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2014年7月14日 第6回 小児がん拠点病院の指定に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年7月14日(月) 13:00~19:00


○場所

航空会館701~702会議室(7階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)小児がん拠点病院の進捗の検証について
(2)その他

○議事

○江副がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まずは、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 健康局長に新村が着任しておりますが、本日は用務のため欠席させていただいております。

 また、健康局がん対策・健康増進課長に正林が着任してございます。

○正林がん対策・健康増進課長 先週の金曜日に、がん対策・健康増進課長を拝命いたしました正林でございます。前職は結核感染症課長でありました。8年ほど務めましたので、その間そこにいらっしゃる道永先生に子宮頸がんワクチンの関係では大変お世話になりました。

 自己紹介しますと、平成1315年にかけて生活習慣病対策室の筆頭補佐をやらせていただいておりました。当時は健康増進法の制定、それから、たばこ条約、がん診療連携拠点病院のスタートを担当させていただき、このがん対策については経験もありますし、思い入れもございます。

 その後、平成1518年にかけて島根県に赴任いたしました。島根県では、お名前を御存じの方がいらっしゃるかどうか、佐藤均さんというがんの患者さんがいらっしゃって、その方のいろいろ相談に乗っているうちに、あれよあれよという間に佐藤さんは有名な方になって、全国のがん組織を引っ張っていくような存在になられて、あのころ佐藤さんと一緒になって、これから日本のがん対策をどうしたらいいかみたいなことをよく議論いたしました。残念ながらお亡くなりになられて、今は奥様の愛子様がその遺志を引き継がれております。時々愛子様とも連絡を取り合ったりしていますけれども、そんな経験があって、今回がん対策・健康増進課長を拝命いたしました。精いっぱい業務に努めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、がん対策につきましては、がん対策基本法に基づいて平成19年6月にがん対策推進基本計画を策定し、がん医療、緩和ケア、がん研究、がんの早期発見などに対して総合的かつ計画的に取り組んでまいりました。

 小児がん対策については、第2期のがん対策基本計画の中で重点的に取り組むべき課題として位置づけられました。平成25年2月には、全国に15カ所の小児がん拠点病院を、さらに平成26年2月には小児がん中央機関を指定し、その体制整備を行っているところです。今回は、小児がん拠点病院の指定後の整備状況の進捗を検証するため、各小児がん拠点病院よりヒアリングを行う予定としております。委員の皆様におかれましては、それぞれの立場から小児がん拠点病院や小児がん中央機関のあり方などについて、さまざまな視点から御意見をいただき、小児がん対策の推進に向け活発な御議論をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○江副がん対策推進官 それでは続きまして、御挨拶ですけれども、私は4月1日にがん対策・健康増進課がん対策推進官に着任しております江副と申します。よろしくお願いいたします。

 続きまして、健康局がん対策・健康増進課の宮田でございます。

 また、今回オブザーバーとしまして、雇用均等・児童家庭局母子保健課の木下栄作課長補佐に御出席いただくことになっておりますが、用務のため遅れて到着の予定です。

 次に、本検討会より新たに御参画いただくこととなりました構成員の御紹介をさせていただきます。

 秋田県健康福祉部次長の田中央吾構成員でございます。

 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センターの堀部敬三構成員でございます。

 なお、本日の構成員の出欠状況でございますが、全ての構成員が御出席でございます。

 また、各小児がん拠点病院の皆様にも御出席をいただいております。

 それでは、以後の進行は垣添座長にお願いいたします。

○垣添座長 皆さん、こんにちは。大変お暑い中をこの検討会のためにお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 今、正林課長から御挨拶がありましたように、平成25年2月に小児がん拠点病院の制度が発足して、がん対策推進基本計画前半5年は我が国に多い5大がんを中心に、その均てん化を中心的な課題として進めてまいりましたけれども、後半5年は従来光を当て損なっていた小児がんや希少がんなどにも光を当てて、このように対策がどんどん進んでいるというのは大変結構なことだと考えております。

 小児がん拠点病院の皆さん方には、質の高い小児がん医療を提供するため、さまざまな取り組みを展開しておられると思います。本日は、小児がん拠点病院の整備の進捗状況について、各小児がん拠点病院よりヒアリングを行いまして、委員の皆様方と御議論いただければと考えております。大変長時間になりますが、構成員の皆様方、そして御参加の各医療機関の皆様にも、活発な御議論を心よりお願い申し上げます。

 まず、資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 まず、座席表、議事次第、それから資料1~4がございまして、

 資料1 小児がん中央機関の役割分担

 資料2 小児がん拠点病院整備の進捗状況について

 資料3 小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業等について

 資料4 小児がん拠点病院に関する検討すべき論点

 参考資料が1~3までございます。

 参考資料1 「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」開催要綱

 参考資料2 ヒアリングスケジュール

 参考資料3 小児がん拠点病院等の整備について

 資料に不足・落丁等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。

○田中構成員 済みません、資料2がないのですが。

○江副がん対策推進官 済みません、資料2がわかりにくくて恐縮でございますが、ファイルになっている資料でございますので、御確認いただければと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○垣添座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 まず、小児がん中央機関より資料1、小児がん中央機関の業務について、簡潔に御説明をお願いいたします。

(小児がん中央機関 着席)

○小児がん中央機関 国立成育医療研究センターの松本でございます。きょうは、資料1をごらんください。小児がん中央機関の役割分担についてお話をさせていただきたいと思います。

 平成26年2月に、小児がん中央機関といたしまして、私ども国立成育医療研究センターと国立がん研究センターの2つの医療機関が中央機関として指定されました。そこで行うこととしましては、大きな見出しに書きました1~6番までの事業について行うこととなっております。それぞれにつきまして、国立がん研究センターと私ども国立成育医療研究センターで役割分担をしておりますので、説明させていただきたいと思います。

 まず、資料の一番最初をごらんください。小児がんに関する相談支援の向上に関する体制整備と、小児がん患者・経験者の長期的な支援のあり方についての検討でございます。小児がんの相談員に関しましては、そこにがん情報サービス国立がん研究センターの小児がん情報サービスでもお知らせしてありますように、相談員の研修は当面のところ国立がん研究センターが実施する、がん相談支援センター相談員研修()()()というものを受ければ、小児がんの相談員となることができます。それに対しまして、小児がんというのは普通の成人がんとは内容が違っております。学校のこと、家族支援といったものに対して特化しておりますので、現在、小児がんに特化した相談員研修を計画中でございます。

 さらに今年7月に『がん専門相談員のための小児がん就学の相談対応の手引き』を国立がん研究センターで発行していただきました。このように、着々と進んでおります。

 2ページは、小児がんに関する情報を収集し、広く国民に提供するというタイトルになっております。これは国立がん研究センターの小児がん情報サービス、ganjoho.jpというところですけれども、ここを見ていただきますと、これがタイトルページでございますが、小児がんの解説、それから、検査・治療、いろいろなフォローアップということについて提供するようにしてございます。

 平成26年4月22日に開設して、全部で150ページのものでございますけれども、アクセス数はここにごらんいただきましたように、4月からどんどんふえておりまして、今は3万7,000~3万8,000の月当たりのアクセス数を得ております。

 3ページをごらんください。今後の予定ですけれども、まず、小児がん拠点病院の情報を今15拠点で掲載しておりますので、ここを9月には更新させていただき、掲載内容を拡充しようと考えております。さらに、8月には院内がん登録の2012年の全国集計がございますので、これを小児がんも含めて御報告させていただきたいと考えております。

 4ページをごらんください。小児がん拠点病院等に対する診断・治療などの診療支援でございます。これは地域の小児がん医療機関が多数ございますが、その中で診断困難例などを小児がん拠点病院に集約したいと考えています。そこから、病理診断、放射線診断、分子生物学的診断につきまして、私ども国立成育医療研究センターで診断困難例のそれぞれの診断について支援をさせていただきたく思っております。

 さらに、左側に書かせていただきましたが、診断用検体のアーカイブシステムを構築するということも考えております。今、少しずつアーカイブをつくっているところですので、今年度は無理にしても、来年度、再来年度には公表できるようにしたいと思っております。

 5ページをごらんください。小児がん診療に携わる者の育成に関する体制整備ということでございます。現在のところ案といたしまして、放射線診断医及び病理の診断に関する3カ月の研修プログラムを計画しております。これに関して、まだ案の段階ですのでなかなかいませんが、他職種(医師、看護師などを含む)の育成に関しても今考えているところでございます。ただ、雇用などの費用をどうするのかというのが一番の問題として挙げられております。

 6ページをごらんください。小児がんの登録体制の整備を行うということで、これに関しましては、小児がんの登録体制というのは研究登録、学会登録、院内がん登録、全国がん登録と非常にカタログデータがいろいろございます。それぞれ詳しいもの、詳しくないもの、悉皆性を持ったもの、悉皆性を持たないものいろいろございますが、これらの整備につきまして、今、学会と調整中でございます。さらに、やはり登録を行うということは今後フォローアップのための登録といたしまして、二次がん、その他長期フォローアップに関連するような登録につなげるべきだと考えておりますので、これに関しましても現在、学会と調整中でございます。

 7ページをごらんください。患者・家族及び外部有識者等による検討でございます。これに関しましては、本年4月に協議会の準備会を開催させていただきました。実務担当者と相談員の方々にお集まりいただき、今後の拠点病院事業の進め方について討議させていただきました。

 さらに、アドバイザリーボードといたしまして、患者・家族の方、教育関係者、学会関係、有識者の方で構成されますアドバイザリーボードを現在人選中でございます。本年10月に連絡協議会を行うことにしておりますので、ここで承認作業ができて、アドバイザリーボードを立ち上げたいと考えております。

 最後に、今までの進捗状況のまとめでございます。

 現在のところ小児がん情報サービスというものを設置したことと、連絡協議会を開催するという、この2つのことが大きいことだと思います。どんどん進めていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○垣添座長 ありがとうございました。

 大変慌ただしい御紹介で申し訳なかったですけれども、何か構成員の皆さんから御質問ありますか。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 ありがとうございました。ただいまの御発表の中で、()の小児がん登録の件について御質問させていただきたいのですが、今御説明の中で、さまざまなものが現在あって、悉皆性を持つもの、持たないもの、幾つかのものが走っているという御説明をいただいたのですけれども、がん登録推進法ができて全国がん登録と院内がん登録で、がん登録をかなり強力に推進していくという体制がある中で、悉皆性を担保して、かつ、診療情報もしっかりとっていただくことも重要なのですが、反面いろいろなものが走っていると、例えば漏れも出てきてしまうでしょうし、現場の医療従事者の方々の負担も増してしまうという可能性があるかと思いますけれども、現在学会と調整中ということですが、どういった方向性で今後まとまっていくような話し合いになっているか、わかっているところだけで結構ですので、教えていただけますか。

○小児がん中央機関 まだまだお話の段階ですので、なかなか決まったことというのはお話しすることができません。ただ、少なくとも2016年に全国がん登録というものが始まりまして、これによって恐らく悉皆性を持った登録というのはできると思います。それで全体を把握することは可能だと思うのですが、それ以上に長期フォローアップをするためにはどんな治療をしたのかとか、細かい治療の内容が必要になってくると思います。そういうものに関して全国がん登録を一つ柱にしながら、それに何か加えていくような形でできないだろうかという方法を今模索しているところでございます。

 まだお話し合いの段階で、学会と申しましても小児血液・がん学会だけではなくて、小児外科学会、小児がん学会、小児整形外科学会、脳腫瘍学会、いろいろありますので、そういったものとの調整も今後進めていかないといけないと考えております。済みません、まだ途上ですので申しわけございません。

○垣添座長 いろいろ御質問があるかと思いますが、時間が大変迫っておりますので、これで終わらせていただきます。

 国立成育医療研究センターと国立がん研究センターが大変密に連携されて、中央機関としてスタートされているというのがよくわかりましたので、今後ともよろしくお願いいたします。

○小児がん中央機関 どうもありがとうございました。

(小児がん中央機関 退席)

(名古屋大学医学部附属病院 着席)

○垣添座長 続きまして、各小児がん拠点病院から整備状況の進捗につきましてヒアリングを行います。まず、各地域ブロックの進捗状況について、あわせて御説明のある施設から始めたいと思います。

 まず、名古屋大学医学部附属病院からお願いいたします。ヒアリングのスケジュールは、参考資料2にあります。それから、時間について事務局からお願いします。

○江副がん対策推進官 進め方でございますけれども、ブロック発表がある場合には発表14分、質疑7分となっております。これはブロック発表がある場合とない場合に共通しておりますが、残り1分になりましたらベルを1回鳴らさせていただきます。発表時間が終了した時点でベルを2回鳴らさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○垣添座長 では、どうぞ。

○名古屋大学医学部附属病院 名古屋大学医学部附属病院長の石黒でございます。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。本日は、名古屋大学脳神経外科の若林教授と、実行責任者である小児科学の高橋准教授で来ております。

 それでは早速、実務実行者である高橋から説明させていただきたいと思います。前回、比較的高い評価を得たのですけれども、やはり改善点も指摘されました。それを十分直してきたつもりですけれども、もし、さらに改善すべき点がありましたら、御指摘いただきたいと思います。

○名古屋大学医学部附属病院 名古屋大学小児科の高橋と申します。小児がん治療センター長であり、小児科主任教授の小島が本日海外出張中でございますので、准教授である私が代わりに発表させていただきます。

 それでは、小児がん拠点病院整備の進捗状況について、前半9分で名古屋大学医学部附属病院について、後半4分でブロックの進捗をお話しします。

 資料1、診療実績をごらんください。小児がん拠点病院指定前の平成23年、平成24年の小児がん年間新患者数はそれぞれ70人、84人でしたが、指定後の平成25年は104人と増加しております。その内訳は、造血器腫瘍が32人、固形腫瘍が72人で、造血器腫瘍と固形腫瘍の比率が約1対2の割合となっており、指定後に主に固形腫瘍患者数が増加していることが特徴です。中でも、我が国における年間の神経芽腫の発症数は120例前後とされていますが、昨年の神経芽腫の新規患者数は16例に達しています。16例のうちほとんどの症例は造血細胞移植を必要とする進行例です。紹介病院は東海地区のみならず全国に及んでいます。この理由として、後で述べますが、当院が難治性神経芽腫に対する新規治療法に力を注いでいることによると思われます。

 一方、スタンダードリスクの急性リンパ性白血病などの患者数には変化が見られませんでした。当院が対象とする疾患が難治性ハイリスク小児がんであることを反映しての結果と思われます。

 資料2-1、指定後の変化1をごらんください。左上に示しますように、小児内科における入院患者数は指定前に35人前後でしたが、指定を機に急激に増加し、昨年10月に50人を超え、以後は50人前半の入院患者数で飽和状態に達しています。増加した患者数の多くは、造血細胞移植を必要とする難治性の患者であることが特徴です。

 右上をごらんください。昨年10月には小児がん治療センターを設立し、小児がん治療センター長、内科系・外科系教員各1名を任命し、各種診療科、各種院内サポートチームとの連携を強化することを目的として、月に1回小児がん治療センター運営協議会を開催し、小児がん拠点病院としての機能を強化しております。

 左下に示しますように、本年1月には小児患者家族滞在施設ドナルド・マクドナルド・ハウスなごやが名大病院の敷地内に完成しました。患者さんの御家族は1名1,000円で宿泊が可能です。

 その他、前回のヒアリングで当院の課題とされた、AYA世代対策及び緩和ケアにつきましても、右下に示しますように、院内にAYA世代ルーム(ティーンズルーム)を設置し、実習用机などを配置しています。

 院内に入院患者きょうだいの待機場所を新たに設置し、また、院内学級を移転・拡充いたしました。また、細胞移植を必要とする患者数の増加に対応するため、小児科病棟内に3床の無菌室を本年度に増床予定で着工しました。現在の当院における年間移植総数は30例ですが、この結果、年間50例の移植を実施することが可能となります。

 本年2月に、外部講師を招いて小児緩和ケア講演会の開催を行いました。また、小児がん拠点病院指定後に、東北大学、日本大学、名古屋市立大学から、当院での小児がん診療研修を希望する医師を3名受け入れております。

 資料2-2、指定前後の変化2をごらんください。前回のヒアリングでは、臨床研究の実施に関して当院は高い評価を得ることができました。この分野におけるその後の進捗状況をお示しいたします。

 左上に示しますように、ハイリスク神経芽腫に対する抗GD2抗体の早期承認を目指した医師主導治験は、日本医師会治験推進研究費を取得し、本年5月に治験届を提出、6月11日にPMDAより治験開始の許可を受けております。

 左下に示しますように、当院が開発した難治性神経芽腫に対する臍帯血移植を用いた新規治療法につきましては、本年5月にドイツのケルンで開催された神経芽腫国際学会において、臨床部門での優秀賞を受賞しております。

 再発神経芽腫のように治療法が確立しておらず、絶対的に予後不良な疾患については、全国的なプロトコル研究のほかに、当院のような研究設備を備えた施設でのパイロット的な新規治療法の開発が重要であると考えております。

 資料3、事業実績報告をごらんください。小児がん拠点病院機能強化事業費としていただいた1,380万円のうち、1,350万円は保育士、チャイルド・ライフ・スペシャリストの給与に充てており、残り30万円がブロック内の研修会の費用に出費しております。

 一方、拠点病院予算以外に、小児がん関係の経費として当院では以下の費用を計上しております。院内学級移転、ティーンズルーム新設費用として1,750万円、プレイルーム運営事業、保育士チャイルド・ライフ・スペシャリストの給与として500万円、小児患者家族滞在施設周囲の舗装工事に30万円、がん相談支援事業として330万円を病院予算から拠出していただきました。

 また、小児科病棟内に3床の無菌室を増床する工事に着工しており、その費用約1億2,000万円につきましても、病院予算より御支援いただいております。

 資料4-1、今後の整備スケジュール1をごらんください。左上をごらんください。急性リンパ性白血病(ALL)は予後の改善が著しい小児がんの代表として知られておりますが、患者数が多いので実際には小児がん患者における死亡原因の第1位です。化学療法に抵抗性のALLは、たとえ造血幹細胞移植を受けてもその多くは再発し、完全治癒が困難となっております。最近このような化学療法抵抗性のALLに画期的な新規治療法が開発され、欧米ではトピックとなっております。

 写真に示す女の子は、抗がん剤が無効の急性リンパ性白血病に罹患し、キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T)療法を受けて治癒した米国の少女の写真です。欧米では、このCAR-T療法の臨床研究が進んでおりますが、我が国ではまだ患者さんに実施した報告はありません。

 当院では、非ウイルスベクターを用いて、より安全で、より安価なCAR-T療法の開発に成功いたしました。左下に示しますように、健常人においても患者さんにおいてもCAR-T細胞を作成し、患者さん自身の白血病細胞を殺せることを確認しております。

 本年6月に厚生労働省革新的がん医療事業実用化研究費をCAR-T細胞の開発研究で採択されましたので、今後は名大病院での治験開始を目指しております。

 資料4-2、今後の整備スケジュール2をごらんください。当院では、アジア小児がんセンター病院との連携を進めてまいりましたが、本年5月30日に名大病院において、アジア小児がんセンターコンソーシアムを開催いたしました。中国から北京小児病院、上海小児病院、天津血液センター、韓国からサムソンがんセンター、アサンがんセンター、台湾から台湾大学病院の参加を得まして、今後の人材交流、共同研究について話し合いを行いました。

 左下の年間新規患者数をごらんください。センター化されている東アジア各国の小児がんセンターの患者数は、日本の病院と比較して桁違いに多く、今回参加した7病院の合計患者数は、我が国の年間患者総数を上回る数となっております。既に人材交流としましては、天津血液センターから名大病院へ、名大病院からサムソンがんセンターへ小児がん研修を行っております。

 コンソーシアムの共同研究プロジェクトが現在議論中です。名古屋大学が中心となって、東アジア小児がんセンター間の国際交流を進めていく予定です。

 続きまして、東海・北陸ブロックの発表を行います。

 資料1、地域ブロックの概要をごらんください。左の地図に示しますように、東海・北陸ブロックは石川県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、静岡県の6県から成ります。このブロックでは三重大学病院と名古屋大学病院の2つの小児がん拠点病院が選定されております。

 地図に拠点病院の連携病院の場所を記してあります。2つの拠点病院は、ともにハイリスク症例や再発・難治症例の受け入れを行いますが、拠点病院間の分担としましては、右の図にありますように、名大病院は臨床研究中核病院橋渡し研究加速ネットワークの拠点となっていますことから、小児がんに関する治験、先端医療の推進を担当し、三重大学病院は在宅医療推進拠点であることから、緩和ケア、トータルケア推進を担当しております。

 拠点病院と連携病院との患者紹介数としましては、連携病院から拠点病院の紹介数が昨年33名、拠点病院から連携病院の逆紹介が24名と、相互に紹介し合ってこの地域の小児がん診療を連携しております。

 資料2-1、今後の整備スケジュール1をごらんください。地域連携としましては、東海北陸ブロック地域小児がん医療連携協議会を設立して開催しております。北陸地域と東海地域の連携を深めるために、既に名大病院と金沢大学病院に整備されている国立大学病院連携システムが、全ての国立大学で導入される予定であり、このテレビ会議システムを拡張する形で、小児がん診療検討会や研究会をこのブロック内で共有する予定です。

 資料2-1、今後の整備スケジュール2をごらんください。これまで東海4県では、小児がん関連の各種研修会が年間11回行われております。密接な情報交換を行っております。今年度は少なくとも1回以上、北陸地区で開催する予定でおります。

 コメディカルを含む小児がんに関する勉強会・研修会につきましては、拠点病院間で検討した後、各県の連携病院をも含む勉強会・研修会を企画していく予定です。

 小児がん治療薬治験先端医療の推進には、東海・北陸地方の10大学及び厚労省の2センターから構成される中部先端医療開発円環コンソーシアムが設立されておりますので、それを利用して推進していく予定です。

 以上でございます。ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 御質問がありましたら、お受けしたいと思います。堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 2点伺いたいのですが、特に臨床研究の面で非常に進展があることはよくわかったのですが、前段の拠点の整備の中で、この1年間で進展が見られなかった点、課題として考えている点が何かということをお聞かせいただきたいのと、非常に入院患者数がふえたということで一定の集約が認められるのですが、神経芽腫のことはよくわかったのですけれども、特に問題になっている小児がん医療の中でどういうものが集約されてきて、地域として何が問題として残っているか、その点についてよろしくお願いします。

○名古屋大学医学部附属病院 まず、進捗が見られなかった点としましては、計画したものは比較的順調に進捗しているなということが一つと、強いて挙げますと、当初予定しておりました無菌室の増床3床がまだ実際には稼働しておりません。計画は進行中で着工まではしましたけれども若干遅れを伴っていると、そういうところが現在まだ進捗が開始されていない点でございます。

 ブロック内の患者数を見ますと、大体50人ぐらいで一応プラトーに達しておりますので、拠点認定におけるある程度の集約が一段落ついたのかなと考えております。それは恐らく神経芽腫の移植を必要とする患者数がふえていますので、そういったことが紹介患者につながっていると思います。

 逆に言いますと、標準的な治療でとりあえず大丈夫な急性リンパ性白血病などはふえていない。逆に、名大病院から連携病院への逆紹介がそういった疾患ではふえてございます。なので、より移植が必要である、もしくは再発・難治症例が拠点病院へ、標準治療を行える疾患に関しては連携病院へという流れができつつあるのではないかと思っております。

○名古屋大学医学部附属病院 病院経営的に言わせていただきますと、長期の患者さんがふえてまいりまして、彼は言わなかったのですけれども、小児科病床から人があふれてくるということが常態化しているという問題があります。ですから、今後、病床をどうやって変えていくのかというのは、また次の課題かと思います。

○垣添座長 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 よく活動していらっしゃるのは大変よくわかりました。特にお尋ねしたいのは、地域ブロックの中で連携病院を選定してやっておられると思いますが、一方で、学会が推奨しております専門研修施設というものもございます。そういったものとの関係については、どのようにお考えになっておられますでしょうか。

○名古屋大学医学部附属病院 ブロックの資料1に書きました地域ブロックの概要というところにあります連携体制協議会に参画していただいている連携病院は、研修施設に入っている病院が重なっております。

○水谷構成員 逆に、研修施設であっても入っていない病院というのはあるのですか。

○名古屋大学医学部附属病院 それにつきましては、小児血液医がいない病院はどうしても外れてしまうというのが現状になっております。

○水谷構成員 そうすると、学会の研修施設に関しては全て入っていると。

○名古屋大学医学部附属病院 血液小児医がいれば、ほぼ入っていると思います。100%かどうかは今は確認できないのですけれども、ほぼ網羅されていると思います。

○水谷構成員 そういったところをきちんとある意味で下支えして、若手を育てていくというのも中核病院の重要な役割ではないかと思いますので、その辺よろしくお願いします。

○名古屋大学医学部附属病院 わかりました。御指摘ありがとうございます。

○水谷構成員 それと、もう一つよろしいですか。GD2のことで大変御活躍だというのはよくわかりました。一方で、この件につきましては細かいことになりますけれども、全く同じようなテーマで、ほかのがんセンターを中心とするグループが同じ臨床研究を開始してしまったと。それに関しては、希少な患者さんをこのような形で日本で2つに分けてしまうということに関しては、やはり患者さんの側からすると理解しにくいという意見も出ているかと思います。その辺について先生のお考えをお聞かせください。

○名古屋大学医学部附属病院 この件につきましては先生御指摘のように、かなり長いこと、昨年からずっと日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)という治療研究グループの中で話し合いがされておりまして、JNBSGの中では現時点では2つの治験は併設してもよろしいと。現時点でどちらが早いということがわからないということがありまして、ゆくゆくはどちらかに一本化されていく可能性はあるかと思いますけれども、日本神経芽腫研究グループとの連携をとりながら進めていくのが一番よい道ではないかと私は考えております。

○水谷構成員 そうすると、先生としては日本の中の臨床研究グループとタイアップしてやっていきたいというお考えだということですか。

○名古屋大学医学部附属病院 まさに、そのとおりです。

○垣添座長 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございました。先ほどアジア小児がんセンター病院との連携ということで、ほかの外国の病院は非常にたくさんの症例を集めていらっしゃるということを御説明いただきましたが、その後で、今、名古屋大学もたくさん患者さんが集まっていらっしゃるということで、役割分担についてはある程度できたのではないかという御意見のように思ったのですけれども、この外国の症例数の多さと日本の症例の集約度について御意見をお伺いしたいのですが。

○名古屋大学医学部附属病院 これは国の仕組みも異なるのかなと思うんです。中国や韓国や台湾の先生とお話をすると、むしろリソースがないために集約せざるを得ないと。たくさんリソースがあればいろいろな病院で診られるのだけれども、逆にリソースがないがためにこれだけの集約化をせざるを得ないという背景があるということは聞いておりますので、中国の病院で見ると私たちの10倍を超える数が集約されておりまして、今回のコンソーシアムでは集約化による弊害も私たちは聞いております。なので、これから日本はどちらかというと小児がん拠点病院を選んで、今まで分散していたものをやや集約化のほうに向かっていくところ、これまで既にかなりリソースが足りない分やむを得ず集約していたものに関しては、むしろ集約化の弊害もあるので少し分散していこうという動きは見られました。なので、今の時点でどちらが理想ということではなくて、どちら側にも寄っていくのが理想的なのかと私は感じました。

○馬上構成員 ありがとうございました。臨床試験という点で、今、水谷構成員もおっしゃっていましたけれども、やはり小児がんはすごく希少な疾患がたくさんあるということで、そういった難治例については拠点に集約して臨床試験を進めるということですか。

○名古屋大学医学部附属病院 中国の先生などは、標準的な治療の患者さんもあふれ返ってしまって廊下で寝ているというような状態だと。それでは、せっかく集約化していても戦場のような状態になっていて、質が上がっていかないということは述べられておりましたので、今おっしゃられたように、日本の進むべき道は難治性や移植が必要だという難しい症例を集約化していき、そうでないところは自分の家に近いところで、集約化と均てん化の両方を進めていくという道がよろしいのではないかと私は個人的には思います。

○馬上構成員 あと、長期フォローアップについては、やはりそういった関連施設等の関係を深めていくということでよろしいですか。

○名古屋大学医学部附属病院 私たちはそう考えております。

○垣添座長 今の質問と関連して、日本は中国や韓国と政治的に大変難しい状況にあるかと思いますが、診療や研究という学問のレベルでは、東アジア小児がんセンター病院の連携というのは非常にうまくいっていると考えてよろしいですか。

○名古屋大学医学部附属病院 幸い、少なくとも小児がん分野の中では政治的なお話は一切出ませんでしたので、非常によい関係を保っております。

○垣添座長 では、短くお願いします。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。2点ほどお願いします。1つは、療養環境が大分進んでこられて、AYA世代のお部屋、それから、きょうだいの場所をということでしたけれども、これは人についてはどのような対応をされているのでしょうか。人が管理されているのかということが一点ともう一点は、ブロックでまだ空きがあるというか、連携していないところが幾つかあるかと思うのですけれども今後、ブロックの中での連携のために、もう少し病院を増やしていくといったところで何か御計画があれば教えてください。よろしくお願いします。

○名古屋大学医学部附属病院 まず、1つ目のAYA世代プレイルームときょうだい待機場所の設置に関しましては、とりあえず場所を新設したということと、運用に関しましては、チャイルド・ライフ・スペシャリストが1名から2名にふえておりまして、それを今回の拠点の費用で賄っております。

 あと、連携病院をこれから増加するかにつきましては、もう一つの小児がん拠点病院である三重大学の先生もしくは連携協議会の中で議論していくことかなと考えております。

○垣添座長 どうもありがとうございました。御苦労さまでした。

(名古屋大学医学部附属病院 退席)

(国立成育医療研究センター 着席)

