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2010年9月16日 第1回 事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成22年9月16日(木)


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○議事

○古田職業性疾病分析官 定刻になりましたので始めさせていただきます。本日は大変お忙しい中、ご参集いただきましてありがとうございます。ただいまより、第1回「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」を開催いたします。はじめに、厚生労働省安全衛生部長の平野良雄よりご挨拶を申し上げます。 
○平野安全衛生部長 委員の皆様方には、大変お忙しい中、事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会にご参集をいただきまして、誠にありがとうございます。私どもの安全衛生行政におきましては、「職場におけるメンタルヘルス対策」が大変大きな課題となっています。これを受けまして、先日、職場におけるメンタルヘルス対策検討会での報告書が取りまとめられました。その中で、労働者のプライバシーを配慮しつつ、ストレスに関連する症状ですとか、不調を有する労働者に産業医等による面接が受けられるという新しい枠組みの導入が、その検討会の報告の中で適当とされたところです。
 一方で、メンタルヘルスに対応できる産業医の数というのは、必ずしも十分ではない。そのために、この新しい枠組みがうまく機能するには、メンタルヘルスに対応できる産業医等で構成される事業場外の組織を整備し、あるいは育成して、メンタルヘルス不調者への対応等に関する産業医の職務を、適切にまた効率的に実施できるようにする検討が必要であると、この検討会でも報告されています。
 また、50人未満の小規模事業場に対しましては、地域産業健康センターが産業保健サービスを提供していますが、この新しい枠組みが導入されることになりますと、医師による面接について、大幅なニーズの増加が予想されます。その対応を想定した体制についての検討、あるいは保健師などの専門職の一層の活用等について検討をしていく必要があると考えております。
 本検討会におきましては、これらの検討課題についてご検討をお願いしたいと考えておりまして、今後、集中的にご検討いただき、取りまとめをお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○古田職業性疾病分析官 続きまして出席者のご紹介をさせていただきます。机上配布しております資料1の3頁、参集者名簿です。この名簿の順に紹介させていただきます。最初に、社団法人日本医師会常任理事の今村聡委員です。続きまして、大阪ガス株式会社人事部健康開発センター統括産業医の岡田邦夫委員ですが、本日はご都合によりご欠席です。北海道大学環境健康科学研究教育センター長・特任教授の岸玲子委員です。四日市看護医療大学学長の河野啓子委員ですが、本日はご都合によりご欠席です。三菱化学株式会社人事部健康支援センターグループ長の武田繁夫委員です。京都大学大学院医学研究科教授の中原俊隆委員です。近畿大学法学部准教授の三柴丈典委員ですが、今日は少し遅れるというご連絡が入っております。産業医科大学副学長、産業医実務研修センター所長の森晃爾委員です。よろしくお願いいたします。
 続きまして、配布資料の確認させていただきます。資料1としまして「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会開催要綱」、それから名簿が付いています。資料2-1として、「『産業医・産業医科大学のあり方に関する検討会報告書』から」という資料があります。資料2-2は「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書概要」です。報告書そのものもこの資料に付いています。資料3-1は「産業医制度について」。資料3-2は「産業医の関係法令」。資料3-3は「産業医の職務」。資料3-4は「産業医の育成及び研修について」。資料3-5は「産業保健活動に従事する保健師の現状について」。資料4-1は「産業医の選任状況」。資料4-2は「事業場における産業保健活動の状況」。資料5は「メンタルヘルス対策支援センターの概要」。資料6は「諸外国の産業医及び産業保健サービス機関に関する制度」。資料7は「事業場における産業保健活動の拡充に向けての検討項目案」。以上のほか、このあと2名の方からプレゼンテーションを行っていただきますが、その関係の資料を委員の皆様には配布しております。
 続きまして、本検討会では座長を置くことになっています。座長は安全衛生分科会の委員でもございます京都大学の中原先生にお願いしております。よろしくお願いいたします。今後の議事進行につきましては、中原先生お願いいたします。
○中原座長 ご指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます中原でございます。よろしくお願いします。円滑といいますか、活発なご議論をいただければと思います。活発にご議論いただいて、我が国の産業保健活動の進展に少しでも寄与できるように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事に入ります。まず「検討の趣旨と現行の産業医制度」について、事務局が用意しているものでご説明をお願いいたします。 
○毛利調査官 ご説明させていただきます。資料1につきましては、いまほど部長からもご挨拶がございましたように書いておりますが、この基になりました資料について少し説明いたします。
 資料2-1ですが、「産業医・産業医科大学のあり方に関する検討会報告書」ということで、これは平成19年8月に出ています。非常に幅広い産業医のあり方に関する検討の内容となっていますが、この中から、今回の検討事項に関連する部分を抜粋しています。1頁目には全体の目次を入れていますが、5の部分、「産業医の選任方法のあり方について」につきまして、その中の3頁の5-2、「企業の規模、活動、組織の多様化に対応した選任方法のあり方について」という部分です。
 4頁に線が引いてある部分、これは事務局で付けたわけで、原典にはありませんが、「産業医の取り扱う業務が多様化する中で、複数の専門分野の異なる産業医が事業場の衛生管理等を行うことが、より効果的であるケースもあると考えられる。こうしたケースにおいて、複数の非専属の産業医がチームとして専属産業医と同等の職務を行う場合や、特定の医療機関に専属して従事する産業医が複数存する場合において、こうした医療機関との契約により、複数の産業医がチームとして事業場に派遣される場合等の取り扱いについて、労働者の業務内容と業務に従事する労働者数を踏まえ今後検討をしていく必要がある」と書かれているものです。この検討会の検討事項の1つは、これに関するものです。
 資料2-2は、9月7日に発表しました、「職場におけるメンタルヘルス対策報告書概要」です。1頁目には、検討の背景、現状と課題が書いてありますが、そもそも、自殺者が3万人を超えて10年以上経っているということで、厚生労働省内の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム報告」、そういうものを立ち上げて検討をしまして、この中では職場におけるメンタルヘルス対策が重点の1つとされたという検討の経緯を示しています。職場におけるメンタルヘルス対策検討におきましては、職場における対策のあるべき姿を議論していただいたということです。以下、現状については省略をいたしますが、基本的な方向と具体的な枠組みにつきまして、少し中身を説明いたします。
 報告書の中身の7頁に「メンタルヘルス対策を促進するに当たっての基本的な方向」ということで、第2パラグラフにこのような記述があります。「メンタルヘルス不調に影響を与える職場におけるストレス等の要因について、産業保健スタッフにより適切な対応が実施されるためには、労働者のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境の改善につなげるための、一般定期健康診断とは別の新たな枠組を導入することが適当である」ということで、その下に基本的な方針が並べてあり、プライバシーを保護されるとか、容易に導入できるとか書いています。
 (2)は具体的な枠組みということですが、これについては資料2-2のⅱ、ⅲの頁があります。現状の「一般定期健康診断のしくみ」を図式化したものがⅱ頁です。一般定期健康診断の中にも「自覚症状及び他覚症状の有無の検査」がありますが、これは定期健康診断ということである以上、その結果は必ず事業者に通知される仕組みになっているということです。そういうことから、労働者のプライバシーを保護する観点からは、なかなか適さないのではないかということで、ⅲ頁にありますような新たな枠組みということを、今回この検討会ではお示しいただいたということです。
 その左のほうになりますが、例えば食欲がないとか、よく眠れない、そういった身体的な症状、不調だとか、あるいはゆううつだ、イライラしているというような心理的な症状・不調のストレスに関連するものを医師が確認するというところから始まります。これは定期健康診断に併せて実施していただくことでもいいし、別途実施でもいいということです。
 それを確認しましたら、次に、その健康診断を実施し、確認を行った医師が、労働者の症状・不調の状況などから、医師による面接が必要だと判断をした場合には、労働者にその旨を通知することで、医師による面接を受けることができるようにするということです。この医師というのは、産業医がいる事業場であれば産業医ということでも結構ですし、いずれにしてもこの医師はあらかじめ指定しておくということです。この症状不調の確認を行った医師は、個人情報の保護の観点から労働者のストレスに関する症状・不調の状況、面接の要否については事業者に伝えないことにする。面接を労働者が行って、その結果で事業者に対して就業上の措置について意見を述べる必要があるということになりますと、労働者の同意を得たうえで事業者に意見を言うということです。また、非常に症状が重いなど必要と判断した場合には、医療機関への受診勧奨とか、保健指導を行うことで対応を行っていくということです。
