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2010年7月7日 第151回 労働力需給制度部会 議事録

○日時

平成22年7月7日(水)10:00~


○場所

厚生労働省議室(9階)


○出席者

委員

公益委員 :鎌田委員、柴田委員、清家委員 労働者代表:小山委員、新谷委員 使用者代表:秋山委員、市川委員、高橋委員

事務局

森山職業安定局長 山田職業安定局次長 鈴木需給調整事業課長 鈴木派遣・請負労働企画官 浅野主任中央需給調整事業指導官
大塚需給調整事業課長補佐 小園需給調整事業課長補佐 小野寺需給調整事業課長補佐 高西需給調整事業課長補佐 大谷需給調整事業課長補佐

○議題

(1)労働者派遣事業雇用管理改善等推進事業等について

○議事

○清家部会長 定刻になりましたので、ただいまから、第151回「労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、労働者代表の古市委員が所用によりご欠席です。本日は公開によって、労働者派遣事業雇用管理改善等推進事業について、並びに先日実施された派遣労働者雇用安定化特別奨励金及び派遣事業等指導業務に関する省内仕分けの結果についてご議論いただきます。議事に入ります。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○鈴木需給調整事業課長 資料1です。本日の趣旨ですが、昨年度、行政刷新会議の関係で、いわゆる事業仕分けが行われました。いちばん最初に行われた行政刷新会議の仕分けの際に、第2ワーキンググループの中で、私どもの労働者派遣事業雇用管理改善等推進事業が仕分けの対象になりました。これについては、後で詳しくご説明させていただきますが、この結論として予算要求の縮減(半額)、これは平成22年度要求についての半額という意味ですが、こういう結論が出ました。
 その後にただし書きとして、「平成22年度に廃止に向けて労使の意見を聞きながら改めて議論していくこと」という意見が付いています。派遣の事業については、雇用保険二事業でやっていることと、労使が非常に関心を持っていることもあり、最終的には廃止に向けて議論という指示ですけれども、それに対して労使の意見を聞くということです。これが、本日皆様方にご議論いただく中心の課題です。これを基に、今後この事業をどうしていくかをご相談させていただくものです。
 これが今回の中心の課題ですが、それと併せて、先々週私ども厚生労働省の中で、省内仕分けを独自に行っております。この中で2つ、私どもの派遣の関係が対象になりました。1つは、「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」です。これは、派遣労働者を直接雇用した場合に奨励金を支給するもので、これについての仕分けが行われました。もう1つは、「派遣事業等指導業務」です。「派遣事業等」というのは、同じ需給調整事業課の業務の中で、有料職業紹介等についても指導を行っておりますので、派遣と紹介と合わせて指導業務ということですが、この2つが対象になりました。
 本日は、中心課題である行政刷新会議の結論を踏まえた、派遣の雇用管理改善事業についてのご議論に併せ、奨励金と指導業務についてもご報告申し上げ、平成23年度の予算要求等に向けてのご意見を賜りたいという趣旨です。
 資料2は、昨年度の行政刷新会議の仕分けの対象になった、雇用管理改善等推進事業です。1頁は仕分け前の、雇用管理改善等推進事業の姿です。4つの大きな事業があります。1つは、派遣元事業主等への派遣制度の情報提供事業です。具体的には、派遣元事業主等(派遣先も含む)に対する法律等の説明会の開催です。右側は、派遣労働者に対しても、派遣労働者が派遣法自体を知らないということで、自分たちが主張すれば通ることになっている、いろいろな権利がそこで実現されていないということで、まずは派遣労働者に法律を勉強してもらおうということで、これの説明会も併せて行っております。こうした周知活動についての経費が1つ目です。
 2つ目は、労働者派遣事業適正運営協力員の運用です。2頁と3頁ですが、もともと派遣法第53条において、派遣事業適正運営協力員を、厚生労働大臣が労使に委嘱して行うことになっております。この協力員は何をするかというと、3頁の第3条の職務のところにありますように、派遣労働者、派遣先、派遣元事業主からの相談に応じ、必要な援助を行うということです。これは、都道府県レベルで労使に委嘱し、関係する使用者、労働者からの相談を受けていただくという趣旨で設けているものです。
 1頁に戻りまして、これについては無報酬でしたが、平成21年度においては932名を委嘱していました。これは昭和61年の派遣法制定当初から行っていたものです。当初は法律ではなく行っていたのですが、平成11年の改正で法律に格上げされて現在に至っているものです。これと併せて、協力員を補助する立場の相談員を都道府県労働局に置いておりました。これが右側の労働者派遣事業専門相談員です。これについては、平成21年度においては155名置いていて、協力員との連絡調整や相談の補助などを行っています。
 3つ目は、電話相談の事業です。民間団体に委託し、その民間団体で専門のアドバイザーを設置していただき、派遣労働者からの苦情などを電話で受ける事業を行っていました。
 4つ目は、派遣事業における雇用管理改善の推進です。これは民間の団体に委託し、平成21年度においては3つの事業を行っていました。aは、派遣元事業主等の雇用管理の状況把握・整理です。これは派遣元において、どういう雇用管理をすると、派遣労働者の適正な就業が促進されるかを調査・分析し、これをマニュアルにまとめる事業です。平成20年度から行っていて、平成20年度においては事務派遣、平成21年度においてはサービス業派遣について行いました。
 bは、派遣先における雇用管理の具体的な事例集です。実際に派遣労働者が働くのは派遣先だということを踏まえ、派遣先で実際に指揮・命令をする方が、派遣法についての知識を得ていただいて、適切な雇用管理を行っていただくことが重要であろうということで、それに向けての簡単なテキストです。長いものを作るとなかなか読んでいただけないということで、できるだけ簡単に、わかりやすく解説したものを作ろうということで行いました。平成21年度においては、事務派遣を対象にして行いました。
 cは、優良人材ビジネスの評価基準の作成です。これは、派遣事業者のマル適マークを作っていこうではないかというものです。法人として悪い事業者は指導するけれども、良い事業者は積極的に派遣労働者がそこで就業し、かつその派遣先が派遣契約を結んでいただくことを促進するために、優良人材ビジネスをやっている派遣会社に対してマル適マークを与えることにより、こういうものを勧めていこうと。それの評価基準作成の事業でした。平成21年度に行って評価基準を作成しました。
