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2010年7月21日 第61回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年7月21日(水) 15:00~17:00


○場所

経済産業省別館共用1107会議室


○議題

・求職者支援制度について
・その他

○議事

○清家部会長 委員の皆様がおそろいになりましたので、ただいまから「第61回雇用保険部会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、岩村委員、林委員、塩野委員、藤原委員が欠席です。なお、本日は資料の関連で、職業能力開発局総務課の高橋企画官、職業能力開発局能力開発課の渡部補佐のお2人にもご出席いただいています。
 議事に移ります。本日の議題は求職者支援制度についてです。本日は前回ご議論いただいた求職者支援制度の訓練について、引き続きご議論いただくとともに、求職者支援制度についてさらにご議論を深めていただくため、論点の整理を行いたいと思います。その前段階として、求職者支援制度の創設に係る論点の素案に関する前回までの議論を整理したものについて、改めてご議論を深めていただきたいとお願いしております。まず、事務局から資料1についてご説明をお願いいたします。
○大隈雇用保険課企画官 それでは、事務局から資料のご説明をいたします。本日の資料ですが資料1~3までございます。資料1が各論の資料で訓練に関するもの、資料2が前回までの議論の整理(案)、資料3が参考資料でございます。
 まず、資料1です。各論の議論につきましては、これまで雇用保険部会で給付対象者、給付要件、給付額など順次議論いただいていましたけれども、最後の「訓練」についての資料です。訓練についての資料は前回、6月23日の雇用保険部会でもお配りし、ご議論いただいたところで、本日はその続きということであります。
 ただ、訓練については別途、職業能力開発分科会で、求職者支援制度における訓練についてご議論いただいています。6月30日、先週、7月15日にも審議があったところですので、その審議の状況も含めてご説明いたします。
 資料1ですが、これまでこの部会でお配りしております基金事業の仕組み、あるいは実績についての資料です。一部、実績についての資料が前回、この雇用保険部会でお配りした時点以降の新しい数字が入っていますが、大きな変更はありませんのでその点の説明は省略させていただきます。
 新たな追加の部分を中心にご説明いたします。資料14頁をご覧ください。未就職卒業者向けの訓練コースの関係で実績が13頁にございます。その背景資料として、新規高校卒業者の求人・求職状況について14頁に載せています。この3月末の就職内定者数は、前年同期に比べて15.6%減少という厳しい内容の資料が14頁です。
 同様に新規大学卒業者の就職状況について15頁をご覧ください。就職内定率91.8%ということで、前年同期差3.9ポイント減ということで、この春卒業の新規高卒・大卒における厳しい就職状況の資料を付けています。
 あとしばらく、既存の資料のデータ・デバイスが続き、24頁をご覧いただければと思います。前回の雇用保険部会で、基金訓練の認定基準についての議論がありました。就職につながるような内容の訓練が認定されるという議論の中で、例えばどういう訓練が認定されなかったのかという具体例がないかというご意見がありました。それに対応する形で用意させていただいたのが24頁です。基金訓練として認定する訓練というのは、「一般的に趣味・教養・生活等との関連性が強いもの」でないことと定めています。具体的には、そこにありますような「英会話、中国語会話」、これは教養としての英会話等の習得のみを目標としているコースについての認定が挙がってきた場合、これは認定の対象外としたという事例です。
 同様に「着物の着付け、礼儀作法」「絵画」「ゴルフに関わる知識、技術の習得」というコースについては、そこにあるとおり基金訓練の対象外としたという事例です。
 29頁をご覧ください。基金訓練と公共職業訓練の中の離職者訓練との違いであります。これもそれぞれ、基金訓練についての資料、公共職業訓練についての資料の中でそれぞれ出ていた内容を一覧表にしたものであります。例えば「対象者」のところで、基金訓練については「雇用保険を受給できない求職者」になっているところ、公共職業訓練については「労働者」となっています。ここは雇用保険受給資格の有無にかかわらずという違いがあります。
 あるいは、その頁のいちばん下の「実施主体」、基金訓練については民間教育訓練機関等が実施する。公共職業訓練については国、機構及び都道府県等が実施主体となってという違いがあります。
 次の頁、これまでもご説明しておりますが訓練経費の支払い方の違いです。30頁の真ん中のあたりをご覧ください。基金訓練は民間の機関が認定して、奨励金という形で経費をお支払いします。公共職業訓練については委託して、委託費を払うということで、そこにインセンティブ方式が公共の場合は入っているというのがあるという違いがあります。あとは大体訓練に関する実績の数字のリバイスです。
 39頁、職業能力開発分科会において、求職者支援制度における訓練の在り方を議論いただいています。基本的に職業訓練に関する部分につきましては、主にそちらの分科会で検討いただいて、その結果を踏まえて求職者支援制度全体について、雇用保険部会としてまとめていくという仕切りで始めているところです。39頁の資料が直近、7月15日の職業能力開発分科会で配付された資料でございます。
 これを基に各委員からのご意見が出ました。この資料がこれまでの能開分科会における議論の中間的整理(たたき台)ということで、事務局から出されたものであります。「はじめに」のところですが、2つ目の○のところで「求職者支援制度」を恒久制度として創設することとされています。この制度の創設に向けて、労働政策審議会では、この雇用保険部会において、給付を中心とした制度と全体の在り方に関する検討を行っている旨。それから、こちらの能開分科会で職業訓練の在り方に関する検討を実施している旨が記載されています。能開分科会における議論を踏まえ、以下のとおり、中間整理を行うというものを書いています。
 第1「新訓練の目的」ですけれども、雇用保険を受給できない求職者に対する新たな雇用のセーフティネットとして、必要な職業能力を付与し、早期就職・安定雇用の実現を促すためのものであるとの位置付けを明確にする必要はないか。第2「対象者の範囲」ですけれども、新訓練の対象者については第1のセーフティネットである雇用保険の受給資格がないことを前提とすべきではないか。それから、65歳以上の求職者については、新訓練の対象外にすべきではないかということが記載されています。