 こういう新たな枠組みを実施することが適当ということで、この報告がなされているわけですが、これをやるためには、いくつか体制の整備をする必要があります。それが報告書の8頁のいちばん下から9頁の部分です。ウとして、事業場に対する支援体制の整備、その中の小規模事業場における対応ということで、9頁に、労働者数50人未満の事業場においては、就業上の措置に関する意見を述べる医師の確保、それから医師が事業場の状況を十分に把握することができるようにすることが必要であるということです。小規模事業場において独自に医師を確保することが困難な場合においては、地域産業保健センターを利用することが効果的であることから、その登録を推奨するということ。また、地域産業保健センターが小規模事業場に優良な産業保健サービスを提供できるように、機能の拡充・強化を図る。そういうことで、産業医、保健師の登録を進め、資質の向上などを図る必要があると書いてあります。それが1点です。
 (イ)の4行目、こういうことで新しい枠組みで実施をすることが必要なのですが、メンタルヘルスに対応できる産業医の数は十分でないなど、この分野に精通した者の確保、活用が課題となっていると。また、産業医のメンタルヘルス対策への対応については、研修により必要な知識を得て職務を行うことが必要であるが、専属産業医は専ら産業医の職務を行っていない状況等を踏まえると十分な対応が困難な場合もある。
 もう1つは、精神保健などの分野の複数の産業医を選任した場合には、職場巡視の問題とか、また多くの経費を要するなど、実態に合わない状況もある。このため、メンタルヘルスに対応できる産業医等で構成される事業場外の組織を整備・育成し、メンタルヘルス不調者への対応等に関する産業医の職務を効率的、適切に実施可能とすることを検討することが必要であると書いてあります。いま読み上げました所につきまして、後ろの部分が検討事項の1、前半の部分が検討事項の2というように挙げています。以上が本検討会の趣旨に関することです。
 引き続きまして、現行の産業医の制度等について説明いたします。資料3-1、産業医制度の経緯、選任の義務の範囲です。古くは、産業医の制度というのは昭和13年、工場法の改正によって選任が義務づけられたのが最初です。昭和47年の労働安全衛生法ができたときに、基本的にこの規模については、いまの枠組みのものができたということで、常時50人以上労働者を使用する事業場においては、産業医の選任義務が設けられた。
 その中で1,000人以上であれば専属の産業医を選任するし、3,000人以上であれば、2人以上選任することになりました。このあと、平成8年に法改正が行われまして、産業医については必要な一定の要件を備えたものでなければならないとされたのが1つです。これは、資料3-2にあります法の第13条の第2項の部分、それから規則の第14条に設けられたということです。もう1つ、平成8年のときには、産業医の選任の義務は50人以上なのですが、50人未満の事業場においても、医師とか保健師が労働者の健康管理等を行う(努力義務)が設けられました。これは資料3-2でいいますと、法律の第13条の2、第15条の2の規定に関するものです。
 資料3-3、産業医の職務について示しているものです。この文書は、昭和62年に、当時の労働省が指導して産業医学振興財団が作ったものです。ただ、行政の文書、通達などにはなっていないわけですが、産業医の職務のガイドラインとして公表されているものです。中身を見ていただきますと、産業医の職務は非常に多岐にわたることが分かる内容になっています。
 1頁に総括管理がありますが、ここには職場巡視、これは法定で毎月1回やらなければいけないという義務になっています。2頁目には、衛生委員会に出席しなければいけない、これも毎月1回の開催、それから産業医の出席の義務があるわけです。4頁、健康管理の項目が挙げられていまして、健康診断をやったり、その事後措置をしたりということ、それから生活習慣病の予防、5番目には過重労働による健康障害防止対策。5頁目にはメンタルヘルスケアなどが挙げられています。6頁、作業管理としては、有害作業の点検とか日常管理の改善というものもありますし、7頁の作業環境管理も産業医の職務として挙げられています。9頁は健康教育です。そういう非常に幅広い職務の範囲が産業医に求められていることが分かる資料になっています。
 資料3-4、先ほど一定の要件が求められるようになったという話ですが、現在、医師が産業医になるためには、一定の研修を受けていただく必要があるということで、その時間が講義40時間、実習10時間以上となっているのと、科目とその範囲がそのように決まっているということで、医師会をはじめ、団体のほうで実施していただいています。裏の頁にいきまして、今度は産業医に対する研修ということで、メンタルヘルス関係については、国の委託事業として、そういう研修内容で3時間30分のものが全国で開催されるようになっているということ。それから、精神科医を対象とした研修も、これとは別に行われているという実態をご紹介しています。
 資料3-5、産業保健活動に従事する保健師の現状ということで、法律の枠組みとしては、先ほどもありましたが、1つは健康診断の結果、健康の保持に努める必要があると認める労働者に対しては、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならないという規定があるということ。こちらのほうは、先ほども紹介しましたが、50人未満の事業場においての労働者の健康管理等については、医師または保健師が行う、事業者はそういうことに努めなければいけないとなっているということです。
 2番目には保健師の就業の状況を書いていますが、いま自治体に全体の6割がいらっしゃって、事業場には1割に満たない方たちがいらっしゃる。健康診断を実施した事業場で、保健師又は看護師がいらっしゃる事業場の割合については、3割ぐらいに過ぎないというような数字を書いています。保健師がいらっしゃる事業場においては、97.5%が保健指導を実施しているということです。
 資料4-1は、産業医の選任状況です。50人以上は、義務となっているので線を引いていますが、全体では75.4%となっています。規模の小さい50〜99人規模が63%ということで低くなっています。こういう事業場が多いがために、そちらのほうに引っ張られている状況です。
 資料4-2については、産業保健活動の状況で、中央労働災害防止協会が実施をした調査研究の中から書いていますが、出典が「事業場における産業保健活動の実態及び対応等に関する調査研究報告書」、平成22年3月に公表されたものです。この対象は、中災防の賛助会員でして、一緒に事業場にアンケート表を配布して707から回答があったということです。世の中の普通の実態よりは多少良いと。良いと言いますと、いろいろやっている事業場の実態というように見ていただいたほうが適切かと思います。
 1頁に、産業保健活動の実施状況ということで示していますが、産業医の活動頻度について聞きましたところ、1週間に2回以上というような、非常に活発な活動をしておられる方もいらっしゃれば、1カ月に1日程度が45%、それより希にしか事業場に来ておられないというような方も、3分の1ぐらいいらっしゃるという実態になっています。下にあるのは、それぞれの事業場でどのような産業保健活動をしておられるかということで、元の報告書から健康管理関係に絞って示したものです。健康診断の実施などは99%でやられていますが、就業上の措置ということになりますと64%になり、生活習慣改善の指導であれば41%に下がっている。過重労働などでも40%から50%ということで、メンタル関係になれば4割を切っているという状況になっています。
 いまのものが、2頁目にあるいちばん左のグラフになります。それぞれの項目について5本ありますが、全体での平均がいちばん左のもの。BとかCとか書いてあるものは、産業医がいる事業場がB、産業医の活動頻度が1カ月に1日程度以上の事業場で平均したらどうなるかというようなこと。Dは保健師又は看護師がいる事業場、Eが常勤産業医もいて、保健師又は看護師、心理相談員もいる事業場ということです。そのように見ますと、産業保健体制が充実している事業場ほど、それぞれの活動が行われている様子が見てとれるデータになっています。
 資料5、メンタルヘルス対策支援センターの概要です。これは国の予算で行っている事業ですが、現在、47都道府県にメンタルヘルス対策支援センターを設置いたしまして、事業場からの相談に応じているということです。職場のメンタルヘルス対策をきちんと作るための組織をどうしたらいいか、あるいは規程をどう作ったらいいかというような相談もありますし、具体的に問題を抱えてしまった方の助言に対する助言というようなことも行っているということです。
 資料6は、諸外国の産業医の制度ですが、産業医の制度があるのが、この中ではフランス、ドイツ、イタリア、オランダぐらいです。この資料が、平成6年とか10年の出版物からまとめているので、多少古い情報ではありますが、一応、現時点ではそれほど変わっていないのではないかと考えているところです。2頁はフランスですが、中ほどに、この国では大企業については、その企業のためだけの労働医療機関を設置することになっていると。中小企業では複数の企業が共同して、企業共同労働医療機関を設置することになっているということで、この機関は地方労働雇用局長の承認が事前に必要なのだそうですが、管理運営とか費用は、使用者の責任と負担で行われて、従業者の入ったその委員会の監視の下に運営をされているということです。中小企業の企業共同労働医療機関につきましても、地方労働雇用局長の事前の承認が必要で、非営利法人として財政的な独立性を有する。関係企業がこれに関して責任を負うというようなことが書かれているわけです。3頁に、同じフランスの状況ですが、この中核は労働医ですが、そのほかに看護職員とか救急員、それから医療秘書などが存在するということだとか、医療所の設置が必要とされているというようなことが書いてあります。
