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2014年7月2日 第1回 安全衛生に関する優良企業を評価・公表する仕組みに関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

7月2日(水)15:00〜17:00


○場所

合同庁舎第5号館 9階 省議室


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

伊藤 彰久 太田 忠文 栗林 正巳
幸保 英樹 白崎 彰久 高 巖 (座長)
高野 研一 田代 幸三 豊澤 康男
古井 祐司

厚生労働省

半田 有通 (安全衛生部長) 井内 雅明 (計画課長) 毛利 正 (調査官)
中村 宇一 (課長補佐)

○議題

(1)安全衛生に関する優良企業を評価・公表する仕組みの概要について
(2)安全衛生に関する優良企業を評価する制度の事例について
(3)安全衛生に関する優良企業評価の手法について
(4)その他

○議事

○毛利調査官 本日はお忙しい中、御参集をいただき、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから「安全衛生に関する優良企業を評価・公表する仕組みに関する検討会」を開催いたします。開会に当たりまして、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の半田より挨拶を申し上げます。

○半田安全衛生部長 安全衛生部長の半田でございます。委員の先生方、今日はお忙しい中、このように御参集いただきまして本当にありがとうございます。既に御承知のことと存じますけれども、 6 25 日に労働安全衛生法の改正法案が成立したところでございます。前回の法改正から約 8 年たっての改正ということでございました。この改正に先立ちまして、一昨年私も、第 12 次労働災害防止計画について検討致しました。その中からいろいろなエッセンスを取り出して、この法律の中に入れるものは入れるということで改正したわけでございますが、実はそのときの御議論の中でやはり、私どもは安全衛生行政、基準行政でございまして、つい、規制というようなことが表に立ってくるわけでございますが、規制も必要なものはやらなくてはいけないのですが、同時に推進するような、特によく頑張っておられるところを評価するような仕組みもあっていいんじゃないか、という御議論もあったところでございます。

 こういった議論は私ども行政の中でも昔からございまして、かく言う私自身も 30 数年前、地方研修に出ておったときに、消防庁のマル適マークに倣ったような、ああいうことができないかとかいろいろ考えてはみたんですけれども、なかなか難しいところがございました。しかし、今回 12 次防にこういったことを取り組んでいこうということで明確に書かれまして、私どもは、この改正法と相まって、こういった優良企業を推進するような施策も強力に進めていきたいと考えているところでございます。こういった仕組みを創設するに当たりましては、この評価指標をどのように作るのか、それをどのように運用していくかといったようなことがなかなか難しい部分がございます。

 こういったところで、いろいろな御経験をお持ちの先生方にお集まりいただきまして、ひとつ御議論いただきたいと思った次第でございます。私どもとしましては、先生方の御議論を踏まえまして、こういった新たな視点に立った施策も強力に進めていきたいと考えているところでございます。先生方からの忌憚のない御議論と御示唆をいただければ幸いに思います。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○毛利調査官 本日は第 1 回目ですので、出席者を御紹介いたします。資料 1 「開催要綱」の裏に参集者名簿がありますので順に紹介させていただきます。

 まず、日本労働組合総連合会の伊藤彰久様、日本通運株式会社の太田忠文様、日産自動車株式会社の栗林正巳様、全国基礎工業協同組合連合会の幸保英樹様、中央労動災害防止協会の白崎彰久様、麗澤大学の高巖様、慶應義塾大学の高野研一様、株式会社中村塗装店の田代幸三様、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の豊澤康男様、東京大学の古井祐司様。日本基幹産業労働組合連合会の吉村様は欠席です。以上が参集者の皆さんです。次に事務局ですが、井内計画課長です。課長補佐の中村です。私は調査官の毛利です。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日お配りをしております資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の一番上に議事次第の下の部分が資料の一覧で、順次資料 1 から資料 9 まで、参考資料 1 から 3 まで入れておりますので御確認いただきたいと思います。

 資料 1 が今回の検討会の開催要綱です。資料 2 が第 12 次防及び安全衛生分科会の建議での記載の抜粋です。資料 3 は安全衛生分科会の資料で、以前のものを 5 ページもので付けております。資料 4 は厚生労働大臣賞の表彰基準を入れています。資料 5 は「次世代認定マーク」のパンフレットを入れています。資料 6 は「若者応援企業宣言」の関連資料です。資料 7 は、安全衛生分科会において出された主な意見をまとめたものです。資料 8 は検討会論点の ( ) です。資料 9 は今後のスケジュールについてです。

 参考資料 1 から 3 までは、後ほど各委員のほうから説明していただく際に使用する資料です。まず参考資料 1 は高野委員の説明資料です。参考資料 2 は、古井委員の説明資料です。参考資料 3 は、白崎委員の説明資料です。机上には、白崎委員関係の中災防のパンフレットを配らせていただいています。資料は以上ですが、何か不足等ありましたら事務局までお知らせください。

 本検討会の座長ですが、事務局としては高委員にお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様方におかれましては、御異議等ありませんでしょうか。(異議なし。)

では、以後の議事進行につきましては、座長からお願いいたします。  

○高座長 ご指名いただきました高と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず、この検討会の趣旨は、労働安全衛生という観点から見て優良と思われる会社をどのように選出するかに関してと、そのように選び出された企業が社会において、あるいは市場において競争優位といったものを勝ち得るための仕組みをどのようにしたらいいのかというところに関して皆様方から御意見を頂戴し、この検討会としての考え方をまとめていければと思っております。多々足りないところがあるかと思いますけれども、御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 私自身は専門として企業倫理とか企業の社会的責任というところ、こういった分野を 30 年ほどやってまいりましたが、ただ、長い期間やっている割には労働の安全衛生という分野に関してはほとんど、自分自身納得できるような貢献ができておりません。その理由は当然私自身の怠慢があると思うのですけれども、もう 1 つ大きな理由はやはり、こういった分野の専門家の方々の御意見や御経験、そういったものに学ぶ機会が余りなかったと思っているところです。そういう意味で、この検討会の場をいただいたことを大変に光栄に思いますし、また、皆様方からいろいろな面で学ばせていただけるということで、大きな期待を持ってまいりました。

 資料を拝見させていただくと、この検討会は、僅か 4 回しかないですね。ですから、限られた時間をできるだけ有効に使い、皆様方の御意見を頂戴して、何とか全員が納得いくような、検討会としての最終的な意見にまとめあげたく思っております。積極的な御発言、議事の進行に御協力いただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

  本日、扉を見ますと 4 つの議題を用意させていただいております。まず最初の議題に関して、事務局から御説明をお願いいたします。

○毛利調査官 それでは、資料 1 から資料 6 までについて説明させていただきます。非常に盛りだくさんですので、手短になりますことをお許しください。

 資料 1 は、この検討会の開催要綱です。趣旨のほうは先ほど部長からもあったとおりです。資料 2 は、第 12 次労働災害防止計画などにおける記載についてです。平成 25 2 25 日に公示された第 12 次労働災害防止計画、これは平成 25 4 月からの 5 か年間にわたる災害防止の計画になっていますが、その中に「社会、企業、労働者の安全・健康に対する意識変革の促進」の記述があります。

2 「労働環境水準の高い業界・企業の積極的公表」で、 a として「労働災害の発生状況や災害防止のための取組だけでなく、労働者の健康に影響する項目を総合的・客観的に評価する指標を開発する」という記述があります。今回の検討会に関係することですが、b「労働環境水準の高い業界や企業の積極的公表」で、「業界別や個別企業の評価を災害防止団体や安全・衛生コンサルタントなどの専門家が行い、企業の同意を得て、良い評価を得た企業は積極的にホームページ等で公表することを推進し、求職者が労働環境の良い企業を容易に把握できるようにする」と書いています。

 その下にあるのは、「今後の労働安全衛生対策について」という労働政策審議会安全衛生分科会での建議が平成 25 12 24 日に行われたもので、その中に記述があります。「企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み」、「安全衛生水準の高い企業の評価・公表」で、社会全体で労働者の安全・健康に対する意識を高めていく必要があるということです。

 対策の方向性として、アとして、「企業の安全衛生水準を国が客観的に評価し、高い評価を得た企業を公表する仕組みを導入することが適当である。また、高い評価を得た企業に対する優遇措置を設けることが適当である。」、イとして、「仕組みを導入するに当たっては、国の評価方法について専門家の意見を十分に聴くとともに、業種ごとの安全衛生水準の状況や中小規模事業場の状況を十分に勘案するべきである」ということで、今回、皆様方の意見をお聴きする検討会を開催しているということです。

