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2014年6月16日 第113回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年6月16日(月)15:00〜17:00


○場所

専用第23会議室(6階)


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、田島委員、野崎委員、村中委員、守島委員

【労働者代表委員】

新谷委員、富田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、宮地委員、平野委員代理

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 2013 年度の中間評価について
2 報告事項
3 その他

○議事

○岩村分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第113回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにいたします。

 本日の出欠でございますけれども、御欠席という御連絡をいただいている委員は、公益代表の山川隆一委員、労働者代表の工藤智司委員、高松伸幸委員、使用者代表の平岡真一委員でございます。平岡委員の代理で、株式会社日立製作所人材統括本部人事勤労本部部長代理の平野様に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。

また、公益代表の田島委員については、若干遅れて来られると承っております。

なお、事務局に異動があったということでございますので、議事に入る前に、定足数の報告とあわせて事務局から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 事務局に異動がございましたので、御紹介申し上げます。

労働基準局総務課長の鈴木です。

○鈴木総務課長 鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 引き続きまして、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

それでは、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 では、本日最初の議題は、お手元の議事次第にございますように、「2013年度の中間評価について」でございます。事務局で資料を用意していただいておりますので、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料1を御説明申し上げます。2013年度中間評価については、各委員に持ち回りで御了承をいただき、当初から若干時間も経過しておりますが、お手元の資料のとおり取りまとめております。現在、この内容でパブリックコメントにかけております。

内容については、既に各委員には御覧いただいておりますので、簡潔に御説明いたします。

資料1の最後の4ページをお開きいただきたいと思います。こちらの「分科会委員の意見」の欄に内容が集約されておりますので、こちらを御説明いたします。

分科会委員の御意見、1点目です。

業況判断が上向いている局面でありながら、1つ目の指標の週労働時間60時間以上の雇用者割合が、前年同期9.2%から8.9%に若干減少したことは労使の取組の成果であると評価できるものの、もう一つの指標の年次有給休暇の取得率が前回調査の49.3%から47.1%に減少する等、年度目標が達成できていないことを重く受けとめ、最終目標達成のために引き続き努力すべき。

2点目として、具体的には、

・企業内における労使の話し合いの場の設置の促進

・年次有給休暇の計画的付与制度の活用促進

・年次有給休暇の取得促進に向けた労使双方の意識改革

・週労働時間60時間以上の雇用者の削減について、健康確保措置の観点も踏まえた職場における啓発活動の推進

を図るため、業種特性等に応じた対策に工夫を講じるなど、これまで以上に対策を検討すべき。

3点目として、労働条件分科会において現在審議されている労働時間法制の議論においても、年次有給休暇取得促進、長時間労働の抑制等の観点から議論を深めるべき。とまとめております。

パブリックコメントについては、7月3日までの予定となっております。

資料の御説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ありがとうございます。

ただいま御報告を受けました2013年度の中間報告でありますけれども、年次有給休暇の取得率が昨年の実績を下回っており、今年の目標にもかなり遠い状況です。また、週60時間の雇用者割合については若干改善したものの目標は未達であり、これらの数字を重く受けとめる必要があると思っております。

 これは「分科会委員の意見」にも記載されておりますが、労使の自主的な取組が十分でなく、引き続き働き方、休み方の見直しを促進していくという整理がなされているのですが、ここ数年、同様のまとめがなされて、かつその取組をこの方向でやってきたにも係わらず、数字の改善ができていないという事実を重く受けとめなければいけないと思います。

 これは後ほどのテーマとも関係しますし、今後論議をしていく労働時間法制のあり方とも関連する内容でございますが、我々としては、長時間労働に起因する過労死や過労自殺といった過重労働防止策について、より踏み込んだ実効的な対策を打たなければいけないと考えております。これがまさしく待ったなしの、今、喫緊に取り組むべき課題であると労働側としては考えております。

実効性ある手だてを早急に打つということから、例えば労働側がこれまで申し上げておりますような、勤務間インターバル規制や労働時間の量的上限規制の導入についても、真摯にこの場で論議をすべきであると考えます。今回の中間評価のデータから見れば、そうしたものが急がれるのではないかと考えているところです。

また、年次有給休暇の取得のあり方についても、強制的な取得促進といった手だてについても検討すべき時期に来ているのではないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 資料1の3ページの下のほうに【参考】ということで、【※6 労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活の調和に関する意識調査】というデータをお示しいただいております。労働時間を削減するということが社会的な大きな課題になっているなか、国は政策目標の1つとして、労働時間の削減など、労使の話し合いの場を設けるということをかかげ、具体的には2020年までに全ての事業場に広げるとしております。2013年はこうした話し合いの場を設けている企業が、60.6%と、前年比0.9%ポイント増加しました。

私どもは、長時間労働の原因あるいは背景が、職種ですとか職場によって異なり得るため、それに伴って打ち手も当然変わり得るものだと思っております。現場をよく知っている労使が原因は何かということを探って話し合い有効な施策を打っていく、そうした企業が考える施策、対策こそが実効性のある、長時間の見直しに不可欠だと思っておりますが、いまだ4割の企業は話し合いの場がもたれていません。したがって企業への取り組み支援、とりわけ、話し合いの場を設けるための政策支援の一層の強化が重要と考えます。

強調したいことは、話し合いの場を設けている企業のデータというのは、従業員数30人以上の企業を母数としている点でございます。平成24年の経済センサスによりますと、国内の従業員数は合計で約5,348万人、このうち企業規模が29人以下の企業の従業員数は約1,937万人で、全体の36.2%を占めます。こうした小規模の事業場では、一般に時短等のノウハウでありますとか、人的な体制が十分でないと思われますので、この点に留意して、引き続き企業の取り組みへの支援を進めていくことも必要ではないかと思っているところでございます。

私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかに御意見あるいは御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、次の議題に移ることにいたします。お手元の議事次第にありますように、次は報告事項ということでございまして、1件目としまして、事務局から専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案の審議状況について報告があるということですので、まず説明を事務局からいただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま分科会長からお話がございました法案の審議状況は資料No.2です。この法案の策定段階においては、国家戦略特別区域法以来の経緯もあり、短期集中的な検討の場が必要ということで、本分科会の御了承を得た上で、特別部会での調査審議を積み重ねていただき、この資料にもあるように、2月14日に建議を頂戴し、2月20日に法案要綱の諮問・答申を行ったところです。

 その後、3月7日に専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案、具体的には裏側のページにありますが、当初から、国家戦略特別区域法で想定されていた高度専門的知識等を有する有期雇用労働者とともに、定年後に有期契約で継続雇用される労働者についても対象とした特別措置法案を国会に提出したところです。

その後、5月28日に衆議院厚生労働委員会へ付託され、提案理由説明を厚生労働大臣から行い、5月30日と6月4日の2回にわたって質疑をいただいたところです。その上で、6月4日に質疑が終局し、採決の結果、可決されております。附帯決議等は特段ついておりません。

翌6月5日には衆議院本会議で採決し、可決されております。

賛成会派は、自民党、公明党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、反対会派は、民主党、共産党、生活の党、社民党です。

その後、参議院に送付されておりますが、現在、参議院厚生労働委員会では医療介護の一括法案を審議中ですので、今後それに続いてできるだけ早い時期の法案成立を目指すべく政府として努力している状況です。

簡単ですが、事務局からの報告は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ただいま説明をいただきました案件につきまして、御意見あるいは御質問はございますでしょうか。では、冨田委員、お願いします。

○冨田委員 ありがとうございます。

 今、御説明いただいた審議の状況につきまして、1点事務局に御質問させていただきたいと思います。先ほどの説明ですと、6月6日に法案は参議院に送られているということですが、仮にこの法案が今国会で成立しなかった場合に、それに伴って来年4月1日とされている施行日についても見直すことが検討されるのかということについて教えていただければと思います。

○岩村分科会長 では、事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えします。先ほども御説明したとおり、鋭意成立に向けて政府として最大限努力しているところであり、仮定の御質問ではありますが、その御質問にお答えするのは難しい状況であることは御理解いただきたいと思います。本国会の会期末は迫っておりますが、引き続き最大限努力していきたいと考えています。

以上です。

○岩村分科会長 冨田委員、よろしいでしょうか。

○冨田委員 はい。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、報告事項の2件目に移ることにいたします。事務局のほうから産業競争力会議におけます労働時間法制に係る議論の状況について、報告をいただけるということですので、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま分科会長からお話がありました産業競争力会議等、政府の諸会議における労働時間法制、個別労働紛争解決システムなどに関する審議状況について、資料No.3に即して御説明いたします。

