ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会) > 第71回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録




2010年12月28日 第71回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年12月28日(火) 10:00〜12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・求職者支援制度について
・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 委員の皆様お揃いですので、ただいまから、第71回雇用保険部会を開催します。
 本日の出欠状況は、塩野委員がご欠席です。なお、本日は資料の関係で、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐にご出席いただいています。
 議事に移ります。最初に「求職者支援制度について」です。今回は、前回までの議論を踏まえて、私と事務局とで相談して、資料を事務局にご用意いただいています。事務局から資料1についてご説明をいただきます。
○坂井企画課長補佐 初めにお手元の資料の確認をさせていただきます。資料1-1として「求職者支援制度について(案)」、資料1-2として「財源について」、資料1-3として「参考資料」、資料2-1として「雇用保険制度について(報告書案)」、資料2-2として「雇用保険料率関係資料」となっています。お手元にありますでしょうか。
 資料の説明に入らせていただきます。最初に資料1-1です。基本的には前回お示ししたものと同じですが、前回表現が分かりにくいという指摘があったことを踏まえて、3頁になりますが、いちばん下の○の部分について若干修正しています。読ませていただきます。
 「世帯において同時に複数の者が受給することは、世帯の者全てが同時にこの給付を受給し、生活を賄うなど、社会通念上適当とは考えられない場合も生じうること、現行基金事業においても、訓練・生活支援給付の受給は1世帯1人に限られているということとの継続性を考慮し」、ここからですが、「新制度創設時においては、世帯で受給できるのは1人に限定すべきである。その際、訓練受講とそれに伴う生活支援の必要が生ずるのは主たる生計者に限らないことも考慮して、主たる生計者に限らず受給できることとし、また、異なる時期にそれぞれ別の世帯員が受給することも認めることとすべきである。」
 資料1-2についてご説明させていただきます。前回のご議論においてですが、いろいろなご意見をいただいたと思います。求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者が安定的な職業に就けるようにする制度であり、本来は国が全額負担すべきものであるといったご意見。国の財政状況が厳しい中、いわゆるペイアズユーゴー原則が閣議決定をされ、そのルールの下では、求職者支援制度を国が全額負担するための財原確保は困難な状況にあることは理解するものの、3大臣の合意として、求職者支援制度を雇用保険制度の附帯事業として位置づけ、国庫負担を原則2分の1とする旨の方針が示されたことは、求職者支援制度の本来あるべき姿とは異なり、当部会における議論の積み重ねを全く踏まえておらず、極めて遺憾であるというご意見。求職者支援制度の創設自体は、現下の厳しい雇用失業情勢や…。
○清家部会長 読み上げられている部分は、資料にはないのですか。
○坂井企画課長補佐 はい、資料にはございません。ご意見としていただいたものです。
 求職者支援制度の創設自体は、現下の厳しい雇用失業情勢や労働市場の変化を踏まえれば、緊急の課題であるといったご意見を頂いています。
 また、基金の残額はすべて求職者支援制度の財源として活用し、労使の負担の軽減を図るべきであるといったご意見。求職者支援制度の創設は緊急の課題であるので、現実的な緊急対応としてやむを得ず取ることがあっても、財源負担のあり方について全額一般財源で措置することを踏まえ、引き続き検討すべきであるといったご意見。今後社会保障改革とその財源について検討が進められる中で、求職者支援制度及び雇用保険制度に関する国庫による財源確保についても、その確保に向けた必要な検討が行われるべきであるといったご意見をいただいています。
 本日も引き続きご議論いただきたいと思っていますが、前回のご議論も踏まえて、雇用保険制度の中で労使のご負担をいただく附帯事業とすることについて、雇用保険制度の中でどのように考え、雇用保険の中であり得るものとして、納得感が得られるものとして、どのように整理し得るのかという観点から、資料1-2において、雇用保険の附帯事業について、求職者支援制度のメリットについて、現行基金訓練受講者の属性について、最後になりますが、基金訓練による就職者の例について用意させていただいています。
 最初に「雇用保険の附帯事業について」ご説明させていただきます。雇用保険制度は、失業を保険事故とし、その場合に必要な給付を行うこと等により、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進することを主な目的としています。
 附帯事業は、失業保険を事故とする雇用保険制度において、失業を予防し、その減少に資する性格のもの、また、安定した就職を促進し、失業を減少させるものであり、受給者を減らし、被保険者を増加させ、雇用保険財政に資する事業となっています。現行制度は、具体的には、事業主のみに保険料をご負担いただいています雇用安定事業と能力開発事業があります。
 「求職者支援制度のメリット」については、求職者には訓練を受講していただき、技能を身につけていただくことにより、安定した就職につながる。被保険者となった後、失業しにくくなること。また、離職しても能力があるため、再就職しやすくなること。2つ目の○になりますが、使用者が、技能の向上した人材を確保しやすくなること、といった面があり、現行の雇用保険事業の附帯事業の考え方に照らしても、雇用保険の附帯事業としてなじむ面があると考えられるということを整理させていただきました。
 次の頁は、「現行基金訓練受講者の属性」です。前回もお示しさせていただいたものから、若干修正させていただいています。1つ目の○は、訓練申込み時の雇用保険受給状況を見ると、雇用保険の受給終了者、受給資格要件を満たさなかった者は6割を超えています。
 雇用保険の受給終了者の中で、受給終了から1年未満の者は68.1%、1年以上2年未満の者は14.5%となっており、2年までの者で8割を超えている状況です。
 諸外国の例は、資料には記述はありませんが、フランスは、保険料率は賃金の6.4%、ドイツは賃金の3%と、日本の賃金の1.4%に比べて2倍から4倍を超える高い負担になっています。そうした国では、失業給付の最長給付期間は年齢により異なっていますが、2年または3年となっております。仮に日本において雇用保険の受給終了者で基金訓練を受講されている方々が、負担は大きくなっていますが、給付期間が長いこうした国にいらいしたならば、大半の方々が失業保険でカバーされている層に含まれているものと考えられます。
