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2010年8月24日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第50回)議事録

○日時

平成22年8月24日(火)9:00~11:45


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

   田村部会長、鈴木部会長代理、武見委員、田宮委員、清水委員、岩渕委員、政安委員、中村委員、酒井委員、市川委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 定刻となりましたので、ただいまから第50回「独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催したいと思います。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は全委員が出席ということでございます。
 はじめに、事務局から本日の議事について簡単にご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日の議事ですが、国立健康・栄養研究所、労働安全衛生総合研究所の順にそれぞれ「暫定評価」、それから「組織・業務全般の見直し当初案」についてご審議いただきます。そのあと、事務局から2点ほどお諮りしたい事項がございます。
 審議案件についてご説明いたします。まず暫定評価です。暫定評価につきましては、昨年度も医薬基盤研究所についてご審議をいただいておりますので、ご案内かとは思いますが、改めて暫定評価の位置づけなどについてご説明申し上げます。お手元の「独立行政法人評価関係資料集」、こちらの53頁をご覧いただければと思います。53頁に「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」というものがございます。こちらは評価委員会として、評価の基準を定めているものであります。
 次の54頁に「3.中期目標に係る業務の実績に関する評価」というものがあります。これに関して、次の頁に移っていただき、(3)の?@をご覧ください。「評価結果を次期中期目標策定等へ反映させる観点から、次の手順により中期目標期間最終年度において暫定評価を行うこととする」とされています。こちらの規定に基づき暫定評価を行うものでございます。今年度が中期目標期間最終年度である国立健康・栄養研究所、労働安全衛生総合研究所について暫定評価を行っていただくこととなります。
 (3)の?@の2つ目の○ですが、「暫定評価に当たっては、各部会において法人からヒアリングを実施し、本基準に基づき中期目標期間に係る一次評価を行った上で、総会において暫定評価を決定する」とされています。これに基づき、これまでの各年度の業務実績の評価等をもとに、起草委員におかれまして暫定評価結果(案)を作成していただいています。本日はまず、こちらについてご審議いただきまして、この部会の審議を踏まえ27日の総会で暫定評価結果を決定するという形になりますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、組織・業務全般の見直し当初案についてご説明いたします。こちらにつきましても、昨年度、医薬基盤研究所についてご審議をいただいているところですが、改めてご説明を申し上げます。
 同じ資料集の178頁をご覧いただければと思います。こちらに図表があります。これは独立行政法人の組織・業務全般の見直しについてのフロー図になっています。手順に沿って?@から番号を振っていますが、今回ご審議いただくのは、いちばん上の欄、8月の欄にあります?Aの部分になります。?@といたしまして、見直し当初案の作成作業を厚生労働大臣のほうで行い、そちらを本日ご審議いただくという流れになっています。
 根拠ですが、独立行政法人通則法第35条において、「主務大臣は、独立行政法人の中期目標期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずる」こととされており、また同法上、「検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴かなければならない」こととされています。
 この検討につきましては、平成15年8月に閣議決定がなされており、見直し当初案を策定し概算要求を行う。その後、予算編成過程において、その当初案を再検討し、予算概算決定のときまでに決定するとされています。まず、見直し当初案を策定した上で概算要求という流れになっていますので、概算要求のときまで、8月末までに確定するという形になっています。こういった流れを踏まえ、本日、評価委員のご意見を今後の検討に活かしていくため、見直し当初案についてご審議いただくものでございます。
 なお、こちらについては、厚生労働省の中における見直し当初案の策定作業が本当にぎりぎりまでかかり、昨日、ようやく大臣に上げて決定をしたところになっています。その関係で、皆様に配付するのが今日この場という形になっていることをお詫び申し上げます。
 本日の議論をしたあとの流れですが、部会では暫定評価と同様に国立健康・栄養研究所、労働安全衛生総合研究所について組織の見直し当初案についてご審議をいただきます。ご審議いただいた意見を取りまとめた上で、27日の総会においてご報告いただき、改めて総会においてご意見を伺うという流れになっています。
 総会で意見を出したあとの流れですが、1つ前、177頁をご覧いただければと思います。いまは8月のところですが、8月の?@、「主務大臣が閣議決定を踏まえ、組織・業務全般の見直し当初案を作成」というところでございます。?A、?Bとして、「主務大臣は当初案について独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で」、これがまさに今日の部会と27日の総会になりますが、こちらの意見を聞いた上で、予算概算要求の提出日までに行政改革推進本部及び総務省政策評価独立行政法人評価委員会に、この見直し当初案を提出する形になっています。
 その後、9月から11月の間ですが、行政改革推進本部に意見を述べる有識者の会議である「行政減量・効率化有識者会議」から指摘等を受けて、政・独委が主務大臣に対し「勧告の方向性」を示すという形になっています。ただ、この「行政減量・効率化有識者会議」は現在活動中止中ですので、もしかしたらこの会議は動かさずに、また別途の検討を政・独委のほうでされて、そこから主務大臣に通知が来るという流れになるかと思っています。
 そして、12月に各主務大臣は政・独委から出された勧告の方向性を踏まえ、見直し当初案を改めて精査し、「当初」が抜けて「見直し案」として再度、行政改革推進本部に提出するということを行います。この勧告の方向性を踏まえ見直し案を作成する作業についても、今回のこの見直し当初案の場合と同様、本部会において委員の皆様にご審議いただき、またそれを総会において改めて取りまとめるという形になります。その後、行政改革推進本部の議論を経て、政・独委の意見も聞いた上で最終的に閣議決定がなされるという流れになっています。
 なお、見直し当初案への意見については、先ほど説明させていただいた暫定評価案と同様、繰り返しになりますが、総会にお諮りして委員会としての決定という流れになっています。
 最後に、「その他」として事務局からお諮りしたい2点についてです。1点目ですが、「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法の変更について」でございます。のちほど詳細にご説明しますが、年度末の労働部会において業績勘案率の算定方法について、個人の貢献を勘案したほうがいいのではないかというご発言がありましたのを受け、事務局のほうで決定方法の変更案を検討しましたのでご議論いただきたいと思っています。
 2点目ですが、「独立行政法人の不要財産の処分に係る独立行政法人評価委員会の意見の取扱い」です。これは独立行政法人の通則法が変わったことを受けた対応についてのご審議をいただきたいというものになっています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、国立健康・栄養研究所について審議に入らせていただきたいと思います。最初に暫定評価の審議を行います。暫定評価結果(案)の作成については、起草委員の方には、お忙しい中をご尽力いただき、誠にありがとうございました。まず、法人から中期目標期間の業務実績についてご説明をいただきます。そのあと、事務局から暫定評価結果(案)の概要を説明していただき、起草委員である武見委員からコメントをいただき、その上でご審議いただくという形で進めてまいりたいと思います。法人から暫定評価(案)の別紙「暫定評価シート」に沿って、業務実績のポイントについてご説明をお願いできますでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 暫定評価シートの説明用資料というものがあります。これはこちらの暫定評価シートにいろいろシェーマを加え、簡単に記したものでございます。これに従いましてご説明申し上げます。
 1頁ですが、当研究所の「事業概要」です。これはもう皆さんもご承知のように、重点調査研究が3課題、中期目標の中で定められています。その下、健康増進法に基づく業務として、国民健康・栄養調査の集計業務等、特別用途食品等の表示許可等に係る試験業務があります。もう1つ、重点調査研究以外の調査研究の分野、その下に国際協力・産学連携とあります。これはこちらのセンターでやっている内容でございます。もう1つは情報発信です。これは情報センターがあり、センター長以下、この情報発信業務に携わっています。最後が栄養情報担当者(NR)制度でございます。以上で当研究所の事業が成立しているわけです。
 2頁をご覧ください。評価項目に従い、簡単に業績について申し上げます。評価項目の1番は「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」でございます。3つの重点調査研究の1番目になります。この中で、基本的には最初、運動基準・エクササイズガイド改訂のための科学的根拠の提示を行っています。2006年、エクササイズガイドが厚生労働省から策定されておりますが、これのフォローアップ、それから2011年に改訂が予定されていますので、その基礎データ収集のための研究がここでなされているということで、所定の成果が上がっているところでございます。
 その下はエネルギー代謝の研究であります。このエネルギー代謝は運動基準や食事摂取基準を策定するときに最も基本になる部分であります。一般健常人における既存の推定式をより正確にするための研究、加速度計による推定の妥当性の研究、さらには二重標識水法を用いて、子供や高齢者も対象とした基礎的な代謝量の算出と提供を行っている部分であります。
 3頁、「佐久肥満克服プログラム」と申しますのは、運動と食事、両方の部分で介入をして、その成果が上がるかどうかということを確かめるコホートをやっております。基本的には2つの介入がありますが、両方介入いたしますと、ここにありますように1年間で両群とも5?sの減量を達成して、そのまま良い状態を維持できているという結果が出ているところです。
 4頁をお願いいたします。メタボリックシンドローム発症のメカニズムについて、大体2つの面からやっています。糖尿病に関して、高脂肪食負荷の場合のインスリン抵抗性の分子メカニズムについてやっているグループがございます。これにより、糖尿病発症時のインスリン抵抗性の分子メカニズムがかなりわかってまいりました。これは目的ではなかったのですが、この成果の中で、1つには糖尿病治療薬の開発につながる成果が出ているというところであります。
 もう1つは脂質代謝です。5頁の上をご覧ください。脂肪肝の発症機序について、飽和脂肪酸ですとか多価不飽和脂肪酸、これらの違いによる働きと脂肪肝の発症機序に関するメカニズムが明らかになってきたというところでございます。
 6頁、これも糖尿病に関する研究部門の成果であります。膵臓のβ細胞について、その増殖因子が明らかになったということと、糖尿病感受性遺伝子のリスクアリルについて、かなりのことがわかってまいりました。これらを全部組み合わせますと、近い将来、糖尿病に関するテーラーメイドの予防が可能になるのではないかというところに来ているということでございます。
 次の大きな項目、重点項目の2つ目ですが、「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」というのがあります。いちばん大きなミッションは食事摂取基準、これはもう策定済みですが、2010年度版に関する寄与であります。この策定業務に策定検討委員やワーキンググループメンバーとして参加し、研究所として策定について下支えをしたというところです。これが終わりましたあとには、全国で相当数の講習会を開催していき、これら食事摂取基準の普及・啓発に力を尽くしてきたところであります。中期計画で「健康日本21」というのがありますので、その中でいろいろな健康と栄養に関する部分で、この研究所も、できる限り地方自治体や各種の専門職団体についての研修等をやってきたところです。
 7頁の下の項目ですが、これは評価項目3です。「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」です。平成18年から、大豆イソフラボン代謝産物の有効性と安全性の評価をしてきております。次頁、その中でBBIについて、ビタミンEの同属体(トコトリエノール)の有効性評価について、さらに食品中に含まれる抗酸化物質の健康影響評価についていろいろとやってまいりました。抗酸化物質の健康影響評価につきましては、定型的な抗酸化能の評価法を確立し、これにより、今後さらに抗酸化能の比較と健康度の比較ができるようなベースが整えられてきたというところでございます。
 9頁上段をご覧いただきたいと思います。これは健康食品に関する部分の情報発信についてです。当研究所はホームページの中で、健康食品の安全性・有効性に関してデータベースを公開しています。ここに平成18年度からのアクセス件数があります。年々、少しずつ増加してまいりまして、平成21年度は土日も合わせ、1日平均8,300件のアクセスがございます。健康食品、健康成分、栄養成分につきまして、最も信頼できる、最も充実したデータベースとして全国で使われているということになりました。
 この中で特筆させていただきたいのが、幼児のサプリメント使用実態調査を公開したところ、マスコミ、新聞各社から非常に反響があり、全国紙等に多くの報道がなされたところでございます。
 10頁、食育でございます。この食育部門につきましては、基本的に重点調査研究には入っておりません。重点調査研究以外の調査研究としてやってきたものでございます。所管は内閣府です。基本的に、これは内閣府が行います食育の政策形成に、科学的根拠を示して下支えするというところでやってきています。平成21年の評価のときにもお示ししましたように食育雑誌の作成、あるいは農林水産省のガイドラインの作成に協力するというようなことをやってきたわけでございます。
 11頁、これらの研究の総括です。論文、学会発表等については中期計画中に250報の論文ということでやっています。これも累計465報になっていますので、計画を大きく上回る数を出しています。ここの中に記載はありませんけれども、論文の質について、インパクトファクター等を見ますと、研究者1人当たりで計算すると、これは内閣府の学術調査部門でやっていたと思いますが、10年間の平均だと我が研究所が国立研究機関の中で2番目になります。サイテーション・インデックスで見るとトップになりますので、かなり質の良い論文を相当の数生産してきているのではないかと思います。
 11頁の下段、「知的財産権の活用」であります。栄養関係と申しますのは、知的財産権の取得についてはかなり厳しいところがあり、毎年数件、4件、2件、5件、4件というところです。中期計画の中では20件以上ということで、まだまだ足りない状態ですが、なおこちらのほうも今後また努力してまいりたいと思っています。共同・受託研究は、それら国の基本的なミッションに影響を及ぼさない限りにおいてということで共同研究・受託研究を受けています。数は結構あるのですが、平成20年度、21年度に従い、先日もご説明申し上げましたけれども、1件あたりの受託、あるいは共同の研究費が減少傾向にある。世間の景気の問題等も影響が少し出ているのかなというところでございます。
 12頁をお願いいたします。講演会の開催です。開かれた研究所ということで、一般公開セミナー、専門家向けのセミナーを毎年、きちんと計画的に行ってきています。オープンハウスは年1回、当初の頃よりも参加者の数が相当上がっているということであります。一般公開セミナーも大体600名から700名ぐらいで、かなり良い評価を受けているところでございます。
 それから、「研究実施体制の整備に関する事項を達成するための措置」というのがございます。これは平成18年度に、こちらの研究体制について、もともとの研究部・研究室制からプログラム・プロジェクト制に移行して、特に重要な研究ミッションについては特別研究員や研究補助員を重点的に配置してやってまいりました。また、研究職につきましてはフレックスタイム制を導入して、比較的自由な雰囲気で研究できるような体制を整えてきたというところでございます。
 13頁の上、法律に基づいた業務です。健康増進法に基づく国民健康・栄養調査の集計業務であります。「集計」と申しますけれども、基本的に調査計画の策定から調査スタッフに対する啓発、それから調査方法の普及等、すべて含んでいます。これには基本的に国のほうから集計の提出期限が切られていますが、いずれもきちんと期限を守り、なおかつ期間
を短くして、かなり合理的・効果的な調査方法を開発してやってきたというところです。
 13頁の下はもう1つの法定業務の分析業務でございます。特別用途食品等、表示の許可試験と収去に関する試験があります。許可試験はほかの民間の機関でも分析業務ができるわけですが、収去試験については法律でこの研究所のみが行うという形になっています。収去試験の数が平成18年度から127、79、55、99と出ていますけれども、いずれも分析精度を保ちながら所定の期間内にきちんと報告を行っています。平成22年度は、まだ収去試験の部分につきまして試験業務が行われておりません。
 14頁をお願いします。「社会的・行政ニーズへの対応に関する事項を達成するための措置」として、これは毎年、関係団体、行政機関と情報交換をしてきております。平成21年度は消費者庁が発足いたしましたので、今後は消費者庁との情報交換、意見交換等も充実させてまいりたいというところでございます。
 評価項目11、下段、国際協力、産学連携についての部分でございます。特に国際協力について我が研究所においては長年、WHOの研究協力センターの指定に向けていろいろと頑張ってまいりました。平成21年度では出ていませんが、ようやく平成22年度の4月に正式な申請が行われましたので、現在WHOによる審査と研究協力センターの指定を待っているという状態であります。
 15頁をお願いいたします。これは寄付講座、民間企業との協力部分についてであります。平成18年、19年は寄付研究の部分がかなりありました。平成20年度、21年度は大きな寄付研究がなくなりまして、共同研究と受託研究等になったわけです。その代わりと言っては何ですが、JAXAや国立極地研究所、航海訓練所等との取組みが増えています。基本的に、このようなところで隊員の食事や運動、それから健康の維持について、例えば極地研究所ですと南極越冬隊員の食事等を全部提出していただき、食事の内容についての基準等をもう1回見直していただきたいということでやっております。やはり、我が研究所はいちばん信頼できるということで、このような研究部門もきちんと興してやっているということであります。
 その下が栄養情報担当者に関するものです。平成21年度までの累計で、NR認定者は4,093名に至っています。この委員会の検討を行い、さらには合格者、NRの資格取得者に対する研修会も実施をしてきています。ただ、今年度になり、省内仕分けの結果でかなり厳しいものが出ていましたので、その結果を踏まえて、今後のあり方等について本省と相談しながら、研究所としても今後の方針について検討していくという考え方でやっています。
 16頁をお願いします。評価項目13は「情報発信の推進に関する事項」です。先ほども申しましたが、安全性・有効性情報については毎年、着実にデータベースの内容も充実してきておりますし、アクセス件数、それから相談件数も相当増えています。Q&Aも充実してまいりました。また、専門職等からいろいろな質問等が出た場合、研究所内でできる限りの対応をしてご相談にお答えをしているというところです。運営体制の改善に関する事項、先ほどもちらっと申しましたけれども、役員、幹部職員による「幹部会議」の週1回開催、それから「運営会議」も原則月1回になっていますが、平成21年度後半から統合の件など独法の仕分け等に関する部門にいろいろな動きが出てまいりました。重要な問題につきましては随時、臨時の運営会議等を行って、所内での意思の統一と情報の流通がうまくいくように図ってきました。研究部門については研究企画委員会、それらの倫理委員会等もきちんと所定どおり興し、きちんと開催して運営をしているところでございます。
 17頁の上段、「研究・業務組織の最適化に関する事項を達成するための措置」「職員の人事の適性化に関する事項を達成するための措置」というのも先ほどざっと申し上げました。職員につきましては公募による任期付きの研究員を採用し、フレックスタイムをやったり、かなり採用されるほうに厳しい部分もあるかもしれませんけれども、人件費の抑制にも努めてまいったというところです。
 あと、事務等の効率化・合理化に関する部門も毎年度の評価のところでいろいろ申し上げていますけれども、予算管理システムの運用とか、国よりももっと厳しい基準で競争入札を行う。あるいは、消耗品の一括購入というようなところで、経費の効率化・削減に努めてまいったというところでございます。
 評価の充実につきましてはここにスケジュール表がありますが、外部評価委員会、それから独法評価委員会等について、毎年、このような手順で所内で対応しているというところです。
 最後近くなりますが19頁、これらのいろいろな事務効率から研究部門の組織の効率化により、財務内容、それから業務運営全体での効率化については、一般管理費等の削減は中期目標を既にすべて達成しているという状態でございます。以上です。よろしくお願いいたします。


