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2010年9月7日 第2回 インジウムの健康障害防止措置に係る小検討会

○日時

平成22年9月7日(火)10:00~


○場所

経済産業省別館827会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 お待たせいたしました。ただいまから、第2回の「インジウムの健康障害防止に係る小検討会」を開催したいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございます。それでは、以下の議事進行につきましては、座長よりお願いいたします。
○大前座長 それでは、今日は第2回目でございますが、小検討会を開始したいと思います。まず、議事に入ります前に、事務局のほうから資料の確認をよろしくお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 まず、議事次第の裏面に資料の一覧がございます。資料1につきましては、「インジウムの健康障害防止のための技術的指針の策定について」ということで、これは前回からの修正です。資料2は「第1回小検討会における技術指針検討の概要」です。資料3は「技術指針の検討項目(論点)」について、これは後からお配りしています横向きのA4のものです。資料4-1は「インジウム及びその化合物標準測定分析法について」。資料4-2は「作業環境管理における基準値設定の考え方(たたき台)」で、これも後からお配りしている1枚紙になります。資料5-1が「ITO作業者の健康管理に係る資料」。資料5-2が「ITO取り扱い作業に従事する労働者に行う健康診断にかかる提言」です。資料5-3が「ITO取り扱い作業に従事する労働者に行う健康診断結果の保存と通知について(案)」です。資料6が「今後の予定」として1枚紙になっています。参考資料1から5までございます。「初期リスク評価書」、リスコミの意見交換会の資料、「緊急アンケート調査結果」、そして参考4が「当面のばく露防止対策について(通知)」、平成16年のものです。参考5が「作業環境管理における基準値について」ということで、前回提出したものと同じ資料です。以上です。落丁がありましたらお申し出いただければと思います。
○大前座長 よろしゅうございますか。それでは、早速議事に入りたいと思います。今日の議事予定は大体11時半くらいまでを目途に進めたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
 それでは、最初に、インジウムに係ります技術指針の検討に入りたいと思います。検討項目につきましては、前回からの変更点と論点につきまして、事務局より説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1については、「技術的指針の策定について」ということで、これは修正をした所だけですが、2行目の所に液晶の所は「ITOの製造工程について肺障害を起こす労災が発生している」ということで改めています。また、検討事項等については変更していませんが、項目について確認しますと、作業環境管理に係る濃度基準、健診項目、作業環境の管理の対策、保護具等について検討いただくということを目的としています。以上です。資料2について。
○大前座長 お願いします。
○島田化学物質評価室長 では、資料2について、前回第1回の小検討会における技術指針の検討の概要メモです。前回は、技術指針の検討項目の関係につきましては、まず、対象物質として、塩化インジウム、金属インジウムを入れるべきではないかという意見をいただきました。併せて、インジウム燐、太陽電池に使われるインジウム化合物も対象となっていないので、ITO関連物質に拘わらず、インジウム化合物全体としてはどうかという意見をいただきました。ただ、今回については、これは事務局のほうからのサゼッションでしたが、インジウムについては、今回のITOの通知を見直すということが喫緊の課題ですので、ITOに関連する部分だけを優先して検討いただき、それ以外のものについては、現在行っています詳細リスク評価の中で検討いただくということでいかがでしょうかということです。併せて、インジウム・スズ化合物、ITOの取り扱いの対象を絞って技術指針を作成し、併せて詳細リスク評価のときに、この検討会を再度開催する可能性があるということを申し上げました。
 管理すべき濃度基準についてですが、前回の通知の作業環境の管理すべき濃度が0.1ということで、これは非常に高過ぎるという意見がありまして、変更を検討すべきという意見です。その次に、特に今回の我が国の作業環境の測定というのが、総粉じんを測定している、いわゆるオープンという形で取っているものが多くて、面速が異なると測定濃度、あるいは粒子径も異なるということで、今後は面速を規定していかないといけない時代が来ているのではないかということです。面速を規定しておけば、評価も比較的容易であるという意見でした。
 2頁です。ニッケルの場合については、毒性部位が上気道ということで、肺に至るまでの気道でしたが、インジウムの場合は肺の特に深い部分ですので、問題となるのは総粉じんではなくて吸入性の粉じんではないかということで、これに伴い測定方法や評価も変わってくるはずであるということで、その辺を議論していくべきではないかということです。
 それから、リスコミの中でも、「粒径が大きい物質を扱う作業場では血中のインジウムがあまり上がらない」という指摘もあったので、粒径の検討というのが非常に重要であるという意見でした。記録、作業環境の測定、個人曝露測定の結果についての30年間についての記録を保存するということについても検討したいということです。
 呼吸用保護具の関係ですが、前回の通知には記載がなかったけれども、原則として全ての作業で使用すべきではないかということで、たとえ作業環境の管理が0.001mg/m3を達成できたとしても、呼吸用保護具の使用は必要ではないかという意見でした。その後、呼吸用保護具については、ばく露限界値なり基準値等が決まってくれば、それに対してどのようなマスクを選定するかについては提案することが可能ではないか。現場の方々が使う際に、わかりやすいようなフローシートを用意することも可能であるということでした。
 風評被害について、これは事務局のほうからのお願いもありましたけれども、液晶は広範囲で使用されていて、いわゆる風評被害の回避対策として、一般ユーザーに対する情報の提供について検討の必要があるということです。併せて、一般ユーザーではなくても、例えば、ITOのユーザー企業、例えば、液晶の組立企業等に十分な有害性の認識がなくて、風評被害が起きるようなことが想定されるという場合には、その回避策についても検討する必要があるのではないか。
 その次です。同じ風評被害に関しては、企業に温度差があるのではないかという意見でした。特に、液晶テレビやプラズマテレビを作っているようなメーカーについては、こういう認識はあるけれども、ばく露の可能性がないから安全であるという判断をしていると思われる。それに対して、タッチパネルとかそういった物を使っているような所については、ITOというものに対する有害性の認識は欠けているのかもしれないということでした。
 3頁です。前回は、作業環境管理における基準値関係の動きを検討いただきました。まず、粒径の考慮ということで、1つは、基準値については、意見交換をしたいということで、ITOの実験、これはバイオのほうで行っていただいたものですが、LOAELとして0.01mg/m3ということで、これを基に、いくつかの試算ができるということでありますが、おそらく現場では、この試験で使った、いわゆる吸入性粉じん、レスパイラブルよりも大きな粒子も使っていることが考えられるので、基準値の設定においては、その辺りの把握がポイントとなると考えるということでした。
 ITOの場合には、動物実験でもヒトのデータでも、重症の方は別として、上気道の閉塞等の所見は見られないということで、肺に限っていいのではないかという意見だったと思います。初期リスク評価では、オープン(総粉塵量)でとっていて、平均が0.05mg/m3だったということですが、ご免なさい、これも吸引ではなくて、吸入性の粉じんが入ってくるかによって濃度は違ってくるということです。このため、単に0.01mg/m3の基準でいいかではなくて、ばく露実態調査のときの測定値がどのようなものであったかを総合的に評価をして濃度を決めていかないといけないのではないかということで、とにかく、何をポイントとして濃度を決めるかということをまず決めていくことが重要であるという意見でした。毒性が高いから基準値は低くせざるを得ないということではあるけれども、この試算値は現場としてかなり厳しい値であるということは間違いないので、その辺りを考慮すべきであるということでした。 
