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2010年8月3日 第3回石綿による疾病の認定基準に関する検討会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成22年8月3日(火)17:00〜18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 労働基準局会議室(16階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

(参集者:五十音順、敬称略)

審良正則、神山宣彦、三浦溥太郎、宮本顕二、森永謙二

(厚生労働省:事務局)

田中誠二、神保裕臣、渡辺輝生、幡野一成、笹川康成

(環境省)

佐々木孝治

○議事

○笹川中央職業病認定調査官 定刻となりましたので、石綿による疾病の認定基準に関する検討会を開催したいと思います。検討会を開催する前に、傍聴されている方にお願いがございます。携帯電話などにつきましては、必ず電源を切るかマナーモードにしていただくようお願いします。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、会議の間はこれらの事項を守っていただくようお願いいたします。万一留意事項に反するような行為があった場合には、当会議から退室をお願いすることがありますので、あらかじめご了承ください。
 それでは、これより「第3回石綿による疾病の認定基準に関する検討会」を開催いたします。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、感謝申し上げます。
最初に、今回から本検討会にご参集いただいた先生をご紹介します。東洋大学経済学部教授の神山宣彦先生です。労働衛生がご専門です。
なお、岸本卓巳先生におかれましては、本日の検討会についてご欠席の連絡をいただいております。また、今回からオブザーバーとして、環境省環境保健部石綿健康被害対策室の佐々木室長補佐にご出席いただいております。
 最後に、7月30日付で人事異動がありましたので紹介させていただきます。私は、中央職業病認定調査官の笹川でございます。よろしくお願いいたします。なお、写真撮影等は以上とさせていただきますので、以後写真撮影等はご遠慮ください。
 それでは、座長であります森永先生に議事の進行をお願いいたします。
○森永座長 議事に入る前に、資料の確認をお願いします。
○笹川中央職業病認定調査官 それでは、資料の確認をお願いします。本日の資料は、資料1「びまん性胸膜肥厚の論点」、資料2「石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会報告書(抄)」、資料3「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方報告書(抄)」、資料4「Report by the Industrial Injuries Advisory Council in accordance with Section171 of the Social Security Administration Act 1992 reviewing the prescription of the asbestos-related diseases(抄)」、資料5「平成21年度石綿健康被害救済制度に関する海外動向等調査業務報告書(抄)」、資料6「GUIDELINES FOR THE USE OF THE ILO INTERNATIONAL CLASSIFICATION OF RADIOGRAPHS OF PNEUMOCONIOSES Revised edition 2000(抄)」、資料7「石綿による疾病の認定基準について」となっております。資料の不足等はございませんか。以上です。
○森永座長 第1回、第2回は呼吸機能でしたが、それ以外のこと、びまん性胸膜肥厚についてこれから検討するということで、今回新たに労働衛生の専門の神山教授に参加いただいたということです。それでは、事務局から資料1の説明をお願いします。
○幡野職業病認定対策室長補佐 資料1「びまん性胸膜肥厚の論点」に書いてあるとおりですが、まず現行についてです。資料7に認定基準がありまして、4頁にびまん性胸膜肥厚の認定要件の具体的なところが示されております。(1)のアですが、胸部エックス線写真で、肥厚の厚さについては最も厚いところが5mm以上あり、広がりについては片側にのみ肥厚がある場合は側胸壁の2分の1以上、両側に肥厚がある場合は側胸壁の4分の1以上あるものであることが要件となっております。
