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2010年11月5日 第20回感染症分科会結核部会議事録

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成22年11月5日(金)
10:00〜12:00


○場所

厚生労働省
6階共用8会議室


○議題

(1)結核に関する特定感染症予防指針について
(2)その他

○議事

○水野補佐 定刻でございますので、これより第20回厚生科学審議会感染症分科会結核部会を開催いたします。
 お集まりの皆様方には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、本部会の開催に当たりまして、まず、外山健康局長より一言ごあいさついたします。
○外山健康局長 おはようございます。健康局長の外山と申します。
 この結核部会では指針を改正しているということでございまして、今年になってから4回目だと聞いておりますけれども、御案内のように結核医療というのは不採算だということと、患者も若干減少してきていると。更には病床も減少しているということで、医療のアクセスが非常に悪化しているということで、結核医療の確保がだんだん困難になってきているという状況の中で高齢化も進展してきているということでございまして、いろいろな合併症に対してきめ細かく対応することが求められていると承知しております。したがいまして、こういった指針の改正がなくても行政としてこういった問題に対応することは非常に重要な課題だと思っております。昨年度の部会からいろいろ議論されているようでございますけれども、本日はこの医療体制につきまして、更に御議論を深めていただくことになろうかと思っております。先生方の専門的な見地からの御意見について、いろいろ拝聴させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○水野補佐 開会に先立ちまして、委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日の出欠状況につきましては、青木委員、高橋委員から御欠席の連絡をいただいております。現在の部会委員総数12名のうち10名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の部会は成立いたしますことを御報告いたします。
 また、本日の参考人について御紹介させていただきます。慶應義塾大学法科大学院准教授の磯部参考人です。長期入院患者に関する研究に御参加いただいており、特に法的仕組みの在り方について、本日は御意見をいただきたいと思います。
 ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 資料はひとまとめになっておりまして、その後参考資料が1〜5までございます。御確認をお願いいたします。不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、後の進行は坂谷部会長、よろしくお願いいたします。
○坂谷部会長 皆さん、おはようございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日も、前回に引き続きまして盛りだくさんでして、なるべく時間内に終わりたいと思いますが、もしかすると15〜20分また延長になるかもしれません。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日の議題は「結核に関する特定感染症予防指針について?B」でございますが、「第三 医療の提供」の中の基本的考え方について議論を行う予定でございます。
 それでは、水野さんの方から、本日の議論の進め方と資料の説明をお願いいたします。
○水野補佐 資料をごらんください。資料の1ページ目です。こちらは「第三 医療の提供」の「一 基本的考え方」につきまして、予防指針と議論の視点を抜粋してございます。本日の議論の視点は、1つ目は潜在性結核感染症の治療の推進について、2つ目は結核医療提供体制の再構築、3つ目は入院の療養環境に関する視点、4つ目は入退院基準の妥当性についての視点、5つ目は入院勧告に従わない患者への対応方策に関する視点、6つ目は受診の遅れに関する視点となっております。2点目と3点目の提供体制に関する視点と療養環境に配慮した方策に関する視点については、さきの部会において今後の医療の在り方において既に議論がされておりますので、それは16回部会のときに「概要」として提示させていただきましたけれども、参考資料4としてついております。
 その概要から対応策につきまして書き込みをしてございます。本日は、この対応策について2点目、3点目の視点については議論のときに御確認いただければと思います。
 2つ目の資料をごらんください。こちらは、自治体アンケート結果の抜粋です。研究班により本日の議論の重要な部分である医療の提供体制について、自治体アンケートを行っておりますので、この結果の説明をまずさせていただこうと思います。その後、各議論の視点につきまして、いつものように資料説明後、議論を行っていただくということで進めていただければと思います。
 それでは、引き続き資料説明として、自治体アンケート結果の説明に移りたいと思います。
 3ページの自治体アンケート結果でございます。集計状況といたしまして、132自治体に送付し、105自治体より返答があったものです。47都道府県中36都道府県より返答がございまして、その他の自治体は85自治体中69自治体より返答がございました。47都道府県中、都道府県及び都道府県内の全自治体から返答があったのは34でございました。
 結果は、関係のあるところだけ抜粋してございます。表1、自治体当たりの入院医療機関数の分布でございます。ごらんのとおりでございますけれども、特に入院医療機関数が1となっている都道府県は、34都道府県中3か所であったという状況でございます。
 表4は病床利用率の分布でございます。20〜40%、40〜60%がそれぞれ3分の1を占めておりまして、病床利用率はかなり低いような状況でございます。
 表6−3、院内DOTSの実施率でございます。これは34都道府県中13県では院内DOTSをしていない医療機関があったという結果でございました。
 表7は、結核病床以外に入院している結核患者の割合でございます。結核病棟以外に入院した結核患者のいる自治体は、101自治体中41自治体で合計267人おりました。それは塗抹陽性患者総数の3.3%に当たります。
 結核病床以外に入院する理由としては、右の表にございますけれども、合併症・重症のためと返答した自治体が多いということです。また、ほかに、結核病床満床を理由とする自治体もございました。
 表8、表9は、感染症病床数とモデル病床数についてでございます。感染症病床数については、自治体によってごらんのとおりの感染症病床数を持っているということです。モデル病床数については、34自治体中13自治体で置かれておらず、置かれている都道府県の多くで1〜9床であったという現状です。また、モデル病床があっても用いられていないという理由がございまして、スタッフ不足、または、対象症例がないという返答がございました。
 表10は、県外で治療している者の割合でございます。この県外治療者の割合については大体0〜30%台に分布しているという状況でございます。県外治療の理由としましては本人理由が多いんですけれども、合併症対応理由と、そのほか満床という理由もございました。特に、県外で治療している割合の高いところとしては、埼玉、奈良、岐阜など大都市近郊住宅地を持つ地域で多かったという特徴がございます。また満床理由のうち千葉県内、東京都内、神奈川県内、福岡県内の自治体で見られていたということでございました。
 表11は、合併症を有する者の治療でございます。合併症医療が可能な医療機関がない都道府県数は、妊娠では11、透析では7、精神科入院は11、徘徊認知症は11、大腿骨頸部骨折手術は5、脳出血/クモ膜下出血手術は9、脳梗塞は9、経皮的冠動脈インターベンションは8であったというような結果でございました。この合併症治療を要する場合は、現在でも都道府県内では完結しないものとなっているところがあるということでございます。
 また、そのほかの特色としては、精神科では受入可能と返答した28都道府県中、モデル病床で可能となっているところは11か所ありまして、精神科モデル病床の活用が進んでいることがうかがわれたということでございます。
 表12に移りまして、指定医療機関数の分布と患者の治療を行っている医療機関数の分布でございます。指定医療機関の分布が500〜999か所の都道府県が多いんですけれども、患者を実際に診ている医療機関数は20〜49か所ということで、結核患者を診ている医療機関数は少数であるということがわかりました。
 8ページからは、適正医療に関する内容でございます。表13は標準治療の割合をお示ししております。標準治療が行われている割合は、都道府県では50%以上のところばかりでございました。ただし、70%未満の県も見られております。
 表14は、都道府県以外の自治体も含めたものでございますけれども、都道府県以外の自治体では標準治療割合は50%未満のところは6か所見られていたという現状がございます。
 周知を行っている自治体数は、標準治療施行率中等度の自治体が、周知を何らかの方法で行っていることが多いという傾向にございました。周知方法については、ごらんのとおりです。
 表15は、公費負担申請をされるときに、適正な医療が行われているかどうか確認しているかという質問でございます。これは103か所中100か所で確認しているという答えでございました。
 表16は、適正医療についての公費負担申請の際の確認について、その内容でございます。診断治療の妥当性について多くの自治体で公費負担申請の際に検討されているということがわかっております。
 アンケートの説明については、以上でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 まず、ただいま事務局から2つ説明がございました。本日の議論の視点及び自治体アンケートの結果につきましてでございますが、これに関して御質問・御意見などございましたら、よろしくお願いします。
 都道府県はわかるんですけれども、その他の自治体というのは8ページに書かれていますように、政令指定都市、中核市、保健所政令市、東京23区と理解したらよろしいですね。何か御議論・御意見ありませんか。
 府県単位で見ても、結核診療のできる入院施設として1つしかないというところが全国的に3つ出てきたということです。一番多いところは10施設以上というところも3県ありますけれども。よろしゅうございますか。予想どおりでしょうか、それとも予想に反してというようなところがあるかもしれませんけれども。
 川城先生、何かございませんか。
○川城委員 特になくて、大体そうだったんだろうと思います。
 それから、病床利用率も60%利用率まで合計すると、ほとんどということですね。病床利用率50%までの施設数を足し算すると、ほとんどの施設がそうだということで、病床利用率が非常に低いということなんじゃないかということも、皆さん想像していたことではないかと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 表4に書かれていますように、中間値が0.4でして、40%程度の病床稼働率しかないというのが現状だということです。
