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2010年9月21日 第3回インジウムの健康障害防止に係る小検討会

○日時

平成22年9月21日(火)14:00~


○場所

経済産業省別館827会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 ただいまから、第3回インジウムの健康障害防止に係る小検討会を開催いたします。以後の議事進行については、座長にお願いいたします。
○大前座長 予定時間は3時半までですので、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。まず議事に入る前に、資料の確認をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 議事次第の裏面に配布資料がありますのでご覧ください。資料1が「第2回小検討会における技術指針検討の概要」ということで、メモをお出ししております。資料2が横向きの新旧対照表となっており、「インジウム・スズ酸化物等取扱い作業による健康障害防止技術指針(案)」です。資料3-1として「インジウム及びその化合物吸入性粉じん標準測定分析法(作業環境測定)」、資料3-2として「インジウム粒子径の分布(作業別)」、資料4として「インジウム技術指針における作業環境中の濃度基準について(案)」、資料4-2として「インジウム取扱い作業に対する呼吸用保護具の選定案」、資料5として「インジウム・スズ酸化物等取扱い作業に従事する健康診断について(案)」、資料6として「今後の予定」をお出ししております。そして参考資料として、参考1-1が「作業環境管理における基準値設定の考え方(たたき台)」、参考1-2が「インジウムによる労働者の健康障害防止に関する意見交換会の概要(リスクコミュニケーション)」、参考資料3が「インジウム及びその化合物の取扱いに関する緊急アンケート調査結果」です。
○大前座長 それでは議事に入ります。最初に、前回の議事の確認をお願いいたします。事務局より説明をよろしくお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 それでは資料1の前回の議事の結果をご覧ください。前回ご指摘があった事項について確認かたがた、ご説明いたします。資料1の1ですが、技術指針の検討項目関係として、作業環境中の濃度基準についてです。○の1つ目、2つ目をご覧いただきますと、やはり管理すべき濃度が低いこと、気道ではなくて肺胞に達する粒子径が問題となるので、吸入性の粉じんを対象とするのが妥当ではないかということで、それについて合意したいという指摘がありました。
 次に、全ての作業に対するマスクの義務づけについてです。呼吸用保護具の使用については、基準濃度が達成できた場合でも全ての作業でマスクをすべきと判断することは、いままでの規制と概念が異なってくるのではないか。いままでの議論と矛盾が生ずる可能性があるので、慎重な検討が必要であるという指摘がありました。これに対しては、インジウムは管理ができない濃度レベルで健康障害が発生していることが予想されることから、高い濃度レベルで目標値なり基準値をセットしなければならない場合には、呼吸用保護具でリスクをヘッジする必要があるのではないかということでした。
 次の○として、マスクに全面的な信頼性があるのであれば、何ら対策をしなくても、作業者全員がマスクを装着すればいいことになってしまう、そうすると問題が生じる可能性があるのではないかと。その次の○も同様の趣旨の内容となっております。そしていちばん下に、ナノマテリアルで参考になる事項として、濃度基準値を決めず、マスクの装着を指導している例がある。また、石綿の解体作業であってもマスクの装着を必ず求めるものもある。そういったものと比較して、インジウムでもマスクが必要かどうかという議論が必要ではないかという指摘がありました。
 2頁の最初の○ですが、濃度基準値をどういった形で決めるかが、マスクの装着に影響してくる、その基準の位置づけが重要ではないかと。次の○が、実現性のない数字は今まであまり出してこなかった。今回、有害性評価結果から算出された数字が現場で実現可能かを検討し、もし可能でなければ、実現性のある濃度レベルに決めざるを得ない。そうなるとリスクが残るので、マスクの装着で対応するという考え方が必要になってくるのではないかということです。その次も同様の内容です。その次の○ですが、発がんの閾値がないタイプの化学物質の場合は、10-3や10-4という数字が受容リスクとして計算されてきますけれども、これに対するリスクが残ることとなるので、やはりマスクは付けるべきではないかという指摘がありました。
 それから個人ばく露測定の導入についてのご指摘もありました。作業環境の測定結果が管理濃度以下であるにもかかわらず、個人ばく露測定の結果を求めることについては、個人ばく露測定の結果を踏まえて、何らかの措置が必要になってくるのではないか。そうすると他の物質の管理濃度の運用と矛盾してくる。個人ばく露測定の導入については、より慎重な検討が必要ではないかという指摘がありました。仮にそういったものを導入するに当たっては、測定法やその結果の活用について、どのようにすべきかを議論すべきであるという指摘がありました。また、個人ばく露測定の結果を踏まえ、マスクの装着を判断することになればいい。しかし、個人ばく露測定といっても測定日や作業内容は測定者によって変動するものであり、その活用方法があらかじめ検討されるべきであるというご指摘がありました。
 次に、濃度基準についてです。いちばん基になる数字は、やはりバイオアッセイでの動物実験の結果で、LOAELとしての0.01mg/㎥という数字になる。しかし、ヒトのデータは、血液中のインジウム濃度と健康障害の発生状況を突き合わせた情報はあるけれども、環境濃度とを突き合わせた情報はなく、動物実験のデータを使わざるを得ないという指摘がありました。次の頁です。動物実験でのLOAELはインジウムに換算すると0.0075mg/㎥で、これを基に許容濃度を計算すると、前回お出しした資料4-2の(1)から(3)の数字が出てきます。本日は参考資料として出している数字です。いずれも非常に低い値です。これは吸入性粉じんによるばく露濃度なので、濃度基準を決めるに当たっては吸入性粉じんとして扱うべきであるという指摘がありました。また、NOAELはLOAELの1/10の値として示されておりますが、これに対しては1/10ではなくて、もっと低いところに発がんが出る可能性があるのではないか、あるいはNOAELはもっと低いのではないかという指摘がありました。
 吸入性粉じんの測定方法としては、サイクロンの使用が可能である。サイクロンは大きい粉じんをフィルターで取って分けることが可能であるが、一方、ミストについては総粉じんで取るしかないということが言われました。金属インジウムについては、表面の酸化によって出てくる酸化インジウムが問題となる、金属インジウムそのものの問題ではないという指摘がありました。
 続いて、2の健康診断についてです。全般として、ITO関連作業にかかる健診に絞って検討する。業務への配置替えの際ということのほかに、離職時の健診についても必要とされています。健康障害というのはある意味でじん肺であるので、一般のじん肺検診との整合性を取る必要があると。項目に対する指摘としては、呼吸器疾患にかかわらず既往歴によるもの、間質性肺炎を合併する可能性のあるその他の既往歴についても、確認することが妥当という指摘がありました。肺機能検査として努力性肺活量を入れるべき。特殊なエックス線検査として、胸部CTを明記すべき。肺野全体ではなく、肺の上・中・下の3カ所ぐらいの撮影でいいのではないか。
 定期健診についても、同様に明記すべきとの指摘がありました。特殊肺機能検査についても、言葉としてもっと一般的な用語に変えたほうがよい。定期健診の頻度は6カ月となっておりますけれども、一旦ばく露が軽減されれば1年でもいいのではないか。あるいは改善を見る場合は1年に1回でもいいだろうけれども、悪くなるときは6カ月に1回という、病状によるのではないか。リサイクル関係については、年2回のほうがいいのかもしれないという指摘等がありました。
 次の頁です。血清中のマーカーとして、マーカーの選択のご議論がありました。KL-6に比べてSP-Dの値のほうが少し下がりが遅い可能性がある等、いろいろなご議論がありました。しかしSP-Dとインジウム障害との関連性が今ひとつ明らかでない部分もあるので、時期尚早ではないか。一次健診ではKL-6、二次健診では医師が必要と認める場合、SP-D等その他のマーカーを採用することでよいのではないか、というご指摘がありました。検査結果の評価についても、KL-6が下がったといっても急性的な炎症が落ち着いてきただけで、間質性肺炎が活動性でない可能性もあるので、その辺りの評価についても指針に明記すべきであるという指摘がありました。あとは若干省略いたします。以上のようなご議論がありました。
○大前座長 こうやって前回を振り返ってみますと、やたらたくさんいろいろな難しい議論をしていて、これを何とか徐々に解決しなくてはいけないわけです。とりあえず資料1に関して、ここはちょっと間違っているとか足りないとか、何かご意見はありますか。