 現行の認定基準のここの部分の要件ですが、平成18年2月、資料3「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方」の報告書の中で紹介されているイギリスの補償対象の基準を参考に決められたということです。資料3の22頁の上のほうに、イ「診断というところがありますが、その第2段落で「胸膜肥厚の程度については、いまのところ定まった見解はない。石綿ばく露者のびまん性胸膜肥厚について、イギリスでは1996年、その補償対象の基準の改訂について勧告が出され、1997年に改訂されている。その基準は、「厚さについて最も厚いところで5mm以上、広がりの範囲については、片側の場合は胸部単純写真で側胸壁の2分の1以上、両側の場合は同様に4分の1以上」となっております。こちらを参考にして決めたものです。その後、イギリスにおいて基準を改訂しており、資料4をご参照いただければと思いますが、「肋横角の消失を伴う片側性もしくは両側性のびまん性胸膜肥厚」を補償対象としているという状況です。
 資料4ですが、その中では、ここに関しては非標準的な胸部単純エックス線が多用されており、胸膜肥厚の程度の測定によって確定が行われるびまん性胸膜肥厚の診断が複雑化していると、その中で胸部単純エックス線における肋横角の関与に基づいて、びまん性胸膜肥厚の診断を確定するように、という記載があります。このような画像についての認定要件の是非が検討課題であり、論点であるということです。以上です。
○森永座長 いまの説明で、何か質問はございますか。
 資料4ですが、20頁からが具体的なびまん性胸膜肥厚の話です。もう1つは、4頁のいちばん下の所がびまん性胸膜肥厚の話です。イギリスは医療制度も日本と全く異なります。日本ではCTの普及がすごいですが、イギリスはそうではありませんし、その辺の医療制度の違いも考慮に入れなければいけないと思います。宮本委員、肋横角がつぶれているということは、呼吸機能が悪くなる1つの要因と考えていいのですか。
○宮本委員 要因の1つなのですが、私はそこだけに着目する理由はないと思っています。胸膜肥厚で肋横角のところまで病変が進行すると、かなり病変の程度が強いという意味で判断しているのではないかと捉えています。通常は、結核後遺症とか胸水の癒着では、肋横角のところだけ出てきますが、それはほとんど呼吸機能には影響しません。あくまでびまん性胸膜肥厚という病態の中で肋横角まで病変があるということで、ただ単純にそこだけをとると呼吸機能には反映しないと思っています。
○森永座長 単純のレントゲンで、あまり知らない人が脂肪の影を肥厚と読むことが多いですね。その場合、むしろ肋横角がつぶれているほうが、単純だけで見た場合、石綿関連疾患のこのところはあまり理解されていないですね。審良委員、何かご意見はありますか。
○審良委員 胸膜プラークとの鑑別で、胸膜プラークの場合は肋横角が大きくなってもなかなかつぶれないのですが、びまん性胸膜肥厚となると、普通はそこから先にやるというか、ひどくなってそこに行くことはまずないのではないかと思います。
○森永座長 三浦委員、何かコメントはありますか。
○三浦委員 単純写真で判断するときに、特に脂肪で肥厚したものも、イギリスの前の基準だと、そのまま石綿による胸膜肥厚と言っている人がいるのだろうと思うのです。そうしますと、脂肪だけですと明らかに肋横角がきれいに残る。審良委員がおっしゃるように、胸膜プラークだけなら肋横角のところはつぶれませんので、これもきれいに残っていると。
 ただ、日本では、CTを使えばもう少し肋横角がつぶれていないタイプのびまん性胸膜肥厚があることはあるのですが、極めて数が少ないのです。イギリスではCTを判断基準にしていませんので、単純写真は胸膜プラーク、あるいはそれ以外の肥厚様の所見を呈するものとの鑑別には、肋横角がつぶれるという要件がむしろ必要なのかなと考えています。
○森永座長 ひどいというか、広範囲なプラークをびまん性胸膜肥厚と間違える人もいますね。プラークの診断基準があまりはっきりしていないものですから、そこが誤解を招くところがあるのでしょうけれど、プラークについて単純のフィルムで基準を作るのは難しいですね。
