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2010年7月29日 第5回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会

○日時

平成22年7月29日(木)10:00~


○場所

経済産業省別館8階 825号会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 定刻になりましたので始めたいと思います。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。ただいまから、「第5回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会」を開催いたします。
 所用によりまして小野委員、唐沢委員がご欠席とのご連絡をいただいております。また、本日、1,3-プロパンスルトンのご検討をいただくために、化学プラントのセーフティアセスメントをご担当されておられます、専門家の東洋エンジニアリング株式会社の角田様にご参加いただいておりますのでご紹介申し上げます。
 また、本日は第5回ということで、当初の予定ですと、まとめ、最終回ということでございましたが、1,3-プロパンスルトンの検討で、もう少々ご検討いただいたほうがいいのではないかということで、次回8月中旬以降を予定しておりますので、それを踏まえご議論をいただければと思います。
 それでは議事進行につきまして、座長にお願いいたします。
○菅野座長 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 まず初めに事務局から配付資料の確認をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 お手元に配付されております資料の議事次第の裏面に、配付資料一覧がありますので、そちらをご覧ください。
 資料1-1、「健康障害防止措置の検討シート(酸化プロピレン)」のもの、資料1-2「健康障害防止措置の検討シート(1,4-ジクロロ-2-ブテン)」のもの、資料1-3「健康障害防止措置の検討シート(ジメチルヒドラジン)」のもの、この3点は前回からの修正版です。次に資料2-1「1,3-プロパンスルトンの製造・取扱いにおけるリスクの所在と対策(案)」、資料2-2「1,3-プロパンスルトンの製造・取扱いの概要」、資料2-3「健康障害防止措置の検討シート(1,3-プロパンスルトン)」のもの、となっています。次に資料3「指針予定8物質の指針(案)」、資料4「今後の予定」の一枚紙です。参考資料として、参考1「健康障害防止措置の検討手順」、参考2「詳細リスク評価書」、参考3「化学プラントにかかるセーフティー・アセスメントに関する指針」をお付けしております。
 机上配付で非公開資料として、「1,3-プロパンスルトンの取扱いに係るプロセスフロー・機器等について」をお配りしています。以上です。落丁等ありましたら事務局に申しつけください。
○菅野座長 皆さまお揃いでしょうか。それでは本日の議題に移ります。
 21年度リスク評価対象物質の健康障害防止措置の検討について、ご議論をいただきたいと思います。事務局から前回行われたシートの変更点についてご説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1-1の「酸化プロピレン」の検討シートをご覧ください。変更点のみご説明いたします。基本的に二重線のアンダーラインで変更を加えております。酸化プロピレンは非常に蒸気圧が低いということで、保護具の選定についてのご議論が大きかったということで、いちばん最後の頁に、措置の導入方針ですが、「保護具の選定に当たっては」というところです。酸化プロピレンは非常に蒸気圧が高いので、単に有機ガス用防毒マスクというだけではなくて、やはり破過時間が極めて短くなるおそれがあるということで、防毒マスクの吸収缶は使い捨てとするか、また、あるいは破過曲線を用いて、ばく露濃度に応じたしっかりした使用時間の管理が必要であるので、それを前提として使用するということが必要である。そういった旨を書き加えさせていただいております。酸化プロピレンについての変更点は以上です。
○菅野座長 酸化プロピレンについて、ご意見ございますか。それではご了承いただいたと考えてよろしいですか。
               (意義なし)
○菅野座長 ではそのようにさせていただきます。次をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 次に資料1-2「1,4-ジクロロ-2-ブテン」につきまして、取り扱っている事業場が非常に少なく、サンプリング作業が問題となったわけですが、そのサンプリング作業のみならず、ストレーナーの清掃の作業、蒸溜塔ボトムポンプの整備時のライン掃除というのが特殊な作業、あるいはリスクが低いのではないかという作業として掲げました。
 6頁の(3)留意事項として、リスクが低いとされた作業にかかる規制の考慮というところの、前回このライン掃除について頻度が年2回ということで自主的な管理でよいのではないかというような資料を出させていただきました。それを基にご議論をいただきましたところ、ラインの掃除とストレーナーの掃除の両方とも補修点検の作業ですけれども、こういうような作業については頻度が低いということだけでは判断できないのではないか。その作業時間と濃度の積からそのばく露というものが考えられるので、時間なりといったものも考慮の必要があるのではないかというご意見がありました。
 またもう一方、ストレーナーやラインの清掃というものはかなりばく露が高い作業ということが予想される、ということなので、それなりの規制があり得るだろうということのご意見の一方で、ただそういった作業のニーズがあるからと言って、すべてを規制対象とするのは最近のやり方ではない、馴染まないのではないだろうかというご意見が出されました。事務局としましては、追加情報を収集し、ラインの清掃について、上の段のリスク評価結果の概要の、頻度が低い(年2回程度)ということに加え、1回の作業時間が30分程度であること。それと保護眼鏡防毒マスク、ゴム手袋、長靴を着用しての作業。それからこれは屋外の作業です。そういったことの情報収集をしております。
 ストレーナーの清掃については、カラム自体新たに付け加えましたが、1回当たり4、5時間の作業で月に1回程度作業があるということです。そういったことを基にして、サンプリングの作業に比べ作業時間が長いこと、一般的にストレーナーの清掃であるとか、ボトムポンプを解放して清掃するというような作業についてはばく露リスクが高いと推測されるため、この1,4-ジクロロ-2-ブタンの2次評価値が非常に低く、有害性が高いということに鑑み、この点検、洗浄作業については規制対象に加えることが適当ではないかということで事務局案として出させていただいております。この点についてご議論をいただければと思います。
 7頁の?B便益と費用の関係の分析結果の選択肢2のところが少しわかりにくいというご意見がありましたので、全般的な対策が必要なのかどうかというところについて、わかりやすくなるように表現を変えています。
 最後に8頁の保護具の選定についてご議論がありましたので、屋外のサンプリング作業であってもこの有害性に鑑みて送気マスクということを法的にもきちんと義務づけるべきではないか、というご議論がありました。また一方で、必要に応じてリスク評価を行った上で、適正な保護具を選定することもあり得るのではないかということもありましたので、一応、このような形で事務局として書かせていただいております。「呼吸用保護具の選定に関しては、ばく露限界値が極めて低いことを考慮し、送気マスクを推奨とし、やむを得ず防毒マスクを使用する場合にあっては、個人ばく露測定等によりリスク評価を行った上で、全面形マスクなど適正な保護具を選定することが必要である」とさせていただいています。以上2点ほど、ストレーナー清掃の部分と保護具の部分を事務局案として示しておりますので、ご議論をお願いできればと思います。
○菅野座長 ただいまの修正に対して、ご意見がありましたらお願いします。田中先生、送気マスクは空気を送るところに活性炭が付いているのですか。
○田中委員 通常は付いてないです。粉塵等粒子状を除去する、きれいな空気を圧縮して、それで送り込むということになります。きれいな空気という前提にまずありますので。
○菅野座長 前回の小野委員のコメントでは、ストレーナーの洗浄は対象に加えるべきだということだったと思いますが、この変更でよろしいでしょうか。
○田中委員 いいと思います。最後に保護具のところを説明いただいて、「やむを得ず防毒マスクを使用する場合にあっては」という文章の中の防毒マスクの後に括弧して、例えば「有機ガス用の吸収缶が付いた」と入れたほうが現場で間違えないのではないかと思います。
