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2010年7月29日 平成22年7月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年7月29日(木)16:00~


○場所

厚生労働省 共用第7会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 守 殿 貞 夫、 清 水 秀 行、

 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 土 屋 友 房、 濱 口   功、

 早 川 堯 夫、 半 田   誠、 前 崎 繁 文、○堀 内 龍 也、

◎吉 田 茂 昭 

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順 敬省略

 岡   慎 一、 鈴 木 邦 彦、 溝 口 昌 子、 山 添   康

行政機関出席者

 岸 田 修 一 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 赤 川 治 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)


○議事

○審査管理課長 予定時刻より少し早いですが、先生方お揃いですので、「薬事・食品衛
生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただ
きましてありがとうございます。まず、事務局から当部会委員の異動につきまして御報告
をさせていただきます。新たに当部会の委員として慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法部
長の半田誠先生に、御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
○半田委員 よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 本日の委員の出欠についてですが、岡委員、鈴木委員、溝口委員、山添
委員より欠席の旨、御連絡をいただいております。現在のところ当部会委員数17名のう
ち、13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御
報告させていただきます。
 また、大臣官房審議官の岸田でございますが、退官の予定でございますので、御挨拶を
させていただきます。
○審議官 今、御紹介がありましたように、定年も過ぎているということもありまして、
この度、職を退くことなりました。約2年間この部会でお世話になりました。先生方の御
努力・御尽力に感謝申し上げたいと思います。審査体制の充実ということで、これまでい
ろいろPMDAの評価等に取り組んでまいりまして、ここに見られるようにかなり人も増
えたわけでありますけれども、やはり質の向上というところも重要でありまして、今後と
もいろいろな研修や、こういう部会を通じて質の向上を図ってもらえれば有難いと、こう
思っております。いろいろと案件があって大変かと思いますけれども、そういう意味での
審査体制への指導ということもよろしくお願い申し上げたいと思います。
 今日は日米のワクチンのワークショップの会議が今開かれておりますので、途中で退席
するかもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思います。どうもありがとうござい
ました。
○審査管理課長 それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関
する「競合品目・競合企業リスト」について、報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会の
委員名簿を配付してます。議事次第に記載されている資料1~6をあらかじめお送りして
おります。このほか資料7「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬
・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料8
「専門委員リスト」、資料9「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。また、
当日配付資料といたしまして、資料4-2「イムシスト膀注用81mg誤記訂正」として報告
様式の新旧対照表と添付文書(改定版)を配付してございます。
 続きまして資料9、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御
報告いたします。各品目の競合品目選定理由ですが、資料9の1ページ、「沈降インフル
エンザワクチンH5N1『化血研』」です。本品目は、新型インフルエンザワクチン(H
5N1)の予防を効能・効果としており、この効能・効果を有する鶏卵由来のワクチンと
して、資料にお示ししましたとおり、現在、製造販売承認されている、あるいは承認申請
中の3品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、「イナビル吸入粉末剤20mg」です。本品目は、A型又はB型インフルエン
ザウイルス感染症の治療を効能・効果としており、この効能・効果を有する薬剤として資
料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、「KW‐0761」です。本品目は、CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫を
予定効能・効果としており、成人T細胞白血病リンパ腫の適用を有する薬剤と、既に希少
疾病用医薬品の指定を受け現在開発中の薬剤につきまして、資料に掲げるとおり競合品目
として選定しております。以上でございます。
○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見がございますでしょうか。ないよう
でございますので、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」については
皆様の御了解を得たものといたします。それでは、各委員からの申出状況について、御報
告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。
 議題1「沈降インフルエンザワクチンH5N1『化血研』」ですが、退室委員は竹内委
員でございます。議決に参加しない委員はいらっしゃいません。
 議題2「イナビル吸入粉末剤20mg」ですが、退室委員はいらっしゃいません。また議
決に参加しない委員は竹内委員、堀内委員、前崎委員でございます。
 議題3「KW‐0761」ですが、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいませ
ん。以上でございます。
○吉田部会長 ありがとうございました。本日は審議事項3議題、報告事項が3議題とな
っております。議題1に入ります。竹内委員におかれましては、恐縮ですが、議題1の審
議の間、別室で御待機いただくことになります。議題1につきまして機構からの概要説明
をお願いします。
── 竹内委員退室 ──
○機構 議題1、資料1、「医薬品沈降インフルエンザワクチンH5N1「化血研」の生
物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定
並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたしま
す。
 本剤は有効成分として、弱毒化されたA型インフルエンザウイルスH5N1株を発育鶏
卵で増殖させ、精製し、ホルマリンにより不活化したウイルス全粒子を含み、アジュバン
トとして水酸化アルミニウムゲルが添加されたワクチンです。今般、「新型インフルエン
ザ(H5N1)の予防」を効能・効果として申請されました。本剤は希少疾病用医薬品に指
定されております。なお、製剤サンプルをお手元にお配りしておりますので、適宜御確認
ください。
 H5N1型インフルエンザは、2010年現在でも東南アジアやエジプトにおいて、30例
以上の感染事例や死亡例がWHOに報告されており、2003年以降の集計によると、H5
N1型インフルエンザの致死率は感染確定症例の約60%と、季節性インフルエンザに比
べて重篤な全身性病態を示すことが知られています。したがって、H5N1型インフルエ
ンザがパンデミックに発展すれば、社会にとって大きな脅威になると考えられ、このよう
な新型インフルエンザ対策として、ワクチンによる予防が重要とされているところです。
 A型インフルエンザウイルスH5N1株のワクチン開発にあたりましては、季節性イン
フルエンザワクチンのようにウイルス粒子を破壊して、抗原蛋白としたスプリットワクチ
ンや不活化全粒子ワクチンのみでは、免疫原性が低いことが示唆されておりましたため、
不活化全粒子ワクチンにアジュバントを添加した製剤が開発されました。また、本剤は、
平成16年8月に厚生科学審議会感染症部会の小委員会により示されました、新型インフ
ルエンザワクチン開発の方向性にしたがいまして、モデルウイルスを用いたモックアップ
ワクチンとして開発が進められました。
 なお、本邦におきましては類薬としまして、同じくアルミアジュバントを添加した不活
化全粒子ワクチンである沈降インフルエンザワクチンH5N1「ビケン」、同じく「北研」
の2製剤が承認されています。
 本剤の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料8にお示しした6名の委員で
す。
 次に審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書27ペ
ージです。
 本剤の第II/III相試験は国内で実施され、20歳以上65歳未満の健康成人を対象とし、
HA含量として5μg、又は15μgの抗原がそれぞれ175例に2回接種されています。有
効性に関しては、現時点ではH5N1型インフルエンザの発症予防効果や、重症化予防効
果を検証する臨床試験の実施は困難であることから、欧州医薬品庁の新型インフルエンザ
ワクチン評価ガイドラインに示された免疫原性の三つの指標、すなわちHI抗体価の抗体
陽転率、抗体保有率及び抗体変化率により評価されました。その結果を審査報告書27ペ
ージの表4-5に記載しています。この表の中に抗体陽転率IとII、二つ書いてあります
が、IIを御覧いただければと思います。
 免疫原性は用量依存的に上昇しまして、15μgを2回接種後、ウマHI抗体価では三つ
の免疫原性指標うち、抗体陽転率と抗体変化率は、それぞれ「40%以上」「2.5以上」と
いう判定基準を満たしましたが、抗体保有率は45.6%であり「70%以上」という免疫原
