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2014年6月23日 第2回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成26年6月23日(金)10:00~12:30


○場所

厚生労働省19階 共用第8会議室(国会議事堂側)
千代田区霞が関 1-2-2


○出席者

    増田部会長、大山部会長代理、石井委員、磯村委員、岩瀬委員、喜田村委員、木間委員、斎藤委員、西沢委員、吉山委員

○議題

(1) 日本年金機構の平成25年度及び第1期中期目標期間の業務実績に関する評価基準(案)の修正について
(2) 国民年金保険料の収納対策及び厚生年金保険の適用・徴収対策の現状と課題について
(3) 年金記録訂正手続の創設について
(4) 年金記録問題への取組について
(5) その他

○議事

○梶野年金事業運営推進室長 それでは、ちょっと早いですけれども、皆さんおそろいですので、ただいまより第2回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 まず、本日は全員御出席でございます。

 それでは、議事進行につきましては、部会長よりお願いいたします。

 カメラはここまでで、退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

○増田部会長 それでは、議事に入ります前に、先般「政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立いたしましたので、厚生労働省からこの点について御報告いただきたいと思います。

 お願いします。

 

○樽見年金管理審議官 年金管理審議官でございます。おはようございます。

 今、部会長からお話がありましたとおり「政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律」、大変長い名前でございますので、私ども「年金事業運営改善法」と略称いたしておりますけれども、今月の初めに国会で可決していただきまして成立いたしました。

 内容といたしましては、もう御案内のとおり、国民年金の保険料の納付率を向上させるための対策、それから、年金記録問題への取り組みということを踏まえまして、年金記録を訂正するための恒常的な手続を創設する、それから、それに関しまして、例えば過去の事務処理誤りによって保険料納付の機会を失った方に対する保険料を納付させる措置といったようなものを内容にしているものでございます。

 この年金事業管理部会となりましたのは今年からで、前回からでございますけれども、それ以前の評価部会あるいは年金記録問題に関する特別委員会、そうしたところで御議論いただいたことを踏まえましての法律改正でございましたけれども、無事に成立ということになったところでございまして、この機会に改めて、これまでいただきましたお知恵に関しまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 また、この法律のこれから施行ということが、今年の10月以降、内容によって施行時期が若干異なりますけれども、次々と生じてまいります。そうしたことにつきましても、また引き続き御指導賜れればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 簡単ではございますけれども、御報告と御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。

 

○増田部会長 それでは、議事のほうに入りたいと思います。

 初めに、議事の1番目であります日本年金機構の平成25年度及び第1期中期目標期間の業務実績に関する評価基準(案)の修正についてであります。

 この件については、前回の当部会、4月25日でありますが、前回の当部会で御審議を1度いただきました。委員から修正の御意見をいただきましたので、事務局で所要の修正を行って、本日、その修正案について再度お諮りするものであります。

 それでは、事務局から説明をお願いします。

 

○梶野年金事業運営推進室長 それでは、資料1をごらんください。資料1は、前回の資料も出ていましたけれども、2つの評価基準案、1つは第1期中期目標期間の評価基準案、それからもう一つは、単年度の平成25年度の評価基準案について、これは過去の基準案とも比較した資料でございました。

 この4ページ目をごらんください。4ページ目ですけれども、下の紫色のほうが第1期中期目標期間の評価基準案ということでございましたけれども、前回の御審議の中で、もう少し法律に沿った書きぶりにという御指摘をいただきましたので、今回修正しております。見え消しですけれども、詰まるところ、前回は、この適用のところですが、加入指導を実施したかというところが強調されています。その文言で最後終わっていたわけですけれども、今回、法律にのっとって、要は、マル1としては適用をしていくのか、「促進を図ったか。」ということで直接的に書きぶりを修正しております。それがマル1です。要は、未適用事業所については適用の促進を図ったか。マル2は、既に適用されている事業所について、適正な届け出を促進するため、その事業所の「事業所調査や指導、厚生年金特例法に従った対応を行ったか。」と書きぶりを修正しております。

 以上でございます。

 

○増田部会長 ただいまの説明内容でありますけれども、あと、この点について御意見とか御質問ございますか。これでよろしゅうございますか。

 前回で積み残していたというか、もう一度確認するのは今の点でございますが、よろしゅうございますか。

 どうぞ、磯村委員。

 

○磯村委員 前回も確認したところ、それはその都度適宜加えていくのだという話だったのですが、1つだけ、どうしても、次の第2期への基準の足掛かりをつけておくという意味からも、2ページの紫色、一番下の(5)のところ「その他」とあって、いろいろあるのだろうと思うのですが、その中でも「特に基礎年金番号の整備も含め」と追加していただけると、後々非常に安心感が増えるかと思うのです。

 実は、この基礎年金番号の整備についてはかねがねお願いしておったのですが、今は重複付番の整備だけが重点的に行われていて、それ以外の整備についてはまだ余り手がついていないように見受けられます。ちなみに、きょうも配られております資料4-2を見ますと、待機者が記載されていないのにもかかわらず、基礎年金番号と住民票の紐付けができていないものが398万件もございます。ということは、重複付番もあるだろうし、逆に住民票がたくさんあって、基礎年金番号の少ないものもあるのではなかろうかと思われますので、こういったことの整備も含めて、ひとつぜひお願いしたいなと。特に、マイナンバーがもう来年の10月からということになりますね。そうすると、もう今から十分考えておかなければならないと思いますので、ぜひこの辺、御勘案いただければと思います。

 以上です。

 

○増田部会長 今おっしゃった文言は何とおっしゃいましたか。基礎年金。

 

○磯村委員 「基礎年金番号の整備も含め記録問題の解決」。

 

○増田部会長 「基礎年金番号の整備も含め」ということで、それを特出ししたいということですか。

 

○磯村委員 できましたら。

 

○増田部会長 いかがですか、今そういう御意見がございましたが。

 

○梶野年金事業運営推進室長 事務局としては、重複付番対策は重要な施策の一つでございますので、その修正で大丈夫です、オーケーです。

 

○磯村委員 済みません、念のため。「重複付番対策以外の部分」も大事だと言っているわけです。

 

○梶野年金事業運営推進室長 はい。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○樽見年金管理審議官 むしろ、まさに先生おっしゃいましたけれども、マイナンバーに対する対応というものがこれから数年の間に必ず出てまいりますので、それとあわせまして、基礎年金番号の整備という点をしっかり心して取り組むという趣旨と受けとめさせていただきたいと思います。

 

○磯村委員 はい。よろしくお願いします。

 

○増田部会長 いかがいたしますか。ほかの委員の方はいかがですか。よろしゅうございますか、今の文言をつけ加えるということで。

 そうしましたら、今の2ページの紫のところですね、1の(5)のところでありますが「その他基礎年金番号の整備も含め」という形で文言を追加するということにしたいと思います。

 先ほどの事務局から説明がありました(2)のほうの修正、そちらも御了解をいただいたと思いますので、それでは、その2カ所訂正することにして、この基準案のほうは確定させたいと思います。

 それでは、議事の2番目でありますが、国民年金保険料の収納対策及び厚生年金保険の適用・徴収対策の現状と課題について、こちらであります。

 それでは、事務局から、これは資料2だと思いますが、資料の説明をお願いいたします。

 

○大西事業管理課長 年金局の事業管理課長でございます。よろしくお願いいたします。

 お手元の資料2-1、2-2、それから、参考資料という3点ございまして、それのうち、もっぱら資料2-1を中心に御説明したいと思っております。

 表紙をおめくりいただきまして、2枚おめくりいただきますと、国民年金保険料の納付率等の推移というグラフがございます。近年をごらんいただきますと、昭和61年のほうからずっとつながっているのが現年度保険料の納付率ということで、当該年度の保険料を当該年度にどれぐらい取れたかということの指標でございますけれども、直近の平成25年度が60.9%、それから平成23年度の最終納付率が65.1%ということで、現年度納付率につきましては2年連続の改善、それから、最終の納付率につきましても今回、一部改善をしているということでございます。

 この現年度納付率の関係につきましては、お手元の資料2-2のほうに少し詳しい資料、きょうのこの部会にあわせてプレスリリースした資料をお手元にお配りさせていただいております。表紙は今の内容と同じですので、ちょっとおめくりいただきまして、2枚目の概要という資料の裏側に「平成25年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について(概要)」という表題の資料がございます。今、申し上げましたけれども、平成23年度分の最終納付率が65.1%、これは、平成23年度時点での23年度分の保険料が58.6%ということでございましたので、プラス6.4ポイントの改善になってございます。それから、平成25年度の現年度納付率が60.9%ということで、前年度と比べましてプラス1.9%ということでございます。これらの目標につきましては、ほかの資料にちょっと詳し目に書いておりますけれども、要するに日本年金機構が掲げている中期計画期間中の目標、あるいは各年度の年度計画中の目標をおおむね達成しているという状況にございます。達成できていないのは、実は、1行目のプラス6.4ポイントというところが、目標では6.5ポイントになっていましたので0.1届いていないのですが、それ以外の目標につきましては、全て目標を達成することができたという結果になっております。

 この資料に沿いましてもう少し御説明しますと、1つは、年金事務所ごとの納付率ということで見ますと、312事務所中311の事務所で前年度より上昇していた。それから、全ての都道府県で前年度より改善していた。それから、この改善の状況を詳しく後ろの資料等で説明しているのですが、大きなポイントで申しますと、1つは、若年世代、若い世代の納付率が大幅な改善を見ております。資料1を1枚おめくりいただきますと資料2というものがついていまして、その6ページ目が、納付率に影響を与える背景等についてという資料がございまして、これが、グラフが、横軸に年齢階級をとっていまして、縦軸に納付率をとっているグラフになるのですが、若い世帯の納付率が平成25年度においてはかなり、前年度51.3%から56.3%と表に載っていますけれども、5ポイントの改善。他のどの年齢階級でも若干ずつ上がってはいるのですけれども、特にこの若い世代の上がり幅が大きかったというのが今回の特徴になっております。

 それから、この資料の中でも、おめくりいただきませんけれども、関連で申しますと、大都市圏、政令指定都市での納付率の改善状況が大きかった。あるいは東京とか大阪、千葉といった地域での改善幅が大きかったということで、いずれも若い世代の納付率が改善していることと関連があるのかなと考えております。

 こうした改善要因の一つとして私どもが考えておりますのが、特別催告状という、強制徴収に至る一歩手前のところで、何度も繰り返して、納めてくださいということをお願いしても納めていただけない方に文書をお送りしています。この特別催告状の取り組みを今年度大幅にふやしておりまして、そういった効果があろうかと考えております。後でその資料も出てくるかと思います。

 以上が、平成25年度の納付率を、非常に駆け足で恐縮ですが、本日付で発表させていただいたというものでございます。

 本体の資料にお戻りいただきまして、資料2-1の納付率のグラフの後、収納対策のスキーム(概念図)というものがございます。国民年金保険料の収納対策の全体像を1つのページにおさめるとこのような形になろうかと思います。

 一番左のほうに、納めやすい環境づくりの整備ということで、口座振替ですとか、クレジットカードですとか、コンビニ、インターネット納付といったような多様な納付手段を提供するというような取り組みをしております。それから、それでも未納の方に対しましては、市町村からの所得情報に基づきまして、免除の対象になるような方には免除をお勧めする、あるいは納付が必要な方には納付督励というものを、市場化テストによる外部委託ということで、民間事業者を活用しまして納付督励を文書、電話、戸別訪問というような形でお願いすると。その度重なる督励にも応じていただけない方は、この資料の右上のほうになりますけれども、強制徴収の実施ということで督促等を行うというような取り組みをしているということです。

 それから、ページの一番下のほうにございますけれども、全体にかかわる問題として普及・啓発活動ということで、広報等に努めているというような取り組みをしていると。これが収納対策の全体像ということでございます。

 その次の3ページ目には、その辺の収納対策の実績をお示しした、ここ5年間の推移をお示ししておりますけれども、被保険者数が減少する中で、納付月数もそれに応じて若干減少しておるわけですけれども、一方、免除を受けている方が少しずつ増えているというような傾向がございます。それから、強制徴収という対策につきましては、平成25年度、大幅に強化しているというようなところがごらんいただけるかと思います。

 次の4ページ目は、未納者の方への対応をフロー図で示しております。納期限までに納めていただけない方には、民間委託事業で市場化テスト業者に納付督励をしていただいているということでございます。先ほど御説明しました特別催告状というものが、この中でも年金事務所がみずから実施して、かなり厳しいお手紙で、ぜひ納めてくださいというようなことをお願いする。それでも応じていただけないという方に、最終催告状、督促、それから、財産調査の上の差し押さえといった手続の流れになってございます。

 次の5ページ目以降は、年金保険料の徴収対策につきましての最近の検討経過ということでございます。もともとは、消費税の引き上げ等を内容とする税制抜本改革の中で不足検討規定が明記されまして「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し実施せよ」というような御指摘があり、それを踏まえて内閣官房のほうで検討チームが設置され、その検討チームで昨年8月に取りまとめられました論点整理を踏まえて、社会保障審議会のもとに専門委員会を設置しまして、その専門委員会で報告書を12月に取りまとめていただき、その報告書を踏まえた形で、予算案及び、冒頭御説明しました法律案というものを国会に提出させていただいたという大きな流れでございます。