 それで参考になるのは資料6です。これはILOが2000年に1984年のものをリバイズしたもので、そこで「プラーク」と「びまん性胸膜肥厚」との言葉はきちんと分けるようになったのです。それまでは、スケッチのところにありますが、「Pleural abnormalities」となっていて、その下に「plaques」と「pleural thickening」と2つにきちんと分けるようになったと。1984年のものは、そこまではっきりしていなかったのですが、いちばん後ろのAPPENDIX Dにはプラークのスケッチはあるけれど、diffuse pleural thickeningのスケッチはないということで、見慣れた先生はわかるのですが、見慣れていない先生はしばしば間違いを犯しやすいと。そこがきちんと鑑別できるような解説も、併せて必要かなということだと思います。
 もう1つ、良性石綿胸水の問題がありますね。三浦委員、その辺についてはいかがですか。
○三浦委員 びまん性胸膜肥厚の半分以上は、良性石綿胸水が治った後に出現してくると。また、完全に治らないで、胸水が残存している症例も結構ありまして、その症例が同じようにびまん性胸膜肥厚に移行してくると。こういう例が結構ありますので、良性石綿胸水の場合には肋横角が必ず鈍になって、そこが肥厚してきますので、それは最初からわかりやすいのだと思います。
○森永座長 どうしても水が引かない例をどう扱うかという問題も、今後この検討会で扱う必要があるということですね。論点にそれを1つ加えましょう。良性石綿胸水で水が引かなくなってしまった場合に、それをどう扱うかを、むしろびまん性胸膜肥厚としたほうがいいということですかね。それを論点に加えましょう。
○神山委員 質問ですが、上の従来の基準を下の肋横角云々の場合にしたときに、CTではなくて普通のでということですが、端的に言って厳しくない方向へ行っているのですか。いろいろなケースがある中で、いまの情報だけで端的に考えると、一切上の肥厚の厚さなども指標として入れないわけですね。鈍化した指標だけで、胸水が残っている部分はどうするかという問題があるかもしれませんが、易しい方向へ行っているのですか、厳しい方向へ行っているのですか、どちらでしょうか。
○森永座長 変わらないのではないですか。むしろ、わかりやすくする必要がある。
○神山委員 もちろん、そうでしょうね。もし、仮にですが、こういったときには上のような指標を全く見ないのか、参考にしつつ鈍角を見ていくのか、その辺はどうなるのかという問題はありますね。
○森永座長 広がりは参考にしたほうがいいかもしれませんね。
○三浦委員 広がりは参考にしたほうがいいですね。
○森永座長 厚さをここまで厳密にする必要はないと考えていいのでしょうか。
○三浦委員 いちばん最初にイギリスで5mmとしたのは、ILOの記載の基準が5mmだったのです。その後、2000年のILOの改定のときに3mmになったのです。3mm以下でも肥厚はありますので、それによって呼吸機能障害がどれだけ来るかという、むしろそちらを日本は基準にしているのですが、イギリスの場合はあまり厳密に呼吸機能障害のことを言っていないのです。画像所見だけで認定する形になるのだろうと思います。
○森永座長 このチェックシートを見ますと、胸膜肥厚は3〜5mmと、5〜10mmと、10mm以上という分類で、広がりも4分の1まで、4分の1から2分の1、2分の1以上をチェックしょうという案になっているのです。
○神山委員 それはILOがですね。イギリスはその後に改定しているわけですね。ということは、それを見ないという、これだけで行くということにしているわけですね。
○森永座長 そうですね。特に厚さはあまり厳密にする必要はないと思いますが、広がりはある程度参考にしたほうがいいですね。プラークとの鑑別の問題が出てきますから。
○神山委員 もし、仮に一切ほかのものを見ないでこれだけと言ったら、かなり易しくなっていると素人は考えますが、そうでもないのですか。いろいろなケースを全部ここに含めて、この指標1個で見ると受け取れますね。でも、肥厚がなくてこれがあるというのは、あるのかないのか、それは専門的に。
○森永座長 もう1つ、イギリスの場合は石綿関連疾患になると、いわゆる一般のGPから専門病院へ移ります。そこの専門医が診断を下しますから、かなり信頼性は高いです。でも、日本の場合はわかっていない先生がわかっていない診断名を付ける、極端に言うと、胸膜プラークがあれば石綿の肺だと。そうすると、石綿の肺の「の」が抜けて、「石綿肺」になってしまうのです。いまでも、そういう間違いがものすごく多いのです。それは制度が違うので、イギリスの場合は、びまん性胸膜肥厚ということになれば専門病院で専門医が診ますから、診断に間違いはない。
