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2010年10月25日 第4回肝炎対策推進協議会

○議事

第4回肝炎対策推進協議会

日時 平成22年10月25日(月)15:00~
場所 中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室

○伯野肝炎対策推進室長 定刻となりましたので、ただ今より「第4回肝炎対策推進協議会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、16名の委員にご参集いただいており、会議の定足数に達しておりますことをご報告申し上げます。また、相澤委員、瀬戸委員、鳥越委員、南部委員におかれましては、ご欠席の連絡をいただいております。会議の開催に当たりまして、細川厚生労働大臣からご挨拶させていただきます。よろしくお願いします。

○細川厚生労働大臣 皆さんこんにちは。厚生労働大臣の細川律夫でございます。今日は、第4回の肝炎対策推進協議会にお集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。私は、この9月に菅総理から、厚生労働でしっかり仕事をしろと、こういうご指名をいただきました。実は昨年1年間長妻前大臣の下で副大臣を務めさせていただきました。専ら私の担当は労働あるいは福祉の問題を担当させていただいて1年間仕えてまいりました。今度はこういう立場になりましたので、本当に皆さんにもよろしくお願いをする次第でございます。
 肝炎対策につきましては、昨年肝炎対策基本法が成立をいたしました。これは与野党一緒に成立をさせた超党派の議員立法です。その基本法に基づいて、厚生労働省としてはしっかり施策の進行をさせていかなければならないということで、取り組んでおります。その中で大事なことは、大事なというより大きなこの問題で、日本の肝炎対策をこれからどのようにしていくのか、大きな道標のようなものをしっかり打ち立てるというのが、この指針です。この基本指針をどのようにしっかり位置づけて、そしてまた内容をどう決めていくかが、これからの日本の肝炎対策、300万人を超えるというような感染者がおられるこの肝炎について、大変大事な大きな仕事だろうと思います。そういう意味で、委員の皆様にはそれぞれの立場から、これまでもいろいろとご意見をいただいたり、ご示唆をいただいたりしているところでありますけれども、どうぞこの日本の肝炎対策が皆様方のご意見、ご示唆でしっかり指針ができていきますように、委員の皆様方のこれからのご議論をよろしくお願いをする次第でございます。
 今日は、初めて私も出席させていただいて、この後公務でまた失礼をいたしますけれども、どうぞ、会長先生をはじめとしてよろしくお願いを申し上げまして、一言ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○伯野肝炎対策推進室長 ありがとうございました。続きまして、厚生労働大臣政務官についても交替がございました。岡本厚生労働大臣政務官から一言ご挨拶申し上げます。

○岡本厚生労働大臣政務官 改めまして、皆さんこんにちは。今紹介いただきました、この度厚生労働大臣政務官に就任いたしました、衆議院議員の岡本充功です。細川大臣を支えて、また両副大臣と共に、この厚生労働行政に政務三役として当たっていきたいと思っております。
 今日は肝炎対策推進協議会ということで、これまで3回にわたって熱心な議論を続けていただいたと承知しています。大変敬意と感謝を申し上げる次第でございます。肝炎対策につきましては、その重要性について、前政務官の山井政務官からも引継ぎを受けてきたところでありまして、私も大きな問題に対する関心と課題に対して取り組む意欲を持っていきたいと思っております。様々な議論の経過を踏まえつつ、また、患者団体等の意見も出てくるのだろうと思いますが、そういった声にも十分耳を傾けながら、この肝炎対策の推進に当たっていく決意ですので、どうぞ皆様方のご指導をいただきますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○伯野肝炎対策推進室長 ありがとうございました。大臣、政務官につきましては、ここで公務のため退席させていただきます。ご了承いただければと思います。

       (細川厚生労働大臣、岡本厚生労働大臣政務官退室)

○伯野肝炎対策推進室長 議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧いただければと思います。議事次第、座席表、配布資料一覧です。資料1は「肝炎対策の推進に関する基本的な指針(案)」で、1~26頁です。資料2は「肝炎対策基本指針に望むこと」で、27~36頁です。資料3は「『肝炎対策の推進に関する基本的な指針(案)』に対する意見」で、37~48頁です。資料4は「第3回肝炎対策推進協議会以降に提出された各委員からのご意見・ご要望」で、49~76頁です。資料5は「肝臓機能障害に係る障害認定状況に関する調査について」で、77頁です。以上が資料です。
 続いて参考資料です。参考資料1は「肝炎対策基本法」で、1~6頁です。参考資料2-1は「肝炎対策推進協議会開催にあたって」、阿部委員提出資料で、7~12頁です。参考資料2-2は「肝炎対策基本指針作成のための論点表」、こちらも以前阿部委員から提出していただいた資料で、13~14頁です。参考資料2-3は「基本的な指針(案)についての意見」、こちらも以前阿部委員から出していただいた資料で、15~22頁です。参考資料3は「肝炎対策基本指針策定に向けた提言」、こちらは武田委員から以前出していただきました資料で、23~54頁です。参考資料4-1は「肝炎対策基本指針策定に向けた提言」、木村委員から以前出していただきました資料で、55~56頁です。参考資料4-2は「B型肝炎患者としての医療費助成等についての意見」、木村委員から出していただきました資料で、57~60頁です。参考資料5は「肝炎患者の遺族としての意見」、平井委員からの意見書で、61~64頁です。参考資料6は「肝炎患者の遺族、患者会のボランティアとしての意見」、天野委員から以前出していただきました資料で、65~73頁です。
 その他席上配布させていただきましたが、こちらは阿部委員から情報提供ということで配布しました資料です。肝疾患医療講演会とコンサートのご案内と「患者のいのち 治療と支援で知っておきたい肝炎基本法とは!」の2枚の資料です。資料の不足等はございませんでしょうか。
 これより進行は林会長にお願いいたします。よろしくお願い申し上げます。

○林会長 本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日は第4回の会議です。前回事務局から肝炎対策の推進に関する基本的な指針案について提案いただき、ご意見を伺いまして討論させていただきました。
 今回、そのご意見、ご議論を踏まえまして、事務局で指針案を修正していただきましたので、それにつきまして、まず説明いただき、その後早く発言を希望されるものがありましたら、発言いただきたいと思います。その後お手元に資料がありますが、阿部委員から発言がございますので、それを聞いた上で最終的に指針案の細部について討論させていただきたいと思っております。
 事務局から修正いただきました指針案について説明をお願いいたします。

