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2010年10月6日 第3回 事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成22年10月6日(水)


○場所

経済産業省別館827号会議室


○議事

○古田職業性疾病分析官
 本日は、大変お忙しい中ご参集いただきましてありがとうございます。ただいまより「第3回事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」を開催いたします。本日は、岸委員がご欠席です。それでは、今後の議事進行については、中原座長にお願いします。

○中原座長
 まず、事務局から配付資料について説明をお願いします。

○古田職業性疾病分析官
 資料の確認をさせていただきます。本日配付しています資料は、1枚目に次第がありまして、資料1「産業医及び産業保健活動の現状と課題」、資料2「外部専門機関の考え方(案)」、資料3「小規模事業場に対するメンタルヘルス対策支援等のあり方」です。それから、委員の先生方の席には、参考までに1回目の資料を配付しております。以上です。

○中原座長
 ありがとうございました。前回、検討事項について一通り議論をいただいて、最後に私がどのようにまとめたか忘れましたが、ひょっとしたら事務局で報告書(案)をまとめてくださいなどと言ったかもしれませんが、事務局で報告書を取りまとめるという過程で、じっくり考えるといろいろご意見が出てくるということで、各委員からご意見をいただきました。特に、外部専門機関に関して、産業医制度の基本的事項に関わる重要事項であるという認識で、やはりもう少し検討をさらに深めたほうがいいのではないかと私も思います。それで、前回何となくもう1回ぐらい必要なのではないかということを最初のほうで言ってしまいましたが、やはり、基本的に重要な事項ですので、もう少し議論をして、あるいはこの場での話だけではなくて、事務局側が個別に委員に接触して、もっと本音のところを聞き出す、こういう言い方をすると検討会の意味がなくなるので言いたくはないのですが、やはりそのようなことも必要ではないかなと、座長としては勝手なことを想像して、前回そういうことを言ってしまったのです。やはり、本日まとめてしまうのは少し早いのではないかと思いますので、本日は報告書の取りまとめまで突き進むという気持ちはありません。検討事項について、さらにご意見をいただく形にしたいと思っています。
 事務局側はどう考えられているか分かりませんが、座長としてはもう1回是非この検討会をセットしていただいて、次回はいくら何でもまとめをしないといけないと思いますので、そのような方向で本日は進めたいと思います。事務局の意見をいただく前に、座長が勝手に決めてしまって申し訳ありません。最初に、本日の配付資料のうちの資料1と資料2について、事務局から説明をお願いします。

○毛利調査官
 本日の議題1「外部専門機関のあり方」にかかる資料について、資料1と資料2の説明をさせていただきます。資料1については、第1回において現状と課題についてヒアリングを行いましたが、その内容からまとめているものです。産業医及び産業保健活動の現状と課題。1、産業医及び事業場における産業保健活動のそれぞれの現状と課題。特に、メンタルヘルスに関しては、以下のような状況となっている。(1)産業医制度の経緯等です。第2パラグラフですが、昭和47年の安全衛生法の制定当初は、産業医は医師であればよかったのですが、その後、脳・心臓疾患、あるいはストレスというような問題がありまして、平成8年の法改正によって、産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について、一定の要件を備えたものでなければならないとなったことを書いています。
 それから、産業医が必要があると認めたときには、事業者に対して必要な勧告をすることができることとされたということです。またあわせて、50人未満の小規模事業場ですが、医師等に労働者の健康管理の一部又は全部を行わせるように努めることとされたと書いております。産業医の選任義務としましては、事業場の規模として「常時50人以上の労働者を使用する事業場」と定められていると。それから、3,000人を超える事業場では2人以上選任しなければいけない。常時1,000人以上を使用する事業場又は有害業務に500人以上を使用する事業場であれば、専属の産業医を選任しなければいけない、という現状の産業医の選任の制度を説明しています。
 2頁の産業医の職務については、総括管理、健康管理、ここに健康診断事後措置や、長時間労働者への面接、メンタルヘルスケアが入ってまいります。それから、作業管理、作業環境管理というように、非常に幅広いものになっているということを書いております。このように、職場における多様な課題を想定し、一部の分野についてのみ高度な知識や経験を有することよりも、メンタルヘルスを含めた労働者に対する総合的な健康管理に関する知識を有することを求めているものであると記しております。
 (3)産業医の選任状況について。ここからあとは、机上に配付しました前回の資料などもご覧いただければと思います。平成17年に1万2,000事業所に対して実施をした安全衛生基本調査によれば、産業医の選任義務のある50人以上の事業所での選任率は、75.1%と。特に、50〜99人規模の事業所では、63.7%と、必ずしも十分な選任状況とはなっていないことを記しています。今後、さらにメンタルヘルスの対策を強化していくためには、比較的規模の小さい事業場において、産業医等の確保を支援する仕組が必要である。
 また、別の統計資料ですが、嘱託産業医の専門科目を見ますと、精神・神経領域が専門である者は1.8%にすぎないということになっていまして、必ずしもすべての産業医がメンタルヘルスに関する十分な知識・経験を有していないということになっています。したがいまして、新たなメンタルヘルスに関する枠組みが導入されることとなれば、面接を実施することになる産業医等に対する研修により、資質の向上を図っていく必要があるということです。
 2では、産業保健活動の現状と課題についてまとめています。まず、平成12年の労働安全衛生基本調査の統計ですが、非常勤産業医の年間の勤務時間は、平均36.6時間となっており、月あたり3時間程度となっています。また、中央労働災害防止協会が産業保健活動に関する実態調査を行ったところによりますと、産業医の活動頻度が「1カ月に1日程度」未満となっている事業場が、33.1%あったと。それから、産業保健活動の実施状況については、有所見者の就業上の措置については64.4%、保健指導が64.6%と比較的高いのですが、メンタルヘルス教育は36.6%、不調者が出た場合の対応は40.3%となっているということです。それから、産業保健体制と活動の実施状況の相関を見ますと、産業医のみが選任された事業場より、保健師、看護師が配置された事業場において産業保健活動が充実しているなど、体制が充実している事業場ほど活動が充実している状況にあるということです。
 それから、平成19年の健康状況調査によりますと、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は漸次増えて34%となっていますが、未だ残り7割の事業場は取り組んでいない状況になっているということです。取り組んでいない理由を聞いたところ、専門スタッフがいない、取り組み方がわからないというものが多かったということです。
 (2)事業場における活動事例。これはヒアリングの例などを挙げていますが、大規模な事業場における具体的な活動例の報告として、専属の産業医と保健師等がチームを組んで、精神科医を含む社内の診療部門、人事・労務部門との連携の下、メンタルヘルスを含む継続的な産業保健活動を行って、効果を上げている例がある。この場合、診療部門の医師、産業医以外の担当者における産業保健活動の十分な理解、実践経験を有する産業医の確保、それから人事・労務部門、管理職等との連携が重要であるということ。また、中小規模の事業場においても、健康診断機関、メンタルヘルスサービス機関等の事業場外組織と契約をして、健康管理に知識のある保健師、心理職・カウンセラーを嘱託産業医に加えた体制として、メンタルヘルスケアを充実させている例が少なからずあるということでした。これらの例においては、産業医とメンタルヘルスに対応できる医師が連携している、それから産業医と協働して保健師、心理職・カウンセラー等が対応することによって、医師が担当すべきことに専念をして、効果的、効率的に活動を行えることが、充実したメンタルヘルス対策につながっているということで、大きなポイントになっているということでした。「メンタルヘルス検討会」の報告書で提言された新たな枠組みでの医師による面接や、その後必要に応じて保健指導を行うというような場合に、産業医とメンタルヘルスに対応できる医師が連携することが重要である。また、メンタルヘルスに関する面接や保健指導には時間を要することから、外部専門機関においては、医師とメンタルヘルスに精通した保健師等が連携して対応することが望ましいと考えられるということです。資料1はここまでで、産業医の現状と課題をまとめています。
 資料2ですが、これは前回第2回目に資料2として出したものと同じものですので、説明は省略したいと思います。資料1、資料2について、議論をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中原座長
 ありがとうございます。前回、一通り委員の方々にご意見をいただきました。その後時間的な余裕がなくて、地域産業保健センターなどの話に移ってしまって、小規模事業場に対するメンタルヘルス対策支援等のあり方という、本日資料3で出てくる部分についての議論に移ってしまったのですが、もう一度この資料1、資料2に対応した各委員のご意見を順番にお聞きして、それから総合討論、ディスカッションをやる時間が本日はあると思いますので、そういう具合に進めたいと思います。それでは、今村先生からお願いします。

○今村委員
 私も、第1回、第2回に参加させていただいていろいろな意見も述べさせていただいたのですが、改めてこの資料1と2を見たときに、少しでも産業保健が充実する、拡充するということで、特にメンタルヘルスの切り口でそういう対応がいまのままでは十分できないという問題点については、私もそのとおりだと思っています。ただ、この資料を見ていると、メンタルの話で入り口は入っているのですが、実はそうでないところの産業保健活動の拡充という話も出ていて、私がいちばん問題なのかなと思っているのは、外部専門機関による産業医の職務の実施というところで、事業場が外部機関と契約をすれば産業医の選任をしたとみなすと。これは、このままいくと法律を改正するというようなお話になるかなと思っています。本来的なこの委員会の役割と、そういった産業医の長年の歴史がある中で選任義務、できるだけいまは事業場も小さい所まで選任したほうがいいのではないかという議論もある中で、1つのメニューであるとはいえ、産業医の選任義務をはずすということには、大変大きな課題というか心配もあります。十分そういう議論をするのであれば、やはり別の場でしなければならないのかなという、ちょっと拙速に結論を出していただきたくないなという思いが非常にあります。
 前回も申し上げたのですが、50〜100人はそもそも産業保健活動から取り残されているような事業所で、なぜそういう所が産業医を見つけることができないかというのは、単に情報が行き渡っていないだけではなくて、やはり資金の問題やお金の問題も、やはり相当いまの企業の状況の中ではあると思うのですね。ですから、そういう方たちに例えば事業外資源ということで、この前ヒアリングをしていただいた取り組まれているような所が、本当にサービス提供できるようになるのかと。それは、産業医の選任義務をはずしたら、そういう所が契約できるかという根本的な問題とずれているのではないかと思っています。こういう場ですから、あえてはっきり申し上げますが、いまそもそも産業医を選任されている所がこういう義務がなくなると、外部的ないろいろな機関が、これはこの間のヒアリングのような非常にしっかりしている所ならいいのですが、そうでない所がどんどん入ってこられたときに、いまいろいろな条件が資料2で出されていますが、実際上そのチェック機能というのはなかなかそこまで働かないのではないかなという気がしています。折角産業保健活動を拡充しようと言って取り組んだことが、結果的に後退につながることがあっては、私はちょっといけないのではないかと思います。
 この前のお話を伺った団体も、私から質問で産業医が選任されているのですかと伺ったら、していますということで、現状の中でもそういう事業外資源の活動はできるわけですね。ですから、それをどううまく広くいろいろな団体ができて、この前私は医師会と申し上げましたが、そのような所が出てきて、そこがいろいろなメンタルも含めての取組をしていただくかということを議論していただいたほうがいいのではないかと思っています。

