ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会結核部会)> 第24回感染症分科会結核部会議事録




2011年2月24日 第24回感染症分科会結核部会議事録

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成23年2月24日(木)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)
5階共用第7会議室


○議題

(1)結核に関する特定感染症予防指針について
(2)その他

○議事

○水野補佐 それでは、定刻でございますので、これより「第24回厚生科学審議会感染症分科会結核部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、本部会の開催に当たりまして、亀井結核感染症課長より一言ごあいさつを申し上げます。
○亀井課長 (挨拶)
○水野補佐 開会に先立ちまして、委員の出欠状況の報告をさせていただきます。
 本日の出欠状況につきましては、東海林委員、菅沼委員から御欠席の連絡をいただいております。
 本日は10名の御出席をいただいておりますので、委員数が過半数に達しておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告いたします。
 ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料でございますけれども、最初に「議事次第」がございまして、その次に「名簿」がございます。
 その後ろに資料1、資料2とございまして、参考資料が付いております。
 不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、後の進行は坂谷部会長、よろしくお願いいたします。
○坂谷部会長 心得ました。それでは、皆さん、本日もよろしくお願いいたします。
 本日の議題は「結核に関する特定感染症予防指針の見直しについて」でございますが、これまでに結核部会、9回にわたりますが、行われてきました議論と、また各委員から事前に提出されました御意見を踏まえて事務局で作成されました改正案の全体を通しての議論を行いたいと思っております。
 それでは、事務局より本日の議論の進め方、及び資料1についての御説明をお願いいたします。どうぞよろしく。
○水野補佐 本日の議論の進め方でございますが、まず資料1をごらんください。こちらは、今までの部会においても使用させていただきました資料で、これまでの議論の視点に対する対応策について記入されております。前回の部会において議論されました対応策のところを新たに記入いたしましたので、これの確認をさせていただきます。
 その次に資料2に行きまして、改正案につきまして、5つのセクションに分けまして、具体的には前文、第一~二、第三、第四~八、第九の5つに分けまして順次事務局から内容を説明させていただきまして、その後御議論いただくというように行っていきたいと思います。
 続きまして、資料1の説明に入ります。
 資料1の第八、17ページになります。前回の部会の議論が第八と第九の部分でございましたので、このところの対応策を新たに記入してございますが、具体的には次のページの18ページから記入がございます。
 小児結核対策につきまして、「小児重症患者発生時の医療提供体制の確保について、記述することが必要か」という視点について、対応策では「小児結核を診療できる医師の育成、小児結核症例への相談対応、ガイドライン作り、重症例への対応等、小児結核診療体制の確保のための取り組みが必要である。また、特別に小児結核症例の登録システムが必要であるかということについては引き続き検討していく必要がある。」とまとめております。
 また、議論の視点2で、「結核対策における技術的適正性の維持のためには、国や民間の研究機関の技術的支援のもと、対策実施組織の集約化を図っていくことが必要か。」という視点についての対応策につきましては、「集約化が効果的に行われているところがある一方で、必要性については地域の事情に影響されるところがある。引き続き検討をつづけていく必要がある」と記入させていただきました。
 また、第九の具体的な目標等の1.具体的な目標についての視点でございますが、前回の部会の資料において具体的な目標候補(案)を挙げさせていただいておりました。これについては、「さらに検討が必要である」と記入させていただいております。
 対応策に関する説明については、以上になります。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 今までも、前回の議論を踏まえて、次回のときにまとめられたものが出てまいりまして、それでいいかどうかということをやってまいりました。第七まではもう片付いておりますが、第八、九につきましては、前回議論を済ませたところでありまして、資料1の18ページの対応策のまとめでよろしいかということでございます。御意見を求めます。よろしくお願いします。
 小児結核対策、診療できる医師の育成、特に結核の診療体制と医師の適正な配置が全体的に疎になってきているわけですけれども、小児科領域で特に著しいということで、特記すべきである。
 それから、保健所の機能強化についても特記すべきであるということでございます。
 特段の御意見ございませんでしょうか。
 それから、具体的な目標につきましても、具体的に後で出てまいりますが、それにつきましては、その段で細かく御説明申し上げます。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 それでは、指針の改正案全体の議論に移りたいと思います。
 事務局から、まず前文のところについて。先ほど話がございましたように、前文、第一~第二、第三、第四~八、第九と、5つに分けて議論を行いたいと思います。
 まず、前文について御説明を願います。
○水野補佐 資料2をごらんください。
 前文についてでございますが、まず坂谷部会長が作成されました原案を前回部会で、提示させていただきました。そして、その原案に基づいてご意見をいただいたわけでございますが、それらのご意見を反映いたしまして、また指針本文のポイントと考えられる部分を抽出して追加して作成されております。
 内容については、現行のものとがらっと変わっておりますので、少し長い文でございますが、御紹介させていただきます。
 「昭和二十六年に制定された結核予防法を基に、平成十六年に第一次の本指針が策定された。以来、七年が経過し、我が国内外の結核を取り巻く状況は大きく変化している。
 平成十九年に、結核予防法が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「法」という。)に統合され、本指針の名称も『結核に関する特定感染症予防指針』と改められた。
 国際的には、結核は未だに三大感染症の一つであり、HIVや後天性免疫不全症候群との合併結核のまん延や多剤耐性菌結核の国境を越えた伝播が大きな課題となっているが、これまで我が国は世界保健機関等との協力の下、研究、検査、治療技術などの分野で国際貢献してきており、特に人材育成などで成果をあげている。我が国の結核患者数は緩やかではあるが減少傾向にあり、人口十万人に対するり患率は、二十を下回る状況に達したところである。特に小児結核対策においては、効果的なBCG接種により、著しい成果をあげてきた。しかしながら、平成二十一年には約二万四千人の新規患者が発生するなど、依然として我が国における主要な感染症であり、り患率が減少している主な要因は、排菌をしていない患者の減少であり、まん延防止を徹底するためには、排菌をしている患者への対応が重要であることから、今後も結核対策の手を緩めることはできない。