 また、先日の部会でもお示しさせていただいていますが、雇用保険の受給終了者、受給資格要件を満たさなかった者は60.8%、雇用保険の未加入者は39.1%となっております。
 雇用保険の適用については、平成22年の雇用保険法改正において、雇用保険の適用基準を「6か月以上雇用見込み」から「31日以上雇用見込み」に緩和しています。前回も少しご説明させていただきましたが、この職業能力開発局「基金訓練受講者向けアンケート調査」は、平成22年2月時点での調査となっています。この2月時点調査ということで、適用基準の緩和前になっており、今後は雇用保険被保険者であった者が増加し、雇用保険未加入者の割合が減少して、雇用保険の受給終了者、受給資格要件を満たさなかった者等の割合が高まることが見込まれています。
 最後になりますが、「基金訓練による就職者の例」を示させていただいています。求職者支援制度を雇用保険の附帯事業とする場合、保険料を負担いただいている被保険者にとって、求職者支援制度は全く関係のないものではなく、失業給付が切れたり、受けられなかったりした場合の備えになるものであることをより分かりやすくご理解いただくため、実例をお示ししてご説明するものとして作成させていただきました。
 例1は、リストラのあと失業給付を受けて、経験を生かす方向で数10社応募した方ですが、採用には至らず、失業給付も切れてしまったわけですが、基金訓練で職種変更のための技能を身につけることができて、実際に就職に至った例となっています。
 例2の方も同様に、リストラのあと失業給付を受けています。失業給付を受けながら応募を繰り返したわけですが、失業給付が切れそうになってもうまくいかなかったことから、介護分野の訓練を希望されて、基金訓練を受講し、ヘルパーの資格を取得されて、介護業界への就職が実現した例となっています。
 例3は、派遣の方ではありますが、雇用保険の受給者であった方です。派遣で働いて、その後退職、またそのあとに安定した雇用を希望して面接を繰り返されたようですが、うまくいかず、基金訓練でIT分野の技能を修得し、就職につながった例となっています。
 例4の方は、被保険者であったけれども、短期7か月で離職したため受給資格が足りず、自力で仕事を探していたものの、仕事が見つからずということで、ハローワークに来所され、経験がこれまでなかったということですが、建設設計分野のほうへ転職を目指して、基金訓練を受講された例となっています。こちらの方も、最終的には神奈川県内の会社において、給排水設備関係業務に従事されることとなっています。
 例5は、アルバイトをされてきた方です。アルバイトで仕事を続けていたが、安定した職業に就くことを希望して、介護分野での就職を目指して何度も面接を受けたわけですが、無資格・未経験では採用に至らず、訓練を希望されたということです。こちらの方も最終的には、介護福祉サービス科を修了後、ヘルパーの資格を取得。埼玉県内ですが、特別養護老人ホームにおいて介護業務に従事されることになって、就職できた例となっています。
 このように、基金訓練の受講者についてはさまざまですし、今回お示しさせていただいているのは一例ではありますが、雇用保険の受給が終了しても就職できず、職業訓練の受講を通じて、技能を修得し、就職を実現しようとされる方が多くいらっしゃるということです。
 こうした求職者のニーズに応えることは、雇用失業情勢が厳しい現状においては、失業給付が切れたりした場合でも、より安心して就職活動ができるようになることにつながるかと思います。
 また、使用者にとっても、技能の向上した人材を確保する機会の増大につながるとともに、安定した就職によって被保険者となる者が増加することを通じ、雇用保険のセーフティネット機能の充実にもつながり、労使共に一定のメリットがあるものと考えています。以上が資料1-2のご説明となります。
 資料1-3は緊急人材育成支援事業のデータをアップデートしたものとなりますが、説明については省略させていただきます。事務局からの説明は以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明に関しまして、ご意見、ご質問があればお願いします。
○新谷委員 ただいま事務局から資料の説明があって、その中で前回の論議の紹介もしていただいたわけですが、改めて財源問題についての考え方を申し上げたいと思います。
 この求職者支援制度の財源については、国として設けるセーフティネットであるという趣旨から、本来は一般会計で全額負担するという考え方は変わっていません。労使が負担する保険料から充当するという3大臣合意については、我々がこれまで論議していた内容とは相容れないものであることも改めて申し上げたいと思います。
ただし今回の検討にあたっては、まず求職者支援制度を恒久制度として創設することを第一義として考える前提に立てば、苦渋の選択として、雇用保険の附帯事業とすることについて検討することは止むを得ないのかという面もあると考えています。ただ、ただいまの説明にありましたが、仮に雇用保険の附帯事業とするとしても、それは緊急避難としての受け皿として作るものであって、枠組みはあくまでも仮の姿で、かつ当面の措置であろうと思います。それが決して恒久的な措置としての附帯事業ではないという前提に立つものです。そうした立ち位置からいきますと、雇用保険の附帯事業であるという、仮の位置の説明をする際には、雇用保険附帯事業としての正当性を与える説明であってはならないと考えています。
 ただいまの事務局のご説明を伺うと、あたかも求職者支援制度を雇用保険の附帯事業として、永続的に置くことの正当性をずい分おっしゃっておられたような印象ですが、これは申し上げたように、緊急避難として仮に置くのであればという前提での論理の取っかかりであって、それを永続的な事業として置くことの論議にはなじまないのではないかと思います。そういった意味では、求職者支援制度の恒久化という言葉は、財源については、あくまでもテンポラリーな恒久化であるべきであると考えています。将来、安定した財源が確保できた段階で、労働保険特会の雇用保険制度から分離独立した制度として、一般会計の中で全額負担した制度として独立させるという前提で、これは論議するべきであると考えています。そういった意味では、これも3大臣合意の中にありましたが、雇用保険についても、安定した財源を確保した上でという前提で、速やかに原則4分の1に復帰するという考え方と共通するものがあります。そういった意味では、安定した財源を確保した段階で、雇用保険の国庫負担の本則4分の1戻しと同時に、一般財源を前提とした制度に置き換えるべきである、という前提での論議ということで確認したいと思います。事務局の見解があればお伺いします。
○清家部会長 事務局から何か見解はございますか。
○土屋企画課長 私どもとしましても、これまでこの部会では、いまお話がありましたとおり、一般財源をもってこの制度を立てるということでご議論いただいてきたと認識しています。そういった中で、今回3大臣合意という形であのような合意がなされたことに対しては、前回申し上げましたように、私どもとしても大変恐縮な状況であると考えています。そういった流れの中で、いま雇用保険の附帯事業としての位置づけ、ご意見もありましたが、ご議論をいただいている中で、今後のあり方として、一般財源で全額、この制度を見ていくことについては、この場でも引き続きご議論いただき、また、私どもも財務当局との関係で粘り強く交渉していき、安定財源の確保に努めていくことであろうと思いますので、ご理解を賜ればと思っています。よろしくお願いします。