 それでは、各視点についての議論に入りたいと思います。まず、1つ目の視点、低まん延化に向けた施策の重点化に伴い、発症リスクのある対象への対策強化を行うという考えから、「潜在性結核感染症の治療の推進」を基本的考え方として言及することが必要かどうかについて、まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○水野補佐 資料の10ページをごらんください。潜在性結核感染症治療の推進についての視点ですので、これまでの潜在性結核感染症治療の取扱いについて経緯をまとめました。
 結核予防法の時代におきましては、初感染結核という取扱いで、最初は乳幼児の初感染結核に対して公費負担の規定を適用しておりました。
 昭和50年になりまして、中学生以下の初感染結核に対しまして枠を広げまして、平成元年になりまして、29歳以下の初感染結核の治療を公費負担の規定を適用しています。
 感染症法に統合後は、平成19年6月に初感染結核の取扱いの廃止をいたしまして、無症状病原体保有者と診断し、かつ、結核医療を必要とすると認められる場合は、潜在性結核感染症として届出の対象となっております。
 翌7月に「結核の接触者健康診断の手引き」において、年齢にかかわらず潜在性結核感染症と診断された者には十分な説明と同意のもとで、適切な治療を考慮すべきであるという示唆がされております。
 8月においては、潜在性結核感染症に公費負担の規定を適用しております。
 平成21年2月においては、結核医療の基準においても潜在性結核感染症の治療における薬剤選択について記載が加えられております。
 以上の経緯でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 潜在性結核感染症、予防というよりは治療と変わりましたけれども、それはともかくとして、日本の結核を減らしていくためには、1番目か2番目に挙げないといけない重点項目としてやりましょうということですが、これは世界的なトレンドにも合致していると考えていいかと思いますけれども、加藤委員、それでよろしいですか。
○加藤委員 はい。今、坂谷部会長からお話があったとおりで、根絶に向かっている国は発病している患者を見つける以上に、感染症している人を発見して発病するといった方向になっているのが世界的な動きだと思います。
 もう一点御指摘申し上げたいのは、感染診断のクォンティフェロンという新しい技術が広く使われるようになってきていまして、非常に特異性が高いということで、感染診断も従来より非常によくできるようになったといったことからも、潜在性結核感染症治療の有効性が高まっているだろうと考えられます。そういった技術的な革新も含めた上で、今後の方向ではないかと考えてございます。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員からいかがでしょうか、御意見・御発言ありませんか。
 ちょうど今、加藤委員から御発言がありましたように、テクニカルにも潜在性結核を見つけるというか、確実に診断するためのテクニックがどんどん進んでまいりましたので、それを十分利用するとうまくいくんじゃないかという話も、おまけについてございます。御議論ございませんか。
 まとめますと、潜在性結核感染症治療の推進については、指針に記載していくという方向でよろしいかと思います。御同意いただきたいと思います。
 それでは、次の視点の議論に移りますが、2つ目と3つ目の視点につきましては、双方ともさきの部会で既に議論されました、今後の医療の在り方に関する視点ですので、まとめて議論内容について確認を行いたいと思います。このことに関しまして、関係する資料の説明を事務局よりお願いいたします。
○水野補佐 1ページ目をごらんください。こちらに結核に関する特定感染症予防指針の抜粋がございます。先ほど御説明したとおりでございますけれども、対応策の欄について改めて確認させていただきたいと思います。
 2点目の視点、結核医療提供体制の再構築の対応策でございます。これは、16回の結核部会の今後の医療の在り方に関するこれまでの議論の概要より抜き出したものでございますけれども、都道府県レベルで標準治療のほか、多剤耐性結核患者や管理が複雑な結核治療を担う拠点病院を定め、地域レベルにおいて合併症治療を主に担う地域基幹病院を定め、国レベルで都道府県で対応困難な症例を担う専門施設を定める。
 2つ目、都道府県単位で拠点病院を中心として、各地域の実情に応じた地域医療連携ネットワーク体制を整備する。また、地域連携ネットワークに対して専門施設が支援を提供できる体制(専門施設ネットワーク)を整備する。
 3つ目、個別患者の病態に応じた治療環境を整えるべく、また医療アクセスの改善を図るためにも、結核病床とのその他の病床を併せたユニット化病床、感染症病床の利用を含めた一般病棟の中の陰圧病床の整備を進めるというような対応策になっております。
 次に、3つ目の視点の対応策についてでございます。療養環境により配慮した方策を講じることが必要かということに対しまして、対応策としては、ユニット化病床を含む結核病床とモデル病床について、院内感染予防、療養環境を考慮した施設基準を定めるという対応策になっております。
 11ページ目に移っていただきまして、それぞれ今お話しした対応策について、どのような検討事項が必要かということも、この議論の概要の中に指摘がございました。ここで特に、対応策に関連する検討事項に注目しますと、2つ目の「○」でございます。モデル病床、ユニット化病床等の課題を明確化しつつ、再整備の促進方法について検討することが必要ではないかということ。また、結核病床、モデル病床について、院内感染予防、療養環境を考慮した施設基準の検討が必要ではないかという検討事項がございました。これについて施設基準設定のため、また、病床の課題や実態を把握するために現在、厚生労働科学研究班において結核病床、モデル病床、感染症病床全国調査を実施中でございます。それについては後ほど、加藤委員より訪問調査を行った結果を報告していただくことになっております。
 3つ目の「○」でございます。感染症病床と結核病床の今後の在り方について、引き続き検討することが必要ではないかという検討事項がございました。これについては、結核病床及び感染症病床に関する意見交換会を結核と感染症の両サイドから専門家をお招きいたしまして、平成22年9月6日に開催しております。
 12ページにその主な意見が記載されております。こちらでの意見では、病床区分については、現在の感染症病床の施設基準等々は急性感染症をめどにしてきており、入院期間の長い結核については考慮されていない。そのため、感染症病床と結核病床の区分をなくしてよいものかよく考えなければいけないという御意見。また、診療報酬の問題が解決されなければ、結核病床の廃止が相次ぐことが懸念されるということ。
 2つ目として、医療法上でも感染症病床を使用することは拒まないという記載でもいいのではないか。
 3つ目としては、二種感染症病床全部が結核を診なければならないとするのではなくて、診ることができる形にして、需要のある病床のみ実際に行うという形がよいという御意見が出ました。
 また、感染症病床で結核患者を診ることについての課題につきましては、ハード面・ソフト面において現実的に解決しなければいけない問題はあるという御指摘がございまして、ハード面・ソフト面については、それぞれまとめてございます。御参照いただければと思います。
 資料については、以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 特に12ページ、現場の意見、切実な問題が反映されていると思いますので、十分考慮することが必要だと思います。議論は後にしまして、続いて、加藤委員より結核病床の施設状況に関する全国のサンプリング訪問調査について御報告を願いたいと思います。
○加藤委員 それでは、資料の13ページをごらんください。この調査は、この後に引き続き結核病床を持っている施設、すなわち結核病棟とモデル病床あるいは二種感染症病床についても含まれることになると思うんですけれども、適正な全国調査が行われるようにサンプリング調査を実施したものです。したがいまして、20施設を実際に訪問しましたが、なるべく多様な病棟・病床が含まれるように選んだものですので、代表性等々には余り配慮されない形で調査が行われています。
 調査項目は、結核病床の概要、感染粒子の制御、患者管理を実際にどのように行っているか、重症の合併症をどうしているか、患者に対するアメニティという5分野につきまして、かなり詳細な調査項目を設定して、実際に現場に行って調査用紙に基づいて聴取したということです。
 調査対象になったのは表1に示していますけれども、結核病棟が8施設、この中に精神科の中にある閉鎖病床、社会経済的弱者が非常に多いという若干特殊な施設もあえて含めてございます。ユニット化された病床が6つ、それから、一般病床としてのモデル病床が3、精神病床としてのモデル病床が2、感染症病床が1ということで対象にしてございます。
 概要としまして、比較的古い施設で老朽化しているところがあるんですけれども、結核病床が不採算ということで、なかなか改装ができないといった声が聞かれています。
 ユニット化病床の定義としまして、1看護単位が2つの病床を含む、結核病床とほかの病床をケアしていることをユニット化と、この調査の中では言っています。
ユニット化病床自体は実際は、結核病床の一部を仕切って使っている場合と、従来からあった病床をほかの看護単位と一緒にケアする場合がありました。
 (3)として病床の設置状況は非常にさまざまですけれども、結核病床とモデル病床の機能的な境が、実際に行った病床の中ではモデル病床なんだけれども、特に、重症な合併症の有無にかかわらず地域の患者さんをある程度広く診ている病院もございました。
 結核病床中の個室の割合は少ないということで、なかなか有効利用はできていないという現実があります。また、結核病床と二種感染症病床の両方を持っているということは、感染防御の観点から二種感染症病床を使っていったところも中にはございます。
 2として感染のコントロールということで、換気施設も非常にさまざまでした。推奨は6回以上の実質換気ということですけれども、なかなかそこまでいっていない。あるいは、施設が古いためにこういった機械換気が余り行われていない病床も見られました。
 機械換気している場合は、外気に排出するときにHEPAフィルターが設置されていることが多かったんですけれども、気流についてなかなか配慮されないということで、廊下側から窓側に流れるべきところが、実は給気口が廊下側にあるといった設計上、若干が問題があるんじゃないかというところも中にはありました。
 対象病床数の大体4分の1ぐらいが陰圧化されていますけれども、陰圧した病室内にトイレやシャワーを持った病床が少なかった問題があります。
 HIV等の合併では陽圧化が必要なところがあるんですけれども、そういうところはなかなか普及していないということです。
 換気につきましては、施設管理者もなかなか正確に把握されていないということで、保守管理には随分大きな差があります。