○菅野座長 この修正はそのまま取り入れてよろしいですね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。
○菅野座長 それではそのようにお願いいたします。続きまして「ジメチルヒドラジン」についてお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 「ジメチルヒドラジン」について、資料1-3の4頁の上の、ドラム缶作業の密閉化のところに少しご議論がありました。ドラム缶にノズルを抜き差しする際にその間のところから対象物が漏れてばく露するということで、その直結式、ドラム缶に直結して、そこから空気が漏れないような形のものは可能なのかどうかということで、取扱いの事業者のほうに聞いたところ、秤量が困難であるというご意見があり、その点について前回ご議論をいただいたときに、秤量に不都合と言ってもドラム缶から浮かした形で局排を付ければ対応可能ではないのかというご議論を踏まえて変更しております。
 ジメチルヒドラジンについては、前回8頁の所に、呼吸用保護具の関係で追加をさせていただいています。措置の導入方法の所の「呼吸用保護具の選定に当たっては」以下のところですが、有機ガス用の防毒マスク、あるいはアンモニア用の防毒マスクが、事業者のほうでまちまちに使われておりましたので、何がよいのかというご議論をいただき、アンモニア用の吸収缶が望ましいのではないか。一方で、有害性を考慮すると、送気マスク(エアーラインマスク)が推奨されるというご議論もありましたので、それを踏まえて、基本的には臭気の閾値が高いということのご指摘もありましたので、送気マスク(エアラインマスク)推奨とし、やむを得ず防毒マスクを使用する際は、アンモニア用吸収缶としてその際のばく露予測モデル等を活用し、ばく露濃度を把握した上で使うことが望ましい、ということを追記しております。以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。この物質について、いかがでしょうか。
○名古屋委員 4頁のところに追加しました「開口部から浮かした位置」と書いてありますが、多分浮かしただとわからないと思うのです。要するに浮かすと逆に、浮かした部分と開口面の間から漏れが生じますので、そうではなくて、開口部の上部に開口部より大きな局所排気装置を付けたほうがいいよということです。大きいものをかぶせるという形の局排の設定ですので、この表現だと誤解されるかと思います。
○寺島化学物質情報管理官 はい。開口部を覆うような形でと適宜修正させていただきます。
 このジメチルヒドラジンについて説明の追加があります。実は通常ヒドラジンのNは2つあり、そのヒドラジンの窒素のところに2つのメチル基がついているわけですが、メチル基が両方同じほうのNについたものと、別々なNについたものと異性体が2つありまして、通常ジメチルヒドラジンと言ったときには、非対称型つまり同じNのほうに両方のジメチルがついた形のものを指すということです。有害性評価書においてもN-,-N-ジメチルヒドラジン、あるいは別名として1,1-ジメチルヒドラジンのものを有害性評価の対象としております。
 また、ばく露の実態でもメーカーに問い合わせましたところ、非対称のジメチルヒドラジンのドラム缶への充填といった製造作業があると。それをばく露調査で計っているということでしたので、N-,-N-ジメチルヒドラジン、または1,1-ジメチルヒドラジンということで、異性体の片方に特定した形で規制を考えたいと思っておりますので、追加させていただきます。
○菅野座長 そのCas?bヘこれでよろしいですね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。ジメチルヒドラジンとした場合はCas?bヘ正確には2つ付いてくるということで、片方の異性体の非対称型のほうだけ対象としたということです。
○菅野座長 1点、8頁の「吸収缶は1回(又は1日)使い捨てが望ましい」はいいのですが、「又は1日」は入れないほうがよろしいのではないかと思うのですが。破過時間が認識されていないというところで、「又は1日」というと、ちょっと。削除したほうがよろしいと思うのですが、いかがでしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 削除します。
○菅野座長 ほかにご意見はありますか。よろしいですか。
○岡部委員 ただ1回使い捨てにすると、多分、6頁の「分析のためのサンプリング」とあり、作業の概要が「シフト内接触時間1分、作業頻度1回/3日」ですから、3日に1回ということですかね、毎日というわけではないわけですね。毎日だと365回という話で、ちょっとつらいという気もしたのですが。
○菅野座長 ただ、これは望ましいということで。私が申し上げたのは、1日は長い可能性があるということです。
○岡部委員 1日は確かにおっしゃるとおりです。作業によっては、1回というのはいいと思います。 
○菅野座長 これは望ましいということでご了解をいただいてよろしいですか。
                 (意義なし)
○菅野座長 それではこの物質についてもこれで了承されたことといたします。
 次は今日が初めてですが、「1,3-プロパンスルトン」について事務局からご説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料2-1「1,3-プロパンスルトンの製造・取扱いにおけるリスクの所在と対策(案)」をご覧ください。1,3-プロパンスルトンにつきましては、資料2-3の表紙のところを同時にご覧いただければと思います。そのものが固体ということで、沸点が112℃、融点が31℃と、常温では概ね固体で、少し温めると溶けるという物質です。2次評価値が検討シートのほうの(2)に書いてありますが、0.005?r/m3ということで2次評価値が非常に低い値となっています。これは0.005と言いましても、測定分析法での定量下限値を参考に設定しているもので、しかも実際の測定でもその値しか出てきていないというのが実際です。そのように吸入ばく露の測定が非常に難しいということと、実際2次評価値がそこに設定されているというような物質です。
 そのため、資料2-1の吸入リスクについては、通常作業では蒸気圧が低い、定量下限値以下の値しかばく露の実態の測定は出てこなかったということもあって、リスクが低いということで事務局として記載していますが、これは座長のほうからご指摘もあり、蒸気圧に鑑みて、リスクが必ずしも低いとは言えないのではないかということで、またご議論をいただければと思います。
 それから吸入リスクの火災時等のリスクで、対象物質が加熱される場合、これは火災のリスクそのものが非常に低いということで、リスクの程度としては極低いとさせていただいています。加熱して沸点を超える値になると分解してくるということですので、蒸気になるのではなくて、分解してくるということも併せてお示ししたいと思います。そのような吸入リスクに対する措置のオプションとして、通常の作業については、呼吸用保護具の使用があり得るのではないか。火災時の対象については手順書への記載があり得るのではないかということ。経口リスクについては、通常化学物質の取り扱いについて、労働現場ではリスクは概ね低いと考えられるということです。
 1,3-プロパンスルトンの主要な毒性が経皮ばく露にあるということで、検討シートの(2)主な毒性の発がん性のところをご覧いただければと思います。ラットに単回皮膚投与した試験において、局所の肉腫が高率で発生するなど発がん性を示したということで、この接触を避けるためのリスクというもの、これについて検討をしたところ、資料2-1のほうにありますように、少量漏洩、対象物質の作業において、少量、例えば小分けにしたり、接続部のところから漏れたりとか、そういうような日常の作業でのばく露リスクというものが、低~中程度ということを書いておりますが、これも飛沫の発生の程度、あるいはどのような施設で取り扱っているのかというようなところにより、そのリスクの程度が変わってくるのかと思っておりますので、その辺をご議論いただければと思います。
 設備の不具合の場合のリスクの程度ですが、これはどういったことかと言いますと、少量の漏洩物質又は汚損器具への接触ということで、少し設備の不具合により、例えば接続部から漏れたり、器具が壊れてそこから漏れたりとか、そういうものが考えられるのではないかということです。それについてもリスクの程度が低~中程度と。これも頻度による、あるいは設備によるということですので、ご意見いただければと思います。
 他作業の事故、あるいは災害時として下に記載していますが、こういったものは通常作業ではなくて、事故時の何か非定常作業、事故が起きてしまったときのばく露リスクについて記載した部分ですので、ここは一般的には低い、非常に低いのではないかということです。とは言いましても、取扱い量とか、設備により必ずしも極めて低いとは言えない場合もあるかと思いますので、その辺もご意見をいただければと思います。