○新谷委員 私がお伺いしたかったのは、一般財源を投入する時期はいつなのかです。これは、雇用保険の国庫負担の本則4分の1復帰については、安定した財源を確保した上で速やかに4分の1に復帰するということで、確か3大臣合意に入っています。では、この求職者支援制度の一般財源を確保するのはいったいいつなのか。それは当然ですが、安定した財源を確保した時期だと考えていますので、雇用保険の国庫負担の本則4分の1戻しと同時期ではないのか、ということの確認をしたいと思います。
○清家部会長 事務局から。
○土屋企画課長 4分の1に関わる安定財源の問題と、こちらの求職者支援制度に関わる安定財源の確保の問題と、それぞれ財源の確保の規模等についても違いがあろうかと思いまして、その意味で必ず同時であるかにおいては、財務とも折衝していくということではないかと思います。また一方で、先日の部会でもご意見が出ていましたように、社会保障改革と税のあり方の改革と、政府部内で議論が進んできますので、そういった節目の中でも、4分の1も含めて、きちんとこの問題を議論をしていくように、我々としても努力をしていくということだと思います。
○新谷委員 努力は当然していただけるとは思いますが、将来の安定財源の確保がされたときに、雇用保険の国庫負担の本則4分の1復帰もそうですが、求職者支援制度の一般財源の確保について何らかの法律的な裏付けが必要ではないか。例えば、雇用保険の国庫負担の本則4分の1復帰ですと、これは去年の部会報告でそれを書いていただいて、雇用保険法の附則第15条という形で法律的な裏付けを設けたと思います。この求職者支援制度について、これから新法を作るにあたって、将来の財源確保について、法的な裏付けをどのように設けていくのかについても併せて論議するべきではないかと思います。
○坪田委員 財務問題については前回申し上げたので、改めて言うことはないと思います。我々は使用者側委員として、全国団体の代表ではありますが、保険料負担者を代表するものではありません。このような理由で、雇用保険の保険料を他の使途に使うことを無責任に認めるとは言えないと思います。それ相応の理由なり、あるいは納得いく理由がない限りは難しいと思います。それだけ申し上げておきます。
○遠藤委員 ただいま両委員の方からご指摘がありましたように、まず資料1-2についてです。冒頭の事務方のご説明の中から言葉をそのまま拾いますと、今回、附帯事業と位置づけることについての納得感を得るための資料として準備されたというご説明があったかと思います。ここに書かれている中身は、そもそもこの求職者支援制度をどう構築するのかといったときに、すでに前提として理解されていた内容であり、改めてここに持ち出されて、これをもって附帯事業と位置づけることについてご理解くださいということでは、とても納得できるものではなく持ち帰る資料として位置づけることもできないと、まず申し上げたいと思います。
 それから、そもそも求職者支援制度は拠出を伴わない制度なので、国民全体で、社会全体で支えていこうというコンセプトの下に作り上げてきたわけですから、やはり保険料を充当することについては慎重な立場に何ら変わりありません。前回も発言しましたし、また、公益の先生方からもご発言があったかと思いますが、制度の重要性は何ら否定するものではありません。したがって、新制度は作っていくが、ただ、この制度をいつ走らせるのかについては、例えば、安定的な財源が確保された段階でスタートするといったこともあるのではないかと改めて申し上げたいと思います。以上です。
○清家部会長 他にご意見はいかがですか。
○新谷委員 いま、坪田委員と遠藤委員からのご発言で思うところですが、保険料を負担している方々は、もちろん事業主も負担していただいていますが、被保険者の数は一般被保険者で約3,700万人おられるわけです。今回の求職者支援制度を考えたときに、前回も申し上げましたが、保険料を負担されている方と受益権者がずれてしまっているという、どうしても保険原理上の矛盾が出てしまうことがあります。この点をどう回避できるのか、本当に知恵を出さなければいけないと思います。その一方で、遠藤委員がおっしゃったように、安定財源を確保したときにこの制度を作ればいいのではないかというご論議も、もちろんあろうかと思います。
 しかし、やはりこの制度については、先のリーマンショックで起こったセーフティネットの問題といった、社会問題化したものに対して手を差しのべるということで、ここまで論議をしてきて、今日、機が熟していることもありますので、財源の問題については工夫が必要かと思いますが、やはり直近の国会で立法府の責任において、これを恒久化法として立ち上げていくことが大事ではないかと思います。その上で、財源としての工夫はどうあるべきなのか、先ほど申し上げたような、保険原理上の矛盾をどう回避するのかといったことで考えていくと、例えば、検討の中で組み込めるかどうかです。今回の、制度の立上げを考えていくときに、求職者支援制度の受給対象者は雇用保険を受給できなかった方ですから、これは制度の論理上、どうしても雇用保険の被保険者とは相容れない立上げになろうかと思います。
 ただ、労使でどう負担できるのか。これは共助の世界で考えていったときに、厚生労働省の事務方の資料を丸々呑むわけではありませんが、やはり雇用保険を受給されていた、それで、給付日数が切れてしまって、やむなく雇用保険からこぼれていった方が6割いることも事実ですので、そこに何らかの工夫ができないかということです。
 そういった意味では、毎月フローという形で流れていく保険料というお金と、一方では、失業等給付の積立金のストックが4兆円近くあるわけです。このストックのお金は、もちろん雇用保険の失業給付が安定的に回るためのお金として積み立てているわけですし、その積立額については、かつて苦渋の選択で給付日数を減らして、保険料を引き上げて積み立ててきたお金です。これは安易に論ずべきではないことは大前提ですが、こうした、フローとストックの性格の違いに鑑みて、ストックのお金の使い方についても論議の中で俎上として載らないのかということを1つ申し上げたいと思います。
 積み上げている失業等給付の積立金については、もちろん失業給付に使う目的で積み立てているお金ですので、安易な目的外流用は行うべきではないと考えていますし、もちろん現実のお金の流れからいっても、多分、巨額のお金ですので、既にこれはファンドとして運用の中に組み込まれていて、運用のメリットも当然発生させています。現実的にお金を取り崩すとか取り崩さないとかいう話ではなくて、これはあくまでも論理の世界の中で、論理の組立てとして、フローとストックのお金の違いに何らかの焦点を当てた論理立てができないのか、ということを論議の俎上の1つとしてご提供申し上げたいと思います。以上です。
○清家部会長 では、他にご意見をどうぞ。
