ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会> 第14回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録(2014年7月11日)




2014年7月11日 第14回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年7月11日(金)13:00~13:40


○場所

中央合同庁舎4号館108会議室(1階)


○出席者

委員

今野座長 櫻庭委員 佐藤委員 野田委員

事務局

大西大臣官房審議官
村山労働条件政策課長
岡労働条件確保改善対策室長
代田職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長
伊藤職業能力開発局能力評価課長

○議題

(1)雇用管理上の留意点について
(2)その他

○議事

○今野座長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「第14回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会」を開催いたします。

 本日は、報告書案について議論をしていただきたいと思います。

 それでは、まず委員の出欠状況と資料の確認について事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 本日は、神林委員、黒澤委員、黒田委員、竹内委員、水町委員から御欠席の連絡をいただいております。

 山川委員は、ちょっと遅れられているようでございます。

 続きまして配付資料でございますが、1点とじにしております。

 まず資料1、1ページ目からでございますが、これまでの議論を踏まえた本懇談会報告書案の概要でございます。

 そして資料2、9ページ目からでございます。これが、本懇談会の報告書案でございます。本懇談会の報告書案の別紙1、36ページ以降といたしまして、報告書案の内容と重なるところもありますが、「雇用管理上の留意事項」の案でございます。

 続きまして、通しページの45ページからでございますが、前回御議論をいただきました就業規則等の例の案でございます。

 さらに、報告書案の附属資料といたしまして、統計データ等について55ページ以降につけておりまして、特に86ページから解雇の裁判例分析、JILPTの御発表をいただきましたが、この概要資料をつけております。

 次に参考資料の1、通しページの93ページからですが、前回、第13回の主な御議論をまとめた資料で、最後の98ページに先月24日に閣議決定されました「日本再興戦略」の改定版、そして「規制改革実施計画」のうち多様な正社員関係の記載を抜粋したものとなっております。

 資料につきまして、不備等がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 よろしいですか。

 それでは、議事に入りますが、カメラ撮りはここまででよろしいですか。

(報道関係者退室)

○今野座長 それでは、議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたしますが、合わせて労働政策審議会労働条件分科会において、本懇談会の議論の状況について経過報告がされておりますので、その結果についても報告をお願いしたいと思います。それでは、お願いします。

○岡労働条件確保改善対策室長 それでは、資料2に沿って御説明を申し上げます。

 まず、資料の11ページの「はじめに」というところをお開きいただきたいと思います。前回お示しいたしました骨子でも「はじめに」ということで、我が国の働き方の二極化、その後の就業意識の多様化、それから人事労務管理などの変化、そういった中で多様な正社員が求められていますけれども、なかなか長年培われてきました長期雇用慣行のもとの人事労務管理をすぐに変えることについてはいろいろ課題があるということで、この懇談会で御議論いただき、雇用管理上の留意事項と政策提言をまとめるということを書いてございます。

 それで、前回の会議で黒澤委員のほうから、意識が多様化しているというだけではなくて、今後労働力人口が減少していく中で、我が国の経済の活力を維持するためにはこういった働き方が求められているということも書いてはどうかという御意見がございましたので、11ページの真ん中でございますけれども、そういった内容を盛り込んでございます。

 それから、下から2つ目の段落のところで、「また、改正労働契約法に基づき通算5年超の有機労働契約者が無期に転換することにより、職務や勤務地等を限定した無期契約労働者の増加が見込まれる」ということで、これは山川先生から事前に御意見をいただいておりまして、今後の動きとしてこのような記述を加えてございます。

 次のページから、「多様な正社員の現状」について書かれてございます。それで、13ページでございますが、2の「多様な正社員の導入理由」というところの上の段落で、高度専門職の職務限定正社員の記述を加えてございます。これは第9回の会議資料や、あるいは前回までの骨子の最後のページに、外資系企業などで見られる高度専門的な職務限定ということで、例えば金融業やIT部門で見られる専門職について資料で御紹介いたしましたが、それについて骨子の段階では後ろの附属資料として付けておりましたけれども、本文のほうにも追加してございます。