 資料2-2、設備に関してのリスクアセスメントが必要であるという前提のもとに、製造・取扱い作業をしています事業場5社に対し、主に設備、作業手順についての質問をしまして、アンケート調査をしています。簡単にまとめたものが資料2-2になります。A社とBは規模は比較的小さくて、研究所レベルのような所もありますが、対象物を外国から輸入し、それを精製しているという所です。C、D、E社について、その精製したプロパンスルトンを仕入れて、それをほかのものと混ぜて製品にして売っているというところで大手も含まれています。そういった前提のもとに工場の配置、設備についてアンケートしています。
 工場内の配置は化学プラントのセーフティアセスメントの指針の関連項目についてアンケートしておりますが、貯蔵タンクの保管場所、プラントについては屋内にあると。いずれも屋内にあるということでした。この辺りは発火源、ヒーター等からの距離については、B社に蒸溜器の加熱器が近くにあるということです。蒸溜するときに少し温めれば溶けるということですが、沸点を超えてしまうと分解するということですので、少しずつ温めているのだと思われますけれども、その温め器が近くにあるので発火源となり得るだろうということで記載しています。その他については発火源は近くにないということでした。
 建造物については、化学工場の基本的な構造を満たしているということで、鉄筋であったり、不浸透性の床についてはみんな満たしているということです。消防設備についても同様です。一部ヒアリングが間に合ってないところがありますけれども、大方そのような一般的な化学工場の設備は整っています。
 ?Cの作業規定については、すべて作業標準があるということなのですが、有害性にかかる労働者向けの表示について、標章、例えばドクロマーク、炎マークとかそういうようなマークがありますか、と聞いたところ、いずれもなしということです。?Dプロセスということで、これは漏洩防止に係る規定の整備状況ですが、規定中に定めています、というところが多かったです。保護具は重要かと思うのですが、保護手袋については、いずれの事業場でもきちんと使っているということですが、保護眼鏡はしているけど、防毒マスクはしていない。あるいはE社では、全面形防毒マスクを使っている。これはばく露を予想してのものではなく、飛沫が顔のところとか目に入らないように全面形の防毒マスクを使っているという事業場もあったり、ちょっとまちまちかということはありますが、ある程度の対策は取られているということです。
 貯蔵の設備は、A社とB社の蒸溜をしているところについては特になしでしたが、製品を作っているユーザーのほうでは密閉容器を使っているということです。タンク、配管の耐腐食性については、すべての事業場で、素材は硝子を使っていたりするところもありますが、大方ステンレスとか、一部はハステロイ製の配管を使っていたりということで、耐腐食性のものが使われているということを確認しています。
 ?Eの廃棄物の処理の関係では、機器洗浄をしたあとの廃液、拭き取ったウエスとかそういったものをどのように処理しているかということですが、各社バラバラではありますが、一応、中和をしたりとか、そのまま焼却処理をしているということです。シャワー、洗顔設備については、一般的な化学工場であればきちんとあるということです。
 ?Fプロセス機器については、自動制御とかを想定した項目ですので、B社のところにはヒーターの制御に使っているということでしたが、その他については特になしということです。いちばん下の、緊急時の防災、火災が発生したときの社内の体制整備は、A、B社が中小ということもあり未整備で、C、D、Eのユーザーについては整備が行われているということでした。製造しているメーカーのほうの中小のところは若干小規模のためということもあって、設備面で不足しているところはある感じがしますけれども、一応、化学工場の水準を満たしているのかなということです。その辺もご議論いただければと思います。
 健康障害防止措置の検討シートのほうですが、そうした状況を踏まえ、前回お出ししたのが6月23日で、その後書き加えた部分をアンダーラインで示しております。2頁の上の関係団体として調べた範囲では、特定の関係団体というのは、対象物に特定のものはなしで、日化協のみ記載しています。
 (4)の特殊な作業ですが、これも現時点では把握しておりません。(5)のところに吸入ばく露はリスクが低いため、経皮ばく露に特化した対策が必要ではないかということで、その対象物に触れないための対策というものが必要ということで記載しています。
 4頁の規制化の必要性(事務案)は、措置内容のところの横に自主的改善の進捗状況とあります。ほかの物質では、ここのところは細かくアンケートしていたりするのですが、ここは見合わないところもありまして、設備の密閉化について大まかに密閉化しているところもあり、そうでないところもあるということで、一部、措置未了。保護具については、不浸透性の手袋と眼鏡等については概ね措置済みということで概略記載しております。また、作業環境測定については、吸入ばく露のリスクが低いのではないかということで、ここでは措置不要という形で書いていますが、先ほどのご議論も踏まえ、変更が必要でしたらばご議論をいただければと思います。
 次に対策オプションの1、2、3とありますが、1が全部特化則に規制するという形で、全部のセットで措置を導入する方法。オプション2は、経皮ばく露に特化した、密閉化とか漏洩防止のほうに特化し、作業環境測定を含まないという形のものとしています。オプション3として、行政指導。それを比較したものが下の表になりますが、基本的に行政指導ではちょっと行き届かないのではないか。オプション1、2については下の表では差がないという記載をしています。最適な対策として、一般的な措置内容はすべて必要。ここで考慮すべき事項として書いていますが、現在の特化則のほうに特定化学設備についての規定がいくつかあり、漏洩防止、作業標準といったものが規定されていますので、そのようなものがあればよいのではないかということで事務局としてそのようなことを考慮すべきではないかと記載をしています。
 特殊検診の実施のところに「要」と書いてしまったのですが、これは別途検討ということになっているので、削除いただければと思います。
 次の頁の留意事項として、?Aに接触によるばく露防止、漏洩防止のための設定セーフティアセスメントが必要。前回ご議論いただきました機器の表面が汚染されているかどうかを調べるSurface Analysisの手法についても今後検討が望まれるのではないか。適正な保護具を選定をするためのマニュアルが必要ではないか。というようなご議論がありましたのでこの3点を記載しています。
 そういったことを踏まえ、規制の影響分析ということで選択肢1として、最適な対策として、接触による経皮ばく露を防止するための対策。選択肢2は原則全部セット。選択肢3は行政指導。ということで便益効果と、事業主、行政のほうの負担を考慮し、分析結果は7頁の?Bで、選択肢1は健康障害のリスクが非常に高い。労働者を健康障害のリスクにさらすことになるため、規制を課すことによって事業主の費用負担増を考慮しても規制は必要であるということの判断をしております。選択肢2は、事業主に過剰な費用負担とならないように、その必要性を検討する必要がある。選択肢3は、実行性がなかなか保てないのではないか。という分析結果を記載しています。
 8頁です。措置の導入方針として、原則として、特化則による作業主任者の選任、設備の密閉化、特定化学設備の届出、というような広い措置を導入する。吸入ばく露のおそれが低いことから、作業環境測定は規制対象外とすることが適当、ということです。以上です。
○菅野座長 続けてご説明をいただくほうがいいですか。
○島田化学物質評価室長 ご質問の中、あるいはアドバイスの中でお願いできればと思います。
○菅野座長 いまのご説明につきまして、ご意見等お願いします。
○保利委員 A社、B社は精製、C社、D社、E社は製造あるいは調整ということですが、精製は蒸留されるわけですね、熱をかけるのですね。
○島田化学物質評価室長 B社のほうが蒸留という形で精製をしていただいていまして、A社は、いわゆるその中に入っている夾雑物を除くための吸収剤みたいなものを通して、それで精製しているということです。
○保利委員 A社では熱はかけないということですか。
○島田化学物質評価室長 熱はかけていないようです。
○保利委員 融点が31℃ということですので、ちょっと熱をかけると液体ですね。固体と液体のちょうど境目付近だと思うのですけれども、蒸気圧が0.0013kPaというのは、これは固体の場合20℃の固体ときの蒸気圧ということでよろしいでしょうか。そうであれば、液体になると蒸気圧は変わるのではないかと思うのですが。沸点が112℃というのは、トルエン並みの沸点だと思うのですよ。ということは、液体になると、結構蒸気圧が上がるのではないかという気がするのですが。固体であれば、吸入もある程度は少ないというのでよろしいのかと思うのですけれども、液体で出ることがあれば、リスクがあるように思うのですが。
