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2010年12月16日 独立行政法人評価委員会(第27回)議事録

○日時

平成22年12月16日(木)17:00~18:30


○場所

省議室


○出席者

  井原委員長、猿田委員長代理、今村委員、内山委員、大島委員、堺委員、篠原委員、鈴木委員、祖父江委員、武見委員、田極委員、田村委員、寺山委員、真野委員、御園委員、茂庭委員、山口委員、和田委員、渡辺委員


○議事

(以下、議事録)
 
○井原委員長
 それでは定刻になりましたので、ただいまから、第27回独立行政法人評価委員会の総会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、年の瀬の大変お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、五十嵐委員、岩渕委員、上野谷委員、川北委員、清水委員、竹原委員、田宮委員、永井委員、平井委員、樋口委員、宮本委員がご欠席です。それでは、まず事務局から、本日の議事について説明をしていただきます。

○政策評価官室長補佐
 議事の説明に先立ちまして、政策評価審議官の八田からご挨拶申し上げます。

○政策評価審議官
 八田でございます。今年の8月に辞令を受けまして、8月の総会のときにご挨拶に伺うつもりだったのですが、たまたま当日、大臣案件があり欠席しまして、ご挨拶が遅れまして失礼いたしました。
 私は、昭和55年に財務省に入りまして、主に財務省とか金融庁をうろうろしていましたが、昨年の夏にこちらにまいりまして、昨年は労働基準局におりました。6年前は、財務省の造幣局、公立印刷局を担当する課の課長をしておりました。ちょうど前年に独法化しまして、翌年ですので、最初の業績評価をする年でした。担当の室長さんが主にやってくれたのですが、課長として、その作業を見ておりました。
 私もその時点までに20数年間、霞が関界隈で仕事をしていて、いろいろと政府の審議会や研究会を見てまいりまして、有識者の方々の知見をお借りする場がたくさんあったのですが、この独法の評価委員会ほど、有識者の方々の知見のみならず労力の提供をお願いするところはないのではないかと思いました。膨大な資料をお送りして、それを全部ブツ読みをしていただいて、評価シートを書いて送ってもらう。そして、いろいろな会議もたくさんございました。それが場合によっては個々の人の退職金にも響くという重大な影響を及ぼすわけですので、委員の皆さん方に大変な労力とプレッシャーとをおかけして、その一方で雀の涙ほどのお礼しかお払いできないということで、あの当時、大変心苦しいと思う反面、ありがたいと思いながら仕事をしたのを覚えております。
 それから6年経ちまして、こちらにまいりまして聞きますと、何年かやってきて少しは合理化されたようですが、やはり大変は大変であるということで、本質は変わっていないようでございます。皆さん方には大変な労力をおかけいたしますが、引き続きよろしくお願いいたします。

○井原委員長
 どうもありがとうございました。

(1)(独)国立健康・栄養研究所

○井原委員長
 それでは、審議に入ります。まず、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 今日の議事のご説明をさせていただきます。本日は、国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し案について、ご審議いただきます。その審議に続きまして、報告事項としまして、行政刷新会議で行っておりました全独立行政法人に関する事務・事業の見直しなど、最近の独立行政法人を取り巻く状況について、事務局からご報告申し上げます。議事は以上です。事務局からは以上です。

○井原委員長
 それでは、見直し案につきまして、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。そのあとで、調査研究部会長でいらっしゃる田村委員から、7日の調査研究部会での審議、ここにおける検討の報告をお願いします。それでは、担当課から15分程度で説明をお願いします。

○大臣官房厚生科学課長
 資料1-1に基づいて概要を説明させていただきます。独立行政法人国立健康・栄養研究所の事務・事業の見直し案の概要についてです。大きく3つありまして、1点目が事務・事業の見直し、2点目が組織面の見直し、3点目が業務全般に関する見直しとなっています。
 第1の事務・事業の見直しについては、大きく4つの項目からなっていまして、1つ目が調査研究の重点化、2つ目が特別用途食品の表示許可試験及び収去試験に係る役割の見直し、3点目が特別用途食品の表示許可試験手数料の件、4つ目が通称NR認定制度の移管という4点です。
 1つ目の調査研究の重点化ですが、本研究所が実施する研究については、国の生活習慣病対策の施策としてより効率的な反映が見込めるような研究に重点化をすると。最近、メタボリックシンドローム、糖尿病といったことが大きくクローズアップされていますので、そういった点に重点化するということです。それから、民間団体、大学等々との調査研究・相互補完を図る観点から、重複・類似する研究を排除し、他の研究機関との連携の在り方についても今後検討を加えていくということです。また、調査研究の実施に当たりましては、競争的研究資金を獲得する目標設定をしまして、計画的な資金の獲得、民間企業からの受託研究の増加といったことで自己収入の拡大に努めたいと考えております。さらに、WHOなど関係する国際機関との協力、産官学連携といったような対外的な業務についても、政府関係部局との連携を強め、業務の効率化を図りたいと考えております。
 2点目の特別用途食品の表示許可試験及び収去試験に係る役割の見直しですが、この許可試験あるいは収去試験については、現在この研究所がやっていますが、積極的に登録試験研究機関、民間の研究機関の活用を図るなどして、栄養研は、むしろこれらの検査方法の標準化や精度の維持・管理に重点的に取り組むことにしたいと考えております。これらを踏まえまして、収去試験の試験業務に係る民間登録試験機関の試験導入に伴う人員の見直しを図りたいと考えております。
 3つ目は、特別用途食品の表示許可手数料です。現在、分析試験の内容に関わらず一律となっていますので、登録試験機関の実態なども調査しまして、分析試験の内容に応じた額とするように見直しをしたいと考えております。
 4つ目の栄養情報担当者認定制度の移管です。現在5,000名弱の方がこの認定資格を取得されて、食品に関する情報提供ということで役割を担っていただいているわけですが、栄養研が現在行っているこの制度の資格の関係については、既存の資格取得者の取扱い等について十分検討した上で、第三者機関への業務移管との結論になりましたので、健康・栄養研究所の業務としてこの認定制度については廃止することとしまして、他の適切な機関にこの業務を移管するわけですが、それに伴う要員の合理化を図りたいと考えております。
 大きく2つ目で組織面の見直しですが、健康・栄養研究所と、もう1つ、厚労省の研究独法である、大阪にある独立行政法人医薬基盤研究所、東京にある独立法人労働安全衛生総合研究所の統合に関しては、具体的な研究成果の発揮、効率的・効果的な業務運営の確保、国民への成果の還元等、「勧告の方向性」において指摘をされていますので、具体的なメリット及びデメリットを検討した上で、組織の最終的な在り方について結論を得たいと考えております。
 3つ目の業務全般に関する見直しですが、ここに書いてある5つの観点から取組を進めたいと考えています。1つ目の効率化の目標設定等については、管理部門の簡素化、効率的な運営対策の確保、アウトソーシングの活用などにより業務運営コストを縮減していこうということで目標設定をし、努力をしていきたいということです。
 2点目の給与水準の適正化等ですが、これも、国家公務員の給与水準も十分考慮しまして、手当を含め役職員給与の在り方等について厳しく検証した上で、目標水準、目標期間を設定して、その適正化に計画的に取り組みたいと考えています。合わせて、検証結果や取組状況を公表することとしております。その他、契約の点検・見直し、保有資産の見直し、内部統制の充実・強化など、資料1-4に書いてあるような取組みをして、業務全般に関する見直しとさせていただきたいと考えております。私からの説明は以上です。