性の基準を満たしませんでした。しかし、ウイルス吸着・増殖阻止活性の指標である中和
抗体価につきましては、本剤接種により74.3%の被験者において、4倍以上の上昇が認
められたことも考慮いたしまして、本剤15μgの2回接種により抗体産生は惹起され、新
型インフルエンザH5N1の発症予防、あるいは重症化の予防が期待できると判断しまし
た。
 安全性については、審査報告書28ページの表4-6、表4-7に結果を記載しています。
過去の季節性インフルエンザワクチンのデータと比べますと、局所反応の発現率が高くな
る可能性が考えられましたが、本剤の接種により重篤な有害事象は1件、副反応は認めら
れておらず、本剤接種による局所及び全身反応は忍容可能と判断しています。
 製造販売後調査等に関しては、本剤の臨床成績が成人のみに限られておりますことか
ら、小児を対象とした製造販売後臨床試験が実施される予定です。加えて、パンデミック
時には短期間に多数の人に接種されると予測されることから、安全性情報を収集する製造
販売後調査の実施が計画されておりますが、本剤は新型インフルエンザH5N1の予防を
効能としたワクチンでして、政府の新型インフルエンザ対策行動計画を踏まえた流通・接
種の方針も念頭におきまして、具体的な実施方法等に関しては、厚労省の関係部局と相談
の上、検討していくことにしております。
 なお、審査報告書15ページの3)不活化工程について、に記載していますように、承認
申請後、安定性試験実施中の製剤から生きたH5N1型インフルエンザウイルスが検出さ
れる事例が認められましたが、これに関しては製造工程の改良により対応しています。
 このように生きたウイルスが検出された理由ですが、不活化されたインフルエンザウイ
ルスが多量に存在すると、生存しているインフルエンザウイルスの増殖を抑制するという
ことが報告されています。製造工程中、不活化工程におきまして、不活化されたことを確
認する試験がありますが、当初の製造条件では不活化処理時のウイルス濃度が非常に高か
ったために、不活化されたウイルスがその試験において生き残ったウイルスの増殖の検出
を強く防害した結果として、不活化処理が不十分になってしまったという可能性が考えら
れました。
 そこで不活化処理をするウイルス浮遊液のたんぱく質濃度の上限値を下げること、不活
化試験方法の検出感度を向上させること、さらに不活化期間の設定方法を変更することに
より、インフルエンザウイルスの不活化が適切に行われるよう対策が講じられたことを確
認しています。
 以上の機構における審査の結果、本剤は新型インフルエンザ(H5N1)の予防に対する
有用性が期待できると判断し、承認して差し支えないと判断いたしました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、希少疾病用医薬品であることから再審査
期間を10年とし、劇薬及び生物由来製品に該当すると判断しました。以上、御審議のほ
どよろしくお願い申し上げます。
○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見をお
願いしたいと思います。
○堀内部会長代理 このものは承認申請されたのが2008年4月にされているのですね。
2年以上経っているわけです。ちょうどこの時期にインフルエンザのパンデミックな感染
があったのですが、こういうのは早く審査をやらないといけないのではないかと思います
が、2年以上かかっているというのは、どういう理由によるのでしょうか。
○機構 先ほど最後に申し上げましたように、不活化工程という、一番重要な工程とも言
えると思いますが、そこで改良の必要があったということで、承認申請後にかなりデータ
を取得していまして、その取得に時間がかかったというのが一つの原因です。
○堀内部会長代理 分かりました。これは2回投与になっていますね。それともう一つは
皮下注と筋注、これは第II相、第III相試験は筋注でやっていると思うのです。どちら
かというと、筋注の方が中和抗体価等もいいのではないかと思いますが、皮下注でもどち
らでもいいという表現になっているのですが、基本的には筋注の方がいいということです
か。
○機構 皮下注も加えましたのは、現時点の日本の臨床現場の実態自体として皮下注が多
くされているということで、実際パンデミック時の混乱を避けるためには、皮下注も入れ
る必要があるのではないかということで入れています。免疫原性に関しては、本剤に限ら
ず既に承認されたものでも筋注の方がやや高く出るという結果は得られているところで
すが、現時点でどちらがいいと判断することは難しいところがあります。
○機構 既承認のH5N1型のワクチンでも、第II、III相のところで、皮下注でされて
おり、それらについても有効性、免疫原性等が確認されているということもありますので、
本剤についてどちらがより良いということは現実にはなかなか言い難いというふうに考
えます。
○堀内部会長代理 どちらがよりいいということは、言えないですか。
○生物第二部長 補足させていただきます。実際パンデミック時にはこの4社のものを恐
らく区別なく出荷され、使われるであろうということが想定されます。そうしますと、用
法、すなわち皮下あるいは筋注ということを定めてしまうと、先日のH1N1のときにも
ワクチンによって用法量が異なると混乱するという御意見もありましたので、両方の使い
方で特に問題がないということを確認した上で、どちらでも使えるという形にした方がよ
いだろうというふうに考えています。 
○堀内部会長代理 分かりました。ただ、添付文書の書き方もどちらでもいいということ
だけしか書いてないですね。これは添付文書だから、医者なり薬剤師なり医療従事者が見
る場合にはそれが分かるような、どちらを使っても構わないけれども、筋注の方がより有
効性が高いというか、それがはっきりするような書きぶりにしたらいかがかと思います。
○機構 添付文書は資料1の1.8に掲載しておりますが、有効性の方は筋注と皮下注を別
々に書きまして、どちらの投与経路で、どのようなデータが得られているのかを情報提供
させていただいております。
○堀内部会長代理 書いてあればいいというものでもないですよ。どこかに書いてあるも
のをきちんと全部読めと言っても、医者は読まないですよ。やはり明確にその判断をした
ことを書くというのが必要ではないかと思います。
○機構 承知いたしました。今の御指摘を踏まえてもう一度検討をさせていただきます。
○吉田部会長 どちらかにするということですか。どちらかを勧めるということもできな
いでしょう。
○機構 両方ですね。
○吉田部会長 どちらでもいいとやる。
○機構 基本的には皮下若しくは筋注という形で、どちらも認めるという形で考えていま
す。
○吉田部会長 だそうです。ほかにございますか。
○土屋委員 ワクチン株について教えていただきたいのですが、5ページにリバースジェ
ネティクス法によって弱毒化した株だと。これは理論的には、元の強毒株に戻ることはな
いという遺伝子操作が行われているということでよろしいのでしょうか。
○機構 戻ることはないと考えています。製造工程中では不活化確認試験も実施します
し、ウイルスのシード、つまり、製造の上流の段階で、強毒株に戻っていないということ
は確認しておりますので、弱毒性に関しては、担保されていると考えています。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。
○濱口委員 216ページを教えていただきたいのですが、経時的に品質がどう変わってい
くかという一覧表が書いてあります。この中で2.3「品質に関する概括資料」の2.3.P、
後ろの216ページです。この一覧表の中で、0か月~24か月までの保存期間での品質試
験ということで、いくつかなされているのです。教えていただきたいのは、抗体産生試験
というのがあって、この値というのが結構0か月のところでは□若しくは□という値なの
だけれども、それが6か月になると□に落ちてみたり、今度は12か月になると非常に高
い値をとってきたりというようなことで、この試験自体がどういうことを意味しているの
か。このデータだけ見ると、保管の状況によって、品質が結構、特に有効性の部分でブレ
てしまうのではないかという懸念があるのですが、そういったことはないのでしょうか。
○機構 この試験はもともとばらつきがかなり大きくて、特にこのデータはばらつきが大
きく出ているのですが、直接抗原性の影響をこのデータが表しているというよりは、その
ばらつきによって、こういう値が出ていると考えています。
○吉田部会長 それにしてもすごい。オーダーが違ってますものね。
○濱口委員 もう一つお聞きしたいのは、今度は動物を使った安全性試験の中で、異常毒
性否定試験というのがあるのですが、続いて228ページのところです。これは保存状態が
25℃ということで、少しずれているかと思います。0か月の時の、これで言うと□□□□
□の一番上のロットですが、a、b、c、d、eというのが、多分1日目、2日目、3日
目、7日目ということだと思います。それで0か月と6か月を見ると、体重の変化が少し
変わってきているなというのがあって、何を言っているかというと、0か月目の時は、か
なり強く体重が下がってきている。しかし、6か月になるとこの体重の下がりが余りない。
それは下のロットに関しても□□□□□に関しても、0か月目の時は□□からスタートを
しているところですが、6か月経つと□□ということで、保存期間にしたがって、この活
性が変わっているのではないかという気がするのですが、その辺のところはいかがでしょ
うか。
○機構 例えば220ページの辺りに示されている10±2℃という実際の保存条件におき
ましては、そういう変化は認められていないということがあります。それからご指摘の加
速試験で変わった理由は正確なところは、今のところはよく分かりません。
○生物第二部長 補足をさせていただきます。先生もよく御存じのとおり、これは全粒子
ワクチンですので、恐らく全粒子構造を保持したものの方が、HAタイプの成分ワクチン
よりも異常毒性否定試験では毒性が強く出ると考えられます。加速条件ですと、恐らく全
粒子構造がかなり壊れてきているのだろうと推測できることが1点考えられます。
 それから、先ほど御指摘いただきました抗体産生試験ですが、先ほど御説明申し上げま
したように、相当ばらつきがある試験ではございます。ただ、有効成分の有効性を担保す
るということでは、ほかにSRD試験であるとか、たんぱく質含量試験であるとか、ほか
の複数の項目と合わせて、有効性を成分的に担保するというふうに考えております。
○濱口委員 言うならばこの内容のHAの含量が一定であるというのは、多分そのたんぱ
くが壊れなければそうだろうと思うのです。ただ、活性が変わってしまうのは非常にまず
くて、これをパンデミックのときに、「場合によっては1/3量を2回接種によってカバー
できる」という文言も書いてありましたね。そうしましたときに、臨床試験を0か月目の