○伯野肝炎対策推進室長 資料1の1頁から、こちらの赤字が前回からの修正部分です。1頁の主な変更点を説明させていただきます。2~4段落に肝炎対策の経緯について追記をさせていただきました。特に、平成20年度以降、医療費助成をはじめとした検査、診療体制の整備、普及啓発、研究の推進という5本の柱からなる肝炎総合対策を進めてきた経緯、また、平成20年6月に「肝炎研究7カ年戦略」を取りまとめて肝炎の研究に取り組んできた経緯を記載させていただいております。次の「しかしながら」以降で、対策の課題を具体的に記載させていただいております。医療へのアクセスに関する課題、あるいは差別・偏見という課題があることを追記させていただいております。
 2頁、上から7行目以降では、「本指針は」というところで、本指針の目的について追記をさせていただいております。国、地方公共団体等が取り組むべき方向性を示すことで、肝炎対策のより一層の推進を図ることを目的としていることを追加させていただいてます。
 第1の基本的な方向性について、(1)から(6)までの順番を変えていますが、第2以降との並びを合わせて修正したものです。3頁の(3)「適切な肝炎医療の推進」です。一番下に医療費助成の記載がありますが、委員からの指摘を踏まえまして「経済的支援に取り組み、その効果を検証していく必要がある」という文言を加えさせていただいてます。
 4頁、第2の予防のための指針に関する事項です。(1)「今後の取組の方針について」です。母子感染予旁対策の取組あるいはB型肝炎ワクチンに関する今後の検討を行う必要性について追記させていただいております。(2)のエでは、すでに予防接種部会で検討が進められているところですが、予防接種部会の検討状況によって多少記載ぶりは変わる可能性は当然ありますが、このような形で水平感染防止の手段としてのB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性等に関する情報を踏まえ、当該ワクチン予防接種の在り方について検討を行うという記載をさせていただいております。
 第3では、検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項です。(1)「今後の取組の方針について」です。検査の目標値を掲げるべきという意見が多々ございましたが、現状が十分に把握できていない状況ですので、まず、受検率について把握するための調査研究が必要であるということを追加させていただいております。
 5頁、(2)「今後取組が必要な事項について」です。アのところで先ほど申し上げた調査研究を行うということを追記させていただいております。次に6頁のカでは、こちらも委員からのご指摘で、国が医療機関において手術前等に行われる肝炎ウイルス検査の結果の説明状況等について、実態把握のための調査研究を行うということを追記させていただいております。
 第4は、肝炎医療を提供する体制の確保に関する事項です。7頁、(2)「今後取組が必要な事項について」です。アでは、肝炎ウイルス検査後のフォローアップや受診勧奨等、適切な肝炎医療に結びつける取組を地域において中心となって進める人材の育成を進めること。また、肝炎に関する正しい知識と制度等の情報を取りまとめて、肝炎ウイルス検査によって、感染していることが判明した者に対して、そういう情報を配布することを追記しています。これは前回少し話をさせていただいたコーディネーターだとか、肝炎患者支援手帳のイメージを記載させていただいたものです。エでは、こちらも委員からの指摘で、地域連携クリティカルパスについて定めるべきという指摘ですが、まずは国が地域における診療連携対策を強化するため、いくつかのモデルを作る等の研究を行うことを追記させていただいております。キでは、こちらも委員からご指摘がありました。専門医療機関等のリストあるいは、病院における対応可能な医療内容について情報を収集して掲載することを追記しております。
 8頁、第6は、肝炎に関する調査及び研究に関する事項です。(1)では、こちらも委員からご指摘いただいた内容です。肝炎研究を担う若手研究者の育成について追記をさせていただいております。9頁、(2)「今後取組が必要な事項について」のウです。目標設定を定めるべきというご指摘ですが、まずは具体的な施策の目標設定に資するよう、病態別の実態を把握するための調査研究を行っていくということを追記させていただいております。
 第7は、医薬品の研究開発の推進に関する事項です。(2)のオでは、こちらに優先審査について記載をさせていただいております。肝炎医療に係る新医薬品等のうち、医療上の有用性等の要件を満たす医薬品については、他の医薬品に優先して承認審査を進めるという内容です。
 10頁、第8は、普及啓発と人権の尊重に関する事項です。(2)のアでは、WHO総会において、世界肝炎デーの実施が決議されたことを踏まえて、日本肝炎デーを設定するということを追加させていただいております。ウでは、こちらは性行為感染について、少し誤解を受ける表現が含まれていたというご指摘がありましたので、その部分を修正をして改めて記載をさせていただいています。11頁のケです。差別や偏見に関する実態把握のための調査、ガイドライン策定について追記をさせていただいております。こちらも委員からのご意見をいただいたものです。
 第9は、その他です。(3)「地域の実情に応じた肝炎対策の推進」についてです。こちらも委員からのご指摘で、都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定する等、地域の実情に応じた肝炎対策を講ずるための体制を構築し、管内市町村と連携した肝炎対策を推進することが望まれる。この計画の策定について記載を追記させていただいております。12頁の(2)は「肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方について」です。13頁のエをご覧ください。国は、肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療に関する現状を把握するための調査研究を行うという文言を追記させていただいております。主な修正点は以上です。

○林会長 どうもありがとうございました。とりあえず、今回の修正点等でご意見等がありましたら、まずお聞かせいただきたいと思います。もう一度阿部委員の意見を聞いてからお聞きはいたしますが、今お聞きになって頭に残っていると思いますので、何かありましたらお聞きいたしますが、よろしいですか。
 それでは、次に移らせていただきます。前回の会議で阿部委員のほうから要望がありましたので、今回阿部委員の意見をお聞きしたいと思っています。それでは、阿部委員、どうぞよろしくお願いします。