 資料 3 です。これは 1 年ほど前の安全衛生分科会で、今回の内容について検討を始める基になった審議会での資料としてお出ししたものです。「優良な企業が社会的に評価される仕組みの構築」として、このときには検討の視点として、「安全衛生対策に積極的に取り組み、優良な環境を維持している企業について、客観的な基準で評価し、公表することで評価をする。高い評価を得た企業に対する優遇措置を設けることで自主的な取組の促進をする。求職者や消費者に対する有用な情報の提供に資するのではないか」と書いております。この後、議論がされて、先ほど記述があったようなものが報告書に掲載されました。

2 ページです。その際にお出しした資料ですが、現在、厚生労働省で、存在している優良な企業を評価する仕組みについての資料を付けてあります。全部で 4 つありますが、詳細な資料もありますので、そちらと併せて説明したいと思います。一番最初にあるのが、厚生労働大臣の表彰です。安全衛生水準が高いと認められる優良企業、事業場に対して、年に 1 度、大臣と都道府県労働局長が表彰を行っています。この詳細については資料 4 に付けております。

 表彰基準として、幾つかのレベルの表彰がありますが、これは最も高位の大臣の優良賞の表彰基準を示しています。ア「共通評価事項」として 12 項目が挙がっていますが、この検討会ではこの基準についても後々議論していただきますので、少し中身を説明させていただきます。

1 として、安全衛生管理体制が確立している、事業場の安全衛生規程が整備され、運営されているということ。 2 として、年間安全衛生計画が策定され、運用が徹底していること。 3 として、安全衛生管理組織による巡視、指導、創意工夫を凝らした自主的な活動が行われていること。 4 として、労働者に対する安全衛生教育が実施されていること。 5 として、労災保険の収支率とありますが、これは保険料の支払いを分母にして、その会社の労災で給付をされた保険金を分子にしたものですが、その割合が 10 %以下であること。 6 は、過去 3 年間で度数率、強度率が全国平均と比較して低いこと。 7 として、過去 3 年間、特殊健診の新規有所見者が発生していない、また、有所見率が業種の全国平均と比較して低いこと。 8 として、過去 3 年間、火災、爆発、崩壊等の災害、法令違反による災害、事故などがないこと。 9 として、過去 3 年間、安全衛生関係法令の基準法も入れて、重大な違反がないこと。 10 として、過去 3 年間、過重労働による健康障害防止に係る文書指導を受けたことがないことといったものがアとして挙げられています。

2 ページにあるものは、安全や健康それぞれの分野に応じて選択的な評価事項となっていますので、何もこれ全部ということではなく、安全の分野であれば 1 を満たしていることというふうに選択的に見ていくことになります。 2 が有害業務に関する健康障害防止対策を扱った基準です。 3 が健康保持増進に関する基準です。 4 が快適職場環境の形成に関する基準となっています。

 資料 3 2 ページに戻ります。 2 番目の「あんぜんプロジェクト」です。これについては、働く方の安全対策に一生懸命に取り組む企業からの応募に応じて、プロジェクト参加企業として厚生労働省ホームページで公表しているものです。これに参加できる企業としては、安全活動の状況、労災の発生状況などをホームページで公表していることという条件や、小さい会社などでホームページがない場合には申請書を提出して承認を受けていることでも結構です。いずれにしても、労働保険には加入している必要があるという参加の資格を設けて、これに合うところに手を挙げていただいて、ホームページに公表しています。

3 点目の「子育てサポート企業の認定」についてです。これは厚生労働省の雇用均等・児童家庭局のほうで行っている次世代育成支援に関する認定です。この詳細については資料 5 に入れてありますので、そちらを御覧ください。

 資料 5 2 ページの下半分に「次世代法とは?」という所があります。この仕組みは、この次世代法に基づいて行動計画を作っていただくということで、 4 つ目の●にありますが、この行動計画というのは、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備をするということで、 1 計画期間、 2 目標、 3 目標達成のための対策とその実施期間を定める。そういう内容で行動計画を各会社で作っていただく。この行動計画に定めた目標を達成して、一定の要件を満たした企業については、申請を行うことによって、子育てサポート企業として大臣認定を受けることができるというふうになっています。この認定を受けた企業が次世代認定マーク、「くるみんマーク」という愛称がありますが、このパンフレットの 1 ページ目にあるようなマークを広告や商品に表示することで、次世代育成支援に取り組んでいることをアピールできるというものです。

 もう 1 つ、この制度の利点としては、今読み上げたところの上にありますが、税制優遇制度があります。「くるみんマーク」を取得した企業については、行動計画の期間中に取得・新築・増改築をした建物等について、 32 %の割増の償却ができるということで、税制の優遇措置を受けることができることが大きな特徴です。

 このパンフレットの一番最後の 4 ページ目に、「認定基準」と書いてありますが、行動計画を策定していることが認定基準に入っています。その計画期間は 2 年以上 5 年以下であること。 5 番目ですが、男性労働者のうち育児休業等をした者が 1 人以上いること。 6 番目は、女性労働者の育児休業等取得率が 70 %以上であること。 7 番目には、子を養育する労働者について、育児休業に関する制度や所定外労働の制限に関する制度といったものが会社の中にあることなどが基準として挙がっていますし、 8 番目には、所定外労働の削減のための措置や、年次有給休暇の取得の促進のための措置といったものを実施していることとが挙がっています。こちらが子育てサポート企業の認定基準です。

4 つ目は「若者応援企業宣言」です。こちらは資料 6 になります。「若者応援企業宣言」については、一定の労務管理の体制が整備されていて、若者のための求人を提出し、 35 歳未満の若者の採用・育成に積極的である、通常の求人情報よりも詳細な企業情報、採用情報を積極的に公表する中小・中堅企業を若者応援企業として、これになれば、ハローワークで積極的に PR をしてもらえるという事業です。一番下に、どんな企業がこの「若者応援企業宣言」をできるのかということで、 7 つの基準が挙がっています。

1 番目は、若者対象の正社員求人をハローワークに提出していること。 2 として、「若者応援企業宣言」の事業目的に賛同している。 3 として、社内教育、キャリアアップ制度に関する関連情報を開示していること。ほかにも、過去 3 年分の新卒者の採用実績・定着状況や、過去 3 年分の新卒者以外の正規雇用労働者の採用実績・定着状況、前年度の有給休暇、育児休業の実績、前年度の所定外労働時間の実績などの就職関連情報を開示していることが基準になっています。 4 番目として、労働関係法令の違反がないこと。 5 番目、事業主都合による解雇、退職勧奨を行っていないこと。 6 番目、新規学卒者の採用内定取消を行っていないこと。 7 番目、助成金の不支給措置を受けていないこと、ということで、こうした基準を全て満たした中小・中堅企業であれば、「若者応援企業宣言」ができるということです。

 得られるメリットとしては、真ん中のほうにありますが、ハローワークに提出される通常の求人情報に比べて、より詳細な企業情報・採用情報を公表できるということ。それから、都道府県労働局のホームページで PR シートを公表することになっています。 3 番目としては、就職面接会などの開催で、積極的に案内が来るといったこと。 4 番目としては、「若者応援企業」を名乗ることで、昨今、問題企業が公になっていますが、そういうところとは正反対の企業ですよというアピールができることがあります。こちらは、職業安定局でやっている制度です。以上、厚生労働省で、今設けている優良な企業を評価する仕組みについて説明いたしました。

 資料 3 に戻ります。 3 ページには、民間企業での取組事例を挙げております。これは後ほど古井委員のほうから御紹介がありますので割愛させていただきます。海外でも、アメリカでは、安全と健康に関して星マークを付けるような Voluntary Protection Program があるということです。 4 ページですが、これも、その当時の分科会の資料ということで上げておりますが、そのときに検討の論点を議論したものです。

5 ページに、その際の絵を付けております。今回、必ずしもこのとおりでなければいけないということではありませんが、一応、この当時考えていたのは、 5 ページの絵の左のほうで、企業の側で安全・健康にいろいろ取り組んでいただいているものを、まず自己診断をしていただく。それには安全関連の項目、労災発生状況や健康関連の項目があり、診断の結果としてレベル 1 5 があるとすると、一番良いところが認定の申請を厚生労働省にしていただくと、書面による審査をして、これを認定するというものを、当時、考えていたということです。私のほうから、取りあえず資料 6 までについて説明させていただきました。

○高座長 ただいま、既にある制度についての説明を頂きましたが、御質問等ありますか。特に今なければ、後で戻って質問するということでもいいかと思いますので先に進みます。