 病室の担当者、看護師さんたちは陰圧化には関心が高いんですけれども、換気自身に余り留意されていないといった問題があったり、陰圧のモニターが区画されていないという問題もありました。
 病室の扉の管理も厳密になっていないところもあったという問題もあります。
 3の患者管理につきましては、なかなか難しい問題があって、入院当初は個室にしたいという施設も多いんですけれども、なかなかうまく運用できないというところもありましたし、病院内における、特に感染性のある時期の自由移動については、どの程度になったら自由移動できるかといった基準も非常にさまざまでした。
 検査等々の際のエレベーターの使用についても、対応がさまざまだったということがあります。
 精神科以外の管理、実際に感染性の患者さんが出ていってしまうといったことについて、かなり厳密にセキュリティを行っているところもありました。
 余り指示に従わない患者さんで、感染性があるにもかかわらず、ほかのところに移動してしまうといった問題もありましたけれども、これはなかなか有効な対策は難しいという問題がありました。
 認知症の問題は結核だけではないでしょうけれども、なかなか難しいということがありまして、センサーを使ったり、施錠などさまざまな方法が使われておりまして、認知症の管理が難しいので結核患者を入れていないという場合も中にはあったということです。
 4、重症の合併症は、先ほど全国調査にもありましたけれども、ユニット化や陰圧区域があるんですが、実際は看護ステーションが非常に遠いところが多くて、看護師さんの目が届きにくくてうまく使えないといった問題もありまして、この辺は施設の設計時に考えなければいけない問題だろうということです。
 重症の合併症で手術が必要というのは、実際はそんなに多くないので余り意識されていないんですけれども、問題としては残っていると考えます。
 5、長期入院になる結核患者のアメニティという問題では、一人当たりの床面積は、今回調査を一緒やっていただいております国立保健科学医療院の筧先生の推奨の中では、患者一人当たり15?u以上ということなんですけれども、そこまで満たされているところは少なかったということです。
 それから、もともと1病棟だったものを区切ってつくったユニット化結核病床では、共同施設というか、いわゆる談話室みたいなところがないというところも多くありました。
 それから、テレビや公衆電話はありましたけれども自販機がなかなかないとか、インターネットが接続可能なコンピュータを置いているところは余りないということで、携帯電話は比較的使えましたが、物品の購入は半分ぐらいのところで可能と、できていないところもあるといった状況でした。
 それから、外に出られる、外気に触れるといった施設はほとんどなかったということです。
 いずれにせよ、まとめとして病床は施設によって非常にさまざまで、こういったところから全国的な調査を行う必要があるといったことで、先ほども申し上げました老朽化の問題あるいは換気システムが非常に多様であると。それから、調査するに当たって施設についての把握が難しいといったことで、この辺は調査するときにわかりやすい調査をしなければ必要な回答が得られないのではないかといったことがございました。
 それから、重症合併症、アメニティは訪問段階でもさまざまな問題があるということで、この辺についても調査内容に含める必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 2つ目の視点、3つ目の視点にかかわる議論ですが、その一環として今、加藤先生からサンプリング、チームを組んで20施設を訪れて調査していただいわけです。まず、加藤委員からのサンプリングの御報告に関して、何か御質問・御議論ありませんでしょうか。
 ユニット化というのは、多分、結核病棟を1看護単位で維持しづらい、一番最初の報告にありましたように、全国的に40%しか埋まっていませんから経済的にも成り立たないし、むだが多いということになったんでしょうけれども、余り使われていないのにモデル病床を採用したとか、引き金になったことはどういうことでこういうハード面を選ばれたというか、その施設での考え方とか、その辺の調査は入っていないですか。
○加藤委員 その辺は詳しく調査してございません、申し訳ございません。
○坂谷部会長 いかがでしょうか、何か御質問ありませんでしょうか。
 サンプリングですから、一番最後の結論で出ると思いますが、引き続き全国調査をすべしということになろうかと思います。
 2つ目の視点、低まん延化に向けて医療の質を確保し、患者を中心とした効率的な医療提供を行っていくために、結核医療体制の再構築を行うことが必要かということと、3つ目の視点、病棟単位から病床単位の結核病床に移行していく中において、院内感染予防や患者中心の医療の観点から、中・長期にわたる入院の療養環境により配慮した方策を講じることが必要かということにつきましての御議論です。何かこの視点、指針に盛り込む内容について御異論・御議論、こういうことも書くべきであるとか、加藤先生からの調査報告を含めまして何か御議論ございませんでしょうか。
 経済的な問題も書かれております。加藤先生からの報告にもありましたように、老朽化していることでなかなか改築が進まない不採算性が問題であるということ、事務局からの報告にもありましたし、加藤先生の報告にもありましたが、そういう視点も必要かと思われます。
 それでは、ないようでしたら、今後の結核医療の在り方に関する検討事項に沿って、医療提供体制構築についての調査・整備等を進めていただきたいと思います。
 続きまして、4つ目の点に移りたいと思います。水野さんから関連資料の説明をお願いいたします。
○水野補佐 資料の17ページをごらんください。入退院基準に関する視点でございますので、入退院基準の現状についての資料を説明させていただきます。
 まず、入退院基準検討の背景でございます。周囲の感染の拡大防止のための入院を確保する中で、患者の生活の質(QOL)向上のためには、更なる入院期間の短縮が望まれるのではないか。また、昨今の結核医療提供体制における諸問題、一部地域における病床不足や医療スタッフの不足などのある中で、入院期間を短縮していくことは今後の方向性として考えられるのではないかというような背景がございます。
 入院基準については、喀痰塗抹検査結果が陽性である場合に入院、または、陰性である場合も、塗抹、喀痰以外の検体も含めて塗抹検査、培養検査、または核酸増幅法の検査のいずれかの検査が陽性であって、下のア、イ、ウに該当するときに入院となります。このア、イ、ウについては、塗抹陰性であるが明らかに感染性がある場合や、居住環境・同居者等のために隔離が望ましい場合が考慮されていたり、また、多剤耐性結核が疑われる場合が考慮されております。
 退院に関する基準には、退院させなければならない基準と退院させることができる基準がございます。退院させなければいけない基準は、咳、発熱、結核菌を含む痰等の症状が消失したときとなっております。結核菌を含む痰の消失は、異なった日の喀痰培養の検査の結果が連続して3回陰性である、ただし、3回目の検査は核酸増幅法の検査とすることもできるとなっております。これについては、培養結果が判明するまでは期間がございますので、人権を尊重する観点から可能な限り短縮できるように配慮されております。
 また、退院させなければならない基準については、それでも長いということがございますので、退院させることができる基準もございまして、以下のアからウまでのすべてを満たした場合には退院させることができるとなっております。ア、2週間以上の標準的化学療法が実施されて、咳、発熱、痰等の臨床症状が消失している、イ、2週間以上の標準的化学療法が実施された後の異なった日の喀痰の塗抹検査または培養検査の結果が連続して3回陰性である、ウ、患者が治療継続及び感染拡大防止の重要性を理解し、かつ、退院後の治療継続及び他者への感染の防止が可能であると確認できている、というようなすべての事項を満たした場合に、基準が満たされるということになります。
 現状はこのようになっております。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 続きまして、現在の入退院基準が策定された状況につきまして、加藤委員から説明をお願いしたいと思います。
○加藤委員 ありがとうございます。
 この背景ですけれども、平成17年に一旦、入退院基準ができましたが、実際のこの際の経緯というのは、多剤耐性については余り十分に配慮されていなかった。特に、国立病院機構から示されたのは、そういう背景にあったものですから、策定するときに多剤耐性も含めてきちんとした管理ができるようにといった配慮から、こういった基準になっていると理解しております。
 現在の基準につきましても、先般の日本結核病学会でもミニシンポジウムで議論がありまして、日本の入院期間が長いのではないかという議論が行われていますけれども、海外との比較を考えますと、私は3つのポイントがあると考えています。1つの議論は、感染性に関する認識の議論でございます。1970年代にいろいろな研究が行われた中で、塗抹陽性であっても2週間治療すると感染性はなくなるといった説が言われていますけれども、これは確かにそういったデータがあるんですが、この時代は多剤耐性に余り関心がなかった時代だということで、そこが含まれていない。また、感染性であっても菌量が非常に減少するとはいえ、培養が陽性なのに感染性が本当にないか、実はこれに対する明確なエビデンスはないと今は考えられるわけです。
 こういったことを背景に、資料の19ページの上に、治療開始後の感染性に関する見解ということで、これは伊藤先生、豊田先生が調べられたものですけれども、各国の最近の公文書等々の中で感染性に関する見解が示されています。下の3つほどは90年代の話でして、10日とか15日、あるいは一月といった従来の考え方が含まれた内容になっていますけれども、最近のアメリカ、ニューヨーク、カナダが出ていますが、この辺の記載の中では感染性がなくなるまでの期間2週間といったところはだんだんなくなっているということです。こういったことで世界の潮流が変わってきているということです。
 実は、昨年アメリカのニュージャージー、あるいは今年はドイツに調査に行ってまいりましたけれども、臨床医が学校の教師の場合は培養陰性まで信用しないように指導していると聞いてまいりました。若干驚いた部分があるんですけれども、その辺は本当に塗抹陰性で感染性が全くないかということに関するエビデンスはないといったことを背景に、万が一のことも考えてそういうことを指導しているのだと思います。
 2点目のポイントとしては自宅隔離の可否ということで、従前長期入院の患者に対する対応として、欧米では自宅隔離を行っています。これが本当にいいということになれば入院期間が大幅に短縮しますけれども、一方では、この場合、確実に周囲への感染が起こらない方法を確立すると。更に、こういった問題に関しては結核専門家だけではなくて、法律家あるいは市民を含めたしっかりとした議論が必要ではないかと思っています。