○神山委員 条件があって成り立つものが、そういう条件がなくてこの基準だけというと、危険性はありますね。
○森永座長 広がりは、参考にはしたほうがいいと思うのです。その代わり、日本はどこでもCTが撮れるわけです。だから、医療制度の問題は、イギリスの場合と日本の場合とで違うということは、基本的な知識として持っておいて理解しないと、ただ英語の文章を読んだらわかるかというと、そうではないと。ですから、日本の制度に合ったものを作らないといけないということです。もう1つは、いろいろな諸外国のものも検討しないといけないと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 私の頭の整理のために確認したいのですが、イギリスのものは、びまん性胸膜肥厚があって、それが肋横角の消失を伴う程度のものである場合が補償の対象となるという理解をしたのですが、いまの議論は、びまん性胸膜肥厚の定義に関係する議論のような気がするのです。びまん性胸膜肥厚の定義というのは、イギリスのものからすると、要は肥厚が少しでもあればびまん性胸膜肥厚ですと。そのうちの肋横角の消失を伴う程度のものを、補償の対象にすると言っているように読めるのですが、そういうものではないということですか。
○森永座長 イギリスの場合は、呼吸機能の障害の程度に応じた補償をしているわけで、All or Nothingの補償ではないのです。
○渡辺職業病認定対策室長 びまん性胸膜肥厚の定義は、もうはっきりしているという整理なのでしょうか。
○森永座長 疾患の概念の定義ははっきりしています。ですが、具体的に診断に用いるような基準はないですね。
○審良委員 肋横角の消失しかないかなと。
○渡辺職業病認定対策室長 つまり、びまん性胸膜肥厚というのは、肥厚があって、それがある程度の厚さや広がりがあって、初めてびまん性胸膜肥厚と言われるのか、それとも肥厚が少しでもあれば、一応びまん性胸膜肥厚と言われるのか。我々の制度も、本当に少し肥厚ができただけでは補償しないのです。ある程度の進行度と、もう1つ大きな要件として呼吸機能の低下。だから、いくらひどくても、肺にいっぱい肥厚ができていたとしても、呼吸機能の低下がなければ補償はしませんという意味で、そこは1つ押さえられていますから。
○森永座長 イギリスも、実際はそうなのです。呼吸機能がある程度低下している人についてだけ、生活レベルに障害を来す程度の分だけ補償する考え方なのです。びまん性胸膜肥厚がレントゲンで間違いなくあったとしても、その所見があっても生活に全然支障がなければ、これは補償しないというのがイギリスの考え方です。
 日本の場合は、程度に応じてという考え方ではなくて、ある一線を超えたら補償しましょうと。そこのラインで決めているわけですから、それが著しい呼吸機能障害だということになるわけです。そうすると、著しい呼吸機能障害を伴うようなびまん性胸膜肥厚というのは、おそらく広がりが少なくとも両側では4分の1以上、片側では2分の1以上ないと、呼吸機能も悪くならないでしょうというのはありますね。画像も、所見もある程度は呼吸機能障害に反映しますが、すべて反映されるわけではないので。
○三浦委員 これは、びまん性胸膜肥厚の定義そのものは変わっていないみたいなのです。いちばん厚いところで、5mm以上と書いてありますから。それに、プラス肋横角が鈍になっているということが認定条件で、イギリスのほうはいままでよりは厳しくなっていると。先ほど言ったように、胸膜プラークだけの症例とか、脂肪性の肥厚のように見えるものとの鑑別とか、そういったことがクリアに単純写真でわかりますから、それでこういうものが加わった可能性はあるだろうと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 この資料はなかなか読みにくいのですが、資料4の23頁のAPPENDIX1が旧来の基準で、これのD9のところに旧来の要件がいろいろ書いてあって、APPENDIX3というのが27頁から始まっていて、これのD9のところが新しい基準と読んだのですが、そうではないのですか。前のD9が新しいD9に変わったと、だから前の何mmとかというのはやめて、新しくD9を作ったのだと読んだから、前の厚さとか広がりは全部やめたという形に変わったと我々は理解したのですが。