○菅野座長 1つだけ検討シートですけれども、定量下限値が0.005?r/m3なのでしょうか。
○島田化学物質評価室長 採気時間にもよるのですけれども、この測定ではそうです。
○菅野座長 私も保利先生と同じように、蒸気圧が望ましい濃度に比べて高過ぎるので、危ないかと思ったのですけれども、それですと今回、実施した測定では0.005以下になっているということですか。
○島田化学物質評価室長 はい、すべて以下ということで、ほとんどNDになっています。
○菅野座長 そういうことですと。
○保利委員 液体にならない状態なのだろうと思うのですけれども。液体になることがなければ濃度はそれほどあがらないと思います。
○菅野座長 たぶん、実際には液体か溶液で使われていると思います。
○寺島化学物質情報管理官 液体です。A社も少し液体の状態にして、それを吸収剤にですか。
○保利委員 そうですね。吸着か吸収することによって分離精製する方法だと思います。
○島田化学物質評価室長 そうですね。すべての会社、全部、一応固体のままではなくて液体のままにしまして、ある社は融点より高い温度に一旦温めて使う。ほかの社は、一旦温めたものを溶剤に溶かして固体に戻らないような形にして使用しているという形です。
○保利委員 高濃度になっていないということであればよろしいのですけれど、なんとなく高くなりそうな気が、場合によってはあるのではないかという気がするのですけれども。
○岡部委員 1次評価値の閾値のない発がん性というのは、発がん性がどのような発がん性、皮膚がんなのか呼吸器がんなのか、その辺のデータはありますか。
○島田化学物質評価室長 参考につけさせていただいています評価書をご覧いただければと思うのですが、参考2です。この中の閾値が5頁、有害性の情報については3頁から4頁に書かれています。特に有害性につきましては、いわゆる一回のみの投与でがんが確認されているというのが、この物質の非常に問題のあるところです。
○菅野座長 ご説明をお願いしたほうがよろしいですか。角田さまから、化学物質の生産過程における安全性評価につきまして、非公開資料に基づいてご説明いただきます。
○寺島化学物質情報管理官 基本的には、いま、こちらでご説明させていただいた取扱いの概要について問題となる点とか、その辺のご意見をいただければと思います。
○角田氏(東洋エンジアリング?梶j どういうふうに話せばいいのでしょうか。
○島田化学物質評価室長 まず、私どもの資料2-1に示させていただいたものにつきましては、リスクの所在ということで、どちらかというと、我々、事務局、手さぐりで作らさせていただいた状況ですけれども、たぶん、これは化学プラント内での作業によって起きる問題ということに起因するのではないのかと思うのですが、私どもが書いたリスクの部分の所在及びリスクの程度と書かれているものについて、多少、我々がフリーハンドで書いたようなものでして、この辺りで適正かどうかをまず見ていただいてご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○角田氏 そういうことですか。化学プラントのセーフティアセスメント、一般論を踏まえてお話したいと思います。この非公開資料は、参考に使っていいのでしょうか。実は、事務局のほうで資料2-1で対策案としてリスクの程度を一律に書かれているのですけれども、これは設備ごとにどういう施設の中でどういう操作、運転をされているのかということと、そこに対してどういう対策が取られているかということの結果として出てくるものであって、事業所ごとに必然的に変わってくるものだと思いますので、可能性の幅としてはいいと思うのですけれども、規制側のほうで、こういうふうにして一律に決めてしまうのか、あるいは事業所に判定をさせるのかというところは条件をつけていただいたほうがいいのかと思います。
 決められたものとして示してしまうと、事業所は、リスクは低いなら低いと決め込んでしまうと思いますので、実際の運転上、操作の仕方によってはひょっとしたら低いと判定されていても、特定の事業所においては高いことがないとは言えないと思いますので、条件づけといいましょうか、どういう仮定の上で評価されているかというのは明記しておいたほうがいいと思います。
 いま申し上げましたように、事業所ごとで、この非公開資料をはじめて見せていただきまして、委員会が始まる前30分かけて見させていただいたのですけれども、いま説明いただいたようにA社、B社の製造のほうは、研究所レベルということで、プラントのイメージからはだいぶ遠いのですけれども、正直言いまして、B社のガラスのフラスコで製造しているというのを見まして、まったく実験室レベルのところでやられているということで、まったくの手作業のところでいきますとすべてのリスク対策を個人の技量によっている。まったく管理だけでやられているということで、本当にこのままでいいのか。例えば、ガラス性であれば地震があったら転倒して、破損しますし、それは完璧で密閉されたグローブボックスの中で扱われていればまだいいですけれども、その辺は、またわからなかったのですけれども、そういうことも考えると製造の段階を考えても、基本的には金属容器で処理されたほうがいいのかと思います。
 A社は、一応、若干サンプリング等で、運転員の方がばく露される危険性があるのですけれども、基本的には閉鎖形の中ですので、ばく露のリスクは、一定程度は押さえられる。ばく露のチャンスの部分だけ、その危険性を同定して対策が取られていればいいと思います。
 ただ、評価そのものでいきますとA社ともB社とも、いずれも手作業ですので、基本的にやはり例えばハゾップのような手法を用いて、手順、ハゾップという恰好になろうと思うのですが、リスク評価をやられたほうがいいのかなと。そうしないと、個別の作業工程の中で、どういうリスクが存在するかというのが、整理がうまくいかないと思いますので、いろいろな運転のモード、操作ミスの種類を踏まえてリスクアセスメントをやっていただいたほうがいいかと思います。
 今回の資料2-2の準備に当たって、化学プラントにかかるセーフティアセスメント指針を参照していただいているのですけれども、おそらく第二段階で行う部分の準用かと思います。
 私が申し上げましたハゾップは、第4段階で出てくる安全性評価ということになります。アセスメントの方法論でいくと、第3段階で計量評価を行って、リスクのランキングが高いものにハゾップを適用するというのがありますけれども、手作業では手順で行っている作業ですので、ランキング云々は置いておいてもハゾップでやったほうが整理がいちばんつきやすいと思います。作業される方だけではなくて、フラスコだと保全があるかどうかわかりませんけれども、A社のほうであれば保全関係もやられる方もリスクがどこにあるかが整理しやすいかと思います。
 ユーザーは、化学工場ということで設備としては一般的にはプラントのようなイメージであったのですけれども、部分的に物の移動があるようで、その移動の経過がよくわかりません。マスターバッチを作ったあとに投入があるのですけれども、例えば投入の仕方がちょっとわかりにくいので、このときにばく露する危険があるのかどうかというのがいま見ただけではちょっとわかりにくかったです。個別の話まで追い込んでしまって申し訳ないのですけれども、方法論としては単純に言うとリスクアセスメントをやったほうがいいでしょうということです。
○菅野座長 ありがとうございました。
○保利委員 もう一つ、資料2-3には1,3-プロパンスルトンの沸点は112℃と書いてありますが、非公開資料の37頁の2番目の化学的性質の2番目にある沸点が295℃になっていますね。295℃であれば揮発性はそんなにないと言っていいと思うのですけれども、これはどちらが正しいのか。参考2の詳細リスク評価書も112℃と書いてあって、資料2-3と同じなのですけれども、非公開資料は295℃と書いてあるので、確認をお願いします。
○島田化学物質評価室長 そこは、確認した上でご報告をいたします。
○保利委員 もし、295℃であれば確かに言われるように吸入の毒性はほとんどないかと思うのですけれども。
○菅野座長 ご確認していただいて。
○島田化学物質評価室長 そうですね。
○菅野座長 それから、いまご説明いただいたものをもう少し詳細なリスク評価をしないと、どこを規制対象にするかわからないというご意見だと思うのですが、ここで行うのは非常におおざっぱな判定だと思っていたのですけれども、もう少しデータを集めないといけないということでしょうか。
○角田氏 それで、この検討会で行われているのが規制側からの規制の部分というのは、おありかと思うのですけれども、いま私が申し上げたリスクアセスメントそのものが事業者ではないと評価できない部分だと思うのです。それがある意味で、事業所に自主的にやってもらうしかほかにやりようがないかと思うのですけれども。ただ、おそらく慣れていないと思うので、多少のガイドライン的なものを示してあげないとたぶん何もできないような気もします。そういう意味で事業所にやってもらうためのガイドラインなのか、ご提案なのかというものがあったほうがいいと思いますけれども。方法論の一般論だけではおそらくできないと思います。
