ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会年金部会)> 独立行政法人評価委員会年金部会(第28回)議事録




2010年8月20日 独立行政法人評価委員会年金部会(第28回)議事録

○日時

平成22年8月20日(金)13:30~17:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

   山口部会長、川北部会長代理、竹原委員、樋口委員、安達委員、大野委員、光多委員


○議事

(以下、議事録)
 
○山口部会長
 定刻になりましたので、ただいまから「第28回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、始めに事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 まず、年金・健康保険福祉施設整理機構に関して、財務諸表に関する意見、それから総合評価について、審議を進めていただきたいと思います。そのあと休憩を挟みまして、年金積立金管理運用独立行政法人に関して、財務諸表に関する意見、年金積立金運用報告書、総合評価、それから今回は中期目標期間の最終になりますので、その最終評価を行っていただきます。それから、運用法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定もしていただきたいと思います。最後に事務局から、その他として、独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法の変更について審議いただきたいと思います。
 審議案件の進め方について説明させていただきます。財務諸表に関する意見については、担当委員である樋口委員からヒアリングの結果をご報告いただきまして、それを踏まえご審議いただきます。それから総合評価について、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただいた総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評定理由」の案等についてご審議いただきたいと思います。また、皆様にご記入いただきました評定記入用紙及び評価シートについては、参照いただけるようにお手元に置かせていただいています。後ほど、本日の審議等を踏まえまして、評定記入用紙を確定いただく時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いします。年金積立金運用報告書については、後ほど所管課より説明があります。
 それから、中期目標期間の業務実績の最終評価結果については、今回、最終評価というのは初めてなので、お手元の評価の関係資料集の53頁をご覧ください。この部分は、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」となっています。1枚めくっていただきまして54頁の下に3.という所がありまして、「中期目標に係る業務の実績に関する評価」という欄があります。その右側、55頁の下のほうですが、(3)の?Aに「中期目標期間終了後、?@の暫定評価結果を踏まえつつ、次の手順により最終評価を行うこととする」とされています。これは、去年度暫定評価を行っていただきましたので、その結果を踏まえつつ次の手順により最終評価を行うことになっています。
 2つ目の○ですが、「最終評価に当たっては、必要に応じ各部会において法人からヒアリングを実施し、本基準に基づき中期目標期間に係る一次評価を行った上で、総会において最終評価を決定する。」とされています。つきましては、これまで各年度の業務実績の評価等を基に、起草委員に最終評価結果(案)を作成していただいていますので、これについてご審議をいただきます。先ほども申し上げましたとおり、最終評価については、年度実績の評価と違いまして、部会において最終評価結果(案)を審議していただいたあと、総会にて最終評価の結果を決定する形になっていますので、よろしくお願いします。
 本日の議題とは関係はないのですが、お手元に参考資料を置かせていただいています。これは、「独立行政法人評価委員会における『独立行政法人の役員の報酬及び職員の給与水準』の活用について」というものです。昨年度も同様に配付していますが、評価に際しての参考となるよう、総務省の行政管理局から各府省の独立行政法人評価委員会宛に送付があったものです。役職員の給与等の水準をまとめた資料となっています。これについては、当部会においても前回までご審議いただいた中で、法人から特にラスパイレス指数について説明をさせていただいているところです。
 特に留意いただきたいのは、6頁目に資料1「職員の給与水準」がありますが、上の段の右側ですが、対国家公務員指数(年齢勘案)として、平成20年度と平成21年度を比較した数値、それから、対国家公務員指数(年齢・地域・学歴勘案)として、平成20年度と平成21年度を比較した数値を整理したものとなっています。総務省において、全独立行政法人について一斉に整理したものです。議事については、以上です。

○山口部会長
 それでは、議事に入りたいと思います。まずは、総合評価書、財務諸表に関する意見について、起草委員の皆様方には、お忙しい中、ご尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。始めに、年金・健康保険福祉施設整理機構について審議をしたいと思います。まず最初に、財務諸表に関する意見について審議を行います。財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づきまして、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされています。それでは、財務諸表について、担当の委員である樋口委員から説明をお願いします。

○樋口委員
 前回の評価委員会の終了後に、1時間ほど経理の方々に、財務諸表の説明をいただきました。その節は、ありがとうございました。前年との比較や会計処理及び数値の比較・検討、それから説明をいただいた結果、独法の会計処理基準に従って適法に処理されているものと判断いたしました。
 1つだけ毎回申し上げていることなのですが、最終的な意見と関わりのないことなので参考までにお聞きいただきたいと思います。毎回申し上げている公益法人の持っている剰余金の処理なのですが、それはいままで継続している、かつ5年の限られた期間ということで、途中で何も変えることもないことかもしれないし、最終的に国庫に納付されれば結果として大きな問題は発生しないということで、あえてそのままずっときたわけです。今回、一旦5年の期間が過ぎて、そのあとに病院施設などの処分にもし入るような状況になったときには、やはりご検討いただきたいなと思いますので、あえて1つ申し上げておきたいと思います。
 なぜそういうことを申し上げるかというと、やはり財務諸表のうちの損益計算書は、当独法の業績を表わすものですから、公益法人が持っていた剰余金というのは、当独法の業績を表わす収益には何ら貢献していないものだということには、私は基本的に変わりないと思っています。ただ、契約上、公益法人が解散しない限りは、当独法に帰属しないという点においての処理だったと伺っていますが、今後、病院施設などに関してはいろいろとコンサルティングをしたり、あるいは修繕をしたりと、いままでの施設の売却と違った対応があるということを、前回、理事長さんはおっしゃっていました。それに対応した処理として考えると、やはり契約上のキャッシュとして入ってくるのは公益法人の解散時かもしれませんが、施設に手を入れたり、あるいはいろいろいままで公益法人が行き届かなかったことに関して修理したりということであれば、それはもし蓄積された剰余金があるのであれば、それを本来使うべきものではないかと思うのです。
 したがって、損益計算書への表示という意味でいうと、それは収益に表わされるのではなくて、実際に使った費用と相殺されるものではないかと思うのです。その辺は、担当する会計監査人とご相談いただいて、いままでの会計処理を継続するのでない方法でご検討いただきたいと思いますので、今期の話ではなく来期以降の話になるかと思いますが、あえてその点だけ付け加えさせていただきます。

○山口部会長
 ありがとうございました。ただいま報告をいただきました年金・健康保険福祉施設整理機構の財務諸表について、ご意見等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。修正意見が特にないようですので、平成21年度の財務諸表についての意見書として、資料1-1を取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。以上について、そのような取扱いでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 次に、年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価について審議をしていきたいと思います。まず、事務局から「平成21年度業務実績全般の評価」という結論部分を中心にご紹介をいただきまして、その上で、起草委員である川北委員からご講評をいただく形で進めていきたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 資料1-2が業務実績の評価になっていますので、1頁目から読み上げさせていただきます。1.平成21年度業務実績について。(1)評価の視点。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「施設整理機構」という。)は、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法の一部を改正する法律第7条の規定による改正前の厚生年金保険法第79条又は同法第3条の規定による改正前の国民年金法第74条の施設及び健康保険法第150条第1項又は第2項の事業の用に供していた施設であって厚生労働大臣が定めるものの譲渡又は廃止等の業務を行うことにより、年金福祉施設等の整理を図り、もって厚生年金保険事業、国民年金事業及び全国健康保険協会が管掌する健康保険事業の適切な財政運営に資することを目的として、平成17年10月1日に新たに発足した独立行政法人である。
 今年度の施設整理機構の業務実績の評価は、平成17年10月に厚生労働大臣が定めた中期目標(平成17年度~22年度)の第5年度(平成21年4月~22年3月)の達成度についての評価である。
 当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に基づき、平成20年度までの業務実績の評価において示した課題等のほか、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から示された「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」や「平成20年度における厚生労働省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果等についての意見について」等も踏まえ、評価を実施した。
 施設整理機構は、年金資金等の損失を最小化するという考え方に立って、平成22年9月までの5年間に、全ての年金福祉施設等を譲渡又は廃止することを使命とし、譲渡に当たっては、価格は極力高く、かつ、全ての施設を譲渡するという、両立が極めて困難な2つの大きな使命を与えられている。
 したがって、施設整理機構の評価に当たっては、中期目標期間の最終の事業年度(平成22年度)までに、全ての出資対象施設の譲渡又は廃止をする。各年度にあっては、年度計画に定める譲渡予定対象施設の譲渡又は廃止をする。年金資金等の損失を最小化する観点から、適正な譲渡価格を設定するといった事項についての達成状況、具体的な取組方法、又はその取組における創意工夫を評価の基本とし、その上で、委託先公益法人等の従業員の雇用への配慮及び地方公共団体との協議など、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて考慮した総合的な評価を実施することとした。
 また、施設整理機構の設置目的を達成するに当たって、トップマネジメント機能が有効に発揮されたかについても評価した。
 (2)平成21年度業務実績全般の評価。平成21年度における譲渡業務の実績は、落札ベースで58施設124物件約814億円の売却額であり、計画比372億円のプラス、出資価格対比では99.8%の実績となっている。発足以来の実績は売却額2,144億円で、出資価格対比238億円のプラス、112.5%となっており、全施設の売却完了を待たずに出資価格総額を上回る売却額を確保している。平成21年度の売却実績が出資価格対比で100%をわずかに下回っているが、平成20年度に起きたリーマンショック以降、不動産市況が低迷するなかにあっての市場環境を考慮すればこの数値を確保すること自体、大いに評価できるものと言える。これは事業価値、不動産調査の詳細等を提示したマーケティング活動や施設が立地する地域の情報収集及び地方公共団体から支援策を取り付けるなど資産価値向上のための取組を更に強化した結果の成果と認められ、大いに評価できる。
 また、施設の事業継続については、前述のように事業価値、不動産調査の詳細及び買受希望者のマーケティング活動等の結果、施設譲渡時に事業を行っていた256施設のうち74%にあたる189施設について事業が継続されており、引き続き公共性に配慮した事業継続への取組みの成果は極めて大きいものと評価できる。
 施設従業員の雇用についても、施設の事業継続を積極的に図ることにより、施設譲渡時に従業員がいた施設で雇用交渉が終了した244施設のうち73%にあたる178施設において雇用の継続が図られており、引き続き高い実績を上げている。
 一方、譲渡業務を行うための経費については、必要最小限の経費の執行に努めたことや積極的な事業継続による譲渡を進めるなど、最適な販売形態に向けた工夫・努力を行うとともに、人件費の削減を行いつつ、効率的な執行を徹底した結果、予算に対して9,411百万円、平成17年度比で26%(通常経費では36%)の節減が図られたことは大いに評価できる。
 これらを踏まえると、第5事業年度に当たる平成21年度の業務実績については、平成20年のリーマンショック以降、低迷する不動産市況にある中にもかかわらず、施設整理機構の設立目的に沿って、適切に業務を遂行しつつ、独立行政法人設立の意義を十分に果たしているとともに、高い売却額と経費節減を大幅に実現した点はパフォーマンスとして非常に大きな成果であろう。
 また、施設譲渡の過程で発生する様々なリスクに対する対応を始めとして、施設整理機構の業務運営において、トップマネジメント機能が有効に発揮されており、最終事業年度に向けて引き続き指導力を発揮した積極的な取組みを期待したい。
 いずれにしても施設整理機構が5カ年の長期戦略の展望に立って、各年度の市場環境へも的確に対応し大きな成果を達成したことは、賞賛に値するものと言えよう。中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目に関する評価資料については、別添として添付した。
 以下の具体的な評価内容については、割愛させていただきます。以上です。

○山口部会長
 それでは、川北委員、お願いします。

○川北部会長代理
 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の平成21年度業務実績の評価結果については、光多委員と一緒に案を検討させていただきました。その検討に基づき、私から年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の講評をさせていただきたいと思います。
 RFOの平成21年度の業務実績については、当初の設立目的でありました年金福祉施設等301施設の全ての譲渡に目処をつけたということに、評価は尽きると思います。実際、今年度に入りまして、席上にも配付されていましたが、全ての譲渡を完了しているということです。かつ、その譲渡なのですが、単純な譲渡に留まっていないという点を大いに評価すべきだろうと思っています。
 まず第1に、譲渡価格が原価及び出資価格を大きく上回っているということです。第2に、施設の事業継続と雇用の確保が高い比率で図られていると、この2点を評価したいと思っています。高い価格で雇用の維持を図りながら、全ての施設を5年間で売却するという、これらを完全に実施することは非常に困難だと考えられていた。そういう課題をRFOが達成することに関しては、発足当初、正直なところ誰も予想していなかったのではないかと。少なくとも、この場の評価委員でその点を予想していたとは私は思っていませんし、私自身いくつかは残るのではないのかなと思っていました。
 しかも、いまからおおよそ2年前、平成20年9月にリーマンショックという、世界規模かつ非常に大きな経済の混乱があったことにもかかわらず、全ての施設を売却し、かつ高い価格で事業の継続が図られたことは、高い評価に値すると思っています。これらは、施設の価値を高める努力、地方公共団体の協力を得る努力、譲渡に際して入札参加者を増やす努力、それから不動産市場の状況を見ながら売却する施設の順番を決めるという、理事長さん以下全職員の熱意と努力、かつ英知があったからだろうと評価しています。
 先の臨時国会でRFOの設置期間が2年間延長され、その間に社会保険病院、厚生年金病院の運営管理の母体として機能発揮を期待されることになりました。年金福祉施設の売却とは違った性質の機能を今後2年間期待されていることになろうかと思います。引き続き全役職員が一体となって、国民の期待に応えていかれることを実現していただければと思っています。以上です。

