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2010年7月30日 第40回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

○日時

平成22年7月30日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用27会議室


○出席者

<委員:五十音順、敬称略>

相澤好治、明石祐二、市川佳子、関口史彦(伊藤雅人代理)、犬飼米男、今田幸子、瀬戸実、高橋孝行、高橋信雄、谷口元、露木保、土橋律、豊田耕二、内藤恵、中原俊隆、
中村聡子、名古屋俊士、古市良洋、眞部行雄、三浦武男、芳野友子

<事務局>

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

・平成21年における労働災害発生状況
・安全衛生行政を巡る動き
・その他

○議事

○分科会長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただ今から第40回の
労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日はお忙しいところ、お集まりいた
だきましてありがとうございます。本日は、名古屋委員、中原委員、伊藤委員が欠席され
ています。なお、伊藤委員の代理といたしまして、日本商工会議所の関口様が出席されて
おりますので、よろしくお願いいたします。 それでは議事を進めさせていただきます。
本日の議題は、平成21年における労働災害発生状況、及び安全衛生行政を巡る動きとなっ
ております。まず、平成21年における労働災害発生状況について、事務局から説明をお願
いいたします。

○安全課長 安全課長の田中でございます。それでは平成21年におけます労働災害の発生
状況について説明を申し上げます。資料1-1をご覧いただきたいと思います。
 まず、休業4日以上の死傷災害の発生状況でございますが、まず全産業をご覧いただき
ますと10万5,718人、一番右の欄でございますけれども、対20年比較で1万3,573人、率に
して11.4%の減となっております。主要な業種で見てみますと、まず製造業でございます
けれども、製造業におきましては2万3,046人と対前年比で5,213人、18.4%の減となって
おります。
 次に建設業でございますが2万1,465人、対前年比で2,917人、12.0%の減ということに
なっております。
 次に陸上貨物運送事業でございますが、1万2,794人ということでございまして、対前年
比で1,897人、12.9%の減ということになっております。これを事故の型で見ますと、転倒、
墜落・転落、はさまれ・巻き込まれ、この3つの型で半数を超えているという状況にござ
います。起因物でみますと、仮設物・建築物等、動力運搬機械、乗り物、用具という、こ
の4種類の起因物で5割を超えているという状況にございます。
 次に、この中で、その他の4万3,747人の部分ございまして、これちょっと数字が大きく
ございますので、詳細を少しご説明したいと思います。その他の事業の死傷者数4万3,747
件のうちで、卸売・小売業が1万6,386人で、主な事故の型といたしましては、転倒、墜落
・転落、動作の反動・無理な動作と、さらに交通事故となります。次に、医療保健業でご
ざいまして、これが5,200人でございまして、主な事故の型といたしまして、動作の反動・
無理な動作と転倒というものが上がっております。3番目に多いものとしまして、ビルメ
ンテナンス業がございまして、これが2,409人で、事故の型といたしましては、転倒、墜落
・転落、動作の反動・無理な動作というのがございます。その他の事業全体を概観します
と、事故の型を見ましては、やはり転倒、動作の反動・無理な動作、交通事故、この3種
類で全体の半分を占めているということでございまして、この辺がその他の事業について
の特徴的なものではなかろうかと思っているわけでございます。
 次に資料1-1の2ページでございます。平成21年におけます死亡災害の発生状況でご
ざいますが、まず左から2つ目の欄、平成21年の確定値の欄をご覧いただきたいと思いま
すが、平成21年の労働災害によります死亡者数は、全産業は1,075人となりまして、前年比
で193人の減、15.2%の減ということになっております。初めて1,100人を下回って、過去
最小となったということでございます。業種別に見ますと、建設業371人と最も多く、次い
で製造業の186人、陸上貨物運送事業の122人となっております。
 次に、同じページの右から2つ目の欄、対20年確定値比較という欄をご覧いただきたい
と思いますが、平成20年と比較しますと、製造業で74人、28.5%の減。建設業で59人、
13.7%の減。交通運輸業で17人、58.6%の減。陸上貨物運送事業で26人、17.6%の減とい
うふうな結果となっております。これらの業種では死亡者数は減少しておりますが、鉱業、
港湾荷役業で増加しています。事故の型で見ますと、墜落・転落が289人と最も多ございま
して、次いで交通事故、道路におけます交通事故が238人、はさまれ・巻き込まれが150人
等となっております。その事故の型を対20年と比較しますと、交通事故、道路における交
通事故が前年比で49人の減、はさまれ・巻き込まれが前年比で42人の減と、大幅に減少し
ております。転落・墜落につきましても前年比で22人の減と、前年に引き続き減少してい
るという状況でございます。
 次に3ページ目でございますけれども、21年におきます重大災害の発生状況でございま
す。一時に3名以上の方が被災されるという災害でございますけれども、この重大災害に
つきましては228件でございまして、対前年比で53件の減、18.9%の減となっております。
業種別で見ますと、発生の件数といたしましては、建設業が75件と最も多く、次いで製造
業の55件となっております。平成20年と比較しますと、いずれの業種も減少しております
が、特に建設業の大幅な減、対前年比で19件の減、マイナス19.4%の減となっております。
 事故の型での特徴でございますけれども、交通事故が全体の43.4%を占めているという
のが特徴的なものでございます。以上が説明でございますけれども、最後に、今回の減と、
さらに労働災害の減少の長期的な減少のトレンドというものについて、これを契機に災防
団体の協力を得まして、各業種の事業者団体に対しまして、その要因についてのヒアリン
グ等をしました。その結果といたしましては、ヒヤリハットやKY、危険予知活動といっ
たような従来からの現場におきます安全活動、さらにはリスクアセスメント、労働安全衛
生マネジメントシステムといった、いわゆる先取り型の安全対策の展開が、この労働災害
の長期的な減少に貢献しているというふうな結果を得ているところでございます。
 21年につきましては、一昨年来のリーマンショックを発端とした経済の停滞というのは
もちろんあるわけでございます。鉱工業生産指数も大幅に落ち込んでおりますし、民間の
建設工事業も落ち込んでいるわけでございます。それも一因ではございますが、我々とい
たしましては、このような先取り型の対策の展開等々が災害減少のベースになっているの
ではないかというふうに理解しておるところでございます。私のほうからの説明は以上で
ございます。

○分科会長 ありがとうございました。ただ今の平成21年における労働災害発生状況につ
いて、ご意見、あるいはご質問がございましたらお願いいたします。どうぞ。犬飼委員。

○犬飼委員 今、4日以上のほうのその他のところは詳細にご説明頂いたのですが、もし
分かれば死亡の322名のところですね。少し分かったら、内容をお知らせ願いたいと思いま
す。これは希望なのですけれども、卸売で1万6,000人、医療で5,200人というような大き
な数字になっていますから、いろんな経過があって、こういうような産業別の分け方をさ
れると思うのですけれども、今後もし表されるならば、それも見直しいただいて、その他
の数が余り多くならないような分析ができるような方法にしていただきたいというのが1
つです。
 それから、私は林業関係でございますので、大変申しわけないのですが、林業の欄を見
ていただきますと、唯一産業別の中で4日以上の死傷も増えております。それから死亡災
害に至っては、前年と同数ではあるのですが、ずっと近年50人前後で推移しています。第
11次労働災害防止計画でも災害多発業種として指定されて、厚労省さんで一生懸命やって
いただいてはいるのですが、既に7月7日現在で27名、このままいけば恐らく去年と同数、
あるいはそれを超えるというような傾向にあります。
 一番気にしているのは、非常に中小零細が多くて、厚労省さんが取られる、例えば労働
災害動向調査をやられるときは、ほとんど事業所の規模が30人から99人ぐらいですね。度
数率と強度率。ところが林業の事業所を見ますと、総務省さんの統計局を見ると、30人未
満は何と95.5%。ということは、この統計には上がってこないのです。少ないところで、
多いか少ないかで度数率と強度率が決まってしまう。だから、私たちはこれは参考になら
ないのではないかと思っているのです。
 したがって、私たちが重きを置いているのは、死傷の千人率のところですね。ここが全
産業は2.3、林業は何と29.9です。13倍。13倍の確率で事故が起こっている。近年、その動
向は変わらない。なぜかといいますと、野外作業ということもあるのですが、ヒューマン
エラーを、例えば機械とか周りのところの環境整備で守ってあげられないという、作業行
動によって起こるということが大きいものですから、私たちも非常に悩ましいとは思って
いるんですが、ぜひこの辺も重視していただいて、今後ぜひ災防団体も含めて協力してや
ってほしいということです。とにかく林業が特殊な現場なものですから、私も労災防止指
導員をやっていて、監督署の皆さんと現場も訪れたこともありますが、はっきり言って分
からないですね。自然物相手に、構築物もあるものですから、これが本当に安全なのかど
うなのかも含めて、それは大変なことだと思います。異業種といっても、本当に異業種で
ありまして、監督署の課長さん、所長さんも含めて、それは無理なところだと思うのです。
ですから、林災防だとか林野庁も含めて、専門な知識を持って見る方と連携を図っていた
だいて、ぜひ災害防止の強化をしていただきたいということです。

