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2010年8月2日 独立行政法人評価委員会年金部会(第27回)議事録

○日時

平成22年8月2日(月)13:00~15:45


○場所

経済産業省別館8階825会議室


○出席者

   山口部会長、川北部会長代理、大野委員、安達委員、樋口委員、光多委員


○議事

(以下、議事録)
 
○山口部会長
 定刻になりましたので、ただいまから第27回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。例年、暑い中の開催となりますが、国民の皆様に独立行政法人が信頼される評価となるよう、ご審議をお願いいたします。本日は竹原委員がご欠席です。
 議題に入ります前に、篠原政策評価官よりご挨拶がございます。

○政策評価官
 7月30日付で政策評価官を拝命いたしました篠原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○山口部会長
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりでございまして、「独立行政法人農業者年金基金の平成21年度の業務実績に係る意見について」及び「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の平成21年度個別評価について」です。
 それでは、農業者年金基金の平成21年度の業務実績に係る意見を各委員の皆様からお伺いするに先立ちまして、所管課並びに法人よりご説明をお願いいたします。

○年金局企業年金国民年金基金課長
 年金局の企業年金国民年金基金課長をしております中村と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日、評価をお願いいたしますことですが、まず私のほうからご説明させていただきたいと思います。農業者年金基金に関する資料は、本日資料番号の1-1から1-5までを用意をいたしておりますので、ご確認をお願いできればと思います。
 この独立行政法人農業者年金基金ですが、農林水産省が主管の法人となってございます。業務の一部、旧制度の給付に係る業務に関する事項につきましては、厚生労働省との共管という形になっているところです。したがいまして、この業務実績の評価につきましては農林水産省の評価委員会で行っていただくことにはなりますが、その際に、農林水産省の評価委員会が厚生労働省の評価委員会の意見を聴取する仕組みになっているところです。以下、資料に基づいてご説明を申し上げます。
 まず資料1-1をご覧ください。農水省の独立行政法人評価委員会の委員長から当省の委員長宛に、意見聴取について公文の依頼をいただいているものです。本日は、これに基づきましてご審議をお願いするということです。
 1-2は飛ばしまして、資料1-3をご覧ください。「独立行政法人農業者年金基金に係る所管等について」という資料です。1のところに「所管」とありますが、一般的な業務運営に関する事項や新制度に係る事項につきましては、先ほど申し上げたように農林水産省の所管です。厚生労働省と農林水産省の共管になっておりますのは、1の?Bの旧制度の給付に係る業務に関する事項、これに限定された形になっておるところです。
 したがって、厚労省の評価委員会の役割ですが、2の業務方法書の認可、あるいは中期目標の制定等については共管ということで、所管部分について、それぞれ厚労省と農水省が評価委員会に意見を聴取する形になっております。
 一方、「また」以下に書いてございますが、今回議題となっております、毎年度の実績の評価に関する事項につきましては、基本的には農水省の評価委員会に意見を聞くということです。農水省の評価委員会が意見を申し述べていただくに当たって、共管部分に関して、厚労省の評価委員会の意見聴取をする形になっておるところです。
 次に、具体的な評価基準について、ご説明を申し上げます。7頁をご覧ください。ここに、「業務の実績に関する評価の基準」という資料をお付けしておりますが、この評価基準そのものは、農林水産省の評価委員会が策定したものです。それに従って評価をお願いすることになっているところです。
 以下、具体的な中身についてです。その下の1のところに「評価の基本的考え方」、その(2)に、「各事業年度の実績評価は」という件があります。これにつきましては、中期計画の各項目について実績評価を行うということで、具体的には、12頁と13頁をご覧ください。ここに、「別紙」と書いてございます。中期計画に属する各項目の評価の考え方が書いてございます。大項目、中項目、小項目と分かれております。中項目、数字で申し上げると1、2、3、4と書いてあるところですが、この中項目を評価単位といたしまして、中項目の評価をしていただく。その中項目の評価を踏まえて大項目を評価していただき、最終的には大項目の評価を踏まえて全体を評価していただく、いわゆる3段階の評価になってございます。
 具体的な評価方法ですが、それぞれ同じような形になってございますので、中項目の評価方法でご説明をさせていただきたいと思います。7頁に戻っていただきまして、下のほうの「2(1)中項目の評価方法」をご覧ください。ここに「各事業年度の実績評価の方法」、「中項目の評価方法」がございます。中項目の評価につきましては、小項目の評価結果を積み上げて評価をお願いする形になってございます。達成度合がaとされた項目は2点、bとされたものが1点、これが標準ということになっています。それからcが0点ということです。この積み上げた数字を基準にして、それを2倍した数を基準として3段階で行うという形になってございます。
 8頁の頭にかけてですが、この各小項目の評価の合計数値の割合が、例えば基準となる数値の90%以上であればA、50%以上90%未満であればB、50%未満であればCという評価基準になっているところです。ちなみに、その下の「なお」のところですが、Aの評価のうち特に良いという場合にはS評価ということができることになってございます。また、C評価の場合に、要因を分析して、必要に応じてD評価ということもできることになっているところです。評価方法について、ご説明申し上げました。
 最後に、スケジュールについてご説明を申し上げたいと思います。資料1-2をご覧ください。厚生労働省の評価委員会と農林水産省の評価委員会の関係をここに書いてございます。左側が厚労省の評価委員会、右側が農林水産省の評価委員会の動きになっています。農水省の評価委員会ですが、いま伺っているところでは、8月23日に農業分科会開催と書いてあります。この日に、独法評価委員会が開催される予定と伺っています。したがいまして、これから逆算しますと、8月上旬には農水省のほうに当省の評価委員会からご意見の提出をお願いしたいということで、本日8月2日ですが年金部会の開催をお願いしているところですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 とりあえず私からは以上ですが、続きまして法人のほうからご説明申し上げます。

○農業者年金基金理事
 農業者年金基金理事の光内と申します。どうかよろしくお願い申し上げます。資料1-5の、この評価委員会に関係のあるところをご説明申し上げたいと思います。
まず6頁をお願いいたします。6頁には、「業務運営の効率化」という項目がございます。この項目は(1)「申出書等の見直し」、(2)「電子情報提供システムの利用促進等」、(3)「実務者用マニュアルの見直し」の3項目によって構成されています。
 第1点の「申出書等の見直し」に関して、給付関係に係る旧制度の裁定請求書、65歳になるときに年金の受給が確定しますので、そのときに提出をいただく書類なのですが、従来、住民票又は戸籍謄本あるいは抄本の提出を求めておりましたが、平成22年1月1日農協受付分から、請求日時点で効力を有している運転免許証あるいはパスポートの提出によって確認可能ということに変更しまして、加入者に対する利便性の向上、負担の軽減を図っております。
 (2)「電子情報提供システムの利用促進等」。基金主催の会議や受託機関の開催する業務担当者会議の研修会などへ基金の職員を派遣して、電子情報提供システムの利用方法等の説明会を実施しました。また、平成21年9月末に本システムの利用促進用パンフレットを作成し、未利用受託機関の担当者へ直接送付を行うなど、利用促進に取り組みました。
 アクセス件数ですが、平成21年度32万5,000件となって、平成20年度の28万3,000件に対し、14.8%増加して前年度を上回りました。
 達成状況ですが、アクセス件数が14.8%増えたことから、評価項目aとさせていただきました。
 「電算システムの改善・整備の検討等」についてですが、例年要望のある項目について、できる限り改善要望を取り入れて、システムの改善・整備を行っているわけです。昨年度は、大きく変わったところが、新制度の65歳の年金裁定時の付利累計額がマイナスになったときの損失を可能な限り補てんするという仕組みができました。これに相当の労力がかかりましたが、これの開発を終了いたしました。
 そのほか、現場あるいは受託機関から要望のある項目については適宜改善を行っており、概ね、年度末までに所定のものを完了したと判断しています。
 達成状況はaと判定させていただきました。
 (3)「実務者用マニュアルの見直し」につきましては、昨年度は特に所定の見直しは行っていないので、該当なしと判断しています。
 12頁をお開きください。12頁のいちばん下の段、「業務運営能力の向上等」についてですが、当基金の職員、受託機関の職員に対する能力向上のための取組みです。(1)「農業者年金基金職員に対する研修」ということですが、私どもの基金は出向者が大半を占めておりますので、例年職員の入れ替りが結構頻繁にございます。したがって、新しく着任した職員に対して4月及び10月に、この農業者年金の制度、中期計画、その他いろいろな実務的な内容について研修を実施しております。「おおむね理解が図られた者の割合」ということで、テストの点数が80点以上の者の割合は100%でした。昨年の8月に、この評価会議の席上で各委員の方々から、客観的な指標でもって達成度を把握したらどうかというご指摘をいただきました。それ以降、基本的にすべてテストを実施しています。
 先ほど申しましたとおり、理解の割合が100%であったことから、項目的にはaの評価としました。
 13頁のいちばん下のところ、今度は「業務受託機関担当者に対する研修」についてです。都道府県段階における業務受託機関の担当者に対する研修が13頁から14頁にかけてさまざま書いてございます。14頁をお開きください。都道府県段階の担当者会議を4月に実施しました。このときに212名の参加をいただいております。中段の辺り、担当者会議を同じく3月に開催したところ、参加者は159名でした。
 各都道府県の担当者の会議でたくさんの項目を書いていますが、こういうすべての項目について詳細に縷々説明をし、徹底を図っているということです。右の段の中段より少し下のイのところ、6月に、新たに農業者年金を担当することになった職員の方々を対象にして、これらのほぼすべての項目に網羅する項目の研修をしています。新任担当者研修会と呼んでいまして、これに参加した方は56名、おおむね理解が図られた方の割合が91.1%でした。
 いちばん下のウのところ、10月と11月に、全国を6つのブロックに分けて、東京ではなく各地に行って、もう少しきめ細かな研修会をしています。6つのブロックの職員に、それぞれの会場でかなり詳細に説明会をしています。15頁をお開きください。上の段のいちばん下のところですが、参加者が6ブロック全体で209名ということで、計画どおり実施しています。
 達成状況ですが、計画どおり実施して、おおむね理解が図られた者の割合は、新任担当者研修について把握することとなっており、これが91.1%であったことからaとしました。
 次に、都道府県段階よりももう少し詳しくなりますが、今度は各市町村段階です。各市町村が受託機関となっておりますので、各市町村の職員の方々に対しても、こちらから出向いてさまざまな研修を実施しています。各市町村段階の受託機関から要請のありました会議に、1年間を通じて講師の派遣依頼の件数が153件ございまして、すべて153件に対応して、派遣の人数は延べ207名です。
 講師の派遣依頼に対する対応割合が100%であったことから、評価項目はaとしました。
 16頁、「評価・点検の実施」ということで2項目でございます。1つは、加入者代表者等の意見を反映させるということ、もう1つは業務受託機関の指導・点検です。
 まず、加入者代表者の意見の反映についてですが、年に2回、運営評議会を開催しています。運営評議会は、各代表された委員の方々にご出席いただいて、我々の行ってきた事業の概要をご説明し、さまざまな意見を頂戴することをしています。年2回、9月と3月に開催いたしました。
 達成状況ですが、年2回以上開催し、委員の意見を電子情報提供システムの機能強化及び利用促進、それから特別研修等について業務運営に反映したということで、評価項目はaとしました。
 次に、「業務受託機関の事務処理の適正化等」についてです。考査指導を現地に出向いて実施しています。昨年度は、業務受託、委託業務が適正かつ円滑に行われるように、24都道府県の業務受託機関を対象に考査指導を実施いたしました。2年で、すべての47都道府県をカバーすることから、1年で大体半分の都道府県をカバーさせていただいています。その結果、担当者会議等で考査の指導によって浮かび上った問題点等は、かなり綿密にフィードバックをさせていただいています。
 達成状況として、24都道府県の目標に対して、24都道府県実施しましたので、達成割合は100%ということで、評価項目はaとしました。
 17頁のいちばん下の「申出書等の迅速な処理」の項目です。申出書の迅速な処理に関しましては、提出のあった申出書に係る標準処理期間の中での処理割合は、年2回計測することになっており、平成21年8月処理分が97.9%、平成22年2月の処理分が99.6%ということで、調査2回の平均期間内処理は、18頁のいちばん上の98.8%でした。
 このことから、達成状況としては、97%以上という目標を達成しましたので、達成割合は101.9%ということで、a評価としました。
 「申出書等の返戻割合の減少」。さまざまな書類をいただくわけですが、不備がありますとお返しをして、不備を正しく直してからいただくことになります。そもそも不備が発生しないほうが問題ないわけですから、不備の発生率を減少させることを目標にしています。審査の段階で申出書等の不備が判明した場合には、原則として審査した翌日に不備箇所の状況がわかる書類を添付して、業務受託機関に返戻しています。また、返戻件数を減少させる方策として、業務受託機関を対象とした会議等において、さまざまな指導をしています。その結果、返戻件数の割合が前年度から4.1ポイント減少しました。20年度が5,957件で、返戻率が11.1%、21年度の返戻率が7.0%ということで、4.1%減少しました。
 このことから、達成状況としてはa評価としました。
 「申出書等の処理状況の公表等」についてです。先ほどのような申出書の処理がどう適切に行われているかを、基金のホームページで年2回公表しています。平成21年8月分を9月29日に、平成22年2月分の結果を平成22年4月2日に、それぞれホームページで公表いたしました。
 年2回公表して、期間内に処理するよう指導を行ったことから、評価項目はaとしました。以上で、私からの説明を終了させていただきます。