 大きく4つの事業に分かれていますが、これは雇用保険二事業で雇用安定事業として行っていたものです。これに対して行政刷新会議の結論が4頁です。全体としては予算要求の縮減(半額)という結論でした。その中で出た意見として、10項目挙がっております。同じ公金を投入するなら既存の政策あるいは他の優先課題に使用すべき。具体的には、派遣の指導・監督自体については、労働局の正規スタッフでやるべき事業ではないか。民間に委託する必然性がない。相談員の人数が多すぎる。適正運営協力員の立場や役割がはっきりしない。この辺りは、すべて民間の労使に委託するとか、委託事業でやるのではなくて、労働局のスタッフが直接やるべきだという意見かと思われます。
 優良企業認定事業は、改善にはさほど寄与しない。改善の余地はあるように思う。相談員の人件費の削減。本来業務を委託すべきではない。現場改善に役立てるべき。この辺りも、すべて委託ではなく、直接やるべきという意見です。
 結果としては先ほど申し上げましたとおり、予算要求の縮減(半額)。ただし、期限を付して抜本的見直し。それの実際のコメントがいちばん下の3行です。「予算の縮減半額をワーキンググループの結論とする。ただし、期限を限定し22年度に廃止に向けて労使の意見を聞きながら改めて議論をしていくこと。本来業務である仕事を極力労働局に移管すること」ということです。これについて、平成23年度はどうするかということについて、労使の意見を聞けということですので、本日この部会におかけしているものです。これが1つ目です。
 2つ目は資料3です。派遣労働者雇用安定化特別奨励金です。これも雇用保険二事業で、雇用安定事業として行っているものです。1頁ですが、もともとこれは2009年問題対応ということで始めたものです。どういう趣旨かというと、リーマンショック以降、非常に景気が後退し、派遣労働者の派遣切りということで離職した方が大量に出ました。その中で、いわゆる製造業の2009年問題というのは、平成15年改正で解禁された製造業務派遣が、その後派遣可能期間が3年に延びたのが平成19年でした。それから2年を足して平成21年、即ち2009年に3年の期間制限を迎えました。そうなると、製造業で就労している派遣労働者が期間制限を迎えて就労できなくなる、というのが2009年問題と言われていたものです。
 これに対して、景気が悪くて派遣労働者が減っているときに、さらに法律の制度上派遣労働者が失業することがあってはならないのではないかというのが、当時の与党の中で議論され、そういう方については派遣先で需要があるのであれば、派遣先で就労していただこう、直接雇用に移行させていただこう、ただし景気が悪いので、そこは何もなしで単に直接雇用に移行するのはなかなか難しいだろうから、この景気が悪い間については奨励金を支給し、派遣先での就労を促進しようということです。平成20年度の2次補正において、平成23年度までの時限措置としてこの奨励金を設けたものです。
 この奨励金について助成額は真ん中にありますが、期間の定めのない雇用で雇っていただいた場合は、中小企業で1人100万円、大企業で1人50万円。有期雇用の場合は、中小企業で1人50万円、大企業で1人25万円。3年間の分割支給で、直接雇用から半年経過後、それから1年半経過後、2年半経過後に、例えば100万円でしたら50万円、25万円、25万円と3回に分けて支給するものでした。これは平成21年2月にできた奨励金ですが、この奨励金の構造上、支給が半年後ですので、平成21年8月から支給です。当初は若干数が少なかったのですが、昨年12月ごろからかなり数が出てくるようになり、大体月平均1,500人から2,000人ぐらい出てくるようになりました。今年5月までの支給決定件数は1万1,500人、支給決定金は34億円ということで、かなり使われる奨励金に成長しました。
 これについて、省内仕分けの中で説明した件は2頁です。これは、もともと2009年問題対応の奨励金でしたが、皆さんご存じのように、いま派遣法の改正案を国会で審議しています。その中でこの派遣法の、特に登録型派遣、製造業務派遣の原則禁止が施行された場合には、そこで働いている労働者が行き場を失ってしまうのではないかという心配が与野党から国会の審議の中で出されました。これに対して長妻厚生労働大臣、それから当時の鳩山総理が答えたところでは、この奨励金などを活用し、直接雇用にできる限り移行させます。したがって、失業の心配はないと思われますという回答をしております。派遣の規制に対し、派遣労働者を直接雇用に切り換えていくための基本的な施策として、この奨励金を今後位置づけていこうというのが、現在の政府の方針です。
 具体的には2頁の下の図です。108万人いる派遣労働者の中で、規制の対象になるのが18万人です。この18万人の方が、法律の施行は公布から3年後ですが、法律が公布されたら3年後にこの18万人がこの就業形態では働けないことになりますので、この方たちをこの奨励金を使い、できる限り直接雇用に移行させていくという構想です。
 これについて、この奨励金の改革案を3頁に付けております。省内仕分けではこれの説明をさせていただきました。この奨励金自体は、改正法施行に当たってのメイン施策になりますので、これについての廃止等は考えていません。ただし、もともとが2009年問題対応で、平成24年3月までの時限措置でしたけれども、改正法に対応するための施策とするためには、例えば平成22年秋に国会で法律が通ったとすると、登録型派遣の原則禁止は3年後ですから平成25年、プラス2年で一部については猶予措置がなされるということですので、最低でも平成27年ぐらいまで、この奨励金を支給して直接雇用に移行させる必要があるので、平成24年3月までの期間は延長しなければいけません、という改革案を提示させていただきました。
 それに対する仕分けの結論が4頁です。具体的には、改革案では不十分が5名、その中でも「事業は継続するが、更なる見直し」が必要が5名全員です。改革案は妥当が1名です。改革案では不十分という方のご意見ですが、18万人が派遣から直接雇用のパートやアルバイトに転換するだけになってはいけない。要は派遣を禁止する以上、そこである程度労働条件の改善が必要だろう。したがって、アルバイトに転換するだけにならないような取組みが、この奨励金も含めて必要だ。したがって、ある意味でその施策をもっと拡充してやるべきである。それから、法の改正時の混乱の回避に最大限の努力を要する。他の均衡処遇等の措置を組み合わせ、労働者の処遇の実態的な悪化を防止すべき。ある意味で前向きなご意見をいただき、そのためにこの奨励金にプラスして、ほかの施策も組み合わせ、労働者の条件が悪化しないようにやりなさいというご指摘と私どもは理解しております。
