではないかという期待をしております。以上です。
○堀井室長 折角、古市委員が資料も出してくださったので、そこは確認の上、次回にでもご報告をさせていただきたいと思います。
○征矢座長 それでは古市委員からのご提案の関係はそういうことにいたします。そのほかご質問、ご意見等ございますか。
○古市委員 言い出したついででありますので、いまご説明いただいた資料3の2頁の真ん中に、建設業の生産労働者の年収401万円という数字が出ています。これはたぶん何を調べたかは書いてありませんが、「賃金構造調査」であろうと思います。賃金構造調査の数字は、10人以上の雇用者がいる事業所ということだろうと思います。同じ資料??5の12頁を開きますと、ここに、「建設労働者の労働保険の加入状況」と「社会保険の加入状況」があります。この数字を見ますと、雇用保険の適用事業所の建設業の1事業所当たりの被保険者数は7.01人、労災保険の1事業所当たりの労働者数は7.34人、下の健康保険、昔の政管健保ですが、政管健保の1事業所当たりの労働者は、これは労働者ではなくて、被保険者ですが、6.57人、こういう状態です。大きい事業所は健保組合を作りますので、この政管健保などを見ると中小企業の状態が比較的よくわかるわけです。で見ますと、被保険者が6.57人ということですので、これは被保険者というのは事業主を含めて被保険者ですから、労働者だけ言うと、もっと少ないということなのです。したがって、建設労働者の賃金は、年収はこれぐらいですよという話をされるときに、この賃金構造調査を使いますと、その限りにおいては正しいのですが、建設業の実態を必ずしも充分表わしていることにはなりませんで、建設業の中で非常に力のあるグループの数字を示していることになるわけです。建設業の政管健保に加入している、いまの協会けんぽに加入している建設業の1事業所当たりの労働者数は5人程度というのが平均的だということです。10人と5人だと、倍の開きがあるのです。私どもが組合員を12万人調査をした平均の年収は、320万円です。したがって、建設業は400万円かという、そういうふうになかなか首を縦に振りにくいなという気がいたします。ご配慮をいただければ、ありがたいと思います。
○堀井室長 いまの古市委員のご指摘については、資料の5の10頁、右下にシート番号が19とございます。そのシート番号の19の「建設業の生産労働者の年収額の推移」、こちらの数字を引いたものです。ご指摘のように、資料出所ということでこちらには書かせていただいており、「賃金構造基本統計調査」を引用したものです。
 やはり統計上、どこの規模から調べているかがなかなか限界があり、一定規模以下のところについては捕捉をしにくいという課題があるわけです。確かにご指摘のように、この数字を引くときは、例えば調査がこれぐらいの規模の対象を調査したものがこういう結果だったというところがわかるような形で引用することを心掛けたいと思います。
○征矢座長 ほかにございますか。いままでのご議論を踏まえて、取りあえず事務局で論点等の(案)という形で、資料3でまとめたものです。これは1つの叩き台で、今後具体的に計画策定の作業を進めていくことになろうかと思います。そういう意味で、フリーにご意見をいただき、もし先へ進むということでよろしければ、いかがですか。
○加藤委員 資料??3の3頁、「?D雇用関係の明確化」ということで、これは古市委員が言われたことと関係するのかもしれませんが、「一人親方」とか「個人事業主」が増加傾向にあるというようなことは、そのような感じも私どももしているわけです。
 そこで、この前も申し上げたと思いますが、いわゆる一人親方だから、個人事業主だから労災保険がかからないとかいう話ではなくて、きちんと有期でも労働契約を結んでいれば、それは雇用関係があった期間については、その中で雇用者として認めてもらって。この前話しがあったような、ダブリの特別加入の話はどうなのだとかいうことについては、現場の場合は全部一括で、元請け一括で入っているわけです。個人事業主あるいは一人親方さんは特別加入している。例えば特別加入分を月別で、日別に戻すのは難しいかもしれないけれども、そういう運用で出来ないか。一人親方、個人事業主として特別加入しておいて、労災保険がかからない一方、この前も言いましたように、いわゆる上載せ保険というものは全部一括して入っているわけです。この人は一人親方だの、個人事業主なんてわかるわけがないのです。これは何かあったときに非常に問題になるわけです。ですから、それを望んでいるわけではないのです。一人親方や個人事業主はやはり労災保険としてはかかってほしい。ですから、この辺の運用をきちんと、有期労働契約でいた期間は、一人親方や個人事業主が、またその下の人間からピンハネするようなことのないような感じで、お互いにやっていけたらと思いますけれど。