 次の頁、対象者に関するその他の留意点ですが、ここでは訓練に合わせて給付が行われるということで、給付を第1目的として訓練を受講するケースが生じることも考えられます。そこで、「就職しようとする意欲と能力が認められる」ということを要件とすべきではないかという記載があります。
 第3、ここはまさに能開分科会の部分ですが、訓練コースの内容・設定についての議論でございます。1つ目の○、訓練コースの内容については「就職に必要な基礎的能力から実践的能力の付与までを行うもの」とする。それから、「カリキュラムの中にはキャリア形成や就職支援にかかるものが含まれているもの」とすべきではないかという記載があります。
 訓練コースの設定に当たっては、例えば政府の新成長戦略で成長分野とされている分野、あるいは職種に重点を置くこと。あるいは、地域における産業の動向や求人ニーズを踏まえたものとすることが重要ではないかという記載がございます。訓練コースの設定基準については、過度に詳細で硬直的になると、地域や産業の実情に応じた柔軟な訓練ができないということで、柔軟なものとすべきではないか。労使や教育訓練機関など関係者の意見を聞いて、制度の運営に当たっての参考とする仕組みを設けるべきではないかという記載がありました。
 その次、訓練の規模ですが、これは現行の基金訓練の実施規模というのがありますので、当面はそれを参考としつつ、その時々の雇用失業情勢に応じた適切な規模で実施すべきではないかという記載があります。訓練実施機関の属性についてですが、国が訓練の内容を一元的に作成していくというのではなく、各訓練実施機関が作成する訓練が一定の基準に合致すれば実施させる、という仕組みとすることが適当ではないかという記載がございます。
 次の頁、第4、ここは訓練への就職者の誘導、それから訓練が修了したあとの就職支援についてです。ここは一部、雇用保険部会でも議論がありましたが、求職者を支援訓練に誘導するに当たってはハローワークでキャリア・コンサルティングを行い、訓練受講を希望する者の受講の目的、あるいは受講の意欲を確認することが必要ではないか。あとは3つ目のところ、訓練開始後になっても、万一受講態度に問題が生じたような場合には、是正に向けた十分な指導など、適切な措置を講じることも検討すべきではないかという記載があります。
 訓練受講者への就職支援については、とにかく早期に就職ができるようにハローワークと訓練実施機関が連携して、訓練受講期間中から求職活動を促す。キャリア・コンサルティングなどを積極的に行って支援することが重要ではないかという記載があります。
 第5の「訓練の評価」です。1つ目のところ、訓練の評価は原則として訓練受講者の就職率を評価指標とすべきである。その際には、訓練修了後の就職状況を明確に把握できるようにする仕組みづくりが重要ではないかという記載があります。
 その次、訓練実施機関が、受講者の就職に向けて、積極的に取り組むことを促すようにするために、就職率実績に応じた財政的支援を行う仕組みが必要ではないかという記載があります。
 最後の頁、42頁、1つ目の○ですが、現行の基金訓練で設けられている奨励金の中で、「訓練奨励金」のほかに、新規に訓練コースを設定した場合の「新規訓練設定奨励金」がございます。これについては、これまでに一定規模の訓練実施機関が育成されているということ、あるいは既存の訓練コースとの公平性も勘案して、この特別な支援措置は行わないこととすることが適当ではないかという記載がされています。
 その次は、受講生による適正な訓練受講のための方策についてです。求職者が漫然と訓練受講を繰り返すことがないように、同種の訓練の連続受講は認めないこととすべきということが1つです。それから訓練修了後、一定期間は新たな訓練をあっせんしないこととすべきではないかということが記載されています。
 その次のところ、これも前回、雇用保険部会でご意見もありましたが、出席したかどうかの判定について判定を厳格に実施すること、受講者が訓練を最後まで受け続けるような動機付けが必要ではないかという記載があります。訓練の事業運営体制については全国一律に、セーフティネットですので、ユニバーサルなサービスとして実施すべきものであることから都道府県労働局、あるいはハローワークを活用した運営が必要ではないだろうか。最後に、不正防止策についても制度設計に盛り込むべきではないかという記載がありました。
 これについて43頁をご覧ください。いまの資料がたたき台として出されまして、それについての能開分科会における各委員からの意見の主なものでございます。訓練の目的については、求職者支援制度は第1のセーフティネットである雇用保険制度を補完するものと位置付けて、雇用保険制度で賄える部分は、まずそちらで対応すべきではないかというご意見がありました。それから、求職者支援制度というのは雇用対策であるということを明確にすべきではないかというご意見がありました。
 対象者の範囲の中のご意見で、雇用保険受給者の中で失業手当の額が、求職者支援制度の月10万円に満たない者もいるということで、雇用保険受給者を対象者から除外してしまうことの是非について検証が必要ではないかというご意見がありました。それから、新卒未就職者を訓練の対象とするか否かについては、賛成の立場のご意見、反対の立場のご意見の両方がありました。
 訓練実施規模については、まず制度の対象となり得る求職者の規模がそもそもどれぐらいなのかを明らかにすべきではないか。それは今後、制度の詳細を詰めていく中で十分議論すべき内容であるというご意見がありました。
 あと、訓練コースの設定についてもさまざまご意見がありました。認定基準を地域の産業ニーズに即して、柔軟な運用が図れるようにするのは重要ではないか。あるいは、資格取得に関連するコースであっても就職に結びつく内容にすべきではないか。あるいは、コミュニケーション能力など、ヒューマンスキルを高める要素を訓練内容に盛り込むべきではないかというご意見がありました。訓練期間についても、ずっと受け続けられるというのではなくて、訓練期間の上限の原則を決めておくことが必要ではないかというご意見がありました。
 次の頁、訓練実施機関の属性です。求職者の具体的な状況がさまざまなので、多様なカリキュラムを実施できるようなことが必要ではないか。民間の実施機関を主力としつつ、地域によって民間の機関が十分にないような所もあるということで、必要に応じて公的な機関の活用も検討すべきではないかというご意見がありました。