○安全課長 それでは、まず最初に、死亡者数について、その他の事業の部分の詳細をと
いうことだったと思いますけれども、本日は私の手持ちの資料で恐縮でございますけれど
も発表しております資料では、その他の事業では商業が一番多く、また、その他のその他
という分類がありますが、これを詳細に見ますと、警備業等が71人、農業13人、医療保健
関係で11人ということでございます。
 犬飼委員の林業の関係でございますが、確かに林業につきましては、災害の発生状況、
詳細についてはまだちょっと分析中であるところがございますけれども、死亡災害だけ見
ますと、やはり伐木作業中の部分が多く、半数以上占めているところでもございますし、
特に最近、間伐作業という部分におきまして、災害が増えているというところもございま
す。これは恐らく中高年齢者の被災とかいうこともございましょうし、またニューカマー
というんですか、建設業等々からの新しい参入者の方の部分はあるのかと思います。間伐
作業そのものを見ますと、地球温暖化対策の中で大きく予算がそちらのほうに投入されて、
間伐作業の事業量が増えているというところもあろうかと思います。
 我々といたしましても、先ほどございました中小零細等も意識しながら、委託事業等々
の中でマニュアル等を作ることによりまして、サポートしたいと思っておりまして、先ほ
ど申しました間伐作業等におきましても、リスクアセスメント・マニュアル等を作成しま
して、その支援を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
 以上でございます。

○分科会長 よろしいですか。それでは、古市委員どうぞ。

○古市委員 今、詳しいご説明があったのでありますが、基本的に労働災害が減っている
という、そういう数字のご説明だったというふうに思います。それで、経済の状況がよく
ないのでというご説明はあったのでありますが、こういう数字を見るときに、例えば建設
業で言いますと、就業者はこの6年で100万人も減っているわけですね。一番多いときから
比べると200万人も減っているわけでありまして、毎年30万人ぐらい就業者が減っていると、
こういう状況でありますので、労働災害が減るというのは、私どもの組合員に言わせます
と、当たり前じゃないかと。仕事がないんだから労働災害が減るのは当たり前じゃないか。
こういう感じでありまして、こういうのを見る場合、そういうことが分かるような表現を
していただくと非常にありがたいなと、こういうふうに思います。
 それで、建設業の就業者というのは総務省が発表しますので、数字は分かるのでありま
すが、建設業の雇用労働者というのを厚生労働省は正確につかんでおられるのかどうなの
か、その辺もし分かれば教えてほしいなというふうに思います。
 労働災害は、要するに雇用労働者、労働者の災害でありますので、建設業で就業してい
るんだけれども労働者として扱われないという人が建設業には非常にたくさんおりまして、
例えば、昔から建設業には一人親方という言葉があって、そういう働き方をする人がいる
のでありますが、私どもの、私は全建総連という労働組合なんですが、組織人が1年間に
2万人も減ったにも関わらず、組合が運営している労災保険の特別加入、一人親方の特別
加入者は、どんどん毎年増えている、こういう状況でありまして、厚労省の一人親方労災
の特別加入の推移を見ても、2002年からの9年間で21万人、2002年に21万人だった建設業
の一人親方が、近年だと34万人、非常に急激に増えているという資料がございます。
 こういうふうに、一人親方になった皆さんが非常に増えているんでありますが、そうい
う人たちの災害の状況は余り明らかになっておりませんで、ある統計を見たところ、労災
保険の保険給付の状況を調べたところ、一人親方の保険給付ですから、これが労働災害と
いうふうに置き換えてみると、毎年4万件ほどあるという、こういう数字が発表されてお
ります。それぞれの皆さんが、災害が起こらないように努力をしているということについ
ては認めつつ、そういうより丁寧な議論ができるような方法はないものか。こういうふう
に思っております。
 それともう一つ、併せてでありますが、労働災害は減っているという一方で、実は労災
隠しというのが、非常に私たちのイメージで言うと増えている。こういう気がいたしまし
て、労災隠しによる検察庁への送検の件数。例えば、平成10年には79件あった労災隠しで
すね、検察庁に送検された件数です。平成19年にはそれが140件になっている、こういうふ
うに公表されております。20年と21年は公表されておりませんので、これもぜひ公表して
いただきたいなというお願いもあります。
 それで、労災隠しを減らす、ここは労災保険の議論をするところじゃないということは
分かっているんですが、今年、日本医師会が労災隠しの在り方をめぐる委員会の答申とい
うのがございまして、その中で、労災隠しを減らすために労災保険証というようなものを
発行したらどうかという提案をしているんですね、労災保険証。
 実は、建設現場ですと、一人親方の労災保険の番号を提示しないと現場に入れないとい
うのが、今、常識になっています。一人親方の番号を提示しないと現場に入ることはでき
ない。したがって、本当は労働者であるにもかかわらず、一人親方に加入していないと、
特別加入をしていないと現場に入れないので、やむなく一人親方の特別加入をする、せざ
るを得ない。そうしないと仕事が取れないので、そういうふうにするという人が非常に多
くなっています。
 そんなことも考え合わせると、この日本医師会のほうの労働者に労災保険の証、保険証
を発行して、その労災保険証で給付を受ける。こういうやり方というのは一考に値する考
えじゃないかなと、こういうふうに思ったりします。もしコメントがあれば、おっしゃっ
ていただければうれしいです。

○安全課長 私からお答えできるところで、最初にご指摘がございました労働災害は減っ
ているが、労働者数の減に対してどうなんだという点でございます。21年の数字はまだ出
ておりませんけれども、1つの指標として、率の指標として、労働者数と労働災害発生件
数との関係を見ました千人率という1つの指標ございます。労働者数が確定した後、計算
しまして、千人率を出しており、21年は恐らくあともう少しかかりますが、それをもって
代えさせていただきたいと思います。私のほうから以上でございます。

○計画課長 労災隠しの送検の件数や労災保険証というアイデアについてのコメントとい
った話がございましたが、今日は申しわけございませんが、担当がおりませんので、そう
いうご発言があったということを、そちらのほうに報告しておきたいと思います。

○労働基準局長 私局長なものですから、労災保険のほうも責任持っておりますので、何
もお答えしないというわけにはいかないと思います。今、ご指摘のあった問題というのは、
例えば建設業の場合に、これは元請一括のような形で労災保険を適用する場合には、そこ
に入れば労働者としてやると。場合によっては、一人親方として特別加入としてやるとい
う、その辺りの適用の仕方が適切に行われていないのではないかという、そこはまさに制
度としては、きちんと行われるようにしていかなければいけないわけであって、よく理解
をできる点でありますし、適切な運用が図られるように、足らざる点があれば、やってい
かなければいけないと思います。
 制度論としての労災保険証の話は、確かに建設現場で考えますと、そういう考え方があ
るかもしれませんけれども、むしろ労災保険は、例えば学生アルバイトの方が1日だけ何
かイベントで働いたというケースも、これは労災保険、自動的に適用関係が、保険料が払
われていなくても遡及徴収して保護するという仕組みになっていますので、個々の被保険
者を管理する仕組みにはなっていない。なっていないということであっても、個々の被災
者が救済できるということなので、今の仕組みができているのだろうと思います。そうい
う意味で言えば、一人一人の方に保険証を出して、健保のようにそれを持っていけばでき
るという、その利便性は確かにあるのですけれども、とにかくその前に、一般のケースで
すと、業務場外の認定というのをやらないと、業務外であれば健保でやっていただくこと
になるわけで、我々のところはやはり業務場外の認定というのがまず先にあるものですか
ら、余り保険証があったからといって、それを持っていってすぐ医療を受けられるといっ
て、その制度の仕組み上なかなか難しいところがあるのかなと。ちょっと急なお尋ねなの
で、適切な答えになっていないかもしれませんけれども、そういう意味で言えば、建設業
における一人親方と労働者の形での適用関係というのをきちんと整理をして、適切に行わ
れていないのであればそれを適正化していく問題ということで受け止めさせていただいて、
担当のほうにも1回検討させてみたいと思います。足らざる点については、何か必要な対
応をしていく必要があるのだろうと思います。 そんなことでお許しいただければと思い
ます。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。よろしければ、次のほうに移
らせていただきます。安全衛生行政を巡る動きにつきまして、説明、議論をしていただき
たいと思います。
 まず資料2-1で、前回安衛法の見直しの規定というのがございますが、それから資料
2の新成長戦略につきまして、事務局から説明をしていただきたいと思います。よろしく
お願いいたします。