○垣添座長 続きまして、国立成育医療研究センター、お願いいたします。

○国立成育医療研究センター 国立成育医療研究センターです。資料1をごらんください。最初にまず、診療実績について御報告させていただきます。

 診療実績に関しまして左側に掲げてありますのは、それぞれの疾患でございます。造血器腫瘍、固形腫瘍の群に分けておりますが、私どももやはり造血器腫瘍の伸びはそれほどでもございません。造血器腫瘍対固形腫瘍に関しまして、大体1対2の割合で固形腫瘍のほうが多うございます。

 右側をごらんください。小児がん患者の入院延べ数ということになりますが、これで見ていただきますと、平成2325年にかけまして、ほぼ3倍近く伸びているのがわかるかと思います。223人が618人に伸びております。ただ、この延べ数というのが非常に問題でして、特に固形腫瘍の方ですと短い治療で何回も入院していくわけです。そうすると、1人が17人に数えられてしまうというようなこともございますので、延べ数ではなかなか評価が難しいのではないかと思います。そこで、在院延べ数を見ていただきたいと思います。これは実診療日数ということになりますので、8,400人が1万2,921人と増加しております。

 地域連携に関しましては、紹介の患者さんの数に関しまして若干平成23年のデータに誤りがございますので、まだこれは検討中ではございますけれども、平成25年、平成24年と見ていただいても、それほどの変わりはないかと思います。

 緩和ケアに関しましては、前回の評価の点数が悪かったところでございますが、緩和ケアチームの新規の小児がん患者数は12件から19件にふえております。さらに、緩和ケアの専門ナースがこの7月に決まりましたので、緩和ケアの専門ナースを中心に緩和ケアのことをやっていきたいと思っております。

 さらに、緩和ケアのレクチャーシリーズという名前のもとに、年に3回ほどそれぞれの各病院の緩和ケアについて、病院間の均てん化を図ろうと考えております。ちなみに今回8月には神奈川こども病院の先生をお招きしまして、そこで緩和ケアについて語っていただく予定でおります。

 病院の中には、5名のフェロー、5名のスタッフで頑張っております。常時入院患者数は3040名ございます。

 資料2をおめくりください。指定前後の変化で進捗のあった点でございます。右側の棒グラフで掲げましたように、小児がんの相談件数は238件から1,112件と非常に増加しております。さらに、セカンドオピニオンの小児がんの患者数も25件から43件と非常にふえております。

 何よりも当院において進捗があった点として一番大きなものとしましては、平成25年9月に小児がんセンターを組織させていただきました。小児がんセンターの組織としましては、右下に書いてあるような組織を今形成しているところでございます。今のところ血液腫瘍科、固形腫瘍科、脳神経腫瘍科、移植・細胞治療科、血液内科を立てて、それぞれのヘッドを決めていこうと思っております。緩和ケア長期フォローアップ科に関しましては、今後順次構成したいと考えております。

 造血細胞移植に関しまして、昨年の年末に当院では非常に残念なことに、患者の取り間違いということが起こりました。それに対しまして、造血細胞移植体制を見直すこととしまして、輸血療法室の体制整備を行いました。

 相談支援センターに関しましては、相談員を6名に増員しまして、そのうちの2名が小児がん専従という形でやっております。新規患者にほぼ全件介入するようになりました。

 情報コーナーというものも設置しました。さらに、子どもと家族のための支援チームというものを発足させまして、心理士、MSW、看護師、医師など、多職種による総合的な支援を検討できる体制を整えました。

 教育支援としましては、ベッドサイド教育に活用するためのタブレット端末を利用したものを行っております。

 さらに、院内学級の教員の方々とは月1回のミーティングを行い、教育支援にも積極的に取り組むようにしております。

 患者会との交流に関しましても、前回非常によろしくなかったところではございますが、右側に書いてありますように、小児がん家族のための勉強会というものを定期的に開催するようにしました。

 次のページをごらんください。進捗がなかった点としましては、残念ながら新入院の患者数の増加はありませんでした。しかしながら、診療実数、診療実日数は増加しておりまして、医師、看護師、スタッフに対する負担は大きくなっております。

 セカンドオピニオンも着実に増加しております。

 対外的な広報活動が十分にできなかったことも一つ問題として挙げられます。それに関しましては、平成2610月にホームページの全面改訂を計画しております。

 もう一つ、我々の使命としまして、人材育成をしっかり考えていかなくてはいけないのですけれども、日々の診療に手いっぱいであって、人材育成のマンパワーが不足している事態が生じております。実際に具体的に先ほど述べましたいろいろな科を創設しまして、医長など指導者の布陣を固めたとしましても、研修を受け入れる予算が不足しているために、現在のところフェローとして5人しか受け入れることができておりません。このあたりも今後の課題だととらえております。

 相談支援センターにおいても同じく院外に対する広報ができなかったこと、あるいは情報コーナーが余りよい場所にないということが現在問題点として挙げられておりますので、今後考えていきたいと思います。

 次のページでございます。事業実績としましては、ほとんどのお金が給与費に消えております。具体的には、院内がん登録促進事業に小児がん専任の登録士を置きました。

 それから、がん相談支援事業としまして、相談員3名の増員を行っております。3名がそれぞれ3分の1ずつの負担ということで、合計としましてはこの事業費から1名分を出しております。

 さらに、プレイルーム運営事業といたしまして、チャイルド・ライフ・スペシャリストの今まで非常勤だったものを常勤に移したというところで、1名負担しております。

 図書購入費、備品購入費など、あと関東甲信越ブロックの会議費などで使われております。

 次の今後の整備スケジュールをごらんください。今後のスケジュールとしまして、情報公開と診療の集約化を考えております。情報公開に関しましては、今現在ホームページをつくり直しております。これは関東甲信越ブロックのホームページの更新も考えております。

 診療の集約化としましては、再発・難治・希少がんの診療をしっかりやっていこうと考えております。

 連携としましては、東京都が小児がん連携ネットワークとして15の病院を束にまとめておりますので、そこと連携してまとめていきたいと思っております。

 人材育成は現在少し弱いところではございますが、課題を検討しつつ、研修・勉強会、脳神経外科、整形外科、病理、看護師、相談員などの部会を立ち上げて、それぞれの問題点について考えていきたいと考えております。

 これが拠点病院の整備でございます。

 次に、関東甲信越ブロックの整備状況について御報告させていただきます。

 関東甲信越ブロックは、年間700750人の新規小児がん患者を占めておりまして、これは日本全体の恐らく3~4割を占めているものと推察されております。

 約50の小児がん診療病院がございますけれども、今回この関東甲信越ブロックといたしましては、小児がん拠点病院、小児がん診療を担う医療機関としましてトータル35の病院を設定させていただきました。この35の医療機関は、全て日本小児血液・がん学会の研修施設を基準として選んでおります。中にはこれに達していない施設もございましたが、地域として非常に重要な施設であるということで設定させていただきました。

 小児がん拠点病院は上に掲げました4つになっております。埼玉県立小児医療センター、都立小児総合医療センター、国立成育医療研究センター、神奈川県立こども医療センターの4つでございます。ごらんのように、4つとも小児医療センターであるということがほかの病院と違うところでございます。それぞれ小児がんではなくて、成人のがん拠点にもなっていないものですから、がん拠点のお金が使えないところが問題であるかと考えております。埼玉と国立成育に関しましては、再発・難治症例を主に診るようにしております。都立小児は長期フォローアップ、神奈川県立こども医療センターに関しましては、緩和医療というものをそれぞれテーマに掲げまして、ブロック内での役割分担を行おうとしております。

 次のページをごらんください。地域ブロックの紹介・逆紹介の患者数の推移について述べます。紹介患者数の推移に関しましては、ここでごらんいただくように、決して拠点病院に指定されたからといって紹介がふえたということはございません。さらに、紹介の患者さんの中身に関しましても、例えば、都立小児に関しましては東京地区からがほとんどです。神奈川県立こども医療センターもほとんど神奈川からの紹介です。国立成育医療研究センターも、円グラフが片一方抜けてしまいましたが、同じように約3分の2が東京都から来ております。ということからしますと、拠点病院になったからといって紹介患者の構成が変わることはありません。

 ただ、見ておわかりのように、逆紹介の患者さんに関してはそれぞれの病院がふえております。例えば、放射線治療に関して、都立のほうから別の陽子線の治療ができる地域との連携をとっているような症例がふえておりますので16件から30件、当院でも7件から20件というようにふえております。この辺が推移として挙げられるところでございます。

 最後に、整備スケジュールに関して御報告させていただきます。主に地域連携と人材育成の2つのパートに分かれております。

 情報公開につきましては、先ほどお話しさせていただいたように、ホームページをつくりまして掲載しようと考えております。東京都内の15の診療病院に関しまして、それぞれの病院の情報を集めたホームページを掲載しておりますので、それに倣ったような形と言ってはあれですが、関東甲信越にそれを敷衍するような形で情報公開していきたいと考えております。

 人材育成に関しましては、研修・勉強会、部会を立ち上げていきたいと考えております。

 平成26年9月に協議会を開催したいと思っております。その中で、人材育成に関しては、もう少し人材交流ができるような形を組んでいきたいと考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 ありがとうございました。3つほどお伺いしたいのですけれども。

○垣添座長 1つずつやってください。

○馬上構成員 わかりました。幹細胞取り違えということで、造血細胞移植体制の見直しを行われたということですけれども、患者家族としまして、問題点は何であったのかということと、具体的にどのような体制整備をされたのかをお伺いしたいと思います。

○国立成育医療研究センター 幹細胞に関しましては、事件が起こる前に輸血部のほうできちんとバーコードを発行してやろうというシステムをつくり上げていたところでございました。残念ながら起こってしまったことというのは、バーコードの認証システムがうまく進んでいなかったこと、それから、全てが医者だけの管理でやっていて、輸血部の管理が全くなかったことが問題点として挙げられると思います。ですので、まずバーコードのシステムをきちんとして、認証をきちんとするという作業を行うようにして、ダブルチェック体制を進めました。さらに、輸血部の人が造血幹細胞の管理に関して全て関わるという仕組みにしましたので、よくなったと考えております。

○馬上構成員 複数体制でということですね。

 あと、人材不足というのが何度も出てきたので、今、五十嵐総長もいらっしゃるので、それに対しての解決案というのは、もう出ているのでしょうか。

○国立成育医療研究センター 現在、募集をかけておりますし、それから、今後もおいおい来年4月に向けて人員の増員を図っているところでございます。来年はまた違う発表ができると思っております。

○馬上構成員 また、地域ブロックの御説明の中で、上の都立小児と埼玉小児は紹介が少しふえているのですけれども、下は神奈川こどもさんと成育医療センターは紹介が減っていらっしゃるのですが、これは逆紹介をしたことにより紹介が減っているということなのでしょうか。

○国立生育医療研究センター この紹介の患者数に関しましては、なぜ減っているかという理由はわからないです。実際に患者さんの数は確実にふえているものですから、再発・難治例はふえていると考えていますけれども、なぜこれが減っているのかというのは少し検討させてください。

○垣添座長 では、天野構成員どうぞ。

○天野構成員 2点ございます。1点目は、先ほどの馬上構成員の質問とも関連するのですが、やはり御発表を見ていてもかなり厳しい状態で、小児がんの診療や支援などをしていただいているということで、それに加えて成育は中央機関でもあり、拠点病院でもあり、また、とりまとめも行っているということでかなり大きな役割を担っている中で、人員が不足しているということになってきますと、果たして大丈夫なのかということをちょっと感じてしまいまして、そのあたりについて小児がんのほうを成育として今後どういうふうにしっかりやっていくのかについて、ぜひ総長からも御意見をいただければと思います。

○国立成育医療研究センター これは言うまでもなく成育医療研究センターが中心になりまして、これをさらに発展しようと考えておりますので、人員の増員も含めまして近い将来また結果を出せるのではないかと思います。

○天野構成員 ありがとうございます。

 2点目でございますが、関東ブロックの中、特に東京都に関しては都のほうでも独自に小児がんの病院を指定しているということもあるかと思いますが、先ほど水谷構成員からも御質問があったことと関連するのですけれども、これは何か基準とかそういったものを設けた上で連携しているのかについて教えていただけますでしょうか。

○国立成育医療研究センター 東京都の基準といたしましては、それぞれ年間に、例えば血液の患者さんを10人以上診ているとか、あるいは脳神経の方を5名以上診ているとか、そういう拠点病院の指定要綱があったと思いますが、そこはandでつながずに、orでつないだところというのが基準となっております。それに対しまして関東甲信越に関しましては、基本的には小児血液・がん学会の研修施設であるということを第一に置かせていただきました。その中で、一部2つの病院でしたけれども、その時点でまだ研修施設がなかった病院、それから、もう一つは、研修施設ではないけれども非常に重要であるという病院、その病院の2つを連携病院と指定させていただいて連携を行っていこうと考えております。

○垣添座長 ほかにいかがですか。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 相談支援センターについてお伺いします。倍に相談がはね上がっておりますけれども、その経緯や理由がもしあれば教えていただきたいと思います。

○国立成育医療研究センター まず、今まではどちらかというと相談というのは患者さんが能動的に行くようなスタイルだったと思うのですけれども、そうではなくて、新患として入院したら必ず相談員の方を御紹介するという仕組みにしたんですね。そうしたところ、非常に相談件数がふえたということがございます。

 相談員の方も実際には小児がんの専門ということで2人ほど増員しておりますけれども、ただ、その中で相談員の研修までやっていかなければいけないという中央機関としての役割もございますので、先ほど総長がお話ししたように、ぜひ増員ということも考えていただきたいと思っております。

○垣添座長 今の件と関連して、相談の件数が非常にふえたというのはグラフでよくわかりましたが、相談の質といいましょうか、中身が変わったということはございますか。

○国立成育医療研究センター 中身に関しては、質としては恐らく変わっていないと思います。皆さんやはり医療経済のこととか、あるいは就学のことが相談の主な内容ですので、中身としては変わっていないと思います。

○垣添座長 あと、お一人ぐらい短く。水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 ちょっとお伺いしにくいことなのですけれども、せんだって血液の集まりのJPLSGという研究会の中で話題になったことですが、1つは、例えば大学だったら病棟に薬剤師を配置するとか、あるいは管理栄養士を配置するとか、あるいは病院機能評価を受けているということがある意味では当たり前になっていて、その中で小児科が小児血液腫瘍をやっているという基準でやっているわけですけれども、意外と小児病院というところでは、そういった基本的なことに十分な予算がついていないというか、体制がとれていないのではないかという危惧を持ったのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○国立生育医療研究センター ありがとうございます。まさにそのとおりでございます。成人の施設がある大学病院ですと、成人の予算を使って相談員にしろ、薬剤師にしろ指定されるわけです。ところが、小児病院は今までそういうものがなかったので、どちらかというとゼロからのスタートということになっております。幸いにも当院は病棟に薬剤師も配置していただきましたし、機能評価も受けさせていただきまして何とかしておりますけれども、非常にそういう問題は小児病院としてはあると思います。

○水谷構成員 そういう小児病院で拠点病院になっているところにおいて、今後解決しなければいけない問題がたくさんあるのかなという気がしています。

○国立成育医療研究センター ただ、小児がんの患者さんとしては、恐らく患者さんの2割くらいを小児病院が診ていると思います。そういう意味では、決して無視できない部類だとは考えております。

○垣添座長 ただ、水谷構成員の御指摘は、小児病院にも大学病院に付与されているような機能も求められるべきではないかという御質問だと思うのですが、私もそういう方向で動くべきだと思いますので、ぜひ長期的に御検討いただければと思います。

○国立成育医療研究センター ぜひ予算をつけていただければと思います。

○垣添座長 ありがとうございました。

○国立成育医療研究センター 病院も努力させていただきます。

(国立成育医療研究センター 退席)

(大阪府立母子保健総合医療センター 着席)

○垣添座長 続きまして、大阪府立母子保健総合医療センター、お願いいたします。

○大阪府立母子保健総合医療センター それでは、大阪府立母子保健総合医療センターから報告させていただきます。

 まずは、センターの報告と、近畿ブロック全体の報告させていただきたいと思います。報告は総長の私、福澤がさせていただきます。隣は、小児血液腫瘍科の井上部長と、あと事務局2人が参加させていただきます。よろしくお願いしたいと思います。

 まず、大阪府立母子保健総合医療センターの進捗状況でございますが、資料1をごらんいただきたいと思います。診療実績、特に拠点病院になったからといって大きな変化はないのですけれども、一番下の欄が平成25年度で、小児がんの入院患者数が333と平成24年度より若干ふえていると。そして、血液、固形腫瘍も症例数の大きな変化はなくて、昨年度は血液が30例で、固形腫瘍18例ということでございます。

 地域連携としては、他施設から紹介された小児がんの患者数が41例ということで、若干昨年は減っているのですけれども、これは近畿全体の数がある程度変化しているということがあるのではないかと思います。

 小児がんの患者の紹介を受けた医療機関数は31、そして、他施設への紹介が14ということで、少ないのは再発症例が多く紹介されているということになると思います。

 また、緩和ケアチームが新規の小児の患者数ですけれども11例ということです。

 また、患者支援センターを創設しているわけですけれども、相談件数も昨年度は35例から43例に少しふえているというのが昨年の診療実績でございます。

 資料2ですけれども、かなりシンプルですが、まず指定前後の変化として進捗があった点としては、小児がんの拠点病院推進委員会を院内に立ち上げて、この親委員会としまして年に2回、さらに井上診療部長を中心としたワーキンググループを立ち上げて、関連診療科と関連部署との月1回の会を開いて進捗させていただいております。

 そのワーキンググループをさらに発展させるという意味で、院内に小児がんセンターとして、センター長を井上小児血液・腫瘍科部長として、センターが一丸として取り組む姿勢を示すということで開設させていただいております。

 また、大阪府は大阪市立総合医療センターとの2施設が指定されたわけですので、大阪府全体が一丸になるということで、大阪府に小児がん連携施設連絡会を構築しておりまして、年2回連絡会を開いております。この連絡会というのは10施設で、2拠点の病院プラス5大学病院、学会の専門医研修施設がさらに3施設ありますので、その10施設が一応連携をとって連絡会として情報交換会を行っております。実際には、昨年度は3月と5月と2回連絡会を開きまして、ことしは7月に既に開きまして、ことしからは講演会をさせていただいております。

 また、大阪府では小児がんの地域がん登録が非常に進んでおりますので、特に小児がん登録の連携ということで、昨年度はAYA世代の登録を集計させていただいたということで、その結果もまた近々報告されると思いますけれども、特にAYA世代の20代の白血病の治療成績が悪いということが大阪府の連携の中ではっきりしています。また、今年度は脳腫瘍の全体的ながん登録を集計していこうと思っております。

 また、研修会、講演会の開催ですけれども、一般向けに2回、また院内では4回の研修会を行っています。また、大阪内でも大阪内の検討会、講演会を2回。南大阪の地域を集めた2回の講演会を行っております。

 また、施設として、昨年度は大阪府立母子保健総合医療センターとしては新ファミリーハウスをオープンいたしました。以前は6室でしたけれども、今回は新しく3階建ての12室をオープンいたしまして、一日一人1,000円という形で新ファミリーハウスをオープンさせていただいております。

 次の進捗がなかった点ですけれども、緩和ケアチームがスタートしているわけですが、子どもの緩和ケアのマニュアルが作成途上でありましたので、既に大体でき上がりまして、今現在、院内パブリックコメントの収集が終わっておりまして、今年度はそれを実施していこうと思っています。

 もう一点は、ピアサポート体制の構築で、これも構築途上ということで、小児がん経験者グループとの意見交換、連携を今後開始していくということで、今年度その会を開く予定になっております。

 3点目としては、地域連携クリニカルパスの計画、一応これは計画に入れているわけですけれども、成人のクリニカルパスは大阪府のがん診療連携協議会で行っているわけですが、これを参考にしまして、特に小児の場合には今後、長期フォローアップのパスを連携病院としてつくっていきたいと思っております。

 次は資料3、事業実績報告ですけれども、昨年度は強化事業として1,300万円ことでございましたけれども、多くはがんの相談支援事業として小児がん、血液がんのホットラインを開設した人件費、また、小児がんの相談員の常勤職員の人件費が800万円、そして、プレイルームの運営事業が400万円ということで、これは人件費で特に小児がん患者さんのための保育士の非常勤を2名増員しました。また、心理士の非常勤1名を増員したのと、ホスピタル・プレイ・スペシャリストを1名から2名に増員させていただいた、主にこの2点が昨年の事業として使用させていただきました。

 次は、今後の整備スケジュールですけれども、母子医療センターは集学、そして難治がんの治療と、さらに標準治療の提供を行っていくということで、小児がんのそれぞれのグループスタディーとの連携とともに、今我々は3つのプログラムを持っているわけですけれども、専門医の取得のための研修の受け入れというか、そういう人材の育成を進めていきたいと思っております。

 地域連携クリニカルパス、長期フォローアップのパスをつくっていきたいということ、そして、子どもの緩和ケアマニュアルの実際の完成・運用。そして、ピアサポート体制の構築ということを今後進めていきたいと思っております。

 以上が、母子医療センター自体の進捗状況ですけれども、次に、近畿ブロックの概況を報告させていただきたいと思います。

 資料1をごらんいただきたいと思います。近畿ブロックは拠点病院が5拠点です。大阪府立医大と京都大学、兵庫県立こども病院と大阪市立総合医療センター、大阪府立母子保健総合医療センターがあるわけでございまして、5拠点がそれぞれの小児がんの診療病院と連携して現在活動を行っています。

 地域的に見ますと、近畿2府4県にプラス福井県というのが近畿ブロックの連携を行っている施設で、福井県は2施設、滋賀県が2施設、京都府が3施設、大阪府が9施設、兵庫県が6施設、奈良県が3施設、そして、和歌山県が2施設という形で、全体の32施設と現在近畿ブロックの全体的な連携を行っている次第でございます。

 上の紹介数・逆紹介数でございますが、いろいろ伺ってみますと、特に平成25年度は平成24年度に比べて減っているのですけれども、原因ははっきりしないのですが、特に大阪市立総合医療センター、京都大学は、特に平成24年度に比べて数が少なくっているわけですけれども、年によってやはりある程度波があるということで、特にその辺はもう少し長い目で見てみないとわからないというコメントでございました。

 紹介する患者数は、この5拠点で大体300例が紹介されて治療を行っている。その半分の157例が、逆紹介で行われているという状況でございます。

 資料2ですけれども、今後の整備スケジュールということでございますが、近畿ブロック、特に32施設が一応連携をとっているわけですけれども、診療病院と拠点病院という形で、まずは拠点病院5拠点が一応連携をとるということで、年2回近畿ブロックの小児がん拠点病院の協議会を開いて、いろいろと検討課題を推進しているところです。昨年は3回、6月と10月と2月に協議会を行っております。特に、どういうふうにして人材交流をしていくか、育成していくかということが非常に大きな問題でございました。

 さらに、看護部がやはり連携をとるべきであろうということで、看護部の連携会議を開催しているということ。特に問題点となっているAYA世代の治療、また脳腫瘍の集約化ということで、今後、各県の地域がん登録の連携を進めていこうということで検討しております。ことしは9月27日、2月に開催する予定になっております。

 次は、近畿ブロックの小児がんの診療病院連絡会、拠点病院プラストータル32施設で構成しているわけですけれども、年に1回集まってそれぞれの連絡会を行っております。昨年は1019日に開催させていただきまして、10月のときには各拠点病院の計画を報告させていただいて、その後に講演会をさせていただいております。

 ことしは9月に開催する予定で、一応予定としては、小児がんの血液の専門医制度についてということと、あと講演会を予定しております。

 また、同じ近畿ブロック全体としては、以前から近畿小児がん研究会というものを毎年1回行っておりまして2月、そして来年も2月に京都で行われますけれども、小児がん研究会を開いて、そこで症例等の連携を図っていきたいと思っております。

 一番の問題点は、一番下にあります人材交流を今後どうしていったらいいか、それぞれの施設もまだ医師が不足しているということもあって、そういう点で特に若手の総合研修をつくっていこうということで、ことしから各5拠点から若い人たちが集まるワーキングをつくって、その交流について検討していこうと思っております。

 また、先ほど言いましたけれども、近畿全体的なAYA世代の治療体制、脳腫瘍の集約ということを、特に地域がん登録の連携ということをさらに推進していきたいと思っております。

 以上、近畿ブロックの進捗状況について御報告させていただきました。御静聴ありがとうございました。

○垣添座長 ありがとうございました。

 どうぞ御発言ください。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 御発表ありがとうございました。御発表の中でまだ途上だというふうにおっしゃっていましたピアサポートですが、やはり患者さん、特に経験者の方々の社会的な苦痛の軽減ということで、大変役立つものだと貴重な取り組みだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。

 質問が1点だけございまして、拠点病院協議会の中で、特に脳腫瘍の集約化を進めていきたいという御発表があったかと思いまして、これはどこの地域でもなかなか進まないということが大変問題視されていると思うのですが、具体的にがん登録を活用されるということをおっしゃっていましたが、ほかにこういった方向で進めていきたいとか何かお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思うのですが。

○大阪府立母子保健総合医療センター まず、現状はどうであるかという把握をすべきであろうと。大阪府は御存じのように、がん登録が日本の中でも一番進んでいるところですので、全体的な小児がんのばらつきについて、また、いわゆる治療成績をきっちり出していこうということで、そのデータを見ながら、それぞれの県の地域がん登録にかなりまだ温度差がございますので、それを均てん化して全体的な治療成績を明らかにして、社会的にアピールして集約化していこうと考えております。

○垣添座長 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。

 事業の中で、相談支援事業でホットラインを開設されたとお伺いしました。どのような体制でされているのかお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○大阪府立母子保健総合医療センター 小児がんホットラインは、一応患者さん対象ではなくて、現在のところは医療者対象なんですね。私たち血液・腫瘍科の人間が24時間当直医あるいは日勤帯は私が随時対応させていただいているところですけれども、将来的には患者さん対象に広げていきたいと思っているのですけれども、なかなかそれをもって診療とホットラインの対応をどううまくするのか、患者さんを対象にする場合は、そのあたりの枠組みをしっかりしなければいけないなと思っています。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 先ほど大阪府小児がん連携施設連絡会の構築で10施設が参加されているということで、近畿ブロックの概要の御説明で32施設参加されているということで、これは全国のブロックでも言えることなのですけれども、都道府県の連絡会とブロックの連絡協議会というのはまた別々にあって、そこの交流とか整合性というのはどうなっているでしょうか。

○大阪府立母子保健総合医療センター 一応それぞれ大阪府と多分京都府もそうなのですけれども、兵庫県もまた御発表があるかと思いますが、それぞれが行ったものを大体統合した形でほぼ32施設ということで、支部みたいな形になっているのではないかと思います。

○馬上構成員 都道府県の連絡協議会が全体の支部ですか。

○大阪府立母子保健総合医療センター みたいな形になっていると。やはり大阪府の場合は、がん登録との連携が強いものですから、多分そういう形で各都道府県も今後地域がん登録との連携を強めていって、それぞれの県の現状をしっかり把握していったものを、また近畿で全体的に集めていこうというふうに今、検討しているところです。特にAYA世代と脳腫瘍が一体どうなっているかということをきっちりしていこうと思っています。

 特に脳腫瘍の場合、大人の施設で治療が行われていることが非常に多いということがありますので、その辺も明らかにしていきたいと思っています。

○垣添座長 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 先生のところのような小児医療を専門とする施設の今後の一つの役割として、臨床研究に対する貢献の問題がかなり大きいのではないかと思います。そういう意味で、これはいろいろな小児病院において問題があるだろうと思うのですけれども、やはり臨床試験等の管理体制といったものについて、ちょうど総長さんもいらっしゃることですし、先生の施設ではどのように考えておられますか。

○大阪府立母子保健総合医療センター 一応、昨年度、臨床研究部を立ち上げて臨床研究の推進室を新たにつくって、いろいろとそこで行うと。治験室と2つつくって行っております。その点は、小児病院全体が五十嵐先生を中心としたジャクリという施設で、その治験を生育が中心になってまとめていこうということで連携をとってやっているということで、そういう点もかなり充実していく。私のところなどは研究所があるということもあるので、臨床研究をできるだけ推進するような研究所との連携を今行っているところです。

 それと、拠点の中では、大阪は10の連携施設のうち5が大学病院であるということで、特に大学病院との連携は、大学の特性もありますので、その連携を今後もっともっと強めていかなければいけないのではないかと思っております。

○水谷構成員 いわゆる小児血液がんを中心とした臨床研究グループの一員として大阪府立母子総合医療センターも御活躍のところですので、その辺を十分意識した体制をぜひ、お願いしたいと思います。

○大阪府立母子保健総合医療センター わかりました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。時間ですので交代してください。

(大阪府立母子保健総合医療センター 退席)

(広島大学病院 着席)

○垣添座長 続きまして、広島大学病院、お願いいたします。

○広島大学病院 広島大学病院小児科の小林でございます。よろしくお願いいたします。

 小児がん拠点病院に選定された後、広島大学病院の整備の進捗状況並びに中国・四国ブロックの整備状況について報告させていただきます。

 まず、最初のページでございますけれども、広島大学病院は、昨年9月に新しい診療棟がオープンしました。最新の機能と環境を整え、患者さんに気持ちよく来院いただけるようにと配慮しております。

 新診療棟には、細胞療法や再生医療を行えるGMP基準の未来医療センターを設置しましたので、細胞療法等先進的な小児がん治療にも利用することが可能となっております。

 次ページにまいります。平成23年からの3年間の診療実績の推移です。入院患者数は拠点病院選定時の平成23年の186から、平成24年、平成25年と250302と着実に増加しております。実際に、新規患者数は大体年間10例ずつくらい増加している現状でございます。