○山口部会長
 では、ただいまご報告をいただきました総合評価書(案)についてご意見等がありましたら、よろしくお願いします。

○光多委員
 いまの川北委員の報告で結構なのですが、1つ議論のため、確認のためにあえて申し上げさせていただきたいと思います。例えば、1頁に「年金資金等の損失を最小化するという考え方に立って」と書いてありますね。ちょっと確認なのですが、損失を最小化するという考え方はどういう意味なのでしょうか。というのは、こちらにもう1つ、譲渡勘定についてというものがありまして、こちらでは「当機構が目標としてきた時価を上回り売却すること。さらに、出資価格を毀損しない、出資価格以上で売ること」という2つの明確なことが書いてあるわけですね。こちらでは、損失を最小化するという形で、ちょっとそこのところがやや表現が曖昧になっている面があるのですが、これはいま考えると具体的に整理機構のそもそもの考え方、いくら以上で売るのか、全部売るというのは1つなのですが、もう1つはどの値以上で売るのかという考え方というのは、やはりこちらにあります2つの考え方がベースだったと考えてよろしいのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そもそも私どもの設立に関する法律ができるときの議論というのは、時価を上回って譲渡をするというのが、1つのメルクマールになっていたのだと思います。もちろん、最も高く売るということですね。
 時価というのは、極めて曖昧な概念ですが、直近の不動産鑑定価格というのが時価であろうと仮定をしているわけです。そういう意味で、だいたい原価、時価を上回るというのは、最低限必要だと考えています。
 もう1点は、出資価格が何であるかについては、いろいろ議論はあると思いますが、いずれにしても出資価格に関しては私どもは関与していません。ただ、求められている役割は、既に出資価格の時点で約4,000数百億円の償却が特別会計で行われているわけですので、さらにそれを毀損することは何としても避けなければならないというのが、私どもが運営してきた基本的な考え方です。ですから、最低限時価を上回って何とか出資をカバーすると。その出資をカバーするというのは、最終の損益において、返す金で、出資をカバーしないといけないと思います。そういう意味で、経費控除後の数字で出資をカバーするというのが、基本的な考え方だと認識してやってまいりました。

○光多委員
 ちょっと私があえていろいろ申し上げたのは、独法の1つのモデルと言っていいのではないかというぐらいきちんとおやりになったと評価するのですが、マスコミによると実際の厚生年金が使ったお金の10分の1しか回収できなかったのではないかという評価の仕方があるものですから、それはやはり独法の問題ではなくて、独法はやはりある以上のことを売ったので、5年以内に、かつ当初の目的の価格面でも期間面でもきちんとやったのだという話を、ちょっと確認しておいたほうがいいかなと思います。
 おそらく、いろいろな見方からすると、やはりまた国の厚生年金の無駄使いを十分リカバリーできなかったのではないかという意見が出てくる可能性があるので、そういう点でいくとこの損失を最小化するというのは、厚生年金として損失は完全に取り戻すわけではなく最小化するのですよと。ただ、最小化したのだけれども10分の1でしたねという話にもっていかれてしまうと、折角の努力がひん曲がってしまう感じがするもので、あえてそこを申し上げました。一応、我々としてはそういう解釈でいいと思うのですが、そういう外部の声があるのは事実です。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 後ほど申し上げようかと思っていましたが、新聞に載っています数字については、私どもは何度も厚生労働省にどういう数字なのかということを確認していますが、最終的に確認できていないのですね。そういう意味では、そもそもいくらかかったかというのは私どもも知らないのです。私どもにある数字というのは、出資額しかないのです。それと、売るときに評価する際に、仕組みとして再評価をして減少するという仕組みになっていますから、そういう意味で時価を上回るというのは最低限です。基本的には出資価格という数字しかないです。
 ですから、これを何としても上回ると、これは政府が私どもを設立して、この数字でやれとおっしゃった数字のはずです。ですから、これは何としても、一般的に、率直に申し上げれば、本来は私どもが政府からそれを買い取ってその価格に関しては基本的に関与をして、これだったら私どもとして責任をもちましょうと申し上げて、ではその数字に対していくらだ、というのが本来の評価のあり方だと思うのですね。ただ、そういう数字ではなくて、2,015億円という数字が既に決まっていて、2,015億円というベースで、もちろん何度か評価委員会には出ていますから、評価を知っているじゃないかと言われればそのとおりなのですが、要するにそういう数字なのです。ですから、それは我々は甘んじて受けたと。
 ただし、率直に申し上げて、この2,015億円を下回った場合に、我々はたぶんもう死んでいるでしょうね。最低限時価の千何百億円を下回っていたら、たぶんもっと早く首になっていたでしょう。ですから、何としても生き延びるためには、千何億部分を上回って、2,015億円を何としてもやり遂げる。そのために、経費は2,260億あったわけです。それを何としても100億ぐらいで止めておかないと、これは2,015億を上回らないかもしれないということもありまして、仕事のやり方も含めてそこをターゲットにしてやってきたということです。ですから、1兆1,500とか1兆4,000という数字については、後ほど私の考え方を申し上げます。

○光多委員
 お任せいたしますが、例えばいまおっしゃったようなことであると、独法としては政府からは出資価格以上で売るというのが、1つのスターティングの最低の条件とすれば、いくらで作ったかというのはこれは独法の問題ではないわけですよね。そうすると、1頁のところに、「全ての年金施設等を出資価格以上で」とか、そういう形で1つ書いておけば、よりはっきりすると思います。というのは、結局グリーンピアを13施設売ったときに、あれはいろいろ苦労して売ったのですが、あとのマスコミは全くそれについてはノーアプリーシエートなのですね。要するに、国が無駄使いをやったと、それしか言わないものですから、何かこれからのことでいくと、これだけよくおやりになったところを、何が1つの最初のターゲットだったのか、目標だったのかという形を、それをきちんと質的にもクリアしたのだということを書いてもいいのかなという感じがします。以上です。

○山口部会長
 いまのご意見について、他の委員の方、いかがでしょうか。

○安達委員
 光多委員がおっしゃるように、損害本質という言い方でやられると、あたかも独法が売却の損失を発生させたかのようなとられ方をされると思います。やはりそういうとられ方をされないような表現が必要なのかと思います。年金全体について、最大限の効果を出すと、販売業務をやる、というような表現でいいのではないかと私は思いました。せっかくここまで努力したのに、どうしても、独法が安売りをしたのか、損失を作り出したのかというような見方をされてしまうのではないかと、そういう言われ方や取られ方がよくされます。そうではなくて、最大限の努力をして、年金の運用に大変な貢献をしたというような言い方のほうが適切な表現なのではないかと思います。こちらのほうに施設を評価して整理をする。そこまでは相当の時点であって、独法の仕事はそこから先ですから、そこで評価の仕方や表現の仕方を工夫されてもいいのではないかと私は思いました。

○山口部会長
 他の委員、どうでしょうか。

○川北部会長代理
 光多委員の意見にもありましたように、1頁の下のほうの、「施設整備機構は、年金資金等の損失を最小化するという考え方に立って」という段落の所に、「出資価格以上に」という言葉を何らかの形で入れるかということと、それから、同じ、最小化するということがこの頁のいちばん下の行にありますので、この辺りにも、「出資価格以上に」もしくは「可能な限り出資価格以上に」という表現を入れる、そういう工夫をやったほうがいいかと思ったのです。

○光多委員
 原文どおりでお受けしていたのですが、その後のマスコミの動きで立ち上げて、すみません。

○川北部会長代理
 そうですよね。マスコミの論調としては、もともと使ったお金に対して非常に大きな損失を出したということだったので、確かにその辺りの表現の工夫が必要だと思います。

○山口部会長
 他の委員の方、いかがですか。
 私のほうから質問があります。RFOについては非常に高い評価でして、Sも非常に多いわけで、委員の皆さんもご尽力に高く評価されたと思います。この評価結果の表現ですが、「大いに評価できる」が17カ所出てきます。それと、「高く評価できる」という表現もあります。「大いに評価できる」は、1つの文節の中に2つ使われている箇所もあったり、重ねて出てくるので、文章表現上の工夫がやや必要ではないかという感じがしないでもないのです。質問は、「大いに評価できる」はSのことを指して、必ず対応させている、「高く評価できる」はAのことを言っているのでしょうか。

○川北部会長代理
 私はそういうふうに理解しています。

○山口部会長
 これはきっちりそういう対応になっていますか。先ほど対応関係をやって。これはどこに。

○川北部会長代理
 違う所がありますか。

○山口部会長
 どれがどれに当たるか、私も始まる前だったので。事務局はいかがでしょうか。そういう対応関係は確認されていますか。

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長補佐
 はい。対応していると思います。

○山口部会長
 そうすると、もう1つ質問ですが、RFOについて、昨年までの評価においても同じ表現を使っていますか。Sの場合は「大いに」と書いていますか。

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長補佐
 同じです。

○山口部会長
 そうすると、この委員会でやっている他の独法については統一されていないのですか。

○政策評価官室長補佐
 今年度、一応S評価について、この文章上ではなくて評価シートで、委員会でまとめていただくときに、「高く評価できる」がS、Aは「評価できる」と、なるべく表現を合わせてほしいという指示をこちらから一律にしました。施設整理機構の場合には、去年も「大いに」を使っていると。ただ、「高く評価できる」をAにも使っているので、全体としてどうかなという話もしました。ただ、そこはそういうふうに、段階的になっていればある程度いいのかと思います。他の法人の所は大体「高く」をAにしています。ただ、文書表現上はバラバラなのです。そういうふうに、対応させているのと、させていないのとがあると思います。

○山口部会長
 そうですか。では項目で、Sが「大いに」に対応しているという理解でいいわけですね。

○光多委員
 私も同じことを言って、だいぶ抵抗したというか、異論を申し上げたのです。大学の評価でもこういうことはあまりやらないものですから、例えば、「刮目に値する」とか、いろいろな文学的表現を入れたのですが、これは行政文書なので、文学書ではないということなので、味も素っ気もない文書になった経緯があります。

○山口部会長
 他にご意見等はございますか。
 それでは、ご意見はおおよそいただいたと思います。したがいまして、いただいたご意見を反映する形で修正を加えて、平成21年度の業務実績の評価結果として、各法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表していきたいと思います。具体的な修正につきましては、私が事務局と調整して決めさせていただくということでご一任いただけますか。

(各委員了承)

○山口部会長
 では、そのようにいたします。
 ここで、厚生労働省年金局事業企画課社会保険病院等対策室長より一言お願いいたします。

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長補佐
 本日、寺本室長は急用で、会議のほうに参加できていません。申し訳ありません。私は年金局事業企画課課長補佐の島田と申します。よろしくお願いします。昨今、RFOの設置期限延長の話がありましたので、それについての説明と、あと、中期目標が2年間延長されるということで、予算関係についても変更するという点について、室長に代わり説明したいと思います。
 RFOの設置期限の延長につきまして、先の臨時国会において、現行5年になっているものを2年延長して7年に変更しています。そもそも前の通常国会のときに、社会保険病院や厚生年金病院の新たな受け皿となる、新法人地域医療機能推進機構法案を掲げていたのですが、首相の退任もあって、そういった折を受けて、時間切れで審議未了ということで廃案になってしまいました。その後、大臣をはじめ年金局としましても、RFOが存続する9月30日までに法案を成立させるべく検討していたのですが、その後、参議院選挙後、衆参ねじれの状態になって、9月30日までに法案を成立させるのは極めて難しいという判断に至りました。その後、与野党の協力によりまして、社会保険病院や厚生年金病院が公的病院として存続できなくなるという点と、そのままいくと地域医療に影響を与えることが危惧されていた関係がありまして、一応、議員立法が提出されたこととなっています。
 実はこの成立にあたり、社会保険病院等の譲渡に関して、その進捗状況について、国会のほうに4カ月に1度は報告しろという付帯決議がついています。冒頭に申し上げましたように、2年間延長されるということで、中期計画予算のほうも変更することになってきますが、法案が成立した直後ということもあります。そもそも我々は予期していなかったものですから、準備も何もしていないわけです。本日の会議でそういったことをお諮りできればいちばんよかったのですが、時間をいただいて、9月末までにもう1度この部会を開催させていただき、予算関係についてお諮りすることを考えています。大変お手数ですが、よろしくお願いします。以上でございます。

