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2010年11月10日 職場における受動喫煙防止対策に関する公聴会 議事録

労働基準局安全衛生部

○日時

平成22年11月10日(水)14:00-


○場所

ニッショーホール(東京都港区虎ノ門2-9-16)


○出席者

<委員:50音順、敬称略>

相澤 好治(分科会長)、明石 祐二、今田 幸子、高橋 信雄、谷口 元、
内藤 恵、中村 聡子、名古屋 俊士、藤冨 健一(犬飼 米男代理)、

<意見発表者:50音順、敬称略>

岩崎 拓哉、大園 真弘、岡本 光樹、小城 哲郎、島谷 喜代孝、
関川 和孝(加藤 一隆代理)、野上 浩志、矢野 栄二

<事務局>

小宮山 洋子(厚生労働副大臣)、
平野 良雄(安全衛生部長)、鈴木 幸雄(労働衛生課長)

○議題

・労働政策審議会安全衛生分科会における「職場における受動喫煙防止対策」に関する検討状況について(説明)
・意見発表者による意見発表

○議事

(※指数については、「m^3」のように「^」で表記している。)

○司会(鈴木労働衛生課長) 皆様、大変長らくお待たせいたしました。ただいま
から職場における受動喫煙防止対策に関する公聴会を開会いたします。
 まず、厚生労働省を代表いたしまして、小宮山副大臣から御挨拶申し上げます。

○小宮山副大臣 皆様こんにちは。御紹介いただきました厚生労働副大臣の小宮山
洋子でございます。
 私は、議員になって今13年なんですが、ずっとたばこの問題に取り組んできて
いまして、健康を管理する厚生労働省としては、しっかりとこれからも取り組んで
いきたいと思っています。
 今、労政審議会で労使で職場のたばこの害を防ぐ、受動喫煙の防止のために、ど
うしたらいいかということを御審議いただいていて、私どもとしては次の通常国会
に法案、労働安全衛生法改正案を出したいと思っています。ただ、この問題は、労
使だけではなくて、御商売をなさっている方、そしてそこへ足を運ばれるお客さん、
そこで働いている方、いろいろな立場の方の御意見を伺わなければいけないという
ことで、今日公聴会をしたところ、意見を述べていただける方、ありがとうござい
ます。それぞれのお立場の意見を述べていただき、また今日おいでいただいた方も
たくさんおられますけれども、みんなで職場の環境について考えられればいいと思
っているところでございます。
 それぞれ御商売が成り立つかどうかなど、職場のいろいろなことの問題があろう
かとは思いますけれども、これは国際的な条約、たばこ規制枠組条約にも批准をし
ていますし、そういう意味では、周りの人たちがたばこの害に遭わないということ
は、これは国としてしっかり取り組まなければいけないことだと思っています。皆
様からの積極的な御提言も受けながら、厚生労働省としてしっかり取り組んでまい
りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○司会 本公聴会を開催されますのは、労働政策審議会安全衛生分科会でございま
すが、安全衛生分科会の相澤分科会長から御挨拶がございます。

○相澤分科会長 ただいま御紹介いただきました厚生労働省労働政策審議会の安
全衛生分科会長の相澤でございます。
 本日は、たくさんの皆様方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
厚く御礼申し上げます。
 安全衛生分科会では、現在、今後の労働安全衛生対策について議論をしていると
ころでございます。職場における受動喫煙対策のあり方につきましては、前回の分
科会での議論の結果、働く人の健康障害防止のために事業者の責任において取り組
む必要があるという基本的な考え方については、委員の間で共通認識となりました。
 その上で、事業者にどのような具体的措置を求めるか、あるいは顧客が喫煙する
飲食店のような職場では、一般の事務所や工場とは違った対応が必要ではないかと
いった受動喫煙対策のあり方や取り組みを進めるに当たっては、国民のコンセンサ
スを得ることが必要ではないかというのが今後に向けた課題ということになりま
した。
 本日開催される公聴会において、幅広い御意見を聞かせていただいて、これも踏
まえて再度議論することになりました。発表者の御意見やそれに対する質疑等を通
じて、その結果を今後の審議の参考とさせていただこうと考えておりますので、ど
うぞ今日はよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○司会 それでは、ここで分科会長以外の安全衛生分科会委員のうち、本日御出席
の方々を御紹介いたします。急遽御欠席の方がいらっしゃいまして、お手元に配付
の座席図と異なりますことを御了承ください。
 まず、公益代表委員として今田委員でございます。
 内藤委員でございます。
 名古屋委員でございます。
 次に、労働者代表委員として、古市委員でございます。
 谷口委員でございます。
 犬飼委員の代理の藤冨様でございます。
 最後に、使用者代表委員として高橋委員でございます。
 中村委員でございます。
 明石委員でございます。
 瀬戸委員は都合により御欠席となっております。
 また、この分科会の事務局を厚生労働省において担っておりますが、事務局を代
表として安全衛生部長の平野でございます。
 また、私は司会を担当いたします労働衛生課長の鈴木でございます。どうぞよろ
しくお願いいたします。 
 それでは、議事に入ります。
 議事の進め方ですが、まず事務局から、労働政策審議会安全衛生分科会において、
職場における受動喫煙防止対策について、どのように検討が行われているかを御説
明申し上げ、その後に事前に意見発表をお願いしております8名の方々からの御意
見をお聞きしたいと思います。
 それでは、まず議題1について、安全衛生部長の平野から御説明申し上げます。
平野部長、よろしくお願いします。

○平野安全衛生部長 安全衛生部長の平野でございます。労働政策審議会の安全衛
生分科会での検討状況につきまして、お手元の資料の4ページ、5ページに沿いま
して、御説明を申し上げます。
 職場における受動喫煙の防止対策につきましては、平成4年以降、労働安全衛生
法に基づきまして、快適な職場環境を形成するための措置の一環として事業者を指
導してきております。そして、一定の成果も見られるところでございます。しかし、
その後平成15年に健康増進法が施行され、また平成17年2月には、たばこの規制
に関する世界保健機関枠組条約が発効するなど受動喫煙を取り巻く環境は変化し
てきております。さらに、受動喫煙の有害性に関する知識の普及や健康志向の高ま
りなどから、職場における受動喫煙に関する労働者の意識も高まりつつあるという
状況にございます。
 4ページに「現状の仕組み」というところがございますけれども、そこには労働
安全衛生法と健康増進法の関係をお示ししてございます。左の健康増進法の第25
条では、学校、病院、飲食店等多数の人が利用する施設の管理者に対しまして、こ
れらの施設を利用する方の受動喫煙を防止することが努力義務となっております。
一方、右側の労働安全衛生法では、快適な職場環境の形成という観点から、その事
業所で働く方の受動喫煙を防止する、そういうことが事業者の努力義務とされてお
ります。
 こういう中で、職場における受動喫煙の現状を見てみますと、4ページの一番下
のところでございます。受動喫煙防止対策として有効である「全面禁煙」または「喫
煙室を設けそれ以外を禁煙」のいずれかの措置を講じている事業所は全体の46%。
そして、職場で受動喫煙を受けているとする労働者が65%。また、喫煙対策の改
善を職場に望む労働者が92%という状況になっております。
 こういうことを背景といたしまして、今後の職場における受動喫煙防止対策のあ
り方について有識者の方々に御検討いただいた結果が、5ページの検討会報告書で
ございます。この検討会からは5つの提言を頂いております。
 1点目は、労働者の健康障害防止という観点から取り組むことが必要だというこ
と。
 2点目は、一般の事務所や工場などにおいては、全面禁煙または喫煙室の設置に
よる空間分煙とすることが必要だということ。
 3点目は、顧客の喫煙により、今申し上げたような措置が困難な場合であっても、
換気等を行うことが必要であること。
 4点目は、事業者の取り組みを支援するため、技術的支援、財政的支援を行うこ
とが必要であるということ。
 5点目は、国民のコンセンサスを得つつ、社会全体として取り組みを計画的に進
めていくことが必要だ。そういう内容になっております。
 さらに、今年の6月に、閣議決定されました新成長戦略の中で、2020年までを
目標といたしまして、受動喫煙の無い職場の実現ということが定められており、そ
れに関連いたしまして、今年度には労働政策審議会での検討を行って結論を得ると
いうことになってございます。
 こういうようなことを受けまして、現在、検討会の内容を踏まえ、労働政策審議
会安全衛生分科会において、御審議を頂いている最中でございまして、先月開催さ
れました分科会における議論では、働く人の健康障害の防止のために事業者の責任
において取り組むことが必要である、そういう考え方につきましては、基本的に合
意が得られたところでございますが、具体的な受動喫煙防止対策などについては、
本日の公聴会での御意見も参考にして、さらに議論を深めていただくことになって
おります。
 以上、労働政策審議会安全衛生分科会での検討の経緯、状況について御説明を申
し上げました。よろしくお願いいたします。

