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2010年10月7日 第41回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成22年10月7日(木) 15:00〜16:30


○場所

東京都千代田区霞が関1−2−2 厚生労働省共用第8会議室(6階)


○出席者

[委員]公益代表  大橋部会長、征矢委員、月野委員


労働者代表 新谷委員、照屋委員、野村委員


使用者代表 市瀬委員、荻野委員、橋本委員、樋渡委員


福田委員、小林氏(佐藤委員代理)


[事務局]中沖高齢・障害者雇用対策部長、土田高齢者雇用対策課長


上田高齢者雇用事業室長、望月高齢者雇用対策課長補佐


○議題

(1)高齢者雇用対策について
(2)その他

○議事

○大橋部会長 それでは第41回雇用対策基本問題部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、当部会に所属されます委員の交替がございましたのでご報告申し上げます。労働者代表委員は久保委員、山川委員に替わりまして、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合中央執行委員の??谷委員。本日はご欠席です。それから、全駐留軍労働組合中央本部委員長の照屋委員です。使用者代表委員は市川委員に替わりまして、千葉県中小企業団体中央会専務理事の佐藤委員でございます。なお本日、佐藤委員はご欠席ですけれども、代理出席として全国中小企業団体中央会労働政策部長の小林様にご出席いただいております。
 次に、本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。公益代表、白木委員、宮本委員、森戸委員です。労働者代表、高谷委員、縄倉委員、古市委員。使用者代表、佐藤委員ですが先ほどご紹介申し上げましたように小林様がご出席です。
 続きまして、中沖高齢・障害者雇用対策部長よりご挨拶をいただきます。

○中沖高齢・障害者雇用対策部長 7月に部長に任命されました中沖でございます。今後ともよろしくお願いいたします。本日の議題、高齢者雇用対策でございまして、現在の状況を少し申し上げますと、少子高齢化によりまして労働力人口の減少が進む中、6月に「新成長戦略」ができて、また7月には雇用政策研究会の報告書もあったわけでございますが、その中で高齢者の雇用促進が謳われているわけでございます。こうした情勢を踏まえて本日はまず、雇用状況についてご説明をした後、高年齢者雇用確保措置についての、中小企業を対象とする経過措置につきましてご議論いただくことになっています。委員の皆様方は大変ご多忙の中、恐縮でございますがよろしくお願いいたします。

○大橋部会長 それでは議事に入ります。本日は、部長からのご挨拶にもありましたように、最近の高齢者雇用を取り巻く状況について事務局より報告を受けた後、「高年齢者雇用確保措置の実施状況等について」を議題とさせていただきます。
 まず、事務局から資料を説明していただき、その後皆様にご議論いただくことにしたいと思います。ではよろしくお願いします。