 3点目は資料4で、派遣事業等指導業務です。これについては派遣と、先ほど申し上げましたように有料職業紹介等についての指導の業務です。1頁に全体の予算と人員が出ています。現在この指導業務については、本省で16名、労働局で正規職員が446名、非常勤が77名で対応しています。この予算額はほぼ人件費です。平成22年度の労働局予算を見ますと、全体が41億円余のところ、40.5億円が人件費です。指導については人が動いてやらざるを得ないということで、大部分は人件費が占めています。この人件費と予算の差額は何かというと、職員が活動する旅費やパンフレット等の印刷費等々です。これがどのように配置されているかというと、右の組織図のように本省の16名は、基本的に都道府県労働局にいます。446名のうち431名が需給調整指導官という専門官です。差の15名は部長と課長です。非常勤の77名は資料2で見ていただきました、雇用管理改善等事業で設けていた相談員です。
 この方たちがどういう仕事をしているかというと、2頁の流れ図です。最初に許可から始まるというのが、この指導業務の特徴です。派遣も紹介も、許可もしくは届出をしていただかないと、民間の方は事業ができないことになっておりますので、許可の受付、許可の更新、届出の受理等々の業務をこなします。現在、許可・届出がされているのは派遣で8万3,000余、紹介で1万8,000余、合計10万余ということです。これに対して許可をしている以上、法違反をしてはいけませんということで、法の周知等のセミナー、これは資料2でご説明いたしました事業を用いて説明会等をやっております。これは、年間大体2万件余やっています。こうしたことで事業運営を確保していくわけですが、それに対して違反があると指導官が出ていって、事業者に対する指導を行います。年間の指導件数が派遣事業で1万2,000件余、紹介で2,000件余です。違反が見つかると、文書指導等を行った上で、必要な場合には改善命令、事業停止命令、許可の取消しといった行政処分も行うということで、許可に対応したような形での指導監督を行います。
 これに対して改善案が3頁です。この事業については、昨年度行った行政刷新会議の仕分けと事業が重複しておりますので、ここについてもう一度説明させていただきました。これについては、昨年の行政刷新会議で雇用管理改善等推進事業が半額ということですので、予算の全体額が平成21年度の5.7億円から平成22年度は2.4億円に縮減しております。その中で委託事業を4つ廃止したこと、相談員を半減したものです。仕分けの結果に伴い、相談員については労働政策審議会に諮った上で、廃止に向けた検討を行うというのが本日の部会です。それから、協力員については無報酬ですので予算にはあまり影響はないわけですが、これの活用についても部会に諮りたいということを申し上げました。
 指導官については、平成22年度には27名の増員が認められております。これについては行政刷新会議ご指摘の、労働局が本来行うものは労働局が行うべきというご指摘にかなうものかと思っております。今後についても、これは引き続き要求していくべきものかと考えております。
 以上は、これまでの既存の事業の見直しですが、そうしたものの見直しをしていく反面、逆に今回の改正法に伴う対応が必要になってくるだろうということで、改正法が成立した場合には、必要な周知啓発等を行うということで、この3段階の施行に合わせての周知啓発。それから登録型派遣等が禁止になると、直接雇用などへ移行していただくことになりますので、その誘導策を行うための事業。それから監督指導の更なる強化などが必要になります。こういうことで、既存の事業はできるだけ縮減した上で、改正法に必要な対応は是非やらせていただきたいということを申し上げました。
 その結果が4頁です。6名の仕分け人の中で、不十分が3名、改革案が妥当が3名でした。不十分の3名の中でも、更なる見直しが必要ということで、具体的にはこれまで違反が増加傾向にあるけれども、改正法などによってより厳しい対応をとることにより、当該業務量は減少する。これを前提として要員計画なども作るべきだ。要は、指導がうまくいけば対象事業者数が減るので、それに併せて人員削減が将来的にはできるのではないかということ。地方への移管も考えるべき。指導官のスキル向上など、必要な措置を引き続き行う。派遣労働者が不況等によって230万に減っているので、その指導官の人員なども見直していくべき。当面の必要性はお認めいただきつつも、将来的に業務量が削減する可能性が出てくるので、それに対応して将来は要員計画を見直せというご指摘だったかと思います。
 こういうことで、省内仕分けの結果なども踏まえ、今後は対応していきたいと思っております。本日皆様方には、いちばん最初の行政刷新会議で仕分けられた事項についての今後の方針についてのご意見をいただくとともに、奨励金や監督・指導体制も踏まえ、今後法改正が成立したということを前提に、平成23年度以降の予算、それから組織体制についてのご意見を賜れれば幸いかと存じております。私からの説明は以上です。
○清家部会長 ただいまの説明に関して、ご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。
○柴田委員 基礎的な質問をさせていただきます。行政刷新会議では、厚生労働省のほうでいろいろやるほうがいいと指摘されていますが、資料2の(1)の情報提供を行う事業というのは、誰がというところは役所のほうでやっているという理解でいいのですね。
○鈴木需給調整事業課長 (1)の事業は、具体的には都道府県労働局が行っておりますので、役所の本来の業務として行っております。
○柴田委員 相談員や協力員、あるいは苦情電話相談のところが必ずしも役所でやっていないということの指摘なのですね。
○鈴木需給調整事業課長 この4つ全体が事業仕分けの対象になりましたけれども、具体的な意見が出たのが(2)(3)(4)の事業だったと記憶しています。
○柴田委員 (1)は、あまり問題になっていないということですね。全部を通して気になっているのは、派遣法はとても難しいので、この説明とか相談、苦情というのは大変重要になっている。一方的に説明会を開催するだけでは、周知徹底は非常に難しいという気がしています。一方で、実施方法の見直しが省内仕分けの中には出てきています。民間の企業では、苦情や相談があった場合には、それをマーケティングの1つの手段と考えて、業務改善に活かしていくというような、全体の有機的な連携みたいなものが図られているのが普通です。