○中原座長
 どうもありがとうございました。次に、岡田先生お願いします。

○岡田委員
 従来産業医の職務から、前回のメンタルヘルスの対策検討会の報告書を、私も委員として参加させていただきましたが、1つは健康診断の結果からそこで問題があれば、健康診断の判定として要面接というものを、従来の異常なし、有所見、要医療、要精検というようなものに加えて、要面接というものを入れて、その後医師による面接、そしてさらに保健指導を実施する形になります。そうすると、50人以下の事業所ですと、地産保の先生方にお世話になる。しかし、産業医の選任義務がある所であっても、その産業医としてメンタルが専門でない先生方の所では、やはり専門の先生に対応していただくほうが、より安心感は出てくるのだろうと。そうすると、基本的には健診機関がひょっとすれば外部の専門機関として出てくる可能性は極めて高いと。そうすると、外部の専門機関、いわゆる健診機関が、産業医、もしくは労働衛生コンサルタント等の一定の基準を要する産業医の先生を入れて、その下に産業医の資格をお持ちの先生がいらっしゃって、特にメンタルも強い先生がいらっしゃる。そうなってきますと、そこがいわゆる産業医ではなくて、各事業所に選任されている産業医の先生をサポートするといいますか、助言する機能を持てばおそらく、小規模事業場の従業員の方たちにとって、適切なアドバイスができるのではないかと。その場合は、産業医の選任がされているのであれば、あえてこちらの機関の先生が産業医として選任、つまりダブルで選任する必要は全くありませんので、そういう位置づけであれば特に私は問題ないのではないかと思います。
 さらに、専ら1,000人以上の従業員がいる所でも、メンタルヘルスが専門とされていない先生であれば、例えば大きな金融機関でもいまは外部に健診をお願いしているところがありますので、そこの機関がメンタルヘルスの対応ができるということでしたら、そこに一部お願いして助言をもらう。そして、その後のフォローについてもそこができるということであれば、それはかなり従来と違って今回のメンタルヘルス対策検討会の報告書に十分対応できる外部の専門機関というものができるのではないかと。ただ、先ほど今村先生がおっしゃられたように、従来の産業医が選任されている所までどうこうということは、やはりそれはバッティングをしますので、そこは避けておかなければいけないと思います。そこは一線を引いてきちんと対応すれば、むしろ50人以上100人未満の選任されていない所に対して、健診とセットして適切なアドバイスができるのではないかと。そういうメリットは、今後期待できるのではないかと思っています。

○中原座長
 ありがとうございました。次に、河野先生お願いします。

○河野委員
 私は、岡田先生と全く同じことを考えています。といいますのは、私はすべての労働者に質の高い産業保健サービスを実現したいと思うからです。この度はメンタルヘルスなのですが、やはり心身一如ですので、心だけではなくて身体も含めた全体のことを視野に入れながら、今回案として出していただいた外部専門機関というのはすばらしいと思います。やはり産業医の仕事は、先ほど事務局からも説明がありましたように、広範囲にわたっていますし、メンタルヘルスそのものも非常に専門性が高いですから、1人の先生がいろいろなことに対応するのは、いまは難しいのではないかと思います。ですから岡田先生がおっしゃったように、外部の専門機関はきちんと作っていただいて、そこからいま個別に契約していらっしゃる非常勤産業医の先生たちをサポートするといったような機能を持っていただけばいいのではないかと思いながら今村先生のお話を伺っていました。この外部専門機関は、是非ともこの機会に作っていただいて、そしてすべての労働者に質の高い産業保健サービスを提供できるようにしていただきたいと思います。

○中原座長
 武田先生、お願いします。

○武田委員
 私は、外部専門機関があることというか、いまも健診機関などがあるわけですので、そういった所が事業者の活動あるいは産業医の活動をサポートすることは、とても良いことだと思います。ただ以前もお話ししたのですが、産業医に変えて事業所との契約によって外部機関が産業医の職務を行う場合は、産業医が選任されているものとみなすということは、やはりまずいのではないかなと思います。最初の検討会で紹介のあった顕微鏡院の事例のように、産業医をそこから出すということはあり得るのかもしれませんが、外部専門機関と契約して産業医業務を行うということはないのではないかと思います。
 併せてこの資料の中で言いますと、裏側の4番目の2つ目のパラグラフに、「外部専門機関が、労働者の健康管理等の産業医の職務を行い、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対して必要な勧告をすることができる」と書かれていますが、外部専門機関が勧告するというのは、やはり従来の産業医の勧告とはまた全然別の機能なので、やはりこれもあまりいまの状況とは馴染まないのではないかと思います。

○中原座長
 ありがとうございました。それでは、三柴先生お願いします。

○三柴委員
 立場を異にする先生にとってはちょっと厳しめなコメントになるかもしれませんが、外部専門機関に絞って意見を申し上げます。大枠として、資料2に示された機関に関する制度の新設が必要であるという立場で申し上げます。先ず、この制度についてもっとも議論の焦点となるのは、その代替機能かと思います。いまある産業医制度に対する代替機能が問われているわけですが、私見としては、これがないとたぶん実質的には普及しないだろうと思います。そのうえで申し上げますに、もし仮に外部専門機関に関わる制度改正が行われずに現行制度のままということになったとしますと、おそらく登録制度によって要件を求められたり、行政のチェックの及ぶことのない機関が蔓延することになってしまうだろうと。そうすると、ゆゆしき事態を生む危険性があると思っています。
 現在でも多くの企業でメンタルヘルス対策に四苦八苦しておられ、有効な産業保健サービス、メンタルヘルス対策を含めた有効なサービスへのニーズが高まっていることは周知のところだと思います。そのニーズは、おそらく先般公表されたメンタルヘルス対策検討会の報告書で、さらに高まるだろうと思います。そうするとどうなるかというと、これに対応する民業が、単にサポートという形を取るか、もう少し踏み込んだ形を取るかはともかくとして、ますます発達するだろうと予想されます。直截な表現になりますが、ここは利益が出そうだとなったら、そこにたぶんそういう民業が発達するだろうと思いますね。
 最大の問題は、そこに適格な医師の方々の実質的な関与が果たされないと困ったことになるということです。特に、メンタルヘルスのような、いま産業保健において1つの軸になっている問題については、産業医の方々も専門でないことが多いわけですから、保健師やカウンセラーなどの方々が外部専門機関の中心を担って、精神科専門医などの先生方との橋渡し役をされるということで、包括的に不調者対応のサービスをされるということになってくる可能性があるだろうと思います。そうすると産業医の方はどうなるかと。最初は、名義貸し的に登録をして謝礼を払うというような機関があるだろうと思いますが、そのうちに保健師さんが頑張れるのならもういいのではないかということで、実質無要ということになってしまって、気がついたときには肝心の産業医の先生方はメンタルヘルス対策を含めた日本の産業保健の重要な役務から取り残されてしまうというようなことが起こってしまうのではないかと。もちろん、保健師の方が活躍されるのが悪いのではなくて、要するに医師の方が適切に関与されることがなくなるということを危惧しているわけですね。
 あるいは、質が十分に担保されない機関が多数現れて、形式的に医師などを登録させて、粗悪なサービスを提供するというようなことなどで、日本の産業医療への信頼自体を失墜させる、低下させる、これはもう最悪の事態だと思われます。岡田先生と同様、私もメンタルヘルス対策検討会から参加させていただいていますが、そこからの流れで申し上げれば、そもそも今回の外部専門機関の案には、ドイツなどに比べるとまだ歴史が浅い日本の産業医療制度の水準を引き上げようと、産業医についてもその質量を押し上げて、普及が十分でなかった中小規模の事業場にも、なるべく自然な形で行き渡らせて、産業医の方々の地位と社会的認知の向上を図ろうというような思いが込められていると理解しています。
 ちなみにドイツでも、ご案内のとおり外部産業保健サービスというのは普及、発展しています。これは、きちんと代替機能をもっているから発展したわけです。ですから、中長期的な視点で見たら、やはり産業保健活動に携わる医師の方々にとってもとても有益な案だと思いますし、産業医の社会的地位の向上というのは、おそらく産業医療全体の社会的地位の向上につながるから、その他の産業保健スタッフの方々にとっても有益な案になるだろうと思います。結局、産業医療全体にとって有益な案になるのではないかと思います。もちろん、いまいらっしゃる産業医の先生方に取って代わられるようなことが不当な形で行われないように考えていかなければならないとは思いますが、この際産業医療全体の質量の向上を図る措置は必要ではないかと思います。その点については、ちょっと強く申し上げておかないといけないかと思いました。

○中原座長
 ありがとうございました。それでは森先生お願いします。

○森委員
 私は、ここまでずっと議論したなかで、最初はこの外部専門機関を産業医の代替として使うというのは抵抗がありました。しかし、いろいろな側面から見ると、こういう考え方というのは、選択肢として必要だと思っています。そもそも50〜100人のところというのは選任率が低いということの理由は、お金の問題ももちろんあるのでしょうが、例えば、いまの労働安全衛生法だと、「産業医の職場巡視」という項目で「月に1回」という文言だけが産業医のサービス量として位置づけられ、50〜99人のところが月に1回で、500〜999人でも月に1回というのは、とてもニーズや実態には合っていません。その中で、50〜99人のところは逆にもっと頻度が少なくても、より多様なサービスのニーズを考えなければいけないと思っています。ただ。そのようなサービスを産業医という選任をした上で、更に外部機関を使うという話になると、もっとコストがかかります。もっと労働者数の多いところであればお金が出せるのでしょうが。では、産業医の選任と外部機関を使うというどちらか二者択一といったときに、どちらが本来よりいいサービスができるのだろうという比較を、労働者数が小さいところに対しては検討しなければならないと思います。そうすると、どうしても問題意識として、メンタルヘルス対策が産業保健の中で中心になってきているときに、実質のニーズに月に1回産業医が職場巡視に来ただけでは対応できないから、通常の産業医活動を仮に月3回にして、9回は別の専門性を持った医師が対応したら、ひょっとしたら効率性が上がるかもしれない。では、そのような有効性や効率性を発揮するために、具体的にどのような仕組みにあるかを考えたとき、産業保健の外部機関が存在して、その機関の中にいろいろな分野が専門の医師やその他の専門家が存在して、分担をしてサービスを提供することが、やはり現実的ではないかと思います。そのような制度を発達させるためには、外部の専門機関の中に、全体をまとめる産業医がいないと機能しないと思いますので、産業医活動が完全に代替されて、産業医がいなくなるということにはならないと信じます。その上で、このような外部専門機関を活用していくことは推進されるべきではないかと思います。
ただ、最初に私が抵抗があったところは、組織として勧告するといっても、その組織を代表する人というのは必ずしも事業場を知っているわけではないし、産業保健の専門家ではない場合も多いわけですから、そのときにそれぞれの事業場を担当する産業医が顔の見える形で結果的に勧告をすることが不可欠であり、それを担保した上で、産業医選任をある場面においての機関が代替するというのはあり得るのではないかというのが、いまの私の考えです。

