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2014年5月16日 第11回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年5月16日(金)16:00〜18:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

今野座長 神林委員 黒田委員
黒澤委員 櫻庭委員 佐藤委員
竹内(奥野)委員 水町委員 山川委員

事務局

中野労働基準局長
大西大臣官房審議官
村山労働条件政策課長
岡労働条件確保改善対策室長
鈴木職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長
伊藤職業能力開発局能力評価課長
田中雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課長

○議題

(1)労働条件の明示等について
(2)その他

○議事

○今野座長 それでは、時間ですので、ただいまから第11回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会を開催いたします。

 本日は、前回までの議論を踏まえて、改めて労働条件の明示等について議論したいと考えております。

 まず、委員の出欠状況、資料等について、お願いします。

○村山労働条件政策課長 本日は野田委員から欠席の御連絡をいただいております。また、櫻庭委員はおくれての御出席との御連絡をいただいております。

 続きまして、配布資料でございます。大きなホチキス1点とじにしておりますが、資料「労働条件の明示等について【論点】」と書かれた次のページからが、先ほど座長からございました労働条件の明示等についての論点ペーパーでございます。

 少し進んでいただきまして、10ページ、11ページが論点ペーパーの最後にございます具体的な促進策の選択肢について抜き出して、わかりやすくしているものでございます。関連資料といたしまして、12ページ以降につけておりますけれども、13ページ目からしばらくが前回、JILPTから御説明いただきました「多様な正社員に関する解雇判例の収集・分析」のレジュメでございます。それから、27ページ目からになりますけれども、整理表のようなものがないと整理しづらいという御意見もいただきました。整理したものにつきまして、表の形でおつけしているものでございます。

 その後、34ページ以降は関係法令あるいは関係会議の御意見とか関係施策の基本的な資料についてつけております。

 最後に、54ページ以降につきまして、先ほどお話のありました第8回から第10回まで、関連の会議の主な議論をまとめた資料となっております。

 ざっとごらんいただきまして、何か不備等ございましたらお申しつけいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 よろしいですか。

 それでは、議事に入ります。

 まず、事務局から資料の説明をしていただいてから議論したいと思います。よろしくお願いします。

○岡労働条件確保改善対策室長 それでは、資料の御説明を申し上げます。表紙をめくっていただきまして、2ページ目からでございます。

 まず、論点メモということで、冒頭に説明がございましたように、前回、前々回の議論を踏まえて、労働条件明示について御議論いただきたいということでございます。

 まず、1 整理解雇の判例分析ということで、前回の議論を踏まえた整理案でございます。

 まず、整理解雇法理について、その適用を否定する裁判例はなく、整理解雇法理又はこれに準拠した枠組みで判断するものが多い。また、限定性ゆえに解雇回避努力が限定されるわけではないとする裁判例もあるということが3つ目でございますけれども、書いてございます。

 その上で4つ目の○でございますけれども、限定の種類によって判断が違うのではないかということで、まず勤務地のみの限定については、裁判所が明示的に限定性を認定している事案であるか、あるいは黙示的に認定性を認めている事案であるかにかかわらず、整理解雇法理又はこれに準拠した枠組みで判断されているということでございます。

 次でございますけれども、他方、職務限定については、明示的か黙示的かにかかわらず、整理解雇法理に基づく判断枠組み、あるいはそれとは異なる判断枠組みを用いたと解し得るものが見られるということで、職務限定については、整理解雇法理に基づく判断枠組みに影響を与えるものはあるということでございます。その影響を与えるものについては、その職務が高度な専門性、それに応じた高い職位や処遇を伴う場合が多いということでございます。

 具体的にどういったところに影響があるかということでございますけれども、4要件・4要素のうち、解雇回避努力に影響があるだろう。それ以外の要件・要素については顕著な影響は認められないということでございます。また、同じ職務限定と申しましても、その職務が高度な専門性、それに応じた高い職位や処遇を伴う場合については、配置転換に限らず、退職金の上乗せ等のその他の措置を行った場合においても、解雇回避努力を尽くしたと認める事例があるということでございます。

 一番下でございますが、なお、裁判所が明示的に限定性を認定する事例であっても、専ら就業規則や労働契約書における職務や勤務地の定めに基づいて認定している事例は必ずしも多くはなく、多くの場合は、採用の動機・目的、採用権限者等に基づいて総合的に認定している事例も多いということでございます。具体的には書いていないのですけれども、就業規則や労働契約書における明示ということで、判例を見てみますと、職務とか勤務地は書いてあるのですけれども、必ずしもそれが限定されているかどうかわからないので、そういった意味で、ほかの要素も含めて、総合的に限定があったかないかを判断している事例が多いということでございます。

 また、黙示的に職務の限定性を認める事例については、就労実態により判断している事例が多いということで、これは労働契約の成立時における契約書等の記載などのみでは限定性を判断することはなかなか難しいので、先ほど申し上げたようなさまざまな事情と合わせまして、限定性が判断されることが多いと解される。

 以上が前回の議論をまとめたものでございます。

 それで論点でございますが、(1)、今の整理案と重なるのですけれども、勤務地の限定性がある場合や、職務の限定性がある場合であっても高度でない場合については、その限定性が整理解雇の解雇回避努力をめぐる判断に与える影響は小さいものにとどまる傾向が見られると考えてよいか。

 他方、職務限定であっても高度なものについては、解雇回避努力の判断に影響を与える傾向が見られるのではないか。それは、同一の企業内でそうした高い専門性や処遇にふさわしい配転先を見つけることが困難であるゆえに、そういった解雇回避努力に影響を与えるのではないかということでございます。

 また、そういった解雇回避努力の判断に影響を与える場合であっても、それだけで解雇の効力が判断されるわけではなく、特に近年、4要件・4要素の総合判断による裁判例が増加傾向にありますけれども、そういった各項目の充足度に応じて判断がなされる傾向が見られると考えてよいか。以上が1点目でございます。

 2番目でございますが、(1)解雇回避努力以外の要素についてでございます。職務や勤務地の限定性が人員削減の必要性や被解雇者選定の妥当性に与える影響は小さい傾向が見られると考えてよいのか。それとも、JILPTの裁判例の分析にもありましたけれども、例えば「業務内容」が「正社員」と異なることを人員削減の必要性を裏付ける要素としている例。あるいは、職務限定の合意が一定の場合に人選の「合理性」を満たす上での考慮要素とされていると分析した例がございましたけれども、その限定性というものが人員削減の必要性や被解雇者選定の妥当性にも影響があると考えるべきかどうかということでございます。

 仮に影響がある場合には、それは特定の部門や事業所を廃止し、その廃止された部門の労働者全員を解雇する場合であって、またその職務が高度な場合に限られる傾向にあると考えるべきかどうかということでございます。

 なお、解雇の手続の妥当性については、職務限定、勤務地限定、あるいは職務限定の職務が高度であろうがなかろうが、それにかかわらず、その限定性が影響しない傾向があると考えてよいかということが2つ目でございます。

 それから、(3)でございますけれども、(1)と重なる議論でございますが、そういう限定性があれば、直ちに解雇回避努力が不要とされるものではなくて、その個々の事案ごとになりますけれども、配置転換や職務転換が可能な範囲の広さに応じて、使用者に求められる同一の企業内での雇用維持のための解雇回避努力の程度も異なってくるのではないか。

 具体的には、限定された職務が高度な場合には配置転換に限らず、退職金の上乗せや再就職支援等を行った場合も解雇回避努力を尽くしたとされる場合があり、他方、限定された職務がそういった高度なものではない場合については、解雇回避努力として配置転換や職務転換の範囲が広く求められる傾向が見られるのではないか。

 さらに、勤務地限定正社員については、そもそも限定性が解雇回避努力の判断に与える影響は余り大きくない傾向が見られるのではないか。また、過去に配置転換が行われていたなど人事権が幅広く行使されている場合には、解雇の場面においても解雇回避努力として配置転換が求められる傾向にありますけれども、その一方で、過去にそういったことが行われていない場合については、解雇回避努力として配置転換が求められない傾向が見られるのではないかということでございます。

 次のパラグラフでございますけれども、いずれにしても、使用者には、配置転換や職務転換を可能な範囲で行うとともに、それが難しい場合には代替可能な方策、退職金上乗せや再就職支援等でございますけれども、そういった代替可能な方策を講じることが、紛争を未然に防止するために求められるのではないか。また、そうした対応は結果的に雇用の安定を通じた長期的な生産性の向上などにつながると考えられるのではないか。

 以上の点につきまして、配置転換の申出の要否に関する使用者、あるいは労使双方の予測可能性を深める観点から、今後取りまとめていただきます雇用管理上の留意事項の一つとして、これを入れることができないかということでございます。

 (4)、「なお」ということで、先ほど勤務地限定か職務限定か、あるいは職務限定でも高度か高度でないかということで色分けしたわけですけれども、それ以外にも限定された職務の範囲が広いか狭いか、あるいは採用後に配置転換が行われているかどうかによって、労働者に雇用継続を期待させているかどうか。それとは逆に、例えば部門間で配置転換がされることがないといったように、契約の内容がこれまで遵守されている状況にあるかどうかによって、その解雇回避努力の程度が異なる判断がなされると考えられるのではないかということでございます。

 以上が整理解雇の判例分析の関係でございます。

 次に、2 能力不足解雇の判例分析でございます。

 能力不足解雇については、整理解雇法理のような判断枠組みは確立していないわけですけれども、一般的に限定のない無期契約労働者について能力不足を理由に直ちに解雇した場合は、解雇権濫用とされる場合が多く、教育訓練や警告による改善のチャンスを与え、それでも改善の見込みがない場合には解雇が有効と認められる状況があるのではないかということでございます。

JILPTの能力不足解雇の裁判例の分析においても、限定性ゆえに直ちに解雇が有効とされるわけではなくて、先ほど申し上げたような限定がない場合と同様に、警告による改善のチャンスを与えることが必要とされる傾向が認められるのではないか。また、高度な専門性などがない場合については、警告だけではなくて、教育訓練についても必要とされているのではないかということでございます。