○名古屋委員 サイクロンの吸入性粉じんの記述が違っています。「吸入性粉じんの測定にサイクロンの使用が可能」の所の記載が間違っていますので、大きな粉じんはダストボックスで取って、吸入性粉じんはフィルターで取れる、と直したほうがいいと思います。
○中野委員 2番の「健康診断の方法」の項目の見出しのいちばん下は、「胸部CTは肺全体を撮影する必要はなく」という記載になっておりますが、基本的に肺がんを健診する目的であれば全肺野要るかと思いますので、「全肺野を施行し、胸部HRCTは肺の上・中・下の3カ所で撮影する」という形で訂正をお願いします。
○大前座長 胸部CTは肺全野をやり、HRCTはそのうち3カ所ぐらいをピックアップしてということでよろしいですか。この場合は「再構成」と言うのですか。
○中野委員 そうです。再構成できる場合とできない場合があるかと思います。
○大前座長 HRCTは、3カ所ぐらい撮影するということで、CTは全肺野を撮影する必要がある、ということではないということですね。
○中野委員 はい。あと、前回の話で出てこなかった項目ですけれども、健診目的なので、できれば線量を低線量で、被ばく量を減らしてもらうような記述をしておいていただいたほうがよろしいかと思いました。
○大前座長 これは後でまた。とりあえず前回はそうではなかったということで、このままでいいと思います。それでは項目を一つひとつ検討していきたいと思います。まず前回の検討で、吸入性粉じんという方針が示されましたので、その測定法について事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○島田化学物質評価室長 中災防でその辺りをご検討いただきましたので、棗田さんからよろしくお願いします。
○棗田(中災防) 資料3-1をご覧ください。サイクロンについてはメーカーにもレターを出して確認したところ、基本的には理論的にトータルと吸入性粉じんの両方が測定できるという回答をいただいています。手法としてはGS-3とGS-1の2つがあるのですけれども、中災防はGS-3を使っています。GS-1のほうが2.0Lということで、おそらく使いやすいのではないかと思います。GS-3だと2.75Lなので、ちょっと変わった粒量で、場合によっては日本製のポンプだと脈動してしまって、2.75Lはきれいに取れないかもしれません。ただSKC社製のポンプやギリアンというメーカーのポンプであれば、問題なく取れるとなっています。
 サンプラーは25?oの濾紙しか付いていないのですけれども、実際にはもう1つ、37?oの3ピースのどちらでも使えます。中災防では25?oではなく、一応37?oを使う予定にしています。25?oだと、非常に粉じんが多い場合には早くそこの所がいっぱいになってしまう可能性があるからです。中災防の場合、濃度がはっきりわからない所では37?oを使ったほうが無難かと思っております。
 1枚目に、回収率が空欄になっています。これに関しては、1つには化合物によって回収率、溶ける部分が変わる可能性がありますので、一概にここに書くことができないのです。基本的には横に書いてある水:硝酸:塩酸=4:1:3の抽出方法でやれば、いままで我々が事前調査で行った所のインジウム化合物は、すべて溶けるという結果になっています。ですから回収率は、ほぼ100%と考えていいと思うのです。ここに書いていない情報としては、やはりフィルターのブランク値を必ず確認する必要性があります。ただ、今のところインジウムが出ているものはなかったので、とりあえずメンブランフィルターであれば、特に問題はないのではないかと思っております。
 後ろの頁からがGS-3の形状になっています。Figure1の図を見ていただきますと、最初にアウトレットがあって、そこにサイクロンがあります。次頁のFigure2ではサイクロンポットが付いていて、実際にはこのような形で使います。サポートパッドがあって、その下のフィルターの部分に吸入性粉じんが全部付いて、それより大きいものがいちばん下のグリットポットという所に落ちるような形になります。当然のことながら、多少は壁面に付く可能性があります。それに関しては、我々も今年度の実態調査をした際に、どれぐらいそこに残るのかというのを全部洗って分析し、そこまで本当に分析しないと駄目なのか、それともそんなに気にする必要性がないのかというのを検証する予定です。
 分粒特性に関しては2頁目に書いてあるとおりです。基本的にはACGIHとかISOで規定されているとおりの、4.0μmで50%カットということで認められているものになっています。ですから少なくともレスピラブルに関しては、確実につかまります。トータルに関してもほぼ問題なくつかまると思います。壁面の確認等に関しては今後、検討しなければいけないのですけれども、現状で言えば、自分たちで測定するのであれば、必ず壁面を洗っていただいて、それも一緒に分析していただければ、トータルダストも分析できるかと思います。
 分析方法は、ICP-MS法であれば定量下限値を見ていただくとわかりますように、27.5Lもしくは20Lで0.005mg/㎥、0.007mg/㎥ぐらいいきますので、基本的には0.01の1/10は軽くクリアできます。ですから、もし作業環境測定で使うとなると、10分と言っていますけれども、例えばA測定であれば20分にしていただければ単純に倍に増えますし、定量下限値も下げることができるので、とりあえずいま言っている濃度の部分では問題ないのではないかと思われます。
○大前座長 いかがでしょうか。
○名古屋委員 GS-3は使い勝手が悪いからよくないですよね。というのは、日本製のポンプが使えなくなってしまうのでよくないと思います。やはりGS-1で十分かなと思います。フィルターはメンブランを使うけれども、ポアサイズでいくつですか。
○棗田(中災防) たしか0.3です。
○名古屋委員 それで思うのは、例えば吸入性粉じんを測定している時、捕集粉じんの量が増加すると、もともと圧損の高いメンブランを使うとより圧損が高くなりますよね。そうすると吸引流速が所定の流速と異なりカット特性が狂ってくる可能性があります。日本のものは検証しているけれども、ナイロンサイクロンはもともと分粒特性が3.5μm50%cutというのを、4μm50%cutとみなして測定なのです。こうした情報をアメリカは持っているのですか。要するに、吸引流速がどのくらいに成った時分粒特性が変わってくるよという。もしかしたら、吸入性粉じんを測定してるつもりだったが、終わってみたら吸入性粉じんとは違うものを測っているという形になるので。
○棗田(中災防) そこまでうちのほうも確認はしていないのです。ただ、向こうの回答ですと、ヨーロッパでは今、ほとんどナイロンが使われていて、一応アルミとデータ上の差はないと言っているのです。明確にうちのほうに出していただいてはいないのですけれども、おそらくそんなに問題のない範囲ではないかと思います。
○名古屋委員 日本ほど厳格ではないから。そう思うよね。
○大前座長 機械としてはGS-1のほうがいいだろうし、それで十分に大丈夫だということですね。
○棗田(中災防) そうですね。
○名古屋委員 GS—3だと2.75という下桁2つが本当に測れるかといったら、確かにSKCのポンプはできます。しかし普通の日本のポンプはできないのです。そうすると、やはり日本のポンプを排除することになってしまいます。我々もGS-1を使っていますから、そちらのほうがいいのかなと思います。もともと、測定対象が吸入性粉じんを測っているので、フィルターに捕集された吸入性粉じんとダストブックスに捕集された大きな粉じんを合わせて評価すれば、トータルの粉じん量が測定出来ます。ナイロンサイクロンの場合、そうすることでトータル粉じん濃度がプラスアルファーで測定出来るから問題はないと思うのです。ただ心配していたのは、吸入性粉じんというように規定しているけれども、圧損が高くなって吸引流速が変わってくるときに、本当に「吸入性粉じん」と言っていいのかということです。例えば今、NWPS-254などですと吸引流量2.5で吸引することになっている。しかし、吸引流量が2.4を切ると吸入性粉じんの分粒特性から外れてしまうから、それはもう使えないということを、学会で発表します。それと同じことがナイロンサイクロンでは何も検証されていなくて、そのまま使えるのかということをお聞きしたのです。もともとアメリカのカット特性は3.5μmで50%カットだったのを、測定してみると4μmで50%カットと大きく違わないので、4μm50%カットとして認定したと思います。その辺が日本とは違って、アメリカのほうはラフだと思います。
○棗田(中災防) あとは圧損で言うとSKCのポンプなどは、圧損がかかってくると粒量が自動的に増えて構成されるのです。基本的に多い場合は、ある程度を超えると止まります。ですから取り過ぎることはおそらくないと思います。ただ、そこのところがだいぶ違うので、その辺は測定する側がきちんと気を付けていれば大丈夫な範囲なのかなとは思います。
○大前座長 GS-1を使った場合には、日本のポンプでもそういうことができるわけですね。
○名古屋委員 日本はたぶん付いていないです。あまり定粒量ポンプになっていないですよね。新しいものはなっているけれども、普通はなっていないですよね。