○島田化学物質評価室長 先ほど、私どもの寺島からご説明を差し上げたように、新しい施設の整備、あるいは増改築みたいなものがあった場合に、それが適正になされているかどうか、その計画を届け出るような作業があります。そういうことをこういうものに応用していくやり方もあると思うのです。現在使われているものについて、そういう評価を踏まえて、適正になっていることを証明していただくやり方もありますので、そこは改めて検討させていただく必要があるかと思います。
 それから今おっしゃっているハゾップというのを、この場でご存じの方はなかなかおられないような状況ですが、例えば参考3という資料に、「化学プラントにかかるセーフティ・アセスメントについて」という、過去にそれに対応するような評価の手法を通知で出しております。しかし、これも一般論として書かれているものですので、これを合わせて今のリスク評価をすることができるかというと、角田さん、なかなか難しいですかね。
○角田氏 難しいと思います。
○島田化学物質評価室長 すると事業場が自主的にという意味は、事業場がそれ専門の、特にエンジニアリング関係のお仕事をされている所に相談をして、というのが基本でしょうか。
○角田氏 そこまで行かなくてもいいと思うのです。基本的に手順はわかっていますので、手順に沿って分担をして、どこにどういう作業があるか、そこにはどういう失敗が存在するか、それによってばく露する危険があるかどうかです。そのばく露の形態に対応する対策の妥当性を検証していくという格好なのです。先ほどガイドラインと申し上げましたけれども、簡単なテンプレートと例題みたいなものを示したら、現場の方は大体使えるようになるのではないかと思います。あまり難しいハゾップの一般論的な方法論を説明しても、たぶん出来ないと思います。それはかえって難しくなりますので、いま言った程度のところで噛み砕いたものにするぐらいかなと思います。その程度であれば、そんなに時間も手間もかけないでできます。仮にそれをやるとしても、この場合はやる所は非常に限定的ですよね。
○島田化学物質評価室長 そうしますと、そういうガイドライン、あるいは技術的なサポートをする指針のようなものを、我々がご相談をして作って、それを基に各事業場でハゾップ的な評価をしていただくと。それを踏まえて適正な施設であるかどうかを確認した上で、規制を満足しているかどうかを判断するというやり方ということでしょうか。
○角田氏 そうですね。規制という観点からいきますと、規制を満足しているという条件にするというか、そこのところは分からないのですけれども、参考資料としては十分使えると思います。
○保利委員 基本的には物質というよりも、その作業内容によって対策が変わってくるということですよね。
○角田氏 はい、そうですね。
○保利委員 ですから先ほどから言うように、物質だけでご議論されても、現場としてはまごつくというか、困るところだと思います。ですから参考のように、ある程度補足したようなガイドラインであればわかりやすいということです。
○棗田(中災防) もともとハゾップというのは、たぶん十分ご存じだと思うのですが、プロセスラインに特化した形で発展している考えなので、ここで言っている手で入れるとか、ドラム缶を入れるということには、必ずしも向いていないのではないかと思います。
○角田氏 いや、そういうことはありません。手順で行われる作業については、手順ハゾップという応用が効きます。ハゾップの方法論は非常に緩やかなルールで、応用性が非常に高いのです。ですからバッチプラントのバッチプロセスにハゾップを適用すると。同じようにバッチというのは手順ですから、手順にハゾップを適用するというのは、一般的に慣れたハゾップのリーダーであればできます。慣れたというように申し上げたので、ハゾップの一般論だけでは駄目です。逆に言うと手順あるいは、そういうものに特化したものに落とし込んであげれば、そういうテンプレートを用意してあげれば、それだけでやっている人は、むしろそのほうが分かりやすい可能性はあると思います。
○島田化学物質評価室長 実は、事前に教えていただいたのですが、中災防でお出しになっているもので、ワークシートという形で載っております。もし、よろしければ次回にでもその辺りで、私どもも資料を工夫して、また角田さんからもご説明なりご助言をいただくという形で進めていったらよろしいかと思うのです。いかがでしょうか。
○菅野座長 私もいまご説明いただいたアセスメントの資料は全然知りませんので、勉強しないといけないと思います。プロパンスルトンについては、資料2-2にある5社だけが扱っていると、現時点では考えてよろしいのですね。
○島田化学物質評価室長 いま調べているものだとそうですが、場合によってはユーザー企業として輸入品をお使いになっている企業が、もしかしたらほかにもあるかもしれないということです。
○菅野座長 各社の年間の取扱い量とか、そういうことは分かるのでしょうか。
○島田化学物質評価室長 データの取扱いですか。
○菅野座長 年間何トンぐらいお使いかというのは分かりますか。あまり多くなかったような気がしたのです。
○島田化学物質評価室長 そんなに多くはないのですが、例えば1回当たり200Lぐらいのものを、月に数回やっているというお話を聞いた企業がありますので、少なくとも数トンレベルには達していると思います。
○長山室長補佐 参考2の詳細リスク評価書の中の1頁の1の(3)というのがあります。ちょっと古いデータですけれども、平成11年で1~10tというオーダーのバンドに入っています。
○菅野座長 ただ10tくらいですと、たぶん毎日この作業をやっている所はないのではないかと思います。
○長山室長補佐 おっしゃるとおりです。
○菅野座長 プロパンスルトンについては調査する項目がいくつか出ましたけれども、ほかに必要なデータと思われるものは何かないでしょうか。
○棗田(中災防) あと、Surface Analysisですけれども、普通は「スワブサンプリング」と言うほうが一般的な気がするのです。すでに製薬業界などではやられていて、コンタミを見たりということでやられているのです。この用語を「Surface Analysis」でいくのか、それとも「ふき取り検査」とか、もう少しわかりやすい言葉にするのか、少し考えていただいたほうがよろしいかと思います。
○寺島化学物質情報管理官 「スワブサンプリング」のほうがいいかもしれないですね。「Surface Analysis」と言うと、金属表面の分析というような感じがします。
○菅野座長 この文章でしたら、「Surface Analysisの」という所を削除しても、意味は通じるかと思います。
○棗田(中災防) そうですね。
○島田化学物質評価室長 前々回の小野先生からの助言で、「Surface Analysis」という言葉が出ておりました。NIOSHなり何なりでそういうものがありますということだったので入れたわけです。
○菅野座長 手法自体はもう確定したものがあると思うのですけれども、この毒性レベルの測定ができるかどうかというのが分からないところだと思います。
○島田化学物質評価室長 各事業場はほとんど毎日、始業点検のときに排管の所に滲み出しがあるかどうかを目視しているという状況です。しかしそれ以上のこと、例えば拭取りをしてその中に薬剤が漏れているかどうか、コンタミしているかどうかというのはやっていないということです。
○岡部委員 先ほど資料2-3の6頁の(3)の「留意事項」の?Aで、「Surface Analysis」の話がありましたけれども、最初の行の「接触によるばく露防止、漏えい防止のためのセーフティアセスメントが必要」という表現がありますね。セーフティアセスメントというと、いわゆるプロセスセーフティ、プロセスのハゾップを代表するようなセーフティになるのですが、ここでは多分、リスクアセスメントの意味で言われているのではないかと思うのです。この語句であれば「セーフティアセスメント」よりも「リスクアセスメント」のほうが、この検討会にもふさわしいのかなと思うので、ここの語句は「リスクアセスメント」という言葉に変えたほうがいいのではないかと思います。
○菅野座長 この物質の場合、空気中の濃度はかなりのレベルまで低く抑えられているということになっていると思うのです。大前先生、この物質の場合は皮膚からなので、経皮ばく露でばく露量がどのくらいという見積りはできるのでしょうか。
○大前委員 参考資料2の詳細リスク評価書を見ていただければ分かりますように、動物実験等をやっているのですけれども、単純に塗った量が書いてあるだけなので、実際的には分からないですね。
○菅野座長 ヒトの場合はその何分の1まで大丈夫ということは分からないのですか。
○大前委員 いや、全然分からないです。
○田中委員 その5頁に、「ACGIHのTLVが出来るだけ低く」という記載があるのですが、これはどういうように。