○井原委員長
 それでは、次に田村委員から、調査研究部会での審議における意見等の報告をお願いします。

○田村委員
 調査研究部会の部会長を仰せつかっております田村です。国立健康・栄養研究所の組織・業務の見直し案については、12月7日の調査研究部会で議論を行いまして、基本的には了承されました。なお、調査研究部会においては次の意見が出ています。まず1点目は、調査研究の重点化の具体的な方向性や、競争的資金を2分の1以上獲得することについては質疑がありました。2点目の栄養情報担当者、すなわちNR認定制度については、制度の運営主体が第三者機関へ移管されることになるわけですが、今後も認知度を高めるなど、制度が廃止されないよう努力するべきといったご意見がございました。また、見直し案の第1の4「栄養情報担当者(NR)認定制度の廃止」との表題については、あくまでも健栄研の業務として廃止となるのであり、NR制度自体が廃止になるとの誤解を生じさせないよう「廃止」を「移管」に修正するべき、とのご意見がありまして、本日の資料においても、これを踏まえた修正がなされています。以上です。

○井原委員長
 ありがとうございます。それでは、ただいまご説明がありました国立健康・栄養研究所の見直し案について、何かご意見がありましたらお願いします。

○渡辺委員
 その前に、ちょっと全体像がよくわからないのでお伺いしたいのですが、これは、要するに政・独委の勧告を受けて見直し案をまとめたということですか。もう1点、政・独委の勧告を見ると「栄養研と労働安全衛生総合研究所に関する」となっていますが、その関係のものは見たところ資料にはない。さらに、医薬基盤のほうについても統合ということが出てくるのですが、ここにない。まずは全体像を教えてください。

○政策評価官室長補佐
 全体像について事務局から先に補足します。先ほどご説明するべきだったのですが、まず組織・業務全般の見直し案、今日ご審議いただくものですが、実は8月27日に開いた第26回総会において、まず見直し案の前の見直し当初案というものをご審議いただいています。この見直し当初案を我々は総務省に通知していますが、総務省のほうから、それも見た上で、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委が、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」という文書を策定しまして、11月26日に厚生労働大臣に通知しております。当評価委員会にも参考で送付されています。厚生労働大臣は、この勧告の方向性を受けまして、当初、見直し当初案としていたものを、見直し案として作成するということが手順となっているのですが、見直し当初案の際に総会でご審議いただいたのと同じように、見直し案についても総会でご審議いただくということが、独立行政法人通則法で決まっていますので、今回ご意見を伺いたいという流れになっています。見直し案については、当然、所属している調査研究部会のほうでも12月7日にご審議いただきまして、その結果を先ほど田村委員からご紹介いただいたという形になっています。
 それから、ご指摘いただいた医薬基盤研との統合の関係ですが、これは見直し当初案を作成した際に、厚生労働省内の方向性として、この3法人の統合を検討しているというものを示していましたので、それについて政・独委のほうから「慎重に検討せよ」という勧告の方向性が来たという状況になっています。

○井原委員長
 それでは、法人のほうから何か。全体像というご質問がありましたが、いまのでいいのですか。

○渡辺委員
 もう1点だけ。よくわからないと言ったもう1点は、我々は各部会がみんなあって、私も別な部会に属していますが、簡単に言えば、なぜ栄養研だけなのかということです。政・独委からそれだけが来たのですか。

○政策評価官室長補佐
 政・独委からは、健栄研と労働安全衛生総合研究所の2法人について来ています。それはなぜかというと、この2法人については中期目標期間の切替時期に当たっていまして、我々は通常の流れに沿って中期目標期間のリバイスに合わせて組織見直しの当初案を総務省に通知しているので、そちらから「勧告の方向性」が来ています。基盤研究所については、その時期がずれていまして特に見直し案を送付していませんので、「勧告の方向性」という形でのバックがないという状況になっています。

○猿田委員長代理
 4番目の「栄養情報担当者認定制度の移管」ですが、これは具体的に、いつまでに、どういう方向でやるということが決まっているのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課長
 これから、引受先も含めて検討していくということになろうかと思います。今年度中に次期の5カ年の中期目標を厚労省から法人に示しますので、その中でより具体的なことを書き込んでいくということになろうかと思います。

○猿田委員長代理
 あまりだらだらやっていくと。この制度を移管させるなら、どうするかということをしっかりやっていかないといけないと思います。

○篠原委員
 1の「調査研究の重点化」で、先ほど田村委員は、具体的な方向はわかっていないと。2週間ぐらい前、日経に、マーガリンとかパンの膨張のあれで、非常に身体によくないと。欧米では禁止しているところもあると。これは健康関係ですが、これは確か5年、10年以上前から言われている話なのです。これはまさに官がやるべき重要なものなのですが、健康・栄養事情に関係ないのですか。一般論として、官がやるべきものをきちんと洗い出しているのかという気がするのです。健康などをやっていると、どうもこういう部分はきちんと研究していないのではないかと。具体化の1つの部分の詰めをきちんとしているのかという疑問があるのですが、その辺はどうなのですか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 大変貴重なご指摘、ありがとうございました。いま先生がおっしゃったのは、栄養表示の件だと思います。栄養表示のことも含めて、食品表示のことは、現在は消費者庁にその担当が替わっております。栄養表示のことについては、もうすぐ消費者庁で委員会を立ち上げて検討する段取りになっています。その委員に私も入っています。健康食品表示のことについても、消費者庁が委員会を立ち上げております。その検討会は一応終わりまして、一定の方向性を出しております。私どもがどんな形で関与するかということですが、私どもの研究所には食品保健機能プログラムという部がありまして、その点に関して正確・公平・中立な科学的データを世界各国から集め、それを専門家及び国民の方々に情報を提供しております。そういう面で、私どもは、科学的研究だけではなくて、行政施策にマッチした研究所であると認識して、そういう点からの貢献も行っているわけです。