○阿部委員 貴重な会議の中でこのような時間をいただき、ありがとうございます。患者、遺族の委員を代表して、患者の思いを述べさせていただきます。肝炎対策基本指針に望むこと。肝炎患者が安心して暮らせるために。減らない肝硬変・肝がんによる死亡者。肝硬変・肝がんによる死亡者は近年減ってきているといっても、今なお年間4万人以上の患者が亡くなっています。肝がんなどによる死亡者の多い原因としては、肝細胞がんの75%を占めるC型肝炎患者の高齢化、重症化があると言われています。
 C型肝炎では、肝炎の進行とともに発がん率が高くなり、重度の肝炎では年率5%、肝硬変では実に8%にもなります。しかし、このことから言えることは、ほかのがんに比べて発がんする対象者を囲い込むことが可能で、適切な肝炎対策、あるいは肝がん対策を実施すれば、肝がんなどの死亡者を減らすことができるということで、肝炎対策がいかに大切かということが言われてきているところです。
 肝硬変・肝がん患者の置かれている状況。現在の治療法では、ウイルスを排除できない肝炎患者は根治せず、肝炎は年とともに少なからず進行していきます。そして、肝がんができますと、治療法が進んだと言われていますが、肝がんの5年生存率は、国立がんセンターの発表でも2割以下と大変低くなっています。その原因としては、肝がんは、再発率が年率3割という高い数字であることも要因の1つと思います。そのような中で、患者の方々は「有効な治療法がないまま死が近づく」という恐怖を常に持ちながら生活していかなければなりません。重篤になって生活そのものが破綻している方もいます。
 かかりつけ医受診の現状。それでは、そのような重篤になる前の肝炎患者が日常受診しているかかりつけ医では、どのような現状かをお話します。専門医以外のかかりつけ医を受診している人は、肝機能(AST・ALT)が高くても治療していない方が多いです。私も経験がありますが、昔はALT80以下だと経過観察で治療はしませんでした。また、最近も、ALT30以下にしてくださいと肝臓学会の慢性肝炎治療ガイドラインにも書かれていますが、かかりつけ医までは浸透していないようです。実際の治療でも、肝炎の症状を抑えて肝炎を進めない肝庇護療法の1つであるグリチルリチン製剤の注射があります。私も現在週3回通っていますが、この薬は後発品だと効かないこともあるということから、肝炎治療のどの著書でも先発品の特定の商品名で書かれています。専門医がいる病院では、それを使っている病院が多いですが、それ以外の多くのかかりつけ医では、後発品が大部分で肝機能が下がらないので薬を変えてほしいと言っても変えてくれる病院はまずありません。何もジェネリックス、後発品の薬品が悪いというのではなく、効かなければ変えてもらえる仕組みが必要です。患者会でも、何十年も同じ先生に通っていて肝硬変になってしまったという声を今もよく聞きます。すべてのかかりつけ医がこうだというのではありませんが、このように、日常通院するかかりつけ医では肝硬変・肝がんへの進行に歯止めがかかっていない。また、重篤にならないと専門医療機関などに紹介しないという場合も多く、このような状況を変えない限り肝硬変・肝がんの患者は減らないというのが実感です。
 進まないウイルス検診とインターフェロン治療。これまで、いろいろな対策が講じられていながら、検診率もあまり上がっていません。いまなお100万人以上の自覚していない感染者がいると言われています。また、平成20年度、21年度で、インターフェロン治療の助成を受けた患者は約7万人に過ぎません。インターフェロン治療が進まない要因は、ウイルス検診が進まないことも大きな理由です。そのほかに、現役の人たちは仕事などとの両立などから踏み切りません。高齢になると副作用などからインターフェロン治療ができないなどがあります。私の町では、7年前から町単独でインターフェロン治療費の助成をしてきていますが、700人ほどのC型肝炎のキャリアの中で、インターフェロン治療を受けた人は75人に過ぎません。インターフェロン治療を受けない人の実態を把握して、さらに踏み込んだ新たな拡充策を示す必要があります。
 私たちの求める社会。(1)すべての感染者が感染を自覚している、(2)インターフェロン治療の適応のある患者はすべて治療を受けている、(3)すべての肝炎患者(肝硬変・肝がん患者を含む)が居住する地域にかかわらず適正な治療を受けている、(4)収入が足りないことを理由に治療を受けられない患者は1人もいない、(5)肝炎により働けない患者には生活支援がある、(6)肝炎であることで社会から偏見・差別を受けない。私たち患者は、このような社会が5年後に実現していることを強く望んでいます。
 6.今回示された案について。これは、第3回の協議会で示された案を基に作りましたので、若干違っているところもあるかと思いますが、ご了承ください。(1)取り組むべき課題は書かれているが、その取組の目標が明示されていない。目標と達成時期を明記し、達成度合いを常に検証すべきだと思います。私の町のデータでは、60歳以上75%、60代だけで25%も患者がいます。高齢化は全国より進んでいるかもしれませんが、このような傾向は全国的なもののようです。あと5年もしたらインターフェロン治療でウイルスを排除できる患者は大変少なくなってしまって、病状はさらに進み、対応も難しくなってしまいます。肝炎対策はここ5年が正念場ではないでしょうか。
 すべての国民が少なくとも1回ウイルス検査がいつまでか。すべての国民が、1回ウイルス検査を受ける体制をいつまでに整備し、国民の意識に浸透するのか。また、その制度が利用しやすいのかが重要です。平成14年から18年の5年間の三鷹市のC型肝炎検診で診断が特定している207名の中で、約1割の方は肝硬変・肝がんという結果が公表されています。ウイルス検査の段階で、5人の方、実に陽性者の40人に1人の方から肝がんが見つかったそうです。肝硬変・肝がんでも無自覚で過ごしているということなのです。このことからも、ウイルス検診がいかに重要であるかが分かります。感染者の早期発見が肝がんなどの死亡者も減るし、最終的には治療費も減ることになります。
 肝硬変・肝がん患者の実態調査もせず、支援策を何ら講じていない。肝炎対策基本法附則第2条第2項には「肝炎から進行した肝硬変・肝がんの患者に対する支援の在り方については、これらの患者に対する医療に関する状況を勘案し、今後必要に応じ検討が加えられるものとする」とあります。これは、昨年の基本法成立時に国会の全会派一致で付け加えられたとお聞きしています。そして、衆議院の厚生労働委員会では「本協議会での論点の1つ」とある閣僚が答弁されています。そういう点からしても、今回の基本指針に肝硬変・肝がん対策の有効な施策が示されていないというのは、大変残念に思います。
 かかりつけ医のレベルアップ策・病診連携体制での役割などが明確でない。私の県の専門医のいないある二次医療圏では、1年間でインターフェロン治療者が2人しかいない地域がありました。全国には、このような地域がたくさんあるはずです。このような地域では、専門医以外のかかりつけ医でも、インターフェロン治療や肝炎治療ができるシステムを作らないと、肝炎対策が進まないことになります。病診連携体制においても、各都道府県では、協力医療機関、あるいはかかりつけ医の役割・診療内容が明確にされておらず、インターフェロン治療だけではなく、日常の肝炎治療についても明確にすることが必要だと思います。山梨県や三鷹・武蔵野市のようなモデル事業を早急に全国に展開することが必要とされています。
 インターフェロン治療者を増やすためには。「治療休暇制度」を必要とする疾患はほかにも存在します。それらの疾患も合わせて制度を検討すべきではないでしょうか。また、インターフェロン治療を受ける人の多くは、高齢者など治療の判断が難しい患者です。専門医が関わって遺伝子変異の検査なども使ったテーラーメード治療などを早急に進める必要があるかと思います。
 各都道府県に委ねて基本理念は実現するか。武蔵野日赤などが進めているがん診療における地域連携パスでも、医療機関と自治体との「医療連携」を通じて、初めて肝炎対策の効果は上げられると言っています。基本法の基本理念にあります「居住する地域に関わらず、肝炎検査及び適正な肝炎治療を受けることができる」ということが実現するのは、国と地方自治体、医療機関の協働が必要なことは言うまでもないことですが、国のリーダーシップが極めて重要ではないでしょうか。
 肝炎対策基本法前文に照らして。肝炎対策基本法前文では、肝炎は「国内最大の感染症」であり「重篤な病変、疾病に進行するおそれ」がある。医療の進展はあるものの「早期発見や医療へのアクセスにはいまだ解決すべき課題が多い」。また、薬害C型肝炎やB型肝炎訴訟以外にも、肝炎ウイルスへの感染については「国の責めに帰すべき事由によりもたらされ、又はその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものである」と広くほかの原因による感染についても国の責任を認めています。さらに「これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保するなど、肝炎の克服に向けた取組を一層進めていくことが求められている」と基本法の趣旨について書かれています。
 肝炎患者救済の責務。この表は、肝がん死亡率の国際比較ですが、日本の死亡率は、10万人当たり男性38人、女性17人と、いずれもほかの国と比較して飛び抜けて多いことが分かります。この原因の1つとして挙げられている輸血では、ほかの国では赤十字などの非営利でしたが、日本ではブラッドバンクと呼ばれる民間企業による売血に長年依存していました。それらのことから、日本ではここ30年間で何十万、おそらく100万人に近い人が肝がんで亡くなったことになります。世界の歴史にもないような未曾有の大被害の犠牲者を救う施策を、国は予算がないなどからできないと済まされることでしょうか。ほかの国では、輸血によるC型肝炎被害者に賠償している国もあります。基本法第8条では「政府は、肝炎対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない」となっています。
 患者会アンケート。今全国の患者会でアンケート調査を実施しています。ここでは、それに詳しく触れることはできませんが、例えば、闘病期間についても、10年以上の方が9割近くも占め、多くの肝炎患者は一生肝炎と闘っている状況が分かります。アンケートの自由記載の一部を紹介しますが、そのほかのものも添付していますので、ご覧になっていただければと思います。
 患者の声。C型肝炎、自己免疫肝炎、脂肪肝でインターフェロンが使えず、友の会定例会や会報で、最新治療方法を知ると気が滅入ってしまいます。GOT、GPTが150~180で週3回強ミノを点滴して上昇を抑えていますが、通院が大変です。(60代女性埼玉県)。肝臓病を患って約47年になる。インターフェロン治療3回、ラジオ波焼灼療法12回、塞栓術3回、肝切除1回等により、高額な医療負担との闘いでありました。現在ウイルスはマイナスになりましたが、肝硬変から肝がんになり、治療を行っています。肝炎治療に先駆的な立場にあった肝がん患者に対して、早急に治療費等の支援をすべきと考えます。(60代男性大阪府)。今年の4月にがんが見つかり手術をしました。8月にまたがんが出て10月に入院手術です。私は73歳です。もう諦めています。若い人たちはこれからです。1日も早く良い薬を作ってください。(70代女性岩手県)。
 指針(案)は患者の思いに応えているか。同じく、患者会のアンケートで「国の肝炎対策の推進で重要だと思われること」という問への回答では、圧倒的に医療費・生活費支援と、治療薬・治療方法の開発、保険認可などです。患者の立場からすると当然の結果だと思います。そのような患者の気持で今回の基本指針案を見てみましたが、患者の要望には応えていないのではないでしょうか。
 最後に。昨年の「肝炎対策基本法」の成立は、私たち肝炎患者にとって画期的な法律であり、基本指針に大きな期待を持っていました。第1回協議会の冒頭で、長妻前厚生労働大臣から「更なる支援策、医療費の助成など、拡充の方向で考えていきたい、決意を持ってこの場に臨んでいる」というお言葉をいただき、大変感激いたしました。しかし、残念ながら、患者から要望の強い医療費の助成拡大などについては、来年度の実現は難しいということのようです。本日示された指針案では、今後に向けて前向きな施策もあり、評価すべき点もありますが、これから調査研究していくというトーンのもので、患者の思い・願いがかなえられるかは、まだまだ不透明です。私たち患者、特に高齢者・重篤の患者は、時間がないという現実があります。今一度、「基本法の趣旨」と「患者の現実」を考えていただいて、どのような基本指針が必要かを委員の皆様に考えていただきたいと思います。どうもご清聴ありがとうございました。