 それから、ミストについての意見もいただきました。塩化インジウムをミストとして吸入した作業者が、短期間で血中のインジウム濃度が上昇したという事例も経験しているということで、ミストの扱いも考慮すべきと考えるということでした。ミストの測定方法についての意見でしたが、まだ、そういう測定方法が確立されていないのが現状である。ミストが一律に測定できるわけではなくて、定性分析をしてミストだけを評価していいか確認をしないといけない。ミストと粒子が共存したときに、それがどういう形であるのかということによって測定方法が違うということで、現場の測定方法を考慮しなければいけないのではないかということでした。
 それから、長期がん原性試験の結果に関する議論をいただきました。動物試験の場合には、悪性腫瘍と良性の両方を足して腫瘍の発生と考えるが、悪性腫瘍だけを考えた場合、0.01mg/m3と。統計的に有意な悪性腫瘍の発生がないことから、0.01mg/m3のNOAELと言えるのではないかという意見でしたが、それに対して、NTP(アメリカの毒性学会)のほうでは、評価の中では良性と悪性を合わせて腫瘍の発生を評価しているので、やはり、0.01mg/m3でも発生していると見なすべきではあるということでした。
 今回の動物実験で使用したITOの粒子径というのは、0.01mg/m3の場合には、1.8μmですね、それから0.1mgの場合には、2.4μmであって、両方とも吸入性の粉じんの扱いであるということでした。
 ラットとマウスとヒトの場合の吸入性粉じんの違いということで、それについては、ラット、マウスの場合は5μm以下、ヒトの場合は10μm以下ということで、吸入のサイズは大体は同じと考えるということで、今回の粒径は多くは吸入性の粉じんと考えるということです。
 吸入実験とラット、マウスの血液中のインジウム濃度についての言及がありました。ラット、マウスで測定している場合に、ラットの場合は0.01mg/m3の試験区で、平均で0.72μg/L、これは雄ですが、雌では0.97μg/L、0.03では同じく1.96、2.10。それから、今回測定した中の最大値は3.04μg/Lということでありました。その下に行きまして、これらの値は日本産業衛生学会がヒトの基準値としている3.0μg/Lに比べてかなり低いと。ヒトと動物では単純に比較はできないけれども、3分の1以下の濃度で毒性が出ていることになるということがありました。修正があればお申し付けいただければ直させていただきます。以上です。
○大前座長 はい、前回の議論を少しまとめて書いていただきました。前回の議論を思い出されると思いますが、1つは、今回のこのまとめの中の修正点があれば、まず指摘していただきたい。もう1つは、粒径等の問題で結構どうしようかというのがまだ決定していない状態ですが、その辺についてもご意見があればいただきたい。何をポイントにして決めていくのかということは、まだ決まっていないわけですが、その辺についても意見があればいただきたいと思います。いまのは前回の概要ですが、資料3のほうがこの前回の概要も含めて論点がまとめてあると思いますので、こちらのほうも一緒に説明していただいてよろしいですか。それも含めて、少しまたご議論いただきたいと思います。
○寺島化学物質情報管理官 資料3につきまして説明いたします。横表の資料をご覧ください。まず、変更点についてのみです。資料3の2「指針イメージ」の所の1の「対象物質の概要」の所に、前回の議論を踏まえまして、インジウム(金属)、それから、塩化インジウムを追加しています。ご意見をいただければと思います。1枚めくって、後はずっと「有害性情報」「ばく露作業の概要」「設備に係る措置」の辺りが一緒ですが、次の3頁目の(3)「作業環境測定」の所に追記をしています。アの測定結果の評価の部分につきまして、「インジウム・スズ酸化物等の製造・取り扱い作業が行われる事業場においては、当該作業を行う労働者の個人ばく露測定、又は当該作業が行われる屋内作業場において、空気中のインジウム濃度を測定し、その結果をもとにして評価を行うこととする」ということを入れています。これは通常の書きぶりですが、「個人ばく露測定」と「作業環境の測定」ということで記載をしています。それから、「個人ばく露測定」の下の部分ですが、「個人ばく露測定は、6カ月以内ごとに1回」、ここもご議論いただければと思いますが、測定を行うということです。
 4頁です。「なお、別紙○の許容濃度の基準は」という所ですが、ここに基準値を入れるということで、ここもご議論をいただければということです。「我が国における動物を用いた長期がん原性試験結果を踏まえて、基準値○○とする」ということです。「作業環境の測定」のほうですが、こちらについても同様に、方法については別紙で示し、管理区分を決定することと。その際の管理すべき濃度基準として、ここに入る値を示したいということです。ここもご議論をいただければということです。
 次に、その下ですが、「評価」の部分の「個人ばく露測定」の所です。事業者は、個人ばく露測定の結果、許容濃度の基準を超える場合には、速やかに次の措置を講じること。許容濃度の基準以下になるように努めること、とされています。ここの措置については、上のほうで記載する措置を講ずるようにということになるかと思います。
 5頁です。(イ)の「作業環境の測定」です。ここの部分は、同様に作業環境測定の結果を評価するということで、第2管理区分又は第3管理区分ということで、よろしくないというような部分については、速やかに次に掲げる措置を講じて、第1管理区分となるようにする、ということです。これも通常どおりの書きぶりかと思います。「なお、個人ばく露測定、作業環境測定の結果に拘わらず、呼吸用保護具を使用すること」というのをここにも入れています。それから、「作業環境測定、個人ばく露測定の記録を30年間保管」、これは前回も入れていました。下の、呼吸用保護具の使用は変更を加えていません。「原則として全ての作業において呼吸用保護具を使用すること」と入れています。あとは変更はありませんで、別紙を付け加えています。これは、作業環境測定の方法等について記載しているものです。
 以上のような論点につきまして、ご議論をいただければと思います。
○大前座長 はい、ありがとうございました。いかがでしょうか、前回のメモ、それから、前回も出てきたこの論点に、前回から少し変更した部分を説明していただきました。前回は粒径を考えて数字を作っていくべきではないかという意見がありましたし、それから、測定のときは面速をある程度決めて測定をしないと、結局は何を測っているかわからなくなるというような意見も出たと思います。対象は、今回は急ぐということで、ITO関連物質だけでとりあえずやったらどうかというのが前回のお話だったと思いますが、いかがですか。
○中野委員 管理濃度の件なのですけれども、発がん性とかを含めて濃度を決めていくとなると、現在の既存の10-3レベルで管理していかなければいけなくなるのではないかと思うのですが、かなり濃度が低いので、総粉じん量よりも、やはり吸入レベルでより細かく見ていって基準を決めたほうがいいのではないかと思います。
○大前座長 前回の議論の中で、今回このインジウムに関しては、気道ではなくて肺胞、肺そのものの障害なので、肺胞に達する粒径でやるべきではないかというのが出ていましたが、いまそのサポートの意見だと思いますが。その辺は皆さんいかがですか。そういうような考え方でよろしいですね。トータルではなくて、やはり、肺に達する吸入性を今回ターゲットにしたほうがいいだろうと。
○名古屋委員 と思いますね。
○大前座長 それはまさに、この小検討会の中では合意したということでよろしいですか。はい。その他の論点に。
○名古屋委員 ちょっと1点あるのは、個人ばく露濃度測定と、作業環境測定に係わる呼吸保護具を使用しますね。ということになると、例えば、粉じん則などを見ていると対策ができなくて、仮のところとして、要するに別表3があって、マスクをかけるという形になっていますよね。そうすると、こういうことになると、他の所でも、できているにも拘わらずマスクをしろという形になってしまって、ここは特例という形になる所、やはり発がん性で濃度が低くて危ないから、作業環境管理ができていても密閉されていても、マスクをしろという形になるのかということ。ちょっといままでと違う概念になってくる、ここはどうなのですか。これから、要するに発がん性の低いものに対しては、現行方法と違って特例として、管理されていてきちんとしていてもやはりマスクはしろという形になるのかどうか。ただ逆に、マスクをしているのだっていいではないかと、要するにいままでの議論と矛盾するところが出てくるのですが、ここはどうなのですか、基本的な考えとしては。