 一方、中途採用で採用されたような高度な専門性を有する職務の場合は警告が必要なのですけれども、改善のための教育訓練については不要とされるケースも見られる。

 なお、裁判所が明示的に限定性を認定している事例については、学歴・職歴・能力、募集広告の記載など、さまざまな事情に基づいて限定性を認定していて、労働契約書等における職務の記載のみに基づき認定している事例はないのではないか。これは、整理解雇のところでも申し上げたことと同じでございます。

 論点でございますけれども、職務が限定される場合にも直ちに解雇することは認められにくい傾向が見られるのではないか。ただ、職務が高度な場合は教育訓練が必要とされる場合もあるのではないかということでございます。

 以上の点につきまして、能力不足による解雇に関する紛争を防止する観点から、そういう高度ではない場合には、警告による改善のチャンスに加えて教育訓練の実施が必要ではないか。逆に、職務が高度の場合は教育訓練は求められなくても、警告による改善のチャンスは与えなきゃいけないのではないか。そういったことについて、雇用管理上の留意事項の一つとして、まとめることはできないかということでございます。

 次に、3といたしまして、以上に述べた解雇紛争における司法判断と、前々回まで御議論いただきました労働条件明示との関係でございます。

 まず、これまでの議論を踏まえた整理案といたしまして、労使双方が職務や勤務地の限定性があると認識している場合、あるいは双方ともないと認識している場合は、当然限定性について認識が一致しておりますので、限定性の有無について争いにはならず、したがって、裁判所でも限定性があるかどうかということについては判断を行っていないということでございます。

 逆に、争いを生じるのは、使用者が限定性について曖昧に運用し、労使双方の認識がずれている場合にそういった争いになる場合があるということでございます。

 上記のJILPTの判例分析においては、先ほどからの繰り返しになりますけれども、契約書において職務や勤務地を明示していても、それだけでは限定性がなかなか判断できない場合もありますので、採用の目的や就労の実態等と併せて総合判断した上で、限定性の有無について判断がなされる傾向にあるということでございます。

 紛争を未然に防止し、将来の予測可能性を高める一助とするために、限定性について明示することは重要であると解されるということでございます。

 5ページの一番下でございますけれども、今、述べたように、紛争防止だけではなくて、限定性を明示することによって、労働者にとって限定性の有無が曖昧である場合と比べましてキャリア形成の見通しがつきやすくなりますし、またワーク・ライフ・バランスを図りやすくなるといったメリットもあるので、そういった意味でも限定であるかどうかを明示することが重要ではないかという指摘がありました。

 他方、明示することによって、いわゆる正社員か多様な正社員かということがはっきりするわけでございますけれども、それによって身分といいますか、キャリアが固定されてしまう懸念もあるのではないかという御指摘もありましたけれども、そういった懸念も含めて、どのように考えたらよいかということでございます。

 そういう懸念もある一方で、メリットも大きいということで明示することが重要と考える場合であっても、その限定内容の明示の仕方についてまで一律にルール化することは難しい場合も多いということで、前々回の議論では、限定の有無を明示させることが妥当ではないかという御議論がございました。

 なお、限定性が認められる場合であっても、配置転換や職務転換が可能な範囲がございまして、解雇回避努力の程度は異なる傾向が見られるのではないか。また、限定性があることを明示した場合であっても、人事権の広さなどに応じて解雇回避努力が求められるということは、先ほどの解雇のところで申し上げたとおりでございます。

 3つ目の○でございますけれども、労働条件明示とはやや異なりますけれども、前々回に出た御議論といたしまして、企業が勤務地や職務等の限定されている正社員を導入している情報が公表され、それが労使の当事者以外の外部の第三者にも伝わることになりますと、将来、採用活動を行う場合にも、求職者が企業を評価してくれる指標となるということで、外部に公表することも有益ではないかといった議論がございました。

 論点でございますけれども、労使双方の認識の相違による紛争を未然に防止するほか、労働者のキャリア形成やワーク・ライフ・バランスの実現、それから企業にとっては優秀な人材の確保を進める環境整備のために、労働契約書等において、これまでと同じように、単に職務や勤務地を明示するだけではなくて、それが限定性があるのかということについても明示を行うための措置を講じることが望ましいのではないか。

 その際、限定の内容をこのように明示するという一律のルールが難しいとすれば、限定性の有無について明示することが適切か。あるいは、その有無を明示するのではなくて、限定性がある場合についてのみ、その限定の内容を明示することが適切かどうか。その明示の仕方についても論点になるのではないかということでございます。

 なお、限定性があること又は限定の内容を明示した場合であっても、先ほどから申し上げておりますが、解雇の有効・無効の判断に当たっては、単に明示したというだけではなくて、その合意に従った運用がなされているか、あるいは労働者に対して限定性についてどの程度の期待を持たせているかといった限定性の合意の拘束度に応じまして、個々の事案ごとに実態判断がなされるのではないかということでございます。

 以上が限定について明示することの重要性についてでございます。4番目は具体的な促進策についてでございます。

 これについては、先ほど資料の御説明の際に10ページ以降にわかりやすく表をお付けしておると申し上げました。10ページをごらんいただきたいと思います。労使間で職務等の限定の有無について、あるいは限定の内容について明確にして、認識を共有させるためにいろいろな対応があるのではないかということで、これまで出てきた御意見をまとめたものでございます。

 大きく3つに分かれまして、(1)は労働基準法、またはその下位法令などによって限定の有無を就業規則で定めるとともに、契約の締結や変更の際に、その限定の有無について個々の労働者に書面で明示することを義務付ける。あるいは、限定の有無ではなくて、限定性がある場合に限って、その内容を書面で明示することを義務付けるということが考えられます。

 これにつきましては、右の欄にいきまして、労働基準法による義務付けについては、違反に対しては監督署による監督指導や罰則がありますので、履行確保を図ることが可能であるために、限定についての明示を普及・徹底させ、労働紛争を未然に防止する観点からは、以下出てくる方策と比べまして最も効果が高い方法であると解されます。

 他方、限定の明示について、今の段階では運用がまだなかなか定着していない状況にございますので、そういった状況の中で、また明示がなされないことによって、特に弊害や紛争がそれほど生じているわけではない中で、強行法規によって明示の義務付けを行うことは、使用者の実務に混乱を与えないか。あるいは、これまでも議論の中でありましたけれども、使用者が人事の柔軟性を重視する方向もございますので、こういった義務付けをした場合に、とりあえず限定なしのほうを選んでしまい、結果として、多様な正社員としての働き方が阻害されてしまうおそれはないのかということでございます。

 もし、仮にそういった弊害のおそれがあると考えられる場合には、まずはこういった基準法による義務付け以外の方法によって限定についての明示の運用を普及させて、それが一定程度定着した段階で基準法による義務化を検討することも考えられるのではないかということでございます。

 (1)は以上でございます。

 次に、(2)といたしまして、労働契約法により、労働契約の締結や変更に際に、限定の有無について労働者に書面で確認することを明記し、明示を奨励することが考えられないか。あるいは、限定の有無でなくて、限定がある場合に、その内容について書面で確認することとしたらどうかということでございます。

 これについても右の欄に論点がございますが、まず、労働契約法4条は訓示的な規定でございますので、公法上も私法上も強制力がないということで、先ほど基準法のところで述べたような人事労務管理上の弊害が生じるおそれは比較的低いということでございます。他方、強制力がないということで効果も低いのではないかということでございますけれども、企業コンプライアンスを重視する、特に大企業などにとっては、法的な強制力はないといっても、指針となるために、限定についての明示の促進に資するのではないかということでございます。

 他方、現行の労働契約法第4条の規定でも、こういった限定の有無がどうかということは書いていないのですが、書面による確認事項に当然含まれ得るわけでございまして、現行の4条では、例示といいますか、規定の中に、有期契約について文言を入れておるわけですけれども、限定正社員についてもそれと同じように明示するかということでございますが、これにつきましても多様な正社員の運用が一定程度定着した段階で明文化を検討することも考えられるのではないかということでございます。

 また、そういった運用が定着するまで何もしないというわけではなくて、それまでの間、労働契約法第4条に基づいて、今でもそういった限定の有無あるいは限定の内容について書面で確認するということは当然含まれ得ることでございますので、今後、おまとめいただきます雇用管理上の留意事項にそういったことを書きまして、それをさまざまな機会や方法を捉えて周知を行うことで定着させることも考えられるのではないかということが2番目でございます。

 次のページの(3)でございます。(1)と(2)は、公法上あるいは私法上の対応ということでございましたけれども、それと並行して次のようなことが考えられるのではないか。あるいは、直ちに先ほどの上記(1)、(2)の対応が難しい場合には、それにかわって当面、次のようなことが考えられるのではないかということで書いてございます。

 まず、1つ目のアでございますけれども、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の内容に関する事項に、こういった限定正社員について位置づけをしたり、あるいは助成金の対象として経済的インセンティブによって促進したりということで、使用者が限定の有無、あるいは限定の内容を明示する場合に何らかのメリットが生じるようにすることによって、そういった明示を促すことが考えられないか。

 それから、先ほどの論点の中にもございましたけれども、明示とは若干ずれますけれども、そういった限定の有無や内容を対外的に公表して「見える化」を進める企業について、例えば好事例として紹介したり表彰することによって、外部に情報を公表してインセンティブを与えるようなソフトな手法を活用することが考えられないか。以上、明示のことだけ申し上げましたけれども、こういった手法の中で、単に明示だけではなくて、そもそも多様な正社員の導入を図るとか、あわせて転換制度や均衡処遇についても何らかのメリットが生じるようにしてはどうかということでございます。

 右の論点でございますけれども、先ほどの(1)、(2)のような公法上、私法上の強制力というものがないので、若干弱い感じはするのですが、一方で人事労務管理上の弊害が生じるおそれはなく、また経済的なメリットがあるので、明示の促進に資するのではないか。また、単に明示だけではなくて、転換制度等を要件にすることも考えられるのではないかということでございます。

 次に、イでございます。今のアと類似する点もございますけれども、非正規雇用のキャリアアップや正社員のワーク・ライフ・バランス等、「多様な正社員」を推進する考え方と合致する一定の政策目的を実現するための法律、あるいはその法律に基づく指針等において、そういった限定の有無や限定の内容を明示することが望ましいこと等を明記して、明示することを奨励することが考えられないか。それから、アと同じように、明示だけではなくて、転換制度などについてもあわせて明示することが考えられないかということでございます。