○野川委員 まったく異なる観点から一言申し上げたいのですが。私はここのところお休みをして議論に参加していないので、あまり無責任なことは申し上げられませんが、この議論の内容と資料はサイトで国民一般に公表されるわけですね。いままでの議論を踏まえた私どもにはよくわかるのですが、それを追っている国民一般の立場からすると、資料1-2は「財源について」というタイトルでも、財源という言葉は1つも出てこないし、財源について直接には何も触れていないです。これがいまの議論のわかりにくさを象徴していて、財源についてこういう議論があって、しかし、こういう対応が新たに出てきた。これを説明するのにこの資料が必要だということをつけていただきたいのです。そのことで、これまでの議論がここで少し変わってきたことの意味とか内容がわかるので、その上で、やがてこれが法案等になっていくときには当然パブリックコメントも必要になるでしょうし、一般的な議論の喚起にもなると思うので、そのような点を指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。事務局、何かその点の工夫はありませんか。
○清家部会長 では、企画課長、どうぞ。
○土屋企画課長 いまご指摘の点ですが、私どもは前回の資料を踏まえつつの今回の資料という観点で、今回の資料をご覧いただくと、確かにそこのつながりがわかりにくい形の資料を作ってしまっているかと思います。今後ご議論を深めていただく中で、少し全体を見渡せるような資料を工夫してまいりたいと思います。
○清家部会長 他にご意見はありますか。
○岩村委員 私もあまりよく考えがまとまっていないのですが。いままでの議論の論点は大きくいうと2つあって、1つは、求職者支援制度を雇用保険制度の附帯事業として位置づけられるのかという論点と、それから、恒久化するにあたって、求職者支援制度の財源をどこに求めるのかの論拠というか正当化論、という2つがある気がします。前者については先ほど新谷委員のご指摘もあったのですが、おそらく現行法制上、雇用保険の附帯事業と位置づけることになると、要するに、同じ法律の中に入れるので、多分、目的規定との関係で附帯事業となることを説明せざるを得ないことになります。ですので、やはりそういう意味では、どうしても今日事務局のほうでご用意いただいたペーパーのような形で論理を組み立てないと、これを雇用保険の附帯事業として1つの法律の中に位置づけることはなかなか難しい気がします。そうなると緊急性がなくなってしまうではないかと、確かにご指摘のとおりですが、附帯事業ということの正当化との関係では、そこはうまく表現するのはなかなか困難かという気がします。
 問題は、附帯事業としての正当化の問題と財源構成の問題とがリンクするのかという話です。私もまだ考えをよく詰めていないのですが、当然にはリンクしないのかという気もします。しかし他方で、附帯事業という位置づけをすることによって、ある意味で労使の拠出への道が開かれることも否定できないので、そういう意味では、論理的には両者がリンクするところはある気がします。ただ他方で、財源構成をどうするかは、一応附帯事業であるかどうかとは少し切り離して議論もできる気もします。
 いちばん大きな問題は、先ほど来労使でご指摘になっているように、求職者支援給付が、基本的には雇用保険の被保険者でない人たちということになっていて、したがって、基本的には拠出と給付を受けることとの間のつながりが存在しないか、場合によっては極めて弱いと。というのは、まったくないかというと、そこはちょっと問題で。つまり、今日の資料でもありますように、雇用保険の被保険者であったが、結局は給付を受けられなかったとか、あるいは、給付は受けたが、結局は就職に結びつかなかったという人たちが6割ぐらいいるわけです。そうしますと、拠出とまったく関係がないかというと、必ずしもそうでもないというのが1つあります。確かに非拠出制です。したがって、基本的には保険料負担と給付を受けることとの間のつながりが切れているか、非常に弱いところがあります。
 他方で、社会保険の全般を見ると、保険料負担と給付を受けることについて、ものすごく密接なつながりを持って制度設計しているかというと、実は必ずしもそうではないのですね。例えば年金ですと、障害者の所の年金などを見ると、保険料負担と障害者の年金をもらう所で、そこはそんなにすごく保険料負担とのつながりが維持されているかというと、あまりそうではないですね。例えば医療保険などでも、実は保険料を財源としつつ、これは被保険者になってしまいますが、やはり被保険者の健康増進とか何かのための活動を行うという形で、保険給付でないものをやっているとか。
 それから、健康保険について考えてみると、給付を受ける人たちの中に被扶養者が入っています。そうすると、保険料負担の中に入っていることは入っているのですが、個別的に給付を受ける人との間で保険料負担との連関があるかというと、そこは必ずしもないと。介護保険でも、第2号被保険者の保険料を投入して地域支援事業をやっていたりとかがあります。社会保険なので、何でもかんでもやっていいというわけではないのですが、やはり制度の目的との関係で一定の連携がある事業は、必ずしも拠出要件にこだわらないで給付なりサービスを提供していることは、あることはあります。そういったことを考えると、全体を引っくるめて考えると、労使でご負担いただくというところの説明がつかないことはない気はしますが、何とかその辺で道が開けたらとは思います。なかなか難しいところであろうとは思いますが、労使のほうでも、なおご検討いただければというものです。
 あと、先ほど新谷委員がおっしゃっていた、ストックとフローとの関係ですが。ストックを使う観点はないのかというお話があったのですが、私自身は、積立金は、これまでの事業仕分けにおける議論とかいったものを考えると、やはり慎重に考えたほうがいいと思います。そういう形で、何らかの関係があれば積立金を使うとなると、積立金自体の性格を変えてしまう危険性があって、それは見る人によっては、だったら他のものに使えるではないか、という議論を開きかねないので、そこは慎重に考えたほうがいいかと私は思います。以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。
○坪田委員 岩村先生はいま、労使の負担について、拠出上の意味あいもあるかのようなご発言をされていたのですが、我々国民はそのために税を払っているわけですから、当然その税をまず使うべきであって、雇用問題だからといって何でも労使負担という発想はよくないと思います。
○林委員 いま、育児休業手当が雇用保険本体のほうに入っていまして、それを雇用保険から拠出するとき、受給者は完全なる被保険者ですが、一般財源でやるべきだという大きな議論があって、やはり財源という問題で雇用保険の中に入ったと聞いています。それで、これは常に一般財源でという要求が出てきているのですが、やはり1度入ってから一般財源に持っていくのはなかなか、何割かは別として、全部を一般財源にというのは非常に難しいと。育児休業給付のほうは被保険者ですが、今回の場合は被保険者でない方も受給資格が出ると。ただし、その割合は半分よりずっと低いのがいまの状況ですが、1度入るとなかなか。やはり一般財源でというのは、筋としては通ってもなかなか難しいのがこれまでの経過だと思います。制度設計にあたって、最初はこの現状で苦渋の選択という形になると思いますが、制度発足にあたっては見直し条項とかをしっかり明記しておかないと、この制度が将来にわたって、そういう形で拘束されてしまう懸念を感じます。