○中原座長
 ありがとうございました。一通り皆さんからのご意見をいただきました。私も1委員として勝手なことを言わせていただきます。メンタルヘルス対策をどうするかということからいろいろなアイディアが出てきている。メンタルヘルス対策というのは、私も医者の端くれですから分かるのですけれども、簡単に言うと精神科、メンタルというのは、ほかの領域、内科・外科・耳鼻科・眼科、そういうものと全く違います。だから、いまの産業医制度の中でメンタルヘルス対策を推進するというのは、一定程度限界があるだろうと思います。そこで外部の精神科医とかカウンセラーだとか保健師、保健師の方も医者と実は同じような感じで、精神に興味のある人というのは非常に少ないのだけれど非常に専門的になります。だから、そういう人たち、外部の人たちの知恵というか、経験などを導入するという結論に至った、それが必要だということに至ったのは非常によく分かる。
 しかし、だからといって外部専門機関を産業医として認めてしまうということになると、これはまさに、前回も私は予感したのですが、やっぱりメンタルヘルスだけで考えればそういう結論になってもおかしくはないのですが、産業医という資格を外部専門機関に与えてしまうというのは、もっと総合的に考えないといろいろな問題が出てくるのではないかなと、簡単に言うとそういうことなのです。この検討会は事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会ということですが、詰まるところはメンタルヘルスをどう効率的に効果的に産業現場で実施していくかというところだと思います。それを産業医制度の根幹を揺るがす話にまで波及させてしまうというのは、ちょっとこの検討会は越権行為になるのではないかなと。もう少し慎重に検討すべきではないかなと、実は前回、何となく感じたのですけれども、それを今回は各委員の方々それぞれ異口同音におっしゃっているように聞こえました。
 まさにどなたかおっしゃったように、外部専門機関というものの位置づけなどを今回、メンタルヘルスを中心に導入することは賛成ですし、実際に京都は全国的に有名な健診機関があります。そこもきちんとそれなりにやっています。顕微鏡院を母体とした健診機関ですね、ヒアリングした健診機関も非常によくやっておられます。ああいう活動を導入していくということを保証するのは非常にいいことだろうと思いますが、だからといっていきなりそれを産業医というところまで、産業医の選任対象にするとでもいいますか、現在の企業に所属する産業医の代わりまで期待してしまうのはちょっと行き過ぎというか、いまのところはもっと検討する必要があるのではないかと思います。これが私の勝手な意見です。
 従って、私としては外部専門機関を、できればどこか公的な機関が認定するとでもいうのか、あるいは基準を明確にするというのか、どこまでやるのか、私も公衆衛生学をやっていますと、いま登録という制度がかなりいろいろな分野であります。一番プリミティブな、一番昔からあっていまはもう完全に定着したのが、いわゆる「マル適マーク」というものですね。消防署が映画館でこれは消防の関係の基準を全部クリアしているというお墨付きを与えるというものが昔ありました。あれがいまはもう誰もそんなことを言う人はありません。あれは完全に定着したということで大成功例ではないかと思いますけれども、それと似たようなことを行政ができるかどうか。実際にやっている分野はほかにはたくさんありますので、その検討は是非していただきたい。
 一言で言うと、公的な委員会か何かを作って基準を決めて、それに本当に適合しているかどうかという審査をして、行政が「マル適マーク」のようなお墨付きを与える、基準に適合した健診外部専門機関であるというお墨付きを与えるような仕組みが作れればいいなと思います。だけれど、これまた行政の事務量が増える話ですので、いや、そんなことは必要ないという意見もあることはあり得る。その辺の検討は今後課題としてあるのではないかと思います。少なくとも現在のところでは外部専門機関を導入してメンタルヘルスの向上に寄与するという仕組みを認めるという言い方はおかしいですけれども、そういうものを作っておくのは非常に重要なことではないか。それによって少なくとも企業内のメンタルヘルスの活動は進展していく可能性を秘めていると思います。座長ということではなくて、委員の1人として言わせていただきました。
 次に、各委員からそれぞれ独立してご意見をいただきました。せっかく検討会でお集まりいただいておりますので、相互のディスカッションができればありがたいのですが、何か各委員同士でご質問などありましたら、どうぞ。

○岡田委員
 先ほど、森委員からお話がありましたが、私も毛利調査官にその件について今日ちょっとお伺いしたのです。産業医長というのがいらっしゃって、その下に産業医がいて、機関ですね。その産業医の先生が、例えば1人いま大体1,000人なり3,000人未満の事業所を担当するという形で、その事業所をサポートするということでしたら、基本的には産業医の機能としては果たせるのかなと思うのです。現在50〜100人未満の選任されていない事業所で外部の機関がそういう機能を果たすのであれば、メンタルだけではなしにいわゆる心身両面の機能が、私は恐らく果たせる可能性は高いと思います。だから、組織として事業所にコメントするのではなしに、外部機関の1人の産業医の先生がある事業所を担当して、その中で産業医長として統括の方がいらっしゃって、そこで議論を尽くして、その先生はその現場をよく知っていてなおかつ現場の情報をその委員会の中で議論をして、各専門家の意見を集約してその事業所に助言をするというのであれば、私はこれは極めていいのかなと思います。若しくは、既に産業医が選任されているところでしたら、例えば復職判定委員会等については出席していただくなりしてサポートする。そうすると、恐らく、50〜100人未満の中小零細企業ですと、月々当たりの出費がそんなに多くなく、少額でたくさんの事業所が集まれば、その外部機関としてもそこそこ、利益といっては失礼です。産業医の先生方を雇用するだけの収支ができるのではないかと思うのです。
 もう1点は、産業医の職務という中で、メンタルヘルスは強いか弱いかという問題もありますけれども、私は30年ぐらいやっていますが、産業医というのは、いまその従業員の方が働けるか働けないかということを的確に判断できる能力だと思うのです。例えば骨折した両松葉杖をついている人が果たして通勤がちゃんとできて働けるのかどうか、通災が起こる可能性があるのかどうか。いや、この人は働けないと、職場をちゃんと見ている産業医であれば、社会常識、一般通念上で見て明らかにこの職場では通常の業務がこの人にはできない。例えば、30分ぐらい面接をして、集中力がまだ十分回復していないと、一般社会的に見て、医師としての常識レベルにおいて判断して、この人は働けるか働けないか。もし働けるのであれば、職場でどのような就業上の措置を講ずれば、現在の職務においてその病状が悪化しないのかということを判断すればいいと思います。それが統合失調症であれ、うつ病であれ、うつ状態であれ、非定型精神病であれ、そういうことを踏まえた上で主治医の先生のご意見を参考にした上で、職務をいま適正に遂行できる能力があるかを判断できればいい。若しくは、それができなければ、この外部機関でサポートをしていただくということでしたら、極めて、いまの産業医の活動が更に活性化していきますし、選任されていない事業所においても、安価でと言いますとちょっと失礼ですけれども、一定の出費でたくさんの企業が集まれば、その先生方に対する対価も支払える。
 そういうことですと、これは絵に描いた餅になるのかも分かりませんけれども、少なくとも議論している限りは、先ほど座長の先生がおっしゃったように、京都ですと京都工場保健会という立派な健診機関がありまして、そこで産業医の先生をきちんと雇用されて、いろいろな中小企業にも産業医を派遣していて、職場の巡視もされているということからすると、そういうところが健診とその機能を一致させれば、極めて効果的な産業医活動ができるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○森委員
 特に意見が食い違っているとは思わないのですが、基本的には、その事業場を担当する産業医の顔や名前が見えない形で勧告を出されても、誰が責任を取るのか分からない。機関としての選任ということとの整合性を合わせるために組織としての勧告ということであるのでしょうが、基本的に、組織ということではなく、そこを担当する産業医チームとして名前が出る形で勧告が出されるべきだというのが、私の基本的な意見です。

○岡田委員
 それだったら一緒ですね。先ほど確認させていただいたら、それでいいのではないかというお話でしたので。

○森委員
 ただ、先生もおっしゃられたように、最初の資料1の中で、精神科とか心療内科を専門とする人がいないからメンタルヘルスサービスができないという文脈にはちょっと飛躍があると思います。それは、メンタルヘルスサービスにイコールではないからです。中には、嘱託産業医の中で、メンタルヘルスサービスに対して抵抗感を持っていて「自分は精神科や心療内科の専門でないから」ということをおっしゃる方がけっこういらっしゃるとお聞きしており、そのような産業医が、月に1回職場巡視をやることを前提の嘱託産業医という形で選任された場合に、メンタルヘルスサービスだけを更に何らかの形で利用しないといけないとなると、いま以上にコストが高くなるので、その部分のサービスは、他の専門家で代替できるような形になれば、かなり現実的だと思います。ただし、それを個人の契約の中でいろいろな形で組み合わせていくというのは非常に難しいので、そういう意味で機関が存在して、機関全体でサービスを提供することになれば、現実的にそういったサービスが行われる形になると考えています。
 ですから、産業医はそのままで、機関は更に使えばいいという話になると、産業医は基本的に月に1回ちゃんと来てもらって、衛生委員会も出ていただくという前提の下に、更に専門家という話になります。このように、その両方のAND条件とする制度を、小さなところが現実的に利用するのは非常に難しいのではないかと考え、やはり機関という制度を生かすような改正は、ありえるのではないかというのが、先ほどの私の意見です。

○今村委員
 私からは、お願いということが1点あります。1つは、保健師さんの活用というのはとても大事だと思っていて、私もそれは賛成しているのです。今日は河野先生がいらっしゃるので是非あれなのですが、たまたま保健師の養成のカリキュラム、コア・カリキュラムみたいなものをいま議論されているようです。それを拝見すると、産業保健というものは全く出てこないのです。地域保健ばかりです。だから、いま働いていらっしゃる保健師さん、産業保健で働いていらっしゃる方たちを、またこの間の看護協会のように更に高度な研修をするとか、そういう仕組みがあることはよく理解していますけれども、やはり保健師さんの中で、そういった産業保健に対する理解を深めていただくようなカリキュラムを当然作っていただきたいなという思いがあります。
 それから、私は、外部専門機関そのものは絶対にメニューとしてあってもいいと思っているのですが、座長もおっしゃったように精神科医療というのはもともと特別な部分があって、精神科医自体の数は、絶対数は増えていても、対象となっている認知症も増えている精神疾患も増えているという中で、必ずしも産業保健に深い知識を持っていらっしゃる先生は非常にまだまだ少ない。そうすると、組織はできたけれど、もともといない人たちがそこにどんどん活躍できるように入ってくるのかというと、それは全く別の話になっていると思います。だから、こういう産業保健の場で精神科医が必要だというのは当然なのですけれど、逆に精神科のほうの切り口から見ると産業保健がどう見えているかというのはまた違う話です。例えば精神科医の先生が企業に対して職場復帰なり何なりの意見を付していろいろな書類を書いても、その対価は公に何ら保証されていないという中で、ある企業はお金を払うけれども、そうでないところはありませんみたいな、そういう制度は何となくやはりおかしい。これはまた、厚労省も厚労省で労働衛生課だから違う部門であることはよく承知した上で、やはり精神科医療の中での産業保健の位置づけというのを、もっと国としていろいろな施策を考えていただきたいなというのが要望です。
 それから、森先生のおっしゃった、様々ないまの産業保健の現場の問題点、例えば職場巡視なども、私もそのとおりだと思って、自分も産業医をしていて、1か月に1回職場巡視といわれても、こんな小さな事業所でそんな必要があるのかなと。それはそれでいろいろ議論をして、そういう小規模事業所の産業医の仕事・職務というものを改めてもう一度議論すればいいのかなと思っているのです。ただ、こだわるようですけれども、いま産業保健サービスがないためにそこに何か新しいものを入れてあげるために、いままででき上がっていた大きなものを壊すようなことがあっては、これは絶対にいけないので、そこは是非慎重に考えていただきたいということだけ改めて申し上げたいと思います。以上です。