 議題 2 です。「優良企業を評価する制度の事例について」ということで、高野委員からマネジメントや安全文化の考え方に関するフレームワークについてお話を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高野委員 慶應大学の高野でございます。僭越ではございますが、私は 1995 年からほぼ 20 年間、企業の安全のレベル、安全文化を「見える化」する研究を行っております。アンケート調査を行って、その結果を基に各企業を訪問してインタビュー調査をする。その上で、その企業の問題点を抽出してその企業に提示することによって、自分たちで自己改革を図っていくという仕事をずっとやってまいりました。その辺りの考え方を、少し御紹介できればと思っております。

 我々自身は仮説を持っております。安全文化に優れた企業というのは、多分、設備災害も労働災害も少ないだろうという仮説です。では、その安全文化を高めるマネジメントとはどういうものかと考えたときに、いろいろな事例を見ていくと、どうも中庸というのが非常に良い考え方ではないかということです。足利学校という日本で最古の学校に「宥坐の器」というものがあります。いわゆる「足るを知る」というコントロールで、これは何かというと、自分たちで自分たちをコントロールすることが非常に重要だという考えです。この器は少ししか注がないと倒れます。かといって、たくさん注ぎすぎるとまたひっくり返ってしまうというように、丁度良いレベルに水を注がないと、この器がひっくり返ってしまうというものです。したがって、中庸ということを教えるための道具と言われているわけです。

 ですから、生産性と安全性のバランスをとる。日本の場合にはボトムアップと言われていますが、ボトムとトップのバランスをとることが、いわゆる安全文化の根本になる考え方ではないか。下のほうに、ほとんど同じ趣旨で、英国のジェームス・リーズンが面白いことを言っています。彼も安全性の向上、事故を起こさないということについてはバランスが非常に重要だという考え方を言っていまして、通常は、事故を起こさない状況では、この安全性と生産性はほぼ釣り合っている。ただ、企業ですから当然、利潤を上げる必要があるということになると、生産性、効率のほうに強く引っ張られる。強く引っ張られると安全ゾーンの結び目が安全ゾーンを外れてしまいますので、どうしてもバランスが崩れて事故等々が発生しやすい状況ができる。企業ですから当然、利潤を上げなくてはいけないので、生産性の圧力は必要です。ですから、このバランスをとるためには、同じ力で安全性のほうにも引っ張らなくてはいけない。ですから、ほぼ同じ力で安全性のほうの圧力、安全性のレベルを上げないといけないという考え方です。

 企業の経営という観点から考えたときに、いわゆる事故がない安全パフォーマンスが高い優良企業とそうでない企業、あるいは、下のほうは業績の高い企業が共通して持っているような特徴、文化というものを挙げていますが、見ていただくと、かなり同じような要素が入っていることが御理解いただけるのではないか。

 例えば、安全優良企業で見ていくと、安全に特効薬はないわけですから、地道な活動は非常に重要であるということ。やはり、組織学習をしていく。同じようなことは二度と起こさないという組織学習という観点。それから、今回ここで議題に上がっている安全活動です。日常的に活動をいかに進めていくかという活動。その活動を通して価値の共有を図っていく。従業員とマネージャーと経営層、全体の価値の共有を図っていくことが、実は安全優良企業の共通点だと思っております。なおかつその活動というのは、自律的な活動である必要がある。自分たちが必要だと感じてやる。自分たちとは、できれば日本の場合にはボトムアップだということになるのではないかと思います。

 業績の高い企業というのは、下に全く同じようなことが書いてありますが、上の要素と重なる部分があるわけです。例えば組織力の強化や、組織戦略の共有、販売戦略、ビジネスモデル、自律的な試行錯誤、潜在的リスクの認知、危機を生かす力、世の中のためにという理念といったような企業の特質を見ていくと、安全優良企業と業績のいい企業は共通点が多いことが分かるわけです。これを考えてみると、いわゆる企業の安全文化を健全なものにしていくということは、当然、事故が減るし、なおかつ業績にも良い作用をするのではないか。ですから、企業としても正に取り組むべき視点だということになるわけです。

 これは 20 年ほど前に調べたので、今とは少し違っているかもしれないのですが、 600 ぐらいの企業を調査しました。そのときに、いろいろな安全活動や安全への取組について、どの程度真剣に取り組んでいるかという取組のレベルを縦軸に取ると、労働災害の大中小によって、実は相当な違いがあることが分かってきました。安全活動に対して余り積極的ではない企業は赤いラインです。大体 200 ぐらいの企業群になりますが、労働災害の件数が非常に大きい企業は、どうしてもこういういろいろな取組に余り熱心ではない傾向が出てきています。ただ、これを見て面白いのは、中くらいの企業と少ない企業とはほとんど差がないのです。ですから、安全活動だけでは少し限界があるのではないかというのが我々の仮説です。

 では、黄色と青とを分けるのは何かというのを、実は我々は訪問調査をいたしました。手分けをして 100 社ぐらい回って、この黄色い企業と青い企業のどこが違うのかということをベンチマークをしました。そうすると、少ない企業は自分たちの職場にある潜在的リスク、これは目に見えるものもそうでないものもあるのですが、そういうものを徹底的に洗い出してそれを是正していく。正に今、中災防さんがされているようなリスクアセスメントを徹底してされていることが非常に効果がある。ですから、安全活動の中に、このリスクアセスメントを含めるのが非常に良い視点ではないかと思っているわけです。

 これも、その当時にアンケート調査をしました。そうすると、やはり安全文化の基本になるのは従業員の意識であるということは、多分、疑いようのない事実だと思います。この従業員の意識が組織全体、パレートで言えば 8 割ぐらいの方に浸透していけば、いわゆる集合的無意識というか、全員が同じような意識を持っていくような状態になっていくわけです。したがって、従業員の意識を高めることが安全文化を高めることにつながってくるわけで、そのためには下にあるような、「安衛部の活動」と書いていますが、これは安全活動。それから、「安全の制度」、従業員の間での安全に関する議論であったり、トップが示すような企業理念、安全に対してトップがどのようなアナウンスメントをしているか、宣言をしているかということ、なおかつ、ここにあるような「良好な人間関係」と。健全な組織というのは安全文化においても非常に重要な要素であるわけです。こういうことがきちんとできている企業は、やはり従業員の意識が高まるであろうということが分かってきました。

 では、安全文化とは何かということを簡単に説明します。我々は過去の安全優良企業だったり、事故を起こした企業と起こしていない企業のベンチマークであったり、あるいは各国の安全文化のガイドラインといったものを全て網羅して、その中でどういう概念が共有されているかという、共通の概念を導き出すと、この 8 つの概念が出てくるわけです。上のほうに赤い部分で「動機付け」「組織統率 ( ガバナンス ) 」「コミットメント」「コミュニケーション」「アウェアネス」「ラーニング」「プラクティス」「リソースアロケーション」と。時間がありませんので説明いたしませんが、簡単に言えば組織文化の基盤と業務をするときの運営の基盤との 2 つに分かれるだろうと。この部分がきちんとできていれば、安全文化の高い企業と言えるのではないか。

 この文化というのは目に見えないので、目に見えないものを目に見えるようにすることを我々は非常に重要視しておりまして、こういうものを目に見えるようにしようということで、安全のアンケートをいたしました。ただ、これは自分たちの悪いところをきちんと導き出して改善をしていこうというマインドがないと、こういうアンケート調査は余り有効に機能しません。例えば国が評価をするためにこういうアンケートをやると、どうも良いほうにバイアスがかかってしまうのではないかといった懸念があるために、自分たちの正直な姿を出して、何とか改善に結び付けようというマインドがある企業が受けることが必須の条件になっています。

 我々は各産業界の標準値を既に持っていますので、標準値と、ある固有の企業の値を比べるというような方式でやっております。全 108 項目と書いていますが全 109 項目の間違いですが、こういう 109 項目のクエスチョネアがあり、 8 軸に対して、個人、職場、組織といったようなアンケート調査を各課長以下の方に調査しました。そうすると、一目瞭然でこういう結果が出てきます。横は診断事業所で大体 100 ぐらい並んでいて、縦が 109 項目です。そこの業界の標準値と比べて良いところは緑、青、悪いところは黄色、赤という表示になっています。これを見ていただくと、各事業所ごとに緑が多いところと赤が多いところと、きれいに分かれてくるわけです。したがって、赤が多いところはやはり標準値と比べて悪い企業だというようなことが一目瞭然に見えるということで、こちらの青の企業は標準値と比べて優れている企業だということが分かる。これで、いわゆる安全文化のレベルを「見える化」できるのではないかというような取組をやってまいりました。

