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2010年7月12日 独立行政法人評価委員会労働部会(第60回)議事録

○日時

平成22年7月12日(月)14:00~17:00


○場所

専用第21会議室


○出席者

   井原部会長、篠原部会長代理、小畑委員、川端委員、堺委員、中村委員、松田委員、宮本委員、本寺委員


○議事

(以下、議事録)
 
○井原部会長
 定刻になりましたので、ただいまから第60回「独立行政法人評価委員会労働部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集りいただき、誠にありがとうございます。本日は個別評価の2回目、労働者健康福祉機構の個別評価となります。委員の皆様にはご審議よろしくお願いいたします。本日は今村委員と寺山委員がご欠席です。
 それでは早速、労働者健康福祉機構の個別評価に入ります。最初に伊藤理事長から、ご挨拶と、平成21年度における業務実績概要の説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長
 労働者健康福祉機構の理事長を務めております伊藤でございます。よろしくお願い申し上げます。私ども労働者健康福祉機構が独立行政法人に移行しましてから、今年で7年目に当たります。そして今日ご審査いただきます事業実績のほうは、第1期の中期目標が済みまして、第2期の中期目標を厚生労働大臣から与えられておりますが、その初年度の実績となります。よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 この7年の間、私ども、資料1-1の事業体系図にございますとおり、労災病院事業、圧倒的なスタッフがここにいるわけですが、さらには車の両輪の関係にございます産業保健推進センター等々、多くの事業展開をいたしております。この労災病院事業はかなり特別な医療機関ではありますが、医療機関であることは事実でありまして、ご案内のとおり独立行政法人に移行しましてからも診療報酬のマイナス改定、また、医師不足の進展、さらには看護師の猛烈な確保競争と、大変厳しい環境の中で展開をさせてきていただいております。
 また、一方の産業保健推進センターにおきましても、職域における勤労者の健康確保、この勤労者の健康を巡ります環境はかなり厳しく変化いたしており、私どもはここで展開いたしますセミナー、相談等々も常に新しい課題、アスベストの健康被害の社会問題化、あるいはメンタルヘルス問題の深刻化、さらには新型のインフルエンザについての企業の対応の在り方、等々に常に重点を見極めながら展開をしてきたところでございます。
 とりわけこの労災病院事業につきましては、私ども労災医療という政策医療を支えながら、そこから得られる専門的な知見等々を蓄積し、それぞれの地域で発信をしていく中核的な役割を果たすと、こういうことが使命でございます。それをこなしていくためには、何と言いましても地域の中でしっかりとした基盤を作らなければなりません。そういう意味で、例えば地域医療支援病院、後ほどの説明に出てまいりますが、独法移行時は3カ所ほどしかございませんでしたけれども、これも21年度17カ所と半数以上が地域医療支援病院としての指定を終えて役割を果たしています。がん拠点病院についても同様で11病院、3分の1強ががん拠点病院として地域の中核的役割を果たしております。
 もちろんこれらはITの整備から始まり、リニアック・高度医療機器の整備等と、大変な投資が前提となるわけですが、それらを国費に依存することなくこなしてまいりまして、現在の姿がございます。
 ただ、私どもがそうした基盤の上に支えるのはあくまで労災医療という政策医療でございまして、この労災医療そのものは大変特徴がある専門性も求められる医療ですので、当然不採算でございます。こうしたものを支えていくための、より強固な経営基盤の確立が求められるわけで、そうした意味で私ども独法化以来、経営基盤の強化、このような労災医療という使命を支えて、自分の足で立とうということを合言葉に奮闘してまいりました。
 これも21年度の数字で申し上げますと、独法移行時に191億円という欠損がございましたけれども、これが21年度は51億円の欠損ということになっております。ただ、この51億円の欠損のうち49億円は、私どもが加入しております厚生年金基金のサブプライムローンの破綻、そしてその後のリーマンショックによる国際的な金融情勢の悪化等々の中で、厚生年金基金の資産の運用実績が著しく落ちたことに伴い、その落ちた分を退職給付費用として費用計上しているものでありまして、これは医業活動とはまた違うところから出てきている要因でございます。
 医業活動に限ってみますと、この21年度は経常損益では4億円の黒字に転換をしている、そういう年でもございます。着実に経営基盤の強化、そして国費に全く依存しない形で、今後の政策医療を支え得る力というものが備わってきている段階に入ってきているのではないかと思っております。
 お陰様でこの22年度は診療報酬のマイナス改定ではなくて、若干のプラス改定になりました。それから、これは22年度の財務諸表に反映されますけれども、21年度の厚生年金基金の資産運用も、言わば予定運用値を実績がかなり上回るというふうに転じましたので、いよいよ私どもは累積欠損の解消に向けて、確実な道筋に入れる段階にきたのではなかろうかと思っております。
 また、産業保健推進センターも先ほど申しましたように、時々の勤労者を巡る環境、健康問題の動向を見極めながら重点を絞って進めてきており、お陰様でセミナー、相談等々もかなり実践的なものを展開しており、満足度も90%を超えております。利用者の大半は開業しながら小規模事業所の健康相談等を行っている嘱託産業医の方、あるいは企業の人事労務担当者であり、高い信頼を得ているところでございます。
 今日、後ほどお話があるかと思いますが、一連の事業仕分けを通じて、この産業保健推進センターにつきましては、現在、各都道府県で拠点を作って、そうした産業保健活動のレベルアップに努めているわけですが、これを3分の1程度に集約するというのが一連の事業仕分けの方向になっております。
 これに対して、各地のそうした開業しながら小規模事業所を担当されている認定産業医の方々、あるいは医師会の皆様は、拠り所がなくなるということで大変な反発をしておりますけれども、産業保健サービスの低下ができるだけ少なくなるような新たな展開ができるかどうか摸索をしていきたいと思います。こうした反発も、私どもが展開している産業保健推進センター事業に対する評価の裏返しのものではなかろうかと思っております。
 いま申し上げましたように、後ほど詳しくご説明しますけれども、ただ、こういうふうにある意味では順調にきておりますが、多くの課題も厳しい環境の中で残っております。これまで同様、委員の皆様方からの貴重なご意見、ご示唆等をいただきながら、さらに私どもの組織運営、業務展開に磨きをかけてまいりたいと思っておりますので、よろしくご指導をお願いいたしたいと思っております。

○井原部会長
 ありがとうございました。続いて評価の参考に資するための、4月15日に行われました省内事業仕分け、4月23日に行われました行政刷新会議事業仕分けでの、労働者健康福祉機構に関する審議の概要について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 ご説明いたします。お手元の参考資料1、2をご覧いただきたいと思います。法人の実績評価書とは別に、おそらく議事次第等の後ろのほうにあるかと思います。参考資料1が、省内事業仕分けの結果となっております。省内事業仕分けですが、前回の部会の際にも紹介いたしましたが、行政刷新会議が行っております事業仕分けと異なり、その場では結論を出すという形ではなく、仕分け人の方がコメント等へ表決の結果を述べていただいて終わっております。それを受けました改革案については、現在、本省のほうで法人と相談しながら進めているというような状況です。
 省内事業仕分けのほうは参考資料1に結果をまとめておりますが、労災病院事業、労災リハビリ作業所など労災病院事業に関連する事業、産業保健推進センター事業、未払賃金の立替払事業の4つの事業と、それから組織・運営体制についての合計5つの項目で議論が行われました。その結果、こちらに資料を全部付けております。
 労災病院事業について、改革案では不十分が5名、改革案が妥当が1名。不十分とされた5名のうち、2名の方が「事業の効率性を高めた上で、民間へ譲渡又は委託実施」。2名の方が「法人で事業継続するが、更なる見直しが必要」としております。
 労災リハビリ作業所などに関するところですが、こちらは、改革案では不十分が4名、妥当が2名。不十分とされた4名のうち、2名の方が「事業を分解し、国、自治体、民間へ譲渡」すべきとしております。
 産業保健推進センター事業につきましては、改革案では不十分が5名、妥当が1名となっており、不十分とされた5名のうち、3名の方が「事業の効率性を高めた上で、自治体へ事業を移管し実施」すべきとしていまして、2名の方が「法人で事業継続するが、更なる見直しが必要」としております。
 未払賃金の立替払事業につきましては、改革案では不十分が4名、妥当が2名となっていまして、不十分とされた4名の方のうち2名が「事業の効率性を高めた上で、自治体へ事業を移管し実施」という形になっています。
 組織・運営体制について、改革案では不十分が4名、妥当が2名。不十分とした4名の方のうち3名の方が「更なる見直しが必要」という形になっています。その場で議論の際に使われました改革案等は、この資料の1枚目の後ろにそのまま付いておりますので、ご覧いただければと思います。
 続きまして参考資料2、行政刷新会議の事業仕分けの結果について、ご紹介いたします。行政刷新会議の事業仕分けはワーキンググループごとに別れて実施されておりますが、ワーキンググループBが担当になりました。資料に事業番号が振ってありまして、2回に分けて取り上げられ、1回目は事業番号B-4が参考資料の1枚目から始まっております。産業保健推進センター事業、自発的健康診断受診支援助成金事業について、議論の結果をまとめたものです。
 「WGの評価結果」です。産業保健推進センター事業については、法人が自ら示している3分の1程度に集約するべきではないか、地域産業保健センターとの統合も検討すべきではないかといった議論がありましたが、法人が実施する、事業規模は3分の1以上に縮減とする、という結果が出ております。
 (2)の小規模事業場産業保健活動支援促進助成金事業については、事業の廃止をご報告し、確認をして終わっておりますので、割愛させていただきます。(3)自発的健康診断受診支援助成金事業は、議論としては、約2,200人の実績では全深夜労働者に占める割合が少なすぎ、事業に合理性がないといったことが言われましたが、結論としては廃止となっております。
 事業番号B-5の、国立病院とともに労災病院の設置・運営についての議論では、評価結果に結論を書いております。国立病院とほぼ同様の指摘がなされ、事業については、当該法人が実施をするけれども事業の規模は縮減する、病院のガバナンス機能を強化することなどについても広く検討すべき、といった内容になっております。こちらも行政刷新会議の際に使いました資料はまとめて綴じておりますので、ご参考にしていただければと思います。以上でございます。

○井原部会長
 それでは評価を進めさせていただきますが、これからの進め方は、労働者健康福祉機構の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきたいと思います。
 まず、グループ1「高度・専門的医療の提供」、「勤労者医療の地域支援」及び「行政機関等への貢献」の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分の合計40分となっております。それでは法人からのご説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 総務部長の楪葉です。よろしくお願いします。
 まずポイントを資料1-1のポンチ絵で説明し、自己評価については資料1-2の「平成21年度業務実績評価シート」をご覧いただければと思います。なお、最初に誠に恐縮ですが、資料1-4「平成21年度業務実績評価参考資料」がございます。これは前回、寺山委員を初めとしました委員の皆様からご指摘があった、労災病院の個性といいますか特徴といったものを記しております。またポンチ絵の説明に出てきます医療関係の用語について、簡単に説明させていただければと思います。
 資料1-4の1頁は、32の労災病院の特色と政策的役割といったものが記されております。例えば一番左上にあります北海道中央労災病院、これは承認病床数312です。労災疾病等13分野、これはまた後で説明がありますが、そこにおける医学研究における位置付けですが、じん肺をメインにしているということです。右のほうの特色ですが、じん肺症の診断、治療、あるいはリハビリテーションの専門病院として北海道随一の実績をもっているということです。
 もう1つご参考までに2頁の一番下、東京労災病院がございます。労災疾病等13分野における位置付けですが、産業中毒、両立支援、こういったものです。右側は産業中毒について、我が国随一の臨床研究、健診、治療、リハビリテーションを実施しており、また、「職場復帰・治療と就労の両立支援」のセンター病院であるといった特色があります。分かり易いところを2つほど説明させていただきました。
 続きまして8頁の「労災病院事業説明に係る用語・解説」についてです。お分かりの方も多数おいででしょうが、また改めて説明いたします。左上の「看護体制」です。その下に7対1看護体制の解説を見ますと、入院患者7人について看護師1名でもってこれを配置するというものです。「備考」としまして、7対1入院基本料は1日につき1,555点の診療報酬であるということです。その下の平均在院日数は解説の「効果」をご覧いただきたいと思います。日数が短縮することにより、病床回転率が向上し急性期患者の受け入れが図られるというものです。
 続いて「DPC」とありまして、これも「効果」のほうをご覧いただきますと、いろいろ長々と書いてありますが、言わば医療費の定額支払制度である、出来高払ではないというものです。疾病により診療報酬が決まり、そのため回復への最適な治療を行った医療者においては、診療報酬から治療にかかった費用を差し引いた分だけ利益が発生すると、こういったことになります。
 続いてその下の「紹介率」と「逆紹介率」があります。右のほうに解説として分子・分母も書いてありますが、ざっくりと申しますと、分母が初診患者数、分子が紹介患者と思っていただければと思います。「効果」は、紹介率が高い病院ほど病院と診療所、病院と病院の連携の積極的な推進が図られているということです。逆紹介率もしかりです。
 9頁の「地域医療支援病院」の解説の「効果」のほうですが、これを取得した病院は診療報酬上の加算が算定できるなど、経営面でのメリットがあります。右の「備考」、地域医療支援病院入院診療加算では入院初日1,000点というものです。その下「地域がん診療連携拠点病院」ですが、これも経営面でのメリットがあります。がん診療連携拠点病院加算としまして、入院初日500点です。その下に「病院機能評価認定病院」というものがあります。「効果」の評価項目には、患者サービス、療養環境、医療の質があります。診療報酬上の加算はありませんが、患者に対するPRや職員の意識向上等を目的として受審する病院が多いというものです。
 10頁の「クリニカルパス」は、「効果」のほうで、計画表に従って治療を行うということにより、標準的な医療が行われるということです。また患者にとっても「どのような治療を受けるのか」「いつごろ退院できるのか」等が理解し易くなるということです。その下の「地域医療連携パス」は、地域医療連携パスを活用することにより、転院先でも継続して計画的な治療を続けることができる、また紹介率の向上につながると、病院経営にも効果があるということです。「備考」は、地域連携診療計画管理料として退院時900点です。
 11頁からは高度医療機器、上の2つ「アンギオグラフティー」「ガンマナイフ」です。「備考」では3,600点なり、あるいは5,000点、5,400点、あるいは50,000点と非常に高い点数が付くというものです。以上ご参考までということでした。
 それでは、資料1-1のポンチ絵をご覧いただきたいと思います。「労災病院の目指す医療」を柱立てしたものです。左上から1「地域の中核的役割の推進」、2「急性期医療への対応」、3「医療の高度・専門化」等々です。
 2頁目の「中核医療機関としての体制構築・強化」です。まず左下の箱に「労災病院が持つ主な役割」を示しております。地域がん診療連携拠点病院が11あります。アスベスト疾患センター25、災害拠点病院8、地域医療支援病院17です。左上の箱ですが、「拠点病院等の指定に向けた積極的取組」、あるいは「4疾病・5事業等の診療機能の充実」を図り、地域における中核的役割の推進、労災医療に関する知見・情報の発信基地となることを目指しているということです。
 3頁は「急性期医療への対応」です。左上の箱ですが、入院基本料7対1につきまして、21年度は9施設まで増えてきております。平均在院日数は21年度15.2日まで短縮しており、医療の質の向上と効率化に努めているところです。「救急医療体制の強化」の表がありますが、21年度の救急搬送患者数は6万7,703人となっています。右は「地域医療連携の強化」です。「地域連携パス」の導入件数は、21年度60件となっています。
 4頁は「医療の高度・専門化」です。一番上の箱、高度な知識あるいは技量をもっているとして、学会が認定しております学会認定医数が999名。さらに専門度が高い専門医数1,596名、これらを指導する指導医数687名となっています。「専門センター化の推進」ですが、専門センターは146設置しております。一番下の先ほど申しましたアンギオグラフィー、ガンマナイフ、こういった高度医療機器についてもすべて自己資金にて、平成21年度は78億円の投資を行っているということです。
 5頁は、後ほど説明いたします労災疾病13分野について、それぞれに診療体制や活動を指標として設定し、医療面の評価を行っているものです。A、A´、B、Cというような評価です。その評価についてはAが11、A´が4というふうになっています。
 次に6頁、これも3月の評価委員会にてご指摘いただきましたIT関係です。本部に経営企画担当理事をもってして「CIO」を配置しております。下は病院内の委員会等です。「病院情報システム委員会」あるいは「ワーキンググループ」等々です。やり方としまして、病院から計画書が出まして本部がそれを承認します。右のほうの矢印ですが、導入前後の指導支援を行うというものです。なお、下の「コンサルタントの配置」です。これは千葉労災病院の例ですが、コンサルタントの活用により、約6千万円のコスト削減が実施できたということです。
 7頁は、横浜労災病院におけるIT化の効果を検証したものです。「患者サービスの向上」です。待ち時間の短縮は、1時間以上、患者にとって画像を用いた理解しやすい診療の説明が容易になった、こういったことを記しております。左下の「医療の質の向上」ですが、患者の診療データの一元管理、あるいは共有化による、他の科の医師の意見の取入れ。チーム医療の促進ができたということです。「経営基盤の強化」です。コスト削減としまして、紙カルテが年間約700万円。またフィルムレス化によるフィルム削減が年間約5,500万円ということです。
 8頁は「労災病院グループとしての取組」です。医師の確保、育成に取り組んできたというものです。「医師の確保」につきまして、医師派遣制度の活用、ホームページでの公募、大学医局への働きかけを行ってきたというものです。特に左下の「医師の働きやすい病院づくり」というところで、事務補助要員の確保による業務軽減を進めております。また、育児のための短時間勤務制度を設けているところです。「医師の育成」としまして、(1)臨床研修指導医講習会の実施、(2)初期臨床研修医集合研修の実施等を行っているところです。
 9頁は看護師の確保・育成の関係です。確保につきましては、就職説明会の開催、ガイドブック、ポスターの作成、院内保育所の整備等を行っております。育成の関係ですが、奨学金の貸与、研修等を実施しております。その成果ですが、新規採用者数が22年4月1日では930名でした。看護師の離職率は20年度10.3%から21年度には8.7%に向上しておるところです。全国平均は11.9%でした。
 10頁は「労災看護専門学校における勤労者医療に関するカリキュラム内容」です。勤労者医療概論とか、メンタルヘルスマネジメント、こういったカリキュラムを取り入れております。「労災看護専門学校卒業生の看護師国家試験合格率」は、21年度98.6%でした。全国平均は89.5%ということで、いつもだいたい8~9%高くなっています。
 11頁は「提供する医療の質の評価」です。患者満足度調査の結果では、有効回答2万6,226人ですが、満足という割合が81.8%となっています。なお、入院に係る費用について説明してほしい、あるいは自分の病気や治療方法について調べる手段がない、というような意見・要望があります。こうしたものを取り入れ、「改善点」として、クリニカルパスを用いた分かり易い説明の励行ですとか、代表的な疾患についての入院概算費用の外来掲示等をやっておるところです。
 下は先ほど申しました外部評価の関係ですが、外部評価機関、日本医療機能評価機構等による認定施設数です。昨年度に引き続き30施設が認定されております。参考に、全国病院の認定率は29.3%です。
 12頁は、クリニカルパス、DPCといった「医療の標準化の推進」です。右上に折れ線と棒グラフがありますが、まずクリニカルパスの適用率は87.9%まで高まってきています。またDPC対象病院の推移を示しておりますが、平成21年度には準備病院すべてが対象病院となりまして、30施設のDPC対象病院となったところです。
 13頁は「安全な医療の推進」の関係です。左の絵がありますが、労災病院をグループ分けし、他の病院をチェックするという相互チェックを行っています。右は「労災病院共通の『医療安全チェックシート』による取組」。また「医療安全に関する研修の実施」。さらに「医療安全推進週間」。労災病院のテーマとして、「患者・地域住民との情報共有と患者・地域住民の主体的参加の促進」ということで、例えば患者・地域住民を対象にしまして医療安全コーナー、医薬品情報の提供、転倒等防止用具の展示・実践等の設置を行っております。
 次にシート2になりますが、14頁の「勤労者医療の地域支援の推進」です。左上の「評価の視点」として、労災指定医療機関等の有用評価を75%以上得られたかということです。診療や産業医活動に有用だった旨の評価は77.9%ということで、達成しておるところです。左下にあります患者紹介率、逆紹介率等々のすべて、21年度目標を達成しております。特に上のほうにあります患者紹介率ですが、第1期目標に比べ目標値を10%上げて設定したところですが、これは55%と無事クリアしたところであります。新しく逆紹介率、これも新しい目標として設定したところですが、これも年度目標は達成しております。
 15頁は「地域医療支援病院」の関係です。左に「労災病院グループ」となっております右のほうの「地域医療支援病院の承認取得」ですが、新たに21年度は5施設取得したということです。
 16頁は「行政機関等への貢献」です。アスベスト関係は、例えば環境省に対して、あるいは大阪府や尼崎市、こういったところの審議会等に参画しています。また、労災等(中央)関係、労災等(地方)関係、こういったところにも参加しているということです。「労災認定に係る意見書」等の作成ですが、これも平成15年度から21年度にかけて1件当たりの処理日数が大幅に短縮しているというところです。
 17頁は主にアスベスト、石綿関係です。新規事業だけ申し上げます。「H21年度新規事業」とありまして、石綿関連疾患診断解説DVDの製作・配布を行ったということです。一応、DVDの写真があります。これを全国約2万の労災指定医療機関に配布しているということです。
 18頁はグループ1の最後ですが、新型インフルエンザの対応について、国、地方行政機関と連携しまして、例えば名古屋市医療圏新型インフルエンザ対策会議等がありますが、こういったところに参加しております。また下の写真ですが、発熱外来を設置している、あるいは成田検疫所に職員を派遣しているといった対応をとっております。
 それでは評価シートの9頁の、シート1「高度・専門的医療の提供」です。?@患者満足度調査が80%以上と計画を達成できたこと、?A7対1入院基本料を算定する病院が5から9施設に拡大したこと、?Bクリニカルパスの作成やその適用を推進したこと、?C78億円の自己資金投入による機器整備を行ったこと、?D病院機能評価の認定率が93.8%となっていることから、自己評価をAとしております。
 14頁は、シート2「勤労者医療の地域支援」の関係です。?@平成21年度においては目標値を昨年度より高く設定したほか、新たに逆紹介率についても目標値を設定しました。その結果、取組実績はすべてクリアしています。?A地域医療支援病院について、21年度に新たに5施設が承認され、合計17施設になっています。こうしたことから自己評価をSとしております。
 19頁は、シート3「行政機関等への貢献」です。?@国、自治体の要請に応じて、審議会及び委員会等に積極的に参加しております。?A新規事業として、石綿関連疾患の診断を解説したDVD作成をして、全国約2万の労災指定医療機関に配布しているということ。?B新型インフルエンザ対策として、各労災病院に発熱外来を設置し、成田検疫所への職員派遣を行ったということ。?C労災認定に係る意見書作成について、1件当たりの処理日数を大幅に短縮したということ。以上のことから、自己評価をSとしております。第1グループは以上です。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。委員の皆様、評価シートへの評価、評定等の記入をお願いします。また、ご質問等がありましたら是非ご発言願います。