 ドイツについては、やはり企業の中の体制ということでは、産業医が求められていまして、これは、産業保健活動に従事させるべき時間という形で設定されているということです。産業保健の保険者である職業組合などが、事業主体となって産業医の雇用や施設の整備などを行う。中小企業から使用料を徴収しながら、さまざまなサービスを提供しているという状況が書いてあります。以下は省略させていただきます。一応、以上のことで産業医の現状と制度につきまして説明させていただきました。
○中原座長 立て板に水で説明していただきましたが、これについて、今ここで詳しく勉強するというか、議論していく時間的余裕はどうもないようです。実際問題としては、安全衛生部長などが、最初に、この検討会の趣旨はメンタルヘルスの検討会から出てきているということでございました。その点は、実はテイクノートしておいていただきたいと思います。メンタルヘルス対策検討会の報告書は、委員の方々は皆さんお読みいただいているでしょうか。初めて配ったわけではないですね。長い間、相澤先生が座長で、そのほかたくさんの方々が集まって議論されておりまして、どうしてこういう結論になったかというのは、やはり読まないとなかなか分からないと思います。その点は咀嚼した上で、この検討会が設置されたのは、この報告書の元になっている事業場外の専門機関の設立とか、要員の確保とか教育、行政とかいうことが、この検討会の設立の根拠にはなっています。だからといって、これを無条件に受け入れて、その上に立って議論しろというわけではありません。その辺もまた勉強していただいて、議論を提起していただければ結構かと思います。
 それでは、今日、事務局が用意されているものを先にやりたいと思います。事業場の産業保健活動について、ヒアリングを設定していただいています。本日は、2社からプレゼンテーションを行っていただき、それぞれのあとに、質疑応答の時間を設けます。まず、事業場内で産業保健活動体制を整えている代表として、委員としてもご参加いただいている三菱化学の武田様からご発表をよろしくお願いいたします。
○武田委員 三菱化学で衛生管理者をしております武田です。私どもで、いま行っている健康管理体制について説明したいと思います。これがいいかどうかはまた別の問題で、現状はこうなっているという説明をさせていただきます。
 私どもでは、健康管理は人事部の中に健康支援センターという部署を持っていまして、そこで産業保健を担当する部署と、診療と健診を担当する部署の2つに分かれています。もともとは診療を中心に活動を行っていました。診療所に常勤の医師が1人いて、嘱託医がいるという形です。常勤の医師は、消化器の先生だったものですから、非常勤の循環器の先生をお願いしたり、あるいは会社の中でメンタルヘルスの対応も必要とのことで、精神科ですとか、心療内科の先生にお1人ずつ入っていただくという形で診療を行ってきました。
 診療業務を何十年も前から行ってきましたが、ただ、こういうやり方ですと、どうしても疾病管理が中心になって、一般的に言われているような産業保健というか、労働衛生というか、1次予防とかいった形にはなかなかなりにくいので、診療所を昔は変えようと思ったのですが、なかなか変えられませんでした。そこで、新たに専属産業医と、保健師を入れて産業保健のチームを作りました。とりあえず、三菱化学の本社では従業員は750名で、健康診断を対象としているのは、大体3,500名です。産業保健チームの3名が産業保健に携わるという形になっています。
 現在の体制とか取り組みで、中小に比べて充実している点を申し述べよということだったので、ここにお示しした形で書いているのですが、産業保健チームに加えて診療とか健診も行っているというのは、善し悪しは別として、ほかよりは充実しているのだろうなと思います。精神科の先生が毎週診療所に来られるので、治療が受けられるとか、上司、人事との連携がとりやすいとか。精神科のお医者さんですから主治医との連携も取れるし、あるいは職場をよく見ていただいているので、職場の実態に即した判断をしていただきやすいと思います。あるいは会社の制度もよくご存じなので、こういったことができます。それから従業員は逃げるわけにはいかないので、長期にわたって経過を追うことが出来る。開業医の先生だと患者が来たときにしか診られないですが、診療所があればそこへいつでも呼んで来ていただくことができます。それから変化に気づきやすかったり、あるいは早期に柔軟な対応が可能だというメリットがあります。
 ただ、こういうことをやっていると、健康管理と診療の間の情報管理をきちんとやっておかないと、やはり診療所は診療所でプライバシーを守らなければいけないということで、社内にあると情報がリークしてしまうのではないかということがあるのです。現在2つのチームに分けていますが、いま、この2つのチームは階を隔てて置いてあります。診療所は9階にあるのですが、産業保健は13階の人事の中にあります。そういう形で情報が漏れないようにしています。
 診療の判断が事業者の判断と誤解される可能性があるということにも、やはり注意が必要です。例えば、療養期間満了に近づいたときに、復職させない、まだ治療が必要だという判断を会社の診療所の先生がされた場合、会社側が戻さないようにしているのではないかと判断されたりする可能性があります。また、あまりないというか、いまのところ全くありませんが、診療医と産業医と意見が異なった場合の対応は困難になってきます。ところがこのメリットの部分の多くは、産業医がいれば解決できる部分です。治療は産業医はやりませんが、それ以外のところは産業医がいれば解決できます。治療をやらなければデメリットとしてお話しした問題も出てこないのではないかと思っていて、診療についてどうするかきちんと整理する必要があると思っています。
 産業保健チームがあることによって、継続的な産業保健活動が行われていることだとか、産業保健を担当するチームは健康管理中心なので、例えば化学物質の有害性あるいは設備的な対策の問題だとか、そういったことを産業保健のチームだけでやらなくても、社内にはそういう専門的な人がいるので、そういう人たちと連携して仕事ができます。また、私どもでは人事・労制部門が産業保健に理解があって、連携がよくできていると思います。例えば母性保護で人事部門と一緒にやってみるとか、あるいは就業上の配慮を行うようなときの連携が容易です。医師と保健師なのに産業保健チームは、なぜ診療所と一緒にいないのかと昔は言われたこともあるのですが、いまは人事・労制部門と一緒に仕事をやるということが理解されてきていると思います。
 健康管理を行う上での規程類の整備は、やはり人事・労制部門と連携して作っています。就業規則を充実させたり、あるいは出向者が出るときに出向協定を結ぶのですが、そのときの健康診断のやり方だとか、健診データをどういうふうにお互いにやり取りするかとか、そういった規程の整備なども、人事のそばにいると容易に話し合うことができます。現在の体制について問題とならないよう、診療と産業保健のチームはきっちり切分けしておかないとまずい。どちらが上、どちらが下というわけではないのですが、両方がそれぞれの専門とする仕事をきっちりやっていきたいと思います。ただ、従業員の中にはお医者さんがいて、なぜ両方が連携を取ってやってくれないのかというふうに、まだまだ理解は十分できていない方もおられますが、それは今後定着させていく必要があると思っています。
 私どもの関係会社には3,500人ぐらいいて、そうした所の産業医業務を一部やっているのですが、まだ全部の会社の面倒をみるところまで至っていません。本社にいるものですから、関係会社の専属の産業医がいない事業所まで、もっとカバーしていきたいと思っています。それには産業医や保健師をもう少し増やしていかないと本社では対応できないと思っています。
 健康管理規程が整備されていると言いましたが、本社ではきちんとその運用がうまくできているのですが、事業所や関係会社の中ではきちんと対応ができていない。例えば、メンタルヘルスで休まれた方の復職についての手続きとか、あるいは短時間勤務を長くやってしまっていたりとか、なかなか管理がうまくできていないこともあって、先日、各事業所の人事担当、健康管理担当者に教育して改善を促したのですが、今後は関係会社にも同じように、こういうことをやっていきたいと思っています。
 産業保健活動に取り組む際に注意している点で、いちばんキーになるのは産業医です。産業医が産業医業務を理解しきっちり仕事をやってくれないと、産業医にきちんと仕事を理解してもらうためにエネルギーを削がなければならなくなります。いろいろと内向きの仕事をするのはとても大変です。産業保健活動は、十分な知識とその基本的な理解がある人でないと、内向きにエネルギーを削がれてしまって、産業保健活動がなかなか進まないことになります。ですから、よい産業医がいちばんキーパーソンだろうなと思います。
 臨床をやっておられる先生だと、どうしても個人的なところに関わりを持つ先生もいらっしゃって、福利厚生的な活動を行われる場合もあります。やはりリスク管理として健康管理をやっていかないといけないだろうなと思っています。職場や人、人事制度等を理解しないと、産業医活動はできません。例えば休職させる、あるいは復職させるときには、そういうルールが分からないとそういう指示もできません。あるいは職場に戻すとき、その職場がどういう所か、あるいはそこの職制、ラインの管理職はどういう人かということが分からないと対応も難しいこともあります。
