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2010年12月16日 看護教育の内容と方法に関する検討会第8回議事録

医政局看護課

○日時

平成22年12月16日(木)


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)


○出席者

池西 静江 (京都中央看護保健専門学校副校長)
太田 秀樹 (おやま城北クリニック院長)
岡本 玲子 (全国保健師教育機関協議会副会長)
岸本 茂子 (倉敷看護専門学校副校長)
草間 朋子 (大分県立看護科学大学学長)
小山 眞理子 (神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科教授)
島田 啓子 (全国助産師教育協議会理事)
末永 裕之 (日本病院会副会長)
舘 昭 (桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科研究科長・教授)
千葉 はるみ (全国社会保険協会連合会看護部長)
中山 洋子 (福島県立医科大学看護学部教授)
菱沼 典子 (聖路加看護大学看護学部学部長)
藤川 謙二 (日本医師会常任理事)
山内 豊明 (名古屋大学医学部基礎看護学講座教授)
山路 憲夫 (白梅学園大学子ども学部家族・地域支援学科教授)
山田 京子 (浅草医師会立訪問看護ステーション所長)
和田 ちひろ (いいなステーション代表)

○議題

1) 看護師教育について
2) 看護教育の内容と方法に関する検討会報告(素案)について
3) その他



○議事

○島田課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第8回の「看護教育の内容と方法に関する検討会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用中のところ、当検討会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、阿真委員、三浦委員、和田委員から御欠席という御連絡をいただいております。
 また、藤川委員は1時間ほど遅れると御連絡をいただいております。
 また、舘委員でございますけれども、恐らく間もなく御到着かと思っております。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第をお配りしておりまして、その裏に座席表がございます。それ以下が資料となってございます。
 資料1が、「これまでの委員の主な意見」です。
 資料2が、「看護教育ワーキンググループ報告」です。
 資料3が1枚物の資料でございますけれども、「小山委員提出資料」です。
 資料4が、「看護教育の内容と方法に関する検討会報告書(素案)」です。
 参考資料といたしまして、参考資料1が「「看護師等養成所の教育活動等に関する自己評価指針作成検討会」報告書(抜粋)」です。
 参考資料2といたしまして、「学校評価に係る学校教育法施行規則等の一部を改正する省令について」の通知です。
 参考資料3が、「大学による情報の積極的な提供について」の通知をお付しけてしております。
 乱丁、落丁などがございましたら、どうぞ事務局の方にお申付けください。
 それでは、小山座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○小山座長 本日も活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、議事にありますように、最初に看護師教育ワーキンググループの報告を行いまして、看護師教育について御意見をお伺いしたいと思います。
 次に、この検討会の最終的な報告書の素案につきまして検討いたします。
 それでは、まず看護師教育ワーキンググループの座長であります小山の方から報告させていただきます。資料の2をご覧ください。資料2の報告(案)は前回にも資料として出しましたが、下線部を変えておりますので、前回より変えたところだけを報告させていただきます。
 2ページをご覧ください。「看護師に求められる実践能力」の中で、今回実践能力の到達目標を明らかにしました。その到達目標は(1)から(5)に示すとおりでございますが、平成20年2月に「看護師教育の技術項目の卒業時の到達度」が出されておりまして、それが継続教育等にも使われるようになりました。看護技術の部分は実践能力から独立して別扱いではなく、?U群のGの22番に含まれるものであるということを明記いたしました。
 それから、3番の「実践能力を育成するための教育内容と教育方法」につきましては3ページをご覧ください。「看護師養成機関内における教育内容と教育方法」としまして、「講義・演習・実習の効果的な組み合わせ」については前回報告したとおりですが、下線部のところを追加いたしました。丸の5番目のところをご覧ください。「保健師助産師看護師学校養成所指定規則の別表で規定されている教育内容毎の講義・実習だけでなく、横断的に科目を設定したり、指定規則の教育内容毎の単位数にとらわれず単位を設定したりすることで、教育効果をあげる。特に実習においては、実習施設や対象者の特性に合わせて横断的に実習を組み合わせることにより、教育内容が変わる度に実習施設が変わることや実習施設の確保等の課題が解消され、実習期間を有効に活用することが可能である」ということを付け加えました。これは、それぞれの今の科目ごとの実習でを行うことは、学生がその場に慣れるのに精一杯で、なかなか実習期間内に能力を培えないという課題からこのようにしてもよいのではないかということを一文加えております。
 それから、「各領域・各分野での重なりがあるような内容は、養成所全体で定期的に見直すことで、効果的効率的に教育を行う」ということを付け加えております。
 4ページに移ります。「効果的な実習のあり方」としましては、実習では、到達目標を達成させるために、「実習場でしかできないことは体験できるよう積極的に調整し、その後の振り返りを充実させることが重要である。学生の体験する内容が多様であるため、日々の学生の実践能力の習得状況を確認する。習得状況に合わせて関わることで、学生の自立促進を図ることができる。」
 これは、実習をさせっ放しではなく、きちんと振り返りをしたりフィードバックをすることの重要性を書いております。
 それから、「実習を円滑に行うには、実習前のオリエンテーションや技術の演習は必須である」ということは前回お話いたしました。養成所等で池西委員と三浦委員から、実際には90時間に対して30時間であるとか、かなりの時間をここに書いてあるような活動に使っていることが報告されました。それが授業時間内に認められていないことにより、看護教育が非常に過密化している一つの原因でもあるということでしたので、そこの下線部のところを付け加えさせていただきました。これにつきましては、後で是非御意見をいただければと思います。
 「こうした実習効果を高めるための教授学習活動のための時間は、例えば実習の総時間の2割以内であれば、臨地で学習する狙いを損なわない範囲で実習の時間とすることも可能である」という表現にしております。
 ここの表現には大変エネルギーを費やしまして、誤解を受けないように、2割は実習に行かなくてもいいというとんでもない錯覚に陥らないように、どのような表現がいいかということでいろいろ検討した結果、このようにしておりますので、後で御意見をいただければと思います。
 それから、3)の「学生の実践能力向上のための教育体制」のところで、「教員の教育実践能力の確保」はもちろんのことですが、「実習指導者と教員の役割分担と連携」ということで2つ目の丸のところを付け加えました。「教員と実習指導者がそれぞれの役割を果たすためには、両者が揃った体制で実習を行うべきである。その際は、教員と実習指導者が、学生の進度状況を共有し適切に分担していくことが必要である。また、両者が揃う体制を維持するためには、教員と実習指導者ともに現在以上の人数の確保が必要である。」としています。
 5ページに移ります。今までは実習指導教員については特に条件を設けておりませんでしたが、そのことについてワーキングで検討いたしました結果をそこに書いてございます。「実習指導教員については、現在特に要件が規定されていないが、効果的に学生が学習するためには、臨床経験5年以上、あるいは実習指導者の役割を果たすための研修を受けることが望ましい。
 実習指導教員の確保については、雇用形態を工夫し、臨床現場から離れたばかりの子育て中の看護師や定年退職後の看護師などを活用することによって、看護実践能力を求める養成所側と時間を有効に使いたい看護師とのニーズに合い、うまくいっている例もある。さらに、子育てを終えた後に、専任教員として着任する場合もある。
 厚生労働省が認定している実習指導者講習会を受講することにより実習指導者の指導能力等が向上しているように、実習指導者講習会の受講効果が高いことが示されている。しかし、訪問看護ステーションや人員に余裕のない現場から、長期間講習に出すのは難しい状況である。開催期間や開催方法について現場からでも受講しやすい工夫が必要である」ということを付け加えております。
 指導要領についての改正に移ります前に、この到達目標の妥当性の調査結果について報告させていただきます。
 資料3と表の1をごらんください。ワーキングで作成した「看護実践能力と卒業時の到達目標案」が妥当であるのかどうかということで、広く看護師教育に関わる方から意見を聴取し、その妥当性を検証する目的で、病院と看護教育機関の方々に調査しました。そこに数は書いてございますが、看護教育機関の回収率は高いであろうということで数を少なくしましたが、病院の方が回収率が高うございました。最終的に360に発送して回収が153、回収率が42.5%でした。それぞれの項目について卒業時にこれらの到達目標で妥当である場合は○、妥当でない場合は×を付けていただき、その理由や、あるいは代替案を書いていただくということにしました。
 学校養成所はできるだけまんべんなく、それぞれの教育機関から回答をいただけるようにということで、養成所ごとの層化無作為抽出で行っております。回答は、高校の専攻科は御回答はありませんでしたけれども、高校5年の一貫教育でお答えいただいておりますので、すべての教育課程からの御意見はいただいていると言えます。地域的にも、全国のあらゆる地域からお返事をいただきました。職位は、そこに書いてあるとおりでございます。
 病院は、地区別に層化無作為抽出をしました。この質問紙に答えいただくには、新人を受け入れているところでないと難しいだろうということで、300床以上という条件で調査しました。病床数は320から1,308、実習を受け入れていないところは3施設ありましたが、ほとんどのところが実習を受け入れており、または地区的にも全国の全部の地区から返事をいただいております。新人も、1人のところもありましたが、平均で42人受け入れている施設からお答えいただいております。
 ワーキングのメンバーのうち6名がこの厚生科研のグループに加わりまして調査をしております。結果は、その裏をごらんください。妥当であるかどうかを判断するには、最初は8割ぐらいの同意率を目標にしました。8割ですと、そこに書いてあるオレンジになりまして、項目数は実際には4項目になります。たくさんのことを(自由)記述で書いてありましたので、私どもは規準を厳しくしまして、1割以上が合意されていない項目はすべて抽出しました。それプラス、×が付いた回答数は少ないにしても、「確かにこの表現の方が良い」と思えるころはそのように修正しました。