○井原委員長
 そのときの法人と消費者庁の関係というご質問ですよね。いいとか悪いとかという検証は、法人でやっていると考えていいのですか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 検証は消費者庁の検討委員会でもされておりますし、私どもは、科学的観点からの検証をやっております。そして、世界各国の情報を集めまして、それを専門家と一般国民に情報提供しているということです。

○真野委員
 組織面の見直しの4番目といいますか、資料1-2の4番目です。この委員会の役割にもちょっと関係するのですが、「慎重に検討した上で、結論を得るべきと勧告されました」とありますね。これについては、この委員会で何か議論をするという位置付けなのでしたか。これはもう、そういうことですという話なのですか。慎重に検討も何も、どういう議論があって3つを1つにするという話があって、省内で何かされたということは知っていますが、各論は知らないわけです。また、それを慎重に検討するという話が来たといっても、どういう論点があって慎重に検討すべきとなったかが全くわからないので、それをどうこの場で検討するのか。

○井原委員長
 具体的な情報がなくて、どこでそれを具体的に検討するのかという話ですね。

○大臣官房厚生科学課長
 これは、結果を申し上げますと、平成19年、前政権下で、栄養研究所と基盤研究所は政府全体の独立行政法人の議論の中で統合するということが閣議決定されています。その後、政権が替わりまして、この2つの独法の統合についてはまた別途新政権で独立行政法人の在り方を検討することになっていますので、その関係で凍結ということになっております。私たちは、統合した場合のシナジー効果がどの程度あるのかというようなことは内部的には検討している状況なのですが、まだそれについて、どの程度のシナジー効果が出てくるのかという見極めはできていないということが、内部的な事情としてあります。
 それから、外部的な要因としては、今政・独委からはこのような勧告をいただいていますし、行政刷新会議からも、現在検討中ということで独立行政法人の在り方についての議論がなされているという状況が1つあります。文部科学省の方では、独立行政法人の中で研究開発側の独法の枠組みを見直す必要があるのではないかということで、新たな研究開発用の組織形態に関する議論が行われていまして、いろいろな観点から、いろいろな切り口で議論がされているところですので、そのような動向も踏まえて、そのような流れの中で私たちの2つの研究所をどうするかという見極めをしていきたいというところです。

○井原委員長
 でありますから、ご承認くださいということで。

○大臣官房厚生科学課長
 ということで、あまり具体的な中身がこの場でお示しできないことを、ご理解いただければということです。

○井原委員長
 ただいま、いろいろご質問等がありましたが、今回の見直し案について修正せよというご意見はなかったようですので、説明がありました見直し案について、当委員会としては、調査研究部会及び本日の総会での議論を踏まえて、今日の議論を踏まえた見直しを行うことを厚生労働省にお願いしまして、見直し案は了承ということでよろしいでしょうか。これを踏まえて、今後是非検討を行っていただきたいということです。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○井原委員長
 それでは、そのようにお願いしたいと思います。見直し案について評価委員会の意見を厚生労働省に提出することにしたいと思います。それでは、そのようにさせていただきますが、担当課及び法人からコメントがありましたら、お願いしたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 法人の徳留です。委員の先生方には、さまざまな視点から見直し案についてご検討いただきまして、ありがとうございました。今回の見直し案につきましては、研究部門において重点化及び効率化の追求、法定業務における民間の参入や手数料の見直し、NR認定事業におきましては第三者機関への移管、医薬基盤研、安衛研との統合についていろいろご議論いただきまして、誠にありがとうございました。私ども研究所としましては、この見直し案に基づきまして業務運営を進めたいと思います。国民の健康増進、疾病予防、QOLの向上を目指しまして、今後とも誠心誠意努めるつもりでございます。委員の先生方には、今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。

○井原委員長
 それでは、栄養研究所の組織・業務全般の見直し案の審議はここまでといたします。ここで法人及び所管課の入れ替えを行いますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び所管課入れ替え)

(2)(独)労働安全衛生総合研究所

○井原委員長
 審議を再開します。次に、労働安全衛生総合研究所の審議に入ります。見直し当初案については、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。そのあとに、調査研究部会長の田村委員から、7日の調査研究部会での審議における検討の報告をお願いします。それでは、説明をお願いします。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 労働基準局安全衛生部計画課長の高?アです。よろしくお願いします。私から説明をしたいと思います。お手元にお配りしている資料のうち、資料2-2をご覧ください。これは、政・独委から示されました安衛研に関する「勧告の方向性」について、まとめた資料です。主なものとしてそこにありますとおり、研究課題・テーマの選定、研究の成果の評価、プロジェクト研究への重点化、組織面の見直しの4点についての指摘がされています。また、後で説明があるかと思いますが、この政・独委の勧告の方向性とは別に、11月26日に行政刷新会議で決定され、閣議決定された独立行政法人の事務・事業の見直し基本方針の中で、各独法について講ずべき措置が示されていますが、安衛研については政策実現に資する研究・テーマへの重点化と自己収入の拡大の2点について指摘をいただいています。私どもとしては、この政・独委の勧告の方向性あるいは行政刷新会議、あるいは閣議決定の見直しの基本方針については、8月にご審議いただいた見直しの当初案と基本的な方向性が異なるものではないと考えています。さらに、これらの指摘の内容を踏まえまして、今回見直し案を策定したところです。その見直し案の概要については、お手元にお配りしている資料2-1に沿って、内容をご説明申し上げたいと思います。
 第1の事務・事業の見直しの関係です。1点目は、研究課題・テーマの選定です。そこにあるように、労働災害防止等の課題に的確に対応するために、実際の労働現場に研究者自身がより積極的に足を運び、現場の抱える課題や問題点、職場環境を見聞した上で、研究課題等の選定に的確に反映するということです。私どもは、これまでもそういうことでやってきたつもりですが、さらに研究課題を絞り込むことに際しては、現場のニーズ等を的確に反映して対応していきたいと考えています。
 2点目は、研究成果の評価についてです。安衛研は、安全衛生関係法令の制定・改廃についてのデータを出していただくという意味で、まさに行政ミッション型というか、行政のニーズに的確に対応するための研究をしていただいていますが、そこにありますとおり、では、その研究成果がどういう形で関係法令の見直しに反映されて、その結果としてどれだけ目的の労働災害の減少に結び付いたのかについて、具体的な数字で目標を示して評価していきたいと考えています。
 3点目は、プロジェクト研究への重点化です。この点についても、私どもはこれまでも基盤的研究からプロジェクト研究のほうに重点化をして、まさに行政ニーズに対応する形の研究を進めてきましたが、この方向についてはさらに進めてまいりたいと考えています。併せまして、どういうふうに貢献したのか、どういうふうに社会的な意義があったのかについて積極的にPRせよということも言われていて、これについてもまだまだ十分ではないというところもあろうかと思います。努力してまいりたいと考えています。
 4点目は、自己収入の拡大です。この点についても、競争的研究資金の獲得や、持っている研究施設・設備への有償貸与等を進めまして、努力してまいりたいと考えています。以上が、第1の事務・事業の見直しの関係です。
 第2の組織面の見直しです。この点については、この前の栄養研のご審議の際にご説明があったかと思いますが、安衛研についても国立健康・栄養研究所あるいは医薬基盤研究所との統合等を検討していますが、その点については政・独委より具体的なメリット、デメリットを慎重に検討するようにと言われていまして、そこにありますとおり、まさに具体的なメリット及びデメリットを検討した上で、組織の最終的な在り方について結論を得たいと考えています。そのほか、独法全般に関わるような業務全般に関する見直しの点について、そこにあるような項目を掲げています。これらについては、私どもはこれまでも努力してまいったところですが、さらに引き続き手を緩めることなく、進めてまいりたいと考えています。簡単ではありますが、見直し案の説明は以上です。