 臨床の先生は、わりと当事者だけの健康を評価してどうしようかと判断されますが、職場全体の健康をみるという視点がないと産業医活動は難しいのかなと思います。例えばメンタルで復職したときに、その人が戻ることによって職場でどれぐらい負担となるのか、周りの人との関係性が保たれるのかというようなことも評価しないと、単純に復職というのは難しいだろうなと思います。ですから、こういったことも理解していただける産業医の確保はとても大事です。
 それから健康管理・長時間過重労働の問題だとか、メンタルヘルスの問題は、産業医や健康管理部門に任せれば済むという話ではありません。あるいはEAPに任せればそれで済む話ではなくて、やはり人事・労務部門とか、ライン管理職がそれぞれの役割を明確にして、そこがきっちり対応しないかぎりは、1次予防もできませんし、後のフォローもできないことになります。ですから、こういったこともきっちりやらなければいけない。そのための役割、制度を明確にして連携をとるという形です。実際に、職場や人事制度などを変えていかなければ対応は難しいというように思います。それから、就業規則の整備と運用ですが、ここを押さえておかないと健康管理だけでやることは無理です。こういう基盤があって産業保健の活動ができると考えています。以上、私どもの活動についてご説明いたしました。
○中原座長 ありがとうございました。いまのご発表についてご質問、ご意見がありましたらお出しいただきたいのですが。
○森委員 今回の検討会は、産業保健サービスの多様性を考えることが目的だと思いますが、その中で専属産業医の意義についてお聞きしたいと思います。いまのご発表だと、例えば本社地区の産業保健体制では従業員数が750名なので、場合によっては“専属無し”という選択肢もあり得たと思うのですが、専属産業医がいることの意義、これが、サービスを切り分けて複数の嘱託産業医による場合とは違った意義を、武田さんが感じておられる実感でも結構なので、教えていただければと思います。 
○武田委員 やはりこういう職場や人、あるいは人事制度を理解しないと進まないというところがあって、嘱託で来ていただいている先生でも、もう長くやっていただいている方は、その辺をよく分かっていただいている方もおられるのですが、事業所によっては就業の判定はやはりできないと言われる先生とか、職場巡視をすると、例えば喫煙室だけはよくチェックするけれどあとは見てくれないとか、いろいろな先生がいらっしゃるのです。そういう先生ばかりではないと思いますが、専属産業医としてきちんと産業保健ということを理解できている先生は、職場の中で一緒に連携をしながら育っていくというか、ディスカッションしながら産業保健活動を作り上げていくという部分があるので、嘱託の産業医ではこういった部分がなかなか難しい部分なのかなと思います。特に、人だとか制度だとか細かいところになると、そばにいたらすぐ話ができるとか、その辺はとても専属産業医の先生はありがたいと思っています。
○森委員 先ほど紹介があったヨーロッパの制度では、法律の規定自体がそうだと思うのですが、かなり産業医の独立性が担保された上で、産業保健サービスを提供することが前提になっています。一方、日本は勧告権限とそれを行使することによる不利益な取り扱いを事業者がしないということを前提に産業医を行うことになります。専属産業医になると、マイナス面としては独立性が保たれないのではないかという懸念を出される方がときどき出てくるのですが、その辺りはどういうふうに配慮されているのでしょうか。
○武田委員 会社に勤めているので、やはり会社に帰属しているという意識はむろんあるのだろうと思います。だから独立性を担保してと言われても、なかなかそういうふうな認識になれないかもしれません。ただ、ジャッジするところはやはり医師としての判断をきっちりやっていただくということで、それを会社が受けて、休職するにも復職するにも、あるいは就業上の配慮をするにも、最終的には会社の判断という形にしています。そういう意味では、会社側の想いとしては切り分けているつもりです。ただ、第三者で外におられる先生と比べて本当に独自性があるかどうかと言うと、それは若干違うかもしれません。
○中原座長 ほかにございますか。
○鈴木労働衛生課長 メンタルヘルスの検討会を受けての検討をお願いしているところですが、とりあえずメンタルヘルスに絞ってですが、このテーマの1つになっている外部の専門機関に産業医の役割を依頼する場合に、やはり就業規則とか社内のある程度の事情を知っておかなければいけないと思うのですが、それは企業によってさまざまだと思います。委託するときにはそういった情報のどの程度までを情報提供すべきか、逆に全部メンタルヘルスで医学的だからといって丸投げでは、たぶん労務管理等々で管理職は最低限の知識も含めて知っておかないといけないと思うのです。その辺のそれぞれが持つべき知識や情報というのは、どういうふうにお考えですか。
○武田委員 会社の制度などを十分理解していただけるといいのでしょうけれども、外部の方が行うとすると、なかなかそれは難しいことかもしれません。例えば、会社のルールとしてどういう条件になったら会社を休職になるのかとか、復職してどれぐらいの間に常態勤務に戻らなければならないかといった、細かいルールを各社で作っておられると思うのです。十分企業経験があれば別なのですが、そういうことが分かっていないと、療養期間満了ぎりぎりの復職の判断のようなケースでは、やはり大変かなと思います。
 外部の専門機関といっても、メンタルの場合は、精神科医の先生もむろん大事なのかもしれませんが、例えば人事・労務のことをよく分かった社会保険労務士さんや弁護士さんといった方のアドバイスなどのほうが、役に立つ場合もあるのではないかなという気もします。
また、病状の問題をお聞きしたりするときもあるのだろうと思うのですが、その場合でも、職場の状況を説明しないと、この人が職場でどういう働き方をしていて、周りの人との関係はどうだとかいう情報を伝えないと、外部機関の先生はよく分からないと思うのです。そうすると、いま主治医にやっていることと同じようなことをその機関のお医者さんにもやるというと、事業所にとってみたら二度手間になってしまう可能性があります。外部機関の先生が間に入っていただいて、例えば、精神科医の先生との間の調整をやっていただくとかいうことができるのであれば、その先生だけに情報をきっちり提供して、そこで主治医の先生と対応してもらうということもあるかもしれません。主治医の先生は主治医の先生でいらっしゃって、また、外部機関のお医者さんがいらっしゃるということになると、事業所としては両方の情報提供をやっていかないと、その人をうまくお世話できないことになるのではないか、そのような気もします。
○中原座長 いまのお話だと事業場外の専門機関を導入するという発想ではないのですね。診療部門と産業保健部門とが分かれているけれども、精神科医も社内にいるわけですね。だから事業場外の専門機関を導入しなければいけないというような感覚は、いまのところはない。
○武田委員 いまのところはありません。
○中原座長 メンタルヘルスの報告書だと、一般の定期健康診断で精神的なことは自覚症状とか他覚症状とか、主に自覚症状ですね。そこで聞いて対処しようということですが、三菱化学の本社部門においては、やはりそういう発想でされているのでしょうか。
○武田委員 三菱化学の場合は、健康診断は診療チームの先生が面談します。もし面接が必要となると産業保健チームの先生がやる形になります。ですから、診療チームの先生と産業保健チームの先生がどういった人を面接の対象に回すかとかいう連携を取らないといけないかなと思っています。ただ、社内に両方の先生がいらっしゃるので、両方がお話をしながら、こういった人が注意を要する人なので、産業医としてはこういう人と会いたいということを診療チームに伝えておいて、診療チームの先生から紹介していただくことは可能だと思います。
 健診機関に頼んでいると、「面接を受けなさい」と言わなかった場合、その人がもし自殺でもしてしまったら、健診機関としては責任を負う可能性があるので、なるべく多くの人を面接してもらったほうが安心ですので、そういう形になってしまうのではないかなと思ったりもします。また、結構昔から健康診断で健診結果、例えばGOTとかGPTが高いので病院に回したりすると「なぜこんな結果で来たの」などと言われるようなこともあったのですが、メンタルの問診というか判断をしたときに、ちゃんと調整しておかないと、面接を行う先生との間で「なぜ、こんなのを回したのか」とか、逆に「これをどうして回さないの」ということが起きる可能性は出てくるという気がします。
○中原座長 メンタルヘルスという観点から考えると、新しい枠組みをきちんと用意しないと、人事部の中にあるのですが、人事の上のほうに直結するようでは困ると。それだと全然効果が上がらないというか、初期の目的が達せられない。新しい枠組みを作っていくべきだというのは理論的にはわかるのですが、実際にされていて、そういう感覚はお持ちですか。
○武田委員 いまの書いてある枠組みがきっちりできて、従業員が自己管理をきっちりできて、面接が必要なのだと自分で管理できればいいのですが、いままでの健康管理がそういう形ではやっていなくて、会社側が管理するような形でやっているので、従業員が本当にそれについていけるかどうかは難しいかと思います。
○森委員 その点に関して、今回の報告書について、多くの産業医に話を聞くと、いちばん難しいのではないかという声が出てきている点が、事業者に面接の要否を知らせずに、仮に時間内に産業医が従業員の面接をすること自体が、本当に現実的かということです。
 いまの話だと、御社の場合、専属の産業医が面談する医師として指定された場合に、労働者が職場離脱をして面接を受けるということを上司に知らせずに行う仕組みを作ることが、実際にできるのかということをお聞きしたいと思います。
○武田委員 本社の場合は、時間管理を自分で行うことができるので大丈夫だと思っています。例えば、製造現場にいる人とか、3交替をやっている人は、現場を抜けていくというのは所属長の許可がないと行かれませんから、「なぜ休むの」ということになってしまう可能性はあるかもしれません。