○林会長 どうもありがとうございました。それでは、今ご発表いただきましたので、意見がありましたらお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。患者さんの現状がどういう状態であるかというのをご説明いただきましたが、ご意見、ご質問はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。我々は患者さんを日頃見ておりますので、大体現状というのはよく分かっているつもりですが、日頃患者さんと接していない委員もおられますので、何か質問等がありましたらお聞きいただければと思います。
 それでは、次に進めさせていただきたいと思います。今阿部委員からも意見がありましたので、もう一度今回修正いただきました基本指針(案)をご覧いただきまして、どう訂正していただくのがいいのか意見をいただいたほうが我々もありがたいと思います。一般論としてはよく分かっているのですが、この指針案にどう反映すればいいのかというのを、意見を言っていただいたほうがいいのではないかと思っています。
 それでは、修正箇所の見え消し版でやらせていただいたほうがいいと思います。第1から第9までありますので、先ほど事務局から説明いただきました案の、とりあえず、第1、第2、第3の所で意見がありましたらお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。阿部委員のご意見にごもっともの所も多々ありまして、この文案にそれが反映されませんと意味を持たなくなるかも分かりませんので、是非ご意見を賜ればと思います。

○天野委員 1頁の一番下の定義ですが、「肝炎ウイルスに持続感染している者を『肝炎患者等』という」とあるのですが、この場合、ウイルス性の肝炎、肝硬変、肝がんというのは、肝炎ウイルスの持続感染による一連の病態ですが、一般の人にはまだ正しい知識が浸透しているとは言い難いということです。例えば、C型肝炎というと薬害によるもののみと認識しているとか、肝硬変というとお酒の飲み過ぎ、肝がんというと、たまたまがんが肝臓にできてしまったものというように、一連の病態と捉えていない場合が、電話相談などをしていますと多々あります。それで「肝炎ウイルスに持続感染している肝炎、肝硬変、肝がん患者」と記して定義としていただいたほうが分かりやすいのではないかと思います。

○林会長 肝炎患者を、肝炎、肝硬変、肝がんと具体的に診断名を入れたほうがいいのではないかという意見だと思います。

○天野委員 はい。

○林会長 最初の定義に、それを肝炎患者とするとさせていただいてもよろしいのでしょうか。毎回毎回出てくると、読むほうは文章上なかなか理解いただきにくいと思います。

○天野委員 そうです。

○林会長 最初の定義の所に「持続感染している肝炎、肝硬変、肝がん患者を以下『肝炎患者等』という」という定義にさせていただくということでよろしいでしょうか。

○天野委員 そういうことで考えて、それが一番最初の定義だということに。

○林会長 はい、分かりました。それでは事務局の方、検討いただければと思います。ほかにいかがでしょうか。

○木村委員 患者の木村伸一です。まず、前文の部分ですが、前回提出の指針案では、この見え消し版ですと中段以降になりますが、消されている部分があります。先ほど阿部委員からもありましたように、この協議会や、また基本指針を出すという経緯についてどういったものかというのは、この肝炎対策基本法が基であり、肝炎対策基本法の前文にあります、先ほど阿部委員からも説明がありました文言、このことをこの指針案の前文にも入れたほうがいいのではないかと私は思います。

○林会長 2頁の上の所、どこですか、具体的に教えてください。

○木村委員 2頁の上の部分ですね。

○林会長 上から4行目の所でしょうか。

○木村委員 3行目から4行目にかけて消されていますが、少なくとも「肝炎対策基本法前文の趣旨にかんがみ」の部分は入れてもらったほうが、なぜ肝炎のこの指針案を出さなければならないかという経緯についてのきっかけというか、になるかと思いますので、ここはやはり必要ではないかと思います。さらに言えば、この前文の趣旨の文言自体をちょっと細かくなるかと思いますが、入れていただければいちばんいいのではないかと私は思います。以上です。

○林会長 これは、おそらく削除されたのは意味があると思いますので、事務局いかがでしょうか。

○伯野肝炎対策推進室長 前文の趣旨をかんがみるのは当然のことだしということで、指針の所に。ですから、それほどものすごい深い意味があってというよりは、文章の流れとか、そういうところを。

○林会長 そうしたら、少なくとも先ほどのご意見は、最低挿入していただいて。

○木村委員 最低限でもそうですね。

○林会長 文言について、入れるようにお考えいただくということで、よろしいですか。

○木村委員 誰が見てもわかるような形でと考えます。

○林会長 それはそれほど難しいことではないような気もいたしますので。

○木村委員 お願いします。

○林会長 はい。ほかにいかがでしょうか。

○阿部委員 先ほどのプレゼンでもお話したのですが、今日も平成13年の「肝炎対策に関する有識者会議」の資料をもう一度読み直してきているのですが、やはり肝炎の方が肝硬変・肝がんとかの重篤な病態にならないような対策を今までは進めてきている。しかし、今この時点では、先ほど申しましたように、もう7割近くの方が60歳以上であるということが大体推測されるわけですよね。そうすると、70歳以上の方が相当肝硬変・肝がんになっているというところをもうちょっと。肝炎対策も必要なのだけれども、肝硬変・肝がんになってインターフェロンでも歯止めがきかないような人たちがいっぱいいるのだということを、この前文のところで。私たちもちょっと対案を出させていただいたのですが、その中でも、そういう方たちの対策を今回ここで触れるべきではないのかなと感じます。