 29番と30番は資源を活用するという表現だったのですが、類似しておりましたので、29と30は最終的には合体しております。そして、30番として新しいものを付けておりますが、表1をごらんください。表1は、これらの回答結果を基に修正したものでございます。その修正した結果を、またワーキングで検討しております。
 下線部が修正したところですが、先ほど申し上げました29番のところは、もともとは29番と30番が1割以上と合意率が低いでした。理由としましては、「健康増進と健康教育に必要な資源を活用する」というのと、「対象に合わせて必要な資源を活用する」ということで、資源の活用までは難しいという意見がございました。また、これらの項目は似ているという御意見でしたので、29番を新しく「健康増進と健康教育のために必要な資源を理解する」という形にしております。
 そして、30番は「対象に合わせて必要な保健指導を実施する」ということを新しく追加しております。この検討会の段階で保健師教育が公衆衛生看護学となり、集団を重視となりましたので、個人に対しては(看護師が)保健指導を実施する時期にきているのではないかということで30番を追加しております。
 それから、次のページ下線部のところですが、最も御意見が多かったのがやはりJの急性期のところの「急激な健康状態の変化にある対象への看護」というのは、学生には難しい。これは卒後1年でも難しいというコメントも結構ございました。それで、急激な変化の状態ということをどのくらい基礎教育でするのかというと幅が非常に広うございますので、(周手術期あるいは急激な症状の変化、それから救命処置を必要としている場合)と入れることによって、教育で少しでも焦点化できるのではないかと思っております。
 ここのところは難しいという意見が多かったのですが、少なくとも理解していないと現場に行ってから大変であろうということで「理解する」という形にしたり、それから「支援をする」という述語をつけております。
 それから、慢性的な経過をたどる人の病態と治療ですが、これも、40番と32番は広過ぎるという御意見もたくさんございました。しかしながら、ワーキングで病気を限定するのもおかしいということで、なかなか決まりませんので、今のところはこのような表現にさせていただいております。これからまた時間をかけて、基礎教育ではどのような内容をということが、それぞれの教育機関や今後の検討会等で審議されていくといいかと思っております。
 以上、御報告させていただきます。後でまた御質問があれば、具体的にどのような理由からこのように変えたかということをお答えすることはできます。
 それでは、先ほどの資料2の5ページに戻っていただければと思います。4番のところで、「看護師等養成所の運営に関する指導要領について」の改正(案)」ということで、表2をごらんください。今までの検討を踏まえて、看護師等養成所の運営に関する指導要領についての基本的考え方、それから留意点を反映して修正しております。
 「教育の基本的考え方」については、「看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標(案)」で示されました内容に対応して文言を多少修正いたしました。ここの目標の1)と2)に対応するものは、到達目標の?T群になります。それで、3)が到達目標の?U群になります。4)が到達目標の?V群、5)が到達目標の?W群、それから6)が到達目標に書いてある?X群に対応します。
 留意点につきましては、専門分野の?Uですね。14ページの方をごらんください。今回、教育内容は変わりませんので、留意点のところだけを指導要領は変えることになりますので14ページをごらんください。変えたところだけを報告させていただきます。専門分野の?Uのところが変わっております。ここのところは、今まで書いてあったことで既に教育として十分浸透しているであろうと推察されることは全部削除しまして、今度は新しく変えることを書いております。
 横断的に科目を設定した場合でも対応できるように、看護学教育においては「講義、演習、実習を効果的に組み合わせ、看護実践能力の向上を図る内容とする。健康の保持増進、疾病の予防に関する看護の方法を学ぶ内容とする」。
 それから、到達目標の中に「成長発達」という切り口がなくなりましたけれども、しかし、看護教育では「成長発達」のところは重要ですので、「成長発達段階を深く理解し」という文言を残しました。「様々な健康状態にある人々及び様々な場で看護を必要とする人々に対する看護の方法を学ぶ内容とする」としています。
 それで、下の実習のところに書いてあることは今までと変わっておりません。ただ、「内容」と書いてあったのを「実習」と変えております。
 15ページに移ります。「在宅看護論」という科目名のところですが、そこに書いてあるのは「地域」と書いてあるところが、今までは「在宅」という表現になっておりました。しかしながら、地域では在宅だけでなく老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームなど、さまざまな場に活動が広がり、これらの場所で最期を迎えたりするなど、医療サービスや医療提供の場が変化してきております。これらの変化に対応できるように、統合分野の在宅介護論では在宅に限定せずに多様な場での療養生活に対応した教育内容が展開できるように、「在宅」と今までしていたところを「地域」という表現に修正しております。
 以上が、指導要領についてです。
 それでは、報告書の6ページに戻ります。「教育年限にとらわれない看護師教育で学ぶべき内容」についてですが、検討会での検討課題として「教育年限にとらわれない看護師教育で学ぶべき内容は何か」ということがずっと議論になってきておりました。ワーキンググループでは、看護師の免許取得前に学ぶべき教育内容と教育方法を踏まえまして、教育年限にとらわれない看護師教育で学ぶべき内容について検討しました。
 なお、ここで言う「教育年限にとらわれない」というのは、現行の修業年限3年以上に1年程度加えた年限ということを想定しております。
 「修業年限に関連した現状」としては、「前回のカリキュラム改正時、修業年限は変わらないまま単位数は増加しているため、3年間では過密なカリキュラムとなっており、社会の要請に応える看護師を養成しても困難な状況になっている。近年、養成所では、大学を卒業した社会人の入学生も増えており、学生が2極化してきている。基礎学力が低下している学生に合わせて教育を行うと、大学を卒業し社会人を経験した学生にとっては抵抗がある。両者のギャップが大きい中、同じ教育内容を同じ期間で同じ到達度まで持っていくには限界がある。」という課題がございました。
 それで、ワーキングでは「教育年限にとらわれない場合の教育内容」としてはどのようなことがいいだろうかということを検討した結果がそこにございます。まずは、入学する社会人経験のない学生状況から考えますと、「看護師教育のスタートラインにおいて基礎的な学力を高め、看護師教育の内容を十分に理解できるようにすることが必要である」。つまり、ゆとり教育で育ってきておりますので、基本的なことを勉強するにも教員が言っていることがなかなか伝わらないとか、勉強の仕方がわからないということもありますので、まずは基礎的な学力をしっかりと習得することによってその後の学習が、より充実するのではなかろうか、その年限をこのようなことに費やすことも可能ではないかということです。
 「このため、現行の看護師教育の教育内容と単位数を国家試験受験資格としつつ、教育の内容を拡充して看護師教育を行うことも考えられる」。
 それから、「教育年限にとらわれない場合の教育内容の拡充の方向性はいくつか考えられる」ということで3つを挙げさせていただきました。
 1つは、「養成所が設置されている地域の特性を踏まえた教育内容」ということで、全国的に画一化するのではなく、例えば台風とか災害が多い場合はそのような災害に備えたところを充実させるのもいいでしょうし、農村等にある学校等は地域におけるカリキュラムをもっと充実させても良いのではないかということで、「地域特性を踏まえた教育内容」を挙げております。
 2番目としましては、「免許取得前に必要な教育内容に加え、養成所がさらに充実させたい教育内容」を自由に充実させてもいいのではなかろうかということを挙げております。これは幾つかの例が既にございまして、そういうことも参考にしながら、なかなか良いということでこの2番を入れております。
 「いわゆる初年次教育としての読解能力や数的処理能力、論理的能力を高めるための教育内容や、人間のとらえ方やものの見方を涵養するための教養教育」ということが、先ほど申し上げましたような内容につながっております。
 いずれにしましても、それぞれの養成所が自らの教育理念や学校の状況に応じて選択できる形で、?@から?Bを複数選択して組み合わせて教育を充実させることもいいのではないかということで書かせていただいております。
 以上が、看護師教育ワーキンググループの報告でございます。非常にはしりましたが、何か御質問等があればお受けしたいと思います。
 ワーキングメンバーの方々、追加されることがありましたらお願いします。池西委員、山田委員、ありますか。よろしいですか。
 では、どうぞ。
○岸本委員 大変なボリュームの内容を御検討されまして本当に大変だったのではないかと思いますし、大変ありがたく思っております。ありがとうございます。
 それで、教えていただきたいのですが、この養成機関の教育内容と方向で、そして指導要領に関して下線のある部分は、このような形で最終結論に至るということでございましょうか。
○小山座長 それを検討するということで、これでよろしいかどうかということで皆様方に投げておりますので、今日の議論になるかと思います。
○岸本委員 それぞれの領域ごとの教科目、実習等を横断的に捉えなおし、科目立てたり、一定の科目領域の実習期間に横断的に内容を習得する考え方ですが、教員がその辺りの全体的な教育・学習内容や構成等・判断する力が大変求められ、試されてくるだろうと思います。
 そのことと、成長発達段階に関しても大切にするとの文言もございましたが、横断的にと言ったときに、現行の時間数や単位はそのままで、新たに到達すべき目標や内容を視野に置きながらそのような軸でもって実習場を選択していけば、例えば成人看護学の実習という固定した枠組みでなくていいということでしょうか。
○小山座長 一応、内容としてはここに書いてある単位数はやらなければいけないのですが、その科目名、実習名は成人看護学という名称ではなくて、その実習の特徴を適切に表している科目名の実習にしてもいいということです。
 例えば、成人看護学は今は6単位になっておりますが、実際の患者さんは成人の方というよりも老年の方が非常に多いということもございます。ですから、成人看護学実習と言いながら、老年を対象に老年看護学も実習していることがあります。そうすると、やはり「成人看護学」のフィールドを探すのが非常に大変になってくるのでということで、どのような実習をさせたいかということをこの到達目標と教育内容とを組み合わせながら、フィールドに最も適切なように実習を組んでいくことは可能なようになったということだと思います。
○岸本委員 そうしましたら、実習に関する科目立て等はかなり学校の個別性が出てくる、、自由裁量があるというように考えたらよろしいですか。
○小山座長 一応ワーキングではそのように考えております。
 ただし、それは自由にやっていいのではなくて、その質を担保していくにはその教育評価をどうしていくかということが対になってきます。
○岸本委員 わかりました。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、太田委員どうぞ。
○太田委員 文言で本質的な話ではないのですが、資料2の5ページの実習指導要員についてというところで、「臨床経験5年以上、あるいは実習指導者の役割を果たすための研修を受けることが望ましい」というところの理解ですが、臨床経験5年以上も望ましいんですか。