○森永座長 それはリコメンドした結果、結論はまだ聞いていないけれど、結局厚さは。
○神山委員 厚みがなくなっただけですよね。5mmというのが外してあるだけで、Unilateral or bilateral diffuse pleural thickeningというのが付いているから、肥厚所見はあるけれど、5mmというのを外して、肋横角の鈍化みたいなものが5mmの代わりに加わっていると読めるのですが、そうでもないのですか。
○森永座長 広がりも取ってしまっているのですが、目安としてはいいと思うのです。日本の場合は、著しい呼吸機能障害があって認めますから、広がりは参考にしたらいいと思います。4頁のいちばん下の5に書いてありますように、non-standard plain chest radiographsがどんどん増えてきたと。つまり、GPなどで使うCRなどが、70%サイズのものとかそういうものが出てきて、厚さを厳密に測定できないという話になってきているということが、おそらく事実としてあると思うのです。
 日本の場合も、じん肺法に基づく健康診断であれば、原寸大のフィルムを撮らないといけないことになるのですが、じん肺がなければ、小さいフィルムを出してこられても突き返せない。
○渡辺職業病認定対策室長 それは撮り直してこいと言うことは可能ですし、我々が指定する病院でもう一回撮り直すことも可能なので、そこの部分の問題はないだろうと思うのです。ですから、必ず標準フィルム並みのものがあれば、ちゃんと持って来いと。もしないのだったら、うちの費用でやるから、労災病院に行ってくださいと言うことはできるので、そこの問題はないだろうと思います。
○森永座長 広がりは、日本の片側の2分の1とか両側の4分の1というのは、もともと目安です。だから、目安はいいと思うのです。厚さは5mm程度というぐらいで、厳密に5mmでなければいけないと、そこはあまり厳密に言わないほうがいいと。
○審良委員 5mmを入れると、ものすごく区別されるのです。びまん性胸膜肥厚があっても、5mmという値でカットというか、びまん性胸膜肥厚の人が入らなくなる可能性があります。胸部写真で4〜5mmというのを撮っているので、CTで読むと側胸壁で読むから5mmというのを撮るけれど、実際CTで何枚も撮っていると、前側が5mmになっている所とかいろいろあるので、そこが反映されなくなるのです。胸部写真ではこれしか方法がないのかもしれないのですが、実際のCTでは3mmでも2mmでもちゃんと写ってくるので、びまん性胸膜肥厚はCTを撮ればかなりわかりますが、胸部写真では2mmとか3mmの胸膜肥厚が理解できないのです。
○森永座長 だから、むしろびまん性胸膜肥厚を正しく診断するには、CTが必要なのです。それはそう言いたいですね。しかも、日本はCTがいっぱいあるのだから。
○渡辺職業病認定対策室長 先ほどの話に戻りますが、プラークとは違う肥厚があれば、それは一応びまん性胸膜肥厚です。それのある程度進行したものというか、呼吸機能障害を生じる程度に進行したもので、かつ本当に呼吸機能障害があるものという感じですね。
○森永座長 そうですね。それと、もう1つ水が引かなくなってしまった例。これもCTを撮ればよりはっきりしますね。単純エックス線で厚さだけ見たってびまん性胸膜肥厚はわからないので、ちゃんとCTで裏づけを取ってくださいということは必要ですね。石綿関連疾患はCTが必要なのです。普通のじん肺は要らないけれど。
○渡辺職業病認定対策室長 では、診断に用いる写真としては、CTを中心に見るのだということで、そうすると、当然CTだと厚さの基準が正確に作れないので、角度の基準で消失を条件としてやると。
○森永座長 両方ですね。肋横角がつぶれているものは、単純エックス線のほうがわかりやすいし。CTと単純エックス線と、両方要りますね。
○審良委員 CTがメインですが、総合的に見るには、胸部写真を見てCTを見れば、両方で総合理解ができます。
○森永座長 それは言っておかないと、最近は場合によっては単純エックス線を撮らないで、CTだけ出してくる機関が出てきているのです。それは両方出してくれと言わないと、両方出てこない。審査会などでも、単純エックス線のフィルムと両方見て総合評価しなければならないので、両方要ると言わざるを得ないと思います。