○島田化学物質評価室長 事務局のほうからお答えするというよりは、たぶん、先生方にご議論いただくのが筋ではないかなと思いますが。いままでの通達においても、いわゆる個人ばく露が高いと見られる所については、マスクをつけなさいという表現にはなっていました。ただ、今回の場合には、管理ができないレベルで癌、あるいは腫瘍が出ているということもありまして、その基準値との絡みでいくと、高いレベルで基準値をセットしなければならないことが想定されるということであれば、やはり、実際に問題があるレベルとの間は、やはり個人用保護具、マスク等でそれはリスクヘッジをしなければいけないのではないだろうかなと思っています。ただ、ご議論をいただければと思います。
○大前座長 確かに少し、いままでと若干、考え方と言いますか、やり方を変えようというような案ではあると思うのです。いままでも、単純に言いますと、第1管理区分だったらマスクをしなくてもいいよというような感覚でずっとやっていたわけですが、今回の場合ですと、この場合はばく露濃度ですが、この濃度が十分低くても、やはりマスクをしましょうよという考え方ですかね。
○田中(昭)委員 粉じんの場所ではないのですが、ミストの塩化インジウム系を取り扱う作業場で、作業者ではなくて、研修者の血中濃度が上がるという事例も遭遇いたしました。作業はしていなくても、マスクは必須ではないかという印象はあります。ただ、粉じんの場できちんと管理がなされている場合はどうかというのは、異なってくるかと思います。
○大前座長 その他いかがでしょうか。おそらくいままで、例えば数字を出すときは、実現不可能な数字というのはもともと出すのがあまり意味がないということで、いままで出されてこなかったとは思うのです。その実現しようもない数字の辺で、ひょっとしたら今回のこの動物実験だと、発がんが起きるかもしれないという恐れがあるということで、マスクでカバーしようというのですかね、そういうお考えだと思いますが。   
○名古屋委員 リスク評価をして、リスクで大丈夫だよと言っているにも拘わらずマスクをしろと言うのは、それだけ全面的にマスクの信頼性があるのだったら、別段対策をしなくても、そこに入っている人は全員マスクをすればいいという議論にもなってきますよね。では、何のために測定してリスクを評価するのかという話と健康影響の所をどう棲み分けるかということの問題ではないかなと思うのです。結構その後大きな、マスクが防御率100%あって、100%オーケーだよ、でも、測定もしろよと、要するに密閉化もしろと、かなり高額の物をかけて全部対策をするわけですよね。その結果がオーケーになったと、要するに、管理濃度がここから比べてオーケーだよと、リスク評価で全然安全だよと言えても、マスクをしなさいという規定になってしまうと、現場としてはどうなのでしょうかね。
○田中(茂)委員 そうなりますね。ただ1つ、基準値が決まっていないのは、ナノマテリアルは、通達を通じて全て取り扱い作業では一応マスクをつけなさいという指導をしている、というところが1つ参考と言いますか、例として上げられるのではないかと。あるいは、後は先生、石綿の解体作業のときに、基準値以下であってもマスクを装着のことという例がある。それと比較して、このインジウムが必要かどうかという議論になるのだろうと思うわけなのですが。そうすると、そのときにやはり基準値ですかね、一種の管理基準、あるいは許容濃度という言葉を使うわけにはいかないわけですよね、何か許容濃度の基準ですか、許容基準でしょうか、何かほかの言葉が必要なのだと思うのですが、その数値に対する可能性というか、その位置付けが1つ問題になるのではないかなと。それが名古屋委員がおっしゃるように、もうそれ以下だったら大丈夫だよという、そういう根拠があればマスクをしなくていいよと。ただ、まだちょっと不安だよという情報、いままでの症例の中で、あるいは経験の中で、不安だよということであれば、とりあえずマスクをつけようという指導があってもいいのではないかと。基準値をどう、どの程度、どういう形で決めるかというところがいちばん、マスクをつけるかつけないかということ、あるいは、現場が対応できるかどうかというところに結びつくのではないかなと思うわけなのです。
○名古屋委員 アスベストの場合は常駐作業ではなく、あくまでも解体の臨時作業で、そのときだけです。ナノマテリアルについては、凝集しているのか、単分散させているのかまだ分からない、要するに、不確定な部分がたくさんあるからマスクをしましょうというのはわかるのです。ここは明らかに濃度がちゃんと出てきて、生体液も出てくるわけです。そのときにきちっと管理されているにもかかわらず、マスクをするというのはどうなのだろうかという疑問があるし、二重規制をかけているような形のものを現場に下ろしていくのはどうなのだろうか。それだけ危なければしようがないという議論になればそうかもしれませんが、普通の考え方からすれば、光学的な対策をして、かつマスクをしろというのは、ちょっと矛盾するという気がするのです。それならば、なぜ光学的な対策が必要なのかということになってくる。
 要するに、グローブボックスのような形の中に、防護服を着て入って作業をしていれば全然大丈夫だから、マスクをしなさいという形になるのではないか、その辺はよく分からないのですが、何となくしっくりこないのです。測定し、かつ、リスク評価をして安全というレベルになっていても、必ず「拘わらず」となっているのです。もし、それでよかったらという、要するに両方にかけているわけです。完全リスク評価をしてオーケーだったらマスクをしなくてもいいが、それまではマスクをしなさいと言うなら分かるのですが、それにもかかわらずマスクをしろと言うのは、ちょっとどうなのだろうかと個人的には思うことです。
○大前座長 これは数字がどのレベルで決まるかということにもかかわってくると思いますが、先ほど言ったように、現実性がない数字はあまり出さないというのが今までのやり方で、今回いくつか出てきている数字が、果たして現場で可能かどうか。もし、可能でなければ、動物実験から出てくる数字よりも少し大きくて可能性のあるレベルの数字に決めざるを得ないとなると、やはりリスクは残るわけで、したがって、やむを得ずマスクで、この場合、漏れ率などいろいろなことがあるので完全に防御できるかどうか分からないですが、とりあえずマスクで対応するという考え方でいくかどうかということです。少なくとも動物実験から出ている数字が、人間にとって当てはまるかどうかというのはいつもわからない問題で、ここは議論し出すとどうしようもなくなってしまいますので、とりあえず今ある数字でやらざるを得ない、そこから始めざるを得ないのです。
○名古屋委員 作業環境測定ですと5%イレギュラーがあるわけですから、マスクをしようというのはいいのです。ただ、そのあと個人ばく露を測るときにリスク評価をするわけですから、2つの測定がダブルでかかっていて、かつ、もう1つということになります。いままでは作業環境管理区分1であってもオーケーだったのですが、本来的には駄目だから、これからは個人ばく露測定を入れましょうという話になってきたのは少し進歩だと思います。しかし、それよりももっと先に行って、それもやるけれども、そのほかにマスクもしろと。濃度的に言うと、そのマスクもグレードの非常に高いものをしろという話になってくるのだと思うのです。
○中野委員 マスクを使用しなかったときの二層の環境基準濃度のようなものを話し合ったあと、それが現実的か、そうではないかの目安ができると思いますから、そこから今の話をしたほうがスムーズに流れるのではないかと個人的には思います。
○大前座長 インジウムの場合、NTPがインジウム燐でやった実験の結果、なぜ癌が起きるかというところで論文が1つできまして、インジウム燐に関しては閾値がありそうだという論文になっているのです。閾値がないタイプの化学物質の場合は10-3や10-4という数字を受容リスクとして計算しているわけですが、この場合はその数字以下であっても、10-3や10-4のリスクは残った状態で数字を決めているので、それが満たされれば、もともと10-3や10-4を受容しているのでリスクはゼロではない。したがって、ゼロに近付けるために、それを満たしてもマスクをつけるという考え方はないことはないと思うのです。