○司会 続きまして、議題2の意見発表に移ります。
 8名の方々につきましては、五十音順で御発表をお願いしております。時間の制
約上、お1人当たり8分以内で意見発表を行っていただきますようよろしくお願い
いたします。その後で委員との質疑応答を7分以内で行っていただく予定としてお
ります。御発表に際しましては、持ち時間8分の1分前に時計の係から1回ベルを
鳴らし、持ち時間の8分が参りましたら2回ベルを鳴らします。ベルが2回鳴りま
したら、速やかに御発表を終了していただきますようお願い申し上げます。
 意見発表の方及び分科会委員の皆様におかれましては、公聴会の円滑なる御進行
に御協力いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 では、最初の方ですが、岩崎拓哉様にお願いいたします。岩崎様は、株式会社I
Tスタイルの代表取締役でいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩崎氏 私は、株式会社ITスタイル代表取締役の岩崎と申します。本日この公
聴会で意見発表をさせていただく機会をつくっていただきありがとうございます。
 早速本題のほうに入っていきたいと思います。まず、簡単ですが、私の自己紹介
をさせていただきます。大阪府出身で岩崎拓哉と申します。個人的に受動喫煙で体
調を崩したことがきっかけとなりまして、2005年5月に禁煙の飲食店を検索でき
るサイト、禁煙スタイルを開設しました。このサイトを開設して数年ぐらいたって
から、全国の自治体などからの依頼で、飲食店の禁煙化をテーマとした講演活動な
どもさせていただいております。また、おととしの9月には、厚生労働省の受動喫
煙対策のあり方に関する検討会第3回に有識者として出席させていただきました。
この際に、飲食店事業の受動喫煙問題について主に触れさせていただきました。ま
た、昨年度などは、外食業界専門誌、新しい飲食店開業での原稿執筆活動、禁煙飲
食店の取材であったり、神奈川県松沢知事を取材させていただいた経緯もあります。
そして、今年の、7月からは、愛知県の禁煙飲食店普及事業、後ほど説明いたしま
す事業となりますが、現在、禁煙アドバイザーとして、業務に取り組んでおります。
 まず、飲食店などを含む職場の全面禁煙化の課題についてです。受動喫煙防止の
法制化においては、飲食店、宿泊施設、娯楽施設のような商業施設の規制が、ボト
ルネックになってくると思います。なぜかといいますと、特に今回は飲食店につい
てお話ししますが、飲食店では、料理やお酒のような商品がありますけれども、喫
煙できる場所そのものを提供して対価を得ているという実態もあると思います。一
般的な事務所であれば、禁煙にしても、その事務所で働く従業員にとっては、ただ
喫煙する場所が変わるだけのことです。それによって、売り上げが落ちるというこ
とはまずないと思うんですけれども、飲食店などの場合は、やはり売り上げに影響
というのは出てしまう可能性はあると思います。特に、居酒屋、ファミレス、バー、
喫茶店のような、料理やお酒が主というよりも、場所を提供することに重きを置く
お店に関しては影響があるとは思います。
 そして、業界の中で問題になっているのが、飲食店を禁煙にすると、売り上げが
落ちるという思い込みが、私はあるように感じております。売り上げというのは、
やはり落ちることがあると思います。ただ、伸びたり現状維持だったり、いろいろ
な結果があると思うので、一概には落ちるとはいえないと思います。ただ、この落
ちるという概念が何となく広まっているような感じがします。
 また、兵庫県でも、神奈川県に続いて条例の制定も視野に入っていると聞いてい
ますけれども、関連団体、業界からの反対意見というのが非常に目立っています。
業界専門誌を開いてみても、条例に反対だという声がたくさん寄せられています。
 そこで、私自身は今回の発表として、愛知県での取り組みをお話ししたいと思い
ます。愛知県では、昨年の10月から今年の2月にかけて、飲食店の受動喫煙防止
状況の訪問調査を実施しました。対象施設は、名古屋市のような政令市また豊橋、
豊田といった中核市を除く地域の1万944店舗を調査対象としました。調査方法と
しまして、県が間接的に雇用した調査員の方がいまして、調査員が1店舗1店舗を
訪問して、お店の責任者や店長の方々に、「売り上げどうでしたか」とか、「お客さ
んの反響はどうですか」ということを聞く、そういった調査の方式をとりました。
 回答結果として、1万944店舗のうち、実在したのは8558店舗、そのうちの7080
店舗から回答が得られました。回答率にすると83%となります。
 この訪問調査の結果の一部を見ていきたいと思います。まず、客席数別の禁煙、
分煙実施状況を見ていただきたいと思います。上から、10席から30席という小さ
なお店、30席から100席、100席以上となっております。見ていただきますと、小
さなお店になります。ここが比較的大きなお店となります。そして、青色の棒のと
ころが禁煙、黄色のところが分煙となります。小さなお店ではほとんどが喫煙とな
っています。75%。そして禁煙が15%、分煙が10%となっております。席が大き
くなるにつれて、喫煙の率は下がっていきます。禁煙の割合は15%、16%、17%
と大差はありません。
 ただ、1つだけ注目していただきたいところがあります。黄色いところの分煙で
すが、小さなお店は10%しかありません。それに対して、席の数がふえていくに
つれて24%、100席以上のいわゆるチェーン店の大型店舗は50%となっておりま
す。こういった状況を見ていきますと、小さなお店は分煙が難しい。愛知県であっ
てもこのようなことが明らかになっています。実際、神奈川県の条例で、小さなお
店は適用除外になっていますのは、こういった経緯も考えられると思います。
 そして、2つ目です。敷地内禁煙化した後の来客数、売り上げ、客層の変化。来
客数の変化について、回答を頂いた店舗を聞いてみました。禁煙にしているお店で
す。ここを見ていただきますと、増えたというのがごくわずか1%ほどあります。
一方で減ったを見ていきますと、3%ほどありますけれども、全体では96%は売
り上げの減少はなかった、来客数の変化はなかった。客層も98%は変化がなかっ
たというデータが出ています。これは実際にお店を訪問しての調査ですので、信憑
性は非常に高いと思います。実際に売り上げは下がるんじゃないかという思い込み
があると思うんですけれども、こういったデータを見てみると、意外とやっていけ
るんじゃないのかというのを感じていただけると思います。
 また、こちらも似たようなデータですけれども、建物内を禁煙化した場合。これ
は恐らく店内は禁煙で、外に灰皿を置いているとか、そういった場合もこの中に含
まれると思います。そういったところを見ていきましても、さっきとほぼ同じ結果
で、90%以上は変化がないというのがわかります。
 別の質問になります。「店長、管理者が健康増進法を知っていますか」という質
問です。健康増進法は、施行されて既に7年が経過していると思います。ただ、7
年が経過してお店の方がどれだけ認知しているかと見ていきますと、業種によって
も若干差はありますけれども、カレー専門店というところが、56%知っている。こ
の56%を除くと、ほとんどすべては過半数を切っています。また、7年たってい
てもまだ健康増進法は現場で知られていないという課題もあります。
 そして、「今後の受動喫煙防止状況、対策をどのように進めていきますか」とい
う質問があります。こちらも業種別にすべて回答がありますけれども、ここの赤い
部分、一番長いところが、予定なし。バー、居酒屋であれば98%が予定なしとか、
洋食屋さんでも50%が予定なし。カレー専門店で21%と低いデータが出ています
けれども、過半数以上は、まだ予定がないというのが非常に目立ちます。検討予定
というのも目立ちます。自主的に取り組むという段階では、進んではきていますけ
れども、取り組まないお店もまだまだ多いというのが感じられます。やはり今、取
り組みができないというのは、先ほどの禁煙したら売り上げが落ちるんじゃないか
という思い込みがあるのが関係していると私は思います。
 もう1つの事業を説明いたします。愛知県では、禁煙営業による影響を見ていこ
うということで、保健所などと提携して、禁煙モデル事業を開催しております。今
年の5月から始まりまして、9つの保健所で行っております。具体的には3カ月間、
各保健所の管轄の飲食店で禁煙営業を行っていただいて、経営上問題は無いかと見
ていったり、また、県のホームページなどでお店を広報して、禁煙飲食店を広めて
いこうという趣旨です。
 そして、私が、このモデル事業の禁煙アドバイザーを担当させていただいており
ます。実際に県の事業を進めていく上で県に対して意見をさせていただいたり、お
店を訪問してアドバイスをする取り組みを行いました。 
 今年の7月から10月にかけて、9つの禁煙の店舗をすべて訪問しました。訪問
した店舗の名前はこの一覧に載っています。各保健所ごとに1店舗を選んでいただ
いています。そのお店をすべて訪問しました。訪問した段階では、今のところ、禁
煙にしたから売り上げが減ったという話はなかったです。
 もう1つの取り組みとして利用客にアンケートも行いました。アンケートを行っ
た結果、「たばこを吸う人が含まれるか」というのが非常に少なかったです。終日
禁煙に対しても非常に好評でした。そして、「食事中に他人のたばこの煙が気にな
りますか」いう質問に対しても、「非常に気になる」が非常に多かったです。「気に
ならない」は非常に少なかったです。「飲食店を選ぶ際、禁煙、分煙を気にしてい
るか」というところでは、「非常に気にする」「やや気にする」というのがやはり過
半数を超えていました。
 こちらが最後のまとめとなりますが、サービス業も含めて、飲食店も含めてなん
ですけれども、労働安全衛生という観点であれば、事務所も飲食店もすべて含めて
同等に保護される必要があると私は考えています。喫煙席を設ける分煙を認めれば、
小さなお店が経営的にダメージを受ける可能性もあると思います。また、分煙を認
めてしまうことによって、従業員の受動喫煙は完全に防げない、そういった問題も
あると思うので、やはり受動喫煙防止を完全に実現するのであれば、飲食店も一般
事務所を含めて全面禁煙が私は望ましいと考えます。やむを得ず分煙が必要であれ
ば、喫煙室を設ける、喫煙所を外に設けるという対策が一番望ましいと思います。
 以上です。

○司会 岩崎様、どうもありがとうございました。
 ただいまいただきました御意見に対しまして、分科会の委員の皆様から、コメン
トや質疑をお願いいたしたいと思います。コメント、質疑がある委員の方は挙手を
お願いしたいと思います。

○今田委員 頂いた資料について質問したいことがあります。6ページ、7ページ
で、愛知県の飲食店の調査結果が出ており、影響がないという非常に衝撃的な結果
が出ています。禁煙化しても企業において影響はなかったということなのですが、
この調査において禁煙化した店は何%ぐらいだったんでしょうか。

○岩崎氏 今回の調査は、禁煙と分煙、それぞれ取っていまして、業種別にも異な
るんですけれども、全体の平均で見ていきますと、大体2割から3割ぐらいが禁煙
をしていると考えていただければと思います。

○相澤分科会長 大変貴重なデータを頂き、ありがとうございました。私も、今の
今田委員の質問と似ているんですが、禁煙した企業はかなり規模が大きいところな
んでしょうか。それとも小さいところも含まれているんでしょうか。

○岩崎氏 全面禁煙。今回の調査ですね。

○相澤分科会長 6ページ、7ページですね。

○岩崎氏 パーセンテージから見ていきますと、禁煙だけに関していえば、大きい
ところと小さいところ、それほど大きな差はないと思います。ただ、規模の大きさ
によって、できるできないとか、コストの問題なので、分煙に関しては大きな開き
があって、禁煙に関しては、それほど大きな開きはないのかなという感じがします。

○名古屋委員 5ページの中で、席数が小さいところというのは多分個人経営だと
思うんですね。

○岩崎氏 はい。

○名古屋委員 こういうところで禁煙の歩合が大きいのですけれども、ここはこれ
から分煙を行う場合に、資金があればある程度分煙という形のものに持っていける
のかどうか、その辺は訪問された感触はどうなのですか。

○岩崎氏 全体の調査に関しましては、私は調査表をつくる段階での監修しか行っ
ておりません。大手であれば禁煙か分煙か悩むんですけれども、小さなお店は仮に
お金があったとしても、場所がない。お金の観点と場所の観点と両方ありますが、
お金はあるけれども場所がないというのがネックになって、なかなか分煙はできな
い。私が調査以外でもかかわってきたお店の話では、場所がなくてできないという
のが非常に大きいですね。

○名古屋委員 そうすると、例えば資金があったときに、場所がネックで全面禁煙
にするという意向はないのですか。先ほどの客数が余り減らないというデータから
考えると、例えば禁煙にしたとしても、小さい店舗と大きい店舗で、規模はわかり
ませんけれども、そういうところで、もし全面禁煙したときに客数が減らなかった
らできるわけですよね。この辺のところの感触はどうなのですか。

○岩崎氏 全面禁煙にして、売り上げが下がらないならやりたいというのは、お店
の方は、自分はたばこを吸うけれどもやりたいという方もいたり、もちろん自分は
吸わないし、煙が苦手だからやりたいという話はあるんですけれども、喫煙するお
客さんがみんな来なくなってしまうのではないかという思い込みが非常に強いよ
うに感じるんですね。実際に禁煙にしたお店の話を聞いてみると、意外と喫煙客も
来てくれるというお店の方も非常に多いです。そこの情報の共有、これから禁煙に
したいお店がどういう情報が欲しいかということに対して、情報が公的にも出回っ
てない部分があると思うので、そういう情報提供をしていかないと、いつまでたっ
ても売り上げが心配だとかいうことになって、法改正なんて無理だという話になっ
ていくのではと私は考えます。

○高橋委員 3ページの一番下ですが、兵庫県で禁煙防止対策の検討が始まった、
それに対して関連団体や業界からの反対意見が目立つということのようですが、こ
の反対意見の中身はどのような中身か、わかっていましたら教えてください。

○岩崎氏 私はこの検討会には出席はしていないのですが、業界の専門誌などを書
店で見かけます。専門誌を見る限り、売り上げが完全に落ちてしまうという観点で
反対というのが多いですね。

○谷口委員 岩崎様、ありがとうございます。アンケートの期間が5カ月か6カ月
という期間だと思います。その期間に、売り上げあるいは客数の変化はなかったと
いう結果だと受けとめております。これが1年、2年、3年となっていったとき、
これは想定で結構なんですけれども、あるいは店主の方からもしそういうことがお
聞きできていれば教えていただきたい。期間が長くなったときも、売り上げあるい
は客数に影響がないのかどうかというところはどのようにお考えか、もしお考えが
あればお聞かせをいただきたいんですけれども。

○岩崎氏 今回の調査が2009年度に実施されたものですけれども、2010年、2011
年と続けていくとなれば、個人的には影響がなかったという部分がどんどん増えて
いって、落ちるも伸びるも、だんだんそこは縮まっていくと思います。喫煙する人
の率も下がってきているところもあるし、またマナーの向上とかもあると思うので、
禁煙が理解されて、それが自然になってきて、結果として、売り上げが伸びること
も下がることもなく、現状維持になっていくのではと私は考えます。

