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2010年12月22日 第70回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年12月22日(水) 10:30~12:30


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・求職者支援制度について
・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 ただいまから、第70回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開会いたします。本日の出欠状況ですが、野川委員、塩野委員、藤原委員、栗田委員、古川委員が欠席と伺っています。本日は資料の関係で、職業安定局総務課首席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐に出席いただいています。よろしくお願いします。まず事務局より発言があるようですので、山田次長よりお願いします。
○山田次長 安定局の次長です。本部会でも議論をいただいています求職者支援制度に係る財源の確保の問題、それから雇用保険の国庫負担の本則復帰の問題は財政当局と鋭意折衝を続けてきたところですが、先般17日、報道でも出されていますが、国家戦略担当大臣・財務大臣・厚生労働大臣と最終的な折衝を行いました。お手元の資料1-2のいちばん最後の右肩に「合意」という形で出ております。こういう内容で、ぎりぎりの決断として合意ということになった次第でして、この内容について報告をさせていただきます。詳しくは後ほど説明をいたしますが、粗々申し上げます。
 「求職者支援制度については所要の法律案を次期通常国会に提出」するということで、(1)求職者支援制度は雇用保険制度の附帯事業として、(3)国が2分の1を負担する制度として創設をするということ、それから(5)にあるように、現在は基金でやっている緊急人材育成支援事業、もしこの基金の残額が生じた場合には、その残額も求職者支援制度の財源として活用するということ、こういった方針で所要額を平成23年度予算に計上するというものです。それから次の頁の2.のところですが、雇用保険の国庫負担の本則復帰については、平成23年度においては実施しないが、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するというものです。
 どちらも非常に厳しい結果となっていますが、なにとぞご理解を賜りたいというふうに存じます。なお、財源の問題については、今回は報告書案とは別に論点として出していますので、これも含めて忌憚のない議論をいただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
○清家部会長 それでは、いま次長が説明した内容は、これから議論する求職者支援制度、それから雇用保険制度、それぞれの内容に関わることですので、これからそれぞれ議論していきます。その中で是非いまの次長の説明に関連してもご質問、ご意見等いただければと思いますので、そのようにさせていただきますが、よろしいでしょうか。
                  (了承)
○清家部会長 では、そのようにさせていただきます。それでは、議事に移ります。最初に求職者支援制度についてです。今回は前回までの議論を踏まえて、私と事務局とで相談して資料を事務局に用意していただいています。それでは事務局から資料1について説明していただきます。
○坂井派遣・有期労働対策部企画課長補佐 最初に資料の確認をお願いします。資料1-1「求職者支援制度について(案)」、資料1-2「財源について」、資料1-3は求職者支援制度の「参考資料」、2-1「雇用保険制度について(報告書案)」、お手元にありますでしょうか。それでは説明に入ります。
 今回の求職者支援制度の資料は1-1から1-3にありますが、最初に資料1-2の大臣合意についてから説明いたします。資料1-2の4頁を開いてください。先ほど次長のほうからも簡単に説明しましたが、12月17日に国家戦略担当大臣・財務大臣・厚生労働大臣による折衝を行いまして、ぎりぎりの選択として「平成23年度予算における求職者支援制度及び雇用保険国庫負担の本則復帰の取扱いについて」という3大臣合意がなされました。求職者支援制度に関する部分についてですが、こちらの合意文書を読ませていただきます。
 1.求職者支援制度については以下の方針に沿って、所要額を平成23年度予算に計上するとともに、所要の法律案を次期通常国会に提出する。(1)求職者支援制度は雇用保険制度の附帯事業として位置づける。(2)生活給付の額については、現行の緊急人材育成支援事業との継続性や現下の厳しい雇用失業情勢も踏まえ、制度創設時においては月10万円とする。(3)国庫負担は、生活給付については、給付額の2分の1とする。職業訓練については、生活給付に係る負担割合との均衡を失しないよう配慮するものとする。(4)求職者支援制度に係る国庫負担については、失業等給付に係る国庫負担の暫定措置を適用する。(5)なお、仮に、緊急人材育成支援事業の終了後において、緊急人材育成・就職支援基金に残額(当該事業の実施のためのものに限る)が生じた場合には、求職者支援制度が、実質的に当該事業を恒久化するものであることに鑑み、当該残額を求職者支援制度の財源として活用する。
 こちらを踏まえて、財源に代わる論点として今日提示させていただくものが、資料1-2の1頁の部分です。「財源について」です。こちらの右上にあるように、3大臣合意を受けて事務局がたたき台として整理した資料です。求職者支援制度については、雇用保険を受給できない求職者が安定的な職業に就けるよう、国が相当の負担をしてしかるべきである。同時に、安定的な雇用の実現やそれを通じた企業の活力の維持・向上は、労働者及び使用者全体に関わる課題であることから、求職者支援制度について労使が果たすべき役割について、ご議論いただきたい。基金事業の実施状況(事業の対象者の半数以上は雇用保険の被保険者であった者であって、自営廃業者等これまで雇用関係になかった者は1割弱に過ぎない)を踏まえ、国による負担を主軸としつつ、労使の共助の観点も取り入れた制度とすることについて、早急に制度を創設する現実的な選択肢として、ご議論いただきたい。以上の点に鑑み、求職者支援制度は、国に相当の一般財源の拠出を求めることを大前提とした雇用保険の附帯事業として位置づけ、国庫負担割合は制度の趣旨・目的に鑑み、少なくとも半分は国の負担とし、国庫が2分の1、労使がそれぞれ4分の1ずつを負担することを原則とすることについて、ご議論いただきたい。雇用保険の附帯事業として位置づけられる求職者支援制度についても、当面、雇用保険の国庫負担の暫定措置が適用されることはやむを得ないが、できるだけ速やかに暫定措置の廃止を行うこととしたい。求職者支援制度は、基金事業を恒久化するものであることに鑑み、基金事業の終了後において、基金の残額は、求職者支援制度の財源として活用することとしたい。