 ところが、この仕分けの内容を見ていると、効果がないからやめたほうがいい、期待できないから民間人に委託する必然性がないという指摘もあります。派遣労働者というのは組織化されていないし、説明をする機会というのは事業内容の(1)の派遣労働者に対する説明会も非常に部分的になってしまう。もちろん、派遣元事業者に対してはその説明会でもいいと思うのですけれども、派遣労働者にスポットを当てることになると、意外と相談員であるとか、あるいは電話で気軽に相談をするようなことを通じて解決が図られている部分があるかもしれません。しかし、この事業を見る限りではそれが単発で終わってしまっています。
 先ほど言った、民間企業のような場合では、こういう苦情が厚生労働省のほうへ、あるいは労働局のほうへ報告が上がってくる。ここでしょっちゅう相談されること、あるいはしょっちゅう質問されることを説明会やパンフレットに反映していく。ごく普通のことなのですけれども、結構手間がかかるような、この事業全体が有機的に連携できるような仕組みも一方で考えながら予算を考えていく。初めに予算を縮減されてしまったら、その部分はモデル事業みたいな形で小さくやって、それが有機的にもっとうまくいくような形であれば、もう少し見直していく。もう少し全体を考えていく方法も必要なのかという気がしています。
○清家部会長 いまの点について、事務局から何かありますか。
○鈴木需給調整事業課長 大変貴重なご意見をありがとうございます。資料2の3頁目をお開きいただきますと、協力員規程で、先ほど私は相談に応じるという職務だけご説明いたしました。第3条の(1)(3)を見ていただきますと、協力員については会議に出席して意見交換を行っていただく、派遣制度の運用上の問題点について、職業安定行政機関に対して要望・意見を述べる。
 こういうことで、より労使に近く接している方から、直接ご意見を伺う。労働局は敷居が高いと言われることもありますので、労働者から直接意見を言っていただくことが難しい場合でも、例えば労働側の協力員を通じて、こんなところは改善したほうがいいのではないかということをいただいて、本省でもそういうフィードバックはやっておりますけれども、労働局レベルでフィードバックをやっていただくと現場に近い意見が聞けます。こういうことも踏まえて、この協力員というのはやってきたつもりです。
 どのレベルで何をどうするか。直接指導だけ、相談だけではなくて、いろいろな周知・啓発活動をやることにより、全体として派遣制度が周知されて普及されていく。これまでもこういうことはやってきたつもりですけれども、なかなかうまくいっていない部分もありましたので、本日のご意見等を踏まえ、次年度以降も含めて検討していきたいと思っております。
○柴田委員 ありがとうございます。
○秋山委員 私も、柴田委員のご意見に賛同します。派遣労働者が、こういう制度をよくわかっているのかどうか、そこに対する周知はもちろんです。人と会って話をする時間とか、そういう状況はなかなかしにくいことを考えた場合に、電話ですとか、いまではインターネットで相談ができてという手段は残しておいたほうがいいのではないかと思います。そういうことも、考えていただければと思います。
 ただ、全体としては派遣元、派遣先、派遣労働者に対する対応というのは、今後このようにいろいろ変わっていく状況の中で特に重要なので、これに対しては了承しますけれども、そういう細かいところまで目配りをしていただければと思います。
○清家部会長 そのようなご意見があったということを、テイクノートしておいてください。
○小山委員 改正法がまだ成立していない段階で、今後成立したことに伴いながらこの制度を検討していかなければいけないと思うのです。先ほど柴田委員もおっしゃられたとおり、個別に小さいところだけ議論してもしようがない、全体をどうしていくのかという議論が重要だと思うのです。特に協力員に関しては、いままでも制度はあって、無報酬だからほとんど予算はかかっていないのだけれども、本当に効果的であったのかという疑問はいままでも現場からいろいろ聞いています。その辺の評価をどう考えているのか。
 基本的には労使で協力員がいて、できればちゃんと現場に入って、現場の声を聞いたりする。受け身で相談をただ待っているだけではなくて、こちらから足を向けていって、そこで労働者や派遣元・派遣先の意見を聞くといった積極的なかかわり方を労使がやっている意味はすごく大きいと思うのです。そういうことはきちんと活かしていく必要があるのではないか。いままでは、形だけ会議があって、来るか来ないかわからない相談を待っているみたいな実態が見られたのではないかと、いままで協力員をやっていた地方の現場の人たちからはときどきそういう声がありました。
 これから法改正がされて、規制強化という方向で転換していくわけですから、その中で本当に適正に新しい制度が運用されていく、それは労使が協力してやっていくという姿は重要だと思うのです。その辺を役所のほうでもきちんと位置づけていただいて、予算の小さいところで突っつき合うようなことではなくて、全体像をどうしていくのかという中で、もう少し積極的なこの制度の改善を図っていただきたいと思います。協力員制度でいけばいまみたいな話になりますし、どこの議論をしたらいいのでしょうか。
○鈴木需給調整事業課長 基本的には全体として、法改正については国会で審議中ですのでまだ成立していません。我々としては、法改正が成立していただきたいと思っております。これまでは、確かに現行法を前提にいろいろな指導や相談をやっておりましたが、そういうのがいまの体制で良いのか悪いのか、ひょっとしたら無駄だからやめたほうがいい部分もあると思います。逆に、今後新しいみなし制度であるとか、派遣業禁止を拡大するというのは今回初めてのことですので、こういうところの対応が必要となってきます。
 そういうことで、1回、現在の予算であるとか、体制をじっくり見直して、より新しい法律に合った形での体制に組み換えていく作業が、今年度から来年度にかけて必要になってくると私どもは思っております。その中で、行政体制自体は、私どもが責任を持ってしっかりやれる部分もあろうかと思いますけれども、例えば協力員であるとか、労使がかなり深く絡んでいる部分、それから二事業でやっている奨励金など、これは労使の合意でやらせていただいている部分ですので、そういうものについて今後どうしていくべきか、ということを集中的にご意見をいただきたいと思います。
 特に協力員などについては、去年、刷新会議で半分にということがありましたので、932名から466名に半減したところ、局によってはなんで半減したのだというご意見を各委員からいただいているということもありますので、そういうことも踏まえて、これを今後どうしていくのか。無報酬なのだからいまの形、もしくは元の形に戻すのかどうするのか。予算面も含めてその辺りのご意見をいただけたらと思っております。
