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2014年1月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成26年1月24日(金)17:00~


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

出席委員(12名) 五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、  神 田 敏 子、 佐 藤 田鶴子、
手 島 玲 子、 豊 見 雅 文、  野 田 光 彦、 平 石 秀 幸、
古 川    漸、◎松 井   陽、○松 木 則 夫、 本 橋 伸 高
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(9名)

小 川    聡、 木 村   剛、 佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、
武 田 正 之、 林   邦 彦、 増 井    徹、 村 田 美 穂、
山 田 清 文

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野    惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻より少し早いですが、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。また、非常に遅い時刻の開催となりまして、先生方には御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 本日の委員の出席についてですが、小川委員、木村委員、佐藤雄一郎委員、鈴木委員、武田委員、林委員、増井委員、村田委員及び山田委員より、御欠席との御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の先生方の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、松井部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 今年もよろしくお願いいたします。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告ください。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~9をあらかじめお送りしています。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料12)について報告いたします。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。資料12の1ページは、ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mlです。本品目は、糖尿病黄斑浮腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページは、「フォシーガ錠5mg及び同錠10mg」です。本品目は、2型糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページは、「レグパラ錠25mg、同錠75mg」です。本品目は、副甲状腺癌等における高カルシウム血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページは、「乾燥スルホ化人免疫グロブリン」です。本品目は、顕微鏡的多発血管炎における神経障害の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 5ページは、「アドシルカ錠20mg」です。本品目は、肺動脈性肺高血圧症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に、何か特段の御意見はありますか。そうしましたら、本部会の本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものといたします。それでは、委員の皆様からの申出状況について、事務局から報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。なお、今回、退席委員はいらっしゃいません。

議題1「ルセンティス硝子体内注射液」、議決に参加しない委員は、野田委員です。

議題2「フォシーガ錠」、議決に参加しない委員は、野田委員、平石委員です。

議題3「レグパラ錠」、議決に参加しない委員は、野田委員です。

議題4「乾燥スルホ化人免疫グロブリン」、議決に参加しない委員は、なしです。

議題5「アドシルカ錠」、議決に参加しない委員は、野田委員、平石委員、本橋委員です。以上です。

○松井部会長 本日は、審議事項は5議題、報告事項は4議題となっております。それでは、早速、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要を御説明ください。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mlの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。

 本剤の有効成分でありますラニビズマブ(遺伝子組換え)は、VEGFに対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体のFab断片であり、本邦において2009年1月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」を効能・効果として承認され、2013年8月に「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」及び「病的近視における脈絡膜新生血管」に対する効能・効果が追加承認されております。糖尿病黄斑浮腫(以下、「DME」)については、本邦において2009年9月より臨床試験が開始され、今般、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では、2013年9月現在、DMEに対して103の国又は地域で承認されております。

 本申請の専門委員としては、資料11に記載されております4名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。DMEに対する有効性及び安全性を評価する第III相試験として、本剤群、本剤とレーザー照射療法の併用療法群(以下、「併用群」)及びレーザー照射療法群を設定した臨床試験が2試験実施されており、D2301試験では外国人DME患者、D2303試験では日本人を含むアジア人DME患者が対象とされました。まず、本剤の有効性について、審査報告書9ページの図3及び11ページの図4を御覧ください。図3はD2301試験、図4はD2303試験の視力のスコアであるBCVAスコアのベースラインからの平均変化量の推移を示しています。

 D2301試験では、主要評価項目とされたMonth1~12のBCVAスコアのベースラインからの平均変化量において、本剤群及び併用群におけるレーザー照射群に対する優越性が検証されました。ただし、D2303試験では、画像所見に基づくDMEの種類を含んだ統計モデルによる解析を実施する計画でしたが、画像データに十分な信頼性が得られなかったことから、あらかじめ計画された統計モデルによる群間比較の結果は得られておりません。しかしながら、本剤群及び併用群のMonth1~12の実際に観測されたBCVAスコアのベースラインからの平均変化量は、レーザー群を上回る傾向が認められており、その推移はD2301試験の結果と同様でした。以上より、日本人DME患者において、本剤の有効性は期待できるものと考えております。

 次に、安全性について、審査報告書16ページの表8を御覧ください。D2303試験における日本人集団では、治験治療との因果関係を否定できない有害事象及び結膜出血の発現割合が、D2303試験の全体集団及びD2301試験と比較して、わずかに高い傾向が認められましたが、日本人集団内の各群における発現割合が大きく異なる傾向は認められませんでした。

 以上の審査を踏まえ、本剤の「糖尿病黄斑浮腫」に係る効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能医薬品に該当し、再審査期間は「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」及び「病的近視における脈絡膜新生血管」に係る再審査期間の残余期間である平成31年6月19日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いしたいと思います。糖尿病の黄斑浮腫、今回追加分に関する論議です。いかがでしょうか。

○神田委員 16ページの有効性の所で説明があったと思いますが、第III相アジア国際共同試験では、信頼性が確保された画像データが得られなかったけれども、様々な有効性の検証や諸々あり、日本人患者においても本剤の有効性は期待できるという説明でしたね。

