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2014年7月9日 第12回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成26年7月9日(水)10:00~12:00


○場所

航空会館 大ホール(7階)


○出席者

相澤 好治 (北里大学医学部名誉教授)
大賀 和男 (日本肝臓病患者団体協議会常任幹事)
岡田 京子 (全国B型肝炎訴訟東京原告団)
岡本 光正 (健康保険組合連合会常任理事)
柿嶋 美子 (公益財団法人人権教育啓発推進センター理事・東京大学大学院法学政治学研究科教授)
加藤 篤志 (全国中小企業団体中央会理事・事務局長)
清本 太一 (全国B型肝炎訴訟北海道原告団)
小森 貴 (公益社団法人日本医師会常任理事)
武田 せい子 (薬害肝炎原告団)
田中 純子 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授)
西村 愼太郎 (日本肝臓病患者団体協議会相談役)
野宮 隆志 (薬害肝炎原告団)
長谷川 嘉春 (神奈川県保健医療部長)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
松本 喜成 (日本労働組合総連合会労働条件・中小労働対策局局長)
溝上 雅史 (独立行政法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長)
山中 朋子 (青森県健康福祉部医師確保対策監)
米澤 敦子 (日本肝臓病患者団体協議会常任幹事)
脇田 隆字 (国立感染症研究所ウイルス第二部部長)
相崎 英樹 (国立感染症研究所ウイルス第二部部第四室長)

○議題

(1)会長及び会長代理の指名について
(2)各自治体における肝炎対策の取組状況について
(3)肝炎対策基本指針に係る施行状況について
(4)委員等からの報告
(5)その他

○議事

○井上肝炎対策推進室長 定刻になりましたので、ただいまから第12回「肝炎対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多用中のところ、本協議会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 今般、委員の改選がございました。本協議会の新たな会長を選出いただくまでの間、議事の進行をさせていただきます厚生労働省健康局肝炎対策推進室長の井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、会議の開催に当たり、健康局長の佐藤より御挨拶を申し上げます。

○佐藤健康局長 健康局長の佐藤敏信でございます。どうかよろしくお願いします。

 本日は、台風が近づいているということで、その余波もありまして足元も大変悪い中、こうしてお集まりいただきまして、ありがとうございます。例年この時期、肝炎対策推進協議会を開催しておりまして、今年もそういう時期になりました。

 冒頭、井上室長からも話がありましたように、ちょうど2年の改選期に当たりましたので、お集まりいただきました委員の皆様方は改めて再任という形で処理をさせていただきました。恐らくは、この後は会長をお選びいただくという手続も入るのではないかと思います。

 肝炎対策は、これまで私ども、肝炎患者の重症化予防の推進という観点で、陽性者に対する医療機会の受診勧奨を行っておりますが、今年度予算では、初回精密検査費用や低所得者に対します年1回の定期検査費用のフォローアップと申しますか、そういったものについて予算上も充実をさせてまいってきているところでございます。しかし、これだけで必ずしも十分とは言えませんでしょう。

 一方では、Bであれ、Cであれ、有効性の高い、あるいは副作用の少ない抗ウイルス薬等も開発され、保険収載もされているようでございますから、そうした動きは少なからず患者さん方の福音となっているのではないかと思います。

 こうした情勢も踏まえながら、引き続き肝炎対策を充実させていただきたいと存じます。

 井上室長と話をしますと、基本指針から5年たつと見直すということですが、今年は3年目でございますから、これまでの基本指針に沿った肝炎対策がどういう進捗であるか、どこに問題があるかということもこれから1年ぐらいかけて御議論いただくことになるのではないかと思います。

 どうかよろしくお願いいたします。

○井上肝炎対策推進室長 それでは、議事に入ります前に、私から、本日改めて選任されました委員及び参考人につきまして、お手元の委員名簿に沿って御紹介をさせていただきます。

 相澤好治委員でございます。

 大賀和男委員でございます。

 岡田京子委員でございます。

 岡本光正委員でございます。

 柿嶋美子委員は遅れて参られる予定でございます。

 加藤篤志委員でございます。

 清本太一委員でございます。

 熊田博光委員からは、本日御欠席との御連絡をいただいております。

 小森貴委員でございます。

 武田せい子委員でございます。

 田中純子委員でございます。

 西村愼太郎委員でございます。

 野宮隆志委員でございます。

 長谷川嘉春委員でございます。

 林紀夫委員でございます。

 松本喜成委員でございます。

 溝上雅史委員でございます。

 山中朋子委員でございます。

 米澤敦子委員でございます。

 脇田隆字委員でございます。

 及び、本日は参考人といたしまして相崎英樹参考人に御出席をいただいております。

 何人か新着任の委員もおられますので、新着人の委員からは新着任に当たってのお言葉等をいただきたいところでございますが、時間の都合もございますので、新着任の委員におかれましては、それぞれ新着任に当たっての御抱負なり思いなりございましたら、議事進行の中での御発言の機会にいただければと思います。

 なお、委員総数20名中18名の委員に御出席をいただき、過半数に達しておりますので、肝炎対策推進協議会規定により本日の会議は成立いたしますことを御報告いたします。

 お手元の資料の確認をさせていただきます。

 資料の2枚目、3枚目のところに配付資料一覧がございます。資料1から資料6まで、参考資料1から参考資料8までが全て一とじになって通し番号のページ数がついてございます。もし会議の途中でページが抜けているということがございましたら、御連絡をください。

 なお、机上配付資料として、委員の皆様のお手元には資料1と参考資料3の元データを別途配付しております。こちらの資料は大部のため、大変恐縮でございますけれども、本日は委員のみの配付とさせていただいております。ただ、後日、厚生労働省のホームページにて公開させていただく予定ではございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 まず初めに、議題1「会長及び会長代理の指名について」です。本年5月末をもって全ての委員が任期満了となりました。そのため、6月1日付で委員の改選を行いました。このため、本協議会の会長を改めて選出していただきたいと思います。

 肝炎対策推進協議会令によりますれば「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する」と定められております。会長の選出につきまして、各委員の方々から御推薦等ございますでしょうか。

 小森委員、お願いいたします。

○小森委員 前期も会長として大変的確な会の運営をしていただきました林紀夫委員を御推薦申し上げたいと思います。

○井上肝炎対策推進室長 ありがとうございます。

 ただいま小森委員から、林委員を会長にという御推薦がございました。いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○井上肝炎対策推進室長 全会一致で御承認をいただきました。

 それでは、林委員、会長席にお移りいただき、以後の議事進行につきましてお願いをいたします。

(林委員、会長席へ移動)

○林会長 それでは、僣越ではございますが、御指名でございますので、会長を務めさせていただきたいと思っております。

 肝炎対策推進協議会は今回で12回目でございますが、最近、特にC型肝炎については治療法が大幅に変わってまいりまして、有効率が非常に上がってきております。さらに、今後数年間、新しい薬剤が出てまいりまして、さらに有効率が上がる、あるいは、肝硬変患者に対しても十分治療効果を発揮できる状況になってまいりますので、日本の肝炎の状況も大きく変わってくるだろうと思っております。ただ、欧米と違いまして、患者さんが非常に高齢化しているという日本の特殊事情もございますので、今後とも、この変わる肝炎の状況を踏まえながらいろいろな肝炎対策を御討議賜れればありがたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 実は、この会はいつも会長代理を置かせていただいておりますけれども、会長が指名するということでございますので、今回の会長代理を溝上委員にお願いしたいと思います。いかがでございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○林会長 それでは、溝上先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、先ほど申し上げました「各自治体における肝炎対策の取組状況について」、事務局、よろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラの皆様方は、おられましたら、御退室のほどをお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

○井上肝炎対策推進室長 それでは、資料に沿って説明をいたします。

 お手元の通し番号のついた資料の1ページ目、資料1「各自治体における肝炎対策の取組状況について」に沿って説明をいたします。ページ番号で言えば、1ページ目から7ページ目までの資料でございます。

 この資料は、ことし4月1日現在で各自治体における肝炎対策の取組状況を一覧としてまとめたものでございます。まとめるに当たりまして用いました各自治体へ送付した質問票及びそれぞれの自治体からの回答の詳細につきましては、各委員の机上へ別途配付いたしました「委員机上配付資料」に別添でございます。もし個別の自治体について関心がございます場合には、この別添の「委員机上配付資料」のほうを御参照いただければと思います。それを要約したのがこの資料1でございまして、2ページ目から簡単に御説明いたします。

 2ページ目の上の資料は、各自治体における肝炎対策の現状に係る状況でございます。1-1として、肝炎ウイルス検査の実施状況を各都道府県、保健所設置市、特別区それぞれについてまとめてございます。これは1年前と比べると大きな変化はございませんが、全体として幾つかのところで進捗があるという状況でございます。

 無料検査未実施というものがある自治体については、その理由も問い合わせてございまして、上のスライドの右下のところに記載してあるとおりでございます。私ども行政としては、引き続き一層の進捗を働きかけている、全ての施設における無料検査の実施を働きかけているという形でございます。

 2ページ目の下「1-2.肝炎ウイルス検査において、陽性者に対する検査後の対応状況」。保健所あるいは委託医療機関においてどの程度実施をされているかという形でございます。これも今年4月1日現在の状況でございますが、1年前の状況に比べて一定の進捗が認められる数字でございます。

 3ページ目の右上が「2.都道府県における診療体制の整備状況」でございます。全ての都道府県で既に肝疾患診療連携拠点病院が設置をされ、専門医療機関の整備の状況も1年前に比べて少しずつではございますが、進捗をしているという形でございます。

 3ページ目の下のスライド「都道府県における、肝炎対策協議会の設置・開催状況」でございます。資料にございますように、一部、25年度開催されていないという状況がございました。そうした状況においては、その理由についても問い合わせている形でございます。これも、1年前に比べると、状況としては進捗をしているということでございます。

 4ページ目の上のスライドに移ります。都道府県における肝炎対策にかかわるその他の取り組みの状況でございます。計画の策定状況は、この表に示したとおりで、いずれも1年前よりもより多くのところで計画が策定されているという状況になっております。

 4ページ目の下のスライドが「都道府県における、肝炎対策に係る普及啓発実施状況」でございます。ポスター・リーフレット等、どのようなものを実際に準備しているかということを紹介した内容で、これも1年前に比べると、より多くの自治体が対応しているということが状況としてはございます。

 5ページ目の資料は、これに係る国の施策の参考資料でございます。

 以上、各自治体において今年度4月1日現在での肝炎対策の取組状況を一覧として整理いたしました。

 御報告は以上でございます。

○林会長 ありがとうございました。

 ただいまの件につきまして、御質問、御意見等がございましたら、よろしくお願いします。

○大賀委員 日肝協の大賀といいます。

 この資料の2ページ目の下の段のウイルス検査で「匿名検査のため追跡不可」という回答が来ておりますけれども、これはどういった理由というのはわかるのでしょうか。私たちは匿名の理由はどうしてなのだろうと不思議に思うのです。

○林会長 事務局はおわかりになられますか。

○井上肝炎対策推進室長 私どもが理解しておりますのは、受検者、検査を受ける側の方が匿名での検査を希望されている場合に、検査を実施する行政の側としては、あえて名前・連絡先等をお問い合わせしない。そうした状況においては追跡をすることが困難なケースがあると理解しております。

○大賀委員 ただ、フォローが非常に大事な要素ですね。もう治る時代になってきているわけですので、そこらあたり、いかがでしょうか。大事な要素だと思うのですけれども、この自治体は、さらっと簡単に「追跡不可」とか回答しているみたいですが、これは早急に是正する必要があるのではないでしょうか。