 つまり、最低条件として臨床経験5年以上が必要だけれども、そうではない場合は研修を受けた方が望ましいんですか。この理解が難しいということです。
○小山座長 そうですね。ここの文言は、一応臨床経験5年以上ありというふうな意味ではございますが……。
○太田委員 そうすると、「あるいは」ではないですね
○小山座長 「あるいは」ではないですね。
○太田委員 それからもう一点は、表の1です。?U群の話で、これは要するに看護学に関しては門外漢であるからこういう質問が出るんですけれども、アセスメント、計画、実施、評価となって、我々医者の立場でアセスメントと言うとエバリュエーションと近くて評価とほとんど意味は同じなんですが、ここであえて使い分けているのはどういう文言の定義なのでしょうか。
 といいますのは、アセスメントと評価を置き換えても文章が通じるように感じるんです。以上です。
○小山座長 ありがとうございます。この「アセスメント」と「評価」は、看護教育の中で1980年代から看護過程という看護を系統的に実施していくための一つの方法論が導入されまして、そこで使われている言葉でございます。
 まず「アセスメント」というのは、患者さんにケアを実施する前に、その患者さんはどのような状態でどのようなニーズをお持ちなのか、どこが悪くてどのようなケアをすればいいのか、どのような計画を立てていいのかということの情報を収集する。まずどのような状態かという情報を収集して、その方がどのような問題なり課題があり、どのようなことをこちらがしなければいけないかということを判断するまでが「アセスメント」と一般的に使っております。これはICNでも「アセスメント」と使っていたものですから、アセスメントという言葉をここに残してはおりますが、右のところには「客観的・主観的な情報を収集して課題を抽出する」と書いてありますが、まだケアする前の段階のことです。
 「評価」は実施した後に自分がやったことに効果があったのか、自分がやったことによってどのような反応が出てきたのかを評価するというのが評価ということでございます。
○太田委員 わかりました。
○小山座長 では、草間委員どうぞ。
○草間委員 4点、お願いしたいと思います。
 まず1つは、先ほど小山先生からもここについては是非御議論をというお話がありましたけれども、4ページの2)の丸の3つ目です。これは前回御議論がありましたように、実習を円滑に行うために実習前のオリエンテーションや技術をちゃんとやることが効果的だということで、この下線のところのように、「例えば実習の総時間の2割以内であれば、臨地で学習する狙いを損なわない範囲で実習の時間とすることも可能である。」とありますけれども、今は指定規則の中の実習単位がトータル23単位ですね。そのうちの2割というと4.6単位になるわけでして、この上にありますオリエンテーションは実習を含めるとしましても、演習はやはり最初のページにありますように講義、演習、実習をきっちり組み合わせましょうということですので、演習を実習に組み入れてこういった2割の中に入れるというのはちょっと問題があるような気がするんです。
 したがいまして、この2割という数値は私は多過ぎるのではないかと思いますので、ここは是非御議論いただかなければいけないんじゃないかと思います。
○小山座長 ここのところは是非ここでも御議論いただきたいと思っておりましたので、まずこれを議論させていただいてよろしいでしょうか。それで、2番以降は後でもう一度お願いします。
○草間委員 あとの2つはすごく簡単ですので、先に言ってしまいます。もう一つはあれですので、残りの2つを言わせていただきます。
 4ページのところで下から2つ目の丸ですけれども、「教員と実習指導者がそれぞれの役割を果たすためには、両者が揃った体制で」です。「揃った」と言うと、時間的にも場所的にも同じ時間という受け止め方をしてしまうんです。臨床現場に行きますと、臨床指導者がいるときに大学の教員がうろうろしているとちょっと邪魔よなどと言われるようなこともあったりしますので、「揃った」という表現をもうちょっと変えていただかないと、これだけと時間的にも場所的にも一緒にしなさいというような感じになってしまいます。だから、両者が協力した体制でとか、何かそういった形で書き直す必要があるんじゃないかと思います。
 それから、3つ目も簡単ですのでお願いしたいと思います。5ページの上から2つ目の丸で、「子育てを終えた後に、専任教員として着任する場合もある。」とあるのですけれども、大学設置基準で専任教員というのはきっちり定義していますので、ここで本当にこういった大学設置基準で言う専任教員にしてしまうと、大学の設置基準そのものが看護に関しては12人置けばいいことになっているわけですね。そういう意味では、専任という言葉をここで使うことは不適切なように思うのですけれども、これはどうでしょうか。ここもちょっと御議論いただきたいと思います。
 もう一つのことは、御議論いただきたいので後にします。
○小山座長 それでは、ただいまの専任教員の文言の表現につきましては事務局預かりとさせていただき、検討させていただきたいと思います。
 また、4ページの「両者が揃った」というのは、両者が協力した体制でというふうにするかとか、ここもやはり適切な表現に修正させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、ただいま草間委員からも出ましたように、4ページの中ほどですね。3つ目の丸のところの下線部分、実習効果を高めるための時間は実習の総時間の2割以内、2割とは言っていなくて2割以内ということで、その表現にもこだわったのですが、2割以内を使えるではなくて、「であれば」とか、それ以上はだめですよというようなメッセージにしたのですが、ここのところが少し表現としてどうかとか、あるいは多いのではというふうな御意見もありますが、ここは是非皆様方に御意見をお伺いしたいと思いますので、お願いいたします。いかがでしょうか。では、池西委員どうぞ。
○池西委員 この2割ということなのですが、ワーキングの方でも話があり、前回の検討会でも御報告申し上げたのですが、90時間2単位というのがベースになるとしたときに、30時間ぐらいが学内のオリエンテーションとか、文献検討とか、あとはまとめとかというものに平均的にかかっていたということを前回御報告申し上げたんです。その多い、少ないは別としてです。
 それで、90時間ということになりますと、看護養成所の方では1日7.5時間と計算した場合に12日間の実習という設定になっているのですが、その12日間の設定の中で最初の半日くらいオリエンテーションで、学内できちんと目的、目標も含めて押さえて、最後は振り返りをするというところでやはり半日ずつぐらいは欲しい。それから、真ん中で少しやっていることの意味を確認したり、文献検討をしたりするのにやはり時間が欲しいというような意見が出ていました。
 それから今、私たちが現場がやっていても、今は12時間、実はぶっ通しでやっているのですが、そのことによる効果の上がらなさかげんというものがあって、やはり最初と最後、そして真ん中で少し学生たちがきちんと振り返り、文献に当たるという時間が欲しいということがあります。
 そうすると、おおむね2日間を割り振るという形の時間設定になるかということがあって、それで90時間の中の2日間ぐらいであればというような思いで2割という線が出たんですけれども、先生がおっしゃってくださったように23単位で4.6というようなことよりも、2単位の中で12日間の中でこれくらいの時間は要るという設定で、実は2割という線を出したんだというふうに私は了解しています。
○草間委員 それぞれここにもありますように、各領域別の実習は16単位であり、基礎実習は3単位でしたか。そういう形で、実習期間はそれぞれ違うわけですね。だけど、こういった数字がきっちりと出てきてしまうと今、私が言ったように23掛ける0.2だと4.6単位でしょうという形になって、そういった数字をうまく活用されてしまって、ただでさえも看護教育の中で実習時間が短いということは言われているわけですね。
 現場に出て臨地で実習をやらせていただくというのが、私はやはり実習なんだろうと思うんです。その中で、オリエンテーションも振り返りも大事だということは私たちもすごく認識しています。だから、その時間を取ることは必要なんだろうと思いますけれども、単純にこういった2割以内という形でやれば、2割以内でしょうということで以内ということを強調しても、2割という数字が出れば2割で運用されてしまう。
 例えば、助産の分娩などにしても10例でいいですよと言えば10例が一つの基準として動くわけです。そうなりますと、ここで2割以内という数字が出て、2割というものがこれで臨地に出ないでもいいですよということになると、本当にこんな実習でいいのかという形になると思いますので、私は2割以内という数字はやはり大き過ぎるし、または数字を書かないと勝手に解釈されてしまうといけないので数字は要るかと思います。そういう意味では1割程度とか、そういう感じじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○小山座長 どうぞ、岸本委員。
○岸本委員 私も臨地の現場で体験することの重みを大切にしたいと思っていますが、教員等の様子を見ましたら、実習場で、学ばないといけない体験・学習内容を実習時間のなかで、意識的にオリエンテーションとして行うことは、学生の意識も違うのではないかと考えます。2単位の中で半日でも取って意識的につなげて見通しを立ててすることの意義は大きいのではないだろうか。
 それから、終了した後の体験を意味付けていくことについても、時間外だと次の実習の準備と重なり、非常に効果が上がらない。学生はエネルギーを効果的に使えない事実はあります。3年生が終了する時点で本当に大事な知識が身に付いていないということを教員は言います。
 そういう意味では、体験に意味付けをするのも、できれば半日くらいの時間を実習時間の中で行うことによって効果が上がるのではないかと思います。時間的な制約というよりも何を学ばせたいのかという内容、中身本位で考える、その努力をしていくということを前提で1割か2割か、1.5割くらいでも必要だと思います。
○草間委員 事前のオリエンテーション、振り返りが大事だということは前回も御議論がありましたし、それがすごく大事だということはよくわかるのですけれども、ここに2割以内という数字が出ることがいいでしょうかということで言っているわけです。
 振り返りが大事だというのは、今までも余りにも実習をやりっ放しというところが多かったので、それはすごく大事だと思います。だから、それを決して否定しているわけではないので、それは是非御理解いただきたいと思います。
○小山座長 ワーキングでもこの数字を出すことの是非について本当に悩み、考えました。 私たちは今回、到達目標の中に「実践能力」として書きましたし、そのような能力が培われるような教育をしてほしいと思っているのですが、ここに時間を書かないと判断に困る可能性があるということで、ではどのくらいだろうかということでいろいろな養成所のデータ等を伺いまして、そして2割以内という表現にしたところですが、中山委員、何か御意見はございますか。
○中山委員 今の議論を聞きますと、これはむしろ実習の定義の問題で、当然実習という中に臨床の看護婦さんだって実践の中にカンファレンスの時間もあれば、いろいろな調べ物をする時間もあれば、そういうことで臨床というのは成り立っているわけですから、当然その実習の中にオリエンテーションも入れば振り返りの時間も入ればディスカッションをする時間もあるし、調べ物をしなければいけない時間も入る。