ときのサンプルを使ってやった場合と、場合によっては保存期間ぎりぎりまで置いていた
状態で臨床試験をやった場合では、かなり変わってくるのではないかという懸念もあるの
ですが、そういうことはないのでしょうか。要するに有効性の面で変わってくるのではな
いかと。安全性の面から言うと、この動物試験のデータから言うと、副反応が逆に少なく
なるかという感じも受けますが、いかがでしょうか。
○機構 今の異常毒性否定試験の結果は、先ほど話がありましたように、加速試験の結果
であるということですので、実際にこの保存条件で保存されることはございません。実際
の保存条件ではこういった変化は認められておりませんので、定められた有効期間の範囲
で使う限りにおいては、そういった問題は生じないのではないかと思っております。
○吉田部会長 早川先生、解説していただけますか。 
○早川委員 結局、安定性試験なので、一つはその方法論のばらつきの範囲の中で動いて
いるということであれば、それはそれでいいのだろうと思います。御懸念の例えば24か
月後に活性の方ですね、抗体産生の方ですかね。これが下がっていると、ずっと下がる傾
向にあると、これはきっと正に徐々に下がっていくということなのですが、これは上った
り下ったりしていますね。ということはアッセイ法に非常にばらつきが、その都度その都
度あるのだろうと。
 問題というか、問題と私は思わないのですが、216ページに、例えば最後の24か月に
□とか、□とか、□とかいう値が出ていますね。こういう値が出ている場合に、それは一
応有効性の中に入っている抗体産生能だということであれば、それはそれでよろしいのだ
ろうと思います。方法論のばらつきというふうにみなせる。これ暫減していると安定性試
験としては、やはりまずいのだろうとは思うのですが、非常にばらついているので、アッ
セイ法のディーテルが私は分かりませんが、非常にばらつく方法なのだろうなと。
 そこで例えば□という値が出たときに、これが有効性上、非常に問題になるような低す
ぎる値なのかどうかということだけなのですけれども。HAも含量も保たれているので、
安定性試験として私はこれでいいのではないかという気はしておりますけれども、いかが
ですか。
○機構 先生、ありがとうございます。この製剤は保存期間、有効期間は12か月で設定
されておりますので、それを見ますと12か月の時点では1を下回ることは、□□□の6
か月のうちの□□というのはありますが、それ以外については1を上回っている。この相
対評価でして、感染研から頒布されております標準品を1として取り扱っているというこ
ともありますので、大きく免疫原性に影響があるという形のデータではないというふうに
判断しています。
○吉田部会長 相対力価なんて書かないでも、定性的なものだと思えばいいということな
のですか。活性が有るか無いかと、そういう意味でしょう。1以上あればもう活性がある
のだと、1を切れば活性がなくなる、というように、数字は余り気にしないでくれと、こ
ういう話らしいですね。
○機構 これについては、いくつ以上であればいいという規格はまだ設定されておりませ
ん。
○吉田部会長 分かりました。ちなみにもし時間があれば、ほかのワクチンでこういうこ
とがどうなっていたかの情報を後からでも教えてもらうと、皆さん安心するのではないか
と思います。ほかにございますか。
○守殿委員 今、吉田部会長も言われましたが、堀内委員、ほかの委員の先生方の質問を
聞いておりまして、14ページ、15ページの「エンドトキシンの管理」のところです。こ
こには機構の方からの指導で何か修正・調整されたような記載がありますが、この研究所
はこういう薬剤の申請をする場合において、これまでの実績等についてはいかがなのでし
ょうか。ここは経験豊富な研究所なのでしょうか。
○機構 国内メーカーではワクチンを製造している主な会社の一つですので、こういった
ワクチンの製造経験というのは豊富であるということです。
○生物第二部長 補足させていただきます。これはパンデミックを想定した、H5ワクチ
ンのため、早く製造して使えるようにするということで、急いで予定外の鶏卵を使用した
ものですから、通常のワクチン製造に用いるレベルのものをうまく調達しきれなかった部
分はございます。現時点では通常の季節性ワクチン等で製造をする場合には、このような
問題はないということです。ただ、パンデミック時に同様のことが起こり得ることもあり
ますので、それを踏まえて管理等を変更していただきました。
○清水委員 このワクチンですが、小児にどう使うかというところの情報が圧倒的に少な
いかと思うのです。添付文書を見ても、高齢者は大人に準拠した数字でということなので
しょうけれども、小児の情報が圧倒的に少ない。43ページを見ると、製造販売後調査の
中で小児の情報を取っていこうということが書かれてはいるのですが、製造販売後で小児
に間に合うのでしょうか。そこのところがよく理解できなかったので、教えていただけれ
ばと思います。
○吉田部会長 私も同じようなことを考えていたので、ついでに教えてください。製造販
売後というのは、この薬は買上げになって一度備蓄されてしまいますね。国が管理してし
まうわけでしょう。パンデミックになった時に出てくるわけですね。その時は一発勝負で
すね。その時に製造販売後のいろいろな情報はどうやって得るのかというか、どういう仕
組みでやるのかというのがよく見えないのですが、それも含めて説明をお願いします。
○機構 実際にパンデミック若しくはプレパンデミック状態で、実際に使用するときに、
小児の製造販売後臨床試験をはじめるという訳ではなくて、これは他社も臨床研究等をも
うやっておりますが、小児の製造販売後臨床試験に関しては、承認後速やかに実施すると
いう姿勢で今進めております。
○吉田部会長 ということは、先ほど言っていた産生抗体がどれぐらいを予定にするかと
か、そういう試験は、小児を使ってやるということですか。
○機構 はい、そのとおりです。
○清水委員 規格ですが、今回の流行のときに不評であった10mL規格、今回も1mL規格
とともに10mL規格が設定してあるのですが、パンデミックという状況が起こった段階で
は、そういったことはやむを得ないという理解もするのですが、そこのところ1mL規格
のみというような運用は、少し難しいことなのでしょうか。
 併せて、現場で今回10mLのものをずっと薬剤部で小分けをして現場に提供してきたの
ですが、その引いたシリンジに貼付するような薬品名とロットが入ったようなシールを、
10mLであれば20枚ぐらい添付していただくということが、この会議が妥当かどうかは分
かりませんが、そういった工夫も御指導いただけると現場は助かるかと思います。そのこ
とについてコメントがあれば、いただければと思います。 
○審査管理課長 審査管理課の方から御説明させていただきます。このワクチンは、プレ
パンデミックワクチンです。基本的にはパンデミックが起きたときに、パンデミック株に
変更した上で、パンデミックワクチンとして供給するという前提でのプレパンデミックワ
クチンです。プレパンデミックワクチンにつきまして、H5につきましては、既に2社が
承認を得ていまして、それと一緒にこれも取りあえず、プレパンデミック用ワクチンとし
て備蓄されることになるものと思っております。
 先ほど市販後どうかというお話がございましたが、その備蓄されるわけですが、これの
前の2社の方も数千例の試験を実施していまして、これもパンデミックの前に試験をする
場合の規模の試験をやっていただこうと思っております。また、小児の試験も前の2社も
やっていますが、小児の用量設定は非常に難しいようでして、これについては更にまた検
討をしていただくことにしております。
 しかしながら、本当にパンデミックが起きた場合には、そのようなほかの社のデータも
含めまして、小児用量をどうするかについては、改めてご検討いただくことになると思い
ます。そういうことで取りあえずプレパンデミックワクチンということで、承認させてい
ただいてというふうに思っております。
 またパンデミック時には、今回のH1のときも反省点ではあったのですが、新型という
のが明確に分かるようにした方がいいのではないかということもございまして、パンデミ
ック時には、このプレパンデミックワクチンを元に株を変えたものについては、パンデミ
ックワクチンということが分かるような形の明確な販売名にするとか、そういうような対
応も考えさせていただきたいと思っているところです。
 また、10mL、1mLに関しては、パンデミックが起きたときにどのような体制にするか
というのは、H5の場合ですとH1とはかなり違うのではないかと思っています。そこは
接種担当部局の考え方に沿って、対応させていただくことになるのではなかろうか。また、
その際に、10mLの場合にできるだけ使い勝手がいい形にさせていただくことについては、
また改めてその際に検討させていただくことになるのではないかなと思っております。
○吉田部会長 このワクチンの使い方とか、今の審査の概要その他について、庵原先生何
か御意見をいただけると有難いのですが。
○庵原委員 先ほどの1mLか10mLかということに関しましては、やはり多くの人の分を
製造しようと思うと製造効率からみて10mLでないと製造できません。要するに接種する
必要な人数がどのぐらいおられて、実際にワクチンがどれぐらい製造できるかというとこ
ろの数量関係で、10?tのバイアルを作る必要があるのかどうかということが検討される
と思います。少なくとも10?tにすることによって、1?tよりも1.5倍以上の人に接種で
きることが分かっていますので、そういう意味では余り1?tにこだわる必要はないと、現
場のサイドからは思います。
○吉田部会長 分かりました。それと用量に関してはいかがですか。
○庵原委員 小児の用量も先ほど審査管理課長が言われましたように、やはり重篤である
時には、少々の副作用は容認してワクチンは接種することが出てくると思います。今回の
H1N1のように軽症の場合は、発熱率が50%も超えるようなワクチンは接種できない
と思います。ですから、やはり出てきた時の重篤度を見ながら、今、設定されている小児
の用量でいいのかどうかというか、仮定で設定した量でいいのかどうかを検討する必要が
あると思います。
 実際、本当はもう少し少ない量ないしは、あるメーカーがバクスター社の技術を入れて、
全粒子でH5N1のワクチンを作ろうというような動きがあるようですから、それならば
もしかしたら、アジュバンドが入っていないので、小児の用量が設定できるかもしれない
という期待をしているところです。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方御意見がございますか。
○新井委員 素人なので分からないので教えてほしいのです。モックアップワクチンによ
る開発というところで、具体的に書いてある文章は新型インフルエンザウイルスを想定し
たモデルウイルスを用いてと書いてあるのですが、何なのかが実態がこの文章だけだと分
からないのです。具体的に何を使ったというのを、もっと分かりやすく書けないのでしょ