○山口部会長
 ただいまのご説明につきまして、ご意見、あるいはご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○安達委員
 ……も進んでおりますし、受給している方々も何ら不便、不満等もないようですし、大変良い状況だと思います。

○光多委員
 制度をきちんと理解しているわけではないので教えていただきたいのですが、前もお伺いしたのですが、12頁で3,900件新規加入者があって、今どのぐらいの累計加入者数になっているのか、その母数が何なのか。要するに3,900件新規加入者があったのだけれど、これはどれだけの母数に対して3,900件あったかというのがないと、評価しにくいと思うのですが、これはどう考えたらいいのでしょうか。

○農業者年金基金理事
 ただいま委員のほうからご指摘いただいた件は、新年金の加入に関わるものの数字だと思うのですが、新年金のほうのご説明も差し上げたほうがよろしいですか。新年金のほうは、いわゆる加入対象者が個人で農業を営んでいる方々が基本です。なおかつ、国民年金の1号被保険者であるという必要な要件がございますので、一般的に兼業農家が非常に増えてきた状況の中では、農業専属といいますか、農業を個人で兼業を持たずにやっていらっしゃる方々が基本的には対象になります。1号被保険者は国民年金しか持ってございませんので、企業に加入されている、あるいはどこかお勤めになっている方と違って、上乗せの年金がございませんので、この農業者年金をお勧めしているわけです。
 この対象者というのは正確な数字は確定できないのですが、少なくとも全国に20万人から30万人ぐらいはいらっしゃるのであろうと思っています。我々、加入者を取りあえず当面10万人まで引き上げようということでやっています。昨年の3,900人を含めて、現在のところ9万6,000人に留まっている状況です。これは旧年金は強制加入でして、したがって旧年金の現在受給者は57万人いらっしゃいますが、平成13年に新制度に移行した時点で任意加入ということになったために、加入者が急激に減少したというか、新規で入ってくる方が非常に少なくなっていることから、まだ10万人まで達成できていない状況です。母数ということに関しては、推定ですが20万人から30万人ぐらいいらっしゃるのではなかろうかと思っています。

○農業者年金基金企画調整室長
 20歳以上60歳未満の認定農業者というのでみると、16万人ぐらいいるのですが、任意加入なものですから、個人情報の壁があって、1号被保険者であるかどうかということが事前調査できないのです。認定農業者ということはわかっているのですが、1号被保険者であるのか、あるいはそうではないのかということを、要するに個人情報の壁があって、把握ができないのです。だから確定ができないのです。

○安達委員
 これね、ここで評価する基準ではありませんので、発言を私もしておりませんけれども、農業者年金そのものが80%の給付をやって、農業者に対して大きな不信をかったわけです。国でやる制度なのに何だと。私たちに豊かな老後だと言って、年金に強制加入させて、それでこの結果は何だということで、ものすごい不満と憤りがありまして、それが新規加入に移行しない大きな要因なわけです。あのときに年金を払戻ししないで、いま給付をもらっている方々の評価をやれと言うのですから、私も何も言いませんでしたけれども、農業者年金の制度の仕組みそのものがやはり国家不信を招くような結果になったということで、これなのです。そういうようなことで、農業者年金で、私も農業をやっています。実際厚生年金に入りまして、途中で厚生年金に入ったから掛け金は没収だというような時代があったのです。それで私も異議を申し立てて、農業をやっていて、国が勧める農業法人の形態をとりなさいという指導を受けて、農業法人をやった。そしたら結果的には、今度は社員に対して労働3保険をやはり適用しないと、社員に対する福利厚生ができない。ところが、それは社員だけで、私が加入しないでやろうとしたら、やはり代表者が加入しない保険は不正、適用しないということで、農業者年金を掛けながら厚生年金を払わざるを得なかった。そうしようとしたら、掛け金は没収だと言われて、東京にまで異議を申立てに来たことがあります。農業をやっているのだから、国の方針で法人にして、社員の福利厚生のために厚生年金に入ろうとした、社会保険に入ろうとした。

○農業者年金基金企画調整室長
 それは法人化されて、法人化されたから、法人化されると厚生年金にどの業種でも適用になるので、厚生年金が適用になったのですね。

○安達委員
 それは初めてだったのです、厚生年金に農業者に入れる人はいないと。

○農業者年金基金企画調整室長
 いや、それは農業者だろうと一般の自営業者だろうと、皆さん法人化されると、厚生年金が強制適用になるので、なったのですね。

○安達委員
 ところが、そのときに。

○農業者年金基金企画調整室長
 保険料を没収なんかしてませんよ。

○安達委員
 いやいや、最初農業者年金は掛けたやつが、厚生年金に加入しますと権利消失だと。

○農業者年金基金企画調整室長
 いやいや、それは移られたときに厚生年金にされたわけですよね。

○安達委員
 なかったんだね。そして平成元年です。そして平成3年に。

○農業者年金基金企画調整室長
 農業者年金に入っていた部分については、法人化されて経営継承されれば、経営移譲されれば、農業者年金は出せる、お出しするというシステムになっているのですよ。

○安達委員
 ……説明は。

○農業者年金基金企画調整室長
 いや、そんなことはない、システムとしてはね。

○安達委員
 そういうふうなことで、厚生年金に入った方々ほとんどは、農業者年金は掛け捨てに終わってしまったそうなのです。それは会社に勤める人はね。

○農業者年金基金企画調整室長
 いやいや、それは両方出すようになっているのですよ。

○安達委員
 そういうふうなことで、農業者年金が豊かな老後と言って、農家を半強制的に加入させたのですけれども、途中で破綻をした。それに対する不信が非常に大きかったということなのです。だから20万人、いまおそらくもっと掛けられる人はいると思いますね、20万人以上。でも、やはり正直申し上げて、厚生年金そのものも、会社に入れようとすると、若い人たちは、年金なんか将来どうなるかわからないから掛けないほうがいいと、その分は金でもらったほうがいいと言う人が多いのです。そういうことで、農業者年金は特にそういう意向が強いという実態です。これは現場での声です。これは今日の評価の対象ではありませんから、いま光多委員がおっしゃいましたから、あえてここで申し上げました。そういうことなので、やはり制度とか国民に信頼されるような行政をやっていただかないと、何をやるにしても目的達成できないし、その目的そのものが何のためだというふうになるのだと思います。

○山口部会長
 今日の評価は、先ほど法人のほうからもご説明をいただきました、太枠で囲っていただいている部分という理解でよろしいですね。

○農業者年金基金理事
 はい。

○山口部会長
 ほかにご意見ございますか。

○川北部会長代理
 6頁に、「業務運営の効率化」ということで、「電子情報提供システムの利用促進」を図っているというところがあります。教えていただきたいのは、この文章を読むと、業務受託機関の業務の電子化のためにいまいろいろ工夫され、利用の促進を図られているということなのですが、これは例えば、加入者もしくは受給者が、自分たちの状況がどうなっているのかとか、申出書などをインターネットなどでダウンロードして、それを書いて提出するとか、何かそういうシステムは既に作られているという理解でよろしいのでしょうか。