 3つ目の○のところですが、括弧にあったように、「事業の対象者の半数以上は雇用保険の被保険者であった者であって」と説明していますので、そのことを説明する資料を次の頁で簡単にまとめてあります。こちらは、現行基金事業における訓練受講者の属性です。資料の出所ですが、職業能力開発局のほうで4月に取りまとめられた「基金訓練受講者向けアンケート調査」です。4月に取りまとめていますが、2月時点の調査です。「訓練申込時の雇用保険受給状況について」ということで、雇用保険の受給資格要件を満たさなかった者や受給終了者であった方は60.8%いらっしゃいました。雇用保険未加入者の方ですが、例えば週所定労働時間20時間未満の者であったり、先ほど申し上げたように2月時点の調査ですので、当時は雇用保険の適用とならなかった雇用見込みが6カ月未満の者もこちらに含まれています。その方は39.1%でした。この39.1%を100%とした場合、下に小さくありますが、うち、離職理由が自営廃業、就業経験なしの者は18.4%いらっしゃいます。括弧内ですが、訓練申込時の雇用保険受給状況について全体で見た場合に、この離職理由が自営廃業、就業経験なしの者は7.2%です。
 次の頁です。今回、雇用保険の附帯事業として求職者支援制度を位置づけることを提案していますが、下にあるように、これまで失業等給付、二事業とあったところに、求職者支援事業を加えています。具体的には求職者支援法に基づく訓練受講者に対する給付であったり、訓練実施機関への奨励金といったものがこの中に含まれるということです。
 これらの点を踏まえて、資料1-1「求職者支援制度について(案)」ですが、何点か修正をさせていただいています。修正部分には全て下線を引いていますが、1つ目は3頁、(2)「給付要件について」のところで1点あります。いちばん下の○で、世帯において同時に複数の者が受給することは、世帯の者全てが同時にこの給付を受給し、生活を賄うなど、社会通念上適当とは考えられない場合も生じうること、現行基金事業においても、訓練・生活支援給付の受給は1世帯1人に限られているということとの継続性を考慮し、新制度創設時においては世帯で同時に受給できるのは1人に限定し、どの1人とするかについては、世帯の選択に任せることとすべきである。
 次の修正点ですが、(3)「給付額・種類について」のところで2つ目の○です。具体的な水準については、現行の緊急人材育成支援事業においては、一律月10万円(世帯の場合12万円)とされていることとの継続性を考慮し、制度創設時においては、生活を支援する給付として現行と同様の水準である月10万円とすべきである。
 最後の修正点は6頁です。こちらは「その他」のうちの1つです。事業規模については、制度創設時については、基金事業における事業実績を踏まえたものとするとともに、制度創設後においては、雇用保険を受給できない求職者に対するセーフティネットとして、雇用情勢や施行状況を踏まえて、適正なものとなるようにすべきである。資料1-3に参考資料がありますが、現行の基金事業の最新のデータとなっていますので、説明については省略させていただきます。求職者支援制度について、事務局からの説明は以上となります。
○清家部会長 ただいまの事務局からのご説明、先ほどの山田次長のご説明も含めまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
○坪田委員 財源の話がありましたが、昨日の新成長戦略実現会議でも、日本商工会議所の岡村会頭からも申し上げておりますが、求職者支援制度というのは雇用保険の受給資格のない求職者を対象としていることから、労使が拠出する雇用保険制度ではなく、一般財源で別制度として実施すべきであると重ねて申し上げたいと思います。そうでなければ、負担と給付で成り立つ保険制度そのものの意味がどこにあるのかということになると思います。それ以前に、まだこの部会で検討中にもかかわらず大臣合意がなされてしまうということは、この部会の存在意義とは一体どういうものなのかと疑問に思います。もうこれからの審議に応ずるような気持にはなれないという気持です。以上です。
○新谷委員 まず、財源論について申し上げます。いま坪田委員からご発言がございましたけれども、労働側も全く同じ気持でございます。これまで審議会の中で、第二のセーフティネットとしての制度の創設に当たっては、その財源については国の責任として全額一般財源で対応するべきというのが、労使ともに、繰り返し申し上げてきた内容でございます。12月17日の3大臣合意という形で今日ご説明いただいた内容が出てまいりましたことに対しては、極めて遺憾でございます。もちろん細川大臣が担当官庁の大臣として、1,500億円の財源を取るということで臨んでいただいたことは承知はしておりますけれども、ただ、結果的にはこういう形で、保険料の負担を労使に求めるということになりましたことについては、折角この1年かけて労働政策審議会のこの部会で審議してきた内容と、全く違う内容が別のところで決まって、それを審議しろということについては、ILOの三者構成主義の原則から言いましても、審議会軽視と言わざるを得ないと思っております。労働政策の意思決定に当たっては、この公労使、政労使三者構成の審議会の意思を尊重するべきであることを改めて申し上げておきたいと思います。
 もう1つ関連して、そういう形で出てきたこの事務局で作っていただいた資料は、3大臣合意を叩き台にすればこういうことだということで、1頁から出てきております。中でも、3頁のこの絵を拝見しまして、これは感想めいたことになりますが、雇用保険の附帯事業として位置づけ、失業等給付と雇用保険二事業に続く求職者支援事業ということで、まさしく雇用保険の事業としてこれを組み込むという絵が出てきているわけです。労使に負担を求めるということであれば、こんな絵になるのかもしれません。10月の労働保険特会の事業仕分けにおいても、労働保険についていろいろと論議があったところですので、雇用保険に附帯事業という形で新たな事業がぽんと入ってくるということについては、ほかに適当な表現はございませんので、あんまり上品な表現ではございませんが、何か「焼け太り」といった観も否めないところです。ですから、求職者支援制度の財源として労使の保険料の負担も求めることについては、直ちにそれを認めるということにはならないのではないかと申し上げておきたいと思います。以上です。
○遠藤委員 いま両委員のほうからお話がございましたように、私どもも全く同じ思いであります。この制度を1年以上議論してきた中身というのは、やはり国民全体で支えていくという共通のコンセプトがある中でどういう制度を構築するのかということであり、いろいろご発言を申し上げてきた経緯も当然あるわけでございます。そういった中で、今回の大臣合意につきましては、大きく2つの点を申し上げたいと思います。
 まず、これもご指摘がありましたが、やはり枠組み決定のプロセスがどうなのかということです。次に2つ目として、特に内容面ですけれども、制度の位置づけが変わってしまったのだということであります。事務方からご説明がございましたが、やはりいまの説明をもって直ちに納得できる状況にないことを申し上げておきたいと思います。以上です。
○清家部会長 ほかにいかがでしょう。
○豊島委員 そもそも3大臣合意ということがこういうふうに報告をされたわけですけれども、いま新谷委員がおっしゃったように、厚労大臣はこの部会での議論を踏まえて対応されたのだとは思います。しかし、その3大臣、全部が意見が違うのかどうなのかわかりませんが、7月の選挙で、政権与党としてマニフェストに「2010年度中に求職者支援制度を法制化する」と掲げたのは、政権として国の責任でこの制度を作るということであって、いまそれぞれがおっしゃったように、この雇用保険財政の中から出すということではなかったと理解しておりますし、そういう決意を国民の皆様に訴えて、選挙に臨んだのではないかと思うわけです。そのことはどうなのかという思いが1つ、感想のような話ですがございます。