 それから少し飛びますが、17ページの下の方で「多様な正社員の解雇の裁判例分析」ということで、第10回会議でJILPTのほうから御報告いただき、それをもとに第11回から前回まで、骨子とは別に論点ペーパーという形で労働条件の明示と解雇の話を書いてございました。それで、前回の骨子では骨子ということでここは非常に簡単に書いてございましたけれども、論点ペーパーの記述をこちらに移してきまして、より詳細に書き加えてございます。

 それから、20ページからが大きな2(ローマ数字)といたしまして「多様な正社員の円滑な活用のために使用者が留意すべき事項と促進するための方策」ということで、1から続いていくわけですけれども、まず冒頭にこの2(ローマ数字)の位置づけとして、上記の1(ローマ数字)を踏まえて使用者が留意すべき事項と促進するための方策について以下のとおり提言するという内容を加えました。

 また、この懇談会の第5回だったかと思いますけれども、労使団体からヒアリングを行いました。その話が前回の骨子では余り触れられておりませんでしたので、ここに加えさせていただいております。労働者団体からは「解雇しやすい正社員」をつくり出す意図のもとに推奨されると問題である、使用者団体からは、相互転換や処遇のあり方について法律で画一的に方向づけをすることは労使の自由な取り組みを阻害するおそれがあるとの懸念が示されましたので、それをここに書きつつ、今後、多様な正社員の普及・拡大に取り組むに当たってはこうした見解にも意を払いつつ、労使双方の理解と納得を得ながら進めていく必要があるということを加筆してございます。

 それから、その下からが具体的な方策ですが、まず1の「多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース」といたしまして(1)と、それから後で出てきます(3)のところで同じ記述を加えました。黒澤先生から事前に御意見をいただいております。それで、この勤務地限定正社員を活用できるケースといたしまして1段落目のところで、育児、介護等の事情により転勤が困難な人などが能力を発揮することができるということで、人材の確保や定着に課題を抱える企業での活用が考えられるということで、前回の骨子でも書いてございました。

 ただ、そういった課題を抱える企業ではもちろん活用が特に期待できるわけですけれども、それ以外の企業においても有能な人材の採用や定着の促進に資するということではないかという御意見をいただきましたので、そのような修正をしてございます。

 それから、次の21ページに「職務限定正社員」の活用の記述がございます。これは、先ほどの現状のところで申し上げましたように、高度専門職、金融業やITなどで特に見られますけれども、そういったプロフェッショナルとしての活用が考えられるのではないかという記述を加えてございます。

 それから、次の14ページにいきまして「職務限定正社員」の活用の記述の続きでございますが、最後の段落で(3)の上の段落でございますが、職務限定については、当面の職務を限定する場合と、将来にわたって職務を限定する場合があるのではないかということについて、前回の会議で佐藤先生から御指摘がございました。ここに、その記述を加えてございます。また、そのちょっと下に諸外国でもブロードバンディングの動きもみられるということでございますけれども、山川先生から事前に御意見をいただいておりまして、「大括りされた職務や階層の範囲内での異動が可能となっている」ということで、よりわかりやすい表現にしてございます。

 それから、14ページの下のほうから「労働者に対する限定の内容の明示」ということで、ここにつきましては前回の骨子案では簡単に書いてございましたけれども、第11回から前回にかけて、別紙でお示ししておりました論点ペーパーに沿って、より詳細に記述を加えてございます。

 それから、15ページの一番下の段落で「なお」で始まっている段落がございますけれども、前回黒澤先生から御意見がありました。限定の明示とは異なるが、例えば企業が勤務地や職務等が限定された正社員を導入していることを明示すれば企業にとっては有利な情報になるという記述がございましたけれども、そういった限定正社員を導入しているというだけではなくて、その運用の内容、具体的にいえば勤務地等が限定されることによるキャリアへの影響ですとか処遇等に関する情報も公開すると、求職者が企業を評価する情報になるのではないかという御意見がございましたので、それを加筆してございます。