 ただ、悪いからといって、これを放っておけば、ずっと悪いままになってしまうものですから、ではどうしたら改善できるかということをやっていくわけです。ここにあるように、横軸が安全のレベルなのです。ですから、プラス側に行けば行くほど安全レベルが高い。これは先ほどのデータをそのまま主成分分析しただけですので全く我々の意図が入っていない評価結果ということになります。したがって、このプラスに行けば行くほど安全レベルが高いという評価ができるわけです。例えば、上のほうがどちらかというと官僚的な体質というか、非常に、言われたことはきちんとやるという文化を持っている。下のほうは、どちらかというと協力しながら作業していくという文化を持っている。横軸はマイナスに行けば行くほど安全レベルが低いという企業だと思ってください。そうすると、あるところで悪い評価を得た企業をその後追跡していくと、良い方向に移ることがある。良い方向に移るには、ここに示されているような、悪いところをカバーするような安全活動を重点的にやってくださいと。今まである安全活動をもう一度見直してくださいということを提案して、安全活動をリフレッシュすることによって、安全のレベルを上げていくというモデルです。したがって、こうして見てみると、マイナス側にあった評価の企業も、 2 年、 3 年していくとだんだん良い方向に、安全活動を強化することによって上がっていくというのが我々のモデルです。

 これも見ていくと、やはり悪いというのは、先ほど X 軸のプラスとマイナスです。これは労働災害の発生率を見ていますが、先ほどの安全診断の結果としてプラスにある、いわゆる緑が多かった企業は労働災害が少ないわけです。ところが、マイナスに行けば行くほど労働災害の数が増えてくるという現象。こちらのほうは死亡災害です。良いと評価された企業にはほとんど死亡災害がないにもかかわらず、悪いという企業の幾つかには、過去 5 年を見ていますが、現実に死亡災害が発生しているということですから、この安全文化を評価してあげれば、労働災害の発生率がある程度推測できる。あるいは、良い方向に評価を得ることができれば、労働災害を減らす効果が十分期待できるというようなことをやってきております。

 そういうことで、どういう安全活動かというと、先ほど申し上げたとおり、我々は職場に存在する潜在的リスクを減らしていくことは非常に重要だろうと思っていまして、オペレーターが現場に入るときにカメラを持って行って、ちょっと危なそうだ、ちょっとおかしいという所をカメラで撮ってきて、こういう掲示板に貼っておくと、賛同する人はサインをしていく。サインが集まった所を優先的に改善を図っていく。予算が決まっていますので、全部が全部直せるわけではないので、やはり、皆がそう思う所を優先順位を付けて改善していこうと。これは潜在的リスクの「見える化」の活動の一環だと思っております。

 これは正に、過去のヒヤリハット時代がここで起きましたよということを看板に貼っておく。これも頭では知っていても、人間というのは常にそういうことを意識しているわけではありませんから、現場に行ってこの看板を見れば、もともとあった潜在的リスクが「見える化」できるのではないかというのが 1 つあります。

 これも、各事業場でどこでヒヤリハットや災害が起こっているかというものを、「危ない所はこの辺ですね」などと、結構事故が起こっている所があります。この小さい丸がヒヤリハット、大きい丸が実際の労働災害ということです。こういうものによって、この場所にあるようなリスクを認知することができると思っております。

 これも、ある企業が行っている、過去の事例をベースに、作業の鉄則を決めていく。これも不安全行動を禁止する。いわゆる見えないものを見えるようにするという活動の一環ではないかと思います。こういう安全活動全般というのは、日本の場合にはボトムアップ型のアプローチとして行われていることがあるのですが、そうは言っても、自然発生的にはこういう活動はなかなかできてこない。ですから、やはりトップダウンでそういうことをやってくださいと。あるいは、やるための資源を提供しないと、なかなかうまくいかないということになりますので、具体的な活動は実際の現場に日々直面している労働者の方に考えていただく。ただ、その中で良い活動は称揚していく。経営トップが称揚していく仕組みが非常に重要ではないかと思っておりますし、今般のように、これに対して国が何らかのインセンティブを与える。そうすると、明らかに経営者のマインドも変わってきます。経営者のマインドを変えるための政策というのは、非常に重要ではないかと思っているわけです。以上、非常に雑駁ではありましたが、紹介をさせていただきました。

○高座長 ありがとうございました。ただいまの高野委員の御説明、組織文化と労働安全についての説明を頂きましたが、御質問はありますか。特になければ、また後でまとめてやらせていただきます

 続いて、古井委員のほうから、「健康経営」に関する企業の取組事例と、 DBJ の健康経営の格付制度について御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○古井委員 それでは、私のほうから事例について御報告します。私は、医学部を出て癌研究に従事し、 30 代から生活習慣病の予防研究をしています。予防医学は、東大病院に来るような患者さんと違って、まだ意識がない、病院に来ない人をいかに予防していくかというところから始まっています。

 つまり、社会的な仕組みとして、安全と同様、健康についても、いかに意識を上げていくかどうやって血圧とか血糖が高い人を予防し、治療させられるかという視点が重要になります。

 次のスライドです。こちらは皆さんも御承知のように、生活習慣病が重症化をした心筋梗塞等を含む心疾患の発症率です。男女ともに、 30 代前半の発症率を 1 としたときに、加齢とともに発症率は増えていくということです。この背景には、加齢とともに血管が詰まったり、固くなったりする現象があります。少子高齢化や定年延長等に伴って、例えば 5 歳ほど集団の平均年齢が上がると 1.7 倍ぐらい罹患率は高まるということですので、今後の日本の地域及び職域に関しては、労働者の健康状態を維持することが一番の課題ではないかと捉えています。

 次のスライドです。こちらのスライドはある企業の男性社員のデータです。これは健保組合のレセプトデータによるものです。棒グラフのほうは一人当たりの平均の医療費になります。年齢があがるごとに病気も増えるということがうかがえます。折れ線グラフのほうは標準偏差ということで、加齢とともに病気の発症率も高まるのですが、 50 代以降は健康格差が非常に大きいということです。元気な人は 60 代でも 30 代のような血管のしなやかさですし、 40 代であっても 70 代ぐらいの血管の状態の方もいるということです。したがって、今までの時代よりも健康づくりに留意した職場、あるいは留意しない職場で、健康状態の格差が広がっていくと考えています。

 次のスライドです。そのような社会環境の変化の中で、経済産業省の審議会から 2007 年に、貴重な人的資源への健康投資の重要性が示されました。我々が分析したところ現役の方で心筋梗塞で倒れた方の 3 人に 2 人はレセプトがありませんでした。つまり、これだけ国民皆保険が整備されている国で残念ながら保険証自体が有効に使われていないことが分かってきました。したがって、我々は待ちの医療ではなくて、攻めの医療というか、予防を進めるうえでの重要なフィールドとして、職場を位置づけました。

1 つは、健康づくりや疾病予防に関しては実施をしていない企業も少なからずあります。 2 つ目は、やりたいとは思うけれどやり方がよく分からない。 3 つ目は、先ほど高野先生からもありましたが、経営者として、実施すべきことは分かるけれど、取り組んだことで何かいいことがないか、という課題が整理されました。

 それに対する解決方針としては、実施していない企業は、貴社はこのような状態ですよと、安全と同じように健康面でも現状を指摘することが起点ではないかと。

2 つ目は、やり方が分からない企業には、技術的な支援が必要だろうと。

3 つ目は、実施を促すような、今回のこの検討会の議論にもあるような、インセンティブのようなものがあったほうがいいのだろうと考えました。

 次のページです。経産省の調査研究事業として私も関わらせていただいたのですが、企業の取り組みを Structure/Process Output Outcome という構造で評価しようという、安全などとも似た考え方をされていたと思うのです。健康の取り組みの評価でも、経営者が組織として健康づくりをやると掲げているとか、従業員の健康状態をきちんと捉えているとか、そういう基礎的な項目から始まって、成長戦略下で規定されたデータヘルスを進める今後で言うと、協会けんぽに健診データを提出して、一緒に健康対策に取り組んでいるかとか、そういうことも含めて評価すべきだということです。

 次のスライドです。 OECD の会議のときの資料になります。 OECD は健康施策として、たとえば健康に良くない食品には税金かけるといったポピュレーション・アプローチを重視しているが、日本はどうかという問いがありました。その事例として、日本政策投資銀行が、健康づくりに積極的に取り組む企業を評価し、金利優遇を図り、モチベーションを高める仕組みがあることを提示したものです。