○山口部会長
 最後に、法人の理事長からコメントをいただきます。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 高い評価をいただき、本当にありがとうございます。私どもは民間人が主体ですが、のべ40名ぐらいの人たちがこのプロジェクトに参加したと思います。日頃から大変厳しい意見の中で仕事をしてきましたので、このような評価をいただけることについては、みんなにも報告をして、よかったと、みんなと喜び合いたいと思います。
 先ほど光多先生からご指摘があった点に関連しますが、この仕事を5年やってみて、2点ほど感想を申し上げたいと思います。
 新聞等で、1兆1,300億円かかった、あるいは1兆4,000億円かかった、それが2,221億円ではないかと、こういう議論があります。先ほど申し上げましたように、私どもは、出資や時価を上回るべく、その努力をしてきました。それ以上ではなかなか売れないわけですから。受け身ではなくて、この数字はどういう数字なのかと考えてみます。もちろん1兆1,300億円というのが元々ない数字ですから、どこにあった数字なのかはわかりません。それが万一正しいとしますと、確かに2,221億円というのは1兆1,300億円の約20%弱、1兆4,000億円だとすると15%ぐらいです。これは昭和30年代半ばから平成13年と、40数年間かけて、土地の取得、建設、それから、メンテナンスのために使われてきた費用というわけです。ただ、昭和30年代、40年代というと、物価というか、価格も違いますので、それを全部足し合わせたものの20%にしかならないと、いま売ってですね。15%あるいは12%にしかならないとすれば、これはどこかに問題があるのですね。
 私は銀行の出身ですから、この仕事をやってみて、例えば、バブル後の不動産や不良債権を叩き売ったときによく言われたのは、「半値八掛け二割引」と、ご記憶にある方もいらっしゃるかと思います。あれで34%とか、そんなものです。ですから、いちばん悪いものでも3割ぐらいは確保して売れているわけです。例えば、ある1つの工場を閉鎖したとしても、その土地と建物を譲渡すれば、3割ぐらいは総投資額で戻ってくるのが一般的で、これをたくさん売れば5割ぐらい戻ってくるだろうというのが、不良債権をずっとやってきた私の感覚です。8割ロスすることはもう実質破綻でして、潰れたということです。
 いったいどういうことかとのことですが。私はずうっと回ってみまして、やはり施設の建設費、これが総投資額と効果ですね、効果とのバランスを著しく欠いていたと言わざるを得ないかと思います。バランスをとってある所もあります。ただ、華美な建物があったことも確かで、例えば、でかい壁画があるとか、大きなシャンデリアがあるとか、それは売れないわけです。つけてしまったらそこでもう終わりです。そういうものを含めて全部やるとなると、もちろん公的施設ですから、経済原則というか、経済性はなかなか測り得ないと思いますが、いずれにしても、効果と投資のバランス、あるいは経済性を著しく欠いた投資が行われてきたと思います。そういうことをやったのはいいのか悪いのかに関しては、もう何年も前の話ですから、それはしょうがないとして。
 私は思いますに、公的施設の建設に関して、目的外の華美なものは排除、やらせないとか、一定の歯止めのようなものをかけていかないと、何のために作って、最低限どういうものが必要なのかと、若干の装飾にはこの程度までいいよとか、そういうことをやっていかなければ、予算があって、ではこれを作りますと、こういう議論にはならないのではないかと思います。この1兆何千億円と2,000億円との関係、我々は一生懸命対処してきたと思いますが、こんなに努力しても2,000億円にしかならないのですね。これはやはりどこかおかしい。やはりこれからこういった施設を作る際には、行政においても是非ご検討いただく必要があるという気がしました。
 第2点目は、それと同じで、1兆3,000億円もかけたではないか、無駄使いだ、あるいは、2,000億円でしか売れなかったらけしからんという議論になるわけですが、いまの議論はほとんどこの点に集中しています。もちろんこれでしか売れなかったことについて、私は甘んじて批判を受けますし、先ほど申し上げたとおり、どうしてこんなにお金を使ったのかという問題はもちろんあるわけですね。しかし、議論の中心をそこにおいた場合に何が起きるかというと、他のリストラができなくなることを強く懸念します。昔やったことですから、同じようなことをやっているはずなので、やろうとすると同じ結果が出るのです。例えば、グリーンピアはよくわかりませんが、地方自治体などに売ればまた同じような問題があって、もっともっと、3%とか、うちは20%とか、3%とか2%とか1%とかいう結果が出てきてしまうのですね。
 ということは、1兆数千億円かけたものが2,000億円でしか売れなかったことは、いままでやってきたことが間違っていたわけです。ですから、これはやはりやめなければならなかったことであって、政府がやめる決断をしたことは極めて正しかったのですね。まず、これをやめる決断をしたことにまずい評価をしない。その上で、何が問題なのかを共有する必要があると。そうしないと、こんなに無駄使いをした、これでしか売れなかったとなると、私も他のことをやれと言われたらもういやです。やりません。そういうことは多分、他の所はいっぱいあると思います。いっぱいあるかどうかよくわかりませんが。そんなことを言ったら大変失礼ですが。そういうことはあり得るのですが、そういう問題のとらえ方をしていると、結局、聖域部分、公的部門のリストラはできなくなるのです。
 この問題は先生方にも是非ご理解いただきたいと思いますし、私どもがそういうことを申し上げるのも、「おまえはこれしか売れないのに何だ」と言われかねませんから、なかなか言いにくいのですが、評価委員会の先生方は是非、そういうような点について、私どもがやってきたことを踏まえて、政府部内でご検討いただけるような基盤をお作りいただければ有難いと思います。
 私が本当に思いますのは、これから日本全体で生産性を上げていかなければいけないのは公的部門です。公的部門がお金が必要なのですから。この部門の効率性が上がらなければ日本経済全体の効率性は絶対に上がらないわけですね。ですから、どこにお金を使うかという議論である限りは、政府部門の効率性はどう担保していくのかについて、やはり仕組みづくりをしていかないといけないと思います。いままでのような、誰が悪いと、あるいは、無駄使いだといった議論に終始するのは次のステップにつながってこないのではないか、敢えてお叱りを承知で申し上げれば、そんな感じを持っています。
 いずれにしましても、先生方には折にふれて暖かいご意見をいただいて、本当に心から感謝しています。終わったということで、これからあと2年、病院をどうするかという問題はあると思いますが、新たなことを踏まえて、対応するときはきちっとしていきたいと思います。引き続きご指導をお願いします。ありがとうございました。

○山口部会長
 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。
 では、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、ここで評定記入用紙の修正・確定の時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いします。なお、修正に当たり、事務局より留意事項があるとのことですので、よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 評定記入用紙の修正については赤鉛筆で修正していただければと思います。修正のある頁についてはお手元の付箋を貼っていただきます。それから、机上に配付している「個別項目に関する評定結果」、未定稿のものですが、これは現時点でいただいている評定を、Sが5点、Aが4点、Bを3点という形で点数化しています。評定記入用紙は、委員名が空欄になっていて、委員各自にはご自身のお名前のみわかるようになっていますので、他の方の部分については空白になっています。以上でございます。

○山口部会長
 それでは、5分ほどお時間をとりますので、評定記入用紙の確認や修正をお願いします。
(評定用紙記入中)

○山口部会長
 よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の平成21年度業務実績評価に関する意見を取りまとめます。
 各評価書には、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことによって、当部会全体としての、S~Dの評定及び評価理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映して評価シート集約版を変更し、貼付することといたします。
 評価シート集約版について、S~Dの評定が変更になるなどの際には、委員会全体としての評定理由も合わせて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文章については私にご一任をいただきたいと思います。場合によっては個別に各委員に意見を承ることもあるかもしれませんが、その際にはよろしくお願いいたします。
 それでは、いまから事務局において評定記入用紙を集めます。また、ここで法人所管課の入れ替えを行いますので、5分程度の休憩といたします。開始時間は14時40分としますので、その時間までにお席に着いていただくようお願いします。

?A年金積立金管理運用独立行政法人

○山口部会長
 年金積立金管理運用独立行政法人について審議します。まず、財務諸表について、担当委員であります樋口委員からご説明をお願いします。

○樋口委員
 財務諸表の検討は、この前の委員会の終了後、経理の皆様方にご協力いただきまして、1時間ほど行いました。その方法は、財務諸表を前年と比較し、数値及びいろいろな注記事項などを比較検討しました。その結果、独法の会計基準に従って適法に処理されていたと判断しました。結果は以上です。
 また、1つだけ、今後の問題として一度ご検討いただければと思いますのは、今期の資産運用損益のところの損益計算書に計上されていました運用資産損益なのですが、9兆1,850億円某を計上されているのですが、その内訳は、実現損益が1兆2,000億円某、評価損益が約7兆9,000億円ぐらいです。これは、財務諸表を見た限りでは注記事項にも出てきていませんし、キャッシュフローからも把握できません。これは前から当然、評価損益があるわけなのですけれども、この辺は今後の表示の検討事項として別掲することをご検討いただいていいのではないかと思いました。
 それは、キャッシュフロー計算書とも関係してくるのですが、キャッシュフロー計算書上、運用事業収入は2,590億と表示されているのですが、その2,590億が損益計算書の実現損益と貸借対照表の未収でしょうか、未収は出てきませんけれども、その辺の数字とプラス・マイナスしてイコールになるのか、ニアでもいいのですが、数字になるのかと思って経理の方にご質問して、いろいろ検討していただいたのですが、どうもそうはならないらしいです。それはたぶん、ファンドへの追加出資、出資というかわかりませんけれども、プラス・マイナスとキャッシュフローで相殺されている欠陥でこうなるのかわかりませんが、その辺が私としては1時間ぐらいの話ではなかなかわかりませんでした。決して間違っているという意味ではなくて、全体としては問題ないことだと思います。ただ、表示の問題として、キャッシュの流れとDSPLの相互関係は、できればどこかで明確に把握できるような表示の仕方を今後ご検討いただければと思いましたので、その辺は会計監査人とも、あるいは監事の方々ともお話いただいてご検討いただければと思いました。その点だけです。以上です。

○山口部会長
 いまの樋口委員の意見について法人のほうから何かありますか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 樋口先生からご指摘いただいた点については、私どもとしても、現状の会計基準に従いますと、こういった表記になる。これが独法会計基準そのものと金融商品会計基準等を踏まえたものですけれども、この表記の仕方については年金局とも相談しまして、できるものなのかどうかを含め検討していきたいと思います。

○山口部会長
 ただいまご報告いただきました、年金積立金管理運用独立行政法人の財務諸表について、委員の皆さんからご意見等ありましたらよろしくお願いします。よろしいですか。
 修正意見がないということで、平成21年度の財務諸表についての意見書としては、お手元にあります資料2-1を取りまとめまして厚生労働大臣に提出したいと思います。以上につきまして、そのような取り扱いでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。
 次に、年金積立金運用報告書について、所管課よりご説明いただき、これに対する質疑を行います。よろしくお願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 お手元の資料2-2の1頁をご覧ください。この報告書の位置付けですが、これについては、年金積立金管理運用独立行政法人法の規定に基づきまして、厚生労働大臣が、毎年度年金積立金の運用が年金財政に与える影響について検証し、この評価部会にご報告することとなっています。この評価委員会におきましては、前回7月に法人から報告がありました中期計画の実施状況と、これからご報告しますこの報告書と併せまして、総合的な評価をいただくことになっています。
 はじめに、この報告書の対象とする年金積立金の全体像ですが、8頁の下の図をご覧ください。報告書の対象としている年金積立金は、平成21年度末で、時価ベース128.3兆円となっています。このうちの大半は、先月もご報告をしました管理運用法人のほうで管理運用しています122.8兆円、この中には、市場運用分以外にも財投債引受分、旧年金福祉事業団から承継した損益も含まれています。これ以外に、図の上の小さい囲みの所ですが、保険料収入と年金給付の支払い時点のずれによります一時的な資金ショートに対応するために、管理運用法人とは別に、ある程度小額ですけれども積立金を年金特会で管理しています。これが5.6兆円ありまして、トータルで128.3兆円、これがこの報告書の対象としています積立金の全体像です。
 戻って2頁、3頁をご覧ください。ここで、積立金の運用とその実績が年金財政に与える影響の評価ということで、概要でご説明申し上げます。
 まず、2頁ですが、年金積立金全体の運用実績ですが、平成21年度につきましては、先ほど図でご覧いただきました、トータル128.3兆円で、これに対して収益額が9兆1,554億円です。収益率にして7.54%となっています。下の?Aです。これまでの運用実績ということで、平成13年度の自主運用開始時点からの累積収益額が22兆9,062億円ということで、この間の平均収益率は1.77%となっています。これが年金積立金全体像の運用実績です。
 続きまして、年金財政の観点から見てどうかというのが次の3頁です。ご案内のとおり、年金給付額については、長期的に見ますと名目賃金上昇率に連動するということで、基本的にこの運用実績の評価については、名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた、賃金上昇率を上回る部分としての「実質的な運用利回り」の対比でご覧いただいています。
 その下に表がありますけれども、この実質的な運用利回りというベースで見た対比です。左から2つ目のコラムですが、平成21年度、先ほど7.54%ということで名目をご覧いただきましたが、これを対賃金ということで実質的な運用利回りに直しますと12.09%です。同様に、平成13年度から過去9年間、自主運用開始からの9年間で見ますと2.51%。また、本日最終評価をいただきます第一期中期目標期間で見ますと1.03%となっています。これに対して、そもそも年金財政のほうで前提としている実質的な運用利回りがこの表の右側でして、それぞれ単年度で1.42%、9年間で0.84%、第一期中期目標期間では0.53%となっています。いずれも実績と比べますと、実績のほうが上回っています。トータルとして見ますと、年金財政にはプラスの影響を与えているということが言えます。以上が概要です。4頁以降は、概要の詳細ですので、簡単に構成だけご案内したいと思います。
 まず、4頁から8頁までは、運用の仕組み、あるいは全体の積立金の概要ということで、先ほど8頁の図をご覧いただきました。9頁から13頁は、先ほど1のところで全体をご説明いたしましたが、平成21年度の運用実績で、厚生年金、国民年金の内訳も含めました詳細です。14頁からは、自主運用開始の平成13年度からの実績で、17頁まで続いています。18頁からは、平成13年度からの各年の実績ということで、それぞれ表なりグラフの形で示しています。
 25頁からは、先ほど概要の2のところで申しました運用実績が年金財政に与える影響の評価ということでして、実質的な運用利回りとの対比ということでご覧いただいています。具体的に申しますと、28頁が平成21年度で、29頁が平成13年度自主運用開始からの9年間、30頁が第一期中期計画期間の4年間ということで、それぞれ厚生年金、国民年金の内訳も含めて示しています。31頁はそれを経年で見たものです。33頁以降は参考資料です。
 以上、簡単ですが、私からのご報告とさせていただきます。

○山口部会長
 ただいま、ご報告いただきました年金積立金運用報告書につきまして、ご質問等ございましたらお願いします。

○竹原委員
 運用そのものとは関係ないのですが、ただいま説明いただきました運用報告書の27頁で、平成23年度以降に関して、名目賃金上昇率と名目運用利回りから実質的な運用利回りの表があるかと思いますが、現在の中期計画のもとでは、名目賃金上昇率の対比での基本ポートフォリオ及び財政状態は、この評価方式を取らないということに暫定でなっていたかと思うのですが、この点はいかがなのでしょうか。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 平成22年4月からの中期計画の中では、そもそも運用目標につきましては、年金制度全体の見直しや、今管理運用法人についての検討を行っておりその状況を踏まえて暫定的なものであるということを明示した上で、具体的に、第一期のときには賃金上昇率がありましたが、今回の第二期のものについてはそういったことは明示されていない状況です。