 それから、同じく17ページから「事業所閉鎖や職務の廃止等の場合の対応」ということで、これは第10回以降、「整理解雇」「能力不足解雇」の御議論がございました。そのときの論点ペーパーに沿って、ここも詳細に書いてございます。内容といたしましては前回までもありましたけれども、整理解雇法理を否定している裁判例というのはなくて、その内容によって解雇回避努力の内容は異なってくる。あるいは、人選や人員削減への必要性のところで一定の考慮がなされる場合があるといったことが書かれてございます。

 次の18ページでございますが、4として「転換制度」でございます。ここにつきましても前回の骨子案では簡単に書いてございましたが、論点ペーパーに沿ってより詳細に書いてございます。

 なお、前回の骨子案のときに、ここは非常に御意見をいただきました。具体的には20ページのところになりますけれども、前回の骨子案では第7回会議の御議論を踏まえまして勤務地限定、職務限定、それから勤務時間限定、その区分によって「労働条件の変更」になる場合と、「キャリアの変更」になる場合とあるのではないか。具体的には、勤務時間限定の場合はキャリアの変更は伴わず労働条件の変更とすべきじゃないか。逆に職務限定の場合は職務の内容が変わってきますので、それはキャリアの変更ではないかということで、3つに場合分けをして記述をしてございました。

 ただ、前回の御議論で、勤務時間限定の中でも確かに残業がなくなる場合などはそういったことが言えるかもしれないけれども、所定労働時間が例えば半分くらいになってしまうなど、余りにも大きな変動になる場合はキャリアへの影響というものもあるのではないか。逆に、職務限定でも影響がない場合もあるかもしれないということで、その3類型できれいに書き分けられないのではないかという御意見がございました。

 その御意見を踏まえまして、20ページの下から2段落目の「いわゆる正社員から」から始まるところでございますけれども、まず考え方を示しました。いわゆる正社員から多様な正社員に転換する場合に、勤務地、職務、勤務時間が限定されることのみを理由に、直ちに「キャリアトラックの変更」として、いわゆる正社員とはキャリアトラックを区分し、職務の経験、能力開発、昇進・昇格のスピード・上限等に差を設ける企業も多いと考えられますけれども、限定されていてもその範囲や限定される期間によっては、いわゆる正社員だった場合と比べて大きな差が生じない場合もありますので、そうした場合にまでキャリアトラックの変更として差をつけることは望ましいものではない。また、労働者にもその転換制度の活用を躊躇させることにもなるのではないか。

 限定の種類、範囲、期間、時期等によっては「労働条件の変更」として取り扱うほうが適切な場合も考えられまして、そういった場合には昇進・昇格のスピードなどは設けず、あるいは差をできるだけ小さくすることが考えられる。また、そういった場合は転換・再転換の要件を緩やかに設定して、できるだけ行き来が容易になるようにしたほうが望ましいのではないかという記述にしてございます。

 それで、一番下の行でございますけれども、「例えば」ということで、いわゆる正社員が勤務時間限定正社員に転換する場合で、それが残業免除の場合であるときですとか、あるいは所定労働時間に余り差がない場合については、先ほど申し上げたような労働条件の変更として余り差を設けないようにしたらどうかということを書いてございます。

 それから、山川先生から事前に御意見をいただいておりますけれども、6行目からですが、「さらに」ということで、育児介護休業法に基づく所定外労働の制限の請求や、勤務時間短縮措置の申出に応ずる場合は、あえて「転換」ですらない。そういう「転換」として扱う必要すらないんじゃないかということを書いてございます。

 それから、下のほうにいきまして「なお」で始まる段落でございます。これの最後のほうでございますが、前回の会議の櫻庭先生の御意見も踏まえまして、「育児介護休業法により、三歳に満たない子を養育する労働者等からの申出により所定労働時間の短縮等の措置を講じたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないとしていることに留意することが必要である」という記述を加えてございます。