 小児がん拠点病院として小児がん専用の相談支援センターを設置いたしましたので、平成25年の相談件数は31件と大幅な増加となっております。

 続きまして、3ページと4ページに拠点病院前後の変化につきまして、昨年度提出いたしました計画署の内容を項目に従いまして進捗状況を示しております。

 チーム医療による集学的・標準的治療に関しましては、広島大学病院の関連診療科で定期的なキャンサーボードを開催し、患者さんの治療計画等を議論しています。

 また、種々の化学療法プロトコルを院内で承認し、実行しております。

 専門的知識を有する医療従事者としては、チャイルド・ライフ・スペシャリストを本年度もう1名雇用する予定です。従来の1名と2名体制にいたしまして、もう一人小児専門の臨床心理士1名がおりますので、この3名を中心に患者さん、家族の心理面のケアに当たっています。

 また、小児がん相談には小児看護専門看護師を配置し、種々の相談に当たっております。

 小児がん登録におきましても、専門の事務職員を配置しております。

 再発・難治症例の治療もHLAミスマッチの造血幹細胞移植、タンデム移植、神経芽腫、肝芽腫の新規治療への参加を予定しています。

 患者数の増加につきましては、広島市内の広島赤十字原爆病院と共同でベッドコントロールを行っています。適宜テレビ会議を利用した症例の診断治療に対する議論を行っています。

 思春期がんにおきましても広島大学病院の関係診療科とのキャンサーボードを利用して協力体制を築いています。

 緩和ケアチームによる緩和ケアにつきましても、今年度から病院全体としてスタッフを増員、小児科関係も先ほどのチャイルド・ライフ・スペシャリストの増員で、より手厚い体制で支援に当たっております。

 医療機関との連携では、先ほど示しましたように、広島赤十字原爆病院との緊密な連携を図り、役割分担を行っております。

 患者の受入体制も中国・四国ブロック会議で議論を行い、山口県東部、島根県西部からの受け入れ、またブロック内の連携病院からも必要に応じて受け入れを行っています。

 拠点病院間でも兵庫県立こども病院との連携を開始しています。

 自施設で対応できないものとしては、高精度の放射線治療ですが、来年度広島市に開設されます広島高精度放射線治療センターの利用が可能となります。

 網膜芽腫につきましては、国立がん研究センターに3例ほど紹介させていただいております。

 長期フォローアップ体制も現行どおり、週1回の長期フォローアップ外来を継続しつつ、また、夏休み等の長期休暇を利用した別途専門外来を開いております。

 地域連携は、中国・四国ブロックではテレビ会議を定例で開催し、ことしの3月からは兵庫県立こども病院とも連携を開始しております。

 小児がん研修は、年に1回の連絡会議に合わせた研究会を発足し、中国・四国の小児がん関係医療者が集える研究会を利用した研修体制を築いています。

 相談支援体制は、小児がん相談を専門とした小児看護専門看護師を配置した体制で行っております。

 臨床研究、トランスレーショナルリサーチ体制も厚労科研での新規治療に参加しております。

 患者の教育体制、復学支援もチャイルド・ライフ・スペシャリスト、臨床心理士を中心として包括精神医療体制を築いております。

 小児看護専門看護師を含めた職種で、ディスチャージプランナーとしての役割をあわせて担っていただき、スムーズな復学的なできるような体制をとっております。

 長期滞在施設につきまして、従来の施設の宿泊費が若干高めであったため、長期滞在の負担がありましたので、広島大学霞ファミリーハウスを来年3月竣工予定で、安価で滞在できる施設としての利用が可能となる予定でございます。

 次ページにまいります。事業実績ですが、平成25年度は1,500万円の決算でございます。内訳は示させていただいたように、小児がん研修事業として検討会や会議費で300万円、院内がん登録事業での専属職員の雇用として600万円、がん相談支援事業に3,000円、病棟のプレイルーム運営事業としての院内保育士の雇用とプレイルームの整備等に600万円を充てています。

 次ページ、今後の整備スケジュールです。既に述べましたように、おおむねは計画どおりに進行しております。進捗は進んでいないか、あるいは今後さらに拡充していく内容につきまして記載しております。

 思春期がんのさらなる治療体制の構築、地域連携としましては拠点病院間での連携体制、長期フォローアップ体制のブロック内での統一感、研修体制の強化、新規治療法の導入と共同研究への参画、心理面サポートの強化、長期滞在施設の提供等を計画しております。

 続きまして、中国・四国ブロックの進捗状況の報告に移らせていただきます。

 小児がん中国・四国ネットワークを昨年2013年7月に設立いたしました。中国・四国地方は交通の便が非常に悪いために、関係者が頻回に集まることが困難です。ということで、インターネット回線を利用したテレビ会議システムを導入しました。ネットワーク会議を定例的に開いて議論を行っているところでございます。

 中国・四国ブロックの各県では、小児がん診療に当たる施設がおおよそ集約されています。この地図上に示しておりますように、各県に1つから4つまででございますけれども、中国地方は広島大学を含め9病院、四国地方も9病院、ほとんどの中四国の小児がんの患者さんがこの施設で診療に当たられていると判断しております。ほとんどが小児血液がんの診療施設でございますので、そういったところを通せば、ほとんどの患者さんの動きが把握できるものと思われます。

 また、地域の特性としまして、東部地区は兵庫県や大阪などへの関西へ、それから、山口県西部は福岡に紹介される患者さんも存在しますので、ことし1月から兵庫県立こども病院と拠点病院間連携を開始し、情報共有を始めております。今後は九州大学との連携も行う必要があると思っております。

 平成24年と平成25年の紹介患者数、逆紹介患者数ですが、転居等を含めての数字を記載しております。逆紹介は、国立がん研究センターへの網膜芽腫の患者さん3名等。それから、終末期患者さん1名を地元の医療機関に逆紹介しております。

 次のページをお願いいたします。実際のテレビ会議の開催場面です。右上のモニター上には中国・四国ブロック内での検討事項がモニター上に全て映り、議論を行っている様子でございます。また、顕微鏡画像、放射線画像も共有が可能ですので、症例の診断や検討に活用しております。

 また、若手医師の育成のための勉強会や近隣の病院だけでの症例検討会にも利用しています。

 それから、看護師間のカンファレンスや行政の方の参加も含めてテレビ会議システムを広く今、有効利用しているところでございます。

 次のページをお願いいたします。昨年7月にネットワークを設立いたしまして、これまで中国・四国ブロック内での会議検討事項を記載しております。テレビ会議は基本月1回とし、現在までに10回、それから、一堂に会する連絡協議会は2014年1月11日に開催しております。会議内容につきましては記載のとおりですけれども、希少症例や難治症例などはその都度議論を行い、ブロック内でお互いの情報がほぼ共有できる状態となっております。

 また、先ほど来述べていますけれども、関西ブロックの拠点病院の1つである兵庫県立こども病院には、中国・四国地方からの患者さんがかなり紹介されておりますので、この3月から正式にネットワークに参加いただき、お互いに議論を進めているところでございます。

 次が最後のページでございます。中国・四国ブロックではおおむね計画どおりに事業が進んでいると思っております。地域連携としては既に示しましたテレビ会議を定期継続し、年に1回の連絡会議の開催を行う予定です。今年度は2015年1月10日に連絡会議を予定しております。

 広島大学病院のホームページ内に小児がん拠点病院としてのサイトを作成し、中国・四国ブロックの小児がん医療に対する情報提供と、小児がん診療に当たっています連携病院の紹介、並びに連携病院へのリンクを含めて8月には専用のホームページをオープンする予定としております。

 小児がん患者団体との連携につきましては、昨年11月にがんの子どもを守る会中四国支部連絡会を発足させました。年に1回の予定で患者家族と医療者が交流、そして、種々の相談や支援ができる場にしていく予定でございます。今年度は10月に愛媛県で行うことを決めております。ただし、全ての県に支部ができているわけではございませんので、今後は支部のない県に対しましても、本連絡会を通しての患者家族の連携がとれるようにしたいと考えております。

 看護師さんによる小児がん看護研修会も、ことし12月に第1回を開催する予定です。既に先ほど示しました連携病院から30人以上の看護師さんの参加希望がございます。これも定期的な研修として人材育成につなげていく予定でございます。

 行政機関に対しましても、昨年度、中四国がん対策所管課会議でネットワークへの参加が承認され、連絡協議会、テレビ会議にも積極的に参加いただいております。

 人材育成ですが、小児血液・がん学会指導によるセミナーを9月に開催いたします。連絡協議会と同時に小児がん研究会を開催、その他の血液フォーラム、白血病カンファレンス、小児がんセミナーを開催し、若手医師の人材育成を行う予定です。

 テレビ会議を通しても適宜人材育成のためのプログラムを考えていくつもりです。

 最後に、広島大学に安価な長期滞在施設がありませんでしたので、大学病院から徒歩2分の位置に広島大学霞ファミリーハウスを建設いたします。1泊1,0001,500円で家族間の団らんも可能となる5階建ての施設で、2015年3月に竣工予定です。

 以上、中四国ブロックの小児がん拠点病院としての広島大学病院の進捗状況を報告させていただきました。以上でございます。ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。質問・御発言をお受けしたいと思います。

 では、私から。テレビ会議システムで、いろいろな施設をつないでおられるというのは大変結構だと思いますが、これを設立する予算というのは300万円の中に入っているのですか。

○広島大学病院 これは拠点病院に認可された平成24年度の予算で全てに配置しました。だから、平成25年度の予算にはこれは含まれておりません。

○垣添座長 各施設の関係者はたくさん参加されていますか。

○広島大学病院 大体小児がん治療に当たられる小児科医あるいは小児外科の先生、そういった方が3~4人程度は集まっております。

○垣添座長 時には非常に難しい症例で各施設で困っているような方の相談なども出てくるわけですか。

○広島大学病院 もちろんそれはやっていますし、診断が難しい症例についての検討も行っております。

○垣添座長 このテレビ会議システムは十分機能していると考えていいわけですね。

○広島大学病院 今のところは十分に活用できていると思いますし、これを利用して若手の人材育成を行っていこうと思っておりますので、病院の責任者プラスそこでこれから専門医をとっていこうとする若手医師にも参加いただいて議論ができるようにはしております。

○垣添座長 わかりました。

 ほかにいかがでしょうか。豊田構成員どうぞ。

○豊田構成員 1つだけお伺いしたいのですが、長期滞在施設、すばらしいものがおできになるそうですが、この運営については病院としては関知されないで、がんの子どもを守る会広島支部が全て運営とかいろいろな面でされるのでしょうか。

○広島大学病院 建物につきましては、広島大学が管理していく予定でございます。全ての予算は広島大学から一応出すようにしておりますけれども、実際にそこで管理者的な役割をしていただく方には、ボランティアを含めて小児がんの子どもを守る会の方のボランティア的な活動で賄っていこうと思っております。

○豊田構成員 これを利用される対象の患者さんは、子どもだけではなくて一般の方も利用できるのでしょうか。

○広島大学病院 基本は、小児がんの患者さん・家族のものということにしておりますけれども、もし空きがあるようでしたら成人の場合にも利用できるように、これは来年3月に竣工されますので、その後の運用の状況を見ながら適宜フレキシブルに考えていければと思っております。

○垣添座長 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございます。今のお話の続きというか、親の会だけでなく本人たちの会が幾つかあるかと思うのですが、そちらとの連携だったり支援だったりということは今後、御予定としてありますか。もし、なければ、ぜひ予定に入れていただけたらと思います。

○広島大学病院 実際に今、広島県の小児がんの支部の中には、そういった患者さんだけの会と、お亡くなりになられた患者さん・家族の方の会と、一般の小児がんの会と、3つが連動して動いておりますので、それをモデルにして中四国に何とか広げられるような方向に持っていこうと思っております。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 このネットワークの構築は非常にすばらしいと拝見したのですが、その結果として、広島大学病院での紹介数がふえたと解釈できるのかどうかというのが1点でして、中の内訳を見ると、ほとんどが広島の中の移動の患者さんがふえているというふうにお見受けするのですけれども、そういう意味では、広島県の小児がん患者が広島大学病院と原爆病院の2機関にも意図的にある意味集約を図ろうという形での結果なのかどうか。では、ほかの中四国における自治体、それぞれに多くの医療機関で診られているのですけれども、そういった集約化、それから、今回均てん化にも非常に危惧していると思うのですけれども、それに向けては何か検討されていますか。

○広島大学病院 拠点病院に選ばれる以前から大体中四国地方というのは、今ここに示しておりますような病院が各県での役割を担ってきておりますので、これからはその中で難治症例あるいは移植の必要な症例等を広島大学病院が引き受けていくような形をとりたいなと。実際、何例かはそれで紹介にはなっておりますけれども、ただ、残念ながら、中四国の東部側というのは広島よりも関西方面に向かう場合がございますので、そういったことを考えまして、兵庫県立こども病院と連携をとりながら拠点病院間でも連携を進めていくというふうにしておりますので、少なくとも患者さんの便のいいような体制をとっていければと思っております。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。田中構成員どうぞ。

○田中構成員 小児の入院患者数がふえていたり、あるいは紹介数がふえていたり、そういう数字があるかと思いますけれども、患者さんの傾向とか偏りとか特徴みたいなことの分析結果があったら教えていただきたいのですが。

○広島大学病院 ここの入院患者数は延べでございますので、実際に患者さんがふえたかどうかは、患者さんの新規症例とすれば大体10例ずつぐらいの増加かなと思っております。広島大学に来ます患者さんというのは、広島県内はもちろんですけれども、島根県の西部側、それから、山口県の東部側というのがありますので、どちらかというと山口県からの患者さんがふえているというのが一つ理由ではないかと思っております。

○垣添座長 小児がん拠点病院制度ができて、中四国地域での小児がんにかかわる患者さん・家族の意見ですけれども、体制が整ったとか、そういう調査などはされていらっしゃいますか。

○広島大学病院 体制はこれで大体整ってきているわけですので、これをいかに皆さんに情報として周知していけるかということを考えておりますので、先ほどの患者さんの会議でこれを発展させることと、それから、ホームページを通しての情報提供にこれから力を入れていければと思っております。

○垣添座長 ぜひ利用される患者さんや家族の意見もしっかり聞いていただければと思います。ありがとうございました。これで終わります。

(広島大学病院 退席)

○垣添座長 では、ここで予定より若干押しておりますけれども、10分休憩しまして、次は1455分開始といたします。よろしくお願いします。

 

(休 憩)

 

(北海道大学病院 着席)

○垣添座長 若干早いですけれども、始めましょうか。

 北海道大学より、御説明をお願いいたします。

○北海道大学病院 よろしくお願いします。北海道ブロックから来ました北海道大学病院です。本日は私、小児科診療科長の有賀と、病棟医長と血液腫瘍グループのチーフである井口、それから、小児科病棟の師長の本間とやってまいりました。詳しい内容は井口のほうから説明させていただきます。

○北海道大学病院 それでは、北海道ブロックの北海道大学病院の発表をさせていただきます。

 資料の1をごらんください。診療実績です。北海道は3大学を中心にいたしまして一定の集約化が進んでいます。プラス2つの病院で主に小児がん診療をしているわけですが、そういう中においても、括弧内は平成23年度ですが、平成24年度、平成25年度と着実に一定の増加を認めております。特に、血液腫瘍も一定の数が集まっているのですけれども、脳腫瘍に関してはクリニックであるとかそういったところからの紹介もふえているところでございます。

 資料2の指定前後の変化ですけれども、幾つか挙げさせていただいておりますが、()チーム医療による集学的治療の実施、()再発・難治がんへの対応、()病床確保、それから()思春期のがん患者への診療と長期フォローアップ、こういった点に関しましては、北大病院を挙げての取り組みが進んでおりまして、小児がんに対する認知がアップしているということが言えるかと思います。

()チーム医療による集学的治療の実施に関しましては、キャンサーボードの定例化はもちろんなのですが、ここに緩和ケアチームであるとか、若い先生方も積極的に参加していただくような形が進んでおりまして、以前、緩和ケアが少し弱いのではないかという御指摘をいただいておりますので、そういったところが進んでいるところでございます。

()再発・難治がんに関しましては、腫瘍センターというものが腫瘍内科を中心に化学療法等を行っているところがありますが、そこに小児がん部門を設置していただきまして、専任の教員を採用いただいております。

 また、小児科の病棟に造血幹細胞移植専用の無菌室が今まで1つしかなかったのですが、もう一つ増設していただきまして、これは昨年度のことですけれども、ふえております。

()の病床確保は広い北海道ですので、以前もこの場でお話ししたように札幌-根室というのは、東京-名古屋ぐらい離れておりますから、余り遠いところはさすがに即日入院というのは難しいのですけれども、それでも翌日までにはほぼ全員が入院できるような体制となっております。

 さらには、()思春期のがん患者あるいは長期フォローアップに関しまして、病院を挙げての取り組む姿勢としてワーキンググループが設置されまして、成人の診療科との連携が進んでおります。

()からは、ほかの小児がん診療病院との連携、()地域連携、こういったところに関しては広い北海道ではあるのですけれども、同ブロックとの対応が進んでおります。特に、ほかの大学、旭川医大ですとか、札幌医大といったところからも患者の受け入れが始まったりとか、あるいはこちらからお願いしたりということも進んでおります。

 広大な北海道ということもありますので、実際遠いところからいらっしゃる患者さんもいますので、そちらに出張外来の開設ということは以前この場でもお話ししたことなのですが、こちらを進行させております。こちらからお伺いして地域に帰った患者さんを診察させていただく。ほかの内分泌や神経の専門医も一緒に地域中核病院に出張外来を開設して、そこで全人的なフォローを何とか進めたいと考えております。

 後でも出てきますが、あわせて在宅医療機関との連携を強化したのですが、これは今のところ道央圏、札幌圏を中心に進んでいるところで、地域に関してはまだ不十分なところがございます。

()人材育成、交流、講演会に関してですが、小児がんの勉強会が年に40回ぐらいのペースで進んでおります。こういう形で小児がんに関しては非常に認知されてきているということはありますが、情報発信も進める必要があるだろうということで、キャンサーボードのメンバーにドクター以外の方もたくさん入れるということを先ほどもお話ししたような形で進めることで育成も進めようと考えておりますし、緩和ケアチームももちろんですし、看護師の学会発表等も以前御指摘いただいたところですけれども、積極的にスタートしているところでございます。

()臨床研究への参加は、従来の臨床研究に加えまして拠点病院を対象とした臨床研究にも参加していく予定でございます。

()北海道は1つの都道府県でございますので、行政との連携が比較的しやすいということがございまして、平成25年度に平成24年度までの実際の実態調査を実施したりということで、北海道との連携が比較的スムーズに進んでおります。

 次のページに進ませていただきまして、進捗がなかった点と申しますか、実際の改善をまだしなくてはいけないところですが、臨時のキャンサーボードのシステムということになりますが、実際、患者さんが出たときには随時、各診療科のスキルといいますか、頑張っていたわけですけれども、時々通常メンバー以外を招集しなくてはいけないというような局面があって、各科に窓口体制がないということがわかりまして、そういったところを今整備しているところでございます。

 それから、先ほど来お話がありましたテレビ会議システムなどを用いた設備が望ましいのですが、実際人口の3分の2近くが道央圏に集中しておりますので、費用の関係でなかなか全北海道を網羅するテレビ会議システムは難しいということで、それに代わる方法を検討しておりまして、現実的な方法として先ほどお話しした出張外来等を使った連携という形を今は行っているところです。

 それから、院内学級は小学部、中学部と北大病院にはあるのですけれども、実際に教員をふやしてほしいという形でお願いはしていて、ベッドサイドで教育してほしいということもお願いしているところですが、これは教育委員会との交渉が必要で、まだ十分進んでおりませんが、ボランティアさん等を頼めないかどうかということで、我々としても道を模索しているところでございます。

 それから、ファミリーハウスは既に北大構内に結構環境のいいものが8室ございますが、さらにふやしてくれということでお願いしているところです。北海道のバックアップが得られる可能性もあるので、まだわからないのですが、道の基金のほうにもお願いして増室要請をしているところでございます。

 それから、人材確保はどこの病院も悩みかと思いますが、なかなかうまく進んでおりませんが、特に小児科や小児外科を志す若い研修医がなかなかふえないということもあります。ただ、我々としては何とかこういった小児がん診療の魅力といいますか、やりがいを発信する努力は続けていこうとは考えておるところです。

 小児がん専門看護師はまだ育成できていない、ここはまだ不十分なところでございますが、今後、職場環境を整備し、あるいは採用を進めていく予定になっております。

 資料3、事業実績報告でございますが、平成25年度の小児がん拠点病院の機能事業費として北大病院としては1,200万円計上をいただいておりますが、小児がん医療の従事者の研修事業に600万円、ここに半分ぐらい使っております。

 平成25年度に関しましては、脳神経外科であるとか、小児外科の手術のトレーニングキットであるとか、あるいはプレイルーム整備も含めてですけれども、そういった外科系の整備に主に使われている部分でございます。

 それから、小児がん登録促進事業に100万円、がん相談事業に関しては特に長期フォローアップノートというものを作成して、患者さんが自分自身の情報を転院等があったときでも持てるようにといったものを作成するのに100万円等を使っております。

 その他プレイルーム事業に100万円、入院患者さんの家族支援事業、ファミリーハウスの委託料等は300万円計上しております。

 資料4、今後の北海道大学病院としての整備スケジュールでございますが、キャンサーボードのさらなる充実化を図ろうということで、初期治療時はもちろんということにはなるわけですが、再発・難治の場合、あるいは先ほどお話ししました臨時の体制をつくろうということもありますが、そういった場合のみならず再発・難治例に関してもどんどんやっていこうということと、多職種の参加を促進しようというのは早速にもスタートしているところですが、来年度移行は先ほどお話ししましたように、院内として長期フォローアップ、AYA世代あるいは精子・卵子保存といった部分に関してのワーキンググループが立ち上がって、全診療科、病院を挙げて対策を検討していただいているという状況でございますので、今年度後半あるいは来年度以降、こういった体制についても整備を進めていくことがまず1点でございます。

 地域連携に関しましては、3大学や道央圏の病院だけではなくて、各地方、地域の中核病院との連携を促進しようということで、先ほど来お話ししております専門医の出張外来、これは小児がんだけではなくて、各分野の専門医の出張外来を充実しようということ。それから当然地域に行っても大きくなっていきますので、成人の診療科との連携も強化していこうということが今年度早々にも始めていこうとしているところです。

 北海道は、まだ陽子線治療施設が北海道大学病院にしかございませんので、陽子線の治療ができるといったようなことも含めた新規治療あるいは治験といったものも今年度の後半あるいは来年度以降に進めていこうと考えております。

 次のページにまいりまして、人材確保、育成に関してですが、勉強会、講演会を活性化しようとしています。おおむね今までは医師が中心に講師を行っていたのですが、医師以外の職種の講師の先生方も外部もちろん内部からもお呼びして講演会を開催しようとしています。そういう形で何とか魅力を発信して、小児がん専門医あるいは小児専門看護師、それから、児童精神科に関しても診療科ができましたので、こういったところで育成していきたいと考えておりまして、国内外への留学等も進めていこうという形を考えております。

 院内の勉強会、講演会等で若手医師・看護師向けの講演会も開催を進めていくところでございます。

 それから、患者・家族への支援体制ということで、今年度小児がん専任の相談員を雇用することが決まりました。社会福祉士も採用していきますので、より手厚い支援体制ができるものと考えておりまして、先ほどのフォローアップノートはまだ不十分なのですけれども、そちらに小児がん患者・家族用の情報も載せていこうと考えております。

 続きまして、北海道ブロックについて御説明いたします。

 資料1でございますが、北海道は北海道全体から患者を受け入れておりまして、長期フォローアップの連携を行っております。中核病院との連携体制だけではなく、今回患者を多く紹介していただいたところとそうでないところがございますが、クリニックや他大学、がんセンターといったところからの交流もございまして、左下にあるように、患者さんはふえてきているという現状でございます。

 資料2、今後の整備スケジュールですが、広大な北海道ですから道央圏に医療資源が比較的集中しておりますので、出張外来や患者・家族向けの講演会などを行いながらフォローアップ支援を行っていこうと。新規治療に関しては北大のほうで支援していこうと考えております。

 最後になりますが、人材育成に関して先ほど来お話ししていますように、緩和ケアスタッフの育成も含めた小児がんの専門医、専門看護師を進めていこうと考えております。

 行政との連携ということで来年度以降、北海道地域のがん診療病院との合同での研究会を開催する予定でございます。

 以上です。時間がオーバーして済みませんでした。

○垣添座長 ありがとうございました。御質問・御発言どうぞ。

 天野構成員どうぞ。

○天野構成員 御発表ありがとうございました。1点質問させてください。

 先ほど来出ているお話なのですが、北海道は非常に広大な地域をカバーされているということで、カバーするのは大変御苦労が伴っていると思うのですが、地域ブロックの概要で挙げられている施設の数だけをカウントすると、23施設カウントされていると。一方で、先ほど来出ている日本小児血液・がん学会の研修施設に関しては、北海道に関しては4施設だけという現状が多分あると思いまして、そうなってくると、患者さんのアクセスを確保することも重要だと思いますが、ブロック内の医療機関の質を担保するとか、もしくは地域の病院を支援していくということが求められると思うのですが、そのあたりは今後どういった予定になっているか教えていただければと思います。

○北海道大学病院 ありがとうございます。実際におっしゃるとおり、小児がん専門医がいる病院というのは、旭川を含めて道央圏に集中しております。人口ももちろん道央圏が多いわけですけれども、そうはいっても地域の生まれ育ったところでフォローすることは非常に大事なことだと我々は考えておりますので、そういった意味で、小児がん患者さんの出張外来は先ほど来お話ししておりますように、こちらから例えば北見に出かけていくとか、函館に出かけていってフォローさせていただく。それは小児がんの専門医だけではなくて、神経や内分泌の専門医も配置することで、そこでのフォローを道央圏と同様に担保したいと考えております。今後の課題としては、地域での成人との診療科との連携をもう少し進めていきたいと。その辺が今後の課題かと考えております。

○垣添座長 韮澤構成員どうぞ。

○韮澤構成員 小児がん拠点病院に、がんに当たって再発例や進展例の取り組みを充実したものにしていただきたいという要望があったわけなんですが、北大病院としての現状、今後の取り組み方について余り御発言がなかったようなのですが、少し教えていただればと思います。

○北海道大学病院 再発がん・難治がんへの対応としては、基本的には造血細胞移植を必要とするような集学的治療が必要になるだろうと考えておりますので、一つには、病院としてお願いして病院のほうで無菌室を増室していただいたというのが1点ございます。

 それから、外科としても人材を何とか育成しようということで、今、国内外に留学させているドクターもおります。そういった人材的なことと、箱としてといいますか、病床としてという部分は進めているところでございます。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございました。先ほどから教えていただいている出張システムなのですけれども、もうちょっと具体的に、北海道大学の先生が週に何日かほかの病院にいらして診るという形なのでしょうか。

○北海道大学病院 現実的に週何日か行ってしまうと、大学の診療もございますので、月1回ぐらいが限度ではないかと考えておりまして、前日入りする場合が多いのですけれども、月1回行って、入院している患者さんがいれば診療させていただいて、翌日、長期診ている患者さんであるとか、あるいは治療が終わって間もない患者さんなどを外来で診察させていただいたり、場合によってはそこで治療をしたりということもございます。

○馬上構成員 あわせまして、先ほど広島大学、中国ブロックでテレビ会議システムを活用されているというお話で、こちらは北海道ならではの御事情だと思いますけれども、費用の関係で実現は困難と書いていらっしゃるのですが、これは北海道が広過ぎてテレビ会議システムがすごく高額になってしまうとか、そういうことなのでしょうか。

○北海道大学病院 導入できれば我々も導入したいのはやまやまなのですけれども、道央圏に人口の大半がいると。患者さんもそこから発生する場合が多い。とはいって、地方からも年に数人は必ず出てきます。そういった場合に、テレビ会議システムを全病院に配置してしまうと、コストと実際に発生する患者さんとの兼ね合いがあって、ちょっと難しいねという議論になっています。とはいえ、患者さんは必ず出ますので、そこをどうするのかということで、現実的には今のところメーリングリストであるとか現実的な方法を使ってはいるのですけれども、テレビ会議システムが導入できる予算といいますか、その部分があれば我々としてはできればそのほうがいいとは思っております。

○馬上構成員 先ほど広島大学の方に金額をお伺いするのを忘れたのですが、テレビ会議システムはとても高いものなのですね。わかりました。そうすると、今のところは、何らかの形で連絡がとれるような関係でいらっしゃるということですか。電話やメーリングリストといった感じで、あと月1回先生がいらしていろいろ御指導くださるということなのですか。

○北海道大学病院 そうですね、現実的な方法として今はそうしておりますが、もし、ハード面での整備ができるのであれば、そういう方向は考えてはおります。

○垣添座長 広島大学の先生はまだおられますか。今質問が出ましたけれども、テレビ会議システム導入の総費用はどのくらいかおわかりですか。

○広島大学病院 基本的にネットはもう全部つながっていますので、パソコンとディスプレイですよね。今うちは19病院が主体なので、平成24年度の予算でつけさせてもらいましたけれども、1,3001,400万円ぐらいで19病院についております。

○垣添座長 そういうことだそうです。どうもありがとうございました。変則質問で恐縮です。

 ほかにいかがでしょうか。

 これは資料で拝見すると、北海道における小児がん診療の実態等に関する調査結果ということで、人材のところを見るとほとんどが緑といいましょうか、緩和ケアにしても化学療法にしても未配置というところが大半ですが、やはりこれは全域をカバーするためにいろいろな病院が入っているかということでしょうか。

○北海道大学病院 おっしゃるとおりです。北大病院としては緩和ケアチームを含めてキャンサーボードに入っていただいているのですけれども、地域全体を見渡してみると、まだまだ不十分なところはあると思います。

○垣添座長 これは少し古い調査だと思いますが、平成25年度以降、要するに、小児がん拠点病院制度ができてから、多少そういう地域の病院も充足されているところはありますか。

○北海道大学病院 道央圏はそういう形で整備は進んできていると思います。例えば、在宅医療にしても。ただ、地方に行きますと、まだ整備が進んでいると言える現状ではないです。

○垣添座長 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。このすてきな長期フォローアップノートですけれども、これは実際に使った患者さんからの感想は、まだないでしょうか。