○新谷委員 いまは協力員の話になっていますので、協力員について申し上げます。説明の中にもありましたけれども、基本的に無報酬でやっていただいているということで、当該労使の方々には非常にご苦労いただいているということで感謝申し上げています。私どもも現場の声を聞いてみましたが、現状の制度運用については改善すべき点が多いのではないかと考えているところです。協力員に対する役割期待の部分ですが、派遣という働き方をしている中で、受け入れる側、働いている労働者から相談を受け付けるということです。その相談をされたときに、的確な助言なりができるための選出基準になっているのかどうか、あるいは選出された方が、このややこしく難しい法律についての研修なり専門知識の付与というところはどのようにしているのか。
 労働局のほうに名簿が登録されていて、私もこのテーマが挙がってから、何件か労働局のホームページを見たのですが、非常に深いところに名簿が入っているので、どなたに相談したらいいかがほとんどわからないです。非常に階層の深いところに入っております。もともとこの制度があること自体も、労働局のトップページからはなかなか辿れないところもありますので、この辺の改善も必要ではないかと思います。
 それで名簿を拝見しますと、労使それぞれ、団体から推薦されて出ていただいているわけです。労働側は現場の組合の役員を推薦しております。経営側の方々を見ますと、事業団体の理事長であるとか、個別の企業の代表取締役が推薦されてなっていただいているようであります。先ほど申し上げましたように、相談があったときに、例えば経営側ですと事業主からたぶん相談を受けるケースが多いと思うのです。そういうケースを考えたときに、適切な相談対応が受けられるような仕組みづくりをきちんとやっていかないといけないのではないかと思っております。
 それで期待される役割としては、もう1つ労働局のほうに個別労働紛争の解決制度があって、これは100万件を超える相談件数があると思います。局としての相談受付機能がある中で、協力員を置いて、そこで相談を受け付ける中で期待される役割というのは、一体どこの部分を期待して制度を作っているのか、事務局のほうで考えがあれば教えてください。
 このテーマが挙がってから、私どもは何カ所かの地方連合会に運用を聞いてみました。都道府県労働局として、この制度に本腰を入れてやっていただいているのかというクレームも実際に来ております。労働局として対応が消極的ではないか。協力員が相談を受け付けて、労働局のほうに取り次いでも、その結果がフィードバックされてこないという話も来ております。この制度が派遣法改正に向けて、きちんとした制度として運用するというのであれば、協力員の役割についても、もう少し実のあるといいますか、実態のあるものとして見直しをしていくべきではないか。特に今回の派遣法改正は大きな改正内容になっておりますし、派遣労働者の権利保護に向けて周知徹底は非常に重要だと思っております。
 協力員のあり方については、例えば労災防止指導員のように、監督署の職員と同行して、事業場に一緒に行って調査をするといった実態的な権限を与えて、協力員として実効を上げていただくような見直しについても必要ではないかという意見です。
○清家部会長 いくつか問題点の指摘がありましたが、この時点で事務局のほうから答えていただけますか。
○鈴木需給調整事業課長 今後どう改善するかは、またこちらでご議論いただければと思います。現行どういう形で考えて、どう運用をしているかについて申し上げます。この制度自体は、昭和61年の法制定当初からある制度です。もともと派遣に対する指導体制が脆弱な時代に、労使のご協力を得ながら派遣制度をより良いものにしていこうということでスタートしております。
 最近は指導官体制も整ってまいりましたので、直接法律違反についての指導を一緒にお願いするということではありません。例えば、使側でも労側でも、労働局に直接相談しにくいような問題がありますと、そういうときにまず労働局に来るのではなくて、自分のより身近にいる労使の協力員に相談した上で、そこで問題が解決すれば、そこで自主的に改善していたただきます。いわゆるファーストストップみたいな形で位置づけているものです。その中で、現在では法律が難しくなっておりますので、年1回もしくは2回、労働局ベースで協力員の方に集まっていただき、派遣法についての最新の動向であるとか、問題となっている事案等々の意見交換をする会議を設け、そこで最新の知識を身に付けていただいて対応していただきます。
 人選についても、これは各労働局ごとに、各団体のご推薦をいただいてやっているかと思います。私どもとしては、できるだけ実務的にご相談いただけるような方を推薦していただくように、各団体にはお願い申し上げることを各労働局にも言っているところです。お忙しい方がなっていたり、レベルの高い方になっていただくようなケースがまだ続いているケースもあろうかと思います。
 個別紛争との関係ですが、これは先ほど申し上げましたように、労使でもめてしまって、それでどうにもならなくなったときに来ていただく制度です。そこまで至らないような、例えばこれをやったら法違反になるのかならないのか。例えば労働者の場合ですと、こういうことを派遣会社が言っているのだけれども、これは違反ではないのかどうかといった、紛争になる以前の問題についてご相談いただくということが、これまでの中心だったかと思っております。
 権限の付与等々についても、これまで連合さんからいろいろご意見をいただいておりましたけれども、これは使用者側委員のご意見もお聞きしたいと思いますが、逆に権限があるとやりにくいというご意見がこれまでにもあったように聞いております。今後法改正がなされる中で、この制度をどう位置づけて、どう運用していくかということはある意味で曲がり角に来ております。いま申し上げたのはこれまでの現状ですが、今後どうしていくかご議論いただけたらと思っております。
○新谷委員 ありがとうございました。法改正が年内にも成立して、半年後に早い部分は施行されるということもあります。やはり法の周知も含めて労使のかかわりを持つ制度がありますので、今後のあり方については、協力員のあり方の強化に向けて是非前向きに検討させていただきたいと思います。
○市川委員 仕分けの先生方のご議論として、本来労働局がやるべき仕事ではないかという指摘があったということです。それはそのとおりだと思うのですけれども、それに見合った労働局の人員・体制ができているかどうかというところがあると思うのです。先ほどの説明では、27名を増員しましたということですが、27名ではなくて270名の間違いではないかと思うぐらいです。