 そういうふうに考えると、私はそのことも全部含めて実習だと思うので、それを2割やっていいとか、悪いとか、それは本当に教育方法、教育の中で個別の学生によっては結構たくさん振り返りをさせなければ学習効果が上がらない学生もいるし、逆に患者さんの前にたくさん立たせることの方が教育効果の上がる学生もいるということだから、私も時間で2割とかと規定することは賛成できない。
 むしろ実習とは何か。一体そこでどういうことをすることが実習なのかということをもう少し共通認識としていただくような形の方がいいのではないかという感じが今はしています。
○小山座長 そうしますと、この時間を書かない方がいいという御意見ですね。
○中山委員 はい。
○小山座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○岸本委員 それは従来、臨地での実習に限定するという解釈が私にはあるんですが、実習の時間の扱い方ということについて、ただ臨床の場に立っている、動いているということではないということの認識統一ができればと思います。今までは、臨床にいないといけないというように解釈をしてきた経緯があるように思います。
○小山座長 菱沼委員、手を挙げていらっしゃいましたのでどうぞ。
○菱沼委員 前回からの議論の中で今、皆様がおっしゃっていたことが出てこの表現になったのかと思うんですが、効果的な実習の在り方の1つ目の丸と3つ目の丸を一緒にして、実習とはどういうものを言うのかということを先ほど中山委員が言われたように、3つ目の丸の中でも実習前のオリエンテーションとか、実習後の振り返りと言うと、それは実習とは別かみたいな印象がありますので、オリエンテーションもカンファレンスも振り返りも含んで実習というものを考えましょうというような表現に整理をされることによって、その割合とか、どの程度かというものは各教員や学生の状況に合わせてやっていただくということでよろしいのではないかと思いました。
○小山座長 私どももそう思うのですが、歴史がございまして、平成8年改正のカリキュラム以前はそのようでした。それで、フィールド確保が大変な場合には学内実習を実習として数えていたところもあったりということで、それから実習は臨地実習でなければならないと非常に厳しくなったのが平成8年のカリキュラム改正でした。本来の教育とはそういうものだということになればそれでいいのですが、その前に反動で返らないか。特に実習のフィールドの確保が大変な時期、地域等はそうならないかという心配をしているところでございます。それで、悩んだ挙げ句に、全国の津々浦々にこれは浸透していきますので、やはりこの数字を書く方が良いのではということに至ったんです。
 ただ、書かない方がいいとなれば、それは書かなくてもいいかと思いますが、いかがでしょうか。歴史を踏まえた上での御意見をいただければと思います。
○池西委員 臨地実習ということについて、いろいろと大変な状況の中で開拓している養成所があるんですけれども、そういう中で臨地実習とはということで、1つは看護活動が行われている場であること。それから、現場に指導者がいること。そして、看護の対象者がそこにおられること。この3つのことをいつも頭の中に入れて開拓します。
 そうすると、例えば学内に戻して図書室で勉強するのは、そこは看護活動が行われている場ではないということで、それは一応臨地実習とみなされていないという現状があります。ですから、そういう歴史なのか、今までの経過なのかがあって、そこをもう少しきちんと文言を、おっしゃっていただいたように、臨地実習とはオリエンテーションも含めていわゆる体験を大事にした教育の場だというような形で表現を確認した上で定義をきちんとするのであればまた違うと思います。
 ただ、そのときに心配されるのはその時間数がとても多くなって現場の時間が短くなるということだとは思いますので、本当にここはワーキングの方でもすごく悩んだところではあるのですが、2割という線が出たんです。
○山路委員 今の話は多分、この2割というのが出ると、看護師教育だけではなくてほかに専門職を養成している学校、私どももそうなんですけれども、その実習教育の在り方に影響を及ぼす可能性が多分にあると思うんです。別に看護師教育に限らず、では2割くらいならばいいのかということになれば、例えば私の学校では小学校の教員とか社会福祉士とかというところもできることならば、実習にあっぷあっぷしているわけですから、その2割が一人歩きする危険性があると思いますので、その歴史的な経過はわかりましたが、やはり数字は書かない方が、その他への影響を考えるといいのではないかという感じがしています。
○小山座長 では、数字は書かない代わりに、実習の中にはこのオリエンテーションや技術演習も含まれると書くということでしょうか。実習には含まれないですか。
 現場での振り返りは実習であり、学内でやるのは実習ではないとなりますか。
○菱沼委員 その実習に基づいたケースカンファレンスや、実習で何を学んだかというのは実習の振り返りで、実習の中に入ると思います。
 ただ、実習に出かける前に、この技術はできているはずだということができているかどうかを自分で練習する等々は実習の前の単位でやっているべきものであり、それは実習には入らないのではないかと思います。
○小山座長 実際のオリエンテーションは。
○菱沼委員 オリエンテーションは、実習のものだと思います。
○小山座長 よく行われるのは、受け持ちの患者さんに例えば麻痺があった場合には、その人に合わせた技術を学内に帰って相当練習して、学生たちは技術ができるようになってから実際に行うということもございます。
 それだけではなく、例えば吸引の練習であるとか、基礎看護学では習ったけれども、その患者さんに技術を実施するにはかなり練習をしてから、教員のゴーサインが出てから行うという技術演習等はどちらに入りますか。事前に行っているのではなく「受け持ちの患者さんに合わせた技術」を、その患者さんで実験するわけにはいきませんので、学内に帰って何回も練習して行うということは多々あることでございます。
○草間委員 私どもの大学はすごく恵まれていて、主たる実習施設の近くに実習センターというものがつくってありまして、そこにも簡単なラボを置いているんですね。それで、実習期間中、例えば注射がうまくできなかったという学生がいると、直ちに戻ってきてお昼休みに注射の練習をさせたり、その中でやらせるという形なんです。
 いずれにしても、先ほど臨地というのは3つの条件がそろうと、これは私はとてもわかりやすいし、こういう形で臨地というものが付いたんだなというのは今、勉強させていただいたんですけれども、大学に戻ってやりましょうというと、これはやはり学内演習なんだろうと思います。
 そういう意味では、そこに対象者がいて、実習指導者がいて、ケアが行われているところでやるのを基本的にするということなんだろうと思うんです。だから、そういう学生さんがいたら、うちみたいなラボがないところは一日でも戻して実習期間中にやらせる。そのくらいのフレキシビリティはあって当然だろうと思うんです。
 それを、学校に戻したからこれは臨地実習から1日引くとか、そんな細かいことを言う必要はなくて、その辺はすごくフレキシブルに、それこそ学生の能力に合わせてやるべきなんだろうと思うんです。そんな学生を臨地に出したら大変なことになりますので。
○小山座長 ほかの方々の御意見はいかがでしょうか。では、山内委員どうぞ。
○山内委員 紛らわしいのは、多分4ページの上から3つ目のところで、「実習を円滑に行うには、実習前のオリエンテーション」とあるのですけれども、私たちが実習という言葉を使いながら臨地実習そのもののことを実習と言っていたり、臨地実習も含めたもう少し一般的なことを実習と言ったりと、同じ言葉で2つのことを入混同して使っているような気がします。したがって、臨地実習ならば臨地実習で、臨地実習も含めたもう一つ大きな概念としての実習ならば実習とかのように、言葉を整理しないと混同したままの議論が続くのではないかと思うのですが。
○小山座長 そうですね。ここでは「実習では」、「実習では」と書いてありますが、指導要領の科目名はたしか「臨地実習」となっておりますので、全部を「臨地実習では」というふうに書くかですね。「臨地実習」のことを「実習」と平成8年の改正以後は使っており、そのためにその場にいなければならないということで無駄な時間を費やしていたり、形骸化された実習になっていたこともなきにしもあらずという報告をたくさん聞いております。
 では、末永委員どうぞ。
○末永委員 今までいろいろ話を聞いていまして、歴史的な背景などもあってこれはなかなか難しいところはあるなとは思いましたけれども、やはり総時間の2割以内であればという文言さえなければ、それなりのフレキシビリティを持たせてやってもらってもいいよというふうに理解できるのではないでしょうか。
○小山座長 よろしいでしょうか。それでは、ここの「総時間の2割以内」というところは削除という形でよろしいですか。
                (委員 異議なし)
○小山座長 ありがとうございました。それでは、ここに多くの時間を費やしましたが、ほかのところで御意見があればどうぞ。
○岡本委員 今のところは、時間は省くということなのですけれども、「臨地で学習する狙いを損なわない範囲で」という表現について、少しネガティブなので、「より充実する目的で」とか、「実習と連動させた時間とする」といった表現にしていただいた方がよいと思います。
○小山座長 ありがとうございます。それでは、「臨地実習で学習する狙いを、より充実するために実習の時間とすることができる」という表現でよろしいでしょうか。
                (委員 異議なし)
○小山座長 ありがとうございます。それでは、そのほかにいかがですか。では、中山委員どうぞ。
○中山委員 ちょっと確認で、先ほど岸本委員の御発言の後、座長の方から臨時実習のことで、現在の病院の状況としては、高齢者の方々が入院している場合が多いというお話の中にあったんですが、臨時実習が16単位になっていて、その後、成人、老年、小児、母性、精神と単位を振り分けているんですが、これを外していいということではないんですね。16単位やれば、どこの領域でどうやってもいいと。
 でも、この6、4、2、2、2というのは固定しているということなんでしょうか。そこが座長の発言だと、ここを外したのかなと思ったのですが、外してはいないんですね。
○小山座長 今回は指定規則の改正ではありませんので、これはこのまま残ります。では、どうぞ。
○島田課長補佐 そこのところですけれども、指定規則の省令の方で、別表3として看護師の教育内容をお示ししていますが、その別表に備考というものがございまして、そちらをちょっと読ませていただきます。
 複数の教育内容を合わせて享受することが教育上適切と認められる場合において、臨時実習23単位以上及び臨時実習以外の教育内容74単位以上であるときは、この表の教育内容ごとの単位数によらないことができるとなっておりまして、例えば今、臨時実習で成人看護学6単位、老年看護学4単位とは書かれておりますけれども、この規定で運用した場合に、その実習の科目名として成人看護学実習を3単位しなければならないということではなく、くくりとしてその専門分野での単位数は何単位以上ということで合計としての単位数はお守りいただきつつ、そこのそれぞれの教育内容ごとの単位数については、教育上適切と認められる場合においてこの単位数によらずに教育していただくことができるという規定になっております。
○小山座長 よろしいでしょうか。
 それでは、ほかに指導要領も含めまして、それから看護師ワーキンググループ報告の内容につきましても御意見があればお願いいたします。
○草間委員 もう一つをよろしいでしょうか。6ページで「教育年限にとらわれない場合の教育内容」とありますけれども、ここの中で平成20年度に看護師の診療の補助行為の範囲というのが示されて、その中に例えば薬剤の量の調整などは看護師のやっていい領域に入ってきているわけです。