○土田高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の土田と申します。この8月に着任いたしました。よろしくお願いいたします。
 まず資料1に従いまして、「高年齢者雇用を取り巻く状況について」ご説明させていただきます。高年齢者の雇用対策関係で当部会を開催させていただきましたのは平成21年1月以来です。この間に昨年政権が交代しまして、また、高年齢者の雇用を取り巻く政策の動きですとか新しい統計資料もこの間に出ていますので、こういったものをまずご紹介したいと思います。
 最初に「高年齢者職業安定対策基本方針の概要」という資料がございます。この基本方針につきましては「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」第6条に基づきまして厚生労働大臣が策定して告示しているものです。現在の基本方針は平成20年8月から平成21年1月まで当部会でご議論いただきまして、その結果を踏まえまして平成21年度から平成24年度までの4年間を対象期間として、平成21年4月に告示されたものです。この基本方針は平成16年の法改正及びその後の施行状況を踏まえまして、高年齢者等の雇用・就業についての目標及び施策の基本的考え方につき、労使をはじめとした国民に広くお示しするとともに事業主の方々が行うべき事項に関する指針を示すこと等により、高年齢者の雇用の安定の確保、再就職の促進及び多様な就業機会の確保を図るものです。
 まず、全体の概要ですが、最初に「高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項」が書かれておりまして、次に2番目として「事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項」、最後に「高年齢者等の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項」が掲げられています。
 1番目の目標に関する事項ですが、公的年金の支給開始年齢の引上げを踏まえまして、平成25年3月末までにすべての企業におきまして、確実に65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は定年の定めの廃止のいずれかの措置が講じられるようにするとともに、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合を平成22年度末を目途に50%として、平成25年3月までにさらなる普及に努めることとされています。また、65歳までの雇用の確保を基盤としつつ、団塊の世代が平成24年には65歳に到達し始めることを見据え、65歳を超えて「70歳まで働ける企業」の割合を平成22年度末を目途に20%にするということで、年齢にかかわりなく働き続けることができる雇用の場の拡大に務めるとされています。こういった高年齢者の雇用施策の推進により、平成24年には60歳〜64歳までの就業率を56〜57%、また65歳〜69歳までの就業率を37%とすることを目指すとされています。
 次の、事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項については、(1)につきましては、まさに事業主が行うべき諸条件の整備等に関しての指針です。(2)につきましては、高年齢者雇用確保措置に関する指針で、高年齢者雇用確保措置を講じるに当たって配慮していただきたいことをここに書かせていただいているものです。(3)につきましては、これは再就職の援助等に関する指針の部分で、ここに書いてあるような再就職の援助について事業主の方々にお願いしているものです。(4)につきましては、高齢期にわたる職業生活の設計の援助に関する指針ということで、それらについて事業主の方々に取り組んでいただきたいものをここに掲げさせていただいています。
 3番目は、これらの施策の取組の在り方を、3点それぞれについて掲げているものです。以上が現在の基本方針の概要でございます。
 次に3頁、「新成長戦略について」です。これは今年の6月に、「元気な日本」復活のシナリオというサブタイトルで閣議決定されたものです。新成長戦略全体といたしましては、強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現に主眼を置くとされておりまして、この中で、雇用・人材戦略が位置付けられているわけですけれども、強い経済を実現するために、経済社会が抱える課題の解決を新たな需要のきっかけとして、それを雇用に繋げていくというのが、新成長戦略の考え方です。4つの成長分野を掲げまして、それを支える3つの基盤を提示しています。それをこの第3章、7つの戦略分野と称しているわけですが、3つの基盤の中に雇用・人材戦略が位置付けられています。雇用・人材戦略におきまして、成長分野を担う人材の育成を推進するということですが、さらに国民すべてが意欲と能力に応じ、労働市場や様々な社会活動に参加できる社会を実現することで成長率を高めていくことが基本として置かれており、このため、国民各層の就業率の向上のために政策を総動員いたしまして労働力人口の減少を跳ね返していくのだと謳われています。このために若者・女性・高齢者・障がい者の就業率向上のための政策目標を設定いたしまして、そのための就労阻害要因となっている制度・慣行を是正しまして、保育サービスなど就労環境整備等に2年間で集中的に取り組むとされています。この中で高齢者の就労促進が謳われていますが、その目標が「2020年までに60歳〜64歳までの就業率を63%とする」と示されています。この工程表が新成長戦略に付けられておりまして、高齢者の就労促進を2020年までにどうやって進めていくかということですが、まず、今年度については定年の引き上げや継続雇用制度の導入と、現在進めている政策を推進するということです。来年度については、65歳まで希望者全員の雇用が確保されるよう、政策の在り方について検討を行う。2013年度は、この検討結果を踏まえて所要の措置を講ずるとされております。こういった政策を進めることによって2020年度までに60歳代前半の就業率を63%にするということです。
 次に、「雇用政策研究会の報告書について」です。これは「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」というタイトルの下、今年の7月14日に取りまとめられたもので、職業安定局において学識経験者に集まっていただきまして行ってきたもので、様々な経済構造の変化の下で生じている雇用問題に関しまして、効果的な雇用政策の実施に資するよう、現状の分析を行うとともに、雇用システムと対策について考え方を整理するというものです。昨年の12月より今年の6月まで計9回にわたり開催されました。因みに座長は樋口美雄慶應義塾大学教授です。その中で、高齢者の就労促進について謳われていますが、まず、全体の構成を簡単に説明しますと、「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」を実現するためには3つの施策が必要であろうと謳われていまして、1つが「雇用の質が向上する働き方の改善」。2つ目が、ここの第4章で書いてありますが、「若者・女性・高齢者などへの就労支援を行うことによって全員参加型社会を構築する」。それから、離職しても再挑戦が可能な仕組みが強化されたトランポリン型社会の構築が必要ではないかと提言されています。さらに3つ目に、「雇用の量の拡大と質の向上のための経済システムの構築」が謳われておりまして、第4章の2つ目の課題の中で、高齢者の就労促進が謳われています。これは新成長戦略の中でも掲げられておりました、「出番と居場所のある全員参加型社会の実現」のために、ここに書いてあるような積極的な労働市場政策を推進していくということで、今後、労働力人口の減少が見込まれる中で、若者・女性・高齢者・障害者をはじめとする就労を希望する者の支援を進めることが重要な課題になっているという観点から、こういった積極的労働市場政策が謳われているものです。
 この中の高齢者の就労促進については、まず65歳までの高齢者雇用の確保を図ることが不可欠で、現行の高齢者の雇用安定法に基づく雇用確保措置を確実に実施することが重要であるとともに、今後2013年度から公的年金の定額部分に加え、報酬比例部分についても段階的に65歳までの引上げが開始されるといったことを含めまして、65歳まで希望者全員の雇用が確保されるよう施策の在り方について検討を行う必要がある。また、意欲と能力があれば、65歳という年齢にかかわらず、それを超えて年齢にかかわりなく働ける環境整備が必要であり、そのため70歳まで働ける制度の普及促進を図るなど、60歳代半ば以降の高齢者が働ける職場を増やしていくことが重要である。さらに、高齢期においては、個々の労働者の意欲や体力に個人差が拡大してまいりますので、雇用・就業ニーズの多様化に応じまして、シルバー人材センター事業等において地域の多様なニーズに応じた就業機会の確保提供を通じた事業の活性化を図るなど、高齢者の多様な就業機会の創出が求められるということが、雇用政策研究会の報告書において謳われています。
 次の頁以降は、高齢者を取りまく政策のバックデータになるようなもので、現状認識ということで付けさせていただいています。ご案内のこととは思いますけれども、既に我が国の人口は2004年にピークを迎えておりまして、既に減少局面に入っているということです。因みに2009年の人口は1億2,751万人で、これが2025年には1億1,522万人に減ります。この内、昨年の65歳以上人口が2,900万人であったものが2025年には3,667万人になりまして、65歳以上人口の数はこの図にありますように2055年になってもほぼ変わらないだろうということです。人口全体は、9千万人近くに減ってしまうのですが、65歳以上人口は減らないままずっと推移していく。一方、15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口については、昨年が8,000万人余りであったものが、15年後の2025年には6,700万人余りまで減り、さらに2055年には4,600万人弱まで減っていきます。こういった人口の減少は、まさに働く、生産に従事する人口が減っていくということで、それは取りも直さず収入を得てそれを消費に回してくれる内需、あるいは市場の規模が縮少していくということです。こういったことも踏まえ、先ほどの新成長戦略が謳われていて、高齢者・女性・若年者の就業率を高めて生産に従事してもらう、あるいは収入を得て消費者となっていただいて内需や市場を維持していかなければならないのではないかということであると思っています。
