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2010年12月8日 第68回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年12月8日(水) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・求職者支援制度について
・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 委員の皆様お揃いですので、ただいまから「第68回雇用保険部会」を開会いたします。
 最初に、委員の交替がありましたのでご紹介します。労働側代表の三木委員が辞任され、後任に自治労全国一般評議会事務局長の亀崎委員がご就任になっております。よろしくお願いいたします。一言お願いします。
○亀崎委員 はじめまして。自治労の亀崎です。新人ということで、皆さんにいろいろご指導いただきながら、やっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○清家部会長 本日の出欠状況ですが、橋本委員、林委員、塩野委員がご欠席です。なお、本日は資料の関係で、職業安定局総務課首席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐にご出席いただいています。
 それでは議事に移ります。最初に求職者支援制度についてです。今回は前回までの議論を踏まえまして、さらに議論を深めるための検討のたたき台を私と事務局で相談して、事務局にご用意いただいています。事務局から、資料1についてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○坂井派遣・有期労働対策部企画課長補佐 最初に、資料の確認をします。資料1-1は求職者支援制度についてのたたき台、資料1-2は求職者支援制度についての参考資料、資料2-1は雇用保険制度についてのたたき台、資料2-2は雇用保険制度の関係資料です。お手元にありますか。
 最初に部会長からもおっしゃっていただきましたが、今回のたたき台については部会長ともご相談して、資料を用意しています。資料1-1は、求職者支援制度についてのたたき台です。こちらの検討のたたき台ですが、これまでの議論の中で一定の方向性について意見の一致があったと考えられる事項については、○○とすべきではないかとして方向性を示し、議論が分かれていると考えられる事項についてはAとすべきか、Bとすべきかとしまして、両案提示する、又は意見を提示して、どう考えるかなどとしています。また、議論はありましたが、具体的な案が出ていないものや具体的な水準などについて議論がなかったと考えられるものについては、どうすべきかといったような記述にしていますので、具体的な案も含めてご議論いただきたいと思っています。それでは、資料の説明をします。
 「I 求職者支援制度の趣旨・目的について」です。10月7日に方向性については確認をいただきましたが、それから若干追加があります。求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者に対するセーフティネットとして、当該求職者の就職の促進のために必要な基礎的及び実践的な職業能力を高めるための訓練を受講する機会を確保するとともに、当該求職者が一定の要件を満たす場合には、その訓練期間中の生活を支援するための給付を支給し、こちらが前回から追加されている就職支援についてのところですが、それと併せてハローワークが中心となって、きめ細やかな就職支援を行うことにより、当該求職者の早期の就職を促進することとすべきではないかということです。
 IIです。制度においては訓練を受ける方、訓練を受けるとともに給付を受ける方がいらっしゃるわけですが、どういった方が制度の対象者となるかという観点から書いています。1つ目は、雇用保険を受給できない求職者の就職を促進する制度であることから、就職を希望し、支援を受けようとする雇用保険の被保険者及び受給資格者でない者を対象者とすべきではないか。2つ目は、具体的には雇用保険の受給終了者や雇用保険において解雇・倒産等の場合は6カ月、自己都合の場合は1年という受給資格要件があるわけですが、その受給資格要件を満たさなかった者のほか、雇用保険の適用対象ではなかった離職者、学卒未就職者、自営廃業者等離職者ではないが求職している者などが対象者となっています。
 IIIは、能開分科会においてご議論いただく部分ですが、代表的なものについて記述しています。1つ目は就職を促進するための制度であり、真に就職に結び付くような訓練が設定されるようにすべきではないか。2つ目は、そのためにも労使の意見も反映し、ニーズのある訓練が認定されるような仕組みを設けるべきではないか。例えば、労働局を中心として労使団体などの関係者が協議する場を設け、実情を踏まえた訓練実施計画を取りまとめる仕組みとすべきではないか。3つ目は、就職支援に当たってはハローワークが中心となって、訓練実施機関と緊密な連携を図りつつ、一貫した支援が行えるようにすべきではないかです。
 IVは、給付についてまとめています。1は給付の目的・位置付けです。1つ目は、給付について、対象者が就職するために必要な職業能力を高めるための訓練を受講する期間中の生活を支援するための給付とすべきではないか。2つ目は、生活を支援するための給付という趣旨から、個人に対する給付と位置付けつつも、世帯の状況を勘案したものとすべきではないか。
 2は給付要件についてです。主に収入要件、世帯主要件、金融資産要件などです。1つ目は、対象者が公共職業安定所長の指示する訓練を受講する場合であって、以下において検討する一定の要件を満たすことが確認できた場合に支給するものとしてはどうかです。こちらで、初めて追加している点については「○○としてはどうか」ということになっているわけですが、具体的な案、水準などについてご議論いただきたいということです。2つ目の○は、対象者本人に訓練期間中に一定の収入があれば、その生活を支援すべき給付を支給する必要性が低いことから、訓練期間中に一定の収入がないことを要件とすべきではないか。その水準は、雇用保険の被保険者とならない程度の働き方を勘案したものとすべきかということです。
 3つ目は、給付の必要性については、世帯(同居の親・子・配偶者)となっています。ここもご議論いただきたい部分ですが、世帯の支援が期待できるか否かまで含めて判断すべきではないか。具体的には、世帯で一定の収入や資産があれば、生活を支援する必要性は低いことから、世帯の収入要件や資産要件を付すべきではないか。その場合、世帯の収入要件の水準は、複数人員世帯における標準生計費等を踏まえたものとすべきか。また、世帯の資産要件の水準については、現行の緊急人材育成支援事業においては、全世帯の所得の中央値の2倍の水準を参考に、金融資産が800万円以下となっているものですが、この2倍とするのは高すぎるという意見があるが、どのように考えるか。「なお」以下ですが、現行の緊急人材育成支援事業については、居住する土地・建物以外に土地・建物を所有していないことが要件となっています。この土地・建物の換金性などの面から、どのように考えるかということです。
 4つ目の○は、訓練にはすべて出席することが当然であるが、病気など欠席せざるを得ない場合もあることから、そうした場合を除き、訓練にすべて出席することを要件とすべきではないか。なお、病気などの正当な理由がある場合の出席は8割としてはどうかです。