○松井部会長 質問は、9ページの図3でしょうか。

○神田委員 16ページに書いてある箇所で、今、質問しています。

○松井部会長 16ページは、安全性の方ですね。

○審査管理課長 16ページの下の、「機構は、以下のように考える」の部分ですね。

○神田委員 「機構は、以下のように考える」ということで、信頼性が確保されたデータが得られなかったけれども、日本人患者において有効性が期待できるとなっておりますが、そのあとに、その上で海外の臨床試験成績を利用して、日本人における有効性、安全性を評価することの適切性については、専門協議会における議論を踏まえて最終判断したいとなっておりますね。このことが、私は専門協議会における議論がどうだったのかというのが、この資料の中から見つけることができなかったので、その辺りの議論を踏まえて最終判断をしたいとおっしゃっているので、その辺りを確認させていただきたいと思います。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 審査報告書の30ページに、審査報告()を作成しております。この中で、専門協議の議論を記載しており、詳しくは書いていないのですが、冒頭の所で「専門協議では、審査報告()に記載した機構の判断は支持され」と記載しており、海外臨床試験成績を利用して日本人患者に対して本剤の有効性が期待できると判断することについて、専門協議の中では全面的に支持されております。海外の臨床試験を利用し、日本人の有効性及び安全性を評価することに対して、特段の意見は頂きませんでした。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○神田委員 分かりました。そう書いてあるからには、やはりこうであったというのが欲しかったと思ったので、その方が分かりやすいかと思ったのですが、まとめて最後に含めて書かれているということでよろしいですか。

○機構 はい、そのとおりです。

○神田委員 ということは、特段の問題がないと受け止めてよろしいと受け取ればいいということですね。

○機構 はい。

○審査管理課長 審査報告()()の時間差の話をきちんとしないと、先生に御理解いただけないのではないでしょうか。

○機構 審査報告()()の内容について、少し説明いたします。審査報告()については、専門協議を実施する前に機構で作成し、それに基づいて専門協議で議論いただいております。専門協議での議論を踏まえた最終的な判断を審査報告()に記載しておりますので、専門協議での議論につきましては審査報告()の中に記載することとなっております。

○審査管理課長 神田先生、追加ですが、特段専門協議の中で、機構の見解について支持があったものは、審査報告()の中では、このような書き方を通例しております。ただ、それ以上に様々な議論があり、更にその後申請者等に指示をしたり、機構の中でもう一度議論をして、最終的に結論を導くものについては、ここにもありますように、本剤の投与対象や製販後の調査についてどうだというところは、詳しくここに書いてあるというのが、審査報告()()の立て方をこのような形でやらせていただいているということで、御理解いただければと思います。

○松井部会長 ほかにはありますか。

○松木部会長代理 この図の3~6などは、凡例とプロットなどが重なり非常に見にくくなっています。重なりがない部分は大体分かるのですが、もう少し分かりやすい図をお願いいたします。これが添付文書にそのまま使われているので、追加した図が本当に分かりにくいので、その辺りは直していただきたいと思います。

○機構 ありがとうございます。申請者に伝達し、添付文書の図を分かりやすくするように対応したいと思います。

○松井部会長 そうですね。その添付文書が分かりにくければ、意味が半減します。ほかにいかがでしょうか。なければ、議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。そのほかの委員の先生方、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。異議なしと認めます。承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題2に移ります。機構から説明をお願いします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品フォシーガ錠5mg及び同錠10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。

 本剤は、ヒトナトリウム・グルコース共輸送担体2(以下、「SGLT2」)の選択的阻害薬であるダパグリフロジンプロピレングリコール水和物を有効成分とする錠剤です。SGLT2は腎近位尿細管に特異的に発現し、糸球体濾過を受けたグルコースを再吸収する役割を担っており、SGLT2選択的阻害薬は、尿中へのグルコース排泄促進作用により、インスリン非依存的に血糖降下作用を示します。

 本剤は、201311月現在、欧州を含む38か国で承認されており、米国では今月8日付けで承認されております。本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。

 有効性については、本剤単独療法に関して国内第III相試験が実施され、審査報告書57ページの表18に示しましたように、主要評価項目とされたベースラインから投与24週時までのHbAc変化量について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、単独療法及び併用療法の国内第III相長期投与試験も実施され、60ページ表21及び図2に示しましたように効果の持続性も示されております。

 安全性については、58ページの表2061ページの表2324に示しました国内第III相試験における有害事象及び副作用の発現状況、64ページ~86ページの「()安全性について」の項に記載しましたように、低血糖、多尿・頻尿に関連する事象、尿路感染症、生殖器感染症等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

 製造販売後調査については、100ページの「()医薬品リスク管理計画()について」の項に記載しましたように、観察期間3年間、予定症例数として6,000例の長期特定使用成績調査と発売日から3か月間に本剤が投与された高齢者を対象とした特定使用成績調査が計画されており、100ページ表37に示した検討事項に関する情報が収集される予定です。以上のとおり、機構での審査の結果、「2型糖尿病」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、奥田委員より事前に質問を頂いております。原薬に関する資料2.3.S87ページ下から2行目の本薬の溶媒和生成工程は、□□に対して選択的である旨の記載について、□□に対し選択的に溶媒和を生成するのであれば、□□が存在すれば溶媒和を生成してしまうので、本薬に影響するのではないかとの御質問です。資料中の記載は、本薬のS体との溶媒和物系生成工程が□□に対して選択的に行われることを意図したものであり、奥田委員には事前にその旨を説明し御了解をいただいております。以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 ただ今の奥田委員の質問に対するお答えについて、いかがでしょうか。

○奥田委員 英文を見せていただいて納得しました。訳が分かりにくい訳になっていたということです。内容的には結構です。

○松井部会長 その点について、ほかの先生方はよろしいでしょうか。

○佐藤()委員 先ほどの薬と同じような質問になろうかと思いますが、97ページの「

IV. 総合評価」の項目を見ていただくと、新しい薬ですから、ほかと比較して類薬で似ているからどうこうという問題ではなく、中段にありますように、腎機能障害の本剤の安全性への影響であるとか様々な障害について、さらに安全性については検討が必要であると書いてあります。専門協議での検討を踏まえて、特に問題がないと判断できる場合には、本剤を承認して差し支えないというのですが、この専門協議というのは、本会議でこの段階でどの程度許容できたら適当であるというような判断をすべきなのでしょうか。大変難しい質問ですが、これから検討しなければいけないような薬のように思えるのですが、少しその点について判断方法を教えてください。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 専門協議においては、先ほど説明しました資料11に示す先生方に、審査報告()の内容を事前にお送りし、国内、海外の試験成績を踏まえた上で安全性を議論しております。また、得られた臨床試験成績を踏まえた安全性について、添付文書の記載内容についても、この添付文書の注意喚起であれば問題ないですとか、申請時からこういうところを変更すれば安全に使えるのではないかというようなことも併せて議論をし、審査報告()で記載しております内容及び、1.8「添付文書案」に記載しております内容で、専門協議後に先生方に確認していただき、安全性は許容可能という判断をいただいております。