○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、事務局から暫定評価結果(案)のご紹介をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料1-1をご覧ください。「独立行政法人国立健康・栄養研究所の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)」です。「1.中期目標期間の業務実績について」の「(1)、評価の視点」については割愛させていただきます。「(2)中期目標期間の業務実績全般の評価」として、全般的に特に評価をしていることなどをここにまとめて書いております。ご紹介いたしますと、1頁の真ん中辺り、効率化に関することについては、第2期中期目標期間の当初にということで、プログラム-プロジェクト制へ改編したことなどを挙げております。システム最適化による効率的な業務運営を行ったことは評価できると書いております。
 まず、研究成果については、「具体的な研究成果としては」として、5つほど例示を挙げております。1点目は、運動・身体活動による生活習慣病予防、運動と食事指導の併用効果についての研究について、運動と食事指導による一定の効果が明らかになりつつあることを挙げております。2点目は、小児と成人の身体活動レベルの基礎的データを得ることができたことを挙げております。3点目は、高脂肪食負荷に伴うインスリン抵抗性の分子メカニズムを明らかにしたこと。4点目は、脂肪肝発症のメカニズムとそれを予防する食品成分を明らかにしたこと。5点目は、糖尿病感受性遺伝子のリスクアリルについての研究から、個々人の糖尿病予防についてテーラーメイド予防につながる成果が得られたこと等、これを例示として挙げまして大いに評価できるとまとめております。
 学術的成果等の発信については3点挙げております。1点目は、査読付き論文の発表数などを挙げまして、学会の発表数やインパクトファクターにおいても、国立研究機関として極めて高い水準を維持しているとしております。2点目としてホームページでの健康食品のデータベース作成と開示をしていることを記載しており、管理栄養士や栄養士等専門職のみならず、国民にも広く情報の提供を行ってきたことを掲げております。3点目は、国民健康・栄養調査や食事摂取基準についての普及・啓発活動、セミナーやオープンハウスなど企画を通じて広く研究所の紹介、研究成果の普及・啓発を行ってきたことを挙げまして、高く評価できるとまとめてございます。また、国民にとって関心の高い「健康食品」を対象とした食品成分の有効性の評価については、食品安全委員会により評価が必要であるとされました大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールをはじめとする各種成分の安全性評価を行い、食の安全・安心に寄与したことは評価に値するとしております。
 「2.具体的な評価内容」については、「(1)業務の効率化に関する措置について」を掲げております。先ほどのことと、前半で記載していることのほかに、経費の削減等について、4年間で一般管理費、事業費ともに計画を前倒しして達成する実績を上げており、高く評価できるとしております。しかし今後は、ラスパイレス指数の引き下げに向け、一層の努力が必要であると記載しております。
 「(2)サービスの質の向上について」では、?@として研究に関する事項を掲げております。研究については、重点の3課題の説明をした上で、いつでも着実に進捗しているということを掲げており、いろいろ例示を上げて極めて高く評価するとしております。また、重点調査研究以外の調査研究についても、健康・栄養に関する幅広い分野において若手研究者による創造的研究を実施し、次代の研究者育成にも寄与しているものと認められるとしております。食育部門については、中期計画を概ね達成していると評価できるが、各自治体における食育施策の実施状況の評価・モニタリングなど、さらなる充実が求められるとしております。
 ?Aとして法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項についてまとめております。法律に基づく業務につきましては、中期計画で示された集計及び分析報告期間について厳守しているなどを挙げており、効率的かつ適切な業務の実施に向けて改善に努めてきたという点を高く評価できるとまとめております。
 ニーズへの対応の関係については、評価はできますが、今後はということで、消費者庁や関係団体との意見交換などをより緊密に行っていく必要があるとしております。国際協力等につきましても評価できるとした上で、知的財産権の獲得については、中期目標達成の観点から今後一層の努力が必要であるとしております。?Aの最後の段落のNRについては、省内事業仕分けの結果を踏まえ、当該研究所の位置づけや関与の在り方、また本制度の社会的意義や認定されたNR、その後の活動実績などについて十分な検討を行い、今後の方針と展開を明らかにすべきであるとしております。
 ?Bの情報発信の推進に関しては、ホームページのアクセス数などを挙げまして、中期目標・中期計画を上回る成果を上げたと評価できるとしております。今後も、国民の安全・安心の観点から、常に最新の情報を発信し続けることが望まれるとしております。
 「(3)財務内容の改善等について」では、全体としては中期計画を上回る削減が見込まれることを書いております。また、人事については人事評価制度を導入したこと、任期付研究員制度を活用し、適正な人事配置を行ったことなどを挙げまして、人事に係る処置が適正に行われたことは評価できるとしております。
 「(4)その他について」では、セキュリティ対策について挙げておりまして、適切な対応が講じられていることを記載しております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは起草委員の武見委員からコメントをお願いしたいと思います。