 まず、個々の資料の説明の前に、ここまでの流れを御説明します。そもそも産業競争力会議においては、昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の改訂に向け、昨年秋から暮れにかけて各分科会でさまざまな議論が行われてまいりました。雇用労働関係については、雇用・人材分科会で集中的な議論が行われ、昨年1226日に中間整理が示されました。

そして、各分科会の審議状況も踏まえ、今年1月には産業競争力会議の検討方針として、本年6月の「日本再興戦略」改訂に向けた論点等が提示され、順次、産業競争力会議の場においてテーマ別に審議されてきました。

労働時間や個別労働関係紛争の解決などの労働条件分科会関係のテーマについては、この表紙のとおり、4月22日に経済財政諮問会議と合同で総理大臣以下、関係閣僚、民間議員の方々の御出席のもとに行われ、キックオフとなりました。

そして、5月28日に産業競争力会議の課題別会合が、総理大臣はじめ、関係閣僚の出席のもとに開かれました。

この場で4月22日の合同会議での総理からの御指示等も踏まえ、ある程度の整理がされるとともに、改めて総理の御指示があり、その後、6月10日には産業競争力会議本会議において、「日本再興戦略」の改訂案全体の骨子案について議論されました。

加えて、その後、関係閣僚間の調整などがありましたので、それらの内容について、御説明いたします。

まず、4月22日の合同会議です。議事次第にあるとおり、「(1)戦略的課題(労働力と働き方)」と「(2)歳出分野の重点化・効率化」という2つのテーマが議論されました。「(1)戦略的課題(労働力と働き方)」が労働条件分科会関係のテーマです。

具体的には、説明資料の資料2「長谷川産業競争力会議雇用・人材分科会主査提出資料」と資料3「田村厚生労働大臣提出資料」、さらに既にホームページ等で公表されている議事要旨、この3点について御説明いたします。

まず、長谷川主査提出資料です。2ページの「個人と企業の成長のための新たな働き方」が表紙です。

具体的な内容については、以下、通しページで、3ページで、まず初めに「『働き過ぎ』防止の総合対策」が「働き方改革」の前提であり、労働基準監督署による監督指導の徹底が必要等の認識が示されております。

その上で、大きな2で「個人の意欲と能力を最大限に活用するための労働時間制度」について提起されております。具体的には1ポツにあるように、働き方に関する新たなニーズが生じているとの認識が示されております。

そのページの中央にあるとおり、子育て・親介護などの家庭事情等により時間や場所に制約のある方、高度な職業能力を有し、自らの裁量で労働時間の配分等を行うことで創造的に働くことができる方、国際的な業務において時差に関係なくリアルタイムのコミュニケーション対応が必要な方、職務内容を明確に定められ、時間ベースではなく成果ベースで働く方、これらの方々について、職務内容・達成度の明確化とペイ・フォー・パフォーマンスを基本とする「創造性を発揮できるような弾力的な働き方が可能な労働時間制度」を構築すべきとの提起です。

具体的には4ページで、この長谷川主査ペーパーでは、2つのタイプの新たな労働時間制度のイメージが示されております。

まず、Aタイプ(労働時間上限要件型)です。これは国が示す対象者の範囲の目安を踏まえ、労使合意を要する、あるいは本人の希望選択に基づいて対象者を決定すると書かれております。

労働条件・報酬等については、労働条件の総枠決定は法律に基づき、労使合意で決定する、量的上限等は国が一定の基準を示すという留保がつけられております。

また、期初に職務内容を明示し、業務計画や勤務計画を策定し、不適合の場合には通常の労働管理に戻す等の措置と書かれております。

続きまして、報酬等です。これに関しては労働時間と峻別し、職務内容と成果等を反映するということで、労働時間と報酬のリンクを絶つという考え方が示されております。

また、労働基準法と同等の規律がある場合、現行の労働時間規制等とは異なる選択肢を提示し、労使協定に基づく柔軟な対応ができるという考え方が示されております。

さらに、健康確保措置を講ずること、導入企業は、当初は過半数組合のある企業に限定し、労使協定等の労働基準監督署への届け出を求めること等が書かれております。

右側のBタイプは高収入・ハイパフォーマー型という注書きがついております。

対象者は、高度な職業能力を有し、自律的かつ創造的に働きたい社員。具体的には、対象者の年収下限要件、例えば概ね1,000万円以上を定めるとされており、かつ本人の希望選択に基づき決定と書かれております。

労働条件については、期初に職務内容や達成度・報酬等を明確化した上で、職務遂行方法や労働時間配分は個人の裁量に委ねること、また、仕事の成果・達成度に応じて報酬に反映する完全なペイ・フォー・パフォーマンスであることが書かれております。

成果未達等により年収要件に不適合の場合は、通常の労働管理に戻す等の措置をとることが書かれております。

また、健康確保措置を講じることや、先ほどと同様に、当初は過半数組合のある企業に限定する等が書かれております。

5ページ、既存制度についても企画業務型裁量制やフレックスタイム制の拡充に加えて、在宅勤務やテレワークといった既存制度を見直し、明確なKPIを設けて、導入に向けた取組を進めるべきと書かれております。

大きな3で「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」についての考え方が述べられております。

基本的な考え方として、我が国の働き方のルールの不透明性等が、新たな雇用創出の障害となるだけでなく、労働者が公平・公正に扱われていない等の問題を解消するために、紛争解決手段や救済措置の選択肢の拡大を図るとしており、具体的には、1つ目のポツで、紛争解決システムの分析・整理・公表として、これは現在、厚生労働省で進めておりますが、「労働審判」「あっせん」、訴訟における「和解」の分析・整理とその活用のためのツール整備について言及されております。

続きまして、解決手段・救済措置の選択肢拡大として、金銭救済システム・仲裁の仕組みの検討と書かれており、「金銭救済の仕組みは欧州各国では広く導入。労働者から見て、選択肢の拡大及び不公正な解雇横行の歯止めとなるため、日本の実情を踏まえたシステム創設に向けて検討スケジュールを明示して具体化すべき」とした上で、参考として、フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所作成資料から抜粋して主要国の解雇紛争における金銭救済制度の状況が示されております。これは恐らく民事訴訟の中でのことだと思いますが、復職に代わる金銭給付命令の有無について、韓国、日本以外のここに掲げられている国々では制度があるとされております。

また、大きな4で「多様な正社員の普及・拡大」に向けた取組、5で「『世界トップレベルの雇用環境』の実現に向けた実行体制づくり」として、経済政策と雇用政策を一体的・整合的に捉えた総理主導の政策の基本方針を策定する新たな会議等に関する提言がございます。

7ページ以降は、ただいま概要資料で見ていただいたものの詳細な資料です。

一方、田村厚生労働大臣からプレゼンをしたのが、14ページ以降「労働時間制度、紛争解決システム、多様な正社員について」というタイトルのものです。

15ページで、1つ目の柱として「『育児・介護の事情がある世帯』に対応した柔軟な働き方の推進」です。このプレゼンの背景としては、特にこの点に力点を置いて説明してほしいという事前の要請があり、田村大臣がそれに対応したものです。

「育児・介護の事情がある世帯」の働く方には、「始業・終業時刻の柔軟化」、「突発的な事態への対応」といったニーズがあることから、これらのニーズに即した対応として、右側にある「朝型」の働き方の推進、フレックスタイム制の活用促進、テレワークの普及に特に重点的に対応していく必要があるということをプレゼンしたものです。

具体的には、16ページ以降です。まず「朝型」の働き方の推進の基本的な考え方は、やむを得ない残業を朝に回して、夕方は早く退社することによって、朝に回すと時間が限られるので、効率的な事務処理が行われ、生産性を上げつつ、多様なライフスタイルが考えられるのではないかということです。メリットは、職場の雰囲気の改善、男性の育児参加の増加、夜に働けない人も短時間勤務にしなくて済む面がある、あるいは地域の活性化、通勤混雑の緩和といったことも期待できるということです。具体的には、夫婦のいずれかがこうした働き方、ないしフレックスタイム等の活用によって2つのパターンが考えられるのではないかということを示しております。

17ページで、そうした「朝型」の働き方の推進に向けた具体的な提案を幾つかしております。

まず、1点目は「労働時間等設定改善指針」です。労働時間等設定改善法に基づき、事業主の努力義務について適切な対応をしていただくための事例や考え方を整理した法定指針ですが、この指針に「朝型」の働き方の趣旨や取組パターンを盛り込むことについて検討してはどうかというものです。