 また、り患の中心が基礎疾患を有する既感染の高齢者であることはこれまでと同様であるが、そのほかにも、結核患者の発生が都市部で多く、疫学的な解析により結核発病の危険が高いとされる幾つかの特定の集団(以下「ハイリスクグループ」という。)に多い傾向が明らかとなっている。
 結核対策においては、診断技術の進歩や、直接服薬確認(以下「DOTS」という。)の普及など、結核の診断や治療の水準は格段に向上した。一方で、患者数は減少しているものの、それにより結核医療の不採算性に拍車がかかり、結核の研究や診療に精通した医療従事者及び結核を診療できる医療機関も減少しているため、地域によっては、適正な結核医療の確保が困難になっている。基礎疾患を有する高齢者がり患の中心である昨今の状況においては、求められる治療形態が多様化、複雑化しており、対応できる医療提供体制を構築する必要がある。
 このような変化に対応しつつ、結核の発生の予防とまん延の防止、健康診断及び患者に対する良質かつ適正な医療の提供、結核に関する基礎医学、臨床及び疫学などの研究の推進、医薬品の開発、人材の育成、知識の普及啓発を図らなければならない。これらを総合的に推進するため、国と地方公共団体、地方公共団体間相互の連携と役割分担を明確にし、医療提供体制を再構築することにより、結核対策の一層の充実を図る必要がある。また、現在のように国境を越えた人や物の移動が活発になっている中で、引き続き、世界の結核対策に貢献することは、我が国の結核対策上、非常に重要なことである。
 本指針はこのような認識の下に、予防のための総合的な施策を推進する必要がある結核について、国、地方公共団体、医療関係者、民間団体等が連携して取り組んでいくべき課題に対し、新たな取組の方向性を示すことを目的とする。取り組むべき多くの課題の中で、特に強調されるところは、患者発生動向調査の一層の充実、薬剤感受性検査及び分子疫学的手法を応用しての病原体サーベイランス体制の構築、世界保健機関のいう結核高負担国などの結核がまん延している国の出身者または居住歴のある者(以下「高まん延国出身者」という。)を含むハイリスクグループと発病すると二次感染を起こしやすい職業に就労している者(以下「デインジャーグループ」という。)に重点をおいた定期健康診断の効率化の検討、リンパ球の菌特異たん白刺激によるインターフェロン遊離試験(以下「IGRA」という。)等進歩した技術を利用した迅速で確実な接触者健診の実施と無症状病原体保有者のうち治療を要する者(以下「潜在性結核感染症患者」という。)に対する徹底した発病予防を充実することである。また、医療体制としては、患者に対する医療の質の確保、重篤な合併症患者や治療が困難な患者に対応できる体制の構築、医療機関内での結核診療のための病室や病棟のあり方の検討、抗結核薬の確保、DOTSの普及が必要である。その他、結核診療に必要な医師、保健師、看護師などの人材の養成、国民に対する普及啓発、患者の人権の尊重、抗結核薬やワクチンの開発などの研究の一層の推進等が必要である。さらに、これらを実行することにより、対策が功を奏したか否かを判断するために、五年後に到達すべき目標数値を掲げることとした。
 本指針に示す取組を具体化するための国及び地方公共団体の役割分担及び財政的基盤については、関係機関における努力と協調を行っていくことが望ましい。
 本指針については、その進捗状況と結核発生動向等状況の定期的な検証と評価を行うこととし、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更していくものである。」。
 以上が前文になりますけれども、指針本文の中でも用語として結核の専門用語というものが多く使われておりまして、前文の中で用語についても幾つか定義しているところがございます。この定義の内容についても御確認いただければと思います。
 説明は以上となります。
○坂谷部会長 ありがとうございました。随分長くなりましたけれども、いいものができたのではなかろうかと思います。
 現行のものでは、論文で言いますと「はじめに」という部分に相当するような書きぶりであったのが、今回のものでは、前文でありますけれども、論文で言うとアブストラクトに相当して、これを読みますと全体が大体わかってくるということに変化させたとお考えいただくとよろしいかと思います。
 どうぞ御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。保坂委員。
○保坂委員 最後の段落、3ページの下から2番目のところですけれども、これを盛り込んでいただいたのは大変よいことだと思いますが、最後の結びが「望ましい」という言葉で終わっております。この指針をつくる立場から、こういうことについては望ましいという非常に消極的にも考えられるような書き方しかできないのか。「べきである」ということにはできないのかということについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
○坂谷部会長 できないです。
○保坂委員 ありがとうございました。
○坂谷部会長 「べきである」と書きますと、調整が時間内に済まないということだとお考えください。
○保坂委員 よろしいですか。
○坂谷部会長 はい。
○保坂委員 調整というのは、参考までにどういう調整を必要とするという。関係各方面といいますか、他府省と調整済みでないと、ここには書き込めないという意味でございましょうか。
○坂谷部会長 そういうふうにお考えください。
○保坂委員 ありがとうございました。
○坂谷部会長 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○青木委員 これは形式的なことなのですけれども、2ページの2段落の「このような変化に対応しつつ」のところからです。「結核の発生の予防とまん延の防止」で、次は「健康診断及び患者」になり、「臨床及び疫学」になっているのですが、ほかのところは大体「及び」ですから、ここも「結核の発生の予防及びまん延の防止」であって、そういうものが並んでいると、今度は「臨床並びに疫学」になるのではないかと思います。
 これは条文ではありませんから、余りこだわるところではないかもしれませんけれども、何が並列していて、何が大括弧、何が小括弧なのかということをはっきりさせるためには、「及び」と「並びに」を明確にした方がいいのではないかと思いました。
○坂谷部会長 なるほど。事務局から今の青木委員の御発言に何か御意見ございますか。「このような変化に対応しつつ、結核の発生の予防とまん延の防止、健康診断及び患者に対する良質かつ適正な医療の提供、結核に関する基礎医学、臨床及び疫学などの研究の推進」、云々かんぬんというところですね。
○林補佐 お答え申し上げます。
 国の文章としては、「及び」と「並びに」の使い方というのは、一番小さなくくりを「及び」、もう一つ大きいくくりを「並びに」と使うことになっております。漢文で言うレ点と一、二点のような関係で、小さなくくりであれば「及び」、大きなくくりであれば「並びに」ということであります。
 そういう意味で申し上げますと、「結核の発生と予防とまん延の防止」のところの「と」を「及び」とすることについては、そのようにしてはどうかと思います。
 「健康診断及び患者に対する良質かつ適正な医療の提供」というところは、「健康診断」と「医療の提供」が並列しておりまして、そこも小さなくくりということであります。
 「臨床及び疫学などの研究の推進」というのも、「臨床」と「疫学」が並んでおりまして、それが小さなくくりということでございます。したがって、この3つはすべて「及び」になるのではないかと考えます。