○古市委員 要するに、二重払いを防ぐという仕組みがもし出来るのであれば、誠にありがたいことですよね。次長が基準局長と話をして、決着つけてやるというふうに答弁してもらうと、もう、ありがとうございますというふうに言うわけですよ。
○加藤委員 5次、6次ということを望んでいるわけではなくて、やはりきちっとした雇用契約の中でやっていけたらと、これは僕らのほうとしても望みたいところです。
 あと、もう1つ、同じく資料3の2頁、賃金の話。先ほど320万とか、401万とかありましたが、日経連さんでは600万円という1つの目標掲げて、魅力があるようにということで。僕らもなるべく働いている人たちが、その子どもさんも高校とか大学に行けるような感じでいくべきだとやはり思います。
 その1つの中に、建退共制度というのがあるのですが、これについては、いま、いわゆる請負金額の中で算入されている。ダンピングとか、いろいろな安値受注の中でも、算入されているということなのだけれども、これについては金額がそう大きいものではないと思うので、できたら官民を問わず、いわゆる別途精算と言ったらおかしいのですが、請負金額から外して、実費だけで。これは決して、余計によこせとかいう話ではなくて、きちんと建退共の本部に行けば、領収書ももらえるわけですから、工事が終わった段階で、これだけ入りましたよと。それで官民を問わずやっていけば、そのような方向でいってくれるならば、これはいろいろな制度の改革が必要かもしれないけれども、退職金の関係でも少しは魅力が出てくるのではないかなと思います。
 あと、もう1つ、同じ資料3の3頁、?B労働安全衛生です。これについても、安全というのは、安全第一と言われているように、いちばん大切な部分です。これにつきましても、なかなか難しい話かもしれないけれども、例えばガードマン、列車見張員については数字ではっきり出てくるものですから、この辺についても安全経費については別口で別途精算か、あるいはある一定の部分だけ率で、その率というのが、例えばの話が労災保険とか何とかその辺はみんな率で出るわけですね。ですから、その辺の率勘定を考慮した上で、かつプラスαとして安全経費を実費精算できるような関係でいっていただければ、その辺の安全のほうでも守れるのではないかと。これは将来的なもので、いますぐにという話はしないですけれども。以上です。
○古市委員 私どもは基本的に、いま加藤委員がおっしゃったことは実現できるのであれば非常に賛成ですね。特に建退共なんかは、その元請けの皆さんがしっかり購入をしているにもかかわらず手帳を持っている労働者が少なくて、要するに負担しているにもかかわらず、証紙の貼る先がなくて、金券ショップに建退共の証紙が流れて、安値で売られているというような実態もあるわけです。こういう不正常な状態をなるべく早く解消する、そういうために別枠で支給をする。安全経費についても、全く同じでありまして、元請けの労働者の命よりも、下請けの労働者の命は下だというようなことは、あり得ないわけです。そこは競争から外して、ちゃんと必要な人に給付をする、安全経費はちゃんと掛ける。そういったことについては非常に賛成ですね。
○加藤委員 方法論としては難しいかもしれません。研究していって、将来的には。