 その中で出てきます今年度の取り組みとしましては、7ページ以下、数ページにわたって対策がございますけれども、1つは、7ページ目の一番上にございます、納付率向上策の中でも督促の促進というようなことで、今年度におきましては、所得400万円以上、かつ未納月数13月以上全ての滞納者に督促を実施するといったことを初めとして、さまざまな予算措置というもので、次の8ページなどをごらんいただきますと、口座振替の利用を案内していただいた市町村に対しましては、口座振替促進手数料というものをお支払いしているのですけれども、その単価を100円から500円に引き上げるというようなソフトの面での対策というようなことも織りまぜまして、法律に掲げた事項とこの予算に盛り込んだ事項というものを今年度から取り組んでまいりたいと考えてございます。

11ページ目が、法律の中で盛り込まれております国民年金の収納関係の取り組みということで、納付猶予制度の対象者の拡大、それから学生納付特例事務法人制度の見直し、保険料納付機会の拡大、あるいは国民年金保険料の全額免除制度の見直しというような措置を講じているところでございます。

 これらの措置によりまして、12ページ目ですが、現在の中期計画、新中期計画の中で現年度納付率については60%台半ばを目指す、それから、最終納付率につきましては5ポイント程度の伸び幅を確保するという目標を掲げまして、この達成に向けて取り組んでいくということをやっていきたいと考えております。

13ページ目は、参考として、今回の法律案を可決・成立いただきました参議院厚生労働委員会で附帯決議というものがなされておりますけれども、ここに書いてありますような広報の充実等々について御指摘をいただいているところでございます。

 以上が国民年金関係の取り組みの概要でございますが、続きまして、15ページ目から、厚生年金のほうの適用・徴収対策ということでございます。

1718ページ目が、全体のデータ的、数値的な部分をまとめたものでございますけれども、厚生年金につきましては、適用事業所数が最近微増傾向にありますけれども、170万から180万あたりにあるということで、被保険者数は、公的年金全体の被保険者数は減っているところですけれども、厚生年金の被保険者数は微増傾向にあります。一方で、3段目にあります適用調査対象事業所数といいますが、これは、適用事業所となる可能性がある、現在の時点ではまだ入っていただいていない事業所の数でございますけれども、近年では、後でも御説明します関係機関との連携によりまして、事業所に関するデータをあちこちから集めて、それに基づきこういうものを把握しようとしていることでございまして、直近38万事業所ということで大幅にふやしているところでございます。

 また、その後の表の下のほうですけれども、それらの事業所に対しては、さまざまな適用対策というものを外部委託ないしは年金事務所みずから実施しているといったあたり、それから、表の一番下になりますけれども、事業所調査の事業所数ということで、ここも近年大幅に強化して取り組んでいるというようなところを数字で見ていただければと思います。

 それから、次のページが、18ページ目ですが、こちらが保険料の収納状況ということで、上から5段目のほうに保険料の収納率というものがございますけれども、98.1%と、おおむね98%台でここのところずっと推移しているというような状況にあるということでございます。

19ページ目、20ページ目が、今度は、先ほどの国民年金と同様、業務フローということになりますけれども、適用に当たりましては、上のほうにあります厚生労働省の情報以外にも、雇用保険ですとか法人登記簿、それから関係機関からいただいた情報提供等々をもとに、外部委託を活用した加入勧奨ですとか、年金事務所みずから来所あるいは訪問して指導することによって、適用のための届け出を出していただくための事務を行っております。

 それから、20ページ目は、そうして適用した事業所におきまして、保険料をどうやって納めていただくかということですけれども、納期限に納められない場合には、ここにありますような納付特例というものを繰り返し行った上で、最終的には差し押さえに至ることもあるというような収納業務の流れというものをお示ししております。

 それから、21ページ目が、関係機関との連携ということで、厚生年金につきましては、事業所は、絶えず新たに新設されたり、廃止されたりというようなことを繰り返しておりますので、それをどうやって把握していくかというのが課題になっておりまして、現在では、地方運輸局の関係で、貨物自動車とか旅客自動車運送事業者というような業界、あるいは建設業者の関係、それから、都道府県労働局のほうでは、労働者派遣事業の関係、そういったものについて情報提供をこれらの機関からいただきまして年金事務所での加入指導に生かしているというようなことでございます。

 それから、22ページ目以降が、厚生年金のほうの今年度以降の取り組みということでございます。22ページ目は、平成26年度予算の中からの抜粋ということでございますけれども、法人登記簿情報の活用によって把握した適用調査対象事業所に対しまして、今後5年間で集中的に取り組むということで所要の経費を盛り込んだというようなところでございます。

 それから、国税庁から稼働中の法人情報というものを御提供いただきまして、それを適用対策に活用するということを考えております。国税庁の関係は、ページを飛ばしておりまして恐縮ですが、27ページ、国税庁からの稼働中の法人に関する情報の入手という資料がございますけれども、源泉徴収義務者である法人事業所につきまして、名称、所在地、給与支給人員、それから業種、こういったものを国税庁から情報提供いただけるということでございます。これは、初回は、国税庁のほうといろいろシステム等の準備をやっていきまして、今年の12月にはいただけると。その後も年1回ないし2回程度ずつ情報提供いただけるというようなことで予定しております。このいただいた情報につきましては、初回につきましては、年度内を目途に厚生年金の適用事業所の情報と突き合わせをしていこうというようなことを考えておりまして、一致しなかった、要するに源泉徴収を行っているのに適用事業所になっていないというような事業所が判明しましたら、そちらにつきましては、今後優先的に調査とか加入指導というようなものに取り組むことができるということで考えております。

 それから、23ページ目以降が、厚生年金の適用・徴収対策全体取りまとめ、これは年度計画からの抜粋ですので御案内のところも多いかと存じますけれども、厚生年金の適用対策につきましては、23ページ目のほうですが、まず、平成24年度に設定した「平成23年度末時点で把握した適用調査対象事業所を3年以内に半減」するという目標の達成に向けて、この資料で言いますとマル1適用調査対象事業所の適用の促進、次のページになってしまいますが、マル2事業主からの適正な届出の促進、それからマル3厚生年金特例法への対応といった取り組みを進めているところでございます。23ページ目の真ん中のところのマル1適用調査対象事業所の適用の促進ということにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、関係機関からいただいた情報の活用等を図るということ、それから、外部委託も活用しまして加入勧奨などを行っていくということを考えております。

 それから、24ページ目になりますが、事業主からの適正な届出の促進ということにつきましては、特にオのところにございますけれども、事業所の調査につきましては、全ての適用事業所を対象に4年に1回実施するということを基本に取り組んでいるところでございます。

 それから、25ページ目は、徴収対策ですけれども、口座振替の利用促進、それから滞納事業所に対しましては、速やかに保険料納付特例を行う等の納付指導及び滞納処分の実施、それから、国税庁と連携いたしまして、徴収が非常に困難な事業所に対しましては国税庁に徴収を委任するというようなことを行っております。

26ページ目に、その滞納処分の権限の委任についての御説明がありますけれども、滞納月数が24カ月分以上、それから、厚生年金ですと滞納額が1億円以上、それから、財産隠蔽のおそれがあるですとか、なかなか誠実な意思が見られないというような要件を満たす事業所につきましては、国税庁に委任して滞納処分を実施するということで、これまで7件ほどの実績がございます。

 以上が国民年金及び厚生年金関係の御説明でございます。

 

○増田部会長 それでは、ただいまの説明内容について、御意見、そして御質問がありましたらお願いいたします。

 岩瀬委員、どうぞお願いします。

 

○岩瀬委員 収納対策ですけれども、特別催告状というのでしょうか、それがすごく効果的だったということですが、それ以外にいろいろな収納対策をやられていると思うのですけれども、そのほかの対策の効果測定というのをされていれば、その特別催告状との比較みたいなことをちょっと教えてもらいたいということが1点と、もう一つ、参議院の厚生労働委員会に出た広報、教育活動の拡充ということですが、これは今までどんな広報、教育活動をやってきて、そして、それをさらにどう今後取り組みを強化していくのか。過去の実績と、これから何をやろうとしているかというのを割とまとめていただくとわかりやすいかなという気がするのですけれども、それはいずれ出していただければとお願いです。

 

○増田部会長 今、2点ありました。初めのほうから参りましょうか。お願いします。

 

○大西事業管理課長 御説明いたします。

 お手元の資料ですと、1つは、先ほどの資料2-1の2ページ目のほうに、先ほども御紹介しました収納対策のスキームというものがございまして、この図のちょうど真ん中辺にあります納付特例の実施というところに、文書の件数、電話の件数、戸別訪問の件数がそれぞれございますけれども、平成25年度の特徴といたしましては、戸別訪問を強化したということで、戸別訪問の数字を伸ばした。逆に、電話のほうは、その分ちょっと抑えたというようなことが一つの特徴となってございます。

 もう一つは、強制徴収のほうの強化ということで、これもページの右上の表にございますけれども、最終催告状から、督促状、差し押さえというような取り組みにつきましては、いずれも大幅に数字をふやして取り組みを強化したという部分がございます。

 特別催告状のほうは、ちょっと今とっさに数字が出てきませんけれども、特別催告状のほうも大幅に数字をふやしておりまして、特に平成25年度におきましては182万件から568万件というようなことで全体として大幅に送付件数をふやしているのと、あと、特に平成24年度にはやっていなかったものとして、もともとこれは割と滞納月数の多い方をターゲットに送っているものなのですが、平成25年度におきましては、若年層、20代の方を特に一つの送付対象として新たに追加しまして、25歳以下の方々への特別催告状の送付というようなことをやったのが、先ほど最初に御説明した納付率の改善として、若い方の納付率がかなり改善したというのと、この特別催告状を若い方を中心に送ったというところが少し関係あるかなということで考えております。ただ、申しわけありません、それらの効果がそれぞれどのぐらいその納付率に寄与しているのか、納付率の改善にどの対策がどの分だけ効果を発揮したのかというのが、実は分析はできておりませんので、そこはちょっと、今のような定性的な御説明になってしまいますが、そういう部分があったと考えております。

 それから、2点目につきましては、次回以降の形で広報とか教育についての実績と取り組みの資料をお出ししたいと思いますけれども、実績につきましては、これまで地域年金展開事業と言っていますけれども、地域の教育機関など、学校などを訪問して、年金事務所の職員などが年金の意義などについて説明するというような取り組みなどを実施しているところでございます。

 

○増田部会長 それでは、資料のほうを次回よろしくお願いします。

 1点目のは、若年層のところ、さっき特別催告状を強化したと言って、それであと、冒頭の説明で若年層のところが上がっていたけれども、それ以外のことも幾つかおっしゃっていたけれども、そちらのほうとの関係で、何か効果を推測されるようなデータとか、そういうものは特にない。今おっしゃったように。

 

○大西事業管理課長 あと、若者との関係ですと、やはりコンビニエンスストアで納付された件数が非常に増えておりまして、やはりそういった環境の整備というものもいい効果があるのかなと考えております。

 

○増田部会長 なるほど、わかりました。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 先ほどの御説明だと、若い人にはどちらかというと免除勧奨というか、免除ができますよということをやりながら、一方で、若い人に対しても特別催告状を送る、どういう仕分けでそういうふうなことをやったのですか。

 

○大西事業管理課長 特別催告状につきましては、実は、滞納されている方に送るということなんです。その結果、必ずしも全員が納付すべき方ではなくて、今、委員がおっしゃられたとおり、送ったら、その方は免除の方だったというのが、確かに若い世代に関しましてはかなり多かったように伺っております。そこは、実際特別催告状を送ってみて、その方からこちらへ、年金事務所なりにコンタクトがあって、そこで初めてお話ができて、それなら免除ですねというような流れになっていくということでございます。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 1つ追加で、ちょっと確認でお聞きしたいのですけれども、ということは、若い人に送った特別催告状というのは、それで徴収がアップしたというよりも、むしろ免除の人たちをそこで拾い出して免除申請のほうに導いたと。それが、結果的に納付率に寄与したということでよろしいのですか。

 

○増田部会長 そうしたら、機構のほうで今、手を挙げていますので、先にそちらのほうから。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 若い方については、学特に該当する方もいらっしゃいます。免除に当たる方もいらっしゃいますし、両方に当たっても、お金を納めたいという人もいます。したがって、特別催告状だけを出しているわけではなくて、納付書とそれぞれの免除関係の書類も添えて出します。したがって、実は57万円以下の申請免除に当たる方にも特別催告状をお渡ししています。そのときは、免除の申請書も添えて、どちらかわかりませんので、御意思に沿って出してくださいということで御案内させていただいています。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 磯村委員、お願いします。

 

○磯村委員 国民年金と厚生年金と両方ありますので2つに分けて質問したいと思います。

 まず、国民年金のほうから。11ページ、政府管掌年金事業の改善のための云々と4つ箱があって、そのうちの2つが納付猶予制度と、一番下の全額免除制度の見直し。何か免除とか納付猶予というのが主軸になっているような感じがするのですね。やはりこれは何かの、どうしてもできないときの窮余の一策としてという補充的な手段だろうと思うのです。本筋は、やはり12ページに書いてあります、一番下から4行目「保険料納付のメリット等についての周知」、これがやはり一番大事なのだろうと思うのですね。では、これを具体的に今までどういうふうにやってこられたのか。特に、あなたは納めないと国庫負担分放棄ですよということをもっともっと強調すべきなのではないでしょうか。これのPRをついぞ見かけたことがないです。こんなものは難しい話ではないのです。ぜひ、この保険料納付のメリット等についての周知を次回でも結構ですから、具体的に、こんな文案で、こんな対象に、こんな方法でやるのだということをぴしっと出していただけませんか。その上で、それでもだめな人については、納付猶予なり免除なりという手段がありますよというのが本筋ではないかと思う。どうも今、何か本末転倒しているような感じがいたします。まずこれが第1点。