○計画課長 計画課長でございます。お手元にお配りしてございます、今、分科会長より
ご紹介いただきました資料2-1と2-2に基づきまして、安全衛生行政を巡る動きとい
う議題につきまして、ご説明させていただきたいと思います。
 まず資料2-1でございますが、今ご紹介いただきましたとおり、安全衛生法の前回の
改正、そこには平成17年改正と書いてございますが、そちらの附則の13条に検討という規
定がございます。政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、新労働安全衛
生法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新労働安全衛生法の規定につい
て検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。こういう形になって
おるわけでございます。この改正法は平成18年4月1日施行でございますので、本年が5
年目という状況でございまして、立法府といいますか、国会でお通しいただきました法律
の附則の13条に基づいて、そういうようなことで検討を加えてくださいということを言わ
れておるわけでございますので、これについて何らか対応していかなければならないとい
うことが1つ、めぐる状況としてございますというご説明、ご報告でございます。
 2つ目でございますが、資料の2-2でございます。こちらにつきましては、新成長戦
略の抜粋として付けさせていただいております。この新成長戦略の関係につきましては、
実は前回のこの安全衛生分科会におきまして、新成長戦略に盛り込まれるということを前
提に、2020年度の目標、成果目標についてご議論をいただき、ご了解をいただいたところ
でございます。その後、まさにそのとおりになりまして、6月18日でございますけれども、
新成長戦略全体が閣議決定をされておるというところでございます。
 この新成長戦略は、非常にいろんな分野のことが書いてあるわけでございますけれども、
その中の一つといたしまして「雇用・人材戦略」というものがありまして、その中の第11
項目目といたしまして、「職場における安全衛生対策の推進」ということがこの新成長戦
略の中に盛り込まれておるところでございまして、その抜粋ということでございますけれ
ども、お手元の資料にありますような工程表が決定されているところでございます。
 その工程表は、早期実施事項ということで、2010年度、要するに本年度ですね。本年に
実施する事項、あるいは2011年度に実施すべき事項、あるいは2013年度までに実施すべき
事項、それで最終的に2020年までに実施すべき成果目標という形で工程表がつくられてお
るところでございますが、職場における安全衛生対策の推進につきまして、2つの項目が
掲げられております。
 1つ目でございますが、労働災害防止のため、事業者による労働災害の低減の取組の強
化ということでございまして、これはまさに不断にといいますか、労働災害ゼロを目指し
て取り組んでいただくということでございますので、これについては、毎年やっていただ
くという中において、2020年度につきましては、この分科会でもご議論いただきましたと
おり、発生件数を3割減らしましょうという形になっているところでございます。
 2点目でございますが、特出しという形でございますが、安全衛生対策のうちの職場に
おけるメンタルヘルス対策、受動喫煙対策につきましては、2010年度に労働政策審議会で
の検討をし、結論を得るという形になっています。まさに本日そういう形で、議論を始め
させていただくということかと思います。2011年度には、所要の見直し措置を講じた上で
対策を実施し、2020年度の実施すべき成果目標につきましては、これもこの分科会でご議
論いただきましたとおり、メンタルヘルス対策につきましては、メンタルヘルスに関する
措置を受けられる職場の割合を100%にするという目標になっておりますし、受動喫煙防止
対策につきましては、2020年度までに受動喫煙のない職場を実現するという形になってお
るところでございます。
 このうちの労働災害防止対策の関係につきましては、後ほど機械の関係と化学物質管理
の関係について、検討会で検討してきた結果をご紹介させていただきます。受動喫煙防止
対策についても、後ほどご報告させていただくことになっています。
 メンタルヘルス対策につきましては、本日報告させていただく検討会の項目に入ってお
りませんけれども、実はこのメンタルヘルス対策につきましても検討会を設置して、検討
を進めているところでございます。報告書の取りまとめにもう少し時間がかかるというこ
とで、これにつきましてはまとまり次第、また当分科会のほうにご報告させていただきた
いと考えているところでございます。なお、検討会という形ではやっておりませんけれど
も、電動ファン付呼吸用保護具というのがございまして、ご案内のとおり平成19年以降、
吹き付けられました石綿の除去等の作業など、特定の作業について使用を義務付けられて
いる、この電動ファン付呼吸用保護具というものにつきまして、譲渡制限あるいは型式検
定に対象にするというようなことについても、当分科会のほうで、またご議論いただきた
いと思っているところでございます。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。ただ今のご説明について、ご意見、ご質問がござ
いましたらお願いいたします。どうぞ。市川委員。

○市川委員 前回の安衛法の改正の附則にある、法律の施行後5年を経過した場合におい
て、新安衛法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは検討ということですが、
政府の成長戦略が出た、受動喫煙等新たな対策が求められる課題が出てきたということで、
これから検討を進めていくということは十分理解します。しかし新安衛法の施行の状況が
どうなのかを、もう少し分析したものを、次回以降でも結構ですが出していただけないか。
前回改正の施行で初めて、リスクアセスメントに基づく対策が努力義務化され、先取りの
安衛対策というものが重要だということを打ち出したわけですから、この5年間の間にど
のような進展があったかなどのことを少し詳しく分析をしつつ、さらに法改正が必要な局
面があるのかどうか、そういったことも議論していくことが、施行5年後の見直しにおい
ては重要なことではないかと思いますのでお願いをしておきたい。
 それと、先ほどの労働災害の発生件数と関わるのですが、この新成長戦略で3割減とい
う大きな目標が立てられているわけです。かなりこれまでの状況の分析をきちんとしない
と、2020年までに労働災害を3割減らしていくということは至難の業ではないかと思いま
すので、そういう意味からも併せてお願いしたい。

○計画課長 市川委員からのご指摘ごもっともでございますので、次回準備し、ご説明さ
せていただきたいと思いますが、まさに前回の安衛法改正というのは大きく2つの柱があ
ったわけでございまして、1つがリスクアセスメントといいますか、危険性・有害性の低
減に向けた事業者の措置を充実しましょうという話ですし、2つ目が過重労働・メンタル
ヘルス対策だったわけでございます。
 それぞれにつきまして、私ども前回改正以後、新労働安全衛生法に基づきまして対策を
実施してきているわけでございますけれども、そこで効果が上がっている部分、上がって
いない部分もあろうかということの中で、リスクアセスメントの関係で言えば、後ほどご
報告いたしますが、機械なり化学物質管理については、さらにもう一段進め、あるいはも
う少し充実させるべきではないかというような問題意識を持っているところでございます。
メンタルヘルス対策につきましては、まさにそういう意味で、さらに対策を充実するとい
うことで、検討会がされているという状況でございます。
 いずれにしましても、次回、整理させていただきたいと思いますし、労働災害の発生件
数3割減というのは、まさにおっしゃったとおりでございまして、減ってきていたからと
いう話ではなくて、まさに状況をその時々十分把握しながら、適切なあるいはきめ細かな
対策というものを打っていかなければならないというようなご指摘はそのとおりだろうと
思いますので、その点についても努力してまいりたいと思っているところでございます。
以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。よろ
しいですか。
 それでは、職場における受動喫煙対策に関する検討会報告について、ご説明をお願いい
たします。