 次は意見が分かれている論点ですが、個人に対する給付として、主たる生計者要件は付すべきではないという意見がある一方、世帯の状況を勘案し、世帯で同時に複数が受給することの可否を考えるべきという意見があるが、世帯における複数受給についてどう考えるかです。
 3は、給付額・種類についてです。1つ目の○です。給付額については就労しないほうが得というモラルハザードとなるものであってはならないが、訓練期間中の生活を支援するための給付として、一定の水準であることが必要ということです。2つ目の○も、意見が分かれている論点です。具体的な水準については、現行の緊急人材育成支援事業の給付水準、単身世帯10万円、家族を有するものは12万円となっていますが、この水準は高いのではないかという意見がある一方、生活を支援する給付として現行と同様の水準とすべきという意見があるか、現行の水準を踏まえてどのように考えるか。次も意見が分かれている点ですが、賃金や生活水準については地域差があり、地域ごとに異なる給付額とすべきという意見がある一方、個々のさまざまに異なる生活そのものを保障するものではなく、訓練期間中の生活を支援するものとして全国一律とし、地域差については貸付によって対応すべきという意見がある。給付額については、地域差を設けるべきか、全国一律とすべきかです。
 交通費です。雇用保険制度においては、訓練受講中は上限42,500円が支給されていますが、基金事業については交通費は支給されていないという点があります。この点から、特に田舎、地域によっては、訓練の実施場所によって交通費負担が重くなっており、これが訓練受講の妨げとなることから、生活を支援するための手当に加え、交通費も支給することとしてはどうかということです。
 最後になりますが、雇用保険の給付が求職者支援制度の給付と比較して低い額となるものが存在し得るわけですが、このような点について制度の整合性をどう考え、どのように対応するかです。
 4は給付期間についてです。大きくは受給期間とクーリング期間となりますが、1つ目は給付を受給できる日数には制限を設けることが必要ではないか。この場合、原則1年とし、資格取得のために1年を越える訓練が必要なものなどは、例外的に2年まで認めることとすべきとの意見がある一方、現行基金事業のほうは2年ですので、これと同様にすべきとの意見があります。給付を受給できる日数について、どのように考えるかということです。最大2年という制限はしていますが、原則として1年とすべきなのか、2年とすべきなのかで意見が異なっているかと思います。
 2つ目の○です。循環的に受給することを防止する必要があり、一旦給付を受給すれば、そのあとは一定期間経過して、初めて再度受給することができるような仕組みとすべきではないか。その場合の受給できない期間は、給付を受給したあとは就職することは通常は想定されるものであるわけですが、こういったことも考慮しつつ、どの程度の給付のクーリング期間を設けるべきかという点です。
 5は融資についてです。こちらは全体として、一定の方向性について意見の一致がある論点かと思います。1つ目の○は、対象者については地域性、家族構成等さまざまに異なり、必要に応じて融資が利用できる仕組みを設けるべきではないか。2つ目は、その場合、給付で不足する部分を補完するものと位置付け、給付受給者が受給期間中に給付に上乗せして、融資が受けられる制度とすべきではないか。3つ目は、融資額については現行の緊急人材育成支援事業や、ほかの融資制度とのバランスも考慮して設定すべきではないかです。
 6は、適正な給付のための措置についてです。1つ目は、訓練の出席状況が悪い場合やハローワークでの就職支援を拒む場合等については、一定の給付期間、給付が受けられないようにすべきではないか。2つ目は、偽り、そのほか不正の行為により給付を受けた者は、当該不正により支給を受けたものの全部又は一部の返還をさせるなどのペナルティを科すべきではないか。その際、雇用保険制度においては一定の場合には受給額の3倍に相当する額の金額の返還・納付を命ずることができることとなっていることを参考にすべきかです。
 Vは、訓練受講者に対する就職支援についてということで、こちらも一定の方向性について、意見の一致がある論点かと思います。1つ目は、効果的に就職につなげていくためには訓練開始前、訓練期間中、訓練修了後と一貫した就職支援が行われることが必要である。このため、ハローワークが中心となり、訓練実施機関と緊密な連携を図りつつ、支援していくことが求められる。2つ目は、そのためにはハローワークにおいて個別に支援計画を作成し、訓練期間中及び訓練修了後に定期的な来所を求め、個々の実情に応じた支援を行う仕組みとすべきではないか。3つ目は、就職状況については、訓練受講者本人がハローワークに報告する仕組み。現在、基金事業においても、就職状況報告書による報告率が低いというご指摘がありますが、こういったものを恒久化した場合であっても仕組みを設けるとともに、訓練実施機関も効果的な就職支援を行い、訓練受講者を就職につなげるような訓練を行っていく観点から、その就職状況について把握することとすべきではないかです。
 VIは、その他です。現行の緊急人材育成支援事業終了後、円滑に新制度に移行できるよう、必要な施行準備ができるようにするとともに、求職者や訓練実施機関に対して十分に周知を行うこととすべきではないかということです。なお、財源の確保についてですが、現在財務当局と折衝をしています。以上が、求職者支援制度についての説明です。
○清家部会長 ありがとうございます。ただいまのご説明に関して、ご意見、ご質問等がありましたらお願いします。栗田委員どうぞ。
○栗田委員 給付要件について、資料の2頁になるかと思いますが、その中のいちばん最後の○で個人に対する給付として、世帯の主たる生計者要件を付すべきではないと思っています。給付は、求職者が安心して受講できるようにするという趣旨から、これまでもいろいろな議論をしてきたわけですが、個人に対する給付と位置付けているものだと思います。現在の世帯年収要件は維持しつつも、現行の基金事業の世帯の主たる生計者要件は廃止すべきと思っています。
○清家部会長 ありがとうございました。ほかに何かご意見はありますか。遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 まず、たたき台をおまとめいただき、どうもありがとうございます。1点、質問をさせてください。4頁の訓練受講者に対する就職支援について、大きく3つの柱が立っているかと思います。いずれの場合についても、ハローワークを中心とする形での就職支援の体制が構築されており、これについても一定の合意ができているかと思っています。
 これとの兼ね合いで、その1つ上の6の「適正な給付のための措置について」にある1つ目の○です。「ハローワークでの就職支援を拒む場合等については、一定期間、給付が受けられないようにすべきではないか」の内容について、もう少しご説明を賜ればと存じます。
○清家部会長 では、事務局からご説明をお願いします。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 下の就職支援については、これまでご議論いただいた中でもハローワークに定期的に来所を求めるような形を中心に、いままでの訓練以上に支援を強化をしていくことを考えていますので、それを踏まえて、いまご質問のあった6の就職支援を拒む場合というところでは、出頭の義務に対して違反をしてハローワークに来なかった場合等は、給付を停止することを考えているということです。