○松田委員
 基本的なことかもしれませんが、ちょっと質問します。労災病院というのは、もともとはアスベストの患者を治すための専門的医療機関だったと私は思っています。いま現在は、民間の病院と同じように総合的医療機関になっています。それは間違いないですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 労災病院について、アスベストはもちろん私たちが取り組むべき主要な課題の1つですが、先ほどの資料1のように、各病院ごとの特徴、特に政策医療面の特徴を記入してあるように、労災疾病は非常に広範です。それは、職業性の化学物質によるがんから、じん肺、働く女性のいろいろな健康問題も含め、たくさんあります。13疾病の分野は後ほど説明しますが、アスベストはそういった労災医療の一部分です。ただ、じん肺にせよ、アスベスト問題にせよ、私ども労災医療として、やはり専門性を高め、それを担う人材、そして的確に応えていくためには、どうしても不採算になります。労災医療だけで採算の取れる医療機関はないと思います。
 そうした不採算を支えていくためには、基盤として、地域医療の中で経営基盤を作り、医療機器等を買って、医療の質・安全を担保できるだけの病院の体制・設備を整えていかなければなりません。でなければ、国の政策医療として、すべて補助金等に依存することになります。それをしないで済むためには、労災医療をしっかりやりつつ、それを支えるだけの医療を地域の中でしっかり実施して、基盤を作っていかなければなりません。それがいまの労災病院の姿だとご理解いただければと思います。

○松田委員
 似たような組織に国立病院機構というのがありますね。ですから、もしも総合医療体制になったとすれば、国立病院機構と皆さんのところの機構があるのだから、これはだぶっているような感じがしませんか。

○労働者健康福祉機構理事長
 これについては、まず労災疾病というものの疾病の質、そこで求められる専門性、対応すべき体制、機器等の備えるべきもの、等々を比較していただければ歴然との違いは理解していただけるかと思っています。
 それから、国立病院機構も医療センター等を中心に、どちらかというと医療としてのセーフティーネット的役割を果たすもので、先生の言葉を借りれば総合的病院です。特にそこに政策的な医療があるわけではありません。ただ国立病院の場合には、それに加えて、結核あるいは筋ジストロフィー等の専門分野を担っています。国庫に対しては、国立病院の場合には既に75億円程度の国庫補助金が入っています。私ども労災医療は、じん肺をはじめ採算は取れないけれども、それを支えるのに、地域医療の中で収入を産み出すというスタイルでやっていますので、国庫補助は一切入っていません。
 専門性の違い、また、労災医療を支える仕組みの違い、そうしたものを比較した場合、単純に両者を比較することは不可能だし、もし両者を一緒にするという形で考えた場合には、医療のマネジメントは専門性を壊していくでしょう。私は長年、労災病院や国立病院の様子も拝見しながらそういう事実認識をいたしています。

○井原部会長
 あと、何かございますか。

○堺委員
 以前にも研究活動についてお尋ねしています。英文の論文の投稿件数が毎年着実に増加しているデータが19頁に出ていますが、こういう活動を拝見しますと、今度は投稿ではなくて、アクセプトというか、実際に受理されて、出版された論文数も拝見したいと思います。投稿論文数と受理される論文数は大体並行するものですが、発表された論文数も増加していると理解してよろしいでしょうか。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 論文の投稿件数となっていますが、これは誤まりで、論文の発表件数です。パブリッシュしたもので、ジャーナルに載ったものです。それで、是非ご注目いただきたいことは、和文の論文に加えて英文の論文を出しています。それが国際的な評価を受けまして、特にアジアの国々からいろいろと評価をいただいて、共同研究等の申込みをいただいています。申し訳ありませんが、これは誤りでした。よろしくお願いします。

○井原部会長
 あと、何かございますか。では、この点についてはよろしいですか。

○中村委員
 ご説明のあった、11頁のことについてです。労災病院等に関する満足度だと思いますが、81.8%と出ていました。満足された方のご意見は、対応がよくて親切、あるいは、説明がわかりやすい、受付の待ち時間が短いと。ところがもう1つ、おそらく不満足のほうに入ったと思いますが、入院に関する費用について説明がほしいと。これは一般の民間企業では当たり前のことです。入院するとき、あなたは大体どのぐらいの日にちで、1日いくらでということが当たり前に説明されていなくてはいけないのですが、こういうことがあるのでしょうか。
 それから、自分の病気や治療方法について調べる手段がない。調べる手段というよりも、患者はいつでも好きなときに病院の先生もしくは看護師に質問をして、それに答えるべき責任があると思いますが、これもできていないと。そして、清掃を丁寧にしてほしいと。いま民間企業の、特に聖路加、日赤等は、この辺のきれいさ加減は大変素晴らしいものがあると思います。こういったことがマイナスポイントで付いているにも関わらず81.8%が出てくるのが、どういう質問形式でこの点数を付けてきたのか、お手盛りではないのかという感じがします。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 まず、アンケートの方法ですが、必ずネガティブな聞き方をしています。例えば入院のときですと、「私は入院する前の医師の説明に満足しています」という聞き方ではなくて、「私は入院する前の医師の説明を不満に思う」という設問をして「まったくそうだ」「ややそうだ」「どちらでもない」「やや違う」「まったく違う」という5段階で、こちらが病院に有利になるような回答をしないような設問の方法を考えています。これは専門の業者さんとも相談しながら作った形ですね。この81.8%が、特に病院が質問を細工して誘導したとは思っていません。また、どんどん工夫を重ねていきたいと思います。
 それから、意見・要望のことです。このアンケート調査の最後に、お気づきになったこと、要望があったらご記入くださいということで、自由記載で患者さんに書いていただいたご意見です。費用の説明は、これが標準額だと示すのが、特にDPCという点数が包括になってから大変難しくて、あくまで標準的な額だと言っても、どうしてもトラブルになりがちで大変難しいと思っています。ただ、ご指摘の日赤、済生会等他院の取組も参考にしたいと思います。現在のところ2施設で試験的に、標準額を掲示するという方法で患者さんの反応を調べるということで、テストラン的にやっています。
 それから、清掃を丁寧にしてほしいと。アメニティー、特に清掃の部分でこういうご指摘を受けるのは確かに恥ずかしいことです。その辺はしっかりやらなければなりません。いまは2時間に1回ぐらいの割合で巡回して、業者あるいは職員が見るようにしているのですが、その間に使ったときは、その後、汚いと言われても仕方がないと思うので、できるだけ頻回に清掃を行うようにして改善したいと思います。このアメニティーの問題はなかなか解決が難しいと思います。
 それから、自分の病気や治療方法について調べる手段がないというのは、書き方があれですが、例えば病院の中でインターネットを見られる環境、あるいは専門書なり、病気のことを調べられる本とか、それを置いた場所がないということです。それについては、インターネット検索用パソコンの設置とか、診療科別図書の設置に努めています。以上でございます。

○労働者健康福祉機構理事長
 入院の際に、クリニカルパスに基づいて説明をし、費用の一般的なものを説明し、また、その病気についてのいろいろな説明はしています。ただ、これは病院の悩みでもあるのですが、すべての患者さんが満足するわけではありません。ドクターと患者の間で、ドクターが説明する。患者さんの中にはいろいろと質問をやりとりして、活発な方もおられますが、医師の説明を聞くと反論できずに悶々とこもる人もいます。こういう人を如何に見つけるかです。これは81%の満足度があるように、そういう方が圧倒的に多いわけではありません。ただ、そういう少数の人にも我々は留意しながら、こういうアンケートを活用しながら、「ああ、この人はまだ本当は説明を聞いても納得していないな」というのを、医師なり看護師がよく注意しながら交わしていく体制はとっているわけです。これが圧倒的に多いわけではありません。ただ、そういう人に留意しなければいけないことは事実です。

○中村委員
 先ほどから、高度専門的医療を提供しているということだったのですが、アスベストというテーマに関してはなるほどと思います。いま30カ所ある労災病院の中で、こういった高度専門性の医療を研究している所は何箇所ぐらいあるのですか。アスベストに関してはこの30カ所がすべて同じようにしているのですか、それとも、その中の何箇所がしているのでしょうか。それから、それ以外の高度専門性のある医療とは何を言っているか、具体的に教えてください。

○労働者健康福祉機構理事長
 これは関原先生のほうがいいかもしれません。アスベストに例をとると、アスベスト研究の中心センターは岡山労災に置いてあります。そして、各労災病院のうち25か所のアスベスト疾患センターを設けて、そこには研究を分担している研究者がいます。そして、臨床上に表れてくるいろいろな症例なども収集して、岡山労災に集中して、集まって一緒に会議をしながら症例分析、検討を行っていくスタイルです。

○中村委員
労災病院の起源がアスベストにあったことによって、非常にそのときのインパクトがあったと思いますが、いまなお全国にそういう臨床の研究センターを置く必要があるのですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 アスベストは、これから10万人単位の健康被害者なり、あるいは死亡者が出るというような、むしろこれからの課題だと思いますので、いまのうちからいろいろな研究を重ねて、専門家も育てているというのがいまの姿です。
 これから関原先生からご説明を申し上げますが、労災疾病の代表的なもの13分野について、臨床の傍ら、大変忙しい中、相当活発な臨床研究を重ねているわけですね。これは13分野あります。代表的なものを申し上げると、北のほうでいえばじん肺です。じん肺というのは、元々は炭坑、あるいはトンネル工事の中で。

○中村委員
 いまは一つひとつの説明は結構です。例えば、アスベスト、じん肺、それから、何ですか。30の所すべてでそういう研究がされていると認識すればいいのですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 次の13分野の研究のほうに移りますので、そちらで代表的な疾病と、どういう治療、研究をしているかをご理解いただいたほうが早いかもしれません。繰り返しになると思いますので。