○武見委員
 それでは簡単にコメントさせていただきます。基本的には、いま評価のご説明にありましたように、全体としてはかなり高い評価で目的に合った実績を上げられたということは、すでにご説明にあったとおりです。
 研究所のほうから説明のあった説明用資料に評価基準の項目が1~22番まで出ており、4年間の平均の評価が出ておりますが、すべてが3以上の評価になっております。3というのはある意味では中期目標を達成しているということで、委員の客観的な評価からも示されていると思います。その中でも特に4を超えるように非常に高い評価を得た項目というのが、1.生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究、4.36。2.日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究。3.「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究。5.論文、学会発表等の促進。7.講演会等の開催、開かれた研究所への対応。9.健康増進法に基づく業務に関する事項を達成するための措置。以上が、4点を超える、私どもの評価で非常に高い評価を出させていただいたことになると思います。
 これだけの実績を上げられたのは、もちろん研究所の皆様がこの4年間努力なさった結果だと思います。やはり、高かったところを見ますと、基本的には国立健康・栄養研究所、国の研究機関、独法であるということに期待するものを私たちが汲み取った結果ではないかと思いました。それは例えば、生活習慣病と、いま国の健康課題の中で十分な成果を上げ切れていない、そこに対する具体的な提案が行われるもの。あるいは国のガイドライン、DRIが代表ですが、それらへの提言になる基礎的な研究への評価。そうしたものに対する具体的な実績が示されていると思います。
 もう1つの特徴は、例えば7.開かれた研究所への対応、講演会の開催。4は超えていないのですが、13番、3.95の情報発信の推進に関する事項も、非常に高い得点が実は出ています。そういう意味で言うと、やはり健康や栄養の問題というのは、国民にとって非常に身近で、ある意味では関心の高いところ。そこに対して、いかに研究所が直接的に国民に情報を出してくださっているか。そういう辺りに関するところが、やはり高い評価が出ているのではないかと思いますし、そこに期待されていると思います。
 その研究等の成果の結果として、論文・学会発表等に関しては、先ほど説明があったとおり、十分に中期計画の目標を達成している状況が示されていると思います。したがいまして、今回示しました暫定評価について、概ね先ほどのような説明で妥当ではないかと起草委員としては考えております。来年が最終評価になってきますが、やはりそこでより明確に出していただきたいことは、何度も繰り返しますが、国の行政型ミッションの独法、研究所であると。そういうところで、ほかの研究所や民間の研究所、あるいは大学等では果たせないところをいかに果たしているかということ。そこは実績に基づいてきちんと示していただきたいと。示していくような評価、それが次の課題として、国の研究所がやるべき課題が見えてくるような形で今年度の実績をお作りいただきつつ、評価を整理していただければいいのではないかと思いました。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご説明をいただきました業務実績の報告についてのご質問や、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)についてのご意見等がございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。何かご意見等はございますか。よろしいですか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それでは修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)として、8月27日に開催される総会に報告させていただきたいと思います。なお、このあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正等が必要となった場合の対応につきましては、私のほうにご一任をいただくという取扱いでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。そのようなことで進めさせていただきたいと思います。次に組織・業務全般の見直し当初案について、審議を行いたいと思います。担当課よりご説明をお願いいたします。

○大臣官房厚生科学課長
 担当の厚生科学課です。資料1-2-?@でご説明をさせていただきます。よろしくお願いします。「組織・業務全般の見直し当初案」についてでございます。1頁、事務事業の見直し当初案のポイントについてご説明いたします。内容は2つありまして、制度自体の見直しを行う事項と、内容を見直し、効率化を図る事項と2つあります。1番目の制度自体を見直す事項は、栄養情報担当者(NR)制度についてです。これまで当研究所で担当してきておりますが、省内事業仕分けの結果を踏まえまして、NR制度に当研究所が関与しないことを前提に、第三者機関への事業の移管を検討したいと考えております。ただし、移管をするに当たりまして、2つほど留意点が必要と考えております。1つは、国の通知によるアドバイザリースタッフの習得事項を満たす科学的な水準の維持と、中立・公正な制度運営の確保が必要というのが1点です。2点目は、すでに資格を有している方々の活動や、養成講座受講生などの資格取得に支障が生じない、ということが留意されるべきと考えております。
 2番目の内容を見直し、効率化を図る事項については、調査研究と健康増進法に基づく業務、国際協力、産学連携、この2つについて記載しております。調査研究につきましては、これまで「運動基準」「健康日本21」等の厚生労働省の生活習慣病の重点政策に寄与してきておりますが、見直し後は生活習慣病の予防を効率的に推進するため、1つは栄養教育等の個人の食と健康の改善の推進を行いまして、社会調査部門の見直しを図る。2つ目は、国・地方自治体等の健康づくり施策に対しまして、科学的根拠に基づく情報の提供、施策提言を行う機能の推進を行い、情報発信部門の見直しを図る、この2点です。具体的には細かい字で恐縮ですが、ここに書いてある内容を想定しております。
 2番目の健康増進法に基づく業務、国際協力、産学連携については、これまで法定業務である「国民健康・栄養調査」や、収去食品の検査等を実施しておりますが、見直し後は、この調査の集計・報告期間の短縮や、経費の効率的な執行を引き続き継続したいと考えております。2番目のWHOをはじめ、アジア諸国との栄養ネットワークの運営を行う国際協力につきましては、見直し後、WHO研究協力センターの指定を受けまして、より位置づけを明確にした上で、国際協力活動を推進したいと考えております。3番目の産学連携については、これは知的財産権に係る部門を設置して、今後さらに推進していきたいと考えております。
 2頁の2の研究所組織の見直し(統合)案のポイントについては、これまで「独立行政法人整理合理化計画」、これは平成19年で前政権時代の決定ですが、これに基づきまして、独立行政法人医薬基盤研究所との統合に向けた準備を行ってまいりましたが、昨年12月の閣議決定によりまして、合理化計画は凍結された状況です。見直しを行った後には、「研究開発法人のあり方の検討」や、「独立行政法人・政府系公益法人等の抜本改革に向けた当面の進め方」。これは本年6月に示されておりますが、この動向も踏まえつつ、他の研究開発型の独立行政法人との統合を行い、業務の効率化、合理化を図りたいと考えております。
 3の組織の見直し当初案のポイントについては4つほどあります。1として職員の削減です。平成23年度に管理部門1名を削減するとしております。平成23年度以降の他の研究開発型の独立行政法人との統合も検討しておりますが、これが実現すれば、さらに役員、事務職員を削減することを検討しております。この結果、国からの財政支出の削減には約5,000万円の削減効果を見込んでおります。2つ目の随意契約の見直しについては、国よりも厳しい基準で一般競争入札を実施したいという考えをいま検討しております。3つ目の経費削減と自己収入拡大については、まず公用車の売却をいたします。公募型研究に積極的に応募して、競争的資金の獲得を目指します。プールや運動フロア等の研究施設のさらなる有効活用の可能性を検討させていただきたいと考えております。4つ目、管理運営の適正化については、中期目標の5カ年におきまして、人件費5%以上の削減の目標に対して、平成21年度において5%以上の達成をしております。
 平成23年度以降、先ほど触れました他の研究開発型の独立行政法人との統合を進めることによりまして、一層の削減効果を期待しております。ラスパイレス指数は100超ですので、異動時に年齢・給与を勘案した配置、若手任期付研究員の公募など、さらに人件費の節約に努めてまいりたいと考えております。以上、簡単ではございますが説明とさせていただきます。

○田村部会長
ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご意見、あるいはご質問等がございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

○武見委員
 見直し案の大きな項目で言うと、1頁目の2.内容見直し、効率化を図る事項の調査研究のところですが、生活習慣病予防の対策ということで、「?@栄養教育等の個人の食と健康の改善の推進を行い、社会調査部門の見直しを図る」とあるのですが、これは取りようによりますと、いわゆる個人の行動変容をより強化するような、個人のビヘイビア・チェンジを強化するような対策を中心に、研究やそういうものを進めていくと取れるのですが、それはもちろん大事なポイントだとは思うのですが、一方で世界全体の動きから見ると、やはり個人の行動変容では限界があって、むしろ環境整備をやっていかなければいけないというのが、例えば肥満対策であったり、循環器病対策の特に減塩対策などでは進んできていると思うのです。そういうことが一見抜けて見える形の表現になってしまうという辺りが気になるのですが、この意図というのはどの辺にあるのか、ご説明をいただければと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 ご指摘はごもっともだと私どもも思います。この見直し後の生活習慣病予防につきまして、「栄養教育等の個人の食と健康の改善の推進」というところをお出ししたのは、いままでの評価の中で、私どもの研究所のウエットラボ、基礎的な分子的な部分については、かなり高い評価としっかりした論文が出ているということは評価をいただいております。先ほども申し上げましたが、特に栄養教育や個人の行動変容について、あるいはそれらについて社会的に自治体や、いろいろな社会資本を動員して、どのようにサポートするかという部門について、我が研究所の研究調査部門は少し弱体ではないかという反省がございます。それらの手法も含めまして、今後そのような社会調査部門の充実を図りまして、その成果として栄養教育をはじめとして、個人から食の内容等、良い援用ができるのではないかという部門を、これから作って強化していこうということで挙げられているわけです。

○武見委員
 その部門の強化の意味はよくわかりました。おそらくそこに込めた意図は、例えばソーシャルマーケティングであるとか、そうしたようなことも扱っていくような意味での社会学的な要素を入れるという意味だと思うのです。それでも私はやはり前半の文言は、もう少し修正をしていただくほうが、今後の研究所の調査研究の展開を考えたときには重要ではないかと思うのです。
 例えば、個人へのアプローチというのは、あるいは研究者一人ひとりであったり、研究プロジェクトチームがやれる部分もあるのですが、例えば民間の企業や組織が、そういう所をいかに動かすかということになると、これはなかなか1つの大学とか、一研究者ではできません。やはり、そういう所を動かしてきているというのは、国際的にもいわゆるノンプロフィットなエージェーシーであったり、そういう所が責任を持って介入していくことで、多くの組織、特に食関係では企業との連携とか、企業をいかに巻き込んでいくかという部分の環境整備も重要だと思いますので、是非、そういうことがわかるような表現で、ここのところは修正をしていただければと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 わかりました。こちらのほうで少し検討をさせていただいてよろしいですか。

○武見委員
 それを変えていくための、いわゆる社会環境整備であるとか、そういう言葉を入れていただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 よくわかります。

○国立健康・栄養研究所理事長
 いま阿部主幹からご説明を申し上げたとおりでございますが、武見委員のご指摘のとおり、健康を増進するあるいは疾病を予防するというのは、個人へのアプローチ、いわゆるハイリスクアプローチだけでは不十分でございまして、やはりポピュレーションアプローチが必要であり、産官学の連携、そして環境づくりというのが非常に大事だと思います。ですから、?@は個人ベースのアプローチのつもりで表現したのですが、ちょっと言葉足らずのところがございますので、いま阿部主幹が申し上げたとおり、文言を修正させていただきたいと思います。?Aにつきましては、先ほど申し上げたとおり、国、あるいは学会等を含め、民間との協働、いちばん大事なのは市民との連携ではないかと思いますので、その辺りを含めた文言の修正をお願いしたいたいと思います。ありがとうございました。

○清水委員
 いまのところの関係ですが、内容的には全くわかりませんが、読んだときにすごくこれはわかりにくい文章だなと思いました。と言いますのは、内容を見直し、効率化を図るという文言になっているのですが、先ほどのご説明ですと、具体的にはということで、下の4つのポイントだということですが、むしろ、内容を見直して効率化するというよりも、拡充するようなイメージのように内容的には思いましたので、そこが何も中身がわからない人間にとっては非常にわかりにくいミスリーディングな表現のような気がいたしました。それが1点です。それについて善処をお願いしたいということです。
 次の頁の3の「組織の見直し当初案のポイント」については、これは当初見直しというのが、次期の中期目標の策定につながっていくものだとご説明があったと思うのですが、そういう意味で言えば、3番に書いてあることは、これまでここまでやってきましたということが、わりと中心のような気がいたしました。例えば、随意契約の見直しであっても、基準としてはもうやっているよということに見えるのですが、基準としてはもう設定してあっても、一層公示期間の拡大を図るなり、競争性のある契約をまず増やしていく努力は引き続き必要だということだと思います。そういった将来に向けての課題というものをもう少し書いていただきたいという気がいたしました。経費の削減についても同様で、公用車は売却しますということでいいのかもしれませんが、具体的にあと経費として今後としては載ってきていませんので、どういったことに見直しを図っていくのかということを、もう少し将来的なことも見据えた形で入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。

○中村委員
 いま議論になっていることと関連することですが、先ほどの?@?A、「推進を行い、社会調査部門の見直しを図る」。?Aとして「機能の推進を行い、情報発信部門の見直しを図る」とありますが、目的と結果が非常に曖昧です。ご説明では、推進を図ることを目的として、社会調査部門の見直しを図るのだとありました。しかし、この文章を読みますと、「行い、その結果、見直しを図る」と読めます。下も同じです。推進を図るために、情報発信部門の見直しを図るということで、目的と結果がこの読み方だと逆に取れますので、誤解がないように適切に直していただきたいと思います。
 この文章は、例えば、3頁にも出てきていますし、大事なところだと思いますのでご検討をよろしくお願いします。