○環境改善室長 それでは資料2-3でございますが、これを基にいたしまして、職場に
おける受動喫煙対策に関する検討会と、その後に行われました技術的検討につきまして、
ご報告申し上げます。
 まず、国際的な動向でございますが、1ページに書いてございます。これについては、
もう既にご案内のとおりでございますけれども、世界保健機関、WHOにおきましては、
たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から、現在及び将来の世代を保護することを目的と
いたしまして、たばこ規制枠組条約を策定しております。我が国は、平成16年に批准いた
しまして、この条約自体は翌平成17年に発効しております。
 この条約の第8条に受動喫煙防止に関する規定がございます。それはここに書いてある
とおりでございまして、2番目の項目のほうに屋内の職場、公共交通機関、屋内の公共の
場所等におけるたばこの煙にさらされることからの保護についての効果的な措置をとる、
ということが書いてございます。 さらに第8条に関しまして、ガイドラインも定められ
ておりまして、その骨格がその下に書いてあるとおりでございます。また、この資料には
ご紹介しておりませんが、このWHOの条約の批准ですとか、受動喫煙による健康影響に
関する科学的認識を背景といたしまして、欧米諸国におきましては、屋内の公共の空間や、
職場における受動喫煙を防止するために、法律等によって規制が進められております。
 次、2ページでございます。次に、我が国の受動喫煙防止対策の現状について、ご報告
申し上げます。ここには、2番といたしまして、健康増進法と労働安全衛生法の関係をイ
メージ図としてお示ししてございます。左側の健康増進法は平成15年5月に施行されまし
た。この第25条におきまして、学校、病院、事務所、飲食店等、多数の者が利用する施設
の管理者に対しまして、このような施設を利用する方の受動喫煙を防止することが努力義
務になっております。これに対しまして、右側の労働安全衛生法におきましては、快適職
場環境の形成の一環といたしまして、働く方の受動喫煙を防止するために事業者の講ずべ
き事項がガイドラインとして示されております。このような中で、職場における受動喫煙
の現状は、その同じページ、2ページの3番にお示ししたとおりでございます。全面禁煙、
または喫煙室を設けそれ以外を禁煙のいずれかの措置を講じている事業所は、全体の46%
でございます。それ対しまして、職場で受動喫煙を受けているとする労働者が65%、喫煙
対策の改善を職場に望む労働者が92%という状況になってございます。
 このようなことを背景といたしまして、今後の職場における受動喫煙防止対策の在り方
について、有識者の方々にご検討いただいた成果が3ページ目に書いてございます。これ
は、別添でお付けしております報告書のポイントを5点に分けてまとめたものでございま
す。
 まず1点目でございますが、今後の職場における受動喫煙防止対策の基本的な方向でご
ざいますが、今までは、先ほど申し上げましたとおり、快適職場形成という観点で努力義
務としておりますが、今後は労働者の健康障害防止という観点から取り組むことが必要と
いうふうにされております。
 それから2番目でございます。受動喫煙防止措置に係る責務の在り方についてでござい
ますが、これにつきましては、事業者の努力義務ではなく、義務とすべきというふうにさ
れております。
 3番目でございます。具体的な措置につきましては、2つに分かれております。まず最
初でございますが、一般の事務所や工場におきましては全面禁煙、または喫煙室の設置に
よる空間分煙とすることが必要であるとされました。それから2点目でございますが、飲
食店のように、働く方ではなくて顧客が喫煙することにより、このような措置が困難な場
所。そういう場所につきましても、換気等により有害物質濃度を下げたり、喫煙室の清掃
などのような場合においては、防塵マスクの着用などによる措置を行って、可能な限り受
動喫煙の機会を低減させることが必要とされております。
 4点目でございますが、事業者に対する支援といたしましては、技術的な支援及び財政
的支援を行うことが必要というふうにされました。
 5点目でございます。これは今後の課題でございますが、先ほど申し上げましたように、
現状では直ちに働く職場を禁煙とすることが難しいところがあるというふうに3番に書い
てございます。そういうような場合におきましても、国民のコンセンサスを得ながら、社
会全体としての取組を計画的に進めることによって、受動喫煙防止対策を進めることは必
要というふうにされております。
 次のページでございます。4ページでございますが、さらにこの報告書を受けまして、
別途専門家にお願いをいたしまして、顧客の喫煙する場所における基準を検討していただ
いているところでございます。顧客の喫煙する職場におきましては、事業者はたばこ煙の
濃度または換気量のいずれかの数値を満足することを求めるのが適当というふうに、今、
検討は進められております。濃度基準としては、マーカーを浮遊粉じんといたしまして、
0.15mg/?以下とするというものでございまして、換気量としては、その濃度をクリアする
ための基準値を示すことになっております。
 なお、前回、先ほどもご説明ございましたが、前回の本分科会においてご議論いただき
ました新成長戦略におきましては、先ほどお話のあったとおり、2020年までに受動喫煙の
ない職場を実現することとなっております。今回検討会においては、全面禁煙か空間分煙
の措置を求めることができない飲食店等におきましても、この新成長戦略の目標年度まで
には受動喫煙のない職場が実現されるように取り組んでまいりたいと考えております。以
上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。今のご報告につきまして、ご意見、ご質問等ござ
いましたら、お願いいたします。伊藤委員、どうぞ。

○関口氏(伊藤委員代理) ただ今の資料の2-3の3ページでございますが、受動喫煙
防止措置に係る責務の在り方です。この点に関連しまして、事業者の努力義務ではなく、
義務とすべきというふうになっておりますけれども、2ページにもありました厚労省の平
成19年の労働者健康状況調査を見ましても、規模の小さい事業所ほど喫煙対策に取り組ん
でいるという事業所の割合が小さくなっているわけであります。今さら言うまでもありま
せんが、我が国は中小零細企業が99.7%を占めておりますし、雇用の7割を占めているわ
けであります。したがいまして、受動喫煙防止の対策につきましても、やはりそういった
中小零細企業の実態を踏まえた上で行わなければ効果がないというふうに考えております。
したがいまして、この努力義務とすべきか、義務とすべきかということにつきましては、
慎重に検討する必要があるのではないかというように思います。特に、この実態調査にお
きましても、労働者雇用している10人以上の労働者に対する調査になっておりまして、や
はり9人以下の中小零細事業所ほど、取組に当たっても困難なものが多々問題があると思
いますので、その辺の実態調査もぜひお願いしたいというふうに思っております。
 それから、2点目でございますが、同じく3ページの4番、事業者に対する支援のとこ
ろでございます。技術的支援及び財政的支援を行うことが必要と書かれておりますが、特
に中小、小規模企業につきましては、この防止対策につきましてどのように取り組めばよ
いか分からない。これは報告書の本体のほうの調査ページにありますが、どのように取り
組めばよいか分からない、あるいは財政的な負担に対応できないというところが多いとい
う状況になっております。したがいまして、この辺の技術的支援におきましては、取組の
好事例等々、情報提供も必要でしょうし、また喫煙専用室の設置費用などの財政的支援、
これにつきましても中小零細企業の実態を踏まえまして、容易に対応できる具体策を十分
に検討していただきたいというふうに思っております。
 また全面禁煙、あるいは空間分煙が困難な飲食店においては、特に中小零細事業所が多
いわけでございますので、この受動喫煙防止対策については、顧客の喫煙ニーズへの対応
といったものが、経営上非常に重要な問題となるということも考えられますので、慎重に
検討するということが不可欠だろうと思います。通常の事業所における対策とは、異なる
取り扱いを考えていただければというように思っております。以上でございます。

○分科会長 ご要望ということですけれども、何か。

○環境改善室長 3点ご指摘いただいたと理解しております。それについて、検討会を通
じていただきましたご意見を基に、事務局で今考えておりますことを申し上げたいと思い
ます。まず、最初の中小企業に対する取組といいますか、その周知、どうご理解いただく
かでございますが、基本は受動喫煙に、非常に健康影響があるということがスタートライ
ンになってございますので、まずはとれる対策をとっていただきたいというふうに考えて
おりますが、こういう受動喫煙の健康影響についてもお知らせするとともに、対策につい
ては十分ご理解いただくようにご説明もしてまいりたいと思いますし、お知らせする期間
を十分に取りたいというふうに考えております。
 それから、一般の事務所や工場においての対策でございますが、何も喫煙室の設置だけ
を求めているわけではございませんし、中小については、対策のうちどちらが多いかとい
うと、全体的に合計した割合は、先ほど委員ご指摘のとおり、全面禁煙または空間分煙と
するという措置。合計としては少ないのではございますけれども、どちらかというと、規
模が大きいところについては喫煙室の設置をするというところが割合としては多いのに対
して、中小企業については、事務所全体を禁煙にするという対策をおとりになっていると
ころのほうが、喫煙室を設置するというよりは多くなっているというところで、これは働
く方々のご理解がいるんだろうとは思いますけれども、全面禁煙という措置であれば費用
はかからないというふうにも考えますので、ここはよくご理解をいただきながら、少しで
も働く方の健康障害防止というところで、対策が進むようなことを私どもも考えていきた
いというふうに思います。
 それから、1人から9人までの規模の事業所に対する調査について、ちょっとそれは、
例えば平成19年に行いました調査については、多分、何かいろんな制約でできなかったと
ころもあると思うんですけれども、どのようなことができるか検討させていただきたいと
思います。
 それから、2点目でございますが、2点目は、4番にございました技術的支援、財政的
支援でございます。アンケートを取りましても、どのように取り組んだらいいか分からな
いとか、そういうようなご指摘もございますので、私ども今、来年度、予算要求をしてご
ざいますが、技術的支援については、どんなふうにしたら事業所の中を全面禁煙できるか
ということも含めた好事例のご紹介とか、それから喫煙室を設置される場合に、どんなふ
うにご利用いただければいいかということを、専門家がアドバイスするような事業を、今、
中で調整をしてございまして、要求をしていきたいというふうに考えております。
 それから、財政的な支援でございますが、これについては報告書にも少し詳しく書いて
ございましたが、中小規模の飲食店等におきまして、顧客に食事の提供等のサービスを行
わない、いわゆる喫煙専用室というのでしょうか、そういうところの設置を行う場合には、
それは働く方の受動喫煙に対する暴露はないと考えられますので、そういうような場合に
一定額の補助を行うというような予算要求を、今、考えているところでございます。
 それから3点目は、飲食店においては、別途顧客のニーズがあるのではないかというお
話でございますが、これは飲食店、それから旅館業における団体にご協力をいただきまし
て、昨年度アンケート調査を行いました。それは、そんなに数は多くなかったのですけれ
ども、それで見ますと、夜ですね、お酒を提供するようなところが中心になるところにつ
いては、若干全面禁煙とか、別室で喫煙という割合は少なかったんですが、食事を中心と
する場所については比較的進んでいまして、全体で平均しますと3割から半数程度のお店
が全面禁煙を、お店自体を全面禁煙にしているとか、それから喫煙室を別途設けていると
いう、そういうようなところがございましたので、そういうようなところも私どもはよく
注目をして、ご理解いただくようにもしたいと思っております。以上です。

○分科会長 どうぞ。

○安全衛生部長 今、報告書に基づいてご説明をさせていただきましたが、お話のござい
ましたように、やはり中小企業でどれだけ対応できるかということは非常に重要なことで
ございますので、そういうことも含めて、秋以降この分科会で十分に議論を深めていただ
ければと考えております。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次の項目に入りた
いと思います。機械譲渡時における機械の危険情報の提供の在り方に関する検討会報告に
ついてのご説明をお願いいたします。