○林会長 それは前文に。

○阿部委員 前文の部分で、ですね。

○林会長 書いていただきたいということですね。

○阿部委員 確かに後ろのほうでは。

○林会長 後ろに出てきますね。

○阿部委員 実態調査をするということでは載っているのですが、その前のほうで、だから大変な状況になっているのだという認識を是非示していただければなと思います。

○外山健康局長 今日は、この協議会のご意志を聞く場なので、伯野室長は協議会の事務局の室長としての立場でありますから、私が言うべきことではないのですが、今後、厚生労働大臣として協議会に意見を付して聞くという形の性格がこれにあるものですから、ちょっと申し上げます。この肝炎対策の基本的な指針は、ご案内のように、肝炎対策基本法の第9条に基づいて作るという形になっています。第9条は「厚生労働大臣は、肝炎対策の総合的な推進を図るため、指針を策定しなければならない」、そこからスタートしています。書くべき事項につきましては、2項の一号から九号までタイトルまで定めてありまして、まずその一号に「肝炎の予防及び肝炎医療の推進の基本的な方向」という形になっています。したがって、肝炎対策基本法には、今阿部委員がおっしゃったような前文が、あるいはほかの委員もおっしゃった前文が縷々書いてあるわけですが、これと同様のものを指針の前文にまたもってくるというのは、法律に基づいての各指針のスタート段階からすると、ちょっと違和感があります。ただ、だからといって、法律に定める柱立てのバリエーションとしてどこまで許されるのか、気持をどう組み入れるのかということは重要だと思いますが、前文に書いてあることがすっかりコピー&ペーストみたいな形でまた指針で繰り返されるというのは、次のステップを考えますと違和感がちょっとあるということを、要らんことかもしれませんが、申し上げておきます。 

○林会長 分かりました。それは、我々も十分理解しているつもりなのです。これは、あくまでも厚生労働大臣に対する我々の文章ですので、最終的に厚生労働省の出す文章とはまた別個のものであるということについては、我々も十分理解しています。だから、この項立ては、今局長さんがおっしゃったように法律上決まっていますので、それを大きく変更することはできません。具体的なことは良く理解できるのですが、問題は、この文章の中で、範囲内で十分自分の思っていることを表現いただきたいというのが、先ほどからの説明でありますので、その点は十分理解をいただければと思っています。自由に文章を作れるということではないということだけは、最初の会議のときにもそういうご発言がありましたが、これはこのままの文章が厚生労働省から出るということではございませんので、それは十分ご理解いただければと思っています。それ以外に、1から3の所で何かご意見はありますか。

○天野委員 第3までよろしいのですか。

○林会長 はい。第1、2、3の所で意見がありましたら。

○天野委員 第2の「肝炎の予防のための施策に関する事項」、4頁です。今まで話を1回もしたことがなかったのですが、医療機関、特に歯科とか人工透析、内視鏡、鍼・灸など、観血的な処置を行う場合があって、感染の危険性のある医療機関がありますが、鍼・灸などですと、電話相談で鍼・灸をやった後ですぐに肝炎が起こってしまったとか、そういう患者さんがありまして、歯科についても、歯科でうつされるのではないかという一般の方の心配、それから、肝炎を持っている方は歯科でうつしてしまうのではないか、そういう心配が多く聞かれます。それで、こういう感染の危険性のある医療機関において、感染の防止のためのガイドラインに対するコンプライアンスの徹底を指示していただきたいと思います。

○林会長 具体的にどこに入れたらいいか。一般論は私も専門家なのでよく分かるのですが、具体的に言っていただかないと、それは文章上載ってきませんので、そういうことは十分我々も理解はしているのですが、どこにそのことが反映させるようにすればいいかを言っていただくと、非常にありがたいのですが。

○天野委員 4頁の第2の(2)「今後取組が必要な事項について」のアで「集団生活が営まれる施設ごとの感染予防ガイドライン等を策定」と書いてありますね。それと同じく、感染の危険性のある医療機関においての。

○林会長 医療機関のを入れていただくと。

○天野委員 そうです。アか、その次のイに入れていただいてもいいと思うのです。

○林会長 分かりました。それは入れていただくご検討をお願いしようと思います。(2)のアに、集団生活を営まれる施設以外に、医療機関で感染の危険の高い所についてもガイドラインの作成を、一部作成されているものもありますが、そういうのを徹底したいと、それはそのようにお願いしましょう。

○木村委員 3頁の第1の(3)の「また」からの部分ですが、これの最後の部分です。「抗ウイルス療法に対する経済的支援に取り組み、その効果を検証していく必要がある」という部分です。ここはお聞きしたいのですが、「その効果を検証」というのはどういったことか、効果がどういうことかをお聞きしたいのですが。

○林会長 これは事務局にお聞きしてもいいのですが、おそらくいろいろなものを含んでいて、特定のことを言っておられる気もするのですが。

○木村委員 例えばでもよろしいのですが。

○伯野肝炎対策推進室長 これは、逆に委員の方々からいただいたご意見を含んでですので、40頁の上です。少し内容が変わっていますが「自己負担額の更なる削減を検討する」となっていますが、そこまでダイレクトではなくて、いろいろな医療費助成の制度自体の検討ということです。

○林会長 分かりました。これは経済的支援のその評価ですね。

○伯野肝炎対策推進室長 これだけではないかと思います。もう少し広く、新薬の状況なども当然ありますし。

○林会長 これはかなり具体的なことを書いているわけではないので、文章上はどうしても幅広く表記することになると思います。

○木村委員 でしたら、この「効果」の前になるかどうかはわかりませんが、「総合的な効果」というふうにはどうかと考えますが。

○林会長 総合的評価というと、それは逆に意味が分からなくなってしまいますので。

○木村委員 わかりづらいですね。

○林会長 このほうがおそらく先ほどのご要望と。これだと経済的支援に対するその評価ですから、こちらのほうがかなり具体的な表記になっているような気がしますが。

○櫻山委員 先ほどの天野委員の歯科、人工透析の所に戻ってよろしいですか。

○林会長 どうぞ。

○櫻山委員 せっかく専門の先生もいらっしゃるので逆にご意見を伺いたいのですが、あまり歯科、人工透析、内視鏡、鍼・灸と例示をしますと、厚生労働大臣が出す指針ですが、かえってそういう医療行為が極めて危険なものではないかというようになってしまわないかというところが心配ですから、そこは表現をよくご検討されたほうがいいのかと私は思うのですが。

○林会長 ごもっともです。現在、かなり具体的にそういう例で反省が行われて、非常に減少してきていますので、それはおっしゃるとおりかもわかりません。

○保坂委員 今のお話の中でほとんどの透析などは医療機関としてかなりきちんと把握されていて、きちんとした教育というかそういう知識の普及があると思うのですが、鍼・灸というところが非常に特殊でありまして、そのことについては、もしかすると特別に取り上げてやったほうがいいのではないかと。それにはリスクがあることも、当然鍼・灸を受ける方にも知っていただきたいし、鍼・灸を施術している側にもそういう認識が少ない可能性があるので、その辺はもしかしたら触れていただいたほうがよろしいかと思いました。

○熊田委員 鍼灸学会は、1994年に鍼でうつる可能性があるということで、私もすでに講演をやりまして、指針も出して、いまうつることは本来はないはずです。持ち鍼制度も全部作りましたし、今ここで書くということは。鍼灸学会はきちんとやっていると、1994年の段階では認識していると思っています。現実に最近の鍼・灸でかかったという事例は、私自身は経験がないです。

○林会長 透析も透析をして陽性者が多く出ると、現在必ず専門医がその施設に行って、一応検証はやっていますので、以前に比べるともちろんのことながら感染頻度等は大幅に減少、もちろんゼロではありませんが下がっていると思っています。

○木村委員 4頁の第2の(2)のウの部分になりますが、ワクチンの問題です。この部分で「リスクの高い集団を中心として」というのがありますが、これは現在行われていることだと思うので、指針でこのことを打ち出さなくてもよいのではないかと思うのと、逆にハイリスク以外の方にワクチンの予防接種を推進するという文言のほうがいいのではないかと思います。