○政安委員
 調査研究のところの「具体的には」というところで、?B「高齢者、子供を対象とした食事・栄養摂取状況の調査」と、健康増進法に基づいて、見直し後の国民健康・栄養調査との関連は、全く別ものとして扱われて調査をされるおつもりなのかというのが1点です。
 国民栄養調査の集計報告に関しては、暫定評価の13頁の上段にも都道府県等健康増進計画で活用ということを書かれているのですが、見直し後のところにも、いままでのように集計報告だけではなく、活用という視点も踏まえたことが書かれていたほうが、より研究所らしく表現されるのではないかと感じております。いかがでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 申し訳ございません。「高齢者、子供を対象とした」というところは、高齢者、子供のいわゆる食事の摂取状況というのは非常に重要部門でございまして、基本的には国民健康・栄養調査の結果等を活用して、まずそれについて分析することが必要であろうと思います。しかし、我が研究所が、いままでそういう機能が少し不足していたという反省がございまして、まず、国民健康・栄養調査の結果をどこまでいろいろな部門で活用できるかというところで、それらの機能をこれから強化するように中身をシフトしてまいりたいと。さらにそれで間に合わない部分につきましては、例えば食育のやり方等、どんなふうに行われ、どんなふうな普及・啓発事業があるのかというところに関しては、新たにその部門の社会調査を充実させてまいりたいというところで、もう少しそれらの社会調査を重視した政策形成というか、政策提言部門を今後強化してまいりたいというところからここは作られておりますので、是非、いまのご指摘を参考にして、少しこの内容につきましても修正をお願いできればと思います。

○武見委員
 ちょっと関連しているので、いまの国民健康・栄養調査の活用のことですが、これは独立行政法人の総会でも結構議論になることが多くて、結局、このデータを有効活用するべきではないかという意見がよく出ます。それをこちらで書き込んでいただくのはいいのですが、それが取りようによっては権益の中に抱え込むようなニュアンスになるのではなくて、やはり、求められているものは、もっとオープンにしろということを求められている。そういう状況の中で、どう活用の部分を今後の展開になされるかということがわかるように表現されるといいかなと思います。

○酒井委員
 栄養研が今後、年度評価のときに、非常にDNAレベルの話から、社会への成果の普及まで多様にあるということが今年度は出ていたと思うのですが、そういうものの整理の方向としてよりベーシックなものよりは、教育も含めたそういう方向へ研究所が舵取りをする宣言のように受け止めてよろしいのでしょうか。この先の5年間の計画として、栄養研の主に力点を置く研究及び実践活動というのが、よりベーシックなものよりは、そういう成果を国民に普及していくというところに向かっていくのだということをおっしゃったのでしょうか。そうではないのですか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 先ほどの武見委員からのご指摘とも関係するのですが、いわゆるハイリスクアプローチというのは、遺伝的な要因を調べて、的確に予防、あるいは治療、リハビリまでできるので有効なのですが、国民全体として、国民のニーズとして、社会的ニーズとしては、やはりポピュレーションアプローチが重要だと思います。そういう意味で、国の機関として、あるいは独法として私どもの考えとしては、やはりポピュレーションアプローチにウエイトを置いて、これまでもそうだったと思うのですが、今後ともそれを中心に持っていく所存でございます。

○武見委員
 いまの議論に関連して、たぶん先生のおっしゃった質問は、方向性としては、より政策提言につながるようにシフトするということだと思います。そのために必要な基礎研究はやってもらわなければいけないと思うのです。そこはそういう意味での視点のシフトというのはあるかもしれませんが、研究内容としてほかではできない基礎研究はやはりやってもらわなければいけないわけで、その辺だと思うのですけれども。先生ももしかしたら、それをおっしゃりたかったのかなと。

○酒井委員
 そのとおりなのですが、実はもう1点、統合の話が出ておりまして、ここにはっきりと「他の研究開発型の独立行政法人との統合を行い」というふうに書いてあったときに、当然、これは統合ですから、これまでの栄養研が何をやってきて、今後どういう方向にいくのかということの調整が非常に大事になる。しかも、これまでの5年間のまとめで、武見委員が言われたように行政ミッション型できたことが、いちばん最大の評価点であって、今後もそうだということをおっしゃったときに、統合との関連で、皆さんの研究や実践が埋もれないで、きちんとどういう形であってもいくために、戦略的に、いま一連の議論のあった内容の見直しを図り、効率化を図る事項との関連で、どういうことをいまお考えになっているというか、もしくは交渉されているかということを少し聞かせていただけると大変参考になるのですが。

○大臣官房厚生科学課長
 非常に重要なご指摘だと思います。統合することによりまして、例えば、事務部門の効率化とか、そういうのは当然期待されるわけですが、統合することによって、いままでやってきた実績や事業の継続性、栄養部門について栄養研のこれまでの取組み、今後のマンデートについて期待されるものが変わるわけではありませんので、必要なものについては統合にかかわらず、継続するようなことを十分その中で配慮したいと考えております。

○酒井委員
 折角これまでの素晴らしい成果が、統合によってどこかに埋まってしまうとか、それが故に、いまこの時点で今後5年間どうしていくかということを、私たちに何をやろうとしているかということが、鮮明にわかるような表現を是非とっていただきたいと思いました。

○国立健康・栄養研究所理事長
 いま厚生科学課長がご説明になったとおりですが、統合はやはり事務的な側面の効率化とか、あるいは合理化を図るところはあると思います。研究面に関しても、例えば、私ども健康・栄養研究所と統合すると想定される研究所は、基礎的な研究をやっている独法もございますので、そういう研究に関してはシナジー効果があるし、私どもがやっている健康・栄養の研究、あるいは業務につきましては、独自性といいますか、私どもの存在意義といいますか、ミッションといいますか、今後ともそれを発揮するように、そして効率的・効果的に調査研究を続ける必要があると認識しております。

○中村委員
 10頁の組織の見直し当初案(2)、管理運営の適正化がありますが、この中で、「人事異動における年齢・給与を勘案した配置」、いわゆる具体的な政策の中で、「若手任期付研究員を公募採用するなどによりさらに抑制するための改善に引き続き取り組む」とあります。人件費を抑制するというのはわかるのですが、「若手任期付研究員の採用が、人件費抑制のためだ」と、一義的に目的化されるのには、違和感を感じます。任期付きというのは優秀な人材を残すために、ある時期でフィルタリングをする目的で作られたものではないかと思うのです。ところがこの文章の中で、それを人件費抑制の手段と捉えられかねない表現をしているのはいかがなものでしょうか。少し考えていただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 先生のご指摘のとおりで、若手研究員は、今後の健康・栄養研究に携わる研究員を育成するためのシステムです。大学、その他の研究所との連携を図るためのシステムでもあると思います。この表現は、ご指摘のとおり適切でない部分があるかと思いますので、適宜修正をお願いしたいと思います。ありがとうございます。

○田村部会長
 ほかにはよろしいですか。いままで非常に貴重な意見をいただいております。いままでのご意見を少し整理してみますと、見直し当初案の骨格部分については、基本的にはある程度ご了解をいただいたのではないかと思っております。例えば、1の2の内容の見直し、効率化を図る事項の辺りの表現の在り方、目的、結果を明確にするとか、あるいは個人という辺りの表現とか、(2)見直し後のところのデータの活用の意図がわかるような形の表現にするとか、あるいは次の頁、3の組織の見直し当初案のポイントのところで、いまいただいたような表現のところとか、効率化のところは、2番目になりますが、効率化がなされているということがわかるような表現。そういった表現のところについて、今日いただいた意見を参考にしていただきまして、是非、ご検討をいただきたいと思います。
 最後に、酒井委員からもお話がございましたが、統合ということが予定されているように伺っておりますが、やはり、この研究所としていままでやってきたこと、あるいはこれからやるべきことを明確にして、今後も続けていかれるように是非やっていただきたいということで、この件は取り扱いたいと思いますが、よろしいですか。

○武見委員
 いまのグリーンの1頁、「内容を見直し、効率化を図る事項」というのは、これは決まりの文言なら仕方がないと思うのですが、効率化を図ることだけが見直しではないので、内容を見直し、例えば質を上げるとか、充実するとか、そして効率化を図るためでないと、いまのことが必ずしも合ってこないような気がします。これについては事務局サイドの問題かもしれませんが、ご検討をいただきたいと思います。
 ここで言っておかないと今後に影響すると思うので、もう1つは、国際協力関係で、WHOの研究協力センターの認定が取れそうということで、これは大変喜ばしいことだと思うのですが、そのときに国際協力活動の推進はどういう方向に、何を展開していくのか。いままではどちらかというとアジア諸国とのネットワーク作りという辺りが中心になり、そこができてきたという実績だと思うのです。もう一歩踏み込んで、日本から何をやっていくのかという辺りで、もしそこまで書き込めるのであれば、それは効率化ではなく、今後の発展という意味で是非加えていただければと思います。

○田村部会長
 よろしいですか。貴重なご意見をいくつかいただいておりますので、これを考慮していただきまして、修正等を是非お願いしたいと思っております。当部会として、いまいただいたような方向でまとめるということで、よろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 今日いただいた意見を加えた形の修正をしていただきまして、8月27日に開催される総会に報告するということにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。これまで国立健康・栄養研究所の中期目標期間の暫定評価と組織業務全般の見直し当初案について審議してまいりましたが、法人理事長のほうから、最後にコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今日いただいた意見を加えた形の修正をいただきまして、8月27日に開催される総会に報告するということでやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。これまで国立健康・栄養研究所の中期目標期間の暫定評価と組織業務全般の見直し当初案について審議してまいりましたが、法人理事長のほうから、最後にコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 独立行政法人国立健康・栄養研究所の徳留でございます。まずは評価委員の先生方におかれましては、かねてから私どもの研究所に対しまして、的確なアドバイスをいただき真にありがとうございます。
 本日は、7月13日に行われました平成21年度の業務実績についての評価を含めまして、平成18年度より始まりました中期目標・中期計画に基づく、平成21年度までの4年度分の暫定評価及び組織業務全体の見直し当初案につきましてご審議いただきました。真にありがとうございました。
 第2期中期計画におきましては、国民の健康増進、栄養状態の改善、QOLの向上という目的に沿いまして、3つの重点調査研究を行ってまいりました。
 加えまして、国民健康・栄養調査、特別用途
食品の許可試験等、法定業務に関することにつきまして、誠心誠意進めてまいりました。そのような調査研究、業務に対しまして高い理解、評価をいただいたものと考えております。
 なお、NR(栄養情報担当者)につきましては、先生方のご指摘、省内事業仕分けの結果も踏まえまして、第三者機関への移管を含め、すでに資格を得られている方、あるいは養成機関におきましての対応を慎重に検討したいと考えております。
 また組織の見直しに関することについては、ご案内のように、平成19年度の閣議決定では、医薬基盤研究所との統合が決定されました。しかし、昨年の12月の閣議決定により、その統合が凍結されました。その後、先ほど厚生科学課長のご説明にもありましたが、いろいろな議論がなされまして、医薬基盤研を含めた研究開発型独法との統合が予定されております。これにつきましては、厚生労働省と相談し、かつ関連独法と慎重に検討いたしまして、本当に意義のある、存在価値のある独法として、効率よく合理的な運営を図りたいと考えております。
 独立行政法人に対しましては、社会の目、国民の目というのが、ますます厳しくなると考えられます。第3期中期目標・中期計画に向かいまして、引き続き独創性、創造性、優先性の高い研究を実施し、国民への情報発信を行い、国民生活に貢献し、行政施策に寄与する業務ミッションに真摯に取り組み、いっそう国民の付託に応える所存でございます。本日は、先生方におかれましては、ご多忙の中、そして暑い中、適切なコメント、アドバイスをいただきましてありがとうございました。今後とも引き続きご指摘、アドバイスをいただきたいと思います。本日は真にありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。それではここで法人・所管課の入替えを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
(法人・所管課入替)