 資料にもありましたが、大都市部の3局についてはきちんとした部体制が整っているということですが、それ以外の所は、私もたまたま出張等で行ったときに伺いますと、労働局全体では300名の人員はいるけれども、派遣についての担当部署ということになると、何とか室というのがあって、そこは4人なのですという所があります。4人で全県にわたっての派遣事業者の指導・監督をするというのは実際問題として非常に難しいのではないか。特に、今回のように大幅な法律改正に伴う周知徹底等もこれからしなければいけないときに、労働局の体制としてはあまりにも脆弱ではないかという気がするわけです。
 加えて、労働局はそもそも地方に移管するべきだという議論も挙がっています。これについては労政審としても反対の意見書を出したと記憶しております。国として、きちんと派遣事業者の指導・監督はやるべきであるし、そのためには組織・体制をもっと充実するべきではないか。地方においては、中小の派遣事業者が必ずしもルールを守らずに好き勝手にやっている実態があることは、私もこれまでの審議の中でも何回か指摘させていただきました。そのために、労働局の体制強化は必要だと思います。
 それで労働局の手が足りないところを、この協力員なり相談員が補完しているということができるのではないかと思うのです。先ほどご指摘もありましたように、若干その運用についての改善は必要だということはあるかもしれませんが、そうした改善をしつつ、こうした制度、しかも無報酬の協力員の数を半減させるというのは全く意味不明です。むしろ、これは人数を増やしてしかるべきところではないかという気がするのです。
 資料3の、特別奨励金の期限を延長するというのは是非ともお願いしたいと思います。派遣労働者の中には、本来は正社員になりたいのだけれども、残念ながらなれないのですという方にとって、中小企業であろうと、正社員として雇うための奨励金という制度は重要であると思います。1つ心配になるのは、1万人ぐらいの適用のときに34億円の金額が必要になりましたという実績です。今度原則禁止の対象になる18万人のうち、どれぐらいの方がこの奨励金の対象になるのかわかりませんけれども、18万人という数字を考えたときに、必要額は相当大きくなるのではないかという気がするのです。その辺は十分な予算額を確保することが必要ではないかと思います。
 資料4の、法改正に伴う対応は是非必要です。私も、予算が半減されるのではなくて、むしろ倍増してもいいぐらいではないでしょうかと何回か審議の際に申し上げてきました。そこのところで周知・啓発は非常に必要だと思います。その前提として、調査をやる必要があるのではないかと思っております。特に中小企業に対するしわ寄せ、悪影響は非常に大きなものがあるということは何度か説明させていただきました。実際に中小企業の経営者がどういう影響を受け、その影響を受けた場合にどうするのか。奨励金を使って正社員として雇うつもりなのか、あるいは仕事を諦めて会社をたたんでしまうのか、いろいろなケースがあると思うのです。
 私どもも、傘下の中小企業について、いくつかアンケート調査をしたことがありますが、悉皆調査というのはなかなか難しいです。それから、派遣労働者側も原則禁止になった場合に、自分がどういう影響を受けるのか、その場合に将来どうしたいのかということ。これも他方できちんとした調査、あるいは派遣会社のほうのアンケート調査等はあるということですけれども、こういうことは国としてできれば全数調査をかけて、その上でそうした影響を受ける所の悪影響をいかに最小限にするのかという対策をとる、予算措置をとっていくことが必要ではないかと思うのです。まさに菅政権は、不幸を最小限社会にするのだということですので、悪影響は最小限にしなければいけない。どこに、どれだけの悪影響があるのかをまず調査し、その結果を見て、こういう予算措置が適当ではないかということで、予算措置の強化・拡充を図っていくことが必要なのではないかと思います。
 もう1つはスキルアップです。派遣労働者はスキルアップがなかなかできなくて、それで正社員に挑戦できないのですというご指摘も審議の中でありました。スキルアップについての奨励策といいますか、場合によっては既存の職業能力開発事業を、派遣労働者が十分活用できるような方策なのかもしれませんが、スキルアップについての方策。もちろん大手の派遣会社は既に手がけていると聞いておりますけれども、地方の中小の派遣会社は、スキルアップについては手が付いていないのが実態ではないかと思いますので、そういうところも予算措置できちんとカバーしていく必要があるのではないかと思います。
○清家部会長 ただいまの点について、事務局から何かありますか。
○鈴木需給調整事業課長 いろいろありがとうございました。ご存じのように、国の人員とか予算は非常に厳しいです。確かに改正法が成立した場合には、これの施行は国の責務ですので、それに必要な予算・人員はできる限り確保していけるよう頑張っていきたいと思います。具体的には、これから平成23年度予算の要求等々を行ってまいりますので、いまいただいたご意見については、この中でできる限り反映できるよう努めてまいりたいと思います。
○高橋委員 資料2の雇用管理改善等推進事業に関連して、1つ大変残念なことを申し上げたいと思います。(4)は既に廃止という扱いになってしまっておりますけれども、(4)の雇用管理改善推進事業について申し上げます。企業としては、ほかの会社がどのような取組みをしているのかということを、絶えず参考にするところであります。とりわけ好事例がまとまって、それが参照できるというのは、それを見ながら自社の実情を踏まえて労使で話合いをし、最も自社に適する雇用管理のあり方を模索するという意味では、不可欠なものではないかと思っております。こうしたものが、直ちに廃止という形になるのは非常に残念であります。
 今後、仮に法改正になったとした場合でも、個別の法改正事項はわかったとしても、その法改正を受けて、自社ではどうしたらいいのだという話に必ずなります。そうしたときに、先進的に取り組んでいる会社はどういうことをやっているのだろうということを、まさに情報提供することが法の遵守にもつながっていくのではないかと思っております。こうしたものが廃止され、そのまま復活なしとされるのは非常に残念でありますし、できれば今後こうしたものについてどうするかということも是非検討していただきたい。こうした内容を併せて(1)の情報提供の場で提供したり、あるいは協力員にも情報をシェアしていただくような取組みは不可欠ではないかと思います。
 Cのマル適マークの事業に関しても、マル適マークを普及していって、派遣元の企業にも取り組んでいただいて、そのマル適マークを取得していこうという取組みが、まさに雇用管理の改善に極めて必要ではないかと思っております。これも、直ちに廃止されるというのも非常に残念な話ではないかと思っております。これは質問なのですが、なぜ今回の仕分けで(4)が廃止されたのか理解不能なので、もしわかれば教えていただきたいと思います。