○大前委員 たしかこれを作った委員会のときに、ACGIHの和訳なども出てきたと思います。この4頁の2つ目のパラグラフに「なお、ヒトによる発がんに関する調査として以下の報告がある」ということで、5行ぐらい書いてあります。こういうものを見て。先ほどの動物実験ですと、1回ばく露でもなると。結構特異的な、あまりないようながんが出てきているので、非常に発がん性が強いだろうということで、ACGIHをできるだけ低くしなさいという意味合いで書いておりました。とは言っても、この情報には濃度は書いていないし、皮膚接触があったかどうかも書いていないので、その辺は一切わからないという状態です。
○菅野座長 この1次評価値は、皮膚がんで算出されているわけですね。
○大前委員 1次評価値の根拠は。
○寺島化学物質情報管理官 ユニットリスクの算出については、経口投与試験によるラットの小脳の試験からという記載がありますので、そのユニットリスクから閾値のリスクレベルを算定しています。ですから、これは経皮ばく露ではないのです。
○名古屋委員 棗田さんにお聞きしたいのです。いま問題になっているのは、ばく露濃度が低い中で、これからいろいろなプロセスがあって、そこでリスク評価をしなくてはいけないということだと思うのです。今のところのプロセスの中で、参考資料2から出てきたときは、どのプロセスに対するもので測定するのですか。それがある程度カバーされているならOKだけれども、抜けているものがあったら、そこは測定が必要という話です。そうするとリスク評価のところに結びついてきて、個人ばく露の恐れは低いということで、もう作業環境測定は要らないという話になってくると思うのです。どこが抜けているかというのを教えてほしいのです。
○棗田(中災防) 製造は全部取れていると思うのです。ユーザーは特に全部やっていないのかな。全部の資料を持ってきていないのであれですが。
○名古屋委員 いまのプロセスの中である程度カバーできていれば、個人ばく露のリスクはもう評価しているから低いと考えても大丈夫だと。ただ、抜けているところでリスク評価をして高いという評価が出たときに、どうなのかということです。それでも、もしかしてイレギュラーする可能性があったときには、やはりリスク評価をして、ちゃんとしておいたほうがいいということで済むのではないかという気がするのです。
○棗田(中災防) メーカーの2社のデータは両方あって、ここで言っているばく露するような状況のものは、ほとんど網羅しているみたいです。問題は、ユーザー側のほうが私の手持ちにないのです。前年にやっているのかな。何社やっているのかが。
○島田化学物質評価室長 合計4社やっており、前の年にユーザー企業2社、そして棗田さんご指摘のように、去年、メーカーを2社やっています。全体を網羅しているかどうかは分かりませんけれども。
○名古屋委員 今まで測定したプロセスから考えて、ほぼカバーしているということになったら、多分このままでいいと思うのです。カバーしているところから抜けているのなら、そこはやはり測定からのリスク評価を行ったほうがいいのかなという気がしました。
○寺島化学物質情報管理官 ユーザーの大手の所では。
○島田化学物質評価室長 個分け作業とか、いわゆる投入という部分については全部やっております。特にユーザー企業はほとんど密閉化でやっているので、実際に作業で人が扱う場合はその2点だったと思いますので、ほとんどやっていると思います。
○名古屋委員 そうすると、いまのプロセスから抜けている所はリスク評価を行え付ければいいけれども、現状の中ではある程度網羅していてばく露濃度は低いのだから、作業環境規制は要らないという形の文章にしておけば、怖くないのではないかと思います。
○島田化学物質評価室長 そこは事務局でも、改めて確認してみるようにいたします。
○菅野座長 繰り返しの確認になるかもしれませんが、資料2-3の(3)に書いてある、数値2と4と2というのは、サンプルの数ではないですか。
○寺島化学物質情報管理官 どこの何頁になりますか。
○菅野座長 1頁の(3)の中央部ぐらいに「作業名」というのがあって、「精製におけるサンプリング、小分け」というのがあって、その下に2と書いてありますよね。これはサンプル数のことではないのですね。
○寺島化学物質情報管理官 これは事業場数です。精製している所の2事業場とユーザー側の2事業場です。
○菅野座長 これは具体的にどこの所をサンプリングして、結果がどうだったかというのを出していただいたほうがよろしいですか。
○名古屋委員 参考資料2のときに、その話は出てきていますよね。詳細リスクのときはやっていますよね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。
○名古屋委員 これよりもう少しした分のほうは、測定結果が詳しかったかな。そうでもなかったですか。このパーセントはしょっちゅう出てきていたから、あまり記憶にないのです。
○寺島化学物質情報管理官 測定結果は作業よりも出た値がみんな低かったので、どの作業がどうこうという議論は、あまりしていないのです。
○名古屋委員 グラフを書いてどうのこうのという話ではなかったですね。
○寺島化学物質情報管理官 ええ、そうです。
○菅野座長 グラフはもちろん書けないのですけれども、どの作業を何件ぐらいサンプリングされたかというデータをいただけると分かりやすいと思います。
○名古屋委員 その次からのプロセスを合わせて見たときに、オーバーラップしている所がいくつかあって、抜けている所がこのぐらいというようにされればいいのかなと思います。
○寺島化学物質情報管理官 参考資料2の8頁に、4事業場で9人の測定を実施したということで記載しています。8頁の真ん中辺です。
○島田化学物質評価室長 その部分については私どもで整理をして、どの作業に何点測定されているかを次回に。
○菅野座長 すべて個人ばく露なのですね。
○島田化学物質評価室長 もちろん個人ばく露もA測定もやっております。A測定については2単位事業場で4地点です。それからスポット測定もやっていただいており、12点のスポット測定をやっています。
○大前委員 追加情報ですが、製造にしても当然、こういうものの装置の分解や清掃というのもあると思うのです。その頻度とか、そのときにばく露している可能性があるかどうかというのは、是非情報として入れてください。
○島田化学物質評価室長 承知いたしました。では、そこは整理をして、次回にご提出させていただきます。
○菅野座長 それから、6頁の表面の汚染とか接触ばく露は、測定した値を使うことができるのでしょうか。それを評価する値がないわけですよね。
○大前委員 表面の汚染ですよね。
○菅野座長 単位面積当たり、何マイクログラムあるかというのがわかっても。
○大前委員 動物実験の結果から見ると、極端なことを言えば少しでも皮膚に付けば、リスクはあるという考え方でいいと思うのです。ただ、どれくらいだったらリスクがあるかないかという定量的なことは全く言えない。
○菅野座長 そうすると、汚染があれば保護手袋を使うとか、そういう結論になっていくわけですね。わかりました。ほかにありますか。
○岡部委員 資料2-3の1次評価値は、かなり低い濃度が出ているのです。先ほどの事務局のご説明で、動物試験の投与試験のデータで空気中濃度に換算しますから、安全係数が何回もかかってきて、結果的にこういう低い値になっているのです。その辺のこともやはり考慮して考えていく必要があるのかなと思います。いわゆる単回の投与のデータをベースにして、気中の濃度まで持って行っていますから、当然発がんの経路や経過の仕組みも違ってきますし、投与のデータを気中濃度に換算していますから、かなり安全係数にかかっているので、このような低い値になっているということで、考慮して進めていく必要があるのかなと思います。ですからデータの信頼性という形では、相当安全係数がかかって、このような低い1次評価値になっていくのかなと思います。
○島田化学物質評価室長 この根拠は、1回投与の根拠で作っているものではなくて、1頁にありますように、2次評価値は定量下限値を一応そこに入れているのです。先ほどご指摘いただいたように、ACGIHなりNIOSHなりでできるだけ低くという指示が出ているものですから、できるだけ低くという趣旨で書かれる最低限のところで、閾地を置いているということです。
○菅野座長 ご指摘の点は、単回投与の実験ではないかということですよね。そうではなくて。
○岡部委員 投与のデータをもって濃度に換算しているので、当然発がんの仕組みも違うということです。動物実験の吸入のデータをベースにして、こういった評価値が定められているので、あれはそれなりの信頼性があると。動物と人間は種が違いますから、それで考えていいのですけれども、それなりのところまでまだ行っていないデータなのかなという気がいたします。
○菅野座長 長野先生、これはどういうものですか。
○長野(日本バイオアッセイ研究センター副所長) これは日本バイオアッセイ研究センターで行った実験とは違うと思います。
○島田化学物質評価室長 これはバイオの試験の結果ではありませんので。