○田村部会長
 それでは、労働安全衛生総合研究所についての審議に入らせていただきたいと思います。最初に、暫定評価の審議を行います。暫定評価結果(案)の作成につきましては、起草委員の方には、お忙しい中、ご尽力いただきまして誠にありがとうございました。まず法人から中期目標期間の業務実績についてご説明をいただきます。そのあと、事務局から暫定評価結果(案)の概要を説明し、起草委員を代表して私からご報告させていだたき、その上でご審議をいただくという形で進めてまいりたいと思います。
 それでは、法人から、暫定評価(案)の別紙「暫定評価シート」に沿って、業務実績のポイントにつきましてご説明をお願いしたいと思います。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 それではご説明いたします。まず、評価シートに対応する資料はパワーポイントで作成しているものです。それに基づいてご説明したいと思います。まず、産業安全研究所、産業医学総合研究所は、平成18年度に統合して労働安全衛生総合研究所としてスタートしております。同じ旧労働省の研究所ですが、成り立ち、歴史が違いまして、制度や考え方が違っておりました。また、場所も離れているという物理的なハンデもございました。このようなハンデを克服し統合効果が上がるように、組織体制づくりや業務運営制度の整備を着実に進めてまいりました。
 組織体制については、平成18年度に災害調査分析センターの設置、2年目の19年度には3研究領域体制の導入等を図り、平成21年度には総務関係部門の4名削減、22年度にはプラス3名の削減で大幅な人員の削減を行っているところです。効率的な業務運営に関しては、新しい仕組みとして業務会議等の設置をしました。そのほか距離の離れているハンデを克服するために、TV会議システムの導入、電子決裁システムの導入、グループウェアの統合等で両地区の情報の共有化・透明化を進めているところです。
 次に、研究管理システムの充実ですが、両研究所評価基準・個人業績評価基準の内容・仕組み等が異なっておりました。まず、大枠を定めて改定し、次に細部を調整していくことにより統一化を進めているところです。その結果、内部研究評価、外部研究評価、個人業績評価等も現在ほぼ統一された形で行われている状況です。そのほか、ブロジェクト研究発表会等新しく創設したものもございます。また、特別研究報告(SRR)の刊行ですが、平成21年度から両地区の形式を統合した形で発行しております。このように毎年の反省に基づき、漸次改善・充実を図ってきているところです。
 次に業務運営の効率化に伴う経費の節減です。経費の節減につきましては、3頁右上の表のとおり競争入札を進めまして、平成21年度には随意契約が5件、3,400万円までに減少しております。また、省エネルギー対策の推進、業務・システムの最適化によって大幅な経費の節減を行っているところです。また、競争的資金・受託研究等外部資金の獲得ですが、右下の表にありますように毎年1億4,000万円を超える外部資金を獲得しております。平成21年度にはMEDOの研究、厚労省の移託事業等を獲得することによって、2億円を超えているところです。
 次に4頁、効率的な研究施設・設備の利用です。清瀬地区に登戸地区の施設を移設するなど、施設の統合化を図りました。また、省エネ機器や省エネ診断等によって、経費の節減を図っております。また、施設管理担当者による施設利用状況のモニタリングを実施しているところです。施設有償貸与についても実績を上げているところです。
 次に5頁の労働現場ニーズの把握です。私どもの研究所は大きく分けて3つの分野について貢献が必要と考えています。その1つは労働現場です。労働現場については、労働安全衛生重点研究推進協議会の設置。これは、労使・産業界・大学の研究機関、行政の委員から構成される協議会ですが、そこで日本としての労働安全衛生研究の方向性を3研究領域32優先課題として取りまとめております。そのほか、中小企業診断協会等、業界団体との意見交換、情報交換会等も積極的に行っております。また、災害調査も含めて行政との連携も行っています。私どもの研究成果を具現化するためには行政機関との連携が不可欠でございまして、厚生労働省との定期的な意見・情報交換会の開催、行政からの要請に基づく行政支援研究を実施しているところです。私どもの研究所は日本で唯一の労働安全性分野の研究機関です。そういう意味で、この分野で日本をリードする役割があると認識しております。学界等への積極的な参加をしているところです。
 6頁、ブロジェクト研究です。私どもミッション型研究所としてプロジェクト研究を充実させているところです。中期計画に基づく5分野26課題のプロジェクト研究を計画的に推進しております。また、新しいカテゴリーとして「イノベーション25」「ゴーネット(GOHNET)研究」等も新しくスタートさせているところです。その結果、プロ研では重点的な資金・研究員の投入をしまして、重点化を図っているところです。
 次に7頁の基盤的研究ですが、基盤技術の高度化、プロジェクト研究等の萌芽的研究として位置づけております。これについては課題の絞り込み、新たに評価制度を整えまして、プロジェクト研究と同様、事前・中間・事後の研究評価を行っております。
 8頁の学際的研究の実施です。学際的な研究体制の整備をしました。まずは、18年度に人間工学・リスク研究グループを発足しまして、両分野の研究員がそこに集結して研究を行っております。また、両地区の研究員が学際的研究を進める環境を整備するとともに、領域を3領域としました。それから、内部・外部研究評価において、学際的な視点からの評価を実施しております。その結果右枠に示すような学際的な研究例がございます。
 9頁、プロジェクト研究の重点化です。労働現場のニーズ、社会的・経済的意義等を精査し、その観点から基盤的研究を見直し、プロジェクト研究等へ重点化しております。基盤的研究の推移は、左下の表に示すとおりです。また、数値目標である、基盤的研究の課題数を30%削減する目標についても達成しているところです。右下の表は基盤的研究の削減例ですが、プロジェクト研究へ統合する、基盤的研究の複数を1つに統合することによって削減しているところです。
 10頁、研究評価の実施です。内部研究評価・外部研究評価について制度を整えて実施しております。その結果、研究計画の再精査や予算配分の見直し等に反映させております。また、昇進・昇格、研究員に対する表彰等を行いまして、研究職員のモチベーションの維持・向上に努めています。また、外部評価結果報告書については各年度、ホームページに掲載しているところです。
 11頁、成果の積極的な普及・活用で、これについては5項目ございます。
 1つ目が国内外の基準制定・改訂への科学技術的貢献です。これについても目標を上回るJISやISOの委員会へ研究職員を派遣しているところです。また、法令改正にも私どもの研究は貢献しているところです。
 次に、成果の積極的な普及・活用の2番目、論文・学会発表等の促進です。12頁の左下の表にありますように、概ね中期計画を上回る水準で発表件数が推移しております。右にあるとおり、論文の被引用件数について、昨年、21年度から評価項目に入りましたが、数値目標を上回る12報を達成しているところです。
 次に成果の積極的な普及・活用の3番目、インターネット等による研究成果情報の発信です。『Industrial Health』『労働安全衛生研究』、特別研究報告等、私どもの研究所の研究成果を積極的にホームページに掲載しておりまして、その結果、ホームページのアクセス件数は300万件を超える状況になっております。
 次に14頁、成果の積極的な普及・活用、講演会等の開催です。右の表に示すとおり講演会等を積極的に開催しております。特に、安全衛生技術講演会については、研究成果をわかりやすく国民に普及するために年3回開いております。右下の写真にありますように、安全分野で従来行っておりましたものを、平成18年度から衛生分野も取り入れまして、両研究所の研究員が講演する内容としてリニューアルしております。テーマはここに示すとおりです。そのほか、研究所の一般公開、見学等にも対応しているところです。
 成果の積極的な普及・活用の最後ですが、知的財産の活用促進です。特許、登録出願件数等は左下の表にありますとおり、このような実績を上げております。また、右に示してあるとおり、この4年間で13件の新規特許を登録しているところです。
 16頁、労働災害の原因の調査等の実施です。実際に起きた災害を詳しく調査・分析して原因を究明し、その結果を社会に還元していくことは私どもの研究所の大きな役割と考えております。災害調査、それから厚生労働省等の委託による災害調査、刑事訴訟法に基づく鑑定、労災保険給付に係る鑑別等、左下に示すとおり実施しております。いわゆる顧客調査を実施しまして改善を進めた結果、平成21年度の調査結果では「役立った」とする割合が90%近くを記録しているところです。それから、体制の整備等を図りました。また、年2回の災害調査報告会を開催しまして、調査のレベルアップを図っているところです。
 17頁にまいります。労働安全衛生分野の研究の振興です。ナノマテリアル関係の成果等を積極的にホームページに公開する。それから、国際学術誌として『Industrial Health』、和文雑誌として『労働安全衛生研究』を発行しておりますが、労働国際学会誌については平成19年から年6回発行しております。インバクトファクターは、平成21年度には1.22と急増しているところです。和文雑誌についても、平成20年に創刊しているところです。
 18頁の労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献です。左下の表に示すとおり7大学との間で研究協力協定を結びまして、大学院生の受入れと指導を行っています。平成21年度には若手研究員の受入れを53名としておりまして、数字が伸びているところです。数字が間違っているのですが、18頁の右下の欄、若手研究者の受入れ数は29、35、43、53でございます。
 次に19頁、研究協力の促進です。右下の表に示すとおり、米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)等12の大学、研究機関等と研究協力協定を結びまして、協定に基づく共同研究や研究職員の派遣受入れを積極的に進めております。そのほか、企業等から多数の研究者、年平均38人を受け入れております。また、共同研究も、プロジェクト研究、科研費等については40%前後の水準を維持しているところです。
 20頁、公正な業務運営を確保するための取組みとして、両研究所の旧規程の統一・改定を積極的に進めております。例えば、研究倫理審査規程については、右下の表にありますように厳正な実施を行っているところです。また、セキュリティポリシー、通則法に基づく公表資料等、積極的に進めているところです。
 次に21頁です。運営交付金以外の収入の確保については先ほどご説明したとおりですが、数値目表を上回る30件以上を獲得しているところです。自己収入の確保についても、右下の表にあるとおりの実績を上げております。
 予算、収支計画及び資金計画です。経費の節減を進めました。一般競争入札の徹底、それから仕様書の見直し等による一者応札の割合の大幅な削減を図りまして、経費を大幅に削減しております。下の記載のとおり、目標を大きく上回る削減率を達成しているところです。
 次に人事に関する計画です。記載のとおり、方針として任期付き研究員の採用、それから研究所として最も重要な取組みとして、資質の高い人材を登用するということですが、広報活動に努めているところです。常勤職員数も111名と減っております。また、総人件費改革の取組みも右下の表に示すとおりです。
 24頁ですが、施設・設備に関する計画として中期計画、年度計画に沿った計画的な施設・設備の整備を図っております。競争入札の徹底によりまして、4年間で2億円の削減をしているところです。以上です。