2点目は、下の参考2、参考3で商社と製造業企業の最近の取組事例を載せておりますが、こうした好事例の収集・モデル化を図った上で、労働局に配置しているコンサルタントにより助言・支援を行って広めていくということです。

3点目は、既に本分科会で相当の御議論をいただいておりますが、フレックスタイム制の活用促進で、これは後の章でより具体的に書いております。

また、政労使の枠組みの会議の中で、こうしたことについて共有したり、情報発信していってはどうかという提案もなされたところです。

参考1のように、諸外国、とりわけヨーロッパと比べると、調査月が7月なので、ヨーロッパにはサマータイム制の影響等も若干ありますが、ドイツやイギリスは朝8時前から仕事を始める方が多く、また、日暮れ前に仕事を終えて家に帰る方が多いことなども参考になるのではないかというプレゼンもしております。

18ページから「(2)フレックスタイム制の活用促進」です。フレックスタイム制は、始業・終業時刻を自由に選べる仕組みの構築で、柔軟でめり張りのある働き方を一層可能にすることができ、育児・介護等の事情がある方については、仕事と生活上の事情を両立した働き方がしやすいのではないかということです。

18ページ右下ですが、労働者からは極めて好評、あるいは不便を感じたことは特段ないという方が多い一方で、事業主からは、具体的に見直すべき点として、現在、1カ月以内となっている清算期間が短いとの声を初めとして、種々具体的に御意見いただいており、本分科会でも議論いただいているところです。

次の19ページがフレックスタイム制を活用して具体的にどのような対応ができるかで、例えば、お子さんの学校行事のため早く退社する一方で、残した仕事は翌日、早い時間帯に集中してこなすとか、あるいは、急にお子さんが発熱し、病院に行ってから出社する場合に同様の対応を行うといったことが社内ルールの中でやりやすくなるというメリットも考えられるのではないかとなっております。

フレックスタイム制の見直しの検討として、1と3は既に本分科会においても議論いただいていますが、1の清算期間の延長など、いつ・どのぐらい働くかの選択肢の拡大の問題、3が完全週休2日制の場合における月の法定労働時間の枠の特例の問題です。この場合は日単位の計算方法というものをどのように考えていくのかが論点になると思います。

2は、大臣の発意もあり新たに提示した論点ですが、育児・介護の事情がある方等について、清算期間における労働時間が「枠」に達しない場合、様々な御事情で必ずしも所定まで働かなかった場合に、清算の際にその分の賃金をカットするのではなく、年休を充てることができる仕組みについても今後議論していったらどうかという提案がなされたということです。

20ページ、「(3)テレワークの普及」です。少なくとも週1回は在宅で働くスタイルの普及により、行きと帰りの通勤時間をそのまま生活時間に振り替えられるため、通勤時間の削減、育児や介護と仕事を両立しやすくなるのではないか、あるいは子供の急な病気等、生活上の緊急事態にも素早く対応できるのではないか、その際に所定労働時間の変更等の社内ルールが整っていれば、より弾力的な対応もできるのではないかということについて、20ページに書いております。

次に、21ページ、現状ですが、テレワークは研究・開発・設計部門、あるいは大企業に実施状況が非常に偏っており、そういったところで普及し始めている状況にあります。一般事務部門や中小企業では、人事評価の問題、業務管理の問題などもあり、まだまだこれからという状況です。一方で、政府目標として高い目標が掲げられております。したがいまして、分野・企業規模を問わず、誰でもテレワークできるようなノウハウ、設備、社内制度の整備が必要ではないかと、大臣からプレゼンで申し上げたところです。

まず、ノウハウでは、テレワーク実証事業を通じ、業務の内容、目標設定や人事評価について、一般事務部門や中小企業でも通用するノウハウの開発・周知を図っていきたいと考えております。

また、導入経費の助成により、意欲ある中小企業を応援していきたいと考えており、今年度から、自宅のパソコンから会社のネットワークへ安全にアクセスする機械等を導入しやすくする支援措置を開始しております。

所定労働時間の変更等について、モデル就業規則を提示することを検討課題として申し上げたところです。

以上は特に育児・介護にテーマを寄せて大臣からプレゼンしたところですが、22ページは、「多様な働き方」の実現、あるいは「働き過ぎ」の改善のための改革検討項目として、既に本分科会において議論を積み重ねていただいているところについて、紹介しております。

次の23ページは大きなテーマの2つ目「予見可能性の高い紛争解決システム」です。先ほど御説明した産業競争力会議決定の「今後の検討方針」に即し、既に厚生労働省において、個別労働関係紛争解決制度のあっせん等の状況について、調査、分析・整理に着手しております。また、労働審判や裁判についても、法務省を通じて裁判所と調査方法等を調整しながら着手しております。

さらに、諸外国における仲裁合意や金銭解決などの制度、運用状況について、それらの国々の退職金制度や雇用終了をめぐる法制、そうした雇用システムとあわせて調査に着手しております。

特にこの際、大臣も強調したのがその次にある記述で、日本の場合、景気後退期等においては、整理解雇に至る前に、労使協議の上で、退職金の割増による早期退職者の募集や退職勧奨が行われる傾向がかなり広く見られる。特に早期退職優遇制度と比べ、雇用調整の手段としての希望退職制度については、1,000人以上規模では94.4%、5099人の規模でも83.3%見られ、その際の割増の状況は左の表のとおりです。こうした実態なども踏まえながらよく考えていく必要があるのではないかということを含めて説明をしております。

あわせて、多様な正社員について、現在有識者懇談会等で検討いただいている状況についても報告しております。

その日の議論の状況については、26ページ以降ですが、概ね28ページから29ページにかけて長谷川民間議員からペーパーに沿ったプレゼンがあり、29ページから30ページにかけて、田村厚生労働大臣から厚生労働大臣ペーパーに基づくプレゼンがあり、その後、民間議員の方々、あるいは関係閣僚の方々からさまざまな御発言がありました。

最後に、この会議の議長の安倍総理大臣から、35ページのとおり、「労働市場改革を始めとする日本再興戦略により、生産性を向上させなければならない。あわせて、それを賃金・所得の継続的な上昇に結びつけていく必要がある。労使双方がそうした認識を共有し、互いに努力して好循環を実現してほしい。政府は環境整備に全力を挙げる。人口減少下において、持続的成長を実現するため、老若男女を問わず、全ての国民が能力を最大限に発揮できるよう、柔軟な働き方を実現していきたい」という基本認識を示した上で、「このためには、まず『働き過ぎ』防止を強化することが前提となる。その上で、子育てや介護など、様々な事情や多様なニーズに合わせて、労働時間規制の多様化を図る必要がある」とし、さらに「健康管理を図りながら、創造性を発揮できるよう、時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい新たな労働時間制度の仕組みを検討していただきたい」という1点目の指示がありました。

続いて、「また、国民が中小・小規模企業を含めて、安心して職場を選び、また、事業者も安心して雇用創出ができるように、労働紛争の解決を促す客観的で透明性の高い仕組みについて、検討を進めてもらいたい」という2点目の指示がありました。

以上が4月22日の会議の概況です。

続いて、5月28日には、先ほどの総理からの指示に応える意味も込めた産業競争力会議の課題別会合が開催されました。次第にある議題の2つ目の「『労働力と働き方』について」が本分科会関係の議題で、長谷川民間議員ペーパーと田村厚生労働大臣ペーパー、そして議事要旨を本日の資料としております。

まず、長谷川民間議員ペーパーは37ページからで、38ページに「働き方改革」の全体像を示される中で、そのメニューの中で残された課題である「ジョブ型正社員の普及・拡大」、「新しい労働時間制度の創設」、「予見可能性の高い紛争解決システム」が中核となる政策という位置づけで書かれております。

39ページでは、そうした労働時間法制等の改革の大前提として、働き過ぎ防止、いわゆるブラック企業対策、「撲滅」という表現を使われておりますが、官民ともに積極対応をということで、種々の具体的な提言がなされております。

その上で、40ページで「新しい労働時間制度の考え方」が書かれております。考え方としては、生産性の向上を図り成果を出すための新たな選択肢を設けること、労働時間と報酬のリンクを切り離すこと、長時間労働を増加させない、能力・成果に見合う処遇の確保を図ることが書かれております。

制度的なものと、労使への呼びかけ的なものと両方書かれている感じもいたしますが、ポイント1では労働者を限定すること、あるいは労使合意を尊重することや、本人の希望・選択を尊重することが書かれています。