 求職者の訓練への誘導・就職支援については、ここはとにかく就職させるということで、訓練受講前から訓練期間中、受講後に至るまで、定期的にキャリア・コンサルティングを受けさせるべきである。その中で、ハローワークがしっかり指導なりをしていくべきであるというご意見がありました。
 訓練実施の効果については、訓練内容が有効かどうか検証するためには就職率で判断すべきだということでした。就職先が訓練コースの内容に密接に関連しているかどうか、あるいは職場への定着状況について把握する、確認することが必要ではないかというご意見がありました。
 その他としては民間が主体の訓練を認定していくという仕組みである一方で、職業訓練に関する知見・ノウハウを有する雇用能力開発機構の活用も検討すべきではないか。あるいは、能開分科会の論点ではないかもしれませんが、財源についての議論も必要ではないかというご意見がありました。以上が能開分科会で提出された資料と主な議論でございます。
 併せて、前回いただいたご意見に対応する資料として資料3、参考資料を用意していますので、併せてご説明をさせていただきます。生活保護の関係で前回、生活保護受給者等就労支援事業、53頁についてのご説明をいたしました。53頁と54頁は前回お配りした資料と同じものであります。ハローワークと福祉事務所が、生活保護受給者の中で就労が可能と思われる方を選び出し就労支援チームできめ細かく支援するというスキームでございます。
 これについて、具体的にどのような連携を行っているかということと、最近の実績がどうかという点についてご意見をいただいておりました。1つは55頁です。福祉事務所とハローワークの連携という1枚紙にしています。いちばん上のところ、福祉事務所が生活保護受給者等の中で、(1)~(4)に当てはまる方を支援対象者として選定するというのがまず最初にあります。福祉事務所からハローワークに話が行って、福祉事務所とハローワークの連携が始まるということです。就労支援チームの設置ということで、構成員はそこにあるハローワークは職員と就労支援ナビゲーターという方、福祉事務所もケースワーカーと就労支援員がいますので、ここでチームを作るということがまずあります。そのあと、具体的に選定された支援対象者と面接をして、それぞれ個人の状況やニーズを把握するということがあります。
 それを受けて、このチームで面接の結果に基づいて、個々人についてどういう方針で就労支援を行っていくべきかを協議する。具体的には就労支援メニューで、担当者制支援とか、この人についてはトライアル雇用を使うとか、いろいろなメニューを相談して決めていく。就労支援メニューを決めたあとは、ハローワークで具体的なメニューの実施などに移っていくという流れでございます。
 56頁がこの事業の最近の実績です。これは平成21年度ですが、支援対象者数が18,000人、就職者数で9,300人ぐらい、就職率で言うと51%ぐらいということでございます。資料の説明は以上です。
○清家部会長 それでは、ただいまのご説明に関して、ご意見、ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
○新谷委員 論議の進め方ですが、訓練についての資料と参考資料をご説明いただいたのですが、例えば、訓練については資料2にも入っています。どちらで申し上げればよろしいのですか。
○清家部会長 少しまとめて議論をしましょうか。
○坂口雇用保険課長 お話の上で特化した部分であれば先に伺って、後段と混ざった部分があればそのあとで。
○清家部会長 そのあとで伺いますか。とりあえず、いまご説明のあった資料に関することを短く伺って、そのあとでできれば早めに資料2の説明に移っていただき、そのあとの質問時間を長く取るようにしましょう。もしあれでしたら資料2を説明していただきましょうか。
○新谷委員 1点だけ伺います。いただいた資料の24頁に新しい内容でということでご説明いただいた内容があります。これは前回、私も懸念していたところですが、趣味との関連性が強く、基金訓練の対象外としたものということで、その例示をいただいたわけです。
 確かにこういうのを見ると、これは除外の対象だなということでよくわかるのですが、この内容と能開分科会のたたき台の40頁の第3の3つ目の○に「訓練コースの設定基準については、過度に詳細で硬直的な運用とならないよう、地域や産業の実情」云々とあって、基準外とする認定と、過度な硬直的な運用にしないということと、次の○に書いてある、労使の参画に関係者の意見を聞いて運用するという、この辺の関連で、具体的な適用基準に該当するか除外をするかについて、例えば地場の雇用・求人状況にもかなり影響があるというか、それを参考にして認定をすることになると思います。この辺の具体的な認定の際に、労使の関わりは、どのようにやっていくのか。たまたま今日、情報が開示されたので、こういうものは除外するのだなと思うのですが、例えば、スキューバダイビングは沖縄だと求人があって、労働市場との関連があり、それが認定される。例えば、それが東京の池袋でも教室があって、現行の基金訓練だと認定されていましたが、その辺の具体的な認定に当たって、地場の状況などを現地の労使の参画をどのようにしていくかというのは、もしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。 
○清家部会長 では、これは能開局ですね。
○高橋職業能力開発局総務課企画官 その辺りは、能開分科会でご議論いただければと思っております。基本的には、いまの基金訓練もそうですが、あるコースを設定して実施する上で、まず、その地域でそういう求人があるかどうかを1つのメルクマールとして、あるということであれば、明らかにこれは内容からして趣味的、あるいは個人的であって就職によらない関心によるようなものでしか受けられないというものがあれば、設定することは認められないとするのではないかと思っております。
 その上で、1回、求人がある程度見込まれる訓練について実施した上では、能開分科会の中間とりまとめ案にも書いてありますが、就職あるいは就職率の実績等を勘案して、その後、さらにそういう訓練コースを認めていくかどうか、あるいはその際に何か改善をしていただくのかどうかを判断していくのかと考えております。