うか。
○機構 モックアップワクチンによる開発というのは、パンデミックになった際に、その
時の流行株を用いて臨床試験と開発をはじめると非常に時間がかかるということで、現時
点で、この場合はH5N1のNIBRG14株というものですが、現時点で入手できる株を用い
まして、あらかじめ製造方法を確立し、免疫原性が十分に上がることを確認しておきまし
て、実際のパンデミックの際にはその成績のような成績が得られるだろうという考えの下
で、流行株を作って速やかに生産し、臨床に使用するというような考え方の下で開発を進
めるのがモックアップワクチンです。
○新井委員 考え方は分かるのですが、そのウイルスの遺伝子配列と弱毒化した部分と
が、はっきりと分かるはずですね。そういうのをなぜ素直に示さないで、考え方で示すの
かがよく分からなかったのです。配列とかでは分からないのですか。
○機構 弱毒のためにどういう配列を入れたかを示すことは、もちろん可能です。CTD
という資料概要の方には含まれています。すみません。直接は資料にも書いてないです。
○生物第二部長 すみません。補足させていただきます。実際の流行時でも、弱毒化の方
法等は同じでございます。ただ流行株が、何がどういう株が流行するかというのは分から
ないですし、現時点でも年というか、時期によって、場所によって、また若干異なるクレ
ードの株が出てきていますので、その時に、本来であればそれぞれ実際に使われるワクチ
ンの株について、いろいろデータを取るべきなのですが、それがその時になってやったの
ではもう間に合わないということで、類似であろうというものでデータを取るような形で
ございます。だから実際にはどういう株を使うかはその時にならないと分からないという
状態です。
○新井委員 このウイルスの元は分かるのですよね。これの抗原としたウイルスは。
○生物第二部長 はい、元株はベトナムで採取されたワイルド株を弱毒したものです。
○新井委員 分かりました。それは、はっきりと分かる形の方がいいと思うのです。
○生物第二部長 はい、申し訳ありません。今後は留意したいと思います。
○新井委員 もう一つだけ、安全性の大きな問題ではないと思うのですが、33ページに、
接種部位の反応が高頻度に発現する要因として、全粒子ワクチンを用いているので、イン
フルエンザ粒子体に脂質分画が除去されていないことが原因であると書いてあるのです。
これは、申請者が説明したというのは根拠があるのでしょうか。
○機構 1,の根拠に関してですが、全粒子ワクチンですので、ウイルスを細胞で培養し
まして、それをウイルス粒子としてそのまま不活化して使っていますので、こういうウイ
ルスを構成するようなものに関しては除去されておりません。ですから、こういう表現に
なっているということです。
○新井委員 ですから、実験的な根拠があったら。
○庵原委員 すみません、補足というか回答させていただきます。以前は全粒子ワクチン
が使われていて、局所反応とか全身反応が多かったわけです。それを改良するという意味
でスプリットタイプに変えたわけです。スプリットタイプに変えたということは、ここで
話題になっています、脂質分画を除去したというのがスプリットワクチンで、そうするこ
とによって、局所の副反応とか全身反応が軽減したというエビデンスはあります。ですか
ら、逆に季節性インフルエンザワクチンよりも、このワクチンの方が副反応を起こすと思
われる物質が入っている部分だけ、局所反応が強く出るのではないかというのが理論的な
予測事項です。
○吉田部会長 実際に、注射部位の有害事象は多かったということですね。
○庵原委員 はい。
○吉田部会長 そういうことでよろしいでしょうか。
○機構 先ほどの新井委員からの御質問の補足で、CTDの第2部、2.3の16ページに、
今回、製造した株の遺伝子構造等が記載されております。それによりますと、H5N1由
来のHA、NA以外の遺伝子については、H1N1のプエルトリコ株を元にして、リアソ
ータントとして作った人工ワクチン株というふうに考えています。それから、先ほどの土
屋委員からのご質問で戻るか戻らないかについても、こういう形で作っておりますので、
自然型ではないということで御理解いただきたいと思います。 
○吉田部会長 よろしいでしょうか、ほかにございますでしょうか。大体議論は出尽くし
た感がありますが、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは伺います、本議題につき
まして承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、本議題について
は承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。竹内委員を呼んでください。
── 竹内委員入室 ──
○吉田部会長 それでは議題2に入りたいと思います。議題2につきまして機構から概要
説明をお願いします。
○機構 議題2、資料2「医薬品イナビル吸入粉末剤20mgの生物由来製品及び特定生物
由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指
定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は第一三共株式会社が創製したA型又はB型インフルエンザウイルスのノイラミ
ニダーゼを、選択的に阻害する新規の抗インフルエンザ薬です。有効成分であるラニナミ
ビルオクタン酸エステル水和物は、既存のノイラミニダーゼ阻害薬と同様、ノイラミニダ
ーゼを阻害することで、ウイルスの増殖を抑制し、インフルエンザ症状を軽減して罹病時
間を短縮する治療効果が期待されます。
 なお、本薬はノイラミニダーゼ阻害活性を有する化合物のプロドラッグであり、活性本
体であるR-125489は、非臨床試験において既存の阻害薬で報告されている耐性ヒトイン
フルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対して、阻害活性を維持していることが示され
ています。これらのことから、既存薬に対する耐性ウイルスの流行や新型インフルエンザ
ウイルスの世界的な大流行等においても、本剤は新たな治療選択肢になるとされていま
す。また、抗インフルエンザ薬を取り巻く状況は刻々と変化し、パンデミック発生初期の
唯一の対抗手段である抗インフルエンザ薬の必要性は、医学的だけでなく社会的にも高ま
っており、新たな治療上の選択肢を増やすことは重要であると申請者は説明しています。
 本剤の投与経路は吸入投与であることから、インフルエンザウイルスの増殖の場と考え
られる気道等の標的器官へ直ちに薬剤が到達し、薬効を効率的に発揮できると考えられて
います。また、感染部位への貯留性の向上を目的としたプロドラッグ化により、薬剤が長
時間にわたり標的器官に貯留し薬効が持続することから、既存の阻害薬が5日間の継続投
与を必要するのに対し、本剤は単回投与で治療が完結することが期待されています。
 以上から、本剤は既存薬にない特徴を有する新たな抗インフルエンザ薬になり得ると考
え、開発を行ったと申請者は説明しています。また、本品目については、昨年度より試行
的に実施している医薬品事前評価相談において、申請前の段階から品質、非臨床、臨床試
験成績について事前評価を実施しておりました。なお、海外では2010年5月現在、本剤
は承認されておりません。
 本品目に関する専門協議に際し、専門委員として資料8にありますとおり、10名の委
員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきま
す。成人については、審査報告書67ページの表及び68ページ中段以降に記載しています
ように、成人インフルエンザウイルス感染症患者を対象に実施した第III相国際共同試験
において、オセルタミビルリン酸塩群に対する本剤の非劣性が検証されたこと、及び本剤
40mg群のインフルエンザ罹病時間が、本剤20mg群に比べて統計学的に有意に短かったこ
とを確認しました。
 なお、第III相国際共同試験では、A/HINI亜型と判定された被験者におけるウイルス
のほぼすべてが、オセルタミビルリン酸塩耐性とされるH275Y変異ウイルスであったこと
がありました。しかし、A/HINI亜型に対するオセルタミビルリン酸塩群のインフルエン
ザ罹病時間は、耐性ウイルスの流行がみられなかった2007/08年シーズンに実施した第
II相単回投与試験のオセルタミビルリン酸塩群の罹病時間と類似していたこと。また、
第III相国際共同試験のオセルタミビルリン酸塩群のインフルエンザ罹病時間が、非劣性
限界値の設定根拠に使用された、過去のオセルタミビルリン酸塩の臨床試験において認め
られたインフルエンザ罹病時間のばらつきの範囲内で、かつ、比較的短時間であったこと
から、対照薬としてのオセルタミビルリン酸塩群の有効性は維持されていると考え、成人
インフルエンザウイルス感染症患者における本剤の有効性は確認できたと判断いたしま
した。
 一方、小児については、審査報告書73ページ中段に記載していますように、9歳以下
対象試験では、統計学的な検討を行う試験ではなかったものの、本剤20mg群がオセルタ
ミビルリン酸塩群よりも、インフルエンザ罹病時間が統計学的に有意に短く、本剤40mg
群は統計学的に有意ではないものの、同様にインフルエンザ罹病時間が短かったこと。ま
た、10歳代対象試験においては成人と同様、本剤40mg群は本剤20mg群に比べてインフ
ルエンザ罹病時間が短い傾向が確認できたと考えられること。以上の2点を確認し、小児
のインフルエンザウイルス感染症患者における本剤の有効性は、成人と同様期待できると
判断いたしました。
 また安全性については、インフルエンザ感染症患者を対象として実施した臨床試験の安
全性情報を基に評価を行った結果、成人及び小児の安全性に関して特段の問題はないもの
と判断しました。ただし、審査報告書85ページ中段に記載していますように、成人につ
いは「浮動性めまい」に関しては、本剤群にのみ発現が認められたことから、製造販売後
に引き続き情報収集を行うとともに、臨床現場に対して適切に情報提供を行う必要がある
と判断しました。
 また、小児については、審査報告書87ページ上段に記載していますように、因果関係
は不明であるものの、類薬であるオセルタミビルリン酸塩が投与されたインフルエンザウ
イルス感染症患者では、異常行動等の精神障害・神経症状を発現した例が報告されている
ことを踏まえ、本剤による異常行動等の精神障害・神経症状の発現リスクを完全に否定す
ることはできないと考え、類薬と同様の注意喚起を行うとともに、製造販売後も引き続き
情報収集する必要があると判断しました。
 機構は、以上のような審査を行った結果、インフルエンザ感染症患者における本剤の有
効性は認められ、また安全性は忍容可能と判断しました。したがって、審査報告書の3ペ
ージの効能・効果、用法・用量について、承認して差し支えないと判断しました。