○名古屋委員 例えばアスベストにしろベンゼンにしろ、障害リスクレベルで管理濃度を決めています。それとの整合性が、今度は説明がつかなくなるのではないかと思います。要するに、リスクレベルを考えて管理濃度を決めているのに、管理濃度はオーケーであるにもかかわらず、今、ばく露は測っていませんから測りましょうといったとき、それを説明したときに、この物質についてはこうだと言ったとき、他の物質の管理濃度の決め方と矛盾してきますし、現行の管理体制から考えても矛盾してきます。濃度を決めてからでいいと思うのですが、そこは少しお願いしたい、議論しておいたほうがいいかなと。
もう1つは、個人ばく露濃度を測りましょうということになっていることです。ここで個人ばく露濃度の測り方を決めるのではなくて、測りましょうということだけだと思うのです。そうすると、作業環境測定は確かに今までどおりでオーケーだと思うのですが、個人ばく露の測り方をきちっと決めておかないと、そこでマスクを外すか、外さないかということが出てくる。従業者全員を測らせるのか、8時間測らせるのか、評価はどうするのか、要するに、その測定結果で判断されるわけですから、個人ばく露濃度のきちっとした規定を決める必要がこれから出てくると思います。単に個人ばく露を8時間測って、ACGIHなどと比べて許容濃度が低かったからオーケーというレベルではないと思います。やはり従業者全員にかけるとか、そこの中で統計的な処理をしていく。つまり、個人ばく露を使って個人の管理をするのか、場の管理をするのかといったところでの議論もしておかないとまずいという気がします。ここでは個人ばく露を測るということだけで、方法を決めるわけではないですよね。そこまで決めてしまうのですか。
○島田化学物質評価室長 いま名古屋委員が言われた方法というのは、いわゆる測定方法、分析方法という意味のみならず、それを評価する方法ということだと思います。現在の運用の仕方と言えば、もちろん作業環境測定は法律に決まった形で管理区分を決めて、それによって良好か、そうでないかということを位置づける形になりますが、いま個人ばく露測定の場合には、8時間のTWAが許容濃度を超えているか、超えていないかで、それが適当かどうかを判断すると。その場合は全員がやらなければならないのではないかということに関しては、場合によっては、ばく露測定の中でやられているような統計的な推測の手法といったものもあるのかもしれませんが、いまの状況ですと、その程度のことが決まっているというところです。
○名古屋委員 ですから、マスクの判断までいったときに、マスクをするということになればいいと思うのですが、よく言われるように、ばく露濃度というのは、その人がその日にばく露した濃度であって、前日に同じばく露をするか、あるいは3カ月間担保できるかということではなくて、あくまでもその日のばく露であって、それが未来永劫その濃度かと言うと、違うわけです。ばく露濃度の測定と簡単に言われますが、いまの測定に比べて、かなりハイレベルの人たちがやらないと出来ない方法だと思うのです。NIOSHのほうがいいとかOSHのほうがいいとかということは別にして、やはり評価方法もきちっと作ってあげておかないとと思います。ただ単にその人を測ってACGIHと比べたら、今日は低かったからラッキー、オーケーということで、これだけ低い濃度の者が4日後には超えている可能性がある作業をしたときには、やはり疾病が起こるということになったとしたら、測定方法をきちっと決めなくてはいけないということではないかと思います。
○田中(茂)委員 今回のインジウムの有害性について、バイオアッセイ研究センターから新たな情報と言いますか、かなり低い濃度で発がん性が認められたということが報告されたので、それへの対応ということですから、現場で管理できるか、できないかといった情報を含めて難しいし、この場での情報だけで判断がすべて出来るかと言うと、なかなか難しいのではないかと思います。そのような意味で、大前座長が言われている残留リスク、残りがあるのではないかと危惧することを現時点で判断するとしたら、ということで提案されたわけです。しかし、それも基準値をどう決めるかが最優先ではないか。その議論が進んで、その後、残留リスクがどうしても危惧されるといったときに、マスクをどうするかという議論をしたほうがよろしいのではないかという気がいたします。
○名古屋委員 議論しておくとしたら、そのところのことと、個人ばく露測定のことも先に議論してほしいということです。
○田中(茂)委員 そうですね。
○大前座長 個人ばく露測定の具体的な方法は、ここでは議論し切れないと思うので、それはちょっと置いておいて、とりあえず今ある情報の中で、どの程度の数字にすることが妥当か、現実的にできるかどうかは除いて数字を議論する。そして、そのあと現実的にできるかどうかを議論するという形でご意見をいただきたいと思います。いちばん基になる数字は、バイオアッセイの結果の0.01で、これがLOAELであると。良性・悪性両方を足しますと、有意に増えているといったところが、動物実験でのいちばん下の数字です。人間のほうのデータですと、環境濃度と人間のデータを突き合わせた情報は残念ながらないのです。血液中の濃度と人間のデータを突き合わせた情報はあるのですが、環境濃度と人間のデータはないというのが現状だと思います。したがって、動物実験のデータしか数字がないことになりますので、それを使わざるを得ないというのが現状だと思います。その1つ、インジウム燐でNTPが前にやっていて、これは0.03でした。今回はITOで0.01という数字で、両方ともポジティブな結果として出ておりますが、これを基にしてどのように考えるか。一応、試算していただいたのが前回出てきました。
○島田化学物質評価室長 いま座長が話された部分については、資料4-2に事務局からの考え方を出しておりますので、先にご説明したいと思います。
○寺島化学物質情報管理官 資料4-2の「基準値設定の考え方(たたき台)」ですが、平成16年7月の通知及び昨年度の初期リスク評価では、ACGIHの0.1を基準として対応しております。いま大前座長の話にもあったように、その後のバイオアッセイの結果から導かれた値として前回資料としてお出ししたものが、本日の最後の資料に付けてある参考5の横表です。ここから抜粋したものを資料4-2に掲げてあります。2.をご覧いただくと、バイオアッセイの試験で得られたLOAELの7.5×10-3を基にして、下記の値を算定することが可能ではないかということです。
 (1)は無毒性量NOAELとして、LOAELからNOAELへの変換のみをしたもの、これは労働補正をしておらず、種差の変換をしておりません。印刷の数字がちょっと間違っておりますが、7.5×10-4となります。LOAELからNOAELへ単に変換したのみで、7.5×10-4です。(2)は許容ばく露濃度ですが、前回の資料と同様の数字で、5.6×10-5、(3)の一次評価値は9.7×10-6で、これも前回の資料からの抜粋です。いずれにしても、(1)のLOAELからNOAELへ単に変換しただけの数字であってもかなり低く、事業者が遵守できないのではないか、実現可能性が低いのではないかという数字となります。
 こういったことを踏まえて、前回の議論にもあったように、4.のとおり、上記試験は吸入性粉じん(レスピラブル粒子)を用いてなされたものであり、現在の作業環境測定、個人ばく露測定では総粉じん量になっているので、ばく露を高く見積もってしまっているのかもしれないということを考慮する必要がある。また、基準値の補正はなかなか難しいので、測定においては分粒して測定するのが妥当ではないかということです。ちょっと追加いたしますと、平成22年度は詳細リスク評価を行っておりまして、作業環境測定、個人ばく露測定の測定法について分粒が可能かどうかを、再度検討していただいております。その結果を踏まえて、分粒が可能であれば、分粒した形によって追加のばく露実態調査、分粒不可能であれば全面でということになりますが、そういった形での検討を進める予定としております。
 以上のようなことから、リスク評価において、今後は上記のことを斟酌して基準値を検討していくことになろうかと思います。最後にある定量下限の部分ですが、個人ばく露測定で6×10-6、作業環境管理における定量下限は3×10-5となっており、(1)や(2)と比べてそれを下回っておりますので、測定上は問題ないことになります。以上です。
○大前座長 確認ですが、2.の(1)の無毒性量は7.5×10-4、(2)の許容ばく露濃度は5.6×10-5、(3)の一次評価値は9.7×10-6、いまの定量下限は、個人ばく露濃度で6×10-6、作業環境のほうで3×10-5ですね。
○寺島化学物質情報管理官 そうです。いちばん下にある測定法の部分ですが、資料4-1のいちばん後ろに、「インジウム及びその化合物標準測定法」として作業環境測定と個人ばく露測定の表を付けておりますが、この中にも定量下限というのが出てきます。このような形で、測定法は初期リスク評価の際に既に検討し、終了しておりますが、現在その見直しをしているところです。