 また、面接の後で本人の了解が得られなければ、会社側に就業上の配慮を申し出ることができません。そうすると、専属産業医は会社の従業員で、事業者が知っていることと一緒ですが、事業者が知らないという形になってしまったり、本人に「面接を受けなさい」という事務的なことを、面接した先生がその場で言えばいいのですが、あとからまとめて「いつ来なさい」という事務的な作業をやろうとすると、医師が行わないとすると誰かに伝えないとできません。それを誰が伝えるのだろうかというと、事業者の管轄内にいる人が携わってしまったら、事業者が知ったことと同じになってしまうのではないか。そうすれば、いまの健康診断と同じ枠組みで、健診の事務手続に対しては守秘義務があるという枠組みでも、大して変わらないのかなという気がしないでもありません。
○鈴木労働衛生課長 いまのお話は分科会で詰めていくことですので、最低限の基準を健康管理として決める。ただ、労使のいろいろな話合いの中で、例えば勤務時間内でも、何かあらかじめ非常にぼんやりとしたというか、漠然とした申し出だけで受けに行けるとか、時間外では休日に受け皿を増やすとか、そういう解決法があるのではないかということで、今後、案を提示しながら、ご議論いただこうとは思っています。
 それから、結果の通知についても、いろいろな工夫の仕方があると思います。勤務評価などをやっている方に情報が伝わるのはまずいにしても、一定の守秘義務を課した産業保健スタッフ経由で、他の方には知られない形でまとめて通知するというのも許容範囲というか、いまの新しい枠組みで全く否定されたことではないのかなと思いますので、そこはまた。
○中原座長 この検討会で検討するにはちょっと荷が重すぎるというか、分科会レベルで実際のやり方を決めていくというか、そのレベルの話とつながってくるのだろうと思います。
 もう1つ聞かせていただきたいのは、精神科の医師が産業医ではないにしても嘱託医ということですよね。私は京都大学に所属してますが、京都大学も数年前に労働安全衛生法が全面的に適用されるというか、国立大学法人という形にかわって、全学的な労働衛生管理体制の立上げに関与したのですが、京大病院から産業医を派遣してもらって、保健管理センターなどの医師に身分を変えるわけです。そのときに、京大病院がどういう形でローテーションしているのか知りませんが、精神科医が来たのです。産業医ということで精神科医が来てしまうと、どうも齟齬が出てくるというか、何かピンと来ないという言い方をしたほうがいいのでしょうか、私どもの教室にも本物の精神科医がいるのですが、公衆衛生の立場と相容れないというのがあって、結局彼はほかの文科系の大学の教授になりましたが、精神科医という、どう表現したらいいのでしょうか、精神科の人に産業保健のあり方を十分理解した上で、いろいろ指導をしてもらうというか、そういうことが必要な感じをひしひしと受けたのですが、その点はいかがでしょうか。
○武田委員 うちに来ていただいている先生は、幸い職場経験が随分長いので、休職や復職、あるいは療養機関のことも知っているし、ベテランなので大丈夫ですが、個人の病気だけみている先生だと、職場全体をみるということではちょっと大変なのかもしれません。主治医的に関わってしまうかもしれません。
○中原座長 それともう1つは、分析的に関わってしまう。非常に精神医学的にですから、いわゆる内科とか外科的な感覚でもない、かなり独特の考え方で来られるものですから、お話を聞くと、「ああ、そうか」と思うのですが、では具体的にどうしていくのかというのがピンとこないのです。その辺は、事業場外の専門機関というアイデアがヘルスプロモーションの世界から検討して出てくるのは非常によく分かるのですが、だからといって、その精神科の先生を束にして専門機関として入ってもらっても、こちらのほうでもっと理解しておいてもらわなければ難しいのではないかという感じがしました。時間の関係もありますので、ほかにご質問等はありますか。
 それでは、もうお一方に事務局がプレゼンテーションしてもらうように用意していただいております。事業場に対して外部から産業保健活動の支援を行っている例として、こころとからだの元氣プラザからプレゼンをお願いすることになっております。よろしくお願いします。
○太田常務理事(元氣プラザ) 本日はこんな貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。医療法人社団こころとからだの元氣プラザの太田と秋沢です。よろしくお願いいたします。それでは早速、秋沢から私たちの活動をご紹介いたします。
○秋沢氏 産業保健部の秋沢と申します。営業の担当をしております。簡単ですが、ご報告いたします。まずは当法人の紹介をしたいと思います。当法人は明治24年創業の財団法人東京顕微鏡院の保健医療部門を独立させて設立いたしました。事業内容は、これからご説明いたします赤枠の産業保健事業はじめ、健康診断、人間ドック、外来診療、健康支援事業(特定保健)、「すべての人びとのいのちと環境のために」を基本理念として活動しております。沿革詳細は、最終頁に、事業内容詳細は図1に記載いたしましたので、後ほどご覧にいただければと思います。
 では、当法人の産業保健事業の経緯からご説明いたします。当法人の産業保健事業は、健診契約事業上から「産業医の先生はいませんか」という紹介の依頼が始まりです。基本的に、健診の事業に付随した位置づけで活動してきました。しかしながら、近年の産業医の重要性、高い専門性が求められるようになってきたことを機に、産業保健事業を、平成19年4月に「産業保健グループ」という形で組織化して、2年間の準備期間を得て、平成21年4月に「産業保健部」として、事業部として活動を開始しました。また、それまで単独の組織であった「こころの健康相談室」というメンタルヘルスサービス部門を、産業保健部内組織として、産業保健活動との連携の強化を図りました。中小の事業場を対象とした外部機関として現在の活動に至っております。
 産業保健部の業務内容とスタッフ構成をご紹介します。当法人「産業保健部」は、総勢44名で構成されており、産業医と産業看護職が所属する産業保健課、心療内科とカウンセラーが所属するこころの健康相談室、あとは私が所属しております営業業務の運営課の3課で組織されております。各課の業務内容の詳細は、図2のとおりです。従来は、契約時間で訪問した業務のみでしたが、現在は訪問以外での面談や相談などのサービスメニューも徐々に加えております。
 続きまして、産業保健活動の事例をご紹介いたします。ここに三位一体型サービスと記載しましたが、当法人内では産業医、産業看護職、カウンセラーの連携したサービスを「三位一体型サービス」と呼んでおりますので、これ以降は三位一体という表現を使わせていただければと思います。
 では、三位一体型サービスを導入したA事業場のご紹介をしたいと思います。社員数約800名のA事業場ですが、そもそもは健診と産業医契約のみでしたが、メンタル不調者が増加してきたことにより、平成20年に当法人の施設に来ていただく来訪型サービス、具体的にはカウンセラーによるカウンセリング、リワークサービスを導入しました。さらに平成21年より産業保健活動とメンタルヘルス対策の強化のため、精神科の産業医の訪問の単位を増やしました。次に産業看護職の訪問を新規に開始しました。また臨床心理士が企業を訪問するサービスを実施しました。業務内容の詳細は表に載せました。この事業場は、社員として保健師が1名おりました。今年度は2名体制となっています。
 導入後の現在の状況ですが、産業医訪問増加分はメンタル不調者の面談、もしくは復職委員会出席に重点を置きました。状態が安定しているメンタルの不調の方は、精神科産業医の指示により、カウンセラーの面談や産業看護職の対応でケアが充実されました。A事業場は三位一体型サービスの導入によって、事業場内にいらっしゃった担当保健師の負担がだいぶ軽減されて、全体のコーディネーター役として機能したため、各専門スタッフが効率良く機能したと考えております。事業場内で対応できない事例は、事業場内担当者と連携をとりながら、来訪型サービス、弊社は市ヶ谷にありますが、そこの施設のカウンセリングやリワークで対応しました。導入の効果は、年々増加にあった長期メンタルの休職者は、平成21年度には前年度比で26%減少して、今年度においても減少傾向にあるという報告を、担当の方から受けています。
 最後に、当法人が考える今後の産業保健活動の課題です。「三位一体型サービス」の充実・提案が課題だと考えております。各専門スタッフの連携による三位一体型サービスですが、「産業医と産業看護職」の連携は、従来から実施されておりましたが、「産業医とカウンセラー」「産業看護職とカウンセラー」の連携に関しては、まだ経験も浅く、お互いの役割分担、連携の方法が、まだまだ十分であるとは言えません。この問題に対して検討が急務と考えております。それと同時に、産業医、産業看護職、カウンセラー等各専門スタッフの実力養成を続けていきたいと思います。
 また、当法人の契約は、円グラフに示しましたが、産業医訪問のみの契約が全体の75%になっております。今後はさらに積極的に三位一体型サービスの提案を、営業と専門スタッフ共同で行っていく予定です。ご参考までですが、弊社の事業場規模での契約割合は、500名以上の企業が25%、100名以上500名以下の事業場が33%、100名以下の事業場が42%となっております。
 2つ目は、事業場との連携したサービスが課題と考えております。メンタル対策を含めた産業保健活動には、事業場との連携が何より不可欠と考えております。事業場内担当者と産業保健活動の目的、方向性、その事業場の問題点などを共通で認識して活動していけるように、事業場内担当者へ地道にコツコツと提案していくことも重要だと考えております。
 先ほどご紹介したA事業場の例は、まだ本当に少数ですが、この連携体制が、速やかにうまく作られ機能したことが一定の成果を挙げたいちばんの要因ではないかと考えております。またA事業場は、上長による事業場内担当者へのバックアップがかなりありましたので、それも付け加えておきます。