○山口部会長
 よろしいでしょうか。ほかにご質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 次に「年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価」について審議をしたいと思います。まず、事務局のほうから「平成21年度業務実績全般の評価」という結論部分を中心にご紹介をいただきまして、その上で、起草委員である竹原委員のほうからご講評をいただく形で進めてまいりたいと思います。事務局のほう、よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 お手元の資料2-3です。業務実績の評価結果。1頁から読み上げさせていただきます。
 平成21年度業務実績について。評価の視点。年金積立金管理独立行政法人は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的として、平成18年4月1日に発足した独立行政法人である。
 今年度の管理運用法人の業務実績の評価は、平成18年4月に厚生労働大臣が定めた中期目標(平成18年度~平成21年度)の4年目(平成21年4月~平成22年3月)の達成度についての評価である。
 当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に基づき、平成20年度までの業務実績の評価において示した課題等、さらには、独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた独立行政法人の業務実績に関する2次評価結果等や取組方針も踏まえ、評価を実施した。
 管理運用法人は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国民生活の安定に貢献するという使命を負っている。このような使命を果たすため、中期目標において、効率的な業務運営体制を確立し、職員の専門性を高め業務運営能力の向上を図ること、年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを達成するために、基本ポートフォリオを定め、これに基づき管理を行うこと、受託者責任の徹底、情報公開への積極的取組等の業務の質の向上に関する事項、リスク管理の徹底等の積立金の管理運用に関し遵守すべき事項等が定められている。
 したがって、管理運用法人の評価に当たっては、その使命を果たすために行われた具体的な取組、又はその取組における創意工夫を評価の基本とし、その上で、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて総合的な評価を実施することとしている。
 平成21年度においては中期目標期間の最終年度として、昨年度までに評価委員会において指摘した事項を踏まえ、これまで改善が図られてきた業務運営体制が円滑に機能し、適切な業務運営がされているか、といった点に重点を置き、評価を実施することとした。
 なお、年金積立金の運用は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされていることから、管理運用法人における年金積立金の管理及び運用の評価についても、単年度の運用実績のみをもって評価することは適切でなく、長期的な視点で評価することが重要である。
 平成21年度業務実績全般の評価。管理運営体制全般に関する事項。管理運用法人の使命は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な年金積立金の管理・運用を行うことにより、年金事業の運営の安定に資することである。
 平成21年度における業務運営の効率化と、それに伴う経費の節減効果に関しては、資産管理機関の集約化を完了するとともに、手数料の更なる引下げを図った結果、管理運用委託手数料額は前年度比で約47億円減少し、コスト節減の効果をあげたことは評価できる。
 また、効率的な業務運営体制の確率のため、積極的な外部専門的知見を有する人材の確保や、専門実務研修の実施、人事評価制度の実施等により、職員の勤労意欲や業務遂行能力の向上を図るなど、適切な対応を行っている。さらに、理事長直轄の経営管理会議等を活用し、業務運営の改善を図るなど、業務改善に積極的に取り組んでいる。また、業務の質の向上に関する事項についても、受託者責任の徹底や調査研究の充実など着実に取り組んでいる。
 年金積立金の管理及び運用全般に関する事項。平成21年度は、金融危機後の世界経済の回復期待を受けて内外株式が大幅に上昇した。このような状況の下、平成21年度における運用結果としては、運用成果を測定する尺度の一つである修正総合収益率では、3年ぶりのプラスとなった。また、市場平均を示す指標であるベンチマークと比較した場合、国内株式及び外国債券についてはプラスの超過収益率、短期資産及び国内債券については概ねベンチマーク並みの収益率、外国株式についてはマイナスの超過収益率となった。
 管理運用法人においては、通常の運用受託機関との定期ミーティング、リスク管理ミーティングに加え、年度当初に株価が大きく変動した際に緊急に随時ミーティングを通じて、リスク管理のための情報収集、共有化に努めた。また、運用受託機関に対する定性評価及び定量評価を踏まえた総合評価を行い、20社を資金配分停止、1社を解約とするなど、ルールに則した厳格な対応を行っている。
 年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価。管理運用法人で管理する積立金と年金特別会計で管理する積立金を合わせた、年金積立金全体の運用実績と財政再計算及び財政検証上の前提を比較すると、平成21年度単年度については、運用実績が財政再計算及び財政検証上の前提を10.67%上回っている。
 平成13年度からの9年間の実質的な運用利回りについては、運用実績が財政再計算及び財政検証上の前提を年平均1.67%、管理運用法人が設立された平成18年度からの4年間で0.5%、上回っている。
 以上のことから、年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価することができる。なお、年金積立金の運用については、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされており、運用実績の年金財政に与える影響についても、長期的な観点から評価をすることが重要である。
 平成21年度業務実績全般の評価。以上を踏まえると、管理運用法人の管理運営体制については、業務運営体制の見直し及び改善の効果が発揮され、業務運営が適切に行われていると評価することができる。
 また、年金積立金の管理及び運用に関する事項については、必要なリスク管理を行い、全体としては管理運用法人の設立目的に沿って適切に業務を実施したと評価できる。
 年金積立金の運用については、長期的には年金財政の目標とされている実質的な運用利回りは確保できており、単年度においてもベンチマークとの対比で見て、概ねベンチマーク並みの収益率を確保できている。また、市場動向も踏まえつつ、キャッシュ・アウトやリバランスを行うことは引き続き課題となっており、機動的な対応が求められている。今後も、長期的に年金積立金の安全かつ効率的な運用が実施されていくことを大いに期待したい。
 なお、中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。
 具体的な評価内容については、省略させていただきます。以上でございます。

○山口部会長
 竹原委員、講評をお願いします。

○竹原委員
 年金積立金管理運用独立行政法人の平成21年度総合評価書につきましては、大野委員と私とで検討を行い、起草しました。起草委員を代表して私から評価書案について概要を報告します。
 評価書案は、評価の視点、具体的な評価の内容及び年金積立金の運用実績や年金財政に与える影響の評価の3部構成としています。今年度の評価の視点としては、中期目標の最終年度として、昨年度までの評価運用委員会において指摘した事項を踏まえてこれまで改善が図られてきた業務運営体制が円滑に機能し、適切な業務運営がなされているかという点に重点において、評価を実施することとしています。
 なお、年金積立金の運用は、長期的な観点から運用が求められることから管理運用法人の評価に当たっては、長期的な視点で評価することが重要である旨、付記しています。
 平成21年度業務の実績全般の評価としては、これまで行われてきた業務運営体制の見直し及び改善の効果が発揮され、適切に業務運営が行われていると評価しました。例えば、管理運営体制全般に関する事項については、効率的な業務運営体制の確立のため、積極的な外部の専門的知見を有する人材の確保や専門実務の研修の実施、人事評価制度等の実施により、職員の勤労意欲や業務遂行能力の向上を図るなど適切な対応を行っているものと認められます。
 また、業務運営の効率化とそれに伴う経費の節減効果に関しては、平成21年度においては、資産管理機関の集約化を完了するとともに手数料のさらなる引き下げを図った結果、管理運用手数料額は前年度比で約47億円減少し、コスト削減効果をあげたことは評価できます。
 年金積立金の管理及び運用全般に関する事項については、平成21年度は、金融危機後の世界経済の回復期待を受けて、内外の株式が大幅に上昇したことから、修正総合収益率は3年ぶりのプラスとなりました。また、市場平均を示す指標であるベンチマークと比較した場合、国内株式及び外国債券についてはプラスの超過収益率、短期資産及び国内債券については概ねベンチマーク並みの収益率、外国株式についてはマイナスの超過収益率となりました。
 管理運用法人においては、通常の運用受託機関との定期ミーティング、リスクミーティングに加え、年度初めに株価が大きく変動した際に緊急に随時ミーティングを行い、リスク管理のための情報の収集、共有化に努めたほか、運用受託機関に対する総合評価を行い、20社を資金配分停止、1社を解約するなど、ルールに則した厳格な対応を行ったものと認められます。
 さらに、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響については、実質的な運用利回りについて、管理運用法人で管理する積立金と年金特別会計で管理する積立金を合わせた年金積立金全体の運用実績と、財政再計算及び財政検証における前提等を比較すると、平成21年度、単年度、年金積立金自主運用開始年度である平成13年度からの9年間、管理運用独立運用法人が設立された平成18年度からの4年間のいずれについても、運用実績が財政再計算及び財政検証上の前提を上回っており、年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えると評価することができます。この点については、先ほどの年金積立金運用報告書の説明にもあったとおりです。
 具体的な評価内容におきましては、年金積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産構成について、第一期中期目標期間が平成21年度で終了することから、第二期中期計画における基本ポートフォリオの策定に向けて、運用委員の専門的な知見を十分に活かして、幅広い観点から最新の知見を取り入れながら勢力的な検討を行ったものと評価できます。
 なお、平成22年3月に厚生労働大臣から示された第二期中期目標においては、運用目標が暫定的なものとして示されたことから、管理運用法人においては最新のリスク、リターン情報を用いて、第一期中期計画におけるポートフォリオが安全かつ効率的かつ確実であることの検証、確認を行い、第一期中期計画における基本ポートフォリオを第二期中期計画における基本ポートフォリオとして策定しました。平成21年度においてはこれにより、第一期目標に基づく基本ポートフォリオの検証を行ったものとしており、与えられた目標の中で適切に行われたと評価できます。
 そのほか、評価シートのコメントや前回の年金部会における議論をもとに概ねA評価を行っていますが、今後、さらに積極的な取組を期待する事項については、その旨を指摘させていただいています。私からの報告は以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまご報告をいただきました、総合評価書の案について、ご意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。

○光多委員
 議論を起こすための議論とお考えいただきたいのですが、1つは細かな話で、2頁の「手数料の更なる引下げ」という表現は、手数料率なのか、これは言葉の問題なのでこだわりませんが、我々、手数料率は引き下げるけど、手数料金額は縮減するとか、そのようによく使うのですが、手数料の引下げというのは、ちょっと引っかかるものですから、これはお任せします、国語の問題ですから。

○竹原委員
 これは、私は手数料率だと理解しておりますが、それでよろしかったでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 私ども、手数料額でどのぐらいあったかというのをご説明させていただいていますが、資産管理機関の集約については、当然料率を引き下げることによって、そこに現実の運用額を当てはめると手数料額という形で出てくるということで、プレゼンテーションとしては、手数料額でご説明をさせていただいております。もちろん、その背景として、料率が下がっているということでございます。

○竹原委員
 上げたり下げたりするのは率であって、額は増加したり縮減したりする、そんな感じで使っていたものですから、これはお任せします。
 2点目ですが、これもあまりこだわるわけではありませんが、2頁の上のほうなのですが、これは前からある表現なのですが、「年金積立金の管理及び運用の評価についても、単年度の運用実績のみをもって評価することは適切ではなく、長期的な視点で評価することが重要である」。別にこの辺については、私は反対するわけではありませんが、ただ、下のほうでは、単年度の運用実績のみではないかもしれませんが、一応単年度の実績で評価しているわけですね。ですから、ここで自己否定するような話に受け止められるとまずいのかなという感じがするので、例えば、単年度の評価を行うときには、長期的な評価の視点に立ちながら行うことが必要であるとか、何かそちらのほうがいいのかと。これは別にこだわるわけではありませんが、下のほうで一応単年度の評価をしておられるところを、上のほうで適切ではないという形で、かなり強く否定しておられるのは、ちょっと引っかかるなというのが2点目です。
 3点目ですが、2頁の下のほうですが、「外国株式についてはマイナスの超過収益率となった」と淡々と書いておられますが、これについては、例えば開けてみたらこうなってしまったと受け止められないように、何か理由があればいいのですけれども。実は、これ、平成20年度と平成21年度のベンチマーク収益率との超過収益率を見ると、全部逆転しているのですね。例えば、国内株式はマイナスがプラスになり、外国債券はマイナスがプラスになり、外国株式はプラスがマイナスになりという形で。たぶん運用しているところが、私、その辺よく実態を知りませんが、例えば前の期にプラスになって、そこの組込みがマイナスになったのかもしれない。何か、ここのところで淡々と、さっとマイナスの超過収益率、これは説明が難しいかもしれませんが、外国株式については、何々ということから超過収益率がマイナスになったとか、そういうことがもし書ければ書いたほうがいいのかなという感じがします。全体にこだわっているわけではありません。
 4点目、最後ですが、厳格な運用管理を行っているということはよくわかります。3頁の上のほうですけれども、「総合評価を行い、20社を資金配分停止、1社を解約とするなど、ルールに則した厳格な対応を行っている」というのは、全体が何社ぐらいあるのか。厳格な対応を行っているというのはわかるのですが、大変まずいところを選んでしまって、20社も資金配分停止、1社も解約。だから、全体の何社の中の何社かわかりませんが、えらい選定がまずかったのかなという形で、これは逆にいくと、厳格な管理を。逆にこういうことがないほうがいいわけですよね。ちゃんと選定してやればいいわけです。これだけ単純に読むと、えらいまずいところにお願いしているような印象を受けてしまうかもしれません。全体的にこだわるわけではありませんが、いま申し上げたところについて、何かお答えをお願いしたいと思います。

○山口部会長
 委員の間で議論する前に、法人から何かご説明があれば。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 まず、外国株式の要因については、別紙の58頁に要因分析という形で付けさせていただいております。長々書いてありますが、そういったのが実態でございます。
 それから、いまの資金配分停止等ですが、私ども運用をお願いしているもの自体、80社ほど、80社というか1社で複数ファンドありますので、正確には80ファンドということになりますけれども、そういった中で、特にこの独立行政法人の部会の場でも申し上げましたけれども、定量評価と定性評価をやっておりますので、単年度では定量評価が悪く出てくるところもあると。そういうったところの影響もありまして、該当する社を資金配分停止をルールに沿って対応させていただいたというのが実態です。法人として申し上げるのは、そういった実態です。