 それから、次の30ページで5の「処遇」のところでございます。前回の骨子では、処遇と均衡処遇と分けて記述をしてございました。これにつきましては神林先生のほうから、内容がダブっているので処遇と均衡処遇を一緒にして、まず均衡処遇の必要性を書いた上で賃金などの現状を書き、その上で政策提言の促進策を書いたらどうかという御意見がありましたので、それを踏まえて修正をしてございます。

 それから、飛びまして最後の35ページでございます。冒頭に「はじめに」ということで、そもそもこの多様な正社員をどうして普及を図っていく必要があるかということを書いてございますけれども、以上の御提言を踏まえて何か最後にメッセージを入れたほうがいいのではないかということで今野先生と御相談いたしまして記述を加えてございます。

 それから、36ページからは「雇用管理上の留意事項」でございます。内容的には、先ほどの本文にあった記述の中から消費者が留意すべき事項の部分を抜粋して書きかえたものでございます。

 それで、冒頭に前回の会議で佐藤先生のほうから、「雇用管理上の留意事項」だけが外に出ていった場合、どうしてこういうことをやらないといけないのかということがこの1以下だけではよくわからないので、まずそもそもどうして多様な正社員の普及が必要かということを書いたほうがいいのではないかという御意見をいただきました。「はじめに」を全部書くと少し長いですので、それを要約いたしまして趣旨を書いてございます。企業にとっては優秀な人材の確保や定着を可能とするように、また労働者にとってはワーク・ライフ・バランスの実現や処遇の改善を可能とするということで、労使双方にとって望ましい形で進めていくんだということを書いてございます。

 それから、飛びまして45ページでございます。別紙2で、「就業規則、労働契約書の規定例」を載せてございます。それで、前回の会議では、当方で出した資料では具体的な数字ですとか職務名などが全て○になっていたわけですけれども、具体的なものが入っていないとなかなか実感が湧かない、使用者に参考にしてもらえないという御意見をいただきました。それで、この懇談会でも8社ヒアリングをしたわけですけれども、そのヒアリングで実際にあった時間ですとか賃金の水準などを参考に記述を加えてございます。

 ただ、それはあくまでもこの懇談会で聞いたものでございますので、これに限るものではないということで、冒頭にこれはあくまでも例示にすぎないという記述をした上で具体的なものを書いてございます。

 なお、46ページに前回の通勤時間が90分、1時間半がちょっと長いんじゃないかという水町先生の御意見もございましたけれども、一応ヒアリングをした中では1時間半、あるいは2時間というのもあったかもしれませんが、そういうのが実情でございますので、*印でその旨を書いてございます。

 それから、50ページのところで事業所閉鎖を行う場合の人事上の取り扱い、解雇事由の規定例ということで、前回は配置転換をしないパターンの規定例までも入れたわけですけれども、それは余り例としてふさわしくないんじゃないかという御意見もございましたので、それについては削除をしてございます。

55ページ以降は先ほど課長から申し上げましたように参考資料ということで、この懇談会でも各回にわたってさまざまな資料をつけておりましたけれども、その中で本文の説明にあったものを抜粋してつけてございます。先ほど解雇の裁判例の話もありましたが、それ以外に58ページ以降に、この懇談会で8社からヒアリングを行いましたけれども、それも参考になると思いますので、それについてもつけてございます。

 資料については、以上でございます。

○村山労働条件政策課長 続きまして、初めに座長から御指示のございました労働政策審議会の関係分科会の報告状況について御説明を差し上げたいと思います。

 本懇談会でも労使の団体でヒアリングを行っていただきましたが、その場で労使の団体からお話が出ていましたように、大変労使関係者も関心の高い御議論でございます。したがいまして7月7日、今週の月曜日でございましたが、そこで開催されました労働条件分科会におきまして、前回懇談会でお示しをした骨子案を前回の御議論を踏まえて修正したものを審議会資料として提出をいたしまして説明の上、労使の意見を改めていただいたということでございます。先ほど室長のほうから御説明いたしましたように、労使団体ヒアリングをこの懇談会でやっていただいたときの状況は67ページから69ページに書いておりますが、それにさらに付言をいただく形で労使から何点か御意見をいただきました。