 もしかすると、そういう小さなくくりが幾つも並んでおりますので、法令的にいえば「人材の育成」、最後に「並びに知識の普及啓発」という形で、大きなくくりであることを示すことは考えられるかもわかりませんけれども、基本的にはこの形で「と」のところを「及び」に直すということでいかがかと思います。
○青木委員 済みません、「臨床及び疫学」のところを大きなくくりと勘違いしていました。ありがとうございます。
○坂谷部会長 よろしゅうございますか。
○青木委員 はい。
○坂谷部会長 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○丹野委員 済みません、前文のところが結構長い文章が多いと思うので、もう少し区切ってもいいと思います。
 最初のページの「効果的なBCG接種により、著しい効果をあげてきた」の下のところで、「主要な感染症であり」とつながっているのですけれども、そこで1つ区切ってもいいのかなと思います。
 それから、その次の段落の「り患の中心が基礎疾患を有する既感染の高齢者であることはこれまでと同様であるが、そのほか」というよりは、新たにこういう次の傾向がわかったということで、「新たに」という言葉の方がいいのではないかと思います。
 それから、次のページの4行目で「基礎疾患を有する高齢者がり患の中心である昨今の状況」とあるのですけれども、前ページでも「り患の中心」という言い方をしていますので、ここも「り患の中心である高齢者は基礎疾患を有する者が多いため、医療体制を構築」と、言い回しを変え、前ページと同じような形にした方がいいと思います。
 それから、次の次の段落の「本指針はこのような認識の下」というところも、かなり文章が長い気がしますので、4行目「取り組むべき多くの課題の中で、特に強調されるところは」というところで、「予防策として患者発生動向」という形でつなげて、1つ、途中で区切ったらいかがかと思います。
 先ほど水野補佐から、用語もこの中でいろいろ説明しているということなのですけれども、ここでどうしてもするのであれば、なおさら区切らないと、ずらずらと並べているという感じになってしまうのかなと思いました。
 それで、最初の予防策というのは、発生動向とか感受性、サーベイランス、こういうものの構築が必要であるということ。もう一つは、高まん延国とデインジャーグループの定期健康診断の効率を検討する。それが一緒になって、最初の予防策で、その後はインターフェロン-γ遊離試験とか、新たなもので、発症・発病予防を充実する。区切りを付けたらどうかなと思いました。少し切れるところは切って、予防策と医療体制とその他ということで、わかりやすくしたらいいのではないかと思います。
○坂谷部会長 大変ありがとうございました。御意見、承りました。事務局の方でメモをとっておいてください。
 ほか、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 それでは、前文につきましては、これで御意見を賜ったということで、次に、第一 原因の究明、第二 発生の予防及びまん延の防止の部分の議論に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○水野補佐 第一、第二の説明をさせていただきます。下線部が現行の指針より変更になった部分となります。その部分を中心に説明させていただきます。
 まず、第一 原因の究明の二 結核発生動向調査の体制等の充実強化のところで、発生動向調査という言葉につきまして、これの中身が患者発生サーベイランスと病原体サーベイランスと2種類ございますので、これを明確化させていただいた書き方となっております。
 「法による届け出や入退院勧告、医療費公費負担申請等の結核登録者情報を基にした発生動向調査」に関しては、以下、患者発生サーベイランスという言葉にさせていただきました。
 また、病原体サーベイランスにおきましては、最後の段落に追加がございますが、「また、薬剤感受性検査及び分子疫学的手法からなる病原体サーベイランスの構築にも努める必要がある。患者発生サーベイランス同様、病原体サーベイランスにおいても遺伝子情報を含む個人情報の取扱いには十分な配慮が必要である」という追記となっております。
 第二 発生の予防及びまん延の防止のところに移ります。
 一 基本的考え方の2の書きぶりでございますけれども、患者背景として、もともとはハイリスクのところを中心に書いてございましたが、患者背景をハイリスクと高齢者の二者を書き加えてございます。早期発見の強調がしてございまして、その下の方では、咳、喀痰、微熱等というように有症状の明確化がしてございます。
 また、最後の下線部については、「また、結核以外の疾患で受診している高齢者やハイリスクグループについても、結核に感染している可能性を念頭におくことが早期発見の観点から必要であることから、医療従事者への啓発も重要である」と、医療従事者への啓発についての追記がございます。
 次の二 法第五十三条の二の規定に基づく定期健康診断の1のところでございますが、定期健康診断につきまして、政策的有効性は低下してきているという書きぶりをもともとしてございましたが、これに更に追加して、「特定の対象集団に焦点をあてるなど、効率的に取組むこととする」という追記がございます。
 また、次の2では、「また、高齢者については、普段より定期的に診療している医師が、結核発病のハイリスク因子を念頭に置いて、胸部エックス線の比較読影を含めた効果的な健康診断を実施できるよう、必要に応じて、主治医等に健康診断を委託する等の工夫も重要である」という高齢者に関する追記がございます。
 また、4のところは市町村の健康診断の参酌基準についての条文でございますけれども、集団が大きくなければ、適正に基準を当てはめることがなかなか難しいという御意見がございましたので、患者発見率につきましては、「都道府県単位または対象者百万人程度での患者発見率が」という記載に変更させていただきました。
 また、次の5で、じん肺患者等についての記載でございますけれども、有症状時の早期受診を強調すべきという意見がございましたので、これの追記をしてございます。
 次のページに行きまして、7は、もともと現行においては、外国人における定期健康診断等の記載でございましたけれども、ここは外国人というよりは、高まん延国出身者という言い方の方がふさわしいという意見がございましたので、すべて「高まん延国出身者」という書きぶりに変えさせていただきました。
 次の条項に行きまして、8でございますけれども、これは胸部エックス線検査における診断が困難な場合の喀痰検査についての記載でございます。「症状の有無や問診等により必要と判断されれば」という記載がある方が適切ではないかという御意見がございましたので、追記させていただいております。
 また、「その結果を判断する際は、非結核性抗酸菌の可能性があることに留意すべきである」という御意見がございましたので、追記しております。
 次、三 法第十七条の規定に基づく結核に係る健康診断、接触者健診の部分でございます。接触者健診につきましては、「法第十五条の規定に基づく積極的疫学調査を適切に実施すること」が重要であるという意見がございましたので、1にそのことが追記してございます。
 また、次のページに行っていただきまして、3は集団感染が判明した場合の公表についての記載でございます。公表を行うことと、また正確な情報もあわせて提供する等の配慮も必要であるという意見がございましたので、あわせて追記してございます。
 5は、接触者健診の強化の方法について具体的に御意見がございましたので、具体的な方法について、「必要かつ合理的な範囲において対象者の範囲を広げるほか、IGRAを有意義に活用すること、分子疫学的調査手法を積極的に取り入れることが重要である。」という内容の追記をしてございます。