○大前座長 そうすると、ポンプは特定の会社のポンプを使わざるを得ない。そこまでやる必要はないですか。
○名古屋委員 そこまではいいと思います。
○棗田(中災防) 大丈夫だと思います。
○大前座長 それから、これは環境濃度の測定のサイクロンですよね。個人ばく露の場合のサイクロンというのはあるのですか。
○名古屋委員 環境も個人も全部これを使います。
○大前座長 同じものを使うのですか。その場合はポットみたいなものがなくて、そこにぶら下げるだけということになりますか。
○名古屋委員 これは三脚の所に置くという形です。個人サンプラーはここに付けてやるだけで、そこの違いだけで使うものは一緒です。
○大前座長 そうしますと、基本的にGS-1を使えば、個人ばく露も環境濃度の10分という形で、この精度で測れるだろうと。それから、個人ばく露の場合は吸入時間が長くなって、8時間とかそういう時間になるわけですけれども、時間については全然問題ないということですか。
○棗田(中災防) そうですね。ですから結局のところ、どれぐらいの濃度の場所で取るかが問題です。
○大前座長 それによって目詰まりみたいなことが起きてということですね。
○棗田(中災防) はい。ですから場合によっては、こまめにカセット自体を取り替えていただく形になるのかな。ただ、そうすると壁に付いている部分が問題になってくるので、トータルまで判断するとなるとそこの部分がどのぐらいなのか。サイクロンごと取り替えないといけないという形になると思います。
○大前座長 カセットというのはこの絵でいきますと、上の部分だけを取り替えることになるわけですか。
○棗田(中災防) いま名古屋先生がお持ちですが、本来はカセットの部分だけを取り替えると、フィルターだけ取り替えられるのです。
○名古屋委員 このカセットの部分だけを取り替えるのです。ここに大きいものが溜まり、壁にくっついてしまったときには1個ずつ替えればいいけれども、普通はここしか替えませんから、ここに溜まったものが再飛散するのか、こちらに行くのかは、やってみないと分からないだろうと思います。
○棗田(中災防) グリットポットも別売りなので、グリットポットとここの部分は毎回取り替えられるのですが、中は洗わないと使えない。
○島田化学物質評価室長 いまこの場でご議論いただくとすると、技術的には両方使えるというお話を伺ったのですが、いわゆる作業環境測定士が実際に事業場に入ってお使いになるときに、いまのようなサイクロン方式が普及されているものと考えてよろしいのでしょうか。
○名古屋委員  たぶん普及はしていないと思います。特殊な所以外は、ほとんど持っていないと思います。
○島田化学物質評価室長 そうすると、この場で吸入性の粉じんを扱うという合意をいただいてはおりますけれども、測定できない場合には、やはり従来の方法でやっていただくことが必要だということでしょうか。
○名古屋委員 従来の方法ですと、慣性衝突タイプが普及していますよね。慣性衝突だと、どうしてもグリースを塗ってそこで大きな粉じんを取ろうという形なのです。インジウムの場合はたぶんグリースが塗れないので、金属板だけになると思うのです。そうすると、金属板で大きな粒子を取ったときに、たぶん取り切れないと思います。つまり、金属板に捕集された大きな粒子が再飛散してしまって、後ろのフィルターほうに行く可能性が多分に高いのです。今回は吸入性粉じんを目的にしているのだから、従来の日本のではなくて、ナイロンサイクロンのほうがいいだろうと思います。ですから吸入性粉じんと決められた時点で、もうサイクロンしか使えなくなってしまうのではないでしょうか。もしそれをやるとしたら購入するしかないと思うのです。
○大前座長 ちなみに、おいくらぐらいするのですか。
○名古屋委員 ヘッドは1万いくらぐらいです。
○棗田(中災防) 使い捨てではないです。
○名古屋委員 日本のNWPS-254よりは高くないです。1万いくらです。
○棗田(中災防) 下手をすると、XAD7などの1本と同じぐらいの値段だと思います。
○大前座長 そんなに高いものではないわけですね。
○名古屋委員 日本のものですと3万5,000円ぐらいしますけれども、向こうですと1万2,000~1万3,000円ですので、そんなに高くないと思います。
○大前座長 測定法については、そのほかにいかがでしょうか。いずれにしてもこのサイクロンで吸入性粉じんはいけるだろうし、コストもそんなに高くないということは間違いないだろうと。ただし濃度が高い所ですと、取り替えるときに再飛散の可能性があるから、それは注意しなくてはいけないということですね。
 そのほかに特にご質問がなければ、次に移りたいと思います。次は濃度基準についてです。事務局より説明をお願いします。
○島田化学物質評価室長 資料3-2は事務局から参考までにお出ししました。アルバック社からご提供いただき、吸入性粉じんの部分に該当するものがどのぐらいあるかということで、それぞれの作業に応じて粒子径を測っていただいたものです。先ほどお聞きしたところ、これは堆積粉じんの表ということで、4μmで吸入性粉じんが測れるということですので、ちょうど真ん中ぐらいから左の部分については、吸入性粉じんに当たるものです。ですから、すべてのものが吸入性粉じんの扱いにならない可能性があるということです。
○大前座長 これは堆積粉じんですけれども、プロセスによって吸入性粉じんの割合が随分違うと言えるだろうということですよね。アルバック社の資料をどうもありがとうございました。それでは元に戻ります。濃度基準について事務局から説明をよろしくお願いします。
○長山室長補佐 資料4の「インジウム技術指針における作業環境中の濃度基準について(案)」と、前回の会議資料にあったものですが、参考1-1、「作業環境管理における基準値設定の考え方(たたき台)」という2つの資料で説明いたします。
 まず資料4です。技術指針の濃度基準設定に当たっての基本的考え方です。従来の指針にも書いてあったとおり、インジウムとして0.1mg/㎥ということで、ACGIHの濃度で位置づけてきたところですけれども、今回、最新の知見としてはNOAELとして0.01 mg /㎥としております。ただ、これはITOの「吸入性粉じん」としてということで、インジウムとしては0.0075 mgとなります。こういうものが得られました。ただし、NOAELは試験結果から得られていない、今こういう状況になっているということです。
 その下の四角ですけれども、作業環境の管理すべき濃度基準としては、従来の平成16年のインジウム対策行政通知に定めている0.1 mg /㎥です。こちらは今の知見からすると適当ではなく、もう少し低い値にすべきではないかと。ただ、日本バイオアッセイ研究センターの試験結果から得られた、LOAELを基に算定した値となると、参考1-1の真ん中の2番にあるとおり、7.5×10-4とか、10-5といったレベルになっていきますので、かなり低く、事業者が基準値として遵守できない可能性があります。このような中、現在の知見と事業場の実態から考えると、管理濃度に相当する濃度として設定するのはなかなか困難ではないか、いわゆる呼吸用保護具が必要ないと言えるような濃度を遵守できない可能性がある状況ではないかという制約があります。その中で予防的な考え方に基づいて、実態に合わせて対策を講じることが必要ではないかということで、1枚目にその考え方を書かせていただいております。
 2頁目が、現行の作業環境測定との関係です。こちらは現行の法定の考え方ということで、第1管理区分では維持に努める、第2管理区分では工程の点検を行って、必要な措置を講ずるように努めます。第3管理区分になったときには、措置を講ずるとともに、有効な呼吸用保護具の使用といったものがかかっていき、第1、第2管理区分にしていくということになります。
 ただ、前回の議論にもありましたように、測定して基準濃度が達成しているにもかかわらずマスクをすべきという判断を示すと、いままでの概念と違うのではないかということになります。しかし、法定の考え方の中でも通達で示しておりますように、第3管理区分のときには「有効な呼吸用保護具を使用させる」とあります。これはあくまでも第1管理区分や第2管理区分にするまでの応急的なものということで、それをもって当該措置に代えることができるという趣旨ではないことといった概念があります。これをベースにすると、現在のところ、1頁目の考え方と合わせると、インジウムについては、第1管理区分とか第2管理区分において、この濃度でこの管理区分だと呼吸用保護具が必要ありませんという判断ができる管理濃度を設定するのは難しいのではないか、現行規制の概念になかなか合致しないパターンになってしまうのではないかということを書いております。
 3頁目は、インジウム技術指針における濃度測定の目的です。法定でいう管理濃度設定や管理区分決定の考えに合致しないとなったときに、では何もしないのか、したとして、どういう目的でやっていくのかということを考えなければいけません。矢印の右側の箱にありますとおり、その目的としては、対策の効果を確認して、作業環境の状況を把握することによって、つなげるものとしては・の1つ目の作業環境を改善するために必要な措置を講じて、何をするかという判断に使っていくということです。また、呼吸用保護具の使用を前提とする考えをとりますと、有効な呼吸用保護具はどれにするかということを選定する際の判断に、把握した濃度は活用できるのではないかと。