○新谷委員 いまお3方の委員からご発言をいただいて、私もそれに関連して申し上げたいと思います。
 林先生から、一旦雇用保険に組み込まれると全額一般財源化はなかなか難しいのではないかというご懸念を表明いただきまして、私もまったくそのとおりだと思います。ですから、冒頭に申し上げたように、今後の財源の検討をするにあたっても、恒久化ではなくて、あくまでもテンポラリーな恒久化として検討する前提であれば、この話に乗れると申し上げたわけで、10年経って、20年経って、30年経っても、このままの姿で残っていることは当然あり得ないという前提で論議をしていきたいと思います。その意味では、林先生もおっしゃっていたように、見直し条項は当然入れるべきだと思います。これは新法ですから、制度のそれぞれ個別の要素についての見直しも当然に必要なのですが、見直し条項は財源のあり方について、つまり、先ほど言った、雇用保険法に今年付けたような附則で、安定財源を確保した上で、どうするべきだという方向性を示すような見直し条項を組み込むべきだと思います。
 それと、申し上げたように、労使の負担はテンポラリーな恒久化の枠組みの中で考える。その中でどうするかは、これは止むを得ず考える必要があると私は考えます。これまで1年間論議をしてきた、第2のセーフティネットとしての求職者支援制度は何としても恒久的な制度として立ち上げることを第一義的に考える必要があるのではないかということです。そのときに、3大臣合意で労使の負担を求められているわけですが、保険制度との不整合の問題等を含めて、その中でどのように問題を回避できるのか、被保険者3,700万人の方々にそれをどのように説明できるのかということで、お互いに知恵を出し合うべきではないかと考えている次第です。
 そういった意味で、先ほどフローとストックの話を申し上げて、岩村先生からもご懸念をいただきましたが、私自身も、積んである4兆円のストックを現実に取り崩すことは想定していません。これはあくまでも論理の世界での組立てとしてです。例えば、ストックはフローがなければ発生しないですから、当然ストックはフローの収支によって影響を受けるわけです。いま積み立ててあるストックは、過去の雇用保険の被保険者の方々の保険料の収支の結果として積み上がっているわけでして、現在払っている被保険者の保険料ばかりではないという着眼点です。かつて被保険者であった方々というのは、まさしく求職者支援法の対象者の方々もその範囲に含まれるわけでして、この方々の中には支給要件に満たずに、掛捨てになった保険料も当然ストックの中に含まれているわけで、現在の雇用保険の被保険者と求職者支援制度は論理的に相交わらないのですが、ストックの部分でいくと交わる部分が結構出てくるという考え方です。
 そういった意味で、今後、論理を整理するにあたっては、基金の取崩しを行うとか、目的外流用をすることは、現実的にはキャッシュフローの問題からいってもデメリットのほうが大きいですから、そこは考えていません。あくまでも論理の整理として、フローとストックの違いに着目をした整理の仕方はできないのかどうか、検討の材料になるのかどうかわかりませんが、一応提起を申し上げておきます。以上です。
○小林委員 皆さんのお話を聞いていて、やはりなかなか難しい問題だと感じています。気持としては、前回の発言と全然変わっていないのですが、求職者支援制度については、経営者団体や労働も含め、政労使で検討するという形になっているので、今後も検討することが必要だと思います。その中で、先ほど岩村先生がご発言されたように、いくつかの論点があるのかと。1つは、雇用保険制度の中での附帯事業という位置づけをどうするかという問題と、今日も説明資料の中で、雇用保険の附帯事業の説明がありますが、現在は雇用保険二事業があるわけです。それとの関係も含めて、求職者支援制度が附帯事業になじむのかどうか、雇用保険制度が大前提にあると思いますが、考える必要があるのかと。その中での、十分に納得できるような説明資料を求めたいというのが1点です。
 それから、附帯する事業という形になれば、当然ながら雇用保険とある程度関係が強いことでもあるので、ある面で財源の問題も見られるのだと思いますが、先ほども申し上げた、雇用保険二事業とも関係があるわけです。雇用保険二事業は現在も雇用安定事業と能力開発事業、いうなれば訓練の事業とか、雇用維持のため、それから、雇用促進につながるような事業に近いことをやっているわけです。これは、財源は事業主が負担するような形で、現在、雇調金によりかなり赤字の状態になっていて、失業等給付の積立金から、つまり労使が折半で出している部分から借り入れているわけです。でも、これは借り入れているのであって、いずれ返さなければならないものです。借り入れる原因になったのは、国庫のほうで補助してくださいと、前の審議会でも申し上げても、直接は出せないということであり、そのかわり失業等給付に一般財源を投入し、そこから借り入れる形になっているように私は記憶しています。そういうのも含めて、財源問題全体のことについても、もう1つ考えるべきかと思います。
 それと、もう1つ加えるのであれば、現在まで求職者支援制度を検討するにあたっては、やはり一般財源という形で考えてきた大前提があるわけです。その大前提で給付金額とか、訓練の対象者をどうするかを考えてきた部分があります。雇用保険制度の中では65歳以上が1つの切れ目でもあり、いままでの求職者支援の基金事業は、その範囲の部分では限定もせずに考えてきており、若干その辺も含め、制度的にも一般財源と雇用保険制度の附帯事業の中でやる新たな事業があるのであれば、その点についてももう1度見直す所がいくつかあるのではないかと思います。以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。
○野川委員 本文ではなく、フットノートのような趣旨ですが、2点ほど申し上げます。
 1つは、この制度がいまご提案のような形で発足することは致し方ないとして、いつか一般財源で対応する方向で、趣旨としては、少なくともそういう方向でいきたいということは、皆さんほぼ一致していると思います。その場合、先ほど新谷委員がおっしゃった、いつ移行するかについての見通しです。例えば、これを雇用保険の国庫負担4分の1に戻すときに、それと同時にというのであれば、いわば定量的な見通しがあるので、ここでそのような確認をして、やがてそういう議論を未来の雇用保険部会で行うことになり得ると思いますが、定性的な、つまり、一般財源の見通しがついたらとなると、その具体的な指標についてまた議論しなければならなくなるので、逆にそれはどこかに明記をする必要が出てくるだろうと。つまり、申し合わせという形ではなくなるのではないかという気がします。だから、その点を少し考えなければいけません。
 第2点は、現在ここに出ている資料では、求職者支援制度の適用対象となる方々の属性の多くは、雇用保険の受給終了者であったり、自営業を廃業するような方、つまり、雇用保険の周辺にいることがほぼ明らかである。つまり、過去に雇用保険を負担していたと、しかし、そこから落ちてしまったというのですね。そういう想定ですが、将来的にこれが恒久的制度になったとき、受給者の属性がそのままでいくかということに少し懸念があります。それはいまの新卒未就職者のような、雇用保険に1度もかすらなかったような、あるいは、かすることができない人たちがどんどん増えてきたときには、やはり雇用保険と求職者支援制度との論理的なつながりの乖離が生じ得ると思います。その点を踏まえた上で、将来どのようにこの財源を恒久的で安定的なものとして構成していくかを検討していかなければいけないと思います。以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。他によろしいですか。