 それから、この3大臣合意を受けて事務局が叩き台として整理した資料ということで、ここに6件ありますが、このメモだけを見ると、いまそれぞれがおっしゃった1年間の、いままでの議論経過が全くないものになってしまうのですね。少なくとも1番目の○で言えば、国が負担をしてしかるべきであると。一般会計からという議論をしてきたわけです。そういう立場で労使が果たすべき役割として、この部会でそれをいちばん良いものにするために皆さんが時間と知恵を出し合って議論してきたのだと思います。
 3番目の○は、これは文章としてどうかと思いますのは、「事業の対象者の半数以上は雇用保険の被保険者であった者であって」に続くとしたら、「そうでない者は」と。そうでない人は何パーセントと普通続くのだと思うのですが、いきなり違う概念の「自営廃業者等これまで雇用関係になかった者」というふうに続くというのは、どうもこの文章も、確かに3大臣合意があったからこういう文章になるのかもしれませんが、これまでの議論経過を踏まえたものとして議論をしない限り、この場では議論できないのではないでしょうか。少なくとも、これまでの議論経過があります。その議論経過は、一般会計で国がしっかり責任を持って見るべきである。そういう立場で取り組んで、これまで議論を進めてきました。
 しかし、3大臣合意はそれに反して、こことは無関係なところで、議論経過中に決められた。まず、その評価があってしかるべきでありまして、その評価があった上で、ではそれをどう受けとめるのかと。では、これはなしだというふうにするのか、あるいはその中でどうしようかというふうに考えるのかという順番があるわけであります。それは冒頭、坪田委員がおっしゃったように、これが出されたら、もうこの場で、このまま帰りたいという気持が起きてくるようなものでございます。少しお尻が5ミリぐらい浮きながら、いまお話をさせていただいておりますが、そういうのが1つです。
 それから雇用保険は、私は保険だと思っております。保険というと、加入者が何か事故があるときに受給する権利がある。それが、そうではない人に出すということについて、雇用保険に加入されている皆さんがお認めになるのでしょうかという思いです。もちろん国会というのは代議制で、国民を代表して議論されて、最終的には決まるのかもしれませんが、労働組合の場合は最終的に1票投票なんてやることがありますが、そういうことをしたときに、これが賛成多数で認められるか。私は、労働組合の立場でこれを提案するような自信はまずございません。ですから、そういった雇用保険というものの私の受けとめ方が間違っていれば教えていただきたい、ご指摘いただきたいのです。
 それといまの財源の問題がどう整合するのかということについても、やはり違和感を感じます。率直に言って、この1年間は何だったのだろうか。1回登り、2回登り、3回登って、4回ぐらい、5回登っていよいよ予算編成というところで、いきなり梯子を外されて、いまはやっと屋根にぶら下がっているような状況かなというような気持でございます。まとまりませんけれども、これはやはりまだ22日でございますし、ここで、わかりましたとはとても言えないと申し上げたいと思います。
○清家部会長 わかりました。ほかにご意見はございますか。
○小林委員 大体皆さんが言い尽くしていることと、私も同感でございます。従来から雇用保険部会においては、雇用保険制度とは独立した形の制度として、かつ一般財源を前提とした制度として検討してきたところでございまして、労使ともに再三にわたって、一般財源での予算確保をお願いしたところでございます。
 ところが、雇用保険制度の附帯事業という位置づけで、さらに給付金額まで10万円という形で決定するかのような、3大臣合意の報告であります。大変遺憾に感じているところでございます。
 いま豊島委員からもお話がありましたけれども、もう1つ感ずるところは、この雇用保険という制度、従来から原則として従業員を雇用すべき事業者が適用事業所となって、さらに、その労働者が被保険者となって支えている制度であります。失業給付というような形でお金の出る保険制度として、国・事業主それから労働者がそれぞれ責任を持って負担する、そして、さらに国が責任を持って運営する保険制度です。
 ところが、この求職者支援制度というのは、先ほどの話もあったように、保険料を払ってない方もいらっしゃるという中で、そもそもの附帯する事業というような形になると、この保険制度という根幹から若干ずれるような形になる。附帯する事業としてつけ加えるのであれば、そもそもの雇用保険の原理原則とは何なのだから議論を始めたいところもございます。ですから、この求職者支援制度を議論するということであれば、一からやり直しかなというのが実感でございます。
○亀崎委員 私自身も、労使ともに同じ意見でありまして、やはりILOのほうからも言われている三者構成でずっと議論してきた中身が、ではいままで何だったのかなというふうになるわけであります。したがって、これは大変遺憾であるということで、全体というか、我々労側も本当に強くこれについては納得できないということを申し添えます。
○坪田委員 国民の税であれば、政権与党の税のPTで提案して、政府の税制調査会で数カ月かけて議論した上で、税制改正は決められています。しかし、これは税でない。保険制度の中で新たな使途に使うということを勝手に決めてしまうというのは、行政としても問題があるのではないかと、私は思います。こんなことを言えば、いくらでも行政の裁量でもって国民に新たな負担をさせることが、税を通じないでできてしまい、これは非常に危険なことだと思います。
○清家部会長 ほかにいかがでしょうか。
○岩村委員 労使の皆さんがおっしゃることには、私も共感するところが多いということは確かです。ただ、なかなか難しいのは、1つは私自身もほかの社会保障関係で医療保険部会、介護保険部会等に関わらせていただいておりますが、結局、今年度予算の場合は、6月に閣議決定でペイ・アズ・ユー・ゴー原則が定められてしまって、その結果として予算の新規獲得が非常にタイトになってしまったというのがどうしてもあります。
 特に、この求職者支援については閣議決定で言うと、新規の財源を要する施策になるので、したがって、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を適用すると、どこかから安定財源を見つけてこない限りは、結局予算に乗せられないという状況に追い込まれてしまっているというのが1つどうしてもあると思います。
 これは、私自身はやはりもとを正すと、政治主導という中で、鳩山内閣のときだと思いますが、全体の財源をどうするかという、いろいろな施策の全体の財源をどうするかという確かな見込みのないままに、性急に社会保障関係では施策を展開してしまったことのツケが、いまやろうとしている新しいところに全部回っているという状況だろうと思います。その中の1つが、この求職者支援の制度なのかという気がします。そういう意味では、そのツケを労使の方々に回すのかというのは、お怒りはもっともかという気はいたします。
 そういう意味で、制度設計を広域から具体的に考えてくる中で、特に予算編成の過程に入ったときに、政策・制度の選択の幅が極めて制約されてしまっているというのがどうしてもあるのではないかというように思います。