 まず、使用者側からは1点目として、多様な正社員は既に多くの企業で導入されており、現実には千差万別でさまざまなバリエーションのある運用がなされている。今後、未導入の企業に対してさらに普及させるに当たっては、このような多様な実態というものをぜひ生かすような形で考えてほしいという御意見がございました。

 また、2点目で、転換や均衡処遇について懇談会の中でさまざまな御議論があったようだけれども、企業への法律による義務づけは企業実務にやはり混乱を来す面が懸念されるということでの意見が表明された上で、必ず入れろ、あるいは必ずこの形でということではなくて、報告書に盛り込まれている内容も参考として個別労使で話し合うことによって、よりよい制度になるように持っていきたいという御意見がございました。

 一方、労働側からも何点か意見がございました。

 まず1点として、多様な正社員という存在自体が急に社会的な関心を集めたのは、正社員改革の一つとして解雇ルールのあり方のもとに限定された勤務地や職務や勤務時間等が限定された正社員についてのルール整備を行うべきという議論が一部で起こったことで、急に生臭さが出てきた経緯がある。労働側としても、既に多くの企業で導入されているものであり、労使の共通理解のもとに非正規雇用からのステップアップのステッピングストーンとしての活用であれば非常に意義があると考えているが、これはステップダウンの方向、あるいは解雇しやすくというようなことであれば非常に気になるところであり、反対せざるを得ない。

 その点について報告書案では、限定があることゆえに整理解雇法理の適用を規定する裁判例はない等の、ある意味、当たり前の内容かもしれないけれども、裁判例の分析のもとにきっちりと整理した意義は非常に大きい。世の中に生じたかもしれない誤解を払拭するような形で、今後この内容の周知を進めてほしいという意見がございました。

 また、労働側からもう一点、転換等に当たっては本人の同意が必要とされているけれども、会社に強要されることなく真意に基づく同意となるよう、十分な保護政策を検討してほしいという御意見がございました。

 これら労使の意見の表明の上で、全体としては非常に意義のある報告書であるという共通理解に立った上で、最後に1点、私ども事務局に質問がございました。報告書案は近日中に取りまとまる予定であるけれども、今後の取り扱い、特に労働政策審議会や、あるいは世間との関係はどのようになっていくかということについて教えてもらいたいという御質問でした。

 これに対して私どものほうから、1つには本日の有識者懇談会で、先ほど申し上げましたように労使の御意見を改めて委員の皆さんにも御紹介したいということ、それから本日の資料の最後のページにつけておりますが、改定されました成長戦略、「日本再興戦略」、あるいは「規制改革実施計画」等におきましても、本年7月までにこの報告書をお取りまとめいただき、今年度中にはシンポジウム等も含めて効果的に情報発信するという政府の大きな精神も出ておりますので、その進め方について懇談会の御議論も踏まえて労使によく御相談の上、効果的に行ってまいりたい。

 さらに、政策提言として例えば支援措置の関係でありますとか、次世代法の関係でありますとか、さまざまな内容について本報告書で盛り込まれているところでございますが、こうした内容については27年度の新しい政策の検討に向けてつかさ、つかさでよく御相談してまいりたいということを申し上げ、全体として労使の理解も得られているという状況にあることを御報告申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、まず簡単なほうからいきましょうか。労働条件分科会について報告いただきましたので、この点について何か御指摘ございますか。よろしいですか。

 それでは、次に先ほど説明いただいた報告案について御意見、御質問をお願いいたします。

○佐藤委員 1つは内容のことと、もう一つは形式のことで、21ページのところの山川先生の御意見で加わった、最初の段落の後半の「さらに」のところです。私はこのままでいいと思うのですけれども、多分これは育介法上の法定どおりであれば、基本的には例えば短時間勤務がフルタイムに戻るというのが前提ですね。現状でいうと子供が3歳までなので、もちろん小学校3年までとかというのはありますけれども、基本的には一定期間だけ短時間勤務でフルタイムに戻る。例えばそういう仕組みだから転換というふうに考える必要はないということをちょっと書いてもいいかなと思っただけです。つまり、戻るということが前提になっているルールかと思います。