 また、次のページに行っていただきまして、四 BCG接種でございます。BCG接種におきましては、小児結核の削減に大きく寄与していて、今後も引き続き適切に実施することが重要であるという御意見がございましたので、そのような書きぶりに変更させていただいております。
 2におきましては、その実施時期についても検討していくべきという御意見がございましたので、「接種対象年齢における」というように、特に時期を限定しないような書き方となっております。
 3は、コッホ現象についての記載でございます。コッホ現象の対応については地域差がありまして、周知の必要性が一層あるという御意見もございましたので、そのような趣旨の記載を追記しております。
 第一、第二の説明については、以上になります。
○坂谷部会長 ありがとうございました。少し複雑なといいますか、たくさんの内容が盛り込まれております。大きなくくりの第一及び第二の部分でございます。説明がありましたように、まずメールで流したもともとの案と少し変わっているところがありますことと、主に変化があったところは下線を引っ張ってあるということで御注目いただきたいと思います。
 原因の究明、基本的考え方、動向調査、体制等の充実強化、ここには個人情報の取り扱いには十分な配慮が必要であるということがうたわれております。
 第二 予防及びまん延の防止、基本的な考え方。それから、医療従事者への啓発も重要であるという一文が入りました。それから、健康診断もめり張りを付けましょうということ。それから、有症状のときの早期受診を勧奨すること。それから、高まん延国出身者。外国人を押しなべてではなくて、その御出身の国によってめり張りを付けるということ。それから、健康診断について云々かんぬん。それから、BCGについて、こういうところでございますが、御意見を求めます。どうぞよろしく。
 4ページの一番上のところ、高橋委員、何か御意見ありますか。
○高橋委員 ご指名を頂きましたので、思ったことを申し上げます。
 金曜日と月曜日は講義日でしたので、最近、後半、全然参加できなくて申しわけございませんでした。まず、おわび申し上げます。そのため、申し上げるのは大変気が引けるのですけれども、専門家というよりも、大学の構成員として最近問題意識を持っていることを1点申し上げたいと思います。
 うちの大学、全体で6,000人という小さな大学なのですけれども、この2年間で立て続けに2件、結核感染が起こりました。そのうちの1人は留学生で、かつ多剤耐性だったのです。文科省の方で大学に留学生30万人計画というものがありまして、アジアを中心に留学生を受け入れようと、徐々に増えてきているのです。今のところはそんなに増えていないのですが、将来的にかなり増えるとなると、大学での集団感染が問題になりそうな気がする。
 ということで、今から御議論いただくのは大変恐縮なので、その辺、余裕を持たせる記述にしておいていただければありがたいなと思ったのが4ページです。第二の2で、「大都市等の特定の地域におけるハイリスクグループ」となっているのですけれども、特定の地域とここにありますので、ある特定の街区を指すイメージがありますので、ここに「等」を入れていただくことはできないかなと。そういう意味で、少し余裕を持たせていただければありがたいと思います。
○坂谷部会長 「特定の地域等」ですか。
○高橋委員 そうです。「等」を入れていただければありがたいと思います。
 それから、ハイリスクグループが明らかになっている表現がございますが、これはハイリスクグループの存在が明らかになっているという方がわかりやすいのかなと思いました。
 以上、その辺の御修正をいただければ。もし可能であれば。
○坂谷部会長 ありがとうございました。もとへ戻りますけれども、丹野委員の御発言も、我々はこれをつくった方でありますから、プロでありますから、内容についてはよく承知しておるんですが、この種の文章を初めて読まれる方にもわかりやすくということが大事だと思います。
 ほかの委員の方々から。
○高橋委員 では、もう一点、一緒に申し上げたいと思います。
 5ページの4で、「以上」というのを入れるという話。これは専門的なお話で、私が口を挟むことではないのですが、参酌という話ですと、「以上」を入れる意味がどこまであるのかというのがよくわからないのです。最近、参酌基準というのが地方分権で言われていて、考慮すればいいけれども、理由があれば別にとらわれなくていいというのが最近の参酌基準の考え方です。その関係から、「以上」を入れてどういう意味があるのかなというのがちょっとよくわからないので、少しそこを教えていただければありがたいと思います。
○坂谷部会長 事務局、いかがでしょうか。5ページの4のところです。
○水野補佐 こちらにつきましては、「患者発見率〇・〇二から〇・〇四」と、もともと現行に関しては「以上」が入っていなかったのですけれども、意味合いとしては0.02から0.04%以上のところで参酌いただくという、ただその意味合いを明確化するために追記したということでございます。
○林補佐 プロの先生にとっては当たり前のことかもわかりませんけれども、初めて読まれた方がそれよりも多い方がいいのだということが明確になるようにという趣旨でございます。
○高橋委員 もうちょっとはっきりさせていただければ。「以上の値」とか。「以上」というと、ちょっとよくわからないので。ですから、そこの趣旨がわかるように表現ぶりを考えていただければよいと思います。
○坂谷部会長 0.02から0.04%以上の値を、すなわち発見率ですね。事務局の方、ちょっと御配慮願います。
○高橋委員 今の表現で良いかどうかわかりませんので、御専門家の目からもうちょっとわかりやすい表現にしていただければと思います。
○坂谷部会長 ほか、いかがでしょうか。重藤先生。
○重藤委員 4ページの一番上、「遺伝子情報を含む個人情報」とあるんですけれども、これは患者発生と病原体で、「遺伝子情報を含む個人情報」と言いますと、ヒトの遺伝子情報とすぐに頭に浮かんでしまうんですが、この場合は病原体の遺伝子情報かなと思ったんです。どちらなんでしょうか。
○坂谷部会長 そうです。
○重藤委員 その場合に、菌の遺伝子情報は個人情報なのでしょうか。
○坂谷部会長 いかがですか。ただ、リファンビシン耐性の検査なども入れるとしたら、ヒトの遺伝子情報も入ってきます。
○水野補佐 菌の情報自体は個人情報ではないのですけれども、個人の情報と結び付く場合は個人情報になります。そのように考えております。
○保坂委員 よろしいですか。
○坂谷部会長 どうぞ。
○保坂委員 そうすると、わざわざここに「遺伝子情報を含む」と書くのがいかがなものかということをおっしゃっているのだと思うんです。こういうふうに書くと、患者さん自身の人体の遺伝子情報が何かここで出てくるように誤解されるのではないかと思って、これは要らないのではないか。「サーベイランスにおいても個人情報の取扱いには」ということでよろしくないでしょうか。どうしても遺伝子情報を入れた方がいいのでしょうか。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 ほかの先生方、どうでしょうか。これは残すべきであるというお考えの方、ありますか。加藤先生、どうでしょう。
○加藤委員 あえて書くと「病原体の」となるのですけれども、確かにそこまで入れなくても、一般的な記述でいいのかもしれないですね。
○重藤委員 こうなると、つい血液とか、そういうものを連想してしまうのです。人体の個人情報という感じ。
○林補佐 御意見の方向で対応したいと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