○井原委員長
 次に、田村委員から調査研究部会での審議における意見等の報告をお願いします。

○田村委員
 調査研究部会の田村です。労働安全衛生総合研究所の見直し案については、12月7日の調査研究部会で議論を行いまして、基本的に了承されました。ただ、調査研究部会においては次の意見が出ていますので、ご紹介申し上げたいと思います。
 研究課題・テーマの選定に関しては、労災の臨床例だけではなく、業務上疾病の例も活用すべきではないかという趣旨の意見が出されまして、本日の資料においても、これを踏まえた修正がなされています。そのほか、研究独法を巡る動きについて、法人の統合については結論を出すに当たって、慎重な検討を行ってほしいという意見が出ています。以上です。

○井原委員長
 ありがとうございました。ただいま説明がありました労働安全衛生総合研究所の見直し案について、ご意見等がありましたらお願いします。

○篠原委員
 先ほど審議しました国立栄養研究所と労働安全衛生総合研究所は、たしか2つの独法が一緒になったもので、私は設立時に最初の評価に関係したのです。ということは設立以来、両方とも約10年が経ちますよね。両方ともいちばん最初に「効率化目標の設定」というのがありますが、私たちの感覚では、かなり大雑把な効率化はされていて、より研究成果を出しつつ、それに併せて費用をかけていくという段階に来ているのではないかなという気がします。だから、ここの効率化目標というのは、もうそろそろ10年で卒業していただいて、まさに先ほど言った研究独法という、費用削減だけをやるとものすごく危険が出てくるという問題意識があれば、そろそろ効率化しつつというところの辺は、当然中で検討されているのではないかと思いますが、どうでしょうか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 この第3の議論の全体に関わる見直しの項目については、独法全体を横串を刺す形で目標設定しなさい、あるいは給与水準を適正化しなさい、契約については随意契約はやめてということで掲げられているもので、それを具体的にどういう形で反映してやるかについては、それぞれの独法の中で、当然独法が持っている性格なり何なり違いますので、対応していくということだろうと思います。
 いまも貴重なご指摘をいただきましたが、この効率化の目標については具体的に間接部門の縮減や、いろいろな費用等を削減することについては、随分安衛研としても取り組んできたところで、正直申し上げて結構厳しいところまで来ていることは事実です。ただ、それはさりとて、効率化していくことの方向性自体は堅持すべきものだと考えていますので、それについてはこういう目標を掲げようという話が全般的な横串として入っていて、安衛研においてもいままでもやってきたところですが、さらにまだ余地はないのかということで努力していきたいと思っています。ただ、まさにご指摘にありましたように、研究独法で研究部門を削っていっていたのでは、タコが自分の足を食べるような話でよろしくありませんので、私どもは間接部門を中心に削減を進めていまして、ここについてはまだまだ効率化できる余地はあるのかなと考えています。専らそういう意味では、間接部門の人員の削減等を中心に、ほかの所についても別にそのとおりということではなくて、見直しを掲げてきましたし、今後も進めてまいりたいと考えています。

○井原委員長
 いまのお話を別の形で質問し直しますと、お金さえあれば社会的に有効な研究対象というのはたくさんあるよとお考えなのか、それとも、もう少し重点化していくのが当然の方向だよとお考えなのか、その辺はどうでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 私どもの研究所で行っている研究は、労働安全衛生全般ですので、実のところ足りているとは思っていません。もっとお金と組織が潤沢に出せる世の中になれば、もっといろいろなことができると考えていますが、昨今の情勢でそんな贅沢を言っていられる状況ではないことを踏まえまして、より重点的な部分について効率的に事業を行うという選択を取っているという認識でおります。

○渡辺委員
 先ほどの栄養研とも関係しますが、研究独法は大変いいことをやっていると思うけれども、いまいちこういう勧告を食らったりするのは、1つは私自身がメディアの人間だから言うのではないけれども、もっと国民にこういうことをやっているのだ、良いことをやっているのだというPRというか、研究成果の発表が不足しているのではないかと。一般論的な言い方で、どこだということの細かいことはわからないけれども。また、新聞に活字が踊ればいいというものではないけれども、なるほどというものをもっと出していけば、いまおっしゃったような問題も解消とまでいかないが、もう少し支持が得られるのではないかという気がします。漠然とした意見ではありますが。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 PRについては、もっと充実させるようにという勧告もいただいていますし、我々も努力したつもりではあるし、それなりにやっているはずではありますが、まだ不足であるという認識もたしかだと思いますので、さらに頑張りたいということを考えています。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 補足しますと、労働災害が起きたときに、非常に高度で科学的な知見を要するものについては、厚生労働省の依頼を受けて災害調査をしています。そういう結果も、個人情報等、微妙な問題はありますが、なるべくオープンにして同業種の同じような災害防止に資するような形で、ホームページに対応策を一般化した形で載せるとか、そういう意味で皆さんが活用できるようにしたいと思います。
 それから、結構最近、新聞やマスコミ関係からの取材もありまして、例えば韓国の射撃場で爆発事故がありましたね。あれについても、爆発のメカニズムについて実験をしたところをテレビで放映していただいたりしていますので、そういう面でいままで以上に一層アピールできるよう、マスコミ対応も含めまして、努めてまいりたいと考えています。