○北海道大学病院 もう既に使い始めていて、先ほど来の院内でのワーキンググループでの作業でさらに改訂しようとしているわけですけれども、実際に例えば道外に引っ越していかれたという方も自分の情報として持っていけるということで、若干細かいねとほかの診療科の先生方には言われたのですけれども、おおむね好評と自分で言うのも何ですが、おおむねアクセプトされていると思います。

○小俣構成員 ありがとうございました。ぜひまた、今後も声も聞いてもらえたらなと思います。よろしくお願いいたします。

○垣添座長 どうもありがとうございました。時間ですので交代してください。

(北海道大学病院 退席)

(東北大学病院 着席)

○垣添座長 続きまして、東北大学病院、お願いいたします。

○東北大学病院 東北大学病院の病院長の下瀬側です。きょうは、小児科長の呉繁夫教授と、この事業の中心になっております笹原講師の3人で来ております。

 東北大学病院はこの事業に力を入れておりまして、小児腫瘍センターを立ち上げて、今施設と体制整備の準備を急ピッチで進めているところですので、進捗状況につきましては笹原講師のほうから説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

○東北大学病院 それでは、お手元の資料に沿いまして御報告申し上げます。

 まず、資料1の診療実績につきましては、延べ入院患者数は平成24年が149名、平成25年が144名でした。初発症例数はそれぞれ47例、30例で、全体が紹介症例です。
 紹介を受けた医療機関数はそれぞれ19施設、20施設でした。

 他施設への紹介患者は5例、4例であり、治療終了した小児がん診療病院でフォローアップを受ける症例でございました。

 緩和ケアチームが新規で診療を実施した症例数は、それぞれ1例、3例でありまして、専門的な疼痛管理を必要とした症例です。

 相談支援センター相談件数は、平成2510月から2ヶ月間で83例でございました。

 新規症例の疾患別では、造血器腫瘍がそれぞれ15例、9例。固形腫瘍が32例、21例です。東北大学病院は固形腫瘍と脳腫瘍症例が相対的に多い特徴がありますが、その理由としては、他科との連携診療が確立しているということと、近接する宮城県立こども病院では造血器腫瘍のみを診療し、約半数ずつ分担して診療しているということが挙げられます。

 次に、資料2に小児がん拠点病院指定前後の変化をまとめました。進捗があった点として、1番目に、東北大学病院がんセンター内に小児腫瘍センターを組織化しました。これは小児がん診療が入院治療のみならず、外来診療や長期フォローアップが病院全体として継続できる体制づくりを目的としています。具体的には、化学療法センター、放射線治療チーム、緩和ケアチーム、成人診療科、院内がん登録室、小児がんへの対応を強化した、がん診療相談室の横のつながりがとりやすい体制になりました。

 2番目に、小児医療センターでの入院環境の整備です。当院には小児医療センターとして、83床の入院設備がありますが、小児がん診療の中心である西5階病棟の各室に付き添い者用ベッドを購入し、入院生活環境の改善を図りました。また、既存のクリーン及びセミクリーン病床に加えまして、病棟の一部にセミクリーン区域を設けて、新たにセミクリーン個室6床と、その中のプレイルームの増設、セキュリティーシステムの導入を準備しまして、来週より着工予定としております。

 3番目に、脳脊髄腫瘍の診療体制の強化が挙げられます。月1回の脳神経外科との合同カンファレンスを開始し、小児科との共同診療体制を構築しました。

 4番目は、新規治療への取り組みとしての医師主導型治験への参加です。難治性神経芽腫に対する新規抗体療法の治験実施施設となりました。

 5番目は、臨床心理士の病院雇用と保育士の増員があります。臨床心理士3名を小児科雇用から病院雇用といたしました。また、保育士2名を増員して、計6名の病院雇用とし、入院生活支援の充実を図りました。

 6番目は、長期フォローアップ外来の充実です。血液及び内分泌専門医師、看護師、臨床心理士による週2回の長期フォローアップ外来体制をつくりました。診療プログラムと問診票を作成し、退院後の生活上の注意点をパンフレットとしてお渡し、活用していただいております。

 7番目に、緩和ケアチームとの連携強化があります。病院がんセンター内に小児腫瘍センターが組織化されたことで、緩和ケア医療チームが早い段階から介入していただいております。

 8番目は、遠隔医療設備の設置です。宮城県立こども病院とのインターネットカンファレンス設備及び宮城県内の中核病院小児科との遠隔医療設備を導入いたしました。

 9番目に、東北小児白血病セミナーの開催があります。スタッフ教育として医師以外に看護師、臨床心理士、臨床検査技師対象の参加型のセミナーを開催いたしました。

 最後に、病院ホームページに小児がん拠点病院及び小児腫瘍センターに関する情報提供の準備を開始し、近日中に公開予定です。また、NHK仙台放送局及び全国放送にて、東北大学病院の取り組みに関する情報提供を行いました。

 次のページをごらんください。進捗がなかった点、及びその理由と対応策についてですが、1番目は症例数の増加です。その理由としては、特に宮城県内の小児がん初発症例発生数に左右される点が大きいのですが、他県からの紹介症例数がまだ少ない現状があります。これに対しては、拠点病院として提供できる役割を周知していく必要があります。これは後述いたします。

 2番目に、小児がん専門医の増員です。これは、血液腫瘍サブスペシャリティーとする大学院生、海外留学内、国家内留学中の医師がこれらを修了して、専門医資格を満たす医師がふえるため、今後増員が見込まれます。現在、助教以上の教官が6名血液腫瘍の診療に当たっています。

 3番目は、CLSの新規雇用です。雇用のための確実な予算が必要なのですが、今後、他職種との業務のすみ分けを明確にした上で、募集を継続していきたいと思います。

 4番目は、病院内の宿泊施設の設置です。設置と運営のための予算及び敷地確保が必要ですが、まずは現存の近接する2施設との交通手段の援助を検討したり、ソーシャルワーカーによる御家族への紹介を継続します。これは病院側と検討していきたいと思います。

 5番目は、AYA世代の支援体制設備です。診断治療体制は整っておりますが、就学支援体制の構築が必要で、これは行政や私立高校への働きかけを行っていきたいと思います。現在、個別に各高校や公立高校に対して連絡をとり合って対応していくという状況があります。

 6番目に、在宅医療体制の整備です。今年度に在宅医療勉強会を予定しておりまして、体制づくりを進めていきたいと思います。これは、脳腫瘍の症例が非常に大きな対象になると思います。

 次に、資料3に事業実績報告を示しています。平成25年度は総事業費1,383万円のうち、内訳は小児がん医療従事者研修事業として88万円、院内がん登録促進事業として145万円、がん相談支援事業として341万円、プレイルーム運営事業として432万円、入院患者家族支援事業として377万円を計上いたしました。具体的な内容は、これまでの報告に沿い、かつ、資料にお示ししたとおりでございます。

 資料4に、今後の整備スケジュールを示します。まず、集学的治療及び標準的治療の提供といたしましては、小児腫瘍センターの充実及び機能化を目的とした病棟セミクリーン域と新規プレイルームを2015年1月に完成させる予定です。

 また、院内他職種間の小児がん総合カンファレンス、長期フォローアップカンファレンス、院内他科診療科やこども病院との合同カンファレンスを継続して施行します。

 東北大学病院臨床研究推進センターと共同で、向こう1年間の医師主導型治験に貢献いたします。

 体制づくりが既に整った緩和医療チームとの連携や、長期フォローアップの症例数をふやしていきます。

 また、行政や私立高校と連絡して、AYA世代の就学支援体制づくりを進めていきます。

 次に、地域連携として、遠隔医療体制の充実、定期的な勉強会の開催、小児がん在宅医療体制づくりに取り組んでまいります。

 また、東北大学には東北メディカルバンク機構がありますので、共同で乳児白血病に関する基礎研究を検討してまいります。

 その他としては、病院ホームページに小児がん拠点病院としてのサイトを近日中に完成させて、情報提供を行い、また、マスメディアを通じて社会への情報発信を行います。

 次に、東北ブロックとしての小児がん地域ブロック整備の進捗状況を御報告いたします。

 資料1に、東北ブロックの概要を示しています。東北ブロックには東北大学病院を初めとする9つの小児がん診療病院があります。左図にその位置を示しますが、また、東北大学小児科の腫瘍関連病院10施設が小児がん診療に協力しています。関連施設からの紹介患者数は平成23年で36例、平成24年で47例、平成25年で30例でした。その多くは宮城県内からの紹介症例ですが、左図に示しますように、他県からの紹介例も含まれております。

 逆紹介数はそれぞれ2例、5例、4例でしたが、予定された治療が終了して、その後の治療やフォローアップを小児がん診療病院で行った症例でございまして、当初の小児がん拠点病院としての目的が達せられたケースと考えております。

 最後に、資料2に、今後の東北ブロックとしての整備スケジュールを示します。

 まず、地域連携としまして、東北ブロック小児がん医療提供体制協議会の定期的開催を継続します。これによって小児がん診療病院間の診療と長期フォローアップの連携強化と、具体的な意見交換を行ってまいります。

 東北ブロックの特徴といたしまして、各県に1ないし2施設の小児がん診療病院がありまして、標準的治療をその県の小児がん診療病院で行うことは御家族の利便性や全体の医療提供体制として、むしろ望ましいと考えております。

 拠点病院としましては、新規治療を必要とするような再発及び難治性症例、日本全体としてもまだ標準的治療体制の構築が望まれる高度の技術手術手技を有する脳腫瘍症例、原発性免疫不全症合併例や専門的な病態解析と、それに即した治療を行う必要がある症例を中心に紹介していただいて集約化を図っていきたいと考えております。

 人材育成として、小児がん専門医の育成、スタッフの人材育成が必要です。そのために医師対象の東北がんプロフェッショナル養成推進プランや、学会講演による勉強会、それから、診療スタッフのためのセミナーの開催を今後も続けていく予定です。

 その他として、東北地区の地理的状況から、遠隔医療体制設備の充実が必要になります。現存のインターネットカンファレンスシステムを拡大させて、小児がん診療病院との診断治療方針の意見交換や、若手医師の教育を図っていきたいと考えております。

 以上でございます。御静聴ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

 韮澤構成員どうぞ。

○韮澤構成員 進捗があった点の1番目に、がんセンター内に小児腫瘍センターを設立ということでしたけれども、がんセンター内の小児腫瘍センターというものの立ち位置が小児科医として見えないのですけれども、御説明いただけますか。

○東北大学病院 これは、病院内で非常にディスカッションのあったところでございます。小児がんの診療を全体として考えたときに、大学病院の中で小児がんの診療を単独で行うことは望ましくないと思いまして、長期的なことを考えますと入院診療だけではなくて、退院した後の外来診療や化学療法センターであるとか、成人の診療科の御協力も長期的に必要になりますので、そういう意味でいろいろ熟慮した結果、がんセンターの中に小児腫瘍センターを組織化するということが最も望ましいと考えましたので、そのようにいたしました。

○垣添座長 ほかにいかがでしょう。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 細かいところで恐縮なのですが、AYA世代への支援体制整備という部分で、診断診療体制が整っているとのことなのですが、東北大学病院ではいわゆるAYA世代の方々小児科が責任を持って診られているという理解でよろしいのでしょうか。何歳くらいまで小児科で担当しているか教えていただければと思います。

○東北大学病院 現実的には初発の患者さんで治療プロトコルがございます。それに従ってJPLSGの治療プロトコル、AMLALLでも対象年齢が若干違うんですね。それによって成人の治療を行うべきか、小児の治療を行うべきかということもあるのですけれども、平均的には、特にALLは小児の治療のほうが成績がいいということがありますので、ALLの治療はそのようになっていますけれども、そういった現実的な治療プロトコルの内容と、その子のキャラクターや性格的な問題、成人の診療科が望ましいということが実際にあるわけです。それらを総合的に見て、どの科でまず最初に行うかということは考えています。その上で、小児がんの総合カンファレンスがありますので、その後の進捗状況を治療の経過を整形外科や脳外科の先生と2週間に1回カンファレンスを開いていますので、情報を共有しているという状況でやっております。

○天野構成員 小児と成人のがん診療の診療科の連携が必ずしも十分でない病院もあると聞いているのですけれども、東北ではそのあたりは割とスムーズに行われているという理解でよろしいのでしょうか。

○東北大学病院 小児がんに関しては、2週間に1回他科の先生が集まっていただいて病棟でカンファレンスをしていますので、なるべくそういうことのないようにしたいと思っております。

○垣添座長 ほかにございますか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 ホームページを充実されるというお話で、小児脳腫瘍の治療推進、どうもありがとうございます。今、小児がん情報センターが国がんの情報センターのほうで立ち上がっていて、小児脳腫瘍についてちょっと調べたのですけれども、東北大学のところが脳腫瘍の手術が×となっていたのですけれども。

○東北大学病院 それは事務的なことだと思いますが、脳外科の先生が非常にアクティブにやっていらっしゃいますので。

○東北大学病院 病院内に去年2月から広報室を立ち上げておりまして、広報室でいろいろな広報活動を行っておりますけれども、これもぜひ、広く一般の方あるいは病院間の連携をとるために広報活動を行いたいと考えておりますので、そのうちきれいなホームページができると思います。

○馬上構成員 申しわけございません、今のところ全体的にがん情報センターから飛ぶと各施設のトップページに来るのですけれども、そこにバナーがあるところとないところがあって、バナーがないと一生懸命検索するのですが、小児がん拠点病院に指定されましたというお知らせはすごくたくさん出てくるのですが、内容自体がわからないときがあるので、充実していただけるということで、どうぞよろしくお願いします。

○東北大学病院 ありがとうございます、ぜひ。

○垣添座長 田中構成員どうぞ。

○田中構成員 東北の当事者として御質問させていただきます。地域ブロックの概要のところで、各地域の拠点病院からの紹介・逆紹介は、活発というよりは地域で見ているという状況なのかなと分析しているのですけれども、今後は現状の体制維持という方向に行くのか、それともより風通しよく紹介・逆紹介が活発になるような方策を打って出るのか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいのですけれども。

○東北大学病院 非常に大切なポイントだと思っています。実際の東北地区の小児がん医療体制全体を考えますと、各県ごとに標準的治療ができる施設が1ないし2施設ございます。標準的治療に関しては、私はそれでいいと思っていますが、ただ、小児がん拠点病院の大事な骨子である再発・難治性症例で新規治療を行わないと行けない症例は、神経芽腫のGD2が出ていますけれども、そういった症例を拠点病院に送っていただくという体制づくり。それから、学術的にこの小児がんは非常にまれであって特殊な病態であると、東北大学病院は基礎研究のインフラが整備されておりますので、そういった状況で病気を治すということのほかに基礎研究も貢献できるような症例を紹介していただくと。脳腫瘍を最近頑張っておりますので、小児科が外の施設に行って勉強して帰ってまいりましたので、脳腫瘍症例を小児科で診る症例数をふやしていきたいと。そういう体制が私たちのほうで自信を持って皆様にお伝えできるという状況が来れば、脳腫瘍症例で困っている方は各県にいらっしゃいますので、そういった方々に呼びかけていくということを考えています。

 以上です。

○垣添座長 ありがとうございました。

 では、短くお願いします。

○水谷構成員 東北大学中心に大変御活躍だというのはよくわかりました。その一方で、地域ブロックを見たときに、このブロックの中に上がっている病院にもそれぞれ特徴を持った病院があると思うんです。もちろん東北大学が中心になっていろいろな活躍をされるということはそれはそれで重要ですけれども、このブロックの中でどういう施設がどういう能力を持っているから、どういう面で支援していかなければいけないかという視点でかかわっていただくことが、中核病院としての役割だと思いますので、その辺ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○東北大学病院 わかりました。おっしゃるとおりだと思います。

○垣添座長 時間です、ありがとうございました。大変よくやっていらっしゃると思います。

(東北大学病院 退席)

(九州大学病院 着席)

○垣添座長 続きまして、九州大学病院、お願いいたします。

○九州大学病院 それでは、九州大学病院の説明をさせていただきます。九州大学病院の小児医療センター長の田口でございます。それから、現場で小児血液がんを治療している中島先生でございます。それから、予算の執行をしております総務課の原田課長補佐です。

 それでは、資料に基づきまして説明させていただきます。

 資料1ですけれども、九大病院の診療実績でございますが、一番左の小児がんの入院患者数は延べ数でございますが、平成23年に比べて少し増加しておりますが、指定されたということでさほど増加している傾向はありません。

 それから、造血器腫瘍、固形腫瘍の新患の院内がん登録数からの数字ですけれども、これを集計しますと、造血器腫瘍が平成23年が44例、固形腫瘍が37例、平成24年が造血器腫瘍が29例、固形腫瘍が57例、平成25年が35例と36例ということで、症例数自体は余り大きな変化は起こっていないというのが現状です。

 次の地域連携ですけれども、他施設から紹介された小児がんの患者数ですが、これも余り大きく変わっておりません。

 あと、右側の緩和ケアチームが新規で診療した小児がんの患者数ですが、これも大体同じぐらいということです。

 一番右の相談支援センターの相談件数がゼロということですけれども、これは成人を含めた相談支援センターというのがありまして、そちらの数字しかありませんでしたので、小児の専属のセンターというのが立ち上がっていないということで、数字が計算できなかったということでございます。

 それから、造血幹細胞移植の数字については大体1年間20例ぐらいで、それほど大きな変化は起こっていないという実績です。

 資料2ですけれども、指定前後の変化で進捗があった点としまては、CLSを2名ほど雇用することができました。ことし1月に雇用しまして、今いろいろな研修をしていただいて、緩和ケアチームとしても活躍していただくようにしている状況です。

 2番目としましては、長期フォローアップにおけるトランジショナルケアの外来を開設しまして、これはことし4月にこういう外来の看板をつくりまして、これは小児の慢性疾患全てに通じるような外来を開設しております。

 3番として、ここに書いていないのですけれども、外来の化学療法をするときに、それまでは成人と一緒にしていましたが、ことし3月に小児専用の外来化学療法室を新設しております。これは九大病院の費用でつくったということです。

 それから、行政との連携ですが、福岡県と連携しまして、がん対策アクションプランというものに小児がんの対策の充実ということをうたっております。それから、私自身が昨年から福岡県がん対策推進協議会の構成員として参加しているという状況でございます。

 それから、テレビ会議システムの構築ですけれども、これはもともと九大病院のほうでアジア遠隔医療センターというのがありまして、そこがこのシステムを持っていましたので、それを利用しまして、初年度に端末機のコンピューターを10台ぐらい購入しまして、ことしからこれを使っているという状況でございます。

 次のページですけれども、進捗がなかった点ですが、相談支援の体制ということですが、まだホットライン等の小児がん専用の窓口が整備されていない状況ですので、これを今後整備するという方向で今進めているところです。

 それから、長期の滞在施設ですが、九大病院のすぐ前に1泊2,000円の施設がありますけれども、前回の会議で少し値段が高過ぎるという御指摘があったので、1,000円にするように、この1,000円分の補てんを、できましたら小児がん拠点病院の経費から使えないかということで、今、事務のほうで交渉しているという状況でございます。

 院内がん登録ですけれども、これについては九大病院は悉皆性が大体100%で、成人がんも小児がんも両方とも院内がん登録をしておりますけれども、先ほど生育の先生からお話がありましたけれども、地域がん登録が来年から法制化するということですので、それと連携して100%の悉皆性の小児がん登録を構築していくという方向で考えております。

 資料3で事業実績報告ですが、これは平成25年度の分ですけれども、ここに2,300万円と書いてありますが、実際は800万円は九大病院のお金を使っておりますので、厚労省からの経費としては1,500万円ぐらいを使わせていただいております。ほとんどがCLSの人件費、保育士の人件費といったものを中心に使わせていただいております。

 資料4ですが、病院内の今後の整備スケジュールということで、ちょっと細かい字で申しわけないですが、基本的には集学的治療、標準的治療の提供ということで、チームによる実施体制の強化ということでCLSを新規採用しましたので、今後CLSをどういうふうに使ってこの辺の連携を上手にしていくかということが今後の課題だと思います。

 次に、専門的な知識及び技能を有する医療従事者及び療養支援する者の確保と配置ですけれども、これもCLSと保育士といった方々をいろいろな研修などに参加させて、グレードアップしていくことを今考えております。

 それから、再発及び難治がんの対応ですが、従来九大病院は再発がんや難治例の紹介患者が多い状況ですけれども、これもホットライン等をしっかり整備して、この辺の紹介しやすいような状況をつくっていく方向です。

 それから、病床数の確保については小児の共通病床がありますので、小児医療センターの中に小児がん拠点病院をつくっている状況ですので、病床は十分に対応している状況でございます。

 次に、思春期、AYA世代ですが、この辺もいろいろ問題にされておりますけれども、これについては整形外科、それから、脳外科が小児科と一緒に連携して、キャンサーボードのほうで今いろいろなコミュニケーションをしていますので、原則として小児科に入院するということで、小児科が中心に化学療法をするという形で今進めている状況でございます。

 それから、緩和ケアチームですけれども、今まで成人のほうのがんセンターに緩和ケアチームがありましたけれども、小児も今いろいろな研修会があるので、それに積極的に参加しまして、現在3名、小児緩和ケアをできる人を育成できております。

 次の資料は、その先の九州地区全体の地域連携と関係がありますので、このページは省略させていただきます。

 次に、九州・沖縄ブロックの整備の進捗状況ですけれども、資料1に示しましたように、九州というのは沖縄が加わっていますので、南北に1,200km、東西に800kmという地域をカバーしている状況でございまして、小児がん診療病院が主に大学病院、あとは公立病院といったもので、小児病院はこの中には1カ所だけ沖縄にありますけれども、これも小児病院と成人病院が併設している状況でございます。

 そこで各関連施設からの紹介数というのは余り多くありませんで9件、それから、逆紹介というのは4件ぐらいですけれども、福岡県の人口が九州の大体半分ぐらいですので、福岡県内の病院からの症例数が多いという状況でございまして、各施設では標準的な治療はそれぞれの地域で行って、本当に困った症例、再発例などを紹介してくるというような状況でございます。我々外科医としましては、本当にどうしようもなく手術が難しいような症例が最近ふえている印象があります。

 次に、今後の整備スケジュールですけれども、地域連携については今やっとテレビ会議のシステムができまして、一応今月7月28日に第1回の全体のテレビ会議の開催をするようにしています。一応先月1回試運転をしまして、各施設全部画面に映りまして、ディスカッションが十分に可能であるということは確認しております。

 もう一つ、いわゆる連絡会議については、1年に2回、これはもともと血液がんの研究会と固形がん研究会とが、それぞれ1年に1回ありますので、それと一緒に協議会を開催して、その際にいろいろな研修会等もするということで、1年に2回こういった拠点病院の連絡会議をしておりますけれども、それに加えて、テレビ会議を月に1回するという方向で今から進めております。

 それから、市民公開講座については、小児がん拠点病院についての宣伝、広報については九大病院の記者懇談会、あと、がんの子どもを守る会の九州北支部等との交流会といったこと、それから、九大病院のホームページで今、宣伝している状況です。

 あと、フォローアップについてですが、トランジション外来というのをつくって今スタートしたばかりですけれども、そういうトランジションが必要な患者さんをトランジション外来で一緒に診ていくという形をつくっております。

 あと、登録事業は先ほど言ったような状況です。

 行政との連携については、福岡県が大分協力的にやってくれていますけれども、財政的な支援については今のところありません。

 人材育成に関しましては、小児血液腫瘍研究会と小児固形悪性腫瘍研究会といったものを通じまして、今、人材育成をしております。

 あと、九大病院のいわゆるがんセンターがありまして、そこが主催の医療従事者の研修会も今行っている状況です。

 以上でございます。ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 御質問・御発言をお願いいたします。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 御発表ありがとうございます。2点ございます。

 まず1点目でございますが、拠点病院を指定する際に鹿児島大学からも拠点になりたいという手が挙がっていて、鹿児島の先生方から離島地域の小児がん診療の非常に厳しい状況を共有いただいたということがあったかと思いますが、鹿児島大学が地域性の点から本来であれば指定すべきだったかもしれませんが、今回漏れていて、そうなってくると九州大学のほうで何とか御支援いただければということで指定があったかと思いますけれども、そういった離島地域を含めた九州南部の小児がんの診療提供体制について、今後何かお考えや施策があるかについて教えていただければと思います。

○九州大学病院 先ほど症例数のことなどを少しお示ししましたけれども、実際に沖縄からうちに来ている患者さんは1人もいません。それから、鹿児島も大体鹿児島大学が小児専門の血液がんの先生がおられますので、そこの地域については鹿児島大学がかなり頑張っていただいているという状況です。

 先ほど言いましたように、人口が九州全体で大体1,100万人ぐらいになるのですけれども、そのうち大体500万人ぐらいが福岡ということで、九州大学につきましては福岡地区と北九州、熊本、宮崎、そのあたりぐらいまではなんとか。宮崎も地域的にはどちらかといえば鹿児島に近いということもあって、それから、沖縄も患者についてはなかなかカバーが。実際いろいろ話を聞くと、どうも関東のほうが近いみたいで、飛行機で福岡に来るのも東京に行くのも大体同じくらいの時間ということで、恐らく生育や国がんなどに行っているのではないかという気がしますけれども、そういうことで実際的には沖縄まではなかなかカバーできていないというのが状況で、ただ、先ほど言いましたように、1年に2回の連携会議と、テレビ会議システムに沖縄の先生にも参加していただいていまして、一緒に症例の検討や共有、情報提供といったことはしている状況です。

 でも、先生がおっしゃるように、地域的にはなかなか完璧にカバーするというのは難しいという状況ではないかと思います。

○天野構成員 ありがとうございます。

 もう一点でございますが、これは九州大学や九州ブロックと若干離れてしまう話題かもしれませんが、資料の中で小児がん登録は非常に複数の小児がん登録事業があるため、非常に複雑化しているという経緯があるということで、九州では今後5年以内に登録一元化に関しての方向づけを行うということで、2,0002,500名の患者さんが全国にいる中で、5年以内に方向づけしかできないのかというのが正直感じるところでございまして、このあたり小児がん登録事業をうまく進めるというか、できるだけ効率よく進めるための先生のお考えがあれば、ぜひお聞かせいただければと思います。

○九州大学病院 今まで九大は九州地区の全国小児がん登録事業というのがあって、その地域センターみたいなことをしていまして、一応九大を介してそういう登録を進めるということが1つあって、あと、小児血液・がん学会の全数登録事業があって、あと、小児がん学会の悪性腫瘍登録といった学会を主体としたような登録が幾つも走っている状況なんです。九州としましては、先ほど言った小児血液・がん学会の全数登録と、小児がん学会の悪性腫瘍の一時登録というのがありますけれども、それを一緒の様式にして、その2つの学会については1つにするということを九州地区はしています。

 だから、できるだけ現場の医師の労力を少なくしようということはしていますけれども、もし、今国がん中心に進めています地域がん登録が本当に法制化して動き始めれば、個人情報の入った登録ですので、100%悉皆性のある登録が可能だと私は理解しておりますので、それを中心に、全部がそこを窓口にすれば長期フォローも可能な全国の登録システムが構築されるということで、それがいくなら全部それに乗っかるというのが一番いいと私は思っておりますが、厚生労働省の方いかがでしょうか。

○江副がん対策推進官 その点に関しまして、がん登録の部会が審議会の下に設置されまして、第1回が7月30日に行われる予定です。先生がおっしゃるとおり、がん登録の法制化というのが法律自体は成立しまして、政省令を今検討するという段階になっております。おっしゃるとおり、悉皆性のあるデータというのががん登録によってとれることになるのですが、なかなか多様な詳細な情報、全ての病院の義務づけになりますので、詳細な情報を吸い上げることは必ずしもできないということで、詳細な治療内容や小児がん登録で今収集しているような情報を全て盛り込めるかというと、そこまでは難しいというのが現在の状況です。

 ですが、がん登録を主体として小児がん登録をどう考えていくかという点に関しては、おっしゃるような方向というのはあり得るかと思いますけれども、全国がん登録に小児がん登録を全部含めて集約していくというのは、なかなか難しい面もあるという状況です。

○九州大学病院 先生の今おっしゃっている小児がん登録というのは、どれを指しているのですか。

○江副がん対策推進官 種々あるもの全体です。

○九州大学病院 わかりました。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。韮澤構成員どうぞ。

○韮澤構成員 小児がんの治療に当たって緩和ケアというのは非常に大事だと思うのですけれども、先生の病院は突出して例数が多いのですが、発表の中で研修会を組んでおやりになっている等々の御発表がありましたけれども、これは小児科の医師ですか、それとも麻酔科の医師にやられているのですか、その辺がありましたらお願いします。

○九州大学病院 一応、成人を主に診られている緩和ケアのグループと連携をとりながらというところではあります。ただ、小児に特化した緩和ケアグループというのがあるわけではなくて、そういったところでは小児科でも中学生、高校生ぐらいになれば成人の緩和ケアグループと協力できますが、乳児等になると小児科で独自にやっているのが現状ですので、今後は小児独自の緩和ケア体制というのは立てていかないといけない。ただ、少しでも協力体制をとりながらやろうという姿勢が、一応数字としてそういった形で出ているという状況かと思います。

○垣添座長 では、時間です。どうもありがとうございました。

(九州大学病院 退席)

(三重大学医学部附属病院 着席)

○垣添座長 以上が、ブロックの進捗について御説明のある小児がん拠点病院からの発表でした。

 続きまして、小児がん拠点病院からのヒアリングを行います。三重大学、お願いいたします。発表9分、質疑5分ということで、よろしくお願いいたします。

○三重大学医学部附属病院 三重大学医学部小児科の駒田でございます。本日は、同じく小児科の平山准教授と河俣小児看護専門看護師も同席しております。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、三重大学医学部附属病院におきます小児がん拠点病院整備の進捗状況につきまして、提出資料に沿いまして御説明させていただきます。