○豊島委員 それに関連して、いま新谷委員がおっしゃった40頁の設定基準の次のにも取り上げましたが、「新訓練が効果的に実施されるよう、労使や教育訓練機関などの関係者の意見を聞き、制度の運用を行う上での参考にする仕組みを設けるべきではないか」というのは大変重要で、その後は認めていくかどうかを実績を見ながら判断をするという説明をいただいたのですが、ある程度仕組み自体をどのように作っていくのか。定期的に、恒常的に、このように労使や教育訓練機関が一緒に評価をして、その後どうするかということを検討しながら、どんどん改善していくような仕組みにすることが望ましいのではないかと感じましたので、能開分科会でのここでの議論だと思いますが、発言しました。
○清家部会長 それはご要望ということでよろしいですか。
○豊島委員 はい。
○清家部会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。そうしましたら、またあとでここの所にも当然戻るということですので、引き続き資料2についてご説明いただきます。
○大隈雇用保険課企画官 それでは、引き続きまして資料2についてご説明いたします。求職者支援制度の創設に係る論点という資料の中で、それまでにいただいた各委員からの主な意見を並べた資料をお配りしておりましたが、資料2が前回までの議論の整理ということで、改めて項目立てをして、これまでの意見、特に重複があるものを除いて全部書いたスタイルで作っております。
 46頁の前回までの議論の整理(案)ですが、1「制度の趣旨・目的」については、[1]求職者支援制度の趣旨・目的について、どのように考えるかということです。前回までの主な議論としては、これはもともとの出発点ですが、現行の緊急人材育成支援事業については、雇用保険を受給できない方に対する「第2のセーフティネット」として必要な施策であるということで、平成23年度以降は恒久的な制度とすべきであるということ。労働市場の変化もありますので、それを踏まえて就労可能な層をできる限り就職に結びつけるという観点から、恒久的な制度について設計を行うべきであるという議論。あとは求職者支援制度の目的をどこに置くのかを考えることが必要。恒久的な制度を考える上では持続可能性・公平性に留意することが必要という議論がありました。
 その下は緊急人材育成支援事業で、現行の制度の位置づけが書いてあります。現行の事業は、厳しい雇用失業情勢の中で、緊急的に、雇用保険を受給できない求職者に対する新たなセーフティネットとして、無料の職業訓練と訓練期間中の生活給付を実施するものということで実施されているものです。
 2は「訓練について」です。ここは能開分科会でも議論されていますが、いままで雇用保険部会で議論された内容について記載しております。[1]は求職者支援制度の訓練の対象者についてどのように考えるかです。これについての主な議論としては、現行の事業において、学卒未就職者を対象とすることについては、緊急施策としてやむを得ないが、恒久的な求職者支援制度を創設するにあたって、学卒未就職者を対象者とすることについては、議論が必要という議論。65歳以上の方の取扱をどうするかなど、年齢要件についても明確化すべきではないかというご議論がありました。
 ここはこれまで資料としても提出していましたが、緊急人材育成支援事業については、その下にあるとおりの取扱で、基金訓練の対象者は安定所に求職申込みを行っている。安定所長による受講勧奨を受けた者、訓練を受けるために必要な能力を有する。公共職業訓練の受講修了後、1年未満でない等の現行の制度があります。
 [2]求職者支援制度における訓練についてどのように考えるかで、1つ目が先ほどの話にもありましたが、恒久化に当たっては、趣味的な訓練が認定されることのないよう、訓練めの質の確保が必要である。訓練とは関連のなかった業種からの新規参入があるが、これまで実績のない実施機関の行う訓練については、訓練の成果が上がるか特に留意しつつ、適切に認定を行う必要がある。訓練の成果が上がっていない訓練実施機関については、訓練コースの認定をしないこととすることが必要である。訓練コースの内容については、今後成長していく分野に絞って行っていくことも考えられる。就職意欲・能力をしっかり見極めて、適切な訓練に誘導する仕組みが必要。恒久化に当たって、訓練実施機関に対する奨励金は、訓練の成果を高めようとするインセンティブが働く仕組みとすることが必要ではないか。恒久化に当たっては、新規訓練設定奨励金について見直しが必要ではないか。就職率の算出方法について検討が必要ではないかというのが、主なご議論です。
 48頁の3「給付について」です。[1]給付要件についてどのように考えるかは、さまざまなご議論をいただきました。まず世帯の主たる生計者要件の設定についてですが、世帯の主たる生計者要件を設けると論理的には世帯に対する給付となるのではないか。恒久的な制度を創設するに当たっては、世帯の主たる生計者要件を外してもよいのではないか。未就職卒業者については主たる生計者要件を外して世帯年収要件のみ残していますが、主たる生計者要件のあり方については、世帯年収要件との関係で十分に議論が必要。年収要件を設けた場合、収入の調整を行うことによって、労働のインセンティブを阻害するおそれがあるのではないかというご議論がありました。年収要件については、世帯年収だけしばっておけばいいのではないか。資産の確認については、ある程度厳密に行う必要があるのではないか。資産要件は現在800万円以下であることとなっていますが、この資産要件800万円は高い数字ではないか。土地・建物の要件については、現在、住んでいる土地・建物以外に所有していないという要件ですが、土地・建物の要件については、価値がそれほどない山林を持っている場合や、親が農業をやっていたために土地を持っている場合などもあり、検討が必要。出席の管理の方法について考える必要がある。出席率については、出産、介護、病気等で訓練の受講を一時的にストップしなければいけない者への配慮も必要ではないか。このようなご意見をいただいております。
 49頁の[2]給付額についてどのように考えるかです。これは現行の訓練・生活支援給付の給付額は単身者の場合、月額10万円。被扶養者を有する場合は12万円です。給付のほかに融資があって、こちらも希望する場合、単身者は月額上限5万円、被扶養者を有する場合は上限8万円となっており、これを踏まえて給付額についてどのように考えるかということです。