 もう一つは本当に形式で、これはどこまでが報告書になるのかということで、一応92ページまででいいのですか。

○村山労働条件政策課長 そうです。

○佐藤委員 そうしたときに、要約ではなくて始まりは8ページが表紙になっていますが、そうすると委員会名簿がないのですね。あとは、委員会をいつやったというのが普通ありますね。あったほうがいいのではないですか。この要約は一応別ですよね。だから、やはり委員会名簿といつやったというのはあったほうがいいかと思います。これは本当に形式です。以上、2つです。

○今野座長 前者の点は、どうしましょうか。では、どうぞ。

○野田委員 これは単なる個人的感想だと理解していただいて結構なのですが、3644の8番目に「いわゆる正社員の働き方の見直し」というものがあります。別紙の最後です。これはもうちょっと前面に出さないと、正社員の働き方の見直しというものが最後にきているんですけれども、その見直しの一環で正社員という話になっているような気もします。これは、ここにぽろっと出てくるんですけれども。

○佐藤委員 もともとのほうだと、33ページの要約ですね。

○野田委員 もうちょっと前に入れておいたほうがいいのかなと個人的には思ったのですが、ちょっと疑問に思ったという程度です。

○佐藤委員 本体が後ろだから。

○今野座長 では、このままでいいですね。

○野田委員 はい。

○今野座長 ほかにどうですか。細かい字句でも結構です。

○野田委員 前回言うのを忘れたんですけれども、下のページでいくと34の8の労使コミュニケーションのところですが、これは8の3行目で「協議が行われることが適切である」と書いていますけれども、もうちょっと強い言い方はできないのか。「必要」「求められる」くらいで、「適切」だと、これはやってもらうと困るのでしょうというふうに思うので単に文言の話ですが、もうちょっと強く言えないのかと思います。

 それから、そこから3行下に「コミュニケーションを行うようにすることが考えられる」とありますけれども、これももうちょっと強いことを言えないかと個人的には思っているということです。

○今野座長 どうですか。この点については何かありますか。

○村山労働条件政策課長 先生方のお考えだと思いますが、確かに最初のところは今、野田先生からまさにいただきましたように、「求められる」等の言い方でも十分あり得るかなと思います。

 次は、労使委員会等々ということになりますと、それは労使の中であったりなかったりするということもありますので、一段強めるにしてもまた最初のパラグラフとはグラデーションをつけるところでは考えられるかということで。

○今野座長 では、この用語はちょっと考えさせてもらっていいですか。趣旨は強目にですね。

○野田委員 はい。

○今野座長 ほかに、細かい字句でいいですか。先ほど気がついたんですけれども、13ページの下から6行目で、「1人で巨額の発注を行う営業職のエキスパート」ですが、営業職は発注するんじゃなくて受注するんだから、これは何か間違いですか。

○村山労働条件政策課長 受注した上で注文を出すというところを、ヒアリングどおり書いたんだと思いますが、確かに誤解を招く表現ですので適正化させていただきたいと思います。申しわけありません。

○今野座長 ほかにありますか。

 ではもう一つ、45ページの別紙2のところの規定例ですけれども、ほかにもあるんですが、最初の*印の最後のほうがわかりやすい。「雇用区分や手当等の名称等についても同じく例示に過ぎない」で、「過ぎない」といったら大したことないと自分で言っているみたいだから、「同じく例示である」でいいんじゃないですか。せっかく頑張ったのに、「過ぎない」はない。

 ほかにありますか。まだありますが、細かいところです。33ページの「いわゆる正社員の働き方の見直し」で、下から3パラグラフに「さらに」という文章がありますね。そこから3行下で、「カフェテリア方式により一定期間だけ自由に勤務地等を固定する方法も考えられる」と書いてあるんですけれども、このカフェテリア方式というのはそんなに一般的なんですか。私は初めて聞いたけれども、カフェテリア方式というのは、普通は福利厚生で使うので、これは単に「カフェテリア方式により」がなければいいんでしょう。