 資料1をごらんください。まず、診療実績でございますが、当院は全国15の小児がん拠点病院の中で三重県という人口が比較的少ない地域に位置する施設であることも恐らく影響していると思いますが、以前より入院症例数が少ないという御指摘をいただいておりました。しかし、小児がん拠点病院に選定されて以降は、表にございますように少しずつでございますが、小児がん患者の入院数は増加してきているように思います。特に平成25年度には、他の診療科との連携・協力による集学的治療の対象となる骨腫瘍あるいは脳脊髄腫瘍といった固形腫瘍症例の入院が多かったように思います。

 続きまして、指定前後の変化についてでございますが、資料2をごらんいただきたいと思います。まず、進捗があった点でございますが、集学的治療及び標準的治療の提供に関しましては、昨年9月にそれまで医療福祉相談支援センター内でありました小児在宅医療支援部を、小児トータルケアセンターとして独立設置いたしました。当センターは小児がんの相談窓口として機能するとともに、終末期症例への在宅移行に必要な社会資源の拡充あるいは安心して在宅移行できる社会連携を図ることを目的にしておりまして、在宅医療支援に加えまして、他職種の方々が多数参加されます三重県小児在宅研究会あるいは小児がん緩和研修会を主催しております。資料には3月に開催いたしました小児在宅研究会の会場の様子を掲載いたしました。

 また、本年6月には院内がんセンター内に診療科横断的な集学的治療、緩和ケア治療を行うための小児がん集学的治療部門を組織いたしました。

 また、小児病棟にCLSと保育士の増員を行い、小児がん患者の療育支援体制を充実いたしました。

 地域連携に関しましては、当院はJPLSC造血器腫瘍免疫診断センターとして初発症例の免疫診断と微少残存腫瘍の解析を担当させていただいておりますが、平成2526年にかけまして、全国の小児がん診療施設からお送りいただきます検体は、一時期増加いたしまして、最近の1年間の解析検体数は1,200検体を上回っております。

 その他の事項としましては、小児がん研修プログラムへ3名の小児がん診療医師を受け入れておりますし、小児がん経験者の会、ひとと樹が結成されまして、定期的な情報交換会の開催あるいは小児がんキャンプへのサポーターとしての参加と相談会の開催など活動を開始しておりますので、小児科としましても支援をさせていただいております。

 また、本院臨床研究開発センターに専任の教授及び講師が配置されまして、臨床研究実施の基盤整備が行われました。

 次に、進捗がなかった点でございますが、資料2の2枚目をごらんください。集学的治療及び標準的治療の提供に関しましては、小児看護専門看護師の育成が図られておりません。現在当院には、本日も同席しておりますが1名の小児看護専門看護師が小児トータルケアセンターに配置されておりまして活躍しておりますが、さらに小児病棟あるいは小児外来にもそれぞれ1名ずつの配置が望ましいのではないかと考えております。現在、小児看護専門看護師を目指しておられる方もおられますが、その方も含めまして人材の確保に努力していきたいと考えております。

 2つ目には、小児病棟内のティーンエイジルームの整備充実がなされていません。スペースはあるのですが、整備が遅れています。今後早急に進めていきたいと考えております。

 また、地域連携に関しましては、コンサルテーションの環境整備が十分ではありません。全国の小児がん診療施設の医療関係者からの診断治療に関します相談・質問には電話、あるいはメール等を用いて対応しておりますが、今後は当科のホームページを整備して、医療関係者だけでなく患者・家族の方々にも相談していただきやすい体制を整えていきたいと考えております。

 次に、事業実績報告でございますが資料3をごらんください。平成25年の小児がん拠点病院機能強化事業費の多くは、小児がん相談従事者の人件費、小児病棟のCLS、保育士の人件費に使わせていただきました。小児がん医療従事者研修事業としましては、主に第13回中部小児がんトータルケア研究会、これは医療関係者だけでなく院内学級の先生方あるいは小児がん当事者、それから、患者の家族も参加される、小児がんをトータルに考える研究会でございますが、この研究会の開催に必要な費用を支出させていただいております。

 資料4、今後の整備スケジュールでございますが、2枚目にタイムスケジュールをお示ししましたので、そちらをごらんいただきたいと思います。まず、本年6月に設置されました小児がん集学的治療部門の活動を早速開始し、関連する診療科合同の小児がん症例カンファレンスあるいは講演会・研修会等を定期的に開催していきたいと思っております。

 続いて、既に建設工事が始まっておりますが、本年9月には三重大学としましては2施設目になりますが、小児がんの子どもたちのための長期滞在施設ハーモニーハウスが本院敷地内に新築完成いたします。

 また、11月ぐらいまでには小児がん医療関係者だけでなく、患児・家族の方々にも利用していただきやすいような小児がん相談コーナーを当院のホームページに構築したいと考えおります。先ほど御指摘がございましたように、バナーをつけたほうがいいのかなという形で、わかりやすい形にしたいと思っております。

 最後に、当院では平成27年5月に待望の新外来棟が完成いたします。それに伴いまして外来化学療法部の中に小児がん患児のスペースが整備されますし、小児外来のスペースが拡充され、外来プレイルームも整備されます。小児トータルケアセンターも広いスペースの部屋に移転設置されます。また、新外来棟には設備の充実した院内学級も新設され、入院病棟の6階にあります小児病棟からは、入院中の子どもたちは6階の連絡通路を通って院内学級へ通学できるようになります。

 以上、三重大学医学部附属病院におきます小児がん拠点病院整備の現状と今後のスケジュールにつきまして、御説明させていただきました。御助言あるいは御意見を賜れればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 御質問・御発言をお受けしたいと思います。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。

 療養環境が新規の施設が建っていて、大変うれしいことなのですけれども、例えば、子どもたちのプレイルームだけではなく、思春期とかAYA世代の方のお部屋というのはどのようになっていますでしょうか。

○三重大学医学部附属病院 先ほど説明の中でも申し上げましたように、スペースはあって、机は入っているのですけれども、それではなかなかAYA世代の子どもたちは来ないので、どういう雰囲気がいいのかを今現在ほかの施設を見学しながら、海外にもあるのですけれども、海外のものをそのまま入れてもいいかどうかはちょっと問題で、うまくいっているところがございましたら、ぜひ御意見を賜って、子どもたちが来やすいような、勉強したり、遊んだりできやすいようなものにしたいということを考え中です。

○垣添座長 小俣構成員は何か御意見ありますか。

○小俣構成員 一番いいのは、本人たちに聞いてもらえるといいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○三重大学医学部附属病院 そのとおりで、聞きますと、電動麻雀がいいとかおっしゃいますので、それでもいいのでしょうけれども、果たしてそれがいいのかどうかは、医療関係者としての御意見もいただきながらトータルで考えていかないといけないのではないかと思っております。

○小俣構成員 今後もご検討よろしくお願いします。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 ちょっと余計なお世話の質問かもしれませんけれども、結局こういうふうに拠点病院になることによって、拠点病院の予算だけではとてもできないことが付随的にかなりいろいろできてきているというような印象を持ちました。その中で、例えば大学が持ち出しでやってくれている部分と、それと連動して例えば県が動いてくれている部分と、その辺の予算的なスケール感というか、仕分け感みたいなものが、もしわかっていたら教えてください。

○三重大学医学部附属病院 なかなか難しい御質問なのですけれども、言えるところと言えないところがあると思いますけれども、大学病院のほうからも例えばハーモニーハウスの建設費が企業からの御寄附で1,800万円ございましたけれども、それでは足らないので500万円程度病院から出していただいております。あるいは小児の在宅の予算は全て三重県から、もともとは厚労省なのですけれども、三重県を通じて小児在宅支援の拠点の県にならせていただくということで予算をいただいておりますので、県あるいは病院からもいろいろ御支援をいただいております。その一番言いやすいのは、小児がん拠点病院になって、これからそういうことをやっていかなければいけないという義務といいますか、責務を担っているということで御理解をいただいているものが多いのではないかと思いますので、こういう小児がん拠点病院という方針は拠点病院になったものとしましては、非常にありがたいというか、利用させていただきやすいというようなことで、病院長にも言えますし、逆にいうと利用させていただいているなというほうが強いと思います。

○垣添座長 今のお話は全ての施設に該当することだと思いますけれども、冒頭お話のあった名古屋大学で、大学のほうから相当たくさん支援で出ていましたよね。私はそれを大変印象深く覚えていますけれども、今の話はみんなつながるかと思います。

 では、時間です。ありがとうございました。

(三重大学医学部附属病院 退席)

(神奈川県立こども医療センター 着席)

○垣添座長 では、続きまして、神奈川県立こども医療センター、お願いいたします。

○神奈川県立こども医療センター 神奈川県立こども医療センター病院長の山下と申します。左は、血液再生医療科の後藤です。右は、副事務局長の千葉と申します。

 それでは、担当の後藤から御報告いたします。

○神奈川県立こども医療センター よろしくお願いいたします。

 まずは、資料1をごらんください。診療実績です。一番下の欄に数字が並んでいますけれども、括弧内は平成2410月小児がん拠点病院新規指定申請書に記載した数字で、主に平成23年1月からの診療実績となっています。中段は、平成24年1月から12月までの診療実績、最下段は平成25年1月から12月までの数字となっております。

 ごらんになっておわかりになるとおり、特に小児がん拠点病院指定前後で大きく数字の増加はないのですけれども、少しずつ患者さんがふえているという状況です。さらに、平成26年、ことし1月からの実績を見ますと、こちらには示されておりませんけれども、既に造血細胞移植の件数が昨年1年に並んで19件ということ、肝芽腫に対する肝移植もことしは既に3件行っているなど、まだこれは短い統計ですので大きな流れというのは把握できませんが、ひょっとしたらより難治性の疾患が集約化されていることを示しているのかもしれません。それに伴って、他施設から紹介された小児がん患者数も若干ずつ上昇しているという現状です。

 続きまして、資料2をごらんください。指定前後の変化について進捗があった点、なかった点について御説明いたします。

 まず、進捗があった点についてですけれども、こちらは大きく分けて当センターでは緩和ケア外来及び緩和ケア普及室を設置して、小児がん患者に対する緩和医療に対して、より積極的に医療を提供する体制を整備したということ。外来化学療法室を整備したということ。内分泌・代謝科によるCCS外来、小児がん経験者に対する外来を設置して、小児がん患者に対する長期フォローアップの体制を整えたということ。あと、小児がん相談支援室を設置したということです。それぞれについて御説明させていただきたいと思います。

 まずは第1、集学的治療及び標準的治療の提供ですけれども、従来どおりという形になりますが、症例ごとにキャンサーボードを開催し、症例検討会を開催。さらには、横浜市や横須賀市の小児がん診療施設を交えた定期的な症例検討会を開催しました。これらは小児がん拠点病院に指定される以前より開催しておりましたけれども、昨年度新しい病理標本のレビューシステムを導入して、より研修効果を高めるという努力をしました。

 平成2511月には緩和ケア外来を開催しました。外来患者で緩和ケアが必要な患者さんに対しても医療が提供できる体制になっております。現時点では実際に小児がんの患者さんで外来患者さんが緩和ケア外来を使うという場面は1件あっただけなのですけれども、緩和ケア外来の機能がアキュートペインサービスにも対応していて、疼痛を伴うような処置の鎮痛・鎮静に緩和ケア外来のスタッフが対応するという体制が整備されて、実際それが活動しております。

 ことし3月に外来化学療法室が整備されました。現時点ではまだ5名で、当初は月に4件程度の外来化学療法でしたけれども、直近では月に17件の外来化学療が施行され、骨髄抑制など副作用が強くない化学療法を外来で施行できるという体制が整備されました。

 栄養サポートチームが当センターでは以前より活動していますけれども、小児がん患者に特化したカンファレンスを開催して、全ての小児がん入院患者の栄養管理、口腔衛生管理を栄養サポートチームが行うという体制が昨年から整備されました。

JPLSGなどが行う臨床試験には、引き続き積極的に参加しております。

 緩和ケアチームを中心とした緩和ケア普及室が平成25年4月に設置されました。院内の緩和ケアだけではなくて、対外的にも緩和ケア普及活動というものを積極的に広げていく体制を整備いたしました。当チームはセンター内で提供されている緩和ケアと新たな緩和ケアのニーズの把握を週1回の回診を通じて行っております。

 地域連携に関して症例検討会等を開催していることは先ほどお伝えしました。

 緩和ケア普及室や小児がん相談支援室などがセミナーを開催して、地域に対する広報活動、研修を行っております。

 さらに、小児がん拠点病院看護師交流研修も開催いたしました。

 当センターのみでは対応できないような疾患に対しては、静岡県立がんセンターの陽子線治療を依頼するなど、個別に対応しております。

CCS外来が設置されたことは先ほどお伝えしましたが、主に造血細胞移植を受けた患者や脳腫瘍の患者を中心に、内分泌学的な長期フォローアップを行う体制を整備いたしました。

 続いて、資料2の2枚目、第3、その他の取り組みについて御説明いたします。

 その他といたしまして、小児がん相談支援室の設置を挙げさせていただきました。これは昨年4月に設置いたしました。看護師・保健師が常駐し、平日の昼間に関しては院内外を問わず患者さん・家族からの御相談を受けるという体制を整備しております。

 小児がんをクローズアップした相談支援室を設置することで、行政機関と連携して地域の患者さんだけではなく、教育担当者や地域の医療関係者を対象に普及活動を行っております。

 その他、当センターにもともと治験管理室が設置されておりますけれども、小児がん拠点病院に指定されたことを受けて、小児がん患者さんに使用する薬剤についての治験を積極的に行うということで、エルウィナーゼ、ニロチニブなどの治験、デフィブロタイドの治験などにも積極的に参加しております。

 院内がん登録システムを整備いたしました。このシステムを利用して地域がん登録や小児血液・がん学会登録などにも積極的に参加しております。

 下の2項目は教育に関してですけれども、昨年から病棟内で病棟科長、医師、学校の先生、保育士を交えた定期的なカンファレンスを行い、患者さんの学習環境の整備にも努めております。

 以上、進捗があった点について御説明いたしました。

 続きまして、進捗がなかった点として今回挙げさせていただいたのが、大きく分けて広報活動が不十分であったということ。もう一点は、地域、特に神奈川県は大きな人口を変えている県ですので、そこに多くの小児がん患者さんがいらっしゃるのですけれども、神奈川県全体の他の小児がん診療施設との連携協議会がきちんと開催できていなかったということを挙げさせていただきました。

 キャンサーボードなどを行っていることを新規の施設に連絡はしているのですけれども、実際には昨年度に関しては他院の医師の参加はありませんでした。周知の方法をもうちょっと改善しなければいけないということと、実際に今午前中、朝8時半からやっているという時間帯も問題があるのではないかと考えて、今後は他院からも参加しやすい時間などを考えていかなければいけないと考えております。

 栄養サポートチームが小児がん治療に介入したり、最近では末梢型中心静脈カテーテルを積極的に導入して、感染症をできるだけ減らそうという努力もしていますけれども、実際にこれらの活動が小児がん治療の安全向上につながっているかどうかという評価はまだできておりません。今後、解析したいと思っています。

 広報活動をするためにホームページの整備を行っていくということ。

 あとは、地域との連携協議会、特に神奈川県の地域の連携協議会を開催して、積極的な連携を取り組んでいくつもりです。

 続きまして、資料3ですけれども、小児がん拠点病院機能強化事業費をいただきまして、その使い道ですけれども、こちらに挙げさせていただいたような項目に主に使わせていだいていて、特に、主にはプレイルームの運営事業に割いて使用させていただきました。

 資料4に移ります。今後の整備スケジュールですけれども、進捗がなかった点として反省として挙げさせていただいた広報活動を積極的に行っていこうということで、現在ホームページを作成して、患者さんがパッと小児がん拠点病院で相談する窓口がわかるようなものをつくることを目指しております。できれば今年度中に開設したいと思っております。

 神奈川県の施設との地域連携協議会を今年度中に開催いたします。

 最後のページですけれども、連携協議会は成人科の先生にも加わっていただいて、移行期医療ですとか、長期フォローについても一緒に相談をさせていただこうと考えております。

 その他の取り組みとしては、さまざまな臨床研究も積極的に行っていくために、小児がん臨床試験データセンター、これは仮設ですけれども、開催することを予定しております。

 教育の体制についても整備を進めていくという取り組みを考えております。

 済みません、最後は駆け足になってしまいましたけれども、御静聴ありがとうございました。

○垣添座長 ありがとうございます。

 御質問・御発言をどうぞ。堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 小児医療センターということで、診療の対象年齢をどのくらいまでと考えておられるのかということと、実際にそこから長期フォローに移ったときに内分泌・代謝科と連携して長期フォローアップ体制があるということでしたけれども、結局その先、移行医療についてどのような体制を、特に地域連携、成人診療科との連携において構築されているか教えてください。

○神奈川県立こども医療センター 現時点では新規の患者さんに関しては16歳を一つの区切りにしていますけれども、その後のフォローアップに関してはきちんとした明確なルールはつくっていません。個別の患者さんに応じて、それこそ30歳になっても当センターで診療を続けている患者さんもいらっしゃいますし、大きな身体的な問題がない患者さんに関しては、地域の大学病院、成人診療科にお願いしているという、本当にケース・バイ・ケースで対応しているという状況ですので、連携協議会を通じて小児がん患者さんの移行期医療、約束事だけでもルールをつくっていけたらなと思っていますが、これは成人科の先生の御意見も伺わないと、私たちだけでは進められないので、そういったものに活用したいと思っています。現在は、ある成人科の施設の先生にまず相談を今始めたところです。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございました。資料2の下から3行目、患者・家族を対象としたグループ診療をやっていただいているということで、これは非常に新しい試みなのかなと思いまして、患者・家族としてはありがたいのですけれども、具体的にどのようなことをされているのですか。

○神奈川県立こども医療センター これは昨年、退院後5年までの患者というのを一つの区切りにして、退院後5年までの患者さんで当センターでフォローアップを続けている患者さんに対して郵送で連絡をしまして、夏休みの時期に患者さんも一緒に来ていただいて構わないという形で来ていただいて、午前午後に分けて行いましたけれども、まず前半は、内分泌科の先生や血液再生医療科のドクター、学校の先生の話を座学として聞いてもらい、午後の部としては、患者さんを小グループに分けて、分け方は私たちが実際に同じような疾患を抱えている患者さんというのをある程度より分けをして、小グループに分けてグループセッションということで、そこにそれぞれ血液再生医療科の医師がついて、グループ相談会のようなことをやりました。

 あとは、少し年数がたった親御さんからは、自らの経験を退院したばかりの患者さんに伝えていただくというような場にも使いました。

○神奈川県立こども医療センター 追加いたしますけれども、小児病院という総体の診療の場で、例えば、ダウン症の会ですとか、胆道閉鎖症の会とか、それぞれ疾患に応じて御家族と患者さんと一体に指導するような場が各種設けられておりまして、その小児がん版というような位置づけで、手法としては病院としては経験がかなりあるという中で行われているということです。

○馬上構成員 そうすると、年に1回ペースみたいな感じですね。ありがとうございました。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。相談支援室を設置され相談支援を強化されているという話で、ニーズを把握することができて、課題の早期発見になったということですけれども、主にどんな相談が多いのか、もし御存じでしたら教えていただきたいです。

○神奈川県立こども医療センター 非常に早期のことから、一般的な外来の正面玄関の会計と並列してあるような、皆さんが気軽に相談できるような場を設けておりまして、熱が続いてとか、小児疾患一般的なことの窓口をつくっておりますので、そういうところから軽微な症状を拾い上げることができるのではないかと考えております。

○神奈川県立こども医療センター 実際には、進捗がなかった点にも挙げましたけれども、広報活動がまだ不十分で、院外の患者さんからの使用がまだ少ないという状況ですけれども、院内の患者さんからは、お医者さんには聞けないような相談事をどこに聞いたらいいのだろうかとか、学校に戻ったときの心配だとか、そのようなことが多かったと思います。

○小俣構成員 もう一点だけよろしいですか。資料2の指定前後の変化のそのほかの取り組みの下に、教育コーディネーターと書いてありますが、これはこちらのこども医療センター独自の職種としていらっしゃるのか教えていただけたらと思います。

○神奈川県立こども医療センター 県立南養護学校というのが病院の中に併設されておりまして、その学校先生の間で教育コーディネーターというのが専任されています。地域の学校との連絡あるいは退院後の移行をどうしたらいいかといったことを含めて、先生たちがいろいろと相談に乗ってくれているというシステムです。

○垣添座長 では、時間です。どうもありがとうございました。

(神奈川県立こども医療センター 退席)

(埼玉県立小児医療センター 着席)

○垣添座長 続きまして、埼玉県立小児医療センター、お願いいたします。

○埼玉県立小児医療センター よろしくお願いいたします。私、血液腫瘍科の診療科長をしております康と申します。本日は、私以外に血液腫瘍を主に診ている病棟の渡部師長と、事務部門から黛主査に来ていただいています。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、資料1をごらんください。診療実績ですけれども、ほかの小児がん拠点病院ともほぼ同等なのですが、特に小児がん拠点病院になったからといって、患者数の変動は今のところ大きなものはないように思います。私どもの施設で言いますと、もともと埼玉県内の小児がん患者さんの3分の1から4割ぐらいが、常にうちのセンターに来ているということ。それから、再発・難治例に関しては、小児がん拠点病院になる前から、ほぼ私どもの病院に既に集約されているということがありまして、特に大きな変化はございません。

 ただ、たまたまなのか本年度になって、平成26年4月以降2割ぐらいの患者さん増が続いておりまして、これが偶然の一時的なことなのか、あるいは圏内の患者さんたちの動きに大きな変動が生じつつあるのか、それに関しては今後引き続き見ていきたいと考えております。

 右の緩和ケアですけれども、緩和ケアをしている小児がん患者さんは確実にふえております。平成25年に関しましては、小児がんの患者さんの特定が間に合わなかったものですから資料に載せておりませんけれども、四十数例になっておりますので、緩和ケアを受けている患者さんに関しては確実にふえております。

 引き続きまして資料2をごらんください。進捗があった点を分野ごとに述べております。

 1番目、集学的治療及び標準的資料の提供ですけれども、1つは同じ県立病院であります埼玉県がんセンターに依頼して、IMRTという放射線療法を行うことが可能になりました。今後、少しずつ年長児を中心ではありますけれども、IMRTを行うことによって晩期合併症を減らしていけるのではないかと期待しております。

 2番のJPLSGALLの研究が開始されたこともありまして、当センターはもともと臨床試験登録数が一番多いのですけれども、さらに大幅に増加しております。

 それから、小児がん入院病棟の保育士を小児がん拠点病院のお金を使わせていただきまして、保育士を1名から2名に各病棟に増員し、常駐する時間帯も延長することができました。

 それから、緩和ケアチームの依頼件数が増加しております。平成25年度の小児がん患者の数が出せなかったのですが、この5199件というのは、がんでない患者さんも含めた緩和ケアチームへの相談件数で、平成25年度の99件のうち約半数が小児がん患者さんですので、緩和ケアチームへの依頼件数は確実増加しております。

 それから、緩和ケア研修会を他施設の方々にも開放しておりまして、平成25年度の3回の研修会に関しましては、他施設から述べ23名の参加がありました。

 次に、地域連携ですけれども、埼玉県内の小児がん診療病院連携協議会を設置し、第1回の会合を行いました。正式なメンバーは私どもの施設以外に小児がんの診療をしている4つの病院で、それ以外に整形外科領域に関しては力を入れたいということがありますので、成人2施設の整形外科の先生方をオブザーバーとしてお招きして、第1回の協議を行いました。今言いましたように、特に整形外科領域の小児がんの連携について、私どもとして力を入れたいと思っています。

 ホームページに小児がん拠点病院の関連のページを設けまして、まだそれほど充実したものではありませんけれども、相談支援センター、緩和ケアチーム、家族会等の情報を追加しております。

 それまでCLSが非常勤でしたけれども常勤となり、また、配属箇所も相談支援センターの方に配属されたということで、綿密に連携した支援が可能になっております。

 そのほかのところですけれども、これは小児がん拠点病院になったことと関係しているかどうかはわかりませんけれども、当センターで小児がん診療をやりたいという方が非常に増加しておりまして、残念ながら定数増ができませんでしたので、無給ではありますけれども、2名が研修しております。

 それから、小児がん拠点病院で唯一うちセンターには治験管理室がありませんでしたが、ようやくこれを設置することができました。

 次に、医師の事務作業補助者、いわゆる医療秘書の配置を1.5倍にすることで書類仕事等の医師の負担軽減を図ることができました。

 最後は、私どもの施設として非常に不十分だった点ですけれども、患者滞在施設として2室を病院で借り上げまして、1泊1,000円で小児がん患者家族の特に長期滞在に対応することが可能になりました。

 次のページをごらんください。進捗がなかった点です。

 1番目、集学的治療及び標準的治療の提供に関してですけれども、やはり小児がん拠点病院になったということで業務は増加しております。それから、特に今年度に関しては患者さんも増加傾向ですけれども、医師や相談支援部門の人的な増員が実現しておりません。私としてはここが一番進展できていないところだと痛感しております。

 それから、臨床試験の登録数が大幅に増加しているのですけれども、臨床試験を支援する人員の配置が私どもの施設ではゼロです。

 それから、臨床心理士、実は私どもの施設に臨床心理士はたくさんいるのですけれども、実際には発達の評価や発達外来のほうに全て配置されておりまして、小児がん患者さんのほうにほとんどかかわってくださっておりません。ですので、特に入院している患者さんたちの精神・心理的側面での支援が不十分であったり、認知機能の評価や支援も脳腫瘍患者さん以外ではほとんどできておりません。

 次に、思春期の患者さんは、私どもは高校生まで小児がんの患者さんを受け入れるということを打ち出しまして、実際に患者さんはふえているのですけれども、思春期の患者さんたちのプライバシーに配慮したような入院環境の整備は残念ながらまだ進んでおりません。

 次に、地域連携ですけれども、先ほど申し上げましたように、埼玉県内の患者さんのうちの3分の1から40%ぐらいが私どものセンターに来ていると推計しているのですけれども、実際にどういうふうに患者さんたちが流れているのかが、よく把握できておりませんので、これはマツモト班のような班会議の研究の中で、ぜひここのところは明らかにしていきたいなと思っています。

 それから、もう一点、私どもの施設で最も弱点のところですけれども、長期フォローアップ外来と独立させた外来もいまだ設定しておりませんで、通常の患者さんたちと同じ枠の中で診療しております。ここは何とかしていきたいと考えております。

 そのほかですけれども、研修事業に関しましては、緩和ケア研修はかなり積極的にやっているのですが、それ以外はまだ実現しておりません。

 それから、治験管理室は一応できたのですけれども、担当者は専従ではなくて、薬剤部業務と0.50.5で実際には80%が薬剤部の業務をしているということで、私どもの治験を支援するようなことは、まだほとんどしていただけておりません。

 それから、小児がん拠点病院では唯一CRCが配置されておらず、特に医師主導治験のような非常に大変な仕事に関しては、全て医師が業務を行っているという現状でございます。

 最後に重要な高校生の教育支援ですが、これは幾つか模索をしていて、この後も申し上げますが、今の時点では実現しておりません。

 1つ、要望を申し上げるところではないことはよくわかっているのですが、CLSの資格更新のためには3年に一度海外で研修をしてこないといけないんですね。非常に個人の負担が大きいので、この研修費用に小児がん拠点病院の強化事業費をぜひ使えるようにしていただきたいなと考えています。

 次に、資料3が事業の実績報告で、私どもの施設はほかの施設に比べますと、使っているお金が大変少なくて恥ずかしい思いをしております。主な使い道は保育士のための人件費で、それ以外に相談支援事業の人件費に少し使わせていただいております。

 続きまして、資料4にお進みください。今後の整備スケジュールに関しまして1と2ということで挙げております。

 まず、集学的治療及び標準的治療の提供ですけれども、先ほど申し上げましたように人の増員が実現できておりませんので、来年度及び新病院に移転する平成28年度には小児がん診療に従事する医師の増員を実現し、また、相談支援部門の人員も増員したいと思っております。

 それから、これは間もなくですけれども、8月に臨床心理士の臨時職員1名を増員し、小児がん患者さんの問題に対応していきたいと思っております。

 そのほか平成28年に移転予定の新病院では、無菌病棟の新設と、PICUの充実を行って、より安全かつ高度な診療を実現します。

 次に、埼玉県内での血液内科との連携、これは既に行っているのですけれども、高校生の受け入れを拡大します。

 次に、緩和ケア研修会をさらに継続していきたいと考えています。

 さらに、地域の医療機関等から緩和ケアの相談に乗れるような体制をつくりたいと思っています。

 さらに、緩和ケアレベルの向上のために院内での疼痛評価システムの統一化を図って、それを平成28年度には病院全体で行っていきたいと思います。

 最後の資料をごらんください。地域連携のところは、埼玉県の診療病院連絡協議会を引き続き行っていきたいと思いますし、特に、骨肉腫等の整形外科領域の診療連携を具体的に今年度始めたいと思っています。

 そのほか、まず造血細胞移植患者さんに関しては長期フォローアップ外来を本年度に開設いたします。そのほかの長期フォローアップ外来に関しましては、新病院で隣接する埼玉赤十字病院と連携しながら進めていきたいと思っております。

 最後、その他の点では、小児がん看護師に対する研修を今年度から開始いたします。

 また、高校生の教育支援に向けて教育委員会と協議を開始いたします。

 以上です。どうもありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

 堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 臨床試験の支援体制のことですが、治験管理室ができたが担当者の専従はなく、CRCを配置されたいというのは、小児がん拠点病院においては当然求められている機能だと思うのですけれども、認定されたことによって病院としての考え方というかスタンスはどうなのでしょうか。

○埼玉県立小児医療センター 病院としては支援したいということで、一緒に県に対する要望を上げていただいているのですけれども、結局私どもは県立病院ですので、県として予算措置はなかなかしてくださらないということが最大のネックです。