 いただいた主なご意見、ご議論ですが、給付額については地域差を認めるか否かということや、雇用保険の失業給付の金額との関係をどのように考えるかということもポイントです。給付額については、生計費を給付金に依存することがないよう、地域差を付けてもいいのではないか。現行制度を見直すに当たって、どこに立脚点を置くか考えた上で、地域差を設けるかどうか、生計費概念を入れるかどうかについて検討する必要がある。給付額の水準は、世帯に対する給付とするか、世帯年収要件をかけるかということとも関係する問題である。基本手当日額の最低額で1か月間雇用保険を受給するよりも、10万円を受給したほうが魅力的であるということがある。雇用保険との併給調整のあり方を考える必要がある。給付については、生活給付だけでなく、訓練実施機関への交通費を支給する通所手当や訓練が始まるまでの間に手当を支給する待期手当など、給付の種類についても考える必要があるのではないか。求職者支援制度は拠出制の雇用保険制度とは異なるので、雇用保険と同様の待期手当まで付ける必要はないのではないか。このようなご意見、ご議論をいただいております。
 [3]給付期間についてどのように考えるかは、下の現行事業では、制度創設当初、現行事業は3年間の暫定措置として実施することとされておりまして、訓練・生活支援給付は訓練を受講している期間のうち、最大2年分まで給付することとされています。現行事業はこういうことですが、給付期間についてどのように考えるかということで、これは前回議論いたしましたが、給付を就職までの一時的なものと位置づけるか否かも1つのポイントである。訓練期間中に給付を行う仕組みであるため、訓練にどのぐらいの期間が必要かということも考える必要があるというご意見をいただいております。
 [4]適正な給付のための措置についてどのように考えるかは、現行事業は給付のほうは、そもそも時限的な制度ですので、特にインターバルの期間の定めはありませんが、公共職業訓練については、原則として受講修了後1年間は受講できないことになっています。これまでのご意見としては、恒久化にあたっては給付期間のインターバルをどのように置くのか考える必要があるということです。
 4「訓練受講修了者に対する就職支援について」は、多くの意見もいただいており、これは新しく項目を立てた形にしております。就職支援について、[1]訓練受講修了者に対する就職支援についてどのように考えるかということです。前回までの主な議論は、求職者支援制度の創設に当たっては、就職に結びつくよう、ハローワークの機能を充実し、就職支援を行う必要がある。就職支援に当たっては、訓練受講中も含め、ハローワークと訓練実施機関が連携する必要があるというご意見をいただいております。
 5「その他」の1つの大きな論点として、[1]持続可能な制度とするための財源の確保についてどのように考えるか。[2]現行の予算事業として行っている緊急人材育成事業と恒久化された法律に基づく制度との間の切れ目ない支援についてどのように考えるかというのがあります。これについてのご意見として、現行の緊急人材育成支援事業との切れ目ない支援を行う必要があるのではないかというご意見をいただいています。これがこれまでの議論の整理ですが、追加でご発言いただくような点があれば、これに付け加えていきたいと考えています。以上です。
○清家部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明に関して、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。資料1、参考資料3へのご意見、ご質問も併せて承れればと思います。
○古川委員 制度の趣旨・目的のところですが、能開分科会のたたき台にもありましたように、求職者の早期就職を促すことはもちろん大事なことですが、安定的な就労を促すことも大事な目的の要素ではないかと思います。
○新谷委員 46頁の1の[1]の趣旨・目的の1行目に、雇用保険を受給できない者に対する「第2のセーフティネット」という記述があって、そういう前提でいままで論議をしてきました。これはあとの給付額との関係にも出てきますが、雇用保険の受給資格のある人を、もともと全部除外してしまうという論議で組み立てていったときに、給付額が仮に10万円としたら、雇用保険の失業給付の基本手当の日額からいって、10万円に満たない方が、前々回の資料では12.5%おられるということでしたので、いまは86万人強ですから、10万人近くの方がその対象外になってしまうという事実があるわけです。
 もともとこの論議を始めたときには、雇用保険を受給できる方にはそれを受けてもらって、できない方を対象に「第2のセーフティネット」を張ろうということだったのですが、やはり恒久化をするに当たって、12.5%の方を初めから除外をすることは、雇用保険制度の基本手当の日額を上げれば改善するということですが、これまた大きな話になりますし、給付額を下げて調整をとるというのも本末転倒という気がしますので、うまく制度の趣旨・目的にこれをどのように組み込んでいくかというのは、もう少し我々も知恵を出していく必要がありますし、事務局でも現在の雇用保険制度への加入のブレーキというか、モラルハザードにならないように考えていく必要もあると思いますので、もう少し考え方を留保させていただければと思っています。
○清家部会長 この辺りは事務局で何かお考えがありますか。
○坂口雇用保険課長 まだ具体的な話ということではないのですが、前回もご指摘いただいて、49頁の給付額の5つ目のポツに関係するのだと思います。いまもご指摘があったように、雇用保険の基本手当の日額が低い方、雇用保険の場合で20時間以上の方については適用になりますので、短時間で働いておられて離職されていた方ということになると、基本手当の日額が低くなるので、そういった方の基本手当が10万円より低くなるケースとの兼ね合いということだろうと思います。
 私ども事務局としては、趣旨・目的のところは大枠の趣旨・目的で、どういうことで考えるかというところで、まずはご議論していただいて、いまご指摘のあったポツにあった点についても、実際上、制度のつなぎをどうしていくかということも含めて、排他的なのか、もう少しスパンを長く取って比較するのかということも含めて、どういう整理をするのかは重要な観点だと思います。
 我々とすると、後ろでテイクノートして議論をしていく中で、全体の趣旨・目的とどう合致させて全体の趣旨を考えていくかということで整理ができればと思っています。いずれにしても今日もご指摘がありましたので、テイクノートして、今後もいろいろ議論をしていただく重要なテーマということでお願いいたします。
○清家部会長 そこのところは確かに制度の趣旨をどう考えるかということで、大切なポイントだと思いますので、重要な論点としていきたいと思います。ほかにはいかがですか。