○審査第一部長 審査報告の()97ページの「さらに検討が必要である」という所ですが、我々の判断として、提出された資料から見て、注意喚起をすれば安全性、有効性は確保できるだろうということで結論を出しております。ただ、御存じのように、これまでに得られたデータは臨床試験までのデータです。ですので、限られた症例、それから対象が限られるというようなことがありますので、やはり情報は限られていますので、市販後の情報も含めて長期に検討しなければならないことはありますねということで、こういう点を羅列しております。現時点ではあるのですが、やはり市販後を見て更に情報収集をして、これらの点については再度確認をしていく、必要があるということで、この文言を書いております。

○松井部会長 いかがでしょうか。これは、慣習もこういう書き方についてはあるのだろうと思いますが、平たく考えると、総合評価というのは一応この段階での結論なので、その中に過程が入っていることについて疑問が出されているのだと、私は思います。

○審査第一部長 さらに、検討が必要であるという所ですが、明確には、市販後においてさらに情報収集をしていくことが必要である、と書けばよかったのかもしれません。意味としては、例えば悪性腫瘍や心血管系のリスクというのは、大きなデータを持っていなければ分からないところですので、そういうデータを市販後に積み重ねていって判断していく必要があるということで、更に検討が必要であるということにしております。

○松木部会長代理 SGLT2の前回のものはどうだったかは忘れてしまったのですが、これからも幾つかは出てくると思いますので、やはり皆同じような書きぶりになるのが好ましいと思います。逆に言うと、皆同じような曖昧なような記述になってしまうことについて、何か検討いただければと思います。

○審査第一部長 分かりました。ありがとうございました。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○野田委員 添付文書()の2ページの左側の副作用の所を見ますと、重大な副作用で低血糖症という記載があります。3行目に、低血糖症が現れることがあるとあるのですが、その下の行に他の糖尿病用薬と併用しない場合も、低血糖症状が現れることがある、とあり、恐らくこの低血糖症というのは、審査報告書65ページの下の脚注152にある低血糖症の定義に基づいたものだろうと思います。低血糖症状というのは、これは一体どのようにして低血糖症と低血糖症状は使い分けられているのか気になったので、質問いたしました。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 まず、最初の低血糖症は、試験成績で低血糖症と定義しているものが見られたということで記載しておりますが、後ろの他の糖尿病用薬と併用しない場合についての低血糖症状は、海外試験では単独療法でも低血糖症が見られており、低血糖症と変更した方が適切だと思いますので、低血糖症と変更するように申請者にお伝えいたします。

○松井部会長 こちらは、というのは。

○機構 他の糖尿病用薬と併用しない場合にも一般的な低血糖の症状がみられることがあるということで記載していますが、使い分けているわけではありません。

○松井部会長 野田先生、いかがですか。

○野田委員 それで、よろしいのですね。そのようにしていただきたいというわけではなくて、疑問に思っただけなのですが、そういう結論であればそれで結構だと思います。ありがとうございます。

○機構 ただ、類薬全体の記載等も確認いたしまして、現場で分かりづらくならないようにしたいと思います。

○野田委員 どうもありがとうございます。

○松井部会長 よろしいですか。低血糖に関する記述は、今後も出てくると思いますので、どのように考えたかを簡単で結構ですから、何らかの形で報告していただきたいと思います。よろしいでしょうか。類薬と比べて検討するとおっしゃったので、お願いします。

○機構 はい。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○加藤委員 非臨床のデータの解釈について伺いたいのですが、報告書の12ページで、「2)In vivo試験」の所ですが、動物を使った実験で「内因性グルコース産生に対する作用」という所があります。まず一つは、尿中グルコースが溜飲増加するのは分かるのですが、13ページの上に、内因性グルコース産生率がZDF、ZDFE、どちらでも上昇するという結論になっています。これは、先ほどのSGLTに対する作用ということで解釈できるのかどうかです。その次の2.の体重及び身体組成の所で、体重の減少あるいは脂肪グリセロールの有意な上昇、脂肪酸代謝の亢進が認められたという結論になっているのですが、これとこの薬物の薬効との関係について、何か解釈はあるのでしょうか。

○松井部会長 1番目の点については、いかがでしょうか。

○機構 まず1点目の13ページ2行目の内因性グルコース産生率は、ZDFラット、ZDF Leanラットのいずれにおいても、対照群と比較して有意に上昇したので、こちらは薬剤によるものと考えられます。先生の御質問は、機序ということでしょうか。

○加藤委員 これは、SGLT1と2を阻害したことによって起こって、内因性のグルコース産生率が上がるような肝臓などの変化が起こったという解釈なのか、それとも別の作用機序があり得ることを考えた方がいいのかということです。

○松井部会長 いかがですか。

○機構 この試験では実際に肝臓でのグルコース量は測っていないですが、先生が推測されているようなことになると考えます。

○松井部会長 推定ですね。

○機構 内因性の肝臓でのグルコース産生を亢進している可能性があると考えます。

○松井部会長 はっきりとした調査はないけれどもということですね。

○機構 はい、詳細なデータはありません。

○松井部会長 もう一つの質問は、体重及び身体組成に対する作用のことですね。

○機構 2点目の脂肪酸代謝の亢進ですが、同じく、こちらについても生体の血糖値が低下することによって、代償的に脂肪酸代謝の亢進に至っているのではないかと推測しております。