○大前座長 先ほどの動物実験0.01、インジウムにすると0.075で、7.5μということになるわけですが、それを基にして計算すると、(1)から(3)の数字が出てくるということです。これは吸入性粉じんのばく露なので、数字を決めるに当っては吸入性粉じんとしてやるのがいいだろうといったことがたたき台には書いてありますが、いかがですか。
○中野委員 NOAELとして7.5×10-3と提言されていますが、動物実験での濃度というのは0.01mg/m3で、最小のレベルでも発がんが出てしまったということですから、本当の意味でのNOAELではないのではないかと個人的には思います。もっと低いレベルでも、もしかしたら発がんする可能性はありますよね。
○大前座長 可能性はありますよね。現実的にはインジウムとして7.5×10-3ですが、もう少し低くても出るかと言えば、もちろんそれはLOAELだからあります。残念ながらNOAELは今回求めなかったのです。動物実験の発がん実験の結果で、置く数字をいろいろ決めたという例は過去にもたくさんあるわけですか。
○島田化学物質評価室長 いわゆる一次評価値といった形で決めたものは結構あります。
○大前座長 二次評価値は許容濃度、もしくはACGIHのTWAを使っていますので、そのときは提案理由によって、ひょっとしたら癌のことを考えているかもしれないし、あるいは癌のことはあまり考えていないかもしれないとさまざまになっているわけです。
○名古屋委員 棗田さんにお聞きします。たぶん、インジウムの分析は大丈夫だと思うのですが、個人サンプラーで、吸入粉じんを取ると、ナイロンサイクロンでやるしかないと思うのです。ナイロンサイクロンでやったときに、バックアップフィルターとしてメンブランで取られたものを吸入粉じんにするのだろうと思うのですが、壁やダストボックスに付いたものを全部洗い流してトータルとしての把握と、吸引の2つを分析しておく必要はないのでしょうか。
○棗田中災防 私どもの検討上、サイクロンの場合はフィルターで取って大きい粒子を全部下に落とすのですが、下に落としたものとフィルターに付いたもので判断しています。中にくっ付いてしまったものについては、とりあえず評価はしないのですが、そのままでは使えないので、必ず洗浄して返して、次の測定の際にはきれいな状況にしてから分析、測定に回すということを考えております。ただ、たぶん洗ったところの全部を分析することも可能ですから、やれなくはないと思いますが、手間の問題と壁に付くのは大した量ではないだろうという感覚がありまして、私どもはそのようにしております。
 もう1つはミストですが、ミストはサイクロンで取ると全部壁に付く可能性が高いので、いろいろ調べても、今のところ分粒することがなさそうですので、ミストに関しては全粒で取る、総粉じんで取るしかないというのが現状だと思います。
○大前座長 その他ご意見があればお願いいたします。動物実験の結果から出てくる数字としては、レスパイラブルと吸入性粉じんでこのぐらいということだろうと思います。前回、悪性腫瘍、良性腫瘍を足すと0.01ですが、悪性腫瘍だけ見ていくと、その1つが0.03だったので、0.01がNOAELではないかという質問がありましたが、世界的な基準としては、動物実験については両方を足して評価するのがスタンダードですので、そのような形でやらざるを得ないと。長野先生、これに関してはそのような考え方でいいわけですね。
○長野日本バイオアッセイ研究センター副所長 今回の実験では、肺の悪性腫瘍は、いわゆる気管支肺胞上皮がんとともに扁平上皮がん、あるいは腺扁平上皮がんが出ております。良性を外しまして、悪性腫瘍である腺扁平上皮がんと気管支肺胞上皮がんだけを足した場合でも、0.01mg/m3群のラットの雄の発生率は5/50であり、Fisher検定でプラスになります。そのような意味で悪性腫瘍の発生増加が0.01でもあったと言えると思います。
○大前座長 今回、コントロールはゼロだったことにしているわけですね。
○長野日本バイオアッセイ研究センター副所長 肺の悪性腫瘍はゼロです。
○大前座長 コントロールがゼロということに関しては、取り立てて問題ない。要するに、発がん実験でコントロールでも結構がんが出るみたいなことはよくあるわけですが、今回の場合、コントロールがゼロであることに関しては、実験上の問題等々はないと考えていいわけですね。
○田中(昭)委員 マウスの場合はあまり有意な上昇はなかったと聞いていますが、この場合は実験動物1種類でも発がん性が認められれば、その値を取るということでよろしいのでしょうか。
○大前座長 マウスの場合、今回は全部がネガティブでしたでしょうか。
○長野日本バイオアッセイ研究センター副所長 傾向検定だけでは出るのですが、マウスにおけるこの系統のヒストリカルコントロールデータの上限よりは上にいっていないということで、明らかな増加は見られないという評価をしております。
○島田化学物質評価室長 行政的に申し上げますと、ラット・マウスという1つの動物ではなく、複数の動物で実験をするようにということで、その中でどれかの動物において癌が認められれば、それは発がん性を有するという判断をするのが今までの状況です。
○大前座長 とりあえず、いまの段階で動物実験の結果を基にして考えますと、(1)(2)(3)の数字が計算できるだろうと。いま長野先生が言われたように、悪性腫瘍だけ取ってみても一応ラットの数でポジティブになるということで、単純に良性・悪性化してポジティブだけではなくて、悪性で雄のみですが、ポジティブであるということで、その数字からスタートしても構わないだろうということです。
 数字の件はこのぐらいにしまして、今日は健康診断の問題がありますし、先ほど残ってしまった個人ばく露測定のことは、ここではちょっとやり切れないと思います。あとの予定もあって11時半ぐらいに終わりたいと思いますので、残りの時間は健康診断のほうに使いたいと思います。とりあえず、今日の段階では基準値の設定のところまでにとどめておきたいと思います。それでは、健康診断について事務局から説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 まず、健康診断の検討の仕組みについて簡単に説明いたします。本検討会において、インジウムの健康診断項目を検討いただくに当たりまして、インジウムについては詳細リスク評価を受けて、法令に基づく健康診断として規定することが想定されております。労働安全衛生法の特殊健康診断の検討に関しては、別途、行政の検討会である「労働安全衛生法における特殊健康診断に関する検討会」というものがありまして、こちらで検討することとされております。
 今後インジウムの健康診断を法令に規定する場合は、この検討会でご検討いただくということで、本検討会「インジウムの小検討会」において検討される内容との整合性を図ることが望ましいだろうということで、リスコミで出た意見等を踏まえて、特殊健診の検討会の座長であり、現在、中央労働災害防止協会の労働衛生調査分析センターの顧問をされている櫻井先生に、ご検討いただいた内容をご提案いただくことといたしました。まず、リスコミで出た意見について、再度確認方々、事務局から説明させていただき、その後、特殊健診の検討会座長提案については、労働衛生課より説明させていただきます。
 資料5-1をご覧いただきますと、健康診断の頻度について、7月22日のリスコミで出された意見を中心に取りまとめております。問診等、健診の頻度については年1回、内容については胸部レントゲン直接撮影、スパイログラム、血清インジウム濃度、間質性肺炎のマーカーとしてKL-6、SP-Dを少なくとも年1回測定する。また、これを基礎データとして就業前に測定すること。上記の健診で異常が認められた者は、ヘリカルCT、肺拡散能を含む精密肺機能健診を追加する。これらの健診は専門医による判定を受けることが望ましいという提案がありました。
 項目としては「問診」、喫煙歴、既往歴。「身体の所見」、「胸部レントゲン及び肺野のヘリカルCT」。「肺機能検査」はじん肺検診と同様なものということでスパイログラム、フローボリューム曲線等があります。「血液検査」としてはKL-6、SP-D、血清インジウム濃度の3つが必要ではないかということで、リスコミの際に提案がありました。
 次頁は健診結果を踏まえた対応ですが、胸部のヘリカルCT上、間質性変化を認めた者、KL-6が上昇している者、常時インジウムの作業に従事している者については作業転換を勧めるという意見がありました。一方、血中インジウム濃度が20ng/mL以上の高値を示す作業者については、作業転換を勧めるという意見がありました。また、その下に血中インジウム濃度が10ng/mL以上の高値を示す作業者についても作業転換を勧める。どこで区切るかについての意見がありました。