○井上肝炎対策推進室長 御指摘ありがとうございます。これは、私ども、今後、各自治体と意見交換をしたいと思います。一方では、検査を受ける市民の方々が匿名でお願いしたいという希望をなさっておられる場合に、検査を提供する側としては、この検査は結果によってはフォローアップが大切なので、連絡先をお伺いしたいということを御説明して、なお匿名を希望される場合にどうすればいいかというのはなかなか難しい問題でもあると思います。実際の現場でどういう状況が起こっているのかということにつきまして、各自治体と意見交換の場を持ち、実態を踏まえた上で検討させていただきたいと思います。

○林会長 どうぞ。

○長谷川委員 私、全国衛生部長会の代表として来ているのですけれども、たまたま3月まで小田原の保健所長をやっていたもので、一応そういう立場で一般論としてお答え申し上げますと、検査というのは、やってほしいという方のいろいろなニーズがあって、あらゆるメニュー、名前を言って、陽性だったら、半年後に、あなた、どうなったみたいな声がかかるようなものを希望される場合と、例えばHIV検査のように、名前を言わずに、でも、やはり自分は知りたいみたいなあらゆるメニューがあるというのが実はよいことですので、こういった肝炎についても匿名検査があるというのはよいことではないかと保健所のときには思っておりました。

○林会長 どうぞ。

○大賀委員 ちょっと誤解されているみたいですけれども、私が言っているのは自治体としての取り組みです。個別検査で、私は名前を伏せたいので連絡も必要ないですと個別におっしゃるケースはそれでいいのですけれども、自治体そのものが全て匿名で行っているということなのでしょう。

○林会長 これは、自治体全部が匿名ということではない、一部が匿名のものがあるのでその分がフォローできないというのではないでしょうか。全部が匿名でしょうか。

○大賀委員 「匿名検査のため追跡不可」という回答が来ているのでしょう。これは自治体として制度として検査をやっているということではないのですか。個別ですか。

○井上肝炎対策推進室長 今、大賀委員が御指摘の自治体の検査メニューの中に匿名と匿名でないものと幾つかのメニューがあるという状況なのか、自治体のメニューとして一律匿名なのかという点に関しましては、今の私の理解では前者のほうだと。長谷川委員がおっしゃったような理解でございます。

 ただ、現実にメニューとして、匿名しかありません、そういう検査体制をしいている自治体があるのかどうかということについては確認をさせてください。大賀委員の御意見として、仮に自治体の検査提供メニューとして、一律に匿名ですという検査提供体制があるとしたら、それは不適切ではないかという御意見については承りました。この御意見を踏まえて、各自治体とは今後意見交換を進めさせていただきたいと思います。

○林会長 それでよろしゅうございますか。

○大賀委員 はい。

○林会長 では、西村委員、どうぞ。

○西村委員 患者委員の西村です。

 質問は、説明を省かれた施策の6ページについてです。

 地域肝炎治療コーディネーター事業ですけれども、養成研修会の開催状況が47都道府県の中で30自治体、今後開催が2自治体ということで、予定も入れて32自治体ということで、47のうち15ができていない、今後の予定もないという回答になっております。先ほどのフォローアップの事業などと合わせまして、例えば、後ろに詳細版があるのですけれども、その中に回答としてまとめられていないから、どこの県がやっていないのかということがまずわかりません。ですから、その辺、詳細を教えていただきたい。後で資料を提出していただいても結構です。

 それと、後の田中先生と相崎先生の御報告の中で、例えば感染を知らなかったキャリアが777,000人いる、感染を知っていたが受診しない患者さんが57万人から120万人いるというような報告がされていまして、きょうのあさのNHKのニュースでも流れていました。それから、相崎先生の御報告の中に、全国にフォローアップシステムを広げていくというのを研究の最終目標にすると書かれていますけれども、そういうことを具体的に進めて改善をしていく上で、コーディネーターさんがいなかったらこういう事業が前に進まない自治体が出てくるのではないか。その辺をどのように改善されるのかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

○林会長 よろしいですか。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 この実施状況の30というのは、1年前のデータと比較をいたしますと、1年前はコーディネーター養成研修会開催済みの自治体が28であったのに対して、今回30ということで、実際にコーディネーター養成研修会を開催した自治体の数はわずかばかりふえているという現状ではございます。

 ただ、私ども事務局の認識といたしましても、47都道府県、さまざまな取り組みをほぼ同じように進めていただいている中で、この地域肝炎治療コーディネーターの養成に関しては、各都道府県間の取り組みのばらつきがやや大きいという認識は持っております。西村委員の御指摘を踏まえまして、今後、まだ実施していない17の自治体に関しましては、私どもからも養成研修会の開催を促してまいりたいと考えております。

○林会長 よろしいですか。

○西村委員 はい。

○林会長 それ以外に御質問、御質問はよろしゅうございますでしょうか。

○野宮委員 野宮といいます。よろしくお願いします。

 私、この資料を去年の資料とちょっと見比べていたのですけれども、去年だと、例えば地域肝炎治療コーディネーターのところにこれまでの認定者数とか、今回の資料にはないのですけれども、5ページの健康増進事業の個別勧奨について、去年は棒グラフで各都道府県について実施率があったではないですか。そういうものが省かれているのですけれども、実際に改善をされたというデータとかはありますでしょうか。

○林会長 事務局、よろしゅうございましょうか。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 毎回、資料のまとめ方に若干違う点がございまして、その点、私どもも申しわけなく思っております。ページ数、それから会議時間等の都合がございまして、なるべく簡略な形でまとめているところでございます。

 野宮委員のほうで個別の詳細なデータに御関心があり、なおかつ「委員机上配付資料」の中では読み取れないものがございましたら別途御照会ください。私のほうで整理してお届けいたします。

○林会長 よろしゅうございましょうか。

○清本委員 地方自治体の取り組みとはちょっと違うのですけれども、7ページの核酸アナログ製剤治療の更新の部分が、大体9割の人が更新している状況だと思うのです。私自身もこの治療を行っておりまして、7年になるので7回更新しているわけですけれども、これは肝炎のみならず、長期的な治療を行う場合は、就労しながら、1年更新するたびに手続で1日休まなければいけないとか、手続をするのにかなり苦慮しながら更新しているのですけれども、ここを3年更新ですとか、そういった部分にならないのか。収入面の確認を毎年したいという話もあるのですけれども、収入が劇的に変わる人というのはそんなにいないと思うのです。給料が年1万、2万上がるとか、せいぜいその程度だと思うのです。それも踏まえて、3年更新にするのであれば、「収入が変わった場合は申請するように」とかの文言をつければ何とかクリアできるのではないかと思うのですけれども、そこら辺の御検討を願えますか。

○林会長 事務局、お願いします。

○井上肝炎対策推進室長 御指摘ありがとうございます。私ども事務局といたしましても、できるだけ患者さんの負担にならない、特にこうした行政手続上の負担が過大にならない制度設計を常に心がけているところでございます。

 今、清本委員から御指摘の点につきましても、私ども、これまで複数の患者さんから個別に御指摘を受けたことがございました。これに関しては、実際に実務を担当している自治体の関係者の方とも、何とかできないのかということを協議したことはございます。その結果、現時点では、御指摘の点は非常によくわかるのだけれども、行政上の、特にこういうお金にかかわる手続というのは、清本委員がおっしゃるように、毎年収入が多くなる人はほとんどいないのではないかということも事実ですが、他方、何人かでもいれば、その方に対してのお金上の取り扱い、規則と違うということは行政のシステムとしてはなかなか許容されない。大ざっぱにこれぐらいで大きく間違いないという形で手続を進めることは行政のあり方として非常に難しいというのが現場の意見でございました。そうした現場の、特に1円の間違いもあってはならないという意見も、他方、私どもはよく理解できるわけでございます。

 そうした制約の中で、どうすれば患者さん側の行政手続上の負荷を軽減する方法があるかということに関しては、引き続き、患者の皆様方、実際の自治体の行政の方々、両方とお話をしながら検討を進めさせていただければと思います。ただ、現状では、自治体の側と議論した結果、この点、自治体側はそうした意見を持っているということを御承知おきいただければと思います。

○林会長 ありがとうございました。

○西村委員 西村です。

 7ページの重症化予防の推進の予算のところですけれども、各自治体で周知の方法がうまくいっていないのと違うかなと思うのです。厚生労働省のほうで周知のグッズみたいなものをつくっていたらぜひ教えてほしいということです。

○林会長 どうぞ、お願いします。

○井上肝炎対策推進室長 御指摘ありがとうございます。

 この制度はまだ今年度始まった部分が相当ございます。周知が今年度4月から始まって3カ月、まだ十分ではないということは自覚してございます。それから、そうした指摘を何度か受けたことがございます。現時点では周知をするためのさまざまな材料というものは準備ができておりませんが、ただいまの御指摘を踏まえ、事務局としても周知のあり方を検討してまいります。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。

 次は「肝炎対策基本指針に係る進行状況について」でございます。

 まず、事務局から御説明をよろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。資料に関しましては資料2、通し番号で申し上げれば、8ページ目から17ページ目までのところでございます。

 この資料の説明に入ります前に、今回は委員の改選があって最初の会議でございますので、この肝炎対策基本指針及びその根拠になっております肝炎対策基本法に関しまして簡単に御説明させていただければと思います。

 資料で言うと、通し番号49ページから54ページまでが肝炎対策基本法でございます。多くの委員の方々は既に御承知であられるとおり、この肝炎対策基本法が平成22年1月1日から施行されました。51ページ、この肝炎対策基本法の中の第二章に肝炎対策基本指針に関しまして定めがございます。法律に基づいた定めでございまして、第9条の(5)で「少なくとも5年ごとに、肝炎対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない」と定められているとおりでございます。

 この法に基づいて実際に定められた肝炎対策の基本的な指針が資料の通し番号56ページからのところでございます。

 この基本指針が定められましたのが、3年前の平成23年5月16日からでございます。項目としては56ページ、目次にございますように、第1から第9までのそれぞれの事項に関しまして、肝炎対策を進めるに当たっての指針が定められているという形でございます。この指針が23年5月16日に定められ、法の規定によって、少なくとも5年に一度、必要に応じて見直すとなっています。この基本指針が定められてから既に3年余り、5年の中間点を過ぎたのが今の時点でございます。残り2年弱で見直しの時期を迎えるに当たりまして、今回、議題といたしましては、資料2にお示しいたしましたように、肝炎対策基本指針の施行状況について一旦整理をさせていただきました。この整理に基づき、再来年の5月改定の時期に向けてどのように改定していくかということに関しまして、本日は第1回目、自由に御意見をいただければというのが今回の議題でございます。

 もう一度、資料の通し番号8ページに戻りますと、8ページから17ページまで、肝炎対策の個々の項目について記載してございます。8ページの基本的な方向というのは、ただこのままそのとおりに記載してございます。9ページ以降の項目につきましては、左側のコラムに基本指針で定められた項目、右側にこれまで3年間実際に実施してまいりました施策及びその事業等に関しまして記載してございます。基本的には、これまで3年間、基本指針で定められた項目全てに関して何らかの対応はしてまいったというのが事務局の整理でございますが、実際に委員の皆様方におかれましては、この指針、これまでの3年間の実施状況に関しましてさまざまな御意見もおありかと思います。実施の達成度について、あるいは2年後に見直すとすれば、新たにつけ加えるべき項目があるかについて、あるいは見直すとすれば、もう既に十分に達成できていて、今後改定のときには削除できる項目があるかについて、今後2年後の来年5月の見直しを踏まえてこの基本指針、これまでをどう評価し、今後どうするかということに関しまして御意見をいただければと考えております。