 私も、もちろん労政審での議論ということは是非尊重してもらいたいと思います。特に、今回3大臣の合意という形で、ある意味で労政審の議論を飛び超える形で合意がなされてしまったことについてはやはり遺憾だとは思いますが、他方で来年度予算の編成がもうぎりぎりのところにきている段階では、主務大臣である細川大臣も非常に苦労されたとは思います。そういう意味では、ちょっとやむを得ないぎりぎりの選択だったのではないかと思います。
 確かに、この求職者支援の制度と支援制度の給付というのは非拠出制のもので、そういう意味では保険原理には乗らないというところがあって、雇用保険の給付本体に制度を乗っけてしまうというのは、これはやはり問題だと思います。
 ただ、今回の案というのは、雇用保険の給付本体ではなく、雇用保険の本体とは別の附帯事業という形で位置づけているので、制度の整合性をぎりぎり崩さないところで留まっているかなというように考えていいのではないかというふうには思います。ただ、他方で気になるのは、今後の問題としては、雇用保険の本体に付随する事業ということで附帯事業になってしまっているので、二事業と同じような位置づけになって、そういう意味では、今後また何かにつけ予算編成の場でいろいろ問題にされる余地というのが出てくる可能性はあるだろうという気がします。そこが1つ気にかかるところです。
 もう1つ、労使の拠出がそれぞれ4分の1で、それから公費が2分の1というのが、今回の3大臣の合意であります。これが含意していることも、やはり考えておく必要はあるのかなという気がします。というのは、私もその非拠出制であることを考えると、公費100%というのは、そのほうができるものならば望ましいかなと思っていますが、他方で公費100%にするときの問題点というのも若干懸念されるわけです。そうすると、実はたぶん生活保護のほうにかなり強く引きずられるのではないかと思っております。そうすると、生活保護のようなかなり強いミーンズテストというようなものの方向にむしろ近づいていってしまって、第二のセーフティネットとして求職者の支援制度を作るメリットが減殺されることになりはしないかということが若干懸念はされます。そうすると、公費負担を100%にするのが本当に適切なのかどうかというのは、制度設計の観点からちょっと距離を置いて、少し慎重に考えたほうがいいかもしれないというようには思います。
 いずれにしても、これからまだ議論をするということだと思いますので、この点については少し労使の側でも。労使の負担を求めることについては、いままでの労政審での議論、ここでの議論の経緯と、それから、議論の前提となっていた公費100%というものが崩れることに伴ういろいろな問題があるというご指摘はそのとおりなのですが、他方で、もうこの段階にきたときに、では求職者の支援制度を見送るという選択をすることが適切かどうか、あるいは公費100%にすると、たぶん制度規模が2分の1になるということなので、それが適切なのかというようなことと、あとは、いま私のほうで少し申し上げたこともご考慮いただいて、少しご検討をお願いできればというように思いますので、是非よろしくお願いをできればと思います。
○新谷委員 いま岩村委員からご発言があって、なるほどと思うところもございます。いま労使ともに意見を申し上げて、使側は少し違うかもしれませんけれども、労使ともにたぶん共通しているのは、これまでの論議と違う内容で3大臣合意が出てきて非常に驚いている。その驚きとともに怒りも当然あるわけでございまして、その振り上げた拳をどうしたらいいのだろうということだと思います。
 それで、いま岩村委員からもご発言がありまして、ではこの制度をどう扱うのだというところを1年検討してきて、財源の問題が審議会の議論とは違う形で出てきたから、ではもう完全にリセットなのかというと、それはそうではないと私どもは思っております。
 やはり現行の基金事業が昨年から第二のセーフティネットとして作られておりまして、10万人を超える方がこれを活用されて、さらにそのうちの約6割の方がまた労働市場に戻っていかれたという実績もございます。やはり、この第二のセーフティネットとしての求職者支援制度はそれなりの政策効果を上げて、これは恒久的に立法化するべきではないかと考えております。そういった意味では、財源の問題はこれから論議をする必要がございますけれども、2011年度中にこれは新法として法制化するべきであるというふうには思っております。
 その財源の問題で、いま岩村委員のほうからペイ・アズ・ユー・ゴー原則の話がございました。これも私なりに思うところを申し上げます。いまの民主党政権は昨年から政権を引き継いだわけですが、その前政権、自公政権から巨額の財政赤字の国家財政を引き継いで、いま政権を担っていただいているわけです。ただ、今年の7月に行われた選挙におけるマニフェストは、これは政権与党として出されたマニフェストですし、しかもそのペイ・アズ・ユー・ゴー原則を確認した後に出されたマニフェストですので、そういった財政逼迫の中でも国の責任として、これはマニフェストの中で2011年度中に法制化するということを世論に訴えたわけですから、そういうことも含めての決意を国民・世論に問うたわけですから、そこはそれなりの責任があるというふうに、あえて申し上げておく必要があると思います。ただ、そうは言いながらも、国の財政が逼迫する中で、ない袖は振れないということもある程度は理解しております。また、私ども連合としては、すべての労働者の連帯の中で運動を進めるということで考えておりますので、冷静になって、この財源について、本来どうあるべきかを今後検討することはやぶさかではないと思っております。
 ただ、その財源を労使の負担、雇用保険の附帯事業ということで、本当に直ちに、毎月集めている保険料の中から求職者支援制度の給付や訓練に回すことについては、岩村委員からもありましたように、保険料の負担、保険料の支払者と受益権者がずれてしまうという保険原理からいくと、これは非常に違和感のあるところでございます。
 もともとこの雇用保険は強制保険として、皆有無を言わさず保険料を徴収する公的保険です。そこの納得感はなぜあるかというと、やはりその保険料を負担してでも、万が一自分が失業というリスクにあったときにきちんとした給付を受けられるという安心感があるから、納得して保険料を払っている。その納めている保険料が全く保険料を払っていない方に行ってしまうということの納得感というのが直ちには、これは形成できないのではないかという懸念があるわけです。
 私どもはその点をいちばん懸念しておりまして、雇用保険の被保険者がいま3,700万人強おられますけれども、その3,700万人強の方が、毎月払っている保険料の中からこういうものに対する拠出を直ちに認めることについて、やはりもう少し時間をかけたコンセンサスの形成というものが必要ではないかと思っているところですというのが、1点です。
 もう1点は、先ほどの絵が気になっています。この3頁の絵がこう入ってくるわけですが、失業等給付と雇用保険二事業があって、附帯事業として求職者支援制度が入ってくるということです。今後財源論を検討するに当たって、仮に雇用保険との関わりを何らかの附帯事業とするかどうかわかりませんが、何らかの関わりを持たせるとしても、それは緊急避難的に、仮にここに置くという位置づけであるべきで、この形が未来永劫続くということであれば、これまた違う論議になろうかと思います。いま財源がないから、労使の負担を求めるということでありますので、これはあくまでも緊急避難として、雇用保険の附帯事業という形で仮に置くという大前提であれば、今後も論議になるのではないかなと考えております。ですから、その辺のこの絵を描かれた事務方に私のほうから質問したいのですが、2011年度中に恒久法とするためにはこういう形は必要なのかもしれませんが、それは未来永劫この形ではないという認識でおりますが、安定財源を確保した段階では、この雇用保険から切り離して、独立の求職者支援制度として立ち上げるべきだと思っております。その辺の事務方の意見があれば、聞かせていただきたいと思います。