○山口部会長
 先ほど最初のほうにご意見が出ていました、長期的な視点に立ちながら行うことが必要と、2頁の上のほうのお話はいかがでしょうか。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 担当課のほうから、最初の1点目のところについてコメントさせていただきたいと思います。確か、昨年度のときも光多先生から同じようなご指摘があったかと思うのですが、いまご指摘のありました2頁のところですが、1頁にお戻りいただきますと、全体の構成としては、もちろん年金資金は長期の視点で考えることが重要ですけれども、これはまず平成21年度の報告ということですので、平成21年度の業務実績という形でずっと書いてきております。先ほどご指摘のありましたところは、1頁の下になお書きで、あくまでも、平成21年度はこうであるけれども、長期の視点で見ることが重要というような文脈の中で書かれておりますので、文理的に見ますと、ご指摘のように、単年度を否定するということまでの強い形にはなっていないのではないかと解しております。以上でございます。

○山口部会長
 ありがとうございました。それでは、いま法人並びに所管課からご意見、コメントをいただきましたけれども、各委員の皆様のご意見をいただきたいと思います。

○川北部会長代理
 私も、長期的な評価が重要だという、先ほど、なお書きということでおっしゃったわけですけれども、昨年と一昨年は当年度の実績に関して、長期的な視点で見てこういう評価ができるということが入っていたので、かなり意味があったと思うのですけれども、今回の場合は、2頁の(2)以下のところで、光多委員が指摘されたところは私も気になっていまして、ベンチマークで、今年度はこうだああだと書いてあるのですけれども、むしろベンチマーク対比の部分を議論するのであれば、もう少し長期的な視点でどうだったのか、そういう評価があったほうがいいのではないかと思いました。
 この辺、単年度の評価ということになっているわけですけれども、当該年度のパフォーマンスが悪かったときだけかなり説明していて、今年度、平成21年度のように、よかったときにはさらりと流してしまうというのは、今後、評価をする場合に、やはり整合的ではないという感じがいたします。そういう意味では、いま言ったベンチマーク対比のところもそうなのですけれども、もう少し長期的な視点でどうなのかということを、多少文章が長くなってもいいと思うのですけれども、何か入れていただいたほうが。たぶん今年度はかなり厳しい状況だと思いますので、むしろ長めの評価になってもいいのではないかと私は思ったのですけれども。

○竹原委員
 起草委員の立場としてのいまの川北先生のご意見に対するお答えとしましては、第三部の年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価の部分で、長期の視点での説明については、その部分に入っておりますので、例年どおりの三部構成で、第一部で単年度の評価を行い、年金財政全体との関係で第三部において、年金積立金の運用実績を議論する形でよろしいのではないかと思いますが。

○川北部会長代理
 これは、昨年度もこういう感じでしたか。

○竹原委員
 そうですね。同じですね。

○川北部会長代理
 平仄が合っていればいいとは思うのですけど。

○山口部会長
 他にご意見ございますか。よろしいですか。

○安達委員
 平成21年、平成22年という流れの中で、やはりその時で強弱が出てくるというのではなくて、一定の流れで評価できるようなシステムにしておいたほうがいいのだろうということです。竹原委員がおっしゃったように、そのような総合的な評価になっているのだと思います。そんなところでいいのではないですかね。やはり、悪いときにはよいところを引っ張ってきて、よくなるとそのまま外づくりだけだとなると、それはやはり評価の仕方が問題になると思いますので、その辺は、ちょっと気を配っていただければそれでいいのではないかと思います。

○山口部会長
 よろしゅうございますでしょうか。光多委員からいくつかご指摘いただいておりますが、2頁の外国株式について、マイナスの超過収益率になったというのが淡々と書いているということで、もう少し理由を付記できるのであれば、してはどうかというようなご指摘。あるいは3頁の上のほうで、「20社資金配分停止、1社解約」なのだけれども、全体として20社というのが、何社ぐらいあった中での20社だったのか、といったようなことも少し入れておいたほうがいいのかなというご指摘があったと思いますが、これについてはいかがですか。

○竹原委員
 検討させていただきたいと思います。

○川北部会長代理
 1点だけ、すごく細かな文章なのですけれども、3頁の1行目に、「年度当初に株価が大きく変動した際に緊急に随時ミーティングを通じ」と書いてあるのですけれども、毎年毎年動いたときにこうやっているのか、それとも、この平成21年度だけの特殊な事情だったのかというのが、文章上、俄かに読み取れなかったのです。後を読むと、平成21年度はかなり動いたのでとか書いてあるので、少しだけ臨時ミーティングを開催してとか何とかという表現だったら、年度当初たまたま動いたのでということが、ある程度読み取れるのかなと思いましたので。

○竹原委員
 これ、常時こういう体制を取られているということですので、3頁の1行目、例えば「平成21年度当初においては」という表現に変更するということでよろしいでしょうか。

○川北部会長代理
 はい。

○竹原委員
 ありがとうございます。

○光多委員
 こだわるわけではありませんが、もう一度繰り返しますと、2頁の上のほうで、単年度はこう指定して、長期的な視点でと。もしこれを活かすとすれば、下のほうに長期的な形で、どういう形でやっているのか。外国株式についても、例えば平成20年度の組入れの余波でというか、そこで長期的な形で、これはプラス・マイナスがきているのでこうなっているとか。何か2頁のいちばん上といちばん下のところが繋がらないと、読んでいてどうもばらばらのような感じがして。もし、上のほうが長期的な視点に立ちつつ、単年度についてもちゃんとやるべきだという話であれば、下のほうで単年度という形に重点を置いてちゃんと説明をするか、何かをやらないと。もう一度改めて読んでも、どうも上と下とが合っていない感じがするので、ちょっとお任せしますが、もう一度読んでいただいたほうがいいと思います。

○竹原委員
 わかりました。

○山口部会長
 ほかにご意見等ございますでしょうか。総合評価書について、ご意見もおおよそいただいたと思います。ただいまいただいたご意見を反映した形で修正を加えるということで、平成21年度の業務実績の評価結果といたしまして、法人及び総務省の政策評価独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表していきたいと思います。具体的な修正については、私並びに起草委員と事務局とで調整して決めさせていただきたいと思いますので、ご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。最後に、法人の理事長のほうよりコメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
 理事長の三谷でございます。平成21年度の実績評価について、各項目にわたり積極的なご評価をいただきまして、どうもありがとうございました。引き続き、私ども、人材の育成なり業務運営の効率化等に注力してまいりたいと思っております。
 また、先ほども少し出ましたけれども、今年度に入りましてから、ご承知のとおり、いわゆるギリシャショックがありまして、これを背景に、また欧米の景気の先行きについて不透明感がより強まってくるとか、こういったことを背景にして、内外の株価が値下がりし、また円高も進行するということで、今年度については非常に厳しい市場環境になってきております。私どもは、こういった中で引き続き、業務の質の向上、さらには、適切なリスク管理方策を講じながら、先ほどからもありますように、長期的な観点からの安全かつ効率的な運用に資するよう、今年度についても努めてまいりたいと思っております。どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします。

○山口部会長
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 では、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、ここで評定記入用紙の修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、いまから5分ほどお時間を取らせていただきますので、評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。
(評定用紙記入中)

○山口部会長
 よろしいでしょうか。それでは、これをもって、年金積立金管理運用独立行政法人の平成21年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について、修正が必要となった場合の対応については、私にご一任をいただきたいと思います。
 それではここで、事務局において評定記入用紙を集めさせていただきますので、皆様、暫くお待ちください。
 それでは、次に年金積立金管理運用独立行政法人の最終評価について審議をしたいと思います。最終評価結果(案)の作成については、起草委員の皆様方には、お忙しい中、ご尽力をいただきまして誠にありがとうございました。
 まず、法人から中期目標期間の業務実績についてご説明いただきます。その後、事務局から中期目標期間の最終評価結果(案)についてご紹介いただきまして、その上で、起草委員である竹原委員からご講評をいただくという形で進めてまいりたいと思います。
 それでは、まず法人から、最終評価(案)の別紙「最終評価シート」に沿って、業務実績のポイントについて、15分程度でご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役
 それでは、お手元の資料をご覧いただきたいと思います。こちらの資料、中期全体をカバーする評価シートでして、こちらについては全頁をやっていると時間が足りないので、ところどころ掻い摘んでご説明いたします。
 1頁から見ていきますと、左から中期目標、中期計画と縦の欄がありますけれども、中期計画の第1の1からこの頁は始まっています。
 5頁をご覧ください。平成21年度の評価でも言及がありました、業務運営能力の向上等に関する実績の報告が、真ん中の幅の広い縦の欄にあります。こちらをご覧いただくと、表がいくつか並んでいますが、いちばん上のものが中途採用の実績で、応募数と採用者数が書いてあります。平成21年度に3人を採用したところでこの表は終わっていますが、ご覧いただいているとおり、かなりの数の応募者の中から選択することができました。後ほどもご説明するかもしれませんが、我々の人件費の制約がある中で、数多くの経験を有した皆様方が、私どもの事業の目的等に共鳴する部分もあって、このような形で応募及び採用ができたのではないかと考えているところです。
 そのあとに資質の向上という趣旨で、さまざまな研修を行った実績について、研修の種類ごとに細かく書いています。このあとずっと同じような趣旨で、研修あるいは海外への派遣、外部との意見交換といったものの記述があります。
 8頁に表があります。こちらは証券アナリスト試験の合格者の累計値です。大体職員の3.5人か4人に1人ぐらいが、これを持っている形になっています。
 9頁以降は「業務管理の充実」という項目になっています。こちらについては、各種の組織内横断的な委員会、すなわち「コンプライアンス委員会」、「運営リスク管理委員会」、「情報セキュリティ委員会」といったものを設け、さまざまな業務管理の充実に努めているところです。
 それから、私どとしては監事の監査も大事な問題でして、こちらについても10頁から12頁にかけて、少し項目を増やして説明をしています。監査室という組織がありまして、こちらを含めて内部的な統制の強化、業務改善に努めています。
 12頁以降に「事務の効率的な処理」という項目があります。こちらについては、私どもは大量の取引を運用機関で行っている、あるいは自らインハウスでも行っているわけですが、こちらの結果等について、きちんとしたデータベースを持つことが、業務の基本中の基本です。これに必要なシステム改修等が12頁以降で説明しています。
 13頁以降にはシステムの最適化という課題があります。こちらについては、14頁の真ん中の辺りに「平成21事業年度」をご覧いただきますと、「年金積立金データ管理(GPDR)システムについて、開発の推進、テストを経て、平成21事業年度内に稼働を開始し、平成22事業年度からの業務切替に向けた準備を行った」となっています。一応、最適化という1つのプロジェクトが昨年度で山を越したというご報告はできるところです。
 15頁以降に、業務運営の効率化という観点からの説明がいくつかあります。例えば15頁には、一般管理費及び人件費、16頁の下のほうには、業務経費の節減目標と実績の比較ができる表があります。人件費に関しては、16頁に、ラスパイレス指数の表示があり、このうちの年齢・学歴・勤務地域を勘案したところでは、現在、若干公務員を下回るぐらいのレベルにあるところです。
 17頁の上のほうに「契約の実績」という表があります。こちらも経費節減を行っていく上で、随意契約から競争的な契約へとシフトを進めなければならなかったわけですが、例えば平成18年度をご覧いただくと、競争入札は件数で2.7%、金額で0.4%であったものが、平成21年度は、それぞれ26.9%と84.8%になっていまして、企画競争と合わせた数字は、平成21年度で見ると、件数で80.8%、金額で93.0%です。この裏側ですが、随意契約は、平成18年度は件数、金額とも9割前後であったものが、平成21年度は大きく減少し、金額で言えば1割を切っているという変化があったところです。
 21頁です。こちらは、業務の質の向上に関するための措置です。受託者責任の徹底、ガイドラインを提示する等、関係法令等の遵守の徹底を図るための措置が説明されています。こちらについては、私ども、外部の運用受託機関に対してガイドラインを示し、先ほど来から「ミーティング」という言葉が何回か出ていますが、そういったface to faceのコミュニケーションもかなり取ります。また、報告ベースに基づくモニタリング等も行っています。
 27頁に「情報公開」があります。こちらについては、私ども組織の体質として、常に情報を公開する、説明をするという意識でやらねばならないと考えているところでして、できる範囲内で、ホームページの説明などに努めてきました。こちらは情報の公開あるいは広報ということになると、何分相手のある話ですので、国民の側で、どの程度我々の説明にアクセスしていただけるか、あるいは受け止めていただけるかというところは、暖簾に腕押しといったところはあるわけですが、この点についても引き続き、この中期においても努力を重ねていきたいと思っています。
 あと、33頁以降ですが、「運用の目標」等があります。昨中期中については、いちばん大きなテーマは基本ポートフォリオを達成していく、預託金が返ってきて、それが新規寄託金としてくる。きたものを基本ポートフォリオを達成するように市場で運用していく。そのような作業でした。この辺の作業の1つの端的な表れというのは、34頁にあるような、平成18事業年度から平成20事業年度における新規資金の配分状況で、これがアセットクラス別になっていますけれども、ある程度移行ポートフォリオを設定した上での資金配分を計画的に行っていった姿を見ていただけます。
 平成20事業年度において、ニューマネーの流入が止まり、そこで基本ポートフォリオは一旦達成されています。あと平成21事業年度からは、むしろキャッシュが出ていく、アウトに入っています。こちらについては、市場からの回収については、その下に小さな表があるように、平成21年度は若干の回収を行っただけですが、このほかに財投債の償還金を使ったキャッシュアウト対応を行ったところです。このキャッシュアウト対応は、今中期においても、引き続き非常に大きな課題となっています。
 35頁から36頁にかけて、先ほどもご議論のあった「運用受託機関の管理及び評価」で、資金配分の停止あるいは解約といったものの説明があります。36頁の上のほうには、先ほどの資金配分停止の細かな情報、ブレイクダウンのものなどがあります。
 37頁以降に、ベンチマーク対比の超過収益率の細かい説明があります。こちらをご覧いただくと、ある程度のタイムホライズンでの中期的な流れがご覧いただけます。ここでは、各アセットクラスごとに、例えば5年間、あるいは第一期中期目標期間(4年間)の平均の数字を出しています。例えば37頁の下のほうの「国内債券」ですと、5年間の平均がマイナス0.02、中期目標期間もマイナス0.02であり、同じ債券ということで外国のほうを見ると、5年間でプラス0.07、第一期中期目標期間ではプラス0.09となっています。
 39頁から40頁にかけては、この辺の超過収益率の少し細かな背景について、ごく簡単にコメントを加えています。
 43頁の(4)をご覧いただくと、「市場及び民間の活動への影響に対する配慮」ということで、市場への影響に関しては、我々のサイズが非常に大きい点に鑑み、配分のときにも、これはもちろん注意しながら行ったわけですし、ものを売るときには、さらにきめ細かな注意を払って行っています。
 48頁は、基本ポートフォリオです。基本ポートフォリオは私どもの業務運営のまさに基本でして、第一期については、48頁から49頁にあるような基本ポートフォリオを設定して、これに従って業務を遂行しました。第二期分については、各アセットクラスの資産配分及び乖離許容幅については、ご案内のような中期目標に従い、同じ数字を持つ基本ポートフォリオを現在用いています。
 あと、資産処分の関連です。62頁に「施設及び設備に関する計画」とありまして、ご案内のとおり、社宅が2軒ありますが、この扱いについては、第二期中期計画期間中において、所要の手続きを完了し、我々のバランスシートからなくなるようにする方向で動いています。以上です。