 次に、高年齢者の雇用失業情勢と就業率です。囲んでいる部分が60歳〜64歳、65歳以上ですが、先ほどの新成長戦略や基本方針で、高齢者の職業安定の基本方針の目標が掲げられており、平成24年には就業率が56〜57%にするのが現在の基本方針の目標ですが、これは概ね昨年の段階で57%で達成されています。これをさらに新成長戦略では63%まで引き上げる必要があるのではないかということです。
 次の頁は、高年齢者の就業形態です。労働力人口の中心の部分は水色の部分で正規職員や正社員という方が多いのですが、徐々にその割合が減ってまいりまして、55歳〜64歳では57.2%で、26.5%が「パート・アルバイト」、「契約社員・嘱託」が11.5%です。さらに、65歳以上については、「正社員」の割合が全体の1/3程度に減ってしまいまして「パート・アルバイト」が41%、「契約社員・嘱託」が15.2%で、当然、高齢者の方々の就業のニーズもありますので、こういった形でいろいろと多様化していると言えるのではないかと思います。
 8頁が、希望者全員が65歳まで働ける企業等の状況で、これも新成長戦略の基本方針に謳われていることが今どうなっているかということですが、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は現在44.6%になっています。これは毎年6月1日付けで実施しております、高年齢者の雇用状況報告を基に集計したものです。濃いネズミ色の部分が「定年の定めを廃止」した企業、水色の部分が「65歳以上の定年の定め」としている企業、薄い部分が「希望者全員の65歳以上までの継続雇用制度の導入」としている企業です。70歳まで働ける企業の割合は16.3%で、内訳は「定年の定めの廃止」が黒い部分で2.7%、「70歳以上の定年の定め」がちょっとで0.6%でした。「70歳以上までの希望者全員の継続雇用制度の導入」が2.5%、「該当者の70歳以上までの継続雇用制度の導入」が7.3%、「その他何らかの仕組みで70歳以上まで働ける制度を導入している」というものが3.1%です。これについては基本方針において平成22年度末までに20%とするということですので、今後出てきます今年度の高年齢者の雇用状況報告等がどうなっているかを見ながら、行政としての取組を強めていきたいと考えています。
 9頁以降の資料は、今年になってから厚生労働省の独立行政法人であるJILPTで行いました高年齢者関係の調査です。その中から、今回議題となっております雇用確保措置に関連する部分を抜粋したものです。まず、「高年齢者の雇用・採用に関する調査」の結果です。これは調査の対象が全国の従業員50名以上の民間企業でして、調査期間・時点が一昨年の夏、8月17日から9月1日までで、8月1日現在ということで集計を行っています。有効回答数は3,867社です。継続雇用制度を採っている企業において、対象者に係る基準を設けているという会社につきまして、その基準の内容がどうなっているかという資料です。2,460社の回答がありまして、基準の内容は、「健康上支障がないこと」が最も多くて91.1%、「働く意志・意欲があること」が90.2%となっておりまして、次いで「出勤率、勤務態度を考える」というものが66.5%、「一定の業績評価をしている」が50.4%という状況になっています。
 次の頁は、継続雇用制度の活用を希望する者の状況です。定年に到達しました正社員のうち毎年どの程度の人が継続雇用制度の活用を希望しているかということで、「全員」と答えた会社が25.3%で最も多く、次いで「90〜100%未満」が18.6%となっています。一方で、「30%未満」となっている企業も、9%と一定程度存在しました。この回答は、過去3年間のおおよその平均ということで調査しています。なお、グラフの下のほうに「定年到達者がいない」と答えた会社もありまして、これを除きますと、「全員希望している」という会社は30.2%、「90〜100%未満」が22.2%となっています。
 次の頁は、継続雇用制度の適用者の状況です。継続雇用制度の活用を希望した正社員のうち、毎年どの程度の人が実際に継続雇用されているかを見たものです。「全員」適用になっていますというのが45.8%で最も多く、次いで「90〜100%未満」が16.7%となっています。これも同じように、「30%未満」となっている企業も6.4%で、一定程度存在しています。同じように「定年到達者がいない」と答えた企業が16%ありますので、これらを除いたうちの比率を見ますと、「全員」対象としているという会社は54.4%で、「90〜100%未満」と答えたところが19.9%となり、大体90%以上が対象となっていますというのが3/4ぐらいあるということになろうかと思います。
 次の頁です。正社員の60歳以降の継続雇用の状況です。これは前の年に、自分が所属する会社で60歳を迎えた正社員のうち、どのぐらいの人が60歳以降も引き続き自分の会社で雇用されているかを調べたものです。「全員」と答えたところが34%と最も多く、以下、「定年到達者がいない」と答えた企業が25.7%、「90〜100%未満」が13.2%です。これも、「定年到達者がいない」と答えた会社を除いた比率では、「全員」が45.8%で、90%以上の会社が全体の63.5%でした。
 続きまして、正社員の60歳以降の継続雇用の状況です。この3年間で、60歳を迎えた正社員を引き続き雇用する割合が増えたか減ったかを聞いたものです。特に「変わらない」と答えたところが63.3%、「増加した」と答えたところが32.8%です。「減少した」というところは2.4%に留まっています。調査の対象になったのは、括弧書きに書いてあるようなところです。
 次の頁です。正社員の60歳以降の継続雇用の状況と同じようなものですが、3年前と比べて増加した企業が928社ありましたが、どうして増加したのかの要因につきまして、これは複数回答です。「高年齢者雇用安定法の改正に対応したため」が48.2%ですが、「継続雇用の希望者が増加したから」が44.9%で多かったということです。その内、最も影響力の強い増加要因は何かというのが薄い水色のバーですが、これもやはり同じような傾向で、「高年齢者雇用安定法の改正に対応したため」が29.4%で、「継続雇用の希望者が増加したため」が29%でした。
 それから、60代前半の継続雇用者の就業・処遇の状況ということで、勤務場所と仕事の内容はどうですかという調査です。「60歳頃と同じ事業所で同じ部署」というのが83.5%と最も多く、次いで「同じ事業所で異なる部署」が3.2%となっています。仕事の内容につきましても、「60歳頃と仕事内容が継続している」が8割近くありまして、「どちらとも言えない」というのが6.6%で、大体同じような場所で同じ仕事をしている方が大多数となっています。
 次の頁です。継続雇用者を配置する際に配慮している点ということで聞いてみたものです。「慣れている仕事に継続して配置すること」が大体3/4ぐらいを占めています。次いで、「本人の希望」が53%、「技能やノウハウの継承が円滑に進むようにすること」が30%余り、「肉体的に負担の少ない仕事に配置すること」が18.6%となっています。これは企業のほうでどう配慮しているかというものです。
 次に、今後の高齢者雇用を進めるに当たっての課題を企業がどう考えているかということです。「特に課題がない」と答えたところが28.5%と比率的には最も多いのですけれども、以下「高年齢社員の担当する仕事を自社内に確保するのが難しい」がちょっと少なくて27.1%、「管理職社員の扱いが難しい」が25.4%、「処遇の決定が難しい」というのが20.8%、「人件費負担が増す」が16.1%になっています。
 19頁です。これは同じくJILPTで実施したもので、労働者に対する調査です。「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」で、高年齢者雇用確保措置に関係のありそうなものを抜粋させていただいています。調査対象は全国の55歳〜69歳の男女、調査時点は昨年の夏、8月20日から9月15日で、8月1日現在ということです。有効回答数が3,600人余りということです。高年齢者の就業の状況ですが、これは労働力調査と違いまして、1か月間に収入になる仕事をしたかどうかを聞いております。「した」と回答した方は6割に上りました。男性が7割を超えておりまして、女性が5割弱です。逆に仕事に就けなかったという方で、就業を希望していたのだけれどもできなかったという方が45.8%、女性が23.3%となっています。これは右側から2つ目の枠の中の1番下の欄の括弧の中の数字です。
 次の頁は、労働者に対して、引退を考えたことがありますかとか、いつまでも働きたいですかとか、もう引退していますかとか、そういった調査をしたものです。「引退を考えたことがあります」と答えた方が34.8%ほどいたのですが、その中でさらに引退希望年齢はどのぐらいですかと聞いてみた結果です。「65歳」と答えた方が41.5%で最も多く、次が「70歳」で27.1%でした。「60歳」が11.8%です。
 定年・退職後の勤務先の希望と状況がどうなっているかについてです。これは下に注書きが小さく出ていますが、55歳当時に雇用者であったときにどういう希望をしていましたかということと、現在どうなっていますかということ、あるいはまだ実際に定年も退職もしていない方も対象者の中にいらっしゃいますので、もしそうなったときには自分がどうなる可能性がいちばん高いと思っていますかという問いに答えたものがこの状況です。「定年・退職時の同じ企業等で働く」と55歳当時希望していた方が47.9%ですが、現在の状況はといいますと28.1%が全体の状況になっています。あとは大体、そもそも希望として「違う企業で働きたい」という方がやはり同じような割合で状況もそうなっていまして、自営業者の方もどうもそうなっているようです。
 次の頁は、同じような聞き方をしていまして、仕事の内容がどうだったかということです。55歳当時は定年・退職時にも同じ仕事をしたいと思っていたのですが、現在はどうかというと、38.8%の人が定年退職時と同じと希望していたのですけれども、現在は同じ仕事に就いている方は31.4%ということです。
 最後に、労働者の方々に定年制に関する要望ということで、現在は法律上60歳定年が義務付けられておりますけれども、それと比べて、今のままがいいですか、それより上がいいですかと聞いてみました。さらに、上がいいという場合は、どのぐらいの年齢がいいですかということで、「今のままでよい」と答えた方は23.5%で、「上の定年がよい」という方が57.1%です。上の定年年齢の中では何歳がいいですかということでは、8割の方が65歳で、70歳と答えた方は10%、「定年の廃止」という方、これは全体の中ですが17.6%でした。以上、最近の政策の状況あるいはいろいろな調査結果の状況です。