 配置転換後、離職後の健診の実施については、その事業者のもとから離職するまでの間、配置転換された後であっても、雇用している間については、できるだけ長く健診を実施するべき。退職後もできるだけ健診の機会を提供するようにフォローすべきと。特に血清インジウムなどが10ng/mL以上の人は継続してフォローする必要があるというご指摘がありました。健診の結果についても。
 それから別紙については、緊急アンケート調査結果によって、各事業者のほうで、このようなものをやっているということで回答があったものをまとめたものです。以上がリスクコミュニケーションの会合の結果、出された意見です。それでは、検討会からのご提案をお願いします。
○古田職業性疾病分析官 労働衛生課からですが、櫻井先生からのご提言について、ご説明いたします。
 資料5-2は、先ほど説明がありましたように、労働安全衛生法に基づく特殊健康診断については、労働衛生課が事務局になり、検討会を設けております。その検討会の座長の櫻井先生にご提言をいただくようお願いして、関係の先生方ともご協議いただいた上で、この提言をいただきました。
 1.は、基本的な考え方を書いています。ITOの粉じんを吸入した作業者が肺疾患を発症する可能性が指摘されていること、動物試験で発がんを含む肺疾患を起こすことが確認された、といった基本的なことを記述しています。
 2.は、ITO等取り扱い作業に従事する労働者に行う健康診断の具体的取扱いについてで、(1)健康診断の項目の?@雇入れ時及び配置替え時の健康診断の項目です。項目を読み上げますと「業務の経歴の調査。喫煙歴。インジウム又はその化合物によらない呼吸器疾患の既往歴の有無の検査。インジウム又はその化合物による咳、痰、息切れ等の自覚症状又は胸部聴診所見、チアノーゼ、ばち状指等の他覚症状の既往歴の有無の検査。咳、痰、息切れ等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査。胸部聴診所見、チアノーゼ、ばち状指等の呼吸器に係る他覚症状の有無の検査。血清インジウム濃度及びKL-6の調査。胸部の特殊なエックス線撮影による検査」。これが雇入れ時及び配置替え時の項目です。
 ?Aの定期健康診断は、一次と二次に分かれております。一次健診については、6カ月以内ごとに1回、次の項目について健診を行うこととしております。先ほどの雇入れ時の項目に「作業条件の簡易な調査」が追加されています。一次健診では、「特殊なエックス線撮影による検査」が、雇入れ時の健診から抜いてあります。
 二次健康診断は「一次健診の結果、医師が必要と認める者について、次の項目について行う」ということで、作業条件の調査。医師が必要と認める場合は、特殊なエックス線撮影による検査、呼吸機能検査、喀痰の細胞診又は気管支鏡検査としております。
 (2)健康診断実施後の措置ですが、健診の結果に基づき、医師の意見を聴取し、その意見を勘案し、必要があると認めるときは必要な就業上の措置を講ずること。特に血清中のインジウム濃度が「3ng/mL以上」となっていますが、「超える」に変更してください。「超える場合、そのほか軽度の異常」とありますが、「軽度の」も削除していただいて、「そのほか異常の所見を認めた場合は、作業時間短縮を含めた必要な措置を講ずること」としております。
 配置転換後の労働者に対する健康診断については、上記(1)の?Aに掲げる定期健康診断の項目について、医師の健診を行うこと。ただし、作業条件の簡易な調査とか、作業条件に関する調査は不要ということと、血清インジウム濃度及びKL-6の検査の頻度は、医師が必要でないと認めた場合は、1年以内ごとに1回、又は3年以内ごとに1回とすることができるということです。
 3.は、その他健康管理のことですが、ITO等取り扱い作業に従事する労働者には禁煙を指導することとなっています。以上が櫻井先生からのご提言です。
 資料5-3は、健康診断に関連して、健康診断結果の保存と通知についてです。インジウムについては1.の最後のほうですが、想定される健康障害の特性に着目し、がん等慢性障害を念頭に置いた特化物に係る規定に準じた取り扱いとすることとしてはどうかということ。2.の健康診断結果の保存については、30年間保存すること。3.は、健康診断の結果の通知について、労働者に遅滞なく健康診断の結果を通知することとしています。以上で説明を終了いたします。
○大前座長 裏側には特化則の抜粋が書いてありますので、参考にしてください。今日は健康診断の提言に関して、ここでご意見をいただいて、労働衛生課の会議で最終的に決めることになるわけですね。
○古田職業性疾病分析官 労働衛生課で担当していますのは、労働安全衛生法に基づく特殊健康診断です。法定の特化則の健康診断に関する検討をする場合に、そちらのほうの検討会で行います。この場は技術指針です。
○大前座長 特化則に則っていない部分だからということですね。技術指針だから。
○古田職業性疾病分析官 技術指針にどう入れるかということです。
○大前座長 いかがでしょうか。今回はあくまでも健康診断もとりあえずITO関連のというところで、そのほかはインジウム燐等々については、今回は省いた状態で健康診断の提言をするという形でよろしいわけですね。
○古田職業性疾病分析官 はい。
○大前座長 そういう条件のもとですが、この中身等について、ご意見はいかがでしょうか。
○田中(昭)委員 その場合、ベースは5-2になるのでしょうか。5-1を5-2に入れ込むということになるのでしょうか。
○大前座長 5-2がベースで、5-1等にあったご意見等と、そのほかのご意見を5-2の中に入れる、もしくは5-2の中に入れないものは、いろいろなことになろうかと思います。
○中野委員 資料5-2に準じて気になる点を指摘したいと思います。2.の(1)の?@ですが、業務への配置替えの際に付け加えて、離職時にも検査をしていただければと思います。
 そのあとに呼吸器疾患の既往歴とありますが、間質性肺炎は、それ以外の全身性疾患でも合併することがありますので、呼吸器疾患に関わらず、既往は確認しておいたほうがよろしいかと思います。肺機能検査の記載がないので、できましたらフローボリューム曲線と言われている努力性肺活量は入れたほうがよろしいかと思います。
 あとは肺の全体像を見たいということで、単純の胸部エックス線レントゲン及びここに特殊なエックス線検査とありますが、CTのことだと思いますので、胸部CTと明確に書いていただきたいと思います。HRCというように特殊な撮影方法がありますので、詳細な部分を見るためには、こちらのCTが必要かと思います。全体にする必要はないと思いますので上・中・下のある部分を3カ所ぐらい撮影しておいていただければ、今後の比較になるかと思います。
 定期健康診断で、既往歴ですが、その他の既往も入れていただくことと、フローボリューム曲線である努力性肺活量を入れていただいたほうがいいのではないかと思います。二次健康診断は事業者のほうの健診というよりは、一次健診で異常が見つかったときに、呼吸器の専門医が診るときの健診という位置づけでよろしいのでしょうか。
 ?Aのイに二次健康診断とあり、こちらは一般的に特殊健診で一次健診という形で施行されるかと思いますが、この項目で異常があれば、二次健診として専門家医を受診する検査項目という位置づけと考えればよろしいのでしょうか。
○古田職業性疾病分析官 これは事業者が実施します。
○中野委員 事業者が実施する、費用的に負担するという意味ですか。
○古田職業性疾病分析官 通常はそうです。
○中野委員 「医師が必要と認める場合」とありますが、こちらのほうの特殊なエックス線検査を胸部CT及びHRCTと記載していただければということと、呼吸機能検査で肺換気機能と肺拡散能と書いておりますが、肺拡散能とか特殊な健診は、一般的には「特殊肺機能検査」と言いますので、そちらを明記していただければよろしいかと思います。以上です。
○大前座長 まとめますと、1つは、雇入れ時及び配置替えに加えて、離職時も入れたらどうかというご提案ですね。2つ目は、間質性肺炎というのは、インジウムだけではなくて、例えば膠原病などでも起こる可能性があるので、そちらの既往歴も要るのではないか。したがって、呼吸器疾患だけではなく、肺線維症を起こしそうな既往歴も要るのではないかというのが2つ目のご提案です。
 検査としては肺機能検査が入ってない。この場合はフローボリューム検査が入っていないから入れたらどうか。
 いままで特化則ですと、胸部の特殊なエックス線撮影による検査という言葉がずっと入っているのですが、昔、断層撮影があったり、いろいろなことがあったので、このようになっていますが、いまはCTもしくはHRCTだということで、そちらに文言を変えたらどうか。言葉としては「胸部CT及びHRCT」というのでしょうかね。