 なお、本剤は、既に薬剤が充填されている使い捨ての吸入容器を用いて投与することと
なっております。専用の吸入容器であるため、その操作方法については十分な情報提供が
必要であると考えますが、製剤ラベルを工夫したり、デモ用の空容器、操作方法をイラス
トで示した使用説明書などを医療現場に提供することで、正確かつ確実な吸入操作が実践
できるように、様々な方策が考えられています。
 本剤は、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由
来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会で
は報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。
○庵原委員 前もって質問を送ったのですが、この薬はどこまで体内に吸収されるかが分
かっているかということが質問です。と言いますのは、これは副作用として、子どもの場
合、消化器症状が非常に高いのです。オセルタミビルリン酸塩というのは、消化器症状の
副作用が子どもでは多いということで有名です。それよりもこの薬剤はさらに頻度が高い
ということは、たまたまその時期に胃腸炎がかさなったこともあるかもしれませんが、腸
管へ血中から吸収したものが出ていると解釈しないと、こういう現象は説明できないかと
思うのです。ですから、この薬の体内でのメタボリズムというか、代謝経路は一体どうな
っているのかということをはっきりと教えてほしいと思います。よろしくお願いします。
○機構 詳細な吸入投与後の体内の分布については、非臨床試験成績は参考になると思い
ますが、ラット及びイヌにおける14C標識体の単回経気管投与試験において、投与168
時間までの尿中及び糞中の放射能の累積排泄率の検討がなされております。審査報告書
30ページにその試験成績を記載しておりますが、尿中及び糞中の放射能排泄率は、ラッ
トにおいて各々67.52%及び29.55%。イヌにおいて各々76.52%及び18.31%であり、本
薬の主たる排泄経路は尿中であることが確認されています。
 一方、ヒトにおける糞中排泄率は明らかでありませんが、第I相単回投与試験において
はR-125489尿中排泄は比較的長時間持続し、投与144時間まで累積尿中排泄率は検討さ
れた用量で9~12%となっております。
 御指摘の点は、薬理的にも消化管への影響が検討されています。安全性薬理試験、吸入
投与でのマウスの腸管輸送能に影響を与えるかどうかを検討した試験がありますが、その
試験では、十分な投与量においても影響を及ぼさないことが確認されております。ですの
で、本剤が直接胃腸系に対して薬理作用を示すかどうかは、非臨床試験成績を含めて情報
が限られており、現時点では腸管へ排泄された本剤が、腸管に直接作用して下痢を引き起
こすかどうかは、明確にすることは難しいと考えております。
○庵原委員 30ページの(4)のデータですが、ラットの吸入試験です。吸入しています
が、その吸入した薬の67%が尿中に出て、残りの20数%が便に出ているということは、
ほとんど100%活性体として体内に入っているということを現してないのですか。普通は
気道で作用したら気道から出ていくというのがメカニズムです。ですから、100%そのも
のが、便とか尿から出てくるということは、薬物動態として気道で作用しているだけとは
考えにくいのではないかと思うのですが、そこをどう説明されるのですか。
○機構 少々お待ちください。
○吉田部会長 調べておいてください。ほかに御質疑があればお願いします。
○堀内部会長代理 これは吸入するわけですね。そうしますと、一般にこのような機械を
使って吸入した場合には、ステロイドの場合でもそうですが、気管に行くのは2割程度で、
大抵は口の中にあって、胃の中に入ってしまうと考えられていると思います。今回の場合
は特に気管に吸入することによって、気管に収積をさせて有効性を高めようということで
すね。気管あるいは肺にどのぐらい行っているかというデータはあるのでしょうか。ラッ
トの場合には気管に直接投与しているわけですね。
○機構 そうです。気管を経由して投与する、若しくは経鼻投与というところの検討はあ
ります。28ページにその治験成績の概略を記載しておりますが、マウスに対しては、鼻
を介して投与した場合と、気管に直接投与した場合の検討がされております。御指摘のよ
うに、気管に投与した後の体内の分布ですが。
○審査第四部長 御質問の意図ですが、そもそもいろいろな吸入剤がありますね。その吸
入剤を吸入したときに、どのぐらい上気道や肺に行くかというのがデータとしてあるかと
いう質問でしょうか。
○堀内部会長代理 ということと、特にこれを使ってやることがありますが、2か所に粉
末のものが入っている。かなり特殊な形態をしていると思うのですが、これは気管に吸入
しやすいとか、そういう特徴があるのですか。
○審査第四部長 最初の質問の上気道や肺にどのぐらい行ったかというのは、多分そのデ
ータは今はないと思います。
○堀内部会長代理 ですから、使い方によっては個体差が大変大きいと思います。データ
として見れば、かなり有効性は高い。それは別に有効性が高いのだからいいと思いますが、
量的な問題や副作用の場合に、経口で入ったものが副作用を起こすということも考えられ
ると思います。
○吉田部会長 要するに、プロドラッグだから吸って加水分解して活性化する際に、気道
で活性化するのと、消化管で活性化するのと二通りの活性化の仕方があるのではないかと
いう質問ですね。pHが違うからそんなことはないのだとか、副作用がどうして強く現れ
ているのだということと、活性化のメカニズムの関係が示唆されれば、一応理解しやすい
のではないかと思います。例えば消化管では活性化しないのだということであれば、それ
はもう論外で、後は血中に入ってくる分だけ考えればいいということになるし、直接入っ
たものが関係するのだったら、それはそれでまた考えなければいけないことになる。
○機構 本剤のプロドラッグからの活性化については、加水分解によって起こります。加
水分解については、エステラーゼが関与するということが一般的に考えられるのですが、
エステラーゼの分布については、ほとんどの組織、細胞中にありますので、吸入したとき
に肺に行った場合は肺局所で分解されますし、仮に食道に入ったとしても、その局所で活
性化して、体内中を巡ることになると考えられます。
○吉田部会長 ですから、もしかしたら薬ののみ方というか、上手にのむ人と下手な人で
有害事象は変わる可能性だってあるかもしれないのではという質問です。
○機構 そのためにも吸い方は非常に重要ということで、いろいろな情報提供資材等を作
成しているところです。
○庵原委員 インフルエンザウイルスは肺で増えるのではなくて、季節性インフルエンザ
ウイルスは主として上気道で増えるのです。その薬を肺に吸入してなぜ効くのですか。要
するに、上気道に残らずに下気道へ入ってしまったら、H1N1の2009年のパンデミッ
クみたいに肺で増殖しやすいウィルスならばそれでいいのですが、一般的には上気道で増
殖して症状が出るのがインフルエンザであって、下気道では増殖しないのです。ですが、
これは肺で吸入して効くということは、上気道でどれだけ効いているかということが説明
がつかないと思います。
○機構 先ほどの私の表現が適切ではなかったのかもしれませんが、吸入投与することに
より、どの辺りに分布するか、ヒトにおける検討は厳密にはやっていないのですが、粒子
型によって、吸入後どの気道、肺の奥のどこまで到達するかをコントロールしています。
 類薬にリレンザがあって、そこでは放射性同位体を使ったヒトでの検討で、どの程度の
粒子型だと、どの程度に分布するかというのは検討が行われています。今回、製剤を設計
するに当たっても、その知見を参考に、気道から肺に分布するような粒子型を設計して、
製造上コントロールしております。ですから、ヒトでの実際の分布のデータはありません
が、リレンザと同等の分布を期待しています。
○庵原委員 分布を期待するのはいいのですが、データがないのに期待できますか。
○機構 品質の観点からは製剤、どの程度分布するのかを規格試験で設定して管理してい
るのですが、吸入剤から陰圧をかけて吸い込んだときに、その粒子が吸い込んだ所からど
の程度の距離まで到達するかの分布を測定する機械で、一般的にカスケードインパクター
という装置があるのですが、それによって分布を計測しております。それで目的の所まで
到達することを管理して、期待しているということを保証しています。
○庵原委員 それだと下気道にどれだけ飛ぶかで、それは喘息の薬の考え方です。インフ
ルエンザウイルスは下気道ではなくて、上気道で増えるわけで、上気道にどれだけ残るか
が逆に問題なのです。そのデータがなくて、下気道、下気道と言ってしまうと、本当にこ
の薬剤はどこで効いているのですか。要するに肺で直接効いているのではなくて、そのほ
かのメカニズムで効いているということを考えないと説明がつかないのではないですか、
という質問です。
○吉田部会長 わかりますか、上気道というのは気管ではなくて喉です。
○庵原委員 インフルエンザの迅速診断は後鼻腔から取りますので、そこにウイルスがい
るということを証明しているわけです。そこに薬が行ってもらわないと効かないのではな
いですか。
○機構 薬剤の分布については、確かに先生が御指摘のとおり、どこに分布したかという
具体的な実際のデータはありません。それは放射性ラベルをしない限り、検討は厳密には
難しいと思います。倫理的にはそのような検討を行うことは非常に難しくて、今回の試験
については、先ほど御説明しましたように、品質上の観点から管理するのと、後は臨床試
験でタミフルと同等の有効性が検証できるかどうかで、そういう観点から保証せざるを得
ないと理解しております。ですから、先生が御指摘のように、メカニズム的には十分な情
報がない部分も確かに事実としてはあると思います。
○吉田部会長 何かほかにありますか。
○前崎委員 成人と10歳の臨床試験を見てみると、成人よりも10歳の方が良く効いてい
ます。一応報告書の中には、子どもは早く受診し、投与された時間が早かったので、多分
効いたのだろうということがあります。
 専門協議を見てみると、実際に使うときには、救急の外来などではその場で吸わせる、
あるいは外来に来て調剤でもらっても、その場で吸わせた方がいいと思います。もちろん、
この中には発症後速やかに投与することが望ましいとありますが、例えば、これを使う場
合に、現場で使うというか、そういう指導ができるのか、あるいはそのようなことをやる
つもりはあるのかをお聞きしたいのです。
○機構 先生に御指摘いただいたように、専門協議で先生の側からも、特に小児は救急で
は現場で吸うことになるでしょうということはおっしゃっていただきました。ただ一方
で、外来で処方するケースも十分想定できますので、どちらか一方を推奨する、推奨しな
ければいけないエビデンスがあるかというと、そうではなくて、その辺りについては臨機