○林会長 ここの文章は、後ろの文の「情報提供を行う」という所がメインなので、ワクチンのやり方を書いてあるというのではないのです。ユニバーサルワクチンの問題は別の問題なので、今すぐここでユニバーサルワクチンの問題については、文章上には書けない状況にあると思っていますので。

○木村委員 対象をリスクの高い集団ではなくて、もう少し広い意味のようにしたほうがいいのではないかと思いますが。

○林会長 広い意味といいますと。

○木村委員 リスクの高い集団以外も含まれるような文言です。

○林会長 それも何か変な文章ですね。

○木村委員 これだとリスクの高い集団しか対象に。

○林会長 中心として「情報提供を行う」ということなので、リスクの低い人にワクチンを打たないという話ではないので。

○木村委員 それは分かりますが、情報提供をもっと広くという意味合いということですが、私の言い方が悪いですかね。

○林会長 これは溝上先生いかがですか。

○溝上委員 ワクチンに関してはいろいろな問題点はありますが、世界的には新生児全員にHBワクチンを打とうというユニバーサルワクチネーションの方向に今どんどん進行しています。ただ、本邦でユニバーサルワクチネーションがなされるまではこういう情報提供をしっかりと行わなければいけないということだと理解していました。例えば、ワクチンの開発は20年前には終わっています、そしてそのときにハイリスクの方たちにはワクチンを積極的に進めなさいということはすでに出ているのですが、それがまだ完全に行きわたってないという現状を踏まえた上での文章だと理解しています。

○林会長 ご存じのない方もおられるということでありました。それ以外にいかがですか。時間もありませんので、次に4、5、6でご意見がありましたらお聞きできればと思います。4の肝炎医療を提供する体制の確保、5の予防医療に関する人材の育成、6の肝炎に関する調査及び研究に関する事項です。

○阿部委員 7頁の上の部分で、いわゆる現役の世代の方の対応ですが、例えば「職域において健康管理に携わる者及び労働組合をはじめとした関係者の協力を得られるよう、必要な働きかけを行う必要がある」ということになって、お願いする形になっているわけです。私は、実際現役の時代に随分インターフェロンなり、あるいは治療をするために大変苦労してきました。ましてインターフェロン治療などですと、今私のほうの会員でも、例えば運転手や新聞記者などもいますが、そういう人たちはインターフェロン治療に対してなかなか入っていけないということがあって、職場のある方のそういう肝炎治療は大変難しいのだと私は思っているのです。ですから、もう少しここのところを踏み込んだ、別に法律を作れなどということではなくても、、何が職場の中で必要か。第1回の協議会で東京都で発表した資料でも、40代、50代の男の人がインターフェロン治療を途中でやめておられる方が多いですよね。そこを解決してあげないと、60代になると肝硬変・肝がんになってしまうのです。ですから、現役の世代で苦しくてもどうしてもやらなくてはいけないのだけれども、なかなかできないというところがあるので、何かここは研究でもしていただかないと駄目なのか。労使でお話をもっと定期的に持っていただくとか、何か必要ではないかと思います。かわいそうなのです。60歳になって検診したら肝硬変だった、という方が結構周りにいらっしゃいます。

○林会長 現状がおっしゃるとおりだということは私もよく理解しているのですが、いろいろな関係の委員の方がおられますが、ここはご意見がありましたら是非お聞かせいただければと思います。

○保坂委員 この問題は、肝炎ひとつの問題ではなくて、働きながら病気になった人すべての問題ですので、先ほどのどなたかのお話にあった治療の休暇制度のことなのです。この指針の中に書き込めるかどうかは、先ほどの局長のご説明だと少し難しい気がしますが、何かそういったことをもう少し広い、肝炎のことだけではなくという気持が込められる文章を作っていただければ。この指針の案にそういうことを載せることがそぐわないとたぶんおっしゃると思いますが、その一つひとつで、あっちこっちの所でそういう声が挙がっていけば、何か実現することもあるかと思うので、是非、担当の方に知恵をしぼっていただけたらと思います。

○篠原委員 いまおっしゃっていただいたように、職場の中でも肝炎に限らず患者が治療を継続しながら働き続けるということは非常に大変なことだと理解をしています。
 職場の中での安全衛生対策が非常に重要だということは、前回のヒアリングのときにも申し述べました。安全衛生委員会などを通じながら、積極的に健康管理に関する情報提供や広報活動などの対策が必要であり、労働組合と事業主と連携を取りながらやっていくことが非常に重要ではないかと思っています。

○林会長 現実は、経済情勢が非常に厳しいので、おっしゃるとおりなのですが、こういう指針案にそのことがどの程度書き込めるかはかなり微妙な問題を含んでいますので、我々もそのことは重々理解していますが、これはまた何かいい文章があれば、逆に教えていただいたほうが、我々にとってはそのことを検討する上で有効です。何かありましたらお教えいただくということで、また事務局でも検討をしていただきたいと思います。よろしいですか。それ以外に何かありますか。
 またあとでお聞きするということで、次の7、8、9ですが、7が医薬品の開発、8が知識の普及と人権の尊重の問題、9がその他の肝炎対策となっていますが、何かありましたらお願いします。

○宮下委員 健保連の宮下です。10頁の第8の(2)のアにありますWHOの総会において世界肝炎デーの実施が決議されたことを踏まえ、「日本肝炎デーを設定する」という記述があります。私ども医療保険者としては、日頃からいろいろこういう疾病の啓発や対策に是非取り組んでいきたいと思っています。ここで非常に具体的にこういうことを、こういう日を作って、それを1つのきっかけとして、みんなで肝炎について取り組んでいこうということですので、私どもとしては、これは非常に具体的な話としてありがたく思います。この協議会のメンバーも含め、広く関係者みんなで力を合わせていこうといったことで、広く国民全体に啓発していくいいきっかけになるのではないでしょうか。是非よろしくお願いしたいと思います。

○熊田委員 同じ10頁ですが、WHOの肝炎デーですが、すでにウイルス肝炎財団で実施していまして、昨年もウイルス肝炎財団は世界肝炎デーの日に合わせてやっていますので、この文章だとやっていないような印象を受けると思うのですが。

○伯野肝炎対策推進室長 世界肝炎デーを決議されたのは今年だったかと思います。ただ、おっしゃられるとおり財団のほうが肝臓週間というものを毎年やられているのは当然把握していますが、これまでの対策はしっかりやられているというところが。

○熊田委員 ただ、今年決議されているのですが、世界肝炎デーのほうはすでに2年前からなるべく一緒にやってくれということを言われていまして、それで昨年わざわざ肝炎デーに合わせてウイルス肝炎財団もやっていますから、啓発を行うというと、いかにもやってないみたいで、ウイルス肝炎財団が気の毒のような印象を受けました。

○外山健康局長 順番はうまくなるように修文して、ただし一方で国が大臣の告示の中できちんと日本肝炎デーというのは国策としてまた広くやるのだという形で、これは事務局としては積極的にして、ただ名誉の問題などいろいろあります。それは尊重してやったらどうでしょうか。

○林会長 いろいろな肝炎の普及の問題は非常に重要で、我々肝臓を専門にしている者としてはそこにだけ目が行くのですが、いま日本全体として肝炎に対する関心が少し落ちてきているという面もあります。是非こういうことをやっていただくことはいいことではないかという気がします。

○武田委員 13頁の3行目、障害認定についてですが、「引き続き当該支援を継続する」のあとに、「するとともに障害認定の実態を調査し、肝炎対策推進協議会における議論を踏まえて制度の改善の必要性を検討する」ということを入れていただきたいと思います。障害認定のことは、以前に私から質問したのですが、それに対しての返答はなかったと思うのですが、それを入れていただきたいと思います。