○清家部会長 では、これについて事務局からお答え願います。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いまご質問があった点ですが、今回のこの3大臣人合意を踏まえた附帯事業としての位置づけということは、制度の恒久化という意味においては、一旦こういう形で恒久的な制度としての位置づけを雇用保険の中に持つということは、そういう形になろうかと思っています。
 ただ一方で、いまたくさんご議論、ご批判もいただきましたように、財源の問題について今後この制度がどうあるべきかという議論は、引き続きこの場を含めてご議論をたくさんいただく必要があると思っております。そういったことも含めて制度の見直しの議論は引き続き今後もやっていただく必要があると思っておりますので、この制度の位置づけ、あるいは財源のあり方、そういったものを見直していく、その際に、場合によっては雇用保険ではなくて、全額を一般財源でやっていくというようなことであれば、ここから外れていくという意味においては、この位置づけが未来永劫続くという前提でお考えいただくことではないとも思っております。
○清家部会長 では、ほかにご意見はございますか。橋本委員、林委員、何かございますか。よろしいですか。ほかにございますか。
○遠藤委員 未来永劫このままの状態ではないという、課長からのご説明があったのですが、そうすると、やはり現行の暫定措置が恒久化されるということの意味合いをどう考えていくのか、どうこなしていくのかということがまだまだ落ちていかないのです。これまで議論してきたのは緊急時の状況で、暫定的な措置であったけれども、それをどういう形で恒久化していこうかという議論を行ってきたわけですから、そういう中での帰結として、どういう絵を描いていくのかということがいま求められているのではないかと思っております。
 確かに、現行の制度でいま20万人を超えようかという方々が受講されています。アンケートの取り方には若干疑問はありますが、やはり6割の方々が就職している。働きたいという方々をどう支援していくのかという支援のあり方についても、いろいろなお知恵があったかと思います。そういうものをどうつないでいくのかという中で、やはり見切り発車的なことをやるというのが、最終的にどうなってきたのかということは過去の例がいくつもあると思うのです。例を出してしまうと、それは支障があると思いますので出しませんが、やはり新制度のスタートというのはすごく大切です。本来4月から始まるものが、半年遅れたわけです。では、もう半年遅らせることはできないのかというようなことも含めて議論できるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○清家部会長 では、この点について事務局のほうで何かお考えがございましたら、お願いします。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 まず、今回ご議論いただいている基本的なスタンスとしては、いま遠藤委員がおっしゃったように、この基金訓練としてやっているものをいかに恒久的な制度として位置づけるかということです。その意味では先ほど申し上げましたように、この3大臣合意における附帯事業としての位置づけは基本的に、同じように恒久化をする前提の中での一旦の帰結として3大臣合意の中に盛り込まれているというものだと私ども受け止めております。
 その上で、今後制度を運営していく中では、先ほど申し上げましたように、またさまざま制度の見直しのご議論をいただく中で、この事業のあり方ないしは財源の位置づけを基本のところからまたご議論いただくことがあると思っておりますし、そういった帰結としてこの制度のあり方が変わっていくことも十分にあるという前提の中で、また引き続きのご検討をお願いしたいと思っております。
 その上で、いま、4月ないしは10月という中で、さらにその実施を先に送ることができないかというお話がございました。私どもの立場としては、今回の3大臣合意におきましては、予算編成の問題として予算編成の基本的な方針をこの3大臣合意の中で決めて、その中では、「新成長戦略」などにも書かれましたように、2011年度中、平成23年度中にこの制度を恒久化するという前提の中で、半年間の予算、10月から実施をするという前提での予算を組んでいくという考え方でまとまっているところです。
 先ほど来お話がございましたように、労政審とこの合意の関係におきましては、私どもとしては本当に労政審での議論を当然最大限尊重してといいますか、むしろそれを前提として制度を作っていくというのは当然の前提です。一方で、予算編成の作業の中でこういったことがなされているのは誠に恐縮な状況ですが、予算編成の作業の中ではこういった形になっていることを私どもとしては前提にしながら、今後の作業をしていくことになる部分がございます。そういった意味で、3大臣合意の内容も踏まえながら、こちらの場でさらにご議論を深めていく中で、こちらの部会としての最終的な成案も得つつ、それを踏まえた制度の立案ができればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村委員 ちょっと角度の違う質問で、直ちには事務局のほうでお答えしにくいかもしれないのですが、政府与党のほうで、税と社会保障の一体的な改革ということでもって議論をこれからしていって、来年度の半ばぐらいには一定の方向性を見出すことがされていると思います。聞くところでは、それはあまり個別の制度の各論には立ち入らないということで、大きな筋を議論するんだということだとは思っているのです。これは次の議題の雇用保険にも関係しますが、その中で雇用保険の国庫負担の問題とか、あるいは今回の求職者支援の制度の財源の問題というものも、個別には乗らないにしても、それも視野に入れた議論という形なり、あるいは持っていってくれるのかどうかを、いまお答えするのが難しければ、また後ほどでもいいのですが、ちょっと考えておいていただければ。というのは、新しい財源を確保するにしても、結局そういうところの議論に乗っていないとたぶん出てこないのですね、財源が。だから、そこは是非、どうなのかということをまた後日でも、次回以降でも結構ですからお答えいただければと思います。
○清家部会長 では、企画課長お願いします。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いまご指摘の点は、現時点で明確にどうということはお答えできる状況ではないかと思いますが、やはり社会保障という意味での広い範囲には当然私どもの問題は含まれていると考えられる部分もありますので、政府部内の議論の中では今後そういう部分を検討していくことを私どもとしても努力していくことだと思っております。
○岩村委員 是非ひとつそこはそうしていただかないと、いずれにしろ国庫負担の財源、雇用保険本体の国庫負担の財源も、これの国庫負担の財源も出てこないということになりかねないので、是非その議論に何とか乗っかるような形でプッシュしていただきたいと思います。