 3つ目は、万が一感染が起こった場合の責任の所在ということで、今、御紹介申し上げたように、ニュージャージーやドイツの例を考えますと、万が一こういうことが起こった場合は、臨床医が責任を持つといったことから臨床医に厳しい指導をしているんですけれども、日本の場合は国の責任が非常に重く考えられていると思います。逆に言うと、日本国民は国に対して大きな期待を持っているという言い方もできるのかもしれませんけれども、こういったことから考えると、やはり対応は慎重にならざるを得ないと考えている次第です。
 以上でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 今、加藤委員から日本より患者の減った欧米の国々で、かえって管理を更に厳しくすべきであるというか、入院期間は長くてもいいんじゃなかろうか、その方が妥当であるという意見が出始めたという報告がありました。国立病院機構の方で、もう少し軽めの退院基準を決めた経緯がありますが、それと現在の基準との乖離というか差異がありますが、そのことについて現在、病院機構におられる重藤先生あるいは以前おられた川城先生から何か御意見・感想はありませんか。
○重藤委員 国立病院機構の基準の前に結核病学会の基準がありまして、その学会の基準に矛盾しない形で国立病院機構の基準があります。学会の基準をつくるときからですけれども、さまざまな条件の患者さんがいらっしゃって、それに一定の文章で決まった一定の基準を当てはめるのがいかに困難であるかというのを痛感しております。学会の基準をつくるとき、菌が陰性とか陽性とかそういうことをなるべく入れたくなかったというのが実はありまして、でも、医療の現場、特に専門家以外の先生方からは、そういうことが要求されていたわけですね。ということで入れざるを得なかったんですけれども、やはり現場でこれを適用してみますと、かなり問題点が生じていると思います。
○坂谷部会長 具体的にどういうことですか。
○重藤委員 入院期間がかえって長くなったというのが一つあります。それから、多剤耐性については別に検討するというようなことで、少し置いていたと思うんですけれども、これが一律に多剤耐性に適用されますと、早過ぎるというか、もう少しちゃんと治療すべき人なのに少し早く退院させてしまわなければならないとか、もしくは、これは極端かもしれませんけれども、慢性排菌になった場合には、この基準に従いましたら、どのような条件が整っても一生退院できないのではないかという部分が生じてきてしまいます。治る方はきちんと治したいと。これ以上、感染性を少なくできない人についての条件というのが全く欠け落ちているわけですね。その辺りをもう一度考え直さなければいけないのではないかと思います。
 それから、もう一つ、退院させなければならない基準と退院させることができる基準というのは、初めて読みますと非常にわかりにくいと思うんです。ただ、退院させなければならない基準というのが結核の医療費公費負担と連動しておりますので、退院させなければならない基準イコール全額公費負担が外れるというところが、治療を続ける上でもう一つの問題ではないかと思っています。
 以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 川城先生、何か。
○川城委員 私は13年間国立の結核拠点病院で働いて、それが終わって今、済生会の結核病床を持たない急性期病院で働いている立場で思い出してみると、私が国立を辞める少し前に、国立病院機構で結核病床の退院を促進するという動きが出て、結核病学会の退院基準を今、重藤先生が説明されたようないきさつでつくって、それを我々に示されたわけです。私たちにとってこれは青天の霹靂で、例えば、退院させることのできる基準のア、標準治療2週間やって症状がなくなったら、もう帰していいよと。本当ですかという思いがあったけれども、そうなんだと。結核病床を持っている院長を集めて、機構の偉い人がそういう話をして、そういうことで始まったんですね。私がそのときに言ったのは、それはそれでやるなら協力するけれども、追跡調査を是非やってほしいと。治療のその後、そういう退院基準を適用してどうなったかということをやるべきだと申し上げたことを今でも覚えています。けれども、それがどうなったかは私は知りません。そういうことで、今日こういう話が出てきて、揺り戻しが来たんだなというような感じが私の感想です。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 今、大事なことをおっしゃいましたが、検証と評価をちゃんとやらないといかんということも一つ入ってきたと思います。
 ほか委員の方々で入退院の基準についていかがでしょうか。現状と経緯ということから何か御質問・御意見ありませんか。
 入退院基準の妥当性につきましては、検討を継続していくことが必要かというのが議論の視点ですが、まとめとしましては、入退院基準の見直しにつきましては、今後も研究班で検討を継続していくことといたしたいと思います。
○加藤委員 検討の一つのアイデアとして考えられることとしては、先ほど言った多剤耐性の問題があると思いますので、今、多剤耐性、特にリファンピシンの耐性につきましては遺伝子検査ができるようになっています。これは診療報酬上も点数がついていますので、やろうと思えばできるわけです。そういった新しい技術を使って多剤耐性を確実に早期に遺伝子解析なのですぐ結果が出てきますので、もう少し短くする方法、あるいは液体培地の2週間培養の結果が陰性ですと、最終的な結果も微量排菌になるということがある程度わかっていますので、こういった新しい技術、新しい知見を使って、更に検討を進めるといったことが考えられると思っています。
○坂谷部会長 そのとおりだと思います。リファンピシンだけですけれども、遺伝子検索によって、その菌が耐性菌かどうかを検討するということ、それから、培地の改良によって早く生えるか生えないかがわかってくると。新技術も積極的に取り入れて見直していくということだろうと思います。
 それから、さかのぼって失礼ですけれども、前の療養環境の話ですが、海外の視察に行ってこられた先生方がおられると思いますが、欧米に比べて日本の療養環境はどういう位置があるか、どういう差異があるか、その辺について加藤先生、重藤先生、御意見・御感想はありますか。
○重藤委員 欧米でもそれはさまざまではありますけれども、ある程度長期の入院ということであれば、例えば、アメニティとしてテレビなどだけではなくて、作業療法室であるとか、自分で料理ができるスペースまで備えていたということが、とても印象的でした。昔の結核療養所というのはそういうことができていたと思います。屋外の散歩もできていた。今はそれが全くできないと。特に陰圧病床になりましたら、狭い部屋に少なくとも2週間そこにいてくださいと、トイレまでありますから出ないでくださいと言っているんですが、そう言われるだけで物すごいストレスで出たくなるという、かえってそういう心理的な反応があると思うんです。そういう環境になりつつあると。隔離のために患者さんはだんだん押し込められいてると。それに対応するアメニティというのが全く整備されていないと考えております。
○坂谷部会長 加藤先生、いかがですか。
○加藤委員 重藤先生が今おっしゃったことも勿論ですけれども、もう一つ、今回ドイツの視察に行ったときに非常に興味深いことがわかりました。2007年に行ったときですが、ベルリンの病院なんですけれども、結核病床は呼吸器病症の中に病室単位で設置されていたんです。ところが、今回行きましたら、結核病床を新たに一般の緩和病棟、これは悪性腫瘍とか慢性呼吸不全の末期の患者さんがいらっしゃる緩和病棟の上に新たに結核病床を15床設置したということなんです。これは患者さんのアメニティを考えてのことで、緩和病棟ですから、なるべく一般の家庭に近いような環境に新たに設置したということで、これは非常に興味深く思いました。ドイツは罹患率人口10万対5程度という非常に低まん延になっているんですけれども、そういう中でわずか15床とは言いながら、そういった患者さんの環境に配慮した施設を新たに設置したということで、まさに患者さんのための施設を設置しているなということで、大変感心しました。
○坂谷部会長 急性期の一般病棟よりは緩和ケア病棟に準ずる施設として位置付けているということですか。
○加藤委員 1つの病院だけですので、どこでもというわけではないですけれども、ドイツでは結核病床を3か所ほど見たんですが、一般的に病床数は少ないんですけれども、結核病床をまとまめる形で、もともと欧米の方がどちらかというと部屋はゆったりしていますので、見た感じでは日本よりずっといいかなという感想を持ちました。
○坂谷部会長 今までは一般病棟の中に日本で言うモデル病床のようなものをつくってという方向性だったと思うんですけれども、モデル病床という観点から見まして、モデル病床は廃止というか、だんだん規模縮小というか、そういう方式ではない方へ全体が変わりつつあるということですか。
○加藤委員 全体かどうかはちょっとわからないんですけれども、そういう動きがあると理解していただければと思います。一人当たりの病床の広さの話も先ほどちょっとさせていただきましたが、そういった点からもゆったりしていると思いました。
○坂谷部会長 菅沼委員どうぞ。
○菅沼委員 ヨーロッパもやはり高齢化していると思いますので、結核だけであれば緩和病棟の上はゆったりとしていいと思うんですが、それ以外に合併症を持っていらっしゃる患者さんも増えていると思いまして、それに対する対応は何かありましたか。
○坂谷部会長 加藤委員どうぞ。
○加藤委員 実は、欧米は大体結核患者の半分以上が若いんですね。ヨーロッパの中で65歳以上の率が一番高いのがドイツで30%弱です。多くの国は10%台ということで、実は自国民の中では非常に高齢化しているんですけれども、全体としてはそれほど高齢者が多いわけではありません。そのためか、合併症の問題があまり意識されているわけではないです。絶対数が少ないですし、その中で高齢者が必ずしも多くないものですから、日本のように合併症がこれだけ大きな問題となっているのは、日本独特な部分があるかなと思います。
 一方、ICUの中に陰圧病室が整備されて、そこでかなり重症の人が入院治療を受けていたというところもありまして、そういった高度医療ができる施設の中に、それなりの陰圧・換気等々がなされていたといったところもありました。
○菅沼委員 そうしますと、やはり欧米にモデルを求めるということは、なかなか難しくて、高齢化の患者さん用には日本独自の対応が必要ということになりますか。
○加藤委員 おっしゃるとおりだと思います。いろいろなところを視察して、それぞれの特徴的なことを見てまいりましたけれども、それがそのまま日本に使えるということは決してないと思います。やはり日本の結核事情あるいは国民性もありましょうし、社会的状況等も考えて、どのように合ったシステムをつくるかが大事だと思います。
○坂谷部会長 欧米の結核状況と発生率が違うということ以外にも日本の特性というか、現状の詳細な分析と特徴を踏まえた対策でないといかんということかもしれませんね。
 入退院基準からちょっと戻りまして失礼しましたけれども、体制の見直しと検討についての追加でございました。
 ほかにございますか。
○菅沼委員 もう一つよろしいでしょうか。治療指針等に入れるというのとちょっと外れと思うんですが、多剤耐性の話が出たので教えていただきたいんですけれども、今、勿論ニューキノロン系の抗生剤は使えないわけですが、多剤耐性結核に効くんでしょうか。
○坂谷部会長 重藤先生、いかがですか。