○遠藤委員 いまのことに関連してですが、これから議論を深めていくことは必要だと思っています。一方で10万円の根拠ということでご説明をいただいた際に、最賃の加重平均から求めてこられたと記憶しています。ご存じのように、最賃の場合は地域差が結構あることから、加重平均を基にした10万円という数字が果たして妥当性を持つのかということも、議論の過程の中では再検討を要するのではないかと思っています。
 また、これまでの議論の中でも、地域差についても言及があったということを踏まえれば、その辺のところは含めて議論を深めていく必要があると思います。また地域差云々という話になってくると、制度構築を考えるときに、運用コストを極力抑えていかなければいけないということも一方でありますので、金額水準と、定額なのか変動するのか、その際の運用コストとの兼ね合いも、十分含んだ上での議論を今後していく必要があろうかと思っています。
○清家部会長 これも範囲の問題と水準の問題、どのような合理的根拠に基づいて決めるかということは議論を深めていく必要がありますね。ほかにはいかがですか。
○遠藤委員 いまの給付に関わるところで、論点の中に漏れてしまってはいけないと思って、念のために申し上げるのですが、給付として支給するものだけではなくて、現行の基金訓練の中で行われている貸付制度についても、新しい枠組みの中に組み込んでいくよう議論を深めていただければと思います。
○清家部会長 それはご要望ということでよろしいですか。
○遠藤委員 はい。
○清家部会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。 
○新谷委員 これは能開分科会でまた論議すればいいのかもしれませんが、新卒未就職者の取扱です。私ども労働組合も、当初は新卒未就職者については、現行の基金訓練や新制度には馴染まないのではないかと思っていたのですが、先ほども資料でご説明いただきましたように、目の前に就職できなくて社会に出た方がたくさんおられ、特に今年は厳しかったという現状を踏まえると、何らかの政策的な手当てが必要ではないかと考えているところです。
 ただ、新卒未就職者については、長い職業生活を考えると、安易なコース設定は馴染まないと思っております。そういう意味でいくと、新卒未就職者については、一般のコースとは別に、例えば大卒の方、高卒の方といったきめ細かな管理と、キャリア・コンサルティングを、一般の方に比べて強化・充実をしなければいけないかと思っています。
 もし仮に、新卒未就職者をこの制度の中に組み込むとすれば、現在のような6か月という短いコースではなく、いまの採用の時期が、新卒一括採用で4月に集中するという現状から考えると、1年ぐらいの長い訓練の期間をかけて就職活動に備えるといった独自のコース設定が必要ではないかと考えているところです。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○古川委員 対象者ですが、雇用保険の受給資格がないことを給付の対象にするのは合理的な理由があると思いますが、それを訓練の対象の前提とするのは違和感があると思います。この制度が前向きに訓練を受ける人を支援するという制度だったら、もう少し間口を広くしてもいいのではないかと感じます。
○清家部会長 それは給付の要件と訓練の要件は分けて考えることもあり得るのではないかという趣旨ですか。
○古川委員 そうです。
○遠藤委員 給付期間についてですが、このペーパーにもありますように、どのぐらいの期間が必要であるかを考える必要があり、今後議論を深めていくことになるかと思います。
 基本的な考え方としては、先ほどご指摘があったように、早期の就職、安定的な就職ということになりますと、いたずらに長い期間の訓練を受講することになってしまうと、本人のためにもならないと考えています。
 そうなってくると、例えば原則として通算で1年という期間はまず置いて、逆にいうと、原則と置いたのは例外も当然あるわけでありまして、例えば介護福祉士などの紹介がありましたが、1年を超える形での訓練期間が必要な場合があります。資格が得られるコースについては、例外的にもう少し長い仕組みを設けるような形で、対応していく。ただメッセージとして最長でも原則1年なのだということを出すことによって、この1年でどういう形の仕上がりをしていくのか、その点を双方理解した中で有効な手立てを構築していくことが必要ではないかと思っております。あくまでこれから議論を深めていくという前提で申し上げた話です。
○小林委員 期間の話がありました。読んでみると、職業能力開発分科会で2回しか議論はやっていないと思いますので、もっと詰めていただきたいというのが意見です。給付の期間を算定するのに、どうしても訓練の期間があって、給付の期間が出てくるのだと思います。
 介護の関係では、国で委託訓練でもいま1年間の訓練があると思います。同じものを新しい恒久的な措置で作ってもしょうがないと思います。ですから、今まで国がやっているものは、雇用保険受給者ではなくても受けられる仕組みになっているわけですから、そういう棲み分けをもう少し職能分科会でしていただきたい。どのぐらいの期間のものを、いくつかのパターンで結構なのですから、ご検討いただいた上で、1年以上というのが本当に必要なのかどうか、6か月制度にまとめるのか。ある程度の目安を出すような訓練内容も含めたいくつかのケースをご検討していただかないと、雇用保険部会で給付期間というのは検討できないのではないかということを感じていますので、是非ともご検討いただきたいと思います。
○清家部会長 その辺は能開分科会のほうでは、どのような予定ですか。
○高橋職業能力開発局総務課企画官 能開分科会でも、訓練の期間は、いま遠藤委員からご指摘がありましたように、本人はまだ離職状態、あるいは失業状態が続いているわけですから、1日も早く就職して安定した雇用に、また生活に移行していただくのが最大の目標かと考えております。
 かと言って、あまり短くしますと、訓練効果としていかがなものかということになってしまいますので、その点はいまの基金訓練とか、公共職業訓練もそうかとは思いますが、参考にできるような実例も積み上がっておりますので、そのようなものを踏まえて、あまり長くならないように、かといって非常に短くならないように、現実に即して、どのぐらい期間訓練を受けて、就職をしたいのかといった求職者のニーズもあるかと思いますので、そのようなところを現実的に事例、あるいはデータを見ながら、能開分科会でご審議いただければと思っています。
○清家部会長 それは、これから能開分科会でご審議になって、いつごろはっきりしてくるのですか。