 2番目の協力員制度ですが、先ほどから労側の皆様からもご意見をいただいておりますけれども、複雑な法体系でもありますので、基本的には様々なチャネルを用意していく必要性は何ら変わっていないだろうと思っております。他方で、これまでの協力員の方々が、ともすれば名誉職的な運用になっていたのではないかという指摘もある程度うなずける部分もあると思っておりますので、このあり方については需給部会で検討していく必要があろうかと思います。必要性は何ら減じていないということです。
 私の個人的な見解として、もう少し実務面に精通された方々になっていただくという観点からは、例えば労使各側でいま一緒になって制度運営しております労働審判員の方々に、適正運営協力員になるべくなっていただくという形になると、紛争の未然予防の観点からも好ましいこともあり得るのかと思っております。あるいは、あっせんに従事されている方でもよろしいかと思います。そうしたほかの諸制度との連携を模索してもいいのではないかと思います。
○清家部会長 事務局から質問の部分についてお答えいただけますか。
○鈴木需給調整事業課長 ご質問として、(4)の事業がなぜ廃止というか仕分けになったかということですが、資料2の4頁に仕分け人の意見があります。この中にあるとおり、例えば5番目の優良企業認定事業は労働条件の改善にさほど寄与しない。8番目の、本来業務で行うことで委託すべきでない。1年目の調査の成果は活用し、2年目は不要ということです。具体的にご指摘いただいたのはこのぐらいです。
 ただし、仕分けの際にいろいろ問題になったのは、これの効果がどう計られるのかということです。この事業自体は、平成20年度とか平成21年度でやっている事業なので、成果自体が仕分けの段階で出ていたわけではありません。結果自体が悪いので否定というわけではないのですけれども、往々にしてこのような委託事業については、実際に成果がなかなか計りにくい。そうなると、これをやることが本当に正しいのかどうかということからすると、これについては、派遣であれば指導・監督等の本来の業務が優先であって、こういう委託からまず削減していくべきではないかという形で議論があったのかと推察しているところです。ただし、最終的には労使の意見も含めて聞いてということで結論が出ておりますので、そこは含みを残した形で仕分けの結論が出たと考えております。
○清家部会長 私からも確認したいのですけれども、例えばいまご紹介のありました優良企業認定事業は、労働条件の改善にはさほど寄与しないというのは、何かエビデンスも示されてこういうご意見が出ているということですか。
○鈴木需給調整事業課長 昨年の仕分けでは、ここについてはあまり具体的には議論はなかったように記憶しております。
○清家部会長 各論的なことで、こういう発言が出たのですか。
○鈴木需給調整事業課長 この事業自体が、平成21年度には基準を作っていた段階です。だから、この仕分けがなされた時点ではまだこの基準自体もできていなかった段階でありますので、何か実証的に議論がなされたというわけではありません。
○清家部会長 先ほど高橋委員も言われましたが、雇用規制の遵守というのは、もちろん指導とか監督ということも大切ですけれども、やはりいちばん大切なのは、事業者あるいは労働者も一緒ですけれども、自主的にどのようにルールをきちんと守っていくかということだと思います。そういう点から考えると、これも明確なエビデンスがあるわけではありませんけれども、一般的には高橋委員が言われたような好事例とか表彰、つまり表彰は表彰そのものも意味があると同時に、そういう表彰に向けていろいろな努力をする。外圧的に指導・監督ということも、最終的には重要ですけれども、実は雇用規制の場合にいちばん大切なのは、内発的に労使が自主的にそういうルールをしっかり守り、又は改善していくことだと思います。その辺は仕分けのレベル等でも、専門家として厚生労働省としても意見を言っていただくといいのではないかという気が個人的にはしております。よろしくお願いいたします。
○新谷委員 昨年末にこの部会でまとめていただいた、報告をベースにした派遣法の改正法案は、残念ながら先月閉会した通常国会では成立しませんでしたが、臨時国会で早期の成立を求めたいと思います。それに関連して、6月の日経新聞で取り上げられましたが、法改正を見越して、いま企業のほうで派遣労働者を直接雇用するという動きが出てきているという報道がありました。これは派遣法改正の良い影響が出てきたと感じました。
 それに関連して資料3の、雇用安定化特別奨励金のあり方について、本日資料をいただいて、仕分けの内容もご報告いただきました。雇用の安定に向けて、派遣先での直接雇用に切り換えていく、そういう政策誘導は非常に重要だと考えています。いま、助成額のあり方について記載されているわけですが、それに関連して質問です。毎月1,000人の半ばから後半ぐらいの方々に対する支給実績があります。この助成額の中に、期間の定めのない雇用の場合と、有期の場合、それぞれ中小企業、大企業という4つのカテゴリーがあります。1万1,500人についてこの間に支給決定があったということです。ザックリでいいのですけれども、中小企業・大企業、有期・無期の大まかな比率がわかれば教えてください。かつ申し上げたいのは、この制度については非常に有効な政策だと思いますので、これは是非継続をするべきだという意味を込めての質問とさせていただきます。
○清家部会長 ただいまの質問について、事務局からお願いいたします。
○鈴木需給調整事業課長 資料3の1頁に、制度当初からの支給決定件数は1万1,500とありますが、そのうち無期については4,300弱です。有期が7,200ぐらいです。無期対有期は1対2です。大企業と中小企業ですが、大企業は4,900ぐらいで、6,600ぐらいが中小企業です。これも大体1対2ぐらいです。中小企業が多いということと、無期と有期を比べると有期のほうが多いけれども、無期もそこそこあるという状況です。
○新谷委員 事業場の数からいくと、圧倒的に中小企業が多い中で、この制度を使って直接雇用された企業の数は、大企業のほうが比率的に多いと思います。そういう意味では、この助成金についてはかなり政策効果を上げているのではないかと思われますので、是非これについては存続の方向で検討をお願いいたします。
○清家部会長 これについては、先ほど使用者側の市川委員からも存続が必要であるというご意見がありましたので、労使双方からそのようなご意見があったということをテイクノートしておいてください。