ポイント2は、職務・成果に応じた適正な報酬確保、効率的に短時間で働いて報酬確保で、例えば2つ目のポツで不利益変更が発生しないよう、報酬原資イーブンの制度移行等の工夫をとされておりますので、恐らく呼びかけ的な要素も含めての提言と受けとめております。

ポイント3は長時間・過重労働の防止について具体的な提案です。

その上で、41ページで、新しい労働時間制度の対象イメージとして、非常に限定的なものであるとプレゼンされております。

例えば主に現業的な業務や定型的・補助的業務、経験の浅い若手職員層に関しては新制度の対象外であること。新しい労働時間制度の対象者は限定的で、具体的には黄色の部分ですが、職務内容と達成目標が明確で、一定の能力と経験を有する方。また、業務目標の達成に向けて、業務遂行、労働時間、健康管理等について裁量度が高く、自律的に働く人材で、具体的なイメージは、●が2つありますが、イノベーティブな職務・職責を果たす中核・専門的人材や、将来の経営・上級管理職候補等の人材ということで、例がさらに下に書いてあります。

大きく2つのグループに分かれるかと思いますが、経営企画のリーダー、海外プロジェクトのリーダー、新商品企画・開発、ブランド戦略等の担当リーダー、あるいはファンドマネジャー、IT、金融等ビジネス関連コンサルタント、経済分析アナリストなどが例示されております。

そして、42ページの「予見可能性の高い労働紛争解決システムの構築」は、4月22日と同様の主張です。

また、43ページの「『世界トップレベルの雇用環境』の実現に向けた体制づくり」についても、4月22日の提案からさらに踏み込み具体化した提案です。

これに対して、田村厚生労働大臣のプレゼン資料の表紙が44ページで、45ページからが実際のプレゼン内容です。

45ページが「総合的な労働時間制度の検討」で、労働時間制度に関する田村大臣としての包括的な全体像を示す資料です。

端的に申しますと、労働者の類型ごとにそれぞれのニーズに対応していくことが必要との観点から、労働者の方々を幾つかの類型に分けた上で、必要な対応について提案しているものです。

具体的には、まず1番の一般の労働者の方々については、企業における法令遵守の徹底や長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進というニーズに対し、右側の対応策で、若者の「使い捨て」が疑われる企業等、法令に違反する企業に対する監督指導の徹底、「朝型」の働き方の推進、あるいは現在労政審で議論いただいている「働き過ぎ」の改善策、長時間労働抑制策や年次有給休暇の取得促進策について述べております。

その中でも育児・介護の事情がある方については、先ほど見ていただいた始業・終業時刻の柔軟化、突発事態への対応が、これらの方々の職業キャリアを中断することなく継続し、安定化させる上で必要不可欠なものであるとの認識のもとに、フレックスタイム制の活用促進、テレワークの普及等を強調して述べております。

これに対し、2番の企業の中核部門、研究開発部門等で裁量的に働く方については、そのニーズに応えるため、企業の競争力強化、労働者の創造性・高度な職業能力の発揮に資するような裁量労働制の新たな枠組みの構築として、健康と適切な処遇の確保を図りつつ、新たな枠組みの構築を検討し、これによって、業務遂行のための標準的な裁量みなしのみなし労働時間を労使で設定することによって生産性を上げ、結果として、仕事を早く達成すれば早く帰れるという意味も含めて、ワーク・ライフ・バランスにも資する働き方が実現するのではないかとしております。

そして3番、成果で評価できる世界レベルの高度専門職の方に関しては、時間ではなく、専ら成果で評価できるような仕事に関する労働時間制度の構築を検討していくという考えを示されたところです。

以下、一般の労働者の方々に関する具体的な内容が46ページ、その中でも特に育児・介護の事情がある方に関しての具体策は47ページ、裁量労働、あるいは成果で評価できる世界レベルの高度専門職の方についての具体的な考え方は48ページでプレゼンされております。

続いて、49ページは「予見可能性の高い紛争解決システム」で、労働審判事例等の分析は、4月22日にも田村厚生労働大臣からプレゼンしたとおりですが、それらを分析した上で、我が国の実情に即した対応について幅広く検討するという考え方が示されました。

また、「多様な正社員」については、前回同様のプレゼンをされました。

議事要旨は52ページからです。前の議題の関係は省かせていただいて、53ページから55ページまで長谷川民間議員のプレゼンが続いております。

また、田村厚生労働大臣からは、56ページから57ページにかけてプレゼンされております。

その後、民間議員や関係閣僚から、特に労働時間と賃金のリンクを切り離した新しい労働時間制度について、重点的に御意見を頂戴したところですが、これに対して、60ページから61ページにかけて田村厚生労働大臣としての、各々の御指摘に対する意見を再度述べられております。

そうしたやりとりの上で、61ページの下、甘利経済再生担当大臣から、「この議論は、労働者の健康はしっかり守る。そして、ワーク・ライフ・バランスについてもしっかり配慮する」という点で、田村厚生労働大臣も民間議員も共通しているというお話の上で、「この働き手のニーズにどう応えていくかということで、今、議論が進んでいる。厚労大臣、長谷川議員との間で、新しい提案でどこまでカバーできるのか、それでカバーできないニーズはどこにあって、それをどう取り扱っていくかについて、これからも議論をしていただきたいと思っている」というお話がありました。

その上で、安倍総理から最後の取りまとめと最終的な指示がなされております。

総理からは、61ページの一番下にあるとおり、働き方の選択肢を増やすことが大事だとの考え方を示された上で、62ページ「このため、成果で評価される自由な働き方にふさわしい、労働時間制度の新たな選択肢を示す必要がある。新たな選択肢については、『長時間労働を強いられる』あるいは『残業代がなくなって賃金が下がる』といった誤解もあるが、そのようなことは、絶対にあってはならないと考えている。まずは『働き過ぎ』防止のために法令遵守の取組強化を具体化することが、改革の前提となる。その上で、新たな選択肢は、希望しない人には、適用しない。職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に、対象を絞り込む。働き方の選択によって賃金が減ることの無いように適正な処遇を確保する。この3点の明確な前提の下に、検討していただきたい。」との指示がなされたところです。

あわせて、「こうした限られた人以外の、時間で評価することがふさわしい、一般の勤労者の方々には、引き続き、現行の労働時間制度でしっかり頑張ってもらいたい。あわせて、子育てや介護などの事情を抱える働き手のニーズに合わせて、フレックスタイム制の思い切った見直しも行う。」とのお話がありました。

さらに、「先進諸国と比較しても十分な客観性と事前予見性を備えた、労働紛争解決の仕組みについて検討してもらいたい。以上の点について、関係大臣間で更に調整を進め、日本再興戦略の改定において、方向性を示していただきたい。」と、総理から、関係大臣間で先ほどの3点を初めとする指示を踏まえて詰めるよう明確な御指示があったところです。

その上で、6月10日には産業競争力会議の本会議が開催され、「『日本再興戦略』の改訂(骨子案)」が示されております。64ページから65ページにかけて「日本産業再興プラン」の中で、「雇用制度改革・人材力の強化」が65ページにあり、「創造的で生産性の高い働き方に向けた雇用制度改革を実現」等の観点から、「1雇用・働き方の改革」として、労働時間制度の見直し、多様な正社員の普及・拡大、雇用ルールの透明化等とされ、この3本の柱については、具体的な文書はこれからの検討となりますが、「日本再興戦略」の改訂版に項目として載ることは確実になっている状況です。

その上で、既に幅広く報道もされておりますので、1点付言して報告いたします。先ほどの5月28日の総理の御指示、関係閣僚間で三原則の考え方等や今までの議論の経緯も踏まえてよく調整の上で、新しい労働時間制度について改訂「日本再興戦略」に盛り込むようにとのお話があった点については、6月11日に関係の閣僚の最終的な意思疎通、意見の調整のための会合が持たれました。その結果、「時間ではなく成果で評価される制度の改革」として、「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する働き手のニーズに応えるため、一定の年収要件(例えば少なくとも年収1,000万円以上)を満たし、職務の範囲が明確で、高度な職業能力を有する労働者を対象として、健康確保や仕事と生活の調和を図りつつ、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した『新たな労働時間制度』を創設することとし、労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、次期通常国会を目途に所要の法的措置を講ずる」旨の合意がなされたところです。本日の夕刻、産業競争力会議において「日本再興戦略」改訂版の「素案」が示されると事前に伺っておりますが、その中にはただいま御説明した閣僚間合意した内容も含めて、ほかに「働き過ぎ」防止のための取組強化や裁量労働制の新たな枠組みの構築、フレックスタイム制の見直し等の「働き方改革」の実現に関する項目も盛り込まれるのではないかと考えております。