応変に現場の先生方に判断いただくのがいいのかと、専門協議で議論しております。
○前崎委員 院内感染的にもウイルス量を減らすという面では、外来で待っている間でも
吸ってもらった方が絶対いいわけで、効果の面でも早い方がいいと思いますから、何らか
の形で早く使うことを推奨していただくことも一つの手ではないかと思います。
 もう一点は、逆に48時間以降は有効性が確立されておらず、36時間までは有効性が確
立されていると書いてあります。リレンザも同じように書いてあるのです。そうすると、
1.5日までに来た人には効くが、2日、3日以降に来た人には効かないという、書き方が
矛盾しているというとおかしいのですが、48時間以降は臨床試験の結果がないので効か
ないと書いているだけで、36時間までは実際にやって効いて、でも48時間は本当に効か
ないかどうかは分からないですね。しかも、これは体内の蓄積性が非常にいいので、もし
かしたらリレンザとか、タミフルなどよりも、もう少し遅い発症の症例にも効く可能性が
あるかもしれないので、ラピアクタの場合は多分それはないと思いますが、この辺の文言
はどのように解釈すればいいのか、あるいはもう少し適当な書き方がないのかをお聞きし
たいのです。
○機構 先生に御指摘いただいた点について、添付文書に関しては用法・用量に関連する
使用上の注意の項の1点目で、48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を
裏付けるデータはないというのはそのとおりで、臨床試験では48時間以内に投与した患
者様のデータしかありません。一方で臨床試験のプロトコール上の規定として、36時間
以内にというのを一つの目安として患者の登録を設定していた経緯もあって、8割以上の
データが集まったのが36時間未満の被験者のデータしかありませんでした。ただ、ここ
の部分を何時間にすべきかは、もともとタミフルやリレンザについても、明確なエビデン
スがあるわけではなくて、言われているのはウイルスの増殖のタイミングが大体48時間
をピークにするので、それよりも早い段階でウイルス増殖抑制を投与するのが一つの目安
として出てきていると理解しております。本剤についてもこれまでに得られたデータから
は特に類薬と大きく違いはないと判断しておりますので、類薬と同様の情報提供で十分で
はないかと判断しました。
○吉田部会長 関連するかと思ったのですが、少し違うのでもう一回戻ります。喉のとこ
ろで活性化するという謳い文句が、本当にそうなのという話が大事で、誇大広告ではあり
ませんが、この薬が効いているらしいことは臨床試験で分かります。ただ、そのメカニズ
ムの説明根拠が乏しいものもありそうだという指摘はかなり重大だと思います。ですか
ら、例えば咽頭とか、喉頭のレドウエアナクティビーションが起こっているのか、加水分
解が起こってどのくらいになっているのかという情報は大事な話ではないかと思います。
その辺について回答をいただくこともできるのでしょうか。
 ついでに、活性化した薬が血管に入って、結局血中に回るのか。血中に出ないと尿に出
てきませんが、どういう吸収をされていくかということもよく分からないのではないです
か。
○新井委員 資料の後ろの方の平成22年6月11日伝達で、提出日が6月17日という項
目の中の13ページを見ると、そこには活性型代謝物の血中濃度の推移がきちんと書かれ
ていて、15ページを見ると「吸入投与後、主に気管及び肺において加水分解、活性代謝
物になる」と書いてあるとすると、一旦血中に行った方が効くのかと。 
○吉田部会長 局所の問題ではなくて、肺に入って、血中に回って、それで効いていると
なってくると、局所に関係がないのかもしれません。
○機構 もちろん局所で効いている部分もあると思いますが、その後血中に入ってきま
す。血中は添付文書を御覧いただくと分かりますが、2ページの下の方に血漿中濃度の推
移を示しておりますが、このように長時間血中を巡っているということになりますので、
タミフルみたいに経口して血中に入って、そこから各組織で分布して阻害活性を効いてい
るという経路もあるとは思います。
○吉田部会長 要するに、幾分上気道に残るものもあるかもしれないが、吸入して活性化
してという過程の中において上気道で活性化するというのは、かなり率は低そうですね。
大部分は下気道から肺に入って、そこで活性化して血中に入って回っていくわけだから、
直接の効果を余り謳いすぎると誇大広告になるかもしれない。
○堀内部会長代理 それから、Cmaxが4時間ぐらいですね。かなり時間がかかって血
中濃度が高くなっているので、いろいろな経路で、多分半数以上は消化管を通っていると
思うのです。それで加水分解を受けて血中に入っている可能性もあるし、その辺は余りよ
く分からないですね。ですから、書きぶりは添付文書の作用機序などもきちんともう一回
検討した方がいいかと思います。
○吉田部会長 根拠に基づいて、添付文書の書きぶりを変えてほしい。局所でと言うより
は、むしろ肺に入ってしまってウイルスのいる所と関係がないのではないかという指摘も
あったので、もしそれにこだわるのだったら、そのエビデンスを出してほしいということ
でいいですか。今の件はこれでいいですか。では、ほかのご意見をお願いします。
○堀内部会長代理 後、添付文書の書きぶりで口腔内へ吸入投与という言い方がたくさん
出てくるのですが、吸入するのは患者だし、投与するのは医師だったりいろいろするわけ
ですから、吸入だけでいいのではないですか。「吸入のみに使用すること」とか。吸入投
与という言葉が添付文書の中にたくさん出てくるのですが、余り使われない言葉だと思い
ます。「口腔内への吸入」というのも少し変ですね。
○機構 用法・用量に関して、吸入投与と今は書いているのですが、この点については、
他の吸入剤等を含めて表現ぶりを確認はしていますが「吸入する」と書いてある場合も「吸
入投与」と表現している場合もあって、一貫していないのが現状です。ただ、先生御指摘
の部分も理解できますので、改めて検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 ほかのものとも整合性をとって見直していただきたいと思います。ほかに
ありますか。
○清水委員 用語の件が出ましたので、少し違和感を感じているのが「単回吸入投与」と
いう言葉です。単回投与は単回投与だと思うのですが、吸入は4回吸入するのです。です
から、これを見ていると、単回吸入投与という言葉に少々違和感があるのです。そこを再
検討していただいて、もう少し分かりやすく、これがいいかどうかは分かりませんが、例
えば、1回4吸入の単回投与とかというように、1回4吸入するのに単回吸入投与という
言葉は理解しづらいかと思いました。
○機構 御指摘ありがとうございます。その点については、これまでにいろいろ議論をさ
せていただいております。実は用法・用量でも先生御指摘の点の懸念を払拭するために、
4回吸入するというのを何とか書けないかということを、いろいろ検討はしてみたのです
が、非常に複雑になってしまい、逆に用法・用量のところの本質が見えにくくなってしま
うのではないかということが懸念としてありました。結果的には用法・用量に関連する使
用上の注意で、何回吸入するのかを明確にするとともに、文章にしても非常に分かりにく
いという部分がありますので、お手元にお配りしたような資料等で絵を用いて説明する形
で、現場で誤解のないように説明するのが適当かと検討した経緯があります。
○清水委員 しかし、単回吸入は単回吸入ですし、単回投与は単回投与です。
○審査第四部長 単回の話にこだわったのは類薬が5日間とか投与することになってい
ます。1日1回、5日間投与するということがあるので、それと差別化する意味で、これ
は1回投与すればおしまいですよ、という意味で単回ということに、こちらもこだわった
のです。少なくとも現場では、きちんと使い方が分かるように、先ほどのような情報提供
をしっかりさせたいと思います。
○清水委員 単回投与は分かるのですが、単回吸入ではないでしょうということです。
○審査第四部長 単回投与、4回吸入。
○機構 確かにそこもいろいろ悩ましいところです。
○堀内部会長代理 この添付文書の用法・用量は、とても分かりにくいですね。現場の人
が最初に読んだら分からないですよ。ですから、図示したようなものを添付文書の中に付
けたらどうですか。
○機構 こちらについては、すべての薬剤に1枚ずつ添付するような形で、包装を考えて
おりますので、患者さんの手元には間違いなく届くことになっております。
○堀内部会長代理 それから、用語が先ほど出たのですが、この添付文書は全体として用
語に特異的な表現がたくさんあるので、もう一回検討していただきたいと思います。
○機構 検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 単回投与、4回吸入はどうですか。日本語が変ですか。
○堀内部会長代理 その方が分かりやすいですね。。
○庵原委員 喘息の薬で1回2吸入というのはあります。
○吉田部会長 あるのなら、4回4吸入で。というのなら、単回にもう少し説明が欲しく
なりませんか。
○審査第四部長 1回2回吸入というのは、二つブリスターを使って、1ブリスターをそ
れぞれ規格があって、2回使ってくださいという形なので、1回2吸入なのです。ただ、
これはパッケージとしては一つになっているということがありますので。
○吉田部会長 でも、こっちとこっちなのでしょう。
○清水委員 コンパートメントとしては二つで、1、2というように出るみたいです。
○審査第四部長 ただ、単回投与という概念なのですが、投与するときが吸入投与なので、
どうしても単回吸入投与という言葉になってしまうのです。どちらにしても現場で混乱の
ないように、情報をきちんと提供して、患者にうまく投与できるようにはしていただきま
す。
○吉田部会長 ビラを付けるのだったら、その中に吸入は何回ですよというのを、きちん
と書いてあげる。マルを付けてあげるとか、赤で括ってあげるというように分かりやすく
したらいいですね。
○機構 お手元にお配りしているアルミピローの容器にも、そのような誤解がないよう
に、なるべく裏面にもイラストで分かりやすく描いておりますし、なるべくそこの部分は
誤解のないように、一貫した表現で説明するように。あらゆる情報提供資材で説明するよ
うにということで、念には念を入れております。
○吉田部会長 これには二つ吸ってくださいと書いてあって、単回とは書いてないです
ね。
○前崎委員 これは長時間作用にするために、吸入薬をプロドラッグにしたと思うので
す。ですから、血中に入って長い時間残るのでしょうが、問題は10代の異常行動のとき
に、タミフルだったら「飲ませてからしばらく観察しなさい」と言いますが、これは1回
吸って、例えばその1日だけ24時間観察しなさいと言われても、結構血中濃度は長く残
るので、本当にそれでいいかどうかというところは、少し心配なところがあるのです。確