○山口部会長
 事務局から最終評価結果(案)の紹介をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料2-4です。読み上げます。(1)「評価の視点」の前半部分は、法人の発足のところにもあり、同様なので7行目から読み上げます。
 本評価は、平成18年4月に、厚生労働大臣が定めた第一期中期目標期間(平成18年度~平成21年度)全体の業務実績についての評価を行うものである。
 当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に基づき、平成21年度までの業務実績の評価において示した課題等、さらには、独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、最終評価を実施した。
 管理運用法人は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国民生活の安定に貢献するという使命を負っている。
 したがって、管理運用法人の評価に当たっては、その使命を果たすために行われた具体的な取組、又はその取組における創意工夫を評価の基本とし、その上で、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて総合的な評価を実施することとしている。
 なお、年金積立金の運用は、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされていることから、管理運用法人における年金積立金の管理及び運用の評価についても、長期的な視点で評価することが重要である。
 中期目標期間の業務実績全般の評価。管理運用法人の使命は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うことにより、年金事業の運営の安定に資することである。
 平成18年度から平成21年度における管理運用法人の業務運営体制については、見直し及び改善が行われ、業務が適切に運営されていると評価することができる。
 また、業務運営能力の向上のため、積極的に外部の専門的知見を有する運用経験者の確保に努めてきており、人件費の制約がある中、最大限の努力を行っていると評価できる。
 業務運営の効率化とそれに伴う経費節減についても、資産管理機関の集約化等により着実に取り組んでおり、また、受託者責任や法令遵守の徹底、情報公開の充実といった事項についても積極的な取組が行われている。
 年金積立金の運用が年金体制に与える影響については、名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」について、年金積立金全体の運用実績と財政再計算及び財政検証上の前提を比較すると、第一期中期目標期間においては、財政再計算及び財政検証の前提を上回っている。
 また、ベンチマークとの対比で見ると、概ねベンチマーク並みの収益率を確保した。
 平成19年度、平成20年度といった不安定な市場の状況の下においては、管理運用法人は、適切かつ機動的なリスク管理を行い、また、運用受託機関の選定、管理及び評価についても適切に実施し、全体としては管理運用法人の設立目的に沿って適切に業務を実施したと評価できる。
 年金積立金の運用については、今後も、厚生年金保険法及び国民年金法に基づき、長期的な観点から安全かつ効率的に実施されていくことを大いに期待したい。
 中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。
 具体的な評価内容については割愛させていただきます。以上です。

○山口部会長
 竹原委員から講評をお願いします。

○竹原委員
 年金積立金管理運用独立行政法人の最終評価の起草委員として、大野委員と私とで検討を行い、第一期中期目標期間である平成18年度から平成21年度までの評価をまとめた最終評価を起草しました。起草委員を代表して、私から評価書(案)の概要についてご報告します。
 最終評価においては、管理運用法人に課せられた、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国民生活の安定に貢献するという使命を果たすために行われた具体的な取組に対する評価を基本とし、その上で、中期目標に定めた事項が適切に行われたかについて、総合的に評価を行っています。
 第一期中期目標期間の業務実績全般の評価としては、業務運営体制の見直しや改善が行われ、業務が適切に運営されていること。人件費の制約がある中で、外部の専門的知見を有する運用経験者の確保に努め、業務運営能力の向上に向けた取組が積極的に行われていることなどについて、評価しております。
 また、業務運営の効率化とそれに伴う経費節減についても、資産管理機関の集約化等により着実に取り組んでおり、受託者責任や法令遵守の徹底、情報公開の充実といった事項についても積極的な取組が行われております。
 年金積立金の運用実績としては、長期的には、年金財政の目標とされている実質的な運用利回りは確保できており、また、ベンチマークとの対比で見ても、概ねベンチマーク並みの収益率を確保できています。
 さらに、平成19年度、平成20年度といった不安定な市場の状況下においては、適切かつ機動的なリスク管理を行い、また、運用受託機関の選定、管理及び評価についても、適切に実施し、全体として管理運用法人の設立目的に沿って、適切に業務を実施したものと評価しております。
 これらを踏まえ、今後さらに積極的な取組を期待する部分について、評価書案の中で指適させていただいています。具体的には、業務運営能力の向上を図る観点から、質の高い人材の確保及び育成の推進。業務運営の基盤となるシステムの整備、強化及びその活用による業務の一層の改善。法令遵守の徹底など内部統制の一層の強化。年金積立金の管理・運用の更なる高度化のための調査研究の充実。年金積立金の運用に対する国民の理解を得るための広報活動の充実強化。運用収益確保のため、運用手法の見直しも含めた運用受託機関の選定、管理についての取組の強化。そして、平成20年度で財政投融資資金の償還が終了したことに対応した寄託金の償還等やポートフォリオの管理への適切な対応等について、指摘をしています。
 なお、年金積立金の管理・運用に不可欠な専門性の高い人材の確保・育成が必要であり、高度な専門知識を有する人材の維持のためにも、全独立行政法人一律の人件費削減目標の設定による制約については、慎重に検討する必要があることも、併せて指摘しています。
 また、管理運用法人において、第二期中期計画における基本ポートフォリオの策定に向けて、精力的な検討を行ったこと。第二期中期目標における運用目標が暫定的なものとして示されたことから、最新のリスク、リターン情報を用いて、第一期中期計画における基本ポートフォリオが安全、効率的かつ確実であることの検証、確認を行い、第一期中期計画における基本ポートフォリオを第二期中期計画における基本ポートフォリオとして策定していることについても、記載しています。私からの報告は以上です。

○山口部会長
 ただいまご説明いただいた業務実績の報告についてのご質問、あるいは中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)についてのご意見等がありましたら、各委員からお願いします。

○光多委員
 1つ議論のためという形で申し上げさせていただきます。中期計画の4年間の評価としては、このような目標があって、ちゃんとやったと。そういう点でいくと、きちんと書かれていると思います。これはこれで結構なのですが、独立行政法人としてどうなのかというところは、この中で書く必要はないのかもしれませんが、私の理解では、独立行政法人というのは、テンポラリーものだと思っているのです。イギリスなどはそうです。ですから、例えばある一定の期間やって、独法のエージェンシーのままでいくか、民営化するか、行政に戻すかを常に検討していくのが、エージェンシーだと思うのです。これは目標のとおりにやっているという形なのですが、そうすると独立行政法人として引き続きやったほうがいいというところについては、これはどう考えるのでしょうか。
 例えばいまおっしゃった、これからいろいろなことを考えるという、人材の育成とか、全部アウトプットレベルであり、かつ具体的なニューメラルターゲットがないわけです。そういう点でいくと、もう少しグッとくるようなというのは表現が悪いのですが、独法でこれだけやって、こういう形なので、引き続き独法形態で、このようなことに留意して、こういう形でやったほうがいいというところは、ここで書く必要がないのかどうか。新規の評価とすると、その辺まで触れなくてもいいのかなと。文章でなくてもいいのですが、どのように考えたらいいのか。議論のための議論かもしれませんが、どう考えるのでしょうか。

○山口部会長
 重要なご指摘だと思います。委員の方、いかがでしょうか。

○竹原委員
 まず、この最終評価の案ですが、これはあくまでも最終評価シート及び第一期中期計画との相対的なものとして起草しているので、いま光多委員からご指摘があったような、GPIFの存続、在り方そのものについては、正直申しまして、念頭に置いていません。ですから、もしそういったご意見があるということであれば、この場でほかの委員の方のご意見も伺うべきかと思います。

○光多委員
 逆に、厚生労働省サイドで、そこは触れないで、いまの組織延長線上での中期目標との比較だけで、正対的にやってくださいということであれば、それはそれで結構なのでしょうけれども。

○山口部会長
 位置づけについては、在り方の検討会等もありますし、事務局から説明してもらえますか。

○政策評価官室長補佐
 独立行政法人の場合、組織業務の見直しということで、去年も暫定評価をやっていただいて、そのあとどうするか。政権交代等もあって、先ほど言われたのは、総務省でいろいろと。
 だから、その辺で、どちらかというと、この法人の方向性は決まっていたという形になっていて、ここで最終評価ということで5年間のまとめをやってもらえばいいと思います。

○山口部会長
 参事官からどうぞ。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 この場の話とは若干反れますが、この管理運用法人については、昨年11月以来、大臣の下に在り方検討会を立ち上げて、そこでの検討を平行して行っているということです。
 それから、そもそも、この場でその在り方をご議論いただくかどうかについては、この独法だけではなく、厚生労働省関係には多くの独法があると思いますし、それぞれ中期計画期間が終了すれば、このようなレビューを行っているかと思います。そういう意味で、全体の並びの中から言えば、私の記憶している限りでは、これまでの独法の中でそういった、そもそも独法としての形態も含めてのレビューまでは行っていないのではないかと思っていますので、全体との整合性を評価官室のほうで見ていただくということではないかと思っています。

○光多委員
 そういうことであれば結構です。先ほど別紙の説明をいただいたのですが、ますますエージェンシーから行政に近くなったような感じで、逆にいくともっとアトラクティブに、例えばもう自主運営をやるとか、独法らしいレゾンデートルのある形が全然感じられなくて。これはこれで結構なのでしょうけれども、評価委員会としても、部会として、その辺について全く触れなくていいのか。前提がそれであれば結構なのですが。

○山口部会長
 先ほどもお話がありましたが、別途、この在り方そのものを検討する会議が走っているので、そこは当然それなりの役割があって、それなりの結論を出されることだと思うので、我々としては、とりあえずは中期期間における事業の評価はきっちりやらなければいけません。さらに、いま言われるような話というのは、そのような状況も踏まえながら、ほかとのバランスもありますので、今後の課題かなという感じがいたします。

○光多委員
 例えば組織の在り方については別途の場でやるので、ここについてはこのような前提で責任評価を行うものとするとか書いてあれば、その辺について何か考えているのはわかるのですが。

○大野委員
 組織の在り方までの記述はないのですが、4頁の上のほうに、人件費に関して、独立行政法人一律の人件費削減目標についてはご検討いただきたいという旨の文章は記載しています。それですので、これで十分かと言えば、そうではないといったご意見もあるかと思いますが、人件費に関しては、これについては、この年金部会でも何度も議論のあったことですし、それについては、こういった文面を追加しています。
 私も、人件費に限らず、評価をする上で、人件費は一律に削減目標があって、もう一方では、能力主義的な評価を導入するとか、人材を全体的に底上げするとか、明らかに矛盾するというか、全体的に底上げすることになれば、当然賃金が上がって然るべきだと思うのですが、明らかにこれはアウトプットと費用とのバランスでという議論が全くないところで、賃金のところだけを一律に削減目標が定められていることがあります。それを達成させるために、組織としてはこのままでいいのか、どうするのかという議論は、当然出てくる話だと思います。
 それについては、これは竹原委員からもお話がありましたように、中期目標との対比を念頭に置いて書かれたものですので、そこまで踏み込んだ記述を入れるべきかというのはわかりかねますが、そういった問題はあるかと思います。

○山口部会長
 ほかの委員の方はいかがでしょうか。

○川北部会長代理
 多少気になっているところと、光多委員の問題意識と関連しているのだと思うのですが、中期の目標期間ということで、平成18年度から平成21年度までの4年間の評価となっています。そういう意味では、このぐらいの評価で、独法が然るべく運用をやっていたのかはわかると思います。
 それなのに、あえて1頁の(2)のすぐ上に、「長期的な視点で評価することが重要である」とありまして、中期よりもさらに長い評価が必要なのかどうかは、何かよくわからないというのが1点です。
 もしここで、なお書きで多少書くのであれば、いまおっしゃられたような、独法としての運用能力の強化とか、そのようなものを考えるべきだとか、具体的な点としては、いま大野委員からあったような人材の観点ですね。入れるのであれば、そちらに触れたほうがより適切ではないのかなという気がしているのです。これはあくまでも私の意見であって、厚生労働省側としてこのような観点でいいのだというのであれば、それはあえて異論は差し挟みませんが、そのような感想は持っています。