報告は以上です。よろしくお願い申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明いただきました内容につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

新たな労働時間制度について申し上げたいと思います。近年のイノベーション創出のプロセスでありますとか、グローバルビジネスの実態を踏まえますと、創造的で効率的な働き方を促すような環境整備というのが喫緊の課題になっております。

例えば研究職、技術職、市場調査担当者、各種プロジェクトのリーダー、IT・金融ビジネスのコンサルタントや専門家など高い職業能力を有する方は、労働時間でなく成果で処遇することがふさわしい方も少なくないと思っております。こうした方々は時に研究や分析に没頭したり、最新の知見を得るための勉強というものが必要で、実際には業務と勉強の境目の判断が難しく、家でアイデアを練ったり、あるいは関係の資料が会社にあって、休日出勤するかどうか二の足を踏むようなケースもあるというふうに聞いております。

また、製造ラインを見直す生産技術の担当者は、生産ラインが止まっている夜間時間帯に現場を見ながらアイデアを練ったり、実際の作業を行うようなケースもあるというふうに聞いておるところでございます。

多様な働き方に合った選択肢を設ける意味から、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持った、例えば少なくとも年収1,000万円以上の労働者に限定して適用除外制度を設けるべきと考えます。

ただし、業務の性格から仕事にのめり込みがちな面もございます。また、規制緩和のレベルとしては大きい部類のものでありますので、適用除外者に対する十分な健康確保措置を手当てする必要があります。

繰り返しになりますが、少子高齢化の進展、グローバル競争の激化、新興国企業の追い上げなどにより、他社にはない製品やサービス、あるいは新たなビジネスモデルを生み続けなければ、企業の競争力というのが維持・向上することが期待できません。

企業競争力は雇用機会あるいは処遇改善の源泉であり、こうした観点からも裁量労働制の見直しを含め、労働時間制度改革の必要性を捉えていただく、そういうことを御理解いただければありがたいと思っております。

私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、鈴木委員から、事務局からの御報告内容を踏まえて、労働時間のあり方について御意見をお聞きしました。労働時間のあり方に関する検討は、昨年の9月から労働政策審議会でずっと行ってきていますが、初めて使用者側から具体的な労働時間の適用除外の話をお聞きしたのではないかと思います。これまでの論議経過をまとめた資料も拝見しましたが、今かなり踏み込んだ御発言があり、驚きをもってお聞きしたところであります。

その上で、事務局の報告をお聞きしまして、中身の問題はまた後で申し上げますけれども、政府での論議のプロセス、あり方について非常に違和感を覚えるということをまず申し上げたいと思っております。

 先ほど村山課長から今日の夕方の会合の話も触れていただきましたけれども、具体的にはかなり突っ込んだ、「例えば少なくとも年収1,000万以上」で、一定の職務の要件を満たした者について新たな適用除外の制度を創設するというのが政府方針として出てくるのではないかということでした。

労働条件分科会では、昨年9月下旬から、まさしく政府が昨年決定した「日本再興戦略」の中で「労働政策審議会で検討を開始する」とされたことを踏まえて、公労使三者で真摯に論議をしてきたわけですし、その論議の歩みも決して停滞していたわけではなくて、さまざまなアンケート等々の実態を踏まえて、我が国の労働時間法制のあり方についてどうあるべきかということを、まさしく現場を一番よく知る労使が論議を重ねてきたわけです。

しかし、今、話をお聞きしますと、例えば52ページに産業競争力会議の課題別会合の参加者、出席者の方の名前が出ておりますけれども、総理大臣以下の閣僚の方はもちろん入っていますが、民間議員の方のお名前を拝見しますと、日本を代表する経済団体の代表者の方々は入っておられますが、労働側の代表が誰も入っていない中で、労働時間規制のあり方であるとか、解雇のあり方が論議をされて、大枠がこうした会議体で決定されるということに対して、本当に違和感を禁じ得ないということです。

先週総会が終わったばかりでありますけれども、我が国も第1回の総会以来参加し、また、常任理事国であるILOの三者構成原則に関し、我が国も具体的な条約にも批准しているにもかかわらず、三者構成原則をないがしろにして、労働者が1人も入っていない中で雇用労働政策の論議が進められるのかということについて、非常に違和感を覚えるということをまず申し上げておきたいと思います。

その関連で、規制改革会議の議事概要を拝見すると、連合の名前も出てきているものですから、訂正をしておかないといけないと思っています。

規制改革会議では、労働時間規制の検討の中で「三位一体改革」ということがずっと言われております。もともと規制改革会議の中では新しい労働時間の適用除外だけが論議をされていて、その後、論議の中で労働時間の量的上限規制や、休日・休暇取得の強制的取り組みといったものを加えまして、3つの項目について三位一体的に取り組むべきではないかというのが規制改革会議の提案の御趣旨だと思います。この点について、59ページに「連合からも一定の理解が示されている」という稲田大臣の御発言であるとか、60ページに、田村大臣の御発言の中で「連合が賛成しているのに私が賛成しないみたいな話もあった」と書いてあるのですが、連合は規制改革会議が提唱する「三位一体改革」には賛成しておりません。この議事概要が出回り、連合があたかも三位一体改革の論議の中身に賛成していると世間に出ていくことに非常に違和感を禁じ得ないと思っています。

何が違和感かと言いますと、規制改革会議の御論議は、適用除外をされた対象者に限って量的な規制であるとか年休の取得促進を行うという非常に範囲が限定された論議をされているのを「三位一体改革」と呼んでおられるようであります。我々は、そういった対象者限定ではなくて、すべての労働者に対して、今、一番の課題である過重労働防止に向けての取り組みをまずやるべきだという考え方であります。ここの議事録だけを見ると、規制改革会議がおっしゃる「三位一体改革」に連合が賛成しているというふうに見えるのですけれども、ここはくぎを刺しておきたいと思いますし、先日、直接稲田大臣にも申し出をしたところでありますので、それも御紹介しておきたいと思います。

とりあえず私のほうからは以上であります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、野崎委員、どうぞ。

○野崎委員 新しい労働時間制度について、これからに向けてそれぞれが考えなければならないということでございますが、今、御提案がありますのは、従来の裁量労働制そのものではないということなのですけれども、従来の裁量労働制との比較でどのような特徴があるのかということ、言葉では出てきておりますが、具体的にもう少し明確にしていかなければならないのかなと思います。つまり、職務内容と達成目標が明確で、かつ裁量度が高く、自律的に働くということなのですけれども、成果などをどのようにはかるのかということで、まだ難しい問題があると思います。

 もう一つ、年収要件というものがどのようにして結びついているのか、その根拠のあたりもよく見ていきたいと思います。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。御意見ということで承ります。

では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。

 2点ほどあるのですが、1点は、規制改革会議の論議の中で「三原則」や「三位一体改革」という言葉が出てきておりますが、その3つというのは何を指して言われているのでしょうか。まず、これは御質問です。

○岩村分科会長 他の会議の話なので、なかなか事務局も答えにくいかと思いますが、では、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答え申し上げます。

まず、規制改革会議で打ち出された「三位一体改革」については、先ほど新谷委員からもありましたように、労働時間規制の適用除外と、労働時間の上限規制等の健康確保措置と、年次有給休暇の強制取得等のワーク・ライフ・バランス措置を一体的に議論すべしというのが規制改革会議の会議体としての意見であり、繰り返し表明されているところです。

一方、先ほど御説明した3つの原則とは、資料の62ページにあります5月28日の安倍総理の会議の取りまとめに当たっての御指示の中で、新たな労働時間制度の選択肢について、1点目は「希望しない人には、適用しない」、2点目は「職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に、対象を絞り込む」、3点目は「働き方の選択によって賃金が減ることの無いように適正な処遇を確保する」ということです。先ほどの三位一体改革とは別の話ということです。

以上です。

○岩村分科会長 では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 どうもありがとうございました。

 「三位一体改革」は、別の会議体ということですが、その中では労働時間の量的上限規制や休日・休暇の取得に向けた取り組みというところは非常に薄れており、「ブラック企業対策」という名前が使われるだけで、結局取り締まりの強化というだけで済まされているという理解をしてしまいます。そういう意味では、労働政策審議会の場では、労働時間の量的の上限規制の問題や休日・休暇の取得の問題などの解決を、先ほどの中間評価の中でも評価されていたように、しっかりと取り組む必要があるという意見です。