○才賀委員 全体的に見てもダンピングということで、そういう経費も全部切られている。また、そういうようなものも払えないというのも現状だというように思うのです。ですから、例えばダンピングをなくすことについては鶏か卵かと言われるのですが、やはり法定福利費だとかは別枠で見るとかしていかないと、今後難しいのだろうと。それと同時に、労働者と、ゼネコン、専門工事業者と発注者と、この三位が何か解決しようという共同目的を持たないと、解決できないのです。もう昔のように専門別にお前らはお前ら、こっちはこっちというような言い方をしていても、なかなかまとまらない。例えば、いまこのように日建連さんにしろ全建さんにしろ、やはり両者が相反目していたのでは、大きいところはいいけれども、地方のゼネコンさんは淘汰されてしまう。それではどうなのかということもあるのでね。いわば、この辺を三位一体で何かしていかないと、具合が悪いのかな。それについてはやはり衣を脱いで、腹蔵のない意見の交換をして、解決していかなくてはいけないのかなと思います。
 昔は、こういう席ではそちらで座っていた方たちが、有給休暇の問題でこういう会議をやっていて、有給休暇をどうするんだということで、決まらないわけですよ。そうすると、座長が取りあえず先にこれを決めましょうと決めていって、最後に、では第1の設問についてはこうです、こうときて、この7番目の有給休暇になると、「これはもう次回に」と。「そんなことないだろう、後でやるって言っているだろう」と、こう喧嘩になるのですよ、「今晩徹夜でやるぞ」と。そうすると、使用者側に座っている人は皆70歳ぐらいのものですから、「もう決めてくださいよ」てなことで、よく喧嘩しましたよ。いま皆さんは非常に紳士かなと思っていますよ。
○古市委員 たぶん雇用改善計画作りの中でも、昔のことはよくわかりませんが、その当時は、要するに皆さん使用者の側と私ども労働者の側の意見の隔たり相当大きかったのだと思いますが、今日ここまで建設業が投資が落ち込んでくると、ここは何とかしなくてはいけないと。これではもう、弟子も育たない、後継者も育てられないということははっきりしていますから、意見の隔たりが、きっと相当小さくなってきたと思いますので、できることを是非協力しながら、良い知恵を出して、ものごとが前に進めていけるようにする必要があると思いますね。
○才賀委員 5年に1回ですからね、計画されるのは。ですから毎回違うわけですよ。5年前はこうだったけれども、5年後はこうだよということになると、書類的にも残ると、ばらばらになってくるだろうと。お前ら、何をやっていたんだということがあるから、例えば雇用という問題については解決はないけれども、ずっと入れていこうよというようなことで、お題目が決まったような感じもします。この間もちょっと言ったのですが、ではこれだけ経って何か決まったことあると言っても、なかなかね。では、これとこれは決まったんじゃないと言うのは難しいのではないかという話はさせてもらったのですよ。
○加藤委員 建退共の話なんかは、例えばの話が、公共工事をやっていますよ、そのときには建退共の印紙は当然買う。けれども、その人たちが、例えばいまはかなり公共工事が減っているから土木から建築に流れるという場合もあるし、あるいは当然建築の公共工事やっていて、ある民間へ行く。では公共では建退共をもらえても、民間では、金をもらってないから駄目なんだと。そういうわけには現実的にはいかないのです。入っている人たちに満遍なくいくということ、やはり民間の中でもそういう制度としてこれは別口でやはりくださいよというふうに、言えるようになれば、ずっと進んでいくだろう。そういう感じで、個人個人が就いた仕事によって貼ったり、貼ってもらえないとかいう馬鹿な話のないようにですね。
○征矢座長 ほかにございますか。
○野村委員 昔はなかなか一緒に席に並んでも多分に意見の相違のある部分もあったかと思いますが、そういう意味でも古市委員の言われるとおり、建設業大変厳しい。ここもう10年以上ですか、20年近くなるでしょうけれども、そういう状況の中でもやはりこの産業をしっかり魅力のある産業、そして社会にしっかり役に立つ産業として皆に認知をしてもらうためには、言われるとおり、本当に労使でしっかり対応しなくてはいけないと思います。
 また、労働組合はいままではどちらかというと、元請けだ、また下請けだという、1つのそういう立場の部分が前面に出てきたこともたぶんあったと思います。どちらかというと、いままでは違う部分をずっとあげつらっていましたけれども、これからは違う部分は当然ありますが、しかし一緒にやれる部分、要はその同一の部分をしっかり見ながら運動をやっていくことが必要だろうなと思っています。