 こういう目的で測っていくというように仮定していくと、下に「濃度測定の考え(案)」ということで示しております。左側が現状の濃度です。いまの現状の事業場における濃度があります。企業においてもいま、作業環境の改善をいろいろ図っている最中です。ただ、どこに向かって改善していくかというと、管理濃度的なものはなかなか決めにくいので、案としてはインジウム濃度目標レベルということで、ある一定の目標レベルを設定して、事業者はこの目標レベルを超えないように、作業環境を改善するための措置を講じて、ここに達するまで頑張っていきましょうということです。
 ただ、下にありますとおり、目標レベルを達成した場所においても、現在の管理の継続的維持に努めるとともに、できる限り作業環境を改善することということで、これをもってもう保護具はなくてもいいですよというものではないのです。引き続き改善を図っていくということです。こういった濃度を設定しつつ、右側の矢印にありますとおり、許容ばく露濃度というものをまた設定していきます。現在得られている知見に基づいて算定していき、「把握した濃度」と「許容ばく露濃度」を比較して有効な呼吸用保護具、その間のギャップがどのぐらいあるかということで、必要な防護性能が期待できるものを選定していくといった、2段階の考えができるのではないかということで示した案です。
 4頁に移ります。こういった考えでいったときに効果を確認し、作業環境の状況を把握するための濃度測定方法として、どういうようにやっていくかというチャートのイメージ案です。これはあくまでも例示として示したもので、細かい部分はいろいろあるかと思います。最初に濃度測定を行います。こちらについては6カ月に1回、作業環境測定基準のやり方におけるA測定の方法を使い、空気中のインジウム濃度を測定します。個人ばく露については、第2回検討会にもあったとおり、慎重な検討が必要ということと、結果の活用や取り方についてもまだ検討すべき点が多いということがあります。各事業場においても作業環境測定基準に準じて行っていただくと現行の指針にも書いておりますので、そういったことをやっているほうが多いということも踏まえて、A測定の方法で測定するとします。ただ、厳密な作業環境測定の評価ではないので、各測定における測定値を算術平均するという形でよいのではないかということで挙げております。
 測定結果の評価としては、計算した値と、インジウム濃度目標レベルを設定したものとを比較して、これを超えるか否かで判断してはどうかと。超えない場合、つまりよく管理されていて、その目標をクリアした場合ということになると、作業環境の改善としては現行の継続的維持に努めます。作業環境を改善するというのも、できる限りやっていくということです。超えてしまっている場合については、今後作っていく技術指針のメニューに沿って、速やかに作業環境を改善するための措置を講じていくとします。
 最後に、呼吸用保護具の選定です。書いてある内容としては同じですけれども、「計算した値」と「許容ばく露濃度」を比較して、それを合計するなり勘案して、有効な呼吸用保護具を選定していきます。左側のほうについては目標をクリアしていますので、マスクとしてはそれほど防護性能は高くなく、右側のほうが高いという形で、書いてある内容は同じですけれども、マスクのレベルとしては違ってくるのではないかと考えております。
 5頁は濃度目標レベルに当たっての考え方です。最初の括弧ですが、濃度目標レベルの位置づけです。1頁、2頁にも大前提としてあったとおり、これはあくまでも許容濃度とか管理濃度に相当するものとは違うものであることを、まずきっちり認識すると。ただし、現在考えられるばく露防止対策によって、事業者が達成し得る濃度であることというのを設定してはどうかということで示しております。
 次に、考えられる濃度目標レベルの選択肢です。細かくやるといろいろなパターンがありますが、少し大雑把に作っております。これは括弧書きに書いてあるとおり、ITOとしての濃度になりますので、インジウムとしては3/4、0.01 mg /㎥で言うと0.0075 mg /㎥となります。選択肢として3つ示しております。ベースとされるのが真ん中の0.01 mg /㎥の吸入性粉じんです。インジウム換算で言うと0.0075 mg /㎥です。これはバイオアッセイセンターで出たLOAELの値となりますので、この前後で選択肢を作っております。1番目の括弧は0.01 mg /㎥未満です。例えば、0.001 mg /㎥とか0.005 mg /㎥という形で設定したものです。真ん中がLOAELそのもの、いちばん下がLOAELよりも高く、従来の0.1 mg /㎥より低い値の中で設定していくものです。このように大雑把に、3つの種類があるかと思っております。
 これを考えるに当たって前提になるものが、いちばん下の点線以下にあります。検討に当たっての考慮事項として、「吸入性粉じん」について測定・分析する手法が確立していることが、まず大前提になります。手法が確立していない場合は、ニッケルと同じように、オープンフェイスで総粉じんを取っていきます。しかし先ほどの議論を踏まえますと、吸入性粉じんのほうで測定できるのではないかということになりますので、総粉じんと吸入性粉じんとなると、そのターゲットとなる濃度は、総粉じんはたぶん厳しめに評価されるので少し高めになったり、吸入性粉じんとなると少し大きなものが排除されますので、少し低い値でも設定し得る形になるのか、その辺を加味しながら検討していただく形になるかと思っております。
 3つの箱がありますけれども、いちばん上に0.01?r/㎥未満、インジウムとして0.0075 mg /㎥未満と設定しております。・のほうで「ばく露実態調査の結果、事業場からのヒアリングの結果から考えても、達成が困難と思われる」と示しております。ただ、従来の総粉じんとしてはこういう形になるかと思います。ですから吸入性になると、また少し状況が変わってくると思いますので、その辺りをご議論いただければと思います。あと、真ん中が0.01 mg /㎥、次が0.01~0.1 mg /㎥未満です。こちらについては両方とも実態調査やヒアリング結果からして、更なる作業環境の改善措置を要することが必要と思われますけれども、新たに達成し得ると思われるレベルになるのかなということで示しております。
 最後の6頁が、許容ばく露濃度に当たっての考え方です。バイオアッセイセンターとしては0.0075 mg /㎥、7.5×10-3 mg /㎥(インジウムとして)となっております。ただ参考1-1にありますとおり、前回2番で算定した濃度、(1)から(3)に示した辺りになります。(3)については一次評価値という形になります。従来もリスク評価として一次評価値となると、今後の規制に当たっての判断としては二次評価値を使ったり、管理濃度的にもこちらの値に近いものになっていきますので、(3)というのはなかなか馴染まないのかなと。したがって、(1)(2)の中から考えていくということで、6頁に示したとおり、案として?@は前回のLOAELからNOAELに換算した1/10で、7.5×10-4 mg /㎥という値になります。
 いちばん下に?AとあるのはLOAELからNOAELへの10と、種間差の10と、労働補正した値での前回お示しした5.6×10-5 mg /㎥です。真ん中に?@'と書いてありますけれども、それとは別に取り方として、不確実性係数をどういった形で取っていくか、その他の考慮要素を加味して、この間の値もあり得るのではないかということで?@'という形で示したのが6頁です。以上のような形で、こういった2段階で濃度目標レベル、その中で許容ばく露濃度を設定します。まずはこちらを決めないと、マスクというのはなかなか議論できないのではないかということで、こういった選択肢が考えられるのではないかということで、事務局案を説明いたしました。
○大前座長 いままでのような管理濃度の考え方では、実現性はおそらくやり切れないだろう、無理だろうということで、それに代わる考え方として、濃度目標レベルというものを設定してはどうかというのが、根本的な案だと思います。このような決め方と言いますか、このような説明の仕方をした過去の例はあるのですか。
○長山室長補佐 過去の近い例としては隧道、トンネルです。あそこも場所が変わってなかなか測定できないので、規制として呼吸用保護具と電導ファンを義務づけつつも、ガイドラインの中で永続的に測定に準じて算術平均した値と、目標の粉じん濃度レベル3 mgを測りましょうと。そういった保護具と、目標レベルが行っているかどうかを測りましょうというように、セットでしたものはあります。あと、近いのはナノマテリアルで、測ってはいないですけれども、作業に応じてマスクを選んでいくというのがあります。その辺りが近いものかと思っております。
○大前座長 過去に例がないということはないという考え方で決めたのは、隧道の話の場合はほとんど同じだと思いますけれども。