○垣添座長 それは、いろいろ要請されても全然応えてくれないということですか。

○埼玉県立小児医療センター はい。ですが、今後、増員していただくように引き続き要望を出しておりますし、それぞれいろいろな臨床試験の研究グループや厚労科研の分担研究費等で、とりあえず私ども自助努力としてCRCを雇うということを考えております。

○垣添座長 緩和ケアチームの相談が随分ふえたという御報告をいただきましたけれども、それは病院として何か特別な努力をさなっているのですか。

○埼玉県立小児医療センター 一応、緩和ケアチームの中心は私どもの小児がんの診療医がやっているのですけれども、毎週病棟を回診いたしまして、患者さんのニーズを積極的に拾い上げるということをしておりまして、特に小児がん患者さん以外の緩和ケアチームへの依頼がふえております。

○垣添座長 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 最後のスライドにありますように、近いうちに埼玉赤十字病院と隣接して相互に行き来ができるようになるのでしょうか。それまで埼玉県内の血液内科との連携を強化すると書かれていますけれども、具体的にはどういうことを意味しているのでしょうか。

○埼玉県立小児医療センター これは2つありまして、1つは、新規発生の患者さんたちで少なくとも高校生に関しては積極的に私どものほうで引き受けますというお話を何度もしていて、実際にふえております。ことしもダウン症のお子さんでしたけれども、21歳の方が来たりもしていますので、そういう新規患者さんの上限を私どもの施設で引き上げるということが一つと、それからトランジション、私どもの施設は今の時点で最長30歳までと考えているのですが、実際には2030歳のどこかで患者さんに移っていただくという形にしておりますので、そういう私どもの卒業生を受け入れていただくということをしております。

 新病院に移ったときには、埼玉赤十字病院との連携ができる場合には、できましたら数年間一緒に診て、途中で完全に移すようなことを構想しております。

○垣添座長 ほかにございますか。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 1点質問ですが、今後の整備スケジュール2のところで、埼玉県小児がん診療病院連携協議会を定期的に開催するという方向性があったかと思いますけれども、先ほど成育の医療センターからの御発表の中で、地域ブロックということでいうと埼玉県内は埼玉県小児医療センターと埼玉医大国際医療センターの2施設かと思いますけれども、この協議会というのはそれ以外の施設が参加されるのかということと、あと、具体的にどういったことが検討課題として上がっていくのかについて教えていただければと思います。

○埼玉県立小児医療センター 小児がん拠点病院以外に埼玉県内に小児がんを診療している施設が3つあります。防衛医大、獨協医大越谷病院、埼玉医大総合医療センター、この3つの施設に正式にメンバーとして入っていただいていることと、それから、成人施設として埼玉県がんセンターと、自治医大さいたま医療センターの整形外科の先生にオブザーバーとして入っていただいております。

 議題に関しては、いろいろなことを掲げているのですが、特に研修であるとか、人事交流のようなことを今協議しております。

○垣添座長 よろしいですか。それでは時間です。どうもありがとうございました。

(埼玉県立小児医療センター 退席)

○垣添座長 ここで休憩ですね。ほぼ順調に進んでおりますが、10分休んで1655分から始めたいと思います。

 

(休 憩)

 

(兵庫県立こども病院 着席)

○垣添座長 再開します。

 兵庫県立こども病院、よろしくお願いいたします。

○兵庫県立こども病院 兵庫県立こども病院の小阪と申します。それでは、早速当院の小児がん拠点病院としての診療状況を御報告申し上げます。

 まず、資料1をごらんください。当院における診療実績を示します。

 当院におきましても、特に小児がん拠点病院を受けて入院患者数、新規の患者数に特段変化は見られておりません。また、疾患の分類などもおおむね変化はございません。総数も1年間に大体80例ぐらいで推移しております。

 他施設への紹介患者さんが平成25年に急増していますが、これは他施設への積極的なセカンドオピニオンを推奨した結果と思われます。

 緩和ケアに関しましては、正式な緩和ケアチームが発足して、依頼方法の運用面などで試行錯誤している期間に少し症例数が減少した時期もありましたが、平成25年は18例の小児がん患者さんに診療介入して成果を挙げております。

 続いて、資料2をごらんください。指定前後の変化でございますが、進捗があった点ですが、特筆すべきは本年4月に当院も小児がん医療センターを開設させたことです。同センターには小児血液腫瘍医11名のほか、小児外科医、脳外科医、放射線科医、病理医も配属され、今後ますますの小児がん患者さんの集学的治療の推進が可能となっていくものと思われます。

 その他の診療面の進捗としましては、専属のCRC、がん登録クラークを配置することができ、我々医師の負担軽減につながっております。

 また、相談件数が著増したがん相談支援室ですが、専任の看護師MSWが配置され、さまざまな患者さん及びその御家族からの相談に対応しています。

 先ほど症例数が元に戻ったと申し上げた緩和ケアに関してですが、緩和ケア委員会の下部組織としてもともと活動していた実働部隊が、院内でにこにこサポートチームという名称で、正式なルールにのっとって診療介入を開始いたしました。

 また、長期フォローアップ外来を開設し、造血幹細胞移植後の患者さんを主に対象に、内分泌代謝科と循環器内科を中心とする他科と連携することで、より総合的なフォローアップが可能となりました。

 患者支援についてですが、ビーズ・オブ・カレッジ、これはこのごろあちこちの小児がん診療病院に広がっているのですけれども、1つの処置、患者さんに負担のかかる医療行為を行った後に、自分で頑張った証として1つにつき1個のビーズをつないでいくというもので、患者さんの治療に対するモチベーションアップに役立っているかと思います。

 ホスピタル・プレイ・スペシャリストの資格を持つ専属の保育士が2名おりまして、処置のときも処置室で患児の不安を取り除くべくつき添ってくれて、成果を挙げております。

 さらには、患者さん同士で連携を深めていただけるようボランティア団体と協力いたしまして、小児がん経験者のサマーキャンプを計画しており、現在準備中です。

 また、入院患者さん及びその御家族の心理的サポートとして、当院指導相談部所属の臨床心理士さんのカウンセリングなどの介入を果たせましたが、他業務との兼務でありまして、十分な時間をとれているとは言いがたい状態でございます。

 続きまして医療連携ですが、今年度より年4回程度開催される県の成人のがん診療連携協議会に特別参加させていただきまして、成人のがん拠点病院と情報交換して、特にAYA世代の患者さんの診療について協議しております。

 また、先ほど広島大学の小林教授からもお話がありましたように、昨年暮れ、本検討会に一委員の先生から御指摘いただきました、近畿地方で最も西に位置している当院の中四国地方との連携についてです。先ほど広島大学から御発表がありましたように、広島大学のほうからお誘いいただきまして、中四国地方の小児がん診療病院間で開催されているテレビ会議に参画させていただき、中四国地方とのより密接な連携を図っております。その成果としまして、その後鳥取県や徳島県から患者さんを御紹介いただき、現在診療中でございます。

 また、後にも述べますが、本日ぜひ御報告させていただきたい事項としまして、当院は2年後の平成28年度に神戸ポートアイランドの医療産業都市地区に移転が決定しています。当院が小児がん拠点病院に指定されたことを受けまして、当院新病院に隣接して廊下でつながる形で小児に特化した粒子線治療センターが併設されることが決定しました。現在、県内外の放射線治療医や粒子線治療に造詣のある放射線技師や看護師と勉強会などを開催して、医療連携を深めております。

 続きまして、指定前後の変化()をごらんください。教育面です。当科に所属していた2名の医師が他大学小児科の血液腫瘍グループに異動となり、当院での経験を生かして活動中です。

 また、今年度より当科専属のフェローを3名から5名に増員し、小児がん拠点病院の業務増加に備えています。これで当院、血液腫瘍内科の椅子は11名となりました。今後も積極的に小児血液がん専門医を目指す若手医師の教育・育成に努めてまいります。

 現在、血液病棟だけでは病床が不足気味であり、他の病棟でも血液腫瘍疾患の診療を展開しなくてはならないこともあり、昨年度より全職員対象の6回シリーズの院内の小児がんに関する教育講演会を開催しており、毎回出席者も多く、本年度も引き続いて開催しております。

 研究面ですが、当院は神戸大学と連携大学院を結んでおりまして、昨年度よりこれもシリーズで医療統計学の講義を神戸大学の講師を招いて定期的に開催しています。

 今後増加してくると思われますICH-GCPに準拠した臨床試験にいつでも参加できるようにするため、ICR臨床研究入門受講を全医師に義務づけております。

 一方で、進捗が果たせなかった点について述べます。

 長期フォローアップ外来が開設されたことはさきに述べましたが、対象はいまだ造血幹細胞移植後の患者さんのみに限定されており、今後全ての小児がん患者さんに門戸を広げていきたいと考えています。

 また、当院はAYA世代で訪問学級制度が適用されない高校生の学習面での支援がいまだ不十分ですが、現在、神戸大学と同大学の学生ボランティアによる学習が可能となるよう交渉中です。

 また、当院は1971年に開設して既に本館は築40年以上が経過しておりまして、療養環境全般にわたる老朽化、狭隘さが深刻になっておりますが、これらは新病院になれば解決する問題ではないかと考えております。

 さらには、現在担当してくれている臨床心理士の専任化がいまだ果たせていないので、当院の心理士を増員した上で、専任あるいは専属の心理士獲得に力を注ぎたいと考えております

 資料3をごらんください。事業実績報告です。平成25年度はがん相談支援センター開設に対しての専任看護師(MSW)配置の人件費として900万円、また、病棟のプレイルーム運営に病棟保育士配置のための人件費、絵本、玩具等の購入に500万円を計上しています。

 最後に、今後のスケジュールを資料4に基づいて御報告させていただきます。矢印の左の数字と次の数字が呼応しておりますので、ごらんください。

 さきに申し上げたように、本年4月から小児がん医療センターが開設されました。

()()については重複しますので割愛いたします。

()の地域連携ですが、成人のがん拠点病院の指導を受けまして現在、地域連携バスを整備しているところで、来年度から運用したいと考えています。

 最後に、当院は先ほど申し上げたように、平成28年度に移転予定で、血液腫瘍病床は40床、簡易の無菌室2床含めて無菌室は6床になる予定です。

 さらに、1年遅れて全国初の小児がん治療に特化した粒子線治療センターが開設されます。粒子線は既存のクリニック治療に比べて、晩期障害の発症が下がることが期待されております。現在、鎮静などで成人の数倍の量を要する小児に対する粒子線治療をしているのは、東日本のわずか3施設だけですので、今後、当院で多くの小児がん患者さんが粒子線治療を受けられるように準備しておるところでございます。

 以上、当院の現状報告と今後のスケジュールについて御報告させていただきました。ありがとうございました。

○垣添座長 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

 最後にもお触れになった小児に特化した粒子線治療センターというのは、構想は非常によくわかりますけれども、病院経営的にはどうなのでしょうか。

○兵庫県立こども病院 県が昨日もフォーラムを開いておりまして、まず、小児の保険収載が最大の問題点でございまして、今年度通ると思っていたところが通りませんでしたので、再来年度にはやはり小児だけでも保険適用されることが、まず何としてでも必要ではないかということで、現在、関東地方で粒子線治療を行っておられる筑波大学や静岡がんセンターなどと協力して、国のほうへぜひ小児の粒子線治療を保険収載してほしいということを申し上げているところでございます。

 それと、専門家によりますと、今リニアックを当てている小児がん患者さんのかなりのパーセントは粒子線の適用があるだろうということで、県にも大英断をしていただいたというところです。

○垣添座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 先ほど御発表があったのですが、近畿ブロックのほうでも兵庫県内は6施設がブロック内で連携病院として挙げられていたのですけれども、成人のほうでがん診療連携協議会に御参加いただいて、成人との情報交換等を進めていただいているのは非常すばらしいことだと思うのですが、小児の兵庫県内のほかの施設との連携であるとか、紹介・逆紹介の状況というのは、今はどういった状況となっていますでしょうか。

○兵庫県立こども病院 ちょっと時間がなかったので申し述べなかったのですが、県内では当院以外に大学病院2つを含めまして5カ所の小児がん診療を展開する病院がございますので、年に2回この連絡会議を開きまして、あとは、年に3回症例検討会を開いております。

 それから、当院のチームアボードは門戸を開いておりまして、それらの病院の先生にお見えいただく形をとっています。実際はお忙しいので、年に何回かぐらいしえお見えにならないのですけれども、時々いらっしゃっていただいているという形で連携をとっております。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 小児用粒子線治療センターというのはすばらしいお話だと思いますが、その一方で、少しお話が聞けなかったのが、移転に当たって成人期医療との連携体制がどうなるのかという、その辺のビジョンについてのお話をお願いします。

○兵庫県立こども病院 先ほど埼玉の先生が赤十字病院の隣とおっしゃっていましたけれども、当院も今度は神戸中央市民病院の隣に引っ越します。神戸中央市民病院は1,000床弱の非常に大きな総合病院ですので、そこと例えば長期フォローアップなどは連携してやっていきたいと考えております。

○垣添座長 よろしいですか。ありがとうございました。

(兵庫県立こども病院 退席)

(京都府立医科大学附属病院 着席)

○垣添座長 続きまして、京都府立医科大学附属病院、お願いいたします。

○京都府立医科大学附属病院 京都府立医科大学からプレゼンをさせていただきます。私、小児科の診療部長の細井でございます。こちらが小児外科の診療部長の田尻教授、それから、小児科の診療科長の家原准教授でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、資料1からでございますが、変わったところだけ申し上げますと、緩和ケアで件数が指定後ふえております。これは主に疼痛緩和のコントロールを緩和ケアチームにお願いした件数がふえたということでございます。

 また、数字には表れておりませんけれども、相談支援ということで後でも申し上げますけれども、セカンドオピニオンの件数が非常に増加しております。

 続きまして、資料2指定前後の変化について御説明させていただきます。

 進捗があった点でございますが、まず、予算を使わせていただきまして、小児がん専用のキャンサーボードルームの整備を行いまして、電子カルテ端末とつながった大きなモニターを設置したような小児がん専用のキャンサーボードルームをつくりまして、そこで回数も平成24年度の44回から平成25年度の60回というふうに、ほぼ週1回以上必要に応じて開いております。

 それから、歯科と連携いたしまして、定期的に口腔ケアの導入により口腔内感染の減少、疼痛の減少等に当たっております。

 また、栄養士さんに患者の子どもさんの好みを直接聞きに来ていただいて献立をつくっていただくということで、これは非常に好評で、子どもたちの食事摂取量の改善につながっております。

 平成24年度125件が、平成25年度は327件に、このような試みをふやしてきております。

 また、ベッドサイドに寝ていることが多い患者さんのために、リハビリ導入を行いまして、筋力の回復に当たる件数もふえてきております。

 それから、思春期のがん患者さんでは、AYA世代の患者さんが増加してきております。その中で、高等教育に関しましては個別になるのですけれども、高等学校から先生に訪問していただいて教育していただくというようなことができるようになっております。

 院内での高校入学試験の実施につきましては、京都府、滋賀県の公立高校と連携をいたしまして、今年度は3件の試験を院内でしていただきまして、幸いにも3人とも合格しております。

 緩和ケアチームとの実施体制では、平成26年1月に緩和ケア病棟が完成いたしました。

 それから、終末期の患者さんあるいは家族には心理士が介入して、よりきめ細かな心理的な緩和を行っております。

 地域連携といたしましては、京都府立医科大学主催の教育研修会を開催いたしましたし、また、京都大学と連携いたしまして、指定後、京都府の小児がん拠点病院の連携推進会議を既に3回開催しております。

 また、京都大学と連携いたしまして、京都府の小児がん拠点病院連携シンポジウムというのを京都駅の近くで開催いたしまして、大勢の人に参加をいただきました。

 それから、研修の実施につきましては、本学の医学生だけではなくて、他学の看護学生あるいは京都にありますノータルダム女子大学にボランティア養成講座というのができまして、そこの学生さんがゼミとして我々のところに研修に来られている、あるいは京都造形芸術大学の学生さんが壁画を描く実習用に来ていただいたりしております。

 2枚目の資料2でございますが、相談支援体制につきましては平成24年度100件、平成25年度307件と3倍近くに相談件数がふえております。

 臨床研究につきましては、非常に大きな問題が私どものところ、クジビに始まったわけでございますけれども、これを機会に研究開発・資質管理向上統合センターを開設したり、大学院に医学研究科医療フロンティア展開学を新設したり、また、生物統計学教室を開設するということで、平成26年6月から生物統計学のエキスパートに本学の教室教授として来ていただいたところです。

 患者の発育及び教育に関しましては、勉強を年長の患者さんが年少の患者さんに教えるようなことがありまして、その部屋を提供したりということでピアサポートの協力をしております。

 また、京都YMCAなどのいろいろなボランティアの方に来ていただきまして、患者さんだけではなくて、患者さんの家族、きょうだいを保育するような、あるいは楽しい催しものを催したり、そういうきょうだい支援をしております。

 情報公開では、そこに書いてあるようなことでございます。

 定例の小児がんひだまりサロンというのがございまして、これは外来に来られた患者さんの保護者の方が、託児所に子どもを預けていろいろな思いをしゃべっていただくと。なかなか入院中には病棟で言えなかったようなことをここでいろいろお話しいただくというようなものを定期的に開いております。

 進捗がなかった点ですけれども、チャイルド・ライフ・スペシャリストを雇用すると申し上げたのですが、なかなか希少な職種でありまして採用ができませんでした。今後は現行の保育士が6名おりますので、子ども療養支援士などの資格を習得するようにして研修を受講していってもらう予定です。

 小児がん拠点病院の組織として委員会を設置したいと考えております。

 公的高校教育の導入は、ぜひ京都大学とも連携をしまして、教育委員会にお願いして、京都府及び近隣都道府県の教育委員会の働きかけの中で、高校生についても訪問教育の実施を目指していきたいと考えております。

 あと、サルコーマセンターを設置したいということを申し上げたのですけれども、まだできておりません。これにつきましては、30歳までは他病棟で小児科主治医で現在治療に当たっておりますけれども、それ以上の方についても病棟整備計画の中に盛り込みまして、近々病棟の建てかえがございますので、そこに組み入れていきたいと考えております。

 実績報告に関しましては、1,500万円を使わせていただきました。小児がんの医療従事者研修事業に810万円、院内がん登録の促進事業に260万円、がん相談支援の事業につきましては410万円、プレイルーム運営事業に20万円でございます。

 今後の整備スケジュールでございますが、これまでずっと行ってきましたキャンサーボードを実施するということと、これは院内公開にしまして、若手の研修にも活用したいと思っております。

 また、栄養科の食事コンサルトの導入を試行しておりますのを全小児がん患者に広げていきたいと考えておりますし、また、小児感染対策チームを強化して小児の移植時の対応などに当たりたいと考えております。

 また、終末期の患者及び家族の心理士の介入を今後は死後ケアにも拡大していきたいと考えております。

 それから、AYA世代のところ、病棟の「棟」の字が間違っておりますけれども、これも進めてまいりたいと思いますし、高等教育の個別指導の導入をしていきたいと考えております。

 公的な高等教育の導入に関しましては、京都大学と連携して行政・教育委員会に働きかけていきたいと考えております。

 小児外科系の研究会に関しましても、滋賀県、岐阜県などと連携して、小児外科医が不足している近隣県と連携を今後も続けていきたいと思います。

 最後のスライドでございます。医学部以外の大学のゼミ、ボランティア養成講座を今後も続けて充実させていきたいと思います。

 それから、将来的には、小児がん専門医を目指す若手医師に全国から来てもらって講義するようなセミナーを開いていきたいと考えております。

 また、支援を受けた患者さんのきょうだいへの支援も今後も充実させていきたいと思っております。

 臨床研究、教育支援につきましても、スケジュールにありますようなことで進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○垣添座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

 豊田構成員どうぞ。

○豊田構成員 特に質問ではないのですが、平成25年度から口腔ケアを導入されていますね。これはすばらしい試みだと思うのですが、ここに書いてありますように、感染症や疼痛が減少しますが、何例か経験されたと思うのですが、導入前と導入後で何かございますか。

○京都府立医科大学附属病院 それにつきましては、私どもの感染対策の担当をしております家原のほうからお答えさせていただきます。

○京都府立医科大学附属病院 御質問ありがとうございます。口腔ケアを導入しましてから、口腔から発生する感染症が激減いたしましたし、それから、疼痛緩和も一緒に行っておりますので、食事の摂取量がふえてきておりますし、先ほど申しましたが、栄養価が個別の献立を考えてくれるようになりましたので、味覚がちょっとわかりにくい子どもたちも非常に食べやすくなったということで、ご飯が食べられなかったら麺類とか、きめ細かなこともできるようになりまして、非常に好評でございます。

○豊田構成員 今おっしゃいましたように、食事がとれるようになりますから、子どもさんとっては非常にいいことだと思いますし、今後ともぜひ力を入れて取り組んでいただければと思っております。よろしくお願いします。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 2点ございます。1点目が、きょうだい支援活動、ピアサポート要請ということで、親のピアサポートも来年度から取り組まれるということで、非常に貴重な活動かと思いますが、これについてどういった活動を具体的にされているか、もしよろしければ教えていただければと思います。

 もう一点が、京都大学と連携していろいろ推進されているということなのですが、京都大学と京都府立医大での役割分担は、現時点で何か行われているかということについて教えていただければと思います。

 以上でございます。

○京都府立医科大学附属病院 きょうだい支援に関しましては、病棟にお母さんがつきっきりになっていることが多い、あるいは家族が面会に来たときに、親が病棟に入っている間に一緒に来たきょうだいが手持ちぶさたであるということで、そういう時間をボランティアの方が保育といいますか、遊んでもらうといったことを既に始めておりまして、それを拡充していきたいと考えております。

 また、ボランティアを受けたきょうだいたちが、今度は新しい家族のきょうだいを支援していくというか、受けるだけではなくて、受けた側がまた支援をしていくというような循環をさせていきたいと考えております。

 あとは、京都大学との役割分担ですが、京都府には2つ御指定をいただきましたので、どちらかに集約しろということではないと思いますので、それぞれの特徴を、私どもであれば小児外科を育成する教室がございますし、また、京都大学では成人も含めた移植医療が頻繁に行われていると聞いていますので、そういったところで情報共有をして、ただ、患者さんが行き来するということはそんなにしていないのですけれども、診療の仕方とかノウハウについてお互い情報交換して、自分たちの受け持ち患者に最善・最良の治療ができるような連携をしているということになると思います。

○垣添座長 患者さんが実際に動かないというのは、どういうわけですか。

○京都府立医科大学附属病院 簡単に言えば、動く必要がないからということだと思います。

○垣添座長 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 公的高等教育、これは高校生の教育ですね。例えば、公的であるがゆえにかえって難しくなるということはないですか。例えば、私立高校の子どもが公的な高等学校の教育を受けることが可能なのか、その辺現実的なことはわからないので教えてください。

○京都府立医科大学附属病院 大阪府では既にそれが始まっておりまして、大阪府から入院されている方に関しては、大阪の公立高校の先生に来ていただいて、それが始まっているのですけれども、そういった仕組みを京都でもあるいは患者さんがよく来られる滋賀県でも広げていきたいということです。

○水谷構成員 そうすると、公立学校に通っている子だけが受けられる支援であるということになりますか。

○京都府立医科大学附属病院 私立のほうが簡単ですかね。公的制度として確立したいと思っています。

○水谷構成員 転校とかそういうことではなくてという意味ですか。

○京都府立医科大学附属病院 院内学級のような形で、退院したときに留年することなく本来校に戻れるようにという支援を小学校・中学校ではやっているわけですけれども、それを高校にも広げていけないかということです。

○水谷構成員 それは転校という手続はとらないでできるシステムですか。

○京都府立医科大学附属病院 追加いたしますと、インターネットなどの講義をされているところもございますので、そういったことが可能かどうかは京都府内に京都大学さんと一緒にいわゆる協議会を設けましたので、そちらが京都府と三者で京都府の教育委員会に働きかけていきたいなということを今検討しているところで、公立高校の子はどうするのかとか、私立高校の子はどうするということが今具体的に決まっている状況ではございません。

○垣添座長 最後に1つだけ。キャンサーボードルームをつくるのに、どれくらいお金がかかりましたか。

○京都府立医科大学附属病院 ここに書いておりますように、810万円です。

○京都府立医科大学附属病院 実際にモニターで例えば、小児がんの手術を行っているものを一緒にキャンサーの治療にかかわっている人たちが見られるような術場と直結したシステムなどをつくったり、それとキャンサーボードの中に非常にハイビジョンのモニターをつけて、そこで画像をみんなでディスカッションしたり、そういうもの。それから、部屋の中でのコンピューターにしても直接そちらで診療端末をモニターにつなげて提示させて、そこで本当に診療に直結したことができるようなシステムをつくらせていただくのに、それぐらいかかりました。

○垣添座長 キャンサーボードがそれ以前と後で全面的に変わったということですか。

○京都府立医科大学附属病院 やはり若い研修医や、小児科・小児外科医以外の先生方にも参加していただくことが多くなりまして、逆にまた手狭になってきているという状況になっております。

○京都府立医科大学附属病院 全学メールで広報いたしまして、院内ではオープンにしておりますので、興味のある方研修医やあるいは他診療科の先生も参加されることがふえてきておりますので、小児がんへの他診療科の理解が深まるのにも役立っていると思っております。

○垣添座長 ありがとうございました。

 では、時間です。

(京都府立医科大学附属病院 退席)

(京都大学医学部附属病院 着席)

○垣添座長 次は、京都大学医学部附属病院、お願いいたします。

○京都大学医学部附属病院 京都大学小児科学教授の科長をいたしております平家でございます。本日は、小児血液悪性腫瘍部門の責任者であります足立教授と、中村医務課長と3人で参りました。

 本施設におきましては、小児がん拠点病院の指定に当たり、非常に低い評価しかいただけなかった項目がございます。小児緩和医療、小児がん相談、情報提供でございます。この間、私どもは小児緩和医療ワーキンググループ、小児がん相談情報提供ワーキンググループを含む9つのワーキンググループを設定し、小児がん拠点病院の内容の充実を包括的に進めるために、全病院的に取り組んでまいりました。

 その詳細について、足立のほうから御説明させていただきたいと思います。

○京都大学医学部附属病院 それでは、資料に従って御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1ですけれども、小児がん入院患者数、疾患、診療実績、地域連携、緩和ケア、相談支援センター等ですけれども、後で申し上げますが、相談支援センターの相談件数が激増したということで、そのほかの患者数等につきましては、一部でこぼこはあるのですけれども、そう大きな変化はないと御理解いただければと思います。

 続きまして資料2、進捗があった点ですが、小児がん医療従事者研修事業に関しましては、特に先ほど平家教授からも御相談があったように、研修体制の充実化ということで、これは緩和医療ですけれども、院外よりも非常勤講師を招いて小児の緩和ケアカンファレンスを行っております。それから、小児緩和ケア勉強会を開催しておりまして、これは医師だけではなく看護師も含めて小児緩和ケア勉強会を開催しておりまして、うちの人間健康の看護の教授に淀川キリスト教病院の緩和病棟を立ち上げられた田村先生を教授としてお迎えいたしまして、その緩和医療の勉強会に看護師の指導も含めて参加いただいているという状況です。

 それから、この資料策定後でございますけれども、身体医療の緩和医療に関しても恒藤教授を京大病院の特任教授としてお迎えいたしまして、京大病院挙げて緩和医療に力を入れているところです。

 2番目ですけれども、ウェブ会議システムの導入ということでございまして、連携病院との情報共有の利便性のため、ウェブ会議システムを導入いたしまして、これはソフトを購入して、現在関連病院のドクターとともに頻回に情報共有の会議を行っているところです。

 それから、院内がん登録の促進事業ですけれども、データ登録補助職員計3名、これを雇用継続いたしまして、データ入力、これはJPLSEも含めた臨床がん研究の登録も含めてですけれども、データ入力連絡業務の確実・迅速化を行っております。

 もう一点の非常に低い評価をいただいていたがん相談支援事業ですが、これは小児がん専任のがん相談員1名を新たに雇用いたしまして、成人のがん相談員とともに共同した相談体制、特に小児科病棟及び小児血液がん外来、これは私の外来や、もう1人平松講師の外来とか長期フォローアップ外来に外来まで出張に来ていただいて、実際にそこで出張相談するということで、一番下に書いてありますように、相談件数が今まで5件でしたけれども、平成25年度は472件という相談件数、これはチャイルドピアによるピアサポート体制の確立もあわせて、相談体制の確立を行いました。

 続きまして、資料2の続きですけれども、プレイルームの運営事業ということで、環境整備を行いました。

 それから、入院患者の家族の支援事業ということで、入院環境整備ということで病棟あるいは病室あるいはパンフレットなど、これは先ほどの相談事業も含めてですけれども、その説明資料を拡充したということです。

 進捗がなかった点に関しては、チャイルド・ライフ・スペシャリストを現実には雇用できていないとかそういうことはありますけれども、人間健康の卒業生で今現在留学中で、いずれこちらでチャイルド・ライフ・スペシャリストとして帰ってきたいという人を、例えば静岡県立こども病院に研修に出すといったことは継続的に行っておりますので、各分野においてそれぞれ地道な進捗はできているものと考えております。

 それから、資料3ですけれども、事業実績報告ですが、平成25年度の強化事業費として1,330万円を使わせていただきまして、その内訳に関しましては、小児がん医療の従事者研修事業等、がん相談支援事業、入院患者支援事業等で合計1,330万円を支出いたしました。

 続きまして、資料4をごらんください。現在実施中で本年度さらに推し進めるものとして、小児がん医療従事者研修事業、それぞれ小児がんユニットカンファレンス、病理カンファレンス、それから、各種研究会、これは成人の血液内科とか放射線治療、脳外科のドクターとあわせて以前よりカンファレンスを行っておりますが、引き続き継続する。

 それから、地域連携に関しましては、近畿ブロック、京都府立医大との連携のことで、これは大阪母子あるいは府立医大の先生からプレゼンがあったと思いますので、省略させていただきます。