 これも論点は、済みません、上記(2)とありますけれども、アと同じように強制力がないため、人事労務管理上の弊害が生じるおそれはなく、また、企業コンプライアンスを重視する企業にとっては、強制力はないといっても指針となるので、明示の促進に資するのではないか。また、先ほどと同じように、明示に限らず、幅広い項目について記載することが考えられるのではないかということでございます。

 最後にウでございますけれども、これは前々回、竹内先生から4番目の手法ということでお話があった点でございます。限定の有無や内容について曖昧にしていると紛争になること。あるいは、紛争になった場合に裁判所がどういうふうに判断するかということを労使に周知することによって、特に強制したり推進したりするわけではないのですけれども、それによって自発的に明示を促すということでございます。これも強制力や直接的なメリットはないのですが、紛争の防止という観点から一定の効果が期待できるのではないかということでございます。

 以上が論点でございます。

 あと、関連資料といたしまして幾つか付けておりますけれども、参考といたしまして48ページをお開きいただきたいと思います。先ほど(3)のアで出てきましたけれども、次世代育成支援対策推進法の関係でございます。行動計画の様式がございますけれども、右のほうの(1)のケに、現在、希望する労働者に対する勤務地、担当業務の限定制度の実施というものがございます。また、その下の(2)のウに短時間正社員制度の導入・定着といった項目もございます。今もこれは必須ではなくて、任意にこういったことをやる場合は、この計画に書くことができるわけですけれども、これに加えまして、今回の論点にございます明示とか転換というのも、この中に加えることも考えられるのではないかということでございます。

 それから、次のページ、49ページでございますけれども、実際につくられている行動計画の例でございます。計画をそのまま載せるわけになかなかいきませんので、こちらで抜粋しておりますけれども、もともと育児等のためにという制度かもしれませんけれども、実際出てきている例を見ますと、必ずしもそういった方に限った制度ではなくて、全従業員に対して勤務地限定とか業務の限定、時間限定というのを導入している状況がございます。ここに先ほど申し上げたような明示とか転換というものも、もし1項目として捉えれば、一定の項目もあるのかなと考えます。

 次に、50ページ、51ページでございます。これは、先ほど論点の中に明示がなかったのですが、同じように何らかのメリットを与えるということで、「若者応援企業宣言」でございます。これは、学生などは大企業への希望が集中して、中小企業に目が向かない、中小企業は非常に多いので、その中でどこがいいか判断できないということで、近年始まった取り組みでございます。若者の採用や育成に力を入れている企業は、みずから若者応援企業であると宣言いたしまして、宣言する場合には一定の情報を公表することになります。

50ページの下のほう、3にございますけれども、就職関連情報として、現在は社内教育、キャリアアップ制度、あるいは、新卒者の採用実績や定着状況、それから、有休や育休の実績、所定外労働時間の実績などを書いて公表することになっております。今、多様な正社員ということはもちろんここに入っていないのですけれども、例えばこういったところに位置づけて、それによって人材確保のメリットを与えることも考えられるのではないかということで、おつけいたしました。

 次に、52ページ、53ページでございますけれども、先ほど論点の中で助成金と書いてございましたけれども、現在もキャリアアップ助成金というものがございます。この中でメニューといたしまして、表の一番上でございますが、正規雇用等転換ということで、有期から正社員あるいは無期契約労働者に転換するなどに助成する。あるいは、表の下から2番目でございますけれども、短時間正社員を導入したりした場合にも助成するということがございます。例えば、ここに多様な正社員を位置づけることも考えられるのではないかということでございます。

 私からは以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。資料の説明をしていただきました。あとは自由に議論していただければと思います。どなたでもどうぞ。

○神林委員 きょうは何をするのですか。

○今野座長 ここにありますように、きょうの論点でも、これでいいかというのがずっと入っていますので、それについて、これでいいぞとか、こう思うぞということを。

○神林委員 一個一個見ていく。

○今野座長 一個一個だと大変だから、一番興味のあるところをどんどん言っていただければいいです。どうぞ。

○水町委員 解雇のところ、1から3までと、4の限定の有無の促進策のところを分けて、まず前者のほうから。

○今野座長 では、ここの議論の仕方もそうしようか。解雇のほうを前半戦でいきましょう。

○水町委員 はい。そこでちょっと気づいた点を二、三申し上げますと、資料1−1の論点メモの2ページの下から2番目の○の2段目、限定性ゆえに整理解雇法理による判断に与える影響をみると、影響が認められるのは、解雇回避努力でありと書いてあのですが、解雇回避努力だけでいいのかというのが若干気になるところです。きょうの資料の21ページを開いていただきますと、私、前回出ていないので、前回議論があったのかもしれませんが、(3)人選の合理性というところで、人選の合理性を裏付ける要素として考慮するものとか、端的に結論に結びつけているものというのが、かなり数がある。

 なので、必ずしも解雇回避努力だけじゃなくて、人選の合理性もしくは被解雇者選定の妥当性というのにも影響を与えているような事例も複数見られるので、そこもここでとりあえず入れておいていただいて、その具体的な内容が3ページの(2)になるのですが、ここは読んでいるとちょっとわかりにくい。要は、解雇回避努力には影響があるけれども、人員削減の必要性とか被解雇者選定の妥当性に与える影響は小さいと見られると考えてよいのか、それともと書いてあって、ここをどういうふうに。

 ずっと見ていくと、2段目の「仮に」というところで、事案によっては人員削減の必要性とか被解雇者選定の妥当性に影響がある。そういう場合に限定されて影響があると書いてあるので、書き方としては「それとも」というのではなくて、人員削減の必要性とか被解雇者選定の妥当性に影響があるとされた事例として、こういうものがあるというのが2段目の最後のところにある。

 そこで、2段目の下から3行目、「限定された職務が高度の専門性や高い職位を伴う等の理由により」というところで、ここは専門性が高くて職位が高いということだけ書かれていますけれども、私が知っているところでは必ずしもそうじゃないような、運転手の人とかもある。大学の教授が高度と言えるかどうかわかりませんが、一応、専門性が高いと思われるような人とか、他の職務と明確な差異・区分があるというものも例として入れていただいて、そういう場合にはそれを超えて解雇回避努力もそうだし、人選の合理性というのも、そこを全部廃止するときはほかのところまで人選の範囲に入れなくていいよというのもあるので、そういうものでまとめていただきながら。

 最後の2行がとても重要なところで、結局4要素の中で手続の妥当性というのが影響しなくて、これはどういう場合にも見なきゃいけないよというところが大切なところなので、(2)の1段目、2段目あたりについてと、2ページ目の下から2番目の○のところを、少し含みがあるというか、事案によってはいろいろな判断がなされているよとしていただければなと思います。

 裁判例については、そういうところです。

○今野座長 それについて、私、ちょっと質問があるのです。資料は「考えるべきか」とか、疑問形になっている。例えば被解雇者の選定の妥当性の例だと、限定されていた場合と限定されていない場合で優先順位が違うと考えてもいいのですか。そこがよくわからない。「か」と書いてあるから、答えを要求されているようだから。

○水町委員 これは取りまとめになる前で、こういうふうな表現をしてあると。

○村山労働条件政策課長 御議論、これから深めていただければと思いますけれども、入り口のところで、水町先生からも前回の議論はどうだったかはあるのだけれども、というお話がございましたので。この整理解雇のところは比較的これまでの議論を踏まえた整理案を解雇回避努力のところに集中的に書いているのは、前回の御議論が事実としてそこに集中して、そこは御出席の先生方は幅寄せができたところだと思います。そこは、割と前の段のところでまとめているということでございます。

 論点の中でも(1)と(2)を分けているのは、(1)は解雇回避努力の話で、前回御議論がいろいろあって、さらによりピンどめしたいというところを書いているのですけれども、それ以外の3つの要件ないし要素のところは、前回、必ずしもそれほど御議論があったわけではないので、今、座長からございましたように、むしろ整理表もつけないとわかりづらいよという御意見もありました。そこも含めて見ていただきながら、今、水町先生の御見解は承ったところでございますし、なるほどと思うところも多々あるわけでございますが。

 それぞれについて、最後の手続の妥当性などは、御意見がいろいろ、そういうことだねとなるのかもしれませんし、あるいは人選の話などに関しては、解雇回避努力義務の話と違うところも今、御指摘いただきましたが、それをどういうふうに見るべきなのかというのは、まさに本日御出席の専門の先生方から御意見いただきたい。そういう趣旨で、このような形でございます。

○水町委員 表現としては、具体的には重視して考えるべきかとか、限られる傾向にあると考えるべきかどうかというところ。考えるというのをとっていいですかという専門家の御意見を伺いたいということですか。

○村山労働条件政策課長 とっていいですかというところと、御議論いただいていないところ、そうでない場合はどう考えればいいのでしょうかというところを御意見いただきたいという趣旨でございます。よろしくお願いします。

○今野座長 はい。

○佐藤委員 水町さんに確認で、であるかどうかじゃなくて、今、2ページの人選の実際上の限定のされ方とか運用を含めて、限定があったときに4要件・4要素のうち、解雇回避努力義務だけじゃなくて、人選の影響というところです。ただ、人選の合理性のところというのは、限定された後の人選の合理性という限りで同じという趣旨。限定されているか、されていないかで回避努力義務が違う議論はいいですね。そのことと、回避努力義務が違う中での人選の合理性は変わらないというので、同じということであればいいのかなと思ったのだけれどもね。水町さんは、そこも違うということですか。

○水町委員 今のお話、私、ちゃんと理解できているかどうかわかりませんが、例えば10人限定がいて、その中で3人解雇しましょうというときは、10人のうち何で3人選びましたかというところで人選の合理性がきいてきますが、10人いた職務とか10人いた事業所を全部廃止しますよという場合は、10人を対象としているので、あえて誰を選んだか、閉鎖されるもの以外のところと比べながら、さらに人選しなさいという話にはなっていないという事例が見られるのではないかという点で、事案によっては人選の合理性が限定の有無というのとリンクして考えられている裁判例もあると。ただ、事例・事案によるので、人選の合理性を考慮していない、考慮していると一概には言えないところはたしかですが。