○農業者年金基金理事
 電子情報提供システムというのは、業務受託機関が処理するために、業務受託機関のパソコンからインターネットを通じていろいろなサービスを受けることができるシステムです。それは個人からはアクセスできないわけですが、電子情報提供システムとは別に、手前どもの基金がホームページを持っていまして、このホームページにアクセスしていただくと、これはどなたでも結構なのですが、例えば年金額の試算であるとか、いろいろな質問項目に対して適時答えているというものがございます。その二本立てでやってございます。

○川北部会長代理
 こういう質問をしているのは、実は個人的状況もあって、いま受給権資格ができつつあるので、いろいろなその申出書というのですか、もしくは確認書みたいなものを入手しないといけない。それ、結構手間がかかりまして、例えば、給付を受けようとされた方、もしくはこれからこの制度に加入しようと思われた方が、業務受託機関に行かないといろいろできないのか、それともダイレクトに、例えば必要最低限の書類は入手して、それを見つつ申込みに行くとか、もしくは給付の申請をするとか、そういうことができるようなシステムになっていると、すごく便利だなと思ったのですが、その辺りの今の状況はどの程度までできていると考えてよろしいのでしょうか。

○農業者年金基金理事
 将来的な課題とすれば、各被保険者にダイレクトに、いわゆる銀行でいうダイレクトバンキングのような形のものが理想だと思います。理想だとは思いますが、現状ではまだ業務受託機関の持っている電子情報システム、これの普及がまだ完全ではないのでして、この普及拡大にいま努力を傾けているということでございます。ですから、個人の方、加入者の方にとって見れば、ホームページで出てくる情報以外のものは出ませんので、業務受託機関にお問い合わせいただければ、自分の情報はすべてプレプリントされた形で出てきます。したがって、そこに署名捺印をして提出していただくだけで、手続は完結するようになってございます。現在では業務受託機関、しかしこれは全国で2,700ヶ所ございますので、全市町村それから全JAの窓口すべてが受託機関になってございます。最寄りにそういったものがないということはないと思いますので、そちらにアクセスしていただければ、必ず実現するというところを目指してございます。

○農業者年金基金企画調整室長
 完全にするのが難しいのは、例えば、認定農業者で保険料の補助を受けようとすると、そういう証明とか付けなくてはいけないのです。経営移譲というか、経営継承して、その特例付加年金と経営移譲年金を受けようとすると、農地の権利名義を移したとか、そういう公的機関の証明を受けなくてはいけないので、完全に個人の年金のようにインターネットですぐできるというわけにはいかないのです。そういう壁があるのです。

○川北部会長代理
 はい、わかりました。ついでにお聞きしたいのですが、同じ6頁の2の?@の達成状況で、アクセスの件数が、平成20年度の28万3,000件に対して、平成21年度は32万5,000件ということで、達成度合が114%と。20年度が基準になって達成度合が計算されていると思うのですが、この基準になった20年度の28万3,000件は、基準としてはどう評価すればいいのか。

○農業者年金基金企画調整室長
 評価指標は、この対前年度より増えたかどうかというのは、私どもが設定したのではなくて、評価委員会のほうが設定されたものなのです。おそらく普及率とか何かで見ろというご指摘なのかもしれませんが、それは私どもが設定したのではなくて、評価委員会がこの指標は設定しています。私どもの設定ではないのです。

○川北部会長代理
 わかりました。そこを疑問に思ったのは、まだすごく低いところを基準にされているのであれば比較的達成しやすいし、逆に、かなり達成された後で基準が決められると、達成するのが難しい基準なのかなと思ったものですから、ちょっとお聞きしました。

○農業者年金基金企画調整室長
 私どもは伸び率で目標を作っていますけれど、評価基準そのものはこれでいいという、この指標を作られたのは評価委員会ですので、何とも。

○農業者年金基金理事
 我々としては加入者に対する利便性の向上とか、業務受託機関でのミスの撲滅、それから業務効率化、スピードアップ等のために、すべての受託機関がこの電子情報提供システムを導入して、タイムリーな処理をできるようにということを目標にしてございます。とは言っても、市町村で、例えばインターネットにアクセスすることに関して、個人情報などの観点からいろいろな規則・規制がございまして、誰でも彼でもできるわけではないということから、なかなか思ったほど迅速に進まないのが現状でございます。ただ、100%推進するということで、さまざまな機会を捉えて、説得といいますか、PRをしてやってございます。

○山口部会長
 ほかにご意見、ご質問などございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、農業者年金基金の平成21年度の業務実績に関し、農林水産省の独立行政法人評価委員会に提出する意見につきましては、本日のご議論を踏まえまして、私と農業者年金基金担当の起草委員であります安達委員、さらに事務局と相談をいたしまして案をまとめまして、書面で皆様にお諮りをすることとし、最終的には私にご一任をいただきたいと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。なお、厚生労働省の評価委員会令、同運営規程等によりまして、「各事業年度の実績評価」に関する事項につきましては、部会の議決が評価委員会の議決となります。
 それでは、これから独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価を行いたいと思います。法人及び法人所管課の入替がございますので、ここで10分程度休憩を取りたいと思います。開始時間は1時55分からということで、暫時休憩したいと思います。

(法人及び法人所管課入替)

○山口部会長
 それでは、年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価に入ります。最初に法人の理事長さんから、年度業務実績の概要(重点事項)についてご説明をお願いいたします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 水島でございます。先生方には17年の当機構発足以来、いろいろご指導をいただいてまいりましたことに、まず心から御礼を申し上げる次第でございます。誠にありがとうございます。
 本日は平成21年度の実績についてご説明をすることとなっておりますが、私からは、5年間の中期目標期間がこの9月で終了いたしますので、それを踏まえまして、5年間全体の実績について、概括的にご報告をいたしたいと思います。
 まず、先週をもちまして譲渡の指示を受けておりました301施設421物件ですが、この入札が完了いたしました。今後、契約等の実務が残っておりますが、全件譲渡ができたと申し上げてよいと思っております。譲渡総額は約2,220億円です。これは譲渡直前の不動産鑑定価格、当機構の簿価を約1,000億円上回ったものとなっています。また、政府から当機構に出資を受けました際の金額である出資額ですが、これに対しては約200億円強上回った実績となりました。この数字の評価ですが、あえて申し上げますと、譲渡時の鑑定価格を約1,000億円、約2倍で譲渡ができたところに、私どもの努力の成果があるとご理解をいただければ、大変ありがたいと思います。
 具体的に評価の基礎となります直近の不動産鑑定価格は、概ね大都市圏については、土地と建物の時価を積み上げた積算価格であるとご理解いただければよろしいかと思います。地方については、現在の事業に一定の改善の見込みを加えました収益価格であるとご理解をいただければ、概ね間違いないと思いますが、これを上回るために私どもがやってまいりましたのは、6つのポイントに整理ができると思っております。
 まず第1点は、競争の条件、競争の参加者、入札参加者を増やすということですが、機構自らが、まず事前にマーケティングを徹底的に行います。その上で、譲渡の見込みが立ったものについて入札に移行するというステップをとってまいりました。入札の際は委託業者を使っているわけですが、これは途中から委託業者に関してはインセンティブ方式と申しまして、譲渡額が上がれば上がるほど委託業者の収入が増えるという方式ですが、この方式を採用しました。これもかなり有効な手段であったと思っています。
 第2点目ですが、これはずっと申し上げてまいりましたが、現存する建物、人、職員の方々を活かすために、事業譲渡を原則として譲渡してまいりましたが、この事業に関しては、必ずしも現在の事業にこだわらずに、最適用と最適事業というのを私どもなりに考えまして、その事業見込みを顧客、買受人に提示をし、その方向でマーケティングを徹底したということが第2点です。
 第3点ですが、譲渡後の事業のキャッシュフローを拡大させる必要があります。民間に移行した場合に、事業として成立をしなければなりません。ただし、この福祉施設のいちばん大きな問題点というのは、非常に大規模施設が多いという観点から、民間に移行した場合の税負担が極めて大きな問題でした。もう1つは調整区域等にある施設がかなり多かったわけです。いわゆる都市計画による開発規制が非常に大きなネックになるという点がありました。これに関しては、私どもとしてはその事業、あるいは建物が今後も継続されることを希望する自治体に対しては、固定資産税の一定期間の免除ですとか、都市計画の変更というようなことを働きかけてまいりました。私自身、かなり直接、各首長さんにお目にかかって要請をいたしておりますが、かなりの自治体においてそれが実現しておりまして、これが結果としては非常に大きく効いたという点はあるかと思っています。
 第4のポイントは、譲渡に当たって支障になることや、不動産価値を引き下げる要因になることが多々ございました。例えば境界が確定をしていない等々ですが、これらに関しては、私どもは可能な限り解決をして売っております。
 具体的に申しますと、道路に面していないというのが結構ありました。これに関しては、その前が線状に、道路との間に土地があるとか、そういうものがかなりあり、これらは大体自治体が持っているような土地が多うございました。これに関しては、私どもが買い取って接道を確保した上で売るということが1つの例です。境界が確定していないものがたくさんございましたが、これに関しては原則確定をさせました。国が建てたものですので、建築確認を取っていないものが多うございまして、そのために違法建築が非常に多くあります。この違法建築のまま売ると、それを壊さなければいけないことになりますので、違法建築のものに関しては、すべて違法状態を解消して譲渡をしています。土壌汚染がありました。土壌汚染に関しては、開示して売れるものに関しては売りましたが、どうしてもこれは対応しなければ売れないと思われるものも多く、これに関しては土壌汚染の除去もしています。耐震の補強は、原則として耐震状況について開示をして売っていますが、いくつかの施設において、これはとてももたないと、かつ、その施設を使うことがほぼ明らかな場合は、耐震の補強に関しても、一部についてやっています。私どもは、例えば大きく変えることはできないわけですが、売るためにこれをやらないと売ることが難しい、あるいは価値が下がるということに関しては対応をしてきたということです。
 第5は、最低売却価格を提示したということです。この最低売却価格に関しては、もちろん不動産鑑定価格を踏まえるわけですが、ご存じのとおり不動産鑑定価格というのは、最終の価格を出す場、最終この額ですよというのが鑑定価格になるわけですが、その過程にいろいろな数字があります。その中で、そのいくつかの数字を操作しながら鑑定価格を出すわけですが、この操作の過程というのが極めて問題といいますか、この過程をどのように考えるかというのが1つのポイントになります。私どもとしてはその鑑定を踏まえつつも、マーケット調査を私ども自身でしていますので、市場実勢としてこの程度だなというのが大体わかります。高いところでこのくらい、低いところでこのくらいというのがわかります。そういう意味で不動産鑑定価格を踏まえつつも、この価格で売りたいという機構としての意思を明示して売ってきました。
 ここにもご説明しましたが、当初、公的資産の低額購入期待というのが極めて強うございまして、この仕事を始めたときに思いましたのは、まさに馬鹿にするなというような入札が多うございました。これらを排除するためには、これ以下では売らないという数字をきちんと明示した上でやりませんと、やはり市場を形成できないと思った次第です。最低売却価格を提示して、私どもとしての意思を明確にしてマーケットに出していったと。この価格に関しては、前回申し上げたかと思いますが、全件を私自身が調査をしていますので、すべての価格は私の責任において決定をしております。
 第6番目ですが、当然のことですが、クリーンな一般競争入札に徹したということです。この過程で随意契約の可能であるとか、あるいは私の名前の偽造の売渡証明書が流れるとか、ここではなかなか申し上げられないような極めて不愉快な事態が多々発生しました。これに関しては、関係当局にすべて通知をし、関係当局と連携をして、すべて排除しました。可能な限り情報を公平に透明にして、クリーンな一般競争入札できちんとしたところに売るということを徹底してやってきたということです。
 以上申し上げました点が、私どもがこの5年間やってきたことのポイントだと思っています。先ほど申しましたが、301施設421物件全件譲渡ができたと。まだ契約が残っていますので、これから何が起きるかわかりませんが、できたと思っていますが、全件譲渡ができた要因としては、いま申し上げました点に加えまして、やはり地方の赤字とか売りにくい物件というのがたくさんございました。山の中にあるとか、山頂にあるとか、そういうようなものがかなりありまして、こういうような施設に関しては早めに手をつけて、初めに売りました。売りにくいところから手を付ける必要があるだろうと思ってやったわけですが、その辺りは18年度・19年度にほとんど売り切ってしまいましたので、たまたまその時点がマーケットが良かったということなのです。そういう意味で、売りにくいところを先に売ってしまったということが全件譲渡ができた要因のもう1つの要因かなと思っています。そういう施設をいま売っていたら、かなり困難だったなとは思っています。
 政府出資の関係で申し上げますと、先ほど申し上げましたように約200億円のプラスです。前回ここでも、約100億円ぐらい損するかもしれないと申し上げましたが、何とか21年度に、若干マイナスですが、ゼロで売り抜けることができまして、前年に確保した200億円の大台は何とか確保できることになりました。
 経費ですが、譲渡に関する経費は約90億円を使わせていただいています。当初予算では260億円ということでしたが、3分の1程度の経費予算であげたと。これは前々から申し上げていますが、事業譲渡で解体をしませんでしたので、その経費が大幅に余ったということです。実はその一部を病院の整備に当てていますが、それを除きまして約90億円で済みました。90億円で済むということは、200億円のプラスですので、100億円余りが残ることになり、お蔭様で政府出資に関しては出資額を毀損しなかったということに関しては、私どもとしてはそれなりの仕事ができたかなと、役割を果たし得たかなとは思っています。これらの実績については、今週中にほぼ契約が完了すると思いますので、来週以降、正式に発表させていただきたいと思っています。
 私どもとしては、それぞれの施設がそれぞれの地域で一定のそれなりの役割を果たしてきていますので、一つひとつを丁寧に地元の意向を確認しつつ譲渡してまいりました。その結果、7割の事業が継続されて、一定の雇用も引き継がれていると思いますが、実はここには3,000人の方が働いていたわけです。そういう意味で、私どもがやったことによって、かなりの方が職を失われたことも事実でして、私どもとして非常に心が痛む思いです。ただ、現在のところ、譲渡後の施設について、また雇用に関しても特段の問題は発生していませんので、この辺りが救いかなと思っています。
 私どもの仕事はここで1つの区切りを迎えることになります。今後、時間の許す範囲で、私どもがやってまいりましたことを取りまとめて、後にご参考になるようなことがあれば、記録に留めたいと思っています。できましたら皆様方にお届けしたいと思います。
 改めまして、これまでの皆様方のご理解とご指導に心から御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