○光多委員
 私も似たようなところで、先ほどから単年度の評価と中期的な視点というのがあったのですが、中期目標だとその辺は中期的な視点でやったのだという話をもっと前面に出して、単年度はいろいろと上げ下げはあったけれども、とにかく中期的にこのような形でやって、その辺は、そこが独法だと。
 それから、人材の育成というのも、行政だとすぐに人が変わってしまうのだけれども、そこを腰を据えた形でやる形なので、独法らしさが、運用や人材の育成であると。私は、これは独法でなければできない、より独法の特質を活かしてやろうと。
 先ほど大野委員がおっしゃったことは、前からずっと書いてある話であって、人件費の話は別として、やはり独法らしさというか、運用の態度とか、そのようなことをきちんと書かれて、そこの独法とした意義が、レゾンデートルを活かしてやったのではないかという話を、もう少し書いていただいたほうが趣旨に沿うのではと思います。一生懸命やっておられるのは重々理解しているので、そこをもう少し書いたほうがいいと思います。
 ほかのところは、そのようなことには触れないかもしれないけれども、ここのところは、そういう問題意識、議論があって、やや中期的な運用の仕方とか、いろいろ議論をしているわけだから、もう少しその辺を書いたほうがいいのかという感じがしたので、いま川北委員のおっしゃったところも感じていました。

○竹原委員
 事務局に確認をさせていただきます。「長期的な観点から安全かつ効率的に」という文言に関しては、発足時の上位文書か何かで、誓約条件として書かれているものだったと思うのです。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 これはそもそも厚年法の規定の中で、年金積立金の運用についての基本的な考え方ということで、このフレーズは出てきます。

○山口部会長
 ほかにご意見はございますか。光多委員のご指摘は、非常に貴重なご意見だと思います。単年度の業績評価の単なる5年分を足したものということだけではなくて、中期的な観点から、次の新しい中期期間を見たときに、そこへ向かって、このようなことが今後の課題として必要だといったことも、1つ指摘し、そのような方向性がもし書けるのであれば、そういうことにも言及することは重要であるというご指摘だと理解をしています。
 ただ、先ほどもお話がありましたように、ほかとのバランスというか、独法はそれぞれ違うのですが、全体としてのバランスもあろうかと思いますので、私と事務局で議論させていただいて、その趣旨をできるだけ取り入れられるように努力をして、検討させていただきたいと思います。
 いま申し上げたような形でご意見を反映するということで、中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)として、来週8月27日に開催されることになっている独立行政法人評価委員会総会にご報告します。具体的な修正については、私が事務局と調整して決めさせていただくということで、ご一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 最後に、法人理事長よりコメントをいただけましたら、よろしくお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
 この第一期中期目標期間の業務実績について、全体として積極的に評価を賜りまして、どうもありがとうございました。
 この中で指摘されておりますいくつかの事項、具体的な論点、私どももいずれも重要な課題であると考えておりまして、今度第二期の中期計画が始まったわけですが、その中でいろいろな制約がございますけれども、そういう制約の下ではありますが、できる限りこれらの課題について、さらに強化、実現すべく取組を強めてまいりたいと思っております。
 また、この第二期においては、管理及び運用に関する事項の中でも指摘されていますように、いわゆるキャッシュアウトというのが大きな課題になってまいります。これまで私どもは預託金を受け取って、これを運用するだけで第一期の事業はほとんど終わっていたわけですけれども、これから実際に、これまでマーケットで運用してきた資産を売却して、それを寄託金の償還等に充てるという、全く新たな事業が始まりますし、これは買手と違って、いろいろな形で市場にもいろいろな憶測を呼びかねないということでもありますので、これから市場の分析、情報の収集といったことを強化するとともに、市場に不測の影響を与えないように、慎重かつ十分な対応を図っていきたいと考えています。以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、役員の退職金に係る業績勘案率についての審議に入ります。まず、事務局から試算結果についてご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 年金積立金管理運用独立行政法人理事長から、独立行政法人評価委員会委員長宛てに、役員退職金に係る業績勘案率の算定についてご依頼がありました。
 独立行政法人の役員の退職金については、平成15年12月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に0.0から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされています。
 このため、法人からの依頼を受けまして、事務局において、当評価委員会が定めている「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、業績勘案率を試算しましたので、その結果をご説明し、次に委員各位に、この試算結果についての審議をお願いしたいと思います。
 今回算定した数値については、部会の決定を評価委員会の決定とし、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会に通知します。同委員会から意見があれば、改めてこの部会でご審議いただく形になりますが、意見がない場合には、部会長にご報告し、最終決定とさせていただきたいと思っています。
 資料2-5です。まず理事長で、川瀬隆弘氏です。平成18年4月1日から平成22年3月31日までご在籍で、4年間でした。役員の在職期間のうちに、年度評価ということですが、理事長の場合は、中期目標期間全体を通していらっしゃいましたので、中期目標期間そのものの評価が反映されることになります。「1.46」と書いてありますが、これは計算が間違っています。左の表にある平成21年度と同じように、Aが19、Bが1つに最終がなっているので、全体的には1.48です。1.48の場合は、0.15から1.49の間については、平均値の分類がYということで、各分類に対する率が1.0になります。役員の在職期間における目的積立金等はありません。その役員に係る職責事項についての法人からの申出についても、特にありませんので、事務局案としては、1.0ということで試算させていただきます。1枚めくって裏側には、委員の方には非公開資料として個人情報等の入ったものを付けているので、この件については取扱いにご留意いただきたいと思います。
 次に、向外喜治氏です。この方は監事で、平成20年7月18日から平成21年3月31日ということで、1年9カ月でした。平成21年度と平成20年度の業績としては、1.48と1.40ということで、どちらも先ほどと同じように、分類に対応する率としては1.0の計算となっています。目的積立金はないということと、法人からの特段の職責事項についての申出はないということで、事務局案としては1.0と試算しています。この方についても、非公開資料として裏面に個人情報、退職見込金を参考に付けています。事務局からは以上です。

○山口部会長
 このお2人の退職役員について、何か追加でご説明があれば、法人から簡単にお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 特段追加して申し上げる点はございません。よろしくお願いします。

○山口部会長
 ご質問等がございましたら、お願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、申請のあった業績勘案率については、原案のとおり1.0と決定してよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございました。なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定した業績勘案率について、政・独委に通知し、意見の有無の確認を行います。政・独委から意見のない旨当委員会に通知された後には、この「1.0」を当委員会の最終決定として年金積立金管理運用独立行政法人理事長に通知することとします。
 法人はこれで結構です。ありがとうございました。
(法人及び所管課退席)

○山口部会長
 最後に、事務局から提案があるようですので、これについて審議をします。事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 いま、業績勘案率算定のご審議をいただきましたが、独立行政法人の役員の退職金については、独立行政法人通則法第52条第1項の規定により、役員の業績は考慮されたものでなければならないとされておりまして、同条3項の規定により、退職手当の支給基準は、国家公務員の給与、民間企業の報酬等のほか、当該独立行政法人の業務の実績を考慮して定めなければならないとされています。
 また、平成15年12月19日の閣議決定「独立行政法人、特殊法人及び認可法人の役員の退職金について」では、各府省の独立行政法人評価委員会が0.0から2.0の範囲内で業績に応じて決定する業績勘案率を乗じて退職手当金を決めるものとされています。
 このように、法人又は役員の業績を踏まえて、業績勘案率を定めるものとされていて、これを受け、現在の「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」では、各項目の評価について、Sを2点、Aを1.5点、Bを1.0点、Cを0.5点、Dを0.0点として平均をとって、それを、1.5、1.0、0.5の3つのパターンで分類して、目的積立金の状況や特段の事情を考慮して業績勘案率を決定することとしています。
 これまでに決定した業績勘案率は1.2又は1.0、他府省の例を含めても1.2~0.9と、算定方式と実際の間に乖離があることや、委員の方から、法人全体の業績だけをもって業績勘案率を決めるのではなく、個人の業績に着目して決めるべきではないか、というご意見も、他の評価委員会ではございます。
 それで事務局で検討しまして、資料3-1-?@、?Aのとおり、事務局案を作成しています。この案について、ご意見を賜りたいと考えています。
 業績勘案率の決定方法の変更については、8月27日に予定している総会で審議し決定することとなりますが、その前に各部会にご意見をいただき、それを踏まえて総会に諮りたいと考えていますので、今回審議をよろしくお願いします。
 資料3-1-?@です。これまでに決定された業績勘案率を踏まえて、法人業績について、Sを2.0点としていたのを1.2点、Aを1.5点から1.1点、Bは変わらず1.0点、Cは0.5点から0.9点、Dを0点から0.8と、変動の幅を縮小。その上で役員の業績を反映するということで、当該役員が所掌している業務の評価項目について、Sを0.3点、Aを0.1点、Bを0点、Cをマイナス0.1点、Dをマイナス0.3点として、平均して、それを法人業績率に加算します。これらにより、これまでの算定方式ですと、1.5、1.0、0.5の3通りとなっていたものを、0.1刻みとなるように変更させていただきたいということです。ただし、業績勘案率が1.0を超える場合には、目的積立金を計上している等財務状況が好調であるとする取扱いについてはこれまでと同じです。
 監事については、内部牽制が役割ですので、法人の業績に直結するものではないことから、個人貢献率を加算しないこと。それから、在職期間が1年未満の場合は、業績勘案率は1.0以下とすること。法人の業務負担等を考え、年度途中に退任した場合の業績勘案率の決定方法については、9月までの退任であれば前年度までの業績を基に勘案率を算定し、10月以降の退任であれば翌年度の業績評価の結果を待って算定するという形に変えています。
 なお、事務局案どおり改定した場合に、どのような業績勘案率になるか試算したものを、1枚紙の概要に付けている、「現行と改定案との業績勘案率比較表」でまとめています。それはご参照していただければと思います。ちなみに、ここの年金部会ですと、5頁に健康保険福祉施設整理機構と積立金の管理運営法人の分が入っています。
 それから、この比較表の右端にある「仮定業績勘案率」が試算した率になりますが、この仮定業績勘案率を算定した後に、減算要因がないか、仮定業績勘案率に照らして当該役員の業績が妥当か、財務状況が好調か等の検証を行い、最終的に業績勘案率が決まることになります。
 これまでの例に当てはめると、ほとんどの法人が、財務状況が好調であることについて、認められておりませんので、仮定業績勘案率が1.0を超えている場合でも、最終的には1.0になるものがほとんどです。財務状況が好調というのは、目的積立金が積まれていないというところで、1.2とか1.3となっている部分でも、1.0にせざるを得ないのがほとんどということです。私からの説明は以上です。

○山口部会長
 ただいまの内容について、ご質問等がありましたらお願いします。

○樋口委員
 なぜ変更するのかがよくわかりません。というのは、毎期毎期評価をしているのは業績と運用の結果に関して評価しているわけですから、法人業績と個人貢献率というのは、理事長に関してはイコールだと私は思います。監事は法人業績率が入るのはおかしいと思いますが、なぜそういう分け方をするのかが、わざわざここで検討したいとしているのかが、いまのご説明を聞いて、頭が回っておりませんのでよくわかりません。そこの辺をもう一度ご説明いただければと思います。
 それから、退職金というのは何なのだろうと。いまさらそんなことを言ってもしょうがないというか、もうよその法人も決まっているというのであれば、そのようなことを言うつもりはありませんが、監事のところで、1年未満の場合には1.0以下とすると。1年未満の監事に何故に退職金が払われるのかということも、私には理解できないと思います。

○政策評価官室長補佐
 先ほどもあれですが、現状の試算ですと、1.5、1.0、0.5の3段階しかないということです。いままでいちばん問題になりましたのは、国立病院機構の場合は、自動的に計算すると1.5になると。ただ、なかなか政・独委のほうで認めていただけないのもあり、政・独委でいままで認めてもらっているのが1.1と1.2の2パターンです。それで1.2が国立病院機構で2人、1.1が宇宙開発機構で1人ということで、なかなか上にもっていくのがなくて、厚生労働省の場合は0.5刻みというのが他省庁と比べて全然あってないというところがあったので、0.1刻みにしたいという部分。それから、これは他の部会で、法人だけの業績を見るのではなく、役員であれば財務担当とか、労務担当とか、いくつか担当も分かれているので、そこの部分について、貢献率のような形にというか、個人の業績を見たらどうかというお話がありましたので、今回こういう形に変えたいと。
注3のところは、監事の方だけではなくて、役員全体が在職期間1年未満であれば1.0以下。退職金につきましては、期間が1か月だから、2か月だから出さないというところの規定がそもそもありませんので、そこについては制度上のものですので。

○樋口委員
 わかりました。ありがとうございました。先ほどおっしゃった平成15年に退職金の規程ができたのですか。それは独立行政法人は全国イコールの退職金規程を使うのですか。

○政策評価官室長補佐
 業績勘案率というか、この0.0から2.0というのが閣議決定されており、公益法人も同じ形になっております。

○樋口委員
 私は行政のことはよくわかりませんので時間を取って恐縮ですが、閣議決定したものを、運用上において、さらに修正することができるのですか。

○政策評価官室長補佐
 そうではなくて、閣議決定しているのは0.0~2.0の間で評価委員会が決められるということになっています。その間、0.0~2.0の数値をどうやって決めるかは、各省の評価委員会に任されていますので、今回そこの規定を。

○樋口委員
 わかりました。そうすると、各省庁により異なるのであれば、よその独立行政法人が刻みが短いとか、そういうことはあまり関係ないのでしょう。厚生労働省として、独立行政法人のを決めればいいのですね。

○政策評価官室長補佐
 そうです。先ほど言ったみたいに、0.5きざみが駄目だというわけではないのですが、実質的に、国立病院機構の場合はその1.5になって、そのときには評価委員会の場で皆さんに議論をしていただいて、1.2にしようということになったのですが、そこはある程度機械的に出たほうがもっとスムーズにやれるのではないかというところがあります。

○樋口委員
 そうですか、わかりました。私は最初に申し上げましたように、評価仕直すと上がるというところが何かくさいなと思っています。それで、1年未満でも退職金が出るという、それもおかしいと言ってもしょうがない話ですからかまいませんけれども、そういうことになっているのであれば。そもそもそこまで独立行政法人が細かく元の省庁にチェックされなければならないという運営自体が本当はおかしな話なのでしょうから、そこの根本的な問題をごちゃごちゃ言ってもしょうがない話ですから。上がるところはおかしいと思いますので、私は反対です。