 次のページです。政策投資さんは健康のほかにも、環境とか BCM などの取り組みを評価し、それによって金利を優遇するという仕組みを前々から構築されています。

 次のスライドです。こちらは評価に際して、ランク付けをし、このランクごとに金利を設定することになっています。

 次のスライドです。これは評価の流れで、いい取り組みを丁寧に評価するということで、自己評価に加えて面談評価をされて、最後に結果を報告するという方法になっています。

 次のスライドです。こちらの評価は大企業ばかりかと思うと、最近は中小企業が利用され始めていて、この右下の博愛会というのは福岡の中小病院です。そこが格付を受けられて、患者とか地域の住民に開放する「 LUNCH PARK 」と書いてあるのですが、健康に優しい食堂を作ったり、夜勤者などのメタボを予防しようということで、自動販売機の中にジュース以外にもトクホ飲料を入れて、値段が高い分を法人から補助を出し、健康行動を促しているという事例になっています。

 次です。仕事が忙しい方というのは、経営者とか職場の理解がないと病院にさえ行けないということがあります。そういう視点で、政府の成長戦略の中の、経営者に対するインセンティブ付与というのは我々も賛同するところです。

 次のページです。我々が企業の取り組みを評価する事業に参加して気が付いたところですが、評価の狙いはいろいろありますが、中小企業の底上げは是非やるべきだと思っています。まずは先行企業で事例作りを民間のいろいろな創意工夫のもとで実施し、中小企業にもこのようなやり方がありますよと共有して取り組みを促すというのが良いのではないかと思っています。

 あとは、労働者の健康増進を考えたときに、協会けんぽがデータヘルスを進める中で、中小企業の健康づくりの支援をすることになっており、この協会けんぽの保健事業を是非活用されるのが中小企業にとっていいのではないかと思っています。

 また、健康づくりは「社会的な活動」になり得るという点が重要です。大分の中小企業では 300 社ぐらいが健康宣言をしています。たとえば、太田旗店さんでは、従業員の皆さんが生き生きと健康づくりをされていて、しかもその取り組みが協会けんぽや県から褒められ、応援されているのです。そういう企業が増えてくれば、ほかの企業がやるときにもお手本になる、要するに内向きな活動だけではない良さがあるのではないかと思っています。

 次のページは、協会けんぽが中小企業の従業員に提供しているサービスです。本人の健康保険証の番号を入れることで、自分の健診結果を 3 年、 4 年見られるようになりました。これを見た従業員が、「健康づくりに使えるから“健康”保険証なのですね」とおっしゃったのが非常に印象的で、なるほどと思いました。心筋梗塞等による突然死の割合(全死亡に対する)が多いのは実は 60 代ではなくて 40 代なのです。ですから、そういうことを是非知っていただいて、なるべく早くから手当をすることが大切です。 10 人の中小企業で一人倒れることは重大です。

 次のページです。東大病院 22 世紀医療センターやヘルスケア・コミッティーでは健康づくりの効果検証に取り組んできました。 次のスライドです。左右の会社は健康分布は非常に似ていて太っている方が多い企業なのですが、左の会社が心筋梗塞等で現役の社員が倒れている割合が 2 倍右の会社より多いと。この会社はなぜこうなるのか。その背景がデータからわかったことで、トップダウンで取り組みをやっていただいています。

 私からは以上です。ありがとうございました。

○高座長 ありがとうございました。ただいま、古井委員から健康経営についてお話を頂きましたが、御質問ございますか。特にありませんか。少し個人的に関心があるのですが。肥満対策は具体的にどういうことをやるのですか。

○古井委員 肥満もいろいろなパターンがありまして、営業職や工場勤務の方で肥満のなり方も異なります。働き方や職場環境、生活習慣の特性がわかると、それぞれに合った対策があります。

○高座長 分かりました。ありがとうございます。先ほど説明がありましたが、ああいう会社は具体的なことを学んでやられたということですね。

○古井委員 そうです。自社の現状が可視化されたことで、社長が具体的な対策につながったのだと思います。

○高座長 分かりました。よろしいですか。それでは、多分質問がいろいろあるかと思いますが、後でまとめてお願いします。続いて、白崎委員から中災防のグッド・セーフティ・カンパニー制度についての御紹介を頂きます。どうぞよろしくお願いします。 

○白崎委員  私のほうからは、グッド・セーフティ・カンパニー (GSC) と言っていますが、それを御紹介します。私自身は、 11 年前から中災防方式の OSHMS の認定をやってきました。開始当初から中小企業向けのものがないのかと言われました。というのは、現在 400 弱の認定事業場があるのですが、ほとんどが上場企業グループに関係する認定でして、当初から中小企業向けのものが要望があったわけですが、ようやく昨年の 4 月からグッド・セーフティ・カンパニー制度を開始し、昨年 1 年で登録が 73 件ありました。 1 年目で 73 件というのは上々の滑り出しだと考えています。そこでその概要をこれから御紹介します。

 スライドの 2 枚目になります。対象は 300 人以下の企業としました。有効期間は 3 年と書いてありますが、 1 回限りの登録と言うのですか、評価行為というのであればそれ以降は保証できませんので、やはり改善を進めていくことを念頭に置くと更新制がいいだろうということで 3 年にしてあります。

 評価基準です。ここは 2 つの柱で構成しています。 10 項目の必須評価項目と活動の「レベル評価」項目です。先程来、高野先生から御紹介がありましたが、いわゆるトップダウンとボトムアップの両方がうまくいっている所において安全衛生管理の成績がいいというのを、この 10 年間、中災防方式の OSHMS 認定で分かってきていまして、それをいかさない手はないということで、次のスライドです。

 必須項目として 10 項目。基本的にはトップダウン項目です。これだけですとやはり現場の活力がいかされない、一人一人の安全衛生活動への関わりが足りないということになりますので、右側、ボトムアップ項目である「レベル評価項目」を設けました。この中でどういう活動項目内容がいいのかで随分議論があったのです。中災防方式の OSHMS 認定制度の中で取り上げている項目と欠かせないリスクアセスメント、それから、中小企業ですので、基本的にはマネジメントを行うという立場は経営者とその下の管理者お二人でせいぜい 100 人ぐらいの面倒をみているのだろうということで、トップ及び管理者とメンバーとのコミュニケーションがしっかり出来上がるといい方向に向かうのだろうということで、この「必須項目」と「レベル評価項目」に分けて評価しています。

 評価の流れです。最初申し込みがあったら、大事なことですが自己評価をしてもらいます。この自己評価がなぜ必要なのかというと、いきなり一次評価と言いますか調査をしてもいいのですが、自分たちで評価をして、他者でその評価内容を見てもらって違いを気付きに結び付けることが非常に大事な方法でして、自己評価を取り上げています。自己評価をしていただいた後、一次評価ということで、ここにあるようにトップインタビュー、それから安全衛生担当部門、基本的には大体 100 人前後の事業所が多いので、安全担当というのはいなくて、総務部長とか課長とかそういう人がほとんどです。その人にヒアリングをする。

 それから、現場も確認しています。約 2 時間ぐらい見ますでしょうか。というのは、この実地調査は「 1 日で行います」と書いてありますが、実質 6 時間ぐらいで行って、その 2 時間は現場を見ているということです。なぜこういうふうに現場に行くことにしたかということですが、中災防方式の OSHMS 認定をやってきていてびっくりしたのは、 ISO 1 つの有り様だったのかもしれませんが、非常に書面の作り方がうまいとか、提出されてきている資料の内容からすると優れた所かと思って、実際に事業場へおじゃまするとびっくりするような。例えば、挟まれる所にカバーがないとか、そういうのも最初驚く中で体験しました。それは試行のときでしたが、やはり、これは現場に行かなくてはいけないということが非常に我々の中では強くて、中小企業の中において 1 日、トップの方と幹部の方を拘束するのは大変なのですが、現場に行って調査するとした理由がそこにあります。

 一次評価が終わったら二次評価ということで、「委員会での判定」と書いていますが、実際は一次評価を行った担当者とその上司 2 人で二次評価をし、合格していれば登録というやり方をしています。さらに6のスライド、これも特徴的なのですが、「定期調査」としました。第三者評価制度をやっていて気付いたことは、認証を取るために非常に一生懸命、取るまで頑張る、取った後はやはりちょっとぼやけるということが、品質や環境の ISO の所でも聞きましたし、我々が体験していてもそういう傾向がありました。大事なのは、せっかく身に付けたマネジメントシステムのやり方を、次の年に改善に結び付けるというところまで行けばその後は慣性力できちんといくのかなということで、この GSC においては、定期調査ということで 1 年後に必ず専門家が事業場を訪問してその改善状況を確認するという、そこまで込みでこの制度が 1 回目調査評価をするとしています。その後は 3 年以内に「チャレンジ評価」と書いていますが更新を行うとしています。