○山口部会長
 ありがとうございました。全件譲渡されたということで、大変ご苦労さまでございました。
 それでは、これから評価に入ってまいりたいと思います。これからの進め方ですが、年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価については、評価シートの個別項目を3つのグループに分けまして、そのグループごとに評価を進めていきたいと思います。
 まず、第1グループとしては項目1~3、組織・運営の関係ですが、項目1~3を1つのグループとして、その第1グループについて評価を行いたいと思います。所要時間としては、法人からのご説明を15分程度、委員の皆様方の評定並びに質疑の時間として15分程度、合計30分ぐらいを想定しています。
 それでは、法人からご説明をお願いいたします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 私、総務部長代理をしております小林と申します。よろしくお願いいたします。
 資料2-2の評価シート3頁です。第1グループとして3頁から12頁までについてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず3頁、評価項目の第1点目です。「効率的な業務運営体制の確立」についてです。実績の覧をご覧ください。21年度、私どもとしてはこの項目については主に3点対応をさせていただいたところです。
 1点目、?@管理部の体制強化です。社会保険病院等が20年10月に出資されたことに伴い、複雑かつ増加す資産の管理・保全業務に的確に対応するため、私どもとしては専任の管理部長を配置するとともに、管理部組織の充実を図ったところです。
 また?Aですが、一方で施設譲渡業務の進捗がかなり進んでまいりましたので、2部ありました施設部を1部体制にしています。
 以上のような見直しに加え、施設譲渡関連部門を中心として、人員の見直しを図り、20年度末の常勤職員数38名から、21年度末33名と大幅な人員の削減を図ったところです。
 4頁です。(1)「外部委託の活用」です。新規の外部委託業務については、平成21年度については5点ありました。具体的には?@の下にありますように、1点目として宿舎についての売却のアドバイザー、2点目として社会保険病院等に関しての再鑑定のための不動産鑑定業者、3点目として社会保険浜松病院の譲渡に当たり、入札補助業務を委託するための委託業者、4点目として社会保険病院等の整備工事を実施するに当たってのアドバイザーの選定、5点目として本年1月に出資された終身利用型老人ホームについて、不動産調査及び事業調査等の実施を行うアドバイザーです。これら5点については、企画競争または一般競争入札により、選定を行ったところです。
 ?Aは既存の外部委託業務関係です。新規の売却委託業務の受託業者については、業務開始前に、私どもとして事前に説明会を実施しています。また、業務の開始後も逐次状況を把握するとともに、私どもとして、委託業者として指導ができるような体制を構築し、業務内容の質に関してばらつきを排除し、円滑な委託業務遂行ができるようにしたところです。
 (2)「施設の運営委託」です。売却の進捗に伴い、特別会計の清算も進んでまいりました。特別会計については全部で118特別会計がありますが、既にこのうち104の特別会計が清算されており、剰余金については約81億円を雑収入として収受しているところです。施設運営以外の事業を実施していない国民年金福祉協会等の公益法人については、全委託法人94法人のうち44法人が解散済みもしくは解散の予定となっています。
 5頁です。評価項目1点目の評価の視点です。いちばん上の○ですが、数値目標について掲げさせていただいています。「行政改革の重要方針」を踏まえ、平成21年度末現在の常勤役職員数を39名以下とする数値目標を私どもは設定させていただいています。これに対しては、21年度末の常勤役職員数は34名で、数値目標を5名下回ったところです。これは、機構業務がまだ軌道にのっていない状態の平成17年度末の人員36名に対しても、5%以上の削減となっているところです。
 5頁のいちばん下の○です。内部統制の関係です。内部統制については、外部の会計監査人による監査・監事による監査のほか、監事に幹部会等定例会議への出席を依頼し、業務執行の適正性に関して、逐次意見をいただいているところです。
 6頁です。いちばん上の○の業務運営の改善、及び2つ目の○として国民のニーズ、必要性といった観点からの事務・事業の見直しの関係です。これらについては、機構設立当初から、全職員が参加する毎朝開かれる業務打合会において、さまざまな問題点について全員で議論してきました。その議論を踏まえ、理事長から方針決定がその場でなされました。また、業務の重要な方針については、毎月定例的に開催される幹部会・役員会を経た上で決定する仕組みとしています。これらの手法により、私どもの業務については円滑に業務運営が図られているところと評価しています。
 いちばん下の○は関連法人との関係についてです。公益法人等に対する私ども補助金の交付等又は特定の業務に関して独占的な委託は、当機構としては行っていませんし、当機構については関連法人は存在しないところです。なお、社会保険病院等の施設の運営委託については、中期目標において、出資前と同じ公益法人に委託すること、というふうに大臣から指示をされているところです。これについては、私ども特定業務の独占的な委託には当たらないと考えています。
 5頁の自己評価に戻ります。以上のような取組み、評価を踏まえて、私どもとしては、1点目の項目については自己評価はSとさせていただいています。
 7頁です。評価項目の2点目「業務管理の充実」についてです。実績の(1)の部分ですが、私ども社会保険病院等、それから今年1月に出資されたサンテール千葉に関して、情報をデータベースに取り込み、業務に活用しているところです。また、社会保険病院等については、経営状況の把握と将来の経営管理手法の確立に向け、診療科別の収支の把握に着手したところです。私どもとしては第一段階として、厚生年金病院7病院について基礎的なモデルを開発しているところで、これについては、概ね完成をする見込みが立っているところです。
 (2)は、事業リスクに対する的確な把握・管理についてです。?@ですが、業務の進捗に関しては、定期的に行っている幹部会・役員会において、主たる業務の進捗状況を定期的に報告しているほか、毎朝開かれる理事長主催の業務打合会においても、適宜状況報告及び進捗管理を行っているところです。
 (3)、冒頭理事長からご発言のありました入札参加予定者への被害発生が考えられます優先譲渡や随意契約ができるといった偽情報については、私どもが入手する都度、データベースに登録するとともに、注意喚起のメッセージをホームページに掲載し、被害の防止を図っているところです。
 8頁です。評価項目2の評価の視点です。いちばん上の○、数値目標についてです。5年間ですべての施設を譲渡するために、平成21年度、22年度の年度計画に対する売却施設の達成率を100%とする数値目標については、21年度の譲渡施設計画65施設に対し、決算ベースの売却施設65施設ということで、100%の達成率を確保しているところで、全件施設売却の目処が立ったところです。以上のような取組み、評価を踏まえまして、この項目については私どもの自己評価はSとさせていただいています。
 9頁の評価項目の3です。「業務運営の効率化に伴う経費節減」に関してです。実績の(1)は一般管理費についてです。平成21年度の一般管理費については、本部の移転が9月にありました。この経費約400万円を含め、3,100万円となっています。この3,100万円については、平成17年度対比において、26%の節減となっています。なお、移転経費を除いた通常経費ベースでは2,700万円と、17年度対比で36%減を確保しています。
 (2)の業務経費についてです。業務経費については、予算約111億円に対して実績17億円と、94億円の減となっています。これについては、解体費等の節減として約50億円、病院の整備等が翌年度に繰延べになったことに伴いまして37億円が繰延べになったこと、災害が発生しないことから約7億円が不要となったことによるものです。
 (3)は役職員の給与の関係です。病院の出資に伴い資産の管理・保全のための体制の充実を図るとともに、より効率的な体制の確立に努めて、私どもとしては大幅な人員削減を行っているところです。役職員の給与については俸給月額の減額改定等により、国家公務員の給与構造改革に準じた見直しを行っているところです。
 10頁の評価の視点についてです。いちばん上に数値目標を掲げさせていただいています。3点目として、平成21年度末の一般管理費の額を、17年度対比で10%以上削減するという数値目標に対しては、先ほどご説明したとおり、21年度末の一般管理費の額が3,100万円と、26%の削減を達成しているところです。
 3つ下がっていただき、冗費の削減に関する事項です。資料2-3の15頁をお開きください。「冗費の点検」ということで、15頁から17頁に私どもの取組みを掲げさせていただいています。そのうち主なものとして、15頁の?C、サテライトオフィスの賃料の引下げ、?Bとして20年度から行っている運転代行業務の一般競争入札化などにより、経費の節減に努めているところです。
 資料2-2の10頁のいちばん下の○、人員体制については、組織の効率化を図ることにより、先ほどご説明したとおり、大幅な人員削減を図っています。常勤役職員数が21年度末としては34名となり、昨年厚生労働省の評価委員会の削減基準としてご議論いただきました41名においても、政府独法評価委員会の基準である36名のいずれの基準においても、目標を達成する水準を確保させていただいています。
 11頁です。2つ目の○から4つ目の○についてまでですが、給与水準、諸手当、福利厚生費の関係です。まず2つ目の○、給与水準についてですが、21年度の当機構の対国家公務員ラスパイレス指数については、国の給与改正に準じ給与等の見直しを行った結果、民間賃金が高い地域の給与水準を考慮した地域・学歴勘案の指数において99.8と、100を下回ったところです。
 その下、諸手当の関係ですが、先ほどご説明したとおり、国と異なる手当について、勤勉手当の成績率の見直し等を行い、国と異なる手当についてはすべて廃止をしているところです。
 その下、法定外福利費ですが、当機構における法定外福利厚生費については、健診費用のみで、リクリエーション経費等の支出はありません。
 その下、契約方式、契約に係る規程類についてですが、一般競争入札における報告期間、予定価格の作成・省略については、すべて会計規程に明確に定めているところです。また、包括的随意契約条項や公益法人の随意契約など、恣意的な運用が可能となるような条項は設定していません。21年度については企画競争の実施要領を作成しています。
 12頁の契約事務手続に関する事項です。契約に関しては、全決裁を理事長のほか監事にも回付をしているところですが、それに加えまして、四半期ごとの契約事案を役員会に報告を行うことにより、再審査を行うことを徹底しています。また、「調達の適正化について」は、それによる審査機関の設置については、理事長、理事、監事のほか、契約担当の外部顧問も加えて、審査を行う体制を確保しています。
 契約監視委員会の関係ですが、平成20年度のすべての契約及び21年度の契約監視委員会設置後の契約について点検を受けまして、同委員会から特段の指摘事項はなかったところです。
 自己評価については10頁に戻ります。以上ご説明したような取組み評価を踏まえ、3点目の評価項目の自己評価については、私どもはSを設定させていただいているところです。第1グループの説明については以上です。