○今野座長 その点についての私の理解は、事案が全部いなくなっちゃう。つまり、事業所全体閉鎖というケースが多いので困っているのです。限定と非限定のときにどうやって選定するのかという問題が、この被解雇者選定の妥当性というときの一つの問題として、論点としてあるかなと思います。

 どうぞ。

○竹内委員 結局、今、座長がおっしゃったことの繰り返しになってしまうことに、結果的になりますけれども、私は先ほど水町先生が御指摘された人選の妥当性のところです。問題状況としてはいろいろあるかもしれませんが、一応2つあって、1つは、今、水町先生が、裁判例があるという形で例を挙げられた、事業所の限定されている人たちがいるような部門が丸ごとなくなる場合ですね。もう一つは、ある部門で、例えば10人解雇するけれども、その職場には無限定の人が何人かいて、さらに限定の人も何人か混ざっているときに誰を10人選ぶかという問題ですね。前者の場合について言うと、それは限定ゆえに妥当性があると見るべきなのか、その部門をそもそも全部潰すから合理性があると見るのか。

 私の記憶が間違っていなければ、東洋酸素事件でもアセチレン部門を廃止するということだったと思いますけれども、それである程度独立採算性的なところもあるからとか、いろいろな理由は述べられていますけれども、そういうことでその部門の全員を解雇するのが妥当だと言って、結局限定がない場合であっても、特定部門を対象とすることは合理的だと言っているので、そうすると、限定されているから合理性があると言っているのか、たまたまその部門全部潰すことにして、それの理由が合理的だから人選の妥当性があると言っているかは、裁判例をもう少し見きわめる必要があるかなと思います。

 後者の点について言うと、要するに限定の人と限定じゃない人をどう選ぶかということについては、多分直接言っていると一見思われる裁判例は、前回の21ページで幾つか挙げられていますけれども、どうも前回挙げられているこれらの事例というのは、確認の必要はありましょうが、その部門とかを潰すということで、そこにいる人でということを言っている可能性が高いなという感じがするのです。そうすると、後者については裁判例があるかどうか、もう少し確認して、なければ理論的にどう考えるかということになろうと思います。

 一応、これは慎重に考える必要があると思いますけれども、日立メディコ事件のような形で、何らかの形でおのずから差があると言えるか。ただ、日立メディコについては、当然に差がつけられるという読み方には批判的な見解も学説では多くあって、扱われている実態に照らしてきちんと慎重に見るべきだと言われていますので、そういうふうなものも応用しているかどうかも含めて慎重に考える必要があるかなという気がいたします。

○今野座長 ということは、答えは今のところわからない。

 もう一つ、水町さんが言った後半のほう、高度な専門性や高い職務。いや、違う事例もありますよとおっしゃった。それも含むとか含まないというのは、高度な専門性や高い職務だと、どうして別扱いできるのという理屈を整理していただければ適用範囲が決まるのではないか。そこを整理して。先ほど、トラックの運転手の例があるよと言ったでしょう。法律的に基本的にこういう理由があるので、高度専門職に利用するとそうなるから別でいいのです。ドライバーにせよ、適用すると、だからいいのですという理屈が非常にわかりやすいのです。

○水町委員 裁判例が直接具体的に言っているというよりも、規範的に推測すればそういうことが考えられるのではないかということですけれども、高度に専門性があって高い職位について報酬がいいとなれば、ほかに転職する可能性を自主的に探す可能性が普通の人よりもより高くなるということが1つと。

 あと、職務が明確に区分されている場合には、その区分の垣根が高くなれば高くなるほど、ほかに移ってくださいということが期待しにくくなるということで、そういう判断がなされている。似たようなところがあって、移すことだって、普通に常識的に社会通念上考えられるよというのではなくて、例えば看護師さんは看護師として明確に区別されていて、それ以外のものとは職務が明確に厳然に区別されている。必ずしも処遇が高いということにはなっていないとしても、そういう場合にほかのところに移しなさい。そうしないと整理できませんよというのが一般的に期待できるかどうかという点で違うとすれば、規範的判断の中で違うことが考えられる。

 ただ、この「等」の理由によりという「等」でどこまで含まれているかというところもある。実際、そういうことを考えながら裁判例がどう展開されているかというのはわからないので、逆に言うと、余り限定して高度の専門性とか高い職位の人たちは特別ですよというメッセージを、ここでこれまでの事案から出せるかどうかというのにちょっと抵抗を感じるということです。

○今野座長 はい。

○神林委員 今の水町さんの御意見の後者の部分ですけれども、それは結局、職務を限定しているかどうかということと、もろにかぶってきているのではないかと思いますが、職務を限定していればよいということになるのではないでしょうか。

○水町委員 当事者の意識する職務の限定と、外から見た場合に第三者がここから移すのは移しやすいね、移しにくいねというのを裁判官が規範的に考えるのは、もしかしたら違うかもしれないということです。

○神林委員 なので、前回の裁判例でも僕が一番気になったのは、その職務が限定されているかどうか、あるいは勤務地が限定されているかどうかについての争いというのが結構な数あるわけです。つまり、当事者同士で限定されているかどうかわかっていない、共通認識がない。そういう前提で見れば、今の高度な職務がどうのこうのという話も、自分はこの仕事で雇われたと思っていたかどうかというのが、そもそも争いの種になっていることが原因になっているのではないかと思います。そう解釈すれば、まずはちゃんと決めなさいという話になるのではないかと思います。

○水町委員 そこのくだりはそのとおりだと思います。これまでの裁判例の事実確認としてどうなっていて、そこから裁判例を整理するとこういう傾向が導き出せますよと断言できるかどうかという点で、まずきちんと。

○神林委員 なので、裁判例を見るときには、基本的に職務の限定であれ、勤務地の限定であれ、限定されているという合意がとれているときに何が起こっているのかということを考えなきゃいけないはずですね。

○佐藤委員 今の看護師の例だけれども、例えば外来に限定して看護師さんを雇っている。こっちは病棟に限定して雇っている。本人も合意されている。例えば外来を半分にするというとき、外から見れば看護師さん、病棟もやれるじゃないという議論が出てくるかどうかだと思う。

○今野座長 結局、先ほど神林さんが言った契約上の限定という概念と、職務上の限定の壁の大きさとは別の話なのね。多分、解雇回避努力は壁が高ければできないねという話になる。契約とは別に。だから、両方が混ざっているね。

○佐藤委員 実際、それをやらなきゃいけないかどうかですね。今、壁はそんなにないのだけれども、限定して運用していたし、契約しているのだから、動かす必要がないとやるか、実際上限定していても壁はそんなにないのだけれども、動かせると言われるかどうかだと思います。

○神林委員 その部分を裁判例から引っ張ってくるべきだと思います。

○佐藤委員 そう。

○今野座長 でも、前回の議論は、契約で明確にしてあっても、壁が低ければ回避努力しろというものが判例じゃないの。私、そういうふうに理解しているけれども、違うの。

○佐藤委員 そういう例は少なかったというのが私の理解。判例の分析。つまり、ルール上、きちんとやったら。

○神林委員 入り口で両者ともに限定されているのだということで合意されていた事案というのは非常に少なかったと思います。

○竹内委員 今の話と直接関係する指摘になるかどうかわからないのですけれども、本日御説明いただいた資料でも、整理解雇で言うと2ページから3ページ目の一番下のところにある○で、裁判所が明示的に限定と認定する事例であっても、専ら就業規則や労働契約書における職務限定の事例は多くないとされています。また、黙示の場合であっても、職務や勤務地の記載のみで限定性を判断することは難しいということのようです。私もここはすごく気になっている点です。裁判例、前回の資料で出てきた個票ぐらいしか見ていなくて、本文に全件当たったのではないのですが。

 見たところ、前回の報告で挙げられた裁判例で契約書等に記載があることの趣旨は、例えば勤務地はどこである、職務はこれであるというのが明示されているということなのですね。あなたはこの勤務地で限定されていますと、限定のところが明示されている事例は、はっきりそういうふうに言えるのは実は1件しかなくて、鐘淵化学工業、前回の整理番号で21番です。あと、スカンジナビア航空事件が、これは契約で限定されていたと裁判所が認定しているのですけれども、どういうふうに記載されているかはちょっとわからないので、明確にわかるのは鐘淵事件だけで、あとは勤務地が大阪となっていた。それでほかの運用実態から見ると、大阪で限定されていましたねという判断が出てくるということになっています。

 そういう意味で、この現在のペーパーで言われている契約書等の記載というのは、職務とか場所が記載されているということであって、限定されているかどうかの記載をしている裁判例というのはほとんどないということになります。そういう文脈のもとで、契約書等の記載からは限定がそれだけでは決まらないという判断になっていますね。

○今野座長 それは判例の話ですね。その前に企業の事例をずっとやってきたときに、大企業の場合だったら、社員を区分しておいて、あなたは事業所で限定ですよと就業規則に書いた。そのときにその事業所が潰れたときに、大企業はその人たちをどこかほかにないだろうかと一生懸命探すわけです。解雇回避努力を一応する。多分そういう情報も入っているので、契約で限定したところで壁が低ければ解雇回避努力をしなきゃいけないというのが前回の合意かなと思った。はい。

○佐藤委員 会社が労使関係上、人事管理をやるということと、裁判所がどう判断していたかが大事だと思っている。だから、それをやらない会社とやる会社があるわけですよ。それはそうだと思います。でも、やらないと選択したとき、さっきの例で言えば、うちは看護師を普通動かせるけれども、限定していて、つまり外来は勤務時間が決まっているわけです。病棟は夜勤務があるわけですね。希望があるから、そうしていました。

 例えば、外来をやめちゃうというときに、合意できたからこの人を解雇するときに、裁判になったときに、こっちに動かせと判断されるか。ただ、そういうルールで実際上、経営としてやることはあり得ると思います。大事なのは、そうやらなかったときにどうなのか。

○今野座長 先ほどから労働法の皆さんのお話を聞いていると、これもよく答えがわからないということ。いろいろ言ったけれどもね。どうぞ。

○櫻庭委員 答えがわからないことの一つの原因は、恐らく人員削減の必要性に応じて解雇回避努力の程度が変わってきたりするという総合考慮になるので、場合によっては回避努力をしなければいけなかったと裁判所が判断したり、そうじゃなかったりということもあるのかなと思います。