○林委員 3大臣合意の中の1番の(1)で、「求職者支援制度は雇用保険の事業の附帯事業とすると位置づけること」がいちばん最初に出てきているわけです。この附帯事業にすることの合理性というのが事務局からもご説明がありましたが、大半の人は受給が切れた人とかそういう理由があるのですが、やはりこの審議会全体として、附帯事業にすることの合理的な説明としてはまだとても納得できないというのが実態だろうと思うのです。その反面、この制度を恒久的な制度としてもっていきたいということも、大体皆さんのコンセンサスだろう、審議会としてもコンセンサスだろうと思うのです。
 そうすると、制度の恒久的な構築と財源問題の恒久的な決定というのを一緒にするのではなく、23年度の予算編成上の問題もありますので、それはその時点で決めないといけないとは思いますが、制度の恒久性と財源の手当の恒久性というものを分けて制度設計をすることができないのかなと感じています。ちょっとそれは行政的に無理なのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○清家部会長 では、まず事務局のほうで企画課長から。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いまご指摘のあった点ですが、この制度に関して申し上げれば、やはり給付の面でも、訓練の関係の経費の面でも、予算的な措置をきちんとした上で制度として確立をするということが必須であろうかと思います。それを恒久的な制度として組んでいく意味では、財源についても恒久的な手当を、先ほど来の議論にありますように、今後検討があるにしても一旦セットをすることが必要であろうかと思います。その意味において、大変恐縮ですが、その財源の問題と制度の恒久化の問題を切り離して考えるというのは難しい面があるかと思っております。
○豊島委員 いまのことに関連してですが、岩村委員がおっしゃった、見送るということでいいのかという問いには、なかなかそういう判断はしかねるという思いでございます。いま林委員がおっしゃったような立場だと思うのですが、やはりこの議論を尊重するということであれば、制度としての絵は基本的にはこうあるべきであるということをこの場で確認できないかという思いはあります。制度としてどういうもので出発するかということと、この雇用保険部会で考える制度はこうあるべきであるということは確認したいという思いがございます。それが1点です。
 それから、その上で、いま説明の中で変わっていくという前提、あるいは労政審の議論を尊重するということは当然という話もありましたが、変わっていくという前提ではなくて、ここは1つの主体なわけですから、そのあるべき姿といいますか、この部会で確認できる絵があって、それに向かっていくというベクトルも、そこで明らかになるのではないかという気がいたします。
 先ほど、100%国が負担することのリスクの話もありまして、それは確かにそういうこともあろうかと、頭の隅のほうになかったわけではございませんが、それを踏まえて、そのリスクを回避するようにこの制度を考えていくこともできないのではないか。それは私はよくわかりませんが、この制度を確立する、そして国がバックアップする、そして、そのために何かリスクがあるのであれば、それを抑えるような手立てをこの場で考えていくような形でクリアしていく方法もあるのではないかという思いがございます。 
 重ねて言いますが、この部会としては制度はこうあるべきであるが、今回の3大臣合意ではこうなった、大変遺憾であると。しかし、この制度を発足させないで見送ることについては、いまの雇用情勢からは私どももそういう判断はできかねる。であれば、きちんと、先ほど申し上げましたように、雇用保険を負担している人が、皆さんが納得できる、「そうだな、それだったら当面はこういうスタートをせざるを得ないか」というふうに納得できるような形でないと、ちょっと難しいという気がしております。以上です。
○清家部会長 他にご意見、何かありますか。
○新谷委員 先ほど遠藤委員のご発言の中で、制度成立の時期なり、施行の時期のお話がありました。今後の国会審議をにらんだときに、財源の問題をかなり詰めないといけないのですけれども、法案という形でいつのタイミングで国会に提出をされるのか。新法が1つ作られると思いますけれども、ここに書いてあるような雇用保険との関連が出てきたときに、雇用保険法の改正も出てくるかどうかも含めて、国会にいつのタイミングで、どういう形で提出を考えているのかというのを、わかる範囲で教えていただきたいと思います。
○清家部会長 では、事務局からお願いします。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 大変恐縮ですが、10月施行ということを前提にしてですが、予算を組む中で、予算関連法案として法案を提出することになってまいろうかと思います。その前提ですと、通常は2月の上旬が予算関連法案の提出の締切期限になってまいりますので、2月の上旬には法案を提出する必要があるということです。
○新谷委員 それで、法案の形はどうなるのですか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 法案としては、いま私どもが想定していますのは、これも大変恐縮ですが、雇用保険の附帯事業としてという位置づけの前提ですけれども、求職者支援の制度全体についての枠組みなり、名称はいろいろあるかと思いますが、具体的な内容を定める求職者支援法案という新規の立法の法案を1本出すということと合わせまして、雇用保険の中への位置づけ等と、それから、この後ご議論いただく雇用保険の制度改正を含んだ雇用保険法の一部改正法案と2本提出をすることになると考えています。
○林委員 質問です。大臣合意の(5)で、現在の緊急人材育成支援事業の残額をこの新制度の財源として活用するということなのですけれども、これは全部をこの新しい制度の財源にするということで、それは国庫負担分の財源にするということではなくて、労使の負担分の財源も合わせてということなのでしょうか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 まず、考え方としては、(3)にもありますように、原則2分の1というルールの中で、まず国庫負担が入ります。そのうえで、(5)においては、いまお話がありましたように、残額についてはこちらに活用する、その制度の継続性に着目して活用するということですので、2分の1原則の国庫負担に上乗せする形で、国庫から繰り入れが行われるという意味において、労使のご負担が軽減されるという形での残額の活用になるということです。
○林委員 わかりました。
○清家部会長 他にはありますか。そうしましたら、いろいろご議論をありがとうございました。当部会としてご承知のとおり、現下の雇用情勢を考えた際に、いわゆる第二のセーフティネットが必要であることについては、大方の合意をいただいているところだと思っています。また、これも労使双方の今日のご議論からもわかるように、合意としてその財源には公費をもって当てるべきだということが、これまでも繰り返しこの部会において表明されてきたところです。もちろん、給付の水準、あるいは給付の対象、あるいは給付の条件等については、労使双方それぞれのお考えがあり、まだ十分にまとまっていなかったところですけれども、基本的にはいま申したような形で、この1年間、三者構成の審議会の中で、議論を詰めてきたところです。