○松井部会長 よろしいでしょうか。

○加藤委員 拝見したところ、それに相当するような人の臨床データはないような気がするのですが、例えば患者によっては内因性のグルコース産生が非常に亢進するということで、排出はするけれども逆に産生も増えてしまうというような効果が起こり得るのかなというのが気になりました。それが、今後の販売後調査などでも、非臨床のデータが人では見られるのかどうかを少しチェックしてもいいのではないでしょうか。

○機構 そうですね。今後の臨床データの更なる積み重ねによって、作用が臨床でも見られるのかどうかは、引き続き検討されることと思っております。

○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがですか。

○松木部会長代理 SGLT2の阻害薬というのは、前回もありましたし、これからも出てくると思うのですが、そのとき尿糖が上がることの記載について、例えば添付文書では2ページの8で、「臨床検査結果に及ぼす影響」という形での記載ですが、大体このようなもので統一されているのでしたか。何か、もう少し尿糖が上がることを、どこかで明記した方がいいと思うのですが。

○機構 添付文書(案)の「使用上の注意」「8.臨床検査結果に及ぼす影響」の箇所です。

○松井部会長 何ページでしょうか。

○機構 1.8の添付文書の14ページの後ろに添付文書()があります。添付文書案の2ページの「8.臨床検査結果に及ぼす影響」という所で、尿糖陽性になるという旨の記載及び、薬効薬理の項の作用機序の所で、尿中グルコース排泄を促進するという機序を書かせていただいておりますので、こちらである程度臨床現場には伝わるのではないかと考えております。

○松木部会長代理 質問の趣旨は、ほかのSGLT2は

とですず用量調せんので、一時的な効能で、一時な効能で、一時的な 、前回もこうだったかなということです。

○機構 はい、前回と同様の記載とさせていただいておりまして、今後のSGLT2も同じような記載とする予定です。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

○神田委員 また読み取り方についての質問かもしれないので恐縮なのですが、101ページで承認申請書に添付すべき資料に関わる調査と判断があります。「2.GCP実地調査結果に対する機構の判断」の所についての質問です。これは、先ほどの議題1でも同じようなことが書かれておりましたが、添付すべき資料について、一部の実施医療機関ではありますが、治験実施計画からの逸脱事例があったということで、選択基準を満たしていない被験者の組入れや、妊娠検査に係る規定の不遵守や治験薬の割付けに係る規定の不遵守というようなことが書かれていて、そういった問題があったけれども、最終的には提出された承認申請資料に基づいて審査を行うことに支障はないと判断すると書かれています。これは大きな問題ではないということで受け止めていいのでしょうか。議題1でもこのようなことがありまして、このようなことはよくあることで、余り心配しなくてもよいということでよろしいのでしょうか。逸脱行為というと、少し気になりました。

○審査第一部長 資料の信頼性については、例えば臨床試験であれば、カルテ等と照合して、その資料がきちんと使われているかどうかを調査いたします。その中で、例えば計画と少し違うとか、検査日がずれていたり、検査項目が欠落したりというのがあります。判断としては、欠落やずれたことによる影響が、例えば主要評価の項目に影響するかどうかという点を考慮して、仮に影響するようであれば、その症例は削除するような処理をして、全体的な臨床試験の結果を出すことになります。そのような一つ一つの逸脱行為について、結果に影響するかどうかを個別に判断していき、影響するものについては削除した上で、最終的な評価をすることになっております。この場合は、そういう処理をして問題はなかったという結論が出ているということです。

○神田委員 意味は分かりました。ただ、このような遵守していないということを見ますと、信頼性に関わる問題ともつながるのかなと受け取れたものですから、気になりました。分かりました。ありがとうございました。

○審議役 補足して説明をいたしますが、臨床試験、特に治験については、非常に詳細なプロトコールという実施計画書を作って、それに基づいて行われています。その実施計画書というのは、非常に詳細な規定がありますので、実施医療機関では当然それに沿うように努力をしますし、実際に治験を行う治験責任医師、担当の治験分担医師、それからCRCといわれる治験コーディネーターと臨床研究コーディネーターがいらっしゃいますが、そういうスタッフが努力をして、プロトコールにのっとって治験が行われるようにするわけです。しかし、様々な理由で、必ずしもプロトコールが100%遵守されているかというと、なかなかそうは行かないのが普通です。その中で、審査報告書の101ページに記載のあったように、あとから機構でGCPの調査を行ったときに、一部の症例でここに書いたような治験計画書からの逸脱の症例が認められたということです。ただ、それはどんな治験であっても、100%逸脱が全くなく行われることは通常ありませんで、ある一定の割合でそういった逸脱は起こるのが普通です。ただ、GCPの調査の中で、そういったことを見つけても、その頻度、程度、それからどういった項目でそのような誤りがあるのかといったことを評価して、全体の評価結果には問題がないという評価をしております。

 一方、先ほどの資料1の場合ですが、こちらはまた一つの試験全体で全ての症例に関わるデータの、一部のデータですが、それが信頼性を欠く状態であったということですので、資料1では一つの試験の一つの項目のデータについては、これは信頼性が担保できないので採用しないという判断になったわけです。

○松井部会長 よろしいでしょうか。どういう理由で逸脱と認められないということを書き出すと、恐らくかなりボリュームを必要とするのだろうとは想像します。しかし、神田委員のおっしゃるように、この字面だけを見ますと、本当に大丈夫だろうかという不安を与えてしまうのも真実だろうと思いますので、記述についてできる限りの工夫をしていただきたいと希望いたします。委員の方、ほかにありますか。それでは、議決に入ってよろしいですか。なお、野田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいですか。それでは、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題3に移ります。機構から説明をお願いいたします。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品レグパラ錠25mg及び同錠75mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明申し上げます。