○大橋部会長 ありがとうございました。それでは議論に移ります。事務局からご報告のあった、最近の高齢者雇用を取り巻く状況について、ご質問、ご意見等はありますか。

○新谷委員 8頁の「希望者全員が65歳まで働ける企業の状況」と、(1)の「65歳以上まで働ける」ということとの「65歳以上」の関係を教えていただきたい。「65歳以上まで」という表現がよくわからない。例えば、高年齢者雇用安定法ですと基本高年齢者雇用確保措置の義務対象年齢は、年金の接続とでどんどん上がっていく設定になっていると思うのです。ここで言っているのは、それとは関係なくても65歳以上としているのかどうかというのがお聞きしたい。

○土田高齢者雇用対策課長 まず定年の定めがないということで、65歳とか何とかという年齢にかかわりがないということです。それから「65歳以上の定年の定め」というのは、もうすでに去年の6月1日現在で定年年齢が65歳以上になっているということです。

○大橋部会長 これは「希望者全員」という所に力点があるのですね。

○土田高齢者雇用対策課長 はい、そうです。

○中沖高齢・障害者雇用対策部長 「65歳以上まで」というのが、日本語として機能していないのではないかということをおっしゃっているのではないかと思います。「65歳以上の年齢まで」という言葉が入っていると、たぶん日本語としても少しいいのではないかという感じがいたします。今後、こういう表現は気を付けてまいりたいと思います。

○新谷委員 それに関連しますが、現行の高年齢者雇用安定法ですと義務付けされている年齢は、今年度から64歳ですよね。その64歳という会社があるとすれば、この回答の中には入ってこないことになるのですか。

○土田高齢者雇用対策課長 はい、そうです。

○福田委員 8頁の「希望者全員が65歳まで働ける企業等の状況」の中で、(1)は65歳以上まで働ける企業の割合が44.6%です。この内訳は、301人以上が23.4%、31〜300人が47.0%です。(2)も70歳まで働ける企業が16.3%ですね。これはちょっと低いのですけれども、自分の希望で働くよりも会社のほうが、働いてもらわないと困るという状況でそうなっているのでしょうか。

○土田高齢者雇用対策課長 制度だけを調べており、報告の中には、個別の事情までは上がってきておりません。ただ規模を見ますと、どちらかというと300人以下のほうがそういった割合が高いので、そういった事情からそうしているのかなということは推測できます。

○福田委員 ご本人の希望よりも会社のほうが、その人がいなくなるととても立ちいかなくなるので、何とか働いてもらいたいという願望のほうが強いのかなと、私は勝手に思ったのです。

○土田高齢者雇用対策課長 一応ここは制度の導入状況なので、個別の誰かについてそう思っているかどうかというよりは、制度としてそうなっているということです。

○樋渡委員 いまの関連ですが、8頁のこの表は、毎年6月1日に行われる高年齢者雇用状況報告の中で、企業に聞いている結果ですよね。この制度をとられているかという中で括って紹介されているのですね。