○山川委員 確かにはっきりしない部分はあるのですが、明示的なルールとして言っているか言っていないかという点について見れば、前回のJILPTでつくられた資料1の30ページ、シンガポール・デベロップメント銀行の紛争の、今回も資料が入っているかもしれませんが、勤務地限定というのは、同意なく転勤させられないという利益を与えるものではあるけれども、転勤させない利益を使用者に与えるものではない。つまり、勤務地限定で利益を得ているのは、その合意に関しては労働者の利益であって、使用者の利益ではないと。だから、申し出を検討するということで、多分明示的に言っている。

 もう一点、似たようなものがあったと思いますけれども、それは今野先生がおっしゃるような実態を反映したものであって。したがって、一般論として限定されていれば、配転の申し出すら不要であるという一般論を言ったものは、多分ないのではないかと思います。

○今野座長 ということが答え。

○山川委員 それを明示的に言ったのは2件ぐらいで、しかも事案に応じているので、本質的には答えがあったかどうかは最高裁判例が明示しているかどうかなので、そうすると答えのある部分は少ないということになります。

○今野座長 ということは、最終的にこういう点について報告書には少し抽象的な書き方になる。

○神林委員 というか、むしろ問題の順番が違っていて、一番最初に持ってくるべきは、現実問題としてこういうことを合意するのは難しいのだということをちゃんと出して、合意ができたときにどうなるかというのは、まだよくわかりませんという話。実際として。

○今野座長 でも、合意は難しいと言うけれども、現実に見ると地域限定はどんどん広がっているわけです。だから、それは企業にとって合理性があるからどんどん入れているし、働く人からも合理性があるから広がっているので、別に実態はないわけじゃなくて、すごく広がっている。職場限定は余りないけれども、地域限定はどんどん広がっている。だから、あるのではないか。

○神林委員 もし仮にそういうものが広がっていて、紛争になっていないとすれば、紛争にならないからですね。それはいいじゃないという話です。

○水町委員 整理解雇については、判例法理が明確に一般論を定義しているわけではなくて、個別の裁判例の中では事案に応じた判断をしているということが1つと。

 もう一つは、整理解雇の4要件ないし4要素というものも、明確に第1、第2、第3、第4じゃなくて、2と3は連続性があるものだし、最終的には総合考慮で決められていることが多いので、そんなに厳然と分けられるわけではない。ただし、これまでの裁判例からすると、こういう事案ではこういう判断がなされることが多いし、こういう事案についてはこういう判断がなされることが多いねということを、わかりやすく丁寧に書くことが望まれていて、そして大分近いところまで来ているのだけれども、今、考えるべきなのではないかというので少し読みにくくなっていたり、悩み、迷いがあるようなところもあるので、そこはすぱっと一般論に言ってもいけないけれども、傾向としてこういう傾向が見られるというまとめにしていただければ。それでいいと私は思います。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 今の説明で、確かに勤務地限定は広がっていて。ただ、問題なのは、前回の多様な正社員の従業員調査でも、限定されている。ただ、閉鎖のときに異動させてくれると思っている社員も相当いるわけ。つまり、経営側がどう考えているか、そのままでいいかどうかなのです。限定はありますよと。でも、社員の中には2種類いて、これで閉鎖になったときに契約解除がいいと思っている人は、動かしてくれると思っている。これをどうするか。これをこのままでいいと考えるかということだと思います。

○今野座長 普通、就業規則か何かで限定するときに、多分一番重要なのは、平時に企業からすると人材育成上、物すごくメリットがあるとか、いい人材が採れるということで整理する。そういうときに、契約書にこの事業所がなくなったら、君、自動的に首よと、1項入れるかどうか。極端な話、そういう話でしょう。これは多分、企業にとってみると、メリット、デメリット、両方あるから。今のところ事例を見ると、デメリットが大きいから書かないという状況だと思うのです。ということで、この点については水町さんが書き方をまとめてくれたから、そういう方向かな。

 ほかにこの前半戦で論点がありますか。今、重要な点は御議論いただいたと思うのですけれどもね。どうぞ。

○山川委員 特に結論にどうのというわけではないのですが、先ほどの神林さんのお話とも関係するのですが、限定性という言葉がややあいまいで。つまり、法的には限定されるという合意があるかないかというよりも、あると、あるとは言えないかの問題です。あった場合の法的効果はどうかという話の議論になるのですけれども、現実は必ずしもそうではないと、これまでのヒアリングから出てきて。ある意味で程度問題みたいな、6割の限定みたいな実態が現実にはあるので、法的には評価しづらいということ。ですので、限定されるというのは、実態と限定する合意があるかないかというのは、やや乖離があるみたいな認識はどこかにあったほうがいいのかな。

 そういう意味で、限定性と言うと、程度問題も含んでいるみたいですけれども、要するに限定される合意があるか、あるとは言えないかの問題という。

○神林委員 その点については、佐藤さんか座長だったか、去年の研究会で議論されてはいないのですか。調査でそういう項目がありますけれどもね。

○佐藤委員 程度。

○神林委員 程度というか、マイクロデータを借りて見ているのですけれども、従業員調査ですと、例えば勤務地限定が典型例ですけれども、転勤はないと。転居転勤もないし、転居を伴わない転勤もない、とにかく転勤はないと定められていると言いながら、将来、転居転勤すらあるのではないかと思っている従業員は2割ぐらいいるわけですね。そういう話は議論されていましたか。そうしたら、それを引用するだけでいいと思います。

○佐藤委員 そこまでは、細かく分析する時間がなかったからやっていないかもしれない。ただ、事例は報告書にもたしか載せていたような気もしないでもない。

○今野座長 どうぞ。

○村山労働条件政策課長 大変重要な御指摘を山川先生からいただいて、ぜひそこも詰めていただければと思いますのは、結局、あるかないかの2項で考えるか、ある場合にある中身についてグラデーションを考えるかということは、後の明示のところで、期間の定めがあるかないかというのは明確だと思うのですけれども、限定性がある場合にグラデーションで考えるということであれば、それは考え方のきく順序というか、ベースラインが何を明示するかで変わってくると思います。

 あと、山川先生、御指摘いただいた話で言えば、裁判例で見ても、そもそも先ほどのお話で何がということがはっきりしないものが多いのですけれども、本日の広川書店事件のように、まさに程度問題で、長野分室がなくなったとすれば、その場合にみたいな話がある一方で、二項対立みたいな、先ほどのシンガポールのものもあるので、そこのところは後半の話に進む前に、あるかないかということが問題なのか、ある場合にグラデーションなり実態が問題なのかというのはやっていただけばという1点と。

 あと、済みません、ここが終わると後半にいきそうなので、お願いとしては、先ほどの整理解雇では(3)のところになりますが、裁判例の傾向のまとめ方については、水町先生を中心に御示唆をいただいて、それでよくまとめていく必要があると、また作業させていただければと思います。

 その上で、ここは裁判例の傾向から若干政策的なところに踏み出すかどうか、事務局として迷っているのは、3ページ目から4ページ目の(3)のところにありますように、そういう一定の傾向がかなり謙抑的に見るべき領域だとしたときに、配転の申し出の要否に関する使用者、ひいては労使の予測可能性を高める観点から、何か留意事項としてまとめることはできないかというときに、弱くてもいろいろな留意のところはあるだろうということか、いや裁判例の傾向は、これだけの先生方に議論していただいたけれども、かなり幅があって、そこは、事務局は謙抑的にやったほうがいいよということか、そこは先生方、今回、出席率が大変高い回なので、幅寄せをお願いできれば大変ありがたいと思っております。

 申しわけありません。よろしくお願いします。

○佐藤委員 山川さんのは、無期か有期かという限定の程度。

○神林委員 程度とは何ですか。

○山川委員 なるべく配転はしませんという合意がある。

○佐藤委員 それは、ここで議論するかしないかじゃないかなと思って、0、1。もちろん、変更の可能性みたいなものがあると思います。有期、無期とは違って、限定したときのコース展開のヒントみたいなもので限定の程度はあり得ると思います。一度決めたら動かせないのと、変な話、毎年動かせるという限定の程度は相当違うから、そういう程度はわかる。

 もう一つは、神林さんも言ったように、本人にどの程度浸透しているかみたいなものもあり得ると思うけれども、基本的に限定は1、0かなと。あと、変更の可能性みたいなところに程度をつくるというのはあり得るかなと思ったのです。

○今野座長 村山さん、余り変数をふやしたくないのだけれどもね。

○村山労働条件政策課長 神林先生にまとめていただきましたので、ありがとうございます。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 村山課長の後半の点ですが、これは規制改革会議からも要望のあった事項であり、これまでかなり一生懸命議論してきたことで、もちろん結論としては非常に幅があって、事案によるということはきちんと書いていただきたいのですが、そこの中からどういう教訓が出てくるかというのを、少なくとも雇用管理上の留意事項としてまとめることが適切だということは、皆さん共通に御認識いただければなと思います。

○今野座長 先ほど水町さんが言われたように、判例から見ると、こういうケースの場合はこういうことが問題になりますよという整理ができる。それ自身が最低限の雇用管理上の留意事項だと。ですから、それを見て、もう少し我々は議論して深くいけるかどうか考えればいい。雇用管理上の留意事項については、できる限り書きましょうねというのは、もう合意ができているはずだから、まず事務局でそういうものを整理していただいて、もう時間も回数もないから。段取りとしては、そういう段取りかなと思います。

○神林委員 確認ですけれども、つまりできるだけ書き込めるなら書けばよいというのがデフォルトで、こういう事項が書かれなかったら、こんな紛争が起こりますみたいなものを並べていく。

○今野座長 もしかしたら、そういう防衛的な留意事項もあるかもしれないし、こうやったらもっとうまく多様な正社員を活用して、労使にメリットがありますよという話が出てくれば、それを書けばいいし。それはやってみないとわからない。

○黒澤委員 これは後半のほうにかかわってくると思うのですけれども、6ページ目の論点の真ん中に「紛争を未然に防止する」とあり、これが今、議論している限定の有無を明示する一つの効果だとして、それから続いて「労働者のキャリア形成やワーク・ライフ・バランスの実現、企業の優秀な人材確保の環境整備のため」とあり、これは全部メリットを挙げています。けれども、限定の有無、または限定の内容を明示する、それだけをやることで、今の議論のとおり、労使の紛争を未然に防止することには有効かもしれないけれども、労働者のキャリア形成を高めるとか、企業の優秀な人材確保をよくするというのは、1対1対応ではないと思います。