○神山委員 CTを撮る場合、3mmでも2mmでも写る可能性があって、申請者にはメリットになるわけです。CTで撮ったほうが高感度で撮れるので、肥厚が発見しやすいと。
○森永座長 プラークだけの人でも、CTでびまん性胸膜肥厚が出てくる例がたくさんあるのです。
○神保補償課長補佐 そうですね。それとの区別もつくし。
○森永座長 つけて出してもらわないと、患者にとっても気の毒ですよ。「あなたはびまん性胸膜肥厚があるから申請しなさい」と言われても、プラークだけだったら通るわけがないので、現実はそうして間違えているものが多いのです。そこはそういう解説も加えないと、石綿関連疾患は誤解がいっぱい生じていることが多いのです。
○神保補償課長補佐 2点ほど教えてほしいのですが、いまの議論の関連で、なぜ変えるのかという話です。イギリスは標準エックス線フィルム以外のものがいっぱい出てきて、見るのが大変ということで変えましょうと。ILOの2000年のものを見ると、そんな理由ではなくて、それこそプラークと鑑別が必ずしもできるとは限らないので、肋横角の消失があったものだけびまん性胸膜肥厚という区分をするのですよ、と書いてあるように読めるのです。資料6の7頁で、「is not always possible」「 pleural thickening」とありますが、それが必ずしもいつもできるわけではないのですと。肋横角の消失が存在しているものだけ、そういうことにしたのですと書いてあって、変えるとすればこちらのほうが。先ほどの話だとイギリスは単純エックス線フィルム、CTがほとんどないというので、なぜ変えるのかというのは、日本でなぜ変えなければいけないのかという理屈からすると、こちらのものなのかなと。
 ただ、心配なのは、先ほども若干出たのですが、上に肋横角の消失はびまん性胸膜肥厚がなくても起きることがあると書いてあるので、びまん性に肥厚している、プラス肋横角の消失というのが要件になるのかなと。
○三浦委員 肋横角の消失そのものは水だけでも起きてきますし、いろいろなことで起きてきますから、全く同じものではないですね。違う要因で、いろいろな要因で起きてきますから、要するに逆は真ならずと言っているのだと思うのです。これはILOのほうですが。
○森永座長 ILOでは、3mm以上だけを記録しましょうと、3mmというのが一応基準になっているわけです。3mm以上でも間違いが入ってくることもあるのですが、できるだけ正しい診断に結びつくような、わかりやすい物差しを作ろうということになると、あまり厚さはギシギシ言う必要はないと、それは言えると思います。
○神保補償課長補佐 それとの絡みですが、その要件というのは何のために見るのか。1つお話が出たのは、呼吸機能障害の器質的な裏づけみたいなものとして設定するのか、それともびまん性胸膜肥厚ですよという診断を、例えば胸膜プラークとの関係で、これがないと胸膜肥厚と言えないのだということを設定するために、そういう要件にするのか。それによってどういう意味を持たせるのか、そこを意識すると、呼吸機能障害の裏づけみたいな形なのか、あるいはどちらもということかもしれませんが、胸膜プラークではなくてびまん性胸膜肥厚だと言うための要件なのか。
○森永座長 それはいろいろな論文も当たって、はっきりさせてみようかなと。いままでは、どちらかというと個々の経験上で言っていて、3年というのもいままでの過去の例だけを見てやってきたわけで、落ち着いてきたからゆっくりちゃんとしましょうというのが本心ですが。
○宮本委員 いまの肋横角のことですが、胸膜肥厚があって肋横角まで病変が及びいわゆる肋横角がつぶれた状態のものをびまん性胸膜肥厚というのであって,肋横角まで病異が及ばない胸膜肥厚はびまん性胸膜肥厚とはいわない、というニュアンスで私も読んでいました。ただ、問題なのは肋横角の項のAPPENDIXを見てもわかるように、肋横角が少し鈍化しているものと、胸膜が厚くてがっちりしているものでは全然病気が違うのです。資料6の最後の33頁ですが、肋横角が鈍になっている所がごく少しのものもあれば、かなり胸膜が肥厚してきているものもあるということで、単に肋横角が鈍化しているというだけで判断すると、誤解を受ける可能性がある気がします。ほんのわずかなものは、肺気腫の人でも過膨張の場合も出てきますし、ごく軽い胸膜炎を昔やった人でも必ず残っていますので、肋横角のところをあまり強調すると、かえって混乱が生じないかなと。基本はCT等で確認したびまん性肥厚があって、そこに肋横角の部分をはっきり認めないものは駄目だというニュアンスではないかと理解していたのです。間違っているかもわかりませんが。