2点目ですが、今、使用者側からもありましたように、時間ではなく成果による評価する仕組み、または「年収が少なくとも1,000万円以上」を対象とする新たな労働時間制度というような提起がされておりましたが、この点に関し、この労働時間規制適用除外の制度について、厚労省も同意したような報道が一部見受けられています。しかし、私たちは、労働時間と賃金のリンクを切り離すか否かの判断基準がなぜ年収になるのかということについては全く理解できません。

もともと労働時間規制というのは、健康と安全を守り、生活時間を確保するために労働時間規制があり、年収によって労働時間規制の適用、不適用が決められてしかるべき合理的な理由というのは何か。我々としてはこの点が全く理解ができないということです。

ややもすれば、従事している職務や責任、権限の程度がどうあれ、ある程度の高い年収または給料を支払っている労働者には残業代まで支払う必要はないだろうという考え方があるのではないかと思わざるを得ません。

こういうものは、1つの年収要件が決まってしまい、では、この年収要件の高低が適当であるのかという議論が出てくる可能性もありますが、我々は、働くためのセーフティーネットとして何を持っていけばいいのかということについて、真剣に議論していかなくてはいけないと思っています。

先ほど新谷委員からもありましたように、今、日本では、過重労働問題、長時間労働問題が、さまざまな施策を打ってもなかなか解決されないという中で、労働時間規制の適用除外を新たに設けようとすること自体には反対であります。年収が高ければ適用除外としても問題ないという考え方については容認できないという考え方を今の時点で示しておきたいと思います。

以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 中身の話を1点御確認させていただきたいのですが、分科会長からもありましたように、別の会議の中身なので、よくわからない部分はおありかと思うのですが、5月28日に厚生労働大臣が出されたペーパーでは、成果で評価するというような制度の対象者については、世界レベルの高度専門職というような御説明をされております。議事要旨を拝見すると、議員のほうから、そういうほんの一握りの対象者では意味がないというような議論もあって、最終的な総理指示に結びついているとは思うのですが、いずれにしても、そういった中身について、今後さらに検討が加えられていくのだろうと思いますが、1点お伺いしたいのは、厚生労働省としてそういう意向があるということなのでしょうか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 先ほどの労側からの御確認、ただいまの使側からの御質問に対してお答えいたします。

 一定の交渉力がある専門職の方に対し、労働時間と賃金のリンクを絶つような働き方を前提とした労働時間制度について、厚生労働省として、ぜひこの場で御検討を進めていただきたいという趣旨で、新たな労働時間制度に関する田村厚生労働大臣のプレゼンが行われたものと理解しております。

いずれにいたしましても、先ほどから御説明しているとおり、現在、なお「日本再興戦略」の改訂に向けた作業の途上であり、今後、与党との調整等を経た上で、最終的には年央の閣議決定となります。その段階で改めて正式に考え方を整理し、この場で御依頼すべきと考えておりますが、田村厚生労働大臣のプレゼンの意図は、それらの検討の必要性を示したもので、同時に極めて限定的な方々を対象とする制度という認識を示されたものと理解しております。

以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

○秋田委員 はい。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 62ページに、安倍総理の御発言が記載されていますが、今後の労働時間規制の検討の前提として、「まずは『働き過ぎ』防止のために法令遵守の取組強化を具体化することが、改革の前提となる」とおっしゃっているようです。この考え方は、本当に現状を把握されての御発言ではないかと思っております。

労働側としては、先ほど来申し上げておりますように、過重労働防止策がまず検討されるべき項目としてあるべきであると考えております。これまでの論議の中で、職種別のいわゆる過労死、つまりは労災における脳・心臓疾患の認定状況及び死亡者の状況について、職種別にデータを示していただいたところでありますが、専門的・技術的職業従事者と労働基準法第41条の第2号で適用除外となっている管理監督者が、脳・心臓疾患の労災認定件数の4分の1を占めている状況です。また、5年連続で毎年100人以上の方が過労死をされており、労災の認定件数も、脳・心臓疾患においては300500件という認定状況で推移しています。

こうした状況を見ると、現状で労働時間規制の適用除外になっている方、あるいは労働時間の把握の特例措置としてのみなし労働時間制度としての裁量労働制をとっておられる労働者について、実労働時間の把握が一体どうなっているのかと見たとき、非常に強制力のない任意的な取り扱いになっていると言わざるを得ないと思います。

確かに厚生労働省からは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置が示されてはいますが、いずれにしてもこれは告示レベルで、法的な拘束力がないという状況です。また、この部会の中でも、前々回のときに示していただいた資料で、裁量労働適用者の実労働時間の把握、管理監督者の実労働時間の把握が一体どうなっているのかと見てみますと、企画業務型裁量労働制の方については、何と42%が不明であると。要するに、実労働時間がどうやって把握されているか、使用者がわかっていないというのが4割もいるという状況ですし、労働者による自己申告で把握をしているいう方々が、専門業務型裁量労働制については4割もいるということです。

今、国会では労働安全衛生法の改正論議が進んでおり、法案の成立が待たれるところでありますけれども、実は労働安全衛生法改正法案に盛り込まれているメンタルヘルス対策と直接つながってくる産業医の面接指導についても、労働基準法第41条の労働時間規制の適用除外対象者については、自己申告で100時間を超えたら申し出をせよというロジックになっているわけです。

今回、示された年収要件で適用除外制度を新たに設けるという際に、こうした過重労働の防止策が全く触れられていない。もちろん、総理の指示ではそれが前提なのだということでありますけれども、そこが全く論じられない中で、なぜ新たな適用除外制度の創設が認められるのか。これは本当に順番が逆ではないかと思っているところであります。

私どもとしては、繰り返し申し上げておりますように、毎年100人以上の方が過労死で亡くなっているという現状について、政府はどういう責任を持って受けとめるのか。今やるべきことは残業代をゼロにするような仕組みではなくて、過労死を来年からゼロにするのだ、過労死ゼロというところを全面的に打ち出すべきであると労働側としては強く感じるところであります。

ただいま八野委員からもありましたように、年収要件をもって労働時間規制の適用除外をするというロジックについては全く理解ができないということを申し上げておきたいと思います。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

池田委員、どうぞ。

○池田委員 年収1,000万以上という話が出ておりますが、この件に関して、先日、商工会議所でも企業の人事部長クラスの方たちと意見交換をしました。中小企業で言いますと、年収1,000万円以上の方は、大体が役員クラスで、管理監督者を含めて全体で3.8%という数字が示しているように、中小企業では余り活用できない制度ではないかという意見も出ております。もう少し多くの働き手が対象になるような制度設計が必要という意見が多く挙がりました。

 もう一つのフレックスタイム制度の見直しにや、裁量労働制の新たな枠組みの構築ということに関しては、商工会議所としては全面的に支持をしたいと思っておるのですが、見直しに当たりましては、もう少し中小企業でも十分活用できるような方向でぜひ議論を進めていただきたいと思っております。

年収1,000万円以上を対象にするという方針については、国家戦略特区の問題と関連があるのか、質問させてください。

今、大事なことは子育て支援ということであると思いますので、子育て・介護と仕事との両立を考えますと、フレックスタイムは十分活用できる制度ではないかと思っております。

制度の見直しに当たっては、3〜6カ月の範囲で労使で決定できるような仕組みをぜひお願いしたいと思っております。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 御質問が1つおありであるということでよろしいでしょうか。

○池田委員 はい。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 先ほど口頭で申し上げた4人の閣僚の会合で年収の要件、例えば少なくとも年収1,000万円をベースに労働政策審議会で検討をお願いしたいとの話になっているという点について、国家戦略特区等との関係はどうなのかということですが、特に直接関係するものではないということをお答えさせていただきます。

以上です。

○岩村分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。

○池田委員 はい。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 産業競争力会議等での労働時間見直しの議論を今もお聞きしたり、あるいはマスコミの報道等を読んで推測されるのは、労働時間制度を見直して、新たな適用除外制度を設けるという議論は、そもそも日本は他の先進国と比べて労働時間規制が厳しいというようなイメージをもとに議論されているように見えてしようがないと思います。

 今の労働基準法32条では1日8時間、週40時間という物理的な労働時間規制をしておりますけれども、一方で、36条によっては、労使協定があれば、あるいは特別条項によって延長も可能になっているということです。

さらに、過重労働等の課題はあるものの、今の労働基準法では、裁量労働制やフレックスタイム制なども認めており、労働者のワーク・ライフ・バランスを配慮することを念頭に当該労使の協定などによって該当する労働者が主体的かつ弾力的に働くこともできる仕組みというのは現行法制でも整備されているわけであります。