 そういうところ、いままでの計画をずっと見ていきますと、やはりポイントとすると、そこで働く人たちの雇用であるとか、賃金であるとか労働時間というものがメインになってきているのだろう、中心でずっと動いているのだろうと思います。やはり賃金をどう見るかというところで400万円、実態もっと低いよというのもあるようであります。特に、その中で是非ご認識をしていただきたいと思っているのは、どちらかというと建設会社ですね。一般的に言われるところのゼネコンでありますとか、元請けとか、建設会社のその社員、職員は、ここは比較的賃金が高かったという時代が長く続いたというふうには認識をしております。現状、私のところ、そしてたぶん日建連さんのところもそうだと思いますが、賃金は、ちょっと我々の賃金の調べ方というのは30歳ポイントとか組平とかいろいろ賃金の取り方があって、一慨には企業の全体のその賃金を表わしているかどうかと、なかなか難しい部分もあります。一般的には、その組合員平均なんかを取ると、やはり大幅に賃金が下がってきている。
 それに、表に出ている賃金と、実態の賃金というのがあります。これから2011年の春闘に向かって入っていくわけですが、定昇プラス連合は1%というふうに、要求の基本的な考え方を示しています。基本的には定昇というのは、大体どこの会社も定昇維持、定昇確保、賃金カーブ維持分確保ということがあります。我々の考えているだけでも、表は定昇確保ということで、大体、定昇がうちあたりだと6,000円ぐらい、6,000円ちょっとぐらいにたぶんなると思います。表は6,000円ぐらいの要は定昇確保になりますけれども、その後5%カットだとか3%カットとか、実際はそういうことがずっと続いています。
 まず、正直言いますと、我々の組合の中でも実際の交渉は、カット率をどういうふうに下げるか、ある意味ではカットをなくしてもらうか、あとは一時金の交渉、ここがポイントになると思います。と言うぐらい我々はその要はゼネコン等々、いわゆる建設会社で働いている職員の労働条件、賃金も著しく下がっているということは、是非ご認識をいただきたいとは思っております。
 それと、あとは併せて、やはりこういう状況を改善するためには、当然その労使がしっかり議論をし、1つ政策をまとめていく。それをしっかり厚生労働省にも労働行政を担う行政としてバックアップをしていただきたいと思いますが、併せて我々のこの業、建設業でありますので、その業行政、ある意味では発注官庁であり、そして監督官庁であります国交省さんにも是非建設業というものの、特に人というところをしっかり視点に置いた施策も是非考えていただきたい。労働資材対策室ですか、そういう所も設けているわけでありますから、是非、国交省の皆さんにもそういう労働という、人という視点をしっかり持っていただいて、いろいろな施策も厚労省としっかり協議をしていただきながら、連携をとっていただきながら施策を進めていただくのが大事ではないかと思っております。私のは漠然と、個別の意見はあまりありませんけれども、総論としてそんなことを考えています。以上です。
○堀井室長 いま野村委員からのご指摘の関係で、業所管官庁さんとの関係というのが出てきました。それで、建設雇用改善助成金の行政事業レビューのときの議論もそうだったのですが、今後建設業がどういう形になっていくのかを念頭に置いた上での建設雇用対策、当然建設労働対策は昔からそういう観点でやっていたのですが、さらに今後ますます強くそういう状況が求められているという気がします。あとは、その前の発注の関係でのやりとりでも、やはり業の特性といいますか、業の慣行とかいろいろやり方みたいなところが非常に関連してくる部分もあるというご指摘かと思いましたので、厚生労働省が作成する計画ではあるのですが、当然のことながら関係省庁さんには必要な情報を、今日のやりとりも含めてご提供させていただこうと思います。そのあとの施策も含めてやっていけるところについてはご協力をいろいろお願いしながらやっていきたいと、改めて考えた次第です。以上です。