 そういう中で、今の看護教育の中ではどちらかと言うと薬理とか、あるいは疾病病態とか、そういった教育が大変不足しているように思います。ここではどちらかと言うと人間のとらえ方とか、物の見方とか、まさに看護がアート・アンド・サイエンスだということの一つの教育方針みたいなものが書かれているんですけれども、平成20年の医政局長通知で出されたような範囲をきっちり看護師が責任を持ってやるためには、医学で言う薬理学とか、疾病病態論とか、そういったものをもう少し充実するというような内容を是非追加していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小山座長 それは、一応?Aのところにそれぞれの教育機関で養成所が更に充実させたい教育内容として、例えば薬理であるとか、充実させたいことがあればそこのところを自由に充実させるということを含めるかと私どもは考えたのですが、別に薬理とか、そういうことを?Cとして加えた方がよいという御意見でしょうか。
○草間委員 できたら、そういう形で加えていただくといいかと思ったんです。
 あるいは今、座長が言われるのは「充実させたい教育内容」という中に含む。それでは、その中で例えばというような形で例示で入れていただくとか、丸を1つ起こしていただかなくても結構ですので、例えばというような形で、ああいった医政局通達が出ました。けれども、教育内容というのは変わっていないというのは、私はそうではないと思うんです。ああいったものが出れば、それに合わせてやはり教育内容は充実していくべきですので、そんなふうに例えばで入れていただくとどうかと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
○小山座長 草間委員からの御意見が出ましたが、皆様方いかがでしょうか。例えばということで括弧内に薬理学、それから疾病・病理という言葉を入れた方がよろしいでしょうか。入れることについての御賛同をいただけますでしょうか。
 では、池西委員、その後に菱沼委員どうぞ。
○池西委員 おっしゃっていただいたような、特に病気の理解とかというのは薬理も含めてですが、現場の学生たちを見ていて本当に力がついていないんです。それで、本当に難しいなと思っているんですが、ここに書いているような年限がもし延長できるならば、その辺りはきちんと充実させることも可能かなという思いはありますので、具体的にというところで挙げていくことについては賛成できる内容です。
○小山座長 菱沼委員、どうぞ。
○菱沼委員 ここの5番のところは、現在の保助看法の指定規則を考えないで書くということでございますか。
○小山座長 現在の指定規則、現行の修業年限以上に1年加えた場合、ということです。
○菱沼委員 現在、人体の構造と機能疾病の成り立ちと回復の促進のところで、専門基礎分野のところで15単位で、そのうち社会保障、健康支援のころが6単位ということで、残りが9単位なんですね。その9単位が基礎力として不足なのかどうかという論議が多、分必要ではないか。9単位では不足であれば、そこの強化が求められるというような表現になるかと思うのですが。
○小山座長 とすると、先ほどの括弧内に付け加えるということについては。
○菱沼委員 付け加えるとすると、ここの専門基礎分野のというような表現の方が私はいいと思います。付け加えるんだとすれば科目名ではなく、非常に細かいものを言うよりは、その単位数全体の見直しが必要かもしれないということになると思うので。
○小山座長 よろしいでしょうか。薬理学とか、そういう科目名ではなく、「専門基礎分野の内容をより充実させる」とか、そういう表現もいいのではということですが。
 岸本委員どうぞ。
○岸本委員 専門基礎分野でいいと思いますが、それが時間のボリュームの問題なのか、教授方法の問題なのか、学生のレディネスの問題なのか、わかりませんが、ただ、学生は心臓とか肺とか呼吸器系統、循環器系統を部分、部分として捉え、そのつながりとか、人が生きて生活をしていくということとの関連性が3年生のレベルでも大変弱いです。
○草間委員 先ほどの専門分野の教育充実ということになると、余りにも漠としているんですね。それで、今の教育で何が不足しているかというと、先ほども言われたようにやはり生物学的な人をきちんと理解し、病気を理解しといった、医学で言うと基礎医学的なところがすごく不足しているという感じを持っているんですね。その辺の表現を是非入れていただきたいと思います。
 看護の専門分野に関する内容を充実させるというのは、1年延ばせば当たり前のことなんですね。だから、どこを延ばさなければいけないかというのをやはり特化して書いていただくということが私は必要ではないかと思って発言させていただいたんです。
○小山座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。太田委員どうぞ。
○太田委員 うちも医学部の学生が実習に来るんですけれども、ここに「活用できる図書を置く」というような表現があるんですが、最近の学生たちは余り本を読まずに皆ネットで検索しているわけですね。だから、やはりITの環境を整えてあげるということの方が実際的ではないかなと、21世紀ですから。
○小山座長 ありがとうございます。ただいまの御意見に対しましていかがでしょうか。
 太田委員、それはどこに加えればいいという御意見でしょうか。
○太田委員 これは4ページの「効果的な実習のあり方」というところの最後の丸に「図書を置くなど」という表現があったので、図書の時代かなと思ったんですけれども。
○山路委員 図書も入れておいてください。活字も大事ですから。
○小山座長 では、「図書やインターネットによる学習環境」としましょうか。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。では、岡本委員どうぞ。
○岡本委員 2点お願いします。3ページ、真ん中辺の新しく入った下線部のところで、「各領域・各分野での重なりがあるような内容は、養成所全体で定期的に見直すことで、効果的効率的に教育を行う。」という文言がについて、保健師教育と助産師教育の一次報告の中では「目標とする到達度が担保されることを前提として」と、単に効率的にすればいいのではないということばを入れたので、ここにもそういう文言があった方がいいかと思います。
○小山座長 ありがとうございます。では、この前に文言を入れるという御意見ですね。到達目標を担保した上でということですね。
○岡本委員 それから、もう一点よろしいでしょうか。表1について、前回の資料では、39番が「対象者及び家族の心理を理解し」となっているんですが、今回「対象者の」となったのは、対象者の中に家族も含むという意味合いでこのようにされたのでしょうか。
○小山座長 ここのことにつきましては御意見をいただきましたので、「支援」は難しいということで、家族を含めたのは難しいというふうに私どもは受け取りまして、「対象者」としました。
○岡本委員 家族は入れないということですか。
○小山座長 本当は家族までなんですが、対象者だけに今のところはしております。
○岡本委員 対象者という言葉に家族を含めるということではない?
○小山座長 池西委員、そこはどうだったか覚えていらっしゃいますか。
○池西委員 一応ここは対象者というのは御本人ということで、42番を見ていただくと「対象者及び家族が」という表記になっているんです。ですから、ここで言う対象者は御本人のみということになっていて、これは先ほどもおっしゃっていただいたように少し難易度が高いという御意見が多かったので、対象者の心理だけでも十分かなということに変更したということです。
○岡本委員 わかりました。
 合わせて30番は前回、私が意見を言わせていただいて、「対象に合わせて必要な保健指導を実施する」というところを「対象者に合わせて」の方がよろしいのではという意見を申し上げて、最後は「対象者及び家族に合わせて」となったと思います。これについては「対象者」の方が適切ではないでしょうか。
 「対象」と言うと、人ではなく社会資源であったり、そういうものをとらえて言う場合もあるので、人に対してというところは明確にしておいた方がいいのではないでしょうか。
○小山座長 ここの項目につきましては、「対象」の中に対象者及び家族というのが含まれると考えております。それで、「対象者」と「者」を書いてあった場合は、個人であり、「対象」と書いてある場合は家族も含む。
○岡本委員 それであれば、「対象者及び家族」と書くべきではないでしょうか。「対象者及び家族」以上の意味が「対象」にはあるので、ここは明確に書いた方がいいと思います。
あとは14番、前回の議論では全く挙がっていなかったんですけれども、「対象者に必要な情報を対象に合わせた方法で」と変わっていて、前は「適切かつ明確な方法で」となっていたんです。これは、調査で×を付けた人が多かったので、何か変えなければいけないということがあったのかもしれませんけれども、どちらかと言うと「適切かつ明確な」とダブった表現になっているので、ここを「適切な」だけにするとすっきりするのではないかと思います。わざわざここに「対象」と入れない方が、もともと対象者に必要な情報なのか、対象者にするのは当たり前だと思うので、前回の言葉をもう少し簡潔にして、「対象者に必要な情報を適切な方法で提供する」に戻して簡潔に修正した方がよろしいのではないでしょうか。
○小山座長 ありがとうございます。
 ところが、自由記述のところを見ますと、「適切」は難しいというものが結構ありまして、学生のときには「適切な方法」が難しいというのが結構たくさんございました。
 それで、少なくとも……。
○岡本委員 では、こちらの方も「対象者」にするべきだと思います。
○小山座長 「対象者に合わせた方法で」ということですね。ありがとうございます。少なくともその方に合わせた方法ではやってほしいということで、「対象者に」と「者」を入れるということでありがとうございます。
 では、藤川委員どうぞ。
○藤川委員 菱沼委員がおられますから、この前の会議で大学の教育のときにこの「対象」というのがいっぱい出てきたんですね。それで、物ではないからやはり純粋にわかりやすく「患者さん」という表現がいいのではないか。「患者さんと家族」というのは普通使うけれども、「対象者と家族」という表現はその現場ではわかるが、実際にこれが公文書で出る場合には「対象者」というのは何を対象としているのか、一々説明が要るような表現だし、「対象」というのは物を表すことが多いから、一々「者」と付けて今、言われたような「対象者」と言わないと人間にはならない。
 しかし、我々は日本医師会で、日本医者会とは言わないですね。「者」というのは、1つさげすんだ言い方ですから、「者」という表現をすること自体は余りよくないのではないかというので、我々は日本医者会ではなくて日本医師会ということで、我々はドクターであって医師であるという表現をできるだけ使おうよと言いますけれども、慣習として皆マスコミもそうですが、「医者側」とか「医者が」という表現をします。「お医者さん」というのは敬語でありますけれども、「医者」というのは差別用語なんですね。
 だから、そういうことで「対象者」、「対象」というような表現をするのは、やはりちょっと上目目線と言いますか、上から見て患者というものを下に見ているような表現にとられますので、「様」という言葉までは要りませんけれども、「患者さん」という表現を我々医療機関も全部できるだけ心がけてやっています。