○林会長 ありがとうございました。

 改定は少し先になりますが、今までの状況をおまとめいただきましたので、現時点で各委員の先生方から御意見等、あるいはこうすればいいというのがございましたら、お聞きできればと思っております。いかがでございましょうか。

 右側に実際の基本指針案に対応した実施事項等もお書きいただいております。まだ少し先でございますので、本日御意見がなければ、また後日お聞かせいただいてもいいかとは思っております。

 どうぞ。

○井上肝炎対策推進室長 御意見をいただきたい項目としては、個別の項目に対する評価もさることながら、再来年の5月で5年がたちますので、これから再来年の5月に向けての2年足らずの期間の間、この肝炎対策基本指針をどのようなプロセスで見直していくか。見直す場はこの肝炎対策推進協議会でございますが、この場でどのようなプロセスで見直すかというプロセスに関しましても、各委員の御意見がございましたら、いただければと思います。

○林会長 冒頭にも少し申し上げましたが、今後2年ぐらいの間で日本における肝炎のいろいろな状況というのは大きく変わってまいりますので、恐らく、そういう状況の変化への対応もとらなければなりませんけれども、現時点でこうするほうがいいのではないかという御意見がございましたら、お聞かせいただければ、事務局のほうは今後いろいろな対応をとる上でやりやすいのではないかと思っておりますが、いかがでございましょうか。

○大賀委員 患者委員の発言ばかりで本当に申しわけないのですけれども、私、福岡県の肝炎対策協議会の委員もしております。福岡県は佐賀と並んで患者がすごく多いのですけれども、自治体の肝炎対策、肝臓病に対しての意識改革。福岡県を批判するわけではないのですが、発言してもなかなか通らない。福岡県の場合は、肝臓病に特化した肝炎対策基本計画が絶対必要だと言っても、ほかのがん対策の中でしか。そちらのほうでやっているから大丈夫だと、そういう状況なのです。

 先ほど説明いただいた資料の3ページを見てほしいのですけれども、右下のほうに、1回も協議会を開催していない自治体が2カ所あります。これはあり得ない話だと思うのです。協議会を開いて報告事項は幾らでもあるのです。で、議題がないなどという県は本当に信じられない思いなのです。私たち、厚労省の方には本当に感謝しているのです。これだけの幅広いさまざまな事業を厚労省が改めて各自治体におろしてあるのですけれども、そこらあたり、自治体の本気度がまだまだ足りないというのが私たちが受けとめているところです。そこをさらに自治体のほうに強く、肝炎対策の重要性、そして、先ほども出ていましたけれども、フォローアップですね。要は、新薬が物すごいスピードで次々に開発されて、もう100%近く治るという時代になりつつありますので、そこらあたりを各自治体の肝炎対策窓口の方々が意識改革していただいて、自治体レベルで推進してほしいという思いでいます。

○林会長 事務局、お願いいたします。

○井上肝炎対策推進室長 大賀委員の御指摘、ありがとうございます。今の御指摘は、57ページから始まるこの基本指針、ほとんど全ての項目の文章の出だしは「国は」という主語で始まっている中で、今、大賀委員に御指摘いただいた「都道府県は」という主語で始まるところは実は1カ所ございまして、67ページの「(3)地域の実情に応じた肝炎対策の推進」という項目でございます。今の大賀委員の御指摘は、肝炎対策の基本的な指針を今後見直すプロセスの中で、この67ページ「(3)地域の実情に応じた肝炎対策の推進」という項目において少し見直しがあるべきではないかという御指摘だと承りました。

 きょうの会議というのは物を決める場ではございませんので、今の御指摘は事務局として承り、今後、改定のプロセスの中で念頭に置きたいと思います。御意見ありがとうございました。

○林会長 それ以外、よろしゅうございますか。

○西村委員 大賀さんの質問に関連したことですけれども、地域の実情に応じた対策ということになりますと、逆に言えば、例えば大阪ですが、肝炎コーディネーターをやらないのです。患者会から要望してもやらないのです。新しい事業については、大阪府が半額出す分についてはできませんということで予算凍結という形になって、聞く耳を持たずという状況になっております。そういうところはたくさんあるのと違うかなと思うのです。それで15もあるということになっているのと違うかなと思うのです。その辺をどうするかということ。

 それから、2年先ということですので、ことしの5月に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が通りましたね。10月から病床報告を都道府県はしなければいけないということもありまして、地域の医療が、専門病院から、慢性期になりますと在宅へ移行していくということも言われておりますので、そういう関係する法律との関係でどのように指針を検討していくのかについても十分考慮していただきたいと考えております。

 それと、ウイルスの検査の受検率を上げることが大事なことなのです。住民基本台帳などを利用して、熱心な市町村は40歳のリストをつくって個別勧奨をやっておりますけれども、お金がないとか、手がないとかいう市町村につきましてはそういうこともできないという状況になっています。大阪府の場合も、がん検診については住民基本台帳を利用する条例をつくりまして、そのような個別勧奨ができるような体制をとっているのですけれども、肝炎については予算がないのでそこまで手が回らないということで担当者からは説明を受けています。その辺をどのように支援していくかということについても検討していただきたいと思います。

○林会長 事務局、何かございますでしょうか。

○井上肝炎対策推進室長 御意見は承りました。大賀委員に引き続き、自治体の取り組みに関する御意見という形で1つ承ったのと、もう一つは、資料通し番号60ページ「第3 肝炎検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項」に関しての御意見という形で承りました。今後、改定のプロセスの中で、事務局として、いただいた意見をテイクノートしてまいりたいと思います。

○林会長 ほかはよろしいでしょうか。

○武田委員 患者の武田です。

 私は最初のころから治療と職域のことで色々お尋ねしていることもあるのですけれども、在宅に向けて国の方もいろいろ政策をされているようですが、今まで治療と職域について要請してきましたが、初め頃は年金センターから私の職場などにパンフレットの様な物が郵送され、職域ではなく経営者に治療の時は配慮し協力してくださいと言うものがありましたが、この頃は一向にそれもありません。検査のためとか、治療のためとかのきちんとした法整備も出来ておりませんし、今後、慢性期には在宅に向け整備していくことになると、職場においても、勤務時間をフリーにするとか色々しておりますが、治療についてもそのようなものが法律として出来ないものか。産業医のいない中小企業はずっと放っておかれたままなのかということを皆さんにお聞きしたいと思うのですけれどいかがですか。

○林会長 事務局のお答えをいただいたらいいですか。意見をお聞きするだけでよろしいですか。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 今の武田委員の御意見は、肝炎対策の基本指針の中に職域における対策のあり方を明記することを検討するべきではないか、そうした御意見だと承りました。実際に検討のプロセスにおいてそうした意見があったということは、私どもも念頭に置いて今後のプロセスを進めてまいりたいと思います。

○林会長 よろしいでしょうか。

 それでは、4番目の議題「委員等からの報告」でございますが、本日、2題ございます。

 まず、田中委員から「肝炎ウイルスキャリアと患者数の動向について」ということでお話をいただきます。実は今までかなり前のデータを使っておりましたけれども、日本の肝炎の状況は少し変わってきているみたいでございますので、田中委員からお聞かせいただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。

○田中委員 広島大学の田中です。疫学の研究で厚生労働省の研究班の班長を務めております。

 肝炎ウイルスの患者さんたちの感染状況、あるいは患者数の動向について研究を行うことによって、そのときそのときの肝炎対策の方向性の一つのデータになることを目的に研究を行っております。肝炎ウイルスのキャリア数というものを私どもの研究班のほうでずっと推計してきておりましたけれども、新規治療とか、いろいろな肝炎対策の進行も踏まえまして、改めて動向について検討しましたので、今日はそれについて概要をお話ししたいと思います。

 肝炎ウイルスキャリアというのはウイルスの持続感染状態にある人でありますけれども、病態については、大きく分けますとこの4つぐらいになります。しかし、特徴としましては、御存じとは思いますけれども、自覚症状がほとんどないということから、慢性肝炎になったら必ず病院に行くというわけではなくて、症状が出てから受療するというのが通常でございます。したがって、病態別のキャリア数、あるいは感染している数を確実に把握するということは非常に難しいという状況が1990年代からわかっておりました。

 そこで、私ども研究班では、統一された測定試薬と判定基準によってスクリーニングが行われております初回献血者、自分が感染を知らないで献血をするという人のデータを用いまして、日本全体の感染率の把握を試みまして、それから試算をしてまいりました。これから試算される数字というのは、自分が感染を知らないでいる人ということになります。

 これらの推計に基づきまして、厚労省の肝炎対策室からも何度も報告がありますように、キャリア数の算出、あるいは患者数などを患者調査を用いて推計してまいってこられたと思います。これらの数字に基づきまして、2000年時点に300370万人ぐらいのキャリアの人がいるのではないかということで、コンセンサスを得られている数字だと認識しています。

 このキャリアの人たちを病態別に把握することは難しいことから、社会において感染を知らないでいる人と、患者さんとして病院に通院している人、あるいは感染がわかった、あるいは通知を受けたけれども受療していない人、それから新規感染という4つの分類に分けまして、それぞれの実態把握と対策を検討するのが効果的だということを私どもの研究班では提示してまいりました。

 そこで今回、2000年時点に300370万人いると仮定した場合に、2011年時点にこの人たちがどういう振り分けになってきていて、現在の課題はどこにあるのかということを考えるためにきょうは報告をさせていただきたいと思っています。

 その推計に用いました方法です。お手元の資料にありますので、あとは見ていただければと思いますけれども、先ほどの4つの分類のまず1つ目、感染を知らないで潜在しているキャリアについては、1995-2000年の350万人、2000-2006年の375万人、2007-2011年の270万人の初回献血者、それから、国が行いました節目検診の630万人のデータを用いまして推計をしております。

 患者数につきましては、患者調査、また研究班のほうで行っております統計調査の目的外使用申請における集計、あるいはレセプトデータを用いた解析から推計を行いました。

 それから、感染を知ったけれども、継続的な受診をしないままでいるキャリアにつきましては、全体から、死亡、あるいは治癒、あるいは1、2のキャリアの数を引いた数への差分で検討を行い、また、当研究班で行っております検査後に陽性と判定した人の動向調査からも検討を行いました。

 新規感染、治癒した人の数、あるいは死亡の数につきましても、ここにありますデータを用いまして推計を行っています。

 まず、1の感染を知らないでいる人がどれぐらいいるかという数の推計についてです。最初に行いました95年から2000年の340万人のデータ、それから、このオレンジの370万人、それから280万人のデータを用いて推計を行いました。日本では90年代以降、さまざまな場所での検査が推進されてきております。

 まず、2000年時点には15歳から69歳の年齢に限っておりますけれども、B型とC型を合わせまして180万人から200万人ぐらいいると推計しました。69歳以上を含めますと200万人以上いるということが推定されまして、これをもとに厚労省から300370万人というキャリア数のデータが出ております。

 次の大規模データを使いますと、2005年時点には全年齢層で合わせて170万人と、感染を知らないでいるキャリアの方はかなり減ってきています。

2011年時点にまた新たなデータで推計をし直しますと、B型とC型を合わせて77.7万人の方が感染を知らないでいるのではないかという推定になりました。2000年と比べまして感染を知らない人はかなり減ってきているということが明らかになりました。