○井原部会長
 よろしいでしょうか。次に、グループ2に移ります。グループ2は、「労災疾病等にかかる研究・開発」「過労死予防等の推進」「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営」、また「労災リハビリテーション作業所の運営」、これらの項目についての評価を行います。所要時間は法人からの説明が20分、委員の評定と質疑が20分の合計40分となっています。それでは、法人からの説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 総括研究ディレクターを務めさせていただいている関原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは「労災疾病等13分野医学研究」についてご報告申し上げます。本プロジェクトも、平成16年にスタートしまして6年が経過しました。平成16年から平成20年までが第1期、平成21年より第2期に入っています。
 それでは資料の19頁、04-01をご覧ください。評価の視点に示されました数値目標の達成状況です。そこに記載してありますように「学会発表件数」、それから、いま堺委員からご指摘いただいて大変申し訳ございませんが、「論文投稿件数」となっていますが、これは「論文発表件数」です。それとホームページのアクセス件数が示してありますが、いずれも数値目標を大幅に超えて達成しています。
 次に、資料の04-02をご覧ください。次の頁です。第2期では5つの重点項目を立てて研究しております。これから我が国で増加してまいります「アスベスト関連疾患」や「産業中毒」といった新たな労災疾病に関するもの、それから、自殺が社会問題となっていますが、「職場におけるメンタルヘルス」の問題、「過労死」の問題、それに第1期研究より出てまいりました新しいテーマであります「疾病の治療と就労の両立支援」、この5つが重点項目です。
 それでは「アスベスト関連疾患」からご説明させていただきます。次の頁、04-03をご覧ください。右下に円グラフが示してありますが、中皮腫の根治手術可能なStage?T、Stage?Uでの発見率が29.6%と低いこと、また、Stage?T、Stage?Uで発見し根治手術を行いましても生存曲線の中央値が386日と短いことが明らかとなりました。根治手術を行いましても患者さんの大部分が短期間のうちに死亡してしまう、そういう実態が明らかになったわけです。これから我が国で増えてまいります中皮腫の死亡者を、減少させるためにはどうすればよいのか。そのためにはStage?Tに達する前の診断、発症前診断法を確立することが必要です。そこで理化学研究所との共同研究をスタートさせまして、遺伝子を用いた発症前診断法の開発に取り組んでおります。既に中皮腫に発現している遺伝子(NLRR4)を発見いたしまして、診断マーカーの開発研究に着手しております。このようにいたしまして発症前診断法を確立し、救命率の向上につなげていきたいと考えております。
 次に、次の頁ですが、04-04、じん肺についてご紹介申し上げます。「じん肺」と申しますと過去の病気と考えられやすいのですが、決してそういうものではなくて、粉じんがこの世に存在する限り発生してくる疾病です。新たな粉じんによるじん肺としまして、最近、超硬合金によるじん肺の症例を経験いたしました。北海道中央労災病院で経験いたしました症例の胸部CT所見が示してありますが、こういう症例を経験したわけです。そこで、この超硬合金に着目いたしまして実態調査を開始しております。
 それからもう1つ、この分野の大切なテーマは、じん肺に関するこれまで蓄積してまいりました豊富な知見を、じん肺問題が懸念されるアジアの諸国へ伝承するための取組です。最近、モンゴル政府より協力要請をいただき、近々、主任研究者らが診断技術を伝承するため訪問する予定です。
 次に、次の頁ですが、04-05、「産業中毒」についての取組をご紹介申し上げます。第1期研究では、宮城県の理・美容師の皮膚荒れ(職業性接触皮膚炎)について調査いたしましたところ、多くの理・美容師の方々が皮膚炎に苦しんでいることが判明しました。そこで第2期研究ではフィールドを全国に広げ、原因物質の特定、診断が困難な職業性皮膚炎について全国の医師が活用できるデータベースの構築に取り組んでおります。現在、我が国の皮膚科の医師は約1万人おられますが、このうち、既に5,000人の方々がこのデータベースに登録されて活用しておられます。日常診療の非常にお役に立てていることです。
 次に資料の04-07をご覧ください。メンタルヘルスについてご説明申し上げます。この分野ではうつ病による自殺が社会問題となっています。これを予防するためには、うつ病の早期発見、うつ病の予備軍を見つけ出す診断法を確立する必要があります。第1期では、脳血流の変化を示すSPECTを用いてうつ病予備軍の症状であります疲労感について検討いたしましたところ、資料の左側に示してありますように、脳血流の低下が認められました。
 そこで第2期では、これをさらに進め、症状の中から自殺予防に有効とされる「睡眠障害」を取り上げ、SPECTあるいは唾液中ホルモンによる診断法を検討しております。これまでに得られました睡眠障害の脳SPECT所見では、資料の右側に示してありますように、疲労感と同様の部位に血流低下を示しています。このような所見によりうつ病の早期発見が可能となり、自殺予防に結びついていくものと考えます。
 次に資料の04-11をご覧ください。過労死についてご説明申し上げます。過労死の原因となるメタボリックシンドロームの発症要因としましては、「過食」「運動不足」「ストレス」が考えられていますが、第1期の研究から「長時間労働」、残業とかそういうものですが、長時間労働も発症要因であることが明らかとなりました。そこで第2期の研究では、長時間労働がメタボリックシンドローム発症に与える影響を、尿中微量アルブミンや唾液中ホルモンなどの客観的な指標を用いて検討し、長時間労働がメタボリックシンドロームを引き起こす機序を解明いたします。人口3万人の都市(宮城県亘理町)をフィールドとするコフォート研究、及び上海で働く日本人労働者を対象とした日中共同研究を通して検討しております。
 最後に、疾病の治療と就労の両立についてご説明申し上げます。資料の04-13をご覧ください。第1期の研究から、勤労者の方が病気になられた場合、病気の治療も就労もともにうまくいっていない現実が明らかとなりました。仕事に専念されるため十分な治療ができない、そのため病気が進行してしまい、結局のところは失職してしまう、このようなジレンマが存在していることが判明しました。仕事を続けながら十分な治療のできる体制を確立する必要があります。
 何故両立ができていないかということですが、資料の左側の図に示してありますように、最近、私どもの行いましたアンケート調査によりますと、患者さんの職場の産業医と相談している主治医は4.7%と少なく、現在の一般的医療では主治医と職場との協力体制が確立していないことが判明いたしました。そこで、右の図に示しますように、主治医と職場との協力体制を確立する必要があります。主治医と職場の産業医の先生方や、安全衛生担当者の方々との協力体制を確立する必要があるわけです。
 このような協力体制を確立するため、糖尿病とがんについて、これは勤労者の方の罹患率が高いということで選びましたが、新しい分野を立ち上げ、実態調査とガイドラインづくり、さらに社会的効用やコストパーフォーマンスについて検討を始めました。医療の世界に新たに主治医と職場との協力体制を確立することにより、疾病の治療と就労との両立が可能になっていくものと考えます。
 なお、平成21年度の成果につきましては、冊子にまとめましてお手元に置いておりますので、後ほどご覧いただければと存じます。以上でございます。どうもありがとうございました。

○労働者健康福祉機構総務部長
 引き続きまして、資料の34頁から、第2グループは41頁までです。まず34頁ですが、勤労者予防医療センターの関係です。上から書いてあります、過労死予防対策、メンタルヘルス不調予防対策、さらに勤労女性の健康管理対策に対しまして事業を行っているところです。それぞれにおきまして年度目標を達成しているところですが、特に真ん中の箱の「メンタルヘルス不調予防対策」の?Aですが、勤労者向け・管理者向け講習会につきまして、年度目標2,400名に対しまして実績が2万1,135名と、目標を大幅に上回ったところです。
 35頁、新規事業を中心にした取組を紹介させていただきます。まず上の箱です。「過労死予防対策」では、web上で指導ツールシステムを共同作成して指導等に活用、職種別エクササイズDVD「Prevention(予防)」を作成普及しています。お手元にこういったDVDがございます。これが「Prevention」です。左下の箱ですが、またこれは「メンタルヘルス不調予防対策」です。後で説明いたしますが、職場に出向いてメンタルヘルス不調者の職場復帰支援をやるというものです。さらに、右下の箱は女性医療フォーラムです。こういったものを開催しているということです。
 続きまして36頁です。今度は「利便性の向上」の観点です。左上に、時間外や休日に指導してほしい、職場でやってほしい、こういった要望を受けまして、右の箱の上ですが、時間外、休日における指導、右下の、企業あるいは地域イベント等へ出向いて指導を行っております。ともに前年度実績を上回っています。また、左下に「アウトカム指標」としまして、平成21年度利用者満足度91.8%と、これは、平成20年度の88.1%を上回っているということです。
 37頁、調査研究の関係です。左上から順に、メタボ研究、職場で働く男性従業員の運動自己効力感。左下の箱ですが、生活習慣病、メンタルヘルス、さらに右下ですが、受動喫煙防止条例が非喫煙従業員に及ぼす影響。こういったものを新規または拡充した研究として行っております。
 38頁ですが、先ほど少し申し上げました新規事業であります、職場に出向いてメンタルヘルス不調者の支援を行う「職場訪問型職場復帰支援」の内容です。右上の箱ですが、これは横浜労災病院です。専門医師あるいは臨床心理士、こういった者を配置しまして、専門スタッフを企業に派遣して支援活動を試行的に行っているということです。
 次は39頁、「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営状況」です。ここでは社会復帰率及び患者満足度が目標とすべき指標となっています。真ん中やや下の茶色のところですが、すべて、目標値である80%をクリアしています。
 続きまして40頁です。これは総合せき損センターを例にしまして、「脊損患者の社会復帰まで」を示したものです。左上のヘリコプターによる患者搬入、あるいは急性期の手術を経まして、右側に行っていただきまして、合併症の予防。さらに、右のほうですが、社会復帰に向けた幅広いサポートを行っております。下のほうの写真ですが、その過程で、左から言いますと、起立訓練あるいは車椅子訓練等々をやっているわけです。さらに右のほうに行っていただきますと、移乗訓練、さらに歩行訓練、更衣訓練、入浴訓練、排尿・排便訓練。一番右下ですが、自動車訓練。こういったものをやっております。
 続きまして41頁、労災リハビリテーション作業所の関係です。これは全国で6カ所あります。ここでは社会復帰率が指標となっています。平成21年度、真ん中右上ですが、社会復帰率、33.6%となっています。前年度が32.6%でした。これは前年度を上回る結果になっているということです。また、下の箱ですが「縮小・廃止への取組」です。これは、右下をご覧いただきますと、「千葉作業所の平成23年度末廃止を決定」ということです。
 それでは、評価シートの31頁をご覧いただきたいと思います。シート4、先ほど関原先生からご説明がありました「労災疾病に係る研究・開発」です。?@の研究開発については、国内外の関連学会等で目標を大きく上回る261件の発表を行いました。?Aのデータベースへのアクセスは、中期目標の最終年度の目標であります20万件を既に平成21年度中に達成しました。?Bのアスベスト関連疾患分野あるいは粉じん、過労死等について、中国、韓国、モンゴル等のアジア諸国から研究成果が高く評価されまして、視察や、早期診断法について検証を行うとともに、共同研究も開始したところです。?Cの腰痛については、その研究成果がNHKにおいて連続放送される。また、テキストとしても発行されたところです。
 2「労災疾病等13分野医学研究・開発」ですが、少し飛びまして、?Bのアスベスト関連疾患につきましては、スーパーコンピューターを保有する理化学研究所の協力を得て遺伝子解析を実施し、さらに発症前診断を可能とする診断マーカーの研究・開発を進めたところです。また、?Cの職業性皮膚疾患ですが、症例データシステムを開発いたしまして、約1万人の皮膚科専門医のうち、既に約半数の5,000人が登録、活用しているという状況にあります。?Dですが、うつ病による自殺予防対策に必要な客観的診断法の開発を進めたということです。?Eですが、過労死問題に関しまして、中国で働く日本人労働者を対象に日中共同研究を進めたということです。以上のことから、自己評価Sにしております。
 続きまして、39頁をご覧ください。39頁はシート5「過労死予防等の推進」です。1番です。まず数値目標は、すべて達成したとところです。2番の1つ目の○のイですが、メンタルヘルス不調予防対策の講習会の実績が目標数値の10倍近くとなったことから、「職場訪問型職場復帰支援事業」を開始しているところです。2つ目の○のアですが、時間外、休日の指導・相談件数も大幅に増えています。また、満足度調査も91.8%となったことから、自己評価をAとしております。
 続きまして44頁をご覧ください。シート6「医療リハ・総合せき損センターの運営」です。まず?@としまして、職場・自宅復帰可能である退院患者の割合が、目標値である80%をクリアしていると。また、?Aですが、患者満足度は90%、83%目標値を上回っています。以上のことから、自己評価をAとしております。
 次は48頁です。シート7「労災リハビリテーション作業所の運営」です。社会復帰率は、33.6%と目標値を上回るとともに、前年度水準も上回っています。こういったことから、自己評価をAとしております。以上、第2グループ終了です。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様には評価シートへの評価等の記入をお願いいたします。何かご質問等がありましたらお願いいたします。

○堺委員
 先ほど来お話がございましたように、アスベストについて極めて迅速かつ重要なリーダーシップを発揮なさって、国内、国外で大きな成果を示されたのは、これは広く知られているところです。それに加えて、今後の勤労者の健康、疾病の治療ということを考えますと、いま13の事業を行って、それぞれに成果を上げていらっしゃいますが、中でも対象の人口が多いものになりますと、やはりメンタルヘルスとメタボリックシンドロームであろうと思います。これらの疾患は世代によって様相がだいぶ異なりますが、労災病院の場合には、勤労者の世代に対して診断と早期発見と治療を行っていらっしゃると理解しております。アスベストのときと同じように、成果をできるだけ早く、有効な手段を発見された場合にそれを発表していただくということが極めて大事だと思います。
 また、現在、それに鋭意取り組んでいらっしゃると思いますが、メンタルヘルスとメタボリックシンドロームの2つについて、現在、勤労者の世代に早期発見、早期治療を行って、有効であると認められた結果をいかに速やかに内外へ通知するか。学会活動ももちろんありますし、講習会ももちろんありますが、アスベストのときと同じような行動力を期待するわけですが、成果を社会へ速やかに伝えるというようなことは、何かご計画でいらっしゃいますでしょうか。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 非常にいい点をいま先生にご指摘いただきました。一般の大学とかそういうところの研究では論文でパブリッシュして、それの得られた成果のディセミネーションを図るわけですが、いま先生からご指摘いただきましたように、私どもの研究は非常に実践的で、皆さんにすぐに役立つような研究をやっています。臨床研究ですので、それの成果をすぐに一般の働く方たちに役立てていただくためには冊子を作りまして。一番いいのは、本を作りまして、それを配布することではないかと思うのです。それは非常に緻密にやっております。
 そして、13分野ありますが、いま堺委員からご指摘いただきましたように、私たちが重要と考えておりますのは、まず、アスベストは避けて通れない部分だと思うのです。これは、先ほどからこれから日本で増えるということを申し上げているのですが、私どもの研究では潜伏期が、アスベストを吸い込んでから中皮腫として出てくるまでが40年かかるわけです。そうすると、日本で輸入して禁止になってからのことを考えますと、これから、大体2010年から2030年ぐらいの間に増えてくる疾患です。それで、50年経てばこのストーリーは終わるわけですが、私たちが目指しているのは、それが終わったときに「日本はよくやった」と言われるような、そういう生存例を増やしてみたいと思っております。
 それから、アスベストの次に力を入れておりますのがメタボリックシンドロームです。いつも私が申し上げますのは、時代時代に医療の世界が解決しなければならない大きなテーマというのがあります。戦争が終わった当時は、結核が非常に大きなテーマの時代がありました。それは抗結核薬を開発して解決してしまったわけですが、このメタボリックシンドロームに関しましては、やはり食べ物とか運動不足とかいろいろありますので、我々の世代が解決すべき一番大きなテーマなのだと思います。一般の研究者の方たちは、運動不足とか食べ過ぎとかストレスとか、そういうことは言うのですが、私どもは勤労者の方たちを、堺委員がお話になりました若い働いている方たちを、ピチピチしている勤労者の方を対象に第1期で検討しましたところ、長時間労働が非常に過労死を引き起こしている、メタボリックシンドロームの原因になっているということがわかりましたので、それについては第2期でさらに検討するつもりです。
 もう1つはメンタルの問題です。これは自殺予防に結びつけなければいけないわけです。そのためには、先ほどご説明いたしましたように早期に見つける、うつ病の予備軍の段階で見つけることが必要なのです。しかも、睡眠障害とか疲労感とかと言ってもメンタルの方はそれを自覚していないことが多いので、客観的な診断法を確立する必要があります。そういうことでこのSPECTを用いた、資料に書いてありますような脳血流の変化を主要とした診断法を開発して、これを普及させることによって自殺予防に結びつけられればと思っております。
 そういうことで、先ほど申しましたように出版とか、それから、一般市民も参加したフォーラムを行っております。それから、インターネットでもホームページ上で冊子とか、そういうものを全部公開しております。このアクセス件数が年間で27万件に達するというようなことです。そういうことで学術的な成果は論文を通して発表しているのですが、それ以外に冊子を作ったり、フォーラムを行ったり、インターネットを用いたり、そのようなことでやっております。以上です。どうもありがとうございます。