○中野委員 別になってしまうので、及び。
○大前座長 胸部CT及びHRCTとしたらどうかと。特殊なエックス線検査というのは、そろそろやめましょうということだったのです。
○古田職業性疾病分析官 両方やるということですか。
○中野委員 1回の撮影でザーッとCTを撮りましたら、HRCTというのは画像の処理の仕方だけが違いますので、そのような形で画像再生でHRCTができます。検査は一緒ですが、特殊なオーダーなので「HRCTで画像を作ってください」と言わないと、通常は作られないことが多いのです。
○大前座長 全体をワーッと見るのと、特殊な部分をより精密に見る。ただし、検査そのもの、つまり2回被曝するわけではなく、1回で済むということですね。それが?@で、?Aの定期健康診断のアにフローボリュームを入れたらどうかというご提案がありました。
 それから、二次健診のところでは、呼吸機能検査に「特殊肺機能検査」という言葉を使えば、拡散能も入るし、換気能も入るという解釈ですか。
○中野委員 いろいろな残気量とか血液ガス検査とか。
○大前座長 呼吸機能検査(肺換気機能、肺拡散能)を特殊肺機能検査という言葉に変えるというご提案ですね。
○中野委員 はい。ただ、この検査ができる施設が限られていますので、記載をしても実際にできる病院に行かれるかという疑問は残るのですが。
○大前座長 いずれにしても二次健診というのは、事業者がやるにしても実際にやる場所はたぶん病院ですよね。
○中野委員 病院でも市中病院ではなかなかやっていなくて、大学病院とか特殊な病院でしかできない検査だと思います。
○大前座長 昔は大きな企業でしたら、どの会社にも診療所があって、レントゲンの装置があって、断層が撮れたと思うのですが、いまは大きな企業でも、自分の所に診療所を持っている所はあまり多くなくて、かつ、二次検査になって、CTなどになってしまうと、各企業では持っていないので、病院に行かざるを得ないのです。ですから、実質的には二次検査というのは病院でやっていただいて、それを評価するのは、もちろん産業医でしょうが、現実的にはそういうことなのでしょうね。いま中野委員から提案あるいは修正がありましたが。
○田中(昭)委員 血清中のマーカーではKL-6の2が挙げてあり、現状ではSP-DないしはSP-Aまで測っている所が多いかと思います。もう1項目SP-DないしはSP-Aを含めた3点入れたほうがいいのではないかと思いますが、KL-6のみでいいかどうかです。
○中野委員 多ければ多いほどいいかとは思いますが、いままで健診してくる中で、KL-6がいちばん感度が高いので、いいのではないかと思います。もしKL-6が上がっていなくて、SP-Dのみが上がっているような症例があった場合、もしそれが異常であるのであれば、ほかの項目で何か引っ掛かってくるかと思いますので、項目に関しては数を重視しなくてもいいのではないかとは思います。
○田中(昭)委員 KL-6の減少が速く、先に減少し、SP-Dが少し減少が遅い印象があります。費用的な面はあるかもしれませんが、安全を考慮した方がよいのではないかと思いますが、費用との兼ね合いかとは思います。
○大前座長 例えば一次健診ではKL-6、二次健診で、医師が必要と認める場合は、その他の血清マーカーみたいな形にしますか。医師が必要と認める場合というのは、全部やるということではなくて、解釈としてはこの項目とこの項目とこの項目が、医師が必要と認めたということでいいわけですね。作業状況の調査は全員やるとして、その下の、医師が必要と認める場合にいくつか項目がありますが、これは全部やれということではなくて、いくつかやりなさいという考え方でいいわけですね。
○古田職業性疾病分析官 はい、必要と認める場合に必要と認める検査をという趣旨です。
○大前座長 例えばここに喀痰の細胞診があるからといって、全部やれということではないですね。
○古田職業性疾病分析官 はい。
○大前座長 そういう意味では、その他の血清マーカーを入れても、医師が必要と認めればという解釈になるわけですから、要するに一次健診でやる必要があるかどうかという議論ですが、あまりやる必要はなさそうと考えていいですね。
○中野委員 ないというのは、なかなか言いにくいのですが、
○大前座長 具体的な重みづけからいったら、KL-6が圧倒的に重いだろうという感じですね。
○中野委員 下がるということは、ある意味で感度がいいのだと思いますが、もし遅発性の変化をSP-Dが見ているのであれば、項目としては必要だと思います。実際にどうなのかというのは判断しにくいような状態というか、私たちがデータを見て、まだ6、7年ぐらいなので、本当にSP-Dが下がりが悪いのなら、上がっているということが意味のあることなのかというのは、いまの時点では判断しにくいと個人的には思っています。
○田中(昭)委員 KL-6が下がってきた場合でも、肺の間質性変化等は長南先生のデータから振興している印象です。
○中野委員 そうです。その方も、かつてはKL-6が上がっていたと思います。でも、ずっと上がっているわけではなくて、急性的な炎症が落ち着いてきたら、KL-6は下がってくると思います。それは間質性肺炎ではなかったという意味ではなくて、活動性の間質性肺炎がないという意味だけであって、障害がないという意味ではないので、その辺をむしろ明記したほうがいいのかもしれません。
○田中(昭)委員 KL-6値が低下すればそれでいいと捉えている方もいましたので、1項目だけでは心配です。
○中野委員 それはちょっと時期は違うかもしれませんが、SP-Dも同じだと思います。改善してくるとSP-Dもやがて下がっていくと思いますので、一緒のことだと思います。むしろそれよりは、いちばん高かった時期がいくつだったか。血清インジウム濃度でもそうだと思うのですが、いちばん高かった時期がどのぐらい高かったのかを、むしろ常に覚えておくというか、項目何とかというのがあったほうが、その人のいままでの総ばく露量が反映できていいのではないかと思っています。毎回毎回のデータだけで判断するのではなくて、最高に高かった時期はどのぐらいだったのかということを。
○田中(昭)委員 最高に高かったときのKL-6はどれだけかということですね。
○中野委員 時期と血清インジウム濃度はいくつだったのかというのは明記しておいて、それを判断し、それを基にいまどうかというのを見たほうが、より明確なその人の健康状態がイメージできると思います。
○大前座長 インジウムの場合は旧来と違って、一旦障害を起こしてしまうと、特に肺障害が起きてしまうと治らない影響が出て、進んでしまう人もいるし、年をとればもっと進むということで、そのとき1回測った数字が絶対ではない。一次健診の結果、二次健診の結果を判断するドクターには、きちんと知っておいてもらわなければいけないわけです。
 ですから、いまの議論はKL-6が、いわゆる正常範囲に入ってきて、インジウムは例えば3を切っても、それはオーケーではないのだと。昔はどのぐらいだったか、その障害が残っていることをきちんと意識しながら、健康診断をしてくださいということなので、ここで書き込めないかもしれません。あるいは最初の「基本的な考え方」の中に、そのようなことを少し書いたほうがいいかもしれません。いずれにしても1回の結果では、そのときの結果だけでは正確な判断はできないということではないかと思います。
 いまのSP-Dに関しては、確かにKL-6の動きとSP-Dの動きは違う感じがするのです。ということは一諸にやっていて見ていますが、SP-Dのインジウムによる障害との意味合いが、まだよくわからないのです。だから、健診項目に入れてしまうには、ちょっと早いかなという感じは私もしています。
 それから、じん肺検診のことを考えると、フローボリュームテストをやるのはそんなに難しいことではないですよね。
○古田職業性疾病分析官 じん肺だからあちこちでやられていますので。
○大前座長 これもある意味ではじん肺ですからね。インジウムという肺障害のじん肺ですから、そういう意味では、いわゆる一般のじん肺と整合性は十分とれていると思います。
 それから「特殊なエックス線撮影」という文言を変えることは、あまり気にしなくてもよろしいですか。
○古田職業性疾病分析官 事務局としては見込みですが、特化則のことをもう少し考えていまから整合性をなるべくとっておきたいという気持は事務局としてはあります。
○大前座長 とりあえずこの中で、いまの胸部CT、HRCTという言葉を使ってもよろしいですね。こちらに揃えましょうみたいなことですが。