かに脳には移行しないと書いてありますが、タミフルもそんなに脳に移行するわけではな
いが、あれだけ異常行動が起こるということになると、吸った後に、お母さんにしばらく
見ていてもらって、何も起こらなかったら、いいですよというように説明していいのかど
うか、そこはどうなのですか。
○機構 ありがとうございます。今回、臨床試験の中で、いわゆる異常行動が何例か認め
られているのですが、それの発現時期等を詳細に確認しております。計9例が異常行動と
呼ばれる有害事象が発現しております。発現した時間は、投与終了から発現までの時間で
言いますと、一番遅かったもので34時間で観測されており、ほとんどは10時間以内に観
測されています。これから見ますと、申請者の考察としては、発現したタイミングの関係
性として、睡眠中若しくは睡眠から覚醒直後に発現しています。大体発現の前後で測定し
た体温のデータがあるのですが、それから推測すると、異常行動、言動が発現した時点で
おおむね38℃以上の体温であったことも分かっています。
 先ほどの御指摘のいつまで観察していればいいかという点ですが、今までに得られてい
る有害事象のタイミングからすると、従来の観察期間でも十分捉えられるのかとは考えて
おります。もちろん、血中の濃度としてはこれまでの薬よりも長時間持続しますので、製
造販売後にはさらに長期間フォローできるように、異常行動については特別詳しい情報を
集積し、いつの時点で発現したかを十分記録できるように、情報収集できるように調査票
等を工夫するようにしております。
○吉田部会長 ということです。頻度的にはほかの薬と「関連あり」については、それほ
ど高くはないということと、先ほどのように、20時間というと長時間になるから、「少
し見ていて」という時間ではないですね。
○機構 そうですね。
○吉田部会長 ですから、相当長い間見ていてくださいという話にはなると思います。
○機構 一応類薬も含めて、添付文書では注意喚起としては、少なくとも2日間というこ
とで情報提供をしています。
○吉田部会長 そういうレベルだということですね。
○庵原委員 78ページの結果です。少児のA/H1とA/H3のデータですが、このデー
タからA/H3に効いていると読めますか。A/H1ですと40時間で、A/H3だと70時
間ですね。しかも40mgの方が、さらに88時間と効果が伸びています。普通はドーズディ
ペンデントで効果が現れなければいけないのが、こういうデータだとA/H3には効いて
いないと解釈されますがいかがですか。
○機構 おっしゃるとおりでして、この点については審査報告書にも記載しております
が、症例数が少ないとはいえ、御指摘いただいたように、対照群と比べて罹病時間が長い。
あと用量関係性が認められていないということで、A/H3N2については有効性のエビデン
スが十分ではない、と機構としても判断しております。
 ただ、全体としての評価になりますが、有効性は認められているということで、効能・
効果としてはA型、B型とすることで致し方ないとは思うものの、A/H3N2については情
報が限られていることは、情報提供資材にしっかりと明確に書きますということと、製造
販売後の調査として、亜型別の有効性が見られるように調査するということを計画してい
ます。
○吉田部会長 適応症で亜型まで決められないからA型、B型ということになってしまい
ますから。でも、今の対応で是非お願いしたいと思います。ほかにありますか。かなり宿
題が出ましたが、対応方よろしくお願いします。
 そろそろ議決に入りたいのですが、よろしいでしょうか。なお、竹内委員、堀内委員、
前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠
慮いただくことといたします。
 お諮りいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がな
いようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。なお、シー
ズン中の供給に関する配慮について、事務局からお願いします。
○事務局 分科会報告については、事後報告ということですが、通常は分科会で報告した
後、承認しております。しかしながら、以前の分科会でもありましたように、本品目につ
いては、今シーズンにできるだけ間に合わせるということで、分科会の先生にもお伺いし
た上で、承認の手続を先に進めたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
○吉田部会長 分科会に上げる前に、承認手続に入ってしまうのですか。
○事務局 分科会の開催をする前に分科会に意見を伺って、承認手続をすると。
○吉田部会長 分科会の先生の意見を伺った上で、承認手続に入ると。
○事務局 入りたいということです。
○吉田部会長 前回は日本脳炎のときに、たしか同じような対応をさせていただきました
が、よろしいでしょうか。では、御異議がないということなので、そのように進めさせて
いただければと思います。
 それでは、議題3に入ります。議題3について、事務局からの概要説明をお願いいたし
ます。
○事務局 議題3、資料3「KW-0761を希少疾病用医薬品として指定することの可否につ
いて」事務局より御説明いたします。資料3の1枚目は諮問書になっていますが、次ペー
ジに事前の評価報告書が記載されています。
 名称はKW-0761。申請者名は協和発酵キリン株式会社。対象疾病がCCR4陽性の成人
T細胞白血病リンパ腫(ATL)となっています。本剤は、CCR4抗原を標的とするヒト
化抗CCR4モノクローナル抗体ということになっています。指定の要件である対象患者
数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に御説明します。
 まず、対象患者数は、ATLの原因ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス1型、(HTLV-1)
の、キャリア数は現在国内で108万人と推計されており、最終的にキャリアの2.5~10%
程度がATLの発症をするとされております。過去、様々推定されておりますが、年間の
新規発症者数は700人~1,000人程度と推定されており、さらにここに罹病期間を掛けた
有病者数は1,800人程度と推定されております。また、患者統計調査でも、2005年現在
で約2,000人と報告されており、大体一致しているので、この程度ではないかということ
です。
 本薬については、さらにその中でも治療の対象が、CCR4の陽性という限定があり、
多くとも5万人を超えることはないということで、希少疾病用医薬品の指定要件を満たす
ものと判断しております。
 医療上の必要性は、現在、未治療のATLに対しては多剤併用化学療法が施行されてい
ますが、現時点で最も良好な治療成績が示されたレジメンであっても、生存期間の中央値
は12.7か月です。また、再発・再燃例においては標準治療が未だ確立されていないとい
うことですので、新規の機序を有する医薬品の医療上の必要性は高いと判断しています。
 最後に、本剤の開発の可能性は、国内第I相試験において、化学療法の治療歴を有する
CCR4陽性のATL患者に対して投与したところ、奏効率は30.8%であり、また忍用
性の確認がされております。今後再発・再燃のCCR4陽性のATL患者を対象とする国
内第II相試験、初発未治療の患者に対する既存治療への上乗せ効果の検討の第II相試験
が計画されております。このようなことから、本剤の開発の可能性はあると判断をしてお
ります。
 以上、3要件について該当しているということで、本剤は希少疾病用医薬品としての要
件を満たすと判断しております。本件について御審議のほど、よろしくお願いします。
○吉田部会長 対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性について、説明をいただきま
した。委員の先生方から御意見、御質問等ございますか。田村先生、何かコメントはあり
ますか。
○田村委員 特にありません。
○吉田部会長 modified LSG15で臨床試験も予定されているということですし、きちん
とした対応がとれるのではないかと思います。
○濱口委員 投与された患者さんの中で、B型肝炎を再発した症例が1例あるという報告
が、63ページの「予定される副作用」の三つ目に書いてあると思います。これは、この
薬で結構高頻度に起こってくると考えられるのでしょうか。その対応として、こういう類
の抗体薬というのが、最近B型肝炎の活性化と非常に密接に絡んでいるということで、ガ
イドラインが作られたりということもなされているようですが、こういったことに対する
注意喚起に対してはいかがでしょうか。
○事務局 注意喚起については、先生から御指摘のあった63ページで、投与前に検査を
するということで処置していくことになっていますが、発生頻度については、まだ第I相
試験の段階で、今後の検討が必要と考えております。
○吉田部会長 ほかにありますか。それでは議決に入りたいと思います。
 希少疾病用薬品として指定することということでよろしいでしょうか。御異議がないと
いうことですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして報告事項にまいります。報告事項について説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料4「医薬品イムシスト膀注用81mgの製造販売承認事項一
部変更承認について」御報告いたします。
 本剤は、腫瘍細胞やマクロファージ等に取り込まれることにより、それらの免疫担当細
胞を活性化し、またそれらより分泌されるTNF-α等のサイトカインを介して、腫瘍細
胞を傷害すると考えられている局所投与用の抗悪性腫瘍剤です。現在は「表在性膀胱癌、
膀胱上皮内癌」の効能・効果にて承認されております。
 今般、日本化薬株式会社から、表在性膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術後の補助
療法の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いた
しました。なお、用法・用量等の記載について、先般、送付いたしました資料4の表紙及
び添付文書(案)に誤記が認められましたので、本日、机上に配付いたしました資料4-2の
とおり、訂正させていただきます。
 続きまして、報告事項議題2、資料5「医薬品レブラミドカプセル5mgの製造販売承
認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤は、サリドマイドの誘導体として
創製された抗悪性腫瘍剤であり、アポトーシス誘導、サイトカイン産生抑制、Tリンパ球
やナチュラルキラー細胞の活性化、血管新生抑制等の種々の作用を有することが示されて
おります。本年5月の本部会で御審議いただき、現在、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」