○安全課長 では、説明させていただきます。機械のメーカーによります危険情報の提供
の促進でございます。資料2-4をご覧いただきたいと思います。1ページをご覧いただ
きたいと思いますが、これも先ほどから話が出ておりますように、平成17年の安衛法改正
によりまして、先取り型ということで導入されましたリスクアセスメントの努力義務化と、
リスクアセスメントの実施をいかに進めていくかという流れの中にあるものでございまし
て、特に機械におけますリスクアセスメントを円滑に進めることによりまして、目的を達
成していこうという方向のものでございます。
 資料2-4の1ページの右の下のほうに円グラフございますが、これは昨年の労働基準
監督署によります指導時におきまして把握したデータをまとめたものでございます。まだ
途中段階でございまして、数字はまだ変わる可能性はありますが、これで見ますと、リス
クアセスメントを実施している事業場が38.1%に達しているという状況でございます。
 このような中で、どう進めていくかということでございますが、まず機械災害の背景に
つきまして簡単にご説明したいと思います。上のほうに戻っていただきたいと思います。
背景と書いてございますけれども、まず機械災害が全災害の3割弱を占めておりまして、
重篤な後遺障害が残る重篤な災害が多いということでございますし、機械本体の安全対策
ができておれば防止できた労働災害も多い。
 さらには、リスクアセスメントの実施によりまして、労働災害の防止効果大きいと。こ
れは、同じこのページの左下のほうに棒グラフがございますが、リスクアセスメントを実
施と未実施のグループによります労働災害の千人率の差でございますけれども、約2倍ぐ
らいの差があるということでございまして、こういうふうにリスクアセスメントの実施に
よる労働災害の防止効果は大きいということでございますが、一方、4割の事業場で、ま
ずリスクアセスメントの対象となる情報の入手が難しいというふうな状況があるというこ
とでございます。
 また、機械ですから本質的な安全化を図ればいいわけでございますけれども、実際の現
場におきましては、この真ん中の欄の左のほうに書いてございますけれども、ユーザーが
労働現場で使用する機械といいますのは、やはり様々な加工用途に使う汎用機械として使
用されることが多くて、その使い方ごとに必要な安全対策が異なるということもありまし
て、メーカーの段階で全ての安全措置を講じることがなかなか難しいということもござい
ます。
 また、一方で保守点検等の非定常作業におきまして、危険箇所に接近して作業を行う必
要があるなど、このメーカーの段階での安全措置を講じることが困難ということで、こう
いうような状況を反映しまして、機械におきます危険というのがやはり残ってくる場合が
あるということでございます。
 したがいまして、右側にいきまして、機械を譲渡時の際におきまして、メーカーが機械
の危険情報をユーザーに提供し、ユーザーはその情報に基づき、リスクアセスメントを実
施すると。それによりまして、機械の使用現場におきます機械設備面での防護対策を進め
たり、労働者の作業管理の徹底を図ったりということで、労働災害防止対策を講じて、最
終的に機械災害防止の一層の推進を図っていこうということで、その方向の中で検討して
きたということでございます。
 次の2-4の2ページをご覧いただきたいと思います。これが機械譲渡時における機械
の危険情報の提供の在り方等に関する検討会報告書の概要でございます。繰り返しになり
ますけれども、メーカーがユーザーに機械の危険情報を提供し、ユーザー側におきまして、
安衛法28条の2に基づきますリスクアセスメントの実施を促し、労働災害防止対策を進め
るということは重要であるということから、メーカーからユーザーに提供する情報の内容
や提供方法、さらには提供を促進するための支援方法について、検討して取りまとめたも
のでございます。
 まず、メーカーサイドでの対応でございますけれども、まとめられましたことは、機械
ユーザーのリスクアセスメントに必要な機械の危険情報を提供する仕組みを確立すること
が必要であるということでございまして、幾つか中身がございまして、まず1つが提供す
る情報はどういうものであるかということでございます。
 まず1つが、メーカーが保護対策、安全対策を講じた後に残るリスク情報につきまして
は、ユーザーのリスクアセスメントに必要なもので、これは我々、必須の情報という形で
整理しておりますが、こういう情報は必ず機械の危険情報として載せなければならない。
具体的に申しますと、例えば、危険源があります。要するに刃、手を切る刃ですね。刃と
か重いものとか、騒音が発生する発生源とか、高電圧がそこに残っている充電部とか、そ
ういう危険源としてどんなものがあるのかということ。さらには、どういう作業で、要す
るに、製造作業とか運転作業している場合か、または保守点検のような非定常の際に対応
するものなのかということ。さらには、危害のひどさの情報、例えば機械に巻き込まれて、
指の折損とか起こりますとか、そういう情報も併せて載せると。
 こういうふうな必須の情報を載せることが1つと、それ以外にユーザーでいろんな使用
目的があり、使用の仕方がございますので、それに応じた推奨される保護方策とはどんな
ものがあるのかということも、併せて情報として載せればいいのではないのかということ
でございます。
 2つ目が提供の方法でございますが、機械でございますから、既に取扱説明書はあるわ
けでございますが、それではなかなか我々の目的は達し得ないということから、ユーザー
が活用しやすいような、明瞭で一覧できるような情報の提供という方法を考えるべきでは
ないかということで、例えばということで書いてございますけれども、化学物質のMSD
Sを参考にしまして、ひな形を準備してユーザーが一覧、一目瞭然で分かる危険情報を提
供していく方法を考えようということでございます。
 また、もう一つ、メーカーからの機械譲渡時には、当然そういう情報は流すわけでござ
いますが、それ以外にユーザー間の譲渡の場合、またはリース業者による貸与におきまし
ても、必要な情報を提供することは必要であろうということでございます。
 3つ目が、対象となる機械でございますけれども、今、想定しておりますのが労働現場
で使用される機械ということでございます。
 4つ目の留意事項といたしましては、リスクアセスメントの取組が遅れがちなユーザー
の実効性に配慮するということでございます。要するにユーザーが使いこなせる情報をい
かに提供するかということを工夫すべきであろうということでございます。
 こういうふうなメーカーサイドでの仕組みの中で、この機械の危険情報の提供が行われ
まして、それを受けたユーザーサイドといたしましては、先ほど申しました安衛法28条の
2の努力義務、リスクアセスメントの実施を促進するということで、リスクアセスメント
の定着、促進を図っていくということでございますが、一方で、ユーザー側といたしまし
ても、リスクアセスメントのために必要な情報がこんなものがいるんだということで、逆
にメーカーサイドに、逆の矢印でございますけれども、要求するとか、いろんな機械災害
が起こった場合には、その災害の情報をメーカーサイドに流すことによりまして、危険情
報の精度を上げていくというようなことが必要であると。これが両者の情報のやりとり、
つまり、リスクコミュニケーションを円滑に進めていくということを進めていこうという
ことでございます。
 ここで、こういうふうな情報提供を進める際に、もう一つの支援の方策はどうしたらい
いかということでございまして、ここに右のほうに書いてございますが、まずメーカー側
の支援といたしましては、メーカーの機械の危険情報を適切に作成・提供するためのガイ
ドラインなり好事例の提供を行うということ。さらには、危険情報を作成し、またそのも
らった危険情報を有効に活用するということが必要なわけでございますから、メーカー側、
ユーザー側におきます人材の育成も必要であろうということでございます。加えまして、
3つ目でございますが、機械の危険情報の作成に有効になりますような災害情報のデータ
ベースの構築などにつきましても、行政側としても用意すべきではないかということ等が
書かれております。以上が検討会の概要でございます。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。ただ今のご報告につきまして、ご意見、ご質問お
願いいたします。どうぞ、豊田委員。

○豊田委員 この提供の促進といいますのは、機械における化学物質のMSDS版みたい
なものじゃないかというふうに理解しています。今回のご説明ですと、もしこの情報伝達
が円滑にいきましたら、リスクアセスメントをしたいという事業所が、この1ページ目の
アンケート結果ですと、50人以上の事業所で、実施予定まで含め8割ぐらいが、口をあけ
て待っておるということですね。
 問題は、リスクアセスメントがなかなか進まないので、それに必要なものを提供、促進
しましょうというふうに理解したのですが、化学物質の場合に、後ほどご説明があるのか
もしれないのですが、災害の多いところというのは、中小の50人以下の事業所で多いとい
うことを聞いております。そういった意味では、この冒頭1ページ目の1行目に書いてい
ます全災害の3割が機械災害といっていますけれども、この中の50人以下の事業所での災
害率というのは、どういう内訳なのか。もし、そこが多ければ、多分この情報提供の促進
をうまく機能化していくには、やっぱり50人以下の事業所のところも対象範囲として、そ
の情報の活用であるリスクアセスメントということを普及していかないと本計画がうまく
回らないのではというふうに考えます。
 ですから、そういう意味では、この資料2-4の報告書のタイトルを「危険情報の提供
のあり方」でなく、「危険情報の提供及び活用のあり方」というふうに変えたほうがいい
のではという気がいたしますけれども、ちょっとその件につきまして、ご意見をお聞かせ
願えればと思います。