 その原因としましては、2002年から始まりました節目・節目外検診、いろいろな場所での検査が導入されて、自分の感染に気づく人がふえたことが背景にあると思います。これは公費助成による肝炎ウイルス検査数ですけれども、2002年から2012年の間に、老人保健法、健康増進事業、その他特定検査事業などもありますけれども、わかっているだけで40歳以上で1,300万人がB型、C型の両方を受けていることがわかります。これらのことを背景に、感染を知らないでいるキャリアの方はかなり減ってきている、検査はかなり進んだのではないかということが考えられます。

 次に患者数です。患者数を知るには、国が行っております患者調査を見るというのが第一義であります。ICD-10の変更もありますけれども、過去に100万人近くいると推計されたデータから、近年に従ってだんだん減ってきております。平成23年度の新しい患者調査では、慢性肝炎は微増しております。では、23年に53万人が患者数なのかと申しますと、私の研究班では、患者調査は経過観察の肝疾患で通院している患者さんを把握するには不十分なのではないかと考えています。

 その理由としましては、患者調査というのは3年に1回の抽出調査であります。1日の抽出調査で全国の病・医院についての推計をし直すわけですけれども、最後の総患者数を計算するところで、平均診療間隔31日以上の者を除いた平均を使います。肝疾患の方は、2カ月に1回の受診とか、半年に1回の受診とか、1年に1回の受診という方が多くいらっしゃいます。そういう方がこの推計値に入っていないということ、それから、主傷病についての集計でありますので、ほかに治療を要する疾患を持っていらっしゃる患者さんはこの数に入っていないということから、患者調査による肝疾患患者数はやや少な目に出ていると考えます。実際はもっとたくさんいらっしゃるのではないかと考えております。

 次に、治癒をした方の数でございます。これは、2008年から始まりました医療費助成交付数を集計したものです。4年間で12万人、インターフェロン治療の交付申請があります。そのうちのC型について日本でのウイルス型の割合と、それぞれの著効率を算出しまして大体6割の治癒率と仮定しますと、12万中に7万人ぐらいの方が治癒されたと考えられます。2000年から2008年の数、あるいは申請を行わないで治療を受けた人も数えますと、この11年間で20万人ぐらいはいらっしゃるのではないかというような推計を出しております。

 以上のことを勘案しますと、2000年時点におられました300万人というキャリアの方は、感染を知らないまま潜在しているキャリアの方は77.7万人、死亡は、人口動態の死亡で算出しまして30万人から60万人、治癒された方が20万人、患者数が30万人よりやや多いということを考えますと、1番、2番、5番、6番を引きますと、少なくとも53万人から80万人ぐらいは、感染を知ったけれども、受診をしないままでいるキャリアの方がふえているということを明らかにいたしました。

 この数字の妥当性について別の大規模な調査からも検討を行っています。すなわち、2000年に240万いた感染を知らない人が、2011年に77万人になったわけですから、170万人の方の感染がわかったということであります。その方々が医療機関を受診したのかどうかということについてです。

 これは2012年に私ども研究班で行いました肝ウイルス検査で陽性と判定された人の以後の動向調査です。検査で陽性と判定されたにもかかわらず、「受けていない」と答えた方、あるいは陰性であると間違って認識している人を含めますと、医療機関を受診した人は3分の2です。つまり、先ほどの170万人のうちの3分の1は医療機関を受診されていないということがわかります。

 それから、医療機関を受診された人の中でも、定期的、あるいは継続的に受診している人は7割から85%ということですので、170万人中の3分の2の受診した人の中の15%から30%は医療機関を受診していないということから、先ほどの、少なくとも53万人、あるいは多くて100万人弱の方が陽性と通知を受けても医療機関を受診していないのではないかという推計と合致すると考えております。

 これは、以上申し上げたことをまとめております。

 すなわち2000年に約300万人おられました肝炎ウイルスキャリアの方は、2011年には、感染を知らない人はこのように減ってきました。死亡と治癒の方を除きますと、感染を知った、あるいは陽性の通知を受けても医療機関を受診していない(3)の人の数が非常にふえていることが現代の課題でありまして、検査を受けた後のフォローアップ、あるいは検査の通知の仕方を今後改善していく必要があるということが私どもの推計から出てきた課題であります。

 また、新規感染によるキャリアの方も、この10年間でB型、C型合わせまして2万人から3万人ぐらいいるという推計値が出ておりますので、感染予防対策も引き続き行っていく必要があると考えています。

 以上、この10年間の疫学的に見た対策については、検査はかなり進みまして、感染を知らない人の数は随分減ってきました。しかしながら、陽性と判定されても医療機関を受診していない人の数がふえてきているということを提示することで、今後の対策の一つのデータにしていただきたいと思っております。

○林会長 どうもありがとうございました。

10年前の状況とはかなり変わっているということは我々も日ごろから感じているわけでありますが、それのバックグラウンドのデータをお示しいただきました。

 前回の会議でも田中委員から、検査で肝炎患者さんであるウイルス持続保持者(キャリア)であることがわかりながら、御本人は何年かたつと陽性であるということを忘れてしまっている患者さんが多いという御指摘もございました。それに輪をかけて、実際に適当な治療の環境に入らないキャリア、患者さんが多いということで、従来は、肝炎ウイルスに感染していない方にいろいろな検査を受診していただこうということでいろいろな対策を講じてきたわけでありますけれども、それ以外に、その層に対する対策も今後かなり考えていかなければならないという御指摘ではなかったかと思っております。

 御質問等よろしゅうございますでしょうか。

○野宮委員 田中先生、大変わかりやすいスライドをありがとうございました。ちょっとだけ確認のために質問です。

 先ほど、この数値を調べる際に、長期間通っていない方はちょっと数字を省くから、数字は多少少な目に出てきますという説明があったのですけれども、最後のまとめのところの数字も多少少な目に出ていると考えたほうがよろしいのでしょうか。

○田中委員 資料をごらんいただきますと、かなり幅のある数字で提示させてもらっています。調査から得た患者数はかなり低目に出ていることから、当班で行っておりますレセプト解析、あるいは目的外使用のデータを用いて調整しておりますので、この幅に入っていると思います。

 ただ、最後の、少なくとも53万人というのは確報でありまして、患者数がふえても、少なくとも53万人はいらっしゃる。患者数が多い、少ないということに変動して、さらに受療していない人は最大100万人ぐらいまで伸びるということです。自覚症状がないということから医療機関受診を控えられている人も、近年いい薬も出てきておりますので、受療、あるいは治療継続をされるということが今後強く進められることではないかと思っています。

○野宮委員 わかりました。

○林会長 ほかに御質問。西村委員、どうぞ。

○西村委員 西村です。

 関連した質問なのですけれども、先ほど野宮さんの質問に対して田中先生から、57万人から120万人という幅のある数字で治療を受けていない人がおるということです。あとは、厚生労働省の肝炎対策推進室のほうの資料に、ウイルス検診をして、陽性者の数が出ています。24年度の分で言いますと、B型が8,985人、C型が5,749人という数字が出ているのですけれども、田中先生の報告の、大変たくさんの人が受診につながっていないということと関連しまして、2つ御質問です。

 その陽性者のフォローがどうなっているのかということを事務局にお聞きしたい。

 それから、田中先生のほうにですけれども、膨大な患者と思われる人たちが医療に結びついていないということで、検査の結果をどのように患者さんに伝えるかという方法を検討しなければいけないという御報告がありました。後ろのほうに研究の一覧があるのですけれども、よく理解できないのです。受診を促進させるための研究というのは、その後ろの研究の中のどの部分とリンクしているのかということ。

 それから、患者委員としてその研究の成果を見るのがなかなか難しいのです。専門家でしたらインターネットで会員登録してそのデータを取り寄せるということができると思うのですけれども、我々患者委員はどのようにしたらこの研究の成果を閲覧することができるのかということについて事務局と田中先生に教えていただきたいと思います。

○林会長 先に田中先生に聞いて、田中先生がわからないところを事務局のほうにお答えいただくということにさせていただきたいと思います。

○田中委員 どこの研究で行っているのかという質問についてお答えしたらよろしいのですね。

 私のほうは疫学研究班の代表研究者をしておるのですけれども、疫学はとても広い分野がありまして、そこのスライドに残っておりますけれども、感染状況の調査から、検査のところ、検査と診断のところのつなぎ、最後の健康管理のところまでを一貫して広く研究を行っております。検査の通知の方法、あるいは陽性者のフォローアップも含めた研究を行っております。

 そのほか、厚生労働省の研究班ではそこの検査のところに特化した研究班、あるいは、きょう相崎先生がお触れになると思いますけれども、フォローアップのところに特化した研究班というようにそれぞれのポイントを合わせた研究班が立ち上がっておりますので、それぞれの研究班のところで検討されていると思います。

 ただ、一言申し上げたいのは、今まで検査が進んでいないのではないかということが広く知られておりまして、検査の推進に力を入れてきたという経緯があります。きょうお話しした(3)のところの、感染がわかったけれども医療機関に結びついていない方がいらっしゃるのではないかというような話が出てきたのは近年のことでありまして、フォローアップをちゃんとしなければならないというコンセンサスが得られ始めたのも近年のことです。きょうお示ししたのは初めての数字でありますので、それをもとにさらに研究が推進される、あるいは行政施策が推進されることが望まれるのではないかと思っております。

○林会長 今まで開催の委員から、各都道府県で陽性者がわかっても後のフォローがうまく行われていないというのはいつも御指摘を受けるところです。実際のやり方は各都道府県で異なっておりますが、今回はそういうことは度外視して一応全体としての数字をお出しいただいたということになると思います。通知方法は、各都道府県、統一的な方法ではないということですね。

 あと、事務局、よろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。今、西村委員から幾つか御指摘を受けました点に関しましてお答えいたします。

 まず、今、田中委員からコメントをいただきましたこととも関連しますが、治療法がどんどん進歩していることを踏まえれば、実際に検査の結果陽性だとわかった方が近年の非常に進歩した治療にさまざまな事情でアクセスすることがないというのは、非常に大きな機会損失であると私どもも考えております。こうした非常に大きな機会の損失をできるだけ少なくするために、陽性者のフォローアップのシステムの重要性は一層増しているというように、西村委員の御指摘どおり我々も考えております。

 行政の施策といたしましては、通し番号2ページの下の資料にございます「肝炎ウイルス検査において、陽性者に対する、検査後の対応状況」で、今現在こうした状況だということをお示しし、これに関しては先ほど大賀委員からも御指摘を受けたところでございます。ここの部分の取り組みを今後ともより重点的に進めてまいりたいと行政のほうでは考えております。

 それから、もう1点御指摘をいただきましたさまざまな研究状況、どこでどのように公開をされているのかということでございます。こうした研究内容の一覧に関しましては、毎年の研究のアップデートにつきましては、厚労省の関連施設でございます国立保健医療科学院のホームページ上で順次報告をされるという形でございます。

 他方、こうした報告の内容というのが、報告書を読んでも非常に専門的な内容でございまして、研究者は理解できるけれども、患者さんが理解をしづらいという御指摘を私どもも受けているところでございます。こうした御指摘を踏まえ、私ども、各研究内容の成果を実際に報告する機会を年に2、3回設けているところでございますが、こうした報告の内容もまだ専門的でございまして、できるだけ患者さんにもわかりやすい形の報告とするよう、私どもも研究者の先生方にお願いするとともに、こうした実際にフェース・ツー・フェースの報告の場があるということを引き続き市民の方にも周知してまいりたいと考えております。