○佐藤委員 単に取っちゃってもいいですね。

○村山労働条件政策課長 これは経緯で、委員の先生がこう御発言されたのを我々が考えなく書いてしまって申しわけありません。確かにそうだと思います。

○今野座長 ほかにどうですか。

○佐藤委員 今のところですが、「一定期間だけ勤務地等を固定する方法」だけで、「自由に」は取っても、どうせ話し合ってやるんだから、片方だけで決まるわけではないので。

○今野座長 そうですね。それと、22ページの「労働者に対する限定の内容の明示」の(2)、22ページの続きで24ページの中で2について、下から3つ目くらいのパラグラフで上から3行目、「企業コンプライアンスを重視する企業にとっては一定の指針となるため」と書いてあるんですけれども、企業コンプライアンスを重視しない企業にとってはいいのか。つまり、コンプライアンスは皆、重視しないといけないんです。何か変ですよね。何か考えてください。これは変だなと思いました。単なる表現の問題です。だから、企業にとってはコンプライアンスを守るということが大切で、そういう中で考えると、とかそんな感じでしょう。

 ほかにいかがですか。

○佐藤委員 「コンプライアンス上の一定の指針」とかでいいんじゃないですか。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。

 櫻庭さん、終わっちゃいますけれども、いいですか。

 大分ここで議論してきた内容を整理していただいたのでもういいかと思うのですが、最初に佐藤さんの言われた問題が残っているので、山川さんがいらしていないからどうしましょうか。私が山川さんの意見を聞いて事務局と相談をして、それで修文させていただけますか。

○佐藤委員 これだけだと読んだ方がどういうふうに考えるかというのは、多分趣旨としては法律上のことであれば一定期間で戻ることを前提にされているということだと思うんです。

○今野座長 では、そこはそういうふうに対応させていただきます。

 それでは、きょうはこれで終わりますけれども、いいですか。一部修文が入りましたけれども、その修文したものをもう一度皆さんに回すということになりますか。そのときにもう一度チェックをしていただいて、最終的には私と事務局にお任せいただいて完成ということにさせていただければと思います。

 それでは、議論は終了ということにさせていただきます。

 最後に、大西審議官からお願いします。

○大西大臣官房審議官 審議官の大西でございます。本日、本来は局長から御挨拶させていただくところでございましたが、人事異動がございまして、中野前局長は御退任されまして、前職業安定局長の岡崎が新しく基準局長にまいったところでございます。ちょっと欠席になっておりますので、私のほうから御挨拶させていただきたいと思います。

 本懇談会におきましては、昨年9月からきょうで14回目ということで非常にたくさんの回数、半年間で14回ということですごく多い回数だったと思いますが、本当に精力的に御審議いただきましてどうもありがとうございました。お陰様で今、若干の修正は残っておりますけれども、この懇談会の報告書というような形で取りまとめていただいたところでございます。その中には、事業主の皆様に役立ててもらうような雇用管理上の留意点というものとか、あるいは今後の政策提言についても取りまとめいただきまして本当にありがとうございました。

 私ども、この報告書を受けて、今年度は既に予算が決まっておりますので、この「雇用管理上の留意事項」については積極的に周知をしてまいりたい。また、多様な正社員の好事例に関しましても今後さらに収集を深めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、来年度に向けましては、やはりこの多様な正社員と、あるいはいわゆる非正規といいますか、有期で働いている方、あるいは一昨年に改正いたしました労働契約法の5年転換ルールとか、そういったところを含めましてこういった多様な正社員のあり方について予算を抜本的に拡充できるように検討してまいりたいと思いますので、引き続きの御指導、御支援をよろしくお願いしたいと思います。

 座長の今野先生を初め、皆様方には本当にお世話になりましてどうもありがとうございました。

○今野座長 それでは、終わりましょう。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会> 第14回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録(2014年7月11日)

ページの先頭へ戻る