○安全課長 50人以下のところの状況は、ちょっと今、私どもでデータを持っていないわ
けでございますけれども、確かにおっしゃいますように、リスクアセスメントを実施する
際に、やはり中小企業レベルでのリスクアセスメントだと、なかなか実施率がよくないと
いうのはおっしゃるとおりだと思いまして、私どもそれにつきましては、支援策のところ
にも書いてございますけれども、ユーザーの人材の育成というところにつきましては、提
供された機械の危険情報を如何に有効に活用できるかということにつきまして、そういう
活用できる人材を育成するということを1つの支援策として考えており、そこを進めてい
きたいと考えているところでございます。

○豊田委員 そういった意味では、できましたら報告書のタイトルをやっぱり「危険情報
の提供及び活用のあり方」というほうが、より適切じゃないかなというふうに思いますけ
れども。

○安全課長 それは表題でございますか。

○豊田委員 (表題をそのように変更した方がよいのではという)提案です。意見です。

○安全課長 それは分かりました。考えさせてください。

○分科会長 ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員 今回、まさに支援というか、なるべく推進されるようにということで、恐ら
くやられるのだろうとは思うのです。この新安衛法が出される前に、安全衛生分科会の櫻
井分科会長から平成16年12月に出された報告の中でも、先ほど委員からあったように、要
するに人的、財務的基盤が十分でなく、労働の発生率が高い中小企業に対しては、円滑に
実施されるよう配慮することが適当であるという言葉もあります。
 それから、対策として、指針が出た後、事業者に対して厚生労働大臣は、必要な指導、
援助等行うことというように明確にうたわれてはいるんです。
 グッズとしては大変いいと思うのです。もう一つの進められる方向として、一番やっぱ
り知っているのは、その機械を使用する当事者です。また、使用者を含めた労働者のとこ
ろが、一番ご存じなわけですから、ぜひこの情報に基づいてリスクアセスメントをやると
いうのは大変結構なのですが、その前にリスクアセスメントに取り組もうという、そこの
推進をぜひこれをきっかけにやれるような、みんなに周知して、それはできることですか
ら。例えば、班をつくって見に行って、どんな危険があるのだと。ハザードの部分をやっ
て、それを改善していこうということは、そういう取組というのは具体的にできるわけで
すから、どんな小さな工場でもそれはできるのです。
 使用者の、あとは意欲といいますか、けがをしたらこれは会社としては損失なのだとい
う意識の下に、新たなリスクアセスメントを進めれば、これは間接的には企業の収益とい
うことになるわけですから、そのような環境にするためにも、ぜひこのグッズをうまく利
用して、リスクアセスメントをやるのだという周知を進めるような方向も並行してやって
ほしいと思います。

○安全課長 ご指摘のございました中小企業へのリスクアセスメントの展開等につきまし
ては、我々も委託事業等で、今までもやってきておりますが、こういう形でまた新たな仕
組みができましたら、併せてそういう展開を現場の当事者に、労働者の方々に参加しても
らって、その意識も高めてもらっていくような方向という仕組みも、工夫して考えていき
たいとは思っております。ありがとうございました。

○分科会長 ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして、次
の項目に入りたいと思います。職場における化学物資管理の今後の在り方に関する検討会
報告について、ご説明をお願いいたします。

○化学物質対策課長 それでは化学物質対策課の半田でございます。私のほうからご説明
を申し上げます。職場における化学物質管理の今後の在り方に関する検討会は、早稲田大
学の名古屋先生に座長をお願いいたしまして、1月29日に第1回を開催いたしまして、6
月29日、第8回をもって取りまとめていただいたところでございます。当審議会からも市
川委員、豊田委員にもご参画をいただきまして、ご検討いただきました。
 まず、2-5の上のほうに現状と課題ということでまとめてございますが、大きな課題
といたしまして、1つに危険有害性情報の伝達及び活用が不十分なのではないかというこ
とが1つございます。 それから、18年の法令改正で導入していただきましたけれども、
リスクアセスメント、こういったことを実施して、それに基づく管理を進めていこうとい
うことになっているわけでございますけれども、どうもこの辺りのリスクに基づく自主的
な管理というのがまだ十分に普及していないのではないだろうかというようなことが挙げ
られてございます。それから、これは大きな流れとちょっと違いますけれども、現実に起
こっています化学物質災害の中を見ておりますと、CO中毒が実は年間に40件ほど起こっ
ていると。それから、一部の屋外作業においても中毒災害が起こっているという現状がご
ざいまして、これに対しても、何らの対策は考えていく必要があるだろうということで、
この3点についてご議論をいただきました。
 最初の危険有害性情報の伝達でございますが、化学物質に関する労働災害というのは、
年間に大体600件から700件起こってございます。この中で危険有害な化学物質の容器に表
示がなくて、そういった情報が十分に伝達されずに情報が活用されなかったために労働者
が不安全な取り扱いを誘発してしまったと、そういったことが考えられるというのが、年
間30件ほど起こってございます。
 こういった中で、化学物質の危険有害性情報に関します国際的な動向といたしましては、
平成15年に国際連合の勧告でGHSというものが出てございます。これは報告書のほうで
申しますと、報告書の18ページに詳細が書いてございますので、後ほどお目通しいただけ
ればと思います。化学品の分類と表示に関する世界調和システム、GHSというものが定
められてございます。こういったものが勧告されてございまして、化学物質管理に関する
国際的な動向といたしまして、現在の、大きな流れを定めた幾つかの重要な会議がござい
ましたけれども、14年のヨハネスブルクサミットですとか、18年のサイカム(SAIC
M)、ドバイ宣言といったものがございますが、こういった中でも、このGHSに基づく
情報伝達をしっかりやっていこうじゃないかというようなことが書かれてございます。そ
ういったことを踏まえまして、対処していく必要があるだろうということが1つでござい
ます。
 それから2番目、化学物質についてのリスクアセスメント。これは平成18年の法改正で
導入していただいたわけでございますが、これにつきましても、この報告書の13ページを
ちょうどお目通しいただければと思いますけれども、やはり大企業1,000人以上の規模のと
ころでは、何らかの格好で9割のところがやっていただいているんですけれども、やはり
小規模、10人-29人といったところになりますと、半数ぐらいが実施できていないと。こ
ういう状況でございます。
 理由など伺いますと、やはりそれを実施するための人材がいない、時間がない。それか
ら、これは全国的な調査でないので、ここではご紹介しておりませんけれども、必要な情
報が入手できないと。例えば、この化学物質というものは、一人、化学産業だけではござ
いませんで、化学産業が川上といたしますと、そこからいろんなところに流れていきまし
て、あらゆる業種に及んでございます。あらゆる産業の基礎素材として使われてございま
すので、あらゆる産業で使われてございますので、川中、川下の皆さんは、上流の方に対
しまして、その情報をいただかなくてはいけないわけでございますが、その辺りの流通が
十分いただけていないというようなお話も聞いてございます。こういった課題がございま
す。
 3のその他の化学物質災害は、先ほどご説明したとおりでございます。
 こういったことを踏まえまして、どういった方向に展開していくべきであろうかという
ことをご議論いただいたわけでございますが、まず(「今後のありかた」の)1番目の危
険有害性情報の伝達及び活用の促進。こういうことに関しましては、国連の基準、先ほど
申し上げました国連基準に基づく危険有害とされる化学物質についてのラベル表示、MS
DS、こういったものを推進していくような取組を確立する必要があるんじゃないだろう
かと。
 今のところ、実はこのMSDSのみに関しましては、平成11年の法改正で導入していた
だきまして、現時点では640の物質についてMSDSを、情報等を提供するようにお願いし
ているところでございますが、これも幅広く危険有害性を持っている化学物質については
幅広く情報を提供していくようにお願いすべきではないだろうかということが、1つのお
まとめいただいた結論でございます。
 それから、それに併せまして、事業場内ですね。ただ今申し上げましたラベル表示、M
SDSといったものは譲渡提供時、事業者から事業者へ化学物質が伝達されるときに伴っ
ての情報提供だったわけでございますが、事業場内部におかれましても、それぞれの容器
などへの名称、あるいはできれば危険有害性なんかも含めたような、こういった情報のラ
ベル表示、こういったことをやっていただきたいということを考えてございます。そうい
ったことをご提言いただいているところでございます。
 それから、2番目のリスクに基づく自主的な化学物質管理の普及が不十分であるという
点に関しまして、まず1つには、先ほども申し上げましたように、人材がいない、あるい
はよく分からないといったものもございます。この化学物資のリスクアセスメント、私ど
も告示などを出して、あるいはガイドラインをお示ししているところでございますけれど
も、やはりなかなか難しいというお声がございます。これに関しましては、暴露モデルと
いうようなものをつくりまして、それに基づく簡便なリスクアセスメントができるような
方法、簡便なリスクアセスメント手法を開発し、普及していきたいということで対処して
いきたいと思っております。
 それから、そもそもの動機付けといたしまして、こういったリスクアセスメントをやっ
た結果に基づいて適切な化学物質管理をやっていただきたいというふうにお願いしている
わけでございますが、他方、私どもは過去のいろいろな流れもございまして、例えば、特
別規則でもちまして、百ちょっとの物質につきましては、基本的には局所排気装置を付け
ていただくだとか、測定をやっていただくと、こういったことをお願いしていったわけで
ございますけれども、この辺りに関しましても、そのリスクアセスメントを踏まえた、そ
の結果を踏まえた対策が講じられるような仕組み、もう少し性能要件化といいますか、柔
軟化を図っていくことが適当なのではないだろうかということをご議論いただきまして、
その観点から局所排気装置の要件を少し柔軟化できないだろうかというようなお話。
 それから、今申し上げましたように、基本的に局所排気装置を設置していただくという
ことでやってきてございますが、それ以外の発散抑制方法についても、その導入ができる
ような仕組みにしていってはどうだろうかというようなことが検討されてございます。
 それから、リスクアセスメントに関しまして、もう一つ戻りまして、先ほどの簡便なリ
スクアセスメントの手法ということも申し上げましたけれども、このほかにも、私どもの
基本的にこのリスクアセスメントといいますと、第一に思い浮かぶのは作業環境測定でご
ざいますけれども、今の私どもがお願いしていますやり方に加えまして、「場の測定」と
いうやり方をお願いしてございますが、それに加えまして、個人サンプラーによる測定と
いうようなことの導入も検討されたらどうだろうかということが出てございます。
 それから、こういった測定結果につきまして、労働者の皆さんにもきちんと周知すると。
こういうようなことを考えていく必要があるのではないだろうかということが、この2の
項目について、おまとめいただいたところでございます。
 それから、人材がいないというようなことに関連いたしまして、あるいは危険有害性情
報の活用ということでもそうなのでございますが、やはりこういったことの分かる人材の
育成というのは非常に重要であろうということで、3番目に専門人材の育成。それから中
小零細企業などにおかれましては、やはりそういう専門の人材を置く余裕がないというよ
うなところもあろうかと存じます。そういったところに関しましては、外部の専門機関が
お手伝いできるような、そういったことも考えていく必要があるのではないだろうかとい
うご議論がありました。
 それから、(「現状と課題」の)3番目のその他の化学物質災害。これに関しましては、
CO中毒などに関しましては、その防止対策を推進していくということでございます。こ
こには簡単に「防止対策の推進」ということを書いてございますが、ご議論いただいたと
ころでは、例えばCOのセンサーなどをできるだけ配置していただく。個人センサーが一
番いいと思うんですけれども、これはまた経費の問題もございますので、据え置き型でも
よろしいんですが、そういったセンサーを取り付けていただくようなことができないだろ
うかというようなご議論がありました。
 それから、屋外作業についての中毒災害。これにつきましては、ご案内のように、私ど
もの規制では屋内作業に関しまして様々な規制がかかりまして、屋外には基本的には余り
規制がかかってございませんけれども、やはり一部の塗装作業などなどでも中毒災害が起
こっておりますので、そういったところについて、屋外作業に対しても何らの措置を講じ
ていただくような、もう少し強化していくような方向が必要かなというふうにご提言をい
ただいているところでございます。
 以上、私からのご説明を終わらせていただきます。