○遠藤委員 内容について特段異論があるわけではありませんし、そういう仕組みも必要かと思っています。その延長線上でお尋ねをします。一定期間給付が受けられないことの意味合いですが、それは当該受講期間中のお話なのか、それとも受講修了後のお話なのか、もう少しお話が詰まっているのでしょうか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 まず給付が出る期間は、訓練を受講している期間中ということですので、ハローワークでの就職支援の拒否という点で給付を止めることになるのは、基本的に受講期間中だと思っています。一方、訓練修了後もハローワークで引き続きの支援を行う。そこにも一定の出頭を求めることを想定していますので、そこの部分についてはどういったペナルティが考えられるかをいま詰めているところですが、基本的に出頭を促すような形での、一定の義務を掛ける方向を考えることになるのではないかと思っています。
○清家部会長 ほかに。新谷委員からお願いします。
○新谷委員 いまの遠藤委員のご質問と答弁に関連して、訓練受講中の就労支援といったときに、平日に訓練をやっているわけですから、それを拒否するというのは訓練の関係でどう捉えるかという問題になると思います。休みだったらいいでしょうけれども、訓練があるのにそれを休んで、わざわざ行かないといけないというほどの強制力を持たせるのか。その辺は当然お考えになっていると思いますが、それをさらにお聞かせいただきたいのが1点です。
 もう1点も質問ですが、2頁の給付要件の下から2つ目の○で、すべて出席を求めるのは当然だと思いますが、病気等欠席せざるを得ない場合もある。病気等に正当な理由がある場合は8割ということで記載をいただいていますが、この病気等という中に本人の病気もそうでしょうけれども、例えば子どもを抱えて訓練に行かれている方について、ほかに面倒を見る方がいない場合に子どもの面倒を見ないといけないといったケースも、この正当な理由に当たるのかどうかの確認をさせてほしい。それと、病気といったときに我々もそうですが、「今日は風邪ひいて熱が出た。39℃ある」といったときに、近所の医者に行って薬をもらうというのはありますが、そのときに「お前、本当に39℃の熱があって病気なのか」というのをどうやって立証するか。厳密に立証を求められて、そこでまた診断書を取ってということを求められると、たぶん診断書も1回取るのに5千円位かかる。この前も申し上げたかもしれませんが、そういった経済的な負担とエビデンスの提出との関係をどうバランスを取るかというところも、どうお考えになっているのかをお聞かせいただきたいのが2点目です。
 それとの関係で、4頁の6の先ほど遠藤委員がご質問になったところの最初の○の訓練の出席状況が悪い場合に、一定期間給付を受けられないようにするというのと、8割という要件との関係でこれをどう見ればいいのか。例えば、すべて出席を求めると言っていますので、9割だったら駄目なのか。8割未満は当然停止されてしまうので、なくなるのでしょうけれども、ここで言っている停止期間と出席状況の悪いというのはどう捉えればいいかを教えていただけますか。以上の3点をお願いします。
○清家部会長 3点のご質問がありました。お願いします。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 まず1点目の訓練受講中のハローワークでの就職支援ですが、当然しっかりした訓練でしょうから、平日にたくさん休みがあることはあまり想定をされないと思います。そういったように、訓練にもしっかり出ていただかなければいけないわけですが、またその就職につなげることが目的ですので、就職支援もしっかり受けていただく必要があると思っています。そこは、ただ訓練が中途半端になることもあってはならないと思いますので、予め出頭していただく日を決めるに当たって、訓練のスケジュールとの兼ね合いで、どういう日に出頭日を設定できるかということを摺り合わせておくことで解決できるのではないかと思います。
 2点目の出席要件の病気等ですが、ここで「等」と書いているのは、典型的には病気のほかに負傷の場合や天災の場合を想定をして書いていますが、さらにそれ以外の場合に正当な理由として認められるべきものがあるのか、ないのかについても法令上の扱いや、ほかの制度でどういう取扱いにされているのかということなども勘案しながら、審議会でのご議論もいただきながら検討を進めていきたいと思っています。
 それに関連しての病気等の証明ですが、診断書が出ることがいちばんはっきりした証明になるわけですが、そうでないものについて、どの程度ご本人の負担と虚偽申請がされないというようなこととの兼ね合いで、どこまでどう認めていくのかも、ほかの制度でどのように扱われているのかを勘案しながら、バランスの良いところで決めていくべきことではないかと思います。
 最後に出席要件との関係で、6の適正な給付のための措置の部分の訓練の出席状況が悪い場合ですが、委員からもご指摘がありましたとおり、当然8割ということを切れば給付は受けられないということですが、そのほかに8割の出席状況が満たされなかったのがその月だけなのか、そのほかの月はどうだったのかということも勘案をしながら、どういう場合にペナルティを掛けていくべきかというのを検討すべきだと思っています。
○清家部会長 新谷委員、よろしいですか。豊島委員どうぞ。
○豊島委員 いまの出席状況、受講態度といろいろなニュアンスがあって、それは担当している指導員が判断されることも結構あるのではないかという気もして、ペーパーだけということにはならないような気もします。いまも認定されている所で、書類上整っているからこれはもう認定しなければいけない。過去に振り返ってみると、少しおかしなことがあった。そういう所が申請しているけれども、書類上整っているから認めて始めてもらって、また問題を起こしてやめさせるということも少し耳に入ってきますので、これからの検討でしょうけれども、運用の中でもまた見ていくこともあるかと思います。
 2番目の給付要件についての3つ目の○のいちばん下は、以前にも議論になったことですが、「現行の緊急人材育成支援事業においては、居住する土地・建物以外に土地・建物を所有していないことが要件となっているが」とあります。そして、そのあとの土地・建物の換金性等の面から、どのように考えるかということは、これまでの議論を踏まえての記載だと思いますが、ここはその他の資産の状況を見て柔軟に対応する。私も田舎に小さい山が3人の共有でありますが、北向きの斜面で売れるほどの価値もないし、売ったら3万円か5万円か知りませんが、そういう土地。あるいは、田舎にはいろいろな休耕田、もう荒れ地になっている所もありますし、そういう議論が前にあったと思いますが、そういうところは少し柔軟に対応していいのではないかと思いますので、ご検討いただきたいと思います。
○遠藤委員 いまご指摘いただいたように、居住する土地・建物以外に土地・建物を所有していないことの要件については、ここに書かれているような形で換金できるかできないか、処分できるかできないかといったところを柔軟に見ていく必要があることは従来から申し上げているとおりです。その方向でご検討を賜ればと思っています。