 それから、2つ目に、そのPRの一環として、前回の平成21年の財政検証のときに厚生労働省がおつくりになりました国民年金の納付負担倍率という表があります。70歳代と比べ1.5とかなんとかという数字がありました。20歳代かな、30歳代か。この数字は、あくまでも老齢年金だけをベースにした数字ですね。障害年金、基礎年金のことは全く勘案されていない数字です。これは間違いではないでしょうか。ミスリードだと思います。ぜひこれも早急に直していただきたい。その上でこういったPRを広く伝えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 3つ目、12ページの下のほうに「臨時・パート等の従業員に係る事業主との連携」というものがあります。これは、推測するところ、国民年金法の92条の3に書いてあります事業主の納付代行の話でしょうか。そうだとすれば、これがなぜうまくいかないのか。やったらどんなデメリットがあって、メリットがあるのか、こういった比較は、こんな難しい話ではないですね。ぜひこれも早いうちに具体策を出していただいて、できるのかできないのか、お出しいただきたいと思います。

 4つ目、もうしばらくしますと受給資格の10年短縮になります。そうしますと、今のような免除とかなんとかということを主軸にしていれば、全期間免除だったら、65歳から年10万円の年金しかもらえないという低年金者がどんどん増えていきます。どうなさるおつもりか。

 5つ目。納付率の実態、実際に納めた人の実態をもうちょっときちんとPRすべきではないでしょうか。今は何かわずか4%か5%程度だという話になっていますけれども、それはそれで結構ですから、それとは別に、実額で納めている人が一体どれだけいて、分母と分子がどうなっているのかきちんと出すべきではないかと思います。

 これが国民年金の関係。

 厚生年金の関係です。27ページに国税庁からの提供を受ける情報というものがあります。これはこれで結構でしょう。特に、源泉徴収義務者の情報というのは非常に有効だろうと思います。では、これは今、一体幾らあるのか。ちょっと古い数字ですけれども、平成10年の数字がありまして、これが3905,000件となっております。恐らく最新ですとちょっと減っているのかもわかりませんね。このほかに、平成24年の経済センサスというものがあります。企業数約4128,000件ですね、これが約400万件です。こういったいろいろな数字から見ますと、法人企業と5人以上の個人事業主の両方を足すと、恐らく300万件前後はあるのではないかと思うのですが、こういった今、把握している、適用事業者数の170万件前後という数字が一体どういう位置づけにあるのか、どれくらい漏れているのか、まずそういう大まかな目の子を出すべきなのではないでしょうか。それなしでいろいろやりますと言っても、ちょっと虚ろに聞こえるのですね。

 この分母と分子を把握しますと、恐らく、今は限界的な、保険料を納めるのが非常に苦痛である、極端に言ったら、保険料倒産につながりかねないというような事業主が多いのだろうと思うんです。では、これらの実態というのは、例えば総事業所のデータからみてどうなのか、あるいは過去の標準報酬の遡及訂正の事案から見てどうなのか。過去、実際にここにいらっしゃる岩瀬委員と一緒に約20事業所を回りましたが、その結果、その20のうちの約4割が、自分のほうから年金事務所、当時は社会保険事務所ですね、そこに働きかけて遡及訂正をしてもらったというデータもあります。そういったことが今でも続いているのかどうかといったこともきちんと調べた上で、あれやります、これやりますというのを考えるべきなのではないでしょうか。

 以上です。

 

○増田部会長 それでは、国民年金のほうから順次、5点の御質問あるいは御意見があったかと思うので、整理して、国民年金のほうからお答え願います。

 

○大西事業管理課長 まず、1個目が、免除、猶予ばかりが目立つという御指摘で、本末転倒ではないかという御意見をいただきました。免除、猶予につきましては、確かに、本来、まず納めていただくことが原則ですし、免除と猶予だけでは低年金につながりかねないということでございます。ただ、我々としては、現在未納になっている方々を免除、猶予という形で適用していくということが、これはセーフティーネットのお話がございました障害年金や遺族年金の確保という上でも重要だと考えております。そこは、法律の中では、結局その法律事項としては、法律上定められている保険料の納付義務を解除するため、法律上、免除とか猶予というのは規定する必要があるという部分があったので、法律ではそっちが中心になってしまいましたが、予算措置のほうでごらんいただきますと、強制徴収の強化ですとか、そういった幅広い対策を盛り込ませていただいているということで考えております。

 周知の部分につきましては、これは、また後ほど、別途の日に御提出させていただく資料の中で説明したいと思いますけれども、きょうの参考資料としてお配りしております年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会の報告書でも、今、磯村委員から御指摘のあったことと同様のことで、保険料納付のメリットがきちんと国民に伝わっていないという御指摘をいただいています。専門委員会の報告書で、参考資料の2ページ目をお開きいただきますと、2ページ目の下のほう、マル3保険料の納付のメリットというところで、ポツが上から順に9つの保険料納付のメリットというものがあって、その中には、例えば保険料を納めると国庫補助分が得られるというようなメリットがあるぞというようなことがあります。それを、問題は、ここの9つのメリットみたいなものを、次の3ページ目にありますけれども、きちんと政府がPRしなさいということは、専門委員会でも御指摘いただいていまして、この点については、今年度以降もしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 それから、納付負担倍率などにおきまして、障害年金や遺族年金の分を考慮していないではないかという御指摘がございました。これは、計算の技術としては、納めた分を老後幾らもらうかということで、障害・遺族には年金の分はカウントしていないということだと思いますけれども、ここの中でも、先ほどのメリットの中でも、障害年金や遺族年金の補償というものが月々8万円とか受けられるという部分は非常に大きな国民年金に保険料を納めるメリットだと考えておりまして、この点は強調して説明していきたいと考えております。

 それから、3点目が、事業主の国民年金保険料納付への御協力ということでございます。92条の3もございますけれども、私どもとしては、必ずしもその法律の規定にとらわれずに、事業主の方にいろいろな形で国民年金の収納・適用に御協力いただきたいと考えております。例えば、考えられるのは、働いている従業員の方に、国民年金に入ることのメリット、その周知についても、例えば事業主さんを通じて御協力いただくというようなことですとか、先ほど委員からお話がありました国民年金の保険料の実際納める部分でも、事業主さんに代行して納めていただくというようなことも考えたいと考えています。

 具体的な中身は、これから検討していきたいと思っていますが、今年度予算の中でもそのための予算措置というものを講じていますので、その予算の執行の中で、どういうやり方がいいかというのを考えていきたいと考えています。

 それから、10年短縮に伴う低年金者の問題ですけれども、この低年金の問題につきましては、今回の法案の審議の中でも免除、猶予といった措置が講じられていることとの関係で御指摘をいただいておりまして、先ほど御紹介しました附帯決議の中でも、免除や猶予を受けた場合には、きちんと追納していただいて、その年金の額が低年金にならないように極力納めていただくということをもうちょっとしっかりやりなさいという、追納をしっかりやれという御指摘をいただいたところでございます。そういった点も含めて、低年金者ばかりが増加するというようなことのないように取り組んでいかなければならないと考えております。

 それから、納付率の実態に関する数値などにつきましては、また別途整理したいと思います。

 以上5点が御説明になります。

 

○増田部会長 それでは、厚生年金のほう。

 

○大西事業管理課長 厚生年金の関係ですけれども、国税庁からいただける稼働中の法人情報ということですが、直近で国税庁から伺っておりますのは、源泉徴収義務者は、法人の源泉徴収義務者になりますけれども、246万事業所という数で伺っております。現在、我々が適用できているのが180万、それから、それに加えて、未納・未適として把握したのが40万弱ということですから、その差の分については、我々がまだ把握していない適用事業所の可能性があるのではないかというようなことを考えております。こういったところを、まさに今回いただいた情報をもとにつぶしていくというのをどれだけスピーディーにやれるかというのが、実際は来年度以降の事務になってしまいますけれども、取り組みとしては必要だと考えております。

 以上です。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 審議官、どうぞ。

 

○樽見年金管理審議官 ちょっと補足させていただきますが、法案の審議の際にも、先ほどちょっと附帯決議の話に課長が触れて申し上げましたけれども、まさにこの法案は、納付率対策といっても、その猶予とか免除とかばかりではないかという議論は大分出ました。まさにそのとき、私どもとしては、当然、強制徴収を含めて適用あるいは納付というものをしっかりやっていただくという対策については、予算措置のほうで、実は法律を変えなくてもできるところが多いので、それをしっかりやっていくのですという御説明をしたということと、免除と猶予のいわば使いやすくするということが法律の中の要素なわけでありますけれども、それは、免除あるいは猶予を受ければいいのですというのではなくて、まさに免除とか猶予の制度をうまく使っていただいて、厳しいときにはそういう制度をうまく使っていただいて、その上で、免除や猶予の手続をしておきますと、後で保険料を納めることもできるようになるという要素がございますので、そういう意味で、免除や猶予をすればいいというのではなくて、それをうまく使っていただいて、保険料を後でしっかり納めていただけるような利用の仕方というものを主に念頭においているということを御説明させていただいたところでございます。

 ですので、まさに猶予あるいは免除された方について、後でしっかり納められるときには納めていただく、こういうことについてのPRなり働きかけということについての、いわば責めを負ったといいますか、そういうことについてもしっかりやっていかなければならないということを、今回の法案の審議を通じて、私どもとしても認識し、かつ、そういうふうにやっていくということを申し上げたということでございますので、補足させていただきたいと思います。

 

○増田部会長 そちら側の事務方のほうはよろしいですか。

 磯村委員、今そういうお答えや対応がありましたが。

 

○磯村委員 関連して1つだけ。法人源泉徴収義務者が290万。

 

○大西事業管理課長 246万です。

 

○磯村委員 246万、ああ、そうですか。個人の源泉徴収義務者数は? ただし、厚生年金法との関係でいきますと、5人で線引きした数字が出るかどうかという問題はありますけれども。

 

○大西事業管理課長 個人に関しましては、今回は国税庁の情報提供の対象となっておりません。

 

○磯村委員 どうして。

 

○大西事業管理課長 基本的には、やはり税法上の情報提供の制限があると国税庁から伺っております。

 

○磯村委員 それは、では、5人以上の部分の個人の事業主の社会保険料の源泉徴収義務者、これは義務者ではないけれども、それは一体どうやってカウントするのですか。

 

○大西事業管理課長 カウントするというか、その分は、要するにこのスキームは使えないので、通常のスキームで適用していくしかないということになります。

 

○磯村委員 ということは、片手落ちですな。

 

○大西事業管理課長 まあ、片手落ちという表現が適切かどうかはあれですけれども、今までよりは前進していると考えております。

 

○増田部会長 前進しているというのは何、法人分がということ。

 

○大西事業管理課長 はい、法人分が。

 

○増田部会長 国税庁から提供できないというのは、それは向こう側の税法上の守秘義務との関係で、そこが限界だという国税庁側の解釈になっているということですか。事実関係はそういうことになるかもしれません。

 

○磯村委員 わかったようなわからないようなことで、とりあえずは次回以降、楽しみにしています。

 

○増田部会長 ほかに。

 西沢委員、お願いします。

 

○西沢委員 2つありまして、1つは、まず厚生年金のほうからの関係で、磯村委員が最後におっしゃった、300万なら300万で大ぐくりにつかんで、その上でというところなのですけれども、私も、今の数字だと、この厚生年金の適用・徴収が、現場で苦労されている実態以上に楽に見えていると思うのですね。この38万の未適用といっても。ですので、もう少し多分大変なのであり、保険料徴収倒産というところで苦慮されている現場の実態もあると思うので、もう少しその実態を早急に開示するべきだと思っています。

 なぜこれを申し上げるかというと、1つは、これはかねてからの課題でもあるのですけれども、もう一つは、税制改正で、法人実効税率を下げるのに、代替財源で外形標準課税を強化するという話もあるわけです。外形標準課税は実質的には賃金課税ですから、結局、日本年金機構と、今度、地方自治体になると思うのですけれども、外形標準課税というところでキャッシュフローのないところからお金を取り合うということになると思うのですね。ですから、私は、政府の税制改正の議論を見ていても、キャッシュフローのないところから税金を取るところをややイージーに考えているところがあると思っていまして、ですので、そういった観点からも、それは決して容易なことではないといったことは、もっと皆さんの実態のほうから言っていくべきだと思うのですね。

 政府の税制改正の議論を見ていても、赤字法人でも、そこから税を取って、企業がつぶれたとしても、それはその産業なり企業の新陳代謝につながるという意図もあるようですけれども、でも、それは皆さんのほうで、保険料を取ったらつぶれてしまうのではないかという懸念とは全く逆のところにあるわけなので、そこはちょっと違う歯がゆさを私も感じていますので、その実態をもっとつまびらかにしていただきたいということがあります。