○林会長 ありがとうございました。ほか、よろしゅうございますか。

○大賀委員 大賀です。

 田中先生の報告、極めて貴重なデータだと私たちも受けとめております。今後の肝炎対策、どこが足りないのか、どういう方向に進むべきなのかということを示唆されたデータだと思っております。

 それで、厚労省の公式数字はこれまで300万から370万という言い方をされてきたのですが、今後、厚労省が使われるデータですけれども、これは変わるのでしょうか。

○林会長 どうぞ。

○井上肝炎対策推進室長 このデータに関しましてどう取り扱うか。田中委員からは、一研究者として、最近の状況というのは疫学的な知見に基づけばこうですという数字をお示しいただきました。この数字を踏まえて、厚労省が発表している推計患者数等のデータについて今後どのような変更を加えていくかということに関しましては、何人かの専門の先生方の御意見を引き続き踏まえながら判断してまいりたいと考えております。

○林会長 それ以外はよろしゅうございましょうか。

 それでは、時間もございません。またお気づきがございましたら、後で御質問を受けさせていただきたいと思います。

 それでは、次の御発表でございますけれども、本日、相崎先生に参考人としてお越しいただいております。「慢性ウイルス性肝疾患患者の情報収集の在り方等に関する研究」ということで御発表をお願いしております。よろしくお願いいたします。

○相崎参考人 それでは、よろしくお願いします。

 我々は、平成23年から25年の3年間、肝炎ウイルス性肝疾患患者の情報収集の在り方等に関する研究を行ってきましたので、御報告させていただきます。

 背景と目的ですが、国の肝炎対策としては、肝炎ウイルス検査の促進、治療促進及び診療・相談体制の整備など患者支援、正しい知識の普及、研究推進などが行われています。そのうち、治療促進に関しましては、受診者の約1割が陽性だったにもかかわらず、専門医療機関受診はHBVが約6割、HCVが7割と低値で、さらに受診したHCV陽性者のうち3割しかインターフェロンを受けていない。これらのことが田中先生の疫学班の研究からわかってきました。

 この問題点としては、肝炎ウイルス検査陽性者の情報は自治体が高度な個人情報として持っていまして、専門医療機関からアクセスすることもできないということはわかっております。そこで、研究班としては、肝炎ウイルス検査陽性者と自治体の持つ個人情報と肝専門医療機関をつなぐような研究を行ってきました。

 研究の概要です。平成23年度は、先行するHIV患者の管理システム、肝がん患者さんの登録システム、インターフェロン治療者の管理システムの個人情報管理法を参考にしました。先行する石川県、山梨県の診療連携システムを参考にし、多くの自治体が参加可能な肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップシステムを考案しました。

 そのシステムに基づき、分担研究者が所属する自治体と連携し、モデル地区を形成し、受診勧奨・調査を行いました。1年後、モデル地区においてフォローアップシステムの効果検証を行いました。それを用いて多くの自治体で利用可能な肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップシステムを構築しました。今後、全国にこのシステムを広げていきたいと考えております。

 こちらは「肝炎ウイルス検査陽性者の置かれている現状と問題点」で、比較的人口が多い愛知県の肝炎ウイルス検診の実態調査の結果です。愛知県には54の自治体がありまして、平成23年度、約3万件の肝炎検査を行いました。陽性者への告知は4割が自治体、残りは委託機関から行われまして、その方法は、単に郵送によるものが3割でして、さらに1年以上追跡しているのは1自治体のみでありました。陽性者情報は個人情報のため、自治体により陽性者フォローアップ事業に対する積極性の違いが見受けられました。人口100万を超える名古屋市などでは、ふだんから住民の医療サービスは医療機関を通じて行っていますので、いきなり手紙を送ることは難しいという話でした。また、都会ということもありまして、個人情報に関して非常に厳しい意見を持っていますので、陽性者からの苦情を心配して参加できないという話を伺いました。

 一方、非常に積極的な自治体もありまして、そちらの自治体のほうは、同意をとって陽性者の個人情報を研究班に渡すことも可能だということを言ってくれています。このような自治体のほうは、もともとそのような情報を持っていること自身を不安に思っていましたので、こういう仕組みに乗せてもらえるとうれしいという話をしていました。

 一方、研究班が3年で終わってしまった場合、その後、その個人情報はどうなってしまうのかといったことに関して恒久的な仕組みの必要性も訴えていました。

 先ほど言っていた名古屋市のほうですが、周りの自治体が動き出してきますと、そういう状態だったら、我々も初めての陽性者から同意をとって進めていく形で参加することも可能だということで、必ずしも絶対的に参加できないというわけではなく、自治体によって考え方がかなり違うということがわかってきました。

 多くの自治体では、フォローアップに伴う新たな人的・予算的な負担は難しいということがわかりました。また、石川県、山梨県と異なり、かかりつけ医、医師会などの医療機関の協力がなかなか得にくいということがわかりました。また、自治体は54もあるのですが、その地域内に対応可能な専門病院、大学がないこともわかりました。

 そこで、我々は、分担研究者の先生たちと一緒に愛知県に依頼して、承諾を得、それぞれの自治体と組みましてモデル地区を形成し、石川県や山梨県とともにモデル地区での状況を見てきました。

 陽性者のフォローアップシステムをこのように構築しました。事務局のほうでアンケート用紙、受診勧奨を呼びかける手紙、肝疾患相談室の体制リスト、専門医療機関リスト、肝臓専門医のリスト及びそれを返信するための切手つき封筒を入れまして自治体に送ります。自治体のほうで住所を記入しまして、同意した肝炎ウイルス検査陽性者に送ります。肝炎ウイルス検査陽性者からはアンケートの返送及び医学的な相談あるいは苦情を事務局のほうで受けることになります。ここでアンケート結果を解析しまして、その結果を自治体のほうに戻します。このシステムによりまして、追跡システムの人的・予算的な負担は事務局が担い、個人情報は自治体が保管することが可能となりました。

 さらに、陽性者に同意を得まして、ナンバーリングをすることによりまして、ナンバーリングをした封筒を送り、ナンバーリングした調査書を送ることで、解析結果にナンバーリングすることができますので、個々の陽性者の現状を把握することが可能となりました。

 これがそのアンケート調査の解析結果です。細かい字になりますが、ここに患者さんの番号が書いてありまして、それぞれの患者さんが専門病院を受診されているかどうか、どうしてインターフェロン治療をしないのか、そういうことがわかるようになっております。

 そのコメントを幾つか抜き出したものがこちらです。かりつけ医の先生がインターフェロンは必要ないと言うという意見や、私は高齢だから必要ない、インターフェロンの副作用が心配、定期検診を受けているのだから必要ないのではないかという71歳の男性、何と言って受診したらよいかわからない、肝機能は正常なので問題ないではないか、このようにいろいろな意見が上がってきました。

 また、意見交換会などはありませんかとか、金銭的な負担、個人の特定になり不安です、このようなことはやらないでほしいというような不満のほうも受け取っております。

 以上のようなアンケート調査から、それぞれの個人がどのような理由で治療に入らないか把握可能になりました。これによって次年度のアンケート及び治療勧奨の際にそれぞれの人にそれぞれお答えを提供できる可能性が出てきます。

 これは、人口38万人ぐらいの大きさのA市で行いましたアンケートの結果です。回収率は大体54%。いろいろなアンケートを行っても、大体これぐらい、半分ぐらいは返ってくるそうです。最終的に専門医療機関を受診したのが、そのアンケートが返ってきたうちの46%、10人程度の人にいろいろな病気が見つかっております。そのうち74%の人が治療経過を見ているような状態でした。その後、通院している人が半分、通院していない人が半分ぐらいです。通院していない理由としては、必要がないと言われたと言っておりました。

 次に、C型肝炎ウイルス検査の陽性者の結果です。この結果は、過去4年間に戻りましてアンケート調査を行っています。アンケートの回収率は大体5割ぐらい。最終的に肝専門医療機関を受診している人は43%、約30人の方の病気が見つかりました。経過観察している人は32%。現在の通院状態は、7割の人は通院していますが、通院していない人もいまして、その人の半分は、必要ないと言われたそうです。インターフェロンを受けていない人もいるのですが、その人たちは、しなくてもいいと言われた、あるいはインターフェロン治療の説明がなかったと言っています。

 以上のアンケート結果から、陽性者にいかに肝疾患専門医療機関を受診してもらうことが重要だということがわかってきました。

 初めに受診勧奨を行った1年後に再調査を行いました。アンケート結果回収率はB型肝炎もC型肝炎も半分半分ぐらいですが、返ってきた結果については、約15%がその1年の間に病院に行ったと言ってくれています。また、Bでは75%、Cでは40%の陽性者の人が今後受診する予定だと話をしています。

 こちらのほうは、さらに新規に陽性になった人へのアンケートをまとめてあります。2012年に陽性者になった人のアンケート回収率は、Bは半分、Cは100%返ってきているのですが、検診後の医療機関受診率は、B型肝炎は9割、C型肝炎は100%。症例数は少ないのですけれども、初めの告知の際にきちんと説明することが重要だということがわかってきました。

 本フォローアップシステムに係る導入費用について計算してみました。先ほどの37万人のA市に関してですが、4年間の陽性者300人を対象に見てみますと、その市でかかっている費用は1万円ぐらい、事務局のほうでは切手代とかがありまして5~6万円かかっております。これを単純に全国の自治体に換算しますと、各自治体は1万円程度で済むのですが、事務局のほうではこれぐらいのお金があれば運用可能だということがわかってきました。

 本フォローアップシステムの長所を説明します。自治体、陽性者に感染研及び研究班が専門的な立場で対応が可能です。厚労省感染研も受け皿になることで継続的な対応が可能となってきます。自治体の人的・予算的な負担を最小限にすることができます。陽性者の個人情報は基本的に自治体が管理しています。その陽性者に同意を得た上でナンバーリングすることで、個別にオーダーメードな受診勧奨が可能となります。さらに、陽性者の同意が得られた場合には、研究班が直接管理することも可能です。かかりつけ医、医師会等の医療連携が難しいような大きな都市でも運用可能です。また、専門医療機関、大学などがない地域、逆に複数の医療機関が競合するような地域でも、研究班が自治体と対応することによって進めることは可能だと思います。また、このアンケートの解析結果は、その自治体と交渉してくれた先生に帰することにしています。これによって、その地域の自治体との信頼関係を持っている地域の先生が熱心に自治体に働きかけてもらうことが本システムを動かす一番重要なところになっていますので、そのところに対して研究班のほうから大きくサポートしていきたいと考えております。また、職域検査の結果も個人情報でして、産業医は必ずしも肝専門ではないことが多いので、このような職域検診陽性者のフォローアップにも本システムは応用可能と期待しています。

 平成26年度から小地域分科会ということでさらに研究を続けております。

 ウイルス肝炎患者等の重症化予防事業のほうにことしから陽性者フォローアップ事業が入りました。この実施方法は、我々がやってきた、同意書等により本人の同意を得た上で調査票を年1回郵送し、診療状況や受診状況を調べて、必要ならば受診勧奨していく、そのような方法です。

 対象者ですが、医療機関で陽性と見つかった人、つまり、内視鏡検査とかそういうことで見つかった人や職域からの陽性者に関しても自治体に情報提供することで、まとめてフォローしていくことが可能となりました。