 ただ、その際に、公費負担については、当然これは財政当局との折衝を要するものでありますから、それについて大臣を筆頭に、厚生労働省に財政当局と様々な折衝をしていただいてきたわけですが、その中で私自身は、特に細川大臣は、この三者構成審議会については繰り返しその意義を高く認めておられると理解していまして、そういうお考えの下で折衝に臨まれたと思っていますが、ただ先ほど来、岩村委員等からもご意見がありましたように、今般の予算折衝においては、予めペイ・アズ・ユー・ゴー原則という、何か新しいものをやるときにはどこからか財源を見出さなければいけないという原則の縛りの下で、この折衝をしていただいていますので、その際に比較的隣接の財源というか、関連性のある財源として、この雇用保険財源に着目されるというのは、これは私もそれがいいかどうかということは別として、理解ができないわけではないと思っています。
 ただそのときに、あくまでも私どもとしては、これは公費でやるべきだということを、これまでも繰り返し、これは労使だけではなくて、私ども公益委員もそのように表明しているわけですから、いま言ったような事情の中で、やむを得ず公費が主たる財源だとしても、残余の部分の財源として、例えば雇用保険を考えるということであれば、それなりに議論の余地もあるのではないかと思っています。ただ、先ほど来ご議論がありますように、その際に附帯事業になりますと、あたかも最初からこれを前提に、つまり公費の残余を当てるというのではなくて、それを前提に、この制度が設計されているような印象も確かに受けますし、労使双方からご意見がありましたように、やはりこの保険制度を、あくまでも堅持しなければいけないわけですから、その際にその費用を負担する被保険者の納得なしに仮に財源を求めるとしても、このような形の決着を見ることはなかなか難しいと思います。
 今日は労使双方から忌憚のないご意見をいただきましたので、1つはこれを附帯事業とすることについても、さらに被保険者に対する納得性を高めるために、どのような説明があり得るのか、あるいは、とりわけ公費負担については、これはこの後の議論とも関連いたしますけれども、暫定措置というものが暫定ではなくて恒久化されては困るということは、これは労使、それから公益三者ともそのように考えているわけですので、その辺も含めて、恐縮ですけれども、今日の議論はここまでとして、引き続き事務局で今日出たご意見をさらに踏まえて、とりわけ被保険者に対する納得性が得られるような説明がどのようにすれば可能かという形で、もう一度議論の整理をしていただきたいと思っています。そのようなことで、少し議論を続けさせていただくということでよろしいでしょうか。では、今日はこの辺にさせていただいて、また事務局のほうに議論を整理していただき、引き続き、この件は少し時間をかけて議論をさせていただきたいと思っています。
○小林委員 いまの部会長のお話で結構だと思います。労働者もそうだと思うのですけれども、事業主のほうも保険料から支出ということになれば、いままでの議論でもわかるのですが、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というので、財源がないというのもわかるのですけれども、雇用保険という形で保険料を取っているものが、税金が取れないから保険料で賄うみたいな形に思われると、またこの保険制度ががたがたになってしまうことにもなりますし、取りやすいところから取っているみたいなイメージも出てしまいますので、その辺を含めて十分議論させていただきたいというお願いです。
 それと、前回の部会を休ませていただいたものですから、そのときの内容です。資料1-1「求職者支援制度」の4頁で、その前の回のときの記載と若干変わっているところがあったものですから、これはどうしてかなと疑問に思っています。4頁の(3)の3つ目の○の交通費を支給することについてなのですけれども、従前は、たしか「交通費を支給してはどうか」というような形であったものが、「交通費も支給することとすべきである」と変わっているので、そこが1点お伺いしたいことです。
 それから、もう1つ、前の頁に戻りまして、いちばん下のアンダーラインの部分で、「世帯において同時に複数の者が受給する」という記載です。「新制度創設時においては世帯で同時に受給できるのは1人に限定し」という書き方なのですけれども、世帯で同時に1人というのは、1人受けていて、同時にもう1人という意味なのか、2人という意味になってしまうのか、それとも1世帯に1人だけだよという意味なのかが読みづらいところがあるので、そこのところをどう捉えたらいいのか教えていただければと思います。
○清家部会長 では、いま、2点ご質問がありました。事務局、お願いいたします。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 2点ご質問があった1点目ですが、確かに前々回から前回にかけて、文言の修正をさせていただいている点がこの部分に限らず、いくつかあります。それらの点については、ご議論いただいた中で、その方向性でということで、特段ご異論がなかったという部分について「何々ではないか」と書いていたのを、「何々とすべきである」というような形に書き直しさせていただいているというものでして、この交通費の部分についても、文章として書いてあるような趣旨、つまり訓練機会のいわば均等な確保という意味から、交通費を実費で支給するという点については、特段異論がなかったのではなかったかと思いまして、このように文書を直させていただいているというところです。
 もう1点の3頁の下のアンダーラインの部分ですが、若干わかりにくい表現を取ってしまって大変恐縮でした。これは、世帯で受給できる方を1人に限るという趣旨でして、要するに2人ではなくて、1人が受給の対象になるという趣旨でございます。
○小林委員 1点、交通費の支給の件について、私が感ずるところは、給付するに当たっての事務の煩雑性です。受講する側にとって非常に助かると思うのですけれども、事務の煩雑性がかなり大きいのではという部分があって、十分検討する必要があるのではと考えています。
 もう1点の、1世帯で同時に給付というのは、「世帯で受給できるのは1人に限定し」というような言い方で、「同時に」というのを取れば、1人に限定するのだというので、より明確になるのではないかと感じるので、ご検討いただければありがたいと思います。
○豊島委員 3頁のいちばん下の下線のところで、世帯で複数受給を排除すべきではないと主張させていただいていましたけれども、いまご説明があったように、1人に限定ということであれば、やはり、もともとこの3頁のアンダーラインのいちばん上の行の、世帯の者全てが同時にこの給付を受給することについてはおかしい、それは駄目でしょうという話は共通の認識で、これは別にそうではなくて、世帯全体での収入の枠もありますし、それは2人でもということも発言させていただいてまいりました。そういうところの検討の余地も残していただきたい。1名ではない状況も生まれ得ますし、現実に起きていますので、そこを何とか救済するという意味で、複数受給についても検討いただきたいと思います。以上です。