○真野委員
 部会が違うので、とんちんかんなことを言うかもしれませんが、私は産業医をいくつかしていて、いま災害のお話が出ましたが、最近、産業衛生において、わりとトピックスになっていたり、与党も気にされている自殺対策に対しても、いろいろ研究を重点的にされているのでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
 それは非常に重要な問題で、うちの研究所としても当然やっています。ただ、うちの研究所としては行政ミッションということで、行政側が必要なテーマを中心として、どうサポートしてデータを出していくかに、かなり力を入れることになっています。今年も、ストレス評価の問診票に関しても、我々の研究所でそれなりの貢献をさせていただいています。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 それこそPRというお話でしたので、若干ご披露させていただきます。私ども行政のほうでは自殺対策の一環として、自殺というのは当然地域対策、職域対策とありますが、職域対策というのがこれまでなかなか十分ではなかったという反省の下に、メンタルヘルス不調者の方を早期に把握して、適切に事業所の中で対応していただくような新たな枠組みを導入したいと思っています。可能であれば、それに向けて改正法案も提出していきたいということで、いま検討していますし、マスコミ等にも度々報道されていますが、そこで使われているストレスチェックの際の項目について、どうするかという案を審議会でもお示ししてご議論いただきました。安衛研のほうでも1つの案を提示し、あるいは精神医学会からも提示し、いまいくつかの案が提示されたのですが、最終的にこれでいこうということで採用されたのは安衛研のモデルでした。そういう意味では、それは一例ですが、安衛研が研究している課題が、まさに行政ミッション型ということで、今回の枠組みの中にも活用されようとしていることでもありますので、委員のご指摘にありましたように、安全面ではなくて衛生面でも安衛研には活躍していただいていますし、私どもとしても期待しているところです。

○今村委員
 組織の動向についてお伺いします。お話を伺っていると、どうも各組織の存続を前提にして、かなり独自性を強調されているような印象があります。例えばメンタルヘルスや過重労働に関しては、厚生労働省の労働者健康福祉機構でも同じような研究をしているわけですが、組織の壁とかそういうことではなくて、人の移動という形で知見や経験の共有を努力する方法は、統合以前に検討の余地はあると思います。そういうことについて、実際に人は移動しているのかどうかとかを教えていただければと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 人の移動というと、いわゆる人事異動という意味ですか。

○今村委員
 人事異動も含めて、あるいはそういうプラットホームがあるのかどうかとか、何か組織の存続を前提にして議論していることです。統合しなければノウハウは共有できないのかという疑問が出てくる。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 人事異動として、例えばいま話題に出ました労福機構との直接の異動はいままではないはずですが、共同研究という形ではずっと実績はありますので、情報の共有をするための広い意味での移動というのは行われています。

○今村委員
 その程度の知見、経験の共有ということですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 その程度といいますと、本当の意味の人事異動は、現在までは行っていない。間接的に、ほかの機関経由でというのはありますが、直接の異動というレベルではないという状況です。

○労働安全衛生総合研究所理事(高橋)
 労福機構というのは病院で、病気になった方を扱っています。うちは健常者を含めたメンタルヘルス対策を研究していますので、接点はありますが完全にイコールではありませんので、連携しながら相互に研究の質を上げていくことに努めているところです。

○井原委員長
 よろしいですか。ほかに何かありますか。それでは、いろいろご質問等をいただいたわけですが、この見直し案を修正するという意見はなかったかと思います。したがいまして、当委員会としては調査研究部会及び本日の総会での議論を踏まえた見直しを行うことを厚生労働省にお願いしまして、見直し案は了承ということでよろしいですか。
(各委員了承)

○井原委員長
 そのようにさせていただきます。担当課又は法人からコメントがありましたら、お願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 本日はご審議いただきまして、ありがとうございます。ご指摘いただいた事項については、今後、労働災害、疾病を減少させるために努力してまいりたいと思います。労働者の話は、私ども研究所だけがすべて対策を取れるものではなくて、行政機関そのものが動いている、我々はそれをサポートする立場ですので、今後も行政との連携を密にしてご指導いただきながら、より良い研究をするように邁進していきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

○井原委員長
 事務局からお願いします。

○政策評価官室長補佐
 国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直しについては、本日のご議論を踏まえまして正式な決定をいたします。決定されたものについては、後日委員の皆様にお送りします。事務局からは以上です。

○井原委員長
 ここで、法人及び所管課が退出しますので、皆様、しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び法人所管課退出)

○井原委員長
 事務局から、最近の独立行政法人を取り巻く状況等について説明をいただきます。

○政策評価官室長補佐
 ご説明申し上げます。いくつかあります。
 いちばん最初は、資料3-1に関連して、高齢・障害者雇用支援機構の評価に当たって寄せられた国民からの意見についてです。委員の皆様には夏に独立行政法人の評価を行っていただいていますが、その際にはパブリックコメントをかけまして、国民から寄せられた意見があった場合には、それも参考にご議論して評価をしていただいています。この度、国民から寄せられた意見が評価に反映されていないのではないかといった外部からのご指摘がありましたので、その点について所管課からご説明申し上げます。

○高齢・障害者雇用対策課長
 経緯について、ご説明申し上げます。平成21年度の高齢・障害者雇用支援機構の業務実績の評価に当たりまして、本年7月から8月にかけて同機構の業務実績報告書に対して国民の皆様からのご意見の募集を行い、それについて私どもが事務方として実務を担当しました。その結果、4件のメールが寄せられたわけですが、これらにおける具体的なご意見の内容あるいはご趣旨は、お手元の資料3-1の冒頭にありますように、同機構の理事長の辞任を求めるというものでした。このように、ご意見が個別の人事に関するものであったということがありまして、事務方の判断として評価委員会に対して、これをご紹介することは差し控えさせていただいたものです。
 なお、お手元の資料のご意見の下に、今回のご意見に至るまでにおいて、機構の業務に関していただいたメールの中でコメントされている事項がありましたので、これについて具体的なご意見と併せて、この場で紹介させていただいています。今後については、政策評価官室とも連携しまして、国民の皆様からいただいたご意見について、適切に評価委員会に対してご紹介できるようにしてまいりたいと考えています。よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 評価官室からも補足というか、今後の対応等について申し上げます。今回の件は、いま担当課長からも説明がありましたとおり、いただいた意見の結論部分を見て、それで業務に関係する、関係しないの判断を行ったことが原因だろうと思っています。パブリックコメントの事務局内の分担の話ですが、いままで各法人の所管課のほうに事務作業をお願いしていまして、評価官室がすべての国民からの意見に目を通す形にはしていませんでした。今回の件も結論は理事長の辞任ということで、人事問題ですので業務に関連はなかったわけですが、幅広く意見を聴こうという姿勢に立った場合には、いくつか業務に関連するようなコメントもあったということで、今後は評価官室が事務局を担いまして、極力幅広く皆様にご意見を提示できるようにしてまいりたいと思っています。以上です。