 原発性副甲状腺機能亢進症(以下、「PHPT」)は、副甲状腺に発生する腫瘍等から、副甲状腺ホルモン(以下、「PTH」)が過剰分泌される疾患であり、高カルシウム血症、骨病変、腎結石などの種々の病態を呈します。

 PHPTの根治的な治療法は副甲状腺摘出術ですが、完全摘出が困難、あるいは合併症などにより手術不能又は術後の再発が認められる難治性PHPTや副甲状腺癌の患者では、高カルシウム血症の治療に難渋する場合があります。

 本剤の有効成分であるシナカルセト塩酸塩は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介してPTHの分泌を抑制する作用を有しており、本剤は、本邦においては平成19年7月に「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の効能・効果で承認されています。海外においては、平成25年2月時点で、今回の申請効能である副甲状腺癌における高カルシウム血症について58か国、難治性PHPTにおける高カルシウム血症について56か国において承認されています。

 このような状況を受け、日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会及び日本内分泌学会より副甲状腺癌に伴う高カルシウム血症の効能を追加する要望が提出され、本剤は、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を経て、平成221213日付けで申請者に対し開発要請が行われ、開発に至りました。なお、平成241211日付けで、「副甲状腺癌及び難治性原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します専門委員が指名されております。

 以下、本剤の有効性、安全性について臨床試験成績を中心に説明させていただきます。主な臨床試験成績として海外第II相試験及び国内第III相試験の2試験の成績が提出されています。

 有効性に関しては、報告書13ページの図1を御覧ください。副甲状腺癌又は難治性PHPTの患者を対象とした海外第II相試験における、用量調整期の血清カルシウム濃度推移を示しています。図1より、用量調整期では、本剤投与によりベースライン値から血清カルシウム濃度が低下することが確認されました。また、報告書15ページの図3を御覧ください。同じく海外第II相試験における維持期のカルシウム濃度推移については、用量調整期の終了時の血清カルシウム濃度でおおむね維持されていることを確認しました。また、少数例での検討にはなりますが、国内第III相試験においても本剤の有効性が期待できることを確認しております。

 安全性に関しては、報告書18ページの表13を御覧ください。今般提出された海外第II相試験及び国内第III相試験、並びに本剤の既承認効能である維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の臨床試験における、有害事象の発現状況を示しております。既承認効能の場合と比較して、全有害事象及び全副作用の発現割合は高かったものの、副甲状腺がん患者及び難治性PHPT患者に特異的な事象は認められなかったことから、既承認効能と同様の注意喚起を行うことで、安全性に関しては許容可能と考えました。また、国内の治験症例数は極めて限られていることから、製造販売後調査では、全症例を対象として本剤投与時の安全性情報を収集する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、難治性PHPTや副甲状腺癌における高カルシウム血症に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、再審査期間中の全症例を対象とした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。なお、本剤は希少疾病用医薬品であるため、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 いかがでしょうか、委員の先生方御質疑をお願いいたします。

○佐藤()委員 基本的なことで恐縮ですけれども、本文の15ページを拝見していると、この投与されている患者さんが、初発でもって、例えば今日から投与を始めようという、まっさらで投与を始めようというのではなく、多分難治性というような患者さんのことを見ると、それまでに血清カルシウムの調整をしてきたけれども効果がないから、今回これを使おうということになるのだろうと思います。ここで、今までのものを止めて、この症状を改善するためにはこの薬だけ単味で使い始めたデータなのでしょうか。

○機構 今回の対象である副甲状腺癌及び難治性PHPTに対する高カルシウム血症という効能で承認されている薬剤はございません。そのため、現在での治療では、利尿剤等の薬剤が急激な高カルシウム血症が発現した場合の緊急処置として使われています。ただ、これらは根本的なPTHを抑制して、血清カルシウム濃度を下げるというような作用機序ではありませんので、一時的な効能、効果しか得られないこととなります。

○佐藤()委員 いや、このデータの取り方のところで教えてください。良ければこれに変えていくのだろうと思いますが、このデータが出てきた治験ではないのでしょうが、試してみたときには、今までの血清カルシウム値を下げる薬はやめて、ここで新たにこの症状を改善するためには単剤でいったのかということを伺いたいのです。

○機構 根本的なPTHを抑制して、血清カルシウム濃度を下げるという観点での薬物は併用されていません。

○佐藤()委員 まさか、止めてウォッシュアウトして、1週間何もしないでというわけにはいかないのでしょうから、本日、今までの治療が終わったら、翌日から始めるというところからは、もう以前の治療薬は併用しないで、これを単味で使ったというデータですか。

○松井部会長 他に治療はしていないのかということですか。

○機構 そのような理解で結構です。

○松井部会長 加藤委員、他にございますか。

○加藤委員 今の同じ15ページの図3のデータで海外204試験の結果です。14ページからその説明があって拝見しますと、これは維持期の説明になっていますけれども、88週目からSDバーがなくなって、これ1例になっています。それで、1例でもうこの患者さんは恐らく上がったままなのか、それで急に120週の所で下がるのですけれども、これの説明を見ると、14ページの一番下の所に「PTXが施行されたためと考えられる」となって、わざわざこの1例のデータをここに80週目以降を載せて、難治性PHPT患者群の中の例として載せて、また途中でPTXが行われたかどうかよく分からないけれども、ここで値が変わってしまっているというのを結論を導くためのデータとしてここに取り入れて載せる必要があるのか、あるいはそれをどのようにこの薬効として解釈したらいいのかということについてのお考えを聞かせていただけますか。

○機構 先生から御指摘いただきましたように、88週以降の症例というのは1例の症例のみになります。全体として比較する上でこの症例の88週以降のデータが重要であるのかという御意見かと存じます。確かに有効性の全体的な判断をする上では、この症例のここのデータというのはそれほど重要ではないのかと考えますけれども、試験としてこの症例も含めて安全性等を確認しているため、今回このようなデータのまとめ方とさせていただいております。