○分科会長 ありがとうございました。ただ今の報告につきまして、ご意見等ございまし
たらお願いいたします。どうぞ。高橋委員。

○高橋(信)委員 化学物質管理の今後の在り方ということで、大変評価できる方向性を
持って臨んでいただいていると思っております。化学物質の規制といいまして、今説明に
もありましたようにMSDSですとか、あとGHSですね。それからPRTR、それから
GLP。最近に至っては、EUからリーチ(REACH)ですか、そういった規制のため
の枠組みといいますか、手段が適用されると。こんな状況にあります。産業現場では、そ
ういう規制がいろいろと各方面からかかるものですから、ある意味混乱といいますか、追
い付いていけないといいますか、そんな状況が見られるという感じを抱いております。そ
こでお願いしたいことは、ひとつこういったものの、例えば表示でも、評価でも、情報の
流れでもいいのですが、なるべく分かりやすく、実践しやすいような方向に整合をつけて
いただけたらありがたいと思います。場合によると、そういった規制、あるいは規則です
か、そういったものの見直しも含めまして、民間事業場で活用しやすくなるような、そう
いう枠組みを考えていただけるとありがたいと思います。
 例えば、それに付言しまして、届出もいろいろなところにジャンルを変えて届けないと
いけないとか、それのための調査をするということがありまして、こういったことも、そ
れをやっている立場、事業場側のサイドから見ていただいて、整合つくような流れにして
いただけるとありがたいと思います。それから、もう一点ございまして、今回、作業関係
の評価結果を労働者に周知するとか、局排の要件等の柔軟化と、こういうある意味規制の
緩和といいますか、悪いところは規制をかけていただいて、きちんとやれているところに
ついてはある程度現状を容認していくと。こういう動きも大変効率的で、いい動きだと思
います。その中で、特にお願いしたいのは、例えば作業環境測定ですね。これだけ厳格に
場の測定というのをやっている国というのは、よそではほとんど見られないと思います。
しかも資格者が精度を上げてやっておりますので、その結果においては、それを容認いた
しまして、例えば規制そのものじゃなくて、例えばそれを現状維持するにおいて、測定の
頻度を少なくするとか、あるいは、それをウォッチするという制度はあえて併せつくるこ
とが大事だと思います。 今回、専門人材の育成、専門機関による管理の促進というのが
ありますが、有資格者という方がいると思いますし、あるいは新しく養成するにしても、
そういう方が、ある程度担保されたものについて、ウォッチしている分については、そう
いった有資格者に管理をゆだねると、こんな姿があってもよろしいんじゃないかと思って
おります。以上、大きく2点でございます。

○分科会長 どうぞ。

○化学物質対策課長 ありがとうございました。まず、これから取り組もうとするものに
関しまして、分かりやすく、実践しやすいものを、というご指摘でございますけれども、
その点に関しては、実は実際に「あり方検討会」でも同様のご指摘をいただいてございま
して、例えば、情報提供の仕組みを新たに強化していくにいたしましても、そういったガ
イドラインをつくっていく。あるいは、リスクアセスメントに関しましても、今あります
ガイドラインを見直してやっていくというようなこともご指摘をいただいてございますの
で、そのように心得ているところでございます。
 それから、1番目といいますか、私の中では2番目になるんですけれども、届出の一元
化なども含めまして、各方面からいろんな規制がかかっているというご指摘でございます
が、これは私も全くそのとおりだと思っておりますし、そういう認識を持ってございまし
て、幸いに情報提供のGHS、この枠組みの上に関係省庁の連絡会議というのが持たれて
ございます。
 そういったところで、できるだけ関係省庁で、連携しながらやっていこうということを
お話をしているところでございますが、差し当たって、この危険有害性情報の伝達の仕組
みでございますが、この辺りなんかはまさに化学物質については、経産行政だとか、厚生
労働行政だとか分かれていますが、化学物質の特性そのものに何か変わるわけではござい
ませんので、そういったところはできるだけすり合わせをきちんとやって、現場のほうに
ご迷惑がかからないようなやり方を導入していきたいと考えておりまして、また各省から
もそういったご理解をいただいてございます。そういう方向で進めていきたいと思ってお
ります。
 それから、最後にご指摘いただきました、作業環境測定をきちんとやって、管理もでき
ているようなところに対します、何らのメリットというようなところでございますけれど
も、これも報告書の「あり方検討会」でまさにご指摘をいただいてございます。ただ、大
変申しわけないのでございますが、この部分、現在今ガチガチにやっているということに
なってございますが、それでもやはりぽつりぽつりと問題もあるところでございますので、
少し慎重にやっていく必要があろうかなと思います。ただ、そういう問題意識は持ってご
ざいますので、関係部署と連携しながらご指摘の趣旨に沿えるように検討してまいりたい
と存じます。以上です。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。瀬戸委員。

○瀬戸委員 先ほどのお話の、今後の在り方のところの3及び4のところでございます。
これはお願いということになろうかと思いますが、3の専門人材の育成・専門機関による
管理の促進というところで、例えば中小企業が専門機関による管理をお願いするような場
合に、その助成措置なり、そういったものを講じていただくような方向でご検討いただき
たいということと、あるいは先ほどお話のありました4のところの絡みで、センサーの設
置の話があったかと思いますが、これらの設置に対しましても、中小企業が設置するとき
に財政的な支援、あるいは政府系金融機関によります低利融資措置等をご検討賜れればと
いうふうにお願いでございます。

○化学物質対策課長 ご要望承りました。ただ、1つだけ申し上げておきますと、なかな
かこういう非常に財政厳しい中で、助成というのはどこら辺までやれるのかというところ
は、非常に難しい問題がありますということはご理解いただきたいと思います。そういっ
た中で、できるだけのことはやっていきたいと思っておりますが、例えば、センサーなど
などに関しましては、助成という方向では、直ちには私のほうで明確なことを申し上げら
れませんけれども、こういったセンサーを、できるだけ安いものをご提供いただく。こう
いった方向ではやっていただきたいということで、そういった工業会がございますので、
そういったところには繰り返し、より安いもの、安くていいものを提供していただきたい
ということをお願いしているところでございまして、そういった成果もぽつりぽつりと出
てきているようでございます。そういった方向での、できる努力をしていきたいと思って
おりますので、よろしくご協力お願いしたいと存じます。