 だから、さっき先生がおっしゃった、セットで企業にも労働者にもメリットとなるためには、明示するだけではなくて、限定することがキャリアにどういうふうに影響を与えるのかということまでわかるような形で宣伝しないと。つまり、限定があるのかないのかだけじゃだめなのではないか。

○今野座長 原則的に黒澤さんが今、言われたことに賛成です。問題は、どうか書くか、そこになってくる。私などもこういうものを見ていて、最初に紛争防止するために何という書き方をすると本当は違和感があって、その前には平時の人材活用をどうするかと考えるというのが制度設計で重要じゃないかと思うのは、黒澤さんと同じ思いですが。それは多分、最後の報告書を書くときにどう書くかということになってくるだろう。

○黒澤委員 私は、紛争を未然に防止することは大事だと思います。そこはボトムラインだと思います。だから、そこをきちんと議論するのは大変重要だけれども、そのあとに突然、そうやって明示することはこんなにいいのだよとさらっと書かれると、えっ、違うよと思ってしまうのです。実は、そこのところで、前回も言いましたけれども、そもそも論、なぜこういう限定的な正社員の働き方を促進しようとしているのかということを考えないといけない。つまり、そういうものがないと、今まではやめてしまって、働こうとしていなかった人たちの人材、能力を活用するということですね。

 そのための限定的な正社員の導入ということを考えたときには、紛争を未然に防止するというためだけの明示ではないことが必要になってくる。だから、難しいのだよと持っていって、結局は最後のところで、(1)、(2)じゃなくて(3)になる。済みません、私の考えですけれども。そのためには、こういうことが必要になるという流れに持っていければいいと思います。この部分の議論がどういう形で報告書になるかはわかりませんが、この部分は非常に重要になってくると思うので。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 今回、労働条件明示というのが最重要課題として、そこだけ出てきているので、そういうふうに見えるかもしれませんが、全体として報告書をまとめるときは、例えば「望ましい働き方ビジョン」で多様な正社員が大切なのだということをまとめたこととか、この中で議論されてきたことを含めて、全体像の中で、じゃ、労働条件明示についてはこうですよとか、相互転換についてはこうですよというまとめをやっていただければ。黒澤委員と同じです。

○今野座長 そのためにいろいろな論点を用意したのです。

○竹内委員 ほとんど同じというか、黒澤先生の御発言に反対するという趣旨ではないのですけれども、紛争を防止するということもありますし、企業としてこういう処遇を予定している。あるいは、法的にはこういうふうに取り扱うことを予定していますということがはっきり明示されれば、それは紛争防止というものと同義かもしれませんけれども、使用者にとってもそうですし、労働者にとっても、自分のキャリア設計なり人生設計を全く無限定で何が起こるかわかりませんと言われているときよりかは見通しやすいという意味で資するところがあると思います。

 これは現在の構成上、裁判例の分析をした上で明示に結びつけているからというところもあるのでしょうけれども、明示することだけがワーク・ライフ・バランスとかに資するということの、そこに導く源というわけではないと思います。それは先生のおっしゃるとおりだと思いまして、そこは紛争事例以外にも実際の企業の取り組み事例から、こういうメリットがあるということを最終的には総合的に組み合わせて作成していくことになるのかなと思います。ただ、他方で、ルールの明確化が、そういうワーク・ライフ・バランスとかにも全く資さないというわけでもないということも、一応補足的に申し上げておきたいと思いました。

○今野座長 いずれにしても、黒澤さんが言われたことについては、皆さん大体同じように思っていらっしゃると思うので。

 それでは、ちょっと時間になりましたけれども、後半の労働条件の明示。まず、水町さん。

○水町委員 もう結論だけ、ちょっと気になったところだけ申し上げます。(1)、(2)、(3)という選択肢がありますが、(2)で「労働契約法(又は通達)」となっていますが、これはちょっとペンディングで。

 それで申し上げたいことは、(1)の選択肢については運用が定着していないので、強行規定によって明示の義務付けを行うことは、実務に混乱を与えないかということが書いてあるのに対し、(2)では、これは訓示的な規定であって強制力はないので、人事労務管理上の弊害が生じるおそれはなくということをきちんと書いていただいている。でも、その次の一番下の*になると、運用が一定程度定着した段階で、明文化を検討することも考えられるのではないかと書いて、弊害がないのに一定程度定着するまで待つというのはどういうことなのだろうというところとの関係で。

 重要なのは、現行の労働契約法4条の規定でも、労働条件について、「(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)」をできる限り書面により明示するというものになっているのですが、その中の労働条件に職務とか勤務地とか労働時間の限定がある場合に、それは当然含まれているよということがここに書かれているのであれば、そのことを一つの方法としては、期間の定めのある労働契約に関する事項を含むと同じレベルのものとして、「(期間の定めにある労働契約に関する事項、何とかかんとかについての限定の有無を含む。)」と、法律上、条文で明示的に入れ込むか、それともそれは当然のことなのでとして、当然のことだと思っていますよということを確認するかというところで、やり方はあると思います。

 逆に言うと、(1)で、定着したら15条で明示しましょうねと言っていて、(2)でも定着するまで待ちましょうねと言っているところの説明が、(1)も(2)もだめなのかという話で。だとすると、1つの提案としては、このことを通達と書くとあれですが、指針という言葉を使えるかどうかわかりませんが、このことを指針または通達等によって周知し、限定の有無について書面で明示することが望ましいという法律上の位置づけを明確にしつつ、「(期間の定めのある労働契約に関する事項)」と同様に法律上明示することを検討することも考えられるとか書くことができないかなというのが1つです。

 それと、(3)の冒頭で(1)、(2)のような対応と並行して、又は直ちに(1)、(2)の対応をとる代わりにというと、直ちに(1)、(2)は難しいのかなという。そこの又は、対応をとる代わりにというところをとるかどうかというのを、全体の流れの中で御検討いただきたいと思います。特に、アとイとウとありますが、そこで気になったのは、イの選択肢をとると、明示以外の正社員との転換とか均衡処遇も幅広く入れられるということとか、さらにそれ以外についても、ウでやることが考えられるよと書かれていますが、これはほかの論点、今後出てくるであろう相互転換とか均衡処遇との関係で、どういうふうな出し方をするというのともかかわってくるので、この辺はほかの議論とあわせて御検討いただければと思います。

 例えば一つの案として、(2)の選択肢の中でも、指針ないし通達によって労働条件として明示することが、当然労働契約法4条の中に含まれていて、法律上、そういうふうに位置づけられていますよということを確認しつつ、例えば相互転換とか均衡処遇についても労働契約法3条2項、3項とのかかわり合いで法律上求められるということがあれば、そういうこともあわせて通達の中に書くとすれば、必ずしも(3)のイとかウの方法をとらずとも、それも含めて法律の解釈にかかわる対応というのを明示することも考えられるので、この労働条件明示のところでイとかウのかかわり合いの書き方をどうするかというのは、もう少し幅広に見ていただければなと思いました。

 それと、アのところで「『見える化』のインセンティブを与えるようなソフトな手法を活用する」と書いてありますが、これは私、個人的なものかもしれませんが、ソフトなという言葉を使うのが、逆に言うと、労働契約法がハードで、うまくやったら金を上げますよというのがソフトかというと、ハードロー、ソフトローという話はありますが、余り定着したというか、ソフトだと言えるかどうかわからないので、そういう政策的な手法を活用するとかいう言葉にしたほうがいいのではないかということと。

 見える化のインセンティブって、前々回ですか、神林さんがおっしゃっていたように、第三者とか求職者にも見えることによって生み出されるプラスの効果というのがあって、次世代法では今その議論をしているので、第三者に見える効果というのは大きいよということを、この報告書の中でも何か表現として入れていただければと思います。

○今野座長 どうぞ。

○竹内委員 私、(1)から丸何とかでどれがというのは、必ずしも今、結論がないですけれども、(1)、(2)というのは、これはむしろ直接的に明示を実現するための方策で、それがなし得るかどうかという話だと思います。

 (3)は、ちょっといろいろなものが入っていますけれども、(3)のアについては、もちろん明示を促す、あるいはさせていくということも含んでいると思いますけれども、(3)は今、最後に水町先生がおっしゃったように、第三者に見えるようにする。あえて明示という言葉と違う言い方をすると。公開する。当事者の外にも、労働条件に係る、ここで言うと限定の部分の中身ですけれども、それを公開することにも、あるいはむしろそちらに重点があるような政策の選択肢だと思います。そういう意味では、(1)、(2)と(3)のアというのはやや性質が違うのかなと思います。

 あと、(3)のウというものについてですけれども、これも最終的には明示を促すという手法では、明示にかかわる政策の選択肢かなと思うのですけれども、これは先ほど神林さんも少し関連する事柄をおっしゃいましたけれども、(3)のウというのは、明示させる、させないということよりは、直接的には明示したらこうなる、明示しなかったらこうなるという、明示した場合、しない場合の法的ルールがどうなっているかということを周知させる。そういう意味では、もちろん明示を促す効果は持っているという意味では(1)、(2)と共通しますけれども、これはこれで明示することによる意味がどんなものかということを知らしめるという意味で、これもやや(1)、(2)、(3)のアとかとは性質が違うと。

 そういう意味では、(1)、(2)と(3)のアと、(3)のウというのは、どれか1つとは必ずしも決まらなくて、必要に応じて同時選択的にでも実施し得る可能性があるのかなと思います。私自身の結論は今ないですけれども、それぞれ力点ないし重点の置き方という意味で性質が違うということがあるのではないかということを申し上げさせていただければと思います。

○今野座長 はい。

○佐藤委員 限定の有無の促進のところが、水町さんが言われたアとかイのところは、明示の促進の話と、こういう勤務地限定型の正社員導入促進のところが重なっていて。後ろのほうは、こういう限定正社員を促進することが、今の無限定の正社員のワーク・ライフ・バランスとか、有期の人の正社員化を進めるという話と、限定した場合の明示の有無の促進とちょっと別だと思う。だから、そこがちょっと混ざっているのかなと思う。それから、後ろのほうは違うかなという気もしたのです。