○林会長 「継続する」と書いてある所を。

○武田委員 「継続するとともに障害認定の実態を調査して、肝炎対策推進協議会における議論を踏まえて制度の改善の必要性を検討する」と。これは、6月18日の大臣協議があったときに私から質問したのですが「この推進協議会においてさせてください」ということを長妻大臣から答弁をいただいていますので、入れていただけたらと思います。

○伯野肝炎対策推進室長 先ほどの件ですが、今日、担当部局が来て、資料も付けていますので、最後に説明したいと思います。

○林会長 今日、最後にご説明をいただけるそうです。

○天野委員 13頁のエです。「国は、肝炎から進行した肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療に関する現状を把握するための調査及び研究を行う」という項目についてですが、これは大変重要なことですので、是非、調査研究していただきたいのですが、医療だけではなくて障害認定との関連も考慮していただいて、療養の生活実態も含めて調査研究していただきたいということと、肝硬変・肝がん患者の実態は深刻な状況にあります。それで実態調査は早急に取り組んでいただいて、なるべく早く支援を検討していただきますようにお願いしたいのですが、いつまでに調査するという期限はいま言えますか。

○林会長 先ほど申し上げたように、これは厚生労働大臣に対する文書を出すので、我々が実施するわけではないので、いつ実施するというのはこの文章に書けないです。ちょっと厳しいのではないかという気がしますが。

○天野委員 療養の生活実態も含めてということは。

○林会長 文章上入れることは、事務局で検討をいかがですか。医療以外に生活実態の調査をする、ということをこの文案に入れると。医療以外に患者の生活実態の調査を併せて現状把握する、という文言を入れると。

○伯野肝炎対策推進室長 ご意見として伺わせていただきます。
 会長、先ほどの障害の調査の件です。

○林会長 先ほどの件です。

○江浪障害保健福祉部企画課長補佐 お手元の資料5に調査のことについて資料を出していますので、報告したいと思います。前回の本会議でもご質問があり、そのときにお答えできず、大変申し訳ございませんでした。肝炎の肝機能障害に関しては、今年4月から認定を開始しているところですが、まだ制度が始まったばかりということもあり、まずは肝機能障害の認定の実施状況を把握するために、身体障害者手帳の交付事務の実施主体である自治体に対して、調査の依頼を申し上げているところです。
 調査事項としては、参考の所に書いてありますが、実際にこういった肝機能障害ということで認定の申請がどれぐらいあったのか、交付がどれぐらい進んでいるのか、却下になったものはどういったものがあるのか、何件あるのかということを調べまして、また申請の却下となりましたものに関しては、どういった理由で却下になったのかを調べたいと考えています。
 また、こういった制度が始まったばかりということですが、肝機能障害の指定医に対して、認定基準に関する研修会や説明会、そういったものをどれぐらい実施しているのか、肝機能障害の認定基準に関して、実際に診断書を書いていただいています指定医などからどういったご意見が届いているのかということの調査をしたいと考えています。この調査結果については、大臣から申し上げましたとおり、年内に取りまとめて公表したいと考えています。

○林会長 これは自動的にある程度の数字は上がってくるということになります。これは都道府県で実施していますので、それをまとめるだけですので、そうしたら上がってきます。

○武田委員 それを入れることは駄目なのですか。

○林会長 実際に調査をされていることになります。ただ、具体的にどういうことが。

○武田委員 「制度の改善の必要性を検討する」という項目は入れられないのですか。

○林会長 「調査以外に改善に関して検討する」という文章が入らないかと。

○伯野肝炎対策推進室長 障害保健福祉部の所管ではありますが、障害認定の件は、障害認定の見直しは別途協議する場がありますので、そういう所でほかの疾患と併せて検討されるものと伺っています。

○武田委員 大臣は協議会でお話するべきとおっしゃっていましたが。

○伯野肝炎対策推進室長 もちろん調査結果については定期協議の際に協議会の場で公表することは申し上げていたかと思いますので、それは対応させていただくと。ただ、具体的な制度についてどうしていくかというところは、また別途場がありますので、そちらで議論をすると。

○林会長 これを決めたもともとの委員会もあります。おそらくそちらのほうでその制度の改善については検討されることになると思います。

○木村委員 伯野室長の言うことも分かるのですが、肝臓病に関しての障害認定の中の肝炎に関しての部分については肝炎対策推進協議会で検討し、障害認定の専門委員会なりに意見を上げるということは可能なのでしょうか。

○外山健康局長 制度的には違ったラインですし、肝炎対策推進協議会の役目でそういうのはありませんから、できないと思います。ただ、同じ大臣として肝炎対策推進協議会でのご意見はきちんとお聞きするわけですから、そういった意味で、それを念頭に置いて障害者の認定する関係の部会でそういうことも対応することはあり得ると思いますが、肝炎対策基本法に基づく協議会の役割として、障害者認定部会への提言はないと思います。

○林会長 ほかの場がありますから、そこらで言っていただいたほうがいいかもわかりません。

○江浪障害保健福祉部企画課長補佐 今の障害の関係に関して検討する場のことですが、大臣から申し上げましたのは、障害者制度に関して「障がい者制度改革推進会議」がありまして、その会議の下に総合福祉部会が設けられていまして、制度の谷間のない新たな総合的な福祉法ということについて、障害者の定義のことでありましたり、そういった今後の在り方について議論が行われていますので、全体の議論という場としてはそちらのほうを考えています。

○林会長 それはもう一度検討する場を、そちらのほうでご意見を言っていただいたほうがいいかもわかりません。

○木村委員 別になりますが、10頁の第8の(2)のウの部分ですが、この件に関しては、B型肝炎患者もそうですが、HIV感染患者からも非難的な意見が挙がっていることを耳にしています。指針案全体を見ましても、これだけ具体的な細かなことに関して言及していることはないと思われるのですが、ジェノタイプAなど、そういう細かな部分に関してここの部分だけ出してきているのが、どういった理由があるのかをまずお伺いしたいのですが。

○林会長 こういう具体的なことは書かないほうがいいというご意見なのですね。

○木村委員 そうですね。ただ、実際にあることも、現実的にあることも分かるのですが、ここだけ目立っている気がするので。

○溝上委員 この件に関しては、現実問題として明らかに増加しています。現在、日本中から800例ぐらいの症例を集めて解析していますが、増加が確認され由々しき問題となっています。皆さん気をつけなさいということはやはり言うべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。○木村委員 それは私も重々理解しているつもりですが、「性行為により感染する可能性があると。「性行為等」だと思うのです。性行為だけに限定されてしまう誤解を生むような文章だと思うので。

○林会長 等が入ると全然問題ないと思いますよね。

○木村委員 その辺りをもう少しさらに誤解を生まないような文章が必要だと思います。「ジェノタイプAは」となっていますから、必ずしもジェノタイプAの方との接触があった場合に慢性化するとは限らないとも思いますので、その辺はこの文章だと誤解を生むのではないかという気がします。

○林会長 いちばんは、おそらく「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等と同じく」という文章が入っているから、そこの部分が気にかかるというところだと思うのです。

○木村委員 ここの趣旨が入っているからいいということですよね、わかりました。

○林会長 この部分を削除しても、文章上の意味は通りますよね。それを削除するかどうかと。

○木村委員 「性行為」という所はちょっと。

○林会長 ここだけかなり具体的なことが書いてありまして、新規感染でいま日本国内において一番重要なのがこの部分で、この部分がおそらくかなり具体的な文章になっているのだと思います。