○松本(日本バイオアッセイ研究センター専門役) ただ吸入実験も、ここで見る限り行われていないと思います。おそらく反復しか、ここには載っていないですよね。反復経口は60週ぐらいまでやってあるから、多分これからきている値ではないかと思います。
○菅野座長 つまり、計算方法が違うということはないと理解してよろしいのでしょうか。それとも投与方法が違うから、計算方法も違うので、信頼性が違うということなのでしょうか。
○松本 だいぶ仮定に仮定が重なってまいりますので、まず経口投与でやられたとすると、たぶん100%吸収しただろうとか、それに呼吸量の換算というステップがかかることがあるということは言わざるを得ないと思います。
○名古屋委員 これはガイドラインで1次設定に近い。ちゃんと決められていて、その手法どおりにやっているということだから、それは多分、大丈夫だと思います。ガイドラインがちゃんと出ていて、ガイドラインの1次評価値、2次評価値の決め方がきちんと書かれていますので、そのとおり出ている数値だから、その辺は大丈夫だと思います。
○岡部委員 本来であれば吸入のデータがあると、非常にやりやすいのです。今ある対象8物質という形で、粛々と流れていくのでしょうけれども、それがちょっと違うところがやりづらいのかなという気がいたします。
○菅野座長 吸入のデータがないようですが、これを使ってやるほかに方法がないということですか。
○島田化学物質評価室長 そうですね。これは先ほど名古屋先生からもお話がありましたように、有害性の検討会あるいはリスク評価検討会のほうで、システムどおり判定していただいたものです。確かにおっしゃるとおり、吸入による試験結果ではありませんけれども、それなりに検討されたものです。
○菅野座長 いろいろなご意見をありがとうございました。プロパンスルトンについては、次回にまたご審議いただくことになると思います。
○島田化学物質評価室長 ご指摘いただいた資料をご用意して、またご議論いただくことにいたします。
○菅野座長 よろしくお願いします。続いてがん原性指針に係る検討です。資料3について、ご説明をお願いします。
○平川査察官 本日、資料3ということで「指針予定8物質の指針案」について、事務局から説明いたします。前回の会議の中でもご指摘いただいて、さらに追加として、メールにおいて皆様方から意見等をたくさんいただきました。誠にありがとうございました。その意見等を踏まえて、その後、当事務局と委員の先生方等々と調整をして、今回、修正版として前回の内容から見消しという形で出している資料ということで説明いたします。修正箇所ですので、ひと通り全部説明いたします。
 8つあるうちの最初が塩化アリルです。1頁です。趣旨の「この指針は、塩化アリル又は塩化アリルを含有するもの」で、平仮名になっていた所を漢字「物」に直しています。2の(1)の「判別は可能である」についても、いろいろな化学物質を使われている中で言えば、いろいろな臭いのものがあるので、「判別は可能である」というのは削除したほうがいいのではないかということで削除いたしました。2の(2)の「有害性に係る情報」の3行目の「癌」は、通常、法令等で使う場合は平仮名を使っているので平仮名に直しました。
 2頁は段落の番号が違っていますので、(3)以降、(3)(4)(5)(6)ということで直しております。2頁右側の作業環境管理の「など」を、「等」という漢字に直しました。また、作業管理についても行政用語上は漢字を使っているので、「あたっては」を「当たっては」に直しています。「作業管理を指揮する者に」というのは、要するに事業者がやるべき内容で、事業者がその作業管理を指揮する者に対してさせることなので、「作業を指揮する者に以下の事項を実施させる」というように直しました。
 次が3頁です。ここでは保護具の使用について、どういう場面で使用するのかというのを明確にいたしました。例えば、ばく露が全く想定されていないような遠隔操作でやる場合も、保護具を使用するのかということです。それは当然しないわけですので、そこは「接触ばく露が想定される作業について」ということで強調しております。(3)の右側の呼吸用保護具において、沸点が低く破過が短いところについては、ちょっと書きすぎの部分があるのではないかということでしたので、「蒸気圧が高く作業環境中の濃度が高まる可能性があり、高濃度条件下で作業をする場合、沸点が低く、破過時間が短くなる可能性がある」というように修文しております。さらに下のほうの「通常の使用では」云々については、あたかも多剤と反応させる工程があるのではないか、というように誤解する可能性がありますので、これは削除いたしました。また、前に「化学防護服、化学防護手袋」というJISの書き方をしていたのですが、安衛法の書き方である「保護衣・保護手袋等」という形で書直しをいたしました。3頁のいちばん下のほうの「など」という所は、「等」に統一いたしました。
 次に4頁です。「保護に係る規格」ということで、防毒マスクの規格については、労働省の告示が出ておりますので、その内容を書いて、それ以外は日本工業規格が設定されています。ここでも「保護具を使う場合、接触ばく露が想定される作業」ということで強調しています。「その場合についてはばく露部位を考慮し、一定の基準に適合したものを使用する。防毒マスクについては、労働安全衛生法第44条第1項の規定に基づく型式検定に合格した型式検定合格標章の付いたものを使用する。それ以外の保護具については、JIS規格適合品を使用することが妥当である」としています。「必要がある」といった形で強制すると、いままで言ったような事情がありますので、「妥当である」という形で書きました。呼吸用保護具等の表については、安衛法で使われている表記を優先して書きました。
 次に5頁です。これは表現の問題です。「記述予定」となっていますが、「記述する予定」というように書きました。
 次に6頁です。いちばん上の所は段落ずれです。「参考値の考え方について」は、表記をかなり変えております。やはり参考値を使うのは事業者なので、まず事業者が参考値を選択する際の留意事項ということで、測定精度、作業実態をもとに妥当なものを選択していただければいいと。なお、複数の値が選択可能な場合には、当該物質が動物実験において発がん性が確認された物質であることを考慮して、より低い参考値を選択することが望ましいという形で書きました。「できる限り低い」というのではなくて、「より低い」という形で書いております。実際に選ぶ際は当然、測定が可能であることが前提となるので、依頼する分析機関の定量下限をあらかじめ確認することが必要です。その際の定量下限値というのは、当該参考値の10分の1以下であることが望ましいということで書きました。前回は生涯過剰発がんレベルに対応する生涯ばく露濃度ということで書きましたけれども、そこに今回、労働補正を使ったものということで、一部計算のし直しをしたところがあります。そこについては今回計算をしていただいた、日本バイオアッセイ研究センターから説明をお願いできればと思います。
○松本 この頁の塩化アリルですと、日本バイオアッセイ研究センターで行って、腫瘍の発生した使用について、US-EPAで公開しているベンチマークドーズのソフトを適用して、ユニットリスクあるいは経口であればスローファクターを計算することができます。これに基づいて、吸入であれば危険物質が直接作用したと考えられる場合は、腫瘍発生部位の表面積や呼吸量について、1つの換算を掛けます。塩化アリルについては膀胱の腫瘍ですので、体を回って代謝されたということで、本来は代謝係数をかけるところですけれども、そのような論文が見つかりませんでしたので、係数を1として、ヒトと同等であるという仮定で計算しております。
 まとめて説明いたしますと、コンジインスイ試験については、動物からヒトへの摂取量が体重の4分の3乗に比例するということで、ヒトの相当摂取量を計算した上で、-10^4の3乗のリスクを計算しております。これに加えて1日当たりの8時間労働、75年のうちの45年ばく露、1年365日のうちの240日というのを労働補正として掛けましたので、前回より多少大きな値になっています。
○平川査察官 そのような形で今回、労働補正を行ったものを明確に書かせていただきました。計算方法については*に書いてあるとおり、日本バイオアッセイセンターの松本様からご説明がありました形でトランストを行っているということです。7頁は段落ずれです。
 8頁も段落ずれで、5、6を6、7というように直しました。次に?Aです。先ほどの?@と同じように、1の趣旨の「もの」を「物」に直しております。
 9頁の2の(2)も「癌」を「がん」というように直しております。
 10頁にまいりますと、一部で難しい漢字を使っておりましたので、これに振り仮名を振っております。「膝窩(しっか)」と「肺鬱血(はいうっけつ)」は振り仮名を振るべき漢字だという指摘がありましたので、そういう形にしております。10頁の3は段落ずれ、10頁の下の作業環境管理の所は、「など」を「等」というようにしております。