 その上で、いまひとつ確認ですが、金融資産要件とともに居住する土地・建物以外のものを持っているのか、持っていないのかという要件は、是非維持すべきではないかと思っています。その点の確認をさせていただければと思います。以上です。
○坪田委員 今回、たたき台には記載されていませんが、いま子ども手当の財源や税制改正の財源が大きな問題になっています。それで求職者支援制度の恒久化に当たりましては、そもそも雇用のセーフティネットの一環として構築される制度でありますし、雇用保険制度の枠外となった方々を対象としていますので、是非前から申し上げている一般会計で財源を手当するようにお願いをしたいなと。これは強い要望です。
○清家部会長 ほかにいかがですか。新谷委員どうぞ。
○新谷委員 以前から申し上げていた点で、3頁の3ポツの最後の○で、今度の制度の恒久化に当たっては現行の雇用保険制度との整合性をどう考えるかということで、雇用保険の受給資格者が失業給付を受給されている。その金額が、今度決められる給付額との関係で低位にあったときはどうするかについては論点として盛り込んでいただきましたので、これは最終の詰めに向けて、是非論点として詰めてまいりたいと思っています。
 それと、先ほど口頭で事務局からご説明のあった財源の問題です。いま財務省と折衝されているということですが、この制度については第2のセーフティネットとして、保険制度から漏れていった人を救済するということですので、ここは政府の一般財源を使って制度の創設を図ることが重要だと思っています。財源については、財務省との折衝はかなり難しいかと思いますが、是非一般財源での制度創設に向けて、粘り強く取り組んでいただきたいと思っています。以上です。
○遠藤委員 いま、お二方からご指摘がありましたように、この制度をどう考えていくのかということですが、ずっと一貫してきているのはこれは社会全体で支えていこうということであり、ご理解いただいているかと思います。僭越ながら、それは公益の先生方も含めてそのようにご理解いただいていると思っています。折衝の状況が大変厳しいということは拝察いたしますが、何とぞご尽力賜ればと思っています。以上です。
○清家部会長 財源について労・使からご意見が出ていますが、事務局から何かありますか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いま、労使双方からご意見を賜りましたので、それを踏まえて引き続き粘り強く折衝してまいりたいと思います。
○清家部会長 ほかに何かありますか。古川委員どうぞ。
○古川委員 給付期間を1年にするか2年にするかということですが、現行の基金の2年ということを踏まえて同様の2年にしたほうがいいのではないかと思います。
○遠藤委員 ここはまさに論点になっているところであり、もう少し詰めていかなければいけないと思っています。ここに書いてありますように訓練期間は統計的に見ても3カ月、4カ月に集中していますので、基本的には1年という形の枠組を作っておき、その例外として資格取得のためには、それを越えるような形で枠組を構成するのが適当ではないかと考えています。以上です。
○野川委員 これは、どのタイミングで検討すべきかということは1つの問題ですが、新しい仕組みで、しかも新たな要件を付する仕組みですので、さまざまな紛争が生じると思います。例えば、訓練をどれぐらい正当に受けているかとか、世帯に関する要件といったことについて、第1にそれを判定する機関とその判定の効果、それから紛争を受け止めてこれを解決する仕組みをどこが担うのかを、これだけ大きな規模で対象者も多いし、かつ運用の段階ではさまざまなトラブルが生じることが考えられますので、そういったことを改めて考えておく必要があるのではないか。いままでも、社会保障あるいは社会保険に関するトラブルについては、社会保険審査会をはじめ、いろいろな対応機関がありますが、今回の場合には訓練の受講がどれくらいきちんとされているかといった点も含めて、かなり総合的な判断が必要となってくるので、その紛争の対応にどういうような仕組みが適切かということも考えるべきではないかというのが1点。
 もう1つは、これは前から申し上げていることですが、4頁のVの訓練受講者に対する就職支援の最初の○で、ハローワークが中心となり、訓練実施機関と緊密な連携を図りつつ、支援していく。これは、いくつか具体的にこういうことということがありましたが、前も申し上げましたが言うは易しで、行うは難し。具体的にはさまざまな問題が生じると思いますので、どう連携をしていくかについて何かしらアクションプランみたいなものも必要になってくるのではないかと思いますので、その点の検討も今後していただけたらと思います。
○清家部会長 これからの大切な検討課題かと思いますが、現時点で事務局からお答えになることはありますか。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 基本的にはご指摘いただいた点も含めまして、制度の運営に向けていろいろ検討をして見直していく必要があると思います。実際にこれはハローワークに来ていただいて、ハローワークで訓練の受講の指示や、その給付の支給の決定をしますので、そういったようなトラブルは一義的にはまずハローワークでご相談をさせていただくことになるのではないかと思いますし、これまでのそのほかの給付に、どういうふうな紛争解決の手段を取っているのかというようなことも参考にしながら、検討していかなければいけない課題だと思っています。
 それからハローワークの支援ですが、ご指摘のとおり、ハローワークに来られる方、訓練を受けられる方はさまざまですし、就職の希望や本人の就職度合や、やる気がそれなりにいろいろ違ってくるわけで、かなり個別の対応が必要になってくるのではないかと思います。基本的には、まずどういった形で支援をするのかというのを労働局、ハローワークに示させていただいて、そこで運用していくことになると思いますが、それがいかに効率的にできるかということを検討して、なるべくスタートから効率的に進めることができるようにするのはもちろんですが、その後も現場の意見を聞きながらブラッシュアップをしていく案件ではないかなと思っています。
○遠藤委員 いまの野川先生のご指摘をお聞きしていまして、思い出したことがあります。8割の要件との兼ね合いで、現場の方々から、そこで支給が止まってしまうことに対して、一定のためらいがあるということを聞いた覚えがあります。ですから、その辺8割というものについての異議申し立てができるような状況があるのだとすれば、またその正当な理由かどうかを、ハローワークが一義的に判断するということでいいとは思うのですが、併せてリカバリーの仕組みも是非とっていただければと思っております。以上です。
○清家部会長 岩村委員いかがですか。
○岩村委員 1つは先ほど2頁で出てきた給付要件のところですが、1点としては給付要件の丸の3つ目のところの金融資産ですが、やはり私も800万というのは高すぎるのではないかというようには思っております。
 土地・建物の問題ですが、換金性の問題があるのと、それからこの支給決定機関のほうで、そもそも土地・建物を持っているかどうか把握できるかどうかという、実務的な問題もあって、そこは現実に把握できる可能性があまりないというのであれば、要件として置いておくことは、まあ、外すという方向で考えるということでもいいのかなとは思います。