○木村委員 ただ、ジェノタイプの検査が行われるようになってからわかったことだと思うので、検査ができて急に増えたというものではないのではないかと私個人的には理解しているつもりですが。

○林会長 これは検討させていただいて。

○木村委員 もう少し検討をして文章をちょっと。

○林会長 最初のところで、一番の問題は「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等と同じく」という文案の所については、少しこれを出すと。

○木村委員 できるだけ誤解を生まない形にしていただきたいと思います。お願いします。

○林会長 はい、おっしゃるとおりだと思いますので、ここは検討します。

○天野委員 9頁の第7の(2)のオですが、指針に対してということではないのですが、指針に関連して患者としてお願いしたいということですが、「国は、肝炎医療に係る新医薬品等のうち、医療上の有用性等の要件を満たす医薬品については、他の医薬品に優先して承認審査を進める」とあります。これは患者にとっては非常に心強いことでありがたいことですが、肝疾患に対しての有用性を考える際には、肝疾患の特性を考える必要があると思います。例えば、肝がんはほかの臓器のがんとは異なる点があり、大腸や胃などは、肝臓以外のがんはきちんと治療できれば根治できるのですが、肝臓の場合は専門医の先生方のご努力によって早期発見できれば完全に治療できるようになってきていますが、1つのがんを完全に治療しても、ほかの部位から次々と発がんするという多中心性発がんという特徴があり、再発抑制が非常に重要であるという特性があります。
 インターフェロンの少量長期投与やまだ申請承認されていませんが、非環式レチノイドという内服薬が使えるようになれば再発抑制ができて、何よりも大切な命を守ることができて、ひいては将来的には次々と繰返し再発するがんの治療に係る莫大な費用を削減する効果もあります。医薬食品局には肝疾患の特性をよくご理解いただいて、何が肝炎医療に有用であるかを勘案された上で、優先審査をしていただければと思っています。

○林会長 それは私も同じことを思っていますが、ここまで文章上はっきり書いていただくのは、かなりの進歩だと私は思っています。今までなかなかこういう明確な文章を入れていただけなかったので、この文章自身も入れていただいたのはかなり進歩したと思っております。

○保坂委員 この文章を読みますと「他の医薬品に優先して」ということで、他の医薬品というのは、難病はたくさんあるわけです。これを見ると肝炎だけを特別に優先するように見てしまう方がいて、この案をある方にお見せしたら、これは問題ではないかということをおっしゃった方もいらっしゃるので、その辺に工夫して書いていただいたほうが、逆に反発されなくてよろしいのではないかと思います。

○林会長 おっしゃるとおりだと思います。私もこれはかなり微妙な文章だと。それはいろいろな意味で、先ほどもありましたが高齢化の問題等もあって、患者にとってはこういう思いは非常に強いと思います。ただ、一方、他の病気の人から見ればなぜだというご意見もごもっともなことで、私はこれを書いていただいたのは非常に進歩だと思っていますが、文章だけもう一度ご検討いただければと思います。

○保坂委員 今の案ですが、「他の医薬品に」というのを除いて、ただ「優先して承認審査を進める」とされれば抵抗がないのかと感じました。

○林会長 おっしゃるとおりだと思います。

○阿部委員 7頁の(2)のキ、いちばん下ですが、「肝炎情報センターは」という所で、ここは「拠点病院及び専門医療機関等のリスト並びに」ということで両方書いてあるようには見えるのですが、「拠点病院において対応可能な肝炎医療の内容に関して情報収集した後、肝炎情報センターのホームページに分かりやすく掲載する」ということで、専門医療機関は入ってないのですよね。だけど、ある県などでは、専門医療機関がどのような治療ができるかなど、そういう実績を載せている県があるのですが、その県は非常にインターフェロン治療率も高いです。ですから、患者の立場でいえば、専門医療機関もここに入れていただいて公表していただくのが非常にいいのではないかと私は思うのですが、どうなのでしょうか。

○林会長 溝上委員、いかがですか。

○溝上委員 肝炎・免疫研究センターに情報センターも併設していまして、正木センター長が任命され、一緒にやっています。その関係でお答えしますが、基本的にはこの事業は地方自治体が主体の事業で、我々はそれをサポートする形になっています。地方自治体の取組に大きな差があることは間違いありません。それを是正する、それを督促するまたは均てん化するということで我々は実は取り組んでいます。
 ただ、人が1人しかいませんので併任で付けて、今無理やりやっている状況です。現時点でそこまでできるかどうかは分かりませんが、とにかく来年度中にはこのシステムはまた完全に立ち上げる体制にしたいと思っています。その後に専門医療機関も入れるということは、考えています。現時点でやっていますのは、各県の拠点病院には「県内でどうなっていますか」というアンケート調査はやっています。現在、そこまでは来ています。専門医療機関の一つひとつをどこまでというのは現時点では非常に難しいというのが現実です。ただ、これは今までなかったことですから、今がん情報センターを参考にして、そのシステムを最大限にうまく利用して、急速に進めている段階です。

○林会長 ということで、この情報があるのは非常に有効なのですが、おそらく東京もそうだと思うし、大阪も非常に多くの医療機関があり、それを一切チェックせずそのまま掲載することが本当にいいのかどうかも、少し問題点もあると思っています。小さな県ですとわりと簡単に可能かもわかりませんが、実際に患者の多い大きな県ではかなりの専門医療機関がありますので、それをすべて網羅するのが少し厳しいかもわかりませんが、これもこれに載せる載せないにかかわらず、将来的にご検討いただけるのではないかと思っています。

○溝上委員 追加しますと、そういうご意見をどんどんこちらのほう若しくは各都道府県に言っていただくと、我々としても非常にやりやすいということです。したがいまして、患者団体が自分の県はどうなっているのか、ここはこうなっているのではないかということを言っていただいて、フィードバックするという形を取るほうは、もっと現実的ではないかと実は思っています。

○林会長 ほかはよろしいですか。ありませんようでしたら本日の意見交換はこれで終了しますが、今後これをどのように進めていくかについて、事務局からご説明をいただければと思います。

○伯野肝炎対策推進室長 本日いただきましたご意見、またこれまでいただきましたご意見を踏まえまして、次回は省としての指針案を提示させていただいて、改めてご意見を伺えればと思っています。なお、開催時期については、来年度予算等の状況も踏まえまして、12月か1月、それぐらいの時期に開催したいと考えています。

○林会長 委員の先生方から何かご質問はありますか。よろしいですか。これは修正した文章が一度出てくる、これは次回のときに出てくるということですね。
 次の議題の「その他」ですが、事務局から何かありますか。

○伯野肝炎対策推進室長 先ほど申し上げましたとおり、次回の開催ですが、今後、委員の皆さま方と調整させていただきまして、決定次第、後日、事務局より連絡します。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

○阿部委員 委員の方々に配布しましたが、私が属している日本肝臓病患者団体協議会で11月6日、7日に全国大会をやるのですが、そのときに肝疾患の医療講演会、あとは「肝炎対策基本法をいかすために」ということでパネルディスカッションをやることになっています。今回、肝炎・免疫研究センターの溝上先生にもいらしていただいて、パネリストとしてご参加いただく予定です。そういうことで私たち患者会の団体もそういう形で活動していますので、ご紹介までです。

○林会長 本会はこれで閉会とします。今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。ご多忙の中ご参加いただきまして、本当にどうもありがとうございました。


(了)
<(照会先)>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室
照会先 健康局疾病対策課肝炎対策推進室
西塔・渡邉

(電話)   03-5253-1111(内線2949・2948)

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