そういう意味で言うと、労働時間の上限規制を緩和することは、今よりも長く働かせることが可能になるということ以外の何物でもないと思わざるを得ないわけでありまして、なぜ生産性向上などを持ち出して労働時間規制の枠外で働く労働者をより多く生み出そうとしているのかという疑問がやはり解消できません。

労働者なら誰でも疑問に感じているこうした問題点に対して、しっかりと明確に政府は答えるべきだと思いますし、産業競争力会議での議論をもとに労働政策審議会で議論を進めると、以前あった労働契約法における無期転換権の特例措置のように、労働政策審議会での議論が、ある種適用除外の問題ばかりが議論のテーマになりかねないというような危惧もしております。

産業競争力会議等で議論されている長時間労働とか、あるいは過重労働については、何も大企業で働く労働者に限った問題ばかりではありません。中小企業で働く労働者にとっても極めて重要なテーマであると思っています。そのような意味からも、私は何回も言っておりますけれども、早期の議論をお願いしておりますが、60時間超の時間外労働に関する割増率の中小企業に対する適用猶予措置を早期に廃止するよう、改めて求めていきたいと思っています。

以上です。

○岩村分科会長 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 先ほど厚生労働省のほうから、競争力会議での田村厚生労働大臣の発言の趣旨を踏まえて、一定の交渉力を持つ方の適用除外制度について当部会で議論していく方向で考えている旨の御見解があったのですが、これまで議論してきた裁量労働制やフレックスタイム、さらには今、宮本委員から御指摘のあった適用猶予措置の関係も含めて、どうされるのですか。まず、それをお聞かせください。

○岩村分科会長 どうされるというのは。

○春木委員 これまで議論してきた裁量労働制やフレックスタイム、さらには今、宮本委員から御指摘のあった適用猶予措置の関係は横に置いておいて、産業競争力会議で挙がっている論点を先行して議論するという考え方なのか、並行して議論していく考え方なのか、どちらなのか。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 春木委員からの御質問ですが、先ほどから各側委員からもお話があるとおりに、昨年からの議論の積み重ねがあるわけです。また、田村厚生労働大臣も、先ほど見ていただいたように、5月28日のプレゼンテーションは、特に適用除外のみについてプレゼンしたわけではなく、むしろ一般の労働者の方に対するワーク・ライフ・バランス、健康確保の観点からの対応について、これまで労働政策審議会で御議論を積み重ねていただいたところも含めて、さらにそれを具体化すること、あるいは池田委員からもお話がありましたフレックスタイム等の問題についても、子育て・介護等の事情を抱えた方々にも使いやすくしていくような改革も進めていきたいこと、また、裁量労働の問題についても、鈴木委員からもありましたように、今まで積み重ねてきた議論があり、それらを総合的に議論する中にもう一つ、対象者は限定された、「高度専門職」という表現を田村厚生労働大臣は使われておりますが、それらの方々についての総合的な労働時間制度の検討の1つの新しい提起として対応をしていきたい、総合的な検討の中の1つだということでプレゼンされております。

その後の5月28日の、先ほど御指摘のあった総理の御指示についても、新しい制度について、誤解があってはいけないだろうということで、3点の具体的な指示も含めて述べられたわけです。それとともに、一般の労働者の方々については、通常の労働時間法制の中で能力を発揮していただきたいことや、あるいは育児・介護等の制約条件を抱えた方が、仕事とそうした事情との調和を図りながら働き続けることができることについても取り組んでいきたいと総理も述べられており、政府全体として、新しい制度のところだけを議論していただきたいと述べているわけではありません。労働時間の総合的な検討の中での新しい御提案として、今後閣議決定された上で正式にお願いする機会があると思いますが、その点についてもお願いしたいということです。春木委員の御懸念のような、今までのところを全て脇に置いて、新しいところだけをお願いするというわけでは決してありません。その点は御理解いただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、春木委員、どうそ。

○春木委員 わかりました。今までの議論は無駄にならないということですし、さまざまな働き方にどのように対応していくのかということについて、当部会で議論することは大切だと思っていますので、これまでの議論に基づいて今後どうしていくのか、具体的な検討に入るべきだろうと思っています。しかし、その中で新たな適用除外制度についての追加議論については、私としては、生産性向上や業績アップのために、自分の健康やワーク・ライフ・バランスを割いてでも、高いお金を払うから働けという制度として捉えざるをえず、やはり乗れないということを申し上げておきたいと思っています。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 質問なのですが、今日の夕方、政府で話し合われる内容と、これまで産業競争力会議の民間議員が提案されてきた内容との関係をお聞きしたいのです。民間議員からは、4月22日の会合でAタイプ、Bタイプという2つの新たな労働時間制度に関する提案が、また、5月28日の会合でも別の仕組が提起されましたが、いずれにしても、民間議員の提案内容は、労働基準監督行政が全く関与できない仕組ではないかと思われます。まさしく司法警察権限を持った労働基準監督官を全国に配置して、それによって労働基準法の実効性を担保するという仕組が関与できないところにこういうものができてくることに対して、ものすごく違和感を覚えるのです。

今、政府で話し合われている「新たな労働時間制度」の最終的な内容と、これまでの長谷川民間議員ペーパーの内容との関係について、民間議員の提案は消えたのか、残っているのかも含めて聞かせていただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 ただいまの御質問ですが、国会等でも今、御質問いただいたような点は議論になっております。政府でという以前に、4月22日と5月28日の2回の産業競争力会議の間で長谷川民間議員ペーパーが対象者とする範囲は、5月28日ではかなり絞り込んできているというのが事実だろうと思います。

この点について、5月30日の衆議院の厚生労働委員会で御質問があり、内閣官房の政府参考人が答弁されておりますので、それを御紹介したいと思います。「長谷川主査は4月22日の後に5月28日に新しい提案をされておりますが、基本的には4月22日のペーパーによる提案も生きていると理解をしております。しかしながら、5月28日のペーパーにおいては、極めて限定的な対象者となっており、4月22日のペーパーよりもさらに限定的なイメージを持っておられると理解しています」という答弁の後に、さらに、それは最初の提案を撤回して2回目の提案になったのかという質問がなされ、内閣官房の政府参考人から、明確に撤回されたわけではありませんが、「4月22日の提案が極めて大きな広さだとすれば、5月28日の提案は明らかに狭いものをイメージとして明確に出されましたので、両方あわせ見れば、5月28日の提案がさらに狭いところを指し示しているものと理解しております。」という答弁がありました。このように、議論の進捗に従って民間議員ペーパーにおける対象者の範囲は、時間の経過とともに変わってきていると思います。

さらに、民間議員ペーパーでの御提言を受けて、産業競争力会議でさまざま御議論があった上で、先ほど御紹介したように、5月28日の総理の締めくくりでは、この先は、これらの議論を尽くしていただいたところを踏まえて、関係閣僚間でしっかり詰めてほしいという御指示をいただき、先ほども御紹介した大臣会合等の閣僚間の折衝が持たれました。最終的には関係閣僚間で民間議員提案を踏まえた御議論も消化しながら、日本再興戦略の文案、あるいは閣議決定される内容が政府として労働政策審議会に改めて正式にお取り次ぎするときの出発点になると考えております。

○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 結局、民間議員提案は消えたのか、消えていないのかよくわかりませんでした。どのようなものが今日の夕方出てくるのかわかりませんが、いずれにしても、労政審は労政審として粛々とこの場で論議を継続するということになろうかと思います。

ただ、1点気になるのが、総理大臣の指示の三原則に、労働者個人が希望しない場合には導入しないと書かれてあるのですけれども、これは、これまでの対等当事者関係たる民法を労働法によって修正をかけたように、労使関係の中には力の非対称性が当然残っておりまして、労働者個人が同意をしたからいいのだという考え方は非常に危ないと思います。

今回のこの仕組みは、労働時間と成果のリンクを切る、報酬とのリンクを切るということですから、労働者が同意しているのだからと最後に突きつけられて、どんどん成果を上げるために働き過ぎになってしまうというところが懸念されるわけでして、そういった防止策が全く入っていないという危なさがあると思っています。この点について、これが仮に労政審で議論することになるのであれば、重大な懸念を持って論議をしないといけないと思っています。

私からもう一点、ペーパーの中で予見可能性の高い労働紛争解決システムの構築ということも触れられている点について、メディアの報道は年収1,000万のところに集中をしているため、解雇の金銭解決の検討が進んでいるということがどうもぼけてしまっていますが、これは本当に危ないと思っています。