 2つ目は、国民年金ですけれども、これは、4年ぶりに60%を超えたということは、まず、私たちとしては、お疲れさまでしたと現場の方に率直にねぎらいの言葉をかけたいと思います。59.9%と60%は全然意味合いが違うと思いますので、そこは60%を超えられたということは、皆さんとして誇りに思っていただくのかなと。その上で、確かに課題がたくさん残っているのは間違いないと思うのですけれども、そこは、これまで日本年金機構評価部会ということだったので、私の意見ですけれども、そういう評価を総意としてするのかなというところはあります。その上で次の課題に進んでいけばいいのであってという意見です。

 以上です。

 

○増田部会長 最初の点ですね。今、政府税調というか政府全体で法人税実効税率を引き下げるという中で、外形標準課税を入れていくという、1億円以下もそういうふうにすると、これは決まったわけではないですが、そういう議論があるということだろうと思います。そういう議論が一方である中で、こちらの年金と事業所、キャッシュフローがない中で、将来、本当にそれが実行されると取り合いになるのではないかという御懸念で、恐らく、西沢委員は、向こうでそういう議論がある中で、こちらサイドの実態をいろいろともっときちんと伝えたほうがいいのではないかということですね。

 これはどちらに聞いたほうがいいのかな。機構側で何かお考えがありますか。まず、審議官のほうからお話ししてください。

 

○樽見年金管理審議官 実は、まさに税はもうかっていない会社から取らないのだけれども、社会保険料は外形標準で取るのでけしからん、あるいは、もっと何とか目こぼしてくれという話はしょっちゅうあるのですね。それに対しては、私がよく言うのは、これは外形標準課税というか、税ではなくて、結局お給料を従業員の方に払っているのと同じなので、人を使って仕事をすることに伴う当然のコストなんですということをよく私なんかは申し上げるのですけれども、ただ、まさにそういう意味で言うと、外形標準というところでの要素というのは確実にあるということだと思います。ちょっとそこをどういう形で整理をしていくことができるかというのは、今申し上げたように、税とは若干、お金の取り方の考え方は違いますので、そこをどういうふうに整理をしていくかということかと思います。

 ちょっと実態とあわせて、どういう形でできるのか、それから、先ほど磯村先生からお話がありましたように、過去そういうところの問題が原因で、そういう外形標準的な要素が原因でいろいろ問題になったというところもあって、それについて調べたりしたこともあるので、そういうことを含めてどういうことができるのかというのをちょっと機構と一緒に考えてみたいと思います。

 

○増田部会長 恐らく同じ政府の中で、結局、基本的には中小企業に対してそこから何がしかのお金をいただくというのが、それぞれの考え方で進む可能性があるわけですね。ですから、それは政府の統一的なスタンスみたいなものが整理されないと、制度としてはできないのだろうと思うのですが、その政府税調でもこれの議論は確かにやっているようですが、私の今までの経験からも、税の議論は割とほかの政策とは別に、党税調の中だけで最終的に決まっていくというプロセスが多いので、どこでどうそれを整理するかはよほど注意しておかないと、結果として決まった後で、大分整合をとるのに御苦労される場合もあるのではないかと思うので、一方で外形標準課税を入れるということは、決して決まっているわけではありませんが、これから、明日かな、決まる「骨太方針」の中にも法人税のことは、それから先のことは多分書いていないと思うけれども、法人税引き下げに向けての問題意識というのは書かれるはずなので、これは恐らく厚生労働省だと思いますけれども、よく注意されて進められたほうがいいのではないかということだと思います。

 今のような整理でよろしいですか。

 

○西沢委員 はい。

 

○増田部会長 わかりました。

 それでは、磯村委員。

 

○磯村委員 今の外形標準課税の動きは、恐らくかなりの確度でそれに近い方向になるのだろうと思うのですが、仮にそうならなくても、社会保険料倒産の危機感というのは、中小零細企業には非常に多いですね。やはり健康保険と厚生年金と合わせて事業主負担が恐らく10何%かな、両方足して25の半分ですから12.5%になるわけですね。それで、それを外形標準課税の議論云々とは無関係にして何とか対応しようとすれば、ちょっと迂遠な方法ですけれども、国民年金のPRをうんとやって、うんとその意識をつけた上で、厚生年金のほうは任意脱退を認めるという格好にでもしないと、現実問題としたら片がつきませんよ。

 以上です。

 

○増田部会長 それでは、今のは御意見としてお伺いしておくということでよろしいですか。

 

○磯村委員 はい。

 

○増田部会長 それでは、斎藤委員、どうぞ。

 

○斎藤委員 ない袖は振れぬということで、お金のないところから取るのは非常に難しいとは思うのですが、お金があるのに払っていないというところが非常に問題であろうと思っています。その人たちに払ってもらうにはどうすればいいのかということですが、今は何となく北風と太陽だと、北風路線が強いように思います。もう少し彼らに、払っておいたほうが得するのだということを理解してもらう、そのためには、磯村先生がおっしゃったように、PRをするというのもとても重要なことだと思うのですが、それだけではなくて、何かインセンティブをつけられないものかなと思っておりました。ビジネスだと、何らかの形でインセンティブをつけて客を取り込むように努力するわけですけれども、お金をかけないで払っていただくというのはどういうことが考えられるか。

 まずは、保険に入ることは、年金をいただくためにとても得することだということを理解してもらう。そのためには、この前、8つのシナリオというのが出ましたが、はっきり言って、あれを見ると、かえって危ない気がしてしまって「お金を預けていいものだろうか」と思った人が多いような気がいたします。あれをもう少し現実的な形にして「やはり安心だ。これは入っておくべきだ」というふうにする、その配慮がまず1つ必要ではないかと思いました。

 それから、国民年金ですけれども、例えば、5回払ったら、スタンプが5個集まってAKBの選挙権がもらえるとか、何か余りお金がかからないでインセンティブってつけられないものかなと思っています。地元の花火の大会でスタンプ10個あったら、一番いいところの席がとれるとか、何かいろいろなところと提携してお金をかけずにインセンティブができないものだろうかというようなことを、皆様のお話を伺いながら考えておりました。

 

○増田部会長 ありがとうございます。

 今の点については、何かそういうことを検討されたことはあるのですか。御意見としてお伺いしておくということでよろしいですか。

 

○樽見年金管理審議官 はい。まず、財政検証の出し方のところは、むしろ50%を超えるというところをどういうふうに達成できるのかできないのかということに、今、御意見を伺っていて、我々の説明がやや偏していたかなということをちょっと感じました。50%を守れればいいというだけではなくて、むしろ全体としての、やはり入っておくと安心だということをもっと言っていくべきかと思いましたので、ちょっとその辺、政府部門でやっているところとも情報共有しながら考えていこうと思います。

 それから、インセンティブはまさに、実は、例えば今、地域通貨とか、今の花火みたいな話というのはそういうことですね。何かとあわせてというようなことかなと思います。実は、公的なこういうお金でありますので、例えばこれをためるとポイントで、未納がなければ一部保険料割引とかというのは、そういう意味で言いますと、前納割引というのが一つのそういうインセンティブということなのだろうと思います。まとめて前納していただくと全体として安くなるということなのだと思うのですけれども、もう少し身近なことでのそういうインセンティブというのは、率直に申し上げて、余り私ども考えるところがないのが実態だと思いますが、ちょっとこの機会に、どこまでがこういう公的なお預かりしているお金ということの性質とあわせて、というとちょっとかた過ぎるかもしれませんけれども、できるだけ柔軟に考えていきたいと思います。

 

○増田部会長 前納割引、仮にそういうものを制度化するとすると、やはり法律改正になってくるのですか。

 

○樽見年金管理審議官 前納はもうあるのです。前納割引はあるのです。

 

○増田部会長 もう既に入っているわけね。

 

○樽見年金管理審議官 ですから、今あるのはそこのところですね。

 

○増田部会長 わかりました。それでは、あとよろしくお願いします。

 次、石井委員、お願いします。

 

○石井委員 委員の石井でございます。第1回目は欠席いたしましたが宜しくお願いいたします。さて、少し具体的な数字として教えていただきたいのですけれども、18ページ、厚生年金でありますけれども、収納未済額というのが平成24年度で4,200億円ございます。ということで、これは単年度の収納未済額ということかと思いますが、累積的に残高として収納未済になってしまっている現時点における残高というのはわかるのかどうかというのが1点。

 それからもう一つ、滞納事業所数というのが154,000という法人数がございますが、この滞納事業所というのが15万法人、端的に言えば厚生年金保険料を払っていないということだと思うのですが、当然この未納の中は、事業主負担と従業員負担と両方未納ということでございますね。先ほど来の議論にもあるのですが、従業員の給料から預かった部分も含めてキャッシュフローがないから納付しないという理屈を立てることができるかどうかというのがいつも疑問でございまして、職員に対して払った給料から天引きしたものについてまで納付していないという実態は、言語道断だと思います。何か法律上、従業員から天引きした分だけでもきちんと納付させられないのですかといつも思うのですが、やはりこれはしっかりとした義務なので、お金がないから払わないのであれば、採算が悪いのですから、極論すれば、事業をやめればいいのですね。ここの部分というのはきっちりした形で認識、確認していくべきだと私は思います。そうでなければ大部分の国民、事業者が遵守している社会保障制度のルールを守らない方が得をすることになります。

 前のページへ行っていただいて、法人数としての300万とか250万とか、あるいは実際の適用事業所数としての175万とございまして、今般、国税庁からのデータというものを入手されて突き合わせ作業をされるようでありますけれども、多分何十万かという法人は明らかに漏れているのだと思うのですが、突き合わせをされる際に、ぜひともつくっていただきたいデータがございまして、それは、つまり漏れてしまっている事業所の規模ですとか従業員数というのでしょうか、つまり徴収できている事業者とできていない事業者に明確に規模や状況の違いがあるのかどうかというのは、データをもらうのであればきっちり分析をしていただきたいと思います。。つまり、厚生年金保険を徴収する上で必要な情報だけではなくて、全体分析ができるような有効なデータというものも、せっかくですから入手をしていただいて、実際問題としてはどうなのだろうかということの整理をぜひしていただきたいと思います。

 年金保険料の金額は、2008年のリーマンショックを前後したとしても余り変化していません。一体これは何なのかというのも常々思っておりますので、そのあたりも含めてぜひとも御検証いただきたいと思います。

 それから、もう一点、国民年金のほうなのですが、最終的に中長期の目標として60%を超えたものが、平成元年当時ぐらいの80%を超えたところまでいつになったら行けるのかというような目標は設定されているのかどうかというのも教えていただきたいのです。

 以上でございます。

 

○増田部会長 それでは、今4点あったと思います。順次お願いします。

 

○大西事業管理課長 まず、1点目はまず1点目は、未済額の累積というお話がございました。済みません、あいにく手元にデータがございませんのであれなのですが、また別途お答えしたほうがいいかと思いますが、考え方としましては、5年で徴収時効ですので、この5年より前の部分は、完全に不納欠損という形になっていきます。累積するとしても、この5年分までがマックスということになるのかなと思っております。

 あと、従業員の分も天引きしているのに、それを納めないのは非常に悪質だというお話がございまして、その点は同感なのですが、私どもとしては、従業員分も事業主負担分も一緒に納める、本来納めていただかなければならないということで、そこは厚生年金のほうは国民年金とは違いまして、厳しく適用・徴収対策をやっているというようなことでございます。

 済みません、今ちょっとメモが入りましたけれども、5年で徴収時効と言いましたけれども、現実には、督促をしていれば時効中断の効果もありますので、5年分だけとは限らないと。

 

○増田部会長 その分はずっと続くわけですね。

 

○大西事業管理課長 そうです。申しわけございません。その点はちょっと訂正いたします。

 

○増田部会長 途中ですけれども、1点目のものは、きちんと数字を後でお出しいただけますか。

 

○大西事業管理課長 はい、わかりました。

 それから、未適用事業所の漏れている事業所の規模ですとか状況などの分析という点でございますけれども、ちょっと現時点で具体的にどういうことが可能かということは手元にありませんけれども、御指摘の点は重要だと思いますので、今後、国税庁との情報提供の流れを整備する中で、今のような点も対応できるように考えていきたいと思います。

 それから、国民年金のほうですが、現時点では、今、中期計画期間中のこの60%台半ばという目標があるのみで、その後どうやって80%まで行くかという目標はございません。

 以上です。

 

○増田部会長 幾つか数字で出してもらうのは、また後日お願いします。

 石井委員、よろしいですか。はい。

 それでは、木間委員、お願いします。

 

○木間委員 先ほど岩瀬委員の効果測定をしたのかというお尋ねに対して、どれが効果があったのか出せないということでありました。ただ、特別催告状は効果的であったというお答えだったのですが、特別催告状は年金事務所が送付していると思います。では、市場化テスト事業全体については、低コストで収納率を上げることができているのか、適正な評価をなさっておられるのかということをお尋ねします。

 それから、もう一つは意見ですが、納付督励は、まず文書を送付するのであろうと思いますが、国民年金保険料を納付しない理由を国民年金被保険者実態調査から見ると、最も多い理由は「保険料が高く経済的に支払うのが困難」です。納付督励の文書を私は1つしか見ておりませんが、このような理由の方々に送付する文書なのですから、納付を励ます文面となるように、これまで何人もの委員の御発言にありましたように、納付のメリットをもう少し書いたほうがよろしいと思いますし、そのほかもう少し文面に工夫があったほうがよいなと感じました。

 以上です。

 

○増田部会長 それでは、2点目は御意見として中で検討しておいていただきたいと思うのですが、1点目、機構の。

 

○日本年金機構国民年金部長 私からお答えさせていただきます。

 

○増田部会長 済みません、職名を言ってください。

 