○政策評価官室長補佐
 上がるものだけでもなくて、これは1.5と。

○樋口委員
 細分するということは、もう一回評価するということではないですか。いまおっしゃるようなやり方は、個人業績とか、法人業績とか。我々、評価でかかわっているのは、この時点でかかわっているわけだから、さらにそれから細かく評価するのに、何の資料が出てくるのですか。もう一回評価するのですかという、そういう作業をする必要があるのかどうかがすごく疑問に思います。

○政策評価官室長補佐
 ここは、いま出してもらっている数値で機械的に出るという。先ほど言った個人的な業績の部分については、この評価シートの、前は効率的な運用を。理事長であればこれがそのまま載って、そこに個人業績の0.3なりがかかるという形。あと、理事個々であれば、財務担当であればその財務にかかるところだけを引き抜いて。

○樋口委員
 そんなことはないですよ。理事はみな同じですよ。理事長であれ。もちろん責任の度合いは違うから、元々の給料が違うわけでしょ。そこで差が出るのであって、財務担当理事だからといって、ほかのことは関係ないですよということはあり得ないと私は思います。

○山口部会長
 所掌割合というのがあって、それでやるということですよね。

○樋口委員
 それは通常の事業体、会社を考えても同じだと思うのですが。営業担当で大変なちょんぼでもしないかぎりは、営業担当だからといって、すごい業績を上げたからといって、賞与は別にして、たくさん退職金が出るような案を、もし株主総会に出したら、きっとそれは紛争の種だと思います。それはなぜかというと、1人の業績で全体が動くという状況ではないからですよね、個人商店でないかぎり。だから独立行政法人において、そのような個々の担当理事の職責に応じて財務をきちんとやったからといって、その財務のところだけ評価するという、そういうことはないと私は思います。

○山口部会長
 ほかの委員の方。

○光多委員
 これは決まっているのですか。

○山口部会長
 ですから27日に正式に諮るために、事前にやるのです。この部会で意見を聞いておいて、ということだから、自由に。

○光多委員
 法人、個人、この仕組自体もまだ決まってないのですか。

○山口部会長
 まだ決まってないです。

○政策評価官室長補佐
 先ほど説明しましたように、0.5と1.5になる計算の仕方というのは、いまはもう決まってはいるのですが、また新しく0.1刻みで出るように考えたいということです。現状は、158頁に出ているものが厚生労働省の評価委員会の積算の仕方という形になっています。これであれば0.5刻みでしか最終的な評価が出ないということになっていますので、それを0.1単位で細かく出せるようにするには、個人業績もちょっと考えたほうがいいのではないかという意見もあったので、それも含めて変えられないかというようなところです。

○山口部会長
 2つあるのですよね。1つは、0.5刻みだと総務省のほうから、なかなか1.5で出しても認められることがほかとのバランスでないと。だからこの0.5刻みでやっているのはあまり得策ではないという、ほかの省庁とのバランス論の議論があって、実際によくやったところで付けようと思っても、1.5でもなかなかOKが出ないから、例えば1.2ぐらいだったらもしかしたらOKが出るかもしれない。そこをきめ細かくやりたいというような部分と、別途、樋口先生がおっしゃった、個人の部分については、そういうことができるのかどうかという議論があるけれども、一部にはそういった、この人は本当に頑張っているけれど、法人としては駄目だったから、なかなか評価されないのは可哀想ではないですか、といったような意見を2つ混ぜて作られている案みたいな、そんな感じですか。

○政策評価官室長補佐
 そうですね。一応、機械的に出て、あと評価委員会からの意見とか、先ほどの法人からの職責事項ということで、0.5単位で上下はさせられることになっていますので、機械上で出た上でプラス・マイナスもできるということです。
 この1.2というのは1.5と出るけれども、そこを評価委員会として1.2ぐらいが妥当ではないかというふうな議論をしていただいて、総務省にかけたという形になっています。

○光多委員
 理事長も個人貢献率をやるのですか。

○政策評価官室長補佐
 理事長は個人貢献率をかけますけれども、法人のものと同じ形です。全部の項目がそのまま個人貢献率に反映されます。

○光多委員
 実際、これは理事長はないのですね。

○政策評価官室長補佐
 理事長のものを仮置きしたのが3頁からです。1.0になっているところについてはちょっと上がっているところがあって、1.5と出ているところは当然下がっているというような図になっています。

○大野委員
 0.1刻みというきめ細かな評価にしたいという場合に、個人貢献率を入れることだけが方法になり、ほかにも法人と個人に分けなくても、刻みを粗くすることであればほかにも方法があり得るのではないかというふうに思います。

○政策評価官室長補佐
 はい、そうですね。やり方として、今回の話は他部会で個人の業績も入れたほうがいいのではないかという意見がありましたので、そういう形で作っています。0.1刻みにするやり方はほかにもあります。特に個人の分を入れないと0.1刻みにならないというわけではないです。

○光多委員
 年金積立金で、理事長以外の退職金の対象となる理事の方は何人くらいおられるのですか。

○政策評価官室長補佐
 何名かはいらっしゃいます。

○光多委員
 そうすると、一人ひとりがどうだったかというのをこれで評価するということですか。

○政策評価官室長補佐
 3、4人です。理事長を含めまして計4人です。

○安達委員
 退職のときだけ総合評価をするというのは、過去の実績を全部もってこないとわからないわけです。もしこのようなことをするとすれば、毎年理事の評価をしておくべきではないかという感じが私はします。しないならしないでいいけれども、個人別の評価もやるとすれば、毎年、私はこんなことやりました、あの人はこんなことをやりましたと、きちんと評価をしておいて、それを退職のときに積算するというのがいちばん適当ではないかという感じがしますけれども、どうなのでしょうか。なかなか難しいのですか、個人の評価をするというのは。やはり役員は一蓮托生で、強制以外受ければ全員の役員の成績だと、悪ければ全員の役員の成績だという評価のほうが最も妥当なのかという感じがしますけれども、どうなのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 ちょっと1点、光多委員が言われた積立金運用法人の場合は、理事長のほかに監事が1人と理事が2人です。対象になるのは全部で4人になります。

○光多委員
 現実的にちょっと難しいですね。だって、どれがどれと我々意識していません。いまからでは、この人はどうやったかというのを遡及するのはおそろしく難しくて、樋口委員がおっしゃったように、NPOとか独法のどこにも携わっていません。ここの理事は、一人ひとりが無限の責任を負うのではないですか。株式会社とそこは違うのですね。

○山口部会長
 ほかの委員の方、何かご意見ありますか。

○竹原委員
 あんまりこういうことを言うのは、私は心苦しいのですが。そもそも論で、独法評価の基準がほとんどAが中心になっているのです。ということしは、もう最初から平均を取ったらAだと1.1倍に総額がなるように制度自体が設計されているわけですよね。それはやはりおかしいと思うのです。例えばインセンティブという意味で非常にいい実績を残された組織の理事長の方がいままでよりも多額の報酬を受け取ることに関して、反対するわけではありませんけれども、ただし、それは全法人について考えたときに1.0になるという条件があっての制度でなければいけないと私は思うのです。
 この制度でやると、確かに1.5のところが1.3になっている例はありますけれど、たぶんこの制度をそのまま適用すると、1.2倍ぐらいに、個人まで含めると総額はなるはずですよね、どうやっても。それを国民感情として、この状況で認められるのかというと、認められないと思います。個人的な意見ですけれども。

○政策評価官室長補佐
 これに1つありますのは、財務的なところで好調かどうかということがいちばん総務省からも言われていまして、そこに目的積立金が積まれていることが前提だということになりますので、その部分については、ちょっと見づらいのですが、ステップ3のところに財務状況が好調かということで、その右に「財務状況が好調とは次のいずれか」ということで、目的積立金又は次期中期目標期間への積立金の繰越と。それが目的積立金相当のものがあるかということと、あと?Aのところで、業績勘案率1.0の場合と、今回1.1にするなら、その0.1のところの金額が例えば20万円なり30万円なりだった場合、目的積立金はそれの100倍以上であるかどうかというふうな、100倍でいいのかどうかというのはありますけれども、財務状況が好調だったというふうなところも反映するので、簡単には1.0を超えることはないというところもあります。

○竹原委員
 例えばGPIFの場合、目的積立金を取ってないです。

○政策評価官室長補佐
 積めないです。

○山口部会長
 どういうところが目的積立金を積めるのですか。

○政策評価官室長補佐
 一応、GPIFとRFO以外は積めたと思います。GPIFにしても、いま考えていますのは、目的積立金というのは人件費だとか一般管理費のようなところなので、そこが同等に節減されるなり、収益事業等はいまやっていないのでできないですけれど、将来的に何らかの収益なり差額で国庫に返納するようなお金ができるとか、積立金が積み上がったと同等のものがあるとして、それの100分の1の額が上乗せされる退職金と同等の額であればいいのではないか、というやり方もあるのかなということです。
 目的積立金という形ではなくてもそれと同等の財務状況が好調であったという判断ができれば、総務省のほうに出していいのかと。総務省のほうは目的積立金等ということで言っていますので、そこを認めてもらえるかどうかという別の問題もあるのですが。

○山口部会長
 例えばRFOで、今回評価の住宅があったわけですけれども、理事長のリーダーシップも非常によく発揮されたというようなケースを当てはめたら、だけどここの財務状況が好調かというところで1.0になってしまうわけですね。実際に非常に評価委員会でほかの独立行政法人の、光多委員も言われたように模範とすると言いますか、模範になるような、そういうところがうまく機能しないようなシステムとしたら、あまりに何か、変えてもその実態と乖離しているという感じが若干します。これによって潤うのはほかの法人で、それは我々はどのような実態かよくわからないところですが、たまたま目的積立金があって、みんなAになっているから実態1.1になってとかいうので増えているというような、思わぬところに利益が転がり込むみたいなのはあまり好ましくないような感じもします。
 ただ、0.1刻みにしないと全然受け付けてくれないというのであれば、それはある程度考える必要はあるように私は思います。いまのような所詮最初から無理な基準を作ってしまったというのは、どこかで改めるべきだと思うので、そこはいいと思うのですが、財務状況のところについては、これは総務省が言っているわけですよね。

○政策評価官室長補佐
 それはそもそも16年ぐらいに、それまではなかったのです。財務状況がこういうふうなことということが一言入りました。

○樋口委員
 国民感情として、年金積立金だと、退職金がいくらいくらとか、1年もいない人たちがいくらいくらという情報が流れたときに、決していい広報にはならないですよね。積立金がいくらいい成績を、仮に運用成績を上げたとしても。世間はやはり退職金というのは無くなる傾向にあると思うのです。企業でいうと、役員退職金というのは、いまほとんど廃止している会社が多いと思います。そういう風潮がある中で、よくわからない評価を評価委員会に任されても、大変なことだし、それはあっさりしているほうが楽なのですよ。

○光多委員
 それに1年未満は退職金は無しですよ。私もずっと、大学も会社のときも、1年未満は無しでした。

○樋口委員
 いや、あるのです、決まっているので。

○光多委員
 これを見るとやはり無しのほうがいいかと思うのです。もう1つは、先ほど樋口委員がおっしゃったように、当該役員が所掌する業務評価をまたやっていくというのは現実的に不可能だから、法人の業績率があって、それをベースとして、「その役員について特に勘案すること」と付け加えればいいのではないですか。並列でもう1回評価するのではなくて、法人がこうだったと、そこに、役員について、何か特にという、それはマイナスであることもあるのだけど、そこにちょこんとプラスかマイナスか最後に付け加えたほうが現実的ではないでしょうか。縦割りでもう一度これを評価するというのは、まず現実的ではないです。

○政策評価官室長補佐
 今回やっていただいた方の、先ほど法人から申出は特にありませんという、あの部分でこんな業績を残したのでもうちょっと上げてくださいというような話が本来あればいちばんいいと思います。そこの部分はここにも残しているのです。これ自体は機械的に個人業績も入れられないかというところがあったので、ここに入れていくと。いまのご意見ですと、機械的には法人全体の業績から0.1刻みにしておいて、それにプラスアルファ個人があるのであれば、そこはこの中で議論をしていただくと、そういう形で。

○光多委員
 そのほうが現実的な感じがします。

○竹原委員
 もっとシンプルに、Sが1個付いたら5%とか、そういうルールのほうが私は結構ですけれども。Aから見てもしょうがないですよね。Aが標準だから、ABCDを見るのを止めて、次がしたかったら、Sが付いたら単純に、非常に優れた業績だからプラス何%で、C以下が付いたらマイナス何%とか、そういうもっとシンプルなルールでかまわないのではないですか。それで個人も全部無しとか、そのくらいのルールでないとたぶん駄目だと思います。

○政策評価官室長補佐
 総会のところにはこのまま出すのかどうかというのもありまして、いまいただいた意見もご紹介させていただきつつ、諮りたいと思います。

○山口部会長
 わかりました。では、8月27日の総会でまた議論といたします。それでは本日の議事は以上です。
 本日ご審議いただいた総合評価と、財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定となります。
 また、法令に基づき、政・独委への通知及び公表の手続きが行われることになります。
 なお、最終評価書案につきましては、冒頭に事務局からも説明がありましたが、当部会の後、総会においてご審議いただいて確定の運びとなります。
 それでは、事務局より、今後の予定等連絡事項についてご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定等について連絡させていただきます。
 本日ご審議いただいた総合評価書については、事務手続きを進めさせていただき、後日、委員の皆様方には確定版を郵送いたします。
 それから、積立金管理運用独立行政法人の評価書については、総会での決定次第お送りいたします。そして総会メンバーの皆様におかれましては、27日金曜日の午後2時から、17階21会議室、ここで、評価委員会の総会が予定されておりますので、ご出席のほう、よろしくお願いします。ありがとうございました。

○山口部会長
 それでは本日の部会はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議いただき、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会年金部会)> 独立行政法人評価委員会年金部会(第28回)議事録

ページの先頭へ戻る