○田村部会長
 それでは事務局から暫定評価結果(案)のご紹介をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料2-1、労働安全衛生総合研究所の暫定評価結果(案)です。1の(1)評価の視点は割愛しまして、(2)の中期目標期間の業務実績全般の評価からご説明します。こちらは全般の評価が書かれていますが、?@として効率化に関する取組みについて、?Aとして業務の質の向上に関する取組みについて、と分けて書かれています。
 効率化に関する取組みは、理事長のリーダーシップの下、部門の一元化、研究体制の見直しを行ったことを掲げていまして、調査研究業務の一体的推進が図られており、評価できるとしています。また、総務部門の職員数を削減したこと、経費の節減に努め、目標を上回る実績を上げていることも記載して、高く評価するとしています。
 2頁で、業務の質の向上に関する取組みです。研究業務の実施については、労働安全衛生重点研究推進協議会の発足をはじめとして、さまざまな機会を通じて労働現場ニーズや行政ニーズを把握したこと、また、そのプロジェクト研究等に重点的に研究資源を投入し、それぞれ高い研究成果を上げていることを紹介しています。研究成果の普及・活用については、法令の改正、通達等の制定・改正、ISO等、基準制定等に活用されていること等を挙げ、行政ミッション型研究所としての貢献は特に高く評価できるとしています。また、学会発表及び論文発表数についても中期目標を上回る水準となっており、評価できるとしています。
 続いて、労働災害の原因調査等については、厚生労働省からの依頼のほか、刑事訴訟法に基づく鑑定、労災保険給付に係る鑑別・鑑定なども、迅速・的確に実施しており、高い評価を受けていることを挙げ、本研究所にしかできない事業であり、その実績及び貢献について特に高く評価するとしています。また、労働安全衛生重点研究推進協議会において、我が国における今後の労働安全衛生研究の指針となる安全衛生重点研究領域・優先研究課題の策定を行っているほか、シンポジウムの開催、国際学術誌及び和文学術誌の発行等、労働安全衛生分野の研究の振興に貢献しており高く評価するとしています。「その他」として、国内外の労働安全衛生関係機関等との研究協力及び若手研究者の育成についても、積極的な取組みが認められ評価できるとしています。これらを踏まえたまとめとして、行政ミッション型研究所として、高い水準の実績と成果を上げているものと高く評価できるとしています。
 以下、2頁の下から、具体的な評価内容です。(1)の業務運営の効率化に関する事項です。?@は先ほど述べたことと重なるので、割愛します。?A内部進行管理の充実として、研究の評価についてのほか研究の進行管理について、研究グループ単位で日常的にモニタリングを行い、役員会議等の場で定期的に報告・検証するなど適正に機能しているとしています。また、評価結果についても、研究計画の見直しや研究予算の配分、人事等に反映するなど、適切に機能していることを評価するとしています。?Bは先ほど述べたことと重なるので、省略します。?C効率的な研究施設・設備の利用です。研究施設・設備の有効活用を図るため、使用状況について定期的なモニタリングを行うとともに、有償貸与リストの見直しを適宜行い公表するなど、有償貸与や他研究機関等との共同利用に積極的に取り組んでいることを評価するとしています。
 (2)はサービスの質の向上に関する事項です。?@は全般的な事項と重なりがあるので省略します。?Aはプロジェクト研究についてです。先ほどと同じように、評価するということを書いた上で、「なお」として、基盤的研究の位置づけについて、将来に向けて創造的、萌芽的研究としての戦略的バランスが示されることを期待するとしています。?Bは学際的な研究の実施についてです。着実に研究を実施していることを書いた上で、今後統合による学際的な研究推進に一層積極的に取り組まれることを期待するとしています。?Cは研究項目の重点化についてです。こちらは中期計画を上回る削減を達成していることを記載した上で、「なお」として、研究の重点化に当たり、将来的に必要となる研究まで削減してしまうことのないよう、ニーズ等の十分な検討が必要であるとしています。?Dの研究評価の実施については、外部専門家による評価を行っていることを紹介しています。
 5頁、?Eの研究成果の積極的な普及・活用については、先ほど全般的なことで述べた以外のことで、「なお」として、安全衛生技術講演会への参加者に対するアンケート結果が目標を下回っている点を指摘していまして、今後テーマ設定等の改善に取り組む必要があるとしています。また、特許権の取得促進については、担当職員を配置し組織的に対応するとともに、登録特許すべてを研究所ホームページに概要掲載を行うなど、知的財産の活用についても積極的に取り組んでいることを記載しています。?Fは割愛します。?Gは国内外の労働安全衛生関係機関等との協力の推進です。投稿論文数が年々増加するとともに、インパクトファクターも平成21年度には大きく上昇するなど、その成果について高く評価することや、大学や企業等との共同研究についても、研究職員が研究代表者であるプロジェクト研究及び科研費研究においては、4割前後の水準で実施しており評価できることなどを書いていまして、今後として、研究所としての研究展開の将来ビジョンに対応した戦略的な研究協力のあり方についても検討した上で、他の研究機関等との共同研究の実施、連携の強化に積極的に取り組まれることを期待するとしています。
 6頁、?Hの公正で的確な業務運営について、各年度において必要な規程等を整備するとともに、研究倫理審査委員会をはじめとした各種委員会活動も適切に推進されているとしています。
 (3)は財務内容に関する部分です。?@の運営費交付金以外の収入の確保については、獲得額も増加傾向にあり評価できるとしていまして、今後とも、より一層積極的に取り組まれることを期待するとしています。?Aは人事に関する計画です。資質の高い人材の採用に努めていることを評価するとしています。また、研究職員の昇任、昇格、昇級について、適正な業務評価基準を基に、3段階による公平かつ適正な評価を基に実施しており、結果については表彰、人事管理にも反映していることを評価するとしています。以上です。

○田村部会長
 起草委員を代表して、私からご報告させていただきます。先ほど来ご説明がありましたが、労働安全衛生総合研究所については、産業安全研究所と産業医学総合研究所を統合して、平成18年4月から発足した研究所で、研究所の中期目標期間の組織・業務全般の評価については統合効果を最大限に発揮して、業務運営の効率化、産業安全及び労働衛生に関する調査研究の充実、あるいは研究成果の社会への還元といったことが十分に行われているかという観点から評価をさせていただきました。
 評価結果ですが、業務運営の効率化については、研究管理の一元化等に努めておられますし、総務部の業務の一元化、集中化等により職員数の大幅な削減を実施されたということ、そして契約の見直し等の経費節減に努められ、一般管理費、業務経費、人件費等、中期目標期間の数値目標を上回るペースで削減を実施されたといった点については、統合メリットを発揮され業務運営の効率化に成果をあげられたということで、評価できるのではないかと思います。
 調査研究ですが、労働現場のニーズ、行政ニーズの把握に努められ、それを調査研究に積極的に反映されているということ、特にプロジェクト研究等については、社会的ニーズに対応して資源の重点的な投入を展開され、その結果、高い研究成果をあげておられるということです。また、研究成果の普及・活用に関しては、労働安全衛生関係法令の改正、通達等の制定、改正に、より大きなコントリビューションをされておりますし、またISO、JIS等の国内外の基準制定等についても、多大な貢献をされているということです。また、労働災害の原因調査等への的確な対応もされているということでして、社会的な貢献を十分に果たしてこられたのではないかということで評価しています。
 以上から、平成18年度から平成22年度までの4年間における研究所の業務実績については、平成18年の統合以来、いろいろ難しい問題があったと思いますが、統合効果を十分に活かして業務運営の効率化に努め、適切な調査研究を実施し研究成果の社会的貢献を果たす等、行政ミッション型研究所として職場における労働者の安全及び健康確保に資するものであり、高い水準の成果をあげているということで評価をしています。
 なお、統合効果については、先ほどもお話をしましたが、非常に難しい問題もあったかと思いますが、業務運営の効率化にもその顕著な成果が見られるわけですし、今後学際的な研究の推進にも、是非統合効果をさらに活かしていただくような展開を期待したいと思います。私からのコメントは以上です。
 ただいまの報告についてのご質問や、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)について、ご意見等がありましたら頂戴します。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)として、8月27日に開催される総会に報告させていただきます。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただくということでよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 次に、組織・業務全般の見直し当初案について審議を行います。担当課より、説明をお願いします。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 労働基準局安全衛生部計画課です。資料2-2に基づいて、見直し当初案についてご説明します。
 1頁です。大きく3つの柱で、見直し当初案を用意しています。1つ目が、「研究業務の更なる効率化の推進」です。この点については、特に厚生労働省内における事業仕分けにおける指摘等を踏まえて対応を考えているものです。効率化の(1)として、外部研究資金の獲得額をさらに増やすべきだと指摘されたところでして、その向上に向けて目標を設定して取り組みたいと考えています。具体的には、平成23年度の目標として、研究費全体に占める外部研究資金の割合を3分の1以上にするとしています。その達成のための具体的な手段として、1点目、役員自ら外部研究資金の獲得に努力することです。2点目は、研究員についても、外部研究資金に1人につき2件以上応募していただくことです。3点目は、それらの結果について、役員、職員の個人業績評価に反映していくということで考えています。
 (2)です。これは先ほどの暫定評価でも、さらなる努力をご指摘いただいたところですが、他の研究機関等との共同研究の実施、あるいは連携の強化の点です。安衛研については、いままでも他の研究機関との共同研究、連携等に努力してきたところですが、さらにこれを強化していくということで、プロジェクト研究の内部評価、外部評価においては、共同研究の実施可能性の検討、その進捗状況の把握、フォローアップ等を重点的に実施していきたいと考えています。(3)として、組織の効率化です。これについても、管理部門の人員削減等に努力してきたところですが、さらなる効率化を図るという中で、厚生労働省で所管している中で、研究開発を実施している他の独立行政法人と統合するとともに、別途やっている化学物質の有害性(発がん性等)ですが、その調査に係る試験事業を当研究所に移管するということで検討しています。(4)は管理部門の職員数の削減という話ではありますが、これについても相当やってきているところで、そこにあるとおり管理部門の職員数の削減を行ってきているところでもありますし、来年度に向けては、さらに3名の削減をしていく方針ですが、これ以上となると相当厳しい部分があるので、他の独立行政法人と統合する中で管理部門の一層の効率化、合理化を進めていきたいと考えています。
 次の頁、2つ目です。まさに行政ミッション型の研究所である当研究所ですので、ニーズを的確に把握していくことは、先ほど来の暫定評価の中でも繰り返しご指摘いただいているところです。その点について、これまでも努力してきたところですが、さらに一層それに資していきたいということで、現場のニーズ、実際の労働災害の発生の状況、要因等を、より一層的確に把握する中から研究課題を見つけていく、あるいはその具体的な研究の成果について評価していくことを努力していくことによって、一層充実を図っていきます。それにより、労働現場における安全あるいは衛生の一層の向上に資していきたいと考えています。
 3つ目です。当然効率的にやっていくという中で、他の研究機関等と重複があると無駄になるので、他の研究機関等で実施している重複研究課題等の排除は大事な点です。これについても、安衛研についてはこれまでも努力してきたところですし、そのような形で成果を上げてきているところですが、これについても引き続き学識経験者、労使関係者等からなる外部評価委員会を開催し、他の研究機関における研究体制の整備、あるいは研究実績の集積の確認等も含め事前評価をきっちり実施していくということで、そのプロセスを通じて重複研究課題を排除する、研究内容を精査するということでやってきました。これについては、今後とも引き続き行い、より適正に事前の審査、評価を行っていきたいと考えています。以上です。

○田村部会長
 ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等はございますか。

○中村委員
 1頁の「研究業務の更なる効率化の推進」の(1)ですが、外部研究資金の獲得額向上に向けるということは異存はないわけですが、いままでの当研究所の活動内容は、相対的に外部資金に対しても前向きに取り組んできて顕著な成績を上げているという評価を我々は持っていたわけです。しかし、それに対し、どのような意図でお書きになられたかわかりませんが、さらに厳しい負荷が課せられています。目標ですから、それはそれでいいのかもしれませんが、3分の1というのは、具体的に現在と比べてどのくらいの水準になるのかを教えてい下さい。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 いまの状況として、平成21年度で大体20%となっています。それを33%に拡大していきたいという目標を立てています。

○中村委員
 非常に大変な目標でして、これが第一の目的であると取られるのは問題だと思います。ほかの国内の研究所とのバランスにも配慮してほしいと思います。環境の違う外国の状況をもとに数字が出されていないか危惧します。単なる目標ならいいのですが、進め方に当たっては、研究所と十分に調整をした上で、適切にやって下さい。

○鈴木部会長代理
 質問です。1の「研究業務の更なる効率化の推進」の(3)に、「化学物質の有害性(発がん性等)調査のための試験事業を当研究所に移管する」と書かれているのですが、これが効率化につながるという説明をいただけますか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 この事業というのは、具体的には日本バイオアッセイ研究センターで行っている、発がん性物質の長期吸引のための事業です。これは現状においては委託事業という形で、毎年入札にかけて実施する形になっていますが、現状においては中災防に国の施設を委託する形で行ってきています。長期吸引による発がん性の調査という研究テーマ自体が、毎年の委託事業という形のもので馴染むかどうかという問題点が1つあります。
 あと、発足当時、このセンターは昭和57年設立ですが、当時安衛研のような組織がなくて、国の研究機関しかなかったところで、新たにそのような発がん性の試験をやるという、その当時のいろいろな事情の中で、いま委託の形でやっています。そうだとしますと、もともと安衛研が持っている労働衛生分野の研究の中で一体的にやれば、そこの中でのシナジー効果等も発揮できるのではないかという両方の観点から、これは統合してやることがより一層の効率化に資するのではないかと考えているところです。

○鈴木部会長代理
 かなり大きな規模の事業なのですか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 平成22年度の予算額ですと、約10億円です。