 それから、集学的治療及び標準的治療の提供ということで、小児がんユニットを成人の各科と連携して行っておりますが、それぞれ合同カンファレンスを含めて、特に成人の症例も含めて我々のほうに相談を受けておりまして、整形外科や血液内科のほうから相談を受けた形で診療を行っております。

 それから、緩和ケアに関しましては、小児緩和ケアチームの拡充ということで、先ほど申し上げましたように、成人の緩和ケアチームと連携した包括的な緩和ケアの実施体制を推進していきたいと思っております。

 それから、がん相談支援事業ですけれども、人間健康のほうでチャイルドピアの活動、それから、ピアサポート研修というものを最近全国のスタッフ育成ということで研究会を開催させていただいたところです。

 それから、AYA世代ですけれども、この資料作成後、実は高校生に対する教育ということで、院内学級の先生から特に今、急性リンパ性白血病で高校生の患者さんが入院しているのですけれども、実際に病棟に授業をボランティアという形でやっていただけるというシステムがつい最近確立いたしました。

 それから、プレイルーム等の運営事業ですが、保育士、ボランティア、にこにこトマトいうのが我々のところには以前からあるのですけれども、そういったものに関しては遊びの提供及び病棟保育は引き続きやってまいりたいと思います。

 それから、計画中であり、さらに本年度中に着手を目指すものとしましては、現在病棟保育士が2名いますけれども、新たにもう1名の保育士の増員を計画中であって、特に今も移植後の小学生の患者さん、乳児の患者さん等を含めて、無菌室の状態から部屋に十分手洗いの教育もして、病棟の保育士が入って一緒に遊びをやってもらっているという体制を確立いたしました。

 それから、患者支援事業としましては、宿泊施設として、これは今も計画進行中ですけれども、マクドナルドハウス等の建設計画の検討を開始いたしております。

 以上ですけれども、我々、京都大学医学部附属病院では、特に評価の低かった緩和と相談支援事業について非常に真摯に取り組みまして、スタッフの充実等も含めて行ったことを御報告させていただきたいと思います。

 以上です。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 いかがでしょうか。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。不勉強で、チャイルドピアという言葉をもしよろしければ御説明いただければと思います。

○京都大学医学部附属病院 以前からうちは成人のいわゆる患者会というか、がん相談員も含めていろいろな勉強会とか茶話会みたいなものをやっておりまして、その子ども版という形で、子どもですので当然患者さんが来られるということよりも、むしろ入院が長くなりますので、お母さん等が例えば栄養士さんやがん相談員あるいは保険の説明とか、会によってそれぞれ勉強会のテーマを決めまして、午後の比較的お母さんの手の空いた時間でちょっとコーヒーやお茶、お菓子などを食べながら、少し懇談していただく。本当に構えた形ではなくて、そういったところだとがん相談員への相談もできますので、そういう病棟から近い部屋で開催している。以前、大人のほうはあったのですけれども、子どものほうがなかったので、そういうことをさせていただいているということです。

○小俣構成員 主に親御さんがということですか。

○京都大学医学部附属病院 そうですね、親御さんとか、それから、うちの人間健康の作業療法士で頭蓋咽頭腫とかそういったものの治癒した患者さんが実際にいますので、そういった学生も含めて参加してやっております。

○小俣構成員 ありがとうございます。

○垣添座長 ほかにございますか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございました。ウェブ会議システムなのですけれども、こちらはどちらとウェブ会議をされているのですか。

○京都大学医学部附属病院 今のところは主にうちの関連病院が結構遠方にありますので、例えば、静岡とか大阪日赤とか塚口とかありますので、そういったところから患者さんが発生しますと、例えば、画像とかを実際にEメール添付しても開くと結構画像量が多かったりするので、そういうものに招待しますと、いろいろな先生がスカイプのウェブ版みたいな形で、実際に画像やデータを共有しながらやれるということなので、現時点ではうちの関連病院の遠方のところという形になっております。

○京都大学医学部附属病院 現在、関係病院で動いているのですけれども、このシステムは開かれたシステムですので、いろいろな病院、例えば、北海道の病院であるとか沖縄の病院であるとか、海外であっても招待すれば一緒に参加することができるという形で、限定したものではなくて、非常にオープンな形でのウェブ会議システムを運営しているということでございます

○馬上構成員 ありがとうございます。ちょっと私は不勉強で、先ほど1,400万円かかるというお話があったので、こちらはちょっとお安い感じのシステムですけれども。

○京都大学医学部附属病院 これはソフトを購入してダウンロードすれば、インバイトすればだれでもウェルカムという形なので、テレビ会議を購入するとすごく高いと思いますけれども、自分のPCのコンピューター上でできるという形です。

○馬上構成員 あと、もう一点だけ。広報活動用のパンフレットを作成されて、この内容と、どちらに配付されたのか。

○京都大学医学部附属病院 近畿一円の関係の先生方、病院であるとか、主ないわゆる小児がん拠点病院であるとか、全国の主なところに自分のほうから発送いたしました。

○馬上構成員 内容はどのようなものですか。

○京都大学医学部附属病院 ページ数で30ページほど、いろいろな診療科、病院治療も含めていろいろな緩和とかそういったところも含めて、現在こういう形で行っているとか、今後どういう取り組みがあるかというのを、そのときの京大病院のほうに電通から来られた方がおられまして、その方に資料をつくっていただきまして、皆さんにわかりやすい形で患者さんも含めて配付いたしましたし、京大病院の玄関のところにもどなたでもとっていただけるような感じで資料も置いておりました。

○垣添座長 では、水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 マクドナルドハウスの建設計画というのは、まだ将来の話だと思うのですけれども、例えばこういったものは、京都府立医大と共同利用ができるような仕組みというのはお考えなのでしょうか。

○京都大学医学部附属病院 まだ具体的にそこまで詰めていませんが、京都の事情として非常に建物制限がありまして、なかなか建てづらいというのがあります。ただ、京大病院で、道路を挟んだところで敷地をどうするかという形で今、議論が進んでいます。その中で、先日の京都大学医学部の事務部長と経理課長と私とでマクドナルドハウスのいろいろなところの見学に参りましたし、責任者の方々ともお話をして、どういう形で進めていくのかということを進めています。ただ、どうしても京都大学の中での施設のつくり方の制限もございますので、そういうことも踏まえながら、府立医科大学さんともそういったところはもちろん御利用いただける形は意図しておりますし、着実には進んでいますが、そういったところでこれからもう少し努力していきたいと思っています。

○垣添座長 時間になりました。ありがとうございました。

(京都大学医学部附属病院 退席)

(大阪市立総合医療センター 着席)

○垣添座長 では、続きまして、大阪市立総合医療センター、お願いいたします。

○大阪市立総合医療センター それでは、始めさせていただきます。私、小児血液腫瘍科部長の原と言います。こちらが副部長の藤崎、こちらが緩和ケア認定看護師の佐藤です。

 それでは、説明に入らせていただきます。

 まず、資料1ですけれども、新規診断の患者さんの数ですが、大体年間50名、少ない年で47名、多い年で64名、50名前後で推移しております。

 当院の特徴としまして、特に脳腫瘍が151720と多いという特徴があります。

 次、資料2に入らせていただきます。順番に説明させていただきますが、今回は変化したところのみ記載しております。

 まず、診療実績ですけれども、患者様は次第に増加しておりまして、今年度は1~6月まで新規で約40名診療しております。それから、大きな特徴はAYA世代がふえてきているということで、15歳から上は31歳、1人飛び離れて40歳という方も診療しております。平成25年は12名に増加しております。

 明確に変わったというのが、ほかの病院あるいは当院もそうなのですが、血液内科のほうから急性リンパ性白血病のAYA世代の患者さんが紹介されるようになったというのが目新しい点です。これらの患者さんに関しましては、成人病棟で対応しております。

 診療体制ですが、今年度からレジデントを1名増員しています。それから、1名レジデントを国立がんセンターに基礎研究のために派遣しています。

 それから、ここには記載していませんが、別枠で他院で小児がんの研修を行うための小児がん専修医を設けております。昨年度1名採用しまして、来年度も1名、1年間という短期です。

 医師主導治験ですが、現在2件、それから、さらにもう1件採択見込みがついておりますので、合計3件医師主導治験を実施することになります。

 長期フォローアップ外来ですが、これは従来行っていたのですが、今年度からコーディネートナースを配置します。コーディネートナースというのは、患者さんの全ての情報をあらかじめ聞きとって、それぞれに必要なトリアージを行う、心的ケアが必要であるとか、あるいは栄養サポートが必要であるということをコーディネートする職種です。

そのコーディネーター、それから、ここに書いてありますような各分野の専門職と一緒に事前・事後のカンファレンス、アセスメントを行って、よりきめ細かく長期フォローアップをやっていくことになっております。

 心理サポートですが、これまで成人の緩和ケアチームが対応していましたが、AYA世代に対しましては、やはり若干ニーズが異なるということで、今年度から小児の緩和ケアチーム、サポートチームが介入しています。

 それから、保育・教育ですが、教育に関しましては、ほぼ十分なことができていると思いますが、問題になっているのが乳幼児です。乳幼児が長期入院しますと、明らかに発達が遅れる。例えば、言葉が遅れる、歩くのが遅れるということがありますので、これを未然に防ぐために保育士を増員して、今年度から積極的なそういった意味での保育に取り組むようにしております。

 これと同時に、京大保育に関しましても、これまではボランティアが対応していたのが、直接当院の職員が対応するというふうに変更になっています。

 どうしても院内学級だけでは勉強が足りませんので、積極的に今、学習ボランティアを募集して、そういう人たちに放課後あるいは学校に行けないときの勉強のサポートをしていただく。

 それから、小児がん専従のソーシャルワーカーがいるのですが、療育相談室というのがありまして、そこと一緒に復学支援をしておりましたが、今年度からは新たに通院中にいじめだとかいろいろな問題が生じることがあります。こういった場合も学校側と連携して、カンファレンスを行うという形で強化をしています。

 それから、患者同士の語らいの場の提供ということですが、これは心理サポートでもあるわけですが、ピアサポートを醸成するという目的で、外来の通院患者さんの交流会を毎月実施しております。

 これは入院中はいいのですが、外来に行きますとどうしても孤独になってしまう、孤立しがちであるということで、これは患者さんの要望があって始めました。大体毎回20名くらいの方が参加されています。その中で次第にお互いにサポートする体制が自然発生的にできていくというのを期待しております。さらに、これに関しましては今年度中に、AYA世代の交流会も始める予定にしています。

 それから、他院多職種の研修ですが、昨年から小児緩和ケアカンファレンスと言いまして、チームで参加いただく、医師、看護師、ソーシャルワーカーという人たちが各病院からチームで参加していただいて、いろいろな交流と研修を行っています。

 それから、ここに書いておりませんが、HPSCLS、それから保育士、認定看護師、それぞれを対象とした勉強会を毎月開催しています。これは平日の夕方ということもありまして、近隣の病院が対象となっています。

 それから、指定前後の変化ということですが、計画に書いたものでまだ実施できていないというところが地域連携ということですが、大阪府内というのは非常に狭いですので、なかなか逆紹介のニーズが出てこないので、余りほかのがん診療病院への逆紹介というのはできていません。

 遠隔地からの患者さんに関しましては、診療可能と判断しましたら、UターンあるいはJターンの紹介をしております。

 それから、病床の増床なのですが、病床のやりくりをすることによって、新たに病床をふやすことなく対応できていますので、増床は行っておりません。

 それから、AYA世代病床なのですが、現在のところ成人の病棟の中で分散した格好になっています。これに関しましては、今年度後半あるいは来年度に化学療法専用病棟をもう1病棟開設しまして、その中でAYA世代専用の区画を確保するという予定にしております。

 それから、事業実績報告ですが、がん相談、プレイルームに関しましては、ほぼ人件費ということになります。相談員、CLS、保育士の人件費。

 それから、入院患者支援事業は宿泊施設の布団代だとか掃除等の主に委託の経費となっています。

 それから、今後の整備スケジュールですが、施設間の連携に関しては近畿ブロックの計画に沿って進めます。

 診療機能は今申し上げましたAYA世代病床、それから、トモセラピーが来年度から稼働いたします。これは小児でトモセラピー、それから、ガンマナイフは従来から実施しておりますが、小児で実施できる施設は少ないものと思います。

 長期フォローアップの充実、スタッフの増員、先ほど皆御説明したとおりです。

 平成27年度の需要動向を見まして、宿泊施設の増室を検討しております。

 以上です。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 御質問・御発言をお願いいたします。天野構成員どうぞ。

○天野構成員 2点ございまして、まず1点目が、同じ大阪府内で大阪府立母子保健総合医療センターと指定が2つあると思いますけれども、その連携というか役割分担みたいなものの話し合いは現状どのようなものがあるか、もし、わかれれば教えていただければと思います。

○大阪市立総合医療センター 正直申し上げまして、母子センターと我々の施設で機能面で大きな違いがあるわけではなくて、余り補完し合える部分というのはそんなに多くはないです。唯一脳腫瘍に関しては母子センターよりも当院のほうが実績・経験等が多いですので、これに関しましては、研修という形での派遣計画について少し話をしております。

○天野構成員 ありがとうございます。

 2点目は、先ほどの御説明の中で、大阪府内は非常に限られた医療圏ということで御説明があったかと思いますけれども、小児の拠点病院全ての施設がそうだと思いますけれども、ブロック内での指定ということで、大阪府以外からの連携も今後ぜひふえていただければと願っているのですけれども、そういったことについて何か取り組みというか予定があるかどうか教えていただければと思います。

○大阪市立総合医療センター これは当院単独という話ではなくて、近畿ブロック内での課題になっていくと思うのですが、私個人としては、5病院あるわけですが、5病院が全て1つの病院のような感覚で、全体で例えば症例の検討を行ったり、あるいはどこでこの患者さんは診療するのがいいかということが話し合えるような、そういう形になっていくのが理想的ではないかと思っております。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。

 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございました。今のことと関連するのですけれども、役割分担のお話ということになると思うのですけれども、今後、臨床試験などについてもそういった役割分担をしていくような話し合いというのは今されているのでしょうか。

○大阪市立総合医療センター 臨床試験といいますか、恐らく5病院ともが同じような試験に参加していますので、余り役割分担という形はないのですが、ただ、治験などに関しては、実際行っています治験に関しても、近畿ブロック内のほかのがん拠点病院のほうから御紹介いただくということは自然となっています。

 それから、拠点病院間でどこでどういう治験をしているという情報共有は行うようにしています。

○垣添座長 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 脳腫瘍の患者さんが多いという特徴があるというお話だったのですけれども、実際にはこういう患者さんは脳外科のほうで治療を受けられるのでしょうか。それとも先生たちの内科的な体制の中で外科的治療を受けられるのでしょうか。

○大阪市立総合医療センター これは、脳外科医がすべきことは脳外科医がやり、小児科医、小児血液腫瘍医がやるべきことはやるという形の役割分担ですので、基本的には外科医は手術や緊急対応、これも手術ですが、水頭症の管理だとか。それ以は全部我々のほうでやっているということです。

○垣添座長 その辺の連携体制というのはうまくいっているのですか。

○大阪市立総合医療センター 全く問題はないです。常に同じ診療科のような感覚で動いています。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、そろそろ時間です。ありがとうございました。

(大阪市立総合医療センター 退席)

(東京都立小児医療総合センター 着席)

○垣添座長 それでは最後に、東京都立小児総合医療センター、お願いいたします。

○東京都立小児総合医療センター 東京都立小児総合医療センターの院長の本田でございます。あと血液腫瘍科の湯坐と、子ども・家族支援部門の精神科医師の菊池と3人でさせていただきます。

 私のほうで説明させていただきます。まず、資料1ですけれども、診療実績ですが、入院患者数はこの3年間で大きな変化はありませんが、重症例、難治例あるいは再発例は増加しています。

 ここで説明しますと、神経芽細胞腫、それから脳腫瘍は明らかに増加してきています。

 それから、他院からの紹介された小児がん患者数、小児がん患者の紹介を受けた医療機関数、他施設への紹介患者ともに増加しております。

 緩和ケアチームが新規で診療実施した小児がん患者数も増加しておりますし、相談支援件数は2カ月のデータですけれども、111件という形でございます。

 資料2に移ります。患者数ですが、平成2451人から、平成2549人が新規の患者数ですが、先ほどお話ししましたように、神経芽腫、脳腫瘍などの集学的治療を要する固形腫瘍は増加しております。

 なおかつ、重症患者さんが増加していまして、PICUの入室数は延べですけれども、45人というのが昨年のデータです。

 血液腫瘍科のベッド稼働数が、平成24年が28.5人だったのが、平成25年が平均で33.3人という形に難治例がふえたために増加しております。

 あと、骨髄移植ですが、自家造血細胞移植が増加してきております。

 手術成績ですが、脳腫瘍は先ほどお話ししましたように、平成24年の5件から平成25年の15件と増加しています。

 臨床試験の参加数は平成2419件から、平成25年の21件ですが、ほぼ全例の臨床試験に患者登録を行っております。

 人材育成としては、がん治療認定機構のがん治療認定を1名とりまして、造血細胞移植学会の移植認定医を1名取得しております。

 あと、ここには書いていないですけれども、この6月に緩和ケア専門の認定看護師が1人増加しております。

 長期フォローアップの取り組みとしては、昨年6月から成人医療への移行期支援看護外来を開設いたしまして、今、活動中でございます。

 東京都の小児がん診療連携協議会を昨年から作成しまして、当院が事務局になっています。都内の拠点病院及び12診療病院の詳細な診療情報は、ことし3月にホームページで掲載して公開いたしました。

 東京都小児がん診療連携の一環として、市民公開講座「子どものがんを考える」という形で、特に長期フォローアップのガイドラインについて、日本医科大学の前田先生に説明していただきました。

 進歩がなかった点ですけれども、ことし考えているの1つは長期フォローアップ外来を開設いたす予定です。このために今、準備をしております。とりあえず脳腫瘍の患者さんをモデルとしてつくる予定ですけれども、対象患者さんは大体半年から1年置きのフォローアップとなってきた患者さんで、事前に他科多職種で患者のフォローアップの予定を作成して、一日で全ての科あるいは部門を回れるようなコーディネーターを育成したいと考えております。形としては長期フォローアップ委員会によるガイドラインに基づいて実施しようと思っております。

 小児がん診療の十分な実績を持つ他の医療機関間でのウェブを用いたカンファレンスによる症例共有をことし中に、東京都の小児がん診療連携協議会の治療連携ネットワークの中で、症例検討会などで導入する検討をしています。既に、都立病院を中心としてウェブによるオンラインカンファレンスのインフラは整備できていますけれども、これをできれば全体的に広げていくという形を考えております。

 それから、AYA世代の対応の強化としましては、AYA世代の患者さんの意見を伺って、それを尊重した物品を選定・購入して、プレイルームの整備を行う予定でいます。

 人員体制としましては、今後、病床数が増床していくと思いますが、今のところスタッフはそれなりに足りていますけれども、今後それに対応できるような形を考えていきたいと思っています。

 また、長期フォローアップあるいは移行を専門にできるような看護師あるいは造血幹細胞移植のコーディネーターを確保することを今課題として考えております。

 資料3に移ります。事業実績報告ですけれども、院内がん登録の方と、がん相談支援の方と、プレイルームの運営という形で、それぞれ人件費に充てさせていただきました。

 それから、今後のスケジュールですが、まず、2番目から。ことしは小児血液・がん学会の認定外科医を配置する予定でございます。

 それから、再発がん及び難治がんへの対応としましては、さまざまな難治がんの臨床試験に参加する予定ですが、ことしはICHGCP準拠の国際共同研究「IntReALLSR 2010」に参加いたします。

 あと、患者さんが今後ふえた場合の増床として、一応段階的な拡大として50床程度の拡大を予定しております。

 緩和ケアサポートチームによる緩和ケアの実施体制ですけれども、当院は緩和ケアサポートチームはもともと多職種で、子ども家族支援部門というものがありますので、その中でリエゾンを行う精神科医や心理士も入っていますけれども、これらをより拡大していくという形で、ことしは緩和ケア加算の取得と、研修の受け入れを考えていきたいと思っています。

 外来化学療法ですけれども、これも体制充実のためにがん化学療法看護認定看護師の取得を目指す予定です。

 続きまして、資料4の2ページ目になりますけれども、東京都における小児がんの診療連携ネットワークですが、その中でことしは医師向けの早期診断のハンドブックを作成して、これを各診療連携病院が医師会を介して、あるいは地域の小児科医に対して説明するという形をつくろうと思っております。

 また、相談支援のいろいろな小児独特の問題とは何かを各ワーカー等の方に集まっていただきまして、相談支援の部会を検討するような形を考えております。

 それから、今後、心療ネットワークの中で心療連携を推進していくという形をどうするかということを考えていきたいと思います。

 自施設では十分に対応できない、これは陽子線、重粒子線、MIBG治療などについては関係施設と連携しているわけですけれども、今後も強化していきたいと考えております。

 その他ですけれども、相談支援及び患者団体との連携としましては、ことしも続けて市民公開講座をきちんとやっていきたいと思っております。

 それから、臨床研究及びトランスレーショナルリサーチですが、当院は臨床研究支援センターに生物統計化やデータマネジャーがおりますので、そういう形で実際に支援していくという形で、今後もさらに支援していくことを考えています。

 家族などが利用しやすい長期滞在施設の整備ですけれども、リフレッシュルームは御家族がシャワーとかを浴びられる施設なのですけれども、それを拡大していくのと、キッズルーム、御家族のきょうだいの方がいれられるところも拡大しておりますし、ことしはマクドナルドハウスの連携をより強化していきたいと思っています。

 以上です。

○垣添座長 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございました。先ほども別の機関に質問したのですけれども、こちらもホットラインを開設しということなのですが、こちらはどなたを対象にするのでしょうか。

○東京都立小児総合医療センター それでは、私のほうから説明申し上げます。

 がん相談ホットラインに関しましては、ホームページに掲載いたしまして、一般のがん患者さんからの相談に対応しております。現在のところ10月に開設してから一応7件ほど御相談をいただいているのですが、そのほかに直接うちのソーシャルワーカーにほかの病院のソーシャルワーカーの方から御相談をいただいたり、患者さん直接ではなく、病院の連携ということも果たしているような状況でございます。

○垣添座長 ほかにございますか。馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 御説明ありがとうございます。長期フォローアップの取り組みとして、移行外来を開設されたということなのですけれども、具体的にどのような内容なのかをお伺いしたいです。

○東京都立小児総合医療センター 別に血液腫瘍だけに限ってやっているわけではないのですけれども、今約20人の患者さんが実際に大人の病院に将来に行くに当たって一番重要な点として自立支援をしております。自立支援というのは、自分で自分の病気のことがよくわかる、自分1人で全て受け答えができるとか、就職あるいは教育に対しての支援をどういうところがどう問題かを調べて、それを支援した上でなければ大人の病院に移さないというのを前提に、まず小児のところできちんとそれをするという形でやっております。

○馬上構成員 健康管理も含めた自立ということですね。わかりました。ありがとうございます。

○垣添座長 韮澤構成員どうぞ。

○韮澤構成員 全く同じ質問だったのですけれども、隣にある都立府中とのタイアップを前提にした移行外来と考えてよろしいのですか。

○東京都立小児総合医療センター 今、多摩総合病院の方と来月話し合う予定です。ただ、当院での自立が一番と思っていまして、今までは多摩総合の先生と直接いろいろな細かいことは話していたのですけれども、既に両方を行き来している患者さんはおります。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 今の2つの質問に関連してなのですけれども、自立支援というのはすごく大変ではないかと思っておりまして、どういう職種の方々がかかわって進めていらっしゃるのか、ぜひ教えてください。

○東京都立小児総合医療センター 血液腫瘍に限って言えば、多分、隣の菊池先生のほうが答えられると思うのですけれども、これは最初からきちんとかかわるということが重要になりますので。

○東京都立小児総合医療センター まず、入院しますと、そこの病棟づきの心理士及びソーシャルワーカーがおります。それから、分教室の先生ですとか栄養士さん、リハビリ科医、いろいろな人がいるのですけれども、その人たちとも必ず情報を共有して、その子が自分で病気に立ち向かえるにはどうしたらいいかということを、きちんと主科の先生方と話し合うという体制は、開設当時よりもともとございます。

 外来に移りましたら、なかなか全部の職種がかかわることは難しゅうございますので、今は積極的に心理士のほうが主科の先生から御依頼をいただきまして、心理のほうの面接を継続で行うような体制をとっております。

○垣添座長 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 あと1つだけ。人員体制で、やはりスタッフの不足が問題になってくる可能性があるということで、ふやすためには対策が必要ということなのですけれども、ほかの施設の方も人材不足だとおっしゃっているのですが、どのような対策をお考えなのでしょうか。

○東京都立小児総合医療センター 一番大切なのは医師の常勤・非常勤も含めた数をふやさないと、とても今の状況では診切れないだろうと。今の状況でやっとだと思っていますので、ということになると、人員要求をそちらにしていくということを考えていまして、もちろん人員の要求はしております。ただ、私は院長ですけれども自分で人員をふやせないので、東京都に要求していくという形をとっております。さまざまな職種も、がんにかかわる部分の要求は出しております。

○垣添座長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

(東京都立小児総合医療センター 退席)

○垣添座長 これで一応、全ての医療機関とブロックのヒアリングを終わらせていただきます。

 これまでいただいた御意見を事務局で整理していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、ここで遅れてお出でになりましたが、木下補佐がお出でになりましたので、資料3「小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業等について」の御説明をお願いいたします。

○木下雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 雇用均等・児童家庭局母子保健課の課長補佐をしております木下でございます。資料3に沿いまして、「小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業等について」御説明させていただければと思います。

 まず、小児慢性特定疾病治療研究事業につきましては、御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、7~8ページに概要をつけております。まず、こちらにつきましては、大きく11の疾患群、514の疾患を対象といたしまして、平成24年度の実績で約11万人の方を対象に254億円の事業費で対象の方に対して行っているところでございます。

 8ページにございますように、こちらの事業の中で大きな柱が3つございます。まず、医療費の助成制度を行っております。実施主体としましては都道府県、市町村になっていますが、それぞれ一定の自己負担額を超えた額につきまして、各それぞれ2分の1の医療費助成を行っております。

 また、()にありますように、こちらの小児慢性特定疾病に係る治療研究の推進も大きな柱となっております。

 本日は、()にあります小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援事業について御説明したいと思っております。こちらにつきましては、いずれに関しましても、通常国会で児童福祉法の見直しが行われ、来年1月から新たな制度で行う予定となっております。

 それでは、資料の1ページ目にお戻りください。小児慢性特定疾病児童に対する自立支援を今回、法改正の中で法定の事業と位置づけまして、各都道府県、指定都市、中核市で取り組んでいただきたいと考えております。

 取り組むに当たりましては、各自治体に慢性特定疾病児童地域支援協議会を設けていただきまして、自治体はもとより保健所、医療機関、教育機関、またNPO、ボランティア、患者会、家族会といった方々を構成員としまして、各地域におけます現状の課題を把握していただくこと、また、活用できそうな地域資源の把握、それらを踏まえまして課題を明確化させるとともに、どういった支援が必要かということをこの協議会の中で話し合っていただきまして、具体的な事業化を図っていただきたいと考えております。

 この自立支援事業の中でメニューとしてこちらで考えておりますのが、必須事業としまして相談支援、また任意事業としまして、そちらに列挙してありますような事業を取り組んでいただければと考えております。

 続きまして、2ページを見ていただきますと、今申しました内容を書き下しておりますが、事業の目的としましては児童福祉法に基づいてやっていただくこと。また、事業の実施主体としましては都道府県、指定都市、中核市ということになっておりまして、事業内容は今申しました必須事業としての相談支援事業、それ以外に任意事業としましては、そちらに列挙しているものになります。

 具体的に中身を御説明しますと、3ページをお開きください。必須事業として位置づけております相談支援のメニューとしましては、以下のようなものが考えられると思っておりまして、大きく5つ掲げております。1つ目が療育相談、2つ目が巡回相談、3つ目がピアカウンセリング、4つ目、自立に向けた育成相談、5つ目としまして、学校・企業等の地域関係者からの相談への対応、もしくは情報提供といったものを考えております。ただ、こちらに挙げておりますものは具体的なものとして掲げているところでございますが、各地域それぞれにおいて活用できる資源に大きく差があると思っておりまして、どういったものが活用できるかは、今後まさに地域でそこにある資源を地域の方々と相談しながらどういう事業ができるかを今後考えていく必要があるだろうと考えております。

 それ以外の任意事業としましては、4ページにまいりますが、まず1つ、療養生活支援事業としましては、児童及びその家族が地域で安心して暮らすことができるよう、日中における場所を確保し、療養生活の改善を図ることを目的としまして、医療機関等によるレスパイト事業の実施でありますとか、総合交流支援事業としまして、相互に交流を図ってコミュニケーションの向上や自立を促進することを目的としまして、小慢の児童同士の交流、または小慢の児童と過去に罹患していた方、または、その家族との交流会といったものを開催いただければと考えております。

 最後5ページになりますが、それ以外の事業としまして残り3つほど例示を挙げさせていただいております。1つ目が、就職支援事業、その中には職場体験でありますとか、職場の見学、修了に向けて必要なスキルの習得支援。2つ目としましては、介護の支援事業としまして、小慢の児童等の通院等のつき添い、家族のつき添い、宿泊支援といったものを活用いただければと考えております。

 それ以外にもその他の自立支援事業としまして、そこに掲げてあるようなものも地域のそれぞれの有効な資源を活用いただければと考えておりまして、こういったものを地域協議会の中で御相談いただきながら、今後活用いただければと思っておりますし、また、実際に地域でこういったものが十分利用できていない、もしくは今後こういったものを進めるに当たってどうしたらいいかということにつきましても、私どもも情報収集を行いながら、各自治体と情報提供を行っていって、こういった事業が普及するように努めてまいりたいと考えております。