○土田高齢者雇用対策課長 はい、そうです。

○新谷委員 9頁から始まる調査の抜粋も、なかなか面白いデータですけれども、今後、この資料が厚労省のホームページに掲載されると思うのです。そこで分析のグラフを作られるときに、11頁から始まる継続雇用制度の活用状況の統計を出すのに、もともと定年到達者がいない所も同じ百分率の中に入れて分析するというのは違和感を感じます。これは抜いたほうが分析的にもきれいだと思いますので、よろしくお願いします。

○土田高齢者雇用対策課長 この調査の実施はJILPTで、すでに発表もしておりますので、JILPTの調査の結果を、抜粋ではなく全体をお届けしているものです。主体が厚生労働省ではないのですみません。

○大橋部会長 1つ質問があります。最後の「定年制に関する要望」の母集団は、定年年齢が60歳の企業に勤めておられる従業員ですか。

○土田高齢者雇用対策課長 これは労働者に対する調査ですので、有効回答者3602人でということです。自営業などの方も当然含まれておりますので、特にいま企業に勤められて60歳前後にいる方ということではなくて、すべての調査対象になった高年齢者がどう考えるかということです。

○大橋部会長 「今のままでよい」という回答が、定年年齢が何歳かによって違ってきますよね。

○土田高齢者雇用対策課長 この問の聞き方は、現在、一般的な定年年齢は60歳で、法律上は60歳定年が義務付けられていますが、という前置きを置いた聞き方になっております。

○大橋部会長 数値は60歳より上の定年のところを100として出していますので、おおむね65歳が80%ということで理解できますよね。他にいかがでしょうか。

○荻野委員 11頁以降の資料で、定年到達者がいないというのが16%とか25%いるというのがあります。これは結構重要な情報ではないかと思うところがあります。先ほどご説明いただきましたけれども、企業調査で制度があるかないかと言って「制度がある」というのと、その制度を活用して現に雇用されている人がいるというのとは、だいぶ違うのではないかという印象を持っております。極端な話、定年の定めはないけれども仕事の性質上、50歳過ぎぐらいにみんな辞めていってしまうような会社もあるわけです。70歳を過ぎても働ける制度はあるけれども、そういう会社では現に働いていないということになると思いますので、そういった方面の分野の検討をする場合には、そういう調査も必要なのかなという感想を持ちました。今日の議論とは関係ないと思いますけれども。

○大橋部会長 ほかにご議論はいかがでしょうか。それでは事務局からの説明のとおり、継続雇用制度について対象となる高年齢者にかかる基準を、労使協定によることなく就業規則等で定めることができる経過措置が設けられている件について、本年度末をもって経過措置が終了することになっております。これについてご意見等があればお願いいたします。

○土田高齢者雇用対策課長 それでは資料を説明させていただきます。資料2が「高年齢者雇用確保措置の実施状況等について」です。委員の先生方もご案内のとおり、高年齢者雇用安定法第9条に基づき、雇用確保措置が義務付けられております。平成18年4月からで、内容は定年年齢の引上げ、継続雇用の導入、定年の定めの廃止です。このうち継続雇用制度を導入する場合について、対象者を限定する基準の設定が可能になっております。その対象者の基準を定めて限定する場合は、次の頁にありますように第9条第2項で、労使協定により基準を作っていただくことになっております。
 ただ、これについては一定期間の経過措置が設けられております。労使協議が不調に終わった場合の特例ということで、その場合は就業規則だけで対象者の基準を定めることも可能とされております。301人以上の大企業については平成21年3月31日までということで、昨年の3月31日をもって終了しております。300人以下の企業については5年間ということで、来年の3月31日がその5年間の期限となっております。これについては下にありますように、「高年齢者の雇用に関する状況、社会経済情勢の変化等を勘案し検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること」とされております。前回、一昨年の8月、大企業の取扱いについても当審議会のご意見を伺って、こういうことにさせていただきました。
 4頁ですが、対象となるのは300人以下の規模の中小企業で、現在どうなっているかというものです。高年齢者雇用状況報告の今年度のものがまだ出てきておりませんので、これは昨年度のものを基に作った資料です。31〜300人までの企業数が12万1,000余りある中で、昨年の6月1日時点では1万5,625の企業が、労使協定に基づかない就業規則で基準を定めていました。この間、地方の労働局やハローワークにおいて、こういった企業に対してフォローアップを実施しております。
 フォローアップの結果、今年の7月末時点でそれを集計したのが右端の数字です。昨年の6月1日時点では1万5,625だったのが、「今年度中には改訂予定がありません」と答えた所が2,634で、それ以外の所はすでに労使協定によって、あるいは「今後、労使協定によって改訂する予定です」と答えていて、全体の割合は2.2%となっています。小企業の31〜50人というのは、従来は51人以上を集計対象としていたところを、平成21年の雇用状況報告から、31人に下げて集計したもので特出ししております。ここの割合は、昨年の6月1日時点では11.8%が就業規則だけで対応していたのが、「今年度中にはなかなか難しい」「改訂予定はありません」と答えたところが808で、1.8%となっています。
 下に参考として付けているのが、2年前の審議会においてご議論いただいた大企業の状況です。このときは301人以上の企業数が1万2,500弱あったうち、就業規則で措置しているのが1,315で、さらにフォローアップをかけたところ、「改訂は今年度中にはなかなか難しい」と答えた所が550で、割合としては4.4%だったということです。こういった状況を基に、大企業については平成21年3月末をもって経過措置が終了しました。
 次の頁が全国の都道府県ごとの状況を、参考までに付けております。最後の頁が2年前の大企業の全国の都道府県ごとの状況です。

○大橋部会長 ただいま、高年齢者雇用確保措置の実施状況について紹介していただきました。この経過措置を議論する前に、資料2についてご意見があればお願いしたいと思います。