○名古屋委員 随道とは随分違うよね。だって隧道とは考え方が根本的に違うもの。隧道の目標濃度というのは、あくまでも換気指針、要するに換気がどのぐらいあるかということを現場で確認するための話であって、健康影響は全然考えていない話だから、ここに隧道と同じレベルで載ってはまずいのではないですか。これは健康影響が第一で、隧道は健康影響を考えていないのだから。健康がわからないから始めからマスクの装着を義務付けています。トンネルの場合は、あくまでも健康も考えている目標レベルではないですか。全然考え方が根本的に違うと私は思うのです。
○半田化学物質対策課長 こちらも、これならば健康が確保できるという濃度ではないのです。ですから最後の健康確保はマスクでやらざるを得ないのです。ただ、マスクをしているから作業環境が汚いままでいいのかというのではなくて、やはりある程度のところまでは下げて、皆さんができるところまでは下げていきましょうということですので、あえて言えばトンネルのときの考え方に近いかなということで申し上げているわけです。もちろん今までの管理濃度とは全く違う考え方ではあるので、そういう例を申し上げたところです。
○名古屋委員 例えば現状で行っている、作業環境管理をして環境管理をしますよね。そして次は、ばく露濃度で作業管理か又はリスク評価をしますよね。そこで駄目だったらマスクをするという考え方と、こことは何が違うのですか。
○半田化学物質対策課長 ここは常時、マスクをするという前提です。
○名古屋委員 今の方法で場の測定をしますよね。この考え方で言うと、そこで第1管理区分だとしても、当然マスクをさせますよね。次に、リスク評価をしてもリスクの評価に関係なくマスクをさせますよね。今のとおりの流れで何も問題ないのではないかと思うのです。ただ、それが目標レベルになっただけで、濃度を緩くするだけの話であって、今までの考え方とほかは何も変わらないのではないですか。それは要するにマスクの選定のための話ですよね。リスク評価をして、リスクの中で(3)だったら悪いから、こちらのいいマスクをしなさいという考え方と、あえて濃度目標レベルを設定する考え方のどこに違いがあるのかよく分からないのです。
○半田化学物質対策課長 極端に言えば、濃度目標レベルを設定しなければ、マスクをしているから環境改善しなくてもいいのではないかということもあり得ますよね。
○名古屋委員 いや、そうではなくて、もしマスクをするにしても、測定を義務づければいいだけですよ。別に目標にすることなく、今までどおりのラインでそのままやりなさいと。その時にどうすればいいよというようにするだけであって、あえて別のややこしい濃度目標レベルを持ってこなくても、今のものでも運用できるのではないですか。今のもので運用できないのなら、なぜ運用できないからこういうものを作るかというロジックがよくわからないのです。
○島田化学物質評価室長 管理濃度というのは、先ほど最初に名古屋先生にご教授いただいたように、安全レベルを守るための管理濃度だと思うのです。そうしますと、私ども事務局のほうから提案した最終頁の許容ばく露濃度というのが、たぶんそれに当たると思います。
○名古屋委員 たぶんそう思います。
○島田化学物質評価室長 このレベルで企業の方が対応するというのは、たぶん非常に難しいレベルであるので、当座の目標値として5頁にある濃度目標レベルを作るべきではないだろうかということです。そこの「目標レベルの位置づけ」に書いてありますように、これは許容濃度に相当する濃度でもなく、管理濃度に相当するべきものでもないということで、作業改善に当たる目標レベルということになります。そうしますと、これは当然の如く管理濃度ではありませんので、この目標レベルには管理区分というものは存在しない。つまり第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分というものを合わせてはできないのです。その際、管理区分に基づいて保護具が必要かどうかということも、そこではやらない。ただし目標レベルとして企業の方が改善するレベルは、やはり示さないと改善に対する努力というものが潰えてしまいますので、そのための設定値としてはどうかということかと思います。
○名古屋委員 そのときに、その測定したのを平均値と比較して濃度を設定するわけでしょう。ここはなぜ平均値なのですか。対数正規分布しているものを平均値で表記するということ、それは何か根拠があるのですか。
○島田化学物質評価室長 現場で対応できるというようなことでやっているもので、必ずしも理論的なものではないです。
○長山室長補佐 いま法定の評価スケジュールと、どちらを基準にした形でいくか、あと、推論的にはちょっと係数が少ないので、算術平均でやっていますので、そこはあくまでも算術平均にするか、ここを気化平均にしてイレギュラーな値を打ち消していったほうがいいのか、そこは議論があると思いますので、必ずこちらでないといけないというものではなく、準じて気化平均というのもあるかと思います。
○島田化学物質評価室長 合わせて申し上げます。これはあくまでも提案ということでして、主体は先生方にご検討いただくたたき台という形です。
○名古屋委員 例えば、どうなるかは分かりませんが、完全密閉のグローブボックスみたいな所を作ったときでも、これだとマスクをしなければいけないという話になりますよね。
○島田化学物質評価室長 我々が考えたときに、その場合の許容濃度として決めたものよりもレベルが低ければ、それはたぶんマスクも不用という判断はできるのではないかと思いますけれども。
○中野委員 単純なイメージが分からなくてお伺いしたいのですが、インジウムの濃度の目標レベルという、許容濃度と言わなくて少し甘めの現実的な濃度を決めたとしますよね。それを超えていない場合は管理濃度は1になるのですか。それとも、その管理濃度の基準というのは、あくまでも許容濃度を基準として管理濃度を決めていくのか、どちらを基準にするのかなとちょっと思ったのと、このリスクの評価が環境濃度のリスクの評価というよりは、マスクの選定のための評価みたいに、フローチャートだと見えてしまうので、その辺を教えていただければと思います。
○島田化学物質評価室長 管理濃度というのは、このあと法規制の中で定める必要があるか、あるいはそれを定めることができるかというご議論をいただくような形で、それは濃度を定めた場合には、先ほどの管理区分、それぞれ位置づけが第1区分、第2区分、第3区分というようになりますと、その現場に応じて、例えば第1区分に入っていない場合には、法律に基づいてその改善を求める形になります。いまの段階では管理濃度を決めるということは、ここでは議論をしていないということです。当然その原点のところに、管理濃度というのは許容濃度を上回らない。それと基本的には同じ考え方に立って管理濃度を決めている格好ですので、それはやはり許容濃度的な性格を持った法定的な値だと思います。
○中野委員 ということは、むしろマスクの選択のための基準というような形の色彩が濃いということですか。この環境濃度は。
○島田化学物質評価室長 先ほど目的のところにありましたように、環境改善を、改善努力目標というようなところで、目標値という形に入れさせていただいているので、その環境をここまでは少なくとも改善しましょうよというような性格のものと、それから、それを使って、あとは保護具をどういうものを入れていくかというものの目安にするという2点の目的だと思います。
○中野委員 その目標をクリアできなかった場合には、何か企業さんにあるのですか。
○島田化学物質評価室長 そこは技術的な指針でございますので、この場でその濃度は少なくとも必要だということで、お考えいただいたものでございます。それを行政的に推進していくという対象の値になっています。
○名古屋委員 この指針には、罰則規定はないのですね。
○島田化学物質評価室長 もちろん、これは罰則規定ではありません。
○名古屋委員 もし管理濃度が出来たというと、管理濃度と目標濃度の両方が生きるのですか。もしかしてこれが特化則に載ってきて、管理濃度が出来るようになったときは、目標濃度は撤廃するのですか、それともそのまま生きるのですか。
○島田化学物質評価室長 管理濃度はその先の話ですので、この場では判断はできないと思います。もともとレベルが、片方はそこのレベルで現状として守れるという数字の目標と、それから先ほど申し上げたように、管理濃度は許容濃度的な、その場の作業員の健康を守るための濃度ということになりますので、性格の違うものだと思います。同じレベルで目標濃度と管理濃度が設定されることはないと思います。
○田中(昭)委員 先ほど目標レベルということなので罰則規定がないということでしたが。それと5頁には現実的に環境濃度が書いてありますが、ここはあくまでも目標ということでしたら、実際には達成が困難な濃度でも、もう1つレベルを下げるということもその目標としてはあり得るということなのですか。
○島田化学物質評価室長 はい、もちろんこれは事務局提案ですので、そのレベルはこの場で議論をして決めていただければと思います。
○名古屋委員 トンネルのときも現場を調査すると、10 mg/m3に設定している所と5 mg/m3と設定している所があったようです。でも、目標レベルなのだから3 mg/m3にしようということでレベルを下げているのですよ。目標なのだから、目標に向かった努力は必要であるが、目標を守れないからといって、罰則規定がないから罰せられる訳ではない。基準局が入って罰則を科すような物ではないと当時説明していました。だから、これがもし目標濃度だったら別断決められても、守らなくてもいいかどうかは知らないですよ。だって罰則規定が何もないのだもの、測定しろとなっているわけではないのだから。いま言われるマスクの判定のための濃度でしかないような気がしますから。