○中原座長
 ありがとうございました。

○河野委員
 先ほどの、岡田先生と森先生のご議論の中でのことなのですけれど、やはり50〜100人未満は経営基盤が脆弱ですから、やはり両方、つまり産業医を雇い、外部専門機関からのサービスでというのは難しい、それは現実的にそうだと思います。ただ、いま伺いながら私は韓国の例を思い出したのですが、韓国は大企業はもちろん自分の責任で産業保健サービスを行いますけれど、50〜100人未満ぐらいの小さなところは国が費用を負担して、Group Occupational Health and Safety Centerを通じて、産業保健サービスをしています。韓国の制度のようにするという意味ではなくわが国のやり方で、産業医は産業医としてのもともとの仕事をやりながら、特に今回メンタルヘルスという非常に大事な問題に至っては、そういうものは国から少しサポートしていただいて強化していくという、それは不可能なのでしょうか。

○中原座長
 国がやるということですか。

○河野委員
 国がやるというのは、外部医療機関を立ち上げて、そこに専門家たちがいて、そのサービスを通常の産業医活動にプラスして受けるときに、資金面で困難な小規模事業場に補助といいますか、中小企業に限って、サポートしていただければメンタルヘルス対策が進むのではないかと思った次第です。

○中原座長
 そうなのですか。

○河野委員
 はい。韓国ではこの制度で、メンタルヘルスケアを含めて、小規模事業場の産業保健サービスが盛り上がってきたと韓国の産業看護職の仲間から伺っています。

○中原座長
 ちょっと韓国の状況は分からないのですが。事務局側は何かコメントはありますか。別にご意見ですから。

○河野委員
 教えてください、むしろ。そういうことは可能なのか。

○中原座長
 座長として考えると、それこそ日本は、地域産業保健センターがやるということで体系ができているのではないかと。そして、そちらのほうにはそれなりの補助金というのですか、それなりのお金もいっている。だから韓国とイコールにする必要はないのですが。

○河野委員
 もちろんイコールにする必要はないのですが、専門サービスを受けるときの1つのヒントだと思うのです。ですから、地産保がもしそういう機能を持っていただくのだったら同じように活用すればいいということにもなりますね。

○中原座長
 地域産業保健センターというのは、そういうことを目指して本当は作られたものなのではないのかなと思うのですが。

○河野委員
 メンタルも含めて。

○中原座長
 メンタルも含めて、あらゆるものに対応できるようにということで作られている。それは国が、日本の場合にはお金を補助するという格好で作られている。しかし、地域における本当の人材というのは、そんな言い方をするとあれですが、やはり医師会に頼らざるを得ないというのが日本の現状ですから、それに対応したような組織をとにかく全国的に育成しているということなのではないでしょうか。
 だから、韓国と結果的には同じことをやっているのだろうと思うのです。韓国の場合はストレートに国が、政府が、介入していっているのではないでしょうか。あの国は、日本と違ってかなり厳しくストレートに行くところがありますので、恐らくそういうことなのではないでしょうか。日本の場合はその辺はマイルドに制度を設計している。だから50人以下のところをターゲットにした地域産業保健センターを全国的に整備しようということを国としても推進しているし、受ける側の医師会も頑張っているということなのではないでしょうか。

○河野委員
 いま問題になっているのは、50〜100人未満の小さなところだったので、そういうシステムといったようなものがどうかなと伺ったところでした。

○中原座長
 一応、体系的には50人以下と以上では、労働安全衛生法上の体系は産業医に関しては格然たる差があります。

○河野委員
 違いがありますね。

○中原座長
 だから、法律的な立場に立つ限りは、50人以上のところは自前で産業医を選任してやれと、それ以下のところは産業医の選任義務はないけれども、全体的にサービスの提供ができるような機関を国が助成して作っていく。基本的にはそうですね。だけど、地産保も別に50人以上のところをやってはいけないとは書いていないわけで、それをカバーすることは別に禁止はされていないです。やっているところもあるのではないでしょうか。

○河野委員
 いまの現状を、新しい枠組みの中で何とかよい方向に進めたいと考えたときに、いまの現状から将来に向かって着実な方策を考えていかなければならないなと、労働者のことを思うと、本当に切実に思います。

○中原座長
 座長の立場でいうと、取りあえずメンタルヘルスというのがいま焦眉の急で何とかしなければならない。それについては知恵を持った人を産業医として本当に確保しろと言われたってそう簡単には行かない。保健師、カウンセラーなども導入しないと、精神科医だけでは無理だというのは、今村先生もいみじくもおっしゃるとおりで、だから専門機関という考え方が出てくるのだと思うのです。これを何とか位置づけたいというのが基本なのではないでしょうか。その中では、保健師の役割というのは非常に大きいということなのです。だから保健師も、是非産業保健の中で保健師を位置づける。とにかく外部専門機関という議論の中で保健師のことも入れようということなのではないかと思うのです。

○河野委員
 それともう1つ、今村先生がおっしゃってくださったカリキュラムのことなのですが、本当にそのとおりなのです。保健師の教育カリキュラムでは、産業保健が大変弱いです。ですから、私も要望として、保健師教育の中で産業保健についての教育をしっかりやっていただきたいと思っています。私たち保健師にとって重要なことをおっしゃってくださってありがとうございます。

○中原座長
 ありがとうございました。

○三柴委員
 ちょっと言い方が難しいかと思うのですが、焦点の代替の機能の問題についておうかがいします。まず、中原先生は、メンタルヘルスにかかわる限り産業医が個人として個人の名義で勧告を出すという形態であれば容認されるお立場でいらっしゃるのですか。

○中原座長
 その言葉を聞く限りはそうだと思います。

○三柴委員
 その上でなのですが、いま既に企業等から、労使から信頼を得てきちっと産業保健活動をなさっている先生、これが取って替わられるということについて、質はともかく安いから替わりますというのは問題だと思うのです。これは最悪だと思います。だけれども、質がよいから替わるということはあっても良いのではないか、と思います。そこでそのような流れを担保するためにどこが鍵になるかというと、恐らくは、1つは登録機関をどれだけ実質的な基準によって絞り込むか、つまり質の確保ということが手段になると思います。質を確保すると当然、適正価格にせざるを得ないですね。ただし、値段があまりに高くなってしまうと、今度は岡田先生がおっしゃるように、安価で利用できるという、要するに経営者サイドにとってのメリットが減殺されてしまう。となると、要するに時間差の問題になるのかもしれません。例えば最初の段階、導入段階ではある程度補助を実施するなどして、普及してきたら少しずつ低減していくとか、方法はいろいろ考えられると思いますが、要するに質の担保と価格設定の問題になってくると思います。価格自体について政府が云々いうのはなかなか難しいと思いますが、コントロールするということはたぶんできる、誘導することはできると思うのですね。それが1つです。
 それと、精神科の先生が少ない。この点については本当に私もこの検討会にお呼びいただいて以来、ずっと悩んで来ました。ある私の知合いの大学の精神科の先生は、例えば精神・神経学会の認定医制度だと、ある程度の担保になるかもしれないけれども、心身医学会とか別の学会の制度だと、職場のメンタルヘルスの専門性を図る上ではちょっと趣旨が違うのではないかというお話をされていました。要は学会の認定する精神科医の制度自体が、産業メンタルヘルスの専門性としてどれだけ適用可能なのかということがあって、そういう問題もあるから今回の事務局案では、「メンタルヘルスに対応できる医師」といった表現で、精神科医という表現は出てこないですよね。ここには、メンタルヘルスに詳しいお医者さんが、この制度ができ、箱ができることによって増えてほしいという願いも込められているのではないかと思うのです。そしてそれが実現するまでは、既にその分野に専門知見を持っておられる先生を何とかうまく活用して、極論、過渡期においては1人で何カ所も契約するなどということが出てくるかもしれない。だけど、少しでも困っている人を救うために、多くの人に専門知識を広げて持って欲しいと、そういう願いが込められているのではないかと読んだのですが、いかがでしょうか。

○中原座長
 そのとおりなのです。というのは、私は精神科医という言葉を使いましたが、メンタルヘルスを日本語に訳すと精神保健、精神ということなので、メンタルドクターとは言いませんので、精神科と言っていますが、一般的には心療内科の人です。心療内科、この人たちも当然メンタルヘルス対策のエキスパートとして考えられておりますので、私の精神科医という言葉の使い方は少し誤解を招いたのではないかと思います。学会認定なるものは、はっきり言ってあまり役に立ちません。認定という言葉は、私も医者の端くれですので、ずばりと言うと医者の世界以外の人には刺激的かもしれませんが、本当にその世界のエキスパートとして認定しているかどうかはわからないのです。ただ、その学会に貢献してきたことは事実だというのは認定はしている、そのぐらいにしか考えてはいけないのだろうと思うのです。だから、学会認定というほかの所が認定したものを、こちらのメンタルヘルスのほうに導入してしまうというのは、これはやってはいけないと思うのです。
 先生の論点を十分把握しているかどうかわかりませんけれども、私自身は外部専門機関というのはアイディアとしては非常に良いことだし、メンタルヘルスということ、つまり私流の言葉で言えば、精神科であり心療内科であり、そういう産業保健の場で役に立つエキスパートをどうやって確保するかということなのだろうと思うのです。その人材が非常に少ないことは事実だろうと思うのです。その人材は、また逆に言うとこちらの産業保健の立場では養成していかなければいけないと思います。そのようなことを外部専門機関に期待するのも1つの手ではありますが、できれば新しい分野として何かの方法で、既存の所でまた新しいことをやってくれとか、それには行政のほうからそれを促進するような、簡単に言うとやはりお金なのでしょうね。補助金だろうとは思いますが、そういうことを推進していくような体系をとるべきではないかなと。
 外部専門機関なるものは、いま手を挙げろと言えばかなりの所が手を挙げてくると思いますが、それが本当にこちらが言うメンタルヘルス対策に対応できているかどうかというのは、これはわかりません。だから、その辺は今後の制度の作り方だろうと思います。現在までは、健診機関というのは自分が健診機関であり、企業から依頼されればそれを受けるという格好でしか動いていませんが、本当に外部専門機関という場合に、専門というのをいままでのような形で、「企業からの依頼を受けているから俺は専門家だ、専門機関だ」という形でいいのかどうかは、行政的にはそこを何とか担保するような仕組みがあったほうがいいのではないかなとは思います。ただ、これはまた逆に言うと、現在の制度と少し相入れない部分も出てくる可能性がありますので、今後も検討しなければいけないなと思っています。これはあくまでも私の個人として、委員としての意見ということで、座長のまとめとしてはそこまで言っていいかどうかは、また事務局側と協議をする、考え方を聞きたいとは思います。