 そういうこともひとつ考えたらどうかと思って見てみると、ほとんどのところに「対象」、「対象者」というのが出ているので、それを全部変えることができるかどうかは私は疑問ですけれども、ただ、意見としてはそういう意見もある。気持ちとして患者さんという人間を対象にしているのであって物を対象にしているのではないということを考えないと、教育を受ける学生たちが対象だと、対象とは患者のことだというようなイメージを持つのはちょっと違うのではないかと思っております。
○小山座長 御意見ありますでしょうか。では、池西委員どうぞ。
○池西委員 今おっしゃられた意味はよくわかるんですけれども、例えば訪問看護ステーション辺りは「患者」という表現は使わないんです。だから、病院におられる医師との関係性の中で「患者様」という言葉が出てくるんだと思うので、そういう意味で、さまざまな方というところを対象としたときに、それこそ「患者」という表現については使いたくないということがあるんです。
 ただ、「対象者」を下に見るかどうかということについては、私の中ではそうではないのではないかと思うんですけれども。
○太田委員 私も医師会の会員なんですけれども、介護保険制度では「利用者」なんですね。それで、ケアの対象者が必ずしも患者ではないです。したがいまして、「患者」とあえて書く必要はないような気がいたします。
○小山座長 ありがとうございます。文部科学省の検討会ではこの「対象」という言葉を「看護の対象となる人々」という表現に書き換えたと思います。
 あらゆる場におられる方、そしてここの?V群を見ますと、健康の保持増進、いわゆる病気ではない方も看護の対象になりますので、「看護の対象」と看護で使っているときは、個人だったり複数の方々だったりということで、看護職としてきちんとその人に向き合っているということを意味しているかと思っています。
 ある意味では、看護職として責任を十分持ちたいという姿勢もあり、その「対象」という表現が自分で看護職としてその人に向き合う。人々でもだれでもなく、明らかにその人の個別性に合わせてというところもあって、この「対象」という言葉をずっと使ってきたと考えたりもしております。
 それと、その向き合う方は健康な方々、つまり患者さんと呼べない方々もたくさんいらっしゃるということで、どのような表現がいいかということで大変悩み、「対象」でいいだろうか、ほかの文言にならないだろうかという議論をいたしました結果、いい表現が出なくて今日に至っております。
 藤川委員が今、言われたことは、?T群のところに人をどのような視点で見るかということはきちんと押さえて書いてありますので、決して下に見ているわけでもなく、「尊厳のある」とか、書いてありますので、そういうことでカバーされるかとは思っておりますが、いかがでしょうか。
○藤川委員 十分わかりました。
○小山座長 ありがとうございました。それでは、菱沼委員どうぞ。
○菱沼委員 今とは違うところで、6ページの「年限にとらわれない看護教育」のところですが、社会人の入学があって非常に入ってくる学生にギャップがある。そのギャップを埋めるための年限という読み方と、それから看護の内容をもっと強化するための年限という読み方が両方混在していまして、2)の最初の丸の方は、基礎力を高めるために年限が必要とか、時間が必要というふうに読めますし、そのほかのところはむしろ看護の中身を強化するための年限というふうに読めて、それが同時ですとどちらを取るのかというか、困ったなという気がいたしました。そこはどうなんでしょうか。
○小山座長 ここのところは3年以上に1年加えた場合ということで、その施設によりいろいろな理由があるであろうということで、実を言うと両方を踏まえているんです。
 事務局から、今の御質問に対して何かお答えになることがありますでしょうか。
○野村看護課長 今、小山座長のおっしゃったような議論だったと思います。それぞれの養成所が学生をどのような目標を持って教育をするかといったところで変わってくるのではないかと思います。恐らく、1、2、3とありますが、1つではないということになるのではないかと思っております。
○小山座長 よろしいでしょうか。それでは、次の議題もございますので、今日いただいた御意見をこの報告書のところに入れていきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思いますが、検討会報告書の素案を事務局に作成してもらっていますので、事務局から説明をお願いいたします。
○島田課長補佐 それでは、資料4をごらんください。説明いたします。
 「看護教育の内容と方法に関する検討会報告書」の素案として、本日お示しをしております。
 まずこの報告書の位置づけでございますけれども、1ページ目の下の方に書いてはございますが、皆様方に御議論いただきましたように、保健師と助産師の教育内容につきましては、一次報告ということで御議論いただきましたものを11月10日付で公表させていただいております。この報告書の中では、それ以外の今、看護師ワーキングの報告にありましたように、看護師教育についての内容ですとか、それから保健師、助産師、看護師に共通する実習演習の在り方、教育上の工夫といったようなものについてまとめさせていただくというような位置づけになっております。
 まず「はじめに」でございますけれども、読ませていただきます。
「看護教育の質の向上についてはこれまでも検討が行われ、提言が重ねられてきた。
○平成19年の「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」(H19.4.20)においては、「看護基礎教育の教育期間については、我が国の社会と保健医療福祉制度の長期的変革の方向性を視野に入れた検討を行うこと」と提言された。
○続いて「看護基礎教育のあり方に関する懇談会論点整理」(H20.7.31)において、「今後のチーム医療の推進や他職種との役割分担・連携の進展が想定される中、看護基礎教育では、看護に必要な知識や技術を習得することに加えて、いかなる状況に対しても、知識、思考、行動というステップを踏み最善の看護を提供できる人として成長していく基盤となるような教育の提供が不可欠である」と提言された。
○さらに「看護の質の向上と確保に関する検討会中間とりまとめ」(H21.3.17) では、「看護基礎教育については、免許取得前の基礎教育段階で学ぶべきことは何かという点を整理しながら、現在の教育年限を必ずしも前提とせずに、すべての看護師養成機関について、教育内容、教育方法などの見直し・充実を図るべきである」と提言された。また、保健師、助産師教育のあり方についても見直しが求められた。
○本検討会は、このような看護基礎教育の充実・改善についての提言を踏まえて、看護基礎教育で学ぶべき教育内容と方法について、具体的な検討を行うために、平成21 年4月に設置され、これまでに●回の検討を行ってきた。
○一方、平成21年7月15日、「保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、平成22年4月1日より施行された。これにより保健師、助産師の教育期間が1年以上となったため、検討会ではこれを受けて、教育年限1年以上の保健師、助産師教育の教育内容についても検討することとなった。
○検討にあたっては、保健師、助産師、看護師教育それぞれのワーキンググループを設置し、保健師教育、助産師教育の教育年限の延長に伴う教育内容の改正については平成22 年11月10日に第一次報告を取りまとめた。
○当該報告書は、看護師教育に関する教育内容と方法及び今後推進すべき保健師、助産師、看護師教育における教育内容と方法について取りまとめた。」
 2ページでございます。まずこの報告書の第?T章では「看護師教育について」をまとめて掲載したいと思っておりますけれども、内容につきましてはただいま御議論いただきました看護師教育ワーキンググループの報告を踏まえた内容を盛り込みたいと思っております。
 続いて、?U章でございます。
「今後の保健師、助産師、看護師教育の教育内容と方法について
1.教育内容中心の教育から能力としての「卒業時の到達目標」の達成を目 指す教育への転換
○平成20年7月の「看護基礎教育のあり方に関する懇談会論点整理」において、看護職員に求められる資質・能力が示され、看護基礎教育の充実の方向性として「状況の変化に対応できる能力を身につける教育への転換が相応しい」とされた。
○また、国際的にも「能力」の育成、評価への関心が高まっており、看護師についても、国際看護師会(ICN)のジェネラリスト・ナースの能力を表した国際規準フレームワークがある。
○そこで本検討会では免許取得前に学ぶべき事項を検討する基礎として「看護基礎教育における教育内容の広さと深さ」を念頭におきつつ、保健師、助産師、看護師に求められる能力を検討した。これを踏まえて、学生が卒業時に身につけるべき能力を明らかにした。
○「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」(平成19年4月)において看護基礎教育卒業時に全ての看護学生が修得しておく必要がある技術の種類と到達度が明確にされたことを受けて、平成20年2月に「助産師教育の技術項目と卒業時の到達度」及び「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」が、同年9月には「保健師教育の技術項目と卒業時の到達度」が課長通知として示されている。
この「保健師教育の技術項目と卒業時の到達度」、「助産師教育の技術項目と卒業時の到達度」に示されている保健師、助産師教育の技術項目は、対象者の状況を見極め、具体的な介入方法を選択し実際に支援を行うという、思考・判断・行為のプロセスを含む活動であり、保健師、助産師の実践能力を表している。
○本検討会において、保健師、助産師教育における実践能力と卒業時に求められる到達目標については、この「保健師教育の技術項目と卒業時の到達度」、「助産師教育の技術項目と卒業時の到達度」をもとに検討した。
「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」における技術項目は個々の具体的な援助技術を表しているため、看護師教育における実践能力と卒業時の到達目標の検討については、看護師に求められる実践能力の全体について検討を行い、新たに卒業時の到達目標を設定した。
○この保健師、助産師、看護師教育における「卒業時の到達目標」を達成するために必要な教育内容が、免許取得前に学ぶべき事項である。今後、保健師、助産師、看護師教育を行う養成所においては、到達目標を踏まえて教育内容を具体的に設定することが求められる。
2.免許取得前に学ぶべき教育内容の考え方について
○前述したように、保健師、助産師、看護師教育における実践能力と卒業時の到達目標は、昨今の医療の動向等を踏まえ、これからの看護教育に必要な「看護基礎教育における教育内容の広さと深さ」について検討した結果を反映させたものである。
○保健師、助産師、看護師教育のいずれにおいても、今後の教育で強化すべき教育内容は以下の内容である。
?@人間性のベースになる倫理性、あるいは判断力、人に寄り添う姿勢についての教育
?Aコミュニケーション能力、対人関係能力の育成につながるような教育
?B健康の保持増進にかかわる看護、保健の分野を含めた教育
?C多職種間の連携、協働と地域資源の活用に関する教育
?D主体的に学習する態度を養う教育
○助産師や看護師には、対象者の生命の維持や、身体の苦痛を早期に和らげるための技術が必要であることから、助産師、看護師教育では上記の事項に加え緊急時の対処能力の基礎となる基本的なフィジカルアセスメントについて強化する必要がある。
○さらに看護師教育においては、対象者を全人的に看護するための「ヒューマンケアの基本的な能力」を強化する必要がある。また、疾病がどのように生活に影響するかを心身両面からアセスメントし、予測して対応する能力を培う教育も必要である。
3.看護教育における効果的な教育方法について