 その他、若干気になっているのは、3頁の3の給付の資格と種類の2番目の丸のところで、給付水準がいまの10万、12万というのは、個人的には高いのではないかという気がするのですが、既存の制度で10万、12万という額が出てしまっているので、現実問題としてこれを避けるというのは難しいかなと、そういう意味ではやむを得ないかなとは思っています。
 次の丸も地域差を設けるべきかも、なかなか微妙ではありますが、やはりちょっと。例えば東京・大阪での10万というのと、地方にいったときの10万というのが、現実としてはかなり意味合いが違うので、そこは何か考慮したほうがいいかなという気はしなくはありませんが、ちょっと微妙ではあろうかという気がします。
 5番目の保険給付との関係なのですが、それぞれ給付制度の性格がやはり違うので、ここのところは、求職者支援の給付の額よりも、雇用保険の給付のほうが低いという場合があるということもあるのですが、それぞれ制度の枠組みが違うということから考えると、それはやむを得ないのではないかという気がしています。
 4番目の給付期間のところは、そもそも訓練の期間のほうがそれほど長期のものは基本的にあまり想定されていないということ等もあり、それともう1つは、この手の給付については、最初から2年を保障してしまうのは、やや問題があるかなという気がしていまして、1年というようにしておいて、訓練の必要性との関係で、まあ、2年に延長するというふうに仕組んだほうが、適切ではないかなと思っております。
 あとこれはお願いですが、4頁の就職支援のところです。既にもうハローワークでもやっておられるところですが、やはりこういう就職が難しい人たちについては、個別的に支援をする体制を行うことが非常に重要ですので、是非その点、この制度を作る、さらに訓練制度を恒久化するということと合わせて、就職困難な人たちに対する個別的な支援を積極的にやれるような、ハローワーク側の体制の整備についても、なお一層事務局でご努力をいただければと思います。長くなりましたが以上です。
○藤原委員 おそらくこれは2頁目の給付要件のいちばん最後の○です。要はいちばん最初に出てきた点ですが、個人に対する給付なのか世帯に対する給付なのか。これはたぶんこの制度のかなり肝の部分になってくると思うのですが、個人的には個人に対する給付であるということを積極的にしていくと、それほどにないような感じもするのですが、個人に対する給付という形にする以上は、その世帯の中で複数人が受給することを拒む理由もなくなってくる。
 ただ一方で、生活の基本的な単位としての家庭という概念でもこれはあると思いますので、これは最後の落としどころみたいなイメージになってしまうのですが、例えば世帯の年収要件を考えるに当たって、受給額を所得としてカウントして、同一世帯の中に何人受給できるかという人数を縛っていくとか、そういう仕組みが一方で必要なのではないかと思います。
○亀崎委員 3頁の給付期間についてのところですが、給付のインターバルについては、給付を受給した後に就職しても、不本意ながら短期間で離職せざるを得ないという人もいることを考えると、過度に長くしてはならないのではないかというふうに考えていますが、いかがですか。
○清家部会長 事務局から何か。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 どの程度に設定をすべきかということでご議論をいただければと思うのですが、不利益を被る人が多くなってはいけないいうこともある反面、また、濫給に繋がるようなこともあってはいけないというような、2つの要請があると思いますので、そこのところをどういったような長さであれば、皆さんの納得が得られる適当な期間として設定できるのかということを、ご議論いただければと思います。
○清家部会長 失礼しました。亀崎委員、ご意見ということでよろしいですか。
○亀崎委員 はい。
○豊島委員 いま藤原委員のおっしゃった、個人に対する給付という考え方で対応して、世帯の収入である程度絞り込む。現行300万ということで考えられておりますし、そういうことを念頭に置いて決めればいいのではないかというのが1つです。
 先ほど岩村先生がおっしゃった、地域ごとに異なる給付額とするか、どうするかということですが、生活そのものを支援するということではなくて、職業訓練を受けて就職することをバックアップするという意味で、それぞれ最賃にしても何にしても地域差はあるのですが、この制度については私は10万、12万というのが絶対額として高いとは思えないですね。例えば自分がそういう立場になったときに、世帯収入300万あるいはそれもないときに、すぐ労働力として使ってもらえる中身は持っていないけれども、頑張ってやろうというときに、10万、12万というのが絶対額として高いのだろうかという思いがありますので、やはりこれは現行の水準で、現実的にそれを下げることが不可能ではないかという思いと合わせて、このままでいいのではないかという気がありますので、意見として申し上げさせていただきます。
○小林委員 給付額については岩村先生と同じように、いまの10万、12万という給付額は、若干高いのではないかという気がします。でき得るならば、これは恒久措置としてとるような形になるわけですから、初めは小さくという言い方はいいのかどうかはわからないのですが、財源の問題もありますし、小さくスタートするような形の恒久措置として、逆に融資制度をしっかりして、地域差があるのであれば、その地域差で融資額を変えるとかいうのもあるのだろうと思いますし、当初、地域差を設けるほうがいいというような話を私は前回の部会では申し上げたのです。地域差を設けないのであれば、給付額を抑えて融資額で調整するような形。それから全体的にも財源のことを考えると、この恒久措置としてずっといくわけですから、恒久措置であるのであれば小さい形でのスタート。緊急事態が発生すれば制度をしっかりとした、今回の基金のような形で緊急措置をとるというような制度の仕組みも、1つ考える必要があるのではないかと思います。
○藤原委員 私も現行制度の給付水準は、やや高いのではないかというのが、個人的な感覚なのです。もう1つのアプローチとして、例えば同一世帯で複数人が受給をするような場合に、数の問題はともかくとして、1人目、2人目、3人目という格好で、給付額を段階的に低減させるようなアプローチは、考え得るのではないかと思います。
○豊島委員 重ねてなのですが、本来こういう状況があってはならない。長期に失業をするとか、これだけ豊かな社会で、これだけの多くの方が働く場がないということ自体が、まさに本当に政府として真剣に受け止めるべき問題であるというふうに思っております。リーマンショック以降、いまもなかなか戻らない状況があって、これを恒久化せざるを得ない状況を、どう真剣に受け止めるかということもあると思います。
 確かにいろいろなモラルの問題もありますし、やはり働いて納税する側になってもらうことが長期的には絶対いいわけです。そういう人たちに、この10万、12万を出す額を少なくするためにどうするかということで言えば、ハローワークの仕事であったり、厚生労働省の政策であったり、もちろん経済産業省とか全部入ると思いますが、働く場を得られるようにして、そういうことで、最後は逆にインカムにする方法で考えなければいけないわけです。そのために、この額は絶対維持して、これをどう政策として、あるいは行政としてどう減らしていくかという。しっかり受け止めて厚生労働省は頑張ってもらいたいです。