を効能・効果として承認されております。
 今般、セルジーン株式会社から「5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群」の効
能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、胎児への薬剤曝露の防止を目的とした
「レブラミド適正管理手順」と呼ばれる薬剤配付システムの遵守を含む、既承認と同一の
承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて再審査の報告になります。報告事項議題3、資料6-1、一般名は「ホスカルネッ
トナトリウム水和物」、販売名は「点滴静注用ホスカルビリ注24mg/mL」の医薬品再審査
確認等結果通知書です。
 資料6-2、一般名は「インターフエロンアルファ(NAMALWA)」、販売名は「スミフェロ
ン注バイアル300万IU他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料6-3、一般名は「インターフェロンベータ」、販売名は「INFβモチダ注射用100
万単位他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。
 これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に
基づいて再審査申請が行われ、再審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられて
いる承認事項の拒否事由にいずれも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量
等の承認事項について変更の必要のない「カテゴリー1」と判断したものです。以上です。
○吉田部会長 議題1、2が効能追加、議題3は再審査の結果報告ということです。委員
の先生方からの御質問等々がありましたらお願いします。 
○守殿委員 イムシストの件ですが、用法のところで、(1)は治療的な投与方法、(2)
は補助療法としての再発予防目的の用法が記載されています。 (1)の病名は表在性膀胱
癌、膀胱上皮内癌で、(2)は再発防止という形で表在性膀胱癌という記載をとっています。
(2)は再発防止的な使い方なので常に同じ「表在性膀胱癌」とするのはわかりにくいと思
います。こういう形になっているのはどういうことでしょうか。両方に表在性膀胱癌が出
てきますので、一見して、その違いが分かりにくい記載になっていると思います。
○機構 質問の意図は用法・用量のところで、一つは表在性膀胱癌、膀胱上皮内癌という
用法があって、もう一つ、表在性膀胱癌の用法がある理由を説明するようにということと
解釈しています。その理由としては、初回の承認申請時の内容としては、本剤は治療投与
の目的で使用するという申請があり、その申請に対して、治療目的の内容で承認したわけ
です。初回のときの承認の内容の用法・用量を「表在性膀胱癌及び膀胱上皮内癌」に記載
を残しています。今回、新たに表在性膀胱癌に対してTURBT後の補助療法の試験が提出さ
れて、有効性、安全性が確認されましたので、今回はその有効性が検証された表在性膀胱
癌に対するTURBT後の補助療法の用法・用量を追記いたしました。
○守殿委員 下に書いてあるのが補助療法で、再発抑制の用法・用量だということをどう
して書かないのですかと聞きたいのです。そのようにすれば分かりやすいと思いますが、
それを具体的に表記されないのかということを質問したわけです。
○機構 その内容についてでしょうか。
○守殿委員 内容的なことは一切問題にしていません。この書き方の問題、表記の仕方だ
けです。表在性膀胱癌と書いてある下の記載だけを見ると、一見して再発防止に関する説
明なのだと分かりません。そういう形ではなく、(2)には再発防止の用法と分かるように
記載されたらどうかと思って質問したのです。
○機構 機構の中でどのように表記したらいいかということは、審査の過程でも議論しま
したが、その文章を読んで内容を理解することは可能だろうという判断をしました。
○吉田部会長 要するに、表在性膀胱癌の術後補助療法という適用症にしてしまえば、そ
れは違うと分かりますが、上と下と同じ表在性膀胱癌と並んでいるのも変だろうという話
ですね。
○機構 効能・効果自体が既に表在性膀胱癌と膀胱上皮内癌ということになっておりまし
て、術後補助療法という効能・効果を新たに与えているわけではないので、術後補助療法
の場合の書き方は、しづらいと考えております。
○吉田部会長 術後補助療法として認めたわけではないのですか。
○機構 効能・効果としては、従来の書きぶりとそのまま同じで、術後補助療法の有効性
・安全性は確立していないという使用上の注意を外しているということになるので、効能
・効果としては変わっていないということで、こういう書きぶりにしております。
○吉田部会長 そういうことですか。皆さん釈然としないと。
○守殿委員 現実的には(1)の治療用として使うということよりも、再発防止投与が多く
行われてきているわけです。それはある程度はっきりすべきだと思います。
○機構 お話させていただいた理由としては、効能・効果自体は変わってないので、補助
療法という効能・効果を今回は新たに与えているわけではないので、「表在性膀胱癌の術
後補助療法」を括弧書きで書くことがしづらかったということです。
○吉田部会長 でも、除外条件を外したのでしょう。
○守殿委員 本当は補助療法として認めるべき治療法なのです。これをやることによって
膀胱癌が進展するパーセンテージがすごく減少して、この治療法が出てきてから、膀胱全
摘の症例数は明らかに減少しているのです。ですから、その表現を認めてもらいたいとい
うことです。
○審査第五部長 先生がおっしゃることは重々よく理解しているつもりです。審査報告書
を読んでお分かりいただいていると思いますが、最初に承認した段階でも議論されており
ます。しかしながら、情報として提示されていなかったというところもありまして、我々
としてはしっかりしたデータを取ってくださいという形で、承認のときに指示をしている
ということがありました。
 そういう意味では、表現は悪いのかもしれませんが、効能・効果の中に術後補助療法の
内容は含まれている部分もあったということです。それがために注意事項で、そこの部分
の情報はありませんということを書いてきたというのがこれまでの経緯です。
 今回、メーカーとしては、そのデータをしっかり作りましょうという意思でデータを作
ってきたという流れです。そもそも術後補助療法を全然認めていない、その表現を認めて
いないというよりも、既に入っているという感覚でありますが、情報が乏しいと考えてき
たところです。
 効能・効果には、表在性膀胱癌は既に書いてある中で、わざわざ術後補助療法の効能を
与えることは必要ないだろうという判断があって、メーカーとの協議の中で、専門家が使
うという前提ですが、用法・用量の中に表現し、この内容で分からないわけはないだろう
ということが専門協議で議論をしたということで、表現のことは分かりづらいというのは
先生がおっしゃるとおりだと思います。一方で専門家が使うという観点から考えると、こ
の表現で分からない先生方はいらっしゃらないだろうというのが、専門協議の中でも議論
があったということで、お伝えしたいところです。
○吉田部会長 だから、用法・用量という意味では、補助療法として使う場合とか、術後
に用いる場合とかにしたらいいのではないですか。
○審査第五部長 そこはTURBTの表現の問題も難しい部分があって、分かりづらいという
御指摘だということで理解をしておりますが、資材等も含めて、現場に混乱のないような
内容であるということで情報提供はしたいと思います。
○吉田部会長 分かりました。これは報告事項ですから、我々がひっくり返すわけにもい
きませんし。
○守殿委員 これは注入回数に、最初の6回と8回の差があるのです。それを術後抑制と
すると、それに8回を使われると困るとか、そういうことが起こります。
○吉田部会長 そういうこともあるのですか。
○機構 今のは術後のときに間違って8回使ってしまったときに困るのではないかとい
う御質問ということだと思います。海外では6回という形で試験が多くやられており、国
内の最初の承認申請のときには、なぜ6回ではなくて、8回なのかということが、当時の
審査センターと申請者の間で、いろいろ議論されましたが、先行している膀注用BCG製
剤が8回だったことから、本剤も同じように8回で設定がされました。しかし当時から6
回で十分ではないかという話も多くあって、海外の術後補助療法の試験としては6回投与
し、その後、ある程度の間隔で投与していくということだったので、今回の承認申請にお
いては、6回の設定がなされています。8回でやったときの有効性及び安全性は分からな
いというのが、我々の手元の情報です。
○吉田部会長 ほかにありますか。
○清水委員 レブラミドのところで、添付文書の記載ですが、今の説明の冒頭に、サリド
マイドの誘導体であるというのが出てきたと思います。実はレブラミドの添付文書の中
に、サリドマイドの誘導体という記載がどこにもないのです。是非この添付文書の分かり
やすい所に、本剤がサリドマイドの誘導体であるという記載を入れていただきたいという
要望ですが、是非、お願いしたいと思います。
○事務局 いただました御要望については、申請者にも伝達をしまして、記載について検
討を指示したところです。まずは資材の方でサリドマイドの誘導体である旨を明記して、
現場への情報提供をするということ。これから、今後添付文書の書き方はどういうものが
いいかということについては、機構の安全部の方からは、企業との間で引き続き検討する
という回答をいただいております。
○清水委員 すみません、よく聞き取れなかったのですが。検討していただけるというこ
とですか。
○吉田部会長 検討するのでしょう。
○事務局 はい。
○吉田部会長 本来はミエローマのときにやるべき話だったのですが。ほかにあります
か。御質問等々ないようですので、報告事項については御確認いただいたと考えたいと思
います。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、8月30日(月)午後4時から開催させて
いただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 本日は、長時間ありがとうございました。これにて終了とさせていただきます。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 平成22年7月29日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録

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