民間議員の提出資料では、個別労働紛争解決において、以前は労働者の救済の多様化ということ、最近は選択肢の多様化ということを眼目に掲げていましたが、5月28日資料で記載されている解雇における金銭救済システムというのは、解雇の金銭解決制度ではないか。労働政策審議会でも2003年と2007年に論議をして、とりわけ2003年には労働政策審議会で報告書が取りまとめられ、法律案要綱まで論議をしたものの、導入されなかったという過去の経過があるわけであります。お聞きしたいのは、ここで論議されている中身は、渉外事務所の弁護士の方が作成された資料が参考資料として抜粋されて民間議員の資料になっているのですが、労働者のためにということで、以前は「裨益する制度」とか書いてあって、わかりにくい言葉を使っていましたが、ここで言っているのは、使用者側からの申し立ても、解雇の金銭解決制度として検討されているのかどうか、わかる範囲でお答えをいただければと思います。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、予見可能性の高い労働紛争解決システムについては、先ほどから資料と議事概要で説明しましたが、産業競争力会議でもそれほど突っ込んだ詳細な議論が必ずしもなされているわけではないという面があります。

そして、私どもも現在、日本におけるあっせんと、調停、和解の最新の実態と、国外の法制について調査研究に着手したばかりですので、基本的にはそうした調査研究をした上で、その結果を踏まえて、今後さらにその先の段階を考えていく、幅広く検討していく話であると考えております。

もう一点、使用者側の申立の話がありました。これは平成15年の労働基準法改正のときにも大きな論点となった点です。例えば先ほど新谷委員から御指摘のあった主要国の解雇紛争における金銭救済制度で言えば、ドイツの解雇制限法を念頭に置いて議論する場合には、その枠組みの中で極めて限定された場合ですが、使用者にも、労働者のハラスメント等の行為によって協働を今後期し得ないときに限って使用者申立が認められている訳です。民間議員ペーパーの諸外国の○×表自体が、例えばフランスのように差別的な解雇とその他でかなり取扱が違っている国もあれば、イギリスのように雇用審判所の中で司法裁量で行われるけれども、あくまで労使参審制の中で行われる国もあり、また、アメリカのように一般の民事訴訟の中でさまざま取り扱える、ただし差別的なものは違うルートで取り扱うといったものもあるなど、御指摘の使用者申立の点も含めて、比較法的に、さまざまな切り口からさまざまな詰めが必要な問題であると思います。また、後で公益委員の先生方から必要であればコメントをいただければと思いますが、私どもとしては、いずれにしても、最新の諸外国の実態と国内の情勢を踏まえた上で、透明性が求められているという御指摘がありますので、透明性が確保され、あるいは客観的な紛争解決システムのあり方について、今後、その調査研究の結果を踏まえた上で、幅広く検討を進めていくべき問題ではないかと現時点では考えております。

使用者申立に限る議論が今の文脈で適切かどうかも含めて、いろいろ幅広く考えていくべき問題であると考えております。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 「金銭救済」の制度というのは、あたかも労働者のためになるような制度として名前をつけかえられているのですけれども、結局は、かつて我が国が検討した2003年のときの解雇の金銭解決制度なのではないか。これはドイツの解雇制限法に近い形で論議をされたと思うのですが、解雇無効の判決が出た後に、もう一度裁判官に金銭の支払いをもって労働契約の終了を求める、裁判を2回やるという仕組みで制度設計がされて、そのときの法律案要綱が出てきていて、使用者の申し立ても当然容認するというものでした。たしか労働政策審議会の建議に書かれておりましたのは、当該労働者の言動が原因となって、当該労働者が職場復帰したとしても、職場の秩序又は規律が維持できず、当該労働者又は当該事業場の他の労働者が労働契約の本旨に従った義務を履行することが困難になることが明らかである場合に、裁判官が認めるときには、金銭の支払いによって契約の終了を認めるということでありました。これは、解雇無効にもかかわらず、労働者が原職復帰したらこの職場は乱れるのだということをもう一度裁判官に証拠とともに言って、金を払うからやめさせてくれという仕組みなわけです。これのどこが労働者の救済につながるのだというところなのです。

名前が「解雇の金銭解決制度」から「金銭救済制度」とあたかも労働者を救うようなイメージの名前につけかえられているのですけれども、こういった名前のつけ方自体がまさしく世論をミスリードする可能性があると思っておりまして、国民一般は、そういう論議があったことすらもほとんど知らないわけです。

これから1年間かけてどのように調査などを行うのか分かりませんが、論議をするというときに、広く国民の皆さんに、解雇の金銭解決というのは一体何なのか、しかもそれが労働者の救済につながるのかどうかということを言う必要があります。我々は労働組合でいろんな学習会を行っていますが、この中身はほとんど知らない方が多いのが現状です。

 名前を書きかえられてしまいましたけれども、解雇の金銭解決なら金銭解決ということで、「救済」なんていうごまかしの言葉を使わないでいただきたいと申し上げておきたいと思います。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょう。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 新たな労働時間制度に話を戻させていただきたいと思いますが、先ほど新谷委員から交渉力、対等性ということに関するお話があったところでございます。もとより労働基準法は労働者を保護しようということで法律がつくられたわけであり、また、労働者のほうが総じて立場が弱いということは、当然議論を進めていく上で十分配慮しないといけない点の1つだと思っております。

 しかしながら、今後の議論ということでありますけれども、例えば少なくとも1,000万円以上という要件があり、かつ職務の範囲が明確で、かつ高い職業能力を有する労働者ということを前提にすれば、その交渉力というのは相当高いものではないかという印象を持っているところでございます。

 例えば平成24年の賃金構造基本統計調査から推計したデータですが、部長級の平均年収は1,036万円というようなデータもございます。

実際、技術者などは海外企業からヘッドハントされる方もいらっしゃるというような実態もございますので、その意味で、毎年の仕事、役割を決定する際の交渉力、本人同意をとる際の任意性が高いのではないか、そういう観点から今後、引き続き皆さんと議論を進めさせていただければと思っております。それが1点です。

もう一点は、先ほど新谷委員から企画業務型裁量労働制について、実労働時間の把握が不明であるというところが多い、事業所で42.6%ということの御指摘をいただきました。

この点はややテクニカルで大変恐縮なのでございますが、実は同じ調査で管理監督者に対する調査については、在社時間の把握等の観点から行っているものを答えてくださいという質問になっておるのですが、企画業務型裁量労働制については、そのような注釈がございません。もとより、管理監督者、裁量労働制はいずれも労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関する基準の直接の対象になっていないわけであります。裁量労働制については、管理監督者のような注がないということで、質問に答えるほうが質問の意図がわからず、不明というふうに答えている可能性もあるのではないかという点は御留意いただきたいと思っております。

また、改めて申し上げますけれども、労働時間把握ということにつきましては、2つの観点がございまして、もとより管理監督者、裁量労働制対象者については、安全衛生法上からの観点からの時間把握が義務付けられているところでございます。

その中で、現認ですとかタイムカード等による客観的な把握というのが求められていないわけでございます。裁量労働制の場合で言えば、個別企業の労使委員会が適切と考える範囲で選択をし、場合によっては在社時間ということも含めて勤務実態の状況の把握をしている実態にございます。

在社時間ということを選択するような裁量労働制の企業も多いと聞いておりますけれども、在社時間の場合には自己申告よりも長くカウントされるわけでございますので、例えば安全衛生法上の医師の面談・指導の対象も早いタイミングで受けられる、つまり、労働者のプラスの面もあるということを改めて申し述べたいと存じます。

以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 そういう御議論についてどのように考えるかということにつきましては、本格的にこの問題について議論を進める際に、またそれぞれのお立場で御意見等をいただければと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。そろそろ予定した時間が近づいておりますけれども、この議題につきましては、このくらいのところでよろしゅうございましょうか。ありがとうございます。

 それでは、少し早いのですが、本日はここまでとしたいと思います。

 日本再興戦略の改訂の状況などにつきましては、次回、事務局から報告していただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、分科会長としまして1点事務局にお願いをしておきたいと思います。これまでも当分科会の公労使三者委員の一致した意見としまして、具体的な制度設計につきましては、公労使の三者構成であるこの労働政策審議会でしっかりと検討して決定していくという点は、ぜひ堅持したいと私としても考えておりますので、事務局におきましてもこの点が守られるよう最後まで調整に努めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から次回の日程につきまして説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会につきましては、7月7日月曜日15時から17時を予定しております。場所は追って御連絡を申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。

最後に議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては宮本委員に、使用者代表につきましては宮地委員にそれぞれお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

本日はお忙しい中ありがとうございました。


(了)

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