○保坂委員 続いてよろしいですか。
○坂谷部会長 はい。
○保坂委員 先ほどの5ページの4の「パーセント以上」にしたところで、参酌するというのがちょっと変ではないかという御意見についてですけれども、もとのところを見ると、「発見率が」という「が」が入っていなかったのに、今回の改正のところでは「が」と入れているんですね。「が」と入れることで、この文章全体がおかしくなっていて、発見率0.02から0.04%以上を基準として参酌することであれば、「以上」が入っていても余り違和感がないんですが、患者発見率が何とかというのであったらば、患者発見率が何とかであることをという言葉が入らないとおかしいと思う。
 「が」をとってしまうか、もうちょっと何か入れるかにしていただかないと、文章としてわかりにくいと思いますので、よろしくお願いします。
○坂谷部会長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○水野補佐 その方向で検討させていただきます。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 それでは、9ページの「第三 医療の提供」の部分の議論に移りたいと思います。水野さん、御説明を願います。
○水野補佐 9ページの「第三 医療の提供」のところでございます。
 一 基本的考え方の1でございますけれども、潜在性結核感染症患者の治療についての意見がございました。こちらを積極的に推進するという意見でございましたので、追記がございます。
 2においては、結核の医療提供体制に関する現状と対応策について追記をしております。「また、患者の減少とともに結核病棟の閉鎖等が進み、大都市圏で必要な病床数を確保できないことや、医療アクセスの悪化している地域があることが問題となっている」現状。それに対する対応策として、「患者を中心とした医療提供を目的として、必要な結核病床を確保するとともに医療提供体制の再構築が必要であり、対策の重点は結核患者に対する病態等に応じた適正な医療の提供、治療完遂に向けた患者支援等きめ細かな個別的対応に置くことが重要である」という書きぶりにしております。
 3以降におきましては、さきの部会で議論されておりました、「今後の医療のあり方について」の議論の結論を、そのままこちらに追加するような形となっております。
 内容ですけれども、「医療提供体制の再構築においては、都道府県域では、標準治療のほか、多剤耐性結核患者や管理が複雑な結核治療を担う中核的な病院を確保するとともに、地域ごとに合併症治療を主に担う基幹病院を実情に応じて確保し、中核的な病院を中心として、各地域の実情に応じた地域医療連携体制を整備することが重要である。また、中核的な病院での対応が困難な症例を受け入れるとともに、地域医療連携体制を支援する高度専門施設を国内に確保することが重要である」となります。
 4については、「結核患者の医療提供体制については、結核病床を確保することが必要である。ただし、現に、結核病床が不足している地域等もあることも踏まえつつ、中核的な病院並びに地域の基幹病院及び結核病床を有する一般の医療機関が連携して、個別の患者の病態に応じた治療環境を整備するとともに、身近な地域の医療環境を確保することが必要である」。結核病床、またその他の病床を有する中核的な病院並びに地域の基幹病院、また結核病床を有する一般の医療機関がその地域で合併症治療や医療アクセス等に対応する必要があるという内容となっております。
 5におきましては、「重篤な他疾病合併症患者等については、結核病床を有する第二種感染症指定医療機関など、中核的な病院や地域の基幹病院の一般病床等において結核治療が行われることもあり、また、結核病床とその他の病床を一つの看護単位として治療に当たる場合もあることから、国の定める施設基準・診療機能の基準等に基づき、適切な医療提供体制を維持及び構築することとする」。これは、モデル病床やユニット化病床で診療される現状があるというように言及させていただいております。
 7は、入院環境において、院内感染、療養環境について配慮すべきであるという意見がございましたので、そこを強調するような書きぶりに改めさせていただいております。
 8は、結核の合併症が高い疾患を有する患者についての条文でございましたが、ここの条文が、もともと現行のところがわかりにくいという御指摘がございましたので、「結核に感染している場合には、積極的に発病予防治療の実施に努めることとし、結核を発症している場合には、結核に関する院内感染防止対策を講ずるよう努めなければならない」と、意図を明確化した書き方に変更させていただいております。
 二 結核の治療を行う上での服薬確認の位置付け、DOTSでございますけれども、これに移ります。
 二の1は、必要な抗結核薬について確保する必要があるという御意見がございましたので、そのことについて追記がございます。
 次の2は、DOTSにおける地域連携の強化が必要という御指摘がございましたので、具体的にDOTSカンファレンスやコホート検討会が行われている実情や、また地域連携パスの導入など、先進的な取組みが行われている実情を追記しております。最後のところに「地域連携体制の強化を図る」と明記しております。
 3は、地域DOTSを明確化した書きぶりに変更させていただいております。また、医療機関における外来DOTSにおいても、こちらに明確化して追記しております。
 4は、院内DOTSも強化が必要であるという御意見がございましたので、院内DOTSを強調した文言を追記しております。
 三 その他結核に係る医療の提供のための体制でございますけれども、結核の診断の遅れの防止について、強化が必要であるという御意見がございましたので、診断の遅れの防止とそのための具体的な取組みについて、追記がございます。
 それから、現行の三の2の条文については削除となっておりますけれども、条文はそのまま改正案の三の一の5の基本的考え方へ、そのまま内容が移動した形となっております。
 それから、13ページの2、精度管理体制について御意見を受けまして、具体化した書きぶりとなっております。
 それから、3では、地域医療連携体制の構築に際する重要な点についてご意見がございましたので、そこについては追記した書き方となっております。
 三の医療の提供については、以上となります。
○坂谷部会長 ありがとうございます。中身の濃いところでありますので、二と三、ちょっと早口で飛ばして御説明がありましたけれども、医療の提供であります。新規追加の部分が随分多うございます。9ページの3、下線、4、下線、5、下線。5は説明がありましたように、新規の追加ではなくて、右側の同ページの10ページの一番下の5の部分がそのまま移動したということです。
 そのほか、DOTSのことを随分膨らませて書くようになりました。
 それから、地域医療連携につきましては、実は2月17日に社会保障審議会の医療部会が開かれております。そこでは、医療体制の提供のあり方について議論されていまして、在宅医療、地域医療連携が随分重くとらえられておりまして、国全体としてそっちにシフトすべきだ。これは感染症でありますから少し違いますけれども、そういう方向付けもほかの審議会でなされております。
 御意見を求めます。いかがでしょうか。「第三 医療の提供」、9ページ、10ページ、11ページ、12ページ、13ページの半ばまでであります。どなたかございませんか。
 ないようでありましたら、「第四 研究開発の推進」から「第八 施設内(院内)感染の防止等」の議論に移りたいと思います。事務局より13ページ下段から。丹野先生。