○遠藤委員 聞き違いだったらお詫びさせていただきたいのですが、この枠組みでいくことについて致し方ないと、何ら使側として申し上げた憶えはありません。その点だけ1点申し上げます。
○清家部会長 よろしいですか。それでは、今日は前回に引き続き、労使双方、また、公益委員からも様々なご議論をいただきましたので、この求職者支援制度については本日の議論を踏まえ、今日はまたいろいろな資料の作成等についてのご意見もありましたので、事務局から新たに資料をご用意いただいて、引き続き議論をしていただきたいと思いますが、そのような取扱いでよろしいですか。
○豊島委員 それで結構ですが、個別の問題について、先ほどの説明の中で、1点だけよろしいですか。
○清家部会長 はい、どうぞ。
○豊島委員 資料1-1の3頁のいちばん下の所から始まる、給付要件の関係です。そこで、「同じ世帯で、同じ時期には1人、異なる時期にはそれぞれ別の世帯員が受給することを認めることとすべきである」ということですが、給付は1人、しかし、訓練を受けることは、要件を満たせば2人でも受けられるのかどうか、それだけを教えてください。
○土屋企画課長 いまお話があったとおり、訓練については複数を受けることが可能で、給付については1人と考えています。
○豊島委員 それで、3大臣合意で10万円ということで、それから、通所手当については支給すべきという方向です。複数を受けるときに、せめて世帯のもう1人の方が受けるときの通所手当を支給する工夫はないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○土屋企画課長 ご指摘の点ですが、私どもとしては、やはり本体の給付というか、生活支援のための給付と通所の手当はセットで考えるべきだと思います。
○新谷委員 先ほど清家部会長からまとめていただいた内容で結構なのですが、私も個別の論点で1点申し上げたい点がありますので、申し上げます。
 これは前々から申し上げていた恒久化にあたっての、先ほどの雇用保険の受給資格者と求職者支援制度の受給権者との問題で、いま生活給付の金額が10万円という形で打ち出されてきていますので、雇用保険の失業給付の日額を月額で積算して10万円に満たない方との整合性です。
 これについては、例えば今日いただいた資料1-2の就職者の例もありますが、例えば例2で、7年間勤務をされていた40代の女性の方、この方は雇用保険の失業給付の受給をされていたということですが、たぶん仮に7年間掛けておられますと180日なりの給付日数があるのではないかなと思われます。仮にもう少し年齢の高い方で、もう少し勤続年数の長い方ですと、240日、270日という給付日数があるわけです。仮にその方が日額が低い中で、雇用保険の受給をしてみたら10万円に満たないときに、いまの制度設計ですと雇用保険の受給権を放棄することはできませんので、まず雇用保険を先に受給してからということになりますので、その低い金額で受給を終えてから求職者支援制度を申し込むということになるわけです。これは先ほど財源の論議でもしましたけれども、仮にこれが雇用保険の附帯事業となったときに、雇用保険料を払っていない方は10万円もらえて、雇用保険料を掛けていた方は10万円にも満たないという、制度上の矛盾がどうしても目についてしまうと思っております。
 それで、これも提案ですけれども、雇用保険において、こういう方々に対して選択ができる制度を導入できないのか。要するに、先に求職者支援法を選んでいくという選択ができないのかどうか。もちろんそれは300日なり180日あれば、それを後から追加するということだと、たぶん皆さんのいろいろなご意見が出てくると思うのですけれども、仮に300日なら300日、270日なら270日という給付日数があるのであれば、その日数の範囲内で訓練を受けていただく。その中に3か月の訓練を組み込むのであれば、残余の期間については給付日数を保障するという形での選択をすることによって、雇用保険としての権利の救済を考えたらどうかということも、ぜひ検討していただけないかということで、論点です。以上です。
○岩村委員 いまの新谷委員の4頁の雇用保険の給付との整合性ですが、いまの提案についてはいくつか問題があって、1つは雇用保険の給付については訓練を受けることが要件付けられていない。したがって、その点でたぶん雇用保険の給付と求職者支援の給付というものの性格の違いがそこに現れたのではないかなと思います。そういう観点からすると、逆転現象が生じるというのは好ましくないことは確かですが、それもやむを得ないのではないかなというのが1つです。
 それからもう1つは、選択制というのは、どうしても選択ということ自体を巡ってトラブルが起きやすいですよね。当初選択しなかったけど後になってやっぱりとか、そういう話が出てきて、いくら制度をうまく作っても、たぶん窓口での混乱というのはどうしても避けられないのではないか。それを避けたほうが、ないほうがいいのではないかと思います。
 3番目は、新谷委員の提案のような形で、例えば求職者給付を受けて、更に残っていれば雇用保険の給付の残り部分を受けられるという形にしますと、求職者支援給付そのものが雇用保険の給付の一部ということになってしまいます。そうすると、いま作ろうとしている求職者支援給付の性格そのものが、たぶん変わってしまうというのがもう1つあります。
 最後は、今まで職に就いていた人たちが失業したときに雇用保険の給付をもらうことになっているので、もちろん訓練の必要な人はいるでしょうけど、それはたぶんいまでも公共職業訓練をやってくださいという形の組み合わせができるはずで、逆に求職者支援給付の道を開いてしまうと、必要性のない訓練を受けなくてはいけないという人たちがそこに登場してしまうという、別の問題もあるという気がしますので、そこは慎重に考える必要があるという気がします。
○林委員 この選択制にした場合に、雇用保険でいく場合は再就職手当とかプラスアルファーの面があると思うのですけれども、その辺りの整合性も考えなければいけないというところではないかと思います。
○清家部会長 個別要件等について労働側から意見がありましたが、使用者側から特にございませんか。よろしいですか。
○遠藤委員 本来は、新制度を作ってきて、その財源問題とともに、制度構築をどうするのか、これは同時平行でやってもいい話かと思うのです。しかし、正直申し上げて、財源をどうするのかということがクリアーできない段階において、使側としてなかなか制度の中まで入っていけないという事情もあります。
○清家部会長 では、またその制度の問題等についても引き続きご議論をいただくということでよろしいですか。それでは先ほど申しましたように、本日の議論、制度についてのこともあるのかもしれませんが、踏まえて事務局に資料を用意いただいて、引き続き議論をしてまいりたいと思います。