○森永座長 宮本委員のおっしゃることは間違いないと思います。ちょっとした鈍化で、著しい呼吸機能障害は出てこないですよ。
○宮本委員 ただ、先ほど私が言ったのは、わずかなものはそこだけでは出ないので、APPENDIXの真ん中のように胸膜の肥厚が強くて、肋横角までかなり巻き込んでいるものは、呼吸機能障害として出ると思うのですが。
○森永座長 だから、ここは広がりは目安にしたほうがいいとは思うのです。イギリスの場合、それをみんな取り払ってしまったのは。
○三浦委員 イギリスのは、胸膜肥厚については定義を何も書いていないのです。ですから、5mmという案件はなくなった確率は高いのですが、ILOの3mm以上をびまん性胸膜肥厚として記載するというのはずっと残ると思いますから、その程度の肥厚はある程度必要だろうと思います。ただ、厳密に3mmは要らないと思います。いずれにしても、最も厚いところでというのがつくので。むしろ単純写真を見ないと肋横角の消失は言えないので、CTだけですと逆に見にくいですから、単純写真があくまで基本であると。だけど、胸膜肥厚というときには、特にびまん性胸膜肥厚は臓側胸膜肥厚というものですから、日本ではどうしてもCTが必要であろうと。
○神山委員 確認ですが、論点の下の、イギリスではその後にどう基準を改正して、かぎ括弧の中は資料4の29頁のD9の英語をそのままきれいに訳したものだと思いますが、いま問題にしている呼吸機能は、イギリスは撤廃してしまっているのですか。プラス呼吸機能が落ちているというのはないのですか。
○森永座長 イギリスの資料4の20頁のいちばん上に。
○神山委員 呼吸機能はプラスがあるのですね。
○森永座長 もちろん、呼吸機能の程度によって、1998年から2000年の間にびまん性胸膜肥厚として認定された例の88%、障害の程度が14〜100%、11%は1〜13%で、1%はdisablementもないと書いてあるのです。だから、障害の程度によって違うと。
○神山委員 これで補償額を変えているということですね。
○森永座長 そうです。だから、1%以下はなしだと。認定はしたけれど、補償はない。
○神山委員 前提がびまん性胸膜肥厚のビジュアルなほうで、補償は呼吸機能のほうでグレードを決めているみたいなニュアンスがあるのですね。
○森永座長 そうですね、呼吸機能中心でということですね。2002年までの認定基準でいけば、ほとんどが何らかの障害がある人だと。14〜100%の障害の人がほとんどだけれど、あまり障害の程度がない人も1割ほどいますよという意味なのです。だから、これだけの厚さと広がりがあっても、あったらすべてひどい障害があるかというと、必ずしもそうではない人も含まれていますよと。イギリスではある程度の損傷があれば、その損傷分だけを補償するという考え方だから、補償はしていますよという考え方なのです。
○環境省佐々木石綿健康被害対策室長補佐 事実関係について教えていただきたいのですが、今回の論点で、イギリスでは基準を改訂し補償対象としていると明記されていますが、今回ご提示いただいている資料4はAdvisory Councilのレポートですから、審査会答申みたいな位置づけなのかなと思っていたのですが、実際にこれは制度化されていて、運用されているという理解でよろしいですか。それが1点です。
○森永座長 運用されていると理解していますが、確認を取ってみます。
○環境省佐々木石綿健康被害対策室長補佐 2点目は、同じ答申の中で、具体的に20頁でPD D9でpleural thickeningが取り上げられていますが、変えるときのきっかけになったのが「Evidence received」というパラグラフ70の真ん中辺りで、「The experts suggested that involvement of the costophrenic angles could be used as a diagnostic indicator for」びまん性胸膜肥厚という言い方をされています。その前座に、いろいろサイズのラジオグラフがイギリスで使われているという現状を踏まえてのsuggestionにも聞こえなくもないのです。このsuggestionの内容がどういったエビデンスをもってされているのかが、興味・関心のあるところかなと思っています。