○丹野委員 済みません、9ページの3 医療提供体制の再構築についてというところで、最初に都道府県域では多剤耐性とかの中核的な病院。その後、地域ごとにというのは、これは医療圏とかをとらえているんでしょうか。私はこの会議で最初にフローチャート等を見させていただいて、イメージとして、県単位で中核があって、それから基幹があって、中核はもう少し広い単位であるというのはわかるのですが、これを読んでそういう発想をされるか、もう少しわかりやすく書いていただけるといいのかと、思いました。
○坂谷部会長 厚労省の文章で「地域」という言葉が出てきたら、大体どの辺を指すかということは決まっているんですか。
○水野補佐 今後の医療の提供のあり方の中の議論では、二次医療圏というイメージでモデルを提示されておりますので、そのようなイメージで記入がございます。
○坂谷部会長 ということです。
○丹野委員 そうしますと、今のお話ですと、県として中核的な病院を確保して、二次医療圏では合併症を診る基幹病院を確保をするというとらえ方でよろしいですか。
○林補佐 イメージとしては、そのような形でございます。ただ、二次医療圏というものが、この結核対策の中に位置付けられているものでは必ずしもございませんので、そのような言葉で書くのはなかなか難しいということであります。うまい言葉があればいいのですけれども、このように書いてあっても、その趣旨を周知していくということなのではないかなと思っております。
○丹野委員 そうしますと、最初に中核が出てきて、その後基幹が出て、また中核がもう少し広い範囲という流れですので、中核の部分は県単位ともう少し広域、基幹というのは、県の単位の中の地域と、わかりやすく書いていただいた方が、読んでいて理解しやすいという気がいたしました。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがですか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 それでは、四に進みます。水野さん、よろしくお願いします。
○水野補佐 13ページの「第四 研究開発の推進」からの御説明に入ります。
 14ページに行っていただきまして、第四 研究開発の推進の一 基本的考え方の2でございます。研究開発の推進においては、分子疫学的手法を用いた研究も強化していく必要があるという御意見がございましたので、そのことについて追記させていただきました。
 二 国における研究開発の推進の1でございますけれども、新薬や新技術等を早期に現場に適用していくことが必要であるという御意見がございましたので、そのようなことをこちらに追記しております。
 また、三 地方公共団体における研究開発の推進、こちらは15ページでございますが、「地方衛生研究所と連携し、」という言葉を追記しております。
 第五は、変更点はございません。
 第六 人材の養成でございますが、16ページ、一 基本的考え方で、「人材の養成にあたっては、国、都道府県等のほか、大学、関連諸学会、独立行政法人国立病院機構等の病院などの医療機関、結核研究所などの関係機関が有機的に協調し、教育研修を実施することが重要である」ということと、また「重篤な合併症を有する患者を治療している医療機関も活用しつつ、結核実地医師教育の充実を図ることが望まれる」という内容を、ご意見に基づきまして追記しております。
 また、その下も変更点がございますけれども、症例の相談体制において、ネットワークを形成するなどの工夫が必要であるという御意見がございましたので、そのことについての追記がございます。
 二は、変更はございません。
 17ページ、三 都道府県等における結核に関する人材の養成でございますけれども、ここは「地方衛生研究所等」ということばの追記がございます。
 第七 普及啓発及び人権の尊重の一 基本的考え方でございますが、「特に、国、都道府県等、医療機関が情報共有を行うことにおいては、結核予防技術者地区別講習会等を通じ、連携を図ることが重要である」という追記をさせていただきました。
 18ページ、第八 施設内(院内)感染の防止等の二 小児結核対策でございますけれども、ここも「小児結核の診療経験を有する医師が減少している」という現状と、またそれについての対応策について追記させていただきました。
 第四から第八についての説明は以上となります。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 今のところ、いかがでしょうか。地方衛研の名前が出てきます。それから、人材の育成も強調すべきだということになっております。
 深山委員、南委員、御意見ございませんか。
○深山委員 はい。
○坂谷部会長 よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかの委員。第七 普及啓発及び人権の尊重もこれでよろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 小児結核の部分は、唯一ではないですけれども、日本が国際的にも誇れる部分でありますけれども、いかんせん対応できるドクターが少なくなってきてしまって。
 それでは、「具体的な目標等」に移りたいと思います。ここで初めて、今後5年間の間にここまで到達しようという数値が出てきておりますが、事務局から御説明を願います。
○水野補佐 19ページ、具体的目標のところです。
 現行が「人口十万人対り患率」と「喀痰塗抹陽性肺結核患者に対する直接服薬確認治療率」と「治療失敗・脱落率」と3つでございましたが、これを現行の3つから6つに増やしております。
 まず、成果目標として、人口十万人対り患率を、現行の十八以下の目標値から年率4%で減少すると計算いたしまして、新規目標値では十五以下として設定しております。
 もう一つ成果目標といたしまして、肺結核再治療患者の割合でございますが、現状は7.8%でございますけれども、これを目標率として七パーセントとして、適正な結核医療を確保するという考え方に基づいて設定させていただきました。
 それ以降は事業目標ということになりますけれども、現行の喀痰塗抹陽性肺結核患者に対する直接服薬確認治療率九十五パーセント以上に関しては、対象を全結核に拡大させていただきまして、全結核患者に対するDOTS実施率、これは直接服薬確認治療率と意味合いは同様でございますが、DOTS実施率として、DOTSを強化するという意味合いで設定させていただきました。
 それから、治療失敗・脱落率におきましては、現状については大体6.2%でございますけれども、これは治療の完遂率を維持するという目的で、引き続き五パーセント以下と設定させていただきました。
 五十歳未満患者のうち、接触者健診で発見された患者の割合の3か年平均でございますが、これは適正な接触者健診を推進するという意味合いで八パーセント以上という新規目標値を立てさせていただきまして、現状は6.4%でございます。
 それから、最後の潜在性結核感染症患者のうち治療を完了した割合でございますけれども、潜在性結核感染症患者を確実に治療するという意味合いで、八十五パーセント以上と設定させていただきました。現状については不明なのでございますけれども、かつてWHOが85%を目標としていたこともございまして、八十五パーセント以上と設定させていただきました。
 以上になります。
○坂谷部会長 ありがとうございます。具体的な目標、何回か前に申し上げましたけれども、自然の流れでこうなるであろうというのは目標に掲げてはいかぬと。今の流れでもそうなる。それ以上のものを求めないと、目的としては正しくないということ。