(1)講義・演習・実習の組み立て方について
○学生が個々の講義で学んだ知識を統合して実践で活用できるようになるには、講義で学んだことを活用して、演習で判断する能力を身につけ、臨地実習において実際の看護実践のダイナミズムの中で看護を体験して学んだことを基に、更に必要な知識を学ぶというような繰り返しの学習方法が必要である。
○このような学習方法を通して、保健師、助産師、看護師として活動する様々な保健・医療の場面において、対象者の健康の状態や生活の状況に応じた実践ができる能力が育成される。」
 4ページでございます。
「○また、「卒業時の到達目標」を達成するためには、領域横断的な講義・演習・実習を行うことも必要である。
○演習は知識の教授だけではなく、思考し知識を統合し表現する能力を高める教育方法であるため、講義・演習・実習の関連を考え、効果的に演習を位置づけることが必要である。
○また現在、助産師、看護師教育の実習においては、侵襲を伴う行為を体験することが難しくなっている。一方、現場では医療の高度化により、助産師や看護師に侵襲を伴う行為が一層求められるようになっている。こうした侵襲を伴う行為を習得するには、シミュレーターの活用や状況を設定した演習を充実させることも求められる。
(2)臨地実習の指導体制について
○看護師教育においては、看護学の各領域別に行う実習や看護過程を中心に行う実習が、卒業時の到達目標を達成する実習として妥当かどうか検討を行い、実習を行う目的と学ぶべき内容を明確にし、その目的が達成できるように柔軟に実習の場を開拓して実践的な教育を行うことが望ましい。
○また、講義を受けた後に実習を行うという演繹的な学習方法だけではなく、臨地での見学や経験を通して学習課題を明確にし、問題解決的に学習していく帰納的な方法も、思考力や判断力を養うために必要な実習方法である。このような実習方法で実習を指導する場合は、教員には個々の学生の体験を教材化する能力が一層求められることとなる。
○また、効果的に指導を行うためには教員、実習指導教員、実習指導者の配置や連携が重要である。そのためには、講義も実習指導も行っている教員については増員に向けて検討すべきであり、実習指導教員は実習指導者としての研修を受けるなど資質の向上が必要である。また、専任の実習指導者を配置するように努力するべきである。
4.今後の課題
○平成8年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和26年文部省・厚生省令第1号)の改正において単位制が導入されたが、看護師等養成所の運営に関する指導要領の別表1~3には単位数と総時間数が併記されている。ここでいう単位とは大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)による単位の考え方に準じるものであり、講義は1単位15~30時間、演習は1単位30時間、臨地実習については1単位45時間としている。大綱化された教育課程では、養成所がこの考え方を踏まえて、教育目標の達成のために責任を持って単位数と時間数を設定することが望ましいことから、総時間数を併記することについては検討を続けるべきである。
○近年、知識獲得から能力獲得へと学習観が変化してきている。本検討会においても、保健師、助産師、看護師教育において培う能力を明らかにし、卒業時の到達目標として表した。到達目標として示されたこれらの能力は、学生の看護実践において、知識、思考、行動というステップを踏んで発揮されるため、単に学生の知識の保有量で評価できるものではない。看護基礎教育を担う教員、実習指導者等を始めとする関係者には、学生の能力を評価する方法を開発し研鑽することが求められる。
○大学および専修学校においては、教育評価が義務化されている。また、平成15年7月には「看護師等養成所の教育活動等に関する自己評価指針作成検討会」報告書が取りまとめられている。各ワーキンググループでも議論されたように、養成所の教育の質の向上のためにも、自己点検・自己評価の実施は必須の課題である。」
 下に「おわりに」とございますけれども、こちらにつきましては御議論をいただいた後にまとめていきたいと考えております。
 そして、この報告書で書かせていただきました内容の参考となりますものを本日参考資料としてお付けしておりますので、合わせてごらんいただければと思います。以上でございます。
○小山座長 それでは、余り時間が残っておりませんが、15分間ぐらいの間にこの報告書の素案につきまして御意見をいただければと思います。特に御意見いただきたいところは2番です。2ページの?Uのところから御意見をいただければと思いますが、まず?Uの1番につきましてどうぞ。
○草間委員 その前に、構成をお伺いしてよろしいですか。今の?Tが「看護師教育について」で、?U番目が「今後の保健師、助産師、看護師教育の教育内容と方法について」とあるわけですね。それで、保健師、助産師に関しては1ページにあるように平成22年11月10日に第一次報告を取りまとめたとあるので書いていないというふうに理解すればいいのでしょうか。そうすると、この検討会の報告書としては2本出るというふうに理解すればいいですか。
○島田課長補佐 はい。
○草間委員 わかりました。
○小山座長 第一次報告、それからこれが第二次報告という名称になるのか、どういう名称になるのかはまだ検討課題だそうですが、そのようにこの検討会の報告書としては2つ出るということになります。
○岡本委員 もう一つ確認をさせていただいてよろしいでしょうか。そうしますと、この間出た第一次報告書についてはどこかでまた意見を言う機会はあるのでしょうか。
○野村看護課長 第一次報告書は報告書としてフィックスし、確定して公表しております。ですので、変更という議論をするという状況ではございません。
○草間委員 第一次はそれでいいと思うんですけれども、この報告書を第二次とかにしていただかないと、ここで看護師教育だけが出てきますよね。だから、このタイトルに第二次報告書とかと書いていただくと今の理解がよくわかるので、是非その辺が2番目ですよというようなものを明記していただくといいと思います。
○小山座長 ありがとうございます。では、どうぞ。
○岡本委員 第一次報告書の13ページについて、(私が)黄色のマーカを引いているところがかなり変わっているので、その辺の確認はせずに進んでいいのかどうか、ちょっと疑問なんですけれども。
○小山座長 それは、第一次報告書の13ページですか。
○岡本委員 はい。
○小山座長 事務局お願いします。
○島田課長補佐 御質問の趣旨がわからなかったので、もう一度教えていただけますか。
○岡本委員 前回の資料からフィックスされたもののどこが変わっているかを見てラインマーカーを引いたら、かなり13ページに追加していただいたり、文言を修正していただいたりしているので、その辺りの確認はこの検討会としてなくていいのでしょうかという質問です。順番等を書き換えた方がいいのではないかと思うところがあったもので伺いました。
○小山座長 では、事務局お願いいたします。
○野村看護課長 一次報告については先ほど申したとおりでございますけれども、この場で御議論することは、一次報告のフィックスも皆さんお持ちでないと思いますので、本日この検討をするのは難しいかと思います。
○小山座長 それでは、岡本委員、後でここのところというのを事務局におっしゃっていただければと思います。本日は、この報告書について御意見いただければと思います。では、太田委員どうぞ。
○太田委員 3ページのちょうど真ん中ぐらいの「多職種間の連携、協働と地域資源の活用に関する教育」で、この「多」という字の「多職種」という言葉は個人的には非常に好きなんですけれども、1ページの「今後チーム医療の推進や他職種との役割分担」では「他」になっているんですね。これは好き好きなんでしょうけれども、チームケアを構成する職種というのはおびただしい数があるわけで、その他の職種という雰囲気よりは、これは多いという字に統一していただいた方が私の気持ちとしてはすっきりするんですけれども。
○小山座長 よろしいでしょうか。では、藤川委員どうぞ。
○藤川委員 よくチーム医療のところで医師、看護師、その他というのがあるんですが、非常にひんしゅくを買うんです。やはり他のコメディカルの協力がなければチーム医療は成り立ちませんから、そういう表現はやめた方がいいと思います。
○島田課長補佐 文脈上、看護師とその他の職種とのという意味合いと、それからおっしゃるように多くの職種が関わる中でという意味合いがあることは事務局も承知しておりますので、文脈を考えて適切な文言にいま一度、確認をした上で、また次回御確認をいただきたいと思います。
○小山座長 ありがとうございます。それでは、岡本委員どうぞ。
○岡本委員 同じ「多職種間の連携、協働と」というところですけれども、「地域資源の活用に関する教育」とありますが、「社会資源」と言うのが一般的と思うので、こちらを「社会資源」としてはいかがでしょうか。
○小山座長 「地域資源」を「社会資源」に変えてよろしいでしょうか。
 今はこれについて時間を費やすよりもいろいろな御意見をいただいて、また事務局でまとめるという形にさせていただきますので、ありがとうございます。それで、「社会資源」というふうに変えた方がいいと。
○末永委員 「医療資源」じゃないですか。「地域資源」と言うと非常に大きくなってしまうのではないか。「医療資源」の方がわかりやすいかなとは思うんですが。
○小山座長 山路委員、どうぞ。
○山路委員 原文の「地域資源」で結構だと思います。まさしく介護も含めたさまざまな職種との連携という意味では医療に限定すべきじゃないし、「社会資源」ということになるともっと幅広いということになるわけで、ここで言っているのはまさしく地域での多職種の連携ということですから、「地域資源」が適切だと思います。
○末永委員 「地域資源」という言葉はあるんですか。
○山路委員 あります。それはしょっちゅう使っています。今や、それが主流になっているんじゃないかと思うくらいです。
○小山座長 「地域資源」が主流になっているという御意見もありますが、藤川委員どうぞ。
○藤川委員 今、昔の資料を見ていたんですが、「医療を担う貴重な社会資源の一員である」というような表現は1つあります。「社会資源」という表現はあります。
○小山座長 多分、いろいろな文献にその人の立場から書くときにいろいろな書き方があるんだろうと思いますが、ここの検討会としてどのような文言にするかということですね。この文言につきましては3種類の用語が出てきたということで、もう少しここの文脈と全体的に言っている中身を考えて、次回3種類が並ぶかもしれませんし、でも、次回はできれば1つにしていただきたいと思いますので、少し検討させていただきたいと思います。
 ほかに、内容でお願いします。では、山田委員どうぞ。
○山田委員 同じく3ページですが、3の一番下の丸のところで、「このような学習方法を通して、保健師、助産師、看護師として活動する様々な保健・医療の場面」と書いてあるんですが、ここは「保健・医療」だけでいいのか。もう少し福祉とかに広がった方がいいかと思うんですけれども。
○小山座長 御意見としては、「福祉」という言葉を入れた方がいいということでしょうか。「保健・医療・福祉の場面において」ということですか。
○山田委員 はい。
○岡本委員 「保健・医療」をなくしてしまって、「さまざまな場面」ではいかがでしょうか。
○小山座長 「さまざまな場面において」という意見もありますが、この文言について皆様方の御意見を、それに賛成なり、反対なり、あるいはほかの用語の意見なりを、お願いいたします。
 「保健・医療・福祉の場面において」とするか、あるいは「さまざまな場面において」とするか。