○井原部会長
 時間がだいぶ押してきていますので、簡潔にお答えをお願いいたしたいと思います。

○労働者健康福祉機構理事長
 簡単に。いま堺先生がご質問になられた点で、特にメンタルなのですが、やはり私どもが反省しなくてはいけないのは、臨床の現場と企業とのつながりを増やしていく部分だろうと思っています。先ほどご説明しましたように、企業に出かけて講習会等をやる件数が10倍以上目標を超えて、ニーズがあると。これからご説明します都道府県の産業保健推進センターが、各企業の嘱託産業医の方のいわば拠り所になっています。こういう方たちは必ずしもメンタルヘルスの専門ではありませんので、そこに労災病院の研究成果等々も講習等を通じてネットワークを形成する。そのために去年から産業保健推進センター内にメンタルヘルス対策支援センターを設置して、メンタルの応援をしますという2枚看板を掲げて活動を開始しています。そういう形で実践的な成果に結びつけていきたいと思っております。

○川端委員
 今の問題に関連ですが、労災関係の病気、特にメタボはもう国民病ですよね。ですからいろいろな所で、いろいろな機関で、大学で、あっちこっちで研究し、別に勤労者でなくてもそれに苦しんでいる人はたくさんいるわけです。企業との絡みでいろいろおやりになっているのでしょうけれども、メタボ研究で、いろいろな所がいろいろな研究をしているところにおける労災関係の研究の位置づけというのはどういうものですか。要するに、成果がいろいろなところに出ていますが、圧倒的に優位なのか、あるいはある一部だけを特化して行われているのか、いろいろな成果そのものの位置づけみたいなものを教えていただけませんか。

○労働者健康福祉機構理事長
 私どもが、メタボといいますか、高脂血症、高血圧、過労死に至るいわば兆候を抱えている人たちの研究をしていくのは、主として、それを医学的に追究するだけではなくて、職場での働き方とどう関わって、どういうメカニズムの関係にあるか。先ほどご説明しましたように、長時間労働がやはりメタボと統計的にも大変有意な相関関係がある。これはおそらく長時間労働がその人の運動量も減らし、食事も不摂生にし、いろいろな形になっていると思うのです。そういうことを解明する中で、どういう働き方、あるいは長時間労働を余儀なくされる方についてどういう生活パターン、保健指導を含めたことを確立して、それを広げていこうという、いわば働くこととの関わりでのメタボへの発症メカニズム、そして、それを解消するための保健指導、生活改善等々につなげていくという、そういう特徴を持っています。臨床の治し方だけではない、薬をもって治すとかという形だけでない形へ持っていこうというのが労災病院のこういう研究の特徴です。

○川端委員
 家庭の奥さんのメタボは、そこは関係ないのだと。要するに、それはどこかほかにお任せして、その分野にいわば重点的に行っていくことでしょうが、しかし、メタボの仕組みとか食べ方の云々とかというのは、基本的にはそんなに違わないのではないですかね。

○労働者健康福祉機構理事長
 メタボが起きる体内のメカニズムは共通かもしれません。ただ、それを引き起こす働き方のパターンとか、長時間労働による生活の乱れなどがどういう関係を持っていて、それを直すための運動指導、保健指導をどう一般化して企業内でも取り入れてもらっていくか、という辺りはやはり労災病院独特の視点だと思うのです。そういう視点からの取組を行っていく。もちろんその言葉は奥様のメタボにも応用ができる部分があるとは思いますが、働き方との関わりという点を有力な視点として研究をしていくということについては、やはり独特な取組だと思っております。

○井原部会長
 そのほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。それでは次のグループ3に移りたいと思います。グループ3は、「産業保健関係者に対する研修・相談及び産業保健に関する情報の提供」「産業保健助成金の支給」「未払賃金の立替払」及び「納骨堂の運営」、これらの項目についての評価です。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分の、合計40分となっています。それでは法人から説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 それでは、ポンチ絵の42頁をご覧ください。第3グループは42~48頁になります。
 42頁ですが「産業保健推進センターの活動」です。右に写真がありますが、研修3,544件、相談対応2万6,042件。さらに情報提供、あるいは助成金の支給といったことを事業としてやっております。
 43頁ですが、(1)研修の質及び利便性の向上への取組です。右の色の付いた箱の(1)研修実績の向上ですが、年度計画を達成しているということです。(2)研修の内容等の改善の取組例ですが、土日・夜間の研修も行っているということです。満足度ですが、93.9%と高いものになっております。
 44頁ですが、(2)相談の関係です。これも右の箱をご覧ください。相談実績は年度計画を大幅に上回っております。また、満足度は99.7%と非常に高い数字をマークしております。
 45頁ですが、情報提供の関係です。「産業保健に関する情報の提供その他の援助」ですが、右の箱に「ホームページアクセス件数の年度別推移」という棒グラフがあります。平成21年度で150万件を突破している状況です。
 46頁ですが、産業保健推進センターが扱っている助成金の支給についてです。2~3行目に書いてありますが、2つ助成金がありまして、「小規模事業場産業保健活動支援促進助成金」、これは小規模事業場が共同で産業医を選任する費用を助成する制度です。その下の「自発的健康診断受診支援助成金」は、深夜業従事労働者が自発的に健康診断を受診する費用を助成する制度です。
 真ん中のやや下に、薄緑色で「評価の視点」があります。小規模事業場ですが、中期目標期間中に、申請書の受付締切日から支給日までの期間を原則として40日以内とすることです。これに関しては、右のほうですが、平成21年度実績は42日でした。平成17年度から順調に減ってきており、対前年度2日の減となっております。
 その下の深夜業従事労働者が自発的に健康診断を受診した際に、その費用を助成する助成金ですが、評価の視点で、支払期間を23日以内とすると。これは21日ということで、中期目標を達成しております。
 47頁は、「未払賃金の立替払事業」です。これは、一番上に書いておりますが、企業の倒産により未払いとなった賃金・退職金のうち、一定範囲を事業主に代わって支払う制度です。真ん中の上の黄色のところですが、受付日から支払日まで30日以内とすることが目標となっております。平成21年度はこれを大幅に短縮し、23.3日と過去最短となっております。他方で、下に書いておりますが、立替払処理件数はリーマンショック等により、過去2番目に多い約6万8,000件となったところです。その下の棒グラフが立替払件数で、増えてきていると。そうした中で、支払期間が短くなってきているということです。
 48頁です。これは「納骨堂の運営業務」で、右の箱に赤いマルがありますが、「満足度調査」です。平成21年の慰霊式は雨が降ったのですが、91.8%と前年度実績を上回りました。また、赤いマルの少し左に書いてありますが、「非常に満足」が50.7%と前年度実績を上回っております。右の下の箱ですが、「改善事項」が書いてあります。送迎用バスの運行を新たに行っております。空調機器の増設、AEDの設置(新規)等といった環境整備を行っております。
 評価シート、資料1-2の55頁をご覧ください。シート8「産業保健関係者に対する研修・相談及び産業保健に関する情報の提供」です。?@研修、相談ともに年度計画を大幅に上回ったこと。?A研修については、時宜を得たテーマとして新型インフルエンザ、アスベスト研修を行っております。?B特に相談については、有益だった旨の評価で99.7%の高い評価を得ております。以上のことから、自己評価をAとしております。
 60頁をご覧ください。シート9「産業保健助成金の支給」です。?@自発的健康診断に係る助成金の支給業務日数は、中期目標を達成しました。?A小規模事業場産業医共同選任に係る助成金は、昨年に比べ支給業務日数が2日短縮されました。以上のことから、自己評価をBとしております。
 64頁をご覧ください。シート10「未払賃金の立替払」の関係です。これは、過去2番目に多い約6万8,000件を処理しつつ、支払期間は23.3日と過去最短を記録したということです。以上のことから、自己評価をAとしております。
 66頁をご覧ください。シート11「納骨堂の運営」です。新しく、前年度の「満足度調査」で要望が強かった送迎用バスを運行しました。また、新たにAEDを設置しました。満足度は91.8%です。中でも「非常に満足」は50.7%と、前年度を約8%上回っております。このようなことから、自己評価をAとしております。第3グループは以上です。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様は評価シートに評定等の記入をお願いします。ご質問がありましたらご発言ください。

○井原部会長
 ご質問がないようですが、よろしいでしょうか。

○中村委員
 過労死とか、メンタルヘルスの不調とか、勤労女性の健康管理というものがありましたね。このことについて、平成21年度の過労死の集団指導は、15万2,000人のところが15万9,000で達成となっているのですが、いま日本の勤続している人の数は何百万人といるわけです。その何百万人に関して、過労死の予防対策として集団として指導するのが15万人というのは、あまりにも少なすぎると。要するに何人ではなくて企業数、中小企業も大企業も合わせて、どのぐらいの企業に対して過労死予防の対策を行ったかというように視点を変えないと。メンタルヘルスに関してもかなりの度合でいろいろな企業が問題を抱えておりますが、2万5,000人とか2万1,000人で大幅達成というのは、こんな問題ではないと思うのです。これ以上の年間3万人が自殺をしているわけで、1企業当たり1万人、あるいは500人、あるいは50人働いている人たちに向かって、どのようにアプローチをしていくかが大切なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○労働者健康福祉機構理事長
 私どもの気持ちからすると、全く同感なのです。労災病院は全国に30あって、その多くが旧産炭地に配置している状況で実施しているケースが多いわけですが、私どもが目指しているのは、そういう配置状況の中で1つのモデルケースを示しておこうと。こういうやり方で、こういう医療機関が企業と結びついて、過労死の予防を指導したり、メンタルヘルスであれば企業に赴いてやる。あるいは企業から嘱託を受けている産業医に、メンタルについての職場復帰の問題や早期発見の方法などを広げていく。いわば日本中を労災病院がメインとなってやるわけにはいかなくて、正直これをやると、いまの人員配置数ではとても足りないと思うのです。
 ただ、私どもが願っているのは、委員がおっしゃるように、私どもが企業にある程度のモデル的な講習や指導、研修等を通じてメンタルヘルスの対応の仕方を広げていく。それを労働基準監督署を含め、もっと幅広くやるには働く人たちの定期健診を受けている労働安全衛生関係の健診機関もたくさんあるわけですので、そういう所へ伝えていかなくてはいけない。そういうところで裾野を広げていくやり方を労災病院の専売特許にして、労災病院しかやりませんというのではなくて、労災病院は先駆的な役割としてそういう取組をする。他のやれる所はどんどんやってくださいという形へ持っていかなくてはいけない。それは、おそらくメンタルヘルス対策、あるいは過労死予防対策という労災病院の幅を超えた1つの労働政策そのものとして、それをどう広げていくかという課題を含んでいるのだと認識しています。ただ、労災病院としては、持っている能力の中で精一杯のモデルケースの普及になるように努力していきたいと思っております。

○中村委員 
 わかりました。労災病院は全国30カ所、プラスほかの60何箇所かありますが、そこがすべてそういうことに関わるのではなくて、モデルケースを作るということですね。昨年に対してそういう問題意識を持ったのであれば、今年度それを具体的にモデルケースとしてこのようにしてくださいという研究成果はできているわけですね。それが今年度、いまはもう7月ですが、地域の中のいろいろな企業、あるいは先ほど言った産業医たちに対する具体的なアプローチとしてできているわけですか。それとも、またそれを考えていこうという段階ですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 先ほどご説明しましたように、産業保健推進センターでメンタルヘルス及び過重労働対策に関する研修を、労災病院とも協力しながら、合計427回、約1万5,000人に行っております。これはメンタルヘルス不調者、働いている人ではなくて、企業に行って企業を指導したり、健康相談に乗る産業医の方等を対象として約1万5,000人が、研究成果等を踏まえた研修を受けて職場へ出ていっている状況を作っているわけです。
 是非ご理解いただきたいのは、メンタルヘルスの問題、過労死の問題は、労災病院として医療の立場からできる限りのことはやっていきますが、これは国政上の問題、労働政策上の勤労者全体の過労死を1人でもなくす、メンタルヘルスで自殺を予防する、何とか職場へ戻して健康な働き方を実現したいというのは、医療機関である労災病院だけではなくて、国政が取り組むべきことであると。どう広げていくのか、労災病院の経験を是非参考にしていただきながら広げていただきたい。国の政策の範疇に入ってきているのではないかと思っております。

○中村委員
 そういうアクションは、もう起こされましたか。

○労働者健康福祉機構理事長
 それは国にも要望し、もし予算措置をしてくれるのならもっと広げるぞとか、もっとやるぞとか、いろいろなことは要望しているわけですが、残念ながら。

○中村委員
 アスベストにかけている時間やコスト、人材といったものを、いまは時代、社会的に必要なものに振り分けていくと。毎年方向性は少しずつ微調整しなければいけないわけです。ですから、国があれだったらということではなくて、国からこれだけの金額をもらって委託されているわけですから、自分で自立して考えて、必要なことを、業務を改革していくことが必要ではないかと思ったのですが。

○労働者健康福祉機構理事長
 労災病院のメンタルヘルス対策そのものの医療活動については、国からの財政支援はないのです。労災病院の診療活動は、政策部分についても国立病院とは違って国からの補助金は全く入っていませんから。

○中村委員
 過労死という中で入ってくるのではないですか。過労死はメンタルヘルス的なものもあるのではないですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 そういう指導については、委員がおっしゃるとおり勤労者全体の問題です。労災病院が手を伸ばして企業に出かけられる範囲だけでの問題ではないし、もっと広範囲に、勤労者の過労死の問題、メンタルヘルスの問題は日本中に存在しているわけですから、私どものそうした経験を活かして、それをさらに労災病院がない地域、あるいは労災病院よりもさらに輪を広げていく形をどう作るのか。これは国政上大きな課題だと思っていますし、要望もしておりますし、これからも国にはお願いしたい。そのために私どもがやっているのは、その契機を作る研究です。

○中村委員
 独法が評価されるというのは、いまの時代、社会で必要になっていることに対して、きちんとアクションを起こして成果を出していると言ったときに、国民はやはりこの独法は必要だと思うのです。だけど、何かあったときに、上から指示がないからとか、お金がないからとなってしまうと、非常に難しいですね。

○労働者健康福祉機構理事長
 そういう意味ではなくて、労災病院がカバーできる範囲はしっかりと企業にも出かけ、土日も時間外も相談を受けているわけです。だけど、日本中すべて労災病院がカバーできるかといったら、カバーしきれないことも事実だと思うのです。そのカバーできていない部分を、委員はもっと全体にやるべきではないかというご指摘ですね。

○中村委員
 ですから、そのカバーができていない分だけ、地域の医療機関でこちらに蓄積されたデータや研究成果を、早くガイドラインとして出せばいいのです。そうすれば、自分たちだけ、労災病院だけでしなくても済むわけです。

○労働者健康福祉機構理事長
 ですから、先ほど申し上げたように、研究であればこれだけの件数の学会発表、論文掲載、私どもがパンフレットにして医療機関に配っていく、地域の指定医療機関とも、年間2万人を超えるようなカンファランスをやって広げているわけです。そういう努力をしてきていますので、もう一押し、何か是非政策的な取組があると、メンタル、あるいは過労死予防と、もう一段はずみがつくのではないかと、おっしゃるとおりの問題意識を持っております。

○中村委員
 お願いします。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 補足ですが、メンタルヘルスについては先ほど来話がありましたように、独立行政法人としてはそれなりに取り組んでもらってきていると思っています。ただ、先ほどお話があったように3万人を超える自殺者という状況の中で、メンタルの問題をもっと社会全体できちんと政策的に捉えていく必要があるだろうということで、いま健康診断を年に1回法律上やっていただいていますが、そういう中でメンタルの不調者を捉えていく方法がないか、そういう不調者を捉えたときに、そういう方々に対して医師、あるいは事業主が一緒になって何かしていくという枠組みを整備していくべきではないかという観点から、どのような方策を取っていくべきか、いままさに議論しているところです。そういう枠組みができれば、おそらく産業保健推進センターみたいなところを使って、産業医がもっとそういうことに関わっていく、あるいはそれ以上の支援としてどんなことが考えられるのだろうかという具体策が出てくると思うのですが、いまそれを政策的に検討しているところです。

○中村委員
 おそらく1万人以上いる日本の大企業は、社内にそういう方々を相当数抱えているはずです。その産業医と外部の医療機関と提携しながら、人事部が早め早めで年に2、3回の面談の中から見つけていく、あるいは周囲のヒアリングから最近おかしいという声を拾っていくという、何某かのシステムが企業の中にはできています。その辺は行政のほうが少し遅れているかなと思いますので、そういうことを早めに捉えてアクションをしていただけたらありがたいと思います。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 そういうことで取り組んでいるところですが、頑張ってまいりたいと思います。