 フォローアップの実態なのですが、個人情報の取り扱いに留意の上、肝疾患拠点病院や市町村等の適当と認められる医療機関に委託して行っていく。ここの部分で研究班がこれをアクセレートしていければいいと考えております、

 小地域分科会では、これらの地域で分担研究者が県と話をしまして、承諾を進め、承諾を得られたこれらの地域で既に始めようとしております。27年度以降は自治体の肝炎診療拠点病院なども含めてさらに広く進めていきたいと考えております。

 これはシステムですが、4つのシステムに分けて、それぞれの自治体によって状況が違いますので、それぞれの自治体が決めて、入ってきてもらいたいと思っています。

 これは石川県の方式ですが、同意を得まして、事務局に個人情報を渡し、事務局で管理しまして、直接、個別受診勧奨を行うシステムです。

 これは、先ほど説明したA市のシステムで、陽性者にナンバーリングを行いまして、個人情報は自治体が持ち、事務局のほうでフォローを手伝う、そういうシステムです。

 また、B市のように、地域によってそこまでできないというところもありますので、これに関しては、個人情報は自治体が持ったまま、アンケートを中心にやっていくということも考えています。

 また、自治体によっては、他のグループに適当な対応グループがないということで、直接、肝炎検査陽性者と行っていきたいという自治体もあると思いますので、このような自治体に関しては研究班は助言等を行っていきたいと考えています。

 以上のように、陽性者の個人情報の取り扱いやフォローアップに伴う人的・予算的な問題等を解決でき、多くの自治体が導入しやすい陽性者フォローアップシステムを構築しました。モデル地区での検討により、本システムは有効に機能していると考えられました。本システムは、陽性者にオーダーメードな受診勧奨・情報提供が可能であると考えられます。今後、本システムをもって研究班や専門医療機関が自治体に働きかけることで本事業の発展に貢献できるものと期待しています。

 以上です。どうもありがとうございました。

○林会長 どうもありがとうございました。御質問がございましたら、どうぞ。

○小森委員 日本医師会の小森でございます。

 以前もちょっとお話をしましたけれども、石川県の医師会長を3期6年務めておりまして、石川県の肝炎疾患連携の立ち上げに随分かかわったということがございます。そういう意味で、お褒めをいただいて大変ありがたいと思っていますが、先生は通し番号30ページの下のところで「石川県、山梨県とは異なり、かかりつけ医、医師会等の医療機関の協力は得にくい」という分析をしていらっしゃるので、石川県医師会としては大変重要な課題だということで、金沢大学、石川県と何度も連携しながらこのシステムを構築してきました。

 その担当者としてお聞きしたいのですが、私が今、日本医師会という立場で、こういったものをしっかり恒久的なものにするためには、まさにかかりつけ医、医師会の協力が不可欠です。協力がなくてもできると最後にもおまとめになっていますが、私たちのほうから指導もしてまいりますので、かかりつけ医、医師会との連携が不可欠であるというような、また、それを進めるというような結論にしていただきたい。そのために、私たち日本医師会としては強力に連携・協力してまいりますので、医師会、かかりつけ医と別個にできますよという結論では我々としてはちょっと納得できないところがございます。詳細はまた別途御相談を申し上げたいと思います。

○相崎参考人 大変失礼しました。これはあくまで愛知県の場合でして、医師会の協力を得るのはなかなか難しいという判断で、このようなシステムでとりあえず自治体と専門医療機関でまず動かし始めて、そこに医療機関、特にかかりつけの先生や医師会の先生たちに入ってきてもらうことが、研究班がきちんとしっかりと機能するためには必須不可欠ということはわかっております。石川県での成功例を見ていますと、協力が不可欠というのが石川県でも示されていますので、ぜひともいろいろな自治体にそういう話を地域で進めていきたいと考えております。

○小森委員 ありがとうございます。私どもとしても、全国津々浦々の地域の医師会に、こういった事業に協力をする、あるいは中核となって作業の実行に当たるということを呼びかけてまいりますので、ぜひよろしくお願いします。

○相崎参考人 こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございます。

○林会長 それ以外にいかがでしょうか。

○米澤委員 日肝協の米澤と申します。

 今までのお話は自治体の検査における陽性者のフォローアップシステムというところでのお話だったと思うのです。角度をちょっと変えさせていただいて申しわけないのですけれども、病院・医療機関における入院時ですとか、手術前検査で陽性だった場合に、必ずしも本人には陽性であるということが伝えられていないという実態が慶應大学の加藤真吾先生の研究によって明らかになっています。この資料の42ページにも研究班の内容が明記されておりますけれども、その後、厚労省疾病対策課課長名で日本医師会会長宛てに検査の結果を患者に説明するようにとの指示が出されており、それを受けて、日本医師会が都道府県医師会に対して同様の趣旨の指示を出しているという文章がございます。

 これはちょっと角度が違って申しわけないのですけれども、患者団体といたしましては、陽性だと医療機関でわかっているにもかかわらず本人に伝えられていないという実態については、数は非常に少ないかもしれませんけれども、非常に大きな問題であると捉えております。今後、指示を出されたと。その後、どういった対策を考えられているのかというのをちょっと伺いたいのです。

○林会長 事務局でございましょうか。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 資料の通し番号10ページ、左側に16番と書いてあるところを御参照ください。今、米澤委員が御指摘の点というのは、肝炎対策基本指針の中でも、しかるべき対応をするようにということを定められている項目で、それはこの通し番号10ページの16番のところでございます。指針を改めて読み上げますと、

 国及び地方公共団体は、医療機関に対し、手術前等に行われる肝炎ウイルス検査の結果について、受検者に適切に説明を行うよう要請する。また、国は、医療機関において手術前に行われる肝炎ウイルス検査の結果説明状況等について、実態把握のための調査研究を行う。

というのが基本指針でございます。

 この指針に基づきまして、米澤委員が御指摘の、加藤研究班に御研究をいただき、研究の結果として改善の余地があるということを私どもも認識し、その認識に基づいて、これも米澤委員の御発言にありましたところの施策を打ったのがこの16の右側のコラム、実施施策のところでございます。具体的には、4月23日付の課長通知におきまして、手術前等に行われる肝炎ウイルス検査結果の受検者に対する説明の要請を私ども関係者に対していたしたというところでございます。

 米澤委員の説明は、この通知を出しただけでの対応ではなくて、さらにしかるべき対応が必要ではないか、どう考えるか、そういう御趣旨だと承りました。

 これに関しましては、もう来週、再来週という形でございますが、同じコラムのところに書いてございます、平成26年7月18日に実施されます肝疾患診療連携拠点病院間連絡協議会での通知の徹底をまず行うことにしております。

 具体的にはどういうことかと申しますと、まず、ここで指摘されている問題点となっていることを徹底するには、全国何万の医療機関がある中で、まずは全国70カ所の肝疾患診療連携拠点病院、全ての病院は総合病院で、肝臓分野の専門部門のみならず、ありとあらゆる診療科を持っております。この拠点病院の中で、まず、診療科によらず、患者さんの基礎疾患によらず、そこで把握されたウイルス感染について確実に専門医の治療に結びつく体制を組織としてつくるということを徹底する。まず、どこから始めるかというと、この70の拠点病院から始めるということを、7月18日、もう直近でございますが、再来週のこの会議において取り組もうと考えております。

 まず、この70病院で徹底するということをいたしまして、その後、さらにどのように広げていくかということに関しましては、ここは小森委員に日本医師会を代表して出ていただいておりますので、小森委員とも御相談をし、日本医師会の協力を得て、さらに幅広い医療機関で徹底をすることに努めてまいりたいと考えております。

○林会長 よろしゅうございましょうか。

○小森委員 小森でございます。

 こういった研究班の結果について、私ども、真摯に受けとめさせていただいています。今度、18日のことについては、今、室長も御案内を申し上げましたが、私自身も参加して、ともに現場、もちろん総合病院でさえも、特に他科の手術等に際する検査の結果等について問題意識が必ずしも高くないという現状があるということを踏まえ、またさらに、一般診療所、一般病院等におきましても、それがさらに徹底されていくようなシステムを、今、井上室長も御案内をいただきました。それは講習会とかいうような形になっていくのだろうと思いますけれども、そのやり方等、具体的な方策についてはこれから検討していくということになろうかと思います。

○林会長 溝上委員、どうぞ。

○溝上委員 これにつきましては、7月18日に肝炎・免疫研究センター、情報センターを中心にして実際に行うことになっているのです。それから、この下にありますように、平成23年度、昨年度からうちの是永室長が主任研究者となりましていろいろな対策をとりまして、大きな病院の場合ですと、例えばHBc抗体陽性とか、s抗体陽性とか、s抗原陽性というようなものが出れば、自動的に主治医のほうにこういうのが必要ですよというようなソフトをやっている病院がございますから、そういうものを応用して、全国70の病院に新しいソフトを入れる、それから、リバイスするときにそういうのを入れていただくような方向で現在進んでおります。そういう意味では、非常にうまくいっているのではないかと思っております。

○林会長 それ以外に御質問いかがでしょうか。

 西村委員、どうぞ。

○西村委員 29ページの上のスライドで、平成26年度に「全国に肝炎ウイルス陽性者フォローアップシステムを広げる」という目標を書かれているわけですけれども、これは先生に聞くよりも事務局に、実現性があるものかどうかお聞きしたい。それが1点。

 研究班の目標としましては、全国に肝炎ウイルス陽性者フォローアップシステムを広げるというのが出されております。大阪の実情を申し上げますと、現在どのようにしているかと言いますと、大阪府が担当しているのは医療機関委託の分の陽性者につきまして、健康増進課のがん対策グループの肝炎担当の3人の事務職員の方が電話で確認をとって、医療機関を受けていない人については医療機関を受けるようにという御説明をされていると。市町村につきましては、市町村でフォローアップをしているかどうかということを大阪府は確認しているだけで、その実態についてはよくわからないというような状況になっております。ですから、どこまでフォローアップをされているかというのが府全体としてはよくわからない。

 大阪市につきましては医療機関委託をやっておりませんので、保健所・保健センターで実施される分についてはフォローアップしている。これは件数が少ないですからできると思うのです。大体1,800人ぐらいが陽性になるのではないかと思うのですけれども、そのうち大阪府が担当しているのは500人ぐらいです。あとは市町村ということになります。

 そういう点で、大阪府に43市町村があって、府、それから政令市でこのシステムがきちっと動くのかどうかというあたり、研究班の先生としての御見解と事務局の御見解をお聞きしたいと思います。

○林会長 まず、相崎参考人。

○相崎参考人 先生がおっしゃるように、確かに人口の多い地域では非常に難しいところがあります。それで、まず愛知県で始めております。4都市では動き始めたので、どんどん推し進めたいと思っています。後ろのほうの目標のところで、さらに十数個の県で了解が得られましたので、それらの地域でモデル的に進めていきたいと考えております。大阪のほうは今後相談して進めていきたいと思っていますが、今年は、今のところまだ動いておりません。

○林会長 事務局。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 今回、相崎委員に御研究いただきました資料4の研究、23年度から25年度まで3年間かけて御研究いただいたこの成果というのは、事務局としても極めて注目をすべき意義深い研究であると考えております。先ほどの西村委員と私ども事務局とのやりとりでもございましたように、今の医学の進歩を踏まえれば、このフォローアップシステムというのは今後さまざまな施策の中でも最重要の施策の一つであると認識しております