 何をもってこういったsuggestionをされたのかといったところで、それを受けてこのCouncil Reportで「The Council Recommended that」と言って、72番で具体的な、後の表に出ている基準の内容が出てきているという構造になっているのかなと思っていますので、このexpertsが何をもってsuggestionされているのか、その具体的なところは知りたいなと思っています。
○森永座長 イギリスは、最初は両側の肥厚を認定基準の要件にしていたと思うのです。両側でなくても、ある程度の呼吸機能の障害が出るという例が出てきたので、今度は両側という認定基準は取り払って、片側でもいいと。ただし、片側の場合は広がりがある程度大きくないと、と書いてあるのです。
 今度は、さらに単純のフィルムが厚さを測れるような、標準的な原寸大でないものがどんどんポピュラーになってきて、おそらく審査をやっているわけです。日本で言うじん肺審査会みたいなものがあるわけです。そこで単純のフィルムで原則的にやっているのだと思うのです。そのときに、厚さよりも肋横角が、この場合の「obliteration」はきちんとつぶれているという意味だと思うのです。鈍化ではないと思うのですが、訳はそういう意味ですよね。
○宮本委員 何と訳していいのかわかりませんが。
○森永座長 鈍化ではなくて、きちんとつぶれているものですよね。そういう意味だと思います。今度はそのように変えたという、歴史的な経緯があると。ただ、このときは、いまはIIACのsecretariatのチーフは、医者ではない。前は医者だったのですが、いまは変わっています。しかし、平成18年以降の論文も出てきていますので、それも含めて、今回できるだけレビューをして見直しましょうと。厚さについては、先ほどから言っているように、あまり厳密にしなくていいだろうということで、論文はあまり多くなかったのです。だんだん出てきていますので、もう一度きちんとやりましょうということですので。
 ほかに何かご意見、ご質問はございますか。なければ、それぞれの先生方にそれぞれの分野のものをレビューしていただいて、まとめていきたいと思いますので、次の検討会までに原案を出して、それを基に叩いてまとめていくという手順でやりたいと思いますが、よろしいですか。
○宮本委員 1つ質問ですが、あくまで今回のものは、びまん性胸膜肥厚と診断をして、補償につなげるかどうかのためのものですよね。呼吸機能検査は基準がすでに決まっていますから。
○森永座長 それも併せて見直すべきだったら、見直す部分を言っていただければ。
○宮本委員 例えば、びまん性に肥厚して、CTで測って、いままでは5mmとか基準があったけれど、1mmでもびまん性になるということで、診断が確実にできるのだと。でも、1mm程度だと%VCが60%以下ということはないのであれば、かえって該当する症例が増えるだけですよね。ですから、そこでびまん性胸膜肥厚の診断を正しくつけることと同時に、呼吸機能との関連でごく軽いものを引っかけても、補償には結びつかないこともあるので、その点を踏まえての考え方でいいのか、それとも、ただびまん性胸膜肥厚の診断をきちんとつけるための。
○森永座長 石綿によるびまん性胸膜肥厚があれば、健康管理手帳の対象になるのです。補償ではなくても、健康管理手帳の対象になるので、できたら併せて正しい診断ができるようにすべきだと思います。
○宮本委員 わかりました。
○森永座長 そこまでやる必要はないかもしれませんが、手帳のことをやろうと思ったら、前提の診断のところが大事ですから、やらざるを得ない。じん肺の所見がなくて、びまん性胸膜肥厚だけの場合の呼吸機能の扱い方はとりあえず暫定的に決めましたが、もっとサイエンティフィックにリーズナブルなものがあれば、それに変えることはやぶさかではないと思いますので、そのことも含めて一緒に見直しをできるものならしたいと思います。目安として、次の検討会のスケジュールを事務局からお願いします。
○笹川中央職業病認定調査官 次回の検討会ですが、9月28日(火)17:00時から開催したいと考えております。なお、作業の状況等によっては変更の必要が生じる場合がありますので、その場合には追ってご連絡をさせていただきます。以上です。
○森永座長 それでは、1時間議論しましたので、今日の検討会は終わりたいと思います。


(了)
<照会先>

労働基準局労災補償部 補償課職業病認定対策室

電話: 03(5253)1111(内線5571)

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