○井原部会長
 よろしいでしょうか。それでは、次に移ります。グループ4は、「業務運営の効率化」、「予算、収支計画及び資金計画」、「短期借入金等」と「人事、施設・整備に関する計画等」、「業務評価の実施等」の項目についての評価です。続いて「監査報告」も行います。また、監事の「監査報告書」に関する説明も併せてお願いします。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分で、合計40分となっております。それでは、法人からの説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 ポンチ絵の49頁をご覧ください。「業務運営の効率化」です。?T「経営方針の職員への浸透度のフォローアップ」です。「運営の基本方針のポイント」は、左上に赤字で書いてあります。安全で質の高い医療の提供を基本とし、必要な体制整備を図るとともに、国費に依存することなく、将来にわたってそれを支える安定的な経営基盤の確立を目指すと。右のほうですが、こうした運営の基本方針を全職員に配布することにより周知徹底、あるいは各種会議にて周知徹底しております。
 真ん中の箱、?U「内部業績評価制度の充実・強化」です。これは本部と施設の間のバランス・スコアカード(BSC)の活用による経営基盤の確立についてです。まず、施設から策定されたBSCが来て、本部がそれの修正を行うと。さらに、施設で上半期の自己評価、本部で上半期管理者評価、これは役員が評価するものです。最後に決算期の自己評価、管理者評価を行うというものです。
 50頁ですが、?V「経営目標実現に向けた取組の強化」です。右の箱ですが、本部から施設に対して、一番上に矢印がありますが、本部によるガバナンスの徹底ということです。その取組結果が、右の箱で左に「収入関係」、右に「支出関係」があります。収入関係で言うと?@医師の確保ですが、これは平成20年度と平成21年度の数を対比しております。?A患者数の確保ですが、これは地域医療連携の強化に伴う入院患者の確保や、長期休暇・年末年始時の救急受入体制の充実といったことで、新入院患者数、紹介患者数をアップさせているということです。?B診療単価アップですが、新たな施設基準・高点数施設基準の取得により、入院診療単価のアップを図っているということです。さらには地域医療支援病院、7対1入院基本料といったものを取得しているということです。
 右の支出関係です。?Dは適正な人員配置ということで、退職後不補充等をやっているということです。?E人件費の抑制ですが、平成21年度については職員賞与の0.25カ月カットを行っております。?F薬品費の縮減ですが、後発医薬品への切替を行っております。?G~?Iですが、診療材料費、あるいは医療機器、一般消耗品の共同購入をして、コスト削減に努めております。
 51頁ですが、「労働者健康福祉機構における内部統制の取組」です。評価の視点として、内部統制には4つの目的があるわけですが、内部統制を適切なマネジメントを可能とする重要なツールとすべく、いまほど申し上げた4つの目的に対して、左にあります6つの基本的要素をもって取り組んでおります。例えば「統制環境」ですが、すべての者に統制する意識を与え、ほかの基本的要素の基盤となるものです。主な取組として、機構運営方針の策定・周知があります。こうしたことを通じて、一番右にあります「取組による効果」として、運営方針の認識、必要な取組の明確化といったことを期待しているところです。これら内部統制については、今後ともPDCAサイクルを通じてその機能の向上を図っていきたいと思っております。
 52頁です。左に4つの「目的」、上に6つの「基本的要素」がありますが、これをマトリックスにしたものです。これはご参考までに付けております。
 53頁です。交付金関係ですが、「一般管理費・事業費等の効率化」です。左のドラム缶が平成20年度、右のドラム缶が平成21年度です。一般管理費、事業費ともに、年度の削減計画をクリアしております。「節減の主な取り組み」が一番右の箱にありますが、一般管理費においては事務職員数の抑制、賞与のカット。事業費は賃借料の節減等です。
 54頁です。これは「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営費交付金の割合の維持」です。平成21年度は平成20年度と同水準となっており、交付金率は0.6%と一応目標を達成しているということです。
 55頁ですが、「労災病院における経営基盤の確立」ということで、損益の状況が書いてあります。左から平成15年度、まだ特殊法人時代です。191億円のマイナスでしたが、平成20年度にはマイナス43億円、平成21年度は8億円悪化してマイナス51億円となっております。これについては、右下に文章が書いてあります。厚生年金基金資産の減少分に見合う費用の増ということで、平成20年度はマイナス36億円、平成21年度はさらに13億円膨れてマイナス49億円で、これが大きく影響しております。こうした要因を除くと、文章の下2行に書いてありますように、損益は5億円の改善、経常損益は黒字に転じるなど、成果を上げていると考えております。
 56頁ですが、いま申し上げた損益の状況がこの箱に書いてあります。左の上のほうですが、平成20年度の当期損益がマイナス43億円、右のほうですが、平成21年度の当期損益はマイナス51億円となっております。下の部分に太字で囲ってありますが、これは年金基金の影響を除いたものです。一番下の当期損益はマイナス7億円から5億円改善してマイナス2億円、平成21年度の下から3行目ですが、経常損益はプラス4億円となり、独法移行以来初めてのプラスになっております。また、第1パラグラフの2行目の終わりに、収支の記載があります。機器整備等の投資前は133億円のプラス、投資後においても33億円のプラスとなっております。
 57頁ですが、繰越欠損金の解消の関係です。平成20年度から書いておりますが、平成21年度で384億円となっております。その解消に向けた取組として、真ん中の箱にあります上位施設基準の取得の促進、給与カーブのフラット化、一般競争入札の拡大、後発医薬品の採用拡大等に取り組んでおります。右下に小さく書いておりますが、診療報酬のプラス改定による改善額が50億円のプラス、マイナス方向に足を引っ張っていた厚生年金基金資産の運用改善により、退職給付費用が平成22年度以降7年間で毎年14億円のプラスを生み出します。こうしたことと相まって、繰越欠損金の解消に向けて計画的な歩みが持てるものと考えております。
 58頁ですが、昨年もご説明した年金資産減少に伴う影響です。上のほうですが、「平成21年度の影響」は約マイナス49億円でした。真ん中の「平成22年度以降の影響」ですが、年金資産の実績運用率が大幅に改善し、現時点ではマイナス49億円からマイナス35億円に回復しているということです。
 59頁ですが、これも参考資料です。「労災病院における政策医療の損益への影響について」というタイトルです。これは以前、評価委員会の総会や行政刷新会議で質問がありましたので、労災病院の損益に影響を与える要因を示したものです。左上の箱ですが、労災病院事業は交付金なしですべて自前収入で運営しております。こうした点は、よく比べられる国立病院機構とは大きく違うところです。国立病院機構の場合は、平成20年度は70数億円の交付金があったと記憶しております。
 右の箱は「政策医療の特殊性」です。これは民間病院での不採算のため整備しない、労災病院ならではの特殊な機器、あるいはリハビリ施設を保有するがために、減価償却率が高く、その負担が大きいことを示しております。下に「その他」とありますが、非公務員型独法によるということです。下の箱ですが、非公務員型独法であるがゆえの厚生年金基金に係る退職給付費用の発生、労働保険料の発生を示しております。非公務員型独法、逆に公務員型独法なのは、国立病院機構のほかには統計センターや造幣局、印刷局といった所があります。
 60頁ですが、「人事に関する計画」です。1「人事に関する計画(年度別削減計画)」です。これは交付金事業ですが、職員は80人削減したところです。2「人事交流による活性化」は飛ばして、3「新たな人事施策の展開」ですが、役員の公募関係です。平成21年度は理事2名、監事2名の公募を行っております。?A国家公務員の再就職者数は、平成21年度は2名おりますが、これは来年度には解消する予定です。
 61頁ですが、「業績評価制度による具体的な改善効果」です。左の箱の改善効果として、左から患者満足度は80%をキープした、あるいは病診連携、その医師からの評価のアップ、さらにはクリニカルパス、DPC、地域医療支援病院、がん診療連携拠点病院の増。下の箱ですが、職員のモチベーションのアップということで、61から64.1に上がっております。右の箱ですが、「経常損益の改善」等があります。また、右側に「外部有識者による評価」とあります。これは学識・労使8名の方からなる「業績評価委員会」ですが、年2回実施しております。
 評価シートの81頁をご覧ください。シート12「業務運営の効率化」です。?Aですが、随契の割合の低下、一者応札への対応を図っているということです。?Bは内部統制の一層の向上。?D職員の賃金2.5%カットということで、これは本年7月1日から開始しております。中高年齢層は、特に賃金カーブフラット化のため、5%のカットとなっております。下のほうですが、?M~?Oにありますように、医療材料等の共同購入によるコスト削減等を実施しております。以上のことから、自己評価をAとしております。
 92頁ですが、シート13「予算、収支計画及び資金計画」です。平成21年度の当期損益は8億円の悪化となりましたが、その要因である厚生年金資産の減少分に見合う費用計上を除いた医業活動に限って見れば、マイナス2億円と、昨年度に比べて5億円改善しました。また、経常損益がプラス4億円となったことから、自己評価をBとしております。
 96頁ですが、シート14「短期借入金等」の関係です。これはポンチ絵で説明しておりませんが、資産処分を着実に進めております。自己評価はBとしております。
 100頁ですが、シート15「人事、施設・整備に関する計画等」です。?@の労災リハビリテーション工学センターは廃止しました。?Aの海外勤務健康管理センターも廃止しております。?D役員の公募ですが、こういったことを行っております。自己評価はBとしております。
 105頁です。シート16「業績評価の実施等」です。外部有識者による業績評価委員会を開催するとともに、各部門ごとにBSCの手法を用いた内部業績評価を実施し、効率的な業務運営を進めております。自己評価はAとしております。第4グループは以上です。監事室長から監査報告についてご説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構監事室長
 監事室長の庄子です。平成21事業年度の監事監査の状況についてご説明します。ポンチ絵はありません。
 平成21年度の監査にあたっては、理事会その他の重要な会議に出席するほか、役職員等から事業報告を受け、重要文書を閲覧するとともに、施設については労災病院は10カ所、労災看護専門学校は3カ所、勤務者予防医療センターは1カ所、産業保健推進センターは9カ所、合計23カ所の施設と、機構本部において実地監査を行いました。
 監査結果は「監査報告書」として財務諸表に添付されておりますが、本日の資料1-7の63頁です。財務諸表については、一般に公平妥当と認められる会計基準に準拠して作成されていると認められます。したがって、貸借対照表、損益計算書等は正しく表示されております。決算報告書も予算の執行状況を正しく表示しております。業務については、通則法、機構法、業務方法書に基づいて適正に実施されていると認められたところです。
 監査にあたっては、閣議決定の独立行政法人の抜本的な見直しの趣旨を踏まえ、また、この閣議決定で当面凍結とされた平成19年度の整理合理化計画の考え方を踏襲しながら、さらには政・独委の評価の視点、本委員会のご指導も十分視野に入れて監査を行っております。重点的な項目を申し上げますと、昨年度とほぼ同様ですが、随意契約の見直し状況、給与水準の状況、内部統制の状況、保有資産の見直し状況の4点です。
 監査結果については、資料1-3「21年度業務実績評価別添資料」の最後に監査報告書を綴っております。9~10頁に記載しておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。
 「随意契約の見直し」の関係は、院長会議、事務局長会議等各種会議で各施設に対して具体的に指示を行うとともに、業務指導も適宜行われており、随意契約の件数及び金額は大幅に低下してきております。特に平成21年度については、12月に機構の監事、外部有識者で構成する契約監視委員会を設置し、委員会を合計3回実施して、随意契約や一者応札等の点検・見直しを行いました。その審議概要を機構のホームページにアップするとともに、その結果を踏まえて新たに随意契約見直し計画を策定し、さらなる契約の適正化を推進するとしております。
 給与水準関係は、期末手当の削減を行うとともに、国家公務員の給与構造改革を踏まえ、年功給与を是正するため、俸給表の見直しについて労使間で協議を行って、基本合意を得たということです。
 「内部統制の状況」は、内部統制の向上に関する規程を策定するとともに、内部統制委員会を設置するなど、より一層の内部統制の強化に努めております。
 「保有資産の見直し状況」については、平成21年度、霧島温泉労災病院用地等を譲渡しておりますが、機構が保有する資産の有効な活用、処分の適切性等について検討を行っております。また、不要資産売却促進の観点から、平成21年度から新たに不動産媒介業務を外部に委託するとともに、一般競争入札公告における「最低売却価格」を公表するなど、措置を講じているところです。監査は以上です。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方は評価シートへの評定等のご記入をお願いします。ご発言がありましたらどうぞ。

○松田委員
 給与水準についてお伺いします。資料1-3の7頁で、病院の看護師を確保するのが非常に難しいということですが、それはそうですね。しかし、これを見ると106.6、4年間分の賃上げ分です。いま、1年間で大体1.6%でしょう。4年間分の賃上げ分をやっていると。確かに看護師の確保は難しいけれど、いろいろありますね。例えば、労働基準法が改正されて、時間制の有給休暇が取れるとか、育児所を設けるとか、残業を廃止するとか、いろいろあります。ですから、給料を上げろだけではなくて、何か魅力的な仕事を見つける努力をなさっているかどうか。

○労働者健康福祉機構理事長
 看護師の確保は私どもも相当苦労し、一方でそれだけに活発に行っているわけですが、看護師の確保について一番に条件とされるのは、1つは看護体制の厚い形を取っていることです。そのほうが、勤務してからの余裕が出てくるわけです。だから、7対1取得にこだわりがあると。もう1つは、若い看護師は2交代制で休みが多いほうがいいと。また、育ててくれる病院か。勤務体制としておっしゃられたような保育体制や妊娠・出産の際の短時間勤務制度があるか。我々はいずれについてもいま努力している最中であり、私どもの労働組合からの要求もあり、整備を進めてきております。
 106.6というラスパイレス指数になっているわけですが、今年、看護師についても年功是正をやっていますが、上のほうは最高5%、全体として2.5%の給与カットを、組合と話して決着がつきましたので、ご指摘の給与問題についてもだいぶ改善方向に向かうのではないかと思っています。かなり難航しましたが、そうした方向で話がついています。そういうことで、是正に向けて努力していきたいと思っております。

○松田委員
 看護師の離職率は10%台から8.8%に下がったということで、非常にいいことですが、看護師は入職して大体何年で辞めるのですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 医療事業部長の遠藤です。大体3年から5年の間に退職していく場合が多くて、私どもは昨年から離職者のアンケートを取って、何で辞めていくかという理由について調査をしております。採用後1年以内に辞めていく方もいらっしゃるわけで、そういう人たちはいわゆるリアリティーギャップ、学校で勉強したことと現場との差に耐えられないのと、決して事故が起きているわけではないのですが、医療事故への不安が大きい要因になっています。
 2~5年目の離職者が数としては多いのですが、勤務時間、先ほどご指摘のあったいろいろな勤務体系が選べるかとか、短時間の勤務ができないことを理由に辞めていくのと、結婚です。9年目ぐらいまで、結婚と勤務体制というのがずっと続いている感じです。全離職者で見ると、結婚、勤務体制の問題の2つが離職の理由として大きく出てきております。

○篠原部会長代理
 2点質問したいのですが、1点目は常勤監事の件で、4月1日から公募でなられたと。あえて公募にしたということは、業務知識がどうのこうのというよりは、私ども公認会計士と同様に第三者の立場を重視したということで、今回出てくることを期待して、私は電話でも「今日出ます」と聞いているのです。何で今日は欠席したのでしょうか。

○労働者健康福祉機構監事室長
 実は、今日、私にも常勤監事が出ると言いましたが、ここ数年、丸々5年やっておりますが、常勤監事の出席がありませんでしたので、監事は必要ありませんと、私が。

○篠原部会長代理
 内閣府の閣議決定で、監事はもっと総会、委員会に関与しろと。最近、監事がこの労働部会でも出るようになっていると。ほかの省庁はかなり参加していることは知っているのです。最初のころ、監事が出ていたのです。そういう話ではなくて、電話で「今回出るんでしょうね」と確認したと言ったでしょう。そういう一般論の話をしているわけではないのです。ただ、私は監事に質問したかったので、これはいいです。
 次に、3月の労働部会で質問したことがあります。区分経理ですが、労災病院はいわゆる設置法では1つの区分、省令では3つと。ということは、監査を受けなくていい、1つで受けると。病院事業とか、いわゆる公的資金のというのは、原理が違うと思うのです。……当たり前で、医療関係は病院事業会計だと思うのです。これは国立病院も1個にしてしまっているのです。先ほど言ったリーマンショックのところは、いろいろなことが出てくると、病院事業ときちんと分けていただかないとわかりづらいし、全体でやっているから費用の厳しい監査も受けていないわけです。そういう意味では必要があると思っているのです。
 所管課長に聞いたほうがいいのかもしれませんが、ずっと見てきて、1つだとやはりわかりづらいと。だから、今回も病院事業の関係はいわゆる参考資料としてもらっているのです。これはもちろん監査済みではない。ですから、いろいろなことを考えると、法律で区分経理して、それぞれ監査を受ける体制のほうがいいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 おそらく、法律で区分経理をしている独法はいくつかあると思うのですが、それは国から交付金なりが流れるときの会計区分が2つある場合です。こちらの機構の場合は、労働保険特別会計の労災勘定で労災保険制度の中に位置づけられているものですから、労災勘定だけなのです。もし一般会計が入っていれば、当然一般会計と労災保険のお金を区分経理してくださいということで、法律上は規定していたと思うのですが、労災勘定だけなので、法律上分ける必然性までなかろうと判断したのだと思うのです。圧倒的多数の独立行政法人は、そういう国からの会計区分が異ならない場合には、たぶん1つだけという形になっているのだろうと。