○岩村委員 1点だけ。いま小林委員がおっしゃっていた世帯で同時にというところの表現なのですが、これは1世帯で例えば3人いたうちの1人しか受けられなくて、あとの人はもう受けられないという意味なのか、あるいは1人が受けて、その人が終了した後、また別の人も受けられるということも開いているのか、それによってここの書きぶりが変わるような気がするので、そこはいかがなのでしょうか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いま、おっしゃられた前者、後者で言えば、後者のほうでして、それ時点で見れば1人ですが、その人が訓練が終わり給付が終われば、別の方がまた対象には当然なり得るという考え方です。
○清家部会長 ありがとうございます。先ほどの交通費も含めて、これはまだ案ですから、これからまた給付条件等は労使双方でご議論いただく余地はあるかと思いますので、小林委員、そのようなご理解でよろしくお願いいたします。
○亀崎委員 最後に給付額についてなのですけれども、求職者が安心して訓練できるために給付額は現行と同様の水準で全国一律の月10万とされ、給付対象者1名となったという議論がありましたが、その中で、従来の扶養家族がおられる場合の12万円は10万円となるということであって、この水準については通所手当の制度化の有無もからめて、総合的に判断をしたいと思います。
○清家部会長 ご意見として承りました。それでは、恐縮ですけれども、求職者支援制度についての今日のご議論は、とりあえずここまでとさせていただいて、引き続き次の議題である「雇用保険制度について」に移らせていただきます。
 なお、ここで職業安定局総務課首席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐は退席されます。
 雇用保険制度については、これも私と事務局で相談して、報告書(案)を事務局にご用意いただいておりますので、まず、事務局からご説明をお願いいたします。
○篠崎雇用保険課長補佐 資料2-1「雇用保険制度について」をお開きください。雇用保険制度についての部会報告(案)です。前回からの修正点について説明します。
 4頁、2「財政運営について」の「失業等給付に係る国庫負担」の2つ目の○のところです。修正点に下線を引いています。「雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済対策、雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであり、失業等給付に係る国庫負担割合は、法律の本則である1/4とするのが本来である。国の厳しい財政状況等を勘案すると、平成23年度において国庫負担を法律の本則に戻せないことについてはやむを得ないものと考えるが、国庫負担の趣旨を踏まえ、できるだけ速やかに法律の本則に戻すべきである」、このようにさせていただいています。
 それから、4頁のいちばん下、(3)で追加させていただいています。「平成23年度の失業等給付に係る保険料率について」はその上の(2)ですが、「平成24年度以降の失業等給付に係る雇用保険料率について」ということです。「平成24年度以降の失業等給付に係る雇用保険料率については、どのようにすべきであるか」ということで記載させていただきました。以上が修正点です。
○清家部会長 それでは、前回からの修正点のみについてご説明いただきましたけれども、ただいまの事務局のご説明について、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
○小林委員 失業等給付に係る国庫の負担の割合が本則どおりにならなかったのは大変残念なところですけれども、引き続き国は、国として責任を持っていただくという面で、本則である4分の1にできる限りご努力いただければと思っています。
 それから、4頁のいちばん下の「平成24年度以降の失業等給付に係る雇用保険料について」なのですけれども、ここに「どのようにすべきであるか」というように書いてありますが、これは是非とも、引き下げる方向でご検討いただきたいと思います。各県中央会からの意見も聞いておりますと、昨年の保険料に比べて今年度は戻った形にはなっているものの、あたかも引き上げられたみたいなイメージを持っている方々が事業者にかなり多いというのも現状ですし、また、雇用を維持するうえで、保険料は必ず付いて回るわけで、この負担増に対する引き下げの意見がかなり出ています。雇用保険の保険料率については引き下げの方向でご検討いただければと思います。
○清家部会長 他にご意見はございますでしょうか。
○亀崎委員 4頁の失業給付に係る国庫負担の関係なのですけれども、いまの負担率はあくまでも暫定的であり、また、一時的なものとなっているわけで、雇用に対する国の責任を明確にする意味からすれば、やはり本則に戻した健全な運営に繋げていくということは当然のことでありまして、それはこれまでもずっと繰り返し述べてきたところであります。労使が一致して平成23年度における国庫負担の割合の本則への戻しを明確に主張しているにもかかわらず、それを先送りしているというのは、これは大変遺憾だと考えています。厚労省については、国庫負担率を1日も早く、かつ確実に本則の4分の1に戻すということに引き続き全力を上げていただくよう、強く申し上げておきたいと思います。
○清家部会長 他には。
○新谷委員 平成24年度以降の雇用保険料率について、どのようにすべきかというご提起をいただいたわけですが、これは前回も申し上げたように、確かに現在は弾力条項の下限を適用するという状況になっていますけれども、そもそもこれほど財政の収支が健全化したのは、平成12年と平成15年の改正で、労使の苦渋の決断によって給付の水準を引き下げることにより、今日の積立金の水準まで確保してきたということがあるかと思います。やはり、そのことを抜きにして、この論議は多分できないのではないかと思っています。そういった意味では、給付日額の上限・下限についても論議していますけれども、現行の給付水準は求職者が安心して求職活動ができる水準なのかどうかの検証をすることが非常に重要だと思っていますし、いまの雇用情勢についてもまだまだ完全失業率が5%台という非常にハイレベルで続いておりますので、こういった雇用情勢をどう見るのか。それと、先ほど論議した求職者支援法における被保険者の納得感の関係で、これは総合的に慎重に論議をすべきではないかと思っています。以上です。
○清家部会長 他にいかがでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、この雇用保険制度については少しずつ議論が収斂しつつあるところですが、特にいま労使双方からもご意見が出ましたように、今後、平成24年度以降の雇用保険料率の問題について、本日のご議論も踏まえて、さらに議論が深められるように、事務局に資料をご用意いただき、次回、議論を進めていただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。
 では、以上をもちまして、本日の雇用保険部会は終了といたします。本日の署名委員は、雇用主代表に小林委員、労働者代表に豊島委員にお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございました。次回の日程については、事務局より、改めて各委員にご連絡をさせていただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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