 11頁も先ほどと同様に、作業環境管理については「当たっては」と、「者に、以下の事項を実施させる」というようにしております。あとは「接触ばく露が想定される作業について」ということで、強調して書かせていただきました。11頁の下のほうですが、オルト-フェニレンジアミン類は固体の化学物質という議論を前回行いました。最終的にまとまった線としては、送気マスク、防じん機能付き防毒マスクがよろしいだろうという結論になりましたので、そのような形の修正を行いました。注記としては「通常で安定物質の結晶である」「固体で若干の蒸気圧を有する」ということでしたので、その2種類がよろしいだろうということで直しました。
 12頁については先ほどと同じように、労働安全衛生法で使っている表記に直しております。暑熱環境の所は「など」を「等」にしております。12頁の下のほうも安衛法の表記を入れたのと、接触ばく露を強調して書いたということです。
 13頁にまいりますと、防じんマスクと電動ファン付き呼吸保護具が、ここの場面では妥当とは言えないということで吹出しを付けております。
 14頁は段落ずれと、事業場の参考値を選択する際の考え方を書いております。15頁もそのような形で直しました。あと、先ほど松本専門役からもご説明がありましたとおり、オルト-フェニレンジアミンについては固体の物質で経口試験を行って、塩化アリルよりはいくらか補正の度合が大きく、今回は約2倍の補正がかかっています。
 16頁は段落ずれです。17頁も同様です。
 18頁については?@の「もの」を「物」に直しました。あと、「特徴的な臭気がある」というのについては、いろいろな物が同時に使われている場合はそういったことがあるので、「判別が可能である」というのを削除いたしました。そして「癌」を平仮名にしております。
 19頁も段落ずれがあるとか、「など」を等」にしたといった修正です。?Cの作業管理については「作業管理にあたっては」を漢字に直して、「作業管理を指揮する者に以下の事項を実施させる」としております。
 20頁は「接触ばく露が想定される作業については」ということで強調しております。
 あとはほとんど同じですが、1カ所特徴的な直しをした箇所があります。36頁の?Dの1,2-ジクロロプロパンの所です。ほかの所はおおむね同じ修正ですが、1,2-ジクロロプロパンについては当初、こちらで調べた限りにおいては「臭気についての情報がなく、判別困難である」ということでしたけれども、委員のご指摘により特徴的な臭気があるという情報がありました。こちらも裏づけとして調べたところ、特徴的な臭気としてクロロホルム臭があるということでしたので、このような表記をしております。あとの直しについては、いま言った直しを挙げております。参考値としてユニットリスクを入れた所については、日本バイオアッセイ研究センターで行った試験に経口試験、吸入試験に基づいての補正値で、前回よりもいくらか値が大きくなっています。そういったことで今回修正を行いました。以上の説明について質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
○島田化学物質評価室長 補足いたします。座長からご指摘いただいているように、前回までは分析測定法の関係が6物質分しか出ていませんでした。今回は1,2-ジクロロプロパンと塩化アリルという2つの物質の分析法が出ています。実は、これはNIOSHで使われている測定法を入れております。ただ、ここでご議論いただいたがん物質ですので、もうちょっと低いレベルでの分析が必要だということで、測定法について座長に改めてご検討いただいている最中です。したがって、この場では間に合いませんので、私どもが通知を出す際の参考資料を作るときは、それに差し替えるような形にさせていただいて、とりあえずこの場ではNIOSHのものを参考までに出すという手法にさせていただいております。
 併せて前回、名古屋先生からのご指摘だったと思いますが、採取法の中では分析の関係で、固体とその前にガスとして出てくるものの両方を一緒に採らなければいけないのではないかというご指摘がありました。その部分についてはさらに検討していただいて、菅野先生に作っていただいた資料が84頁に出ております。菅野先生、もしよろしければその辺りをご説明いただければと思います。
○菅野座長 前回、名古屋先生からご懸念があったと思います。「Tenax管で固体捕集」と書いたのは書きすぎです。実際にはガラス栓フィルターをTenaxの上に設置します。もし、これで粒子状の物質があれば、そこで捕集します。ただ、実際にはここを空気が流れますので、そこから蒸発して、多分ほとんどTenaxに吸着されるだろうということです。捕集粒量は毎分200mLですが、捕集管の面速度を計算しますと毎秒17?pぐらいです。本来あるべき……サンプラーよりは少な目ですが、実際に特化則などで規定されている有機化合物の固体の物質を測定して捕集しているような捕集条件とは、大体同等ではないかと思っております。
 それから最後の「飽和蒸気圧と評価値」ですが、評価値の低いほうと飽和蒸気圧を比べますと、いちばん右側にあります。いちばん上はオルト-フェニレンジアミンです。オルト-フェニレンジアミンは固体捕集法ではありません。その他は固体捕集法ですが、蒸気圧が評価値より3桁程度低いので、実際の環境濃度が評価値C程度の濃度範囲にあるとすれば、定常状態では、ほとんどが蒸気の状態であることを期待してもよろしいのではないかと思います。ただ、この分析法では固体として捕集されていたとしても、加熱脱着として分析することは可能です。これについての説明はこれだけです。よろしいですか。
○菅野座長 それでは先ほどの訂正案について、ご意見がありましたらお願いいたします。
○岡部委員 たぶん誤字だと思うのですが、3頁の右の段の「適切な保護具(例)」の真ん中の「保護具例」のEVOHの所です。これは「ボリビニルアルコール製」ですよね。これと同様に、38頁もたぶんコピーペーストできているので、同じ項目があればここの所は修正を。「ボリビニルアルコール性」ではなくて、「ポリビニル」ですよね。
○菅野座長 そうすると、どういう略語になりますか。
○岡部委員 「ボ」を「ポ」に変えるということです。
○平川査察官 申し訳ございません。直しておきます。
○岡部委員 単純に語句の違いです。
○菅野座長 ただ、ビニルだと「VHN」もあり得ますよね。
○岡部委員 「BP」。「EVOH」までいかない。エチレンビニルアルコール。……大丈夫です。
○菅野座長 どちらが正しいかは分からないのですけれども、この書き方ですと エチレンも単体で、ビニルアルコールも単体ですよね。その……と書いてあるので、「EV」でもよさそうな気もするのです。それは確認していただけますか。ほかにいかがでしょうか。
○田中委員 11頁右側の「呼吸用保護具」の真ん中より下に、防じん機能付き防毒マスクを記載してもらってあるわけです。そこの等級は、濾過材の等級ですよね。「L3,L2」という形で記載されています。もう1つは固体で試験をした場合、S3,S2というのがあるわけです。ですから現場によっては選ぶ可能性があるということで、こういう記載方法だとすると、「S3,S2」を加えていただきたいと思います。どちらでも現場で使うときに判断していただいたらと思います。ここだけではなくて防じん機能付きの所が。
○平川査察官 「L3,L2」と書いてある所に、「S3,S2」を付け加えるという趣旨でよろしいでしょうか。
○田中委員 はい、お願いします。
○菅野座長 この点についてはそのとおりにお願いいたします。変更点だけではなくて、全体のことでも結構です。ほかにご意見がおありでしたらどうぞ。それでは、ただいまの変更案も了承されたと考えてよろしいですね。
                  (了承)
○菅野座長 では「指針予定8物質の指針案」については、ご了承いただいたということでお願いします。それでは次回の予定のご説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料4をご覧ください。8月の中旬から下旬にかけて、第6回の検討会を予定しております。日程調整をしているところですが、今日ご出席の先生方におかれましては、8月23日の午後のご都合がよいようですので、その日を仮置きで押さえていただければ、大変ありがたく思います。ご欠席の先生にも再確認いたしまして、ご連絡を差し上げたいと思います。
○菅野座長 それでは、これで第5回の検討会を閉会いたします。プロパンスルトンに関しては、またご意見等があればメールでご連絡していただいてよろしいですね。
○島田化学物質評価室長 間際に資料を提出しておりますので、十分見ていただいていない部分もありますから、何かありましたら事務局にお申しつけいただければ、作業をさせていただきます。
○菅野座長 それでは皆様、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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