○司会 予定の時間が参りました。岩崎様、どうもありがとうございました。
 次に、大園真弘様にお願いいたします。大園様は、サービス・ツーリズム産業労
働組合連合会政策局の次長でいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大園氏 皆さんこんにちは。私は、ただいま御紹介を頂きましたサービス・ツー
リズム産業労働組合連合会・大園と申します。
 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会は、主にホテル、旅館業ですとか観光
業、航空貨物業などで働く、組合数が約200、約4万5000人の組合員が加盟する
産業別労働組合でございます。通称をサービス連合といっております。
 本日は、私たちサービス・ツーリズム産業で働く従業員の職場実態をもとに、今
公聴会で意見発表させていただきますことに、まずは御礼を申し上げたいと思いま
す。ありがとうございます。
 それでは、早速発表させていただきます。まず、お手元の資料の9ページと10
ページ、主に10ページに、要旨だけ、簡単で大変恐縮ではございますが、つけさ
せていただいているところでございます。早速で申しわけないんですが、1.の「サ
ービス・ツーリズム産業で働く従業員からみた完全禁煙・空間分煙の問題点」の「問
題点」については誤りで、「実態」を申し上げるところでございます。 まず、喫
煙する従業員の実態でございます。私たちのようなお客様にサービスを行う仕事に
従事する者の多くが、制服を着用しております。当然、お客様から見えるところで
の喫煙をすることはできませんし、制服ににおいがつくことも極力避けることが義
務づけられる職業であることから、事業所によっては既に完全禁煙を実施し、喫煙
する従業員は昼食時などに制服を着がえて、外の喫煙所に行き、限られた時間の中
で慌てて帰ってくる姿も見受けられるところでございます。
 非喫煙者である従業員については、自身ではなくお客様の影響で受動喫煙を避け
ることが難しいケースもございます。ホテルのバーなどが主でございますが、顧客
を相手にサービスする従業員につきましては、自分が非喫煙者であり、吸いたくな
いという場合においても、喫煙する顧客の席でサービスすることを避けることはで
きないといった実態もございます。
 それでは、当然、ホテルのバーなどについても全面禁煙をという意見になるかと
思いますが、私たちが働くホテルに顧客が求めているものについても、ここでは述
べさせていただかなければなりません。
 喫煙に対する規制が進む中で、ホテルの顧客が求めているものは、現在既に社会
における禁煙化・分煙化が進む中で、今や喫煙者がゆっくりたばこを楽しむことが
できる空間が限られたということは事実としてあると思います。そのことで大きな
我慢を余儀なくされていることは確かであると思います。愛煙家のお客様の中には、
当然顧客もおります。お客様にとって、ホテルのバーなどは、ワインやちょっとし
たオードブルなどとシガーやたばこを一緒に楽しむことのできる今や唯一のぜい
たく空間と位置付けているお客様もおり、またホテル側につきましても、そのニー
ズを引き出す営業を行ってきたところでございます。
 そんな中、お客様からその楽しみだけは奪わないで欲しいといった、声があると
いう報告も受けているところでございます。
 次に、事業所における完全禁煙や空間分煙については、問題点について申し上げ
ます。まず、ホテル、観光業を問わず営業している事業所につきましては、多くの
事業所が賃貸契約を結び、いわゆる間借りによる営業を行っております。事業主と
すれば、少しでも広い営業スペースを確保し、お客様に満足頂き、適正な売り上げ
を維持する必要があり、完全分煙とするためのスペースを確保することが難しいと
いう実態がございます。ホテルにつきましては、先ほど顧客から求められているも
のとして御紹介したとおり、営業のコンセプトとして、時間と空間を売ることで顧
客の満足を得ているという実態があります。そのような職場が完全禁煙を行うこと
は、産業として大きな打撃となることは避けられないと考える次第でございます。
 また、旅館と観光の、つながりというところで、旅行会社がお客様からプランの
予約を受ける際、宿泊施設についてお客様から喫煙ができるのかを聞かれる事が多
い中で、喫煙ができる施設にニーズが偏る問題点もございます。
 ここまで発言してまいりました内容につきましては、まるで受動喫煙を防止する
ための完全禁煙や空間分煙の対策について、実施することそのものを反対している
ような発言になってしまったかと思うところですが、意見概要の部分でも記載させ
ていただいておりますとおり、職場における受動喫煙については必要な対策を行う
べき問題であり、全面禁煙や空間分煙の方向性については、大いに賛成するところ
でございます。
 しかしながら、最初に述べました例のように、職場の喫煙者が事実上一切の喫煙
を禁ずるものとなることは、世界的に喫煙率の高い日本において、業務上、能率に
影響が出るような受忍限度を超えたものとなるおそれが大きいことも懸念されま
すし、たばこが合法的商品として認知されている現下を無視した対策や、ホテルな
ど顧客を相手にしている事業所の営業そのものに影響が出るような対策につきま
しては、実態をもとに十分御検討いただいた上で、実効性のある現実的な対応とす
べきことと考えるところでございます。
 喫煙そのものについての事実上禁止が望ましいことではなく、企業が率先して、
喫煙者、非喫煙者ともに働く仲間がいる中で、受動喫煙をなくすために行う措置と
して構築することが必要と考えるところでございます。
 厚生労働省からも、職場における喫煙対策のためのガイドラインにおいて、一定
の空気環境基準が出されております。職場における喫煙室、喫煙席の設置ですとか、
換気装置の充実のような適切な措置を行うためには、費用と時間が必要とされるこ
とから、その対応には準備期間や財政的支援についても、御検討を頂きたいと考え
るところでございます。多くの企業が適切な措置をみずから実施できる枠組みこそ
が望ましいことだと考える次第でございます。
 以上で、私からの発言は終わらせていただきます。御清聴いただきまして、まこ
とにありがとうございました。

○司会 大園様、ありがとうございました。
ただいまいただきました御意見に対しまして、委員の皆様から、コメントや質疑が
ありましたら、お願いいたします。

○谷口委員 大園様、ありがとうございました。
1つ教えていただきたいんですが、仕事の能率上大きく影響が出るという御説明が
あったかと思いますが、先ほどの御説明では、お客様商売なので、お客様の目の前
で制服を着ている従業員の方が喫煙をすることはできないとか、においの問題で、
その都度制服を脱がないといけないといったことが、仕事の能率に影響があるとい
う御説明に聞こえたんですけれども、大きく影響が出るといったのは、今みたいな
ケースのほかにも何かあるかどうかということ、もしあれば教えていただきたいと
思います。だとすると、サービス・ツーリズム産業に働く皆様のような産業の特性
というか、お客様商売をやっている従業員だから、業務の能率上大きく影響が出る
という産業の特性なのかどうか、その点について、もう少しお聞かせを頂ければな
と思います。よろしくお願いします。

○大園氏 まず私の説明が大変下手だったことにおわびを申し上げたいところで
すが、今回私が御説明をさせていただいた主旨は大きく分けて2つございます。1
つは、職場で働くという意味では、私たちの産業に限らない、すべての労働者にお
いて、仕事の能率上影響が考えられることの例として、制服を着用しているから脱
いで外に出なければならないことは、時間のロスもあり、場所が離れていれば、昼
食もままならないことなどが挙げられると申し上げました。
 もう1つは、私たちの産業の実態でございます。私たちのところでは、先ほど御
発表いただいた小さな飲食店については加盟店はありません。いわゆるホテルや観
光の旅行会社が主であり、そのホテルのレストランやバーにおいて、喫煙を楽しむ
お客様に顧客もいるといった中では、顧客の落胆は大きいと考えられ、ホテルは、
時間と空間を売ることを最大のコンセプトとしていることから、柔軟な対応が必要
と考えております。過度な対応となった場合、急激な変化にたえられるかは、大き
な不安があり、発言させていただいたところでございます。

○内藤委員 御報告ありがとうございました。私のほうから3点ほど、もし御存じ
でしたらお教えいただきたい点がございます。
 第1点といたしましては、先ほどの御発言の中で、顧客の方々の中にかなりの率
でたばこを楽しまれる方々がいらっしゃるので、そういったサービスの質を落とさ
ないために、全面禁煙というのは難しいという御趣旨と理解いたしました。その場
合、現在、日本国民といいましょうか全体を母数として考えますと、既に喫煙者の
方々というのは、恐らく4分の1、25%もいらっしゃるかどうかだと理解しており
ます。しかしホテル産業の方では、感触かもしれませんが、顧客の中のどのぐらい
の率の方々がお吸いになると考えていらっしゃるか。
 2番目の質問としては、先ほど、例えばホテルのバーなどですと、大変重厚な空
間の中でたばこを楽しまれるお客様が多い、そのために非喫煙の従業員の場合、お
客様がお吸いになるので避けられないという御発言があったと思います。この場合、
失礼ですが、労働組合側として、非喫煙者である労働者の方々から、何かそれに対
して、こんな対策をとってもらえればうれしいといったような聞き取りをしていま
しょうか。労働者として吸いたくないのに、吸わされている方々の御意見はいかが
でしょうか。
 そして最後に3点目ですが、大薗様の発言中最後の方で、企業からの自主的な取
り組みを促進してほしいという御発言があったと思います。労働組合側としては、
この問題に対してどのような取り組みをなさっていらっしゃる、あるいなさる予定
であるか、この3点をお教えいただけますと幸いです。

○大園氏 どこまでお答えできるかわかりませんけれども、まずは、日本の喫煙率
が今22%ぐらいになったということは把握をさせていだたいておりますが、残念
ながらお客様の喫煙率は調べておりません。ただ、ホテルのバーですとか、いわゆ
るシガーを売っているところが既に少なくなっていると思いますので、喫煙をされ
る方は、そういうところに集まる傾向はあると思いますので、多少数字に関しては
変わってくるのではないかと考えております。
 2番目の、バーで働く従業員といったところでございますと、やはり受動喫煙と
いうのはあるべきでない問題というふうに労働組合としてもとらえております。た
だ、働いている産業の実態がある中では、それに対応した形で何か対策をというの
が理想の形だと思っております。その代表的なものには、先ほど御紹介も頂きまし
たけれども、やはり空気環境基準とか、そういったいわゆる喫煙者と非喫煙者があ
る一定のルールの中で共存ができるといった取り組みも、ケースによっては必要な
のではないかなと考えたところでございます。
 3番目の、企業から自主的といったところで、労働組合としてどうなのかという
ことであれば、産業の実態からすれば、完全禁煙ではなく、空間分煙をまずは主体
的に取り組み、事業所の大きさの理由で、喫煙場所を設けることができないことや、
先ほど御紹介させていただいた賃貸、間借りをしている中で、事業主からそれが難
しいということがあれば、完全禁煙とせざるを得ないと思います。労働組合として
は、企業との協議の中では、働く仲間として共存ができる環境づくりを目指し、先
ほど申し上げましたとおり、柔軟な対応や資金面について政府にもお願いをさせて
いただいたような話し合いをさせていただいた上で、考えていきたいと思っている
次第でございます。

○司会 ありがとうございました。既に時間が参っておりますが、どうしてもとい
う委員の方いらっしゃいますか。

○小宮山副大臣 先ほど、全面禁煙にすると、喫煙者が業務上能率に大きく影響が
出るとおっしゃったのですけれども、では、受動喫煙をしている非喫煙者の能率と
いうのは下がらないんですか。あと、先ほど飲食店のデータなどを話していらした
んですが、お話を伺うと感触で物をいってらして、調査をされたということではな
いですよね。

○大園氏 申しわけございません。調査は行っておりません。
 受動喫煙について、サービスをしている非喫煙者の従業員からも調査は行ってお
りません。ただ、サービスマンシップからお客様のニーズにこたえるサービスをし
ていきたいという思いはある中で、とはいっても、やはり受動喫煙は避けたいと、
本人も当然思っていると思いますので、空気環境基準など対策をきちんと行うこと
や、一定の条件下の完全禁煙や、空間分煙の方向性については、全くもって賛成し
ているところでございます。しかしながらお客様を相手にしているといった中での
今回の発言であることは大前提とし、何とか共存ができる形はないものかと考えて
いるところでございます。非喫煙者が喫煙者の顧客に対するサービスなど事業所の
工夫で偏った要員配置になることがないようになど当然必要ですがまだ具体的な
対応について議論しておりません。恥ずかしいところでございますが、御容赦いた
だきたいと思います。