 それから、事業目標とアウトカムである到達目標とは、別に考えないといかぬ。だから、やっていることがちゃんとやられているかどうかは、DOTSの実施率。それから、治療失敗・脱落率が低いこと。それから、早期発見に資するものとして、接触者健診で発見される率を高めようということですね。その結核として、我が国のり患率を十五以下に下げる。それから、再治療を受けている者の率を七パーセント以下にするということであります。
 この数値の設定に関しまして、何か御質問ございますでしょうか。
 それより先に、加藤先生から、今の水野さんの説明以上の追加がもしございましたら、よろしくお願いします。
○加藤委員 数値については、今、水野補佐から御説明のとおり、近年の年間の検証率をずっと計算しますと、2000年と2001年が10%程度、2002年が7.5、3年が約4%、4年が6%、2005年が4.7%、2006年7.2、この辺が少し高くて、その後4%程度から2%程度と少し下がっています。ですから、この5年くらいの減少率の平均をとりますと4%くらいになります。10年で見ますと5%ぐらいとか6%近くまで下がっています。
 今、設定されているのは、年率4%で下がっていくという計算で設定されて15ということですので、いわばこのままの調子で5年間いくとこうなるという数値です。ですから、今回の指針の中には、新しい方法を取り入れるとか、強化すべきことは強化するということで、これまで以上の努力をし、それの成果があらわれると期待する、とにかく頑張らなければいけないという決意を表明するということならば、もう少し高目に、例えば年の減少率を5%とすると14ぐらいという数値になるわけです。
 決意表明ということで、もう少し上げる考え方もあるというのが私の感想であります。
○坂谷部会長 ということですが、先生、何か。
○川城委員 今の加藤先生と別の。
○坂谷部会長 いかがでしょうか。現行では15になっているのですが、今の流れでいっても15には行けるのではなかろうか。もう1ポイント、数値を下げるということは、努力せんといかぬということですが、それぐらい掲げないと意味がないですよということなんですけれども、いかがですか。事務局、いかがです。
○林補佐 同じ数字を維持するということではなくて、同じ減少率を続けていくということは、今までの努力の延長線上ということではなくて、努力を更にしていくという意味合いを含んでいるとは思っておりますけれども、先生方の御議論、御意見をいただければと思います。
○坂谷部会長 重藤先生、いかがですか。
○重藤委員 減少率はだんだん鈍っていくというか、だんだん減少率も減っていくというのが自然の流れとすれば、それを維持するというのはかなりの努力が要ると理解はできますが、どのぐらい頑張ろうかということですよね。私も結論的なことは何とも言いにくいです。
○坂谷部会長 青木先生、何か御意見ないですか。
○青木委員 いえ、ございません。
○坂谷部会長 高橋先生。
○高橋委員 未達成だと財務当局から何か言われるとか、そういう話はあるのですか。
○坂谷部会長 いや、未達成だと別に罰則はございませんし、反省する、ああ、高かったかなということになりますけれども。
○亀井課長 よろしゅうございますか。
○坂谷部会長 どうぞ。
○亀井課長 指針でございますので告示することになると思います。ですから、この数字が対外的に出るということは、この5年間、常に評価にさらされるということでございまして、それはいろいろな意味で影響はあると。高橋先生のおっしゃられることも正しいと思います。
○坂谷部会長 課長から御説明がございました。重藤先生おっしゃるように、現状の対策を維持するのも大変であるということも確かにありますから、それも含めて、現行どおり15。それ以上に行けば、努力が余計に加わったということですね。
○加藤委員 よろしいですか。
○坂谷部会長 はい。
○加藤委員 り患率は、欧米の先進国では、高まん延国からの入国者の影響が非常に大きいですから、必ずしも対策の努力だけではないわけです。勿論厳しい数値を挙げれば、達成できないことは十分予想されますが、そのときどのように説明できるかということになるのかなと思います。最近、減少率がちょっと下がっていますので、少し気合を入れたいと思います。
○坂谷部会長 それから、り患率は、排菌者、非排菌者、含めてでありますね。だから、非排菌者の登録を意識的にというわけではないですけれども、少し下げるようなことをすると下がるんです。でも、排菌者の有無というのは、これは隠しようがないということもあります。皆さんの御意見、承りました。
 そのほかの数値に関しては、いかがでしょうか。
○川城委員 よろしいですか。
○坂谷部会長 はい。
○川城委員 これは意見というより質問なんですけれども、今の第九の一の最後の行、潜在結核のことなのですが、八十五パーセントというのは、何を100としたときの85なのでしょうか。潜在性結核全体を100とすると読めてしまうけれども、潜在性結核全体を把握することはできないですよね。治療を開始した人間の85%の治療を完遂するという意味ですね。だから、縛りを付けないとおかしいのではないかと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
○坂谷部会長 加藤先生。
○加藤委員 おっしゃるとおり治療開始ということだと思います。
○坂谷部会長 ということであります。
 ほか、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 それでは、第九はこれで終わったということで、最後に全体につきまして何か御意見があれば、お願いいたしたいと思います。さかのぼってで結構です。はい。
○丹野委員 今の目標のところなのですけれども、50歳未満の患者のうち、接触者健診で発見された患者の割合、過去3年間に八パーセント以上ということなのですけれども、適正な接触者健診が行われていれば、これ以上発見されるということで指標にしたいということですが、。逆に、割と早く患者さんが受診した場合は、発見される率はそんなに多くないと思うので、基準をきちっとしておかないと、多量排菌している方が何か月もいたことよって、そこからの発見率は上がってくるので、この辺をもう少し検討してから加えてもいいのかと思いまして、今回、できれば少し考えていただければと思っております。いかがでしょうか。
○坂谷部会長 発端者であるコアにある患者の数には、接触健診での発見率というのは、大もとの伝染を起こした患者の数には左右されないんですよ。
○丹野委員 ただ、飛沫患者さんが例えば6か月間、咳、痰症状がずっとあって放っておいて、検査で例えば塗抹3プラスで発見されて、いろいろなところを歩いていたという状況と、1週間前に咳が出て、すぐ受診して、当然排菌していたということはあり得る。その場合の、接触者健診をしたときの発見率は変わってくるのではないか。適正な接触者健診の指標とするならば、例えば何か月以上、排菌が続いていたとか、そういう条件のもとできちっとした接触者健診をやれば、発見率が高くなる。ですから、この指標のもとデータがどうであったか、私もちょっと記憶にないのですけれども、その辺を含めて再検討をお願いできたらと思います。
○坂谷部会長 御趣旨はわかります。事務局あるいは加藤先生から、今の丹野先生の御意見に御説明できますか。
○加藤委員 この背景の問題としまして、地域によって接触健診の実施の仕方が、もしかすると甘い、つまり、発見率が非常に低いところがあるということがありましす。一生懸命やっている自治体もあり、今後の患者発見の有力な重要な方法として接触健診でありますから、この指標を掲げることに意味があると思います。
 オランダとか欧米の数値を日本の現状に当てはめるとこのぐらいが適当なのかなというところで挙げたところでございます。確かにもう少し中身を精査した方がいいという部分はあるかもしれませんけれども、目標としてそんなに外れていないと考えております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 それと、ここの接触者健診で発見された患者の割合の、この患者というのは、次行の潜在性結核感染症患者を含めた率でありますか。それとも、実際に発病された患者のことでしょうか。