○篠原部会長代理
 私どもは、移行独法でも公認会計士協会で調査しているのです。そうすると、規模にかかわらず、7とか10とかものすごく区分していたのです。特殊法人等がなったときに、はっきり言って勘ぐっています。監査を受けたくないために、本来分けたほうがいいのをしなかったのではないかと私は思います。というのは、前は細かすぎてよくわからなかったのです。えらく規模の小さいものから大きいものから。先ほど言いましたように、病院事業とそれ以外の事業はかなり会計的に違いますから、分けたほうがいいでしょうと聞いているのです。そちらの話はわかります。

○労働基準局労災補償労災管理課長
 もう1つは、確かに違う部分もあるのですが、一方で労災病院と先ほど申し上げた産業保健の話、これは交付金で見ているのですが、そういうものが違う部分もあるかもしれないけれど、一体として動いているという意味で、そちらに着目すれば共通性もあるのかなと。だから、国から入るお金と、仕事自体も非常に関連性があるということで一本になっているのだろうと。その上でセグメント情報ということで、病院の情報と個別の事業ごとに、資料としてはお示しするということで、客観性なり透明性を与えられた範囲の中でぎりぎり図っているのであろうと。区分をすぐやるかどうか、これは独法全体の話に関わるものですから、直ちにお答えするのは難しい気がしております。

○中村委員
 教えていただきたいのですが、独法自体の全部の予算が3,145億円ということでよろしいのですかね。そのうち国から入ってきているのが、今年度は310億円。

○労働者健康福祉機構総務部長
 交付金ですか。交付金は100億円ぐらいです。残りは、200億円ちょっとが先ほど申し上げた未払賃金立替払事業等の補助金で、右から左に流れていくという言い方は失礼なのですが、そうしたお金です。

○中村委員
 それはどこから入ってくるのですか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 国からです。

○中村委員
 それも国から。ということは、国から借金をしているということですね。右から左に行くというのは、借金ではないのですか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 違います。

○中村委員
 お金のところで、一般管理費の中で事務職員数の抑制、期末手当支給月数0.25カ月分カットとなっているのですが、通常は期末手当支給は何箇月分になっているのですか。管理職加算割合のカットとなっていますが、管理職の加算割合は大体どのぐらいなのですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 賞与ですが、規定では年間4.4カ月になっております。これを0.25カ月カットして、4.15カ月の支給としたということです。管理職の加算割合は、規定では25%になっているのですが。

○中村委員
 何の25%ですか。手当も含んで、総額の25ですか、それとも基本の。

○労働者健康福祉機構職員部長
 いわゆる基礎額の部分の俸給と扶養手当、そういったものの基礎額にかかる部分についての最高25%の加算を半減して、さらに2%カットして支給しているということです。

○中村委員
 人件費に手を付けるのは簡単であり、またモチベーションなどもあるので、簡単にする場合は会社も倒産になりますよと、倒産を取ってみんな路頭に迷うか、ここで全員カットを25%して頑張ろうかと、どちらかのときに人件費に手を付けます。
 ただ、ご質問したいのは、いま独法になったので、年功序列もしくは毎年何パーセントずつ上がっていくという方式はなくなったのですよね。いまも残っているのですか。それとも、なくて、評価方法、企業で言うとやった人がやっただけ、やらなかった人はダウンもあり得るという人件費の評価方法ができているのかできていないのか、そこを教えていただきたいと思います。

○労働者健康福祉機構理事長
 人件費の削減に気をつけてきている点については、おっしゃるとおり大変忸怩たる思いもありますし、その都度私が直接全職員になぜ必要かを手紙を出して理解を求めて、組合と交渉することを通じてやってきているわけです。賞与4.4という独法以前の規程があったわけですが、公務員は4.15なのです。だから、4.15までは下げるということで理解をしてもらいながらやりまして、今回この6月に妥結したのは全体で2.5%カットです。平成17年に1回やっていますので、合計5%カットになるのですが、年齢の高いほうは5%カットなのです。こういう形で賃金カーブのフラット化をやっていますが、何とか理解を得てきております。やりたくないことは事実なのですが。

○中村委員
 とても厳しいことを言うようですが、赤字を毎回ある程度お金を返しながらやっているわけですね。いわゆるリーマンショック以来、100何億という運用の赤字が出てしまったわけです。そういったときに、普通ボーナスは会社に利益が出たときに出すのです。ですから、利益が出ていない、あるいは返済しなければいけないものがまだ何十億残っている中で、独法前のように4.4カ月民間で出すというのは、いまは本当にすごい会社しか出ないですね。それはどう考えたらいいのでしょうか。借金を返済するまで、ボーナスは一切ゼロと、普通でしたらそういう方法を取るのですが。

○労働者健康福祉機構理事長
 ご理解いただきたいのは、病院事業の経営をしていくときに、財務をどう見るかと。減価償却し、先ほどあったリーマンショックによる厚生年金基金の運用実績の低下といったものは、現金の流出は伴わないわけです。病院事業としては、先ほど絵で説明しましたが、単純収支差をすると133億ぐらいの黒字になって、そこから機器整備等に当てると、生で残る現金が30数億残るわけです。病院として内部留保に回せる分はそのぐらいあるわけです。
 そういう中で、ボーナスを払わないというドラスティックな形でやったときに、何が起きるだろうかと。払えないわけではないのです。お金はあるわけです。それをやったときには、たぶん医師は逃げ、看護師は逃げ、病院機能は維持できなくなると思います。そこのバランスの問題で、長期的視野に立って経営をしていくためには、病院は医師がいて何ぼの世界ですから、すべて医師からオーダーが出て、医師1人で年間1億を超える収入を上げるわけで。

○中村委員
 それはわかるのですが、一応国から100億近くのお金が病院に入って、それで30億ぐらいの利益が出たとしても、通常それだけのお金が病院に入るということは、普通の民間ではないですね。そこは意識の変革が必要かなと思います。

○労働者健康福祉機構理事長
 是非誤解しないでいただきたいのですが、病院は一銭も入っておりません。

○中村委員
 全部自助努力でやっていらっしゃるということですね。

○労働者健康福祉機構理事長
 入っていません。内部留保しながら現金を貯めて、過去に建物が大きかったりリハビリ等の大きいものがありますが、減価償却は大きいですが、出し切ってきているわけです。リーマンショックなどの分は退職給付費用として計上しますが、現金の流出は伴いません。ただ、医者がいくら頑張っても、リーマンショックの影響は消せません。

○中村委員
 わかりました。それはそれで結構です。高額な機械を何箇所かに入れていますが、あれはリースではなくて買取りですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 両方あります。

○中村委員
 どちらがどのぐらい大きいのですか。あれは1台何億から何百億まで、放射線関係のものはすごい高額で、普通の企業でしたら1台入れるのに一生懸命努力してやるのです。これを拝見したら、相当高額な機械その他のものが、何十箇所にバンバン入っていますね。数字を見てびっくりしたのですが、それだけのお金がどこから出ているのかと。

○労働者健康福祉機構理事長
 これは全部自己資金です。医療機器、あるいは電子カルテ、オーダリング等のシステムにしても、減価償却期間は6年ぐらいだろうと思うのです。実際上、リニアック等ではそれを10何年、20年近く使うケースもあります。

○中村委員
 では、是非それをもっと地域に開放してあげてほしいのです。それだけのものがあるのですから。私ばかり時間を取ってもしょうがないので。

○労働者健康福祉機構理事長
 先ほど、地域医療支援病院が独法化当時3カ所しかなかったのが、17カ所になってきていると申し上げました。地域医療支援病院は何をやるかというと、いろいろな紹介率や病診連携が基本ですが、いま申し上げたように高額医療機器の共同利用もその1つなのです。委託検査も受けますし、地域の開業医が医療機器を共同で使うという協力をすることが、地域医療支援病院の要件ですから、そういう形を増やしてきているということで、委員のご希望の線のウェイトを高めていきたいと思っております。

○中村委員
 すばらしいと思ったのは、現在、グループウェアとかテレビ会議システムで、理事長ほか皆さんが会議をしていらっしゃるということでいいのでしょうか。日々、グループウェア、あるいはSKYPEその他でやっていらっしゃるのですか。このシステムを入れるのは結構高かったと思うのですが、全然使われていないということではなくて、使われているのですね。

○労働者健康福祉機構理事長
 今年は診療報酬の改定がありました。これは相当細かい診療報酬改定に対応して、上位基準を取っていくための事務的な作業から、それをリードする作業は短期間にこなすわけです。そうすると、実際各病院の医事担当者にそれを教えていく、それをどう使うかというのは、全部テレビ会議でやるのです。そういうことで、頻繁にテレビ会議を使うと。ただ、今年はどういう方針で、どういう予算額でという大きな話を病院長とするときは膝詰めでやるとか、そこは使い分けながら。しかし、テレビ会議はかなりフル稼動しています。

○中村委員
 病院側のコスト軽減策として、具体的にどんなことをされたのですか。毎年目標がおありになると思うのですが。

○労働者健康福祉機構理事長
 先ほど申し上げたように、システムをオーダリングですると6年もすると古くなってくると。新しいものに変えなければいけないというときに、先ほどコンサルタントを入れてアドバイスを受けたりして対応しながら、1件6,000万の節約をしたということがありましたが、そういうものを含め、先ほど話題になった高額医療機器、これはMRI、CT、リニアックもそうですし、X線も血管撮影装置もそうですが、それを更新するときは各病院で全部共同購入にして、価格を下げさせているのです。医療材料も共同購入の範囲を増やして、費用を削減する形で、随分支出のほうは。

○労働者健康福祉機構総務部長
 ポンチ絵の50頁をご覧ください。右側のほうで、先ほど「収入関係」と「支出関係」という言い方をしましたが、「支出関係」を見れば、いま理事長が申し上げたのは?Jのコンサルの活用です。?H医療機器の共同購入、括弧内は平成21年度実績になります。

○中村委員
 ジェネリック医薬品みたいな、薬品のことが書かれていないのですが。

○労働者健康福祉機構総務部長
 それは書いております。

○中村委員
 どこの中に入っていますか。薬品費の削減ですか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 ?F薬品費の縮減の後発医薬品への切替、10億です。

○中村委員
 ということは、毎年この辺が削減されていくと思っていいわけですね。

○労働者健康福祉機構総務部長
 後発医薬品については、いま現在金額ベースで8%なのです。平成23年度には15%まで持っていこうと計画を立てております。もう少し上がっていくと。

○中村委員
 そうすると、切れてジェネリックになってくる薬品が各薬品会社から出てきますね。そういうことを積極的に取り入れるなりして、もう少し病院の中のコスト削減の努力、それから利益が出て初めてボーナスがもらえるという意識改革を、是非ご検討いただければと思います。

○労働者健康福祉機構理事長
 私の思いをお話させていただきますと、病院事業で良い医療機関とは何だろうというときに、私は安全で質の高い医療を提供できている病院が良い医療機関だと思うのです。ただ、それはあくまで必要条件だけであって、十分条件ではないだろうと。将来に向けて安全で質の高い医療を維持したり、発展できる力を蓄えてこそ医療機関だろうと。将来に向けても地域からの信頼を維持できる力をつけなければいけないと。そのためには機器も整備しなければいけないし、アメニティも高めなければいけない、良いドクターも集めなければいけない、いろいろなことをやらなければいけないわけです。そのためのお金は生み出すと。そのことを、ボーナスを削ることとどう調和させていくかが大きな経営上の課題で、人材、機器、いろいろ投資があって、その余力を作ってこそ、将来に向けても良い医療機関であり続けられるわけですから、いま人材を放出するような形になったら、医療機関はたちまち壊滅になるのです。この難しさの中で黒字を出していく。

○中村委員
 独法を存続させるためには、どこか痛み分けが必要かもしれませんね。

○労働者健康福祉機構理事長
 また費用削減とか。

○中村委員
 是非、頑張ってください。

○労働者健康福祉機構理事長
 そこをやらなくてはいけないと思っていますので。

○井原部会長
 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、評価の項目についてはすべて終わりました。事務局からこのあとの取扱いについてご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料の送付をご希望される場合には、部会終了後に事務局にお申し付けいただければと思います。また、記入が終わっていない方がいらっしゃいましたら、本部会が終了したあとに会場にお残りになって記入いただいても結構ですし、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能です。お持ち帰りになる場合には、今週木曜日にまた部会がありますので、その場にお持ちいただくか、それまでに事務局に評定記入用紙をお送りいただければと思います。また、お持ち帰りになる場合には、一言事務局にお声かけいただければと思います。よろしくお願いします。

○井原部会長
 次に、長期借入金計画の実績の報告をいただきます。事務局から説明をしていただいて、続いて法人から説明をいただきます。

○政策評価官室長補佐
 資料2-1をご覧ください。事務局から、部会における長期借入金計画等に関する取扱いについてご説明します。
 資料2-1に概要を記載しております。年度を通じた長期借入金については部会の了解事項となっておりますが、当該計画に基づく長期借入金の個別の認可については部会長一任としており、部会には事後報告の形になっております。労働者健康福祉機構の平成22年度長期借入金計画及び償還計画は、本年2月に本部会のご了解をいただきました。本日は、これらの計画に基づく平成22年3月及び5月の長期借入金実績のご報告になります。私からは以上です。

○井原部会長
 法人からお願いします。

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長の鮫島です。当機構の長期借入金の実績についてご説明します。
 資料2-2をご覧ください。平成21年度の第4四半期分、平成22年3月の借入実績についてです。この借入については、これまでもご説明しているとおり、当機構が独法化する以前の労働福祉事業団が行っていた労働安全衛生融資の原資として、平成6年まで借入していた財政融資資金の償還の期間が15年、一方、労働安全衛生融資を行った中小事業主からの償還の期間が最長20年であることから、財政融資資金への償還と中小事業主への貸付債権の回収との間にタイムラグが生じることになります。そういうことで、財政融資資金の償還金の不足に充てるために、民間金融機関から資金の借入を行うこととしているものです。
 平成21年度の長期借入金計画に関しては、平成22年2月10日の「第57回労働部会」において既にご説明し、償還計画の変更のご了承をいただいております。
 平成22年3月の借入実績については、資料の項目1に記載しているとおりです。平成22年3月借入金の償還に伴う民間からの借換額は、12億8,810万8,000円となっております。この結果、項目2に記載しているとおり、平成21年度の長期借入金の実績額は37億1,820万4,000円です。償還計画変更のご承認をいただいた37億8,651万3,000円の範囲内で対応できましたことをご報告します。なお、財政融資資金借入金の償還については、平成21年11月25日で償還は完済したところです。
 次に、平成22年5月の借入実績についてご説明します。資料の2枚目になります。平成22年度の長期借入計画に関しては、項目4に記載しているとおりです。平成22年2月10日の「第57回労働部会」において、年度計画全体について既にご説明し、ご了承をいただいております。長期借入金の借入については、民間借入金の償還時期に合わせ、5月、9月、11月及び3月の4回を計画しており、平成22年度計画の範囲内で借入を行うこととしております。
 平成22年5月の借入実績については、項目3に記載しているとおりです。平成21年5月借入金の償還に伴う民間からの借換額として、4億5,790万4,000円借入を行っております。この結果、項目4にお示ししているとおり、平成22年度計画の範囲内で借入を行っておりますことを併せてご報告します。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○井原部会長
 それでは、ご質問等ありましたらお願いします。

○篠原部会長代理
 これは、借換は入札でしたか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 入札で実施しております。

○篠原部会長代理
 いわゆる借入先というか、銀行が変わったと書いていないのですが、これは同一の所かということと、3月の実績だと、借入利率が今度の5月はだいぶ上がっているのですが、この理由は何ですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 第1点目ですが、競争入札を実施しておりまして、銀行のほうは入札ごとに変更になっているということです。
 次に金利の関係ですが、これについてはTIBOR(タイボー)と言って、全国銀行協会が公表している東京銀行間取引金利がありまして、それに基づく金利で銀行間で資金を融通し合うときの金利でやっております。これによって銀行の儲け分、いわゆるスプレッドを上乗せしたものを適用金利としております。
 借入金の確定と利用利率ですが、借入日の3日前までの回収金総額と償還金額との差額を借入額として、取引取組日2営業日前の、先ほどご説明したTIBORレートとスプレッドを上乗せしたものを適用金利として一番低い金利を提示した金融機関に決定しております。3月が0.66727%でしたが、5月は0.80692%と上がっているということです。