 次に予算化の問題が挙げられます。産業保健に対して各事業場の目的や方向性にはかなり格差があって、特にメンタルヘルス対策の認識に対しては、本人個人の問題だろうというような大きなズレがあるのは事実です。そのため、各事業場での予算化できないという問題が残ってはいますが、当法人としは産業保健活動の大きな課題にもなっていると考えております。当法人では、それらの事業場に対して少しずつステップアップしていくようなサービスの導入や社内研修として単発でメンタルヘルスセミナーの導入のご提案など、限られた少ない予算の中で提供できるサービスの充実化に努めております。
 最後に、早期発見・予防に有効な新しいメニューの普及・導入も大切と考えております。いまご紹介した三位一体型サービスに加えて、早期発見・予防のために新しいメニューの提供が大事だと考えております。そこで私どもは、全衛連のメンタルヘルスサービス「こころと体のトータルヘルスチェック」の普及活動に取り組んでおります。今期はまだ実績はないのですが、今後は心理職を帯同した営業に加え、健診現場へ心理職を帯同できないかとか、健診部門とさらに検討を重ねているところです。
○太田常務理事 大変恐縮ですが、全衛連のメンタルヘルスサービス「こころと体のトータルヘルスチェック」はご存じの先生方もいらっしゃると思いますが、案内書を準備しいたしましたので、配付させていただいてよろしいですか。
○中原座長 もう配付されているようです。
○秋沢氏 以上、簡単ではございますが、貴重なお時間をどうもありがとうございました。
○中原座長 要するに事務局として、こころとからだの元氣プラザに来ていただいたのは、全衛連の推薦ということでしょうか。中身を聞くと三位一体ということで、産業看護職の働きというのが、かなり大きな意味のある活動かなと私は感じました。今回の検討会は保健師の活用とでも言いますか、保健師に入っていただく、あるいはこの検討会の委員にも保健師の代表に入っていただいているような感じで、いままではあまりなかったことではないかと思います。産業医の場合のほうが多かったように思うのですが、その辺のことを感じ取ることを期待されたのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 今回のテーマの1つである外部専門機関のイメージがなかなか湧きにくいので、我々もかなり詰めたイメージ像がまだできているわけではないのですが、実際に新たな枠組みにおける医師の面接を外注する場合に、似たような活動が既にある。似たようなという言い方もあれですが。それを参考に、どのような外部専門機関のあり方が可能かというのはご議論いただく参考になるのではないかと思います。それがたまたま全衛連で組織的に、こういう先進的なメンタルヘルス、健診的なのをやっておられますので、必ずしも健診機関がどうのこうのということではないわけです。
○中原座長 わかりました。
○今村委員 教えていただきたいのですが、産業医の訪問増ということで、A事業場ですが、これはA事業場に紹介され、そして嘱託産業医になられた産業医が訪問しているということですか。それとも産業医資格を持っていて、必ずしもA事業場の嘱託産業医ではない産業医が行っているという理解でよろしいのでしょうか。
○秋沢氏 弊社の産業保健課に所属する医師を、月8回訪問させています。
○今村委員 それはわかっているのですが、800名の事業場なので、当然嘱託産業医はいるわけですよね。この産業保健サービスを提供されるときの最初は、産業医の紹介ということがきっかけだとおっしゃっていたので、当然、まず事業場に嘱託の産業医を紹介して契約を結んで、その方はその事業場の産業医としていて、その他のさまざまなサービスを貴法人に所属しているいろいろな産業医が訪問しているという位置づけになっているのですか、という確認をしたいのです。
○秋沢氏 現在A事業場は、弊社から2名、月8回行っていますが、この産業医のみです。
○中原座長 精神科の先生だけが行かれているのですか。
○秋沢氏 あと内科の産業医が月8回のうち4回行っており、もう4回が精神科の産業医が月4回行っています。
○今村委員 ということは、嘱託の産業医は選任されていなくて、産業医のサービスだけを外部から提供しているという位置づけになっているということでしょうか。
○太田常務理事 したがって、私どもから行っていただく医師が嘱託産業医という立場です。
○今村委員 だけを選任されていて、契約を結んでおられるということでいいのですね。
○太田常務理事 そうです。
○今村委員 その2人がなっているのではなくて、どちらかがなっておられて、あとの方はお手伝いという理解ですか。
○太田常務理事 そうです。
○今村委員 もう1点ですが、パッケージになっているということは、すごくいいことだなという部分と、今回のメンタルヘルス対策の検討会では、労働者のいろいろな権利を守らなければいけないということで、原則として、事業場には個人の健診の情報はあまり知らせないようにという位置づけになっていると思います。このサービスだと、事業場との連携、強化がすごく謳われていて、嘱託の産業医もそうではない精神科の方も、みんな一体的にそこに1つのサービスとして行くという位置づけになっているので、その辺はどのようにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
○太田常務理事 ご指摘の点のプライバシー、個人情報の保護の問題に関しては、あえてここには触れておりませんが、いままで指摘されていることは、きちっと遵守した形で取扱いをしております。それから事業場の担当の方は、保健師という立場ですので、それ以外の方々と私たちが直接連携をすることはありません。
○中原座長 ほかにいかがですか。
○鈴木労働衛生課長 先ほど課題の中に事業場との連携という話があって、いまの話と関連するのですが、A社の例でも、このシステムが回り始めるきっかけというのは健診ですか。それは本人にどう知らされて、社員に広くこういうサービスがあるから自由に利用していいよ、みたいになっていて、まさに事業者が知らない間に利用できるのか、その辺はどうですか。
○太田常務理事 健康診断も私どもは担当しておりますので、したがってそのデータは、全部私どもの看護師、産業医が見ることもありますし、事業場内の保健師が管理することになっております。健康診断後の事後措置、事後指導なども両者が分担して行うという仕組みになっております。きっかけになったのは、メンタル不調者の長期休職者が増加したということです。
○鈴木労働衛生課長 きっかけというのは、このシステムが回り始める、このシステムを導入したきっかけではなくて、個々のケースが契約してあるこういうサービスを受ける最初のきっかけは、何か通知が来るのか。「あなたはカウンセリングを受けたほうがいいですよ」という労働者に対するスタートボタンが何かと言っているのです。
○太田常務理事 健康診断に関してはスクリーニングの1つとして、安衛法の項目は全員受けるわけですが、メンタルヘルスに関しては、スクリーニングというような仕組みはA事業場にあっても導入されておりません。したがって、某かの現象を捉えたときに、私どものスタッフが対応するという仕組みになっていると思います。ただし、それは私どものスタッフと事業場内の保健師との関係性の問題、それから調整役として機能し始めたと紹介したのですが、これは逆にいうと、事業場内の保健師、私どもが派遣して業務する産業医、看護師と各職場の管理者とコミュニケーションが非常に上手にとれるようになった、とりやすくなったことがあろうかと思います。
○中原座長 先へ急ぐようですが、資料7で事務局に検討事項を2つ解説していただきます。実は今日検討すべきことは「事業場外組織のあり方」ということで、あと30分ぐらい意見をいただくことになっております。いま事例報告からそちらのほうに皆さんの議論がシフトしてきているのですが、とりあえず事務局が提出している資料7についてご説明いただいて、いまの議論を続けていきたいと思いますので、まず説明をお願いします。
○毛利調査官 産業保健体制を社内で整えている例と、社外から支援している例を発表していただいたわけです。1番目の発表にあったように、社内でそういう体制がとれれば充実した活動が行われるわけですが、専属の産業医がいない中小規模の事業場では、なかなか困難ではあろうと。中小規模の事業場が、2番目にあったような事業場外の組織の支援を得て活動を行うようにすれば、メンタルヘルスも含めた充実した産業保健活動等となるということです。
 そういうことを踏まえて、資料7の1頁に「産業医で構成される事業場外組織のあり方」に関する検討事項を書き出しております。まず(1)は、産業医の職務は、従来から非常に有害業務もあれば、過重労働もあれば、幅が広い。かつ、深い知識が職場で要求されてきたということです。さらに、メンタルヘルスに関する取組みが求められるなど、多様化をしてきているということです。アは、「産業医の個人的な知識や能力に頼った活動だけではなく、産業医を含む多様な分野の専門家等を抱えた事業場外組織による活動を行うことが有効ではないか」。イは、「上のような事業場外組織に所属する複数の医師が協働して産業医活動等を行うことについてどう考えるか」。ウは、「事業場は産業医の職務の依頼先を、個人の産業医とすることもできるし、一定の要件を満たす事業場外組織とすることもできるようにするということについて、どう考えるか」、ということを挙げております。以上が前提です。
 (2)は、そうした事業場外組織の満たすべき要件として、どういうものがあるかということで、医師の数、医師の知見や専門分野、保健師、その他の専門職の確保について議論していただければと思います。
 資料7の2頁は検討事項2ですが、これは次回にかかることですので、今日は説明は省略したいと思います。
○中原座長 ありがとうございました。それでは、検討事項1は、事業場外組織のあり方ということで、まさにいま議論が進んでいたことです。