○水野補佐 これは潜在性結核感染症は含んでいない数字だと考えております。
○坂谷部会長 ということであります。いかがでしょうか。常識的に考えて非常に低いところがあると加藤先生はおっしゃるわけですけれども、そういうことの説明がなかったらわからぬではないかというのが丹野先生の御意見であります。どうぞ。
○丹野委員 DOTS対象者を全結核という形になりますと、保健所でも職員の削減で、人が増えない中で、かなり大変な目標かなと現実には思いました。り患率の減少率も下がっており、海外からの方もいらっしゃるという中で、この目標は、現場とすると、地域によっては結構大変だと思います。少なくとも排菌者には、DOTS100%という形で進めていますけれども、全結核となりますと、地域によってはかなり大変かと思います。
 そういう中で、先ほど人材育成というのがあったのですけれども、できれば保健所の機能強化の中で、きちっとそれに対する保健師等の配置も含めて、何とかお願いできればと考えております。
○坂谷部会長 丹野先生の御意見、もっともだと思います。今までどおりというか、今まで以上に保健所に中心になっていただきたいということでありますが、その機能強化といいますか、人材、人の手配でありますとか、そういうところにもっと力を注いでいただきたいという思いは当然のことだと思います。
 事務局から何か御意見ございますか。
○水野補佐 DOTSの対象者拡大につきましては、今後DOTSを強化推進するということは既に指針の中で記載されている方向でございますので、それを踏まえての設定ということになっております。数字について、どれくらいが適正であるかというのは、丹野先生の御意見もあるかと思いますけれども、こちらとしては95%以上は維持したいとは考えております。
○坂谷部会長 扇のかなめの位置に保健所さんがおありになるということであります。ですけれども、保健所さんに責任をとってもらうということではありませんので、各関係機関が、国、地方自治体、大学とか保健所とか医師会と、るる書いてございますように、国全体として取組むべきであるということであります。自覚を持っていただくのは大変ありがたいことでありますが、保健所さんは、そのポジションの役割を果たしていただきたいということでありまして、全責任を覆い被せるということはございません。
 本部会において議論を重ねてまいりましたわけでありますが、これまでの御意見をとりまとめた改正案が提示されまして議論を深めました。今日の部会で更にいただいた御意見をとりまとめいたしませんといかぬわけですが、それは今日が最後の会議でありますので、座長に御一任いただきまして、最終的な結核部会の意見として事務局とともにとりまとめいたしまして、指針の最終改正案を厚生労働大臣へ具申する意見として提出したいと思いますけれども、皆様、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 それでは、皆様から同意をいただきましたので、これで今回の部会における結核に関する特定感染症予防指針についての議論を終了いたしたいと思います。
 本日の議題はすべて終えることができましたけれども、今日のこの部会が今年度最後の部会でございます。事務局から何か伝達事項、今後のスケジュールにつきまして、ございますでしょうか。よろしくお願いします。
○水野補佐 今後のスケジュールにつきまして簡単に御説明いたします。
 部会長から今、御説明がございましたように、御意見を部会長からいただいた後に指針の改正案を1か月、パブリックコメントにかけます。その後、できれば年度内に都道府県等に通知する予定でございます。
 また、公布につきましては4月中旬ごろに官報報告という形になります。
 次回の部会につきましては、現在のところ具体的な案件が決まっておりませんので、年度を明けてから案件が決まり次第、事務局より御連絡させていただきます。
○坂谷部会長 ありがとうございます。本日は11時20分という早い時間に終わることができまして、御協力ありがとうございます。
○川城委員 ちょっとよろしいですか。
○坂谷部会長 はい。
○川城委員 1つ感想を申し上げたいのですけれども、厚生労働省にお願いしたいのです。
 7年ぶりの指針改定です。私は結核をかなりやっている病院から一般の急性期病院に移った者です。そういう意味で、私としては結核に対する思いがすごくあるし、両方の視点から見ることができる立場です。
 そういう視点から考えますと、事前の意見聴取でも申し上げましたけれども、早期発見、治療完遂が重要ななかで後者の方はさておき、救急担当スタッフに早期発見ということはとても大事なのです。急性期あるいは救急のベッドに結核患者さんが入ってきてしまう。それを早期に発見することが日本の結核の制圧に関してのキーの一つだと思います。ですから、重ねてお願いしてきたのですけれども、結核の専門家じゃない一般の先生方に結核の啓蒙をたゆまなく続けてもらいたいと思います。
 結核異常事態宣言のときは、何か嵐のごとくキャンペーンが行われましたけれども、今は全く下火になっています。継続的にある一定の割合で常に繰り返し行っていないと忘れてしまうので、その点を是非お願いしたいと思います。そういう意味で、今回の7年ぶりの指針の改定は、啓蒙とか教育とか、随分よく書き込んでいただいて、私としてはすごく同慶の至りというか、うれしい思いでいます。それが1つ。
 2つ目は、現場の一般病床だけ持っている病院からすると、これから病院を考えるときに、陰・陽圧室を施設基準として義務付けることが必要だと思います。というのは、現状では先生方はそういう部屋がないから、1分でも早く退院してもらいたいと思うわけです。ですから、そこはそうではなくて、1泊2日ぐらい、陰・陽圧室にとにかく入れれば安全なんだよという思いを、医療現場で働いているスタッフ全員が持つためには、そのツールが必要です。不断の教育と設備の両方が日本の結核の制圧には必要と思います。
 ですから、これから日本の病院をつくっていくときに、陰陽圧室を必ず持つべきだと工夫していただいて、是非旗振りをしていただきたい。この2つです。たゆまない啓蒙と、それから施設の方の問題と。これを7年ぶりの指針改定について思いましたので、是非お願いしたいと思って発言させていただきました。ありがとうございました。
○坂谷部会長 ありがとうございました。貴重な御意見を賜りました。
 それから、先ほど申しましたように、丹野先生の御発言を基にして、この予防指針の文章は、つくりました者については、その裏のことに関しましてもよく承知しておるわけですけれども、医療従事者、医者であろうとも、専門家以外の方にも読んでわかる。それだけではなくて、今日は患者同盟の代表の方も来ておられます。患者さんというか、一般国民・市民から見ましても、すっとわかるような文章にしないといけないのかなということを感じております。
 本日はどうもありがとうございました。はい、亀井課長どうぞ
○亀井課長 (課長より、局長挨拶代読)
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、この部会、終わります。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課
03-5253-1111(内線2381)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会結核部会)> 第24回感染症分科会結核部会議事録

ページの先頭へ戻る