○井原部会長
 あとはよろしいでしょうか。それでは、労働者健康福祉機構の、平成22年3月及び5月の長期借入金については、当部会としては報告を承ったということにいたします。

○篠原部会長代理
 私が時間をえらく気にしてやっていたのは、今回の財務に関する大臣への意見具申にかかわるものですから質問させていただきます。質問するのは昨年度です。私から言うと誤解、そちらからいえば正当なことを言っているかもしれないので、いくつか質問させていただきます。
 財務諸表の作成に関する責任というのは、世界的に理事長、いわゆる労福にある。これは経営者確認書で、必ず確認するようにされているのですが、これはご承知ですよね。

○労働者健康福祉機構理事長
 はい。

○篠原部会長代理
 次に、本日いただいた財務諸表の13頁の真ん中辺りに「特記」というところがあります。この中で、「退職給付費用の増は平成20年度決算より、当機構の損益に影響を与えているところであるが、平成20年度財務諸表の承認に当たり、独立行政法人評価委員会において何とかかんとか意見が付されているので、平成21年度から解除した」ということは、これを読みますと平成20年度は、私どもは承認したというように取れます。これは、あくまでも労福機構が作るのであって、当然私どもは問題点については指摘させていただいています。いわゆる財務諸表には、この時点では言わない。後で3点の重要な瑕疵があると。さらに監査については重大な疑義があると申し上げているはずです。それを、こういう形で出るというのは、我々の委員会としては責任を負いかねる、こういう書き方をされると範囲を超えています。これは直してもらわないと。
 この書き方だと、平成20年度は書かなくてもいいということを、この委員会で言っているような気がすると思いませんか。これはどういう意図で、平成20年度はどうのこうので、平成21年度でそれをどう解釈するかなのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 私どもが認識しているところを申し上げます。もし篠原委員と認識の違いがありましたらまたご指摘をいただければと思います。昨年の評価部会においても、厚生年金基金の資産減少分について特記すべきという篠原先生のご意見もあり、そして財務諸表等の大臣の承認を得る際の、こちらの意見をお聞きする場では、ここにあるように、独立行政法人の理念と目標に沿って、利用者に有用かつ理解しやすい財務諸表の作成に努めるようにというご指摘をいただきました。私どもはその線に沿って、1つは昨年の段階でも、ホームページ等で公表していく際には、篠原委員のご趣旨に沿い、一般の方にもご理解を得られるように注記をしながら、財務諸表等をホームページでは公表するなど、当委員会のご意見を踏まえていろいろ配慮させていただきました。
 本年度は、昨年そうしたご意見を頂戴していますので、当然特記をさせていただきました。その際にはっきりさせておかなくてはいけないこととしては、平成20年度も、そういう財務諸表の諸数字に影響を与える厚生年金基金の資産減少分があったのだということをはっきり断っておいたほうがいいだろうと。それで「平成20年度においても、当機構の損益に影響を与えているところであるが」と書かせていただいて、平成20年度にもそういうご指摘も踏まえ、損益に影響を与えていることをはっきり言いつつ、平成21年度の決算を問題にする、ということにさせていただきました。

○篠原部会長代理
 わかりました。いまの答えをもらうために1、2とやってきたのですが3番目です。去年私どもが財務に関する大臣への意見具申の内容で、一番意見が違うというか、見解の違うのは、私は、去年この財務諸表に対し、ホームページではなくて、この大臣意見具申をよく読んでいただくと、財務諸表を直してくださいと。プラス「今後」という文章が入っていますので、ここが見解の相異で、これは一昨日からここに、私がこういう意見具申というか、あの文章をお願いしたというか、最後の大臣の署名まで全部取り寄せましたし、ホームページも調べました。
 あまりにも労福の行動が、去年はホームページでいいのだと。大臣承認が9月15日ですから、9月10何日に理事長と私はお会いしていると思います。その席で、そこにおられる部長方が私を囲んで、非常に物理的な圧迫を得たと私は感じますけれども、その話は別として伊藤理事長は、「適正である承認を労働部会で得た」と。そのときに私は「違いますよ。留保条件付き適正です」と申し上げました。
 実は、この行動は全部労福は、適正意見だと思っているのです。安里室長補佐にも、去年の9月ごろ「適正意見ではないのですよ」と。今年の6月10日から20日ぐらいに電話で言ったときに、彼女も「適正意見である。留保条件付きではないのだ」と。そのときに、彼女はこういうことを私に言いました。「評価官室の見解を、篠原は納得していただけない」と。これは、はっきり言っておかしい文章です。私が起案して、労働部会で承認しているものを、違った見解を言うというのはまずおかしいと私は思っています。
 私がこれを非常に気にしているのは、私が書いた文章が、一般に変な文章かということで私は調べました。それほど変な文章ではないです。まず説明します。私は「ただし」と書いて、理事長もご存じだと思うのですが、労福の総合評価の前に、私は1時間か2時間前に退席していて、それで理事長と会っているはずです。そのときに私が言ったのは、実は、私は「ただし」という文章を適正意見の次に書いたのです。ところが「なお」と直してあったので、私は「ただし」に戻してくださいと。これは意味が違うからと。
 「ただし」というのは、私たちは監査の場合にはしょっちゅう使います、規定に対してです。これは、前の文章の制限とか条件を付けているのです。だから「留保条件付き適正」と言っていると私は思っています。私は、一昨日からホームページを引いても、そういう文章の法律とか規程は多いです、いっぱい引っかかってきます。皆さんほとんどが、「ただし」という意味を理解していない。これは、明らかに留保条件として付けているのです。
 もう1つ「今後」という文章があります。今後というのは、日常会話としては「これからね」という話で使われていると思います。これも私は辞書を引きました。そうすると「今後」と「以後」というのはほとんど同じ意味です。法律用語として、「以後」というのは今を含みます。今を含んだ次です。だから財務諸表に代えると、「今期の財務諸表及び来期以降」となります。評価官室も、労福も、今期の財務諸表は含まない前提で説明している。
 普通「今後」という言葉は、マニュアルを作るときには使いません。なぜ使ったかというと、最初に鮫島部長に出したメールのコピーがあるのですが、ここにはこういうことが書いてあります。非常にこの問題は微妙なので、わかる人にはドキッとする。わからない人にはわからないだろう。非常に私は工夫して書いたものです。はっきり言ってしまえば、今期の財務諸表は書き換えろと言ってもいいのです。それを一般の人が見るとまずいから、わかる人にはわかると言ったら、ほとんど全員がわからない。
 これは今回も言っていないと思うのですが、2週間ぐらい前に、安里室長補佐とやり合ったときに、この問題でガタガタ言うのなら、それぞれ専門家に相談してくださいと。伊藤理事長は相談しましたか。この文章は法律上どう解釈するか。私が言ったような解釈であるかどうか。少なくとも労福は、これは今期は対象になっていないと。これは、ものすごく厳しい文章ですよ。「独立行政法人の理念と目標に沿った財務諸表を作成し」ということは、去年の財務諸表は理念に沿っていないと私は言っているのです。だから、ホームページとか何かでやって回復するものではないのです。
 一連のこれを見ると、私は青木監事といろいろやって、青木監事も、いわゆる今期は入らないという見解のようです。ほとんどがみんなそういう見解です。私はこう考えていたのです。これは当期が入るから、大臣承認のときには、この文章が変わっていると思っていたのです。ところが、大臣承認も同じ文章、だから青木監事とやり合ったときに、私はそれは知らないよと言ったのは、当然変えていると思ったのです。
 どうもこの大臣承認を、所管課がやったのか評価官がやったのか、私どもは手続を一切知りません。ただ、これを留保条件付き適正意見だということを、認識しないでやったと思っています。ですから労働部会にとっては、いまだその留保条件に対するリリース、いわゆる解消したという報告はないのです。はっきり言ってないです、これは厳しいことを言っています。
 これの途中で、評価官と当時の監事にこういうことを書いてあります。「この文章は私の現状での認識を示したのであり」いわゆる具体的なことは全部説明していますと。だから、ただし書規定のところは、私は書くときにこういうことを言っているのです。「具体的には書きません。だけど、具体的なことは全部言っています」と。
 どうも、今回この1年間いろいろな話をすると、私がいろいろな配慮をしたにもかかわらず、それを盾に取って何もやらないのです。それでは、これは具体性がないではないか。これを話して、具体的なことを私は言っているはずなのです。あえて、これには具体的なことは書かないと言っているのです。もし書いてもらいたいのなら、その辺は具体的に書け、それでなければ動かないというのは、今回の大臣に対する意見具申は書きます。
 例えば外部に運用して、300億円以上の損をこいたのにもかかわらず、財務諸表上どこにもないというのは、民間では考えられないのです。それを言ってしまったらいろいろ大きな問題になるから言いませんよと言っているのです。これは、常識では考えられませんよ。だって、先ほどから言っているように病院事業は儲かる事業ではないのだから、300億円を返すというのは大変なことですよ。そういう重要性から考えたらどこにも書かないというのは。
 私はこう理解しています。最後に大臣承認のときに、伊藤理事長及びむつけきというか、そこにいる私よりも体格のいい人たちに囲まれて言ったときに、「会計監査人は、会計規程に書いてないから私どもはいま言ったようなことはやりません」と言ったのです。私は、いまでもそう理解しています。これは、そのときに反論したと思います。これは、公認会計士としては、3年から5年以内の人が言う言葉で、こういうピラミッド状にあって、一番下の手続にないからといって、そういうことを言ったら、少なくとも私がいた監査法人では馬鹿にしますし、馬鹿にされます。
 それを理事長と同じような、私がひっくり返ったって、でんぐり返ったって入れないような良い大学を出て、大手監査法人のナンバ2か3で、日本公認会計士協会で活躍して、日本監査役協会で活躍している。私はどちらを信用するかというと、私のような訳のわからない者が言うよりは、結局会計監査人のことを信用したと思うのです。このことを、今回評価官が相談した有名な、少なくとも独立行政法人の制度とか会計のわかっている人にそれを言ったら「俺もそう思う、お前なんか信用しないで向こうを信用します」と。だからといって、私の言うことが間違っているということとはまた別です。
 だから、私は一昨日からこのただし書規定を全部調べました。私は自信を持ってこれを言います。ただ、理事長はどういう意見でこれを、去年の財務諸表を該当してないと理解しているのですか、それをお聞きしたいです。ただ、今後があるからやらないという話はチラチラと聞いています。私は、今後について辞書も引きましたしいろいろやりました。どういうことなのでしょうか、なぜ入らないのか教えていただけますか。

○労働者健康福祉機構理事長
 いま、昨年の部会でのご議論をいろいろ思い出しているのですけれども、まず先生にご理解いただきたいのは、病院事業について、厚生年金基金の資産減少分を評価していただく委員の皆さん方にもご理解いただいて、医業活動とはちょっと別の要因として、医業活動ではどうしようもない要因として現れてくるものなので、そこをご理解いただいて、評価をいただくことについては全く篠原先生と私は同感なのです。同じ立場にある、そこをご理解いただいて評価していただかなくては、病院の医師をはじめ医療スタッフの活動ぶりが正しく伝わらないだろうということは、まさにご指摘のとおりです。
 それでどうするかということを、昨年も先生からのご指摘を踏まえながら、いろいろと対応に苦慮していた中で、当部会で最終的に大臣に意見具申する際に、私はまず適当であるというふうに認めた上で、ただし今後云々となった際に、この部会でもそれの扱いをめぐって、篠原先生の意見といろいろとやり取りが他の委員との間でもあったかと思っています。
 そういう意見を相互勘案するに、私としては、まず1つは私どもの責務として、もう大臣承認の意見具申をするということで、公的に大臣に申請がされる財務諸表でありますので、まずはその中に厚生年金基金の資産減少分があるということを、評価される側に正しくご理解いただくための努力をしなくてはいけないだろうと。その財務諸表を直すかどうかという問題以前に、正しくご理解いただく努力をしなくてはいけないだろうと。そのときの意見のやり取りから、来年はきっちりと書かなくてはいけないだろうと認識させてもらいました。そういう線に沿って。

○篠原部会長代理
 すみません、時間が来たので、私は5時を守りたいのです。「ただし」というのは、平成21年6月29日の承認があったということは、いわゆる平成20年度の財務諸表について言っているのです。「ただし」はそれに付いていわゆる制限を付けているのです。「今後」というのは当期、いわゆる今期の財務諸表及び来期以降という制限を付けている文章だと私は思っています。
 だから、ここのところでなぜ労福が今期の財務諸表をこの文章から外したの、ずっとそう言っていましたね。後で評価官室にも聞きますけれども、篠原の言っていることはご納得いけないと。私は何回も何回もこれは対象になっているのですよと言っているにもかかわらず、いわゆる私はアホかと、馬鹿かと。だから、私は評価官に言っています。それだったら私をここから委員として追放する手続をやってくださいと。これが世の中で、我々の監査協会、公認会計士協会で無茶苦茶なことを言っているのだったら、それを理由にして、ここで大臣承認であっても私はクビに。私は、去年から何回も言っています。これは無茶苦茶なことかと。少なくとも私は無茶苦茶なことではないと思っています。

○労働者健康福祉機構理事長
 先生、一言だけよろしいですか。私どもは、先生のご指摘の趣旨は十分踏まえて、評価していただく先生方に理解していただくための努力はしたつもりです。なにせこの意見書については、私どもが作った文章ではありませんので、私は前回のこの文章を作成していただいたときの評価委員会のやり取りから見て、当面事実上意を尽くし、そして平成21年度の財務諸表に当たっては、きっちりと注記すべしという趣旨で理解させていただきましたので、その解釈。

○篠原部会長代理
 ちょっと待ってください。

○労働者健康福祉機構理事長
 先生ちょっと待ってください。

○篠原部会長代理
 わかりました。私は、伊藤理事長が。

○労働者健康福祉機構理事長
 ただ、この解釈云々はですね、私には権限がないということを申し上げているだけです。

○篠原部会長代理
 適正であるというときに、私は留保条件付き適正であると言ったのですよ。そこを考えていないではないですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 いや、解釈権限は。

○篠原部会長代理
 だから、私は馬鹿なのか、気違いなのかと。

○労働者健康福祉機構理事長
 だから、この文章は私どもが作った文章でなくて、解釈権限は私にはございませんので。

○篠原部会長代理
 面と向かって、適正意見ではないと私は言ったのですよ。

○労働者健康福祉機構理事長
 是非、評価官室と部会長の間で調整をしていただくべきことなのだろうというふうに最後は締めたかったのです。ご理解いただきたいと思います。

○篠原部会長代理
 あのね、これね、ここには入っていないのですけれども、やはり落としどころというのは何回かあって提案しています。何も来ません。今回も、私はこういう言葉を6月のとき、労福も、会計監査人もせっちん詰めなのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 いや、先生これは。

○篠原部会長代理
 せっちん詰めという意味はわかっていますか。

○労働者健康福祉機構理事長
 いや、これは。

○篠原部会長代理
 せっちん詰めというのはね、私が詰めたのではないのですよ。

○労働者健康福祉機構理事長
 部会の意見書ですから。

○篠原部会長代理
 あなた方の言動によって自分で詰めているのですよ。

○労働者健康福祉機構理事長
 部会の意見書ですから、私に解釈権限を求めても、私は解釈のしようがないのです。

○篠原部会長代理
 解釈とか何かではなくて、留保条件付きで。

○政策評価官
 すみません先生、この文章は委員会として出していただいたものなので、解釈と言われるかわからないのですけれども、委員会としてのご意見というふうに私ども事務局も理解しております。

○篠原部会長代理
 これは、委員会として出している。

○政策評価官
 はい。

○井原部会長
 委員会として、要するにこれを書いたときに、皆さんが何を考えていたかという話ですよ、基本はね。

○篠原部会長代理
 そうです。

○井原部会長
 私はちょっとね、私の名前でこれを出しているものだから、やはり責任を感じるわけ。

○篠原部会長代理
 はいはい。

○井原部会長
 私はどうやって考えていたかというと、「承認することが適当である」、ここで1つ離して、ただし今後は改良に努めなさいよというふうに解釈しているわけ。「今後」というのは先ほどおっしゃっていたように、今から後でしょう。だから1年後でも、100年後でも、地球がなくなるところも全部含めるわけ。

○篠原部会長代理
 いや、やはりあれでしょう、独法が存在して、やはり理念とかが変わればそこでまた違ったものですけれども、常識的に言えば、今年から今の独法の制度とか、会計規程が続く間はやってください、努力してくださいという部分で、今年も入るのですよね。今年というか。