○山口部会長
 委員の皆様は、評定記入用紙へ評定等の記入をお願いします。併せて、質問等がありましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。

○樋口委員
 9頁でお尋ねしたいのです。実績の(2)で「業務経費については」云々とあり、「このほか病院の整備費等・・・が翌年度に繰り延べになったこと、災害が発生しなかったことから災害復旧費・・・が不要となったことによる」と。たしか予算を立てる段階で、病院は当初まだ明確になっていなかったですよね。いまごろ聞いて失礼なのかもわかりませんが、その時点で予算が入っていたのでしたか。というのは、結局、今年度もまた繰り延べになったと。それと関連して、先ほどいろいろとリサーチをして、あるいはどこか外部に委託して何かいろいろ検討したというアドバイザリーを活用したとかというのがありましたよね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい。

○樋口委員
 それは、まだこのあとの当独法の行く末というのでしょうか、扱いというのでしょうか、まだ明確になっていない段階でも、既にいろいろと今の段階からやっておかなければならないという内容、きっとそういう内容だったのでしょうが、その辺の扱いはどう考えたらよろしいのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 委託業務に関しては、ほとんど譲渡に関するものです。これは、病院が1病院ですが、福祉施設の譲渡に関するものですので、いわゆる地域計画機関で指示された内容、譲渡するために必要な業務です。病院の37億円繰り延べられたと書いてありますが、社会保険病院が出資をされる際に、約100億円の整備費を予算として私どもは受け取っています。これは、私どもの5年間の経費全体が260億円と申し上げましたが、そのうち私どもは、この譲渡に関して90億円しか使っていませんと、こういうふうに申し上げました。約170億円残っているわけですが、この170億円のうち約50億円に関しては、予算そのものの見直しがあり、その後お返しをしているわけです。そのあと残ったものの中の約100億円が病院の整備費として予算計上されているということです。
 病院の整備費と申しますのは、病院の整備はずうっと止まっておりましたので、私どもに支出されたことに伴いまして、最定限必要なものに関しては整備をしてもいいということになったわけです。そのうち、私どもの費用でやるものと病院の費用でやるものと分かれていますが、私どもがやるものは、法令に違反する場合とか、あるいは、これをやらない場合に患者に問題が発生する懸念があるものについてのみです。その予算として約100億円、これは災害復旧費も含めましてです。そのうち、後ほどご説明申し上げますが、病院工事について約40億円弱の、私どもとして病院に対して整備工事を行うこととして、その入札を行っていますが、予算は平成21年度に計上しましたが、平成22年度に支払いが発生するものがあるということで、これはまた今年度の予算に計上いたします。そういうことでよろしいですか。

○樋口委員
 つまり、当初の、先ほどおっしゃった260億円を立てた時点から5年経った時点で随分変わってきて、その中で100億円だけ返さずに残っていた分を、全く新しく当初予定していなかった分の経費に回したということでよろしいですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そういうことです。

○樋口委員
 わかりました。

○大野委員
 7頁、「業務管理の充実」の(1)の3つ目の項目ですが、「社会保険病院等の経営状況の把握と将来の経営管理手法確立に向け、診療科別収支の把握に着手」とあり、「第一段階として厚生年金病院7病院について基礎的なモデルを開発中であり」という記述があります。今後、さらにこの点に関してはご検討いただけるということかと思いますが、第一段階で行われているものの具体的な内容を教えていただければと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 診療科別の収支モデルの基本的なポイントは、経費の配分方法です。診療科別の収入と、経費が、いわゆる本部経費といいますか、間接経費と直接経費があります。直接経費はそれなりに配分できるわけですが、間接経費をどういう基準で配分するかがこのモデルのポイントです。事業別収支モデルを民間企業はいろいろやっているわけですが、それで基本的に発想は同じでして、目的は診療科別の収支が何の要因によってプラスになり、赤字になるかと。これをどう改善すれば黒字になるか、あるいは黒字幅が拡大するかということを検討するといいますか、各病院において考えていただくための基本的なモデルです。基礎的なモデルと申し上げているのは、7病院全体について統一的な基準を作ったわけです。例えば、病院のそれぞれの受付の人件費、総務部門の人件費、電気代、レントゲン科をどうするか、そういうものをどういう基準でメルクマール、要するに患者数か、収入なのか、それ以外のものなのかということを決めて、1つのモデルとして診療科別の収支が出来上がるのが第一段階です。そこまでできたということです。
 次の段階としては、それぞれの病院の特殊性をここの中にどうモデルとして組み込んでいくか、時間があればやらなければならないだろうと思っています。そこまでできますと、地域医療と必要な医療と、赤字だけど必要な医療、どうしても構造的な赤字だけれども必要な医療なのか、すぐやめてもいいのか、そういう判断ができるようになる筋合いにあります。そういうことができないと、63病院全体のそもそもの考え方が整理できないのではなかろうか、というのが基本的な発想です。
 私も民間ですが、病院の収支モデルは実はないのです。世の中にありません。これがないのは、収入が決まっているのです。収入は患者数と単価は決まっていますから、そうしますとすべて経費です。基本的に経費です。まあ、売上げを増やすということもあります。そのマーケットをどうするかということ。そういう関係でいくと、ほとんど経費に照準を当てないと、この問題は当てることになるのです。それがなかなか難しいのです。
 したがって、このモデルはなかなか出来上がらないのです。ただ、たまたまいいサンプルができましたので、ある程度耐えられるものは出来上がるのではないかと思っています。それはまた出来上がりましたら、これもお届けします。