○寺島化学物質情報管理官 法令の特化則の健診に載せた場合も、もちろん「特殊なエックス線」という文言を整合性を合わせて使うとしても、それに解釈の通達などが出てきますので、こちらでは技術指針というのは、一応通達レベルと考えていますので、わかりやすく法令と異なってはいけないのですが、詳しい形で書くのは差し支えないのではないかと、化学物質対策課の状況としては思っています。
○田中(昭)委員 定期健康診断の実施間隔は6カ月になっているのですが、一旦ばく露がある程度軽減された場合には、1年でもよいのではではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○大前座長 先生がおっしゃるのは、全員半年ごとではなくても構わない、人によっては1年に1回でも構わないのではないかということですか。
○田中(昭)委員 例えば、インジウムの粉じん吸入の場合では、間隔は1年でもよいのではないかと思います。リサイクル関係は、年2回のほうがいいのかもしれません。それを分けるか、一律に半年に1回、1年に1回実施するかです。
○大前座長 今回のこの案の場合は、ばく露の程度に関わらず、ITO関連の仕事をしている方は半年に1回というのが今回のこの提案です。
○田中(昭)委員 長南先生のご提案は、「少なくとも」という書き方です。「少なくとも」ということからすれば、年に2回も入るのではないかとは思います。もし年に2回となった場合、ここに書かれている項目は全部行うということですか。
○大前座長 一次健診は全部ですね。したがって、具体的にはこの中でお金が必要ということになると、血清インジウムの濃度、KL-6、肺機能検査、これは一次健診でお金がかかるということになると思います。
○田中(昭)委員 モニターの回数は多いほうがいいとは思うのですが、ほかは2回やっていらっしゃるのですか。
○大前座長 一応、特化則の規則等々の健診は全部2回、6カ月以内に1回です。
○寺島化学物質情報管理官 ちなみに参考3の緊急アンケート調査によりますと、各企業で、いま現にどの程度やっているかというのが問8-2にあって、年に1回程度が15社、6カ月に1回程度が7社あります。1年間にどのぐらい変化するのか、見逃がしが起きないのかということなのだろうと思います。
○大前座長 1年間の平均稼働というのは、いままでの例を見てますと、比較的最近ばく露を始めた方で急激にインジウムが上がった方は、蓄積が大したことがないから、割合早く下がります。もちろんインジウムが上がって仕事から外れる、もしくは完全防御すればアレですけれども。KL-6がワーッと上がった方は、わりと下がりますが、長い方はなかなか下がりません。一旦肺に蓄積してしまっている方はインジウムの濃度はなかなか下がりませんし、KL-6の下がりも遅いのです。
○中野委員 イメージとしては、悪くなるときは6カ月に1回でも遅いぐらいですが、改善を見る場合は1年に1回でもいいのではないかという印象です。
○名古屋委員 よくわからないのですが、たぶん特化則で2回やっているのと、この濃度はものすごく低くて、管理濃度を低くする可能性は高いですよね。そうすると、やはり6カ月に1回診ておかないとまずいのではないかという気がします。もう少し濃度の高いもので、進行性がそれほどなかったら1年に1回ですが、特化則は発がん性を考えて、6カ月に1回ずつとなっているのですから、ここもやはり6カ月に1回ではないかと個人的には思います。
○大前座長 そのほかいかがですか。いま追加のご意見、変更のご意見、いくつかご意見が出ましたが、そのようなことで、次回までに少し修正なりをしていただいてという形でよろしいですか。
○島田化学物質評価室長 1点だけ伺いたいと思います。実はこの対策、指針を入れる趣旨は、対策の加速ということで書いたとおりですが、いまの健康診断の項目、アンケートなどを見ますと、胸部CTというのは実施している企業が少なくなっている状態です。これは結構なコストがかかることと、中野先生のお話の中に、すべての医療機関で必ずしもそれができないものもあるということを伺ったのですが、そういう意味で、特に中小企業などを含めて、無理のないものが必要ではないかなという視点があります。そういう意味で、いまご議論をいただいていた部分は、そんなに違和感はないものなのでしょうか。中小企業も含めて、対応ができると判断できるものでしょうか。
○中野委員 胸部CTが入っておりますのは、最初と配置替えと離職時です。あとは医師の判断でするということですので、そんなに負担ではないのではないかと思うのと、まずここで証拠をとっておかないと比較ができないので、それはするべきではないかと考えます。
○大前座長 そのほかご意見、いかがですか。なければ、いま出た意見を事務局で少しまとめていただいて、次回にでもと思います。
 一応予定の時間になっておりますが、今日は資料4-1を時間がないからということで飛ばしましたが、資料4-1「リン化インジウムの分析測定法にに関する検討結果」のポイントだけ説明していただけますか。今日はいいですね。これを見た瞬間にリン化インジウムだけと書いてあるので、いいかなと思って飛ばしてしまったのですが。
○寺島化学物質情報管理官 いまインジウムについてやっていたのですが、その前にリン化インジウムの初期リスク評価をやって、そのときに作ったものに手を加えたという形になっていますが、全体に使えるだろうという結論です。
○大前座長 予定の議事は終わりましたが、そのほか事務局から何かありますか。
○寺島化学物質情報管理官 資料6に今後の予定を付けております。次回は9月21日火曜日の午後2時から、会場は同じ部屋です。第4回は、その1週間後の28日火曜日、16時から同じ会場で開催の予定です。
○大前座長 では、ご予定をよろしくお願いいたします。
○田中(昭)委員 1点確認させていただきます。対象物質ですが、前回に比べて、金属インジウムと塩化インジウムを挙げていただきました。金属インジウムと私が言ったかと思いますが、金属インジウムそのものではなくて、作業工程でばく露を受けている可能性が高いので、ここの記載を金属インジウムとすべきか、取り扱い工程にするか、皆様方のご意見を伺いたいと思います。
 もう1点は、洗浄ブラストもITO関連作業に入れるべきなのか、それは別物なのか。粒子径が大きいとかという話ですが。
○寺島化学物質情報管理官 ターゲットを洗浄する。
○田中(昭)委員 スパッタリングをかけた装置の中の洗浄です。
○寺島化学物質情報管理官 装置を洗浄する。
○田中(昭)委員 大きい装置で、直接見たことがないのですが、それを洗浄するというか、ブラストと書いてあります。
○寺島化学物質情報管理官 刮げ落とす。
○棗田中災防 ブラストをかけるとすると、ブラストはそこの事業所ではやらないで、普通は回収して別の業態の所に持っていってやっていると思います。ブラスト自身はショットブラストの中でやるので、実質のばく露はそんなにはないと思います。ただ、事業所が変わると思います。
 通常はITOを生産しているメーカーは、枠にITOを入れて流しているのですが、それがだんだん積層してきて、ITO自身が溜まってくるので、そのITOのターゲットの枠を、ほかの清掃事業所というか専門の洗う所があるのですが、そういったメーカーに送って、たぶん最初は水洗して、そのあとにショットブラストに入れて、きれいに磨いて、最後に戻してあげるということになります。そうすると、業種が違うので、それはそれで先生が言われているように心配であれば、そこを入れないと抜け落ちが出てきてしまうというのは、おっしゃられているとおりです。
○大前座長 ひょっとしたら言っておられることが違うかもしれませんが、いま言われたのは、スパッタリング装置そのものの内面の清掃だと思います。それはサイズが小さければ移動できるのですが、最近の大きいものは移動できないので、現地か、あるいはその場所でやるらしいのです。
○島田化学物質評価室長 一応スパッタリング装置のメインテナンス作業については、次回それに関する事業者からのヒアリングというか、事業者との意見交換をさせていただくようにしております。その場でご確認いただいてもよろしいのではないかと思います。
○大前座長 もう1つのインジウム金属のほうは、たぶんボンディングとか鋳造のことをおっしゃっているのだと思います。これはインジウムのメインテナンスそのものが問題になるのではなくて、表面の酸化によって出てくる酸化インジウムが問題になるので、メタルインジウムというよりも、むしろ作業工程みたいな、そのような表現が何とかできないかというお話だと思います。これも検討していただければと思います。
 それでは、11時半までの会議はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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