○田村部会長
 ほかにご質問、ご意見等はございますか。

○酒井委員
 大変ご苦労された結果を示していただけたと思いますが、この3点が主に省内の事業仕分けであるとか、ある意味でいけば、研究所に対しての外からのいろいろなご意見に基づいて、それに対応するということなのですが、私はその辺の事情がよくわからないのですが、将来どこかの研究機関と統合するというような方向ではなくて、あくまでもこのような指摘に基づいて、それを具体的に改善していくという形の、これからの中期計画の5年間の方針なのだと見ていいのですか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 もちろん中期計画なり何なりを策定していくということは、安衛研なり私ども行政で主体的に考えていくということが基本でありますし、当然そうしていくわけですが、そこで検討するに当たっての視点として、いろいろなところ、例えば仕分けの場、総務省の評価委員会など、いろいろなところでいろいろなご指摘を受けます。そのこと自体は、非常にいいことではないかと思っています。
 ただ、そういう指摘の中で、指摘されてからやるのだとか、そのとおりにやるのだということではなく、それを踏まえて私どもとして、行政と研究所のほうで相談した中で、今回提示している形でいくということです。指摘されたことを契機としたことは事実ですが、指摘をされていなくても当然実施されるべきものであることだと思うので、そういうことも含めて今回の見直し当初案を掲げているところです。
 例えば、共同研究のさらなる実施なり連携ですとか、まさに課題を的確に把握するという話は、まさにそういうことであるべきだろうと思います。

○酒井委員
 わかりました。1点内容のことなのですが、これまでの5年間のまとめの中で、先ほど田村部会長もおっしゃっていましたが、シナジー効果を、いろいろなことで5年間、2つの研究所が1つになって現時点を迎えているわけですが、これから花開かせる意味でいくと、今後の5年間の中期計画でそこの特徴をいちばん強調されることが私の経験からいくと重要ですし、それができる期間ではないかと思っています。そこで、ここに書かれていることは極めて抽象度の高い表現なので、もう少し具体的なことで、今後こうしていくということを書いたほうがいいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 先ほど研究所から説明もありましたとおり、研究領域等を統合するとか、従来安全と衛生を掲げていたものを、環境分野という柱をもう1つ立てて、そこの部分については相互乗入れでやっていくということでしています。ただ、正直申しまして、組織が一緒になって、いきなりすぐにシナジー効果が発生するというものではなくて、そういう意味ではこれまでも努力してきたところではありますが、具体的な成果物として出していくというのはこれからの話なのかと思っています。そこについては、また新たに何かをそのためにいじるということではなくて、そこはいままでやったこと、そういう意味では高々4年なり5年ですので、もう少しやらせていただいて、そこの中で成果を出していきたいし、それで駄目なようであれば、そこは見直していきたいと思います。
 先ほど言いましたとおり他の研究独法との統合も検討していますので、そうなってくると、安全と衛生とのシナジー効果に加えて外との効果という話も出てくるかもしれませんので、その辺りは見極めさせていただいて今後のことは考えていきたいと思います。

○中村委員
 同じく書き方なのですが、2に行政ミッション型研究所云々とあるのですが、この研究所は例えば4年間の評価の中でも、労働災害の原因の調査等の実施は暫定評価期間4年間で4.54という非常に高い評価を得ているわけです。そういった積極的な面というのは、この文言からは全く読み取れなくて、「さらに頑張れ」ということしかないという点が、これまでの評価との乖離を感じます。これまでの実績を踏まえた上で、さらに、というならわかりますが、拝見すると、ただ、科学的知見を得ることや、労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究を行うよう頑張れという感じしかありません。ここはすでに一生懸命頑張っているところでもあるので、きちんとした評価をした上で、展開して頂けたらと思います。
 むしろ言うのであれば、一生懸命やるという事柄ではなくて、それが非常に貢献しているという実態についての、社会に対するPR不足、という指摘でしょう。その点に力を入れるのがあるべき姿かなと思います。例えば鑑識とか鑑定に対する貢献とか、唯一の国のミッション型機関として正当にやっているにもかかわらず、仕分け等における全体の空気においても、そういった貢献が反映されないままに、単に経費が外と比べてどうだとか、本質的ではないところで評価されているのではないかと残念に思っています。もっときちんとやっていること、この独法でなくてはならない謂れ、あるいは貢献を大いに評価した上でやってほしいわけです。そういう意味からすると、研究の推進だけではなく正当なPRが是非ほしいということで、検討していただきたいと思います。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 ありがとうございます。正直に申しますと、私自身も個人的にはそのような思いもないわけではありません。先ほどの説明でも、口頭では、やってきたところであるということで、繰り返し発言させていただきました。私どもも、そういう意味で、それなりの努力もしてきたという自負もありますし、それなりの成果も上げていると思っています。ただ、まさにいまご指摘のありましたとおり、それが外との関係では厳しいご指摘という形で出てくるものですから、そういったことでいまの案になっているのかもしれません。
 そういうことなのですが、現状の認識を言うなり、PRをしていくというのはいいことだと思います。それについては、そういうことを書き加えづらいのであれば検討してみたいと思います。

○田村部会長
 2番目の行政ミッション型研究所の表現について、いまのような趣旨をうまく活かした形の表現にしていただくと。

○労働安全衛生総合研究所理事(総務担当)
 総務担当理事です。災害調査については、いわゆる内部的に企業名や被災者名が入っていますから、論文として外に出せない部分がありまして、そこをうまく一般化するような形で、それぞれの方が災害防止に活用できるような形で、いまなるべく論文化できるような方向で本省ともいろいろと協議をしていますので、そういう意味で、これからどんどんPRを進めていくという方向に持っていきたいと考えています。

○中村委員
 いま非常に気になったのですが、論文というのはごく一部の人しか見ないわけです。社会の空気を作るのはそのようなものではなくて、この研究所はこんなことをしているのだ、何かあったときにこういうことをやるのだというものを知らせてくれない限り社会の雰囲気は変わらないので、せっかくやってくださっている貢献が評価されないことを危惧しているわけです。

○労働安全衛生総合研究所理事(総務担当)
 論文というのは例としてよくなかったかもしれません。例えばホームページとか、安全ガイドラインなどに反映させていきたいと思います。

○田村部会長
 ほかにご意見はございますか。

○田宮委員
 もともと衛生と安全の統合ということで、いろいろとご苦労された経緯は私もわかっておりますが、それがどこまで文面に出るべきなのかはずっと懸念しています。先ほどの暫定評価の結果の中にも、それぞれの知見を活用したプロジェクト研究など、いろいろなところに入っているので、これでいいのかなとも思っていたのですが、改めて今回審議している見直し当初案についての文言を見るに当たって、2に「労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の推進」とありまして、ここで改めて「安全と衛生の」という言葉が出てきております。見直し当初案は、これからのことですから、その次の文章を読んで少し感じました意見を述べさせていただきます。
 この下の4行の文章の中で、3行目に「現場ニーズや労働災害の発生状況、要因等をより一層的確に把握するとともに」とありまして、このような文書は先ほどの報告書にも出ています。この中で、労働災害の発生状況は、センターがあって、いろいろな情報が入ってくるというメリットがあるのはわかるのですが、業務上疾病とか、労働者本人の健康の要因であるとか、そのような点についてもこの中に入れられないものかと感じていました。例えば、メンタルヘルスの問題は労働者のかなり大きな問題になっていますし、労働者のメンタルヘルスが労働災害にかかわることもあると思います。ですから、労働災害の分析方法にしても、そのシナジー効果として本人の健康要因についても着目してみるとか。現在のデータベースが具体的にどうなっているかは存じあげていないのですが、文言として業務上疾病が全然出てこない、つまり本人の健康要因が出てこないところが気になりまして、この辺に入れていただければと。将来の具体的な「安全と衛生の一層の」ということがテーマにありますので工夫していただければありがたいと思いました。

○田村部会長
 いかがでしょうか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 確かに、安全のほうに寄った表現になっている気もしますので、ご指摘はごもっともですし、私ども行政としても、安全、衛生と言いますが、いま課題として大きくなってきているのは衛生面ですので、安全のほうはより効率的にやることにより引き続きやっていきますが、衛生に重点を置いてやっていきたいと思っていますので、その辺りの表現ぶりは検討してみます。

○田村部会長
  2番目の中身については、今日いただいた意見もうまく取り入れていただいて表現していただくということでよろしいでしょうか。そういう中で、先ほどおっしゃった統合効果などもうまく表せるのではないかと思います。よろしくお願いします。
 あと先ほど酒井委員からも話があったのですが、先ほどの話を伺うと、統合の話はいろいろと検討されているということで、これまで統合によってご努力されながらやってこられたわけですが、またさらに統合という話があるということですが、是非いままでやってきたことの中身が、統合によっても十分、あるいは一層発揮できるようなことを考えていただきたいと思います。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、この労働安全衛生総合研究所については、骨格はいまご説明いただいた方向でご理解いただいたと思います。特に、2番目の「労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の推進」については、先ほどいただいた貴重なご意見等を反映させる形で表現等を工夫していただきたいと思います。また、先ほども申し上げましたが、今後の統合に関しては、いままでやってきた貴重な研究、国民にとって重要な研究が継続できるような形でご配慮いただきたいというのは、やはり一筆入れておいたほうがいいのではないかと思いますので、そういう点を付けさせていただくということでよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。そういった方向で、8月27日に総会があるので、そこで報告させていただきます。
 これまで労働安全衛生総合研究所の中期目標期間の暫定評価と組織・業務全般の見直し当初案について審議してきましたが、最後に、法人の理事長よりコメントをいただきます。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 理事長の前田です。本日は評価をいただきまして誠にありがとうございます。この暫定評価、4年間の評価ですが、最終的には評点が付くわけですが、我々としてはこの評点そのものは結果であると考えております。その意味は目標ではないと。本来果たすべきミッションを十分に果たしたときに、結果として評点が上がることはあるだろうと。評点を上げるがためにだけ努力することは差し控えたいということで、あまり点取り虫にならないように、この評価の中身そのものを十分に受け止めて、しかも両研究所が統合して、シナジー効果がさらに一層望まれることになっています。そういうことも必ずしも評点に結び付かない項目であるかもしれませんけれども、そういう点数に一喜一憂しないで、しっかりした研究を今後も推進していきたいと。研究だけでなく、付帯業務としていろいろあるわけでございますが、そういうようなことを考えています。
 ということで、将来的には研究所がいろいろと状態が変わる可能性もありますけれども、そういうことにもあまり振り回されず、もともと我々のやること、世の中から要求されていることを粛々とやることにしっかりと目を据えて運営していきたいと考えています。今日はありがとうございました。

○田村部会長
 どうもありがとうございました。労働安全衛生総合研究所の議題は以上となります。法人・所管課は退室をお願いします。ご苦労さまでした。
(法人及び所管課退室)