○山下委員 建設雇用改善助成金の関係ですが、この法律に基づいて保険料上載せをしていてということは、ですから何といいますか、ちょっと大袈裟に言うと、労使で合意をして、もちろん決めているのは法律で決めていただいているわけです。言い方が適切かどうかあれですが、産業自治のようなそういう考え方でやっているのではないかなと思っていまして。仕分けの対象にそもそもならないのではないかと。つまり、私たちが合意の上で、もちろん前提は法律なわけですが、合意の上で多く払って、それでもって皆のために十二分かどうかは多少論議はあるとは思うのですが、やっているものを、外からやってきて、これ要らないじゃないかと言うのはちょっと乱暴だなというふうに思っております。そこはもう一度改めてその計画上なのか、法律上なのかよくわかりませんが、しっかり位置づけていく必要があると思います。
 先ほど来、話が出ているような観点も、この際、いままでいろいろあったにせよ、ここまで厳しい状態になっているという認識については非常に同じところにいま立っているんだと思いますので、私たちが皆、業界ぐるみという言い方はまたよくないのかもしれないのですが、皆同じことを考えているのですというように、そういったことをいまこの計画に書き込むのはふさわしいかどうかなかなか難しいのかもしれないのですが、しかし私たちの考えをしっかりと発信していくような面も必要なのではないかと思っております。
○野村委員 いまの山下委員の意見といいますか、話に若干関連する部分もあろうかと思います。直接この部分に全部関わる話ではないと思いますが、いま省庁の中でも行政事業レビュー、また政府のほうでも事業仕分けというような形で、いろいろな形で助成金、補助金の大幅な見直し、効率的な執行、これは当然当たり前だとは思います。
 そもそもこの労働に関わる助成金であるとか、補助金とか制度仕組みというのは、本来行政事業レビューの場だとか、事業仕分けの場というよりも、ある意味ではそのためにこの労政審含めて公労使という立場のこの委員会があって、審議会があって。そこで労使がしっかり話をして、公の立場の先生方にもいろいろなそういう意味で意見も出していただきながらまとめていく。そしてそれを施策に反映をしていくというような、これも長い、ある意味では時代ずっと培ってきた1つの方法であります。また、これは労使の中でも、お互いにやはり決めたことはしっかり守っていこうじゃないかということにつながってきたのではないかなと思います。そういうのは若干いろいろな形で、いまいろいろな話が出ております。とりわけ、労働保険特会の関係等は、我々労働側も、とても大変な問題だということで、我々のグループはもう連合構えでありますが、連合の中でもしっかり対応しようということになりました。それはそれとしても、やはり労使がしっかり本当に話をして、まとめるところはまとめて発信をしていかないと、山下委員の話ではないですけれども、少し語弊があるかもしれませんが、そういうのを超越したところで、横やりを入れられるような形で、折角我々が確認をし、まとめたものが横からどんどん壊されていくということでは、はっきり言ってそこで働いている人の雇用等が、職場環境も守れませんし、魅力ある建設産業も、折角我々が一生懸命作ろうとしても、できないのではないかなと思っています。是非そういうところは、いろいろな形でしっかり発信をしていくことは必要ではないのかと思っております。
○才賀委員 この助成金につきましてはやはりいま全体的に少子高齢化ということで、若年労働者が入ってこないことがあって、せめて入ってきたら勉強させてやろうよということで一生懸命やっているのですが、助成金も交通費が出ないとか、あれが出ないとか、書類が面倒くさいとかと、なかなか助成ができないのも現状です。いま子どもたちばかりではなくて、学校の先生を呼んで、教育をしているのです。学校の先生たちが建設業を知らないのです。パイプってこんなに重かったのかとか、こんなことしなきゃこの機械が動かなかったのかというようなことを知らずに学校で毎日教えているわけでしょう。そうすると先生たちが講習に来て、いや、これは非常に勉強になったということで、いま全国の高校生、専門学校から行きたいと言うのですが、助成金が少なくて、自腹ではできないというようなこともあります。