○山口部会長
 よろしいですか。それでは次に第2グループ、項目番号4~8、施設売却関係についての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からのご説明15分、委員の皆様の評定と質疑15分ということで、計30分を予定しています。
 まず、法人からご説明をお願いします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 13頁をお開きください。第2グループとして評価項目の4~8についてです。まず、評価項目の4点目「各施設の経営状況等の把握」「機構の業務内容に関する地方公共団体への説明」の項目です。
 実績の1をご覧ください。「各施設の経営状況等の把握」については、事業調査等について計画管理データベースに情報を集約化し、これらの情報を買受希望者に提供してマーケッティング活動を行っています。
 また、病院等については、先ほど樋口委員からご質問がありましたが、私どもは財務内容と老朽度に基づき16病院を選定しました。アドバイザーの意見も参考にしながら、RFO負担による施設整備計画を策定し整備を実施したところです。
 2「業務内容に関する地方公共団体への説明」の項目です。私どもとしては、譲渡価格の引上げ、雇用の確保、地元の存続要望等の公共性への対応という観点から、地方公共団体による支援策の取り付けが極めて重要なポイントであるとの認識に立っています。私どもとしては、すべての地方公共団体に対して面談の上、意向を確認するとともに、支援策の要請を行ってまいりました。この要請については、原則として、各地方公共団体の首長に対して私どもの理事長が要請を行ってきています。
 その結果ですが、下の表です。支援策の取り付け等地方公共団体から何らかの支援をいただけた施設については、平成21年度で20施設、平成17年度からの通算においては70施設に上っています。また、固定資産税の減免等の支援策を得た53施設については、このうち46の施設については地方公共団体の意向に沿った、つまり支援策が意味を成したということですが、このような用途になっているところです。
 14頁をお開きください。私どもとして評価の視点等ですが、各地方公共団体の支援の取り付けによる付加価値の向上に努力するとともに、支援を得たものについては相乗的な効果が得られていると私どもは判断していて、自己評価についてはこの項目をSとしています。
 15頁、評価項目5、「年金福祉施設等の譲渡又は廃止」についてです。平成21年度の売却額については、下の表ですが、落札ベースで814億円となりました。これは計画比で372億円のプラスになったところです。厳しい経済環境の中ではありましたが、多様な買受需要の改革を行った結果、売却原価に対しては359億円、約1.8倍を確保するとともに、出資価格に対してもほぼフラットに留めているところです。
 その結果、当機構発足以来平成21年度末までの4年半の落札ベースの売却額の合計は、2,144億円となったところです。これは売却原価比で約1,023億円、1.9倍です。出資価格比においては238億円のプラス、約1.1倍となっており、譲渡対象施設301施設の出資価格総額の2,015億円に対しても、すでにプラスを確保しているところです。なお、冒頭、理事長から発言がありましたとおり、先週、7月28日で全施設の入札が完了しています。
 16頁、「特別会計の清算」です。先ほど説明がありましたとおり、全部で118特別会計があるうち、すでに104の特別会計の清算が終了しており、81億円を収受しているところです。また、施設の委託先公益法人については、委託を行っている94法人のうち、解散済みもしくは解散予定の法人が44法人となっているところです。
 (2)「契約方法」です。中ごろの表にありますとおり、この4施設については収用による譲渡を行いましたが、それ以外の譲渡については、平成21年度はすべて一般競争入札により譲渡を行っているところです。
 (3)「譲渡条件」です。機能維持のための健康管理センターについては、平成21年度は1施設を譲渡していますが、これについては引渡し後5年間、健康診査事業の実施を譲渡条件とするとともに、老人ホーム4施設については、現行機能の5年間の維持に加えて、引渡時の入居条件、料金等を1年間維持する条件を付して譲渡したところです。本年1月に出資された終身利用型老人ホーム「サンテール千葉」については、現在の運営委託先である厚生年金事業振興団と入居者が締結をしている入居契約の内容をそのまま落札者に引き継がせる、承継させることにより、入居者の施設の終身利用権を保護するとともに、料金水準について1年間維持することを主な譲渡条件として入札を行っています。また、譲渡条件を付して売却した施設については、私ども年度ベースで履行状況調査を行っているところでして、現在までのところ、利用者等からのクレームもなく、譲渡条件は適正に遵守されているものと認識しています。
 (4)「譲渡価格」ですが、冒頭の理事長の発言にあったとおり、私どもは平成19年度から最低売却価格の全件開示を行っているところです。最低売却価格の設定については、中期目標に基づき、不動産関係の手法に基づき設定をしていますが、機構のマーケティング状況により把握した市場動向も反映させて決定をしています。なお、この最低売却価格の決定に際しては、私どもの理事長がすべての譲渡施設を実地に調査した上で、価格の決定を行っているところです。
 17頁、(7)「雇用への配慮」です。当機構としては、極力雇用が継続されることを指向し、事業継続を指向したマーケティングを行っているところでして、平成21年度においては、譲渡時に事業を行っていた施設のうち約7割、69%の施設において事業が継続されているところです。事業継続となった施設については、買受者に対して雇用への配慮を強く依頼しているところです。その結果、平成21年度においては、譲渡時に従業員がいた施設のうち一部採用、この一部採用か継続かというのは50%の職員が再就職できたかどうかが判断の基準となりますが、その一部採用も含めて71%の施設において雇用が継続されたところです。
 (8)「地方公共団体との相談」です。事業継続となった場合の固定資産税の減免や補助金等の交付を私どもが要請した結果、先ほど説明したとおり53施設について自治体の支援策をいただくことができたところです。
 (9)「浜松病院の譲渡」です。病院については、厚生労働省の指示があったものについてのみ譲渡することとなっています。現在までのところ、この譲渡指示があった病院については、社会保険浜松病院1施設のみとなっていますが、譲渡指示のあった浜松病院については、現在の病院が建っている現病院と移転用地を国の時代に取得していますが、その2物件があったところです。
 私ども売却スキームの検討に当たりましては、地元医療機関を中心として意向調査を実施したところです。その結果に基づき、現病院については落札者に対して管理を委託する形で譲渡を行うことを決定して、この現病院については売却対象から外して譲渡を行うこととしています。
 また、売却対象となりました移転用地について、私どもは不動産調査を実施しました。そうしたところ、移転用地が市街化調整区域内にある農地であることが判明しました。この市街化調整区域の農地については、民間事業者が所有権を取得する場合に当たりましては、事前に農地転用の許可と開発許可の2つの許認可を同時に取得することが必要である、ということが判明しました。このような非常にレアなケースでしたので、私どもとしては地元の自治体と許可取得までのスケジュールについて調整をして、当機構が存続する期間内において、この許可の取得・所有権の移転について目処がつくという調整を行い、その情報についてすべて買受検討者にも必要な情報を開示した上で入札を実施したところです。
 18頁、上のほうですが、譲渡条件の決定に際しては、私どもはまず静岡県・浜松市より意見の聴取をしました。その意見に基づき、当機構において原案を作成しています。私どもはそれについて更に、静岡県内の有識者で構成される病院譲渡検討委員会を設置し、そこに諮問をした上で譲渡条件については決定をしています。
 このような取組みを踏まえ、私どもは昨年10月に一般競争入札を実施したところですが、その結果、地元の医療法人が落札をし、その落札者については、本年4月より、譲渡条件となっている現病院における健康管理センター業務の運営を開始しているところです。職員については、再雇用を希望した職員36名のうち27名が雇用されています。なお、現在落札者については、地元自治体と協議をしつつ、開発許可等の許認可の取得手続を行っているところでして、概ね私どもが想定したスケジュールどおりに、この許認可の関係については進行しているところです。
 評価の視点に移ります。いちばん上の○の所ですが、「数値目標」です。施設の譲渡に当たりましては、年度総額で売却原価比100%以上の価格で譲渡するという数値目標については、平成21年度の売却額は落札ベースで814億円となり、売却原価比359億円、約1.8倍を確保したところです。以上のような取組み評価を踏まえ、この項目5点目の評価項目についてはSとしているところです。
 21頁、標価項目の6点目、「年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全」についてです。実績の(1)ですが、社会保険病院等については、私どもは承認基準を策定した上で、基本的に当機構の承認を得た上で、施設機能の維持管理のための整備については、委託先の負担において行うことを原則としています。
 委託先の整備内容について、?Cですが、私どもは分析をしました。そうしたところ、財務状況により一部の病院において必要な機能維持のための整備が実施されていないことが判明したことから、財務内容と建物の老朽度に基づいて16病院を選定しまして、アドバイザーの意見も参考とした上で、必要最小限の当機構負担による整備として約40億円、本年度予算を確保していますが、これを計上して、現在工事を実施中のところです。
 22頁、自己評価については、先ほど説明しました当機構負担による病院整備をはじめとして、従来、公共施設の譲渡においては行われていない経営改善可能性情報の提供、不動産支障の解決、劣化機能の改善、廃止施設の維持管理等、各種の対策を幅広く実施しています。これを踏まえ、評価項目6の自己評価については、S評価としているところです。
 23頁、評価項目7、「買受需要の把握及び開拓」です。私どもの特徴として、買受人の発掘を自ら行うことが特色の1つとされています。平成21年度においては、非常に厳しい経済環境の下、極めて厳しいマーケティング活動を強いられたところですが、すべての施設について個別に譲渡するという方針は維持し、より一層の自治体との連携強化や、単に買受者を探してくるというだけではなくて、譲渡したあとの施設運営者も開拓をして、買受者に紹介するといった取組みも行ったところです。
 その結果、(3)ですが、平均入札参加者については、平成20年度の2.3件から3.0件へ増加しているところです。また、成約率については、平成21年度は、平成20年度対比で2%増の90%を確保しているところです。
 (4)ですが、全物件の売却の目処が、平成21年度終了に伴って立ったところでして、冒頭理事長から発言がありましたとおり、売却困難な地方・赤字の施設から売却に着手したことが、全物件売却の目処が立ったということに大きく寄与していると考えています。
 (5)、ホール付大型厚生年金会館については、平成21年度、下の表にありますとおり4施設を譲渡しており、そのうち3施設についてホール機能が維持されたところです。
 24頁、厳しい経済環境の下、個別譲渡の方針は堅持しつつ、自治体との連携の強化や多様な買受先の開拓を模索することによって、高い成約率を維持することができたと私どもは考えており、この項目についての評価もS評価としています。
 25頁、「情報の提供」に関してです。実績の(1)ですが、私どもはホームページに、?@から?Fまでに掲げた以下の情報を継続的に掲載し、情報提供を行っています。
 (2)、宿舎の売却が本格化したことに伴い、宿舎の売却広告が非常に多くなっていましたので、本体施設と分離してホームページにおいて広告を掲載するなど、より見やすいホームページとなるような工夫をしています。
 26頁、私どもは開示可能な情報については、可能な限り開示を行い、透明性の確保に努めるとともに、先ほど申し上げたようなホームページの改定を行うことにより、利用者の利便性の向上を図るための工夫を行っていることから、この項目についての自己評価はAとしています。第2グループの説明は以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様は評定記入用紙で評定等の記入をお願いします。併せて、ご質問等がありましたら、適宜ご発言をお願いします。