○半田化学物質対策課長 ちょっと誤解があるかもしれませんので申し上げさせていただきますが、これに罰則がないのは、この指針は法令根拠のものではないからなのです。これはあくまで指導のものとして出そうとしているからです。それで、トンネルのほうは一応、粉じん則の中で明確に位置づけられておりますので、測定をやって目標濃度を達成するようにやらなくてはいけないということになっています。ただ、超えたから罰則なのではなくて、いま名古屋先生がご紹介になった3 mgという目標値を超えていたら改善すべき義務が課されるということです。一切改善しないということに対しては、罰則が課せられるという法令の構造になっています。いまのは参考ですが、これが罰則がかからないというのは、その指針そのものが法令根拠のものではない、あくまでも指導のものによるものであるということを、ご承知おきください。
○名古屋委員 トンネルのガイドラインが出来た時には、そんな話はありませんでした。今言われた話は、粉じん則を変更した時そうなった話であって、ガイドラインが出来た時はそんな話はありませんでした。
○半田化学物質対策課長 これはそのガイドラインに相当するような位置づけですね。
○島田化学物質評価室長 前回の平成16年の7月に出させていただいている通知、これはその後のアンケートを見ていただければ分かるのですが、その通知を見て事業者の方が判断していただいて、その数値が守れるかどうかという努力をしていただいています。もちろん罰則はありませんが、厚生労働省の局長名なり、部長名で出す通知ということになりますと、事業者の方はそれに向かってかなり努力をしていただけるということでございます。
○大前座長 よろしいですか、もともとその意味合いといいますか、それがずいぶんこう。先ほどの隧道の話が出ましたが、あれとも若干違う。
○半田化学物質対策課長 もう1つ余計なことかもしれませんが追加させていただきます。先ほど名古屋先生からご指摘のあった管理濃度の話ですが。管理濃度そのものは環境改善室が所管していまして、管理濃度等検討委員会で定めていただくことになるわけですが、おそらくインジウムのような物質に関しましては、先ほど島田室長から申し上げたように、本来管理濃度というのは、それを守っていれば健康障害は起こらないと考えられる濃度ですが、そういう考え方だけで定めていくと、現実には達成できない目標になってしまうことになってまいりますので、管理濃度等検討会でも、たぶんその辺りが議論になるであろうと。
 だから管理濃度という限りは、健康障害が起こらないレベルと定めざるを得ませんが、それを定めてしまいますと、違反事業場ばかりになってしまう。これもまた非常におかしなことですので、その辺りをどう工夫していくか。たぶん、今回作っていただく指針の考え方が、かなり管理濃度等検討会でのご検討にも影響を与えるであろうということは想像されるところです。
○大前座長 今日、数字まで決めるというところまでいかなくてもかまわないわけですが、時間的には3時半までということなのですが、まだ2つぐらい残っています。少なくとも今日のこの段階では、その目標とすべき濃度目標レベルというのは、管理濃度でもなければ許容濃度でもない、あくまでもその目標に向かって努力をするものである。罰則は、この度は技術指針ですし、法律に則っていないわけですから、これはないということですが、それなりの拘束力は当然企業の方々は持つだろうという予測は、当然できるのです。企業の責任ですね、当然やる必要があるだろうという予測はできるというタイプの性格のものである。先ほど言いましたほかのテーマがありますので、実際にどの数字を取るかは、次回に回していただいて、それまでに皆さんに少し考えておいていただきたい。
 提案としては3つ出ています。1つは0.01 mg /㎥未満ですから、0.001でも、あるいはもっとその下でももちろんかまわないのですが、0.01を境にして下が目標値としていいのか、上は当然駄目だと、ナンセンスな話で3つ目のことはあり得ないと思うのですが。0.01もしくは0.01より低いレベルで決めるべきなのかということに関するご意見は、是非、次回までに考えておいていただきまして、そのときにまた皆さんのご意見をいただきたいと思います。
○島田化学物質評価室長 こちらからまたお問いかけをさせていただきますので、事前にご回答をいただければと思います。
○大前座長 そういう形で事前に皆さんのご意見を集約できれば集約して最終的には。次回が最後の会になるのですよね。
○島田化学物質評価室長 事務局の目標としては次回が最終回です。
○大前座長 では、もし、次回に決めることができればベストなパターンで決められなければ、これかこれというように。いずれにしても次回までにこの数字に関しては考えておいていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そうしますと、いまの濃度基準に関しまして、数字が決まらないわけですから少し齟齬があるかもしれませんが、呼吸用保護具について資料が出ていますので、説明をお願いいたします。
○田中(茂)委員 数値が決まらないとあまり的確な説明ができませんが、作りました資料4-2も、事務局とも打ち合わせをしたものではないものですから、中途半端になっているのが現状です。ただ、お伝えしたいのは、マスクを装着することによって、どれだけばく露を防ぐことができるかというところで考えると、括弧のところがいま3つ記載されています。いちばん左側がいまの通達で出ている半面形の防じんマスク、捕集効率が95%以上というレベルであるわけです。そこが1つの防護できるランクがあります。
 次に真ん中が、その濾紙の捕集効率を99.9%以上、ナノマテリアル等ではここから始まっているわけですが、捕集効率を上げた防じんマスクを使用するというランクです。いちばん右側が半面形の電動ファン付き呼吸用保護具とともに、取替え式の防じんで全面形を使った場合で、捕集効率は99.9%以上という3つのグレードのランクがあります。
 もう1つ、右側のナノマテリアルでは、面体形の全面の電動ファン付呼吸用保護具、あるいはエアラインマスクが4つ目として右側にあります。この四段階のマスクの選定のレベルをどこに合わせていくかがキーポイントであろうと。それを目標レベル、その基準が決まった段階で合わせて、あるいは議論をいただければと思っております。以上です。
○大前座長 これに関して、ばく露が少ないとか高濃度ばく露というのは、例えばこれは第1管理区分等となっていますから、管理濃度と比べてという意味ですね。
○田中(茂)委員 そうです。
○大前座長 今回の場合は、その目標とすべき濃度と比べて高いか低いかと、そういうような判断ですか。
○田中(茂)委員 2段階だったら、またちょっと違う考え方を出さないといけない。ただ、マスクを選定するときは大きく4つでしょうか、そのグレードをどこから選択していくかということだと思います。
○名古屋委員 1つ聞きたいのは、ナノのときは凝集体になるよということだから、たぶんバグフイルターもマスクも同じ構造だから取れるよと。仮に漏れていたとしても大したことないねということでオーケーしていますね。
 実際に測定してみるとバクフィルターでもナノ粒子は漏れているのですよ、電子顕微鏡で確認出来る程度ですから、漏れてたからと言っても問題になる濃度ではないですし、これだけ濃度が低いもので、マスクで本当に担保できるかどうか検証をしなくて出していいのですか。そこを聞きたい。
 要するにこれだけインジウムの濃度が低いと細かい粒子が少し漏れても健康に影響を及ぼすのではないかと。ナノの場合と取り扱いが若干違うように思います。マスクの防じん効率でなくて、捕集効率とインジュム濃度の関係を検証しておかないとまずいのではないかなと思うのです。ナノの研究レベルの濃度に比べてものすごい低いですよね。本当に99.9のマスクで捕集出来ない濃度で健康影響がないのかちょっと疑問が湧くのですが、その辺はどうなのですか。
○田中(茂)委員 実験データがあると説明ができるのですが、いまの現状では、知る限りではないというところですね。そういう意味では少しこの中の4つのグレードの中で、安全側に立った形のレベルを選択する、いまの現状ではです。データがあればそういう説明ができるわけですが、データがない。
○名古屋委員 管理区分1だからといって95でいいかといったら、逆に駄目かもしれないと思うのですよ。これだけ低い濃度だと。管理区分1でも安心出来ないから電動ファンに、でも管理区分3ぐらいになったら全面マスクとかエアラインマスクを使いなさいとか、そういう形になるぐらいの濃度レベルなのかなと思うんですよ。
○田中(茂)委員 基準値がどこに設定するかでだいぶ違ってくるぞ、というところかと思うのです。
○大前座長 それは粒径の分布でもやはり変わってきますから。小さければいまみたいな話は大変な問題になるかもしれない。ある程度大きければ濃度が低くても捕集できる。 