○司会 大園様、どうもありがとうございました。
 次に、岡本光樹様にお願いいたしますが、ここで若干事務局からお断りさせてい
ただきます。
会場の皆様にお配りしております資料につきましては、今回は紙面の制約から1発
表者当たり3ページに限らせていただいたところでございます。ただし、発表され
る皆様におかれましては、時間の範囲内でその資料とは別のスライドも御紹介する
ことは許可しておりますので、ここで映し出されるスライドがすべてそちらで見ら
れるということではございませんので、そのあたり御了承いただきたいと思います。
 岡本様は、第二東京弁護士会人権擁護委員会受動喫煙防止部会会長でいらっしゃ
います。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡本氏 弁護士の岡本と申します。よろしくお願いします。私はインターネット
とNPOを通じて受動喫煙被害の相談を年間約50件、50人の方から受けています。
 これが私のホームページです。寄せられる相談としては、がんや虚血性心疾患な
どを発症したという相談もありますが、件数としてはぜんそくの発症や、これから
述べます急性症状の相談が圧倒的に多い状況です。急性症状には個人差があります
が、苦痛に耐え切れず、職を続けていけないという方がかなりいらっしゃいます。
また、ストレスの継続によってうつ病を発症する例もあります。職場の受動喫煙の
被害は、新聞にも取り上げられています。日経新聞。朝日新聞「たばこの煙、体が
悲鳴」「抗議したら解雇も」。朝日新聞「職場で20年我慢」「のどにがん」。毎日新
聞「受動喫煙の被害が深刻です」。裁判や新聞などで明るみに出るのはほんの氷山
の一角で、実際には水面下でもっともっとたくさんの方が受動喫煙に苦しんでいま
す。
 その相談の実際の例を、ほんの一部ですが発表したいと思います。30代の女性。
広告業。「夏くらいからたばこのにおいに強い不快感を覚え、秋ごろにはせき、頭
痛、目やのどの痛みなど、明らかな体調不良を感じていました。煙に耐えていたこ
とで、過呼吸を起こし、年末にも耐え切れなくなって倒れ、動けなくなりました。
医師からも診断書を頂きましたが、喫煙者である社長には全く聞き入れてもらえず、
さまざまにののしられ、『知っているが、守らなくたって捕まるわけじゃない。だ
れかが逮捕にでも来るのか』と言われ、診断書は突き返されました。喫煙者全員に
1人1人に頭を下げてお願いをして回りました。結果はほとんど無駄でした。翌日
もせきがとまらなくなった私の前で吸い続けていました。苦しく、逃げ場もありま
せん。毎日毎日受動喫煙を強制され続け、悪くなっていく体調を考えれば、すぐに
でも退職すべきかと感じています」。
 次に、50代男性、建設業。「和解700万円の裁判は金額的にすばらしいですが、
結局退職に追い込まれています。訴訟を起こせば私も勝てる気がしますが、今と同
じ収入を得られる転職先を探すのは、この御時世では至難のわざだと思います。家
族のいる身、収入減は受け入れられない状況です。悔しいですが、現行の法律では
どうにもなりません。国は人殺しです」。
 40代女性、コンサルタント業。「私は神経質なほうではないと思いますが、目の
痛み、せき、たんがとまらず、目まい、吐き気を催すほどです。上司に相談しまし
た。結果としてすべて却下されました。求職活動してやっと受かった会社です。問
題はたばこだけです。安全で健康的に仕事をしたいだけです。本日、労基署にも行
ってきましたが、何もしてくれません。民事不介入です。悩んでしまって精神的に
も参っています。知らないうちに涙がこぼれます。どうか助けてください」。
 このように悲惨な状況があります。法改正において、罰則は必須と思います。
 スライドのほうに受動喫煙の裁判例を挙げておきました。平成16年には5万円
の慰謝料請求が認容されました。平成18年には80万円の調停が成立しました。平
成21年には700万円の和解が成立しました。受動喫煙で和解金700万円というこ
とについては、全国紙でも取り上げられました。 
 このように損害賠償は高額化しており、700万円の損害賠償が認められています
が、経営者には、先ほど申し上げましたように、損害賠償になろうとも構わず、刑
事罰、行政罰がなければ守らないといった経営者もいます。受動喫煙被害を防止す
るために、必ず罰則を設けるべきだと考えます。
 次に、分煙の問題点について発表いたします。分煙で煙が漏れて苦しんでいると
いった相談が、私の相談の約3分の1を占めます。ドアや空調から漏れたり、また
喫煙室の濃厚な煙が喫煙者の衣服や呼気に残留しています。
 これは産業医科大学の大和先生から提供いただいたスライドですが、ガイドライ
ンに沿ったつもりでも喫煙室から漏れる。不適切な受動喫煙対策。漏れは防止でき
ない。喫煙終了後にも呼出されるたばこ煙の成分。喫煙終了後の呼気からたばこ煙
検出。さらに、ガス状成分は、洋服や口臭から数時間発生。WHOが否定した対策
である。
 これも相談事例を御紹介します。
 20代女性。大手証券会社。「フロアに喫煙所があります。絶えず人が出入りして
いるのと、空調でにおいがかなり漏れてきます。私の部にいる人、彼自身からのに
おいもきつい。もともと私はひどい偏頭痛持ちで、本当に耐えがたく、ストレスで
退職を考えざるを得ません。部長からの回答は『喫煙所の廃止は難しい。分煙とい
うことでわざわざつくっているから』。せっかく頑張って働いたのにたばこでやむ
なく退職となるのはとても悲しいです」。
 女性。大手商社。「たばこ煙が漂っています。あるときからせきが出るようにな
り、それからは毎日せきをしながら仕事をしています。総務部長に訴えたのですが、
喫煙者や被害のないところにいる非喫煙者などの反対意見で頓挫しました。保身の
ために口にしない人間も多いです。毎日終日、精神的、体力的に限界です」。 
このように分煙にも問題があります。被害が続いていても、分煙が口実となって、
かえって被害を固定化させるという問題があります。苦痛や交渉も長期化します。
 こうした問題からすれば、やはり世界的な基準である屋内全面禁煙の方針をとる
べきです。神奈川県の条例がモデルにした面積で区別するという方式は、既にスペ
インでも廃止されました。WHOも条約も、分煙ではなく、屋内完全禁煙とすべき
ことを繰り返し勧告しています。
 スライドのほうですが、アメリカのSurgeon General「分煙、空気清浄機、エア
コンディショニングによって非喫煙者の受動喫煙を防ぐことはできない」。2007年
のWHO「屋内完全禁煙という方法以外あり得ない。換気や分煙を勧めることはで
きない」。WHO「換気で受動喫煙問題を解決することは非現実的であり、不可能
である。たばこ規制枠組条約「100%禁煙以外の措置、換気、喫煙区域の使用は不
完全である」。立法措置は、責任及び罰則を盛り込むべきである。例外なき受動喫
煙からの保護、ユニバーサル・プロテクションを実施する義務」。これについて日
本は既に期限を経過しています。
 以上を踏まえて労働安全衛生法の改正案を、これは法律家として私が考える私案
ですが、最終スライドに示します。
 第4章「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」の中に、22条の2
という条文を創設し、労基署による監督や罰則などの既存の制度と組み合わせるこ
とで、整合性のとれた労働安全衛生の確保を図るべきです。
 これまで非喫煙者は身を削って働いてきております。喫煙者の喫煙欲求が優先さ
れてきたということは不合理なことだと思います。受動喫煙の被害をなくすために、
喫煙者は外で吸うということをやってほしいと思います。受動喫煙の被害者からす
れば、労働者は職場を選べません。意に反しても、被害を受け続けても、そこで長
時間働かなければなりません。
 以上です。

○司会 岡本様、ありがとうございました。
 ただいまいただきました御意見に対しまして、委員の皆様からコメントや質疑を
お願いいたします。

○高橋委員 御発表ありがとうございました。
スライドの中で7ページ目に、裁判所の判例を3例ほど示していただきましたが、
ほかの事例等々をお聞きしますと、もうちょっと係争とかクレーム、そういうトラ
ブルめいたエピソードが多いような気がします。今どっちかいえば、まだ少ない状
況であるということなんですが、これは訴えの利益が少ないとか、訴えることによ
る不利益がもっと拡大する、そういう懸念が背景にあると思ってよろしいんでしょ
うか。

○岡本氏 先ほどの相談事例でもありましたように、訴えると職をやめなければな
らない、転職先も探さなければならないということで、ちゅうちょされる方はかな
りいらっしゃると思います。ここに挙げている以外にも裁判の事例というのはある
んですが、多くの場合、裁判事例は、和解で解決をした場合に秘密条項というのが
入りまして、なかなか世の中に公表されないということがあります。これ以外にも、
受動喫煙で解雇といった事例で、数百万円の裁判例もあるんですが、一般にはなか
なか公表されないということがあります。

○高橋委員 どうもありがとうございました。

○名古屋委員 1点お聞きしたいのは、これは大和先生のデータを使われています
が、いいたい趣旨は、ガイドラインに沿っても、分煙しても効果がないから全面禁
煙にしたよという主張と考えてよろしいんですか。

○岡本氏 そのとおりです。ガイドラインに沿っても、煙が漏れるということは防
ぎ切れない。WHOや世界的な基準である屋内は全面禁煙ということにすべきだと
いう主張です。

○名古屋委員 でも、このデータを見る限り、漏れてきたとしても、確かに漏れて
くることはわかるのだけど、オーダー的なことを考えるとさほどではないなと思う
部分があるのだけど、そうじゃなくて、微量であっても漏れてくること自体が問題
と考えていらっしゃるのか。

○岡本氏 漏れていること自体が問題だと思います。濃度の基準を何にするのかと
いうところは問題がありますが、0.15という基準は、非喫煙者がとても耐えられ
るような基準ではないと思います。漏れるということ自体が問題であり、やはり症
状を防ぐことはできないと思います。

○名古屋委員 このデータは確かにこのとおりだと思うのですが、多分、測定者が
違い、測定方法が違うと漏れないというデータもあると思うのですよ。だから、そ
このところはきちっとしておかないと、このデータだけでガイドラインが不備と議
論するのはまずいかなと思うのです。

○岡本氏 これは粉じん濃度ではかっておりますが、人間の感覚としてにおいを感
じるということも重要だと思います。症状を感じる方は、粉じん濃度ではなく、あ
くまで体の問題、においの問題もありますので、そちらのほうも基準として考える
べきだと思います。

○相澤分科会長 先生はこういった被害に遭われている方の味方になって法廷闘
争されているので、おっしゃることは十分理解できます。私もそういった患者さん
を診ておりますので、わかります。今日も暖かいですけれども、炭酸ガスが地球上
にたまってきて、これから困る時代になるということは予測されるわけですが、す
ぐに脱炭素というのは無理で、例えば水素ガスとか電気自動車にすぐ移行するのは
無理だと思うんですね。ハイブリッド自動車というのはすごく売れているわけです
けれども、喫煙対策もそういった全面禁煙と喫煙室の両方を折衷するというような
形で、国民の意識と知識、希望を反映するような形でやる、そういった折衷案とい
いますか、そういったことは、先生はお考えにならないかどうか、伺いたいと思い
ます。

○岡本氏 私が受けている相談としては、本当に目の前で苦しんでいる方々ばかり
でして、本当に、健康被害という面では、一刻も早く解決すべきだと常々感じてお
ります。

○小宮山副大臣 私ここで退席いたしますので、先ほどの御質問に私が答えるのは
変なんですけれども、たばこ規制枠組条約、御承知のように日本は批准していまし
て、その中で先ほど岡本さんが紹介されたように、例外なき受動喫煙からの保護、
ユニバーサル・プロテクションを実施する義務というのがあって、これは条約発効
後5年以内に保護を実現するということを日本は約束をしていますので、折衷案で
はだめで、条約というのは日本の法律よりも上位にあるわけですから、これはきち
んと履行すべきだと思っていますので、私から一言いわせていただきました。

○司会 まだちょっと時間がありますが、ほかの委員、いかがでしょうか。よろし
いですか。──それでは、岡本さん、どうもありがとうございました。
 次に、予定では加藤一隆様となっておりましたが、急遽代理の関川和孝様にお願
いいたします。関川様は、社団法人日本フードサービス協会の常務でいらっしゃい
ます。
 なお、冒頭にお願い申し上げましたが、意見発表者の意見や分科会委員からの発
言の際には、お静かにお聞きいただきますよう重ねてお願い申し上げます。
 それでは、関川さん、よろしくお願いいたします。

○関川氏 御紹介いただきました社団法人日本フードサービス協会の常務の関川
でございます。今日はこのような審議会の場で私どもの意見をお聴き取りいただく
機会を設けていただいたことにつきまして、御礼を申し上げます。
 それでは、外食産業の観点から、職場における受動喫煙防止対策について、意見
を申し述べさせていただきます。
 まず、外食産業の概況でございます。外食産業の市場規模は約24兆円、店舗数
は全国で75万店、従業員数440万人と、巨大な市場規模を有するとともに、大量
の雇用の場を提供しております。
 このうち、私ども日本フードサービス協会は、主として大手の外食チェーンを会
員としておりますが、市場規模として約7兆円、店舗数で約6万4000店、従業員
は正社員、パート、アルバイトさんを含めて約80万人でございます。
 一口に外食産業と申しましても、多くの「業態」があります。ファミリーレスト
ラン・ハンバーガー・牛丼などのファストフード、居酒屋、ディナーレストラン、
喫茶店、事業所給食といいまして社員食堂など。この業態によって事情は異なって
おります。
 今回は職場における受動喫煙防止対策ということですので、外食産業における雇
用上の特徴を申し上げたいと思います。店舗規模、立地、サービス形態によりかな
り異なっております。平均ベースで1店舗当たり正社員が1人から3人、1日当た
り平均4時間程度働くパート労働者を多数雇用しまして、正社員とパートの労働者
の組み合わせで業務を行っている。パート、アルバイトさんにつきましても、勤務
時間、勤務曜日、勤務場所を希望に応じてシフト体制をとっております。
 これも業態や店舗によっても違いますけれども、約8割から9割がパート、アル
バイトさんということでございます。その勤務時間は、最も多いのが週20時間未
満、1日4時間未満という方が60%を占めております。パート、アルバイトさん
の勤務期間となりますと、3カ月未満で退職される方が30%、半年未満で退職さ
れる方が50%、1年未満で退職される方が70%ということでございまして、かな
り出入りが激しい。私ども店舗の経営という面からしますと、そういう従業員のパ
ート、アルバイトさんをいかに確保するかということに苦労をいたしております。
 次に、外食産業の提供する飲食環境について申し上げます。外食産業は、多様な
メニューの提供を通じて、国民の皆さんの豊かで健全な食生活に貢献していると考
えております。お客様に対するサービスの一環として、「快適な空間」と「くつろ
げる時間」を提供するというのが基本的な機能と位置付けております。すなわち、
外食店舗におきましては、多様な飲食環境を提供し、お客様が好みに応じて選択し
ていただける、そういう関係を通じて、国民の皆さんの食生活の質的な充実が図ら
れていると理解しております。したがいまして、飲食空間と一口でいいますけれど
も、必ずしも直接的な飲食だけじゃなくて、その飲食の場を利用して、くつろぐと
か楽しむ、あるいはお友達とか家族の会話の場、そういった幅広い機能を有してい
るということです。
 喫煙との関係におきましても、喫煙、分煙、禁煙、自分のお店はどういう環境に
するかということは、管理者の判断で提供申し上げる。お客様のほうもその中から
御自分の好みに応じた空間を選択していただく、そういう関係が望ましいと基本的
に考えております。
 次に、職場における受動喫煙防止対策に対する意見を申し上げます。職場におけ
る受動喫煙防止対策は、労働者の健康確保という観点からの検討でありまして、そ
の意味では、外食産業における従業員の健康を守るということは、業界としても重
要なことであると理解しております。
 しかし、一方で解決すべき課題もございます。御承知のとおり、一般の工場、事
業場、事務所と違いまして、事業者と労働者という関係以外に、もう1つお客様と
いう要素がこの職場には存在します。お客様を全く無視して営業を行うことは困難
です。外食店舗の中には、食事の後のたばこを楽しみたいというニーズがあります
し、居酒屋、喫茶店などでは、飲食とともにたばこを楽しみたいというニーズもあ
ります。また、小規模な店舗では、物理的に空間分煙が難しいということもありま
すし、テナントとして入っている店舗については、オーナーさんの意見もあります。
 外食業界といたしましては、これまで禁煙、分煙の方向性に沿って、自主的な努
力をかなり行ってきているということは、皆様もお感じいただけることと思います。
私どもそういった自主的努力の上に、なお一層取り組んでまいりたいと思います。
要するに、外食としての職場の特性を踏まえて、業界の自主的な取り組みを前提と
して、現実的な対応、取り組みをぜひお願いしたいと思っております。
以上でございます。