○井原部会長
 今年が入るかどうかというのは、ここに規定していないですもの、時間を全然。

○篠原部会長代理
 だから、私が先ほどから何回も言っているように辞書を引いて。

○井原部会長
 今回以降の話でしょう、今後というのは。

○篠原部会長代理
 あのね、法律上は基準点、今の絶対的な時間ならどんどん動いていきますよね。この場合は財務諸表を言っているわけです。財務諸表、そうすると当期、過去、来期とあるのです。そうすると今と言ったら当期なのです。今期の財務諸表を言っているわけです。

○井原部会長
 それを含めて、今後やってもいいですよという話です。

○篠原部会長代理
 そうです。いや、いつやってもいいとは言っているのです。

○井原部会長
 だけどそれを規定していない、時間を規定していない、この文章にはね。

○篠原部会長代理
 ああ、そういうふうに解釈するの。

○井原部会長
 うん。

○篠原部会長代理
 いつやってもいいよと。

○井原部会長
 うん、今後。だから今年やったわけでしょう、次の年に。

○労働者健康福祉機構理事長
 それをもって、平成21年度からは少なくともきちんと書かなくてはいけないし。

○篠原部会長代理
 いや、これはね。

○労働者健康福祉機構理事長
 平成20年度分についても、皆さんにおわかりいただけるような工夫は技術上しなくてはいけないだろうということは受け止めました。

○篠原部会長代理
 ちょっとね、話をずらしているのは、先ほど言ったように平成20年度には問題がありますよと指摘しているのだから、いま井原部会長が言ったように、来年、再来年の話ではないのです。具体的に指摘しているわけですよ。何も言っていないで、この文章だけ見れば、いま言ったように、非常に漠とした話で、それなりにやっていこうよと、それはわかります。だけども、先ほど私が言ったように、具体的なのは全部言っているんですよと。ただ、この文章は先ほど言ったように、わかる人にはドキッとして、わからない人には、まさに井原先生が言ったような意図をした文章です、はっきり言えば。だから、これをはっきり書いてもいいのですよと言っているのだ。今期はこういう問題と。

○井原部会長
 だからさ、これはもう出しちゃった話でしょう。

○篠原部会長代理
 いや、だって。

○井原部会長
 だから、これを承認したときにはさ、皆さんが賛成をして承認をしたのだから、そのときに皆さんはどういう気持で承認したかということを聞いてもらわなければいけないのですよ。

○篠原部会長代理
 いや、だから先ほどから言っているように、ただし書にてというのは、留保条件付き適正で皆さんが認めたということですよ。

○井原部会長
 それの認め方ですよ。

○篠原部会長代理
 先ほど言ったように、留保条件付き契約というのがあるでしょう。それで認めたのだから、次には、こういう対策をとったと。それで労働部会で承認して、初めて正しい適正に、ここがなくなると私は思っています。

○井原部会長
 だから、今後いつでもいいのでしょう、やれば、というように読めますよ。

○篠原部会長代理
 いや、だから、文章は読めるけれども、具体的には問題があるよと指摘しているのだから、そんな話だったらば、それではやりましょうと。

○井原部会長
 だから、皆さんが承認したときにどういう気持で承認したかという話を聞かないとね。私は、いま私が申し上げたような気持で、これは私の名前で出したものです。

○労働者健康福祉機構理事長
 そうなのです。私が言うのは変なのだと、これは。

○篠原部会長代理
 いや、これね、私が何回も言いましたように、法律家とか国語の専門家に、こういう場合私は留保条件付き適正意見ということであるか、いま言ったように、この文章は具体的なことが書いていないからそのことはわかっています。わかっていますよ、だけども、これが留保条件付きだということをわかって、もうこれでやめましょう。皆さんね、その検討をしてください。それと、先ほど指摘した文章は、おそらく私は受け入れないし、それの問題点は言います。先ほどこの文章を読んだところはね。私どもの責任ではないのだから。感じる部分は、やはり受け入れられません。それと、やはり昨年度は大きな問題があったと認識しています。これを、ここで適正と言ってしまうと、この評価委員会が間違ったものにお墨付を与えたことになります、はっきり言って。

○井原部会長
 だから「ただし」を付けたのでしょう。

○篠原部会長代理
 そう、「ただし」を付けたの。だから「ただし」が付いている。

○井原部会長
 それでいいではないですか。

○篠原部会長代理
 そう、だから。

○井原部会長
 だから、それは解釈の問題。

○篠原部会長代理
 だから、ある意味では、これはある方と相談したときに、結局我々としては独立行政法人評価委員会に責任が来なきゃいいねと、そういうことです。はっきり言えばね、いま言ったように。だからいま言ったように、来ないような気もするから、これははっきり言って、財務諸表に対して、先ほど作成責任は理事長にありますよと。会計監査人も、実は二重、三重、私が知っているだけで四重ぐらいこれからチェックがあります。ただサンプリングをやるから、労福機構が対象になるかどうかはわかりません。
 その問題と、私たちがここで言っているのはちょっと違うのがわかりますでしょ。だから、ここで適正と言ったから、今後会計監査で妥当であるということを我々は保証しているわけではない。ここは問題があると言っているからね。だから、我々としては責任が来ないレベルで撤収したほうがいいなと。ガタガタこんなにやって、私はこの1年間ものすごく時間を使っているわけだから、ボランティアでね。それで何も進んでいない。

○中村委員
 いまの300億円ですか、厚生年金の運用のそれというのが、もし外部に漏れて、ここに載っていないのではないかと言ったら、きちんと説明できる理由が理事長にあるのですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 厚生年金基金の資産の減少分については、いろいろなやり方があると思います。私は会計のほうは詳しくないので、その辺については退職給付費用に計上したままになっているところと、退職給付費用にも計上しないと会計基準上問題があるかもしれません。だけど、その分はきっちり財務諸表に明記して、なぜ退職給付費用が膨らんだかの理由をどこかに書いておくということは、やっている所とやっていない所があるのだろうと思っています。それは調べましたけれども、そういうことはあると思います。
 ただ、私どもは財務諸表とは別に、この評価委員会では財務諸表を出す以前から、そういう厚生年金基金の資産減少分があって、退職給付費用として費用を計上していますということは皆さんにお話をしているわけです、オープンにしているわけです。

○中村委員
 だけど、それが減っているということはまだ公開していないということですね。

○労働者健康福祉機構理事長
 いや、財務諸表には当然計上しています。それを計上しなかったら具合が悪いですから。今回も平成21年度は、それは厚生年金基金の資産減少分ですというふうに明記しています。去年も、ホームページやこの評価委員会の資料では、そのことを十分に説明する、場合によってはちょっとくどいのではないかと思うぐらい説明させていただいているわけです。
 だから、私としてはこの文章の意味合いについては、去年もこういう場で議論があったことの経緯は覚えています。それは、誠意をもって皆さんにわかるような工夫をすることと、平成21年度はきっちりと理由を注記したほうがいいと。注記ですね、なぜ退職給付費用が計上されているのかを注記したほうがいいというふうに、全体の意向がそういう意向だというふうに私どもは受け止めさせていただいたので、それに沿って行動させていただいているので、もしその解釈が違うということであれば、これはまた評価官室と部会長の間で整理をしていただくしかないのかと思います。

○篠原部会長代理
 いや、解釈とか何かではなくて、去年評価した対象に、財務諸表に重要な瑕疵があると私は指摘しているのです。それで、解釈ではなくて、それを受けて、伊藤理事長は、財務諸表をこのまま置くのかどうかなのです。だから、私が最初に聞いたのは、作成責任は私たちにはないのです。私たちは指摘するだけです。重要な40何億円の赤字のうち、30何億円がリーマンショックであれば、やはり誤解を与えるねと。
 例えば理事長ご存じのように、日本橋の国の事業仕分けで、菊田衆議院議員が、労福の財務諸表をこの数年見ていると、どうも経常赤字が40数億円というようですねと。40数億円ですねと、記憶ありませんか。私は近くで傍聴していたから、そういう理解をしています。

○労働者健康福祉機構理事長
 それは仕分けの場では、仮に私どもが財務諸表に注記したとしても、あのコンパクトに論点整理された資料の中には、おそらく行政刷新会議の事務局は、厚生年金基金の資産減少分が36億円入っていますというふうには書いてくれなかったと思うのです。だから、私はそれが非常に腹立たしいわけです。その辺は、篠原先生と全く同じ認識をしています、基本的にはです。まさに、あれは何も言わずに国病と単純比較した行政刷新会議のミスリードだと認識はいたしております。

○本寺委員
 この議論は、去年も篠原委員が、これで年金についての赤というのは特別損失ではないのか、ということがもともとの発端だったですよね。ところが、世の中一般的な年金の計上ルールでいくと、あれは経常に入れなさいというふうになっているからそれで入れて、ある意味では労災病院としてちゃんとやっている経営努力と違うところで赤が出ているのはもったいない、というのがもともとの論点だったと思うのです。それで篠原さんがおっしゃっているのは、平成21年度はちゃんと書き入れたのだけれども、平成20年度の分もそれをやったらいいのではないのということの解釈でいいのですよね。

○篠原部会長代理
 そういう大臣への意見具申になっていますよと言っているのです。これは、いわゆるこう言ったら例えが悪いのだけれども、平成20年度は泥棒をやりましたと、平成21年度は寄付したから、過去のことは何が問題だと。そしたら、そういう話じゃねえぞと、そういうことだよね。いわゆる平成20年度は放ったらかされているのだから、財務諸表自体は。私はそこで、財務諸表に問題があるぞと。過去こういうことをやってきたのです。問題にしていないのは、今回も言ったように、重要性があるからです。重要性がなければ、いま言ったので何もいいのです、ホームページでやったってね。私は、この労働部会の関係でいろいろなことを指摘させていただいています。だけど、今回は40何億円のうち、30何億円が。
 それで、私はここでは出さないけれども、理事長が去年、30何億円は臨時損失に入れていましたと。会計監査人が言ったから上に盛ってましたと。私どもの独法の会計基準では、どう見ても本来は臨時損失なのです。だけど、この話をやり出すとややこしくなるから過去を言っているのです。そのほうがよくわかるのですよ、財務諸表上ね。やはり、含めて注記というとわかりづらいです。
 実はこれを作ったときの委員長に、私は去年の9月に確認しているのです。このように言っていましたよねと。本来はあれだけれども、こういう場合こそ財源のほとんどが損失費用の場合は、財源で手当てするのに、これは財源が手当てされていないから、まさに臨時損失ですねと言ったら、独法の代表的な損失なのですよと。その意味で私は思っているけれども一度も言わないのは、先ほど言ったように話がずれていってしまうから、やはり注記とか何か。去年私は言っている、落としどころとしては注記ですねと。
 もう1つ言います。本日はなぜ青木監事が出ていないか。彼とは、何回かメールとか電話で話をしています。そのときに、なぜまさによりわかりやすい財務諸表をやらないで、入口論でああだこうだ言っているのですかと。これは、この10年間労働部会でいろいろなことをやってきたけれども、前進的にはこうしたらいいねと。それでは現実的にどうするかという話ではなくて、あれをやりたくない、これをやりたくない。もっとはっきり言えば、私以外は、労福も労働部会も評価官室も全部反対なのですよ。私の言う提案を全部反対しているのです。その気持はわかります。私は後ろでは、少なくとも独法の制度の会計とか、代表的な人に相談していますよ。だけど、少なくともここで皆さんと会うときには1対50・100ですよ、ものすごく圧迫がきますよ。それでやっているのですよ。

○労働者健康福祉機構理事長
 先生の問題意識については、私どもも全く同感で、むしろ私どもが一番知ってほしい情報なのです。だから、それを開示する、注記、もちろん退職給付費用を計上していないわけではなくて、それを計上することは私どもは異存はないから、そういう前向きに受け止めさせていただいているわけです。ただ先生、1つは会計監査人が言ったから、臨時損失ではなくて、経常損失のほうにしているということはないわけです。

○篠原部会長代理
 それではどういう理由で載せたのですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 たぶんあのときにも申し上げて、議事録を当たっていただければわかると思いますが。

○篠原部会長代理
 議事録は残っていますか。

○労働者健康福祉機構理事長
 民間企業の会計基準に照らすと、これは経常損失のほうに載せることになりますというふうに答えていると思うのです、うちの係員が。だから、そこはちょっと違うと思うのです。

○篠原部会長代理
 民間規程ではそうなっています。だから、独法のときには当然それが正しいかどうか検討しなくてはいけない。

○労働者健康福祉機構理事長
 それは独法の会計基準として、そのときにも併せて申し上げたのですが、こういう外部要因については、厚生年金基金の退職給付費用だけではなくて、例えば診療報酬改定が。

○篠原部会長代理
 もうやめましょう、皆さん帰るからやめましょう。

○労働者健康福祉機構理事長
 平成18年度診療報酬改定△3.16%の影響で80億円ぐらいのことがあるわけで、そうした影響を注記。

○川端委員
 普通の文章を読めば、去年の8月にこれを出しているのでしょう。それで「今後」といったらこれに出なければいけないですよね。

○篠原部会長代理
 そうです。

○川端委員
 だって、去年の8月以降の今後だから。これがきちんと尊重されれば、当然それによって直さなければいけない。それがこの文章ですよ、普通に読めばね。その「今後」というのは法的に特別な制約を受けているとか、定義していれば別ですけれども。だから「ない」というのは、たぶんこれは尊重されていないということです。

○篠原部会長代理
 だから、結局はっきり言ってしまえば、青木監事にも言った入口論で済ませているのです。例えば、これをいま言ったように、どう書いたほうがいいねと。それでは現実的にどう直しましょうか、という話に一度もいっていないのです。だからこの10年間やって、ほとんど、より理解しやすい、より評価に役立つという面からいうと非常に疑問があります。私たちはあまりここで言っていないけれども、やってくれなかったのです。おそらく何期もやっていない、1件あったかどうかです。やめましょう。
 これは先ほど言ったように、評価委員会と我々は努力したのだから、あとは先ほど言ったように、労福とか会計監査人の責任なのですよ。だから、別個のいろいろな機関がチェックするから、私どもはこれ以上できないから、これで撤収させていただきます。

○川端委員
 議事録に残っていればいいわけでしょう。

○篠原部会長代理
 そうです。我々の責任ではありませんから。だから、どうぞということです。

○政策評価官
 これは、委員長の名前で出されたものですけれども、一応「当期の財務諸表については承認することは適当であるとした」というふうに、一応そこで「適当だ」と言っているわけですよね。

○篠原部会長代理
 だから、先ほどから何回言っているの。あなたさ、法学部を出ているのでしょう。ただし書規定ってどういう意味だかわかっていますか。これ法律ではいっぱいありますよ。先ほど言ったように、前文の制限とか限定ですよ、ただし書と書いたのは。そういうことを学校で習いませんでしたか。ただし書規定ってそうですよ。

○政策評価官
 「今後の作成については」というのは作るわけですよね。今後の作成については一層努めるという話ですので。

○篠原部会長代理
 それは、安里室長補佐にも電話で言ったように、常識の話ではなくてターミノロジー、専門用語としてそんな高度な話ではないのですよ。無茶苦茶な高度だったら私は言いません。ただ、先ほど言ったようにただし書規定、なお書規定というのはあるのですよ。規定の書き方では、絶対にそういうものを作っているはずです。私たちはそれを前提に開示規程とか何かを作っているのです。
 先ほど言ったように、どうも「ただし」というのは、いま言ったように上の文章に対する制限とか条件を付けていると誰も解釈していないのです。だけど、そういう規定があるのですよ。だから、ここでゴチャゴチャ言わないで、評価官室にも言ったでしょう。法律の専門家に相談してくださいと、そういう話を。

○政策評価官室長補佐
 先生、いいですか。法律の解釈にまねて言いますと、この意見書の作成主体が評価委員会になっていますので、解釈権限は評価委員会のこの労働部会にあります。すみません、本当は本日出席された方にご意見をお伺いし、この場でどういう見解が統一見解なのかがわかればと思ったのですが、ちょっと時間もありませんので次回に進めさせていただきたいと思うのです。

○井原部会長
 篠原委員は、ここで言いたいことを全部言ったような気がいたします。それで結果として、ポイントとして、これの扱いは労福の理事長は、この財務諸表の作成に責任を持っているし、それからもう1つは、これに対していろいろ評価を行う監査法人、この2つに責任を負ってもらいます。だから、我々はもう言いたいことをここで指摘いたしましたと、それでいいのですね。

○篠原部会長代理
 はい。

○井原部会長
 そういうことで、これを収拾します。収束しますということでいいですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 いいです。

○井原部会長
 本日の議事は以上となります。次回の開催等については事務局からご案内をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 次回は、7月15日(木)の午後1時からになっております。場所は本日と同じ会場で、17階の専用第21会議室です。

○井原部会長
 それでは以上です。本日は長い間どうもありがとうございました。





(了)
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