○名古屋委員 たぶん0.3がいちばん捕集効率があるので、ナノはそれより拡散で捕れるから、まあ捕れるでしょうと。単分散は飛んでいないから、凝集体だから捕れますよということでやっています。でも、我々が実験してみると、バグにしろマスクにして単分散させるとナノが漏れてきている。ただ、それは顕微鏡レベルで漏れてきているから、そういうことがあっても、たぶん大丈夫だねと思っているのだけれども。ただ、インジウムの場合は捕集効率もそうなのだけれども、その一つひとつの毒性がものすごく高いわけではないですか。そうするとどうなのでしょうか。すごく心配になるのです。
○田中(昭)委員 マスクでも漏れるということは、作業中に通過して漏れるということですか。
○名古屋委員 我々の実験はフィルターの実験です。
○田中(昭)委員 実際に付けた方ではないのですか。
○名古屋委員 そうではなくてフィルターを通して、ナノの粒子が漏れるかどうかと実験してみる。ナノの粒子も小さな粒子はフィルターを当然通ってくるよと。そうすると99.9でナノの粒子が少しぐらい漏れてきても、別段それほど大した濃度ではないから大丈夫だけれども、ただ、これはすごく発がん性の高いものなので、0.00いくつになろうかという濃度を、ナノの粒子の設定されている濃度に比べると、はるかに低い濃度で設定されているものが、例えば99.9捕れたとして、絶対度が多くて漏れてきたのがその濃度以下かどうかというのは、何かで検証しておかないと、まずいのではないかと思っているだけなのです。
○大前座長 99.9とか95というのは、1μのサイズ。0.1μのサイズ。
○田中(茂)委員 0.1μのサイズの捕集効率。 
○田中(昭)委員 吸入ばく露実験のときの平均粒径は0.2μmくらいですか。 
○大前座長 2μくらいです。 
○田中(昭)委員 それより小さい粒子もあったのでしょうか。粒度分布はどのぐらいなものでしょうか。
○長野(日本バイオアッセイ研究センター副所長)委員 MMAD(空気力学的質量中位径)は、1から3μという、OECDの範囲の中です。 
○田中(昭)委員 では1μ以下というのはあまりないのですか。
○長野(日本バイオアッセイ研究センター副所長)委員 いや、それはあるとは思います。ただ、その細かい数値はいま実際的にはよく分かりません。
○大前座長 あと10分もなくなってしまったのでこの議論はこのぐらいにします。最後に、健康被害に関しまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○古田職業性疾病分析官 労働衛生課です。資料5をご覧ください。時間の関係で簡単に説明させていただきます。前回のご意見を踏まえまして事務局で整理しています。用語は基本的には将来的なことも勘案し、特化則やじん肺法で使われている表現、用語に合わせています。できるだけ分かりやすくするために、さらに説明が必要な部分については、注釈で具体的な検査方法等を説明しています。
 2.の(1)雇い入れ時又は配置換え時の健康診断の項目の前回からの変更点ですが、上から3つ目、既往歴の有無の検査と変更して、呼吸器だけの既往歴でなく、一般的な全体の既往歴ということにしています。下から2つ目のホシ印ですが、血液中のインジウムの量の測定については、注1で具体的にどういう検査かというのを、「血清インジウム濃度の測定の検査をいう」と記載しています。雇い入れ時の胸部の特殊なエックス線撮影による検査、これは法令による表現と同じですが、これも注2にHRCTによる検査をいうと記載してあります。ここにつきましては最後に簡単な補足のコメントをさせていただきます。
 (2)定期健康診断についてです。「作業条件の簡易な調査」というのが漏れていますので、付け加えていただきたいと思います。一次健康診断につきましては、雇い入れ時の健診と比較しまして、作業条件の簡易な調査が加わっていることと、胸部の特殊なエックス線撮影による検査が除かれているという違いがあります。2頁の?Aの二次健康診断ですが、2つ目のホシ印の医師が必要と認める場合の検査について、SP-D検査を付け加えています。肺機能検査については注3としまして、その頁のいちばん下に説明をしています。(3)配置転換後の健康診断については変更はありません。
 注2について、本文では特殊なエックス線撮影による検査と書いています。先ほど指摘がありましたが、通常の胸部CTによる画像で再構成できない場合、HRCTを追加で撮影するということになるのかなと思っています。線量につきましては、低線量の撮影となるよう記載するというようなご指摘があったと思います。個別の健診機関においてCTの線量その他を詳細に把握しているというわけではなく、極力現場の運用で柔軟に対応してもらうという観点から、個別の撮影条件については、あまり示していません。
 こうしたことから、注2につきましては、ここにHRCTによる検査と書いてありますが、「HRCTによる検査をいう。ただし、CTによる検査をもって代えることができる」としてはどうかと思っています。以上です。
○大前座長 いかがでしょうか。
○中野委員 注2なのですが、基本的には肺がんが有るか無いかということにも注目しないといけないと思っておりますので、肺野全体を普通のCTで撮って、その後、局所的にHRCTは画像が良くなりますので、それで3カ所、上部、中部、下部を詳細にチェックしておくというような趣旨なので、内容としてはCT及びHRCTによる検査という記載がよろしいかなと思います。
 2.の(1)なのですが、最初、雇い入れ時、配置転換、退職時というのは、CTだけの記載になっていますが、胸部レントゲン写真は全体的なボリュームとかの指標になりますので、CTだけではなく、胸部の単純レントゲンも入っていたほうがよろしいかと思います。○古田職業性疾病分析官 それは一次健診ですか。 
○中野委員 2.の(1)のいちばん最初、折り目折り目ですね。雇い入れ時、配置転換時、できれば離職時です。
○大前座長 これは前回、離職時が入っていましたか。
○古田職業性疾病分析官 いや、離職時は入っていません。離職時の健診というのは、考え方として、たぶん離職後の健康診断の最初という範疇に入ると思うのです。将来どうなるかは分かりませんが、現在いろいろな化学物質で、じん肺もそうですが、離職者の健康管理は国の予算で定期的に健康診断を行うという制度があります。そういうものがあれば、離職時の健診もそれなりに意義があるかなと思うのですが、これは今はそういうふうな形になっていないので、ここには入れていません。
○大前座長 各企業がそれをやったほうがいいと思いますが、それはここには入れきれないだろうと、そういう理解ですね。
○古田職業性疾病分析官 離職後のこと自体を会社が。
○大前座長 離職後のことを踏まえたら入れられないと、そういう意味ですね。
○古田職業性疾病分析官 そうではないかと、どういうふうに使うのかという問題もありますので。先ほどここには雇い入れ時、配置換え時、2.の(1)ですが、胸部エックス線の単純撮影のご提案があったのですが、それを入れるということでしょうか。
○中野委員 はい、入れておいていただいたほうが。CTは横には強いのですが縦は見られないので。
○廣瀬労働衛生課主査 1点確認をさせていただきたいのですが、前回の検討会においても事務局からご質問をさせていただいたところですが、健診の項目でも特に雇い入れ時の健診の項目につきましては、基本的にインジウムの取扱い作業に従事される方全員が対象になるということになりますと、その事業者負担をお願いをすることになります。そういったことの観点で考えますと、基本的には例えば二次健診以降で、フォローとして使える健診項目に絞って、雇い入れ時の健診についても設定をすることが妥当ではないかということで事務局として判断をした次第です。逆に言うと、先生のほうで雇い入れ時の健診で、胸部CTの並びで単純撮影も入れるということになりますと、例えば二次健診でも「医師が必要と認める場合は、特殊なエックス線撮影による検査」とありますが、ここに単純撮影も追加することが望ましいということになりますか。
○中野委員 そうだと思います。基本的に病院で呼吸器の医者が胸の写真を撮るときには、まず単純のレントゲンは必ず撮ります。被ばくの問題でさらにCTをするかしないかという判断になりますので、最初に必ず撮る胸部の単純レントゲンと比較するものがないと、CTだけ撮っていては本末転倒かなという気がいたします。
○廣瀬労働衛生課主査 事務局から再三基本的な質問で大変恐縮なのですが、今回のインジウムに関する肺障害に関して申し上げますと、あくまでも健康診断の範疇で行うということですと、早期発見に繋がる検査という目的が達成できる検査でないと意義に乏しいのかもしれないというところを考えた次第です。
 そういった観点から、胸部CTは早期発見にかなり資する検査であると。翻って申し上げますと、胸部単純検査に関しては、インジウムの肺障害を発見する意味については、必ずしも十分な意義を有していないのではないかと、こちら側で解釈をしてしまった経緯がありまして、今回のような健診項目の設定にしています。そうしますと、逆にいうと胸部CTだけでは早期発見はできないと考えないといけないのでしょうか。