○司会 関川様、どうもありがとうございました。
ただいま頂きました御意見に対しまして、委員の皆様からコメントや質疑をお願い
いたします。

○相澤分科会長 顧客の立場から選択できるというのは今のお話でわかったんで
すけれども、飲食店で働いている労働者がいるわけですね。その方の保護という面
ではどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。

○関川氏 事業者といたしましても、労働者の健康を確保するということが重要な
課題であると認識しているというのは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、
職場としての位置付けになりますと、事業者にとっては、そこで事業を行う場であ
りますし、従業員にとっては働く場であります。さらに、お客様が来られて楽しま
れる、くつろげる、飲食をされる場であるというもう1つの要素が加わっています
から、その特性が十分生かされるよう対応をお願いしたいということでございます。

○相澤分科会長 そうしますと、喫煙をするような店もあってもいいという選択も
あり得るわけですか。今までと同じように喫煙するお客さんと、たばこを吸わない
方や労働者も一緒にいるような場所も、表示をすればいいというふうに選択をする
ととれたんですけれども、そうではないんですか。

○関川氏 私ども喫煙問題について内部でも議論しておりますが、その中で、業態
によってかなり事情が違いまして、ファミリーレストランとか、店舗のスペースが
大きいところは比較的やりやすいのですけれども、スペースが小さいところ、特に
居酒屋とか喫茶店、個人事業者さん、これはいろいろと考慮する要素が出てくるの
ではないか、御意見があるのではなかろうかと思います。業態によって意見が違っ
てきております。

○谷口委員 御発表、ありがとうございます。
レジュメの5.「技術的な問題点」という記載の項目があるんですが、ここをちょ
っと聞き漏らしたかもしれない。もし何かありましたら、お伺いをしたいなと思い
ます。それが1つ。
 もう1つは、今、業態によっていろいろお客様の嗜好が異なるという話があった
と思うんですが、禁煙あるいは分煙をきちんと行ったほうが、逆にお客様の増加に
つながるといったようなケースもあるんでしょうか、ないんでしょうか。そこは推
測で結構でございますので、お教えいただければと思います。

○関川氏 ありがとうございます。時間の制約で、技術的な部分を省略いたしまし
た。
 実は自主的な努力として、どのようなことをやっているかということを申し上げ
ます。エアカーテンを導入することによって、喫煙エリアの汚れた空気を吸い込み、
フィルターを通して浄化した空気を吹き出させることによって禁煙席への煙の流
入を防止しています。
 それから、空調と間仕切りを利用して、時間帯別に多少移動させる柔軟性をとっ
ている。あるいは店内に喫煙ルームを設ける。ファストフードの店舗によくありま
すが、1階は禁煙、2階は喫煙とうフロア別の禁煙・分煙の取り組み。居酒屋など
では、ランチタイムは禁煙だけれども、夜はお酒を飲みながら喫煙でもいいとか、
いろんな自主的な取り組みをしております。
 先般、検討会が報告書を出されて、私どもも拝見いたしましたけれども、そうか
なと思うところもございます。現実問題として、飲食店で、例えば従業員が保護具
をつけるなどが出ておりましたがもうちょっと現実的な対応の可能性も考える必
要があるのではないかなと思います。そういったことも含めまして、今後、どうい
うものがいいのか、効率的にやれるのか、その辺も検討してまいりたいと思ってお
ります。
 もう1つは、業態によって禁煙の効果がどうかという話だと思うのですけれども、
これは御承知のとおり、今年の4月から神奈川県の禁煙条例が施行されました。私
ども、それがどのような影響を飲食店に対して及ぼしているのか、まさしくその辺
について関心を持って見ているところです。先ほど、影響がないような話もござい
ましたが、4割程度の店舗で売り上げが減少したという民間調査もあります。こう
いうデフレ下の景気が悪い中で、事業者とっては、その辺が厳しいところかなと思
っております。

○司会 よろしいでしょうか。若干お時間がありますが。――ないようでしたら、
関川様、どうもありがとうございました。
 次に、小城哲郎様にお願いいたします。小城様は、全国飲食業生活衛生同業組合
連合会の専務理事でいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いします。

○小城氏 ただいま御紹介いただきました、私は全国飲食業生活衛生同業組合連合
会の専務理事を仰せつかっております小城哲郎と申します。どうかひとつよろしく
お願いいたします。
 私どもも、今、外食産業ジャフの常務の方のお話のとおり、外食事業者の連合会
でございます。特に私どもは対照的でございまして、ほとんどが中小零細の営業者
の方の集合体でございます。簡単に連合会の概要を御報告させていただきます。
 私どもは生活衛生営業の適正化に関する法律というものに基づきまして、昭和
36年2月に設立された、厚生労働省所管の民間法人でございます。会員数は現在
約8万名、全国41都道府県で組織をしております。重ね重ねですが、ほとんどの
経営者は個人事業主でございまして、年商1000万円以下の事業者が7割強を占め
ている、まさに中小零細な集まりでございます。
 これは総務省の統計でございますが、今、ジャフの方、お話のとおり、若干数字
が違っておる点もございますが、いわゆる全国の飲食店の統計で見ますと、全事業
所で72万軒、その雇用される数は412万人、日本全体の雇用の約7%を支えてい
る産業ともいえるものでございますが、年商1000万円以下の事業者はその63%を
占める。個人事業者の割合は7割強、まさに中小零細ということがここでもいえる
わけでございます。
 今、お話ししましたこのデータは、平成18年10月の総務省の統計でありまして、
日本の経済が回復基調にあった18年10月の調査であるものですから、恐らくその
後の長引く不況、あるいはデフレ、こういった観点から、さらに悪化して、廃業を
余儀なくされている店舗も数多くあることと思うところでございます。
 これまで私どもが取り組んでまいりました経過について、簡単に御報告をさせて
いただきます。
お手元の資料16ページ、17ページ、18ページにお配りさせていただいております。
平成15年5月の健康増進法の施行によりまして、私どもも、飲食店を含む施設に
おいては、受動喫煙防止対策に取り組む必要があるという観点から、そのようなガ
イドライン、ポケットハンドブックといっておりますが、作成をさせていただきま
した。当時、約10万ほど有しておりました会員全員に配布をさせていただきまし
て、年々その普及に努めてまいりました。特に本年は、2月に厚生省の健康局長の
通知が発せられたわけであります。それにかんがみて、特に9月、10月と、全国
6ブロックにおいて、受動喫煙防止対策について、会員に対してさらに促進を図っ
てきたところでございます。まだまだ不足の点、中小飲食店はおくれがちだという
ことも多々聞いておりますが、これまでの経過については以上のとおりでございま
す。
 次に、中小飲食店営業者の考え方でございます。これまでの問題点も踏まえて、
お話をさせていただきたいと思います。
 我々飲食店は、経営をするに当たり、いろいろな法令を遵守しなければなりませ
ん。なかなか一般の方々が御理解されてない部分も多々ございます。まず第一には、
食の安心・安全を確保するための衛生、これはもう衛生の徹底はもとより、昨今で
は食品のリサイクルあるいは省エネの対策、原産地を表示しなければならない、ま
たメニューにはカロリーを表示しなくちゃいけない。牛肉、あるいは今年実施をさ
れました米、お米はトレサビリティとして、お客様にきちんとどこどこ産というこ
とを提示しなければならない。そういった対策。インフルエンザ対策、ノロウイル
ス対策とか、多々関連の法令、コンプライアンスがあるわけでございます。その中
でも、受動喫煙防止対策についてはしかりでございます。
 こういった厳しい現在の喫煙規制を導入した、諸外国で見れば英国などは、特に
2009年のデータで見ますと、2300軒のパブ、レストランが廃業したというふうに
も報道で聞いております。今日は、本年4月施行の神奈川県条例、大変業界の代表
として御奮闘されました神奈川県の喫茶の八亀会長もこの会場におられます。「お
まえ、今日はしっかり頑張って訴えてこい」と、先ほど檄も頂いたところでござい
ますが、その神奈川県の条例では、御存じのとおり、100平米以下の中小飲食店が、
経過措置としては3カ年のものとなっておりますが、既に先ほどもどなたか御質問
されておりましたが、廃業されたという店舗も聞いております。また、現在行われ
ています兵庫県においては、私どもの業界の代表も委員として参画しておりますが、
全面禁煙の方向に議論がなされております。委員としては、正面から業界の、地域
の意見を反映させるために、一貫して主張を続けております。
 先ほども、どういう主張をされているかという御質問がございましたが、公共用
施設として飲食店を1つの中にくくってもらってはいけない、自主的な自助努力で
いいんじゃないか、そういった主張を委員は続けております。今後、議会等で議論
される問題かと思いますが、現在では、県内を挙げて反対の署名活動も行っている
とも聞いております。
 こういった不況にもかかわらず、飲食業界、特に零細な個人事業主の慢性的人手
不足にも非常に悩まされておるのが現状であります。零細な個人事業者は、日ごろ
から従業員の1人1人ときめ細かいコミュニケーションや工夫を行っているのも
周知のとおりでございますが、喫煙する客の数や割合には、立地とか曜日、あるい
は時間帯、業態によってもさまざまあるわけでございます。これも先ほど御質問に
もあったことかと思いますが、多くの事業者は、そういった状況もかんがみながら、
事業主として、従業員の顔色もよく観察しながら、ローテーションの配置の工夫や、
喫煙客が多ければ窓や扉を開放するとか、そういった措置もとりながら、きめ細や
かな工夫を組み合わせて、お店の実態に合った対応をしていると思っております。
 私どものこれからの取り組みのことでございますが、現在、本年の12月を目標
にステッカーを作成いたしております。既にもう神奈川県では実施をされておるか
と思いますが、全会員に向けてのステッカーの作成を進めております。分煙は完全
禁煙と全く違う考え方ではいけない、分煙と完全禁煙は別物と考えなくてはいけな
い、そういった観点から、私どもは、選択分煙と呼んでいいのでしょうか、こうい
ったこともこれから進めてまいりたいと思っています。お客様に合わせて表示を行
い、適切な対応をとっていきたいと考えております。
 最後に、一口でいえば、国内すべての事業所が全面禁煙とされれば、本当に労働
のコストや、あるいは店舗の汚れ、経営のコストも下がることでしょう。しかし、
喫煙者、非喫煙者、どちらもが気持ちよく過ごせるよう努力していくことが非常に
大切で、これに異論を唱える方はいないのではないかと思っております。ぜひとも
私ども飲食業界に対しまして、これまで同様に温かい御理解と御支援を賜りますよ
うにお願い申し上げ、簡単でございますが、私のほうの意見発表とさせていただき
ます。ありがとうございました。

○司会 小城様、ありがとうございました。
 それでは、ただいま頂きました御意見に対しまして、委員の皆様からコメントや
質疑をお願いいたします。

○内藤委員 御報告、ありがとうございました。
 2〜3、御質問申し上げたい点がございます。最後の方でおっしゃいました選択
分煙の推進というようなお話について、選択分煙と申しますのはどのような内容で
あるかを、よろしければ御説明いただきたいと存じます。
 第2の御質問といたしましては、御発言の最後の方で、正確な表現は失念しまし
たが、業界団体あるいはそれぞれの店舗の自主的あるいは自助的な努力というもの
を推進したいというお話であるかと理解いたしました。それでは業界団体のお立場
としては、自主的あるいは自助努力というのはどのような内容で、どのくらいの年
限でお進めになる御予定であるか、そのあたりを、もしよろしければお聞かせいた
だけますでしょうか。お願いいたします。

○小城氏 はい、ありがとうございます。
 まず、選択分煙ということを申し上げましたが、完全禁煙のお店、また分煙を実
施しているお店、もう1つには完全にお吸いいただけるお店、そういったことで表
示をするということで、私どもは選択分煙というふうに考えております。
 今日は資料を御提示してございますが、こういった形でただいま作成中のステッ
カー、年内につくる予定でございますが、消費者の方にきちんとお示しをして、消
費者の方に選んでいただく、こういったこともあってもいいんじゃないかと考えて
おります。
 また、業界で自主的な分煙対策という御質問でございますが、これも数々の研修
会等々、年じゅう開きながら、地域の方々の御意見も十分に踏まえながら、私ども
はあくまで今の立場では分煙対策を推進するということで考えております。
 以上でございます。

○内藤委員 申し訳ございませんが、今のお話では視点が少々食い違っているよう
に思います。完全禁煙、完全喫煙、そしてまた分煙のお店をステッカーでお示しに
なるというのは、顧客に対する対応だと思います。今回のテーマは、その中で働い
ていらっしゃる方々に対しての御対応をいかがなさるべきかということだと理解
しております。そう考える際に、例えば完全喫煙になった店舗で、非喫煙者の労働
者の方々が働く場合の対応はいかがでございましょうか。

○小城氏 飲食店の従業者、いわゆる従事者の働く場所というのはほとんど客席ス
ペースであって、もちろん従業者の健康への被害は、経営者としては十分考えなく
ちゃいけないということはございますが、一方で調理場で従事する調理者、これに
対しては、もちろん食品衛生の観点上、調理中に喫煙ということは全くあり得ない
行為ですし、それは考えなくてもいいといたしまして、一般的にお客様にサービス
をともにする、いわゆる従業員に対しても、まず客席での環境をきちんと整えると
いうことから入るのが第一じゃないかなと考えております。