○新谷委員 いま給付額の水準について論議をしているわけですが、これについては過去この部会の中で、生活保護の水準であるとか、最賃の水準等々も見ながらずいぶん論議をしてきたと思います。いま皆様方のご意見がありますが、何がいいのかという、あるべき水準というのは、どれを取ってもそれなりの根拠があって、なるほどというところがあろうかと思うのです。これも最初に小林委員がおっしゃったように小さく産んでというご意見もありますが、現行水準でやってきた実績もございますので、やはり1つは10万という現行の基準を1つの軸として考えながら、またその複数受給についてのあり方については、複数受給を導入するということであれば、12万という数字は当然あり得ませんので、その水準について、10万を基軸にしながら検討を進めていくという、従来の論議の経過の中で考えていくべきではないかと考えています。以上です。
○清家部会長 ほかによろしいですか。
○岩村委員 2頁のいちばん下の個人に対する給付として主たる生計要件というところですが、私自身はここは個人に対する給付ということで考えて、主たる生計者要件と付けないほうがいいだろうとは思っています。ただし、そうなると、問題は複数受給でして、1世帯で考えにくいことは考えにくいのですが、例えば3人同時に受給すると30万になってしまうのですね。これはやはりおかしい。それで生活ができてしまうことになってしまうのですね。
 法律的には先ほどいろいろご提案がありました、例えば2人の場合は額を変えてというのも、これもまた法的にもいろいろ問題があって、なかなかクリアしにくいというところがあり、いずれにしろ複数受給のところは少し、例えば最大2人、実質で2人になるような形で何かうまい要件を設定する形で、同時にもらえる人数が世帯内では一定の限度があり得るとしておかないと、これは額と問題とリンクするのですが、難しいことになるのだろうという気がしますので、複数受給についてはうまく工夫をして条件を設けることかなというようには思います。
○清家部会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。それでは求職者支援制度につきましては、次回は本日の議論を踏まえまして、素案を準備していただきますので、それに基づいて議論を進めたいと思います。また、具体的な制度設計をする中で、追加の議論が必要な点があれば、併せて資料を用意してもらうことといたしたいと思います。これから議論をしていただいて、制度で固めていきたいと思っておりますので、引続き積極的なご議論をいただきたいと思います。
 もう1つ今日は議題がございます。次の議題の雇用保険について移らせていただきます。ここで職業安定局総務課主席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発局の渡辺補佐は退席されますのでよろしくお願いいたします。
 雇用保険制度につきましても、私と事務局で相談をいたしまして、検討のたたき台を用意していただいています。では、事務局から資料2についてご説明をお願いいたします。
○篠崎雇用保険課長補佐 資料2の説明をさせていただきます。資料2-1が雇用保険制度についてたたき台です。資料2-2がそれの関係の資料ですので、適宜参照しながら説明をさせていただきたいと思います。
 たたき台の1頁です、失業等給付について、まず基本手当の水準です。基本手当の水準としては、上限・下限額、給付率、給付日数についてですが、まず検討の方向性の1つ目が賃金日額の上限・下限、給付率についてです。ここは1日の基本手当の額を決めるものが賃金日額の上・下限、それから給付率ということで、1つでまとめて記載をさせていただいています。
 資料2-2の5頁です。基本手当日額の算定方法ということで、具体的に受け取る額については、いちばん上に枠囲みでしていますが、基本手当日額と、受け取れる額は、賃金日額に給付率を乗じることによって算定をしています。その際には、ここに表がありますが、賃金日額が低い、例えば2,000円の方については、給付率は80%掛けるということで、具体的には1,600円の基本手当日額となります。これに所定給付日数分受け取れることになっています。賃金が少し高い層、例えば1万1,410円の賃金日額の方については、給付率50%を掛けて基本手当日額が5,705円になります。この賃金日額と給付率についてのたたき台です。
 資料1-1の1頁、賃金日額給付率についてのところです。失業者に対する基本手当の算定基礎となる賃金日額については、現在、賃金日額の下限額を時給換算した額が最低賃金の平均を下回っていることから、制度創設時に最低賃金の全国加重平均等が勘案されていた趣旨に鑑み、下限額の引上げを図るべきではないか。また、過去の改正において上限額・下限額の見直しは常に一体で実施してきたことを踏まえ、下限額を引き上げる場合には、上限額についても直近の賃金分布を基にした見直しも実施すべきではないか。
 給付率については、低所得者に対しては十分な保護を図るとともに、高所得者に対しては、再就職意欲を阻害することのないように設定していることを踏まえ、引続き検討をしていくこととすべきではないかというようにさせていただいています。
 これの補足です。資料2-2の7頁です。これは以前にも提出させていただいた資料ですが、具体的な賃金日額の下限と上限額の最近の推移です。平成15年の改正時に定めました水準、例えば下限額ですと2,140円となっていますが、これについては毎年、毎月勤労統計調査に基づきまして、自動的にスライドをさせています。この結果、基本的には低下傾向ということでして、平成22年については2,000円というように下がっている。上限についても同様にスライドさせていますので、平成15年時点よりも下がっている状況にあります。
 資料の9頁です。こちらがたたき台の中に記載いたしました最低賃金の平均を下回っているところの資料です。いちばん左側が雇用保険の賃金日額の下限額の推移でして、現在は平成22年8月に自動スライドしまして、下限額が2,000円となっています。これについて最低賃金との比較を見たものということで、平成21年の段階では最低賃金の全国加重平均額、時給換算713円ですので、これを週所定労働時間、20時間の方の賃金日額にした場合で算定しますと、2,037円になっていました。これが平成22年の最低賃金、加重平均730円ですので、これを雇用保険の賃金日額に換算しますと2,086円ということでして、現在雇保険の現実の日額2,000円と比べますと、雇用保険の日額のほうが下回っている状況にあるというものです。
 たたき台の1頁です。続きまして丸の2つ目、給付日数について、年齢や被保険者であった期間等に応じた、適切な給付日数のあり方については、平成23年度末まで暫定的に講じることとしている下記2の個別延長給付等の取り扱いと合わせ、引続き検討をしていくこととすべきではないか。
 2、平成23年度末までの暫定措置の扱い、個別延長給付等についてです。検討の方向性、個別延長給付等の暫定措置についてです。平成23年度末までの3年間の暫定措置として、雇い止めにより離職した有期雇用労働者の給付日数を、解雇等の離職並みに充実すること。年齢、地域等を踏まえ、特に再就職が困難な場合の解雇等による離職者について、給付日数を延長すること等を講じているところである。
 依然として厳しい雇用失業情勢を踏まえ、引続き当該措置の運用状況を把握するとともに、暫定措置の取扱いについては、現行の暫定措置の期間内に、改めて検討すべきではないかというようにしています。