○野村委員 4頁の資料の関係です。中小企業の状況を見ますと、2,500以上の企業がまだ改訂予定がないとあります。また、都道府県別の資料等を見ても、全体的に少しバラつきがあるような感じもしております。そういう状況の中で、中小企業の経過措置が来年3月末で終了することになっているわけです。そうしますと同年の4月1日以降、法律上はどういう扱いになるのか。いわば3月31日で経過措置が終わるわけですから、現状でもまだ改訂の予定がないという企業は、具体的に言いますと法令違反という形になるのかどうか、そういう認識でいいのかどうか、ひとつ教えていただきたいと思います。
 もう1点は、現在「改訂予定なし」としている企業がある程度あるわけです。企業が制度変更できない理由が具体的にどういうものなのか、また「できない」と言っている企業に対して、行政としてどういう指導なり対応が考えられているのか教えていただきたいと思います。
 最後に、大企業については、もう既に経過措置が終わっているわけです。具体的には大企業においては現状として、全て改訂済みという認識でいいのかどうか、その辺の大企業の状況についても教えていただければありがたいと思います。以上、3点をお願いいたします。

○土田高齢者雇用対策課長 高齢者の雇用安定法第9条第1項及び第9条第2項ですが、第9条第1項の継続雇用制度の導入については、基本的に希望者全員について、継続雇用制度の対象とするということになっています。労使協定で基準を設けた場合には、第1項の措置を講じたものとみなすとなっておりますので、労使協定によらずに就業規則等で行っている場合には、第1項の措置を講じていないという解釈が成り立とうかと思っております。
 「改訂予定なし」の所については、本日のご議論を経て、このまま経過措置が終了するということですと、今後残された機関は、半年足らずということになります。この間に2,600余りの企業については、集中的な指導で現場のほうで対応したいと思っております。
 大企業については、昨年の高年齢者雇用状況報告の段階では、まだ措置を講じていない所が1.3%ぐらい残っていたと思います。そのうち、まだ就業規則でやっていますというのは、1.2ポイントぐらいだったと認識しております。それらについては当然、把握した時点で現場のほうで指導に入ることになっております。

○新谷委員 野村委員がお聞きしたかったのは、その状態は法令違反なのかどうかという認識でお聞きしたかったのです。それについて明確な答弁をお願いしたいと思います。

○土田高齢者雇用対策課長 先ほど申しましたように、労使協定で基準を作ってやっている場合には、第1項の雇用確保措置を講じているものとみなすということです。労使協定に基づいてやっていないというのは、雇用確保措置を講じていないということになりますから、第9条第1項に違反しているので、そういったことのないように指導するということになろうかと思います。

○新谷委員 大企業でもまだ1.3%残っているというお話でしたけれども、違反の状態がずっと続いた場合、最終的にはどういう形で処理されるのですか。1.3%の企業は、どういう形の行政処分を最終的に受けることになるのでしょうか。教えていただきたいと思います。

○大橋部会長 いかがですか。処罰については何か書いてありますか。

○土田高齢者雇用対策課長 罰則はありませんので、そこは現場の労働局なりハローワークのほうで、入念に指導していただくことになります。法律の第10条のほうで、最終的には勧告するというところまで書いております。ですから本当に悪質で、何度指導して聞いていただけない、ご指導に従っていただけない場合については、勧告も含めて対応することになります。

○中沖高齢・障害者雇用対策部長 実際に過去に平成20年度と平成21年度で2例ずつ勧告を出しておりますので、当然従わない所で悪質な所については、私どもとしても法に基づいて対応していきます。

○照屋委員 2頁の「継続雇用制度の対象者に係る基準の設定」の、過半数代表者の選定にかかる点です。?Aの関係で、「事業主は労働者の過半数が加入する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者との間で基準等々について、書面による協定の締結が必要」とされております。これについて高年齢者雇用安定法における労働者の過半数を代表する者の選出方法、あるいは手続等についていかがかというのをはっきり教えてもらいたいと思います。

○土田高齢者雇用対策課長 労使協定の締結手続等については、いわゆる36協定に関しては、労働基準法施行規則に書いておりますけれども、高年齢者雇用安定法については通達という形で、基本的に労働基準法に準じた内容のものを出しております。使用者の利害を代表する者ではないとか、選挙や挙手といった形で公正に選考するようにといったことを通知で示して、そういった形で指導しております。

○照屋委員 もう1点ですが、過半数代表の選出については、いまご説明がありましたように、もともと労働基準法が最初にできた条項だと思うのです。最近はいろいろな条項に入ってきて、高年齢者雇用安定法にも盛り込まれたという認識を持っています。そこで、いまご答弁いただいた中で、労基法に準拠ということだったのですけれども、労基法というのはご承知のとおり取締まり法規ですから、免罰効を持たせた過半数代表の意味と、民事効としての過半数代表の意味とは、全く違うのではないかと思っています。施行規則の第6条の2でしたか。あの条項に従って、全くの労基法準拠というところまで、きちんと選出を義務付けるような形でその指導をされているのか、また違う基準で指導されているのか、その辺の運営をお聞かせいただければありがたいと思います。

○土田高齢者雇用対策課長 確かに労働基準法には罰則があります。免罰効を生じさせるための36協定ですので、労働基準法の施行規則で書いた上で、さらに細かい内容については、労働基準局のほうで通達していると思います。私どもとしては罰則を回避する、免罰効を持たせるというものでもありませんけれども、一応運用としては基本的に、労働基準法の施行規則と同じようなことでやっております。ただ現実的にどこまで現場において厳しくやっているかと言いますと、特に相談などを受ければ、同じようにやってくださいということで対応しております。そういう相談等がない場合についてまで、厳しくやっているということはないと思います。

○新谷委員 労使協定の重要さというのは、確かに免罰効の協定も重要ですけれども、この法律で言う労使協定は、60歳以降の再雇用の人選の基準を作る協定ですので、まさしく主要な労働条件を形成する機能を持たせていると思うのです。そういった意味では過半数代表の選出というのが、やはり従業員の民意をきちんと反映した手続を踏んでいないといけないと思っております。
 昔、JILPTが調査したときも、この辺の運営が法に従ったものばかりでなかったという調査結果が出ております。免罰効ですらそういう状況ですので、我々としては高年齢者雇用安定法の労使協定の運営が一体、実態的にどうなっているかというのが非常に気になっているところです。お聞きしたいのは、仮に厚労省でお考えになっている手続、労基法に準拠する手続に従わずに、民意を反映しない形で労使協定が締結されて、それに基づいて再雇用の基準が作られたとします。そうした基準の法的な効果について、どのようにお考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。