○市川委員 先ほど高橋委員のほうから、マル適マークについてご指摘がありました。私もこのマル適マークというのは非常に有効な政策ではないかと思っております。中小企業のように非常に数が多い場合には、優良な所を表彰するというのはいくつか事例があります。「ものづくり100選」は中小企業庁がやっているものですが、毎年100の中小企業を表彰する。それから「IT経営大賞」というのもあります。経営にITをうまく活用したものを表彰する。「ワーク・ライフ・バランス大賞」というのもあります。私どもの組合関係で申しますと、「優良組合の表彰」を毎年やっております。そういう優良な事例を紹介することにより、それでは自分たちもそれに倣ってこうしようという効果は生まれると思っております。このマル適事業というのは非常に有効ではないかと思います。
○小山委員 お聞きしたいのですが、先ほど高橋委員からご指摘のありました事例集というのは、予算がここで廃止になってしまうと、要するに委託事業としてはやらないけれども、それなら省内でできるのか、やれということなのか、それともそもそもこういう事例集を作るのはけしからんと言っているとも思えないのだけれども。この事業は廃止になっているから、これはできないということですか。私は必要だと思うから、どういう形でか復活するのか、あるいは省内できちんとやれるような体制はあるのかないのか、その辺をお聞きします。
 もう1つは、専門相談員も半減になっていますけれども、専門相談員というのはどういう方がなっておられるのか。そして実際に半減したときにどういう影響があるのかをお聞きします。
○鈴木需給調整事業課長 委託事業でありました、雇用管理のマニュアル作り等についてです。既に平成20年度、平成21年度にできたマニュアルについてはホームページ等にアップしておりますので、これについては当然周知は今後とも引き続きやらせていただきますし、それを活用した指導等も継続してやらせていただきます。
 新規に別のものを作るかということになると、これまでは事務派遣をやって、サービス業派遣をやって、その後で製造業とかを続けていこうかと思っていて、毎年繰り返し予算を取ろうかと思っていました。例えば調査をやって、そのデータを踏まえてマニュアルを作ってということになると、これは調査費用自体が要求できないとなると難しいです。ただしそうではなく、例えば私どもが知っている範囲内で、例えば労働局が聞いた好事例を集め、それをホームページにアップするというのは当然できますので、そういうのはやらせていただこうかと思っております。
 今後、派遣法改正が成立したときには、派遣事業者が職業紹介事業者に転換していくといったものについて、これは新しい話でありますから別途予算を取ってとか、こういうものは必要かと思っております。その辺りは必要性に応じて予算要求して、通ったものについては予算を付けてやっていく、できないものについては、できる範囲でできる限りのことをやっていくということかと思っております。
 どういう人が相談員になっているかということですが、これはハローワークに求人を出し公募しております。いまはいろいろな方がなっておりますけれども、例えば企業で人事労務管理の経験のある方とか、ある程度企業の人事面で知識を持った方が委嘱されているというものです。この方たちが減少すると、相談というのは人の数で件数が決まってまいりますから、電話がかかってきても取る人がいなければ相談に応じられません。また、局の窓口に来られても、相談の人員が足りなければお待ちいただくということで、減った分だけ相談なり、許可・届出等の受付が遅れたりという影響は出ております。その辺りは職員がカバーするなりしております。この派遣の仕事については、かなり人員面で対応しないといけないということがありますので、そこはできる限り効率的にやっておりますけれども、やはり必要な数は確保したいというものです。
○小山委員 現実にそういう悪い影響が出るとすると、これは大きな問題だと思います。本来はきちんと労働局ですべて対応できればいちばん望ましいと思います。できないとすれば、相談員もOBになられて、現役の60代になってこういうことをやられる方もこの中にはいらっしゃるという意味だとすれば、大いに安く活用したほうが予算の効果としてはいいはずなのです。その辺のところがどれだけ議論されて、効果的な予算の使い方、そして実際の施策の効果が論じられているのかということがよく見えないと思います。マイナスにならないような対応を是非きちんとしていただきたいと思います。
 協力員も、予算的には100万円とか、国の予算の中でいったらごくわずかな話を半分とか、これも無意味な議論だと思います。先ほども申し上げましたけれども、むしろこの制度のあるべき姿を、法改正を機会にきちんと徹底して改革していただきたいと思います。確かに、いまのままでは問題を指摘されるのは当然だと思います。やはり、きちんと改善していく方向を示していかなければいけないと思います。これは、労使一致した話ができておりますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木需給調整事業課長 わかりました。
○清家部会長 確かに、協力員はほとんどコストはかかっていないようなのに、半分にするというのはあまりよく意味がわかりません。全部やめるというのならわかりますけれども、半分にして何か良いことがあるのかと。あまり変わらないような気がします。
 本日は、いろいろなご意見をいただきましてありがとうございました。先ほども申しましたけれども、雇用のルールは三者構成の審議会で、労使が協力して決めることが原則です。決める際もそうですけれども、このルールの執行をきちんと実現する際にも、やはり役所が一方的に規制したり、指導・監督する前に、やはり労使が協力してこのルールがきちんと守られる体制をつくることがとても大切だと思います。そういう意味では、今回仕分けの対象になったようなものというのは、かなり大切な役割を果たしている部分もあったのかなということが、労使のご意見からもわかりました。
 事務局におかれましては、今後の労働者派遣事業の適正運営協力員のあり方であるとか、あるいは労働者派遣法改正案成立後の周知指導体制の整備等については、本日の労使双方からのご意見をしっかりと踏まえ、平成23年度の予算要求等に適正に反映していただきたいと、私のほうからもお願いいたします。ほかに事務局から何かありますか。
○大塚課長補佐 次回の日程ですが、現在調整中ですので、また追ってご連絡させていただきます。
○清家部会長 それでは、委員の皆様どうもありがとうございました。これをもちまして第151回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を終了させていただきます。


(了)

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