○今村委員
 確認なのですが、先生方に是非伺いたいのは、第1回でヒアリングをした外にある機関で、複数の産業医が交代で行かれて、たしか精神科医もいらっしゃったと思うのです。そのときに、事業場は別の産業医を選任していたわけではなくて、あの機関のドクターを産業医にしているとおっしゃったように理解しているのです。そうすると、いま議論している外部専門機関というのは既にあって、別に何か新たに作るのではなくて、やろうと思えば今でもできるということなのではないかなという理解を私はしています。ですから、何かさらにインセンティブを付けて、そういうところが増えていただくような仕組みという話かどうかということなのだと思うのです。変な話ですが、今でもある意味部分的には市場原理が働いていて、そういう機関を使われる所もあるわけですよね。そこはコストなのか質なのかは別としてもあるということなので、この中で議論しているものがいまひとつ、「いや、今でも制度上できているのではないですか」というところは、先生たちはどのように思っておられるのかというのがちょっとあるのです。

○中原座長
 それについてどうぞ。

○武田委員
 私は既にあると思っているのですが、事務局案としてそういう機関と契約したら、産業医を選任したものとみなすというところが引っかかっているだけで、そういう機関はあるだろうと思います。ただ、いまある機関が質の担保がされているかどうかは、この間事例発表をしていただいた所はできているのだろうと思うのですが、ほかの所も須く同じかというと、そこは疑問があるだろうなと思います。

○鈴木労働衛生課長
 原案というか、叩き台を作った事務局としては、既にあるのはもちろんです。今回もしメンタルヘルスの新しい枠組みが導入されるとすれば、まず質の確保が必要だということで、それは以前からメンタルヘルス関係の外部機関に関しては言われていたことですので、こういうものを作るにしても、それは必要だろうということです。
 これは現場はどうなのかわかりませんが、もし嘱託産業医がいて、外部がメンタルだけ支援するとなった場合に、その調整を事業場内でやるというのは大変ではないか。これは、その調整も機関がやれば、事業者としては利用しやすいという観点が1つあります。それには、巡視の問題とか、いろいろ効率化すべきものもあるので、この際、整理すべきではないかという思惑があったのが1つです。それに加えて、産業医を選任しているものとみなすというのは、これは確かにメンタルをきっかけにして考えなければいけないことではあるのですが、その他の分野を含めて、まさに根幹にかかわるというご指摘なので、そこは少し慎重だというご意見が多々出ているというのは、我々ももう少し深く慎重に検討しないといけないなと思っているところで、先ほど2つ言ったところが事務局としては大きかったのではないかと思っています。

○河野委員
 先ほど発言し損なったのですが、産業精神保健の人材のことについて、産業精神保健学会というのがあって、そこで産業精神保健の専門職認定制度を設けています。高田勗先生が理事長ですので、とても熱心に産業保健専門職を養成していただいています。結構そういう人材は確保できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中原座長
 それは1つの情報としてお聞きするということだろうと思います。そのほかにどうですか。

○岡田委員
 もう1つ、メンタルヘルスの認定機関がありましたね。事業場外で、島先生のご発案で厚生労働省のかなり厳しい審査基準があって、いま全国に順次できていますね。カウンセリングルームはこうであるとか、精神科医が必ずいなければいけないと。例えばああいう所を活用するというのはどうなのでしょうか。メンタルだけに特化して外部専門機関と考えた場合に、前のTHPの労働者健康保持・増進サービス機関の登録制と、その次にできたメンタルヘルスの、ちょっと正式な名前は忘れましたが、かなり厳しい基準があって、いろいろな先生方から聞くと非常に厳しいということです。しかし、20カ所でしょうか、いま認定されている所があります。そういう機関はかなり質が高いとなると、そういう機関がメンタルについては相談に乗るということと、またこれも登録ということになると、非常に登録機関が増えてくるように思いますが、その辺の整合性はどうなのでしょうか。

○鈴木労働衛生課長
 ご指摘のあった相談機関については、個別の事例について、厚生労働省がまさにこのレベルなら安心してご利用いただけるという基準を作って、審査をして適合したものについては、メンタルヘルス対策支援センターで情報提供しているというものです。個別の事例ですので、自殺というか、希死念慮のあるような方々を見逃さないようにということで、相談のあった時点から一定期間内に、必ず精神科医の相談を受けるというところがかなり厳しい条件になっていて、あまり数が増えないのです。あそこは産業保健という要素をそんなに強く出しておりませんので、これがもし適当なものとして何らかの形で日の目を見て普及するとなれば、あれは発展的にこちらに吸収されるのかということかなとは思っております。

○岡田委員
 わかりました。

○鈴木労働衛生課長
 精神科の医療機関と必ず連携を図らなければいけないというのが相当な足かせになっていますので、ちょっと数が増えないという状況です。

○中原座長
 いろいろな方がいろいろな工夫をしながら推進をしていこうとしていることは事実ですが、それではそれ1つずつをどう評価して、我々はどう対応するかという議論をやるよりは、やはりメンタルヘルスということを中心に、ここで考えをまとめて、それをできれば実行できるようにしていきたいと、こういう考え方でよろしいのではないかと思います。ほかに何かありますか。

○森委員
 ちょっとした情報提供的なのですが、先ほどのメンタルヘルスの専門家については、精神科という意味に限定せず、養成するという話なのですが、実は産業医大で厚生労働省の委託でメンタルヘルスに特化した研修事業をこの数年やっています。どのぐらいの時間をかけるとどのぐらいの成果があるのかという経験があるのですが、おそらく心の健康づくり計画に盛り込まれていることを、一通り講義をやり、実習の時間を設けて体験してもらうだけで24時間はかかります。労働者の個別の問題への対応だけに特化をして、事例検討などのディスカッションを多少含めて行った場合でも、10時間ぐらいかかる。それはあくまでも一通り研修したということであって、とても専門家になるというレベルの話ではありません。専門家養成のための研修をやろうとすると結構時間がかかる。どのレベルを求めるかというのは最終的に議論しないといけないと思っています。
 また、先ほどの認定とか認証とかの評価制度の問題なのですが、これも我々は、産業保健にかかわるいろいろなテーマで問題意識を持って調べています。例えば先ほどの健診機関という立場から言うと、全衛連が労働衛生サービス機能評価機構を設けて、私もその委員をやっています。業界団体が行う制度なので、いろいろな機関を育てるという意味があると思います。しかし、先ほどあったメンタルヘルスのものもそうなのですが、ある基準を設けてそれに到達していることだけを求めていると、認定を受けるときだけ一時的に対応して、次の審査のときには前は出来ていたのに出来なくなってしまっているような、つまり維持・改善が継続的にできない組織が結構出てきます。
 そのようなことを考えると、欧米の制度でよくある方法ですが、組織の健全性や体制、サービスの基準に到達していることに加えて、その中に組織として継続的改善の仕組みが機能していることも認定基準の制度に入れて、さらに第三者評価を行って更新を義務付けるというレベルまでもっていかないと、ほんとうにそれで質を担保しているのということが疑問になります。やるとしたらそこまでやらないと私は意味がないと。むしろ世の中を惑わせることになるのではないかと思います。

○中原座長
 しかし、それを本当に実現しようと思うと、日本全国で実現できるのか、いや、実現しなければいけないというスタンスでいくのか、現実にどういう形で動かしていくかというのは、これまた難しいところで、だからこそこういう検討会があるわけです。一応、今日は結論を出さない。あと事務局側で次回までに、どういう形になるかわかりませんが、報告書というか、まとめをそれなりに出していただきたいということで進めてまいりました。これ以上、まだご意見があるようでしたら出していただきたいのですが、もしなければここで一応これは打ち止めにして、次の資料3、「小規模事業場に対するメンタルヘルス対策支援等のあり方について」に移りたいと思います。これについて、説明をお願いいたします。

○古田職業性疾病分析官
 資料3について説明申し上げます。この資料3ですが、これまでのご議論、それからヒアリングを行った結果に基づいて整理したものです。小規模事業場の支援を行っております地域産業保健センターの件と、地域・職域連携の件、大きく言うと2つのことが書いてあります。最初から順に説明申し上げます。
 1頁の1の(1)地域産業保健センターの業務と従事者ということで、これは現在の地域産業保健センターの活動の組織を簡単に説明しているものです。地域産業保健センターは、健康相談窓口の開設、個別訪問による産業保健指導を行っていること。地産保の業務に従事していただいている医師は産業医の要件を備えた方であるということ。場合によって、必要に応じて精神科医等にも協力を求めております。医師だけでなく、保健師の方にもメンタルヘルスに関する健康相談窓口など、医師のほかメンタルヘルスに関する知見を有する保健師の活用も図ることにしております。
 (2)ですが、地域産業保健センターの活動状況として、これは平成20年度ですが、健康相談窓口は約8万人の利用がありました。内容は、大部分が健康診断後の事後措置とか、医師からの意見聴取といった利用状況です。そのように利用されてはいるのですが、また別の平成17年の労働安全衛生基本調査によると、この10人から49人といった小規模事業場での健康診断結果、医師からの意見聴取が3割ぐらいしか行われていないということで、まだまだ地域産業保健センターを活用していただく余地があるということです。保健師の件ですが、地域産業保健センターの窓口業務を担当していただいております医師の方は7,900人おりましたが、保健師はまだ200人程度にとどまっております。
 2地域産業保健センターの体制の拡充・強化です。メンタルヘルスの新たな枠組みで、メンタル不調者への対応など、現状では地域産業保健センターはまだ十分に対応できる体制にあるとは言いがたい、ということを述べております。
 次頁ですが、そのためにメンタルヘルスに対応できる医師、保健師のほか、様々な専門職が連携して対応することが必要であると言っております。(1)メンタルヘルスに対応できる医師の確保ということで、先ほども出ておりますが医師に対する研修の促進。既に国が行っている研修などもありますが、研修の促進などを通じた医師の確保を図る必要があるということ。そのメンタルヘルスに対応できる医師に対して、地域産業保健センターの業務への協力を今後さらに得ていくことを進める必要があるということです。
 (2)医師と保健師の連携です。メンタルヘルス対策への対応のためには、医師のほか、様々な職種の専門家が連携して対応することが必要であるということを述べております。保健師に関して、メンタルヘルスに対応できる保健師の役割は重要であると書いてあります。(3)保健師の育成・確保ですが、保健師の方は身近な専門職としてメンタルヘルスに問題を抱える労働者にきめ細やかに対応し、産業医につなぐという役割が期待できるかと思います。個人だけでなく、職場、風土、環境へのアプローチも期待できると整理しております。また、地域・職域の連携を担っていただくことも可能ということで、今後は地域産業保健センターにおいて、保健師の確保、その活用が図れる仕組みを作っていく必要があると記述しております。一方、保健師の方は毎年1万人以上が国家試験に合格しておられます。ただ、保健師のうち、産業を活動領域とされる方は保健師全体の約6%ぐらいという数字がヒアリングの中で出ており、そういった状況であるということです。
 3頁ですが、保健師の養成教育の中で、産業保健領域に関する教育は十分に行われているとは言えないということ、看護協会や産業衛生学会で、産業保健領域の保健師への教育も行われているということですが十分ではないということで、教育体制の構築整備や計画的な人材育成が急務であると書いてあります。
 3で地域産業保健センターの活用の促進ですが、先ほどからのテーマである外部専門機関です。外部専門機関が活躍するようになれば、その実績を地域産業保健センターの事業の充実・強化にも活用できる。そのようなことが期待できるということを書いております。地域産業保健センター事業の活用促進・充実のためには、その機能の充実とともに、事業自体の周知・啓発を図ることであるとか、利用しやすいように現在サテライト方式を推進しておりますが、それの一層の推進。コーディネーターという方に連絡調整等をやっていただいておりますが、そういった方が活動しやすい仕組みとする必要があるということを述べております。また、「都道府県産業保健推進センター」という、産業保健スタッフを支援する組織、この「地域産業保健センター」「メンタルヘルス対策支援センター」が有機的な連携を図ることが必要ということを述べております。
 4地域保健との連携ということで、地域保健と職域保健の連携で、それぞれが有している健康教育等の機能、健康情報等を共有して、より効果的・効率的な保健事業を展開することができるとしております。
 4頁ですが、地域・職域連携のメリットを3つ掲げております。連携の中で、地域・職域連携推進協議会が設置されておりますが、都道府県単位で47、二次医療圏単位で300以上設置されているということです。この中で、いろいろな連携事業が実施されているということです。メンタルヘルス対策の新たな枠組みで、メンタル不調者への対応について、地域保健と産業保健の継ぎ目のない連携が必要であるとしております。その場合、保健所等地域保健の仕組み、そういった健康支援をする情報について、産業の場で事業者が労働者にそういった情報を提供するなどの対応も必要だろうということです。
 最後になりますが、「地域・職域連携推進協議会の中で、お互いの情報を交換し、理解し合う場を持ち、より効果的、効率的な活動を展開していくことが必要である」とまとめております。以上、小規模事業場に対するメンタルヘルス対策の支援、それに関連して地域・職域連携について整理させていただきました。以上です。