 それでは、今日はもう1つ議題がありまして、次の議題の雇用保険制度について移らせていただきます。ここで職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐は退席をされますので、よろしくお願いいたします。
○清家部会長 それでは雇用保険制度については、私と事務局とで相談しまして前回の議論を踏まえた資料を事務局に用意いただいておりますので、事務局から資料2について説明をお願いいたします。
○篠崎雇用保険課長補佐 それでは資料No.2-1、2-2を説明させていただきます。
 資料2-1、4頁をお開きください。(3)の平成24年度以降の失業等給付に係る雇用保険料率についてということで、前回は「どのようにすべきであるか」とさせていただきましたが、もう少し議論を深めていただくために資料、それから報告書案ということで用意をさせていただきました。
 先に資料2-2を説明させていただきたいと思います。確認ですが、資料の7頁をお開きください。雇用保険料率の弾力条項についてということで、以前説明させていただきましたが、雇用保険料率につきましては、まず原則というものがありまして、いま失業等給付に係る部分は1,000分の16(労使折半)ということです。これについて枠の中に式がありますが、一定の計算式の下で積立金等を勘案して、この弾力倍率が2を超える場合については、基本となる1,000分の16の料率から引き下げが可能ということで、マイナス4、1,000分の12まで引き下げが可能という仕組みになっています。一方で、積立金の状況を勘案して、弾力倍率というものが1を下回る場合については、保険料率は1,000分の20まで引き上げが可能ということで、1,000分の16からプラマイ4ということで動かすことができるような仕組みになっているところです。これはもう既に議論いただきましたが、平成21年度決算額による弾力倍率が2.65ですので、平成23年度の保険料率は1,000分の12まで引き下げが可能であり、これまでの部会の議論では平成23年度は1,000分の12まで引き下げるべきではないかというところで議論をいただいているところです。
 9頁をご覧ください。これが実際の失業等給付に係る保険料率の推移ということで、基本料率から幅があって決めることができるわけですが、平成17年度、18年度に1.6%とした後は、基本的に弾力倍率の下限である1.2%程度に推移しているというところです。平成24年度以降この基本料率をどうするかということを議論していただきたいと考えているところです。
 資料2-2の1頁です。平成24年度以降の雇用保険料率を考えるに当たり、10月にも財政の試算ということで出させていただきましたが、そのときには平成22年度の予算、平成23年度の概算要求をベースに支出が急増する、例えば3,000億とか6,000億急増するパターンということで試算を出させていただきました。今回は同じく一番左側の雇用情勢の欄、雇用情勢高止まり(ケースA)(ケースB)ということですが、足下の実績等を踏まえた試算を参考として用意させていただいております。
 ケースAの試算につきましては、雇用保険の受給者実人員というものが平成21年度の実績とほぼ同数で推移する場合、具体的には約86万人程度で推移をする場合ということで出しております。それからケースB、これも同じく受給者実人員、高い水準ではありますが、平成22年度の現在までみますと、約73万人程度で推移しているということで、現在の平成22年度の見込みとほぼ同数の約73万人程度で今後推移するという、ケースBを試算で用意させていただきました。また、支出につきましては、当然86万人、73万人をベースに進みますが、平成23年度以降につきましては、雇用保険の制度改正の所要額というものも支出には加えております。これについては具体的には雇用保険の日額の上下限の引き上げをしております。いま議論をしておりますので、平年度ベースで約210億円という支出が出るということで組み込んでおります。
 なお、再就職手当の引き上げにつきましては、再就職手当で支出が出る分がありますが、一方では求職者給付が抑制される部分がありまして、以前も幅のある試算を示させていただきましたので、支出には反映させず日額の上下限の引き上げ、日額関係の引き上げだけを入れています。その他前提条件としては、高めでみるということで、雇用保険の国庫負担については現行の4分の1×0.55の暫定率のまま推移ということで試算をしております。保険料率につきましては、平成23年度は1.2%、平成24年度以降はそれぞれ1.2%のケースと1.0%のケースということで、全部で4パターン試算をしております。総括表で説明させていただきますと、積立金残高(平成27年度末)につきましては、ケースAの場合で約4.4兆円、ケースA-2の場合でも3.1兆円、それから受給者実人員が73万人で推移した場合のケースBでは、1.2%の保険料率の場合は積立金残高が4.9兆円、それから1.0%にした場合は約3.6兆円ということになっております。
 具体的に2頁をご覧ください。受給者実人員86万人で推移した場合ということで、まず1.2%の保険料率にした場合です。平成23年度以降は約800億円程度の単年度赤字になりますが、この場合でも積立金残高は、一番右に○で囲んでありますが、4兆3,792億円です。また、いま雇用保険二事業に積立金から貸し出すという仕組みがありますが、これはいずれ返還していただくものですので、こういったものの返還後ということでみますと、4兆8,692億円という括弧書きの金額になるという試算です。また、3頁のケースA-2、これは同じく86万人で受給者実人員が推移するということですが、雇用保険料率を平成24年度以降、仮に1.0%にした場合ということです。一番右ですが、積立金残高は3.1兆円、積立金の貸し出し返還後で約3.6兆円となっています。
 4頁をお開きください。受給者実人員73万人で推移した場合で、料率については1.2%で推移としております。これはほぼ平成24年度以降も収支均衡で、この結果、積立金残高は貸し出し返還前で4兆8,687億円、返還後で5兆3,587億円となっております。
 5頁がケースB-2、同じく73万人で推移ということで、平成24年度以降1,000分の10まで引き下げた場合です。この場合、平成24年度以降単年度赤字が生じます。平成27年度も差引剰余△、約3,000億円程度が続きますが、この場合であっても、積立金残高は3兆5,896億円、貸出金の返還後の積立金残高は約4兆円ということです。
 このような財政試算を参考として用意させていただきました。こういったことを踏まえて報告書案を記載しています。
 資料2-1の4頁です。2(3)の1つ目の○では、失業等給付に係る雇用保険料率のこれまでの状況ということです。平成15年には積立金が枯渇しかねない状況の中で、雇用保険制度の安定的運営を確保するために、5年程度の収支を見通した上で、実際は平成15年改正により、1,000分の12から制度創設以来最も高い水準である1,000分の16へ雇用保険料率を引き上げたということを書かせていただいています。「しかしながら」以下がその後の保険料率の推移、先ほど見ていただいたものですが、平成19年度以降は弾力条項の適用により引下げの下限である1,000分の12となっていると記載させていただきました。