○高橋職業能力開発局総務課企画官 いまの時点では、例えば何か月の訓練、訓練の条件を何年にするのかということを、すぐ結論を出すのは難しいと思っています。ただ、訓練期間についても、何かしらの基準を設けて、それに沿った訓練コースを認定するという方向性までは打ち出せるのかと思っております。
○清家部会長 小林委員のご質問の趣旨は、給付期間等をこちらで考える際に、訓練期間がいかにあるべきかということが前提ではないかということですね。
○小林委員 はい、そうです。
○清家部会長 それが定まってこないと、なかなかこちらで煮詰った議論ができないのではないかということですが、事務局から。
○坂口雇用保険課長 いま能開分科会とこちらの職業安定分科会雇用保険部会で並行してご議論いただいているのですが、それぞれ今日もご紹介しておりますように、これまでのご議論を1度整理し直して、また論点をクローズアップして、秋から年末にかけて具体な制度設計にということですから、能開分科会でもいろいろ工夫してご議論はいただくのですが、必ずしも片方の結論がはっきり出てから時系列にというのも、議論の進行上も、なかなか難しい部分もあろうかと思っています。
 遠藤委員からは通算して1年というお話もありましたが、一方でいまの基金訓練では通算して給付期間としては2年というものもありますので、小林委員からもあったように、全体として長い訓練がどういう就職に結びつくものなのか、あるいはいまも基金訓練と公共の組合せで、例えば6か月と6か月か、3か月と6か月で間が少し開いたらということもありますので、これまで当部会でもそういう組合せもご説明しましたが、そういったものもあることを前提に、訓練期間の1つの目安としては、いまの1年とか2年とかというところだろうとは思うのですが、そういったことも念頭に置きながら、雇用保険部会としての給付のあり方も並行してご議論いただかざるを得ないのかと思います。必ずしも能開分科会で訓練期間はこうしましょうということが、9月の段階ではなかなか難しいのだろうと思いますので、その点についてはこれまで同様、いろいろ議論の状況もお伝えしながら、ご議論をしていただかざるを得ないのかと思います。
○小林委員 現段階の基金事業の中でのお話を伺いたいのですが、現行の基金事業では生活給付をしているわけです。その中で生活給付の申請、申請書のチェックの段階、支払いの業務など、最終的にはたしか出席率か何かの問題があって、それがちゃんと出席率に達しているかとか、要件の確認みたいなものもやっていると思います。いま基金事業がある形になっています。今後の新しい制度ではハローワークがやるのか、労働局がいろいろ関わってくるのか分かりませんが、そちらに移す上で、現状でいくつかの問題点があれば、良い制度にする上で、不具合みたいなものがあれば伺いたいと思います。
○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 現状の申請のあり方ですが、申請は訓練の実施機関が受講生の申請をまとめて行います。出席率の話ですと、実施期間がそれぞれの出席状況等をまとめて、その算定基礎月ごとに申請をしてくる形になりますので、中央職業能力開発協会に申請を上げさせて、その後確認をしているという流れです。
 何が不具合というのはなかなか答えにくいところはありますが、例えば、申請された状況についてきめ細かくそれぞれどういう状況かを完全に把握していくのは困難な面があるのかとは思っています。もちろん、もし事実と違うような申請があれば、しっかり返還等をさせていくという形でやっております。申請の業務等をどこが取り扱うかというのも含めて、今後の検討だと思いますが、業務のやり方とか、その辺が細かく決まってきましたら、現状の業務のどういうところに問題があるかというのは、新しい制度の運用のところでしっかり引き継いで対応したいと思っております。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○三木委員 先ほど新谷委員からも新卒未就職者の今後について、独自のコースという提起があったのですが、それはそのとおりだと思います。ある意味でそこをどうするかというのは、社会的にいうと、新卒がうまく再就職できるような軌道に乗せていかないと、社会保障そのものの全体もおかしくなってくるという状況もあると思います。あるいはこれから社会を支えていく、社会制度を発展させる意味でも、そういう位置づけが必要だと思いますので、その辺を念頭に置きながら少し考えていただければと思っています。
 併せてキャリア・コンサルティングの関係でいきますと、現在は訓練受講前にキャリア・コンサルティングを受けることもあるわけですが、受講中や訓練受講修了後も含めて、キャリア・コンサルティングの位置づけというのは重要ではないかと思われますが、その点はいかがなものですか。
○清家部会長 受講前だけではなくて、受講中・受講後のキャリア・コンサルティングですね。
○坂口雇用保険課長 この制度は就職にどう結びつけていくかということで、現行の今日も出している資料の20頁以降で、現在の基金訓練の受講者の就職までの流れも、いま三木委員がご指摘があったように、訓練前の段階の[2]のキャリア・コンサルティングということは、もちろんのことです。その後の訓練、あるいは受講、受講修了後のところということで、[6]以降についても、去年のこの基金事業を開始して以降、より就職に結びつけていこうということで、現在もこういったところの工夫を、より充実させつつあるところです。
 恒久化ということになって、これまでも就職にどう結びつけていくか、安定した就職にというご指摘も今日ありましたが、全体の制度のパッケージとしてそういったところをしっかり作っていかなければいけないと考えています。
○遠藤委員 前後するようで恐縮です。先ほどの渡部補佐のご説明を聞いていて、例えば金融資産要件など、その要件を満たすために不正な申請を行った場合は、事後に分かれば全額返金させているというお話だったかと思います。そういう仕組みを新しい枠組みの中で入れていくことについてもご検討いただければと思っています。
 併せて、繰返し受講し、繰返し受給をする者については、給付期間のインターバルを置くという論点がありますが、是非インターバルを置くような方向でご検討いただければと思っています。この絡みで言いますと、例えば、正当な事由がないにもかかわらず、訓練修了後、求職活動を行わない場合についても、置かれているインターバル期間をもう少し長くするなど、ペナルティー的に対応させる仕組みも入れておく必要があるのかなと思っております。