 簡単ではございますが、以上でございます。

○垣添座長 ありがとうございました。

 「小慢」という言い方は初めて聞きました。その自立支援事業について説明いただきました。何か御質問ありますか。小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 御説明ありがとうございます。この事業を行う方ということで3ページに自立支援員という職種が明記されているのですが、相談支援のメニューを見ますと、相当専門的な知識や技術・技能が必要になるような内容かと考えられるのですけれども、どういう方を想定されておられるのか教えてください。

○木下雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 自立支援員という方がキーパーソンになるであろうと考えているところで、なかなか今の段階でこういう職種の方というものが具体的に想定できることはないのですけれども、今、実際にある患者会の中でこういう役割を担っている方ですとか、地域保健所の保健師さんですとか、各拠点病院の中で支援をやっていただいている方とか、そういう方々を想定しながらこういう役割を担っていただければと考えているところでございます。

○小俣構成員 これに関しては、質の担保というか研修とかそういうこともあるのでしょうか。

○木下雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 現在のところ、具体的な研修等までは予定していません。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。柳澤構成員どうぞ。

○柳澤構成員 ちょっと伺いますが、この事業が今度このような形で始まるということに対して非常に高く評価しておりますけれども、もう既に何年か前から幾つかの病院、モデル的にという位置づけかどうかわかりませんが、ピアカウンセリングが行われてきたと思うのですが、それについてどのように厚労省の担当課としては評価をまとめておられるかわかりますか。例えば、成育医療センターとか神奈川とか、幾つかの病院でボランティアがピアカウンセリングをやっている、そういうコーナーがあったと思うのですが。

○木下雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 小児の難病の方のピアカウンセリングということでよろしいですか。私どもは自治体のほうで取り組んでいただくものを想定しているところで、まだ私のほうが不勉強で、病院の中でそういった取り組みがあったことを詳細に把握していないので、今お答えできるところがございません。申しわけございません。

○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、これでヒアリングは全部終わりました。あとは検討会だけで小児がん拠点病院に関する検討すべき課題について御議論いただきたいと思いますので、各拠点病院の皆さんには大変長時間御参照いただきまして、本当にありがとうございました。

 ここで一旦、会を閉じさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

(各拠点病院、傍聴者 退室)

○垣添座長 先ほど資料3に沿って、木下補佐から小慢の自立支援事業等について御説明いただきました。

 もう一つ、今後検討する課題として、資料4に沿って小児がん拠点病院に関する検討すべき論点の説明、これは宮田さんからお願いいたします。

○事務局 長時間にわたりお疲れさまです。

 資料4をごらんください。こちらは小児がん拠点病院と小児がん治療機関が指定されて、今回検討会の中で進捗状況を検証するということで、長時間にわたりヒアリングを行いました。今後、さらなる小児がん医療提供体制の充実を図るために、例示としまして2点事務局で挙げさせていただきました。

 まず1点目が、地域連携のさらなる強化に向けた取り組みについて、どういったことが必要であるか。さらに、長期支援を含めた相談支援体制の強化として、どういったことが必要であるかということで、2点提示させていただきました。

 もちろん、きょうさまざまな各拠点病院から課題や達成できていないこと等々のヒアリングを行っておりますので、そういった観点を含めて御議論いただければと思っております。

 以上です。

○垣添座長 ありがとうございました。

 事務局としては、今後検討すべきこととして、地域連携のさらなる強化に向けた取り組みと、長期支援を含めた相談支援体制の強化の2点を挙げておられます。必ずしもこれにこだわらないで、かなり長時間ヒアリングをしていただきましたが、それに基づいて各委員からいろいろ御提案等をいただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

 天野構成員どうぞ。

○天野構成員 今、事務局から御提示いただいた論点についてでございますが、まず、1点目の地域連携について述べさせていただきますと、きょう各病院、各ブロックから御提出いただいた資料を拝見して、そこに掲載されている医療機関を連携病院と称しているところ、診療病院等もあるかと思いますが、すべて単純に足すと150前後に達していると。きょうお話を伺っていると、それ以外に各都道府県独自に連携されている施設があるということを勘案しますと、200を超えるのではないかと感じます。結局そもそもこの検討会が立ち上がった経緯をかんがみますと、もともと年間の小児がんの発症者数は2,0002,500人と少ない中で200施設程度で診療されていて、必ずしも適切な医療が受けられないことが懸念されているということが、そもそもこの検討会の立ち上がりの経緯であったと理解しているのですが、少なくとも現状把握できただけでもいいかもしれないのですが、200程度の施設で診られていて、しかも、その施設の質に関して、現状ですと一部のブロックでは、日本小児血液・がん学会研究施設等を考慮しているという発表もありましたが、現状ではそのまま網羅されているだけであると。もちろん地域によってアクセスを確保するということも重要なので、ただ減らすといった方向にはもちろんならないと思いますが、現状ではそもそもこの検討会の発足のときの問題意識であった、200程度の施設というのが余り改善が見られていないということがありますので、今後ブロックの中で連携病院を考えていただく際に一定程度、例えばですが、小児血液・がん学会の研修施設であるとか、そういった何らかの基準を設けないと、この現状が余り変わらないのではないかという感じを抱きました。

 2点目の相談支援体制の強化という部分についてでございますが、これも例えば、かなり積極的に予算を投じたり、人員を投じているということでしっかりやっておられるところと、なかなか予算や人員上の都合で十分できていないというところの差がかなり激しいと感じました。それぞれの小児がんの施設の中で、かなりギリギリの中で診療されていますし、相談支援というものにそもそも診療報酬等も含めてなかなかつきづらいということがあるので、急に拠点病院が指定されたから変わるというものではないと思いますが、ただ、少なくとも拠点病院ができた以上は、小児がんの患者さんや御家族の方が小児がんであると診断されたら、まず、どこにアクセスすれば適切な連携先に紹介されるのかをある程度明確にしなければいけないと。もし仮に、既存の成人のがん診療連携拠点病院のように、拠点病院であれば全て相談支援センターを設置し、一定程度以上の相談支援体制を整備するという方針にするのであれば、現状ではかなり差がある状況と言わざるを得ないと思いますし、それは難しいということであれば、1カ所、中央機関等でコールセンター等を設置して、ゲートキーパー的な役割を果たしていただかないと、現状ではしっかりやられている小児がんの相談体制にたどり着くのは難しいのではないかと感じた次第でございます。

 私からは以上でございます。

○垣添座長 どうもありがとうございました。

 これは、2つをバラバラに議論するのもなかなか非効率的だと思いますが、地域連携の更なる強化に向けた取り組みに関して、今、天野構成員から200施設というのは多過ぎるのではないかとか、必ずしもクオリティが担保されていない。それから、ブロック内での連携施設の指定に関して、何らかの基準を設けるべきではないかといった御意見をいただきましたが、この地域連携の更なる強化に向けた取り組みに関して、ほかの御意見をどうぞ。

 韮澤構成員からどうぞ。

○韮澤構成員 今回のプレゼンテーションでも、再発がんと進行がんについて焦点を当てて質問したつもりなのですけれども、今まさしくおっしゃっていただいたとおりで、余りにもばらけ過ぎているとは思うのですが、ただ、進行度の速い早期のがんですと、いわゆる拠点病院的な集約された施設ではなくても、十分な治療を行えるレベルに日本の小児医療はあると思います。進行したがん、再発がんのいわゆる非常に治療の難しいがんの各拠点施設における内訳をもう少し詳しく述べていただく、ざっくりとふえていないとか、ふえているという説明しかいただけなかったので、もう少しその辺を進行がん、再発がんに特化して御報告を受けたほうが、拠点病院化に対するもう一つの指標になるのではないか科という印象をきょうは持ちました。

 あとは、長期フォローというのは今学会としても非常に焦点を当てているところで、トランジションと言っているのですけれども、子どものころ治療・手術を受けた子どもたちが大きくなってきて、現病のほかにも成人特有な病気にいろいろなってくる。ただし、小児がんをやっていると、成人の先生はまずそちらに行けよということで、なかなか診ていただけないという問題がありますので、最後に都立小児にちょっとお話しいただけましたけれども、そこももう少し拠点病院としてどのようなお考えをお持ちかをお話しいただけたら、さらに実りが多いものになるのではないかという印象を持ちました。

○垣添座長 再発・進行がんの内訳をもっと詳しく知りたいというポイントと、長期フォロー、トランジションのあり方をもっと知りたいという御指摘だと思います。

 田中構成員どうぞ。

○田中構成員 まず、全体を眺めて、いろいろな医療機関が小児がんの診療件数はそうふえていないのだけれども、難治性がんという言葉を使っている方と、進行がん、再発がんのような特殊な技能を必要とするがんがふえているというプレゼンテーションが多かったという印象を受けていて、一つそういう連携拠点病院をつくっている成果ではないかと。もう少しそういうものを見たいような印象を受けました。

 集約化に関しての議論の中で、やはり全国一律での議論というのは難しいのではないかと思っています。私は今、秋田県にいるのですけれども、特に小児がんなどは親御さんの関係であるとか、あるいはごきょうだいの関係であるとか、例えば秋田から東北大に診療に行くというのはなかなか難しい印象を受けております。

 一方で、関西のほうはアクセスが容易だという発言もいっぱいあったかと思うのですけれども、例えば、密集地帯である関東、関西、九州での議論は少し分けて、方向性としてもある程度患者のQOLというか、生活の質と治療の質はバーターというか、ある程度そこは目をつぶってもなるべく地元で診られる体制に関しても配慮が必要な地域があるのかなという印象を持っています。

○垣添座長 連携の内訳を全国一律でなくという御指摘だと思いますが。今、田中構成員は秋田で仕事をしておられて、秋田の患者さんが仙台に行くのはかなり大変なわけですか。

○田中構成員 新幹線だけでも2時間かかってしまいますので、恐らく入院・通いとなると多分非常に費用負担も大きくて、それよりは秋田で診られる部分はなるべく秋田で対応するということは、患者さんのニーズは高いのかなと思っています。

○垣添座長 それはそうでしょうけれどもね。

 堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 ヒアリングを聞いて、余り変わらないな、このままではだめだなという率直な感想は同じなのですが、やはり今言われたように、小児がんというくくりで、小児の特徴の部分は確かにひとくくりでいいかもしれないのですけれども、中身のがんは成人で言えば全部病気が違うわけですよね。例えば、今回は小児がんというテーマだったので小児外科腫瘍、それから、意外と脳腫瘍というのはフォーカスが当てられているなという感じはしたのですけれども、例えば、骨腫瘍などは全く抜けていますよね。ほとんどゼロのところも結構多いわけであって、それを扱っている診療科が異なるというところは非常に大きい問題であって、きちんと造血器腫瘍、小児外科腫瘍、脳腫瘍、大きく分ければ骨軟部腫瘍、それから、網膜芽腫というか目の腫瘍、それぞれ外科系の診療科が違うところは、診療体系として集約化の仕方も違ってしかりだと思うわけです。例えば、網膜芽細胞腫の全体の症例の半数以上は国立がんセンターに行くわけです。どんなに遠方からでも行きます。患者さんが望んで行かれるわけです。だから、それを地域で集める云々ということをしなくても、患者さんがそこしかできない医療があるからそこを求めていくわけですよね。そうすると、では、小児がん全体がそういう集約化で一律的に、例えば東北地区をとったにしても、仙台に全部全ての領域がそこに行くかといったら、そうではないわけですし、例えば、造血器腫瘍だとかなりグループスタディーが整っていて、結構地域のベースの診療が確立しているかなと思うので、JPLSGは今148施設ですけれども、そこはきちんと情報共有もできていて、148というベースで動ける状態になっている。恐らく小児外科腫瘍だと、小児外科の先生方がきちんと連携しているところであればできるだろうし、骨軟部腫瘍になるとまた全然話が変わって、脳腫瘍もそうですけれども、特に骨軟部は成人を診ている先生たちが一部小児を診る、そういう外科の専門領域なので、それを切り離すことはできないはずなんです。そうすると、やはり領域別できちんと集約化、日本の小児がんの医療体系をどうするかということを考えないといけないのと、そこを受ける患者さんが年齢層によってサポートする患者さん・家族支援の体制がどういうふうに提供できるか、そこを考えるのが拠点病院の役割だと私は思っているので、診療のきちんと拠点になるところと、患者さん・家族をきちんとサポートするようなスタッフ、そういうものは拠点病院で育てて、連携してやりましょうというディスカッションが、私は専門委員会のときに参加させていただいたのですけれども、そういう議論があったと思いますので、その辺今後の議論の進め方について、もう一度きちんと考える必要があるのではないかと。多分、拠点の指定の問題ということにも絡んでくるかなと感じていました。

○垣添座長 今の堀部構成員の御指摘は大変難しいところですが、本質を突いているでしょうね。

 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 患者家族としまして、今回こちらの検討会に出るに当たって、少し周りの患者会の方にヒアリングをしてみたのですけれども、小児がん拠点病院ができて変わったかと聞いたら、余り変わらないというか、そもそも小児がん拠点病院のことを知らない方が非常に多くて、今、小児がん情報センターで情報を出していただいているのですけれども、まだ全国津々浦々にまでこういった動きがあるということがわかっていない方が多くて、一応、地域の連携はブロックごとにいろいろ先生方が関連施設を会議されてつくっていらっしゃるのですけれども、患者のほうにまで伝わっていなくて、どこに行けばいいのかわからないと。せんだっても「おはよう日本」で、ちょっと前のお話ですけれども、やはり網膜芽細胞腫だった方が眼科に行って、眼科の先生が小児がんということが見抜けなかったということで、時間がたってから診断がついたのですけれども、やはり関連施設は結構大きな施設なのですが、一次医療圏の先生方にパンフレットとかそういうことでお知らせしていますという方もいらしたと思いますけれども、そういう希少疾患というのは患者も先生方もわかっていないところが多いので、そういった広報というのも同時に連携を固める上でやっていただかないといけないのかなというのは思っております。

 ホームページのことなのですけれども、さっきもがん対策情報センターの若尾先生とお話ししたのですが、小児がん情報センターから各施設に飛ぶとそのホームページ上にバナーがないので、小児がん拠点病院だと言われても何をやっているのかわからないということで、各小児がん拠点病院のHPにおいても最低限診療実績とか、きょう資料にあったような疾病別の細かい実績とか、そういったものをわかりやすく公開していただかないと、患者家族としても自分からアクセスしづらいというのがあると思います。

○垣添座長 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 同じく患者家族の立場でなのですけれども、まず、小児がんを発症したときには、本人にとって最も適切なところで治療ができることがベストだと思うので、そのためにどうするかということを、考えなくてはいけないと思っています。もう一つは、次の課題でもある長期支援です。治療して、病院から自宅へ戻ったときというのは連携が必要であって、その連携も忘れずに考えていく必要があると思っております。

○垣添座長 連携に関して、道永構成員いかがですか。

○道永構成員 地域連携という言葉は非常に使いやすくて、ブロックがあって、その中に拠点病院をつくって、そこと全部連携しましょうというのは言うのはすごく簡単なんですね。でも、それは他の疾病でもやっていることであって、特にがんに集約されることではないと思っています。

 今回15病院のお話を伺いまして、皆さんそれなりにすごく頑張っていらっしゃるなと私は思いました。ただ、いわゆる医療連携という意味で、例えば、今おっしゃったようなウェブでいろいろな情報が入って、患者さんにそれがわかって、私はここに子どもを連れていきたいといったときに、果たしてそれが本当に正しい情報かどうかということをまず国がちゃんと示さなければいけないし、沖縄からは東京に来るほうが時間的にも速いし、楽だよというお話がさっきありましたけれども、経済的な負担ですよね。だから、そういったことも考慮してあげなくてはいけないので、地域で完結ってすごく大事ですけれども、小児がんについてはちょっと難しいのかなと思っています。ただ、診断をきっちりできるところをちゃんと広報して、病院の新しい診療実績をどんどん出していくということが大事だと思います。

 あと、きょうのお話を伺いまして、就学支援体制というのがどこも非常に薄いなと思いました。この間、がん患者さんの就労支援に関する検討会があって、そこでお話が出たのですが、小児がんだけ特別に議論をしました。小児がんの罹患者の方が成人してからすごく熱心にお仕事をしたいのだけれども、やはり長引いた治療や晩期合併症ということで、なかなか普通のお仕事に戻れないというお話がありました。そのときに、就労支援とあわせて学習支援みたいなことも必要だと思うのですが、今の子どもたちは前から病院の中で教育をするということがシステム化されているので、それが皆さん同じように受けられるように、ちょっと文科省とも相談していただいて、小児がんの患者さんががんでない子どもたちと同じとは言わないですけれども、機会を奪ってはいけない。逆に機会をもっと与えてあげてほしいなと思いました。

 あと、もう一つ、緩和ケアのことなのですけれども、広島だったと思いますが、緩和ケアをすごく積極的にやっているけれども、終末期の早期に緩和ケアで介入できたのでよかったとおっしゃっていました。今はがんと診断されたときからの緩和ケアということなので、医療機関サイドで「終末期」という言葉を使っているのはちょっとまずいし、ただ、小児がんの場合にはちょっと成人のがんと違うかもしれませんが、赤ちゃんのがんとはまた別ですけれども、ある程度の年齢でわかった場合には本人にももちろん緩和ケアが必要ですが、心の意味という意味では、保護者の人たちに対する緩和ケアがとても大事なので、そういうことも考えてほしいなと思いました。

 あと、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)という人ですけれども、すごく皆さんその人を雇わなければいけないということで思っていますけれども、保育士さんで特別に今、病児保育とか病後保育もあるので、そういったことに特化した保育士さんたちの教育というか研修みたいなことをしていったほうがいいのかなと思いました。指定要件の見直しというのはまだしないでしょうけれども、少し緩やかにすべきだと。ただ、要項を見たら指定要件には書いていないんですよね。ただ、そういうことが細かい枠でたしか書いてあったと思うので、そういうものも少し踏まえて、またヒアリングが必要だなと思いました。

 以上です。

○垣添座長 発言されなかった分まとめて発言されましたけれども、就労支援、就学支援の話、それから、保護者も含めた緩和ケアの話、CLSと保育士の話は、後で議論することにしましょう。

 時間の関係もありますので、もう一つの長期支援を含めた相談支援体制の強化ということに関して何か御意見ありますか。

 小俣構成員どうぞ。

○小俣構成員 最後の東京都の小児総合医療センターのお話で、治療当初からいろいろな職種が入っているという話をしておられましたけれども、小児がんの場合は治療した後のほうが長いということがありますので、本当に相談支援は大切なのではないかと思いました。

 先ほど道永構成員がおっしゃったように、各病院は本当にそれぞれ頑張っていらしたのだけれども、相談支援自体のとらえ方かが少しずつ違っていたり、長期フォローアップもそうなのですけれども、やはり違うふうにとらえてやっていらっしゃるのかなと思ったので、相談支援に関してだけではないのですが、長期フォローアップですとか、相談支援とか、AYA世代とかそういう言葉について、言葉の整理や定義を進めていっていただきたいというのがあります。

 それから、相談支援自体がとにかく本人にとっては大人になっていくのに大変大切な存在であるということを考えると、相談支援センターの機能というのは子どもに特化した内容のものをもう少し改善すべきなのではないかということと、各拠点病院を見てみますと非常勤で雇用されていたりというような、相談支援をされている方の雇用の安定のところまでも考えなくてはいけないのではないかと思いました。

 また、相談支援の業務は大変複雑で煩雑ですので、やはり研修を中央機関でしっかりしていただいて、質の担保、どこの拠点病院で相談をしても同じ相談や対応であるような体制というのができたらいいのかなと思いました。

 以上です。

○垣添座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。柳澤構成員どうぞ。

○柳澤構成員 今まで地域連携についていろいろな方がお話しになって、それはそれで皆さんのおっしゃることはもっともだと思うのですけれども、きょうの各ブロックの連携の状況とかを伺ってもそれぞれ違うので、特に近畿のように比較的狭いところに5つの拠点病院があるというところと、全然状況が違うと思いますので、それぞれのブロックごとでどのように地域連携を考え、また、それを進めていくか、状況に根ざした議論というか、計画がされていかないと、余り意味をなさないのではないかと思いました。

 先ほどもちょっとおっしゃいましたけれども、拠点病院で治療をすべき患者さんと、地域で協議会を形成する病院で治療されるべき疾患、例えば、スタンダードリスクのALLの最初の治療というようなことに関しては、やはり区別されるべきで、それはそういう理念のもとにあると思いますけれども、そういう意味で全部引っくるめた集約化ではなくて、むしろ難治例・再発例の治療を集約化する。一方で、全体的に均てん化するという議論が望まれるのではないかと思います。そういう議論というより、治療体制がつくられていくということが大事ではないかと思いました。

○垣添座長 そういうことですね。拠点病院に集約すべき再発・難治の症例と、もうちょっとリスクが低い、一応連携病院で対処できるものと区別しないと、利用者の方にとっても、医療者にとっても大変具合の悪いことだというのは多分共通したことだと思います。

○柳澤構成員 それから、中央の病院はもちろんそうですし、それから、ブロックの拠点病院ももっと力を入れるべきは、そういった関係者の研修、それから人材の育成ということが大事ではないかと思っています。

○垣添座長 相談支援体制に関して、まだほかに御意見ございますか。堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 先ほども意見が天野さんから出たと思いますけれども、要は、中央機関としての役割としてコールセンターなり、1カ所で済む問題もあるのかなと。その辺の整備については、今いろいろなパンフとか教育研修の話は中央指揮官から出ましたけれども、そういう体制整備をするというアクションはなかったように思うので、やはり中央機関でそういう体制をとれば、全国から今の時代アクセスは非常に容易ではないかと思います。

○垣添座長 中央機関に対する役割ですね。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 私もきょうのプレゼンテーションの中で、中核機関の役割に関するプレゼンが非常に弱かった、見えなかったというところがあると思います。

 それともう一つは、ちょっと話が戻りますけれども、地域連携ということについても、確かに200もあるというのは異常だと思います。先ほどお話が出たように、小児血液・がん学会の専門研修施設というものを重点的にサポートするということを拠点病院が考えていくということは、一つの義務だろうと私は最初から思っていたので、もちろん都会と地方とでそれぞれ役割が違うと思いますけれども、特に中央においては拠点病院というのはそのブロックの中のいろいろな専門研修施設に目配りをして、それぞれの特色を生かすということを考えていく使命を持つべきだと。自分のところはこんなにすばらしいんだということはきょうたくさん皆さんおっしゃいましたけれども、やはり地域全体を通して支えていくというところについてのプレゼンがちょっと足りなかったのかなという気がしています。もちろん大阪のように、うちは連携病院がなくてもいいんだみたいなところがあったことはあったので、そういうところはそういうところでまた別の評価をしなければいけないのかと思いますが。

○垣添座長 その対極にあるのが北海道と九州だということですね。

○堀部構成員 よろしいですか。今の地域連携については、拠点病院に連携について責任感を持たせるには、せいぜいブロックとして2つではないかと。例えば、実際に行動を見ていても、兵庫だったら兵庫県に関して、それと西との連携というところで役割を果たしていますし、京都の2つについては多分、滋賀とか福井、関連病院からいってもそこの地域はカバーするでしょうし、では、大阪の2つとなれば和歌山、奈良、これは通常の関連の連携からいってもあるので、その2機関は3県にいる患者さんがきちんと適切な医療を受けられるように考えなさいというふうに、明確にそこはしてあげたほうが、5つの拠点病院の連携が連携だみたいな誤解をしているように聞こえてしまって、ちょっとそれは違うのではないかなと思いました。

○垣添座長 先生が言われるのは本当に現実的なことですね。

○堀部構成員 だから、それをきちんと現実的に責任を持たせるということが連携については大事かなと思います。そうすると、関東甲信越が一番悩ましい問題があるのかなとは思いますけれども、それもそれぞれ役割を振ることは可能だと思うので、きちんとそうされたほうがいいのではないかと思います。

○垣添座長 ありがとうございます。大事な御指摘だと思います。

 それでは、時間の関係もありますので、最後に道永構成員の指摘の就労支援・就学支援の話はいかがですか。それから、保護者を含めた緩和ケア、それから、CLSというのはなかなか人材がいないので保育士に目を向けるべきではないか、いずれももっともな御指摘ではないかと思っていますが、何か追加して御発言いただくことはありますか。

 堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 CLSについては、国内で子ども療養支援士の教育プログラムを持っている大学院というのが幾つかできていると思いますが、どの程度人材を輩出してきたかを存じ上げないのですけれども、やはりCLSなり、イギリスのホスピタルセラピストの2つについては、通常の病棟保育士とはまたちょっと視点が違うかなと思うので、病棟保育士の人にさらに何らかのプラスの教育をして子ども療養支援士のような資格を取るとか、国内できちんとそういう人を育てるというほうへの誘導が必要ではないかと思います。

○垣添座長 ありがとうございます。

 水谷構成員どうぞ。

○水谷構成員 先ほどおっしゃったように、修学に関しては縦割り行政の壁が大きな災いになっていると思います。そこは現場で幾ら頑張っても、なかなか突破できないことなので、やはり一つの政治課題としてぜひ取り上げていただかないと、幾ら現場が頑張ってもなかなか突破できない課題なので、そこは大きな力で解決してほしいと思います。

○垣添座長 ありがとうございます。

 天野構成員どうぞ。

○天野構成員 成人でも共通すると思いますけれども、いわゆるがん患者さんの就労支援ということで、いわゆる制度上の対応ということで、例えば、社労士が入るとかそういった取り組みがあると思うのですけれども、実際に相談支援センターとかでそういったお話を伺っている相談員の方などに聞くと、実際にそういった制度的な対応が必要な方というのは実はそれほど多くなくて、多くは精神的な壁というか、職場でなかなかうち解けないとか、そもそもがんのことを周りに打ち明けることができないとか、そういった心理的なサポートの部分もかなり大きいと聞いていて、特に小児がんの患者さんの場合、社会性を獲得していくということがなかなか難しい面もあって、そうすると、同じ経験をした方々のサポートというのが私はかなり有効だと思っているので、幾つかの施設でピアサポートについてのお話があったと思うのですけれども、それも実は社会的な痛みとか就労支援も含めて、本当にちょっとしたことでつまずいていらっしゃる方がたくさんいるので、それも重要な役割なのかなと思いました。

 あと、それに関連して1点だけつけ加えさせていただきたいのですけれども、AYA世代の方をどこが診るのかという課題についてですけれども、きょうの施設の中でも高校生の方以上も診療しているとか、それがかなり分かれていて、それについては救える命を救うという観点から、成人の診療科で小児のプロトコルが期待できるにもかかわらず治療を受けて再発・難治になられている方がいまだにいるということを考えた場合、AYA世代をどこの施設が診ていくのかというのは、ある程度明確に拠点病院に対してお願いしていく必要があるのではないかと感じました。

 以上です。

○垣添座長 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 同じようなことなのですけれども、15歳までとかおっしゃっているところがありましたよね。私たちは小児がん専門委員会で、たしか小児がんは拠点病院で診るのは20歳までというようなことを取り決めていたように思うのですけれども、もう既にAYA世代がどこに行っていいのかわからない状態になっているので、それは思春期がんを含むと通知には書いてあるので、年齢のほうもきっちりともう一度厚労省から言っていただきたいなと思います。

○垣添座長 そろそろ予定の時間になりましたけれども、今、委員の皆様方からいずれも極めて重要な御発言をいただきました。ありがとうございました。

 堀部構成員どうぞ。

○堀部構成員 修学とか教育支援に関してですけれども、小児がん拠点病院ができたときに文科省は各都道府県に通知を出しましたよね。きちんと小児がんの患者さんの教育に関して、今ある仕組みというか通達の範囲内で柔軟に対応するようにということで、通級システムだとか訪問教育だとかいろいろな形で今、教育サポートができる状態に文科省としては動いたと思うんですね。あれはすごく重要な通知だと私は思っていて、それに対して具体的などう行動されたかとか、地域でどうかという実態を把握するという流れがなくて、それが情報としてここに上がってくる、つまり例えば、拠点病院がその地域で教育サポートがどうなっているかをちゃんと調べてここに上げなさいとか、そういう検証があっていいかなと思いました。文科省に任せてしまうとこちらへ上がってこないので、そこも拠点病院にやってもらっていいのではないかと思いました。

○垣添座長 大事なお話だと思います。ありがとうございました。

 馬上構成員どうぞ。

○馬上構成員 先ほどの北海道の実態調査みたいなものを各ブロックでやっていただくことはできないのかなというのはあるのですが。

○垣添座長 江副がん対策推進官どうぞ。

○江副がん対策推進官 調査に関連してですけれども、まず、いろいろと貴重な御意見ありがとうございました。きょう出していただいたいろいろな御意見は、とりまとめた上で座長と御相談して、各拠点病院にフィードバックすることにしております。

 今出た御意見に関連して言いますと、各拠点病院は今回の報告をもって終わりということではなくて、年に一度の現況報告というのを提出していただく必要があります。ですので、今回改めていただいた、例えば再発・進行がんの内訳ですとか、就学支援の状況ですとか、可能な限り現況報告の様式を示す際に、こういう項目について報告してくださいということで働きかけることが可能ですので、今出てきた御意見を踏まえて、現況報告にも反映させて、それで可能な限り状況調査をして、場合によっては指針を変えていくものもあるでしょうし、さらに働きかけをしていく部分もあるでしょうし、まずはそのような形で、より詳しい状況調査をやっていきたいと思っております。

 それに加えて、現段階で既に指摘すべき点については、今回のヒアリングで出てきた御意見ということでフィードバックしていきたいと考えております。

○垣添座長 今、委員の皆さんから、この約4050分の議論の中で非常に重要な御指摘をいただきましたから、これをまず整理していただいて各委員にフィードバックしていただいて、それから、きょうのヒアリング全体でいただいた意見を各医療機関に伝えると。その2つの作業をしていただければと思います。今後の小児がん拠点病院のあり方に関して、きょうのこの検討会、今いただいた御意見はいずれも極めて重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、ちょうど時間ですので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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