○日本年金機構国民年金部長 失礼しました。日本年金機構国民年金部長の町田でございます。よろしくお願いします。私から御説明させていただきます。

 市場化テスト事業における納付月数の達成目標の達成状況につきましては、平成24年度までの達成状況はそう高くなかったのですが、平成25年度の達成状況は達成すべき目標の87.1%となりましたので、効果は上がってきていると考えております。しかしながら、まだまだ納付率が低いわけでございますので、さらに連携して、しっかり納付率を上げていきたいと考えております。

 

○増田部会長 木間委員、どうぞ。

 

○木間委員 達成率が上がっているということはわかるのですが、外部委託をするということは、低コスト・効率化ということがうたわれていると思うのです。低コストで効率化という点ではどうなのでしょうか。

 

○日本年金機構国民年金部長 低コストということは重要ですけれども、やはり安かろう、悪かろうでは困りますので、一定のコストがかかると理解はしております。ただ、一定のコストがかかる中で、平成25年度におきましては、先ほど事業管理課長から御説明がありましたとおり、品質を重視いたしまして、督励件数等を減らし、お客様との接触率ですとか約束率に重点を置いて対応してきておりますので、そういう意味では、効果が出てきているのではないかと考えております。

 

○増田部会長 それでは、あと喜田村委員と吉山委員ですね。では、喜田村委員からどうぞ。

 

○喜田村委員 意見が1つと質問を1つということでいたしますが、先ほど従業員のために預かっている保険料を払わないのは非常にけしからん、本当にけしからんと思いますし、厳密に言えば、他人のために預かっているお金を使わないわけですから、これは業務上横領になるぐらいの話なんですね。実際に適用するかどうかというのは問題ですけれども、本当は刑法犯なんだというぐらいのつもりでやっていただけるとよろしいかと思います。

 次は質問ですけれども、収納対策の強化ということで、これは、予算で見ますと、国民年金が18億円から92億円、それから厚生年金が22億円から約99億円ということで、今の時代の中で非常な増額をされておられるわけですけれども、これはもちろん公的なものですので、お金をかけたから、直ちにその分上がるということはないとは思いますけれども、といって、上げたからといって全く効果未測定というわけにもいかないだろうと思うのですね。ですから、これだけの予算をお立てになったということで、収納についてどういった規模の改善がなされるというお見通しであったのかということを教えていただければと思います。

 

○増田部会長 それでは、これは、予算の関係ですから厚生労働省のほうですか。課長さん。

 

○大西事業管理課長 お答えします。国民年金保険料ですと、資料の7ページ目にございますけれども、全体18.3億円から92.6億円ということで大幅にふやしております。この中には、いろいろ手数料の引き上げ、納付環境の整備に向けて、口座振替ですとか、そういうものを促進するための手数料の各種引き上げみたいな部分もございますけれども、一番大きな部分は、やはり徴収に当たる人件費というか、正確に言うと人件費ではございませんが、徴収に当たる事業者のための業務を担当する職員に係る経費部分が大きくなっているということで、その部分につきましては、一部、実は記録問題からの振りかえみたいな部分もございましたけれども、この強制徴収の全ての滞納者に督促を実施するという取り組みをしていく中で、そういったプラスアルファの人手が必要だということで予算措置を講じているということでございます。

 その効果としてどういうことになるのかですけれども、1つは、この強制徴収の強化につきましては、潜在的には実は14万人程度の方が強制徴収の対象となり得るということで、これは、今後やってみないと、実際、事前に納めていただければいいわけですが、14万人規模の方への強制徴収も場合によってはやらなければならないということで、そういった強制徴収を実施できるだけの体制を確保するというようなことを念頭に予算を計上したというものでございます。

 ただ、強制徴収をたくさんやったからといって納付率がどれぐらい改善するかというと、実は納付率自体は余り改善しないのですけれども、納めないとそういう厳しい措置もあるのだということがいろいろな形で伝わっていけば、波及して自主的に納めていただける方も増えるということで、納付率全体の向上にも寄与するのではないかと考えております。

 

○増田部会長 特に数字的なものは、財政当局にやる際にも、そういうものは出していないですか。課長さん。

 

○赤澤事業企画課長 財政的なものは、数字的には我々のほうで算定するに当たって、その効果みたいなものを具体的に算出しているということはありません。

 ちょっと補足させていただきますと、予算上で申し上げますと、全体で言いますと、平成26年度の予算は25年度の3,932億円から3,844億円ということで約2.2%の減という形になっております。日本年金機構の交付金を初め、年金機構の予算、機構の交付金については、全体の中でいろいろな事業のウエートづけ等を踏まえて、できるだけ効率化を図りつつ、全体の中でうまく回す形で予算を組んでおりますので、そういう意味で、今後その記録問題がある一定程度、集中取り組み月間が終わった中でどういうウエートで機構の事業をやっていくかというのは、私どもの中でいろいろ考えて予算を組んでいるという中での今回の適用・徴収についての予算増ということを御理解いただけたらと思います。

 以上でございます。

 

○増田部会長 それでよろしいですか。はい。

 吉山委員、先ほど手を挙げましたね。どうぞ。

 

○吉山委員 御説明ありがとうございました。皆様からほとんど私の考えていることをおっしゃっていただいてしまったのですが、細かいことで恐縮ですが3点ございます。

 まず、10ページで、国民の利便性向上策としまして「所得を証明する書類の提出を不要とする」とあります。免除の手続が楽になるのは非常によいことだとは思うのですが、住民税の対象にならない所得、例えば雇用保険の給付とか、健康保険の傷病手当金等は社会保険法上は収入とみなされるのですけれども、税法上、非課税になってしまっているので、こういう方々も全部、証明書類を不要として免除にするというのはちょっと違うのではないかと思いましたので、このあたりを御検討いただきたいと思います。

 それと、21ページ、関係機関との連携概要です。先ほど国税庁からは情報をもらいにくいというお話をいただいているのですけれども、雇用保険を財源とした助成金、奨励金というものが国の制度でございまして、何年前からか忘れましたが、その助成金をもらうときの手続に社会保険に入っているかどうかというアンケートを出すことになっております。これが十分生かされていないのではないかと懸念しております。ない袖は振れないとか、収入がないところからどうやって払うかという意見も出ていますが、助成金は保険料納付のためのものではないながら国の財源からの収入がある事業所に関しては、少なくともそれだけ払う余地があると思います。同じ厚生労働省なので情報は得やすいと思いますので、それを得ていただきたいと思います。

 あと、最後の1点が、24ページ、マル2のオ、総合調査、定時決定時調査のことですけれども、まず4年に1回ということで、年金事務所はかなり必死に取り組んでいるようです。もう2巡目に入っている県もあるようなのですけれども、東京都でいうと、件数が非常に多いために、4年に1度調査を行うために、質より量というのでしょうか、ほとんどノーチェックのような、呼び出して、来てもらえばいい、それが目的だったらもちろんそれで構わないのですけれども、そういう形の調査になって、おざなりになっているのではないかと感じるところがございます。それで、一度調査をやって、そのときにいろいろ指導事項が出てきているのでしたら、それを2回目の調査からは生かしていただきたいというのと、この4年に1度というくくりがひょっとすると現場にはきつ過ぎるのではないかと思うので、見直していただきたいと思います。

 あと、この定時決定時調査のときに、不適切な処理をしている事業所に、労働基準監督署が行っている是正勧告とか改善指導等のような文書をもらえないかと窓口でお願いしたことがあるのですが、文書が出せないという回答でした。事業所で社会保険の内容がよくわからないところに関しては、改善期日までは明確にする必要がないかもしれませんが、指導内容等の文書を出していただくことを御検討いただければ、もう少し適切に適用関係が行えるのではないかと思います。

 特に、この調査に関しては、何を主目的としてやっていらっしゃるか教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

 以上です。

 

○増田部会長 5点ありましたけれども、最後の御質問のところをどなたか。どうぞ。調査の目的のところです。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 総合調査と定時決定時調査というのは、総合調査というのは、被保険者の状況とか賃金台帳とかというものの全体をチェックしていきます。こちらに力を入れたいと我々は思っていまして、定時決定時調査というのは、算定のときの調査が主なものになっています。今いろいろ御意見をいただきましたが、4年に1回というのは、やっと4年に1回何とかできるようになってきた、取り組めるようになってきたということでございまして、できれば、本当はこれではまだ長いのではないかと思っているぐらいです。いろいろその現場で何か御意見があったやには聞きましたが、済みません、ここについては、まだ1巡もできていませんので、1巡をまず終わらせると。さらに、できればもっと近いチャンスに行うということができれば、短いサイクルでできれば行いたいと思っています。

 特に、これから、パート適用とかも今後対象になってきますので、そうしますと、被保険者がきちんと適用になっているかどうかというのを確認していかないといけないというのが結構出てきますので、そういった調査は、これからちょっと充実させていかなければいけないと思っています。

 

○増田部会長 何かありますか。

 

○大西事業管理課長 10ページ目の住民税の申告義務がない方の免除手続の簡素化の検討ですけれども、詳細につきましては、現在、所得の範囲とかをどういうふうにとるかというようなことを詰めておりますので、その中には、今の御指摘も踏まえて検討したいと思います。

 雇用保険のほうの助成金との連携ということ、私の理解としては、要するに社会保険に入っていないような方は助成金を受けられないというような形でその審査の判断要素に加えていただいているのではないかと思いますけれども、いずれにしても、そういった雇用保険部局との連携は非常に重要だと思っていますので、そこをまたちょっと気をつけていきたいと思っております。

 以上です。

 

○増田部会長 わかりました。今のでよろしいですか。

 吉山委員、何かございますか。

 

○吉山委員 そうしますと、先ほどの調査の話です。4年に1度を、もう少しスパンを短くということは、それはそれで結構ですけれども、現場の職員の方の人員はきちんと配置できるのでしょうか。つまり日常業務をこなしながら、調査の係の人をそれだけ確保しておくということができるのでしょうか。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 現状のままでどこまでできるかは、それはケース・バイ・ケースだと思いますので、問題あるところはそれの対応が必要だとは思います。ただ、忙しい時期がそれぞれの課ごとにありますので、やりくりしながら、できるだけやっていくということになろうかと思います。

 

○吉山委員 調査なさるのは、適用調査課の方ですよね。やりくりというのは、適用調査課の中でのやりくりということですか。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) いや、徴収もありますし、別の課もあります。

 

○吉山委員 わかりました。では、ほかの課の方々も動員してということですね。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 済みません、細かい話なのですが、仕事のやりくりですので、オフィスワークのほうをほかの課に任せられる範囲のことだけですけれども、お願いして、現場に出る適用調査課の人を多目に出せるようにするとか、そういった対応になっていくかと思います。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 この調査については、要するに、より調査を充実させる方向でしかあり得ないと思うので、その体制については機構全体の中でよくお考えいただくということで、きちんと調査が行えるようにしていく、こういうことだろうと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、少し時間がかかりましたが、議事の(2)は以上にいたしたいと思います。

 続いて、年金記録訂正手続の創設について、資料3だと思います。事務局から説明をお願いします。

 

○赤澤事業企画課長 事業企画課長でございます。

 訂正手続の点につきまして、先般の国会で成立しましたので、簡単に御報告させていただきたいと思います。詳しい施行の内容につきましては、次回以降、御審議いただく時間をとっていただくよう調整させていただきたいと思いますので、まずは、今後の主なスケジュールについて御説明させていただきます。

 年金記録の訂正手続でございますが、先ほどもございました法案の中で成立いたしました。年金記録について、被保険者等による訂正請求を可能としまして、民間有識者の審議に基づいて厚生労働大臣が訂正する手続を整備するものでございます。

 お手元のペーパーで3ページをごらんいただきますと、年金記録の訂正について、これが誤っているのではないかとお考えになられる被保険者、それから受給者等の方は、日本年金機構を通じて地方厚生支局長宛てに訂正の請求を行うという形で、この請求に基づきまして、地方厚生局長がいろいろ調査を行い、地方厚生局レベルで設置する地方審議会に諮問、答申をして、その御意見に従って、訂正決定、不訂正決定を行うというものでございます。訂正決定、不訂正決定に当たりましては、厚生労働大臣が中央の社会保障審議会の分科会、これはこの事業管理部会とは別に設ける分科会のつくります基本方針に従いまして、諮問、答申を行う、このような仕組みになっているところでございます。

 もう一度、1枚目に戻っていただきまして、今後の主なスケジュールということでございます。平成27年1月に、先ほど御紹介いただきました中央の基本方針を審議する審議会の分科会を設置し、審議を開催させていただくこととなります。そして、3月に年金事務所における年金記録の訂正請求の受け付けを開始し、4月から、各地方において実際の地方厚生局レベルでの審議を開始するということで考えているところでございます。

 お手元のペーパーの2ページでございます。先ほどの法案の附帯決議ということでございます。この訂正手続を創設するに当たっては、年金記録確認第三者委員会による手続と比較して国民に不利益が及ばないよう、適切な制度及び体制の構築を行う必要があるという御指摘を参議院の厚生労働委員会からもいただいておりますので、この御趣旨を踏まえて、私ども施行準備に取りかかりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、次回以降、詳しい内容について順次御審議いただくようにしたいと思いますので、本日は、法案の提出を踏まえ、このようなスケジュールで行くということについて御紹介させていただきたいということでございます。

 以上でございます。

 