 資料2-2の12頁です。平成21年の法改正時における暫定措置の一覧です。まず基本手当については、有期労働者、有期労働契約が更新されなかった等により離職した方については、給付日数を解雇等の離職並みに充実をしています。これは3年間の暫定措置です。
 丸の2つ目、解雇等の離職者について、特に再就職が困難な場合に、個別に判断をして給付日数を60日延長するというもの、これも3年間の暫定措置です。たたき台では別途出てきますが、就業促進手当については2つありますが、犀就職手当という、早期に安定的な職業に再就職をした場合の一定額の一時金を支給するもの。これについて原則、残日数の日額×30%分ということでしたが、これについてそれぞれ1/3以上残日数を残した場合は40%、残日数が2/3以上残した場合は50%と引き上げています。
 また、再就職手当を受けられない場合に出る常用就職仕度手当、これは身体障害者等が対象ですが、これについて支給残日数の30%を基本でしたが、暫定措置として給付率を40%に引き上げています。また、こちらは省令事項ですが、年長就職困難者の中に年長フリーター層を守備対象に加えるという暫定措置を講じています。その他受講手当についても、日額500円を700円に引き上げる、暫定措置を講じているところです。
 資料2-1の2頁です。先ほど、個別延長給付等は改めて検討をすべきではないかとさせていただきましたが、一方、就業促進給付の暫定措置についてということで記載しています。失業者の再就職意欲の喚起をするため、再就職手当の給付率の引上げ等の措置を現在、平成23年度末まで、暫定的に講じているところである。当該措置により厳しい雇用失業情勢の下においても、再就職者数が相当程度増加する等の効果が現われていることを踏まえ、雇用失業情勢に係わらず、早期再就職をより一層推進する観点から、給付率のさらなる引上げを図るとともに、当該措置の恒久化を図るべきではないか。また、就職困難者に再就職の際の初期費用を支援する、常用就職仕度手当についても、給付率の引き上げや、対象者を拡大する措置を現在、平成23年度末まで暫定的に講じているところである。
 当該措置のうち、給付率を40%に引き上げている暫定措置についても、再就職を一層推進する観点から、再就職手当の給付率引上げの恒久化を合わせて、恒久化を図るべきではないか。なお、当該措置のうち、対象者を年長フリーター等の40歳未満の者にまで拡大する暫定措置の取扱いについては、平成23年度末まで講じている他の暫定措置の取扱いと併せて検討をすべきではないか。以上のようにさせていただいています。
 そういう意味で、暫定措置、メニューがありますが、その中で再就職を促進する再就職手当、常用就職仕度手当については、恒久化または制度のさらなる充実を図ってはどうかということで、たたき台に記載いたしました。
 II、1、雇用保険の財政運営について。(1)は失業等給付にかかる国庫負担についてです。検討の方向性、失業等給付にかかる国庫負担については、平成19年度から暫定措置として、法律の本則(1/4)の(55%)、具体的には13.75%とされている。雇用保険の保険事項である失業については、政府の経済対策、雇用対策と関係が深く、政府もその責任を担うべきであるから、雇用保険法則第15条の平成22年度中に検討をし、平成23年度において安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとするとの規定に基づき、国庫負担に関する暫定措置を廃止すべきではないかとさせていただいています。
 これは平成22年の法改正におきまして、付則15条の規定を盛り込んでいますので、その実現に向けて、いま財政当局と折衝しているところです。
 3頁(2)、平成23年度の失業等給付に係る雇用保険料率について。検討の方向性、平成23年度の失業等給付に係る保険料率については、現下の雇用失業情勢は依然として、厳しい状況にあるものの、失業等給付の収支の見通しや、積立金の状況を勘案し、弾力状項の発動によって、平成22年度に引続き下限の12/1,000 に引き下げるべきではないか。
 資料2-2の25頁です。これもこれまでの部会に提出させていただいた資料ですが、雇用保険料率の弾力条項の説明です。失業等給付に係る弾力条項については、ここにあるような計算式に基づいて、2倍を超える場合については、引き下げることが可能ということで、具体的には12/1,000まで引き下げることができることになっています。平成21年度の決算額による計算によりますと、2.65倍ということで、この引き下げが可能という条件を満たしますので、標準は16/1,000というものですが、12/1,000まで引き下げ可能であるという状況の中で、たたき台においては、この下限である12/1,000に引き下げるべきではないかというようにさせていただきました。
 資料2-1の(3)、雇用保険二事業にかかる財政運営について。雇用調整助成金を初めとする雇用保険二事業については、雇用失業情勢に対応して引続き機動的かつ適切に実施していく必要がある。一方、雇用保険二事業の財政運営状況について。平成22年度、平成23年度と、失業等給付の積立金からの借り入れを可能とする、暫定措置を2年間に限り実施している状況を踏まえ、平成24年度以降の取組みについては、目標管理のさらなる徹底等に取り組むべきではないか。
 その他検討の方向性、マルチジョブフォルダーへの対応、65歳以降への対処。高年齢雇用継続給付のあり方、教育訓練給付のあり方などについては、今後の雇用失業情勢や、社会、経済情勢、高齢者雇用を取り巻く状況等を勘案しつつ、引続き検討をしていくこととすべきではないかということで、昨年から引続き検討課題となっているものもありますが、これらも含めて引続き検討をしていくこととすべきではないかとしております。資料の説明は以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。ただいま事務局からご説明いただきました雇用保険制度について、何かご意見ご質問がございますか。
○遠藤委員 ただいま、いくつかたたき台の中に改正の方向性ということが出てまいりましたが、仮にその方向で改正した場合、保険財政への影響ということで、何か算定されている数字がございましたら、ご参考までにお伺いできればと思います。
○篠崎雇用保険課長補佐 現在まだ引上げについても、具体的な額を示していませんので、具体的な額はいまのところお示しできませんが、下限額、上限額等につきましても、次回以降、具体的な額を提示していく中で、雇用保険財政への影響というものも併せてお示しできるように、検討してまいりたいと思っています。
○豊島委員 お願いです。資料2-2の7頁に、平成15年改正以降の賃金日額の下限額からずっと入っていますが、これ以前のこの表を、まあ、10年ぐらい遡って出していただきたいというのが1つです。この見直しは、これが出発点ではなくて、それ以前も含めた全体を見渡して償還した中で見直したいと思います。
 もう1つは、資料の積立金残高の表はどこにありますか。
○篠崎雇用保険課長補佐 積立金残高は22頁、23頁です。 
○豊島委員 23頁はわかりやすいですが、まさにこのどん底のときに、もう本当に雇用保険が危ないという状況の中で、見直したという経過がございます。お手元にある資料で恐縮ですが、平成14年には賃金日額の下減額は4,210円になっていますし、45歳から60歳未満でいえば、1万7,680円という状況でございました。それがああいった雇用情勢の中で苦渋の決断をして給付率の見直しをし、基本手当日額の上限の見直しをしたという経過がありますので、重ねてでございますが、平成15年改正が出発点ではなくて、2003年以前に戻すことも含めて、検討をすべきだと思っておりますので、それも論点に加えていただきたいと思います。