○松井部会長 今の御説明でいかがですか。

○加藤委員 それは、意味としては分かります。探しても記述がないので分からないのですけれども、この204試験というのは、途中でカルシウムの変化が余り大きくない場合には増量するというプロトコールでやられたのですか。

○機構 この海外第II相試験の方では、まず用量調整期と維持期とに分かれております。まず用量調整期の方で、低用量から投与を開始して、基準濃度の範囲内に収まるまで、あるいは有害事象により増量できなくなるまで増量して、その後に維持期に移行していることになります。したがって、維持期の方では用量調整期の方で基準値に入った患者さんについては、その時の投与量で維持されており、また、有害事象で増量できなくなった患者さんについては、有害事象が認められなかった用量で維持期に移行している患者さんになります。

○加藤委員 説明を伺って分かりましたけれども、どういうデータが繰り入れられて、こういう値になっているか、もう少し分かりやすい方がよいかと思いました。

○松井部会長 患者さんの症例数はもともと少ないのです。豊見委員お願いします。

○豊見委員 もともとの効能・効果の1番の方では、用法として1日1回しか認められていないです。見ますと悪心とか胃腸障害がかなり出ているようです。今回簡単に20ページの下の方で、いずれの投与量においても認容性の問題で1日2回から、今回の効能に関しては2回からで、ずっと増量していくというような書き方がしてあります。そうすると、この半減期とか様々な常識から考えると、1の効能でも当然その認容性の問題で2回に分けて服用することが、その方が適しているというふうにも考えられるのですが、最初からこういうので承認をしているので変えられないのかとは思うのですが、実際に使う方のドクターから考えたら、1の方の効能でも2回に分けて飲ませたいなと思うのではないかと思うのですが、変えられないですね。

○機構 先生がおっしゃったように、海外の試験からでも、1日1回よりも、分けて1日2回、同用量を投与した方が有害事象の発現率が低いというデータは得られているのですけれども、既承認効能の方については、臨床試験の方で1日1回の投与でしか検討されていませんので、現段階では変えることはできないかと考えています。

○機構 機構から念のために補足させていただきます。もともとの承認の案件については、透析の患者さんが対象でありますので、恐らく回数を減らすことをある程度意図していた可能性はあろうかと思います。本件に関しては、疾患も違いますし、全体としての投与量が増えていることは確かですので、その辺も勘案して異なった用法になっていると御理解いただければと思います。

○松井部会長 他にございますか。よろしいですか。特にその他に御意見、御質問がなければ議決に入ろうと思いますがよろしいでしょうか。野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はないでしょうか。異議なしと認めますので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。議題4について説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項議題4、資料4「乾燥スルホ化人免疫グロブリンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。資料中の「事前評価報告書」を基に御説明いたします。

 事前評価報告書のタブをお開きください。予定される効能・効果は、顕微鏡的多発血管炎における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)です。申請者は、一般財団法人化学及血清療法研究所及び帝人ファーマ株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順に説明いたします。

 まず「1.対象者数について」ですが、1ページの下方において、平成23年度の厚生労働省による患者調査等から勘案すると、顕微鏡的多発血管炎の患者数は6,0009,000人と推定されることから、本剤の予定される効能又は効果における患者数は、指定要件の5万人未満を満たすと考えられます。

 次に、「2.医療上の必要性について」ですが、2ページの中ほどを御覧ください。顕微鏡的多発血管炎は、血管に炎症が生じて壊死が起こる疾患であり、発症原因は不明です。症状としては、発熱、体重減少、易疲労性等の全身症状とともに、組織の出血や虚血・梗塞が出現し、壊死性糸球体腎炎が最も高頻度に認められます。ステロイド剤とシクロホスファミドの併用等による治療が推奨されておりますが、日常生活に著しい影響を及ぼす神経障害が残存する場合があり、この場合の有効な治療は存在しません。本剤は、他疾患における神経症状に対して既に承認を取得しており、顕微鏡的多発血管炎における神経障害において、本剤の有効性を及び安全性が検証された場合、医療現場に新たな治療選択肢を提供するものと期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えられます。

 最後に「3.開発の可能性について」です。3ページの下段を御覧ください。患者を対象とした国内第II相試験において有効性が示唆されていること、また現在、国内第III相試験が実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えられます。これらのことから、希少疾病用医薬品の指定要件を満

たすと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方、御質疑いかがでしょうか。もし、ないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、本議題について指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、審議事項最後の議題5に移ります。説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項議題5、資料5「医薬品アドシルカ錠20mgの再審査期間延長の可否について」事務局より御説明いたします。

 まず、再審査期間の延長に係る制度について御説明いたします。お手元の資料の表紙にある諮問書に記載がある、薬事法第14条の4第2項においては、厚生労働大臣は、新医薬品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認のあった日から10年を超えない範囲において延長することができる旨の規定があります。この規定に基づき、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、本審議会にお諮りした上で再審査期間の延長をしているところです。

 それでは、資料に基づいて簡単に御説明いたします。「品目概要」のタブをお開きください。本品目の申請者は、日本イーライリリー株式会社、品目名はアドシルカ錠20mgです。有効成分としてタダラフィルを含有し、効能・効果を肺動脈性肺高血圧症としております。本品目の承認日は、平成211016日で、再審査期間は、同成分で勃起不全を効能・効果とするシアリス錠の残余期間として、平成27年7月30日までの約5年8か月となっております。本品目は、成人に係る用法・用量は設定されているものの、小児に係る用法・用量の設定はなく、添付文書の「7.小児等への投与」の項では、「小児等に対する安全性は確立されていない。(使用経験がない。)」とされております。