○神林委員 後ろとは。

○佐藤委員 (3)のアとかイの議論。8ページです。

○今野座長 私もなかなか理解できないのですけれども、2人の話は、ここには明示するとこんなにいいことがあるよ、明示することによる結果・効果を示してあげることと、明示そのものを促進するという2つが一緒に入っているという意味ですか。

○山川委員 要するに、現実的なイメージとして何を明示するかということを考えると、(1)と(2)は本人が職種とか勤務地が限定されていますよということを明示する話ですが、(3)はうちの企業にはこのような制度がありますよという明示で、その意味で(3)は独立ないし並行してやって、私はいいと思います。

 先ほど黒澤さんの言われた、制度として存在することの中に単に限定しているというだけでなくて、キャリアアップの仕組みとか転換の仕組みがありますと。それは、人を引きつける大きな材料になるから、それを私は積極的に推進するというか、それがむしろ多様な正社員の一つの重要な政策的意味だと思いますので、制度がある場合にはそれを明示するということと。

 (1)と(2)はやや微妙なところがありますのは、個人の契約内容の明示で、それはあったほうがいいのですけれども、今回の資料に出ていますが、あるなしを書けというと、書くことがはっきりしない場合に、大体ないという方向に書く可能性がある。特に、(1)の労働基準法の場合は、明示しないと犯罪であると。犯罪になるかならないかというのは(1)の問題であるということが基本なので、そうすると割と明示すべき事項をはっきりしたほうがいいので、私は限定する場合には、その旨とか、内容まで書くかどうかはあるのですけれども、そっちのほうが実務的かなと。有無ときっちり分けてしまうと、やや行動が機械主義的になる可能性があるという気がします。

 これに対して(3)は、もう制度の問題ですから、インセンティブを与える方向でどんどん進めるのがよい。そのために、例えばモデルとして、政策的にこういう制度が有用ですよというところも含めてやるのがいいかなと。その意味で(1)と(2)と、あと(3)は質的にかなり違う話だと思います。

○佐藤委員 山川さん、こういう良好な限定正社員の普及・促進ということでやる施策の話は(3)だと思う。実在法が今度あの中にも入っているみたいだから、そういう話と、導入したときの明示の促進の話とはまた別だと思う。分けたほうがいいかな。

○今野座長 どうぞ。

○櫻庭委員 ちょっと技術的なことかもしれないのですけれども、今の山川先生の御質問とも関連して、(1)や(2)をとったときには、例えば中小企業のような場合にも、労基法とか労契法の明示義務はかかってくるわけですね。その場合、実質上は限定されているじゃないですか。例えば工場を1つしか持っていない企業で、そういう場合、限定ありなのか、なしなのかと考えると難しいときもあるのではないかと思ったりしたのです。

○山川委員 その場合、ありなしとすると、どっちか書かないといけなくて、当然限定ありだよなと書いて、後で工場を新設した場合にどうなのかという問題があるので、ある場合はあるというぐらいのほうがいいかなと思います。その場合もどっちになるかという問題はあるかもしれませんけれどもね。

○神林委員 それは再交渉すればいい話なので、とりあえずは置いておいていいのではないかと私は思います。最初にデフォルトでどういうふうに書くかということと、実態として、例えば状況が変わったときにどうするかということは、ちょっと別に考えればいいのではないかと思います。多分、もっと大きい話は、先ほど来佐藤さんなどがおっしゃっているように、人事管理上、どういうふうにこの限定正社員というのを導入して運用するべきかという話と、規制改革会議から出てきている話というのは、実は全然性質の違う話だということを明確にするべきで、アとかイという話は人事管理上の問題だということですね。

 ただ、人事管理上の問題だということを考えたときに、第三者に対して明確にする意味があるかどうかというのは議論があるところだと思います。二者間で合意さえすれば、それでいいという考え方もあるはずですので。私が前回言ったのは、マッチングの局面というのを考えると、第三者に明示するという意味は恐らく少なくなるだろうという予想というか、根拠があるわけじゃないのですけれども、そういうような考え方はできるかなと思います。無前提に人事管理上の問題だったら第三者にも明示するような格好をとるべきだとはならないと思います。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 私も賛成で、例えば中小企業でもこのようないい制度があれば人が集まるとか、逆にそういう企業でないと人が集まりにくくなるということを促進するという、外部労働市場の利用という意味があるかなと思います。

○今野座長 そうすると、今のところ後者のほう、神林さんが言われる言い方をすると、労務管理上、こんないいことがありますよということは多分みんな合意ができていて、いい。問題は前者というか、先ほど出たので、限定するしないを例えば基準法で入れるとか入れないとか、その辺をどうするかという問題ですね。はい。

○水町委員 皆さんおっしゃっているとおりのことを、規制改革会議でも同じように議論したり、考えていて。具体的に文言として言えば、(1)、(2)と、(3)というのは、もちろん性質の違う問題で、(3)にも明示というところが部分的にはかかわってきます。なので、(3)をとったら、(1)、(2)なしでいいよ。「又は直ちに(1)、(2)のような対応をとる代わりに」というところは、ちょっと筋が違うかなとさっき私が言ったのと同じようになるかもしれません。

 確かに(1)または(2)をとっただけで第三者も見えやすくなるわけじゃないので、第3の選択肢はきちんととっていただきたいし、多様な正社員とかジョブ型正社員の普及・推進のためには第3というのが非常に重要だと。ただ、第3をとる前提として、契約の基本的なルールとして、限定している場合にはきちんと限定することが望ましいよということを明確にしてほしい。それを基本だということであれば、少なくとも山川先生がおっしゃったような方法で労働契約上位置づけられるよということが基本ルールとして共通の理解・認識が得られるとすれば、それをここの中ではっきりしてほしいですし。

 (1)の労働基準法をどうするかというのは、運用を見ながら、将来的に考えるべき課題だというのは、前々回、私も申し上げたとおり、さらに検討する余地はあると思いますが、契約の基本的ルールとして、明示すべきところは明示すべきだし、既に労働契約法4条の中でそれが含まれているというのであれば、それをきちんと何らかの形で明確にすることが必要かなと思います。

○今野座長 そうすると、限定することは非常に重要な労働条件の一つで、したがって、もしそういうことになっていれば、契約上明確にしたほうがいいというのは皆さん合意があると。あとは、それを例えば(1)、(2)のような法律上の問題で表現するかと。あと、そのときの効果をいろいろ考える。それについては、具体的にどうするか。

○水町委員 答えが出ていると思うので、あとはまとめてください。

○今野座長 契約法でやるの。山川さん。

○山川委員 犯罪になるかならないか、割とクリティカルなので、契約法のほうが変更も含まれるということがあるので、それほど履行、過去に際して面倒が生じないというくらいの話ではあるのですけれどもね。

○今野座長 そうすると、契約法で、常にそういうことは実質上入っている内容が書いてあるので、そこにはそういうことが入っていますよということをお知らせするということ。

○山川委員 そこは通達にするか、それこそ指針にするか、いろいろあり得ると思いますが、精神は契約に入っているということで。

○神林委員 議論を蒸し返すようで恐縮ですけれども、これから先のことを考えるのであれば、基準法に書いてしまって、日本の労働市場はこれでいくのだというのを宣言するというのは、選択肢としてはあり得ると思います。つまり、司法の話じゃないと。

○今野座長 もしそういう選択をとったとすると、制約イエス、ノーという選択肢はないと思います。制約イエスというと、みんな考えていることが違うから、山川さんが言われたように、その内容のセットじゃないと現実的でないと思う。要するに、契約を結ぶときに制約があります、イエス、ノー。これはだめで、イエスだったらどういう制約というのはセットじゃないと意味がない。

○佐藤委員 限定の中身を書く。当然、それが労働上の明示じゃないの。ありだけということはあり得ないわけでしょう。

○今野座長 前回、イエス、ノーでいいのではないかという議論があったことを踏まえて。

○黒澤委員 私もイエス、ノーだけのことで法律の(1)、(2)をおっしゃっているのかなと思ったので、先ほどはとんちんかんなことを言って申しわけないですけれども、その内容というのが(3)のほうでとても大事で、こういう内容が普及すればみんなが、従業員にも企業にもメリットがあるかということで、できる限りの明示をするであろうと。だから、また(1)、(2)に戻ってきたとき、その有無だけじゃなく、明示の内容、つまりどうやって限定しているかということを言わせるかということが問題ですね。セットにしないといけない。

○神林委員 そうなのですか。つまり、人事管理上の話をするのだったら、そういう議論になると思います。ただ、紛争を未然に防止するかどうかという話だと、限定していませんと明示するというのは物すごく大きいと思います。何も書いていない状態なのか、限定ありと書いてあるのか、限定なしと書いてあるのかというのは、もうデフォルトが全然違いますね。

○黒澤委員 すごく大きいですね。

○神林委員 なので、ありなしぐらいは、例えば基準法に書けと。

○黒澤委員 それは極端な話ですが、ひとつの可能性としては私も賛成です。

○竹内委員 労働基準法のほうだと、初めのほうの説明にもあったかと思いますけれども、罰則がつくということが伴いますので、罰則法規の適用に耐えるような明確なルールづくりをしないといけないというのが、技術的に1つ制約があると思います。そうすると、基準法でやるときには、明示をさせるとして、どの程度まで、要するにありなしか、あるいはありなし以上ができるかという問題が非常に重要になってくると思います。

 それとは別に、労働契約法のほうでやるとどうなるかというときには、罰則規定ではないので、刑罰規定ではないので、そのありなし以上のことも、そこは明示ということと、今、人事管理上という話が出ていますけれども、より望ましい労働市場のあり方を促すという政策的な観点も加えて、4条の中でこういうふうに入っていますという形でその規制をしていくということはあり得るかなと思います。

 私、必ずしもよくわからないのは、恐らくイメージとしては、今のところ(1)のほうが厳しい手段だとか、あるいはより実行性の高い手段だと言われているし、一般的にはそうなのかなと思います。刑罰という強力なサンクションを伴っているという意味ではそうかなと思うのです。けれども、例えば先ほど神林さんが労働市場としてはこれでいくのだという点ですけれども、それは労働契約法の基本ルールとしてこうだと書いたほうが、むしろその態度が明確なのかなと。そういう意味では、どの程度規制したいかという強さの点でも、(1)、(2)というのは(1)のほうが強いともちょっと言いがたいのかなと思います。