○井原委員長
 全部一括して説明しますか。

○政策評価官室長補佐
 ただ、所管課の時間もありますので、この件に関してだけは先に。

○井原委員長
 いまの件について、ご質問等がありましたらお願いします。

○篠原委員
 私は中央省庁のいろいろな委員や地方の委員もやっていますが、外部からの意見を聴くパブリックコメントが導入されて、それほど経っていない。明らかに今回指摘されたように、コメントを出した人はどうやるかを注視しているし、我々もそういう関係の委員会のときには我々の調査や何かがとても大事で、それをおそらくウォッチしていますねという態度でやっています。これがきちんと定着するのだったら、私たちもいろいろと関係すると、内容は明らかに変なものから、いいものまでありますよね。ただ、いまは定着期だから、非常に慎重に丁寧に幅広に対応すべきだという考え方です。だから、その辺を考慮して今後慎重にやっていただければなと。この中身を見ると、私どもは労働部会に関係していますが、評価云々があるというわけではなくて、多少は関係しているかなと。
 それと、よくこういうものがあるときに私どもが必ず言うのは、どういう調査をきちんとして、どういう対応策をやられたか。いまの段階なら、私たちは労働部会としてそちらに興味があります。これに対して、どういう対応をしたのですかと。ただ、評価のときはちょっとほしかったなという気持がします。以上、コメントです。

○政策評価官室長補佐
 ご趣旨を受け止めまして、今後は本当に幅広くご提示していきたいと思います。

○井原委員長
 そのほか、何かありますか。

○真野委員
 そのパブリックコメントですが、さはさりながら、今回はないかもしれませんが、集団票みたいな意見が出たりすることも当然あるかと思いますし、たぶん匿名でも意見を出せると思います。そのあたりは厚生労働省だけの問題ではないと思いますが、パブリックコメントに対してどのように考えているかという公式な見解とか、どのように扱っているかとか、そういうものは何もないでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 パブリックコメントに関する公式なスタンスというようなものは、おそらく存在しないかなと思っています。また、パブリックコメントといったときに義務として必ずかけなければいけないものと、そうではなくて参考でかけておこうというものといろいろありますので、方針はものによってさまざまかと思います。評価委員会の事務局の担当としての考えを述べさせていただければ、独立行政法人は国民の福祉というか、国民に資するようにやるというところをどの法人も基本に置いていると思いますので、組織票であれ何であれ、いただいたものは意見としては受け付けます。ただ、これは人気投票をしているわけでも、その国民の意見を出した方に投票権を与えているものでもありませんので、そういう意見があったことを踏まえて、評価の際に判断の材料にしていただければ。先ほど篠原委員がおっしゃったように、例えばそれを受けて実際にそれは本当なのかという問合せをしたり、そういう形で活用させていただければ、その評価の活性化というか、そういうものにも資するのではないかなと思っています。

○井原委員長
 そのほかによろしいですか。

○寺山委員
 ここに書かれている高障機構への国民からの意見は、参考になるものではないと直感的には思います。ただ、高障機構としては、参考になる意見を今後の業務に生かしていかなくてはいけない、プラスの面の意見もあるのではないかと思いますが、それはどのように機構内では受け止めているのでしょうか。

○高齢・障害者雇用対策課長
 1点目は評価シートでもお示ししている数字で、一方で目標値は全体の件数で示しています。それははるかにクリアしていまして、評価書の中で評価いただいています。
 2点目についても、目標はクリアしている。件数も評価シートに載っている件数で、それについてこの方はこうおっしゃっているわけですが、貸出しの率については目標をクリアしていますが、なお一層の普及・促進が必要ではないかということを評価いただいています。
 なお、下の就労支援機器の展示コーナーは、就労支援機器の貸出業務の場所に置いてあるコーナーで、同じように就労支援機器の貸出しが普及・促進できれば、これも活用いただけるのかなと思っています。
 都道府県協会等への業務指示は、いつも遅くぎりぎりであるということですが、基本的には毎年どういう業務でということで契約を結んでやっていますので、そういったものが遅くなることは通常はあり得ません。しかし、昨年度に厚生労働省の方針がいろいろ変わって、それに関連して、まさに上のほうのご意見も出てきています。平成21年度までは、基本的に随意契約でやっていたものを今年度からは一般競争入札にして、さらに来年度からは基本的に委託方式による業務実施は廃止することになっていますので、そういったところがかなり昨年の秋以降、いろいろな動きで厚生労働省から機構のほうに指示が行っています。それを機構が地方に対応を伝えるということで、そういった意味でのご指摘ではないかと受け止めています。
 最後のものは職員の問題がありますので、日頃から職員に対してはこういったことがないようにということで徹底しています。最後の人材育成の関係については、高給取りかどうかというのは、いまは基本的にラスパイレスを100にするためにやっていて、高給取りだったら基本的には中途退職しないのではないかと考えています。実際の中途退職の割合は公務員と率的にはそんなに変わっていませんので、人材育成は逆にしっかりやっていかないと、現場で障害者のために業務はできないのではないかと考えています。

○寺山委員
 ありがとうございました。ほかの法人で、機構に寄せられたパブリックコメントはないのですか。今回はこれだけですか。

○政策評価官室長補佐
 大体の法人がパブリックコメントは何もなくて、意見はなかったとなっていますが、私が知る限りでは例えば能開機構は意見が寄せられまして、そちらは夏の審議の際に概要をお示しして、こういった意見は何件という形で情報を提供しています。基本的には、あまりないというのがいままでのところです。
 なお、今回の件を受けて、一応ほかの所管課にも所管課の判断で出していないものがないかと聞きましたが、特にそういうものはないという回答になっています。