 スクリーンに写したのは自己評価表、いわゆる必須部分のチェックリストです。お手元のパンフレットの 6 ページです。実は、 6 ページには必須項目の全項目が書いてあります。 1. 「経営トップによる安全衛生方針の表明」、 2. 「体制の整備」、 3. 「法令の遵守」というように、きちんと組織としてトップダウンで行わなくてはいけない、そういう項目が 10 項目です。このうちの 5 番目は、日常的な安全衛生活動ということでボトムアップを求めているわけですが、ボトムアップを求める上においてもそれなりのルールとか、やり方の決め方とか、そういうのがあるので、この必須の所で基本的なところはできていなくては困るということで項目に入れています。この 10 項目は、中災防方式の OSHMS 認定の中で、少なくともこの 10 項目の柱が出来ている組織はそれなりの安全衛生の管理がうまくいっていて、結果として災害も少なくなっているというところから作ってきています。

 この中の「安全衛生活動の実施状況」という項目を出しました。次のスライドです。項目は、例えば安全衛生計画が作成されていますかという聞き方で、申し込み事業所はイエスかノーで答えてくるのですが、我々評価する側は 3 段階で評価しています。少なくとも C ということが実現されていれば○、そういうこともなければ×という形になります。 C がスタートで、できるだけ A のほうに導いていくということでマネジメントの質を上げていくというようにやってきています。

 一方、「レベル評価」です。こちらはどちらかと言うとボトムアップ項目です。何を意図したかというと、 100 人規模の事業所と考えれば、社長と管理者お二人で組織を動かしているということですから、どちらかと言うと、いいことをやっていたら褒めるというところまで持っていけばいいなとしました。ここではヒヤリ・ハット活動の問 3 1 5 まで紹介しています。御覧ください。問 3 1 皆が参加していますか。 2 決められた報告の方法に従っていますか。 3 報告がなされていないことがないですか。 4 内容が分からない場合、管理者は聴取りをしていますか。 5 報告している人を褒めていますか。

 最初、内部で勉強会をやったときにこういう項目を提案したのですが、何かチェックリストらしくないと。要は、管理する立場の人が管理される立場の人とのコミュニケーションと言うのでしょうか、やり取りと言うのが分かるのだけれども、このようなものできちんと質を確保できるのかという質問がありました。しかし、そこはそれでいいのだと。要は、中小規模で特にボトムアップということであれば、やはりいい所を見つけて褒め、まずい所があれば叱るということができていれば、それはいい職場なのだということの方針を貫いて、こういう項目が、実は問 1 から問 6 まで似たようなものが並んでいます。問 1 の「体制と役割責任」から問 6 の「活動の評価」までは御承知のようにマネジメントの在り方ですので、ボトムアップと言っても PDCA を回す項目にしています。

 評価委員用のチェックリストです。例えば、先ほどの 4 管理者自身が直接聴き取っているか、これを聞きます。 5 管理者自身が直接褒めているか。飽くまでもトップと管理者に焦点を当ててこういうふうに聴取りをしているということです。その結果はこのように報告書にまとめるわけです。ボトムアップのほうは、いわゆるレベル評価についてはレーダーチャートで示して、どういうところが強くて、どういうところが弱いかが一目で分かるようにしました。それから、「報告書の 2 ページ目」と書いていますが、個々の項目については、良いころをまず最初に示し、その後、こうしたほうがもっと良くなるというアドバイスを書いています。先ほど 3 段階で評価していると言いましたが、より上位のほうにマネジメントの質が移行するように必ず課題を書いて報告書として示していく、ということを通じてレベルアップを進めていくという仕組みにしています。

 最後は登録証です。以上です。

○高座長 ありがとうございました。ただいまの白崎委員の説明に関して、御質問ありませんか。

○白崎委員 なお、言い忘れましたが、例えば、登録していく以上は労働災害の発生状況とかそういうのはどうしているのだという問合せがありました。過去 5 年間の労働災害の状況は報告を取りますが、それが悪いというか、標準を設けてそれ以下だから申込みを受け付けないとはしていません。その理由は、こういう制度を活用するという意識があるだけでも私どもはすばらしいなと思っていて、要は、この制度を使ってレベルアップを図りたいという気持ちが基本的にあるわけですから、過去の災害がどんなにひどくてもこの制度を通じてよくなればいいということで、災害の記録は求めますが、その記録の悪さ加減で評価はしていないということです。ただし、パンフレットの 7 ページですが、この制度に申し込める条件ということで、 7 ページの下に欠格事項とあります。こういう状況の企業においては申込みはできませんということにしてあります。付け加えさせていただきました。

○高座長 ありがとうございました。このような解釈は可能でしょうか。このチェックリストとか評価項目を見ていくと、先ほど高野委員から説明があったような、安全文化を醸成するための手引みたいなようなそのような印象を受けたのですが。

○白崎委員 はい、結果としてそうなっています。

○高座長 そういうことですね、はい。ありがとうございます。それでは、 3 委員からの説明はここで終わらせていただいて、後でまた質問があれば是非お受けしたいと思います。

 続いて、議題の第 3 になります。「労働安全衛生に関する優良企業評価の手法について」ということで、事務局から説明を頂きます。

○毛利調査官 それでは、資料 7 8 9 について説明いたします。まず、資料 8 の、安全衛生水準を客観的に評価する、それで、高い評価を得た企業を公表する仕組みを導入するためには、どういうことを議論していく必要があるかということで、その議論の論点をまとめた案です。

 議題 I は「評価手法について」として、まず、論点 1 の分科会に示した仕組み、これは先ほど資料 3 5 ページの絵ですが、評価の流れで、たたき台としてこれについて少し検討をして妥当なものかどうかを議論いただきたいということです。評価、認定を企業単位で行うか、事業場単位のようなことも考えられるかと思います。

 論点 2 は、評価指標としてどのようなものが考えられるか。業種によって異なったものとするのか、統一的なものとするのか。優良な取組を評価する指標と結果に関する指標は、分けて考えるべきかということを挙げています。

 論点 3 は、評価として、指標ごとにどのように評価すべきか。○×なのか、段階的なのか。基準を満たしていることをどのように確認するか。基準は業種別、企業規模別に変えるべきかどうか。どの程度基準を満たした企業を優良企業として認めるべきか。

 論点 4 は、認定の取消し要件や認定期間について挙げています。

 議題 II は「優良マーク」について。どういうデザインがいいのか。使用方法、どの範囲まで許容するか。

 議題 III は「企業に対するインセンティブ」です。自主的にどのように取り組んでいただくか、それを促進するかということで、評価を受けようとする企業に対してどのようなインセンティブが考えられるか、又は制度を普及させる工夫はあるか。

こうした論点を議論する際に参考となることとして、資料 7 に戻りますが、昨年度の安全衛生分科会でこのテーマについて議論をした際に、公労使委員から出された意見の主なものをまとめたものです。評価手法については、高い水準を維持している企業を評価するということだけではなくて、改善しているということについても評価をすべきではないか。災害とか疾病のデータというのは、数字で出てきて非常に分かりやすいけれども、取組状況となると数字では評価が難しい。中小企業にとってハードルが高いようなものになってしまうと、中小が選ばれてこないということで、中小の経営実態をよく踏まえた上での検討が必要。業種によってかなり差があるということで、特定の業種に偏らないように業種ごとの評価の仕組みの工夫が必要ではないか、というような意見がありました。

 インセンティブについては、ハローワークの求人票に優良認定マークを入れるというようなことが考えられる。国、自治体が発注する工事から委託業務について、優良企業に優先的に発注するような仕組みも有効ではないか。中小ではなかなか人が採れないということで、求人の際に、この会社の安全管理は優れているという評価を PR 材料にできるような仕組みにしていただきたい、というような意見がありました。

 資料 9 に、今上げました論点と、今後一応 4 回を予定していますものを順次議論していく、そのたたき台の案として、このような感じで議論を進めていただけたらということで書いています。第 1 回では、先ほどありました論点 1 2 辺りを議論していただければいいのかなということで、今後順次後ろのほうに進めていただければいいのかなと、事務局の案としてお示ししております。私からは以上です。よろしくお願いします。

○高座長 ありがとうございました。事務局から説明いただきましたので、議題 I の論点 1 2 を中心に議論をさせていただきたく思います。まず、最初に資料 3 5 ページの、こういうイメージですけれども、これに関して御意見がありましたらよろしくお願いいたします。このイメージ図では、評価の単位が企業なのですね。

○田代委員 今言われた自己診断の場所は、この表でいくと、例えば私どもの企業が、自分の所で診断することになると思うのですね。そこで「安全関連項目」と書いてある 1 2 は、 1 労災発生状況等々の記述をその企業が本当に正直に出してくれるかということがあるのではないでしょうか。例えば、建設業の現場では、労災隠しがまだあるのではないかということです。そういうところで、この労災の件数が本当に出るかどうかが心配です。このイメージ図についての私の意見はそういうところです。