 余りまとまらないですけれども、とりあえず労基法のほうは刑罰規定だということも考えて組み立てる必要があると思います。

○神林委員 つまり、こういう言い方は極端で、正しいかどうかわからないですけれども、労働契約を結ぶときに、いろいろ面倒くさいので書かないでいいですねと言って合意する。労働契約法だったら、それはできるわけですね。労基法だと、書いてしまったらそれはできないはずですね。いろいろ面倒くさいので、とにかく書けというのが労基法の精神だと私は理解しています。それは、社会に対して、この限定契約がどういう位置を示すのかということをアピールするのに、すごく大きな違いじゃないかと思います。

○山川委員 その場合、紛争防止の中身をどう考えるかということで、多分限定されている場合、その旨を契約法とかに書くというのは、配転の問題が起こったときに、限定しているのだから転勤はありませんよと言えるという意味で、その配転をめぐる紛争防止のいわば断れるという意味でワーク・ライフ・バランスの部分の話になるのですけれども、有無ということで必ずどっちかになる。要するに、労働者側から言って、なしとしたのだから文句を言えないという効果を一般的に与えるという意味での紛争防止。つまり、配転できないということだけではなくて、配転されるということに対して文句は言えませんよという意味での紛争防止でもある。そこまで狙うかどうかという問題かと思います。

○今野座長 どうぞ。

○黒田委員 法律で義務づける場合ですけれども、紛争防止には一定の効果があるとして、今後さらに多様な働き方を普及させたいという本来の目的にどう影響するかということを考えたほうがいいと思います。あるなしといった詳細を法律できちんと書けと余り強く言い過ぎると、これから多様な働き方を可能とする制度を導入しようかと思っていた企業も、面倒くさくなってしまい、結局導入を見送ろうということになって、かえって普及しないと考えるべきなのか、余りそういうことは気にする必要がないのかということも考えるべきかと思います。

○神林委員 ということなので、私が個人的に考えていることは、とりあえずやるべきことというのは、その契約法なり何なりを中心にしておいて、けれども、将来的にはこういうことをしますよということをちゃんとどこかに書いておく、宣言しておく。

○今野座長 将来的にはやることも考えられる。そのぐらいでいい。

○水町委員 この文章の(1)のところで、「一定程度定着した段階で、義務化を検討することも考えられるのではないか」をとれば。後ろ向きではないよと。

○今野座長 多様化したほうがいいということについては、皆さん同意しているわけだから、それをうまく紛争も起きないで、人事管理上のメリットがあるにはどうしたらいいかと議論しているわけですから、今の神林さんの点も、少しやってみて、基準法でやったほうがいいという状況だったら、そのほうが効果が大きいし、紛争が少ないと思えばそっちでいけばいい。基準法でどうするかということも将来考えられるとか、検討に値するということでいいのではないか。

○神林委員 もっと強く言えませんか。

○今野座長 そのぐらいでいいよ。

○水町委員 済みません、さっきも言っていますが、基準法だとそれだけぽっと出しみたいになってしまうので、契約法の中で言えば労働条件明示のこともあるし、相互転換とか均衡処遇のところも、いわゆる訓示的な規定の3条の趣旨の中に含まれているので、そういうことも含めて契約上のルールを整理したりすることが、結局労使ともにとっていいことだし、第三者にも見えやすくなりますよと、この(3)とあわせてやっていきましょうとすればいいのかなという気がします。

○今野座長 ここから先は私の趣味ですけれども、もし基準法上で限定なしにすると、限定なしということを厳密にちゃんと定義しなければいけないですね。どうやって定義するのですか。

○山川委員 勤務地の変更、職種の変更について異議を述べることはできません。

○水町委員 いやいや。今のは基準法の話ですか。

○山川委員 基準法。

○水町委員 基準法の話によれば2つのレベルの問題があって、要は退職金とかも就業規則に書くときに、退職金がある場合には、退職金があるとか額について明示しなさいという規定があるので、退職金を出しているにもかかわらず、明示していないと罰則の適用があるのです。では、退職金と書いていない場合に退職金をもらえないかというと、退職金について就業規則には書いていないけれども、それを上回る労働契約上の合意が裁判上認定されれば、退職金支払い請求権の裁判であるので、労基法の話と契約上の請求権があるかどうかは別ですね。

 なので、限定があった場合に、本当は限定があるのだけれども、限定ありと書いていない場合、明示すると労基法上の罰則の適用を受ける可能性はあるけれども、だからといって限定ありと書いていないからといって、裁判になったときに契約の解釈として限定なしと解釈されるかどうかは、また別の話になりますよ。理論的に分けられるのですが、労基法の罰則を適用するほど、限定が本当にあるのに、限定なしと。限定していなかったから罰則の適用があるかというのが今の運用の中で明確化できるかというと、これはもうちょっと運用が定着してからじゃないと基準づくりも難しいかなというのは、私もそういう気がしないでもないです。

○神林委員 ただ、労基法に書かれたら、例えばですけれども、ハローワークの求人には限定されているかどうか書かなきゃいけないですね。そういうことは結構効果があるのではないかと思います。

○山川委員 その意味で、限定する合意をすることは妨げられないけれども、何も書かないと限定なしになってしまう可能性は高いとか、そんなことでしょうか。

○今野座長 いずれにしても神林さんとも合意ができたので、この点については私が余計なことを言ったのです。

○神林委員 お任せします。

○今野座長 ほかにございますか。どうぞ。

○佐藤委員 もともと限定で言うと、勤務地と職種と労働時間という話がある。実際上、職種と労働時間限定というのをここで全体としてどう議論するかということと。労働条件明示のところで言うと、実際、所定労働時間は明示するし、そこはある。だから、ここの限定は労働時間は除くわけですね。いいの。そういう組み合わせですね。

○今野座長 基準法に書かないのだから、余り細かいことは言わない。

○水町委員 労働契約法上、位置づけを明確にするという場合は基準法と別の話なので、基準法に書かれるかどうかにかかわらず、契約法上はそれも含めてやるということが議論としては。

○山川委員 労働時間限定とは何か。始業・終業時刻はもともと書かないといけないので、残業ができないとか、そういう意味。

○佐藤委員 そこだけになるね。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。重要な論点は議論していただいた感じがしますけれども、事務局で何かありますか。この論点はまだ議論していないじゃないか。大丈夫そうだと思うのだけれども、事前に考えていたような話は全部してもらったような気がするのですけれどもね。

○村山労働条件政策課長 結構です。

○今野座長  それでは、きょうはこの辺で終わりにさせていただきます。また、きょうの議論を事務局で整理していただきます。

 それと、これで一回り議論が終わったので、もう一度全体を見回して足らないようなところがあったら、そこを少し整理して、必要があったら議論する。必要じゃなかったらしないということで進めたいと思います。それについては、どんなテーマがまだ議論し切れていないかということを一度事務局と精査させていただければ、それによって今後の進め方を決めさせていただく。それでは次回。はい。

○水町委員 次回と次々回の話になるかもしれません。私の理解では、あと2回、この会議が入れられていますが、あと2回、今、座長がおっしゃったようなことも含めて、具体的にどういうステップで。2回後、6月15日でしたか。

○岡労働条件確保改善対策室長 13日。

○水町委員 13日でしたか。そこで報告書の取りまとめを最終的に。どういうスケジュール。その後にも会合はあるのですね。

○村山労働条件政策課長 現時点で想定していますのが、まず次回の日程は5月30日でございます。よろしくお願い申し上げます。次々回は、今ほど申し上げました6月13日を軸に調整中です。その辺ということでございます。

 今、座長からもお話ありましたように、基本的に論点が一巡していますが、初めにちゃんと申し上げなくて申しわけなかったですが、黒澤先生からありましたように、テーマ別にここ何回かぶつ切りでやってきましたので、座長から先ほどありました、議論し切れていない、あるいはきょうまでの整理でもう一回見直したほうがいいところは次回やっていただいて、例えば次々回とかで全体の構成とか全体を見回してのまとめ方とか、そういう議論に入らせていただければと思います。その中である程度の方向感が、次々回ぐらいには、黒澤先生から最初にありました、全体のそもそもの出発点のところからの議論で、大体こういう感じでどうでしょうかというのを深めていただければと考えております。

 スケジュール感としてはそういうことで、次々回も見ていただければ、アウトプットのイメージがわいていくように持っていくことができる方向で努力をしたいということで、別に次々回で取りまとめるということを今、想定しているわけではありません。

○今野座長 事務局とちょっと話しますけれども、全体で議論して、大体においていいじゃないと言ったら、次回からまとめに入るし、もう一度議論していただいたほうがいいなというのだったら、もう一度。そうすると、今まで2回しかセットしていないけれども、さっきおっしゃったようにもう一回ぐらいセットしなきゃいけない感じ。そんなことで考えていますけれどもね。

○水町委員 拙速な取りまとめというのは必ずしもよくないので、きちんとプロセスを踏んで調整していただくことは大切ですが、年央まで取りまとめて調整するということで、政治的なスケジュールとの絡みもあるので、そこをどういうふうに事務局がお考えなのかなということが気になったのです。

○今野座長 いつごろまでが年央。

○村山労働条件政策課長 6月ということだと思います。ですので、次々回の議論を見ていただいたときに、全然取りまとまっていないという感じじゃなくて、一番難しい論点をきょう、相当おまとめいただいたので、次々回ぐらいのときには大体こういうスケルトンなり流れになっていくのかなという方向に持っていっていただけるように、座長とよく御相談していきたい。今、事務局として率直な思いとしては、それぐらいの感じでございます。

○今野座長 事務局と全体を見回して、足らない議論なり論点があるかないかという形ですけれども、村山さんはどうもありそうですね。もう一回議論したいのでしょう。だから、事務局としては足りない部分があるらしいので、もう一度私、聞いてみます。いずれにしても1回やったとしても、長くてもあと3回ですかね。2回は決まっているから、プラス1回ぐらいがあるかもしれないと考えていただく。そうすると、年央は無理か。でも、大体年央にできますよ。では、時間は別にしても5月30日、よろしくお願いします。

 それでは、きょうは終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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