○井原委員長
 あとはよろしいですか。それでは、この件に関してはこれで終わりにしたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 ありがとうございました。所管課のほうは退出しまして、残る独立行政法人の関係する情報提供をさせていただきたいと思います。
(所管課退出)

○政策評価官室長補佐
 調査研究部会では既にご報告していることですので、調査研究部会の先生方には恐縮ですが、資料3-2をご覧ください。こちらは、11月26日に行政刷新会議で決定されたもので、12月7日に閣議決定もされていますが、「独立行政法人の事務・事業の見直し基本方針について」というものです。そもそもこの基本方針の策定のきっかけは、今年の6月に蓮舫行政刷新担当大臣から「独立行政法人・政府系公益法人等の抜本改革に向けた当面の進め方」というものが示されまして、その中で、すべての独立行政法人の業務について行政刷新会議において業務の全容を検証し、その結果に基づき見直しの基本方針を年内に策定することとされていまして、それを受けて取り組まれたものです。
 全独立行政法人について、事務・事業の見直しがなされていますし、併せて全法人横断的な分野として、不要資産の国庫返納、事務所等の見直し、取引関係の見直し、人件費・管理運営の適正化に取り組んでいくことという内容になっています。各法人の個別の事項は資料は付けていますが、時間の関係上省略させていただきます。本日ご審議いただいた2法人については、当然この基本方針に出された方向も踏まえた見直し案という形になっています。今回は業務内容の見直しでしたが、年が明けてからは法人の組織の在り方の見直しの検討が開始される予定となっています。
 資料3-3は、行政刷新会議の事業仕分けの第3弾で対象となった国立病院機構及び医薬品医療機器総合機構の議論の結果についてです。この行政刷新会議の第3弾は前半と後半に分かれていまして、前半は特別会計を対象に行っていました。後半では、これまでの仕分けの再仕分けと報道されていましたが、これまで行った仕分けのフォローアップとして、行政刷新会議の事業仕分け第2弾で行っていたもの等を取り上げました。厚生労働省の独法の関係では、この2法人が対象となりました。
 具体的に結論ですが、国立病院機構については運営費交付金の在り方が議題となりました。結果は「判定不能」となっています。これは、国立病院機構の今後の投資計画に対する資金計画等の状況が明らかにされていなかったため、運営費交付金の是非について判断できないということで、このような結果となっています。
 医薬品医療機器総合機構は、医薬品・医療機器の承認に向けた審査業務、医薬品等の副作用情報の収集等の安全対策業務が議題となりまして、結果は「前回の仕分け結果が一部反映されていない」となっています。これは、現役出向者の扱いを含めた組織体制をどのようにしていくか、という方向性が明確になっていないと判断されたためです。お手元の資料に詳細がありますので、お時間があるときにご覧いただければと思います。
 資料3-4は、厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会です。厚生労働省の独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会は、長妻前厚生労働大臣の指示の下、行政刷新会議や省内の事業仕分けで実施してきた論点等を踏まえまして、厚生労働省所管独立行政法人等について業務内容やその実施体制を再点検して、これらの法人の統合・民営化・地方移管・廃止、こうしたドラスティックなことも含めた整理合理化の内容と方策を決定することを目的として、9月13日からこれまでに計7回開催しています。12月21日に最終の取りまとめを行う予定ですので、その内容についてわかりましたら後日お知らせしたいと思います。3法人の統合をどうするのだというご疑問が先ほどから出ていますが、この整理合理化委員会の中で厚生労働省としての方針がひとつ出るかもしれないと思っています。
 資料3-5は、改正独立行政法人通則法の施行のための関係政令の概要です。独立行政法人が保有する不要財産の国庫納付を義務付ける改正独立行政法人通則法が、11月27日に施行されました。夏の部会では、今後この改正通則法の施行がされるので、それに先立ちまして各法人で不要と言われている資産について各部会にお諮りをして、それぞれの部会で概ね了解をいただいて、最終決定はまた部会長とご相談をしてという手続の確認をしましたが、今後通則法が施行されましたので、夏に一度見ていただいたものについては手続に乗せてまいりますし、今後新たに不要財産となったものが生じた場合には、また評価委員会の皆様のご意見を伺った上で国庫納付という形に進めることになります。資料3-5の?Aは、夏にご議論いただきました取扱いのものも参考に付けています。
 資料3-6は、独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止する法律案の概要です。雇用・能力開発機構については来年4月1日をもって廃止して、高齢・障害者雇用支援機構に職業能力開発業務を移管する内容の法律案を提出していました。衆議院は可決しましたが、参議院のほうで時間切れとなりまして、審議未了ということで継続審議の扱いになっています。このため、来年4月1日に廃止されるかどうかなどについては、次期通常国会での法案の審議の状況によって決まってくることになっています。
 同様に法律案関係ですが、資料3-7をご覧ください。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、通称RFOと言っている法人に関するものです。RFOについては、当初は本年10月1日をもって解散することとなっていましたが、そのままですと解散後に社会保険病院等を運営する法的根拠がなくなりますので、8月の臨時国会で存続期間を2年間延長するという改正法が議員立法で提出され、成立しています。そもそもRFOは、保有している施設を売却することを目的に設立されていまして、本年の10月1日までに業務を終えて解散の予定になっていましたが、社会保険病院等を運営する新たな法人に移管するというか、そういう法人を立ち上げるという法案の提出もありましたが、通らずに廃案になりまして、そのまま放っておくと10月1日に社会保険病院を運営する所がなくなるということがありましたので、議員立法で延長するという流れになっています。
 なお、RFOは、厚生年金会館等の施設については譲渡が完了していますので、今後は社会保険病院等の運営・管理、厚生労働省が指示する病院の譲渡といったことを業務内容としていくことになっています。資料3-7-?Aに、譲渡の完了についての資料も添付していますので、ご参考にしていただければと思います。
 次は研究開発を担う法人の機能強化検討チームの動きについて、資料3-8です。これは、先ほどの2法人の組織・業務の見直し案の議論の中でも言及があったかと思いますが、「研究開発法人」はその在り方についての検討が進められています。民主党のマニフェスト等を踏まえまして、研究開発の特殊性、優れた人材の確保、国際競争力の確保などの観点から、関係府省の副大臣・政務官をメンバーとして「研究開発を担う法人の機能強化検討チーム」が文科省の所管で発足していまして、検討が進められています。このチームの検討の中で、今年の4月に中間報告が出されていまして、その中間報告の中に「国立研究開発機関(仮称)制度」を創設しようという内容が入っています。研究開発法人については、独立行政法人の制度と馴染まない点があるのではないかという問題意識に立って、新しい制度の創設について検討がされたという状況です。
 提言された新しい制度の具体的なイメージ案を、本日の資料として付けています。これは独立行政法人の仕組みが、法人の通則法があって、各法人の個別法があるように、独法の通則法に当たるような研究開発法人法というようなものを作って、もしそれに乗るのだったら、それぞれの法人ごとに法律を提出していくことをイメージしているところだそうです。いまご紹介しているものは中間取りまとめですが、予定ですと年内に最終の取りまとめを行って、その方向に基づいた法案の提出を次期の通常国会でというのが当初のスケジュールになっていましたが、いまのところ本当に取りまとまるのかどうかといった詳細な情報がまだ入手できていません。そちらのほうも、もし最終取りまとめがなされましたら、改めて情報提供をしたいと思っています。
 報告案件の最後は、資料3-9をご覧ください。こちらは、この夏に各部会でご評価をいただいた平成21年度の業務実績評価を受けて、各法人がどのように業務に反映させていったのかをまとめた資料で、各委員の皆様にお示しするとともに公表したいと考えています。反映状況の一覧表となっています。お時間の関係もありますので、各法人の反映状況については後ほどご確認いただければと思います。また、今回は総会ですので、年度末に各部会が開催されますので、改めて部会のほうでご報告もさせていただきたいと思っています。
 なお、平成21年度の実績評価関係としては、政・独委から例年2次意見が送付されてきますが、今年は12月22日に開催する政・独委で決定されて通知される予定と伺っていますので、そちらのほうも届きましたら後日郵送します。また、年度末に開催する各部会でも、この2次意見の内容をご報告申し上げたいと思っています。長くなりましたが、報告は以上です。