○今村委員 事務局に確認ですが、先ほど今回の検討会が設けられた大きな理由は、職場におけるメンタルヘルス対策ということで、なかなか事業場内にメンタルヘルスの専門家がいないので、事業場外のそういった方たちの活用も考えてというお話だったと思います。いまの法人の例は、一体的に1つの法人が提供はしているのですが、1つは、嘱託の産業医を紹介するということで、そこに産業医はいますと。それ以外のサービスを、メンタルの部分を、事業場外施設として提供されているという整理なのかなという理解を私はしていたのですが、資料7を見ると、そもそも産業医そのものも事業場外組織から、いわゆる個人の産業医契約ではなくて、外部から提供すればいいのだというように見えたので、そこは相当根本的に大事な問題であって、きちんと整理をしておかないと議論がおかしくなるかなと思ったので、確認をさせていただきました。
○中原座長 メンタルヘルスの検討会でも、「産業医」という言葉を慎重に避けているようなところがかなりありますね。「産業医」という言葉を使わずに「就業上の措置について意見を述べる医師」とか、「ストレスに関連する症状、不調の確認を行った医師」とか、「産業医」とはっきり書かずに、そういう表現がたくさん出てきており、最終的に事業場外の組織という話につながっていっているようにも読み取れるのです。その辺は、少し慎重に考えなければいけない点ではあろうかと思います。
 メンタルヘルスは、京都大学の話とちょっと関連があるかなと思って、私は話をしたのですが、簡単に言うと、精神医学の先生に、いま我々が期待している産業医活動を全部やってもらうのは、ある意味ではもったいないのです。やってもらえるのはいいのですが、ある意味ではもったいない。だから、事業場外の専門組織でプールして、必要な所へ行ってやる。だから、身分上は産業医とはちょっと違うものになってくるような気もするのです。元氣プラザの場合は産業医契約を結んでいるわけですか。
○太田常務理事 はい、業務契約という形で。
○中原座長 産業医の業務の契約をする。
○太田常務理事 そうです。
○中原座長 もう1つ聞かせていただきます。「産業看護師」と称していますが、保健師なのでしょうか。それとカウンセラーが一体として三位一体ということは、産業医の業務契約で産業医の業務をやりに行くのだが、そのときにはそういう人たちも一緒に行くというか、産業医業務の一部という理解でやっているということですか。
○太田常務理事 必ずしもタイミングは別ですが、産業医の業務はどんどん増えてきて、産業医の過重労働が必要なのではないかというぐらいに多岐にわたります。したがって、直接医師が担当しなければいけないケース、補助として産業看護職ということで、産業看護について、きちんと教育訓練を受けた者が帯同することによって産業医の医師の効率的な役割が期待できます。
 特に昨今はメンタルの問題がありますので、そういった点でも心理専門職という立場で臨床心理士等のサポートが重要だと私どもは考えております。すべて産業医の責務に帰するのですが、その業務を円滑に高いレベルで実現しようとすれば、単独ではなかなか厳しい問題があろうかと思っています。したがって、それを側面からサポヘートする仕組み、あるいはそういうスタッフの役割が大きいと私たちは考えて、こんな仕組みにしています。
○三柴委員 もし私の理解が間違っていたら恐縮なので、あとで確認はしたいと思いますが、いまの安衛法令ですと、産業医等については「選任する」という文言になっていて、雇用とか業務委託とか契約形態については書いていなかったと思いますので、企業等が外部機関と機関同士での契約を結んで、実際の職務はそこに所属する産業医等が行うという形態に特に問題はなかったのではないかと思います。ただし、産業医等については、たしか選任の報告書を出さなければいけなかったと思います。ここには、おそらくその機関に所属する産業医等の氏名を明記するという仕組みで運用されているのだろうと理解したのです。
 そこでお尋ねしたいのは、外部機関であることのメリットとデメリットについてなのですが、先ほどの武田先生のお話ですと、例えば内部スタッフであれば自身が所属する組織のことや職場のことがわかりやすいというメリットがあって、したがって有効な勧告なりがしやすいということにもなるというお話があったと思います。他方で外部機関から企業等に「こうしたら」というようなアドバイスをなさったときに、外部だからこそ聞いてもらえるとか、逆に外部だとちょっと様子がわかりにくくて聞いてもらいにくいとか、この辺りについてはどういう感じを持っておられますか。
○太田常務理事 我々は、業務契約ということで事業場とは契約しています。事業場が労基署等に産業医を選任したという届けをします。これはきちんと手続がされています。先ほどの三菱化学の問題点とそういう意味では共通するところがあります。つまり、業務契約とは言っても、医師も看護師もカウンセラーも、そこの事業場に直接雇用されたというぐらいの意識づけが必要だと思っています。ここは我々の産業医の指導が大きいのですが、そこも産業医の責務について、例えば事業者に進言する、あるいは某かのものが言えるというスタンスを曲げてはいけないということを通したいというのが私たちの医師の方針でもあります。ただし、残念ながら、いまスタッフは44名、専門スタッフ、カウンセラーを合わせて40名で、必ずしも一定レベル以上とは申し上げにくいところがあります。
 したがって、月々定期的に、責任医師が事例研究とか、内部の勉強会を通して、可能な限り知識、技能、先ほど三菱化学は経験とおっしゃったのですが、それに私たちはそういう点で外部機関であるがために、行っていただくスタッフには、社会性をもう1つの要素として、もっと学んでいただく必要かあると考えています。
○三柴委員 もう1つ、実は外部機関を利用することのメリット、デメリットに実質的に絡む事柄だと思うのですが、もしお答えになりにくかったら抽象的なお答えで結構なのですが、報酬の決め方についてうかがいたいと思います。実は、森先生の所でも先駆的な取組みをされているので、本当は併せてお聞きしたいところなのですが、この点についてEAPの運営に携わっている知合いに聞きましたら、例えばEAPなどでも、かなり高い料金設定の所から、ちょっと低すぎてどうだろうというような設定をしている所まで幅があるようなのです。そこで御社では、この点についてどのような算定基準で決めておられるか。また、これ以下だとサービスが低下してしまうというような質を担保するような基準があればご教示頂けませんでしょうか。
○太田常務理事 基本的にいま3本あります。契約先の事業場の社員数を1つのベースにしています。100人の事業場と500人の事業場では、当然負荷が違うと思っています。必要なサービスの回数、その他も。例えば健康診断のデータを見るだけでも、100人と500人では当然違ってくるわけですから、そういう意味で1つはこれをベースにしています。メンタルヘルスに関しては、個別カウンセリングの事例ごとにカウントする仕組みと、年間の基本契約で、御社は1,000人が母数なので、いくらくださいというような二本立てにしています。ただし、次のことを付け加えると、基本契約の場合には、非常に問題が残るケースがあります。つまり、来所型の相談者が、仮に1年間ゼロの場合は、客先としてはこの予算は無駄に見えてしまうらしいのです。したがって、来年は契約しませんというケースがあります。どういう契約形態がよろしいのかというのは、我々も悩むところですが、現時点では母数をベースに、来所相談のケース、基本契約という大きな枠組みでやっています。
○岸委員 全般的なコメントをさせていただいてもよろしいでしょうか。
○中原座長 ちょっと事例の発表にこだわりすぎた感がありまして、委員の方々から自由に自分のご意見で事業場外組織のあり方をこれから表明していただければありがたいです。
○岸委員 そのようなつもりで発言させていただきます。私は「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書概要」、資料2-2の(参考)の「一般的健康診断のしくみ」と新たな枠組みを拝見し、資料6「諸外国の産業医及び産業保健サービス機関に関する制度」と、今日ご説明いただいたのは全部目を通しましたが、特にこの2つのこととの関係についてお話したいと思います。
 顕微鏡院が組織を発展させて、いろいろなされたということですが、北海道内でも先進的な事業場は、例えば1,300人ぐらいの食品を作って売っているという所では、ストレスに関する調査、あるいは職場の問題点を把握するために、既に何年も前から外部機関に委託してやっています。例えば、私が学会、日本産業医学会を開催したときには、それも含めて、事業所のトップが、自分の所ではこんなことをしているということを話していましたから、顕微鏡院がなさっていることは、いろいろな事業所が取り組んでいるといえます。かつての職場では50名程度の非常にしっかりした会社の嘱託産業医をしていましたが、そこでストレスに関する職場の調査をやはり外部に委託し、別途しておりまして、嘱託産業医を置きながら、私の知る限り、10年以上も前からそういうことはやっております。そこで今日お話のあったようなことは、何も珍しいことでもないし、現実に問題があることがわかっている事業場、あるいは問題があるのではなくて、予防的にやっているところもあります。逆に言えば、問題を早期に解決している事業場だと思うのですが、専門家に委託して予防対策をとることを既にやっております。
 かつて国際労働衛生会議があったときに、フランスへ行って実際に自分がフランスの産業医制度を見てまいりましたが、資料6にありますように、中小企業、例えばスーパーマーケット業界では、複数のスーパーマーケットの会社が、ここに書いてあるような企業共同で労働衛生機関と契約して、産業保健活動をしておりますので、資料7にある事業場外組織の役割のア、イ、ウのアの「産業医の個人的な知識や能力に頼った活動だけでなく、産業医を含む多様な分野の専門家を抱えた事業場外組織による活動を行うことが有効ではないか」というのは、そのとおりだと思います。