 今回のこの相崎参考人の研究成果を踏まえ、30ページの上のスライド、工程表にあります26年度の「全国に肝炎ウイルス陽性者フォローアップシステムを広げる」は、私どもも26年度全ての自治体で全て完結できるというような楽観視はしてございませんが、どこのどういう規模のどういう状況にある自治体であればまず取り組みやすいかということを相崎先生とも相談の上で順次広げていくことを検討してまいりたいと考えております。

○林会長 ありがとうございました。それ以外に御質問。どうぞ。

○相澤委員 私、長い間、産業保健の担当をしておりまして、医師会の産業保健委員会の委員長もしております。先生の今回のフォローアップシステムはすばらしいと思うのですけれども、職域で陽性者の場合のフォローアップの仕方というのは、事業者は把握していないことが多いので、産業医が同意をとって保健所なり自治体と連絡をするといった体制をとるということでよろしいのでしょうか。

○相崎参考人 質問ありがとうございます。 おっしゃるとおり、そこの会社の産業医の先生は必ずしも肝臓が専門ではない場合が多々ありまして、そういう症例をどうするかということは確かに大きな問題です。今回始まった新しい事業のほうで、そういう職域の陽性者も本フォローアップシステムに乗せることが可能になりましたので、職域のほうからこちらの自治体のフォローアップシステムのほうに連絡をいただければ、一緒に同様にフォローしていくことが可能となります。

○林会長 ありがとうございました。それでは「その他」でございます。何件か委員の方から議題をいただいております。まず、大賀委員、岡田委員、清本委員、武田委員、西村委員、野宮委員、米澤委員から連名で出ております。時間の関係もございまして、5分程度で御説明を賜れればと思いますが、よろしくお願いいたします。

○米澤委員 では、時間もございませんので、簡単に。

 肝炎対策推進協議会に対しまして7名の患者委員より要望いたします。108ページになります。

 「ウイルス性肝臓病(肝硬変・肝がん)患者への支援について」ですけれども、この後に大賀委員からお話しする内容と重なる部分がございますので、109ページの一番最後の部分「具体的な要望事項」というところを申し上げます。

 1、2とございまして、

1.下記事項を推進して下さい。

(1)ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費の助成制度を創設して下さい。

(2)身体障害者福祉法上の肝臓機能障害による身体障害者手帳の認定基準を緩和し、患者の実態に応じた認定制度に見直して下さい。

2.担当部門への要望事項

(1)肝炎対策推進室への要望

  ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度に関する前回協議会での議論を踏まえ、検討を着実に進めて下さい。

 この「前回」というのは3月17日の協議会でございます。

 それから、

(2)社会援護局障害保健福祉部企画課への要望

  身体障害者手帳認定基準見直しに対する平成26年度に開始された研究班の検討を速やかに行い、平成27年度には新しい制度での適用をして下さい。

○林会長 それでは、重複すると思いますが、先に大賀委員の御意見を聞いた上で事務局にお答えいただくということにさせていただきます。

 では、大賀委員、よろしくお願いします。

○大賀委員 この資料では110ページから112ページの部分が私の意見です。

 八橋先生が前回の協議会で発表なさったのですが、厚労省から事前に郵送されてきた資料の中にそれを受けた形での言及がほとんどなされていないという印象を受けたものですから、委員の皆さん方、厚労省の皆さん方に、この八橋研究の調査結果の重要性というものを皆さん方にもう一度認識していただきたい、受けとめていただきたい、そういう趣旨でこれをまとめさせていただきました。

 予算も1億7,600万円かけて、3年間大変な労力をかけて、八橋先生の研究班がすばらしい結果報告書を作成なさった。それを受けた形で、厚労省はぜひいろいろな施策をさらに前進してほしいという期待を込めてまとめたものです。

 中身はもう八橋先生が発表なさいましたので、説明する必要はありません。そして、先ほど米澤さんが言われたように、結論は2つ。私たちが50万筆以上集めたさきの国会請願は残念ながら不採択になったのですけれども、私たちが強く希望している肝硬変・肝がん患者への医療費支援、そして身障手帳の交付認定基準の緩和、この2つを特に急いでほしいという気持ちで強く言います。

 九州患者友の会の会長をしておるのですけれども、私たちは200人足らずの会ですが、昨年1年間で実に11人が亡くなられました。先日、報告が来ました。111ページに紹介しておりますように、69歳の女性がC型肝臓がんで2月25日に亡くなられたそうです。御主人が本当に無念の思いで私に語られたのですが、身障手帳をとられたのですかとお聞きしましたら、主治医にも相談されたらしいのですが、なりませんでしたということでした。身障手帳の認定基準については改定の動きがあるやに聞いておりますけれども、ぜひ早く対策を講じてほしい、そのような気持ちです。これは3ぺージですので、読んでいただければよろしいかと思います。

○林会長 ありがとうございました。

 今のは主に2点だと思いますけれども、事務局から答えをいただければと思います。

○井上肝炎対策推進室長 お答えというよりも、事務局からの提案でございます。

 今回、委員の任期が一新されまして、新任の委員の中で、患者でもあられるという委員の方がおられると認識しております。特に患者として参加をされている新任の委員の方々、せっかくの機会ですので、この2点の要望に関しまして、よろしければ御自身の経験を踏まえた御意見等をいただければというのが事務局の提案でございます。

○林会長 ということでございます。御意見がございましたら。

○西村委員 私自身は、B型肝炎に感染していると言われたのが25歳で、発症していると告知されたのが37歳で、肝硬変に近いと言われました。60歳のときに肝がんが発病して、現在までに3回治療を受けて、延べ4個の肝がんの治療を受けております。

 医療費も大分高かったです。治療も、人工胸水を入れるような治療で大変苦しい思いをしまして、拷問を受けているような感じでした。そういうことを経験したことがあります。

 この要望についてはぜひ実現できるように事務局と委員の皆さんの御協力をお願いしたいと思います。

 それとあわせて、前回の会議の議事録の中で、肝硬変・肝がんの問題について清本委員の発言について事務局のほうから「次回の会合でも引き続き議題とするべしということが各委員の御意見の総意及び会長の御判断であれば、そのような形にさせていただければと思います」というお話があった。あと、溝上先生や熊田先生の発言があった後にまた林会長のほうから「ただ、先ほども御意見がございましたように、きょう結論が出るわけではございませんので、次回もちろんこのことについては継続して討論をさせていただく予定にすることについては、ここで決めさせていただきますけれども、それを踏まえて御意見をお願いします」というふうに会長さんが結んでおります。次回も引き続いてということなのですけれども、前回の宿題がこのように出ているのにきょうの中で議題になっていない。委員からの意見ということで取り上げられておりますけれども、前回の議事を踏まえてぜひ議題として取り上げていただきたかったと思っております。

○林会長 それ以外によろしゅうございましょうか。

○岡田委員 皆様、こんにちは。前任の有川さんと交代いたしました岡田と申します。よろしくお願いいたします。

 ここで簡単な自己紹介と要望や思いなどをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 私は、B型肝炎を発症して9年がたつのですが、核酸アナログを5年間服用した後、一昨年、インターフェロンを併用しながらお薬をやめることができました。しかし、治療していた1年間の間、倦怠感や脱毛、甲状腺機能の異常などの副作用に苦しめられました。激しい動悸とめまいで満足に歩くことができない自分が情けなく、精神的にもつらい思いをいたしました。

 インターフェロンの終了とともに副作用に対する助成もなくなりましたので、何ともやるせない気持ちで過ごしておりましたので、現在、助成がない、より重篤な肝硬変・肝がん患者の苦痛を思いますと、一刻も早い支援が必要であると思っております。

 私たちB型肝炎の原告団・弁護団は、ことしに入ってから、日肝協、薬害肝炎原告団・弁護団とともに、肝硬変・肝がんへの医療費助成などを求める請願署名に取り組みまして、4カ月で52万の署名を集め、200名以上の国会議員の先生方に紹介議員となっていただきました。また、昨年秋から署名と同趣旨の地方議会意見書に取り組みまして、現時点では396の自治体で意見書を採択していただきました。

 そこに住む人口は、先日、1億人を突破いたしました。肝硬変・肝がんへの医療費助成は多くの国民の皆様に理解していただける肝炎対策であると確信しております。八橋班研究の結果を受け、肝硬変・肝がんの医療費助成が検討され始めたこの時期に、肝炎対策推進協議会の委員となったことに重責を感じるとともに、身の引き締まる思いであります。

 ウイルス検査の普及、肝炎の正しい知識の教育・啓発、肝炎治療体制の整備など、医療費助成以外の肝炎対策につきましても、患者委員として建設的な意見を持って協議会に参加していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○林会長 ありがとうございました。それ以外はよろしゅうございましょうか。

○米澤委員 新任の米澤です。

 私自身はC型肝炎の患者で、6年前にウイルスを排除できております。1年半の長い闘病の末、途中で会社をやめたりとかということもありましたけれども、現在は元気に患者活動を行っております。

 私自身は、国の医療費助成のお世話にはなっておりませんが、東京都の医療費助成に半年間お世話になりました。

 今現在の活動といたしまして、日肝協では、東京の事務所において毎日電話相談を受けております。これは全て肝炎患者からの電話相談になりますが、1日10件以上の電話相談があります。私自身も毎日相談に出ております。その中で、インターフェロンを使える患者さんは医療費助成があって、治っていっていいよね、肝硬変・肝がんの私たちはどうなるという肝硬変・肝がんの患者さんからの言葉、肝硬変・肝がんの患者さんからの思いを毎日毎日聞いております。ですので、先ほど私が申し上げた要望事項ですけれども、ぜひぜひ御検討いただきたくお願い申し上げます。

○林会長 どうぞ。

○野宮委員 私はC型肝炎で、治療に関しては24週間のころのイントロンとリバビリンの治療が終わった後に、今度はペガシス+コペガスの48週を治療して、今のところはウイルス学的には著効して定期観察している状態です。

 原告団の中にもいっぱいしますし、私が個人的に出会ったC型肝炎の患者さんとか、B型肝炎の患者さんを見ていると、私が初めて肝臓のほうで入院したころ、11年ぐらい前になるのですけれども、そのころから肝硬変・肝がんの患者さんと出会うことがあって、やはり口々に言うのは、自分たちは悪いことは何もしていないのに何でこんな病気になってしまったのだろうという気持ちがすごく強くて、亡くなっても、無念だったなというような感じがすごくあります。

 私自身もインターフェロン治療して物すごいものを失ったことはあるのですけれども、それ以上に失った人たちの肝硬変とか肝がんの患者さんのことを考えると、せめて医療費とかに関しては少し手助けできないのかなという気持ちはすごくあります。根本的には、正直、何でこんな病気にかかったのだろうというのがすごくあると思うのです。それはなぜなのかというのはいろいろ理由はあるかと思うのですけれども、そのようなことも出て、できたらそのように助成とかをお願いしたいという気持ちはすごくあります。

○林会長 どうもありがとうございました。

 それでは、次に進ませていただきます。

 最後でございます。事務局から肝炎関係研究事業及び普及啓発事業について御説明をよろしくお願いします。最後に、一般の御質問がございましたら、もう少しお受けさせていただこうと思います。よろしくお願いします、

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。時間が限られておりますので、簡略に申し上げます。

40ページから45ページまでの資料5。これは、今年度行われた肝炎関係の研究事業の概要の一覧でございます。ここでは概要のみでございますが、詳細につきましては、先ほど申し上げましたように、国立保健医療科学院のホームページ上に順次掲載をされる予定でございます。また、一般の市民にももう少しわかりやすい広報の仕方を検討してまいりたいというのも先ほど申し上げたとおりでございます。