○中村委員 飲食業においては全面禁煙にすることによって売り上げが落ちるの
ではないかと心配しておられるのではないかと思いますが、これは他との比較にお
いておこることで、規則をつくりみんなが一斉に始めた場合には、負担は少なくな
るのではないでしょうか。

○小城氏 売り上げに影響するということでございますか。

○中村委員 全面禁煙にしているところと、していないところと比較した場合に、
禁煙にしたために売り上げが落ちるのではないかという心配をお持ちだと思いま
すが、規則を作り一斉に行うという形がとられた場合には、影響は少ないのではな
いでしょうか。

○小城氏 そのときはもう選択の余地がないわけですから、経営環境というか売り
上げに影響するということは考えられないんじゃないかなと考えております。
 こういったデータもあります。もう既に全面禁煙を実施をしている店舗、これは
2年ほど前のデータでありますが、全体で、私どもの会員の中で約20%、何らか
の措置を講じている店舗は、分煙、禁煙帯も含めて47%くらい、約半数くらい、
こういったデータもございます。

○中村委員 そうすると、全面禁煙の導入を後押しするという意味では、そういっ
た制度があったほうがやりやすいということですか。

○小城氏 財政的支援ということでございますか。

○中村委員 全面禁煙という規制ができた場合のほうが、皆さんが一斉に始めるき
っかけになりやすいといことではないでしょうか。

○小城氏 私どもの立場としては、全面禁煙は真っ向から反対の立場でございます。
あくまでも分煙に努めていきたいと考えております。

○司会 すみません、静かにお願いいたします。

○谷口委員 最初の検討会の報告書の中で、全面禁煙、空間分煙が困難な場合は、
もっと強力な換気を設けることによって、室内の濃度を下げることが必要だという
ような指摘があるんですけれども、中小零細の飲食店で、今よりどの程度になるか
わかりませんけれども、強い換気設備を設けた場合に、当然その設備を設置する費
用がかかると思いますけれども、それは別として、強い換気設備をつけた場合に、
営業上何か課題があれば、お教えを頂きたいと思うんですが。

○小城氏 影響は非常に大だと思います。特に飲食店は、冬場の暖房または夏場の
冷房、空調には非常に気を使っているところでございまして、今お示しいただいて
います換気基準を仮に採用された場合、1時間当たりの換気回数、恐らく倍くらい
になるかと思います。そういったことでも、空調設備の入れかえとか、あるいは通
常のランニングコスト、これが非常にかさむんじゃないかと懸念をいたしておりま
す。
 また、財政的なところで申し上げますと、今、厚生労働省のほうから示されてお
ります来年度予算の要求の中で、4分の1程度を助成するという案が出ておるよう
に聞いております。これも、いわゆる分煙施設の確立した装置じゃないと対象外と
いうようにも聞いておりますので、これは中小の零細なスペースの店舗には全く対
応できない制度じゃないかなというふうにも考えております。

○司会 それでは、時間が参っておりますので、これで終了したいと思います。小
城様、どうもありがとうございました。
 それでは、ここで約1時間半経過いたしましたので、10分間の休憩を入れまし
て、15時50分に再開したいと思います。よろしくお願いいたします。


(休  憩)


○司会 大変お待たせいたしました。それでは、再開いたします。
 休憩の前までに5人の方に御発表いただいたところです。これから残り3名の方
から御発表を頂きます。
 6番目の方は島谷喜代孝様です。島谷様は、関西たばこ問題を考える会の会長で
いらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。

○島谷氏 ただいま御紹介いただきました、関西たばこ問題を考える会の島谷でご
ざいます。本日はこのような場所で機会を頂きまして、本当にありがとうございま
す。では、ただいまから発表させていただきます。
 まず、お手元の資料に沿って説明させていただきたいと思います。
 私どもの関西たばこ問題を考える会は、昭和63年に発足し、その設立の目的と
いたしましては、たばこを吸う人と吸わない人がともに理解し合える社会をつくっ
ていこうということを目指しております。
 主な活動といたしましては、喫煙についての理解の促進と喫煙マナーの啓発、そ
れについては関西の主要都市で年50回以上、清掃活動を通じて、ポイ捨て防止や
人に迷惑をかけない喫煙マナーの啓発に取り組んでいるところでございます。そし
て、喫煙場所の確保。
 続きまして、私たちは、愛煙家のたばこの楽しみ方と喫煙マナーについて、次の
ように考えてございます。
 たばこについては、日本では400年以上の歴史を有し、庶民の生活に定着してい
る嗜好品であります。我々は、特に喫煙マナーの向上と喫煙場所の確保が重要な課
題と考えております。その喫煙マナーについては、たばこのポイ捨てや歩行喫煙な
ど厳に慎むとともに、たばこの煙に不快感を持たれる人にも配慮した喫煙をやって
いこうと。そして、喫煙場所については、喫煙マナーのさらなる向上には、喫煙者
の排除だけではなく、適切に喫煙する場所を確保することが重要と考えております。
また、その場所で正しく吸っていくことが、マナー発信の拠点になると考えてござ
います。
 続きまして、たばこに関する規制につきましては、平成14年に千代田区の路上
喫煙防止が制定されました。それは環境美化が主たる目的でスタートしたというふ
うに認識しております。翌年15年に、健康増進法第25条(受動喫煙防止)が制定
されました。その後、大阪府の府庁が全面禁煙になったり、神奈川県の受動喫煙防
止条例が制定されました。その内容については、分煙でなく、屋内だけでもなく、
敷地内も全面禁煙が進行してございます。私の住む兵庫県庁も同様な形で進んでい
ます。これらの規制を行う上では、法制化をする十分な根拠があるのかどうか、見
きわめた上で検討されるべきではないかと思っております。
 続いて4番目で、受動喫煙と健康との関連について申し上げます。
 さまざまなデータが発表されておりますが、我々は次に取り上げた2つの研究発
表に注目してございます。
 1つは、国際がん研究機関による受動喫煙の相対リスクです。その結論として、
受動喫煙は家庭内・職場とも肺がん発症とは無関係であったと報告されております。
手元の資料に、家庭、職場、総合という形で、相対リスクの信頼区間という数字が
出ておりますが、一応すべて1以下なので、受動喫煙と肺がんとは無関係であると
いうふうに報告されております。調査国については、イギリスを初めとするヨーロ
ッパ7カ国で調査されたものでございます。
 2つ目といたしまして、アメリカのカリフォルニア大学の公衆衛生学部による受
動喫煙のリスク、これは39年間追跡をした、本当に大規模な調査結果です。その
結果も、受動喫煙によって肺がん並びに虚血性心疾患の死亡率には有意差はないと
報告されております。表の中でも、その数字を見る限り、約3万5000人の男女に
有意差はないというふうに見られます。これにつきましては、ブリティッシュ・メ
ディカル・ジャーナルの2003年5月号に発表されたものでございます。
 以上のことから、今後の職場における規制のあり方について、6点ばかり御意見
を申し上げたいと思います。
 1つは、喫煙というものは個人の嗜好の領域に属するものだと思います。受動喫
煙のリスクについては異論もあり、明確に害があるという根拠のないものについて
公権力が介入することは、個人の尊重や自由を害するとともに、私企業への経営の
介入にもなります。
 2つ目、最も大切なのは、喫煙者と非喫煙者が共存できることだと思います。そ
のためには、非喫煙者に迷惑がかからないよう、喫煙者がたばこを吸える場所をき
ちんと確保することです。受動喫煙の問題については、喫煙者がマナーを徹底する
ことと、喫煙できる場所をきちっと設けることで回避できると思ってございます。
 3つ目に、喫煙室や喫煙可能な場所における厳格な基準の適用は、設置や改作の
ためのコストがかかり過ぎるため、事業者にとっては多大な負担となり、結果とし
て喫煙場所を設けられなくなり、また職場によっては、喫茶店やバーなどの飲食店、
パチンコ業などの遊戯場、それから一般のオフィス、営業所、工場など、本当にさ
まざまな業態があることから、一律な基準を設けることには無理があると思ってお
ります。
 喫煙場所がなくなれば、たばこを吸える場所がなくなり、本来吸ってはいけない
場所でたばこを吸う人が出てくるなど、かえってマナー違反の人がふえる可能性が
あります。
 5番目には、喫煙場所確保のためには、事業者の投資を無駄にすることのないよ
う、これまでの取り組みを認めるとともに、コストをかけずに対応できる取り組み
を受動喫煙防止策として評価することが大切だと思います。
 そして、国や地方行政の庁舎においては、喫煙場所を設置すべきです。そして、
受動喫煙防止の対策の好事例として民間企業に示すことで、取り組みを推進すべき
だと思っております。
 最後に、国民のコンセンサスの形成に向けて、個人の自由と経営の自主性を侵害
しかねない過度な規制は、到底国民の理解が得られず、単に反発を招くだけであり、
実効性を欠くものとなります。適正な設置場所を確保するためには、たばこを吸う
労働者と吸わない労働者が互いに協議して事業所の方針を決め、その方針を踏まえ
て事業者が適切な対策を行う等、その事業者の方がみずからの事業所の喫煙対策の
方針を決め、自発的に取り組めるような内容とすべきと思っております。
 以上、発表を終わらせていただきます。

○司会 島谷様、ありがとうございました。
 それでは、ただいま頂きました御意見に対しまして、委員の皆様からコメント、
質疑をよろしくお願いいたします。

○相澤分科会長 御発表、ありがとうございました。
 20ページの4「受動喫煙と健康との関連」につきましては、お示ししたデータ
もあるとは思いますけれども、後で矢野先生が発表されますけれども、疫学研究と
いうのは、デザインとか、その中に入る対象とか、非常に難しいところがあります。
国際がん研究機関というのは、いろんな論文を精査してまとめて発表するところで
ございまして、そこで実際に疫学研究をやるということではありませんので、確か
に論文によっては、肺がんの発生が関係ないというのもありますけれども、あると
いうのも当然あるわけでございます。
 平山先生という、日本では30年前にがんセンターの疫学部長をされた先生の、
家庭内の受動喫煙で、たばこを吸わない奥さんの肺がんの発生が高いというデータ
もございますので、全くないというと、非常に誤解を生じると思います。また、虚
血性心疾患についても、あるというデータがございますし、職場に限って調べた報
告書が中央災害防止協会から出ておりますけれども、肺機能が加齢によって落ちる
わけですけれども、たばこを吸う人のほうが落ち方が激しいとか、あるいは、職場
ではございませんけれども、子どものぜんそくの発生率が高いとか、呼吸器疾患の
率が高い、あるいは症状の有訴率が高い、そういったエビデンスは十分ありますの
で、こういうふうな書き方をされると、ちょっと誤解を生じますので、十分精査を
していただければと思いますけど。

○島谷氏 私どもも医学の専門ではございませんが、いろんな疫学データの中で有
意があるデータとか、あるデータによればこのように、そんなに相関がないという
ふうなデータとか、いろんなデータが出ております。我々は、有意がある、相関関
係があるというものが余りにも全面的に示される中で、実はこういうデータもあり
ますよという形で、あえて私は申し上げさせていただいたところでございます。

○相澤分科会長 誤解があると困るので追加しますが、国際がん研究機関の最終的
な結論は、動物実験等含めてタバコに発がん性があるというふうに判定されており
ますし、また後で矢野先生からも報告がありますけれども、日本の産業衛生学会で
も、許容濃度等委員会で職場のタバコを発がん因子として認めることが27ページ
にございます。そういったことがありますので。

○島谷氏 そういった意見とかデータが発表されたというのも、概要的には自分で
は把握しているつもりで、あえていろんな疫学的なデータが一応出ていると申し上
げております。本当の科学的な解明というのは、今のところまだわかってないんじ
ゃないかなと、私個人はそのようには理解しているつもりです。

○今田委員 御発表、ありがとうございました。
 1点だけ、議論の立論のプロセスについて、私がちょっと疑問に思う点について
お聞きしたい。喫煙者と非喫煙者は共存できる。だから、自発的に考えればいいと
いう御議論だったと思うのですが、1点お聞きしたい。喫煙者というのは、有害と
されているたばこの煙を出す人ですよね。非喫煙者というのは何もしない人ですよ
ね。両方が責任を持って自発的という枠組みはおかしいのではないですか。害を出
す人が害を出さない人に対して行動なりルールなりをつくって被害を与えないよ
うにという枠組みでなければおかしい。両方が共存できるように自主的に考え、外
からのルールを入れないでという議論は、どうも議論としておかしいと思いません
か。やっぱり害を出す人が出さないように、あるいは害を与えないようにするため
にはどうしたらいいのか、この点についてコントロールなりルールをつくるべきな
のではないでしょうか。