 また、就業促進給付の暫定措置について、就職をすることについてのインセンティブといいますか、それは確かにあったほうがいいと思いますので、全部元に戻せということではなくて、そういったことも少し頭の中に入れて、額あるいは率の見直し、それからインセンティブ全体で、検討をしていったらいいのではないかと思います。以上でございます。
○坪田委員 いま就業促進給付の暫定措置の話に触られましたが、2頁にその措置によって再就職者数が相当程度増加する、効果が現われているという記述があるのですが、定量的なデータがもしありましたら示していただきたいと思います。何となく増えてるのか、あるいはその辺を。
○清家部会長 では、事務局からお答えをいただきます。
○篠崎雇用保険課長補佐 資料2-2の16頁です。再就職手当の支給状況です。まず年度単位で見ていただければと思いますが、平成20年度は暫定措置を講じる前ですが、受給者数が34万7,000人です。それが平成21年度暫定措置を講じた後は、12.6%増の39万人ということです。雇用情勢が厳しい中でということですが、残日数2/3以上残しの場合は、若干微減ということにはなっていますが、それでも高い水準の28万人出ていた、また残日数1/3以上のところは71.2%増で、厳しい雇用失業情勢の中では、再就職手当をまた活用して就職をすることの効果があったのではないかと考えています。
○坪田委員 直接の効果があったかどうかというのは、まだはっきりしづらいような気がするのですが、そこはいかがでしょうか。
○篠崎雇用保険課長補佐 確かに給付率が充実したので、どれぐらい早くなったかというのは、なかなか判別し難い部分はございますが、いま給付率を2/3残しと1/3以上残し、差をつけていることもございまして、例えば窓口でも早期再就職は有利であるということを説明しながら働きかけることもありますので、実質的にはデータではお示しできない部分もございますが、そういった呼びかける効果もあるのではないかと考えています。
○清家部会長 ほかには何かご意見がございますか。
○栗田委員 豊島委員に関連してなのですが、これまでの雇用保険ということでは、平成12年改正は、やはり大きな改正であったと思っております。そのときの議論では、完全失業率は5.5%、あるいは瞬間的5.7%となったときであって、あと雇用保険財政ではそのときの議論からいうと、このままいくと枯渇をするということで、三位一体ではないですが、痛みをどうするかということで、豊島委員が言われたように苦渋の選択で、大きな改革をした。その後といまの状況と、どう変わっているのかなと思うと、いままた失業率はやはり5%以上の高失業率になってしまっている。ただ違うのは積立金残高が違ってきているのだろうということ。
 当時は緊急・非常事態の中で、苦渋の選択をしていった。そう考えると積立金の安定資金ということも踏まえると、とりわけ基本手当ということでは、この下限・上限は是非見直していただきたいということと併せて、当時大きく引き下げた給付日数についても、引続き検討をするというようにしていただいていますので、引き続き検討をしていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
○清家部会長 ほかに何かご意見がございますか。
○新谷委員 2頁の財政運営の点で、国庫負担について改めて申し上げたいと思います。この国庫負担の本則1/4戻しについては、昨年のこの部会においても報告書の中に取りまとめをしていただいていまして、それが雇用保険法の付則の第15条に繋がってきたと思います。今日いただいた資料の2-2の20頁にも、国庫負担の基本的考え方ということで、失業について、政府もその責任の一旦を担うべきであるということを、きちっと記述していただいております。ご承知のとおり完全失業率は、昨年の7月に過去最悪の5.6%まで上がって、それがずうっと5%台で高止まりをしているという、非常に雇用情勢が厳しい状況が続いていますので、これについては政府の責任として、本則1/4戻しを確実に実現すべきだと考えていますので、厚生労働省としても財政当局との折衝について、是非頑張っていただきたいと思っています。以上です。
○小林委員 新谷委員からもありましたので、財政運営について同様なのですが、資料の2-2にも書いてありますとおり、従来から過去の雇用保険部会でも、ここで国が一定の責任をもつべきだというのは、労働側からも使用者側からも提起させていただいているところであり、また、なおかつ民主党のマニフェストでも、雇用保険における国庫負担を1/4に戻すと謳っているわけでもありますし、また、前回の法改正のときにも付則に謳われているということもございますので、是非とも1/4に戻すように、財政当局としっかりやっていただきたいというのが、強いお願いでございます。
 資料No.2-1の(2)、雇用保険料率についてです。これについても弾力条項のはずという形で、是非とも引き下げの方向でお願いしたいということをお願いいたします。
 さらに雇用保険二事業について、この財政については失業等給付からの積立金から借り入れている状況があるわけですので、目標管理のさらなる徹底ということで、これをお願いいたしたいというのもございますが、一方において、この雇用情勢どのような実態になるかわからない側面もございますので、雇調金等の自動的な発動について、十分留意していただいて、実施いただきたいということです。以上でございます。
○清家部会長 わかりました。ほかにはよろしいですか。
○亀崎委員 失業等給付に係る雇用保険率の点についてですが、ここにも記載のとおり、弾力条項による暫定的な引下げは、ルールに基づく対応であり、また、現実的な対応であるというふうに理解しているところです。つきましては、来年度についても引き続き弾力条項を適用するというのが自然なのかなと思います。
○岩村委員 このたたき台の今日の3頁のところでは、(2)で平成23年度の失業等給付に係る雇用保険料率についてが、論点として上がっているのですが、その後平成24年度以降の保険料率のあり方についても、やはりこの場で議論をしておくほうがよいのではないかなと思います。
○清家部会長 それでは引き続きそのような形で議論するということでよろしいですか。いろいろご意見をありがとうございました。国庫負担の問題については、労使双方からご同様のご意見が出ておりますし、私どもも前回の報告書の中にも盛り込んだ内容ですから、事務局におかれましてもなお一層財政当局とのご折衝方、お願いしたいと思っております。
 本日の議論はこの辺りにしていただきたいと思いますが、この雇用保険制度につきましても、次回は素案を用意していただくことといたしますので、是非それでさらに議論を一歩進めてまいりたいと思います。本日は以上をもちまして終了したいと思います。
 本日の署名委員は雇用主代表を藤原委員にお願いします。労働者代表は古川委員にお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、事務局において改めて委員の皆様にご連絡をお願いすることとさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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