○川北部会長代理
 一点だけ教えていただきたいのですが、15頁に施設譲渡の実績の一覧表がありまして、売却原価の対比では359億円ですか、プラスが出ているわけですが、出資の対比では1億何某のマイナスが出ているのですが、このマイナスが出た理由というのはどこにあるのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 マイナスが出た理由は、基本的に不動産価格の下落です。出資時点の不動産鑑定価格がどういう形で鑑定されているかというのは、これも従来申し上げてきたかもしれませんが、基本的には積算方法だったと思います。
 それで、先ほど申し上げたように私どもの簿価というのは、大都市圏が積算、地方は積算にはとても……ませんので、収益価格ということがベースになっています。そういう意味で平成17年当時の不動産価格と直近の不動産価格の下落と、それから平成17年当時の積算価格で評価したものを収益価格に評価替えしているというところが要因で、その簿価といいますか、直近の不動産価格をベースにすると、それは競争条件を作ること、あるいはその他いろいろ、先ほど来ご説明していることによりまして、価格を上げることはできましたが、不動産価格そのものの下落についてはカバーし得なかったということです。

○山口部会長
 他にご質問はありますか。

○光多委員
 独立行政法人でここまでおやりになるとは思わなかったというのが率直な印象でして、本当にここまでよくやっていただいたと思います。収用という方法を上手くこれだけお使いになるというのは、当初予想もしなかったのですが、そういう奥の手があるなという感じもしましたし、雇用の維持というのを当初お願いしたのですが、これをむしろプラスに利用されたような面もあって、自治体との連携も含めて、1つの独法のモデルかなという感じがします。したがって、評価するほうがそんなことを言ったらまずいのかもしれませんが、大変歴史に残ることをおやりになったと思います。
 ちょっと細かなことでお伺いしたいと思います。これだけ利益を出しておられるわけですが、施設委託先清算金というのが特別利益で40億円ちょっとありますね。これは、その売却益の中に入れておられるのか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 入れていません。

○光多委員
 これは別ですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 別です。決算上は……先生からもご指摘がありました予算を計上して、計算上は出ますけれども、施設の売却実績の中には、その清算金は入れておりません。

○光多委員
 これは、例えば具体的にはどんなものがあるのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 これは、いわゆる施設を運営していたところの、それぞれの特別会計です。その話ですね。特別会計の話ですね。

○光多委員
 そう、特別利益の41億円です。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 41億円ですか。81億円じゃないですか。

○光多委員
 いや。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 それは特別会計の清算金の話ですね。

○光多委員
 そうです。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 特別会計の清算金の話としては、特別会計を、それぞれの施設を運営する際に各公益法人が持っているわけですね。これは施設を売ってしまいますから、会計を閉じることになります。その残余もあるわけでして、残余は私どもに返していただくという形です。
 その残余が出ているというのは、結局、そもそも税金がかかっていないということと、償却していないということと、大規模修繕に関しては国費が投入されていたということです。そういう意味で赤字の施設ばかりではなくて、かなりの程度黒字を持っていた施設が出来上がってきた。ずっとトータルとしては80億円、いま受け取っていますが、あと残りは100億円ぐらいあると思います。ですから、最終的には200億円に近い剰余を、この世界の言葉で言うと収受することになる期待を持っていますが、そこはなかなか難しい面もありまして、これから議論をしなければいけない点もありますが、少なくとも100数十億円にはなると思います。

○光多委員
 最初の出資金にも入っていなかったわけですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 入っていません。

○光多委員
 そうすると売却益には入れないほうが、やはり筋ですかね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい。活動の成果として、そういうものを得たということはあると思います。もう1つは、約40ぐらいの公益法人がこれによって廃止になっています。この40を超える公益法人が廃止されたということについては、このプロジェクトの1つの成果だとは思いますね。そういう意味では、どのような公益法人があるのかということは、きちんと把握していかないといけないのだろうなという感じはします。

○光多委員
 その辺はどこかに書いてありますか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 16頁の(2)「契約方法」の上でして、「特別会計の清算」の下に「公益法人の解散」という項目があります。

○光多委員
 わかりました。

○山口部会長
 他にご質問、ご意見等はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは続きまして第3グループ、項目番号9番から14番、決算の関係ですが、これらについて評価を行いたいと思います。評価時間は先ほどと同様、法人からのご説明が15分程度、委員の評定と質疑に15分程度、合計30分ぐらいを想定しています。
 それでは、法人からご説明をお願いします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 それでは、ご説明させていただきます。資料2-2の27頁をお開きください。第3グループの項目9番から14番までは、資料の27頁から33頁です。
 項目9番、「予算、収支計画及び資金計画」についてです。資料2-5は財務諸表等ということで、決算報告をさせていただいております。それの一部、いちばん最後の所ですが、まず、外部の会計監査人からも、この決算については適正である旨の意見をいただいているところです。
 決算の実績です。自己評価Sと書いてある所の下ですが、263億円の総利益となっていまして、予算対比としては588億円上回っている状況となっています。これについては、施設の譲渡収入が実績514億円ということで、予算対比にして72億円上回っていること、さらに経費の節減を図ったことによりまして、この263億円を確保しているところです。
 その下、第4と第5です。短期借入金、重要な財産の譲渡については、ここに記載のとおりですが、国庫納付金、剰余金の使途についてです。私どもの法人の使命としては、譲渡で得た収入については、必要経費を差し引いた上で国庫納付をするということが、使命として与えられています。
 28頁のいちばん下の○の項目ですが、ここに書いてあるとおり、私どもは剰余金について、翌年度に必要な運営経費を留保するという形で、法令に基づいた算定方法で国庫納付を行っているところでして、適切に対応しているところです。
 27頁にお戻りください。評価項目9番目については、自己評価Sとさせていただいております。
 続きまして29頁をお開きください。評価項目の10番目、「人事に関する計画」です。人事評価については、私ども、勤務成績を考慮した人事評価を適切に実施しているところです。また、先ほどからご説明しているとおり、複雑かつ増加する施設の管理・保全業務については、体制の充実を図るとともに、施設譲渡の進捗状況を踏まえて、機構内の業務体制の見直しを図り、大幅な人員削減を図ったところです。
 評価の視点のところに移らせていただきます。下から2つ目の○の部分です。国家公務員の再就職ポストの見直しについてですが、私どもとしては、廃止対象となっている国家公務員の再就職者のポストというのはございません。また、その下、「独立行政法人職員の再就職者の非人件費ポストの見直しを図っているか」という項目についてですが、これについても該当するポストはないということです。
 以上を踏まえまして、私ども、評価項目の10点目に対する自己評価としては、A評価という形で設定をさせていただいております。
 続きまして30頁をお開きください。評価項目の11番目、「国庫納付金に関する事項」です。私ども、平成20年度に係る国庫納付金、これを平成21年度に国に納付しているものですが、先ほどご説明したとおり、法令の規定に基づいて算定を行った結果、予算比+50億円の486億円の納付を行ったところです。また、平成21年度に係る国庫納付金については、平成22年度の5月末までの譲渡収入の状況を踏まえて、国庫納付額を確定させていただいておりまして、この平成22年度については、予算比において376億円のプラスということで、総額892億円を決算が結了後、速やかに納付することとしております。
 評価の視点等の欄ですが、数値目標をいちばん上の○に掲げています。予算額比100%以上の国庫納付という数値目標に関しては、先ほどご説明したとおり、平成20年度に係る国庫納付金については、予算額の1.1倍の486億円を納付したところでして、この項目についての自己評価はAと設定させていただいているところです。
 31頁に移らせていただきます。評価項目の12番目、「外部の有識者からなる機関に関する事項」です。当機構においては、業務方法書等の規定によりまして、各施設の具体的な譲渡方法については、外部の有識者からなります譲渡業務諮問委員会にお諮りをした上で、その意見を聴取した上で定めるということにしています。この委員会について、平成21年度は、実績の欄に掲げておりますとおり、計3回開催させていただいております。
 具体的な審議内容については、「主な審議事項」という所に記載させていただいておりますが、平成21年度の譲渡実績と年度計画の達成状況の他、収用に応じる場合の補償額の決定プロセスの妥当性についてお諮りするとともに、社会保険病院等の譲渡のスキームについてなど、活発なご議論をいただいているところです。
 自己評価ですが、この項目についてはA評価ということで設定をさせていただいております。
 32頁をお開きください。評価項目の13番目、「個人情報の保護に関する事項」ということです。私ども、保有しております個人情報の保護に関しては、適切に対応するため、平成19年度に法務文書課を設置して、適切な管理を行っているところです。個人情報の保護に関しては、これまでのところ対処すべき問題というものは発生していません。
 このことから、自己評価についてはA評価ということで、設定をさせていただいております。
 いちばん最後、33頁にお移りください。今年度が初めての評価ですが、「終身利用型老人ホームの譲渡に関する事項」です。この終身利用型の老人ホーム、サンテール千葉については、平成21年10月に社会保険庁において入札を実施したところですが、不調に終わったところです。それを踏まえて、社会保険庁が昨年末で廃止されるということに伴いまして、今年の1月1日付で国から出資を受けたところです。私ども、国から譲渡するよう指示を付されて、出資を受けたわけですが、その際の大臣指示として、出資時点の入居者が将来にわたって生活を行うということに配慮して譲渡することを基本とするように指示をされたところです。この指示を受けまして、当機構としては、実績の欄のいちばん上ですが、まず企画競争に基づいてアドバイザーというのを選定しました。そのアドバイザーにおいて、不動産調査と事業調査を実施した上で、譲渡条件等の検討を行ったところです。
 具体的な譲渡条件については、2つ目のポツの?@から?Bに掲げていますが、まず1点目として、入居者が現在の委託先である厚生年金事業振興団と締結している入居契約、その内容を買受者がそのまま引き継ぐということが1点目です。それから?Aとして、管理費等入居者から徴収する利用料金の水準というのを、引き渡しの日から1年間は変えてはならないという条件を設定しました。最後に3番目として、入居者が入居時にお支払いいただいた入居一時金について、償却というのを行っていくわけですが、これについては入居者への返還義務を付した上で承継するということを条件として、入居一時金についても保全を図ったところです。
 また、その下のポツですが、入札参加資格については、私ども、この終身利用型の老人ホームが、落札者によっても安定的な運営が期待できるようにするために、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、または介護老人保健施設、このいずれかの施設を現に運営している法人に限って入札参加資格を認める、ということにさせていただきました。
 以上のような形で、私ども入札を行ったところでして、7月22日に入札が実施されたところでして、落札者が決定しているところです。
 この項目に対する評価については、先ほどご説明した出資時点の大臣からの指示、出資時点の入居者が将来にわたって生活を行うことに十分配慮をさせていただきながら、譲渡がここまで進められているということを踏まえて、私どもとしては、最後の項目についてS評価ということで設定をさせていただいております。私からの説明は以上です。よろしくお願いします。