○重藤委員 これは世界のガイドラインに載っております。日本のにも載せております。日本の結核病学会の見解に1つだけ、レボフロキサシンだけですけれども載せております。効くということです
○菅沼委員 使えるということですか。
○重藤委員 どうしても必要な場合。
○菅沼委員 保険適用はできるんですか。
○重藤委員 できません。
○菅沼委員 そうすると、どういうふうにして使うんでしょうか。
○重藤委員 なかなかそれはお答えしにくいんですけれども。
○坂谷部会長 現場では実際に使っておりますね。
○重藤委員 はい。例えば、薬剤耐性結核を年に1人とか2人とか診ている施設は、ほぼ100%使用しているというアンケート調査結果が出ております。
○菅沼委員 昔ちょっと聞いたような気はするんですけれども、ニューキノロン系を余り使うとよくないというようなことを、どこかで聞いた覚えがあるんですが。
○重藤委員 キノロン系が結核に効くという知識だけで、もしかしたら、結核かもしれない人にとりあえずキノロンだけ使ってみようというのが最も危険な使い方です。キノロン耐性菌を誘導するという意味で。
 もう一つ、結核と意識せずに呼吸器感染症に幅広く使われますと、やはりその中に結核も混ざっているということでキノロン耐性が増える。ですから、本当言いますと、専門家以外の方がキノロンを広く使うというのは勧められない。これは本当にキノロンが必要だという状況で、ほかの抗結核剤と必ず併用して使っていただくという条件です。ですから、きつく言えば、専門家が必要と認めた場合のみというふうに考えた方がいいんじゃないかと思いますけれども。
○菅沼委員 結核に対してはよく理解できましたけれども、現時点ではもう呼吸器感染症にニューキノロン系は猛烈に多用されておりまして、半分くらい使われているんじゃないかと。風邪にも出しているということが今の一般的な状況ではないかと思っておりまして、それに対してもやはり結核の方から対応は必要かなと思うんですが、難しいかもしれませんが。どうもありがとうございました。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 今の問題は診断で若い先生方、ベテランが診ると結核だと思われるのに結核は念頭に置かずに、一般感染症としてレボフロでやってしまうようなときに問題がありますよと重藤先生はおっしゃったと理解します。ありがとうございました。
 ほかの委員の方々から、4つ目の議論、入退院基準について、それから、体制の整備について追加で御意見ございませんか。
 ないようでしたら、5つ目の視点の議論に入りたいと思います。命令入所という言葉がありますけれども、入院勧告に従わない患者の現状とその対応に移ります。
 まず、重藤先生から資料の説明をお願いいたします。
○重藤委員 21ページをごらんください。まず、入院勧告に従わない患者さんの現状ということなんですけれども、医療施設に行いましたアンケート調査の結果があります。22ページですが、一応返答がありましたのが141施設で、約4分の1の35施設が治療脱落例といいますか、入院しないでどこかに行ってしまって治療も継続できないという意味での治療脱落例という方々が現実にいらっしゃると。理由については書ける部分だけ書いてくださいということで、余り多くは上がっていませんけれども、やはり住所が定まらないような方、確信的に治療拒否というのもありますが、そういう方々が中心だと思います。
 治療脱落を経験した施設からいろいろ自由意見をいただいているんですけれども、いろいろ努力をしているが、もう力尽きたというようなニュアンスの意見が大半でした。やはり、ちゃんと治療していただくにはどうしても強制力、しかも、法的だけではなくて実質的にちゃんと治療が実際に行えるような強制力が必要であると。ただし、今の体制のまま病院でやれと言っても無理ですというような意見が強くありました。
 医療機関と保健所の両方が努力しても入院治療が継続できない患者さんがいて、しかも、大半が治療も継続できていないということがあります。そのような方の中で、24ページに「2.日本の症例:入院勧告に従わない患者」と挙げてありますけれども、この方は私どもの病院で5回入退院を繰り返されていますが、最初の入院のときから入院生活が継続できないと。保健所は、患者さんがいらっしゃる場所まで追いかけていって薬を飲みましょうよというような濃厚なDOTSに相応する対応で服薬支援を行ったんですけれども、結局完了できなかったと。そのような経過で、平成21年まで数十回、これはいろいろな各地の情報を集めまして保健所がまとめているんですが、その方が私どもの病院に来られましたときには、最初から超多剤耐性の条件に当てはまる。ただ、ある程度有効な薬はあったわけですけれども、平成12〜21年の9年の間にそれらの薬にも耐性となりまして、すべての薬剤に耐性という状況になった方です。こういう方々が何人かいらっしゃる。こういう方は、今思えば最初のときにある程度強制力を発揮して、きっちり治療ておけばよかったんだけれども、今となっては治療の方法がなくなったという状況にある方です。
 このような多剤耐性で結核でありますとか、超多剤耐性結核で入院していない患者さんというのは、このような社会の危険性がある行動をとっていますし、それ以前に、ちゃんと治療ができていないという現状になっています。
 ただし、25ページをごらんいただきますと、大半の多剤耐性の方、超多剤耐性の方は入院されている、もしくは自宅療養であるけれども、医療機関の管理のもとにあると考えられます。その人数が全国調査で196人。うち超多剤耐性が56人ということになります。その多剤耐性中の超多剤耐性の割合というのは、これは菌検査数がそれほど多くないんですけれども、ほぼ上の症例の検討と一致した数字で3分の1となっています。諸外国は下のような比率です。
 諸外国はどうであるかということなんですが、オランダとドイツで視察した結果だけなんですけれども、23ページです。長期療養ができる結核の施設ということで視察を計画いたしましたが、行ってみましたら長期入院の方はいらっしゃらないで、治療がきちんと行えない方を拘束して、きっちり最後まで治療する施設であったということです。これをごらんいただきますと、特にオランダですが、下の方に裁判所の命令による結核治療とありますが、これは8年間に1,173人中17人と1.4%の方が対象になっている。そのうちの大半の方が薬物中毒であるとか、薬物依存、精神疾患を持っているという結果でした。これはドイツでも同様。
 日本においては、現実的には精神科病床で治療を行って、治療終了までその精神科病棟で治療を行っているということで、こういう方々を引きますと日本で対象になる方は非常に少ないとは思います。
 24ページ、オランダにおける症例提示を行ったわけですけれども、症例の2番目の方だけ御説明しますと、まず、治療を始めたけれども3週間で中断して行方不明。それから、6か月後に発見されて拘束命令が出されたんですが、その時点で感染性がないということで外来治療。でも、また中断。その途中で一度、健康診断を受けているけれども、そのときには結核の発病の証拠がなく経過観察になったと。4年後に自覚症状のため受診して、また入院したけれども、また2週間後にいなくなって、今回は拘束命令により連れ戻され、6か月の入院治療。薬剤耐性もなく治癒されています。このように、きっちり治療すれば耐性も誘導されずに治癒に持っていけるということであるかと思います。
 日本の症例とオランダの症例と一緒に検討した後のコメントなんですけれども、オランダの担当者の意見としましては、治療を拒否する患者に対してはまず説得を行う、これは当然であると。ただ、説得の途中で拘束も必要になるかもしれないということを説明いたしますと、大半の患者さんは治療に同意して治療を継続するようになると。結局、理解力のある患者さんは同意をしてきちんと治療すると。理解力のない患者さんに関しては、精神科治療などとともに拘束命令の対象になって、結果として確実に治療が行えるということになるかと思います。
 日本からの提示症例というのは、オランダであれば当然拘束対象ですが、ただし、これは慢性排菌であって治療の方法はないであろうと。オランダにおいては、治療不能の慢性排菌状態であれば、感染防止の対策を守ることができるということであれば自宅隔離にするということでした。
 21ページに戻っていただきまして、3番目の日本と欧米の対応と現状の比較、それから、日本における今後の対応を考える上での留意点ですけれども、やはり治療の中断の反復というのは薬剤耐性結核を増加させると。日本においては既治療耐性率のレベルが高い。特に、超多剤耐性の方が結構いらっしゃるということが大きな問題であるかと思います。欧米では拘束治療を実施している、その結果、薬剤耐性は非常に少ないのではないかと考えられます。
 ただし、感染防止と治療の継続というのが確保されれば、入院を必須としていないということは一言付け加えたいと思います。
 以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 気をつけないといけないのは、入院拒否と服薬拒否とはまた別であるということ、それから、対象患者もまだ薬が使える感受性菌による肺結核であるのに入院拒否されているか、服薬拒否されているかという問題。それから、耐性菌で使う薬はない、もう入院して隔離するより方法がないという患者が最終的に問題であるということで、使う薬があるかないか、それに対して服薬はするけれども入院だけは拒否するということなのか、入院も服薬も拒否するということなのか、その辺どういう症例であるかはきちんと区別した方がいいように思っております。
 続きまして、事務局から入院勧告拒否の症例について、相談症例であったみたいですけれども、資料の説明をお願いいたします。
○水野補佐 26ページをごらんください。実際に保健所が経験した入院勧告拒否の症例についての経過でございます。関係自治体より提出いただきました症例を御紹介いたします。
 症例の患者は、平成19年10月、肺結核としてA病院に勧告入院しております。そのときに薬剤耐性1剤があることが判明しております。
 1年後、喀痰塗抹陰性が確認され退院されておりますが、退院より1か月後の受診時に悪化が確認されております。
 平成20年12月、別のB病院に勧告入院しております。そのときに主要な治療薬4剤の耐性が確認されております。
 平成21年7月、地域DOTSカンファレンスが地域の保健所において関係者間で開かれまして、服薬支援体制を検討しております。B病院を退院しまして、毎日訪問DOTSを地域で開始しております。
 しかしながら、平成22年1月、B病院の主治医より菌検査結果と要入院の電話連絡ありということで、塗抹陽性が再度確認されております、培養も陽性になっております。同日中に保健所と福祉事務所が本人宅を訪問しまして、検査結果の伝達と入院の必要性を説明いたしますが、強く入院を拒否しております。そのため、当面は保健所のみで毎日の訪問DOTSを実施しまして、月1回の通院は保健所送迎とするという対応をとっております。
 3日後、本入院勧告を行っていますが、この翌日以降も本人は入院に応じず、感染症診査会結核部会で協議したときには、在宅療養において行動自粛を指導し、入院の説得を続けていくしかないのではないかという議論になったようです。
 6日後、主治医より本人に電話連絡ありますけれども、本人は一切応じずということです。