○中原座長
 これについても委員の方々のご意見を伺いたいのですが、前の課題と同じように一言ずつお願いをするということで、よろしいでしょうか。今度は森先生から順番に、何かご意見がありましたらお願いします。

○森委員
 地域センターの活用は、50人未満の事業場に対しては、どう実質的に活用するかということが重要だと思います。ですから、保健師の活用も含めて、基本的にはこのとおりだと思うのです。ただ、私はいつも思うのですが、本当にニーズが掘り起こされてしまうと、地域センターという枠組みではサービスがしきれなくなるので、最初の段階ではこの制度を使ってどうやって活性化するかというのが大事なのでしょうが、その次にどうするのかも、本当は準備しておかないといけないかと思います。うれしい誤算への対応のような話ですが。
 もう1つは、ちょっと地域センターの議論そのものに関係しているかどうかわかりませんが、小規模事業場という言葉を使う際に注意しなければなりません。小規模事業場という中には本当に小さな会社という意味の小規模事業場と、大手企業の支店という場合や系列会社といった場合、小さな会社でもベンチャーみたいな会社と古くからある地場の会社があるので、それぞれによってどうもサービスのニーズが違っていることを、きめ細かにサービスを提供するときに考えていかないと、結果的に本当に必要とするところにサービスが届かないのではないかなと思います。この点をいつも危惧するところです。

○中原座長
 三柴先生、何かご意見はありますでしょうか。

○三柴委員
 私は専門分野上、残念ながら地産保を拝見したことがないので、正直に申し上げると、この問題についてはまだイメージがつかめていないのです。ただ、例えば我々でも関係するのが情報の取扱いの問題です。健康情報などについて、企業等と地産保との連携問題などというと、必ずそれにかかわると思うので、必要な情報の授受を促す必要があるという点が1つ。
 他方、これはもう本当に耳情報でしかないのですが、地産保というと、地域の医師会の方々の腰の入れ方とか、さまざまな要素によってだいぶ景色が違うようだということは伺っているので、一度拝見したいなと思っています。

○中原座長
 武田先生、お願いします。

○武田委員
 地域産業保健センターは、50人未満の小規模事業場の対応を行うということで、地域との連携はとても大事になるとは思います。ただ、例えば4頁の後ろから6行目ぐらいに、「休職中や離職した労働者、その家族に対しても、健康相談や家庭訪問等の支援を行うことも必要である」と書いてあるのですが、離職した労働者、あるいは休職中の家庭訪問というのは、どのようにしてやられるのかなと感じました。それは地産保の領域外ではないのかなと、そんな気がしています。ですから、地域に密着してやることは確かに大事だろうと思うのですが、本当に地産保がやるべきものはどういうものなのか考えておくことが必要というところが1つです。
 あと、森先生が言われるように、地産保の活動が活性化された時の次の枠組みを考えておくことはとても大事だと思います。ただ、前回もお話したのですが、体制を整えるのが先行して、利用率が上がらないと、費用ばかりかかって全然使われていないという批判が出てくるので、利用実績に見合った体制をとるようにしていただければと思います。

○中原座長
 河野先生、いかがでしょうか。

○河野委員
 この資料はとてもよくまとめられていて、本当にこのようになればいいなと思います。ただ、1つだけお願いなのですが、1頁の(2)地域産業保健センターの活動状況の最後のパラグラフで、医師は7,903人、保健師は208人と書いてあって、数が非常に少ないと。私も、この程度なのかと思って驚いているところなのです。前回いただいた資料にこのことが示されていましたので、その理由について、地産保で活動している保健師たちに聞いてみました。そうしましたら、やはり多くの仲間が身分の不安定をあげていました。現状ではパート的にかかわっているのですが、生活がかかっていますので、ちゃんと位置づけてもらいたい。要するに常勤で、そこでやらせてもらいたいという意見が多かったです。そうすると、もう少したくさんの保健師がここで活動できるのではないかと思いました。そういうことから言えば、体制の中で保健師の常勤化、位置づけをもう少しきちんとやっていただくと活性化できるかなと思います。以上です。

○中原座長
 岡田先生、お願いします。

○岡田委員
 各地産保のセンターが対象とする事業場というのは、かなりたくさんあろうかと思うのですが、前の地域・職域連携モデル事業のときに国からの予算がかなり下りました。前もお話したかと思うのですが、そのときには時間外に、就業後に保健師が健康教育に行ったり、土・日に保健所の保健師が講演をしたり、健康診断のフォローをしたりということをされていて、非常に好評であったと。予算がなくなった途端にそれができなくなったので、終わってしまったことは非常に残念だったのです。
 今後、先ほどお話があったように、できたら地産保のPRとして、対象とする全事業場を先生方が回るのは大変なことなので、すべての事業場を年1回ぐらいは保健師が全部回るようにして、そこで問題点を把握して、地産保の産業医の先生がスポット的に指導していく、もしくはアドバイスしていくという形になれば、適切な表現かどうかわかりませんが、労働基準監督官が来られますと、みんな震え上がります。地産保の保健師とかドクターが来られる所は、どちらかというと健康づくりで前向きな、指摘をされるのではなくて良くしようと。行政の方が入ってこられると、これは大変だと中小企業のオーナーの方がよくおっしゃるので、そういうことではなしにそこで健康のアドバイスをするという形にすれば、地産保の活動のレベル、幅、深さというものが非常に良くなって周知されるのではないかと思います。もしそうだとすれば、地産保の対象とする事業場数に応じた予算の配分、保健師の常勤化、ドクターに対する収入のアップということを考えないと、50人未満の事業場に関しては効果的な産業保健活動がおそらくできない。大企業が行っているようなレベルでは、当然到達し得ない、非常に不均衡が出てくると格差ができますので、これは問題があると思います。
 もう1点、付け加えで前回もちょっと今村先生からもお話があったのですが、先ほど森先生がおっしゃったように、小規模事業場の場合は、例えば私どもの会社の資本関係があったり、支店があって50人未満の所は私たちが責任を持って見ています。50人未満の事業場であっても、地方であっても東京であっても、すべて面倒は見ますが、資本関係がなくて協力会社では、安全衛生の面は安全は見るのですが、健康管理になると全く別になってきて、それは地産保にお願いするしかないです。その辺は、おそらく各事業場ごとに健康管理に関しては理解されておられるので、そこはまず問題ないかなと思います。むしろ全く個人で資本関係がなくて独立して協力している小規模事業場に対しては、地産保の強力な介入が必要なのかと。私たちも全く資本関係がなくて、健康管理のグループ会社として全くサービスができない所は、地産保に要請ということでお願いしていますので、そこはきっちり区別すればいいのではないかとは思っております。