 続いて「開発の概要」のタブをお開きください。1ページの中ほどから、「2.小児開発の必要性」について記載がありますのでかい摘まんで御説明いたします。肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)は、慢性進行性の疾患で、右心不全や死に至る疾患です。PAHは、成人でより多く認められるものの、小児でも発症し、その予後は無治療の場合は成人と同等であると言われております。今のところ、日本及び米国に小児PAHの治療に承認された医薬品は存在せず、EUにおいても、本品目の類薬でホスホジエステラーゼ5阻害薬のシルデナフィルのみという状況です。また、小児を対象とした開発の必要性については、本品目の成人に係る用法・用量の承認時における機構の審査報告書にも記載が付されているところで、小児の開発の必要性は高いものと考えます。

 現在御覧の資料の7ページをお開きください。こちらにお示ししているとおり、申請者は、小児PAH患者を対象として、日本も参加する第III相国際共同二重盲検比較試験を開始したところです。詳しくは、「症例数設定根拠」のタブに記載がありますけれども、PAHは患者数の非常に少ない疾患で、申請者は国内予定症例数を例、症例登録期間を平成年までの年間とし、試験終了を平成年までとしております。

 「品目概要」のタブにお戻りください。申請者からは、当初より約4年2か月間延長し、再審査期間を通算で10年間とする要望が提出されております。試験期間等を考慮すれば、要望のように再審査期間を延長することが適当であると考えております。以上、御審議のほどお願いいたします。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○佐藤()委員 症例数が少ないので延ばしていかなければいけない、やっていかなければいけないということのようですが、何歳から小児といっているのか。この投与を続けないと効果がない薬ですね。そうすると、効能は現在の成人の適応の場合と、投与の方向性が違いますね。大人になっても、この小児はこの薬を使い始めたら投与継続するのでしょうか。違う方に使う薬というので適応を通っているように思います。それで子供は何歳から投与して、その人が大人になっても本薬を投与していていいのかという質問です。

○機構 先生の御指摘は、成人の場合はEDの治療に使われているという御指摘ですか。

○佐藤()委員 はい。少し違うのですか。

○事務局 現在、アドシルカ錠については、肺動脈性肺高血圧症の効能で承認されておりますけれども、同成分でEDの治療に使われるシアリス錠、それから前立腺肥大症に使うザルティア錠があります。既に、アドシルカ錠は成人のPAHに使うお薬として承認されています。今回計画されている治験では、6歳以上18歳未満が対象とされておりますので、恐らく承認時にはその対象の用法・用量が設定されることになると思います。

○松井部会長 6か月以上です。

○事務局 失礼いたしました。6か月~18歳未満で対象になると思われます。

○佐藤()委員 そうすると、大体この疾患は、小児の場合にこれを投与すればもっと少ない期間、2年とか3年で服用をやめても大丈夫になるのですか、それともずっと投与を続けるのでしょうか。そうすると、大人では違う用途に使っている薬と書いてありますので、ずっと使い続けるのかということを伺います。

○事務局 基本的に肺動脈性肺高血圧症は治るというよりは、薬を使い続ける必要がある病気ですので、投与は継続されるものと思われます。ただ、病気の進行に伴い、違うタイプの薬に変更されることはあるかとは思っています。

○佐藤()委員 そうすると、先ほどおっしゃった18歳を超えても、その投与で効果がある人は継続するということですね。

○事務局 そのように考えられます。

○佐藤()委員 はい、分かりました。

○奥田委員 教えていただきたいのですが、再審査期間の延長になるのは、アドシルカ錠の20mgということですね。具体的には、小児用には新しく剤形が出るということなのでしょうか。実際にもっと少ないところから投与を開始して、恐らく少ない、もっと用量の少ないところで結果が出るのだろうと思うのです。その場合には、何かそれなりの手当がされて、このアドシルカ錠の20mgではなくて、他のものが出る。むしろシアリス錠の5mgの方が、ED用のものの方が使い勝手がいいのかもしれないのですけれども、そこは何か今後の開発の計画はあるのですか。

○事務局 実際はこの治験が終わった承認申請のときの議論になるかとは思いますけれども、当然20mgでは大きすぎる剤形ですので、小さな剤形が開発されるものと思われます。

○奥田委員 これはすごくボリュームの大きいお薬ですので、よろしくお願いいたします。

○事務局 実際に治験でも6か月から始まっておりますので、懸濁液の投与も行われております。ドライシロップであるとか、液体とかの開発が必要になると思われます。

○松井部会長 加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 多少分かりにくいというだけなのですけれども、先ほどの小児の対象の年齢はどう定義されているのかということで、資料の試験計画骨子の所を拝見すると、まず最初の治験で、ページ数はありませんけれども最初の1枚目の所に、period1とperiod2があって、period1は□□以上18歳未満、period2はperiod1を終了した小児ということで、これは□□以上ということを示していると思います。

 次のページをめくってフェーズ3になると、今度はいきなり□□□以上に変わっているのですけれども、period1とperiod2の治験計画で、□□以上に定義しているのと、その次のフェーズ3がいきなり□□□以上になっているという、ここの整合性というのは、どういう理由でこのように設定されているのかを教えてください。

 もう1枚めくった最後の所で評価項目というのがありますけれども、評価項目の所にperiod1、period2に関しては□□以上18歳未満ということで、それだけの記述になっていて、□□□以上というのは、評価項目の中には記載がないと思うのです。その辺が少し理解しにくいように思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 手元の資料で分かる範囲の御説明になってしまうのですが、主要目的の所では、主要な目的が□□以上18歳未満で6分間歩行距離とされておりますが、□□□では6分間歩行距離は測れませんので、6分間歩行距離の測定の対象となるターゲットとして□□以上18歳未満と設定されているものだと理解しております。