 平成22年2月、入院勧告措置命令が出ておりますが、以降も保健所より入院・手術の説得を試みるが拒否されるということでございました。地域DOTS体制は継続して行っております。
 平成22年5月、主治医より5月12日受診時の喀痰検査で塗抹陽性であったことを確認ということで、ガフキー6号ということで悪化したという連絡がございました。保健所長、保健所担当課長、担当職員が同行訪問しまして、病状の悪化と感染の危険性を伝えて入院の説得をするけれども、入院・手術拒否ということでございました。
 6月、救急の場合を考えまして消防本部を訪問して、救急要請時の対応を依頼しております。
 7月末、患者本人が呼吸困難を訴えまして、自ら救急車要請。B病院に救急入院となります。
 その10日後には、本人の強い希望及び入院中の約束が守れない面がございまして退院となったようですが、再度、救急要請にてB病院に入院しまして、そのときに結核性膿胸となりまして、約2か月後に死亡となっております。
 自治体より指摘された問題点でございます。
 法的に強制力があるとされながらも、現実として排菌患者が入院拒否した場合、強制手段はなく、説得を続ける以外方法がない。一生懸命説得を試みている間、自宅隔離といっても管理は困難であり、感染防止策が保てない。
 強制入院方法があったとしても、医療機関側の受入体制が整備されていない。
 入院拒否している慢性排菌患者の地域生活においては、感染防止等公衆衛生対策と患者の人権擁護問題が拮抗し、現場の葛藤は大きく、また、関係者の理解を得ることにはかなり労力を費やすというような指摘がございました。
 事例の紹介は以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 事務局の報告で、ポイントは後半部分で多剤耐性になって永続排菌例的になってきた、それに対して入院の強い勧めがあったわけですが、本人が入院しないと。これに対しての問題なんですけれども、よく読んでみますと、一番最初にイソニアジド耐性だけがあったのをA病院で入院治療して退院されて、1年後の平成20年12月には4剤への耐性が確認されるということで、この間に何があったのか。初回の治療がうまくいっていないのか、あるいは初期の菌は消えたんだけれども、入院中に耐性菌の再感染を受けたのか、そういう問題もあるなと今、読み返して思っております。
 それはともかくとして、後半の部分で永続排菌例になって隔離をした方がいいと思われるけれども、乗ってくれない。結局、御本人は亡くなったと。入院しなかったから亡くなったと、即そういう流れではないですけれども問題があるということでして、こういうときの対応の仕方について何か方法があるかどうか、行政法上の立場から本日は参考人を呼んでおります。磯部先生の方から資料の説明をお願いいたします。
○磯部参考人 慶應義塾大学の法科大学院で行政法を担当しております磯部と申します。本日は、お話しさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございました。
 資料の28ページからですが、私も2008年に加藤先生らとドイツ、オランダを視察させていただく経験がございまして、それも踏まえて、そのときの研究成果の一部を御報告するということになろうかと思います。
 勧告というのは、もともと強制力のあるものではないと考えられますので、従わないことも法律ではもともと予定していたことのはずです。そうした患者さんに対してどう対応するか、その際の一つのやり方として、強制措置というのも論点としては十分あり得るというお話になろうかと思います。
 ちなみに、今日は参考資料ということで5番に関係条文がございますが、その1枚目の第19条、第12条辺りが、まずはまん延防止のための必要あると認めるときは勧告をすると。従わないときに第3項で入院させることができるという、ここの部分が先ほどの御報告では、法律には書いてあるけれども実務では動いていないという問題があるということのようで、その辺りを海外の状況を踏まえながら、どう考えるべきかということで短くお話しさせていただこうと思います。28ページの資料をごらんいただければと思います。
 「はじめに」は厚労科研でやった報告の要旨です。ポイントは3つありまして、やはり患者さんの自己決定ないし身体の自由というものは非常に強く尊重される権利であるということが何より出発点であるべきこと。しかし、もし、それを何らか権力的に制約しようというのであれば、その際には公共の安全という観点を重視する、むしろ、それしか重視してはならないのではないか。そして、最小限の規律であるべきであること。比例原則というのは、目的に対して必要最小限の手段をとれという命題でありまして、そういうものであるべきことというのが2つ目。3番目には、そのように制約する際には、裁判所が関与するなど慎重・公正な手続が必要であると、その3つにまとめられるのではないかと思いますが、そのことを以下敷衍いたします。
 「1.問題の所在」で、人身の自由という、人が不当に身体を拘束されない自由というのが憲法上非常に重要視されていると言えると思います。これは、人の対外的な活動が抑制されないためには何より基本的な自由ということもありますし、過去に不法監禁や拷問などの例もあったということもあって、現行憲法は人身の自由関係では比較的詳細な規定を置いています。それだけ重視しているということが言えるだろうと思います。
 また、ハンセン病問題のいろいろな経験があったわけで、隔離による被害というものをいかに発生させないかという視点は重視するべきでしょうし、言うまでもなく差別・偏見の助長に至らぬような配慮は求められているということになろうかと思います。
 他方で、人身の自由のような人権ですけれども、憲法上、一定の場合にはこれが制約される場合もあるということは許容されているわけで、公共の福祉の観点ということになろうかと思います。
 そして、人身の自由は大事だけれども、場合によっては公共の福祉の観点から制約され得るというような問題、しかし、実務は動いていないわけで、どう考えたらいいか。近時は、感染症医療における法と倫理の在り方を問い直そうという理論的な試みもあって注目できるのではないかということで、注6と注7が30ページに書いてあります。字が小さくなって恐縮なのですが、1つは、生命倫理などの領域では本人の自己決定と自律を非常に重視するのですが、他方で、他者に害を与えてはならないという無危害の原則というものもありまして、この2つを用いながら、注6、新潟大学の宮坂先生が、望ましい感染症対策の行使として2点指摘され、やはり病気そのものがもたらす危害が重大で、他の手段ではそれを防げないという場合に限って隔離という手段が検討されること。次に、患者自らの意思で隔離に応じるよう促すというのを先にやるべきで、それが困難である場合に限ってのみ強制隔離は検討され得るという原則が導けるのではないかという指摘がございます。
 また、注7は行政法の須藤陽子教授がおっしゃったことで、やはり法と現場に乖離があるというのは望ましいことではないと。入院勧告を拒む者が存在している。その際、感染症法第19条が問題とする感染症のまん延と防止の必要性というときには、行政指導に従うことを前提とするような楽観主義に立つべきではない。必要最小限動けるだけの手段をきちんと国が示す必要がある、ということを指摘されていて、論点としては、正面からこれを受け取らざるを得ないのではないかという指摘があるということになります。
 では、具体的にどのように動かすのかについては海外の状況ということで、28ページに戻っていただきますと、オランダの仕組みなどはもう既に御紹介が一部あったところなので簡単にと思いますけれども、もともとオランダには医療同意法と言われるものがありまして、医療における自己決定を非常に重視するというのは、もともと民法典レベルで書いてあるということのようでした。しかし、感染症法は強制隔離ができるものということで幾つかの要件を明確に書いていると。また、複数の専門家の関与が保障されているということで、参考になるのではないかということが言えると思います。
 オランダで幾つか示唆をいただいたのですが、裁判所の関与は是非必要である、それだけ身体の自由を制限するという侵害は過小評価してはならないということを強く指摘されたと思います。
 また、強制措置をやるならこういった要件をクリアできなければならないという示唆も受けましたが、他方でオランダでも、例えば、定期的な評価は必ずしも十分できていないということもあって、かなり理想的にいけば(カ)の6つだろうというような意味での示唆でございました。
 また、患者の利益のためにやるのか、公共の利益のためにやるのか。入院や隔離というのはきちんと明確に分けて考えるべきだというような示唆も受けた記憶がございます。
 一方、ドイツですが、ドイツも自由を剥奪するということについては非常に慎重な手続で、裁判官の関与が保障されております。(ウ)に書きましたように、この場合は日本と違って隔離命令という行政処分をするのですが、その際の手続なども原則保障されていると。ただ、例外的には省略可能ということで、迅速な対応ができるように整備されております。隔離命令に応じない場合には、裁判所の関与を踏まえて自由剥奪になるという仕組みがございました。
 したがって検討すべき課題はいろいろあろうかと思いますが、4番を手短に申し上げれば、これを(ア)の前に書くべきだったのかもしれませんが、何より「人身の自由、自己決定を重視するべきである」ということを基盤とした上で、(ア)公共の安全・衛生への深刻な脅威、法律の文言で言えば感染症のまん延防止のため必要があると認める場合には強制措置というのはあり得るが、その際、必要最小限度にとどまる。つまり、他にあり得る措置はすべて考慮した上で、最後の手段として検討されるべきであろうということ。また、このように考えることでこそ、深刻な脅威がなくなれば入院させなければならないという要請は働かなくなるわけで、入院期間の短縮のために、いつ、どういう検査をするべきなのかも考えることになるのではないと思われます。
 また、言うまでもなく(イ)で、患者さんの権利保障のための手続はどうあるべきか。今日御欠席の高橋滋先生と裏で話したことをここで話していいかどうかあれですけれども、やはり裁判所の令状ということも考えていいのではないか、そのぐらい法律をいじらないと動かないのではないかということもほのめかされていらっしゃいました。そういったレベルで、いかなる権利保障の手続があり得るのかは今後、真剣に検討する余地があるだろうということで、予定の時間をオーバーしているかもしませんが、私からのコメントは以上でございます。
○坂谷部会長 先生、ありがとうございました。
 まず、参考人の磯部先生に対する御質問・御議論はないですか。御質問から受けたいと思います。
 先生は公共の福祉とおっしゃいましたけれども、公共の福祉と公共の安全というのは違うんですか。同じこととしておっしゃったんですか。
○磯部参考人 憲法上は公共の福祉という言葉を使うのですが、その具体的中身としては、公共の安全であったり、公衆衛生であったり、公共の秩序であったり、それは時と場合によりいろいろな言葉を使うので、差し当たりは同じ意味だとお考えいただいて結構です。