○中原座長
 今村先生、お願いします。

○今村委員
 本当に50人未満の事業場に対する産業保健の提供というものが十分でなくて、そこで地産保が重要な役割を担っているという認識を医師会は持っていて、いままで全国でも一生懸命取り組んできた。ただ、そこにさまざまな問題があって、地域差があるということも実態としてありますし、利用が必ずしも十分でなかった、周知されていないということもあると思います。
 そういう背景がある中で、前回申し上げたように地産保事業のあり方がこの4月から大きく変わっていると。いままで347の医師会で実施されていて、この347の医師会というのは、いま地区医師会というのは900弱あるのですが、労働基準監督署単位に置かれていますので、医師会というのは変な話、地区医師会単位でいろいろな活動をしているものですから、複数の医師会を含んだ事業は、地域の医師会の連携の関係によって相当取組みが変わってしまうのです。
 従来その辺がなかなか難しいところもある中で、今回4月から都道府県単位になってしまった。都道府県医師会は、いままでこの事業については直接かかわっていなかったので、いま37の都府県が医師会としてこの事業を実施することになっているのですが、まだまだ混乱の極みにあるというのが実態であって、残りの10の府県については、産業保健推進センター、いわゆる労働者健康福祉機構が実施されている県単位の推進センターに実施をしていただいている。県医師会、あるいは郡市医師会との連携の中で実施している。こちらも混乱の極みにあって、その10の推進センターも事業仕分けで今度どこがなくなるかという実態になっている中で、地産保事業についての方向性が明らかでなかったということで、現場が不安を持っているというのも実態であるということをご理解いただきたいと思います。
 そういった中で、メンタルヘルスという新たな大きな課題が出てきたと。医師のみんなの思い、あるいは医師会の思いとして、こういった小規模の事業場に対して仕事をするのは我々の任務だ、責務だと、たぶんみんな思っているけれども、いざ取り組もうとしたときにさまざまな課題があると、思いだけではなかなか事業ができないというところもあって、本当に全国で均一にやっていただけるのかなと、正直言って私は不安もまだ持っております。そういった中で、新しくこの部分に予算が付いて、現場が活動しやすい状況になるということであれば、私も大変いいなと思っていますので、厚生労働省のほうで予算についても、メンタルについて新たに付けていただけるということなのであれば、また方向性がちょっと変わってくるかなと思っています。
 話が長くなって恐縮なのですが、河野先生からお話があった保健師の活用については、いま常勤雇用できるような予算の仕組みになっていませんので、これは厚生労働省のほうで地産保の予算についてそういうことができる仕組みにしていただければ、いちばんいいなとは思っています。これは医師会を代表する意見ということではなくて、あくまでも私のいまのこの検討会の中での意見なのですが、先ほど申し上げましたように事業外資源として地区医師会が活動することになれば、そこに保健師の採用が義務付けられれば、そこが実施している地産保の支所です。県医師会が事業としてはやっているけれども、現場は地区医師会がやっているとすれば、そこで連携の中で活用を図ることができれば、地産保として常勤雇用しなくても、保健師が活躍していただけるのではないかなと個人的には思っています。
 厚生労働省の事務局に作っていただいた文言で、ちょっと確認をしたいことがあります。まず1点は、3の「地産保の活用の促進」の中で、上から3行目の「今後、産業医の機能を果たす外部専門機関がその実績を地域産業保健センター事業の充実・強化に活用することにより」と、ここがちょっとイメージがはっきりしなくて、私は勝手に医師会みたいなことを想定して思っているのですが、具体的なイメージがわからないので、もし何かあれば教えていただきたい。
 それから、この3の中で最後の段落に、「メンタルヘルス対策支援センター」の文言が出ているのですが、これについてはいま産業保健推進センターが実施をされている。国一本で契約をして、労働者健康福祉機構が受けて47の推進センターで実施をしているということなのです。今後、これを県単位の事業として契約ができれば、県医師会などもこういったメンタルヘルスの支援センター事業が実施できることになれば、地産保の事業とそういうメンタルヘルス対策支援センターの事業を一括して仕事をできると、すごく一体的に効率的にできるのではないかという思いがあって、その辺の可能性について教えていただきたいということです。
 最後に、地域・職域連携推進協議会については、これは設置はあるのですが、あまり機能していないのではないかというのは、座長からのご指摘どおりだと私も思っているのです。たまたま前回、相模原の例が出ていましたが、相模原は相模原の会長が地産保の所長でもあり、産業保健にものすごく熱心だから、要するに行政の会議にも、産業保健の立場もわかっている中で、取組みではああいうことができると私は思っています。この書き方は、どちらかというと地域保健を中心にしてこの協議会があって、その中に産業保健が参加するというイメージで書かれているのですが、この場はあくまで産業保健を中心にして議論しなければいけないと私は思っていて、もしそうだとすると、地産保の予算の中でそういう職域との会議みたいなことを実施することができる枠組みはできるのか。たぶんいまの予算の中では非常に縛りが厳しくて、現場が動けないというのがあると。そういうことも弾力的にできるようにしていただければ、だいぶ変わってくるのかなと思っています。
 あと、サテライトの充実ということについては、本当にそのとおりだと思っていて、利用者の方の利用のしやすさということがとても大事だと思っていますので、休日であるとか、時間外であるとか、地産保まで行かなくても近くの自分のかかりつけの診療所でもいいですし、そういう所をもっと活用できるという仕組みを是非検討していただければと思います。すみません。長くなりました。

○中原座長
 事務局側、何か発言がありますか。

○鈴木労働衛生課長
 私のほうから、2点目と3点目を先に回答させていただきます。2点目は、メンタルヘルス対策支援センターの契約の単位の今後のあり方ですが、ご指摘のように、もしこれを運営して地域産業保健センターと極めて密接な連携をとりながらやってみたい所があれば、そこは手を挙げられるようなこともいま検討しておりますので、現在は全国一括、一本でやっておりますが、どういう単位で契約を分けるかについてはちょっと検討させていただきたいと思います。
 3点目の地域・職域の協議会については、予算要求なり、主たる事務をやっているのが健康局ですので、ちょっとそういうニュアンスが伝わっている部分もあるのかもしれません。事務局として以前から考えていたのは、どうしても従来の産業保健は、地域保健から見ると閉鎖的といいますか、連携をとりたくても情報がなかなか来ない。特に個別の事例の情報については、もちろん個人情報もあって来なかったと思うのです。私自身も地域保健を主としてこれまでやってきて、中に入ってみるともう少し情報発信できる部分があるのではないか。その場合に、地域保健のほうにちゃんと受け取ってほしいという気持がちょっとありまして、それは単に関係者の情報共有とか連携ではなくて、前回も言ったかもしれませんが、個別の事例がきちんと流れていくシステムをこの際、作るべきだと。それを向こうで作ってくれるかどうかという投げかけを、ここにちょっと書いたつもりですので、そういうことは今後、また健康局のほうで検討していただけるきっかけになればと思っています。ただ、産業保健側にも何かそういう仕組みが必要ということであれば、それはまた地産保の予算に組み込むかどうかは検討したいと思います。

○古田職業性疾病分析官
 1点目は、外部専門機関が立派に育っていけば、労働者数50〜100人の事業場に限った話でなく、地産保センターは国の事業で予算にも限界がありますから、もっと小さな小規模事業場が地産保センターからの支援だけでなく、外部専門機関の支援も受けられるようになるのではないかという期待ということです。

○鈴木労働衛生課長
 それと前回から今回に至るまで、各委員にメール等でご意見をいただいて調整を図ってきたところですが、1点目のテーマにありましたように、外部専門機関を選任の要件を満たしたこととみなすかどうかは、まさに議論があったところですので、3頁の1点目「今後、産業医の機能を果たす外部専門機関」、先ほどのかなり慎重なご意見からすると、この表現はちょっと適当ではないと思いますので、次回までに修正したいと思います。

○中原座長
 私も委員として何か意見を言わないといけないとは思いつつ、地域産業保健推進センターについては、特に意見は思いつかないのです。地域保健との連携というところで、現在の保健師の就業場所としては、保健所はもちろんあるのですが、地域保健は市町村のほうが中心に動いてきております。具体的に言うと、下から5行目の「保健所等」の「等」の中は市町村だということなのでしょうけれども、「保健所、市町村」とはっきり書いていただいたほうがいいと思います。保健所という組織は、市町村というか、政令市の保健所と都道府県の保健所があって、全く機能が違うのが同じ保健所という名前で動いております。いわゆる地域保健に従事している人たち以外の人には、なかなか理解してもらえない部分があるのですが、ここは市町村は「俺たちは埒外だ」ということではなくて、「保健所、市町村」とはっきり書いていただければいいのではないかと思います。
 私は市町村の保健師などとかなり付合いがあるわけですが、市町村にしてみたら、そこにいる人は産業保健の従事者だから、市町村の管轄範囲外であるという意識は全くないわけです。要するにそこの地域住民であることは間違いないのです。だから、そこにいろいろ例示されている健康教育、健康相談などというのはいちばんわかりやすいのですが、昔からある例は定期健診であると前回も申し上げましたが、そういった仕事を産業の側から、企業の側から、積極的に市町村に要望すれば、市町村もキャパシティがありますから、そんなに全部受けられるわけではないでしょうけれども、市町村長にしてみたら地域住民であることは間違いないわけで、対応せざるを得ない立場でもあるわけです。そのようなこともちょっと念頭に置いてほしいなとは思います。
 要するに保健所という言葉は、政令市保健所の場合と都道府県の保健所の場合とはちょっと違うということと、地域保健の担い手は現在市町村にどんどん重点が移っていますので、市町村ということを意識した書き方にしてほしいなと思います。ということで、私の話はこのぐらいにしたいと思います。
 あと、委員の方々で、お互いにディスカッションするようなことはありますでしょうか。何かご質問等ありますか。

○武田委員
 1つ、職場でのケースについて、地域に情報伝達するという話があったのですが、逆に地域で把握した問題点などを、今度事業者のほうにどうやってフィードバックするのかという問題も出てくる可能性があると思うのです。地域だとか家庭の問題で起こっているケースであれば、会社としては特段問題はないのですが、もしもそれが会社での問題などがあったりした場合、簡単に事業者に情報を戻せるのか。50人未満の事業場でどうやって戻していくのだろうということが気になります。知ってしまった情報に対して、地域だとか地産保がどうやって対処するのかというのは、とても難しい問題になるような気がするのです。だから、情報をやり取りするのは、密にしてやっていくのはいいのですが、事業場側の受け手側は密に情報に接しても適切に対応することができる状況にあるのかどうかというところは、やはりよく考えておかないといけないのではないかなと思います。

○岡田委員
 保健師の教育で、来年から何か変わるのですか。企業が実習場を提供するということで、私どももいろいろな大学から依頼があったのですが、とてもできないので2つの大学についてはOKしたのです。いままで産業保健の実習というのはあまりなかったのですね。

○河野委員
 いや、あったのですが、大学によりその程度がさまざまでした。どうしても保健所、あるいは市町村保健センターでの実習がほとんどです。

○岡田委員
 やはり市町村が中心なのですね。

○河野委員
 はい。

○岡田委員
 企業はあまりなかったのですか。

○河野委員
 企業も地域看護学実習の中に含まれているのです。私の大学も現にそうで、地域看護学実習として、保健所・市町村保健センター2単位、訪問看護ステーション1単位、企業1単位の実習を組んでいます。新しい指定規則では、地域看護学実習から公衆衛生看護学実習となり、実習単位が増えますので企業での実習も増えることを期待しています。

○岡田委員
 いま大阪では取合いになっていて、各大学がいろいろな事業場にアプローチをかけて、私どもも7、8の大学から実習場を提供しろといういろいろな話がありました。スタッフがあまりいませんので、2週間ぐらい1人、保健師をとられてしまうのですね。産業医もとられてしまいますので、とても「そんなにたくさん引き受けられません」という形になっているのです。もしそれがうまくいけば、関心を持たれる方が増えてくるということでよろしいのですね。

○河野委員
 はい。

○岡田委員
 わかりました。

○森委員
 地域産業保健センターは、センターによってすごく活性度が違うという話をよく聞きます。どのような所が活性化しているかというと、多分に俗人的な要素ですが、事業場に対して積極的に働きかけをするコーディネーターがいるということが、最低の条件だと思います。そのことや、私が前回お話したいろいろな小規模事業場に実際に調査に行ったときのことを考えると、何かあれば相談してください的なサービスの窓口の持ち方というのは、有効ではないと思います。そうすると、地域産業保健センターは、これからサービスの中でそういう働きかけと個別の相談窓口と、さらに本当に専門的な問題解決を行うという機能のうち、どこに予算を注ぎ込んで特化していくかという整理がもう1度必要なのではないかと思います。
 先ほど保健師に全部を回らせるという岡田先生からあったアイディアなどは、とにかく働きかけをするということを中心にやっていきましょうということだと思います。そこから先出てきたニーズへのサービスを国が無料で提供するかどうかというのは、次にもう1回議論をしなければいけないと思います。先ほど事業場外資源が育ってきたら、そちらにもという話が事務局からございましたが、ある事業者は無料でサービスを受けられて、ある事業者は有料で受けるというのも、これも問題があるのではないかと思います。そうなると、やはり有料であっても具体的なサービスを行える機関を育て、そこにつなげるまでの働きかけの部分に、どうやって国として人材を投入していくかを考えることが、とても大事だと思います。
 その場合、出てきた問題をどうすべきか、という判断をするバックアップの医師が、地産保にも必要であることは間違いないと思います。でも、働きかけの部分は、やはり医師ではない人たちを有効活用という部分、これについて私は保健師がいちばん適任だと思っているのですが、その部分をもうちょっと真剣に議論して、何とか実現につなげていくことが、将来の地域センターの活性化につながるのではないかと思います。最初に意見を言ってあと、皆さんの意見を聞いていて強く思ったことなので、再度、発言させていただきました。