○島谷氏 私たちたばこを吸う人は、マナーの啓発の中で、吸わない人のためにも、
どういうふうなマナーを守って、またマナーに沿った行動を起こしていけばいいか
を考えて行動しているんではないかと。例えば、吸わない人がたくさんいらっしゃ
る、それから大勢の人ごみの中、そういうところでは、たばこの煙だけでなく、に
おい自体が嫌な方もいらっしゃるので、そういうところではきちっとマナーを守っ
て吸わないようにしていこうと我々は考えています。また、我々はマナー啓発活動
を通じて、我々以外のたばこを吸う人のマナーをきちっと徹底していこうと。それ
と、世の中には吸わない方も、吸う人もきちっと生活しているんだと。吸う人が吸
わない人に配慮するのと同じように、吸わない人たちからも吸う人たちのことを考
えていただいて、吸うべき場所というのを、こういうところに喫煙場所をつくって、
そのあたりできちっとマナーを守って吸っていただけたらなというふうに、お互い
が理解をし合える社会をつくれたらいいなというのが、私どもの考えでございます。

○司会 時間が参っておりますが、よろしいですか。――島谷様、どうもありがと
うございました。
 次に、野上浩志様にお願いいたします。野上様は、NPO法人「子どもに無煙環
境を」推進協議会の理事でいらっしゃいます。
 なお、ちょっと事務局からおわび申し上げますが、この資料の表紙に資料1、資
料2と書いてございますが、どれからが資料1かというのを明示しておりませんで、
ちょっと混乱を来しておるようです。資料1は4ページから5ページの2ページで
ございまして、資料2が各意見発表者の意見概要で、6ページからになっておりま
して、それぞれ順番に並んでおりますので、よろしくお願いいたします。

○野上氏 大阪から参りました野上です。よろしくお願いします。
 ちょっと自己紹介的ですけど、このような禁煙啓発のカレンダーを毎年つくって
いまして、来年のカレンダーをつくりました。これはネット上に載せていますので、
また御覧いただいたらと思います。
 先ほど、小宮山副大臣がおられるときにちょっとおっしゃいましたけれど、日本
国憲法では、条約というのは誠実に遵守することを必要とするということで、法律
の上位に位置付けられているわけで、たばこ規制枠組条約あるいはガイドラインを
誠実に早期に遵守していただきたいというふうに、常々要望しています。
 これは時間の関係で詳細は省きますが、例えば厚労省なんか、ガイドラインに法
的拘束力がないということをわざわざホームページに書いておられる。こういうこ
とは改めていただきたいと思います。
 本題に入りますが、今日は特に浮遊粉じん0.15mg/m^3というのが余り議論され
てないし、この分科会でも論議されているように見えないので、これを重点的に申
し上げたいと思います。
 0.15mg/m^3とは何やということですね。これは余り御存じない方もおられるか
もしれませんが、1968年に公害問題で大気汚染防止法というのができたときに、
1972年に室内環境も網をかぶせようということでビル衛生管理法、今では建築物
衛生法といったほうがいいみたいですけれども、この法律及び事務所衛生管理規則
等でこの環境基準値を参考に決められた数値なのです。これは大気汚染防止法で浮
遊粉じんの環境基準値が、0.20 mg/m^3というのが1時間値で、0.10mg/m^3という
のが1日平均値ということで、その間をとって、多少エイヤッと決めたのが0.15
mg/m^3なんで、必ずしも科学的根拠が十分にあったわけではないし、当時はたば
こ煙というのはほとんど考慮されてなかったので、こういう形で決めた。
 浮遊粉じんというのは粒子径が10μm以下ということですけれど、粒子径が2.5
μm以下の微小粒子、PM2.5というのが最近特に焦点を浴びていますが、たばこ
煙粒子というのは大半が1μm以下なんです。実は昨年2009年の9月に環境省の大
気汚染による微小粒子状物質に係る環境基準というのが決められたんですね。この
ことは余り論議されてないみたいですけど、配布資料にも書いていますが、0.015
mg/m^3が1年平均値で、1日平均値としては0.035 mg/m^3ということなんで、先
ほどの0.15 mg/m^3に比べて数分の1以下ということですね。だから、約40年前
に決められたように、これを踏まえた値として屋内の基準を考えるべきなんですね。
ちなみに、0.15 mg/m^3というのは、PM2.5に換算すると大体0.10から0.15の
間とされていますけれども、それに関連して規制すべきである。
 この0.15 mg/m^3というのは国際的にはべらぼうに高い値なんですね。それをち
ょっとだけ紹介しますと、これは米国ガン協会コホートで調査されて、WHOでも
使われているんですが、PM2.5が10μg/m^3ふえると全死亡率が6%ふえるとい
うことが示されているわけですね(資料参照)。これはよく使われているんです。
先ほどの0.15 mg/m^3は150μg/m^3ということですので、これはPM2.5に換算
して100μg/m^3とすれば、10μg/m^3 の10倍になるわけです。そうすると、100
μg/m^3のたばこ微小粒子にばく露され続ければ、10万人あたり、急性の場合1万
人から慢性の場合6万人の生涯超過死亡リスクがあるということなので、非常に高
い値なんですね。
 これを近年問題になっているアスベストの環境基準と比べてみると、それの生涯
死亡リスクは資料でもお示ししているように、10万人あたりは6.7人なんですね。
ということは、資料にお示ししているように職場の分煙基準0.15 mg/m^3、PM2.5
では100μg/m^3での10万人あたり1万人から6万人の生涯超過死亡リスクは、ア
スベストのリスクの数千倍にもなるわけです。こういうことがいまだにまかり通っ
ているということは許されないことで、ここ数年来、私どもは厚労省にこの改善と
いいますか見直しを要望・提案しているところです。
 次の資料はPM2.5の値で示しましたが、100から150μg/m^3というのは「危険」
のところに入るわけですね。心臓病、肺の悪い人とかは非常に影響がある。環境省
の環境基準がそのまま援用されるとしたら、35μg/m^3以下が1日平均値基準でし
たけれども、この辺が許容範囲内にあるわけですね。だから、今、野放しになって
いる、例えば喫茶店とかいうのは、「大いに危険」とか「緊急事態」に入るわけで
す。
 次にお示しした資料は、実測値のものでプロットして、少し古いデータもありま
すが、例えばタクシーなんかは、今、全国的に禁煙になりましたけれども、タクシ
ーの中でたばこを吸われたら、こういう非常に高い値になる。これは「緊急事態」
以上なわけですね。ここはPM2.5であれば100ですので、これを現実に越えてい
る喫茶店とかパチンコ店とかファーストフードとか、こういうふうに危険という状
況が、今、日本で未だに許され続け、お客も従業員も健康が損なわれ続けていると
いうことを、ぜひ委員の方々に知っていただきたいと思います。
 だから、もし基準を設けるとしても、この辺、15〜35μg/m^3以下、に基準を設
けるべきです。環境省がこの辺を、大気環境ですけれども、微小粒子状物質として
設けているわけですから。しかし現実にはこの数倍のPM2.5相当の100μg/m^3
が職場の分煙基準値として今も放置され続けているのは由々しき事態です。
 次に、これはこの前、国立がん研究センターから発表されましたが、例えば我が
国では少なくとも6800人が受動喫煙で毎年亡くなっていて、職場の受動喫煙に起
因するのがこのうちの半数の約3600人と推計されている。この後でこれは矢野先
生が詳しくお話されると思いますが、今年2010年5月に日本産業衛生学会が「た
ばこ煙は発がん物質の第1群」に指定しました。第1群というのは、人に発がんリ
スクを増加させる十分な証拠があるということで、このたばこ煙というのは受動喫
煙のことです、本人の吸う能動喫煙じゃなくて。この「たばこ煙は発がん物質の第
1群」に指定ということは、有害物質規制にとって極めて重要で、特に日本の受動
喫煙規制にとって画期とされるべきことです。
 もう1つは、ちょっと時間が余りないのですが、今の発がんとか死亡とかありま
したけれども、たばこ煙を規制して発がんが抑えられるというのは、20年、30年
かかるわけですが、心筋梗塞の場合は、慢性の場合もありますけれども、急性の場
合はすぐに効果があらわれるということで、禁煙したために、心筋梗塞が大幅に減
っているということが、国際的にいろいろなところから報告されているわけですね。
スライドにお示ししたように去年発表された論文では平均して17%の減少が見ら
れる。
 意見のまとめとしては、これは一番最初の【意見】ところに書いている文章その
ままですけれども、最後に申し上げたいのは、新成長戦略の「2020年までに受動
喫煙のない職場の実現目標」というのは早急にぜひ実現していただきたいと思うの
です。2020年までということになると、日本は受動喫煙による危害の「人体実験」
をしている状況がそれまで続いているということですので、早急な対処対策をぜひ
よろしくお願いします。
 以上です。

○司会 野上様、ありがとうございました。
 それでは、ただいま頂きました御意見に対しまして、委員の皆様からコメントや
質疑をよろしくお願いいたします。
 野上さん、何か追加で御発言があったら、一言、二言。

○野上氏 禁煙にすると売り上げが落ちるという点で、ちょっと医学的データとず
れるんで追加発言させていただきたいと思います。先ほど委員の質問もありました
けれど、要するに一斉に禁煙に踏み切れば、売り上げが減る心配はないわけですね。
一遍に全部網をかぶせる、大きいところも小さいところもという、多少段階的に考
えるとしても、網をかぶせれば、みんな従って、お客はもちろんですけれども従業
員の健康が守られるから、そういうことが必要なわけですね。諸外国では一斉に禁
煙にして、売り上げは減らなかったよ、むしろふえましたよと。家族連れの人とか
たばこを吸わない人が店に行くからということで、そういうデータはたくさんある
わけですね。時間がなかったから、紹介しませんでしたけども。売り上げが減ると
いうのは、自主的に任せるから減るわけで、みんな一斉に網をかぶせて禁煙にする
ということで、従業員もお客も、国民全体の健康が守られるわけですね。ぜひそう
いうような法改正を早急にお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。

○司会 ありがとうございました。
 御質問等、いかがでしょうか。

○高橋委員 すみません、1つ、わかりましたら教えてください。先ほどの島谷さ
んの御発表だったと思いますが、2論文の結果について、疫学的には有意性はない
という御紹介がありましたが、ただいまの野上さんの御発表では、疫学的にはかな
りリスクが高い、こういうことを強調されておりますが、全体的に、全世界的に見
てもいいと思うんですけれども、信頼性のある論文の中で、そういう有害性を指摘
しているものと、余り関係ないんだよといっているものの比率、あるいはリライア
ブルな論文数がどのくらいあってどういう結果か、そんな情報があったら教えてい
ただけませんでしょうか。

○野上氏 例えば日本では、国立がん研究センター研究所のグループがずっと有害
性を調査して公表されていますし、そういうデータが生かされてないというのは残
念で、大半は有害であるということですね。先ほど、関西の方がおっしゃいました
のは、あの論文はたばこマネーが流れているような論文を紹介されて、1つは確実
にそうですし、もう1つはちょっと断言できませんけれども、そういうことで、全
体的に見れば有害で、受動喫煙は影響があるということで、これは後で矢野先生が
発表されると思いますし、それは確実で、確定している。厚労省もそういう立場だ
と思いますので、先ほど変なデータを紹介されましたけれども、あれは間違いだと
思います。

○司会 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。――では、どうもありがとう
ございました。
 それでは、最後になりましたが、矢野栄二様にお願いいたします。矢野様は帝京
大学教授でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