○中野委員 ええ、肺の中の細かい所の変化はCTでないと分からないのですが、肺の全体像を見るためにはCTは横切りなので、横で切ってその中の印象がどうこうというのには、よく分かって強いのですが、肺の縮みだとか、容量とかというのをCTで判断することは難しいと思います。縦に見て肺の縮みがないかとか、そういったものは単純のレントゲンでないと、なかなか判断できないと思いますので、併用されたほうがよろしいのではないかと思います。
○廣瀬労働衛生課主査 そうしましたら、こちらの項目は、先ほど申し上げたように雇い入れ時の健診にまで並び入れるということになりますと、相当な幅広い範囲の労働者に対して行う健康診断の項目、さらに胸部CTに関してHRCTを行うという要件も併せて入れることになりますと、当初見込んでいた事業者負担よりも大きく超えるというところもありますので、改めて事務局で持ち帰って検討をさせていただければと思います。また、別途ご相談を申し上げるかと思います。よろしくお願いいたします。
○大前座長 そのほか、この健康診断の項目に関していかがですか。
○田中(昭)委員 2番、3番と、どの項目でも入っています血液中のインジウム量の測定について、注の1で「血清インジウムの測定の検査をいう」となっていますが、最初からこれは血清中のインジウムの量の測定に変えては支障があるのでしょうか。それともこういう場合には一旦、血液で記載し、注で血清と持ってくるのですか。
○廣瀬労働衛生課主査 そうです。これあくまで法令上の書き方に揃えた考え方です。特化則の別表3でこれに似たような項目を探しまして、少し表記を似せたものにしています。
○田中(昭)委員 どちらがよろしいのでしょうか。よく見れば分かるのですが。
○廣瀬労働衛生課主査 あくまで通達に入れる段階では、この注釈のところで血清中のインジウム濃度の測定。
○田中(昭)委員 インジウムの測定としましては、全血で測っても、血清で測っても、濃度には大きな差はないのです。
○廣瀬労働衛生課主査 そうしましたら、既に血液中のインジウムの量の測定を血清というふうにはじめに置いてしまうことが、より適切であるということでよろしいですか。こちらはご指摘のとおり修正が可能か検討いたします。
○大前座長 よろしくお願いいたします。
○田中(昭)委員 もう1点お伺いしたいのですが、いちばん最後の配置転換後の労働者に対する健診の?Aの頻度の点なのですが、「医師が必要でないと認めた場合には、1年以内ごとに1回、又は3年以内ごとに1回」。これの根拠はどこにあるのでしょうか。
○古田職業性疾病分析官 (3)の最後ですね。
○廣瀬労働衛生課主査 ここは特に例えば何か理論的に基づいて決めたというところでなく、申し上げにくいところがあるのですが、配置転換後の方に関しては、ある程度、作業中にばく露する可能性が限りなく少なくなっているということを考慮しまして、暫定的に1年以内ごとに1回、または3年以内ごとに1回とすることということで置いていますが、逆にこちらが不適切ということであれば、現時点でご指摘をいただきまして、何か妥当な案をご提案いただければと思います。
○田中(昭)委員 現状の調査から、配置転換された方は、血清中のインジウム濃度が高い方や肺にも病変が既にあって、現状の作業ができない方もいらっしゃいます。逆に言えば「医師が必要でないと認めた場合」という言葉がありますが、病変が強く出ている方には最低でも1年1回は、いろいろな項目の測定をしたほうがいいのかなと思いました。「医師が必要でない」と認める基準がまた問題になってくるだろうと思います。一律に1年にする。その3年を取って1年ごとに1回にするか、全く健康体であるということでただし書きで入れるか。ちょっと曖昧かなと思いました。
○大前座長 難しいところですね。どういうように入れるかは。
○古田職業性疾病分析官 通常は通常どおりなのですが、医師が必要でないと認めた場合のみ、間を省くことができるということにしています。
○大前座長 おそらく根拠はまだ出てきていないと思うのです。根拠がないからどうするかという話で、それは判断の問題だと思うのです。だから、医師、どういう医師かというのは非常に問題なのですが、それはとりあえず別にして、ドクターがこの人は軽いからいいということだったら、いいのではないかと思うのです。少なくとも肺に病変がある人はドクターはいいとは言わないと思うのですよね。そこを担保できない。本当はそこが担保できるような文章があるといいのですが、なかなかそれは難しいですよね。
○田中(昭)委員 いろいろな状況で費用的な問題もあり、こちらは必要でないと認めるというケースもある得るだろうと思います。
○古田職業性疾病分析官 そもそも障害が出てしまっている方は労災保険で治療の対象にもなるのかなと思うのですが。
○大前座長 そこを言ってしまうと完全にアウトですが、その前の段階で結構いらっしゃるのですよ。
○古田職業性疾病分析官 障害にまでいってないと。
○大前座長 要するに治療をする必要がないレベルでも、結構肺に変化ができているとか、そういう方は結構いらっしゃるので、たぶんそういうことをいま頭に入れておっしゃっていると思うのです。
○古田職業性疾病分析官 一律、6カ月に1回とするのも。
○大前座長 おっしゃるとおりです。
○田中(昭)委員 6カ月というよりも3年以内のほうが気になります。空きすぎかなと思いました。
○廣瀬労働衛生課主査 分かりました。おっしゃるとおり、まず3年以内というのは空きすぎということに関しては、何か代替の案があればご提案いただきたいのが1点です。あと、まず配置転換後の方に関する健康診断の項目についても、改めて(2)の?@に掲げる一次健診の項目と同じ項目をやっていただくことになるのですね。そうしますと、そこの中で少し法令上の書きぶりなので分かりにくい書き方にはなっているのですが、「インジウム又はその化合物による咳、痰、息切れ等の自覚症状又はチアノーゼ、ばち状指等の他覚症状の既往歴の有無の検査」ということはありますが、例えば1回インジウム濃度が上がったような方、配置転換後にはなっているけれども、1回インジウム濃度の上がったような既往歴のある方については、少なくともこういった既往歴のある方としてマークをされる方になりますので、これらの方については、お医者さんが必要と認めた場合というところで、通常の一次健診の並びでKL6、もしくは血清中のインジウムの量の測定、これらも通常どおり半年に1回行っていただく範疇に入ってくる方になるかと思います。
○大前座長 要するに基本的には、要らない人は外す、要らないかどうかを決めるのはドクターだと、それはドクターの責任。
○廣瀬労働衛生課主査 その場合は判断をする材料に、過去に血清インジウム濃度が上がった経緯があるかどうかですとか、そういった個々の状況を勘案した上で、血清インジウム濃度の測定、KL6の測定の頻度を決定していただくという取り扱いになっています。
○田中(昭)委員 これはこの3番の文章から汲み取らないといけないのですね。
○島田化学物質評価室長 前回お話をいただいて、例えば1回インジウム濃度が上がったりした場合には、要注意であるというようなこととか、その部分については資料2に加わっています。これはあとでまたご説明申し上げますが、いま先生がご懸念されているような、例えばお医者さんが判断する場合の考慮事項といったものも、この指針の別の部分できちんと書けるような形にはしていきます。
○大前座長 予定時間が過ぎていますが、資料2をこれから少しやりますか。
○寺島化学物質情報管理官 いま島田室長のほうから説明がありましたように、資料2の7頁に「健康診断実施後の措置」ということで、どういった場合に配置転換をするか、あるいはその判断をする際のお医者さんの参考となるような留意点について記載していますので、これも次回までの間にご覧いただいて、ご意見をいただければと思います。前段のほうにありますように、作業時のばく露防止の実際の措置の部分、それから測定の評価、基準値の部分については、本日の議論を踏まえて修正の上、次回またご提出ということにさせていただきたいと思います。
○大前座長 次回の予定がありますが、大体1時間半ぐらいのパターンでいままでやってきているのですが、たぶん終わらないですよね。次回はもう少し長くするということでは。
○島田化学物質評価室長 前回というかこれまでは別の会議との並行でやっていただきましたので、次回はこの小検討会を少し長めにとらせていただくようにいたします。
○大前座長 分かりました。では資料2につきましては、今日の議論を踏まえて修正していただいて、次回の会議の前にたぶんまた配布されると思いますので、読んでいただいて濃度の決定等々を次回にやりたいと思います。それでは予定をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 次回は来週、28日(火曜日)の午後4時から6時までの2時間です。よろしくお願いいたします。
○大前座長 ひょっとしたら延びるかもしれませんので、時間だけは少し余裕をもっていただいたほうがいいような気がいたします。前回も今日も、意見がたくさん出ますし、抱えている問題、新しい概念が入ってきたら結構難しいのです。前例どおりという形ではないものですから、そういう意味では時間を延ばしていただければと思います。
 時間が超過してしまいましたが、これで第3回の小検討会を終わりたいと思います。皆さんありがとうございました。


(了)

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