○三柴委員
 地産保に詳しくないと申し上げつつ、コメントを差し上げることには問題があるとは存じますが、また、あまり場としてふさわしくない話かもしれませんが、あえて申し上げたいと存じます。
実は私自身、個人的にも、近しい関係の方で、ある仕事に就いてはいるものの、家庭で「もう死にたい」とわめき散らしているという、非常に切迫した状況に立ち会った経験を持っています。また別の方について、やはり非常に近しい方で、私自身が不調に気づいて長くコンタクトを続け、必要なアドバイス自体は懸命に差し上げていたにもかかわらず、頑として医療機関には頼ろうとせず、終に自殺により亡くなってしまったケースもあります。そのときに個別の視点、とてもミクロな、まさにN=1から見て、どこにどう相談すればいいのだということで、ものすごく悩んだわけです。私自身、この問題については普段から調べているはずなのだから、そんなことはすぐ思い浮かばなければいけないのに、改めてホームページ等で調べても適当なものがない。精神保健福祉センター、地産保も調べました。職域ルートでいくのだったら、ここは相談に乗ってくれるのだろうか、地域ルートでいくのだったら、ここは相談に乗ってくれるのだろうか、と。ところが、いくら調べても、訪問支援などケースに対応するケアの仕組みがない。
 だから、もしこの検討会のルーツの1つが自殺対策もあるということであれば、本人が死にたいと言って騒いでいる状況での、2次予防といいますか、ぎりぎりの状況での緊急対応を考えなければいけないのでしょうけれども、それをどこがやってくれるのか定かではないのです。NPO等も当然に調べるわけですが、そこまでやってくれる所は見つからないわけです。ですから、どこが日ごろからの職域改善、職場環境改善などの1次予防問題を所掌して、どこが2次予防を所掌して、どこが3次予防を所掌して、あるいは緊急対応をやってということについての区別は、ユーザーからして職域だろうが地域だろうが、ある程度整理がついた状態で情報提供がされているということがあってもいいのかなと。これは森先生のお話とのつながりもあって、痛切に感じていたので申し上げました。

○今村委員
 森先生のご指摘は、私も本当にそのとおりだと思います。保健師の役割はたぶん出てくるのだと思うのですが、そもそもコーディネーターが一生懸命やられる地域、事業場を回ってお話をされてという所は、やはり活性化につながっているということもあって、コーディネーターを地産保が雇用するということについても、地域によって簡単にそういう方が見つかる場合もあるし、なかなかそこが困難だという地域もあるのです。対象の職種が特に決まっているわけではありませんので、極めて俗人的にその方の思いや能力に従ってしまっているというのが現状としてあります。ですから、今後、保健師をそういう所で活用するということになれば、保健師にお願いするのは1つの選択肢としてあるのかなとは思っています。どのようにこのセンターをより活性化していくかということについては、本当に大事な視点だなと改めて思います。
 もう1点、三柴先生の極めて緊急的な、クリティカルなものにはとても対応できるような組織では全くないので、もともとただの相談についても難しいというセンターが結構あるのです。事業場のことを全くわかりませんから、労働者がポンと相談に来て何かと言われても、責任を持ってお答えできる範囲は限られてしまうところもあるのです。ただ、そんな役割であっても十分に活用されていない。もうちょっと広く地域に知られるべきだと思うし、これは誰の責務だというのはなかなか難しくて、例えばいままでだったら郡市医師会がセンターを設置しているのだったら、そこがもっともっと広報活動して、地域の中で知らしめればいいのではないかという考え方もあるでしょうし、行政的にもっと知らせたほうがいいのではないかとか、監督署がもっと教えてあげたらいいのではないかと、いろいろあると思うのです。そこは我々としては、医師会が頑張ってそこを周知しようと思いますが、もうちょっと国レベルでいろいろ仕組みを考えていただかないと、名称自体知られていないのです。おそらく知っている人は、ごくごく限られた人しかいないので、そこは本当に考えていただきたいと思います。

○河野委員
 いまコーディネーターの話が出たのですが、私が担当した大学院生が地域産業保健センターの活性要因と不活性要因について研究したことがあるのですが、今村先生がおっしゃったコーディネーターの役割がその要因として大きく寄与している結果が出てきました。ですから、これは大事だなと思うのです。それはそれとして、先ほどの岡田先生、あるいは森先生のご発言から思うのですが、例えば地産保の中に常勤で保健師を雇ってもらったとします。その人がいくつかの事業場を担当制で持たせていただいて、保健師というのは現場に出かけていくという機能がありますので、積極的に事業場に出かけ、担当事業場で労働者の身近な所でいろいろなことの相談に乗って、ラポールをまず形成します。そうして、気心が知れてきますと、メンタルヘルスについても情報が入ってきます。その結果について地産保の責任者の産業医に相談します。また、保健師の機能の大事なものとして、社会資源の活用というのがありますので、保健師は、いろいろな社会資源のネットワークを持っています。そこにつないでいくという役割もできると思います。
 ですので、まずは保健師たちが安心して働けるような、先ほどの岡田先生のおっしゃってくださった保健師の常勤化ですね。そういうことにすると、どんどん広がっていく。1カ所でそういう成果が上がったことがわかれば、またまた広がりが出てきて、活性化に結び付くのではないかと、いま皆さんのお話を伺いながら思いました。

○中原座長
 座長が言うのも何ですが、三柴先生がおっしゃった事例は、地域と職域の連携とか、そういうので非常に示唆に富む話だと思います。基本的には精神保健の問題ですので、医学的には希死念慮という言葉を使いますが、死にたいということであれば自傷他害の疑いということになりますので、昔なら保健所へ通報しろと言ったのですが、いまはもちろん保健所に通報してもらえばいいのですが、市町村でもいいわけですね。精神保健もどういう体系にしていくかというのはまだ流動的なところもあって、私はこの問題はやはり保健師の役割は非常に大きいのではないかなと思います。保健所であれ、市町村であれ、当然、保健師の所へ情報は行くわけです。保健師は、訪問していろいろな指導をする役割ですので、保健師が対応するというのがいちばんわかりやすいことなのではないかと思うのです。
 そういう意味で、保健師は地域においては当然ものすごく大きな役割なのですが、産業においても保健師の役割をもっと認識するべきではないか。地域保健と産業保健の連携という中身は、いま具体的におっしゃったそういうことを、本当はこういう場合はどうすればいいかということを協議する場であるべきなのではないかなと思います。だから、枠組みとしては作られているのですが、実際にその現場に当たってしまうとどうしたらいいかわからないというのを何とか解決する場として、協議会も活用すべきなのではないかなと。これは私の個人的な意見ということで、座長としてのまとめではないということでご理解をいただければ、結構かと思います。

○森委員
 地域・職域という言葉を使うときに、職域は事業者という形で企業に限定して話をしていますが、職域という概念には、大きな企業の場合には、事業者と健康保険組合の両方があります。また、小さな所では、多くの場合は“協会けんぽ”に加入されています。協会けんぽになったあとの保健サービスは、私は十分理解していないのですが、以前は政府管掌保険だったときに、社会保険健康事業団という組織があり、さらに都道府県ごと支部があって、そこでの健診を受けたことを条件に、かなり事業場に密着したサービスをされていました。通常の産業保健としての役割を果していると思うほどの密着したサービスがされているモデルが、いろいろな都道府県にかなりありました。メンタルヘルス対策そのものにどのように活きるのかはわかりませんが、特定健診、特定保健指導が医療保険者の義務で行われているということを前提に考えると、この資源は結構意識をしないといけないのではないかと思います。なぜ、この話が出てこないのか、今ちょっと気付いたので発言させていただきました。ある部分は、保健所が機能を持っていて、ある部分は地産保がやってという辺りの中で、もう1つのプレーヤーがいることを意識して、全体像を見ないといけないかなと思います。どのような方法がよいのかというところまでは、まだ考察がいっていませんが。

○中原座長
 ほかに何かご意見・ご要望等ありますか。

○武田委員
 いまの話ですが、健保と事業者とは別なので、事業者の役割を健保が肩代わりすることはできません。健保が行ったからと言って事業者がやらなくていいかというわけにはいかないと思います。

○森委員
 私はここで言っているのは、事業者責任という意味の職域という話を変えるという話ではなく、地域資源に近いものとして、もう1つ何か使えるものがあるのではないかという問題提起なのですが。

○武田委員
 そういう意味では、被保険者、被扶養者には使える部分があると思う。

○鈴木労働衛生課長
 健保組合がやっているメンタル関係は調べて、それなりにヒットするのです。新しい協会健保のほうはあまりなかったので、ここに具体的に書くようなアイディアがありませんでしたが、その他も含めてどうなのかなということ。そういう意味での職域のこちら側での連携というのも、もちろん有効に活用すべきだとは思います。
 一応このタイトルにありますように、メンタルヘルス対策支援のあり方ですので、それを基軸に書きますが、先ほどから一般論に関するご意見も多々いただいております。これをまとめるときには、若干トーンが変わりますことだけは、あらかじめご了承いただきたいと思います。

○中原座長
 わかりました。

○今村委員
 協会けんぽの活用ということについては、1つのメニューとしてはいいかなと。ただ、実態として申し上げておくと、先ほど特定健診保健指導の話が出たと思うのですが、ほかの保健組合に比べると、ご本人は特定健診としてみなすような健診をやっていると。ただ、ご家族については本当にその部分ができなくなってしまっていますし、保健指導につながっている割合がどうなのかというと、正確な数字は覚えていませんが、そこは逆に非常にサービスが落ちているのではないかなというのを感じていますので、そこも含めて、何か良い利用の方法があればとは思います。ただ、実態はちょっとそこまで行っていないのかなと。

○中原座長
 ほかにご意見・ご要望等ありますでしょうか。もしないようでしたら、今日の議論はここまでにしたいと思います。今日のご議論を踏まえてといいますか、あるいは事務局としていろいろな調整等もあると思いますので、そういうことを踏まえて、報告書の取りまとめをお願いしたいと思います。座長が勝手に次回やってくださいというような調子のことを言っておりますが、今後の予定について、事務局から説明をお願いします。

○古田職業性疾病分析官
 次回に向けて、調整と取りまとめに一定の時間をいただきたいと思っております。次回開催については、別途、委員の先生方と調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○中原座長
 以上で、第3回「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」を閉会といたします。活発なご議論をどうもありがとうございました。


(了)

(担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部

労働衛生課 毛利、廣瀬

〒100−8916                           

東京都千代田区霞が関1−2−2   

TEL 03-5253-1111(内線5497,5495) 

FAX 03-3502-1598                      

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