○土田高齢者雇用対策課長 おそらく、手続に従って労使協定が結ばれていないということでしたら、それは基本的に使用者の意思に基づいていることがほとんどであろうと思います。ケース・バイ・ケースでいろいろ具体的にご相談があれば、判断させていただくことになろうかと思いますけれども、当然、一方的に使用者側が作っているものと変わらないということであれば、効果はないと考えざるを得ないのではないかと思います。

○大橋部会長 確かに具体的に何か問題が出てきたら、そこで議論になると思います。例えば従業員が、それは我々の過半数代表と相談して決めたのではないというような話が出てくれば、そのときには問題になると思います。

○新谷委員 この問題は法律の施行からあまり日にちが経っていないこともあり、裁判例もあまりないのです。ただ、今年の2月に1つ裁判例が出ています。再雇用の労使協定が無効とされた司法判断が、横浜地裁で出されたのです。ですから指導されるときに、職業安定局は労働基準行政と異なり取締行政ではないと思いますが、そうした民事効の判断についても、きちんとした手続で選出されているか等々、是非ご指導いただきたいものだと思っております。
 それともう1点、私から意見を申し上げたいと思います。これは先ほど前段でご説明いただいた、新成長戦略とも関係します。2013年問題とも関連するわけですけれども、新成長戦略で希望する者全員が65歳まで働けるようにするというのが、2020年までの目標として出されています。その一方で、現状で言いますと先ほどの資料の8頁で話題になった、希望する者全員が65歳以上まで働ける企業が44.6%ということで、まだ道半ばという状況になっています。
 それと、環境の変化ということでいくと、刻々と時間が迫っておりますけれども、2013年からは報酬比例部分の支給開始年齢の引上げによって、60歳定年企業の場合は年金の支給開始年齢との間に1年のギャップが生じて、収入の空白期間が生じるということが目の前に迫っているわけです。我々としては年金との接続を含めて、希望する者が全員65歳まで働ける環境整備に是非、早く着手していただきたいと考えているところです。これは法律があるからということではなくて、労使で知恵を出し合って、高齢者の職場・職務開拓を一緒に話し合いたいと思っております。当面、厚生労働省としてその辺についてのお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思っております。

○土田高齢者雇用対策課長 新成長戦略にも謳われておりますように、来年度検討しろということで閣議決定がされたわけです。私どもとしてはこれを受けて、検討を開始したいと考えております。具体的にはまずは学識経験者の方々に参集をいただいて、どういったことが可能なのかということを検討したいと思っております。現在、そういった人選を含めて準備を進めているところです。

○大橋部会長 そのほかにいかがでしょうか。

○市瀬委員 先ほどもご意見がありましたように、中小企業にとっても人材確保とか、事業承継とか、技術承継ということもあり、定年後も働いていただくことには柔軟に取り組んでいる所が少なくありません。しかし現在の経済状況では、雇用維持や確保がやっとという中小企業が大半であり、このことは雇用調整助成金の利用が高水準で続いていることにも現れていますし、商工会議所の調査にも現れております。中小企業への経過措置については、特に小規模企業の実態を踏まえて議論していただくことが重要であると考えております。
 先ほどの資料2の4頁にある、就業規則に継続基準を定めている企業の状況に、常時雇用数が30人以下の企業データがありません。30人未満の企業は全国136万社、全企業の90%にのぼります。まずは就業規則に継続基準を定めている企業のうち、30人以下の企業の状況をよく把握していただき、その上で来年3月31日が期限となっている中小企業に対する特例措置を延長すべきかどうかを、改めて議論する必要があるのではないかと思っております。そもそも中小企業・小規模企業の中には、高齢者の雇用確保のために何をすべきかということが、十分に理解できていない企業も少なくないと聞いております。企業に対して何をいつまでに実施するのか、引き続き周知を徹底していただきたいと思っております。商工会議所としても周知を続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○土田高齢者雇用対策課長 30人以下の企業の実態ですが、高年齢者雇用状況報告で、平成20年までは51人以上ということにしており、平成21年からその規模を引き下げて、31人以上にしたわけです。それ未満を集計対象にした場合に、そもそもこういった調査ものというのは、調査報告を義務づけられる事業主の皆さんのご負担も考慮して、逆に裾切りしていることが多いと思っております。それで何とか昨年度から、31人以上ということで集計しているということです。
 ただ、30人未満の所のデータが全くないのかというと、そういうわけではありません。数的には今おっしゃったような数には全然足りないのですけれども、7,700を若干切るぐらいの数の企業から高年齢者雇用状況報告が出てきております。昨年の6月1日時点では、基準を作る場合、852の企業が就業規則等で対応しているということで、割合的には11%となっております。それより規模の上の企業よりも、割合的にはさらに小さくなっています。ただ30人未満の企業を含めて、すべて現場のほうでフォローアップするのもかなり大変ですので、この規模の企業の方々については集団指導とか、いろいろな機会を捉えて周知や指導を行っていくことで対応しております。残念ながら現在、来年度に向けてどのぐらいの数の企業が改訂予定があるかないかというのは把握していません。少なくともこの850については、これからでもやろうと思えば2,600の企業と同じように対応可能だとは思いますので、その辺のフォローの努力はしてまいりたいと思っております。

○市瀬委員 先ほどの法令違反の問題などを踏まえると、30人以下の企業の実態を考慮しないということにはなれないと思うのです。その辺をもう少し厚労省の方等で把握していただき、実態を踏まえた形で対応くださいますよう、よろしくお願いいたします。