 次に、46ページから48ページの資料6でございます。今年度の普及啓発事業についての御報告でございます。肝炎総合対策推進国民運動事業といたしましては「一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けよう」という言葉をキーワードといたしまして、今年度もさまざまな取り組みを進めて参ります。まず、手始めのキックオフのイベントを直近の7月22日に予定しているということでございます。

 あわせまして、48ページは、公益財団法人ウイルス肝炎研究財団の御協力を得まして、ACジャパンにこうした形の一般の普及啓発をCMとして流していただいているという御報告でございます。以上、手短でございますが、御報告でございます。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、時間になりました。最後に御質問、御意見等があればお伺いします。

○米澤委員 時間もありませんので、簡単に申し上げたいと思います。

 冒頭に林先生からC型肝炎の新薬についてのお話がございました。C型肝炎の新薬について、きょう、熊田先生は御欠席ということで直接お話を伺えないのは残念なのですが、7月4日にダグラタスビル、アスナプレビルという経口剤が承認されました。この治療法について2点御質問があります。

 1点目は、耐性変異の問題があるということで、既に幾つかの医療機関においては事前検査が実施されております。この治療を受ける上で事前検査は必須となるのかどうか。これが1点目です。

 もう一つは、必須だとしたら、誰もが、どの患者もが同じ費用で事前検査を受けられるようになるのか。これは、遺伝子検査ということで、以前、厚生労働省からも保険適用は困難であるというような回答をいただいたことがございますが、この2点について、どなたでも。

○林会長 どうぞ。

○溝上委員 私はこの治験に参加していませんから詳しいことはわかりませんが、先に報告された論文では、耐性遺伝子検査をやって、耐性株が存在しても50%は効いていますし、50%は効いていません。それから失敗した人には、治験前に耐性株は無くても治験後新しい耐性株が出ています。したがって、この新しい耐性遺伝子検査が必須であるということはこの論文からは読み取れないというのが私の意見です。

○林会長 今のところ、肝炎検査については義務づけられないと思います。ということは、基本的にはその検査が保険等で支払われることはないということになります。基本的には、測定計についてはできておりますので、この薬剤が認められる9月の時点で、医療機関等でその検査会社にオーダーすれば、Y93L31D168の併用については測定は可能でございます。

 肝臓学会は、今、ガイドラインの改定を行っていますが、そのことについては明確に肝臓学会のガイドライン上には記載をさせていただく予定にしております。だから、発売までに肝臓学会のホームページ上にはC型肝炎の指標のガイドラインについてはアップロードいたします。ただ、今のところ、それを義務づけるかどうかについては、厚労省のことなので、学会としてはそれは対応できません。学会としては、一応、その時点までにわかったことをもとにして、学会の考えをホームページ上にはオープンにさせていただきたいと思っています。それでお答えになっているでしょうか。

○米澤委員 はい。

○林会長 基本的には必須化はされない。

○米澤委員 必須ではないと。

○林会長 ないということについては間違いないと思います。私は厚労省の立場ではないのですけれども、そうなるということについてはまず間違いないと聞いております。

○米澤委員 わかりました。

○林会長 よろしゅうございましょうか。

○大賀委員 一応、求めたほうがいいですか。

○林会長 どうぞ。

○井上肝炎対策推進室長 今の林会長の説明で基本的には尽きていると思いますが、補足して事務局のほうから申し上げます。

 医薬が実際に患者さんに使われるプロセスの中では、特に肝炎治療期においては、4つの異なる組織が異なる観点からそれぞれ規制をかけております。これは患者さんの安全のためです。

 1つは、薬事承認で、有効性・安全性の観点から、この薬はどういう症例においてどういう検査をした場合にどのように使うことが有効・安全であるという薬事承認の定めがあり、これは米澤委員がおっしゃったように、7月4日、薬事承認が下りたということは周知のことでございます。

 現段階ここまででございまして、この後さらに3つのプロセスがございます。

 2つ目のプロセスは、これは保険収載、保険適用という形で、これが日本の公的な保険の中で扱うにはこういうあり方であるという定めがございます。

 3つ目は、それとほぼ並行しますが、専門家集団である日本肝臓学会が恐らく今後お出しになるガイドラインで、専門医としての観点から、こうした薬事承認、保険適用を踏まえた上で、さらにこの薬はこうした使い方をするべきであると。これは強制ではございませんが、非常に重きをなすガイドラインがございます。これはこれからでございます。

 こうしたものの上に立って、今度は、これは私ども事務方の仕事でございますが、実際にこの薬が臨床現場で使用されるにおいて、患者さんの医療費自己負担を、こういう基準でこういう使われ方をした場合にこういう手続で助成しますということがございます。これは、それぞれ違う組織が違う専門性、違う観点から4つ並んでおり、今、御紹介がありましたダグラタスビル、アスナプレビルという新薬につきましては、4つのプロセス中の1つが済み、残りの3つがこれから進むという状況でございます。

 私どももその4つのプロセスの中の1つを担っている事務方として申し上げれば、この薬について、先行する3つの基準を踏まえ、臨床上この薬を必要とする患者さんに対してできるだけ幅広く医療費の助成を検討するためにはどうしたらいいかということに関しまして、これは肝炎治療戦略会議という会議で臨床の専門家の意見を踏まえて今後プロセスを定めてまいりたいと考えております。

 そうした中で、米澤委員を初め、患者さん側がどのような希望・期待をしているかということを踏まえた上で、事務局として今後4つのプロセスを。そのうち、私どもが担当しているのは1つですが、残りの2つのプロセスを注視していった上で4つ目のプロセスを進めてまいりたいと考えております。

○林会長 少なくとも使用できるまでついては、先ほどの4件については全て文章がオープンになりますので、そのことについては非常に明確できると思います。それをごらんいただいて対応をおとりいただければいいのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○大賀委員 先生、それはいつごろまでと思っていたらよろしいのでしょうか。

○林会長 先ほど申しましたように、少なくとも実際に保険点数がついて使用ができるまでに先ほどのものについては全てオープンになります。それで患者さんが使われるときにはお困りにならないわけです。少なくとも保険点数がついて、保険上、使用できるまでについては、先ほど事務局から御説明がありました4点については、当然のことながらオープンになりますので、それをごらんいただければいいのではないかと思います。

 少なくとも実際に患者さんがお使いいただく前に先ほどの4点については全てオープンになりますので、実際に使われるときにお困りになることはないと我々は思っています。

○米澤委員 わかりました。

○林会長 ほかは御質問よろしゅうございますでしょうか。

○武田委員 私の場合は、医師から、今回のはしないほうがいいだろうと言われているのですけれども、もっと先に、副作用が少ないというか、今後出るであろうというのはいつぐらいになるのですか。

○林会長 それも私が公式にお答えできる環境にはありません。それはもちろん主治医の先生が十分御存じだと思いますので、お聞きいただければと思います。

○武田委員 わかりました。

○林会長 どうぞ。

○西村委員 時間が過ぎており、恐縮なのですけれども、会長さんにお聞きしたいのです。

 去年とおととしと予算編成に当たって、予算要望に関係する意見書を出しておりますけれども、ことしはお出しになる予定はあるのでしょうか。

○林会長 これは、事務局、いかがですか。いつも8月の前に委員の方にお聞きしているのですが、今年の対応はいかがいたしましょうかということだと思います。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 実際に昨年度は、肝炎対策推進協議会から厚生労働大臣に対して、次の年度の予算要求編成に当たっての要望書が出たという経緯がございます。それを今年度、つまり来年度の予算要求に当たってどうなさるかということは、肝炎対策推進協議会の御判断ですので、事務局がやってください、あるいはやるべきでありませんということを申し上げることではございません。協議会の御判断に委ねるべきことだと考えております。

○林会長 これは、例年のようにやらせていただいたほうがいいという御意見でしたら、今からだったら間に合いますね。

○井上肝炎対策推進室長 協議会の判断ではございますが、実際のプロセスとしては、昨年においても、一昨年においても、協議会の委員の皆様から、これをするべきだという意見が上がり、実際にその意見をそれぞれの年の7月の時点の協議会で議論をした上で、その議論を踏まえて協議会としての取りまとめがなされたということがございました。

 今回のこの協議会では、委員の方々から、それをするべきだという御提案なり、こういう要望書でどうかという要望書案なりの御提示がなかったというのが私の理解でございます。

○林会長 実は、今日会長が決まったので、それについては。だから、今の時点でまだ間に合うのであれば、皆さん方の意見を例年どおりの対応をとるということは可能。しかし、厚労省の予算の編成までにどのくらいの時間的な余裕があるかということになるかとは思います。

○井上肝炎対策推進室長 あくまでもこの協議会の御判断ですが、事務局として申し上げれば、プロセスの問題として、今回のこの場で委員の皆様から要望書案として資料が上がっていなければ、実際、プロセス上、協議会としての意見をまとめることは難しいのではないかと事務局としては考えております。

○林会長 ただ、今回、先ほど要望書が出ておりますよね。だから、原則上、事務局のほうに原案をまとめていただいて、それを各委員に回させていただいて、それで御了解が得られれば、それをこの委員会の要望書として出すということは可能だと思いますが、各委員の皆様、それでよろしゅうございますか。今から事務局でつくった原案を各委員に回すというのは恐らく時間的に無理だと。

○伊原総務課長 よろしいですか。

○林会長 どうぞ。

○伊原総務課長 健康局の予算を取りまとめている、総務課長の伊原です。

 予算に関しましては、協議会のほうから御要望をいただいても結構ですし、あるいは、今日のこの参考資料7で患者委員の方々からいただいております。具体的な要望としてもはっきり2つ書かれております。これについては我々も来年度の予算要求を考える中でちゃんと要望を受けたということで、当然考えるということは当たり前のように認識しております。

○林会長 そうすると、先ほど多くの意見がございました。具体的な要望が2点ですので、きょう委員の先生方に御異存がなければ、この肝炎対策推進協議会からの要望として出させていただくということでよろしければ、それはそれでうまくいきます。それでよろしゅうございますでしょうか。

 御反対がなければ、そういうことで事務局のほうは対応をとっていただいてよろしゅうございましょうか。

○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。

 ただいま林会長の御提案のもとで、協議会としてのコンセンサスが得られたと私は理解いたしましたので、そのように進めさせていただきます。

 具体的な文言の詳細につきましては、提出された資料を踏まえ、会長御一任という形でよろしゅうございますでしょうか。それに関しましても、一応、確認のためにこの場で御議論いただければと思います。

○林会長 よろしゅうございますでしょうか。一応、先ほどの文章をもとにして文章をおつくりいただいて、私、目を通させていただいて、肝炎対策推進協議会からの要望ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

 西村委員、どうぞ。

○西村委員 会長一任ということで結構なのですけれども、出される前に、一応こういうことに決まったということは委員の皆さんにお知らせいただきたいと思います。

○林会長 もちろんそれぞれの委員にはメールでまたお送りさせていただきます。当然のことだと思っております。よろしゅうございますでしょうか。

 では、そのようにさせていただきます。

 それでは、時間が少しオーバーいたしまして申しわけございませんが、本日はどうもありがとうございました。また今後ともよろしくお願い申し上げます。


(了)
<本件に関する問い合わせ先>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

新川智之: 代表電話: 03-5253-1111(内線2948 )

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