○矢野氏 帝京大学の矢野でございます。私は、日本産業衛生学会という学会の、
許容濃度等に関する委員会に20年以上携わっておりまして、最近この学会が、た
ばこに関連しての勧告を出したということで、そのことを中心にお話しさせていた
だきたいと思います。それから、今すごい議論になりましたね。ちょっと疫学のこ
とを後でつけ加えさせていただきたいと思います。
 委員の先生方に私が申し上げるのは、本当に文字どおり釈迦に説法ということか
と思いますし、既に岡本弁護士のほうから紹介がありましたが、労働安全衛生法と
いうのが、職場における労働者の、健康を守る上での基本になる法律であると思い
ます。先ほど岡本さんのほうからもありました第22条、岡本さんは第2項をつけ
ろということでしたけれども、つける前に第1項、既にある法律の第1項で、人を
雇って労働者に仕事をさせるときには、こういうものからの健康への有害な影響を
防がなければいけないと決められています。そのこういうものの中に、ガス、蒸気、
粉じんがありますが、これらはタバコに関連していることは御承知のとおりかと思
います。
 次の第23条にも、もう少し広い形で、換気そのほかで注意をして、労働者の健
康に害がないようにしなくてはいけないということが決められています。これは制
定されてもう30年近い時間がたつ法律です。しかもこれらはただ努力すれば良い
というのではなく、そういうことをきちんとやらない事業主は6カ月以下の懲役も
しくは50万円以下の罰金を払わなくてはいけないという、かなり強い意思を持っ
て、実行を求めています。そのことの基本になる考え方は、私の理解しますところ
では、2年前ですか、できました労働契約法という法律の中に、安全配慮義務第5
条が規定されておりまして、事業主が労働者に仕事をさせるときに、労働の対価と
して単に給料を払えば良いのではなくて、そのプロセスで労働者に病気やけがをさ
せてはいけない、そのことも含めて事業主と労働者の契約関係というのは成立して
いるのだと、非常に明確な契約関係であると。それを守らなかったら、懲役とか罰
金があるということだと思います。
 タバコの煙というのは、認識の差はさまざまですけれども、体に悪そうだと。今
まで労働安全衛生法の22条が適用されてこなかったということは、私ども産業衛
生学会という学術団体の責任も一部ありますけれども、いろいろなところでタバコ
の煙にばく露する。まず本人自身が吸っている場合が我が国は非常に多かったわけ
ですし、家庭で配偶者からばく露するということもあって、職場でのばく露にはど
れだけ影響があるかということがはっきりしなかった。そういうこともありまして、
職場でのタバコのばく露、それだけを取り出して発がんリスクを評価する、これは
産業衛生学会、労働者の健康を守るという立場で是非必要なことでありまして、そ
ういうことで確認作業を進めていったわけです。
 許容濃度等に関する委員会という産業衛生の学会では、発がん物質については、
基本になります国際がん研究機関(IARC)のモノグラフ、今までにタバコに関
連して38巻と83巻が出ておりますけれども、最新の2002年の83巻を見ますと、
すでに発表がありましたように、がんに関係があった、なかったといういろんな発
表があるわけですけれども、これを全部まとめていきますと、職場で、女性につい
て、受動喫煙の発がんリスクは相対危険度が1.19、95%信頼区間というのも1を
超えていて、有意に有害であるとまとめられました。女性とわざわざ書いてありま
すのは、男性は有意ではなかった。しかしだから、男性にはがんが出ないというふ
うに考えてしまってはいけません。単にこれは、後でもう一度申しますけれども、
信頼区間が1を含んでいたというだけであって、つまり調査数が少なかったんです
ね。男性の場合、自分でも喫煙する方が多かったため、統計的に有意とまではいえ
なかったけれども、やはり、がんになりそうであるという値までは出ておるわけで
す。
 こういうことで、実はこれは1500ページくらいの分厚い英語の報告なので、読
むのに大変苦労いたしましたけれども、それを読み、関連の元の文献も読んだ上で、
これは妥当であろうと考え、許容濃度等委員会では喫煙という行為ではなく物質で
アプローチしますので、タバコの煙というものを職場でばく露することで肺がんに
なる物質であるとして、発がん物質表の1群に加えました。1群・2群とあります
のは発がんの程度というよりも、証拠の強さによって分けておりますけれども、明
らかにヒトに発がん性があるという1群に加えたわけです。
 以上が私の所属します学会での話ですけれども、最近、がん研究センターの片野
田さんが、タバコの煙のために我が国で毎年職場で800人が肺がんで亡くなってい
るという報告をしています。それだけでなくて、既にお話が出ておりましたけれど
も、虚血性心疾患でもっと多い数、2800人が亡くなっているということが報告さ
れております。もう一度強調しますけれども、職場での発がん、ばく露に限ってこ
うだということです。
 ここで、発がん物質については、ただこれは発がん物質である、確かに発がん物
質だというだけです。許容濃度のほかの物質については、何ppmとか何mg/m^3以
下は大丈夫とかといった、ばく露基準を示しているわけですけれども、発がん物質
の場合にはそういう言い方をしないで、発がん性があるということでとどまってお
ります。といいますのは、先ほどの議論の途中で名古屋委員のほうから、分煙で濃
度が随分低くなったという指摘がありましたけれども、確率的影響ということをが
んの場合は考えますから、たとえ10分の1になって、1年間800人ががんになる
ところが80人になったから良いだろうとか、そういうことは学会としては言わな
い。これは社会の中で議論していただきたい。ともかく、濃度が10分の1になっ
ても発がんは起こるんだ、そういう立場だということです。
 がんの影響というのは、広島・長崎の経験では、20年、30年たってから、肺が
んなどが出てきます。諸外国で、飲食店などで喫煙を禁止しても、その結果でがん
が減ったという結果はまだ余り出ていないけれども、心筋梗塞、これは既にお話が
ありましたけれども、数字の上では随分減ってきているということが確認されてい
ますし、呼吸器疾患の減少ということも確認されております。
 ちょっと急ぎます。こういう発がんや心筋梗塞のために3600人、日本で毎年亡
くなっているという学術的な証拠があるにもかかわらず、全面禁煙しないで、分煙
でやっていったらどういうことになるか。従業員のほうから、「私はそこで働くの
は嫌だ」といったときに、事業主がそこで働かせようとしたら、「これは労働契約
法違反である、労働安全衛生法違反である、逮捕されるぞ」、ということができる
のではないか、きっとそう主張する人が出てくるのではないかという気がします。
 もし、どうしてもそれでも分煙でやりたいときには、これは労働安全衛生法です
ので、労働者ではなくて事業主、経営者がサービスする分には構わないので、分煙
領域は経営者だけでやってください、そういうことになるか、もしどうしても労働
者にやらせたかったら、いろんな対策がありまして、人数的に見ますと、発がん物
質にばく露する労働者、産業衛生学会が1群に入れました物質、例えばアスベスト
だと年間4万人くらいがばく露して検診を受けているわけですけれども、飲食店と
か観光バスとかパチンコとか、そういうところを合わせますと600万人、それ以外
も合わせますと1000万人くらいのオーダーの人たちがばく露しているので、そう
いう人たちに対してのきちんとした対策をとる必要がある。そういうことでいいま
すと、発がん物質に対する一般的な規制としまして、特殊健康診断、大体年2回や
らなくてはいけない。
 それから、健康管理手帳という制度がありまして、例えばたばこの煙にばく露さ
れる店で働いた労働者がやめるときには健康管理手帳をもらって、一生、年2回、
無料で検診が受けられるという制度を適用しないと、発がん物質とほかの物質との
取り扱いの間に整合性がなくなってしまいます。
 もちろん、環境の測定はしなくてはいけないし、発散源の湿潤化ということで、
たばこを吸う客に水をかけるといいのかなとか考えるんですけれども、そういうこ
ともありますし、特別の保護具をつけなくてはいけない。保護具のことは既に出て
いますけれども、発がん物質に対する保護具はスライドのような感じのものになる
のではないかなと思います。
 最後に少しお許しを頂いて、先ほどの具体的なデータのところを、お話しさせて
いただきます。

○司会 では、お願いします。

○矢野氏 資料の20ページの国際がん研究機関の資料について、先ほどから申し
ましたように、私どもはこれをもとに議論しました。実は私が持ってきたパソコン
の中にその文書が入っていますが、その1500ページ、22MBもある中で、検索をか
けましたが、この具体的な数値がヒットしませんでした。ただ、これを拝見しまし
て、少し変だなと思いましたのは、家庭と職場のオッズ比が1.16、1.17で、普通、
両者を統合すると、統合オッズ比はこの二つの数値の間になるべきなのが、1.14
と逆に離れたのが奇妙です。それからもう1つ、統合すると信頼区間というのは大
体狭くなるはずですね。それがむしろ広がったので、ほかの統合の仕方をとられた
のか、よくわかりませんが、はたしてデータの引用は正確なのでしょうか? この
元のデータが、パソコンの検索で見つからなかったので、直接の議論はできません。
もしかしたら今日は持ってこなかった古い1986年の38巻のほうのデータなのかな
という気もしましたが、いずれにしろ、途中でも申しましたように、これは決して
1未満の0.幾つではなくて1.16です。単に調査数をふやせば、これは有意にな
るわけです。信頼区間が1をまたいでいるので有意でないということと、関係がな
いというのは別です。私どもは大学で学生に生物統計学を教えていますが、そうい
う見方をしては決していけないと教えています。これは単にその調査数では有意で
なかったということであって、あくまで無関係レベルの1を超えた1.16であり、
その妥当な考え方は16%はがんがふえる可能性があるという意味だと、そういう
ふうに読まなくてはいけない。決してこれは発がんを否定しているわけではない。
強い肯定ができなかったというだけのことであるということです。
 2番目のカリフォルニアの論文、IARCのドキュメントの中にも関係がなかっ
たとか、むしろ1を割って0.幾つというような論文までも多数紹介した上で、最
終結論を出しています。そもそも間接喫煙のばく露をしているかどうかというデー
タすら、それをきちんととるのは非常に難しいわけです。間接的に、がんで亡くな
った人について、あの人はタバコを吸っていたか吸っていなかったか、周りの人か
らばく露の有無を聞き出す調査は非常に不正確になりがちなので、一応、数ある調
査を整理して、近隣の人から聞いたのではなくて、信頼できるデータがあるものだ
け集める。それから、亡くなる直前にばく露したかどうかでなく、がんの発生は
20年、30年ですから、ずっとばく露し続けていたかどうかまで調べた研究だけ集
めてまとめた結果が、先ほど申しましたように、1.19で有意に発がん性があると
いう結果になったわけです。IARCの中の一部だけを取り出して、あるいは古い
ほうを持ってきてこういうデータをおっしゃっているかもしれないけれども、IA
RC全体の結論は、そういうのも含めて検討した上で、タバコの煙は発がん物質で
あるということを学術的に結論付けているということです。ですから、タバコの発
がんにはちゃんとした根拠がないと発言者の方がおっしゃいましたが、これで根拠
がないということは、科学の全否定につながるなという気がしました。
 また別な研究がありまして、受動喫煙は害がある研究と、害がないという研究、
どういうときにその結論が違ってくるのかということでいろいろ調べた結果、例え
ば前向き研究、後ろ向き研究、調査対象数が多い、少ない、いろいろ比較した結果、
一番強く影響が出た要因というのが、たばこ会社から金をもらった研究かどうかと
いうことでした。これはJAMAというアメリカの医師会の雑誌に出ていた研究で
すが、たばこ会社から金をもらうと何と88倍、受動喫煙が無害であるという結果
を出しやすくなります。20ページに出されていますBMJの論文の最後を読んで
いただくと、たばこ会社からしっかり金をもらったと書いてあります。ですから、
結果の一部だけとか、都合のよいところだけ持ってこないで、ちゃんと論文を読ん
でいただきたいと思います。

○司会 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見に対しまして、委員の皆様から質疑等をお願いいた
します。

○高橋委員 先生、御報告、ありがとうございました。容易に理解できなかったの
で、1つだけ教えてください。最初に労働安全衛生法の第22条、第23条をお示し
になりましたが、要するに先生の御趣旨は、現行法規で有害物に対する規制という
ものがあるんで、それを現実的に推進すれば、今回の受動喫煙には対応できるんじ
ゃないか、そういう法的な枠組みは既にある、ということでしょうか。

○矢野氏 私はそう考えます。御専門の岡本先生に盾突くのはちょっと怖いのです
けれども、私は、第2項を新しくつくるということで、それまでは第1項は休んで
いなさいというのはよろしくないのではないかと、素人なりに考えております。第
1項に従って、実際にほかの発がん物質についてはかなり厳しい、ここまでやるか
というような規制をしているわけですね。タバコほどの明確な発がんの証拠がない
ものについても強い規制をしているのですから、せめてタバコについてもほかのも
のくらいの規制はしてほしいと思います。

○高橋委員 わかりました。ありがとうございます。

○名古屋委員 先ほど矢野先生がいわれたように、確かに発がん物質に閾値濃度な
しというのはよく知っているのですけれど、ただ、このときは先生、今、産衛学会
では、たばこ煙を1にしたので、例えば生涯過剰発がんリスクのような統計的な処
理をして、許容濃度委員会としてたばこ煙の濃度を出すということは可能なのです
か。その辺をちょっとお聞かせいただきたい。

○矢野氏 当然発がん物質については、発がんだといっておしまいにするだけでは
なくて、どのくらいの発がん性があるかということで、私自身もかかわりましたア
スベストについて、労働者が生涯、大体50年くらい働いて、1000人のうち1人、
がんがふえる濃度がどのくらいのアスベストの濃度だというような勧告を出した
ことがあります。たばこについても、これからそういうことをしなくてはいけない
のですけれども、きっとすぐにはできないと思っています。といいますのは、ばく
露があったかなかったかというデータをやっと集めているところなので、濃度まで
はちょっといかないのではないか。すみません、我々、もっと努力しなくてはいけ
ないのですけれども、何せ全員、学会は手弁当でやっていて、厚生労働省から1円
ももらっておりませんので。

○司会 それでは、時間も参っておりますので、矢野様、どうもありがとうござい
ました。
 以上をもちまして、予定されていた8人の方々の意見発表が終了いたしました。
 最後に、相澤分科会長から、本日の公聴会全体を通したまとめをお願いいたしま
す。

○相澤分科会長 8人の方から大変貴重な意見発表を頂きまして、どうもありがと
うございました。それぞれいろんな角度から御意見を頂きました。今日頂きました
御意見あるいは議論を十分踏まえまして、今週12日に予定しております労働政策
審議会の安全衛生分科会におきまして、再度、職場の受動喫煙対策防止のあり方に
ついて、議論をする予定でございます。
 本日はどうもありがとうございました。

○司会 それでは、以上をもちまして、職場における受動喫煙防止対策に関する公
聴会を閉会いたします。
 事務局の不手際で、資料に見づらいところがあったり、時間が超過してしまった
ことをおわび申し上げます。
 本日の公聴会で頂きました御意見につきましては、整理でき次第、ホームページ
で発表することとしております。
 意見発表の方々並びに委員の皆様方におかれましては、お疲れ様でした。また、
会場の皆様にも、会の進行に御協力いただきましたことを御礼申し上げまして、閉
会の締めといたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課環境改善室

電話代表: 03−5253−1111(内線5506)

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