○土田高齢者雇用対策課長 労働局を通じて、「どうして改訂予定がないのですか」と聞いたところ、市瀬委員がおっしゃるように、どうも制度についてよく理解していないというところが、確かに労働局の感触では多いということでした。「別に4月過ぎても、そんなに問題ないんじゃないかと思ってる」というように答えた所が多いようだ、というところがありましたので、確かにおっしゃる部分はあります。局やハローワークでは、ホームページあるいはパンフレット等を通じて、周知・集団指導を行っているところですけれども、そういった意味での努力は引き続き続けていきたいと思いますし、「特に改訂予定がない」と言った所には、フォローアップをさらに続けていきたいと思っています。
 また、前回の法改正の後、法律の平成18年の4月1日の施行に向けて、委託事業として中央会さんや商工会議所さんにも周知・啓発をご協力いただいたところですので、今後とも引き続きご協力を得まして、周知・啓発に努めてまいりたいと思います。

○小林代理(佐藤委員代理) いま中央会をご紹介いただいたので、私どもも周知のお手伝いをさせていただいたところですけれども、もう1つ、私どもで毎年行っている中小企業の労働事情実態調査というのがあります。再雇用の制度については、その調査で、平成16年から調査の項目に加えています。昨年は調査項目がなかったのですけれども、先ほど30人以下の企業ということでしたので。私どもの調査は、全体的には300人以下の企業の調査ということで、特に30人以下のデータもありますからご紹介したいと思います。
 「定年65歳までの高年齢者雇用確保措置への対応状況」ということで、回答項目の1つとして、「定年の定めを廃止している」という所があります。この全体の回答は、後ほど事務局にお渡しします。この項目については1万8,226の事業所数で、定年の定めを廃止しているのが1,104で、6.1%です。定年年齢を64歳以上に引き上げている所が1,913で、10.5%です。継続雇用制度を導入している所が1万1,803で、64.8%です。該当者がいないので対応していないものについては3,406で、18.7%です。
 この状況からいきますと「特に該当者がいない」というのが、小規模の事業所での比率が高くなっています。この詳細を申し上げます。1〜9人の所を見ますと2,442で、41.6%です。特に1〜4人をもっと切りますと、54.7%という数字になっています。小規模の場合は労働組合等が大体ない形ですし、従業員の年齢が比較的低いということなのか、特に該当者がいないので対応していないと。この部分は周知だけではなく、該当者がいないと直面する問題になっていないというところがあると思います。その辺をご理解いただいて、いろいろな形で指導していただければというお願いです。
 もう1つは、「雇用継続制度の対象の基準」という言い方をしていますけれども、希望者全員を対象とした基準を設けている所、労使協定によって制度を対象にしている所、就業規則での対象の基準を設けている所という、この3つの回答についてご紹介いたします。こちらは継続雇用制度を入れているので、1万1,209の回答です。希望者全員を対象とし、基準を設けていない所が6,011で、53.6%です。労使協定により制度の対象となる者の基準を設けている所が1,607で、14.3%です。就業規則による制度の対象となる者の基準を設けている所が3,591で、32.0%という状況です。これは規模に大差はありませんけれども、そういう形で労使協定による制度の対応というところも、若干かなりあるのではないかと感じています。いろいろな調査をしていますので、この部分についての調査データをご提供いたします。厚労省でも再雇用制度等を含めて、今後の審議のご参考にしていただければと思います。

○大橋部会長 他にいかがでしょうか。ただいまの調査結果ですけれども、経過措置を300人以下の所で終了させることについて、何か大きな支障のようなものは見えてきていますか。

○小林代理(佐藤委員代理) なかなか難しいご質問です。比較的大きい所については、大企業と同じような数字になっているかと思います。100〜130人とか30人規模以上の所というのは、「ほとんど対応していない」というのが2.6%とか1.0%になっていますので。私は委員ではありませんので、私の個人的な感触を申し上げます。制度的には来年度末で猶予期間終了というのもいいのかなというか、それでも大丈夫かなと思います。ただ、小規模については先ほど申し上げたとおり、再雇用の該当者がいないために制度設計をしていない所がかなり見受けられますので、そこへの指導をどうするかというのが、課題として残るのではないかという感想です。

○大橋部会長 実態として30人未満の企業ですと、「定年制」と言っても60歳定年の所が何パーセントぐらいでしたか。大企業と比較すると、それははるかに少ない割合です。しかも中小の場合は人材不足というのがありますから、貴重な戦力になるような人は、もう何歳になってもほしいと思うのです。その辺の仕組みを入れていくことが非常に大事ではないかと思います。ですから中小だけ特別に特例措置を付けるというのはちょっと。むしろ大企業のほうが、その辺はもっとシビアではないかと思うのです。

○小林代理(佐藤委員代理) 毎年やっている調査結果で平成16年当時に、再雇用制度の最高年齢をいくつにするかということで、59〜71歳まで細かく割っていったような調査をやりました。そのときのデータを見ても、小規模であっても大方65歳というのが、83.3%ぐらいで集中しています。これは企業規模の格差というより、社会全体で65歳という数字に馴染みが出てきているのかなというところがあります。制度的にも、そんなところをとっている所が多いように見受けられます。
 確かに私がいろいろな中小企業の現場を伺うと、現にしっかりした技術をお持ちの方で、70歳で働いている方もいらっしゃいます。規模が小さくなると逆に必要な方として、人材としてお手伝いいただいているという状況もありますし、企業規模というところでいけば、そんなに格差はないのかなと思います。やはり知らない、直面する問題が起きていないと、なかなか解決に向けた動きをしないというのが事実だろうと思います。

○大橋部会長 その他はいかがですか。よろしいですか。それでは、継続雇用制度について対象となる高年齢者にかかわる基準を、就業規則等で定めることができる経過措置が常用雇用数300人以下の中小企業において、本年度末をもって終了する件については、おおむねご異論がなかったと思われますので、今のまま本年度末をもって終了することが適当とさせていただいてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 なお、事務局においては就業規則によっている企業について、経過措置の終了とともに円滑な移行が図られるよう、ハローワーク等において積極的に助言指導を行っていただく等の支援を、よろしくお願いいたします。では、そのように取り扱わせていただきます。どうもありがとうございました。
 その他、何かご意見等はありますか。よろしいでしょうか。他に無いようでしたら、本日の部会はこれで終了します。本日の会議の議事録の署名委員は、照屋委員及び市瀬委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課
(TEL)03-5253-1111(内線5815)

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