○山口部会長
 それでは委員の皆様、評定記入用紙に評定の記入をお願いします。そして質問等がありましたら、よろしくお願いします。

○大野委員
 項目の9と11に関してですが、9のほうで「予算、収支計画及び資金計画」ということで、非常に大幅に利益を出したというのがあるかと思うのですが、まず売却益を出したということと、あとは経費節減を図ったということで、大幅な利益を出されたということですが、それは11番のほうにもかかってくるかと思うのですが、「国庫納付金に関する事項」という所で、「予算額比100%以上の国庫納付金を納付する」という評価の視点が書かれてありまして、ですので9と11は非常に関連しているかと思うのですが、評価が9のほうでは自己評価Sとされていて、11のほうでは自己評価Aとされているところは、どのようにお考えの上、このような評価に。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 あまりS、Sというのも申し訳ないと思いまして、ちょっと遠慮しただけで。あえて申しますと、決算に関しては、それなりに責任を持ってやってきているわけですが、その結果として国庫納付があるわけですので、国庫納付という行為自体については、普通の期待されているところを上回ったということだけで、我々としてはそれでよしと。そうなったことについて、そういう結果を出したことについては、我々としてはそれなりに誇りを持っているということですが、納付は単なる行為ですので、単なる行為についてSを付けるのも、なんとなくどうかなと思っただけです。

○大野委員
 納付するという行為が適切に行われたかどうかというところが、このAということ。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 それは極めて適切に行われていると思いますが、期待を大幅に上回るかどうかということに関して言うと、納付そのものについては大幅に上回るということかもしれません。是非Sを付けていただければありがたいと思います。特に理由はございません。ちょっと遠慮しただけです。

○安達委員
 額よりも、納付の行為を適切に行ったということで、Aという評価をされたというものですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい。

○山口部会長
 他の委員の方はいかがですか。

○川北部会長代理
 教えていただきたいのですが、31頁で外部の意見を聞くということで、譲渡業務諮問委員会を四半期に1回開催しているということですが、これは譲渡案件が非常に多いときに四半期に1回だと、全件やっていると時間が必ずしもないと思うのですが、これは下にも少し書いておられることですが、ポイントを絞って、議論していただきたいところを中心に外部の意見を聞いているというか、そういうことで、そういう意味では各年度、案件がそれぞれ異なってきますので、諮問委員会で議論されている項目というのが、やはり工夫されて、異なって、違えておられるのかどうか、その辺りをお伺いしたいのですが。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そもそも譲渡業務諮問委員会に諮問する事項というのは、どういう順番で売っていきましょうかと、不動産の専門家のヤスカワさんやヤスダさんがいらっしゃいますので、その不動産市況に応じてどういう所から先に売っていこうかとか、例えば大型施設はもうちょっと待っていたほうがいいだろうという、時期の問題なのです。時期の問題で、不動産の市況に関するご意見を承るというのがまず1つで、それは当初、非常に高い頻度でお伺いしていました。
 それからもう1つは、先ほど入札参加者受領法とか、そういう問題がありました。その中で、いかに排除するかということについて、客観的に排除できないケースというのが起こり得るのです。「あなたはこれだから駄目です」と申し上げられないケースが。これは「その他、理事長が不適当と認めた者」という項目がありまして、そこで排除していくわけですが、これも私の判断ではできませんので、そういう判断について譲渡業務諮問委員会にお諮りして、ご意見を承って、譲渡業務諮問委員会のご判断をいただいた上でやっています。
 多くの場合はそういうグレーの部分を、リスクを排除してしまうというときにお集まりいただいて、議事録を整備させていただく。これは警察のマツダさんに委員長をやっていただいていますが、大変助かりました。
 あと、業務そのものについて、常々ご意見を承るということはないのです。むしろ困ったときに利用させていただくということですかね。本当の意味でご意見を承る場として、使わせていただいていまして、本当に親身に相談に乗っていただきましたので、感謝しています。
 なかなか中身を申し上げられなくて、本当は、こここそSでいいと思っているのですが、本当に実質的な議論をしていただきました。かなりの部分を内規として定めている部分がたくさんありますが、それは全て譲渡業務諮問委員会にお諮りした上で、ご了承いただいてやっているということです。譲渡業務諮問委員会の主たる役割といいますか、私どもがお願いをしていたのは、適切でないことが起きたときにどう対処すべきかということをご相談するという場でした。

○山口部会長
 よろしいですか。

○光多委員
 最後の終身型老人ホームについては、まだ入札していないわけですね。まだこれから。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 いえ、入札は終わりまして、契約も終了しました。ただし、ここはいま小林くんがご説明しましたが、要するにいままでの条件をそのまま引き継いでください、やっていたことはそのまま引き継いでくださいと。ですから契約の地位を引き継ぐということが1つと、それからお金の問題です。入居一時金の預けたものを、受領益が、そのまま渡してしまうと税金が発生しますので、技術的にそれを何とかするかということなのですが、ただ、これは国を信用して、国だから2,500万円、3,000万円、4,000万円とかお金を出して、家を売ってという人もいるわけです。その人たちが国だからと信用して、大丈夫だということでお金を預けて、終身に入っているわけです。その人たちを売ってしまうわけです。これは、そもそも信義則に反することです。これをいかにスムーズにやっていくかというのは、そう簡単なことではなくて、まだこれからもめます。もめますが、契約までは行っているので、これから個々の方々の了解を取っていくことになりますが、これはまだ、そう簡単には終わらないと思います。
 ただ、私どもの役割として、やはり基本的には入居した方々の立場に立って、できるだけのことをしていくしかないと思っています。

○光多委員
 他の項目がかなり適切、かつ、やや謙虚な評価をしておられますが、ここのところはまだ、そういう状況で、Sという評価はどういう視点で。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 これは、ある意味でかなり知恵を使って、具体的に申しますと入居一時金を大体2,500万円から3,000万円、それぞれの方が初めに納めているわけです。それを次の方に引き継ぐ上で、一旦契約を、入居契約そのものは同じ契約を引き継ぐのですが、ところが入居一時金の契約だけは一旦切って、もう一回やり直す形をとっているのです。それを同意と言っています。それをやりますと、一時金の受領益が発生しないのです。ですから、それが約6億あるのです。だから、実は5億数千万で売れているのですが、予定価格といいますか、最低売却価格は3,800万円。これが5億数千万です。
 これは、そんなに高く売れなくてもいいなとは思っていたのですが、いずれにしてもそういうことを、知恵を使ってやってきているということと、それから、例えば提携病院などがあるのですが、すぐそばにある社会保険病院との提携関係を維持してもらうとかですね。
 細かい話ですが、やはりここも違法建築があるのです。違法建築をすべてきれいにしなければいけないのですが、その他、できるだけ施設が壊れている所もきちんとしなければいけない。そういうものに関しては、必要な整備については売却前に認めているということもあります。

○光多委員
 すみません。入居者のほうは国の施設だからということで、若干甘えの構造かもしれませんが、そこに期待して入っている面があって、落札した人によっては、やはりそういう人だったら嫌だと、それは返還するのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 返還して出ていってもらうことになります。

○光多委員
 そうすると、入札の立派なスキームを作ったということで、S評価をしているということですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。

○山口部会長
 よろしいでしょうか。以上ですべての項目の評価は終わりました。年金・健康保険福祉施設整備機構の皆様は、限られた期限内で全物件を売却されるということで、当法人の使命を果たされたということで、大変ご苦労さまでした。独立行政法人として、これからも記憶される、高い評価をされるべき活動ではなかったかと思っています。ご尽力に深く敬意を表するものであります。
 それでは事務局から、この後の取扱いについて説明してください。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしております資料の送付をご希望される場合には、部会終了後に事務局にお申し付けください。
 また、評価の記入が終わっていない委員の方がございましたら、本部会が終了した後、この会場でお残りになってご記入をいただくか、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになっていただいて記入していただくことも可能です。その場合は事務局にお申し付けください。
 なお、お持ち帰りになる場合には、8月9日、来週の月曜日までに、事務局まで評定記入用紙をお送りいただければと思います。よろしくお願いします。

○山口部会長
 それでは、本日の議事は以上となります。次回の開催等について、事務局からご案内をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催は8月20日(金)です。13時30分~16時30分を予定しておりまして、場所は厚生労働省の17階専用第21会議室となっています。議題については、年金積立金管理運用独立行政法人及び独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価、それから年金積立金管理運用独立行政法人の最終評価などとなっています。
 なお、開催通知をお手元の封筒に入れておりますので、期日までにご出欠の返送をお願いします。よろしくお願いします。

○山口部会長
 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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