○坂谷部会長 結核の場合などでは、どういう状況になったときに公共の安全が脅かされたというか損なわれたと考えられるんでしょうか。例えば、排菌者を全員入院させて、それからうつって新しい患者が出ることはなかったと。ところが、入院しない人がいて、その人が1人でも新しい患者をつくったというようなときに、日本全体で考えて公共の安全が脅かされた、損なわれたと考えるべきなんでしょうか。
○磯部参考人 そこが難しいところだと思います。究極的には感染症法が書いている「まん延の防止」というときのまん延が何を意味して、その防止というのが何人も患者を出さないというレベルのことも求めているのかどうかということの解釈論になろうかと思います。これは数であったり、病気の重篤度であったり、感染力の強さであったり、いろいろな要素を総合判断するとしか差し当たりお答えしようがないと思うのですが、例えば、慢性排菌される、入院が長期にわたるというような結核における脅威というのは何ぞやということは、まさにこの場で専門家の方で考えることだと、とりあえずお答えしておこうと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございました。
 法的に強制力があるというのは、どういうことがあると強制力がある制度であると理解されるんですか。強制力があるというのは、どういうことなんですか。
○磯部参考人 強制というのは、いろいろな意味があろうかと思います。まずは、やはり基本的に自由を制約することに至ることになります。しかし、もともと感染症法は入院させることができると書いているわけで、それが強制力なんです。自由を奪う、本当は身体に物理的な力を行使して隔離したりするということを本来想定しているはずの規定だろうと思うんですけれども。
○坂谷部会長 移動の自由を奪うわけですかね。ですけれども、それに対して例えば、鍵をかけるというようなことは普通はしないわけで、自由に出て逃亡することができるわけですけれども、それは強制力があるんですか、ないんですか。
○磯部参考人 まず、そこの場所にいなければならないとか、そこの場所に連れていくということを本人が嫌だと言っていてもやるということで既に強制です。
○坂谷部会長 嫌だと言っているのにやるというのが強制力ですか。
○磯部参考人 勧告に従わないということで、本人の同意がないところで、しかし、入院させるという、そのことが強制です。鍵をかけているかどうかは、入院させることができるさせ方の問題なんだろうと思いますけれども、決してそこだけではないと思います。
○坂谷部会長 だけれども、現実に強制力があると書かれていますが、実際に身体を拘束して病院に連れていって放り込むというか、入院させるということはできないわけでして、そういう意味では強制力があると言いながら、現実には強制力は発揮できていないと考えていいんですよね。
○磯部参考人 そのとおりです。先ほどの症例の御報告にもありましたが、法律には強制力があるとされているけれども、現場ではその手段がないと。私も、法律上できるのなら必要ならやるのかと思っていたのですが、実際にはやっていないということを伺って、あるべきものがないのではないかという危惧をいたします。
○坂谷部会長 それで、先生がおっしゃったように、裁判所の令状を出してもらうと、それはかなり身体の拘束というか実際の強制力が発揮できるということなんですか。
○磯部参考人 それは今動いていないという現状を前に、やはり深刻な脅威があるから動かすべきだと考えるときの一つの手続保障の在り方として、ドイツ、オランダのようなそういう例があるということを申し上げただけで、現行法でもできるんです。知事ができることになっていますから、あとは、どういう手続でどうするかということを具体的に考えればできることで、例えば、精神医療の世界で都道府県知事が自傷他害のおそれというときに措置命令を出せるというのと、既に感染症法の仕組みとしては同じはずなんです。
○坂谷部会長 精神科の方では措置入院があるわけですが、感染症法下においてある種の感染症に対して同じ措置入院ということは結核にも適用できるんですか。
○磯部参考人 精神保健福祉法は勿論適用できないですけれども、本人の同意がないときに都道府県知事が命令を発することであれは入院させるという仕組みですよね。こちらは勧告ですから、そういう意味では細かいところでは違うのですが、同意がないときに入院させることができる規定だという大きな意味では同じだと申し上げているので、それは裁判所の令状がなくてもやれるはずであると。
○坂谷部会長 理論的にはやれるはずなんですね。
○磯部参考人 法律上は。
○坂谷部会長 具体的にどういうふうにやるかだけの問題だと。
 ほかに、29ページに?@〜?Eまで専門用語が並んでいるんですけれども、ちょっと私たちの知識ではわからないことがあるので、簡単に?@〜?Eまで法理論の素人にわかるようにお願いします。
○磯部参考人 Proportionalityというのはバランスがとれているということで、これは警察権力を発動する際の基本原則として前から言われていることで、権力的手段は、その目的を達成するために必要最小限度の行使であれという趣旨の原則のことです。
 補完性というのは同じことという気もしますけれども、最後の手段であるということですね。ですから、実は?@?A?Bというのは、ほぼ同じ意味だと差し当たりお考えいただいて結構かと思います。
 任意性の欠如というのも、特にこのキーワードが大事だというわけではありませんが、先ほどの医療倫理の話などで申し上げたように、やはり本人の自発的な同意に基づく対応が本則であるべきであろう。それがないときに例外的に考えられることであろうという意味で、当人の自発性・任意性がないということが、そもそも強制措置が動く必要条件であろうという趣旨です。
 次が、むしろオランダの方がどういう趣旨で言っていたのか、あるいは加藤先生などに補足していただければと思いますが、その手段をとれば強制隔離をすれば感染を防げるという、役に立つ手段であるべきだという意味だったように記憶しております。
 最後は、絶えず必要性があるか、脅威は残っているのかということを定期的に評価する必要があると。これも必要最小限の手段であるためには、必要性がなくなれば開放するべきなわけで、それを現実に動かす趣旨の原則というのが?Eだったと思います。
○坂谷部会長 わかりました。ほかにとる手がない、必要最小限のことだけをやるべし、その場合にインフォームド・コンセントが要る。そして、その結果としてよい効果が期待できるんですけれども、時に応じて定期的に見直しをすべきであるということだと思います。
○亀井課長 すみません、さっき先生から事務局の方に法律上はどうなっているんですかという御質問があったかと思いますので、簡単にお答えしたいと思います。
 参考資料5に関係法令がついているんですけれども、法律上は第26条を基に入院の措置ができるということにはなっているんですが、結核が二類感染症に入っておりますので、参考資料5の3ページの第26条を見ていただきますと、結核はこの場合、二類感染症でございますので、ここで入院措置ができるとなっているんですが、今御議論していただいているのは、更にそれに拘束ができるかどうかという話だと思うんですけれども、それについては入院の措置まではできるんですが、拘束するところまで手続として明記していないので、実態上は一応、入院の措置ができるというところでとどまっている、そこの枠の中でなされているんですが、それ以上のことは今、現場では実際は対応していないということではないかと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 できるとなっていますが、本人が嫌だと言ったときに、身体を拘束して病室まで運ぶということはできない。それが現場ではできるようにしてほしいということのジレンマだと理解いたします。
 御意見ございませんか。
○重藤委員 私がお示ししました症例は、拘束して病院まで連れてくることはしております。保健所の車で迎えに行って病院まで連れてきて、ここの病室にいてくださいねということまでしています。ただ、その後、出ていくのをとめることができないということです。幾ら説得しても、どのように条件を整えても。鍵をかけることはしておりませんし、できないと思っております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員の方々から、入院勧告に従わない患者への対応方策を検討することは必要か、必要であるということだと思いますけれども、具体的な論点について御意見を求めます。磯部先生への御質問でも結構です。
 強制隔離につきましては現在の法体系の中でも可能ですが、実効性を持たせるには何が必要であるのか、今後の更なる検討課題ということになろうかと思います。引き続き研究班で検討を重ねていく必要があろうと思われます。それがまとめということでいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、最後の視点の議論に移りたいと思います。受診の遅れに関する視点でございますが、事務局からサーベイランスのデータが提示されておりますので、水野さんから説明をお願いいたします。
○水野補佐 受診の遅れに関する視点です。31ページをごらんください。結核サーベイランスから受診の遅れに関する現状について、データを引っ張ってきております。受診の遅れについては、発病から初診までの期間が二月以上の割合の多さについて見ているわけですけれども、発病から初診まで不明の場合もありますので、不明の場合を除いて計算しておりますが、全体では17.9%というような数字が出ております。ただし、30〜59歳の働き盛りですと24.7%と受診の遅れが多くなるというようなデータがあるということです。
 また、職業区分で何か違いがあるか見てみますと、臨時・日雇いとかその辺りで少し数字が高いというようなデータになっております。
 保険の種類によって受診の遅れに違いが出るかというデータですが、生活保護(申請中)で受診の遅れが多いというデータが上がっております。この生活保護(申請中)というのは実際、無保険者の方で結核になってから申請したということですので、無保険者の方が受診の遅れが多いというデータになっております。
 以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 ただいま事務局からデータの説明があったとおりでございまして、受診の遅れに関する現状でございますけれども、いかがでしょうか。何かこのデータにつきまして御意見ないですか。
 視点としましては、結核に対する一般国民の意識が低下していることから、無保険者、働き盛りの人、自覚症状を意識しない人、たばこを吸っている人などもそうでしょうけれども、それから、基礎的な慢性気管支炎とか呼吸器の合併症を持つ人、認知症の患者、これらを対象に焦点を当てまして受診の遅れに対する方策を検討するのが必要かという命題ですが、いかがでしょうか。受診の遅れをなるべく少なくする、短くする方策を検討することが必要であるということになろうかと思いますけれども、御自由に意見を述べていただきたいと思います。