 もう1点ですが、資料2の51頁を見ますと、その他の項目に[1][2]とあって、[1]は[1]だけで、その下が何もないのです。今回の恒久的な枠組みは、社会全体で支えるという趣旨ですから、是非、これは訓練費用も含めて一般財源で賄うべく対応すべきものだと考えております。
○清家部会長 これは昨今のような財政状況の中では、とりわけ議論になるところかもしれませんね。ほかにいかがですか。
○栗田委員 三木委員とちょっと関連がありますが、新しく議論の整理の中で、50頁の4の中の訓練受講修了者に対する就職支援についてということで、訓練受講中の就職支援ということでは、訓練受講中も含めて、ハローワークと訓練実施機関が連携することは非常に重要であると思っています。
 そういう意味では訓練修了後の状況把握という部分について、能開分科会の報告の中でもあったように、明確にするべきではないかという意見もあったと書いてあったと思いますが、訓練内容に沿った就職先かどうかという点とか、雇用期間の定めがある所に就職したのか、ない所に就職したのかというようなところも、就職先ということでは把握すべきではないかと考えております。
○清家部会長 その辺りは実際に制度ができたときの運用というか、ルールとしてそのようなことがあったらどうかという提案ということでよろしいのでしょうか。ほかには何かありますか。
○新谷委員 50頁のインターバルのところですが、これも能開分科会と雇用保険部会との関連が強いところです。ここでは給付期間のインターバルと書かれていますが、これは訓練のインターバルもあって、訓練のほうは公共職業訓練との関連も出て来ますので、訓練のインターバルと給付のインーバルは違うと思いますから、これもきちんと摺合せをしていただいて整理をしていただいたらと思っています。
 もう1点は、先ほど遠藤委員がおっしゃった51頁の財源については、論点はあるが何も発言がないというのは私も気になっていました。これも前回、どこかで申し上げたつもりだったのですが、まさしく遠藤委員と同じく、この制度は一般財源で創設すべきであると労働側も考えておりますので、これもテイクノートしておいていただければと思っています。
 その他のところになると思いますが、この制度ができたあとの運営の問題です。これも申し上げたかもしれませんが、今回のこの制度は地域差を生感じないように、全国どこでもこの制度を享受できるように、ユニバーサルサービスではありませんが、全国どこでも同じようなサービスが受けられるという体制が必要だと思っています。
 いま地域戦略大綱の中で、国の出先機関の都道府県への移管という論議も一方ではありますが、この制度を運用するためには国のネットワークを使って一律的なサービスを提供することも非常に重要だと思いますので、これも論点として入れておいていただければと思っています。
 最後にこの制度を運用するに当たって、不正受給の防止とも絡みますが、ITを使ったシステム管理が必要だと思います。マニュアルで紙ベースでやるというのも手間がかかりますし、また不正受給になりかねないということもありますので、インターバルの問題も、過去の受講歴も含めて、電子的な管理システムを構築するべきだと思っています。それはもちろん職業紹介の履歴、求職状況の履歴とも突き合わせができるということになると思いますので、そういった管理システムの構築についても、これは時間がかかると思いますので予めご検討いただければと思っています。
○清家部会長 これは実施に限らず、いま栗田委員が言われたような事後的な結果の追跡とか、そういうことを総合的に行うには、ハローワークがしっかりと全国ネットでやることは大切かと思いますので、その辺は地方分権との関連ではありますが、当部会でこれを議論する際の前提と考えるということで、できればお願いしたいと思います。その辺が崩れてしまうと、具体的にどのように運用するのかというイメージが、我々としてもこの議論をする上で欠けてしまいますので。ほかに何かありますか。
○坪田委員 訓練についてですが、訓練を始めるときはハローワークが希望者の受講目的や意欲を十分精査してほしいと思います。また、訓練期間中は、資格取得などを目標として掲げたり、達成度を測る試験を行うなど、漫然とした受講を防いでいただきたい。そういう要件を検討してほしいと思います。
 それから、先ほども前回も発言がございましたが、訓練修了後は、就職活動の結果報告の提出を義務づけるよう是非お願いしたいと思います。
○清家部会長 結果報告というのは、案外簡単なようで、大学などでも学生の就職の把握というのは、100%を把握するのは難しいのです。つまり、訓練が終わったり、卒業したあとの人に対して、強制的にそれをどのように通知させるかというのは、何らかの仕組みが必要なのかなとは思いますが、栗田委員、坪田委員共通に、制度をしっかり運営するという意味でも、またこういう政策の評価という意味でも必要なことなので、大変だとは思いますが工夫をしていく必要があると思います。ほかに何かありますか。
○豊島委員 重ねてという感じもするのですが、3の「給付要件についてどのように考えるか」で、以前、恒久的な制度を創設するに当たっては、世帯の主たる生計者要件を外してもよいのではないかという話をしておりますが、世帯全体の年収が300万円以下であることを条件とするのであれば、極端にその受給者が増えることはないのではないかと思っていますので、そういった観点からも改めて発言させていただきたいと思います。
○清家部会長 ほかにはよろしいですか。それでは、今日いろいろご議論していただきまして、さまざまなサジェスチョンもいただきましたので、先ほど申しましたように、今日いただいた議論をさらに整理していただいて、次回以降、議論を深めていくことにさせていただきたいと思います。とりあえず本日の議論はこれまでということにいたします。
 なお、本日の署名委員は、雇用主代表坪田委員、労働者代表豊島委員にお願いいたします。
 皆様、お暑い中、またお忙しい中を本当にありがとうございました。次回の日程については、事務局において、改めて各委員にご通知、ご連絡申し上げます。事務局から何かありますか。
○坂口雇用保険課長 今日いただいたご意見を整理して、議論の論点の整理という形で一度お諮りしたいと思います。
○清家部会長 本日は、これで終わります。どうもありがとうございました。


(了)
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厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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