○高座長 ありがとうございます。こういう枠組みでやるとしても、なかなか正確な情報は出さないのではないかと、そういう御懸念ですね。ほかにありますでしょうか。

○幸保委員 今の御意見は労災隠しの具体的な例ですが、企業診断をするときに、申告された内容のデータの担保をどうするかということだと思います。どういう形で担保を取れるかということを考えなければならないのではないでしょうか。

○高座長 やるとなったら、その提出された書類が正確かどうかの確認をするために、いろいろ知恵を出さなければいけないという話ですね。いかがでしょうか。もちろんこの枠組みにこだわる必要はないのですね。例えば、既にいろいろ制度の話をしてもらいました。これは、事務局にお聞きしたいのですが、今までの制度については、企業側にとって十分なインセンティブになってないという理解でよろしいのでしょうか。

○中村課長補佐 今日、国が設けている制度として、安全衛生の関係では 2 つ御紹介したと思います。大臣の表彰の制度と、あんぜんプロジェクトをやっているのですが、大臣の表彰制度は、国のほうが今年はここを表彰しましょうと選ぶ制度でして、企業から手を挙げて参加できるという仕組みにはなっていませんので、そういう意味でちょっと広がりが小さいのかなという問題意識を持っています。

 あんぜんプロジェクトというのは、評価基準を厳格に設けて、その水準を評価していくというものではなくて、参加したいという企業を広く募集して、どういう安全の取組をやっているかを紹介してあげる仕組みですので、今回狙っている趣旨にはまだ到らない段階にある仕組みだということですので、もう少し企業の水準を客観的に評価して、この企業はいい企業です、というように認定していくような、新しい仕組みを作っていく必要があるのではないか。今ある制度が駄目というよりは、むしろ足りない部分を補えるものが作れないのかという発想で今回、御議論いただきたいと思っているところです。

○高座長 分かりました。そうすると、若干厳格なものを考えておられるということですね。このイメージ図は、より強いインセンティブを用意し、進んでやりますといって、手を挙げる企業の数を増やすというようなものではないということですね。

○中村課長補佐 それを正にどのレベルに置くかというところも御議論があるところだと思います。

○高野委員 先ほど中災防の白崎さんから話があったとおり、このスキームを見てみますと、自己申告をして、自分でレベル 5 に相当するということが判明した時点で、厚生労働省に認定申請というスキームになっていると思うのですが、多分、安全レベルの高い企業は、書類だけで本当に分かるのかな、というのがあります。中災防でも実際に現場に行って、そこで働いている経営トップの方、それから実際に安全衛生を担当されている方、現場に行って、現場の巡回をしてそういう実際のものを見て感じないと、なかなかこの申請どおりかどうかが見えない感じがします。

 例えば、米国では第三者機関というのがありまして、厚生労働省の最終的な認定の前に、第三者機関が介入して、実際に現場に足を運んだり、あるいはインタビューをしたり、そういうところが入ってこないと、このスキームでいってしまうと書面上だけで評価をされて、それで、先ほどの労災隠しではないですが、書面上だけうまくできれば認定が取れてしまう、そういう方向性にならないかと、ちょっと心配です。

○栗林委員 評価される側としても、やはり書面審査だけというのは少し不安がありまして、評価機関を作って、何らかの形で現場を見ることが必要なのではないかと思っています。ただ、コンサル能力は必要ないわけで、ある程度の知識を持って、見る目さえあれば評価できますので、人材的にもそんなに難しいことではないのではないかと思いますので、やはり評価機関はあったほうがいいのではないかという気持ちがします。

○高座長 高野委員と栗林委員の御説明ですと、先ほどの表でいきますと、自己診断から矢印があって、診断結果に矢印がありますけれど、この間にそういった仕組みが要るのではないかという理解でよろしいですか。

○高野委員 そういうわけですね。

○高座長 もちろん、もっと後ろでやるべきだということであれば。

○栗林委員 もうちょっと右でもいいと思います。

○高座長 右でいいですね。はい、分かりました。どこかに入れるべきだということですね。

○伊藤委員 私もその実地は必要だと思います。私は医療機能評価機構の評価に関わっていたのですが、医療機能評価は医療の質の向上という非常に重要な目的のため認定病院の医療の質の確保と、公益財団法人として独立して運営していくための収入確保という面で、結構ジレンマがあったと記憶しています。それもきちんと実地を行ってやっていました。ただ、今申し上げたように、インセンティブとの関係で、病院サイドからあまりメリットがないと思われてしまい、受審病院があまり伸びてないというような状況がありました。その負担とインセンティブとの関係で考えていく必要もあるだろうと思います。

○高座長 そういう意味では、大枠は多分これで皆さん方よろしいのではないかと思うのですが。例えば、今のインセンティブの話ですけれども、一番右側の厚生労働省の所に、企業名をホームページで公表するというのがありますけれど、これはある意味ではインセンティブですよね。でもここはあとで議論してもいいというような、こういう理解でよろしいですか多分これだけでは十分なインセンティブにはなりませんからね。ここに何が入るかは分かりませんが、こういう大枠でいいのではないかとは思いますけれども、ほかに意見はありますか。

○田代委員 これからも、今日を入れて 4 回の検討会の中で、企業名という単語がいっぱい出てくるとは思うのですが、企業名と称するランクはどこまでのことを指すのでしょうか。例えば、建設業は一人親方でも請負企業です。企業名というランクを何で絞るのか、資本金で絞るのか、年間請負金額で絞るのかとか、そういう絞りか何かあってもいいような気がします。

○高座長 そうですね。規模の違いによって、満たすべき基準が違うだろうとか、あるいは業種によっても違うだろうと、いろいろな議論があると思います。ですから、この表に「企業」と書いていますけれども、ここの所はかなり柔軟にこれから議論をしていかなければいけないことだと思います。このイメージ図についても戻って議論してもかまいません。先ほどいただいた論点 1 のもう 1 つですが、評価認定というのは企業単位で行うのがよいのか、それともほかの方法が考えられるのかとか、この点について御意見があればお願いします。

○高野委員 私も随分安全診断で各企業を、特に大企業が多いのですが、お伺いしますと、大企業という意味ではたくさん事務所を持っているわけです。そうしますと、事業所ごとに随分レベルが違うのですね。企業名も非常に重要な側面があるのですが、そこの各事業所ごとに認定をしていくという形で、企業名も当然、何々会社、何々事業所という形で、両方を併記する形でないと、どうも企業全体というのはなかなか認定というか、こういう自己評価も含めてやっていくと、 A の事業所と B の事業所とは大分違いますので、なかなか難しいのかなという感じもするのですね。ただ、公表するときに何々事業所というように公表しても全く世の中の方は分からないと思いますので、その辺がちょっと難しいところかという気がします。

○栗林委員 安全衛生行政は今まで事業所単位という概念が通っているので、そういう発想になりますけれど、企業側からすると、そこにある程度自由な選択肢というか、自由度を持たせてもらえないかなという気がしていて、事業所単位で出してもいい、企業単位でもいいというような、結局インセンティブがどういう大きさになるかということになるような気もしますので、そこら辺に自由度を持たせるということで、もしこのあとの論議で不都合がなければ、そういうこともあってもいいのではないかなと思います。

○伊藤委員 企業単位なのかどうかという点で言いますと、可能であれば事業所単位ということもあるのかもしれないですけれども、正に今、意見がありましたように、インセンティブとの関係が出てくるのではないかと思います。「くるみんマーク」みたいに、税制優遇を行うのであれば企業単位だろうと思いますし、そこはインセンティブとの関係の観点の検討も必要になるだろうと思います。

 それと、大企業には申請しやすいけれど、中小企業や小企業、零細は申請しにくい仕組みになってはよくないのではないかというのは、私もそう思っていまして、そういう意味でも、中災防さんの必須項目と選択的項目の組合せというようなことで、必須の所は法令違反がないかとか、平均以上のスコアを出しているかといったものが考えられるのではとは思いましたし、また、選択的項目としては、企業規模にかかわらず企業ごとの取組に着目した評価というようなことを組み合わせていけないかと思いました。

 今日のお話でも、トップダウンと組織全体の意思統一など、組織全体の認識の重要性なども指摘がありましたけれども、私もそう思っています。そういう意味では、労働組合など働く者の主体的な取組についても、評価の 1 つになるのではないかなと私は思いました。

○高座長 伊藤委員がおっしゃったのは、例えば、企業でいくのか事業所でいくのかは、企業側の選択にしてもらえると有り難いということですね。それから、評価項目については、どういう分野で評価してもらうのかも、企業側に選択をさせてもらいたいということ、こういう解釈でよろしいでしょうか。