○加藤委員 これは、広い意味では患者発見をどうするかという観点からとらないといけないと思います。これは平成14年に、本審議会の結核部会に結核対策の見直しに関する包括的定義が出ていますけれども、このときに既に検診発見から有症状者の確実な受診ということで明確な方針が出されていまして、それに伴って結核予防法改正によって定期健康診断の効率化が図られたわけですから、そういった意味では、ますます確実な受診が大事だということになります。実態はそういうことで、患者の減少とともに一般国民あるいは医療者においても結核に対する意識が低下しているという問題がありますから、これは簡単ではない問題とは言いながら、確実にしなければいけない問題だと思います。
 もう一つ御指摘したいのは、今お話があったように、無保険者に対する対策です。治療が始まりますと感染症法第37条の2に基づく公費負担があるんですけれども、受診までには公費負担がないと。無保険者の場合は、それが大きなハードルになっているということですから、ここに対しては、本来は皆保険とは言いながら、実態としてそこが保障されないこと自体が感染を広める原因になっているだろうと考えますから、公共の福祉と言っていいのでしょうか、そういった観点からも確実な実施を図れるような受け皿、無保険者でも感染を広めないような受け皿の設定が必要ではないかと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 一頃、北野武さんの写真が入ってアピールのポスターが大々的に張られた時期がありましたけれども、国民の注意を喚起するために定期的にというか、忘れられたころに何か手を打つ必要があるかもしれませんね。
 この件につきまして御意見をそれぞれお述べください。御自由におっしゃっていただいて結構です。今、加藤さんから無保険者に対する対応をしっかりやってほしいということがありました。それから、認知症の患者、たばこを吸う人にも重点的にアピールすべきであるということだろうと思います。
 御意見は余り出ませんでしたけれども、事務局でおまとめをいただくようにお願いいたします。
 また、前後して申し訳ないですけれども、現状で入院すべきであるのにしていない患者さんがいるということは事実ですが、それが社会の安全保障を脅かしている、感覚的に嫌だなということはありますが、現実に新しい患者をどんどんつくっているというようなデータはありますか。
○水野補佐 現在、確認されているデータはございません。
○坂谷部会長 だけれども、是非とも社会に対してどんな影響を及ぼしているかという検証をすることも必要かなと、議論すべきだなと今、思いました。そういう調査・研究というのは加藤先生、何か計画されているとか、したことがあるとかありますか。
○加藤委員 具体的に感染が証明された事例は私の知る限りありませんけれども、1〜2年前に九州の方で新聞報道にありましたが、入院勧告に従わない患者さんが、実際感染があったのかどうかは明らかになっていませんけれども、一般市民に対して感染をさせる危険があったという事例は報告されていますので、実態としてあったかどうかの証明以前に、やはり既にそういった脅威があると考えていいんじゃないかと思っております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 重藤先生、何かデータとか実例はお持ちではないですか。
○重藤委員 診断される前に集団感染を起こしてしまったという事例はたくさんありますので、治療をしないことで感染の危険性があるということに関しては、当然予想されることだと思います。そのために、疫学的に見てどうであるかという証明は非常に難しいと思いますけれども、遺伝子分析などでそのような方の株がたくさんグループ化されて見つかったというのであれば証明されたことになるかとは思いますが、そこの確実な知識はありません。
○坂谷部会長 私もオリジナルのペーパーを読んだわけではないですけれども、耳学問で東京でしたか、大阪でしたか、今、重藤先生がおっしゃったように、遺伝子診断で菌株を照合していくと、ある方の結核菌のタイプが、その地域でのブルーテントに住んでおられるホームレスの方が排泄している菌と同株であったと。どこかで接触があったに違いないという話が出たことがあるように思います。だから、可能性としてはあって、はっきり証明はされていないけれども、永続排菌例が野に放たれているのは好ましくないという気はしますし、明らかに社会に対して害を及ぼしているというデータを蓄積する必要があるかもしれません。
 全体を通して何か議論はございませんか。
○菅沼委員 全体を通してということですので、詳しい知識がないのでいろいろ教えていただきたいことがあるのですが、参考資料の中に、ユニット化とか陰圧病床があっても人手がなくて断っているという文面がございまして、やはり現在、結核専門医は非常に少ないと思うんですね。例えば、日本の中に数か所結核病院をつくって、排菌している方はすべてそこへ入ってくださいということであればよろしいのですが、先ほど申し上げましたように、合併症を多く持った方も増えてきていることを考えると勿論不可能なことですので、いろいろな一般病院でやるべきだと思うんです。そのときに、インターネット等で専門医にいろいろ照合をしてというようなお話も前々の会に出てきたと思うんですが、そういうのは勿論これから必要で、どんどんそういう方向には向かっていくと思うんです。そうしますと、例えば、私どもが専門医にインターネットでこういう症例についてお願いしますと言うと、専門医の先生からの御意見がある。ところが、そういう場合には、専門医の先生はお忙しい時間を割いてお答えしていただくわけですけれども、保険的な点数は勿論つかないと思いますし、財政的に見返りというのもないと思うんです。これからはそういうことが随分増えていくと思うので、そういうものに対して法的な動きをつくっていただきたいなと思うし、こういう会議に先導していただいた方がいいのではないかと感じております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 2つの問題があって、1つは財政的な問題、保険点数(診療報酬)の問題と、もう一つは専門医がだんだんいなくなっているということですね。後半に関しましては、結核病学会が努力して若い人が好むような認定医、専門医の制度を取り入れて会員が増えつつあると聞いておりますけれども、おとろえつつある知識と技術を保持していかないといけない、これは前回の森参考人から御意見があったとおりだと思います。財政的なことは、今年の保険点数の改訂のときに少し上乗せがありましたけれども、引き続き我々も努力して発言していく必要があろうかと思っております。
○菅沼委員 よろしくお願いいたします。
○坂谷部会長 ほかにございませんか。
○川城委員 大分話題が違ってくるんですが、高齢者が増えてきているということで合併症が多いと。先生方皆さんそう思っていると思うんですけれども、資料の7ページの1行目に「合併症医療が可能な医療機関」という言葉があるんですが、そこで教えていただきたいんですが、例えば、心筋梗塞、脳卒中、クモ膜下出血などが起こって排菌患者であった場合、そういう人を引き受けて、今の4疾患5事業ではないですけれども、トップレベルの急性期の医療を提供しようとした場合にできるというのが、この合併症医療が可能な医療機関なのか。合併症医療が可能な医療機関というものの実態を知りたいんです。というのは、そういう医療には急性期病院として我々は提供しているんだけれども、ガフキー5号の人が心筋梗塞を起こしたときに、本当にインターベンションの部屋に入っていいのだろうかと。技術的には十分可能なんだけれども、病院の体制として職員も守らなければならない、患者さんも守らなければならないという意味でと私は今朝からずっと思っているんです。それは胃がんの手術でも同じです、全部同じなんですけれども、ああいう先進的な急性期医療を提供しようとした場合に、排菌患者さんにも提供してさし上げたいと思う視点から、どういう医療機関が合併症医療が可能な医療機関なのかということを知りたいと思ったんです。それが私の今日知りたかったと思うことなんです。
○坂谷部会長 貴重な御意見だと思います。実際、排菌して入院している患者さんに急性の心筋梗塞が起こった、あるいは脳卒中が起こったときにどう対処されたかということだと思います。自前でできたか、別の病院へ送られたか、送るのは困難であったか、受け取っていただいたとしたら、どういう施設が受け取ってくれたか、その施設ではどういう対応されたか、症例を集めてみると実態がよくわかるかもしれませんね。
○川城委員 是非教えていただきたいと思います。というのは、それに沿って自分たちの方も準備できたらいいなと思っているものですから。
○坂谷部会長 まさしく先生のところの済生会病院、総合病院でモデル病床的な、ベッドがあって、そこに収容していただけないかというような期待を持ったりしますけれども。
○重藤委員 私が勤めております病院は各科そろっております。専門医がすべてそろっておりますが、やはり急性心筋梗塞をCCUで診るわけにはいきません。結核病棟で循環器科医が24時間詰めるわけにいきませんから、やはり転機としてはよくない場合が多い。CCUにいる場合のようなきちんとした対応はできないということが言えると思います。
 それから、腎透析、血液透析もしておりますが、正直言いまして経済的な問題もありますので古い機械を持ってきてやっているとか、医療従事者、看護師はその時間中、1対1でつきっきりという、通常の透析の体制と比べますと非常に濃厚ではあります。
 もう一つ言えば、ついてくる看護師というのも毎日透析をしているわけではない結核病棟の看護師が、ある程度勉強して一生懸命ついているという状況ですので、多分、対応できるという答えの大半の医療機関が、十分ではないけれども努力してやっていますという内容だと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。
 治療に乗らない患者のことが今日はテーマでしたけれども、治療に乗る患者さんがいても合併症対策は大変であると、問題点が随分多いと理解をいたします。
 それから、人権問題でハンセン病の苦い経験があったという御報告がありましたけれども、市民だけでなく医療従事者の中でも、現在の結核患者が昔のハンセン病患者さんのように非常に怖がられているという雰囲気が最近出てきているように聞いております。こういうことも問題になるかもしれません。
 これですべての視点について議論を終えたわけですが、時間もございませんので、何かお気づきのことがございましたら、事務局にお届けいただけたら結構かと思います。
 事務局から今日以降のことにつきまして、伝達事項をよろしくお願いいたします。
○水野補佐 次回の部会は11月19日開催予定となっております、内容については「第三 医療の提供」の残りの部分でして、主に結核の治療を行う上での服薬確認の位置付けということで、DOTSの内容について議論をしていただきたいと考えております。詳細について、追って事務局より連絡させていただきます。
○坂谷部会長 19日は午前中ですか、午後ですか。
○水野補佐 午前中です。
○坂谷部会長 それでは、時間がちょうどまいりましたので、本日の部会はこれでおしまいにいたしたいと思います。お忙しい中を誠にありがとうございました。お礼申し上げます。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課
03-5253-1111(内線2381)

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