○分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。ど
うぞ。

○土橋委員 自主管理の方向に進めていくということで、結構なことかと思うのですが、
特にリスクベースでいろいろ考えていくということで、そういう中で、多分これまでより、
より効率的な対策の方策が見えてくるのかなと思うのですが、ただ、そういう方策が見え
てきても、いろいろと規制がたくさんございますので、そういった中で実現不可能という
ことになってしまえば、自主管理をやるという動機付けも少し弱まるのかなという気がし
ます。ただ、今日の資料を見ますと局排の要件緩和とか、個人サンプラーの導入とか、そ
ういった動機付けにもつながることも考えていられるようですので、ぜひその辺の視点も
十分持っていただきたいと思います。
 もう一点は、リスクアセスメントです。今、やり方については、いろいろガイドライン
等出ておりますが、それらによるとドキュメントを非常にたくさん残さなければいけない
といいますか、やったこと一つ一つの細かい記録を全部残していくということになってい
ます。自主的にやるわけですので、もう少しその辺は自主性に応じて、最小限でも済むよ
うな形にしても良いのかと思います。リスクアセスメントの導入が、なかなか進みにくい
理由として、非常にやると大変で、たくさん文書を残さなければやったことにならないと
いうことも聞いておりますので、その辺もできれば検討していただければと思います。以
上でございます。

○化学物質対策課長 ありがとうございました。最初のご指摘につきましては、心得てま
いりたいと思います。それから、2番目のリスクアセスメントを進めるためにも、ドキュ
メントの少し見直しといいますか、整理ということでございますが、これも必要なことだ
と思いますので、心得て取り組んでまいりたいと思いますが、同時にこの自主管理をやっ
ていただくということになりますと、何をどうやった、なぜそうやった、ということがや
はり後になって必ず問われてまいりますので、どうしてもある程度ドキュメントが必要に
なってくる。法令に従ってやっていただくだけでしたら、法令どおりやっているか否かで
済む部分はありますけれども、自主管理を進めていくということになりますと、やはりあ
る程度の記録というものが必要になってくるということはご理解いただけると思いますが、
そういうことでご理解をぜひお願いしたいと存じます。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。どうぞ、豊田委員。

○豊田委員 今後の在り方につきまして、基本的にはこういう方向で、今後秋以降ご議論
したらいいのではないかなというように思いますが、何点か気づいた点をコメントさせて
頂きます。今回の資料2-5のの「現状と課題」欄の国際的な動向の所に、冒頭に、「全
ての危険有害の化学物質に・・・」と書いてございますが、多分これまとめる段階でいろいろ
修文したのでこうなっていると思いますが。この全てのという所は、それだけで単純に化
学物質にかかるのではなくて、あくまでも「今後の在り方」欄というところに書いてござ
います、「国連の基準である“GHS分類”を行った結果、危険有害性とされる全ての化
学物質」というように記載すべきと考えます。国際的な欧州のリーチ(REACH)にお
けるCLPでやっているのも、全てそういうやり方で行っておりますので、ここはちょっ
と丁寧に今後もこのような言葉の使い方を議論したほうがいいのではないかというふうに
思います。それから、今後、このGHSの分類によって、危険有害とされる全ての化学物
質について、ラベル表示なりMSDSということになりますと、結局、今後GHS分類と、
その出た結果を伝えるMSDS情報伝達は、対となりセットものになると思います。従来、
このMSDSにつきましては、今では640物質というのが規制対象になって、この数年来、
情報伝達促進運動をやってきたわけでございますが、この関連として私どもも厚労省から
の協力要請もあって、地方の化学物質管理に関する講演を支援させて戴いています。その
際、聴講者から質問をお受けしますと、まだこのMSDSという名前すら知らない人たち
がおられるということも事実でございます。
 ですから、先ほども言いましたが、この情報の伝達及び活用の促進に当たりましては、
こういう方針で促進していくというのはいいと思うのですが、この方針取組が円滑に機能
するためには、このような取組の確率に加えて、こういったGHSとかMSDSの普及教
育といいますか、普及のための仕組み構築、特に中小企業まで浸透させるということをや
らないと、本取組がトータルとして円滑になかなか機能していかないと思います。そこの
ところもひとつよろしくお願いしたいと思います。それから、このMSDSにつきまして
は、ご存じと思いますが、化管法、毒劇法、及びこの安衛法と、3つの法にまたがってお
ります。そういった意味では、事業者側から見ますと、縦割り行政になっておりまして、
例えば、初年度、労働安全衛生法で法が改正されまして、そのためにMSDSの書き換え
に着手したとしますと、また別途、例えば2年目に化管法でMSDSを改正されて、また
その対応をやらなければいけないとか、さらに毒劇法がまた3年目にあるとまたやらなけ
ればいけないということで、五月雨式にこういう法改正がありますと、それに引きずり回
されるということがございます。一例を挙げますと、MSDS交付対象が100物質追加され
ますと、それだけであるメーカーさんでは、30万銘柄物質をつくっておりまして、そのう
ちの10万銘柄ぐらいのMSDSの書き換えをやらなきゃいけないという事態も発生いたし
ます。それが五月雨式に出ますと、絶えずそれに引っ張り回されるということになる訳で
ございます。
 そういうことも含めて、今回こういう答申になっていると理解しておりますので、ぜひ
ともこれを自主的取組も促進しつつ浸透させていくというのがよい方向と思っております。
それから、もう一点は、今回の報告書概要の今後のあり方の2に書いてございますが、
「リスクに基づく自主的化学物質管理」という言葉がキーワードになっております。ご存
じのとおり、改正化審法も今までのハザードベースからリスク管理ベースに持っていきま
しょうと大きく舵を切りました。そういった意味では、この労働安全衛生関係もリスクと
いうことをキーワードに推進していくというのは時代の流れであって、適切な対応と思い
ます。
 特にこの自主的という言葉は、非常に大事と思っております。今日冒頭、厚労省のほう
から平成21年の災害状況が対前年比減少傾向とのご説明がございました。私は、この減っ
ている1つの理由に、やはりヒヤリハットとか、危険予知とか、そういった現場の自主的
な管理が地道に効果を出しているということもあると思います。そういった意味でも、や
っぱりこのような自主管理を促進していくというキーワードは重要じゃないかなと思って
いますので、ぜひともその点、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

○化学物質対策課長 4点ご指摘いただきましたが、最初の全ての危険有害な化学物質の
定義は、ただ今委員からご指摘いただいたとおりでございます。GHSに従って分類した
結果、何らかの危険有害性があるものということでやっていきたいと考えております。そ
れから2番目にご指摘いただきましたラベルMSDS等々の表示の浸透、これのための必
要な施策、例えばデータベースの構築ですとか、そういったことにつきましても取り組ん
でまいりたいと思っております。それから、今の2番目のご指摘とも関連いたしますが、
3番目の縦割りになっている部分というところですね。この部分は、先ほど私、この資料
の2-5をご説明する中でも申し上げましたけれども、この辺りは私ども関係省庁とも十
分に認識してございます。関係省庁連絡会議の中でも、この部分は、今後物質の追加等々
に当たりまして、あるいはこういう表示、情報伝達の仕組みの改正などなどにおきまして
は、早めに情報を共有し、かつ関係方面にも発信していくようにと、ご協力をいただきな
がら進めていくということを合意してございますので、その辺を間違いなく進めていきた
いと思っております。4番目のご指摘につきましては、自主的管理の重要性。これに関し
ましては、十分に心得て取り組んでまいりたいと思っております。ありがとうございまし
た。

○分科会長 どうもありがとうございました。ほかには、よろしいでしょうか。
 それでは、以上、平成17年の安衛法改正の附則に基づきまして、秋以降検討会の報告が
まとめられた項目等について、当分科会において検討していただきたい旨が事務局から提
示されております。 それ以外の項目につきまして、労使それぞれの、この点についても
議論すべきであるというようなご提案がございましたら、よろしくお願いいたします。い
かがでしょうか。これ以外の点で、特にございませんか。
 ない様でございますので、それでは検討すべき項目が多い様でございますので、秋以降
の議論を円滑に進めるために、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、各項目
の検討項目と、主要な論点について整理していただきまして、次の検討会に資料として提
出いただきたいと思います。次回は、その資料を基に、検討項目等について全体的な議論
をしていただくとともに、そのほかもし報告すべき事項がございましたらば報告していた
だくことにしてまいりたいと思います。そして、次々回から順次個別の項目について議論
に入っていきたいと思います。ということでよろしいでしょうか。
 
(異議なし)

ありがとうございます。それでは、本日の分科会はこれで終了いたしますが、議事録の署
名につきましては、労働者側の代表は??橋孝行委員、よろしいですか。使用者代表は、高
橋信雄委員にお願いするということでございますので、よろしくお願いいたします。それ
では、本日、お忙しいところ、大変ありがとうございました。これで終了いたします。ど
うもありがとうございました。

(照会先)
厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課
03-5253-1111(内線5476)


(了)

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