○岡本委員 それに関連してよろしいでしょうか。同じページの真ん中よりちょっと上の?Bのところ、「健康の保持増進にかかわる看護、保健の分野を含めた教育」とありますが、これも健康の保護増進に関わるさまざまな教育だと思うので、シンプルに「健康の保持増進にかかわる教育」でよろしいのではないかと思います。
○小山座長 ありがとうございます。余り時間がありませんので、今日はとにかく御意見をいろいろとお伺いしたいと思います。ほかにお気づきのところがありましたら、どうぞ。では、岸本委員。
○岸本委員 今のところは看護師を目指している学生ですから、目的から考えると保健・医療・福祉という対象分野を明確にした方がいいと思います。
 それから、3ページ上3分の1辺りの保健師、助産師、看護師教育の内容?@の「人間性のベースになる倫理性、あるいは判断力、人に寄り添う姿勢について」のところですが、価値観の領域、クリエイティブな領域、ケアリングのような視点・領域と、さまざまなベースとして読み取るということでよろしいのでしょうか。確認をさせていただきたいと思いました。
 それからあと一点、今回の検討会の報告の中にもありましたが4ページの実習指導者と実習指導教員というのは同じなのか、別のものなのか、在籍の場所によって違うのか、その辺りを少し明確にした方がよいかと思いました。
○小山座長 ありがとうございます。実習指導者と実習指導教員につきましては、先ほどのワーキンググループの報告の中の5ページに実習指導教員だけは書いてあります。実習指導教員は学校側が準備する人であり、実習指導者は実習の受け入れ側が準備する人と違えてとらえてこの検討会ではきていると思います。
 舘委員、どうぞ。
○舘委員 どこのところというよりは、先ほどの話でも、これは卒業時の到達目標だということで、例えば対象者で家族は入らないとかあったのですが、そうすると家族が入るのはいつなのかということなんですね。
 ですから、国際的な議論では、このレベルだけというのではなくて更に高度なレベルとの関係で枠組みをつくって到達目標というのを考えていたと思うんです。ですから、今後の課題の中にはそういうことがあるのではないか。どういう表現で入れたらいいかはわからないんですけれども、もう少し大きな全体の到達目標との関係の議論が必要ではないかというようなことを入れていただければありがたいと思います。
○小山座長 ありがとうございます。ある意味では生涯を通しての継続教育等も含めた到達目標の明確化、あるいは継続的な教育というふうな形でよろしいでしょうか。また、たたき案をつくりますのでよろしくお願いいたします。
○山内委員 先ほどの岸本先生とちょっとかぶるのですけれども、3ページ目の?@の「倫理性、あるいは」というと、何かどちらかみたいな感じです。本来はどちらも必要なわけですから、これは「あるいは」とかではなくて、併記なり「並びに」のようなことだと思います。細かい文言ですみません。
○小山座長 ありがとうございます。では、太田委員どうぞ。
○太田委員 保健・医療・福祉で、看護師は福祉と非常につながりがあるんだけれども、福祉の中に包括はされるけれども、超高齢社会において介護という言葉は重要だと思うんですけれども。
○小山座長 ここに入れるということでしょうか。
○太田委員 そこまで言うんだったら、そういうことです。
○小山座長 実を言いますと、ワーキングで介護をワーキンググループ報告のところに入れるかどうかで大変悩んだのですが、介護と看護は重なる部分が大変多うございまして、英語で言うとケアですのでナーシングケアですが、そこのところをいかにも別のように取り扱うのはいかがかという意見もありまして、ここに別のようにしてしまいますと看護とは全く別物みたいに錯覚されると困る。相当重なる部分もありますので、そういうことで今回は看護のワーキング報告書では介護というのは入れませんでした。そういうふうな思いがございます。
○太田委員 検討いただければと思います。
○小山座長 ありがとうございます。
 それでは、今日御発言いただいていない島田委員から何かありますでしょうか。
○島田委員 時間がないから控えていたんですけれども、今のところでいけば看護師として活動するということを修飾していますので、むしろ何の場面というよりは「さまざまな」で総括してもいいのかなと思いました。
 それから、途中のところでも専門基礎分野のところの強化すべき教育内容のところからいくと、病態生理とか薬理学などを入れてしまうと本当にそこに固執してしまって、あくまでも専門基礎教育の内容というのは看護に必要な病態生理であったり薬理学であったりしますので、看護学に必要な内容からいくと「専門基礎教育」という表現でも本当はいいと思うんです。ただ、抽象的でわかりにくいとするならば、栄養学にしても統計学にしても前の文言のところではそのことが強化されるべき基礎的、教養的内容と書いてありますので、「専門基礎科目」という表現の方でも私はいいと思います。
 ただ、それはだれがどんな方法で病態生理などを教育するかによって多少違ってきますので、あくまでも「看護学にとって必要な専門基礎科目」という書き方の方が妥当ではないかと思っておりました。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 時間がないんですけれども、あと、6点ほど意見があるんですが。
○小山座長 6点はちょっときついですので。
○岡本委員 きついというのはどういうことでしょうか。意見を全部吸い上げてください。
○小山座長 わかりました。では、少しスピードアップでお願いいたします。
○岡本委員 3ページの真ん中より少し下の丸に「助産師や看護師には~フィジカルアセスメントについて強化する必要がある。」というところに保健師が書いていないというのは、保健師教育においてはそのような技術を学生が既に有していることを踏まえて教育を行うという趣旨でしょうか。
○小山座長 すみません、もう一度お願いいたします。
○岡本委員 3ページの丸のところに、助産師や看護師にはこういう能力の強化が必要だと書いているんですけれども、ここに保健師が書いていないのは、保健師教育においてはもうそのような技術を学生が既に有している、つまり看護師免許を取らないと保健師免許は取れないので、もう既に有しているから当然ということで書いていないんでしょうか。
○小山座長 「対象者の生命に維持や」という文章のところですね。事務局、お願いします。
○岡本委員 4ページにもあるんですけれども。
○島田課長補佐 ここの部分は、それぞれのワーキングでの御議論を踏まえまして、もともとこちらの検討会で、先生方は朝日のような図を覚えていらっしゃるかと思うんですけれども、その教育内容の広さと深さについて御議論していただいた中身に盛り込まれていた教育における広がりといったようなものが、実際に保健師、助産師、看護師のそれぞれの教育においてどのように反映されているかということをまとめたものでございまして、助産師と看護師の到達目標の御議論のところでは特にこの緊急時の対処能力、それから基本的なフィジカルアセスメントといったところが強化すべきというふうに御議論されていたことを踏まえて、ここで表現をしております。
○岡本委員 そうしますと、保健師教育のワーキングでも、健康危機ですとか虐待、自殺、うつに対応するための高度なフィジカルアセスメントの技術が必要ということは議論として出ておりましたので、ここには保健師も書く必要があると思います。
 同様に、4ページの3つ目の丸のところにも「侵襲を伴う行為を体験することが難しく」というところ、これも災害時ですとか健康危機管理という点では、侵襲を伴う事態に遭遇することが保健師も十分想定されますし、その部分が保健師の到達目標の大項目として今回追加されて出てきていますので、この両方に保健師も入る必要があると思います。
 それが1点目です。議論はなく、ずっと言えばいいんですか。
○小山座長 もう議論する時間がございませんので、今日は御意見を言っていただいてと思っております。
○岡本委員 それでは2点目です。5ページの最後の丸のところです。「養成所の教育の質の向上のためにも、自己点検・自己評価の実施は必須の課題である。」とくくられているんですが、一次報告書の中では外部評価に関する文言があったと思いますので、最後の2行目のところに、「教育の質の向上のためにも、各養成機関が自己点検・自己評価を行うとともに、教育課程ごとに外部評価を受けることが必須である」という文言が必要だと思います。
 3点目、その上の丸のところです。「単に学生の知識の保有量で評価できるものではない。」でくくってあるんですけれども、ここのところに「知識、思考、行動というステップを踏んで発揮されるため、単に学生の知識の保有量で評価できるものではなく」で、ちょっと付け加えたいんですが、「思考、行動を含めて評価されるべきである」というところまできちんと書いた方がいいと思います。
 それから、その次ですが、同じ丸のところで「近年」から「本検討会においても、保健師、助産師、看護師教育において培う能力を明らかにし」という表現になっておりますので、この下の「看護基礎教育を担う教員、実習指導者等を」のところも「保健師、助産師、看護師教育を担う教員、実習指導者等を始めとする」と、この「看護基礎教育」というところを「保健師、助産師、看護師教育」という言葉にそろえた方がいいと思います。
 それから、4ページの上から2つ目の丸のところ、「効果的に演習を位置づけることが必要である。」ということでくくっていますが、この後に「ただし、これらの演習は実習に取って代わるものではない」という文言を付け加えた方がいいと思います。
 それから、戻って失礼します。2ページの下から3つ目の丸の下、保健師の技術項目と助産師の技術項目のことを書いているところ、これらの技術項目は「対象者の状況を見極め、具体的な介入方法を選択し実際に支援を行う」と書いているんですけれども、保健師の場合は、今度大項目に施策化やシステム化というような環境を対象とする活動があり、単に支援だけではないということでは、「対象者等の状況を見極め、具体的な介入方法を選択し実際に支援等を行う」というように、それの範囲だけにあらずというような表現の方が適切ではないかと思います。
○小山座長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。たくさんの御意見ありがとうございました。ほかの皆様方もまだ御意見がおありかと思いますが、本日はもう時間がございませんので、事務局の方にメールで御意見をいただければありがたいと思います。それらを修正した上で、また次回の検討会の前に素案を皆様方にお送りすると思いますので、それにつきましてまた具体的に御意見をいただければありがたいと思います。本当にありがとうございます。
 それでは、本日の議事を終わりたいと思いますが、事務局に今後の予定の説明をお願いいたします。どうぞ。
○島田課長補佐 ただいま座長から御説明がございましたけれども、本日お示ししました報告書素案に関しまして、先生方の御意見を是非いただければと思っております。期日でございますが、誠に恐縮ですが、20日の月曜日のお昼ぐらいまでに事務局あてにいただけますとありがたく存じます。よろしくお願いいたします。
 また、次回の検討会ですけれども、2月7日の16時からを予定しております。正式な御案内は、また後日させていただきます。以上です。
○小山座長 それでは、これで第8回の「看護教育の内容と方法に関する検討会」を閉会いたします。時間がオーバーしましたこと、司会の不手際で失礼いたしました。
 今日も活発な御議論ありがとうございました。


(了)

厚生労働省医政局看護課
課長補佐 島田陽子(内線4167)
看護教育指導官 島田千恵子(内線2595)
(代表) 03-5253-1111
(直通)03-3595-2206

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