○田村部会長
 最後に事務局からご提案があるようですので、これについて審議します。事務局からご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料3です。まず1点目は、独立行政法人の役員退職金に係る業績勘案率の決定方法についてです。資料3-1-?@、資料3-1-?A、参考として、「現行と改定案との業績勘案率比較表」を付けています。
 独立行政法人の役員の退職金については、独立行政法人通則法第52条第1項の規定により、役員の業績が考慮されたものでなければならないとされています。また、同条第3項の規定により、退職手当の支給基準は、国家公務員の給与、民間企業の報酬等のほか、当該独立行政法人の業務の実績を考慮して定めなければならないとされています。また、平成15年12月19日に、「独立行政法人、特殊法人及び認可法人の役員の退職金について」という閣議決定がなされていまして、この中で各府省の独立行政法人評価委員会が0.0から2.0の範囲内で、業績に応じて決定する業績勘案率を乗じて退職金を決めるものということが決まっています。資料集の157頁に、その閣議決定が付いています。
 資料集の158頁以下です。こうしたことを踏まえまして、厚生労働省の評価委員会については、「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」を定めています。かいつまんでご説明しますと、各評価項目の評価について、Sであれば2.0点、Aを1.5点、Bを1.0点、Cを0.5点、Dを0.0点と点数化をし平均を取り、さらにその出した平均を3分類して、それぞれ1.5、1.0、0.5と数値化をします。そのように数値化をした上で、目的積立金の状況や法人、評価委員の皆様からの特段の事情の申し出がないかどうかを考慮して業績勘案率を決定します。これが現在のルールです。
 いままで独法の評価委員会の歴史の中で、どのような業績勘案率が算定されてきたかですが、厚生労働省の中では、いちばん高い方で1.2、それ以外の方は1.0というのがこれまでの実績です。他府省の例でいくと、0.9の方もいらっしゃいまして、政府全体の幅としては1.2から0.9になっていますが、先ほどご紹介した現行の計算式ですと、1.5か1.0か0.5というのが最初に出てくる数値ですので、そうした最初に算定式で出てくる数字と実際に決定している1.2から0.9までとの間に乖離があることは、前々から議論がありました。
 また、こちらの部会ではありませんが、評価委員から法人全体の業績だけを見て業績勘案率を定めているのですが、個人の方が頑張ったというような事情があるのではないかということで、個人の業績にも着目した業績勘案率を算定すべきではないかというご意見が昨年度末にありましたので、これを受けて事務局で案を検討してきました。それを本日お示ししています。
 概要が資料3-1-?@です。実際に決定する場合の日本語の文書にしたのが、資料3-1-?Aです。資料3-1-?@に沿ってご説明します。また、この業績勘案率の決定方法は、評価委員会としての決定になりますが、部会で本日議論していただいたことも踏まえまして8月27日の総会で審議をしていただく予定となっています。
 詳細に説明しますので、資料3-1-?@をご覧ください。まず、現行は0.5から1.5までの幅で決めているものですが、こちらを法人業績率、個人貢献率の2種類の数値を足し合わせるような計算を考えました。まず、これまでに決定された業績勘案率、現行の幅を考えまして、足し上げた幅が同じように0.5から1.5になるように数値を考え、それぞれ数値化する場合の点数を変更しています。
 まず、法人業績率については、Sはいままでは2.0でしたが、1.2、Aは1.5から1.1、Bは変わらずに1.0、Cは0.5から0.9、Dを0.0から0.8と修正し、変動の幅を縮小しています。その上で、役員個人の業績を反映する個人貢献率ですが、これについては対象となる役員の方が所掌している業務の評価を点数化して加えることを考えています。その場合は、法人業績率の数値とは変えていまして、Sを0.3、Aを0.1、Bを0.0、Cを-0.1、Dを-0.3とし、この平均を取って、法人業績率に加算する形にしています。これにより、これまでの算定式では1.5、1.0、0.5の3通りになっていたものが、0.1刻みでいろいろなバリエーションをもって出てくるようになってきます。ただし、これまでと同様の取扱いとしているのが、業績勘案率が1.0を超える場合の取扱いです。現行でも目的積立金を計上している等財務状況が好調であることを必要としていまして、退職金の原資が確保できているかですが、これはこれまでどおり目的積立金を計上しているなど財務状況を見ることを考えています。
 このほかに今回新しく考えているのが、まず監事の方です。監事の役割は内部牽制だと思いまして、法人の業績に直結するものではありませんので、個人の貢献率は加算しないことを考えています。それから、在職期間が1年未満の方です。いままでは特に1年未満であるかそうでないかについてはこだわりなく算定を行ってきましたが、1年未満は短いことを考えまして、不祥事がある場合もあるので、業績勘案率は1.0以下が適正ではないかと考えています。3点目は、年度途中に退任した方の算定方法です。評価が確定していない場合には、これまでの実績を出して、大体昨年度と一緒なので同じ値を使うといったことを部会で決定し計算していましたが、法人の資料作成等の負担もありますので、そちらを考えまして、年度途中に退任した場合は、9月までの退任であれば前年度の業績を基に勘案率を算定します。10月以降の退任であれば、翌年度の業績評価がなされる結果を待ってから算定するルールを考えています。
 このルールに沿って算定した場合にどのような変化をするのか、参考として業績勘案率比較表を付けていますので、ご参照いただければと思います。この表の見方ですが、いちばん右端に、いま案として示している業績勘案率が「仮定業績勘案率」としてあります。こちらを基に部会の場で議論をして確定するので、「仮定」という表現を使っています。この仮定業績勘案率を計算して出したあとに、部会の場で減算の要因がないかどうか、実際に役員の方の業績と見比べた場合に適切かどうか、法人の財務状況に照らして適正かどうか等を考慮して決めることを考えています。
 なお、これまでの法人の状況を鑑みますと、財務状況が好調であるという法人が国立病院以外には存在していない状況ですので、仮定業績勘案率の算定、いろいろと変更はありますが、最終的には1.0になるのがほとんどになるのかなと思っています。
 ややこしいので、もう一度資料3-1-?@に戻っていただいて、再度確認させていただきます。真ん中のほうに業績勘案率の計算式を書いています。繰り返しになりますが、法人業績率ですが、これまでのSを2.0とすることをやめ、幅を小さくして、Dが0.8、Sが1.2という数字を当て込んだ上での業績の平均値を出します。これはいままでどおりに、全部足して評価項目数で割ります。個人の貢献率は、所掌しているもの、これは真ん中の式で、Σのあとに×でnの所掌割合としていますが、もしお2人で所掌しているものがありましたら半分にするといった計算をします。その方が貢献した評価の点数を出した上で、法人全体の評価項目数で割ります。
 資料3-1-?@の後ろのほうに、実際の具体的な計算例を付けています。ここでは仮に評価項目が4つしかない法人を考えて、担当理事数を1人か2人ということで計算しています。個人貢献率の計算の仕方ですと、例えば1、3、4を所掌している方については、個人貢献率は、1については0.3×1、3については0.1×1/2、4についても0.1×1/2となりまして、これを足したものが個人貢献率になりますが、これを全体の評価項目数の4で割ったところ、0.1になります。ややこしい計算になりますが、以上です。

○田村部会長
 ただいまご説明いただいた内容について、ご質問、ご意見等はございますでしょうか。

○清水委員
 なぜいまごろ、こういうことが起きてきたのかがわかりません。厚生労働省だけの動きなのか、先ほどそういった意見が部会であったということでしたが、ほかにも背景があるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
 私の理解では、いちばん最初のスタートのときは割と業績勘案率を甘めに設定していたということでの批判があって、平成15年に先ほどおっしゃった通達によって基本的には1.0だということで、かなり厳しく言われたのだと思うのです。これは最終的にはいろいろな要素が入ってきていますが、個人の貢献度も入れるということで、理屈的にはもっともな話だと思うのですが評価の仕方は難しいと思います。結果的には1.0に近づくという話でしたが、その辺の本当の狙いというか、何かありましたら教えていただけたらと思います。

○政策評価官室長補佐
 昨年度末の辺りに労働部会で、業績勘案率の審議をしていただいたときに、新しく入られた委員の方から、個人の業績を見るべきではないのかという意見がありまして、それに賛同される雰囲気がありましたので、他省庁で実際に個人の業績勘案率を見ているところがありましたので、そちらを参考に事務局で検討してみるということで引き受けたというのが背景にあります。
 すでに調査研究部会以外の部会でもご議論いただいていますが、先ほどご紹介した閣議決定を受けて政・独委が出している考え方でも、個人の貢献率はあくまでも従たるもので、法人の業績が主であるということが書かれているところがありまして、そうしたことを考えて、個人貢献率については見ないほうがいいのではないかというご意見が出た部会もございます。
 これまで厚生労働省の中で、個人貢献率についてどう考えるかという議論がなかったのは事実ですので、せっかくご意見をいただいたので考えてみましたが、現行の案と比べて、利点としては刻みが少し細かくなります。仮に目的積立金を積んでいない場合はほぼ意味のない話ではあるのですが、仮に目的積立金が積まれている場合には、この場で議論をするときの参考が1.0と1.5の2種類からではなくてもっと細かくなるので、議論がしやすくなるかなということが多少あるかなとは思うのですが、これもほかの部会においては、そういうことではなくて基本はもう1.0で、そのあと法人側から、業績はいいし、この方はこのようなことをしたということ等を聞いて、この場でなるほどと思ったら0.1ずつ積み上げるといったやり方もあるのではないかといったお話も出まして、さまざまなご意見があるなと思っています。
 当初は総会の場で、この夏にもし結論が出るのであれば、決定をしたいと思っていたところですが、さまざまな議論がありますので、またこの調査研究部会でも皆様のご意見をお聞かせいただいて、事務局で再度検討する形でもいいのかなと思っています。

○清水委員
 個人的な意見ですが、理論的には素晴らしいものかもしれませんが、個人的には反対です。法人の実績率だけでいいのではないかと思います。ほかの省庁で個人の業績を勘案した例がありまして、そのときはこういった形で理論値を自動的に持ってきて、そこから減算という形ではなく、むしろ加算という形で、在任期間中に何があったのかをプラスする仕組みだったのですが、非常に難しかったのです。
 今回減算の方法という原案ですが、その中でも、例えば財務状況がいいというのは何を示すのか。目的積立金があることが1つ書いてありますが、それ以外にも、財務状況に見合う程度まで減算という表現が出てきます。そういったことも、どこに線を引くのかということがあります。それから、監事は違うということですが、監事もコンプライアンスやガバナンスといったところでは、評価項目に関係する項目をやっていると思うのです。そういったところを考えますと、この原案は複雑すぎるので、かえって見にくくなるという懸念があります。個人的な意見です。

○田村部会長
 ほかにございますか。これは今日初めて皆様にご説明させていただいたということですので、場合によっては、少し時間を置いてご意見をいただくことも可能です。今度の総会ですぐに結論が出るというものではありません。日にちを決めて、コメントがあればいただくということにしましょうか。

○政策評価官室長補佐
 総会で確実に結論を出すわけではありませんので、1週間後ぐらいまでの間に、もし何かありましたら事務局までご連絡ください。

○田村部会長
 この件はそのようなことで対応させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 次の提案について審議をします。事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 2点目です。資料3-2です。「独立行政法人の不要財産の処分に係る独立行政法人評価委員会の意見の取扱いについて」です。独立行政法人通則法の一部を改正する法律が先の通常国会で成立していまして、年内に施行される予定となっています。この改正法により、独立行政法人の保有する財産であって、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められるものがある場合には、当該不要財産を処分しなければならないとされておりまして、また、その不要財産は、遅滞なく国庫に返納することとされています。この不要財産を国庫に返納するに当たりましては、当該不要財産の処分を厚生労働大臣が認可する必要がありまして、その際には、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないことになっています。
 改正法の施行日はまだ決まっていませんが、それによりましては、すぐに部会を開催して審議をすることが困難であるような日程となることも予想されますので、各部会における了承の下に、資料の下半分にありますが、どれが不要財産に当たるかは当然わかっていますので、あらかじめ部会の了承をいただいておいて、改正法の施行後に独立行政法人が当該不要財産の処分の認可申請を行うときには、部会長において、部会が了承した不要財産であることを確認していただきまして、部会長の了承を得ることをもって、部会のご意見をいただいたという取扱いとしたいと考えています。
 また、当該了承をいただいた事項につきましては、直近の部会において報告する形を取りたいと思っています。調査研究部会の関係では、医薬基盤研究所の土地の一部が不要財産となる状況になっています。以上です。

○田村部会長
 ただいまの内容について、ご質問等はございますでしょうか。

○清水委員
 ここの部会に関係するのは、医薬基盤研究所の和歌山研究部だと思うのですが、売却済みで現金に換わっているということなのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 その通りです。

○田村部会長
 ほかに何かございますか。特にご異議がなければ、当部会としてはこの取扱いを了承するということでよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それでは、そのようにいたします。
 本日の審議は以上です。事務局から連絡事項があればお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日のご審議で、この夏の調査研究部会の審議は終了となります。委員の皆様におかれては、ご多用の中、長時間にわたり精力的にご審議をいただきまして誠にありがとうございました。
 次に、今後の予定等についてご連絡させていただきます。8月27日(金)の午後2時から、本日と同じ厚生労働省17階専用第21会議室において評価委員会の総会が予定されていますので、メンバーの方はよろしくお願いいたします。議題は、本日ご審議いただいた国立健康・栄養研究所と、労働安全衛生総合研究所についての暫定評価結果案及び組織・業務全般の見直し当初案、それから前回の部会でご審議いただいた医薬基盤研究所の最終評価案について、当部会での審議内容を、部会長はご欠席ということですので、部会長代理によりご報告をいただいた上で、改めてご審議いただきます。
 また、次回の調査研究部会は12月を目処に開催を予定しています。具体的な議事や日程等につきましては、改めてご連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○田村部会長
 総会については、鈴木部会長代理、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は以上で終わります。長時間にわたり熱心なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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