○増田部会長 スケジュール等の御紹介ということで、内容については次回以降ということになります。

 何か御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、議事の4番目であります年金記録問題への取組について、資料4でありますが、事務局から説明をお願いします。

 

○梶野年金事業運営推進室長 それでは、資料4-1をごらんください。

 まず、1ページ目を開いていただきまして、年金記録問題の概要ということで大きく2つの問題がございました。上のほうの1つ目は、オンライン上に基礎年金番号に統合されていない記録、未統合の記録が5,095万件あったという問題でございます。それから、下のほうが、記録の内容に誤りがある問題ということで、かつて記録を管理していた紙台帳からオンラインでの管理に切りかわったときに、正しく移しかえられていないということで誤っている記録ということでございます。

 2ページ目でございます。それぞれの問題にどのように取り組んだかということを簡単に書いてございまして、上の未統合記録の5,000万件につきましては、ねんきん特別便などで年金記録を送付し、御本人に確認いただいた上で年金記録を回復してきております。それから、下の、記録の内容に誤りがある問題につきましては、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせ、それから、基金の記録と国記録との突き合わせなどの実施をしてまいりました。

 それから、3ページ目でございますけれども、これまでの実績でございます。表の左から2番目の対策、各対策につきまして、その右の欄ですけれども、回復人数などが書かれております。一番右端をごらんいただきますと、記録訂正による受給者の年金額ということで、増額の累計ということで、平成20年5月以降の数字ですけれども、1,081億円という回復額になっています。その下の下です。これを65歳から受給した場合としての生涯額としての回復総額として計算しますと約2.2兆円ということでございます。

 続きまして、4ページ目でございます。未解明記録5,095万件の解明状況でございますけれども、3月末までに解明された記録は3,012万件で、この下のほう、ローマ数字2の解明作業中又はなお解明を要する記録は2,083万件ということで、このうち主なものは、この(2)の843万件と(3)の921万件。(2)のほうは、特別便などを送らせていただきましたが未回答であるものなどでございます。(3)のほうは、全く手がかりが得られないものでございます。

 続きまして、5ページ目ですけれども、そこで年金記録問題への今後の主な対応(全体像)ということで、これは、本年1月に年金記録問題に関する特別委員会でまとめていただいた報告書をベースとしておりますけれども、まず、1の約2,100万件への対応は、次のページで御説明します。2の事務処理誤りの救済、それから、3の年金個人情報の訂正手続の創設につきましては、法律が成立したと。それから、4は、引き続き記録問題について、国民目線で審議いただくために「年金事業管理部会」を設置させていただいたということでございます。

 続きまして、6ページ目です。残る未解明記録2,100万件への今後の取り組みということですけれども、1つ目は、いろいろ国でできる突き合わせをやってきておりましたので、それが一通り終わりましたので、今後は、記録の持ち主である御本人から申し出が出やすいよう呼びかけるということで、1つ目は、ねんきん定期便等で記録確認の呼びかけを実施すると。それから、2つ目は「ねんきんネット」というものがございますが、この中に2,100万件の未統合記録が入っていて、検索できるようになっています。ですので、このねんきんネットに入っていただいて検索していただくことが重要ということで、これを充実または利用者を拡大するための周知を図るということです。3点目は、消費税が10%に引き上げられますと、受給資格期間が10年に短縮されますけれども、そのときに未解明記録には短い記録が多いですので、呼びかけをしていくということです。

 それから、下の段ですが、これは、未統合記録の持ち主確認について能動的なアプローチを今、田村大臣の御指示もいただきながら検討しているところでございます。1つ目は、昨年度まで紙台帳とコンピューター記録の突き合わせをやっていた。間違いがないかどうか突き合わせをやっていたわけですけれども、そこで新たに判明した記録を何十万と送らせていただいておりますけれども、そのお知らせに対して、まだ回答されていない受給者の方へ再度アプローチをしていくということでございます。それから、2つ目ですが、かつて未統合記録とオンライン記録を名寄せして「ねんきん特別便」などを送らせていただいておりますけれども、それらに未回答の加入者に対して、そのときも回答のお願いをしておりますけれども、改めて再度の回答のお願いを定期便を活用してできないかといったようなこと。それから、3点目でございますけれども、過去、紙台帳検索システムが年金事務所で活用される前に事務所に記録の相談にいらっしゃったケースについて、統合可能性があるかどうかサンプル調査をするといったことを現在アイデアとして考えておりまして、今後、必要な予算等の確保も含めて検討を進めていきたいと考えています。

 続きまして、7ページ目と8ページ目は、参考として、記録問題の経緯や経費に係る資料をおつけしております。

 かわりまして、資料4-2でございます。資料4-2は、今年1月におまとめいただいた年金記録問題に関する特別委員会報告書につきまして、そのときの各データを昨年末時点に更新をするということでございます。そういう約束をしておりました。6月、7月ごろにそのデータを公表するということをしておりましたので、そのデータをまとめたものでございます。この1枚目の表に書いてありますけれども、これは報告書における章番号とデータ名、それからこの3月時点の計数とかページ数をまとめています。

 資料の4-3のほうは、その特別委員会の報告書の概要を参考までにおつけしています。

 説明は以上でございます。

 

○増田部会長 それでは、ただいまの説明内容について。

 

○樽見年金管理審議官 済みません、ちょっと補足をよろしいですか。

 

○増田部会長 審議官、補足ですね。

 

○樽見年金管理審議官 済みません、今聞いていて、1つだけ補足でございます。

 未解明記録(2,100万件)への今後の取組、資料の6ページのところですけれども、これから未解明記録を解明するために、能動的なアプローチで、比較的効果の高いと思われるところについて能動的なアプローチというものについても、別に終わりにしたわけではなくて、これからもやっていきますということが下で書いてあるのですが、上のほうの、特に「『ねんきんネット』の充実及び利用者拡大のための周知」というところで、この周知というのも、先ほど適用・徴収のところでもいろいろお話しいただきましたけれども、周知、PRというのは重要だと思っていまして、これはまだこれから整理をして、改めて具体的な取り組みをと思っておりますけれども、例えば、毎年11月は年金月間ということでやっていて、その年金月間でいろいろ説明会をやったり、いろいろな活動をしたりしているわけでありますけれども、その1月が年金月間ですという周知だけでなくて、もう少しインパクトのあるような方法は何かないだろうかと。例えば、その中で「年金の日」みたいなものを決めて、その日にねんきんネットを使うのも含めて、ぜひ年に1度ぐらい、来た定期便をしっかり引っ張り出して老後の生活設計のことを考えていただくみたいなこともいいのではなかろうかといったようなアイデアも含めて、ちょっとここは少しいろいろな仕掛けをしていきたいと考えております。

 まだアイデアの段階でございますけれども、ちょっと今、室長が説明した中で、これが落ちておりましたので、補足させていただきます。

 

○増田部会長 それでは、御質問、御意見がありましたらどうぞお願いしたいと思います。

 どうぞ、岩瀬委員、お願いします。

 

○岩瀬委員 今、言われたいろいろなアイデア、これはいつごろまとめて、いつごろわかりやすく教えていただけるのですか。そのアイデアに関して、また議論する場というのが設けられるのかどうかその辺を教えてもらえませんか。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○樽見年金管理審議官 ここの、特に下の能動的なアプローチのほうにつきましては、先ほど室長が申し上げたように、これはやるに当たってお金もかかりますので、予算要求の過程の中でこれを整理して、来年度の要求にという形になっていくと思います。その間で、また御相談させていただくという形になるだろうと思います。

 この周知の施策のところにつきましては、例えばそういう「年金の日」というのがそれでいいのかどうかはあれですけれども、そのようなことも含めて考えているところでございますけれども、ここについてはまだ具体化を全然しておりませんので、また、そういうことで言いますと、この部会という形で、いついつという形でちょっと今のところ申し上げられないのですけれども、いずれにしてもお知恵を頂戴しながら取り組んでいきたいと思っています。

 

○増田部会長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。

 今の最後の能動的なアプローチの検討中のもの、これは、要するに確度というか、可能性の高いものから順次優先度を決めてやっていかれると思うのですけれども、相当この部分への期待が高いと思うので、できるだけアイデアをいろいろいただいて、その上で練っていっていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

 それでは、最後になりますが、その他ということになりますが、前回の部会で委員から出されました宿題事項が幾つかございました。これについて年金機構から説明をいただいて、そして質疑したいと思います。それでは、お願いします。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 人事・会計部門担当の木谷でございます。よろしくお願いします。

 資料5に沿って御説明をしていきたいと思いますが、資料5-マル1でございます日本年金機構の全国異動の状況ということでございますが、以前にも全国異動の定義というものについてちょっと御質問があったと思いますけれども、これにつきましては、基本計画や日本年金機構の人事方針に基づいて、いわゆる厚生労働省あるいは本庁採用、地方庁採用といった三層構造の打破という観点、それから、都道府県単位での採用による仕事の仕方とか組織風土を一掃していくという観点から、全国異動につきましては、本拠地を、いわゆるこれは職員が決めるのですけれども、本拠地以外の、いわゆる自分の住んでいるところ以外の都道府県に勤務をした場合、これを1つ全国異動ということにしております。一方で、本庁採用と地方庁採用といった三層構造がありましたので、地方庁から本部に来た者、その方についても全国異動ということで一応定義させていただいています。

 資料は、あとマル1の下のほうに集計の考え方ということがございますが、これは、人事給与システムのデータを機械的に集計したものということでございまして、先ほど申し上げましたように、本人から登録のあった直近の本拠地を基準に、人事記録から勤務地の履歴を比較して全国異動の有無を集計したものということでございます。

 全体的に申し上げますと、ここに書いてありますように、1万1,074人中6,267人、全体で56.6%、女性につきましては48.1%というところが全国異動を行っていることでございます。また、他ブロック、本部への異動につきましては約4割ということになっております。

 2ページ目をお開きください。資料5-マル2につきましては、先ほどのものを都道府県単位に展開したものでございます。

 資料5-マル3でございますけれども、機構といたしまして、この全国異動等の課題と対応策ということを記載してございます。機構設立時ですが、平成22年4月時点では、いわゆる2,240人の全国異動、21.4%でありましたけれども、この平成264月では6,267人、56.6%と、そういう意味では全国異動経験者は4年で大幅に増加しているものと考えています。

 ただ、3点ばかりやはり課題があるとしておりまして、1点目でございますが、いわゆる本部、それから全国異動の経験者の割合が低い都道府県、ここには、本部で行けば約3割、それから北海道が23.8%、静岡35.1%ということで、全国異動がちょっと進んでいない本部あるいは都道府県については、全国異動を促進していく必要があるだろうと考えています。

 2点目でございますが、いわゆる若年層と言われる一般職の全国異動を進めていかなければならないと思っています。こちらに数字が書いてありますが、約15%の差があるということで、若年層の全国異動を促進していくと。

 3点目でございますが、女性の管理職の登用ということで、管理職登用試験に女性職員の応募を促進していくということでございます。こちらのほうにも数字が書いてございますが、管理職に占める女性の割合は10%から11%程度で推移していますが、最近ちょっと減少してきているという状況でございます。それから、応募状況につきましては、女性は非常に少のうございまして2.3%あるいは3.5%という状況でございます。

 こういうことを踏まえまして、3点目に、対応策ということでございますが、先ほど申し上げました三層構造の一掃、都道府県単位の業務運営が行われてきた組織風土の見直しの観点からも、引き続き全国異動は積極的に進めていくということでございます。その観点から、昇格の際にポイント化している人事評価、それから内部資格等の要素に、この全国異動の経験を追加してはどうかということを検討しております。また、実施に当たっては、人事方針に沿った子育てへの配慮等の取り扱いについては、職員に周知することによって不安の解消を図るということ、あるいは経済的な負担が過重にならないように配慮、例えば異動先の宿舎に入居できない場合の礼金の負担とか、あるいは単身赴任手当の改善ということを検討してまいりたいと思ってございます。

 続きまして、4ページで資料5-マル4でございます。一般事業主行動計画とはどういうものかということの御質問、あるいは機構ではどういう計画を立てているのかということがございましたけれども、こちらに書いてありますように、次世代育成支援対策推進法に基づいて、従業員に対しての仕事と子育ての雇用環境の整備、あるいは子育てをしていない従業員も含めて多様な労働条件の整備に取り組むということで、行動計画に期間と目標、それから目標達成のための対策、実施時期を定めることとされています。これにつきましては、101人の企業に対して行動計画を策定、公表、周知で、都道府県、労働局への届け出の義務ということでございます。

 機構における行動計画の策定取り組み状況でございますが、ちょっとおめくりいただきまして、9ページ目、これは第1期の行動計画でございます。1期、2期とも、目標については3つずつ掲げてございます。1期につきましては、仕事と生活の両立を推進するための。

 

○増田部会長 6ページと7ページですね。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 済みません、6ページでございます。

 仕事と生活の両立を推進するための勤務制度の普及と充実や環境の整備ということで、これは、法律改正もございましたが、時間帯の年次休暇の導入ということをやってきております。

 それから、目標2でございますが、育児休業の取得状況の水準の充実を図っていくということで、その環境整備あるいは育休の取得者に対する支援ということでございます。

 目標3は、結婚、出産、育児、介護等で退職した人の再雇用制度の導入ということで、一旦やめたのですけれども、再度、その状況が終了した際に再雇用を行うということをやってまいっております。