 実際に治験の対象となるには6か月以上、□□よりも下の方も含まれていて、申し訳ありませんが、その方の評価にどのような項目を使うのかについては、この資料の副次評価項目等で評価されるものだと思いますけれども、今は具体的に御説明できる資料は手元にはないです。安全性等も含め、□□未満の承認についても取るものと思われます。

○加藤委員 そこは先ほどの佐藤委員の御指摘とも関係している部分だと思いますので、そこをどのように扱うのかというのは少し明確にするべきだと思います。

○松井部会長 後ほど調べて分かりましたら、報告していただくということでよろしいでしょうか。

○事務局 申請者に確認し、加藤先生に御説明させていただければと思います。

○松井部会長 そうしていたただきたいと思います。他にございますか。他に質疑がございませんようでしたら議決に入ろうと思います。野田委員、平石委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。その他の先生方、本議題につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしいでしょうか。御異議はないでしょうか。ありがとうございます。延長を可として、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、報告事項に移ってください。事務局から説明を願いいたします。

○事務局 報告事項議題1、資料6「医薬品タケルダ配合錠の製造販売承認について」報告いたします。

 本剤は、シクロオキシゲナーゼ-1阻害薬であるアスピリン100mgと、プロトンポンプ阻害薬であるランソプラゾール15mgを有効成分とした配合剤です。低用量アスピリンの長期投与が必要で、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に対しては、アスピリンとプロトンポンプ阻害薬を併用投与することが、国内外のガイドラインで推奨されており、ランソプラゾールには2010年7月に「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の効能・効果を取得しております。

 今般、武田薬品工業株式会社より、これら2成分を有効成分とする本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、審査報告書2ページに記載された効能・効果において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項議題2、資料7「ラコールNF配合経腸用半固形剤の製造販売承認について」報告いたします。本剤は、既存の液状の経腸栄養剤である「ラコールNF配合経腸用液」を半固形化した類似処方医療用配合剤です。臨床現場では、経胃瘻的な経腸栄養管理において、投与時間の短縮等を目的として、液状の栄養剤を半固形化して投与することもあり、今般、本半固形化製剤について、栄養管理を目的とした胃瘻を造設済み又は造設する予定の患者を対象とした臨床試験成績に基づき、製造販売承認の申請がなされました。機構における審査の結果、手術後患者の栄養保持、特に長期にわたり経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に関する効能・効果で、経胃瘻的に投与する薬剤として本剤を承認して差し支えないと判断しました。

 続いて報告事項議題3、資料8「エストラーナテープ0.72mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 本剤は、エストラジオールを有効成分とし、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状等の効能・効果を有する経皮吸収型製剤です。本剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成25年8月2日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、久光製薬株式会社から、「性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症」の効能・効果及び不当該効能・効果に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題4、資料9-1及び9-2「医療用医薬品の再審査結果について(チオラ錠100)(ベプリコール錠50mg、同100mg)」報告いたします。資料は、いずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料9-1は、一般的名称はチオプロニン、販売名はチオラ錠100に係るものです。資料9-2は、一般的名称はペプリジル塩酸塩水和物、販売名はペプリコール錠50mg、同錠100mgに係るものです。こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しませんでした。すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。説明は以上です。

○松井部会長 ただ今の説明に対して何か御質問、御意見はございますか。平石委員どうぞ。

○平石委員 議題1についてコメントさせていただきます。低用量アスピリンは、多くの疾患に対して適応を有しています。最も頻度が高くて、最も重大なアスピリンの合併症あるいは有害事象は、やはり消化管出血です。この消化管出血が原疾患に対してどういう影響を及ぼすのかという疑問を、心血管疾患、例えば急性の冠症候群の患者を対象として検討した研究報告があります。

 急性冠症候群の患者に対して、抗血栓療法を行って、その1年後の予後を消化管出血が起こった群と起こっていない群で調べてみると、消化管出血が起こった群では明らかに生命予後が悪化するとの成績が海外の文献で報告されています。同様に急性の脳卒中患者でも、消化管出血を起こすと、生命予後が6か月後には極端に悪化することも知られています。以上のように、低用量アスピリンを投与する場合には、消化管出血を予防することは極めて重要であるという事実が、我々消化器内科医にとっても、最近強く認識されているところですので、この薬剤の開発は、そういう点で非常に大きな意味を持っていると我々は理解しています。

○松井部会長 どうもありがとうございました。他にございますか。

○松木部会長代理 資料9-2で、QT延長でトルサードパーを片仮名で書いてあるのを余り見たことがありませんし、トルサード ド ポアントというのは何か少し違うような気がするのです。加藤先生、フランス語でいかがですか。

○加藤委員 トルサード ドゥ ポワントゥですね。

○松木部会長代理 ですね。トルサード ド ポアントというのは、変だと思います。

○松井部会長 これを調べたときに何か出ていたのですか。できるならば原語で書いた方がいいということですか。

○松木部会長代理 いや、いつもこれで統一されているのかと思うと、少し恥ずかしいということです。

○事務局 こういう記載はどちらもあると思いまして、多分こちらについては申請者というか、出してきた企業の表記に倣って一応書いていますので、それについては片仮名で書いてある場合は片仮名で書いてありますし、アルファベットで書いてあるときはそちらを採用していますので、どちらか決まった方法というのは今のところ統一はありません。

○松木部会長代理 片仮名にする場合にはみんなこのようになっているのですか。

○松井部会長 原語表記ですからね。

○審査管理課長 添付文書だけでしょうか。

○松井部会長 ええ、添付文書だけですね。余りみっともない発音よりは、原語の方がいいでしょうね。

○審査管理課長 今後も様々な申請者が出てくると思いますので、その辺の表記はできるだけ統一化といいますか、分かりやすい表記にまとめさせていただければと思います。

○松井部会長 よろしいでしょうか。それでは、報告事項については御確認いただいたことにしたいと思います。本日の議題は以上なのですけれども、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は2月24()の午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうも御苦労様でした。

      


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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