○井原委員長
 ただいまの事務局からの報告について、何かご質問等はありますか。

○真野委員
 とんちんかんな質問をするかもしれませんが、国立研究開発機関はヘルスケアに限っての話ではないのですね。もしそうだとすると、私も正確な名前は言えませんが、メディカルイノベーションに関する政務官会合や医療イノベーション会議などをやっていると思いますが、そういう所との議論と、どう整合性があるのかをお聞きします。

○政策評価官室長補佐
 まずヘルスケアに限っていないのかというご質問ですが、文科省の担当の事務局に聞いたところによると、極力広く解釈していこうと考えているそうで、その通則法というか研究開発のものに乗りたいという法人については、極力受け入れていきたいと考えているということでしたので、分野は限っていないものと思っています。
 2点目のご質問ですが、私も不勉強なところがあるので、どういう形で整合性が取れているのかというのは確たるところはわかりませんが、文科省のこの検討会のメンバーは各省の副大臣や政務のかなり上の方が入っていますので、当然メディカルイノベーションやそういった動きについても、それぞれの関わりがある政務のほうにはご相談しながら進めていると思います。そういう意味で、関わっている方が上の方であるという関係から、整合性は取れていくのだろうと思っています。
 整合性に関して補足しますと、独立行政法人制度の見直しが先ほどご紹介した話の中にもありましたが、行政刷新会議でも進んでいますので、そちらとの整合性もあるのだろうというのは文科省の事務局でも認識をしていまして、年内の取りまとめの予定はしていますが、もしかすると行政刷新会議の独立行政法人制度の見直しと併せて、もう一度議論をしようということになるかもしれないなということは事務局同士の会話としてはしています。

○真野委員
 途中でも少し議論がありましたが、必ずしも研究というのは研究機関だけでされているとは限らず、先ほどの労働者健康福祉機構でも確かに病院がメインかもしれませんが、たぶん研究的なこともしています。何が言いたいかというと、たぶん独法の、かつ研究機関だけが研究しているわけではないので、何か余計に縦割りっぽくなってしまうと困るなということで、整合性をお聞きしました。

○祖父江委員
 いまの研究機関のことに関連して、ここにも小さく書いてありますが、人事交流の促進という面で国立大学法人と研究型の法人との間の退職手当の通算の努力義務と書いてあります。私どもは国立大学法人ですが、最近いろいろな事例が起こっていまして、なかなかこれが人事交流の阻害因子になっていますが、具体的には努力義務を、いまどの辺までやろうとされているのか。非常に細かいけれども重要な問題だと思いますので、教えていただきたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 こちらの会議自体は、先ほどもお伝えしたように副大臣レベルがやる会議ですので、会議の議事録等を見ていても、そこの細かい議論はあまり見えてこないのです。大まかな話しかしていないので、どの程度詰まっているかとか、どれぐらい本気なのかは正直まだ我々もわからないところではあります。しかし、こちらの制度に期待を寄せている、研究をしている法人はたくさんいまして、その意味で文科省は当然、それを応援していきたいと思っているという話をしていましたので、関係する機関はいろいろあって調整はいろいろありましょうが、ここに書いていることは文科省のほうとしては、もちろんやりたいという話を伺っています。

○祖父江委員
 厚労省はどうですか。

○政策評価官室長補佐
 厚労省も、もちろん我々にとってもこういう制度ができたらいいことではありますので、当然応援はしたいなと思っていますが、今後どうなるかは文科省の動き自体がまだ確定をしていない状況ですので、動きを見ながらになるかなと思っています。

○井原委員長
 よろしいですか。最後に1点、私から報告をします。
 8月27日の総会で、五十嵐委員を労働部会へ分属指名しましたが、この度、厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第2項の規定に基づきまして、五十嵐委員の労働部会の分属を解除いたします。
 本日の会議はこれで終了しますが、事務局から今後の総会・部会の予定について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 繰り返しになりますが、本日ご審議いただきました国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し案については、決定されたものを後日委員の皆様にお送りします。また、本日の資料は大部になっていますので、机にそのまま置いていただきましたら郵送させていただきます。
 今後の予定ですが、年度末に各部会の開催を予定しています。本日ご審議いただいた2法人については、見直しの案を受けた新たな中期目標や中期計画の案のご審議も入ってまいります。年が明けましたら、委員の皆様のご都合を確認しますので、よろしくお願いします。
 最後に、このあと労働部会を急遽開催することにしていますので、労働部会所属の委員の皆様におかれましてはこの場にお残りいただいて、引き続きご審議のほどよろしくお願いします。以上です。

○井原委員長
 それでは、本日の会議はこれで終了します。長時間にわたり、お疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室 

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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