 それから、2期でございますが、これは平成25年4月、昨年度から3年間にかけた行動計画でございます。

 ここの1つ目の目標としましては、仕事と生活の両立を推進するための休暇・休業制度の充実ということで、休暇制度の充実及びライフサポート休暇の導入ということでございます。

 2つ目の目標としましては、職員のワークライフバランスの意識の醸成ということで、情報提供、こういうことをやっていきたいということでございます。

 それから、3点目でございますが、仕事と育児あるいは介護の両立を推進するための環境の整備ということでございまして、これも機構の制度を周知、あるいは情報交換の場をそれぞれ設けるということで支援の検討を行ってきているということでございます。

 その実施内容につきましては、後ほどまた別途出てきますのでちょっと省略させていただきたいと思います。

 次に、資料5-マル6でございます。こちらのほうで、設立時にいろいろ休暇制度を議論していただきましたけれども、その後、その制度の改正の経過を順を追って示してほしいということでございましたので、その改正経過について御説明したいと思います。

 資料5-マル6、9ページでございますが、まず、1点目に仕事と子育て、いわゆる少子化対策も含めて、この両立に伴う休暇制度の見直しでございます。機構としましても、女性の割合が非常に高いということもございまして、少子化対策や子育てに配慮した休暇制度の見直しを行ったところでございます。

 

○増田部会長 少し簡略に、要点だけ説明していただけますか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) わかりました。済みません。

 それにつきましては、こちらに書いてありますマル1で結婚休暇、配偶者の出産休暇、子供の看護休暇、育児短時間勤務ということで改正を行ってきたところでございます。

 それから、仕事と生活の両立に伴う休職制度の見直しということで、病気休職の関係、それから介護の短時間勤務の関係をやってきております。

 次に、東日本大震災に伴う特別休暇ということで、これはボランティア休暇でございますが、この震災に伴ってボランティア休暇、無給でございますが、一応改正しております。

 次に、ワークライフバランスに配慮した連続休暇の新設ということでございます。これにつきましては当初設けていませんでしたけれども、ワークライフバランスの観点から3日間の連続休暇ということでございます。さらに、これにつきましては、職員に書類保持等の問題があれば、やはり早期に顕在化させて、重大事案に発展させることのないように、最低3日間、原則1週間の休暇取得をルール化させてはどうかということも踏まえて、今後さらに制度化を検討してまいりたいと思ってございます。

 そのほか、マル5以下は、変更していないということでございまして、これらの見直しにつきましては、国の方針、社会的要請を踏まえて、子育ての支援等の次世代育成支援対策、あるいはワークライフバランスの推進に資するものとして、限定的に行ってきたところでございます。

 私の説明は以上でございます。

 

○増田部会長 それでは、ただいまの説明について御質問、御意見がございましたら。

 岩瀬委員から、どうぞお願いします。

 

○岩瀬委員 まず、年金局にお聞きしたいのですけれども、これは本拠地以外に勤務した場合は、全国異動というと今、定義をされましたけれども、その定義に関して年金局は了解していたのですか。それをちょっと教えていただけませんか。

 

○増田部会長 どうぞ、お願いします。

 審議官、お願いします。

 

○樽見年金管理審議官 全国異動ということについては、これはもう岩瀬委員を含めて、御存じのとおり、日本年金機構の設立委員会のときに議論がされておりまして、そのときに、本拠地以外というか、まさに県をまたいでの、都道府県域を越えて広域的に転勤を行うということが全国異動であると整理されていたということでございますので、そういうことで言いますと、本拠地以外、その本拠地という考え方については、機構発足後に整理しているところでございますけれども、都道府県域を越えた異動を全国異動という考え方でやっているということで承知いたしております。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 閣議決定を見ますと、今、樽見さんが説明したような文言は書かれていなくて、広域人事を前提にしないといけないと。だから、県を越えたからいいというのではなくて、これを素直に読めば、かなり広域的な異動というものを閣議決定では考えていたのではないかと。というのは、当時すごく議論になったのは、ブロック間での異動ではだめだと。ブロックであれば、組合問題が発生して統治がきかなくなるというのがかなり議論になって、そういう意味で「広域人事」という言葉が入っていると思うのですね。だから、採用された地域以外で勤務すれば全国異動という理解は、当時はなかったと思います。閣議決定でもなかったと思うし、僕はその設立委員会に出ていましたけれども、設立委員会の中でそういう定義をするというのはなくて、かなり全国的に動いてもらうと。長期的にいろいろな視野で業務を学んでもらおうというのが委員会の了解事項だったと思いますね。それをそういうふうに読みかえたというのは、何か根拠があるのでしょうか。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○樽見年金管理審議官 読みかえたといいますか、この基本計画の文言はこうなっていまして、固定的な三層構造の一掃というところで出てくるのですが「かつて『地方事務官』として都道府県単位で採用された職員が一体性を欠いたまま存在するという構造は、組織を分断させ、組織ガバナンスの欠如の原因とも指摘されている」と。「このため、本庁・地方庁別に採用を行い、採用区分によって人事異動が固定化される従来の仕組みは完全に廃止し、本部で一括採用を行うとともに、地方の幹部人事も本部で行うことが必要である。また、本部・地方組織間で全国異動を行い、管理業務と現場業務の経験を通じて幹部を養成することを基本的なキャリアパターンとして確立し、これを人事制度上のルールとする。」ということが書いてありまして、そういうことで言いますと、本部、地方組織間で全国異動ということと、考え方としては、都道府県単位で採用された職員が一体性を欠いたまま存在することが問題であるということが基本計画では書いてあるということでございます。

 設立委員会で言いますと、実は私もちょっと確認したのですが、先ほど申し上げましたのは平成21年6月29日の第10回設立委員会のときに、当時の奥田委員長から「全国異動、転勤、転勤という話がたくさん出てくるのですが」という質問に対して、当時の厚生労働省のほうで「全国異動については、都道府県域を越えて広域的に転勤を行うということでございます。」と答えをしているということがございます。

 

○岩瀬委員 それは何年のものですか。

 

○樽見年金管理審議官 平成21年6月29日でございます。

 

○岩瀬委員 ただ、今、手元に「日本年金機構の理念・運営方針・人事方針」という文書がありますけれども、そこではそういうことまで書かれていなくて、全ての職員に対しては全国異動を行いましょうと。そして、この方針よりも上位の方針としてある閣議決定の基本計画においては、広域人事ということを広く前提に行うべきであると。広域人事ということを普通考えれば、広くブロックをまたいでやっていくべきであると。特に、当時はブロック内での問題が非常に激しく国会でも議論されていましたよね。特に九州地連のブロック内で、仕事をしないで遊んでいるのだということを彼らがビラに書いて配布したりとか、特に自治労国費評議会10年誌なんかには、着任交渉といって、本部から来た職員を全員追い返すのだと。それは、ブロック単位で追い返していたわけですね。県の職員が追い返したのではなくて、事務局としてブロックがやっていたのです。ただ、こういう実態の中で、こういう三層構造を変えていくには、ブロックの中での異動はだめだというのは当時の理解だったと思いますよ。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○樽見年金管理審議官 そういうことで言いますと、まさに基本計画で書いてありますとおり、固定的な三層構造を一掃するための人事というのが重要だということでございますので、そういう意味で、そういうものにつながるような人事をしろということではあったろうと思います。ただ、一方で、そういうことで言いますと、いわばブロックを越えないと全国異動ではないということにもなっておりませんし、一方で、県を越えておればどんな人事をやっておればよいということでもないと思います。ただ、議論の経緯として申しますと、全国異動の定義ということで言うと、先ほど申し上げたように、設立委員会のところで言うと、実は私も部下にチェックしてもらって、さっき確認したところなのですけれども、そういうふうな都道府県域を越えた異動であるという説明をしているということでございまして、ただ、趣旨は、委員おっしゃるように、三層構造を一掃するための人事をやらなければいけないというところがございますので、そういうことで効果が、県内、隣の県の異動ということではそういうことが達成できないというような事情がある場合には、それはより広域的な異動をしなければいけないということだろうと思います。いずれにしても、何かが一律にそういうことをルールとして決めたということではなかったと思います。

 

○岩瀬委員 それは違います。そういう発言は1カ所出ているかもしれないけれども、でも、あの設立委員会での議論の中では、あるいは国会での議論の中においても、やはりブロック単位での異動は、これは弊害が起こるのであるという中で議論は進んでいっていたわけですね。私はそういう理解です。だから、そういう意味で、ここで全国異動の部分をブロック単位とブロック外とどういう分け方をして、ブロック外の異動がなぜ少ないのか、その辺の細かな説明をまずしていただきたいのです。きょうでなくても結構です、時間の問題があるので。この数字の意味をきちんと説明していただきたいですね。それで弊害が出ているのか出ていないのか。

 

○増田部会長 今の点は、そうしますと、厚生労働省もそうですし、それから機構側の問題でもあるというか、機構側が一番当事者ですから、その点について次回に、今の岩瀬委員の問題点の指摘、特にブロック内とブロック外で分けて、今、いみじくも審議官がおっしゃったけれども、それによって当時、考えられていた心配が払拭されているのかどうか、その数字の持つ意味ですね、それについて改めて説明していただけますか。

 どうぞ。

 

○岩瀬委員 年金局の何人かの方と雑談している中で、彼ら自身も、全国異動というのはブロック外の異動というものをある程度考えていて、こんなふうにやっているというのを初めて知りましたという人たちもいるわけです。だから、設立委員会は1年やりましたから、1年の議論の中にはいろいろな意見が出るわけです。その議論の一部を取り出して、これがそのときのあれだったというのは、ちょっと牽強付会という気がします。

 

○樽見年金管理審議官 そこは、そういうことで言いますと、実は私自身もこの基本計画の閣議決定のときから、どちらかというと、私は直接この設立委員会の担当の事務のところというよりは、ちょっと違ったかもしれませんけれども、おりましたので、この設立委員会のときの議論の背景といいますか雰囲気というのは、私もある程度わかっているつもりでございますけれども、ただ、趣旨としては、先生おっしゃるように、まさに三層構造をどういうふうに払拭していくのかということで議論があったとは承知しています。ただ、それが、一律にブロックを越えてということについてはというのは、実は私自身も余りそういう認識は率直に言ってなかったのです。ちょっとそこを議事録等で確認してもらったのですけれども、先ほどのようなことでありましたので、もう少し全体像を整理しまして、かつ、ただ、趣旨は三層構造の一掃というところでは同じだと思いますので、それが現在の機構の人事の中でどういうふうに効果を上げているのか、それをどういうふうに評価するのかということについて、ちょっと機構のほうの話も私どもとしてもよく聞いた上で、改めて資料を整理したいと思います。

 

○増田部会長 今、機構の理事長が手を挙げられたので。

 

○水島日本年金機構理事長 本来、全国異動について、そもそもの趣旨を踏まえて運営するということについては、極めて神経質に行ってきていると私自身も認識いたしております。県をまたぐ、さらに、県、ブロック内で異動させる場合の問題点というのは、今、少なくとも私自身、どういう問題点があるかという具体的な報告は今まで受けておりませんので、具体的な問題点がどこにあるかということについては、もう少し詰めてみなければいかんと思っています。もし問題点があるのであるとすれば、それはそれを解決するべく対応するということだと思います。

 ぜひ御理解いただきたいことは、そもそもの日本年金機構設立の趣旨に基づいて、そこにおいて議論された趣旨を踏まえて、よりよい組織をつくるために、我々としては最善を尽くす義務を負っていると認識しておりますし、そのために努力をしてまいります。

 今、御指摘の点について、問題点があるかどうかということについてはチェックをしてみまして、問題点があるとすれば、それについては対応してまいるつもりでございます。

 

○増田部会長 はい、わかりました。

 それでは、岩瀬さん、次の点ですね。

 

○岩瀬委員 休暇制度の問題と、もう一つ、この全国異動との関係で、女性を制度的に、子育て世代の女性たちを外すという議論が前回出たと思うのですが、これを制度化するのだと。第1回の部会のときには、それはもう制度化しないで、人事の運用の中で事情をお聞きして対応する、人事の運用でやるということで年金局は了解したはずだったと思うのですけれども、これはまた制度化するのだという話が今出てきているわけですけれども、これはどういうことなのかというのと、休暇制度に関しては、もう既に充実しているというのが、当時の設立委員会の委員全員の認識だったと思うのですね。それで、それを今、なぜこうやってふやすのか。これだけまだ国民に多大な迷惑をかけて、年金記録問題も解決していない中でそういうことをしていくのか、その辺の御真意をちょっと教えていただけませんか。

 

○増田部会長 どうぞ。

 それでは、理事長さん、お願いします。

 

○水島日本年金機構理事長 私に対する御質問だと思いますので、お答え申し上げます。

 女性に関しましては、実は、既に管理職に登用する際に個別に事情を勘案している方がいらっしゃいます。したがって、そのときに全国異動していない方がいらっしゃるということは事実でございます。

 それで、先ほど担当理事から御説明いたしましたが、私どもといたしましては、私どもの機構の女性の比率が高い、あるいは優秀な女性が多いということもございまして、女性の管理職を登用したいと思いますが、女性の管理職登用試験の際に、全国異動が義務だということを書いてございます。そこには、特に配慮するということは書いてございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように応募者が非常に少ないという実態がございます。