 ○の2つ目です。「このような状況を踏まえ」ということで、基本となる失業等給付に係る雇用保険料率を引き下げることが適当である、ということで提示させていただきました。「その際」以下は、引き下げる際の考慮事項です。1つ目は、これまでも議論がありましたが、失業等給付は景気動向によって大きく変動するものであるということで、過去においても約4兆円あった積立金が急速に減少したことがあるということを踏まえる必要があること。2つ目としては、今回議論いただくのは基本となる料率ですが、雇用保険制度においては弾力条項の適用というものがありますので、積立金の状況等により雇用保険料率はプラスマイナス1,000分の4の範囲で変更することが可能であることといったことを考慮する必要があると考えております。この2つのこと等を考慮して、少なくとも今後5年間程度は雇用保険制度の安定的運営が図られる水準として、基本となる失業等給付に係る雇用保険料率を平成24年度以降1,000分の14に引き下げるべきであると記載させていただきました。
 ○の3つ目です。これは基本となる料率ですので、この場合、平成24年度以降の失業等給付に係る雇用保険料率は、積立金や雇用失業情勢等の状況により、労働政策審議会の意見を聴いた上で、1,000分の10まで引き下げることが可能となると記載しています。あくまでも基本となる料率の後は引下げが可能ということですので、そのときの積立金や雇用失業情勢等の情勢により、やはり労働政策審議会の意見をお聴きした上で実際には引下げを決める。また引下げ幅というものも、1,000分の4の範囲内で労政審の意見を聴いて決めることになるということで、もし下げた場合はこのような仕組みになるということで記載しています。
 報告書案の修正点は以上です。
○清家部会長 はい、ありがとうございました。それでは雇用保険制度についてのただいまの事務局からの説明につきまして、何かご意見ございますでしょうか。
○小林委員 前回の部会で引下げをご検討くださいということで、関係する資料等の提出もいただき、ご説明いただきありがとうございます。基本料率についての話ですので、いま現在、下限の料率という形で弾力条項を使って下げている状況が続いているわけでもありますので、ぜひとも引下げの方向でご検討いただきたいと思います。
○清家部会長 他にご意見はいかがでしょうか。
○新谷委員 弾力条項の適用については、前回も申し上げたようにぜひ弾力条項の適用をお願いしたいと思っております。ただ、基本料率について今回ご提起いただいたわけですけれども、これについては完全失業率がまだ5%台で動いているような状況の中で、これは高止まりといってもいいと思います。こういった厳しい雇用情勢が続く中で、なぜいま基本料率の引下げ論議が出てくるのかということについて、もう少し論議がいるのではないかと思っております。
 今回シミュレーションがいくつか示されて、収支が将来に向かってこうなるというのを示されておりますけども、そこにおける支出の前提は、現行の制度、つまり平成12年と15年に給付日数と給付率を引き下げた縮小均衡での内容になっていると思っております。これは考え方としては縮小均衡で料率を下げていくという道を取るのか、やはりセーフティネットの充実を図るということで現行の中で工夫をするのかといった論議になるのではないかと思っております。それが今回は基本料率の引下げという提案になったわけですけど、これだけ潤沢に運営ができるのであれば、それは給付の引き上げという検討も俎上に上っていいのではないかということです。先ほどの求職者支援制度の資料の中でも、対象者の属性の中で、給付日数が切れてから1年以内の方が60数パーセントおられて、これがもう少し給付日数が延びておれば、第1のセーフティネットでカバーできているのではないかということも当然いえるわけで、そういった意味での給付の見直しも論点にするべきではないかということが1つです。
もう1つは、今回賃金日額の下限と上限を引き上げるということで提起をいただいています。仮に引き上げた後の金額ですが、今回いただいている資料ですと、45歳以上60歳未満の最高額で15,730円ということになっていますので、これを月額換算しますと471,900円という報酬が算定されるわけです。ご承知のとおり、雇用保険の賦課のベースになります報酬は、これは他の社会保険と違って天井がありません。他の社会保険ですと標準報酬月額ということで、例えば厚生年金ですと月額報酬62万円という天井があって、それ以上の金額は賦課の対象にならないということですが、この雇用保険の場合は天井がありませんので、全てに率を掛けて保険料を算出するということになっております。ところが、実際に失業したリスクの際にもらえる給付の金額は、給付率がかかって、かつ上限額がかかっているということですので、こういうことになってくるわけです。
 平成15年の改正のときに給付率を60%から50%に引き下げておりますので、こういった観点からも、縮小均衡ではなくて現行の保険料の中で給付を引き上げるという検討も、当然論議の俎上に載せるべきではないかということを改めて提起をしておきたいと思います。もちろん我々にとっては、いまこういう厳しい状況でありますから、可処分所得の改正につながるということは、確かに保険料を引き下げればそういうことになるのですが、これはぜひ慎重に、本来あるべきセーフティネットのあり方というのをこの部会の中でもう少し論議をしていってはどうかと思うところです。以上です。
○清家部会長 他にはご意見いかがでしょうか。
○遠藤委員 雇用保険制度の改正に関わる件につきましては、いくつかの見解の相違があるものの、おおよそ私どもとしてはこの内容で整理されつつあるのかなと考えております。確かに課題という形でいくつか整理されたものがありますので、それは継続して検討していく中で考えさせていただきたいというのが1点目です。それから2点目として、今回保険料率の引下げについてこのような書き込みをしていただき、これにつきましてはここに書かれているとおり、向こう5年間がいいのかどうかは別として、安定的な運営が図られることをもう少し確認をしながら、可能であれば引下げを図っていくことでお願いできればと考えております。以上です。
○清家部会長 他によろしいですか。それでは雇用保険制度については、もちろんこれから引き続き検討すべき課題があるわけですけれども、議論が一定の方向に収れんしているように考えますので、当部会としてのとりまとめについては、求職者支援制度と併せて年明け以降に行いたいと思いますが、そのようなことでよろしいでしょうか。
                 (委員了承)
○清家部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それでは以上をもちまして、本日は終了といたします。本日の署名委員は、雇用主代表 藤原委員、労働者代表 新谷委員にお願いします。委員の皆さまにはお忙しい中、また年末にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございました。次回の日程につきましては、事務局において改めて各委員にご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会) > 第71回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

ページの先頭へ戻る