○伊藤委員 企業単位か事業所単位かについて、選択的であるべきかどうかということについては私は意見を言っていません。それはインセンティブとの関係で決めていけばいいのではないかということです。

 評価項目については、選択的な部分があってもいいのではないかと、企業ごとに売りのある部分についての評価を行う余地もあっていいのではないかと思います。

○高座長 例えば、安全対策だけではなくて、健康増進のところを売りにしたいという会社があれば、それをもって評価してもらいたい、というようなことですね。

○伊藤委員 はい。

○高座長 ほかにありますでしょうか。太田委員、よかったら御意見いただけませんか。

○太田委員 弊社の場合は運輸業ですので、国交省様からの関係で、安全衛生評価事業とか、私どもは大規模運送事業ですので、運輸安全マネジメントシステムの関係でいろいろ評価を受けたりもしておりますけれども、その辺との連動性はどうなるのかなというのが一番、業界の大手としては心配です。いわゆるあらゆる面でかぶっているというか、重複している評価制度にならないのかなということです。そのたびにという部分もありますので、その辺との連動性についてはどうなのか、このシステムを見ていますと、そのたびにという形になるのかなとか、ちょっとその辺の心配をします。

 それと、診断のレベル評価ですが、レベルが難しい、レベルというのをどういう指標でもってやられるのかが一番興味があるというか、私どもも日々レベル評価という形の中で、社内ではやっておりますけれども、なかなか難しい、判断基準が難しい、レベル感を出すのが難しいというところがありまして、その辺のところについても非常に、レベルで評価できるのか、正直なところあります。ちょっと否定的で申し訳ないですけれども。先ほどありました企業単位なのか事業所単位なのか、私の所の事業所となると、営業所の形になるのですが、全国で何千とある営業所を、それも 10 人から最大では 300 人ぐらいいる事業所があって、それを 1 つの判断基準で同等の評価をしていただけるのかなと、そういったところがあります。ただ、大枠としてはあるべきだという考えはあります。その辺が、今後の話の展開の中で意見を述べさせていただけたらとは思いながら聞いていたというのが正直なところです。

○高座長 太田委員のお話は論点 2 の問題になってくるわけですね。どのように評価するのか、レベル感をどのように捉えるのかと、こういう御指摘だと思います。

 それともう 1 点、確かにそうだなと今思いましたのは、他のマネジメントシステムです。運輸安全マネジメントシステムとか、そちらのほうで既に取り組んでおられるところは、重複感がありますね。ほかにも ISO9000 番シリーズで取り組んでいる所もあると思います。そうすると重複部分は省略して、労働のところだけ厳選して、そこで評価することも考えてもらえないか、という意見が出てくるわけですね。これは、事業者として当然の要望だと思います。

○太田委員 そうです。

○高座長 それでは、論点 2 も合わせて御意見をいただけませんでしょうか。評価指標をどのようにするのか。

○幸保委員 安衛法に基づいての自己診断、その診断結果というように理解しておりますが、間違っていますでしょうか。先ほどの高野委員、古井委員、白崎委員のお話を聞いて、焦点としては安衛法というものの、意識がその中に取り入れている所とそうではなく、更にもっと次元が高いというような感覚を少々持ちました。安衛法という基準の中でやるのか、それともそれを飛び越えるのか、それによってインセンティブは全く違ってくるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○高座長 すみません、事務局からお答えいただけますか。

○中村課長補佐 基本的な考え方として、安全衛生法を、守っているか守ってないかという話でいうと、守っている所を優良とは多分言わないと思うのです。守っていない所はそもそも法令違反の企業なので。ですので、法律を守っていることは前提としつつ、どういう取組をしているかを評価していくということになるのではないかと理解しています。

○田代委員 今のお話ですけれども、安全衛生法を遵守しているかいないかについて、遵守していないと話にならないということですね。それでは、遵守しているという判断はどこから取れるのですか。表からみて安全衛生法をしっかり守っているということでしょうか。中に入ったらどうなるかという判断はどうなのでしょうか。

○中村課長補佐 そこは、結局その企業が全て法律を守っているかどうかを全部チェックするのは確かに難しいと思います。なので、ある程度独自の判断に任せざるを得ない部分はあると思います。ただ、通常の我々の行政の中で、労働基準監督署などが、法令の遵守状況を調べているわけですよね。そういう情報も総合的に踏まえて見ていくという話になると思います。法律を守っているか守っていないかという話であればですね。

○田代委員 例えば、中災防の「具体的な評価の基準」ということでは、「経営トップによる安全衛生方針の表明」に始まる必修項目が 10 項目あるのですが、これは正にマネジメントシステムの単語がそのままずっと並んでいるような気がするのですね。これをやっているから安衛法を守っているということにはならないですよね。この中身は確かに安衛法が入ってくるので、安衛法を守ってないと最終的にはいい点が入ってこないことにはなりますが。ただ、書類だけ作ればこれはいい点になりますよね。

○白崎委員 今の御意見なのですが、私どもの必須項目でいくと、 3. 「労働安全衛生法の遵守」とあります。どのように調べているかと言いますと、「事業所で関係する安衛法令のリストがありますか」と聞きます。なければまずは信用できないです。大体リストが出てきます。「このリストはどういう形で作りましたか」と聞きます。そのあと、「リストに基づいて、遵守していますというのを 1 例示してください」と。結局リスト全てを見るわけにはいかないですけれども、仕組みとして、そのようなやり方が PDCA を回していれば間違いなく、少なくとも法令遵守という意識を持ってやっているはずだと。我々評価に行ったときには、その全てを見るわけにはいきませんので、リストとリストを使うやり方を見て、現場に行ったときにその 1 例を紹介してもらうというやり方で、適っていれば「○」、そうでなければ改善という、こうしたほうがいいのではないですかという話をするというやり方を取っています。実際の話、全て守っているかというのは見きれないですし、我々が行ったときに、全ての関係する法令事項を自分たちがサッとそこの事業所に当てはまるものを思い出せるかというと、そうはいかないのですよね。ですから、仕組みを作っていて、そのとおりやっているかどうかの調査をしているのが現状です。

○田代委員 先ほど「現地確認」という単語が出ましたけれども、例えば建設業の私どもでは、現地に確認に行くにしても、現地の作業員が 2 名ぐらいで作業をやっているようなときは、その作業員に聞いても、それは自社の作業員ではないわけです。自社の作業員は誰かというと、現場を管理する安全責任者というか、そういう人が 1 人、監督としているだけですから。現地確認しても、実際に実行面の点数というのはまず出ないのです。確かにスーパーゼネコンみたいに大きな現場があって、その作業所の中で確認できるならばいいですけれども、その中の一部分を請け負う会社ですから、そこを評価しようとしてもなかなか難しいのではないかと思うのです。

○高座長 難しい問題があるという御指摘、確かにお受けしました。

○高野委員 確かに建設業ですと、いわゆる元請の重層構造になっていますよね。そうするとかなり、事業所にしても会社にしても評価はすごく難しくなってくるということはよく理解できます。あと、運輸業も確かに、営業所単位になってくると、多分、事業所という概念とちょっと離れているかなという感じがしますので、この制度自体を全てのそういう産業界で同時に始めなくてはいけないのかと、そういうところも多分非常に重要な部分です。割合組織がはっきりしている、例えば製造業等々とかそういうはっきりしている組織体で始めたほうが、それでうまくいけばほかに拡大していくという、少しフレシキブルな運用を考えたほうが現実的かなという感じはいたします。

○幸保委員 そのとおりですね、そう思います。

○高座長 幸保委員、よろしいですか。

○幸保委員 今の意見で十分です。

○高座長 よろしいですか。ただ、健康増進とか、そちらのほうになると決して製造だけの話でもないので、その辺はまた柔軟にこれから議論させていただければと思います。

 まだまだ御発言はたくさんあろうかと思いますが、次回、またこの論点を引き続きやっていきますので、本日はここまでにさせていただきたく思います。本日いただきました論点を事務局で整理させていただきまして、第 2 回目の議論につなげていきたいと思います。

 それでは、事務局のほうに返しますので、よろしくお願いいたします。

○毛利調査官 今後の予定ですが、第 2 回の検討会を 8 5 日に開催したいと思っております。本日の続きで、評価指標に関する意見交換から始めたいと思っております。また、各委員の方々には、事務局から改めて正式な開催案内をお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。本日の議事録につきましては、また各委員に御確認を頂いた上で、公開することとさせていただきます。

 本日の検討会はこれで閉会といたします。非常に長い時間に渡り御議論いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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