 男女を区別することがいいかどうかという問題はございますが、いずれにいたしましても、全国異動は行っていくという前提で、優秀な方を登用する際に、登用に当たって障害となるような事態がそのときにあるとすれば、やはりそこは配慮してあげたいと思っているということでございます。もちろん、その事情がなくなった、あるいは、基本的には2回目の異動に関しましては、全国に異動するということはやっていただかなければならないと思っておりまして、そういう意味で、募集に際しまして一定の留保条件と申しますか緩和条件と申しますか、そういうことも勘案することがあるということを募集条件の中に入れたいということでございます。

 次、まず女性はよろしゅうございますか。

 

○増田部会長 説明があれば続けてください。

 

○水島日本年金機構理事長 全部やってしまいますか。

 休暇制度でございますけれども、休暇制度に関しましては、実は、私がこの機構に参りまして1年半たちました。この間、私が強く感じておりますことは、機構全体に抑圧された緊張感といいますか、いつ怒られるかという緊張感が充満いたしておりまして、現場もそうですね、事務所でも、非常にお叱りを受けるケースが、みんな大変努力をしているのですが、過去を踏まえるといろいろお叱りを受ける。そういう意味で、組織全体に非常に緊張感がございます。

 それから、仕事のやりがいといいますか誇りと申しますか、それを失っているという喪失感があるのはもう事実だと思います。これを何とか前向きに変えてあげたいというのが私の願いでございまして、そういう意味で、先ほど来御説明いたしましたが、やはり前向きな意味では、国民年金の収納率というのは一つのテーマだと思ったわけでありますが、一方で、ずっと事務所を回っておりますと、回って意見交換をするわけです。その際にやはり職員から出てくることというのは、福利厚生面あるいは広域異動に対する不安、恐怖感といいますか、経済的な負担、そういうような面について非常に切実な意見はあります。しかし、我々としては、そもそもの経緯からしてこれは進めていかなければならないのでありますが、その中で少しでも光を与えてあげるために、社会的な要請あるいは経済的な環境、社会的な環境の変化に応じてお許しいただけるのではないかと考える範囲で、決して民間を上回らず、公務員を上回らない範囲においてそれを認めてあげたいと考えたというのが、経営者としての切実な願いでございます。ぜひその点は御理解をいただけないかと心からお願い申し上げる次第でございます。

 以上でございます。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 理事長のお話だと、これは僕の理解ですけれども、全国異動に関して女性を外す、これを制度化するということですね。

 

○増田部会長 それでは、理事長、もう一度。

 

○水島日本年金機構理事長 女性は外しません。女性も必ず管理者になる場合には全国異動いたします。ただし、今、1回目に、必ず事情を勘案している人がいるのですが、募集要項上は1回目も全国異動が義務づけられています。したがって、そのために受けないという人がやはりいるのですね。そういう方たちにチャレンジしてほしい、そういう方々で非常に優秀な方々が多いのです。

 

○岩瀬委員 わかりました。1回目は外すと。それは、この全国異動という仕組みを柔軟に運用するというような、よく言えばそういう言い方でしょうし、悪く言えば、その制度としてあるけれども、これは、そのときそのときで使い分けしますよというふうに理解できるのですけれども、そういうやり方というのは、女性を対象にしてですよ、いいのですか、これは問題ないの。男女雇用均等法上のポジティブアクションと検討されたのですか。

 

○水島日本年金機構理事長 いや、済みません、それにつきましても後ほど担当からお答えしたほうが正確にお答えできると思いますが、適当にやろうということでは決してございませんで、御存じのとおり、既に新入職員というのは1,000人を超えております。この人たちは全員全国異動しています。10年すればこの人たちは3,000人になるわけでありまして、そもそも私は、本拠地制度自体が、ちょっと言い過ぎですが、本拠地を登録させること自体がもう既に問題だと思っています。ですから、もうどこに異動するかというのは、基本的に機構の方針に基づいて異動するということにしていかなければならないと思います。ただ、もちろん、まだ不十分な点がございますから、これについては是正してまいります。

 

○岩瀬委員 だから、そこの部分に関しては運用でやればいいのではないですか。受けたけれども、今、子供がおなかの中にいて全国異動できないという場合は、それは考えましょうとか、あるいは介護があって、そういう場合は人事を話し合って決めればいいわけであって、制度としてつくる必要がどこにあるのかがわからない。

 

○水島日本年金機構理事長 今、登用試験の募集要項に書いてあるということでございまして、その募集要項の書き方を変えればいいと。ですから、それだけでいい。

 

○岩瀬委員 それで済む話で。

 

○水島日本年金機構理事長 それで済む話です。

 

○岩瀬委員 それを、全国異動を制度化するとずっとおっしゃっている。

 

○水島日本年金機構理事長 いや、そんなことはありません。

 

○岩瀬委員 制度で変えると。

 

○水島日本年金機構理事長 申し上げておりません。ですから、申し上げましたのは。

 

○岩瀬委員 言っていることが全然変わってくるんです。

 

○増田部会長 ちょっと待ってください。この問題でずっとやっていただくのも結構ですけれども、少し問題点を整理していただいて、何をされようとしているのか、それで、それがどういう意味なのかということをきちんと整理していただく必要がありますね。これまでどういうやりとりを委員との間でやられても、ちょっと私も以前のことは承知しておりませんけれども、要は、当部会として、業務全体のパフォーマンスがどうなっているかという観点から、今こちらのほうでいろいろお尋ねしていると思うのですが、ですから、岩瀬委員も、今の点について、例えば機構側からどういうことをやろうとしているのか、今、聞いている限りでは、認識に少し、私も、それぞれが認識されていることがちょっとずれているような感じもするのですけれども。

 

○岩瀬委員 そこはすり合わせをして。

 

○増田部会長 そうですね。どういうことをしようとしているのか、それで、それに対して岩瀬委員がおっしゃっていることが矛盾するのかどうか、もう少し詰めていただく必要があると思います。

 どうぞ、岩瀬委員。

 

○岩瀬委員 機構側の説明に対して私が非常に不満を持っているのは、言うことが毎回違ってくるということです。だから、わからなくなる。

 

○増田部会長 わかりました。そこは一度すり合わせをして、その上で、どうしてもお互いに矛盾する点があれば、それは、そこの点に限ってこの場で議論していただくというふうにさせていただきたいと思います。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 休みをふやすということに関して、これは、もしそういう提案をするのであれば、この部会に対して堂々と何日休みをふやしたいと、そういう議論の材料として出すべきであって、部会に全く知らせないでこっそりやってしまうというのは、これはちょっとやり過ぎなのではないでしょうか。

 

○増田部会長 副理事長さんですか。どうぞ。

 

○薄井日本年金機構副理事長 当部会は、この間までは評価部会という格好でございましたが、事業管理部会に改組されまして、そういう意味では、先般の求めに対して、これまでやってきたこと等を今回資料として整理させていただいたということでございます。

 それから、こっそりということについて申し上げると、一般事業主行動計画、これは機構のホームページに公表するということになっています。決してこっそりというつもりはございません。

 

○岩瀬委員 でも、一般行動事業計画から、休みが増えたというのは読めないですよ。普通の理解でいったら、誰が読めるのですか。

 

○増田部会長 異動の関係と、それから今の休暇の関係ですけれども、少なくとも岩瀬委員と機構の間には認識が少し違っている部分があるように思いますね。これは、当部会では機構の業務のパフォーマンスがきちんとされているかどうかということですが、必ずしも当部会全員の意見とういうよりは岩瀬委員の意見ということだと思いますけれども。

 今の関係でよろしいですか。

 では、西沢委員、どうぞ。

 

○西沢委員 年金機構設立当時の話というのがありましたし、あと、国民にこれだけ迷惑をかけたという話もあって、異動や休暇などの処遇の中に懲罰的なものが入っていると思うのですね。これだけ国民に迷惑をかけたからと。懲罰的なものはどれとどれで、それはいつになったら終わるのか。年金機構として、平常状態であれば、どういう処遇が目指されるべきなのかというのをちょっと色分けして教えてほしいのですね。永遠に懲罰し続けるのか、どれかが懲罰的なものならば。そうでなくても、平常状態であれば、日本年金機構の仕事のレベルや難しさからいってこのぐらいの処遇が必要だという水準が、年金機構として目指すものがあるのか。

 異動の話にしても、女性がこうやって異動しろと永遠に言われると、共働きが増えてくるとなかなか管理職に手を上げにくいですね。だから、今のこの異動のレベルが定常状態ではなくて、ちょっと三層構造を排するための経過的な措置であって、将来的にはこういう数字に落ちつくというところが目指されれば、ある程度女性も安心して手を上げてくると思うので、ちょっとそれを次回、色分けして教えていただきたいと思います。

 

○増田部会長 今の色分けできるかどうかというのは、かなり本質的なところだと思うのですけれどもね。

 

○薄井日本年金機構副理事長 懲罰的かどうかというところを色分けしてというお話ですが、機構設立段階、私も設立委員会にかかわっておりましたけれども、いろいろな議論があって、機構法では、機構の処遇については公務員との関係、あるいは一般社会全体の情勢、こういうものの中で決めていくということを設立委員会で御議論いただいて、各種勤務条件、給与もあれば休暇もあれば、そういうものが決められたという経緯がございます。これは平成20年の暮れだったと思いますけれども、そういう中で今のスタイルになっているわけです。それが、いろいろな状況を踏まえてそういうふうにお決めになったので、これがこうだからということでは、色がつくようなものではないと思っています。

 それで、一連の事業主行動計画等で変えてきたというのは、やはり子育て支援とか、そういう観点、先ほど資料5のところで御説明いたしましたけれども、設立委員会に変更された、例えば休職でも、病気休職は、公務員は有給ですけれども、無給であるとか、そういうところは、これはもう維持してございます。設立当時のとおりになっているものもたくさんございますが、一方で、仕事と子育ての両立とかワークライフバランス、こういう観点のものについては、そういう視点から、ここは変更していいのではないかということで変更を図ってきたということでございます。

 

○増田部会長 それでは、岩瀬委員と、それから吉山委員ですか。岩瀬委員からどうぞ。

 

○岩瀬委員 あのときの議論の中で、懲罰的にカットするということはなかったと思います。そういう懲罰的ではないかという意見はあったけれども、では、懲罰的にカットしようというのではなくて、その公務員の現状と民間の現状と比較した中で、これが妥当であろうと。特に、年金保険料を負担する国民との均衡を考えた場合に、こういう休暇のあり方が適当であるという結論だったと思います。それは、当時の設立委員会だった小嶌典明先生が、今、僕が読み上げたところを、この『国立大学法人と労働法』の中にも書いていますので、決して懲罰的ではなかった。

 

○増田部会長 吉山委員、どうぞ。

 

○吉山委員 日本年金機構の生い立ちというのでしょうか、旧社会保険庁の諸事情があって、マイナスイメージからスタートしていると思います。それで、例えば休暇が増えたこと等を、このままの資料を国民が見たときに、機構はかなり甘いのではないかという受け取り方をするのではないかと懸念はしております。一方、マイナススタートで職員の方々は最初から怒られ続けという状態で仕事をしている、そのことを考えると、もう機構発足から数年たっているのですから、職員のモチベーションが下がらないように、少なくとも職員のためを思った施策をとっていく必要があると思っています。

 多分、理事長のおっしゃっているのも、その職員のことを思って、職員のパフォーマンスが落ちないようにということを意味しているのではないかと思います。この件はちょっと行き違い、考えの違いがあるようなので、意見交換が次回にでもできればと思っております。

 

○増田部会長 ほかに意見ございますか。よろしいですか。

 それでは、その他の部分ですけれども、今、休暇制度と、それから異動の関係、これについて話がございましたが、少しこの関係についての認識を1回整理する必要があると思うのですね。どういうことをこれからされようとしているのかということをそれぞれ機構と、それから、実際には厚生労働省もよく相談されて、どういうことをされようとしているのかを整理していただきたい。

 あと、これはむしろこちら側の部会としてよく考えておくべきことなのかもしれませんが、この部会とすれば、業務全体のパフォーマンスがどうなっているかということをきちんと見ていくということで、その際のツールとして、実際の休暇ですとか、それから、職員の異動体系が本当に適切な形になっているかというのは判断基準の一つではあるかと思うのですが、それは、今、いみじくもお二方から話が出ましたけれども、年金機構のスタート時点のいきさつというか、それを踏まえる必要があるのと、それから、今後の組織自体が、これからパフォーマンスを向上していく上に適切な制度になっているか、両面から考えていかなくてはいけませんので、そういった休暇ですとか、いわゆる福利厚生的な制度がどういうふうに機構にふさわしいものか評価していくそのことについては、こちら側も、各委員としていろいろ意見があると思いますけれども、そのことをそれぞれに考えていかなければいけないと思うのですね。したがって、恐らくきょうの今のやりとりを聞いておりましても、この場ではなかなか整理がつかないと思いますので、その整理を適切にした上でまた議論していただくということにしたいと思います。それぞれの委員の方々に、きょうの議論が抱えている問題等について、あるいはほかの制度等についてもあるのかもしれませんけれども、少し頭を整理しておいていただいて、次回またおっしゃっていただければと思います。

 そういうまとめでよろしゅうございますか。

 それでは、大分時間が超過して恐縮でございましたが、本日用意いたしました議題は全て終了しました。

 あと、事務局から今後のスケジュールを。

 

○梶野年金事業運営推進室長 本日もまことにありがとうございました。次回は7月22日、火曜日10時から、場所は改めて御連絡します。

 

○増田部会長 それでは、本日の議事はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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