 この間もお話さしてもらったのですが、我々が自分たちで積んでいる金を、何も国で横取りすることはないではないかと、おかしいよと、もう1回言ってきてくださいと言ったのです。そういうこと自体が、やはり建設業の魅力を半減させますよ。大いに使うものは使って、教えるものは教えて、やはり若年労働者を確保していかないと、これだけ地方に仕事がないと、地方で労働者は育たない。学生も皆、大都市へ出てきて、結局は就職難で就職できないで浪人でしょう。それはかわいそうです。やはり我々のところはまだまだ受ける皿がありますので、そういうことをどんどんやっていただければ、もう少し就職もできるのではないかと思います。
○山田次長 仕分けの関係についてはいろいろご指摘をいただいておりますけれども、仕分けというのは、基本的に意思決定をする場ではないのです。ですから、これは無駄を省くという視点から指摘をいただいたということであって、そこはこのセーフティネットをどう図っていくのか、いろいろな視点も含めながら、まさに厚生労働省であれば厚生労働省の政務三役とご相談をして決めていくという筋合いのものです。ご指摘の点については、我々も十分そういうスタンスでやっていきたいと思います。
 ただ、仕分けの中でいろいろ指摘をいただいていることで、なかなか我々としても客観的な事実関係として答えられない部分は結構ございました。例えば、先ほど室長からもありましたが、建設業のこれからの業態というものをどう考えていくのか、どう見通していくのか、そういう中で助成金の必要性をどう考えるのかという、本当に全体的な構想の中で、いまの施策をどう考えるのかというのは、我々ももう少し勉強して、理屈を構築して議論をしていかないといかんのかなという感じもしております。
 そういう意味では、こういう機会もいただきましたので、少しその業全体、国交省さんも含めて、どういう前提のもとでこの雇用管理改善というものを考えていくのかという辺りはしっかりと構築をして。おそらく1,000分の1の話も、これはやはり建設業の特殊性というものの中から出来上がっている制度であると思いますので、そういった状況がいまこういう意味で必要なのだということがしっかりと言えるような、そういうことを我々としても考えて、この新しい計画の中に盛り込めていけたらと思っております。
○征矢座長 ほかにございますか。よろしいですか。ただいま、いろいろと具体的なご意見等ございました。それで、建設業非常に厳しい状況の中でどう考えるかということと併せて、建設の雇用改善を図っていくためにはどうしたらいいか、そういう視点からそれぞれの方からご意見をいただきました。そういうものを踏まえて、次回以降は具体的な計画策定作業を進めていきたいということで、よろしいですか。
 先ほどもご意見ございましたが、労働政策を進めるに当たって、その企画立案をする際には三者構成の委員会で十分ご意見を聞きながら、その中で整理をしてやっていくというのは、労働行政の基本であると私も思っています。そういう意味では、その考え方は死守しないといかんと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 議題は以上ですが、ほかにご意見ございますか、あるいは事務局からありますか。
○堀井室長 私からご報告です。派遣法の改正案の状況についてです。建設業務労働者就業機会確保事業については、労働者派遣法の事業規制の規定を一部読み替え適用などしているという状況です。
 したがって、国会提出の派遣法の改正法案でも、派遣法改正に伴う関係法律の規定の整備ということで、建設雇用改善法の規定の整備が含まれている状況です。
 既にご案内の方もいらっしゃるかと思いますが、派遣法の法案については今年3月に通常国会に提出されて、衆議院の厚生労働委員会で審議をされたという状況でしたが、継続審議となっていました。
 先般12月3日に閉会した臨時国会においては、質疑がされることなく、継続審議という状況になっております。また状況が変わりましたら、情報提供をさせていただきたいと思います。
○征矢座長 それでは、本日の委員会終了させていただきます。会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は野村委員、使用者代表は福田委員とさせていただきます。よろしくお願いいたします。どうもご苦労さまでした。


(了)

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