 2番目のイの「上のような事業場外組織に所属する複数の医師が協働して産業医活動を行うことについてどう考えるか」については、いろいろ細かいことは詰めなければいけませんが、医師の専門もいろいろですので、むしろ個人に頼るよりは、ずっと有効ではないかと考えております。
 ウの「事業場は産業医の職務の依頼先を、個人の産業医とすることもできるし、一定の要件を満たす事業場外組織とすることができるようにすることについて、どう考えるか」。これは事業場がある地域、産業のあり方、業界のあり方、あるいは事業場の規模など、いろいろなことがありますので、事業場が自分の規模、業界あるいは事業場で働く人たちの仕事に合わせた対応が考えられますので、選択肢は多様なほうが結構なことではないかと思います。
 基本的には、最近の産業保健の問題というのは、一般的な内科的な問題もありますし、メンタルな問題もあります。今日はお話がありませんでしたが、労働態様と申しますか、労働時間、組織のあり方とか、非常に多様なことが問題になってきておりますので、対応するには医師ももちろん重要ですが、種々の機能を持った、あるいは専門性を持った人たちがチームで扱う、チームで対応することが最も有効ではないかと思います。
○鈴木労働衛生課長 外部機関のご議論をいただいている中で、事務局としては選択肢をさらに増やすことによって、今回の新しい枠組みがもし義務化されれば、今までの身体疾患を扱う場合とかなり違う、一定の専門性と医師だけでは事前の聴取りとか、そういった時間がなかなか割けないので、保健師や心理職の方も一体となってやらないととてもこなせないだろうということで提案しています。
 もちろん嘱託産業医は自前で確保しておいて、そのほかの部分、メンタルな部分だけを委託するということもありますし、パッケージとして全部含めて外部機関に委託することも可能かと思います。その場合、契約を個々の職員とやるのは面倒ですので、機関と契約さえすれば、あとは民・民の関係で、どの産業医が総括的な責任を持つかというのは、決めておいていただければ、法令上は個人の産業医、あるいは関わっている産業医を全部登録しなくても。ただ、行政がある程度の要件を満たしたとみなした機関と契約していれば、個人名は登録しなくていいという法令上のこともあるのかなということです。その辺は、規制緩和というか、少し工夫をすることによって、いま50〜100人の事業場は選任義務があっても、なかなか進まない所も、さらにメンタルヘルスの枠組みが導入されることによって実施率がさらに低くなるということではなく、外部機関という受け皿を持つことによって、もっと選任率が高まることは期待できるのではないかということで、決して1つの方向に収束させてしまうということではありません。
 産業医の件は、意見を聴取する医師は、いまの一般定期健康診断でも産業医に限られておりませんので、今回はそれをそのまま並行移動してきてやったということです。ただ、今回については、メンタルは産業医、地産保のドクターでなければ駄目だというご意見もあろうかとは思っています。
○森委員 この検討事項の1についての意見をということで、私もア、イ、ウについて述べさせていただきたいと思います。まずアに関しては、いま、元氣プラザの事例があったように、実態として多くの労働衛生機関が既に行っているサービスです。先ほどの三柴先生の、専属と比べてという話とその答えを聞いていて、外部からサービスは有効であっても、専属産業医ほど事業場を理解した上でのサービスを提供することができないので、専属産業医の利点を上回るものではないと私は理解しています。一方で、労働衛生機関のような所にいる産業医というのは、専ら産業医として、いろいろな事業場にサービスしているので、その分野における専門性を高めようという意欲とか、事業場を理解しようとする意欲が非常に高い人を養成するという前提に、有効なサービスが今後も提供されるのではないかと理解します。そういう方が産業医大の卒業生でもかなり増えています。
 イについては、ここではあくまでも「複数の医師が」と書いてありますが、医師に限らず、先ほどの事例にあったように、チームでということであれば、結果的にその辺りの連携をどうするかというのは組織の中の問題なので、それをしっかりやっていただくことを前提に、いいことではないかと思います。
 ウで、「依頼先を、個人の産業医」とせずに、事業場外組織という話の中で、先ほどの三柴先生の説明にあったように、契約そのものはサービスをする事業場外組織としているけれども、実際には特定の産業医を産業医選任されるという、いまの労働安全衛生法の規程に則ってされているという話なのです。一方で、労働安全衛生法の中で、産業医の勧告権限、その他の産業医の選任に付随した権限、または責任というのが明確になっているので、事業場外組織が契約をしたとしても、誰がその権限を持って産業医としてサービスを提供するのかということを明確にしないまま、事業場外組織に変えてもいいでしょうという話には、私はならないと思います。あくまでも誰がその責任を持つ産業医なのかということを明確にして届出ることを担保した上で、このサービスというのは唯一あり得るのかなと思っています。
○今村委員 いまの森先生の意見は、とてもわかりやすくて、私も頭をすっきり整理できました。先ほど課長が、そこの部分が必ずしも選任義務がなくても、事業場とそういう外部の機関が契約すれば、いいような仕組みもあり得るということをおっしゃったので、そこはすごく気になったのです。いまの森先生の意見には私は賛成です。
○鈴木労働衛生課長 私が言ったのは、届出の話については、契約の際に、きちんとしっかりした要件を満たした機関を選んだということであれば、それで選任義務を果たしたと。ただ実際に勧告となると、運用上契約の際には総括的な意見なり勧告をする意思は決めておいてくださいという、その運用上の規則については、森委員が言われる責任の所在をはっきりしておかないと、機関として漠然と勧告しました、何かあったときに責任は、ということでボヤッとしてしまう。機関が責任を負うということでもいいのかもしれませんが、産業医活動をこれまでやっておられる方には相当抵抗のある発想だと思いますので、そこはこれからのご議論だと思います。
○森委員 先ほど収益性の話が出ていましたが、私の理解では、現在さまざまな労働衛生機関が、産業医サービスを事業場に提供しています。関東地方などは、最近、比較的その事業単体で収益性がトントンになってきていると理解していますが、地方の場合はほとんどが健康診断で利益を上げることによって、やっと成り立っているという実態があります。
 そうすると、産業医サービスは独立というよりも、健康診断とパッケージでサービスされていることになります。その場合、産業医の独立性を侵される可能性があると思っているのは、提供されている健康診断のサービスに問題があっても、産業医が健診機関を変えるというアドバイスは絶対できないということや、逆に健診機関が入札で違う健診機関になった途端に産業医契約そのものが切られたということが発生することです。現実に、さまざまな労働衛生機関でこのような事例が発生しています。労働者に対する適切な産業医サービスの提供について、事業者が担保する責任があって、このサービスそのものが経済的にも成立つためのバックアップがあって、初めてこの制度は適正に運用されるという認識をしています。
○三柴委員 結論的に、(1)のア、イ、ウについては、いずれも賛成ですが、ちょっと留保があります。1つは、実のところ地産保でも整理し切れていない難しい問題かと思いますが、新たな外部機関の創設に際して法的な責任負担関係をどうするかということを明確化しないと、思い切った産業保健活動がしにくくなる場合が出てくるのかなと思います。
 例えば、ドイツなどでは、外部機関に産業保健サービスを行わせて、その外部機関の過失によって災害が生じたという場合は、雇い主企業の加入する労災扱いにならないのです。なぜかというと、第三者の行為災害になってしまうからです。日本の場合でも、おそらく労災としては扱うものの、労災保険法12条の4を適用して、その後の処理としては、外部機関に対して求償するという話になってくるのだと思います。外部機関がどういう責任を負って、また内部との関係がどうなってというようなところについては、ある程度整理が必要かなと思っています。
 それと外部個人が産業保健サービスを行うという場合、専門性が高いというメリットがあって、かえってそういう形態が取られるのかもしれませんが、保険などの担保が十分でないと、いざという問題が発生したときに責任を取り切れないのではないかという感じがしますので、そこはちょっと留保が必要かと思っています。
○中原座長 ありかとうございます。武田さん、何かご意見ございますか。
○武田委員 私は、アについてはいいと思いますが、イについて言うと、「複数の医師が協働して産業医活動等を行う」というところでは、やはり産業医は個人が代表してやるべきではないかという気がしています。いま50人以上の所では産業医を選任するという枠組みがあるので、そういう枠組みがない小企業から始めていくべきではないかと思います。
○中原座長 この検討会は、札幌の方とか北九州の方も委員ですので、時間はきちんと守りたいと思っております。とりあえず事業場外の専門組織を導入するということについて、ひととおりご意見をいただいたと思います。今日の議論を踏まえて、また次回まで事務局で説明をまとめていただき、問題点を整理していただければと思います。
 それでは、次回の予定について、事務局から説明をいただきたいと思います。
○古田職業性疾病分析官 第2回検討会は、9月29日の15時から17時に開催したいと考えております。よろしくお願いいたします。場所については、追ってお知らせいたします。
○中原座長 それでは、今日の検討会は、これで終わりにしたいと思います。どうもご苦労さまでございました。次回もよろしくお願いいたします。


(了)

(担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部

労働衛生課 毛利、廣瀬

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